zeroU

1 名前:extra 投稿日:2004/04/18(日) 22:49
青板の「zero」の続編です。
何系の話なんだろう?血とか苦手な方はご遠慮ください。
それでは、楽しんでいただけると幸いです。
今回は、『empty』という話の続きになりますので、前スレを読んでいただかないと意味が理解できないかもしれません。
よろしくお願いします。

http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/blue/1079369570/ の続き

2 名前:extra 投稿日:2004/04/18(日) 22:49
第1話 『perfect』2〜178
第2話 『family』247〜405
第3話 『sun』412〜652
第3話 『mind』(sunの番外編・プロローグ的な話)662〜727
番外編 『first』751〜865
第4話 『empty』872〜

海へ行こう!! 185〜222
恋人は誰ですか? 226〜241
雨 731〜749
3 名前:extra 投稿日:2004/04/18(日) 22:51
    
4 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:51
5 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:51
        
6 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:52
5 4 3 2 1

「バーンっ!」
加護はビルの屋上のフェンスから身を乗り出す。
その隣で、しゃがみこみ携帯から目を離さない新垣。
「爆弾犯おったやん?渋谷と新宿を破壊した」
加護は下を歩くスーツ姿の群れを見ながら話す。
「あんなんやるなんて、ほんまに無駄やし、キチガイやな。うちなら、もっと有意義にやるわ。」
加護の言葉に新垣は首をひねる。
「なんやねん?まぁ、大して年はなれておらんかったけど、大人はバカやな。そう思わん?」
やっと新垣は顔を上げ、生気のない目で加護を見る。
7 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:52
「長い時間かけて、手間ひまかけて、うちらもあんなんになるんかなぁ?」
加護はポッケからナイフを取り出し、下を歩くスーツの群れに突きつける。
加護は、小さく舌打ちをし、手を広げ、そのまま後ろに倒れる。
何の反応もしめさず、ただ生気のない目のままの新垣。
「痛みなんか感じん…」
カランと音を立てて、ナイフが加護の手から離れる。
8 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:52
9 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:53
口を手でおさえ、吐き気をこらえる石川。
吉澤は、ゆっくりと笑っている女に近き、ひざまづく。
そして、女の腕を少しだけ持ち上げる。
「血管から搾り出されるように血抜きしてある」
「血抜き…?」
「今回は、吸血鬼さんみたいだね。」
吉澤は少しだけ微笑み、女から手をそのまま引っ張り上げ、うつ伏せにする。
「しかも、メッセージ付き」
吉澤の言葉に反応し、石川が視線を死体に向ける。
女の背中に刻まれた深紅のメッセージ。
石川はこみ上げてくるものを押さえきれず、部屋から飛び出す。

『HAVE A GOOD DAY!!』
10 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:53
11 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:53
夢でも現実でも変わりはない。
だって、夢でも現実でも同様に恐怖は襲い、うちは無抵抗
12 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:53
13 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:53
「亜依帰ってきたの?」
奥から聞こえる声。
加護は笑顔を作る。
「はい。これから友達と一緒に勉強します。」
無表情の新垣の肩を軽く叩く。
何度もうなづく新垣。
「そう。頑張ってね。」声だけで顔のない母親。
「はい。」
作られた優等生を演じる加護の表情はもうなかった。
横では笑いをこらえる新垣。
加護は一瞥をし、階段を先に上がっていく。
14 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:53
15 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:54
ピ ピ ピ ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
             
               
                                 
                             響く電子音
16 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:54
17 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:54
「保田さん!」
突然の呼びかけに保田は、食べていたカップ麺にむせる。
「…何!?苦しいじゃないの!!」
口の端にスープをつけたまま、保田は突然呼びかけてきた部下を睨む。
「大変なんです!」
「だから、何が大変なのかって聞いてるの!!」
保田が部下に負けないくらいの大声で返すと、部下は何も言わずに保田のノートパソコンをいじる。
「ちょっと!あんた、何してんのよっ!?」
「保田さん、うちのホームページを見てください。」
「はぁ?あんたの?」
保田は半ば呆れ顔で、パソコンを操作する部下を後ろから覗き込む。
「私のではないです。警察のですよ。」
「はいはい、あ、ブックマークされてるから。」
保田は、大して興味のないような声で後ろから指示する。
ブックマークをクリック。
18 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:54
19 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:54
「吉澤さん、また遊び行ってるし…」
小川は主のいない部屋で覗き溜め息をつく。
そして、背筋を正し、パソコンに向かう。
「更新でもしておこうかな?吉澤さん、どうせしてないだろうし。」
小川は、呆れ半分、けど、更新をして吉澤に褒められることを期待半分。
嬉しそうにパソコンを立ち上げ、ホームページを開く。
20 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:54
21 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:54
画面に一杯に映し出される耳まで口を裂かれ、目から血の涙を流している女。
22 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:55
23 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:55
「何これ…?フェイク?」
保田は画面に目を奪われている。
「フェイクかどうかは、今、調べてもらっています。」
保田はうなづく事も忘れ、女を凝視する。
24 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:55
25 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:55
「うわっ!!」
画面が立ち上がり、小川はのけぞる。
のけぞったかと思うと、小川はこぶしを握り、震わせる。
「絶対に吉澤さんの仕業だ…。」
小川が小さく呟いたと同時に画面は消える。
「うへぇ?」
小川がモニターに近づくと同時にものすごい速さで書き込まれていく言葉。
26 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:55
27 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:55
笑え
笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え
笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え
笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え          
             
 
                    ワラエ
28 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:56
29 名前:empty 投稿日:2004/04/18(日) 22:56
           
30 名前:extra 投稿日:2004/04/18(日) 22:57
よろしくお願いいたします。お付き合いください。
31 名前:85@zero 投稿日:2004/04/19(月) 00:52
新スレおめでとうございます!
前スレから追いかけて来ましたw またよろしくです。
う〜む、すごいことになって来ましたねぇ・・ゾクゾクします。
「zero」を通して感じたのは、ピュアというのはギリギリのボーダーラインに存在してるのかなと。
次回も楽しみにしております。
32 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/19(月) 01:21
前スレにリクエストした者です。
答えて下さって本当にありがとうございます。
ドキドキワクワクで読ませてもらいます。
これからもがんばってください!!!
33 名前:すかっしゅ 投稿日:2004/04/19(月) 07:10
新スレおめでとうございます!
いきなりの展開に少々驚いとります。
期待しながらよんでいるので頑張ってください
34 名前:extra 投稿日:2004/04/19(月) 08:52
>85@zero さん
追いかけてきてくれて、かなり嬉しいです!
純粋さのボーダーは、曖昧ですし、見方によっても大分変わってきますよね。
んで、リクエストOKですよ〜!!何でしょう??

>32の名無飼育さん
いやいや、本当に首を長くしてお待ちください!
しかも、期待に応えられるようなものを書けるかは分からないです。(汗)
楽しんでいただけるように努力はしますので!

>すかっしゅさん
ありがとうございます!
そろそろ展開、動かさなきゃと思いまして!w
唐突すぎましたでしょうか?
頑張りますので、お付き合いください。

ではでは、本日。
35 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:53
        
36 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:54
            
37 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:54
「どうなってるのよ!?」
画面を黒く染めていく単語。
必死に止めようと管理画面を開こうとする部下の手が止まる。
「何してるの!?早くなんとかしなさい!!」
部下は顔色を真っ青にする。
「…無理です。こちらからは一切操作ができないです」
力ない声。
「どきなさい!!」
保田は座っている部下を押しのけ、ノートパソコンを自身の方に向けた瞬間にパソコンの電源が落ちる。
「ちょっと!!どうなってるの!?」
38 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:54
39 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:54
小川はただ黒く染めていく文字を見ることしかできなかった。
そして、自動的に落ちる電源。
部屋には、ただ沈黙だけが残される。
「…吉澤さぁん。早く帰ってきてくださいよぉ…」
モニターを見つめたまま、細い声を出す小川。
40 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:54
41 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:55
「自分、良い趣味してるなぁ?」
加護は薄暗い部屋でニヤニヤしながら、新垣の横でモニターを見つめる。
「良い大人になるわ。」
加護の言葉に新垣は初めて感情を表情に出す。
「そんな嫌な顔せんでも。」
笑いをこらえ、加護は新垣の顔を覗き込む。
新垣は近すぎる加護の顔を手で追い払う。
42 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:55
43 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:55
「ただいまさーん」
「吉澤さぁん!!」
玄関まで走ってくる小川。
「お出迎えご苦労さま。」
吉澤は、ニッコリと笑い、小川の頭をポンポンと叩く。
「えへへ!!…って、そうじゃないんですよぉ!!」
「はぁ?何がそうじゃないんだよ?!」
小川は眉を八の字にしたまま、パソコンを指す。
「ん?壊した?」
吉澤は髪をかき上げながら、パソコンに近づく。
再度立ち上げられたパソコン。モニターを黒くする単語。
黙ってモニターを見つめる吉澤の横に立つ小川。
44 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:55
「…吉澤さん?」
「こう来ましたか。やっばいねぇ…」
吉澤は舌を出し、唇を2〜3度舐める。
「ちょっと出かけてくるわ」
「ど、どこに行くんですかぁ!?」
吉澤の背中にくっつく小川。
「小川、いいかい?吉澤が帰ってくるまでは、ドアを開けたらダメだよ?」
「ふえ?ど、どうしてですか?」
恐怖からなのか、吉澤にまわした手に力が入る小川。
「チョークで声をかえた狼さんだからね」
背中にくっつく小川を吉澤は無理やりはがし、部屋を出て行ってしまう。
「もう!吉澤さん!1人にしないでくださいよぉ…」
45 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:55
46 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:56
『吉澤さんっ!』
携帯から響く、石川の高い声に吉澤は携帯を遠ざけ耳をふさぐ。
『聞いてるの!?ホームページが勝手に書き換えられて、あの写真が…』
「あー、石川さんの方もかぁ。」
『も…?』
「いい?石川さん、犯人は大体わかってる。今からよしざーは、お仕置きをしに行ってきます。石川さんは、絶対に警察署から出ないこと。OK?」
『は?お仕置き?』
「じゃあね。また。」
石川が何かを言っていたが、吉澤は気にせず電話を切り、電源をオフにする。
吉澤は目を閉じ、息を吐く。
「大人の進入を拒む聖域…。今回ばかりは気が進まないなぁ…」
47 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:56
48 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:56
「ちょ!ちょっと!!」
何度携帯に呼びかけても、吉澤に繋がることはない。
石川は携帯を片手に署を飛び出す。
「石川!どこに行くの!?」
保田が後ろから叫ぶ声に石川は振り返る。
「現場に行ってきます!!」
「現場!?何を言ってるの!?」
石川の尋常ではない焦る姿に保田も立ち上がる。
「着いたら連絡します。その時はよろしくお願いします」
石川は綺麗に頭を下げる。
「石川?」
「行ってきます。」
顔を上げた石川の顔に保田は何も言うことができない。
49 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:56
50 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:56
闇が世界を包む。
小さな外灯の下に集まる子供達。
子供達は、同様に黒い布をかぶり、携帯を見ている。
携帯のキー操作音。
51 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:56
52 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:57
ピンポーン…ピンポーン…

一定の間隔で鳴らし続けられるインターフォン。
小川は、ソファに座り聞こえないふりを続ける。
『絶対に開けてはいけないよ』
吉澤の言葉が何度もリフレインをする。
小川の状況を知ってか知らずか鳴り続けるインターフォンに小川の好奇心が負ける。
足音を立てないようにゆっくりとドアに近づく。
「すいませーん♪」
ドアの向こうから聞こえてくる、予想外の子供の声。
小川は少しだけ胸を撫で下ろし、鍵穴から外をうかがう。
「すいませーん♪」
もう一度、聞こえる幼い声。

しかし、小川の目に映る小さな視界には、黒の布をかぶった数人の子供。
映像と音声のズレが小川を混乱させる。
53 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:57

「…見てるくせに」
小さく聞こえた声。
それと同時に鍵穴に貼りつく、黒い布から露出した生気のない目。
「ひっ…」
小川は声を上げ、のけぞる。
小さな鍵穴に貼りついた目が上下左右に動き、小川を探す。

ドン!ドン!! ドン!! ドン!!!!!!!!

インターフォンではなく、直接ドアを叩く音。
叩くというよりも破壊を意味する音のように小川には聞こえる。
小川は震える体を、音声を認識してしまう耳を押さえ、その場にうづくまる。
54 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:57
           
55 名前:empty 投稿日:2004/04/19(月) 08:58
          
56 名前:extra 投稿日:2004/04/19(月) 08:59
本日終了。
57 名前:プリン 投稿日:2004/04/19(月) 16:23
更新お疲れ様です!&新スレおめっとぉ〜♪
前回の新スレが立った時から覗かせてもらってるので、2までいくと嬉しいです♪(意味不明?
extra様の小説はすばらすぃ〜♪ので、これからも楽しみに待ってますねw

しっかしドキドキだな・・・w
マコ!頑張れ!
よっちゃんも!頑張れ!

次回の更新も楽しみに待ってます。
頑張ってくださぁ〜いっ!!!
58 名前:85@zero 投稿日:2004/04/19(月) 16:29
更新、お疲れ様です。
うわぁ〜マジでヤバイ、「empty」怖すぎです。
更に虚無感を覚える今日この頃です・・)
チリチリが復活した小川助手がまたしても・・無事切り抜けられるのか!?

リクをご快諾下さりありがとうございます!是非この人でお願いします。
自分から見るとボーダーラインに一番近いイメージがあるので・・
次回も楽しみにお待ちしております。
59 名前:名も無き読者 投稿日:2004/04/19(月) 17:15
更新乙&新スレおめーです。
ひぇ〜、子供ってコワイ。。。(ガクガク
よっすぃ〜は何か分かっているようですが、
何をする気なのでしょう・・・?
続きも楽しみにしてますw
60 名前:ガイ 投稿日:2004/04/19(月) 22:26
遅くなりましたが新スレおめでとうございます!
少し来ない間にすごい事になってますね。。。
う〜む、今回はいつにも増して怖いです・・・
次回も楽しみにしてま〜す
61 名前:32 投稿日:2004/04/20(火) 01:08
毎日更新お疲れ様です。気長に待つんであまり気にしないでください。
石川さんどうなってしまうんだ・・・・
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/20(火) 03:35
初めてレスさせていただきます。
ずっと青板で連載されていた時から追いかけていました。
最高におもしろいですね。更新も速いですし。
これだけ速いと大変かもしれませんが、作者様のペースで
頑張ってください。ずっと応援しています。
63 名前:extra 投稿日:2004/04/21(水) 15:29
>プリンさん
青板からお付き合いいただきありがとうございます!
すばらしいだなんて勿体ない言葉ありがとうございます。
これからもそう言ってもらえる小説を書けるように頑張りますので!!

>85@zeroさん
リク了解いたしました!!
その人は、書いたことがないんですよね!いしよしのキーパーソンなのに(汗)
初挑戦、優しい目で見守っていただけると嬉しいです。

>名も無き読者さん
ありがとうございます。まさかこんなに長く続くとは作者も考えておりませんでした。
単発のつもりだったのです。w
そうですね、子供は、子供の世界がありますね。
作者としては、たまに憧れたりもしてしまう世界です。w
64 名前:extra 投稿日:2004/04/21(水) 15:34
>ガイさん
ありがとうございます。
ん〜、なんか作者もどうなっていくのかまだわからない状態でして。w
いい感じに終わらせることができればいいんですけどね。
これからも楽しんで読んでいただけると幸いです。

>32さん
はい、これからも頑張りますのでよろしくお願いします!
それから、リクに対しての質問なんですが、いしよしの過去という事でいいのですよね?

>62の名無飼育さん
初めまして!レスありがとうございます。
青板から読んでいただけていたなんて嬉しい限りです。
更新は本当にマイペースですので、ご安心を!
これからも何か気付いたこと、感想など書き込んでいただけると嬉しいです。
もちろん、ダメ出しも!


では、本日。
65 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:35
        
66 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:35
             
67 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:36
「子供に会わせてもらえないかな?」
吉澤は穏やかな笑みを浮かべながら、施設の玄関に立つ。
「もう夜なのよ?」
柴田もまた笑みを浮かべながら、吉澤を見つめ、吉澤の首に手をまわす。
「今は夜。もう大人の時間なのよ?」
柴田はそう小さく呟き、少しだけ舌を出し、吉澤の唇を舐める。
そして、空いている方の手で吉澤の服をゆっくりと脱がしていく。
吉澤の上半身が白い肌を露出する。
「ねぇ?柴田。」
「あゆみって呼んで。」
間髪いれずにそう返してくる柴田に吉澤は片眉を気付かれないように上げる。
ゆっくりと自身の服を剥いでいく柴田。
68 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:36
「ねぇ?あゆみ。」
「なに?」
嬉しそうに少しだけ目を潤ませて、吉澤の目を見る。
「本当に夜は大人の時間だって?」
柴田は小さく首をかしげ、吉澤の白い肌にキスを落とす。
「ねぇ?いつもみたいに首を絞めて?」
柴田は吉澤に絶えずキスを落としながら、吉澤の手を取り、自身の首にあてる。
そのままソファに倒れこむ、柴田と吉澤。
69 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:36
70 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:36
石川は地下にある駐車場に向かっていた。
アスファルトを蹴り上げるヒールの音が響きわたる。
コンクリートで固められた空間が少しだけ寒く石川には感じ、胸の中が慌しくなる。
鼓動さえもアスファルトに響きそうな感を受け、石川は少しだけ早足になる。
やっと着いた自身の車の中に滑り込み、石川は小さく息を吐く。
その時、石川の視線に入る、小さな一定の動きを続けている何か。

心臓が一気に跳ね上がるのを感じ、石川は視線を上げ、ルームミラーを確認する。
髪を2つに縛り、携帯を触っている新垣が、前後に揺れていた。
71 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:37
「…っ」
石川の息が止まる。
揺れる動きを止めることもなく、運転席と助手席の間から体を出す新垣。
「鍵が開いてるのは、殺っていい合図です」
小さい小さい空気のような新垣の声。
その声が発せられたと同時に石川の車を囲む、黒い布をかぶった子供たち。
石川の背中を恐怖という感情が走りぬけた瞬間、石川の側頭部に襲う鈍い痛み。
頭をおさえ、倒れこむ石川。
倒れこんだ石川に走りよる小さな複数の影。
72 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:37

『件名:待て
 本文:まだ殺さない』
73 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:37
74 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:37
「…くっ…んっ…」
吉澤に首を絞められながら、もう一方の片手で与えられる快感に身悶える柴田。
「…ね?気持ちよさそうだねぇ?」
吉澤は目を細め、一層首を絞めている手に力を入れる。
「…はっ…ん…あ…」
「返答もできないの?」小さく笑う吉澤。
穏やかな声とは全く逆に柴田の体を蝕んでいく。
柴田の中により一層吉澤は深く指を食い込ませていく。
「…ま…き…。んっ…」
柴田の声に吉澤は眉をひそめ、そう言い、手に力をこめる。
柴田は痙攣を起こし、失神をしてしまう。
吉澤は柴田に食い込ませていた指を抜き、口の前にもっていき、柴田を見つめながら2〜3度舐める。
「残念。よしざーでした。」
75 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:37
76 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:38
ビルの屋上にたたずむ加護。
加護の元に運ばれてくる石川はすでに意識はなかった。
「ガキさん、ご苦労さん」
加護はニッコリと笑う。
加護の言葉を合図に、石川はアスファルトの上におろされる。
倒れている石川を取り囲む子供たち。
「自分ら待ちーよ。血が見たいんは、うちも同じ。でも、今はまだあかんねん」
加護は右手を上げ、近づこうとする子供たちを制する。
「いいか?この人は、姫のお気に入りやねん。」
加護は石川の腹を軽く蹴る。
小さく石川の体が反応をする。
加護はその様子をじっと見つめ、小さく眉を動かす。
「でも、まぁ、おこぼれはもらえるんとちゃう?」
ざわめきたつビルの屋上。
77 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:38
78 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:38
吉澤は、1つの部屋に入る。
暗闇の中で辻はベッドに座っている。
「あいぼん?もう捕獲できたの?」
嬉しそうな声をあげる辻。
吉澤は何も返答はせずにベッドの前まで行き、膝まづく。
「勘のいい、君でも間違えるくらいに似ている?」
笑いをこらえたような吉澤の声。
「あー柴田さんの。」
辻は少しだけがっかりしたような声を出す。
「君と話がしたいな。」
吉澤はそっと辻の頬に手をあてる。
79 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:38
辻の目は虚空を見つめ、あてられた手に少しだけ頬を緩ます。
「話している暇はないんじゃないれすか?」
「どうゆう意味?」
「石川さんれす。」
吉澤の手に少しだけ力が入る。
「今頃、つじのために血を出しているかもれすね。」
ニッコリと口元だけで笑う辻。
「…あのバカ…」
吉澤は施設から飛び出す。
80 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:38
81 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:39
血が見たい
血が欲しい
苦しんでいる声が聞きたい
痛みに歪む顔が見たい

でも、分かってる。
         自分たちより苦しんでいる人なんていない。
82 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:39
83 名前:empty 投稿日:2004/04/21(水) 15:39
84 名前:extra 投稿日:2004/04/21(水) 15:40
そんなこんなで、もう少しでこの話も終わりになると思います。
あくまで希望なわけですけど…。w
しっかし、この話に限っては、主人公の2人が全く出てきませんね(汗)
それでもお付き合いしてくれると嬉しいです。
85 名前:名も無き読者 投稿日:2004/04/21(水) 16:55
更新乙彼です。
ホントにどうなることやら・・・。
心配です。(汗
ま、まぁ主役ですから悪いようにはされませんよね?ね?
続きも楽しみにしてます。
86 名前:85@zero 投稿日:2004/04/21(水) 18:11
更新、お疲れ様です。
あらゆる人から目が離せない・・
>>71 >>76の最後の一行が鳥肌立ちました。
リクを無理やりお願いしてしまいまして、申し訳ないです。
(この人の振り幅も結構大きいと思いますが・・)
次回もまったりとお待ちしてますので、速度はどうかお気になさらずに。
87 名前:32 投稿日:2004/04/21(水) 23:10
更新ご苦労様です。いしかーさん大ピンチ!
はい!いしよしの過去です。ほんと気長に待つんで
あまり気にしないでください。
88 名前:カモノハシ 投稿日:2004/04/21(水) 23:44
更新お疲れ様です。
この先がとても気になる所です。。。
がっ!!作者さん、速度など気にせずまったり更新して下さいね。
89 名前:名無し読者 投稿日:2004/04/22(木) 01:05

>>鍵が開いてるのは、殺っていい合図です

デットバンディでしたっけ?うろ覚えですが・・・
90 名前:extra 投稿日:2004/04/22(木) 08:35
>名も無き読者さん
本当にどうなるのでしょうね?w
作者にも分からないです!
ドキドキしながら、先を楽しんでいただければと思います。

>85@zeroさん
いやいや、無理やりなんかじゃないですよ!
もう、本当にリクがなかったらいしよししか書かないような人間ですので。w
いい経験だと思っています。w
こんな作者にリクエストしていただきありがとうございます。

>32さん
(T▽T)ピーンチ!!
リクエスト了解いたしました!
今、しばらくお待ちください!!

91 名前:extra 投稿日:2004/04/22(木) 08:39
>カモノハシさん
初めまして!読んでいただき嬉しく思います。
更新できるときはさっさと更新しちまえ!作戦です!w
更新ペースにムラがあると思いますがお付き合いください。

>名無し読者さん
テッド・バンディではないですよ。
バンディはあまりにも有名ですよね。某ヒット映画のモデルにもなったくらいですから。
今回は他のアメリカの犯罪者の言葉をガキさん風にしたものです
実際の言葉ですと、少し分かりづらいかなとも思いましたので。
でも、よく気付いてくれまいした!!

それでは、朝からの更新です。
92 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:40
         
93 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:40
           
94 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:41
『吉澤っ!あんな何やってんの!?全く携帯繋がらないじゃないの!?』
電話越しの保田の怒鳴り声。
「石川さんは?そこにいる?」
『は?いないわよ!そうよ!石川も石川よっ!『現場に行きます』とか訳分からないことを言って飛び出して行ったきり、連絡がないのよ!!』
吉澤は親指で前歯をコンコンと叩く。
「保田さん、今すぐ。今すぐです。辻の母親の家に行ってください。」
『は?辻?!』
「多分、石川さんが初めて担当した事件。」
『あー、あの子のね。でも、どうして?』
「行けば分かります。」
吉澤はコンコンと小刻みに鳴らす。
95 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:41
『吉澤?何を焦っているの?』
保田の声に吉澤は動きを止める。
「別に焦ってなんかないです」
穏やかな声で話す吉澤。
『焦らなくても大丈夫。石川に何かあったとしても、あの子もちゃんと訓練受けているんだから。』
吉澤は小さく息を吐く。
「…キャリアですもんね。」
保田が小さく笑う声が聞こえる。
それにつられて、吉澤も微笑みを浮かべる。
「じゃあ。よろしくお願いします。よしざーもちょっと動くんで、連絡できないと思います。」
吉澤は電話越しにも関わらず、頭を下げ、電話を切る。
「落ち着けか…。焦ってんのかね?よしざーは。さて、久しぶりのかくれんぼ、気合入れなきゃなぁ」
吉澤は髪をかき上げる。
96 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:41
97 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:41
「あいぼん、まだかなぁ〜?」
辻は1人では大きすぎる部屋で椅子を揺らす。
口の中が渇いているのか、何度も何度も唾液を飲み込み、ゴクンという音をたてる。
何度か同じ動きを繰り返した後、辻は焦点の合わない目を閉じる。
「あーあ。遅すぎ…。他にもおもちゃ作らなきゃかなぁ…?」
辻はポッケからドロップの缶を取り出し、何度か振る。

カラン、カラン。
98 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:42
99 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:42
倒れている石川を見下ろす加護。
「のののお気に入りじゃなかったらな…」
加護は手の中にあるナイフを石川に向ける。
「なぁ?ガキさん、どうしたら血っていっぱい集めることできるん?」
加護の言葉に新垣は口元を歪ませる
「ん〜、どないしよか?なんか、前のじゃ大して集まらないやん?のの、あれじゃあ足りんやって。」
加護は、石川の全身を舐めるように見つめる。
「とりあえず、動脈とか狙えばええんかな?ほら、映画とかでピュ−っておもろいくらいに出るやん?」
加護の言葉に新垣は微笑む。
「ピュー ピュー ピュー…」
狂ったテープのようにそこだけを繰り返す新垣。
「なんや気に入ったんかい?ほんじゃ、やろか?」
加護はナイフを振り下ろす。
100 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:42
101 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:42
ピュー ピュー
102 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:42
103 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:43
「よぉ!現代っ子たち、こんな時間にこんなに集まって何か楽しいことしてるね?」
ゆったりと歩いてくる吉澤。
吉澤の声に反応して、一斉に声の方向を向く子供達。
加護は、石川に振り下ろそうとしたナイフを吉澤に向ける。
「あん時の姉ちゃんか。」
「覚えててくれたんだ?よしざー感激だなぁ!」
わざとらしく、胸の前で手を組む吉澤。
「邪魔せんでくれる?あんたはバカな大人とは違うやろ?」
吉澤は加護とある程度の距離をもって、止まる。
吉澤を取り囲む黒い布をかぶったままの子供。
「X団みたいだ。」
吉澤はグルっと周囲に視線を動かし、少しだけ笑う。
104 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:43
105 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:43

吉澤に言われたように、辻の母親の家に向かうため保田は地下の駐車場に向かう。
「あれ…?」
出かけたはずの石川の車が目に入る。
保田は車に走りより、中を覗きこむ。
シートについている赤い大きな染み。
「ちょ、ちょっと…どうなってるのよ…」
保田は口を手でおさえる。
保田は急いで自身の車に乗り込む。
「吉澤が焦るのも無理はないわね…」
106 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:43
107 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:43
「なぁ?何でここが分かったん?」
少しづつ吉澤に近づく、加護と小さな影。
「簡単。バカと煙は高いとこが好きだって決まってる。それに、人を運ぶのに車を使えないとなれば、近場となる。」
吉澤はニコッと笑う。
「でも、これでも色んなビル探したよ。でも、子供が侵入できるなんてとこはここだけ。それに、よしざーもここを選ぶ。」
吉澤は地面に向かって指をさす。
加護と新垣が顔を合わせ、小さく微笑む。
「あんたも人を殺したいって顔してるわ」
108 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:44
109 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:44
「石川!!!!!石川、いるの!?返事しなさい!!!!」
保田は大声を上げながら、ドアをノックし続ける。
返答はない、真っ暗な部屋。
保田は不審に思いながらも、ドアノブをひねり中に入る。
部屋に入って目に入る倒れている女性。
「…っ!!石川っ!?」
駆け寄り、体を抱き起こす保田の目に飛び込んでくる、真っ赤な笑みを浮かべた顔。
反射的に体を離し、あとずさる。
ゴンっという音をたてて、物のような音で床に戻る女。
驚いている保田を見て、笑みを浮かべているような光景。
「…ぃゃ。いやぁーー!!!」
金きり声をあげる保田。
手だけで這い、壁まで行き、顔を女からそらす。
「お願い、見ないで!見ないで!見るな!見るなぁぁああああああ!!!!!!!」
110 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:44
111 名前:empty 投稿日:2004/04/22(木) 08:44
112 名前:extra 投稿日:2004/04/22(木) 08:45
こんなところです。ではでは、次回更新時にまた。
113 名前:Sa 投稿日:2004/04/22(木) 11:08
更新お疲れ様です(ペコリ)
短い言葉で、ここまで臨場感を出せるなんて素晴らし過ぎです!
もう映画を見てる様で・・・
初レスなのでチョイ古ですが、個人的には53の前半が一番怖かったですっ
これからもガンガン行っちゃって下さいませ!!!
コソ〜リと付いて行きますんで(w 長文失礼致しました〜
114 名前:85@zero 投稿日:2004/04/22(木) 17:07
更新、お疲れ様です。
怖いけれどお邪魔せずにいられないカラダになっちゃいましたw
淡々と流れて行く日常のエアポケットに紛れ込んだ感覚です。
それとリクは図々しく2回目なんで、後回しでも全然OK牧場です!
次回もまったりとお待ちしております。
115 名前:ガイ 投稿日:2004/04/22(木) 23:28
更新お疲れ様でございます。
何だか今日のラストがとても恐ろしくカンジました・・・

作者様のペースでまったり書いてくださいね。
それでは、次回も待ってます!
116 名前:62の名無飼育 投稿日:2004/04/23(金) 01:20
更新お疲れさまです。

凄い!!!

この一言でございます。
どんどんと引き込まれていってしまいます。
次回も楽しみに待たせていただきます。
117 名前:89 投稿日:2004/04/23(金) 01:51

そうだ、テットバンディじゃなかった・・・凹

名前は思い出せないけど確か彼は精神を病んでたんですよね。
鍵が掛かっていないうんぬんは本を読んで衝撃を受けたんで
憶えています。なんにせよ快楽殺人は奥が深い。これからも楽しみに
しています。
118 名前:extra 投稿日:2004/04/23(金) 15:53
>Saさん
初レスありがとうございます。
作者としましても、Saさんの小説の先が気になる次第です。
臨場感を感じていただいたみたいで、感激です。
これからもコソーリと言わずに見守ってください。

>85@zeroさん
エアポケットですか!?
それはまた嬉しい限りの言葉です。w
全く毎日の癒しになるような小説ではないですが、楽しんでいただければ幸いです。
確かに彼女が一番怖いかもしれないですね。w

>ガイさん
前回のラストと言いますと、ヤッスーですね。w
ヤッスーには、本当に迷惑をかけまくっているこの小説であります。
でも、彼女は立ち直りも早そうなのでこれからも迷惑をかけ続けると思います。w
待っていただける方がいる限り、頑張りますよー!これからもよろしくお願いします。

119 名前:extra 投稿日:2004/04/23(金) 15:56
>62の名無飼育さん
凄いだなんて嬉しい限りです!
ありがとうございます。引き込まれていただけましたか?
毎度、毎度、そうゆう話を書いていけたらと思います。
待っていただきありがとうございます。

>89さん
そうですね!今回、使わせてもらった彼は精神分裂病でした。
快楽殺人は本当に奥が深いですね。
私は、テットバンディは好きです。w
これからも彼らに負けない話を書いていきたいと希望していますので(あくまで希望)
よろしくお願いいたします。
120 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 15:57
         
121 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 15:58
         
122 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 15:58
「それはちょっと違うかな?」
聞き取れるか聞き取れないか微かな吉澤の声。
吉澤は指で自身の唇をなぞる。
「はぁ?何言うとるん!?邪魔せんで、このまま帰ってや。」
加護はナイフを吉澤につきつける。
それと、同時にまた一歩吉澤に近づく黒い布達。
「もし、邪魔したら?」
吉澤の顔には、付けたような笑み。
「殺すわ。」
迷うことのない加護の言葉。
『血が見たい』
『血を!血を!』
『苦しめ』
『バカな大人』
呪文のようにくぐもった声が吉澤を埋め尽くす。
123 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 15:58
124 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 15:58
保田は震える体を抱え、外へ飛び出す。
「落ち着け、落ち着くのよ…」
自分に言い聞かせ、深呼吸をする。
大きく保田から零れる息。
「…笑えるわけないじゃないの」
保田は携帯を取り出し、部下に連絡を取る。
125 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 15:59
126 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 15:59
「1つ聞いてもいいかな?」
吉澤はニッコリと加護に向かって笑みを見せる。
加護はただ吉澤を威嚇するように睨むだけ。
「何でこんなことをするの?大切な親友のため?」
「うるさい。説教なんか聞きとうない!」
吉澤は頭を掻く。笑顔をという仮面をつけたままの吉澤。
「あの子が君に何かしてくれた?
 あの子は、君の何?
 あの子は、特別?」
吉澤が話しかける間、加護は下を向く。
「うるさいわ!ののはな、力をくれんねん!空をも飛べるくらいのな!それに!」
「それに?」
顔を上げ、吉澤にナイフを突きつける。
127 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:00
「唯一、うちを認めてくれた人や。大人が親が否定し続けたうちをな!!」

吉澤は、ゆっくりと歩く。
加護は、歩いてくる吉澤に反応し、体を硬くする。
しかし、吉澤はそんな加護を通り抜け、新垣の前に立つ。

「君からだよね?うちのパソコンに熱烈なメッセージを届けてくれたのは。」
新垣は、吉澤の問いに答えることはなく、ただ携帯に何かを打ち込んでいく。
吉澤は少しだけ肩をすくめ、携帯を新垣から奪う。
「話す相手は、ここ。携帯の先なんかには誰もいない」

吉澤はニッコリと微笑み、手を伸ばし携帯を上から落とし、踏みつける。
部品が散乱し、アスファルトに模様をつけていく。
128 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:00
「何しと…!!」
「ぁぁ…ぁあああああああああ!!!」
加護は何かを言う前に、屋上の小さな世界に新垣の叫び声が響く。
新垣は、アスファルトにかがみこみ、必死に壊れてしまった携帯をかき集める。
「まるで、自分のパーツみたいだね」
吉澤は穏やかに微笑んではいたが、目は凍っていた。
凍った目のまま、小さなうめき声のようなものを上げながら、携帯をかき集める新垣を見つめる。
129 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:00
130 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:00
「保田さん、これって…」
応援にきた、部下の目の前に倒れこんでいる女。
「そうよ。あのパソコンのよ…」
保田は顔を背け、一切女の方には目を向けない。
「アクセス先を調べます。」
部下はそう言うなり、家を飛び出す。
死体処理が済んだ後も、床に残る女の影。
「影さえも笑っているように思えてくるわ…」
保田はそう呟き、髪をかき上げる。
131 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:00
132 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:01
ノックが止み、小川はそっと耳にあてていた手をはずす。
体は未だに震えてはいたが、どうしてもドアの外が気になって仕方がない。
「…吉澤さぁん…」
鍵穴から覗くと、いつもの廊下でしかなかった。
耳をすましても、何の音も聞こえないドアを小川はゆっくりと開ける。
何もない、誰もいない。小川の緊張の糸が切れた瞬間、小川の視界が真っ黒に染まる。
「…っ!!」
息が止まる小川。
133 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:01
134 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:01
「ガキさん、しっかりしい!!」
加護はうずくまり、体を揺らしながら、うめき声を上げる新垣の肩を掴む。
「あぁぁ…ぁぁぁ」
新垣の視界には、壊れた部品しか映らない。
小さな手のひらにいっぱいのどこのかも分からない部品を抱え、新垣は揺れる。
「完璧な世界だったのにね。こんなにも簡単に歪みができる」
吉澤の冷静すぎる声に加護は顔を上げる。
「もう…あかん。あの姉ちゃんの前にあんた殺す」
興奮にざわめきたつ、小さな世界。
「あんた、うちと同じ人間やと思とった。判断ミスや。賢い人やと。ちゃうみたいや!」
「だから、よしざー言ったじゃん。ちょっと違うってさぁ」
加護のナイフを握る手に力が入る。
その様子は吉澤はまるで愛しい者を見るかのように目を細める。
135 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:01
136 名前:empty 投稿日:2004/04/23(金) 16:02
137 名前:extra 投稿日:2004/04/23(金) 16:03
では、また次の更新で!
感想・批判なんでもお待ちしております。
138 名前:85@zero 投稿日:2004/04/23(金) 21:30
更新、お疲れ様です。
怖いんだけど、今回はとてもせつない想いがしてます。
罪深さとは何なのか・・
昏睡状態(?)のあの人と、小川助手の身の安全が何気に心配です。
固唾を飲んで見守らせていただきます。
139 名前:ガイ 投稿日:2004/04/24(土) 00:30
更新お疲れ様です!
ラストはヤッスーでしたか。。。

そして今回はうわ〜!
どうなってしまうのでしょう!?
気になって夜眠れません・・・
140 名前:89 投稿日:2004/04/24(土) 01:56

自分はテットバンディよりジャック・ザ・リパーの方が興味がありました。
結局真相が解明されて拍子抜けしましたが・・・

快楽殺人についてはここでは多くは語れないですねw
141 名前:62の名無飼育 投稿日:2004/04/24(土) 14:36
更新お疲れさまです。

うーん、今回も凄いです。
短い文でも伝わるというか、
無駄なものを一切そぎ落としたような文で、
それが想像を掻き立ててより一層物語を膨らませている感じです。

とても勉強になります。
これからも頑張って下さい。
142 名前:名も無き読者 投稿日:2004/04/25(日) 11:17
更新乙です。
うっひゃ〜!!
ドキドキですw
続きも楽しみにしてます。
143 名前:000 投稿日:2004/04/26(月) 13:38
>>149
すいません。
ジャック・ザ・リパーの真相って解明されたのですか?
良ければ教えて下さい。
作者様お邪魔をしてすみません。
144 名前:extra 投稿日:2004/04/26(月) 16:39
>85@zeroさん
そうですね、作者自身も今回はいつもと話が違うなぁ〜と考えながら書いています。
しかも、展開速すぎかも!と心配をもしています。
もし、読んでいて意味不明であればつっこんでください。

>ガイさん
眠れぬ夜を過ごしていただいたのでしょうか?w
更新遅くなってしまってすいません。
ラストをどうしようか悩んでいまして、まぁ、最初の構想通りにいきます。w
お付き合いください。

>89さん
ジャック・ザ・リパーも興味深いですね。
どっちにしても快楽殺人者は、上手いことを言うなぁというのが作者の感想です。
名言(迷言)をあげれば数え切れないですよね。
そんなとこに惹きつけられてしまっています。w
145 名前:extra 投稿日:2004/04/26(月) 16:43
>62の名無飼育さん
いやいや、短い文なのは、語彙の少なさと表現力のなさの結果です。
もう恥ずかしい限りです。
『勉強になります』と書いてありましたが、何か作品を書いているのですか?
もし、書いているのであれば、教えていただけると嬉しいです。

>名も無き読者さん
続きを楽しみにしていただいてかなり嬉しいです。
本当に今回はいつもと変わった感じの話になってしまって、ついてきていただけるか不安な部分が
あります。
その言葉がかなり支えになります。ありがとうございます。

>000さん
いや、いいですよ!気にしないでください。
私、自身そうゆう話は好きですので。
ってなわけで、89さん、よろしくです。w

ってなわけで、今回。
146 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:43
        
147 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:44
          
148 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:44
「おばんです。あんたが助手の小川ちゃんかい?」
小川はゆっくりと視線を上げる。
「こんな時間にごめんな。吉澤の主治医の平家言うんやけど。」
長いストレートの髪に優しい笑み。
小川は、泣き出してしまう。
「お、おい!どないしたん?」
急に泣き出した小川に慌て、平家は少しだけかがみ、小川の髪を撫でる。
149 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:44
「なんか怖いことでもあったんか?」
吉澤とはまたタイプの違う落ち着いた声が小川に染みていく。
その声に何度もうなづく小川。
「そかそか。とりあえず、中に入れてくれるか?ここで、あんたが泣いてるとあたしが泣かしたみたいやん?」
笑顔で小川の髪を撫で、小川が少しだけ落ち着いたのを確認すると、小川の肩を抱き、中に入っていく。
ゆっくりとドアが閉まる。

無数の手跡が白いドアを埋め尽くしていた。
150 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:44
        
151 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:45
「ねぇ?それの使い方知ってるの?」
吉澤は口元に笑みを浮かべ、加護の手の中で震えるナイフを指さす。
「あんたも殺したそうな顔しとる…」
加護は吉澤の質問には、答えず口の中で何度も何度も同じ言葉を繰り返す。
吉澤は少しだけ肩をすくめ、ナイフをつきつける加護に近づく。
「だからさー、それちょっと違うんだって。」
吉澤はゆっくりと微笑んだと思うと、加護の手首を掴む。
「な、なにすんねん!?」
手首をおさえられ、抵抗をしようとする加護。
吉澤はニッコリと微笑み、ナイフを加護の首筋につける。
152 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:45
「よしざーが殺したいのは、自分自身だよ」
首筋にあたる冷たい温度に加護の顔色は消えていく。
加護の手の力が抜けたことで、吉澤の手にわたるナイフ。
「THE END。途中までは完璧だったね。よしざーは、好きだよ。こうゆう世界。」
吉澤は目を細め、手の中にあるナイフで加護の太ももを刺す。
「…っ!!!!」うずくまる加護。
「世界は矛盾すぎるよね。だから、成り立ってるんだ」
吉澤は手についた赤い血を愛しそうに舐める。

「ガキさん!!やめい!!!!」
赤く染まる足をおさえながら、加護が叫ぶ。
その瞬間に吉澤の体が大きく揺れる。
153 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:45
154 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:46
大人たちが、私たちを透明にしました。
透明な私たちの叫びは聞こえない
泣いて叫んでも、怒りに狂って叫んでも、無意味。
だから、捨てる。
大人も世界も胸の痛みも…。
155 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:46
156 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:46
「のの!のの!!!!」
加護は狂ったように携帯に向かって叫ぶ。
『あいぼん、どうしたんれすか?』
不気味なほどに冷静な辻の声。
「苦しいんや!熱いんや!!助けて!助けたってくれ!!」
加護は自身の足から流れ出る血を止めようと必死になる。
『…そんな感情は必要ないれす。』
携帯のせいか、それとも辻の声のせいか。
あまりにも無機質な音声。
『あいぼん、そんなのは投げてしまえばいいのれす。全部まとめて捨ててしまえばいいんれす』
加護は、耳に携帯をつけることもせず、自身から流れる血を見つめる。
157 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:46
「…ガキさん。」
真っ赤な手のまま、壊れた携帯を大切そうに抱える新垣。
「空、飛ぼうか?」
158 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:46
159 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:47
体を揺らす心地よい揺れに石川はゆっくりと目を開ける。
「…よ…しざわ…さん?」
石川の頬を撫でる銀色の髪。
「よしざーは、動くなって言ったはず。」
吉澤の怒っているような声に石川は吉澤の首に手をまわす。
「…ごめんなさい」
小さい石川の謝罪。
「まぁ、ジッとしているとは思わなかったけど。」
吉澤は石川を抱き上げている手に力をいれる。
力を入れられた拍子に石川の手は吉澤の首から背中に落とされる。
ネチャとした感触。
生暖かい温度。
吉澤の背中越しに見る自身の手が赤く染まっている。
160 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:47
「いしかーさん、何も言わないでね。」
吉澤はしっかりと前を見たまま、石川を抱き上げ、そのまま歩き続ける。
「吉澤さん!これ!!!」
「少しだけ熱い。ただそれだけ。もう少しで家に帰れるから」
吉澤は優しく目を細め、石川はそれ以上は何も言えなかった。
ただ吉澤を抱きしめる石川の手に力が入る。
161 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:47
162 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:47
「「「「「せーの!!!!」」」」」

ビルの屋上から聞こえる場違いな子供の声に下を歩く大人たちは顔を上げる。
「ここまで来て、やっとかい」
鼻で笑うような加護の声。
空から降ってくる子供たち。
鈍い音をたてて、アスファルトに吸い込まれる。
163 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:48

夜の街を彩っていく叫び声。痛みに震える声。
その中の1人がゆっくりと立ち上がる。
「だ、大丈夫か!?」
周りを取り囲む大人たち。
明らかに腕がおかしな方向に曲がり、片足は地についてはおらず、ダランと体からぶらさがっている。
しかし、少女の顔には、笑みがあった。
「うちを…うちらを認めてください。透明にしないでください。」
鼻から出る血を手で拭い、笑顔を見せ、少女は倒れる。
164 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:48
       
165 名前:empty 投稿日:2004/04/26(月) 16:48
         
166 名前:extra 投稿日:2004/04/26(月) 16:49
そうゆうわけです。
では、また次回更新で。
167 名前:プリン 投稿日:2004/04/26(月) 16:51
更新お疲れ様ですm(_ _)m

リアルタイムキタ━(゚∀゚)━!!
ちょうど、覗かせてもらいましたら、更新していたですw
嬉しいぃ〜♪

・゚・(ノД`)・゚・。切ないね・・・(ぇ
吉澤さん!頑張れ!
続き待ってます!
168 名前:名も無き読者 投稿日:2004/04/26(月) 17:45
更新乙です。
うぅ・・・、覚悟はしてましたが切ない。。。
ジャック・ザ・リッパーは真相解明はキツイんじゃないですか?
色んな説が出て学問にまでなってる位ですし・・・。
って、でしゃばり過ぎですね。申し訳。。。
ラストも楽しみにしてます。
169 名前:85@zero 投稿日:2004/04/26(月) 18:55
更新、お疲れ様です。
う〜ん、もはや言葉が出ないです・・すごく複雑な想いがしてます。
かつて奴隷制度があった時代の「不自由な自由」「自由な不自由」という
言葉をふと思い出しました。
「許容」というのはかくも大切なことなのかと実感する今日この頃です・・
170 名前:ガイ 投稿日:2004/04/26(月) 22:00
更新お疲れさまです!
眠れぬ夜を過ごしてしまいました(笑)

こ、この先どうなってしまうのでしょう!?
私の眠れぬ日々はしばらく続きそうです。。。
171 名前:89 投稿日:2004/04/27(火) 01:59

更新おつかれさまですw

で、ジャック・ザ・リパーの一番有力な真相ですが、
殺されたのが全員娼婦だったのは有名ですが実はその
殺された娼婦全員繋がりがあったんです。これはある
警察官が辿り付いた真実なんですけど、その当時は
もみ消されてしまったそうです。それから何十年かして
関係者が信憑性と辻褄を持って証言しています。
あまりに長い話しなのでうまく短くまとめられませんが、
実行したのは王族に依頼を受けた医者だということです。
キーワードは『隠し子』

172 名前:extra 投稿日:2004/04/27(火) 02:50
>プリンさん
本当にリアルタイムでしたね〜!作者も嬉しい限りです!
なんだか切ない感じになってしまい申し訳ないです。
これでも、作者はヨンキーズをかなり愛しております。w

>名も無き読者さん
なんだか、みんな興味が同じようですね!w
って、こんなにも倒錯した話だとそうかもしれないですね。
切なくするつもりはなかったのですが、なんとなく話の流れで…。
最初はハッピーエンドも考えていたんです。

>85@zeroさん
「不自由な自由」「自由な不自由」については難しいですよね。
今はすごく便利な世の中ですけど、その代わり必要のなかった決まり事ができるわけで。
どちらがいいなんて言えませんが。
「無理解」というのも、今のバーチャルな世界では必要かもしれないですね。
「理解」=「詮索」になってしまう事も多々ですので。
173 名前:extra 投稿日:2004/04/27(火) 02:56
>ガイさん
眠れぬ夜も今日で最後でございます。w
いや、最後にしたくないのが本音なわけですが…。w
最終話、かーなり短いですが楽しんでいただけると幸いです。

>89さん
説明ご苦労さまです。
任せてしまってすいませんでした。
王室絡みは作者も知っていましたが、隠れ子は知りませんでした。
まだまだ勉強不足ですね。フロムザヘルでも借りてみようと思う今日この頃です。w
ちなみに米国人作家がある画家を犯人と断定したこともありましたね。
DNAがいくつかジャックと一致したってのも興味深いです。

長くなってしまいましたが、この手の話にはつい熱くなってしまう作者をお許しください。
ってなわけで、今回。
174 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:56
175 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:56
176 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:57
「んで、吉澤はどこに行ったん?」
小川をソファに座らせ、平家は膝を床につき、小川の顔を覗き込む。
小川は震える手でパソコンを指差す。
起動されたまま、文字だけを映すだすパソコン。
平家は立ち上がり、パソコンに近づく。
「これ見て、あのアホはどっかに行ったゆーことか?」
平家の言葉に小川は何度も頭を上下に振る。
平家はパソコンの前に座り、手の上にあごを乗せ、パソコンとにらみ合う。
「ほんまに笑いたいのは、書いてる本人やなぁ」
平家は細長いタバコを取り出し、火をつける。
177 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:57
178 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:57
ドンドン!!

ドアを思い切り叩く音。
小川は反射的に耳をふさぐ。
平家は小川の様子に目を見開き、ドアの方を見る。
179 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:57
180 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:57
ドンドン!!
181 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:58
「開けて!まことちゃん!!」
必死で叫ぶ石川の横でドアにもたれ、座りこんでいる吉澤。
何度もドアを叩くが中から反応はない。
「どうしよう…」
石川は自身の親指の爪をかじる。
横では吉澤の息が荒くなっている。
「おがぁわぁぁ!!」
吉澤がうつむいたまま、大声を出す。
その大声が吉澤のものではないように感じ、石川の体がビクっと反応する。
182 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:58
183 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:58
ガチャ

小さくドアが開く。
「なんや、吉澤なら早く言いよ」
184 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:58
185 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:58
「あーあ、おもちゃ壊れちゃった」
残念そうな辻の声。
「って、ののが自分で壊したんだっけ。」
膝を抱え、クスクスと肩を揺らす。
興奮気味のアナウンサーの声。
『この事件の真の加害者は?』
テレビの先の顔を見合わせたことのない無数の人たちに疑問符を投げかけるアナウンサー。
「バカだなぁ。透明が嫌なら、周りを透明にしちゃえばいいのに。」
抱えた膝に顔をうづめ、辻の肩は再び大きく揺れる。
186 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:58
187 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:59
「あれー、へーけさん?どうしたの?」
吉澤は顔をドアの方に上げる。
「どうしたんって自分こそ、何でそないなとこに…」
平家が吉澤に触れようとすると、その間に石川が入る。
「平家さん、お願いします。」
「ん?はぁ?何言うとるん?」
平家は少しだけ首をかしげる。
「へーけさん。よしざー、そろそろ限界かも。背中が熱すぎる」
吉澤はそう言うと、また壁によりかかり、空を見上げる。
「出血がすごいんです。」
石川の乞うような視線。
平家は吉澤の腕を持ち上げ、無理やり部屋の中に入れる。
188 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:59
189 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:59
平家は吉澤をベッドにうつ伏せで寝かせる。
「自分ら出て行き。そっちで待ってて」
平家はそう言い、落ち着きをなくした石川と小川を追い出す。
平家はゆっくりとベッドに近づき、吉澤の傷にふれる。
「…っ!!!」
声にならない叫びをあげる吉澤。
「何で病院に行かなかったん?うちがここにおらんかったらどうするつもりやった?」
責めるような平家の言葉に吉澤は小さく笑い声を漏らす。
「刺し…た子…空飛んだんですよ…」
切れ切れな吉澤の言葉。
平家は眉間に皺を寄せ、処置を始める。
190 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 02:59
「しみるけど、我慢しーよ」
消毒液を傷口にかけると、吉澤は眉をしかめ口を一文字に閉じる。
「へ…けさん。今回ね、思い…出しちゃいました」
息を吐きながら、話を始める吉澤。
「似て…るんです。」
吉澤の腰を持ち上げ、包帯を通し、止血のために力いっぱい締める。
「誰にや?」
「ごっちんとよしざーに…。それ…に柴田にも」
平家は小さく息を吐き、吉澤の髪を優しく撫でる。
「少し眠り。起きたら、ゆっくり話そう。」
191 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 03:00
192 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 03:00
見たくないものならば、見なければいい。
そのために目を潰す。
聞きたくないものならば、聞かなきゃいい。
そのために耳を潰す。
話したくないことならば、話さなきゃいい。
そのために舌を噛み切る。
それでも、何かを感じてしまう。

                    自分以外の全てを消してしまえればいいのに。
193 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 03:00
194 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 03:00
「「吉澤さんはっ!?」」
部屋から出てきた平家にかけよる小川と石川。
「眠ったで。なぁ?石川、話聞かせてくれるか?」
平家は吉澤の血で汚れた手を丁寧に水で流す。
「今回の子、どないな子だったん?」
平家は視線を真っ直ぐ石川に向け、不器用な笑みを作る。
笑顔を作ろうとして、上手くできなかった中途半端な笑み。
195 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 03:00
196 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 03:01
辻は小さく笑い、パソコンの前に座る。
まるで見えているかのように、掲示板に書き込んでいく辻。

『世界を変えてみませんか?N・T』

自殺掲示板と赤く書かれた掲示板に書き込まれた文字。
辻は、ドロップの缶を揺らす。

カラン…カラン…

パソコンの前で小さな影が無数にうごめく。

              カラン…カラン
197 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 03:01
           
198 名前:empty 投稿日:2004/04/27(火) 03:02
empty end…
199 名前:extra 投稿日:2004/04/27(火) 03:04
とりあえず、emptyはこれにて終了。
え!?と思われた方もいると思いますが、終了です。
解説が必要ならば解説いたしますm(__)m

次回からよしざーさんの過去について。
お付き合い頂ければ幸いです。
200 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/27(火) 03:07
え!?
と思いました
201 名前:ヨッスィのタマゴ 投稿日:2004/04/27(火) 03:54
お疲れ様です。
次回のよしざーさんの過去が知りたかったんで楽しみです。

遅ればせながら「光」読みました。unconditionalがめっちゃおもしろかったです。
あんな感じが1番すきなんですが、zeroもおもしろいです。
トイレに1人で行けなくなるかもしれないけど。
202 名前:62の名無飼育 投稿日:2004/04/27(火) 05:14
更新お疲れさまです。
やはり作者様の文は深いです。
いつもいつも惹きつけられています。

これに比べると自分の作品など・・・・・・
名前を出すのも恥ずかしいですが、もしよろしければ見てやってください。
人様のスレに自分の作品を挙げるのもどうかと思いますのでメール欄に
書いておきます。

これからも楽しみにしておりますので頑張ってください。
長文、失礼致しました。
203 名前:32 投稿日:2004/04/27(火) 12:12
え!?と思ってしまいました(笑)
ついに過去ですか!次の更新が、なんま楽しみです。
204 名前:85@zero 投稿日:2004/04/27(火) 14:14
「empty」、完結お疲れ様です。
う〜む、ラストはこう来ましたか・・
今までで一番「吉澤探偵事務所」らしいかなって気がします。(意味不明)
否定が肯定を生み、またその逆も然り。世界は不思議なモノですね。
(T▽T)< 人間って悲しいね
205 名前:extra 投稿日:2004/04/27(火) 15:44
>200の名無飼育さん
ん〜、何と言えばいいでしょうか。
期待を裏切ってしまったのであれば、本当にすいません。
次の話を書くのには、アソコで終わらせるのがベストでしたので。

>ヨッスィのタマゴさん
『光』を読んでいただけましたか。
あれは処女作でどのような方向の話が自分に合うか試行錯誤をしていた作品です。
unconditionalについては、いつか続編を書けたらと思っています。
その時は読んでいただけると嬉しいです。w

>62の名無飼育さん
ありがとうございます。今日にでも読んでみますね。w
私も誇れるような文才や多くの語彙・表現力を持ってはいません。
書く度に自分が嫌になっていますから。w
でも、書くことは楽しいですよね。お互いに頑張りましょう!

206 名前:extra 投稿日:2004/04/27(火) 15:49
>32さん
ん〜、解説も考えたのですけど、作者自体がダラダラ話をするよりも本編を
読んでいただければと考えました。
もう少しだけお付き合いください。

>85@zeroさん
そうですね、自由なのは彼女かもしれないですね。
作者のお気に入りキャラです。w
書きやすさと動かしやすさがポイント!
「吉澤探偵事務所」らしいという言葉嬉しかったです。
今回は小川さんオチがなかったので…w

んなわけで、さっさか始めます。
207 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:49
        
208 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:50
       
209 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:50
吉澤は夢を見る
傷の熱にうなされ、小さく儚い夢を見る。
小さく儚い夢が吉澤を形成し、支配をする。
210 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:50
        
211 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:50
「自分ら、吉澤の昔って知ってるんか?」
平家は、自身の指の間に挟んだタバコにジッと視線を落としている。
首を横に振る石川と小川。
平家は、何度か頭を縦に振る。
「うん。そか。」
「平家さん、後藤真希さんって知っていますか?」
石川は煙こしに平家の顔を伺おうとするが、平家がどんな表情をしているか誰かに聞かれても上手く答えることはできない。
「後藤真希か…」
指の間に挟んだはずの長く細いタバコは、存在意義である長さを失い消えかけようとしていた。
212 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:51
「吉澤さんの第二人格ですよね?」
石川の言葉に、平家はジッと石川の目を見つめた。
その瞬間、石川は酸素が薄く感じ、息苦しさを覚える。
「吉澤のスーパーマンや」
平家の指の間から零れ落ちる最後の存在意義の音が聞こえた気がした。
213 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:51
       
214 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:51
吉澤の目の前に現れた少年のような少女。
この子を自分自身だと認識するのに、少々時間を費やしてしまった事に吉澤は苦笑いをする
「ねぇ?吉澤さん。」
過去の自分に『吉澤さん』と呼ばれるのに少しだけ違和感を覚えたが、吉澤は上手く笑顔を作る。
「涙を流さないことは、悪?」
純粋と呼ぶには、少しだけ大人じみている過去の自分。
吉澤はポッケを探るが、タバコがない事に少しだけ溜め息をつく。
「みんなが気持ち悪いって言うんだ」
215 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:51
吉澤の耳を襲来してくる蝉の声。
夏なんだと認識する。
「おかしいのは、あたし?それとも、みんな?」
過去の自分は、不器用な笑顔を浮かべ首を横に傾ける。
「さぁ?みんな狂ってるんじゃないかな?」
吉澤は自身の発言に対して、大きな溜め息をつく。
背中が熱い。
「真希ちゃんと同じこと言うんだね」
過去の自分は嬉しそうに笑い、走り出す。

背中が燃えている。
216 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:51
         
217 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:52
「スーパーマン?」
平家の言葉を反芻する石川。
石川の隣で小川がのどを鳴らす。
「困ったら、すぐ助けに来てくれる。吉澤をいつでも受け入れてくれる。そんな人やったらしいで。」
「正義の味方…。」
小川が小さく言葉を発し、平家は何度かうなづく
「なぁ?正義の定義は?」
平家は目にかかる髪をうっとおしそうにかき上げる。
「…正しいことでしょうか?」
言葉を発し、石川は自身がひどく喉が渇いていることに気付く。
218 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:52
「ちゃうわ。小川ちゃん、お茶入れてくれへん?」
平家は今までとは違う笑顔を見せる。
小川は静かにうなづき、キッチンへ向かう。
火をつける音。
「大切なのは、正義だって暴力を使う。これは正しい?」
平家は首をかしげ、石川の目を見る。
「暴力そのものよりも、その方向と前途がはっきりしていること。そこに吉澤の望む結果があれば…」
平家は1つだけ息を吐く。

「悪でも正義や」
219 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:52
        
220 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:53
吉澤は小さく儚い希望を抱く。
『普通になれればいいのに』

自分を罵倒に蔑む愛すべき両親。
自分をもてはやす多くの大人。
誰が本当の自分を知っているんだろう?
むしろ、最初から自分なんてないかもしれないのに。

吉澤は小さく儚い希望を抱く。
221 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:53
        
222 名前:reason 投稿日:2004/04/27(火) 15:53
       
223 名前:extra 投稿日:2004/04/27(火) 15:57
番外編のようにしようか迷ったのですが、本編として扱わせていただきます。
お付き合いいただければ、これ幸い。

( `◇´)
224 名前:ガイ 投稿日:2004/04/27(火) 21:43
更新お疲れ様です。

今夜から熟睡出来るっ!
と思いきや、過去ですか・・・
またまた興味深い内容ですね。
これも続き楽しみにしてますね!
225 名前:85@zero 投稿日:2004/04/27(火) 22:38
本日2回目の更新、お疲れ様です。サクサク進んでいて嬉しいです。
なるほどこう繋がって来るんですね。深いです・・
「zero」の登場人物(レギュラー?)は全員好きなキャラなんですよね。
(ドクターのこのお方も結構好きなんですよ。声とか好きだし・・)
前作では、あまりのコワさに小川助手オチの存在を忘れてしまいましたが(?)、
今回は彼女の動きも注目ですw
226 名前:89 投稿日:2004/04/28(水) 01:44

更新おつかれさまですw作者様のお話しは自分のツボに
入りまくりなので毎日が楽しみでなりません。勿論
多重人格にも興味を持っております。是非一度熱く
語り合ってみたいものですね・・・
227 名前:名も無き読者 投稿日:2004/04/28(水) 17:30
更新お疲れ様です。
ついに過去の話ですか。。。
興味津々w
楽しみにしてまっす。
228 名前:extra 投稿日:2004/05/03(月) 19:36
       
229 名前:extra 投稿日:2004/05/03(月) 19:40
>ガイさん
続き楽しみにしていただいて、ありがとうございます。
もう作者自身、どうなるか分かりませんが、お付き合いくださいませ。
最近は、夜はちゃんと眠れていますでしょうか?w

>85@zeroさん
この話に出てくる方々は、私の好きな方々です。w
まぁ、好きなのに平気で殺してしまったりしますが…w
お付き合いいただけると嬉しいです。
今回ばかりは長くなるか、短くなるか検討もついてません。w
気を長くしてお付き合いくださいませ。
230 名前:extra 投稿日:2004/05/03(月) 19:42
>89さん
そうですね!一度熱く語ってみたいものです!w
今回の話もいくつか有名な犯罪から引っ張ってきたものもありますので、
探してみてくださいませ。
語れる日を楽しみにしております。w

>名も無き読者さん
はい、やっと過去です。w
この話が始まった時から、一番多くリクエストされていた過去ですがやっとですね。w
本当に申し訳ない限りです。
楽しんでいただければ幸いであります!

ではでは、今回。
231 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:43
        
232 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:43
        
233 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:44
世界が無関心であれば、自由になれるのに。


        世界が無関心であれば、自分になれるのに。
234 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:44
       
235 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:44
「後藤の怖いとこはな、無関心なんや」
平家は小川が入れてくれたお茶を大切そうに抱えると吐き出すように話を始める。
「なぁ?猟奇犯罪を担当しとるんやろ?」
石川は小さく頷く。
「あいつらの共通しているとこは、なんだか分かる?」
平家は少しだけ首をかしげて、しっかりと石川の目を見る。
「常に支配的であるという事でしょうか…」
石川の言葉に平家は小さく笑みをこぼす。
「まぁ、間違ってはおらん」
カップから溢れる湯気の中で平家の顔をしかめる。
「標的を、被害者を、物体化するんや」
236 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:44
         
237 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:44
暗い部屋。
汗ばみ、肌に絡みつくシャツ。
全てが鬱陶しく感じ吉澤はゆっくりと目を開ける。
「悲しくなんかない…」大きく息を吐く。
背中の鈍い痛みは断続的に続き、吉澤を不快感が襲う。
額の汗をぬぐい、自身の手を見つめる。
238 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:44
      
239 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:45
「早く殺せよ」

その言葉をきっかけに小さな吉澤の手に力が入る。
大きく鼓動する首に汗ばむ手。
「悲しい?」
吉澤は涙を流す。力の入った手は震え、視界がぼやける。
ぼやけた視界の中で吉澤を嘲笑うような父だった男。
両手を投げ出し、無抵抗。
「悲しい?悲しいのは、お前だ」
嗚咽をもらす父だった男。
「殺してやる、殺してやる…」
吉澤は呪文のように、自身に言い聞かすかのように何度も何度も繰り返す。
力の入った小さな手が血に染まる少しだけ前。
240 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:45
          
241 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:46
「後藤と吉澤は、全く正反対の人種や」
平家は立ち上がり、スプーンとナイフをキッチンから持ってきて、二人の目の前に出す。
「後藤がナイフで、吉澤がスプーン」
石川には平家が小さく笑ったように見える。
「多重人格障害のことを知っとる?」
「解離性同一性障害ですよね?」
平家の質問に小川は息をつく間もなく、すぐに答える。
小川の言葉に平家は目を細める。
「正解や。んで、症状は?」
平家はタバコを取り出し、火をつける。
242 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:46
「2人以上の人格をもっているってことでしょうか…?」
平家が最初の煙を吐き出すのを確認し、石川が口を開く。
「うん、そうやな。問題は、その人格。受身的で情緒的にも控えめな人格状態と支配的、自己主張的、保護的、または敵対的の人格状態。対照的な主要人格をもつことが多いんや」
平家はタバコを最初以外吸うことはなく、ただ赤く燃える先端を見つめる。
「基本人格は受身的な方とされてんのや。まぁ、今回だと吉澤の方やな。そんでな、基本人格と言うんは、第二人格の言動や行動の記憶が全くないと言われとる。第二人格においては、基本人格の記憶も持ってるんやけどな」
平家はタバコを一口吸っただけで、灰皿に乱暴に押し込む。
「つまり、吉澤さんは、後藤さんが何をしても記憶をもたないという事ですか?」
石川の手に力が入り、爪が白くなる。
243 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:47
        
244 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:47
吉澤は頭を横に振り、目を閉じる。
そして、小さく口を開け、上を見上げる。
「『お前』って誰…だ…?」
245 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:47
        
246 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:48
「そうやと少しはあいつも救われたかもな。いや、どうなんやろ…」
平家は手を伸ばし、石川の手に触れる。
石川の手の力は抜け、石川の手の甲に残る爪跡。
「吉澤の場合、両方の記憶を完璧に備えてるんや。これは、難儀やで。」
平家は目を細め、小さく笑う。
247 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:48
       
248 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:48
世界は、誰も救いはしない
249 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:48
        
250 名前:reason 投稿日:2004/05/03(月) 19:48
        
251 名前:extra 投稿日:2004/05/03(月) 19:50
更新遅くなってしまい、申し訳ないです。
しかも、短いですね。
申し訳ない限りです。文句も受け付けますので、よろしくお願いします。
252 名前:89 投稿日:2004/05/04(火) 02:06

文句はありません(笑

多重人格で有名な犯罪ってなると、
始めて世間で公に多重人格殺人が認められたあの事件でしょうか?
まず先を待ちつつ探してみますねw
253 名前:名も無き読者 投稿日:2004/05/04(火) 10:30
更新お疲れ様です。
文句って・・・元々早過ぎるんですよw

ん〜、しかしムツカシイ問題ですね。。。
続きを楽しみにしてます。
254 名前:62の名無飼育 投稿日:2004/05/05(水) 02:34
更新お疲れさまです。

自分も文句はありませんよ。
うーむ、ますます続きが気になります。
次回更新がとても楽しみです。
これからも作者様のペースで頑張ってください。
255 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/10(月) 11:25
256 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/10(月) 11:25
257 名前:名無し飼育 投稿日:2004/05/11(火) 07:33
次回更新が楽しみです。
258 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/06(日) 15:19
マターリお待ちしておりますよ!
259 名前:JUNIOR 投稿日:2004/06/07(月) 22:04
作者さん待ってます。
260 名前:なち 投稿日:2004/06/10(木) 21:33
保全します
261 名前:extra 投稿日:2004/06/11(金) 13:07
>89さん
更新遅れてしまい、申し訳ありません
事件はどの事件でしょうか?w
メール欄にでも書いていただけると嬉しいですw

>名も無き読者さん
更新遅れてしまい、すいません
そうですね
多重人格は広く認知されていますけど、難しい問題であると思います
お付き合いいただけると嬉しいです

>62の名無飼育さん
更新遅れてしまい申し訳ないです
楽しみにしていただき嬉しく思います
期待に応えられるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします

262 名前:extra 投稿日:2004/06/11(金) 13:11
>257の名無し飼育さん
更新遅れてしまい申し訳ございません
ageありがとうございます
楽しんでいただけると嬉しいです

>258の名無飼育さん
待っていていただけてすごく嬉しいです
ありがとうございます
楽しんでいただければ幸いです

>JUNIORさん
待っていただきありがとうございます
このような駄文ですがお付き合いいただければ幸いです

>なちさん
保全感謝と感激でいっぱいです
駄文でしかありませんがお付き合いいただければ嬉しくおもいます
これからもよろしくお願いします

では更新・・
263 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:11
       
264 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:11
         
265 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:12
かごめ かごめ
        籠の中の鳥は
いついつ出会う

       夜明けの晩に

             鶴と亀が滑った


      ・・・・
266 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:12
         
267 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:12
小さく微笑んだあと、平家は小さく息を吐く
「わかるか?私が言っている意味。」
平家の問いかけに2人は微動にもせず、ただ平家の目を見つめる
平家は小さく頷く
「どちらも主人格。」
268 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:12
       
269 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:12
吉澤は真っ暗な部屋で起き上がり、手の甲で汗を拭う
「吉澤ひとみ」
微かな声
小さく微笑み、頷く吉澤
「大丈夫。大丈夫…」
掌で自身の視界を覆い、また小さく息を吐く
270 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:12
         
271 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:13
「そんなことはありえないです」
石川のはっきりとした口調
小川は眉を八の字にし、小さく石川に同意をする
「ありえない?」
平家はタバコのフィルターを机でトントンと叩く
「先天性のものだということですか?例えば、双子が1人で生まれたというような・・・」
だんだんと語尾が小さくなっていく石川の自信のなさそうな声
平家はタバコをフィルターをテンポ良く叩き続ける
少しだけ俯き加減の平家から表情は読み取ることができない
「なぁ?自分ら、吉澤の過去を知ってるん?」
吐き出すような平家の声
「「過去…?」」
重なる石川と小川の声
272 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:13
          
273 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:13
吉澤はベッドに腰をおこし、背中に触れる
体中に響く痛みの感覚
「ごっちんも痛い?」
「痛い」
「やっぱり?」
「当然、痛いに決まってるじゃん どうしてよっすぃーは無理するかね?」
「さぁ?」
吉澤は小さく首をかしげる
嘲笑うような会話
吉澤の小さな声だけが部屋の中に広がっていく

「ねぇ?よっすぃー ごとー、まだ眠いの 少しだけ寝てもいい?」


             吉澤は小さく目を細める
274 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:13
         
275 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:14
後ろの正面


                  だぁれ?
276 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:14
      
277 名前:reason 投稿日:2004/06/11(金) 13:14
          
278 名前:extra 投稿日:2004/06/11(金) 13:15
パソコンを修理に出したままでこんな遅い更新になってしまいました。
本当に待っていただけて嬉しく思います

駄文でしかないですが
楽しんでいただければ作者は嬉しい限りです
279 名前:プリン 投稿日:2004/06/11(金) 16:50
更新お疲れ様です!!
お帰りなさいませっ!!
お久しぶりでやんすw

よっちゃんとごっちん・・・wドキドキw
なんか不思議な感じですな。
楽しんでますよwバリバリw(ぇ
これからも応援してるんで、頑張ってくださいね。
次回の更新も待ってます!
280 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/11(金) 18:29
更新キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!

吉澤さんの過去気になりますねぇ。
更新楽しみにしてます。
281 名前:名も無き読者 投稿日:2004/06/11(金) 18:38
お帰んなさい&更新乙彼サマです。
いや〜、その歌は怖い。。。
もうソコにあるだけで怖い。。。
でも相変わらず惹きつけてくれますねw
次も楽しみにしてます。
282 名前:JUNIOR 投稿日:2004/06/11(金) 23:50
お帰りなさいませです。
過去が気になるのですが、
結構怖い・・・・・・・・。
次も楽しみにしています。
283 名前:85@zero 投稿日:2004/06/12(土) 00:50
更新、お疲れ様です。そしておかえりなさいませ。
う〜ん、蒸し蒸しした梅雨に冷や汗が背中を伝いますね。
次回も楽しみです。
まったりとお待ちしてますので、マイペースで進めて下さいね。
284 名前:すかっしゅ 投稿日:2004/06/15(火) 22:18
おーお帰りなさい作者さん。
まったりと頑張ってください。
285 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/25(日) 12:29
ho
286 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/09(月) 00:03
まったりいつまでも待ってますよー
287 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/17(火) 21:26
ho
288 名前:extra 投稿日:2004/08/26(木) 11:50
本当に遅くなってしまってすいません

それしか言えません

これからもゆっくり更新していきますので、文句等も受け付けますw

よろしくお願いします
289 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:52
   
290 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:52
    
291 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:54
「私と知り合う以前のこと…?」
石川は自身の唇に指をあて、小さく声を発する
その問いかけに対し、小川は体を石川の方に向け
平家は小さく微笑みタバコを口にする

「知りたい?」

平家のこの問いかけに二人は頷きも首を横に振ることもしない
292 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:55
293 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:56
−あたしは 後藤真希だ


         (あたしは 吉澤ひとみだ)



−あたしは 強い


        (あたしは 弱い)



−あたしは 残酷


         (あたしは 優しい)



吉澤の耳には平家の小さく息を吐く音が聞こえる

「タバコ 今日は吸いたくないな」
294 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:56
    
295 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:58
「解離性同一人格の特徴として、新しい人格は作り出すもの。または過去の自身」

平家は諭すようにゆっくりと話を始める
二人は一瞬でも見逃す前と息をのむ

「吉澤の過去に確かに『後藤真希』は存在した」
「「え?」」

「後藤は吉澤にとってはヒーローで憧れでもあり、強く嫉妬もしていたし、強く後藤という存在を求めてもいた」

平家はそこまで話すと目と閉じ、額にこぶしにした手をあてる

「あたしが今から話すことは、ここで忘れてほしい」
絞りだすような平家の声

二人は黙って頷く
296 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:58
       
297 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:59
吉澤は何度か乾いた唇を舐める
目を閉じたまま 手探りにライターを引き寄せる
手の中で収まるライターを何度か火をつける

それだけの行為をただただ繰り返す

閉じた目の中に浮かぶ赤い光


「あの時、火をつけたのはあたしだね」

小さく笑う吉澤
298 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:59
         
299 名前:reason 投稿日:2004/08/26(木) 11:59
         
300 名前:extra 投稿日:2004/08/26(木) 12:00
また次回更新で

次はなるべく早くしますので。
301 名前:名も無き読者 投稿日:2004/08/26(木) 15:41
更新お疲れサマです。
お待ちしてましたよ〜w
いよいよ明かされるんですね。
続きも楽しみにしてます。
302 名前:JUNIOR 投稿日:2004/08/26(木) 21:30
待ってました!
あまり急がなくてもOKです。
続き楽しみにしてますね。
303 名前:一読者 投稿日:2004/08/26(木) 23:21
更新お疲れっス!

まーたいい所で区切るか!!(笑
ひたすらぬぼ〜っと待ってます。
304 名前:62の名無飼育 投稿日:2004/08/27(金) 00:38
更新お疲れさまでした。
わたしもお待ちしておりました。
ですがこれからも作者様のペースで頑張って下さい。
305 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/12(日) 06:50
306 名前:モンモ 投稿日:2004/10/30(土) 14:10
続きに期待
307 名前:1030 投稿日:2004/11/02(火) 18:41
楽しみにしてますw

凄くおもしろいです^^
308 名前:ueno2tari 投稿日:2004/11/03(水) 00:10
ageruna!!
309 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:14
  
310 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:15
    
311 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:15
覚えてるのは 火 熱 異臭 悲鳴

あたしのコートの中にまだある火がつかないライター
312 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:15
   
313 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:15
平家はうつむき、小さく話始める

「本当の後藤に会ったのは、あの子が15歳の時や」

平家の空気が緊張したものになり、石川の膝の上に置かれた自身の手にも力がこもる

「あの子への第一印象は賢い子。ほら、最近吉澤がかかわった事件でおったやろ?『高橋愛』だっけ?」

平家は人差し指を自身の額にあて、思い出したように話始める。
314 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:15
   
315 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:16
境界線が見えそうな草原 廃屋

2人の少女がたたずむ

吉澤のまぶたの裏に確かなビジョンが浮かび、吉澤は頭を何度も左右に振る



『ごとー、知ってるよ?』

冷たい印象を与える顔の少女が微笑を浮かべ言葉を吐き出す




震えだす吉澤の体

震えを抑えるために、吉澤は自身の体を抱きしめる。
その力に反発するように、震えは大きくなる

「・・・やめて・・・言・・・わないで・・・」


カタカタとなる吉澤の口の中
316 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:16
    
317 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:16
「ほら、高橋って子、学校では慕われていたらしいやん?後藤もあんな感じやな。後藤の場合は冷たい印象を与えるから人は寄ってこんけど、一目置かれてたのは確かや」

人差し指は未だに額に添えられている。
小川は落ち着きなく、クッションを抱え、何かを言い出したいがそれを飲み込むというような動作をみせる

「吉澤は、完璧な優等生やったな。スポーツも出来、愛想も良く、面倒見もいい。そう面倒見がよかったんや。それで後藤に声をかけた。いつも1人でいる後藤が気になったんやろうな」

小さく平家が笑う音が部屋の中に響く
318 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:16
   
319 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:16
カタカタカタカタカタカタカタ

止まれ・・・


シッテルヨ?


吉澤は手の中にある古ぼけたライターをドアに向って投げる
320 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:17
  
321 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:17
ガツン!!!!!
322 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:17
   
323 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:17
突然、ドアにぶつかる物音で3人は立ち上がる。

「吉澤!?」

平家が慌てた様子でドアに走り寄り、ドアを開ける

少し遅れ、石川と小川が平家の後ろから部屋を覗き込む


暗い部屋で頭を下げ、手はダランと力なく揺れている吉澤が目に入る

「よ・・・」

石川が声をかけようとすると、平家は石川の口を手でおさえる

ピクンと小さく反応する吉澤の体
324 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:18
 
325 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:18
「そうだよ、殺したのはよしざーだ・・・」
326 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:18
   
327 名前:reason 投稿日:2004/11/08(月) 04:18
   
328 名前:extra 投稿日:2004/11/08(月) 04:19
更新せずにすいませんでした

これしか言えません。

気長に待っていただきありがとうございます
329 名前:名も無き読者 投稿日:2004/11/08(月) 17:58
更新お疲れサマですっ。
おー、遂によっちゃんさんの過去が見えて来ましたねー。
や、作者様にも事情というものがあるでしょうからそんな気にしちゃダメです。
なにせ内容がグッドですからね♪
これからも気長に待つので作者様のペースでマターリ頑張ってくださいな。
でわ、続きも楽しみにしてます。
330 名前:JUNIOR 投稿日:2004/11/08(月) 23:11
更新お疲れ様です。
謎の過去がついに明らかになるのですね。
無理せずに作者さんのペースで更新してくださいね。
331 名前:1030 投稿日:2004/11/09(火) 23:08
更新お疲れ様でした^^
続き楽しみに待ってます☆
332 名前:名無し 投稿日:2005/02/18(金) 13:23
今日1から読みました。
世界に引き込まれる様な・・・・。
すごいです。続き待ってます。

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