MySweet Wolf Gang

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/17(水) 02:25

極めてありがち、且つ適当な設定のアンリアルです。
以前、某所で書いていたモノですが、時間が出来たので書き直してみました。
色々ツッコミどころ満載ですが、なにとぞ生温かくスルーして下さい。
さらに申し訳ないことをいえば、不定期更新推奨スレです。

以上の事を理解した上でユルーく楽しんで頂ければ幸いです。

2 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:28



身体は上下真っ黒、黒づくめ。
どうも目立つ金髪には黒のニットキャップ。準備はオッケー。
壁に耳を澄ませ窓からじっと辺りの様子をうかがう。よっしゃ、見張りのヤツらもいない。

深夜、バカオヤジや皆が寝静まるのを待って、静かに窓から壁伝いに抜け出す。
音を立てない様に塀の上へ飛び移る。さらに納屋の上へと移動して屋敷の外へ無事着地。


ふっふーん、だーいせーいこぉーう!
ガンコオヤジめ、ざまーみろってんだ!


胸の高揚感と勢いのまま、町外れ目指して、駆け出した。
少しして屋敷の方が騒がしくなった。色んな人の呼ぶ声やオヤジのヒステリックな怒鳴り声。


…みんな、ごめん!


心の中で謝りながら、でも必死で走った。
もう真剣に走って走って走りまくって、息が苦しくなっても、走るのを止めなかった。

そうだ!だって!今日こそはっ!絶対にっ!!
絶対に、『ニンゲンの世界』に行ってやるんだーーーっっ!!!!

3 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:29



……………………………

……………………

……………


4 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:32



…くそっっ!
はぁ…、さすがに、い…息が…、っく…


ついに立ち止まって、肩で大きく息をした。
そのとたんに体中から汗がダラダラと流れ出してきて止まらない。
バサバサに乱れた髪の毛が顔や首に張り付いて気持悪い。

鬱陶しい前髪をかきあげながら、そこでやっと辺りを見回す。
目の前360度はどんよりとした辛気臭い雰囲気と
奇妙な形ばかりの木々の姿で埋めたてられていた。
妙にシーンとしていて、夜のせい、だけとは言い切れないような
圧倒的な静けさと不気味な闇が辺りに広がっている。

5 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:34

いくら無我夢中だったとはいえ
こんなとこに迷い込むなんて、…ついてないなぁ。

「にしても、ここ…は…?」

どうやら深くうっそうと茂った木々のせいで、
月の光すらほとんど射しこんでないみたいだった。
地面には今までに見た事もないような変な花や草が生えてる。
鳥の鳴く声も聞こえなければ、他の動物達の気配もしないなんて。

なんなんだ…この森、は?
変だ、うん絶対に、ここはおかしい。
イヤな予感がする。首筋に変な汗が流れた。


……ま、さか、…『罪の森』!?





「ほぅ、珍しいな…迷子か、坊主?」


6 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:43


「ひいいぃぃぃいっっ!?」


突然のしわがれ声に飛び退いて振り向くと
いつのまにか、薄気味悪いじーさんが立っていた

「ふん、なんじゃ、女みたいな声出しおって
 お前みたいな坊主、誰も獲って喰いやせんわぃ」

さらに不機嫌そうに言って、じーさんは、のそりのそりと近づいてくる。

心の底から逃げ出したくて堪らないのに
まるで膝から下が石になったみたいで飛び退いた姿勢のまま、少しも動けない。
すぐ目の前までくるなり、ジロジロと人の顔を見て呆れた様に言った。

「ほーぅ、お前本当に女みたいな顔しとるのう」


薄汚れてボロボロの身なりに、無神経にゴワついてそうなの白髪頭。
モジャモジャに伸びきったヒゲ。無遠慮に舐めるような視線。
ボサボサ頭の奥でギョロリと睨みをきかせている鋭い目。


こ、怖えぇぇーー!!
なんなんだ!?このじーさんは?一体ナニモノだ?

7 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:49



「あ、ああああんた、いつからそこ」

「いいか坊主、肝試しのつもりなら早く出て行くことだ
 この森には…そのキレイな顔を骨になるまでしゃぶりたがる輩も多い」


うーん、何気にさっきから物凄く失礼な事を
言われてる様な気がするけど。それはともかくとして。
とりあえず、こっちに危害を与えるつもりはなさそうだな、うん。


「それとも何だ、家出か?どこにも行くところがないのか?」

「…行く、ところ」



思わず、繰り返した。
胸の奥で何かが弾けた気がした。

じーさんの言葉が内側に、深く、響く。



どうしても、行ってみたいところがあるんだ。
なぜ、行きたいところに行ってはいけない?
なぜ、ソレに興味を持ってはいけないの?



8 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:53




「なんじゃ、お前…本当の迷子だったのか?」


「そ…と、に、でたい」



なんでこんな見るからに胡散臭いじーさんに?
自分でも、何故かよく分からないけど、
誰でもいいから、聞いてほしかったのかも。

この気持ちを分かって欲しかったのかもしれない。



「うん?」


気が付いたら、搾り出すように、呟いていた。

「ニンゲンに…会いたいんだ」


一瞬だけ、ボサボサ頭の奥の目が
何か探るように、鈍く光ったような気がした。



「…ふん」

けれど、じーさんはすぐ興味なさそうに背を向けて言った。

「どうでもいいがな、
 トロルのエサにならないうちに帰れ、坊主」



は、あの…?今、トロル、え?何て?

そういえば、時々だけどさっきから断末魔のような
おぞましい雄叫びが聞こえているような気が……する。


考えるよりも早く、転げるように雄叫びがするのとは逆の方向へと駆け出した。


9 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:57





ひたすら走りつづけたせいか、気が付くと、もう雄叫びは聞こえなくなっていた。

けどもう、膝がガクガクしてろくに歩けない。
今にもこんがらがりそうだし。…それに、それにさあ



「ここは、ドコなんだよ…?」


今さらだけど、滅茶苦茶に走ってきたことを少し、後悔した。


10 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 02:59


ああーもうダメ、足も喉もマジ限界。
どうでもいいとばかりに湿った草の上にゴロリと寝転ぶ。

うつ伏せた視線の少し先、そこだけに僅かに月の光が射していた。

んー?何だろう。小さく細かくキラキラ輝いてる。
あー、なんかいーなぁ。きれーだなー。…て、もしかしたら!!もしかする!?


飛び上がって駆け寄ると、小さな泉がひっそりと静かに輝いていた。
やっぱり月の光はそこだけに射し込んでいて、辺りに誰もいない。

迷わず石造りの淵に手をついて頭から突っ込もうとした瞬間
涼しげ水面に自分のとは違う別の影がぼんやりと浮かんだ。



なんだこれは?えーと…誰かの顔、かな?とすると誰だろ?

11 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 03:01



影は段々はっきりとその姿をあらわしていく。
高く、通った鼻筋、小振りで形の良いラインを描く頬、柔らかそうな唇。
もうカラカラの喉のことなんてすっかり忘れてた。
初めて見るそのコの整った横顔を、ただ、じっと見つめてた。

なんだか眠たそうな顔して視線をどこか遠くにさまよわせてる。
何もかもどうでもいいような、全て見透かしたような、誰をも突き放したような。
それでいて、なんていうか、どこか…儚くて脆い感じ。


ああもう、全然わけわかんない。
だけど、ものすごく、気になって仕方がない。



突然、ザァっと強い風が吹いて水面に映る線の細い輪郭が無残に歪む。



12 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 03:04



なんだろう、この感じ。この気持ち。
ザワザワして、ダメだ。落ち着かない。

変な息苦しさに胸が詰まる。
嫌な感じじゃなくて、けどすごく胸が締め付けられるような感じ。

ずっと見ていたい。もっと、あのコの近くにいきたい。




ふいに、そのコがこっちを向いたように見えた。





…え、今、目が合った!?



13 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 03:06






―――その瞬間




鮮やかな極彩色の輝きを放つ
全てを焼き尽くすような眩くて強い光

躊躇いもなく、一直線に、全身を貫いた





14 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 03:06



……………………………

……………………

……………


15 名前:プロローグ 投稿日:2004/03/17(水) 03:08





どぅおああぁっっ!?ま、まぶしぃいーっっ!!

…って、アレ? 夜のくせに、なんでこんな明るいんだ?
それに何で地面がこんなユラユラしてんだろ?んん?
つーか、…ここどこだよ?どーみても森の中じゃないし。
確かさっきまでは、えーっと、そうだ…泉に…あのコが…ん?


なななんだ、これっこんな…まさか??

うええおあいやぁあああああ!!!
か、からから、かか身体がぁあぁぁぁぁあああ〜〜〜!?



16 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/17(水) 03:13


以上、無駄に長いプロローグでした。
今後もこんな感じでダラダラ進んでいくと思います。

次回、ヒロイン登場です。では。
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/17(水) 03:19

久々の飼育&スレ立てで緊張したせいで
こんな時間になってしまったのは内緒だ。
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/17(水) 03:22



(0^〜^)< びびってんなYO!


19 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/20(土) 21:29
この家出さんは落ち着きがないって通知表に書かれるタイプだな
20 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 15:57



床をガタガタと擦る雑な音とホコリの匂い。
周囲はバタバタと慌ただしげな足音と楽しげな笑い声。


んあ、いつも通り。
今日も起きたら放課後だった。


21 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 16:00


「…さん、後藤さん!机、下げたいんだけど」

「んぁ?」


顔を上げるとホウキを片手にしたクラスメイト。
さも迷惑そうな態度を隠そうともしない。
きっと、素直な性格なんだねぇ。

で、…ん〜と、誰だったっけ?


「…あー、ごめんごめん」

お愛想程度の苦笑いを浮かべて、
無表情に机を動かすその横をそそくさとすり抜けた。



そして今日もまた。
ひとり、校舎を後にする。

22 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 16:04



「ふぁ〜あぁ…、ねむ〜」


薄っぺらいカバンを片手にぶらつかせて
ぐいーと、伸びなんかもしつつ、アクビまじりの帰り道。

あーあ、今日はどうしようかなぁ?
誰もいない家にまっすぐ帰るのもイヤだし。
かといってゲーセンとかに寄り道するのにも飽きたしなぁ。


なんとなく立ち寄ったコンビニで
なんとなくアイスとか買って、その辺をブラブラと。

偶然、通りがかったのは、昔よく遊びに行った公園。

「んふー、ひさびさに、行ってみますかねぇ」

まずは、ブランコに向かう。ブランコの席は二つとも空いていた。
というか、どうやら公園の中には誰もいないみたい。
平日の午後、まだまだ全然明るい時間なのに、もったいない。
最近の若モノは一体ドコでナニをして遊んでいるのでしょうかねぇ。

…ま、そんなことはどうでもいいんだけど。

23 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 16:05


んはは、ラッキー!
やったね、ごとーの貸切状態じゃん!

腰掛けて、最初はゆっくり、漕ぎ出してみる。
くわえたアイスの雫が落ちないように。
スカートが捲れないように気をつけながら。

「んあー、ブランコひとり占めだぁ」



金属の擦れる音、重力に軋む音だけが
誰もいない公園に、やけに響いた。

24 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 16:07


気が付いたら、ごとーはいつも、ひとりだった。
おとーさんは早くに死んじゃったし、おかーさんは仕事で帰ってこない。
まぁ、ごとーが小さい頃から仕事が忙しいみたいでいつも留守がちだったし
一応、毎月銀行には入金されてるみたいだから
きっとどこかで頑張って働いてくれてるんだとは思うけど。

弟のユウキは、あのバカは。
この春に折角入ったばっかの高校を3日で辞めて
「広い世界を見るのだ!」とか何とか言って
原チャで旅に出たまま帰ってこない。
あいつこそ今どこで何をしているどころか、
生きているのか死んでいるのかも、よく分からない。


弟よ、おねーちゃんは、ちょっと心配しています。

25 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 16:20


中学でも女の子によくあるグループだとかそういうのが面倒くさくて嫌で
割と男の子と仲良くしてたら変なウワサ立てられて、
殆どの女子に目の敵にされるし、そしたら男子の方も勝手に勘違いして、
わらわら言寄ってくるしで、ほんともうマジでウザかった。

だから、ひとりになった。辛くはなかった。
ひとりでいる方が全然ラクだったから。

高校入ったら変わるかなーと思ったけど、大して変わらなかった。
入学式の時から何故か、ごとーの事をみんな知ってて、
でもそれは、ごとーにとっちゃギャグみたいな、あまり良くない噂のせいで。
だから、もうみんなの中でそういうキャラで出来上がっちゃってたんだ。
まあね、昔から近寄りがたいとか、クールとか色々言われたのもあるけど。

こういうのを何て言うのかな。
あえていうなら、うーん、孤独癖っつーの?

26 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 16:22


いや、別にけーちゃんとかいるし
正確には違うけどね、うん。

ただ単に、ひとりでいることのほうが全然多かっただけで。
だから、ひとりで寂しいなんて、そんなのちっとも思ってない。
…そうだよ、別に、気楽だし。うん、全然へーき。何を今さら。


気がついたら、遠心力もめいっぱいに漕いでいた。
乾いた地面に両足をざりざりと引き摺らせて少し強引に止める。


「…さーみしーくないよぉー」



小憎らしいくらい青々とした空を見上げて呟いた。


27 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 16:42


「あはは、なーんつってねぇー」


なんだか急に恥ずかしくなって、ブランコから飛び降りる。
だって、周りには誰もいないのに、不思議と誰か傍にいたみたいな気がしたから。

まぁ、大丈夫、きっと大丈夫。うん、きっとごとーの気のせい。

さーてぇ、お次はジャングルジムだあー!

28 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 16:43

と、どこからか元気いっぱいの声がする。
ん〜む、あの声はー?


「ゴルァどこ行きよったあー!犬っコロぉ〜っ!!」

「おーい、ワンちゃあ〜ん!コワくないから出っておーいでぇ〜?」


やっぱし加護と辻かぁ。
いやあ、相変わらずお子様はまいんち元気だーねぇ。



『……なっ!く、な!頼むから、こっち来んなってっ!!』



ブランコからジャングルジムへの間。
ぴしり、足が、固まった。

29 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:10


ゴクリと息を飲む。
辺りをぐるりと注意深く見渡した。
けど、見る限りに人はいない。誰もいない。

え?…な、なに今の??
今なんか聞こえた…よね?
誰?てか、え?誰もいないし、なんなの??

そう、なんていうか、頭の中に直に聞こえてきたみたいだった。
すごく困ってて、必死っていうか焦ってる感じ。
ちょっと掠れた、ハスキー気味な低音の。

30 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:11


『あーウゼー!しつけーんだよチビ!なんで追っかけてくんだよ!
 ったく、いいかげんにガキはガキ同士でテキトーに遊んどけってのー!』


あああ、なんか突然キレてるしー!?
やっぱし聞こえる。しかもすごくハッキリ。
…うそ、ヤバイ。マジでごとーのアタマ、おかしくなった??


「「あー、ごっちぃーんっ!!」」

呼ばれるままに振り向くと
後ろからバタバタと駈け寄ってくる2つのお団子あたま。

31 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:14


「なぁなぁ!今ここに子犬が走ってきぃひんかったぁ!?」

「おめめパッチリでねぇカワイイんれすよー!
 学校の帰り道でね、のんたちがみつけたのー!」


随分と走ってきたのか、息を切らせて、楽しげに目をキラキラさせて。
かたや、関西弁で甘えるような口調、黒目がちな瞳をキュルっと上目遣い。
かたや、舌足らずな喋り方で嬉しそうに八重歯を見せて、てへてへ笑う。

なんていうか、まだまだランドセルの方が全然似合ってそうな雰囲気丸出し。

これで中学生っていうんだから、ほんとにビックリだよねぇ。
うーん、キミ達の方こそ、じゃれついてくる子犬みたいですぞ。

32 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:15

期待たっぷりの眼差しに申し訳ない気分になりつつも
アイスの棒をくわえたまま黙って首を横に振る。

「ほんまにぃ?絶対こっちに逃げたと思ってんけどなぁ〜」

「だよねぇ?のんも公園に入ってったと思ったんだけどなぁー」


考えるように首を線対称に傾げると、息ぴったりの動きでお互いの顔を見合せる。
こういうのが打ち合わせでも何もなくて、ごくごく自然な動きなんだからスゴイ。

いやだってほんとに子犬なんか見てないし。
てか、2人にはほんとに悪いんだけど、今はそれどころじゃないし…。



……んあ?

33 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:43

子犬?逃げた?
しつけーチビ?ガキ?

カチカチカチと組み立てられていく言葉のカケラ。
頭の中に、ぼんやりと答が姿を現していく。


えーと…もしかして、もしかすると、さっきのは…。


34 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:45




んあぁーーー!!!!



35 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:49

「もしどっかで見つけたら教えてなー!?絶対やでー?」

「やくそくれすよぉー?」


浮かんだ答に思わずぼーっとしていたら
辻加護の2人は公園の入り口でこっちに振り返って叫んでいた。
おーし絶対に見つけてやるじぇー!と、天高くグーを突き上げて意気込んで。
双子のようで双子じゃない仲良しコンビは仲良く手をつないで駆けて行く。

36 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:50

数分もしないで、お団子あたま達の後ろ姿が公園から消える。
やっぱり辺りに誰もいないのをちゃんと確認して。
そして、深呼吸をひとつ。

きっと、今もまだ、そーとーテンパってるはず。
だったら、落ち着かせてあげなきゃね。


「もう大丈夫、あの2人はどっか行ったよ」

37 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:51

頭の中に声は聞こえてこない。

うーん、そう簡単には出てこないかぁ。怯えてるのかも。
確かに、あの2人に追い掛け回されたら逃げ出したくもなるよね。
なにせ、けーちゃん曰く、『天下御免の悪ガキツートップ』だもん。

直感ていうか、でも絶対に。
ごとーの声は、むこうには聞こえてるだろうと思った。
もうちょっと優しく言ってみる。

「大丈夫だって、ほんとにもういないから」


正直、全然ちっとも怖くなかった。
そんなのより、早く安心させてあげたいなーって思った。
確かに驚いたけど、それに多分だけど、正体わかってるし。
なんていうか、ああ世の中不思議なこともあるんだなーって。

38 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:53

そして、これも多分、直感で。



ブランコの横脇の植え込みが、控えめにガサリと音を立てる。

ほーら、やっぱりココだと思ったんだ。
思わず笑顔になった。近寄ってかがみこむ。



辺りを窺うように、おずおずと現れたのは。

39 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:54

「あは、もう平気だよ」


なんて大きくて綺麗な瞳。
物怖じもせず、凛とした表情で、こっちをじっと見つめてる。
吸い込まれそうなほどに澄んだ瞳を見ていたら
いつの間にか、ごく自然と両手をさし広げていた。

「…ごとーんち、来る?」

「わんっ!」


ちぎれそうな勢いで尻尾を振って駆け寄ってくる。
丈夫そうな体は随分と白く薄汚れてるけど、洗えば全然大丈夫。
飛び込んでくる身体ごと、抱き上げた。

「よぉーし、帰ったらソッコーでお風呂だあーっ!」

「わおーん!」

40 名前: 第1話: このコどこのコ?ごとーのコ!  投稿日:2004/03/21(日) 17:56


おとーさん、おかーさん、そしてユウキ、元気ですか?
今日からウチに新しく家族が増えました。
とっても瞳の綺麗な元気なコです。
だからちっとも寂しくなんかありません。

今日も、ごとーは、元気です。

41 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/21(日) 18:02

>>19さん
落ち着きは…全く無いですね。多分、登場人物全員そうだと思います。
ムダにテンション高くてすいません。良ければ今後ともよろしくお願いします。
42 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/21(日) 18:08

( ´ Д `)<「んあ?…何か忘れてるような気がするんだよねぇ」

(0^〜^)<「わんわん!」
43 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/21(日) 18:14

( ´ Д `)<「ま、いっかぁー?」
  ∧ ∧
(0^〜^)< 「わん!」
44 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/21(日) 18:22

では、また次回に。
45 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/23(火) 22:18
可愛い犬ですね( O^〜^)
46 名前:第2話:アンビリーバブル!バブルバスタイム 投稿日:2004/04/06(火) 23:09



家に連れ帰って早速、風呂場で洗ったとたん、
粉まみれで硬くゴワゴワだった毛は、ツヤツヤのキレイなブロンドと姿を変えた。
47 名前:第2話:アンビリーバブル!バブルバスタイム 投稿日:2004/04/06(火) 23:14


「あは!おまえって実は金髪だったんだー!?」

「わぉん!!」


最初のとき、あんなに体が白かったのは
白墨だか小麦粉だか何だか良くわかんないけど
多分、どこかで何か白い粉でもかぶっちゃったりしたんだろうね。


「よーし、もういいかな?それじゃ、もっかい流すよー!」

浴槽に入れて、水圧弱め温度も温めのシャワーで全身を洗い流す。
ゆっくり撫でながら身体についた泡を丁寧に落としてやると、
とても気持ち良さそうに、うっとりとまぶたを閉じた。

わんぱくそうな感じがしたけど、意外とお風呂は好きみたい。
シャワーなんかも全然嫌がらないし、
どっちかっていうとシャンプーも嬉しそうなくらい。

48 名前:第2話:アンビリーバブル!バブルバスタイム 投稿日:2004/04/06(火) 23:17


「わふー」

いかにもリラックスしきった表情で、鼻を鳴らす。

「あはは、お風呂好きなんだ〜、あは!ごとーと一緒だねぇ?」

「わぅわぅー」


うーん…もう、言葉わかんないのかな?やっぱマグレ?勘違い?
ごとーの方にもあの声、全然聞こえてこないしなぁ。
…ちょっとイイ感じだったのに。

わずかに足元に残った泡で夢中に遊ぶ姿は
ごとーの言ってることなんかまるで分かってないみたいに思えた。
それこそ、どこにでもいる普通の犬みたいに。



「ま、それならそれで、別に良いんだけどねー?」

49 名前:第2話:アンビリーバブル!バブルバスタイム 投稿日:2004/04/06(火) 23:23

スッキリしたせいか、すっかり満足そうな様子を横目に
シャワーを止める。

すかざず、浴槽の中では全身を勢いよくふるわせると
これでもか!とばかりに、そこら中に水しぶきを豪快に飛ばしていた。

あは、やっぱり中に入れといて正解だったね。
目の前でやられてたら、ごとーもびしょ濡れだよ。


「はーい、オッケーでちゅよー!キレイになりまちたねー?」

「わぉん!」


こっちを見上げてぶんぶんシッポを振って応える姿が、
何ともいえないくらい、あんまりにも可愛らしくて
濡れるのも気にしないで思わず浴槽から抱き上げた。
そのまま、ちゅ、っとキスしてみる。


「……ッッ!?」


50 名前:第2話:アンビリーバブル!バブルバスタイム 投稿日:2004/04/06(火) 23:27


「んはは!かわいーいっ!」


途端に、キョトンとした顔のまま、ボケーっとなって動かない。
あれ、どうしたんだろ?そんなにビックリしたのかな?
ニンゲンとドーブツのキスってヤバイんだっけ?イヤ、まさかね…?

51 名前:第2話:アンビリーバブル!バブルバスタイム 投稿日:2004/04/06(火) 23:35


「おーい、どしたぁー?」

不安に焦る気持ちを押さえて
腕の中に抱いた身体を軽く揺さぶってみる。

遊び疲れて眠たい子供みたいに、目をトロンとさせて反応がない。


「えーと、えーと、よし、ちょっと待っててね?
 今すぐタオル取ってくるから、大人しくしてんだよー?」

だらり、と力の抜けたような身体を浴槽の中に横たえさせた。
慌てて浴室を飛び出すと、
引き出しからバスタオルを引出しから取って戻る。
薄暗い、見慣れた我が家の廊下が、まるで別なモノのように感じる。


どうしよう!どうしよう!どうしようー!?
さっきまで、あんなに元気いっぱいだったのに!
まさか変な病気!?それとも実は水に弱かったとか!?
ああああもうよく分かんないけど、急にどうしちゃったのさーー!?




不安と焦る気持ちのまま、乱暴に浴室のドアを開けた―――

52 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/06(火) 23:38

>>45さん
一般的によく、バカなコほど可愛いって言いますよね。
53 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/06(火) 23:41

微妙なトコロで切って申し訳ありません。
全ては仕様です、否、都合です。
(もしまだ読者さんがいればの話ですがね)
54 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/06(火) 23:45


忙しくなる前に書き上げられたら本望ですが
こればっかりは、どうしようもあらしまへんわな。
根性ナシなりのに、なるべく頑張ります。
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/06(火) 23:49



目標・早期完結!
56 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:23

それでは、続きです
57 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:24


「大丈夫っ!?」

「ん?」




…そっくりそのままの勢いでドアを閉める。

58 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:28
ナニ何なに、いまのわ?
いま、何か、いた?お風呂に、ナニが、いた?
あれれー?ごとー、目までおかしくなっちゃったー?

今日はもう何でこんなことばっかり。
何がなんだか、ワケがわからない。
恐る恐る、もう一度ドアノブを握りなおす。
音を立てない様に注意深く、ゆっくりと回した。
半信半疑な自分の目をよーく見開いてそっとのぞく。

…やっぱり、いた。
ドアの隙間から後姿が見えた。
59 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:31


目がいったのは、外人さんみたいなすっごい金髪。
長さは、ショートっぽい。サイドが少し顎にかかる感じかな。
そして剥き出しの白い肩。すごい白くて、ほんとに透き通りそうな感じ。
うーん、後は…浴槽で隠れててよく分からないけども。なんだけども。

えーと……これって、間違いなく、人間ですよねぇ??



「あのー」

「は、はいぃぃいい!?」

声に驚いて、疑問にうつむいていた顔を上げる。勢いでドアも全開。
いつの間にか中の人はこっちを向いていた。

60 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:32

ふいに、目が合う。

大きくて、今までに見たこともないくらい凄く綺麗な瞳だった。
フワリと微笑んだかと思うと、ニコニコと子供みたいな無邪気な笑顔。

濡れそぼった前髪から、しずくが一滴。
小窓からの光にきらめいて落ちた。

61 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:36


うあうああああ!?
あーー、やだーもぉおおー!

ごとー、きっと、いやかなり、絶対どうかしてる。
こんな状況オカシイ、ありえない、変だって分かってるのに
ごとーの心臓、今、めちゃくちゃドキドキしてる。
もしかしたら変態かも、犯罪者かもしれないのに。

こんな訳のわからない見たこともない人にドキドキしてる。
でもなんていうか多分怖いとかそういうのじゃないんだけど
それは確かにそうなんだけど。



このドキドキは一体なんなのさーーー!?

62 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:39

「あの、タオル、いい?」

「…え?あ、はい!どーぞっ!」

「さんきゅー」


いつのまにかギュっと握り締めてたタオルを慌てて差し出す。
長い腕をこっちに伸ばして、ニコッと笑った。
うう、まぶし過ぎる。なんか色んなモノが頭から飛んでしまいそう。
あの笑顔はキケンでアブナイ。きっと間違いない。
63 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:40

後ろを向いた白い肩が浴槽からスッと立ち上がる。
と、つられて視線が追った。
鼻歌まじりの慣れた手つきで素早くバスタオルを身体に巻きつけてる。

ふーん…結構、背、高いんだ。ごとーよりは高いかなー。
どれくらいなんだろ、きっとカオリより低いくらいかなー。
…んん?え、何だアレ、あの、オシリの辺り?
変にふくらんでない?え?
なんかタオルの裾から先っぽがちょっとフサフサしたっぽいのがイヤそんなまさかウソありえなうjw氏wべ
64 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:42

視線を感じて、ハッとする。
はにかんだ顔でこっちを見ながら
身を捩るように自分で自分を抱きしめていた。

んあっ!?
なんだその目はーーー!!



「…そんなに見つめちゃイヤン」

65 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:48

「ええぇええ!?いうあ、ちが、ごとーは、そんな!ちがくて!」

「あはは、分かってるってー、あわてちゃってカワイイなぁ」


笑いながら浴槽をヒョイと跨いで、すぐ目の前にしゃがみこむ。
避ける間もなく顔が近づいた。思わずきつく目を瞑る。

一瞬だった。
耳元に軽く息が触れた。



「キレイに洗ってくれて、ありがとね」


なんか、もうバクハツしそう。
イロイロと。

座り込んだまま動けないでいるごとーの傍を
不思議そうな顔をしながらすり抜けると、浴室を悠々と出て行った。
66 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:50

さっきの言葉が頭の中をグルグルと巡る。

『キレイニアラッテクレテ、アリガトネ』

えーっと、ちょっと待って。人違いですよ。
だって、ごとーはアナタのこと洗ってなんか無いし。
ごとーが洗ったのは、さっきまで元気で、そう、浴槽で急に様子が変になって公園で拾ってきた――


「ああぁぁぁああああーーーーっ!?」

そうだよ、すっかり忘れてたけど!
もう、どうして全然気が付かなかったんだろう!?
まったく、ごとーったら飼い主失格だ。

浴室から駆け出して、廊下を駆け抜けて後を追う。
67 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:52

ヤツときたら、のん気にリビングのソファでくつろいでいた。


「あああんたっ!ごとーの犬!どこにやったのっ!?」

「え?どこって?」

「いたでしょ!オフロの中に!金色の毛の子犬が!」

「あー、ちゃんといるよ」

「いないから聞いてんでしょ!!」

「目の前に、いるよ?」

「……は?」



悠然と座ったまま、上目遣いのヤツの目がいたずらっぽく光る。


「よーく見てなよ〜?」
68 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:54

ちゃ、ちゃららららら〜ん♪

どこかで聞いたような、
ありがちなマジックショーのメロディを口ずさみながら
生乾きの髪の毛を、頭の両脇からゆっくりとかきあげた。

間もなくソレは小さくぴょこんと姿を現した。

器用にぴくぴく動いてる。
髪の毛と同じ色の毛で覆われてて結構カワイイ、そう、いわゆるこれは。



「みみみ耳ぃいー!?」

「あ、シッポもあるよ?」


髪の間からのぞくソレに思わず手を伸ばす。
呆然と感触を確かめていると、照れたように、体をよじって笑った。


「もーいいー?、くすぐったいっすー」



…柔らかい。それに、あったかい。
果たしてタネもシカケも無かった。コレは正真正銘のホンモノだ。
69 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 21:58

てことは、もう。つまり。そうか、そういうことなんだ。
ここまできたら認めるしかない。認めれば、割と切り替えは素早いほう。
だけどだけどだけど。そうなんだけれども。
世の中にはイロイロな人がいるんだってのは知ってたけど
不思議なことも変わったこともフツーにいっぱいあるんだなって

今日、改めて知った。


ああ、やっぱり世界は広くてフシギがいっぱいなのだ、弟よ。

70 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:04

「おーい、もしもぉーし?だいじょーぶかー?」


んあ?
すぐそばで、柔らかい声がする。
気が付けばソファの上、ヤツの隣におさまっていた。



「てことで、これからヨロシクね、ご主人さま?」


そして覗き込むような至近距離。
キケンでアブナイあの笑顔が、またしても心臓をガツンと直撃する。


「……」

声にならない声。
返事どころじゃなかった。
71 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:05


もう、まともに考えられない。
真っ直ぐな視線の期待に促されるまま自然と首を縦に振る。

うわ、ヤだ…なんか、顔が…あっつい。

72 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:06


思わず目を逸らそうと俯こうとした瞬間
口端が、ニッと上がったように見えた。


「あれぇー?なんか顔あかくねぇ?熱あんのかなー」


頭の上から、どこか楽しそうな調子の声が降りてくる。
鼻先に次第にはっきりと伝わってくる
ごとーと同じ、シャンプーの匂い。
73 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:08

ふわりと添えられるように頬を包む大きな手は
ひんやりしてて気持ちいい。
そして、目に映る、ほんのり色づいた淡いピンク。
少し開いた、薄い、くちびる。

小さく、囁いた。


「…かわいー」




途端に顔が更に熱を持つ。
いつからかなのか、体に少しも力が入らない。

74 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:09

目の前がゆっくりと安っぽい金色で染められていく。
心の中なのか、どっか遠くで誰かが叫んでいた。



まったく一体どうしちゃったのさ!?

どうして?なんで?
ごとーだって全然わからない。

けど…ひとつ、わかることは
きっと何もかも全部、コイツのせい。
75 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:10

…コイツが、いつの間にか
ごとーに不思議な呪いをかけたんだ。


絶対、そうに決まってる!!
76 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:14

( ´ Д `)<……

(0^〜^)<ん?どしたの?
77 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:15

( ´ Д `)<で、結局アンタだれ?

(;0^〜^)<………
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:20

以上、第2話『アンビリーバブル!バブルバスタイム』でした
…タイトルセンスの無さは一応、自覚しております。
79 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:22


では、また次回に。
80 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:30
よっすぃ犬みっけ!
かわいいなぁ・・・1匹欲しいです。
81 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:42
面白い話ハケーン(・∀・)イイ!!
82 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/08(木) 22:44


( ´ Д `)<……しくった

(0^〜^)<………ドンマイ
83 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/29(土) 22:06
ドンマイ
84 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/21(月) 22:16
吉犬ほしい
85 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/14(水) 21:29
続き激しく期待しております。
忙しくて大変でしょうが首を長ーくして待ってますよ〜
86 名前: ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2004/07/15(木) 22:26



「……ちゃん」


ふわり、柔らかい声が静かに落ちてきた。
まだはっきりしない頭に、心地良く響く。

んー、いいねぇ。
なんか分かんないけど、聞いてて落ち着くんだよねぇ。
87 名前: ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2004/07/15(木) 22:31

安らかな気持ちに浸っていると、また声がした。
どうもさっきよりもよく聞こえる気がする…。

「マキちゃーん、もう朝だよー?」


あー、うーん…。
もうちょい寝かせて、あと5分でいいから。

だって昨日はあのバカ犬のせいで全然寝れなくて大変だったんだよね、
まったく、ごとーはこう見えてきっちり8時間以上は寝ないと
ダメな人っていうか、そりゃもう身も心も全然オトナなんだけど
なんか9時以降になると自然と眠くなっちゃうからさー
88 名前: ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2004/07/15(木) 22:33

段々と昨日のアイツが頭の中によみがえってくる。

あのさ名前は?なんていうの?
ゴトウ…マキ?ふぅん、マキっていうんだ。
じゃあマキってさあー、いてっ、何で叩くんだよ!
なに?マキじゃダメ?呼び捨てだから?
あー、うーん…じゃあマキちゃんね。OK?

ねえねえマキ!…じゃなくてマキちゃん!
これはナニ?アレはなに?それってウマイの?

家の中、テレビに映るもの、ごとーとの会話、なにもかも。
いちいち好奇心を剥き出しにしての質問攻めには、ほんと、疲れた。

…けどまぁ、目をキラキラさせて聞いてくるとことか
なんか子供みたいで、結構かわいかったなー。
89 名前: ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2004/07/15(木) 22:34




「起きないならぁ…オソっちゃおっかな」





突然、耳元でボソリと。
一瞬にして無邪気な笑顔が悪魔の微笑み。




なんですとおーーーーー!?


90 名前: ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2004/07/15(木) 22:36


「んあーーーーっっ!!」




飛び起きた目の前にはニヤケた笑顔のアイツ。



「あーあぁ、もうちょっとだったのになー」


さも残念だと言わんばかりの口ぶりとは
正反対に、楽しそうな声のトーン。
大きな目がいたずらっぽく光っている。



「な!?なに言って…」


慌ててうまくしゃべれない。

一体ナニがもうチョットだったのさー!?
91 名前: ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2004/07/15(木) 22:38

そんなごとーなんかおかまいなしに
ベッドサイドに腰かけると、ニッと口端を上げた。
柔らかな髪からのぞく、犬耳がぴんと伸びている。


「やっぱさぁ、朝だし…」

ちょっと待って、なんか変な雰囲気だそうとしてない?
そもそも何が『やっぱ朝だし』なのか分かんないし。


すいっと顔が近づいた。
薄茶色の済んだ瞳。

その整った顔に、思わず息を飲む。







「オハヨウのチュー、しとく?」

92 名前:  投稿日:2004/07/15(木) 22:46

どうも、お久しぶりです。
生きてますた。

更新の途中ですが、ここで切ります。
変なところで止めてすみません。
再開は出来れば今夜のうちに。
出来ない時は今週中にするつもりです。
93 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/15(木) 23:02

では、先にレス返しを。

>>80さん
見つけてくれてありがとう。
そーとーカワイイけどそーとー維持費かかりますよ?

>>81さん
見つけてくれて(・∀・)ウレシイ!!

>>83さん
優しさが目に染みます。
…サンキュ(⊃Д`)

>>84さん
( ´ Д `)<……ごとーのだから
だそうです。

>>85さん
お待たせしました。すみません。
首はまだ伸びきってませんよね?
94 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/15(木) 23:05



ではまた、後ほど。
95 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/17(土) 05:53
待ってました!」
96 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/17(土) 10:02
うおーーー
その続きが気になります。
97 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/19(月) 02:28

今週中は無理でした。
自分で予告しといてすみません。
恥ずかしいので、落とします。
98 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 17:02



……はいぃぃ!?




心臓が大きく跳ねた。

すぐ目の前で。
大きな瞳をすぅっと細め、アイツが小さく息を吸う。
身体が強張ってシーツを握る手に力が入り、思わず目をギューっと瞑った。

けれど、予想していた感触は全然来なくて、恐る恐る目を開ける。



「ウソぴょーん」


イタズラ大成功!と言わんばかりにベッドに身体を投げ出すと、
だははははーとバカみたいな笑い声をあげて転げまわった。
その姿は…『みたいに』じゃなくてバカそのものなんだけどさ。

99 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 17:03


一瞬、殴ってやろうかと思ったけど、
なんかすごくイイ感じに笑うから、ムカついてたのも
まーいっか、なんて思えてくるからちょっと不思議。



まだ昨日の今日って程度だけど
一緒にいて、コイツの事はなんとなく分かってきた。

うーん、なんていうか不思議なヤツ。
単純に言えば、エロくて、おバカ。
100 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 17:04

付け加えるなら、明るくて元気で好奇心オーセー。
ほんと見てて飽きないし、なんか一緒にいると結構かなり楽しいかも。

ただ、何故かムダにスキンシップを取りたがるっていうか
何かにつけてヘンな雰囲気出してセマってくるところとかはなんとかしてほしい。
…多分、あんま悪気はないんだろうけどさぁ。


まあなんていうか、コイツの事、拾って良かったかな。
一日一緒にいた位なのに、そんな風に思わせるんだから
ほんと、不思議なヤツだよね。
101 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 17:17


ぼーっと見すぎてたのかもしれない。

視線を感じたのか、顔をくるりとこちらに向けた。
どうやら笑いすぎたらしく、目には涙まで浮かべている。



「いっやー、マキちゃんはオモシロイなぁ〜」

「むぅ!」


そんないつまでも笑わなくたっていいじゃん!
なんだか急に恥ずかしくなってサッと立ち上がる。
勢いで布団ごと押し返して、そのままベッドから突き落とした。
アイツはゴロリゴロリと後転すると、ヘラヘラ笑いながらごとーを見上げてきた。


「あのねー、昨日あれほど勝手に部屋に入るなって!
 てゆーか、いつの間に入ったの?カギは?ごとーカギかけてたのに!」

「ん?ああ、カギ?あんなのチョロイチョロイ」



めちゃくちゃどうでも良さそうに、ゆるい動きであぐらをかく。




えーと、なんか今
微妙にすごい事をサラーっと言ったよね…。


102 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 17:22


「つーかさ、マキちゃんの部屋から
ピーピーずっと音がしてうるさくてさぁ」


あくびまじりの、いかにもダルそうな声。
何となくイヤな予感がして振り返る。




……無い。

103 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 17:32

ベッドの脇、サイドボードの上を必死で探す。


無い、無い、無い。

青くてまん丸でおっきくて。


……ああ、そんなまさか!?
ごとーの、ごとーの大事なド○ちゃんが!!!

こんなの信じたくはないけど、悲しいけど。



能天気な声でダメ押しが下された。



「…そんで、ムカついたから窓から投げといた」

104 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2004/07/21(水) 17:40


いやあーーーー!?
ドラちゃんの目覚ましがぁああーーーー!!!!



振り向きざま。

ニコニコ顔で得意そうにシッポを振っている
アイツ目がけて足元の特大まくらを力いっぱい投げつけた。

105 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2004/07/21(水) 17:49


至近距離から顔面にいったせいか
『ぎゃふっ!?』なんて変な声を出して派手に倒れこんだ。

だんだん目の淵が熱くなってきて、視界が歪む。



あーもうヤダ!!
バカ!信じらんない!!


「…こっの、バカ犬ーーーーーー!!!!」



前言撤回!!
やっぱこんなヤツ拾うんじゃなかった!

106 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 17:56



( ´ Д `)<………ばか

(;0^〜^)<…………

107 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 17:57


更新しました。
話はまだもう少し続きます。
108 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 18:00


返レスは次回に、という事でご容赦ください。
それでは、また。
109 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 22:13
おもろい!
やっぱこの犬最高ですね。
110 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/26(月) 01:37
続きが気になってたんで、飼育で連載が始まっていて嬉しいです。
111 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/11(土) 15:24
まだですか
112 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 00:57
ああ、空はこんなに青いのに。
絶好のお昼寝日和だというのに。
どうしてごとーの心はこんなにも曇っているのでしょうか?
113 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 00:59




いつもそうだった。

いつだって、なんだか気持ちがゴチャゴチャして
訳わかんなくなってヤな感じだなーって思ったら一人で空を見てた。
だから、今日だって屋上のベンチにゴロリと寝そべって
ほっぺに心地いい風と眩しい太陽の光を全身に浴びていれば
イヤなことも、ムカつく気持ちもそのうちサラッとどっかに消えていく。




……はずなのにっっ!!!

お空に浮かぶ雲を眺めていればいつのまにかアイツの顔に見えてくるし
目蓋を閉じてみれば自然とアイツのヘラヘラした笑顔が浮かんでくる。

114 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:02

そして、次々浮かぶアイツの分身たちをかき消そうと思う瞬間
全部ごとーの出がけに見せた、情けない八の字眉毛顔に変わった。


自慢のふわふわシッポも耳も元気なくぺたんとおりたまま。
好奇心にキラキラ輝いてた大きな瞳は切なそうに揺れていた。



…ありったけの全身で『ごめんなさい』って言ってた。


ほんの何時間か前の出来事。

なのに思い出すたびに、ギュっと抱き締めて大丈夫だよって
いいこいいこって頭を撫でてあげたい衝動がごとーの心を締め付ける。
115 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:04






でもでも、だってアイツは!!
ごとーの大事な大事な宝物のドラちゃんに酷いことしたんだもん!!!


対抗するように、もう一人の自分が両方のコブシを振り上げて大声で叫ぶ。

あのドラちゃんは昔お父さんとお母さんに必死にねだって
誕生日にやっと買ってもらった、すごく大切なもの。
つまり、ごとーとお父さんとお母さんの思い出の品。

入れ替わるように無残な姿に変わり果てた
ドラちゃんの姿がモヤモヤと現れて、また泣けてくる。
116 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:05


それなのに、アイツはアイツは……アイツは!!!

117 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:06


「後藤…アンタ、一人で何してんの?」



声のした方を見ると圭ちゃんが特徴的な大きな猫目で
まるでヘンな生き物を見るような眼差しをしていた。


「…んーちょっとばかし、カットーてヤツ?」



うわー。いつから見られてたんだろ。
恥ずかしくて、ついモゴモゴと口の中だけで答える。
聞こえたのかどうか分からないけど、圭ちゃんは呆れたような仕草をして近づいてきた。

118 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:08


「ところでアンタさ、ガイジンの知り合いっていたりする?」

「なにさイキナリ?」

「いやなんか変なガイジンが来てんのよ
それで、何でか分かんないけどマキはどこだマキに会うんだって」



そこまで聞いて飛び起きてダッシュで校舎へ戻った。
背中の方で圭ちゃんはまだ何か言ってたけど、もうアタマの中はアイツのヘラヘラ笑顔だけ。

しかもまわりにピコピコと電球をめぐらせて。
119 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:09



ごとーはまだ怒ってる。
だってアイツはとってもヒドイことをした。



だけど、だけどだけど。




身体は目はアイツの姿を探して必死に動くことを止めない。
何でかなんて自分でもよく分からない。

120 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:10


ただひとつだけは分かってる。


アイツのあんな悲しそうな顔、もう思い出したくもない。
だから早く笑顔が見たいんだ。




ごとーにあのヘラヘラした笑顔を見せてよ―――――――――――

121 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:23

またタイトル入れ忘れた……カコワルイ。 orz


…えーと、気を取り直してレス返し。

>>95さん
お待たせしました!!

>>96さん
うひーーー
ありがちな展開ですいません。

>>109さん
ありがとうございます。
本人(犬?)もそう言われて

(0^〜^)< マジ嬉しいYO

だそうです。

>>110さん
ありがとうございます。
宜しければまたお付き合い下さい。

>>111さん
お待たせしました。
122 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:31

ストックが全て吹っ飛んでしまったため
一から書き直しているので更新が遅くなってしまいました。
すみませんでした。私的な問題もあって更新ペースを
あげることは今のところ厳しいかと思います。
どうかご理解頂けると大変ありがたいです。
123 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 01:34

それでは、また次回に。
124 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 21:50
待ってましたよ〜
後藤さんかわいいっす!
作者さんのペースでがんがってください
125 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/02(木) 21:22
待ってます
126 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/15(水) 07:36


これは本編とは無関係の短編です。
ただし、よしごま。
127 名前:夢の中で垂直落下 投稿日:2004/12/15(水) 07:37

首筋や身体にまとわりつく髪。嫌な汗。
喉の渇き。
モヤモヤと全身を絡めとるような気だるい感じ。
重苦しい何かが身体に張り付いて気持ち悪い。




「はぁ」


ひとりぼっちの真っ暗闇に溜め息が溶けていった。
128 名前:夢の中で垂直落下 投稿日:2004/12/15(水) 07:38

久しぶりに見たイヤな夢はやっぱり相当ヤな感じだった。

だけどなんだか妙に懐かしくて、「あたしも相変わらずだな」なんて
まるで他人事みたいにちょっと笑えた。

人並みに年だけはとったけど
あたしの中身はまだまだ全然なってない。
身体だけは大きく育ったけど
あたしの心は少しも成長していない。

いつまでもワガママで甘ったれでずる賢いイヤなガキのまま。
年の分だけ変に知恵がついてしまって、もっと性質が悪い。
129 名前:夢の中で垂直落下 投稿日:2004/12/15(水) 07:39

人に優しくできないくせに
誰よりも優しくしてほしいと願う。

人の痛みには鈍感なくせに
自分の傷は掠った程度で大騒ぎ。



そんなやつに誰が優しくするんだ。
そんなやつが傷ついたって自業自得だ。

そんなやつのこと、一体誰が愛する?



決まってる、誰からも愛されるはずなんかないじゃないか。
130 名前:夢の中で垂直落下 投稿日:2004/12/15(水) 07:41

だけど、こんなあたしにもきみはいつだって優しくしてくれた。


出会った頃は打ち解けようとあたしなりに一生懸命だったけど
あの頃のあたしはどうしようもなかったし、それにかなりの人見知り。
でも、きみはオトナであたしのペースに合わせてくれた。

遊んだ日の帰り、次の日も朝早くから仕事なのに
「まだ帰りたくない」と駄々をこねたあたしに付き合って
夜の街やイルミネーションの中を一緒にぐるぐると散歩して。
何かイヤな出来事があるたびに、きみの都合なんか
おかまいなしに電話して呼び出したりもしたよね。
131 名前:夢の中で垂直落下 投稿日:2004/12/15(水) 07:43

きみの優しさに応えようと思うことは出来ても
行動にあらわすことの出来ないあたしは
情けないを通り越して最低。
きみの優しさや真心に甘えるだけ甘えて
そのくせ、まだきみを信じられないなんて思う
あたしは臆病者どころか卑怯者。


きみはいつまであたしに微笑んでくれるんだろう?
いつまで華奢なその手を差し伸べていてくれる?

いつまで離れないでいてくれる?





でも、本当はあたしを置いてどこかへ行っちゃうんでしょ?


132 名前:夢の中で垂直落下 投稿日:2004/12/15(水) 07:45

人の気持ちが永遠じゃないことなんて
自分が一番よく知ってるくせに、それを怖がってる。
置いていかれた痛みも置いていった痛みも知ってるくせに。

自分だけが被害者ぶって。




まったく、何をいまさら。



自分で自分を嘲笑いながら、目を閉じた。

だんだんと意識が闇に包まれて身体から抜け落ちていく。

傷つくのが怖いならいっそのこと
心が石にでもなって粉々に砕け散ってしまえばいいのに。
133 名前:夢の中で垂直落下 投稿日:2004/12/15(水) 07:47



この夢のように、高い高い空の上から。

134 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/12/15(水) 07:51

色々な意味でごめんなさい。orz
次回こそは本編更新します。たぶん。きっと。
135 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/12/15(水) 07:57

>>124さん
ありがとうございます。
後藤さん(本物)は本当に可愛いですよね。
あの可愛らしさを少しでも反映させたいです。

>>125さん
ありがとうございます。申し訳ないです。
もう暫らく待ってもらえると更にありがたいです。
136 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/31(金) 04:47
短編もイイヨーイイヨー
犬吉待ってるワン
137 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/07(月) 21:23
さくしゃさ〜ん!!
138 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/11(金) 05:00
おぉ〜い。更新待ってます。
139 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/21(月) 09:52
一気に読まさせて頂きました。よかったですよ、また可愛い犬吉さん楽しみにしてます。 次回更新待ってます。
140 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/27(日) 22:10

「へぇー、飯田さんて保健の先生なんだぁ?
いいなあーこんなにセクシーな先生がいて」

「んもう!なに言ってるの!」

「いやマジだって!ここの生徒がスゲー羨ましいよ」

「大人をからかうんじゃありません!」

「だって飯田さんがそうさせてるんだよ?
あんまりにも可愛らしいからさ、気づいてないの?」

「…そうなの、かな?」

「そうだよー、飯田さんのせいだよ」

「カオリ全然わかってなかった…ごめんね」

「いいよ、許してあげる
そういう素直な飯田さんも可愛いよ」

「もう…恥ずかしいってばぁ」





……なんなのその会話は??

141 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:12

全力ダッシュで駆けつけた職員室。

来客用のソファにどっかり腰掛けてるアイツの隣でカオリが顔を赤らめてモジモジうつむいてた。
その反対側にはやぐっちゃんがなっちと一緒に異様なテンションではしゃいでる。

つーか、なにアイツ。
なんでそんな楽しそうにニヤニヤしてるの?
ごとーに会いにきたんじゃないの?



むぅー。


…なんか、すっごいムカついてきた。

142 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:14


「あ、マキちゃんだ!」

アイツはこっちを見ると、途端に嬉しそうにニッコリと笑った。
なにその無邪気な笑顔はー!?

ごとーは、ごとーは怒ってんだからね!



「ありゃ、意外と早く見つかったべさ」

「ったく、圭ちゃんも気がきかねーなぁ」

「そうだよ、カオリ達まだ自己紹介も済んでないんだよ?」


三人の会話をアッサリ無視すると、アイツはニコニコ顔で近づいてきた。
そして、両手で大事そうに持っていたものをスッと目の前に差し出した。
143 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:16


「見つけてきたよ」



手のひらの中には、よくある小さな目覚まし時計。
見ると所々に泥がついていて、秒針も止まってるみたい。


「ごめんね、ちゃんと直そうと思ったんだけど分かんなくて…」


反応を待つように上目遣いでごとーの事をじっと見つめてくる。
その仕草に愛しさがこみ上げてきて、
すぐにでもヨシヨシって撫でてしまいたかったけど。

撫でるよりも先に、ごとーは素朴な疑問を口にしていた。


144 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:17



「なにこれ?」
「え!?だって、これ投げたから朝すっごい怒ってたんじゃ」
「え?違うよだってごとーの目覚ましはドラちゃんだもん
 大事なドラちゃんを投げちゃったと思ったから怒ってたんだもん!」
「…ドラ、ちゃん?なんだそれ?そんなもん投げてないよ
 朝ピーピー鳴っててうるさかったから投げたのはこれだよ」
「ほんとに?」
「ほんと、マキちゃんへの愛に誓ってほんと」
「じゃあドラちゃんは誰が?一体どこに…?」



新しい疑問に頭をフル回転させていたら
あったかくて柔らかいものが全身を包み込んだ。

アイツに抱きしめられてるんだって気づくのに
どれくらいかかってたんだろう?


145 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:18


「あー良かったぁー!
 マキちゃんを怒らせちゃったと思ってマジすげー焦ったんだよ」


耳元で聞こえる声が可愛かった。
初めてあった時のあの不敵な感じからは全然想像できないくらいに
情けなくって、ちょっとカッコ悪くて。

なんか、ちょっと良いなって素直に思った。


146 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:22


「なーんだぁ、その外人さんてごっちんのだったのかい?」
「ちぇ、そうならそうと早く言ってよねー
 オイラ久々にヒットだと思ったのになぁ」
「えー?カオリまだそうと決まったわけじゃないと思うけどー」



冷たい視線と不満たっぷりの声にハッとして思わずアイツを突き飛ばした。

アイツは「どわっ!?」とか
不細工な声でよろけてたけど、そんな事は気にしない。

つーか、どうしようアイツの耳とかシッポとかバレてないよね?
バレたら大騒ぎだよね?
もしかしたら保健所とかに連れてかれちゃう?
それで保健所の怖いおじさんやおばさんに、あーんな事やこーんな事を………





うわあああああああ!?
そ、そんなの絶対にダメダメ!
ごとーが絶対にそんなことさせない!!

147 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:24


「ところでごっちん、あのさぁー」

「な、なに?この人ちょっと見た目オカシイけど大丈夫だよ?
 あのね、ごとーのね、多分すっごい遠い親戚のひとでねだから」


気が付くと、なっち達がすぐそばに来ていた。
かおりが探るような目つきでごとーと、アイツを交互に見ている。

148 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:27



………まさか、もうとっくにバレてたのかな?

どうしよう?どうしよう?どうしよう!?




横目で見ると、アイツは床にぺたんと座り込んだ姿で
ごとー達の方を見て不思議そうにきょとんとしていた。
そして目が合うと、ニヘッっと柔らかそうな笑顔を浮かべた。


ああもう決めた!
絶っ対ごとーが守ってあげるからね!



そう思った瞬間、
真剣な顔をしたやぐっちゃんが、ずいっと一歩近づいて言った。

149 名前:ふー むーぶど まい ドラちゃん!? 投稿日:2005/03/27(日) 22:27




「マジであのコの名前、なんていうの?」


150 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/27(日) 22:39

ひとまずレス返しを。

>>136さん
急に差し込んでしまった短編(しかも内容が…)なのに
優しいお言葉、どうもありがとうございます。
犬吉お待たせしてすみませんでした。
今後ともよろしくお願いします。

>>137さん
はい。なんとか生きてますです。
お待たせしてすみませんでした。

>>138さん
はい。お待たせしていてすみません。
今後ともよろしくお願いします。

>>139さん

ありがとうございます。
可愛いと言って頂けて嬉しいです。
良かったらまた読みに来てください。
151 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/27(日) 22:51

とりあえず、『ふー むーぶど まい ドラちゃん!?』は
これにて終了という形にさせていただきます。

そして、前回更新から間があいてしまってすみませんでした。
仕事の関係で体調を崩したり、私事で色々とありまして
読者さんにはご迷惑おかけしてしまい申し訳ありません。
生存報告だけするよりも、更新しようという考えなので
たぶん、今後もこういうペースで続けることになるだろうと思いますが
諸事情により、先のことは何とも言えないのが現状です。

とは言うものの、完結目指して出来る限り続けて行こうと思いますので
今後ともお付き合い頂けると幸いです。
152 名前:sageきくらげ 投稿日:2005/03/28(月) 00:27

ふぁいと〜。
いつまでも待ってますよ。

153 名前:きくらげ 投稿日:2005/03/28(月) 00:28
すいません。
あげちゃいました。
出直してきます。
154 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/28(月) 00:53
更新キタワァ:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。
犬吉かわいくて最高!真希ちゃん守ってあげてワンw
無理せずに作者さんのペースで頑張ってください。
これからもマターリお待ちしております。
155 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/28(月) 22:49
落ち。
156 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/31(木) 00:43
更新お疲れさまです。 うぁー、かなりよっすぃー可愛いです! 最後まお付き合いさせて頂きます! 次回更新待ってます。
157 名前:夜鷹 投稿日:2005/04/01(金) 19:34
更新お疲れです!!
作者さんのペースで更新してください。
次回もマターリ待ってます!!!

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