好きの向こう側
- 1 名前:イオン 投稿日:2004/05/12(水) 21:29
- コソコソっと小説書かせて頂きます。
短編をいくつか書く予定。
基本的にエロあり。
その時の気分でエロなし短編も書くかもしれません。
というわけで、エロ嫌いな人はスルーして下さい。
- 2 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/12(水) 21:33
- 梨華の様子が明らかに違った。
いつもならば回りの状況など関係なしに寒い話題を振ってきたり、
くだらないおしゃべりを続けるのに今日はやけに静かだ。
「今日、どーしたの?」
「・・・・・・」
美貴は梨華をのぞき込むようにして問いかけてみたが返事がない。
特別に心配というわけではなかったが、二人で仕事をしている以上
相手が黙りこくって目の前にいるだけというのは気になる。
「オーイ?梨華ちゃーん???」
美貴は梨華の前で手ぶんぶんと振ってみるが反応がない。
「まっ、いっか」
どうせ仕事が始まればイヤでもあの寒い話を聞かされる。
今は黙っていてくれるぐらいが丁度いいのかもしれない。
美貴はそう思い直して、梨華の心配をすることをあっさりと諦めた。
暇つぶしに本でも読むかと美貴が雑誌に手を伸ばした瞬間、隣にいた
梨華が急に立ち上がる。
- 3 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/12(水) 21:35
- ガタンッ。
「梨華ちゃん?」
梨華はバタバタと控え室の扉に走り寄ったかと思うと、すぐに引き返
して来る。
「みっ、美貴ちゃん」
「なに?」
「・・・・・・」
勢いよく美貴の前に座ったかと思うと大声で自分の名を呼んだきり、
沈黙する梨華を美貴は不審そうに見つめる。
「いつもオカシイけど、今日はいつもにまして・・・」
『オカシイ』と美貴は言葉を続けようとした。
しかし、その言葉を梨華に告げることは出来なかった。
何故なら、言葉の途中で梨華が美貴の唇を塞いだからだ。
- 4 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/12(水) 21:38
- 「んっ」
突然のキス。
しかも梨華が美貴の唇を舌でこじ開けようとしてくる。
美貴にはこの状況が理解出来ない。
何故、突然梨華が自分にキスしてくるのか。
こんなキスをする関係になった覚えなど美貴にはない。
壁に背中を預けたまま美貴はどうしたものかとぼんやりと梨華を
見つめた。
瞳を閉じてキスを続ける梨華の顔は美しい。
美貴はキスされている事も忘れて、いつもキショイなどと言って
いるが顔が綺麗な事だけは認めてもいいかなと考える。
ぼーっとそんなことを考えて美貴が油断している隙に梨華の舌が
口内へと進入してきた。
- 5 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/12(水) 21:40
- ぬるりとした舌の感覚に美貴ははっと我に返る。
やっぱ、梨華ちゃんキショイ!!
普通のキスぐらいならどうってことないけど、こんな舌を入れるよ
うなディープなキスを許すような仲とは違う。一体、どういうつも
りか知らないけれど、このままキスされている場合じゃない。
美貴は慌てて梨華の顔を自分の顔から離そうと、梨華の顔を手で押
し返した。
「梨華ちゃんっ!!!」
美貴は大きな声で梨華の名を呼んだ。
- 6 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/12(水) 21:44
- 「大声出さないで。人が来ちゃうよ」
「自分で大声出すような事しといて、何言ってんのっ。今のどーゆー
つもり?」
「どーゆーって・・・」
「ちゃんと答えないと許さないからね」
「・・・ちゃんと答えたら許してくれるの?」
「多分ね」
美貴はオドオドとしゃべる梨華を見ながら、答えを急かすように言った。
そんな美貴の様子を見て、梨華が怯えたように口を開く。
「あのね、私ね」
「なに?」
「美貴ちゃんが好きなの」
「はぁぁぁ???」
- 7 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/12(水) 21:46
- 梨華の答えがあまりにバカバカしくて、美貴はまた大声を出した。
いつもキショイことばかり言っている梨華だが、今の発言はキショイを
通り越している。
一体どこからそんな発言が出てくるのか美貴には見当もつかない。
「だから、美貴ちゃんが好きなんだってば」
「梨華ちゃん、キショイ」
美貴はスッパリと梨華の発言を切って捨てた。
梨華はと言えば、美貴に自分の思いを否定され目にうっすらと涙を浮か
べている。
しかし、梨華はもう一度同じ事を美貴に告げた。
「私は美貴ちゃんが好きなのっ」
「却下」
「いいもん。却下されたって」
「それも却下」
「却下を却下するっ」
「さらに却下」
- 8 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/12(水) 21:49
- 梨華は美貴に冷たく言い放たれ小さくため息をついた。
美貴が梨華に冷たいのは今始まったことではない。
しかし、今のは言い過ぎたかな、とガックリと肩を落とす梨華を見て美
貴は少し後悔をした。梨華がどういう思いで好きだと言っているのかは
わからないが、自分を好きだと言ってくれる人間に対してあまり冷たく
するのもどうかと思い、今度は少しだけ優しく梨華に声をかけた。
「・・・好きでもいいけど、さっきみたいなのはもうイヤだからね」
これでも美貴なりに梨華に気を遣って声をかけたつもりだ。
しかし、返ってきた返事は美貴の気遣いをまったく無視したものだった。
「美貴ちゃんがイヤだって言ってもダメだから」
「はっ?」
「私、諦めないから」
梨華はそう言い放つと、美貴の手を自分の手で壁に押しつけた。
- 9 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/12(水) 21:50
- 本日分終了。
以下、次号!
- 10 名前:イオン 投稿日:2004/05/12(水) 21:53
- ちょっと失敗。
落としておきます(・▽・)
- 11 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 01:43
- 壁に寄りかかっていた美貴の背中は、梨華によってさらに壁へと押し
つけられる。この体制がイヤで美貴は梨華から逃れようと身体を動
かすが、片手は梨華によって壁に貼り付けられたままだからうまく
身動きが取れない。
どこからこんな力が出てきているのかわからないが、梨華が結構な
力で美貴を壁に押しつけてくる。
梨華は空いている手で美貴の頬に触れた。
頬を触る柔らかい感触に美貴が梨華の方を向くと、ここぞとばかりに
梨華の唇が美貴の唇を塞ぐ。先ほどのキスと違って、今度は強引に
梨華の舌が美貴の口内へと進入する。
美貴は梨華の舌を自分の口の中から追い出そうとするがうまくいか
ない。
梨華の舌が逃げ回る美貴の舌を絡め取る。
- 12 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 01:46
- 美貴はいつまでもこのままキスされているわけにはいかないと思うが、
梨華から逃れられない。
美貴がなんとか梨華を自分から引き離そうと動くたび、梨華が唇や舌
を軽く噛んでくるので美貴は思うように力が入らないのだ。
そんな美貴をあざ笑うかのように梨華の舌が口内で自由に動く。
「んんっっ」
梨華の舌の動きに美貴の口から思わず声が漏れる。
なんで、私がこんな目に・・・。
別に梨華のことは嫌いではない。けれど、何故こんなことをされなけ
ればならないのか。
嫌いじゃなかったけど、嫌いになりそう。
- 13 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 01:48
- 美貴は梨華の舌に口内の粘膜を舐め取られながら、恨めしそうに梨
華を睨んだ。けれど、梨華はそんなことにはお構いなしに、美貴の唾
液を味わい続ける。
そんな梨華の動きに、美貴は身体に力が入らなくなっていく。梨華の
思い通りに、唇を舐められ、舌を絡め取られる。
美貴が抵抗をやめるのを見て取ると、梨華は唇を離した。
「はぁはぁ・・・」
荒い息をつきながら、美貴は梨華を睨みつけた。
「こんなことして・・・。今度こんなことしたら、大声出すからねっ」
「いいよ、出しても。でもね、そんなことしたら美貴ちゃんが困るだけ
だよ」
「困るのはそっちでしょーがっ」
「そうかな?」
- 14 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 01:50
- 壁に背中を預けたまま呼吸を整える美貴に梨華が手を伸ばす。
今度こそ好きにはさせないと美貴は梨華の手を振り払うが、先ほどの
キスで力を失った腕では梨華の手を振り払うことは出来なかった。
伸びて来た手が美貴のTシャツの裾を掴み、そのまま上へ持ち上げる。
「ちょ、ちょっと!!!」
美貴が驚いてTシャツの裾を掴もうとするが、梨華が美貴のTシャツを
まくり上げることを阻止するには遅すぎた。
梨華は美貴のTシャツをまくりあげたまま美貴の胸を覆うブラジャーへ
と手をかける。
「なんでっ、ちょっと待ってよ」
慌てて美貴が制止するが、梨華は手を止めない。
それどころかニコっと笑って美貴にとって信じられないことを口にした。
- 15 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 01:54
- 「こんな姿、人に見られたくないなら黙ってたほうがいいよ」
この発言は間違っている、と美貴は思った。
確かにこんな姿を人に見られたくはないが、このまま黙っていれば梨
華が何をするかわからない。
大声を出してでも人を呼んだ方がいいに決まっている。
「大声出して人呼ぶから。・・・困るのは梨華ちゃんだからね」
「人、入れないから」
「へっ?」
「さっき鍵かけたの見てなかった?」
美貴は控え室の扉に走って行った梨華の姿を思い浮かべた。
あの時、梨華は控え室の鍵を閉めに行っていたのだ。
何故あの時気が付かなかったのかと、美貴は自分の迂闊さを呪って
唇を噛みしめる。
「このまま黙って私の好きにさせてくれれば、お互い困らなくてすむ
から」
梨華が無茶苦茶な事を言い出す。
- 16 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 01:57
- 黙って私の好きにさせてくれって、この人は一体何をするつもりなのか。
・・・大体の想像はつく。
しかし、その想像は美貴の望む結末を迎えそうにない。
もうこうなったら多少の犠牲を払ってでも抵抗するしかない。
大声を出したところで鍵がかかっていて人が入れないのなら、騒ぎまくっ
て誰かにこの状態に気が付いてもらえばいい。ここに人が入ってきて
自分の情けない姿を見られるのは嫌だが、これ以上の行為をされる
方が嫌だ。
大声を出して人を呼ぼう。
そう考えた美貴は、その考えを実行に移そうとする。
「あっ、大声出したらどうなるか教えてあげる」
美貴の考えを見透かしたように梨華が言った。
- 17 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 02:04
- 「このまま美貴ちゃんのTシャツ脱がして・・・。私がそのTシャツ預
かったまま、大声で人を呼んであげるね」
「なっ!!・・・そんなこと本当に出来るわけない」
「出来るかどうか試してみればいい」
「・・・・・・」
今の梨華ならやるかもしれない。
そう思うと大声を出すのは躊躇われた。
梨華は美貴の無言の答えを聞いて、安心したかのように手を動かし
始める。
美貴の胸を隠すブラジャーの上から自分の手をそっと置く。そして美
貴の胸を確かめるように指で形をなぞる。
梨華の手が滑らかに美貴の胸の通過し、腹の辺りに到着した。
くすぐったくて思わず美貴は身体を動かす。
梨華はそんな美貴の味見をするように腹に舌を這わせ、その手は
脇腹をゆるく撫でつつ、背中へと移動していく。
- 18 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 02:07
- 美貴はさわさわと動き回る手の感触から逃れようと梨華の手を掴もう
とするが、梨華の手は逃げるように背中を動き回る。捕まらない梨華
の手が背中に刺激を与え続け、唇が美貴の腹に吸い付く。
「いやぁ」
美貴が弱々しく抵抗するが、梨華の動きは止まらない。
ヘソの辺りを舐めたいた梨華の舌が脇腹を舐めあげた。
「あっ、ああっ」
美貴の口から吐息とともに声が漏れる。
その声を聞いて、自信を持った梨華がさらに脇腹に刺激を与えた。
背中にあった手を脇腹に戻し、触るか触らないかの軽い動きで指が
肋骨をなぞる。そして反対側の肋骨に梨華は軽く歯を立てた。
ビクンッ。
美貴の身体が揺れる。
「や、だ・・・。梨、華ちゃん」
「可愛いね、美貴ちゃん」
「ねぇ、やめ、てよ・・・」
- 19 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/14(金) 02:11
- 梨華は美貴の声など聞こえないかのように、肋骨から胸の辺りまで
一気に舌を這わせた。
「ひっ・・あっっ・・・」
急な刺激に背中を反らせながら美貴は思わず大きな声を上げる。
くすぐったいわけじゃない。
今まで感じたことのない感覚が美貴を捕らえた。
梨華は背中を反らせたままの美貴を自分に引き寄せ抱きめる。美貴
の体重を受け止めたまま、両手を背中に回しブラジャーのホックを外
し、美貴の身体からTシャツと一緒にはぎ取った。
美貴の締め付けから解放された胸が、梨華の手によってもう一度締
め付けられる。
梨華は両手で包み込むように、美貴の胸を持ち上げた。
「柔らかい・・・」
美貴の胸の感触を楽しむように数回手を動かしてみると、梨華の目
の前で美貴の胸が形を変え、そして口からは小さな声が漏れる。
「やぁ・・・。梨華、ちゃん」
「もっと声、聞かせてよ」
「・・・ヤ、ダ」
「美貴ちゃんがイヤでも、声聞くから」
梨華は美貴の胸を掴む手に力を入れた。
- 20 名前:イオン 投稿日:2004/05/14(金) 02:12
- 本日分終了。
以下次号!
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/14(金) 21:09
- りかみき?発見!
そしてエロあり…期待しています。
- 22 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/18(火) 01:24
- 梨華の細い指が胸の細胞を締め上げ、美貴に軽い痛みを与えていく。
「いた・・・い」
苦しそうに眉をひそめ、美貴が小さく呻いた。
その声を嬉しそうに聞いた梨華は美貴の胸に顔を埋め、何度も何度
も美貴の胸に唇を落とした。梨華の指が与える痛みとは違った種類
の痛みが美貴の胸に小さな赤い痕となって残っていく。
「・・・ほら、綺麗に印がついた」
梨華は美貴の胸から顔を上げ、自分がつけた印を眺めた。
まるで赤い花が咲いているようだ。
一つ、二つ、三つ・・・。
梨華は自分がつけた印を指でなぞってみる。
「ぁっ・・あっ・んっ・・・」
美貴が自分の胸の上を走る梨華の指の動きにあわせるように声を
上げた。
梨華は美貴の柔らかな肌の上の印一つ一つに指を這わせていく。
- 23 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/18(火) 01:26
- ずっと消えなければいいのに。
梨華は自分の指にあわせて声をあげる美貴の感触を指に記憶する。
消えないように、いつまでも忘れないようにゆっくりと指から脳へとこ
の瞬間の記憶を送り込んでいく。
梨華は小さな声をBGMに、自分が咲かせた赤い花を全て確かめると
優しく微笑んだ。
「もっと気持ちよくしてあげる」
そう言うと、梨華はもう一度美貴の胸に唇を寄せ、指で確かめた時と
同じようにもう一度印にキスを落とす。
先ほどよりも強い刺激が美貴の胸に与えられる。
梨華の刻印が先ほどよりも色濃く美貴を染めていく。
「はぁ・・ぁっ・・・。もう、や・めて・よ」
「まだココにキスしてない」
- 24 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/18(火) 01:28
- スネたように梨華は告げると、美貴の胸の中心を口に含んだ。
生暖かい感触が美貴の乳首を覆う。
「んんっ。やぁ・・・やだ」
美貴の切なげな声が梨華の頭の上からふってくるが、それを無視し
て梨華は乳首を口に含み続ける。
こんなことされたいわけじゃない。
なのにどうして抵抗出来ないんだろう。
理解不能。
考えたくても梨華が美貴の意識を蝕んでいく。
梨華の唇が胸を刺激するたびに、美貴の言葉を、行動を奪っていくのだ。
唾液が美貴の乳首にまとわりつく。
しかし、梨華はそんなことは気にせずに根本から先端へと優しく舌を
這わせた。
- 25 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/18(火) 01:32
- 「ぁっ、ああっ。・・・あんっ」
美貴はいつもの自分の声とは思えないような甘い声が口から飛び
出ることを制止出来ない。
残り少ない自分の意識が、いつものようにキッパリと梨華を止める
言葉を口にしろと言っている。けれど、口を開くと出てくるのは自分
の耳を覆いたくなるような声。
美貴は自分の濡れた声をなんとか押し殺そうと唇を噛む。
梨華の与える刺激に全てを飲み込まれてしまう前に、自分の心の声
を相手に伝えるのだ。
美貴は、普段の自分とは似ても似つかない声を出しながら梨華に懇
願する。
「ねぇ、お・・願い。・・・もぉ・ゆる、して」
しかし、美貴の願いに対する答えはない。
返事の代わりに美貴に与えられるのは絶え間ない刺激。
胸を指で撫でられ、舌が乳首に絡みつく。
- 26 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/18(火) 01:35
- 今まで味わったことのない感覚に、美貴は梨華の背中をギュッとつか
んだ。
「んっ、んんっ。はぁぁ」
次第に大胆になっていく梨華の動きにあわせて、美貴の声も大きくなっ
ていく。
もう、抵抗出来ない。
梨華の手や舌が触れている部分が気持ちよくて、美貴はもう制止の
言葉を発せられない。
美貴は目をぎゅっと閉じて梨華の動きを感じ取ろうとする。
梨華の与える刺激は少しずつ大きな快感へと変化し、美貴を捕らえ
ていく。
次第に梨華の背中に回している手に力が入る。
「痛っ」
美貴の爪が背中に食い込んだ為か、梨華が小さく声をあげた。しか
し、夢中で梨華の背中に手を回す美貴はその声に気が付かない。
- 27 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/18(火) 01:38
- 梨華は美貴の胸に与える刺激を弱め、美貴の手を背中から外した。
そしてそのまま床へ美貴を押し倒す。
高まった快感の波から突然解放された美貴は、今の状況がつかめない。
「ど、したの?」
美貴はつぶっていた目を開けた。するとそこには、今まであんな行為
をしていたと思えない子供のような笑顔の梨華がいた。
ニコニコとした梨華が、これが答えだとばかりに美貴のズボンに手を
伸ばした。
「な、なに?」
「美貴ちゃん、ちょっと腰を浮かせて」
美貴は梨華の言っている意味を理解出来ない。
けれど、梨華には美貴が理解しているかは関係ないようで、先ほど
より強く美貴の名を呼んだ。
- 28 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/18(火) 01:41
- 「美貴ちゃんっ」
「・・・・・・」
「ココ、気持ち悪くない?」
名前を呼んだ時よりも柔らかいトーンで梨華は美貴に問いかけた。
しかし、急に話が変わるものだから美貴にはますます梨華が理解出
来ない。
「ココ、大丈夫?」
梨華はズボンの上から美貴の股間をツンツンと突いた。
「!!!」
美貴は梨華の行動で、彼女の言いたいことを理解する。
マズイ予感がして、美貴は梨華の下から抜け出そうとするが身体が
思うように動かない。
腰が立たないとはこういうことだったのか。
こんな時に理解することになろうとは。
美貴は梨華を恨めしそうに睨みつける。
そんな美貴を見て、自分の元から逃げ出そうとしていることに気が
付いた梨華は次の行動を開始した。
- 29 名前:イオン 投稿日:2004/05/18(火) 01:46
- 本日分終了。
以下次号!
>>21
あっ、読んでる人がいた♪
エロエロです。・・・アンタも好きねぇ(加トちゃん風に)
落として書いてるので、誰にも発見されないまま進行するかと
思いましたが・・・。
読んでる人がいて一安心。
落としてエロを書きつつも、発見されて生存表明(?)があると嬉
しい今日この頃。
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/18(火) 23:57
- 読んでいますよ。
強引でテクニシャンな石川さんって新鮮ですね。テクニックでもって藤本さんをオトせ!
エロエロ期待。更新楽しみにしています。
- 31 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 22:41
- 梨華は美貴のベルトに手をかけると素早くそれを外し、ズボンの
ファスナー下ろす。そして、その中へと手を滑らせ美貴の中心部を
下着の上から探った。
「ちょっ、梨華ちゃん」
「ほら、やっぱり大丈夫じゃない」
「だ、大丈夫だから」
「こんなになってるのに?」
梨華はズボンの中に入れた手を軽く動かす。するとすでに十分濡れ
て下着にまでしみ出している液体が小さな音を立てる。
「あ、あっっ」
ピクンと美貴の身体が揺れ、口からため息にも似た声が漏れた。
- 32 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 22:44
- 「ねぇ、これ脱いじゃお?」
「絶対にイヤ。もぉ・・・終わりに・・しよ」
「いいの?このまま終わりにしていいの?」
梨華は下着の上から美貴の中心部に指を這わせる。そして、
肌に指の感触がギリギリ伝わる程度の強さで、何度も何度も美貴
を撫で上げた。
「こんなに濡れたままでいいの?」
「いい・も・・ん」
「ふぅ〜ん」
「じゃ、やめよっかな」
梨華はわざと乱暴にズボンから手を引き抜く。すると、その乱暴に
引き抜こうとする梨華の手が美貴自身に強い刺激を与えた。
- 33 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 22:46
- 「ひっ」
美貴は大きく仰け反り、思わず梨華の手を握りしめた。
「ほら、やっぱりやめて欲しくないんだ」
握りしめる美貴の手を取り、嬉しそうに梨華は言った。
違う、と美貴は言いたかったが声が出ない。
「このまましてあげるね」
抜かれかけた梨華の手がまたズボンの中に進入し、濡れた下着を
撫で回す。
「やぁぁ」
掴んだ梨華の手を握りしめ、美貴は梨華が与える刺激に耐えようと
した。
しかし、思うようにいかない。
先ほどとは違い、梨華の手が下着を押すように強い刺激を与え続
けるために、腕を握りしめるだけでは耐えられない。
「んぁっ、あ・んっ・・・」
梨華の指が下着を押し上げ、美貴の敏感な部分に張り付く。
「ぁぁぁっ・・・。ね・もっと・・や・さしく」
「イ・ヤ」
美貴の耳元で一文字ずつ区切るように梨華が言った。
- 34 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 22:48
- どうやら梨華は美貴の言うことなど聞くつもりがないらしい。
それどころか、指に力を入れてくる。
梨華は限られた空間の中で、器用に手を動かして美貴を追いつめ
ていく。
布と肌が擦れあう感覚が痛い程に気持ちが良い。
自分が意識しないままに美貴の腰が梨華の指を求めて動き出す。
美貴の淫らな腰が梨華を探すように追いかけていく。
梨華はそんな美貴の動きを堪能するようにしばらく指を動かしていた
が、急にその動きを止めた。
中心部を刺激していた指から見放され、美貴は小さく声を上げる。
「はぁ・・あっ・・・。梨華、ちゃん」
「なぁに?」
「・・・・・・」
美貴は『もっとして』と言いかけてやめた。
そんな恥ずかしい言葉を梨華に言えるはずがない。
- 35 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 22:51
- 今まで普通の友達で対等だったはずの関係。
それが今は崩れさっているとわかってはいるが認めたくないのだ。
「美貴ちゃん、なぁに?」
梨華が涼やかな笑顔で問いかけてくるが、その手はその顔とは正反
対の行為を行っている。
美貴自身の形を確かめるようにゆっくりと指を這わせ、一番敏感な部
分で一度立ち止まる。そして次の瞬間、梨華の指が美貴の蕾を軽く
弾いた。
「んああっ」
美貴の腰がピクンと跳ね上がる。
そんな美貴の反応を面白そうに眺めていた梨華が言った。
「ねぇ、どうしたの?」
「ど・・うも・しない」
「そぉ。・・・これでもどうもしない?」
意地悪な梨華の手が美貴の蕾の回りを中心に動き始める。
- 36 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 22:54
- 梨華の指が下着の上からじらすように、一番敏感な部分を避けて撫
で回し、蕾の周辺に細い指がゆっくりと張り付く。
しかし、梨華は美貴が一番触って欲しい部分には決して触らない。
そんな意地悪な指からもっと大きな刺激が欲しくて、美貴は自分か
ら腰を動かし始めた。その行為によって美貴の中からあふれ出る
液体が音を立て始める。
くちゅくちゅと小さな音が美貴の耳にまとわりつく。
もう嫌だ。
なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだ。
一番触って欲しい場所を避けられ、じらされ・・・。
そして自分から腰まで振って。
こんなの嫌すぎる。
自然に美貴の目に涙が浮かぶ。
それなのに溢れ出るのは淫らな声。
「ふぁ・・あんっ」
「美貴ちゃん、どうしてほしい?」
涙の向こうに梨華が滲んで見える。
梨華の意地悪な行為にいつまで付き合えばいいんだろう。
- 37 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 22:56
- ・・・答えは出ている。
梨華に頼むだけでいい。
『イカせて』ってそう頼めばいいだけ。
簡単な行為。
ちょっと口を開いて梨華にねだればそれで済む。
でも、美貴にはどうしてもそれが出来ないのだ。
自分ではどうにも出来ない快感と感情が押し寄せてくる。
美貴の瞳にたまった涙が流れ落ちた。
「美貴ちゃん、言いたいことは?」
「な・・い」
「・・・強情だなぁ」
困ったように梨華が呟き、美貴を弄んでいた手をズボンの中から引
き出した。
快感を与える手を追い求め、美貴の腰が大きく突き出される。その
瞬間、梨華が美貴のズボンと下着を一緒に引き下ろし脱がせた。
驚いた美貴が腰を引き戻そうとするが、梨華はそれを許さない。
- 38 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 22:58
- 梨華の手が吸い付くように直接、美貴自身に触れた。
「やぁぁっ」
布越しに触られるより大きな快感に美貴は声を上げる。
その予想外の大きな声に、梨華は肩をピクっと振るわせて扉の方を
見た。
「しぃぃ」
梨華は空いている方の人差し指を自分の唇にあて、美貴に注意を
促す。
「あんまり声大きいと、人来ちゃうよ」
「あっ・んんっ・・・。う・・ん」
「・・・声、聞けるのは嬉しいけどね」
高揚した声で一生懸命返事を返す美貴の頭を軽く撫で、梨華は行為
の続けた。
美貴の薄い茂みをかき分け、梨華の指が滑り降りる。
今までの刺激によって十分に濡れたソコはいやらしい音を立てなが
ら、梨華の指の動きを滑らかにしていく。
- 39 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 23:00
- 梨華は美貴から溢れ出る液体を絡め取るように指を這わせた。
「すごいね、美貴ちゃんのココ」
梨華はわざと液体が大きな音を立てるように指を動かした。
「ほら、聞こえる?・・・すごく濡れてる」
「やぁ・・だ・・・」
美貴は子供のように首を振って音を聞かないようにしてみるが、
ぴちゃぴちゃと自分自身から聞こえてくる音から逃げられない。
それでも小さく頭を動かし続ける美貴の頬に、梨華のしなやかな手
が触れた。
「こっち見て」
美貴を組み敷き、快感を与え続ける梨華が行為に不似合いな優しい
声をかける。
その声に導かれ、美貴は自分の上にいる梨華の顔を見上げた。
- 40 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 23:03
- 「・・・美貴ちゃん」
梨華の唇が一つの言葉を紡ぎ出す。
「好き」
短い言葉が美貴の身体に変化をもたらした。
自分自身が梨華を好きかどうかよくわからない。
けれど、何故か梨華のその言葉が嬉しくて身体が反応する。
熱く火照った身体がピクリと動き、下半身からは熱い液体が流れ出し
た。
梨華が小さく震えた美貴の唇を奪う。
「んっ」
美貴が小さく呻いた。
下半身への刺激によって溢れる声を唇で止められ、そのまま口内を
梨華の舌に弄ばれる。
しかし、それでも下半身を蠢く手が止まることはない。
今まで蕾の周辺で遊んでいた指が一番敏感にたどり着き、蕾の粘膜
を擦るように動き始めた。
- 41 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 23:05
- 梨華は、下の方から溢れ出る液体をすくい取るようにして蕾に塗りつ
ける。
そのたび、唇を塞がれた美貴がくぐもった声を漏らす。
「んんっ」
ビクビクと身体を震わせる美貴にさらに快感を与えるため、梨華の人
差し指が蕾を震わせた。
蕾から脳へ伝わってくる大きな刺激に耐えかねた美貴は、梨華の肩
をギュっと掴み力の限り梨華を押し上げた。それによって、美貴の唇
が梨華から解放される。
「梨・・華ちゃ・・・ん」
自由になった唇が梨華の名前を呼び、美貴の手に力が入る。
もう何がどうなっているかわからない。
頭の中が真っ白になって、身体が勝手に梨華を欲しがる。
ふわふわとした今まで感じたことのない快感が押し寄せてきて、不安
になった美貴は梨華にギュっとしがみついた。
- 42 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 23:07
- 梨華の2本の指が美貴の蕾を軽く摘み、コロコロと指の間で転がす。
「うっ・・ああっ・・・。もぉ」
美貴の身体が大きくしなる。
それが合図のように梨華は蕾を転がす2本の指に力を入れた。
「やぁぁっ」
美貴は梨華にしがみついたまま小刻みに身体を震わせると、ぐった
りと崩れ落ちた。
「美貴ちゃん、本当に好き。・・・大好き」
梨華がまだ快感が収まらないのかはぁはぁと肩で息をする美貴に囁
きかける。
美貴から返事はない。
「こんなことしたこと、後悔してないから」
「・・・・・・」
「誰にも渡さない」
美貴の耳朶を愛撫するかのように近づき、梨華が声をかけ続ける。
それでも美貴は返事をしない。
好きなら何をしてもいいのか。
こんなことが許されるのか。
いや、許したくない。
- 43 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 23:09
- けれど、何故こんなに梨華の声が心地良いのだろう。
それが何故か今はわからないけれど、きっと多分、さっきの行為
の余韻に違いない。
美貴は自分を納得させるため無理矢理考えをまとめる。
そして、改めて梨華の顔を見つめた。
年齢より大人びた美しさを持つ梨華がそこにいる。
自分にあんなことをしたくせに、涼しい顔でそこに座って自分を好き
だと言う。
美貴はそんな梨華になんて声をかければいいかわからない。
けれど、なんとか梨華にかける言葉を探しだし口にした。
「私は梨華ちゃんのこと好きじゃない。・・・だけど、嫌いでもない」
クスリと梨華が笑った気がした。
美貴は今、梨華がどんな顔をしているか見たくなくて、梨華の膝に顔
を埋める。
そんな美貴の髪をくしゃくしゃと撫でつけると梨華が言った。
「それでも私は美貴ちゃんが好き」
「・・・ばーか」
快感が過ぎ去って冷め始めた美貴の身体に少しだけ体温が戻る。
きっといつか梨華の声が心地よい理由がわかるだろう。
今はまだ何もわからないままでいい。
美貴は眠りを誘う睡魔に身を任せ、瞼を閉じた。
- 44 名前:好きの向こう側 投稿日:2004/05/20(木) 23:10
- ◆ ◆ ◆ ◆
− END −
- 45 名前:イオン 投稿日:2004/05/20(木) 23:17
- 「好きの向こう側」終了。
エロい部分がどんどん長くなっていくのは何故・・・。
>>30
果たしてエロエロ度は期待通りだったのか気になるところです。
石川さんはテクニシャンに違いない!(断言)
さて、ココで次号予告!
「エロエロ」
……またです。
- 46 名前:30 投稿日:2004/05/21(金) 17:39
- イイッ!
この後の展開が妄想できそうな終わり方が良いですね。
次号も期待しています。
- 47 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/22(土) 12:49
- ごまみきとかあやごまが読みたい・・・。
- 48 名前:イオン 投稿日:2004/05/24(月) 00:55
- 更新はまだなんですが、ちょっと書き込み。
>>46 30さん
妄想は素晴らしいのです。次号は只今、執筆不調中です。
>>47
カップリングはその時の私の気持ち次第です('-';)。書きたいモノを
書き殴ってる状態ですので・・・。
さて、次号をアップするほどの小説が書きたまる前に事件が・・・。
石川さん、来年卒業_| ̄|○
石オタなんで、ちょっとショックです。まだ卒業までは時間があるよ
うですが。
というわけで、執筆作業が滞っておりますゆえ、しばらくお待ちを。
書き始めているので、立ち直ったら速攻アップします。
お許しを〜・・・〓■●
- 49 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/24(月) 09:55
- 石川さんの卒業…
イロイロと思うところありますが、結局応援していくしかないんだよな〜という境地に達してしまいました。自分はかなり痛いマジヲタです。
「好きの向こう側」良かったです。
- 50 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 01:53
- 殺風景な部屋に鳥カゴが一つ。
中には文鳥が一羽。
そしてソファーの上に寝そべる少女の裸体。
ガランとした部屋を飾る物はそれだけしかない。
インテリアなんてものは何もなくて、強いて言えば壁を切り取ったよう
に取り付けられた窓から見える空が、まるで絵画みたいに部屋にア
クセントを付けていると言えないこともなかった。
捕らえられた文鳥は空へ帰りたいとは思わないのだろうか。
ふいにそんなことが頭に過ぎり、美貴はソファーに寝そべったまま文
鳥に目をやった。
文鳥は窓の外にある青空に気が付きもしないで止まり木の上にいる。
カゴの外を知らない可哀想な鳥は止まり木と巣を往復する為だけに
その羽を使って生きていた。
- 51 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 01:54
- 美貴は急に納得する。
そっか、そうだよね。
空を知らないんだから青空が恋しいわけないよね。
当たり前と言えば当たり前。
知らない物を欲しがるなんてありえない。
「でも、私は知ってるんだなぁ。・・・残念なことに」
表情は変えない。しかし、少し憂いを含んだトーンで美貴は呟いた。
空の青さも、街の喧噪も、部屋の外の自由も。
全部知っている。
だからこそ、全部が恋しくて愛おしい。
静かな部屋に美貴の足音が小さく響いた。
しなやかな身体をソファーから起こした美貴は鳥カゴへと歩み寄る。
都会の喧噪から隔離された白い部屋。さらにその白い部屋からも隔
離されたように吊された鳥カゴの中で文鳥がさえずっている。
- 52 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 01:55
- 美貴は鳥カゴを指先で軽く押してみた。
文鳥は驚いたように2〜3回羽をばたつかせたが、すぐに落ち着きを
取り戻し、澄まし顔で歌を歌っている。
この小鳥になれたらいいのに。
だって、小鳥になれたら、その羽でこの部屋から逃げ出せる。
この部屋に来てから一週間。
外に出ることも出来ず、白い壁に囲まれた部屋にただ存在するだけ。
この部屋の主に自由を奪われた美貴が代わりに与えられたものは、
無機質なこの部屋と自分勝手にさえずる小鳥。
たった一週間。
けれど、自由を奪われた自分には永遠に思える一週間。
- 53 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 01:56
- 美貴は逃げ出したかった。
そして実際に逃げだそうとした。
けれど、それは叶わなかった。
この部屋から出ること自体は容易いこと。
しかし、美貴には何も与えられていなかったのだ。
この部屋にあるのは鳥カゴと鳥とソファーと画用紙とマジックと美貴と
今は不在の部屋主だけ。
それ以外は身に纏う服さえも与えられていない。
逃げ出す自由はかろうじて存在している。
しかし、裸で外に飛び出してそれからどうすればいいのかわからない。
いや、実際は部屋主の行動に耐えかねて、一度裸で外に飛び出した
ことがあった。その時、美貴が裸で飛び出した先は見たことのない景
色で、何処へ行けばいいのかわからなくて怖くなり部屋に戻ってきて
しまった。
あれ以来、逃げることを諦めた。
- 54 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 01:58
- 美貴は気だるそうに画用紙を手に取った。
横に転がっているマジックの蓋を取り、マジックの先を画用紙に滑ら
せる。
描き上がったのは下手くそな文鳥の絵。
「こんな文鳥じゃ、空は飛べないねぇ・・・」
その意見に同意するかのように文鳥が鳴いた。
「ちぇっ」
美貴は八つ当たり気味にマジックの蓋を手に取り、鳥カゴに向かって
投げつけた。もちろん狙いは外して。
「ヒドイんだぁ、美貴ちゃん。文鳥にそんなことしたら可哀想だよ」
美貴が背後から聞こえた声に驚いて振り返ると、そこにはこの部屋
の主がいた。
「・・・・・・梨華ちゃん、いつ帰ってきたの?」
「ついさっき。美貴ちゃんが文鳥の絵を描いてるの見てたんだけど、
気が付かなかった?」
下手な文鳥の絵を描くのに一生懸命で気が付かなかったらしい。
美貴は自分の書いた文鳥の絵をくしゃくしゃと丸めると自分の目の前
に立っている部屋の主に向かって投げつけた。
- 55 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 02:00
-
「いたーい」
美貴の投げた画用紙のボールが不条理の元凶に命中し声を上げた。
とてもヒドイ人でとても美しい人。
・・・悪い人。
美貴は認めたくなかったがその人は天使のような容姿をしていた。
悪なのに善の使者のように微笑んで美貴にヒドイことをする。
そう美貴をこんな目に遭わせているヒドイ人。
それが石川梨華だった。
「ヒドイなぁ、顔に当たったよー」
美貴をヒドイ目に遭わせている張本人が不満そうに声を上げる。
「避ければいい」
「避けられないから、当たったんじゃん」
梨華は不服そうにそう言うと、丸められた画用紙を綺麗に伸ばし始める。
そして、アイロンをかけるように手の平で押し広げるとどこかへしまい
込んだ。
「そんなに文鳥が好きなの?」
「・・・・・・」
美貴は答えない。
- 56 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 02:02
- しかし、梨華は初めから答えを期待していなかったようで、そのまま
喋り続ける。
「美貴ちゃんの書く絵って文鳥ばっかりなんだよ。知ってた?・・・もう
何枚になるかなぁ」
別に文鳥が好きなわけじゃない。
美貴は声には出さずにそう呟いた。
ただ、この部屋には他に描く物がないのだ。
「そんなに好きならもう一羽買ってこようか?」
「いらない」
つまらなそうに美貴は答える。
その答えが気に入らなかったのか、梨華は座り込んでいる美貴の手
を掴み乱暴に立ち上がらせた。
白い清潔なワンピースに身を包んだ梨華の前に立っているのは裸の
自分。
捕らえられた一週間のうちに何度もこんな光景を体験した。
けれど、美貴はいつまでもこの光景に慣れることが出来なくて、梨華
から逃げ出そうとする。
でも、いつも結果は同じ。
美貴は梨華の強い意志を持った力から逃げ切れず抱きしめられてしまう。
- 57 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 02:04
-
「美貴ちゃん、綺麗・・・」
梨華の唇が美しいカーブを描いて美貴に微笑みかけた。
「あんまり綺麗だから、傷つけたくなる」
梨華は酷い言葉とは不釣り合いな天使の笑顔でそう告げると、唇が
美しいカーブを保ったまま美貴の鎖骨に向かって降りてくる。
美貴の肌に唇が触れた。
「痛っ」
梨華が唇を落とした辺りに痛みが走り、美貴は思わず声を上げた。
しかし、痛みは和らがない。
梨華は美貴の鎖骨を覆う肉に歯を立てる行為を辞めようとはしない。
キリキリとした痛みが美貴を襲う。
「や、めてよっ」
美貴は両手に力を込めると、梨華を突き飛ばした。
「ヒドイなぁ」
「そっちがでしょっ!」
「違うよぉ。ヒドイのは美貴ちゃん」
責めるような瞳で梨華が言った。
- 58 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 02:05
- 何故、この人は何でも自分のせいにするのだろう。
毎日のように私の数倍も酷いことをして、それでもなお『美貴ちゃん、
ヒドイ』というのだ。
ヒドイのどっち?
間違いなく梨華の方だ。
確信を持って言える。
「ヒドイのは美貴ちゃんだよ?」
まるで美貴の心の中を見透かしたように梨華が反論する。
「あのね、ヒドイのは美貴ちゃんなの。私をこんな風にしたのは美貴
ちゃん。ぜーんぶ、美貴ちゃんのせい。だから、ヒドイのはそっち」
どういう理論かサッパリわからない。
勝手に人を閉じこめておいて、それが私のせいってどういう理由なのか。
理解不能。
この人のことを考えたって理解出来やしない。
この一週間でそれがわかった。
美貴はあっさりと考えることを放棄する。
- 59 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 02:06
-
「別にわかってくれなくていいから」
梨華は美貴の一瞬の逡巡に気が付いたのか、全てを断ち切るように
美貴に声をかけると、自分が身に纏っているワンピースに手をかけた。
梨華は、ためらいもなくファスナーを下ろすとワンピースを床に落とし、
そのまま下着も脱ぎ捨てた。
梨華は美貴と同じ裸になる。
「美貴ちゃん、こっちに来て」
ソファーの横に移動した梨華が美貴に声をかけた。
梨華はソファーの肘掛けに軽く腰をかけ、美貴に手を差しのべ自分の
側へ来るようにと催促している。
・・・催促?
それは違う、と美貴は考え直す。
催促じゃなくて、命令だ。
- 60 名前:檻 投稿日:2004/06/05(土) 02:08
- 主人がペットに対して下す命令と同じ。
美貴は梨華のペットになった覚えなどないが、自分の意志とは関係な
く今ではペットと変わらない立場だ。
梨華に慣らされた身体が梨華を欲しがっている。
美貴は認めたくない事実に逃げ出したくなるが、足は言うことをきかない。
あの鳥は飛びたくても飛べないのかな?
急に文鳥のことが気になった。
今の自分と同じで動かしたくても羽が動かないのかもしれない。
そんなことを考えたが、すぐに間違いだと気が付いた。
あの鳥は小さなカゴの中なら飛び回っている。
こんな小さな部屋の中さえ飛び回れない自分とは違った。
「来ないの?」
自分の元へ来るのが当たり前だというように梨華が催促してくる。
その声に心臓がドクンと跳ね上がったのを感じた。
美貴は跳ね上がった心臓を押さえつけ、表情を変えないように梨華
のもとへと歩み寄った。
- 61 名前:イオン 投稿日:2004/06/05(土) 02:13
- お待たせしました。
新作「檻」アップ!
石川さん卒業について心の整理がついたので、まったり書いていきた
いと思います。
>>49
そうですね。結局応援していく以外出来ることもなく・・・・・・。
私も限られた時間、力一杯石川さんを応援しようと思います('▽')
- 62 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/05(土) 22:20
- この二人の組み合わせ好きです。
期待してます!
- 63 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:22
- ◇◇ ◇◇
◇◇ ◇◇
- 64 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:23
- 美貴はソファーに乱暴に押しつけられた。
柔らかいスポンジに美貴の身体が沈み込む。
ソファーの横に軽く腰をかけた梨華の手が美貴の唇を撫でた。
何をするでもなく梨華の指が美貴の唇を弄ぶ。ほっそりとした指が唇
の輪郭に沿ってゆるゆると這い回る。
梨華の人差し指が何度も唇の上を往復するのに耐えられなくなって
美貴が口を開くと、するりとその指が口内へと進入してきた。
美貴は梨華の人差し指を甘噛みする。
「もっと強く噛んでもいいよ」
熱を持った声で梨華が囁いた。
美貴が人差し指を噛む歯に力を加えると、梨華が小さくうめき声を上
げる。
「んっ」
その声に驚いて美貴は指をくわえる力を弱めた。
- 65 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:26
- 圧迫感から解放された梨華の指が、美貴の舌の裏をくすぐるように触
れてきた。
くすぐったいのかそうじゃないのかよくわからない微妙な感覚が美貴
の脳を刺激してきて、思わず声が漏れそうになるが梨華の指が邪魔
で声を出すことが出来ない。
美貴は苦しくなって自分を見下ろす梨華の頬に、助けを求めるように
手を伸ばした。
柔らかい感触が手に触れる。
その瞬間、梨華の手が美貴の口内から引き抜かれ、代わりに唇で息
を止められてしまう。
舌を絡め取られるようなキス。
酸素が足りない。
美貴が息苦しさから逃れようと唇を開くと、さらに梨華の舌が深く進入
してくる。
深いキスは何度しても慣れない。
柔らかい舌で粘膜を擦られるたび、全身の感覚が鋭くなっていくよう
であまり好きじゃない。
- 66 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:27
- 鋭敏になった身体は次の行為が欲しくなるから。
キスと一緒に美貴の意識が絡め取られていく。
美貴は蜘蛛の網に捕らえられた獲物のようにもがいて、ようやく酸素
を得ることに成功するが、捕食者はさらなる行動に出る。
耳元に吹きかけられる熱い息が美貴の呼吸を止めた。
梨華がふぅっと息をはくたびに、美貴の身体が震える。
梨華は美貴の身体の動きを止めるようにさらにソファーへと押しつけ
ると、そのまま耳朶にキスを落とした。
ぴちゃぴちゃという音を立てて耳朶をかじり、舐めあげる。
「はっ・あぁっ・・・」
美貴の口からため息にも似た声が漏れ始めた。
「耳にキスするだけで感じちゃうんだ?」
意地悪な唇が囁いた。
キスだけじゃないくせに。
心の中で美貴はつぶやく。
- 67 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:30
- 耳朶や耳の裏を舐めるだけでなく、梨華の手は気まぐれに腰の辺り
を撫でていた。
分散されている刺激が思考をも分散させる。
「あっ」
梨華の手が腰からお尻へと回り込み、円を描くように遠慮無く這い回
り始めた。
「美貴ちゃんのお尻、スベスベしてて気持ちいい」
素肌の感覚を確かめるように梨華の指先が肌に触れる。
梨華は美貴のお尻を下から上へゆっくりと撫で上げる。
「んっ・・・やぁ・・」
美貴が小さな声を上げたが、梨華は気にせず自分の手に伝わってく
る体温を楽しむ。じらすように優しく、けれど何度も刺激を与える。
美貴は緩やかな刺激がもどかしくて、梨華にしがみつく。
「そんなに強く抱きついたら、動けないよ?」
梨華が優しく声をかけるが、美貴から返事はない。
「美貴ちゃん、離れて」
その声とほぼ同時に梨華の指先が美貴の背中を走り抜けた。
「ひっ、あぁっ」
悩ましい声と共に美貴の背中が反り返り、梨華の身体から離れる。
- 68 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:32
- 美貴は梨華の悪戯によって反り返った背中のせいで、胸を梨華の前
へと差し出すような格好になった。
ツンと勃ちあがった胸の先端が梨華の唇を誘う。
「ココにキスして欲しいって事かな?」
「バ・カ・・・。違、う」
「違うかどうかはココに直接聞いてみようかな」
梨華は差し出された胸の突起に舌を伸ばす。
食べたことのないものを食べる時のように、梨華は小さく舐めて味を
確かめる。
そして味見が終わると、パクリと全てを口にした。
梨華は飴玉をなめるように、美貴の胸の突起を口の中で転がし、根
本から先端部分に向かって舌を這わせては、甘噛みを繰り返す。
梨華の歯が胸の突起にあたるたびに美貴の背中に力が入り、自分
では制御不能な甘い声が流れ出していく。
「あ、ぁぁ・・あっ・・・はぁ・」
「やっぱりキスして欲しかったんだ」
「ち、がうっ・・・」
「そっ。じゃあ、触って欲しかったってことかな」
梨華は人差し指で軽く突起を弾いた。
- 69 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:34
-
「やぁぁっ」
「かわいいね、美貴ちゃん」
梨華の小さな笑い声が美貴の耳へ届く。
「かわい・く・・・なん・か・・はぁっ」
美貴は『ない』と続けたかったが、その言葉を口にすることは出来な
かった。
梨華の愛撫が本格的になってきて、『ない』のかわりに口から出たの
は歓喜の声。
梨華の指が的確に快感の元を探っては、美貴の脳へと信号を送る。
胸を優しく、時には強く揉み、唇が胸の突起を撫で、舌が絡みつく。
そのたび甘い声が室内に響き渡る。
「んっっ、あ・んっ・・・あぁ」
好きじゃない。
きっと好きじゃない。
気持ちよくない。
きっと気持ちよくない。
なのになんでこんなに甘い快感に酔わされているんだろう。
美貴は無意識に漏れる自分の声を聞きながら、頭の片隅で考えた。
- 70 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:35
- 毎日毎日。
何度も何度も。
繰り返される行為。
それによってどこかおかしくなってしまったのかもしれない。
だったら、もっとおかしくなっちゃえばいいのに。
そしたら、何も考えなくてすむ。
絶え間なく与えられる快感の中で溺れそうになりながら、美貴は梨華
を求め始める。
身体の中心部が熱を持ち、それを解放するために無意識が意識を持っ
て美貴の腰を動かす。
布を纏わない身体が梨華に押しつけられる。
美貴のその行動に気づいた梨華が子供っぽく笑って言った。
「次はココを触ってほしいのかな」
梨華の手が美貴の薄い茂みをかきわけ、身体の中心部をすっとひと
撫でする。
それだけで美貴の身体が跳ね上がった。
「エッチな身体だね。・・・もうこんなに濡れてる」
美貴の溢れ出る液体を梨華は指ですくい取った。
- 71 名前:檻 投稿日:2004/06/11(金) 04:37
-
「ほら、見て」
梨華は濡れた指先を美貴の目の前でちらつかせ、ペロリと舐め取って
見せた。
美貴は思わず目を反らす。
けれど一瞬見えた梨華の表情が瞼に焼き付いて離れない。
その表情はとてもいやらしくて、とても綺麗だった。
美貴の思考はその映像に乗っ取られて何度もリピートされる。そして、
身体の奥から熱い液体が溢れ出る。
「ねぇ、私、何もしてないよ?」
溢れ出る液体を受け止めている梨華がからかうように言った。
確かに梨華の手はそこに触れているだけだった。
「でも、なんでこんなになっちゃうのかな?」
「言・・わな・いで・・・よ」
「なんで?・・・美貴ちゃんがエッチな身体ってこと教えてあげる。遠慮
しないで」
「や、めて」
美貴はかすれた声で梨華の言葉を制止する。梨華の顔を思い浮かべ、
触れられているだけで感じていることを自覚したくなかった。
- 72 名前:イオン 投稿日:2004/06/11(金) 04:41
- 本日分終了。
以下次号!
>>62
私もこの二人、好きです。今、旬な二人に違いないと勝手に思って
います♪
- 73 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/17(木) 02:12
- 遅ればせながら好みな小説発見。
しかもエロ満載でたまらんです(ハァーン
次号も楽しみに待ってます。
- 74 名前:檻 投稿日:2004/06/21(月) 17:33
- 梨華に絡め取られて蝕まれていく自分を知りたくなくて声を出す。
「知りた・・・くな・い」
小さな子供のように首を振って、知ることを拒む美貴に梨華は苦笑し
ながら言った。
「教えてあげる」
梨華がそっと美貴の手を取る。
「・・・ほら、私もこんなになってる」
梨華の手に導かれて触れたそこはすでに熱く濡れていた。
梨華を触る美貴の指にぬるりとした感触が伝わる。
「・・・な、んで?」
触れてもいない身体に流れる液体の意味。
美貴はその意味を確かめるようにぬるぬるとしたそこに指を這わせた。
「んっ」
美貴の上で梨華の身体が揺れた。
驚いて美貴が指を止めると、梨華がその手を取って言った。
「はぁ・・あ・・・。美・貴・・ちゃん、そのまま、触って」
欲望が見え隠れする声が美貴の耳をくすぐる。
綺麗なカーブを描いて梨華の身体が動く。
そしてそのカーブの上を甘い囁きが転がり落ちる。
「ぁっ・・ああっ」
降り注ぐ梨華の声が心地良い。
- 75 名前:檻 投稿日:2004/06/21(月) 17:35
- もっと自分の手が与える快楽に踊る梨華を見たい。
そんな欲望が美貴に芽生える。
最初、梨華の手に頼って動かしていた指を自分の意志で操り始める。
梨華の中に隠れている蕾を探り出し、傷つけないように触れた。
ピクンと梨華の腕が震えたように見た。
「そこ・・・気持ちいい・・・・・・」
梨華の艶やかな髪が美貴の頬に触れ、その隙間から欲望に濡れた
瞳が見えた。
誘われるように美貴は梨華の一番感じる部分を優しく撫でる。
「あ、あぁ・・んっ」
梨華が鼻にかかった声をあげた。
声と同じように梨華の中から何かが溢れ出る。
ドロドロとした液体が美貴の手を汚していくがそんなことは気にならな
かった。美貴は何度も自分がされた行為を梨華にする精神的な快楽
に捕らわれ溺れそうになる。
血液に潜む酸素さえなくなりそうな息苦しさの中、美貴は何度もされ
たはずの行為から梨華を頂点へと導く方法を思い出せない。
- 76 名前:檻 投稿日:2004/06/21(月) 17:36
- 熱に浮かされたようにただひたすら梨華の蕾に指を這わせる。
「美・・貴ちゃ・・・ん」
小さな呟き。
美貴の耳を溶かすような囁きが合図だったのかもしれない。
緩やかな階段を上るような行為に我慢できなくなった梨華が腰をスラ
イドさせる。
その動きが美貴の指が与える刺激を大きなものに変化させる。
「はぁ、あっあ、ふ・ぁ・・」
梨華から絶え間なく流れ出る甘い声。
生暖かい液体が美貴の指を手を溶かす。
まるで自分の手が梨華と融合するような気がして、怖くて、でも気持
ちがいい。
もっと梨華の一部になりたくて美貴は手を伸ばす。
「うっ、あぁっ」
その手が梨華に吸い付くように滑らかに一体化したとき、梨華が小さ
く呻いて美貴の身体の上へと崩れ落ちた。
- 77 名前:檻 投稿日:2004/06/21(月) 17:38
- 梨華が階段を上りきったのか美貴には判断出来なかった。
「・・・大丈夫?」
美貴は心配しているわけではないが、取りあえずそんな風に声をかけ
てみる。
返事はない。
かわりに小さな呼吸音が聞こえてくる。
「ねぇ?」
美貴は返事がない梨華に少し不安になりながら、もう一度声をかけた。
「・・・教えてあげる」
聞いたことのあるセリフが聞こえた。
梨華が気だるそうに身体を起こし言葉を続ける。
「私ね、美貴ちゃんに触れているだけで、声を聞いているだけでイキ
そうになる。こんなのおかしいかもしれないけど・・・。どうしてなのか
なんてわかんない。理由なんてないのかもしれない。美貴ちゃんは
どうなのかな。・・・教えて?」
美貴の身体の上を梨華の身体が滑り降りた。
- 78 名前:檻 投稿日:2004/06/21(月) 17:40
- 梨華は疑問符についての答えは聞かなかった。美貴が答えるはず
がないのを知っているからなのかもしれなかった。
疑問符は宙に投げ出されて何処かへ消えていく。
かわりに現れるのはケーキより甘い声。
「や・だ・・やめ、・・・んっ、ああっ」
妖しい光を纏った声が否定の呟きさえ意味のないものにする。
梨華は美貴の身体を軽やかに滑り、美貴の脚の間に自分の居場所
を見つけていた。
カーテンを開けている窓から光が差し込む。
空を流れる雲が時々、部屋へ影を落とす。
「ココ、気持ち良い?」
わざとわかりきった質問を美貴に問いかけると、梨華は溢れ出る液
体が光に反射してキラキラする蕾に口づけた。
「うっ、あ・んっ」
意地悪な問いかけに、否定でも肯定でもない声が出る。
梨華はそんな美貴をくすくすと笑いながら見つめると、唇でくすぐるよ
うに蕾の周辺を愛撫した。
- 79 名前:檻 投稿日:2004/06/21(月) 17:42
- 梨華の唇が肌に触れるたび、自然に美貴の声が漏れる。
まるで追いかけっこを楽しむ子供のように、梨華は美貴の声を追いか
け口づけを繰り返し、舌を伸ばした。
溢れ出る密を舐め取っては蕾へと運び、舌で塗りつける。
さわさわと入り口あたりを舐められては蕾へ刺激を与えられることに
耐えられなくなってきて美貴は声をあげた。
「やぁだぁ、やだっ」
その声に梨華は美貴の下半身から顔をあげる。
梨華が美貴の瞳に視線を合わせると、美貴は小さな子供のように首
を振ってイヤイヤと何度も呟いた。
「美貴ちゃん。もっと良くしてあげるから、静かにして?」
美貴をあやすように梨華が優しく声をかける。
「やだっ」
「このままにしておくほうがいい?」
「・・・・・・」
返事はしない。
チリチリと焦げ付くような快感を与えられ、中途半端な状態で放り出さ
れても困る。けれど、そんなことを口には出来ない。
- 80 名前:檻 投稿日:2004/06/21(月) 17:44
- 意地を張っているつもりはないが、返答に困った美貴は黙りこくるし
かなかった。
そんな美貴に全て見透かしている声が言った。
「ココに座って」
梨華はソファーに横たわる美貴の手を取り起きあがらせる。そして、
そのままソファーに腰掛けさせた。
美貴は大人しく言うことを聞く。
「お望み通り、続きをあげる」
梨華はそう言うと、悪戯っぽく微笑んで美貴の顎を甘噛みした。
美貴がくすぐったくて顎をあげた時には、梨華はそこにはいなかった。
ソファーから床に降りた梨華が、美貴の両脚を肩にかけるようにして
脚の間に潜り込んだ。そしてそのままキスを柔らかな茂みに与え、さ
らにその下へと唇が降りていった。
熱病にかかったみたいな熱い唇が美貴に吸い付く。
「ん・あぁあっ・・・」
声をあげる自分の下から聞こえてくるのは、ぴちゃぴちゃと子犬がミル
クをなめるみたいな水音。
美貴はその音に自分自身の今の状態を知る。
恥ずかしくて、でも気持ちが良くて美貴の手が空を掴む。
- 81 名前:檻 投稿日:2004/06/21(月) 17:46
- とらえどころのない風を捕まえようとしていた手が梨華の髪を見つけ
舞い降りる。美貴は梨華の髪に指を絡ませ、梨華が与えてくる刺激
に耐えようとした。
「もっと声出して」
梨華のリクエストに美貴は首を振って答える。
それが見えたのか見えていないのか、遠慮のない舌が美貴の入り
口部分をノックした。
「ひっ、あぁっん」
入り口を押し広げられるように梨華の舌が暴れる。その動きに美貴
の腰が反応してしまう。梨華の髪に絡めた手が、美貴の意識のない
ところで勝手に梨華を引き寄せた。
白いもやのようなものが美貴の思考を奪っていく。
視界の端に見えるのは青い空。
まるで空を飛んでいるような浮遊感。
ふわふわと身体の中を漂う快楽と空の青で溺れてしまいそうになる。
この一週間で覚えた、いや教えられた甘い行為が嫌いじゃなくなって
きて、そんな自分が嫌い。
美貴は嫌いだけど好きな感覚になりつつある梨華の行為に身を任せ
る。下半身へ集まっていく血液が熱くて身体が溶けそうになり、自分
の形を見失わないように甘い吐息を漏らした。
- 82 名前:イオン 投稿日:2004/06/21(月) 17:53
- 本日分終了。
以下次号!
>>73
たまらん、とはありがたや(*´∀`*)ムフーッ
自分の為にエロ満載!みたいなもんですがw・・・更新遅めですが
気長に待ってやってください。
- 83 名前:名無し飼育さん。。。 投稿日:2004/06/28(月) 00:53
- りかみき(*´∀`)イイですね。
- 84 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 21:58
-
「はぁ、あ、ああっ」
いつもより少し高くてかすれた声に快感の深さを自覚する。自分自身
の声が、このふわふわとした快感をもっと確かにしたい欲求を引き出
す。
美貴は柔らかな髪に絡める手に今よりも少しだけ力を入れて梨華を
引き寄せた。
無意識の期待通り、梨華の舌が先ほどよりも自分に圧迫感を与えて
くる。
『もっと舐めて』
美貴がそんな声を出したわけではないが、彼女の行動にそんな欲求
を感じ取った梨華が今までよりも深い愛撫をくわえてくる。
入り口あたりを弄んでいた舌が、もっと敏感な部分へ向かって動き出
し、そのまま濡れた蕾へと到着した。
梨華の悪戯な舌がゆっくりと這い回る。
下から押し上げるように舐めたり、軽く押したり。
美貴の神経を玩具にするように緩やかな刺激をくわえてくる。まるで
思考を奪う白いもやが広がったような気がして、美貴の背中をゾクゾ
クさせる。
そんな圧縮された快感が自然と美貴の口を開かせた。
- 85 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 21:59
-
「ぁっ、んっ。もっと・・・」
続きは言えなかった。
今まで何処かに捕らわれていた冷静な意識が起き出して美貴の口
を塞ぎ、続く言葉は吐息に消えた。
それでも、梨華は吐息に消えた言葉を探し出し、美貴の濃縮された
快感を解放させる行為を行う。
梨華は優しく、けれど激しく美貴の蕾に歯を立てた。
「あ、あ、ああぁっっ」
息が出来ないぐらいの快感。
圧縮されていた欲望から一気に解放される。
けれどそれはまるで深い湖に溺れていくみたいで、美貴は怖くなって
梨華にしがみついた。
「美貴ちゃん?」
ふいにギュッと抱きつかれた梨華が不審そうな声を出した。
「・・・キスして」
湖に全て捕らわれてしまう前に、誰かの温もりで救って欲しくて。
底まで沈んでしまう前に、キスが欲しい。
美貴は理由のわからない不安に捕らわれて梨華の体温を欲しがった。
そんな美貴に梨華が自分の体温を分け与える。
- 86 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 22:00
- 触れるだけのキス。
溺れそうな美貴の唇に何度も何度も梨華の唇が触れた。
温かな唇が触れるたび、空の青より深い蒼色をした水が消えていく。
確かな存在がここが湖ではないことを知らせる。
美貴は梨華の背中に回した手に力を入れて、その存在を確かめた。
浮遊する身体が水中から引き上げられる感覚。
不規則な呼吸が整えられていく。
「大丈夫?」
次第に穏やかになっていく呼吸音を確かめながら、梨華が心配そう
な顔で尋ねた。
美貴は声を出さずに、小さくうなずくことで返事を返す。
いつの間にか不安を消す存在にまでなってしまった。
不安をかき立てられる存在によって消される不安。
こんなの馬鹿げてる。
美貴は梨華の輪郭をなぞった。
この中には何が住んでいるんだろう。
目の前にいるのは、ココに連れて来られる前に見ていた石川梨華と
は違う人物。
不快と快楽の源。
飼い慣らされていく。
不快が快楽を打ち消し、快楽が不快を打ち消す。
自分がどうしたいのかわからない。
- 87 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 22:02
- 最初の頃に比べ、梨華に飼い慣らされていくことが嫌ではなくなって
きたことだけは確かだった。
美貴はもう一度確かめるように梨華の輪郭をなぞってみる。
そして、その柔らかな唇に自分から口づけてみた。
キスをもらう時とは違う痛みが胸に走る。しかし、その痛みの正体が
なんなのか掴めないままもう一度身体に火が灯された。
「んっ」
歯がぶつかりそうなぐらいの激しいキス。
自分からしたはずのキスは、いつのまにか主導権を奪われ貪るよう
に唇を吸われる。
いつだって考える時間は与えられない。
心の動きに思考を奪われそうになると、その思考を梨華が奪う。
美貴の静まったはずの熱が身体を包んでいく。
消えたはずの蒼い水が美貴をまた水底へ連れて行こうとしている。そ
んな気がした。
美貴は溺れそうになって梨華の肩を掴んだ。
梨華は肩を掴まれて、内蔵まで奪うような深いキスから美貴を解放する。
「美貴ちゃんがもっと欲しい」
美貴の耳朶を舌で弄びながら梨華が言った。その艶っぽい声に美貴
の下半身が甘く痺れる。
美貴がその甘い痺れを誤魔化そうと膝を摺り合わせると、小さな水音
が響いた。
- 88 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 22:03
- 気が付きませんように。
美貴は心の中で祈ったが、その願いは叶わなかった。
腰の辺りで遊んでいた梨華の手が脚の間に滑り降りる。
「さっきイったばっかりなのに、もうこんなになってるんだ」
梨華がクスクスと笑いながら美貴に告げた。
素早く美貴の中心へと達した指で、梨華はその部分を弄ぶ。
「ぁ、あんっ」
梨華の指が美貴を奏でた。
下半身から響いてくるくちゅくちゅと卑猥な音が、美貴の吐息に重なる。
その淫靡な音楽をうっとりと聴いていた梨華が口を開いた。
「ねぇ、美貴ちゃんも私が欲しい?」
『欲しくない』
しかし、美貴が声を出す前に身体の一部分が反応した。
梨華を欲しがるように指で嬲られているそこが震えて、梨華を誘う。
「返事、言葉じゃないんだ」
その言葉に美貴の身体が熱くなる。
「・・・やっぱり身体の方が正直だね」
美貴は、押し寄せてくる快感をねじ伏せる為に閉じた瞼に梨華が見
える気がした。
- 89 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 22:04
- 瞳の奥に欲望を映した梨華がいる。
それはきっととても綺麗で、残酷。
多分、目を開けたらその欲望に捕らわれてしまうだろう。
いや、目を開けなくてももう捕らわれている。
見えない梨華の手が敏感な部分を移動する。
「欲しいって言葉で聞かせて」
美貴の入り口の辺りに指を這わせながら梨華が言った。
「・・・・・・挿れてよ」
「何を?」
「・・・・・・」
「何を挿れて欲しいか教えて」
閉じた瞼が熱い。美貴がその熱から逃げ出すように目を開けると、滲
んだ視界の向こうに梨華が見えた。
答えを知っていて聞いてるはず。
なのに美貴の瞳に映る梨華の姿が何故か不安そうで、その姿が美貴
に躊躇いなく欲しい物を告げさせた。
- 90 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 22:05
- 「・・・指、挿れ・・てよ」
その言葉を聞いた梨華は返事の代わりに、美貴の入り口で遊ばせて
いた指をゆっくりとその中へ進入させる。
「んっ」
体内へと入り込んできた梨華の指に美貴の身体が反応する。十分に
湿ったそこは簡単に梨華の指を受け入れ、淫靡な音を立て始めた。
くちゅくちゅという音が美貴自身の耳に届くたび、羞恥が快楽に変わ
りまたその部分を濡らしていく。
「美貴ちゃんのココ、どんどん溢れてくる。・・・これならもう一本挿れ
ても大丈夫そうだね」
そう言うと梨華は美貴の中を探っていた指を一回抜いてから、2本の
指を美貴の中へと押し入れた。
「あっ、うっ・・・痛っ」
2本の指が入り口を押し広げ美貴の中へと入りかけたその時、びくっ
と美貴の身体が震えた。
「大丈夫、すぐに痛くなくなるから」
美貴をあやすように告げると、梨華は躊躇うことなく2本の指を美貴の
体内へと押し入れていった。
- 91 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 22:06
- 濡れた細胞が梨華の指を包み込み、飲み込んでいく。
美貴の口からは苦しそうな声が漏れてくるが、梨華の指に伝わってく
る感触は喜び以外の何者でもない。
美貴から溢れ出した蜜が指の動きをサポートし、梨華の動きを滑らか
にしていく。
「ひぁっ、はぁ・・・んっっ」
自分を押し広げてくる梨華の指が苦しいのか気持ち良いのかもうわか
らない。
何度も身体の中を掻き混ぜられるように指を動かされ、自然に漏れる
吐息。
ただ自分の口から漏れてくる声を聞き、美貴はその刺激が快感である
ことを知る。
さっきイったばかりのはずの身体がもう限界へ向けて走り出していく。
美貴は苦しくて早くイキたくなって、何故か梨華の名を呼んだ。
「梨・華ちゃ・・・ん、梨・・華・ちゃん」
梨華の名を初めて呼んだ気がした。
- 92 名前:檻 投稿日:2004/07/06(火) 22:07
- 何でもない時には普通に呼んでいる名前。
けれど、こんなことをされている最中には口にしたことのない名前。
梨華の驚いた顔が見えた気がした。けれど、快感に支配された思考
の中からその映像はすぐに消えてなくなってしまう。
「あ、あぁっ・・・やぁっ、・・・イっちゃう」
「いいよ、イっちゃって」
梨華は指先で美貴の内壁を強く擦りあげた。
「うっ、ああっ!!」
美貴は梨華の指を中心に広がる快感に身を預ける。
小刻みに何度も身体を震わせ美貴は絶頂に達し、そのまま意識を手
放した。
- 93 名前:イオン 投稿日:2004/07/06(火) 22:09
- 本日分終了。
以下次号!
>>83
そうです。りかみきは(*´∀`)イイのです。
さらにりかみきは(*´Д`)はぁはぁです。
- 94 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/07/07(水) 00:25
- た・たまらんっっ(* ̄Д ̄*) ポッ
りかみきって何か知らんがグッとくるね。
次回も期待して待ってます!
- 95 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/07(水) 02:21
- 作者さん、マジたまらんです!チャイコーです!
寝る前にこんな素敵なエロ読んだ日にゃーもう
いい夢見れそうっす♪
- 96 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/05(木) 19:59
- 作者さんの作品で何度もハァハァさせてもらってます
新作も期待して待ってます
- 97 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/20(金) 13:32
- イイ感じです!次号も期待して待ってます!
- 98 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/03(金) 20:15
- …そろそろ2ヶ月。…お待ちしております。
- 99 名前:名無しさん 投稿日:2004/09/18(土) 14:54
- この二人の組み合わせ好きです。
期待してます!
- 100 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/18(土) 17:12
- アゲたらあかん
- 101 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/22(月) 17:06
- まだ待つ・・・
- 102 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/22(土) 19:25
- 待ってますよ
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