HGSR‐ot
- 1 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/22(土) 10:11
- アンリアル中心にリアル物有カモ。
アンリアルは、年齢性別をこちらで設定してたりします。
基本的に、短編集みたいな感覚で。
タイトルのアルファベットから、
連想される人たちが出てくる感じだと思います。
- 2 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:13
-
僕たちは、僕たちのために、罪を重ねていく。
- 3 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:14
-
「ごっちん、おはよう。」
「あ、よしこおはよ〜」
毎朝、二人いる時は、こうして食事をとる。
僕は、料理が苦手だから、ごっちんが作ってくれる。
「あ、今日帰らないから。」
「ふぁ〜い。」
もごもごと口に含みながら、ごっちんは返事した。
- 4 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:15
-
僕たちは、世間一般でいう夫婦だ。
だけど、そのすべては嘘だらけ。
- 5 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:16
-
*****
世間一般的に、いわゆる上流階級の家庭に生まれた僕ら。
ごっちんと出会ったのは、大学3年になった時だった。
食事に行くと、両親がいった。
用意されていたスーツがあった。
洒落た有名レストラン。
そこに、彼女とその両親がいた。
今時ありえないと思った。
嫌みなくらいにこにこ笑う大人。
その大人たちは言った。
「ひとみ、婚約者の真希ちゃんだよ。」
大人たちのエゴ。
それでも、僕たちは、その2年後に結婚をした。
ただしそれは、僕たちにとって契約であった。
何故ならその時すでに、僕たちは恋人がいたから…
決して結ばれることを許されない…愛しい人…
僕たちは、ただ、その人を守りたかっただけ。
周囲の目を背き、僕たちは、確固たる幸せを手に入れるために…。
*****
- 6 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:17
-
「いってきます。」
「いってらっしゃーい。」
はたから見たら、極々普通の夫婦に見えるのだろう。
「張り切りすぎちゃダメだよー。」
にこにこと言った。
僕も柔らかく笑った。
- 7 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:17
-
いってきますのキスなんてしない。
夜は、別々のベッドで夜を明かす。
この結婚生活も2年目になるけど、セックスをしたことは一度も無い。
そもそも、彼女に対して、性欲なんて全く感じない。
それは、彼女も一緒だ。
彼女の―ごっちんの愛は、僕には無い。
そして、僕の愛も、ごっちんには無い。
- 8 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:18
-
僕が愛しているのは、あの人だけ。
僕が愛しているのは、あの人だけ。
- 9 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:21
-
夜、秘密の扉を開く。
愛しい人に出会うために。
「ひとみちゃん、お帰りなさい。」
「ただいま、リカちゃん。」
きつく抱きしめる。
僕よりも華奢な身体。
「会いたかったよ。」
僕の言葉に、はちきれそうな笑顔。
「うん、ボクも会いたかった。」
抑えきれない、僕たちは、無我夢中でキスをした。
- 10 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:22
-
僕が愛しているのは、君だけ。
僕が愛しているのは、君だけ。
- 11 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:23
-
「好き。」
ちょっと高めの声が、僕の耳に届く。
うん、好きだよ。
大好きだよ。
愛してるよ。
今宵、君をこの腕に抱いて、
ただ、ただ、ココロの底から、
君だけのために、愛を囁く。
End
- 12 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:25
-
*****
- 13 名前:愛のために…。Said-H 投稿日:2004/05/22(土) 10:25
-
*****
- 14 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/22(土) 10:27
- とりあえず、こんな感じです。
ちょっと読み辛いとか誤字脱字あったらすみません。
それでは。
- 15 名前:プリン 投稿日:2004/05/22(土) 18:47
- 新作キタ━(゚∀゚)━!!
更新お疲れ様ですm(_ _)m
いしよし…wかなぁ?
でもなんだか面白そう!
続きも期待しますっ!!
- 16 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:37
-
好きだよ、好きだよ、大好きだよ。
大丈夫、守ってあげる。
大丈夫だよ、守ってあげる。
私が、あなたを守ってあげるよ。
- 17 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:37
-
「いってらっしゃい〜。」
心なしか、弾んだ表情のよしこを送り出して、
私は、家事を一通り済ませるべく、キッチンに立つ。
この生活が始まって、2年が過ぎた。
「♪♪♪」
鼻歌交じりに、かちゃかちゃと。
そして、ちろちろと水が流れる。
チチッとベランダに小鳥がいて、その向こうには青い空とまぶしい太陽。
きゅっと音を立てて、蛇口が閉まる。
ぐわんぐわん、洗濯機の音、それが止まるのを待ちながら、
私は、メールを送る。
- 18 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:38
-
着信も発信も、あなたでいっぱいにする。
私の中も、あなたでいっぱいにする。
- 19 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:38
-
ピーっと洗濯が終わりを告げる機械音。
ソファーに携帯を残して、洗面所へ。
パンパンっと音を立てて、軽やかに、鼻歌交じりに。
白いシャツが、太陽の光反射しているよう。
- 20 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:39
-
♪♪♪
ソファーから、メールの受信を伝えるメロディー。
あなたからのメロディー。
パァッと花が咲くように微笑を浮かべ、最後の洗濯物を干してから、
エプロンをとって、テーブルに置き、その手に携帯を取る。
慣れた手つきで、メールを開く。
[5時に仕事終わるから、一緒に御飯でも食べに行こうか?]
内容に、速攻レスをする。
返事はもちろんOK。
そよそよと、温かい風がふく。
青空に、あなたを想う。
私より、2歳年上のあなた。
出会ったのは、私がまだ中学3年生だった時。
- 21 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:39
-
その頃私は、これといって将来の夢とか、やりたいこととか、そんなものは無かった。
おとーさんとおかーさんは、一生懸命働いてくれていて、
それなりに裕福な生活を私は送っていた。
何不自由なく、与えられて、それを当たり前のように受けて、私は育った。
でも、いつも私は寂しかった。
友達から、高校見学に付き合って欲しいと言われた。
私立M2女子高等学校。中よりは上、上よりは下って感じの進学校。
別にやることもないし、暇だったし、そろそろ自分も進路を考える時期になっていた。
私は、いいよ。っと軽く返事をした。
- 22 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:40
-
なんとなく、彼氏なんてものも作ってみたことがあった。
サッカー部の子で、皆から人気のあった男の子。
道端で、ずっと好きだったと、告白してきた自分より歳上の男の人。
手を繋いで、街を歩いて、映画館に行って、こっそりとキスをして…。
セックスまがいなこともした。
まがいというのは、途中で自分が拒んだから…。
その人のこと、本当に好きでいない自分がいたから。
そうして、男の変貌する姿を見て、嫌いになったわけではないけれど、
気まずくなって、付き合っても3ヶ月続かなかった。
- 23 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:40
-
いつも何かが物足りなくて…、
いつも何かを求めていて…、
その“何か”は、思いも寄らぬ所で見つかった。
- 24 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:41
-
『えー、本日は、M2女子高等学校見学説明会に、
お越し頂きまして、ありがとうございます。』
白髪交じりの頭の人が、壇上に立って挨拶をしている。
朝は苦手、欠伸を噛み殺して、ちょっと涙が出た。
「ごっちん、寝ちゃだめだよ。」
かくっかくっと眠りに落ちようとしていた私に、友達の美貴が言った。
「…ん、ごめん。」
壇上を見ると、いつの間にか先生が変わっていた。
「んぁ。」
でも、だめ、どの人の話も、まるで念仏を唱えているようにしか聞こえない。
「…もう。」
美貴の溜息が、遠のく意識の中で微かに聞こえた。
- 25 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:42
-
「ん。」
ぼんやりする頭で、校内見学をして回る。
先生らしき人の説明は、右から左に流れていく。
ふと、校庭を見た。
休みだというのに、いくつかの部活は、活動をしているらしく、
掛け声などが聞こえ、活気づいていた。
そっちのほうを見たまま、数歩遅れて私は集団についていっていた。
だから、気がつかなかった。
- 26 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:42
-
ドンッボタボタボタボタ
「わっ!」
「あっ!」
「ご、ごめん。」
「いえ、私のほうこそ、ちゃんと前見てなくって。」
転がるボールを、二人で慌ててかき集める。
「ありがとう、もういいよ、おいていかれちゃうし。」
三分の一くらい集まったところで、私が、ぶつかってしまった人が言った。
「え、でも…。」
「いいからっ。」
私の握っていたボールを手にとって、カゴに戻した。
その手で、長めの前髪を横に流して、にこりと笑った。
「!!」
- 27 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:43
-
どきっとした。
心臓の血液を送る音が、やけに大きく感じた。
- 28 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:43
-
ぼうっと立ち尽くしてしまった。
「ごっちん遅いよー。」
私がいないことに気づいた美貴が、いつの間にか隣にいて、
「あっ。」
「ほらっ、早く行こう。」
腕をとられ、随分先に行ってしまった集団に追いつくべく足早に。
でも、それでも、その人から目を離せなくて、いや、離したくなくて…。
「あ、あのっ」
声を張り上げた、
「・・・・・・?」
「ごっちん?」
美貴が立ち止まった、その人が振り返った。
「本当に、すみませんでした!!」
「気にしなくていいよー、早く行きなー。」
また、あの笑顔。
- 29 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:44
-
ドクンドクンドクンドクン。
今思うと、これは運命だったのだろう。
- 30 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:44
-
「早く夜にならないかなー。」
[んじゃ、6時に迎えに行くよ。]とメールを最後に、
メールを送っても返事は返ってこなかった。
多分、仕事中だから、お昼休みにならないと返ってこないのだろう。
真面目な人だから。
真面目な分、いろいろと大変だったけど…。
「早く会いたいぞーぅ。」
ごろりとソファーに寝転んで、携帯のディスプレイを見る。
そこには、二人で撮った写真。
照れくさそうな顔で、後ろから私を抱きすくめてる写真。
「いちーちゃん。」
そっと口付ける。
愛しさで、胸が張り裂けそう。
- 31 名前:愛のために…。Said-M 投稿日:2004/05/23(日) 16:45
-
他人の理解なんていらないの。
あなたとの愛。
そしてこれが、私達の幸せの形。
誰も邪魔させないよ、誰も邪魔できないよ。
兄弟も親も法律も。
「早くっ早くっ早くっ…。」
ねぇ、抱いて、抱きしめて、キスをして…。
いちーちゃんだけが、欲しいよ。
-End-
- 32 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/23(日) 16:45
- 更新終了です。
- 33 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/23(日) 16:47
- >15さん
はじめまして、あまんり期待せずに。
のったりと読んで下さいませ。
- 34 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/23(日) 16:48
- 今更気がついたのは、
スレッドのタイトルがGではなくMだったり。
まぁ、いっか。
- 35 名前:名無しROM 投稿日:2004/05/23(日) 21:01
- すごくいいですね!!
CPも大好きですし、設定が今までにない感じで面白いです。
作者さんのプレッシャーにならない程度に期待してます!!!
- 36 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:37
-
そこには、何がある?
君には、何が見える?
私には、君しか見えないよ。
- 37 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:37
-
「みきたん、ねぇ、私を縛って。」
- 38 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:37
-
私も君も最初は、軽い気持ちだった。
私は、君が好き。
君も、私が好き。
ただ、好きだった。
ただ、好きだった。
- 39 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:37
-
でも。
- 40 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:38
-
好きになりすぎた。
何かが、物足りなくなった。
- 41 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:38
-
「亜弥ちゃん…。」
- 42 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:39
-
キスをした。
初めは触れるだけのキス。
次に、舌を絡めて、唾液さえ飲み込んで。
- 43 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:39
-
「私をみきたんだけにしか、見られないようにして。」
- 44 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:39
-
とろりとしたその瞳。
抱きついてくる細くて白い腕。
愛しいと思った。
- 45 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:40
-
「………。」
- 46 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:40
-
いつしか、思っていた。
この部屋に、君を閉じ込めることが出来たらと。
いつしか、考えていた。
君の事、壊してしまいたいと。
- 47 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:40
-
「みきたん、みきたん…大好き。」
- 48 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:40
-
そうして、一生君は私のもので。
私は、そんな君を抱きしめて過ごすのだ。
朝も昼も夜も関係なく。
ただ抱きしめて、死に絶えるんだ。
- 49 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:41
-
「亜弥ちゃん…亜弥ちゃん…あやちゃん亜弥ちゃん。」
- 50 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:41
-
あらゆる物で、君を縛る。
紐やゴムや電化製品のコード。
君は、柔らかく微笑む。
- 51 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:41
-
「キスして。」
- 52 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:41
-
発狂しそうだった。
いや、もうしているのかもしれない。
君に、今の私は、獣のように映っているのだろうか。
それでもいいと思った。
だって、私を狂わせるのは君だから。
私を狂わせたのは、君だから。
- 53 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:42
-
「…んっ……ハァハァハァ…ッ。」
- 54 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:42
-
あらゆる物で縛り上げて、
最後にきつくきつく抱きしめる。
- 55 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:42
-
愛してるよ。
愛しているよ。
狂おしいほどに。
- 56 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:42
-
「みきたん、もっともっと、強く抱きしめて。」
- 57 名前:縛 投稿日:2004/05/25(火) 11:43
-
愛しているよ。
愛してる。
君無しでは、もう息も出来ない。
END
- 58 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/25(火) 11:44
- 更新。
- 59 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/25(火) 11:44
- >35さん
どうもありがとうございます。
あまりいろいろ考えずにどうぞお読みください。
- 60 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/25(火) 11:46
- 今回は、最初のシリーズ短編ではないもので。
こういったものも、ちょこちょこできれば書いていこう思います。
それでは。
- 61 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:04
-
この世には、真っ直ぐなモノなんて無い。
この世には、完璧なんてモノは無い。
人で言えば、容姿だったり、成績だったり、性格だったり。
どこかしら、劣っているところがあるだろう。
大体において、『普通』って一体なんだ?
- 62 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:04
-
彼女と出会ったことは、私とっても最大のラッキーで、
それと同時に、それは、最大のアンラッキーでもあったと思う。
♪♪♪
軽快なリズムに乗せて、携帯が踊る。
[いちーちゃん、おっはよ♪今日、よしこ帰らないんだってー。]
愛しい人からのメッセージ。
無言の誘い文句。
捕まったのはきっと私で、捕まえたのはきっと君で。
落ちていったのは、多分、同時。
- 63 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:05
-
メールというものは、すごい便利だ。
仕事前のちょっとした合間にささっと自分の気持ちを文字で伝える。
送信した後、マナーモードに設定する。
そして、携帯はバッグの中に。
仕事中にメールなどをすることはしない。
中には、こっそりやっているやつもいるけど、
そこは、あれだ、メリハリって意味で、私はやらない。
最初の頃は、よく彼女はぶーたれていたなぁ。
そんなところが、またかわいかったりするから、
正直、末期だなって思う。
- 64 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:06
-
ちゃんとした約束は、してなかったと思う。
だけど、あの日、あの時。
きっと、出会った瞬間から、私と彼女の運命は回り始めてた。
カタカタと止まることのない、歯車のように。
- 65 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:07
-
高校2年の時、大会が近いので、休日返上の部活動。
一応、レギュラーの補欠だったから。
まぁ、補欠っていうのが、ちょっとさ、情けないけど。。。
でも、3年の先輩はこれが最後になるかもしれないって、気合十分。
そうなると、自分のテンションも自然に上がってくる。
じめっとした露は過ぎて、からっとした初夏の風が、
校庭に心地よい空気を運んでいった。
『えー、本日はー』
と、講堂の近くを通ったら、間延びした、教頭の挨拶が聞こえてきた。
そういえば、今日は、学校見学説明会があるらしい。
あぁ、そういえば、2年前、私もここに来たんだよなー。
なんて、ふっと昔を懐かしんでみたりした。
「さーやかー、いっくぞー!!」
そんな時、どーんと、後ろからタックル。
ちっちゃい同級生矢口真里。
「いってー。」
「キャハハッ、はいはいはい、ぼーっとしてるとかおりの雷落ちるぞー。」
と、背中を押されグランドへ。
突き抜ける、青空。
「いー天気だねー。」
改めて思った。
- 66 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:07
-
この時、自分に降り掛かる運命なんて、誰にも予想なんて出来なかった。
そうだな、予想できたとしたら、カミサマだけ。
まぁ、この時は、単なる偶然だったんだろうけど。
- 67 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:08
-
「さやかー、ボール出してくるの忘れたー!!」
準備体操に、軽いランニングで身体をほぐす。
と、さて練習って所で矢口がいった。
「はぁ?」
なんで、それを私に言うの?
と、私はちょっと不機嫌顔。
「はいはい、そんな怖い顔しなーい。
さーいしょは、グー!!ジャンケンポン!!」
人間のとっさの反射で思わずじゃんけんしてしまったり。
しかも、負けてたり。
「はい、さやかのまけーいってらっしゃーい!!」
「って、なんで私がー。」
「あっ、なっちー、また遅刻かよー。」
「っておーい!!」
まるで、青空の下の嵐。
しぶしぶ私は、ボールを取りに行くことに。
ってか、部室遠いんだよー、ちくしょう、矢口めー。
一緒に行くって選択肢はないのかよ。。。
ぶちぶちと心の中で思いながら、両手にボールのいっぱいに入ったカゴ持ち、
校庭に向かって歩き出す。
「お、校内見学中かぁ。」
校庭に続く道を横切る渡り廊下を、まだまだ幼い顔した集団が横切っていく。
速度を落として、ゆっくりと歩く。
ふと、渡り廊下の向こうの青空に、また心奪われて。
「ほんと、いい天気だ。」
そよそよと、長くなった前髪を揺らす。
ガヤガヤとした集団独特のうるささが遠ざかっていくので、
油断していた。
- 68 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:08
-
ドンッボタボタボタボタ
見学に来たのであろう、紺色のスカートと白いワイシャツに、
身を包んだ子にぶつかってしまった。
「わっ!」
「あっ!」
「ご、ごめん。」
「いえ、私のほうこそ、ちゃんと前見てなくって。」
転がるボールを、二人で慌ててかき集める。
「ありがとう、もういいよ、おいていかれちゃうし。」
三分の一くらい集まったところで、私は、ぶつかってしまった子に言った。
「え、でも…。」
「いいからっ。」
彼女の握っていたボールを手にとって、カゴに戻した。
長くなった前髪を横に流して、にこりと笑って見せた。
そして、すぐに残ってるボールを拾い始める。
と、まだ立ち尽くしたままの彼女の友人らしき子の声。
「ごっちん遅いよー。」
「あっ。」
「ほらっ、早く行こう。」
腕をとられ、随分先に行ってしまった集団に追いつくべく足早に遠ざかっていく足音。
「あ、あのっ」
「・・・・・・?」
大きな声がして、振り返る。
「?」
友人の子も立ち止まって、不思議そうに彼女を見ていた。
「本当に、すみませんでした!!」
顔を真っ赤にさせて、よく通る声で彼女は言った。
なんか、すんごいかわいいなって、その時思った。
「気にしなくていいよー、早く行きなー。」
軽く手を上げて、安心させるように笑っていった。
立ち尽くす彼女に、友人の子が、引っ張るように彼女を連れて行った。
「……いい子だなぁ。」
なーんて、ぼぅっとその後姿を見送っていた。
ら。
「さーやかーーーーーーー、おっそいぞーーーーーーー!!」
けたたましい矢口の声で我に返って、残っていたボールをカゴに収めて、
走ってグランドに向かった。
- 69 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:10
-
これが彼女との出会い。
普通といったら普通。
だから、この時は、そんなに気にはとめてはいなかった。
だけど、これが、全ての始まりだった。
君と私。
今思えばそれは、起こるべくして起こった、必然だったのだと思う。
- 70 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:10
-
「先輩っ、私のこと、覚えてますか?」
「え?あーっ、えっとー。」
「学校見学に来たときに、ぶつかった。」
「あー、うん、覚えてるよー。ここに来たんだねー。」
「はいっ、先輩に会いたくて。」
「ははっ、そっか、そっか。」
「はい!」
君は、キラキラと輝いていた。
まぁ、今もだけどね…。
- 71 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:11
-
[6時なんて待てないよー(;;)]
昼休み、彼女のメールをあけて読む、思わず頬が緩む。
「プッ、それくらい待てよ。」
出会ったあの時と、変わらないくらい澄んだ青空。
私たちのこの形は、ちょっと、世間一般常識ってやつからは、
外れているかもしれないけど。
これは、私たちなりの幸せの形。
彼女がくれた、最上の愛と最高の恋。
もどかしい、この距離、会えない日の分まで、
今日は、抱きしめあおうじゃないか。
そして、あの頃のように、キスをしよう。
- 72 名前:愛のために…。Sid-S 投稿日:2004/05/27(木) 15:11
-
[出来るだけ早く行く。ちゃんと家事は済ませて待ってるんだぞ。]
後藤、好きだよ。
大好きだよ。
君しかいらないよ。
君しか欲しくないよ。
恋焦がれる、都会の真ん中で。
今すぐに、君が欲しいと叫びたい。
END
- 73 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/27(木) 15:12
- 更新。
- 74 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/27(木) 15:14
- もう一本で、これは、一応主とする人物がそろう。
が、最後の一人まだ書いてない。
- 75 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/27(木) 15:15
- 説明書きのような文章だと、つくづく思う。
そんなわけで、ではまた。
- 76 名前:レオナ 投稿日:2004/05/27(木) 20:11
- 更新お疲れ様です。
毎回、更新楽しみにしてます。
次回も、がんばってください。
- 77 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:31
-
もう、大丈夫だよ。
差し伸べられた大きな手の平。
今でも覚えている。
- 78 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:32
-
♪♪♪
携帯が、軽やかに歌いだす。
[会いたい。]
ただ、その一言だけ。
あなたの想い、ボクに伝えてくれる。
レスを返して、ギュッと携帯を抱きしめた。
振動と音楽。
- 79 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:32
-
[明日の夜、行くね。]
待っててと、あなたは言わない。
その代り、離れる時、決まっていう言葉がある。
『ごめんね。愛してるよ。』
謝らなくてもいいのに。
わかっているでしょ?
9年前のあの時から、ボクはあなたのもので、
もう、あなた無しでは生きていけないこと。
そして、3年前、あなたが結婚を決めた時。
反対なんてしなかった。
あなたは、言ってくれたから。
心を込めて、言ってくれたから。
- 80 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:33
-
大丈夫、大丈夫だから、あなたを愛しているよ。
心の底から、愛しているよ。
- 81 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:33
-
*****
- 82 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:33
-
あの頃、ボクは消えてしまいたかった。
ただ、ただ、この世界から消えてしまいたかった。
- 83 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:34
-
そつなく高校生活の初めの行事ごとが一通り終り。
その日の昼休みのことだった。
「梨華なんて女みたいな名前ー。」
「お前、おかまちゃんじゃないのかー?」
「ちっがうよ、ニューハーフじゃねー?」
ぎゃははと下品に笑う。
小学校も、中学校も、この名前のせいで、いじめは絶えなかった。
「りーかちゃん、ほらなんとかいえよー。」
小突かれる。
「ほらほらー、かわいい顔を俺たちに見せてー♪」
髪をつかまれて、顔を無理やり上げさせられる。
「うっひょーその目たまんないねー。」
ニタニタニタ。
その顔、寒気がする。
「………。」
何を言わずに、僕は目を閉じる。
下手に反抗しないほうが、そいつらの楽しみは半減する。
そして、飽きればどこかにいく。
それをじっと目を瞑って耐える。
- 84 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:34
-
「なんだなんだー。」
「だんまりかよー。」
「こいつもしかして本当に女だったりしてなー。」
「うぉっほぅ確かめてみるかー。」
「おい、こいよっ!!」
「……っ。」
無理やり立たされて、すぐ近くのトイレへ。
べたべたすぎる。
ひそひそとクラスメイトは、見て見ぬ振り。
うん、慣れてるよ。
でもやっぱりさ、高校ではってそういう期待あったのに。
残念だったな…。
「ほらほらー、脱げよー。」
「いーもんもってるんだろー。」
「ってか、マジでなかったりしてー。」
これなら、殴られた方がましだ。
- 85 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:35
-
すうっと気持ちが、急下降に落ちていく。
「あっれれー、なにしてんのかなー?」
その時だった。
「「「!?」」」
ボクを囲んでいた3人の生徒が振り返った。
そこには、朝の自己紹介のときから、異様にテンションの高かった。
確か、小川とかいう人と、もう一人―。
「弱いものいじめー?だめだよー、そんなことしたら。」
「僕ひとみって女みたいな名前だけど、どうなの。
僕の裸……みたい?」
三人を威圧するようににっこりと笑って言った。
そうだ、吉澤ひとみすごく綺麗な顔してると思ったのが第一印象だった。
「ちなみにー、よっちゃんボクシングやってるからー強いよー。
歯を折れちゃうよー。あはーっ。」
にぱーっと、笑った。
ぼきぼきっと指を鳴らす音がやけに乾いて聞こえた。
「はっ、ははは、何マジになってんだよ。」
「そだよ、そだよ、ちょっとからかっただけじゃん。」
「んな怖い顔すんなよ。」
「………。」
「「「………。」」」
三人が、顔を見合わせた次の瞬間、バタバタバタと3人はいなくなった。
- 86 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:35
-
「あっはは、なっさけないなーもー。」
あっかんべーと舌を出して、あははと笑った。
「………。」
「大丈夫?」
真っ白な雲のような肌、
大きな空のような手のひら、
温かい太陽のような笑顔。
「あっ…。」
「ん?」
「ありが…と…ありがとぅ…。」
ぼろぼろと涙が零れ落ちた。
いつの日からか、枯れ果てたと思った涙。
「おおーぅ、よっちゃんなに泣かしてんのー!!!???」
と、大声で。
「ばっか、違うよ!」
ごんっとその後、鈍い音。
涙で歪む視界、頭を押えて痛みに悶える小川君。
ボクの視線に気がついた吉澤君は、ちょっと困ったような顔をして、
まるで親が子供にやるように、ぽんぽんと頭をなでた。
「もう、大丈夫。大丈夫だよ。」
その言葉にもっと涙が出た。
- 87 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:36
-
あの時から、ボクは変わった。
生きることが楽しくなった。
あなたとの出会いが、ボクの人生を大きく変えた。
- 88 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:36
-
******
- 89 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:36
-
携帯の待ち受け画面のあなたの写真。
ベッドの上、照れくさそうに笑ってボクに微笑みかけている。
こうやって、一人部屋の中。
待つ時間はどうしてこんなに長いのだろう。
あなたと会ってる瞬間は、今の十倍もの速さで時が過ぎていくのに…。
早く会いたいな、早く会いたい。
あなたが来たら、まずお帰りなさいを言おう。
ここは、あなたとボクの秘密の隠れ家。
誰にも邪魔されない空間。
誰にも邪魔させない。
- 90 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:37
-
男とか女とかボクたちには関係ない。
ただ、あなたが、好き。
愛してる。
- 91 名前:愛のために…。Said-R 投稿日:2004/05/29(土) 11:37
-
今日は、もう眠ろう。
夢の中で、あなたと会えたら、
いいな…。
end
- 92 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/29(土) 11:38
- 更新。
- 93 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/29(土) 11:40
- >76さん
どうもありがとうございます。
楽しめるよう、それなりにやっていきます。
- 94 名前:D⇔R 投稿日:2004/05/29(土) 11:46
- べたべたな感じ、正直アレですねぇ。。。
次回は、ohi更新になります。
それでは。
- 95 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:17
-
摩天楼。
今夜もあたし達は、恋に彷徨い、行き着く先は―――
- 96 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:17
-
「もぅ、いややよぉー。」
額にかいた汗、濡れたその身体投げ出して、
あなたは、涙をいっぱいに溜めた瞳で私を見る。
「…ンッ…あっ……。」
キスをして、漏れる吐息。
全部、あたしだけのもの。
「ぁぅ…ンッンッン―。」
親指を噛んで、声を押し殺すに、言われようもない
背徳的な感情に愛情が入り混じる。
「やぁらかい…。」
耳たぶを舐め上げて、そこに囁きを落としながら、
すっぽりと手に収まる乳房を揉みあげる。
「んーーッ。」
中心のつぼみに歯を立て、やさしく舌で転がす。
キャンディーを舐めるように、甘い甘い、その感覚。
背中が反り返る。
バウンドする。
- 97 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:18
-
「………。」
指は、そのままに。
「……ッ…。」
声を抑えるあなたを見て、無性にあなたの声が聞きたくなる。
「愛ちゃん…愛ちゃん。」
「……ハァハァ…ンッ?」
あたしの呼びかけに、うっすらと瞼を開けて、
その真珠のような瞳にわたしを映す。
可愛らしい唇に、咥えられたままの指をはずし、
あたしは、代わりに自分の唇でそこに口付け、舌を這わせる。
そして、歯形が残る指を、癒すように口に含む。
「ッ…ま、ことぉ…。」
「……もっと、呼んで。」
「……ッ……。」
その瞳、見つめながら、少し強めに含んでいる指を吸う。
「…あッ。」
「声、我慢しないで。」
- 98 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:18
-
―――もっと鳴いて、あたしの名前を呼んで、しがみついて。
- 99 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:19
-
「あぁッ…まこと…まことぉーーーッ。」
「愛ちゃん。」
指を一本一本絡めて、両手繋いで、
額、頬、唇、首筋、鎖骨。
段々に下り、その白い素肌に赤い後を残す。
- 100 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:19
-
自分だけの人。
自分だけの―――。
- 101 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:20
-
「…ッやぁ…あっあーー。」
ふるふると左右に頭を振り、
あたしの舌の動きに、ビクビクと反応する。
「チュッ、チューー。」
音を立てて、吸い付く。
さくらんぼのように、赤く熟れたそれは、とても甘く感じた。
「んんっ…あぅっ…ぅーーー。」
「愛ちゃんの胸、かわいい。」
「やぁ…恥ずかしぃ……。」
ハァハァと浅い呼吸を繰り返す。
その唇に、キスを落とす、口内を探り出す。
絡めあう、舌の動き、懸命なその動きに、
背筋がゾクゾクとして、胸が熱くなっていく。
「ハァハァ……ッ。」
「つかまってて…。」
繋いでた手を外し、それを首に回させる。
軽く口付けてから、ゆっくりと下っていく。
へそを通り越し、そのもっと下へ。
- 102 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:21
-
「あっ…ダメェ……。」
抵抗するように、あたしの髪の毛を引っ張るように動く。
しかし、その手の動きは弱弱しく。
「あぅ、あっあっ…はぅぅ…。」
いつしか、その手は、あたしを押し付けるように動き。
もっともっとと、無意識に、本能的に。
逃げようと動く細い腰を、逃がさずに。
溢れるあなたの全て貪りつくす。
「あーッ、ハァハァ、あぅっ…ま…ことぉ…。」
「きもちい?」
這い上がり、さっきまで口付けていたそこに、そっと指を滑らせる。
「―――ッ」
息を呑み、ぎゅっと目を瞑ったあなた。
その瞼に唇を落として、ゆっくりゆっくりと指を動かす。
「ここにほしくない?」
「…ッ…い…やぁ…。」
ねぇ、素直になってよ。
「ここでやめちゃっていいの?」
「あっ……。」
ねぇ、あたしが欲しいといって。
もっとあたしだけのあなたを見せて。
- 103 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:21
-
「ほら、溢れてくる。本当にほしくない?」
「…………ッ」
頭を振る。
私は、すっとそこから指を離して、つぅっと濡れたその指をあなたの肌に滑らせる。
「あっ、やっ。」
「ん?」
「やだぁ、まことぉ…。」
「愛ちゃんが、欲しくないっていうから、やめたんだよ?」
「……いじわるぅ…。」
「なんで?」
耳元に熱い息を吹きかける。
すくむ肩、すり合わせる膝、あたしの背中に爪を立てるその指先。
「は…やくぅ……まことぉー。」
「ちゃんと言って、あたしが欲しいって言って。」
溢れ出した涙を、舌で受け止めて、あなたの言葉を待つ。
「ほしぃ……。」
「ん。」
「ほしぃのぉ…まこ…とぉがぁ……ハァ…ンッ。」
「うん。あたしも、欲しい。」
膝を割って、大きく開かせ、その中心に中指をあてがう。
「あっ、あぅー。」
「愛ちゃんが、欲しい。全部欲しい。」
- 104 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:22
-
その表情も、
甘い唇も、
柔らかな素肌も、
全部、全部、全部。
- 105 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:22
-
「ごめんね……好きだよ。」
「――――ッ。」
激しくキスをして、あたしを待つそこにそっとそして激しく探り出す。
「ンッ……ンンンッ…ッ。」
跳ね上がる、腰つき、いつしか私の動きにあわせるように。
舌を絡める。
少し噛まれて、鉄の味が口の中に広がる。
それすらも甘く。
深く食い込む、背中に当てられた爪。
そぅ、爪を立てて、あたしに印をつけて、あなたの印を…。
「はぁっ、あっあっあっ――――ッ」
イク瞬間、キスをやめる。
一気に追いたて、その表情を焼き付けるため。
「ハァハァハァ…。」
「…ぁっ…ハァハァ…。」
ぐったりとベッドに身体を投げ出し、とろりとした表情で、どこか遠くを見ている。
ゆっくりと動かしていた指の速度を緩め、ずるりと溢れる愛液と共にあなたの中から外へ。
- 106 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:23
-
「ハァハァ…ッ……愛ちゃん。」
愛しくて、愛しくて。
しょうがなくて、仕方なくて。
軽く触れるだけのキスをして、下にくだり、滾々と溢れるそれを吸い上げる。
「………ッ」
ずずっと吸い付くと、びくっびくっと体が揺れる。
無意識に反応する、その姿もいとおしい。
あたしだけのあなた。
あたしだけが、許される行為。
「あまい……。」
ぽたっと汗が頬を伝い、シーツにしみを残した。
- 107 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:23
- ******
- 108 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:24
-
「…バカァ……。」
顔を上げて、横になると、そう涙目で言われて、ぎゅっと抱きつかれた。
「ん…、ごめん。」
柔らかな髪を撫でて、あたしも抱きしめ返す。
「愛ちゃん…好きだよ。」
「…ウン。」
小さく頷かれて、また、そんなあなたが、かわいくて、かわいくて。
ぎゅっと、ぎゅっと抱きしめる。
言葉よりも、何よりも、この温もりが、お互いの気持ちダイレクトに伝えてくれるから。
「意地悪して、ごめんね?」
まどろみの中、こつりと額をあわせて、言う。
ふるふると、あなたは左右に振って、
「ええよ…あの、……キモチヨカッタ…シ…。」
顔を見られたくないのだろう、ぎゅっとあたしにまた抱きついて、
最後のほうは、あたしにしか聞き取れない小声で言った。
「…よかった。」
とんとんっと、背中を叩く。
- 109 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:25
-
「……真琴。」
「もう、眠いでしょ。」
「うん。」
「ずっと、こうしててあげるから、おやすみ。」
「うん…真琴。」
「うん?」
「私もぉ、大好きやよー。」
「うん、わかってる。」
「大好き。」
「うん、好き、大好き。」
「…だい……ンッ好き………スー。」
その寝顔は、子供のように愛らしく。
「…………。」
ずっと眺めていたかったけど、いつのまにか、あたしも、深くて温かな眠りの中へ。
- 110 名前:おやすみ。 投稿日:2004/06/01(火) 09:26
-
摩天楼。
恋に彷徨い行き着く先は、最上級の愛の旋律奏でる夢の世界。
おやすみ。
おやすみ。
end
- 111 名前:D⇔R 投稿日:2004/06/01(火) 09:26
- 更新。
- 112 名前:D⇔R 投稿日:2004/06/01(火) 09:28
- こういう系は、書いてて飽きる。
でも、書きたかったから書いてみた。
でも、やっぱり飽きた。
- 113 名前:D⇔R 投稿日:2004/06/01(火) 09:31
- この二人の組み合わせ最近すごく好きになった。
だからまた書きたいと思う。
それではまた。
- 114 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/04(金) 02:13
- いいで〜す。おもしろ〜いで〜す。
もっともっと(エロなど)続きを期待してま〜す。
- 115 名前:D⇔R 投稿日:2004/06/09(水) 09:36
- >114さん
ありがとうございます。
まぁ、期待に添えられるものはあったりなかったりでしょうが、
のったりとお待ちください。
そして、7月下旬まで試験や〆切でいろいろと忙しいので、
次回の更新は、それ以降ということで、
管理人様、保全のほどよろしくお願いします。
それでは、また。
- 116 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/05(月) 04:56
- エッチィーで凄くいいです。
このカプ好きなので、また書いてくれるのをマターリ待ってます。
作者様、麻琴ですよ麻琴w
- 117 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/21(土) 20:41
- 期待して待っています。
- 118 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:35
-
愛していたよ。
ずっと君のことだけ。
愛して…いるよ。
- 119 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:36
-
時は、西暦20XX年 夏
- 120 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:38
-
「ニッポンの未来はおぅおぅおぅぉー♪」
50年以上も昔、流行った歌。
温暖化に歯止めがつかない地球にある日本という島で、
ギコギコギコと自転車を転がす。
灼熱の太陽で、鈍く輝くそれ。
自分の額には、汗が輝く。
「あんたもわたしもいぇいいぇいいぇいえー♪」
あぁ、言い忘れていた。
私の名前は、市井さやか。
「あーっ、あっちー!!」
高校2年の16歳。
- 121 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:38
-
今は、ばーちゃんちにお届け物をしに向っているというわけだったりする。
しわしわ顔のばーちゃん。
にこにこ笑ってうちのことをなでてくれる。
手もしわしわなんだけど、柔らかい。
その優しくて、大好きなうちのばーちゃんの名前は、
市井紗耶香っていうんだ。
そうなんだ。
私は、ばーちゃんと同じ名前なんだ。
なんか、ばーちゃん自身がつけてくれたらしい。
理由はよくわからないけど。
- 122 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:39
-
****
- 123 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:40
-
中学の時だった。
これが、ばーちゃんだよ。
っと、見せてくれた古いDVD。
それは、モーニング娘。とかいうアイドルグループのものだった。
ついさっき私が、歌っていた曲を、歌っていたグループだ。
それ見て驚いたよ。
まるで、私がそこにいるみたいだった。
「さやは、ばーちゃんの若い頃にそっくりだ。」
しわしわの顔をもっとクシャクシャにしてばーちゃんは笑った。
- 124 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:42
-
『どんなに不景気だって〜♪』
一人だけ、やけに目立つ金髪の少女が写った。
「…あっ。」
「ん?」
「この子だぁれ?」
パッケージの少女を指して聞いた。
「………。」
「?」
一瞬、常ににこにことしていたばーちゃんの顔が、
真面目な表情になってその人のことを見つめた。
「後藤真希だよ。」
そうして、ばーちゃんは、切なそうに顔を歪めて。
- 125 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:42
-
―ばぁーちゃんな、さやのじぃーちゃんのことよりも、この子のことが好きだったんだ。
- 126 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:43
-
『ラブマッシーン♪』
「………大好きだったなぁ。」
そう言って、窓の外、青い空をばーちゃんは見た。
その時のばーちゃんの表情は、やけに今でも瞼に焼き付いていた。
何も言えずに、私はその横顔を見ていた。
- 127 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:47
-
****
- 128 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:48
-
キキキーっと音を立てて、自転車が止まった。
べったりと背中にTシャツがはりついて気持ち悪い。
そうめんとスイカを持って、てててっと玄関に回る。
「ばーちゃーん、さやだよー。」
てんてんてん。
最近めっきり耳が悪くなったばーちゃんだ。
私は、がちゃがちゃやっても開いてない玄関の合鍵をそこに差し込んで、
がらがらがらと開け、中に入る。
日陰と言う事もあって、中はひんやり気持ちいい。
「ばーちゃーん、スイカとそうめん持ってきたよー。」
一応、玄関の鍵をかけて、靴を脱いで家に上がりこむ。
「一緒に食べよー、ばーちゃーん。」
がらっと居間の扉を開いた。
ぐしゃっとスイカが落ちて、鈍い音がした。
「ばーちゃん!!」
そこには、ぐったりと倒れこんでいるばーちゃんの姿。
「ばーちゃん、ばーちゃん、ばーちゃーーーーん!!」
- 129 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:52
-
****
- 130 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:53
-
シュコー、シュコー、シュコー
ピッピッ、ピッピッ、ピッピッ
真っ白く清潔な空間。
機械の音が、無機質に響く。
いつの間にか、一回り小さくなったんだなって、
ばーちゃんを見ながら思った。
「………。」
「……と…。」
「!?」
「…ご………。」
微かだけど聞き取れた。
ご・と…う
―後藤真希。
「……ばーちゃん。」
泣いていた。
いつもいつもにこにこと笑っていたばーちゃんが。
小さくなって、泣いていた。
「―――――っ!!」
がらっばんっだだだだだだ。
私は、病院を飛び出した。
「こらー、廊下を走るんじゃないー!!」
看護士さんの注意も停止も振り切って、私は、病院を飛び出した。
- 131 名前:私たちの鎮静歌 投稿日:2004/08/25(水) 12:55
-
****
- 132 名前:D⇔R 投稿日:2004/08/25(水) 12:57
- ご無沙汰更新終了。
- 133 名前:D⇔R 投稿日:2004/08/25(水) 12:57
- 微妙に長いので、後半分は後で。
- 134 名前:D⇔R 投稿日:2004/08/25(水) 13:01
- >116
失礼しました、俄かファンだということがばれますね。
あの二人は、最近好きなので、また書きたいと思います。
>117
お待たせしました。
今までの物とは違いますが、楽しんで貰えればうれしいです。
では、また。
- 135 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:19
-
「はぁはぁはぁはぁ。」
がしゃがしゃがしゃ、乱暴にこぐ自転車が悲鳴をあげる。
じりじりと、傾き始めたけど、暑い太陽。
うざったい。
「っん、はぁはぁはぁ。」
- 136 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:19
-
同性同士の恋愛その他結婚が認められたのは、
今からまだまだ、10年くらい前の話である。
性同一性障害、及び、近年同性愛者の増加や公害による不妊問題が深刻になっていた。
そのことにより、精子バンク、子宮バンクその他もろもろの
そういったシステムが飛躍的に確立され、今では、誰もが自由に恋愛をし、
結婚も許される世界となってきていた。
が、それは、近年の話だ。
- 137 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:20
-
ばーちゃんは、『ごとうまき』が好きだった。
きっと、それは、友達としてではない。
恋人として、愛し合っていたに違いない。
じーちゃんとは、同じバンドをしていた時、
じーちゃんの誠実なところに惹かれて結婚したといっていた。
でも、私に、ばーちゃんがぽろっと言ったあの言葉。
―大好きだったなぁ。
きっと、辛かったんだろう。
きっと、悲しかったんだろう。
私には、まだわからない辛い恋愛をしていたのだろう。
- 138 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:20
-
「はぁはぁはぁはぁっ…はぁはぁ。」
きききーっと、甲高い音を立てて、自転車が止まった。
立てかけるのも面倒で、がしゃんとその場に倒して、
私は、ばーちゃんの家に入っていった。
- 139 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:21
-
会わせてあげたいと思った。
- 140 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:23
-
ばーちゃんの寝室で、手がかりになるようなものを探す。
「はぁはぁはぁ…。」
棚の上、古ぼけた写真立てが、うつ伏せに置かれていた。
そこには、腕を組んで、頬を寄せ合う二人の少女の姿。
「はぁはぁ…ばーちゃん。」
自分にそっくりな少女が、ばーちゃんで。
その隣、あの映像の彼女…『ごとうまき』
[いちーちゃんだーい好き♪]
ばーちゃんは、じーちゃんが死んでから、きっとこの写真を眺めて過ごしたのだろう。
じーちゃんには悪いけど、きっと、ずっと、この人のことが好きだったんだ。
- 141 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:23
-
引き出しと言う引き出しを全て出して、何かないかと探し回る。
その中で、日記のようなものを見つけた。
そこには、いろいろなことが書いてあった。
じーちゃんのこと、私の母親のこと、
モーニング娘。のこと、そして、ごとうまきのこと。
ぱらりと一枚のはがきが落ちた。
「……結婚します。」
一言だけ。
「後藤真希……。」
それには、住所が書き込まれていた。
「これだっ!!」
それと日記、そして、写真立てを持って、私はばーちゃんの家を後にした。
- 142 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:24
-
****
- 143 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:26
-
家のネットで、どうやったら行けるかを検索する。
その住所で人がいなかったときのことを考えて、
モーニング娘。の所属していた事務所の場所や、
その他もろもろメンバーの名前等も書き出した。
そして、出来るだけ後藤真希の情報を集めた。
22歳になった時、突如結婚を理由に芸能界を去ったと言う後藤真希。
それ以降、雑誌等何にも取り上げられることもなく、
伝説のアイドルだとそんな記事が出てきた。
そして、気がついたときには、日はとっぷりと暮れていた。
- 144 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:26
-
「………。」
みーんみーんみーん。
外で、久しぶりに蝉が鳴いている。
「明日、明後日、いや…いつになるかわからないけど…。」
ばーちゃん、待ってて。
少女のひと夏の旅が、今、始まる―――。
- 145 名前:私たちの鎮魂歌 投稿日:2004/09/02(木) 19:26
-
私たちの鎮魂歌-完-
- 146 名前:D=R 投稿日:2004/09/02(木) 19:28
- 更新終了。
- 147 名前:D⇔R 投稿日:2004/09/02(木) 19:29
- おっと、名前間違えた。
…まぁいいか。
変なところ多くても気にしない気にしない。
- 148 名前:D⇔R 投稿日:2004/09/02(木) 19:30
- 完結age
- 149 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/04(土) 02:22
- 一気に読ませて頂きました
特に愛のために…。の設定が一風変わっていて面白かったです
またこの設定で両CPの行方を書いて頂けたら嬉しいです
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