桜の木の下で

1 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 18:35

初めまして。kといいます。
歌をもとにした小説を書きたいと思います。
なにぶん、初心者なので文章など分かりづらいところがあると思いますが
そこのところは、大目に見てやってください。
CPは最近、作者がはまっているあやみきです。
それでは、どうぞ。

2 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:00

= 桜の木の下で =

「 みきたーん、はやく、はやく 」
「 だー ちょっと待ってよ、亜弥ちゃん。荷物が・・・ 」
今日は久しぶりのオフ。めずらしく二人そろって丸一日休みをいうラッキーな日。
前からスケジュールを知っていた二人は朝から買い物をし、久しぶりに充実な一日を過ごしていた。

「 亜弥ちゃん、ちょ 休憩。ミキすっごい疲れた 」
「 えー みきたん体力なさすぎ。せっかくの丸一日のオフなのに 」
「…そりゃ 亜弥ちゃんは疲れないよね、ほとんど亜弥ちゃんの荷物ミキがもっているし‥ 」
ミキの両手にはたくさんの買い物袋。その半分以上が亜弥のもの
「 あっ ははは‥みきたんやっさしー 」
自分の立場が悪くなったとたんゴマをすりだす亜弥ちゃん。まー別にミキも慣れているからいいんだけどね

3 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:01

「 っていうか、マジ疲れたんだよね。亜弥ちゃんどっかで休もうよ 」
時間は昼を過ぎ、人もまばらな街並み。これなら混まずにすんなり店に入れるだろう。ミキは亜弥にカフェに入ろうと促すが、亜弥は少し考え込みながら口をひらいた

「 ねぇ、みきたんの家の近くに公園あったよね?そこに行かない? 」
「 えっ?いや、あるけど買い物はもういいの? 」
「 うん。 ある程度買ったし、休んでまた買い物したら家についた頃には疲れるじゃん?それよりはみきたん家に帰りながら公園で休んだほうが家に着いた時、何倍もいいでしょ? 」
「 いや、まぁ別に亜弥ちゃんがいいならミキはそれでもいいけど 」
何だかんだといいながらも亜弥ちゃんの言うことはきいてしまうミキ。亜弥ちゃんの提案に従って、ミキの家の近くの公園へと向かう。途中、コンビに寄りながら飲み物と軽く食べれるものを買う。なんだかちょっとしたピクニックみたいだ。ミキは少しだけワクワクしながら亜弥ちゃんと手を繋ぎ公園へと向かった。

4 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:02
「 わぁ すっごい 」
亜弥が驚嘆の声をもらす。
辺り一面白い花びら、桜で一杯だった。
美貴の家の近くの公園は広くてよく休日は家族連れでいっぱいになる。ちょうど今みたいな春なんかは公園に植えられている桜の木が満開になり、休日は花見をする人で溢れかえる。幸運なことに今日は平日、しかも人がほとんどいない。

「 えへへ、なんか貸切みたいだね 」
嬉しそうに亜弥が笑う。そんな亜弥を見るとこっちまで嬉しくなる。
「 それじゃあ、さっき買ったもので花見でもする? 」
ミキも嬉しくってこんな提案。それを聞いた亜弥ちゃんは目を輝かせながら大きく頷く。

5 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:02
「 どこに座ろうか 」
人が少ないとはいえ、二人はトップアイドル。見つかったりしたらせっかくのオフを楽しめなくなる。そう考えると必然的に人が少ないほうへとなるのだが、そうなると肝心の桜からは離れてしまう。並木道のような感じで植えられている桜はどうしても人が通る場所にあるからそんなところに座っていたら見つかるかもしれない。

6 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:03

キョロキョロと、どこかないかと探していると亜弥ちゃんに服の袖をひっぱられた。
「 ん? なに亜弥ちゃん? 」
「 みきたん、あっちにも桜があるよ 」
亜弥が指すほうを見ると、ちょっと小高い丘の上に一本の満開に咲いている桜の木があった。
「 あっほんとだ。でも先客がいるかもよ? 」
見晴らしの良さそうな丘の上、ひょっとしたら誰かいるかもしれない。
「 いいよ、行ってみよ。いたら別のところ探せばいいし 」
亜弥ちゃんはそこが気に入ったのかミキの腕を掴むと歩いていく。ミキは亜弥ちゃんにひっぱられるまま丘へと歩いていった。

7 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:04
「 ラッキー タン、人がいないよ 」
「 あっホントだ。よかったねーじゃあ、ここにしようか 」
運良く誰もいない桜の木へとたどり着いたミキと亜弥ちゃん。自分が住んでいる町並みが見下ろせるほど見晴らしがいい。おまけに天気が良くてポカポカ日和。ほんと、今日はいいオフの日になりそう。

8 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:04
町並みを見下ろしていたミキは桜の木のほうへと振り返る。亜弥ちゃんはさっき買った飲み物や食べ物をせっせと広げて花見の準備に入っている。そんな光景を見て思わず噴出す。それに気づいた亜弥ちゃんはほっぺをふくらましながら怒る。

「 もう みきたん! 見てないで手伝ってよ 」
「 あはは、ごめん、ごめん。あんまり亜弥ちゃんが一生懸命なんで可愛くて 」
それを聞いた亜弥はほっぺをなおし笑顔にもどる。

「 だって花見って久しぶりだもん 」
「 へー 亜弥ちゃん花見とかしないの? 」
「 デビューする前は家族とよくしていたけど、した後は全然。だって、丸一日の休みって滅多にないじゃん 」
9 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:04
―― たしかに、ミキたちはアイドル。その中でも亜弥ちゃんは国民的アイドル
『 松浦 亜弥 』だ。休みなんてそうあるわけじゃない。(っと、これはミキにも言えることだけど‥) 
「 それじゃあ今日は久しぶりに花見を満喫しますか? 」
そう言いながら、紙コップを取り出して飲み物を入れると亜弥ちゃんに渡す。別に最初から花見をするためにでっかい飲み物と紙コップを買ったわけじゃない。たまたま、飲みたいやつの500mlのがなくて、2?のやつしかなかったから別のを買おうかなと思っていたんだけど亜弥ちゃんが「 紙コップ使って二人で飲もう 」なんていうから買ったんだ。まさか花見になるなんて思わなかったけど・・・

・・・亜弥ちゃんは知っていたのかな?丘の上の桜の場所を
10 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:05
桜の木にもたれながら飲み物を飲むミキと亜弥ちゃん。買い物で疲れていたから喉を潤す
飲み物がいつもよりおいしく感じられた。
しばらく、何も話さずボーとする。
いつもなら亜弥ちゃんがうるさいくらい喋るんだけど、その亜弥ちゃんもポカポカ日和の桜の木の下で、ボーとしながら町並みを見ていた。
ミキはそんな亜弥ちゃんを気づかれないように見ていた。

11 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:06
 キレイだな 
ボーとした横顔。でもどこか愁いた感じに見えてそれが妙に大人っぽく見えたりする。テレビのマツウラアヤではなく、一個人としてのマツウラアヤとしての表情(かお)。
そのテレビでは見せない表情にミキはいつも釘付けになる。

ミキの視線に気づいたのか亜弥ちゃんがミキのほうへと顔をむけた。
「 なにー?ジッと見ちゃって。そんなにアタシかわいい? 」
さっきまでの表情からいつもの笑顔な亜弥ちゃんへとかわる。
「 うん、キレイだなって 」
 あっ、もう少し見ていたかったな 
そんな気持ちを残しながら、亜弥の言ったことに応える。
12 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:06
アヤは冗談で言ったつもりなのに、美貴がそんな風に返すと思わなくて顔を赤くしながらビックリする。
「 どしたのみきたん? 今日はやけに素直だね 」
「 今日はってなんだよー 」
ミキも自分が言ったことに恥ずかしさを感じてついぶっきらぼうに返してしまった。
「 ウソ、ウソ みきたんはいつも素直だよねー 」
そんな風に言う美貴は照れ隠しなんだと知っているアヤは子供をあやすように美貴の頭を撫でた。
「 へへ 」
亜弥に頭を撫でられ思わず笑顔になる。他の人には絶対させない。亜弥だから亜弥ちゃんだけにしか触れさせない。
美貴のその顔を見たアヤは優しく微笑む。

「 みきたんの笑った顔、すっごい好き 」
優しく微笑みながら言う亜弥。
「 そう? 」
「 うん、安心する。今日みたいなポカポカした気持ちになる 」
「 そっかー 」
「 うん 」
にこにこしながら、ミキの肩へと頭を乗せながら体を預けてくる亜弥ちゃん
13 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:07
 笑った顔が好き、か 
ミキが笑顔になる時って断然、亜弥ちゃんの時が一番多いんだよね。
知ってる亜弥ちゃん?亜弥ちゃんの隣にいるとミキ、すっごいやさしい気持ちになれるんだよ(亜弥ちゃんの我がままとか全部きいてあげれるくらい、ね)。
亜弥ちゃんがそばにいるだけでやさしい気持ちになれて笑顔になる。ほら、今だって。
ミキの方に垂れながら幸せそうにしちゃってさ。そんな顔されちゃこっちまで亜弥ちゃんが言っていたポカポカした気持ちになるよ。

14 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:07
―― ずっとそばに 亜弥ちゃんの隣で ずっと笑っていたいな ――

こういうポカポカした日って人を素直にさせるのかな?
「 亜弥ちゃん、膝枕してもらってもいい? 」
普段は亜弥ちゃんがミキに甘えるほうが多いんだけど、今日はなぜかミキが亜弥ちゃんに甘えたくなった。
アヤも美貴が普段は甘えないので嬉しくなり笑顔で頷いた。
「 いいよー はいどうぞ 」
足を崩し美貴の頭を自分の膝へと持っていく。
膝枕されている美貴はとても嬉しそうで年上にはみえない。そんなところが可愛いと思うアヤ。
15 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:08
桜から舞い落ちる花びらを見ながら穏やかな気持ちになる。
美貴を見ると気持ちよさそうに目をとじている。

 ねぇ、みきたん知ってる? 
みきたんの笑った顔を見ると安心するって言ったけど、それって、みきたんの言葉(こえ)が優しいからだよ。他愛のないおしゃべりやアタシの我がままを聞いてくれるときの言葉、すっごい、やさしいんだよ。自分で気づいている?だからアタシはそんなみきたんの言葉が聴きたくて我がまま言ったりするんだ。
その度に、みきたんは笑顔で「しょーがないなぁ」なんて言ったりするんだよね。アタシはその顔を見るたびに心の中がポカポカして、安心して、もっとみきたんの笑った顔が見たくてそれでもっと言葉(こえ)が聴きたくなるんだ。
 
  ずっとそばにいて 笑っているみきたんの顔 ずっと隣でみていたいから 
16 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:09
「 んっ 」
どれくらいそうしていたんだろう。目を開けると木にもたれながら亜弥が寝ていた。
「 寝ちゃたっのか 」
 ずっとミキを膝枕していて疲れなかったかな? 
亜弥はミキの頭に優しく手を置きながら寝ていた。
時計を見るともうすぐ四時になる。公園に来てから一時間以上も過ぎていた。
体を起こして亜弥をおこそうとする。
「 亜弥ちゃん、起きて もうすぐ夕方になるよ 」
軽く揺さぶりながら亜弥を起こす。
「 んっ 」
ゆっくり目をあけながら起きる亜弥。ミキと目があうと
「 おはよう 」
なんて笑いかける。
 可愛いな  なんて思っても口には出さずミキも微笑みかえす。

17 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:09
「 おきた?そろそろ帰ろう。足、大丈夫?ずっと膝枕してくれたみたいだけど 」
「 あーうん。平気、大丈夫。もう帰る?何かあんまり花見した感じしないね 」
そう言いながら亜弥はほとんど手付かずの食べ物を見る。
「 いいじゃん、後で家で食べればいいんだし 」
買ったものを袋に詰めながら片付けを始める美貴。
「 んー 」
亜弥は軽く伸びをしながら立ち上がり、さきほど美貴がしていたように町を見下ろす。
片付けを終えたミキは荷物を木の側へと置き、亜弥の方へと歩いていく。

18 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:10
「 亜弥ちゃん 」
そう言いながら亜弥を後ろから抱きしめる。
「 なに? 」
亜弥は動かずじっとしている。
「 来年も二人で今度はお弁当持って、ここで花見しようね 」

 来年も二人で 
この言葉にミキの気持ちを込める。
 来年もずっと一緒にいようね 
そんな気持ちを込めて
19 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:11
 伝わっているかな? 
そう思ったミキは亜弥の顔をのぞこうとしたがそれより先に亜弥がふりむく。
「 来年も、じゃなくて来年こそは、でしょ? 」
笑いながら茶化す亜弥。
一瞬、キョトンとしたミキだがその顔を見て笑顔になる。

 伝わったみたいだね ″
ほんのり、頬を赤くしている亜弥の顔をみながら抱きしめている腕に力をこめる。
「 そうだね、来年こそ・・ 」

―― この桜の木の下 キミの隣で来年も ――




              END
20 名前: 投稿日:2004/04/21(水) 21:19

・・・・如何だったでしょうか?
最初ということでまずは短編から言ってみましたが、最初からつまずくし
何かこの先のことを暗示しているような・・・
歌をもとにしてということなので、短編になったり、中篇になったりとまちまちですが更新は早くて週一、遅くとも二週間には一回を目標にしていくのでどうぞ、読者の皆様も暖かくそして、時には厳しく・・・してくれたら嬉しいです。それでは今回はこれで失礼します。


21 名前: 投稿日:2004/04/22(木) 18:05

ochiます
22 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/25(日) 19:54
ほのぼのとしていい感じです
次も期待しています
23 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:28
22>>
名無飼育さん、感想ありがとうございます!!
期待に応えられるよう、頑張っていきます。
今回は少し早いですが夏を先取りしたもので一つ。
それでは、どうぞ
24 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:32

  
  『 上海ハニー 』
25 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:33

「うーん、快晴!」
青い海 白い砂浜 サンサンと輝く太陽 
そして海に向かって叫ぶ人が一人
見た目軽ヤンっていうか、絶対軽ヤンでしょ?と、会う人全員に言われる女の子
『 藤本美貴 』 
恋人いない歴:年の数


26 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:33

 バシッ 
「ミキティ恥ずかしいから叫ぶのやめて、みんな見てるよ」
叫んでいる美貴の頭を後ろからはたいたのは幼馴染のひとみ。
「イっターイ! たたくことないじゃん」
叩かれたところをさすりながら恨めしそうにひとみを睨む。
「恥ずかしいことをするミキティが悪い」
そう言いながら美貴の鼻をつまむ
「ほんなこと言ったって仕方にゃいじゃん、っていうかいつまでも人の鼻つまむな 」

27 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:35


「しっかし、張りきっているねぇ ミキティ」
ひとみの隣で眠そうにしている真希が言う。
「あたりまえでしょ、今日こそは素敵な恋人をゲッチュするんだから。一人でいるのも今日が最後なんだから」
握りこぶしを高く上げて決意を固く燃えている美貴
「暑苦しいからヤメロって」
 バシっ 
そう言って又、美貴の頭をはたくひとみ
「っていうか、何で二人ともそんなやる気ないの?」
美貴はここぞとばかりの青いビキニで決めているのに対して真希は一応、水着を着ているけど下はデニムのズボンという格好。ひとみにいたっては、アロハシャツにカーゴパンツとビーチサンダル。まったく泳ぐ格好ではない。
「っていうかよっちゃん、何しに海に来たか分かっているの?」
「えー ナンパでしょ?」
へらへら笑って答えるひとみ
そう、三人は海に出会いを求めてやって来た。(なかば強引に美貴に引きずられて)



28 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:36


「だったらなんで二人ともそんなカッコなのよ」
半分切れまくりの美貴
「ナンパしたことないから、してみようと」と言うひとみ
「後藤は海の家のヤキソバ食べに」と言う真希
まったくナンパされる気ゼロの二人
砂浜に _| ̄|○ ながら凹む美貴。
二人を連れてきたのは顔が可愛い二人がいればナンパされまくって美貴もおこぼれを与れるかなと、あわく期待していたからなのだがそれがもろくも崩れる。


29 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:37

「くっそー こいつらを連れてきたのはマチガイだった」
どうせなら、マイちゃんとか紺ちゃんとか誘えばよかったかな。いや、だめだ。マイちゃんはナンパなれしていそうだからうまくあしらいそうだし、紺ちゃんにいたっては色気より食い気が強そうだし・・・あー なんだって美貴の周りにはろくなのがいないんだ。

人を頼ろう(利用しよう)とした時点で美貴もあまりろくでもないのに入っているのだが自分のことはタナにあげる美貴。そんな美貴は恋人いない歴:年の数


30 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:38

 うー なんで美貴には出会いがないんだ。よっちゃんなんかファンクラブまであってとっかえ、ひっかえだし、ごっちんは今はいないって言っていたけど昔は付き合っている人がいたとか言っていたし、それに今でも街とかでナンパされるとか言っていた。なのになんでいつも一緒にいる美貴には声がかからないんだよー 

ここにいる本人、藤本美貴は決して顔が可愛くないわけじゃない。どちらかといえば、ひとみ、真希と並ぶくらい美少女だ。しかし出会いがない。
そう、美貴はモテないわけじゃない。
ただ本人は気づいているか分からないが目が、こ ( ゚Д゚;)!!!
 川VvV)< 目がなんだって?     (((( ゚Д゚;))) イ いや、その、目が…
 目がなぁに? ― 可愛く言うが目が笑ってません ―
川VvV)      な・・なんでもないですー(((( ・゚・(ノД`)・゚・ ウワ―ン

というように作者も泣いて逃げるほど美貴の目つきは悪かった


31 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:40

そう、美貴は目つきが悪い。近所でもそれは有名で昔は泣く子も黙る、どころかさらに泣かしてしまうと有名だった。
だからといって、本人は目つきが悪いだけで性格は優しくて素直(バカ)。それが分かっているから近所の人やひとみや真希のような親しい人はそんな美貴をみてもなんとも思わないが、初対面の人にはかなり、きついインパクトを与える。

32 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:41

例をあげるなら、

1 街を歩いていて後ろから声を掛けられたから「はい?」なんて振り返ると相手は泣きながら謝ってくる・・別に泣くようなことなんて言っていないのに・・
2 片思いをしていた人に思いきって告白しようと呼び出したら、告る前に相手が土下座して「勘弁してください」とか言われる。しかもそれが噂になって美貴と目があったら石にされるっていうワケのわからない尾ひれまでついてきた。(っていうか、目があったら石になるってメデューサかよ!それってどっちかっていうと美貴じゃなくて保田先輩でしょ!)などと、又自分のことはタナにあげて、何気に先輩をけなす美貴。

そういう事情から(どういう事情だ)美貴には出会いがなかった。それでも恋人が欲しい美貴は今年こそはと、ひとみと真希を連れて海へと来ていた。


33 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:42

「大体ミキティ、自覚ないでしょ?」
浮き輪をふくらましながらひとみが言う。
「何の? 目つきが悪いってやつ?」
「それもあるけど、ミキティって初対面の人に対して警戒心強いでしょ?それが顔に表れているって知ってた?」
「えっ そうなの?」思わず横にいる真希に聞く。
「うん、ミキティ最初会ったときすっごい恐かったよ。よしこに最初に言われてなかったらゴトウも逃げていたね」ヤキソバをもぐもぐしながら言う真希。
「えっ何、よっちゃん、ごっちんに何て言ったの?」今度はひとみの方にむいて聞く。
「んー? ミキティのあの般若のような睨んだ顔は初対面の人に対して緊張しているだけで、二回目からは目つきが悪くなっているだけだから恐がらなくてもいいよって、言った」
さらっと何気にひどいことを言うひとみ

34 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:42

「般若の顔って、美貴、そんなに睨んでいた?」再度ごっちんに振り向いて聞く。
「うん、ゴトウ、石にされるかと思った」
「 ・・・・ 」

―― 確かに、初めて会った人に対して美貴は警戒心が強い。見た目は軽ヤン入っているが意外と恐がりだったりする。だからつい、初対面の人にたいしては緊張してジッと見ることもあるが、まさかそれが般若のように睨んでいたなんて・・・


35 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:43

18年間、生まれてきて初めて気がついた(気づかされた)自分の顔の恐さ。
本日二度目の _| ̄|○ 凹み。
それを見たひとみと真希が慌ててフォローにはいる。
「あっ で、でも、ミキティは笑うと可愛いしさ……慣れるまで時間かかるけど」 
「そ、そうそう、笑ったら可愛いんだし、…‥笑ったらだけど」
フォローどころか、さらにけなしている事に気づかない二人。
「えっ? 美貴、カワイイ?」
言われた本人も気づいてない

「「 もー、めっちゃカワイイ 」」

36 名前: 投稿日:2004/05/01(土) 23:45

ここぞとばかりに美貴をもちあげる二人。何とかもおだてりゃ木に登るのごとく、二人の言葉で立ち直りさらに自信までつけた美貴。  
「よーし ガンバって恋人ゲッチュするぞー」
再び、握りこぶしを高く上げ夕日に向かって叫ぶ美貴
「ん? 夕日?」


ガンバレ、ミキティ、キミならできるさ (もう夕方だけど)
負けるな ミキティ、作者が考えているならきっとできるよ (もう海に人いないけど)
負けるな!ミキティ、キミの後ろに明日があるさ (意味不明)

「って、出会いなしで終わるのかよ!」
そんな美貴のツッコミを聞きながらキレイな夕日が海へと沈んでいった


FIN
37 名前: 投稿日:2004/05/02(日) 00:01

・・・如何だったでしょうか?

実はコレ、続きを考え中なんですが中々まとまらなくて
続きを書こうかどうか迷っているんですが、まとまりそうなら書きたいと思うので
その時には、こんなダメダメ駄文ですが読んでやってください。
それでは今回はこれで、失礼します。

38 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/02(日) 22:13
偉そうに指摘して申し訳ないですけど、
全体的に改行にもう少し気をつけて欲しいです。

上海ハニーはウケました♪ 続編希望♪
てか、続編書かなきゃ、もったいないですよ、コレ。

39 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/04(火) 01:57
上海ハニーめちゃ面白かったです! この藤本さん好きすぎ。もっと書いて
ください。できればステキなカレ/カノをゲッチューさせてあげてください。わくわく。
40 名前: 投稿日:2004/05/09(日) 01:47

・・・『 上海ハニー 』の続編です。
それではどうぞお読みください。

41 名前: 投稿日:2004/05/09(日) 01:48

= 前回までのあらすじ =

夏休みを利用して海へと遊びに来た、美貴、真希、ひとみ、の三人。
青い海、白い砂浜、さんさんと煌く太陽。
そこで三人が見たものは、保田大明神の呪いによって石にされた人(保田人形)たちだった。
人々の呪いを解くべく、美貴、真希、ひとみ、の三人は保田大明神が住む魔の祠へと向かうのだった・・・・

42 名前: 投稿日:2004/05/09(日) 01:50

「って、違うだろ!」

 バシッ  ― アウッ(作者が頭をはたかれる音)

「勝手に妙なあらすじ作るな! っていうか、ミキそんな呪いの海なんて行かないし。出会いが石にされた人(保田人形)なんてサイアク!!」

「ミキティ、真に受けるなよ」
 ホント、素直(バカ)なんだから・・・

「よっちゃん、何か言った?」
「いえなにも・・・だから、そんな目で見るな。幼馴染とはいえミキティの目は心臓に悪いんだから」

今にも石にしそうなほどコワイ目でみる美貴。保田大明神よりタチが悪いかもしれない。

「ったく、いい? 前は何か知らないうちに夕方になっていてまったく、出会いがなかったんだから。今日こそは素敵な出会いをさがすのよ」

43 名前: 投稿日:2004/05/09(日) 01:53

作者の強引な終わり方によって、出会いどころかそんな場面はまったくなく、美貴の過去編?で幕を閉じた前回。
お約束どおり、作者を学校の裏(定番)へと呼び出し、軽く説教をした美貴。
反省した作者は美貴の出会いの場を用意してあげた。(っていうかさせられた)

「ふーん、良かったねミキティ。で?アレがそう(作者)なの?」

真希の視線を追うと、頭の下から砂に埋まって放心している人が一人。 


川VvV从<うん (´ Д `)<アレ?
    
⌒⌒( °д°)<・・・・
                  ⌒⌒ ⌒⌒ ⌒

「そっ 反省するまで埋まっとけって言ったの。あと、出会いがなかったら出さないって言った」
「ふーん、でもアレやばくない?」

ひとみが指したものを見る。砂に埋もれたアレ(作者)は波打ち際で埋まっていた。
ちょっとどころかものすごく、顔にかかる潮水がしょっぱい。
たぶん、満潮になるころには潮水をたらふく飲んでいるだろう。(っていうか、死の直面にいるだろう)
44 名前: 投稿日:2004/05/09(日) 01:55

「んー?大丈夫だって、ミキの出会いがあったらすぐ出すし、あーしたほうがアレ(作者)も気合はいるでしょ?」

さらりと笑顔で殺人未遂を起こしている美貴。気合がはいるどころか命がけ。
まさに デッド オア アライブ
真希とひとみが同情の目でアレを見ている横で

「よーし、今日こそは恋人もとい、出会いをゲッチュするぞー」

美貴は出会いの場に気合を入れていた。

こうして、美貴が出会いを見つけるのが先か、作者が(海に)のまれるのが先か、
まったく先が分からない海の一日が始まろうとしていた。

45 名前: 投稿日:2004/05/09(日) 01:57

更新、終了。

・・・如何だったでしょうか?
ちゃんとはまだ、まとまっていないので更新は少な目です。


38>> 名無し育様

『 続編書かなきゃ、もったいない 』
それこそもったいないお言葉です。
ご指摘ありがとうございます。
確かに、自分でも読み返してみると、改行しないことで読みづらいというのが
ありました。全然、偉そうでもなんでもないので、これからも何かお気づきに
なった時には容赦なく、指摘しまくってください。


39>> 名無飼育様

気に入ってくださってありがとうございます。
続編希望ということで大変嬉しいです。
今回の続編、大まかには話が出来上がっているのですが、
それをどうまとめようかと現在、執筆思考中です。
ご期待に副えることが出来るかは分かりませんが、なるべく藤本さんを幸せにするという
形にもっていきたいので、暖かく見守っていてください。


・・・それでは、今回はこれで失礼します。
46 名前: 投稿日:2004/05/16(日) 01:18

 前回同様、気合はいりまくりのビキニのミキ。
ひとみと真希にも前のようなカッコはするなと釘(脅し)をさしていたので二人もオレンジと白のビキニを着用。

「なんでウチラまで・・」
ブツブツと言うひとみだがそれがミキの目を見て言えたならこんなカッコをしていないだろう。
二人の水着を満足そうにしながら
「よし、荷物を置いてとりあえずビーチバレーでもしよう」
と、張り切るミキ。
海での定番、『 ビーチバレー 』かわいい女の子が三人、
海でバレーなんかしていたら声をかけられることまちがい無い。
どこで買ったのかミキは『 これさえあればもてない君でもモッテモッテ 』と
書いてる雑誌で今日のために昨日から徹夜で勉強してきたのだ。

47 名前: 投稿日:2004/05/16(日) 01:20

今日のために徹夜で勉強した美貴。
目の下にはクマができていて、かいがいしい努力のあとが見えるのだが
如何せん目つきが悪い、それにさらにクマがあってはそこらへんにいる
凶悪犯より怖い。

「そっ、それより少しパラソルの下で寝ていたほうがいいんじゃない?」
顔が怖くて目を見てまともに喋れない二人。

「えー?そんなことしたら出会いが逃げちゃうじゃん」
今日こそは素敵な出会いをと意気込んでいるミキに対して二人は消極的。
そりゃそうだ、こんな怖い顔をしたミキがいたらナンパしたくとも出来ないだろう。
なんとかミキをなだめてパラソルの下に休ませようとするひとみと真希。
二人があまりにも切羽詰ったように言うもんだからミキは文句を言いながらもしぶしぶそれに従った。

48 名前: 投稿日:2004/05/16(日) 01:21

さざ波の音、眩しい太陽を遮るパラソルの影、そして海独特の潮風。
その風が気持ちよくて横になったミキもいつのまにか心地よく眠りについていた。

「うーん」
目を覚ますミキ。ハッとして飛び上がりキョロキョロと辺りを見回す。
まだ太陽は真上にあった。

「よかったー、寝すぎて夕方になっているかと思った」
あまりにも心地よくてつい熟睡してしまったミキはまだ日が明るいことに安心した。

「おっ、起きた?ミキティ」
真希が横でお茶を飲みながら美貴を見る。
「んーうん、っていうか、ミキどれくらい寝ていたの?」
目がすっかり覚めた美貴が真希に聞く
「んーと、一時間ちょっとかな」

49 名前: 投稿日:2004/05/16(日) 01:22

携帯の時計で時間を確認する真希。

「マジ?ミキ、すっごい熟睡してたんですけど」
「んぁ、みたいだね、ミキティ半目になってたもん」
「・・・・・」
熟睡すると半目になる美貴。そんな顔をごっちんに見られていたのかと
恥ずかしくて顔が赤くなる。

「んぁ?ミキティ大丈夫?顔赤いよ」
ミキの顔を覗き込むごっちん。
「だっ、大丈夫、それよりよっちゃんは?」
「よしこは買出し、ちょうど昼時だからって」
そう言いながら海の家をさす真希。
「そうなんだ、じゃあミキも顔洗いながら行ってくる」
海の家の横にある簡易シャワー室へと向かう美貴。
向かう途中ひとみと会う。


50 名前: 投稿日:2004/05/16(日) 01:25

「おう、ミキティ起きたの?腹減ったからなんか食おうと思って
買ってきたけど、ほしいのある?」
そう言って、買ってきたものを見せる。

「どれどれ、ヤキソバにイカめし、ホットドッグとラムネにカキ氷・・・・
さ、三人で食うには多くない?これ。 
・・・えーと、じゃあミキのど渇いたからコレ貰うね」
そう言って、ラムネを一本取りながらシャワー室に向かう美貴。

「そうかな?あっ、シャワー室ちょっと混んでいたから」
そう言いながら真希の方へと歩いていくひとみ。

シャワー室に着くと確かに少し混んでいた。
まあ、顔を洗うだけでシャワーは使わないのですぐに手洗い場へと
向かう。一つしかない手洗い場には2、3人並んでいたがシャワー室よりは待たないだろうと、ミキも列の後ろに並んだ。


51 名前: 投稿日:2004/05/16(日) 01:28

ボーとしながら順番を待つ美貴。
ふと、目の前に立っている女の子を見る。アメリカ国旗のようなデザインの水着。後ろ姿しか分からないが結構スタイルがいいのが分かる。

最近の子ってスタイルいいよなぁ
ミキも最近の子のはずだが、こんな派手な水着は着れない。
こんなのが着れるのは若い証拠と、少しババくさい考えをしながら後ろ姿を眺めていた。

前の子が手を洗い終えて振り返る。それによってその子と目が合った。
52 名前: 投稿日:2004/05/16(日) 01:29

「!!」  ― ゴン ―
目が合ったミキは持っていたラムネを落とす。

「・・・落としましたよ」
落としたラムネをその子が拾い、ミキに渡す。

「・・・」
美貴はじっとその子を見たまま。

「あの、コレ落ちましたよ?」
そう言ってもう一度ミキの目の前にラムネを持ってくる

「えっ?あっ!ご、ごめん、ありがとう」
ハッとして、慌てて受け取る。

「いえいえ、どういたしまして」
笑いながらその子は去っていった。

「・・・・」
ボーとする美貴。後ろの人に声をかけられるまで美貴はラムネ片手に手洗い場で立ちつくしていた。


53 名前: 投稿日:2004/05/16(日) 01:37

更新、終了。

・・・今回はここまで。
54 名前:名無し読者 投稿日:2004/05/16(日) 03:00
待ってました!あの人だと思っていいんですよね?
これからの二人に期待です!
55 名前:名無し 投稿日:2004/05/16(日) 21:44
ん〜せっかく設定が面白いのに
ありふれたパターンにいこうとしてるような・・・
56 名前: 投稿日:2004/05/23(日) 20:04

 更新開始
57 名前: 投稿日:2004/05/23(日) 20:08

いつまでたっても美貴が戻ってこないのでシャワー室まで迎えにいったひとみと真希。
シャワー室を覗くとそこにはラムネを持ったままボーとしている後ろ姿の美貴がいた。

「おーい、ミキティ?」

ひとみが美貴に声をかける。
ひとみの声にピクッと反応する美貴。が反応したかと思ったら
怖いくらいの速さでこっちに振り返った。

「「ヒっ!?」」

その美貴の反応に思わず後ずさる二人。
振り向いたと思ったら今度は無表情で二人のほうへと走ってきた。

「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

その顔が怖くて逃げる二人。なおも無表情で追いかける美貴。
その追いかけっこはしばらく続いた。



 === ∩川VvV)∩  イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 
  ==== \(;0^〜^)/  \(;´ Д`)/



58 名前: 投稿日:2004/05/23(日) 20:29

「「ゼぇ、ハぁ、ゼぇ、ゼぇ、ハぁ」」

砂浜に息をはずませる _| ̄|○ が二人。
追いかけた本人は息ひとつ乱さず二人の前に立っている。

「ゼぇ、ハぁ、ミ、ミキティ、こ、怖いよ
何であんだけ、ぜぇ、ゼぇ、走ったのに息ひとつ乱れていないんだよ」

酸欠状態で息苦しくなりながらも突っ込むひとみ。
そんなひとみの突っ込みを無視して美貴はひとみの肩を掴む。

「うわ!な、何?」

無表情の美貴に掴まれてビビるひとみに美貴はポツリと一言いった。

「・・・出会った」
「はぁ?」

ひとみは美貴が何を言っているか分からず、とりあえず自分の肩に手を置いている美貴の手をどけようとする。が、

「だから、出会ったんだってば、さっき、素敵な出会いに」

外された手を再度ひとみの肩にかけて、がくがくとゆする美貴

59 名前: 投稿日:2004/05/23(日) 20:29

「ちょっ、まっ、待て、苦しい」

興奮してなおもゆする美貴にひとみの意識は遠い空のお星さまへと旅立つ準備をしていた。

「ミキティ、落ち着いてよ、何があったか最初から言わなきゃ」

ようやく息を整えた真希が慌てて美貴を止めにはいる。
ひとみを見ると白目をむいていた。


60 名前: 投稿日:2004/05/23(日) 20:31

真希のおかげで、ようやく元に戻った美貴。
真希のおかげで、遠い星から戻ってこれたひとみ。

ようやく落ち着いた美貴に再度真希がたずねる。

「で?誰に出会ったのさ、ミキティ」

そう聞いた真希に美貴は思い出したようにまた興奮しはじめた。

「だから、素敵な出会いだってば、さっき、あっちでって、ぶはあ!!」

上からバケツいっぱいの海水をかけられる美貴。
振り向くと、笑顔だが目が笑っていないひとみが立っていた。

「だ・か・ら、落ち着いて話せってば」

その顔からは殺気さえうかがえる。
よほど、さっきの遠い星への旅立ちが凄かったのだろう。

61 名前: 投稿日:2004/05/23(日) 20:32

ひとみの脅しによりいくらか落ち着いた美貴はついさっきのことを二人に話した。

―順番を待っていた前の女の子がすごい可愛かったこと。
落としたラムネを拾ってもらったミキに笑顔でこたえたこと。
顔だけじゃなくて体もナイスバディだったと、さり気に振り向いたときに胸をチェックしたら思ったよりでかかったことなど、
最後はなにやらオヤジが入っていたが
どうやら美貴は運命の出会いというものをしたらしい。
62 名前: 投稿日:2004/05/23(日) 20:34

ひとみのぶっかけた海水のおかげである程度は落ち着いたが
それでも美貴は興奮冷めやらぬ調子で二人に出会いのことを話した。

「それで、その子の名前は?」
「え?」
「だから、名前、聞いてないの?」
「・・・なまえ」

ひとみに言われて気づく。
可愛さに見とれて名前を聞いていなかったことに。って言っても、
あんなところで名前を聞くのも変じゃないかとひとみに抗議したら

「ダメだなぁミキティ、タイプの子を見つけたらその場で声をかけないと、
ただでさえこういうところは色んな人がいるんだから
さき越されたら運命の出会いもなんもないだろ」

そう言って、ナンパのレクチャーを始めるひとみ。

「・・ナンパしたことなかったんじゃ」

美貴はひとみに突っ込みつつ、レクチャーを受けた。
63 名前: 投稿日:2004/05/23(日) 20:43

更新 終了 
今日はここまで

パソコンの調子が悪いです。
・・・そして、あいかわらず更新が少ないです。

54<<名無し読者さま
 
ご想像にお任せしますが多分、あってます(W

55<<名無しさま

感想ありがとうございます。
ありふれたパターンにならないよう頑張ります。

・・・それでは今回はこれで失礼します


64 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/23(日) 21:20
初めて見ましたが…あの人ですか?あの人と思っていいんですか?w
激しく期待しております…。
65 名前:名無し読者 投稿日:2004/05/25(火) 03:44
運命の再開期待してます!
66 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:08

更新開始
67 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:09

「ってかんじで声をかけるんだよ」

レクチャーを受けること数十分。
美貴は _| ̄|○ でいた。

「んぁ?どしたのミキティ」

へこむ美貴を見て真希が聞く。
「だって、よっちゃんが言ったのって、ミキが昨日勉強したやつとまったく反対なんだもん」

そう、どこで買ったのか『これさえあればモテナイ君もモッテモッテ』という本で勉強してきた美貴。
そこに書かれていたものはひとみとはまるっきり逆だったのだ。

「バカだなぁミキティ、ああいう本ってナンパの仕方が書いているだけだろう?
 女の子っていうのはタイプじゃないやつからのナンパは嫌がるもんなの」
そう言って、自分の体験談を話すひとみ。

「まあ、よしこはナンパの経験、豊富そうだしね。
 よしこのほうが確実性あるんじゃないの?」
そう言って、美貴を慰める真希。

68 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:11

とりあえず、いつまでもへこんでいるわけにもいかない。なんていったって、運命の出会いをしたんだ。
さっそく美貴は出会った女の子を捜そうと歩き出して・・・止まる。

「・・・ついてきてくれないの?」

見送り体制の二人に美貴が言う

「えーゴトウたちも行くの?」「めんどくさーい」
「・・・・」

何も言わずに二人を見つめる・

「行きます、行きます!だからその顔はやめて、石になる」

慌てて、美貴のあとを追う二人。それを見て美貴はまた歩き出した。


* * * * * * * * *

さて、探しに来たのはいいが、こうも人が多いと見つかるだろうか。
ただでさえ夏休みに入っている。おまけに今日は土曜だ。
海辺にはたくさんの人でごった返している。

「どう?ミキティ、探せそう?」
「うーん、けっこう派手な水着、着ていたんだけどこう人が多いと・・・」

69 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:12

人が多すぎて探せるかどうか不安になってくる美貴。
やっぱり、あの時に声をかけて名前くらい聞いときゃよかったと後悔しはじめていた。

探し出して十数分

「あ!!」

思わず声をあげる。目線の先には探していたあの子。

「いたの?ミキティ、どれどれ、おー結構可愛いじゃん」

そう言って、美貴の目線を追うひとみ。真希もその方向へと顔を向ける。

「んぁ、ホント、レベル高いよあの子」

やっと探し出したあの子を二人が褒める。しかし、美貴の耳には二人の声は入ってこない。

″・・・ 可愛い、どうしよう声かけたミキの顔をみてビビッたりしたら・・・″

タイプの子にあったらすぐに声をかける。ひとみにレクチャーされたことを思い出しながらも声をかけることが出来ない美貴。

70 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:14

目つきが悪いがネックになっている美貴。
ただでさえ運命の出会いを感じているあの子に引かれたりしたら立ち直ることなんてできないだろう。

「・・・よっちゃん」
「ん?何?」
「お願い、ミキの代わりに声かけてきて」
「はぁ?何言ってんの、ヤダヨ、ミキティがいきなよ」
「だって、顔が怖いって引かれたら・・・ごっちんでもいいから、お願い!」
「えー!?ゴトウもヤダよう、ミキティいきなよ」
「えー!お願い!」
「ヤダ」
「お願い」
「「ヤダ」」

71 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:15

「はぁー、普段はズバズバ言う性格のくせになんで肝心なときにはヘタレになるかなぁ」

ため息まじりにひとみがつぶやく。

「どうする、ごっちん?」

あまりに美貴がヘタレすぎて真希と相談

「どうするって言っても・・・」

ひとみの顔を見ながら真希も困り顔。二人はそろって美貴を見る。
目をうるうるしながらあの子のほうを見ていた。つられて二人もそこに目をむける。
アメリカ国旗のような水着を着た女の子。さっきは一人でいたはずだが今は友達だろうか、三人で楽しそうにビーチバレーをしていた。

「「ん?」」

ひとみと真希、二人そろってそれを見る。
一人はピンクの水着を着けている肌がくろい女の子。
もう一人は髪はショートでボーイッシュな感じの女の子。

72 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:16
「カワイイ」「カッコイイ」
「「ん?」」

二人そろって顔を見る。

「よしこ、ひょっとしてピンク?」
「ごっちんこそ、ショート?」
「「・・・・」」

顔をあわせた二人はニヤリと笑う。

「勝負する?どっちが早く落とせるか?」
「いいねぇ、のった」

どうやら、他の二人はひとみと真希のタイプだったらしい。
美貴をほっぽって、二人で賭けをしだす。
ひとみと真希は美貴のほうへと振り返った。

「「ミキティ、声かけないの?」」
「出来ないよ、だから二人のどっちかお願いってば」

懇願する美貴を見て二人はニヤリと笑う。

「いいよ、ゴトウが行って来てあげる」
「えっ!ほんと、ごっちん?」
「いやいや、うちが行ってあげるよ」
「え?よっちゃんが行くの?」
「大丈夫、ゴトウが行くって」
「うちが行くよ」
「えっ?えっ?えっ?」


(0^〜^)<ウチが エっ?(VoV;从≡从;VoV)えっ? ゴトウが>(´д`)


73 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:17

さっきまでさんざんお願いしても聞いてくれなかったのにこの変わりよう。
美貴は何がなんだか分からず、二人を交互に見ていた。

「ゴトウが」「ウチが」
「・・・・」

なかなか決まらない二人の掛け合い。
いや、ミキが決めればいいのだけど、この状況が分からない美貴には決めることが出来ない。しかし、だんだんこの状況にイライラしてくる。

「あーもういい!決まらないからミキが行く」

美貴の言葉にピタリと止まる二人。顔を見合わせてニヤリと笑う。

「「いいよー、じゃあミキティ一 行っといでー」」

息をぴったりと合わせて言う二人。そこで、美貴はハッとする。

″謀られた″

二人を見るとニヤニヤ顔。早く行けと言わんばかりにアゴでうながす。

″くっそー

後悔しても後の祭り。行けないからお願いしたのに自分から行くと言ってしまった。

74 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:20

二人のニヤニヤ顔をしりめにあの子の方へと歩いていく美貴。それを見送るひとみと真希。

「よしこ、ミキティ大丈夫かな?」
「どうだろう、でもうまくいけばうちらもそれに便乗できるし、失敗してもうちら二人がフォローしたら大丈夫じゃない?」
「そうだよねー」

何気に美貴をエサにしてあの二人に近づこうとするひとみと真希。エサにされているとは知らない美貴は一歩、一歩あの子の方に近づく。

″ヤバイ、すごい緊張したきた。顔、強張ってないかな

頭の中でひとみにレクチャーされたことを思いだしながら近づく美貴だが、あの子に近づくたびに頭が真っ白になって、何も思い出せなくなる。

「ありゃダメだ、きっと今、頭真っ白だろうね」
「はーしかたない、助け舟だすか」

はたから見ていたひとみと真希はそう言って、美貴の方へと歩き出した。
二人が後ろから近づいているとは知らない美貴は一人パニクっていた。

75 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:22

″どうしよう、どうしたらいいんだっけ?

頭の中は真っ白。今までに感じたことがないほどの緊張の波が美貴を襲う。

「ミキティ」

ぽんと、後ろから肩に手をかけられる。

「ぎゃあぁぁぁぁ」

見た目よりも怖がりな美貴。思わず叫んでしまった。

「「うっさい」」

耳に手を当てしかめっ面の二人。

「びっくりさせないでよ」

手をおいたのが二人だと分かった美貴は、二人を睨む。


76 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:23

「あーごめん、おどろかせて
ミキティがあんまり固まりまくっていたからほぐそうと思って」
「ミキティ、緊張しすぎ」
「だって、頭の中パニクっていて・・・仕方ないじゃんかぁ」

ぎゃあぎゃあ騒いでいると美貴の足元にボールが転がってきた。

「ん?」

それを拾って辺りを見回すと、こっちにかけて来る女の子が一人。あの子だ。

「げっ、マジ?」

思いがけないことに焦る美貴。

「ど、どうしよう!?こっち来るよ、ど、どうすんの?」
「ミキティ、どもり過ぎ、チャンスじゃん、声かけなよ」

おたおたしている美貴にひとみが促す。
そうこうしているうちにあの子が近づいてきた。

「すいませーん、そのボール私のなんです」

両手でごめんのポーズをする彼女。・・・可愛すぎる。

77 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:24

せっかくあっちが声をかけているのに何も返さない美貴。
固まっている美貴を後ろからひとみがつつく。

「ミキティ、あの子ボール返すの待っているけど」

ひとみに押されて正気に戻る美貴。

「えっ、あっごめん、はい」

そう言って慌ててボールを渡す美貴。

「ありがとうございます」

笑顔でボールを受け取り来た道を戻っていくあの子。
それをただ黙って見ている美貴。

「って、ミキティ何でそのままボール渡すの?話しかけないと」

そう言われても体が動かない。
戻っていくあの子を見つめていると急にその子が振り返った。


78 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:25

「ひょっとしてさっきのラムネの人?」
キョトンとした顔で聞いてくる彼女にミキは無言でうなずく。

「やっぱり!どっかで会ったかなと思っていたけどあの時の人か」

納得したようにウンウンと頷く彼女。
ミキが何も言えなくて黙っていると横からよっちゃんが喋りだした。

「ねぇ、キミ誰と来たの?もしよかったらウチらと遊ばない?
 ちょうどビーチバレーしようと思って人を探していたんだけど、あっ、嫌ならいいから」

ミキとは違ってペラペラと動く口。それをうらやましく思いながらよっちゃんの方を見る。

「じゃあ、友達に聞いてみます。こっちもちょうど三人なんで、待っていてくださいね」

そう言って友達の所へと走り出す彼女。
ミキがあの子の方に振り返り見てみると、彼女は友達と話していた。その後、こちらを振り返り両手で大きなマルを作る。
それを見たミキはよっちゃんの方へと振り返ると、どんなもんだいといった感じでミキにウィンクして笑った。

79 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:27

彼女が友達二人を連れてきた。すかさずよっちゃんは彼女に声をかける。

「ごめんね、わざわざ友達まで呼んじゃって」
「いいですよー、あたし達も三人で遊ぶよりは多い方がいいですし」
そう言って、二人に笑う彼女。

「あっ、そう言えば自己紹介がまだだったね、ウチは吉澤ひとみ、で、こっちが・・・」
そう言ってミキ達を紹介しようとしたら、ごっちんが前に出てきた。

「後藤真希です、歳は18歳で岡村女子高等学校の三年なの、よろしくね」
と言って、手を差し出してきた。出された三人は笑いながら

「石川梨華です、19歳で、この近くの短大生なの。よろしくね」
少し、色黒の人が手を握り

「市井沙耶香、石川と同じ短大生だよ、よろしく」
ボーイッシュな感じの人がさわやかに笑いながら手を握った。

80 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:28

ごっちんは手を握りながら

「じゃあ、リカちゃんとイチイちゃんだね」
と、すごく嬉しそうに笑った。
言われた二人はびっくりしたが、ごっちんのくったくのない笑い顔を見て思わず噴出した。ごっちんと市井さん(一応、年上だからさん付け)がまだ握手をしていると彼女が頬を膨らましながら入ってきた。

「ずるい!さやかさんたちばっか、まつうらにも自己紹介させてくださいよ」
そう言って彼女は膨らましていた頬からとびっきりの笑顔になった。

「松浦亜弥でぇす、ピッチピッチの17歳でーす、あややって呼んでね」
と言ってごっちんに手を出してきた。
ごっちんも『よろしく、あややー』なんていいながら、彼女の手を握る。

81 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:29

″・・・羨ましい

二人の自己紹介を見ながらミキは一人ぽつんとしていた。なんとなく、よっちゃんとごっちんに先を越された感じがして自己紹介をするタイミングを掴めずにいたのだ。
ひとみと、真希の自己紹介を見ていた美貴に五人の視線が刺さる。

「えっ、な、何?」
思わず後づさる。

「ほら、ミキティもちゃんと自己紹介しないと」
ひとみに手を掴まれて前に促される。

「・・・あー、藤本美貴です・・」
緊張して、やっと言えた言葉がこれだけ。
横を見るとよっちゃんとごっちんが呆れ顔で見ていた。

″んな顔しなくていいじゃん、これでもいっぱい、いっぱいなんだから

「藤本さんね、よろしく」
そう言って、市井さんと石川さんが手を出してきた。ミキはその手を取りながら

「はぁ、よろしく」
なんて、そっけなく返事を返す。

82 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:31

ミキは素っ気なく返事を返しながら、最後に彼女、『 亜弥ちゃん 』のほうへと体をむけた。てっきり、亜弥ちゃんも手を差し出してくるかと思ったんだけど、亜弥ちゃんはミキの顔を見ながら何か考え込んでいる感じだった。

″やっぱり、ひかれたのかな?

ネガティブになりそうになっているミキに亜弥ちゃんが考え込んでいる顔をやめて自信たっぷりの笑顔で口を開いた。

「よし、決めた、みきたんって呼ぶ!」
「「「「「 みきたん!? 」」」」」

その場にいた全員が亜弥を見る。

83 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:32

「だって、藤本美貴だからみきたん、可愛くない?」
「いや、それは藤本さんがきめることじゃあ・・」
得意げに言う亜弥に市井さんがミキのほうを見る。亜弥ちゃんもミキのほうを見ながら

「ダメ?」
なんて、上目使いで聞いてくる。

″うっ!そんな顔で聞かれたら断れないじゃん

「・・・いいよ」
「ホント?」
「・・うん」
「ヤッター」
ミキから了解をもらった亜弥ちゃんは嬉しそうで

「名付け親〜♪」
なんてはしゃいでいる。それを見たミキもつい顔がほころぶ。
84 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:33

「なんかいい感じじゃあないの?みきたーん?」
「ほんと、幸先いい感じだね〜・・・みきたん」
よっちゃんとごっちん、二人そろってミキの耳元で囁く。
からかわれたミキは真っ赤。そんなミキを見て二人はまた、ニヤニヤしだす。

″だームカつく

そう思いながらも嬉しさを隠し切れないミキの口元はだらしなく緩んでいる。
緩んだ口と真っ赤な頬を手で押さえながらミキは亜弥ちゃんたちの方へと歩いていった。


85 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:34

せっかく人数が多くなったんだから2対2で対戦しようと言い出したよっちゃん。
ふつう、3対3じゃあ・・そう突っ込もうとしたミキの腹にごっちんの肘テツが入る。

「ぐはぁ!?」

見事にみぞおちにヒット!腹を押さえながらごっちんを見る。
″なにも言うなとと目でサイン。
その目はいつものふにゃっとした顔ではなく獲物を狙う猛獣のようだったのでミキはそのまま頷きました。(作文風)

″こ、怖かった 

いつものふにゃっとした顔しか見たことない美貴は真希のその表情(かお)を見て泣きそうになった。みぞおちを押さえながらうずくまっていると亜弥が美貴に声をかけてきた。

「みきたんどうしたの?おなか痛いの?」
心配そうな顔でミキの顔を覗き込む亜弥ちゃん

「えっ!あ、大丈夫、大丈夫、なんでもないよ」
「ほんと?」
「うん」
「・・・ならいいけど」

86 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:36

ドギマギしながらも亜弥ちゃんに応えるミキによっちゃんがとんでもないことを言ってきた。

「じゃあ、ペアはごっちんと市井さん、梨華ちゃんとウチ、ミキティにあややでいいね」
「はあ?」
思いがけないことにおもわず声を張り上げる。

「ちょっ、よっちゃん勝手に決めないでよ」
「なんで、いやなの?」
「そっ、そうじゃなくて心の準備が・・・」
「・・ミキティ、ゲームのペアなんだからそんな緊張しなくても」
こそこそと話す二人に亜弥が近づいてきた。

87 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:37

「なに?こそこそして、みきたん?」
「は、はい!?」
呼ばれた美貴は慌てて振り返る。

「アタシと組むのイヤ?」
「えっ、あの・・・」
「イヤ?」
「・・・・イヤじゃないです」
「へへー、じゃあ亜弥美貴ペア決定、・・・ぜったい勝とうねえーみきたん」
「・・・うん」
そう言って、笑いながら腕を絡めてくる亜弥ちゃん。
ミキはドキドキしながらも目線は一点に集中。心の中で念仏のように唱える言葉

″平常心、平常心、平常心、へいじょうしん、へいじょう・・・

目線の先、美貴の腕には亜弥の胸が当っていた。
ゲームの勝ち負けよりも、自分にっていうか、亜弥の胸に負けそうになる美貴。

・・・・とりあえず、ファーイト!



88 名前: 投稿日:2004/05/30(日) 02:43

 更新、終了

うーん、大量更新!(自分の中では

展開、速いですかね?


64<< 名無飼育さん

そんな・・・激しく期待だなんて(ポッ)

65 <<名無し読者様

ハイ!再会しました。
って、再会したのはいいんですが、この後の展開に悩んでおります。


・・・それでは今回はこれで失礼します。

89 名前:名無し読者 投稿日:2004/06/01(火) 13:55
亜弥ちゃんにだけはへにゃへにゃな藤本さんが超萌えます。
続き待ってます!
90 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:32

更新、開始
91 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:33

荷物を一旦、一ヶ所に集めてそこにパラソルを立てる。ゲームと言っても本格的にするわけじゃないから砂浜に棒でコートの線を書いて、ゲームをスタートさせた。

ミキ達はよっちゃんとごっちんのどちらか勝ったほうと対戦することになるので、それまでパラソルの下で観戦することにした。

7点先取のビーチバレー。バレー部のよっちゃんがいるからこの勝負、早く決着がつくかもなんて思っていたのに、なかなか、ごっちんたちも点を取らせてくれない。
92 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:33

「へーやるなぁ、ごっちん達」
「ホント、上手いですねぇ」

″ごっちんと市井さんペア。今日初めて会ったのに2人ともすごく息がぴったりだ。ごっちんは確か帰宅部だけどスポーツ万能だっけ。

「ねぇ、市井さんってバレーとかしてたの?」
「んーん、高校のときはバスケ部に入ってましたよ。大学ではテニスサークルに入ってますけど」
「へー それにしては上手いね」
「・・・後藤さんはバレー部なんですか?」
「いや、ごっちんは中高とも帰宅部だよ、でも本人は何気になんでもこなせるからねって・・・何で敬語なの?」
さっきまではミキタンなんて言ってべったりしていたのに何故か亜弥ちゃんはミキと間を空けて座っている。しかもさっきのタメ口から敬語にまでなっている。

93 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:34

「えっ、だって・・・」
「だって?」

煤iVoV;从
″・・ハッ!まさか、ミキの顔がよっちゃんが言っていた初対面の人に対して般若の顔になるっていう、アレになっていたのかな?・・・いや、でも出来るだけ亜弥ちゃんの方見ないで話しているし(顔が怖いって思われないように)それに亜弥ちゃんの態度は引いているって感じじゃないし、何故なんだぁ?


94 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:34

「だって・・・二人きりだから」
「はい?」
顔を赤くしながらそう言う亜弥ちゃん。うーん。その顔も可愛いねって、違う。
今、何ていいました?

「え、あの?どういうイミですか?」
何故かミキも敬語になる。
あの、それってミキと二人きりだからってことですか?それって、もしかして
亜弥ちゃんもミキのこと、す、好

95 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:35

「人見知りするの」  きってこと?

「はい?」
ミキが有頂天になりそうな直前に亜弥ちゃんのこの一言。

「だから、まだ慣れていない人と二人きりになると人見知りするんです」
「・・・・・」
「さやかさんや、梨華ちゃんとか知っている人が側にいると素の自分を出せるんですけど・・・」

そう言って、俯く亜弥ちゃん。


96 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:35

「人見知り?」
「・・・うん」
「誰が?」
「あたしが」
「・・・マジで?」
「・・うん」
「「・・・・」」

″ 普通、人見知りって初対面の人にするものじゃあ、・・・
 二人きりの時にするものなの?でも実際、亜弥ちゃんは敬語になっているし ″


97 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:36

「「・・・・」」

お互いの間に気まずいようなワケの分からない空気が流れている。

「・・の・・です」
「へっ?」
「二人きりだと緊張して敬語になっちゃうんです。おかげでこれのせいで好きな人とかと上手くいかないんですよねー」
明るい口調でいう亜弥ちゃんだけどその表情は今にも泣きそうに見えた。
「・・・」
ミキはそんな亜弥ちゃんを何も言わずに見ている。

「変でしょ?二人きりになったら人見知りするって」
「・・いや、どっちかって言うと拍子抜けした」
「えっ?」
「だって、二人きりで緊張するってい言うからてっきり・・って、いやいや何でもないです。っていうかミキもこの顔のせいでそういう経験あるから、だから別にへんじゃないよ」

「ホント?」
「うん」
「へへへ」
「・・・・」
ミキの言葉に嬉しそうに笑う亜弥ちゃん。可愛すぎる。
何か、ミキ亜弥ちゃんのこと全然知らないけどもう、その笑顔にときめいてます!

98 名前: 投稿日:2004/06/11(金) 07:40


 少ないですが更新、終了

 89<<名無し読者様

 ありがとうございます。
 こんなへにゃへにゃなウチのミキティですが暖かく見守っていてください。

 ・・・それでは、今回はこれで失礼します


 
99 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:12

更新開始
100 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:14

亜弥ちゃんのことをひとつ知ったところでよっちゃんたちのゲームが終わった。
どうやら勝ったのは僅差でよっちゃんのチームらしい。
ということは、ミキたちの相手はよっちゃんか。立ち上がって亜弥ちゃんのほうに振り向く。
そしてミキは亜弥ちゃんに出来るだけ怖がらせないようやわらかく言った。

「ミキのことはこれから知って、慣れてくれればいいから・・・
 別に人見知りされたからって亜弥ちゃんのこと嫌いにならないよ」
「・・・みきたん」
「そ、それじゃあ、さっさとあの4人に勝ってミキの好きな焼肉でも奢ってもらう?」

今の言葉が告白めいたような感じがして恥ずかしくなったミキは誤魔化すように亜弥ちゃんに手を差し出した。
その手を笑いながら掴む亜弥ちゃん。

「焼肉、好きなんですか?」
「うん、レバ刺しなら軽く5人前はいけるかな」
「ホントですか!?」
「ホント、ホント、だから絶対あの4人に勝とうね」
「うん!」


101 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:15

「それじゃあ、行こうか?」
「はい」
手を繋ぎながらよっちゃんたちのほうへと歩いていく。

「おっ!次はミキティとあややかぁ」
ごっちん、市井さんに勝ったよっちゃんは顔に砂をつけながら美貴たちがくるのを待っていた。

「よっちゃん、顔に砂がついているよ」
「ん、どこ?」
「あーミキがとるよ」

そう言って、よっちゃんの顔についた砂を払っていたらどこからか強い視線が二つ。

「「ん?」」
振り返って見ると、羨ましげに見ている石川さんと
何故か機嫌悪そうにしている亜弥ちゃん。

102 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:16

「りかちゃん、どうしたの?」 「亜弥ちゃん、どうしたの?」

ミキとよっちゃんのセリフがかぶった。
が、それには気にせず、よっちゃんは石川さんのほうへと歩いていく。

「りかちゃん、どうしたの?」
「え、・・うんん、何でもない」
「そうなの?何か元気ないような・・」
「・・・・かったの」
「え?」
「ひとみちゃんの顔ついた砂を払っている美貴ちゃんが羨ましかったの!」

そう言って、赤くなる石川さん。よっちゃんも顔が赤くなっている・・・

「り、りかちゃん」
「ひとみちゃん」

ありゃりゃ、なんか二人とも見つめあってますが?
ミキたち放置?このまま不戦勝でいいですか?


103 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:17

「イタっ!」

そんな二人のやり取りを見ていたミキの右手に痛みがはしった。
振り向くと、そこには頬をふくらました亜弥ちゃん。
気のせいかな?ものすごく不機嫌なんですが・・・

「あ、亜弥ちゃん?」

心なしか赤くなっている右手をさすりながら亜弥ちゃんのほうを見るけど・・

 ツーン 

そんな擬音が聞こえてきそうなほど亜弥ちゃんはミキから顔を背けた。

「あのー、亜弥ちゃん?」

顔を背けた方にまわり込んで亜弥ちゃんの顔を見るけど・・

 ツーン 

またもやソッポをむかれた。

「亜弥ちゃん、何怒ってんの?
「・・・・」
「ミキ何かした?」
「・・・・」
「・・・・」

黙り込む亜弥ちゃん。ミキもワケが分からず黙り込む。


104 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:18

「・・・ね」
「え?」
「・・吉澤さんと、仲良いね」
「よっちゃん?」
「・・・・」

「何か、はたから見たら世話焼き女房に見えた」

 ・・・・世話焼き女房なんて、これまた古風な言葉を 

「っていっても、よっちゃんとは長い付き合いだし・・」
「どれくらい?」
「どれくらいって言っても、うーん、家が隣同士だから
 もの心ついた時から一緒だったし」
「・・・・」
「もう十何年もの、腐れ縁ってやつかな?小、中、高とずっと一緒だから」
「じゃあ、みきたんのこと何でも知っているんだね」
「そうだねー・・って!亜弥ちゃん、敬語じゃない!
 ひょっとしてミキのこともう慣れた?」
「 ・・・今は近くに梨華ちゃんがいるもん」
「あっ・・・はは、だよねぇ」

石川さんたちのほうへと顔を向ける亜弥ちゃんは少しバツが悪そうな顔をしていた。


105 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:19

「じゃあ、吉澤さんとは何でもないんだ?」
「何でもなにもただの幼馴染だよ」
「そっか、・・そーなんだ」

そうつぶやく亜弥ちゃんはさっきとは違って少し嬉しそうな顔をしていた。

 何だろ?よっちゃんとミキのこと聞いたら機嫌が良くなったけど、
いったい何に怒っていたんだろう? 

亜弥ちゃんが何に怒っていたかは分からないけど、とりあえずまた笑ってくれたことに
ホッとする。そしてホッとすると同時にミキも亜弥ちゃんに聞きたかったことを質問する。

「そういう亜弥ちゃんも石川さんたちとやけに親しげだね、年齢が離れているのに・・」

そう、女子高生と女子大生、はたから見れば接点ありそうで無い。
けど、亜弥ちゃんと石川さんたちの仲の良さは何といったらよいか、もの凄かった。


106 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:22

まず、ミキたちの誘いを友達(石川さん)に聞いてくると言って、
二人の元に走っていった亜弥ちゃんは二人めがけてダイブ。
それの下敷きになったのは市井さん。
しかも、市井さん、亜弥ちゃんの胸に顔が埋まっていたし・・・(羨ましい)
二人に話したあと、こっちに向かってくる途中
亜弥ちゃんは石川さんの腕に手を回していた、
ハタから見れば恋人同士に見えるくらい、三人とも仲がよさそうだった。

ミキはその時は亜弥ちゃんと知りあえたことの嬉しさで頭がいっぱいだったんだけど、
ふと、後ろの方から異様な空気を感じて振り返ったらよっちゃんちごっちんがスッゴイ顔で亜弥ちゃん達の方を見ていたんだよね。

よっちゃんなんかどこから出したのかハンカチをくわえながら羨ましそうに見ていたし
ごっちんにいたっては相手を呪うような、その、なんていうか・・・・とにかく怖かった
顔をしていたんだよね。


107 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:23

そんな二人の顔を見てたミキだから亜弥ちゃんたちが近づいた時には元に戻っていた
二人の顔にあっけに取られて亜弥ちゃんに声をかけるタイミングをのがしたんだよね。
さっきのは幻?っていうくらい二人とも笑顔だったからさぁ・・・

「・・たん、み・たん、・・・・みきたんってば!」
「えっ、あっ、な、なに?」
「もう、さっきから呼んでいるのに」

目の前には亜弥ちゃんの顔
うぉ!?ち、近いよ、亜弥ちゃん

「あれ?ミキ、どうしてたの?」
「さっきからずっと、固まってんだもん。呼んでも返事がないし」
「えっマジ?どのへんから」
「アタシと梨華ちゃんたちのこと聞いた辺りから・・」
「そっ、そうなんだ、ごめんね?人に質問しておいてボーとしてるなんて」

質問している途中でボーとするなんて。ミキ、飯田センパイと違って
交信するクセなんてないけどなぁ・・・



ハっ!?> 煤iVvV;从         ・・・・> (゜皿 ゜)



108 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:28

「みきたん?」

おっと、ヤバイ、ヤバイ、また交信・・じゃなくて、ボーとするところだった。

「あー それで、亜弥ちゃんと石川さんたちってどんな関係なの?」
「アタシと梨華ちゃん、さやかさんはね、いとこ同士なの」
「イトコ?」
「うん、一緒に住んでるの」
「・・・へえー、そうなんだ」

109 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:32


「アタシの親がね、今年の4月から海外に転勤になってね、
 一人暮らしすることになったんだけど丁度、学校の近くに梨華ちゃんが一人で住んでいて、
 あたしが一人暮らしするって聞いた、梨華ちゃんの親が一人暮らしじゃ何かと大変だから
 一緒に住みなさいって言ってね、それで一緒に住んでるの」
「ふーん、そうなんだ、・・・
 アレ?でも、亜弥ちゃん、石川さんのことは梨華ちゃんって呼ぶのに、
 市井さんだけはさんづけなの?」


110 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:34


「さやかさんとは、最近から一緒に住みだしたの。
 さやかさん、留学していてつい最近こっちに帰ってきたの。
 短大も留学していたから梨華ちゃんとは同い年でも学年が一個下なの。
 で、そのさやかさんもこっちの大学ならアタシたちと一緒に住もうってことになったの」
「・・・それで、さやかさん?なんかイトコにしてはず随分、石川さんと差があるね」
「だって、梨華ちゃんとは小さいころから家も近かったりしてよく遊んでいたけど
 さやかさんは年に一、二度、会うだけだもん、やっぱりイトコっていっても
 あんまり会わなかったら呼び方もそうなっちゃうし、
 それにそれがもう板についてきたし・・・」




111 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:35

亜弥ちゃんと石川さんたちの関係がイトコだと聞いて少し安心する。
でも少しだけ、一緒に住んでいる石川さんたちが羨ましく感じた。

「ふーん・・・それにしては仲がいいね」
「みきたん、何か・・・怒ってる?」
「別に、・・なんでミキが怒るのさ?」
「だって、顔がすっごい不機嫌そうだよ?」
「えっうそ!」

思わず自分の顔を手で押さえる。
石川さんたちのことは羨ましいと思ったけどそんな顔に出るほど不機嫌だったのかと
思わず手で確認するが・・・

「にゃははは、みきたん、カガミなしでどうやって顔、確認するのさ」
「あっ・・」

そう、手で触ったところで自分が不機嫌かどうか分かるはずもなく。
ミキのこの行動に亜弥ちゃんはお腹をおさえて笑い出した。



112 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:36

「むー 亜弥ちゃん笑いすぎ」
「だっ、だって、ふ、ふははは」

ミキは不貞腐れた顔がするがもちろんそれはカタチだけ。
たしかに、石川さんたちのことは少し焼きもちやいたけど、でもこれで亜弥ちゃんのことをまた一つ知ったことで亜弥ちゃんに一歩近づけたことに嬉しさを感じていたから

「はーホント、亜弥ちゃん笑いすぎだから」
「にゃはは、ごめん、ごめん、みきたんの行動があまりにも可愛くて・・」
「かっ、可愛い!?」
「うん、みきたんは可愛いねぇ」

目を三日月にして笑う亜弥ちゃん。

『 いや、あなたの方が可愛いです 』

なんて、今の亜弥ちゃんの言葉で真っ赤になっているミキには言えるはずもなく

「ほ、ほ、ホント?亜弥ちゃん」
「うん、ホント、ホント、みきたんは可愛い」
「・・ミキの顔、怖くない?」
「なんで?みきたんの顔、全然こわくないじゃん」
「まじで?」
「でじま」
「まじでじまって、そうじゃなくて」
「にゃはは、ほんとだってば、」

また、目を三日月にして笑っている亜弥ちゃん。

113 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:36

さっきからずっと笑っている亜弥ちゃん。
いや、ミキにとっては笑い事ではないんですけど。
マジで!?亜弥ちゃん、ミキのこと可愛いって、それに顔も怖くないって言ってくれたの?
はっ!?・・・これって、ひょっとしていけるんじゃないだろうか?
幸い、さっきまでの不機嫌だった亜弥ちゃんも今はすっごい笑顔でいるし、
い、今、告ってもOKしそうなほど何かいい雰囲気じゃない?
それにさっきの告白めいた時よりも良いカンジじゃない、これって?
・・・よ、よし、告るなら今しかない!


「あ、あああああ、亜弥ちゃん!」

勢いつけすぎてどもりすぎたミキ。
そんなミキを亜弥ちゃんが不思議そうに見ている。
だけど、そんなのは気にしてらんない。
今、言わないと・・

「ミ、ミキと・・・」


114 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:38


『 付き合って下さい 』


ミキは確かにそう言うつもりだった。だけど・・・


「おーい、早くゲーム始めようよ」
「あ、はーい、ほら、みきたん、早く行こう」

ミキの側を足早に通り過ぎる亜弥ちゃん。
そう、意を決したミキの告白はよっちゃんの声によって邪魔された。

「・・・・」

呆然とするミキによっちゃんが声をかける。

「どしたの、ミキティ?何か告白する前に振られたって顔してるけど。
 ねぇ、それより聞いてよー、実はりかちゃんと付き合うことになってさー
 なんかね、ウチとミキティの仲の良さを誤解していたみたいなんだけど、誤解を
 解いていくうちに良い感じになってさー で、告ったらオッケーもらったんだぁ・・・」

115 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:39

よっちゃんが横で何か言っているけどミキの頭の中にはちゃんと入ってこなかった。

「・・それでさぁ、って、ミキティ聞いてる?」
「・・ん・・ぁ」
「え?何、聞こえないんだけど」
「よっちゃんの、よっちゃんの・・・」
「ん?ウチがどうしたの」

「よっちゃんの ぶぁかぁーーーーーーーーー」
「んな!?なんでウチがバカなのさ?」
「バカバカバカバカバカバカバカバカバカーー
 せっかく亜弥ちゃんに告白しようと思ったのに、いい感じだったのにー」
「バカ、バカ言い過ぎ!そんなこと言ったって・・ヒィ!?」

反論しようとしたひとみの肩をミキが掴む。


116 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:42
ひとみの肩を掴み、涙ぐんでひとみに迫る美貴

「よっちゃん、ミキ、よっちゃんに何か悪いことした?
 そりゃー、この前よっちゃんに内緒でよっちゃんのお昼の弁当のゆで卵を
 生卵に換えたのはミキだよ?その後、よっちゃんがメチャクチャ怒っていたから
 ミキがやったとは言えずに寝ているごっちんに犯人を押し付けたけどさ、
 だからって、ここで邪魔しなくてもよくない?」

「いや、だから落ち着けって、・・お前かぁ!ゆで卵と生卵をすり替えたのはぁ!!
 あの後たいへんだったんだぞ!?ウチはゆで卵をオデコに一度ぶつけてか殻を
 剥くのに、それが生卵になってたもんだからウチ、モロに卵を被ったんだぞ!
 しかもミキティが犯人はごっちんだって言うから、ウチも頭にきて寝てるごっちんに
 延髄斬りをかましたんだぞ!・・・・全然、平気な顔してたけど」

「「・・・・・」」

二人揃って真希のほうへと振り向く。
嬉しそうに市井さんと話している真希がいた。

117 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:43

「・・・よっちゃんのあの技食らって平気だったの?ごっちん」
「うん、『 んぁ? 』とか言ったあとまた寝たんだよね・・・」

「「・・・・・」」

「ま、まあ、それも過ぎたことだから今は置いといて、
 とりあえず、ミキティ落ち着け!知り合ったばっかなんだから
 まだチャンスはあるって」
「・・・ホント?」
「マジ、マジ!ね!?だから落ちついて。とりあえずゲームでもして
 そこからまたいい感じになればいいんだし」

「でも、そう都合よくいくかなぁ」
「だーい丈夫だって、ここで一発、カッコイイところを決めればあややも惚れるって」
「うー、そうかなぁ・・」


118 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:44

「まぁ、今はグダグダ考えても仕方ないんだし、
ほら早く行かないとまた、あの二人が機嫌をくずすよ」

そう言って、足早にその場を去るひとみ

「むー、だいたい誰のせいで・・って、あっ逃げた!
たく!・・・はぁ確かに今考えても仕方ないか。
やっぱりこういうのってタイミングが大事だし」

ひとみに告白を邪魔されたが、いつまでもそれにこだわるわけにもいかないので
美貴も気を取り直して三人の方へと歩いていった。



119 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:46

「みきたん、おそーい」
「ごめん、ごめん。ちょっと、よっちゃんに話があって」
「何、話してたの?」
「えっ?・・・あー、えーと、イヤ、別にこれといって大したことじゃないけど」

全然、大したことではなくて美貴にとっては大事なのだが話しの内容が喋れる内容ではないのシドロモドロで答える美貴。

「・・・ふーん、別にあたしには関係ないことだからどーでもいいけど」

シドロモドロで答えた美貴に亜弥はそっけなく返す。

 うっ、また怒ったのかな? 

さっきのひとみとのやり取りにも何故か不機嫌になった亜弥。
せっかくいい雰囲気までに持っていったのに、また怒らせては大変だと美貴は慌てて
付け加える。



120 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:47

「い、いや、大したことじゃないっていうのは、よっちゃんのちょっとした
 近況報告のことで・・・」
「近況報告?」
「う、うん。じ、実はよっちゃんと石川さんが、
 つ、付き合うことになったという報告で・・・ 」

「えっ?梨華ちゃんと吉澤さんが!?」

目を大きく開けてびっくりする亜弥ちゃん。
どうやらまだ、石川さんから何も聞いていなかったらしい。

「・・・そうなんだ、どうりでさっきから梨華ちゃん、ソワソワしたりして
落ち着きがなかったんだ」

何やら石川さんの態度に納得したような亜弥ちゃん。
ミキの言い訳にも納得してくれたようで、さっきまでのそっけなさはもうなかった。


 ほっ、良かった。機嫌が直ったみたい 

ひとみと梨華の方を見ている亜弥に美貴は胸を撫で下ろす。


121 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:48

「みきたん!」
「な、何!?」

二人の方を見ていた亜弥ちゃんが急に振り返ってミキを呼ぶ。

「ぜーーーーーーったい!あの四人に勝とうね!」
「は?」
「勝とうねっていうか、勝つ!」
「は、はぁ」

さっきまで一人で納得していた亜弥ちゃんが俄然やる気モードに。
ワケがわからないまま、よっちゃんたちの所まで来て納得。


「・・・二人ともイチャイチャしすぎ」

122 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:49

よっちゃんと石川さんはこれでもかって言うくらいイチャつきまくっていた。


「ひとみちゃん、次もガンバろうね!」
「もっちろん!あっ、でもりかちゃんは何もしなくてもいいからね?
 りかちゃんに怪我でもされたら・・」
「そんな、大丈夫よ!私もひとみちゃの力になりたいし、だから私にも手伝わせて?」
「・・・りかちゃん」
「ひとみちゃん・・・」


真夏のビーチがそこだけさらに熱帯並みの熱さになっている。

「ははは・・・確かに、張り倒したくなるよ。ん?でも、四人って・・・」

思わずごっちんの方を見る。
そこには市井さんと二人仲良くカキ氷を食べているごっちんがいた。

「はい、いちーちゃん、あーんして」
「・・・・あーん」
「おいしぃ?」
「・・・うん」


押せ押せのごっちんに、照れながらも応える市井さん。
こっちもハタから見れば、バカップルに見えるくらいイチャつきまくっていた。


123 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:51

「ねーみきたん、こーんな、バカップルなんかに負けてらんないよねー」
「・・・・」
「みきたん?」
「ふっふふふふ・・」
「み、みきたん!?」

不敵に笑い出したミキに亜弥ちゃんが引いている。
でもミキはそんな亜弥ちゃんの反応にお構いなしに笑い続けている。

 っていうか、これが笑わずにいられるかぁ!!
 何?何なのよ!?よっちゃんまでならともかくごっちんまで?
二人とも何しに来ていたっけ?・・・ああそうか、ミキが強引に連れてきたんだ。
そうだよ、何で二人が先に出会いを見つけているのさ?しかも カポー誕生してるし。
二人をエサにしてミキが出会いをゲッチュするはずがなんでミキがエサになってんの?
くっそー、これも全部よっちゃんが告白を邪魔したせいだ。
今日、帰ったら『 ミキサマミキサマオシオキキボンヌ! 』の手帳にある上位3位のやつで仕返し
してやる。よし、ケッテーイ! 

心の中でよっちゃんへの仕返し計画をパート3まで考えていると
横から腕を揺すられた。


124 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:52

「うっ?と、わって、何?亜弥ちゃん・・って!?」

体を揺らしていた張本人を見ると泣きそうになっていた。

「あ、亜弥ちゃんどうしたの!?何で泣きそうになってるのさ?」

ワケが分からずパニクる。
それを見て、今にも泣きそうになっている亜弥ちゃんが話し出す。


「うー だって、みきたんがいくら呼んでも返事しないし
 ずっと笑ったままだし・・ひっく・・」
「わー!?泣かないで亜弥ちゃん。ミキならほら大丈夫壊れてないよー」

泣き出しそうになっている亜弥ちゃんを慌てて慰める。

 ヤバイ、ヤバイ。また飛んでたよ。
  これもみんなよっちゃんのせいだ。・・・うん、そうしとこう 

また新たにお仕置きの決意をしつつ亜弥を慰める美貴。


「あ、亜弥ちゃん、ミキならもう大丈夫だから泣かないで
 ほら、よっちゃんたちも待っているからゲームしよ、ね?」
「・・・うん」

まだ涙ぐんでいる亜弥ちゃんを宥めてゲームをするため砂浜へと移動した。


125 名前: 投稿日:2004/06/19(土) 04:57

 更新、終了

・・・うーん、エラーを出しすぎて読みづらい文になってしまった。

とりあえず今回はここまで・・・

調子が良ければまた2,3日中にでも更新したいと思います。

・・・それでは失礼します

126 名前: 投稿日:2004/06/23(水) 23:50

 更新、開始
127 名前: 投稿日:2004/06/23(水) 23:53

どーにかして亜弥ちゃんを宥めてゲームコートの中へ。
亜弥ちゃんも泣き止んでいてようやくもとの笑顔に戻る。

「ごめんね、みきたん。取り乱したりして」
「いや、大丈夫だよ、こっちが先にアレだったし・・ね?
 それより亜弥ちゃん、気持ちを切り替えて楽しくゲームしようね?」
「うん!」

亜弥ちゃんも元気になったところでゲームをしようと
よっちゃん達の方を見ると

・・・・まだ、イチャついてやがる

よっちゃんやごっちん達のおかげで亜弥ちゃんに泣かれたっていうのに・・・
ミキの中で怒りの炎が燃え上がった。

128 名前: 投稿日:2004/06/23(水) 23:54

「・・・ごっちん、ゲームの合図して」
「んぁ?・・・・あー ハイハイ。
 じゃあ、ミキティ達からのサーブでゲームスタート」
「・・・・」

少々どころか、かなり投げやりな態度で気だるく返事をする真希。


ごっちんの合図でゲームがスタートする

「よっちゃん、いっくよー」
「へーい、ばっちこーいミキティ。どんな球でも返してやるぜ」

バレー部のひとみは余裕顔で構えている。
美貴はひとみが構えたのを確認するとボールを高く放り投げた。


その時、美貴の目が怪しく光った。


                 キラッ
(;0^〜^)<え?         (VvV川
129 名前: 投稿日:2004/06/23(水) 23:55

― ″ビュン    チッ   ―

「・・・・・」

「い、1対・・0」

美貴の放ったサーブがもの凄い速さでひとみの頬を掠める。
ひとみの頬には掠めたボールによる摩擦で赤く線が出来ていた。

「は、ははは」

ボールが頬を掠めたひとみは笑うしかない。

「ひとみちゃん大丈夫!?」
「はは、ははは、だ、大丈夫」

側にいた梨華が駆け寄ってくる。
心配そうに覗き込んでくるその顔にひとみは理性がぐらつきそうになる。

 うっ、梨華ちゃんそんな誘う目で見ないで・・・ 

― バカ(妄想)である。

梨華のその目に思わず抱きしめたくなる衝動にかられるが
何とか堪えて視線を外す。これ以上見られたらホントにどうにか
なりそうなので、とりあえず美貴に噛み付く。
130 名前: 投稿日:2004/06/23(水) 23:56

「あっぶないじゃん、ミキティ!梨華ちゃんにあたったらどうすんだよ」
「ひとみちゃん」

うるうるな彼女。
とりあえず、彼女を庇って好感度UP
しかし、美貴の口からはとんでもない言葉がでてきた。

「大丈夫!よっちゃんだけ狙ったから」
「は?・・・ウチ?」
「うん、よっちゃんはそこに立っているだけでいいから
 楽に一発で終わらせてあげるし・・・」
「いやイヤいやイヤいや・・ミキティ?」

「大丈夫だよ、運が良ければ助かるし」
「って、殺る気っすか!?」

ニコニコ顔の美貴に青い顔のひとみ。
どうやら想像以上に美貴を怒らせてしまったらしい。


131 名前: 投稿日:2004/06/23(水) 23:57
「さ、よっちゃん続きしよっか」

ボールを持って次のサーブの構えをする。
目には炎が見えるほどやる気(殺気)がスゴイ。

「ちょっと待てミキティ」

慌てて美貴を止めに入るひとみ。そして美貴の前まで来て
命乞・・・じゃなくて説得にはいる。

「ミキティ。何でそんなマジなのさ?
これはゲームなんだから楽しくしようよ、ね?」
「・・・亜弥ちゃんにいいところ見せろっていったのはよっちゃんでしょ」
「いや、言ったけど。ミキティがマジになると死人がでるんですけど・・・」

ひとみは美貴の初恋事件を思い出しかけて・・すぐに忘れた。
思い出すだけであの時の恐怖が甦る。

「大丈夫だよ、運が良けりゃ助かるし」
「だから何で殺る前提なのさ!?」


132 名前: 投稿日:2004/06/23(水) 23:59

ひとみが抵抗していると、さっきまでニコニコ顔だった美貴の顔が
急に真剣な表情へと変わる。

「・・・よっちゃん」
「何?」
「ミキが今日ここに来た理由は分かっているよね?」
「う、うん」

ひとみの返事に目を閉じ軽く息をはく。

「ふー・・・だったら」
「だったら?」



(何でミキより先によっちゃんとごっちんが出会いをゲッチュしてるんじゃ、ゴルァ!)


                       _, ,_
(;0^〜^)<ゴメンなサーイ       (VvV从<ゴルァ!

133 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:00

「ひぃ!?」

(別によっちゃんとごっちんが恋人の一人や二人や
三人や四人作ろうがミキには関係ないですよ?でも何でミキより先なのさ)

(そん、そんなこと言ったって・・それに一人や二人って人をタラシみたいに)

(だいたいよっちゃんがミキの告白さえ邪魔しなければ今頃亜弥ちゃんと・・)

(だから、それは悪かったってば・・もう、どうしたらいいのさ)

後ろの二人に聞こえるとまずいのでコソコソ話す。
そんな二人を梨華と亜弥は不思議そうに見ている。

「・・と、いうわけでよっちゃんには体で償ってもらうから」
「そんなぁ・・・」

まだコソコソ話している二人に梨華と亜弥が近づいてくる。
134 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:01

「どうしたのみきたん?」 「ひとみちゃん何かあった?」

二人が同時に聞いてくる。
その瞬間、二人はさっと、笑顔になり振り向く。

「んーん、何でもないよ、ねー、よっちゃん?」
「そうそう、何でもないよ。お互い頑張ろうって言ってたんだ。
 さっ、ゲームの続きしようか」

お互いにパートナーをゲームのコート位置に連れ戻す。
ひとみはまだ青い顔のまま、


― このゲーム、勝たなきゃ殺られる ―

と、判断し美貴との死闘に腹をくくる決心をした。

135 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:02

サーブの構えを取りながら、美貴がひとみに言う。

「よっちゃん、幸せっていうのは時として大きな犠牲を払わなきゃ
 いけないんだよ」

美貴の芝居がかったセリフにひとみの目の中の光がもどる。

「・・・ミキティ、もうそれしかないんだね・・」

何故かひとみも芝居かかったセリフを言う。

「・・・・?」 「?」

そんな二人をやっぱり梨華と亜弥は不思議そうに見ている。


「さあ、お遊びは終わりにして・・・いくよ、よっちゃん」
「こい!ミキティ」

美貴が再びサーブを打つ。
ボールは美貴の手を離れ勢いよくひとみの方へと向かっていく。

「っせ!」

タイミングを合わせてレシーブで返す。しかし、それを狙っていたかのように
美貴がボールに合わせてジャンプしアタックをする。

 バシッ 

ボールはひとみの横を通り過ぎ、見事に美貴のアタックが決まる。

「ふっ、まだまだ、だね」
「くそっ」

「それ!まだまだいくよ」
「よし、こい!」

136 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:03

白熱した死闘・・じゃなくて、ビーチバレーが展開する。


「・・・ねぇ、イチイちゃん」
「なに?」
「次のゲーム、キケンしよっか?」
「あー・・・・うん、そうだね」

ゲームの審判をしながら市井が答える。

「じゃあ、ゴトウといまから海の家に行ってアイス買いにいかない?」
「おいおい、まだ食うのオナカ壊すよ?それに審判は・・・」
「いいの、いいの。イチイちゃんともっとイチャイチャしたいんだから」
「・・・はいはい、じゃ、行こうか」
「うん♪」


美貴とひとみのゲームに命の危険を感じた後藤は、早々に市井とバックレを
決め込んだ。


** * * * * * * * * * * **


「えーと、・・・両者試合続行不能の為、引き分け・・・でいいのかな?」

海の家からアイスと一緒に皆の分の飲み物を買ってきた市井と後藤が見たものは
なぜか砂浜に顔を突っ込んでいる美貴とひとみの姿だった。

137 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:06
「っていうか、何でビーチバレーでこんなになってるの」

残っている二人に聞いてみる。

「えっと、なんかバレーから何故か格闘になっちゃって
 気がついたらこうなっていて・・・」

梨華がしどろもどろに説明する。
どうやら中々バレーの勝ち負けが決まらず、何故か勝負をプロレスで
決めにいったらしい。二人とも渾身の力で技を同時に出して力つきたようだ。

「イチイちゃん、どうする?・・・コレ」
「どうするって、うーん、まあ、もともと遊びで始めたゲームだからね
 どっちも引き分けってことでいいんじゃないかな?
 一応、この二人はパラソルの下で休ませておこうか」

とりあえず砂浜に埋まっている美貴とひとみを引っこ抜き、
パラソルの下まで四人で運ぶことにした。

138 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:07


         
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   ⌒⌒⌒     ⌒⌒ ⌒ |      ⌒⌒ ⌒
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( ´Д`)<・・・         あ、あの・・>(^▽^;)
ヽ;^∀^ノ                      (‘ 。‘;从
139 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:08

「・・うーん、・・・あれ?」

目を開けるとそこは真っ暗・・ではなくてミキの顔にタオルが乗せられていた。
タオルをどけてモソモソと起きだす。

「あ、ミキティ起きた?大丈夫?」

真希が隣で飲み物を飲みながら美貴のほうを見る。

「・・うん、ミキどうしたの?」
「よしこと一緒にダブルノックアウト」

真希はいつものフニャっとした顔で言った。

「・・・よっちゃんと?・・・・あー!そうだ、ゲームしてたんだ」

ひとみとのビーチバレーが決着がつかなかったからプロレスに持ち込んだことに
ようやく覚めた頭で思い出す。

140 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:09

「ゲームはどうなったの?」
「んあ、イチイちゃんと相談して3チーム引き分けにすることにしたよ」
「えー!?じゃあ、勝ったチームに何でも奢るっていうのはナシ?」
「なし」
「そんなぁ・・・せっかく優勝して亜弥ちゃんにいい所を見せようと思ったのに」
「まぁまぁ、もともと、遊びで始めた賭けだったんだし」

残念がる美貴を真希があやす。

「それよりミキティ、もうすぐ帰るからシャワー室で着替えてきなよ」
「・・・うん、あっ、そういやよっちゃんは?」
「よしこならあそこで寝てるよ」

そう言って、美貴の後ろを指す真希。
美貴は真希がさした方へと振り返る。

「・・・・」
「気持ちよさそうに寝てるよねぇ」
「・・・・」

少し離れたところに差したパラソルに
よっちゃんは気持ちよさそうに寝ていた。


・・・・石川さんのヒザで
ちっ、よっちゃんうらやまし過ぎるぞ


141 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:12

「よっちゃんだけズルイー
 ミキも亜弥ちゃんにヒザ枕してもらいたいー」
「・・・ミキティ、キショいよ」

子供のように地団太をふむ美貴。
それを真希は呆れた目で見ていた。

「はっ、そういや亜弥ちゃんは?」
「んー、イチイちゃんとシャワー室に行ったよ」
「・・・そうなんだ」

亜弥がいないことにショボンとする美貴。
着替えを持ってとぼとぼとシャワー室に向かう美貴に真希が後ろから声をかける。

「まっつー、さっきまでミキティの側を離れなかったんだよねー
 『みきたんが起きるまで側にいる』って言ってさー。
 そのタオルもまっつーがかぶせてくれたんだよねー」
「え?亜弥ちゃんが?」

ショボンとした顔を上げて真希の方に振り返ると優しい顔で笑っていた。

142 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:13

「まっつーとミキティ、中々お似合いでしたよ?」
「・・・・」

真希のその言葉に顔が一瞬で赤くなる。
それをみた真希は、「うっしっしっ」 なんてオヤジみたいな笑いで美貴を見ている。

「なんでギモン系なのさ」
「あはっ、ほんとだ。ギモン系だねぇ」

「ねぇ、ごっちん・・・」
「んー」

「亜弥ちゃん、少しはミキのこと・・好きかな?」
「どうだろう」
「・・・・」
「でも・・・」
「でも?」
「嫌いではないと思うよ」

「そっか」
「うん」
「へへへ・・・ミキ、着替えてくるね」

シャワー室へと向かう途中、亜弥ちゃんと市井さんに会った。

143 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:14

「あ、みきたん!大丈夫?」
「・・・うん、もう平気だよ。あっ、市井さん、ありがとうございます。
 ミキとよっちゃんを運んでくれたみたいで」
「いや、全然。それよりホント大丈夫?」
「はい、もう全然平気です」
「そっか、良かった。・・・あっシャワー室は大分混んでいたから
 早く行ったほうがいいよ」
「あっ、はい。じゃあ・・・」

市井さんと亜弥ちゃんに軽く礼をしてからシャワー室へと向かった。


混んではいたが運がいいことに一つだけ空いていたシャワー室へと入ることが出来た。
体についた砂を落とすために頭からシャワーの水を被る。

144 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:15

″気持ちいい″

冷たい水が美貴の心を落ち着かせる

― まっつーとミキティ、以外にお似合いでしたよ? ―

不意に真希の言葉が蘇る。

= かぁ =

せっかく冷めかけた顔がまた熱くなる。

「お似合いか・・・」

そうつぶやいた後、美貴は急いでシャワーを浴び、着替えをした。


145 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:16

シャワー室から戻るとごっちんが帰る準備をしていた。

「あっ、ごめんごっちん。一人で帰る準備させたりして・・」
「あー、大丈夫だよ。荷物少なかったし」

真希がほとんど片付けていてくれたので美貴は自分の荷物を片付けるだけで帰る準備が出来た。

「さてと、それじゃあ、そろそろ帰る?」
「えっ・・・あ、うん」

歯切れ悪く返事をしながら亜弥ちゃんのほうを見ると市井さんと楽しそうに話をしていた。

「ミキティ?」
「あ、うん。そうだねもう暗くなるしね」

辺りをみると日が傾き夕方になりかけていた。
146 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:17

″はぁー、亜弥ちゃんともこれでお別れかぁ ″

亜弥とは住むところも帰る方向も違うのでこのビーチで別れることになる。
せっかく出会ったのに告白できずに終わりになりそうなので美貴はへこんでいた。

「あ、そうだミキティちょっとだけ待ってて。イチイちゃんと話してくるからさ」

そう言って市井さんのところに行こうとした真希が振り返って美貴の耳元で囁く。

「せっかく最後なんだからばっちり決めたら?」

そう囁いたあと市井さんのところへと歩くごっちん。

「・・・・」

美貴が何も言えずに真希のほうを見ていると入れ替わりに亜弥がこちらに向かってきた


147 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:18

「もう帰るんですか?」
「え、あっ、うん。」
「えー、もっとみきたん達と遊びたかったのにー」
「もう暗くなるし・・」
「あっ・・そうですね」

「「・・・・」」

会話が終わる。
せっかく二人きりなのに肝心の言葉が出てきてくれない。
自分のへタレさに軽くへこむ美貴。
でもせっかく真希が気を利かせて二人きりにさせてくれたのだから
せめて会話が止まらないように美貴は喋りだした。


148 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:19

「そうだ、亜弥ちゃん。ミキのことはもう慣れた?」
「えっ、あ・・・実はまだ二人だと緊張・・・します」
「あはっ、そっかー。やっぱり1日ぐらいじゃ無理かー」

ミキが少し残念そうな顔をすると亜弥ちゃんが慌てて付け加えた。

「あっ、で、でも!今日知り合ってここまで仲良くなれたのはみきたんが初めてで
だから、あの、アタシ的にはすごい嬉しいっていうか、だから・・・」

慌てた顔で一生懸命ミキのことを慰める亜弥ちゃんをみてミキは思った。


″嫌われてはいないんだよね? ″

そう思ったミキはさっきまでのへこんでいた気持ちがなくなった。

「あはっ、亜弥ちゃん、そんな申し訳なさそうに言わなくてもいいよ
 言ったじゃん、別に人見知りされたくらいじゃ嫌いにならないって」
「でも・・・」

まだ申し訳なさそうにしている亜弥の頭を美貴は軽く撫でてやる。


149 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:21

「それにミキは亜弥ちゃんの笑った顔が好きだよ。
亜弥ちゃんは可愛いんだからさ。もうちょっと勇気をだして人に接すれば
 人見知りも直るって。ね?」
「・・・うん」

ミキが笑うと亜弥ちゃんは少し顔を赤らめて頷いてくれた。

「おーい、ミキティ!もう帰るよー」

少し離れたところでよっちゃんとごっちんがミキを呼ぶ。


″あーあ、これでお別れか ″

亜弥ちゃんに後ろ髪を引かれつつ、よっちゃんに返事をする。

「あ、うん。今いくからー
・・・じゃあね、亜弥ちゃん。今日は楽しかったよ」

そう言って亜弥ちゃんに手を振ってひとみたちの所に行こうとしたミキの体が止まる。


150 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:23

「あ、の、亜弥ちゃん?」
「・・・・」

「あの、離してくれないとミキ、帰れないんですけど・・・」
「・・・・」

ミキの手を掴みながら赤くなっている亜弥ちゃんと見つめあう。

「亜弥ちゃん?」
「・・・ホントに?」
「え?」

「ホントに人見知りしても嫌いにならない?」
「え、あ、うん」
「じゃあ、協力してください」
「協力?」

「アタシ、みきたんのこともっと知りたいから・・・だから
 嫌いにならないで協力してください!」


151 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:24

「え、あの、亜弥ちゃんそれってミキと・・」

顔を赤くしたミキに亜弥ちゃんはさらにミキより真っ赤になる。

「だから、そういうことなんでよろしくお願いします!」
「あ、は、はい!・・・っていうかミキでいいの?」
「みきたんがいいんです。
それにみきたん、アタシのタイプだもん!」
「えっ」
「・・あっ」 

顔を真っ赤にしてミキがタイプだと告白した亜弥ちゃん。

「あ、亜弥ちゃん!?今なんて言ったの?もう一回言って!」
「な、何も言ってません」
「いや、言ったじゃん。もう一回言って」
「いってません」

真っ赤な顔の亜弥ちゃんはミキの手を離してスタスタとミキの前を歩き出した。


152 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:25

「あやちゃーん(泣)」

スタスタとミキの前を歩く亜弥ちゃんに情けない声でついていくミキ。

ちょっと、泣きそうになっているミキに亜弥ちゃんが振り返った。

「ア、アタシがみきたんに人見知りしなくなったら言ってあげます」
「ホント?」
「ホント!」
「ゼッタイ?」
「ゼッタイ!」

「よーし、亜弥ちゃん!ミキが亜弥ちゃんの人見知り治してあげるからね」

コブシを高らかに挙げて宣言するミキに亜弥ちゃんは
右手をピストルのようなカタチにしてそれをミキにむける。

「期待してますからね」
「・・・・」


亜弥ちゃんがむけたピストルに動けなくなるミキ。
亜弥ちゃんは右手をおろしてミキに笑顔をむける
153 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:27

「みきたん、皆のところまで競争しよ!
 早く着いた人にジュース奢るの。いくよ、よーい、ドン!」
「えっ、あ、亜弥ちゃんズルイ。待ってよ」

美貴の不平の声に振り向くことなく走る亜弥を追いかける美貴。

そんな二人を眺める二つの影。

「どうやらうまくいったみたいだね、ごっちん」
「みたいだねー」

嬉しそうに亜弥を追いかける美貴を二人も嬉しそうに見ている。



154 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:28


「・・・でも、ミキティ絶対忘れているよね」
「んあ?・・・あー、多分、存在自体忘れてるね」
「だよね」

そう言った二人が後ろを振り返る。

ちっちゃな子供に棒で突つかれてる砂に埋まったアレ(作者)を見る。

「「・・・・」」

「「まっ、いっか」」




「亜弥ちゃん、まってよー」
「いやですぅー」




綺麗な夕日が沈む海へと残されたのは
楽しそうに追いかけっこをする彼女たちの声と
頭にカニを乗せて海へと沈みかけているアレ(作者)だけだった。



                      END


155 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 00:31

 
 更新、終了 

はぁー、やっと、終わりました。
この続編で学んだこと。

『 短編の続きは考えるな 』

ですね。

ホント考えれば考えるほど、藤本さんが妙な方向に行こうとするし、
もういい加減、藤本さんは幸せでなくていいかな、なんて考え出すし
レスがこないから読んでる人いるのかな?なんて気弱になるし・(ノД`)・
でも、まあ無事終わってよかったです。

 次回はいくつか短編を書きたいと思います。
 そのときには感想などくれたら嬉しいです。


 ・・・・それでは今回はこれで失礼します。



156 名前: 投稿日:2004/06/27(日) 16:33


 出来たての短編をひとつ・・・


157 名前: 投稿日:2004/06/27(日) 16:45



= ロコローション =
158 名前:ロコローション 投稿日:2004/06/27(日) 16:46

「うわー、すごい。ここ、どこだろう」

美貴の隣でモデル雑誌を見ていた亜弥ちゃんが驚嘆の声をもらす。
ミキはその亜弥ちゃんの隣でテレビを見ていた。

「ん?なに、何がすごいの?」

隣にいたミキはテレビを消して亜弥ちゃんが見ていた雑誌を覗き込むようにしながら聞く。

「あ、たん!邪魔!」
「じゃ、邪魔って、ひどい・・」
「見たいなら見せてって言いなさいよ」
「・・・はいはい、で?亜弥ちゃんは何を見てそんなに驚いてんの?
 ミキにも見せてよ」

雑誌を見ようとしたミキの頭を亜弥ちゃんがすかさずどかす。
それに少々の不満を感じながら亜弥ちゃんが見ていた雑誌を見せてもらう。

159 名前:ロコローション 投稿日:2004/06/27(日) 16:48

「ココ、この海のロケ地。すっごい綺麗なところなんだけど、どこかなって」

亜弥ちゃんはそう言って、さっきまで自分が見ていたモデル雑誌を広げて見せてくれた。
その雑誌を見てのミキの感想は・・・

「おー!!すっごい綺麗でナイスバディなお姉ひゃ・・いひゃひゃ、
 あやひゃん、いひゃいです」
「・・・どこ、見てんのよ」

感想をもらしたミキの口を亜弥ちゃんが思いっきり横に伸ばす。

「もう!どこ見てんのよ。ココ、この海のことをアタシは言ってんの!」

ミキの口を掴んでいた手を離して亜弥ちゃんは雑誌の海を指す。

「イタタ・・・ごめん、ごめん。
 だって、水着を着たお姉さんがあんまり可愛かったんで・・・」
「タン!」


160 名前:ロコローション 投稿日:2004/06/27(日) 16:49

「ヒッ!ごめんなさい!冗談です」
「まったく・・・だいたい、みきたんは・・・」

まだ、ぶつぶつと言っている亜弥ちゃん。
でも、そんなことを言ったって、海辺で綺麗なお姉さんが水着になってたら普通はそっちに目がいくって。
反論をしようとしたけど、どうせ、その何倍ものお返しが来るのは分かっていることなのでミキはそのまま話を元に戻した。

「で?この綺麗な海がどうしたの」
「ちょっと、反省してんの?」
「してます、してます。」
「なんか言い方が投げやり。・・・まあ、いいけど。
 それより、みきたんこれ見てよ。もの凄く綺麗な海じゃない?」

ミキは今度こそ亜弥ちゃんが言っていた海を見てみる。
そこには白い砂浜と透きとおるほどの綺麗な海が写っていた。
で、その隣っていうか、そこにさっき、ミキが目を奪われていた綺麗なお姉さんがいるわけですが・・・

161 名前:ロコローション 投稿日:2004/06/27(日) 16:50

「おっ、ほんとだ。どこだろうね、ここ。
・・・えーと、ロケ地は・・・タヒチって書いてあるよ、亜弥ちゃん」
「タヒチって、海がものすごく綺麗で楽園って言われているところでしょ」
「そうなの?ミキ、地理は苦手だからよくは知らないけど」
「みきたん、少しはお勉強しなさい」
「はいはい、でも、ほんと綺麗だね」
「ねー。いいなー、アタシもこんなところ行ってみたいなー」

目を輝かせながら雑誌を見ている亜弥ちゃん。
そんな亜弥ちゃんを見ながらミキはもう一度その雑誌へと目を向ける。

白い砂浜と透きとおる海でほどよい刺激的な格好で海ではじけているモデルのお姉さん。
それを、亜弥ちゃんへと置き換えてみる。

「・・・・」
白い砂浜で刺激的な水着でミキに手招きしている亜弥ちゃん。


162 名前:ロコローション 投稿日:2004/06/27(日) 16:53

「・・・いい」
「ん?みきたんも行きたいの?」
「・・・うん、行きたい。っていうか、連れて行ってあげたい」
「にゃはは、それじゃあいつか二人で行く?」
「いつかといわず、今すぐにでも連れて行ってあげるよ」
「にゃはは、たん、今すぐは無理だよって、ふあ!?ちょ、ちょっと、みきたん!?」

ミキの言った言葉を冗談と受け取っていた亜弥ちゃんを引き寄せて
座っていたソファへと押し倒す。
亜弥ちゃんは何が起こったのかわからないように目を丸くしている。

うーん、こういう何も分かっていないで誘っている目もいいよなぁ。

163 名前:ロコローション 投稿日:2004/06/27(日) 16:54


まだ、状況が分かっていない亜弥ちゃんの首へと顔を埋めると亜弥ちゃんの体が極端に反応した。

「ん、あっ、や、やだ、みきたん、ちょっ!」
「・・・なに?」
亜弥ちゃんの首筋へと埋めていた顔を離して亜弥ちゃんを見る。


「な、なにって、急にこんなことしたら誰だってビックリするよ!」
「急じゃなかったらいいの?」
「そういうことじゃなくて、なんで突然こんな体勢になってんのよ!?」
「だって、そんな刺激的な格好されたら、どうにもならないほうがおかしいって」
「な!?刺激的って、アタシ、別にそんな格好してないじゃん」
「いや、ミキのなかでは常に亜弥ちゃんは刺激的だし・・それに亜弥ちゃんが行きたいって」

164 名前:ロコローション 投稿日:2004/06/27(日) 16:56

「はあ!?ちょっとみきたん!なに想像してたのよ」
「えっ、い、いや、別にミキはこの雑誌に載っているお姉さんを亜弥ちゃんに置き換えたりしてないから。ましてや、こんな水着を着た亜弥ちゃんは刺激的だろうな、なんて考えてませんよ?」

「・・・考えてたのね」
「うぐっ」
「もう、みきたんのエロおやじ!人が隣で雑誌見ているときに何考えてるのよ」
「常に亜弥ちゃんのことだけ考えてますが何か?」
「・・・・ばか」
ミキの言葉に真っ赤になる亜弥ちゃん。

「まあまあ、亜弥ちゃん。刺激を求めたかったらバカになれっていうじゃん」
「それは、みきたんだけでしょう」
「えー!?これよっちゃんさんに教えてもらったんだけど」
「・・・なに教えてんのよ、吉澤さんは」
呆れたように手を顔に置く亜弥ちゃん。

165 名前:ロコローション 投稿日:2004/06/27(日) 16:58

「と言うことで、亜弥ちゃん・・・」
「・・・なに?」

頭にのせていた手をどけてミキを見る亜弥ちゃん。
そんな亜弥を見て美貴はニッコリ。

「刺激を求めていざ、楽園へレッツトライ!」
そう言って、また亜弥の首筋へと顔を埋める美貴。


「ちょっ、あ、やだ、みきたん・・ん、だめ・・だってば」
「亜弥ちゃん、優しくエスコートするからさ・・・」
「ん、ばか・・・」
亜弥ちゃんの耳元で囁くと途端に大人しくなって、ミキに身をまかす亜弥ちゃん。

こうして美貴は亜弥が言う楽園違いに亜弥を連れて行ったわけだが、コトが終わった後に亜弥に強烈なビンタをくらったのは言うまでもない。




「だから、亜弥ちゃんがエロくて刺激的なのが悪いんだって」

そう言った美貴の両頬はもみじ型に赤くはれたのはさらに言うまでもない


                          END
166 名前:K 投稿日:2004/06/27(日) 17:12

 短編、終了

 ・・・如何だったでしょうか?
 
この元ネタの原曲はノリがいいんですが歌詞の内容がちょっとエロくて
それをあやみきで脳内妄想する自分はもうダメだと思われ・・・
っていうか、最近、どんな曲を聴いてもあやみきに変換する自分って・・_| ̄|○ 

 
・・・諸事情により今度の短編は多分、二週間に一回のペースで更新すると思います。
こんな、駄文ですが感想などいただけたらもの凄く嬉しいので、感想などくれるとありがたいです。



 それでは、今回はこれで失礼します。



167 名前:K 投稿日:2004/07/04(日) 01:27

 次回更新まで落ちてます。
168 名前:名無し飼育 投稿日:2004/07/07(水) 23:57
久しぶりに来たら大量に更新してあって嬉しいですw
あまりレスはしないのですが見ています。
また、あやみき書いてくださいw
169 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 00:57

 更新、開始

170 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 00:58


「 亜弥ちゃん、何聴いてんの? 」

とある休日のひと時。
亜弥ちゃんの家に遊びに来ていたミキは雑誌を読むのにも飽きてきたのでミキの側で
ポータブルCDで曲を聴いている亜弥ちゃんにチョッカイを出していた。


171 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 00:59


「 わっ、ちょっ危ないでしょ 」

曲を聴いていた亜弥ちゃんは、後ろから急に抱きついてきたミキを支えきれなくて
前のめりになった。

「 あーごめん、ごめん で、さっきから何聴いてんの? 」

そう言って、まだ恨めしそうにミキを見ている亜弥ちゃんを無視して
先ほどの質問をくり返す。


172 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 01:00

「 んーこれ?タンも聴いてみる? 」

そう言って自分の耳に入れていたヘッドホンを取り出してミキの耳の中へと入れる亜弥ちゃん。
軽快な音楽がヘッドホンから聴こえてくる。

「 ・・・誰? 」
「 分かんない? 」
「 うん、初めて聴く曲かも 」

亜弥ちゃんが聴いていたのは自分の新曲でもなく、
ミキのまったく知らない曲だった。



173 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 01:02

「 これ、モンパチなんだ 」
「 は? モンパチ? 何それ? 」

何か、サルを連想するような名前。
っていうか、そんなバンドあったっけ?

ミキがワケが分からないという顔をすると、
亜弥ちゃんは笑ってミキの耳からヘッドホンを取り出してまた自分の耳へと入れた。

「 モンパチっていうのは略称で、モンゴル800っていうインディーズのバンドなの 」
「 へー 亜弥ちゃんがインディーズを聴くなんて珍しいね 」

亜弥ちゃんがハロプロのCDを聴くのは知っていたけど、
インディーズを聴くのは知らなかったミキは亜弥ちゃんが聴くそのCDに興味をもった。


174 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 01:05

「 んー別にインディーズだからってワケじゃないよ。
  それに実はこのバンド、つい最近までまったく知らなかったし。
  このCDだってスタッフさんに頼んで買ってきて貰ったものだし 」

「 そうなの? 」
「 うん この前ね、深夜番組見ているとき・・」
「・・アンタ、朝早いのに何見てんの 」
「 まぁまぁ、たまたま寝れなくて見ていただけだから。
  それでね、寝れなくてテレビを見ようとチャンネルを色々変えているとき
  海の景色が映ってね、おっと思ってそこでチャンネルをかえるの止めたんだ 」
「 それで? 」
「 そしたらさ、何か沖縄の特集みたいのがやっていてね。
  ほら、よくテレビの画面と一緒に音楽も流したりするじゃん?
  その時にこの曲がかかっていたんだ 」

そう言って、片方のヘッドホンをまたミキの耳へと入れてくる亜弥ちゃん。
亜弥ちゃんが言っていた曲が静かなイントロとともにミキの耳のなかへと流れてくる。




175 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 01:06


― なかないでひとびとよ あなたのため あしたのため

  すべてのくによ うわべだけのつきあい やめて

  わすれるな りゅうきゅうのこころ 

  ぶりょくつかわず

  しぜんをあいする
 
  じぶんをすてて だれかのため なにかができる ―



176 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 01:07


「 どう?いい曲じゃない? 」
「 ・・・うん、何かものすごく共感できる部分があるかも。これなんてタイトル? 」
「 えーと、なんだっけ? 」
「 って、知らないのかよ・・・でもいい曲だね 」
「 でしょ? これ全体的に聴くとメッセージ性がそうとう強いんだけどね、
  アタシ的にはここのフレーズが一番好きなんだ 」

そう言って、少しだけCDを早送りにする亜弥ちゃん。

「 ここ、この部分 」


177 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 01:12

― ひび あなたおもい あなたおもい いっしょうがおわればいい

  ひび あなたおもい あなたおもい いっしょうがおえてもいい ―


「 何か良くない?好きな人だけ想って一生終えるって 」
「 えーそう? ミキはもっと他に色んなことして一生を終えたいけど 」
「 もう、ミキたん! 全然、乙女心が分かってないんだから 」
「 あはは、嘘うそ、冗談だよ ・・・うん、いいねこの曲 」 
「 でしょ?すっごいよね、その人を想って一生が終えてもいいって 」
「 そうだね 」
「 えへへ ミキたん、この曲のようにずっと一緒にいてね 」
「 うん、ずっと側にいるよ 」
「 ミキたん 大好き 」

そう言って、抱きついてくる亜弥ちゃん

178 名前:K 投稿日:2004/07/11(日) 01:15


「 ミキも好きだよ 」

ミキもそれを優しく抱きとめる



― ひび あなたおもい あなたおもい いっしょうがおわればいい
 
  ひび あなたおもい あなたおもい いっしょうがおえてもいい ―


「 ・・・亜弥ちゃん、ミキもこの曲気に入ったよ 」

そう言ったミキに亜弥ちゃんは何も言わずただ嬉しそうに微笑んだ。

二人で一つの曲を聴きながら穏やかなひと時を過ごす。



179 名前:琉球愛歌 投稿日:2004/07/11(日) 01:18

「 おーす!ミキティ何聴いてんの? 」

一人、楽屋のスミで曲を聴いていたミキによっちゃんが声をかける。

「 んーこれ? 」

すっごい興味津々な顔で聞いてくるよっちゃんにミキは顔だけ向けて返事をする。



「 『 琉球愛歌 』 」



― ひび あなたおもい あなたおもい いっしょうがおわればいい
  
  ひび あなたおもい あなたおもい いっしょうがおえてもいい 

  ひび あなたとぼく あなたとぼく いっしょう おえようか

  ひび あなたとぼく あなたとぼく いっしょう おえようか

  あなたとぼく いっしょう おえようか

  あなたとぼく いっしょう おえようか ―




                       END
180 名前:琉球愛歌 投稿日:2004/07/11(日) 01:21

更新、終了。


久々にCDとかの整理をしていたら、モンパチが出てきたのでその中から一つ
短編を書いてみました。
因みに、この曲はモンパチの曲の中で自分が一番気に入っている曲です。
一応、最後だけタイトルを入れてますが特に意味はありませんw


168>>名無し飼育さま

読んでくれてありがとうございます。
あまりレスをしないとのことですが、わざわざ、ありがとうございます。
いやー、書いているのはいいんですがこう反応がないと見ている人が
いるのか不安になったりして、別にそれが目的で書いているわけでは
ないんですけど、どんなレスでも書いてあったらやっぱり嬉しいのでw
たまにでいいので、感想などあったら嬉しいです。

・・・それでは、今回はこれで失礼します。


181 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/16(金) 12:02
私も琉球愛歌好きです。次も楽しみに待ってます。
182 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/22(木) 21:45
個人的にオレンジレンジの2作を読んで笑いました
夏っていいよなぁ〜ってニシシとおかしな笑い浮かべて…
次回も楽しみに待っておりますw
183 名前:琉球愛歌 投稿日:2004/07/25(日) 15:48

更新、開始

184 名前:k 投稿日:2004/07/25(日) 15:51

= 伝染源 =


185 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 15:53

「 『 伝染源 』が逃げたぞ 」

「  追え!逃がすんじゃないぞ! 」


「 !! いたぞ! こっちだ 」

『 エリア【 S.S‐100 】に、侵入者 』
『 エリア【 S.S‐100 】に、侵入者 』


― けたたましく鳴る警戒音


「 ふーん、これがそうなんだ 」

一人の少女が機械の前に立っている。
その目はどこか、懐かしい友に会ったように優しく微笑んでいた。


186 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 15:54

少女が機械に触れようとした時、少女の名を呼ぶ者が現れた。

「 待て!止まるんだ、なつみ! 」

『 なつみ 』と呼ばれた少女が振り返る。

「 へー、ヤグチが来たんだ でも、もう遅いよ 」

そう言って辺りを見まわす。
彼女の周りには数体の死体が転がっていた。

187 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 15:56

「 ・・・・『 チカラ 』を使ったのか? 」
「 ほんの軽くね 」
「 ・・・それが何だか分かってるの? 」
「 分からなきゃ来ないでしょ 」
「 どこでコレのことを知ったんだ?軍の者でも上層部しか知らないことを 」
「 『 チカラ 』って便利だよねー 」

「 っ!? まさか・・・そこまでチカラが増幅していたなんて・・」
「 そういうこと、だからヤグチ邪魔しないでくれる?今からコレ使うんだからさ 」
「 まて! 行かせない 」
「 ・・・バイバイ 」

なつみの手から光が発せられる。
それと同時にヤグチの体に衝撃が走る。


188 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 15:56

「 うわぁーーー 」

あまりの衝撃の強さに気を失う矢口。
それを確認したなつみは機械の中へと足を踏み入れ、呟く。

「 今、行くからね・・ご先祖様 」

なつみが乗り込むと機械が作動し始めた

『 タイムホールを開きます。目的地は2004年・日本 』

オペレーターがカウントをよみ始める。

『 4・3・2・1・・・タイムホール開きます 』
強い光と共に中に乗っていたなつみの体は消え
辺りにはただ、警戒音だけが鳴り響いていた。

189 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 15:59

「・・や・・ち!やぐ・・・・ヤグチ! 」
「 う、ん・・あ、れ・・・祐ちゃん?・・」
「 しっかりしろヤグチ!何があったんや!?なっちはどうしたん!? 」
「 なっ・・・ち? 」

まだボヤけている頭で考える。ようやく自分の身になにがあったか思い出す

「 !! そうだ!なっちは!?って、痛!! 」

勢いよく体を起こす。まだ先ほどの衝撃が残っているのか
矢口の体が悲鳴をあげる。

「 ヤグチ!大丈夫か?・・・ウチが来た時にはもう、なっちはおらんかった
  タイムホールを使った後がある。恐らくなっちはそこに行ったんや 」

「・・・なっち 」

体に傷を負いながらも立とうとする矢口に軍の制服を着た女性
中澤裕子が手を貸す。

190 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:01

「・・・どうやら過去に行ったようや・・場所は日本か 」
「 日本・・・ 」
「 ヤグチは傷が癒えるまで休んどき、これから追跡隊を編成してなっちの後を追う 」

「 待って!・・・オイラが行く 」
「 何言うてんのや!?なっちのあの『 チカラ 』を目の当たりにしたやろ!? 
 アレだけのチカラがあるなっちを止められるのはそれなりのチカラを持った奴でないと
 アカン!チカラも何も無い奴がどうやって・・ 」
「 それでも!・・・それでもなっちはアタシが止めないといけないんだ
 なっちをあそこまでほっておいたアタシが・・・・お願い祐ちゃん、アタシに行かせて 」

矢口の必死の願いに中澤も考え込む

「 しかたない、でも期限付きや。3日!
3日待つ!もし、それまでにヤグチが帰ってこなければ・・・追跡隊を出す
いいな?追跡隊を出すってことは、なっちの命の保障は出来んっていうことや、
分かるな? 」
「 ・・・うん、ありがと祐ちゃん、絶対に『 伝染源 』
ううん、なっちを連れて帰ってくる 」

「 頼むで、ヤグチ 」

191 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:03

「 あータイクツ 」

藤本美貴は退屈していた

「 ねぇ、ヒマだからミキの相手してよ 」

ミキは目線を下に向けて言う

「・・・・・」
「 ねぇって、言っても聞こえないか・・・あーヒマだなっと 」

誰に言うわけもなくそう呟いた後、ミキは横に転がっている物体めがけて蹴りを入れる。

「・・・・」

物体は何を言うわけもなくただ、美貴の入れた蹴りを受け入れる



「 何で誰も本気でこないのかなぁ 」

空を仰ぎながら言う。

「 ミキは殺すつもりでしてるのに 」

日の光に照らした手は真っ赤に染まっていた。


192 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:04

「 さてと、学校にでもいくかぁ 」

しばらくそこに佇んでいた美貴は何事も無かったように鞄を拾い上げ歩きだした。

「・・・・・」

そんな美貴を見つめている者が一人。

「 朝から元気な人 」

遠い未来から現在(ここ)に来た矢口だった。

「 ・・・あと、2日 」


193 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:06

のんびりと歩きながら学校に着く。


―― この学校では死にたい奴らが増えているらしい ――


学校に入ってすぐにドラッグでラリってる奴がいた。
こんなものはミキの学校では珍しくも無い。


 いいねー。なかなか、理想的な状況ってヤツ? 


鼻歌まじりに教室へ向かう。



―― 悪い奴らとそれを迷惑がる奴らでつりあいが取れている ――


ミキの学校は別に不良学校と呼ばれるほどの学校ではない。
ラリッているヤツもいれば、それを迷惑に思っているまじめなヤツもいる。 

 だけど、ここ2、3日で迷惑がるヤツが少なくなっているような気がする? 

「・・・やっぱ、つまんないから帰るか 」

そう言って、美貴は先ほど来た道を引き返した。


194 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:07

美貴が家に帰る途中、メールが入る。


【 オース、ミキティ今日、学校に来ないの?
  上物が入ったんだけど、欲しけりゃあげるよ

               よっすぃー   】

それを見た美貴は軽く吹き出した。

「 相変わらずだなぁ、よっちゃんは 」

そう言って、返信のメールを打つ


【 今日はつまらないから帰る。
  あと、よっちゃんさん、そーいうのはあげるんじゃなくて
  人に売るもんだよ
                       ミキ     】

素早くメールを返した後ケータイの電源を切って鞄にしまう。


藤本美貴は退屈していた。

だが彼女はそんな状態に不満をもつことはなかった。

そして、その状態を楽しんでいた。


195 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:08

家に帰る途中、公園を横切る。
ふと目に入るベンチ。そこに2組の人が座っている。
1組は子供を連れた親子連れ。
もう一組は薄汚い服を着ながら酒と薬におぼれているホームレス。

普通なら後者の方を嫌うだろう。
だが彼女はそれを嫌悪せず、むしろ好んでいた。

「 んーいいね、このミスマッチな構図 」

制服のポケットからタバコを取り出す。
まだ、開けられていないタバコをホームレスに投げる。


196 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:09


「 んぁー・・・疲れたぁ 」

帰る早々、ベッドに倒れこむ。

「 ・・・眠い 」

だるい体をもぞもぞと動かしながら開いてるタバコを取り出す。

 んだよ、あと二本しか無いじゃん 

二本しかないならあのホームレスに新品をやるんじゃなかったと
後悔しながらタバコに火をつける。

「 んーうまいねぇ 」

ベッドに寝ながらタバコを楽しんでいると下からうるさい足音が聞こえてきた。



197 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:10


「 ちっ うるさいのがきたな 」

そう言いながら足音の人物が入ってくるのを待つ。
足音の人物は大きな音をたてながら部屋に入ってきた。

「 みきタン!いるの? 」

デカイ声を張り上げながら入ってきたのは隣に住む幼馴染の亜弥だった。

「 ・・・亜弥ちゃん、ドアは静かに開けようね 」

いつものことなので体を起こさずに言う。

「 そんなことより、今日、学校に来なかったでしょ?
  アタシがあれほど休むなっていつも言っているのに・・・ 」

ミキの隣でうるさく小言を言う亜弥は二歳下の幼馴染。ミキがどんなに邪険にしても
亜弥はこりずにミキの側にいる。


198 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:12

「 もうみきタン聞いてるの?って!?またタバコなんか吸って! 」

そう言って、ミキからタバコを取り上げて消す亜弥ちゃん。

「 あっ!・・・残り少ないのに 」

美貴は不満げに亜弥をみるが亜弥は腰に手をおいてお怒りモード

「 もう、みきタン!タバコは体に毒なんだよ?
 こんな若いうちから吸っていたら早死にしちゃうんだからね 」
「 ・・・別にそれでもいいよミキは.長く生きたって退屈なだけだし 」
亜弥の言葉にウザそうに答える美貴。

「「 ・・・・ 」」

「 みーきーたーんー 」
「 んー?って、げっ!? 」

顔を上げた美貴に勢いよく亜弥が飛びつく

「 どうしてそんなにみきタンは死に急ぐのよー 」
「 わー!?亜弥ちゃん、ストップ、ストップ! 」

上に乗られてポカポカと殴られる。

「 イタイって、亜弥ちゃん! 」

美貴を叩いていた亜弥の手が止まり、美貴を見下ろす。


199 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:13


「 亜弥ちゃん? 」

美貴も顔を向けて亜弥見る

「・・・ホントにお願いだから無茶なことばっかりしないで・・・ 」

下げていた手を美貴の頬へと持ってくる

「 また、人を殴ったの? 」
「 ・・・・・・ 」
「 アタシはみきタンが傷ついたら悲しい
・・・お願いだから自分を傷つけるのはやめて 」

頬から手を滑らし、美貴の手を両手で包むと亜弥はそこに優しく口づけた。




200 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:14


「 ・・・亜弥ちゃん 」
「 ん? 」
「 ミキ、口の中も切れてんだ、消毒してよ 」
「 ・・・ん 」

静かに唇を寄せる

「 ふっ、ん・・はっ 」

亜弥の舌が美貴の口の中を優しく舐めまわる。
全体を舐めまわした後、亜弥が唇を離す。

「 ・・・明日はちゃんと学校に来てよ? 」
「 ん、行くからさ・・・続きしようよ? 」

亜弥の手首を掴んで引き寄せる。
唇をようせようとしたら平手が飛んできた。

「 っだ!? 」




201 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:16
「 タバコ臭い人とはしませーん 」
「 ・・さっきはしたのに? 」

鼻を押さえながら抗議する

「 あれは消毒 」
「 んじゃ、もう一回消毒 」
「 だーめ!みきタンが無茶なことしないっていうのならしてあげる 」
「 チっ ノリが悪いなぁ 」

「 バカ!何言ってんの!ただでさえ最近周りの雰囲気がおかしいのに・・・
それに変なクスリが出回っていて、それで死んでる人もいるし、暴力も増えているし、
・・・ホント最近、何か変だよこの町 」
「 んー別にいいんじゃないの?ミキは結構この状況気に入ってるけど 」

そう言って、最後の一本になったタバコに火をつける。



202 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:18


「 みんな死ねばいいんだ、誰もかれも、ミキも亜弥ちゃんも 」

「 ・・・・ 」

タバコを口にくわえる美貴に強い視線が突き刺さる。

「 ・・・・・ 」
「 ・・・だーー! 分かったから亜弥ちゃん!んな怖い顔で睨まないで 」



『 みんな誰もかれも死ねばいいんだ 』



―― 『 伝染源 』 捕獲猶予まで・・・・あと、1日  ――


203 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:21


「 もう!みきタンは!! 」

朝、明日は学校へ行くと約束した美貴を亜弥が迎えに行くと
部屋は、もぬけの殻になっていた。
美貴の両親に聞くと夕方、遊びに行ったきり戻ってないということだった。

「 又、夜中遊び歩いていたんだ。
  今日会ったらぜったいとっちめてやるんだから 」

急ぎ足で学校へと向かう亜弥。
しかし、入った途端、目の前の光景に絶句する。


「 え? ・・・な、にコレ・・・昨日よりもエスカレートしてる・・ 」

当り一面、血と暴力と薬に染まった学校。



204 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:24


「 ねー ごっちん、ミキティってさー、許せないんだよねー 」

聞き覚えのある声に亜弥は足を止める。

「 せっかくウチが上物のドラッグ、やるって言ってんのに、あっさり拒否ってさー  」
「 んぁー それはミキティが悪いねー 」
「 でしょー?だからウチ、殺ろうと思ってさー 」

そのセリフに耳を疑う亜弥。

 な、何言ってるの吉澤さん?みきタンの親友じゃなかったの?
 ・・・やっぱり何か変だよ、みきタンに知らせなきゃ・・・   


「 うっ!? 」

踵を返して美貴の所へ行こうとする亜弥の頭に痛みがはしる。


―― 『 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 』 ――


ノイズのような重苦しい何かが頭の中に入ってくる。

「 やっ 何? 」

入ってくる声に亜弥は耳を押さえる。


―― 『 みんな死んでしまえ 滅んでしまえ 他人も自分も 』 ――


205 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:26


「 さすがにオールはきついなー もう年かねー 」

昨日の晩から遊びほうけていた美貴は、もう昼もさそうかという時間帯に
街を歩いていた。

「 うー これから学校に行くのもなー
 でも亜弥ちゃんと約束したし、しかも今日は迎えに来ると言っていたのに
 部屋にミキが居なかったから多分、もの凄く怒っているだろうなぁ・・うーん、行くのやめよっかなー 」

「 ・・・・ 」

ひとり言を言いながら歩いている美貴だったが街がいつもと違うのに気づく。

「 なんだ、コレ 」

道路には生暖かい血やら薬漬けのジャンキーやらが散乱しれいる。

「 ふーん、日本もここまで進んでいたんだ・・って、わっ!? 」

なにかが美貴の足を掴んだ

「 薬ちょうだい、持ってんでしょ?ねー お願いだから頂戴 」

薬漬けになったジャンキーが美貴の足を掴む。

「 離せ! 」

相手を蹴り倒して手を離させる。


206 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:27


 何だ? 何かが変だ 

やはりいつもとは違う街の様子に、美貴は異変を感じていると何処かからか
視線を感じた。

「 ・・・・・ 」

足を止め、視線の主を探す。

「 ねぇ、そこのアンタ 」
「 ・・・・・ 」
「 さっきから何でミキをつけてんのさ 」
「 ・・・・ 」
「 誰?アンタ 」
「 ケーサツ 」
「 は?昼間っから酔ってんのアンタ? 」
「 あなたはこの状況をどう思いますか? 」
「 ・・・おいおい、ミキの質問は無視かよ 」
「 私はこの状況を作り出した犯人を捜しています。
・・・・この近辺で起こっている異変は一人の人間の仕業によるものです 」


 こいつもイカレてやがる 

相手にしないほうがいいと判断した美貴は無視しようとしたが女はどんどん話を進めていく。


207 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:29


「 この異変の犯人は『 伝染源 』
 思考伝染能力者・・自分の考えることや思考、感覚を他人に伝染させる能力を持つ者です 」
「・・・・」
「 つまり、自分と同じ考えを人に植えつける能力、超能力の一種だと思えばいいでしょう 」


「 『 伝染源 』の心はすさんでいますそれがこの人たちに伝染したのです 」

 伝染源?何言ってんの、こいつ 

あまりの突拍子な話にきいて呆れる。
これ以上関わりたくない美貴は女に背を向けて歩き出す。

「 この話、今は信じなくても結構です。でも、いずれ信じざるを得なくなるでしょう 」

美貴の背中ごしに語りかける女の声に足を止める。

「・・・アンタ、何者? 」

「 私は矢口真里、2084年から来た伝染源担当の刑事です 」

そう言ってその女、矢口真里は美貴の前から消えた。


208 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:30


「 何だ、アレ 」

 人の話を頭から信じるのはバカ者であり、
  信じない物はもっとバカだったりするけど・・・ 

「 この場合は別だよね 」

昼間から変な者にからまれたと思いながら、美貴は学校へと足を向けた。


「 うっ!? 何、このニオイ? 」

学校に着くとガラスは割れ、外の生徒は流血ざたの殴り合いをし、傍らではドラッグを打つ生徒で溢れかえっていた。
そこからは、腐肉と血のニオイが漂っていた。

美貴は昨日まではここまで酷くなかったはずと、思いながらそいつらの横を通り過ぎる。

「 ? 何だろ?何かいつもと違う・・・ 」

教室までの道を歩きながら昨日とは違う違和感を感じる美貴。
それは、荒れ狂った教室にたどり着いてから、はっきりと感じとった。

209 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:31


「 あ・・れ、・・・そうか、迷惑に思っている奴らがいないんだ 」

とりあえず、近くのイスに座って周りを観察する。
昨日までは優等生ヅラで迷惑がっていた奴らまでが変になっていた。


「 ミーキティ 」
「 !? 」

背後から髪をつかまれ押さえ込まれる。

「 なっ!?よっちゃん!? 何すんだよ! 」
「 死ねよ 」
「 はぁ!? 」

後ろから押さえ込んでいた相手は美貴の親友のひとみだった。

押さえ込まれた美貴の周りでクラスの奴らが次々に立ち上がり近づいてくる。

「 くすくす、そうだ、死ねよ 」
「 そうだ、死ね 」
「 みんな死ね、そしてアタシも死ぬんだ 」

それぞれが呟きながら美貴のほうへと手を伸ばす。

「 こっ、の、はなせ!お前らぶっ殺してやる! 」

押さえ込まれた美貴はどうにかして逃げようともがく。


210 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:32



「 みきたん 」

もがいている美貴の頭の上から聞き覚えのある声が聞こえた。

「 みきたんはいつも死に急ぐようなことばっかりして・・・ 」
「 亜弥ちゃん!? 」
「 そんなに死にたいならアタシが殺してあげる 」

「 な、亜弥ちゃん何言ってんの!? 」

無表情で美貴の顔にナイフを近づける亜弥。

「 あや・・・ 」

その顔は意思も何もない人形のような表情(カオ)

 亜弥ちゃん? 

美貴の頬をナイフが掠める。
気づくと亜弥が後ろの方へと投げ出されていた。

「 立って! 」

声の主のほうへと顔を向ける。
そこにいたのはさっきの女、矢口だった。


間一髪の所で助けられ、学校の外へと逃げ出した美貴と矢口。
その二人を上から見ている人物がいた。


「・・・藤本美貴と・・ヤグチ? 
 ふーん、この時代までアタシを追ってきたんだ、ヤグチ。・・・ふふふ 」


211 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:33


「 はぁ、はぁ、はっ、・・・・何だよ、アレ 」
「・・・アレは伝染源の持つ暴力性や自暴自棄の心が、他の人間に伝染したものです。 」
「 ・・・・伝、染・・・ 」


「 昔から、『 伝染源 』・・・なつみは自暴自棄なところがありました。 」

呆然としている美貴に矢口が静かに語りだす。


『 なっち!?どうしたの? 』
『 何でもない 』
『 何でもないって、血が出ているじゃない!
・・・また、ケンカしたの? 』

―― 私となつみ、・・・なっちは幼馴染でなっちは毎日のようにケンカや
   暴力ばかり繰り返していました。 ――


『 誰もさ、アタシを殺すほど殴ってくれないんだ 』
『 ・・・・ 』
『 アタシはいつも殺すつもりで殴っているのに 』


「 ・・・・・ 」


―― それからも毎日ケンカをくり返し、なつみの心は荒む一方でした。 ――

212 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:35

『 時々ね、感じるんだ 』
『 何を? 』
『 自分の中の大きな力、抑え切れないぐらいの力 』
『 ・・・・ 』
『 おばあちゃんに聞いたんだけどさ、おばあちゃんの好きな人はスッゴイ変な人で
 二十歳のときに自殺したんだってさ、おばあちゃんが言っていたんだ。
 アタシはその人に似ているって。ふふ、変だよね。別にその人との子供でもないのに
 ・・・でも最近思うんだ、きっとこの誰かを殺したくて誰かに殺されたい気持ちは
その人に似たのかなって・・・ 』

―― なつみは相変わらず暴力を繰り返しそして薬に手を出し警察に捕まりました。
そのことで外には出してもらえず、私以外の人とも話しをしなくなりました。 ―

『 なっち 』
『 ・・・ 』
『 ねぇ、ヤグチはさ、なっちのこと好きだよ?
 だからお願い、・・・・死にたがらないでよ・・・ 』

―― なつみの手首には無数の傷跡が付いていました。 ――


213 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:37


―― それから3年ぐらいの月日がたったある日、なつみの家の周りで
   殺人事件や自殺が相次ぎました。 ――

『 なつみ君だね? 』
『 誰、アンタ達? 』

『 なっち! 』
『 やめなさい! 』
『 待って!どうしてなっちが連れて行かれるの、ちょっと待ってよ! 』
『 落ち着いて!・・・彼女は『 伝染源 』なんだ! 』
『 伝染源? 』

『 検査の結果、エスパー値が特Aで、最高・・・ 』
『 ・・・・ 』
『 いずれ、その力が大きくなると人を傷つけるかもしれない。
  今からエスパー値を下げる治療を施さないと危険なんだ 』

『 もう、二度と会えないの? 』
『 ・・・・ 』
『 お願い!なっちはアタシのヤグチの大事な友達なんだ!
  週に一度、・・・一年に一度でもいいから、なっちに会わせてよ 』


214 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:38


『 アンタは確か、彼女と幼馴染やったな。だとしたら伝染源の抗体が
 出来ているかもしれん。伝染源と一緒に育った者は伝染源の影響を受けないんよ 』
『 ・・・・ 』

『 抗体のある者は軍直属の伝染源の担当の刑事になれる。
そうすれば軍の、・・・国家権力以上の力で彼女に会うことが出来るはずや 』
『 ほんとに? 』
『 ああ、ほんまや 』
その言葉に矢口は静かに涙を流す。

『 ありがとう・・ございます 』
『 ・・・別にウチもアンタと似たクチでこの職業についたんや・・・頑張り 』
『 ハイ! 』

―― こうして、私は伝染源担当の刑事になりました。・・・でも ――

215 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:39

『 なっち・・ 』
『 ・・・・ 』

―― 何度、話しかけても返ってくるのは冷たい目だけでした。 ――

「 ・・・そして、なっちは・・・『 伝染源 』は脱走し、この世界に来ました。 
 私は、伝染源を止める為にここまで追いかけてきたのです。 」

「 そんな話、聞かせてどうするつもり?ミキは夢想家でもなければバカでもない。
 ・・・たしかに、あの状態が普通じゃないっていうのは分かるけど、
 でもそれが伝染源とやらのせいとは思えない 」

「 あなたはウソをつかれて騙されるのが怖いのですか? 」
「 ・・・いや、今はウソにでもすがりたい気分だね 」

 亜弥ちゃんが、自分の意思でああなったとは思いたくない 

「 では、協力してください。 」
「 ・・・何を? 」
「 伝染源を・・・消します。 」

216 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:41

「 この新宿を中心に伝染源の思考が広がっています。いずれは日本を覆い大陸にも伸びていくでしょう 」
「 ・・・ 」
「 新宿の中でも最初に多くの感染者を出したのは、あなたの学校です。
  おそらくそこに伝染源はいます。 」

「 その伝染源とやらを消せば元に戻るの? 」
「 はい、消せれば少なくとも自分の心は取り戻すでしょう 」
「 そう 」

「 あと、コレを持っていてください 」
「 ・・・変わった銃だね 」
「 私のよりは威力が下がりますが、至近距離からなら致命傷を負わすことが出来ます 」

「 ・・・なんでミキは感染しなかったの? 」
「 それは・・・あなたにも伝染源の素質があるからです。
  だからこそ、私はあなたの協力を求めたのです 」
「 そっか、じゃあ、行こうか 」

銃を制服にしまうと美貴は前を見据えた。
目の前には学校。
そこは感染者で溢れかえっていた


217 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:44


「 で?どうやって入るのさ 」
「 銃で穴を開けます 」
「 穴? 」

矢口が銃を構え、入り口めがけて放つ。
入り口は爆音をともに大きく崩れた。

「 ・・・すっげー 」

入り口に入ると学校中の感染者で溢れかえっていた

「 ちっ、力づくで突破するしかないか 」


『 敵だ 』
 
『 そいつらは敵だ 殺せ!・・・だけど藤本美貴は殺すな そいつはアタシの・・ 』

伝染源の思考が感染者を動かす。
感染者は二人めがけて襲ってきた。

「 なんだ!? 」

二人を襲っていた感染者が矢口にだけ集中しだした。

「 矢口さん!? 」
「 行ってください!伝染源はあなたにしか消せないんです! 」
「 え? 」



218 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:45


矢口を助けようとした美貴の目に亜弥の姿が映る。

「 亜弥ちゃん! 」


『 みーきたん 』 
『 もうまたタバコなんて吸ってる 』 
『 死にたいなんてウソばっかり 』 

今までの亜弥の顔が浮かんできた。


「 早く行ってください! 」
「 くっそ! 」

矢口を後にし、伝染源を探す。



219 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:46

「 はっ、はっ、はっ、くそ、どこにいるんだよ 」

いくつもの部屋を探すが伝染源は見つからない。

「 あと残っているのが・・・ 会議室!? 」

最上階の会議室へと走っていく。

「 ちっ、鍵が!!・・・ 」

思いきり体当たりをしてドアをやぶる。
そこには一人の少女が立っていた。


「 えっ!? 」  
 同じカオ? 

「 以外に早かったねー 」

嬉しそうに笑って美貴を見るなつみ。


 あれ?違う、でも何だろう? 一瞬、自分の顔に見えた。それにこの感じ・・・ 

今感じた感覚に戸惑いを隠せない美貴をなつみは楽しそうに見ている。

「 ・・・あんたが伝染源? 」

「 そうだよ、ご 先 祖 さ ま! 」
「 な!? 」

美貴の周りで見えない力が働く。
美貴の体が浮きあがりそのまま壁へと打ち付けられた

「 うっ ぐはぁ! 」

220 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:48

「 ぐ・・・ 」

全身を強い衝撃が走る

「 やわらかいね、ご先祖様は・・・
 あんまり簡単に傷つかないでくれる?アンタと同じ痛みを子孫も受けるんだからさ 」
「 子孫? 」

「 なんだ、ヤグチにそこまでは聞いてなかったんだ 」
「 ・・・何をさ? 」
「 アタシがアンタとアンタの幼馴染の松浦亜弥との間に出来た子供のコドモだってこと 」
「 はっ?何言ってんの?女同士で子供なんて・・」
「 アンタが二十歳で自殺したときアンタはまだ生きていた 」

なつみが美貴の言葉をふさぐ。

「 アンタの親は生きてはいたが植物状態になったアンタを五年間は延命処置を
  施した。・・・医者に言われたらしいよ、五年たっても見込みがなければあきらめろってね 」
「 ・・・・ 」

「 結局アンタは五年たっても回復しなかった。
  それでアンタの親はアンタの臓器をあるドナーへと提供した。 」


221 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:51


「 それが亜弥ちゃんとどう関係があるのさ 」

「 松浦亜弥は子供が出来ない体だった 」

「 えっ? 」
「 って、言っても生まれつきじゃない。二十歳のときのある事故が原因でね・・・」
「 ・・・・ 」

「 以来、子供が出来ない体になったんだけど・・・まさか、ふふふ、
 アンタが自分の臓器を提供するなんてね 」
「 どういうイミ? 」
「 アンタは自殺したとき一通の手紙を残した。 」

「 もし、自分が死んだら他の臓器は何をしてもいい。
 そのかわり、子宮を松浦亜弥に提供するのが条件っていう、一通の手紙 」
「 ・・・・ 」
「 そして本人の希望通りアンタの子宮は五年後、松浦亜弥へ移植して・・死んだ 」





222 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:52


「 だからアンタがアタシと亜弥ちゃんの孫だっていうの? 」
「 そういうこと 」
「 信じられないね 」
「 こうやって、アンタが傷ついたらアタシも傷つくのに?
 ・・・まあ、別に信じなくてもいいよ、でもアンタだってさっき感じたでしょ?
  アタシとの間に感じた何かを。子宮というたった一つの臓器でもアンタは松浦亜弥の中で生きていた。 」

「 ・・・・・ 」

223 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:54


「 さて、長話もそろそろ終わりにして、ご先祖様にはここで世界が殺したくて、
  死にたい人間ばかりになるのでも見ててもらおうかな・・・ねぇ、み・き・た・ん 」

「 虫唾が走る 」

「 ふふふ、そう嫌わなくてもいいでしょ。アタシはアンタ似なんだからさ。
  それにアンタも実はこの状況が気に入ってんでしょ?なんていったって、アタシの
  ばあちゃんだもんね。・・・・きっとこの悪意はアンタから伝染したんだ! 」

「 ・・・・ 」

「 アタシは悪くない!あんたのせいだ。・・・・アタシが何をした?
  ただそこに居るだけで邪魔者にされる気持ちがアンタに分かる? 」
「 ・・・ 」
「 憎いんだ、全部が!だから過去(ここ)に来たんだ! 」
さっきまで笑っていたなつみの顔が憎悪の顔へと変わっていく。

「 ・・・いるんでしょ?ヤグチ、出てきなよ 」

なつみが壁のほうへと手をかざし、力を放つ。
なつみの力により壁が溶かされたように丸く穴が開いた。



224 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:57


「 矢口さん・・・ 」

「 ヤグチ、アタシは未来の人間共に復習するの、過去をダメにして
  未来をボロボロにするの 」
「 なっち・・・ 」

「 ヤグチはアタシを消そうとした 」

その言葉に矢口の体が揺れる。

「 藤本美貴を善の方へ変えようとした。・・・悪を憎むことで 」

「 ・・・そうだよ、
 もし、藤本美貴の悪意がなっちに伝染したとしたら・・・藤本美貴が善くなれば、
 なっちの悪い部分も消せると思った。
 藤本美貴に協力を求めたの本当の理由はそれだったけど・・・ 」

225 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 16:59


銃をなつみのほうへと向ける。

「 甘いねヤグチ、人はそう簡単には変わらないんだよ 
・・・それで、どうする?この銃でアタシを撃つ? 」

「 ・・・・ 」

なつみに向けていた銃が震える。

「 ふっ、ヤグチにアタシは殺せない 」
「 ・・・・・ 」

「 でも、アタシはヤグチを殺せる!! 」

なつみが力を放つ。矢口の上にある天井が崩れ矢口の方へと落ちてくる。

「 !! 」
「 矢口さん! 」




226 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:00


崩れ去った瓦礫の前に美貴はただ立ち尽くすしかなかった。

「 矢口さん・・・? 」

呆然と立ち尽くしていた瓦礫の中から矢口がかろうじて手を動かしていた・

「 矢口さん!?しっかりしてください 」

運良く瓦礫の間に埋もれていた矢口を助け出す。
瓦礫に挟まっていた矢口だがそれほどひどい怪我は負っていなかった。


「 ほっとけば?すぐには死なないよう手加減したんだし
・ ・・それより、ご先祖さま、そろそろ終わりにしよっか? 」

必死で助けている美貴の後ろでなつみが冷めた声で言う。
その言葉に美貴の手が止まる。


227 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:02


「 確かに、アンタはミキの悪い部分の結晶にみえる。
けど、それがミキから伝染したなんていうのはアンタの妄想だ 」

言葉を発する美貴の言葉に怒気がこもる。
立ち上がりなつみの方へと振り返る美貴。

「 そんなに終わりにしたいなら・・・終わらせてあげる 」

矢口から渡された銃を服から取り出す。

「 ふふ、やめときなよ、そんなのでアタシは殺れないよ 」

「 ・・・アタシは別にこの世の中なんてどうでもいいし
 自分だって、どうでもいい、・・・・けど、アンタだけは許せない 」

取り出した銃を自分の方へと向ける

「 なっ!? 」

美貴の行動に驚くなつみ



――  『 みきたん、自分を傷つけないで 』  ――

 ごめん、あやちゃん 

目をつぶり、引き金を引く。


『 バン 』

引き金を引く直前、亜弥ちゃんの顔が浮かんだ。


228 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:04


「 ぐっ、まさ・・か、自分をうつなんて・・・ 」

「 ・・・なっち 」

なつみが呼ばれたほうへと顔を向けると、銃を構えた矢口が立っていた。

「・・・ヤ・・ぐ・ち、・・・ヤグチが撃つの? 」
「 なっち、なっちはしちゃいけないことをしてしまったんだよ 」

「 ・・・あは、ヤグチに殺されるなら、本望・・かな 」
「 ごめんね、なっち・・・助けてあげることができなくて 」

静かに、引き金を引く。

『 バン 』

229 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:10
―― 『 バン 』


 何の音だろう? 

 あーあ、それよりミキ馬鹿だな、死んだりしたら亜弥ちゃんに会うことだって
  出来ないっていうのに・・・うー何か・・目の・・前が暗くな・・・てき・・・


「 ・・・藤本さん、聞こえる?・・もう大丈夫だから・・・ありが・・と・・ 」

辺りが真っ暗になる直前、矢口さんの声が聞こえた気がした



「 んっ・・・あ・・れ? 」

意識が戻り、目を覚ました美貴。
死んだと思ったはずの自分の体を触ってみる。

「・・・生きてる、っていうか、傷が治ってる・・・」

自分で撃ったはずの銃の傷が何もなかったように綺麗に治っていた。

「 なんで・・・やぐち・・さんもいない 」

辺りを見回すと感染した生徒があちこちで倒れていた。

「 そうだ・・・亜弥ちゃんは、・・亜弥ちゃん! 」

倒れている生徒の中から亜弥を探す。


230 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:12


* * * * * * * * * * *


 辺りにプラズマが発生し、時空の歪みを生む。

『 タイムホールが開きます。時間軸の安定をします。 』

機械のオペレータが時空の歪みを安定させる。
中央の機械からタイムホールを開く時空の歪みが現れる。
歪みから現れたのは矢口だった。

「 ・・・・ 」

「 ヤグチ・・・・お帰り 」

「 祐ちゃん・・ 」

「 納得できる答えやったか? 」
「 ・・・なっち、笑ってた、おいらに殺されるとき 」
「 ・・・・ 」
「 小さいときに見せてくれたあの太陽みたいな笑顔で笑ってた・・ 」

出迎えた中澤は優しく矢口を抱きしめる。

「 また、なっちを助けられなかった 」

中澤の腕に抱かれながら静かに涙を流す矢口。
そんな矢口を中澤は優しく背中をさする。

「 なっちは、ヤグチに殺されて本望やったやろな 」

その言葉に矢口は顔をあげる。


231 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:17

「 おいらに殺されて?・・・・ウソだ、なっちはアタシを憎んでいた! 」

「 ・・・ほんまに嫌いなら笑ったりせえへんよ。多分、なっちはあんたに止めて
 ほしかったんや。自分で自分を殺す前に・・・大好きなヤグチの手で、
 それがどんなやり方でもな・・・ 」
「 ・・・・ 」  
「 だから、ヤグチは気にすることあらへんよ 」

「 でも!・・・? 祐ちゃん? 」
「 ん? 何や 」
「 祐ちゃん、体が透けて・・・ 」
「 ・・・ああ、多分、なっちが過去にしたことが未来に影響を出したんや
 多分、多少なりと、現在(いま)とはちがう未来になるんやろな 」

透けた自分の体を見ながら中澤が言う。

232 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:20


「 そんな!?じゃあ、祐ちゃんは? 」
「 心配せんでもいいよ、別に死ぬわけじゃない、いまと違う立場の人間になるだけや
  だから、ヤグチともここでお別れになるけどな 」
「 そんな、やだよ!なっちもいないのに祐ちゃんまでいなくなったら・・・ 」
「 大丈夫、いまは会えないけど、いつかどこかで絶対会える
  ウチにも・・・なっちにも・・
  だから、それまで精一杯、現在(いま)を生きるんやで? 」

透ける体で矢口の頭を撫でる。その手からは温もりは感じ取れなかった。

233 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:22

「 祐ちゃん! 」

消えかけている中澤に手を伸ばす矢口。
だがその手は体を通り抜け空を切った。


「 祐ちゃん・・・ 」

空をつかんだ手を見ると、かすかに体が消えかかっていた。

「 そっか、おいらもいまとは違う未来を歩むんだ・・・
  なっち・・・祐ちゃん、今度はこんな関係じゃなくて三人が一緒になれるといいな・・ 」

薄れていく体と意識の中で矢口は藤本美貴の顔を思い浮かべた。


234 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:23


「 亜弥ちゃん! どこにいるの!? 」

荒れ果てた学校の中から亜弥を探し出す。

「 あや・・・亜弥ちゃん! 」

気を失っている亜弥を見つけ出す。
「 亜弥ちゃん!・・・亜弥ちゃん、大丈夫!? 」
「 ・・ん、・・みき・・たん? 」
「 亜弥ちゃん!大丈夫?怪我とかしてない? 」 

美貴の必死な顔に亜弥が微笑む

「 それをいうならみきたんでしょ?こんなに怪我して、大丈夫? 」
「 亜弥ちゃんが無事ならそれでいい 」
「 ・・・どしたの?みきたん 」

「 亜弥ちゃん、ミキ、もう絶対ムチャなことはしないから・・・ 」

そう言って、亜弥を抱きしめる美貴。
いつもの美貴とは様子が違うことに亜弥は不思議に思ったが今はただ、美貴の優しい
抱擁を感じていた。

235 名前:伝染源 投稿日:2004/07/25(日) 17:24


『 藤本さん 』


亜弥を抱きしめていた美貴の耳に矢口の声が聞こえた。

 矢口さん? 


『 藤本さん、アタシたちが過去に来ることで未来は変わってしまったけど 』

『 でも、それは悲しむ未来じゃなく、むしろ嬉しい未来です 』

『 だから、あなたも現在(いま)を精一杯、大切な人と生きてください 』

『 未来は光であふれています 』


声がした方へ顔を上げた美貴だがそこには誰もいなかった。

「 みきたん? 」

ボーとしていた美貴に亜弥が声をかける。


― 大切な人と生きてください ―

「 亜弥ちゃん、これからの未来(いま)を精一杯、生きていこうね 」


― 未来は光であふれています ―
 


                        END


236 名前:k 投稿日:2004/07/25(日) 17:31


更新、終了。


某マンガをあやみきでキャスティングしたらこうなりましたw

うわー最初のスレのタイトル欄に思いっきり前のやつが乗ってる。_| ̄|○ 
久しぶりだから失敗しまくりですな・・・


181>>名無し飼育さん

感想、ありがとうございます。
いいっすよね〜モンパチ。この曲だけは何回聴いてもあきないんですよw


182>>名無し飼育さん

ありがとうございます。
個人的にはオレンジレンジの二作目を気に入ってもらえたようで嬉しいかぎりです。


次回から、また短編を書きたいと思います。

・・・それでは今回はこれで失礼します。


237 名前:k 投稿日:2004/08/01(日) 17:51

 更新、開始

238 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 17:53


 別に、ヒマだったからだよ、ホントだってば

 ・・・・急いで服、選んでいるけどさ

 ヒマだったから、それだけだからね

 ・・・・お気に入りのスカートはいているけどさ



 私、松浦亜弥ただ今、デートの真最中です。




239 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 17:55


日曜なのにヒマを持て余していた午後。
こんな時に限って誰からも誘いの電話がこない。

そんな時に鳴った一本の電話

「はい? えっ、あっ 今?・・・別にいいですけど、
 でも一時間くらいはかかりますよ?・・・うん、分かった じゃあ、後で」

電話をきった後、チラリと時計を見る。
その後ダッシュで洗面所へ
お気に入りの服着てメイクして、時計をもう一度見ると30分はとっくに過ぎていた。

「ヤバっ!あと少しで一時間じゃん・・急がなきゃ」

愛車のチャリ、『 アヤンキー号 』のキーを取って目的地へと向かう。


240 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 17:57

「ごめんなさーい!!」

さっきからひっきりなしに鳴るクラクションと車のブレーキ音
そりゃそうだよね、一方通行の道を自転車が急に出てくるんだもん。
だって、仕方がないじゃん!こっちのが近道なんだもん! 



― アタシの仲間内ではチェック入れていたあの人
  好きな人がいるイナイも噂になっていたあの人
 

別に気があるわけじゃない

そう、これはただの好奇心

噂のあの人がどんな奴か少し気になるだけ

「・・・・何か、自転車を漕ぐ足を速める自分に言い訳してるみたい」





241 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 17:58

「あっ」

目の前に見えるコンビニ
確かそこを過ぎてこのカドを曲がったら待ち合わせの駅
急いで自転車を置いてあの人を探す


「・・・いた」

待ち合わせの場所で立っているあの人を見つけて深呼吸。
乱れていた呼吸を整え、あの人へと一歩ずつ近づく。


242 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 18:00

もうそこまで来てるけどあの人は気がつかない。
何とか気づかせたくて後ろから軽く咳払いをする。
あたしがした小さな咳払いに気づいてあの人が振り返る

「あっ!・・・もう着いたんだ、早かったね」

そう言って笑うあの人
その笑顔を見て顔が赤くなるのを感じる。
それに気づかれないように

「まっ待たせるのもカワイソウだから、早く来てあげたんです。
 カンシャしてくださいよ、貴重な休みに付き合ってあげるんですから」

なんて、心にも無いことを言う
あの人は一瞬、キョトンとしたけど

「それは、それは・・・光栄ですねぇ、
 じゃあ、今日は付き合ってくれるお礼に何でも奢るよ」

そう言って、また嬉しそうに笑う
その笑顔にやっぱり顔が赤くなるのを感じた


243 名前: Ring 投稿日:2004/08/01(日) 18:03

何でも奢るということでアタシはパフェを要求。
今、近くのファミレスに向かっている

さっきから喋りっぱなしのあの人
普段は無口っていうかクールに周りを見ていて、でも時たまするどい突っ込みも
したりして、めったに笑わないけどツボに入ったらメチャクチャ涙するほど笑って
そのギャップの差にいつも驚かせられていた
・・・・でも、今日は何か違う

「へー 一人暮らししてんの?すごいね」

ねぇ、なんで今日はそんなに目が優しいの?
  ― いつもはコワイ顔のくせにさ

「アハハハ!松浦さん変わってるね、犬の肉球と肉球の間のニオイが好きだなんて」

ねぇ、なんで今日はそんなに笑っているの?
  ― いつもアイソが無いくせにさ

244 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 18:05

一方的に喋りまくっているあの人
私も何か緊張していてあんまり喋れていない・・・やっぱりいつもと違う雰囲気に少し戸惑いぎみ

「ん?松浦さん、どうかした?」
「え? あっううん、何でもないです。 ゴメンっ・・て」

ボーと、話を聞いていた私の目に飛び込んできたのは
ショーウィンドウのガラスに映った自分の姿


″なっ、何コレ!?

ガラスに映った自分の姿にびっくりする
せっかく可愛く決めてきた髪がグチャグチャ、しかもおでこ全開になっていた

あの人を見ると澄ました顔して、

 どうしたの?

なんて聞いてくる
その顔をみてアタシのついたウソなんてとっくにお見通しっていうのが分かって
顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。

245 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 18:06

急に肩の力が抜けるくらいラクな気持ちになる
そして、それと同時に沸き起こるこの人への怒りの気持ち

「松浦さん?どうした・・の!?」

心なしか顔がニヤケているあの人の胸ぐらを掴んで引き寄せる
そして、思いっきり

「藤本さんの、バカーーーーー!!!」

と、叫んだ

「もう!髪の毛メチャクチャなら言ってよ!
 これするのにすごい時間かかったんだから!」

と、叫んで後悔する
目の前で叫ばれた藤本さんは一瞬、面食らった表情したけどまた、
さっきみたいなニヤケ顔になる

「そっかー 貴重な休みにそこまでして来てくれたんだー」

何かすっごい嬉しそうにニヤケている藤本さん
それを見て、さっきまでの怒りはどこへやら、アタシの体からチカラが抜けて
その場にしゃがみ込む


246 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 18:07

「んー どうしたの亜弥ちゃん?」

その名前の呼び方に思わず顔を上げる
やっぱり、まだ嬉しそうに笑っている
その顔をみて自分の中で確実に芽生えている気持ちに気がつく

「んー 何?」

まだ、しゃがみ込んでいるアタシに上から優しい声をかけるあの人。

「・・・別にー そうよ、悪い?これでも自転車かっ飛ばしてきたんだからね」

さっきまでの無口なアタシはもういない
敬語もやめて、気がついたらもの凄く喋っていた

247 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 18:09

「こっから遠いの?亜弥ちゃんの家って」

「・・・歩いて10分ぐらい」

「近すぎ!近いよ亜弥ちゃん、なのに1時間も時間取ったんだ?」

「悪いー?女の子にはそれなりの準備ってものがあるですぅ」

「いや、別に悪くないよ、ミキなら多分、そんまま来ていただろうし
 女の子だねぇ、亜弥ちゃんは」

「そうそう、可愛い女の子ですからって、藤本さんも女の子でしょ!」

思わず、ノリ突っ込み
それに対して藤本さんは涙流して大笑い
アタシも可笑しくなって一緒に笑う


248 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 18:11

肩の力が抜けて、お喋りもはずむ
もうここまできたら飾ることなんてしない
ありのままの私を見せる

「アタシの愛車見てみる?」
「おー!ぜひ見てみたいね、すぐ近く?」
「うん」
「じゃあ、それでドライブしよう!」
「え?」



*** *** *** *** ***


「きゃー!はっやーい!!」
「おー 気持ちいー!」

ファミレスに行くのを中止して、そのままアタシの自転車『 アヤンキー号 』でドライブ
アタシを後ろに乗せて藤本さんが漕ぐ。
下り坂を滑るときに頬にあたる風がすごく心地いい。


249 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 18:12

「どこ行きたい?」
「んーと・・・どこがいいかな」
自転車置き場に向かいながらどこに行くか考え中
藤本さんは、そんなアタシの顔をニコニコしながら見てる
そんな藤本さんを見ていると何故か海の光景が頭の中を横切った

「・・うみ・・・・海に行きたい!」
「海?・・・いいね、よし、じゃあ今から海へ出発ー」

アタシの提案に子供のようにはしゃぎながら受け入れる
そして、自転車置き場に着いたアタシに藤本さんが手を差し出した

「カギ、自転車のカギ貸して」
「え?」
「ミキが漕いであげるよ」

ぶっきら棒に差し出していた手にアタシは何も言わず鞄からカギを出して藤本さんに渡す

「・・じ、じゃあお願いします」
「はい、しっかり捕まっていてね」

『 アヤンキー号 』に跨った藤本さんがアタシに言う。
アタシもおずおずと手を藤本さんの腰へとまわした。

250 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/01(日) 18:15


** *** *** *** **


「きゃー!はっやーい!!」
「おー 気持ちいー!」


あなたの後ろに乗って風を感じる 

―― ちょっと、何コレ?すっごい楽しい


あなたの楽しそうに自転車を漕いでいる横顔を見る

―― ちょっと、こういうのも何か良くない?


あなたの腰に回した腕にチカラを入れしがみつく

―― ちょっと、こういうのスッゴイ嬉しいんですけど?


あなたが漕ぐ自転車から作り出される風を感じながら

嬉しい気持ちが体を駆け巡る

どんどん、どんどん、自転車が加速するたびに

嬉しい気持ちも大きくなる


″ 海に着いたら思い切って告白しようかな? 

″ その時には、さっき見せた優しい目をしてくれるかな? 

″ いい返事、期待してますからね? 藤本さん 



                       FIN


251 名前: Ring 投稿日:2004/08/01(日) 18:18

 更新、終了。


・・・如何だったでしょうか?

次回、藤本さんverを書きたいと思いますw

・・・それでは今回はこれで失礼します。

252 名前:名無し飼育 投稿日:2004/08/03(火) 12:22
いい!w
是非是非、藤本さんVerも書いてください。

あ、自分も琉球好きです
253 名前: k 投稿日:2004/08/04(水) 06:49

更新、開始



254 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:50



 『 Ring Ring 』    = 藤本美貴 =


255 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:51

「はあー・・・」

暖かい日差しの午後、
ため息をもらす人がここに一人。

「うーん、どうしよう・・・」

携帯を閉じたり、開いたり。
電話をかけるのに戸惑っている様だ。

「・・・んー、・・よし、かけるか」

携帯を開いて番号を探す。
目当ての人の番号を見つけて発信ボタンを押す。

― 藤本美貴、今日は決めます ―

256 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:52

番号を見つけてコールボタンを押す。

― プルルル 
― プルルル 
― プルルル 


長く続くコール音。
取れない状態なのかな?
あきらめて切ろううとしたらディスプレイは通話状態の画面へと変わった。
とっさにケータイを耳にあてる。

「はい?」

携帯から聞こえてくる相手の声は少し焦ったような感じに聞こえた。

「あっもしもし、藤本ですけど・・今、大丈夫?
 イヤ、別に大した用事じゃないけど、今、近くに来ていてさ
 それで、もしヒマなら付き合ってほしいなあ、なんて思って
 電話したんだけど・・・」


繋がらないと諦めていた電話が繋がった。
早口で誘いの言葉を紡ぐ。
相手はきっと、ミキが急にこんな電話をしたんで不思議に思っているだろう。



257 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:52

『 断られるかな? 』 
そう思ったミキの耳に相手から思わぬ言葉。

「えっいいの?・・・一時間。別にいいよ
 じゃあ、駅前で待ち合わせでいいかな?・・・じゃあ、一時間後ね」

ピッっと、携帯の電話を切る。

「・・・はぁ・・・・」
安堵と緊張の波がミキを襲う。

「・・・とりあえず、第一段階クリアと・・・」
側にある電柱へと力なくもたれ掛かる。

壊れるくらいバクバクいっている心臓。
それが止むまで柱にもたれて休む。

どれくらいそうしていただろう。
ふと、右手にしている時計に目をあてる。

「えっ!?うそ!」

時計を見ると待ち合わせの時間まで30分を切っていた。

「ミキ、30分もぼーとしていたの!?」

自分の神経の細さに呆れつつ、急いで待ち合わせの場所へと向かった。



258 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:53

待ち合わせの場所まで早歩き。
この速さなら10分くらいでつくだろう。

「・・・にして、なんか今日やたらとクラクションやブレーキ音が聞こえるな・・」

足早にあるいていると、あちこちから車のクラクションや急ブレーキをかけた音が聞こえてくる。

「・・・だれか、道路にでも飛び出してんのかな・・」

などと思いながらも別段、気にすることなく待ち合わせの場所へと向かう。


たしか、このカドをまがれば待ち合わせの駅だったはず・・
そう思いながら時計を見る。
どうやら時間には充分、間に合いそう。


待ち合わせの場所まで来て周りをキョロキョロ。
どうやら彼女はまだ来てない様だ。
待っている間、彼女のことを考える。



259 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:54

同じ学校の子。

でも、歳は2コ下で、

彼女とは部活のセンパイと後輩の関係・・・


最初はただの好奇心だった。

いつからだろう?
いつからミキは彼女を見てたのかな?


時々、見られている感じがした。

視線を上げると慌てて目を逸らす彼女。

最初に会ったとき、カワイイなと思った。

ミキのいるグループでも人気があって、

付き合っている人がいる、いないも噂になるくらい

だから・・・なのかな?

あの子が気になったのも・・でも、



260 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:54


「・・・理由をつけるなんて、なんかコレって言い訳だな・・
 素直に認めればいいのに・・・」

自分の気持ちなんかとっくに分かっているのに、
気づかないようにしている自分がいた。

そう、最初に見た時から彼女のことを気になっていたくせに
その気持ちに見ないふりをしていた。


ミキが自分の気持ちに気づくキッカケは友達のこんな一言


『 好きな人がいるらしいよ 』


定番っていえば、定番なキッカケ。
でも多分、それがなかったら、ミキは一生自分の気持ちに気づかなかっただろう。



261 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:55

「・・・好きな人・・か・・・」

友達に言われた言葉が蘇る。

今日の告白は決して、自信があるわけじゃない。

彼女と目があったのだってただの偶然かもしれない。
見られていたのもたんなる自意識過剰だったかも

考えればどれも当っていそうで、それはミキに勇気と自信を失わせる。
でも・・・

「・・・自分の勘を信じてみますか・・・」


−目が合った偶然も−


−見られている自意識も−



全部ひっくるめて自分の都合いいように考える。



262 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:56

― 彼女も自分のことを気にかけている ―


彼女とは部活のセンパイと後輩の関係。
3年と1年じゃあ一緒にいる場面なんて限られている。


それでも、彼女はミキを見ていた。


ミキも彼女を見ていた。


ただそれだけの事実。
それがミキをつき動かす。

彼女が来るまでの間、自分の気持ちを再確認。
そして彼女が来るのを待つ。



263 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:57

「うぅー、緊張してきた」

待ち合わせの時間まで彼女が来るのを待つ。
その時間が短くなるにつれてミキの緊張の波も大きくなる。

頭の中は彼女のことで一杯で・・・
周りのことが気にならないくらい緊張していて・・・

だから、気がつかなかったんだ。すぐ後ろに彼女が来てるなんて


「・・・・コホン・・・・」

小さく控えめながらも聞こえてきた咳払いにミキは後ろを振り返る。
そこには髪の毛がグチャグチャで、オデコ丸出しの彼女が立っていた。

「あっ!・・・もう着いたんだ、早かったね」

後ろに立っていた彼女に驚きながらも、彼女が急いで来てくれたことに
嬉しさを感じた。
いつもは愛想が無いと言われるミキだけど、彼女のその姿に思わず笑顔に
なる。

そんなミキをみて彼女は目を逸らしながら

「まっ待たせるのもカワイソウだから、早く来てあげたんです。
 カンシャしてくださいよ、貴重な休みに付き合ってあげるんですから」

なーんて、かわいくないことを言う。


264 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:57

そんな彼女の言葉にミキは一瞬、はぁ?なんて思ったんだけどそっぽを向く
彼女の耳が真っ赤になってるのを見て、それが照れ隠しなんだということに
気づく。


「それは、それは・・光栄ですねぇ、
じゃあ、今日は付き合ってくれるお礼に何でも奢るよ」

髪の毛がグチャグチャになるほど急いで来たくせに
素直じゃない彼女の言葉に可愛さを感じて、また笑顔になるミキ。
そんなミキを見て、彼女が顔をほんのり赤くしているのはきっと、
ミキの気のせいではないだろう。

何でも奢ると言うミキに彼女はパフェを要求。
その要求に応えるべく彼女と近くのファミレスに向かった。


― 自分の考えが確信へと変わる ―


『 松浦さんもミキのこと気になっている 』



265 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:58

さっきまでの緊張はどこへやら。肩の力が抜けたミキは
これでもかというくらい喋りまくっていた。


「へー 一人暮らししてんの?すごいね」

ミキの話にぎこちないけどちゃんと応える松浦さん。

″ 可愛いなぁ ″


「アハハハ!松浦さん変わってるね、犬の肉球と肉球の間のニオイが好きだなんて」

まともに喋ったのは今日が初めてだけど、ものすごくミキ好みの話をふる
松浦さん。

″ ヤバイ。ものすごく彼女にはまりそう ″

一方的に喋り捲るミキ。
彼女はミキの話に頷くだけであまり喋ってくれない。
多分、今と学校でのミキの態度が違うのに戸惑ってるんだろう。

その証拠に彼女は時おり、ミキの顔をじっと見つめる。
あんまり見つめるもんだからミキも笑って見つめ返すと彼女は
慌てて、顔を逸らす。



266 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:59

「ん?松浦さん、どうかした?」

その態度が可愛くて、ミキもつい意地悪な言葉を投げかける。

「え? あっううん、何でもないです。 ゴメンっ・・て」

ミキの問いかけに慌てて応えようとした彼女の動きが止まる。
一点を見つめて動こうとしない。


ミキも彼女が見ているものへと視線を移す。
彼女が見ているのはショーウィンドウに映った自分の姿。
どうやら自分の姿に今気づいたようだ。

呆然としている彼女。
きっと、頭の中で色んなことを考えているんだろうなぁ。
そう思ったら自然に顔がにやけてきた。

彼女がミキのほうへと振り返える。
にやける顔を抑えて澄ました顔でミキは尋ねる。



267 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 06:59

「どうしたの?」

そう聞かれた彼女は一瞬、あっ気にとられた顔をしていたけど
すぐに顔が真っ赤になった。


″ あっ、可愛い・・・ ″

彼女の表情に目を奪われながらミキは同じ質問を繰り返そうとした。

「松浦さん?どうした・・の!?」


可愛いなぁと思いながら松浦さんを見ていたら急に胸倉を掴まれた。
そして・・・


「藤本さんの、バカーーーーー!!!」


と、叫ばれた。



268 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 07:00

叫ばれたミキはビックリ。
でも、叫んだ後の彼女からはカワイイセリフが吐き出された。

「もう!髪の毛メチャクチャなら言ってよ!
 これするのにすごい時間かかったんだから!」



″・・・・ふーん、そうなんだ・・・

ミキに会うために自分を可愛くしてきた松浦さん。
そんな彼女にミキは好きという気持ちがあふれ出して抑えきれなくなる。

「そっかー 貴重な休みにそこまでして来てくれたんだー」

その言葉を聞いて、顔が綻ぶ。
彼女はミキの顔を見ていたかと思うと急にしゃがみ込んだ。



抑えきれない気持ちはミキを少しだけ強くさせてくれる。

「んー どうしたの亜弥ちゃん?」


初めて彼女を下の名前で呼んでみる。
しゃがみ込んでいた彼女が勢いよく顔をあげる。

「んー 何?」

驚く彼女に優しく声をかける。
すると彼女は吹っ切れたような顔で口を開いた。



269 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 07:01

「こっから遠いの?亜弥ちゃんの家って」
「・・・歩いて10分ぐらい」
「近すぎ!近いよ亜弥ちゃん、なのに1時間も時間取ったんだ?」
「悪いー?女の子にはそれなりの準備ってものがあるですぅ」
「いや、別に悪くないよ、ミキなら多分、そのまま来ていただろうし
 女の子だねぇ、亜弥ちゃんは」
「そうそう、可愛い女の子ですからって、藤本さんも女の子でしょ!」


ミキの話にノリ突っ込みを入れる亜弥ちゃん。
さっきまでの無口な彼女はいなく、ミキとのお喋りに花を咲かせる。


緊張が解れたのか、彼女はさっきまでの敬語を止めてもの凄い勢いで
喋りだしていた。


「アタシの愛車見てみる?」

得意気に彼女が言う。

「おー!ぜひ見てみたいね、すぐ近く?」
「うん」
「じゃあ、それでドライブしよう!」
「え?」


咄嗟に出た一言

それでも彼女は快くミキの提案を受け入れてくれた。



270 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 07:02

「どこ行きたい?」
「んーと・・・どこがいいかな」

彼女の自転車が置いてある所まで向かいながらどこへ行こうかと考え中。

一生懸命考えている彼女をミキはただ見ている。

不意に彼女がミキの方へと視線をむけた。


「・・うみ・・・・海に行きたい!」
「海?・・・いいね、よし、じゃあ今から海へ出発ー」

彼女らしい発想にミキは顔を綻ばせながら頷いた。

彼女の自転車が置かれている場所へと着くとミキは彼女の方へと手を差し出した。


「カギ、自転車のカギ貸して」
「え?」
「ミキが漕いであげるよ」

ぶっきら棒に差し出した手に彼女が急いでカギを取り出す。

「・・じ、じゃあお願いします」
「はい、しっかり捕まっていてね」

彼女の自転車に跨ったミキの腰にオズオズと手を回す亜弥ちゃん。
ちゃんと手が回っているのを確認したあとミキは自転車を漕ぎ出した。

「それでは、海へと出発ー」



271 名前: Ring  Ring  投稿日:2004/08/04(水) 07:06

** *** *** *** **

「きゃー!はっやーい!!」
「おー 気持ちいー!」


亜弥ちゃんを後ろに乗せながら一緒に風を感じる。


チラリと後ろの方を見ると楽しそうに笑っている彼女

      ―― 可愛いなぁ

不意に彼女が腰に回している腕に力を込める。

      ―― うっ!胸があたってるんですけど・・・


弱冠、彼女の胸の感触を楽しみながら自転車をめい一杯漕ぐ。


″ 告白はまた今度でもいいかな? ″


彼女の楽しそうな声を聴きながらミキは彼女との思い出を作る海への道へと自転車を走らせた。



                    FIN




272 名前: k 投稿日:2004/08/04(水) 07:12


 更新、終了

 ・・・如何だったでしょう?
 
 

252>>名無し飼育さま

 感想、ありがとうございます。
 藤本ver楽しんでいただけたでしょうかw
 琉球愛歌が好きだそうで。
 琉球は私の生まれ故郷なのでそう言っていただけたら嬉しいです。
 

 次回もまた、いくつか短編を書きたいと思います。

 ・・・それでは今回はこれで失礼します。


273 名前: k 投稿日:2004/08/08(日) 17:50

更新、開始


274 名前: k 投稿日:2004/08/08(日) 17:53

= 強く儚い者たち =


275 名前: 強く儚い者たち 投稿日:2004/08/08(日) 17:55

ねぇ、みきたん?

    ―― 好きだよ


ねぇ、みきたん?

    ―― 愛してるよ


でも、もう終わりにしよう?



276 名前: 強く儚い者たち 投稿日:2004/08/08(日) 17:55


ソロとして出会った二人。

似た境遇の二人が仲良くなるのに時間なんてかからなかった。

・・・・でも

あなたは行ってしまった。

自分の可能性を確かめる為に


277 名前: 強く儚い者たち 投稿日:2004/08/08(日) 17:56


「自分がどこまで出来るか確かめたい。だからこの話を受けたんだ」

それが誰かに用意された場所だったとしても・・・・

そう言って、モーニング。さんに編入すると決まったときの
あなたの目(カオ)は力強かった。


だから私も引き止めなかった。

「だからさ亜弥ちゃん、ミキのこと信じて?」

あなたがそう言ったから

「二人の絆はそう簡単には壊れないよ」

あなたがそう言ったから、私は引き止めることが出来なかった。



でもさ、みきたん・・・・人(ワタシ)は、そんなに強くないんだよ

278 名前: 強く儚い者たち 投稿日:2004/08/08(日) 17:57


あなたはソロとしての活動が減ったけど

新しい場所でちゃんと立っていた。


忙しすぎて、前のようには会えなかったけど

あなたは私にかかさず毎日、メールを入れてくれた。

前と変わらないメールの内容。

最後には必ず『 好きだよ 』と書かれていたあなたのメール。

そのメールにいつも私は支えられていた。


でもさ、みきたん・・・・ヒトは変わるものなの

何も失わずに変わらないものなんて、ないんだよ


279 名前: 強く儚い者たち 投稿日:2004/08/08(日) 17:59


あなたとの過ごす時間が減るたびに、

私は別の誰かと時間を過ごしてあなたのいないすき間を埋めた。

あなたがテレビで私のことを言っているときに

私はあなた以外の誰かの腕の中にいたの


知ってる?みきたん・・・・人(ワタシ)は意外に強いんだよ

自分のサビシサを守る為なら、大事なものなんて簡単に捨てられるくらい


だから私もそうしただけ。


280 名前: 強く儚い者たち 投稿日:2004/08/08(日) 18:04


テレビの中で他の娘と仲良くしてるあなたを見るくらいなら

みきたんなんか、いらない。

私のココロに、あなたへの愛しさとサビシサを植えつけるみきたんなんかいらない。


知ってる?みきたん・・・・人は強くて儚い(ヨワイ)イキモノなの。

自分のサビシサを守る為なら大事なものなんて簡単に捨てるし

変わることだってできるの


だから私もそうしただけ。


ねぇ、みきたん・・・・

    ―― 好きだよ

ねぇ、みきたん・・・・

    ―― 愛してる


だから、もう終わりにしよう




                    END

281 名前: k 投稿日:2004/08/08(日) 18:06


 更新、終了。

・・・如何だったでしょうか?

ちょっと、PCの調子が悪いです。
・・・暗・・・くないですよね?w

初の超短編(自分の中ではw
しかも、出てくるヒトが松浦さん、ただ一人。
一度、書いてみたかったんですw

あと、いくつか短編を書いているんですが
今度は長編とまではいかないですけど、中編?ぐらいのやつを
書いているのでそれが載せられたらいいなとw

・・・それでは今回はこれで失礼します。


282 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/27(金) 01:28
作者さんのあやみきむっちゃ好きです!!
283 名前: k 投稿日:2004/09/02(木) 02:32

久しぶりの更新開始です。
284 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:34


ねぇ、君は好きな人ができたらどうする?

告白する?

それともただ見ているだけ?


どっちだろう?





・・・じゃあ、もし今日で世界が終わるなら君はどうする?


285 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:36

「ねむい・・・」

誰もいない教室で机にへばりつくようにして大きな欠伸をする。

「女の子がでっかい口開けて欠伸なんかしちゃダメだよ、みっきー」

眠たそうにしている美貴に友人のマイが声をかける。

「あー・・・・マイちゃんか。久しぶりだねぇ・・・」
「久しぶりー。前のコンパ以来だから2週間ぶり?」

手を振りながらミキの前までやってくるマイちゃん。

「そうだね、そのくらいだね。何故か同じ科目を取ってるのに
 マイちゃんとはめったに会わないんだよね」
「ちょっと、みっきー、それじゃアタシがさぼってばっかに聞こえるじゃん」
「・・・実際そうだし」

今は昼休み。次の講義が始まるまで教室で眠ろうと思っていたところに同級生のマイがやってきた。美貴は眠そうにしながらマイの相手をする


286 名前: I’mIn Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:37


「なに、眠そうにしちゃって」
「ここ、2,3日眠れなくて寝不足なんです」
「どしたの、みっきーが寝不足なんて何か悩み事でもあんの?」
「んー?・・・まぁ、あると言えばあるし、ないと言えばないし・・・」
「どっちよ?」
「どっちだろ」
「ふーん、悩みがあるなら話、聞くよ?
 解決になるアドバイスくらいはしてあげられるだろうし・・・」
「マイちゃんにねぇ・・・」

チラリと眠そうな顔でマイを見る。

「なによー?あたしじゃ役に立たないっていうの?」
「どっちかっていうと人の悩みを楽しむタイプに見えるけど?」
「ヤダ、みっきー、そんな褒めないでよ」
「いや、褒めてないから」


287 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:39


「んー・・・」

軽く体を伸ばしながら美貴は倒していた体を起こす。

「まあ、別にいいんだけどさ・・・なんだろ、多分だけどミキ・・」
「多分だけど?」
「多分、一目惚れしたかも」
「そう、多分、一目惚れなんだ・・・」
「「・・・・・」」
「・・って、みっきーが一目惚れ!?」
「マイちゃん、反応遅いよ。もうボケた?」
「んな!?ヒトを年寄りみたいに!それより一目惚れってどういうことよ?」
「どういうことだろう?」
「・・・みっきー」
美貴の目の前で握りこぶしを作る。



288 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:40

「わー!ごめん、ちゃんと話すから!」
「・・・それで?」
「うん、だからさ、何か二週間前ぐらいからおかしいんだよね、ミキ。」

「うーん、なんて言うの、やけに考え事することが多くなったり、ため息ついたり、
 ここ何日かまともに寝てないとか・・・こんな感じかな」
「何か、他人ごとみたいに言うね、みっきー。それって、完璧に恋の初期症状じゃん」
「ぷっ、マイちゃん恋の初期症状って、ヒトを恋したみたいに」
「いや、あんたが最初に言ったんでしょうが。一目惚れしたって」
「言ったっけ?」
「「・・・・」」
「・・・ぶつよ?」
「・・・・ぶってから言わないでよ」

頭を擦りながらマイを恨めしそうに見る。


289 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:42

「二週間前って、確かコンパした時でしょ。何、みっきーあの時に誰かに一目惚れしたの?」
「・・・多分」

二週間前、美貴の入っているサークルで他大学とのコンパがあった。
美貴は嫌がっていたがサークルに入っている者は全員、参加と言われて
マイに強引に連れて行かれたのだった。

「で?どんなヒト?」
「どんなって?」
「だから、かっこいい?まじめ君?チャラ男?同学年?それとも、年下でカワイイ?」
「そんな、いっぺんに聞かないでよ。
 うーんと、ミキより2歳下って言っていたから年下だね。
 あと、どっちかというとかわいい・・・」

少し照れたように話す美貴。

290 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:46

「ほー・・・で?」
「でって、何が?」
「その人とはどんな関係?」
「関係って・・・」
「もう、告った?それとも友達から?」
「今の状態ってコト?うーん・・・友達以上恋人未満かな?」
「なにそれ」
「だって、まだあの日以来、2、3回しか会ってないし、メルアドは聞いてるから
 毎日、メールはしてるけど・・・でも、メル友って感じでもないし、こういうのなんて言うのさ?」
「アタシに言われても」
「まぁ、とにかくそんな関係!」
「ふーん」
「・・・なに?」

照れたように話す美貴をマイはじっと見つめる。



291 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:47


「いや、みっきーって恋愛に対してすっごい、サバサバしてるからさ、
 そんなみっきー見たこと無いなと思って。・・・で?告るんでしょ?」
「うーん・・・」
「なーに、悩んでんのよ」
「・・・いや、マイちゃんが言うようにミキって、サバサバした性格じゃん?
 まぁ、この年なんだから恋愛経験のひとつやふたつはあるわけで・・・
 でもミキさ、恋愛のかけ引き?みたいなやつが苦手だから恋愛に対しても
 冷めてるっていうか、そんな、長続きしなくてさ・・・」
「ああ、確かに、みっきー長続きしないよね」
「だから、今度の子もそうなるかもって思ったら別にこのままの状態でもいいかなって・・」

そういいながら話す美貴のカオは諦めたというよりは自信がないように見えた。


292 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:49


″こんなみっきー見るの初めてかも ″

美貴の顔を見ながらそう思っていたマイが口をひらく。

「でも、みっきー、そんな風に考えていてもその人のことが好きなんでしょ?」
「・・・・・」
「ね、その人のどこが好き?」
「どこって・・・」
「別に具体的じゃなくてもいいから、最初に逢ったときにどう思った?」

「最初に会ったとき?
 うーん、会ったときの印象は明るくて可愛い子だなと思った。」
「それから?」
「最初はあっちから声かけてきたから、しばらく周りから離れてその子と喋っていて、
 コンパも終わるころにあの子からメルアド聞いてきたから交換して・・・・」

カタコトではあるが少しずつあの時、あの子に会ったときのことを思い出す。


293 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:50


「・・それで・・・あっ、・・・声」
「声?」
「うん、その子の声がものすごく印象に残ってる。」
「なに?ものすごく特徴ある声だったの?」
「うんん、そうじゃないけど・・でも、その子がミキの名前を呼ぶたびに
 ココロの中の何が響いていて、それが何なのか分かんないだけど、でも、
 その子がミキの名前を呼ぶたびにミキの中であの子が焼きついて離れないんだよね。」

どこが好きなのかと問われても分からない。でも、あの子の声で自分の名前を呼ばれることを望んでいる自分(ミキ)がいるのは分かる。だって、あの日以来考えているのはあの時、ミキのことを呼んだあの子のことだけ。


294 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:53


美貴の話を黙って聞いていたマイが口を開く。

「なーんだ、みっきー。とっくに答えだしてんじゃん。」
「答え?」
「そっ、みっきーの好きはかわいいから好きとかじゃなくて、
みっきー自身があの子のこと求めてるの」

「ミキが・・・?」

「そう、みっきーのここがね」

そう言って、ミキの胸のほうに指をさすマイちゃん。

「ミキのこころ・・・?」

「そっ、理屈ぬきってやつ?理由がわからないのも当然。
 本気で好きになったら理由なんて関係ないもん」


295 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:55


「そう・・いうものなのかな・・でも、マイちゃんよく分かるね」

「まぁ、ケイケン者は語るってやつ」

美貴を見ながらニヤっと笑うマイ。



「どう?少しは参考になった?」

「・・・まぁ、・・すこしは・・」
「で?告白する?」
「だから、それは・・・」
「みっきー、ひょっとして振られるのが怖いの?」
「な!?」
「だからいろいろ理由つけて言いたくないんじゃないの?」
「違っ!・・・・・」

さっきまで美貴を茶化していたマイが真剣に聞いてくるので美貴は何も言えずに黙ってしまう。


296 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 02:58


「みっきーはその子のことが好きなんでしょ?理由なんか思いつかないくらい」
「・・・・」
「言っとくけど、振られるのが怖くてウジウジしていたらあっという間にその子、他の奴に持っていかれるんだからね!その時にみっきーは後悔しないって言い切れるの?」
「・・・・」

いつになく真剣なマイに美貴は何も言えなくなる。
ふと、マイがバツが悪そうな顔をする。

「ごめん、少し強く言い過ぎた」
「マイ・・ちゃん?」
「誰だって、告白するときは怖いモンね・・・みっきーの気持ち考えずに喋りすぎた」
「・・・・」
「でも、みっきーには諦めてほしくないんだ。たとえそれが上手くいかなかったとしても
 本気でヒトを好きになるって中々ないから・・・そんなヒトにめぐり合うなんて奇跡に近いから・・・だから、怖がらずに・・・後悔はしてほしくない」
「マイちゃん」

美貴に話すその目は真剣で力強く美貴に訴えかけてくる。

297 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:00


「・・・ありがと、マイちゃん。今の言葉すごい効いた。」
「・・・そりゃ、どうも」
「ミキ、だめもとで言ってみるよ」
「うん、それでこそ、みっきーだ」

美貴の言葉に満足気に微笑むマイ。

「でもさ・・・」
「ん?」
「どうやって告ればいいの?」
「は?」
「だからどうやって告ればいいのかな」
「・・・みっきー、もしかして告白したことないわけ?」
「うっ!・・・・だ、だって、自慢じゃないけど、ミキこういうのに慣れていないし
 それにいつも相手から告白してくるからする必要なかったし・・・」
「・・・充分、自慢だよ」

美貴の言葉に苦笑いしながらマイがこたえる。


298 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:01


「勢いでいいんじゃない?」
「えー!?・・・でも、キッカケとかやっぱ、あったほうが・・・・」
「でも、勢いも大事だよ?」
「それは・・・わかるけどさぁ、でもやっぱ、肝心なのはキッカケでしょ?」
「まあ、たしかに・・・」
「ハアー」
「悩むね、みっきー」

「・・・そうだね、お陰でミキ2、3日ねてないんだよね。と言うことで、
 あら方話したから、ミキ、もう寝るね」
「えっ、キッカケは考えなくていいの?」
「・・・今、ミキの頭の大半は睡眠欲で占めているから今は・・・もういいや」

そう言って、また机に突っ伏すようにして眠りに入る美貴。
さっきまでの真剣さはどこへやら、考えるのが面倒くさくなって、寝に入る美貴をマイは呆れながら見る。


299 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:02

呆れながら美貴を見ていると、遠くから自分を呼ぶ声が聞こえた。

声がするほうに振り向くとサークルの後輩が近づいてきた。

「おー、亜弥ちゃん久しぶりー」
後輩の亜弥に手を振ると、亜弥は二人の方へと近づいてきた。

「えへへ、お久しぶりです、マイせんぱい」
「久しぶりー、亜弥ちゃんとも二週間ぶりだねー
 どう?前のコンパでいいヒトいた?」

からかう様に聞くマイに亜弥は顔を赤くしながら頷く。

「・・・はい、気になるヒトが出来ました」
「えー、だれ?アタシが知ってる人?」
「あのー・・」

亜弥が何かを言おうとしたとき美貴が顔をあげた。

「マイちゃん、うるさい。ミキ、寝れないんですけど・・」

不機嫌な声を出しながら顔をあげる美貴。

「あ、ごめん、みっきー。でも聞いてよ、亜弥ちゃんがね・・」
「アヤちゃん?」

美貴の視線がマイから亜弥へと移ろうとしたとき急に飛びつかれた。



300 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:03

「みきタンせんぱーい、偶然だねー」
「うわ!?」

急に飛びつかれた美貴は体勢が崩れそうになる。

「え!?あ、な、なんで?」

展開についていけない美貴はパニくる。

「あいかわらず、仲がいいねぇ。ふたりは」

ニコニコしながらマイはそれを見ている。
亜弥と美貴とは直接会うのは久しぶりだが二人が仲良く歩いているのを遠くから見たことあるマイはさっき美貴とした話を亜弥に話した。

「そうだ、亜弥ちゃん、みっきーもね好きな人が出来たんだって」
「えっ」
「ば、ばか、マイちゃん!」

美貴はマイを止めようとするが亜弥に抱きつかれていて思うように動けない。
それを見たマイはさらにはなしを続ける。

「しかも、一目惚れなんだって。なのに本人は告白するのに戸惑ってんの」
「マイちゃん!」

「そうなんですか?」

みっきーから体を離し聞いてくる亜弥ちゃん。
でも、みっきーは

「い、や、あの、・・」

なんて下を向いてシドロモドロ
301 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:04

「ねぇ、亜弥ちゃんならどうやって告白する?」
「えっ、アタシですか?」
「な!?何聞いてんのさ、マイちゃん!」
「えー、だって、みっきーアタシの意見、聞いてくれないじゃん」
「だからって、後輩に聞かなくても・・・」

「そうですねぇ、あたしならこう考えますね。
今日で世界が終わるかも。だったら告白しちゃえって」

美貴とマイの話を遮って亜弥が口をひらく。

「・・・今日で世界が終わるなら?」

マイのほうへと向けていた顔を亜弥のほうへと向ける美貴。


302 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:05


「はい、今日で世界が終わるんだったら、最後ぐらい好きな人と一緒にいたいじゃないですか。だから、あたしは告白するときはそういう風に考えてからしますね。そうすると
 何故か、勇気がわくんですよね」

見つめながらそう言う亜弥に美貴は目を逸らすことが出来ない

「なるほどねぇ、亜弥ちゃんはそういう考えで告白するんだぁ」
「まぁ、あたしなら・・ですけどね」

アタシのほうへと顔を向けハニカムように笑う亜弥ちゃん。
みっきーはそれをじっと見ていた。

ん?なんかやけに亜弥ちゃんを見る目が熱い気がするんですけど・・・

そう思っていたら、亜弥ちゃんが突然みっきーのほうへと振り返った。
303 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:06

「それで、みきタンせんぱいは誰に一目惚れしたんですか?」
「え!?」

亜弥ちゃんの突然の質問。
そういや、アタシもまだみっきーから誰を好きになったか詳しく聞いていないんだった。

「そうだよ、みっきー相手は誰なのさ?
 メルアドは交換したんだから名前ぐらいは聞いてるんでしょ?」
「えっ!?う、うん。でもね・・・」
「なーに、慌てているのよ。さあ、みっきーズバっと言っちゃえ!ズバっと!」

アタシに煽られて顔を真っ赤にするみっきー。
ひょっとして好きな人って・・・

「ねえ、ひょっとしてアタシも知ってる人?」
「・・・・うん」
「まぁじぃ?えー誰だろ?2コ下でしょ。
 アタシ、2コ下の知り合いなんて少ないからなあ・・・」

美貴に頷かれて自分の知り合いを思い浮かべるマイ。



304 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:07


「えーと、2コ下、・・・2コした・・・2コ・・下?・・」

頭のなかであらゆる後輩を浮かべていたアタシは固まった。

「あ、のさ、みっきー・・・まさかとは思うんだけど・・・」
「・・そのまさかだよ」
「えっ・・・でも、二人って・・・え?」

「二人ともどうしたんです?」

顔を真っ赤にしながら自分を見ている美貴と、美貴の隣でキョトンとしている亜弥を交互に見るマイ。
そして、少ししてから納得した顔をしたかとおもったら急にニヤニヤしだした。

「なるほどねー。まさかみっきーの好きな人があの子とはねー」

アタシのからかい口調にみっきーの顔はさらに真っ赤になる。

「ねぇ、みっきー」
「・・・なに?」
「きっかけは・・・できたよねぇ?あとは勢いだよ」
「うっ」

アタシの言葉にうろたえるみっきー。


305 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:08


「みっきー、アタシこの講義サボるんで代返よろしくねー」
「え!?ちょっと待ってよ、マイちゃん」

そう言って、立ち上がるアタシをみっきーが慌てて引き止める。
でも、その手をアタシははやんわりと解いた。
そして、みっきーの耳元に顔を近づけて囁いた。

「みっきー、アタシが言ったこと忘れないでよ。・・・後悔しちゃダメだかんね」
「ま、マイちゃん」

気弱なみっきーの声
そんなっみっきーにアタシは最後にこう言った。

「今日で世界が終わるなら・・・だよ。みっきー」
「・・・」

最後にそう呟いて顔を上げる。
みっきーの顔は見ずに講堂を出て行くアタシの後ろから聞こえてくる声

「・・・あのさ、亜弥ちゃん・・」
「はい?」
「み、ミキと・・・」
「・・・」


アタシは講堂を出る間際、二人に振り返る。
そこには、何かを言っているみっきーに抱きついている亜弥ちゃん。
それを見てアタシはニッコリと笑う。
306 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:09


「まさか、みっきーの好きな人が亜弥ちゃんとはねー」

教室をでたあと、歩きながらアタシは呟く。

てっきり、美貴の好きな人は他大学の相手だと思っていたマイ。
しかし、本人からはとんでもない答え。
でも、よく考えれば美貴はこのサークルに入ってから数えるくらいしか顔を出していない。
嫌がる美貴を自分が無理やり誘って入れたサークル。バイトに忙しい美貴はほとんどサークルには顔を出していなかった。
そんな時に行われたサークル部員、全員参加のこのコンパ。
確かに、美貴にとっては新しく入った亜弥はあの時が初対面になるはずだ。

そのことを思い出して苦笑いになるマイ。


外へと出たあとマイは鞄からケータイを取り出して電話をかける。

繋がるまでの間、空を見る。

雲ひとつ無い真っ青な空


「今日で世界が終わるなら・・・か」

そう呟いたあと、電話が繋がる。
繋がった電話からは一度は諦めた愛しいあのヒトの声。

「もしもし?ひさしぶりだね。・・・実は伝えたいことがあるんだ・・」


307 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:11


ねぇ、君は好きな人ができたらどうする?


告白する?


それともただ見ているだけ?


どっちだろう?





・・・じゃあ、もし今日で世界が終わるなら君はどうする?



 
                          FIN


308 名前: I’m In Love 投稿日:2004/09/02(木) 03:12

更新、終了。

里田さん視点のあやみきでした。


えー、気がつけば九月ですw
ここ数週間自分がなにやっていたか記憶にありません_| ̄|○ 
久しぶりに書いたやつもなにがなんだか分かりません!



282>>名無飼育さま

あ、ありがとうございます(照)。
面?と向かって言われるとすごい恥ずかしいんですが、とっても嬉しいですw

この言葉を栄養ドリンクにしつつ、がんばりたいと思います。


・・・それでは、今回はこれで失礼します。


309 名前:名無し読者 投稿日:2004/09/02(木) 23:13
ええ話やな〜。思わず読み終えて「ふーむ…」と唸ってしまいました。
里田さん視点良かったです。あやみきに幸あれ。
310 名前: k 投稿日:2004/09/10(金) 07:17

更新開始
311 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:18


ねえ?アナタはこう言ったら信じる?


あたしにとってアナタが『 運命のヒト 』なの


あっ、今すごい呆れた顔した


ひどいなぁ


じゃあ、教えてあげる


どれくらい、アタシがキミを好きかを





312 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:19


「おはようございまーす」

「おはよう、あややは今日も元気だねー」

「ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」

忙しく舞台セットを準備するスタッフさんたちにご挨拶。

今日は新曲のプロモーション撮影。

朝早くからスタジオに入って準備をする。

1日かけての撮影は大変だけどそれはスタッフさんも一緒。
あたしの曲のためにこれだけの人が動いてくれる。
それにあたしは感謝を込めて笑顔で挨拶をする。

でも最近、やけに言われることが多くなったことがある。


313 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:19


「おはようございまーす」

「お!あやや、おはよう。朝から元気がいいねぇ。何かいいことでもあった?」

「えー、何もないですよぉ。今日はよろしくお願いしまーす」

「よろしくー。今日は1日かけて撮影するからガンバレよー」


そう、最近よく言われるこの言葉。

『 何かいいことあった? 』

別にこれといって何かあったわけでもない。
でも、最近よく言われるこの言葉。

友達のあいぼんにも言われた。

『亜弥ちゃん、最近すごい元気だね。何かいいことでもあったん?』 

『そう?別に何もないけど・・・そんなにいつもと違う?』

『うん、亜弥ちゃんはいつも元気だけど、なんか笑顔がちがう』

『そう?』

『亜弥ちゃん、ひょっとして恋してる?』

『は!?』

『だって・・・』



314 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:20


「そろそろ、始めたいと思いますのでスタッフは位置についてくださーい」
松浦さんもお願いしまーす」

出番待ちをしていたあたしにスタッフさんが声をかける。

「は、はーい!今いきます!」

ぼーとしながらあいぼんとの会話を思い出していたあたしは急に声をかけられ
慌てて、セットにかけよる。


「それじゃあ、本番いきます!よーい・・・」




『だって、亜弥ちゃん、目が恋する乙女になってるんだもん』




315 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:21


「恋する乙女ねぇ・・・・」

1日かけての撮影がようやく終わり、家に着いたあたしは大好きなお風呂にも入らずにベッドにダイブ。天井を見ながらポツリと呟く。


「・・・やっぱり、だれが見たってそう思うよねぇ・・・」

誰に言うわけでもないあたしの独り言。
その言葉は空気に溶け込み消えていく。

たしかに、あたしは今ある人に恋をしている。


「・・・でも、いつもとは違うんだよねぇ・・・・」


二度目になる独り言を呟いたあと、目を閉じる。
そのまま、あたしの意識は深く閉じていった。



316 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:23


「おはようございまーす」

「おはようアヤヤ。今日は弾けようねぇ」

「はい!よろしくお願いします!」

「あはは、元気だね。」

会場について挨拶まわりをする。
今日はハローのコンサート。いつもは一人で活動するけどこのときだけは
ハロープロジェクトのメンバーが集まって、大賑わい。

メンバーの皆に挨拶しながらある人を探す。

そう、あたしが恋してるある人はハローの中にいる。
今日、久しぶりに会うあの人。って言っても、メールはしてるので会っても
久しぶりには感じないけど、それどもメールと直接会うのとじゃ全然、違う。
久々に会うその人にあたしの心臓は朝からドキドキしっぱなし。


317 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:23


「おはようございます」

あたしがスタッフさんや、メンバーに挨拶していると後ろから人の気配。
気配を感じたあたしが振りむこうとすると急に抱きつかれた。

「きゃあ!?」

「おっはよー!亜弥ちゃん。今日も可愛いねぇ」

急に抱きつかれて思わず声をあげる。
振り向かなくても分かるこの声は・・・

「美貴ちゃん!?もう、ビックリするじゃん!」

「あははは、ごめーん」

にこにこしながらあたしに抱きついてきた美貴ちゃんこと藤本美貴ちゃん。

朝からあたしの心臓をドキドキさせている張本人。

そう、あたしは美貴ちゃんに恋してる。


318 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:24

美貴ちゃんとはコンサート会場で知り合った。

偶然、席が隣どうしになって初めて会ったのにすごく意気投合しちゃって、
コンサートが終わるころにはメルアドを交換し合っていた。


「亜弥ちゃん、今日のコンサート頑張ろうねぇ」

「うん!美貴ちゃん、今日が始めてのコンサートだよね、緊張してる?」

「まっさかぁ、逆に興奮してます!」

「おー、美貴ちゃん、大物」

「あは、そう思う? あっそうだ、マネージャーにスタッフさんやメンバーに
 挨拶してこいって、言われていたんだ。じゃあね亜弥ちゃん、また後でね」

そう言った美貴ちゃんは走りながらスタッフさんたちのもとへ向かっていった。
あたしはその後姿をずっと見ていた。



319 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:25


美貴ちゃんをずっと見ていたあたしの首にふいに誰かの手が巻きついた。

「きゃあ!?」

本日、二度目の叫び声。

「だ、だれ!?」

「あーやチャン、すっごい顔が蕩けてますけどお?」

その声は・・・

「あ、あいぼん!?」

首に巻きついていた手をはずして後ろを振りむくと、ニヤニヤしていたあいぼんが立っていた。




320 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:25


「・・・なに?そのニヤケ顔・・・」

「んー?別にー・・・ウチのときは振り返らないと分からないんだーと思って」

あいぼんの意地悪な言葉に顔が真っ赤になる。

「・・・どういうイミでしょうか?」

真っ赤になりながらもあたしが負けじと返すと、あいぼんはまたニヤッとした。

「いやー、恋する力はすごいねー」

「なっ!?」

「それにしても美貴ちゃんもすごいよねー。あの、自分大好きあややに
ここまで蕩けた顔させるんだもんねー」

「ちょっと、あいぼん・・」

「んー?ウチが言ってること間違ってる?」

「・・・・あたりです」

あいぼんには勝てないと判断したあたしは白旗をあげて正直に話す。

あいぼんはしてやったりって顔でニヤケ顔。

・・・なんか、くやしい。

321 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:26


彼女と初めて会ったのはある、大物アイドル歌手のコンサート会場。

マネージャーさんに勉強になるからと言われて連れてこられたコンサート。
最初は乗り気ではなかったあたしも段々コンサートの雰囲気にのまれて
まじめに見ていた。

ちょうど、MCに入った時ふいに視線を感じた。
視線が感じる方へと顔を向けると、知らない女の子と目が合った。

彼女はあたしを見てニッコリ。
笑顔で返されたあたしは慌てて前を向く。

視線を舞台に移すとちょうど次の曲を紹介しているところだったので、
あたしはずっと前だけを見ていた。


『なんだろ?すごいドキドキしてる』 


あたしが感じたのは今まで感じたことが無いほどの胸の高鳴りだった。


322 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:27


MCもおわり、後半が始まっているけどさっきの子が気になってあたしは全然、集中して見れていなかった。

そっと、あの子のことを覗き見するとつまらなさそうにコンサートを見ていた。

でも、あたしはその顔に違和感を感じた。
なんだろう、つまらなさそうに見えるんだけどでも、目の奥には挑戦的に見えるような強い目線を感じた。

あたしがチラチラと横をみていたのをマネージャーが気づいてあたしに声をかける。

「松浦、どうしたの?ちゃんと見なきゃ」

「あっ、ごめんなさい。ちょっと隣が気になって・・・」

「隣り?」

あたしの話にマネージャーが横を向く。
ちょ、ちょっと、マネージャーさん、そんなジロジロ見たら・・・


323 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:31


「・・・あれ?お宅も来てたの?」

あたしがマネージャーさんを止めようとしたら、隣の人に話かけていた。

「ん?おー、そっちも来てたんだ。どう調子は?・・・」

「まあ、ボチボチ?そっちは新しい子?」

「そっ、今度デビューが決まった子なんだ。勉強のために連れてきた」
 
あたしの目の前であの子の横に座っている人に話しかけるマネージャー。
え?なに、事務所の人?
ぼーとその光景を見ていると、横から腕を突つかれた。


324 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:32

「はじめまして、藤本美貴です」

ぼーとしていたあたしに笑顔で手を差し出す彼女。
その笑顔にあたしは見惚れていた。

「・・・あの、松浦さん?」

「ふぇ!?あ、ご、ごめんなさい。は、初めまして松浦亜弥です」

見惚れていたあたしは慌てて握手をする。
そんなあたしに彼女は優しく微笑み返す。

『うわぁ、すっごい綺麗な顔』

薄暗い会場の中、間近でみた彼女の顔はすごく綺麗な顔をしていた。

これがあたしと美貴ちゃんとの初めての出会い。

それからは、コンサートそっちのけで彼女とずっとお喋りをしていた。

そして終了間際にメルアドを交換してその日は別れた。


それから次の日のあたしはずっと、ケータイとにらめっこ。
仕事の休憩中には必ず彼女からメールが来てないかチェックしていた。

325 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:33

「・・・これがあたしと美貴ちゃんの出会い。信じられないかもしれないけど一目惚れなんだ。それからは会うたびにどんどん好きになっていったんだ」

あいぼんに聞かれてあたしは美貴ちゃんへの気持ちをあいぼんに話していた。
そんなあたしの話をあいぼんはにこにこしながら聞いてくれていた。


「でもね、最近思うんだ。なんか、美貴ちゃんは今まで好きになった人たちと 
 は違うかんじがするの」

「どう違うの?」

「うーん、うまく言えないけど、今までの好きな人たちって、ドキドキとかするけどそれだけだったの。でもね、美貴ちゃんはそうじゃなくって、声を聞いたり、会ったりするとすっごい、うれしくて、大好きって気持ちがどんどん大きくなって、それで何でも出来そうなくらいのパワーを美貴ちゃんからもらうんだ」

「ほー、亜弥ちゃんの元気の素は美貴ちゃんだったんやー」

「うん、そうだね。美貴ちゃんがあたしの元気の素」

326 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:34



美貴ちゃんに会うだけで楽しくて、嬉しくて心が弾む。でも・・・

『 恋している 』

ただそれだけではすまないようなものを美貴ちゃんには感じていた。



327 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:34


コンサートが始まるまでの間、ほんの数時間だが空き時間がある。
皆、それぞれその時間はバラバラに好きなことをして時間をつぶしている。
あたしはコンサートが始まるまでの間、すこし散歩をしようと会場の外に出た。
すると、前方に見覚えのある後姿。

「美貴ちゃん?・・・おーい、美貴ちゃーん、何してんのー?」

あたしの前を歩いているのが美貴ちゃんだと分かり、あたしは大声を上げて呼び止める。
あたしの声に気づいたのか美貴ちゃんは振り返ってあたしを見た。
自分を呼び止めたのがあたしだと分かると美貴ちゃんはチョコチョコとあたしの所に走ってきた。



328 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:35


「亜弥ちゃん、何してんの?」

「あたしはコンサートが始まるまでの時間つぶしに散歩してんの。
美貴ちゃんは財布もってお買い物?」

「うん、ジャンケンで負けたから皆から頼まれたものの買出しに近くのコンビにまで行くんだ。亜弥ちゃんもヒマなら一緒に行く?」

「うーん、でもあたし財布置いてきたし・・・」

美貴ちゃんからの嬉しいお誘い。でも残念なことに財布を鞄に置いてきてしまった。


329 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:36


「いいよ、お金はミキが出すから」

「え、悪いよ。やっぱりあたしはいいから、美貴ちゃんだけ行って来てよ」

「遠慮しなくてもいいよ、ほら行こう」

「え、あっ、ちょっとまっ・・・!」

断ろうとしたあたしの手を美貴ちゃんが掴んで前を歩き出す。
その時、あたしの体に電気が走ったような衝撃が起こった。

『ふぇ!?な、何!今の感触!?』


昔ママに聞いたことがある。
運命の人に出会うと体から電気が出るみたいな衝撃があるって。
自分の心がこの人が運命のヒトだよって電気を流して教えてくれるって。

あたしはその時はママとパパの出会いを聞いていたときで、ママは照れながら
あたしにパパとの出会いを話してくれた。
ママも初めてパパと手を繋いだときに感じたって言っていた。
この人が運命のヒトなんだって・・・ 


330 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:37


美貴ちゃんと初めて繋いだ手。
ドキドキする。

繋がれた手を見ながらあたしはドキドキしている自分の胸に問いかける。

『ねぇ、美貴ちゃんがあたしの運命のヒトなの?』

ドキドキドキドキ

あたしの問いかけに答えるように心臓が高鳴っていく。


『・・・そうなんだ、あたしの運命のヒトは美貴ちゃんなんだ
 あたしの心がずっと探していたヒトが・・・出会ったんだ・・・』

高鳴る胸の鼓動を感じながら心のなかで呟く。


『どうしよう、すごい嬉しすぎて泣きそう』

思いがけない運命の出会いにあたしの気持ちは嬉しすぎてパンクしそうになる。

「亜弥ちゃん?何も喋んないけど、どうした・・・の!?」

あたしの方へと振り返った美貴ちゃんが驚いた顔をしてあたしを見てる。
そりゃあそうだよね。後ろを振り返ってヒトが泣いてたら誰だってびっくりするもん。


331 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:38


あたしは次から次へとあふれ出す涙を止めることができずただ、下を向いて泣き続けていた。そんなあたしを美貴ちゃんはオロオロしながら見ている。

「亜弥ちゃん、なんで泣いてるの?そんなにミキとコンビに行くの嫌だった?
 あっ、それとも手繋ぐのが嫌だったの?なら、今すぐ外すから泣かないで」

オロオロしながらあたしを必死に泣き止ませようとしている美貴ちゃんがあたしと繋いでいた手を外そうとした。

あたしは外されそうになった手を強く握った。

「ちがう、嫌じゃない・・・」

「え?」

「手を繋いだから泣いたんじゃない。繋がれてうれしかったから泣いたの」

「はい?」

「あたしは美貴ちゃんのことが好きなの!
 ずっと、ずっと、初めて会ったときから美貴ちゃんが好きだったの!」

戸惑っている美貴ちゃんにあたしは抱きついた。

「あ、亜弥ちゃん?」

きっと、美貴ちゃんは困るかもしれない。
でも、それでも言わなければいけないほどあたしの気持ちはパンクしそうなほど膨れ上がっていた。


332 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:38


「美貴ちゃんには迷惑かもしれないけど・・・でも、知っておいてほしかったの、あたしの気持ち」

「あの、亜弥ちゃん?」
美貴ちゃんの戸惑いがちな声。

『どうしよう困らせた』

その声にあたしの体がビクリと揺れる。

「ミキ、最初から亜弥ちゃんの気持ち知っていたけど?」

「・・・・え?」

「だから、ミキ、最初から亜弥ちゃんの気持ち知っていたけど?」

「え、な、なんで知ってるの!?」

「何でっていっても・・・なんとなく?」

「なんとなくって・・・・」

美貴ちゃんの言葉にあたしの涙は止まったけど今度は頭が混乱した。

『・・・知っていた?・・・いつ?・・・どうして?』

頭が混乱しているあたしに美貴ちゃんは優しく言葉を投げかける。

「でも、亜弥ちゃんがどれくらいミキのこと好きかは分からない。
だから教えてよ。どれくらい好きか」

「え?」

そう言って、美貴ちゃんはあたしの頬に手を当ててきた。


333 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:39


「教えてよ」


あたしの頬に手をあてながら美貴ちゃんはあたしの言葉を待っている。
わたしは一度、小さく息吸ってからそれを吐き出すと同時に自分の気持ちを
のせた言葉を美貴ちゃんにぶつけた。

「美貴ちゃんが好き」

「・・・うん」

「毎日、会いたいくらい好き」

「・・・うん」

「電話じゃ物足りない、ずっと美貴ちゃんとお喋りしていたい」

「・・・それから?」

「それから・・・それから・・すっごい好き!」

「・・・うん」

「泣きたいくらい、・・・好き」

「・・・うん」

「運命感じるくらい、好きなの」

「はは、そりゃ、大きくでたね」

「ホントだってば」

「うん、それは知ってる。だって、ミキも亜弥ちゃんに運命感じてるから」

「・・・え」


334 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:40


「だってミキ、はじめて亜弥ちゃんと会ったときに握手したじゃん?あの時、ミキ、電気が走ったもん」

「うそ・・・」

「握手したとたんビビビッて、一瞬びっくりしたけど、まさかミキが運命の出会いをするなんて思わなかったしさ。でも亜弥ちゃんにはミキが今まで好きになった人たちとは違うものを感じるんだ。」

「・・・ほんとに?」

「うん、ミキは亜弥ちゃんに会うだけで嬉しくなるし、楽しいし、大好きって気持ちがすごく大きくなる、これってやっぱ運命のヒトでないと感じないヤツでしょ?」

「・・・美貴ちゃんのばかぁ」

「ええ!?なんでそこで美貴ちゃんのばかになるの?」

「なんであたしが嬉しくなるようなことばっかり言うのさぁ」
 
「ほえ?」

「うれしすぎて涙が止まらないじゃんかぁ」

あたしは美貴ちゃんの肩に顔を埋めながら泣きじゃくる。
美貴ちゃんの思いがけない言葉にせっかく止まっていたあたしの涙はまた
ポロポロと溢れ出してきた。


335 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:41


泣きじゃくるあたしを美貴ちゃんは優しく抱きとめる

「亜弥ちゃん、好きだよ」

「うん」

「ミキも最初に会ったときからずっと好きだった。」

「・・・うん」

「愛してるよ」

「も、もうこれ以上言わないで」

「えっ・・・」

「こ、これ以上言われたらあたし心臓がもたない。」

やめさせようとして美貴ちゃんの口を手で塞ごうとしたら逆にその手を掴まれ
た。

「はは、やっぱ亜弥ちゃんはカワイイや」

「だから・・ん・・」

言い返そうとしたら唇を塞がられた。



336 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:43


んん・・・っは・・・ん・・」

何度も何度も口付けられる。
優しいけど熱いキス。
そこから美貴ちゃんの気持ちが伝わってくる。

あたしはうれしくて美貴ちゃんのそれを一生懸命受け止める。


美貴ちゃん、覚悟していてよ?

あたし毎日言っちゃうからね。

電話でもメールでも、美貴ちゃんを好きだって言う愛の言葉を

美貴ちゃんが呆れるくらい

松浦の愛の深さをたっぷりこれから時間をかけて教えてあげるからね



こうしてあたしは運命のヒトに捕まり、その人の腕のなかで熱いキスを受けた。



337 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:43


「っていうくらい、タンが好きなんだー。
 ねっ、タンは?みきタンはどれくらいあたしのこと好き?」

「あ、亜弥ちゃん、もう充分わかったからそろそろ許して?」

「ダメー!だいたいタンが言ったんでしょうが、どれくらいミキのこと好きなのか教えてって」

「いや言ったけど、でもさ、亜弥ちゃん・・・」

「なに?」

「今、何時か知ってる?」

そう言ってみきタンは棚に置いてある時計に顔を向ける。
あたしもつられて時計を見る。



338 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:44


一時だよ」

「そう、一時。しかも昼じゃなく夜中の」

「すごいねー あれから二時間もたってたんだ。
これもみきタンを想う愛の力ってやつ?」

「いやいや、イミわかんないから。それより亜弥ちゃんがミキをどんだけ好き  
 かは充分分かったんで、もう寝ようよ。」

「だから、ダメですぅ」

「なんでさ?」

「みきタンが悪い。あたしがみきタンと初めて会ったときのことを話してるの 
 に、呆れた顔してるんだもん」

「・・・・」

そうよ、今日はせっかくあたしが泊まりに来て上げているのに。
それなのにみきタンは眠そうにしちゃって、あたしの話をちゃんと聞いてくれていない。


339 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:44


「だいたいねぇ、みきタンは・・・」

「亜弥ちゃん」

「・・・なに?」

「ミキ、亜弥ちゃんからその話きくの5回目なんですけど・・・」

「・・・そうだっけ?」

「そうだよ。・・・だから亜弥ちゃんの気持ちは分かったからもう寝よう?」

そう言って、ベッドに横たわるみきタン。
あたしはそうはさせじとすかさずその上に乗っかる。

「うっ!? 亜弥ちゃん、重い!苦しい!早くどいて!」

ちょっと、最初の言葉、聞き捨てなら無いんですけど。
苦しんでいるタンを尻目にあたしは上からタンを見下ろす。


340 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:45


「だから、まだ寝るのはダメだってば」

「なんでよ?」

「だって、まだタンからは聞いてないよ?あたしをどれだけ好きか」

「・・・いつも、言ってるじゃん。電話でも、メールでも」

「あたしは今聞きたいの」

だってみきタン、最近はあたしが聞かなきゃ言わなくなったんだもん。
好きだって言ってくれなきゃ誰だって不安になる。

上からみきタンを見つめながらちょっとだけ強く言う。
そうすると、たいていみきタンはあたしの言うことをきいてくれる。

「・・・はあー、わかった、わかった。言うから、少しだけ体ずらしてくらない?マジで苦しいから」

「ほんと?じゃあ、どいてあげる」

みきタンの上から体を退かしてあたしはみきタンの横に座りなおそうとすると
急にみきタンがあたしの腕を掴んだ。


341 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:45


「よくもやったなー お返しにこうしてやる!」

「え?きゃあ!? やだ、みきタン!く、くすぐったい。
ちょ、ちょっとタンマ!」

「だめー ほりゃ、もっと。苦しめ」


あたしの腕を掴んだと思いきやみきタンはあたしをベッドに倒し
上に乗っかって、あたしをくすぐりだした。

「きゃっ、あはは、ごめん、あたしが悪かった。降参するから!」

「へへ、まいったか」

あたしをくすぐるのをやめて上からあたしを見下ろすみきタン。
その顔は、あたしが大好きな笑顔なみきタン。

「ハア、ハア、みきタン、くすぐるなんてズルイー」

「・・・まーた、そういう事いう。そういうやつにはお仕置きするぞー」

息を切らしながら抗議するあたしにみきタンが両手をあげる。
あたしはまたくすぐられると思って思わず身構える。

「わーごめん、ウソです!う・・そ!」



342 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:46


てっきり、またくすぐられると思ったあたしにみきタンがしたのは優しいキス。

ほんの数秒でとけたキス。

でも、あたしにはみきタンの気持ちが充分伝わるキス。

「言わなくても亜弥ちゃんならミキの気持ち、分かるでしょ?」

「・・・だって、言ってくれなきゃ不安になっちゃうんだもん」

「だから、いつも言わせるの?」

「・・・だって、あたしだけそう思っていたらいやだもん」

「亜弥ちゃんはカワイイなぁ」

拗ねた子供のように答えるあたしにみきタンが優しく微笑む。



343 名前:うれしい! たのしい! 大好き! 投稿日:2004/09/10(金) 07:47

「・・・ほんとに好きなんだよ」

「知ってるよ」

「・・・運命感じちゃってるんだよ」

「それも知ってる」

「・・・今だって、好きすぎてどうにかなっちゃいそうなんだから・・・」

みきタンが好きという気持ちがあふれ出しているあたしは目に涙をためて
みきタンを見る。

泣き出しそうになってるあたしを見てみきタンは一瞬、びっくりしていたけど
また、さっきのように優しく微笑みかけながらあたしの瞼にキスをひとつ落とした。

「・・・それは、初耳。じゃあ、今度はミキがどれだけ亜弥ちゃんを好きか教えてあげるよ」

あたしの耳元で囁いた後、みきタンはあたしに優しいキスを落としていく。


あたしはそれを感じながらみきタンを引き寄せてみきタンの耳元で囁く。

「・・・ん、知ってるけど教えて?どれくらい好きか」



あたしは目を閉じながらみきタンが発する言葉と、みきタンから振ってくる優しいキスに心の中を幸せで満たしていった。


                     END
344 名前:名無し読者 投稿日:2004/09/10(金) 19:05
更新乙です!
じゃれあっている二人が激キャワです。
どれだけ伝えても溢れ出す想い。二人の愛は永遠です。
345 名前: k 投稿日:2004/09/13(月) 01:09


更新開始


346 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:11


キミの声が聞こえる


必死になって叫んでる


どこにいるの?



347 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:12


美貴が探してあげる



だから教えて



キミはどこにいるの?



348 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:12


ミキの声が聞こえるんだ



でもキミはみつからない



みつからないキミを美貴は探し続ける


349 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:13


まるで迷路のようだよ



出口が見えなくて泣きたくなるよ



ねぇ、どこにいるの?



350 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:14


美貴がとなりにいてあげるから



側にいてあげるから



つまずかない生き方なんてないから



351 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:14


キミがつまずきそうなら支えてあげる



転んだら手を差し伸べてあげる



転ぶのが怖いなら美貴も一緒につまずいてあげる



352 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:15


だから教えてよ



キミはどこにいるの?



キミの声が聞こえるんだ



353 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:16




『キミの声が聞こえる』



354 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:16


「あっ、雨・・・」

珍しく仕事が早くあがり家への帰路へと着こうとするころ急に振りだした雨。


「どうしよう、カサないんだけど」

あいにく近くにはコンビにもなく傘を買える店は近くには一軒も無い。
今は小雨だがなんだか本降りになりそうな雲行き。

今走ればそんなに濡れないかもしれない。
そう考えたミキは急いで家へと走って行こうとした。けど・・・


走り出そうとした自分の足が止まり、さっき、自分が通ってきた道のほうを振り返る。

「亜弥ちゃ・・ん?」

自分の家へと帰ろうとしたミキは気がついたら亜弥ちゃんの家へと向かっていた。


355 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:20


「え・・・みきたん?・・なんで」

亜弥ちゃんの家へと着いたミキはいつもなら合鍵を使って開けるドアを開けずにインターホンを押して亜弥ちゃんが開けるドアを待っていた。


「急に来るんだもん、びっくりしたよ」

亜弥ちゃんはそう言いながらミキに頭からタオルをかぶせた。
亜弥ちゃんの家に来るまでの間に本降りになった雨。
案の定、カサを持たないミキは全身ずぶ濡れになった。

「で?どうしたのさ、急に」

ミキの頭を拭きながら亜弥ちゃんは優しく笑う。

ミキはその顔を見ながら亜弥ちゃんを抱きしめた。

ミキの濡れた服が亜弥ちゃんの肌からぬくもりを奪っていく。
だけどミキは亜弥ちゃんを抱きしめ続けた。


356 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:21


まるで迷子になった子供が母親に抱きつくようにミキは亜弥ちゃんを抱きしめる。


「亜弥ちゃん・・・」
「なに?」
「・・・亜弥ちゃん」
「んー?どしたぁ・・・」
「亜弥ちゃん、・・亜弥ちゃん・・亜弥ちゃん・亜弥ちゃん・・亜弥ちゃん・・・」
「・・・・」


呪文のように亜弥ちゃんの名前を繰り返す。

そんなミキに亜弥ちゃんは何も言わずにただ抱きしめられていた。


357 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:25


「はい、ココア、あったかいうちに飲みな」
「ありがと」

しばらく抱き合っていた、ミキと亜弥ちゃん。
お風呂が沸く音がしなければミキはずっと、亜弥ちゃんを抱きしめていただろう。

「・・・お風呂、ありがと」
「どーいたしまして。それよりちゃんと暖まった?」
「うん」
「明日も仕事でしょ?何してんのさ、もう」


口調は怒り口調だが全然怒っていないのは声のトーンを聞けば分かる。




358 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:25


「・・・うん、雨が降っていたから亜弥ちゃん家で雨宿りしようかなって」
「みきタンの家、あたしの家とは反対方向でしょう」
「・・・うん」
「もう、みきタンは・・・あたしに会いに来たって素直にいえばいいのに」
「・・・あは、バレた?・・・・うん、亜弥ちゃんの顔が見たくて来たんだ」

ココアを一口の飲みながらまるでイタズラがばれた子供のように笑う美貴。

亜弥は美貴のその顔を見て何か言いたそうな顔をしていたが何も言わず、自分のココアに口をつけた。

「おいしいね、ココア」
「うん・・・」

テレビもつけずに二人でいる部屋に雨音だけが響く。


359 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:26


「亜弥ちゃん、今日泊まってもいい?」
「え?」
「だめ?」
「・・・別にいいけど、大丈夫なの明日?」
「うん、明日は昼過ぎからだから、一度家に戻る時間あるし」
「なら、あたしは構わないけど・・・」
「そっ、よかった」


『どうしたんだろう?』

亜弥は心の中で呟く。
美貴が家に来るのはいつものことなのだが、連絡もなしにくるのは珍しい。
何かあったんだろうか?
少し様子が違う美貴の顔を見ながら心配する。

『でも、今日みきタンが来てくれて良かったかも・・・』

美貴の顔を見ながらそう思っていると美貴が不意に亜弥の方へと顔を向けた。

「亜弥ちゃん、何かDVDとか見るのある?」
「えっ・・・ああ、うん、そうだねヒマだからDVDでも見る?」
「うん」

360 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:27


「えっと、・・・たしか新しく借りてきたやつがあったんだよね」

ソファに座っていた亜弥はDVDをセットする為、一度立ち上がった。

「みきたん、また前みたいに途中で寝ないでよー」

DVDをセットしながら美貴に顔を向けずに亜弥は言う。

「えー、前のはつまらなかったんだもん」
「だからって寝ないでよ。しかもみきタン、恋愛系ってほとんど寝るじゃん」
「だってミキ、アクションとかハラハラするのが好きだし」
「まったく・・・今見るのはみきタンが好きそうなやつだから」
「おっ、亜弥ちゃん気が利くー」
「別にみきタンと見る為に借りてきたわけじゃないもん」
「亜弥ちゃんは素直じゃないなあ」

美貴の言葉に図星をさされて思わず美貴のほうへと向く。

「そんなんじゃ・・・って、みきタン何その体勢!」
「ん?何、どっかへん?」
「ヘンとかじゃなくてなんでそんな思いっきり寝る体勢なのよ」

美貴のほうへと振り返った亜弥が見たのは、ソファに体を横にした体勢でいる美貴の姿。

361 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:29


「これじゃあ、あたしの座るところが無いでしょうが」
「大丈夫、亜弥ちゃんこっちにおいで」

ソファに横になっていた体を起こして、自分の右のほうをたたくみきタン。
あたしはDVDをセットすると素直にみきタンの横へと座った。

あたしが座るのを確認するとみきタンはあたしの方へと倒れてきた。

「ちょっ、ちょっとみきタン!?」
「ほら、こうすればミキも亜弥ちゃんも見れるでしょ」

上目であたしを見ながらみきタンが笑う。それを見下ろすあたし。
いわゆるヒザ枕状態という体勢(やつ)だ。

「はあー、何をするかと思えば・・・」

どうしてこのヒトは・・・ 

亜弥は自分のヒザの上でニコニコしている美貴をみてため息をつく。


362 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:30


「なんか今日のみきタン、甘えん坊だ」
「そう?」
「疲れてる?」
「疲れてるのは亜弥ちゃんも同じでしょ?」
「まぁ、そうだけど・・・」
「ほら、早くDVD見ようよ」
「・・・うん」

美貴にせかされてDVDのボタンを押す。
テレビ画面がチャプターが面へと切り替わったのを確認すると、手馴れた動作で字幕の操作ボタンを押し、再生ボタンを押す。

リモコンを側に置きながら画面の方へと顔を向ける。
その時チラリと美貴のほうへを見るともう、テレビの方へと顔を向けていた。

363 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:31


『疲れてはいないんだよねぇ・・・』

亜弥もテレビの方へと顔を向けながら美貴のことを考える。

いつからだろう・・・
いつからか、みきタンはあたしの前にふらりと現れることが多くなった。
それはいつも突然で、でもこんな風に何も言わないで来るんじゃなくてあたしの仕事が終わる時間帯に連絡してきて会うことが多かった。


DVDの字幕を目で追いながらあたしはあることに気がついた。

『そいいえば、みきタンが突然来るのってあたしが落ち込んでいる時、なんだよね』

14歳そこらで上京し、デビューしてもう3年近くたつ。
それなりにではあるがこの業界のことも分かり、自分なりにその橋を渡ってきた。

歌が好きだから選んだこの道。
自分の選択に後悔なんて言葉はない。
でも時々、周りの環境に押しつぶされそうになる。


364 名前:Hey 投稿日:2004/09/13(月) 01:31


トップアイドルにまで上り詰めたあたし。
その影には多くの人の支えや応援があった。
だからあたしも頑張ってこれた。でも・・・


『松浦亜弥』

この名前があたしに重くのしかかる。
転ぶことは許されない。


世間のイメージ
ファンへの期待

それを裏切ってはいけない。
常にテレビの中では笑顔を崩さずに『アイドル』の松浦亜弥を見せる。


この仕事は嫌いじゃない。だからテレビで見せる『アイドル』(あたし)も作り物ではなく本当のあたし。


365 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:33


歌手としての『松浦亜弥』


アイドルとして『松浦亜弥』


一人の人間としての『松浦亜弥』


どれも全部本当のあたしでどれの偽りなどない。
でも、1日の大半は歌手として、アイドルとしての松浦亜弥が占めていてもう一人のあたしが出てくるのは滅多に無い。
だけど、時おり、もう一人のあたしが出てくるときがある。


それは『松浦亜弥』を強く感じたとき。


多分、仕事の失敗やファンへの期待、アイドルとしてのイメージ、仕事のストレスとか、そういうのを感じるのがもう一人のアタシ。

366 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:34


忙しい毎日の中で滅多に出てこないもう一人のアタシは時おり現れてきてはあたしの中で暴れだす。
それはほんとに突然で急に出てくるものだから、あたしは不安になる。

あたしの中で暴れだすもう一人のアタシ。
それをあたしは薄い壁を作りながらまるで何かに祈るように体を丸めて押さえ込む。

『お願いだから出てこないで。誰も傷つけたくないの』

でも、もう一人のアタシはちょっとずつではなく一気に出てきて暴れまくるからあたしには抑えきれない。
一人では抑えきれないからいつも心の中で叫ぶ。


『 だ れ か た す け て 』


でも当然、心の中で叫ばれた声には誰も気づくことなく
あたしはそれを必死に一人で抑えこんでいた。


テレビの字幕から目をそらしてみきタンの顔を見る。
結構まじめにDVDを見ていた。だからあたの視線には気づいていない。


367 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:35


みきタンはいつのころか、突然あたしの前に現れるようになった。

別に何をするわけでもなくその時のみきタンはただあたしの側にいる。
だからあたしも何も言わずにいつも道理にしている。
心の中で暴れているそれ(あたし)に気づかれないように、
たわいの無い話でそれを隠す。




『 ねぇ、あたしの声はあなたに届いているんですか? 』



みきタンの顔を見ながら心の中で呟く。

みきタンから視線をはずしテレビのほうを見ると、画面はそろそろ終盤にさしかかるところだった。



『 あたしのこえがきこえますか? 』



368 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:36


DVDを見始めてから少しして亜弥ちゃんの視線を感じた。
いや、視線というよりは意識といったほうが近いかもしれない。
多分、いつもは連絡してから来るミキが今日に限って何も言わずに来たからきっと、心配してるんだろう。


いつからだっけ?
亜弥ちゃんの声が聞こえるようになったのは・・・
あっ、でも聞こえるって言っても心の声が聞こえるんじゃなくて、何て言うんだろう?
亜弥ちゃんの声にならない声っていうのかな、
SOSみたいな、
とにかくミキを呼ぶ声が聞こえたんだ。


369 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:37


最初はビックリしたんだよね。
何か後ろで呼ばれたような気がしたから振り返ったんだけど誰もいなくてさ。
それに小さすぎて最初は誰が読んでいるのか分かんなかったんだよね、ミキ。
でも、その声は確かにミキを呼ぶ声で、必死に呼ぶもんだからミキもそれを聞き取ろうとして躍起になってさ。

あの声が亜弥ちゃんの声だって分かったのは亜弥ちゃんの楽屋へ遊びに行ったときだった。


亜弥ちゃんはミキが来たことに喜んでくれたんだけど疲れているのが分かったから、
あまり長居はせずに亜弥ちゃんの楽屋を出ようとしたんだ。
その時、後ろから確かに聞こえたんだ。


『みきタン・・・・助けて・・・』 って・・・

呼ばれたミキは亜弥ちゃんのほうに振り返ったんだけど本人は

『なに?』

なんて言っていたからその時ミキは確信したんだ。


ああ、あの時の声は亜弥ちゃんの声だったんだ・・・


370 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:38


ミキはじっと亜弥ちゃんを見ていた。
でも亜弥ちゃんは曖昧に笑うからミキは泣きたくなった。

あの声は亜弥ちゃんの声で確かにミキを呼んでいるのに当の本人はそれに気づいていない。
いや、多分ミキに気づかれないようにしているんだろう。
それがミキを泣きたい気持ちにさせた。


ねえ亜弥ちゃん、ミキじゃ頼りないかな?

確かにミキには亜弥ちゃんの感じている苦しみを全部、無くすことなんて出来ない。

でも、亜弥ちゃんが苦しんでいるのを見るとミキは泣きたくなるんだよ

お願いだからミキには亜弥ちゃんの心の中を見せてよ。

無力な自分だけど亜弥ちゃんの笑顔が見たいんだ。

だから、側にいるミキには見せてよ・・・


371 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:39


亜弥ちゃんが曖昧に笑うからミキも曖昧に笑い返した。

「また今度、ゆっくり遊ぼうね」

そう言って、ミキは亜弥ちゃんの楽屋をでた。
彼女の視線を感じながらドアを閉める。
パタリと閉まるドア。
自分の楽屋へ戻る前に後ろを振り返って小さな声で呟く。

「亜弥ちゃん、君の声はミキに届いているよ?だから・・・」


『・・・だから、ミキには教えてよ。君の心の中を・・・』



心の中で呟いたあと、ミキは自分の楽屋へと戻っていった。


372 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:40


亜弥ちゃんの意識がミキから離れるのを感じた。
DVDはそろそろ終わりそうだけどミキの頭の中には全然、入ってこない。
頭の中は亜弥ちゃんのことだけ。

亜弥ちゃんは今、精神的に疲れている。その原因をミキは知っている。

『週刊 文春』

どっから出てくるのか芸能人などをネタにウソかホントか分からない記事を書いている週刊誌。その中に亜弥ちゃんのことが書かれていた。

「松浦亜弥、三日間無断で休む」

タイトルの見出しは覚えていないけど多分、こんな感じだったはず。

亜弥ちゃんが三日間、仕事場に連絡なしにすっぽかしたという。
馬鹿らしい。
確かに亜弥ちゃんは三日間、仕事を休んでしまったのは事実。でもそれは事務所がいうように体調を崩してどうしても出られらい状態だったから。
それをいかにもやる気が無いだの、よくもそこまで大げさに書いたものだ。


373 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:43


ミキはその記事を読んだとき怒りよりも先に亜弥ちゃんのことを心配した。

きっと、彼女もこの記事を読んだはず。
そして仕事に対して責任を感じているだろう。

彼女はそういう子だ。自分よりも周りを優先する。

テレビでは自分が一番、なんて言っているけどそれはテレビの中だけのこと。
本当の彼女は優しくて繊細でそれでいて脆くて、でも、自分の芯を持っているから
それを決して人には見せようとはしない。


374 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:44


彼女は人を寄せ付けようとはしない。

表面上の付きあいで、決して中までは入れさせてくれない。
でも、ミキは知ってる。
どうして亜弥ちゃんが人を寄せ付けないのか。

それは彼女の優しさ。


心配されるのを嫌って


気を使われるのを嫌って


薄いカラに閉じこもり、まるで見えない壁のように人を踏み入れさせない。
多分、そうしなければ自分も周りも傷つけてしまうから
だから彼女は自分以外は無関心のように装っている。


それが彼女がこのデタラメな世界でやっていく為に身に付けた

自分を守る術であり生き方だった。



375 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:47


頭には入ってこないDVDを見ながらみきタンには気づかれないようそっと、顔を覗く。
その顔は今にも眠りそうにうつらうつらとしていた。

「・・・みきたーん?」
「・・・んー?」
「眠っちゃだめだよー」
「・・・うー・・・ん」
「あと少しなんだから頑張ってよー」
「・・・う・・ん」

あーダメだ、完璧に眠りの世界に行きそうだよ。

眠そうにしているみきタンの髪を撫でるとみきタンの目はトロンとなって今にも眠りそうだった。

『にゃは、かわいいなぁ』

眠そうにしているみきタンの髪を何度も撫でる。





376 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:47


みきタンはあたしが落ち込んでいるときには必ずあたしの前に現れて側にいてくれる。
何も言わずにただ側に・・・
でも時々、みきタンは何かを言いたそうにあたしを見るときがある。
その目はあたしの中のすべてを見透かしそうで、あたしはただ曖昧に笑って誤魔化す。
あたしが曖昧に笑うと何故かみきタンはすごく泣きたそうに顔をしかめるときがある。

その顔を見るとあたしの心の中がもの凄く痛くなる。

隠し事をしているわけでもないのに痛くなる心。
でも、みきタンに対して自分の心を見せていないのは事実。
その事実があたしを苦しくさせる。

『 二人の間に隠し事はナシにしようね 』

そう言ったのは自分なのに・・・
みきタンという最愛の人が出来たのにあたしはもう一人のアタシを見せることが出来ず、
みきタンに対しても薄い壁を作り、自分の全部を見せることが出来ずにいた。


377 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:48


みきタンが泣きそうな顔をするたびにあたしの心は悲鳴をあげる。


違う、みきタンが悪いんじゃない!

あたしがまだちゃんと心を開けていないから

あたしが悪いの!

だからお願い。辛そうな顔しないで。

あたしはみきタンの笑った顔が好きだから・・・

笑ったみきタンが側にいてくれるだけでいいから・・・

お願いだからあたしの側にいて、離れていかないで


願いを込めるように、髪を撫で続けていたらみきタンが眠たそうにしながらあたしを見上げた。


378 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:50

眠そうにしながらあたしを見るみきタン。

「亜弥・・・ちゃん・・・」
「なに?」
「ミキには聞こえているから・・・」
「え?」
「亜弥ちゃんの声、聞こえているから・・・だから・・もう大丈夫だから
 ・・・閉じこもって、身を守らなくても大丈夫だから・・」
「・・・みき・・タン?」

あたしはみきタンの髪を撫でるのをやめてみきタンを見る。
みきタンは微笑むと手を伸ばしてあたしの頭を撫でた。

「だからミキには教えてよ・・・カラから出たいときはミキが側にいて・・
 見ていてあげるから・・・」
「・・・・・」
「つまずかない・・・生き方なんてないんだよ・・・誰だって、転ぶのは怖いし、
 転んだら痛いけど、でも、その時にはミキが一緒にいてあげるから・・・」
「・・・みきたん」

聞こえていた。
あたしの声はみきタンに届いていた。
みきタンのその言葉にあたしの心の中の薄い壁がゆっくりと剥がれていく。

379 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:51

DVDもそろそろ終わるころだけど、ミキの意識は徐々に薄れていきそうになった。

『・・・ねむい・・』

必死になって眠気と戦っているとミキの頭の上から声がした。

「・・・みきたーん?」

― 優しい声

「・・・んー?」
「眠っちゃだめだよー」
「・・・うー・・・ん」
「あと少しなんだから頑張ってよー」
「・・・う・・ん」

亜弥ちゃんの声が頭の中で響く。
それが子守唄のようで、ミキはうつらうつらとしてきた。

ふいに亜弥ちゃんがミキの頭を撫で始めた。

『あーやばい・・気持ちいい・・・』

髪を撫でる亜弥ちゃんの手が心地よくて眠りそうになる。

― ・・・はな・・・で・・・そばに・・・・

眠りに落ちそうになる瞬間、頭の中に聞こえてきた声

380 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:53


― ・・はなれないで・・・そばいいて・・・

『・・・ん・・亜弥ちゃんの声だ・・・泣きそうな声・・・』

ミキは閉じそうな目を開けて亜弥ちゃんを見る。
ミキを見下ろしている亜弥ちゃんの顔は今にも泣きそうな顔をしていた。


『亜弥ちゃん、また一人で抑えてるよ』

まだ、心を全部見せてくれない亜弥ちゃんにミキは心の中で苦い笑いをする。

「亜弥・・・ちゃん・・・」
「なに?」
「ミキには聞こえているから・・・」
「え?」
「亜弥ちゃんの声、聞こえているから・・・だから・・もう大丈夫だから
 ・・・閉じこもって、身を守らなくても大丈夫だから・・」
「・・・みき・・タン?」


381 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:54


ミキの頭を撫でるのを止めてミキを見下ろす亜弥ちゃん。
自分が泣きそうな顔しているなんて気づいてないんだろうな。
慰めるように亜弥ちゃんの頭を撫でた。

「だから・・・」

眠気で限界に近いミキ言葉は途切れ途切れ。
でも、この言葉だけは亜弥ちゃんに伝えたい。

「・・ミキは亜弥ちゃんから離れないから・・・ずっと側にいるから・・・」

瞼を上げることが限界になってきたミキは手を滑らして亜弥ちゃんの頬へともっていく。
頬へと滑らした手を亜弥ちゃんが優しく添える。

意識が閉じる直前のミキが見たのは、涙ぐんで微笑んでいる亜弥ちゃんの顔と
いつの間にか雨があがっていた雲のすき間から覗いて見えるまん丸なお月様だった。

382 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:55


キミの声が聞こえたんだ



そしてキミを見つけた



ねぇどうして?



383 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:56


見つけたキミはカラに閉じこもり



美貴が側にいることに気づいていない



まるで何かから身を守るように



384 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:56


キミの声が聞こえたんだ



そしてキミを見つけた



どうしたの?



385 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:57


見つけたキミはカラに閉じこもっている



それはまるで祈るように堅く閉じられたカラ(せかい)で



美貴がそこにいることにいることに気づいていない



386 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:58


それがキミのやり方なんだね?



誰も傷つけないように



自分を傷つけないように




387 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:59


でも、もう大丈夫



美貴が守ってあげる



だからそのカラから出ておいで




388 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 01:59


ずっと側にいるから



決して離れたりしないから



美貴が守ってあげるよ



389 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 02:00


キミの声が聞こえたんだ



そしてキミを見つけた



もう離さないから、ずっと側にいるよ



390 名前:Hey my Friend 投稿日:2004/09/13(月) 02:01





『 きみのこえがきこえたんだ 』





                       END



391 名前: k 投稿日:2004/09/13(月) 02:06


更新終了

・・・・如何だったでしょうか

タイトル欄が途中で切れていた。_| ̄|○ 

1レスでおさまりきれなかった。_| ̄|○


309>>名無し読者さま

レスが遅れてすいません。
感想、ありがとうございます。
唸ってしまいましたかw
はい、ここのあやみきはこのあと里田さんが砂糖を吐くほどイチャつきまくりますw



344>>名無し読者さま

ありがとうございます。
激キャワですか?w
えー、このあとの藤本さんは物足りない松浦さんに結局朝まで付き合わされますw



・・・今回はこれで失礼します。


392 名前:名無し読者 投稿日:2004/09/13(月) 08:27
更新乙です。
感動しました(涙
こういうの、やっぱ愛の力ですよね。
393 名前:名無し読者 投稿日:2004/09/13(月) 13:26
泣きました。
いいお話ですね。
394 名前:名無し読者 投稿日:2004/09/18(土) 02:39
新作期待してます!
これからも頑張ってください!!
395 名前: k 投稿日:2004/09/30(木) 01:07


えー、ここの容量がそろそろ無くなりそうなんで、引越しました。
それで、引っ越すにあたって、ここでの最後のレス返しをしたいと思います。


392>>名無し読者さま
393>>名無し読者さま

感想ありがとうございます。
この二人には見えない愛がある!っということで
あやみきはガチ!w
たとえ、ふたりゴトが無くなろうがこの二人には世間に負けずに頑張ってほしいです。


394>>名無し読者さま

ありがとうございます。
新作を書きましたのでぜひ読んでください。


ここの容量が一杯になったので金版のほうに新しいスレをたてました。
前と変わらぬ駄文になると思いますが読んでもらえたら嬉しいです。



396 名前: k 投稿日:2004/10/11(月) 22:45

今更ですが、下記のほうへ新しくスレをたてました。

タイトルは 『 M。ストーリー 』です。

http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/gold/1096472047/l50






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