Grille

1 名前:夢見がち 投稿日:2004/04/23(金) 01:53
初めまして。
いしよし中心の短編とか書いていけたらなと思っています。
2 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 01:55
綺麗だって、思った。 
月みたいだって、思ったの。
誰がって、私と同じアイドルグループの同期メンバーの、吉澤ひとみさんが・・・なんだけど。
な、なんか・・・
いつのまにか好きになっちゃってて、ひとみちゃんも私のこと好きって言ってくれたから・・・
いつのまにか恋人とかいう関係なんだけど。
3 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 01:58

ひとみちゃんは、月みたいなの。
きらきらした瞳をしてて。
肌も透き通るみたいな白さで。
髪の毛もさらさらで。
照明の光の中だと、印象がもっともっと柔らかく見えるの。
最初は、なんか、それが・・・ものすごく眩しかった。
それと、
ひとみちゃんの笑顔が、すごいキレイで儚そうで、・・・なんか、今にも壊れそうで。
月みたいって・・・思ったの。

よく見たら、すっごくカッコ良くて、口は乱暴だけど優しくて・・・
ほんとは、ちょっと傷つきやすくて・・・.
気が付いたら、ひとみちゃんのことを目で追ってた。
「梨華ちゃん」
って呼ばれるだけで、すごくドキドキするようになった。
ひとみちゃんが他のオンナノコに優しくしてたら・・・
ちょっとだけ、ほんとにちょっとだけ・・・
胸が痛くなってた。
気が付いたら、好きになってた。
月みたいに綺麗なひとみちゃんを。
月みたいなひとみちゃんを。
・・・
4 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 01:59
だからなのかな・・・時々ものすごく不安になるんだ。 
ひとみちゃんが・・・朝になれば消えちゃう月みたいに・・・
いつか私の隣から居なくなっちまうんじゃないかって・・・不安になるんだ。

5 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:02


「ひとみちゃん!次取材入ってるからもうすぐ移動みたいよー?」 
楽屋でパイプ椅子に座るその後ろ姿に声をかけて、おっかなびっくり肩に手を置く。
他の子みたいにじゃれついたりなんて出来ないのは…少しだけ恥ずかしいから。
それが、いつもの風景。
「そっか・・・んじゃー、移動の前に一緒にコンビニでも行く?取材になっちゃったらあんまりくっついて居らんないし」
そんな私に、笑いかけながら、ひとみちゃんが顔だけこっちに向ける。
これも、いつもの風景。
チュッパチャプスを咥えたまんまで、私を見て笑うひとみちゃんに、また、ドキドキする。
「う、うん!」
笑って答えながらも、まだ、ドキドキしてる。
なんで、ひとみちゃんはいっつもそんなに優しいことをさらりと言えるんだろう。
なんで、そんな簡単に、私がむちゃくちゃ嬉しくなるようなことを言えちゃうんだろう。
6 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:03

「梨華ちゃんは、何か欲しいモノある?私、お給料日だから好きなもの買ったげるー」 
私の顔を覗き込みながら、ひとみちゃんがまたふわりと微笑む。
でも、コンビニ程度だけどねーとふざけた口調で言いながら、私の指先をそっと掴む。
その仕草にドギマギしながら、お給料日なんて一緒じゃないのと笑いながら答えるけれど…。
笑ってられる程、冷静で居られなくなっていくのは止まらない鼓動の高鳴りのせい。
7 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:03

−−ドキン−−
やばい。ドキドキする。

−−ドクン−−
あ、キスしたくなった。
8 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:04

「んー・・・チョコ…かなぁ?」
何が欲しい?と答えを促す視線に追いやられて 
しどろもどろに答えたのは、いつもと変わらない色気の無い答え。
ヤバイ。
私、またこんなことばっか言ってる。
「まーた可愛らしいこと言っちゃってー。まぁ、DVDとか買ってって言われたらあたしもちょっと困っちゃったけど」
私の髪をくしゃくしゃなでながら、ひとみちゃんがまた笑う。
9 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:05

あ・・・ホントにキスしたい。

「・・・ひとみちゃん・・・」
見上げながら名前を囁いたのと、カタチの良い、大好きな唇が降って来たのはほぼ同時だった。
「っふ・・・」 
零れる吐息さえもひとみちゃんの舌が奪ってく・・・。
「っふ・・・ひと、み…ちゃん・・・っ」
鼻から零れる甘い声を抑えられない。
うぅ・・・なんで、ひとみちゃんってこんなにキスが上手いんだろ。
ずるずる力が抜けていく私の腰をひとみちゃんの腕が支えてる。
なんで、ひとみちゃんってこんなに手慣れてるんだろ。
今までひとみちゃんがキスしたりしてきた(んだろう)
男の子(オンナノコも居るのかな?)
みたいじゃない自分の身体と、こういうのになれていない自分の精神が、

時々嫌になる。
10 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:06
「梨華・・・あたしのこと・・・好き?」
耳元で囁く声に、素直に頷いてしまう自分がなんとなく悔しい。
・・・だって、私だけひとみちゃんに夢中になってるみたいで。
「ッ・・・好き、好きッ・・・んんっ・・・はふ」
11 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:07
ひとみちゃんの舌が、唇が、時々やんわりと立てられる歯が・・・私を、いつもの私じゃなくしていく。 
「っ・・・ふ」
必死になって縋りついたら、強く強く抱きしめられた。
ひとみちゃんにも・・・不安になるときがあるのかな?
そんな思いが頭の中を通り過ぎていく。

強く抱きしめないと、失ってしまうような・・・そんな漠然とした不安が・・・。
12 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:08
そんな事を考えていたら、
「梨華ッ」 
切羽詰ったようなひとみちゃんの声と共に、身体がテーブルの上へと押さえつけられた。
ペットボトルがゴトリと音を立てて倒れた。
「ッひとみちゃん?!」
戸惑う言葉さえも、ひとみちゃんの唇に飲み込まれる。
キスされたまま、テーブルに仰向けにされて、身体の上を彷徨う手のひらに・・・また、翻弄される。
「ッ・・・ひゃぁ」
13 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:09
声を、抑えられないよ、ひとみちゃん。
誰か来ちゃうかもなんて、段々考えられなくなってくよ。
だって、好きだから。
ひとみちゃんが、触るから。

ひとみちゃんなら、どんなことしても許しちゃうんだ、私。
   きっとそう。
だって、好きだから。
どうしたらいいかわかんないから。
ひとみちゃんがいなくならないように、ただ、受け止めるしかできないから。
今は、それしか知らないから。
・・・好きで、好きで、仕方なくて・・・。
ただ、自分を見て欲しくて。
好きになって欲しくて。
努力して。
それで、好きになってもらえた後は、どんな努力をすればいいんだろう?
どうしたら、無くさないでいられるかなんて・・・わかんないんだ。
14 名前:cry for the moon 投稿日:2004/04/23(金) 02:10
だって、こんなに好きになったのは、初めてだから。
だって、ひとみちゃんは月みたいだから。
大きな空と、大きな海に浮かぶ月みたいだから。
わかんないんだ。
ほんとに。
好きだから。
ほんとに、ほんとに、好きだから。
私はちっぽけな人間で、ただの無いものねだりをしてるんじゃないかって…不安になるくらい。
好きだから。

FIN☆
15 名前:夢見がち 投稿日:2004/04/23(金) 02:17
石川さん視点で書いてみました。
更新はまちまちになるかと思いますが、今はストックがいくつかあるので
ちょこちょこUPしていけたらなと思っています。
何かとツッコミ所満載かとは思いますが、よろしくお願いします。
16 名前:夢見がち 投稿日:2004/04/23(金) 03:46
なんとなく眠れなくなってしまったので、もう一本。
このまんま仕事に行こうかと思ってます。
結構無謀です。
17 名前:夢の手枕 投稿日:2004/04/23(金) 03:48
毎晩毎晩見る夢は、歪んでしまったあたしの願望。 
飢えた体が君を求めて彷徨ってる。
こんなに好きなのに。
こんなに愛しているのに。
大切なのに。
いつか、壊してしまいそうで。

怖い・・・。
18 名前:夢の手枕 投稿日:2004/04/23(金) 03:49

『やぁっ・・・ひとみちゃんっ!やめっ…やめてぇっ!!』
悲鳴のような梨華ちゃんの声が頭の奥で響く。
『でも、イイんでしょ?・・・こうされたかったんでしょ?あたしに・・・』
意地悪く笑うあたしに、梨華ちゃんはしがみついてくる。
華奢な腕があたしの首に絡まる。
『ひとみちゃん・・・ひとみッ』
涙に濡れた瞳が私を見上げる。
その表情はひどく艶かしくて・・・すこし切ない。
あたしが大好きだと思った笑顔の欠片は、ソコには無くて・・・
けれど、押さえつける腕を、あたしは止められない
愛しくて
愛しくて
愛しくて・・・・・・・・・
  壊してしまいそうだ。
  暴力的な愛情で。
19 名前:夢の手枕 投稿日:2004/04/23(金) 03:50
 
 『嫌ッ・・・ひとみちゃんッ!!』
 悲鳴に近い梨華ちゃんの声がまた、頭の中で響く。
モウ、コレ以上傷ツケタラダメダ。
黄色い警告灯がずっとチカチカしている。
モウ、コレ以上・・・・・・・
20 名前:夢の手枕 投稿日:2004/04/23(金) 03:53

「ッ!!―――あ・・・夢・・・・・・か?」
跳ね起きたベッドの上。
ふと隣を見れば、くうくうと、静かな寝息をたてながら梨華ちゃんが眠っていた。
「よかった・・・夢で・・・」
ホッとする。
真っ暗な部屋の中。
生温い室内。
少しだけの安堵と多大な罪悪感。
夢の中で、あたしはいつもいつも酷いことをしてしまうから。
『ひとみちゃんはいつも優しいね』
そう言って笑いかけてくれる梨華ちゃんを、あたしは夢の中で、いつもいつも汚してしまうから。
好きなのに、大切にしたいのに・・・それでも、夢はエスカレートしていく。
21 名前:夢の手枕 投稿日:2004/04/23(金) 03:53

『ひとみちゃん・・・好き。私、ひとみちゃんが好きなの』
そう、言ってもらえたのに、やっと、両想いになれたのに。
やっと、少しずつ近づいていってるのに。

    ―夢ヲ現実ニシテシマイソウデ怖イ――
22 名前:夢の手枕 投稿日:2004/04/23(金) 03:55
それなりの知識はあるのだろうが…自慰すらも、したことがないだろう無垢な梨華ちゃんに、あたしは・・・想像の中でいつも・・・。
それを、考え始めると、どうにもならない。
最近あたしは、同じ所をぐるぐるまわってるみたいだ。
触りたくて仕方が無い。
梨華ちゃんに触れたくて。
・・・いや、触れちゃいけないってことは無い・・・
けど、どこまで触っていいかわかんないし・・・
いつもじゃれているような触れかたでは、満足など出来ない…
それに・・・・・・
暴走シソウデ怖イ・・・・・・。
23 名前:夢の手枕 投稿日:2004/04/23(金) 03:57
「梨華・・・大好きだよ・・・」
手を精一杯伸ばして梨華ちゃんの頭をくしゃりと撫でると、あたしはベッドを抜け出した。
脚はまっすぐにバスルームへと向かう。
「こんな夢ばっかり・・・情けないなぁ・・・」
汗で張り付いたTシャツが気持ち悪い。さっきまでの自分の思考を早く切り替えたくて、脱ぎ捨てるように肌を露わにしていく。
コックを捻りながら、もう何度目かも解らない溜息をついた。
「・・・けど、しょうが無い…の・・・かなぁ」
あたしのため息は、シャワーの熱い湯によって流されていく。
いっそのこと、このやり場のない欲望も流されてしまえばいいのに。
24 名前:夢の手枕 投稿日:2004/04/23(金) 03:57
好きだから。 
手が出せない・・・
なんて、ある訳無いと思ってた。
好きだからキスする。好きだからエッチする。
それが普通だったのに。
心のソコから好きだから、憧れているから・・・汚せない気がする。
でも、心だけじゃ足りないし、身体だけでも足りないんだ・・・.
ねぇ、どうしたらいいと思う?
梨華ちゃん?


 ★FIN★
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/23(金) 05:00
イイ!超イイ!
よっすぃー、やっちまえー!
26 名前:夢見がち 投稿日:2004/04/26(月) 17:58
>名無飼育さま
ありがとうございます。
押さなきゃいけないトコロで押せないよしこが好きなんですよね、私…すみません。
これからもどうぞよろしくお願いします。


ではでは。次のを…
27 名前:「おままごとみたいな恋」 投稿日:2004/04/26(月) 18:00

言葉なんて曖昧なものは
余計な期待を生むだけで
それはやがて
嘘になり
いつかお互いを傷つける

それでも伝えておきたいことがあるから
たった2文字で云う

スキ

それだけです
それだけなんです

私を生かせるのは
あなただけなんです

スキ

それだけなんです
28 名前:「おままごとみたいな恋」 投稿日:2004/04/26(月) 18:01


「ネェ。ひとみちゃん…大好きだよ」
「うん。知ってる」
台本から目を逸らさずに、そう答えるひとみちゃん。


     嬉しい
       (だって、判ってくれてるでしょう?)
    
                 愛しい 
   (ちゃんと伝わってるでしょう?)
29 名前:「おままごとみたいな恋」 投稿日:2004/04/26(月) 18:01
「ダーイスキッ」
嬉しくてにやけた顔のまま、ちょっと大きな声でアピールしてみて。
走り出したいようなキモチを押さえる。

心臓がどくんどくんいってて。
動脈が焦ってる。
耳元で、自分の生きてる音がして。
30 名前:「おままごとみたいな恋」 投稿日:2004/04/26(月) 18:01
コイ ヲ シテイル 


そう再確認。
31 名前:「おままごとみたいな恋」 投稿日:2004/04/26(月) 18:02
ねぇ。だってずっと傍に居たいもの。
私には何にも無いけど、ひとみちゃんのことものすごくスキってキモチしか無いけど。
まだ子供で、将来なんてまだ見えてこなくて。
でも、ずっと一緒に居たいもの。

私は、また
自分がここに生きてるって確かめる為に
あなたに云うんだ


「ひとみちゃん、スキだよ」
32 名前:「おままごとみたいな恋」 投稿日:2004/04/26(月) 18:03
おままごとみたいな恋だとしても
私は確かにあなたを愛してる
私は確かにあなたに生かされてる


33 名前:「おままごとみたいな恋2」 投稿日:2004/04/26(月) 18:04
言葉なんて曖昧なものは
余計な期待を生むだけで
それはやがて
嘘になり
いつかお互いを傷つける

それでも教えて欲しいことがあるから
たった2文字を待っている

スキ

それだけです
それだけなんです

ウチを生かせるのは
君だけなんです

スキ

それだけなんです
34 名前:「おままごとみたいな恋2」 投稿日:2004/04/26(月) 18:06

「ネェ。ひとみちゃん…大好きだよ」
「うん。知ってる」
梨華ちゃんがいつもの調子で囁いてくる。
ちょっと茶化したような声色だけど、その視線は真剣なのを知ってるから台本から目を逸らさずに答える。


     恥ずかしい
       (だって、判ってるなんて云い切れない)
    
                 愛しい 
   (自惚れてしまってもいいの?)
35 名前:「おままごとみたいな恋2」 投稿日:2004/04/26(月) 18:07
「・・・・・・」
いろんなキモチが絡み合って、高鳴っていく鼓動を鎮めようと深く息を吐く。
「ダーイスキッ」
梨華ちゃんの声が、ウチの心臓を跳ねさせるんだ。

心臓がどくんどくんいってて。
動脈が焦ってる。
耳元で、自分の生きてる音がして。

36 名前:「おままごとみたいな恋2」 投稿日:2004/04/26(月) 18:07
コイ ヲ シテイル 


そう再確認。
37 名前:「おままごとみたいな恋2」 投稿日:2004/04/26(月) 18:09
一緒に居るようになってまだ日は浅くて。
梨華ちゃんのことなんてきっと数えるぐらいしか知らないけど。
もっと一緒に居たくて。もっと知りたくて。もっと知って欲しくて。日に日に欲張りになっていってる。

自分はまだ動き出せないくせに
自分がここに生きてるって確かめる為に
君のコトバを待ってるんだ


「ひとみちゃん、スキだよ」
38 名前:「おままごとみたいな恋2」 投稿日:2004/04/26(月) 18:10
梨華ちゃんの声で、また心臓が暴れだす。
おままごとみたいな恋だとしても
ウチは確かに君を愛してる
ウチは確かに君に生かされてる


39 名前:25 投稿日:2004/04/26(月) 19:49
はぁ・・・スッゲー。
今いちばん好きな小説かも。
次も期待しています。
40 名前:夢見がち 投稿日:2004/05/02(日) 13:07
更新遅くなりましてすみません。
書いてると、なんだか同じような内容だなぁと思ってしまったり。
書きたい事が似通ってしまうのは良くないことですよね。

>25様
ありがとうございます。
もっと精進しますのでよろしくお願いします。
41 名前:アンコンディショナルラブ 投稿日:2004/05/02(日) 13:09
カタチアルモノは
いつか壊れてしまうの?

だからあたしも
いつか壊れてしまうの?

今のあたしたちも
いつか壊れてしまうの?

でもね
でこぼこなあたしたちだけど
不完全なあたしだけど

イマ、ココに生きてる

そのカタチが欲しいあたしは
哀れですか?
いつか壊れてしまうものでも
あなたとあたしのカタチが欲しいあたしは
哀れですか?
カタチアルモノが
欲しいんです
欲しがってはいけないのに
欲しいんです

自虐的だなんて思わないでくださいな。

不毛だなんて笑わないでくださいな。

恋を、恋をしているんです。
42 名前:アンコンディショナルラブ 投稿日:2004/05/02(日) 13:11
「ひとみちゃん…元気すぎー私…もぉ無理だよぉ」
掠れた声で梨華が言う。
何度も何度も体を重ねて…気が付けば朝。
まぶしい程の光がビルの谷間を越えて二人を照らす。
けだるい体を起こし、ゆっくりとした動作で煙草に火をつける。
ゆっくりと煙を吐き出しながらひとみはそっと微笑んだ。
「だってしょーが無いじゃん?梨華ちゃんそぉとぉ可愛いんだもん」
汗で濡れた髪を指でかきあげてやり、額に唇を落とせばくすぐったそうに梨華が首をすくめる。
「可愛いとか…私より美人の人に言われるのはどうかと…ひとみちゃんお前のそういうとこ、不思議な感じ」
真下からふざけたように軽く睨んでくる表情さえ愛しくて
「梨華ちゃんは可愛いのー。だからいーんだってば…ダイスキー」
耳朶を甘噛みしながら何度も愛を囁いた。
43 名前:アンコンディショナルラブ 投稿日:2004/05/02(日) 13:11
その重い体を押しのけて、梨華がのそのそと起き上がる。
「もうやだ。オナカ空いたもん」
そういって枕元のティッシュを取ると行為の残滓を拭き始める。
「あーもー。」
くびれに回していた手さえも振り払われて、少し残念そうにするひとみに、今度は抗議の声が投げかけられた。
色気もへったくれもなく、シーツを捲って
「もう、また洗濯しなきゃいけないじゃない。面倒くさいのにー。もう私んち泊めないからねー?」
苛立ちまぎれの声で抗議しながら、太ももをつたう白濁を梨華の細い指先がすくいあげる。
44 名前:アンコンディショナルラブ 投稿日:2004/05/02(日) 13:12
「私…子供できちゃいそー」
艶かしささえ感じるその動作。
けれどその雰囲気をぶち壊すかのように小さく舌打ちをした後。
下肢から伝い落ちたそれらを拭きながら呟く梨華。
その声に呼応して
「認知はするぜベイベェー?」
感情の読めない微笑と共に煙を吐き出し、ひとみは梨華の体をまじまじと見つめた。
白い肌には、何度も刻んだひとみの印が花びらのように散らばり、自分の独占欲をまざまざと映し出している。
印をいくらつけても、汚せるものでもないのに。
それでも繰り返してしまう…愚かな自分。
45 名前:アンコンディショナルラブ 投稿日:2004/05/02(日) 13:12
『ホントに子供、、、できないかな』

ふと心の中に浮かんだコエはひとみの本心そのもので。


ひとみは不安なのだ。
ただ、まさぐり合う事でしか、お互いがそこに存在しているかどうかを確認できないのが…


別々の体を、何度も何度も…
無理矢理にでも繋げて
遮二無二寄り添って
そうして
何も生み出すことの無い交わいを繰り返す

快楽に手をのばし、それを貪っても…ウチらの愛は何も生み出さない
46 名前:アンコンディショナルラブ 投稿日:2004/05/02(日) 13:13
「………ちゃえばいいのに」
ひとみの呟きは梨華には届かなかったようで
「ん?なあに?ひとみちゃん」
いつもと変わらない、屈託の無い笑顔で尋ねてくる。
少し上目遣いのそれ。
その目から視線を逸らさずに、ひとみはゆっくりと言葉を吐き出した。

「…ねぇ?もっかいシよーよ?」
             セックス
47 名前:アンコンディショナルラブ 投稿日:2004/05/02(日) 13:15
「な…何いってるのぉ?」
何のてらいもないひとみの物言いに、少しだけ紅潮した梨華の頬。
慌てるように視線を泳がせる梨華の頬にひとみの右手が伸びる。
愛しそうにゆっくりとなぞって、左手をそっと梨華のそれに重ね合わせた。
シーツの擦れる音が耳をくすぐる。
ただ、見詰め合っているだけなのに理由もなく心臓が跳ねる。
「だってあたし、もぉこんなにドキドキしてるんだよ?」
華奢な手を、自らの乳房へと導き、上からぎゅっと握りこむ。
柔らかい感触に、梨華がまた頬を紅潮させた。
「…子供、つくろーよ?」
冗談ぽく囁いたけれど、それは、真の願い。
「…ケダモノ?…っん」
いなすように言い返してくる唇を、自分のそれで塞いで、、、シーツの上に梨華を素早く縫い止めた。
衣擦れの音は情事の熱の中へと溶け、二人はまた、ゆるゆるとした空間へと引きずり込まれていく。
48 名前:アンコンディショナルラブ 投稿日:2004/05/02(日) 13:15
いつか壊れてしまうなら
何かを生み出せたらいいのに
二人がココに居た証拠に
何かをウミダセタライイノニ
何も生み出せない
ウチらは
さて
どこに行こう?



自虐的だなんて
笑わないでください
不毛だなんて
笑わないでください

恋を
恋を…してるんです。



FIN.
49 名前:25 投稿日:2004/05/02(日) 19:52
んーん。切ねぇ…

同じだ何て、そんな!
違ったいしよしが読むことができて、オイラは幸せです。
50 名前:夢見がち 投稿日:2004/05/15(土) 23:01
すみません。
日々の雑事に追われていまして更新が滞っています。
来週あたりにまたUPできると思います。

>25様
いつもいつも本当にありがとうございます。
25様の言葉が私の支えです☆
これからも頑張りますね
51 名前:25 投稿日:2004/05/16(日) 15:17
をおっ!
来週更新すか。楽しみです!
無理なさらずマイペースに頑張ってください。
応援しています。
52 名前:たったそれだけの 投稿日:2004/05/21(金) 12:07
貴方の温もりが
貴方の優しさが
アタシの支えなんです
53 名前:たったそれだけの 投稿日:2004/05/21(金) 12:08
幸せの価値観なんて人それぞれで
ひとみちゃんの中で私がどれ程の位置かなんて計り知れない
54 名前:たったそれだけの 投稿日:2004/05/21(金) 12:08
「天気がいいね」
ひとみちゃんが言う。
「そうだね」
アタシが答える。
・・・しばしの沈黙。
「話すことないね」
ひとみちゃんが笑う。
「そうだね」
あたしが笑う。

そんな会話がアタシの幸せだったりする。
55 名前:夢見がち 投稿日:2004/05/21(金) 12:10
更新遅くなって申し訳ないです。
続きはまた夜に・・・。

>25様ありがとうございます。
これからも頑張っていこうと思います。
ただ、甘くってちょっと青臭いものが好きなので似たような話ばかりになってしまったら本当にすみません。
リクエストなんかも受け付けています。
56 名前:25 投稿日:2004/05/23(日) 01:24
書いちゃっていいのかな…?
や、同じ話だとしても(夢見がちさまのは違いますけど)言い方ひとつで
どんな展開にでもなるし、また違った印象にも変化するだと思いますなぁ。
やっぱ夢見がちさまのは大好き。うん。

リクエスト、いいんすか?
『旅先での恋』で。んで、ちゃっかりお持ち帰りしちゃう吉澤さん。(笑)
マイペースで頑張ってください。
57 名前:夢見がち 投稿日:2005/01/18(火) 01:04
お久しぶりです
引っ越しと同時にPCが壊れてしまい
その後身の回りがドタバタするやらなんやらで忙しくてさっぱり更新出来ずに居てすみませんでした。
旅先での恋→お持ち帰りというリクエストなんですが、今更ながら書かせていただきたいと思っています。
25様、遅くなってしまって本当にごめんなさい。
58 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/02/14(月) 00:36
一気に読まさせて頂きました。 自分的にかなりはずい作品もあるのですがそれもたまにありと。 でもかなり良いと思います切ない所がなんとも言えない複雑感。更新待ってます
59 名前:ドコとなく読者 投稿日:2005/02/15(火) 14:10
楽しく読ませていただきました。
梨華ちゃんより、よっすぃ〜のが実は必死なのが多いんですねぇ。
ってか、梨華ちゃん口悪いぞぉw<ひとみちゃんお前の

そろそろ梨華ちゃん卒業なんで、リアル路線もリクエストしたいでーすヽ(´▽`)ノ
よっすぃ〜〜〜頑張ってもっと甘くいこう(*´∀`*)
60 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/02(水) 22:40
いつまでも待ってますよー。
61 名前:夢見がち 投稿日:2005/03/11(金) 10:24
お久しぶりです
短いのをひとつUPさせていただきます。
相変わらずダメダメですが、どうぞお付き合い下さいませ。

通りすがり様
ありがとうございます
あんまりイチャイチャラブラブの甘いものが書けなくてすみません(>_<)
これから頑張って精進いたしますので、見捨てないでやって下さいまし。
なんとなく読者様
そうなんですよね、あの部分…下書きのままで直すの忘れてしまってたので恥ずかしいです(苦笑)
これからは無いように気をつけますので、また何か間違ってたら教えてやって下さい
62 名前:かぞえうた 投稿日:2005/03/11(金) 10:49
「ねぇ、よっすぃー。オナカすいたー、ご飯食べて帰ろ?」
大学帰り、たまに駅で一緒になれば必ず梨華ちゃんにそう誘われる。
「いいけど、おごんないよ?」
ニヤっと笑ってそう答えれば、形の良い眉を少ししかめて
「えー!!!」
と…高音で抗議の声。
ただでさえ混んでいる東横線の駅の構内。
さまざまな人の目がウチらを突き刺す。
「あー、もう。分かったってば。じゃあウチでご飯つくったげるから、ね?だから眉毛もとに戻して。まったくもー」
大げさにため息をついて
肩をすくめて
手のひらを空に向けて
アメリカンなオーバーアクション
「…」
ちょっとふざけて答えてみたのに梨華ちゃんからの返事は無くて、我ながらちょっと…恥ずかしくなってきて
「…ウチの家じゃ…だ、だめかなぁ?」
少し不安になりながらそう訊こうとした言葉は、駅へと滑り込んできた電車の音にかき消された。
63 名前:かぞえうた 投稿日:2005/03/11(金) 10:54
「ホラ、よっすぃー行くよ。早く!」
「あ…え?」
慌てるウチの手を取って梨華ちゃんが笑う。
「ご飯、作ってくれるんでしょ?私、今日は懐石系の和食がいーなー」
そう言っていたずらっぽく笑う。

それがなんだかすごく気恥ずかしくて

「贅沢言ってたら太るんざますよ?!」
めっ って顔でからかってみた。
「だって、よっすぃーからご飯係り取っちゃったら何が残るの?」
「なんですと?!」
笑いながら、そんな事を言い合いながら…なんとなく手を繋いだまま電車へと乗り込む。
64 名前:かぞえうた 投稿日:2005/03/11(金) 10:57
各停で二駅がウチのアパートのある駅。
交わされる言葉が甘いものなどではなくとも
ただ、肩を並べて電車に揺られている。
ただ、それだけのシアワセ。
すごく簡単なように見えて最高の至福
65 名前:かぞえうた 投稿日:2005/03/11(金) 11:01
「ね、簡単なものでいい?」
「別に何でもイーよ。よっすぃーのご飯おいしいから」
「誉めたとこで今日の夕飯はゴージャスになりませんが?」
「あそ。じゃぁもー言わない」
「梨ー華ーちゃーん」
「あははは」


他愛の無い会話が
四角い電車に揺られながらアパートに近付いてく。
何の変哲も無い幸福。
そんなシアワセをかみしめている。

66 名前:かぞえうた 投稿日:2005/03/11(金) 11:03
大切なものをいくつでも
君と二人でかぞえうた

必死に走って手を伸ばすから
それを跳ね除けたりしないでね

大切なことをいくつでも
君と二人でかぞえうた

どくどくいってる心臓の音
ねぇ 聞こえるでしょう?

大切なときをいくらでも
君と二人でかぞえうた




67 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/15(火) 10:18
作者様、当然尽きるまでお付き合いさせて頂きます。うぁーやっぱりいしよし良いですよね\(^O^)/ 次回更新待ってます。
68 名前:夢見がち 投稿日:2005/03/26(土) 17:18
今更ながら全然マイナー且つ、誰にも理解してもらえないジャンルandカップリングに転んでしまいました。夢見がちです。

通りすがり様
ありがとうございます。
ちょっと長めのものを今書いてます。
仕上がり次第UPできたらなと思います。
これからもよろしくお願いします☆
69 名前:夢見がち 投稿日:2005/04/07(木) 16:49
お久しぶりです
今日はちょっといろんな事があって頭の中がいっぱいいっぱいなので…
短いのをひとつ…
70 名前:スタートライン 投稿日:2005/04/07(木) 16:55
声が聞きたい
触れたい
顔が見たい
会いたい
そんな事が頭の中をかけめぐってばかり


顔を見れば嬉しいはずなのに
あのこが近くに居ると
嬉しくなくなるのってどうしてだろう

好きなのかもしれないって
自覚し始めた自分の心に鉤をかけた

会いたいのに
声が聴きたいのに

近くに居るとふざけてばかり
そうやって今日も
私を笑わせていてくれるあのこが
私の生きる糧だとは言い切れないけれど

本気にならない程度に
好きでいようとは
思います

ね?
よっすぃー?


ヲハリ
71 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/11(月) 20:58
更新お疲れさまです。 短い短編でしたがよかったです。 一目惚れってやつでしょうか? 次回更新待ってます。

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