ボーダーレス
- 1 名前:いこーる 投稿日:2004/01/06(火) 09:52
- はじめまして。
6期メン リアル エロありです
6期エロが受け入れられるものか自信ないですが・・・
作者個人が読みたいと思ったことがあったので
チャレンジしてみたいと思います。
駄文ですがお付き合いいただけると嬉しいです。
- 2 名前:第一章 投稿日:2004/01/06(火) 09:53
- 寝汗をたっぷりかいてしまった。
今日のコンサートの疲れがどっと出たのかも知れない。
さゆみはうっすらと目を開ける。まだ部屋が暗い。
―――今、何時だろう?
さゆみは枕元においてある携帯を手に取ろうとした。
しかし、ホテルの枕が大きくて、
なれないさゆみは上手く手を伸ばせない。
仕方がない。まだ微妙に眠かったが、
横着するのをやめて体を起こした。
すると、
「あっ!ごめん・・・さゆ。起きちゃった?」
声のした方(右)を見ると、れいながこっちを見ていた。
- 3 名前:第一章 投稿日:2004/01/06(火) 09:54
- 「ごめんね・・・」
再びれいなが言う。小さな声。
隣で寝ている絵里を起こさないように気をつけているのだろう。
「ううん。なんか起きちゃった・・・。今、何時?」
さゆみも小さな声で聞いた。
「1時・・・」
れいなのベッドの読書灯がついたままであることに
さゆみは気がついた。
「れいな、ずっと起きてたの?」
「うん。ちょっとね・・・」
明日もコンサートがあるというのに何をしていたのだろう。
そういえば前にも一度、夜中に起きたられいなが
ダンスの練習をしていたことがあった。
さすがにあれにはびっくりしたが。
今回は、ダンスの確認ではないようだ(だって読書灯・・・)。
「ふーん。ねぇ、何してたの?」
「えっ?いや、えっと。メールやってた」
「もう、終わったの?」
「えっと・・・」
「終わったなら寝ればいいのに」
「いや、今返事待ち」
さゆみは、れいなの枕元に目をやる。
棚の上にはれいなの携帯が置いてあった。
―――うそ・・・
- 4 名前:第一章 投稿日:2004/01/06(火) 09:55
- さゆみは、れいなの枕元に目をやる。
棚の上にはれいなの携帯が置いてあった。
―――うそ・・・
あんなところに携帯を置いていたら、
着信時に音がしてしまうではないか。
マナーモードにしていても棚の上だからガタガタ鳴ってしまう。
さっきから私や絵里を起こさないように気遣っていたれいなが、
あんなところに携帯を置いて返事待ちなわけがない。
- 5 名前:第一章 投稿日:2004/01/06(火) 09:56
- 「電源切れてない?」
「あっ・・・、さゆ。目、いいね」
「うん」
本当は見えたのではなく、
考えてそう思ったのだけれど、それには触れずに
「で、何してたの?」
と聞いてみる。
別にれいなを責めてるわけじゃないけど、普通に気になった。
「ごめん。漫画読んでた」
またあやまった。
―――今日のれいな、すぐごめんっていうなぁ。
別にあやまることじゃないのに。
- 6 名前:第一章 投稿日:2004/01/06(火) 09:57
- 「へぇ。なんの漫画?」
漫画好きのさゆみは気になる。
れいなが寝るのも惜しんで読む漫画ってなんだろう。
「見せて」
「だめ!」
「なんでよぉ。見せてよ」
さゆみは自分のベッドを降りて
れいなのベッドのところまで行った。
れいなは両手を布団の中にしまって、漫画を隠そうとする。
ちょっと考えてから、さゆみはいたずらっぽく微笑むと
「えいっ」
れいなの布団の中に右手を突っ込んだ。
- 7 名前:第一章 投稿日:2004/01/06(火) 09:58
- 「わっ!ちょっとさゆっ」
れいなのあわってぷりが面白い。さゆみは布団の中をまさぐる。
―――あった!漫画。
さゆみは漫画をつかんで引っ張ろうとする。
「あーーー」
れいなが大きな声を出したのでさゆみはれいなの方を見た。
―――ドキッ
気がつかないうちにれいなに大接近していた。
れいなの目がすぐそこ・・・。
れいなはさゆみを見たまま動かない。
さゆみはれいなを見たまま動かない。
あわてた。
―――「ドキッ」ってなによ。「ドキッ」って・・・
さゆみは心の中で自分に突っ込む。
なんでれいなを相手にドキドキしてるんだろう。
- 8 名前:第一章 投稿日:2004/01/06(火) 09:59
- さゆみは照れ隠しにれいなの漫画を思いっきり引っ張った。
「あっ!」
さゆみはひょいと漫画を取り上げた。
暗くてよく見えないが漫画にはカバーがかかっている。
さゆみは漫画を開けて中を見る。
「これって・・・」
裸の女の人の背中から、男の手が股間に伸びている。
女の股間をまさぐる男。
女が喘ぐ。
「・・・」
- 9 名前:第一章 投稿日:2004/01/06(火) 10:00
- 気まずい沈黙。
「それね」
さゆみが固まっているとれいながボソボソと話はじめた。
「藤本さんから借りたの。
藤本さんになんか面白い漫画ないですか?って聞いたら・・・。
でも、みんなと一緒の時って読めないでしょ。
今日は二人とも早く寝ちゃったから・・・」
れいなはそういってうつむいてしまった。
恥ずかしそうだった。
―――私もちょっと、恥ずかしいかも。
・・・。
気まずい空気が流れる。
「ねぇ、れいな」
さゆみが口を開いた。自分でも何を言い出すのかよくわからなかった。
「うん?なに?」
れいながこっちを向く。顔が赤いのは、読書灯のせいかな?
「この漫画。私にも読ませて」
さゆみはれいなに言った。
絵里は目を閉じると、再び眠りに落ちていった。
- 10 名前:いこーる 投稿日:2004/01/06(火) 10:01
- 第一章は以上です。
出たしがずいぶんベタベタですが、
とりあえずもう少し続けてみるつもりです。
- 11 名前:ss.com 投稿日:2004/01/06(火) 20:43
- 同板で書かせてもらっている者です。
いい感じですね。
期待してます。でも、中学生にエロ漫画を貸すなんて、藤本さん
罪な事しますねW
頑張って下さい。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/07(水) 08:08
- 6期ヲタなんでうれしいです。応援してます。
個人的にはえりれなが見たいかも(w
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/07(水) 20:37
- おもしろそうですね。
6期ってことは、みきてぃも含まれるのかな?
自分も6期ヲタなんで、楽しみにしてます。
- 14 名前:いこーる 投稿日:2004/01/07(水) 20:49
- 皆様、早速のレスありがとうございます!
>>11
初レスありがとうございます。
藤本さんに悪気はないのだと信じてますw
>>12
この先、えりれな入る予定ですのでよかったらご覧ください。
>>13
みきてぃはなるべく絡めていきたいです。
基本は3人のつもりで書いてますが、
何かの折にはご登場いただこうかと思ってます。
6期という枠組みには不思議な魅力があって作者自身
ワクワクしてますw。
これからもよろしくおねがいします。
- 15 名前:いこーる 投稿日:2004/01/07(水) 20:52
- 続きを更新します。
章を重ねるごとに「濃く」なっていきたいと思ってます。
- 16 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 20:53
- さゆみは鏡に向かっていた。
ホテルの洗面所。
どうしてこういうホテルってお風呂とトイレまで一緒なんだろう。
ユニットバスの洗面所でさゆみは身支度をしている。
―――まつげ、もうちょっと直そう。
それにしても眠い・・・。
あのあと結局れいなと二人でHな漫画を読んでしまった。
おかげでほとんど眠れなかったのだ。
- 17 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 20:54
- 「よし」
声に出してみる。
まつげOK。
あとは最終チェック。
―――かわいい・・・
思わず自分に見惚れてしまう。
自分でかわいいと思うなんて変かな?
絵里は私のことをおかしいと言う。
―――でも、かわいいんだもん。
小さいころから周りの大人に可愛がられていた。
さゆみにあった大人はみな、さゆみのことを「かわいい」と言った。
子どものときに「かわいい」と言われるのは別に珍しくないけれど・・・
でも、さゆみは疑うこともなく納得していた。
―――私ってかわいいんだ・・・
それはさゆみにとってごく普通の、あたりまえのことだった。
それが、最近ちょっと変わった。
- 18 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 20:55
- さゆみは鏡を見つめている。
長いまつげ。
赤いほっぺた。
唇・・・
―――キス・・・したい。
いや・・・。
自分でもそれはおかしいと思う。
自分とキスしたいなんて、変なコだよ。でも・・・
変なことを考えている自分にドキドキした。
―――やぱっり、かわいい。キスしたい。
さゆみは洗面台から身を乗り出し鏡に顔を近づけた。
自分の顔がすぐ近く。
胸の鼓動がものすごく早い。
さゆみは目を閉じて、唇を鏡にくっつける。
ひんやりとした鏡の感触を唇が感じる。
―――気持ちいい
想像の中で、さゆみは自分と唇を重ねている。
やわらかくて、あったかい。
- 19 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 20:56
- ―――「自分好きなんです」
モーニング娘。に入って間もなく、
番組収録のときにさゆみが言ったせりふ。
さゆみにとってはそれが素直な意見だった。
ただ、
先輩たちの反応は予想以上だった。
「しげさんは自分がすきなんでしょ?」
「自分がかわいいって思ってるんでしょ?」
後から言われまくった。
これらは先輩たちがさゆみのキャラを立てようと思って
言ってくれたことに違いない。
でも・・・意識してしまった。
そのときから鏡の中の自分を
単にかわいいと思うだけでは済まなくなってしまった。
自分の顔を見るたびにこみ上げてくる
いとおしさ・・・
せつなさ・・・
密かな恋を言い当てられた途端に、気持ちに火がつく。
そんな感じだ。
「自分すきなんでしょ?」
まわりから言われ続けたから。
まわりから期待され続けたから。
本当に好きになってしまった。
- 20 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 20:57
- 「さゆ!もう行くよっ!」
ドアの外から絵里の声がする。
さゆみは鏡から顔を離した。
「ごめん。もうちょっと待って」
便器に腰をかけた。
まだキスの興奮が冷めない。
―――ちょっとだけ・・・さわっちゃおう
さゆみはショーツを下ろすと、右手をあそこへと持っていった。
- 21 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 20:57
- ―――急にこんな気分になっちゃうなんて
昨日れいなに見せてもらった漫画のせいだろうか。
人差し指でなでると、指先の冷たい感触が伝わってきて、
それだけで頭の中がフワッとした。
視界がぼやけてくる。
さらに敏感なところを刺激する。
「んっ」
胸を刺すような快感に思わず声が漏れそうになってしまう。
ぼんやりした眼で鏡を見た。
頬を高潮させて、身を捩っている自分。
さゆみはさらに興奮する。
指に力を入れてみる。
「あっ」
強く刺激したので声が漏れてしまった。
外の二人に聞こえちゃったかも。
―――かわいい声・・・
さゆみはそんなことを思った。
―――濡れちゃった。
- 22 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 20:59
- 洗面所の外。
準備万端。れいなも絵里ももう出発できる。
なのに・・・
「遅いね。さゆ」
さゆが洗面所から出てこない。
まぁちょっとなら時間はあるからいいけど。
「また鏡見てるんだよ」
絵里の目が据わっている。
不機嫌そうだ。
「バカみたい」
絵里は言った。
なんだか最近の絵里はさゆに厳しい。
確かにさゆ待ちで出発できないことがしょっちゅうだから、
怒るのもわかるけど。
―――今日の絵里はなんか・・・
荷物を持って絵里がれいなのそばに来た。
唇を突き出して下を向いている・・・。
イライラしているのを隠そうともしない。
―――絵里。怖い
れいなはそう思った。
- 23 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 20:59
- ドサッ
絵里の荷物が床に落ちる。
いや、絵里が置いたのだ。
とても「置いた」ような音ではなかったが。
わざと音を立てるように落としたみたいな。
全然笑わない絵里。
れいなと絵里は並んで立っていた。
「さゆ!もう行くよっ!」
洗面所のさゆに向かって怒鳴る絵里。
「ごめん。もうちょっと待って」
対するさゆはのんきな声で答える。
結局、ふたり並んで立ったまま。
- 24 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 21:00
- 部屋の入り口付近。
スペースが狭まっている。
これは、客室を実際以上に大きく見せるためなんだよね。
れいなはどうでもいいことを考えていた。
「れいなさぁ」
不意に絵里が話しかけてきた。
「昨日、ずっと起きてたでしょ」
「えっ?知ってたの?」
「うん。途中でちょっと目が覚めたら、二人の話し声がして、
まだ起きてるんだ、って思った」
「あ、ごめん。話、聞こえちゃった?」
れいなは焦った。ひょっとしたらHな漫画を読んでいたことを
聞かれていたかもしれない。
「ううん。話の内容は知らない。私、またすぐ寝ちゃったから」
「そう」
- 25 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 21:01
- れいなはほっとする。
その時
(あっ)
何?
洗面所の中から変な声。
さゆの声だろうけど、今のは?
れいなは妙にどぎまぎした。
「ねぇれいな」
絵里は今の声が聞こえなかったのだろうか。
気にせず話しかけてくる。
「なに?」
「さゆが出てくるまで、二人でなんかしてようよ」
「うん・・・」
なにげなく答えてみた。
れいなは絵里を見る。
笑ってない。
じっとれいなを見ている。目は据わったまま。
―――やっぱり、怖い。今日の絵里。
- 26 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 21:01
- 「えっと。何する。絵里?」
「・・・」
絵里は黙ってれいなを見続ける。
「絵里?」
一歩、絵里がれいなに近づいた。
つま先がぶつかった。
「れいな。キスしよ」
「えっ?」
絵里が顔を近づけてきた。
―――!?
れいなはとっさに両手を顔の前にかざして唇をかばう。
「まっ・・・待って!絵里!」
しかし
絵里に両手首をつかまれ、壁に押し付けられてしまった。
ちょっと痛い。
急接近してくる絵里。
れいなは目をつぶった。
- 27 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 21:02
- 「むっ・・・んんん」
れいなの唇が絵里の唇を受け入れた。
れいなは両手に力を入れて抵抗してみるが、
押さえつけられているのでどうにもならない。
頬が、絵里の鼻息を感じる。
―――熱い・・・
絵里の胸がれいなの胸に押し付けられて、
絵里のすごく早い鼓動が伝わってくる。
それでれいなは自分の鼓動も
早くなっていることにようやく気がついた。
―――もう。なんだか。どうでもいいや。
両手に入れていた力を抜いた。
それに気がついたのか絵里はれいなの手を解放する。
二人の手が下がる。
れいなの手が下がりきったところで、
絵里が手を絡めてきた。
手をつないだままキスを続ける二人。
絵里にキスされてる。
―――初めてなのに。
なんで?
どうして絵里が・・・。
わからない。
―――絵里。何考えてるの?
- 28 名前:第二章 投稿日:2004/01/07(水) 21:02
- 絵里の髪が首筋をくすぐる。
それでもれいなは動けない。
―――時間・・・へいきかな?
れいなの時間は止まったようにゆっくり流れていた。
やがて、
絵里の唇はれいなから離れていった。
れいなは下を向いて黙る。
絵里は荷物を持ち上げた。
そして
「ごめんれいな。よだれ、ついちゃってる」
「え?」
絵里はようやく笑った。
途中、さゆみがドアを開けて二人のキスを目撃し、
すぐに洗面所に戻ったことにれいなは気がつかない。
- 29 名前:いこーる 投稿日:2004/01/07(水) 21:22
- 本日の更新は以上になります。
淡々と進みすぎてるような・・・
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/08(木) 16:11
- そんなことないですよ!いい具合です。
亀れな萌えまくりでつ!!やばいやばい(w
亀はれいなが好きなのかな?
次回も楽しみにしてます。
- 31 名前:いこーる 投稿日:2004/01/09(金) 19:32
- >>30
心強いレスをありがとうございます!
そういっていただけて何よりです。
今後ともよろしくお願いします。
- 32 名前:いこーる 投稿日:2004/01/09(金) 19:33
- 更新します。
今回はさゆ中心で進んでまいります。
- 33 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:35
- 車がホテルに到着した。
ツアー2週目。
地方公演の多いこの季節は毎週のようにホテル泊となる。
さゆみは今日の部屋割りを思い返す。
・
・
・
1505:矢口・石川
1506:藤本・田中
1507:亀井・道重
2人部屋。
さゆみは絵里と一緒の部屋だ。
―――絵里と二人・・・
- 34 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:36
- 先週
れいなと絵里がキスをしていた。
3人。
オーディションのときから
問題児というレッテルを貼られて
TVに登場した3人。
いつも仲良し。
そんなふうに人々は見ていたのだろう。
仲良し3人。
でも
れいなと絵里。
キスするほど仲がよかったなんて、かなりびっくり。
―――私、全然気がつかなかった。
この一週間、そのことばかりが気になった。
そして今日、絵里と二人で同じ部屋に泊まる。
―――どうしよう。
何に対してどうしようなのか、
さゆみ自身よくわからない。
とまどっている。それだけがはっきりしていた。
でも、
さゆみは思い直す。
私が絵里とどうにかなっちゃうなんてことはない。
だって
―――絵里は、私に冷たいから
- 35 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:36
- なんでかは知らないが、最近さゆみは
絵里が冷たいと感じるようになった。
きっかけは、思い出せない。
ただ、話し方とかでそう感じるのだ。
―――はぁ
さゆみは憂鬱な気分で部屋へと入っていった。
部屋に絵里はいなかった。
荷物を置いてどこかに行ってしまったのだろう。
もしかして、れいなのところに行ったのかな?
2人はどんな関係なのだろう。
キスするだけなのか
それとも
―――・・・。
変な想像をしてしまう。
あのHな漫画でやってたようなことをしているのだろうか。
裸になって
抱き合って
(しゅん)
なんだろう。今のしゅんとした気持ち。
さゆみの鼓動が途端に早くなる。
なんだろう。
- 36 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:36
- ―――漫画、読みたい。
れいなが藤本さんに借りたと言っていた漫画。
あれはまだれいなが持っている?
もう返しちゃったかも。
だって
夜中に漫画を読んでいたれいなのせりふ
―――でも、みんなと一緒の時って読めないでしょ。
今日は二人とも早く寝ちゃったから・・・
わざわざホテル泊の日に私たちの目を盗んで読むことない。
平日、自分の部屋で読めばいいんだから。
でもそうしなかった。
れいなは漫画を早く返そうと思っていたんじゃないか。
だから、ホテルで夜中にあわてて読んでいた。
だとすると、あの漫画は今藤本さんが持ってる?
藤本さんに聞いてみようかな・・・。
「れいなに貸してたHな漫画見せてください」
・・・。
だめだ。とてもそんな恥ずかしいことお願いできない。
- 37 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:37
- さゆみはベッドの上に置いてある荷物を見た。
大きなリュックサック。
―――絵里が持ってたりして。
さゆみは絵里のリュックに手を伸ばした。
―――大丈夫・・・元通りにしておけばバレない。
さゆみはリュックの正面に座り、
ファスナーを右から左へ動かした。
リュックが開いた。
あたりまえだけど。
―――絵里、きたないよぉ
リュックの中を覗くと、
タオル、着替え、その他いろいろが雑然と放り込まれている。
その中に、見慣れないものがあった。
ピンク色のプラスチックのたまごのようなもの。
たまごからコードがのびていて、その先にスイッチ。
―――これって、漫画に出てきた・・・
- 38 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:37
- なんで絵里がこんなものを持っているのだろう。
試しに(って何の試しよ!)スイッチオン。
ブブブブブブブブブブ
たまごが振動し始めた。
間違いない。あれだ。
名前知らないけど。
―――これ、気持ちいいのかな
ブブブブブブブブブブ
たまごを右手に持つと振動が伝わってくる。
それを、唇につけてみる。
唇がブルブルと震える。それにつられて頬もプルプルと揺れる。
―――何か、変な感じだなぁ。
次に胸のところに持っていく。
胸が振動しているけれど、あまり気持ちよくない。
―――服の上からじゃわからないや
さゆみはたまごを置いて、服を全て脱ぎ捨てた。
- 39 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:38
- 全部。
ここまでしなくてもよかったかな?
全裸になって振動するたまごと向き合うと
かなり緊張した。
たまごをもって乳首にちょんと触れてみる。
「あっ!」
胸から全身にしびれるような刺激が伝わる。
さゆみはたまごを落としてしまった。
切なくなって
自分を
抱きしめたくなる。
―――また、自分のこと考えてる。
- 40 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:38
- でもこれ、気持ちいい。
たまごを拾って自分のベッドに横になった。
足をひらく。
たまごを敏感なところに持っていってあてがう。
「あんっ・・・んっ、んっ・・・くはぁ」
たまごをつけた途端、全身が仰け反るほどの快感がさゆみを襲った。
一瞬、頭の中が真っ白になる。
今度はたまごを落とさないよう必死に意識を保つ。
「はあっ・・・ああ・・・あんっ」
振動があそこからおなかに伝わって
胸までふるふると震えているような感じだ。
「んん・・・あっ・・・」
たまごが突起にあたって、全身が震えた。
- 41 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:39
- ―――私・・・
さゆみは見ることのできない今の自分の姿を想像する。
顔を真っ赤にして目を瞑りながら
大股開きになってベッドの上で喘いでいる私。
「はんっ・・・あぁ・・・」
いとおしい。
かん高い声をすごくかわいいと感じた。
―――かわいい、
―――気持ちいい。・・・幸せ。
快感が下腹部からこみ上げてきてのどから出てきちゃいそう。
胸の奥がピリピリいってる。
「あっ」
なにかが込み上げてきた。
あそこがピクピクと痙攣しはじめた。
「んんっ」
―――出ちゃう!
こらえようにも、痙攣は止まらない。
「ああ、・・・ああああ!」
頭の中で閃光がして、意識が飛びそうになる。
イッた。
- 42 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:39
- 「はぁ・・・はぁ・・・」
さゆみはぐったりとして肩で息をする。
―――気持ち、よかった。
シーツを濡らしてしまった。
「はぁ・・・」
―――やっちゃった。自分のことを考えながら。
さゆみのなかに突如、後ろめたさがひろがりだす。
―――わたし・・・H。
まだ大人じゃないのに。
好きな男の子がいるわけじゃないのに。
―――変だよね。こんなの・・・
しかも想像上の相手は自分自身。
そう思うとぞっとした。
自分のことを好きになっている自分を嫌悪する。
矛盾。
アンビバレントな感情にさゆみはつぶれそうになる。
自分・・・。自分?
―――私は、どこ?
自分は一体どこにいってしまったのだろう。
もうわけがわからない。
気持ちの整理が付かない。
- 43 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:39
- ―――たまご・・・返さなきゃ。
さゆみはたまごに付いた液を毛布で拭う。
そのとき
外からパタパタという足音が聞こえてきた。
―――帰ってくる!
さゆみは飛び起きて開いたままの絵里のリュックに手を伸ばす。
ピンクのたまごをリュックに投げ入れてファスナーを右から左。
ショーツをはく。
ブラをする。
ガチャ
ズボンをはいて
Tシャツを着て
「ただいま」
靴下は・・・間に合わなかった。
- 44 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:40
- でも一応元通りになった。
濡れたシーツは布団で隠したし、靴下までは気がつかないだろう。
「おかえり」
絵里はさゆみを見ずに自分のベッドへと向かった。
リュックに手を伸ばしかけて。
―――えっ?
止まった。
「絵里?どうしたの?」
「ん・・・ちょっとね」
そういってリュックを眺める絵里。
- 45 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:40
- ―――大丈夫。ちゃんと元に戻しといたし・・・
「さゆさぁ」
絵里がこっちを見た。
表情がない。
「何?」
「私がいない間、誰か来た」
「ううん。誰も来てないよ」
「・・・」
沈黙。
さゆみは血が逆流していくような感覚になった。
「そっか」
絵里は、突然笑顔になるとそういった。
- 46 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:41
- そして
「さゆさぁ」
笑顔のまま話しかけてくる。
「うん?」
「私のリュック、ファスナーが二つ付いてるでしょ。ほら見て」
「本当だ。二つある」
「でね、私必ずファスナーを二つとも右にまとめておくの。
特に理由はないんだけど、癖かな?」
「そうなんだ・・・」
「今、ファスナー左。こうなってると落ち着かないの。さゆ」
「・・・」
「次から気をつけてね」
- 47 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:41
- 笑顔が消えた。
近づいてきた。
さゆみのすぐ近くまで来ると、
絵里は信じられないくらい低い声で
「使った?」
言った。
「え?なっ・・・何を?」
「ローター」
「あっ・・・えっと」
「使ったでしょ!」
絵里が怒鳴った。
「・・・」
さゆみは黙っている。
認めたようなものだった。
- 48 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:42
- 「誰と使ったの?」
さゆみは顔を真っ赤にして
「一人で・・・」
と弱弱しく答える。
こんなことを知られるなんて、恥ずかしくて死にそうになる。
「せっかく、使おうと思ったのに・・・」
「ごめんなさい」
「何なの!」
「・・・」
「何なのよ!人の荷物勝手にあさって」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
さゆみは泣き出した。
「何泣いてるの?バカじゃないの?」
「ごめんなさい」
「ごめんなさいばっかり・・・。さゆ?」
「はい?」
「ムカつく」
- 49 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:42
- さゆみの胸に大きな穴が開いたようだった。
激しい後悔の念がさゆみを襲う。
―――あんなことしなければよかった。
「ムカつく」と言ったきり、
さゆみを睨んだまま絵里は黙っている。
それが、怖かった。
部屋にはしくしくというさゆみの泣き声だけが響いていた。
「どうしたの?」
- 50 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:42
- 入り口から声がした。
見ると藤本さんが部屋に入ってきていた。
そして再び
「どうしたの?」
絵里に聞く。
絵里は
「なんでもないです」
とだけ答えて部屋の外に出て行ってしまった。
「道重ちゃん?大丈夫?」
藤本さんは今度はさゆみに聞く。
さゆみは泣きながらも
「大丈夫です」
と答えた。
- 51 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:43
- 藤本さんがさゆみの横に来てベッドに腰掛ける。
―――あっ、そこ
藤本さんが座ったのはさっきさゆみが濡らした箇所だった。
掛け布団の上だから平気だろうけど。
「今日は泣き虫さんが多いな」
藤本さんはさゆみの頭をなでてくれる。
―――あぁ。藤本さん
やさしい声で
「何があったの?」
と微笑みかけてくれた。
- 52 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:43
- 「絵里を、怒らせちゃった。私がいけないんです」
「そう・・・」
「藤本さん」
さゆみは藤本さんを見る。
「ん?」
どうしてこんなに
やさしい、
やわらかい笑顔。
「私・・・自分嫌いです」
今度は涙が、布団を濡らした。
- 53 名前:第三章 投稿日:2004/01/09(金) 19:47
- 本日の更新は以上になります。
今回はずっとさゆ視点だったので
次回はれいな視点中心です。
次回更新は連休明けの予定です。
- 54 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/09(金) 20:41
- 優しいミキティ
いいっすね〜
さゆみき好きなんで二人が出てくると嬉しいです
それにしても亀井がなんか怖い(w
- 55 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/09(金) 21:25
- 初めて読んだけどイイ!!田亀萌える。
次回はれいな視点!楽しみにしておりまする。
- 56 名前:いこーる 投稿日:2004/01/13(火) 13:39
- >>54
ありがとうございます。
正直、ミキティのこういった役回りは自信がなかった
のですが、中々いい感じになってくれて
私自身ほっとしています。
>それにしても亀井がなんか怖い(w
彼女、キレたら怖そうです・・・
>>55
ありがとうございます。
6期2人のCPはいろいろと
萌えます。
今後も2人の展開をよろしく見守ってやってください。
- 57 名前:いこーる 投稿日:2004/01/13(火) 13:50
- 第4章の更新をさせていただきます。
- 58 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:51
- 車がホテルに到着した。
ツアー2週目。
地方公演の多いこの季節は毎週のようにホテル泊となる。
れいなは今日の部屋割りを思い返す。
・
・
・
1505:矢口・石川
1506:藤本・田中
1507:亀井・道重
2人部屋。
れいなは絵里と別々の部屋だ。
―――絵里・・・
- 59 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:51
- 先週
絵里にキスされた。
れいなは絵里のことをそれまで
同期の仲間だと思っていた。
それなのに
絵里があんなことしてくるなんて。
どういうつもりだったのだろう。
その後、
絵里はれいなに普通に接してきた。
今までとなんら変わりなく。
友達として。
この一週間、そのことばかりが気になった。
―――はぁ
- 60 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:51
- れいなは部屋へと入っていった。
部屋に藤本さんはいなかった。
れいなはベッドの上に荷物を置いて、
自分もベッドに腰掛ける。
コンコン
「どうぞ」
入り口の方に目をやると、そこに絵里。
!!
れいなは跳び上がって立つ。
「くすっ」
絵里が笑った。
「れいな、今ぴょんって跳んだよね。面白い」
「え?」
「ウサギみたい」
れいなは顔が熱くなる。
やだ・・・。
何赤くなってるの?私。
「何赤くなってるの?」
絵里が聞いた。
れいなが知りたい。
- 61 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:52
- ―――どうして絵里は普通でいられるの?
れいなの方は、絵里を見るたびに意識してしまうのに。
絵里にとってあのときのキスは、
単なる暇つぶしだったのだろうか。
―――だめ!絵里の前でネガティブになっちゃ
れいなは自分に言い聞かせ、
ぎこちなく笑顔を作って絵里を向いた。
絵里は
「ジュース買いに行こう」
れいなを誘ってくれた。
「うん。いいよ。行こう」
れいなは微笑みかける。
絵里に誘われたのが嬉しかったので
今度の笑顔はぎこちなくはならなかった。
―――よし、それでいいぞ私。
れいなは絵里と並んで部屋を出た。
- 62 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:52
- 絵里の隣。
廊下を歩いている。
れいなは
―――手・・・つないだりしちゃ駄目かな?
とか考えてしまった。
考えた途端、ドキドキしてしまった。
また顔が熱くなる。
れいなは下を向いた。
―――いきなり、つないじゃおっかな・・・
右手に力が入る。
ドキドキ
―――どうしよう
右手が汗ばむ。
ドキドキドキドキ
―――早くしないと着いちゃう。
右手をちょっと動かすだけで、そこに絵里・・・。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ・・・
「れいな、何飲む?」
到着してしまった。
- 63 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:53
- れいなは絵里を見て、
・・・
うつむいてしまう。
自分は意気地なしだ。
「れいな?」
声をかけられていてもうつむいてしまう。
「やっぱり顔・・・赤いよ?大丈夫?」
「え?・・・えっと」
「風邪?」
「ちが・・・う。と思う」
れいなが曖昧に返事。
れいな自身はなぜ顔が赤いのかわかってる。
絵里のことを考えていたら顔が熱くなってしまったのだ。
でも、
そのことを絵里に知られるのが怖い・・・。
だから、
曖昧に返事。
「本当に大丈夫?」
絵里の顔が近づいた。
- 64 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:53
- ―――わっ・・・絵里!?
絵里はれいなのおでこに右手を当てる。
「んーーー熱はないかな?」
右手を離す。
そして今度はおでこをくっつけてきた。
―――きゃーーーー
れいなは心臓が飛び出てきそう・・・。
思わず息を止めた。
「熱はないかな?」
絵里はさっきと同じことを言う。
―――恥ずかしい。
れいなは目をつぶってしまった。
しばらくして
絵里のおでこが離れていく。
呼吸再開。
- 65 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:54
- 「れいなさぁ。疲れてるんじゃないの?」
ドキドキがおさまらない。
―――やだ。・・・絵里をまっすぐ見れない。
れいなは目を開けられない。
―――落ち着け!
れいなは深呼吸をする。
「やっぱり具合悪そうだね。息が切れてる」
違う・・・これは深呼吸。
でも絵里は
「れいな。部屋に戻ろう」
といって
―――あっ
れいなの右手をひょいとつかんで
また来た道を戻りだした。
ちょっと速いペースで。
引っ張られるように歩き出すれいな。
絵里の後姿を見ている。
―――手・・・つないでる。
れいなはまた赤くなった。
- 66 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:54
- 部屋に戻って絵里に強引に寝かせられた。
―――だから風邪じゃないんだって。
でも、
絵里がれいなに布団をかけてくれる。
嬉しかった。
「じゃ、れいな」
布団をかけ終えると絵里は
「私、一旦部屋に戻るから」
と言った。
「あっ絵里!」
「ん?」
「・・・なんでもない」
沈黙。
「そう?じゃあね。寝てね」
バタン。
- 67 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:54
- ―――行っちゃった。
れいなは上半身を起こす。
絵里がいなくなって
部屋にぽっかりと隙間ができたみたい。
―――どうしちゃったんだろう。私
いままでだったらどうってことない普通のやりとり。
それなのに。
絵里を意識するようになってから、
普通のことが普通に
できなくなってしまったようだ。
絵里との間に
とんでもなく距離ができてしまったみたいだ。
絵里は・・・女の子なのに。
―――私。おかしくなっちゃったのかな
- 68 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:55
- どうして
こんなことになっちゃったんだろう。
いままでみたいにバカなこといいあって
笑いあって
楽しく
3人でいられたらいいのに。
―――あのキスで、変わった
本当はいけないんだってわかってる。
女が女を好きになっちゃいけないって。
そんなことは初恋のずっと前から
みんな知ってることじゃないか。
でも、
気持ちはおさまらない。
―――絵里に、この気持ちを知って欲しい
- 69 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:55
- でも、
絵里は迷惑がるかも知れない。
絵里にとってみたら、
あのときのキスは遊び。
矢口先輩がよくするように、遊びのキス。
それなのにれいなが本気にしたら。
―――絶対、気持ち悪いって思われるよ
だから
この気持ちを抱えたまま
じっとしているしかない。
悔しいけど、
自分には何もできない。
―――嫌だよ・・・
喉が痛い。
目が熱い。
震えてきた。
―――嫌だよ・・・
「田中ちゃん。たっだいまー」
藤本さんが帰ってきた。
- 70 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:56
- 「梨華ちゃんたちの部屋ねぇ、広いんだよ」
そんなことを言いながら。
でもれいなは、顔を上げることができない。
「あれ?田中ちゃん?」
顔を上げることができない。
「泣いてる?」
藤本さんがかけよる。
れいなのすぐそばで立ち止まった。
―――藤本さん・・・
れいなは
すごく小さく、
消え入りそうに、
声を吐き出した。
「絵里が好き・・・」
言ってしまって、
さらに涙が出てきた。
「れいな・・・」
- 71 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:56
- 藤本さんはれいなにならんでベッドに座ると
―――今、藤本さん。れいなって・・・
そっと抱きしめてくれた。
―――あったかい。
れいなは藤本さんの胸で思いっきり泣いた。
何分も。
「こんなのって、変ですよね」
「・・・どうして?」
「絵里は、女の子なのに」
「・・・」
「私、女の子なのに」
また涙。
藤本さんの服が濡れちゃってる。
- 72 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:56
- 「全然変じゃないよ。別に変じゃない」
「・・・藤本さん」
れいなを抱きしめる手が
強く
ギュッと
なった。
「好きになる気持ちは自由だもん。別に変じゃないよ」
「・・・」
「すっきりするまで、泣きな」
「・・・はい」
れいなはそのまま眠ってしまった。
- 73 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:57
- 目が覚めると、部屋が暗かった。
れいなは目を凝らしてとなりのベッドを見る。
藤本さんはいなかった。
―――矢口さんと石川さんの部屋に行ったのかな?
れいなは携帯を取って時計を見る。
結構眠ったと思ったら
まだ10分も経っていなかった。
ガチャ
「ただいま」
藤本さんの小さな声がした。
「大丈夫です。起きてます」
れいなが言うと
部屋の明かりがついた。
- 74 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:57
- 藤本さんが入り口に立っている。
ちょっと困ったような表情。
「あのさぁ、れいな」
「はい」
「部屋・・・変えたいんだけど。いい?」
「え?いいですけど」
何かあったのだろうか。
「亀井ちゃんこっち呼ぶから、
れいなは道重ちゃんと寝てくれる?」
やはり何かあったのだろうか。
―――絵里がこの部屋にくる。
「それなら・・・」
「うん?」
「私と絵里が一緒に寝るんじゃ駄目ですか?」
ためらうことなくそうお願いした。
- 75 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:58
- 「れいな・・・」
藤本さんには、本音で話せる。
藤本さんなら、わかってくれる。
受け入れてくれる。
「いいけど、れいな。平気?」
「平気です。絵里と一緒の部屋にしてください」
「そっか。れいなは頑張り屋さんだね」
言っていることはよくわからなかったが、
ともかくOKのようだ。
藤本さんはれいなの方に来て
ハンカチを取り出すとれいなの頬を拭き始めた。
「ほらっ。
好きな人に会うんだから、泣いてんじゃないぞ!」
「はい」
―――ありがとう。藤本さん。
- 76 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:58
- 「じゃあ、亀井ちゃん呼んで、
美貴は向こう行くから」
「はい」
「おやすみ、れいな」
「おやすみなさい」
ほどなくして
絵里が、
来た。
- 77 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:58
- 手ぶら。
そういえば藤本さんの荷物も
こっちの部屋に置きっぱなしだ。
大丈夫なのだろうか。
「絵里」
れいなは声をかける。
絵里は下を向いている。
―――さゆと、何かあったんだ。
れいなは直感した。
「絵里?どうしたの?」
聞いてみるが
絵里は下を向いたままで、
入り口に突っ立っている。
「絵里?入っていいよ」
「うん」
絵里は力なく答えると、
ゆっくりと部屋の中に入ってきた。
- 78 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 13:59
- 「なにかあったの?」
絵里は答えない。
「言いたくないの?」
絵里は答えない。
「言いたくないなら聞かないからいいよ」
絵里は・・・
一瞬だけれいなの方を向いて、また下を向く。
「嫌なことあったときは、
思いっきり寝ちゃえばいいんだよ」
れいなは言う。
- 79 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:00
- ―――私、結構普通にしゃべってる。
自分でも以外なくらい落ち着いて
絵里と向かい合うことができた。
「絵里、疲れてるんだよ。もう寝よう」
絵里は
「うん」
それだけ言った。
動かない。
―――自分が先に寝ちゃえば絵里も寝るだろう
「じゃ、おやすみ」
れいなは絵里に背を向けベッドに向かう。
「・・・れいな」
ベッドの横で
れいなの背後から絵里が手をまわしてきた。
「絵里?」
絵里はキュッと抱きしめてくる。
- 80 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:00
- 「寂しい」
そう言った。
「れいな・・・行かないで」
「え・・・り?」
「れいなまで、行ってしまわないで」
「れいなは行かないよ。ずっと絵里と一緒だよ」
「ありがと」
バサッ
絵里が体重を預けてきたので
れいなと絵里はそのまま
ベッドにうつぶせに倒れこんだ。
背中に、絵里を感じた。
れいなの後頭部に顔をうずめたままの絵里。
ちょっと重いかも。
- 81 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:00
- 「絵里?ねぇ、絵里?」
れいなは身を捩って、なんとか絵里の方を向く。
やわらかい体と体がぴったりとくっつく。
―――そういえば藤本さん。電気消していかなかったな。
とか、いまさらなことを考えるれいな。
鼻の先をつっくけあって2人は見つめあう。
そのまま、
しばらく。
絵里が上に乗っかっていてちょっと重かったけど、
我慢した。
- 82 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:01
- 「れいな。かわいい」
そう言うと
絵里の唇が
「キスしよ」
きた。
「ん・・・」
れいなは抵抗しなかった。
れいなの唇はそのままに
絵里の唇を受け入れる。
キスは短かった。
絵里は唇を離して体を起こす。
れいなは寂しくなった。
―――ああ
絵里がちょっと離れていくだけで、
こんなにも切ない。
- 83 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:01
- 「れいな。触ってもいい?」
「ん?」
「胸・・・」
絵里が恥ずかしそうに言う。
「・・・」
れいなは答えない。
―――本当に?
キスするだけじゃ嫌。
絵里ともっと深い関係になりたい。
でも、
―――いいの?私、女の子だよ。
れいなには、
越えてはならない一線のように思われた。
―――ダメだよ絵里。私・・・戻れなくなっちゃう。
れいなは答えられない。
どう言ったらいいのだろう・・・。
- 84 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:02
- 「あんっ・・・絵里?」
れいなの沈黙を絵里は肯定ととったのか、
服の上かられいなの胸を触った。
やさしく・・・包み込む。
「小さいでしょ・・・」
「そんなことないよ。やわらかい」
絵里はれいなのシャツをめくって、ブラを外した。
れいなの胸を直接触ってくる。
「はぁっ・・・」
気持ちいい。
心地よい。
絵里に任せてしまおう。
れいなはそう思い始めていた。
- 85 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:02
- 「んっ」
絵里の指先がれいなの乳首を弾いた。
れいなの体がピクンと反応する。
また弾く。
感じる。
また弾く。
「あっ・・・あっ・・・」
絵里がれいなの乳首に口をつけてきた。
そっとキスをして、
今度は吸うようにれいなを刺激する。
「えりぃ・・・えりぃ・・・」
- 86 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:03
- れいなは絵里の名を口にする。
気持ちよくって頭の中がふわふわしてくる。
絵里は唇でれいなの乳首をいじりながら
れいなのズボンを脱がす。
絵里の手がれいなのショーツをするすると下ろした。
―――あっ、脱がされた。
快感に浸っていたれいなが気がついたころには、
絵里はれいなのショーツはがしてしまった。
絵里の手がれいなに伸びようとする。
「待って!絵里」
絵里は待たない。
絵里の指先がれいなに触れた。
「あっ・・・ダメ!ダメぇ」
れいなは絵里の腕をつかんで必死に抵抗する。
腕をつかまれた絵里は身を起こしてれいなを見た。
- 87 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:03
- 「れいな?」
「ダメだよ。絵里・・・」
れいなは泣きそうになって言う。
「そこは・・・ダメ」
絵里は
「れいな。怖いの?」
と聞いてきた。
れいなは
こくん、とうなづく。
怖かった。
自分すらも知らない場所に絵里の手が届く。
怖かった。
「かわいい」
絵里はくすっと笑って言った。
- 88 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:04
- 「大丈夫。怖くないよ」
絵里は立ち上がると、自分の服を脱ぎ始めた。
靴下も脱いで絵里は全裸になる。
―――絵里。きれい
「ね?いいでしょ?」
絵里が微笑みかけてきた。
れいなは再びこくん、とうなずく。
絵里はれいなの股間へと右手を持っていく。
最初は太もも周辺をさわさわと撫でられた。
そして円を描くように徐々に
中心へと
- 89 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:04
- 「いくよ」
絵里の人差し指が、入った。
「あぁぁぁ」
れいなの全身に電気が走った。
快感が胸を貫いて脳髄にまで届いたみたいだった。
一瞬で意識が吹っ飛んだ。
体から何かが抜けたようにぐったりする。
―――もしかして、私・・・
「れいな。イッた?」
―――イッた。
全身で呼吸をする。
「絵里・・・最高」
上手い表現が見つからなくてれいなはそう言った。
- 90 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:04
- 絵里は
「れいなさぁ・・・早いよぉ」
とか言う。
「ごめん・・・」
「だーめ。もう一回」
「え?」
絵里の体がれいなの上から退いた。
だるい体を起こして見ると、
れいなのあそこに絵里が顔をつけようとしている。
―――もう一回?私・・・大丈夫かな?
- 91 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:05
- 「ひゃあ!」
いきなり舐められた。
舌のざらざらが、れいなのヒダにあたって
「えりぃ・・・気持ちいい。気持ちいい」
れいなはささやくように言う。
絵里は舌でれいなを刺激し続ける。
舌先を少しずつずらしながら刺激し続ける。
そして、
舌先が突起に当たった。
「きゃうっ」
れいなはひと際甲高い声で喘ぐ。
―――絵里・・・すごい
気持ちよくって指先までピリピリいってるみたい。
絵里は舌先をチロチロとやって
れいなの敏感なところを継続的にせめる。
- 92 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:05
- 「んんっ・・・くぅ。はぁ・・・あぁ・・・はぁん」
フワっと宙に浮いた感じがして
れいなはあわてて、ベッドのふちをつかんだ。
―――私。どっかに行っちゃいそう。
「ああ・・・ああん。んふぅ・・・あぁ」
ピチャピチャと音がする。
絵里が舌を動かすスピードを速めた。
「あっ!あっ!あっ!」
―――ああ、また・・・
今度はゆっくりと、こみ上げてきた。
すこしずつ気持ちよさがふくれあがっていく。
- 93 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:05
- 「えり!イッちゃう。イッちゃうよぉ」
溢れそうになる。
―――今イッたら、絵里にかかっちゃう。
れいなは必死にこらえようとする。
気持ちを落ち着かせて・・・
「はぁん!」
そのとき
絵里の舌が侵入してきた。
「もうっダメ」
―――!!!!!
れいなは再び絶頂をむかえた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
視界がぼやけて・・・
「えりぃ・・・大好き」
れいなは意識を失った。
- 94 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:06
- 絵里は眠ってしまったれいなを
タオルで簡単に拭いた。
「よいしょっ」
裸のままのれいなをとなりのベッドに運ぶ。
―――濡れてるし・・・こっちで寝よう。
絵里も裸のまま、同じベッドに入った。
「今日だけ・・・今日だけだから」
- 95 名前:第四章 投稿日:2004/01/13(火) 14:06
- れいなの寝顔がかわいい。
絵里はれいなの頭を撫でる。
れいなの最後の言葉・・・
―――えりぃ・・・大好き
しみた。
胸が痛くなった。
このコの悲しむ顔なんて見たくないけど、
でも、
「今日だけは、一緒に寝ようね」
罪悪感で眠れない。
- 96 名前:いこーる 投稿日:2004/01/13(火) 14:07
- 本日の更新は以上です
- 97 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/13(火) 16:45
- なにぃ!?罪悪感って…。・゚・(ノД`)・゚・。
しかしれなえり最高で萌え死にました!
まぢ最高!
- 98 名前:まるろく 投稿日:2004/01/14(水) 08:32
- 田亀、しかもエロ、萌え死にました!!
なんかちょっと痛いかも。
- 99 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/17(土) 22:04
- なんかマジおもしろいんで
続き待ってます!
- 100 名前:いこーる 投稿日:2004/01/19(月) 15:16
- 更新します。
第5章は痛いです。
萌えな展開を期待されていた方はごめんなさい。
- 101 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:17
- バスの中。
ツアー3週目。
今日もホテル泊。
「え?今日の部屋割り決まってないの?」
石川さんの声。
「いいじゃん。また2人部屋だって」
矢口さんの声。
「いいですよ。この前と同じで」
これは藤本さんの声。
―――この前と一緒?
さゆみは暗い顔になる。
- 102 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:17
- この前と一緒ということは絵里と、同じ部屋だ。
―――気まずいよ。
先週、
さゆみがえりの荷物を勝手にあさって
絵里を怒らせてしまった。
その一件がまだ解決していない。
早く謝らなきゃいけないとは思っているが、
怖くってなかなか言い出せないでいた。
「道重ちゃん、道重ちゃん」
さゆみの左腕をツンツンする藤本さん。
「また、この前みたく部屋入れ替えるからね」
「あっ・・・ありがとうございます」
「でも、早く仲直りするんだよ」
「はい」
藤本さんに言われてさゆみはほっとした。
先週は結局、藤本さんに部屋を替わってもらって
絵里はれいなと一緒の部屋になった。
今日も絵里と2人きりという事態は避けられる。
―――でも、やっぱり今日あやまっちゃおう。
このまま絵里と仲違いをしたままは嫌だ。
早く関係を元通りにしてしまいたかった。
- 103 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:18
- れいなの耳元まで背後の藤本さんの声は届いた。
「また、この前みたく部屋入れ替えるからね」
―――この前?
れいなはドキっとする。
ってことは今日も絵里と一緒?
れいなは嬉しくて跳びあがりそうになった。
―――やった。また絵里と2人っきり。
先週、
2人はすごいことになってしまった。
また、あの夜みたいなことをするのだろうか。
―――やだ。顔が熱い。
れいなは照れた。
「れいな、れいな」
れいなの後頭部を藤本さんがツンツンする。
「今日も亀井ちゃんと2人だからね」
「ありがとうございます」
「頑張るんだよ」
「はい」
―――私。幸せかも・・・
- 104 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:18
- 藤本さんの声は絵里の耳元まで届いた。
「今日も亀井ちゃんと2人だからね」
―――はぁ。
絵里はため息をついた。
- 105 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:18
- 本日の部屋割り
・
・
・
303:矢口・石川
304:亀井・田中
305:藤本・道重
- 106 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:19
- さゆみは自室に荷物を置いた。
―――絵里に謝らなくちゃいけない。
3人は仲良くしていなくちゃいけない。
みんながそれを期待しているから。
3人仲良し。
その姿をみんなが待っているから。
絵里に謝らなくちゃいけない。
なんだろう。
さゆみはいつのまにか
アイドルとしての
変な義務感に悩むようになっていた。
- 107 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:19
- 謝りたいのは
みんなのため?
私たちを見ている人たちのため?
そうじゃない。
―――謝りたいのは私。
自分のため。
自分たちのためだ。
それはわかっている。
それはわかっているのだが・・・
―――怖い。
絵里に、
また怒られるかもしれないと思うと
どうしても弱気になってしまう。
―――もうちょっと落ち着いてから行こう
さゆみはため息。
- 108 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:19
- れいなは部屋に入った。
―――絵里はまだか・・・
ふぅ、とれいなは荷物を置いた。
―――絵里、早く来ないかな
あれからというもの、
れいなはちょっとでも絵里が見えないと
不安になってしまう。
なにか、自分が自分じゃないような、
ひどく居心地の悪い感覚。
―――はやく・・・
ほらっ
もう泣きたくなってきた。
いつから自分は
こんなに弱くなったのだろう。
絵里にもたれかかって
絵里に甘えて
そうしていないと自分が保てない。
強くならなきゃ。
絵里のために
―――また絵里を理由にしてる。
- 109 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:20
- 自分のことなのに
自分のために何かをしようという気には
まるでなれなかった。
―――こんなはずじゃなかった。
れいなはもっと普通に
自分が幸せになるのだと
ずっと思っていた。
普通に男の子のことを好きになって
ドキドキして
告白して
デートして
キスして
・・・。
それが今は
絵里がいないと生きていけない。
絵里がいないとドキドキできない。
- 110 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:20
- ―――普通じゃないよ・・・
れいなは疲れを感じていた。
連日のコンサートで体にガタが来ている。
先輩たちは慣れっこだから
無駄に力を入れないのかもしれない。
でも
れいなはひどく疲れていた。
- 111 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:20
- ガチャ
―――あっ
入り口を見ると
絵里が入ってくるところだった。
れいなの表情がぱっと明るくなる。
「絵里ぃーーー!!」
れいなは絵里に飛びついた。
「わっ」
びっくりした表情の絵里。
れいなは絵里に抱きついたまま。
「遅かったね。待ってた・・・」
ギュっとする。
「絵里。好きだよ」
言ってしまう。
- 112 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:21
- 絵里は・・・
―――あれ?
絵里は
体をこわばらせたまま動かない。
ピクリとも動かない。
れいなは一旦体を離して
絵里の顔を見た。
―――な・・・に?
絵里はひどい顔をしていた。
下を向いている。
悲嘆。
今にも泣き出しそう。
「絵里・・・どうしたの?」
れいなは聞く。
そうして
「れいな・・・」
絵里の口から、言葉が出た。
「私は、さゆが好きなの」
- 113 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:21
- 「は?」
意味がわからなかった。
―――今、何言ったの?
「私はずっと、さゆのことが好きだった」
れいなは後ずさりするように
絵里から離れていく。
「絵里。何言ってるの?」
自分はからかわれているのだろうか。
「女の子なのに、おかしいって思うでしょ?」
絵里はそんなことを言う。
れいなはふるふると首を横に振る。
「そんなこと・・・」
そんなこと言ったら、
れいなだって、
絵里が好きだ。
「でも、私はさゆのことが好きになってしまったの」
- 114 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:22
- 絵里は言葉を続ける。
れいなにとってそれは、
絶望的な内容。
「最初は、友達として好きなんだなって思った。
でも、
さゆを見ているとそれだけじゃないの。
そばにいたいと思うのに、
抱きしめたいって思うのに
あのコの行動にイライラしてきたり。
思ったよ。
私はさゆが好きなんだって」
―――それで、さゆに冷たくしていたの?
「気づかれるが怖かった。
だって、変でしょ?こんなの。
さゆに、気持ち悪いって思われるのだけは嫌。
だから、この気持ちをずっと隠していた。
本当は好きって言ってしまいたいのに、
それを言葉にしたらなにもかも
壊れてしまいそうで。
だから胸にしまったまま」
- 115 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:22
- 絵里が語る。
それは、れいなが絵里に抱いた感情に
ひどく似ていた。
「寂しかった・・・」
そう、
れいなも最近知った。
人を好きになると、
なんでもないときでも
寂しくなる。
人の
温もりが欲しくなる。
「れいながHな漫画読んでるの知って、
ああ、れいなは
そういうことに興味あるんだ
って思った。
もしかしたら
れいななら
私を受け入れてくれるかもしれない」
「でも・・・」
れいなはようやく声を出す。
「さゆだって、あの漫画。読んでたよ」
「あのコは、自分のことばっかり見てるから。
私の方なんて見てくれない」
- 116 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:23
- 何か絵里が
れいなの知らない絵里に
なってしまったみたいだった。
れいなは聞く。
「それで・・・私を抱いたの?」
「うん」
聞いてはいけないと思ったことも
聞いてしまう。
「私は・・・さゆの代わり?」
「うん」
バシッ
れいなは絵里の頬を思いっきり叩いた。
「ひどい・・・」
「ごめん」
「ひどい!
どうして?ねぇ、どうして?
私、普通だったのに、みんなで仲良くしてたのに、
絵里が・・・キス、してきたから、
あの夜、キスされてから、
私はずっと、
絵里のこと考えてたんだよ。
絵里のこと、
好きになっちゃったんだよ!
なのに、
絵里はそんな適当な気持ちで、
れいなといたの?」
「ごめん」
また、ごめんっていう。
―――私の気持ちは?
「最低・・・」
「れいな」
―――私は何?
- 117 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:23
- 「何よ!れいななんて呼ばないで。
もう見ないで!話しかけてこないで!」
「・・・」
「出てって・・・」
「・・・」
「出てってよ!」
絵里は、
体の向きを変えて
ドアを開けて
―――待って・・・
足を踏み出して
部屋の外に。
見えなくなった。
―――行かないで・・・。
れいなは、
何もできなかった。
- 118 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:24
- 絵里が行ってしまった。
―――お願い。戻ってきて。
行ってしまった。
「絵里!!」
れいなは大声で呼ぶ。
誰も応えない。
何も応えない。
「絵里!!!」
―――もういいよ。もう、いいから
絵里の気持ちがどこにあろうと
たとえ自分が代わりだろうと
もう、
いいから。
なんでもいいから。
お願いだから、
―――れいなを置いていかないで。
そばにいて欲しい。
れいなは一人になった。
- 119 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:24
- ガチャ
ドアの開く音がして
れいなははっと顔を上げた。
「あ、れいな。絵里は?」
さゆが
入り口に立っていた。
「いない」
れいな小さな声で言った。
さゆを見る。
「そっか。残念・・・」
さゆはそう言った。
- 120 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:25
- さゆを見る。
―――こいつが、絵里を
「じゃあ、絵里さがしてくるね」
「あっ待ってさゆ!」
―――こいつのせいで・・・
「ん?」
れいなは
振り返ったさゆの
右手首をつかんで
「きゃ!」
思いっきり引っ張ると
さゆの体を床に叩きつけた。
ドシン
大きな音がして
さゆが床に倒れる。
- 121 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:25
- 「痛っ!」
さゆみは倒れる際に腰を打った。
激痛が走る。
体を起こそうと身を捩ったとき
れいなが
覆いかぶさってきた。
―――!?
さゆみはわけがわからず混乱した。
両手を前に突き出して
必死にれいなを拒絶する。
しかし
今度は両手首をつかまれ
床に押し付けられた。
「何?れいな・・・どうしたの?」
「うるさい!だまれ!」
れいながとんでもなく高い声で怒鳴った。
耳元で怒鳴られてさゆみの耳はキンキン鳴った。
- 122 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:25
- 「れいな?」
れいなは、
両手で首を絞めてきた。
「がっ・・・」
さゆみは両足をバタつかせ、
両手でれいなの顔を何度も殴って
抵抗したが
首を絞める力は弱まらない
―――苦しい・・・
視界が霞みだした。
さゆみの意識が遠のきそうになったとき
れいなが両手を離した。
「げほっ・・・げほっ」
思いっきり咳き込むさゆみ。
- 123 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:26
- れいなは
「絵里の大切なもの・・・」
うわ言のようにつぶやいている。
「滅茶苦茶にしてやる」
れいなはさゆみのズボンに手をかけて
脱がそうとしてくる。
「やっ・・・嫌ぁ!」
さゆみは
れいなを押しのけようと全身で暴れた。
しかし
ダンッ
れいなは右こぶしを
さゆみのみぞおちに
「うっ・・・」
さゆみの意識が一気に覚醒して、直後
地獄の苦しみがさゆみを襲った。
- 124 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:26
- ―――どうして・・・
その間にれいなはさゆみのショーツまで
脱がしてしまう。
れいなは、さゆみの股間へと手を伸ばす。
―――うそでしょう・・・
「れいなやめて!お願い、やめて!」
しかしれいなの手は
さゆみに触れた。
- 125 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:26
- 「ひっ」
まだ他人に触られたことのない部分を
れいなの手がまさぐる。
「いやっ・・・やぁぁぁ」
れいなの指が侵入してきた。
「やだ!れいな・・・」
さゆみの声を無視して
れいなの指はずんずんと奥へ進む。
「やっ・・・痛い!」
信じられないような激痛を感じた。
- 126 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:27
- れいなは指を突っ込む。
さゆが苦痛に顔を歪めている。
―――?
さゆを見た。
さゆの中から・・・
これは
―――血?
血が出ていた。
れいなはあわてて指を抜いた。
れいなの指にも赤黒い液体がついている。
―――なんで血が出てるの?
伸びた爪で内壁を傷つけてしまったのか
それとも・・・
- 127 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:27
- 「あーーーーーーーー!」
れいなはありったけの声で叫ぶ。
「私、さゆになんてこと!」
指がそこまで届くものか、
経験も知識もないれいなにはわからなかった。
ただ、
とんでもないことをしてしまったということだけは
わかった。
れいなの中の怒りは、
恐怖と
後悔へと
変わっていった。
「さゆ!さゆ!」
れいなはさゆの肩を持って揺する。
さゆは
応えない。
さゆの目は虚ろなまま天井を見ている。
「さゆ!さゆ!」
れいなは自分の右手を見る。
さゆみの血が
付着している。
―――この、手が・・・さゆを
「うわーーーーーーーー」
れいなは泣き叫ぶ。
- 128 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:27
- 「さゆ!さゆ!」
れいなに肩をゆすられた。
―――れいな・・・
さゆみは返事をしようとするが、
呼吸を整えるのが精一杯で声がでない。
ショックと激痛で
体を動かすこともできない。
さゆみはただ、
ぐったりと様子を伺う。
「うわーーーーーーーーー」
れいなは叫び声をあげて泣き出した。
- 129 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:28
- 何がどうなっているのだろう。
突然、れいなに襲われて、
そうしたら今度は
れいなが泣き出した。
―――もういいや。何も考えたくない。
まだ絵里に謝ってないのに、
この展開は一体なんだ。
絵里に謝らなきゃいけないのに・・・
朦朧とする意識の中で
さゆみはそのことばかりが気になった。
となりでは、
れいながまだ泣いている。
- 130 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:28
- ガチャ
ドアの開く音がした。
―――誰か入ってくる。
絵里だった。
絵里は
れいなを見る。
さゆみを見る。
みるみる
顔が青ざめていった。
―――絵里・・・
やっぱり声が出ない。
絵里はふらふらと洗面所に入っていく。
見えなくなると音がした。
げぇぇ
―――あっ、吐いた。
- 131 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:28
- 絵里が嘔吐する音が聞こえてくる。
―――そっか。私ってそんなに気持ち悪いんだ。
さゆみの思考回路もおかしくなりかける。
―――あんなところから血を流して、そりゃ気持ち悪いよね。
とんだ3人組だ。
下半身裸で血を流しているさゆみ。
隣で子ども見たくわんわん泣くれいな。
洗面所で戻している絵里。
―――最低だ。
最低の3人。
もうグチャグチャ。
―――誰か・・・誰か・・・
何とかしてほしい。
- 132 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:29
- ダンッ
突然近くで大きな音がしたので
さゆみはビクッとなった。
ダンッ
ダンッ
異様な光景にさゆみは凍りついた。
ダンッ
ダンッ
顔をくしゃくしゃにしたれいなが自分のこぶしを
壁に叩きつけている。
- 133 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:29
- ダンッ
ダンッ
あんなことをしたら痛いだろうに。
血に染まった右手を何度も何度も何度も
ダンッ
ダンッ
ときおり意味不明の言葉を叫びながら
壁を殴り続ける。
―――れいな・・・やめて。
ダンッ
ダンッ
―――やめて。
ダンッ
ダンッ
「うるさいっ!!!」
さゆみは思いっきり叫んだ。
声が
出た。
でも
ダンッ
ダンッ
音は止まない。
さゆみには、この音が無限に続くように思えた。
- 134 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:30
- ガチャ
また、ドアの開く音がする。
また、誰か来たのだろうか。
さゆみは入り口に目をやる。
そこに藤本さんがいた。
―――藤本さん
藤本さんは素早かった。
3人の惨状を見るとすぐさま携帯を取り出す。
「お願い、隣。すぐ来て!」
応援を呼んだ。
- 135 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:30
- 「れいな。止めなさい」
壁にパンチを続けるれいなの両手を
ぐいと引っ張った。
そうして
引きずるようにしてれいなを部屋から連れ出そうとする。
藤本さんに引っ張られながられいなは
「さゆ、ごめん。ごめんねー!」
叫ぶ。
「ごめんねー!ごめんねー!」
延々と叫ぶ。
ワーワーと泣きながら。
ひたすら謝り続ける。
- 136 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:30
- 藤本さんとれいなが部屋を出て行った。
入れ違いに、
石川さんと
矢口さん。
先輩たちは互いに一瞬だけ見合わせてすぐ
次の行動に出た。
石川さんは洗面所へ、
矢口さんは倒れているさゆみのところに駆け寄る。
矢口さんはさゆみのそばに座り込んで、
タオルのようなものでさゆみの体を拭き始めた。
「大丈夫だからね!大丈夫だからね!」
さゆみにそう
語りかけてくれる。
- 137 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:31
- 「やぐちさん・・・汚いですよ・・・」
さゆみは弱弱しくそう言った。
「いいから。何も心配しなくていいの!」
矢口さんはさゆみの体についた血を
拭っていく。
見ると
絵里が石川さんに連れられて
部屋を出て行くところだった。
- 138 名前:第五章 投稿日:2004/01/19(月) 15:31
- 「よし・・・いいかな?」
矢口さんはそういって
さゆみにショーツを履かせる。
続けてズボンも履かせる。
「よいしょっ」
さゆみを持ち上げてベッドに寝かせた。
布団をかけてくれた。
―――あったかい。
「ありがとうございます」
さゆみは言った。
「なんだか、疲れちゃいました」
「ん?疲れた。寝ちゃっていいよ」
「はい」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
矢口さんに見守られて
すっと、
眠ることができた。
- 139 名前:いこーる 投稿日:2004/01/19(月) 15:33
- 本日の更新は以上になります。
ちょっとひどかったかな?
不快に思われた方、申し訳ありません。
- 140 名前:いこーる 投稿日:2004/01/19(月) 15:41
- レスいただきましてありがとうございます。
以下、レス返し。
>>97
ありがとうございます。
えりれなCPはやはり強烈ですね。
>>98
ありがとうございます。
ご指摘どおりの痛い展開になってしまいました。
今後、3人の関係修繕に勤しむことにします。
>>99
ありがとうございます。
必ず完結させますので最後まで
ご覧いただけると嬉しいです。
- 141 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/19(月) 21:50
- うわぁぁ!
なんかものすごいことになってますね…
でも目が離せない
亀井、田中のこと好きじゃなかったのね…ショボン
3人の幸せを祈ってます
- 142 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/20(火) 01:09
- いい意味で裏切りましたね。
これからどうなるのか楽しみです。
- 143 名前:名無し 投稿日:2004/01/20(火) 16:53
- サイコ〜!!
頑張ってください
- 144 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/21(水) 16:41
- すごくいいです
雑音を気にせずこの世界観を貫いて下さい
- 145 名前:いこーる 投稿日:2004/01/23(金) 10:36
- 第六章の更新をします。
- 146 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:38
- 絵里は石川さんの部屋に連れてこられた。
石川さんの助けをかりて
ベッドに座った。
「私のせいだ・・・」
絵里はそう、
消えるような声で
つぶやいた。
「私が、いけなかったんだ・・・」
- 147 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:38
- 数ヶ月前。
さゆのことを思うようになって、
次第に、
自分がどこにいるのかわからなくなった。
さゆは絵里を見てくれない。
絵里は、
自分がいるのか、
いないのかすら
わからなくなってしまった。
自分がおかしかった。
普通じゃないと思った。
それでも
誰かに、
自分の存在を認めて欲しくて
受け入れて欲しくて
―――れいなに・・・
れいなに甘えた。
れいなの絵里に対する気持ちを知りながら、
絵里は
れいなに寄りかかってしまった。
- 148 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:39
- れいなを弄んでしまった。
その結果、
―――れいなは・・・さゆを・・・
結局、
絵里は自分の大切なものを
何もかも
自分の手で握りつぶしてしまった。
「死んじゃいたい」
絵里は
自分のひざに顔をうずめて
泣いた。
- 149 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:39
- 幸せが逃げていく。
- 150 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:39
- 「れいな・・・何があったの?」
「藤本さん」
れいなは顔を上げて・・・
―――ひどい顔してるんだろうな。
全てを話した。
絵里にキスされたこと。
絵里を好きになったこと。
絵里の告白。
絵里に捨てられて
れいなは、
そのやりきれない怒りを
さゆにぶつけたこと。
「さゆが悪いんじゃないのに・・・」
そう言って
れいなはまた泣き出す。
- 151 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:40
- 絵里がいなくなって
寂しくなった。
―――だからって・・・
何も悪くないさゆに
取り返しのつかないことをしてしまうなんて。
れいなは自分の心を弄んだ絵里を憎んだ。
でも
自分のしてしまったことはそれ以上に
ひどく
あさましい
どうしようもないこと。
自分には
幸せになる資格なんて
もともとなかったのだ。
自分はこんなにも
暗く
悪く
卑しい存在なのに。
人並みに幸せになろうなんて
考えたのが間違いだったのだ。
れいなは、
絶望した。
- 152 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:40
- 目が覚めても
矢口さんは隣にいてくれた。
まだ、腹の奥がジンジンとうずいて
痛かった。
痛みが
さゆみに
さっきのできごとを
思い出させてしまう。
突然れいなに襲われた。
ショックだった。
―――どうして・・・
- 153 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:40
- 自分はこれから
どうしたらいいのだろう。
さゆみは
自分が終わってしまったように思えた。
れいなが去り際に大声で泣き叫びながら言った。
―――さゆ、ごめん。ごめんねー!
なぜ謝るの?
謝って欲しくなんかないのに
なぜ?
さゆみはれいなに襲われた。
そのことは
ショックだったし
辛いことだった。
もう、二度と思い出したくないような
ひどいことだった。
でも、
―――ごめんねー!ごめんねー!
その事実まで、否定してしまわないで・・・。
さゆみはれいなに奪われた。
れいなが、さゆみを否定してしまっては
「私は、どこにもいないことになってしまう」
れいなにだけは、
さゆみを見ていて欲しかった。
- 154 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:41
- 声に出してしまったらしい。
矢口さんがさゆみの方を向く。
「ねぇ・・・道重」
「はい?」
矢口さんの思いつめたような表情。
「人は、どこかにいなきゃいけないのかな?」
「え?」
・・・。
「私たち、2本の足で立ってるでしょう。
みんなそう。
それなのに、
線引っ張って
こっちとか
そっちとか
あっちとか。
そんなふうにどこかにいなきゃいけないの?」
- 155 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:41
- どうだろう。
自分にはそんな確固とした
居場所なんてない。
だから、
さゆみは自分を見失いそうになったのだ。
「でも私、本当にどこにもいないんです・・・」
自分でも何を言っているのかよくわからない。
「いる意味がないんです」
「意味なんて、そんなのなくたっていいんだよ」
「矢口さん」
「どこにもいません。それでいいじゃん!」
矢口さんの言っていることは
わかったような
わからないような
不思議な雰囲気だった。
ただ、
さゆみは少し救われた気がした。
―――明日は、れいなといよう。
そう、
思った。
- 156 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:41
- 「ねぇれいな」
藤本さんが話しかけてくる。
れいなは顔を上げることができない。
「私たちって、おかしいよね」
藤本さんはそんな話を始める。
「え?」
れいなは、
藤本さんを見た。
- 157 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:42
- ―――!?
藤本さんが
涙を流している。
「私たちって、どうして・・・」
「藤本さん?」
「私たちって、
どうして幸せにならなきゃ
落ち着かないんだろう。
昔の私は
一人でいたって
寂しくなんかなかった。
辛いことなんてなかった。
ただ、なんとなく
自分は
漫画みたいに
ドラマみたいに
映画みたいに
いつか幸せになるんだと思い込んでた。
幸せがなんなのか
考えもしなかったのに
ただ、
幸せになるんだと思ってた」
- 158 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:42
- 藤本さんが何の話をしているのか
れいなには見当もつかなかった。
「結局さあ、
生まれたときから
幸せにならなきゃっていう
変な使命感が私たちの周りには
あるんだ。
でも、
そんなのってひどくない?
私の幸せなのに・・・。
私たちの幸せなのに、そうやって
勝手に決まっちゃってるなんて」
藤本さんがどうして泣いているのか
れいなには見当もつかなかったが、
ひとつわかった。
―――人って寂しいんだ。
みな、
なにかを抱えて
なにかにぶつかって
なにかを失って
生きている。
れいなにはそれで充分だった。
それで充分
明日を待つことができた。
- 159 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:42
- 「私・・・」
絵里は泣いている。
石川さんは、笑顔でそばにいる。
「私なんかがいたから、あんなことに・・・」
ふわっと
石川さんの手が絵里に伸びてきて
頭を撫でられた。
そうして、
話しかけてくる。
「難しいことは聞かないよ。
でもね、亀ちゃん。
2人に対して言わなきゃいけないこと、あるでしょう?」
絵里はこくんとうなづく。
「それ言えないで、諦められる?」
絵里はぶるぶると首を横に振った。
「じゃあ、諦めちゃダメ」
- 160 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:43
- 「石川さん」
石川さんはそっと
絵里を抱き寄せる。
「ほらっ。
やらなきゃいけないことがあるんだから
泣いてちゃダメだよ」
「でも・・・」
絵里は泣く。
「やらなきゃいけないこと全部やって、
亀ちゃんのできること全部やって、
それでもし、どうにもならなかったら
そのとき泣けばいい」
「・・・」
「だからさ、
今ここで泣いてるのは、その時の練習!
まだ、本当に泣いてるんじゃないからね」
―――石川さん・・・
「まだ、終わってないからね」
石川さんの声が響く。
―――まだ私は、終わってない。
- 161 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:43
- 明日は来た。
いつもどおり。
コンサートもこなした。
汗もかいた。
3人の時間はやはり
動いている。
- 162 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:43
- 帰りのバスの中。
れいなは夢を見た。
場所は教室だろうか。
れいなに2人の新しい友達ができて
3人でお弁当を食べている。
友達のほっぺたにご飯粒がついていて
それをれいながとってやる。
れいなはご飯粒を食べる。
相手がきょとんとした顔をしたので
れいなは笑った。
絵里も笑った。
さいごに、自分のことかと気がついた
さゆが大笑いをする。
そんな
どこかに置き忘れたような
悲しい夢。
- 163 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:44
- バスがごとんと動いて
れいなは目を覚ました。
どうやら隣に寄りかかって寝ていたらしい。
「あっ、ごめんなさい藤本さん・・・」
れいなはそういって窓側の席を見た。
「え?」
隣にはさゆが眠っていた。
―――いつかわったの?
藤本さんは・・・いない。
車内は薄暗く、
あちこちから寝息をたてる音が聞こえてくる。
みんな、寝ているのだろう。
- 164 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:44
- 起きているのは
れいなと・・・
れいなは左を見た。
通路を挟んだ左隣には
絵里が
一人で
座っていた。
絵里はれいなの方を向いて
微笑みかけてきた。
「絵里・・・」
「あっ、れいな起きた?」
それは気まずさをごまかすような
ぎこちのない笑顔だった。
- 165 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:44
- ―――なにを話せばいいんだろう。
れいなは、
下を向いてしまう。
「みんな寝ちゃうんだもん。寂しいよぉ」
絵里はそんなことを言った。
れいなはどうしていいのかわからず
ふいとそっぽを向いてしまった。
「れいな?」
―――うわっ、私・・・やな感じ。
でも、
絵里を見ることができなかった。
ふたたびバスが揺れる。
でも、
絵里と話したくなかった。
れいなの中にあるのは
絵里を責める気持ちと
自分を責める気持ちと
それから・・・
- 166 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:45
- ―――絵里・・・
「そうだ」
絵里は立ち上がった。
―――何?
れいなの方に来ると、
「えいっ」
れいなの隣に座ろうと
お尻をぐいぐいと割り込ませてきた。
「ちょっと絵里!無理だよ」
2人用の椅子の手すりに手をかけ
強引に座ろうとする絵里。
れいなは絵里に押される。
必然的にれいなの体が、
右隣で寝ているさゆの体を押す。
「さゆが起きちゃうよ!」
絵里は
すっぽりと収まった。
さゆは
眠ったまま。
- 167 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:45
- 絵里を見ると
笑っているのか
困っているのか
「・・・きつい」
「あたりまえでしょ!何すると」
それでも絵里は
えへへっと笑うだけ。
―――あっ
すぐそばで
絵里の顔を見ていると気がついたれいなは
ドキドキしてしまう。
再び、下を向いてしまう。
左には絵里。
右にはさゆの体がぴったりとくっついている。
体勢を変えようにも
きつくて身動きが取れなかった。
そのまま
黙り込む2人。
- 168 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:46
- ―――?
右肩に何かが乗っかったと思ったら
さゆが頭をれいなに預けてきていた。
すーぴーと小さな寝息が聞こえる。
れいなはそのままだった。
さっきはさゆに寄りかかってたわけだし
ここでさゆを起こすのもかわいそうだ。
左を見る。
絵里もいつの間にか眠ってしまっていた。
―――まったく・・・
れいなは思った。
―――絵里は究極のさびしがり屋さんだ。
あんなことがあったのに
懲りずに
れいなのところに来るなんて・・・。
―――絵里・・・かわいい。
れいなも
懲りずに
絵里を想ってしまう。
- 169 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:46
- ―――まったく・・・私って
れいなの中にあるのは
絵里を責める気持ちと
絵里を好きな気持ち。
―――でも絵里はさゆのことが好きなんだよね。
絵里の気持ちは
れいなの体を通り抜けて
さゆのところに向かっている。
れいなの心をひっかきまわしながら。
また、バスが揺れた。
絵里がカクンと首をれいなの方に
倒した。
絵里の頭がれいなの左肩に乗っかる。
ドキッとした。
―――やっぱり好き・・・。
どうにもならない思いが
れいなに広がっていった。
- 170 名前:第六章 投稿日:2004/01/23(金) 10:46
- さゆ、
絵里。
私たちって
どうしてこんなに、
微妙なんだろうね。
れいなは
絵里の手を握る。
さゆの手を握る。
左手に絵里。
右手にさゆ。
まだ、
もやもやが晴れたわけじゃない。
まだ、
何も解決していない。
でも、
―――頑張っていこうね・・・
れいなも目を閉じると
眠りに落ちていった。
バスはそのまま
走り続けていく。
- 171 名前:いこーる 投稿日:2004/01/23(金) 10:49
- 本日の更新は以上です。
- 172 名前:いこーる 投稿日:2004/01/23(金) 10:53
- レスいただきまことにありがとうございます。
レス返しをさせていただきます。
>141
ありがとうございます。
期待とは違った展開になってしまったようで;汗
3人の幸せのためにも更新していきたいと思います。
>142
ありがとうございます。
この後、どうなっていくのか
ご覧いただけると嬉しいです。
>143
ありがとうございます。
がんばって更新しますので
よろしくおねがいします。
>144
心の支えになるお言葉・・・。
最後までがんばっていきたいと思います。
- 173 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/26(月) 18:54
- この後、どんな展開になるんでしょう…
とても気になる…
続き期待してます☆
- 174 名前:いこーる 投稿日:2004/01/28(水) 01:42
- 第7章の更新をいたします。
よろしくおねがいします。
- 175 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:43
- 3人は仲直りした。
傍目にはそう映ったのかも。
さゆみはそう思った。
それともこれは
私たちとは関係のないことなのかも知れない。
正解は後者だったのだが、
そんなことをさゆみが知るべくもなく、
とにかく
事件が起こった。
ツアー4週目。
矢口さん、
石川さん、
藤本さん、
高橋さん。
4人がコンサートを欠席した。
- 176 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:43
- もう、
私たちを見守ってくれた人はいない。
ここからは何があっても
自分たちで解決させなくてはならない。
大変な事件かもしれないが
さゆみにとって
れいなにとって
絵里にとって
事件はそれ以上の意味を持たない。
4人欠席の原因とか理由とか詳細とかは
だからここではわからない。
それは、別の物語。
ともかく、
頼るべきものがなくなったところで
私たちは展開する。
- 177 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:43
- 久々に3人一緒の部屋割りとなった。
さゆみは思う。
―――今日こそ絵里に謝ろう
そして
―――今日こそれいなに想いを打ち明けよう。
一週間前。
バスの中でさゆみは、
れいなの隣に座っていた藤本さんに
席をかわってもらうようにお願いした。
れいなと一緒にいたいと思った。
藤本さんは難しい顔をしていたが
結局はOKとなった。
でも、れいなは眠っていて
話ができない。
そのまましばらくしていると
今度はさゆみが眠たくなってしまった。
だから先週は、何も言えなかった。
自分の気持ちを。
- 178 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:44
- 部屋に入る。
れいながソファに座っていた。
れいなはさゆみを見ると
下を向いた。
―――何で目をそらすの?
ベッドが3つ並んでいる。
れいなの荷物と絵里の荷物が
なぜか両方とも
中央のベッドの上に置かれていた。
さゆみも中央のベッドのところまで行って
荷物を置く。
「れいな、絵里は?」
さゆみはれいなに聞いた。
れいなの返事は小さかった。
「今、シャワー」
そう・・・。
- 179 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:44
- じゃあ絵里が出てくるまで
れいなと二人っきりだ。
―――今、言っちゃおうかな。
「さゆ・・・」
れいなが話しかけてきた。
「何?」
「さゆ、ごめんね・・・」
―――ふぅ
また謝る。
謝られても、さゆみはちっとも救われない。
さゆみが求めているのはそんなんじゃない。
「れいな・・・そこ、座ってもいい?」
「あ・・・いいよ」
さゆみはれいなの隣に腰をかける。
- 180 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:44
- 「れいな。私はね・・・」
―――れいなが好き。
言ってしまいたいのに、
れいなに伝えたいのに、
どうしても、
声に出すことができない。
「さゆ?」
れいながさゆみを覗き込む。
今度はさゆみが下を向いた。
―――何で目をそらすの?私・・・
さゆみは、いたたまれなくなって
席を立ってしまった。
「さゆ!」
さゆみの背中にれいなの声が届いた。
さゆみは立ち止まる。
- 181 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:45
- 「やっぱり、怒ってるよね。
あんなことして・・・」
―――だから・・・そうじゃない。
「あんな酷いことをして、
許してもらえるなんて思ってないよ。
でも、さゆ・・・
ごめんさない。」
―――違う。
「ごめんなさい・・・」
―――違うの・・・
- 182 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:45
- さゆみは振り返ることができなかった。
―――私は、れいなにあんなことをされたから
今では、
今となっては、
れいなにいて欲しかった。
―――れいなに見ていて欲しい。
それが、どうしても言えない。
―――今日、言おうって決めたのに・・・
「さゆ・・・」
背中にれいなの声が刺さる。
胸が痛い。
「れい・・・な。うっ・・・」
ようやくしゃべれたと思ったら
泣いていた。
- 183 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:46
- 自分はどうしてこんなときに
泣いてしまうんだろう。
ここで泣いていては
れいなに誤解を与えてしまう。
わかっているのに、
涙は待ってくれなかった。
次から次へと流れてきた。
ガチャ
絵里がシャワーから出てきた。
「次、れいなどうぞ」
「うん」
絵里に言われて、れいなが
バスルームへと入っていく。
さゆみはれいながいなくなるまで
振り向くことができなかった。
- 184 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:46
- れいなはバスルームに入ったが
何もする気になれなかった。
さゆに許してもらえない。
それは仕方がない。
自分のしてしまったことは
簡単に許してもらえるようなことではない。
一生かかっても、
許してもらえないかもしれない。
さゆが泣いていた。
自分は、
何をしてあげたらいいのだろう。
―――わかんないよ
自分には、何かできるのだろうか。
- 185 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:46
- 「さゆ?」
後ろから絵里の声がする。
「さ・・・」
さゆみが
泣いているのに気がついたのか
絵里は
止まった。
「絵里・・・私」
さゆみは背中を向けたまま。
「ごめんなさい」
言った。
「さゆ?」
絵里が近づいてくるのがわかる。
さゆみは振り返った。
- 186 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:47
- 絵里はすぐ近くにいてくれた。
「私、絵里にずっと謝ろうと思ってたの。
この前、絵里を怒らせちゃって、
そのことがずっと気になって、
今まで何も言えなかった。
絵里!ごめんなさい」
絵里は、ちょっとして
「この前?あぁ、そんなこと・・・」
笑顔。
―――絵里?
絵里がさらに一歩近づいてきた。
「さゆ。謝らなければいけないのは私なの」
そうして
絵里は
「さゆ。ごめん」
言って、
正面からさゆみを抱きしめた。
- 187 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:47
- 絵里の頬がさゆみの頬とくっつく。
「さゆ・・・私。全然素直じゃなかった」
「絵里?」
「さゆ。私は・・・」
すぐ近くで聞こえる絵里の声。
まるで、さゆみの中から響いてくるみたいな
不思議な声だった。
「道重さゆみが、大好きです」
さゆみの目から
もう止まったと思った涙が
溢れてきた。
- 188 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:47
- 絵里の体が離れていく。
「言っちゃった・・・」
絵里は、
そう囁いて、
うつむいた。
―――返事。しなくちゃ。
さゆみは声を出そうとするが
その前に絵里の声
「あっ、返事とか・・・別にいつでも、いいよ。
私は、気持ちを伝えたかっただけだから。
もし、私の気持ちが迷惑なら
そう言って下さい」
そうして、絵里はそのまま部屋を出て行ってしまった。
ガチャ
れいなが出て来る。
「さゆ、シャワー」
さゆみは無言でれいなの横を通り過ぎ、
バスルームへと入っていく。
- 189 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:48
- シャワーから熱い水が流れてくる。
気持ちよかった。
でも、
さゆみは混乱していた。
れいなに告白しようと思っていたら
先に絵里から告白されてしまった。
―――今さら・・・好きだなんて。そんな
なんて言えばいいんだろう。
どうしたらいいのだろう。
自分がれいなに傾いた。
そう思った途端に告げられた
絵里の気持ち。
―――なによ、今さら
さゆみは
絵里は身勝手だ、と思った。
人の気持ちなんか考えないで、
自分の気持ちにばっかり
正直に
素直に。
・・・。
絵里が、羨ましかった。
- 190 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:48
- ―――あぁ、もうわかんない。
このまま放っておいたら
自分の気持ちがするすると
変な方に流れていってしまいそうだった。
でも、さゆみは、折角見つけた自分の気持ち、
れいなを思う気持ちを大切にしたかった。
その大切な想いにまで
流れて欲しくなかった。
―――だめだ。今日、なんとかしないと。
もう、時間は待ってくれそうもなかった。
ここからは
自分勝手で構わない。
誰のためでもなく
さゆみは自分の気持ちのために
頑張ろうと思った。
- 191 名前:第七章 投稿日:2004/01/28(水) 01:48
- さゆみはバスルームを出た。
絵里がいる。
れいながいる。
バラバラなところにいる。
―――れいな・・・。
絵里の気持ちを知ってしまった以上
れいなだけを誘うわけにはいかない。
でも、
れいなといたかったから
さゆみは言った。
「ねぇ・・・寝よ?」
絵里はさゆみを見る。
れいなはさゆみを見る。
「一緒に、寝よう」
二人は顔を見合わせた。
- 192 名前:いこーる 投稿日:2004/01/28(水) 01:51
- 本日の更新は以上です。
次回、第八章で大団円となります。
- 193 名前:いこーる 投稿日:2004/01/28(水) 01:53
- >>173
レスどうもありがとうございます。
続きを気にしていただけると思うと
更新にも力が入ります。
最後までよろしくお願いします。
- 194 名前:名無 投稿日:2004/01/28(水) 21:44
- 最高です!!
更新ガンバ
- 195 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/28(水) 23:50
- 道重は田中に思いをよせていたのか…おもしろい展開です(w
大三角関係ですね…!!
最後まで目が離せません。これからも頑張ってください!
- 196 名前:いこーる 投稿日:2004/02/02(月) 00:10
- レスありがとうございます。
>>194
ありがとうございます。
第8章も最高のものをお届けできるように尽力します。
>>195
ありがとうございます。
三角関係ですが、この物語でやりたかったことなので
そう言っていただけると嬉しいです。
- 197 名前:いこーる 投稿日:2004/02/02(月) 00:11
- 第八章の更新します。
- 198 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:11
-
―――だれでもいいからそばにいてほしい
- 199 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:12
- ベッドが広くてよかったと
れいなは思った。
3つのベッド。
結局、中央のベッド1台に
3人で寝ることになった。
向こうから、
絵里、
さゆ、
れいな。
順にベッドに横になっている。
1つのベッドで寝ようと
さゆが突然言い出したのにはびっくりしたが
みんな、
寂しかった。
だから、
一緒のベッドで寝ることにした。
- 200 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:12
-
―――だれかにそばにいてほしい
- 201 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:12
- 絵里は、
もう寝てしまったようだ。
―――絵里。寝息がかわいい。
れいなは思った。
れいなはとなりにさゆを感じていた。
ベッドが広いとはいえ、3人で寝ているのだ。
体がぶつからないほうがおかしい。
さゆの、体の温かさが伝わってくるみたいだった。
さゆは、
起きてる?
聞いてみた。
「さゆ?」
「うん?」
起きていた。
「なんでもない」
自分だけが起きていたのではないと
安心できた。
それだけ。
- 202 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:12
- 「ねぇ、れいな」
「うん?」
今度はさゆが話しかけてきた。
「私・・・れいなに知って欲しい」
「何?」
さゆが
こっちを向く。
すぐ近くにさゆの顔。
「私の気持ち・・・」
「え?」
さゆに、くいと抱き寄せられた。
そして
「ん・・・」
キスされた。
- 203 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:13
- ―――!?
突然のことに
れいなは身を固くする。
そして
暗くなる。
微妙な3人は
すごく近いところまで来ておきながら
こうもすれ違う・・・。
絵里が好きなれいな。
れいなを好きと言ってくれたさゆ。
さゆが好きだと言った絵里。
誰か、3人の中に
この
ひどく
憂鬱な
状況を
飛び越すパワーがあるといいのに・・・。
- 204 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:13
- ―――さゆ・・・
れいなはさゆを見た。
「れいな、好きっ」
「わっ!ちょっとさゆ」
なんと
さゆが
乗っかってきた。
さゆが上。
れいなは下。
体はぴったりくっついている。
「さゆ・・・いきなり何?」
「今日はれいなに、私の気持ちを知ってもらうんだから」
―――そんな・・・
再び、さゆがキスしてきた。
ゆっくり。
たっぷり。
―――絵里が起きませんように・・・
そんなことを考えていたら
「ん!?」
さゆの舌がれいなの口の中に入ってきた。
れいなの舌とねっとりと絡みつく。
- 205 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:13
- 「んんっ・・・」
さゆの舌は
れいなの口の中で
いろいろなところをまさぐる。
頬の裏を舐められた。
歯の裏を舐められた、
さゆの舌が触れる度に
れいなの脳は溶けそうになる。
―――ダメ・・・気持ちいいっ
れいなは口を強張らせて
さゆの舌を噛んでしまわないようにしていたが、
だんだん緊張しつづけるのがしんどくなってきた。
―――こうすれば、舌を噛まないよ・・・
れいなも自分の舌をさゆの中に滑り込ませた。
二人の舌が絡み合い
さぐりあう。
- 206 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:13
- 気がつくと、
さゆは、右手でれいなの胸を触っている。
―――あーーーっ。こいつ
「んん、んん」
気持ちよさに押し切られそうなのを
なんとか持ちこたえて
れいなはさゆの手をどかした。
さゆの唇が離れていった。
「れいな?」
「ちょっと、突然何?」
さゆはれいなを見ている。
「ダメだからね!」
そうは言う。
そうは言うが、
腕に力が入らない。
「気持ちいいでしょう?」
「そういう問題じゃ・・・あっ」
結局、また胸を触られた。
気持ちよかった。
れいなは、
さゆのなすがままになってしまう。
- 207 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:14
- 「んん・・・あん・・・」
さゆは、結構速いペースでれいなの胸を揉む。
れいなは頭が真っ白になりかけた。
そのとき、
ふっと、れいなは見た。
―――絵里が起きてる!
こっちを見ていた。
最初は、何がおきたのかわからない様子、
徐々に、理解して、
それでも理解できないのか
絵里は驚愕に目を見開いている。
- 208 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:14
- さゆはあいかわらず
れいなの胸をいじくっている。
―――絵里・・・助けて。
れいなは絵里に目で訴える。
このときの絵里の表情をれいなは
一生忘れないだろう。
絵里は、
にやっと笑って
ちらっとさゆを見た。
そうして、
れいなを見た。
- 209 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:14
- れいなはその合図で
絵里が何を言いたいのか察した。
れいなは両手でさゆの体をぐいと押す。
さゆの体が持ち上がる。
れいなは言った。
「攻守交替だよ」
れいなは
持ち上がったさゆを
絵里の方に
「えいっ!」
投げ飛ばした。
- 210 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:14
- ふわっと体が浮いたと思ったら
れいなの声が聞こえてきた。
「攻守交替だよ」
そうして
さゆみは
「えいっ!」
投げられた。
「きゃあ」
バサッと布団の上に着地する。
れいなを見た。
れいなは、
いたずらっぽく微笑むと
ちゅっ
さゆみのおでこにキスをした。
- 211 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:15
- ―――!?
さゆみはパニック。
れいなの方に手を伸ばそうとする。
すると
後ろから抱きつかれてしまった。
耳元に絵里の声
「さゆ、私とも遊んでよぉ」
―――マジ?
れいながすりすりとにじり寄ってくる。
「あっ」
前から抱きつかれた。
れいなは絵里の肩を持って自分の方に引く。
さゆみは
れいなと絵里に挟まれてしまった。
- 212 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:15
- ・・・。
3人の不揃いな鼓動を感じた。
ただ、
3つともすごく速い。
しばらくの沈黙。
「はぁっ・・・」
絵里が後ろから、さゆみの胸をいじりだす。
さゆみは前後を挟まれて身動きが取れない。
「んん・・・んん・・・」
さゆみは目を閉じて必死に刺激に耐えていた。
「我慢しなくてもいいのに」
これは
れいなの声。
れいなは、
!!!!
さゆのズボンを脱がそうとする。
- 213 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:15
- 「だめぇ・・・だめぇ・・・」
抵抗しようとする。
でも、力を入れようとするたび、
絵里が絶妙なタイミングで乳首を押してくる。
さゆみは思うように力を入れることができない。
結局
ショーツまでスルスルと脱がされてしまった。
―――ちょっと・・・私、初めてなんですけど。
れいなに襲われたの以外、
まともなHはこれが初だった。
まともなH?
どこがまともだろう。
気がつくと、
絵里はさゆみのシャツのボタンを外しにかかっていた。
- 214 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:15
- ―――まぁ・・・いいや。
これなら3人だし。
気持ちのすれ違いもなくてすむ。
まともじゃない?
大人じゃない。
男女じゃない。
二人じゃない。
―――だから・・・何?
そんな窮屈な境目の世界に私たちはいない。
私たちが立っているのは
大人たちが勝手に引いた境界線のなくなった
ボーダーレスな世界。
自分たちの幸せは、
自分たちで決める。
さゆみはれいなにもう一度キス。
「好きっ」
そう言った。
- 215 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:16
- 「あーーーずるい!」
後ろから絵里の声がしたと思ったら
さゆみは耳たぶを噛まれた。
「あぁぁぁぁぁ」
濡れた。
前から
れいなの声
「さゆ、濡れてきたよ」
「だって・・・えりが、えりが耳を」
「ん?はひ?」
―――噛んだまましゃべらないで・・・
感じてしまうから。
- 216 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:16
- れいなの手がさゆみのあそこに伸びていく。
「れいな・・・」
さゆみは体を緊張させたと思った。
思ったら・・・。
絵里が胸を優しくした。
ふわふわした。
緊張しようにも緊張できない。
それほど、
心地よい、
絵里の手。
「さゆ」
れいなが語りかけてくる。
さゆみは夢心地で聞いている。
「今度は、優しくするからね・・・」
そういうと
れいなはそっと
さゆみに触れた。
- 217 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:16
- 「あっ!」
今度こそ体が張った。
ぴくんって。
意識していないのに
体は思いっきり反応してしまった。
―――私・・・
絵里が後ろから、
耳たぶをチロチロと舐めている。
胸をゆったりと触っている。
れいなが前から。
キスをしている。
指を、さゆみの中に侵入させている。
さゆみは
世界一の幸せを感じた。
- 218 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:16
- 「さゆ、入っちゃったよ」
これ・・・
れいなの声?
「動かしてもいいよね?」
―――待って・・・いま動かしたら出ちゃう。
さゆみは唇をきつく結んだ。
「許可します」
絵里が、
勝手に
認めてしまった。
「ちょっと・・・あそばないでよ・・・」
さゆみは、
息も絶え絶えに抗議する。
- 219 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:17
- 「さゆ、いい?」
れいなが再び聞いてくる。
さゆみは
「うん・・・いいよ」
れいなの指がさゆみの中で
動きを開始する。
「動いてる・・・動いてる・・・」
れいなが動くたび
さゆみの胸がギュっとなって
気持ちよさが咽を抜けて
脳まで届く。
もう、
どこからが自分で
どこからが絵里で
どこからがれいなだか
わからなくなっていた。
- 220 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:17
- 想いは
膨らんでくる。
下腹部に
ぐんぐん膨らんで溢れそうになる。
「出してもいい?出してもいい?」
「いいよ」
れいなの声。
「イッちゃえ!さゆ」
絵里の声。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
液は
思いっきりとんで
布団からはみ出して
カーペットまで濡らした。
さゆみはぐったり。
- 221 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:17
- その夜はみんな寝なかった。
朝までしゃべった。
「ねぇ、れいな」
さゆみは言う。
「ん?」
「私、バレンタインの日には、
れいなにチョコ作ってくるからね」
小さなくぐもった声も
3人一緒の布団にいるから
よく響く。
「ああ、じゃあ私は
さゆにチョコあげるから」
これは絵里のせりふ。
「じゃ、れいなは絵里に
でっかいチョコをプレゼントする」
これはれいな。
さゆみは、
ぷっと吹き出してしまった。
- 222 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:17
- 「変なの・・・。
ホワイトデーには
反対にお返しするの?」
「うん」
「そうだよ」
私たちの想いは
めぐりめぐって
私たちの幸せに。
ちょっとおかしな3人。
もっと仲良くなった私たち。
もっと、深くなった私たち。
ここからは、
自分たちの世界を
自分たちで作っていくんだ。
もらった幸せじゃない。
買った幸せじゃない。
教わったことでもない。
私たちだけの
手作り。
ずっと一緒にいようね。
- 223 名前:第八章 投稿日:2004/02/02(月) 00:18
- この小説はフィクションであり
物語中のいかなる、個人・団体・出来事も
実在のものとは一切関係がありません。
- 224 名前:いこーる 投稿日:2004/02/02(月) 00:18
- あとがき
ここまでお付き合いいただきまして
ありがとうございました。
作者の声なんて
読んでもつまらんとは思いますが
ボーナストラックということで
失礼します。
- 225 名前:いこーる 投稿日:2004/02/02(月) 00:19
- この話は
作者の「さゆみんを書きたい」
から始まったものでした。
それが気がついたら
えりれながどんどんいい雰囲気。
あららららっと・・・
改めてえりれなCPの強烈ぶりを
実感してしまいました;汗
6期小説ということで
途中で藤本さんにもご登場いただき
最終的にこんな形になりました。
この作品はわたくしの処女作となります。
ベタな中身なので
不安な中での執筆となりましたが
皆様からレス、励ましをいただきまして
楽しみながら更新を重ねることができました。
心より感謝いたします。
今後も、いくつか作品の構想がございます。
皆様のお目汚しとならぬよう頑張りますので
よろしかったら見守ってやってください。
どうもありがとうございました。
最後に、本作の感想等いただけると嬉しいです。
- 226 名前:いこーる 投稿日:2004/02/02(月) 00:27
- 本編は以上で完結になります。
ありがとうございました。
ただ「3人の後日談」なるストックがございますので
もうしばらくしてからそちらも更新しようかと思っております。
お楽しみに・・・
- 227 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/02(月) 11:17
- 更新乙です
ヤバイっすね、いい意味でw
後日談も楽しみに待ってます
- 228 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/02(月) 18:04
- まさかの大団円でした(w
とてもおもいつかなかったです。さすがです。
最初から最後までとても面白く読ませていただきました。
次回作品や3人の後日談も期待大です!
- 229 名前:ss.com 投稿日:2004/02/03(火) 07:32
- なるほど…、こうなりましたか。
想像も出来ない結果に、思わずやられた!って気分です。
6期の3人の心の動きと、藤本さんを中心にしたお姉さん達の思いやりの世界
にハラハラしたりグッと来たり。楽しませて頂きました。
後日談も楽しみです。期待してます!
- 230 名前:いこーる 投稿日:2004/02/04(水) 10:03
- それでは更新します。
- 231 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:04
- +++++++++++++++
件名:お世話になりました。
本文:
れいなです。
今どこにいるのでしょうか。
私、藤本さんに報告したいことがあります。
私たち3人、いろいろあったけど
仲直りすることができました・・・
むしろ
雨降って地固まるというか
前よりもいっそうぐっと
お互いに近づくことになりました。
私・・・あの日藤本さんに勇気づけられて、
それから絵里にも、さゆにも、
真剣にぶつかっていくことが
できるようになったんです。
みんな藤本さんのおかげ。
本当にありがとうございました。
+++++++++++++++
- 232 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:04
-
めいいっぱい喧嘩した後は
やっぱり仲良しがいいよね。
いっぱい・・・しよう!
- 233 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:04
-
3人の後日談
- 234 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:05
- 今日は3人でカラオケに行く約束。
さゆみと、
れいなは先に集合していた。
新宿。
ここに、
狭くて、目立たない
小さなカラオケルームがある。
カメラもないし
ドアにガラス窓もついてない。
店長ものんびりしているから
部屋に来ることなんてまずない。
フリータイム制だから
6時まで部屋は完全に貸切。
私たちみたいな恋人には
絶好の場所なのだ。
- 235 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:05
- 「絵里、遅いね」
と思ったら。
「ごめーん」
絵里が走ってくる。
3人揃った。
「じゃあカラオケにゴー!!」
ってことでカラオケルーム。
あれからの私たちは展開が早い。
- 236 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:05
- まずは
さゆが歌う。
れいなが歌う。
で、絵里の番。
れいなは、さゆの耳元に口を持っていって
「これ、歌い終わったら?」
そう言った。
「うん、これ終わったらしよう!」
さゆが、
ウインク・・・。
テンション上がってきたのか
絵里は立ち上がって歌う。
れいなも
さゆも
一緒に立った。
- 237 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:06
- 曲が終わって・・・
部屋が静かになる。
「あれ?二人とも次の曲は?」
とか聞く絵里。
―――作戦スタート
さゆは絵里の正面に立って。
「絵里・・・あのね」
「ん?どうしたの」
ぐいぐいと絵里に迫るさゆ。
「え?・・・さゆ?」
思いっきり戸惑う絵里。
「絵里・・・好きっ」
さゆが言った。
そうして、
絵里を
ソファの上に
「うわぁ」
押し倒してしまった。
- 238 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:06
- 「絵里・・・キスしていい?」
「待って待って・・・心の準備が・・・」
こういうときのさゆは
押しが強い。
「3秒待つから準備して」
「へ?」
「・・・3・・・」
絵里は深呼吸。
「・・・2・・・」
胸に手を当てて深呼吸。
「・・・1・・・」
さゆの方を向くと
「・・・0。絵里、いい?」
目を閉じた。
- 239 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:06
- 「うん」
小さく返事する。
さゆは両手で絵里の頬を持つ。
そうして
ゆっくりと顔を近づけていった。
2人の唇が重なる。
さゆは離れない。
―――よし・・・
れいなは打ち合わせどおり
そろそろと絵里のスカートの中に
手を伸ばす。
ショーツに手をかけた。
「ん?んん?」
異変に気がついた絵里は
ひざをガサゴソやり始めた。
- 240 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:07
- 「さゆ!バレた!!」
れいなはそう叫んだ。
さゆは唇を離し、
全体重をかけて絵里を押さえつける。
「わっ。ちょ・・・何?」
れいなは気合を入れて
「とお!」
一気に絵里のショーツを引っ張った。
ショーツは絵里の足を滑って
最後はれいなの右手におさまる。
―――私・・・ショーツはがし、上手いかも
- 241 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:07
- 「きゃあぁぁぁ。何よぉ。どうしたの?」
絵里は暴れようとするが
さゆがしっかりと絵里の体を抑えていた。
れいなは絵里に語りかける。
「ごめんね絵里。今日カラオケってのはウソなの」
「へ?」
「私たち、この前の夜、幸せになれたでしょ」
「だからハッピーエンドなんだけど」
さゆも説明に加わってきた。
「でもね、まだやらなきゃいけないことがあるの」
「な・・・に?」
「それはね、今回一番わがままばっかりだった・・・」
「絵里にね」
「おしおきっ!」
- 242 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:07
- さゆは再び絵里へのキス攻撃を再開。
「むっ・・・んんん」
絵里は両足をバタバタさせる。
れいなはそんな絵里の足首を
ガシっとつかんで抑えた。
そして
絵里のあそこへと
顔を近づけていく。
スカートの中に顔がもぐる。
「絵里・・・」
そしてれいなは
『絵里』に
チュッ
絵里の足が反射的にビクッと動いたが
れいなは力を入れなおして
抑えてしまう。
- 243 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:08
- 今度は
舌を使って絵里をいじり出す。
れいなの舌先が『絵里』のあちこちを刺激して
その度に『絵里』がピクピク動くのが
かわいかった。
絵里は体をもぞもぞとやって逃れようとするが
さゆ、れいなの2人で完全に身動きを封じてしまっている。
しかも
「むぅ・・・んん・・・んっ!」
さゆの唇と舌によって
口まで塞がれているので
抗議すらできない。
完全に抵抗の手段を絶たれていた。
- 244 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:08
- れいなは再び『絵里』にキスをする。
今度は唇をあそこから離さずに
溢れそうになっている汁を
チュルチュルと吸った。
汁は次から次へと出てくる。
れいなはそれを
なんどもなんどもなんども吸った。
「絵里・・・いくよ!」
れいなはそういうと
舌を『絵里』の中に挿入する。
「んーーーー!んーーーー!」
絵里の声が響いてくる。
れいなの舌は根元付近まで入ってしまった。
奥深くへと到達する。
- 245 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:08
- 絵里の中は、断続的にれいなの舌を締め付けてくる。
れいなは中で舌を反らせたり
まわしたり
前後に動かしたり。
「ん・・・ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ」
さゆが唇を解放したようだ
絵里の切なげな声が聞こえてくる。
「はぁ、はぁ、あぁ、あぁぁぁ・・・・」
れいなが動きを大きくすると
徐々に声が大きくなっていく。
「あぁぁぁ、いい、いいぃ」
れいなはツンと
自分の舌を
絵里の中に思いっきり突っ込む。
「あっ!!!」
パチャ
汁が飛んできて
れいなの顔を濡らした。
- 246 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:08
- 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ」
れいなは顔をあげて絵里をみる。
さゆがれいなに
「イッた?」
聞いてきた。
「うん。いっぱい出てた」
れいなは言う。
絵里は、
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ」
呼吸を整え
「はぁ・・ふっ」
―――ふっ?
「ふぇ・・・ふわぁ・・・ふわぁぁん」
―――あっ、泣いちゃった。
- 247 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:09
- 「ひどぉい!ひどいよぉ・・・」
絵里はグズグズと鼻をすすっている。
「ううっ・・・ううっ・・・私だって・・・」
―――ちょっとかわいそうだったかな?
「私だって、ちゃんとした気持ちでしたかったのにぃ」
絵里はいやいやをするように首を振り振りする。
―――かわいい・・・
とか、
れいなは思ってしまった。
「もうやだぁ・・・おうち帰る!」
絵里は
立ち上がって
ドアを開けると
とびだしてしまった。
- 248 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:09
- 「絵里っ!パンツはいてないよ!!」
れいなは遠慮のない声で叫んだ。
バタン
扉がしまる。
―――行っちゃった・・・
ガチャ
すぐに扉が開いて絵里が入ってきた。
「おかえり」
絵里の顔。
くしゃくしゃ。
「返して!!パンツ」
れいなの方に右手を出して催促する。
れいなは右手に持ったショーツを絵里の方に渡して
「へ?」
左手首をつかんで
グイと自分の方に絵里を抱き寄せる。
絵里はれいなの胸の中。
- 249 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:09
- 「ごめんね。絵里・・・」
れいなは抱きしめながら言った。
絵里はグズッ、グズッ、としゃくりあげながら
れいなの胸元を濡らす。
「だって絵里さ。ずるいくらいかわいいんだもん」
そういって絵里を抱いたままソファに座る。
「だからさ・・・」
向こうでさゆが話し掛ける。
「いじわるしたくなっちゃうの」
今度はさゆが、
絵里のスカートをめくる。
「きゃっ・・・もう、待ってよぉ」
絵里は、ベソをかきながら
さゆの方を振り返る。
「強引なのはいやっ。優しくして・・・」
2人は
「ラジャー」
敬礼した。
- 250 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:10
- れいなは絵里の頬を持って
自分の唇へと近づける。
キス。
絵里は、
涙目を閉じて
キスを受ける。
ちょっと顔を離す。
絵里は
「れいなのおっぱいしゃぶりたい・・・」
顔を真っ赤にしてそう言った。
「うん?甘えん坊さんなんだから」
れいなは
自分のシャツを脱いで
ブラを外す。
「ほら、いいよ」
絵里の頭を抱きかかえて
胸へと押し付けてやる。
- 251 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:10
- チュ・・・チュパッ・・・
絵里はれいなの乳首を吸った。
「んっ・・・絵里、気持ちいい」
れいなは感じてしまった。
れいなは絵里を見る。
一生懸命、れいなのおっぱいを吸っている絵里。
目と閉じて、ひたすたにしゃぶる。
―――かわいい・・・
「きゃん!」
絵里が高い声を出した。
さゆが、絵里のスカートの中へと手をやっている。
「はぁぁ・・・さゆぅ・・・」
さゆが手を動かすのに合わせて
ビクビクと絵里の体が震える。
- 252 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:10
- 「ほら、絵里。もっとしゃぶって・・・」
れいなはもう一度絵里の顔を胸へと押し付ける。
「うん・・・」
絵里は、
れいなに吸い付く。
「はんっ」
絵里が感じた。
れいなは、乳首を軽く噛まれた。
「痛っ・・・」
「あっ・・・ごめんなさい・・・」
「こらっ、絵里・・・感じすぎだよ」
「だってぇ・・・あぁん」
さゆはお休みしてくれない。
- 253 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:11
- それでもれいなは
また絵里にしゃぶらせてやる。
「ちゅ・・・んん・・・んっ」
絵里は赤ちゃんみたいにおっぱいをしゃぶり続ける。
「ふぅん・・・んん・・・ふん・・・」
―――また感じてきてる。
れいなにはわかった。
絵里は、
れいなの胸の中で
体をガタガタと震わせ始めた。
れいなは放さないように
しっかりと絵里の頭を抱えてやる。
- 254 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:11
- 「いっ・・・イッちゃうよ・・・イッちゃうよ・・・」
れいなは絵里に話しかける。
「れいなもさゆも一緒にいるよ。平気だよ・・・」
「ダメぇ、イクっ・・・イクぅぅぅぅ」
絵里の震えが大きくなる。
ビクンッ
絵里の体が大きく揺れて・・・
絵里の中から全ての力が抜けたようだった。
絵里の体はぐったりとなって・・・
すぅーすぅー
という寝息が聞こえてきた。
「おやすみ、絵里」
「おやすみ、絵里」
私とさゆは顔を見合わせて笑った。
- 255 名前:おまけ 投稿日:2004/02/04(水) 10:11
- 「幸せだね」
さゆみはれいなを見た。
れいなは笑っている。
―――かわいいな。
さゆみは思った。
―――よーし。今度はれいながターゲット!
さゆみは頭の中で
次の計画を練り始めた。
3人の後日談は
たぶんこうして
ずっと楽しげに
続いていくのでしょう。
- 256 名前:いこーる 投稿日:2004/02/04(水) 10:23
-
以上で「ボーダーレス」は本当に完結しました。
読み返してみて・・・
もうこんな作品は2度と書けないだろうなぁと。
恥ずかしくなるような拙い表現があったり
そもそもインパクト勝負な話だったり
全体のテーマ自体も繰り返しやるものじゃないかなぁっと。
雰囲気とかは今後の作品でも持続していきそうですが・・・
こんなところで僭越ながら告知させていただきます。
次回作の準備が整いました。
現在のスレ数を考えるとまた金板でお世話になると思います。
近いうちに。
ここまでお付き合いいただきましてまことにありがとうございました。
- 257 名前:いこーる 投稿日:2004/02/04(水) 10:36
- 感想いただきましてまことにありがとうございます。
>>227
ありがとうございます。
作者自身書いていて「ヤバかった」です・・・;
>>228
ありがとうございます。
最終的に目指していた形で物語がまとまったので
楽しんでいただけて嬉しいです。
今後もよろしく見守ってやってくださいませ。
>>229
ありがとうございます。
驚いていただけると本当によかったなぁと思いました。
作者はss.com様の作品から多大な示唆をいただいております。
参考にさせていただいたことも幾度となくありました。
この場を借りて、お礼申し上げます。
その他、励ましや感想を書いていただいた方、
ROMっていただいた方、
皆様に感謝しています。
ありがとうございました。
- 258 名前:いこーる 投稿日:2004/02/04(水) 10:41
- 引き続きレスいただけますと喜びますし参考になります。
お待ちしています(エロなのでsageでお願いします)。
- 259 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/06(金) 00:22
- 後日談見ました!
やはり、毎度ながら想像を越える展開がとてもおもしろいです。
感動するほどです。三角関係でうまくやってるなんてすごい(w
素晴らしい作品でした。
次回作も頑張ってください。大期待してます!
- 260 名前:いこーる 投稿日:2004/02/06(金) 16:12
- >>259
ありがとうございます。
後日談はもう、作者のやりたいようにやってしまったので・・・
気に入っていただけたようで何よりです。
またよろしくおねがいします。
- 261 名前:いこーる 投稿日:2004/02/06(金) 16:13
- 次回作の案内を出しておきます。
逃避行
http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/gold/1076033028/
本作「ボーダーレス」と関連作品(続編ではないです)となります。
- 262 名前:名無し 投稿日:2004/02/06(金) 21:27
- すげえ、良かった。
登場人物の選択も俺の好みとみごとに一緒。
- 263 名前:いこーる 投稿日:2004/02/06(金) 22:48
- >>262
完結したからsageてってばぁ(;´Д`)
感想ありがとうございます。
登場人物は脇役も含めてすんなり決まりました。
特に悩まず決めたのでよかったです
- 264 名前:ss.com 投稿日:2004/02/09(月) 11:23
- 完結、お疲れ様でした。
『おまけ』も息をつかせぬ展開で楽しませて頂きました。
6期の中ではレナ推しの私には、かなりツボでした。
ところで
>作者はss.com様の作品から多大な示唆をいただいております。
私の作品など、本当にさんこうになりましてでしょうか?チョー恥ずかしいん
ですけど、そういっていただけると。次作もしっかりROMらせて頂きます。
- 265 名前:いこーる 投稿日:2004/02/10(火) 00:54
- >>264
どうもありがとうございます。
「おまけ」はもっとかわいい話にしたかったのですが
作者の拙い表現力では限界です。
でも楽しかったとレスいただけて何よりです。
いやーとても参考にさせていただいてますよ。
お気に入りは「新春・・・」とその続編です!
今後ともよろしくお願いいたします。
- 266 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/19(月) 22:09
-
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