初めての野球観戦

1 名前:ジーコ 投稿日:2004/05/08(土) 01:13
はじめまして。
主人公男の学園物(?)です。
登場人物は今のところ5期までのモーニング娘。です。
ちなみにレス・批評大歓迎です!
むしろないと不安になってしまうんで・・・
まぁ、とにかくよろしくお願いします!
2 名前:ジーコ 投稿日:2004/05/08(土) 01:16
・キャラ紹介
・大月一史 (おおつき かずし)
この小説の主人公。
野球部に所属しており、豪とは幼馴染。
クールである内面、部活に対する情熱は熱い。
2年A組

・辻希美 

野球部マネージャー。
すこし抜けているところがあり、舌ったらずな話し方をするが, 人見知りがなく、 人懐っこい性格である。
同じクラスの加護亜衣とはあだ名で呼び合う仲である。
1年A組

・皆木豪 (みなぎ つよし)
野球部
一史とは幼馴染であり、親友。
スポーツ・学勉とも優れており、優等生的存在。
常に物事を冷静にとらえ、思いやりのある好青年である。
2年A組

・後藤真希
サッカー部
健康的で底抜けに明るい少女であり、クラスの中でも人気者である。
一史や豪と同じクラスで、体育系ということで仲がよい。
2年A組

・吉澤ひとみ
ボクシング部
端整な顔つきでありながらも、訳の分からないジョークを連発したり
男らしい性格で、女子にも人気のある不思議少女。
真希と同じ運動系ということで、よく2人で行動している
2年C組
3 名前:ジーコ 投稿日:2004/05/08(土) 01:19
・加護亜依
 
 放送部
 洗礼された(?)関西弁を操り、場の雰囲気を和ませる
 ムードメーカー的存在。
 特に希美とは、息もぴったり合い姉妹のよう。
 それゆえに二人が間違えられることは、日常茶飯事であるらしい。
 1年A組

・高橋愛

 チアリーディング部
 独特の訛りと、早口な口調が特徴である少女。
 友達思いであり、周りからの人望も厚い。
 あさ美・麻琴とは中学時代同じ塾で、3人でいることが多いらしい。
 1年B組

・紺野あさ美

 陸上部
 よくぼーっとしているが、実は運動・勉強ともに優秀である。
 いろんなことに詳しく、一部の事に関しては
 その道の通といえるほどの知識を持っている。
 1年C組

・小川麻琴

 コーラス部
 何でも1人でこなすしっかりもの。
 その反面、プライドが高くいわゆるお嬢様的性格。
 そのため、人の好き嫌いが激しく、友人が少ない。
 1年D組

・石川梨華

 元野球部マネージャー
 一史の1つ上の先輩であり、前マネージャーである。
 そういう点で希美にはしたわれているが、
 少しネガティブなのが玉にキズ。
 3年A組
4 名前:ジーコ 投稿日:2004/05/08(土) 01:20
・大月なつみ

 聖藍高校卒業生
 一史の姉であり、現在大学生。
 高校時代はチアをやっており、愛とは顔見知り。
 本人は究極の童顔に悩んでいる

・飯田香織

 聖藍高校卒業生
 なつみとは高校以来の付き合いであり、
 長身で日本美人のような容姿であり、なつみによくうらやましがられる。
 ときどき得体の知れない何かと交信しているようだが・・・

・矢口真里

 聖藍高校卒業生
 高校を卒業してからは、歌手になる夢をかなえるために
 現在レッスン中。
 小さい体に似合わずおしゃべりであり、身長のことを気にしている。

・保田圭

 聖藍高校勤務
 保健室の先生で、生徒が知らぬものはいないというほどの有名人。
 しかし、子供にはなぜかなつかれないという悩みを持っている。
 さばさばとした性格で、誰にでも親身になって話を聞いてくれるということで
 生徒からの人気も高い

・皆木理沙

 豪の妹で、昔はよく一史と豪と3人で一緒に遊びに行ったものだった。
 現在は聖藍高校に合格するために、今受験勉強真っ最中。
 よく豪の応援に試合に来ている。
 中学3年生
5 名前:第1章〜序曲〜 投稿日:2004/05/08(土) 01:26
2アウト満塁

1点差の9回裏、俺は打席に立った。

2−1からの4球目、読み通りのカーブを打った打球は

レフトへ一直線。





「惜しかったですねぇ、先輩」

マネージャーの辻希美が声をかける。

「サヨナラだー、って思ったんだけどなぁ・・・
 まさかショートがとるとは思わなかったですねぇ」

「俺も行ったと思ったんだけどな・・・まあ、しょうがないさ」

結局試合は聖藍高校が敗れてしまった。

「それより、辻はなにやってるんだ?」
「へい!みんなのユニフォーム洗ってるんですよぉ」
「そりゃご苦労さん。大変だろ?マネージャーって」
「慣れちゃえばそんなに大変じゃないですよぉ」

へぇ〜、辻ももうマネージャーという重労働に馴染んできてるのか・・・
あんな小さな体で感心するな。





ドテッ!!!

そんなことを考えていると、辻は派手に転んでせっかく洗った洗濯物を地面にばら撒いてしまった。

「やっちゃったぁ・・・てへてへ」
「なにやってんだよー・・・ほら?大丈夫か」
「すいません・・・よいしょっと」

俺は転んだ辻に手を貸し起こしてやった。
こういうおっちょこちょいなところも辻らしい・・・
そう、あの時だって・・・
6 名前:第2章〜出会い〜 投稿日:2004/05/08(土) 01:34
俺と辻は同じ中学校に通っていた。
そう、あれは2年前・・・





ある練習試合の日、豪や俺の活躍で快勝したその日は、とても暑かった日曜日だった。
何気なくマスク越しにベンチを見ていると、なんだか見覚えの無い同じ学校の女の子が立っていた。
なぜか俺は妙にその子のことが気になっていた。





試合が終わると、その子はこっちにやってきた。
・・・のはいいのだが、途中で石に躓いて転んでしまった。

「キミ、大丈夫? 怪我はない?」
「大丈夫です・・・あのぉ〜大月先輩ですよねぇ?」
「えっ?そ、そうだけど・・・キミは?」
「あっ、私は2年C組の辻希美です」
「で、何で今日はこんなとこに?」
「え〜っとぉ、なんだったっけぇ・・・」

おいおい・・・なんだったっけって、理由もなく来たって言うのか?
もしかしてこの子迷子とか・・・?
でもこんな学校の真ん中で迷子ってことはないよなぁ・・・

「ああ、思い出しましたぁ!! 
 先輩のお母さんに”お弁当忘れていったから持って言ってくれない?”
 って頼まれたんでぇ、持ってきたんですっ!」
「そうなの? あ、ありがとう。 でもなんでキミが?」
「先輩と私の家ってかなり近いところにあるんですよぉ。
 で、町内会でぇ、辻のお母さんと先輩のお母さんが仲がいいみたいなんでぇ・・・」
「へぇ・・・知らなかったな。 でもゴメンね、そんなメンドクサイこと押し付けちゃって」
「ううん、辻は野球って初めて見たんですけどぉ、楽しいもんなんですねぇ。 辻、野球好きになりましたっ!」
「そう?それはよかったな。 最近野球が好きな女の子っていないからね」
「辻、先輩を応援します! 試合のある日は全部応援に行きますからねっ!」
「本当? そりゃ心強いファンが1人増えたな。 まあ、キミの分までがんばるよ!」
「へい! がんばってくださいねっ!!」



ちょっとはりきりすぎたかな・・・でも、見てくれる人がいれば自然に力も入るってもんだ。
今日も打てたし、あの子のおかげかな?
7 名前:第2章〜出会い〜 投稿日:2004/05/08(土) 01:35
彼女はあの日から、試合のある日は必ず応援に来てくれた。
ヒットを打っては喜んでくれ、夏の大会で負けた時は一緒に泣いてくれた。
その後、俺たちは部活を引退し、入試に専念した。
俺と豪は、聖藍(せいらん)高校に見事に受かり、中学生活もピリオドを迎えた・・・
彼女とは、夏の大会以来会わなくなった

そして・・・2年後。
2人は運命の出逢いを果たすのだった・・・
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/08(土) 01:42
「・・・ぱい、先輩?」
「あ、ああ。 ゴメンな、ちょっとボーっとしちゃって」

辻が不思議そうな目で俺を見つめている。
もう”あの日”から2年経ってるんだな・・・
辻はあの頃と比べて・・・あんまり変わってないな。
でも、昔はもう少し痩せてた気がするんだけど・・・
まあ、この時期の女の子ってのは内面も外面も変わりやすいって言うからな。

「そういえばぁ、先輩、辻が来た試合は全部打ってくれましたよねぇ?」
「そうだったっけ?」
「へい! 辻が最初に見に行ったときからぁ、ず〜っと打ってくれてたんです!その時のことは、今でも覚えてますよぉ」
「そうか・・・懐かしいな」

確かに辻が試合に来るようになってから、やたらと調子はよかったのだが、
まさか全試合で打ってたとは知らなかったな・・・

「だからぁ、今度も辻と約束してくださいっ!」
「ん、何だよ? 難しいのはごめんだぞ」
「あの〜、一度でいいから甲子園に連れて行ってください!!」

なんだかべたべたな約束だな・・・
辻も普通の野球部のマネージャーなんだな・・・

「辻はぁ、大阪に行ってUSJに行ってみたいんですっ!!
 あいぼんも”あそこはディズニーランドより楽しいらしいよ”っていってたんですよぉ。
 だから辻もぉ、行ってみたいんですっ”」

なんだよ・・・そんな理由かい!!
なんだか本気で甲子園を目指した俺がとてもばかばかしく思えてくる。
でも、こういう辻のほのぼのとした雰囲気が、俺を和ませてくれるんだろう・・・ 
9 名前:上は第3章〜約束〜です 投稿日:2004/05/08(土) 01:42
「そっか。じゃあ、辻を甲子園に連れて行ってやるか!!」
「わーい! やった〜。 先輩がんばってくださいねっ!辻応援してますからっ!」
「ああ、まかしとけ」

そうは言ったものの、俺はまだ補欠だからなぁ・・・
まあ、連れて行けるのは高3になってからかな。
それより、辻がそんな約束おぼえてるかな〜?
そっちのほうが不安だ・・・

「約束破ったら、針千本ですよぉ。」

針千本って、いまどき高校生がそんな言葉使うのか?
まあ、辻ならわからなくもないか・・・

「分かったよ。 じゃあ、練習張り切らないとな!」
「へい! やくそくですよぉ〜」

そうして俺と辻はこの”約束”を交わしたのだった。
俺が約束を守れたときは・・・なにしてもらおうかな?
・・・まあ、そのときはそのときだよな。

この”約束”が俺を・・・いや、全てを変えるものになろうとはこのとき予想すらできなかった・・・
10 名前:娘。よっすいー好き 投稿日:2004/05/08(土) 05:55
なんか面白そうですね。頑張って更新してくださいね。
ネタバレ質問をメール欄に書き込みました。
11 名前:第4章〜賑やかなランチタイム〜 投稿日:2004/05/09(日) 00:38
「・・・はいっ!今日はココまで。みんなちゃんと復習をしてくるように」

ん・・・もう授業終わったのか? 
それにしても日本史ほど退屈な授業はないよな・・・

「一史、おはよう。 よく眠れた?」
「ああ、豪か・・・ ったく眠いったらありゃしないよ。日本史なんて何が楽しいんだか?」
「まあまあ、一史ももう高2なんだからちゃんと勉強したほうがいいともうよ」
「うるせーな。どうせ学年トップクラスの豪様には勝てませんよーだ」

「そうそう、日本史ってつまんないよねー」

会話に割り込んできたのは・・・後藤さんだ。

「だよなぁ? 後藤さんもそういってるし」
「でも勉強できないよりはできるほうがいいよねー」

お〜い、後藤さ〜ん・・・

「あ!思い出した。あのね、なんか今日放課後に体育祭の話し合いがあるみたいだよ」
「えっ、またやんの? あれかったるいんだよなー」
「もう体育祭も近いからねー、いろいろ大変らしいよ」

うちの学校では、6月の上旬に体育祭、9月の半ばに文化祭がある。
今日でもう体育祭まで1ヶ月切ったとか騒いでるけど、まだ1ヶ月もあるじゃん・・・

「そういうことで豪、今日は部活いけないかも」
「うん、分かった。 監督に伝えとくよ」
「ああ、サンキュー!」
「ねえ、それよりさ、お昼取らない?」

そうか、今さっきの授業は4時間目だったのか・・・
どうりで辺りに誰もいないはずだ・・・

「そうだね、どうする?」
「そんじゃ、食堂にでも食べに行くか」
「もう後藤おなかペコペコだよ〜」

そんなわけで、俺たち3人は食堂へ向かった。
12 名前:第4章〜賑やかなランチタイム〜 投稿日:2004/05/09(日) 00:39
「あれ〜? 一史君に豪君じゃない?お久しぶりね」

3人でカウンターに並んでいたその時、懐かしい声が聞こえてきた。

「どう?野球がんばってる?」
「あっ!石川先輩、お久しぶりです。 部活は順調ですよ。 ねぇ、一史?」
「ああ。 そういえば石川先輩も受験でしょ? 大変じゃないですか?」
「うん、もうぜんっぜんわかんないの。 もう時間がないっていうのに・・・グスン」

しまった。 石川先輩がネガティブモードに切り替わってしまった。
何とかせねば・・・

「大丈夫ですよ。 先輩なら絶対合格できますよ。今度野球部の練習にでも顔出して気分転換したらどうですか?」

さすが豪!ナイスフォロー。 伊達に先輩と2年もいたら、かわし方もなれたもんだ。

「そうね。時間があれば、いつでも応援に行ってあげる。じゃあ、二人ともがんばりなさいよ! それじゃ。 チャーオー!」

石川先輩もネガティブモードから治ったみたいだし、よかったよかった。
石川先輩がいじけると、ずっと愚痴聞くの俺らだからな・・・
昼飯食べる時間もなくなるところだった・・・

「ねえ、あの人って誰?豪君の彼女?そんなわけないよねー」
「まさか。 あの人は元野球部のマネージャーで石川先輩って言うんだよ」
「ふーん」

後藤さんは自分から聞いておいて興味なさ気に返事をしている。

「それよりさ〜・・・・・」

こうして昼休みは、後藤さんのおしゃべりに俺達が相槌を打つという格好で終わってしまった。
午後の授業は、午前に比べると短く感じた。
っていっても寝てたんだけど・・・・・

突然校内に放送が入った。

【体育委員は、3:45に第一会議室に集まってください。 体育委員は・・・・・】

そうだった、危うく忘れるところだったな。
俺は後藤さんと一緒に第一会議室へと向かった。
13 名前:じーこ 投稿日:2004/05/09(日) 00:42
今日はちょっとだけの更新でした。

>>娘。よっすぃー好きさん
レスありがとうございます、励みになりました。
まだまだ文章も粗いですが、お付き合いよろしくお願いします。
質問の答えはメル欄に書いておきました。
14 名前:第5章〜ビッグなビッグなプレゼント?〜 投稿日:2004/05/09(日) 17:12
会議室に向かうと、そこにはもう全学年の体育委員が集まっていた。

「ねえ、一史くん?」
「なに、後藤さん?」
「あのねー、ちょっと相談があるんだけど・・・」

「ごっち〜ん!!!」
「んっ・・・? よっすぃ〜!」

後藤さんにいきなり話しかけてきたこの人は、2年B組の吉澤さん。
女子唯一というボクシング部である彼女。 しかし実力は男子よりも上というから恐ろしい。
一見さわやかで、美人顔をしている彼女からは想像もつかないのだけれど・・・

「ごっちん、昨日のテレビ見た?」
「うん、みたよ〜。 あのお笑い芸人ってさ・・・」

どうも二人のムードに入ってしまったらしい・・・
でも、後藤さんの相談ってなんだったんだろう?
まあ、同じクラスだしいつでも聞けるからいいか・・・
15 名前:第5章〜ビッグなビッグなプレゼント?〜 投稿日:2004/05/09(日) 17:12
ガタン!

「えー、静かにしてください。 これから会議を始めようと思うんですが、
 まず、これまでの体育祭は何かと盛り上がりに欠けていて、
 単なる学校行事に過ぎなかった面がありました。
 それでは、やっている本人達は面白くない!
 そこで、今年の体育祭はがらっと方針を変えていきたいと思います。」

毎年こんなこと言ってるけど、変わったためしというものがない。
どうせ今年も、つまらないだろうな、と思って聞いていると・・・
16 名前:第5章〜ビッグなビッグなプレゼント?〜 投稿日:2004/05/09(日) 17:13
「今年は、学年ごとのA・B・C・Dクラスを統合して、高校全体でA・B・C・Dとチームを作りたいと思います。
 そして、その優勝チームには・・・ なんと! 夏休み2泊3日の研修旅行をプレゼントしちゃいます!!」

『おお〜っ!!!』

会議室全体が一斉に騒ぎ出す。

「ということなので、皆さん! 今年はクラスごと、学年ごとにチカラを合わせてがんばっていきましょう!!」

会議が終わると、後藤さん、吉澤さんが話しかけてきた。
17 名前:第5章〜ビッグなビッグなプレゼント?〜 投稿日:2004/05/09(日) 17:13
「ねぇねぇ、一史くん。 体育祭、楽しくなりそうだね!」
「う〜ん、なんか怪しいけどな〜」
「ごっちんに大月君、絶対に負けないからね!」
「優勝はAクラスだよー、ねぇ〜一史くん?」
「あ・・・うん。 まあ一応がんばってみるよ」
「それじゃあ、私、よっすい〜と一緒に帰るから。 また明日ね」
「うん。それじゃあ」

なんかみんな気合入ってるな〜・・・
だいたいそんなに虫のいい話があるはずがない。
騙されていると思ってるのは、俺だけなんだろうか・・・?
18 名前:第5章〜ビッグなビッグなプレゼント?〜 投稿日:2004/05/09(日) 17:14
そんなことを考えていると、いきなり廊下で人とぶつかってしまった。

「キャッ!」
「うわっ!」

その子は派手に転んでしまった・・・

「あっ!大丈夫?」
「ご...ごめんなさい。 すいません、急いでるんで」

その子は走り去っていってしまった。
なんだかものすごい早口で、少し聞きづらかったような・・・
でも、結構かわいい子だったなあ・・・
19 名前:第5章〜ビッグなビッグなプレゼント?〜 投稿日:2004/05/09(日) 17:14
さて、一応部室にも顔出しておかないとな・・・
すでに辺りは夕暮れに包まれつつあった。
20 名前:娘。よっすいー好き 投稿日:2004/05/10(月) 22:59
質問の答えありがとうございました。面白い小説になるように期待しています。
体育祭楽しくなりそうですね
21 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:55
部室前に行くと、すでに部活は終わっていた。
辺りが暗いなか、俺は辻を見つけた。

「お〜い、辻。 そんな所でつっ立っててなにやってんだ?」
「?」

何か反応が変だ。
人違いか・・・? でもここは間違いなく野球部の部室前。
そして、その前に女の子・・・ん?

よく近づいてみると、その子は微妙に辻とは髪型が違っていた。
22 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:56
「あ…あのぉ〜、大月先輩ですよね?」

ん? この子って会った事ないのに、なぜか声に物覚えがある…
それに、俺の名前も知ってるし。

「私〜、ののちゃんの友達でぇ、加護亜依っていいます。」
「加護さんね...会った事あるっけ?」
「いいえ、直接会った事はないですぅ」

う〜ん...俺の勘違いか・・・・・
23 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:56
「あいぼ〜ん!!」

そこに息を切らした辻が駆け寄ってくる。

「あいぼん待ったぁ〜?」
「ううん、待ってないよぉ」

辻と加護さんの会話で、やっと俺は理解することが出来た。
つまり、よく辻が話している”あいぼん”ってのが加護さんなんだ。
で、辻から聞いた話によると、”あいぼん”は放送部。
だから加護さんの声にも聞き覚えがあったのか・・・
24 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:56
「あれぇ〜、先輩? なんでここにいるんですかぁ〜」
「ああ、今日は体育祭の集まりがあってこの時間に終わったんだよ。で、ちょっと気になったからこうして部室に来たんだよ。」
「だから今日先輩来てなかったんですねぇ」
「そういうこと」

辻は何か納得した顔をしてる。
そういえば俺って殆ど部活休んだことなかったからな・・・
辻にとっては少し気になってたんだろう。
25 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:56
その辻はというと、なにやら加護さんと相談してるようだ。
加護さんが耳元でなにやらささやくと、辻が突然”それいいねっ!”と叫びだした。

「先輩! 今度の日曜あいていますかぁ?」
「えっ? どうしたの、いきなり」
「え〜っと・・・とにかくあいてますかっ?」
「う〜ん・・・部活はなかったよな?」
「へい! 今週は休みですよぉ」
「それじゃあ、開いてるな」
「ホントですかぁ〜? やったね! あいぼん!!」
「うん!!」

と加護さんがうれしそうにうなづくと、なにやら楽しそうに2人で話しはじめた。
26 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:57
「おいおい、で、日曜日がどうしたの?」
「へい! 私たちと付き合ってくださいっ!」
「お願いしますっ!」

え・・・これってもしかして・・・・・告白!?
27 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:57
そんな淡い期待(?)をしていた俺に、辻はあっさりとこう言い放った。

「先輩はぁ...皆木先輩と一緒に来てくださいっ!」
「え...あ、ああ。 分かった、言っておくよ」

なんだ、豪も一緒かよ・・・まあ、一人なのも何か心細いし、辻が知ってる先輩っていったら豪しかいないよな。
ちょっと残念だけど...なんてな

「で、どこで待ち合わせするの?」
「うーん...そうですねぇ〜。 じゃあ、まずはボウリング行きましょう! 11時に集合ってことで。」

まずはって・・・他に行きたいところでもあるのだろうか?
まあ、そういうことは辻たちに任せるとするか。
28 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:57
「ああ、分かったよ。」
「それじゃ、私たち帰るんでぇ・・・」
「ああ、加護さんも帰り道気をつけて」
「はい・・・さようなら」

二人は腕を組みながら帰っていった。
仲がいいのは知ってたけど、あそこまで瓜二つだったとは・・・
なんだか無理やり遊ぶ約束を決められたが、まあ、暇だったしいいか。
早く帰らないと、姉ちゃんに怒られるな・・・
29 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 15:58
後にこの会話がきっかけで”彼女達”に出会うことになるのである・・・
30 名前:第6章〜へっ!? 辻が二人?〜 投稿日:2004/05/11(火) 16:02
>>娘。よっすいー好きさん。
レス&ご指摘ありがとうございます。
やっちゃいましたね・・・
×皆木理沙→○皆木里沙
×飯田香織→○飯田圭織ですね・・・
二人のファンの方、申し訳ないです。

ちなみに・・・ガキさんは一史じゃなくて豪の妹です。悪しからず
31 名前:娘。よっすいー好き 投稿日:2004/05/11(火) 21:12
こっちもやっちゃいましたね(笑)。
辻加護とデートですか。なんかおもしろいことになりそう。
32 名前:第7章〜意外な訪問者〜 投稿日:2004/05/13(木) 20:33
「ただいま〜」

『おかえり〜』

ん?今何か”2人”から返事された気がするんだけど・・・

「一史、おかえりなさい」

俺の姉のなつみ姉ちゃんが降りてきた。
その後ろには・・・?
33 名前:第7章〜意外な訪問者〜 投稿日:2004/05/13(木) 20:34
「おっ、カズ君 久しぶり!! また大きくなったんじゃない?」
「あ、飯田さん。 来てたんですか?」
「うん。 ちょっとなっちと一緒に大学のレポート書かなきゃ行けないからさ〜、今日はちょっと家に寄らせてもらったんだ〜」
「そうっすか。 まあ、ゆっくりしていってくださいよ」
「ありがと」

飯田さんは、姉ちゃんと二日違いで同じ病院で生まれ、小・中・高と一緒の学校に通っていた。
そして二人は現在同じ大学の一年生。
飯田さんはよくうちに遊びに来ているので、俺を弟のように可愛がってくれている。
34 名前:第7章〜意外な訪問者〜 投稿日:2004/05/13(木) 20:34
「それよりさ〜、おなか減ってない?一史も夕食まだなんでしょ。ちょっとディナーにしない?」
「いいね〜。 ってあれ、母さんは?」
「ん?今日はちょっと仕事忙しいから遅くなるって電話あったよ」
「そっか。 じゃあ、メシ食おうか。 飯田さんも食べていくでしょ?」
「そうね・・・お邪魔しようかな」
「それじゃ、姉ちゃん。 早く用意してよ」
「分かった分かった。 じゃあ、カオリ。 ちょっと手伝って」
「はいよ〜」
「じゃ、一史は2階で待ってなさい」
「なるべく早くね」
「はいはい」
35 名前:第7章〜意外な訪問者〜 投稿日:2004/05/13(木) 20:34
俺は飯が出来るのを待つために2階へ上っていった。
それまで豪に、辻と加護さんに約束させられた遊びの件を言っておこうかな・・・
よし、携帯にかけるか。

「もしもし〜豪?」
「うん、どうしたの?一体」
「ああ、今週の日曜日あいてる?」
「えっ?どうしたのいきなり」
「それがな、辻と加護さんって言う子に遊びに行こうって誘われたんだ。そして、豪にも一緒に来てほしいって言われたから」
「何するの?4人で」
「さあな・・・一応ボウリング場に集合とは言われたけどな」
36 名前:第7章〜意外な訪問者〜 投稿日:2004/05/13(木) 20:35
「ふーん・・・そっか。 まあいいよ、行こうか」
「やっぱりな。そういうと思ってたよ」
「ははっ、まあね。 その日は暇だし。でも、テストも近いんだから、勉強もしといたほうがいいよ」
「はいはい、わかってますよ! それじゃーな。」
「うん。 じゃあね」

豪のOKも出たし、あとは辻の指示を待つことにするか・・・
37 名前:第7章〜意外な訪問者〜 投稿日:2004/05/13(木) 20:35
「一史、ご飯だよぉ〜」

おっ!待ってました。
階段を下りていくと、いい匂いが部屋いっぱいに広がっている。
そういえば飯田さんとの3人での食事って久しぶりかも・・・

『いただきま〜す・・・』
「おっ!うまいじゃん」
「それなっちが作ったんだよ〜」
「さすが姉ちゃん!料理だけは上手いねぇ〜」
「だけとはなにさ〜、失礼しちゃうな、プンプン」
「あはは・・・でも料理が出来る女の子ってなかなかいないんだからさ、こんだけ上手けりゃ男もできるだろうに...」
「いらないこといわなくていいの!」
38 名前:第7章〜意外な訪問者〜 投稿日:2004/05/13(木) 20:35
「そういえばさ、カズ君は彼女とかいないの?」
「え・・・いないですよ。 そういえば、今度部活のマネージャー達と遊びに行くけど・・・」
「おっ! 脈ありなんじゃないの?」
「そんなんじゃねえよ。 豪も誘われてたし」
「あら、そりゃ残念!」
「うるせ〜な、姉ちゃんも出来ねーんだろ?」
「人のことはどうでもいいの〜」
「ったく・・・ それより飯田さんはどうなんですか?」
「・・・・・・・・・・」
「あらま、カオリ交信中みたいだね」
「飯田さんが聞いた話なのにな・・・」
39 名前:第7章〜意外な訪問者〜 投稿日:2004/05/13(木) 20:35
こうやって楽しい食事も終わりを迎えた・・・

「飯田さん! また来てくださいよ」
「そうね、楽しみにしてるわ。それじゃ、なっちもまた明日」
「うん、そんじゃ〜ね」

なんだかこういう食事もいいもんだな。
そういえば、明日は英語の宿題があったな・・・

・・・・・・まあ、いっか。
40 名前:ジーコ 投稿日:2004/05/13(木) 20:38
>>娘。よっすいー好きさん。

いつもレスありがとうございます。
辻加護とのデート(?)はもう少し待っていてください。
意外なキャラも登場しますので・・・(w
41 名前:娘。よっすいー好き 投稿日:2004/05/13(木) 21:17
なっち・かおりん登場(w
登場人物に登場した人だけじゃなく他の人もまってますよ(笑)
42 名前:第8章〜おねだり〜 投稿日:2004/05/20(木) 22:04
「お休みのところ悪いんですけど〜・・・?」

ん・・・? あ、そういえば今英語の授業中だった・・・
気づいたときはもうすでに遅し。
鬼のような形相の中沢先生が俺の前に立っていた。

『アンタ宿題忘れてなお居眠りとはいい度胸しとるな〜・・・廊下にたっとらんかい!!』
43 名前:第8章〜おねだり〜 投稿日:2004/05/20(木) 22:04
ったく、だから貰い手いねーんだよ。
あの人は、英語教師で、中沢裕子先生。
生徒のみんなには鬼教師として通っている。
もう29なのに未だに貰い手がいない・・・
まあ、あの性格に原因があるのだろうけど・・・

廊下に出て数分後、教室からある声が聞こえた。

「あの〜、後藤おなか痛いんで保健室行っていいですか?」
「え、ほんまに?早く行っておいで」
44 名前:第8章〜おねだり〜 投稿日:2004/05/20(木) 22:04
ガラガラッ

見るからに笑顔の後藤さんが教室から出てくる・・・

「後藤さん...本当におなか痛いの?」
「えへへ・・・サボっちゃった」
「まあ、そんなところだと思ったけど」
「そう? 後藤的にナイス演技だと思ったんだけどな〜」
「それよりこんなところで話してたら、ばれちゃうよ?」
「そうだね〜、じゃ、あっちにいっておしゃべりしよっか?」

少し教室から離れたところに生徒二人・・・
これが見つかったら大目玉だろうな。
45 名前:第8章〜おねだり〜 投稿日:2004/05/20(木) 22:05
「そうそう、後藤ね、大月君に相談したいことあったんだ〜」
「ああ、そういえばそんなこと言ってたね。 で、なに?」
「あのね〜...来週の3日間くらい泊めてほしいんだ〜、大月君のウチに」
「へっ!?」
「実はね、ウチの家族が旅行に行っちゃうんだ〜、3泊4日で。で、後藤は”テストあるでしょ”って言われて留守番になっちゃったの。
一応後藤も女の子でしょ〜、一人で家にいるのは怖いじゃない?だ〜か〜ら〜お願いっ!!」
「でも、友達に頼めばいいんじゃないの?」
「え...あ、うん。 もちろん頼んだよ! でもみんな無理だって。ほら、それに大月君の家ってここから近いじゃん! ね、いいでしょ?」
「う〜ん・・・相談してみないと分からないけど・・・」
「お願いだよ〜、じゃないと後藤、夜誰かに襲われちゃうかもしれないし・・・」

なんだか話が大げさな気もするけど・・・まあ、後藤さんが大変なのも事実だ。
46 名前:第8章〜おねだり〜 投稿日:2004/05/20(木) 22:05
「分かった。 なるべくうまくいくように頼んでおくよ」
「ほんと!!! ありがとっ。 期待してるよ」
「うん。 それよりそろそろ戻らないと、ばれちゃうかも・・・」
「あ〜っ!そうだね。じゃ、後藤保健室行くから。またね」
「うん、それじゃ」

俺は後藤さんと別れてまた一人で廊下に立つはめに・・・なんとかしてくれ〜
47 名前:第8章〜おねだり〜 投稿日:2004/05/20(木) 22:05
少しの間ボーっとしているとチャイムが鳴った。
教室から中沢先生が出てくると、俺に近づいてくる。

また説教か・・・

そう思った矢先、中沢先生は笑顔で話しかけてきた。

「昼休み職員室来てくれへんかな? 頼むで」

と言うと、そのまま帰っていった。
やっぱり説教か・・・だるいな。
まあ、適当に聞き流せばいいか。
48 名前:第8章〜おねだり〜 投稿日:2004/05/20(木) 22:05
そうしてその後の授業も過ぎてゆき、昼休みになった。

「一史、食堂行く?」
「ああ、豪か。それが中沢先生に呼びだされてるんだ・・・だからいまから職員室」
「へぇ〜、大変だねえ。まあ、ほどほどにね。居眠りは」
「だって英語なんてわかんね〜もん。まあ、豪にいってもしゃーないけど・・・それじゃ、行ってくるかな」
「お大事に」
「ああ」

俺はしぶしぶながらも職員室に向かうのだった。
49 名前:ジーコ 投稿日:2004/05/20(木) 22:08
一週間ぶりの更新〜・・・忙しかったんです(汗
>>娘。よっすいー好きさん。
そうですね。松浦や藤本も書いてないですからね・・・
なんとか出せるように頑張ります。
それよりこれが終わる前に7期メンバーとか入ってきそうで怖い・・・(w
50 名前:名無しさん 投稿日:2004/05/20(木) 23:17
因みに 中沢× 中澤○ ですので。
51 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:12
「大月君、まあその辺にすわって」
「はい・・・・・」

職員室に来たはいいものも、周りには教師がウジャウジャしている。
俺はそもそも職員室という雰囲気が少し苦手だ。
それも説教をされるとなると、肩身が狭くて狭くて仕方がない・・・
早くおわんねーかな・・・
52 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:13
「大月君、まさか説教やと思うてへんか?」
「はあ? 違うんですか」
「ちゃうよ。 ただの世間話」
「そうだったんですか? で、何ですか?」
「なっちは元気?」
「ああ、姉ちゃんは有り余るほど元気ですよ。最近大学のレポート書くって忙しそうですけど」
「へえ〜、あのなっちがレポートねぇ・・・時間が流れるのも早いもんやなぁ〜」

流れに流れてとうとう三十路前・・・なんてな。
53 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:13
「ちゃんとアンタは勉強やっとるんか? 今日は宿題忘れとったけど」
「部活とかあってなかなか出来ないんですよ」
「でもなぁ、受験なんてあっという間にやってくるんやで。野球も大変やろうけど、少しは先のことも考えんと」
「まあ、ぼちぼちやっていきますよ」
「姉ちゃんかて、立派に大学いったんやから・・・アンタも出来るはずやで」
「頑張りますよ、それなりに」

そういえば姉ちゃんと中澤先生はかなり仲がよかったって聞いたな。
お互い”なっち” ”裕ちゃん”と呼び合ってるし・・・
”裕ちゃん”・・・か。俺には無理だな。
54 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:13
「裕ちゃ〜〜〜〜〜ん!!!」

へっ!? 姉ちゃんでも来たのか?
しかし振り帰ってみると、そこには中澤先生めがけて突っ込んでいく見覚えのあるちっこい金髪の少女がいた。
まさか先生の子供!? でも独身だよなぁ・・・
隠し子とか? まさかな・・・
55 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:14
「矢口〜痛いって!」
「裕ちゃん! おっはー」
「おっは〜・・・ってアンタなんでココにおるん?」
「久々に休みもらったから遊びに来たんだよ〜 裕子」
「そうか〜、矢口はほんまかわいいなぁ〜」

なにか関わりくい雰囲気だ・・・
そんな俺のオーラを感じとったのか、矢口と呼ばれた金髪の女の子は俺に視線を向け

「裕ちゃん、この子と付き合ってんの?」
56 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:14
「ゲホッゲホッ」

中澤先生は飲んでいたコーヒーを詰まらせた。
そんな風に見られるのか・・・? ちょっと俺もショックかも・・・

「えっ!?まさか図星〜ぃ?」
「ア、アホなこというなや、矢口〜。 どうみても生徒と先生の関係やろ?」
「あんまりもてないから生徒にまで手を出しちゃったかと思っちゃった」
「あのな〜、この子は大月一史君ゆうて、あのなっちの弟や」
「うそ!?そうなんだ!そういえばなんか雰囲気が似てるような・・・間が抜けてるって言うか・・・」

金髪の女の子はまじまじと俺の顔を凝視してくる。
そんなに見られてもちょっとなぁ・・・
57 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:15
「ほら!大月君もこまっとるやないの!矢口も自己紹介してやりーな」
「そうだね。アタシはなっちの1つ年下の矢口真里。今は歌手目指してレッスン中なんだけど、よろしくね!」

矢口さんって・・・姉ちゃんと1つしか年が変わらないの!!??
本人には悪いけど・・・中学生だと思ってた。
こんなにちっちゃくてうるさい女子中学生はいっぱいいるぞ。
58 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:15
「こらっ!矢口のこと”ちっちゃ!”とか思ったろ!これでももうハタチなんだぞっ!!」
「まあ、初対面の人には中学生としか思われへんもんなぁ〜、矢口は」
「裕ちゃんまで! どうせ矢口は背がちいちゃいですよ〜だ・・・」
「まあまあ・・・それも1つの個性じゃないですか」
「おっ!一史君はいいこというね!!そういえば最近なっちと会ってないなぁ・・・」
「大変なんでしょ? 歌手になるためのレッスンって」
「そりゃあ、もう。 でもデビューめざして頑張ってるから応援してね!」
「頑張ってメジャーデビューしてくださいね! 応援しますよ」
「よし!そんな一史君はファンクラブ会員第1号だ!!」
「ほんとですか?うれしいなあ。有名になったら自慢しますよ」
「こらこら、ウチは?ウチは何号?」
「大人気ないなぁ、裕ちゃんは。じゃあ、裕ちゃんは0号にしてあげる」
「ホンマ?よし!めっちゃ応援したるからな」
「もう、裕ちゃんってば〜」

『ははははは・・・・・』
59 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:16
3人で雑談していたその時、チャイムが鳴った。

「いけね、授業だ!それじゃあ、矢口さん。レッスン頑張って」
「うん。ありがと〜一史君!」

こうして後々国民的アイドルとなる矢口真里の”公認”ファンクラブ会員1号となったのが
一史であったということは誰にも知られていない・・・
60 名前:第9章〜セクシ〜!?乱入者〜 投稿日:2004/05/26(水) 00:17
>>50 :名無しさん
ご指摘ありがとうございます。
とうとうリーダーや石川も卒業ですか・・・
なんだか昔のことを思い出しちゃいますねぇ・・・
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/30(日) 18:47
おもしろいですね!更新期待して待ってますよ!
辻ヲタなので楽しみです
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/30(日) 22:32
おぉっ!おもろいじゃないですか!飼育には男役まんまで出てこないので、期待してますよ!一史とイロンナ子のからみ!変な意味じゃなく。
なんか辻がとってもツボにはまってます!主人公がモテモテの展開になっていくのか?楽しみです。今一番楽しみな小説です!
63 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:36
職員室から出ると、生徒の姿は殆どなかった。
俺は走って教室に戻ると、そこには、いままで誰かを待っている素振りを見せていた後藤さんがいた。

「ねえ?5時間目サボらない?」
「えっ!?」
「どうせ日本史だし、退屈じゃん。 いいでしょ?」

どうも俺は後藤さんに頼まれるとイヤとはいえないようだ。
そのせいで、何度となく体育委員の仕事を押し付けられたことか・・・
64 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:37
「分かったよ、でも昼食取ってないから腹減ったんだよね・・・」
「じゃあ、コンビニいってなにか買ってこようよ」
「う〜ん・・・じゃあそうするか」
「よしっ!じゃあ、早速・・・」

後藤さんは友達に保健室へ行くといって、教室を出て行った。
・・・俺こういうの苦手なんだけど。
65 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:37
すると先生が入ってきて授業が始まってしまった・・・
早く何とかせねば・・・
こういうときは、きつそうな顔だよな、きつそうな・・・・・

「おい?大月、顔色悪いがどうかしたのか?」

よしっ!まずは第一段階クリア!
66 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:37
「すいません・・・気分悪いんで、保健室行っていいですか?」
「そうか。早く行って来い」
「はい・・・」

なんだよ、簡単じゃねぇか・・・
案外俺って演技上手かも。

って後藤さんはどこにいるんだ・・・・・?
まあ、とりあえず下駄箱のほうにでも行ってみるか
67 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:38
教師達に見つからないようにこっそりと抜け出す。
これじゃ外から見るとまるで盗人だ。

何とか下駄箱へ辿りつくと、そこには少し顔を膨らませた後藤さんが立っていた。
68 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:38
「もう、一史君遅い〜」
「ごめんごめん。こっちも緊張したんだから」
「もっと練習しなくちゃね!」
「そういう問題じゃないんだけどな〜・・・」
「よしっ!じゃあ、しゅっぱ〜つ!!」

おいおい・・・本当に大丈夫か?
コレで見つかったりしたら大目玉なんだろうな・・・

そんなこんなしているうちに、いつの間にかコンビニへと到着していた。
69 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:38
「一史君、何か買うんでしょ?」
「あ、うん。後藤さんは買わないの?」
「う〜ん・・・じゃあ、一史君とおんなじのにする」
「そっか、じゃあ・・・」

結局、俺と後藤さんはパンとジュースを買って、近くの公園のベンチへと腰掛けた。
70 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:38
「コレ見つかったら大変なことになるね」
「大丈夫だよお〜、後藤時々こうやって抜け出してるもん」
「そうだったんだ・・・知らなかったよ」
「一史君って...チャラチャラしてる人って嫌い?」
「へ?い、いや別に嫌いじゃないよ」
「そう・・・そうなんだ」
71 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:39
少しの間沈黙が流れる。
なんだか気まずい雰囲気だ・・・
何かしゃべらないと・・・

「あのさっ」
「あのさっ」
72 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:39
「あっ」
「え・・・一史君何?」
「いや、後藤さんこそ」
「一史君から先に行ってよ」
「う・・・うん あのさ、今度試合があるんだ。見に来ない?」
「え、ホント?うん、見に行くね」
「そっか。じゃあ頑張るかな」
「うん。目立たない所で応援してるから」
73 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:39
「で、後藤さんが言いかけたことって何?」
「へ?え、え〜っと・・・秘密」
「ずるいぞ!教えろよ〜」
「いやだ〜」
「気になるじゃん!」
「あっ!そろそろ学校戻らなきゃ」
「わざと話題変えたな!この〜」

なんだか気まずい雰囲気もなくなったみたいだな。
俺たちは学校まで走って帰ると、もう5時間目は終わっていた。
74 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/01(火) 21:46
今日はここまでということで。
近いうちに10章を完結させたいと思います。

>>61さん
始めまして、レスありがとうございます。
辻ヲタですか〜、気が合いそうですね(w
定期的に更新できるように頑張ります!

>>62さん
始めまして、レスありがとうございます。(ワンパターンですがw)

>飼育には男役まんまで出てこないので、期待してますよ!
そうなんですよね・・・結構気にしてるんですけどどうなんでしょう?
中には男が出てくる小説はいやだとおっしゃる人もいますからね。
なんとか一人でも多くの人に支持してもらえれば幸いです。

一史はどうなるんでしょうか・・・?作者にも分かりません(オイオイw
75 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/02(水) 01:35
更新乙です!
うーん展開が読めない・・ってあたりまえですが、いい感じの男役ですね!
一史のことですよ。個人的にはひそかにモテモテくらいが、いいかも。なんか一史に感情移入しちゃってます。是非ともがんばってください。期待してます。
76 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:05
「なんとかばれなかったみたいだね」
「うん。そうだね」
「よし!今ので疲れたからもう1時間寝るぞ〜」
「おいおい・・・」

6時間目、後藤さんは予言どうり眠っていたらしい・・・
なぜ”らしい”なのかって・・・?俺も寝ていたから。
いつの間にか授業が終わると、豪が声をかけてきた。
77 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:06
「ほら一史!起きて。部活行くよ」
「もうそんな時間か・・・よし!張り切っていこう」
「サボるのもほどほどにね。見つかってたらどうなってたことか・・・」
「へ?何のこと?」
「5時間目、後藤さんと抜けだしてたでしょ?」
「!!な、なんでそれを?」
「そりゃ二人が出て行くタイミングがかなり不自然だったし、それに窓から二人の姿も見えてたしね。」
「マジで?他のやつにもばれたのか?」
「いや、多分僕一人だけだと思うけど・・・」
「ったく、オマエにはなにも隠し事できないな・・・昔から」
「ハハハ・・・付き合い長いからね」
「いつか俺が豪の隠し事暴いてやる!」
「別に僕には隠し事なんてないよ」
「いったな〜」
78 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:07
豪には昔から何か隠し事をするとすぐばれる。
借りたゲームを壊しただとか、宿題を借りに来たとか・・・
俺は感情が顔に出やすいらしい・・・
嫌な癖だ。
79 名前:第10章〜ほんのり危険な逃避行〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:07
豪が先に部室へ行き、俺も後から部室へ行こうとした時、
突然後藤さんに話しかけられた。

「おっ!一史君。練習、頑張ってね」
「うん」

このころから俺は後藤さんの手のひらで回されていたのかな・・・?
80 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:11
部活にも熱が入る。
我が聖藍高校野球部はそこそこの強豪校とはいわれているものの、
ここ最近は成翔学園に県大会決勝で2度敗れている。
そういうわけで、今年こそはと雪辱にかける意気込みは強い。
特に先輩達はもう残り2〜3ヶ月しか野球が出来ないので、必死である。
81 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:12
・・・そんなことを知ってか知らずか辻はマイペースだ。
野球部のマネージャーを去年引退した石川先輩とはまるで正反対だ。
辻は石川先輩のどこを見てたんだろう・・・?
仕事は出来るが、いつも行動が遅く、キャプテンに叱られていることはもはや日常茶飯事となりつつある。
82 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:12
「せんぱ〜い!」
「ん?辻、どうかした?」
「ここで問題です。 今日は何曜日でしょー?」
「なんだよいきなり・・・え〜っと、金曜日か」
「じゃあ、明日は?」
「そんなの土曜日に決まってるだろ」
「じゃあ、その次は?」
「・・・からかってんの?」
83 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:13
「あ〜っ! やっぱり忘れてる〜っ」
「”忘れてる〜っ”って日曜日だろ? それがどうかしたのか?」
「ほらぁ! 日曜日は辻たちと遊ぶ約束してたでしょ〜」
「・・・あ。 思い出した」
「ぶ〜っ!」
「ゴメンゴメン、覚えてたんだけど、ついつい忘れちゃったんだよ」
「それってつまりは忘れてるってことじゃないですかぁ〜?」
「まあまあ・・・ちゃんと覚えておくよ」
「ホントですよ〜」
「ああ、分かったよ」
84 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:13
ごめんな、辻・・・完全に忘れてたよ。
そういえば今週の日曜は珍しく試合も入ってないし1日フリーだったんだ。
よく考えれば家で寝ていたいかも・・・
まあ、後悔先に立たずってやつだな。
85 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:13
「そうだ先輩!」
「ん? 今度は何だよ?」
「あのぉ〜・・・」

辻が言いかけようとしたその時・・・

”大月〜、お前なにやってるんだ〜! 早くこっちへ来〜い!!”
「やべっ! キャプテン怒ってるよ・・・」
「ホントだぁ」
「ホントだぁ〜っておまえ・・・ まあいいや、又後で聞いてやるから」
「なにをですかぁ?」
「お前が何か話しかけようとしてたんだろ?」
「そうでした・・・てへっ」
「・・・もういいよ。 じゃあいくから」
「頑張ってくださいねっ!」

緊張感のかけらもない辻に見送られて、俺はグラウンドに入っていった。
86 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:14
部活は試合も近いこともあり、とてもしまりのあるものになっていた。
こういう部活が出来るのもあと2ヶ月くらいか・・・
何か少ししんみりしたものを感じながら、今日1日の部活も過ぎていった・・・
87 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:14
そして部活終了後・・・・・

「辻!」
「へい!なんですかぁ?」
「なんですかぁ?じゃないだろ! 話があるっていったのは、お前のほうなんだから」
「あ! そうでしたねぇ・・・てへっ」

おいおい。
88 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:14
「まさか内容まで忘れた・・・とか言うオチはないよな・・・」
「・・・・・え〜っと・・・」

まるで漫才だな、これこそ一人漫才だ!

「あっ! 思い出しましたよぉ〜」

辻がにこっと笑う。
89 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:15
「辻・・・そんなにうれしいのか?」
「そうじゃないですけどぉ〜」
「で、何?」
「今日誰かと一緒に5時間目サボってたでしょぉ〜?」
「ゲ・・・お前も知ってたのか・・・」
「授業がつまんなくてぇ、外を見てたらぁ、先輩が誰かと出て行くとこをみちゃったんですっ!」
「なんだか事件を目撃した家政婦みたいな言い方だなぁ・・・」
「かせいふってなんですかぁ?」
「・・・・・話進めて」
「これで終わりですぅ〜」
「おわりかよっ!!!」

思いっきり突っ込んでしまった。
なんというオチのない話・・・
90 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:15
「あのぉ〜、先輩と一緒にいた女の人誰ですかぁ?」
「ん・・・あぁ、クラスメイトの後藤さんっていう人だよ」
「やっぱり・・・きれいですよねぇ?後藤さんって」
「え・・・そういわれればそうだな」

あまりそういうことを考えたことがなかったから、答えに困ってしまった。
そういえば後藤さんってかなり美形かも・・・
91 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:15
「いいなぁ、後藤さんは・・・」
「ん? 何か言ったか?」
「・・・ううん。 なんでもないですよぉ〜」

何か辻の最後が聞き取れなかったけど・・・まあいいか。
辻がなにかモジモジしていると、後ろから元気のいい声がとんできた。
92 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:15
”のの〜〜〜〜っ”
「あ・・・あいぼん」
「あっ・・・こんにちは。 大月先輩」
「うん。 こんにちは、加護ちゃん」
「部活終わったんですかぁ?」
「うん、ちょうど今終わった所だよ。」
「お疲れ様です!」
「ありがとう」

そういうと加護ちゃんはにこっと笑った。
笑った顔も辻とそっくりだな・・・
93 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:16
「じゃあ、のの帰ろう」
「うん・・・帰ろう」

なにか辻にいつもの元気がないような気がしたのは気のせいだろうか?
しかし、辻はそんな俺の気持ちを察したのだろうか?こっちを振り返って大声で叫んだ。
94 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:16
「せんぱ〜い! 日曜日、ちゃんと覚えておいてくださいよぉ〜」
「分かってるよ。 それじゃあな」

「さようなら〜」

二人は肩を並べて帰っていった。
さて、俺もそろそろ帰らないと・・・
95 名前:第11章〜もう1人の目撃者〜 投稿日:2004/06/03(木) 22:17

家路についた俺は、部活で疲れていたのか、シャワーを浴び、夕食を食べた後ぐっすりと眠ってしまった・・・

姉ちゃんが妙にハイテンションなのを気にしながら・・・・・
96 名前:ジーコ 投稿日:2004/06/03(木) 22:19
今日は大量更新(?)です。
ええ、頑張りました!(w

>>75さん
ひそかにモテモテですか・・・う〜ん、どうでしょう〜?(w
まぁ、これからいろいろと娘。を登場させていきたいと思いますので
楽しみにしていてくださいね!
97 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/04(金) 06:27
大量更新乙です。辻と大月の今後がどうなるか、期待してます!更新おまちしてます
98 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/04(金) 23:40
おあ!更新!しかも大量に!
今回も辻がとってもツボです!日曜日、どんな展開になるか期待してます!
頑張ってください!
99 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/06(日) 15:11
乙です。初めて読みました。
自分はどうしても女同士に物凄い違和感を感じてしまうのでこういう作品を
見ると少し嬉しくなります。(でもチキンだから飼育でそう言う話が書けません・・)
頑張って下さい。
100 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 00:57
「そんじゃいってくるわ」
「いってらっしゃい!!!」
「・・・姉ちゃん変にテンション高いぞ?」
「そんなことないべさ〜、さあ、はやくいってらっしゃい」
「はいはい。分かったよ」
「”はい”は一回でいいって先生に習わなかったの?」
「・・・・・」

ガチャッ

「コラ!返事をしなさい、返事を。 まったく最近の・・・・・」
101 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 00:57
姉ちゃん・・・昨日の合コン失敗したんだな・・・
あからさまにバレバレだったのだが、そこは黙っておいてやろう、よき理解者として。
っていっても後々が怖いだけなんだけど・・・
102 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 00:58
今日は練習試合!朝から気合が入っていい感じだ。
そういえば今日は後藤さんが来るとか話していたような・・・
よし!1ついいところ見せるか!!
・・・ま、出られたらの話だけど。
 
今日の相手は政南高校。
ウチの県の中では可もなく不可もなく・・・といったところか。
大会前の練習試合としては、お互いいい刺激になるだろう。
103 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 00:58
学校へつくと、もうそこには辻が来ていた。

「辻。 もう来てたのか?早いな」
「あっ! せんぱーいっ。 おはようございますっ!」

こんなハイテンションな辻を見ると、朝のことを思い出す・・・
104 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 00:58
「どうしたんですかぁ? しまっていこーっ! なんてねっ」
「・・・それってもしかして俺の真似?」
「えっ! どうして分かったんですかぁ? さては似てたんですねっ?」
「似てない」
「そんなぁ・・・自信作だったのにぃ」
105 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 00:59
「・・・それよりもなにやってんだ?」
「今日の試合の準備ですよぉ、飲みものとかぁ、タオルとかぁ・・・」
「ふうん、大変だな。 まあ、がんばれよ」
「へいっ! 先輩も頑張ってくださいね!」
「はいはい」
「”はい”は一回でいいんですよぉ」
「・・・・・」

今日は試合する前にもう疲れたな・・・
106 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 00:59
部室から出ると、そこには久しぶりに見慣れた顔が・・・

「おっ! 久しぶり」
「あっ、一史さん。 お久しぶりです」
「元気だったかい? 里沙ちゃん」
「はい。 モリモリ元気ですよ!」
「そう、それはよかった。 なんか豪から聞くと、ココに受かるために猛勉強中らしいじゃん」
「えっ!? お兄ちゃん、言っちゃったんですか? 内緒にしててって言ってたのに・・・」
「なんで?」
「え・・・やっぱり恥ずかしいじゃないですか」
「そんなこと無いよ。 頑張ってね、来年は同じ高校に通おうな」
107 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:00
「そうですね... そういえばお兄ちゃんは?」
「あれ? 一緒に来たんじゃないの」
「いえ、先に行くって言ってましたけど」
「じゃあ、グラウンドにいるんじゃないかな?」
「そうですか・・・ それじゃあ、試合頑張ってくださいね。 応援してますよ!」
「ああ、まかしといてくれ。 ベンチから声で相手を圧倒してやろうかな」
「・・・が、頑張ってください」

そういうと里沙ちゃんは頭をペコリと下げてグラウンドへと向かっていった。
・・・冗談のつもりだったんだけどにな。
108 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:00
それは置いといて、相変わらず礼義がしっかりしてるな・・・改めて感心。
・・・とそんなこと言ってる場合じゃなかった。 
もうそろそろグラウンドに行かなくちゃな。

グラウンドに出ると、もうそこには殆どの人が集まっていた。
そして、監督がスタメンを発表していった・・・
109 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:00
『1番サード浅井。
 2番ショート川崎。
 3番センター・・・・
 ・ 
 ・
 ・
 7番キャッチャー立岡。
 ・
 ・・以上だ。』

やっぱり俺の名前は無かった。
まあ、当然といえば当然が。
結局俺と豪はベンチからのスタートとなった。
110 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:01
5回のオモテ、政南高校の攻撃。
聖3−2政 2アウト2塁、バッターの打った打球は綺麗にセンターへ抜ける。
ランナーは、3塁をけってホームへ。
センター、バックホーム。
クロスプレーになる。 ランナー体当たり!・・・しかしキャッチャーの好ブロックでアウト!!

ブルペンで投げ込んでいた俺と豪も思わず歓声を上げる。
しかし、キャッチャーの立岡先輩の様子が変だ・・・
すると、監督が俺と豪に出番を告げた。
111 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:01
「先輩、大丈夫ですか?」
俺は思わず声をかけた。
「ああ、大丈夫。 大事をとって、一応下がるよ。 さあ、大月も気合入れていってこい!」
「はい!」

どうやら先輩は大丈夫みたいだ・・・
その後、俺と豪は6〜9回を無失点に抑え、見事に勝利した。
俺自身も、7回にタイムリーヒットを打つなど上々の出来であった。
112 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:01
試合が終わると、真っ先に辻が駆け寄ってきた。
「お疲れ様です〜、今日は調子良かったですねっ!」
「ああ、なんとかな」
「豪先輩もナイスピッチングだったし・・・」
「今日のヒーローはアイツだよ」
「またまたぁ〜、謙遜しちゃってぇ。 ああ、そうだ! 明日のこと忘れないでくださいねぇ!」
「ああ、そうだったな。 分かってるよ」
「そうですかぁ〜? ならいいですっ!」

辻はそういうと、他の人たちにもお絞りを配りにいってしまった。
113 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:01
と、そうだった。 今日は特別ゲストが来てるんだったな。

「よっ!後藤さん。 きてたんだ」
「うん、ずっと見てたよ」
「全然気づかなかったよ」
「だってばれない様に隠れてみてたもん」
「別に隠れなくても良かったのに・・・」
「そうだったね・・・アハハッ それより、今日は大活躍だったじゃん、二人とも」
「ああ、そうだね。 今度もまたおいでよ」
「うん、そうするよ」
114 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:02
帰りの用意をしていると、加護さんに会った。
「お疲れ様です、大月先輩」
「あれ? 加護ちゃんじゃないか? どうしたの? まさか俺を見にきたとか」
「そ〜なんですよぉ〜・・・ってちゃいますがな!」
「へ・・・へっ?ど、どうしたの?いきなり・・・」
「はぁ・・・やらなきゃよかった、恥ずかしい・・・今日は放送してたんですよ」
「えつ? 今日のウグイス嬢の声って加護さんだったの?」
「そうですよ〜。 ちゃんと見てましたよ」
「そっか、そりゃおつかれさん」
「いえいえ」 
115 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:03
加護さんと軽く世間話していると、辻が走ってこっちへやってきた。

「あっ、先輩! もう帰るんですか?」
「ああ、そうするよ」
「そうですかぁ、じゃあ、又明日」
「おう、又明日な」

「さようなら〜っ」
116 名前:第12章〜大応援団!?〜 投稿日:2004/06/08(火) 01:05
4つ並んだおさげが揺れ、視界から消えていくのを見届けると、俺も家路についた。
姉ちゃんも、平常心を取り戻していた様子であり、いい気持ちで就寝することができた・・・

・・・明日ってなんの日だったっけな・・・?
117 名前:ジーコ 投稿日:2004/06/08(火) 01:11
12章終わりました。
ということで、次はやっと辻加護との約束の日です。
回り道しすぎかも・・・(w

>>97さん
2人の行方はどうなるでしょうか?
>>98
辻がツボですか・・・よかったです。
やっと日曜日です。お待たせしました。
>>99
自分もかなり気を使いながらやっています。
どうぞこれからもよろしくお願いします。
118 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/08(火) 11:49
更新乙です!
まだ誰が誰をってのがわかんなくて、楽しみです。日曜日はどうなるのか楽しみです!
119 名前:99 投稿日:2004/06/08(火) 21:33
自分も男×娘。が書ける位の男意気が欲しいです。(実は羊で書いてました)
ここではそう言うのは書けなくてバカっぽいコメディを少々・・・。
応援してます!
120 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:47
ジリリリリ・・・・・

「ん・・・もう朝か・・・って、今日日曜日じゃん!」

あわててベットから飛び降り、時計を見る。

10:45
121 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:48
・・・確か

「日曜日は11:00に駅前ですよぉ〜。遅れたら承知しませんからね〜っ!!」
「遅れたら承知しませんからね〜っ!!」
「承知しませんからね〜っ!!」




122 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:48
って、完全に遅刻だ!!
そういえば、豪にも時間伝えてなかったんだ・・・
急いで豪に電話をかける。
123 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:48
「はい、もしもし」
「あっ、俺だけど」
「うん、どうしたの?」
「今日の予定覚えてるよな・・・」
「うん。 辻さんたちと遊びに行くやつでしょ?」
「それがな・・・11:00に駅前で待ち合わせしてたんだ・・・」 
「えっ!? もう10:50だよ、どうするの?」
「どうするの?って言われてもな・・・」
「とにかく急ぐ行くしかないね。 僕も今から行くから、豪も遅れないで早く来なよ!」
「ああ、分かった。 それじゃ」
「うん」
124 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:49
しまったな・・・まだ着替えても無いぞ・・・
とにかく服を着替えて、洗顔して、歯を磨いて・・・・

用意が終わった頃には、とうに11:00をこえていた。
急がないと・・・
家を出ると、俺は周りを気にすることなく全速力で走った。
125 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:50
「遅いですよぉ〜、せんぱ〜いっ!!」

駅前に着くと、ぷく〜っとほほを膨らませた辻が待っていた。

「ゴメンな、昨日の試合で疲れちゃって・・・」
「30分も遅刻するなんてぇ・・・」
「本当に悪かったから・・・そうだ! なにか昼おごってやるよ」
「ホントですかぁ〜? それなら許してあげますっ」

なんて現金なやつだ・・・っていうか、食い物をぶら下げておけば、いくらでもいうこと利きそうだな・・・辻は。
126 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:50
「で、加護さんと豪はどこ? まだ来てないとか?」
「遅れてきたのは先輩だけですぅ〜。 みんなは先にボーリングのところまでいってますよぉ」
「そっか、辻を待たせてたのか・・・ゴメンな」
「・・・・・」

辻が下を向いてうつむく・・・
ヤバい・・・やっぱり怒ってたのか?
127 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:50
「なぁ〜、辻。 そんなに怒るなよ・・・」
「じゃぁ、先輩。 私のお願い聞いてくれますかぁ?」
「食いもんじゃなかったらな」
「違いますよぉ〜・・・」
「なにっ!? 違うのか?」
「そんなに大げさに驚かないでくださいよぉ・・・」
「わるいわるい・・・それで何だ?辻のお願いって?」
「あのぉ〜・・・だからぁ〜・・・つまりぃ〜・・・」

辻がなにか下を向いてもじもじしている・・・
128 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:51
「じれったいなあ・・・なんだよ?」
「辻を辻って呼ばないでください!!」
「はぁ?」

一瞬辻の言ってることが分からなかった・・・
辻は辻じゃなかったのか・・・? 芸名? まさかな。
129 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:51
「あいぼんとかぁ、後藤さんとかぁ、みんなさん付けじゃないですかぁ・・・」
「そりゃ、まだ親しくないからな」
「だからぁ、辻も”辻”って言わないでください」
「じゃあ、”辻さん”がいいのか?」
「う〜ん・・・”のの”」
「却下」
「なんでですかぁ〜?」
「そんなもん恥ずかしくて呼べるか!!」
130 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:51
「え〜っ・・・それじゃあ、なんでもいいですよぉ」
「じゃあ、食いしん坊」
「ぜったいにいやですっ!!」
「っていっても、辻とは親しいから"辻"って呼んでるだけだぞ?」
「それでもいやなんですぅ・・・」
「う〜ん・・・それじゃあ、”希美”でいいか?」
「へ・・・?」
「嫌なのか?」
「ううん、それでいいですよぉ。 ほんとは"のの"が良かったけど・・・」
「それは無理だな・・・」
「へい・・・」
131 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:52
何とか納得してくれたみたいだ・・・
でもなんでこんなことに気になってたんだろう?
まあ、大した事じゃないからいいけど・・・
132 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:52
「そうそう。 これは、プライベートのときのみだからな」
「ぷらいべーと?」
「・・・・・つまり、遊びに行くときとかはいいけど、部活のときとかはダメだってこと」
「なんでですかぁ〜?」
「そんなの恥ずかしいに決まっているからだよ」
「そうですかぁ? 変なの」

毎度のことだがペースが狂わされるな・・・

「まあ、とにかくそういうことだ。 分かった?」
「へい! 先輩っ!」
133 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:52
なんか辻がいきなり元気になったのは気のせいだろうか・・・
それはともかく、俺と辻はみんなの待つボーリング場へと急いだ。
ん?・・・”みんな”・・・?

・ 

134 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:52
ボーリング場へつくと、俺の予感は当たっていたようだった・・・

「なあ、辻」
「辻じゃないですよぉ〜」
「あぁ、そうだったな。 じゃあ、希美」
「なんですかぁ〜?」
「今日来るのって俺と豪と希美と加護さんの4人じゃなかったのか?」
「ううん。 違いますよぉ〜」
135 名前:第13章〜ドッキドキ? 日曜日(前編)〜 投稿日:2004/06/11(金) 18:53
「・・・知らない女の子が”3人”もいるなんて聞いてなかったぞ?」
「だって言ってないですよぉ〜」
「そういうことは、ちゃんと最初に言おうね・・・」
「なんでですかぁ〜?」
「そういうもんなの」
「へいっ!」

俺は予想外の展開に驚きながらも、”5人”の待つ席へと向かっていった・・・
136 名前:ジーコ 投稿日:2004/06/11(金) 18:55
今日の更新はここまでです。
>>118さん
そうですか・・・徐々にそういったものも入れていきたいと思ってます。
日曜日はまだまだこれからなんで・・・(w

>>119さん
そうだったんですか?期待にこたえられるよう頑張ります。
137 名前:99 投稿日:2004/06/12(土) 00:33
登場人物紹介からするとあの3人か・・・。
どんな展開になる事やら、楽しみです。
138 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/12(土) 21:51
更新乙です!
三人登場!誰かははっきりとわかりませんが、なんかわくわくしてきますね!
今回も辻の脈絡の無い要求がこれまたツボに!!主人公との会話も
いい感じですね!娘×男小説はイイ!ですね。もちろん作者さんの筆力が
あればこそですがね。次回も更新待ってます!がんばってください。
139 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:44
「こ、紺野あさ美です・・・」
「・・・小川麻琴・・・です」
「高橋愛ですぅ〜」

これまた三者三様の反応だな・・・
140 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:44
まず紺野さんは・・・すごくおっとりしてそうだな。
表情はこわばっていて、なんだか緊張してるみたいだ。・・・すると

「あさ美ちゃんはいつもぼーっとしてて辻と似てるんですよぉ。
あっ、でも成績はいつもトップクラスなんですよっ!」

と、まるで自分のことかのように妙に興奮しながら、希美は俺にこそこそと話しかけてきた。

「そこは希美と全く違うってことだな」
「も〜うっ!先輩は一言多いんだから・・・」
141 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:44
次は小川さん・・・か。なんだか警戒されてる気がするな・・・

「まこっちゃんはきびきびしてて何でも1人でできるぞ!って感じかなぁ。
それと人見知り・・・っていうんですか?結構仲良くなるには時間がかかるかも」

と、今度は数学でもとくように首を捻りながら話しかけてきた。

「難しそうだな・・・小川さんって」
「う〜ん、辻たちと一緒にいるときは面白いこと沢山喋るんだけどなぁ・・・」
142 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:45
そして高橋さんは・・・とにかく明るく元気がモットーです!という標語がよく似合いそうな女の子だ。

「愛ちゃんはチアの部活でも部長をやっててぇ、クラスでも委員長をやっててぇ、辻たちのリーダーみたいな存在だなぁ。
いつもみんなのことを考えてくれていてやさしいんですよぉ」

と、今回も自らを納得させているかのように、うんうんとうなづきながら話しかけてきた。

「なんか活発さは希美に似てるよな?」
「カッパツサって何ですか?」
「・・・・・・」
143 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:45
それにしても高橋さんがさっきからこっちを見てる・・・
その顔を見て、俺はなんだか昔あったことがある気がしてきた。

いつだろう・・・

と、数日前、廊下でぶつかった1人の女の子のことが頭に浮かんだ。
144 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:46
「あれ・・・もしかして高橋さんってさぁ・・・」
「はい?」
「最近廊下で誰かとぶつかったりしなかった?」
「え、やっぱり先輩だったんですか〜? 私もなんかこの人似ているな〜って思ったんですけど
自信なかったんで声かけられなかったんですよぉ」

高橋さんは、これまた以前聞いたようなマシンガントークで喋り始めた。
145 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:47
「そっか、偶然だね」
「なんか運命みたいなものを感じますよね〜?」
「へっ?運命!?」
「先輩は信じてないんですか〜?」
「いや、信じてないことは無いけどさ・・・」
「そうですか〜、じゃやっぱり運命なんですね〜!」

俺たち二人で話していると、もうみんなはボーリングの受付をしているようだった。
豪がこっちを向いて手を振っている。
146 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:48
「じゃ、先輩いきましょうか?」

と高橋さんが俺の手をにぎり、笑いながら俺のほうを見てきた。

「手・・・つないじゃってるよ?」

俺は見たまんまの光景を口に出していた。

「まあまあ、かたいことは気にしないで」

と、勢いに負けた俺は、高橋さんに手をつながれながら、みんなのもとへと向かった。
147 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:48
「先輩遅い〜、それに手なんてつないじゃってさ・・・」

希美が予想通り頬を膨らませていた。

「ごめんごめん・・・で、レーンはどう分かれてるの?」
「こっちのレーンが、辻とぉ、愛ちゃんとぉ、先輩でぇ、 あっちのレーンが、豪先輩とぉ、まこっちゃんとぉ、あさ美ちゃんですよぉ」
「そっか。 よし! やるぞ〜!」
「先輩はボーリングうまいんですかぁ?」
「そこそこかな? 辻・・・じゃなかった希美は?」
「え〜っと・・・50くらいかなぁ」
「・・・んじゃ始めようか」
「フン。 どうせ辻は下手ですよ〜だ!」
「嘘だよ・・・怒るなってば」
148 名前:第14章〜ドッキドキ? 日曜日(中編)〜 投稿日:2004/06/14(月) 22:49
高橋さんもそろった所で、俺たちはゲームを始めることにした・・・
こういう状況を両手に花なんていうのかな・・・?
149 名前:ジーコ 投稿日:2004/06/14(月) 22:53
今日はちょっと少なめの更新でした。次回は後編です。

>>137さん
予想は当たってましたか?
この後もう一展開ありますので、お楽しみに。

>>138さん
喜んでもらえたようで何よりです。
男を絡ませた小説はあまり無いようなので、これからも精進していきたいと思っています!
150 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/15(火) 20:48
おー!更新お疲れです、
高橋がうまいことからんできましたねぇ!ニヤニヤしっぱなしですよ!
主人公の動きに注目してますよ!本当に理屈抜きに楽しい小説って久しぶり!
がんばってくださいね
151 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/16(水) 00:03
いいですねぇ、なんかこういう雰囲気。
心が洗われるって言うか・・・。
152 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/06/16(水) 17:49
いいなぁ・・・本当にいい感じだ!
作者さんの作る雰囲気がすごく好きです。
高橋・・目が離せません!次回も楽しみに待ってます。
がんばってください
153 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:41
カコーン!
ピンの倒れる乾いた音が心地よく聞こえてくる。
そして
『すごーい!!』
周りから飛んでくる黄色い歓声
まあ、ボーリング場では良くあるシチュエーションである・・・
しかし残念なことに、その歓声は俺に送られたものではなく、
『皆木先輩すごいよね〜』
・・・・・豪の向けられたものであった。
154 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:42
「ったく、豪のおかげで、俺がとても地味な存在になっちまったな」
「そんなことないよ、一史だって調子良かったじゃん」
「そのスコアの遥か上をたたき出したのはどこのどいつなんだか・・・」
「まあまあ、自分が満足出来ればそれでいいんだよ。 野球だって同じでしょ?」
「そうは言ってもだな・・・ 男にはメンツってもんがあるだろ?これじゃ、豪がかっさらっていったようなもんだろ?」
「そう? 結構みんな楽しそうだったけど?」
「そういうことじゃなくてだな〜・・・」
155 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:42
「先輩達〜早く来てくださ〜い!」

俺と豪のなんだかかみ合わない会話が終わった途端、希美たちがこっちにこいとジェスチャーしている。

「なんだか呼んでるよ? 行こうか。」

豪は俺との話をはぐらかせて、希美たちのほうへ向かっていく。

「さあ、一史も行こうよ!」
156 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:43
豪は良く分からない。
そりゃあ、小さい頃からずっと遊んだり、一緒にいたから、よく分からないという表現は不適切かもしれない。
でも、豪の深い内面まで熟知しているかというと、自信を持ってYES!とは言い切れない。
大体、何をさせても大方上手く、苦手なものだとか嫌いなものだとか想像できないやつだ。
そして、異性に対しての付き合い方。
豪にはほとんど恋愛の話をしたことはないが、豪の耳には、そういった話が入ってきたことも一度や二度あるだろう。
しかし、豪の色沙汰だとか、そういった浮いた話はこの方一度も聞いた覚えが無い。
豪は恋愛に興味があるのだろうか?
157 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:43
「・・・これとればいいの? 難しいなぁ」

その豪は、なにやらUFOゲームの前に立っている。
その横には・・・小川さんだ。

「あの・・・その、取ってもらえませんか?」

小川さんに、先ほどの自己紹介のときの突っ張った感じはなく、モジモジしながら豪を見ている。

「こういうの苦手なんだけどな・・・まあ、やってみようか?」

と言って、豪はコインを入れた。

ウィ〜ン・・・ガチャッ!!
158 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:44
『わっ!すご〜い』

またもや豪に対しての黄色い声。

「はい。 小川さん、これでよかったかな?」
「へ・・・は、はいっ! ありがとうございます!大切にします!」
「どういたしまして」

小川さんは豪から受け取った小さなクマのぬいぐるみを胸に抱いて下を向いて俯いている・・・
こりゃ、小川さんは豪のことが・・・
159 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:44
「辻もあんな可愛いぬいぐるみほしいなぁ〜」
「わっ!? いつからいたんだよ?」
「さっきからいたのに・・・気づかなかったんですかぁ?」
「全然」
「もうっっ!」
「まあまあ、それより希美もあんなぬいぐるみ欲しいのか?」
「うんっ! すっごくほしいなぁ・・・」
「希美にはあんなぬいぐるみよりも食べ物が良いんじゃないのか?」
「先輩・・・さっきからそればっかり・・・」
「違うのか?」
「うぅ〜」
160 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:44
さて、7人一行はちょうど昼時ということで、昼食をとるためにボーリング場を後にした。
ちなみに、これはあくまでも希美たちが計画したこと・・・つまり俺たちにはこれから何があるかも知らされていないのである。

「腹減ったな」
「うん。 いったいどこ行くんだろうね?」
「さあ? まあ、無難にマックとかじゃないの?」
「この近くにあったっけ?」
「あんまりこの辺に来ないから分からないな・・・」

すこし歩いた先で、

「は〜っ! やっと着いたよ!! おなか減ったよぉ〜」

という希美の心からの叫び声の上がった先は・・・

・・・ん?
161 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:45
「ここで昼飯取るのか?」
「そうですよぉ〜、いいでしょ?」

希美はきらきらした目で料理が運ばれてくるのを今か今かと待ちくたびれている。

店内はよく見たことのある光景・・・
それもそのはず、この店は大食い店として有名なところであったからである。
そして目の前に出されたのは・・・

『いっただっきま〜〜〜す!!』

まあてんこ盛りに盛られた料理の数々であった・・・
162 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:45
「ふぅ〜、もう腹いっぱいだ!」
「僕も」

大体元は取れたのだろうか?
俺は・・・なぜか豪には負けるまいという変な意地のもと、なんとか豪よりも多く食べることに必死だった。
しかしそれをみても誰も先程のような歓声をあげるものはいない・・・って当然だな。
さて、他のみんなは食べ終わったかなと周りを見てみると・・・
最近の女の子の食欲って凄いんだな・・・
163 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:45
希美の食欲は言うまでも無いだろうが、それに負けじと加護さん、そして紺野さんまでもがデザートを皿いっぱいに賑わせ、
デザートコーナという名のラウンジで嬉しそうに食べ続けていた・・・

「そろそろよろしいでしょうか?」

俺は恐る恐る、とても幸せそうにしている希美に声をかけた。

「ん〜? もっちょっとかなぁ? ねぇ、あいぼん、あさ美ちゃん?」
「うん」 「はい〜」

恐るべき食欲だな・・・これは。

・・・となると、自然とテーブルに残るのは高橋さん、小川さん、豪、俺の4人である・・・

すると、突然高橋さんは俺の横に座ってきた。
164 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:45
「一史先輩〜」

高橋さんが笑顔で俺の名前を呼ぶ。
正直、今日始めてあった子に対してこれだけ親しげにされるなんて思ってもなかったのにな・・・

「どうしたんですか、先輩。 元気ないですよ?もうおなかいっぱいで動けないとか?」
「いや・・・みんなの食欲がすごいな〜って・・・高橋さんはもういいの?」
「はい、私はもうおなかいっぱいですよ!あの〜、先輩に質問していいですか?」
「ん?俺の答えられる範囲なら構わないよ」

とはいったものの、勉強のこととかだったらどうしよう・・・答えられないかも。
そんな俺の不安を知ってか知らずか、高橋さんはにこっと笑って
165 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:46
「先輩って好きな人いるんですか?」
「ご・・・ごほっ! いきなりどうしたの?」
「そんなに慌てなくてもいいじゃないですか。 そのまんまですよ!」

最近の女の子ってのは、こんなに積極的だったのか?
・・・ってさっきから驚かされっぱなしだな・・・俺は。

「で、どうなんですか〜? いるんですか〜?」
「・・・いないけど」
「ホントですか?やった!私にもチャンスがあるってことですね!!」
「う・・・うん。 まあ・・・そうといえばそうだけど」
「よし! 頑張るぞ!」
166 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:46
『もうおなかいっぱいだね〜』

俺が高橋さんに押されまくっている所に、食べ終えたのだろうか?希美たち3人がやっと戻って来た。

「で、もういいのかな?」
「うんっ!もうおなかいっぱい〜」

希美は至福の幸せを感じている・・・
って、それだけなのか?お前は・・・と突っ込みたかったが、そこは我慢して、俺たちは店を出ることにした。
167 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:46
その後カラオケ店へと向かい、俺たちは夕方暮れまで歌い続けた。
みんなの歌は可愛らしいという表現がぴったり合うだろう、何より楽しそうに歌い続けていた。
それにしても、恥ずかしがって歌うのを渋っていた豪を何とか説得して、二人で歌ったところまでは良かったのだが・・・何で強引に誘った俺より豪のほうが歌が上手いんだろう?
結局、俺は非常にムヤムヤした気持ちで、みんなの歌を聞き続けたのだった・・・
まぁ楽しそうだったから、それはそれでよかったんだけどね。
168 名前:第15章〜ドッキドキ? 日曜日(後編)〜 投稿日:2004/06/17(木) 23:46
「それじゃ、さよなら」
『さようなら〜』

俺と豪は5人と別れて、帰路へ着いた。

「どうだった?今日」
「うん。 楽しかったと思うよ、骨休みにもなったし」
「そうだな・・・」

お互い、久々の休みに、そして久しぶりに(少なくとも俺は)女の子達と遊んだことに疲れていたのであろう・・・
その後は、互いにことばを交わすことなく、帰り道を進んでいった・・・
169 名前:ジーコ 投稿日:2004/06/17(木) 23:54
ふう・・・なんとか今日のうちに更新することができました。
まぁ、今日は特別な日ですのでね(w
間に合ってよかったです。

>>150さん
そうですか、ニヤニヤされてますか(w
作者冥利に尽きるってもんです!

>>151さん
心が洗われるなんていわれたこと無かったので、うれしいです。
これらかもどんどん洗浄できるように頑張っていきたいです(w

>>152さん
そんなそんな…ありがとうございます。
高橋はこんなキャラかな・・・?とか自分でも思ったりしますけど(w
これからも楽しみにしていてください!
170 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/18(金) 22:06
更新乙です。
豪君強ー
嗚呼、なんで俺は男子校にいるんだろう_| ̄|○
171 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/06/19(土) 19:50
本格的に高橋が絡んできましたね!
更新乙です。
なつかしいような・・甘酸っぱいような・・
いい感じですね。まさに夢の空間!
主人公と辻と高橋どうなっていくんだろう?伏兵がいたりして?
楽しみに待ってます。
172 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/06/21(月) 20:18
乙です。
ムフフフフ。にやけてしまいます
173 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:27
8:20

「だ〜っ!! また遅刻だよ・・・なんで姉ちゃん起こしてくれないかな〜?」

俺は流れる汗に構うことなく、学校への道のりをひたすらとばしていた。
と・・・後から同じように走ってくる人が・・・吉澤さんだ。
174 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:28
「お、おはよう! 吉澤さん」
「あ、おはよう! 大月君」
「いつもこんなギリギリなの?」
「ううん、今日だけ。 昨日試合だったから疲れ抜けなくて」
「そっか、吉澤さんはボクシング部だったっけ? 大変だね」
「まあね〜 でも、楽しいよ、こうバシッとね」

吉澤さんの言葉と同時に繰り出されるジャブ。
それに大げさに驚くと、吉澤さんは吹き出した。
175 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:28
「ハハッ、そんなに驚くことないのに」
「いや、なかなか切れ味鋭かったからさ・・・さすが現役高校生No.1」
「そんな〜、照れちゃうな・・・」
「だって男より強いんでしょ?」
「ま、その辺の人よりはね」
「・・・俺も吉澤さんのことは怒らせないようにしなくちゃな」
「大丈夫、大丈夫 OK牧場!」

なんか吉澤さんが変な事言ってたような・・・
と、そこに校門が見えてきた。
176 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:28
「ハァハァ・・・間に合ったみたいだね」
「そうだね」
「息切れてないね・・・さすがだな」
「うん、いつもこのくらい走ってるからね」
「まったく恐れ入るよ」
「そんなことないけど・・・あ! そういえば昨日ごっちんが”明日楽しみだな〜”とか言ってたけど」
「へ、なんで?」
「さあ?知らないけど・・・それじゃ私こっちだから」
「あ・・・うん。それじゃ」

そういうと吉澤さんはCクラスへと走っていった。
後藤さん・・・なんかいいことでもあったのか?
177 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:29
無事に1日の授業を終えると、俺と豪は部室へと向かった。
と、その途中、高橋さん・小川さん・紺野さんの3人とばったり出会った。

「あ!こんにちは〜。 部活ですか?」

高橋さんが俺たちに話しかける。
178 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:29
「うん、そうだよ。 そっちも?」
「はい!みんな部活に行く所ですよ〜」
「そっか。じゃ、頑張って」
「先輩達も〜」

3人は頭を下げて俺たちの反対側へと走っていった・・・

「なんだか昨日が初対面じゃないような雰囲気だな」
「うん、そうだね。 あ、それよりも時間やばいんじゃない?」
「本当だ、急ぐか」

俺と豪も足早に部室へと向かった・・・
179 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:29
「マジっすか?先輩」
「ああ、すまないな・・・こんな時期に」
「いや、俺のことは全然構わないですけど先輩が・・・」
「ん・・・まあ、全力でプレーした結果だからな・・・それにもし甲子園までいけたらその頃にはもう直ってるさ」
「そうですか、それなら甲子園まで行きましょう!」
「そうだな。頼んだぞ、大月」
「はいっ!」

部室へ向かうと、そこでは先輩達が俺のことを待ってるようだった。
俺が部室に入ると、そこには立岡先輩を中心に、先輩達の輪が出来ていた。
そこで聞かされたのは・・・

左肩骨折・全治3ヶ月

という立岡先輩の診断結果だった。
というのも、先日行われた政南高校との練習試合でのクロスプレーが原因だったようだ。

つまり!話を整理してみると、立岡先輩はこれから3ヶ月野球が出来ない=夏の大会の予選まで出られないのである。
そうなると、当然予選は控え捕手だった俺が出ることになるのだ・・・

「頼んだぞ!大月」

それから約3ヶ月始まる俺と、そしてチームの戦いが始まった・・・
180 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:30
「びっくりしたね・・・一史」
「ああ、聞いた本人が一番びっくりしてるよ」
「どう?」
「どうって言われてもな・・・」
「まあ、怪我は付き物だしね」
「そう、チャンスなんだろうけど・・・凄く複雑な気持ちだな・・・今は」
「でも、一史は出来ることをするしかないんじゃないかな?」
「そうだな・・・」

正直気持ちの整理がつかなかった。
怪我をした先輩のことを考えると、手放しで喜べることじゃないけど・・・
やっぱりチャンスであることには変わりは無い。

俺は先輩達の熱い期待を感じながら、この日の部活を終えた・・・
181 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:30
「は〜、なんだか今日は疲れたな・・・ほんとに」

俺は何気なく独り言を言った・・・つもりだった。

「そっかそっか・・・おつかれさん!」
「うわっ!?・・・後藤さん?」
「何でそんなに驚いてるの?」
「いきなり後ろから相槌うたれてもビックリするよ・・・」
「そっか・・・あははっ」
182 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:30
なぜここに後藤さんが・・・?
そんな俺の疑念をさらに深めるかのように

「さてっ・・・そろそろ帰る?」
「え・・・?今日はどうしたの?」
「なにとぼけてんの?早く帰ろうよ」
「へ・・・待ってたの?俺のこと」
「もちろんだよ!だって大月君の家がどこにあるか知らないし」
「ん?俺の家?なんで?」

頭の中に?マークが飛び回っている俺に、後藤さんは少しふてくされているようだった。
183 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:31
「まさか・・・忘れてたりしないよね〜?」
「だから何を?」
「・・・ひどいよっ!」
「な・・・なにが?」
「後藤ん家今日から誰もいなくなるって言ってたじゃん!!」
「・・・・・あっ」
「どうすればいいのよぉ〜?」
「だ・・・大丈夫だよ! うん、きっと大丈夫!」
「そんな慌てられて言われてもぜんぜんっ安心できないよぉ〜!」
「ほんと大丈夫だから・・・まあ、家に来なよ」
「・・・ほんとに?」
「多分・・・ね」
「・・・・・・」
184 名前:第16章〜予測不能!?〜 投稿日:2004/06/22(火) 23:31
後藤さんはいかにも俺に”今日は野宿かぁ・・・”といった諦めの表情を見せている・・・
これは何とかしなくちゃな・・・

「・・・・・・」

黙り込んだ後藤さんの表情が凄く怖かったのは、辺りが暗くなったからだけではなかっただろう・・・
185 名前:ジーコ 投稿日:2004/06/22(火) 23:36
第16章更新です。
これからは自分への戒め(?)を含めて、次章のタイトルを載せておきます。
次章は「第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜」です。

>>170さん
男子校なんですか?大変ですね。実は僕も昔男子(ry

>>171さん
伏兵ですか…まだまだ登場したばかりの人もいますしね(意味深w)

>>172さん
にやけてもらってますか。ありがとうございます!(w
186 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/06/23(水) 11:09
更新乙です!!!
わすれっぽい主人公w
しかし、辻と高橋の動きに気を取られて後藤のことは
すっかり忘れてました・・・・
ふふふふふ・・・更新待ってますよ
187 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/24(木) 22:21
更新乙です。
最後の後藤、ウケました。
一史と一緒に完全に後藤の話忘れてました。
次章のタイトルも「おっ」って感じです(なんじゃそりゃ
188 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/27(日) 01:18
更新乙です!それと、お初です〜!
最初から読まさせていただきましたぁ!すんごい面白いです!
男×娘。小説の方が僕は好きです。見つけられてよかったなぁって思ってます
がんばってください!!!
189 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 20:58
「・・・・・ってことなんだ。だから後藤さんを家に泊まらせてあげてもいいかな?」
「なっちは別に構わないけど・・・お母さんは?」
「うん。まあ、2人がいいって言うなら全然いいわよ」
「ほんとですかぁ?やった〜!後藤このままじゃ野宿するとこだったんですよ! ありがとうございます〜」

玄関に入り、事情を聞くと同時に了承が出ると、後藤さんは本当に安心気な表情を見せていた。
ただクラスメイトというだけで、ましてや年頃の女の子を泊めることに何の抵抗も無い家族もそれはそれでどうかと思うが・・・
190 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 20:59
と思った矢先、

「後藤さんにヘンな真似しちゃだめよ・・・」

という姉ちゃんのキツイお灸がすえられた。

「そんなことしねぇよ」

と、一応の弁解は入れたつもりだったのだが・・・

「大丈夫ですよ〜、後藤もモノマネ得意ですから!」

後藤さんの大ボケにより、場の空気は一瞬のうちに和んでしまった。
とにかく、後藤さん曰く『危険な目』にあわなくてよかったのかな?
191 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 20:59
「ごちそ〜さまでした〜ぁ!!」

後藤さんと共に遅めの夕食をとると、その後は部屋に戻り3人で世間話を始めた。

「後藤さんってすっごく大人っぽく見えるね〜、なっちが高校生のときなんてもっとカッペみたいだっだのに・・・」
「そんなことないですよ〜、なつみさんもすごく綺麗ですよぉ〜」
「お世辞が上手いね、こりゃいいお嫁さんになるよ!カズ」
「なんでそこで俺が出て来るんだよ?」
「へ?だって2人は付き合ってるんじゃないの?」
「ち・・・違うよ!そんなんじゃないよ」
「うそ!?てっきりそうだとばかり思ってたべさ」
「あはは〜」
192 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 21:00
後藤さんは学校で見せるような笑顔を浮かべていた。
すんなりと家の雰囲気に溶け込むことができてるみたいだな・・・よかった。
小時間の話も終わりに近づいていたその時、

「ごっちん、一緒にお風呂入らない?」
「いいねぇ〜、じゃ、なっちと一緒に入ろっかな〜」
「カズは来ちゃダメよ!」
「当たり前だろ!誰も覗いたりしないから・・・」
「そう〜?じゃ、いこっか」
「うん」

雰囲気に溶け込むどころか、すでにあだ名で呼び合っている二人に呆気に取られていると、二人は着替えを持って風呂場へと消えていった。
それにしても、初対面の人間に対して、ほんの数分であだ名で呼び合う仲になれてしまう後藤さんの順応性には程々驚かされてしまった・・・
そういえば後藤さんって吉澤さん以外の女子と一緒にいるところってあんまり見かけないような・・・
193 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 21:00
「はぁ〜、気持ちよかったぁ」

先に姉ちゃんが上がってきたみたいだ・・・明日の宿題をしていた俺の後ろから声が聞こえてきた。

そして・・・

「極楽極楽〜♪あっ、一史君も入ったら〜?」

・・・そうだよなぁ、姉ちゃんの服じゃ小っちゃいかもなぁ
俺の部屋を少し覗き込んだ後藤さんは、ちょっと小さめのTシャツにハーフパンツというなんとも目のやり場に困ってしまう服装をしていた
194 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 21:00
「後藤さん…ちょっと」
「ん?」
「いや…なんでもないよ」
「ヘンなの」

後藤さんは首をかしげながら姉ちゃんの部屋へと戻っていった・・・

「なんで我が家にいるだけでこんなに疲れるんだ?」

囁いた独り言が俺の心境のすべてであった・・・
195 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 21:00
俺は風呂から上がると、ある1枚の写真を見つめてボーっとしていた。
そこにあの聞きなれた声が後ろから響いてきた。

トントン

「か〜ずしく〜ん!入ってもいいかな?」
「うん、別にいいけど」

後藤さんは少し遠慮気味に俺の部屋に入ってきた。

「汚い場所だけどいいかな?」
「汚いだなんて・・・後藤ん家のほうがもっと汚いよぉ」
「そう?」
「うん・・・あれ?それって・・・」
「ああ、この写真?これは中学の時に撮った写真だよ。これが豪で、これが・・・」
「辻ちゃん・・・だよね?」
「へ?何で知ってんの?知り合い?」
「あ・・・いや、別になんでもないんだけどさ」
「そう?ならいいんだけど・・・」
196 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 21:01
「ねぇ、それよりもさ、一史君の家ってさ、お父さんは?」
「ん?・・・5年位前に離婚しちゃってさ、今は母親と姉ちゃんとの3人暮らしだよ」
「あっ・・・ごめん」
「いや、別に気にしてないからいいよ」
「・・・・・一史君って後藤と一緒だね」
「どういうこと?」
「後藤もね・・・小さい頃にお父さん亡くしてるんだ・・・」
「そうだったの?」
「うん・・・だから家もお母さんと弟と私の3人暮らしなんだ・・・」
「そっか・・・」
「でもね、すっごく悲しかったときにサッカーボールと出逢ったんだ・・・あははっ、なんか翼君みたい」
「そのころからサッカーやってたの?」
「うん、いままでずっと・・・ね」
「へぇ・・・お互い苦労してるんだね」
「そうだね・・・ねぇ、一史君?」
「ん?どうしたの?」
「あのね・・・」
197 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 21:01
ガチャッ

「2人とももう夜遅いから早く寝なさい、あっ、ごっちんはなっちの部屋で寝るといいよ」
「あっ、はーい。それじゃおやすみ、一史君」
「おやすみ」

挨拶を交わすと、後藤さんは姉ちゃんの部屋へと戻っていった。
最後になにか言いたそうだったけど・・・って、こんなシチュエーション前にもあったような・・・

なにがともあれ、なにかと疲れが残っていた体は睡眠を要求していたので、俺はその要求に反抗することもなく、身体の欲するままに横になった・・・
198 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 21:02
「カズ!いい加減おきなさい!!」
「うーん・・・姉ちゃん、もうちょっと」
「ん・・・んははっ」

ん・・・なんか変だ。
俺はのそのそっと布団から顔を出すとそこには・・・

「ご・・・後藤さん!?」
「カズ!遅刻するよ・・・って似てた?」
「・・・・・」
「あははっ!一史君顔赤いよ?」
「おはよう・・・」
「さあ、早く。朝ごはんできてるよ?」
「うん・・・先に行ってて」
199 名前:第17章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(前編)〜 投稿日:2004/07/02(金) 21:02
後藤さんは飛び跳ねんかという勢いでリビングへ向かっていった。
それにしても、後藤さんに起こしてもらうなんてな・・・まるで新婚さんいらっしゃいの世界だ・・・
・・・ってなんてなに考えてるんだ?俺は・・・

「一史君早く〜、おなかペコペコだよ〜・・・」

そんな俺の淡い考えをも吹き飛ばすような後藤さんの明るい声が、今日1日の目覚まし時計代わりだった・・・
200 名前:ジーコ 投稿日:2004/07/02(金) 21:09
1週間も更新をサボってました…反省。
次章は「第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 」です。
…そりゃそうだろ(w

<<186さん
この主人公は確かに忘れっぽいです、かなり。
後藤との話は題名を見れば一目瞭然でしょうが、もう少し続きます。

<<187さん
後藤さん、かなりご立腹だったようで(w
これからも笑ってもらえるよう(?)がんばります。

<<188さん
はじめまして、レスありがとうございます。
こちらも見つけてもらえて幸いです。
これからもよろしくおねがいします。
201 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/02(金) 22:33
>>200 更新乙です。
    男×娘。って距離感が難しいんですよね、それをジーコさんは上手く
    やってらっしゃる。凄いと思います。(自分は最後くっつけてしまった事が・・・)
    
202 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 12:20
更新乙です!!!
いろんなからみがとても楽しいですね。辻、高橋、後藤、どんな展開に・・
やはり、男×娘。はいいですね!もちろんジーコさんの筆力があってのことですが。
とにかく期待期待ということで!個人的には高橋とのからみを・・
203 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 22:23
更新乙です!!
すごい筆力ですね!場面が文章からドンドン伝わってきます。
こんな雰囲気好きです。ジーコさん無理せずがんばって下さい
204 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 22:30
ごめんなさい、半角になってなかったです。ageてしまいました。
すみません
205 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:11
「それじゃ、いこっか?一史君」

朝食を終えた後藤さんは、時間に余裕があるにもかかわらず、俺をせかしてきた。

「まだ時間あるけど・・・」
「時は宝なりって言うでしょ?早く行こうよ」

それを言うなら時は金なりだよ・・・後藤さん

「まあ、いいけど・・・って、一緒にいくの?」
「後藤と一緒に行くの・・・嫌?」
「いや、そういうことじゃないんだけど」
「じゃ、けって〜い!」

後藤さんは張り切って玄関を飛び出した。
俺は周りの目を気にしていたんだけど・・・
206 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:11
「ほら!なにぼーっとしてるの?早くしないとおいてっちゃうよ」
「わ、分かったから。すぐいくよ」

こうして騒がしい1日が始まった・・・





「よっ!豪じゃん」
「あれ?どうしたの、2人で」
「え・・・まあ、ちょっと色々あってね」
「そうなんだ。おはよう、後藤さん」
「うん・・・おはよう」
207 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:11
俺は目の前を歩く豪を見つけ少しほっとしたのだが、反対に後藤さんは何故か下を向いて黙りこくってしまった。

「あれ・・・?僕タイミング悪かった?」

豪は小さな声で俺に話しかける。

「そんなこと・・・無いと思うぞ」
「そうかなぁ・・・」

俺たち3人はすこし気まずい空気の中、登校道を歩いていった・・・
208 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:12
「お疲れさ〜ん!」

一日の授業が終わり、後藤さんが俺に話しかけてきた。

「うん、お疲れ様」
「今日も部活でしょ?」
「そうだよ」
「そっかー、頑張ってね!それじゃまた後で」
「うぃ」

後藤さんが俺の視界から消えると同時に、後ろから豪が声をかけてきた。
209 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:12
「・・・お〜い、一史?」
「うわっ!?・・・豪か、どうしたんだよ?」
「そんなに驚かなくてもいいのに・・・」
「で、何なんだよ?」
「いや・・・ただ一史が今日朝から変だったから」
「そうか?」
「うん、だって後藤さんと2人で仲良く登校してたしさ・・・」
「まぁ、いろいろあってな」
「まさか同棲とか?」
「・・・・・」
「えっ!?冗談のつもりだったのに・・・」
「豪・・・勘違いしてるだろ?」
「そうあって欲しいよ」
「後藤さん家が一家で旅行してるらしいんだよ。だから家にその間泊まらせて欲しいって言われたからさ」
「そうなんだ・・・そりゃ良かったね!」
「何がだよ!?」
210 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:12
今日も立岡先輩抜きの練習が始まった・・・
それにしても俺に対する視線や言動がこれまでと比べて全く違うものになっていた。
監督・・・そして先輩・・・
みんなの俺に対する期待の念、それに伴う失望の念までもが俺を苦しめた。
立岡先輩はすべての面において俺を上回っていた先輩・・・
その代わりになれなんて言うほうが無理だ。
また先輩が一人こっちにやってくる・・・
そしておきまりとなった激励の言葉、そして”俺たちの夏はこれで終わりなのか・・・”といった諦めの表情
すべてが俺を苦しめていった・・・
211 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:13
「おっ!大月、お疲れ様。がんばれよ!」
「あ、お疲れ様です・・・」

もう聞きたくなかった・・・”がんばれ”の一言。
いままでレギュラー目指してやってきたのに、いざとなったらこんなにも打たれ弱い自分にものすごく腹が立った・・・
そして立岡先輩の重責がこれまで以上に分かった気がした・・・

「どーしたの?そんな思いつめた顔して・・・」
「あっ・・・後藤さん」
「ヤッホー」

こんなにも追い詰められていた俺だったのに、後藤さんに会うだけですこし心が晴れた気がした。
212 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:13
「早く帰ろうよ〜」
「ちょっと待って・・・すぐに着替えるから」
「せんぱ〜いっ!お疲れ様で・・・」

部室の中から出てきた希美の表情がほんの少しだが曇って見えた。

「あっ、辻ちゃん・・・だよね?」
「・・・・・」
「そうそう、うちのマネージャーの辻・・・って知ってるんだったね」
「う、うん。一応ね」
「・・・・・」

何故か希美は俯いたまま話そうとしない・・・
そんなところに・・・
213 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:13
「あっ、のの〜!!」
「・・・あいぼん」
「帰ろう?」
「うん・・・それじゃ、先輩達さようなら・・・」

迎えに来た加護さんと一緒に希美は帰っていった。
何か今日の希美はおかしかったな・・・

「はやくはやく〜」
「はいはい、分かってるって」

後藤さんはそんな希美の態度にも気にする素振りもなく、俺を急かしてきた。
214 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:13
「へ?どういうこと?」
「だからぁ〜、母さんはもう出張に行って、なっちはカオリの家に泊りがけでレポート仕上げなきゃいけないから今から出かけてくるの」
「・・・ってことは?」
「よろしくね、留守番」
「ちょ・・・ちょっとまてよ!」
「だいじょうぶよ、ごっちんは料理に自信あるみたいだし・・・」
「そういう問題じゃなくてさ」
「まあ、変なことはしないようにね」
「・・・分かったよ」

これ以上姉ちゃんと話しても無駄みたいだな・・・
っていうか普通出かけるか?それも2人同時に?
後藤さんもきっと何かあせってるに違いない・・・と横を見ると
215 名前:第18章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(中編)〜 投稿日:2004/07/11(日) 01:14
「んあ?どうしたの、一史君?」

・・・俺の心配も杞憂に終わったみたいだな。

「もう眠いや、一史君」

おきらく姫、撃沈のようです・・・

「おやすみぃ〜」

どうなることやら・・・
216 名前:ジーコ 投稿日:2004/07/11(日) 01:26
本当、最近更新速度が鈍ってますね。反省してます。
次章ですが、「第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 」です。
まぁ、そのまんまです。(w

>>201さん
そんなそんな…恐縮です。
確かに距離感には常に気を使ってますね。
そういうところも楽しんでいただければ幸いです。

>>202さん
いえいえ…恐縮です。
高橋とのからみをご希望ですか…只今構想中です。
ご期待のそえるようにがんばります。

>>203さん
またまた…恐縮です。
場面が伝わってますか?よかったです。
これからもどんどんレスお願いしますね!

ps:ageられたことは気になさらなくても結構ですよ〜
217 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/11(日) 02:24
更新乙です。自分のペースで頑張って下さい。
ところで短編コンペは参加しましたか?
218 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:16
「一史く〜ん、朝だよ」
「ん…今日は騙されないぞ!後藤さん」
「んあ?何のこと」
「へ…?」

そうだった。
今日は誰もいなかったんだっけ?

「あ…おはよう」
「早く〜、朝ごはんできてるよ」
「すぐ行きます…」
219 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:16
「さあ、張り切っていきまっしょい!」
「なんかテンション高いね?」
「一史君が冷たいだけだよ!」
「そうかな…?」

家を出ると、後藤さんはものすごい勢いで俺を引っ張っていくようにずんずんと前を進んでいく。
しかし俺はどうしても、もやもやとした気持ちを吹っきることが出来ずにいた…
220 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:16
「はぁ〜学校だよ。 べんきょべんきょ〜♪」
「珍しいね。後藤さんが勉強なんて言葉口に出すなんて」
「何言ってんの?後藤は変わったんだよ!ニュー後藤だよ?」
「…そうなんだ」

あいもかわらず後藤さんはハイテンションで俺に話しかけてくる。
それを軽く受け流しながらも、唯一安心できる時間に身を委ねていた…
221 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:17




「んあ〜…よく寝たよ、ほんとに」

今日すべての授業が終わると、後藤さんはぱっと目覚め、大きなあくびをした。

「ニュー後藤…じゃなかったっけ?」
「あ、アレは明日から〜」
「……」

本当にマイペースな人間だな、後藤さんって…
そんなところ、俺にも少し分けてもらいたい…って無理か。
222 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:17
「今日も部活なんでしょ?」

後藤さんは、周りが帰る準備をしている中、ぼーっとしていた俺に話しかけてきた。

「そのことなんだけどさ…」
「ん?」
「今日サボってさ、どこか遊びにいこっか?」
「えっ!?」

後藤さんが人一倍大きな声を上げる。
223 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:17
「ちょっとちょっと…後藤さんは部活あるの?」
「ううん、今日はお休みだけど」
「それじゃ、いいかな?」
「うん…後藤は別にいいけど」

後藤さんはどうやら俺の提案を受け入れてくれたようだ…
なにやら不思議な顔をしていたが、すぐにいい場所を考え付いたらしく

「じゃ、行こっか?一史君」

と、言うと同時に、俺の手を引っ張ってぐいぐいと街中へと向かっていった。



224 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:17
――――――――――パァーン

結局聞こえるのはバットから聞こえる金属音…

「後藤、一度来てみたかったんだよね。ここ」

遊びに行くのは後藤さんのほうが手馴れているだろうと考えて、後藤さんに任せたのが間違いだったのだろうか?
今一番聞きたくない音の溢れている場所−バッティングセンター−が後藤さんの望んだ”遊び場所”だった…
225 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:18
「どう?後藤のセンスは?」
「えっ?う、上手いんじゃないかな?」
「…一史君、今見てなかったでしょ?」
「そんなことないよ、ははっ」
「もう〜、ちゃんと見ててよ」
「ほら、こっちばっか見てると次の球が来るよ?」
「え、えっ?うそ、ちょっと待って…」

豪快に空振りする後藤さん。
本当に楽しそうにバットを振ってる後藤さん。
今の俺にとってこれ以上の苦痛はなかった…
226 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:18
「一史君も打ちなよ?」

いつのまにかゲージから出てきた後藤さんは、汗を拭いながら俺に右手を出してきた。

「ん?」
「後藤のおごりだよ。なんか暗いぞ!ぱーっとかっ飛ばしちゃえ!!」
「え、いいよ。俺が遊ぼうって言い出したんだから…」
「まあまあ固いことは気にしない気にしない!」

その場で渋っていた俺を後ろから押す形で、後藤さんは強引に機械にお金を入れて、ゲージから飛び出していく。

「かっとばせ〜大月〜!」
「ちょっと後藤さん、恥ずかしいって」
「ほらほら、よそ見してるとボールが飛んでくるよ?」
「え、ちょっと待って…」

結局後藤さんと同じリアクションを取ってしまう俺。
227 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:18
――――――――――カァーン


突然繰り出されたボールにタイミングも取れない俺は、身体の反応するままにバットを振ってしまう。
そのバットからはきれいな弾道を描く打球が放たれていた…

「すっご〜い!さすが野球部だねっ!」

後藤さんが無邪気にはしゃぐ。
その後も俺がバットを振るたびに「どうやってんの?」「メジャーいけるよ」と感嘆の声を上げる後藤さん。


マシーンのランプが消えると、目をきらきら輝かせながら出迎えてきた後藤さんを見て、俺は少し恥ずかしくなってしまった。

228 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:18
「どう、すっきりした?」
「あ…うん。少しね」
「そりゃ良かったね」
「ありがとう、後藤さん」
「いいのいいの…それよりもさ、一史君うまいねぇ〜」
「まあ、いちおう野球部ですから」
「ほんと、感心したよ。後藤なんてさ〜…」

後藤さんが水を得た魚の如く、楽しそうに喋る。
その一言一言は、後藤さんの思ったこと、感じたことがそのまま形として表れていたものであった。
俺がこの数日苦しんできた励ましの言葉なんかよりも、後藤さんの何気ない言葉の方が俺の心を和ませていた…
229 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:19
「これおいしいねぇ〜?」
「うん、そうだね」
「この魚の揚げ方がほんと…ってただのハンバーガーじゃんか!」
「だって遊びすぎでもう金がなくなったし…」
「うぅぅ…なんで外出してまでファーストフードで済ませなきゃいけないのさ!」
「まぁまぁ…このポテトなんか絶品だよね!」
「冷えてるし」
「……」

バッティングセンターの後、ビリヤード、ゲームセンターなどに行き、ファーストフード店で晩飯を済ませてしまおうということになった。
今日一日は、何かいけないことをしているような、誰かに見つからないかどうかドキドキするような誰もが一度は味わう懐かしい感情に支配されていた…
それと同時に、何かが足りない…そんな気持ちも確かに共存していた。
230 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:19
「…お〜い、一史君!」
「え、あ…?」
「も〜、ほんとに今日はぼーっとしてるよね?」
「……ごめん」
「やっぱり野球してないと落ち着かない?」
「さあ…どうかな」
「どうしたの、今日?部活サボるなんて一史君らしくないよ?」
「うん…まあ、いろいろあってさ」
「なになに?」

後藤さんは興味津々という様子で、俺に問いかけた。

「あ…いや、大丈夫だよ。後藤さんと一日過ごしたら元気になった気がするよ」
「え〜ほんとに?」
「ほんとだよ」
「そう?それならいいや!」

後藤さんはそのことに関してこれ以上深く追究しようとはしなかった。
それは後藤さんにとって一つの思いやりだったんだろう…
231 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:19
「ただいま〜……ってあれ?まだ帰ってきてないのか…」

俺が勢いよく玄関のドアを開けると、そこは暗闇の世界だった。

「…ちょっと怖いね?」
「そう?」

後藤さんの意外な一面に少し驚く。
その時、


プルルルルッ!!!!


「わっ!?」

思わず一歩のけぞってしまう俺。
232 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:20
「一史君も十分こわがってんじゃん!」

後藤さんがけらけら笑う。

「誰だってこんな状況でいきなり電話がかかってきたらびっくりするよ…」

俺は電話の相手に少々腹を立てながらも、受話器をとった。

「はい、大月ですけど」

明らかに不機嫌そうな声…自分でもわかってしまうほど低い声で電話に出る。
233 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:20
「あの・・・皆木ですけど?」
「なんだ、豪か」
「一瞬かけ間違えたかと思ったよ」
「そっか…で何?」
「今日部活どうしたの?」
「あ…すまん、サボっちゃった」
「先輩達や監督も心配してたよ?」
「ああ、悪かったな…」

俺は後藤さんに謝り、自分の部屋に入った。

「ねぇ…逃げてない?」
「逃げるって…何から?」
「自分にかかってる重圧」

豪の言葉には妙に力がこもっていた。

「何のことだよ?」
「自分でも分かってるんでしょ?立岡先輩が怪我してから、一史がはなにか変わったよ…野球やってても楽しそうじゃなかった」
「……」
「逃げたままじゃ駄目だ!ちゃんと前を向かなきゃ」
「豪には…豪にはわかんねぇよ!俺の気持ちなんて」

一瞬の沈黙…
234 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:20
「1試合目…」
「えっ?何だって?」
「1試合目、先発任されたんだよ。僕が」
「…ほんとに?」
「うん、今日監督に言われたんだ…”夏のスタートは大月と皆木に任せる”って…」
「マジかよ…」
「監督は分かってたよ、一史が悩んでいること。でも、自分で乗り越えなきゃいけない壁だって… 辛いかもしれないけど、回りが手を出すべきことじゃない…自分で解決したとき、一つ成長できる…そう言ってたよ」
「……」
「だから、頑張ろうよ!二人で。先輩達のためにも、何よりも自分達のためにも!」

何かが壊れていくような気がした。
それは俺が勝手に築き上げた壁だ…周囲からの重圧を他人のせいにしていた俺の…
結局、勘違いしてたのは俺か…

「…悪かったな、当たったりして」
「そんなこと気にしてないよ。それより、明日は部活ちゃんと出なよ?」
「もうやる気フルパワーでやってやるよ!」
「そっか…良かったよ。一史が何か元気になったみたいで」
「ありがとな、豪」
「ううん、それじゃあね」
「ああ」

もう吹っ切れた。
俺には先輩達や監督の思いがかかっている…

上等だ…

俺が甲子園まで連れて行ってやろうじゃんか!
俺と豪で予選なんてぶっちぎってやるぜ!


すると後ろからドアが開く音…
235 名前:第19章〜擬似体験!一つ屋根の下!?(後編)〜 投稿日:2004/07/13(火) 23:20
「おっとっとっと…」
「後藤さん?」
「えへへ…」

後藤さんは俺の顔を見ると、愛想笑いを浮かべて…ってなんでここに!?

「ゴメン、聞いちゃってた…でも、今日元気なかったのはそういことだったんだね」
「俺、情けないな…」
「そんなことないよ…がんばって!後藤が応援してあげるから。フレーフレー一史!ってね」
「後藤さん…ほんとにありがとな」
「いいってことよ」

後藤さんがエッヘンと胸を張る姿が妙に可笑しかった。
そして…俺は決意新たに夏に向かうことが…出来そうだ。

波乱の夏はもうすぐそこまで来ていた……
236 名前:ジーコ 投稿日:2004/07/13(火) 23:25
やっと後藤編(?)が終わりました。
あんまり娘。が登場してないシーンが今回は結構あったので、どうなのかなと少し心配してみたり…
次章は「第20章 心機一転!」です。

>>217さん
レスありがとうございます。そういってもらえるとすごく助かりますね。
短編コンペですが、参加してません。似ているHNの人でもいたんでしょうか?(w
237 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/14(水) 18:01
更新乙です。
いや、俺は参加したのでジーコさんはどうかな?とw
そろそろ予選開始ですか、ウチの学校はなんとか1回戦突破、
でも一史達のようには上手く行かないでしょうがw
238 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:37
それから…俺は生まれ変わったつもりで練習にも取り組みことにした。
迫る体育祭の準備とともに、忙しい毎日に充実感を得るようになった。

そんな気分に水をさすものが…中間試験である。
修行僧のような生活が待っていると思うだけで俺の気分は一気に萎えてしまう。
特に悩ませるものは…数学だ。
高校入学以来、俺の数学の成績は毎回赤点すれすれのそれはもう悲惨なものなのである。
さて、ここは誰かに教えてもらうか…
239 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:38
豪…格好がつかないよな
希美は…論外だろ?
姉ちゃんは数学苦手だったしなぁ…

…そういえば紺野さんの成績はトップクラスだって希美が言ってたような…
仕方がない、溺れる者はわらをもつかむ、って言うしな。




240 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:39
「え、あさ美ちゃんの電話番号?なんでですかぁ」
「まぁ、よ、用事があってな」
「え〜、まさかあさ美ちゃんに告白したりしませんよねぇ?」
「しないしない」
「ほんとですかぁ?まぁ、それならいいんですけど」
「サンキュ。恩に着るよ」
「今度8段アイスおごってくださいよぉ!」
「はいはい、分かりましたよ」

こうしてなんとか紺野さんの電話番号を聞きだすことができた…けど
なんて言えばいいんだ?やっぱストレートに言うか?
・・・・・・プルルルッ
見知らぬ番号からの電話
241 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:40
「はい?」
「え〜っと、紺野ですけど」

ぼそぼそっとかすかに聞き取れるくらいの声

「え?紺野さん、どうしたの」
「のんちゃんから”大月先輩があさ美ちゃんの番号聞いてたから気を付けて!”って言われたんで…」
「希美のやつ何もないって言ったのに…で、俺の電話番号も?」
「はい、希美さんから」
「…頼むから俺が希美って呼んだことは誰にも言わないでくれない?」
「分かってますよ。私も二人の恋を邪魔する気はありませんから♪」
「そんなんじゃないんだけどなぁ…」
「まぁまぁ、それより私に用事って何ですか?」
「これも恥ずかしいことなんだけど…俺の家庭教師になってくれないかな?」
「へ?」
「数学を教えて欲しいんだけど…」
「授業料は安くないですよ?」
「そこをなんとか…」
「う、うそですよ?私で力になれるか不安ですけど、先輩の頼みなら聞きますよ」
「ほんと?ありがとう!感謝するよ」
「いえいえ…それで日時はどうします?」
「それじゃ・・・・・・」

ふぅ…なんとか約束を取り付けることができたな。
それより、紺野さんって一癖ある性格してるな…
242 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:41




「待った?」
「いえ、私も今来たところです」

約束の日、先についていた紺野さんは制服で待ち合わせ場所に立っていた。

「俺も制服で来たほうがよかったかな?」
「私がろくな服持っていないだけですよ、完璧です!」
「そ、そう?じゃ、行こうか」

なんか紺野さんといると、こっちも少し調子が狂ってしまいそうになる…って俺の周りはそんな人ばっかりだな。

「あ!あさ美じゃない?」
「ほんとだ〜、アハハッ」

図書館へと向かっている途中、少々若々しい女の子たちが紺野さんに近づいてきた。
243 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:42
「元気だった〜?っていうか横にいるのって彼氏〜?」
「ち、違います!そんなんじゃ…」
「またまた〜遠慮しちゃって!あのあさ美にも彼氏が出来たんだねぇ〜」
「だから、違いますって」
「ハハハッ、こいつ必死だよ?そんなに昔のこと隠したいの?」
「・・・・・・」

紺野さんは何も言えず俯いてしまっている…

「紺野さん、行こうか?」
「え、えっ?」

俺は紺野さんの腕を強引につかんでこの場を去ろうとした。

「今度あったときは昔話でもしよっか?」
「そうだねぇ〜」

離れていく紺野さんに二人は笑いながら手を振っていた…

「大丈夫だった?」
「あ、ありがとうございます」
「なんだかよく分からないけど、困ったら俺にも相談しなよ。少しは役に立てると思うから」
「はい…」




244 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:43
その後、俺たちはこれといった会話もなく図書館に着いた。

「結構多いんだね」
「いつもこのぐらいですよ?初めてですか?」
「…恥ずかしながら」
「まぁ、とにかくはじめましょ!」

二人で席に着くと、周りの人の勉強に対する集中力に圧倒される。

「で、分からないところってどこですか?」

紺野さんはめがねをかけて俺の顔を覗き込んでくる。

「え…あ、ここがちょっと」

…なんで俺ドキドキしてんだ?

そんなこんなで昼過ぎまで手取り足取り紺野さんにみっちりしごかれてしまった…

「…こんなに勉強って疲れるものだっけ?」
「なに言ってるんですか?まだまだですよ。ご飯食べた後は数列やりましょうね」
「ま、まだあるの?」
「当然です!」

・・・そこに
245 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:43
「あれ?一史さん」
「あ、理沙ちゃん」
「どうしたんですか?こんなところで…」
「え、え〜っと…」
「まさか…私お邪魔ですか?」
「そ、そうじゃなくて、その…」
「デートなんですか?」

なぜか小声

「こんにちは」

紺野さんが理沙ちゃんに話しかける。

「あっ、こんにちは。えっと…」
「私は紺野あさ美っていいます。聖藍高校の一年で大月先輩の後輩です」
「そうなんですか〜?いいなぁ…」
「もしかして聖藍高校を今年受験するんじゃ?」
「そうなんですよ!でも私頭悪いから…」
「大丈夫だよ、ウチの高校は基本ができていれば合格できるから・・・・・・」

・・・なんとか助かったみたい。
さすがに”勉強教えてもらってる”なんて言えないからな・・・
246 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:44
「先輩、よかったですねぇ…バレなくて」
「気づいてたの?」
「だから会話に割って入ったんじゃないですか」
「…すいません」
「まぁ、これで今日はおあいこですよ」

おあいこ・・・?あ、朝のことか

「俺はそんなつもりなかったんだけど」
「でも、私は助かったんですから、いいんですよ。完璧です!」
「…そうだね」
「じゃ、勉強始めましょっか?」
「…やっぱり?」
「当然です!」
247 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:44




結局、夕暮れ時まで俺は何気なく(?)紺野さんに教えてもらうことになった。
紺野さんは理沙ちゃんにも教えてあげていたようだけど…自分の勉強は大丈夫なのかな?

「今日はありがと。紺野さん」
「いいえ、少しでも役に立てたのなら十分です」
「少しだなんてとんでもない!一生分の数学をやった気がするよ」
「そう言ってもらえるなら嬉しいです」
「でも、今日はよかったの?紺野さん」
「ええ、理沙ちゃんとも仲良くなれましたし、先輩とも少しは距離が縮まりましたから」
「また頼むかもしれないけど、これからもよろしくね」
「はい。完璧です!」
248 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:45




テスト当日・・・
紺野さんに教わった数学も史上最高の手ごたえを感じ、なんとか問題もなく進んでいった。
そして、テストが終わるともう目の前には・・・体育祭

今年は俺自身も重役を担っていることもあるが、例年以上の盛り上がりを見せている。
特に優勝商品の研修旅行は、これまでにない試みとしてここまでは成功しているといえるだろう。
そして、ここにも魔力に取り付かれた人間が一人・・・

「先輩〜、練習しましょ〜よぉ」
「俺は忙しいの」
「やりましょ〜やりましょ〜やりましょ〜」
「あ〜っ!辻、うるさい!」
「だから、辻って言わないでくださいって言ったでしょ〜ぉ」
「学校で希美なんて言えるかよ!」
「けち〜ぃ」
「何とでも言え」
「も〜うっ、先輩のバカっ!」
「辻にバカとは言われたくないけどな」

希美はがっくりと肩を落として部屋を出て行った。
そう、今はまさに話し合いの真っ最中・・・
みんなの目が痛い・・・
249 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:45
なんだかんだいって体育祭までもう2日なんだよなぁ。
俺の仕事はというと、なんとか終わりそうな状態・・・

今年はいろいろな出し物があるらしく、もうとっくに下校時間を過ぎたというのに、明かりのついている教室がちらほらと見える。
・・・そういえば、希美はチアダンスやるって張り切っていたような・・・
ちょっと覗いてみるか。

「はいっ!そこ足ちゃんと揃えて〜」

なにやら先生の甲高い声が聞こえる・・・ってこれ中澤先生の声じゃないか?
おそるおそる中の様子を伺ってみると・・・

「こらっ!辻、何度言えば分かるんや?みんなできとるんやでぇ」
「ご、ごめんなさい・・・」

あ〜っ、辻しごかれてるみたいだな・・・
それに加護さん、高橋さん、紺野さん、小川さんも一緒のようだ。

「よし、今日はここまで!お疲れさん」

中澤先生の声と共に、俺は中へ入っていった。
250 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:46
「先生、お疲れです」
「おっ、一史君やないの?趣味悪いで?覗きなんか」
「そんなんじゃないんですけど・・・仕事が一段落したからちょっと寄ってみただけですよ」
「そう?ま、ええけど。それより、今年のチアダンスは凄いで〜」
「先生って担当だったんですか?」
「そうやで。毎年やってんねんけど、今年は高橋と小川がピカイチやな!」
「へぇ、楽しみだなぁ。それじゃ、あと少しなんで頑張ってください」
「あんたもな。期待してるで!」
「はい」

体育館を出ると、帰り支度をした希美が更衣室から出てきた。

「あっ、先輩。帰りましょ?」
「みんなは?」
「先に帰っちゃいましたよぉ〜。辻着替えるの遅くて」
「そっか。じゃ、一緒に帰るか?」
「へいっ!」
251 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:47
希美と一緒に歩くのなんて初めてかな?
希美は嬉しそうにぴょんぴょんしながら俺の横を歩いている。

「先輩とお話しするの久しぶりだなぁ」
「そうだっけ?」
「いつも忙しいって構ってくれなかったじゃないですかぁ〜」

希美がお得意の顔を膨らませる表情で、俺のほうを見る

「しょうがないだろ…本当に忙しかったんだから。それよりチアはどうなんだよ?なんか今日は怒られてたけど」
「そうなんですよぉ。なんか辻踊り覚えるの遅くて…」
「それになんかきつそうだったぞ?大丈夫か」
「大丈夫ですよぉ。辻は体力だけが取り柄なんですからっ!」
「とにかく、もう本番も近いんだから、無理はすんなよ」
「へいっ!」
252 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:48
ザァァァァァッ・・・・・・

「うわっ!雨だよ。傘持ってきてねぇのに」
「あははっ!冷たーい」
「希美、遊んでる場合じゃねぇだろ?風邪引くぞ」
「気持ちいーなぁ」

希美のやつ・・・聞いちゃいねぇ

「希美ん家までまだ距離あるよな…」
「う〜ん…そうだ!先輩の家で雨宿りしていっていいですかぁ?」
「へっ?まぁ…いいけど」
「やったぁ〜!早く行きましょぉ〜」
「ちょ、ちょっと。そんなに走るなって!」




253 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:48
「おかえり〜ってあれ?」
「え〜っと、何から説明すればいいかな…」
「とにかく上がりなさい!寒いでしょ?」
「すまん、姉ちゃん」

家に着き、改めて希美を見ると・・・びしょびしょだな。
つーか、見えてるぞ。辻・・・

「とにかくタオルで体を拭いて、あとで暖まるようにスープ作ってあげるから」
「サンキュ」

俺と希美は体を乾かすと、俺の部屋で待機させられることに・・・
254 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:48
「ここが先輩のへやかぁ」
「じろじろ見るなよ」
「あっ!これ中学のころの写真じゃないですかぁ〜」
「そうだけど?」
「懐かしいなぁ…」
「このころは大分希美もすっきりしてたのになぁ…」
「大きなお世話ですよぉ!…でも先輩と会えてよかった」
「どうしたんだよ?いきなり」
「辻…先輩と会ってから変われたんです」
「そうかぁ?まったく変わってないと思うぞ」
「でも変われたんですっ!あれからは毎日が楽しくて…試合の前の日はいつもドキドキしてぇ」
「ほんとに毎日きてたもんなぁ…みんなで希美に皆勤賞あげたりしてな」
「辻今でも持ってるんですよぉ〜。宝物なんですからっ!」
「ちゃっちいものだったような気がするんだけどなぁ」
「嬉しかったんですよぉ!皆勤賞なんてもらったこともなかったし…あっ、今のは忘れてください!」
「なんでだよ?イメージ通りだよ」
「もーぉ…それでウチの高校にも受かることができたし」
「希美でも受かったんだから凄いよな、っていうかむしろ奇跡だよな!」
「…」

黙ってうつむく希美
255 名前:第20章 心機一転! 投稿日:2004/07/23(金) 22:49
「冗談だって、気にするなよ」
「違うの・・・本当に奇跡だなって」
「へ?」
「ううん、なんでもないですよぉ」

「ほらぁー、降りてきなさーい」

「あ、姉ちゃんが呼んでるよ。いこうか?」
「へいっ…」

この時、何で俺は気づかなかったんだろう。
希美がかすかに震えていたのを・・・
希美がいつもと違っていたのを・・・
256 名前:ジーコ 投稿日:2004/07/23(金) 22:53
毎度のことながら、久しぶりの更新です。

>>237さん
母校は惜しくも敗れてしまいました。
が、最後までいいゲームを見せてくれた後輩たちに感謝してます。
一史たちの夏も迫ってきてますね、まだ一波乱、二波乱あるでしょうけど(w
257 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/24(土) 01:11
待ってましたぁ〜
258 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/24(土) 01:27
2重カキコすみません
何か失敗ばかりだぁ・・・
259 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/24(土) 23:48
ほんとすみません
ブラウザ(って言ううんですか?)新しくしたら、こんなんなりまして・・・
更新乙です。紺野さん出たのがうれしくてカキコしたんですが
うまく使えなくて・・・邪魔ばっかしっちゃってごめんなさい
260 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/26(月) 20:22
ののたん・・・
261 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/26(月) 23:19
更新乙です。
うちもすぐに負けました、ていうかエースが打たれすぎ(汗)
一史達は期待してます
262 名前:第21章〜祭前夜〜 投稿日:2004/07/28(水) 00:25
「ごちそうさまでしたぁ」

スープを飲み干した希美は満足した様子で姉ちゃんと話していた。

「もうこんな時間…そろそろ帰らなきゃ」
「それじゃ、一史送ってあげな」
「分かった」

俺が傘を持つと、希美はちょこんと俺のそばに寄ってきた。

「おい」
「なんですかぁ?」
「なんですかぁ?じゃないだろ。傘貸してやるから」
「え〜っ、か弱い女の子に傘なんて持たせるんですかぁ?」
「か弱い…?誰が?」
「いいじゃないですかぁ〜」
「仕方ないなぁ…」

文句を言いつつ、結局妥協してしまう俺。
263 名前:第21章〜祭前夜〜 投稿日:2004/07/28(水) 00:27
「じゃ、ここでいいか?」
「へいっ!ありがとうございますっ」
「おう。本当に体には気を付けろよ」
「へいっ!今日は楽しかったです!また今度いってもいいですかぁ?」
「そうだな…考えとくよ。じゃあな」
「さよなら〜」

辻は姿が見えなくなるまで手を振っていた。
264 名前:第21章〜祭前夜〜 投稿日:2004/07/28(水) 00:30
帰宅すると、待ってましたといわんばかりに姉ちゃんが出迎えてきた。

「一史、今日の子の名前何って言うの?」
「なんで?」
「いやぁ〜なんか妹みたいでめんこい子だったからさぁ」
「あいつは野球部マネージャーの辻だよ」
「そうなんだ…で、一史はどうなの?」
「なにが?」
「辻ちゃんのことどう思ってるのかな〜って」
「別に…ただの後輩だよ」
「辻ちゃんといい、ごっちんといい、モテモテだねぇ…アンタ」
「ま、モテないよりはいいかなって」
「なに?なんか言ったぁ〜?」
「なんでもねぇよ」
「…でもね。どっちつかずの態度をとられ続けるのも辛いんじゃないかなってなっちは思うよ?」
「ん、どういうこと?」
「それは自分で考えなさい。それじゃ、なっちは寝るから。おやすみ」

そういうと姉ちゃんは自分の部屋へと戻っていった…

「…なんだよ、それ」
265 名前:第21章〜祭前夜〜 投稿日:2004/07/28(水) 00:31
さて、今日は体育祭前日。
どのグループも明日の準備で忙しそうだ・・・
そこに・・・

「一史く〜ん!」

後藤さんが凄い勢いで俺のほうへ向かってくる。

「どうしたの?」
「後藤、今暇だからウロウロしてたの。そしたら偶然一史君がいたから…」
「そっか。後藤さんは体育祭で何かに出る?」
「後藤は部活対抗リレーにでるんだ!ちゃんとみててよ〜?」
「楽しみにしてるよ。それじゃ、また後で」
「うん。頑張ってね〜」

そういえば豪や吉澤さんも出るって言ってたな・・・
因みに俺は一番最初に構想から外されたけど・・・
・・・・・悪かったな。どうせ鈍足だよ!
266 名前:第21章〜祭前夜〜 投稿日:2004/07/28(水) 00:34
後藤さんと別れた後、見覚えのある後姿が…

「石川先輩!」
「あっ、一史君。元気にしてた?」
「えぇ。もうばっちりですよ!先輩は?」
「う、うん。ちょっと最近貧血気味でね…」
「そうなんですか?無理しないほうがいいですよ」
「たいしたことないから大丈夫よ。で、皆木君…知らない?」
「え〜っと…多分グラウンドにいるんじゃないですか?」
「そっか、ありがと。それじゃね」
「はい」

石川先輩は豪を探しに行ったのだろうか?グラウンドへと向かっていった。
267 名前:第21章〜祭前夜〜 投稿日:2004/07/28(水) 00:36
今日はいろんな人に会うなぁ…と思っている矢先、

「大月君?」
「あっ!中澤先生に保田(ほった)先生」
「保田(やすだ)よ!」
「あっ、すいません」
「気にせんでええよ。初めて会う人にはいつも間違えられてるから」
「まったく失礼しちゃうわ…」
「ははは…で、中澤先生今日はチアの練習ないんですか?」
「あ、これからあるよ。今日も覗きにくるん?」
「人聞き悪いですよ…今日は仕上げもあるんでいけません。で、ほ…保田(やすだ)先生は?」
「…裕ちゃんと教師選抜で借り物競走に出るから、その打ち合わせよ」
「圭ちゃんと一緒に出るんやで〜。今から楽しみや」
「そうなんですか…それじゃ頑張ってください!」

中澤&保田コンビっていったら、この学校では有名だそうだ…いろんな意味で
と、とにかく今年は楽しめそうだな。
268 名前:第21章〜祭前夜〜 投稿日:2004/07/28(水) 00:38
「ただいま〜」

学校での総仕上げを終え、帰宅。

「おかえり!早かったね」
「明日が本番だしね」
「そうそう、なっちも明日行くから」
「へ?何で」
「チア見に行こうかな〜って。祐ちゃんにも久しぶりに会いたいし」
「そっか…まぁ、先生も喜ぶんじゃないかな?」
「そうだね…それじゃ、楽しみにしてるよ。明日」
「はいはい」

こうして、俺にとっては忘れることのできない体育祭が始まろうとしていた・・・
269 名前:ジーコ 投稿日:2004/07/28(水) 00:44
今日はちょっと少なかったかも…更新しました。
前回は忘れていたので(w
次章は「第22章〜体育祭(前編)〜」です。

>>257-259さん
気になさらないでください。
久しぶりのカキコがあったのでうれしいです。

>>260さん
非常にストレートなレスですね(w
辻はこれからどうなるのか!?
…なんて大げさなこと言っておきます(w

>>261さん
そうですか…残念ですね。
この時期になると、ついつい昔のことを思い出してしんみりしてしまいます(w
っていっても、最近のことなんですけどね。
270 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/29(木) 13:17
更新乙です。
体育祭一体どうなってしまうのか、楽しみに待っております。
271 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/31(土) 21:33
ののたん・・・気になります・・
272 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/08/06(金) 22:02
まっておりますよ!!!
273 名前:第22章〜体育祭(前編)〜 投稿日:2004/08/07(土) 20:54
そして…体育祭当日

「あー、今から楽しみだね、一史君」
「まあまあ、少しは落ち着きなよ」
「だって年に1度の体育祭だよ?後藤の晴れ舞台だよ?はしゃがないでいられる?」

興奮している後藤さんとは対照的に、豪は少し沈んでいる。

「どうしたんだよ?緊張してるのか」
「そんなんじゃないんだけどね…まぁ、いろいろあって」
「何かあったのか?」
「ううん、別に大したことじゃないから」
「そっか、ならいいけど」
274 名前:第22章〜体育祭(前編)〜 投稿日:2004/08/07(土) 20:54
どうも様子がおかしいな・・・と思っている矢先

「先輩〜ぃ」
「何だよ?のぞ…辻」
「…そっか、学校だもんね」
「いらないこと言わなくていいんだよ…で、なんだよ?」
「今日は頑張りましょうねっ!そして旅行も…」
「ん?なんだって」
「ううん、別になんでもないです。…あ、あいぼんだ!それじゃ先輩また会いましょ〜ねっ」

ったく、辻はいつも嵐のように去っていくな・・・
そういえば石川先輩の姿が見えないな・・・どうしたんだ?
275 名前:第22章〜体育祭(前編)〜 投稿日:2004/08/07(土) 20:55
「なぁ、豪。石川先輩どこいるんだろう?」
「今日は見学だって」
「なんで?」
「さぁ?気分でも悪いんじゃないかな」
「ところで昨日先輩に会わなかったか?」
「え?どうして一史が知ってるの?」
「だって、俺が先輩に豪の居場所聞かれたんだよ…そういえばあの時も気分が悪いって言ってたしな」
「そう…なんだ」
「ああ。で、なんか話したのか?」
「ううん、別に」

そういうと豪は別の場所へ立ち去ってしまった…
どうしたんだよ?豪のやつ
276 名前:第22章〜体育祭(前編)〜 投稿日:2004/08/07(土) 20:56
「一史さんっ!」
「あ、理沙ちゃん。来てたんだ?」
「もちろんですよぉ!それにさっきなつみさんにも会いましたよ!」
「そっか。今日は楽しんでいきなよ」

”大月〜、始まるぞ”

「じゃ、いかなきゃ」
「はい!頑張ってください」
「ありがと」

そんなこんなで俺にとって大きな転機となる体育祭はあわただしく幕を切ったのだ。
277 名前:第22章〜体育祭(前編)〜 投稿日:2004/08/07(土) 20:56
『只今から、生徒選抜による部活対抗リレーが始まります』

たしか後藤さん、吉澤さん、豪が出るんだったよな…

パァーン―――――

一斉にスタート。
まず先頭に躍り出たのは…吉澤さんか
その差をぐんぐんと離していく。

トップで吉澤さんがバトンを渡すと、その後は雪崩れのように次々とランナーが走り抜ける。
野球部は3位、サッカー部は5位か…

レースは進み、第3走者を終えて、トップは未だにボクシング部、3位に野球部、4位にサッカー部だ。
そして、野球部の第4走者に豪が登場する。
278 名前:第22章〜体育祭(前編)〜 投稿日:2004/08/07(土) 20:56
『豪く〜ん♪』

グラウンドからは黄色い声がちらほらと聞かれる。
こんなことなら俺も出ておくべきだったかな?
・・・って豪だからだろ?分かってるよ!

その豪は2位の陸上部を捉え、順位を1つ上げると、先頭を走るボクシング部にも肉薄する。

『がんばって〜!豪君』

黄色い声はいっそう大きくなり、豪がついにボクシング部を捉え、かわした!
その後、豪はアンカーへバトンを渡し、レースはついに最終局面を迎えた。

トップは野球部、2位にボクシング部、3位にサッカー部と接戦を演じている。
279 名前:第22章〜体育祭(前編)〜 投稿日:2004/08/07(土) 20:57
ここで、サッカー部のアンカーである後藤さんにバトンが渡った。
差は、野球部と70m、ボクシング部と40mといったところか。
バトンをもらうと、後藤さんは2週あるにもかかわらず、ハイペースで追走する。
1週目が終わろうとするころ、後藤さんはボクシング部を抜き2位へ浮上。
野球部とは未だ30〜40mの差があり、かなり厳しい状態である。
それでも、後藤さんの表情は変わらず、いや、むしろ楽しそうになってきている。
これは期待できるかも・・
280 名前:第22章〜体育祭(前編)〜 投稿日:2004/08/07(土) 20:59
2週目も半ばを過ぎたころ、先頭を走っていた野球部アンカーのペースがガクッと落ちる。
それを待っていたかのように、後藤さんはさらにペースを上げる。
レースも最後のコーナーを向かえ、歓声も最高潮に盛り上がる。
20…15…後藤さんがどんどん差を詰める。
そして最後の直線、後藤さんがラストスパートをかける。
必死に逃げ切ろうとする野球部を寸前のところで交わし、トップでゴール!!!
後藤さんは心地よさそうに歓声を聞きながら、俺のほうへVサインを見せた。
俺は困惑しながらもVサインを返すと、後藤さんは納得したようにうんうんとうなずいてサッカー部の仲間と喜びを分かち合っていた。
 
結局、例年類を見ない激戦は、トップサッカー部、2位野球部、3位ボクシング部という結果に終わった。
281 名前:ジーコ 投稿日:2004/08/07(土) 21:05
量は少ないですが更新しました。
次章は「〜体育祭(中編)〜 」です。

>>270さん
体育祭、まだまだ始まったばかりです。
何かが起きる、とだけ言っておきます(w

>>271さん
ののたん…ですね。
次章は登場する…かもしれません(汗

>>272さん
ありがとうございます、励みになりました。
282 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/07(土) 22:11
更新乙です。
リレー、陸上部弱w
なんだか先に伸びている糸がちらちらと・・・。いやまさか・・・。
283 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/08/21(土) 14:14
更新乙です!うーん石川さんどうなったんでしょうか・・・
いろいろ入り乱れての・・・予感・・たのしみ!
284 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:47
「一史く〜んっ!」

たった今レースの終わった後藤さんが、疲れなど微塵も見せずに俺のほうへ走ってくる。

「ちゃんと見ててくれた〜?後藤の走りっぷり」
「うん、お見事だったね」
「でしょ?これが愛の力ってやつかな?」
「へ?」
「ううん、別にいいの。気にしないで」
「は…はぁ」
「ごめんね、今さっき走ったからテンション上がっちゃって」
 
そこに、同じく走り終えた豪と吉澤さんもやってきた。
285 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:48
「二人とも、お疲れ様」
「ありがと。ほんとごっちんのおかげであたしのかっけぇ走りが台無しじゃない」
「十分速かったじゃ〜ん」
「あたしもアンカーやっとけばよかったかなぁ…」
「後藤には勝てないよぉ〜ん!」
「なにぃ〜?」
「まぁまぁ…ところで豪も会場を沸かせてたな?」
「そうかな?」
「気づかなかったのか?会場全体がキャーキャー言ってたぞ」
「ははっ、体育祭の盛り上がりには貢献できたかな?」
「もちろん!」
「じゃ、後藤とよっしぃーはあっちで休んでるから」

二人は肩を抱き合って健闘をたたえているようだった。

「それじゃ、僕も休もうかな?」
「あぁ、お疲れさん」
286 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:48
さて、体育祭も半ばに差し掛かり、注目の点数は・・・
 
Aクラス 200点
Bクラス 180点
Cクラス 200点 
Dクラス 160点

と、どのクラスにもまだ優勝の可能性が残っている状況であり、各競技への応援にも熱がこもってきている。
そんなところに・・・

『ここで、教師選抜による借り物競争を行いたいと思います』

この競技は中澤先生と保田先生が出るやつだな・・・注目してみてみよう。
287 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:48
『……あ〜っと、ここで中澤先生、保田先生が問題の入った袋を持ってきました…さて、中には何が書いてあるのでしょう?
 …これはピッタシの問題です!!この会場の中でカッコいい男の人を借りてきてくださ〜い!(笑)』

「よっしゃ〜、とびきりのいい男見つけてやるでぇ〜」

おいおい・・・こっちまで声が聞こえてるぞ・・・
288 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:49
『さぁ〜、中澤先生が獣を狙うかのような目つきで会場の男性を物色しております!教師としてこれでいいんでしょうか?』
「ごちゃごちゃうるさいで!」
『あ〜っと、中澤先生と目のあった子供が泣いてしまった〜っ!それでもなお探し続けます!』
「お!ええんちゃうか…って逃げよった!」
『会場の男性方、お気をつけください!大変危険な状況でございます!』
「これわざとウチに引かせたんやないやろうな・・・よし、ここは奥の手や!」
289 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:50



『さて…中澤先生と後ろをついていただけの保田先生が戻ってまいりました…』
「こいつでどうや?」
『借りてきた男性はなんと…先ほど部活対抗リレーで活躍した皆木先輩です!何かずるいような気もしますが判定は…?』

 ○ ○ ○

『お〜っと、全員一致で合格です!これは凄い!生徒に助けられました、中澤先生!!』
「いらんこと言うな!」
『それではこれで失礼します…最後にナレーションは加護でした!さよなら〜っ!』

・・・なんか漫才を聞いていた気がするな。
まぁ、会場は盛り上がっていたし、大成功といえるのかな?
290 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:51




そして、なんとか午前中を無事に終えることができ、ほっとしたところで昼食の時間を迎えた。

「一史〜こっちこっち!」

姉ちゃんと里沙ちゃんがこっちに向かって手を振っている。

「ここにいたんだ?」
「うん、ちゃんと里沙ちゃんと応援してたんだから。ねっ?」
「はい!これが聖藍高校の体育祭なんですね。いいなぁ〜」
「里沙ちゃんも来年参加できればいいね」
「もちろんですよっ!」

里沙ちゃんは胸を張って答えた。
俺もこんな時期があったのかな・・・?
291 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:52
そこに豪が戻ってくる。

「おっ!豪、こっちだぞ」
「なつみさん、こんにちは」
「かっこよかったねぇ、なっち改めて見直したべさ」
「そうですか?ならよかった」
「はい、お兄ちゃん」

里沙ちゃんが豪におしぼりを差し出す。
「ありがと」
「相変わらずしっかりしてるな、里沙ちゃんは。まったく誰かにも見習わせたいな…」
「誰のことですか?」
「い、いや別になんでもないよ」

なぜか俺の頭の中に希美の姿が・・・
292 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:53
そこに・・・
「先輩〜っ!」
「高橋さん…それに紺野さんに小川さんまで、どうしたの?」
「愛ちゃんが先輩見つけて”一緒に食べたい〜っ!”って聞かなかったんで…まこっちゃんと私も御一緒させてもらっていいですか?」
「ぜんぜん構わないよな?」
「もちろん!ご飯は大勢で食べたほうがおいしいに決まってるべさ〜」
293 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:53




「紺野さん」
「なんですか?」
「この前はありがと。おかげで自分でも信じられないくらいの点数が取れたよ」
「何点だったんですか?」
「48点」
「…あたしの教え方が悪かったのかな」
「ご、ごめん!頑張ったんだけどさ」
「そんな慌てないで下さいよ!冗談ですから♪」
「紺野さんが言うと冗談も本気に聞こえるからなぁ…」
294 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:53
「紺野先輩!こんにちは」
「里沙ちゃんは紺野さんのこと知ってるんだっけ?」
「なに言ってるんですか?図書館で先輩たちが二人でいたときに会ったじゃないですか〜」
「えっ!?先輩、あさ美ちゃんと一緒に図書館いったんですか?」

高橋さんがものすごい勢いで身を乗り出す。
295 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:54
「いや、そうじゃなくて…」
「じゃ、行ってないんですか?」
「行ったことはいったんだけどさ…」
「偶然図書館で会ったんですよね?」
「そ、そうなんだよ!」

また紺野さんの機転で救われたな・・・これじゃ、頭も上がらないぞ。

「今度は私と行きましょ〜ねっ!」
「う、うん。今度ね」
「約束ですよ〜」
296 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:54
「最近の若い子は積極的なんだねぇ…」

姉ちゃんも十分若いだろ…?

「皆木先輩…」
「ん?どうしたの」
「あの…私たちチアダンスやるんで見ててくださいね?」
「そうなんだ、頑張って。応援してるよ」
「はいっ!」

小川さんもうれしそうにしてるし、確かに大勢で食べると会話も弾むもんだな。
297 名前:第23章〜体育祭(中編)〜 投稿日:2004/08/22(日) 21:56
「さてそろそろいこっか?」
「そうだな」
「一史も少しはいいところ見せなさいよ」
「分かってるって」

っていっても俺が出る競技ってリレーだけじゃん・・・
ま、まぁ頑張るとするか。
298 名前:ジーコ 投稿日:2004/08/22(日) 22:01
更新しました。
なんとか更新速度を速めたいとは思うのですが、多分これぐらい(1ヶ月に1〜2回)の頻度になると思います。
ご容赦ください。

>>282さん
確かに(w
糸が見えてますか・・・まだ引っ張らないで下さいね(w

>>283さん
(^▽^)<サボっちゃった、エヘッ

・・・嘘です(w
299 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/23(月) 07:50
え〜〜〜、
もっと見たいよ〜
300 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/24(火) 23:08
引っ張らずに我慢しますw
ジーコさんのペースで頑張って下さい。待ちますから。
301 名前:ジーコ 投稿日:2004/09/04(土) 00:02
黒板というものができたんですね・・・
自分としてはこのまま青板で続けたいんですけどね。
少し不安・・・

>>299さん
すいません、少なくて。
量も増やしていけるよう努力します。

>>300さん
励ましの言葉、ありがとうございます!
もうすぐ更新できると思いますので、もう少しお待ちを。
302 名前::第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:55
『それでは、只今から各学年による催し物を行います。皆さん、お楽しみください』

昼食の時間も過ぎ、会場は熱気を取り戻しつつあった。

『まずは高校3年生による演舞です・・・・・』





その後も、人文字、校歌熱唱といったなんともいえないプログラムは続いた。
303 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:55
『さて、いよいよ最後の催し物となります。高校1年生によるチアダンスです!』

アナウンスが終わるや否や、きらびやかな衣装をまとった少女たちが一斉に弾けだす。

「We are Angel Hearts!」

ピッタリとそろった動きに、会場は大きな盛り上がりを見せる。
高橋さん、小川さんが先頭に立ち、紺野さん、加護さん、希美が脇を固める格好だ。
304 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:56
「Hey! Boys and Girls. 楽しんでる〜ぅ?」

加護さんの煽りに会場は沸き、歓声が飛ぶ。

「みんな〜、しっかりついてこいよ〜っ!」

希美の舌っ足らずな叫びも、いっそうボルテージを上げる。
5人の統制された足並み、音楽との一体感は、思わず息を呑んでしまうほどの力を見るもの全てに与える。
少女たちは何かから解き放たれたかのように、自由に飛び回り、走り回っていた・・・
305 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:56
異変に気づいたのは、チアダンスも佳境に差し迫るころ。
・・・希美の様子がおかしい。明らかに他の4人の動きとは1テンポ遅れている。
それだけではない。表情、動作、どれをとっても辛そうな印象を抱かせ、希美は踊り続ける。
大丈夫か・・・?
306 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:56
時が止まったのだろうか?それは映画のワンシーンのごとく、スロー再生をしているかのごとく・・・
希美の体が何かの力に押されたかのように、ぐらりと揺れ、体は地面に叩きつけられた。
307 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:57



「ののっ!」

音楽が止むより早く、加護さんが希美のもとへ駆け寄る。

「ののっ、しっかりせいや!」

会場も異変に気づき、ざわざわと騒ぎ始めていた。

「嫌や、返事してや!のの…なぁ…」

加護さんは異常なくらい動揺している。
そこに保田先生が慌ててやって来た。

「ほらっ、運ぶよっ!ボーっとしないで!早く」

保田先生は、倒れて意識のない辻をなんとか運び出そうとしているらしい。
308 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:57
「一史、ちょっと待ちなよ!」

豪は−無意識に希美の元へ走り出そうとしていた−俺の腕を握り、必死に静止しようとした。

「俺も行く」
「今一史がここを抜けたら、体育祭が動かないでしょ?」
「だけど」
「保田先生と加護さんがついてるから大丈夫だよ!それにこの場を冷静に対処することが一史の役目だろ?」

豪の説得にしぶしぶ納得する形で、俺はこの場に留まり、希美は保健室へと運ばれていった。
309 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:58


その後のことはあまりよく覚えていない。
希美が運び出された後は、これといった問題も起こることなく体育祭は進んでいった。
そして、Aクラスの優勝で今年の体育祭は幕を閉じることとなった。

「希美!…辻はいますか?」

体育祭の後始末を終えた俺は、真っ先に保健室へと向かった。

「あ、大月君。辻さんは近くの病院に運ばれたわ」
「症状は?」
「う…うん。たいしたことはないってお医者さんも言ってたわよ」
「そうですか…良かった」
「もし今時間があるのなら行ってあげれば?道は教えてあげるわよ」
「…そうします」

俺は、保田先生に教えられた病院へと向かった。

(症状は軽いか…でも、倒れ方が尋常じゃなかったような気がするんだけど…)
310 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:58
…コンコン

「どうぞ〜」

返事を確信して部屋の中に入ると、ベットに横たわっている辻が笑顔で俺を迎えた。

「あっ!先輩、来てくれたんですかっ?」
「心配だったからな…大丈夫か?」
「へいっ!ただの貧血だったみたいで…ごめんね、あいぼん。最後まで足引っ張っちゃって」
「ええよ、そんなことは…ただののが無事だっただけで」

加護さんはかなり疲れているのか、表情が暗い。
311 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:59
「あいぼん、大げさだよぉ…ののはもう元気なんだからっ!」
「でも無理しちゃ駄目だぞ、みんな心配してるんだから」
「分かってますよぉ、先輩!」

やはりまだ辛いのだろう、希美の笑顔は不自然なものであった。

(ま、希美なりに一生懸命安心させようとしてるんだろ…あえて突っ込むのはよしたほうがいいか)

「あの…」

希美の母親が遠慮がちにしゃべる。

「希美もまだ疲れていますので、そろそろ帰ってもらってもよろしいでしょうか?」
「あ、そうですよね。すいません、気がつかなくて…」

俺と加護さんは辻の家族の人たちに一礼して病室を出た。
312 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 18:59
「あのぉ」
「ん、どうしたの?」
「途中まで…一緒に帰ってもらえませんか?」

加護さんにいつもの元気が無かった。

「いいよ。じゃ、行こうか」
「はい」
313 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 19:00


「そういえば体育祭はどうなったんですか?」
「そっか、加護さんは希美の付き添いで最後まで見てないんだっけ?Aクラスが優勝したよ」
「ふふっ…」
「そんなに嬉しいの?」
「そうじゃなくて…先輩が希美って言ってたから」
「…またやっちゃったよ。いつも言わないように気を付けてるんだけどな」
「いいんですよ。私、知ってましたから」
「えっ?どういうこと?」
「だっていっつもののが”先輩に希美って言わせた〜っ”って加護に言ってくるんですもん」
「…元気になったらきっつ〜いお灸をすえてやらんと…」
「まぁまぁ…でも加護はちょっと嬉しかったんですよ。のののことちゃんと考えてくれてるんだなって」
「ただどうしてもってきかなかったからね…」
314 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 19:00
「今日も先輩が来てくれた時、すごく嬉しそうにしてましたから…」
「加護さんは希美の保護者みたいだね」
「そんな…加護もののにいろいろ力を分けてもらってますから…」
「えらいね」

加護さんは少し照れているのか、顔が赤くなっている。

「耳、真っ赤だよ?」
「も、もうっ。からかわないで下さいよぉ!」
「ほんとに赤いよ?大丈夫?」
「…加護も怒りますよぉ〜」
「冗談だよ、冗談」

加護さんにいつもの笑顔が戻ってきた。
315 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 19:01
「でも優勝したんですよね…ののが聞いたら喜ぶだろうなぁ」
「そうかな?」
「だってめちゃくちゃ楽しみにしてましたもん。”旅行にいけたらいいなぁ”って」
「そっか、旅行があったんだっけ」
「どこにいくのかなぁ」
「案外近場かもよ?」
「先輩夢がないんですねぇ…」
「そんなもんだって。じゃ、加護さんはどこだったらいいの?」
「う〜ん…ディズニーランドかな?」
「それじゃ、研修旅行にならないんじゃない?」
「そうですね…」

加護さんが肩を落とす・・・
やっぱりこういうところは希美と似てるんだな・・・そんな加護さんの姿にすこしばかり安心。
316 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 19:01
「それじゃ、この辺で」
「大丈夫?」
「加護はもう子供じゃないですから」
「そっか。じゃ、また学校で」
「はい。今日はありがとうございました!さようなら」

加護さんは姿が見えなくなるまで手を振っていた。
317 名前:第24章〜体育祭(後編)〜 投稿日:2004/09/23(木) 19:01


「ただいま〜」
「おかえり。今日は遅かったのね、打ち上げ?」
「いや、病院にいってた」
「あっ、辻ちゃんどうだったの?」
「まぁ、軽い貧血だっていってたけど」
「そっかぁ…よかったべさ」
「今日は疲れたからもう寝るわ」
「うん、分かった」

それだけ言うと、俺は2階へ上がり、ベットに飛びこんだ。
今日はいろいろあったな・・・久々に疲れたかも。

何も考えずに熟睡できたことは幸せだったのかもしれない…
318 名前:ジーコ 投稿日:2004/09/23(木) 19:03
更新終了です。更新が遅れてすいません・・・
次章は「第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子」です。
319 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/24(金) 21:22
辻さん大丈夫かな・・・次回も期待してますです
320 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/24(金) 22:28
久しぶりの更新でやられた・・・。
期待させてくれる展開ですね、待ちます。
321 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/09/26(日) 02:00
なんか急展開!!更新乙です!
辻が非常にきになるのですが・・・
次回も期待!!!!!してます!!
322 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:01
「こんにちは〜」

意識のかすか彼方で聞き覚えのある声が耳に入ってきた。
この声は確か・・・

「やっほ〜い!一史君、元気〜?・・・ってあれ、もしかして寝てた?」
「…おはようございます、矢口さん」
「一史は昨日体育祭で疲れて眠ってたの」
「ごめんね〜、朝からうるさいのが来て」
「そんなことないですよ・・・で、今日はどうしたんですか?」
「いや、特に用事はないんだけど。ただ久しぶりになっちたちに会いたくなっちゃって」
「たちってことは…」
「ああ、カオリも後でくるから。一史は今日何もないの?」
「一応ね」
「じゃ、後で顔でも出しなさい。お姉さんたちがかわいがってあげるわよ」
「分かったよ…じゃ、また後で」

しかし矢口さんが来るとは驚いたな・・・それに飯田さんまで
まさか中澤先生は来ないよな・・・
323 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:01
「一史遅いよ〜」
「そんな無茶言うなよ・・・あ、飯田さん。お久しぶり」
「カズ君また見ないうちに大きくなったんじゃない?」
「いや・・・そんなに変わってないんじゃないかな〜って」
「今は成長期だもんね〜。うんうん」

また一人でしゃべってるよ・・・
俺や姉ちゃん、矢口さんまでもが半分呆れ顔である。
324 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:01
「ところでさぁ、矢口は最近どうなの?」

いきなりまともな質問をしてきた飯田さんに、矢口さんは苦笑いを浮かべている。

「そうそう・・・今日は中間報告もかねてやってきたんだけど・・・」
「どうなってるだべさ?」

姉ちゃんは興奮するといつもなまりが出る・・・いい加減直せよ

「それがね、なんと・・・」
『なんと・・・?』

場にいる全員が息を呑んで次の言葉を待つ。
325 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:02

「なんと・・・デビューすることが決まっちゃいました〜!イェ〜イ!」
「ほ、ホントだべさ?」
「ホントだよ!矢口も嘘じゃないかって三回ぐらい頬つねったけど痛かったんだもん」

矢口さん・・・確かめ方が妙に古いんだけど・・・

「そっか〜、うんうん。カオリは矢口のこときっとやる子だと思ってたよ」

飯田さんは遠くを見つめて何かを考えているようだ・・・
326 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:02
「でも、すごいですよねぇ!もうデビューシングルとか出来てるんですか?」
「出来てるよ・・・あっ!ホントは言っちゃいけなかったんだ」

慌てて口をふさぐそぶりを見せた矢口さんが妙に可愛らしく見えた・・・って俺より年上だよな?矢口さんって・・・

「でもね、これは一史君には特別に教えてあげる・・・シングル名はね・・・」
「・・・」

固唾を呑んで次の言葉を待つ俺。
327 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:03
「・・・やっぱ教えてあげな〜い!」
「え〜っ」
「楽しみはちゃんと取っておかなきゃ」
「それもそうですね・・・じゃ、発売日まで待ってますよ」
「ありがと」

その後も姉ちゃん・飯田さん・矢口さんは思い出話に花が咲いたらしく、長々と語らい続けていた。
328 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:03
「で、一史君は彼女いないわけ〜?」

矢口さんが俺に絡むように聞いてくる。

「いませんよ」
「なんで〜?もてるんじゃないの?」
「そんなこと全然ないですよ」
「ふ〜ん・・・まぁ、彼女が出来たら矢口にも教えてよ。そのころにはビックなアーティストになってる予定だから、2人をライブに招待してあげる」
「ホントですか?楽しみにしてますよ」
「任せなさ〜い!」

エッヘンと胸を張る矢口さん。
こんな小さな体のどこからこれほど大きな力が生まれてくるのだろう・・・?
俺は矢口さんを改めて尊敬してしまった・・・
329 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:03




「それじゃ、なっちバイバイ!一史君もね」
「はい。今日は楽しかったですよ」
「私も。じゃ、約束忘れないでね」
「分かってますよ」

俺は小さな約束を矢口さんと交わした・・・これが現実になるなんて・・・な
330 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:04
「じゃ、カオリも帰ろうかな〜」
「さよなら、飯田さん」
「いい子にしてるんだよ〜、カズ君」
「子供じゃないんですから・・・」
「そうだったね・・・それじゃ。なっちもね」
「うん。また大学でね〜」
331 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:04



「ふぅ・・・疲れたな」
「今日は楽しかったな〜」
「こうやっていつも3人でしゃべってたの?」
「うん。高校時代はいつも集まっておしゃべり・・・あんまりうるさくていつも祐ちゃんに怒られてたかな・・・」
「そういえばいつも”血は争そえんって言うのはこのことやな”って言われてたっけ?」
「そして、なっちとカオリは同じ大学にいったんだけど、矢口はどうしても歌手になりたいって聞かなくてねぇ・・・」
「そのころからもう・・・」
「ほんと、矢口の信念にはなっちも頭が上がらないよ」

俺は”信念”なんてもの持ってるのかな・・・
332 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:04
「誰にでも出来ることなんかじゃないの」

まるで姉ちゃんは俺の心を見透かしたかのように話し続ける。

「でも、誰にでも信念を持つ権利はあるんだよ?後はそれを本人がいつどこで見つけて、どれだけ本気になれるかじゃないかな?」

姉ちゃんの言葉が深く胸を打つ。
こんなにマジメな姉ちゃん、初めてみた気がする。
333 名前:第25章 ちっちゃなちっちゃな女の子 投稿日:2004/10/16(土) 21:05
「じゃ、姉ちゃんの信念って何だよ?」

姉ちゃんは下を向き、少し黙り込んだ。

「・・・待つことかな?」
「待つこと?」
「そう・・・なっちはいつでも待ってるよ・・・いつだって構わない、だけど必ず帰ってきてくれるって信じてるから・・・」
「?」
「なんてね・・・よく分かんないや。とにかく、一史は今時分が一番にやるべきことを考えてみるのもいいかもよ・・・ま、参考程度に頭に入れといてよ」
「・・・ありがと、姉ちゃん」

”信念”か・・・俺にも見つかるかな?
334 名前:ジーコ 投稿日:2004/10/16(土) 21:09
毎度のことながら、久しぶりの更新です・・・
ある意味小休止(オイオイ)といった話ですかね。
次章は「Happy Brithday(前編)」です。

>>319さん 
今回は辻ちゃんの出番はありませんでしたが、次回こそ・・・
>>320さん
こんな話でも待っていただいているとは光栄です。
>>321さん
これからも急展開・・・するかもしれません。
335 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/17(日) 07:57
矢口さんとの約束とはいったい!?
いろんな意味で次回も待ってますよ
336 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/12(金) 23:57
貴重な男×娘。なので待ってます。
337 名前:ジーコ 投稿日:2004/11/21(日) 18:32
今正直に告白します。
実は・・・といってもたいしたことでもないんですが、私は受験生です。
ですので、更新を一時的に停止させていただきたいと思っています。
(といっても更新遅かったですが・・・)
近日中に今年最後のupをします。(今書きあがってる分)
おそらく、その後の更新は来年の2月から3月になるかと思いますが、
もしそれでも待っていただけたら幸いです。
身勝手ですが、ご了承ください。
338 名前:第26章〜HappyBirthday(前編)〜 投稿日:2004/11/22(月) 20:40
体育祭も終わり、季節は夏へと姿を変えていく・・・
俺にとって、そして聖藍高校野球部にとっても大事な日々を迎えることになるであろうこの数ヶ月。
こりゃもう・・・全力疾走しかないでしょ!?

「せんぱ〜いっ!」

待てよ・・・もう夏まで2ヶ月もないんだぞ・・・やらねば!早くやらねば!

「せんぱい〜ってば!」

そうとなれば善は急げだよな・・・うお〜っ!燃えてきたぜ〜っ!!
339 名前:第26章〜HappyBirthday(前編)〜 投稿日:2004/11/22(月) 20:41

「もうっ!聞いてるんですか?」
「なんだよ!?人がせっかく熱血モードになってたっていうのに・・・」
「のんの話も聞いてくださいよ〜っ」
「分かった分かった・・・で何?」
「6月17日は何の日か知ってますかぁ?」
「何の日だよ・・・?」
「ほんとに分からないんですかぁ〜?」
「あぁ」
「ほんとのほんとに分からないんですかぁ〜?」
「あぁ」
「ほんとのほんとのほんとに・・・」
「あ〜っしつこい!!分からないって言ってるだろ!」
340 名前:第26章〜HappyBirthday(前編)〜 投稿日:2004/11/22(月) 20:41

「え〜っ!有名な日なのに」
「・・・」
「クリスマスの次ぐらいに重要ですよぉ」
「・・・」
「あっ、でもお正月も大事だよなぁ・・・他にも・・・」
「なぁ希美」
「何ですかぁ?」
「もしかしてその日って・・・お前の誕生日だったりしないよな?」
「え〜〜〜〜〜〜っ!何で分かったんですかぁ?」
341 名前:第26章〜HappyBirthday(前編)〜 投稿日:2004/11/22(月) 20:41

「分かるに決まってるだろ!お前が考えそうなことはそれぐらいしかないだろ」
「じゃ、話は早いですよねぇ〜・・・?」
「へ?何のこと?」
「もちろん祝ってくれますよねぇ・・・?」
「何ですと?」
「のんの誕生日ですよぉ?もちろん先輩も喜んでくれますよねぇ?」
「はいはい・・・分かりましたよ」
「やったぁ!じゃ、期待してますからっ!」

そういうと希美はそそくさと部室のほうへ消えていった。
・・・俺、もしかしてもてあそばれてる?
342 名前:第26章〜HappyBirthday(前編)〜 投稿日:2004/11/22(月) 20:42

「じゃ、今日の練習はこれで終わりだ!お疲れ様」
『お疲れ様でした〜っ!』

今日も長い一日が終わったな・・・そこに

「お疲れ様です」
「あっ、加護さん。どうしたの?」
「ののと一緒に帰ろうと思ってたところなんです」
「そうなんだ」
「そうだ・・・先日はありがとうございました」
「ん・・・?あぁ、一緒に帰った日のこと?いいんだよ、別に」
「加護ものののことで落ち込んでたから、先輩と一緒で安心してましたよ」
「そっか・・・俺も加護さんと一緒で落ち着けたよ」
「ほんとですか〜?うるさいなぁとか思ってませんでしたぁ?」
「ううん、そんなことないよ。それより今の関西弁?」
343 名前:第26章〜HappyBirthday(前編)〜 投稿日:2004/11/22(月) 20:42

「あっ・・・出てました?今」
「少しだけね」
「恥ずかしいなぁ・・・もう」
「なんで?いつもは喋らないの?」
「気を付けてるんですよ、関西弁で喋るとばかにされちゃうから・・・」
「そんなことないと思うけどなぁ・・・結構かわいいと思うよ」
「え、えっ・・・まさかぁ〜」
「本当だよ」
「じゃ、先輩と喋るときは関西弁も徐々に入れておきますね」
「そうだね・・・みんなもそのうち慣れてくれるんじゃないかな」
「そうですかぁ?」
「うん、自分を抑えるなんてつらいだけでしょ?」
「・・・ありがとう、先輩」

笑った加護さんの笑顔はそれまでのものとは比べ物にならないほど可愛かった。
・・・ってドキドキするなよ、俺。
344 名前:第26章〜HappyBirthday(前編)〜 投稿日:2004/11/22(月) 20:42
「あ〜っ!あいぼん」

仕事を終えた希美がこっちに向かって走ってくる・・・

ズテッ!!!

「あいたたたっ!」
「何やってんだよ」
「ほんまだらしないなぁ・・・」
「?」
「ほな帰りましょうか?」
「そうだね」
「ちょ、ちょっと待ってよぉ〜」

345 名前:第26章〜HappyBirthday(前編)〜 投稿日:2004/11/22(月) 20:43

「いつからそんなに仲良くなったんですかぁ?」
「へ?前からじゃない?ね」
「うんうん、前からやない?」
「・・・怪しいなぁ」
「まぁまぁ・・・ところで希美の誕生日の日はどこか出かけるの?」
「う〜ん・・・どないしよか?のの」
「そうだなぁ・・・じゃ、3人でデートしましょ〜」
「で、デート〜ぉ?」
「そりゃええ考えやなぁ」
「でしょ?」
「おいおい・・・」
「ということで決まったらまた連絡しますよっ」
「ほなさよなら〜」

二人ははしゃぎながら帰ってしまった・・・
なんかぺースが狂っちゃうな・・・あの二人といると

そんなこといってるうちに、希美の誕生日は3日後へ迫ってきたのだった・・・
346 名前:ジーコ 投稿日:2004/11/22(月) 20:44
更新終わりました。
次章は明日更新する予定です。
347 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/22(月) 20:46
リアルタイムに会えるとは・・・。
乙です。受験ですか、頑張って下さい。
348 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:30

プルルルッ・・・
ディスプレイには見知らぬ番号。

「もしもし?」
「あっ!大月先輩ですか?加護です」
「あぁ、加護さん。どうしたの?」
「ののの誕生日が明日ってことは覚えてますよねぇ?」
「もちろん」
「で、プレゼントとか用意してます?」
「・・・すっかり忘れてたよ」
「やっぱり・・・」
「ごめん」
349 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:30

プルルルッ・・・
ディスプレイには見知らぬ番号。

「もしもし?」
「あっ!大月先輩ですか?加護です」
「あぁ、加護さん。どうしたの?」
「ののの誕生日が明日ってことは覚えてますよねぇ?」
「もちろん」
「で、プレゼントとか用意してます?」
「・・・すっかり忘れてたよ」
「やっぱり・・・」
「ごめん」
350 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:31

「ごめん待った?」
「加護も今来たところですよ〜」
「で、どうしようか?」
「ん〜、ののが欲しそうなものかぁ・・・」
「食べる物なら何でもいいんじゃないかな?」
「・・・先輩は乙女心っていうものが分かってないですねぇ・・・」
「希美にそんな感情あるかな?」
「ののだって一応女の子なんですから・・・それにやっぱ先輩からのプレゼントなんていったら・・・」
「ん?」
「ううん、何でもないですよ。それじゃ、ちょっとぶらぶら回ってみますか?」
「そうだね」

俺は加護さんにおいていかれるまいと必死で追いかける。
・・・って普通逆だよな
351 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:31
「これかわいいわぁ〜・・・ あっ!これもええかも〜」

加護さんは目を輝かせながらぬいぐるみやら服やらを見て回っている。

「あ〜、これなんてどうですか?」

加護さんが指差す先には・・・ネックレス

「高いんじゃない?」
「ピンからキリまでですよ」
「希美がネックレスなんてつけるかな・・・?」
「・・・あっ!加護ええこと思いつきましたよ!」
352 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:31

「ん?何?」
「先輩とののと加護の3人でおそろいのネックレスにしませんかぁ?」
「おそろいって・・・」
「ええやないですかぁ、そんなに照れんでも」
「う〜ん・・・ま、これは希美のためのものだし、それくらい我慢するか・・・」
「じゃ、決まりですねぇ。」
「仕方ないな・・・」
「あのぉ〜、加護今お金あんまりないんですよぉ・・・」
「は?」
「加護も誕生日プレゼント欲しいなぁ〜」
353 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:32

「加護さんは誕生日近いの?」
「はい!」
「いつ?」
「2月7日です!」
「全然遠いじゃない・・・」
「だって去年もらってませんもん」
「知り合ってなかったでしょ?」
「加護は先輩のこと知ってましたよぉ」
「はぁ〜・・・一番安いのね」
「ええんですか?やった〜!」

結局1500円ほどのネックレスを3つも購入する羽目に・・・
加護さんの中にも関西人の血が流れてたってことを忘れてたよ・・・

354 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:32


その後も「せっかく来たんだから、もうすこしいろいろ見て回りましょー」という加護さんの提案で、街中を歩くことに・・・
加護さんは俺の横にちょこんとくっついている・・・そういえば明日は希美も一緒なんだよな・・・ちょっとブルー

「先輩、ちょっとおなか空きませんか〜?」
「俺は特に・・・」
「あ!こんなところにクレープ屋さんがある!?」
「・・・」
「加護あれがいいなぁ〜」
「・・・負けたよ、加護さんには。何かおごってあげるよ」
「ほんまですかぁ〜?おおきに〜」

加護さんにほんわかとした笑顔を向けられると俺はどうしても断れなくなってしまう・・・
っていうか加護さんがこんな洒落た店を知らないわけないもんな・・・
・・・完全にやられた。
355 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:34

「いただきまーす」
「どうぞ」
「う〜ん、おいし〜っ!・・・そうだ!走りましょ?」
「どんな提案なの?それは」
「ほら早く早くぅ〜」
「えっ、ちょっと・・・」

加護さんは俺の言葉を聞く前に、走り出していた・・・戸惑う俺の手を握って。
俺たちは人ごみの中をぐんぐんスピードを上げ走り抜けた。
加護さんの手の中で握りつぶされたクレープも、人々の声も気にせずに・・・

「ちょ、ちょっと」
「はぁはぁ、なんですか?」
「それはこっちが聞きたいよ・・・」
「楽しかったですねぇ!」
「そうかな?」
「はい!」

まぁ、うれしそうにしてるんだから、よしとするか・・・
でも、加護さんと付き合う人は体が持たないだろうな・・・多分。
356 名前:第27章〜Happy Brithday(中編)〜 投稿日:2004/11/23(火) 17:35

「明日もはりきっていきましょ〜ね」
「はは・・・がんばるよ」
「・・・今日はごめんなさいっ!」
「へ?」
「加護、二人きりだって思ってはしゃぎすぎちゃったから・・・」
「いいよ、女の子はこれぐらい甘えたって構わないよ」
「先輩・・・今日はほんまにありがとうございました。加護、今までで一番楽しかったです!」
「こっちこそありがとう。希美のプレゼントも買うことができたし、俺も楽しかったよ」
「そういってもらえるとうれしいです。それじゃ、また明日あいましょ〜ね」
「うん、気をつけてね」
「しもてはけ〜」

最後は加護さんらしく笑顔でお別れか・・・
明日はかなり気合入れなくちゃ大変そうだな・・・

こうして、加護さんとのデート(?)は無事に終わったのであった・・・

357 名前:ジーコ 投稿日:2004/11/23(火) 17:41
今日はここまでです。
次回が最後の更新です。
明日更新予定です。

<<347さん
リアルタイムでしたか、それは運がよかったですね(w
年明け最初の書き込みが合格の報告となるように頑張ります。
358 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:46
6月17日(日曜日)

「先輩〜っ!」

希美が大げさに手をふって俺を迎える。

「ガキじゃねーんだから・・・」
「だって今日をずっと楽しみにしてたんですよぉ」
「まぁまぁ・・・とにかく行きましょうよ」

希美の隣にいた加護さんが俺たちをなだめる。
359 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:46
「行くってどこに?」
「あ、先輩に言ってなかったですね、映画を見に行くんですよ」
「映画?」
「のんも聞いてないよ〜」
「ののの誕生日なんだから、知らなくてもいいの」
「ドキドキするなぁ」
「それじゃ、行きましょうか?」

加護さんを先頭に、俺たちは映画館へと向かった。

360 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:47

「いいなぁ〜」

映画も佳境を迎えるころ、希美が小声で話しかける。

「のんもこういうのしてみたいなぁ〜」
「希美もそんなこと思うのか?」
「だって、女の子だもん♪」
「なんか寒気が・・・」
「もうっ・・・」

スクリーンに映し出された男女二人は、長年振りの再会に抱き合っている。
いわゆるありきたりな恋愛映画だ。

「いいですねぇ・・・」

隣の加護さんまでもがかなりウルウルきている・・・
どうすればいいんだろう・・・俺。
361 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:47
映画はとうとうクライマックスに近づく・・・
右にいた希美が俺の腕をつかむ・・・って加護さんも!?

結局俺は映画が終わるまで左右から腕をつかまれていた・・・

「はぁ〜、ほんまよかったわぁ」
「うんうん、たのしかったねぇ〜」

二人の会話は、映画に関して盛り上がっている。
俺はそれどころじゃなかったよ・・・正直最後のほうはあんまり覚えてなかったり・・・

「・・・・・ね?先輩もそう思うでしょ?」
「え?あぁ、そうだな」

希美にいきなり話を振られた俺は、適当に返事を返してしまった。

「先輩〜?もしかしてちゃんと見てませんでしたぁ〜?」

加護さんも追い討ちをかける・・・

「はははっ・・・」

俺がちゃんと見れなかったのは君達二人のせいなんだぞ・・・
なんて言っても無駄なんだろうな・・・きっと
362 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:48
「あ〜あ。のん、映画に感動してたらおなか減っちゃった〜」
「ウチもぺこぺこや〜」
「それじゃ昼食と行きますか?」
「やったぁ〜! で、どこいくんですかぁ?先輩」
「そこは加護さんに任せるよ」
「えっ!?ウチにですかぁ?困ったなぁ・・・そうだ!」

加護さんは何かを決心したように歩き出した。
その後を付けるように、俺と希美はいぶかしげについて行くだけだった・・・

363 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:48
「じゃじゃ〜ん!」

じゃじゃ〜んって加護さん・・・

「ここは加護行きつけのお好み焼きやなんですよ〜。おいしいですから入りましょ〜?」
「俺は構わないよ。希美は?」
「何でもいいから早く食べましょ〜よぉ〜」

おいおい、何でもいいって・・・希美らしいけど

「おっちゃん、いつもの3つ頼むわぁ」
「あいよ。おや、加護ちゃん。今日はどうしたの?」
「友達の誕生日やねん、せやからいつもよりサービスよろしくなぁ」
「まったく、加護ちゃんにはかなわないね〜」

加護さんにかかればどんな大人もかなわないんだろうな・・・

「ここ、うちの家族でよく来るんですよ」
「へぇ〜、そうなんだ・・・」
「まだぁ〜?」
「もうちょっと待ってなぁ」

催促する希美をなだめる加護さん・・・これじゃまるで親子と一緒だな。
364 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:49
「はい、おまたせ!ゆっくりしていきなよ」
「おおきに!」

運ばれてきたのは、見るからにおいしそうなアツアツのお好み焼きと・・・ごはん?

「あいぼん、ごはんついてるの?」
「わかってへんなぁ〜、ののは」

そういうとおもむろに加護さんはお好み焼きを器用にご飯の上に乗っけてしまった。

「これが・・・加護特製、”お好み焼きどんぶり”で〜す」
「え〜っ、きたな〜い!」
「まぁまぁ、騙されたと思ってやってみ?これがおいしいんやでぇ」
「ほんとにぃ〜?」

楽しそうなやり取りを見ているだけで、こっちはおなかいっぱいになりそうだ・・・
365 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:49
「先輩もやってくださいよぉ〜?」
「俺はいいよ・・・」
「加護の言うこと聞いてくれないんですか?加護のこと・・・嫌いなんですかぁ?」
「そういうことじゃなくて・・・」
「やっぱり加護のこと・・・」
「わ、分かったから」
「ほんとですかっ!じゃ、はやくはやくっ」

なんなんだ・・・この態度の豹変振りは・・・
また加護さんの演技に騙されたようだ・・・
一方希美は

「・・・・・・」

一言も言葉を発することなく、黙々と箸を進めていた・・・
366 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:50

「は〜っ、おなかいっぱいだぁ〜」

希美が満足そうな表情で腹部をさする。

「最初は嫌がってなかったか?」
「そうでしたっけ?」
「・・・食えれば何でもいいんだな」
「だっておいしかったんですもん!」
「そっか、よかったね」
「はいっ!」

満面の笑顔。

「さて、これからどないしましょっか?」
「希美、なんかやりたいこととかないのか?」
「のん、プリクラとりたいなぁ」
「それじゃ、近くのゲームセンターにでもいこか?いいですか?先輩」
「構わないよ」
「やった〜っ!」

367 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:50

「うわぁ〜っ・・・おっき〜い!」
「ほんとだな」

ゲームセンターに着くや否や、俺と希美は思わず声を上げてしまった。

「ここ、最近オープンしたばかりなんですよ。」
「どこでも知ってるんだね、加護さんって」
「一応チェックしてるんですよ!」

胸を張って答える加護さん。

「ねぇねぇ〜、早くとろうよ〜ぉ」

希美が俺の腕を取って急かしてくる。

「分かったから、ちょっと落ち着けよ」
「じゃ、いきましょっか?」

場所も何も分からない俺と希美は、加護さんに連れられて機械の前へと到着した。
368 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:50
「だいたい、何でプリクラなんかとりたいなんて言い出したんだよ?」
「だって好きなんですもん!」
「どういう所が?」
「う〜ん・・・なんか楽しくないですか?」
「全然」
「・・・思い出作りですよ!思い出」
「そんなもんか?」
「そういうもんですっ!」

結局、希美にごり押しされる形で、しぶしぶ機械の前に立ってしまう俺。
・・・女の子の押しに弱いんだよな〜

「それじゃいきますよ〜っ!3、2、1・・・」
「へ・・・へっ?」

ぼ〜っとしていた俺。
369 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:50

パシャッ

「どれどれ〜・・・はははっ、先輩変な顔〜っ」
「ほんまや〜」

盛り上がる二人の間から覗き込んだプリクラには俺の気の抜けた顔が写っていた・・・

「ちょ、ちょっと。もう一度とろうよ!」
「え〜っ、先輩あんなに嫌がっていたじゃないですかぁ〜」
「まぁまぁ・・・いいじゃんか」
「じゃ、もう一枚だけですよぉ〜」

2枚目、普通に写ったのはよかったが、写真に希美がいろいろと書き加えていく・・・

「何してんだよ!あぁ〜・・・」
「ははっ、こうしちゃえっ!」

最後に残ったものは、被写体の原形をとどめていないシールだけであった・・・

「なぁ、こんなぐちゃぐちゃにして楽しいのか?」
「これがいいんですよぉ〜、分かってないんだから」
「まぁ、希美が楽しければそれでいいんだけどな!」
「うん・・・ありがと!先輩」

これで・・・よかったんだよな?

370 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:51

プリクラをとり終えて、一度外に出る。
その眼前に現れたものは・・・

「あ〜っ!クレープだっ!」

見られちゃったか・・・

「食べましょ〜食べましょ〜っ!」
「さっき食べたばっかりだろ?」
「デザートは別腹なんですっ!ねっ、あいぼん」
「うん!」

あ〜あ、加護さんの目もいつも異常にきらきらしちゃってるよ・・・

「分かったよ、出しますよ・・・」
「えへへ〜っ、先輩大好きっ!」

ったく、希美の「大好き」ってのはそんなもんかよ・・・
幸せそうにクレープをほおばる二人を見ながら、心の中で憎まれ口を叩いていた・・・
でも本当には憎めないんだよなぁ・・・結局。
371 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:51

その後、俺たち3人はゲームセンターに備えられたアトラクションで時間をつぶすことに・・・
2〜3時間楽しむと、そろそろ日も暮れかかる時間になった。

「さて、これからどうするの?」
「おなかへったぁ〜っ!」
「またそれかよ?」
「だって仕方ないでしょ〜っ」
「希美の胃袋は底なしなんだな」
「・・・先輩」
「ん、どうしたの?加護ちゃん」
「加護もぉ〜、おなか減りました〜」

加護さんまで・・・もうどうにでもしてくれ

「・・・わかったよ。で、どこで食べるの?」
「あっ!のん、いいお店知ってますよぉ〜」
「また大食い店?」
「違いますよぉ〜、ちゃんとしたお店です〜」
「ま、俺は別に構わないけど・・・加護さんは?」
「ウチもいいですよ」
「じゃ、案内してくれ」
「あ〜い」

ぴょんぴょん跳ねるように進んでいく希美・・・
ふっと加護さんのほうを見ると、案の定、加護さんも俺のほうを見ていて・・・
そんな希美の姿に俺たちは声を殺しながら笑っていた・・・

372 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:52

「ここですよぉ〜」

正直、びっくりした。

「場所間違えるなよな・・・」
「あってますよぉ〜っ!」
「ほんとにここか?」
「へいっ!」

俺の目の前に広がる光景には、希美には無縁のように思える洒落たイタリアンレストランが写っている・・・

「希美もこんな店知ってるんだ?」
「のんも家族でよく来るんですよぉ」
「へぇ〜」

加護さんも、店のただ住まいに多少びっくりしているようだ。
373 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:52
「じゃ、入りましょ〜っ!」

そういう希美に連れられて店内へと入っていった。
店内のメニューは比較的手の出しやすいお手頃な値段の料理が並んでいる。

「う〜ん、なんにしよかなぁ・・・これもいいんだけど・・・あれも捨てられないしぃ〜・・・」
「おいおい、早く決めろよ」
「じゃ、これくださ〜い」

結局、俺と加護さんはミートソーススパゲッテイー、希美はペペロンチーノを頼むことに。

「こういう雰囲気、苦手じゃないの?」
「大丈夫ですよぉ〜」
「そうか?加護さんは慣れてそうだけど」
「ウチ、逆に苦手なんですよ〜」
「そうなんだ・・・なんか意外な一面を見た気がするな」
「ちょっとはのんのこと見直しましたかぁ〜?」
「ま、ほんの少しな」
「えへへっ」

今日はやけに上機嫌だな・・・
374 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:53

「お待たせしました」

定員さんが料理を持ってくるなり

「待ってましたぁ〜」

・・・それは雰囲気が苦手なだけじゃなくて、何にも考えてないだけなんだろ?希美・・・


「うん、美味しいんじゃない?」
「でしょ〜?」
「ウチもそう思うわぁ」
「ホントに?よかったぁ〜」

そういうと本当に良かったと安堵の表情を浮かべる希美・・・
こういう喜怒哀楽が手に取るようにわかる子もなかなかいないよな・・・?
そこがまた希美のいいところでもあるんだろうけど。
375 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:53

「お待たせしました」

定員さんが料理を持ってくるなり

「待ってましたぁ〜」

・・・それは雰囲気が苦手なだけじゃなくて、何にも考えてないだけなんだろ?希美・・・


「うん、美味しいんじゃない?」
「でしょ〜?」
「ウチもそう思うわぁ」
「ホントに?よかったぁ〜」

そういうと本当に良かったと安堵の表情を浮かべる希美・・・
こういう喜怒哀楽が手に取るようにわかる子もなかなかいないよな・・・?
そこがまた希美のいいところでもあるんだろうけど。
376 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:53

「はぁ〜、美味しかった」
「ほんまやねぇ」

夕食も終わり、そろそろ帰る時間・・・そろそろかな?

「今日は楽しかったなぁ〜」

そういう希美の顔には、いかにも”何か足りないなぁ〜”という表情がはっきりと浮かんでいる。

「どうした?なんか不満そうな顔してるけど」
「別に・・・なんでもないですよぉ〜」

明らかに何でもなさそうな顔などしていない希美・・・少しからかってみるか。
377 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:53
「なんだよ?楽しくなかったか」
「そんなことはないですけどぉ〜」
「ないけど?」
「なんか忘れてませんかぁ?」

さり気にアピールしてるな?もう少しじらそう。

「なんか忘れてるっけ?」
「さぁ〜、なんですかね〜?」

加護さんも事態を理解した様子で、俺のアドリブのも乗ってきてくれている。

「今日はのんの誕生日ですよぉ・・・」
「だから今日こんな時間まで一緒にいたんだろ?」
「・・・もう」

そういうと希美は今にも泣き出しそうな顔で俺を見つめている・・・これ以上は可哀想かな。
378 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:54
「そういえば加護さん。今日付けているネックレス、かわいいね」
「あれぇ?これ、先輩のとおそろいじゃないですか?」
「あ、本当だ!偶然だね?」
「ほんまですねぇ」

いきなり始まった俺たちの会話に、希美はまったく何がなにやら分からないといった表情をしている。

「ん・・・?こんなところにもう1つネックレスが・・・なんてな」
「ふぇ?」

希美が不思議そうな顔で俺のほうを見る。
379 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:54
「ごめんな、からかったりして。これが、俺たちのプレゼント。気に入ってくれるかな?」

そういって、俺は希美の首に直接かけてやった。

「へ?」

未だに状況が飲み込めていない様子の希美。

「昨日さ、俺と加護さんで希美のプレゼント買いに行ったんだよ。苦労したんだぜ?探すの」

大事そうに右手でネックレスを握る希美の頬に、一筋の涙が流れていった。
380 名前:第28章〜Happy Brithday(後編)〜 投稿日:2004/11/27(土) 21:54
「ご、ごめん。悪かったよ、意地の悪いことしちゃって」
「・・・違うの。すっごくうれしくて・・・うれしくて」
「ホントか?・・・よかったよ、喜んでくれて。なぁ?加護さん」
「こんなに喜んでくれるなんて・・・なんかウチも泣きそうになるわぁ」

泣きじゃくる希美の頭をなでる加護さん・・・

「あいぼん、先輩・・・本当にありがとう!今日は本当に楽しかったよっ!」
「どういたしまして。ほら、もう泣くなよ。いつもの希美らしく、元気で明るく行こうぜ!」
「そうそう」
「うんっ!」

俺と加護さんに送られた希美の最高の笑顔が、俺への十分なお返しだよ・・・
こうして、二人との長い長い一日は幕を閉じたのであった・・・
381 名前:ジーコ 投稿日:2004/11/27(土) 21:59
やっとネットがつながり更新できました。
以前も申しましたように、今日で年内の更新は終了です。
いままでお付き合いしていただいた読者の方にはこれからも待っていただければ、と思っています。
それでは、また。
382 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/12/09(木) 18:31
更新乙です!年内最後ですか・・・
年明けの更新楽しみに待ってます
383 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/01/27(木) 10:29
まだですかー
お待ちしてますよ
384 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:17
カラカラに乾いた空気。
肌を刺すような太陽の光。

まさに夏の到来を予感させるそんな陽気のなか、俺の気分に水をさすものが…期末考査である。
…って前もこんなこと言ってたような…

とにかく、夏を快適に過ごすためにも、何とかこれを凌がなくてはなるまい。
さて、どうしたものか…

と、突然俺の携帯のディスプレイに着信ありの文字が…
385 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:18
もしもし?」
「あの〜、紺野ですけど」
「あぁ、どうしたの?」
「そろそろテストも近づいてきましたね?」
「そうだね」
「もう勉強は始めていらっしゃいますか?」
「…」
「そんなあなたに朗報が!なんと今回に限り、この紺野あさ美が全身全霊、誠心誠意あなたに勉強のコツを授けちゃったりしちゃいます」
「…」
「さらに今回は!授業料も全額免除になったりほかにもいろんなサービスが………」
「も、もしもし〜、紺野さ〜ん?」
「…まだ説明は終わっていませんよ?」

ちょっと不服そうな声
386 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:18
「な、なんとなくわかったから。で、つまりは図書館で一緒に勉強しない?ってことでいいんだよね?」
「まぁ、そんなところです」
「で、いつにする?」
「明日なんてどうです?」
「俺は構わないよ」
「じゃ、そうしましょう」

電話を切るや否や、今度は見知らぬ番号からの着信が…

「はい?」
「あ!先輩ですかぁ?よかった〜、つながったわぁ」

この特徴的な口調は…
387 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:18
「高橋さん?」
「そうですよぉ〜。あさ美から番号聞いちゃいました!」

相変わらずハイテンションだな…

「で、どうしたの?」
「そろそろテストも近づいてきましたねぇ〜?」
「そ、そうだね」
「もう勉強は始めてますかぁ〜?」
「…」
「そんな先輩にいいお知らせがあります〜!なんと、二人っきりの勉強会に参加できるんです!」
「…」
「こういうときは二人支えあい、助け合ってこの危機を乗り越えようじゃありませんか!」
「た、高橋さ〜ん?」
「まだ話の途中ですよぉ〜」

またもや不服そうな声
388 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:19
「もしかして…紺野さんと打ち合わせたりした?」
「へっ?あさ美?何でですかぁ?」
「いや、さっき紺野さんからそういった趣の電話があったから…」
「あ、あさ美から?」
「そうだけど…」
「…恋の抜け駆けなんてずるいやよぉ〜」

ぼそぼそっと高橋さんが呟く

「ん?なんか言った?」
「ううん、なんでもないです。」
「それじゃ、明日一緒に図書館に行こうか?」
「ほんとですかぁ?やったぁ〜。もちろん二人ですよねぇ?」
「紺野さんも一緒だけど…?」
「…まぁ、仕方ないよね。それにチャンスはいくらでもあるし!」
「と、とにかくそういうことで!」
「は〜い」

試験に思いをめぐらしていた時間・・・2分
二人の女の子と交わした約束・・・priceless
・・・って、いいのか?こんなに簡単に決まっちゃって。
389 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:19
「おまたせ・・・ってあれ?高橋さんは」
「まだみたいですねぇ」

紺野さんは前回と同じように制服を着ていた。

「ご、ごめんなさ〜い!!」

息を弾ませながら俺たちのほうへと駆け寄って来る高橋さん。

「大丈夫だよ、私と先輩も今来たところだし」

何気ないフォローを見せる紺野さん。
ちょっとした一面に彼女の優しさが垣間見られる。
390 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:21
「それじゃ、行きましょうか」
「もう行くの〜?」
「今日は何のために集まったんだっけ?愛ちゃん」
「先輩と会うため」
「違うでしょ」
「もう・・・あさ美のイジワル〜」
「いいから行くよ」

結局紺野さんの理詰めに負けた高橋さんがしぶしぶ歩き出す。
あの高橋さんを簡単にまとめるとは・・・やはり恐るべし。
391 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:21

「先輩〜っ、疲れたぁ〜」

高橋さんが情けない声を上げる。

「愛ちゃん、今何時何分かな?」
「10時半」
「図書館に着いたのは?」
「10時」
「よし、もう1時間半頑張ろうね♪」
「・・・先輩も疲れましたよね?ねっ?」

俺に同意を求める目を向ける高橋さん。
392 名前:第29章〜浜辺にて〜 投稿日:2005/02/26(土) 15:22
「えっ・・・え〜っと」
「ほら、先輩も困ってるでしょ?12時までがんばろ?」
「え〜ぇ、ちょっと休みましょうよぉ〜?ねぇ、先輩?」
「高橋さん、もう少しだけ、ね?」
「・・・先輩もあさ美もあたしのことなんて嫌いなんやね・・・」

見るからにうなだれてるけど・・・

「紺野さん、いいの?」
「完璧です!愛ちゃんはいつもあんなですから」

スパッと斬ってしまった紺野さんの言葉を信じ、俺も勉強を再開する。
その後は高橋さんもマジメに取り組み、ついに12:00を迎えた。
393 名前:ジーコ 投稿日:2005/02/26(土) 15:28
一応受験も一区切りつきましたので更新しました。
久々に書いたのであまり量は書けませんでしたが・・・
これからも随時更新していくつもりですので宜しくです。

394 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/02/26(土) 19:13
おおおお!!!モテモテ主人公の帰還ですね!
待ってましたよ!!作者さんのペースでいいので
お願いしますね!
娘×男の良作は少ないのでこのスレがとても楽しみなんで
がんばってください!
395 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/27(日) 23:27
待ってましたよ〜。これからも作者さんペースで頑張ってくださ〜い!
396 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/03/06(日) 10:57
まってますよー
娘×男は少ないんで楽しみにしてますよ!
397 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/10(木) 17:26
受験お疲れです。
更新心待ちにしてました。
応援してますんで、これからもマイペースで頑張ってくだちい。
398 名前:ジーコ 投稿日:2005/03/12(土) 22:34


「やっと終わったぁ〜!」
「よくがんばりました」

まるで小さな子供を扱うように話す紺野さん。

「ご飯食べに行きましょ〜」
「そうだね。マックにでも行く?」
「特に異論はないです」

そういうわけでマックに到着。
俺たちはそれぞれ注文を済ませテーブルに着く。
399 名前:ジーコ 投稿日:2005/03/12(土) 22:35

「せ〜んぱいっ!」
「あれ?紺野さんは」
「まだ注文してますよ。メニューが多すぎてなに食べようか悩んじゃうって」

なんとなく納得。
迷ってる紺野さんの姿は容易に想像できる。

「そ・れ・と・も、あさ美がいないと不満ですか〜?」
「そんなんじゃないよ・・・」
「そうだ!ご飯食べたら海に行きません?ここから近いんですよ〜!」
「え、えっ?」
「よ〜し!そうしましょ。いいですよね?ねっ?」

いきなり海に行こうなんて切り出してきた高橋さんに何も言えず、強引に約束させられてしまう。

「待たせてすいません」

紺野さんがトレイを運んできたのと同時に高橋さんは自分の席に戻ってしまいそのまま食事となった。
400 名前:ジーコ 投稿日:2005/03/12(土) 22:35


図書館に戻るや否や、携帯に着信が・・・高橋さんからだ。
不意に視線を上げると外で手招きする高橋さんと目が合う。
・・・外に出てきて欲しいってことかな?

「ちょっと、トイレに行ってくるね」
「へ?そんなこと報告しなくていいですよ〜」

思わず紺野さんに断りを入れてしまった・・・確かに報告することでもないよな。
自習室を出ると満面の笑みを浮かべた高橋さんに迎えられ、

「さて行きましょうか?」

と主導権を握られてしまい、引っ張られるように俺と高橋さんは海へと向かった。
401 名前:ジーコ 投稿日:2005/03/12(土) 22:36

「うわぁ〜、たくさんいるわ〜」

高橋さんが驚きの声を上げる。
7月に入り海水浴に来る人も増えているのだから当然といえば当然。

「それより紺野さんはいいの?一人にしといて」
「それならちゃんと言ってきましたよぉ〜」

ってことは紺野さんが了承したってこと?・・・意外だな。





「ん?・・・」

机の上に一枚の紙。

『先輩と海に行ってきま〜す!あさ美は留守番よろしく〜』

「・・・やられた」
402 名前:ジーコ 投稿日:2005/03/12(土) 22:36

「先輩、ここに座りませんか?」
「うん」

腰を下ろした場所からは、浜辺が一望できる。

「先輩は海、好きですか」

いつもより低い声で高橋さんが話しかけてくる。

「好き、かな」
「あたしも好きでした」
「そっか」

会話が途切れ、波の音と人の声しか聞こえなくなった。

「・・・あたしのお兄ちゃん、サーファーなんですよ」

突然口を開いた高橋さんは、妙に力のこもった口調で話を続ける。

「お兄ちゃんが海に来るときには、いっつも連れてきてもらったんです。
お兄ちゃんが波に乗ってるを浜辺から眺めてるのがあたしの特別な楽しみだったんです」
「だった?」
「今は・・・一緒に海にくることができなくなっちゃったから」

そういうと高橋さんは顔を伏せてしまった。
403 名前:ジーコ 投稿日:2005/03/12(土) 22:37
「ご、ごめん」
「ううん、気にしないで下さい。お兄ちゃんは今でもあたしにとって自慢のお兄ちゃんですから」
「いいお兄ちゃんだったんだね」
「はい」

二人を包む周りの喧騒がやけに耳に残る。
高橋さんは何をするでもなく、海を見つめていた。
その姿はいつもの高橋さんとは違う、遠い何かを求めているかのような目でただ佇んでいた。


「そろそろ、戻ろうか?」

俺の言葉に同調したのか、高橋さんは静かに首を縦に振り腰を上げた。

「先輩」

高橋さんに背を向け、図書館のほうへ歩こうとしていた俺を呼び止める。

「海に来たの、久しぶりだったんです。先輩となら、海に行けるような気がして。
わがまま言ってごめんなさい」
「気にしないでいいよ。俺も高橋さんのこと、少し理解することができたと思うし」
「・・・ありがとうございます」


図書館へ戻ると、パンパンにほほを膨らませ俺たちを出迎えていた紺野さんにたっぷりと説教されてしまった。
その最中、ほんの一瞬、高橋さんが俺の顔を見てにこっと笑う。
その笑顔に俺もつられて笑ってしまう。
それを見た紺野さんはさらにほほを膨らませ機嫌を悪くしてしまった。
404 名前:ジーコ 投稿日:2005/03/12(土) 22:37

「・・・まったく何のために図書館に来たと思ってるんですか?」
「まぁまぁ、ええやないの」
「大体、愛ちゃんがいけないんだからね!先輩を勝手に連れ出して」
「だから置手紙残していったやない」
「あんなんじゃ誰も納得しない!」

紺野さんと高橋さんのやり取りが妙に面白くて笑ってしまう。

「もう!先輩もちゃんと反省してくださいよ〜」
「ごめんごめん・・・今度ちゃんと埋め合わせするからさ」
「そういう問題じゃないですよ」

紺野さんの機嫌は帰り道の間も直らなかった・・・
でも、紺野さんには悪いけど、今日はいい日だったのかも。
高橋さんの意外な一面を知ることができたんだから・・・
405 名前:ジーコ 投稿日:2005/03/12(土) 22:44
あっ!名前のところに題名を入れるのを忘れたことに今気がつきました!(w
題名は前回に引き続き 第29章〜浜辺にて〜 です。
そして今回で29章完結です。

>>394さん
>>395さん
>>396さん
>>397さん
レスありがとうございました。正直2ヶ月ちょっと振りの更新だったので読者がいるのかなとか思ってました。
久しぶりの更新にレスが付いて本当に安心しました。
これからもまだまだ未熟ですがよろしくお願いします。
406 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/11(月) 01:14
初めて見させてもらいました。
いいですね!
407 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/19(火) 00:45
次回まってますよ^^
高橋がいいよん
408 名前:ジーコ 投稿日:2005/08/12(金) 00:08
更新が鈍ってすいません。
もう少し待っていてください。

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