Lunatic Gate

1 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/18(木) 13:48
初めまして。
ファンタジーもどきで下手くそな話を書きます。

月の底に張り付きつつ・・・
2 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/18(木) 13:53
漆黒の闇の中、白い翼の少女は逃げていた。体も服もぼろぼろ。
「そろそろ諦めたら?」

どうやら追い付かれたらしい。闇と同じ色の翼をもつ女
――こちらもまだ少女か?が言い放つ

「あんたが持ってるレーダーが欲しいだけなのよ。さっさと渡しな。白い羽根が黒くなっちっまうよ。」
「これは渡せないっ!」
キッっと黒い翼の娘を睨む白い翼の少女、黒い翼の方は微笑んで

「あ、そうそう、他の奴らは今ごろ死んでるはずだから、うちらの仲間が追ってるからね。」
3 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/18(木) 13:56
――嘘っ!!

一瞬動揺を見せる白い翼の少女。しかしすぐに手を胸の前で合わせ、集中する。

「なにする気さ?」

余裕の笑みを浮かべたまま手を前に出す。
仕掛ける気か。
しかし先に動いたのは白い翼の娘。
「はっ!!」

気合い一番。辺りが物凄く明るくなる。
「くっ」

目くらましには十分だったみたいだ。逃げる白い翼。

「逃がさんよ!!」
適当に光弾を放つ黒い翼の少女。
「ぐあっ!!!」

どうやら当たったらしい。運が無い。
翼をやられ高度を保てなくなり、そのまま墜ちる・・・・・・・・・・・・
4 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/18(木) 14:00
今日はここまでですいません。
短い上に誰が誰だかわかんない・・・
5 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/19(金) 13:31
終業式も終わり、学校の帰り道。

「だからさぁ。昨日の夜中みたのさ。ぱーーーって明るくなる空を。」
正直今日何回聞いたかわからない話。学校では皆この話しかしてない。
「ふ〜ん。」
興味の無いので気の無い返事を返すあたし―――後藤真希。
「なんだ、そのやる気のなさ。」
横でぷーーっと頬を膨らます彼女は藤本美貴。
ま、色々あって今は親友って呼べる唯一の人。

「つーか、興味無いし。それに朝からその話ばっか。」
「だってめちゃくちゃ明るくなったんだよ!?もう昼間かっ!!
って感じで!!朝のテレビでも謎の光がっ!!ってやってたし。
ぜったいなんか起きてるってあれは。」

「そんなん言われてもねぇ〜。」
6 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/19(金) 13:35
興味が無い物は仕方がない。
そういった怪奇現象が大好きな美貴はなんだか興奮気味だ。

「そーいや真希の寺の近くが一番明るかったけどなんか見た?」
「んにゃ、寝てたしねぇ〜。ってか寺言うな。」
一回寝たら簡単には起きない自信がある。‥‥いや、なんの自慢にもならないけど。

「はは、ごめんごめん。なんか変な事あったら教えてね、じゃ。」
と、手を振り離れる彼女。いつも別れるタバコ屋前。
おばあちゃんは居眠り中。

「んじゃねぇ〜」
あたしも手を振る。
7 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/19(金) 13:47
「不思議なことなんかあるかっちゅーの。」
なんてつぶやきながらひたすら長い階段を登る。
まあこいつを毎日上り下りしてるお蔭で、最近はダイエットしないですむ体型を維持出来ている。
えっ?昔?‥‥まあ成長期だったしねえ、ふっ。

この上があたしの家。まあ美貴の言った通り寺なんだけど。
この田舎町のほぼ中心にあり、無駄に広い。
裏の林の中には、昆虫の類が大量に発生する。たまにムカデとか出てきてイヤだけど。
8 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/19(金) 13:56
今はこの無駄に広い家(寺って言わないで、お願い)に、お母さんと二人で住んでいる。
父はあたしがちっちゃい頃に他界。ねえちゃんは一人暮らし、弟は家出中。
母さんは、仕事だったり、旅行行ったり
‥‥ま、その他色々な理由で結構家には居ない事が多いけど。
別に寂しくは無い。一人は好きだし。この家も地元も好きだ。
それに美貴がいる。美貴には色々感謝している。ま、本人には内緒だけどねえ〜。

「んあ?」
長い階段を登り終え家に入ろうとすると、茂みからなんかピーピー音がする。

「ん〜〜?」
なんだろ?って覗くとそこには女の子が倒れてた。っておい!!
9 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/19(金) 14:02
「大丈夫〜、な訳ないな。」

どうやら生きてはいるみたいだがあちこちぼろぼろ。背中には火傷と、
なんだ!?なんか翼みたいなもの。コスプレ娘の生き倒れ!?
とりあいず部屋に運ぼう。少女を抱える

バキッ

「あ‥‥。」

なんか見たこと無い変なもの(たまごっちに似てる)を踏んでしまった。さっきピーピーなってたヤツだ。
‥‥この子のかな〜。ま、いいや治療が先だ。
10 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/19(金) 14:08
背中の火傷はそんなに大したものでは無かった。
小さい頃、ねえちゃんに教えられたムカデを刷り潰して作った火傷の薬を塗ったから、まあすぐに良くなるだろう。

一通り終えて気になる事。

翼はどうやら本物らしい。ちゃんと皮膚から生えていた。
この子、何物?

もしかして厄介な事に巻き込まれたかな〜。
11 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/19(金) 14:18
今日はここまでです
今週中にもう1回書けたら書きます。

誤字脱字、文法がおかしいって、等異様な点は
まあ、気にしないで下さい(をい
12 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 19:38
一人晩ご飯を食べながら、ちょっと考えてみる。
背中に羽根を生やしてる時点で、まあ人ではないよね。
まさか天使ってヤツか?んなバカな。
それに美貴の言ってた謎の光と関係あるんだろうか。

ま、本人に聞けば判るかな。
‥‥素直に全部話すとは思わないけど。

ドン!ごづっ!ぐえっ!

な、何!?例の羽根の生えた子(めんどいから以降天使と呼ぶ)の寝てる部屋からいろんな音がした。
とりあいず部屋に行く。
13 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 19:49
入ってみると、どうやらベットから落ちたらしくうずくまってる天使ちゃん。

「あ〜、大丈夫?」
「は、はい。なんとか。」
細い声で返事が返ってくる。

「あ、あの、ですね。私はどうしてここにいるんですか?」
「うちの前でぼろぼろの姿で気絶してたから助けた。」
天使ちゃんは、はぁと言ったあと
「そうですか、有り難う御座います。」
と、言いって頭を下げる

「別に良いよ。ところで聞きたい事あるけど、良い?
あ、言いたく無い事は言わないで良いし。」
こくん、と頷く彼女。

「とりあいずこっちおいで天使ちゃん。なんか適当にご飯作ってあげる。」
ぐうぅ〜〜とタイミング良く彼女のおなかが鳴る。
彼女は真っ赤な顔をして頷いた。やばい、かわいい。
苦笑いしながら、あたしはキッチンに向かった。
14 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 19:54
冷蔵庫の余り物で作った後藤特製チャーハンをすっごい勢
いで食べる天使ちゃん。

「うぐっ。」
‥‥どうやら喉に詰まったらしい。

「はい、水。」
ぐっと一気に水を飲みまた食べ出す。凄い食欲。

「ふぅ、有り難う御座いました。とっても美味しかったです。」
「そりゃ、どーも。で、落ち着いたところで本題。とりあいず天使ちゃん、あんた何物?」
不思議そうにこっちを見る彼女

「あの、その天使ちゃんって…」
「あ、貴方の事。背中に羽根があるし。」
15 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 20:02
彼女はむすっとした顔で

「私には紺野あさ美っていう名前があります。」
「あ〜ごめんごめん。そういえば自己紹介がまだだったね、あたしは後藤真希、よろしく紺野。」

天使ちゃん改め紺野はうつ向きながら言う。
「あの、その、背中の羽根‥‥見たんですか?」
「うんまあ。」
答えると彼女は真っ赤な顔をして

「裸‥‥見たんですね。」
うっ、いや見たけど

「仕方無いじゃん、服ぼろぼろだし、ケガしてたし。」
‥‥‥‥ああ、気まずい。
16 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 20:53

「つか、なんであんな所に倒れてたのさ?」
気まずい雰囲気を打破する為聞いてみる。

「‥‥すいません。言えません。」
そうか、‥‥言いたく無いなら仕方無いか。
また気まずい感じが続く

「ならさ、もう一つ聞きたい事があるんだけど、良い?」
紺野はこくんと頷き
「はい、答えられる事なら。」
「じゃ、なんで羽根なんか生えてるの?天使?」
一番の疑問はこれだったりする。天使なんて信じていなかったが
それなら目の前の彼女は一体何物なんだ?
17 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 20:59
ちょっと考えてから口が動く

「私は、有翼人です。」
「ゆうよくじん?」
「はい、私達は空に浮かぶ国に住んでいたんです。」
空に住んでたっ!?

「そ、それなら、そうだ!!衛星とかなんかそういうのに映るでしょ!?」
「いえ、国は大きな雲に隠れてますから。」
なんかのアニメみたいだ。

「で、紺野は何してたの?」
「ある物を探してたんですが、ちょっと仲間とはぐれてしまいまして‥‥。」
仲間がいるんだ。ほえ〜。
18 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 21:06
「あるものって?」
「それはちょっと‥‥そうだ!!レーダー知りませんか!?このくらいの丸いのです。」
と、両手で小さな丸を作る。
あ〜それってまさか‥‥‥

「もしかして、これ?」
あたしが踏んづけて壊れた残骸を見せる

「へ‥‥‥‥!?」
固まる紺野さん
頬を右手で掻きながら
「ごめん、踏んだら壊れた。」



「はうっ?!」

倒卒する紺野。そんなに大事な物だったのね。
19 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 21:18
仕方無いのでベットに寝かせて、ちょっとお風呂に入ってみたり、歯を磨いたり、音楽番組見てみたり‥‥

そうこうしているとあとは寝るだけになった。
パジャマに着替えようとしていたら、やっと紺野さん復活。
起き上がりあたしを見る。いやもしかしたら睨んでたかもしれないが、迫力はまったく無い。

「お!、帰って来た。」
「お!じゃありません。まあ壊れてしまった物は仕方ありませんし、文句も言えませんが‥‥」
と言うものもまだ機嫌が悪そう。

「そだ、お詫びに怪我が治るまで家に泊まっていきな。後藤特製の食事付きで。」
「へっ!!ご飯付きですか!?はい泊まらせて頂きます!!。」
ジュルルとご丁寧によだれまで垂らす紺野さん。
いや、そこまで喜ばれてもな〜。

「母さんには適当に言っとくし、ま、当分は住み着いていいよ〜。」
「はい!!お世話になります!!」
20 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/21(日) 21:25
更新終了。
やっと紺野さんが出てきました。
もう少ししたら登場人物も増えて行く予定。
21 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/23(火) 20:57
それから2週間ほど経過―――

母への説明は簡単に済んだ。なんか女の子拾った。当分住むけど良い?
って言ったらあっさりOK。母よ、本当に良いのかそれで。
昔から物事を気にしない人ですけど‥‥
そのかわり面倒は自分がみろ、との事。捨て犬か紺野は。

で、最近の問題。

ぱくぱくぱくぱく、ずるっっ。ごきゅごきゅごきゅっ!!!

まああれだ、紺野の食欲。一人で5〜6人前は平気で食べる。
家出した弟よりはるかに食う。なぜ太らないか疑問だ。
22 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/23(火) 21:04
「ふぅ、ご馳走様でした。」
満足な表情、こんだけ食べたんだしねえ。
「そりゃどーも。」
ここまで豪快に食べてくれると作る方としては嬉しいが、我が家の食費が心配だ。

あ、そーだ。
「あのさ。前に話したじゃん。美貴の事。」
「はい、後藤さんのお友達ですよね。」
「うん、で今日美貴の驕りで焼き肉行くのよ。紺野も来る?」
「え、いいんですかっ!!」
「まね。テストで負けた方が驕る約束だったし、美貴バイトしてるからね。」
多少無茶な食べ過ぎても平気なはず‥‥たぶん。
それに紺野の話をしたら会いたがっていたしね。
勿論有翼人の事は言っていない。美貴は口が軽いから。
親戚の子が遊びに来てる事になっている。
23 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/23(火) 21:09
「よし、それでしたらちょっとおなか空かす為に運動して来ます。」
「うん、行ってらっしゃい。見つからないようにね。」
「はいっ!」

見つからないように―――
そう彼女の運動とは空を飛ぶこと。
うちの裏はちょっとした山になっているから、他人に見られる可能性は低い。
最初に空を飛ぶのを見た時は流石にびびったけど、最近は日常である。慣れって恐い。
24 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/23(火) 21:12
夕日が沈む頃、美貴が家にきた。
「はあ、はあ、階段長っ!!」

肩で息をしながら言う。
「運動不足だよ。」
「っていうか、ごっちんが下りてくれば良かったじゃん!!」
あ、気づいた。
「細かい事気にしてると良い女になれないよ。」
「なんだよ、それ。あ、この子が。」
「そう紺野あさ美ちゃん。」
「初めまして。」
丁寧に頭を下げる紺野。
「あたしは藤本美貴、こちらこそよろしく。」
握手を交わす二人。
色々適当に話ながら焼き肉屋に行く。
いつも行く安くてそこそこ美味しい焼き肉屋さん。
25 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/23(火) 21:19
ここで紺野が食べる食べる。
‥‥‥昼あんなに食べたのになぜ食える?
胃下垂とか、そんな問題じゃないね、これ。
焼き肉大好き美貴も途中から肉も食わずに、口をぽか〜んってあけて紺野を見ていた。
3〜4人で行って1万円前後で楽しめるお店で4万近く殆ど一人で食べた
と言えば、ま、どんだけ凄い量食べたと言うのは伝わるかな。
途中からお店の人、在庫の心配してたしなぁ。


焼き肉屋を出て、すぐに帰るのもなんなので、広い空き地
に出てみた。
「うぅ。紺野ちゃん何物?」
本気で涙目になりながら言う美貴。気持ちは分かるけ。
26 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/23(火) 21:27
当の紺野はというと、のほほ〜んと空を見て
「星が綺麗ですね。」
などと、ロマンチックに言っている。
「んー、確かにそーかもね。」
あんまり都会じゃ無い、というより田舎なこの辺りは星がとても綺麗だ。


‥‥‥後ろでは美貴がまだぐちぐち言っているので雰囲気ブチ壊しだけど
「ま、あれだよ。交通事故みたいなものだと思いな。」
「うん‥‥」
無視するのもあれなので、一応慰めてみる
そんな事をしてると、なんか凄くヤな悪寒が走った。

「あ、あれっ!!」
美貴が空を指さす。黒い陰みたいなものが複数こっちに向かっている。なんだっ!?
27 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/23(火) 21:36
ちょっと半端ですが今日はここまでです。
明日にはもう少し更新します。
28 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/25(木) 01:13
あたしら3人の前に見慣れた白い翼が舞い降りる。

「おう、あさ美ちゃん。探したで。」
ちょっとふっくらした子が関西弁で話しかける。

「加護ちゃん!!」
嬉しさと驚きをミックスしたような顔の紺野。

「うちらもおるやよ。」
「ブイ!!」
「愛っ!里沙!!」
変な鈍りで喋る真面目そうな美少女とピースサインをしているこれまた可愛い子。

紺野は涙目で
「みんな‥‥生きてたんだっ!」
「勝手に殺さないでよ〜。」
ピースサインをしてた子、多分里沙って子が頬を膨らませ言う。
29 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/25(木) 01:22
「そんな事より‥‥」
ざっ、と音を立てて宙を見ながら関西弁の加護ちゃんが言う。
「敵やよ。しかも2匹」
表情は強ばらせて愛ちゃんが言った。

「匹ってまた酷かね。同じ有翼人の仲間やん。」
博多弁か?の里沙ちゃんより幼そうな子。
お馴染みの翼でパタパタと空を飛んでいる。でも翼の色は黒。
‥‥ってか有翼人ってみんな鈍ってるのか?

「そんな事より早くレーダーを渡しな。」
もう一人の背が高いヤツが頭を掻きながら面倒臭そうに言う。
30 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/25(木) 01:28
「渡せへんでっ。鍵はうちらが先に見つけるんや。
それにレーダーくらい自分らで作れ!!」
叫ぶように言う加護ちゃん。なんとなく声が震えてる。

「解ってないね。うちらは道具には頼らないの。あんたら白の根性無しと違ってね。」
背の高いのが、見下した感じで右頬を釣り上げながら言う。

この態度に一番最初に咬み付いたのが
「あのさ、なんなのその強気な態度、物凄くムカツクし。
それに鍵だのレーダーだの有翼人だの変な話ばっか!」
話の外にいた美貴。

まあ有翼人の話から知らない訳だし、話は理解不能なはず。あたしもよく解らないし。
それなのに食いついていく辺り、美貴らしい。
31 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/25(木) 01:33
話を聞く限り敵は、鍵ってのを探すレーダーを奪いたいって事らしい。
それに加護ちゃんや愛ちゃんの態度を見る限り、あいつらは‥‥‥強い!

「だいたいそこのデカイのっ!!」
美貴が叫ぶ。声は震える訳でもなく、はっきりと喋ってる。

「でかいの言うな。吉澤っー名前がある。」
「知らない!!だいたい道具に頼らないって言うなら、別に奪い取らないでいいじゃん!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どうやら痛い所突かれたらしい。
空で座り込んで(変な表現だけど)ののじを書き出す。
「‥‥さん、鍵が居る場所、大体の範囲しか分からないらしいし‥‥。
私の力じゃ探しだせないんだから仕方ないじゃん、ぶつぶつ‥‥‥」
32 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/25(木) 01:40
思ったよりへこんでいる吉澤さん。ふっ、と満足そうな表情な美貴。
‥‥‥なんつーか、もーいいです、はい。

しかしこんな状況でも美貴は肝が座っている。
「ぶつぶつ‥‥これは夢、これは夢、これは夢」

‥‥‥どうやら現実逃避に成功してるだけみたいだ。
あたしも試してみようかな〜。

「ああっ!!もう吉澤さん。しゃんとしーよっ!!もうれいながやりますからねっ。」
れいなって言うらしい。博多弁が手を前にかざし

「それっ!」
声と共に無数の光の弾を打ち出す。
33 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/25(木) 01:45

ドン!!バァーーン!!!

弾けて煙が舞う。
くっ!
‥‥‥どうやら無事らしい。あたしは座り込んだまま後ろの美貴の安否を確認。
良かった、無事だ。

「紺野っ」
いつの間にか紺野が前にいた。
どうやらバリヤーらしき物で守ってくれたみたいだ。

「後藤さん、すいません。巻き込んでしまって‥‥」
困った顔をあたしに向ける。
「いいよ、でも後で説明してくれると嬉しいかな。」
ちょっとの沈黙の後、はいって言ってくれた。

「今は藤本さんを連れて逃げてください。」
「うん、判った。」
もちろんだ。流石にこんな滅茶なやつらとケンカはしたくない。
34 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/25(木) 01:51
動揺と不安で震える足を、どうにか動かし

「逃げるよっ、美貴。」
「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ。」
「だーー、逃げるんだってば!!早く現実を受け入れてっ!
つかネタが古い上にありがち。」

美貴の手を引き逃げる。が。
「ダメですよ。簡単には逃がしません。」
いつの間にか復活した吉澤が前に立つ。

「それにさっきの借りもありますし‥‥」
チラっと美貴を見る。
さっきのつっこみ、そんなに堪えたのか?

紺野達4人もれいなと対決が始まろうとしている
‥‥どーやら、簡単には逃げれないみたいだねえ〜。

35 名前:すれいぶー 投稿日:2004/03/25(木) 01:55
今日はここまでです。
よっすぃ〜、最初の予定だとめちゃめちゃクールな人だったんだけどなぁ‥‥
36 名前:すれいぶー(携帯 投稿日:2004/03/26(金) 13:04
ちょっとの間、更新が出来そうに無いのでおとします
37 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 21:13
心底楽しそうに笑う、そしてあたしをみて
「ま、言ってもあなた達が私に勝てる訳ないし。ハンデをあげましょう。」
「‥‥そりゃどーも。」

ちょっと悩みつつ、きょろきょろ黒目を動かす。
すぐになにか思い付いたらしく、子供が見せる悪戯っ子の表情を作り、右手をふらふらさせながら
「そうだ、右手一本でやってあげますよ。」
「余裕だね〜」
「ええ、強いですから。」

無邪気な笑顔のまま、そう悪い奴じゃないかもしれない。
それにしてもかなりなめられてる、正直その方がありがたいけど。
相当強いみたいだし‥‥‥
38 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 21:26
手近に落ちていた鉄パイプを拾い、適当に構える。
さってと、どうする‥‥



可愛らしい黒い翼をぱたぱたさせて、真剣な顔を作る
「4対1か。流石に本気ださんとまずいかな。」
体全体が淡い透明なものに包み、大地に降り立つ
「なめんやよ。」
最初に動いたのは愛ちゃん、右手に棒を取り出し‥‥
「はっ!」
気合いと共に棒が光だし槍みたいになる。それでれいなに突きかかるが―――
それを光っている手であっさり掴み止める!
「くっ!」
驚きの表情を作り、れいなを見る

「愛ちゃんどいて!!」
と紺野の声に反応し、掴まれていた光の槍を消して大きく後ろに飛ぶ。
『行けー!!』
声をハモらせて紺野と里沙ちゃん、同時に凄い数の火の弾を放つ。
それをれいなは避けようともしない
39 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 21:36

ぶごぉおーー!!!!!!

直撃!!だが
「もっと本気だしてよ。つまらん。」

バリヤで防いだみたい。舞う砂煙の中、見下した目で言う
「なめんな、おらぁああ!!」

加護ちゃんが一気に間合いを詰め赤い光を帯びた拳で殴りかかる。 
だが、全ての攻撃をあっさりかわし受け止め
「よっと」

軽い声とは裏腹に、素早く重そうな拳を放つ。
かわす暇もなく綺麗に顎に命中!
体勢がが崩れたところにれいなの右足が飛び
思いっきりブッ飛ぶばされる、加護ちゃん
40 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 21:52
「大丈夫っ!?」
慌てて加護ちゃんに近づいていく紺野。そして淡い光を放つ。
どうやら回復魔法みたいだ。

今度は愛ちゃんが前に出た
「大地よっ!」
たんっ、と地面に手を付き叫ぶ、それと同時に地面が変化し、
錐が数本生え向かっていく!
「あぶなっ!」

さすがにこれをまともに受ける気にはならなかったらしく
空に舞い上がり避難する
「あんた、本気で殺す気やろ?ありえんけん、マジで!」

悪態を付きつつも全然余裕のれいな、それ紺野達4人は苦い顔をし、空を見上げる。
41 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 22:00
どうやら援軍は期待できないみたい。

「あらら、今日の田中ちゃん絶好調みたいだねえ〜」
れいなの方を見てから動き出す吉澤
「こっちも遊ぼうや!」

赤く光を放つ右手を繰り出す!
なんとか避けるあたしと美貴。地面には穴が開く
こんなのに当たったらただの肉の塊に成り下がるってば!

しかし相当なめられてるらしい、背中がスキだらけだ。
そこにさっき拾った鉄パイプを叩きつける、が、
吉澤は凄い速さで体を反転させ、鉄パイプを掴み、そのままあたしをブン投げる。
飛ばされた勢いのまま、地面を数回転がる。
42 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 22:07
なんとか立ち上がり、持ってる鉄パイプを見る。
‥‥すげーバカ力。鉄パイプ、曲がってるし。

「ぐっぅ!!」
声に反応して顔を上げると、美貴の体が飛んできた。まじっ!?

『痛ったあ〜』
声をハモらせ言う。どうやら美貴もブッ飛ばされたらしい。

「ぼーっとしないでよ、ごっちん。」
すぐ立ち上がりこっちも見ずに言う
「ごめん。」
一応謝りつつ、あたしも敵の方しか見ていない。
「ところでさ、やっぱ夢じゃないのね、これ。」
「あたり前じゃん。」
正直夢の方が有り難いけど‥‥

にしても、思っていたより遥かに強い。運動神経には自信があったし
ただ逃げるだけならなんやかなると思ってたのに‥‥
しかも敵は言った通り右手しか使ってない。
43 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 22:14
ここは‥‥
「とりあいずあの子達と合流、なんとか逃げる!」
と美貴、どうやら同じ考えらしい
「それしかないね。でも簡単には合流出来そうにないよ」

もちろんこのやりとりの間にも、れいなの4人への攻撃は続いている。
もう4人ともぼろぼろだ。合流したところで果たして逃げ切れるかどうか‥‥

チッと短い舌打ちのあと
「仕方無いか。わたしがオトリになるよ。」
美貴が呟く、え?

「なにをっ!?」
「いいからっ!早く行くっ!こらっ、かかって来いや、吉澤っ!!」
あたしの持ってた鉄パイプを強引に奪い、そして吉澤の方に駆ける美貴。ちょっと待てー!
「よく吠えたっ!」

まっすぐ来る美貴を向かえ討つ吉澤!
44 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 22:18
「うりゃぁ!!」
鉄パイプを振りかぶる美貴。また右手で鉄パイプを受け止めひん曲げる吉澤。

「だあっ!!」
美貴は鉄パイプから手を離して、体をしゃがめてアッパーを放つ!
「ちっ!」
吉澤は体を後ろに引き避けるも、バランスを崩す、チャンス!
そのスキを逃さず回し蹴りを放つ美貴。
「くそっ!!」
左手でそれを叩き落とす吉澤。

「へへっ。右手一本でやるんじゃなかったかな。吉澤さん?」
すごい!美貴、結構やるじゃん!
45 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 22:25
しかし頑張って貰ってる美貴には悪いが、なんとかしてみんなで逃げたい。
さあどうする、真希、考えろ!ぱちんっと自分の頬を叩いた。

「くっ、やるね。なめてたよ。名前は?」
「藤本美貴。あんたフルネームは?」
「吉澤ひとみ、よっすぃーと呼べ。」
「へっ!?」
一瞬固まる美貴。えっと‥‥
「私はお前をみきてぃと呼ぶ。」
至って真顔の吉澤さん。薄々思ってたけど、なんかズレてるこの人・・・
美貴は困ったように頬を掻きながら
「はあ、よっすぃーね。わかった。」
相当嬉しいのか満面の笑み
「宜しく、みきてぃ!」
新学期に新しく出来た友達に挨拶するみたいに言う。
なんとも会話がユルイ‥‥‥

スドーーーン!!!!!!
凄い音っ、何っ!?
46 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 22:37
「吉澤さん、真面目にやって下さい」
爆発した方から困ったような声が聞こえる。
後ろを振り向くとそこには

「れいな‥‥」ぽつりと呟く
「名前覚えてくれたんだ、へえ〜」
妙に感心した声で言う。
回りにはさっきの攻撃で倒れている4人。
死んではないみたいだが危険な状態みたいだ。

「さすがに疲れたけん、早く終わらせようよ」
遊び疲れた子供みたいな態度のれいな。
そしてなんの予備動作も無く、あたしに炎の弾を放つ!
嘘っ!?避けれない!!


「ごっちんっ!」
ドンっ!
あたしは突き飛ばされ
えっ!?
炎の弾は美貴に直撃した。スローモーションの様に倒れていく美貴
47 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 22:43

う、そ‥‥‥‥

倒れた美貴に駆け寄り座り込み、美貴の顔をのぞき込む
なんとか生きてるけど、危険なのは素人目にも明らかだ

「ねえ、ねえ、美貴、ねえっ」
声をかけ数回肩を揺さぶってみたけど美貴は無反応

頭が真っ白になる、そして‥‥



ぷちん




あたしの中で、なにかがキレる音がした
48 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/01(木) 22:48
今日はここまでで
戦闘シーン、無駄に長い‥‥
49 名前:49 投稿日:2004/04/02(金) 23:06
今日始めて読ませていただきました!
田中さん(怒)
あそこまでやられれば、後藤さんでなくてもキレます!ブチ切れです!!
作者様これからも期待しています。
頑張ってください!
50 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/03(土) 18:29
心底残念そうな表情を作り、れいなに近づいていく吉澤。
口をへの字に曲げて
「折角楽しかったのに」

呆れた顔で吉澤を見るれいな
「‥‥あのですね、ま、いいや。ちゃっちゃと例のレーダー探して帰りましょうよ。」

美貴を抱き抱えて吉澤達の前に移動する私。
それに気づいたれいなが
「あ、かなり手加減したけんさ、死ぬ事はなかよ‥‥」
51 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/03(土) 18:39
なにかくだくだほざくれいなを、キッと睨みつける。
そしたら蛇に睨まれた蛙よろしく、固まって動かなくなった。

それから抱えた美貴に目をやり、傷の状態を見た―――
―――すぐに治療すれば大丈夫だ!
美貴の背中に手をあて淡い光を放つ。みるみる顔色が良くなる美貴。

―――どうやってるかなんて解らない。
でもこの時は、なんの違和感もなく普通にできた。

そして美貴を抱えたまま、紺野達の所へ行き傷を回復させてやる。
52 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/03(土) 18:45
「大丈夫?」
「は、はい。」
困惑した表情で紺野が言う

「な、あなたは何物なんですか!?」
と今度は里沙ちゃん。その里沙ちゃんに美貴の体を預けて

「さあ、わかんね、でもすぐ終わるから見てな。
‥‥美貴の事たのむよ」
一応里沙ちゃんに念を押す。びびった表情のまま、こくこく首を縦に振る。

振り向くと、吉澤達が困惑の視線を向けている。
そんなもの気にせずにまず吉澤の前に移動した。
53 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/03(土) 18:48
「早いっ!」
驚きの表情の吉澤を腹を目掛けて拳をふるう。
ガードをしようとするが、遅いっ!
「ぐはっ」

私の一撃を食らい、そのままその場にうずくまる吉澤。次は‥‥
キッとれいなを睨む
「なっ?!‥‥くそ!」

突然の事に事態を把握してないみたいだ、焦っていくつかの炎の弾を放つ、しかし―――
「はっ!」

私の声と共に私に向かって来ていた炎の弾が消え去る。
「くっ!ならっ!!」
54 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/03(土) 18:53
今度は光弾を放つも結果は同じ
「嘘やん!?くそっ!!」

地面を蹴り接近戦を挑んでくる、―――だから遅いっば!
殴りかかってくるれいなに落ち着いてカウンターを決める
「あっ‥‥」
崩れ落ちるれいなの後頭部に手刀を入れる。これで当分動けないだろう。

「くそっ!」
声のした方を振り返ると、いつのまにか復活していた吉澤が衝撃波を放ってきた。
くっ!
55 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/03(土) 18:58
一瞬動きが止まった私の方に、吉澤が一気に間合いを詰める。
向かって来た吉澤に蹴りを放つが、ギリギリのところで避けられた。
私の蹴りを避けた吉澤は、反撃せずに私の足元に寝てるれいなを抱え飛ぶ。

翼と風の力を使ってるのだろう、凄いスピードで離れて行
く。
逃がさないって。すっと手をかざし

ふら‥‥


―――目の前が霞む
56 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/03(土) 19:04

くそ、まだ完全ではないか‥‥‥
なにが完全じゃないかわからないけどそう思った。

数回頭を振り見上げた時には、吉澤達はもう追撃出来ないところまで逃げていた。

「ちっ」
「‥‥なんなんや、一体。」
加護ちゃんの言葉に答えようとするが口が動かない。

また目が霞む、今度は足が宙に浮いてるみたいだ。なんかふわふわしてきた。
体の力が抜けてなんだか気持ち良くなってくる。

ばたんっ!!

「ご、後藤さんっ!?」

紺野の声を聞きながら、私の意識はゆっくり消えていった‥‥‥‥‥

57 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/03(土) 19:31
更新終了、戦闘シーン、難しい‥‥‥
自分の文章力の無さを痛感しました。

>49様
読者様ですか!?かなり素で喜んでます。
こんなありがちで下手くそな駄文読んで頂いて、有り難う御座います。
ごとーさんブチきれて、最強モード突入です(笑)
れいなも悪い子じゃないので、怒らずに、暖かく見守ってあげて下さい。
58 名前:49 投稿日:2004/04/04(日) 13:24
むむ。後藤さん、あなたは一体・・・。
先が気になりますね。
次読むのが楽しみです!
59 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 20:06
お菓子を食べながら、テレビを見るあたし。

‥‥‥母さんがご飯を作ってる音がする。美味しそうな香り―――
ねえちゃんが料理を手伝って、そして弟が相変わらずなんかブーブー言ってて‥‥

あたしの日常‥‥‥

―――懐かしい声がする、この雰囲気‥‥おとうさん―――

な、んで?!

これは夢?!!

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
60 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 20:10

「いたたたたっ」
目をさましたあたしに、強烈な頭痛が襲う。
こんな痛いの初めてだよ‥‥
――それにしてもお父さんが夢に出るなんて何時以来だろう?

ちょっとぼーーっとしてたら、頭痛も治まっていく。
それからゆっくり頭を動かす―――

あたし、そうあたしだ。あたし一体何をした?
記憶ならある。
しかし自分のした事なのに、自分の理解力を越えててわからない。
なんとも奇妙な感覚――――
61 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 20:22
ところでここは?きょろきょろ周囲を確認する。

「あ、気付いたやよ〜」
あたしの様子を見に来たのだろう
部屋に入ってきた愛ちゃんが、話しかけてきた。
「おはようございます、体、大丈夫ですか?」
「おはよ、ちょっとだるいけど、まあ平気。」
「そうですか‥‥あの――」

と、言葉が詰まる。判っている、あの力がなんなのか聞きたいんだろう。
まあ正直、聞かれたところで答えようがないんだけど―――
「うん、こっちも聞きたい事あるし。みんなは?」
「隣やす。」
「そう、で、ここどこ?」

なんとなく不気味な部屋。それに肌寒い。

「ここは土の中です。」
へっ?‥‥‥壁を触るあたし。あ、土でやんの。
62 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 20:29
「地上は騒がしいのと隠れる場所も無かったので、地下に
魔法で大きな穴を掘って固めて空間を作りました。」
‥‥やっぱり地上は大騒ぎかぁ。滅茶苦茶五月蝿かっただろうし。
あの空き地もぼろぼろだろうなぁ‥‥

にしても土の中にしては、そこそこ広いし、結構頑丈そう。
普通に暮らしても問題ないだろう。
あちこちに丸い光の玉がふらふら浮いて、明るさも十分あるし。
「これは?」
「電気代わりにあっしが出した光やよ。」

などと会話しつつ、みんながいる部屋へ行く。
63 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 20:43
そこには美貴も居た。
そういえばあたしを庇ってれいなの一撃を食らったんだったっけ‥‥
「美貴、大丈夫?」
里沙ちゃん相手に喋っていたのを中断して、こっちを向く。

「お、真希。遅‥‥って髪長っ!!」
「‥‥へ?」
うおっ!!肩辺りで揃えてた髪が腰くらいまであるし!?
なんじゃこりゃ!?ってか気づけあたし!!

動揺してるあたしに加護ちゃんがあたしが壊したたまごっちもどきをいじりながら
「そんな事より、とりあいずあんた、何物なんや?」

「‥‥正直聞かれても困るんだよね〜」
言いながら愛ちゃんにゴムを貰い髪を一つに束ねて座る。
ポニーテールの出来上がり。なんか子供の頃を思い出す
「‥‥あんなの初めてだし、記憶もあることはあるけど‥‥
なんつーの?自分じゃない感じでさ‥‥‥」
64 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 20:54
「そうか‥‥」
呟き、またたまごっちもどきいじりに集中する。

「‥‥紺野、約束通り説明してくれる?」
納得したのかしてないのか‥‥
とにかく加護ちゃんが何も喋らなくなったから、紺野に話かける。

「‥‥はい。」
ちょっと間を置き紺野が話出す。

「―――まずは私達について話します。以前話した通り天空の国に住んでました。
‥‥‥でも、今から40年ほど前に、大きな戦争が起こってしまったのです。
本当に酷い闘いでした。毎日が生きるか死ぬか‥‥
まだ小さかった私達には戦争の理由はわかりません。
‥‥‥その時に殆どの仲間が死んでしまって‥‥
私と同じ有翼人は、ここの3人以外であと数人しか知りません。」

「そっか‥‥」
呟くあたし。
有翼人の間でも戦争は起こるのか‥‥
価値観の違う生命が存在する時点で仕方無い事かもしれないけれど―――
65 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 21:02
「‥‥ところで紺ちゃん達、何才なの?」
ぼそっと美貴が言う。そういえば戦争を経験したみたいな語り方‥‥
って事は40才より――

「私は53才です。」
「うちもおない歳や。」
と、紺野に加護ちゃん。
「うちは55やよ。」
「あたし、46才だよ。」
へへっとなぜか胸を張る里沙ちゃん
「でかい顔すんなや。ちょっとしか変わらんやんか。」
不機嫌そうな顔で、里沙ちゃんを睨む加護ちゃん。

「でも40代と50代はお肌の張りが違いますわ」
「うっさいわっ!」
訳のわからん会話を聞きつつ動揺する自分を抑える

‥‥ゆ、有翼人おそるべし!!
66 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 21:09
美貴も、相当驚いたらしく、みんなの顔をまじまじ見つめる。
どう見ても、あたしらより年下にしか見えないもんなぁ‥‥

「えっと、お話の続き宜しいですか?」
一応敬語で話す。我ながら微妙な敬語だけど。
「あ、いいですよ。今まで通りで。ねえ?」
とみんなに聞く紺野、頷く3人。
「あ、そう。」
う〜ん、変な感じだ。

「‥‥‥戦争で国は変わりました。
土地は荒れ果てて、もう国は住めない状態で‥‥‥
それで私達は地上で暮らし始めました。」
話す紺野は涙目‥‥さっきから話しが暗い。こういう空気は苦手だ。
下を向いたまま、細い声で話しを続ける

「‥‥それから、色々ありながらも生きて来て、ある日、出会ったんです。安倍さんに!
安倍さんは言いました。天空の国を浄化する手段があると‥‥
月に行って、月の雫を手に入れれば良いと。
それで月に行く為には、Lunatic Gateを通なきゃ行けません。
その鍵を握る月の使いの末裔を探しているんです。」
67 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 21:18
Lunatic Gateに月の使いの末裔ねえ‥‥

「で?襲って来た奴らは何物?」
あたしの疑問に愛ちゃんが答える。

「あいつらは黒の有翼人。戦争の前までは仲良く一緒に暮らしていました。
‥‥でも、45年前にいきなり攻めてきたのやね。
黒の翼を持って生まれてくるんは全体の有翼人からしたら
1%未満、でも黒の翼をもつ物は、普通の有翼人より遥かに強い‥‥」
「あたしたち4人で相手1人も倒せないっ!」
と里沙ちゃんが力一杯、土でできたテーブルを殴る。

「‥‥そんな奴らが、なんで?」
「あいつらは月の雫で世界を破壊する気なんやよ、
その為にあっしらと同じ様にGateの鍵を探しとるやよ」

‥‥‥さあとんでもない事になってきた‥‥‥‥‥

68 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 21:22


「よっしゃ!!直ったっ!!」
長い沈黙を破る様に加護ちゃんが言う

「な、なに!?」
「じゃーん。これはその月の使いを探すレーダーなんや。」
「あ〜、敵さんが奪おうとしてた。」
「そうや。壊れてたんを直したんや。」
美貴に加護ちゃんが可愛らしくウインクしながら言った。
そして真剣な顔を作り―――
「それで、うちの考えが正しければ‥‥」
おもむろにレーダーをいじりあたしに向け。

「後藤さん。‥‥あんたは月の使いの末裔や。」
狭い空間に、そのレーダーはピーピーピーピー五月蝿い位鳴り響いていた。

呆然と加護ちゃんと見つめ合う

「一緒に来て貰うで。安倍さんの元へ!!」
69 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 21:56
更新終了。髪が長かった頃のごっちんが好きなので、長くしてみました。
‥‥ちょっと長すぎかもしれんけど。

>49様
今回も読んで頂いて有り難う御座います!
ごっちんはこんな感じです。本人もいまいち理解してません。
これからもよろしくお願いします。
70 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 22:00
今週中にもう一回更新します
71 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/06(火) 22:02
でわ〜
72 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/11(日) 00:52
あたしが月の使いの末裔、か‥‥

「そのピーピー言ってるのは、あたしに反応してるの?」

加護ちゃんは、こくんと頷き
「――100%確信はもてへん。誤作動かもしれへん。
でも、それならあの異様な力は説明が付く。
‥‥多分、月の使いの血が感情の高ぶりで目覚めて、
一時的に力を増幅させたんやと思う」

「そっか‥‥」
あたしは腕を組んだ。感情の高ぶりってのは、確かにその通りだと思うけど‥‥
‥‥‥でも信じられないよなぁ〜。
73 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/11(日) 00:57
「悪いが一緒に来て貰うで。」
加護ちゃんが鋭い目であたしを見る。
ちょっと考えて―――

「――イヤ‥‥って言ったら?」
「なんでですか!?」

あたしがすぐOKすると思っていたのだろう。紺野が声をあげ立ち上がる。
「正直、まだ完全に話を信じられないし。
‥‥まあ仮に、月の使い云々なのを本当だとして、
もしかしたらあんた達の言う事が逆かもしれないしね。」

苦笑してから加護ちゃんが言う
「世界征服を企むのがうちらで、それを阻止しようとして
るのが黒の連中かもしれん‥‥と?」
「ま、そういう事。」
「そ、そんなっ」

うなだれる紺野。
74 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/11(日) 01:02
紺野には悪いがこれは冷静に判断させて頂く。
事が大きすぎる。
下手すりゃあたしの身の振り方一つで世界は滅ぶ。
‥‥まあ月の使いやら、雫やらの話が嘘だったら判断もくそもないんだけど‥‥‥
「悪いがあんさんに拒否権は無いで。力ずくでも来て貰う。」

本気な目の加護ちゃん。やるって言うからにはやるだろう。
いくら黒の連中より弱くとも、彼女達には勝てない。
75 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/11(日) 01:07
‥‥仕方無いか―――

「わかった。行くよ。」
あたしは、手を挙げて降参のポーズを作った。

と、ここで大人しく話を聞いていた美貴が立ち上がり

「話は終わった?ならわたし帰るよ。出口どこ?」
言い残し里沙ちゃんに聞く

「でも‥‥」
美貴の鋭い目を恐れたのか、目を逸らし加護ちゃんを見る

「だってわたし、関係無いし。」
「いや、一緒に来て貰うで。ここまで話聞いたんや。
敵さんに捕まって色々話されたらかなわんわ。」
「そ、そんなっ〜。勝手に喋って‥‥それに絶対しゃべん無いって!」
キレ気味に反論する、しかし

「そうか?拷問されても喋らんか?
うちらが鍵を手に入れたって知ったら、奴らなりふり構わずくるで?」
「うっ‥‥」

固まる美貴。はぁ〜とため息を付く。
しかし鍵って言われかたなんかヤだなぁ。
76 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/11(日) 01:13
「よっしゃ、なら善は急げや」
と、立ち上がる加護。

「ちょっと待ってよ。あたし達にも色々あるのよ」
美貴が言う。確かにあたしらは学生だ。
もう春休みも終わる、それに家族も心配する。
‥‥いや、うちの母さんならなんか面白そうだし行ってこい!とか言いそうだけど。

「いや、悪いけどすぐ行く。」
あたしらの事など関係無い、とばかりに言い切る。

はぁ〜、とため息を付くあたし
「わかったからさ、行く用意くらいさせてよ。
なんならうち来て。ご飯位出すよ。」

なんとなくみんなの目が光った気が‥‥
すいません、なんかすんごく嫌な予感がするんだけど。

77 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/11(日) 01:20
すいません、恐ろしく短い更新です。
あ、そうそう、娘達の格好は
白の人達がさくら満開の衣装で、黒の方が心のブス〜の衣装です。
ごっちんと美貴は今のところ普通の普段着です。
78 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/11(日) 01:26
よっすぃ〜が乙女の衣装って、違和感あるけど
話の設定上、頑張って想像して頂けると有り難いです。
79 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/11(日) 01:31
では次は月曜日くらいに更新します。
80 名前:すれいぶ 投稿日:2004/04/12(月) 13:08

ぽか〜んと口をあけて、居間の入り口で立ちすくむ美貴。
「有翼人ってどんな胃袋してるのさ?」

さあ?あたしが聞きたいよ!
タイミング良く母は旅行で留守。お蔭でみんなを連れてこれた。
で、ただ今お食事中。
家に帰り数日分の着替えを取って戻ってた美貴は、入った途端。上の言葉である。

「とりあいず美貴、あんたも手伝ってっ!!!」
叫ぶあたしは軽く半泣きモード。
81 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 13:18
もーこの子ら食う食う。まったくもって遠慮は無しである。

「‥‥‥って、あああ!!その鳥肉里沙の〜!!!」
「ふっ、早い物勝ちやよ。」
「はぐばぐはぐはぐ、ふぅわぁ〜、お代わりっ。あれ?米が無いで、後藤さん!!」
「ふがっふがっ、ぷはぁ〜。このビーフン美味しい〜!!」

おいしそーに、たのしそーに食べまくる4人。
―――冷蔵庫の一週間分の食材(紺野の事を考え多め)はもはや尽きかけている。
‥‥ありえない‥‥‥‥
82 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 13:26
――疲れきって、座り込む美貴とあたし。
‥‥料理、好きだけど、当分作りたくなひ‥‥‥

「いや〜こんなうまい飯。初めてやで。」
「そりゃどーも‥‥」
満足そうな加護ちゃんにテキトーに返事をする。
‥‥あんた、さっきまですぐ出発するでぇ〜!って騒いでたじゃん。

「本当、すごい美味しかったやよ。」
「あさ美ちゃんは毎日食べてたんだね、羨ましい。」
本当に羨ましそうに言う里沙ちゃんにへへ〜となぜか恥ずかしがる紺野。
まあ、喜んでくれたみたいだから良いや。

「もう遅いし今日は寝て、明日朝一出発で良いよね?」
とあたしの提案に、加護ちゃんもご飯を食べて動く気力が無くなったらしく、あっさり賛成してくれた。

‥‥‥あ、あたしご飯食べてない‥‥‥
83 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 13:28
☆★☆★☆★
84 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 13:47
――き、きつい‥‥‥

朝一に家を出て、加護ちゃん達に連れられて、今近所の山を登っている。
なんか飛行機みたいな乗り物をこの山の森の中に隠してるらしい。
翼持ってるのにいらないのでは?って聞いたら
流石に海は渡れないやろ?って言われた。
―――よくよく考えれば安倍って人に会いに行くって聞いたけど
どこに住んでるかとかは、全く聞いて無い気がする。

‥‥どうやら初の海外旅行はこれになるみたい。
はふ、なんかヤだなあ〜。
85 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 14:11
因みに美貴は飛行機どんなのだろう!?
って妙にハイテンションで騒いでいる。

「よっしゃ、着いたで。これがうちらの愛車『もこもこシフォン』や!」

目の前に現れたのは円盤型乗り物―――
正にアニメや漫画でお馴染みのUFOそのものである。
‥‥とごが『もこもこ』でなにが『シフォン』なのかは、見た限り、全く不明だけど。

「まんまUFOだよ、これ。ふえ〜」
とちょっと感動気味の美貴。

「ねね、これってさ。どうやって乗るの?やっぱりぴかーって
光ってなんか体が浮いて、吸い込まれて行く〜みたいな!?」
何時もよりちょっと高めの声で言う美貴。

「いえ、普通にドア開けて入りますよ。」
と紺野。

「あ、そう。」
なぜかしゅんとなる美貴。忙しい人‥‥
86 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 14:32
なんの変哲の無いドアを開けて中に入るあたしたち。
本当に普通のドアだった。
‥‥‥美貴はなんか面白くないって顔してるけど、それは無視。

中は真ん中に水晶みたいなのがあるけど、それ以外は普通の部屋である。
あ、キッチンもある。

『じゃんけんぽん、あいこでしょ、しょ。』
入った途端じゃんけんをしだす4人。
紺野と里沙ちゃんはさっさと勝ち抜け
残った二人が熱い闘いを続けている。

「くっ!!」
「よっしゃっ」

長いあいこの後にどうやら決まったみたい。
加護がガッツポーズを作る。負けたのは愛ちゃん。
肩を落とし、てこてこ移動する

「はあ、これ疲れるんやよ〜」
と部屋の水晶に触れ、淡く光り出す、途端―――
87 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 14:36

ブオォ〜〜〜ン

大きな音を立てて揺れる機体。
「うわっ。」
「美貴、大丈夫?」
「うん、ってうおっ!!」
窓から外を見て声を出す美貴。

うわあ〜、飛んでるよ‥‥

『す、凄い。』
美貴と声をハモらせる

機体はどんどん真上に高度を上げて行く。
愛ちゃんの魔力と言うのだろうか、とにかく彼女らの持つ不思議な力
それをガソリン代わりに動くみたいである。
88 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 14:40
☆★☆★☆★
89 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 14:45
―――もうどの位の高さまで来ただろう?
結構な高度になり、機体は前に進みだす。

「で、目的地までどのくらい?」
「だいたい8時間位ですかね。」
と紺野があたしの問に答える。

「何処ら辺りに住んでるの?安倍さんって人。」
「赤道近くの無人島です。一番国に近い環境なんです。」
「ふぅ〜ん、‥‥ところでさ、紺野。」
「はい、なんでしょう?」

「‥‥あたしの髪、そんなに良い?」
そう、彼女はなぜかずっとあたしの触っている。
なんか触ってて気持ち良いらしい。

「ええ、滑らかな触りごこち、完璧です。」
うっとりとした表情で言う。さいですか。
‥‥嬉しいような、なんか恥ずかしいような。
90 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 14:49
あ、そだ。

「美貴ー。髪切ってよ。」
里沙ちゃんと話ている美貴に声をかける。
以前から美容師志望の美貴にたまに切って貰っていた。

「あいよ。」
何処からともなく美容師が使う鋏を取り出した美貴。
「ええっ、勿体無いっ!!」
避難の声をあげる紺野。そー言われてもなあ〜。

「だってジャマだし。」
なんかブーブー言ってる紺野を無視して、美貴に早速切って貰う。

‥‥紺野、体育座りで人指し指くわえて、ついでに涙目であたしを見ないで。
いや、なんかかわいいけどさ。
91 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 14:56
「――ところで美貴、家族にどう説明したの?」
「ん、いやちょっと家出します、探さないで下さいって書き置きして出てきた。」
「‥‥それで良いの?」
「う〜ん、昔からさ、こうやって1〜2週間姿消す事よくあったし‥‥」
「そっか‥‥」

なんとなく二人沈黙する。
あたし達はまだ出会って、そう長くは無い。あたしの知らない美貴も存在する。
そして美貴には言えないあたしも存在する‥‥
ま、お互い話したくなれば勝手に話すだろうし―――

なんとなく、そんな事を考えながら‥‥‥
92 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 15:01
ほどなく臨時美容院も終わる

「よしっ、おっけ。どうどう?」
「お〜良いねえ。また腕を上げた?」
「ふっ、当然。」
良い感じの長さにして貰い、すっきり。
仕事を終え達成感ある顔の美貴。
下に落ちている髪を勿体無さそうに見る紺野。
‥‥もういいです。


「ううう、強いっ」
「うちに勝とうなんざ千年早いねん。」
見ると加護ちゃんと里沙ちゃんが将棋を指している。
どうやら加護の圧勝らしい。
あたしは将棋板をのぞき込み

「加護ちゃん、将棋出来るんだ。」
「加護でええで。まあな、昔奈良におった時に教えて貰ったんや。
どや、後藤さんもやるか?」
「いいよ。ってかその関西弁、奈良に住んでたせいなの?」
「まあな、地上に降りて来て、長いこと住んどった。
愛ちゃんも福井にずっと居ったさかい、あの通り鈍っとるんや。」
なるほどねぇ〜。って事は、あのれいなって子も福岡にいたのか?

「ま、始めるで。」
93 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 15:05

ぱちん

あたしの一手に加護の顔がみるみる硬直する
「くっ!」
どうやら気づいたらしい。自分の負けに。

「参りました‥‥」
「えっ、まだやれるじゃん?」
と里沙ちゃん。
「いや、もうどうやっても負けや。全部読み切られとる。」
「将棋、得意なんでね。でもここで負けを認めるってのも早いね。
あたしがミスるかもしれないじゃん。」

「いや、ミスるようなたまやないやん、自分。」
へへっと笑うあたし。久しぶりに楽しめた。

「加護は強引すぎるんだよ‥‥」
と喋り出したその時。
94 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 15:10

グォガン!!!!!

凄い音と共に揺れる機体。
「な、なに!?」
「なんかわからんけど、たぶん撃たれたやよっ!!」
運転している愛ちゃんが言う

「あ、あれっ!!」
と美貴が外を指さす。
そこには見たことの無いでかい鳥に乗っている吉澤とれいな
それぽかーんと口をあけた女の子。
どうやられいなが撃ったらしい。

「だめやよ。コントロールがきかん!!」
落ちていく機体。
「くっ!!これもっとけ!!」
と加護があたしにはごついブレスレットを、美貴に派手な筒みたいなのを渡す。
「なにこれ?!」
「ええからとりあいずもっとけ。愛っ!どっかに下ろせ!」
「わかったとるやよ、やってる!!!」

どぉおんっ、ずざ―――――――――――!!!!!!!!

なんとか近くの島に不時着する。
「外へっ」
紺野の言葉に従い外に出た瞬間。
れいなの放った大きな火炎球が機体を直撃。爆発炎上。

その衝撃であたしは意識を失った――――
95 名前:すれいぶ― 投稿日:2004/04/12(月) 15:14
更新しました。
あんまり話進んで無い気が‥‥‥
次回は戦闘シーンなので無駄に長くなると思いますがお付き合い下さい。
96 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:09
――――ヘッドフォンを付けて好きな音楽を聞いてて‥‥‥

どんどんボリュームが上がっていく‥‥‥‥

‥‥ちょっと、え!?ちょっと待って!


耳がキーーンっとなって―――

97 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:12



「うるさい、ボケー!!!」
飛び起きるあたし

「ひっ、ごめんなさい!!!!!」
里沙ちゃんが座り込みずざざざって音を立てて離れていく。

「あ、ごめん‥‥」
とりあいず謝ってまだボーっとする頭、情報整理。
次に一気に意識が覚醒。

「紺野はっ!!美貴は!?他のみんなはっ!!!」
「ひ、いえ、わかりません‥‥」
立派な眉をへの字にする。なんか相当びびってる‥‥
98 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:14
里沙ちゃんが言うには、爆発で気を失ったあたしを抱え
適当に飛び逃げたらしい。
‥‥助けられて怒鳴るってあたしヒドイかも。反省。

ま、あたしらが無事なんだ、美貴は頑丈だし他の3人もなんだかんだで無事だろう。
敵は三人ここはさっさと合流するに限る。
「とにかくみんなを探そう。」
「はい。」

あたしらは背の高い木が生い茂る森を歩きだした
99 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:17
里沙ちゃんと森を歩いて1時間位。敵味方共に出会わない。
‥‥敵には出会いたくはないけど。
歩きながら加護から渡されたブレスレットについて里沙ちゃんに聞いてみた。
話によると、一種の増幅器。
短い言葉で元々の力――光弾を放ったり、火や風を使う力―――
を増幅できるみたいだ。
加護が手を加えてあたしにも使えるようにしたらしい。

まあ里沙ちゃんが言うには、弱い光弾位しか出来ないだろうけど、とのこと。
ちなみに光弾の力の源は精神そのもの、らしい。
このブレスレットを使えば誰だって使えるみたい。
ま、無いよりましって程度な感じだけど、でもそこは使い方次第。

‥‥あの変な力がタイミング良く使えるとも限らないし。
100 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:20


ぞくっ

ヤ〜な感覚が走る。

「な〜んだ、人間に小娘か。」
黒い翼になんともユルそーなぬぽ〜っとした雰囲気の子が話かててきた。

「小娘言うなっ、たいしてかわんないじゃん。」
ぷんすか怒る里沙ちゃん。あっさり挑発に乗っちゃってるし。

「あ、ごめんよ〜つい、ね。許して。」
真剣に謝る彼女。

‥‥どうやら挑発ってわけじゃなかったみたい。
こいつ、何も考えて無いな‥‥
101 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:24
「‥‥で、あんた名前は?」
と、あたし
「小川麻琴、特技は‥‥」
ぱちんっと手を合わせ地面に両手をつく。
「こんなのの召還、操る事」

ふふっ、と笑う小川
目の前には見たこともない、角の生えた熊くらいの大きさの赤黒い生物。 

「っデーモン!!」
「知ってるの!?」

「本で読んだだけですけど、火や風を使った力では倒せなくて、
普通に切ったりも出来ない。効くのは光の光弾だけって化け物です!」

早口で説明をする。要は強いって事ね。
102 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:26
でも光の光弾ならあたしも使える(はず)だし。抵抗はできるはず。
一回位ブレスレットが使い物になるのか試してたら良かったなあ。
でも、後悔先に立たず。戦闘は開始された。

正直、防戦一方。里沙ちゃんは元々遠距離攻撃が得意なタイプらしく、
避けて離れて攻撃するだけ。唯一効くらしい光弾も―――
『ガァーー』
デーモンのひと吠えと共に現れた光の壁に阻まれ当たらない。
性格なのだろう。里沙ちゃんの攻撃は素直すぎて、あっさり読まれている。

まああたしに至っては避けてるだけなので、正直文句は言えないけど。
103 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:30
でも盾を作って防ぐって事は効くってこと。
現に火や風の攻撃には壁など作らず受けている。無論ノー
ダメージ。

里沙ちゃんに近づき作戦会議
「話合ってもどーしようも無いよぉ〜」
デーモンの少し後ろの小川。
「いや〜、やってみなきゃわかんないじゃん。里沙ちゃん!」
あたしの声と共に大量の火の弾をブッ放す里沙ちゃん。

「甘いよ」
小川の命令で小川を守るような位置に立つをデーモン

きゅどごーーーん
爆発と共の凄い煙が舞う

「里沙ちゃん風をっ」
「うりゃ!!」
あたしの声で風を起こす里沙ちゃん。肩で息をしている。
お疲れ様。あとはあたしが決めるっ!!
104 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:33
小川に向かって風に乗ったなにかが煙から飛び出す。
空に飛びそれを避ける小川。

「あたしを先に倒しちゃうって作戦ですか?
それなら昔やられたんで対応出来ますよぉ〜」

―――終幕無き蒼き空、混沌に輝く月よ、我に力を与えよ―――

煙が消えていきあたしの言葉が響く

「あっ」

気づいた?でも遅い。
さっきのはただのでっかい石。別に小川を倒すのが目的じゃない。
小川の注意さえ逸れれば良かったんだ。
あくまで狙いはデーモン。小川が煙や石に気を取られてる
隙に、あたしはデーモンの後ろに移動した。
105 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:36

暖かい力が手に集まるのがわかる。

よし、行ける。
「うりゃぁあああ!!!」
気合いと共に放った光弾が目の前のデーモンを直撃した!
デーモンが倒れる。よしっ!
すぐさまデーモンから離れ、里沙ちゃんに近づく

「大丈夫?」
「後藤さんこそ、至近距離であんなことするなんて‥‥」
確かに無茶だったかも、なんか手が妙にひりひり痛い。
でも痛がってる場合じゃない!

「くそ〜、やられた。デーモンっ!!」
命令を下す小川。しかしデーモンは寝たまま動かない。

「よっしゃ、里沙ちゃん、光弾をっ!」
「はい!」
とどめだ!しかし―――
106 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:39

ぐあぁああーーー
吠えたと同時に立ち上がり、そして小川に向かって突進する。
‥‥デーモンくん、どうやら痛みで混乱してるみたい。
しかし召還者の小川に向かって行くってどうなんだ?
ま、ラッキーだけど。

スパンッ

小川に突進していたデーモンが突然上下に分かれる。

「小川〜、またちゃんと操れないもん召還したな?」 

‥‥そこには吉澤ひとみが片手に日本刀を持って立っていた
107 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 12:47
――吉澤の持つ日本刀、刃の部分が相当錆びているが‥‥
でもこれが吉澤の本来の獲物なのだろう。

「すいません〜」
甘えるような声を出す小川。
しょうがないなぁって感じの優しい顔で小川を見る吉澤。
「無事だからいいけどさ、気をつけろよ。」
「は〜い、でも、ほらほら、二人見つけましたよお」
「だな、よくやった。」

ぽんぽんと小川の頭を叩き
「この前の借り、返させて貰うよ。」
表情を消して、戦士の目に変わる
刀の刃の部分を指ですーーっとなぞり―――
「‥‥いくよ、菊一文字」

言葉と共に刀が光出す―――
108 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/15(木) 13:02
半端ですが更新終了。
よっすぃーの使ってる刀「菊一文字」
小説とかで新選組の沖田総司が使ってたとされる刀です。
現実は、んな国宝級の刀を使ってる訳ないですが‥‥
来年ごっちん大河ドラマ出演決定記念で今年の大河から使ってみました。
109 名前:49 投稿日:2004/04/16(金) 18:32
吉澤さんに甘える小川さん・・・。
ニヤッ・・・ハッ!!
すいません!つい想像でにやけてしまいました・・・(死)
110 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 14:19
「いくよ。」
あたし目掛けて吉澤が跳ぶ。
早っ、避けれない!!

さざっ

がぢんっ

いきなり目の前に現れた影が吉澤の剣を受け止めた。
「へへっ、あんたの相手はわたしだよ、よっすぃー。」
「よく今のを受け止めたな、みきてぃ。」

そう美貴だ。手には加護から渡された変な筒から赤い刃が出ている。

「ふっ」
吉澤が後ろに大きく飛び間合いを開ける。
111 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 14:58
美貴に駆けよるあたし。

「どーも、探したよ。」
「こっちの台詞だっての、おいしいとこで出てきてさ。」
「へへっ、まーね。」
鼻の下を左手で擦りながらいう。
ふと美貴が飛び出てきた方を見ると、加護がいる。

「ところでこの剣なに?」
「うちが作った武器、RED-ZONEや。」
加護が近づいてきながら説明する。
「精神力をそのまま力に変えて、赤い刃を作り出すや。
精神力で出来とるさかい、ある程度伸縮自由、光弾とかも弾ける。」

なるほど、って事は多少戦力として考えていいかな。
一応これで4対2、数の上ではこっちが有利だし――
考えをまとめるあたし。
その間も、美貴と吉澤は睨みあったまま動かない。
小川はその隣でオロオロしている。よし。
112 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 15:07
「美貴と里沙ちゃんは吉澤と戦って貰える?」
「頑張ってみる。」
「はい。」
「お願い、あたしと加護で小川を倒す!」
「わかったで。」
RED-ZONEの刃を吉澤の方に向けて、美貴が叫ぶ
「じゃよっしー、始めようか!」
「よっしーじゃなくてすぃ〜だ!!!」
そこ、重要なのね‥‥とにかくその声を合図に闘いは始まった。

とりあいず吉澤はふたりに任せてこっちは小川。
なんか変な子だけど油断は出来ない。
「加護、行くよ!」
「おっしゃ、いくでぇえ!!」
赤い光に両腕を染め、殴りかかる加護。
何とか避ける小川、今だ!

――終幕無き蒼き空、混沌に輝く月よ、我に力を与えよ―――
言い慣れてきた言葉を紡ぐ。

「うらぁあ」
気合いと共に光弾を数発放つ。光の弾が弾けとぶ、しかし―――

「ふんっ!」
小川の前に六紡星が現れ、あたしの放った光弾を打ち消す。ちっ!
113 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 15:12
驚いた表情で加護ちゃんがあたしに言う。

「うそやん、ありえへんで、その数と威力!」
「そう?加護ちゃんたちのより弱いけど?」

「あのな‥‥、うちらかて訓練して強くなったんや。
道具の補助付きでも、普通の人間ならせいぜい弱いのひと
つ放てる程度やで!」
「そーなの?そうだ火の弾とか風とかどうやるの?」
困った様にあたしの方に目を向ける
「‥‥‥あんたなあ。まあええ、簡単に説明すると頭ん中で考えるんや。
火やったら火。水なら水。あとは光放つのと同じ要領や。けどそんな簡単には‥‥」
「おっけー」
加護はまだなんか言ってるけどここは無視。
早速試す。呪文を唱え、頭の中に火のイメージ、よし。

「いけ〜!!」
火の弾が小川に向かって行く。よし成功。あっさり避けれたけど。

「‥‥やっぱり月の使いの血なんやろか?」
呆然とあたしを見る加護。
なのかな?でもこれは使える!

114 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 15:19


睨み合ったまま動かない吉澤と美貴、それに里沙ちゃん。
―――まず最初に動いたのは里沙ちゃん。風が吉澤に向かって吹き付ける。
風の力で吉澤の動きを止めてそこを美貴がつく――
ってとこみたいだけど、さっきの対デーモン戦で力を使ったせいか威力が弱い。
風をものともせずに、美貴に切りかかってくる。
ばちっと音を立てて、なんとか刀を受け止める。

数回ばちばちとやりあった後、大きく後ろに飛ぶ吉澤。
着地する瞬間を狙って里沙ちゃんが炎の矢を放つがこれを氷の矢で相殺する。

‥‥なんだかんだいって吉澤は強い。
単純に魔法とかの威力だけなら、ここには居ないれいなの方が強いだろう―――
だが判断力やとっさの対応――そういった経験は吉澤の方が断然上。
それに剣はかなり使える、現に美貴は完璧に遊ばれている。
115 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 15:27
美貴の方もわかっているのだろう、むかつきながら剣を振るう。
そのせいでどんどん大振りになってきたところを
エルボーなりを食らわされて吹っ飛ばされる。
そこに里沙ちゃんがフォローに入るが、やっぱり決め手が無い。

「さあどおした、かかってこいよ!」 
吉澤は心底楽しそうに無邪気に笑っていた。


まああたしらも他人の心配をしてる場合じゃない。
小川の呼び出した無数の変な物―――
RPGなんかでよくでてくるスライムみたいな敵を前に苦戦していた。

1匹1匹は弱いから、美貴たちの方を見る余裕はあるけど、数が多すぎる!
各個撃破し、減っても―――
「はっ!」
小川がまた召還する。
116 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 15:31
そろそろ本気でめんどくなってきた頃、加護がなにか思い付いたみたいだ。
あたしに近づいてきて―――

「このままやったら2人共バテてまう。
スライムはうちがカタつけるさかい、敵が召還する前にしとめてくれ。」

そういって右手に光の束を出し、ムチみたいにみたいにしならせる。
「ほーーっほっほっ、女王様とお呼びっ!」

わけのわからん事を言いながら近くのスライム共をすごい勢いでけちらす。
あっけにとられてこの光景をぼーーっと見入る小川。
そうこうしてるうちにスライムの数が減っていき
小川をガードしていたスライム数匹を加護がけちらして小川までの道が出来た!
慌てて召還を開始した小川、しかし―――
「氷よっ!」

それより早くあたしは用意していた氷の力を解放した!
小川の足元が氷で固まり動きを止めた。

「ちくしょー!!」
叫ぶ彼女、力は認めるが、よくぼーーっとするし
どうも戦いには向いて無いぞ、この子。
117 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 15:37
「ちっ!」
小川のピンチに吉澤が気づくが
「行かせねえ!」
美貴が今日1番鋭い一撃を繰り出し動きを止めた!

ナイスっ!このスキに小川を倒すっ!!
あたしと加護が炎の弾を放つ―――

ばちち

小川に当たる前にかき消される。
「誰か忘れちゃいませんか?」
声が空から響く

‥‥ヤなタイミングで出てくる。あたしはちっ、と短く舌打ちする。

「――すっかり忘れてたよ、田中ちゃん。」
118 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 15:45
「ちゃん付けで呼ぶなって。」
苦笑しながらあたしと睨み合う。

その間に、吉澤が美貴の攻撃を避けて、小川の元に向かう。
美貴と里沙ちゃんもあたしらの方に来た。

「吉澤さん、遊びすぎですよっ!!」
近づいてきた吉澤に、いきなり怒声を上げるれいな。

「ごめん、楽しくて、つい‥‥」
しゅんってなる吉澤。なんか情けない。
「いつも調子乗ってからピンチになるし!」
なかなか的確な発言である。
正直、吉澤に真面目にやられてたら、あっさり全滅してるだろう

「いや〜、あいつ、面白いのよ」
と、ちらっと美貴を見た。なんか気に入ってるみたい。
小川の動きを封じている氷を溶かしこっちを見る。
‥‥吉澤も本気でくるだろうし、れいなもいるし
どー突破しよう‥‥
119 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 15:50

「――後藤さん、頼みがあんねん」
加護が小声で話かけてくる。
「うちのとっておきが一個あんねん。最悪一人は倒せるはずや、
でもちーとばかし時間がかかる!」
「おっけー、時間稼ぎね。やってみる!美貴、行くよ」
「うっしゃ」
言って駆けるあたしたち。加護も目を閉じ集中、準備を始める。

「さっきのお返しだー!」
復活した小川が変な鎧を召還。それが動き出し美貴に切りかかってくる。
しかし美貴は赤い剣を振るいあっさり片付けた。

「うそ?!」
「ほう」
小川と吉澤の種類の違う驚きの声が響く。
‥‥美貴のヤツ、強くなってるし
120 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 16:25
吉澤があたしの方に跳んでくる。その吉澤に向かって氷の矢を放つ
「甘いっ!」
刀であっさり氷の矢は掻き消された。
そのままあたしを切りつけようとする吉澤。
あたしとの間合いが狭くなってきて‥‥
その瞬間、敵に背を向けるあたし。

「なっ?!」
さすがに驚いたらしく、一瞬動きが止まる。
「光よっ!」
吉澤に背を向けたまま叫ぶ。
そして光弾は、あたしの背中、つまり吉澤の目の前に現れた!
「へっ?」
慌てて大きく後ろに跳ぶが、避けられず直撃!

よっしゃ!目の前に撃てるんだから、後ろにも撃てるだろ?
って思ってやってみたけど、成功した。
もし出来なかったら、そのまま切られてただろうが
こういう闘いには命懸けの賭けって奴は必要である。

しかし吉澤は、刀で光弾を受け止める。
うわ、人の命懸けあっさり弾くし。ひでえ。
「あっぶねー、しっかし背中から光弾放つヤツなんか初めてみたぞ。」
心底驚いた顔であたしをみる。
121 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 16:52
ちらっと加護の方を見る吉澤、やばっ!

「麻琴、なんか適当に呼び出して、こいつの足止めして!
田中はみきてぃー頼むよ。」
『はいっ!』
二人の返事がハモる。
なにかの召還を開始する小川、美貴に向かって行くれいな。

「いっちゃえー!」
小川の声と共に、大量のスライムがあたし向かってくる。
くそっ、またこれか!
ちらっと美貴を見ると、れいなの光弾を弾くのに手一杯。
その間に、加護に切りかかる吉澤。
「なんかする気でしょ、嬢ちゃん!」
やっぱり!
加護がなにかやろうとしてるのに気づき、やられる前にやる気みたいだ。
でも一人お忘れだよ、吉澤さん?

「うーおりゃああ!!!」

さっきから美貴のフォローなどで力を使いすぎて、ふらふらの里沙ちゃんが
ありったけの力で風――いや小さな竜巻を吉澤の足元に発生させるっ!
弱ってるから見逃してたみたいだけどちょっと甘い。

「ぐっ!!」
よし、これで少しの間、吉澤は動けない!
この間に、光弾をすべて弾き返した美貴が、れいなを牽制する。
どうやら接近戦は苦手らしく、れいなは避けるので手一杯。
122 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 17:00
早口で呪文を唱え、ひたすら火の弾やら光弾やらを放ち
目の前のスライム達を速攻で片付けていくあたし。
さすがにそろそろ限界だぞ、加護!

「なめるなっ!!」
吉澤が竜巻を力技で打ち砕く。

――丁度その瞬間、加護のとっておきが完成した!!
加護の前に逆五紡星が現れ
「唸れっ紅き雷よ!!」
言葉と共に紅の雷が吉澤に向かって走る!!

「なっ!?」
避けれないと判断してバリアを出してかき消そうとするけ
ど、加護の雷の方が威力は上っ!!
「ぐあっ!」

足元から崩れ落ちる吉澤
多少バリアで威力は軽減されて、致命傷にはならなかった
みたいだけどかなりの効いている!

「吉澤さんっ!」
慌てて吉澤に近づこうとするれいな。
「うらぁあ!」
美貴の一撃がれいなの肩口を捕らえたっ!

声にならない悲鳴をあげるれいな。
右肩から血を流しながらも、吉澤に近づき自分の傷そっちのけで治療を始める。
123 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 17:07

ここで放心していた小川が動いたっ!
「やぁーー!!」
たんっと地面を叩くと、さっきのデーモンより二回り位大
きいデーモンが現れた。なっ!?
デーモンが勝手に暴れ出す!
どーやらコントロール不可能のでかぶつを召還したらしい。って事は――
見ると小川は吉澤の方近づいて、でっかい鳥を召還、そのまま逃げるっ!
逃がすかって言いたいところだが
このでっかいデーモンをなんとかしなきゃまずい。

派手な一発を放ったせいでふらふらな加護が近づいてきた。

「どうする、うちも里沙も、煙草の火も付ける力すら残ってへんで?」
見ると美貴も肩で息をしている―――
くそ、どーしろと言うのだ、この状況!?

ずうん!!

最悪のシナリオしか思い浮かばないあたしの横を、凄い速さで雷の矢が通り過ぎ―――
それがデーモンに当たる。
124 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 17:09
デーモンは音も無く崩れ落ち。白い粉になり風に消える。

光の矢が飛んできた方を見ると、そこには紺野に愛ちゃん
―――そして雷の矢を放った張本人、背の低い女の人が弓を構えて立っていた。

『矢口さんっ!』

加護と里沙ちゃんが声をハモらせて言う。
ちっちゃい女の人――矢口というらしい。が駆け降りてきてた。
「大丈夫か!それにあのデーモンは‥‥」
話し出した矢口さんにあたしが言った。
「ごめん、詳しい話は後にして貰えますか?、今は休ませて‥‥」

矢口さんは、全員の顔を見渡す。皆、心底疲れているみたいで
「分かった。こんなところじゃなんだし
おいらの乗ってきた飛行機があるから、そこまで移動しよう。」
あたしは無言で頷いた。
125 名前:すれいぶー 投稿日:2004/04/19(月) 17:20
今日はここまで。
119あたりから自分の中で納得できずに唸りながら書いてました
悩んだわりにはたいして良くなってないですが‥‥

>49様
毎回レス有り難うございます。レスを頂けるとやる気が出てくるのでありがたいです。
よっすぃーとまこっちゃんの関係好きなんですよ。
二人が出会った話の構想はあったりするんで
まとまったら番外編みたいなのを書くかも?なので期待しないで待ってて下さい。

その前に本編進めんと‥‥。
126 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/05/18(火) 13:57
いや〜ってゆうかはじめまして。
気になりますね〜。
お気に入りに登録してあるので、作者様、がんばってください。
と、いうわけで更新待ってます。
127 名前:マコ 投稿日:2004/06/03(木) 22:02
初めまして。
いっきに読みましたよ。
同じ月盤で 光と闇を書いているものです。
ファンタジーは好きなので これからもきたいしています。
128 名前:シィさん 投稿日:2004/06/22(火) 19:57
う〜ん・・・つづきが気になりますねぇ
ごっちんと紺ちゃんの今後の活躍に期待です。
129 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/05(月) 17:26
今日発見して一気に読みましたが面白いです
ちょっと更新止まってるみたいですが待ってますんでがんばってください
130 名前:マルタちゃん 投稿日:2004/07/11(日) 14:54
すっごい好きですっ。
ゆっくり更新待ってます。
131 名前:すれいぶー 投稿日:2004/07/16(金) 22:47
3ヶ月も放置してすいません。
やっと時間が出来そうなので、今月末までか遅くても来月の頭には更新出きると思います。
レスくれた皆様、申し訳ないですが、もうしばしお待ち下さい…
132 名前:マコ 投稿日:2004/07/17(土) 16:45
いつまでも待ってますよ。
僕のも読みに来てくださいね。
http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/moon/1086195747/l50
133 名前:ぉっぽ 投稿日:2004/08/23(月) 19:06
続き待ちます、
134 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/06(水) 02:55
更新宣言から2ヶ月たったけどまだ待ってます
135 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/08(水) 16:23
さらに2ヶ月経ったけど待ってます。
136 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/12(土) 10:07
さらに2ヶ月経ったけど(ry
作者様、今すぐ更新しろとは言いません
せめて生存報告だけでも・・・

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