あの夏の日、僕らの恋

1 名前:絶詠 投稿日:2004/05/02(日) 23:12
ごまっとう主役でアンリアル、田舎での思い出ですね(?)
CPは、みきあや&ごまこん、を主体で書いていきますので。
森板でも短編書いてましたが次のステップに挑戦してみたくなりました。

おひまな時にでも目を通してくれれば幸いです。
(●´□`)それでは、Let’s START!!
何故かなっち…
2 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/02(日) 23:17

とても暑くてグテーッとした夏休み。何もやる気が起きないんだ。
でも僕らはあの夏、確かに恋をしたんだ。
暑さに負けないくらいの恋をしたんだ。
3 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/02(日) 23:27
今年の夏、久しぶりに田舎へ帰る事になった。
美貴の高校生活の最後の夏休み。
思い出作らないまま終わっていくのも寂しいので妹の真希をつれて
おばあちゃんの家に行く事にした。
ちなみに両親は何も反対せずリフレッシュしてこい位しか言わなかった。
バスに揺られて2時間。そこから歩いて1時間。
正直言って本当に田舎で今、かなりキツイ。
―――はやく着いてほしい。
暑さとよくわからない緊張感から逃れたくて心からそう思った。
4 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/02(日) 23:41
「美貴ちゃん、歩くペース落ちてるよぉ?」
「真希が速すぎるんだって…」

おばあちゃんの家までの道のりを歩いている間、真希はずっと元気だ。
1つの年の差はこんなにも大きいのだろうか?
美貴が体力なさすぎなのかもしれないけど…。
こんな事を言ったら真希がからかってくるから黙っておく。

「あっ、ほら見えた見えた。美貴ちゃん、あとちょっとだ〜」
「ハァハァ…暑い…」

やっと見えてきた家。
自然と顔が緩んでしまう。それはきっと真希も一緒だ。
美貴より先に着いた真希は一足先に上がっている。
少し遅れて美貴も家に上がる。

「おばあちゃん、お久しぶりですー!お世話になります!」
「よくきたなぁ、美貴も真希も大きくなったなぁ。
 スイカ切ってやるけん、荷物置いたら待っちょきや」
「はぁーい!」

元気のいい真希の挨拶が終わると美貴達は部屋に向かった。
「うわぁ、美貴ちゃん、外ちょーキレイだよ!」
確かに窓から見える風景は美貴達が住んでるトコでは見られない。
「美貴ちゃん写真、写真とろっ?」
「うん、ちょっと待って。」
荷物を置いてカメラを取り出す。
携帯のカメラで撮ってもよかったけどここでは携帯をあまり使いたくない。

――カシャッ
カメラ独特の小気味好い音が鳴った。

「真希、スイカ食べ行こう?」
「うんっ」

夏の思い出の一枚目が完成したのは夏休み2日目の午後1時の事。
5 名前:絶詠 投稿日:2004/05/02(日) 23:43
すいません、少ないですが今回はここまでで…。
これはまぁプロローグみたいなものとして受け取って下さい。
まぁ頑張っていきます!
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/03(月) 03:41
面白そう!!期待してます
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/03(月) 05:47
みきあやもごこんも好きなCPなんで嬉しいですね。
本編はじまるのすごく期待してますよ。
8 名前:絶詠 投稿日:2004/05/03(月) 13:47
>6名無飼育さん
いやはや見切り発車なもんで…期待に答えられるようにガンバリます!

>7名無飼育さん
みきあや&ごこんは自分の中で大好きなCPなので書きたかったのですよ♪
本編は…ぅ〜ん…どぅなるのかわかりませんがお付き合いくださいませ。
9 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/03(月) 13:58
おばあちゃんの家は2階建て。美貴達の部屋は2階にある。
荷物を置いてから下に下りてスイカが来るのを待っていた。
真希は畳の上に寝転がって伸びをしている。

「美貴ちゃん、ココはいいトコだねぇ」
「うん」
「帰りたくなくなるよ」
「そうだね」

他愛も無い会話をした後おばあちゃんがスイカを持ってきてくれた。
「縁側で食べてみたい。やってみたかったんだぁ」
真希が急にそんな事を言い出した。
普段できない事だし、美貴もちょっとやってみたかったから縁側に移動した。
おばあちゃんはそんな美貴達を見て優しく笑った。

冷えたスイカを二人で食べながら「おいしいね」と笑いあった。
10 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/03(月) 14:45
部屋に戻って「歩きつかれた」と言って真希は寝てしまった。
せっかく来たのに…。一緒に散歩でもしようかと考えてたけど一人で
行く事にした。

「おばあちゃん、そこら辺ブラブラ歩いてくるね」
「夕飯までには帰ってくるんで」
「わかってるー」

ここは本当に田舎で、田んぼもあって、虫もいて、子供達が走り回ってる。
子供が会うたびに「こんにちはーっ」と元気よく挨拶をしてくる。
そんな事に頬を緩ませながら美貴は歩きつづけた。
少し歩いた所に丘を見つけた。
初めて見る丘に嬉しくなって走って登る。
と、先客がいたことに気づく。
先客が美貴に気づいて近づいてくる。

「こんにちは」
「こ、こんにちは」

美貴と同い年かもう少し下くらいの女の子。
笑った時の顔が同性なのに心から可愛く思えて少し見惚れた。

「初めて見る顔ですね。都会から来たんですか?」
「えっ?あっ、そぅ。夏休みの間だけ帰省することになって…」
「あたし松浦亜弥っていいます。あなたは?」
「ふ、藤本美貴」
「同い年か年上くらいに見えますけど…」
「18歳、高3…」
「ありゃ、じゃあ年上ですね。あたし16歳、高1です」
11 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/03(月) 14:46
亜弥ちゃんと敬語で話すのに何故か違和感を感じてしまった。

「け、敬語使うのやめない…?」
「はぁ…じゃあニックネームつけてもいいですかっ?」
「に、ニックネーム…?」
「その方が親しみが湧くと思って!…なにがイイかなぁ…みき…みき…」
「あ、あの…」
「あっ!みきたん!みきたん!はい決定!よろしくね、みきたん!」
「み、みきたん…?」
「可愛くなぁい?」
「は、はぁ…」

笑ってそんな事を言う亜弥ちゃんが可愛くてつられて笑ってしまった。
まさかここまで強烈な人に出会えるとは思ってもみなかった。
それから話があっていろんな話をした。
美貴の住んでるトコのこと。妹の真希のこと。
話をするたびに亜弥ちゃんは笑った。
でも美貴の話はするけど、亜弥ちゃんは自分の事は何も話そうとしなかった。

「明日も、またここで会える?」
「美貴はいいけど亜弥ちゃんは?」
「会えるに決まってんじゃん!今日と同じくらいにココで、ね?」
「うん、わかった。明日は真希も連れてこようか?」
「ホント!?その真希ちゃんにも会ってみたい、連れて来て!」
「わかった」

話に夢中になりすぎて辺りは夕暮れ時。子供達も家に向かっている。
田舎で見る夕日は何故か切なくなって寂しくなるんだ。

「じゃぁまた明日ね、バイバーイ!」
「バイバイ!」

元気よく手を振って走り去っていく亜弥ちゃんを見送って美貴も家に向かう。
明日もまた亜弥ちゃんに会えると思うと嬉しくなって美貴も走った。
家に帰っても顔の緩みがとまらなくて真希に「気持ち悪い」と言われた。
12 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/03(月) 14:50
寝るときになって真希に今日あった事を言った。
「明日来てくれる?」と頼んだら笑顔で「いいよ!」と答えてくれた。
明日はもっと楽しくなるんじゃないかと期待に胸膨らませながら眠りについた。


こうして1日目の夜はふけていった。
13 名前:絶詠 投稿日:2004/05/03(月) 14:53
はい〜2回目終了!…少ないですけど。(泣)
いやもぅいっぱい×2ですが頑張りますよ。
とりあえず松浦さん出せたんで!
お次は、ごまっとうですばい♪
14 名前:名無し読者 投稿日:2004/05/03(月) 19:48
あやみき&ごまこんだ〜〜!!
大好きなんで期待してます。頑張ってください。
15 名前:イーグルボーイ 投稿日:2004/05/04(火) 23:09
あやみきだぁ!ごまこんだ!私どちらも大好きなので
更新期待しております。
16 名前:名無しさん 投稿日:2004/05/05(水) 01:25
みきまき推しなのですが姉妹という設定が嬉しい
田舎のほのぼのした感じで進んでいくのでしょうか
続き楽しみにしてます
17 名前:絶詠 投稿日:2004/05/05(水) 16:18
>名無し読者さま
やっぱりあやみき&ごまこんイイ!ですよねぇ♪
応援ありがとうございますっ!

>イーグルポーイさま
うぅ…同士がこんなに沢山…!(嬉)
かなーり更新遅めと思いますが(オイ)お付き合い下さいませ♪

>名無しさん
みきまき推し…!…あっ、よかった姉妹という設定で。
いやまた姉妹という設定には裏があるのですが…!(謎)
ほのぼのもありますが多少シリアスな場面も書けたらいいな、と。
応援ありがとうございます!
18 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/05(水) 16:41
すき間から入ってくる光が眩しくて目が覚めた。
窓を開けると光はもっと眩しくなって眠い目を刺激する。
それでも寝つづけるのが真希。寝てても良いけど――
朝ご飯を作ってくれてるおばあちゃんに申し訳ないので起こす事にする。

「真希ー、朝だよー、起きろー」
寝返りをうって美貴の方を見る。少しの間があったあとに
「……むり」
「むりじゃない。早く起きろー、ご飯食べるぞー」
「……おこして…」
「自分で起きろぉ!」
言ってから真希が被っていた布団を引っ張る。
「うわっ、美貴ちゃんヒドイ…」
ノソノソと立ち上がって顔を洗いに行くのかと思うと…
「まだ眠い…」
「ぅわっ、寝るなーってヵ美貴を支えにするなー!」
美貴の方に覆い被さってきてまた寝ようとしてる。
真希は何処ででも寝れる――。
改めて実感したような気がした。

「てヵ早く起きろー!バカ真希ー!」
「………ぐぅ…」


やっとのことで真希を起こして朝ご飯を食べた。
美貴が起きて1時間後の事だった。

「……バカ真希」
「だぁからぁゴメンって。布団が気持ちよくって、つい眠くなっちゃうんだよ」
「寝すぎだっつの!」

そんなやりとりをみてまたおばあちゃんに笑われたのは言うまでもない。
19 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/05(水) 17:17
朝の騒動がウソのようにその後はのんびり過ごした。
お昼ご飯も食べ終わり、亜弥ちゃんとに待ち合わせにも行かなきゃいけない。

「真希、そろそろ行こう?」
「うん」
「じゃ、おばあちゃん、行ってきます」
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい、迷わんようにな」

昨日と同じ道を歩いていると真希が急に話し掛けてきた。
「美貴ちゃん」
「んー?」
「その子ってどんな子なの?」
「何か普通に明るい子。あ、でも強烈キャラ」
「美貴ちゃんがそこまで気にするって事は只者じゃないなぁ」
「何それ?」
「昨日気持ち悪いくらいに笑顔だったからねー」
「そこまでニヤけてないと思うけど…」
真希の質問の意図がわからぬまま、昨日の丘についた。
上のほうに人影がある、きっと亜弥ちゃんだ。
真希と二人で登って声をかける。

「亜弥ちゃん?」
「ん?あっ、みきたん!」
「約束どおり真希つれてきた」
「はじめましてー妹の真希ですー」
「はじめまして松浦亜弥です」
「いやぁ、あなたが強烈キャラの亜弥ちゃんですか」
「はぃ?」
「美貴ちゃんが亜弥ちゃんのことをニヤケながら話すんでどんな人かと
思いまして…いや可愛い可愛い」
20 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/05(水) 17:18
「…亜弥ちゃん、真希の言う事全部シカトしていいよ」
「うわっ、美貴ちゃんヒドッ、そんなんじゃ亜弥ちゃんに嫌われるよ」
「なっ…何言ってんの!」
「仲いいんですねぇ」

その後も真希と亜弥ちゃんは気が合ったみたいで仲良くなったみたい。
話していくうちに亜弥ちゃんは敬語をやめ、真希は亜弥ちゃんの事を
マッツーと呼ぶようになった。
3人で話す時間は楽しくて時間の流れを忘れていく。
それでも終わりは来るもので、あっという間に夕方だ。

「もぅこんな時間だ、真希そろそろ帰らないと」
「そうだねー。マッツー今日は楽しかったよ〜」
「あたしも楽しかった、…じゃぁね!」
『バイバーイ』

昨日と同じように走っていく亜弥ちゃんを見て美貴の胸は苦しくなった。
何がこんなにも悲しいのかわかんないけど何故か悲しみがこみ上げる。
真希が話し掛けなければ美貴はずっとそこに突っ立っていた。

「おばあちゃん、心配するよ」
「うん」
美貴達も家へと歩き出した。

明日も会えるだろうか――。
そんな期待と不安が美貴の胸にはいつまでも残っていた。
21 名前:絶詠 投稿日:2004/05/05(水) 17:22
相変わらずの少ない更新量で申し訳ないです…m(__)mペコリ
やっと、ごまっとうです。あれ?紺野さん?
いや、ちゃんと登場しますよ?(汗)
とりあえず皆様のレスが励みとなって書けるようなものですから。
自己満足でもありますが…。
レスしてくださる皆様、本当にありがとうございます!
22 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/09(日) 18:45
光が眩しい――。
美貴は真希を起こさないようにそーっと起きる。
亜弥ちゃんがいるであろう時間にはまだまだだが寝付けずに早く起きてしまった。
せっかく起きたのだからその辺を散歩してくる事にした。
もう起きていたおばあちゃんに一言言ってから家を後にした。

「うぅ…やっぱまだ眠いなぁ…」
人気がない道を歩きながらボソリと呟く。
早起きのおじいちゃん、おばあちゃんに挨拶をしながら歩く。
と、目の前に見知った顔を見つけた。
いや、まさか。そんな筈はない。でも――
「あれ〜?みきたん?」
ずっと聞きたかった声をした女の子。亜弥ちゃんだ!
「あっ、おはよ、う。早起きなんだね」
「おはよっ、今日は何かはやく起きちゃった♪」
変にどもりながら話す美貴とは正反対に明るく話す亜弥ちゃん。

「みきたんも早起きなんだね」
「いや美貴も亜弥ちゃんと同じ。昨日から寝付けなくて早く起きた」
「へえ〜」
「真希なんか爆睡だよ?ホンット羨ましい…」
「あはは♪でも良かった、早く起きて」
「へ?何で?」
「だってみきたんに会えたし」
「なっ…」
「約束してなかったから心配してたんだけど…会えたから嬉しい」
「…っ……」
「早く起きたのもそれが原因なんだけどね?」
「み、美貴もっ…」
「?」
「美貴も亜弥ちゃんに会えるか不安…だった」
「以心伝心だねっ♪」
「えっ……」

照れる言葉をあっさり言ってくれてる亜弥ちゃんに妙にドキドキしながら。
それでも言っておきたい言葉はちゃんと言った。
なのにこの人は更に上を行く。

「みきたんみきたん」
「なに?」
「せっかくだからお散歩しよぅ?」
「えっ、うん…いぃよ?」
「じゃ、行こっ♪」
「うわっ」

亜弥ちゃんが美貴の腕に腕を絡ませて歩き出す。
――何故、胸がこんなにもドキドキするのか。
よくわかんないけど、とりあえず今がかなり幸せだってのは本当。
23 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/09(日) 18:57
「んぁ〜?お帰り、美貴ちゃん」
「た、ただいま」
「…何でそんな顔真っ赤なの?」
「えっ、いや、暑くて…」
「あやし〜い」
「何も怪しくなんかないって!さ、ご飯ご飯」

家に帰ってきたときには真希も起きていた。
亜弥ちゃんと会った、なんて言ったらまたからかわれそうなので黙っておく。
でも…顔冷ましてから帰ればよかった、と後悔した。
朝ご飯を食べてから部屋に戻る。

「美貴ちゃん、暇だねぇ」
「そ、そぅだね」
「今日はマッツーのトコ行かないの?」
「あー、行くけど…」
「ふーん」
「どうかしたの?」
「いや美貴ちゃんマッツーの事好きだなぁって思って」
「は!?」
「自分で気づいてないとは…鈍感だなぁ」
「好きって!?…女の子だよ?」
「関係ないんじゃない?」
「だってそんな事一度も思った事ない…」
「鈍感だからね」
「…ちょっと散歩してくる」
「またですか…行ってらっしゃい♪」

真希に変な事言われて動揺してる美貴には部屋を出て行くときに言った真希の
一言に気づきもしなかった。

「マッツーの気持ちもわかってあげないとね〜」

気づいていればもうちょっとスムーズに言えたのかなって思う…。
24 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/09(日) 23:36
もうダメだ。気づいてしまった。もう止められない。

亜弥ちゃんとの約束にはまだ時間がある。
また赤くなってしまった顔を隠す為に俯きながら歩く。

『別に好きだけど、それは友達としての好き。…のはず。』
心の中で呟いてから、ますます落ち込んでしまう。
何か一つの事に気づいてしまうと続けて色んな事が当てはまってしまう。
―――亜弥ちゃんと話すときに妙にドキドキしてしまう。
―――腕を組んだとき、顔が沸騰するかと思った。
―――なにより会えると生きてて良かったって思うくらい嬉しくなる。

「って、好きなんじゃんかぁ!!」
声に出してしまった。
虫取り網を持った子供達の視線がいたい。
…美貴ってとことんツイてない。


時間よりも早く丘についた。
考える為でもあるし行くところがないから、という理由もある。
とりあえず落ち着ける場所が欲しかっただけ。
丁度いい大きさの木にもたれかかる。
でも、こうしてボーっとしていると眠くなってくる。
真希じゃないけど、このまま眠れそうな雰囲気。

「好きだから何だっての…」

すっかり眠りの世界に引き込まれてしまった。
25 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/09(日) 23:39
どれくらい眠ったんだろぅ?
あれ?木ではない気持ちいい感触。なんだ、これ?
でも心地よくって体をよじらせて寝返りを打つ。
「あれ?みきたん、また寝た?」
「うん…まだ寝る…って、えぇっ!!?」
何故か目の前に亜弥ちゃんがいて…するとこの感触って…

「うわっ!ごめん!え!?何で美貴、膝枕されてんの…?」
「きゃぁ!みきたん飛び上がらないでよぅ…」
「美貴、木にもたれてた筈じゃ…」
「あたしが来た時、気持ち良さそうに寝てたから、隣に座って起きるの待ってよぅと
思ったらみきたんがフラリ、と」
「亜弥ちゃんの膝の上に…ですか」
「そぅです」

自分がやってしまった失態に顔が青ざめる。
だって、さっき恋をしていることに気づいて間もなく膝枕してもらうとは…。
ありえない。本気でありえない。
「ご、ごめん!」
「何で謝るの?」
「な、何でだろう…?」
実際、何故謝ったのか美貴自身にもわかっていなかった。
恥ずかしさと後ろめたさが入り混じった感覚、みたいなのが美貴の中で渦巻く。

その後、亜弥ちゃんといつものように話したり歩いたりしたけど、一杯一杯で曖昧な
返事しか出来なくなっていた。

――もぅ普通に話せないなぁ。ハァ……。

そんな美貴の心情を知らずに亜弥ちゃんは手を繋いだり腕を組んだりしてくる。
美貴の体はいつか溶けてしまうんじゃないかってくらいに火照るのだった。
26 名前:名無し読者 投稿日:2004/05/10(月) 14:31
テレテレの藤本さんキャワです。
27 名前:名無しさん 投稿日:2004/05/12(水) 05:21
3人とも仲良さげで(*´д`)
みきあや動き出しましたね。なんだか微笑ましいです
あと姉妹の設定の裏も気になりますね
28 名前:絶詠 投稿日:2004/05/16(日) 21:53
>名無し読者さま
レスありがとうございますっ!
藤本さんはへたれ攻!な奴ですから…私の中で…。
ちょっとでも可愛さが伝わればナ、と思ったので嬉しかったです♪

>名無しさん様
やっとみきあやが動き出したにも関わらず紺野さんは出てきてな(ry
藤本さんがかなりヘタレな感じなので書いてるこっちも「うぁ〜」って思います。
姉妹の設定のコトはですね…まだまだ先な気がします…。
レスありがとうございました!
29 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/16(日) 22:42
もぅ日も落ちてくる時間。
思い立ったら即!行動な性格だから亜弥ちゃんに告白しようと決めた。
早すぎかなって思うけど…変に先延ばしするのも苦しいし…。
結果はどうなってもいいから、とりあえず伝えなきゃいけない気がした。

「もう暗くなってくるし家まで送るよ」
「いいよ〜。みきたん迷っちゃうんじゃない?」
「毎日歩いてるからわかる…と思う…」
「ほら〜、明日またお散歩しよっ?」
「明日じゃダメなんだって!」
「な、何が…?」
「い、いや何でもない……」
つい大声を出してしまう。
―――明日じゃダメだ。今、言わなきゃ。
「あ、あの、亜弥ちゃん」
「なに?」
「す、好きな人って…いるの?」
「どしたの?いきなり」
「いや!別に!高校生だし、そーゆーの気になる年頃かなぁ?って思って!!」
「そんな力まなくても…」
「あっ、そうだよね…いきなり変な事聞いて…ごめん」
「うぅん、気にしてないよ。……いる」
「何が!?」
「好きな人が」

衝撃の事実を聞かされてテレビとかだったら『ガーン!!』って音がつきそうだ。
30 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/16(日) 22:45
「……い、いるんだ」
「なんで落ち込むかなぁ」
「気にしないで…それじゃぁ、また明日ね…」
「みーきーたーん?」
「え…なに…?」
「気づかないかなぁ?もしかして鈍感?」
「う…自分では思わないけど真希曰く鈍感らしい…」
「だろうねー。ってコトは、あたしの気持ちもわかんないですかぁ?」
「へ?亜弥ちゃんの気持ちって…?」
「あたしね、誰にでも抱きついたり腕組んだりしないよ?」
「それって…」
「まぁ簡単に言うと…」

何となく。わかったけど…まだ頭の中で理解できてない。
ちょっと整理してみよう。
亜弥ちゃんは誰でも腕組んだりしなくて、美貴は亜弥ちゃんの気持ちわかってなくて…。
で、何故か今、亜弥ちゃんは顔を赤くして俯いている。
それって。それって――もしかして。

「あたしが好きなのって…みきたんなんだけど…」

やっぱりそぅですか!あれ?…待って告白するのは美貴の方だった筈…。

「会ってまだそんな日も経ってないのに、こんなコト変かも知れないけど…でも…
やっぱり伝えないとって思ったから…変だよね、ごめん…忘れて…」
「亜弥ちゃん!!」
「ふぇ…?」
「み、美貴…亜弥ちゃんが好き!これ以上ないってくらい好きだよ!」

やっっっっと言えた。先越されちゃったけど、ちゃんと言った。
でも何故か亜弥ちゃんは泣きそうになってる。

「ぅぅ……ホント?」
「ホント!マジ!大マジ!!大好物の焼肉より好きだから!」
「焼肉とあたし比べないでよぅ…」
「美貴、焼肉ホント好きだから、いや肉なら大好きだけど…」
「みきたんって鈍感!ホント鈍感すぎだよ」
「ごめん…あの…」
「…ん?」
「抱きしめてもいい?」
「バカ!普通何も言わずに抱きしめるじゃん」
「そ、そぅだよね」

まだ目に涙を溜めてる亜弥ちゃんを恐る恐る抱きしめた。
そうしたら我慢していた何かがキレたのか亜弥ちゃんは泣き出してしまった。
頭を撫でながら美貴は何度も「好きだよ」って呟いた。
31 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/16(日) 22:45

少しでも美貴の思いが伝わりますようにって願いを込めて。
…でもよく考えるとわかってくれたから泣いたのかな?

そんなトコが美貴は鈍感なんだって初めて気がついた。
これからはそんな自分が変えていけたらイイナって思う。
口に出して言ったら亜弥ちゃんは何て言うんだろう?
32 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/16(日) 22:58
「結果は聞かなくても顔に出てるね」

それが家に帰ってからの真希の第一声。
あの後、亜弥ちゃんから不意打ちでほっぺにキスされて真っ赤になってしまった。
美貴は走って帰ったにも関わらず今だ真っ赤な顔をしている。

「美貴ちゃん?」
真希の唇が目に入ってまた顔が赤くなる。
「ハァ…付き合ってられない…ご飯食べいくよー、もぅ…」
「あ、待って」
真希の後ろ姿を追いかけて歩き出すと、ボソリと真希が呟いた。
「…あたしの気持ちも知らないで幸せそーな顔しちゃって、まったく…」
「え?何か言った?」
「べーつに。なーんにも言ってませーん」
「真希〜」

もしこの時、真希の一言が聞こえていたならば美貴は真希を傷つける事は無かったと思う。
でも美貴は最高に幸せで、何も気づけなかったんだ。
いや近すぎて気づけない事があった。
―――それは真希が優しすぎたから、鈍感な美貴は気づかないんだ。
33 名前:絶詠 投稿日:2004/05/16(日) 23:01
久々の更新でみきあやしか書けず…紺野さんは多分まだまだ先な予感…。
レスを下さる皆さまに支えられながら今日も行く。(謎)
呼んでくれてる方がいる、というだけで幸せなものです♪
ではでは、また来週。m(__)m
34 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/23(日) 21:59
――毎日毎日デレデレしちゃって。バカ美貴!

昨日の夜から真希の様子がおかしい。
何故か怒ってて話しかけても怒って別の部屋に移動してしまう。
おばあちゃんに「ケンカでもしたんかぇ?」と聞かれたけど「してないよ」と言って逃げた。
実質ケンカというケンカはしてなく…まぁ真希が怒ったのは事実で。
はぁ…何か美貴、どんどん不幸になっていってる…?


「ふぅーん、真希ちゃん怒っちゃったんだ」
「そんなあっさり返さないでよ…マジで悩んでんだから」
とりあえず亜弥ちゃんに会って相談しようと思った。
でも亜弥ちゃんは、そんなの問題じゃないといった感じで返してきた。
「みきたん、謝った?」
「まだ…何で怒ってんのかわかんないし…」
「鈍感だねぇ」
「知ってるっつーの」
人が悩んでるのにこの軽さは何だ!?と心の中で怒ってみたけど…
「てゅーかさぁ…」
「え?」

「真希ちゃん、それ絶対ヤキモチ妬いてない?」


「は!?」

またまた美貴は意味わからない。
いくらなんでも鈍感すぎっぽくない?自分…。
35 名前:名無しさん 投稿日:2004/05/24(月) 18:36
え?そういう展開ですか!
気になります
36 名前:絶詠 投稿日:2004/05/25(火) 23:31
>名無しさん
ものすごーく微妙な更新見て頂けて本当に幸せですぅ!(>_<)
ぃや…まだまだ引っ張るというか…ちょっと違ったりするんですけども…。
まぁ温かい目で見守って下さいませ!!
37 名前:名無し読者 投稿日:2004/05/27(木) 16:13
続きが気になる!
更新待ってます。
38 名前:絶詠 投稿日:2004/05/30(日) 21:53
>名無し読者さま
続き、気になりますか…はぃまぁ紺野さん登場してないですが…ごまみきも
入れたいな、と思いまして…。
レスありがとうございましたっ♪
39 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/30(日) 22:05
『真希ちゃん、ヤキモチ妬いてない?』

亜弥ちゃんの言葉が何度も頭の中で回ってる。
ヤキモチって、どーゆーコト?
真希は亜弥ちゃんのコトが好きなのかな…。


夕食前になって真希が帰ってきた。
真希曰く「散歩に行ってただけ」だそうだ。
口調はどこか冷たい感じがする…。
――でも気になるし謝らないとなぁ、あの言葉も気になるし…。
夕ご飯を食べ終わりいつもなら部屋でのんびりと過ごすのだけど、今日は
美貴と真希が向かい合って座っている。
まぁ…美貴が頼んだんだけどね。

でもっ!可愛い妹が怒ってるのなら(しかも自分のせいっぽい)理由を
聞いて姉らしく解決するのが美貴の仕事!!(?)
ここは、いつもバカにされてるけどビシッと決めるチャンス。
頑張らなければ……。

――なんか美貴の思考…主旨変わってない?
40 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/30(日) 22:19
「ま、真希っ」
「…何?」
「あの…ごめん…」
「何が?」
「なんとなく…」
「意味わかんない」

やっぱり冷たい口調で向かい合ってるのに目も合わしてくれない。

「美貴がデレデレして、それで怒ってんのなら謝るよ…」
「別に怒ってないよ、ただムカついただけ」
「む、ムカついたって何が?」
「こっちは恋すらもしてないのに目の前でデレ〜っとした顔の人が」
「だっ、だからそれはホントにゴメンって」
「はいはい。美貴ちゃんは謝るのが癖ですかぁ?」
「ゴメン…」
「ほら、また」

でも真希が少しだけ笑顔になったから安心した。

「なんで口聞いてくれなかったの?」
「そんなつもりはなかったけどね。なに〜?寂しかった?」
「そりゃ妹が急に冷たくなったら何事かと思うよ」
「…妹…ね。」
真希が何か小声で呟いたけど、やっぱり美貴には聞こえなくて。
「ぅん?」
「なんでもないよっ、それよりマッツーとはどぅなの?ラブラブ〜?」
「えっ!?うん…まぁ」
「美貴ちゃん、その顔がムカつくんです」
「あっ!ご、ゴメン…」

――はぐらかされた?
何で急に亜弥ちゃんを出してきたんだろう?

「…まぁ、それが可愛くもあるんだけどね…」

また何か呟いたんだけど小さすぎて聞こえないんだ。

―――多分、美貴には聞こえないように言ってるんだ。
41 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/05/30(日) 22:29
「…ねぇ真希ぃ」
「んぁ〜?」
「真希って…もしかして亜弥ちゃんのコト好き?」
「んぁぁ!?」
「だって絶対マッツーはどぅなの?って言うじゃん」
「何言うかと思ったら…そんな筈ないよ」
「でも…」
「あのね、あたしさっき恋してないって言わなかった?」
「言った。」
「じゃぁいいじゃん。恋なんかしないよ?あたしは」
「うん…ごめん、変な事言って。」
「謝らないでよ」
「ご…うん」

どぅしても謝ってしまう美貴に真希は溜息をつく。
もぅ怒ってないのはわかってるけど真希の言葉は真希自身を傷つける様な
気がして、何か引っかかる。
それが美貴の気のせいなら良いけど、もし本当に真希は自分を傷つけてるん
だったら、美貴は何かしてあげれるだろうか?

――ねぇ真希。美貴は真希の事が大切なんだ。
       …大切なたった一人の妹だから。

42 名前:絶詠 投稿日:2004/05/30(日) 22:40
相変わらずの少ない更新ですが…まぁ少しは本編(?)に近づけたかな?
とりあえずマイペースに頑張らせて頂きます。
43 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/31(月) 07:56
むむっ!?真希の恋はどうなるのか期待です。
44 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/06/02(水) 20:18
紺野さんが出てくるのを楽しみにしてます!
45 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/06/05(土) 14:15

小さい頃、美貴は公園に行って遊んでいた。
お母さんがいつも連れてってくれるのが大好きで毎日行っても決して飽きる事無く、
優しいお母さんに見守られながら遊んでいたんだ。
美貴が砂場でこけた時、泣きじゃくる美貴を「よしよし、大丈夫だよ」って言って
傷口についている砂を水道で洗い流してくれたり。
家までの帰り道、おんぶや抱っこをしてくれたし。
美貴のことを本当に愛してくれたお母さん。

小さい頃、女の子がするようなお人形遊びを美貴はあまり好きではなかった。
だから毎日、外遊んでいたし、家にいたとしても寝てばっかりだったと思う。
休みの日には、お父さんが家にいて、キャッチボール(と言っても美貴が小さいから
転がす程度のものだけど)をしたりした。
肩車をしてくれた時は一気に目線が高くなってはしゃぎまくった。
お父さんは「どーだ?高いだろう?」って笑いかけてくれた。
お仕事から帰ってきて「ただいま、美貴」って言って抱っこしてくれたり。
美貴のことを本当に愛してくれたお父さん。

美貴はお父さんとお母さんが大好きで、ずっと一緒だと思ってた。
お母さんなんかいるのが当り前で、いつまでも抱っこしてくれると思ってた。

でも、どんなに願ってもあの頃は戻らなくて。
今となっては全てが想い出となって美貴の胸に残るだけ。

美貴が5歳の時に、この幸せは終わってしまった。
46 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/06/05(土) 14:27
「……最悪」
それは美貴が目覚めてからの第一声。
嫌な夢をみた。
―――思い出したくもない日のことを。
「やっぱり最近はいろいろあるからなぁ…無理ないか…」
呟いてから真希の方を見る。
…めっちゃ幸せそうに眠ってるんですけど。
あれほど美貴は真希の事で悩んだってのに、この寝顔は…。
ちょっと頭に来て真希のほっぺを突付く。
  「ん〜…」
「幸せそぅな顔してんなよ〜」
体をよじらせて寝返りを打つ真希。
こうやって見てると、いつまで経っても子供だなって思う。
黙ってれば可愛いものなのに、ね。
憎まれ口を叩く事もなく…美貴にしてみればそれも可愛いけど。

「…はぁ、美貴って姉バカだ」

うーん、と伸びをしてから布団を出て下に向かう。
朝ご飯を作る音がするからおばあちゃんはもぅ起きてる。
今日は朝ご飯ができるまで、のんびりしたい気分だった。
朝から嫌な気分になっちゃったから。

はやく亜弥ちゃんに会いたくて仕方がなかった。
47 名前:絶詠 投稿日:2004/06/05(土) 14:32
ぅーん、微妙な更新量になってしまったので下げ。
とりあえず何も言えないってことで…。

>名無し飼育さん
後藤さん(話では後藤ではないですが…)の恋は…うーん、どぅなるんでしょう?
ぃや!決まってないというわけではないですよ!?
ただ…企業秘密ということに…(汗
わかる方は分かると思いますが…。

>紺ちゃんファンさま
紺野さん、はやく登場させなければ…。
もう少しお待ちください〜(汗
レスありがとうございました!m(__)m
48 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/06/06(日) 01:46
いつもの時間に、いつもの待ち合わせ場所で亜弥ちゃんと会う。
会いたかった筈なのに何故か会いにくい。
朝から嫌な気分になってずっとモヤモヤしたままで気分が悪い。

「…みきたん、今日元気ないねぇ。真希ちゃん絡み?」
「ん〜…それもあるけど。暑いなぁって思って」
「ウソばっかし」
「ぅ……」
「みきたん顔見ればすぐわかるもん」

うまく隠したつもりでも何でも見抜いてしまう亜弥ちゃん。
それが嬉しくもあったり悲しくもあったりする。

「真希ちゃんと仲直りできたの?」
「ぅ〜ん…まぁ話すようにはなったけど真希がよそよそしいといぅか…」
「ふむふむ」
「なんか元気ないっていぅか…聞いても言ってくれないし」
「ふーん」
「亜弥ちゃんのコト好きなの?って聞いたら『ハァ?』みたいにあしらわれて」
「はぁ?何聞いてんの?みきたん…」
「えっ?だってヤキモチ妬いてるって亜弥ちゃん言ってたから…」
「バカ…一番ありえないことじゃん」
「ぅ…そぅですか」

亜弥ちゃんがハァーって肩を落とす。
美貴のアホさ加減に呆れたらしい。

「あのねぇ真希ちゃんは…」
「?」
「…やっぱいぃ」
「なんで!?」
「真希ちゃん本人から聞かないとダメだよ」
「どーゆーコト?」
「あーもぅ!わかんないならイイです!そこらへん散歩しよっ?」
「あー、うん…」

亜弥ちゃんの言葉が、やっぱり理解できない。
真希が好きなのは亜弥ちゃんじゃないの?
でも違うとしたら………もしかして……美貴?
まぁ、ありぇないか。

―――だって美貴達、姉妹なんだよ?
49 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/06/06(日) 02:01
あれから亜弥ちゃんは真希の事を一切ふってこなくなり、散歩してたり
昼寝してたりで、その日、別れた。
別れ際に「真希ちゃんのこと気づいても、あたし離さないでよ」って。
どぅいぅ意味なんだろう?
何があっても美貴は亜弥ちゃんを手離そうなんて思わないのに。
―――こんなにも亜弥ちゃんが大好きなのに。

家に帰ると真希は、まだ帰っていなかった。

「ただいまーって、あれ?真希は?」
「おかえり。まだ帰っとらん。一緒や無かったんか?」
「うん、美貴の方が先に出たし…どこ行ったんだろ…」
「暗くなると危ないで。」
「そぅだね、ちょっと捜してくる。」

美貴は脱いだ靴を履きなおして家を出た。
夕ご飯の時はお腹が減ったと言ってすぐに帰ってくるのに。
…そぅいえば真希が何してるか美貴は全然知らないな。
何故、こんな当り前のコトを聞いていなかったのだろぅ?

――変な人に捕まって誘拐でもされてたら?
――川に落ちて溺れてたり。
――迷子になって倒れてたり。

マイナスの思考しか出なくなってきた。
家を出てから少し走ったところで人影が見えた。
暗いけど確かに人の形をしている…ような気がする。
近づいてみると、真希だったコトに気づく。

「真希!!」
「…あぁ、美貴ちゃん」
「『あぁ、美貴ちゃん』じゃないよ!どこ行ってたの!?」
「ちょっと散歩…運動不足だからね」

こっちがどれだけ心配したかも知らないで笑う真希。

「おばあちゃんも心配してたよ?暗いから危ないって」
「ごめん、ごめん。……美貴ちゃんは心配した?」
「したに決まってんじゃん!誘拐されてないか、とか。迷子になってないか、とか」
「あたし、そこまで子供じゃないよ〜?」
「とにかく!心配したの!はやく帰るよぉ、もぅ」

真希が悪びれもせず笑うので美貴は怒る気が失せてしまった。
もともと美貴に怒る権利なんてモノはあったのだろぅか?

「心配してくれて、ありがとね、美貴ちゃん。…ごめんね?」

いつも素直じゃない真希が急にそんな事を口走ったもんだから。

「おばあちゃんにも謝らないとね」

美貴は照れを隠すのに必死だった。
50 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/06/06(日) 02:11
「今日ね、あたし天使に会った」
「は?」

寝る時に変な事を言い出す真希。
思わずこっちも変な声が出る。

「天使っていうか天使みたいな子」
「ぅ〜ん、きれいってコト?」
「まぁ、そんな感じかな?とにかくビックリした。こんな子が世の中にいるんだって」
「真希の場合、寝顔は天使だけど起きてる時は子悪魔みたいに素直じゃないよね」
「う、うるさいなっ!もぅ寝るよ!!おやすみ!!」
照れたのか顔が少し赤くなってる。
布団を頭から被って動かない。
「怒らないでよ〜真希〜」
そぅ言って布団越しに抱きついた。
「うわっ!もぅやめてよ、うっとうしぃ!」
「ひどっ!その言い方ひどっ!」
「あたしは寝たいの!」
「はいはい、わかりましたー。おやすみ、真希」
「…ハァ…おやすみ」
そっぽを向いて寝てしまった。
美貴は、というとなかなか寝付けなかった。

蒸し暑いからなのか夢を見るのが恐いのか、よくわからない。
多分、両方だ。

真希が寝返りを打ってこっちを向く。
その時、手が布団から出ていたので美貴はギュッと真希の手を握る。
―――今日だけは恐いから、こうしててね、真希。
心の中で呟いてから美貴は眠りの世界へ落ちていった。
51 名前:降臨した天使との出会い 投稿日:2004/06/06(日) 02:26
「んじゃ、行ってくるね」
「…行ってらっしゃい」

美貴ちゃんが元気よくマッツーの元へ向かう。
毎度のコトながらその顔はデレデレしてて正直ムカつく。
今日は少し違ったようだけど。
―――あたしの気持ちなんて全然気づいてくれやしないんだから。
なんかムカムカしてきたから気を紛らわす事にした。

「行ってきます」

小さい声だから多分おばあちゃんには聞こえてない。
まぁ夕ご飯までには帰るし、いいよね。

悔しいようなイライラを感じながらあたしは歩き出した。
52 名前:降臨した天使との出会い 投稿日:2004/06/06(日) 02:51
もうかなり歩いたと思う。足が疲れてきた。
目の前には近くの子供が通うのでろう、学校がある。
子供といっても数少ないんだろうな、田舎だし。
でもマッツーみたいな可愛い子がいるのだからあなどれないよね…。

夏休みなのにドアが開放されている。
屋上を何ともなしにみてみると、人が立っている。
向こうはあたしに気づいてないのか遠くを見つめてるだけっぽい。
さすがにあたしも顔まで見えないが多分、女の子。
――この学校の生徒かな?
とりあえず、あたしは屋上を目指して校内に入っていった。


ドアを開けるとガチャリという音が鳴った。
さすがに屋上だけあって見渡せるだけの高さはある。

「さっきの子どこにいるんだろう?」

気になって歩く。

「見間違い…かな?」

丁度入り口と裏側のトコに…。


――――天使がいた。


真っ白な羽を背中から生やしてきれいな目を遠くへ向けている天使。
あたしは時間が止まったような錯覚を覚えた。
あまりにも綺麗で言葉を失った。
53 名前:降臨した天使との出会い 投稿日:2004/06/06(日) 02:53
「あ…こんにちは」
天使が話し掛けてきて現実に引き戻される。
現実ではその子は天使ではなくちゃんとした人間だった。
さっき見たのは、あたしの幻覚か…。

「あの…ここの人じゃないですよね、都会の方ですか?」
「…あーうん。夏休みの間だけこっちに帰ってるんだ」
「そうですか」

単純な会話をしてから天使はまた遠くを見つめた。
その目は綺麗だけど悲しそうで何故か胸が切なくなった。

「あ、あのっ!」
「なんですか?」
「ここで出会ったのも何かの縁だし自己紹介しようよ」
「いいですよ…私、紺野あさ美っていいます」
「あたしは、ご…違う。藤本真希…えと、よ、よろしく…」
「よろしくお願いします」
「ここで何してたの?」
「…景色みてました」
「へっ?」
「景色です、いけませんか?」
「いけなくはないけど…」

真顔でそう答える顔が少しおかしくて頬が緩む。
でも多分ウソ。
さっきの顔は景色見てるって顔じゃなかった。
あたしはそこまで聞くほど失礼ではないのでやめておくけど…。
(きっと美貴ちゃんだったら聞くんだろうな。)

「私、帰りますけど、まだいるんですか?」
「いやっ、あたしも帰る。暗くなってきたし」
「そうですか。暗いので気をつけて下さいね、さようなら」
「…さよなら」

呆気に取られるってこういうコトを言うのだろうか。
一人残されたあたしは立ち尽くすだけだ。

「いけない、本当に暗くなってきた。」

学校を出て家までの道のりを走る。
―――こんなトコ美貴ちゃんに似てる。
美貴ちゃんもマッツーとの出会いはこんなのだったのだろうか?
どこにいても美貴ちゃんが出てきてしまう自分を情けなく思ったけど
―――できる事ならもう一度あの天使に会ってみたい。
そう思った。
54 名前:絶詠 投稿日:2004/06/06(日) 02:55
はぃっ!一応ですが形の上では出ましたね。あの方が。
てヵ私、1個のレス長いですか?と不安に思ってみたり。
何となく Another story っぽく仕上げてみました。
藤本さん視点以外は初ですね、これ。
55 名前:絶詠 投稿日:2004/06/06(日) 02:55
隠しです。
56 名前:絶詠 投稿日:2004/06/06(日) 02:56
隠すほどのものでもないですが、もいっちょ。
57 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/06(日) 15:01
松浦さんの「離さないでね」が意味シンですねぇ・・・気になります。
58 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/06/06(日) 18:09
んん!?ついに紺野さん出現ー!!
待ってましたー!なんかちょっとクールっぽいな・・・気のせいかな?
これから真希ちゃんと紺ちゃんはどうゆう風に進展していくんだろう?
ますます気になります。期待してます。
59 名前: 小さな花  投稿日:2004/06/07(月) 23:02
暑い。
いや暑いのはいつもの事だけど。いつも以上に暑い。
あたしって夜中に目が覚めるタイプじゃないのに何故か覚めてしまった。

『…原因は、これか。』

あたしの隣で寝ているはずの美貴ちゃんが、あたしの布団で寝ている。
しかも手をギュッと握って。

『…あーもぅ、何でこーゆーコトするかな。』

呆れながら美貴ちゃんの手を解こうとすると、

  「…ぅ〜……」

寝ているにも関わらず泣きそうな顔になり手を握る力を強めてくる。
この人は本当に年上だろぅか、年齢ごまかしてないかという疑問さえ出てくる。

『…ちゃんと、ここにいるじゃん』

仕方が無く美貴ちゃんの手を握り返して被っていた布団をどけて、横になる。
なんというか無防備になりすぎなんだよね。美貴ちゃんって。
…鈍感なだけかもしれないけどさ。

『襲って欲しいのかね、こいつは』

繋がっている方の手を自分の唇に寄せて美貴ちゃんの手の甲にキスを落とす。
その時、また美貴ちゃんがギュッと握りなおしてきたので慌てて元の位置に戻す。


でも美貴ちゃんの思いはマッツーに向けられているんだ。

―――もぅ子供じゃないよね、真希

自分に言い聞かせながら美貴ちゃんの手を強く握る。

『朝がきても離したくないなぁ…』

不覚にも泣きそうになった自分が其処にいた。
60 名前:絶詠 投稿日:2004/06/07(月) 23:06
>名無し飼育さん
ほほぅ…気になってしまいましたか…。
いや話が進むに連れてわかってくる、と思いますので。
今はノータッチで!…スィマセンm(__;)m


>紺ちゃんファンさま
ついに出現してしまいましたね。
これも話が進むに連れてわかってくる、と…。
後紺絡みは、とても遠いところにありますが…が、頑張ります。(汗
61 名前:名無しさん 投稿日:2004/06/08(火) 03:46
なんか切ない
このままくっついちゃえ(無責任w)
62 名前:名無し読者 投稿日:2004/06/08(火) 12:47
おもしろい、おもしろい、おもしろい!
ごまみきもイイかも…
63 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/09(水) 18:05
更新されてるー!!幸せです♪
64 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/06/11(金) 20:28
60<絶詠 さま。
後紺絡み・・・が、頑張って下さい(笑)
65 名前:絶詠 投稿日:2004/06/13(日) 22:36
>名無しさん様
むぅ…切ないっスか…まぁ後藤さん叶わぬ恋、とぃうか何と言うか…(^^;)
って、くっつくなんて!?や、勘弁して下さい…(汗

>名無し読者さま
おもしろぃですか!?この私の作品が…うわぁーい♪めっちゃ嬉しいです!!
ごまみきは私の好きなCPでもあるので、ハマちゃって下さい!!(^^*

>名無し飼育さん様
私が更新する事で幸せだなんて…もぅお世辞にも程がありますぞ(笑)
レスありがとうございました、ペース遅いですが、頑張ります!!

>紺ちゃんファン様
頑張りますよぉ!見守っててください!!(笑

さてさて…これから24日まで更新できる状況ではなくなりました。
まぁPCに触れないだけなのですが…。
24日を過ぎて土曜日か日曜日には更新できると思います。
レスして下さる皆様、本当にありがとうございます♪
こんなヘタレの作品を読んでくださるなんて…幸せです!!(^^*)
66 名前: 小さな花  投稿日:2004/06/14(月) 00:18
「…むぅ〜……」
「…暑いっての、バカ美貴ちゃん…」

朝になってみると美貴ちゃんは相変わらずあたしの横にペッタリくっついて熟睡。
手は繋がれたままだったので、ちょっと安心した。
結局あの後も何回か起きてしまって今日のあたしは超寝不足だ。
隣で寝ているバカ美貴ちゃんのせいで。
ちょっとムカつくから幸せそうに眠っているのを起こす事に決めた。

「み〜き〜ちゃん、朝だよぉ?」
「……眠いのぉ…」
「眠くても起きて下さい。じゃないとあたしが起きれません」
「……何でー?」
「美貴ちゃんが手を握りしめてるから」

そう言うとガバッと美貴ちゃんが起き上がった。
その時、手も一緒に離してしまった。

「あっ、真希っ!これは…その理由があるんだよ?」
「どんな理由ですか?あたしをここまで寝不足にさせる程の理由なんだろぅね」

少し口篭もってから小さく口を動かす美貴ちゃん。

「……ったから…」
「なに?聞こえない」
「…恐かったの!」
「何が?」
「わかんないけど…最初は手だけだったんだよ?でも無意識的に真希の方へ…」
「もぅ…わかったから!…今度からは言ってからにしてね?」
「なんで?」
「なんでって…」

―――美貴ちゃん、襲っちゃいそうだから。

こんな事言えるはずが無い。
67 名前: 小さな花  投稿日:2004/06/14(月) 00:31
「なんでー?」
「暑くて寝不足になるから」
「真希いつも寝すぎな位寝てるじゃん」
「あのねー…」

なんといぅか…美貴ちゃんには頭が上がらないって思う。
怒るとかそんなんじゃなくて何をされても構わないって感じだ。
それは美貴ちゃんを好きだからなのか、妹としての思いなのか、わからない。
わからないけど、どっちにしろ美貴ちゃんが大切なのは確かだ。


「真希、お腹減った」
「もうすぐできるんでなぃ?」
「はやく下行こう〜」

あたしをせかす美貴ちゃんが可愛くて、ほんの少しイタズラがしたくなった。

「美貴ちゃん」
「なに?」
「ホントに悪いと思ってる?」
「も、もちろん!あったりまえじゃん!」
「じゃ証拠みせて?」
「どぅやって…」
「こぅやって」

下に行こうとする美貴ちゃんをグイっと部屋に引き寄せて押し倒した。

「いっ…た…真希!」
「なに?」
「離してよ!!」
「やだって言ったら?」
「……」

あたしの下で抵抗する美貴ちゃん。
―――このまま本気で襲えればいいのにね。
そんな考えが浮かぶけれども、あたしの理性はそんな簡単に崩れない。
美貴ちゃんが泣きそうになってるから、手の力を抜く。

「真希ぃ…」
「…ふっ…は…」
「?」
「あはははは!美貴ちゃん、何マジになってんの?」
「なっ、…真希のアホ!!はやく行くよ!もぅ!」
「ごめん、ごめん。あーオモシロかった♪」

あたしの手を振り解いて、もぅ下に行ってしまった美貴ちゃん。
部屋で一人呟く。

『ホントにマジだったらどぅするんだよ…美貴ちゃん』

もし本気でしたならば美貴ちゃんは泣く。
そんな顔は見たくないから我慢するけど。

―――せめて、その鈍感っぷりは治せよなぁ。

心の中で言ってもぅ先に行ってしまった美貴ちゃんを追った。
68 名前: 小さな花  投稿日:2004/06/14(月) 00:36
下に行くと玄関は開け放たれていて外が見える。
そこで視界に入ったのは花。
小さな花。
小さくても立派に咲き誇る花。
その姿に圧倒されて早歩きで美貴ちゃんたちのいる部屋に向かう。

―――あの小さな花みたいに誇りを持ちたい。


そう願いながら。
69 名前:絶詠 投稿日:2004/06/14(月) 00:37
今の所、最終更新です。
それでは、25日にお会いしましょう、さよぅなら。
70 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/14(月) 16:09
ごまみきもいいですね〜、でもやっぱりあやみき!!
71 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/06/14(月) 19:39
ごまみき、やっぱり良いですね〜!
でも〜・・・個人的にはやっぱり、ごまこん・・・それかみきこんですね!!
作者さま、紺野さん登場、待ってますよ!!
72 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/25(金) 22:55
今日は25日!松浦さんオメ〜。
更新待ってます!
73 名前:絶詠 投稿日:2004/06/25(金) 23:20
>名無し飼育さん
ふっふっふ…ごまみきにハマっちゃってください(何?
でも、あやみきは捨てきれず何があっても大好きですよね!!
攻めな藤本さんも後藤さんが出れば受けに変わるという…(謎

>紺ちゃんファン様
ごまみきハマってください。
やはり紺野さんCPに萌えデスヵ?ごまこんなら私も…ぃやみきこんも…。
単に私はこの4人のCPはどれでも好き、という事実が判明してしまいました(汗
いやはや基本は、みきあや、ごまこん、デス♪
紺野さん登場はもう少しお待ちください(伏

>名無し飼育さん
そぅですよ、やっと気づきましたYo!
松浦さん、おめでとぅござぃます!!(大拍手
今日中に更新し上げたいです(汗
待っていただいた事が私の励みになります(泣)
ありがとうございました♪
74 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/06/25(金) 23:45
初めて真希が恐いと思った。
―――あんなに力強かったっけ?
そりゃ背は抜かされてるし、真希の方がしっかりしてる…とは思うけど。
いざ向かい合ってみるといつまでも子供だと思ってた真希の方が強い事がわかった。
冗談とはわかっているけど、あんな風に押し倒されると恐くなるしマジに思ってしまう。
だって真希の目が微妙に本気の目をしてたんだもん。


朝ご飯を食べ終わって部屋に帰ってからでも真希と話すのが少し恐くて目を合わせないようにした。
でも鋭い真希は、それに気づいてしまったらしく笑いながら「何もしないよ」って言う。
そんな風に気づいちゃうところが美貴より大人なのかなぁ?
…美貴が鈍感なだけか。


それから少しの会話はするけれど直ぐ途切れてしまう。
だから自然と部屋には沈黙が流れる。
最初にそれを壊したのは真希の方だ。

「行けば?」
「え?」
「マッツーんトコ、会えるんじゃないの?」
「でもまだお昼じゃないよ」
「お昼じゃなくてもいるかもしれないじゃん」
「……美貴、じゃま?」
「そんな意味でなくて、ね?美貴ちゃんソワソワしてて落ち着かないから」
「会えるかなぁ?」
「行ってきなよ。あたしも後から出かけるし」

真希がどこかに行こうとするなんてめずらしすぎる。
雪でも降るんじゃないだろうか?
ふと、『天使』って言葉が頭に浮ぶ。
そぅだ。この前、真希は天使に会ったって言ってた。
きっとその天使の所だ。

自分の中で決め付けて真希には聞かずに言われたとおりに亜弥ちゃんに会いに行った。

多分、亜弥ちゃんに会えばこのモヤモヤは取れるんだろぅな。
75 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/06/26(土) 00:12
丘に行ってみたけど人影らしきものは無い。
―――やっぱりまだ時間が早かったんじゃないかぁ。
心の中で真希に悪態つきながら木にもたれがかる。
一人になってもやっぱり考えるのは真希の事。
急に大人っぽく見えたのは気のせいってコトにしよう。
もう高校2年生なんだから、そんな風に見えることもあるんだよ、きっと。
自分にそう言い聞かせてると何やらこちらに走ってくる影一つ。

「み〜き〜たぁ〜ん!」
「…亜弥ちゃん?」
「ハァハァ…ハァ…疲れたぁ…」

影の正体は亜弥ちゃんだった。
それにしても何故わざわざ走ってきたのか、暑いし、疲れるだろうに。

「別に走ってこなくても良かったんじゃ…」
「だって、みきたん見えたから早く会いたかったんだよぉ」
「そ、そぅなんだ」

その一言が嬉しくて胸が高鳴る。
亜弥ちゃんは、たった一言でも美貴の気分を一転させてくれる。
76 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/06/26(土) 00:13
「ん〜?」
「なに、亜弥ちゃん…」
「みきたん何かあった?」
「な、なんで?」
「暗い。何もかもが暗すぎる」
「そんな事ないよ」
「そんな事あるの。…さしずめ真希ちゃんに押し倒されました、とかね♪」
「なんでわかったの!?」
「あ、マジですか…」

ズバッと何もかもを見抜いてしまった亜弥ちゃんに感心。
けど最後の一言は冗談で言って当たったらしい。

「てヵマジで真希ちゃんに押し倒されたんだ…」
「冗談って言ってたけど…朝かなり恐かったぁ…」
「…ふーん」
「真希のコト子供って思ってたけど…もぅ高2なんだよねぇ」
「………」
「亜弥ちゃん?……んっ…っ…」

黙ったかと思ったら急に唇をふさがれた。
1回だけだったけど少し長くて息が苦しかった。

「ぷはぁ…なに…いきなり」
「あたしと真希ちゃん、どっちが大事?」
「は?」
「いいから答えて」
「亜弥ちゃん、と言いたいんだけど真希もたった一人の妹だし…」
「あのね、そこで『あたし』って言えないと多分真希ちゃんに押し倒されるよ?」
「なんで!?」
「…いや、なんとなく」
「亜弥ちゃん何かわかってる?」
「うすうす。何となく。確かだったら、あたし困るコトってのはわかる」
「…もぅ訳わかんない」
「わかんなくていい、あたしだけ好きでいてよね?」
「亜弥ちゃんの事は大好きだよ!」
「あたしも大好き♪」

そう言ってまたキスをしてくる。
今度は軽いキスで、美貴の心が穏やかになる。

―――やっぱり亜弥ちゃん大好き。

唇を離した後、抱きついたら「可愛い」って言って抱きしめ返してくれた。
亜弥ちゃんに抱かれていると、こんなにも安らぐ事が初めてわかった気がした。
もう少し早くやっとけば良かったな。
77 名前:絶詠 投稿日:2004/06/26(土) 00:16
はい、ごめんなさい。
何よりもまず、ごめんなさい。間に合わなかった…(泣)
うっ…うっ…更新はできたのになぁ…。
とりあえず後藤さん、鬼畜になっちゃダ(ry
ぃや紺野さんがいるからダイジョブさぁ!…多分。
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/26(土) 10:03
亜弥ちゃんキャワです!ごっちんの押し倒しには
びっくりしましたが(笑
79 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/06/27(日) 21:08
おっ更新が・・・。
藤本さんと松浦さんはやっぱ、すごいですね!
これからもがんばってください!
応援してます!
80 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/04(日) 01:37
「みきたん」
「ん?」
体を離した後、改まって美貴を呼亜弥ちゃん。
「あたし帰んないといけないんだ」
「あっ…そぅなんだ」
「うん、明日お昼ごろ来てね、待ってるから」
「わかった、じゃぁ…」
「ん、バイバイ」
「亜弥ちゃ…」

すぐに駆け出してしまった。
美貴が声をかける暇もないくらいに早く。
…何か家の用事でもあるんだろぅな。
いつもよりずっと早く亜弥ちゃんと会えて、いつもよりずっと早く別れた。
そぅ考えると悔しくなった。

一人で散歩する気にもなれなかったので、家に帰る事にした。

「ただいまぁ」
「おかえり」
家に帰ると、おばあちゃんしかいなかった。真希は出かけたらしい。
「学校に行ってみるっち言ぃよったで」
「学校?ここの?」
「少し遠いんやけど中学校があるんよ」
「ふーん」
「夕方になっても真希が帰らんかったら迎えに行っちゃりよ」
「わかった」
「お腹減ったやろ?」
「かなり。早く食べたいよ」
「すぐ準備するけん座って待っちょき」

相変わらずおばあちゃんのご飯は美味しかった。

             ◆◇◆

部屋に戻って横になる。
食べた後なので横になると太るかもしれないけど今日だけは許す。
真希じゃないけど眠気が襲ってきて結局、美貴はそのまま寝てしまった。
81 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/04(日) 01:39
           ◆◇◆       

―――ザーッ…、ザーッ―――
遠くで雨の音が聞こえる。
夢なのか、現実なのかわからない。
でも雨が降っているのは確かだ。

「…だぁ……じゃ、やだ……ぁさん…」

途切れ途切れの子供の泣き声。

――――この子、美貴?

82 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/04(日) 01:39
「……ん?」
眠っていた頭を覚醒させるのに時間がかかった。
ザーッ、ザーッと雨の音が聞こえる。
「雨はホントだったんだ…」
時計を見ると午後4時半。って事は2時間半は眠ってたのか。
下に降りても真希はまだ帰っていなかった。

「真希は傘、持ってないけんなぁ。降られてないやろか?」
「雨宿りしてるんじゃないかな…心配だし迎えに行ってくる」
「気をつけるんで」
「うん」

2本の傘を持って学校に向かった。
1本は美貴がさして1本は真希の分。
と、ここで重大な事実に気づいた。
…学校ってどこにあんの?
一番大事な事なのに今まで気づかないって…。
家からは結構歩いてて引き戻しても意味がないって距離だ。
自己嫌悪に陥りながら歩いていると人影が見えた。
距離があるのと傘を差しているので顔は見えない。
けど人に聞くしかないので、その人のところまで小走りで行った。

「すいません」
「はぃ?」
「聞きたいことがあるんですけど…」
「何ですか?」

その人は亜弥ちゃんくらいの年代の女の子だった。

「学校ってどこにあるんですか?」
「あぁ…この道を真っ直ぐ行ったらありますよ、少し遠いですけど…」
「あ、ありがとうございました」
「…ここの人じゃないですよね、学校みたいんですか?」
「ぃや妹が学校に行って傘持ってないから迎えに行くだけなんです」
「ほやったら、あたしもついて行って良いですか?案内するんで」
「いいんですか?」
「もちろん。じゃぁ行きましょう」

言葉に訛りがあって顔はかなりの美少女って感じだった。

「あたし、高橋愛っていいます、みられないんですけど高1なんですよ」
「美貴より2つ年下だぁ。でも老けてみられるよりよくない?」
「そぅですね」
「あ、美貴は藤本美貴っていいます。真顔になると目つき悪くなるんだって」
「そんな感じですね」
「ひどー」

初めて会うのに親しみやすい子で冗談も言い合えた。
なんか亜弥ちゃんに感じが似てるなぁ。
亜弥ちゃんほど元気少女ではないけど…同い年だからかな?


それから愛ちゃんと話してるうちに学校に着いた。
83 名前:絶詠 投稿日:2004/07/04(日) 01:44
>名無し飼育さん
松浦さん可愛いですかぁ!(喜)
いやぁ良かったです♪
ご、後藤さんも押し倒したくなる年頃なんですよ、きっと★(汗

>紺ちゃんファン様
藤本さんと松浦さんはラブラブすぎて羨ましくなりますね♪
みきあや最高ですよ!!
応援していただきしとても幸せですっ!
めっちゃ頑張りたいと思います★☆
84 名前:絶詠 投稿日:2004/07/04(日) 01:46
登場しましたね、何故か。
いや出したくて…出てもらわないと、と思いまして。
一応関わってる人なので…(汗
久々なのに少量で申し訳……(泣)
85 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 12:01
おっ・・・!愛ちゃん登場!!
みきあや最高!!
作者さま、がんばってーー☆
86 名前:絶詠 投稿日:2004/07/04(日) 17:25
>名無し飼育さん
毎度レスどーもです♪m(__)mペコリ
高橋さんは…いつ登場させようか迷った結果やっと出せたんですよ(汗
みきあや…少なくてすいません〜!(>_<;)
ぃやぁもぅ、応援が励みになりますよぉ。(喜
87 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/04(日) 17:44
「ここに真希がいんのかなぁ…」
目の前にある学校を見上げながら呟く。
「真希って妹さんの名前ですか?」
愛ちゃんが尋ねてきた。
「うん。1つ下で生意気だけどすっごぃ可愛いんだぁ。」
「わかります、その気持ち。私も1つしたの幼馴染がいるんですけど妹みたいで…」
「かわいいんだ?」
「…そぅですね、可愛くて…とても大切です」
「ふぅん?」

ときどき押し黙ってしまう愛ちゃんの顔は泣きそうっていうか…苦しそうな顔だった。


「…ぁ……ちゃん…?」

学校を見上げながら愛ちゃんが何か呟いた。
「え?」と聞き返すと美貴の顔を見ながら愛ちゃんは言った。

「屋上にいるかもしれませんね」
「でも雨だよ?降られてるんじゃ…」
「それじゃドアの前にいるかもしれません。」
「何でわかるの?」
「この学校で人が入るって言ったら屋上くらいしかありませんから」
「そ、そうなんだ…」
「行きましょう」
「あ、うん」

スタスタと先を歩く愛ちゃん。
美貴は慌ててその後を追った。
88 名前:溺れる気持ち 投稿日:2004/07/04(日) 18:49
「あーっ、もぅ!何で急に降りだすかなぁ」

あたしは学校の屋上で怒りの声を上げた。
正確に言うと屋上に入るドアの前だ。
出ようものならビショ濡れになってしまう。
傘も持ってないし学校からも出れずにいる…。

「やっぱ雨だから来ないのかなぁ…?」

この前あった『天使』に会いたくて来てみたんだけど結局いなかった。
ちゃんと「紺野あさ美」っていう名前があるんだけどね。
どうしても第一印象ってのが強く残ってしまうから『天使』って思うんだ。

ジメジメした所に一人でいると気分が滅入って仕方ない。
ただでさえ雨は嫌いなのに…気持ちが悪い。

ドアにもたれかかりながらそんな事を考えていると足音が聞こえる。
しかもこっちにドンドン近づいてくる。
管理の人?まさかね…。
階段の方をジッと見てると見知った顔が出てきた。

「真希?やっぱりここにいたんだぁ」

足音の主は美貴ちゃんと知らない女の子だった。
89 名前:溺れる気持ち 投稿日:2004/07/04(日) 18:50
「…美貴ちゃん、と…誰?」
「あ、高橋愛ちゃんって子で美貴が学校の場所わかんないから案内してもらったんだ」
「初めまして、高橋愛です」
「どーも…ウチの姉がお世話になりました」
「美貴は真希を捜しに来たんだよっ」

気分が悪かったせいか無愛想に返してしまった。
でも愛ちゃんとやらは別に気にしてない様子。

「藤本さん、帰り道わかりますか?
「あ、うん。大体…」
「じゃぁ、あたしは帰ります」
「愛ちゃん、ありがとね」
「いいですよ、それでは」

そう言い残すとすぐに階段を降りて行ってしまった。

「なんか愛想なくない?」
「それを真希が言う?」
「だって気分悪いんだもん」
「こんなトコにいるからー。早く帰るよぉ?」

美貴ちゃんが傘を手渡してくれた。
あたしはノソノソと立ち上がって美貴ちゃんと一緒に学校を出た。
90 名前:溺れる気持ち 投稿日:2004/07/04(日) 18:51
今まで一人で薄暗い所にいたから気分が悪くて、何故か恐くて。
美貴ちゃんが迎えに来てくれた事が嬉しかった。

「……美貴ちゃん」
「ん〜?」
「ごめん」
「は?なに、急に…」
「いや、迷惑かけたから。」
「そんなの今に始まった事じゃないし」
「うん…」
「真希?もしかして一人で恐かった?」
「そ、そんなんじゃないっ」
「あーやっぱり恐かったんだぁ」
「違うって」

美貴ちゃんに見抜かれたことが何となく悔しかった。
違うと言い張っているけど多分バレてるんだろぅなぁ…。

と、落ち込んでいると美貴ちゃんが急に手を繋いできた。

「み、美貴ちゃん?」
動揺しながら美貴ちゃんの方を見るとめちゃくちゃ可愛い笑顔だった。
「こうすれば恐くないかなーっと思って」
「あ…うん」
「生意気な真希が今日は大人しいねー」
「うるさいなっ」

でも手をちゃんと握り返して、しっかりと手を繋ぐ。
それまでの気持ち悪さも恐さも全部消えて美貴ちゃんでいっぱいになった。

子ども扱いされて悔しかったけど、こんな特典がついてくるなら悪くない。
顔が真っ赤になっていくのがわかったから傘で隠しながら歩いた。
美貴ちゃんは全然気づかないだろぅな。
91 名前:溺れる気持ち 投稿日:2004/07/04(日) 18:52
「美貴ちゃん」
「なに?」
「ありがとぅね」
「心配したからね」
「…っ…うん」

泣きそうになったから手を繋ぐ力を強めてますます顔をそらした。


―――ねぇマッツー、家に帰るまでは美貴ちゃん、あたしに貸してね?

92 名前:絶詠 投稿日:2004/07/04(日) 18:55
いや…後藤さんと藤本さんの絡みが書きたいだけだったんです!
みきあやはどこ?なんてツッコミ受け付けません(−_−;)
紺野さんは?なんてツッコミも…。
ノーコメントで。ではでは!(ダッシュ)
93 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/04(日) 22:24
めずらしく弱気になってる真希をみて正直かなり驚いた。

いつもは嫌な事があっても美貴にそれを見せないように隠してるのに…。

今も頑張って隠してるんだろうけど、泣きそうになってる。

真希は気づいてないって思ってるかもしれないけど美貴をなめんなよぉ?

繋いだ手が離れないようにギュッと握る。

いつも生意気に美貴をからかってくるけど、たまにこんな風に甘えてくるから許せるんだよね。

背も美貴より高くなって大人みたくしてるんだけど。

真希がまだまだ子供なのはわかってるから、もっと甘えてよ。

美貴は真希のお姉ちゃんなんだから。
94 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/04(日) 22:29

◇―――美貴のこんな思いが
     真希をどれだけ苦しめていたのか。

もう少しして、美貴は初めて知る事になる。
今はまだ、毎日が幸せで、一番近くにいた真希に気づかずに。
ただ、過ごしていたんだ。


◇―――美貴ちゃん


美貴を呼ぶ度に、真希は想いを伝えていたんだね。
95 名前:絶詠 投稿日:2004/07/04(日) 22:31
最後にこれだけ更新したくて。
すっごい微妙なもので申し訳ありません…。
いやっ、でも、残したかったんで!!
では、また来週。
96 名前:みきっティー 投稿日:2004/07/05(月) 02:15
の〜〜〜ん、真希ちゃ〜ん・・・・
悲しいね〜〜〜〜〜
97 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/06(火) 17:05
うわぉ……松浦さんどうしたんでしょ?
98 名前:名無飼育 投稿日:2004/07/06(火) 17:05
↑すみません……ageてしまいました!ごめんなさい!
99 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/07/06(火) 21:36
おっ・・・後藤&藤本もなかなか良いですなぁ・・・。
ここはいろんな(?)ひとの絡みがあって良いですね。
がんばれみんな〜!!もち作者さまも!!
100 名前:名無しさん 投稿日:2004/07/07(水) 11:01
僕は後藤さんと藤本さんの絡みがもっと読みたいですw
101 名前:絶詠 投稿日:2004/07/09(金) 22:36
>みきっティー様
初レスありがとうございます!m(__)m
いやはや…後藤さん幸せになって欲しいものです(オイ)

>名無し飼育さん様
松浦さん、これからAってトコです。
実は自分もよく分かってなかったり…(エ?)
上げてしまったことはお気になさらないで下さい、まぁ更新した後ですから。(笑)

>紺ちゃんファン様
後藤さん&藤本さんは微妙にマイブゥムでもあったりするので♪
何というか…絡み必死です(オイ…)
高橋さんが絡んでくる事によってきっと復活するはず!あの人が…。

>名無しさん様
おっ!?後藤さん&藤本さんの絡みハマリましたか!?
いやはやちゃんとありまのでご安心下さい。
102 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/07/12(月) 21:25
やっぱりここは面白い!!
次回更新、楽しみです!!
103 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/15(木) 20:11
切ねえ、切ねえよ。
実らない恋だと分かっていながらも…
更新待ってます!
104 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/18(日) 22:44

初めて真希を見たとき、開いた口がふさがらなかった。

美貴と学年は1つしか違わない筈なのに真希は対応の仕方がわかってたらしく。

「はじめまして」と言った。

いつもの笑顔はどこにいってしまったのか。

そのときの真希は口を固く結んでいた。


―――「はじめまして…みき…お姉ちゃん」

つたない喋り方で確かにあの時、真希はそう言った。
105 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/18(日) 22:54
家に帰り着く頃には体はビショビショだった。
美貴達を見たおばあちゃんがすぐにお風呂を沸かしてくれた。

「風邪引くと困るけん、はよ入ってきよ」

そんな事を言われてもどっちが先に入るべきかわからない。
ここは真希を優先するべきだろぅ、姉として。
…でも真希はそんな思いをかき消す一言を。

「…美貴ちゃん、先入ってきなよ」
「なんで?真希入っていいよ」
「あたしは後でいい」
「でも風邪引いたら困るじゃん」
「いいよ、入ってきなよ」

二人の譲り合いが終わらないから、ついにはおばあちゃんが「一緒に入ってき」と言った。
それが一番だと思うけど正直、今の美貴達にはそれが一番キツイ。
お風呂なんて一緒に入ってたのも小学校までだし。
真希の方を見ると見るからに困った顔をしている。

「あー、わかった、美貴先入ってくる。真希、すぐ出るからね」
「うん、そうして」

その場に居辛くなってそそくさと着替えを持ってお風呂場に向かった。
106 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/18(日) 23:03
冷えた体を湯船で温めながらゆったりしていると敷居の向こうから声が聞こえる。
しかもちょっと慌しい。

「まだ美貴ちゃん出てないし、ゆっくり入らせてあげようよ!」
「そんなん二人で入りゃ同じ事っちゃ。もう入ってき」
「ちょっ、おばぁちゃん?」
「これ着替えな」
「あのっ…」

おばあちゃんが出て行く音がした。
どうやら真希が無理やりお風呂場に連れてこられたらしい。
まぁこの家の主であるおばあちゃんに逆らっても、と言ったところだ。

外が静かになったと思うと真希の溜息が聞こえた。

「あのー美貴ちゃん?」
「な、なに?」
「入んないからゆっくりでいいよ」
「うん…真希、寒くない?」
「だいじょぶだから」

真希が敷居にもたれかかって話し掛けてきた。
ペッタリ敷居に背中を合わせているから透けて見える。
美貴は裸ですぐ向こうに真希がいるって思うとドキドキしてくる。

最近の真希の行動が美貴をそうさせてるんだなぁ。…ハァ。
107 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/18(日) 23:15
「ねー美貴ちゃん」
「ん〜?」

敷居越しの会話。顔が見えないぶん、変な感じだ。

「まだ出ないー?」
「あっ、寒くなってきた?」
「そーゆー訳じゃないけど。出るときはちゃんと言ってね。」
「うん?」
「美貴ちゃんの裸、みたくないもん」
「なっ!美貴の裸は少しは魅力あるんですー!」
「どーだか」

こんな時でもからかってくる真希が憎らしい。
そりゃぁ真希よりはスタイルよくないよ、でも少しは魅力あるもん。
湯船からザブンと上がって勢いよく敷居を開ける。
もたれかかっていた真希が体勢を崩してコロンと後ろに倒れてきた。

「うわっ!もぅ!出るときは言ってよ!!」
「音で気づけ、真希のバカ!!」
「んなの気づく筈な………ぃ……」

語尾がだんだん小さくなる真希。
何でだろうと思って真希を見ると顔が真っ赤だ。

…ん?ちょっと待って。
美貴、今、裸。
仰向けに倒れてる真希。
ちょうどその上に立ってる美貴。
タオルで隠してるけど下から裸は丸見えだよね、どぅ考えても。

と、いう事は真希から美貴の裸は丸見え!?!?
108 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/18(日) 23:19
「…真希のバカ!早く起き上がってよ!!」
「倒したのは美貴ちゃんじゃん!」

ガバッと起き上がる真希と後ろに身を引く美貴。
なんか変な二人だよね、第三者から見ると。

「あたし出てくから着替え終わったら呼んで」
「う、うん」

言い捨てて慌てて飛び出す真希。
うぅ…美貴ってなんてバカ…。
109 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/18(日) 23:25
着替え終わって真希を呼ぶ。
その顔が真っ赤になってたから美貴も恥ずかしくなって目を合わせないようにする。
真希も動揺してたらしく、ドアに頭をぶつけていた。
なんか、情けないなぁ…。

部屋に戻って寝転がるとさっきの事が頭の中で再生されてる。
―――別に家族なんだし裸ぐらいどぅでもいい事なのになぁ
改めて考えるとそぅなのだが最近はなんか意識しだした。
多分、真希の行動のせいだろぅけど。

一人で唸っていると真希が戻ってきた。
部屋に入るなり「何も見えなかったから!」と叫んだ。
美貴は情けない返事しかできず「うん」としか言えなかった。

でも真希の顔があそこまで真っ赤になるって事は多分見えてたんだろうなぁ。
110 名前:絶詠 投稿日:2004/07/18(日) 23:29
>紺ちゃんファン様
うわぁん!こんな作品を面白いと言っていただけて幸せですぅ!!
更新ペース遅くなってますが(泣)よろしくお願いします♪

>名無し読者さま
切なさが伝わっただけでも幸いです〜。
実らない恋ってのが一番キツイですからね…が、がんばれ、みんな(爆)
レスありがとうございました!!
111 名前:絶詠 投稿日:2004/07/18(日) 23:30
こ、更新しました。
ヤバイです、ペースが落ちてます。(汗
が、頑張るぞぉ!(滝汗
112 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/19(月) 22:10
                ◇◆◇                  

湯船に顔をつけて息を吐く。
ブクブクという音と共に空気の泡が立つ。
顔を上げて頭に浮かぶのは、いや…見るつもりは無かったんだけど…。

―――美貴ちゃんの、裸。


「うわぁぁ、もー!」

そんなバッチシ全部丸見えって訳じゃないけど、少しは見えちゃったというか…。
姉の裸でここまで顔真っ赤にするって、どーよ?アタシ……。
てゆヵ何も見なかったって事にしよ…。

さっきまで冷えていた体はどこにいったのか。
あたしの体はのぼせる位に火照っていた。
一発、水を頭からかぶってみたものの寒いだけで効果はなかった…。


結局、部屋に戻って美貴ちゃんの顔を見たらますます真っ赤になっちゃったんだけど。

                  ◇◆◇                   
113 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/19(月) 22:18
まともに顔が見れなくてずっとそっぽを向いてた。
美貴ちゃんの方が落ち着き(?)を取り戻したのが早く何かしている。

「何してんの?」
「…んー。携帯いじってるだけ」
「ここじゃ使わないんでない?」
「そぅだね…」

テンション低いよ、美貴ちゃん。
裸見られたからかなって思ったけど違うらしい。


「真希ー」
「んぁ〜?」
「あのさ…」
「何?」
「…なんでもない」

意味わかんない。
なんで思いつめた顔してんの?美貴ちゃん。
なに考えてんの?

「意味わかんない、言いたい事はちゃんと言ってよ」
「…なに話すか忘れた」
「あ、…そ」

言いたくないなら無理に言わすことない、かな?
美貴ちゃんにこんな顔をさせてるのは誰なのか、あたしにはわからなかった。


―――あたしも美貴ちゃん位に鈍感だね。

114 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/19(月) 22:25
昨日の夜は寝付けたような寝付けなかったような。
まぁ普通に言えば寝不足。

「…真希のせいだ。」

一人で早朝の散歩をしながら呟く。
どーせ亜弥ちゃんとはお昼じゃないと会えないし。
誰でもいいから人に会ったら家に帰ろうと決めた。
じゃないと何か帰る気しないもん。
115 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/07/19(月) 23:01
テクテク歩いていると人影が。
これで帰るんだなー。
…顔が見えたら近づいたら帰ろうっと。

顔が見えるくらいまでその人影に近づいたらギョッとした。
その人はすごくキレイな子だった。

愛ちゃんや亜弥ちゃんと同じ年代の女の子。
何というか…ここには若い女の子が多すぎるな…しかも全員美少女ときた。
そんな事を考えてるうちにその子はあっという間に通り過ぎていく。

…キレイだけどあそこまで顔が強張ってるのもイヤだな。

口は固く結んで目はしっかりと前を向いて。
いかにも優等生っぽい子だ。
本当なのに偽者。
美貴は一瞬だけだったがその子を見て胸が切なくなった。

―――なにがこの娘をそぅさせてる?

その女の子は『天使』みたいだ。
116 名前:絶詠 投稿日:2004/07/19(月) 23:04
きっと2週間更新できなさげ。
いやできるときはしますが。(泣)
語り手チェンジがわかりマスでしょぅか!?
ではでは、この辺で。
117 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/20(火) 12:00
二日連続更新お疲れ様です。
ミキティかなり意識してますねぇ。
続き楽しみにしてます。
118 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/20(火) 22:58
ぬぁ…亜弥ちゃんがごっちんに取られるw
119 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/06(金) 16:51
家の前まで来て溜息が出た。
いや足が重い、という感じだ。

「……ハァ……」
「朝っぱらから溜息なんてつかないでよ」

後ろから声がした。
振り返ると眠そうな顔の真希がいた。

「何してんの?」
「美貴ちゃん捜索に行ってた」
「うそ!?」
「うそ」
「………真希」
「冗談です。朝の運動に。近く歩いてた」

言いながら先に家に入っていった真希。
そんな何事も無かったようにされると逆にイヤなんだけど…。
それを追いかけるようにして美貴も家に入った。
120 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/06(金) 17:07
洗面台に行ったら真希が顔を洗っていた。
後ろ姿を見ると大きくなったなぁ、って思う。
こんな母親みたいな事言っちゃう位に昔は小さかった。
ボーっと見ていたので真希が使い終わっている事に気づかなかった。

「みーきーちゃん?」
「…ぇ…あっ」
「寝ぼけてない?」
「真希じゃあるまいし」
「そんなコト言えるくらいだったら大丈夫だね」
「は?なにが?」
「ぃや…昨日の…気にしてるかなって…」
「あ…べ、別に気にしてなんかないし……」
「そ、そうだよねー!ゴメン、変な事言って!」

顔を真っ赤にした真希が小走りで去っていった。
洗面台にある鏡を見たら美貴もゆでタコに真っ赤だった。
もぅ忘れようって思いながら顔を洗った。
121 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/06(金) 17:20
部屋に戻ってゴロゴロしていると朝みた女の子の事を思い出した。

「真希ー」
「んぁ?」

うたた寝をしていたのか奇妙な返事が帰ってきた。

「…起きてる?」
「バッチシ」
「ハァ…あ、朝ね、天使みたいな女の子みたんだよ」
「…その子さぁ髪ストレートなのにちょぃくせっ毛って感じ?」
「ん?うーん…そんな感じかなぁ?」
「優等生って感じだった?」
「あぁもぅホントに見るからに優等生だった」

真希は何かを感じ取ったかのように美貴の肩を掴んで強く聞いてきた。

「どこ?」
「どこって…場所?えぇっと…わかんないけど美貴が散歩してきた道…」
「詳しくは分からない?」
「う、うん」

そっか、と言って肩から手を離した。
きっと真希が『天使』って言ってた子なんだろぅと美貴も思った。

あの子だったら真希が惹かれる理由も分かる気がする。
なんとなく、そんな気がする。
真希が、もう一度あの子と会えるといい。
122 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/07(土) 00:09
「てゆーかさぁ…」
「え?」
「最近、みきたんはあたしよりも真希ちゃんって感じじゃない?」
「は?」

お昼になって亜弥ちゃんといつもの丘の上デート(?)をしている最中。
亜弥ちゃんが急にそんなコトを言った。
美貴はいつでも亜弥ちゃんが好きなのになぁ、そりゃぁ真希も大切だけど。
やっぱり亜弥ちゃんと真希は大切だけど意味が違うと思う。
…それが口にできれば何にも苦労しないんだけど。
「亜弥ちゃんが大好き」って改まって言うとかなり照れるものがある。

「だって真希は妹だもん」
「みきたんは妹って事にこだわりすぎ、そんなだからスキだらけなんだよ」

(…関係ないと思うな)
そんなコトを口にしようものならそれこそ怒りが爆発してしまう。
妹って思うことで隙ができるって…意味わかんないじゃん。

「とーにーかーく!みきたんはあたしのモノなんだから間違えないよーに!」
「……うんっ」

照れもせずにそんな事を言っちゃってくれる亜弥ちゃんが可愛くて美貴が真っ赤になった。
でも美貴は照れて言えないから亜弥ちゃんを抱きしめる事で気持ちを表した。

亜弥ちゃんは真希のことを話すとちょっと怒る。
123 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/07(土) 00:22
「あ、そぅだ。亜弥ちゃん、高橋愛ちゃんって子知ってる?」
抱きしめていた手を解いて、ふとそんな事を聞いてみた。

「ん〜知ってるって言うか同じ中学だったよ」
「へぇーそぅなんだ」
「田舎だからねーガッコ1個しかないもん。この辺りは」
「まぁ確かに」
「なんで?」
「この前その子に道案内されたから」
「ふーん」

不完全燃焼って言葉がピッタリな顔をして亜弥ちゃんが考え込む。
何か美貴、変な事言った?

「ねーみきたん、愛ちゃんと会ったのってこの近く…だよね」
「うん、近くっていえば近く」
「そっかそっか」
「どしたの?」

亜弥ちゃんは一瞬口篭もったけどすぐに口を開いた。
けど、その一言が美貴を少しだけ驚かした。
124 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/07(土) 00:24


「愛ちゃんね、中学卒業してからどっか行っちゃって音沙汰無しだったから。
 帰ってきたんだね、やっぱり。あたしも会いたいなー」

125 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/07(土) 00:26

亜弥ちゃんは遠い目をして、そんな事を言った。
美貴はなにが何だかさっぱり訳がわかんなかった。
126 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/08(日) 22:51
「…ん、…ちゃん……美貴ちゃん!」
「わぁっ!!」
「こぼれてるって」
「え?…あ」

あれから愛ちゃんのことが気になって美貴はずっと上の空だった。
気になるっていうか何があったんだろう?という感覚に近い。
でも亜弥ちゃんには何も聞かなかった。
聞いちゃいけないって本能が言ってた…ような気がした。

自分の事を他人が色々言ってたらイヤだから。
愛ちゃんの事は愛ちゃんに聞かないといけない気がした。
…でも結局考えても何も思いつかない訳で。
大体、美貴は何にも知らないのに考えても始まらないだろう。

「だーかーら!美貴ちゃん、こぼすなぁ!」
「あ…」


美貴は夕ご飯のとき3回ほどおばあちゃんのご飯をこぼした。
その度に真希が注意してきたけど今日ばかりは素直に受け止めれた。
いつもは何かっていうと言い返してケンカになるけれども。


……なによりも美貴が愛ちゃんに会える日は来るんだろうか。
127 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/08(日) 23:01
できる事ならずっと傍で笑っていて欲しかった。

幼馴染という関係でもいいから。

ただあなたの傍に居たかっただけ。

別に「傍にいて」と頼んだわけでもない。

「付き合って下さい」なんて言ったわけでもない。

でも「ここを出る」と言われた時、私は壊れてしまいそうだった。

―――お願いだから、遠くに行かないで。

そう言えばよかった。言って引き止めれば良かった。

けど絶対にそんな事できない。

あなたの重荷にはなりたくないんです。

ただでさえドジな私だから迷惑はかけられない。

だから見送りにも行かなかった。

―――愛ちゃん。

私はあなたのところに絶対に行かないから。

せめて、もう一度だけ、愛ちゃんの笑顔を見せてください。
128 名前:絶詠 投稿日:2004/08/08(日) 23:05
>名無し読者さま
嬉しいお言葉ありがとうございますっ!
うーん、藤本さんは照れ屋なもんですからっ!(笑)
続き遅れがちですが待っていてください♪

>名無し飼育さん
大丈夫っす!松浦さんは藤本さん一筋!後藤さんも藤本さん一筋ですから!
…あれ?モテAですね、藤本さんw
129 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/10(火) 23:45

ずっと言いたかった言葉がある。
けれども本人には言葉を伝えられないままで。
あなたは去ってしまった。
130 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/11(水) 00:04
「あーさーみーちゃーん!」

ホームルームが始まる前、私のクラスのドアから声がした。
元気な声で私の名前を呼ぶのは幼馴染の愛ちゃんだ。
学校は一緒でも学年が違うから愛ちゃんが私を呼ぶごとに注目を浴びる。
ビクビクしてて下を向いてばかりいて話もろくにできなかった時もあるが、
そんなのは最初だけで今は周りも私たちが幼馴染と知っているから何も言わなくなった。

「今日、部活休みやし一緒に帰ろー!」
「うん。じゃぁ校門で待ち合わせね?」
「わかった!それじゃ」

そう言って自分のクラスへ戻っていく。
愛ちゃんは合唱部に所属している。
3年生で驚異の歌唱力を持っているらしく憧れの人といってもおかしくはない。
そんな愛ちゃんと親しい私が嫉妬される事も度々あったりもする。
田舎だし人も少なく、その上男子がいないも同然と来れば同じ部活の先輩に憧れを持つのは仕方ない。
そう思っているから何か言われても仕方ない、と思ってしまう。

愛ちゃんは気づいてないのかな、と思ったが私が愛ちゃんファンに呼び出されたときに、
助けに来てくれた、というか強く愛ちゃんファンの子に言っていたのを知ってるから。
そんなお姉ちゃんみたいな愛ちゃんが私は大好きだった。
131 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/11(水) 00:07

こんな風に幸せだったのは私が中2の時。
毎日が暑くて、その度に愛ちゃんがぼやく。
そして私がそれをなだめる。


―――そんな中2の夏。

132 名前:絶詠 投稿日:2004/08/11(水) 00:09
うぅ…更新量少ないですが、ちょっと話が進展したかと。
当分、sage進行で行きたいと思います。
や、更新量が多くなった時にでも上げようかな、と。
とりあえず本日の更新はここまで、です。
133 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/11(水) 00:35
更新ハケーン!しました!
うむ、愛ちゃん、すごいね。憧れとは。
紺ちゃんにもがんばってほしいですね。
134 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/13(金) 22:40
「天使さんを捜しに行って来ます」
「は?」

急に真希が変な事を言い出した。
いや天使さんって本名あるんでしょ?一応人間な訳だし。
それとも真希は聞いてなかったりするんだろうか。

「美貴ちゃんはマッツーに会いに行くのが楽しそうなので、あたしは天使に会いに行ってくる」
「それはわかったけど…場所わかるの?」
「だから捜しに行くんだって」
「…危険なトコには行っちゃダメだかんね」
「小学生じゃあるまいし行かないよ」
「無茶しそうだから言ってみただけ」
「お昼食べたらすぐ行ってくる」

宣言どおり真希はお昼ご飯を食べ次第すぐに家を出て『天使』を捜しに行った。
昨日美貴が話題に出したから行ったのかもしれないなぁ。
135 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:19
天使さんを捜しに出てから20分経過。
今だそれらしき人には会わない。…捜すっつってもただ歩くだけだけど。

「やっぱり学校かなぁ…?」

天使…紺野あさ美と出会った場所だから、もう一度行けば会えるかもしれない。
あたしはすぐに学校へと足を向けた。


屋上へと続く階段を駆け上がる。
―――会えるかもしれない。
そんな思いがあたしの胸を高鳴らせた。

―――バァン!!

と、強くドアを開け辺りを見回す。

「…いた…いた!紺野あさ美!!」

136 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:21
その姿を見つけるやいなや大声で名前を呼んだ。
紺野は体をビクッとさせ、恐る恐る振り向いた。

「あっ…いつぞやの…えっと…藤本さん?」
「…あー…あたしホントは藤本じゃなくて、ごとう、後藤真希いうんだ」
「そぅなんですか?」
「うん――だから藤本じゃなくて後藤の方で呼んでよ」
「?…はぁ」

紺野はずっと頭に?マークが浮んでいたけど気にしない。
だってあたしはそう呼んで欲しかったから。
会って間もないのに紺野にだけは呼んで欲しかった。

「あ、あたしも紺野って呼んでいい?」
「後藤さんの呼びたいように呼んでください」
「うん、そうする」

あたしが「藤本真希」ではなく「後藤真希」なのかは、また別の話。
今は紺野に会えたから感動っていうか嬉しく思えた。
137 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:22
「それで今日はどうしたんですか?」
「えっ?どうって何が?」
「こんなトコに好んで来る人は珍しいですから」
「えーっと…ひ、ヒマつぶし?」
「私に聞かないで下さい。じゃあ質問していいですか?」
「どうぞ」
「何で入ってくるなり私の名前を叫んだんだですか?」

こーゆー場合ハッキリと「紺野に会いに来たんだ」って言ったらどんな顔されるんだろう。
でも他に理由思いつかないし…。

「ホントは、もう1回だけでも紺野に会いたくて来たんだ」
「……」

驚いて何もいえないって感じだった。
別に気持ち悪がられもせず少しの間を置いて「そうですか」とだけ言った。
紺野って話す時あんまり表情に変化がないんだ。
何を言っても無表情―――そんな雰囲気ばかりが出ていた。
138 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:23
「なんで……」
「え?」
「なんで後藤さんは私に会いに来たんですか?」

急にそんな事を聞かれたら返事に困る。
あたし自身よくわからないのに。

「会いたかったから」
「え?」
「ただホントに会いたかったから来たんだ、迷惑かもしれないけど」

紺野の顔が変わった。
驚いて、それから、頬を緩ませて、それから

139 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:25


――――――笑った。

140 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:26
「……ん……ぃ…す」

その顔に見惚れていると紺野が口を開いた。


「え?」
「全然、迷惑なんかじゃないです、嬉しいですっ」
「……」
「あっ、すいません、変な事言いました…」
「そんなことない!」

つい大声を出してしまったあたしに紺野がビクッと体を強張らせる。

「変とか…そんなことない…あたしも嬉しかったし」
「そうですか」
「あっ…」

また無表情に戻ってしまった。
何かあたしは悔しくて、また紺野の笑顔がみたい、と思った。

「後藤さん」
「え?」
「また…会えますか?」
「…っ……うん!つーか絶対会える、会う!」

そう言うと紺野は、笑った。
141 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:27
その顔は本当に『天使』みたいで。

今までの『天使』の雰囲気とはまた違った感覚。

笑う紺野はキレイで、あたしの胸を高鳴らせた。

その高鳴りは美貴ちゃんと接する時のそれに似ていた気がする。

紺野の笑った顔が、


―――あたしの網膜に焼きついて離れなくなった。


142 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:28
「あの…じゃあ明日また、ここにいますから」
「うん、あたしも来るから、絶対」
「はい」
「約束、しよう?」
「はいっ」

あれから無表情にはならなくて笑顔とはいかないけど雰囲気が変わった。
なんか和らいだって感じに近い。
階段を降りて学校を出るまで一緒だった。
そんなに話をするわけでもなく歩くんだけど、あたしはそれだけで充分だった。

あたしは分かれてからも尚、紺野の名前を心の中で復唱していた。

143 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 00:29


何故か
美貴ちゃんと紺野―――二人の顔が頭に浮んだ。


144 名前:絶詠 投稿日:2004/08/14(土) 00:33
>紺ちゃんファンさま
レスありがとうございます!
高橋さんは歌上手いんで…さすがだな、と思うトコロもありますから!!
そんなトコを踏まえまして後輩にモテそうだな〜という感じですかね、はいっ!
この二人の話はまだまだこれからです…(謎)


更新量減ってるなぁと思いつつ…このお二人さんが書けたので満足デス…。(泣)
ではAこのへんで…。
145 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 15:24
真希が家を飛び出していってから美貴も亜弥ちゃんの元へ向かう。

なかなか他人というものに興味を持とうとしない、あの真希が「天使」には夢中。
確かに美貴が見たあの子が「天使」だとしたら気持ちはわからなくもないけど。
すれ違っただけだから詳しくはわかんないけど何か惹きつけられる。
放っとけないような気がする。

「みきたん!」
「あ?」
「『あ?』じゃないよ、…どうしたの?」
「別に何もないよ、ちょっと考え事」

亜弥ちゃんと会ってからもボーっとしていた。
最近は多いんだなぁ、考え事、というかボーっとすること。
心配したような顔で覗き込んでくる亜弥ちゃん。
……可愛いなぁ、もぅ。

「うわっ、何!?みきたん…」
「ん〜…なんとなく」
「なにそれ…」

亜弥ちゃんを力強く抱きしめた。
離れないように。ギューって抱きしめた。

「暑いよ、みきたん」
「うん」

と、言って体を離す。
確かに暑いし美貴の思いは伝わっただろうなってわかったから。
146 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 15:25
「みきたん、歩こうよ」
「いきなりだね…いいけど」
「じゃ、行こう」

手を繋いで歩き出す。
すぐに手に汗をかいてしまったけどお互い顔を合わせて手を拭いて、また繋ぐ。
言わなくても伝わる事が多いから亜弥ちゃんといると安心する。
真希と居る時は楽しいけど、亜弥ちゃんといる楽しさとは違う感覚。

「あ…」

突如、亜弥ちゃんが声を上げた。
何だろう、と思い目の前を見ると、知った顔がある。
147 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/14(土) 15:26
美貴が会いたいと思っていた人―――愛ちゃんだった。

「あ、いちゃん…?」
「うん、久しぶり亜弥ちゃん。…それから、藤本さん」
「久しぶり、じゃないよ。どこ行ってたの?」
「……」

動揺を隠せずにいる亜弥ちゃん。
口調が少しキツくなり愛ちゃんに問う。
亜弥ちゃんとは対照的に、静かに黙る愛ちゃん。
それに、何も言えないでいる美貴。

…なんとも言えない雰囲気に飲まれてしまった。
148 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/16(月) 00:44
作者さま、更新どうもです。
よかったですね。ごっちん。なんかうまくいきそうな・・・
おっと!これからは次の更新を待たないと・・・。
亜弥ちゃんと美貴ちゃんと愛ちゃん・・・。
これは微妙な三角関係???
楽しみなところ満載!というわけで次回更新
楽しみにしてますです。
149 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 21:51

『……ハァ……』
『え?』

美貴と真希、二人で顔を見合わせる。

「なに美貴ちゃん、ため息なんかついて…」
「それは真希だって一緒じゃん」
「いろいろあるんだよ」
「確かに…ね」

『……ハァ……』

また同時にため息。
「二人とも、ご飯は残さんでなぁ」
ちょっと心配している顔のおばあちゃんの一言で美貴達はハッとして慌てて箸を動かした。
150 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 21:53

――――――――――――――――――――

「どこ行ってたの?」
亜弥ちゃんが愛ちゃんへと言葉を投げかける。
「……」
「紺野ちゃんだって愛ちゃん出て行ってからすごい元気なかった」
「…あさ美ちゃんには言ったから」
「そう。…ほんの一言でもいいからあたしに言って欲しかった」
「うん…」
「残される方の事…考えてよ」
「……」

二人が黙り込む。
何も言えないでちょっとオロオロしながら二人を見る美貴。
かなり気まずい。

沈黙を破ったのは亜弥ちゃんだった。
「じゃあ何で今さら戻ってきたの?」
「……」
「黙ってちゃ何もわかんないよ!」
「しいて言うなら…けじめつけに帰ってきた」
「…っ…」

何かを言おうとして言葉に詰まる亜弥ちゃん。
愛ちゃんは割と冷静に構えている。
151 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 21:53
「…わかった。夏休み終わるまでいるの?」
「けじめつけれたら戻るつもり、…なかなか難しいけどね」
「…紺野ちゃんに会うの?」
「そのために戻って来たんだから」
「そっか…うん…じゃあまた。行こ、みきたん」
「…えっ?あ、うん」

亜弥ちゃんが美貴の腕を引っ張って歩いていく。
始終黙っていたせいか言葉を発するのに時間がかかった。
愛ちゃんの横を通り過ぎるときに、さっきまでは冷静だった表情が今は泣きそうだ。
亜弥ちゃんは気づいていないのか、どんどん前に進んでいく。

―――このままじゃいけない

美貴の本能がそう言ってる、…ような気がする。

「あ〜…っと、亜弥ちゃん!ちょっと止まって!」
「なに?」
「いや…え〜っと、あ、愛ちゃん!」
後ろを振り向いて愛ちゃんに呼びかける。
5メートルくらい離れてたから普通よりも少し大きめの声で愛ちゃんを呼んだ。
愛ちゃんは立ち止まってたから驚いたように振り返った。
美貴の腕を掴んでいた亜弥ちゃんも驚いて手を離した。

「えっと…その…この間はホントにありがとう!ま、真希も感謝してたから!」
まったくもって意味不明なことを口走ったと思う。
でも他に何を言っていいかわかんないから。
愛ちゃんは一瞬目を見開いて、それから少しだけ微笑んだ。
ペコリ、とお辞儀をしてから美貴たちの進行方向とは逆に向かって歩いていった。
152 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 21:54
「みきたん…」
「な、なにっ?」
亜弥ちゃんが呆れたようにこっちを見ている。
「みきたんらしいというか何というか…」
「やっぱ意味不明だったよね…」
「そーゆーんじゃなくて、そんな所がイイなぁって思って」
「?」
「みきたん居て助かったかも、ありがとーね」
「え?なにが?」
「わかんないならいいです!」
「あ、待って」

スタスタと歩いていきそうな亜弥ちゃんの手を掴む。
さっきまで繋いでたのを離してしまったから繋ぎなおしだ。
亜弥ちゃんの呆れ顔が笑顔に戻っててちょっと安心した。

亜弥ちゃんと愛ちゃん、それから「紺野ちゃん」って子。
この前の『天使』みたいな子のことも気になるし。
最近の真希の様子もいつもと違うから変な感じだし。

…なんか考えてばっかりで頭パンクしそう。


――――――――――――――――――――
153 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 21:56
「美貴ちゃん」
「なに〜?」

二人でボーッとしまくってた夕ご飯も食べ終わり、いつもの通り部屋でのんびり。
そんな癒しの時間を壊すかのごとく真希の一言が飛び出した。

「あたしのコト好き?」
「は!?」
「いや何となく思っただけなんだけど、ね。聞いてみたくて」
ご飯の時に言わないでくれて良かったよ…絶対喉に詰まらせてたから。
「え〜、好きっていうか大切」
「こーんな可愛い妹だからでしょ?」
「自分で言う?最近は生意気盛りなくせに」
「…好き?」
「そりゃ生意気でも好きに決まってるじゃん」
154 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 21:57
めずらしいコトを聞いてくるから何かあったのかな?と思った。
真希が素直に気持ちぶつけてくるなんて事は今まで数えるくらいしかなかったから。

「真希?」
「ヘッ!?」
「なんかあった?」
「なんでもない、なんでもない。ちょっと聞きたかっただけだから」
「その慌てぶりが怪しいんだけど」
「あー…今日、天使に会ってね、なんか不安になった。よくわかんないけど」
「…真希もしかして昔の事、思い出した?」
「違うよ…それはもう大丈夫だから。ほら最近あたしは美貴ちゃんにバカな事してるから。
もしかしたら嫌われちゃったかな〜?と思って、ね?」
「そっか」
「うん、もう大丈夫だから、ありがと美貴ちゃん」

真希がそう言ってくれるのは嬉しいけど、美貴としては心配なわけで。
しかも真希ちょっと目が潤んでるし!
うーん…真希の泣き顔はみたくないしな…。
155 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 21:59
「真希、ちょっとこっちおいで?」
立ち上がって美貴の目の前に座る。向かい合って座った事になる。
でもこれじゃ距離が少しあるので…。

「うわっ、何すんの!?」
「いや、ちょっと黙ってよ」
真希の体を引き寄せてギュッと抱きしめる。
丁度真希の頭が美貴の胸くらいに来るように抱きしめた。
「美貴ちゃん、体制キツイから離してー!」
「真希、もう少し我慢して」
「我慢してって…」
「美貴、ちゃんと真希のコト好きだからね。大丈夫だよ?」
「なっ……」
「ちゃんと傍にいるからね?」
「……ぅー……」

いつもはこんな事しないけど(真希が嫌がるから)今日は特別。
頭を撫でてやると真希が泣き出した。
結局、泣かしちゃったよ…。
でも真希がギュってしがみついてくるから。
別にいっか、と思った。
泣きたいんなら好きなだけ泣けばいいって教えられたし、ね。
156 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 22:01

―――大丈夫だよ、真希。
   昔の事は忘れてもいいからさ。
   美貴がちゃんと守ってあげるから―――
157 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 22:03

抱きしめている体はいつもよりも小さく見えた。
大人っぽく見えても、やっぱり真希は真希のままってコトが嬉しくなった。
158 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/18(水) 22:03
念のため…
―――亜弥ちゃん、ごめんなさい。これは不可抗力なんです。
心の中で謝罪しておいた。
159 名前:絶詠 投稿日:2004/08/18(水) 22:09
>紺ちゃんファンさま
毎回レスありがとうございます!(喜)
いやはや人間関係が微妙になってきましたが…。
と、とりあえず後藤さん&紺野さんは、これからこれから♪ですね。
高橋さん…応援してあげてください〜_| ̄|○


うかうかしてたら夏が終わってしまいますね…。
更新ペース上げていかないとヤバイです。
が、がんがります(汗)
160 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/19(木) 23:37
作者さま、更新どうもです。
もちろん、ごっちんと紺ちゃん、そして愛ちゃんを応援したいと思います。
美貴ちゃんも、亜弥ちゃんもネ!!!
更新、がんばってください!
161 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/24(火) 23:00
真希の鼻をすする音が聞こえなくなって数分が経った。
頭を撫でている手を背中に回して抱きしめる。

「真希、落ち着いた?」
「……うん」
「いろいろあって普段使わない頭使いすぎたんだね、きっと」
「うるさいなぁ、ちゃんと普段から使ってますぅ」

憎まれ口を叩けるくらいだから、きっともう大丈夫だろう。
手を離すと真希が立ち上がった。
「真希?」
「顔洗ってくる」
タンタンと階段を下りる音が聞こえる。
―――普段使ってない頭使ってんのは美貴の方かな?
162 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/08/24(火) 23:23
家に帰ると虚無感だけがあった。
誰も「おかえり」と言ってはくれない。
温かい夕食ができているわけでもない。
ただ毎日が淡々と過ぎてゆくだけ。
恐くてつまらない日々が過ぎてゆくだけ。

    タスケテ。

誰かあたしを助けて。
一人はどうしようもなく寂しくて恐いんだ。
それから、どんどん恐怖があたしの声を侵食していくんだ。


―――いつからだろう?
家に居る時間よりも外にいる時間の方が長くなったのは。

―――いつからだろう?
あたしを侵食していったものが消え去っていったのは。

―――いつからだろう?
もう毎日が「つまらない」なんて思わなくなったのは。

―――いつからだろう?
キミに惹かれていったのは。


あたしはキミに会う事で何もかも救われたんだよ?
163 名前:Magic 投稿日:2004/08/24(火) 23:36
初めて会ったとき、太陽みたいだって思った。

緊張してるのか少しどもりながら話すとこが可愛くて。

真顔になったりすると目つきが悪くなったり、フニャッて笑うときがあったり。
年上なのに、すごい甘えん坊の時があったり。

何もかもが眩しくて、それからあたしとは違うんだと実感させられる。

それでも。

それでも嫌いにならなかったのは「好きだよ」って言ってくれたから。
照れ屋でカッコよくてすっごく優しい。

あたしが笑えるのは全部キミのおかげ。

だから「みきたんはあたしだけのモノ」なんだよ。

たまに曇りがかった太陽みたいな存在が愛しくて仕方なかった。
164 名前:絶詠 投稿日:2004/08/24(火) 23:44
更新については何も触れないでおこうかと…。

>紺ちゃんファンさま
ホンットーにいつもありがとうございます!!(平伏)
もうパワーもらいまくりで頑張っておりますよ。
只でさえ量が少ないのに目を通していただける方が居るだけで感動ですから!
後藤さん、紺野さん、高橋さんは徐々に追って行こうと思います。
み、みきあや不足な上、後紺不足気味でもありますので…ゲフッゲフッ
レスありがとうございました。
165 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/25(水) 00:24
作者さま、更新ありがとうございます!!
>>164
あっ。。。ありがとうございます!
感動だなんて。。。恐縮でーす。。。
ここは私の『お気に入り』ですから!!
これからもがんばってください!!応援してます!
166 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:21


―――ただキミが愛しくて、たまらない。

167 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:23
時刻は夕方。
もうすぐ夕日が落ち始める時間帯なので人影は、まったくと言っていいほどない。

「みきたん?元気ないよ〜?何かあった?」
「うーん…『何か』あった…」
「どーせ真希ちゃん絡みでしょ〜?」
「うん、バレバレですか?」
「バレバレです」

相変わらず真希ちゃんが大切なんだね、みきたんは。
でもたった一人の妹だからってちょっと過保護すぎない?
それとも真希ちゃんがみきたんのコト好きって気づいてないの?
ねぇ、お願いだからそんな顔しないで。

「真希ね、最近、不安定なんだ」
「…なにが?」
「いろいろ。こう…悩んでるんだけど美貴には何も言ってくれなくて」


―――それは好きな人には弱みをあんまり見せたくないからなんだよ、みきたん。

168 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:24
「あっ、でも昨日は泣いちゃって可愛い面も久々に見れたんだけど…」
「……」
「美貴としてはもっと頼ってほしいんだけどなぁ」
「みきたん」
「ん?」
「あたしと真希ちゃん、どっちが大切なの?」
「え…え、と…大好きなのは亜弥ちゃん。…でも真希は…」
「ちゃんと答えて!」
「亜弥ちゃんのコトは大好きだよ…でも……」

大好き、と言ってもまだ真希ちゃんの事を言うみきたんがムカついて。
声を大きくして言ってもまだ言うからムカついて。
ウソでもいいから今だけはハッキリと言ってほしかった。
そんなのは単なるワガママだってわかってる。
それでも……

「みきたん」
「な、なに…?」
「あたしの事好きなんだよね?」
「うん…」
「じゃあ何してもイイんだよね?」
「えっ…なっ…や、やだ!何…っ…」

隙を突いてみきたんの手首を掴んで押し倒した。
二人とも座っていたからそこまで力を入れなくても簡単に押し倒す事ができた。
怯えて、何が起こっているのかわからないって目をしてる。
169 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:25
嫌がるみきたんの唇に自分の唇を押し付ける。
何度も何度もキスをした。
舌を入れて口内を犯して、唇を話した時には透明な糸が唇を繋いだ。

「…ハァ…ッ…あ、や…ちゃん?」
「みきたん、何でそこまで真希ちゃんが大事なの!?」
「…真希は…みきの…大切な妹なんだ…」
「っ!!」

何度聞いても理由すら言ってくれずに真希ちゃんが大切だという。
悪くないのに真希ちゃんにも怒りを覚えて、その怒りはみきたんに向かう。

片手でみきたんの両手首を掴む。
上からの力に、みきたんは抵抗できずにいる。
服の上から胸を触るとみきたんがビクッっと体を強張らせた。
「あ、あ…やちゃ…」
「……」
何も答えずにみきたんの胸を揉んだ。
正直すぎるほど、あたしの愛撫に答えてくれるみきたん。
服の中に手を入れてブラの上から触ると今まで以上に大きな反応をみせた。
170 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:27
「…ひぅっ…んっ…も、やめ…よ?」
「何言ってんの?こんなに硬くなってるのに?」
「そ、そんなこ、と…ぅんっ…な、い」
「………」

片手で器用にブラをはずして直接触ると、みきたんの体が跳ねた。
「や、やだぁ!やめ…っ…あ…」
「何がイヤなの?嬉しいくせに。ね?みきたん」
「ふっ…あぅ……っ…」

手首を拘束していた手をはずしても力が入らないのか抵抗をしないみきたん。
服を捲り上げて胸の先に唇を寄せた。
「ふあぁっ!やだぁ!」
「いい加減やだって言うのやめたら?」
片方は唇でもう片方は手で愛撫すると確実にみきたんは喘ぎ声を上げる。

「みきたん、こんなに硬くなってるよ?」
「…ふぅ…んっ…い、…いわないで……ぅあっ…」
「あたしにこんな事されて嬉しいんだよね?」
「そ、そんな事…」
「あるんだよ?だからこんなになってるんでしょ?」
軽く噛むとビクンッと体は反応する。

涙を流しながらまだ否定するみきたん。
あたし自身、こんな事はしちゃいけないって思ってる。
でも切れてしまった理性はなかなか取り戻せない。
171 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:28
片手を下へと伸ばす。
みきたんはそれに気づき、最後の力を振り絞って抵抗を始めた。
「やだぁ!お願いだから、それだけはやめて!!」
体をジタバタ暴れさせて拒むみきたん。
今のあたしにはそんなのは邪魔なだけ、無理やりにでも欲求を満たしたかった。

「うるさいなぁ…」
「…んぅっ…うぅ…」
胸を愛撫していた手を止めて両方の手でみきたんを押さえつけてキスをした。
「ねえ、みきたん、嬉しいんでしょ?」
「ち、ちがっ…」
「じゃあ何でこうなってるの?」

みきたんが油断していた瞬間、下の服に手を入れ下着越しにみきたんのそこを触る。
「んあっっ!やめっ…あっ…や…」
「ビショ濡れだよ?無理やりされてみきたんは感じたんだよ?」

下着越しといえど指でそこを擦るだけでも感じるらしく、何度も指を往復させた。
「んぅっ!ぁうっ!あやちゃ…」
そろそろ直接触れようと手を下着の中に入れたとき。
172 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:29


―――パァンッ!!

173 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:30
高い音が鳴り響いた。
みきたんがあたしの頬を叩いたと理解するまでに多少時間がかかった。
「やっ…だ、はぁっ…はっ…」
「みきたん…」

本当に最後の力を振り絞ってあたしの頬を叩いた。
叩かれた事により痛む頬、徐々に戻っていくあたしの理性。

「…ごめん、みきたん」

今さら謝っても仕方ないと思いつつ謝罪の言葉を吐いた。
みきたんを見ると体は土と草に汚れて服はまくられ無惨な姿だ。
さっきまで気を張り詰めていたのか今では気を失っている。
こんな姿にさせてしまったのは、あたし以外の誰でもない。

みきたんの顔に残る涙の跡が痛々しかった。
服を着せてみきたんの体を抱きしめる。

「みきたん、ごめん…でも…大好き…だよ…」

あたしの目からも涙が流れてきた。
辺りはもう暗くあたしの中を表しているようだった。
人に見られなかったのが幸いだ、と思った。
174 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:31


―――みきたんの顔を見るたびに、ただ後悔だけがそこに存在していた。

175 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:32
「…ん…あ、亜弥ちゃん…?」
「おはよ、みきたん…」

数分経ってから、みきたんが気がついた。
みきたんがあたしの顔を見るとさっきの行為を思い出したらしくパッと顔を背ける。
あたしも抱きしめていた手を離して、みきたんと体を離す。

「あの…亜弥ちゃん?」
「……ごめん」
「謝るのは…美貴の方だよ…」
「…なんで、みきたんが謝るの」
「亜弥ちゃんに何も言わなかったから」

優しすぎるよ、みきたん。
あたし、みきたんのコトを無理やり犯そうとしたんだよ?
なのに謝るなんて。
バカじゃないの?
176 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:33
「みきたん、バカだ」
「うん、だから、亜弥ちゃん怒らせた」
「あたしが何したかわかってる?」
「…うん」
「じゃあ嫌いになってよ」
「それはムリ。無理やりするの…って嫌いだけど亜弥ちゃんは好きだもん」
「あー…もぅ…みきたんのバカ」

ここまで言われると呆気に取られて何も言えやしなくなる。
嫌われない嬉しさと後悔が胸に残って、みきたんの顔を見れなかった。

「亜弥ちゃん、顔見て」
「ムリ」
「お願いだから、ちゃんと向きあって話したいの」
「……」

そんな事を言われたら見らずにはいられないよね…。

「亜弥ちゃんにムリやり…されたのは、こ、恐かったけど嫌いにはならないから」
「……」
「美貴が言わなきゃいけない事は沢山あるし、だから…」
「みきたん」
「え?」
「まだあたしの事好き?」
「…大好きだよ」
「ならいい。話は明日してよ…今は聞けそうにないから」
「でも…」
「みきたんが好きでいてくれるなら、もう二度としないよ、あんな事」
「………」
「本当にゴメン。いつもの時間に明日、待ってるから」
「うん。…亜弥ちゃん」
「なに?…!!」

唇にやわらかいものが触れた。
みきたんの唇だ。
触れるだけの軽いキスだけど、今はそれが嬉しくて溜まらなかった。

「大好きだから、美貴、亜弥ちゃんのコト大好き」

その言葉があたしの胸を高鳴らせ、あたしはもう一度みきたんに惚れ直した。
177 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:34
みきたんはいつもあたしに魔法をかける。

太陽のように輝いたかと思えば、暗くなり輝きをなくす。

でもいつの時もあたしには魔法をかけて元気をくれる。

何をしても許してしまうみきたん。

優しすぎるみきたん。

何もかもが愛しく思えた。

あたしを助けてくれるのは魔法のようなあなたの存在だ。

そして、今日も、あなたはあたしを魅了するんだ。


ね?みきたん?
178 名前:Magic 投稿日:2004/09/06(月) 00:34


―――早くあたしに魔法をかけてね

179 名前:絶詠 投稿日:2004/09/06(月) 00:37
>紺ちゃんファンさま
もぅ感動のお言葉だらけです!
「お気に入り」だなんて…そんな、私が恐縮でーす(笑)
いやはや…夏が終わってしまい焦っているんですが頑張っていきますよ!
遅れましたがレスありがとうございました!
180 名前:絶詠 投稿日:2004/09/06(月) 00:39
ど、どうなんでしょう?松浦さん…。
いや私の中で藤本さんは受けだー!!(叫)
もうこれを書いたからには受けだー!!(しつこい)
夏が終わってしまって…危険ですが物語りは夏まっ盛りです(汗)
付き合っていただければ幸いです。
181 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/09/06(月) 23:46
更新嬉しゅうごじゃいましゅ。
亜弥ちゃん、美貴ちゃんを大切にネ!
>>179
そうですね。もうそろそろ秋の風が・・・なんて。
それでーわ、次回更新をお待ちしておるです。
182 名前:名無し読者 投稿日:2004/09/08(水) 18:06
あかん、泣けました。萌えました。感極まりました。
最高です。あやみきは最高です!
183 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/09(木) 15:57
大魔法使いミキターン♪
あなたの魔法は最高ですよ
184 名前:名無し読者 投稿日:2004/09/10(金) 19:18
こんな素敵な魔法をかけられたら
松浦さんは一生藤本さんから離れられませんね。
185 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/18(土) 22:47

もっともっと笑った顔が見たいと思った。

それほどまでにキミの笑った顔が好きだから。

…初めて美貴ちゃん以外の人間に興味を持った。

会った時から不思議な感覚に溺れて、そして、惹かれた。

プラスの感情ばかりでなく、マイナスの感情が多い感じがするキミの表情。

そんなキミを他の誰でもないあたしが変えたいって思ったんだ。
186 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/18(土) 22:50



自分に似ているという錯覚を覚えるほど、あたしと同じ顔をするから。


187 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 16:18

美貴ちゃんに泣きついた次の日。
恥ずかしくって顔を合わせ辛くてお昼ご飯を食べ次第ダッシュでここまで来た。
あたしが来た時にはまだ紺野はいなくて、壁にもたれかかってボーっとしている。

紺野は不思議な子で、どこか惹かれる。
いつもいつも空ばかり見ているような子が、あたしの興味をそそるんだ。
美貴ちゃんに対してとは、また違った『好き』って感情。
あたしの中で紺野の存在は、すごく大きい。

何故なのかわからないけど、会うたびにそれは膨らんでいくんだ。
188 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 16:19
ガチャッとドアの開く音がした。
「……あ、ここでしたか」
「ん〜…うん」
「見えないから来てないのかと思いました」
「ごめん、ごめん」

紺野は独特な雰囲気をもっている子。
なにがあってもマイペースで突き通すって感じだ。

「あの…何かありました?」
「え?」
「目が腫れてます」
「……そーゆートコは鋭いんだね」
「はぁ」

ボーっとしているのかな?って思ったら、些細な事には気がつくみたいで。
無表情が多いけど笑顔はすっごく可愛くて。


天使みたいにキレイで、なんともいえない子。
あたしが初めて、美貴ちゃん以外の人に興味を持った子だ。
189 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 17:40
紺野と隣同士に座って。ただ気になったことを聞いてみた。

「ねー…」
「はい?」
「紺野は好きな人とかいないの?」
「は?」
「だから好きな人ー」
「……わかりません」

紺野の顔が曇った。
こりゃ、片思い中ってトコかな?

「片思い?」
「………」
「だんまりは肯定とみなす」
「…後藤さんは?」

聞かれて困った。
ここは正直に言うべきか、言わざるべきか。
まぁ紺野に言ったところで、どうなるわけでもないし。

「いるよ?」
「同じ学校の方とかですか?」
「ううん、お姉ちゃん」
「は?」
「だからお姉ちゃん、1こ上の」
「………」

驚きが隠せないって表情。
なんだ、こんな顔もするんだ。
紺野は言葉が出てこないらしく、口をパクパクさせてる。
190 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 17:41
「軽蔑した?」
「…いいえ。なんとなく、わかる気がします」
「?」
「私も…幼馴染が好き、ですから。女の子ですけど」
「…なんかお互い辛い恋をしてるね」
「そうですね」

紺野と似ているって思ったのはお互い叶わない恋をしているからなのか。
きっと、それだけじゃない。

あたしは紺野の顔を知ってるんだ。
中学3年生という微妙な年齢。
何をするにしても上手くいかなくて悩んで、苦しむ。
だからこそ惹かれたのかもしれない。

でも天使にみえたのは、別の理由があるんだけど。
それはここでは関係ない。
191 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 17:42
「ねー紺野ー」
「なんですか?」
「聞いて欲しい話があるんだけど」
「はぁ」
「でも多分、今日は話せないと思うんだ。だから明日も会って?」
「いいですよ」
「ありがと」
「じゃあ今日は私の話、聞いてください」
「んあーいいよー」

紺野から笑顔が消えた。
またいつもの無表情に戻った。

「私、好きな人がいるんです」
「聞いた」
「幼馴染で1つ上のお姉ちゃんみたいな存在で…」
「うん」
「高橋愛って人なんですけど、ホント大好きなんです」
「…たかはし、あい?」
「知ってるんですか!?」
「え?いや、ど、どこにでもいそうな名前だなーって思って」
「あ…そ、うですか」

あたしの肩を掴んで聞いてくる程に好きなのか。
192 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 17:44
―――高橋 愛。
確か、美貴ちゃんと一緒にいた人。
そのとき、あたしはイライラしてて、よく覚えてないけど。
今思えば紺野と似たような顔をしていた気がする。

「愛ちゃん、中学卒業と同時にここを出たんですよ」
「うん」
「音楽の勉強をしたいって昔から言ってたから仕方ないって思いました。でも……。
でも遠くに行かないで欲しかった…私だけ置いてけぼりな気がして恐かった…」
「……うん」
「私、いっつもこうなんです。言いたい事言えなくて後悔ばかりして…」
「うん」
「ホントに大好きなのになぁ…」

涙声の紺野を抱きしめて背中をポンポンと叩く。
昨日、美貴ちゃんがしてくれたみたいに安心できるように。

「多分…近いうちに会えるよ、愛ちゃんに」
「そうでしょうか…」
「うん、約束してもいい」
「はい……っ……ひっ、く…」

泣き出してしまった紺野はますます似てると思った。
193 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 17:45

なんて罪作りなんだろう、高橋愛と美貴ちゃんは。
こんなにも好きなのに。
伝わらない、なんて。
194 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 17:45

あたしの腕の中で泣く紺野はみていて苦しかった。
ただ「好き」ってだけじゃなく何か別の事も関係しているような表情。
『好き』の裏に隠された思いがあるような気がした。
195 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 17:47
「……もう、大丈夫…です」
「そ?」
「はい、あ…ありがとうございました…」
「いいよ、別に」
「そうですか…」
「もう暗くなるし、帰ろっか?」

そう言って手を差し出すと一瞬ためらって、それから口元を緩ませた。

「はい」

泣いた後の紺野は、やっぱりどこかあたしに似ていた。

196 名前:キミだから〜真希&あさ美〜 投稿日:2004/09/20(月) 17:48

何故か切なくなって学校を出るまで繋げる手をギュッと握った。
繋いだ手は、温かくて。
あたしが泣きそうになる程に温かかった。
197 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/09/20(月) 17:49
言い訳もバッチシ考えた。何を言われてもバッチシだ!

「ただいまー」
「お帰り…って田んぼにでも突っ込んだ?」
「いや、こけた。派手に」
「ふぅん?ウソくさい…」

やっぱり真希にはウソはバレバレだったけど大して追求してこなかった。
その代わり、おばあちゃんには「何かあったんか!?」と怒られた。
全身汚れまくってれば、仕方ないことだけど。

お風呂にすぐ入って、汚れた体を洗う。
湯船に浸かって、なんとなく今日のことを思い出してしまう。
途端に顔が真っ赤になっていくのがわかる。

「……亜弥ちゃんのバカぁ」

ホントにのぼせそうだったから、大急ぎで出ようとしたんだけど…。
198 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/09/20(月) 17:51

――――あれ?ちゃんと立てない…頭、クラクラする…。
199 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/09/20(月) 17:52

最後に聞こえたのは真希が「美貴ちゃん!?」と呼ぶ声だった。
200 名前:あの夏の日、僕らの恋 投稿日:2004/09/20(月) 17:52
額に当てられたタオルが冷たくて気持ちがいい。

「……ん?」

まだハッキリしない視界に飛び込んできたのは泣きそうな顔の真希。

「美貴ちゃん?」
「ま、き?」
「何やってんの、バカ…」
「お風呂で、美貴、どうしたんだっけ?」
「のぼせて倒れてた…」
「あ、やっぱり…」

言った瞬間、真希の顔が一変した。

「『やっぱり』じゃないよ!こっちはめちゃくちゃ心配したんだからね!」
「ご、ごめん…」
「なんでのぼせるまで入ってるの…」
「か、考え事してて…」
「はぁ…もぉ…バカだよ、ホントに」

布団から起き上がろうとすると止められた。

「もう少し寝てないとダメだよ、タオル冷やしてくるから待ってて」
「ご、ごめん…」
「謝るくらいだったらバカなコトしてんなよー?」
「うん。…真希」
「なに?」
「ありがとーね」
「…っ。別に!普通の事しただけだし!」

真希は耳まで真っ赤にして部屋を出て行った。
何だかんだ言って、世話焼いてくれるから嬉しいんだよね、美貴にとっては。

「亜弥ちゃん……」

愛しい人のことを考えると、また倒れそうだった。
201 名前:絶詠 投稿日:2004/09/20(月) 17:59
>紺ちゃんファンさま
多分、松浦さんは欲求不満になるたびに同じ事するでしょう(エ?)
いや好きってコトに変わりないので愛の力で乗り越えます、きっと!!

>名無し読者さま
もうそんな事言われると、どこまでも飛んでいきますよっ!!
感極まりましたか!??(汗)
あやみき最高ですよね♪♪もとい藤本さん受けサイコ…(平伏)

>名無し飼育さん様
松浦さん限定のミキティーマジックです!!
一生かかると思います、松浦さんには。

>名無し読者さま
何があっても2人の愛は不滅ってコトで!
松浦さんは一生藤本さんにペッタリです♪♪


みなさま、レスありがとうございましたっ!
202 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/09/20(月) 22:21
そうでしたか・・・お互い辛い恋をしてるんですね・・・。
応援したいです。とっても。
美貴ちゃんと亜弥ちゃんはラブラブなんですかね〜?
次回更新待ってますヨ!
203 名前:名無し読者 投稿日:2004/10/01(金) 19:20
待ってます!
204 名前:名無し読者 投稿日:2004/10/12(火) 15:46
待ってます…
205 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/05(金) 21:46
まだまだ・・・
206 名前:絶詠 投稿日:2004/11/07(日) 22:36
うぅ……スランプに陥ってる間、レスしてくださる方がいるだけで幸せです。
……まぁ。いつもそぅなのですが。
しばらくの間、森の方に集中させていただこうかと、思いまして。
本来ならば夏の間に終わるはずが…こんな情けない結果となり。
それでも読んでくださる方がいるだけで、嬉しくなり、やってこれました。
いや、自己満足でもあるのですが。
森が終わり次第、すぐにこちらに戻ろうかと思ってますので…。
自分勝手なワガママで申し訳ないです。
しばらくはお待ちくださいませ。。。
207 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/08(月) 21:43
優しくて照れ屋で素直で亜弥ちゃん大好きで妹想いな藤本さんの虜なんでいくらでも待ちますよ!
読者にできる事といえば待つことくらいですしw
ほんとここの藤本さんは魅力的です。
更新期待して待ってます!
208 名前:名無し読者 投稿日:2005/01/06(木) 12:43
hozen
209 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/21(月) 14:23
待ってます

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