守りたい人

1 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:11
初投稿させていただきます。
ごっちん主役です。
2 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:27
「キャ〜〜〜!!」
木の下で寝ていたら近くでいきなり悲鳴が聞こえた。
「なんだ?」
気になっていってみると少女が熊のような魔物に襲われている。
周りに二人の兵士らしき人が倒れている。どうやら魔物にやられたらしい。
「助けなきゃ!」
その少女は体に似合わない大剣を持って駆け出した。魔物はその少女に
気づいたらしく腕で振り払った。
が少女は一瞬早く懐に飛び込んだ。そのとき、剣の形が変わり
ロングソードのような形になっていた。
「エクスプロージョン」
魔物を剣で振った瞬間爆発が起きた。爆発をまともにくらった魔物は
そのまま倒れた。
3 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:27
また剣が元の大剣に戻る。
「あの、助けてくれてありがとうございます。」
「気にしなくていいよ。けどもっと強い兵士連れてかなきゃ危ないよ〜。」
そういって兵士を近くに止めてある馬車に乗せる。
「あ、怪我してるよ?」
見ると擦り傷のようなあとがけっこうある。
「平気だよ、こんくらい」
「いいからちょっと見せて」
強引に腕をとり手をかざす。すると傷が治っていく。
「へ〜あなた白魔道士なんだ?」
「まあ見習いだけどね」
そういって照れて顔が赤くなる。
4 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:28
私より先に兵士の人手当してあげたら?」
「あ!そうだった!」
そういって馬車に駆け込む。覗き込むと二人ともほぼ完治している。
「もう平気そうだね。んじゃ私は行くよ。」
「本当にありがとう。あの私のお城に寄って行かない?お礼がしたいの。」
「こう見えて忙しいんだ。また次の機会にするよ。」
「じゃあお名前だけでも教えてもらえないかな?」
「私の名前はマキ=ゴトウ。」
「私はホウラン王国の姫のナツミ=アベです。また会いましょう。」
そういってマキと名乗る少女は西へ向かって歩いていった。
5 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:28
以上がプロローグです。
6 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:28
第一章 人探し
7 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:29
一つの町が燃えている。家にはお父さんとお母さんの死体が転がっている。
少女がさらに、小さい少女を突き刺す。
「なんでなの・・・」
少女はそこで意識を失った。
・・・・
マキは鳥の鳴き声で目を覚ました。
「何であんな夢を見たんだろう?」
マキはピース山脈の洞窟に向かって歩き出した。
西に向かうにはこの道が近道だからだ。
しかしここは魔物達の住処となっているためかなり危険な場所である。
「う〜暗いの好きじゃないんだな〜これが。」
そういいながら歩いているとこうもり達が襲ってきた。
「やれやれ。エクスプロージョン。」
そう剣をふるうと爆発が起こり、こうもりたちはばたばたと落ちていった。
同じようなことを何度かしていると広い平野に出た。次の洞窟までに
一時的に外に出たらしい。少し歩くと三匹のからすが襲ってきた。
「もう、しつこいな〜」
しかし、マキが剣を振る直前に、
ドン!ドン!ドン!
銃声と共にからすが落ちていった。
8 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:31
振り返ってみると草むらに軍服を着ている男っぽい少女?が立っていた。
「お〜う、大丈夫かい?そこの可愛いお嬢さん!」
マキは無視して先へ歩いていく。
「あ、ちょっと待ってよ〜。」
仕方なく立ち止まるとさっきの少女が走って追い付いてきた。
「ねえ、こんなとこ歩いてたら危ないよ?」
「私にはやることがあるの。ここが近道なんだよ。あんたこそここで何してんの?」
「旅してるんだよ。家も無いし特に行くとこもないからね・・・」
「ふ〜ん。んじゃ一緒に行く?」
「へ?」
「行くとこないなら一緒に旅するかって聞いてんの。あんた使えそうだし。」
「うん、行く行く〜♪ちなみに私はあんたじゃないよ。ヒトミ=ヨシザワって
いうんだ。」
マキも自己紹介をするとさっきまでいた草むらから荷物を持ってきた。
9 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:32
「ところでヒトミはなんで軍服なんか着てんのさ?」
「まあ・・・訳ありでね。」
そういって言葉をにごす。
「なんでマキは旅してるの?」
「・・・・人を探してるんだ。’その人’が北西のはずれにいるって噂を
聞いてね。それと世界平和目指してってとこかな。」
「世界平和はおまけかい!そうなんだ。んじゃ手伝うよ!」
「ん、ありがと。そうしてもらえると助かるわ。」
そういって二人で歩いていると二つ目の洞窟に差し掛かろうとしていた。
しかし、突如謎の魔物が襲ってきた。
「なんだありゃ!?」
それは全長が5Mはあるであろうとても大きい鷹のような怪鳥であった。
「くそ!!」
ヒトミが魔物に向かって銃を撃つ。しかしそれが当たるよりも早く
飛び上がり空中から急降下してきた。
「マキ!危ない!」
ヒトミはマキをかばい魔物の体当たりを喰らい吹き飛ばされる。
10 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:32
「ヒトミ!」
「いって〜なぁ。なんとか平気だよ。」
元気そうな声が聞こえてマキはホッとした。しかし今度こそはと魔物が
マキに急降下をしてくる。
「調子に乗るなよ。」
そのときマキの剣が光りだした。そして剣の形が変わっていく。
ダガーより少し長いくらいの短剣になった。
「第三の剣、シルファリオン」
魔物がマキにぶつかる瞬間、マキの姿が消えた。それと同時に魔物の
羽がずたずたになり、地面に墜落した。
地上で魔物が混乱していると背中からマキの声がした。
「エクスプロージョン!」
魔物の背中で爆発が起こる。
「キェ〜〜!!」
「もういっちょう!」
再び背中に爆発を与えるとそのままくずれ落ちた。
11 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:32
「やるね〜!」
後ろからヒトミの声が聞こえてきた。
「当然じゃん。」
「なんかおもしろい剣だね。どうなってんの?」
「これは代々後藤家に伝わる技でレイブっていうんだ。
これが第一の剣、アイデンメテオール。」
そういって通常の大剣に戻す。
「これが第二の剣エクスプロージョン。爆発を起こせるんだ」
今度はロングソードの形になる。
「そして第三の剣、シルファリオン。超高速で動けるようになれるんだ。」
今度は短剣の形になる。
12 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:33
へ〜なるほどねぇ。他にもあるの?」
「あるんだけど、それは自分が本当に欲しいと思えるときにまで
出せないみたいなんだ。」
「ふ〜ん、カッケェ〜なぁ。」
「私からも一つ聞いていい?」
「何?」
「その腕と足、どうしたの?言いたくないなら聞かないけどさ。」
「これは・・・・・私が戦場で戦えるためにこうしてもらったってとこかな。イイナー症って知ってる?」
「血色が悪くなって何日かすると、体のどこかが壊れていって
死んでいってしまうやつだっけ?」
「うん、私の場合は手足から使えなくなっちゃってたんだ。それでそのときに
私と同じ位なのに天才科学者だった子が兵器作りのために
帝国に呼ばれててさ、手足を機械にすればまだまだ生きていけるって聞いて、
それでこの体にしてもらったんだ。」
13 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:35
「・・・・そうだったんだ。」
「んでその代償が帝国兵として永遠に生きていくことだったんだ。
まあこれは皇帝の命令だけどね。私も帝国兵となって人を助けたいと
思ってたからよかったんだ。皇帝が変わるまではね。」
「変わる?」
「うん、魔物をほろぼすためなら町を平気で焼き払うようなやつ。
んですごくむかついてさ、一ヶ月前の魔物討伐の際に私だけが生き残ったんだ。
それでそのまま帝国に帰らずに今に至るってわけ。」
「そっか・・・・。」
「OH〜僕なんかのために落ち込まないでくれよ、BABY」
「そうだね。とりあえずただのばかじゃないってことだけはわかったよ」
「ひっで〜ばかはないでしょう!」
「ばかじゃなけりゃあほだね」
「どっちも変わんないじゃ〜ん。」
そう言ってマキのあとを文句言いながらついてくる。おかしなやつだ。
「クスッ」
「あ〜何笑ってんの?」
「あんたの顔見て笑ったんだよ。」
久しぶりに笑ったような気がする。仲間ができてよかったって思う。
マキ達は次の洞窟目指して歩き出した。
14 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:35
洞窟に入るとさっきと同じように魔物が向かってきた。
しかし今度はヒトミもいるためけっこう楽に進めている。
「ねえ、なんか奥のほうから物音がしない?」
「なんか奥のほうにあるのかもしれない。」
マキ達はペースを上げて洞窟の置くへと進んでいった。すると不自然な扉を見つけた。
「なんか聞こえるよ。」
「入ってみよう!」
ヒトミが勢いよく扉を開ける。そこには一人の美少女といっていい女の子が
銀色の狼男に戦っているところだった。少女は必死に槍で応戦している。が、体格の差からか押されぎみだった。
「助けなきゃ!」
ヒトミは狼男に向かって走り出した。が、
「誰だか知らないけどこないで。」
きっぱりと断られてしまった。
「こいつは・・・私がやるんだ!」
「でも・・・」
「やめなよヒトミ。自分がやるっていってんだからやらせとこうよ。」
マキはそういってヒトミの肩を抑える。
15 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:37
「だってあいつ強いんだよ!帝国兵だって何人もやられてるんだ!」
「本当に助けが欲しいならこないでなんて言わないよ。今助けても恨まれるのがオチだよ。」
少女が槍をもって狼男に突っ込んだ。狼男は右手の爪で防御し、左の爪を少女目指して
突き刺す。しかし少女は顔を反らすだけで軽くよけて爪をはじき狼男の腹に槍を突き刺した。
が、狼男の腹は鉄でできているように硬く、はじかれてしまった。その瞬間に狼男が膝を突き上げる。
少女はなんとか槍でガードしたがそのまま吹き飛ばされた。
「ねえ、マキ。助けよう!」
「あの子の目を見てもそういえる?」
ゆっくりと起き上がったその少女の目は死んではいなかった。
「いった〜・・・仕方ない、あの技を使うか。」
そう言って右手で槍を持ち、左手を狼男にかざした。それと同時に槍の形状が
変わりさらに鋭利になっていく。
狼男が突っ込んでいく。少女も狼男に向けて走り出す。
16 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:37
「銀槍術。壱の突、寸!」
少女と狼男が重なり合う。次の瞬間少女の肩から血が噴出す。一方狼男の腹には人の顔が
すっぽり入るくらいの風穴があいていた。
バランスをくずし狼男はそのまま倒れる。
「はあ、はあ、はあ」
少女は肩で息をきらし、狼男からスポイトらしきもので血を取り、
傷ついた肩を抑えながら次の扉へ向かおうとする。
「待ってよ!そんな傷でどこに行こうっていうのさ!?」
ヒトミが慌てて少女を止めようとする。
「うるさいなぁ、そんなの私の勝手でしょ!」
「な、なんだよ!人がせっかく助けようと思ってたのにさ!」
「助けてほしいなんて一言も言ってないでしょ!」
そういって少女は扉へ向おうとする。
「確かにね。私達のことはおせっかいかもしれない。けどさ、そんな体で
金の狼男のとこに行っても殺されるだけだよ。」
「・・・」
少女の足が止まる。
17 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:39
「聞いたことあるんだ。確か金と銀の狼男の血を混ぜて飲ますと、
どんな病気でも治るんだよね?」
「そうよ。私のママは今イイナー症に犯されてるの。」
ピクッ
イイナー症と聞いてヒトミの顔色が変わった。
「早くママを治してあげなきゃいけないの。だから急がないと・・・」
「バカッ!!」
ヒトミが少女に向って叫ぶ。
「早くママを治してあげたいんだろ!だったらなんで一人で戦う必要がある!?」
「・・・・・」
「あと何日だ?犯されてから何日たった?」
「ママが犯されたことを知ったときには一日たってて、
私がここまでくるのに一日かかったから・・・」
「イイナー症で体の機能が壊れていくのは三日経ってからだ。あと一日しかないじゃないか!
早く手当てして金の狼男倒して急いで君の家に行くぞ!マキ、いいよね?」
「んあ〜特に問題ないよ〜。」
自分の目的よりも人助けが優先だ。ヒトミは荷物から包帯と消毒液を
取り出して少女の手当てを始めた。
18 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:39
「どうして・・・今日初めて会ったあなたたちが、そんなことまでしてくれるの?」
「・・・・私もイイナー症にかかったんだ。」
「え・・?」
「私の場合手遅れでこんな体になったけど、君のママはまだ助かるんだろ?
だったら早く治してあげよう。」
「ごめんなさい・・・私・・・私・・・」
「いいよ。よくここまでがんばったね。」
泣きじゃくる少女をヒトミは優しく抱いてあげる。
「ところであんたの名前なんていうの?」
マキは壁によっかかりながら聞いてみる。
「リカ。リカ=イシカワ。」
「んでリカのその武器ってどうなってるの?槍?」
「これは私の力で銀をどんな武器にでも変えれるんだ。いわゆる銀術ってやつよ。
でも私には槍が一番使い慣れてるからね。」
リカはそういってゆっくりと立つ。
「んじゃ行こうか。時間もないことだしね。」
19 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:39
扉を開けるとそこには金の狼男が王が座るような椅子に踏ん反りかえっていた。
周りにはかなりの量の食料やお金が散らばっている。
「ようやくきたか。」
「・・・・しゃべった。」
リカが驚きの表情で口に出す。
「やっぱりできそこないの弟は死んだか。しょせんくずはくずだな。」
「何だと!?」
ヒトミが声を荒げて怒鳴る。
「例え兄弟だろうが友達だろうが弱いやつは死に、強いやつが生き延びるんだよ。」
「そんな言い方ないだろ!弱いんだったらお前が守ってやればいいじゃよかったないか!」
「ヒトミ、やめなよ。こんなやつと話してても時間の無駄だよ。」
「マキ・・・。」
「あんたの言ってることは全部じゃないけど間違っちゃいないよ。」
「はん、少しはわかるやつがいるじゃないか。ならばさっさと死んでもらおうか。」
「言っただろ、強いほうが生き残るんだよ。私達は負けない。」
そう言ってマキ達は狼男に向って走り出した。
「ふん、皆殺しにしてやる。」
狼男はゆっくりと腰を上げて構える。
20 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:41
「はあっ!」
ヒトミが銃を狼男に向けて3連発で打つ。しかし
「俺に銃など効かぬわ!」
狼男の腕にはじかれる。その間に距離を狭めたマキが剣を振る。
「エクスプロージョン!」
しかし振りぬく寸前に素手で剣を片手で捕まれる。
「これならどう?」
気付くとリカが上から槍を狼男に突き刺すとこだった。しかし、これも素手で槍が捕まれる。
「こんなもんかよ。」
私達はそのまま二人同時に投げられる。
「死ね。」
狼男が口から炎を吹き出す。
「ぐっ・・・」
「きゃ〜・・・」
リカが銀を盾の形にして防いでいるがさすがに熱には耐えられなさそうだ。
ヒトミもマキもなんとか耐えている状態だ。
「くそ・・・負けるか・・・負けるてたまるかー!!」
マキの剣の形が変わっていく。マキが剣を振りかざすと炎が一瞬で消え去った。
21 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:42
「なんだ・・・何をした?」
「第四の剣、ルーンセイブ。形状のないものを切ることができるんだ。」
「・・・フン、まあいい。どうせ貴様らは何もできぬまま死ぬんだからな。」
そう言ってマキ達向けて突っ込んでくる。
「マキ、リカ。10秒間だけかせいでくれないかな?」
「10秒?」
「何か策があるんだね。わかった。」
マキとリカが狼男に向って構える。
10・・・・9・・・・
「はあ!」
狼男がするどい爪で突いてくる。マキはそれを剣ではじくとリカが横から狼男の腹を槍で突き飛ばす。
8・・・・7・・・・
「ぐぅぅ・・・」
「へ〜、体が丈夫でもダメージはあるんだね。ならば、シルファリオン!」
マキは超高速で狼男を斬りつけまくる。軽いダメージしかなさそうだが時間稼ぎには十分だ。
6・・・・5・・・・
「マキ、離れて!弐の突、伸!」
マキが離れるとリカが槍を突き出す。それと同時に槍の形状が二又に変わり、すごいスピードで伸びていき
狼男をはさみ捕らえて壁に突き刺さる。
22 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:42
4・・・・3・・・・
狼男がもがきながら炎を吐くがマキのルーンセイブによってかき消す。
2・・・・1・・・・
「ヒトミ!」
見るとヒトミの左手の指が銃に埋め込まれている感じになっている。
「0、充電完了。喰らえ!レールガン発射!」
銃からビームのような弾が狼男の胸を軽々と突き破り、壁を突き抜けていく。
「ほぇ〜、やるねぇ♪」
「これは私自身の力を銃で放出するんだ。そのためにけっこう体力使うけどね。」
ヒトミが自身満々といった感じで答える。
「そんなことより早くリカの家に行こう!」
体力を使い果たしたせいかふらふらと立ち上がる。しかしすぐに倒れる。
「やれやれ、ほら。」
マキが手を差し出す。ヒトミがうれしそうに手をとり立ち上がる。
「なんだよ、にやけちゃって。気持ち悪いやつだな。」
「いや〜なんかうれしくてね。」
そんなことを話しているとリカが血をとって戻ってきた。
「本当にありがとう・・・なんてお礼をいったらいいのか・・・」
「それはお母さんが助かってからにしな。早く行くよ。」
マキは照れくさそうに言ってヒトミに肩を貸し歩いていった。
23 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:44
リカの家があるチャーミー村には半日ほどで着いた。リカはピース山脈にくるまでに
迷ってしまったために一日かかってしまったらしい。
「ママ!」
そう叫んで一つの家に飛び込んでいった。
「・・・助かるといいね。」
「大丈夫でしょ。まだ三日はぎりぎりたってないんだしさ。」
しばらくするとリカが出てきた。
「ママ、血色がよくなってきたよ〜・・・本当に、本当にありがとう。」
涙をぼろぼろ流しながら頭を下げて礼を言う。
「そっか。よかったじゃん!」
ヒトミがうれしそうに答える。
「そのぉ、まぁ、おめでとう」
マキが言いにくそうに答える。
「ったくさ〜、こういうときは素直に喜べばいいんだって!マキったら
顔赤くしちゃって可愛い〜♪」
「うるさい!とりあえずよかったね。」
ヒトミにからかわれて少し荒い言い方になってしまったが、
助かってよかったとは本当に思っていた。
24 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:44
「あのぉ、邪魔じゃなければ私もついていっていいかな?お手伝いがしたいの。」
リカが真剣な表情で聞いてくる。
「私達はいいけど、お母さんについてなくていいの?」
「お姉ちゃんと妹がついてるから大丈夫だよ。それにお医者さんもついてるしね。」
ヒトミの問いにリカが答える。
「もちろん大歓迎だよ!仲間は多いほうがいいもん。ね、マキ?」
「そうだね。さって奴隷が増えたとこで行きますか!」
「「って奴隷かい!?」」
マキの発言に二人が突っ込み、三人は笑ってチャーミー村をあとにした。
25 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:44
魔物と戦いながらしばらく歩いていると広い平野に出た。
そこに一人の少女が倒れ・・・寝ていた。まだあどけない少女が
口を開けていびきをかきながら大の字になって寝ている。三人は近づいて少女の顔を覗き込む。
「マキ、どうする?起こす?」
「ん〜平野なんかで寝てるくらいだから放っといても平気じゃん?」
「けどこんなとこで寝てたら風邪ひくよ〜。」
三人が相談していると少女が飛び上がって起きた。
「ん〜よく寝たれす。ん、あならたちこんなとこで何してるのれすか?」
「「「(お前が何してんだよ!!)」」」
「あれ、ののは確かここで熊を食べたあと・・・ろうやら寝てしまったようれすね」
「「「熊?」」」
「そうれす。昨日熊をやっつけて焼いて食べたんれす。そのあとは寝ちゃったようれす。」
「へ〜すごいじゃん。熊をやっつけたんだ。」
ヒトミが関心したように聞く。
「へい。熊を倒すことなんかののからしたら簡単れす!」
「んでなんであんたはこんなとこで熊を食べてたの?」
マキがよくわかんないって感じで聞く。
26 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:45
「ののにとってはいつものことれすよ。ののは今までそうして
一人で生きてきたんれすから。」
「パパやママはどうしたの?」
リカが心配そうに聞く。
「さあ?物心ついたときには一人れしたから。」
一瞬四人に沈黙が走る。
「あんたはどこで生活してるの?」
「ん〜、これといってないれすね。とりあえず食べるものがあればどこれもいいのれす。」
「んじゃ一緒に来ない?居場所を見つける旅っていうのもいいんじゃない?」
「ちょっとマキ!私達の旅ってかなり過酷なんだよ。こんな小さい子を連れていくの?」
「こんなとこで寝るくらいなんだからよほどの実力者なんでしょ。それともヒトミは
ここに置いていくっていうの?」
「それは・・・」
27 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:45
「もし弱かったとしても私達が守ってあげればいい。どこか住み心地がいいと
思ったとこに連れていくのも悪くはないと思うけど。」
「マキ・・・」
「んで肝心のあんたはどうする?それとも今までどおり一人で生きていく?」
優しそうな目をしてマキは少女に尋ねる。
「ん〜、ついて行くのれす!ののも自分の居場所を見つけたいれす。」
「そっか。んじゃ一緒に行こう。」
そう言ってマキが手を差し出す。ノゾミはちょっととまどいながら手をとる。
「うん。ノノの名前はノゾミ=ツジれす。よろしくれす。」
四人は北にあるムーンライトの洞窟へと入っていった。
28 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:46
中は思ったよりも明るくて魔物が攻めてきてもすぐに対処でき、順調に歩いていた。が、
「うそ・・・。」
「なんで出口が塞がってんのよ〜?」
出口が落石により塞がってしまっているみたいだ。かなり厚みがあるらしく壊すには
かなり時間がかかりそうだ。
「仕方ない、他の出口を探そう。」
「なんれれすか?」
「見ればわかるだろ?岩が邪魔で通れないんだよ。」
「壊せばいいのれす。」
ノゾミはそういうと岩の前まで歩いていった。
「百獣擬態、剛熊擬!」
ノゾミの覇気が、周りから見てもわかるくらいに強くなっていく。
「ハアッ!」
ノゾミの突きが大岩を粉々に砕く。
29 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:46
「すげぇ・・・」
三人は呆然としながらノゾミを見ていた。
「さぁ、行くのれす♪」
三人はとんでもない子を拾ってしまったのでは、と今更ながら思った。
空が見える場所へ出たせいか、先へ進むにつれて鳥の魔物の数が増えてきた。
「シルファリオン。」
マキが三体の鳥の魔物を切り刻む。
リカが槍を振り回し、ヒトミは遠くの敵を次々と打ち落としていく。
ノゾミは近づく魔物を素手や蹴りで一瞬で粉々にしていく。
「「「(味方にしといてよかった・・・。)」」」
ノゾミの戦い方を見ながら三人は深くそう思った。
30 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:46
そこから先へ進むとまた行き止まりだった。正確にはがけになっていて、
10m近く高いところに道がある。
「リカ、あそこまで届く?」
「届くと思うけど、ここらへんの土柔らかいからうまく引っかからないかもしれないわ。」
「ならノノに任せるのれす。百獣擬態、速猿擬!」
ノゾミが垂直に近いがけを飛び跳ねるようにするすると登っていく。
「・・・何でもありなんだね。」
「「うん・・・」」
マキのつぶやきに二人はうなずいた。
「リカ〜、こっちに銀ちょうだ〜い!」
「うん、わかった〜!」
リカが上に向けて銀を伸ばし、ノゾミが掴み三人は銀をつたって
上り始めた。
31 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:47
進んでいくと森のような場所に出てきた。しかし、木や草はほとんどが枯れていた。
「(なんでこんな枯れてんだろ?)」
マキは心の中でつぶやいた。
そしてさらに進むと巨大な花の魔物がいた。何やら花粉のような粉をまき散らしている。
「こいつのせいで周りの木々が枯れてんのか。」
「うわー、大きな花。」
ノゾミがそんなのんきなことを言ってると、こちらに気付いたらしく目のようなものが
こちらを向いた。それと同時に周りを囲んでいる何本ものつるがナイフのような形になり向ってきた。
「なんだい、こんなもの!」
ノゾミが砕こうとするが意思があるようにノゾミの拳をよけて後ろから斬りかかってきた。
「ノゾミ!」
「だったら・・こうしてやるれす。」
ノゾミが斬られるより先につるを掴み、引きちぎった。
「「「(なんてめちゃくちゃなやつ・・)」」」
ここまでくるとさすがに関心してしまう三人だった。
32 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:48
しかし切れたつるはすぐに再生し、すぐにまた斬りかかってくる。
「くそ!きりがないじゃん!」
ヒトミもナイフで応戦していたがしびれをきらしてきている。リカも同じような状況だった。
「(本体をやるしかない。けどエクスプロージョンじゃ届かないし近づくのは危険すぎる。
どうする・・・)」
つるを切りながら考えていると突然悲鳴が上がった。
「キャーッ!」
「リカ!?」
どうやらつるに縛られてしまったようだ。
「今行く!!」
ヒトミが助けに行こうとするが別の数本のつるが行く手を拒む。
「はあ、はあ、さすがに疲れてきたのれす。」
ノゾミも体力に限界がきたらしい。
「(みんなを守らなきゃ!ここで出ないでいつでてくるんだよ!)」
マキが心の中で叫ぶ。するとマキの意思に共鳴したように剣が光りだした。
「第五の剣、ブルー・クリムソン。」
剣が別れて、赤と青の二本の剣を両手で構える。
33 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:48
「本体をやれば・・・」
つるの元となる花の根本部分に青の剣を向ける。
「アイスショット!」
マキがつぶやくと吹雪ともいえる冷気が根本部分にぶつかる。するとほとんどの
つるの動きが止まっていく。
「生物も植物も、機能を止めてしまえば動かなくなる。」
ヒトミはつるが動けなくなるのを見計らって、リカが捕まっているつるを切る。
「大丈夫?」
「うん。ありがとう、ヒトミ。」
二人が無事なのを確認すると、今度は花に赤の剣を向ける。
「燃え尽きろ。フレイムショット!」
すると、今度は炎の弾が花めがけて飛んでいく。ぶつかると同時に花がすごい勢いで燃えていく。
このまま放っておけば、ほんの数分で燃え尽きるだろう。
34 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:48
「さって、ノゾミ行くよ。」
後ろを振り返ってみるとノゾミが倒れている。
「ノゾミ!」
急いでノゾミに近づいてみると、ノゾミは寝ていた。体力を限界まで使ってしまい、
疲れて寝てしまっているんだろう。
「起きてるとすげぇやつだけど、寝顔は可愛いやつ。」
ヒトミはそう言ってノゾミを軽々と背負う。
「出口ももう見えるし、近くの村で休もうか?」
「「さんせ〜い!」」
マキの言葉に二人は同意して、四人は森から抜けた。
35 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 01:49
今日はここまでです。
36 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/05(土) 04:39
かなり面白いす。がんばってください
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/05(土) 09:13
ちなみに本当にメルアド載せなくていいですよ
38 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:38
名無し飼育さんへ
了解しました。ありがとうございます。
39 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:39
四人は夜中にダンスサイトの町に着いた。ここは夜中でもにぎやかな町と
ヒトミから聞いていたが、人が全然見当たらない。四人は
噴水の近くでいったん足を止める。
「あれ〜、前きたときにはお祭り騒ぎだったのになぁ?」
「なんかあったのかな?」
「とりあえず宿に泊まろう。」
四人は宿に入り、部屋を手配する際に宿主に聞いてみた。
「お婆ちゃん、なんでこんなに人が少ないの?」
「あんた達ここらへんの子じゃないみたいだねぇ。最近魔物が頻繁に町を襲うように
なってね〜、みんな家から出ないのさ。」
「えっ!?帝国には報告したの?」
ヒトミが驚いて聞く。
「そのはずなんだけどね〜、全然兵隊さんもきてくれなくてね。」
「そこまで堕ちてたのかよ・・・許せねぇ!」
「とりあえず今日は休もうよ。明日情報を集めよう。」
リカになだめられ、ヒトミはうなずいた。
40 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:39
四人は遅い夕食をとったあと、部屋で輪になって話し合いを始めた。
「ヒトミ、帝国はどこにあるの?」
「ここから南西に海を渡ったとこだよ。けどこんな状況で船出してもらえるのかな〜?」
マキの問いにヒトミは困った顔して答える。
「もし着いても帝国にはおそらく百を超える兵士がいるはず。
その中をかいくぐっていけるかどうか・・・」
「めずらしく弱気れすね。」
「だって・・・帝国には兵士だけじゃなく無敵の三騎士がいる上に、
最強の司令官がいるんだ。あの人達に勝てるかどうか・・・」
「けどやらなきゃ何も変わらないよ。行くしかないでしょ。」
「そうだよ!こんな町を増やすわけにはいかないわ!」
「ののには怖いものなんてないれすよ。」
「みんな・・・うん、やってやろうじゃん!」
意見が一致したとこで四人は眠りについた。
41 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:41
翌日、四人は港を歩いていた。
「やっぱ誰もいないみたいだね。これじゃあ船も出してもらえそうにないか。」
「仕方ない、手分けして船に関する情報収集しよっか。一時間後に昨日見た噴水に集合ね。」
マキの意見に三人は賛成し、各自散らばっていった。
ヒトミから簡単に町の構造を教えてもらったところ、町の中央あたりに公園が
あるそうなのでそこに行ってみることにした。やはり人はいない。
偶然前を通りかかった老人に聞いてみる。
「すいません、ここら辺で船出してもらえるとこって知りませんか〜?」
「ここの船はほとんど魔物に襲われて壊滅状態じゃよ。そういえばしばらく前から剣士さんが公園の
ベンチによくいるようじゃ。あの人には何度も町を魔物から救ってもらってなぁ・・・
その剣士さんなら何か知ってるんじゃないかい?」
「わかった。ありがとう。」
マキは老人に軽く頭を下げ公園の奥のほうへ行ってみる。一つのベンチに
一人の女性が座っていた。女性というより少女というほうが正しいかもしれないが、
そのかもしだす雰囲気は大人の女性を思わせる。少女は遠くを見るように座っている。
42 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:41
「あのぉ、ちょっといいかな?」
マキは少女に話しかけてみる。
「ここらへんで船出してもらえるとこって知らないかな?」
少女は頭を少しだけ上げ、マキを睨みつけるように見る。
「・・・船でどこへ行こうとする?」
「帝国に話しをしに行く。こんな状態放っておくわけには行かないでしょ?
話し合いが無理なら乗り込む。」
「・・・お前、剣士か?」
マキが背中にかけている剣に気付いたらしく少女は立ち上がる。
「そうだけど?」
「なら私と勝負しろ。」
「ハア?」
「私にも勝てぬようなやつが帝国に行っても死ぬだけだ。」
「ってことは船を出せる場所を知ってるんだね。いいよ、その勝負受けてたつよ。」
周りに人がいないことを確認し、5m程マキは離れ少女と向かい合う。
「お前、名前は?」
「マキ=ゴトウだよ。あんたは?」
「私はマコト=オガワだ。」
「んじゃ勝負!」
43 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:43
マキは一気に間を縮めてマコトをたたききろうとする。だが、マコトは
目を細め軽く半身をずらしてよける。マコトが突き刺すように
剣をマキに向けて突く。マキは冷静に剣を下からはじく。
「お前、強いな。」
「マコトもね。」
マコトのつぶやきにマキは笑いながら答える。
「けどあまり時間がないんだ。けりをつけさせてもらうよ。エクスプロージョン。」
マキの剣をマコトが剣が防いだ瞬間爆発が起こり、マコトは吹き飛ばされる。
「ほう、おもしろい剣だな。ならば私も本気を出そう。」
そういうと同時に、マコトの剣が燃え始めた。
「(魔法剣士!?)」
「行くぞ!」
マコトがその場から剣を振る。すると炎の塊がマキに向って飛んでくる。
「くっ、ルーンセイブ!」
マキは炎の塊をかき消す。しかし、その間にマコトが詰め寄ってきた。
「遅い。」
「ちっ!」
マキは後ろに転がるように剣を避ける。
44 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:44
「その剣で防がないとこを見るとその剣はもろいのか、もしくは物体は防げないのかってとこか。」
「はぁ〜、マコトすごいね。そんなことまで分かっちゃうんだ。」
「軽々しく私の名前を呼ぶな。」
「別にいいじゃん。私もマキでいいからさ。」
「そういうことは私に勝ってからにしろ。」
「いいこと聞いちゃった♪んじゃ意地でも勝って呼ばせてやる。」
「・・・おもしろいやつだ。」
マコトが冷気を出し、つららのような巨大な氷をマキに放つ。
「ブルー・クリムソン、フレイムショット!」
赤の剣を氷に向けて、炎の塊で氷を蒸発させる。
「おかえしだよ、アイスショット!」
青の剣で吹雪を起こす。
「吸収。」
マコトがつぶやくと冷気がマコトの剣に吸収され、冷気を帯びた剣となる。
「私に魔法は効かん。」
「そうみたいだね。んじゃ剣での勝負といきますか!」
二人は再び剣での勝負となった。
45 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:44
「遅れてごめん。あれ?マキは?」
時間に遅れてきたヒトミが疑問を口に出す。
「それがいないの。」
「ののも見てないのれす。」
「なんかあったのかな?探してみよう。」
回ったとこを三人で確認して、あとは行っていない公園に向うことにした。公園の中を
探していると二人の少女が対峙していた。マキとマコトであった。二人は一時間以上もの間、
勝負をしていたことになる。二人とも息が荒く擦り傷らしきものがいくつかあった。
「マキ!そいつ敵なの!?」
ヒトミがそう言いながらマコトに銃を向ける。リカとノゾミも構える。
「悪いんだけどこないでくれない?サシの勝負なんだ。」
そう言ってマコトに向って剣を振る。
46 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:45
「ハアッ!」
「くっ!」
マコトは剣で防いだが吹き飛ばされる。戦ってて分かったことは力勝負ならマキに
分があることだった。マキはそのままマコトに向けて突っ込む。マコトはすぐに体制を立て直し、
雷を剣にともし、マキに向けて放つ。
「(ルーンセイブでかき消すとこで勝負だ。)」
しかし、雷がマキに当たる寸前でマキの姿が消えた。マコトにはそう見えた。
「ゲームオーバー、私の勝ちだよ。」
マコトの誤算はマキが全ての力を見せていなかったこと。一度も使ってなかった
シルファリオンを発動させ、超スピードでマコトの背後に回り、剣を首に突き立てる。
「・・・・私の負けだ。」
マコトが剣を下ろす。
「いや〜、マコトすげぇ強かったよ。」
そう言ってマキは地面に寝っころがる。
「マキ!」
三人がマキに駆け寄ってきた。
「どういうこと!説明してよ!?」
ヒトミに強く攻め立てられ、マキはしぶしぶ起き上がりこれまでの経緯を簡単に説明した。
47 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:46
「ねえ、マコトも一緒にこない?」
「・・・・私は行かない。この町を守る。帝国はお前達に任せる。」
「そっか・・・。」
「ここからしばらく西に行くとアライブという町がある。そこなら船を借りれるかもしれない。」
「なるほどね〜。ありがとう。」
マコトはそのまま歩み去ろうとする。すると、途中マキの方へ振り返る。
「私はもっと強くなる。次は私が必ずマキに勝つ。またな。」
言葉少なにマコトは足早に去って行く。
「マコト・・・初めて名前で呼んでくれた。」
マキは嬉しくなり、顔がにやける。
「さって、んじゃあそのアライブって町に行ってみますか!」
ヒトミは元気そうにみんなに言う。が、
「今日は無理〜・・・。」
マキがだるそうに答え、そのまま寝てしまう。結局もう一日ダンスサイトの
町で泊まることになった。
48 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:47
「なんだこりゃ!?」
ヒトミが驚いた声を上げる。他の三人も呆然としていた。翌日、アライブの町へ
向った四人は三時間程で町についたが、町全体がほぼ氷に覆い尽くされていた。
「なんでこんなことに・・・。」
「とりあえず中に入ってみよう。」
町の中はどこを見ても凍っていた。家も道も全てが凍っている。
「町の人は大丈夫なんれすかね?」
「分からない・・・けどこんなことできるやつがいるなんてね・・・。」
ノゾミの発言にリカは力なく答える。するとマキ達を影が覆った。
「ん、雲?」
上を見て四人が固まる。そこには7・8mはある氷の球体が浮いていた。球体の中心には、
2m程ある、人の目のようなものがマキ達を見ている。
49 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:48
「何あれ、気持ち悪いのれす。」
「あれは・・・。」
ヒトミの顔が青ざめていく。
「ヒトミ、知ってんの?」
「聞いたことがある。闇の四天王のペットらしく、その名もブルー・アイ。全てを凍らせてしまうんだ!」
すると、ブルー・アイがマキ達に向って何十もの氷の矢を放ってきた。
「とりあえず外に出よう!」
四人は走って町の外に出る。ブルー・アイが追ってくる。しばらく走ると海岸に出てきた。
「ここで戦うしかない!」
「あんなのとどう戦えっていうのよ・・・。」
リカがぶつぶつ言っているとブルー・アイが突っ込んでくる。
「みんな、レールガン撃つから時間かせぎよろしく!」
「「「了解!」」」
50 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:50
マキがかく乱するためにブルー・アイの前を横切ると、無数の氷の矢を撃ってくる。
「シルファリオン!」
マキは超スピードでなんとかよけている。
「(くそ、シルファリオンでぎりぎりかよ・・・。)」
しばらくはよけていられたが、途中足に激痛が走る。氷の矢が二本マキの足に刺さっている。
「ぐっ・・・」
さらにマキに向けて降ってくる氷の矢を、リカが銀を盾にしてかばう。
「百獣擬態、剛熊擬!」
ノゾミがブルー・アイを殴りつけようと走り出す。しかし、走り出すノゾミに
向けて、吹雪のレーザーが放たれる。
「なっ!?」
ノゾミは回避が間に合わず、防御するがそのまま氷付けにされてしまう。
「ノゾミ!」
さらにリカに向けてレーザーを放つ。銀の盾がしだいに凍ってしまい、ブルー・アイが
そこに突っ込んできて、マキとリカが跳ね飛ばされる。
「こんちくしょーっ!!」
ヒトミが溜め込んだレールガンが放たれる。すべてを打ち抜くレールガンが、まともに
ブルー・アイに当たる。だが、レールガンはブルー・アイにひびを入れただけで消えてしまった。
51 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:52
「そんな・・・。」
ヒトミは愕然としていると、ブルー・アイがノゾミに向って突っ込んでいく。
今のノゾミでは粉々に砕け散ってしまうだろう。
「くそっ!」
ヒトミは銃を何発も撃つがすべてはじかれてしまう。ブルー・アイの
スピードは衰えない。
「やめろよ・・・やめろ。」
マキが叫ぶ。が、ぼろぼろの状態のマキではブルー・アイの突進を防げない。
それ以前に足に激痛が走り、動けなかった。
「ノゾミー!!!!」
マキが叫ぶとどこからか声がした。呪文の詠唱のようだ。
「フレイムボール!」
かなりでかい炎の弾が、すごいスピードでブルー・アイに当たり吹き飛ばす。
「どうやら間に合ったみたいだね。」
振り返ってみると、そこには白装束と黒装束をきた二人の女性が立っていた。
「あなたは・・・ナツミ!」
「久しぶりだね、マキ。」
「なんであなたがここに?」
「質問は後回しだよ。今はあいつをなんとかするべ。」
そういうとナツミはマキとリカの回復をしていく。
52 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:52
「ファイアーボール」
黒装束の女性がノゾミに向けて小さい火の玉を放つ。ノゾミに当たると氷が溶けていき、
ノゾミが意識を取り戻す。
「やった〜!やっと動けるのれす!」
ノゾミはそう言って腕を振り回す。気付くとブルー・アイがレーザーをノゾミに放つ。
「そんなのもう喰らわないのれす。百獣擬態、速猿擬!」
ノゾミは超スピードでそこから逃げ出す。
「カオリ、あれやるっきゃなさそうだべ!」
「そうしなきゃ倒せそうにないね。」
カオリと呼ばれた女性とナツミは手を合わせた。
「ねえ、あなた達少しだけ時間稼ぎしといてくれないかな?」
「けど、あいつはやたらと防御力高いよ。普通の魔法は効かないようだし・・・。」
「それを承知で言ってるんだよ!」
「わかった。任せるよ。私達じゃ倒せそうにないしね。」
そう言ってマキは、ノゾミと戦っているブルー・アイ向けて走り出した。
53 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:55
「ブルー・クリムソン、フレイムショット!」
炎の塊がブルー・アイに直撃する。ブルー・アイは標的をノゾミからマキに
変えて無数の氷の矢を放つ。
「まだまだっ!」
横からリカが割って入り、再び銀の盾で防御する。
「みんな、あのレーザーは一点をしばらく見てないと、撃てないみたい
だから動きながら攻めて!」
「なるほどね。」
「あれさえなければなんとかなるのれす。」
さらにヒトミとノゾミがブルー・アイに攻撃をして、標的をしぼらせないようにする。
「さってできたべ。みんな離れて!」
ナツミの言葉で四人はブルー・アイから離れた。
「「フェニックスアロー!」」
二人が放った魔法は、巨大な火の鳥だった。火の鳥は意思を持ったように
ブルー・アイに突っ込む。ブルー・アイはレーザーを火の鳥に向けて放つが、
それをものともせずに突っ込んだ。ブルー・アイを覆っていた氷が一瞬にして溶け、
巨大な火柱が起きた。しばらくすると火が消えて、そこには焼けたあとだけが残っていた。
54 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:57
「すげぇ・・・。」
「うん・・・。」
「なのれす・・・。」
三人はその光景に呆然としていると、マキは近づいてきた二人に気付いた。
「なんでナツミがここにいるの?」
「初めてマキに助けてもらったときに思ったんだ。私もあなたのように強くなって、
世界を守りたいって。それであなたの手伝いをしたくてここまできたんだ。」
「そうなんだ。ところであなたは?」
「私はナツミと友達のカオリ=イイダよ。まあこの子の面倒見る人がいなきゃ大変だからね、
ついてきたんだ」
「ちょっと何よそれ〜?ひどくない?」
「マキ、あの人達は?」
戻ってきた三人の中のリカが尋ねる。
「それは歩きながら説明するよ♪」
ナツミは笑顔でウインクして、アライブの町に向って歩き始めた。
55 名前:konkon 投稿日:2004/06/05(土) 23:58
今日はここまでです。
56 名前:konkon 投稿日:2004/06/06(日) 22:22
六人はアライブの町に戻ってきた。ブルー・アイを倒したために、町中の氷が消えて人々が喜んでいた。
どうやら家の中に非難していたようだ。港に向かうと、船が何台かあるようだった。
「あのぉ、船を私達に貸していただけませんか?」
近くの船員らしき人にマキが尋ねる。
「はあ?貸せるわけねえだろが!」
そういって怒鳴りつけられた。
「そこをなんとか貸してもらえないかな?」
今度はカオリが聞いてみる。
「だから無理だって・・・あ、あなた方はホウラン王国のナツミ姫とサッポロ王国の
カオリ姫!?少々お待ちください。」
男は走って船の中に入っていった。
「有名人なんだね〜。」
マキがすねたように言う。
「フフ、そんなことないべさ。」
しばらくすると船から船長らしき人が出てきた。
57 名前:konkon 投稿日:2004/06/06(日) 22:23
「お久しぶりです。ナツミ姫。」
「あなたは確か、一年前までうちの兵士だった・・。」
「ええ、そうです。今はここで船長をやってましてね。あなたの回復魔法で
何度助けられたか・・・あなた方を目的地まで
お送りいたしましょう!」
「ありがとう!助かります。」
船は快調に進み一日もあれば着くという。六人は夕食をとり、そのまま眠りについた。
「着いたぞー!」
船員の声でヒトミは目を覚ました。
「いよいよか・・・。」
ヒトミは震えていた。今までに帝国に逆らった者で生きてきた者はいない。
58 名前:konkon 投稿日:2004/06/06(日) 22:24
「やるしかないんでしょ。」
後ろから声がした。
「マキ・・・。」
「今の世界では帝国の力が必要なんだ。その帝国が力の使い方
間違ってんだから直さなきゃいけないでしょ?」
「うん、みんなが平和に生きるためなんだ。やってやるぜ!」
マキとヒトミは軽く手をたたく。いつの間にか震えは止まっていた。
「船長、ありがとう。本当に助かりました。」
「いえいえ、しかし気をつけてください。今の帝国は危険ですから。」
「だからこそ私達が行くんです。みんなを守りたいから。」
「あなたは強い方ですね・・・。ご武運を祈ります。」
六人は船から降りて、帝国へ向けて歩き出した。
59 名前:konkon 投稿日:2004/06/06(日) 22:26
入り口まで辿り着くと一人の少女が三人の兵士と戦っていた。
「どうする?マキ?」
「もちろん助けよう!」
六人は戦っている少女の近くまで走っていった。
「なんだ貴様らは!」
兵士の一人が気付いたらしく怒鳴ってきた。
「あなた達に恨みはないけど悪く思わないでね。」
リカの銀が伸びて、一人の兵士を吹き飛ばす。それを見ていた兵士が呆然と
しているところをノゾミが殴り倒す。
「なんだ貴様らは!」
残った兵士が、剣を振りかぶって向かってこようとするが、先ほどまで戦っていた少女が峰打ちをして兵士を倒した。
「何よ、あんた達は?兵士にこんなことしてただで済むと思ってんの?」
少女が睨むように言う。
「じゃああんたこそ何してんのさ?兵士と戦っててさ?」
「帝国がむかつく。だからぶっ潰す!」
「潰すつもりはないけど、私達も帝国のやり方気が食わないから乗り込むとこなんだ。一緒に行かない?」
マリは腕を組んで考えた。
「いいだろう。お前達と一緒に行くよ。おいらはマリ=ヤグチだ。爆破術を使える。」
七人は帝国の中へと乗り込んでいった。
60 名前:konkon 投稿日:2004/06/06(日) 22:27
「ウルァッ!」
マリが爆発を起こし、三人の兵士を吹き飛ばす。
「ハァッ!」
リカが槍を伸ばし、振り回しながら兵士を倒す。ヒトミとノゾミは素手で敵を殴り倒していく。
「シルファリオン。」
マキは超スピードにより相手の急所に峰打ちを当てて、気絶させていく。
「エアーシューター。」
カオリが風を周りにまとわせて次々と兵士を吹き飛ばす。ナツミは仲間、
もしくは重傷となった兵士の回復をしながら進んでいく。兵士達は七人の集団に
全く歯が立たなかった。七人は誰も殺さずに先へと進んでいく。城に入ると同時に、
ビームのようなものがマリを吹き飛ばした。
61 名前:konkon 投稿日:2004/06/06(日) 22:29
「マリ!」
見ると、ロボットの機械に乗った兵士が立っていた。
「いいかげんここらへんで死にな!」
さらにビームを撃ってくるのを、ヒトミが両腕ではじく。
「うざいんだよ・・・。」
マリが腕から血を流しながら剣を兵士に向ける。その突如、機械が爆発して兵士を吹き飛ばす。
「邪魔なんだよ。」
ナツミの回復を受けながら、マリは一人つぶやいた。ナツミは回復しながら思う。
何がこの少女をここまでかりたてるんだろうと。
しばらく先へ進むと、広い部屋に出た。そこには一人の女と少女が三人立っていた。
「よくここまでこれたわね。けどここまでよ。」
「司令官・・・。」
「ヒトミ=ヨシザワか。一ヶ月前の討伐の際に死んだと思っていたが・・・なぜ反逆者となり戻ってきた?」
「司令官!今の帝国はおかしいです!なぜ人々を守るはずの我々がここに固まっているんです。」
「何の話しだ?そんなことよりお前達はこれより先に行かせない!」
「司令官・・・。」
「話しは終わりだ。エリ、レイナ、サユミ、やってしまえ。」
そう言って司令官は一歩下がる。そして三人の少女が襲ってきた。
62 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 00:17
今日はここまでです。
63 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/07(月) 00:57
なんか大変になってきやがった!!面白いす!
がんばってください。更新おつかれさまでした
64 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 22:59
剣を構えた少女がマキとマリに向かって突っ込んでくる。
「ここから先へは行かせんとね。」
レイナと呼ばれる少女が二人を同時に切りかかってくる。
「(何、この子・・・強い。)」
「(私達相手に二人がかりなんて・・・)」
マキもマリも一流の剣士と言っても過言ではないくらい強い。その二人を同時に
相手するレイナはまさしく最強の剣士だろう。
「そらそらそらっ!」
レイナの攻撃に二人はかわすのがぎりぎりだった。スキを見つけては容赦なく
斬りつけてくる。二人の剣を一人で押さえつけていた。
65 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 23:00
一方、サユミと呼ばれた少女がカオリとヒトミに目掛けて、魔法を撃ってくる。
「フレイムボール!」
カオリの魔法が放たれる。
「ファイアーボール。」
少女の魔法が相殺する。
「(嘘でしょ!?中級魔法が低級魔法と互角なんて!)」
さらに連続でサユミがファイアーボールを撃ってくる。
「うおぉぉぉっ!」
ヒトミが腕をクロス防御して魔法をかき消す。
「カオリ、どうするよ?」
「なんとか魔法の間をくぐって攻撃するしかないわね。」
そう言って呪文の詠唱を始めた。
66 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 23:01
エリと呼ばれる少女は圧力を発生させてリカ、ノゾミ、ナツミを壁まで吹き飛ばす。
「何よこれ?魔法じゃないよね?」
リカの問いにナツミは首をかしげる。
「さっきは体が重くなって動かなくなるし、たぶん特殊魔法なんだと思う。」
「特殊魔法れすか?」
「うん、魔法ではない特別な魔法のことだよ。だからけっこうきついかもね・・・。」
ノゾミの問いにナツミが顔をしかめて答える。
「くっそ〜っ!」
リカが再び詰め寄ろうとするがまた吹き飛ばされる。銀が手元から離れてしまい
ノゾミの前方に落ちる。
「無理ですよん。エリには勝てないんだから。」
67 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 23:10
「調子に乗るなよっ!」
マリが剣で爆発を起こし、レイナを吹き飛ばす。
「ふん。」
レイナは流れに逆らわずに軽く着地する。そこへマキが攻めていく。
「シルファリオン!」
超スピードでレイナの懐に潜り込む。
「甘いんだよ!」
マキの高速の剣をすべてはじく。
「ハアッ!」
シルファリオンをすべてはじくと、マキに向かって剣を振り下ろす。
「ブルー・クリムソン!」
マキは二本の剣で受け止める。
「甘いんだよっ!」
レイナは重心を低くして、マキに重い蹴りを腹部に入れる。
68 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 23:11
「うぐっ・・・。」
マキはうめいて剣を下げてしまう。
「死ね。」
マキがよろめいたとこを、レイナが剣を振りかぶる。その瞬間、レイナの足元が爆発し
バランスをくずす。マリが遠くから爆発を放ったのだ。
「なっ!?」
そこにマキが詰め寄る。
「ここまでだよ。エクスプロージョン。」
マキはレイナを爆発で吹き飛ばし、壁にぶつかった衝撃で気絶させた。
69 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 23:12
ヒトミとカオリはサユミの攻撃を防ぐのがやっとだった。サユミの場合、
一つ一つの魔法が低級魔法でも中級魔法並みなので、呪文の詠唱が二倍早い。
そのため一つの魔法をカオリがやっとはじくとすぐに魔法が飛んでくる。
それをなんとかかわすか、ヒトミに防御してもらうしかない。ヒトミもなんとか
防御はできるが、腕の機能が回復するのに時間がかかってしまうため、接近戦まで持ちこめない。
「(銃を撃ってもよけられちゃうし、レールガン貯める時間ないし、どうしよっかな・・・。)」
なんとか魔法をよけているうちに、ヒトミはあることに気がついた。
「カオリ、一発でしとめられる?」
「たぶんね。けどどうすんの?」
「私が二発防ぐ。そのあと頼むね!」
そう言うとヒトミは、サユミ目掛けて走っていった。
「ファイアーボール」
サユミの魔法が飛んでくる。
「(一つ目!)」
ファイアーボールを両腕で防御する。両腕がしばらく動かなくなる。
だがヒトミはそのままサユミ目掛けて突っ込んでいく。
70 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 23:12
「終わりだね。バイバ〜イ。」
次の呪文がヒトミ目掛けて飛んできた。
「うおぉぉぉぉっ!!」
ヒトミはジャンプして足で防御した。
「嘘っ!」
サユミは慌てて、次の魔法の詠唱を始める。が、そのときにはカオリの魔法が
すでに出来上がっていた。
「フレア・ボムズ!」
カオリは大玉の様な炎の塊をサユミ向けて放つ。
「ファイアーボール!」
サユミが魔法を放つ。しかし、フレア・ボムズはファイアーボールを突き抜け、
そのままサユミに当たり炎のうずに包まれる。サユミはそのまま起き上がらなかった。
71 名前:konkon 投稿日:2004/06/07(月) 23:12
更新しました。
72 名前:konkon 投稿日:2004/06/09(水) 23:49
「サンビーム。」
光の光線がエリから飛んでくる。
「くっ、リフレク!」
ナツミが光の壁を作る。魔法を跳ね返す魔法だ。しかしエリの魔法は特殊魔法であり、
普通の魔法では防げないため、リフレクを突き抜けナツミを吹き飛ばす。
「ナツミ!」
「人の心配してる暇なんかないですよ〜。」
エリが笑顔で手を上げると、リカとノゾミに重力が圧し掛かってきた。
「エリの技はちゃいこーですから逃げられませんよ♪」
「ぐぅぅ・・・。」
「ねえ、ノゾミ・・・なんとか私の銀を取れない?」
リカの銀はノゾミの3mほど前に落ちている。しかしいくら力があるノゾミと言っても、
重力がある中歩くのはそうたやすいことではない。
73 名前:konkon 投稿日:2004/06/09(水) 23:50
「分かったのれす。やってみるれす・・・。」
ノゾミはゆっくりと歩き始める。体にかなりの負担がかかるがなんとか近づいていく。
「へ〜、エリの重力で歩ける人初めてみましたよ。じゃあさらに上げてあげましょう♪」
そう言うと同時にノゾミに重力がさらにかかる。しかしそれでもノゾミは
歩いてリカの銀まで辿り着く。
「リカ・・・後は任せたのれす。」
銀を根性でリカに投げると、ノゾミは地面にへばりついた。
「ありがとう・・ノゾミ。」
リカもへばりついた状態だがそのまま銀を手にする。
「銀槍術・・・参の突・・・・捻!」
リカの銀の槍がねじれていく。そしてエリに銀を向けて、もの凄い
回転をかけてエリに向けて突く。
すると、竜巻が発生してエリに向かってとんでいく。
「何よ。こんなものエリに効きませんよ。」
エリは、竜巻を片手で抑えようとする。が、それでも止まらない。さらに両手で防ごうとしたが、
勢いが止まらずにエリを巻き込んで壁まで吹き飛ばす。エリは意識を失くし倒れていった。
74 名前:konkon 投稿日:2004/06/09(水) 23:51
「まさか三騎士がやられるとは思わなかったな。」
奥で立って見ていた司令官が歩いてくる。
「レイナ、二人を連れてこの部屋から出なさい。」
いつの間にか起きていたレイナに、顔を向けずに命令する。レイナは黙って二人を
抱えて部屋から出て行った。
「あとはあんた一人だよ。素直にどいたほうがいいと思うけど。」
マキが挑発交じりに司令官に向かって言う。
「お前達の戦いは見せてもらった。残念だけど、私一人いれば十分なんだよ。」
司令官が肩にかけてある鞭を取る。七人は構える。
「ケイ=ヤスダ、参る。」
司令官のケイはゆっくりと向かってくる。一瞬の沈黙の後、ノゾミとヒトミが飛び込んでいった。
「うおぉぉぉっ!」
「ハアッ!」
しかしケイが鞭を振るうと、一瞬で二人は吹き飛ばされる。
「いった〜、なんれすか、今のは!?」
「何も・・・見えなかった・・・。」
75 名前:konkon 投稿日:2004/06/09(水) 23:53
次の瞬間、ケイは様後ろに飛んだ。その直後にケイがいた場所に爆発が起こった。
マリが起こす爆発を、ケイは読んでいたのだ。
「あんたの攻撃は当たらないよ。」
「フレイムボール!」
カオリが炎の塊を放つ。それと同時にマキとリカが突っ込んでいく。
「・・・甘い。」
ケイは左手で腰から一つのナイフを、フレイムボール向けて投げる。すると、
一瞬で炎の塊が消え去った。さらに右手で鞭を振り、マキとリカを吹き飛ばす。
「なっ!?」
カオリが驚いているとケイが説明する。
「どんなものにでも必ず流れというものがある。その流れの中心、それさえ打ち消せば
流れは消えてなくなる。それが例え魔法でもね。私に魔法は効かないよ。」
そう言って、さらに二本のナイフを投げる。狙った先は、ノゾミを回復させようと
呪文を唱えていたナツミと、銃を撃とうとしていたヒトミであった。ナツミはなんとか
回避したがノゾミを回復させることはできず、ヒトミは銃をはじき飛ばされてしまう。
さらに鞭で七人を吹き飛ばす。
「(強すぎる・・・これが帝国の司令官の強さか・・・。)」
帝国最強と呼ばれるのもうなづける。何人で向かっていっても吹き飛ばされてしまう。
76 名前:konkon 投稿日:2004/06/10(木) 00:00
しばらくして全員が倒れている間にも、マリだけはケイに向かっていった。
体がぼろぼろで足が震えていた。それでも何度打たれても、マリは立ち上がり
ケイに向かっていく。
「なぜ貴様はそこまでして向かってくる?そんなに私が憎いのか?」
「あんただけじゃない・・・帝国全部が憎いんだよ!帝国はおいらの父さんを殺したんだ!!」
ケイの表情がごくわずかだが、固まった様に見える。
「・・・どういうことだ?」
「おいらは父さんと二人で過ごしていた。おいらの町、サマーナイトタウンは、
ある時から魔物に襲われ始めた。初めの頃はなんとかなってたんだ。けど、
どんどんエスカレートしてかなりの被害が出るようになってきた・・・
それで帝国に応援を要請してたんだ。なのに何日待っても全然きてくれなくて、
おいらの町は強い魔物がきたときに焼かれてしまったんだ!その時に父さんは
おいらを魔物から庇って死んだんだ!」
「・・・」
「そこからはおいらは、一人で生きてきた。魔物と帝国を潰すために強くなったんだ!
だから・・・だから、許せないんだよー!!!」
マリは剣を構えながらケイに突っ込んでいく。ケイも構える。そして二人は激突した。
77 名前:konkon 投稿日:2004/06/10(木) 00:00
更新しました。
78 名前:konkon 投稿日:2004/06/10(木) 23:01
ドスッ
「え・・・?」
ケイの腹にマリの剣が刺さっていた。ケイがその場にひざまずく。
「ぐっ・・・。」
「・・・なんで・・・?」
マリは震えながら聞く。
「帝国が憎いんだろう・・・私が憎いんだろう・・・私を殺せ。父の仇なんだろう?」
「ぐっ・・・うわあぁぁぁぁっ!!!」
マリは剣を引き抜き、ケイ目掛けて振り下ろそうとする。しかし、振り落とされる
寸前でヒトミがマリの剣を掴む。
「待ってマリ、司令官はそんな人じゃないよ!」
「何でそんなことお前に分かるんだよ!離せ!」
「じゃあなんでマリを攻撃しないで刺されたのさ?」
「それは・・・」
79 名前:konkon 投稿日:2004/06/10(木) 23:02
マリが沈黙していると、奥の扉から一人の兵士が出てきた。2m近くあるその兵士は
体全身を鎧で武装している。
「ちっ、使えるやつだったから生かしておいたが・・・まあいい。」
「あんたが皇帝?」
マキが出てきた兵士と向き合う。
「いかにも。貴様ら、私の下で働かないか?ならば生かしておいてもいいがな。」
「さっきのマリの話し聞いてたよね。どういうことなの?」
「ふん、どこでどこの町が滅びようが私の知ったことではない。
ただ兵士を送らなかった、それだけだ。」
マリがその言葉に反応する。
「なんだと・・?」
「まあその話しをこいつには、そこの女の町に兵を送った、と言ってあったがな。
正義心強い分だけ余計なことをされては困るんだよ。こいつに話すと自分自ら
町まで行きそうだったからな。」
そう言ってケイを指で指す。
「兵士は黙って私のことを守ってればいいんだよ。私さえ死ななければいいんだ。」
80 名前:konkon 投稿日:2004/06/10(木) 23:04
「じゃあダンスサイトの町も知ってて放っておいたってことね。」
マキが聞いてみる。
「ふん、そんな話し忘れたわ。」
「最低だね、あんた人の血が流れてないの?」
「元からそんなもの流れてないわ。私は魔族だからな。」
「えっ・・・じゃあ、前の皇帝は?」
「とっくに殺したに決まってるだろ。」
「なるほどね・・・だから帝国がひどくなったんだね。」
ヒトミは一人納得したように殺意を抱いた。
「ふん、その顔見ると誰も従わんようだな。ならば、死ねぃ!」
背中からビットのようなものが、十数個出てきて意思を持つように
様々な方向からビームが放たれる。
「邪魔だ!」
マリが爆破させようとするがビットはよけてしまう。リカも銀を伸ばすが当たらない。
「ならば本体を狙えば・・・。」
マキがシルファリオンで皇帝に向かっていく。が、近づいた瞬間6個のビットがマキを襲う。
「うわっ!」
マキは防御したが、ビームが避けきれずに吹き飛ばされる。
81 名前:konkon 投稿日:2004/06/10(木) 23:05
「ふん、そのまま死ぬがいいわ!ハーッハッハッハ!」
皇帝は笑いながらマキ達の戦いを見ている。誰もが傷だらけだが、手の出しようがなかった。
しかし次の瞬間、
ガガガガガガガガガガガガッ!
ケイが立ち上がり鞭を部屋全体に振るい、全てのビットを打ち落していった。
「貴様っ!私にはむかうのかっ!?」
皇帝はさらに三つビットを、ケイに向けてビームを放つ。しかし、ケイは軽々とよけて、
反撃といわんばかりに一瞬で三つのビットを打ち落した。
「なっ・・・」
皇帝は驚愕していた。司令官が並の強さではないと聞いていたが、自分よりも
まさか強いとは思ってもいなかった。
「・・・全部のビットは壊した。あいつを頼む。」
ケイはそれだけ言って倒れていった。皇帝は逃げようとしたが、それより先にマリが追い付く。
「うるぁぁぁぁぁっ!!!」
ドーンッ!!
大爆発と共に皇帝は倒れていった。マリは倒したと同時にすぐにケイの元へ向かう。
82 名前:konkon 投稿日:2004/06/10(木) 23:05
「ねえ、その人の様子はどうなの!?」
回復していたナツミに聞く。
「傷はほぼ完治してるから大丈夫だけど、それ以上に精神的ダメージが大きいのかもね。」
「司令官は何も知らなかったんだよ。マリ、許してあげてよ。」
「今は・・・気持ちの整理がつかないよ。」
ヒトミに言われてもどこかすっきりしない、そんな感じだった。
「とりあえずここから出よう。兵士に囲まれたらめんどくさくなりそうだし。」
カオリの意見に賛成して出口に向かおうとする。
「この人はどうすんの?」
「連れてくっきゃないべさ。」
ヒトミがケイを背負い、急いで出口へ向かった。
83 名前:konkon 投稿日:2004/06/10(木) 23:06
更新しました〜
84 名前:konkon 投稿日:2004/06/13(日) 03:29
「ぐっ・・・ふっふっふっ、私はこの程度では死なんぞ!」
八人が去ってから、皇帝が起き上がる。
「こうなったら世界中の兵士にやつらを殺すよう命じてやる!」
皇帝が叫んだ後、出口の方から三人の少女が現れた。
「やれやれ、手加減すんの難しかとね。戦いにくいわ〜。」
「ほんとよも〜、さゆの可愛い顔が汚れちゃったじゃない。」
「まあまあ、二人とも仕方ないじゃない。これも仕事のうちなんだしさ。」
レイナ、サユ、エリが話しながら向かってくる。三騎士が今頃に戻ってきたことに、
皇帝はキレた。
「貴様らっ!今までどこに行っていた?」
「今までって、隣の部屋でカラオケしてたけど?」
「何、皇帝ちゃんも一緒に歌いたかったの?」
レイナとサユは、まるでそれが普通のことのように答えた。
85 名前:konkon 投稿日:2004/06/13(日) 03:31
「まあいい、今すぐやつらを消せ。」
「何であんたなんかのいうこと聞かなあかんの?」
「何っ!?」
皇帝は驚いて聞き返す。
「エリ、あれうざいからやっちゃおうよ?」
「そうだね。後片付けって大事だもんね。」
そう言って三人は皇帝に近づいていった。
「貴様ら・・・死ねぃっ!」
皇帝が先ほどと同じように、いくつものビットが出てきてビームを放つ。
しかし、三人は軽々とよけていく。
「やれやれ・・・」
そう呟くとエリは上に手をかざす。すると、全てのビットが一瞬で地面に
叩きつけられ粉々になった。
86 名前:konkon 投稿日:2004/06/13(日) 03:32
「なっ!?くっ、これならどうだ!」
さらに近づいてくる三人に、六個のビットが重なってかなり
大きいビームが放たれる。
「リフレクト♪」
サユミが呪文を唱えると、ビームを倍の大きさにして跳ね返し、
逆にビットをかき消していく。
「ぬっ・・ぬわぁぁっ!!」
ビットでの攻撃が効かないことが分かり、皇帝が剣で突っ込んでいく。
「うざいんだよ。」
レイナが剣に手をやる。皇帝が剣を振るう瞬間、鎧ごと皇帝の体が何等分にも斬られていた。
皇帝の目には、レイナの最初の一撃すら目に映らなかった。
「さってと、ここには用がないし、久しぶりに帰ろうか?」
「「うん。」」
三人は出口から堂々と歩いて行った。
87 名前:konkon 投稿日:2004/06/13(日) 03:33
マキ達は近くの町、ウイッシュの町で宿をとった。ケイは別の部屋で寝ていて、
マリはずっとケイのそばについていた。
「これからどうするの?」
「帝国がこんな状況じゃ、魔物の総本部を叩くしかないね。」
リカの質問にマキが答える。
「こうなったらなんとしても魔物達を倒すしかない。」
「まあ元からそのつもりだったしね。」
「ののも平和な世界にしたいのれす。」
ヒトミとののも賛成した。
「マリはどうするんだろう?」
「それは彼女が決めるでしょ。手伝ってもらえるとありがたいんだけどね。」
話しが終わると、四人は眠りについた。
88 名前:konkon 投稿日:2004/06/13(日) 03:37
マリは疲れのせいか途中寝てしまい、起きたら夜中になってた。
「(あれ、ケイがいない?)」
ベッドの中にいたはずのケイがいなくなっていた。
マリは気になって廊下に出てみると、窓の外を見ているケイがいた。
「・・・起きたんだ。」
「あ〜、看病してたのに寝ちゃうなんてださいよね・・・。」
マリは作り笑いをケイにむける。
「傷は大丈夫なの?」
「あなたの仲間が助けてくれたからもう平気だよ。」
しばらくの間、沈黙になる。
「なんであの時、わざと私に刺されたの?」
今まで気になった疑問をマリがぶつける。
89 名前:konkon 投稿日:2004/06/13(日) 03:38
「・・・例えどんな理由だろうとあなたの街を見捨てて、お父さんを
死なせてしまったのは事実だ。ならば、私が恨まれて死ねば少しはあなたの
負担が少なくなるのでは、と思ったから。」
「・・・・。」
マリは驚いていた。兵士なんていっても、みんな自分が一番可愛いんだと思っていたが、
ケイは違っていた。本当に人を守ろうと、人のために生きていこう、としているんだと気付いた。
「・・・・これからどうすんの?」
「分からない。どうしたらいいのか・・・・。」
マリの質問にケイはしっかりとした返答をできなかった。
「皇帝はもういない。今の帝国でも何が起こるかわからない・・・。」
ケイは泣きそうな声でつぶやいた。
「ケイがやりたいようにすればいいんだと思うよ。
あなたの信じた道は正しいはずだよ。」
「・・・・。」
そのまま二人は話しが続くこともなく、朝になった。
六人が出発しようとしているとこを、マリが呼び止める。
「ごめん、私達にはまだ時間が必要みたい。だから私達は行けない・・・。」
「そっか・・・ケイのこと、よろしくね。」
「うん・・・がんばってね。」
六人はマリに笑顔で手を振り、旅立っていった。
90 名前:konkon 投稿日:2004/06/13(日) 03:40
北に歩いて二日、六人はオールライトの洞窟に辿り着いた。
「(ここにいるんだね・・・)」
マキは今までの旅を思い出していた。
「みんな、これが最後の戦いになると思う。覚悟はいい?」
「マキ〜、どっちの覚悟かな〜?」
「もちろん生きる覚悟だよね?」
「ののは絶対負けないのれす!」
「世界を守るための戦いなんて、かっこいいべさ。」
「ここまできたら負けられないよ。」
マキの問いに五人は元気に答えた。
「んじゃ、最後に一発やる気だそう♪」
六人は手を合わせる。
「みんな、生きて帰ろうね!それじゃあがんばっていきまっ」
「「「「「「しょ〜い!!!!!!」」」」」」
六人は洞窟の中へと入っていった。
91 名前:konkon 投稿日:2004/06/13(日) 03:40
更新しました。
92 名前:konkon 投稿日:2004/06/14(月) 00:31
中に入ると、たくさんのゾンビやボーン兵が攻めてきた。
「なんだよこいつら!死なないじゃん!」
銃で撃っても死なないことに、ヒトミは慌てていた。
「ヒトミ、こいつらは頭狙わなきゃ死なないよ!」
なつみがヒトミに助言する。
「頭ね・・・。」
リカが銀を伸ばし、魔物の頭を狙って振り回す。
「よ〜し、ののも負けてられないのれす。」
ノゾミは敵の攻撃をかいくぐり、次々と魔物の頭をつぶしていく。
「ライトボール!」
「フリーズプレッシャー!」
ナツミの魔法で敵は蒸発していき、カオリの魔法で敵を氷で固まらせていった。
93 名前:konkon 投稿日:2004/06/14(月) 00:32
「ならば私も・・・ん?」
マキが剣を構えようとしたときに、ヒトミが手でマキを制した。
「探してた人と戦うかもしれないんでしょ?だったら体力温存してたほうがいいって!」
「ヒトミ・・・。」
「ここは私達に任せなよ。仲間を信じるのさBABY!」
そう言ってヒトミは敵に突っ込んでいった。
クスッ!
敵地のど真ん中で笑ってるやつなんてそうはいないよね、と心の中で思ったが
マキにはなぜか余裕があった。仲間がいるから絶対いける!そう信じていた。
その時がくるまでは・・・。
94 名前:konkon 投稿日:2004/06/15(火) 22:24
最深部までくるとそこには大きな部屋があり、一人の女性が立っていた。
「久しぶりね。こんなとこまでこれるなんて思ってなかったわ。」
「・・・ミキ姉・・・。」
「マキ、あの人知り合いなの?」
リカが小さい声で聞く。
「うん、私の探してた人さ。手は出さないでね。」
ミキと呼ばれた女性は身長はさほど高くないスタイルがよく、大人っぽさを
漂わせていた。一つ違和感があるとすれば、ミキの手にはマキと全く同じ剣を
手にしている。
「マキ、なんで私がここにいるってことわかったの?」
「剣が教えてくれたんだよ。ミキ姉の剣とこの剣は共鳴してるんだ。」
「へ〜、初めて知ったよ。私はあんたのこと全く感じなかったけどね。」
マキは少し寂しそうに俯いた。
95 名前:konkon 投稿日:2004/06/15(火) 22:27
「聞きたいことがあるんだ。ミキ姉・・・。」
「何よ?改まっちゃってらしくないわねぇ。」
「なんで・・・なんで家族を殺したのよ?なんで私達の町を燃やしたの!?」
「なんでって?決まってるじゃない、私のことを認めないからよ。」
「なっ!?たったそれだけのことで・・・。」
「それだけ?ミキにとっては十分よ。ミキよりもマキ、あんたなんかを時期頭首に
させるなんておかしい話しじゃない?」
「だってそれはお父さんが・・・。」
「その話しを聞いて、町の人間どもはあんたを祝福して、私になんかまったく目をやんなくなった。
いいかげんうざくなったんだよ!あんたなんかより私の方が強い!それなのにくそ親父はマキには
素質がある、それだけ言ってミキの話しもろくに聞こうとしなかった。だから殺してやったのよ。」
「だからって・・・なんで殺しちゃうのよ・・・?」
「みんなうざいんだよ。だから一人残さずに殺してやった。つもりだったけど、あんただけは
生きてたみたいね。それだけは計算ミスだった。まあ、あんた一人生きてようが何も変わらないんだけどね。
どうせ今ここで死ぬんだし。」
ミキはマキを睨みつけながら言う。
96 名前:konkon 投稿日:2004/06/15(火) 22:28
「それにもうあんたの姉じゃないのよ。今の私はミキ=フジモトなの。」
「ゴトウ家を捨てて悪魔の名を手にしたんだね・・・。許せない!」
マキの剣が光っていく。
「そう、ミキはあんたなんかよりも強いんだよ!」
二人が向かい合って走っていく。そのまま剣と剣がぶつかり合う。
「エクスプロージョン!」
「ハアッ!」
二人の剣がぶつかり合った瞬間大爆発が起きるが、二人は剣を重ねたまま立っていた。
「うおぉぉぉっ!」
マキがミキの剣をはじいて、そのまま叩き斬ろうとする。が、ミキは少し下がるだけで軽くよける。
「爆発剣技、流爆。」
ミキが剣を振るうと、爆発がマキに向かって飛んでいく。
「なっ!?」
マキはなんとか剣で防御するが、表情は硬くなっていった。
97 名前:konkon 投稿日:2004/06/15(火) 22:29
「今の技は・・?」
「わかった?あんたなんかより私の方が断然強いのよ!」
「くっ、シルファリオン!」
マキが超スピードでミキに向かっていく。
「シルファリオンは軽すぎるのよ。第六の剣、メル・フォース!」
ミキがマキに向けて剣を向けると、突風が起きてマキはそれ以上進めなくなる。
「風力全快、超突風!」
風の力が強くなり、マキを壁まで吹き飛ばす。
「ぐああっ!」
マキは背中からまともに壁に激突する。
「こんなこともできるわよ。ブルー・クリムソン、双龍!」
ミキが二本の剣を同時に振るうと、冷気の龍と炎の龍がマキを襲う。
「はあっはあっ、ルーンセイブ!」
マキはルーンセイブで冷気の龍を消せたが、炎の龍までは消せずにまともに喰らう。
「うわぁぁぁぁっ!」
しばらくの間、マキは炎に包まれた状態となった。
98 名前:konkon 投稿日:2004/06/15(火) 22:30
「くぅぅ・・・メル・フォース!」
自分に風を呼び起こし炎を消す。
「うまいうま〜い、ここまでこれただけあるわね。」
ミキは余裕からかマキに拍手を送る。
「(ミキ姉の技は一つの武器じゃ防ぎきれない・・・二つ以上だったら防げる?)」
マキは荒くなった息を整えながら、どうやったらミキを倒せるか考えていた。
「これで終わりよ。」
ミキが再び双龍を出し、二匹の龍がマキを襲う。
「燃えて跡形もなく消えるか、氷付けにされるか選ばせてあげるわ。」
ミキは手を腰にやり、おもしろそうにマキを見てる。
「ブルー・クリムソン・・・ルーンセイブ・・・融合、デュアル・セイブ!」
マキは二本のルーンセイブを出し、二匹の龍を消し去った。
99 名前:konkon 投稿日:2004/06/15(火) 22:31
「なっ!?何よそれ!?」
マキはゆっくりとミキに向かっていく。
「シルファリオン!」
ミキが超高速でマキに向かっていく。
「エクスプロージョンとシルファリオン、融合。シルファードライブ。」
マキも超高速でミキに向かっていく。二人の剣がぶつかり合っていく。が、ダメージを
受けていたのはミキだけだった。剣がぶつかりあうごとに爆発が起こっていて、ミキはその爆発を受けていた。
「ぐっ・・・ミキがマキなんかに負けるかーっ!!!」
ミキが流爆をマキに放つ。
「これで終わりだよ。エクスプロージョンとメル・フォース、融合、ボム・トルネード!」
爆発の竜巻が流爆を飲み込み、ミキを襲う。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!」
ミキは吹き飛ばされ、そのまま意識を失った。
100 名前:konkon 投稿日:2004/06/15(火) 23:01
今日はここまでです。
101 名前:konkon 投稿日:2004/06/18(金) 00:11
「マキッ!」
勝負が終わり、ヒトミが呼びかけてもマキは戻ろうとせずに
ミキの方へ歩いていく。
「とどめを刺すつもりなんだよ。」
カオリは冷静につぶやく。
「そんな!?人を殺しちゃうのっ!?」
「マキのやりたいようにさせてやるべさ・・・。」
マキは倒れているミキを見下ろす。
「さよなら・・・ミキ姉・・・。」
マキが剣を振りかぶる。が、次の瞬間マキが何かにはじき飛ばされる。
「ミキ、負けちゃったんだね〜。」
奥からこの洞窟に似合わない、白いワンピースを着ている少女が出てきた。
「大丈夫だよ。ミキはもっと強くなれるからね。先に帰っててね♪」
少女がミキに手を向けると、ミキは一瞬で消えていった。
102 名前:konkon 投稿日:2004/06/18(金) 00:13
「あなたは・・・・?人間なの?」
ナツミがマキに回復をしながら、その少女に聞いてみる。
「アヤヤはアヤ=マツウラ、人間ですよ。ミキは世界を憎むいわば同士です。」
「なんであなたは世界を滅ぼしたいの?」
今度はリカが聞く。
「少し昔話をしてあげましょう。アヤヤは捨て子だったらしく、魔物達に拾われました。
魔物達はあややのことを大事に育ててくれました。けどどのくらい前だったか、人間達が
魔物の集落に攻めてきました。魔物達は何も悪いこともしていないのにです。魔物達はみんな
殺されました。そのあと一人残ったあややも、魔物だと決めつけて殺そうとしました。
アヤヤは捕まりました。その後何日も牢獄に入れられ、食べ物も食べさせてもらえずに暗い牢獄の
中にいました。私が衰弱死しそうなところを、今度は公開処刑とかいって縄でつるされて、人前まで
連れられました。そこで殺されそうなところを、ミキが町の住人を殺して助けてくれたんです。その時、
目覚めたんです。アヤヤの力が・・・少し力を解放しただけでそこの町は、簡単に消えちゃいました♪
その時思ったの。神様はやっぱり平等にしてくれてたってね。アヤヤに力をくれたんだからさ。私は人間を
許さない・・・クズのくせしてアヤヤを殺そうなんてどうかしてるのよ。」
六人は黙ったまま聞いていた。
103 名前:konkon 投稿日:2004/06/18(金) 00:13
「けど・・・人間全部を恨まないで!」
「そうよ!ちゃんとあなたのことをわかってくれる人だっているわ!」
ナツミとリカが説得をする。
「ミキだけがわかってくれれば十分です。誰も助けてくれなかったくせに、
アヤヤの育ての親を魔物だからって殺して・・・許せないんだよっ!」
アヤの周りに風がまとい、大気が揺れ始めた。
「だから最強の力を持つオロチと契約して、最強の力を手に入れた。アヤヤ達だけの
世界を作るの。そこには人間なんていらない。」
アヤは両手を上にかざした。
「だからね、これでおしまい。」
「やめろーーーっっっっ!!!!」
マキは本能的にアヤに向かっていった。五人も後から続いていく。
104 名前:konkon 投稿日:2004/06/18(金) 00:15
「フフッ、アルティメットウエポン。」
アヤを中心に周りの物すべてを吹き飛ばしていく。洞窟が崩壊し始め、
マキ、ヒトミ、リカ、ノゾミ、カオリ、ナツミ、みんな吹き飛ばしていく。
「闇の世界へ連れてってあげる。生きてたらの話しだけどね。ほなね〜♪」
この日世界全体が震えていた。大地が割れ、世界の形が変わっていった。そして、
普段は表世界にまでこれないはずの闇の魔物達が、アヤがアルティメットウエポンを
放ち、表と闇の世界とを結ぶ空間トンネルを壊したために、この日を境に表世界に
行き来できるようになってしまった。マキ達の運命は?そして世界の平和は・・・?
未来は希望か、それとも絶望か・・・・
105 名前:konkon 投稿日:2004/06/18(金) 00:15
第一章 終幕
106 名前:konkon 投稿日:2004/06/18(金) 00:16
一章が終了しました。
次の更新ではそれぞれの過去の出来事を話していきたいと思います。
107 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:36
過去のできごとと簡単なプロフィールです。
これを読めば少しはわかっていただけると思います。
108 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:38
マキ=ゴトウ
今回の主人公、二年前に姉のミキとゴトウ家を継ぐための試合を行った。
その勝負ではミキが勝ったが、ゴトウ家頭首の父は才能のあるマキに継がせると言った。
その言葉にミキは怒りだし、父と対立する。ある日、突然ミキが両親を剣で殺害し、
さらにマキを剣で突き刺した。マキは偶然近くを通りかかった人に救われるが、
あまりに危険な状態だったので隣町の大きな病院に入院した。マキは元から体力があったために、
奇跡的に命を取り留めた。マキは怪我が治り次第ミキを追うことにした。一度町に戻ってみると、
町の人々は全員殺されていて町は燃やされていた。マキはミキがやったんだと確信した。
これ以上ミキに人を殺させるわけにはいかなかった。たった一人の妹として、ミキを止めたかった。
ミキを説得して懺悔をしてもらうか、もしくは戦うことになるのか・・・どちらにせよミキに会う必要があったので、
マキは旅に出た。二度とこんなことを起こさせないために、世界を守るために・・・。
そして、今回の物語へと続いていく。
109 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:41
モデルはRAVEのハル・グローリーです。テン・コマンドメンツは少々変えるつもりです。
属性は剣士。剣を変形することにより、様々な能力を得ることができる。
レイブという特殊な剣で、十種類の形に変えることができる。現段階では六種類が限界。
第一の剣・アイデンメテオール。鉄の大剣。特に力を使う必要のない、一番オーソドックスな剣である。
第二の剣・エクスプロージョン。爆発を起こすことができる。
第三の剣・シルファリオン。超高速で斬ったり動いたりすることができる。
第四の剣・ルーンセイブ。物体のないもの(魔法など)を斬ることができる。
第五の剣・ブルー・クリムソン。赤の炎の剣と、青の冷気の剣。唯一の二刀流。
第六の剣・メル・フォース。風を起こすことができる。
110 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:45
ヒトミ=ヨシザワ
ある時から帝国兵に志願して兵士をしていたが、ある日突然イイナー症にかかってしまう。
当時はヴィクトリー草の存在を知る者は少なくて、金と銀の狼男を倒して血を飲むことしか、
治療法が存在しなかった。しかし、狼男を倒すことはかなりの命がけだった。そのために
大金を支払う必要があったのだが、当時のヒトミにはそんな大金を持っていなかった。
ただただ死を待つのみとなってしまったヒトミは、あらゆる手を捜したが結局見つからずに
症状が出てきてしまった。そんな時、帝国にきていた天才少女が手と足を切り離して機械の体にすれば、
病気の症状を止められると聞いて迷うことなく手術してもらった。そして何年かたったある日、
皇帝が変わってしまった。無理がある命令や、兵士に対し冷たい態度をとっていた皇帝に見限ったヒトミは、
魔物討伐の際に逃げ出した。そして、特にあてのない旅をしているときにマキと出会う。
111 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:47
モデルは・・・烈火の炎の呪です(よっすぃ・・・ごめん!)
あとはBlack Catのトレインです。
属性は射撃手。射撃のプロで、遠距離攻撃を得意とする。腕と足は機械であり、
防御力が長けている。武器はヒトミ専用の銃。接近戦ではナイフを使う。
レールガン・ヒトミの指を銃と接続することにより、ヒトミの生命エネルギーを注入することにより、
強力な弾を放出することができる。しかし、十秒程時間がかかる。
112 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:51
リカ=イシカワ
リカは母と姉と妹の、四人家族で暮らしていた。父はリカが小さい頃に病気で死んだ。
リカの母は銀職人で、そのためリカ達姉妹は銀を操ることを得意としていた。
リカは家族や村を魔物から守るために、銀を用いる武術を独自で編み出していた。
そんなある日、リカの母がイイナー症にかかってしまう。近くの町の薬屋に薬を頼むとしても、
かなりの時間がかかってしまうらしい。母の容態が悪くなっているのが嫌だったリカは、
銀を手にして狼男がいると言われている山へと向かうことにした。血を分けてもらえればいい、
万が一の場合は倒してでも手に入れてやると決意をして。一日かけてやっと目的の山へと辿り着くと、
休むことなく洞窟の中へ入っていく。奥のほうまで進んでいくと、とうとう銀の狼男を見つける。
しかし、いきなり襲われたために結局戦って血を手に入れることにした。狼男と戦っていると、
途中部屋の扉が開かれる。そこに現れたのはマキとヒトミであった。二人の話しを聞いているうちに、
母のように苦しんでいる人達を助けたい、そう思うようになりマキ達と共に旅をすることにした。
113 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:54
モデルはRAVEのムジカと、SAMURAI DEAPER KYO(以下KYO)の紅虎です。
基本はムジカですね。
属性は銀術士。銀の形態を変えることにより、多種多様な攻撃・防御ができる。基本は槍。
壱の突・寸。槍を鋭くしてリカの突進力により、強力な衝撃波を放つ。
弐の突・伸。銀を伸ばすことにより敵を突き刺したり、捕らえたりすることができる。
参の突・捻。銀をねじって突きに回転を起こすことにより、竜巻を発生させる。
114 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:57
ノゾミ=ツジ
最初の記憶は、森の中で木の実を食べているところだった。自分がどこにいるかもわからない、
ただ自分が着ている服にノゾミ=ツジとだけ書かれてあった。それが自分の名前なのだろうと思い、
考えるのはやめにした。どこまで歩いても森の中、魔物や動物に襲われることもよくあった。
しかし、ノゾミは生まれながらにして持っている豪腕により、向かってくる敵は全て拳で倒していった。
そのうち動物と話せるようになっていた。さらに動物の力を吸収できるようにもなっていった。
そして動物と共に森の中で過ごしていた。ある日、ノゾミは森の奥深くまで歩いてみようと思い、
先の先まで進んでみると森の外に出てしまった。ノゾミにとっては未知の世界、ノゾミは興味津々で世界を歩き回っていた。
歩いていくうちに夜になり、お腹がすいたと思っている時に熊が襲ってきた。説得したが強暴で聞く耳持たなかったために、
その熊を素手で倒して焼いて食べた。そのあと、眠気が増してきてしまったためにその場で寝てしまう。
気持ちよく寝ていると、マキ達に起こされた。そしてノゾミの新たな旅が始まっていく。
115 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 02:59
モデルはGetBackers(以下GB)の士度です。通常時でも腕力はメンバー1です。
属性は格闘家。とはいっても、完全に自己流である。
百獣擬態・剛熊擬。熊の力により、腕力を高められる。
百獣擬態・速猿擬。猿のようにすばやく動ける。崖や壁なども上ることができる。
116 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:49
ナツミ=アベ
ホウラン王国の第一女として姫の称号を授かる。心が綺麗なナツミは、
争いが嫌いでいつも妹と喧嘩しても自分から折れていた。誰よりも優しい笑顔を
振りまく彼女は、町の人々から天使の様な存在とされていた。ナツミは誰かを
助けるときに戦うことではなく、常に回復できたらいいと考え、白魔道士の道を選ぶ。
姫でありながら自ら兵士と共に、隣町までの買い物に行く途中に魔物に襲われる。
そこで偶然近くにいたマキに助けられた。ナツミは自分も困っている人を助けてあげたい、
そう思うようになってより一層白魔道の勉強をする。自分がマキの力になれたらいい、
その思いがナツミを強くしていった。そして、旅に出る前にサッポロ城からきていた仲のよかった
カオリに話しをすると、彼女もついていくと言う。そして二人は城を抜け出して、マキの元へ向かっていった。
117 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:49
モデルはFF(ゲーム)の白魔道士ってとこです。攻撃魔法をいくつか加えてあります。
属性は言うまでもなく白魔道士。回復系がメイン。
回復魔法。たいていの傷なら回復できる。
リフレク・魔法をはね返すことができる。しかし、特殊魔法は無理のようだ。
ライトボール・光の弾。白魔道士の基本的な攻撃呪文。闇属性の敵に効果的。
融合魔法・カオリと魔法を合わせることで、強力な特殊魔法を放つことができる。
今のところは全てを焼き尽くす炎の鳥、フェニックス・アローのみである。
118 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:51
カオリ=イイダ
サッポロ王国の第一女として姫の称号を授かる。カオリは幼い頃から一人がちになりやすく、
親にもなかなか心を開かなかった。よくわからないことを急に話したり、
どっか遠くへいってしまってぼーっとすることが多かった。ある日、初めてホウラン王国へ
行ったときにナツミと出会うことにより、次第に心を開いていく。そしてナツミが回復するなら
自分は前線で戦う、ということにより黒魔道士となる。ナツミがマキの元へ
向かうということを聞いたとき、今度はナツミを自分が救う番だ、と考え共に旅に出ることにする。なんとか護り人の目を盗んで城を抜け出して、ナツミと共にマキの元へと向かっていった。
119 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:52
モデルはナツミと同じくFFの黒魔道士ってとこです。
属性は黒魔道士。攻撃魔法がメイン。
ファイアーボール・小さい炎の弾。
フレイムボール・ファイアーボールを超える大きさの弾。
エアーシューター・風を巻き起こし、何でも吹き飛ばすことができる。
フレア・ボムズ・特大の炎の弾。全てを燃やし尽くすことができる。
フリーズプレッシャー・当たった者を全て凍らせてしまうことができる。
120 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:53
マコト=オガワ
マコトは、普通の家庭で育った元は明るい少女だった。しかし、魔物の襲来があった時に
両親を失くす。二度と大切な人を失いたくないと思い、人を守ることのできる剣士を目指す。
一人旅をしながら強くなってはいたが、逆にマコトの明るさは消えていった。そんなある日、
近くにあるダンスサイトの町が、よく魔物に襲われているという情報を聞いたマコトは、
魔物から町を守るためにすぐに旅立った。そして、何日か町を魔物から守っている時に
マキがマコトの元へと訪れる。マキと別れたあとの詳細は不明。
121 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:54
モデルは特にありませんね。オリジナルですか。
属性は魔法剣士。魔法を直接放つことはできないが、剣から放つことはできるという
ちょっと変わった剣士。
魔法剣・剣に魔法を宿すことにより、攻撃力を上げる。
吸収・魔法を剣に吸収させることができる。ただし、一回吸収したらその魔法を
放たないと吸収できない。
砲撃・剣に宿った魔法を放つことができる。
122 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:55
マリ=ヤグチ
小さい頃から父と二人暮らしだったマリは、それなりに幸せな生活を送っていた。
しかし、町に魔物が攻めてくるようになって父も戦うようになっていった。
町の責任者が帝国に協力の要請を何度も頼んだが、皇帝は兵をよこさなかった。
そのため、魔物に町は燃やされてしまい、マリは父を亡くす。マリは帝国に復讐を誓い、
一人で魔物と戦いながら強くなっていった。数年後、マリが立ち寄った町は、
まるでマリが住んでいた町と同じような状態で、町がぼろぼろになってても兵の姿は全く見えなかった。
そんな帝国についに怒りが頂点に達して、マリは帝国を滅ぼしに向かった。帝国に入る前に
三人の兵士に止められたが、マリは強引にも入ろうとしていた。そこにマキ達が助太刀に入った。
帝国との一件を終えたあと、ケイと出会ってマリは考えを改める。マキ達と別れたあとはケイの様子を
見ることにして町に残ったが、果して・・・・。
123 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:56
モデルはRAVEのシュダ・・・ですか?シュダとは全然違うタイプになってるんで、
やっぱりご想像にお任せします(笑)
属性は剣士。爆発を起こすことができる。

爆発術・好きなとこに爆発を起こせる。
爆発剣・斬る、爆発の両方を同時に当てることにより、攻撃力が倍増する。
124 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 21:59
ケイ=ヤスダ
幼い頃から帝国兵として戦っていたケイは、若くして司令官という位置まで上り詰める。
剣術、槍術、射撃、もちろん鞭術と全てにおいて一流の兵士であり、何があっても冷静で迅速に、
正確な判断をして命令することができ、誰にでも厳しかった。もちろん自分にも厳しかったが、
人を想う優しさを持つケイは兵士達は誰もが敬っていた。ある時から皇帝の様子がおかしくなったと
思っていたケイは、皇帝と話しをしたかったがいつも断られていた。しかし皇帝に忠実なケイは、
真実を知るまでは命令に従っていた。そんな中、七人の侵入者が入ったと聞いて、ケイは皇帝を守るために
戦いに赴いた。そこでマリの話しを聞いて、皇帝に裏切られていたとわかる。マリに刺されて町で休んでいたが、
今後はどう動くのか・・・。
125 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 22:00
モデルは封神演義の聞仲って感じですね。鞭を振るう攻撃を得意としています。
属性は鞭術士、指揮官。全てにおいて一流の兵士であり、正確な指揮をとることができる。

鞭術・誰も寄せ付けられないような、正確に音速の速さで敵を葬ることができる。
ナイフ・左手でナイフを放つことにより、完全に死角を消すことができる。
    基本的にはナイフを投げて敵を倒す。魔法の流れを読んで、魔法を打ち消すこともできる。
126 名前:konkon 投稿日:2004/06/20(日) 22:01
今日はここまでです。
次当たりから、アヤミキについて書いていきたいと思います。
127 名前:konkon 投稿日:2004/06/23(水) 21:28
三騎士(エリ・サユミ・レイナ)
マキ達が帝国に乗り込むよりも前の話し、ある日三人の少女が帝国に志願してきた。
最初は誰もが無理と思っていたが、少女達の力はどの兵士よりも郡を抜いて高かった。
そのため、ほんの一月程で三騎士の座に居座ることになる。司令官のレベルまで
実力はあったかもしれないが、中身はまだ子供っぽいところがあった上に、
だるい、めんどくさい、という理由からその場で留まった。しかし実力は本物で、
レイナにいたっては真剣勝負で右に出る者はいなかった。一度だけケイがレイナと
試合をしたことがあり、その時はぎりぎりケイが勝った。だが、ケイには本気を
出しているとは思えなかった。本当の力を抑えているのでは、と思わせるくらいの強さを持っている。
128 名前:konkon 投稿日:2004/06/23(水) 21:31
また、サユミは魔法を使わせれば一つの町が消える、と言われる程の魔力を持っている。
エリは三人の中ではとりあえずリーダーであり、誰もなしえない特殊魔法を持っているため、
敵からしたら守りようのない魔法を使える。さらに召喚魔法を覚えていて、強力な霊獣を
呼び出すこともできる。三人がチームとなった時にはまさしく最強のグループであり、
三人で世界を破滅させられるのではないか、と思わせる力を発揮する。レイナが最高の
剣技で敵を攻めて、レイナとサユミで魔法でフォロー、もしくは敵をせん滅させることができる。
現に、ダメージがあったとしてもマキ達七人(ケイを除く)が皇帝に手こずっていたのに対し、
三人は皇帝を秒殺した。帝国を抜けた後はどこへ向かったかは誰も知らない。敵か見方か、彼女達は何者なのか・・・・

それぞれのモデルは特にはありませんね。今風な服装って感じでw
129 名前:konkon 投稿日:2004/06/23(水) 21:31
ここで、ミキとアヤの二人の現在に至るまでの過去の出来事を
書きたいと思いますのでよろしくです。
130 名前:konkon 投稿日:2004/06/23(水) 21:33
ミキ=フジモト(旧姓はミキ=ゴトウ)
モデルはもちろんRAVEのルシアです。それではどうぞ。
ミキは妹のマキと母、父の四人家族だった。ミキの住むゴトウ家は、
代々剣術を教えている道場で魔物と戦えるように剣術を教えている。
魔物を倒したいという人も多くて、この道場はけっこうはやっていた。
ミキとマキも小さい頃から剣を習っていた。父は厳しい人で、
稽古するときは絶対妥協しない人だった。もちろんミキとマキにも厳しかった。
だけど休みの日などはよく家族で遊びに行くこともあり、その時の父は優しかった。
そんな父がミキは好きだった。だから小さい頃から毎日のように剣を振っていた。
友達を作ろうともせず、ただひたすら修行をしていた。父に認めてもらうためだけに
全てを修行に費やしていた。そんなミキに試練が訪れた。ゴトウ家の跡継ぎを決めるための
試合をすることだ。一定の年齢に達した時に、跡継ぎを決めると昔から聞いていたので
特に驚きもしなかった。もちろん対戦相手はマキだった。姉だからということは関係なく、
強い者が頭首になる。それがゴトウ家の掟だった。
131 名前:konkon 投稿日:2004/06/23(水) 22:19
ミキとマキは
道場の中で対峙する。周りには父と母と、何人かの門下生が見ている。
武器は実際の戦闘に近くするため、竹刀ではなく木刀だった。
「手加減しないよ。」
「望むとこだよ。ミキ姉。」
二人は木刀を構える。ミキはこれで勝てれば父に認めてもらえる、
その気持ちだけが支配していた。そのためにも絶対負ける訳には
いかなかった。
「始め!」
父の合図で、二人は同時に走り出す。マキが木刀を振り上げる。
「はぁっ!」
「くぅっ!」
ミキが力を受け流しながら受け止めるが、それでもマキの力が強いため
ミキははじき返せない。
「調子に乗るなよっ!」
ミキは天性のセンスでうまく切りかえすと、反撃にマキの胸を突く。
だがマキはそれを読んでいて、木刀を上にはじく。
132 名前:konkon 投稿日:2004/06/23(水) 22:20
「なかなかやるね。」
「やっぱ強いね、ミキ姉は。けど負けないよ。」
それからしばらくの間は打ち合いとなっていた。お互いに決定打を狙えずに、
勝負が長引いていく。ミキは、マキのスキを見つけるのに必死になっていた。
「ちっ!」
マキの鋭い一撃が、ミキの頬をかすめる。ミキはお返しと言わんばかりに、
マキの眉間を狙って木刀を突き上げた。マキはそれをうまく反らすと、
勢いを殺さずに反転して斬りつける。これはミキの予想以上の動きだったために、
ミキは回避が間に合わない。
「(嫌だっ!お父さんに認めてもらうんだっ!こんなとこで負けられない・・・。)」
ミキに木刀が当たる寸前でマキの動きが止まる。マキの木刀が当たるより速く、
ミキの足の爪先がマキのわき腹をめり込ませていた。
「ぐっ・・・。」
「うらぁっ!」
ミキはマキの木刀をはじき、さらに肩でマキを吹き飛ばす。
マキが倒れたところを、首に木刀を向ける。
133 名前:konkon 投稿日:2004/06/23(水) 22:21
今日はここまでです。
134 名前:konkon 投稿日:2004/06/24(木) 21:18
「そこまでだ。」
父が試合を止めて、ゆっくりと二人に近づいてくる。
「(やったっ!これでやっとお父さんに認めてもらえ・・・。)」
「次の頭首はマキ、お前だ。」
ミキはその場に氷ついた。
「なんで私なの?ミキ姉が勝ったんだよ?」
マキはわかんないという顔をしながら立ち上がる。
「お前はミキを勝たせるために手を抜いたのだろう?違うか?」
「そんなことないよ!」
「いや、普段から練習しているお前を見ていればわかる。お前には才能がある。」
「えっと・・・」
マキは一瞬だけミキを見る。
「わかったな。時期頭首はマキだ。」
それだけ言って父は道場から出ようとする。
135 名前:konkon 投稿日:2004/06/24(木) 21:19
「待って!そんなの納得できないよっ!」
それまで固まってたミキが、動き出す。
「才能って何よっ!それじゃ、ミキは最初から頭首になれなかったっていうの!?」
父は振り向きもせずに道場を出て行く。
「おやめなさい、ミキ。」
それまで黙っていた母が口を開く。
「ゴトウ家頭首が認めたのは、あなたではなくマキなのよ。頭首の言ったことは絶対なの。
ミキは認められなかったのよ。あきらめなさい。」
「・・・・。」
ミキはしばらくその場から動けなかった。今まで自分ががんばってやってきたことが、
一瞬で消えてしまった。ふとマキの方を見ると、門下生に囲まれて祝福されていた。
マキと目があうと、ミキはいたたまれなくなって自分の部屋まで駆け出した。
136 名前:konkon 投稿日:2004/06/24(木) 21:22
その日ミキは、夕食も取らずに部屋に閉じこもって泣いていた。
「なんでミキじゃだめなの・・・才能がないだけでだめなの・・・。」
ミキは誰に言うでもなく呟く。
「私は・・・ただ認めてほしかっただけなのに・・・。」
ダンッ!
ミキが壁を殴りつける。何度も殴ったために壁はへこんでいて、
ミキの拳は血だらけだった。それでも気にせずに殴り続ける。
「もう・・・いいや。認めてもらえないなら何もいらない・・・。」
ミキは血に染まった自分の拳を舐める。
「ミキが認められない世界なら、ミキもこんな世界認めない。
全部ぶち壊してやる・・・フフッ、フフフフフッ・・・。」
137 名前:konkon 投稿日:2004/06/24(木) 21:23
ここまで更新です
138 名前:konkon 投稿日:2004/06/27(日) 01:31
翌日の朝、ミキは朝食をとっている家族がいる、居間に入っていった。
「ミキ姉・・・。」
マキは悲しそうな顔をしてミキに話しかける。
「マキ、朝ご飯はもう食べた?」
ミキは笑顔でマキに聞く。
「うん、食べたけど・・・。」
「お父さんとお母さんに話しがあるんだ。ちょっとだけ外に出ていてくれないかな?
すぐに終わるからさ。」
「うん、わかったよ。」
ミキの笑顔を見てほっとしたのか、マキは部屋から出て行った。
「そう、すぐに終わるからね・・・。」
誰にも聞こえないようにミキは呟く。
139 名前:konkon 投稿日:2004/06/27(日) 01:32
「何だ、話しというのは?」
マキとの話しを聞いていたのか、父がミキに話しかけてきた。
「お父さん、頭首になるのはあきらめるよ。だから一つだけ頼みを聞いてくれないかな?」
「そうか・・・で、頼みとは何だ?」
「ミキと真剣勝負をしてほしいんだ。」
「何?」
「ミキ、あなた何言って・・・。」
「納得がいかなきゃ落ち着かない、ミキの性格知ってるでしょ?どうしてもやってほしいんだ。
それで終わりにする。だからお願い!」
「そうか・・・分かった。」
「ありがとう。それじゃ、道場にいるから来てね。あ、お母さんも立ち会ってね。」
ミキはそれだけ言って部屋を出て行った。
140 名前:konkon 投稿日:2004/06/27(日) 01:34
ミキが道場に入ってから数分後、剣を手にした父と母が出てきた。
父がミキの前まできて対峙する。
「手加減したら許さないからね。」
「本気で言っているのか?」
「当たり前じゃん!ミキはいつでも本気だよ。」
ミキは笑いながら答える。
「どうなっても知らんからな。」
「(どうなっても知らん、だってさ。結局ミキなんてどうでもいいってことだよね。)」
「始めっ!」
母の合図で、二人は走り出す。父がミキに向かって剣を振り下ろす。
「(はあ?全然遅いじゃん・・・。)」
ミキはあえて父の剣を受け止める。
「(しかも全然弱いし、手加減してるとか?けど顔必死だしな〜・・・。)」
ミキは軽く受け流すと、構えを解いた。
141 名前:konkon 投稿日:2004/06/27(日) 01:36
「・・・何のつもりだ?試合を放棄するのか?」
父は眉間に皺をよせて普段より低い声で聞いてきた。
「いや、続けるよ。いいからかかってきてよ。それともこれで本気なの?」
ミキは挑発交じりに言い放つ。
「いいだろう!」
父はさすがに怒ったのか、剣を振り回してくる。ゴトウ家頭首なだけあり、
剣を振るごとに風圧が発生し威力もすさまじかった。しかし、それはあくまで
常人レベルの話しだった。ミキは父の剣を全て見切っていて、軽く受け流すか余裕でよけていた。
「(こんなんだったら、まだマキの方が強かったかな。もういいや。)」
ミキは向かってくる剣をはじくと、父の剣を持っている腕を蹴り上げる。
「ぐっ!」
父は思わず剣を放してしまう。落ちた剣をミキは道場の隅まで蹴飛ばした。
「・・・私の負けだ。」
「・・・・。」
ミキは父を睨み続けている。
142 名前:konkon 投稿日:2004/06/27(日) 01:37
しばらく睨み続けたあと、ミキが口を開く。
「どう、これでもマキを頭首と認めるの?」
「・・・お前は強い。だが、マキの才能には及ばな・・・。」
父の話しが途中で途切れる。ミキが父の首を斬り飛ばしたからだ。
「昨日から才能才能、いい加減うざいんだよ。」
ミキは吐き捨てるように呟く。
「なっ・・・。」
母はその場で固まっていた。父が娘に殺されたのを、信じられないといった表情だった。
「きっ・・・」
「はい、叫ばないでね〜。まだ人に来られると困るんだよ。」
ミキが母に向かって剣を投げつける。剣は母の胸を貫いた。母はそのまま倒れて動かなくなった。
「フフッ、これでうるさいのもいなくなったし、そろそろ行こうかな。」
ミキが母の胸から剣を抜くと、扉が開いていたことに気が付いた。
143 名前:konkon 投稿日:2004/06/27(日) 02:34
今日はここまでです
144 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/28(月) 22:17
密かに読んでいます。
続き楽しみです
145 名前:konkon 投稿日:2004/06/28(月) 22:25
<名無し飼育さん
ありがとうございます!
がんばりますのでこれからもよろしくです。
146 名前:konkon 投稿日:2004/06/28(月) 23:17
「ど、どうして・・・。」
そこには、ドアを開けたままマキがこちらを見て固まっていた。
「どうして・・・お父さんとお母さんを殺したの・・・?」
マキはゆっくりとミキに近づいていく。
「どこから見てたの?」
ミキはマキの問いに答えずに聞き返す。
「・・・ミキ姉の話しを聞いてたんだ・・・それで勝負するって聞いて・・・
ここで見てることにしてたんだ・・・。」
「ふ〜ん、頭首になろう者が盗み聞きか。悪い子ね。」
ドスッ!
ミキがマキの腹を突き刺した。
147 名前:konkon 投稿日:2004/06/28(月) 23:18
「なんでなの・・・ミキ姉・・・?」
マキはその場に倒れて動かなくなった。
「理由、答えてなかったね。うざいからだよ。それだけ。」
生きているかわからないマキに向かって、ミキはそう言った。
ミキは道場の隅に置いておいた荷物を持とうと腰を屈める。その時、
一滴の水滴が地面に落ちた。そこで涙が頬を伝っていることに気が付いた。
「まだまだミキも甘いんだね。もっと強くならなきゃ。」
ミキは涙を腕で拭って道場から出て行った。
148 名前:konkon 投稿日:2004/06/28(月) 23:19
「ん〜、もうちょっと実践だけしておきたいかな。けど町は後回しにするか。
楽しみは取っておいた方がいいもんね。」
ミキはそれからしばらくの間、町の北にある洞窟で魔物相手に修行をしていた。
修行といっても、ただ人を斬る練習をしていたといったほうが正しいかもしれない。
「そろそろいいかな。」
ミキは荷物を持って、自分の町へと戻っていった。町の入り口には、
ゴトウ家にいた門下生達が立っていた。門下生達はミキに気付くと駆け出してきて、
ミキを取り囲んだ。
「どこ行ってたんだよっ!?大変なことになったよっ!」
「ミキがいない間に師範達が・・・誰かに殺されたのっ!」
ミキはただ門下生達の話しを聞かないで、考え事をしていた。
「(さってと、ゲームの始まりだね。)」
149 名前:konkon 投稿日:2004/06/28(月) 23:20
ミキは剣を手に取って、前にいた門下生を斬りつけた。
門下生の上半身がバランスを失い地面に落ちる。
「なっ・・・!」
ミキは周りにいた門下生を楽しそうに斬りつけていく。
後ろにいてなんとか生き残った二人は、町に逃げようと走り出す。
「逃げたって無駄だよ。」
ミキは生き残った一人に剣を投げつける。さらに落ちていた石をもう一人に投げる。
剣が胸に突き刺さり門下生はその場に倒れ、石がもう一人の頭に当たって倒れてうずくまる。
ミキは剣を引き抜いて、うずくまっている門下生に近づいていく。
「た・・・助けて・・・。」
「無駄だって言ってんじゃん。どうせ皆死ぬんだからさ。」
ミキは門下生の首を斬り飛ばす。
「人間なんてもろいもんだね。フフフフフッ・・・。」
ミキは死んでいる人間を一瞥してから町の中へと入っていった。
150 名前:konkon 投稿日:2004/06/28(月) 23:22
今日はここまでです。
151 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/29(火) 06:23
朝っぱらから面白い小説発見。
敵キャラが強いので、主人公達が
どう成長していくのか楽しみです♪
152 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:31
ミキは人を見つけるごとに斬り殺していく。町に入ってから何人殺したのか、
ミキはもちろん数えてもいなかった。ミキのことを聞いて剣でかかってきた者もいたが、
ミキにかすることもなく殺されていった。
「ふ〜。まだいるよね。」
ミキの周りには人が全くいなくなっていた。ミキが通ってきた道には、
さっきまで人間だった肉の塊だけが落ちていた。町の人々はミキを恐れ、
家の中へと逃げ込んでいるようだ。
「いちいち入っていくのもめんどくさいし・・・そうだ、いいこと考えちゃった♪」
ミキは目の前にある、一件の家の前まで歩いていく。
「フフッ、エクスプロージョン。」
剣で家の壁を殴りつけ、爆発により火を起こす。その火が家を燃やしていく。
家の中で隠れていた人が、熱さに耐え切れず外に出てくる。そこをミキが容赦なく斬り殺した。
火を消す人も家から出て来れないため、次々と隣の家へと火が燃え移っていく。
153 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:33
「これで隠れることなんてできないよね。」
ミキはおもしろそうに火が燃え移っていくのを見ている。
「お、出てきた出てきた。」
隣の家に住んでいた人達が転がるように外に出てくる。
ミキを見ると一目散に逃げ出していった。
「逃げられたか、まあいいや。次はどこかな〜。」
ミキは家から出てくる住人を剣で斬り殺していった。あきらめたり
泣き喚いたり命乞いをしたり、もちろん抵抗してミキにかかっていった者もいたが
あっさりとミキに殺されていった。それが女でも子供でも関係なかった。
町全体がほとんど燃え尽きた頃には、ミキの周りには誰も立っていなかった。
町から逃げ出したか、もしくは殺されたか、だった。
「こんなもんか。次はどこに行こうかな〜。」
ミキは一つ欠伸をすると、西に向かって歩き出した。
154 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:36
ミキが町から出て何日か過ぎたある日のことだった。ミキは一つの町を見つけた。
「次はこの町でも壊そうかな〜。」
ミキはこの町に着くまでに、いくつかの町を滅ぼしていた。ミキはこの町も
壊していこうと思って入っていくが、人が誰もいなかった。どこの店も閉まっていて、
道を歩いている人もいなかった。
「ん、なんか聞こえる。」
ミキが声のするほうへ歩いていくと、公園が見つかった。そこにはたくさんの人達がいた。
たぶん町中の住人が集まっているのだろう。その中心にはお立ち台のようなものの上に兵士が何人かと、
鎖を縛り付けられたぼろぼろの一人の少女がいた。首には首輪のようなものがされており、
兵士に強引にも立たせられている状態であった。その少女を兵士が仰向けに寝かせて踏みつける。
「それでは、これから本日のメインイベント、魔物を終身刑にさせて見せたいと思います。」
155 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:38
人々は兵士に歓声を上げる。
「こんななりをしていますが、こいつは魔物と共にいました。
恐らくは人間を襲うために人の形をしているのでしょう。」
「ですがご安心ください!私達兵士がこんなもので騙されるはずがありません。」
「今まで私達を襲ってきた魔物の恨み、この魔物に皆さんの今までの恨みを
ぶつけたいと思います。」
兵士が腕を上げると、さらに人々は声を上げる。
「あううえ・・・うあおうあ・・・・。」
少女は何か呟いている。しかしミキには言っていることがわからなかった。
「(ばっかみたい、どう見てもあの子人間じゃん。たぶん魔物と一緒にいたから
言葉がしゃべれないんだろうな。)」
ミキは冷たい目で兵士を睨みつけていた。ふと少女と目が合う。その瞬間、
ミキは昔の自分と少女の姿が重なった。自分が家族にも町の人々にも
認めてもらえなかったように、彼女は人として認めてもらえていなかった。
彼女と自分は同じだ、そう思ったミキは考えるより前に走り出していた。
兵士が少女の首を斬ろうと剣を振り上げる。
156 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:39
「どけっ!」
町の人々を吹き飛ばしながらも兵士のいるところまで走っていった。
近くまで駆け抜けるとミキは高く飛び上がり、剣を振り上げていた
兵士の首を斬り飛ばす。
「う、うわぁ〜っ!!!」
「キャ〜〜〜っっっ!!!!」
町の人々が蜘蛛の巣を散らすように逃げていく。
「なっ、なんだお前は!?」
残った兵士達が剣を構えてミキに向かってくる。
「シルファリオン。」
ミキは残った兵士達の首を一瞬で斬り飛ばしていった。
周りにはもう誰もいなかった。
157 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:41
「あうういえ・・・。」
少女は震えながらミキを見上げる。
「もう大丈夫だよ。」
ミキは少女を縛っている鎖と首輪を剣で斬る。ミキは優しく少女を抱いた。
少女はどうやら泣いているようだった。
「・・・うおあいおお・・・」
「・・・ごめんね、何言ってるかわかんないけどもう怖がらなくていいよ。」
ミキは少女に優しい笑みを向ける。
「(やっぱり人間なんて生きてたってどうしようもないね。)」
少女がミキの顔を見た。その時、彼女の体が光り出した。その眩しさにミキは目を閉じる。
「(何!?どうしたのよっ!?)」
ミキが次に目を開けた時には、周りには何も無くなっていた。町も人も
全て跡形も無く消え失せていた。どこか似たような場所に移動したわけでもないらしく、
少女を中心に隕石が落ちたようなあとがあった。
158 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:43
「(この子がやったのかな・・・。)」
少女がゆっくりと立ち上がる。そして足をふらつかせながら歩き始める。
両手はお腹に乗せていた。
「ねえ、どこ行くのか知らないけどさ、そんな状態じゃいつ倒れるかわかんないよ。」
ミキは話せないと分かっていながら少女に話しかける。
「ほら、お腹すいてるんでしょ?ミキの持ってるやつ食べていきなよ。」
ミキは荷物から大量の食料を出していく。少女は食料を出しているミキに気付いて、
ゆっくりと近づいていく。少女は一つのパンを手に持って臭いを嗅いでいる。
「そんな怖がらなくても食べれるから安心していいよ。」
少女が一口だけ食べる。その直後、少女は勢いよくパンを食べ始めた。
パンを食べ終えると、次から次へと食料を手に取って食べていく。そんな少女を
ミキは嬉しそうに見ていた。三日分はあっただろう食料は全て無くなっていた。
159 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:44
「ありがとう、助かったよ。」
少女が人間の言葉で話してきた。それに少し驚きながらもミキは笑顔で首を振った。
「気にしなくていいよ。どうせそこら辺の町から奪った物だしね。
それよりどこに向かおうとしてるの?」
「・・・オロチを復活させる。世界中の人間を滅ぼすの。」
「オロチって・・・あのオロチ?」
昔、父が言っていたことを思い出す。最強最悪であり、全ての元凶であるオロチ。
十年ほど前に封印されたと聞いたけど、それを復活させようというのだ。
ミキは少し考える。
「もし、それが許せなくて私を殺すのならそれでも構わないよ。あなたに助けられた命だから、
あなたにだったら殺されてもいい。」
少女はミキを振り向く。ミキはまだ下を向いてぶつぶつと言っている。
160 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:48
「そっか〜、そういう手があったか。オロチを復活させれば簡単だったんだ・・・。」
ミキが突然顔を上げて、少女と向き合った。
「それじゃ、ミキも付いてく。」
「えっ!?」
「ミキもさ、こんな世界いらないって思ってたんだ。だから復活させるの手伝うよ。
ミキも行っていいかな?」
「・・・うん、一緒に行こう。」
少女は嬉しそうに何度も傾いた。
「ところであなた、何て名前なの?」
「私の名前はアヤ。・・・アヤ=マツウラ」
「私はミキ=ゴトウ、じゃなかった。ミキ=フジモトだよ。よろしく、アヤ。」
「うん、よろしくね。ミキ・・・。」
アヤは照れくさいのか、顔を赤くして歩き出した。どうやら北に向かうようだ。
ミキもアヤに並んで歩き始めた。
161 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:49
ミキ編終了です。
次からアヤ編に入りたいと思います。
162 名前:konkon 投稿日:2004/06/29(火) 23:51
>名無し飼育さん
朝から見てくれてありがとうございます。
まだまだ成長途中なので、まだまだ強くなっていくはずですよ。
163 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:02
アヤ=マツウラ

その少女は、気が付いたら二匹の魔物と共に過ごしていた。
少女は魔物といるのが当たり前だったので、魔物の言葉を理解していった。
魔物の話しによると、寒い冬の季節に赤ん坊だった少女を山で拾ったそうだ。
捨て子だったらしく、放っておくと寒さ死んでしまうところを拾ってくれたらしい。
この魔物達は希少種のようで、人間を殺すことに興味がないみたいで少女を
可愛そうと思って拾ったようだ。少女はアヤという名前と、人間という意味で
マツウラという苗字をつけてもらった。アヤはその名前をもらった時すごく嬉しそうに
はしゃいでいた。そこからは、ずっと三人で平和に過ごしていた。しかし、
ある日のことだった。アヤは水を浴びに湖にきていた。水浴びが終わって魔物の住処に
戻ると、兵士が自分の親である魔物を斬っていたところであった。魔物は倒れてうずくまっていた。
一匹はすでに血だらけで死んでいた。
164 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:03
「やめてよっ!なんでこんなひどい事をするのっ!?」
「うおっ!?」
アヤはとどめを刺そうとしている兵士を突き飛ばして魔物の様子を見る。
かなり深い傷のようで恐らくはもう助からないだろう。
「ひどいよ・・・私達が何をしたっていうのよっ!?」
アヤは泣きながら立ち上がって兵士達を睨みつける。
165 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:04
兵士達は驚いたような表情でアヤを見ている。
「なんだ、こいつは?」
「何言ってるかわからんし、魔物の仲間なんじゃないのか?
確か人間の格好をした魔物っていただろう。」
「なるほどね。そういうことなら殺しても構わないか。」
「待てよ、殺さないで生け捕りにしよう。いい事を思いついた。」
「ふ〜ん、分かった。」
兵士はアヤを蹴り飛ばす。
「痛っ・・・。」
アヤが腹を押えて呻いてるところをさらに蹴り上げる。
「やめ・・・やめてよ・・・。」
アヤの言うことも気にせずに兵士は蹴り続ける。何発目かの蹴りで
アヤは意識を失った。
166 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:05
「うっ・・・。」
気が付くと体中が痛かった。首輪のようなものを付けられて、
鎖を馬に付けて引きずられていた。
「痛いよ・・・放してよーっ!」
アヤは馬を引いている兵士に大声で叫んだ。
「ん、魔物が目を覚ましたみたいだぞ。」
「うるせぇな。訳わかんないことばっか言ってんじゃねえよ。」
「しっかし考えたな。町で殺して見世物にするとはね。」
「そうすりゃ町の住人からの俺達の信頼感が上がるって訳よ。」
兵士達はアヤを気にすることなく大声で笑い上げていた。アヤは必死に
ずっと痛みに耐えていた。町に着くと、アヤは引きずられて真っ暗闇の
牢屋に閉じ込められた。
167 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:07
「やだよっ!こんなとこから出してよーっ!」
アヤは気力を振り絞って、牢屋の扉にぶつかった。だが、扉はビクともしない。
アヤはその場に倒れ込んだ。
「なんで私がこんな目に・・・。」
アヤは殺された魔物達のことを思い出していた。一つ思い出すたびに、涙が出てきた。
「人間なんて・・・嫌いだ・・・。」
それだけ言って、アヤは眠りについた。
アヤは牢屋に何日も閉じ込められていて、衰弱死しそうになっていた。
そんな時、突然牢屋の扉が開いた。アヤがゆっくりと目を配らせると、
何人かの兵士達が入ってきた。
「これからショーの始まりだぜ。さっさと出ろよ。」
兵士はアヤの首輪を引っ張って、強引にも外へ連れ出した。アヤはまともに
歩くこともできない程弱まっている。それでも気にせず兵士はアヤを
引っ張り続けていく。公園に入って鎖で縛られる。周りには人だかりができていた。
168 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:09
「さってこれから本日のメインイベント、魔物を終身刑にさせて見せたいと思います。」
兵士が周りにいる人々にそう言うと、歓声が返ってくる。アヤにはわからなかったが、
恐らく喜んでいるんだろう。自分が死ぬことを。
「こんななりをしていますが、こいつは魔物と共にいました。恐らくは
人を襲うために人の形をしているのでしょう。」
「ですがご安心ください!私達兵士がこんなもので騙されるはずがありません。」
「今まで私達を襲ってきた魔物ども、そこでこの魔物に皆さんの今までの
恨みをぶつけたいと思います。」
兵士が腕を上げると、さらに大きな声が返ってきた。
「私は・・・人間だよ・・・。」
アヤは少し顔を上げて観衆を見た。そこで一人の少女と目が合った。
「(あの人、私と同じ目をしてる。)」
兵士が首をはねようと、剣を振り上げる。そこに、先ほど目が合った少女が
人を掻き分けて向かってきた。近くまでくると飛び上がって、剣を振り上げた
兵士の首を斬り飛ばした。観衆達は悲鳴を上げて逃げていく。少女は兵士達を殺し終わると、
アヤに向かって歩いてくる。
169 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:11
「あなたは・・・?」
「もう大丈夫だよ。」
ミキは問いに答えずにアヤを縛っている鎖を切っていった。少女はアヤを
優しく抱き上げる。その温もりにアヤの目から涙が出てきた。
「・・・・ありがとう・・・。」
「・・・ごめんね、何言ってるかわかんないけどもう怖がらなくていいよ。」
アヤにも少女が何を言っているかはわからなかったが、怖くはなかった。
アヤが少女の顔を見ると笑顔を見せてくれた。その瞬間、アヤの心の奥底に
眠っていた力が目覚めた。
「(人間なんて滅んじゃえっ!)」
アヤが力を解放すると、体中が光っていく。アヤを中心に周りにあるもの全てを
かき消していった。ただ、ミキ一人だけを除いては。一瞬で町一つがなくなっていた。
170 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:13
「(そうだ、オロチの力で全ての人間を滅ぼしてやる。)」
アヤは足をふらつかせながらも、オロチのいる洞窟を目指して歩き始める。
不思議と痛みはなかったが、ものすごい空腹だったためについ両手を腹に乗せていた。
「ねえ、どこ行くのか知らないけどさ、そんな状態じゃいつ倒れるかわかんないよ。」
少女がアヤに話しかけてきた。アヤはゆっくりと少女を振り返る。アヤは少女の
言っていることが分かるようになっていて驚いていた。
「ほら、お腹すいてるんでしょ?ミキの持ってるやつ食べていきなよ。」
少女が荷物からいろいろと出していく。アヤはそれに興味を持ち、少女に近づいていった。
アヤは一つのパンを手に持って臭いを嗅ぎ始める。
「そんな怖がらなくても食べれるから安心していいよ。」
アヤは一口だけ食べてみた。
「(おいしいっ!)」
アヤは勢いよくパンを食べ始める。パンを食べ終えると、次から次へと
食料を手に取って食べていく。アヤは出された食料を全て食べつくした。
171 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:14
「ありがとう、助かったよ。」
その言葉に少女は少し止まっていたが、笑顔で首を振った。
「気にしなくていいよ。どうせそこらへんの町から奪ったやつだしね。
それよりどこに向かおうとしてるの?」
「・・・オロチを復活させる。世界中の人間を滅ぼすの。」
「オロチって・・・あのオロチ?」
人間からしたら復活させたくないだろう。しかし、アヤはなぜか口に出していた。
話さなければ不安にさせることはなかったはずなのに。けど、アヤはこの少女に
嘘をつきたくなかった。顔を上げない少女にアヤは一つの決心をした。
「もし、それが許せなくて私を殺すのならそれでも構わないよ。あなたに助けられた
命だから、あなたにだったら殺されてもいい。」
どうせ一度はなくした命、この少女に殺されるならそれでもいいや、と思った。
少女は何やら下を向いてぶつぶつと言っている。
「そっか〜、そういう手があったか。オロチを復活させれば簡単だったんだ・・・。」
少女が突然顔を上げて、アヤと向き合った。
172 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:16
「それじゃ、ミキも付いてく。」
「えっ!?」
「ミキもさ、こんな世界いらないって思ってたんだ。だから復活させるの手伝うよ。
ミキも行っていいかな?」
「・・・うん、一緒に行こう。」
自分の言っていることを初めて認めてもらえる人間に出会えた。それがアヤは
すごく嬉しかった。アヤは無意識のうちに何度も傾いていた。
「ところであなた、何て名前なの?」
「私の名前はアヤ。・・・アヤ=マツウラ」
「私はミキ=ゴトウ、じゃなかった。ミキ=フジモトだよ。よろしく、アヤ。」
「うん、よろしくね。・・・ミキ。」
アヤはミキの名前を呼んで、嬉しさで恥ずかしくなってしまった。照れ臭さを隠すために歩き始めた。
ミキもアヤに並んで歩き始めた。
173 名前:konkon 投稿日:2004/07/01(木) 23:16
更新しました。
あと少しアヤミキを書いてから第二章へと
入っていきたいと思います。
174 名前:konkon 投稿日:2004/07/02(金) 23:10
数日後、アヤとミキはオールライトの洞窟に辿り着いた。二人が歩いている途中に
いくつかの町があり、ミキが破壊していこうとアヤに言った。だが、アヤはそれを
やんわりと拒んだ。オロチを復活させて、人間に恐怖を植えつけてから殺してやろうということだ。
ミキはあっさりと了承した。その方が面白そうだったからだ。
「ここにオロチが眠ってるの?」
「うん・・・ここからすさまじいエネルギーを感じるもん。」
二人は洞窟の中へと入っていった。
洞窟を進んでいくと魔物が攻めてきた。だが、アヤが睨むと
魔物は途中で身を引いていった。本能的にアヤの力を恐れたのだろう。
二人は気にすることもなく最奥の部屋まで進んでいった。
175 名前:konkon 投稿日:2004/07/02(金) 23:11
「これにオロチが封印されているのね・・・。」
「へ〜、面白いじゃん。こんな物にね〜。」
二人が見ているものは、部屋の隅に飾られている一つの水晶だった。
アヤは迷うことなくそれに触れようとする。触れようとした直後に、
水晶が光り出しアヤを吹き飛ばした。ミキは吹き飛ばされてきたアヤを抱き止める。
「なるほどね。これはちょっと手強いかな・・・。」
「ちょっとやらせてみて。壊せばいいんでしょ?」
ミキが剣を構えて水晶に向かって大きく振りかぶった。
「これならどうだ!エクスプロージョン!」
しかし、水晶に当たる寸前でミキも吹き飛ばされた。今度はアヤがミキをかばう。
「あちゃ〜、だめっぽいね。どうすんの?」
176 名前:konkon 投稿日:2004/07/02(金) 23:12
「なんとか封印を解くよ。けっこう時間がかかりそうだけどね。」
アヤは先ほどと同じように水晶の前に手をかざす。今度は手を触れないで、
魔力を放出して壊そうとしているようだ。
「どんな感じ?」
「ん〜、まだまだ時間はかかるみたい。けど壊せないことはないと思うよ。」
「まあそんなもんでしょ。簡単に終わらせるのもつまんないし、ゆっくりやってこうよ。
その間はミキが守るからさ♪」
「フフッ、期待してるね。」
それから、後にアヤはオロチの封印を解くことに成功する。そして、マキ達の希望を
砕け散らして闇の世界を招き入れたのであった。世界を滅ぼすために・・・。
177 名前:konkon 投稿日:2004/07/02(金) 23:13
第一章終了です。
次から第二章に入りたいと思います。
178 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 19:53
ここからが第二章です。
全員出演させるつもりですのでよろしくです。
179 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 19:53
第二章 守りたい人
180 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 19:54
護り人
181 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 19:55
「ん・・・ここは?」
起きてみると、ベッドの上だった。
「お、気が付いたみたいやな。あんた二日も寝てたんやで。」
二十代くらいに見える金髪の女性が部屋に入ってきた。
「あなたは・・?」
「うちはユウコ=ナカザワや。鍛冶屋をやっとる。あんたうちの外で倒れておったんや。」
「ありがとう。私はカオリ=イイダです。あ、いけない!」
カオリは、立ち上がって部屋から出て行こうとする。
「そんな慌ててどこ行くんや?ゆっくりしいや?」
「ごめんなさい。でも、私は行かなきゃいけないの。」
「・・・オロチを倒しにか?」
「どうしてそれを!?」
「なんとなくや。オロチの気配がするからな。」
「あなたは一体・・・?」
ゆうこはカオリから目を離して、窓の外を向いて話し始めた。
182 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 19:59
「もう十年も前になるわな。オロチが復活して闇の魔物が世界を滅ぼしていった。
うちは仲間を集めてオロチを倒しに旅立ったんや。そしてとうとうオロチのところへ辿り着いた。
その時にはうち一人だけになってしまってた・・・仲間のためにも絶対倒してやるって思ってた。
けど、オロチの力は強大すぎて手に負えなかった。せやからうちは全部の力を使ってオロチを
封印することにした。しかし、こうも早く封印が解けてしまうとわな〜、思いもよらなかったで。」
「なら・・・私達と、もう一度一緒にオロチを倒そうよ!?」
「言ったやろ?うちの力は全部使い果たしてしまってもうないんや。普通に生活するんが限界なんや。」
「そっか・・・ごめんなさい。」
「謝ることないで。オロチを倒すって思う人に会えてよかったわ。」
そう言って、カオリの目をじっと見つめる。
「あんたいい目をしてるわぁ。きっと倒せるよ。」
「・・・うん。本当にありがとう。」
カオリはベッドから降りて部屋から出る準備をする。
「あなたのためにも、世界のためにも私達が絶対オロチを倒すから。待っててね。」
「おおきに・・・。気いつけえや。」
カオリが出て行くのを見送ると、ベッドに腰掛ける。
「任せたで・・・。」
183 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:00
「トライデントサンダー!」
三匹の巨大いのししを雷で丸焼きにする。
「敵が強くなってる・・・早くオロチを倒さなきゃやばいよね。」
さらに攻めてくるいのしし達に向かって、再び雷を落とす。しばらく歩くと、
自分の生まれ育った城、サッポロ城が見えてきた。
「よかった〜。無事だったんだ。」
カオリは早足で自分の城へと入っていった。城に入るとみんなが歓喜に包まれた。
が、どこか浮かない顔をしていた。
「なんかあったの?」
カオリが近くの兵に聞いてみる。
「それが・・・ナツミ姫が・・・」
「ナツミがどうかしたの!?」
ナツミは城の近くに倒れていたらしく部屋で寝ているらしい。部屋の場所を聞き出して、
走ってナツミのいるところへ向かった。
184 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:01
「ナツミ!!」
部屋に入ったとたん、大声でナツミを呼んだ。
「カオリ姫、どうかお静かにしてくだされ。」
ナツミはベッドで寝ていた。が、どこか様子がおかしい。
「ちょっと、ナツミどうしたのよ!?」
医者らしき人に怒鳴りつけるように聞く。
「・・・ナツミ姫は今、イイナー症に犯されているようです。」
「イイナー症ですって!?」
ヒトミやリカの母が犯されたという最悪の病気にナツミは犯されてしまっていた。
185 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:01
「あのなんでも治すっていうビクトリー草は!?」
「それが・・・今はうちの城には置いてないんです。闇の世界になって
しまったために他の町の所在がわからないため、薬を買うこともできないんです・・・。」
「ナツミがこの病気になってから何日たったの?」
「わかりませぬ・・・助けたときからこのような状態でして。」
「・・・確か裏山にビクトリー草が生えてるって噂を聞いたことがあるわね。」
「なりませぬぞ!あの山に入った者は、生きて帰ってこれぬと聞いてますぞ!」
「ならこのままナツミを放っておけっていうの!?私は行く!」
そう言ってカオリは部屋から飛び出した。
186 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:05
山の中は魔物で埋め尽くされているように、何匹もの魔物がカオリを襲っていく。
「フレア・ボムズ!」
猿の大群を炎で焼き尽くす。
「エア・スラッシュ!」
空から攻めてくる大鳥に向かって真空波を放ち、切り刻んでいく。
「まだまだ、エレクトリックブラスト!」
さらに、周りを囲んでくる魔物達を雷の嵐が襲う。
「ハアッハアッ、私は・・・ナツミを助けるんだ・・・。」
次々に襲ってくる魔物を魔法で倒していき、先へと進んでいく。すると、
周りの木々が腐食してきたのに気が付いた。奥には巨大な花の魔物が住み着いていた。
以前にマキ達が倒した魔物と同類だろうが、大きさははるかに上回っていた。
187 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:06
「これが最後の魔物かな・・・。」
魔物がカオリに気付き、数十本もの鋭利になったつるを飛ばしてくる。
「くっ、フレア・ボムズ!」
しかし、魔法が出てこなかった。
「ならばフレイムボール!」
炎の塊が、向かってくるつるを燃やしていく。
「(魔力が・・・切れちゃった・・・。)」
魔力が切れた魔道士は、ただの一市民に等しい。カオリが魔力が切れて一瞬止まった
スキを狙ったかのように、つるがカオリの右肩をえぐり吹き飛ばす。カオリは木に
打ち付けられて気を失った。
188 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:17
「ねえ、名前なんて言うの?」
小さい頃、親に知らない城へ連れていかれた。別にこんな城に興味もない。
親が自分の都合できたまでだ。つまんない。私のことなんかどうでもいいんだ。
そんなことを考えながら城を勝手に歩き回っていた。そんな時、一人の少女が声をかけてきた。
「ねえ、私の名前はナツミって言うんだ。あなたはなんていうの?」
「・・・カオリ。」
「カオリちゃんか。ね、一緒に遊ぼうよ。」
ナツミが手を差し出してきた。別に無視してもよかったんだけど、彼女の笑顔を見ていたら
無意識のうちに手を握り返していた。彼女の手は暖かかった。彼女と出会ったことで、
彼女が自分の心の闇を照らしてくれたんだ。カオリは目を覚ます。
189 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:18
「ナツミ、あんただけでも助けるよ。私の命をかけてもね。」
右肩の傷も気にせず、カオリは魔法の詠唱を始める。
「城まで私の命が持ってくれればいいけどね。」
カオリは軽く微笑した。彼女の体が次第に赤くなっていく。
「私の最後の魔法だよ。ありがたく受け取りな!」
カオリは魔物に向かって走っていった。魔物のつるがカオリを襲う。
「(バイバイ。ナツミ。今までありがとう・・・。)」
190 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:21
カオリとつるがぶつかる瞬間、つるが地面に落ちていった。
「やれやれ。何しとんのですか〜、カオリ姫?」
声がしたほうを振り返ると、一人の少女が右手に刀を持って木に寄りかかっていた。
「あなたに死なれたらうちが困るんですって。」
「アイ!あなたがなぜここに・・?」
「あなたがいなくなって、世界中を探し回ってたら異変が起こって吹っ飛ばされるわ、
帰ってみたら裏山に姫がいるから助けに行けやら、ほんと大変やわ〜。」
「ごめんなさい・・アイ。」
「とりあえずあれをなんとかしよってんならうちがやりますわ。」
そう言って左手の掌を前に出す。すると、アイの掌が光り始めた。カオリの肩に軽く触れると、
傷口が光って少しずつ塞がっていった。
「あくまで応急措置なんであまり動かんように。」
191 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:23
魔物は再びアイに向けて、つるを伸ばしてきた。が、先ほどと同じように一瞬で切断していった。
魔物には何が起こったかもわからず、さらに何十本ものつるをアイに向ける。
「むだやって。んなもん効かんわ。」
アイがその場から消える。すると、次の瞬間には向かってきた何十本ものつるが全て切られていた。
「こっちやで。」
アイはいつのまにか魔物の後ろにいた。魔物がアイに気付く頃には、再生し始めていたつるが、
また全て切られていた。チャクラを利用した超高速移動攻撃、それがアイの武器だった。
チャクラは忍者だけが持ち得る力で、その力を技にかければ先ほどのように回復することができたり、
様々な技に応用できたりする。また、拳に宿わせれれば岩をも砕く力を発揮するらしい。
それをアイは足にチャクラを溜めて使うことにより、人の目にも写らないような速さで動き、
一瞬で敵を斬るというアイにしかできない技を編み出していた。魔物の再生速度を超えているため、
つるが伸びきる頃には切られている。魔物には何をされたかすらわかっていなかった。
またアイが消えた。ように魔物の目には見えた。魔物が周りを見渡すと、
アイは魔物のすぐ目の前に立っていた。
192 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:25
「さって終わりやよ。火とんの術。」
花が勢いよく燃えていき、すぐに塵と化した。アイは奥にあるビクトリー草を
引き抜くとカオリの元へと歩いて行った。
「カオリ姫!」
アイの声は半分裏返っていた。
「ごめんなさい!」
カオリが頭を下げる。何も言われないことを不思議に思って顔を上げると、
アイが片膝を地面につけて頭を下げていた。
「・・・アイ?」
「本当にご無事でよかった・・・。あなたを守りきることが、うちの全てなのです。
瀕死の状態であったときにあなたのお父上に助けられ、あなたを守ってくれと
言われてからはあなたを守ることだけがうちの生きがいなのです。どうかあなたは生きてください。
死ぬのはうち一人で十分ですから。」
アイは下を向きながらそう答える。
193 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:26
「うん、ごめんなさい。今度からは気をつけるよ。」
「はい。」
「アイ、お願いがあるの。あなたも手伝ってくれないかな?私、世界を守りたいの。」
「・・・だめです。」
「アイ・・・。」
「お願いではなくご命令を!あなたのためならどのようなことでもしてみせます!」
「・・・フフフッ、ありがと。」
カオリはうれしそうに笑う。
「んじゃ一つ命令ね?」
「はい、どのようことでもお申し付けください。」
「カオリを呼び捨てにして敬語を使わないこと♪」
「なっ!?それは・・・」
「どんなことだってしてみせるんでしょ?もしかしてアイってば口だけなのかな?」
カオリがいじわるそうに言う。
「ぐっ・・・・わかりま・・・わか・・・った。・・・カ・・・カオリ・・・。」
「うん、素直でよろしい。んじゃナツミのとこへ早く戻ろう!」
そう言って二人は歩き始めた。カオリは改めてアイの存在の大きさに気付いた。
カオリが横を向くと、アイが難しそうな顔をして何度もため息をついていた。
194 名前:konkon 投稿日:2004/07/04(日) 20:28
今日はここまでです。
195 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 00:40
「ん・・・。」
「お、気付いたわ。カオリ、ナツミ姫起きたで。」
アイがベッドでうつ伏せになって寝ていたカオリを起こす。
「そう・・・ナツミ!!」
突然カオリが跳ね起きる。
「・・・カオリ?ここはどこなの?」
「んわぁぁ!」
カオリが泣きながらナツミに飛びつく。
「よかったよ〜、ナツミが目を覚ましたよ〜・・・。」
「そんなカオリ大げさな・・・。んでここはどこだべ?」
「ここはサッポロ王国です。あなたはここの近くで倒れてたそうですよ。」
アイが泣きじゃくるカオリの代わりに答える。
196 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 00:41
「あなたは確か・・・」
「カオリの護り人でアイ=タカハシです。カオリに感謝するんですね。
あなた、死ぬとこだったんですから。」
「えっ!?どういうことなの?」
アイはこれまでのいきさつを簡単に説明した。
「そうだったんだ・・・本当にありがとう。二人とも。」
「ううん、いいの。ナツミが助かったんだからさ。」
カオリは泣き止んだようで、はっきりと答えた。
「カオリ、これからどうするんか?」
「そうだね、南の方にシャルウィーの町っていう大きな町があるらしいから、
そこへ行ってみようと思うんだ。ここにいるよりはみんなに会える確率高いと思うんだ。」
「了解。ナツミ姫もそれでいいですか?」
「うん、もちろんだよ!」
アイの問いにナツミは笑顔で答える。
197 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 00:41
「あ、ナツミ聞いて聞いて!アイがね、私と対等に話してくれるようになったんだよ!」
「それは・・・あなたの命令だからでしょう!」
「へ〜、んじゃ私に対してもそうしてくれない?」
「嫌です。」
ナツミの問いにアイは即答する。
「んじゃ、私からの命令、ナツミともタメ口を聞くこと!」
「なっ!?・・・・・了解。」
カオリの命令でアイはしぶしぶ返事をする。
「そういうことで改めてよろしくね。アイ♪」
「わかったよ、ナツミともタメ口を聞く!これでいい!?」
アイはやけくそになって答える。
「よっし、それじゃあ出発だ〜!」
「全くこのお姫様達は・・・」
三人は南に向けて出発した。
198 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 00:44
今日はここまでです。
199 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 23:00
兵士になった理由
200 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 23:01
「いつになったらここから出れるんだろう・・・?」
リカは森の中を歩いていた。
アヤに森の奥底にまで吹き飛ばされたらしい。
その間にも、魔物はリカを襲っていく。
「あ〜もう!壱の突、寸!」
狼の首を吹き飛ばす。
先ほどから狼ばかりに出くわしている。
今のリカのレベルならば特に問題はないが、空腹や森から出れない苛立ち、
体力もかなりきている。
しばらく歩いているとようやく光が見えてきた。
「やった・・・やっと出れるんだ・・・。」
リカは久しぶりに外の世界に出れるということで、かなり浮き足立って出口に向かった。
201 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 23:02
しかし、
「嘘・・・。」
出口目前で、金の狼男の集団が襲ってきた。
十匹ほどはいるだろう。
「(今の私で勝てそうにないかな・・・。)」
囲まれながらネガティブなことを考えた。
しかし、リカが思っていることは正しかった。
例え普段の状態であったとしても、これだけの数を相手にはできないだろう。
「こうなったらやるだけやってやるさ!」
リカは右から襲ってくる狼男に槍を突き刺す。
だが、金の狼男は防御力が高く吹き飛ばすのがやっとだった。
さらに前からは二体の狼男が襲ってくる。
202 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 23:04
リカは銀を振り回すが、右からきた狼男に素手で止められてしまい、
左からきた狼男に殴られて吹き飛ばされる。
「いった・・・。」
後ろで待ち構えていた狼男が、待ってましたと言わんばかりに爪を振り下ろしてくる。
リカがなんとか銀を盾に変えて爪をはじくが、狼男達は変わらずに攻めてくる。
どのくらい戦っていたのか、二体まではなんとか倒したが、
リカの体は傷だらけで限界に達していた。
疲れでリカが止まったところを、狼男達が一斉に炎を吹き出してくる。
銀を盾にして守っていたが、それも時間の問題だった。
「(もうだめ・・・。)」
火が周りの木々に燃え移っていってしまうほどに、リカは炎に包まれていた。
203 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 23:05
リカの手から銀が離れてしまい、炎をまともにあびてしまう。
「(ここまで・・・かな・・・みんな・・・。)」
リカはその場に崩れ落ちた。
周りには狼男達が迫ってきている。
一匹の狼男がリカの首をはねようとした次の瞬間、
狼男が吹き飛んでいった。
さらに次々と狼男達が吹き飛んでいく。
リカは消えかけていた意識を強く持ち、よく見てみる。
すると、何かがはじき飛ばしていることに気付いた。
いつの間にか狼男達は、全員リカの前からはじき飛ばされていた。
「リカ!?」
「あ・・・。」
涙で滲んだ目で声がする方を振り返ってみると、二つの影が立っていた。
204 名前:konkon 投稿日:2004/07/07(水) 23:06
徐々に更新中です〜
205 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/09(金) 10:59
読んでますよー
がんばってー
206 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:40
「久しぶりだね。リカ。」
「あんただけ?他のやつらはどうしたのさ?」
リカの前に現れた二人組みの女性、それは共に戦ったことのあるマリと、
一時は敵として戦ったケイだった。
「今は・・・私だけなの。」
「何か訳ありのようね。」
ケイはリカの答えに軽くうなずいた。
「とりあえずあれ、なんとかしようよ。」
「そうね。」
再び狼男達が襲い掛かってきた。
「ふん。」
ケイは突っ込んでくる狼男達を鼻で笑う。
「脳のないやつらだ。」
ケイは鞭を華麗に振り続け、狼男達をはじき飛ばしていく。
そして、そのうちの一匹を鞭で首をしめ、マリの方へ放り投げる。
207 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:42
「どれだけ体が硬くてもこれなら防げないだろ。」
マリは目の前に倒れてきた狼男に、剣を口に刺して爆発を起こす。
そこには首のない狼男の死体だけがあった。
ケイは向かってくる狼男を一匹だけを残して次々と吹き飛ばし、
残った一匹を捕まえてマリに放り渡す。
そしてマリがとどめを指す。
マリに向かっていった狼男もいたが、爆発で吹き飛ばされ次の餌食となっていった。
二人は同じようなことを繰り返し、あっという間に全滅させた。
「(すごい・・・もし私が誰かと組んでもこんなことできるかな?)」
リカは歩いてくる二人を見ながらそう思った。
「あの・・・ありがとう。おかげで助かりました。」
「兵士が人を守る。当たり前のことをしたまでだ。」
ケイがぶっきらぼうに言う。
「あなた・・・帝国兵を続けるの?」
「・・・私は人を守るために帝国兵となった。それはこれからも変わらない。」
「そういうこと♪弱い町とかは安心していいよ。兵士達を送りつけてあるから。」
ケイとマリが答える。
208 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:44
「今までの帝国を私が変えてみせるよ。それより現状が知りたい。」
「ほんとだよ。いきなり地震が起こったと思ったら地形が変わってるしさ、
ケイと周りの偵察にここまできてみたら森が燃えてるんだもん。
そうしたらリカがやられてるしさ。」
「何があったか教えてくれないか?」
リカは二人と別れてから、この世界で何が起きたのかを伝えた。
「なるほどな・・・オロチか。聞いたことがある。」
ケイはあごに手を当てて考え込む。
「最強であり、最凶の魔物、八首のオロチ。何年か前にある者が
封印したと聞いたが復活したとは・・・。」
「ある者って?」
「それは私にもわからない。しかし、放っておくわけにはいかないな。」
「そうだね。帝国だけじゃ対応しきれないもんね。」
ケイとマリは目を合わせて傾いた。
209 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:46
「それじゃあ・・・。」
「ああ、私達も共に行こう。オロチを倒すために。」
「まあ、おいらはケイについていくけどね。」
「ありがとう・・・二人とも・・・。」
リカはそのまま倒れこんだ。それをケイが腕で支える。
狼男との死闘や怪我などにより、体力の限界だったのだろう。
「・・・仕方ない。」
ケイはリカを背負う。
「んでこれからどうすんの?」
「とりあえずいったん戻って、兵士達に事情を話してこよう。
私達が帰らなければ不安になるだろうからな。そしたら
帝国から向けて、西にあるシャルウィーの町へ行こうと思う。
あそこならば武器や情報が得られるだろう。」
ケイはマリの問いに答え、リカを背負いながら歩き始めた。
210 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:47
天才少女
211 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:49
「お腹すいたのれす・・・。」
ノゾミは海岸で倒れていた。
起きてからは、近くにいた魔物を倒して焼いて食べての繰り返しだったが、
魔物が現れなくなりノゾミの腹は限界に達していた。
しばらく歩いていると、一つの町が見えた。
「あそこで何か食べ物を分けてもらうのれす!」
ノゾミは町に向かって走っていった。が、町は閉散としていた。
ところどころに焼けたあとや、潰れている家もあった。
「誰かいないれすか〜!?」
ノゾミは大きな声で呼びかけるが、何も反応がなかった。
突如、ノゾミを影が覆った。上を見ると一匹の龍がいた。
「なるほろ、こいつのせいれ町がこんなにぼろぼろに
なってるんれすね。許せないれす!」
龍がノゾミに向かって炎を吹く。
「こんなとこでやっちゃまずいれすね。」
ノゾミは炎を避けると、出口に向かって走っていく。
龍はノゾミを追っていった。
212 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:50
「よし、ここならいけるれすよ!」
ノゾミは何もない平野まで龍をおびきよせた。
龍が再びノゾミに向けて炎を吹いてくる。
ノゾミは横に飛び跳ねてよけると、龍に向かって飛んだ。
が、届かない。
「う〜、お腹すいて力が出ないれす・・・。」
龍がノゾミ目掛けて飛んでくる。
ノゾミは防御したがはじき飛ばされる。
「くっ!戦いようがないれす・・・。」
再び龍が飛んでくる。
龍がノゾミの目の前まで迫ったその時、

ドンッ!ドンッ!

突然龍の牙が二本折れて、地面に落ちていった。
龍は悲鳴の様な声を上げて上昇していく。
213 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:51
「Hey、そこの彼女!手伝ってあげようか?」
見るとそこには、銃を片手に持っている一人の少女が手を腰に当てて、
ノゾミに向かってくる。
「ヒトミッ!」
「久ぶりだね。ノゾミ一人だけなの?」
「うん・・・。」
「そっか。とりあえずあいつを倒そう!」
「うんっ!」
龍が二人目掛けて飛んでくる。
ヒトミは、龍の足の指に向かって銃を撃つ。
どんな生物も足の付け根は弱点なのである。
ダメージを受けた龍が失速したとこを、
ノゾミが首を捕まえて地面に叩きつける。
その後はノゾミの独り舞台だった。
ノゾミが龍の腹の上に乗り、マシンガンのように腹を殴りまくる。
しかし、龍が息絶える前にノゾミの腹が限界になってしまった。
214 名前:konkon 投稿日:2004/07/12(月) 23:52
「力が入らないのれす・・・。」
「それなら私に任せとけって。」
ヒトミはノゾミが殴ってる間、もしものことを考えてレールガンを
貯めていた。そのレールガンを完全に放出しないことで、
銃先から剣のようにビームが出ている。
「ハアッ!」
ヒトミが龍の首に向けて銃を振ると、龍の首が切れて絶命した。
「お〜、ヒトミすごいのれす!」
「ふふん、必殺レールソードってとこかな。」
「んじゃ、この龍を千切りにお願いするのれす。」
「千切りってまさか・・・。」
ヒトミの思ったとおり、ノゾミは龍を焼いて食べ始めた。
ヒトミはノゾミに勧められて、仕方なしに一口食べたら
なかなかいけるようで、二人で一匹丸ごと食べてしまった。
「けっこういけるもんだね。」
「そうれしょっ!?お肉は大切にしましょう!」
「まあ、一休みしたら先進もうか。」
「うん!」
215 名前:konkon 投稿日:2004/07/13(火) 00:05
今日はここまです。
216 名前:konkon 投稿日:2004/07/13(火) 00:06
>名無し読者さん
ありがとうございます。
これからも更新がんばりたいと思います。
217 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:11
平野を歩いていくと途中崖があり、崖を上ってみると東の方に大きな町が見えた。
「でっけぇ町だな。あそこに行ってみよっか?」
「そうれすね。あっ!誰か襲われてるよ!」
町より手前の方を見てみると、三匹の龍と戦っている人が見えた。
「やばいっ!早く助けに行かなきゃ殺されちゃうよっ!!」
二人は崖を駆け下りていった。
近づいてよく見てみると、二人はその人物をよく知っている人物だとわかった。
「ん・・・マキっ!?」
戦っていたのはマキだった。
肉眼で確認できるとこまで近づいたときには、すでに二匹の龍が地面に
伏せて倒れていた。
「お、ヒトミにノゾミじゃん!久振りだね〜♪」
マキは龍の体当たりを軽くよけて、二人に手を振った。
「もうちょっと待っててね。今片付けるから」
218 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:12
再び龍がマキを襲う。
「第七の剣、フォーリング・プラズマ。」
マキが剣を向けると雷が龍に落ちて直撃する。
「第八の剣、グラビティ・コア、重力マイナス。」
竜が雷でひるんだところを、マキは一気に何mも上にいる
龍の真上まで高く飛び上がる。
「重力プラス。」
いきなりマキが猛スピードで落下を始め、龍の首を吹き飛ばす。
その落下スピードは止まらずに、剣が地面に突き刺さって
地震と共に地割れが起きる。
「よっと、終わった終わった♪」
マキは剣を引き抜くと、二人の方へ歩み寄っていった。
219 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:13
「(強くなってる・・・龍を三匹も相手に勝てるなんて・・。)」
「(マキ、すごいのれす・・・ノノ、このままじゃやばいのれす。)」
「ん、二人ともどうしたの?」
マキの戦いを見て固まってる二人に、マキは話しかける。
「マキ!私強くなるから!」
「ノノももっと強くなってやるれす!」
「・・・うん、がんばってね。」
事情が飲み込めないマキはとりあえず頷いた。
「他の人は一緒じゃないの?」
マキは疑問に思ってたことを口に出す。
「いや、まだ会ってないんだ。たぶん生きてると思うけど・・・。」
「ふ〜ん。んじゃとりあえず出発しよっか。みんな生きてるでしょ。」
三人は、ヒトミとノゾミが見つけた町に向かうことにした。
220 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:14
三人が町の近くの森まで来ると、かなり大きい立て札が立ててあった。
『この先の森、入るべからず。町に用がある方、もしくはこれより先に用がある方は、
森を回ってください。』
三人はしばらくその立て札を凝視していた。
「なんて書いてあるのれすか?」
ノゾミは、今まで一人で生きてきたために字が読めなかった。
「この森には入るなってさ。」
マキが簡単に答える。
「でもさ、こういうの見ちゃうと入りたくなっちゃうんだよね〜。」
ヒトミはウキウキしながら言う。
「前にもこういう危険っぽい立て札のあるとこ入ったらさ、
めちゃくちゃいい銃手に入れられたんだよ。絶対宝があるって!」
「宝れすかっ!?」
ノゾミが目を光らせてヒトミに聞く。
221 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:16
「うん、いい物ってのはけっこう危なっかしいとこに落ちてるもんだからね。」
「けどさ、みんなを探すのが先でしょ?やめとこうよ。」
「だからこそ宝探しに行くんだよ!いい武器があったら使える人が
いるかもしれないじゃん?というわけでLet's Go!!」
「お〜!!」
立て札を無視してヒトミは森の中へ進んでいく。
ノゾミはスキップしながらひとみのあとをついていく。
「やれやれ、知らないよ。ホントにさ。」
マキは仕方なく二人のあとをついていった。
森の中はガラっとしていて、魔物は全く出てくる気配がなかった。
「すごい静かなとこだね。」
「何もなさそうなのれす。」
「まあまあ、ここはじっくりと慌てずに探していこうよ♪」
三人が森を抜けると、また平野に出た。
すると、奥のほうから一匹の巨大な虎が向かって来た。
222 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:24
「何こいつ!?」
「虎・・・かな?」
「カッコイイのれす。」
三人の前に現れたのは、全長3mはあるであろう体中が
機械でできている虎だった。
虎が三人に向かって突っ込んでくる。
「危ない!」
ヒトミは、マキとノゾミを両側に張り倒し、自分も避けようとした。
「(速いっ!)」
ヒトミは避けきれずになんとか防御する。
だが、抑えきれずにはじき飛ばされる。
「百獣擬態、剛熊擬!」
「ブルー・クリムソン!」
二人は虎に攻撃をしかけるが、あっさりと避けられてしまう。
「ヒトミ、大丈夫?」
マキは虎の様子を見ながらヒトミに寄っていった。
223 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:47
「大丈夫とは言えないかな・・・。あの牙鋭すぎるわ。」
よく見ると、ヒトミの右腕が半分ほど噛み切られていた。
普通の人間だったらまず耐えられないような痛みだろう。
この時ばかりはヒトミの体が普通じゃなくてよかったと思う。
「動かせるの?」
「なんとかね。けどもうかばうことはできないかもしれない。」
「そっか。喰らったら最後ってやつね。」
マキとヒトミも再び虎と向かい合う。
「んじゃ行くよ!シルファードライブ!」
「百獣擬態、速猿擬!」
マキとノゾミが超高速で虎を攻撃していく。
しかし、虎はうまくよけるか防御して守っていた。
「これでも喰らえ!」
ヒトミがレールガンを虎に向けて放つ。
虎は避けようとするが右足に当たる。
だが、右足の一部にひびが入っただけで終わってしまう。
224 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:48
「くそっ!」
マキが思い切り剣を振る。
それを虎は歯でがっちり掴み、首を振ってマキは投げられる。
「これならどうれすかっ!?」
ノゾミが虎の下に入り込み、下から打ち上げるように殴る。
虎は少し浮いただけでダメージらしいものは見られない。
「これもだめれすか・・・。」
ノゾミが脇に出たとこを、虎が振り向いた。
「ん・・・危ないっ!シルファリオンっ!」
虎の口がごくわすかだが、光り始めている。
マキは瞬時にノゾミを抱え、横へ飛ぶ。
次の瞬間、虎の口から光線のようなものが出て、
ノゾミがいた場所から先の地面がえぐれていた。
「あんなのとどう戦えっていうんだよ?」
「・・・・これならどうだ?」
見るとヒトミがレールガンを貯めていた。
225 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:49
「限界超えて三十秒、ハイパーレールガン!いっけぇっ!!!」
今までのレールガンよりはるかに速く、かなりでかい弾が
虎に向かっていった。しかし、威力が強すぎたために
コントロールが定め切れなかったのか、虎の左足を突っ切って
いった。虎は一瞬だけ動きが止まる。
その瞬間をマキは見逃さなかった。
「グラビティ・コアっ!重力プラス!」
マキは、剣で虎を叩き斬る。
虎はマキに気付いて逃げようとするが、一瞬遅れて右足を斬られる。
両前足を失った虎は明らかに動きが遅くなっていた。
「これで終わりだっ!」
「そこまでです。」
マキが虎に向かって走り出したと同時に、横の方から声がした。
声がしたほうを振り返って見ると、白衣のようなものを着た少女がゆっくりと歩いてきていた。
226 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:50
「白虎相手によくここまで戦いましたね。さすがというべきですか。」
「あんたは・・・?」
マキは警戒しながら少女に尋ねる。
「申し遅れました。私はこの町、シャルウィーの長である
アサミ=コンノと申します。よろしくです。」
アサミという少女は、マキに笑顔を向けて答えた。
「ねえ、この虎はなんなのさ?なんでこんなものがあるの?」
「それは後ほどご説明いたしますよ。あなたもお仲間が大事でしょう?」
「・・・どういうこと?」
「後ろを見ればおわかりになると思います。」
言われて後ろを振り返って見ると、ヒトミの両腕に大きなひびが
いくつも入っており、指が何本か落ちていた。
「ヒトミっ!」
「大丈夫なんれすかっ!?」
マキとノゾミは、ヒトミに駆け寄っていく。
227 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:50
「痛くはないんだけどね、どうしようもないね。これじゃあ・・・」
「レールガンを最大エネルギーまで貯めるからですよ。」
アサミはそう言いながら、ゆっくりとヒトミに近づいていく。
「お久しぶりです、ヒトミ。やはりあなたは無茶なさる方ですね。」
「へへっ、無茶するのが私の取り柄なんでね。」
「えっ!?どういうことなの?」
「この両腕を作ってくれたのは、ここにいるアサミなんだよ。」
「「・・・・え〜っ!!??」」
マキとノゾミは大声を上げて驚いた。
アサミはヒトミの体を触ったりしながら機械の調子を調べているようだ。
228 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:51
「何年か前に帝国にやってきて、私の命を救ってくれた天才少女、
それがこの子なんだよ。」
「足もかなりひどいですね。ぼろぼろじゃないですか。
神経はやられてないようでよかったです。修理すれば元通りになりますよ。
とりあえず直さなきゃいけませんから町へ入りましょう。」
そう言って、アサミは町の方へ向かって歩き出した。
「さあ、行きましょう。白虎、少しの間だけ待っていて下さいね。」
アサミの言っていることがわかったのか、白虎はその場で伏せた。
「とりあえずこれもなんとかしなきゃまずいか。」
三人は壊れたヒトミの両腕を一度見てからアサミについていった。
229 名前:konkon 投稿日:2004/07/14(水) 22:51
今日はここまでっす。
230 名前:151 投稿日:2004/07/15(木) 00:10
そうなんじゃないかな〜、と思ってました♪
あと出てきてないのはあの人か・・・
231 名前:konkon 投稿日:2004/07/15(木) 01:17
来週から忙しくなりそうなので、
更新がんばります(汗)
232 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:44




再会



233 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:45
町はとても広く、そしてたくさんの人でにぎわっていた。
町はどこの町よりも発展していて、見たことのない物ばかりだった。
三人は物珍しげに周りを見渡しながらアサミについていった。
「こちらになります。」
「ここって・・・。」
アサミに連れられて着いた場所は、とてつもなく巨大な研究所のようなとこだった。
シャルウィーの町はおそらく世界一の大きさだが、そこの研究所だけで町の四分の一を
占めていた。ゆうに百m以上はあるだろう。
アサミは三人に気にせず入っていく。
三人は慌ててアサミのあとをついていった。
部屋をいくつも通り過ぎてついていくと、途中鏡張りの部屋があった。
中を覗くと三人は固まって足を止めた。
234 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:46
「アサミ・・・・これは?」
マキがアサミに問いかける。
「それは宇宙に向かうための飛空挺、ミラクルナイトです。
この船で宇宙へ飛び立つのが私の夢なんです。」
そこには巨大な船があった。
全長は五十mほどはあるだろう。
何人かの人たちが船の整備をしているようだった。
「両親が最初この船を設計していたんです。宇宙へ旅立つこと、
それが両親の夢だったんです。私も小さな頃からお手伝いをしていました。
そしたら、私もいつの間にかこの船を造ることが夢になってたんです。」
アサミは微笑しながらマキ達を振り向く。
「すっげぇな〜!アサミの家族みんなで作ってんだ!」
「いえ、両親はもう亡くなりました。オロチが復活して、
オロチ直属の魔物が攻めてきたときに殺されてしまったんです。」
「ごめん・・・。」
ヒトミはうつむいて謝った。
235 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:47
「気になさらなくてもいいですよ。あまり時間もないようですし急ぎましょう。」
アサミはヒトミの腕を一瞥して、再び歩き始めた。
しばらく歩いていくと、ある一つの部屋で立ち止まった。
「お二人はこちらの中で休んでてください。お仲間がお待ちになっておりますよ。」
それを聞いた三人は、ドアを勢いよく開けて部屋に入っていった。
「みんな・・・。」
そこには、かつての仲間達が寝室のような部屋でくつろいでいた。
「よかった・・・三人とも無事だったのね・・・。」
「・・・やっと着たか。」
「おいら達待ちくたびれたよ。」
「元気そうでよかったよ。」
「やったべさ!」
五人は、それぞれ言葉に思いを込めて三人を迎え入れた。
236 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:48
ただ、アイだけは見たことのない三人をじっと見ていた。
「お二人はここで休んでいてください。私はヒトミの応急処置をしてきます。
おそらく二時間ほどで戻ってこれると思います。私もお聞きしたいことが
ありますので、また後ほど。」
「んなわけであとで話し聞かせてね〜♪」
アサミとヒトミが部屋から出て行った。
アサミ達が戻ってくるまで、マキ達は今まであったことをいろいろと話していた。
237 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:49
二人が出て行ってからぴったし二時間後、アサミとヒトミが部屋に入ってきた。
ヒトミの腕は、ところどころにサポーターのようなものが付けてあった。
アサミとヒトミが椅子に座ったあと、アサミは一呼吸ついてから話し始めた。
「それでは、いろいろとお聞かせ願いたいと思います。」
マキ達は一斉にアサミを振り向いた。
「今日来た方達のことは、簡単には聞いていました。オロチを倒すために
旅をしているそうですね?」
「うん、ホントはそうなる前に食い止めて世界を守りたかったんだけどね。」
マキが答える。
「そうですか。そうなるとかなり事態は深刻なようですね。どうでしたか?
オロチの力は?」
「・・・あの時は手が出せなかったよ。きっぱり言ってオロチの力は強すぎる。
でも、だからこそ倒さなきゃいけないんだ。このままじゃ世界は滅亡するからね。」
マキは、アサミの目を見てはっきりと言った。
238 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:50
「白虎にあれだけの傷を負わせたあなたが言うならば、オロチの力は
本物なんでしょうね。ん、そういえば・・・。」
アサミは話しの途中で考え始める。
「マキ、なぜあなた達は白虎と戦ったんですか?」
「白虎ってあの機械の虎だよね?」
「はい、今では伝説とされている四方を守りし守護聖獣、朱雀、青龍、玄武、白虎を
イメージして私が造ったんです。その中の西方を守りし白虎とあなた達は戦ったんですが、
どうして戦ったんです?」
アサミは首を傾けながら聞く。
「先ほど言いましたように、この町の四方を守るために守護聖獣を造ったんです。
魔物撃退用としてです。ですから何者かがあの森に入りますと、倒すように
インプットされています。そのために、人が入らないようにあそこには立て札が
置いてあったんですけど、読めましたよね?魔物は字が読めませんから入ってきますけど。」
「ヒトミが入ろうって言ったかられす。」
ノゾミが即答し、マキがその時のことを説明した。
239 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:51
マキ達を除く七人はあきれたようにヒトミを見た。
「ばかね・・・。」
「ばっかだな〜。」
「ばかとしか言いようがないだろ。」
「ちょっとみんな、ばかにばかって言っちゃだめだべ!」
「そうだよ。本当のこと言ったら可愛そうじゃん。」
「そういうばかもいるもんなんやな〜。」
「あなたという人は・・・初めて会ったときから思ってましたが、
そこまでばかだったとは・・・。」
「・・・みんなそろってばかって言うことないじゃん・・・。」
さすがのヒトミも、ここまでばかにされてしまうと落ち込んでしまっているようだ。
「だって、軍の作戦行動中に森の中を歩いてた時にさ、途中に危険って書かれた立て札があってさ、
奥に行ったらめちゃくちゃいい銃拾ったんだもん。そういうことがあるんなら、いい武器手に入って
みんなが使える武器なら強くなれるかもしれないなぁって・・・。」
ヒトミの言い訳っぽい発言に全員が黙った。
というより、あきれて何も言えなかった。
240 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:52
その中で一人だけ、別の意味で黙っていた者がいた。
「なるほど・・・作戦行動中に貴様はそんな勝手なことをしていたのか・・・。」
ケイは怖い顔をして、鞭を片手にヒトミに歩み寄って行く。
「えっ・・・ちょっ、昔の話しじゃん!なっ、待って待って〜!!」
ヒトミはケイを見ながら後ずさる。
「あ、この部屋は壊さないで下さいよ。それと、ヒトミは腕が治ってないから
防御だけはしないでくださいね。」
アサミはあくまでマイペースに忠告する。
「心配しないで。周りを傷つけなければいいんでしょ?」
「そういう問題でもないと思うんですけど・・・。」
ヒトミはケイに壁際まで追い詰められる。
241 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:53
ヒトミが覚悟して目を瞑った時、

ピピピピピッ!

突然アラームが部屋中に鳴り響いた。
「どうしましたか?」
アサミが通信機に向かって話しかける。
『アサミ様!ポイント2−D付近上空に、龍が三匹現れました!!』
「龍が?人々は家に非難させましたか?」
『はい、全員非難完了いたしました。』
「ん、朱雀や青龍は・・・そういえば貸し出し中でしたか。白虎は傷を負ってますしね。
ポイント2−Dですね、わかりました。私が今すぐ向かいます。」
『了解しました。お願い致します。』
アサミは通信機を切ると、ポケットからグローブを出して付け始めた。
242 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:54
両手のグローブの裏にはいくつかの小さいボタンのような物が付いている。
「何かあったの?」
マリが真剣な表情でアサミに聞く。
「龍が三匹ほどこの町に進入したようです。」
「大変じゃん!早く行かなきゃっ!」
リカが勢いよく立ち上がる。
「大事なお客様にそんなことさせられませんよ。」
「でも・・・。」
「私一人で十分です。ここでお待ちください。」
アサミはリカに微笑みかけ、部屋を出て行った。
243 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:54
今日はここまでです。
244 名前:konkon 投稿日:2004/07/16(金) 23:56
>151さん
やはりわかりましたか♪
天才=紺野と自分の中では完全にイメージされてますんでw
出てきてない人は・・・そのうち出てくると思いますよ。
245 名前:konkon 投稿日:2004/07/19(月) 17:44





アサミの能力



246 名前:konkon 投稿日:2004/07/19(月) 17:45
「やっぱり私も行ってくる!」
少ししてから部屋で黙っていたマキが、突然立ち上がって
部屋を駆け出て行く。
「シルファリオン。」
マキは超高速でアサミを追っていく。
気付いた時には外に出ていた。
「まだ追い付けないの?」
マキは周囲の上空を見て龍を肉眼で見つけると、そこに向かって
走っていった。
途中、ようやく一つの人影を見つけ出した。
「はあっはあっ、やっと追い付いた。」
アサミまでなんとか追い付いてから、マキは息を切らしながら
話しかける。
「部屋で待ってて下さいと言いましたのに・・・困った方ですね。」
一方、目的の場所までかなりの距離があり、ずっと走っていたはずの
アサミは息一つ切らしていなかった。
247 名前:konkon 投稿日:2004/07/19(月) 17:46
「そんなに遅く走ってないはずでしたけど。どうやって追い付いたんです?」
アサミは肩を並べて走るマキに尋ねる。
「これはレイブっていって、剣を変えるごとに自分の能力を変えることが
できるんだ。ちなみにこれはシルファリオンっていって、速く動くことができるの。」
「そうなんですか・・・。」
アサミはぶつぶつと言いながら走っていく。
「(一度研究してみたいものですね。)」
ゾクッ!
マキは一瞬背中に寒気がした。
「(なんか嫌な予感・・・気のせいだといいけど・・・。)」
「着きましたよ。」
そんなことを考えているうちに、目的の場所に着いたらしい。
248 名前:konkon 投稿日:2004/07/19(月) 17:47
龍はそこらへんに炎を吹きかけている。
「まずいっ!止めなきゃっ!」
マキは剣を構えて龍に近づこうとするが、アサミが手で制する。
「大丈夫ですよ。よく見てください。」
龍が先ほどから町の家や建物に向かって、炎を吹いたり体当たりをしているが
傷一つ見当たらない。
「ここの建築物は、耐熱性が高いんです。また、普通の家よりも十分に
頑丈にしてありますので完璧です。まあ、かといって今の状況を
放っておくわけにはいきませんね。」
アサミは龍に向かって歩き出す。
「私も戦うよ!」
「言ったでしょう?お客様に手を煩わせるわけにはいかないんですよ。」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょっ!龍が三匹も町を襲ってんだよ!?」
「では見ていてください。私が言っていることが正しいかどうかを。
私もそこまでばかではありませんから、もし本当にやばいと思ったときには
あなた方の力をお借りしますよ。」
マキは納得いかないような顔でアサミの戦い方を見ていることにした。
249 名前:konkon 投稿日:2004/07/19(月) 17:48
一匹の龍がアサミに気付いたらしく、近づいて炎を吹き出す。
アサミは左手を炎に向けて、右手で左手のボタンを素早く何回か押していく。
すると、炎がアサミの直前で消えていった。
龍が困惑していると、アサミが龍に左手をかざして再びボタンを押し始める。
突然龍の周りを囲むように氷の矢が何十本と出てきて、龍を次々と突き刺していく。
ずたずたにされた龍が地面に落ちていった。
「何・・・今のは?」
マキはアサミの戦い方に、呆然としながら一人呟いた。
さらに残った二匹の龍が、アサミ目掛けて左右から突っ込んでいく。
アサミは左からきた龍に向けて今度は右手をかざし、左手でボタンを押していく。
今度はアサミにぶつかる直前で地面に落ちる。
それも、その体勢のまま急降下したように墜落した。
龍は足の骨が折れたのか、その場でうずくまっていた。
250 名前:konkon 投稿日:2004/07/19(月) 17:50
「あなたの相手はあとでしますので少々お待ちください。」
アサミは今度は右の龍を見る。
アサミは龍の体当たりを軽く横に飛んでかわす。
龍が再び体当たりを狙おうと旋回をしてスピードが落ちたとこを狙って、
アサミはボタンを押していって左手を地面につく。
今度は龍の下の地面から、氷が巨大なつららとなって出てきて、
龍を下から突き刺した。
「さて、あと一匹ですね。」
アサミは先ほどからうずくまっている龍に、ゆっくりと歩いていく。
龍は近寄らせないようにと炎を吹く。
しかしやはりアサミが左手を炎に向けて、ボタンを押していくだけで炎は消えていく。
251 名前:konkon 投稿日:2004/07/19(月) 17:51
「あなた達のせいでどれだけの人が苦しんでるのか、
その身をもって知りなさい。」
龍が炎を吹き終えた瞬間に、アサミは再びボタンを押していく。
突如、龍が炎に包まれていく。
その炎はすさまじく、龍は骨も残さずに消えていった。
「なんなの・・・あなたの力って一体・・・?」
マキはアサミに向かって歩いていき、疑問だらけの質問をした。
「それは後ほど部屋に戻ってからお答えしますよ。
ではあとは処理班に任せて戻りましょうか。」
マキは納得できない顔で、アサミのあとをついていった。
252 名前:konkon 投稿日:2004/07/19(月) 17:51
今日はここまでです。
253 名前:konkon 投稿日:2004/07/21(水) 22:49
「「「「「「「「元素?」」」」」」」」
龍を倒したあとしばらくしてから、アサミはアイを除く八人に
自分の力の説明をし始めた。
アイは町が気に入ったらしく、散歩に出ているらしい。
「はい。私はこのグローブを使うことで、元素を操ることができるんです。
魔のグローブと言われてまして、その名をメモリー。私が昔、
ある魔物を倒して手に入れた物です。」
「ん、そのグローブを使う前はどんな武器使ってたの?」
マキが疑問に思ったことを口に出した。
「もちろん肉弾戦ですよ。」
「(・・・どうりで足も速いわけだ。)」
マキは一つ納得がいった。
254 名前:konkon 投稿日:2004/07/21(水) 22:50
「ですから、周りにある元素を操って融合や分解を行うことで、
水を凝固させて氷の矢を作ったり、炎を生み出したりして先ほど
マキに見せたような戦いができるんです。」
「なるほどね・・・。」
とりあえずは納得がいった。
魔法でもなければ超能力者としか考えられなかったのだ。
「ん〜、うちらは見てないからどんなんだかよくわかんないや。
だいたい元素ってのがどんだけすごいのかって感じだし。」
ヒトミはまだ納得できないらしい。
「うるさい方ですね。そこまで言うなら軽くお見せいたしましょう。」
アサミは少し怒った口調でそう言うと、ヒトミに左手を向けて
右手でボタンを押していく。
「どうですか?」
「どうって別に・・・なっ・・・・。」
ヒトミが突然首を押さえながらひざまずく。
255 名前:konkon 投稿日:2004/07/21(水) 22:51
「い・・・息が・・・・できな・・い・・・。」
「わかりましたか?」
「わ・・・わかっ・・・たよ・・。」
「わかればよろしいんです。」
アサミが手を下ろすと同時に、ヒトミは大げさに見えるくらいに
息を大きく吸って呼吸を整えていた。
「今のは・・・?」
ヒトミのことを見ながらケイが聞く。
「ヒトミの周りだけ酸素を分解して、真空状態にしたんですよ。
そのため彼女は息ができなくなったんです。」
「すごいのれす・・・ののれもそういうことれきますか?」
ノゾミが興味津々といった顔でアサミに聞く。
256 名前:konkon 投稿日:2004/07/21(水) 22:52
「それは難しいですね。元々このメモリーは、自分の精神力や体力に
よって操作が可能なんですが、それには莫大な消費量がかかるんです。
そのため、私が改造をして自分で元素の計算をしていくことにより、
低コストで元素を操ることを可能にしたんです。しかし操るには、
全ての計算が正しくなければ効果は出ません。n(ナノ)やp(ピコ)、
つまり何億分の一、何兆分の一という細かい計算まで正しくしなければなりません。」
「ってことはそれだけの計算ができる、あんたしか使えないってことだ?」
「そうでしょうね。普通の人には扱える物ではありませんね。」
マリの問いにアサミは頷きながら答えた。
「ねえ、私達の力になってもらえないかな?」
マキが真剣な表情でアサミに聞く。
「もちろん全面的に協力いたしますよ♪」
「・・・ありがとう!」
マキは次第に笑顔になっていく。
257 名前:konkon 投稿日:2004/07/21(水) 22:53
「よかった〜、これで一緒に行ける仲間が増えたね。」
リカの発言にアサミは顔を強張らせる。
「待ってください。私は行きませんよ。」
「えっ・・・?」
「確かに力になるとは言いましたけど。私は行く気はありません。」
「なんでさっ!それだけの強さがあるのにっ!?」
そう言ったヒトミを、アサミは軽く睨む。
「私は・・・戦うことが怖いんです。この町を守るためには
仕方なく戦ってます。両親を失ってから私は戦うことが怖くて
仕方ないんです・・・そのためにも、自分が戦わずに人を守れるように
四方聖獣を造りました。ですから自ら戦場に向かいたくないんです。
両親の夢を叶えたいんです!」
アサミは力強く答える。
258 名前:konkon 投稿日:2004/07/21(水) 22:54
「でもっ!」
「やめなっ。ヒトミ。」
何か言いたそうなヒトミをケイが止める。
「戦いたくないってやつを強引に連れていったって無駄だよ。
逆に仲間を死におとしめる状況になるかもしれない。
それに戦ってくれたとしても、アサミにとってはいい迷惑だよ。
手を貸してくれるってだけありがたく思っておこう。」
ケイは優しい笑みをアサミに向ける。
「でもアサミの力があれば私達の力になってくれる。
世界を救える。私はそう思う。」
「・・・一日だけ、時間をください。」
アサミは部屋を出て行った。
259 名前:konkon 投稿日:2004/07/21(水) 22:54
今日はここまでです。
260 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:36




新たな夢




261 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:37
アサミが部屋を出て歩いていこうとすると、アイが腕を組んで
壁に寄っ掛かっていた。
「悪いな、立ち聞きしてもうた。」
「いえ・・・お気になさらず・・・。」
アサミがアイの前を横切っていく。その時、アイが口を開いた。
「あんたが自分の夢追っかけて船を造るっての無理かもしれんで。」
その言葉にアサミは立ち止まる。
「どういう・・・意味ですか?」
「頭のいいあんたならわかるやろ?世界がぶっ壊されるかも
しれんからや。」
アイはアサミに振り向いて話す。
「もし仮にあんたの船と、あんただけは生き残って船が完成したとする。
そん時あんたは一人で宇宙に行くんか?」
「・・・。」
アイの言葉にアサミは何も言えなかった。
262 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:38
「強制するようないい方になってまうけん、言わしてもらうわ。
自分の夢だけのために生きてるのって嫌やと思わん?」
「でも私は・・・私は・・・船を造りあげたいんです・・・。」
「ここにきたみんなやって、好きで戦ってんやない。自分の夢のため、
世界の平和のために戦ってるんや。まあ、うちはカオリを守ること、
それが生きがいやからやりたいってほどのことはないけどな。」
アイは笑いながら言う。
「けどそれでも守りたい。これからのカオリの成長見ていきたいんやわ。
それが夢やわな。」
「・・・・。」
「うちの両親も魔物に殺されとるんや。」
「えっ・・?」
アサミはアイを振り向いた。
「だからあんたの気持ちもようわかるんやわ。けど戦わなきゃ
守りたいものも守れんからな。うちは戦ってる。」
「そうだったんですか・・・。」
アサミは俯きながら話しを聞いている。
263 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:39
「そういや話しは変わるんやけど、あんたの船って完成したら
うちらも乗れるんか?」
「もちろん乗れますけど・・・。」
「そっか。なら何が何でもオロチを倒さなきゃならんわな〜。
カオリが船を見たときの表情見たろ?すごい笑顔でいかにも
楽しみって顔してたやんか。だから絶対カオリを乗せてやりたいんや。
それにうちも宇宙に行ってみたいしな。」
「あなたは・・よほどカオリのことが大事なんですね。」
「そや。助けてもらったからってのもあるけど、カオリが喜んだり、
笑ったりすると自分がすごくうれしくなるってのがわかったんや。
それにいろいろと教えてくれた。自分にとって大事な人や。
あんたにもいるやろ?」
「私は・・・。」
「他の仲間もあんたの船乗りたがってたしな。完成したら絶対教えてや?」
アイはそこまで話すと、振り返って部屋の中に入っていった。
アサミはしばらくの間、その場で立ち尽くしていた。
264 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:40
次の日の朝、部屋にいたマキ達をアサミは大声で起こした。
「朝ですよ〜、皆さん起きてくださ〜いっ!」
しかし、アサミの細い声では誰も起きるような気配がなかった。
「・・・・・やれやれ。」
アサミはメモリーを手につけて、ボタンを操作する。
すると、寝ている全員の顔の上に水の固まりが出来上がる。
「ほっ。」
アサミが手を下げると、全員の顔に水の固まりが落ちた。
「うわっ!冷てぇ〜。」
「何何何っ!?何が起きたのれすか?」
「皆さんお早うございます♪」
アサミは笑顔で挨拶をする。
265 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:41
「・・・アサミの仕業か。」
「何よこれ〜、びしょびしょじゃん・・。」
「起きない方が悪いんですよ。そんなことよりも大切なお話しがあります。」
アサミが真剣な表情をしているため、全員が黙ってアサミに注目した。
「私は、飛空挺を造って宇宙に出ること。それが今までの夢でした。
ですけど、一晩考えて夢が変わりました。」
アサミは一息つく。
「私は世界中の人を宇宙へ連れて行きます。行きたいと思う人全員です。
そのためにも、あなた方を死なす訳にもオロチに世界を
破壊される訳にも行きません。」
ここでまた一息。
266 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:42
「よって・・・あなた達と共に戦います。そして、オロチを倒して
世界中の人々を救い、私の船で宇宙へ旅立ちましょうっ!」
皆きょとんとしていたが、マキが笑いながら立ち上がって
アサミの前まで歩いていく。
「これからもよろしくね。アサミ。」
マキが右手をアサミに向けて差し出す。
「はいっ!よろしくです。」
アサミはしっかりとマキの右手を握り返した。
267 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:43
「さて、これから私も旅立ちたいところですが二つ問題があります。」
アサミがこれから先についての説明を始める。
「何、二つの問題って?」
ナツミがアサミに聞く。
「一つ目はヒトミの両腕です。これからの戦いは、今までよりも
激しくなると想定していいでしょう。そのため修復する時間が
必要となります。」
「・・・・ねえ、一ついいかな?」
ヒトミがアサミの話しを聞いて、難しそうな顔をしながら手をあげる。
「修理だけじゃこれから先は、みんなの力になれない・・・
私をもっと強くできないかな?」
「・・・私を誰だと思ってるんですか?」
アサミは自信満々で答えた。
268 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:44
「それ以上にあなたの方が心配です。今度は両腕はもちろん、
両足も今まで以上の機能を付けるつもりです。そのためにも、
あなたがそれに耐えてもらえなきゃ話しになりません。
大丈夫ですか、ヒトミ?」
「強くなれるんだったらやってやるさっ!」
強気なヒトミを見て、アサミは嬉しそうに頷いた。
「んで二つ目ってのはなんなのさ?」
マリが興味深そうに聞く。
「二つ目は白虎の修理です。今私の町を守っているのは、
青龍と朱雀は他の町に貸してしまっているため玄武しかありません。
どっかの誰かさん達が壊してくれましたからね〜。」
マキ、ヒトミ、ノゾミの三人は苦笑いを浮かべた。
「まあ過ぎたことは仕方ありませんからね、そういう訳で私とヒトミは
・・そうですね〜、十日ほどは町から出れないと思います。」
アサミは顎に手を当てながら話していく。
269 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:45
「なるほどね。その間私達はどうしよっか?」
「確かここから北北西の町に、すごく強い剣士がいると噂で
聞いたことがあります。あと南の方にあるタンポポの咲く丘の方に、
龍に乗った少女を見たことがある人がいるらしいんです。
龍を操るなんてそうとうの強さを持ってないと、簡単にはできませんからね。
もしよろしければ、そちらを見てきてはいかがですか?」
「おもしろそうだね。行ってみよう!」
「仲間になってくれるかもしれないしね。」
「んじゃあ、二組に分かれようか?」
この後じゃんけんにより、
剣士がいる町にマキ・リカ・マリ・ケイ
タンポポの咲く丘にノゾミ・ナツミ・カオリ・アイ
と、分かれて行動することになった。
270 名前:konkon 投稿日:2004/07/22(木) 23:46
更新しました♪
271 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/23(金) 11:31
龍に乗った少女…誰だ?
272 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:25




ライバル



273 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:26
北北西にある町に向かった四人は、二日ほどで辿り着いた。
「この町だったんだね。」
「うん・・・。」
マキとリカは懐かしそうに町を見渡す。
ここは以前、帝国へ向かうための引き金となったダンスサイトの町だった。
「二人とも知っているの?」
「うん、たぶんその強い剣士と会ったことあるよ。」
ケイの問いにマキは答え、真っ直ぐに公園を目指した。
ベンチには一人の少女が座っていた。
マキはゆっくりとその少女の前まで歩いて話しかける。
「やっぱりあんただったんだね。」
「・・・お前は・・・。」
274 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:27
マキの声を聞いて顔を上げた少女は、以前マキと戦ったことのあるマコトだった。
「あんたに会いにきたんだ。私達と一緒にきてくれないかな?」
「前にも言ったはずだ。この町を守るとな。」
マコトの決意は固い。
「だからさ、魔物の元凶を倒しちゃえばいいじゃん。今ならボディガードも貸せるよ。」
もちろんそのボディガードとは、アサミの機械獣のことである。
「・・・・そのボディガードとやらは強いのか?」
「うん、前に私と仲間が戦って互角だったってくらいにね。」
「なるほどな・・・ならいいだろう。ただし・・」
「わかってるよ。あんたに勝てばいいんでしょ?」
「わかってるなら話しは早い、外に出よう。ここでは危なすぎる。」
「そうだね〜、お互い強くなってるんだろうし。」
マコトとマキは、町の外に向けて歩き出した。
事情が飲み込めない三人もあとをついていった。
275 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:27
町を出てしばらく歩くと、崖の下のそれほど広くもない平野についた。
「ここなら魔物もこない。いくぞ。」
マコトが剣を構える。
それを見てマキも剣を構える。
先に動いたのはマキだった。
「ハアっ!」
「フンッ!」
マキの剣をマコトが受け止める。
そのまま力の押し合いになった。
「エクスプロージョン。」
マキの剣が爆発し、マコトを吹き飛ばす。
だが、マコトは爆発を受ける直前で後方にジャンプして、
ダメージを軽減していた。
「シルファリオン。」
マキが超スピードでマコトに斬りかかる。
276 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:28
「何の!風よ、わが剣に宿え。」
マコトもマキと対等のスピードで向かう。
目でも追えないほどのすさまじいスピードで、剣と剣が重なり合っていく。
「強くなったね〜。」
「それはお互い様だろ。」
二人はどこか楽しげに戦っているようにも見える。
「フォーリング・プラズマっ!」
マキがマコトに雷を落とす。
「効かないって前にも言っただろ。吸収。」
マコトの剣に雷が吸収されていく。
「もういっちょうっ!ブルー・クリムソン、フレイムショットっ!」
雷を落とした直後に、マキはさらに炎の塊を打ち放つ。
「おまけだよ。アイスショットっ!」
炎の塊を放ったあとに、今度は吹雪を放つ。
277 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:29
「考えたな。だがっ!」
マコトは雷を吸収したあと、剣を地面に突き刺す。
「解放。」
剣にまとった雷が一瞬で消え去った。
「吸収。」
今度は剣を炎に向けて、自分の剣にまとわせる。
「砲撃。」
さらに、吹雪に炎を打ち放ち相殺した。
「はぁ〜、あれをなんとかしちゃうんだ・・・。」
マキは尊敬するような、あきれているような声を出した。
「やっぱ剣での対決しかないのかね?」
そう言って、マキはマコトに向かって走り出す。
「それはどうかな?」
マコトは不敵な笑みを浮かべて、マキと対峙した。
278 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:29
リカ、マリ、ケイは近くで二人の闘いを見ていた。
剣と剣が重なり合うのを見ていたマリが、背を向けて歩き始めた。
「どこへ行くの?」
ケイはマリを振り向かずに聞く。
マリは一度足を止めて振り返る。
「先に帰って修行する。あの二人に負けてられないから。」
マリは再び歩き始め、シャルウィーの町の方へ向かっていった。
リカはオロオロとしながら、ケイとマリを交互に見ていた。
279 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:30
「行きたかったら行ってきなよ。あんたも修行したいんだろ?」
ケイの言葉に、リカはマリの方を向いた。
「ごめんね。」
「その代わり、私達が帰るまでには少しは強くなっておきなよ。
それと、アサミにボディガードを送るよう言っておいてくれ。」
「うんっ!」
リカは、マリの方へ小走りに向かっていった。
「・・・私は立ち会い人になってやるか。」
リカが去った方を一瞬だけ見てから、ケイは二人の闘いを見続けていた。
280 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:31
マキがマコトを剣で吹き飛ばす。
「どうだっ!」
「まだまだっ!」
互角だった二人の闘いに、変化が訪れ始めた。
マキがマコトを押し始めたのだ。
「ハアッ!」
「ぐぅっ・・・。」
マコトの剣をマキがはじいて、剣の柄でマコトを殴り倒した。
「ここまでだね。」
「・・・仕方ない、やはりマキ相手では本気でいかなければいけないようだ。」
マコトは軽く飛んで下がり、剣を鞘に入れた。
「何のつもり?」
マキの質問に答えず、ただ集中しているようだ。
マキはマコトが剣を引き抜いた瞬間、反射的に横へ飛んだ。
281 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:32
マキから数m後ろにあった木々が倒れていった。
「・・・今のは?」
「・・・居合いか。」
マキの問いに、ケイが感心したようにつぶやいた。
居合いとは、剣圧によって遠くの物を斬ることができる技である。
それは剣士の中でも極一部の人間にしか使うことができないと言われている。
さらにマコトが剣を振るっていく。
マキは転がるようになんとか避けていたが、避け切れなかった一撃が
マキの肩を深くえぐった。
「うわぁっっっ!!!」
かなり深く切れたようで、血が吹き出ている。
マキはその場でうずくまる。
282 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 20:33
「(ここまでだな・・・。)」
そうケイは思いながら目を閉じた。
「私の勝ちだ。」
マコトはマキに近づいていく。
「ぐっ・・・。」
一瞬マキの頭の中を辛い過去がよぎった。
自分の目の前でミキに両親を斬られるシーンだった。
ミキに刺された腹が疼き出す。
「(いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、負けたくない、負けたくない、負けたくない・・・。)」
マキは自分に言い聞かすように、何度も心の中で呟く。
その直後に剣が形を変えていった。
283 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 21:07
今日はここまでです〜
284 名前:konkon 投稿日:2004/07/24(土) 21:08
<名無し読者さん
たぶん次の次辺りの更新でわかるはずです♪

285 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/26(月) 12:26
ごっちんガンバ!
286 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:52
マコトが途中で歩みを止める。マキが立ち上がったのだ。
まだ、肩からはかなりの血が出ている。
「もうやめておけ。その傷では戦えまい。」
しかし、マコトの言葉にも耳を傾けずに、マキはマコトに近づいていく。
「まだやるというなら相手になろう。ハアッ!」
マコトが再び居合いを放つ。
先ほどよりも近いとこから撃ったため、避けるのも難しいだろう。
「(さあ、どうやって逃げる?そこで終わりにしてやる。)」
しかし、マキはマコトの予想をはるかにくつがえす行動に出た。
マキも居合いを放って相殺したのだ。
「そんな・・・。」
マコトがこの技を手にするために、血の滲むような努力をしたのだった。
それを少し見ただけでやってのけてしまうとは思いもしなかった。
マキは相殺した直後にものすごい速さでマコトに向かっていく。
287 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:53
「くっ!」
マコトはなんとか剣で押さえる。だがマキの勢いは止まらない。
マキの剣技はすさまじく、剣でかばうのがやっとだった。
マコトの体はいくつもの斬り傷ができていた。
マキがマコトを崖まで吹き飛ばす。
「ぐぅぅ・・・。」
マコトは剣が手から離れ、力尽きたように座り込んだ。
「マキ、そこまでだよっ!」
ケイは大声で怒鳴るように言った。
しかし、それでもマキはマコトに向かっていく。
マキが剣を突き刺そうとする瞬間、マキの腕に何かが絡みついた。
288 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:54
「もう終わりだって言ってるだろっ!どうしたんだよ!?」
ケイがマキの腕に鞭を絡め、なんとか引き寄せようとした。
だが、怪我をしていながらもマキは鞭を掴んで振り回し、
ケイを地面に叩きつける。
「がはっ・・・ぐっ。」
ものすごい威力で地面に叩きつけられたケイは、口から血を吐いて
倒れこんだ。あばらの骨が折れたのかもしれない。
マキは再びマコトに剣を向ける。
その時、マキが崩れ落ちていった。
背中には一本のナイフが刺さっていた。
「ようやくスキを見せたわね・・・。」
マキがマコトに振り向いた直後に、ケイは倒れながらもナイフを投げたのだ。
ケイはマキに向かってゆっくりと歩いていく。
剣はいつの間にか元の大剣に戻っていた。
289 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:54
「・・・そいつは平気なのか?」
「神経を刺して意識が途切れただけ。それよりもあんたの方が大丈夫なわけ?」
ケイはマキを背負いながらマコトに聞いた。
「このくらい・・・なんてことない。」
マコトは足をふらつかせながらも、なんとか立ち上がった。
「マコトって言ったね。あんたはこれからどうするつもり?」
「・・・負けは負けだ。共に行こう。」
「とりあえずこの子もこんなだし、あんたのいた町へ戻ろう。」
二人はダンスサイトの町へ歩き出した。
290 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:55
「・・・んあ?」
次の日の昼、マキは宿のベッドで目を覚ました。
「ようやく起きたか。」
マキが周りを見渡すと、ケイとマコトが近くのいすに座っていた。
ケイは本を読んでいたらしく眼鏡をかけていて、マコトは瞑想中みたいで、
目を瞑って座っている。
「ここは?・・・そういえばマコトとの勝負はっ!?どうなったの?」
突然思い出したようでケイの肩を揺さぶって聞く。
「・・・とりあえず落ち着きなよ。」
ケイはマキの腕を払う。
291 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:55
その直後に、

パンッ

ケイがマキの顔をひっぱたいた。
その音に反応し、マコトは目を開ける。
呆然とするマキをよそ目に、ケイは腕を組んで座り直した。
「あの剣は何?人を殺すつもりだったのか?」
ケイは冷徹な声で質問した。
「第九の剣、サクリファー。あの剣を使うと、力を得られる分だけ
制御しにくくなるんだ。今の私なら大丈夫だと思ったんだけど・・・
ごめんね。迷惑かけちゃったね。」
ケイは黙ってマキを見つめていた。
292 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:56
少しの沈黙のあと、ケイが口を開いた。
「もういい。今回のことは許してやる。その代わり、
今後二度とその剣は使うな。」
「うん・・・約束するよ。」
頷いたあと、マキはマコトのことを見る。
「マコトもごめん・・・。」
「・・・なぜ謝る必要がある?お前の勝ちだ。私も一緒に行こう。」
「そっか。ありがとう。」
マキは再び眠りについた。
三人は、アサミからボディガードが送られてきてから出発することにした。
293 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:56
とりあえずはここまでです〜
294 名前:konkon 投稿日:2004/07/26(月) 21:57
>名無し読者さん
ごっちんは今後はもっとすごいことになるので
応援してあげてください・・・。
295 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/27(火) 07:44
おもしろいです
がんばってください!
296 名前:MS 投稿日:2004/07/27(火) 10:49
この作品おもしろいです!
自分もRAVEが好きなのでこの作品は好きです!
これからもがんばってください!
297 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:43




龍に乗った少女



298 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:44
南にあるタンポポが咲く丘に向かった四人が着いたのは、二日目の昼頃だった。
「わ〜、きれいだべ。」
「ノノ、初めて見たれす・・・。」
そこには、辺り一面に輝くタンポポが咲いていた。
「すごいわな〜、確かにタンポポばかりやな。」
「その名のとおりね・・・。」
四人は感動して、タンポポに見入っていた。
その時、四人を一瞬影がよぎった。
上を見た四人は唖然としていた。
普通の龍よりも一回り以上大きい龍が、通過していったからだ。
龍は近くの森の中にゆっくりと降りていく。
「なんやあれ?人が乗ってたで!」
アイは普通の人よりも動体視力がいいらしく、一人の少女が乗っていたのを発見した。
「あれが噂の龍に乗った少女かもね。行ってみよう。」
四人は龍に向けて歩き出した。
299 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:45
龍と少女は、森の中のちょっとした広場で寝ていた。
少女は龍に包まれるように寝ている。
四人は近くまで行って、木の陰から様子を見ていた。
「どうする?あれじゃ起こすのも可愛そうだべ。」
「そうだね。出直そうか・・・。」
少女が幸せそうに寝ているので、四人は声をかけずに引き返そうとした。
その時、
「何の用や?」
少女が突然起き上がって声をかけてきた。
「普通のお客さんなら歓迎するで?」
「「「「普通?」」」」
四人は声をそろえて聞き返した。
300 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:46
「ワンダーランド、つまりこの龍が目的なのか、もしくはうちが
目的なんか、どちらでもなくただ興味があってきたのかってことや。
前の二つなら追い返す。そういうわけでもなく、ただ興味があって
きただけなら別に話しくらいならしたげるわ。」
少女は淡々と言い放つ。
「あなたに話しがあってきたの。」
カオリが一歩出て、少女と向かい合う。
「私達に力を貸してくれないかな?今、オロチが復活しそうで
世界が危ないの!これだけ大きな龍を操るくらいだから強いんでしょ?」
「・・・オロチか。」
少女ではなく、龍が四人をゆっくりと首だけ振り向いた。
「龍がしゃべった・・・。」
アイは普段以上に目を見開いて驚いていた。
301 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:47
「確かにオロチが復活すると、この世界は滅亡するだろう。
そうなるとわしらの住処もなくなってしまう・・・。」
「うん、だからあなた達の力を貸してほしいの。」
ナツミが悲しそうな表情で言う。
「オロチの力は最強だ。お前達はオロチが復活するまでの間、
やりたいことをやっておこうとは思わないのか?」
「思うわけないのれす!ノノ達はこれからも生きていくんれすから!」
ノゾミが力強く言い放つ。
「なんやちっこいの、オロチの力は絶大なんやで。」
「なっ!あなたらってちびじゃないれすかっ!」
「ちび言うなやっ!アイボンいう名前があるんや!このちびっ!」
「なんれすってっ!ちびっ!」
「ちびっ!」
「やるんれすかっ!?」
「やったろうやないけっ!!」
自分でアイボンという少女と、ノゾミが睨み合う。
302 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:47
「いいだろう。ただしオロチと戦うからには、中途半端な強さで
勝てると思ったら大間違いじゃ。わしらがお前達を見極めてやろう。」
そう言うと龍は起き上がり、四人を正面から見る。
ただでさえ普通の龍より大きいのに、威圧感がすさまじい。
アイボンはノゾミと言い合ってたせいか、すでに戦闘体制に入っている。
「さあ、向かってくるがいい。四人の戦士達よ。」
「とっととかかってこいや〜っ!」
「言われんでもいったるわ。」
アイが超スピードでアイボンの横まで動き、剣を向ける。
「おわっ!」
アイボンは瞬時に龍に飛び乗り、龍が上昇していく。
十数mほど上がったところから龍が炎を吐く。
四人は散らばって木の後ろまでなんとか避ける。
303 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:48
「なんちゅう炎や。周りの木が燃え尽きちまってるわ。」
「本気でいくよ。フレア・ボムズ!」
「サンライト・プレッシャー!」
カオリが特大の炎の塊を、ナツミが手に集めた光の光線を龍に向けて撃つ。
二つの魔法がほぼ同時に龍の腹に当たる。
だがそれほどダメージはないようで、ゆっくりと下を向いただけだった。
「ぐっ・・・なかなかやるようだな。あの者達は。」
「そうみたいや。こっちも本気でいくでっ!」
今度は龍が四人の間に急降下してきた。
地面すれすれで止まり、アイボンが飛び降りる。
降りた瞬間、アイの横まで一瞬で動いた。
「うそっ!?」
アイはその場から下がって、アイボンの剣から逃れる。
304 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:49
「うちと同じ力を持ってるんかっ!?」
「そんなんちゃうわ。こういうこともできるんやで。
確か・・・サンライト・プレッシャー。」
さらにアイに向けて光の光線を放つ。
アイは横に飛びなんとか避ける。
「もしかしてあんたの力って・・・。」
「そう、コピー、要はものまねやな。一度見た技を
そっくりそのまま使えるんや。」
アイボンは余裕の笑みで答えた。
「(そうだとすると、うちのスピードを使われたらみんなが
動けなくなる・・・。うちがなんとかせんと!)」
アイはアイボンから目を離さないように考えた。
305 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:50
「みんなっ!うちがこの子を引き付けるからその龍任せるわっ!」
アイは三人に聞こえるように大声で叫んだ。
「なんや。ワンダーランドが怖いからうちの相手をしようってのか?」
「違うわ。あんたの強さをよくわかったからうちが相手になるんや。」
「言い訳がましいな〜、あんた一人でうちを止められる思っとんのかいな?」
「うるさい。黙ってついてこい、このちび。」
アイは森の中へ走っていく。
「ちびいうなやっ!こら待てやっ!」
アイボンもアイにつられて森へ入っていった。
「(単純で助かったわ。そっちは頼むで。みんな・・・。)」
306 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:51
「アイの言葉聞いたねっ!こっちもやるよっ!」
「わかったべ!」
「了解なのれす。」
三人は龍を囲むように立っている。
龍がカオリを見たスキに、ノゾミが走り出した。
「百獣擬態、剛熊擬!」
しかし、ノゾミが拳を振りぬく前に龍は上昇した。
「エレクトリックブラストっ!」
「ホーリーストライクっ!」
龍に大きな雷と、光の嵐が降り注ぐ。
「ぬぅぅ、こしゃくなっ!」
龍は痛みをこらえながら下を向く。
307 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:51
「(ノノには空中にいる相手では戦えないのれす。
・・・待ってくらさい、あれならいけるのれす!)」
「これで終わりだ。」
「百獣擬態、烏翔擬!」
龍が下に向けて、光線のようなものを降り注いだ。
「うわぁっ!」
「きゃぁっ!」
カオリとナツミはまともに喰らい、その場から吹き飛ばされる。
「ぬう、もう一人はどこだ?」
「ここれすよ。」
突然の声に龍が驚きながら振り向くと、ノゾミが地上から十数m上まで
上昇している龍の上まで飛んできていた。
「鳥の力、それは空高く舞い上がれるのれす。」
そのままノゾミが龍の背中を思い切り叩きつける。
308 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:52
龍は地上まで吹き飛ばされていく。
「ぐっ、その力は・・・?」
「アイボンが戦った人の技を使えるなら、ノノは戦った魔物や
動物の力を使えるのれす。」
ノゾミは着地すると、龍と向かい合う。
「だが、まだまだ負けん!最強の龍の力見せてやろうぞ!」
「(龍に匹敵する力、ならば・・・。)」
ノゾミは構えを変えて、両手を猫の手のように丸める。
「百獣擬態、虎王擬っ!」
ノゾミの爪と歯が、虎のように鋭くなっていく。
「「勝負っ!」」
309 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:53
アイとアイボンは、森の中ですさまじいスピードで走りながら
剣を交じり合わせていた。
「ハアッ!」
「なんのっ!」
二人はほとんど互角の状態だった。
「火とんの術!」
「甘いわ、水とんの術!」
アイが炎を巻き起こすが、アイボンはそれと同時に水でかき消した。
「(やっぱ一回見た技は簡単に使われるんやな。さっきからうちの
スピードに近いスピードでついてきとるし・・・ん、近い?)」
アイはその場で一回足を止めた。
「どうしたよ?立ち止まってしもうて。疲れたんかいな?」
アイボンは挑発するように言う。
「(アイボンが使ったうちの忍術、さっきのナツミの技
・・・そっか、そういうことか!)」
アイは、その場で足に最大までチャクラを貯める。
310 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:53
「これで決めるで。できるもんならまねてみいやっ!電影速っ!」
アイはその場から、横にある木に飛び移った。
さらに別の木に飛び移る。それを次々と繰り返していく。
スピードがどんどん上がっていき、アイボンを取り囲むように周
りを飛び回っている。そのスピードは目で追えるようなものではなく、
いくつもの残像ができるほどだった。いつどこからでも敵の死角を狙える戦い方である。
スピードはさらに上がっていく。
「なるほど、残像を作って惑わそうってかい。そうはいかんわ!」
アイボンもまねして、超スピードで木々を飛び周り始めた。
「いっくで〜っ!」
「ハァっ!」
二人がぶつかり合った瞬間、二人の決着がついた。
311 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:54
交信中です
312 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:55
>名無し飼育さん
ありがとうございます。
そうやって言っていただけるのがとてもうれしいです。
313 名前:konkon 投稿日:2004/07/28(水) 21:56
>MSさん
ありがとうございます。
勝手にRAVEは変えてしまっていますが、
こんなのでよければ見てやってください。
314 名前:MS 投稿日:2004/07/28(水) 23:03
おお、更新されてる!
龍に乗った少女、やっぱりアイボンでしたか。予想したとおりです。
アイボンVSアイ・・・どっちが勝つんでしょうか?
と言ってもアイが勝たなきゃ話は進みなせんけどね。
315 名前:151 投稿日:2004/07/29(木) 06:19
なるほどアイボンらしい能力ですね、ってこの小説はネタバレOKですか?
そういえばあと一人出てきてない人がいるんですね〜
316 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/30(金) 00:55
MSさん、飼育はネタバレ厳禁です
自治FAQを読んでください
317 名前:MS 投稿日:2004/07/30(金) 08:25
ネタバレのつもりで書いたのではなく
あくまで自分の予想として書いたつもりだったのですが
ネタバレになってしまったみたいでkonkonさん申し訳ございません。
読者のかたもネタバレになってしまいすみませんでした。
今度からは気をつけてレスします。
318 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:19
「すごいね。ノノ、あのでかい龍とまともにやりあってるべさ!」
「うん、強くなったよ。あの子は・・・。」
龍の衝撃波で吹き飛ばされたナツミとカオリは、なんとかノゾミ達の
いるところまで戻ってきた。
服はぼろぼろだったが、ナツミが回復したため怪我は一つもなかった。
「私達も負けてられないべ!」
「そうだね。本気になった私達の力、見せてやろうじゃん!」
ナツミとカオリは、お互いの手を合わせ魔法の詠唱を始めた。
319 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:22
アイとアイボンが激突した。
アイは頬から血が出ているがアイボンの刀を避けていて、
アイボンの首にはアイの刀が寸止めされていた。
「勝負ありやな。」
「・・・うち、負けたんか?」
アイボンは信じられないといったような表情をしている。
「アイボンは確かに何でも覚えることができるみたいやけど、
完璧じゃない。さっきのうちの忍術や、ナツミの魔法も少しだけ
劣ってた。たぶん、個人個人の能力に体がついていけなかったんやろ。
だからうちのスピードの方が、ほんのわずかやけど勝ったんや。」
「そこまで見とったんか・・・うちの負けや。」
「でもアイボン強かったで!うちの技をすぐにまねされるんやからかなわんわ〜。」
「ふん、次は勝ったるわっ!」
「あっちはどうなっとるんやろ?」
二人は、龍のいる広場へと歩き出した。
320 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:23
「双爪閃!」
ノゾミが両手を重ね合わせて、龍の背中を大きく爪で裂く。
「ぬおぉっ!」
龍が首を振り回してノゾミを吹き飛ばす。
さらに、しっぽでノゾミの体を縛り付けた。
「うぁっ・・・。」
あまりのきつさにノゾミの骨がきしんでいる。
「そろそろ負けを認めたらどうじゃ?」
「んぎっ・・・」
さらに骨をしめつける。
ノゾミの意識は限界だった。
321 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:24

ガブッ!

「いっ!」
ノゾミが龍のしっぽに噛みついた。
龍の硬い皮膚も、虎と化したノゾミの牙には勝てないようだ。
しっぽがゆるんでノゾミはそこから抜け出した。
「ハァッハァッ、ノノ達は・・・絶対負けられないのれす・・・。
世界を守るために・・・生きていくんれす・・。」
「よく言ったよ。それでこそ戦士だべ。」
「私達は負けられないの。オロチにも、あなた達にも。」
少し離れたところにナツミとカオリの姿があった。
322 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:25
二人は魔法を解き放つ。
「「ウインドミドル!!」」
巨大な竜巻が発生して龍を飲み込んだ。
「ぬぅ・・・動けん・・。」
さらに竜巻のあらゆるところから真空波が発生し、
龍をずたずたに引き裂いていく。
「ぐはぁっ・・・。」
龍はその場に崩れ落ちていく。
ナツミはノゾミに駆け寄っていき回復していく。
「よくがんばったね。私達の勝ちだよ。」
「うん・・・。」
ノゾミはナツミに笑顔を向けて、そのまま眠りについた
323 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:26
「こっちも終わっとったんか。」
アイとアイボンが森の中から出てきた。
「うん。そっちはどうだったの?」
「うちが負けると思ってるんか?」
アイは胸を張りながら答える。
アイボンは龍の前まで歩いていき、そっと両手で首を抱きしめる。
「ワンダーランド・・・お疲れさん、しばらく休んでな。」
突然龍が光り出し、アイボンの中に吸いこまれるように入っていった。
「何・・・今のは?」
アイがまた目を見開いて質問した。
「自分おもしろい顔するな。うちとワンダーランドは一心同体や。召喚言うてな、
自分の中にいる獣を呼び出すことができるんや。普通の人間には使えんがな。」
アイボンはアイの顔を見て笑いながら説明する。
324 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:27
「じゃあその龍が死んじゃったらあなたも・・・?」
「いやそれはないんや。二度と呼び出せなくなるんやけどな。
逆にうちが死んだらワンダーランドは死んでしまう。
よくわかんないもんやろ。まあ、死ぬときは一緒や。」
「回復させなくてもいいの?」
「しばらくうちの中にいさせれば、すぐに元気になって出てくるわ。」
アイボンは笑顔でそう答える。
「けど、あんたらの力になる言うてもわからんで?突然町を襲うかもしれへん。」
「どういう意味?」
「うちは闇の世界から来た魔族や。人間じゃない。」
「「「魔族!?」」」
「そういうことや。だからあんたらが寝てるうちに殺したりするかもしれへんよ?」
「それはないでしょ。」
カオリはあっさりと否定した。
「あなたからは全然邪悪な気を感じないもん。魔族だからって関係ないよ。」
「それに血の臭いも全くせんわ。人を殺したりしないやろ?」
アイもカオリに続く。
325 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:29
「ふん、うちを信じられるんか?今だけ猫かぶってるんかもしれへんのやで?」
「私は信じるよ!魔族だからって関係ない!信じなきゃ何も始まらないよ!」
ナツミは大声でアイボンに向かって叫んだ。
アイボンは少し戸惑っているようで、下を向いて考え事をしている。
「手伝ってくれないかな?無理にとは言わないけど・・・。」
アイボンは顔を上げて三人と向き合う。
「約束は約束や。あんたらの力になったるで!うちがいるからには
オロチでもなんでも倒したるわ〜!」
「おもしろい子だね。一緒にオロチを倒そうね。」
「もちろんや。ところで背中で寝てんのどうしたん?」
カオリがおぶっているノゾミを指差す。
「あの龍とずっと戦ってたからね。疲れて寝ちゃったんだよ。」
「うちのワンダーランドと戦ってたなんてすごいやつやな。
ちびって言葉は取り消しといたるわ。」
アイボンは軽くノゾミの背中を叩いた。
「う〜ん、お腹すいたのれす・・・。く〜・・・。」
ノゾミが寝言を呟いた。
「んじゃアイボンも仲間になったことだし戻ろうや。シャルウィーの町に。」
326 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:29
「フフッ。フフフフッ。」
薄暗い部屋の中で、少女は笑いながら立っている。
そこは人の心音のような音が気味悪い程に、部屋中に響いている。
少女の前には一つの水晶が置かれていた。
「お久しぶりです。」
「嬉しそうですね。何かありましたか?」
少女が振り返るといつの間に現れたのか、片膝をついて少女に
体を向けている四人の姿があった。
「あなた達にもこのメロディが聞こえるでしょ。
オロチの完全復活が近いのよ。」
「そうみたいっすね〜。」
「ドキドキしちゃいます。」
「まだ半分の力も使ってないのにこの力よ。これで全ての力を
手にしたらどうなるのか・・・。」
「楽しそうね。」
四人の後ろから、さらに一人の影が歩いてくる。
327 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:30
「あなた達は下がりなさい。」
「「「「ハッ!」」」」
四人の姿がその場から消えた。
「おかえり〜♪どうだった?私が造った魔の部屋は?」
「最高だね。今なら誰が相手だろうと負ける気しないよ。
あなたを抜かしてね。」
「フフフッ、それは頼もしいわね。聞いての通り、あと少しよ。」
「そうね。自分達の世界ができるまで人間達と少し遊んでやるか。」
「あなたの場合、人間達というよりあの子でしょ?」
「・・・ちょっと休んだらウォーミングアップにでも行ってくるよ。」
「え〜、また行っちゃうの?さみしいよ・・・。」
「わかってるよ。すぐ帰ってくるからさ。」
そう言って、しばらくの間少女の頭を撫でていた。
328 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:30
交信しました。
329 名前:konkon 投稿日:2004/07/30(金) 22:34
>MSさん
私に対してはお気になさらずに。
他の方の小説ではお気をつけください。
これからもよろしくです。

>151さん
アイボンについてはこの能力に限りますね。
もう一人はそのうち出てくると思います。

>名無し飼育さん
私も気をつけたいと思います・・・。
ご忠告、ありがとうございます。
330 名前:MS 投稿日:2004/07/31(土) 01:03
お気遣いありがとうございます。
更新されていたら時間があればなるべく書こうと思ってます。
konkonさんこちらこそよろしくです。
もうすぐオロチが復活してしまうんですか!?
ごっちん達はオロチの復活を防ぐことができるのでしょうか?
今後のごっちん達の活躍に期待してます。
331 名前:151 投稿日:2004/07/31(土) 10:52
私もちょっとネタバレしちゃってますね。ご迷惑をお掛けしました。
さて、みんな強くなってきましたね〜、いよいよ佳境に入りそうな気配・・・?
332 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:07




悩み



333 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:08
ダンスサイトの町にアサミから守護聖獣の一つ、玄武が届けられ、
三人は安心してシャルウィーの町へ戻ってきた。
アサミのいる研究所の前まで近づくと、アサミが出迎えてくれた。
「おかえりなさい。丘へ向かった四人は、先ほど仲間を増やして帰ってきましたよ。」
「ただいま。そっか〜、よかった。こっちも一人増えたよ。」
マキがマコトを振り向く。
「マコト=オガワだ。よろしく頼む。」
マコトはそっけなく挨拶をする。
「アサミ=コンノと申します。よろしくです。」
アサミが手を出すと、マコトは少しとまどいながらも手を握り返した。
334 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:08
「お疲れでしょうから、ゆっくりとお休みになってください。」
「・・・マリとリカはどうしてる?」
「一度こちらに戻られてから、外で修行してくるとのことです。」
そこでアサミは、どこかケイの様子がおかしいことに気が付いた。
「どうかなさいましたか?」
二人が部屋へ入ったのにその場で立ち止まっているケイの顔を、
アサミは心配そうに覗き込む。
「いや・・・なんでもない。そういえばヒトミはどうなった?」
「もう少し時間が必要ですね。けっこう派手にやってたみたいで、
腕の修理に時間がかかってしまいましてね。」
「そうか・・・。」
ケイはそれだけ言うと、部屋へ入っていった。
アサミは少し考え込んでから、ヒトミのいる研究室へと歩いていった。
335 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:10
その日の夜、マリとリカが帰ってきた。
アサミはマキ達と同じように出迎えた。
二人とも傷だらけでぼろぼろの状態だった。
よほど厳しい修行をしていたんだろう。
しかし、リカは笑顔で帰ってきたが、対象的にマリは
考え事をしているかのような難しい顔をしていた。
「ただいま〜♪」
「・・・・・。」
「おかえりなさい。傷だらけですけど大丈夫ですか?
早くナツミに治してもらうといいですよ。」
「うんっ!」
リカはスキップするように部屋に入っていった。
336 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:10
だが、マリはその場から動こうとしない。
「マリ?」
「・・・。」
「どうしたんですか?あなたといいケイといい、そんな顔なさって?」
「・・・・ケイも?」
「はい、先ほど帰ってこられたんですけど何か思い悩むような
顔をしていましたね。」
「そっか・・・。後で話すよ。」
それだけ言うと、マリは部屋に入っていく。
「・・・どうしたんでしょうか?」
アサミはしばらく考えていたが、後で話すと言っていたことを
思い出して研究室に戻っていった。
337 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:11
翌日の昼、ケイとマリはアサミのいる研究室の前までやってきた。
「失礼するよ。」
ケイがノックをしてから入っていく。
それにマリが続いて入る。
「どうかいたしましたか?」
アサミは向かっていたパソコンから目を離して、二人を見る。
昨日は気付かなかったが、よく見るとアサミの目の下には
くまができていて、顔は青白くなっていた。
「・・・あんた大丈夫なの?寝てないんじゃないか?」
「かなりやばくない?寝た方がいいって!」
二人はアサミを気遣うが、アサミは首を横に振った。
「いえ、慣れてますからご心配なく。それに早くヒトミのことを
治してあげたいんです。」
アサミは部屋の奥の方を見つめる。
奥の方には、上半分が鏡張りになっている機械の箱の中に、
両手両足のないヒトミが寝ていた。
肩や腰、頭には、チューブのようなものが取り付けられていた。
338 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:12
「ねえ、これって・・・?」
マリがおそるおそるアサミに聞いた。
「ああ、あまりにもヒトミがうるさいんで、その中に入れて黙らせました♪」
アサミは笑顔でそう答えた。
「「・・・・・。」」
二人が言葉を失ったのに気付いて、アサミは苦笑いを浮かべた。
「冗談ですよ。ただ、彼女の腕と足を治すとなるとどうしても
体からはずす必要があります。機械をはずしたりつけたりする時の
痛みは激しいもので、ヒトミですら悲鳴をあげたほどでした。
ですから、付け直す時までは寝てもらっているんです。」
アサミは遠くを見るように答える。
「ところでどうかいたしましたか?昨日は難しい顔をしてましたが。
って今もいかにも悩んでるって感じですね。」
アサミは明るく振舞うが、それでも二人の表情は暗い。
二人は一度、顔を見合わせる。
339 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:13
「ここには武器は置いてない?」
ケイが言いにくそうに答える。
「武器を変えるんですか?お二人とも十分強いじゃないですか?」
「このままじゃだめなんだ。今の私ではみんなの足を引っ張ってしまう・・・。」
ケイはアサミを真っ直ぐに見つめる。
「前々から気付いてはいたんだ。私には決定力が無い。」
ケイの言い分では、ダンスサイトの町から帰る途中で魔物に襲われたらしい。
その時、マキとマコトは魔物をあっさりと倒したのに対し、
ケイだけは倒すのに苦労したらしい。
鞭という武器なために全体的に、長距離に、そして音速で敵を
討つことができるが、防御力が高い相手だとダメージを
なかなか与えられない、ということであった。
340 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:15
「今までは表の世界だったからそれほど問題ではなかった。だけど、
これから先はそういうわけにもいかないんだ。」
「そうですか・・・あなたも同じ理由ですか?」
アサミはケイから目を離し、今度はマリを見た。
「昔から使ってる剣だし、元は一般兵のだからね。見た目はそうでなくても、
かなり痛んでるんだ。それに・・・自分でいうのもなんだけど、おいらだって
強くなってるんだ。そういう自覚がある。けれど、どこかで出し切れてない力が
あるんだと思う。その力をこの剣じゃ引き出せない。だから・・・。」
アサミは一息ついてから椅子から立ち上がる。
「わかりました。それでは宝物庫へご案内します。お気に召すものが
あればいいんですけどね。」
「すまない。この闘いが終わったら必ず金は払うから。」
「いいですよ。こういう時のための宝物庫ですから。」
ケイとマリは、部屋から出て行くアサミについていった。
341 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:15
アサミは、ある一つの部屋で立ち止まった。
ドアについている番号式の鍵を何度か押すとドアが開いた。
「こちらです。どうぞ」
中には様々な武器が置いてあった。
宝物庫というよりも武器の倉庫のようだった。
「何か気に入った物があれば気軽に持っていってください。」
ケイとマリは、いろいろな武器を手に持ってみる。
しかし、なかなかしっくりとくるものが見つからない。
マリはそこで、壁に掛かっている一つの刀に目が入った。
その刀は五尺(約1m50cm)程はあり、普通の刀よりもはるかに長い。
加えて言うならば、マリの身長よりも長かった。
ただでさえ身長の低いマリからしたら、普通に扱えるような
代物ではないだろう。
342 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:16
「アサミ、これは・・・?」
「その剣の名前は桜満開。妖刀の一つで人間の持つ力を全て
放出してしまい、死に至らしめると言われてます。やめておいたほうが
いいと思いますけど。」
マリはその刀を手に取って、鞘から抜こうとする。
しかし、抜くことができない。
自分が抜くのをためらっているのがわかる。
マリは少しの間考えていると、刀を抜くのをやめてそのまま部屋から
持っていこうとする。
「・・・それにするのですか?」
アサミは心配そうにマリを見つめる。
「うん・・・この刀、自分に何かをもたらすような気がするんだ。
自分にとって大事な何かをさ。だからこれにするよ。」
「わかりました。くれぐれも刀に飲み込まれないように。」
「うん。ありがとう。」
マリはそのまま部屋から出て行った。
343 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:17
一方、ケイはある物を凝視している。
それは一つの鉄製の箱で、鎖で縛られている上に御札で
封印されているようだった。
「あれは何?」
ケイは箱から目を離さずにアサミに聞いた。
「あれは、私が使っているメモリーと同じ魔のグローブで、
名をドゥイット。十指に銀の糸がついていて操るのがとても
複雑ですが、その破壊力は鞭の数倍はあるでしょう。
伸縮自在、切り離し自由、さらに切り離した糸も操ることも
できると言われている最強の武器です。ですけど、それには並大抵の
精神力では、一瞬で力を吸い尽くされてしまうと言われています。
さらにあのようにしておかないと、近くにいる者を無差別に
殺していってしまうんです。使うとにはグローブに主人だと
認めさせないといけませんよ。」
「ふ〜ん・・・。」
そう言ってケイは箱に歩み寄って、それを手に持つ。
344 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:18
「じゃじゃ馬くらいでちょうどいい。ここで開けたら
まずいだろうし、もらってくよ。」
「いいですけど・・・死なないでくださいね。」
「フン、私を誰だと思っているの?帝国の皇帝だよ。」
「成り上がったばっかですけどね。」
「それを言うなって。」
アサミの言葉にケイは軽く鼻を鳴らして笑い、
箱を持って部屋から出ていく。
ケイが出て行ったあと、アサミはドアまで歩いていく。
一度、二つの武器があった場所を振り返る。
「お二人とも、ほんとにお気をつけください・・・。」
アサミは再び前を向いて部屋のドアを閉めた。
345 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:18
交信しました。
辻加護は今日で最後なんですね・・・。
卒業おめでとうです。
346 名前:konkon 投稿日:2004/08/01(日) 21:22
>MSさん
オロチが復活するかどうかは今後のお楽しみということでw
鍵はやっぱりごっちんでしょうね〜。

>151さん
そうですね〜、これから発展させていく予定です。
まだまだみんな強くなりますよ〜♪
347 名前:MS 投稿日:2004/08/02(月) 00:10
ケイとマリに新しい武器が手に入ったのはいいんですが、
この2つの武器・・・とても危険じゃないですか!
大丈夫なんでしょうか?今後のケイとマリにも期待です。

辻加護卒業か・・・なんか寂しいです。
コンサート行ってきたんですがとても疲れました(笑)
348 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:09




もう一人の自分



349 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:10
マリは、町から少し離れた岩場にきていた。
手には先ほどもらい受けた桜満開を持っている。
「ここでなら抜けるか・・・。」
マリは一息ついてから、鞘から刀を抜き取った。
その瞬間、近くの岩を次々と爆破していった。
マリの意思とは関係無しに、刀が本来持っているマリの力を
放出させていたのだ。
「くそっ!止まれよっ!止まれーっ!!」
刀を放そうとしても離れてくれない。
近くにあった岩を全て破壊してもなお、四方八方で爆発が起こっている。
自分の体力が減ってきていることに気付く。
このまま続けば、全ての力を使い果たし力尽きてしまうだろう。
マリは自分の全神経を刀に集中させて、自分の力を抑えきった。
その直後、マリの意識が薄れていった。
350 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:11
「ここは・・・?」
気が付くと、真っ白な世界にいた。
扉も窓も何もない、虚無の空間にマリは立っていた。
周りは霧のようなものがかかっていて、遠くまでよく見えない。
「おいらは確か、刀に力の暴走をやめさせてから・・・ん?」
マリは、一つの人影が近づいてくるのに気付いた。
人影はやがてマリの肉眼でも確認できる距離まで近づいてきた。
その姿を見た瞬間、マリは言葉を失った。
「どうしたよ?そんな驚いた顔してさ。」
その人物は、にやけながらマリに話しかける。
「おいら・・・?」
マリに話しかけた人物は、自分と同じ姿をしていた。
351 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:13
「そう、おいらはお前だよ。お前はマリ=ヤグチ、おいらもマリ=ヤグチさ。」
「・・・どういうこと?」
「おいらはお前自身、いうなら本来のお前から創られた
もう一人のマリなんだよ。」
「おいらが創った?」
「そう、この刀によって本当の力が開放された。そのおかげで
おいらが出てこれたってわけだ。」
「えっ、ちょっ、意味がわかんないよ。ちゃんと説明してよ?」
「数年前、マリの父さんが殺された。その時に、マリの中で
復讐という鬼が生まれた。それがおいら、裏のマリってわけさ。
けれど、今まではマリ自身の力と今までの剣が、おいらの力に
追い付かなかった。そのためにおいらが開放されるれることは
なかったが、マリが強くなってこの刀、桜満開によっておいらの
力を解放することができたってわけだ。」
352 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:13
「じゃあ・・・おいらが持ってる本来の力ってあんたのことなの?」
「半分正解で半分不正解ってとこだな。おいらの力は元からお前自身、
マリの力なんだよ。だけど制御しきれなければ、逆に体がぶっ壊れてしまう。
その時に必要となったのがおいらなんだよ。要は裏のマリが力の
制御をしていたってわけだ。」
「でもそれじゃだめなんだ・・・オロチと戦うには、全ての力を
ぶつけなきゃ勝てないかもしれないんだ!」
「わかってる。だからこそおいらが出てきたんだ。おいらも力を
貸すよ。できる限りの力を解放してやる。」
「そっか。ありがとう。」
「自分にお礼をいうなんて変な感じだな。」
「ははっ、そうだよね。」
「本当に全ての力が必要になったときにだけおいらを呼びな。
その時は全ての力を解放してやるから。」
「うん。」
「おいらとお前が一つになったとき、本当の鬼人、マリ=ヤグチが
誕生する。ほんの数分だけどな。それ以上なってたら、体が崩壊してしまうからな。」
「わかったよ。いろいろありがとう。」
353 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:14
「それじゃあな。」
「うん。またね。」
二人のマリが霧に包まれていく。
マリはそこで目が覚めた。
周りは、先ほどまでいた岩場に戻っていた。
手には桜満開が握られていたが、力が勝手に放出されることはなかった。
試しにマリは、力を込めて刀を思いっきり振ってみる。
すると、爆発の波が次々と地面をえぐっていった。
力を止めた瞬間、爆発もそこで止まる。
「こいつはすげぇ・・・。」
刀を鞘に戻して、マリはシャルウィーの町へ歩いていく。
「絶対使いこなしてみせるから。見ててね。」
マリは、もう一人の自分に語りかけるように小さく呟いた。
354 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:14




持ち主



355 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:15
同じ頃、ケイは近くの洞窟の広場で目を閉じて精神統一をしていた。
目の前には先ほどアサミからもらった箱がある。
箱にはまだ、鎖と御札がされていた。
箱を空けたら何が起こるかわからない。
何もないかもしれないし、武器が自分を襲ってくるかもしれない。
アサミは後者だと言っていた。
そのため、どんなことがあってもいいように気持ちを落ち着かせていた。
何があっても冷静に、迅速に、正確に処理することができる、
それが軍でも司令官を務められるほどのケイの能力だった。
「さって鬼が出るか、蛇が出るか・・・。」
ケイは目を開いて、後ろへ下がっていく。
自分にとってちょうどいい距離まで間隔をあけると、
腰から二本のナイフを手にした。
356 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:16
「ふん、どちらにせよやるしかないんだろうね。」
ケイは自分で言ったことに苦笑して、二本のナイフを箱に向かって投げる。
一本は鎖を、一本は御札を貫いた。
その瞬間、箱が開いて一組の黒いグローブが飛び出した。
右手と左手のグローブが宙に浮いている。
二つのグローブはゆっくりと回った後に、ケイがいるほうを向いた。
「やっぱただでとはいかないか・・・。」
ケイはため息をついて、肩にかけてあった鞭を構える。
右のグローブの五本の指から、銀の糸がケイに向かって伸びてくる。
ケイは目を細め、冷静に横に飛んで避ける。
しかし、右のグローブは指の力を利用し、糸を薙ぐようにケイを襲う。
「ちっ!」
それに気付いたケイは、床を這うようにしてなんとか避ける。
周りにあった岩が、糸に当たって細切れになっていった。
357 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:17
その直後に、左の指から糸が伸びてくる。
ケイは鞭ではじこうとして、鞭を振るった。
だが、
「そんな・・・。」
鞭が糸に触れた瞬間、鞭が切れていった。
特殊繊維のために、かなりの柔軟性と耐久力があるはずの鞭が
一瞬で使い物にならなくなってしまった。
呆然とする暇もなく、右と左の糸が様々な角度から襲ってくる。
ケイは冷静に避けながら、それでも糸が当たったせいか、斬ったような傷がいくつかあったが、
活路を見出そうと必死で糸の動きを読んでいた。
「(ここだっ!)」
ケイは向かってきた糸を避けると、グローブに向かって走り出す。
自分の計算では、ここでグローブに向かっていけば糸が当たる前にグローブを掴める。
そのはずだった。
358 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:18
「(ん、糸・・・?)」
足元を見ると、何本かの糸が散らばって落ちていた。
その落ちていた糸が、突然ケイを襲ってきた。
ケイは避けきれずに、何本かの糸が体を突き刺していった。
さらに右と左のグローブが、ケイを挟むように右左から糸を振るってくる。
「・・・調子に乗るなよ。」
ケイは、突き刺さっている糸を強引にも抜き取って、自分に
向かってくる糸を高く飛んで避ける。
着地したと同時に、グローブに向かって走り出し手を伸ばす。
左のグローブはぎりぎり届かずに掴めなかったが、右のグローブは
ケイの動きに反応できなかったのか、掴むことができた。
「ふんっ。」
強引にも右のグローブに手を突っ込んだ。
すると、右のグローブは暴れずに大人しくケイの手に収まった。
359 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:18
左のグローブはまだ納得できないのか、ケイに向かって糸を振ってくる。
「甘いんだよっ!」
ケイは指の糸を伸ばして、向かってくる糸を糸ではじく。
さらにその勢いを利用して、左のグローブを糸ではたき落とした。
初めて使う武器にも関わらずに、天武の才というべきか、完璧に操っていた。
左のグローブは地面に落ちると、そのまま動かなくなった。
ケイを主人だと認めたのだろう。
左のグローブを拾って手に付けてみる。
ケイは両手で自分の意思で伸ばせたり、切り離したりできることを確認した。
そして、適当な大きさの大岩に向けて両手で糸を振るってみた。
大岩は簡単に何等分にも切り刻まれていった。
「ふう・・・やっと持ち主だと認めてくれたかな。なるほど、これは強力だね。」
今頃になって、自分の体が血だらけになっていることに気が付いた。
「つっ・・・この傷は放っておけそうにないかもね。アサミに報告する
必要もあるし、いったん戻ろう。」
ケイはグローブをズボンのポケットに入れて、洞窟を出て行った。
360 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:18
交信しました〜
361 名前:konkon 投稿日:2004/08/03(火) 00:20
>MSさん
その通り、とても危険な武器なんです。
けど、この二人ももっと強くなっていきますので
ご安心ください(笑)
362 名前:151 投稿日:2004/08/03(火) 06:09
おお〜どんどん強くなっていきますね。
この二人のかっこ良さには痺れちゃいます(笑)
363 名前:MS 投稿日:2004/08/04(水) 13:26
更新お疲れ様!
今後の展開が楽しみです!
364 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:14




新しい力




365 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:15
「これで、完璧ですっ!」
アサミは、ヒトミの腕の最後のデータを打ち込んで、大きく伸びをした。
今のヒトミには、以前と同じように機械の両腕と両足がついていた。
『修理だけじゃこれから先は、みんなの力になれない・・・私を強くできないかな?』
そう頼まれてから、早二週間がたっていた。
その間にアサミは、ヒトミが耐えられるぎりぎりまで性能の向上を
計っていたため、思った以上に時間がかかってしまった。アサミの誤算は、
ヒトミの能力値の高さだった。以前会った時に比べて時間がたっているとはいえ、
著しく成長をしていた。
そのために、性能の限界値を高めていたため今に至る。
アサミはヒトミが寝ている機械に近づいて、ヒトミを起こそうとする。
「うわ〜・・・ひどい顔。」
アサミは鏡に写った自分の顔を見て、悲しそうな顔になった。
目の下には大きなクマができていて、顔はかなり青白い。
頬骨も少し出ていてやせてしまったようだ。
少し歩いただけでかなりふらついている。
366 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:16
「さって、久しぶりに起こしてあげますかね。」
アサミは睡眠の解除ボタンを押そうとした。
その時、
「あっ・・・。」
アサミはバランスをくずして、別のボタンも一緒に押してしまった。
「ん・・ギャ〜っ!!!!!」
アサミが押したボタンは解除ボタンと、電気ショックのボタンだった。
万が一の時のために付けておいた・・・らしい。
ヒトミは起きた瞬間、また気を失ってしまった。
「・・・私も一眠りしますか。」
アサミは一度呆けた顔をしたが、あくまでマイペースに部屋から出て行った。
結局ヒトミが起きたのは次の日の昼だった。
367 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:16
「うわ〜、ひでぇ起こされ方だったわ。」
ヒトミは起きてから、愚痴りながらみんながいる部屋に入っていった。
「お、久ぶりじゃんっ!」
「治ったんだねっ!よかった♪」
中には難しそうな本を読んでいるカオリと、銀を変形させているリカの姿だけだった。
「あれ、他のみんなは?」
「修行してたり、旅に出たりってとこかな。」
「ふ〜ん、みんながんばってるんだね!ねぇ、私が寝ている間にどんなことが
あったか教えてくれない?」
「いいよ。何から話そうかな・・・。」
三人で話しをしようとした時、突然アラームが鳴り響いた。
「どうしたのっ!?」
カオリが通信機に向かって声を上げる。
368 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:17
『アサミ様はいらっしゃいませんか?龍が五匹、町を襲ってきているんです。』
「百虎はどうしたの?」
『それがポイント2−3、4−6の両方同時に襲ってきてまして、
百虎は今2−3に出向いて交戦中なんです。』
『アサミなら寝てるよ。その4−6ってどこら辺にあるの?』
ヒトミがカオリとの会話に口を挟む。
「あの子は私の改造してくれたために寝不足で寝てるんだ。私が行ってくるよ。
どこら辺にいるの?」
『研究所を出てずっと右になります。お願いします!』
「んじゃウォーミングアップの代わりに行ってくるわ。」
ヒトミは部屋の扉に向かっていく。
「ちょっと、大丈夫なの?どんな改造されたかとか、それに
起きたばっかでしょ!?私達が行くよっ!」
「平気だよ。さっきアサミに適当に聞いたし、私は実践向きなんでね。
ニューヒトミの力、見せてあげるよ。」
そう言うと部屋を飛び出して行った。
使ったことのない武器などがついていることは、確かに不安がないとはいえない。
けど、アサミのことを信じてる。
ヒトミにはそれだけで十分だった。
369 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:18
「あっちの方か。」
『足に気を放出することで、モーターが起動してエンジンがかかります。』
研究所を出ると、アサミに聞いたことを思い出してヒトミは足に力を込めた。
その瞬間、ヒトミは地面を滑るようにものすごい速さで、滑るように進んでいった。
「なっ、とったったったっー!!」
ヒトミはなんとかバランスをとりながら地面を滑っていく。
かなりのスピードが出ていたのか、龍がいるところまですぐに着いた。
しかし、何回かこけたりぶつけたりしたらしく、いくつかのすり傷ができていた。
「ってて、こりゃ練習しなきゃやばいか。さってと。」
ヒトミは人差し指を龍に向ける。
龍達は、まだヒトミの存在に気付いていない。
370 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:19
『両腕の人差し指、中指、薬指にレールガンを装着してあります。
また、三本の指を重ねて同時に放つことにより、ハイパーレールガンが放てます。
今までとは違って、余分な力を使う必要がないし、溜める時間もかからないので
撃ちやすいと思います。』
ヒトミが人差し指に力を加えると、第一関節が開いて光りだす。
「いっけぇっ!」
指から放出されたレールガンは、一匹の龍の首を貫いた。
貫かれた龍はそのまま地面に落ちていった。
「あっれ〜、頭狙ったんだけどな?まぁいっか♪」
二匹の龍がヒトミに気付いて炎を吹き出してくる。
その時、一人の小さい女の子がヒトミの前に出てきた。
どうやら家から出てきてしまったらしい。
女の子は龍にも炎にも気付いていない。
371 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:20
「危ないっ!」
ヒトミは女の子の前に飛び出して、炎から守るように腕で防御した。
『両腕に力を入れることにより、自分の意思でATフィールドを
張って物理的でないものから防ぐことができます。もちろん、
物理的なものでもダメージを抑えることができます。』
ヒトミが両腕に力を込めると、ヒトミの前に透明なシールドが張られて
炎を完全に防ぐことができた。
「もう少しの間だけ、家にいてね。」
ヒトミは防御したまま振り返って、女の子に優しく声をかける。
女の子は今頃龍の存在に気付いたのか、泣きそうな顔をして慌てて家の中へ入っていった。
「もういいだろ。いくよっ!」
ヒトミはシールドを張ったままモーターを起動させ、高速スピードで
炎をかきわけて龍に向かって突っ切っていく。
モーターを利用して、龍の真上まで高く飛び上がる。
372 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:20
『腕から剣が出せるようにしました。レールソード?ネーミングセンス
ないですねぇ。まぁ、あなたの剣ですから別に構いませんけど。
これもレールガンの要領で力を維持することにより、切れ味が増します。』
余計なことまで思い出しながら、ヒトミは腕から剣を出す。
「レールソードっ!」
腕から西洋刀のような剣が出てきて、そのまま龍の首を斬り落とす。
「あと一匹か・・・全力でいってみるかっ!」
ヒトミは着地すると同時に、三本の指に力を込めて龍の胸を目掛け、
ハイパーレールガンを放つ。
ハイパーレールガンはものすごい速さで、あっけなく龍の胸を貫いた。
「くっ・・・やっぱハイパーレールガンはむやみに使うものじゃないな。」
体に力が入らなくなって、その場に座り込んだ。
373 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:21
「違う、アサミは私の体に合わせてくれたんだ。なら私が使いこなせてないんだ。
がんばらなきゃな・・・。」
「あの・・・助けてくれてありがとう。」
「ん?」
振り返ってみると、先ほど助けた女の子がヒトミの後ろに立っていた。
「気にしなくていいよ。けががなくってよかったね。」
「うんっ!」
女の子は笑顔で頷いた。
その顔を見て、ヒトミも嬉しくなって顔がにやける。
「(この笑顔が絶えない世界にできるなら、どんなことだって
してみせる。絶対平和な世の中にしよう・・。)」
ヒトミは空を見上げて、改めてそう決心をした。
374 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:24
>151さん
ありがとうございます。
もっと痺れるくらいにがんばりますw

>MSさん
次回当たりから急激に展開させていく
予定ですのでお楽しみに〜
375 名前:konkon 投稿日:2004/08/04(水) 20:32
ちなみにヒトミのモデルは烈火の炎の呪としましたが、
からくりサーカスの21巻以降のナルミの方が合いそうなので
そちらでよろしくです。ややこしくしてすいません・・・。
376 名前:MS 投稿日:2004/08/04(水) 21:33
さすが天才少女、アサミ=コンノ。
ヒトミの腕をなおすだけじゃなく、
さらに強くしちゃうなんて。すごいです!
377 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:06




堕天使



378 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:06

ビーッ!ビーッ!ビーッ!

それは、ヒトミが治った翌日の早朝に起きた。
寝室には、帝国の様子を見に行っているケイとマリ、ヒトミを直してから
自室で寝ているアサミを抜かした九人が寝ていた。
そこで、突然聞いたことのないアラームが鳴り響いた。
最初に起き上がったヒトミが通信機に向かって叫んだ。
「何っ!?どうしたのっ!?」
『そちらにアサミ様はおりますかっ!?』
「アサミ?アサミなら自分の部屋で寝てるんじゃないの?」
『やはり寝ておられるのか・・・。』
「どうかしたの?なんならたたき起こしに行こうか?」
ヒトミが腕を鳴らして答える。
379 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:07
『いえ、あの方は体調が万全に戻らないと、決して目を覚まさない方なのです。
そうとうお疲れなのか、一昨日から部屋から出てこられないんです。』
「そうだったんだ・・・。」
ヒトミは、たたき起こそうと思ったことを深く反省した。
「それでどうしたの?アサミに用があんならどうしようもないけどさ。」
『・・・百虎が・・・破壊されました。』
「えっ!?魔物に!?」
『いえ・・・人間の少女のようです。そして壊したあとに、
門についている通信機からこう言ったんです。ここにいるから
マキを出せ、と・・・。』
「・・・ミキ姉だっ!?」
マキはベッドから降りて、剣を持って部屋を飛び出した。
「えっと、私達がなんとかするから心配しなくていいよっ!」
ヒトミは通信機に向かってそう言うと、すぐにマキを追いかけた。
他の仲間も事態を察したのか、部屋を出て行った。
380 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:09
「久しぶりだね。マキ。」
ミキは門に寄りかかって、腕を組んで立っていた。
「ミキ姉・・・。」
「元気そうじゃん。安心したよ。」
「・・・何の用なの?」
マキは剣を構えながら、ミキを睨みつける。
「こんなとこじゃやらないよ。町に被害が出るからね。」
「・・・どういうつもり?町を滅ぼしにきたんじゃないの?」
マキの言ったことに対し、ミキは怪しげに笑う。
「そんなもったいないことしないよ。ミキはなんでも一気に
ぶっ壊すのが好きなんだからさ。」
「・・・。」
マキは黙ってミキを見ている。
381 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:09
「それにここにいる人間達にも、オロチの恐怖を植え付けて
あげたいんでね。さっ、付いてきなよ。」
ミキは振り返って門から出て行く。
マキはしぶしぶミキについて歩く。
そこに少し離れたとこまでヒトミ達が追い付いた。
「あれがマキの姉か・・・。」
「確かに強い気を持っとるわ。」
マコトとアイは、見ただけでミキの底知れぬ強さを体感した。
ヒトミ達は出て行く二人の後をついていった。
382 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:10
「ここでなら大丈夫でしょ。」
二人は、町から離れた平野で向かい合う。
少し離れたとこから仲間達は二人を見ている。
「さってと始めようか♪」
「私は負けないよっ!」
二人は少しの間睨み合ったあと、同時に走り出した。
「エクスプロージョン!」
「ハアッ!」
二人の剣が重なり合う。
その瞬間、まるで核爆発でも起こったような凄まじい爆発が起こった。
吹き飛ばされたのはマキの方だった。
ミキはその場で平然としている。
ミキの力は、以前戦った時よりもはるかに強くなっていた。
383 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:10
「もうおしまいなの?」
「ぐっ、まだまだぁ!」
マキはなんとか体制を立て直す。
「シルファリオン!」
「遅いんだよ!」
二人は目で追うのも難しい程のスピードで、剣と剣を重ね合わせていく。
しかし、先に引いたのはまたもマキだった。
ミキの速さについていけなかったのか、体中の至るところに傷がついていた。
「つっ・・・。」
「逃がさないよ。フォーリング・プラズマ、雷網!」
マキに一本の雷が落ちる。
マキは横に飛んで避けるが、雷が地面に落ちるとまるで
蜘蛛の巣のように広がって、地面に帯電していく。
マキの足が、広がってきた雷に当たって動けなくなる。
384 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:11
「んあぁっ!」
雷により感電したのか、マキはうめき声を上げる。
「感電死させてもよかったんだけどね。それじゃつまんないでしょ。」
ミキが、しびれて動けないマキに向けて走っていく。
「やっぱりずたずたに引き裂いて殺してあげる。グラビティ・コア!」
ミキがマキに向けて、剣を振り落とす。
マキは、なんとか剣で受け止める。

ビキッ

「!?」
マキの剣が、ミキの剣の衝撃に耐えられずにひびが入る。
「うそでしょ・・・。」
「まだまだいくよっ!重力十倍っ!」
さらにミキの剣に重力が加わり、ひびが大きくなっていく。
385 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:11
「バイバイ、マキ♪」
ついにマキの剣が耐え切れずに折れてしまう。
折れた瞬間、マキは後ろに下がったがミキの剣を避けきれずに、
肩を深く斬られる。
「うわぁっっっーーー!!!」
マキはその場でうずくまる。
かなりの血が肩から噴出していく。
「もう終わりだね。」
ミキは笑顔でゆっくりとマキに近づいていく。
マキの目には、その時のミキの笑顔が天使のようにとても美しく見えた。
同時に今までに感じたことのないほどの、恐ろしい邪悪な悪魔のようにも感じた。
「(いやだ・・・怖いよ・・・殺されるっ!)」
マキは初めてミキに恐怖した。
自分が殺されることを自覚して震えだす。
386 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:12
「くっ、くるな・・・。」
マキはしゃがんだまま後ずさっていく。
出血が多いせいか、もしくは恐怖で顔が青ざめている。
「ハハハハハッ!何、オロチを倒すとか偉そうなこと言ってた人間が逃げるわけ?」
ミキの言っていることもわからないように、マキはそれでも後ずさっていく。
「もういい、ミキの剣を汚すまでもないわね。死になさい。ブルー・クリムソン、双龍!」
ミキは炎と冷気の龍を作り上げ、マキに向けて放った。
龍は以前戦ったときよりもはるかに大きくなっていた。
「うわぁーーーっっっ!」
マキに当たった瞬間、巨大な炎と冷気の渦が巻く。
しばらくしてようやく消えると、マキはぼろぼろの状態で倒れていた。
かすかにまだ息遣いは聞こえている。
387 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:13
「まだ生きてるんだ。今度こそは終わりにしてあげるよ。
フォーリング・プラズ・・・。」
ミキがマキに雷を落とす直前で、ミキは後ろに下がる。
次の瞬間、ミキの目の前をレールガンが通り過ぎていった。
ヒトミは、指をミキに向けながらマキに近づいていく。
他の仲間も武器を構えながら向かっていく。
「悪いんだけど、マキは殺させないよ。ナツミ、マキを頼んだっ!」
「うんっ!」
「フフッ、ハハハハハッ!いいね〜、じゃあ期待はずれの代わりに
あんた達に楽しませてもらおうかな。」
ミキは高々と笑いながらヒトミ達を見渡した。
388 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:13
交信しました〜。
ミキティ暴走w
389 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:14
>MSさん
毎度ありがとうございます。
アサミは完璧ですから♪
390 名前:konkon 投稿日:2004/08/06(金) 00:20
ちなみにこちらのほうにも
スレを立てたんで、よければよろしくです。
http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/green/1090602454/
391 名前:151 投稿日:2004/08/06(金) 05:01
大胆不敵ですね。まさか乗り込んでくるとは・・・
>>390
ほぉ、緑板と同時進行ですか。無理し過ぎない程度に頑張ってくださいませ♪
392 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/06(金) 18:13
始めまして。雪板で某小説を書いている者です。
名前がカタカナの小説って苦手だったんですが、
ここのお話はそんなこと関係なしに面白いです!!(興奮気味)
続き期待して待ってます♪
393 名前:MS 投稿日:2004/08/06(金) 22:37
おお!!とうとうミキが登場しましたねぇ!
ミキ・・・強すぎます!!
続きが楽しみです!!
394 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:23
「フンッ!」
マコトが居合いをミキに向けて放つ。
それも連続で、いくつもの居合いを放っていく。
「そんなものっ!メル・フォース、暴風!」
ミキが剣を振りぬくと、家一件が余裕で入れるほどの巨大な竜巻を放つ。
竜巻は次々と居合いをかき消していき、マコトをも巻き込んだ。
「ぬっ、ぐっ・・・。」
マコトは竜巻の力に巻き込まれて、回転しながら吹き飛んでいく。
「マコト!」
地面に強く叩きつけられたマコトは、その場から動かなくなった。
395 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:24
「このぉっ!」
「百獣擬態、虎王擬っ!」
アイとノゾミが、超高速でミキに向かっていく。
「ハンッ、シルファリオン!」
ミキは自ら二人に向かっていく。
「セヤっ!」
「ハァっ!」
アイが刀を振っていき、ノゾミが拳を振るう。
だが、ミキはアイの刀を剣で受け流していき、ノゾミの拳を首だけ
振って避けていく。
「何、これだけなの?」
ミキは剣でアイをはじき飛ばし、ノゾミを裏拳で殴り飛ばす。
396 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:25
「これでどうだっ!」
「もらったっ!」
アイとノゾミがやられた直後に、リカとヒトミが攻めていく。
「甘いんだよっ!エクスプロージョン!」
ミキが剣を地面に突き刺すと、剣を中心に大爆発が起きて近くにいた
四人を吹き飛ばす。
「フレア・ボムズっ!」
「サンライト・プレッシャーっ!」
いつの間に回りこんだのか、マキの回復が終わったナツミとカオリが、
ほぼ同時に左右から魔法を放つ。
「効かないよ。ルーン・セイブ、封絶空間。」
ミキが剣を上に構えると、光の球体に包まれていく。
光の球体に当たった魔法は、当たった瞬間はじかれていった。
397 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:26
「この状態ならね、魔力を含むもの全てをはじくことができるんだよ。」
「これならどうやっ!」
アイボンは、ワンダーランドを呼び出してそれに乗っていた。
ワンダーランドが口からオーラ砲を放つ。
「へ〜、龍を操れる子もいるんだ・・・うざいね。」
ミキはオーラ砲を避けると、ワンダーランドに剣を向ける。
「グラビティ・コア、重力弾。」
ミキの剣から黒い球体が放たれる。
あまりの速さに、ワンダーランドは避けきれずに胸に当たってしまう。
「ワンダーランドっ!」
「大丈夫じゃ。なんともな・・・。」
突然、ワンダーランドが地面に急降下していく。
地面に腹から当たり、そのまま地面に埋もれていく。
398 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:28
「うっ、うあーっ!」
「・・・なんじゃ・・・・これは・・・。」
「さっきの弾に当たると重力が一気に上がるの。おもしろいでしょ♪」
ワンダーランドは起き上がることも首を上げることもできず、
アイボンも背中にへばりついていた。
かなりの重力がかかっていて、骨がきしむ音まで聞こえてくる。
ミキはその光景をおもしろそうに見つめている。
「さってと、そこの二人にもくたばってもらうよ。
フォーリング・プラズマ、雷連撃。」
少し離れたところで融合魔法を行おうとしていたナツミとカオリに、
雷の嵐が襲っていく。
「リフレクっ!」
ナツミは魔法でなんとか跳ね返していく。
「ふ〜ん、あれを防げるんだ。だけどもう一人の方はどうかな?」
カオリは雷の軌道を読んでなんとか避けていたが、そのうちの一本を
まともに浴びてしまう。
399 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:29
「キャァーーっっ!!」
カオリはその場に崩れ落ちていった。
「カオリっ!」
「融合魔法だっけ?それはやらせないよ。"あの子"のペットを
倒したっていうくらいだからね〜。」
ミキが悠長に話していると、地面から二本の銀が出てきてミキの両腕を掴み取る。
「油断したわねっ!」
声がする方を振り返ると、そこには銀を地面に突き刺しているリカの姿があった。
ミキは腕を動かそうとするが、全く動かなかった。
「これであなたも動けないでしょっ!」
「うん、"このまま"じゃ動けないみたいだね。」
ミキはおもしろそうに腕を掴んでいる銀を見ている。
400 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:30
「マキには悪いけどあんたは危なすぎるっ!これで終わりにさせてもらうよっ!」
ヒトミはレールソードを出して、ミキに突っ込んでいく。
「さっき言ったでしょ?"このまま"じゃ動けないってね。」
ヒトミがミキの体を斬ろうとする瞬間、

バキッ!

ヒトミが空高く舞い上がっていく。
リカが驚いてミキを見ると、銀が折れていた。
いくら怪力でも銀を折るなんて簡単にできるもんじゃない。
ヒトミは頭から地面に激突したせいか、ピクリとも動かなくなった。
401 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:31
「そんなっ・・・。」
「第九の剣、サクリファー。この剣は絶大なる力を与えてくれるの。
特にこれといったものはないけどね。」
驚いているリカに、ミキは笑いながら答える。
「けどさ、これを使うと一種の興奮状態になっちゃうの。
遊ばないですぐに殺しちゃったらごめんね。」
そう言うとリカ目掛けて突っ込んでいく。
リカは銀を戻して盾にして防ぐ。
だが、力が強すぎて剣が銀にめり込んでいく。
「くっぅぅ・・・。」
「ハァっ!」
ミキは盾に気をとられているリカにスキを見つけ、腹を力任せに蹴り上げる。
「グっ、ハっ・・・。」
蹴り飛ばされたリカは、数m転がっていき悶絶していた。
口からは大量の血を吐いている。
あばらが何本かは折れたのか、もしくは内臓をやられたのだろう。
402 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:32
「さってと、次は・・・。」
ミキの死角をついて、アイが高速移動でミキの横から剣を振る。
ミキは一歩下がって簡単に避ける。
「まだまだやよっ!電影速!」
アイはミキの周りを駆け回り、いくつもの残像ができていく。
アイはミキの後ろに回りこんで剣を突く。
「もらったわっ!」
しかし、ミキは少し横にずれて剣を避けると同時に、アイの顔に拳を叩きつけた。
アイは殴られた衝撃で地面に倒れこんだ。
「この足が邪魔なんだよね〜。」
「ぐぁっ!!」
ミキは倒れたアイの右足の腿を突き刺した。
「うわーーーっっっ!!!」
「んでもう一本も。」
さらに左足の腿にも剣を突き刺す。
アイは刺されたショックで意識を失った。
403 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:33
「よくもみんなをっ!」
ノゾミが空からミキ目掛けて拳を振るう。
ミキは避けようともせずに片手でノゾミの腕を掴み、地面に叩きつける。
「ぐっ・・・。」
「お遊戯の時間は終わりだよ。」
「うっ・・あっ・・・。」
ミキの剣がノゾミの腹を貫いた。
引き抜くとかなりの血があふれ出てきている。
「あんたは?かかってこないの?」
ミキはその場から動かないナツミを振り向いた。
先ほどからナツミはミキを睨みつけたまま動かなかった。
自分の攻撃が効かないのはわかっている。
だから、何かのアクシデントが起こることを期待するしかなかった。
仲間を回復できるのは自分だけだとわかっていたから。
404 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:34
「(ここまでか・・・なら・・・。)」
ナツミは自分の体に全ての力を溜め込む。
すると、ナツミの体が光っていった。
以前、カオリがナツミを救うために使おうとした自爆技である。
せめて仲間が生き残れることを祈って、ナツミは力を溜め込んでいった。
「かかってこないなら、あんたを殺して終わりにするか。」
ミキがナツミに向かって走り出す。
その時、
『ミキ!だめっ!』
突然の声に、ミキはその場で立ち止まった。
その声は脳に直接聞こえてきた。
「アヤ!?どうしたの?」
『アヤヤだけの力じゃ、オロチを抑えきれない・・・
早く帰ってきてよ・・・。』
アヤはほとんど涙声だった。
405 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:35
「わかった!今すぐ帰るから大丈夫だよ。」
『グスッ・・・・ホント?』
「うんっ!だから待っててね。」
話しが終わると、ミキはナツミを振り返る。
「オロチが完全復活するまであと半月ほどかな。それまでは
何もしないであげるから、せいぜい余生を楽しむことだね。」
ミキはそれだけ言い残すと、その場から消え去った。
ナツミはしばらく何が起こったかわからない顔をしていたが、
すぐにその考えを捨てて仲間の回復に努めた。
幸いにも誰も死んではなかったために、回復をすることはできた。
だが、治せない傷を心に負った者が最低でも一人はいることは、
そこにいた誰もがわかっていた。
406 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:36
今日はここまでです〜
407 名前:konkon 投稿日:2004/08/07(土) 16:41
>151さん
大胆不敵・・・まさにミキに合う言葉ですね。
現実でもそれっぽい(笑)

>名無し飼育さん
ありがとうございます。
できればRPGっぽくしてみたかったんで、
全員が対等の立場に置いてみたかったんで
カタカナにしてみました。

>MSさん
ミキは強いですよ〜!
今後も活躍の場がある・・・かもですw
408 名前:MS 投稿日:2004/08/07(土) 23:26
いや〜すごいです!!
ミキの強さに鳥肌が立ちました。
最初戦った時とは比べ物にならないほど強いですね。
マキ・・・どうなってしまうのでしょう?
今よりもっと強くなってほしいです!頑張って〜!
409 名前:七誌さんデス 投稿日:2004/08/08(日) 00:09
konkonさん。初めまして。拝見させていただきました。
とっても素晴らしいですね。
私的には『天才少女アサミ=コンノ』が好きですね。
あのマイペースな感じがいいですねぇ。
名前がカタカナのとこはあんまり来たことがないので、
ここを楽しみにしたいと思います。がんばってください!
410 名前:151 投稿日:2004/08/10(火) 11:03
ひいぃぃっ、これがウォーミングアップだなんて・・・
しかも気になる発言をしていたし。
マキ達はあとたったの半月でどうするんだろう?(^^;)
411 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:44




やるべきこと



412 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:45
ミキが現れた次の日の昼頃、まだ意識を戻さないマキを除く十一人が
客室に集まっていた。
マキはそばのベッドで寝ている。
ヒトミが代表して、先ほど帰ってきたケイとマリ、寝ていたところを
起こしたアサミに三人がいない間に何が起きたのかを、話しているところだった。
ナツミの回復魔法のおかげで、特にひどい怪我を負っている者はいなかった。
「そんなことがあったんですか・・・。」
「マキを恐怖に貶めるほどの力・・・。」
「みんながやられるほど強いんだね・・・。」
ヒトミは三人に話し終えると、立ち上がって部屋から出ていこうとする。
「ヒトミ、どこ行くの?」
「どこって、修行だけど?」
「こんな状況で修行なんかに行くの!?マキがまだ意識を
戻さないのに・・・。」
リカは泣きそうな声で叫ぶ。
413 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:46
「マキには悪いけど、時間がないんだよ。オロチが完全に復活しようと
してるんだから、少しでも強くならなきゃいけないんだ。ここで
じっとしてても仕方ないでしょ。」
「けど・・・。」
リカは悲しそうに寝ているマキを見る。
「大丈夫だよ、マキは戻ってくるからさ。絶対にね。私はそう信じている。
だから、今は自分ができることをやる。それだけだよ。」
ヒトミはそれだけ言うと、部屋から出て行った。
「ヒトミの言うとおりですよ。マキは私が見てますから、皆さんは
やりたいことをなさってください。」
アサミは優しい目をして、マキの前の椅子に座った。
「・・・そうやな。強くならんとな!」
「強くなってマキを驚かせてやるべ!」
「負けてられないわ!」
みんながやる気になって部屋から出て行く。
414 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:46
最後にケイが部屋から出て行く前に、アサミの方を振り向いた。
「アサミ、あんたはいいのかい?」
「はい。私はここで勉強しています。私の武器は知識ですから。」
そう言って分厚い本をケイに見せる。
「そっか。マキは任せたよ。」
そう言って、ケイは部屋を出て行った
「信じてますから・・・マキ・・。」
アサミはマキの顔を少しの間見つめてから、本を開いて読み始めた。
415 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:47
部屋から出たあと、アイとノゾミは近くの平野で殴りあっていた。
素手での修行を手伝ってくれと言ったのはアイの方だった。
しかも、アイは足にチャクラを使っていなかった。
「ぐはっ!」
ノゾミの右ストレートがアイの頬に当たり、アイが殴り飛ばされる。
「もうやめないれすか?アイの体やばいれすよ・・・。」
ノゾミの言うように、アイの体はぼろぼろで至るところに痣ができていた。
逆に、ノゾミの体は特に怪我らしいものはない。
接近戦の素手での勝負で、ノゾミに勝てる者はまずいないだろう。
「まだまだいけるで・・・本気でこいやっ!」
「れも・・・。」
「もし本気出さなければ、ノゾミとは一生話しせんで?」
「う、それは困るのれす。」
ノゾミは再びアイに向かって拳を放つ。
アイは体をひねって避けると、一歩下がって間合いをとる。
416 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:48
「(なんとなくわかってきたわ。)」
アイの攻撃スタイルはヒット&アウエイだ。
攻撃力のないアイの場合、チャクラを足に貯めて超高速で敵を
打っては離れての繰り返しによる、相手に攻撃をさせないで
じわじわとダメージを与えて勝つタイプだ。
そこに問題があるとアイは気付いた。
チャクラの応用が足に偏っているために攻撃力がない、ならばチャクラを
体のどこにでも貯められればいいのではないか、そう考えた。
「(ここだっ!)」
アイはノゾミが拳を振り切る前にはすでに、体を反らして避けていた。
さらに、ノゾミが頭目掛けて回し蹴りを打つ。
しかし、これもアイはしゃがんで避けている。
417 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:49
「ろういうことれすか?」
ノゾミは自分の攻撃が当たらないことに疑問を持ちはじめた。
「(いける・・・いけるでっ!)」
アイは、今回の修行では足にチャクラを使わないで、体の一部に
集中させられるようにすることが目的だった。
今はチャクラを目に集中をさせている。
そのためにノゾミの動きが遅く感じるようになり、簡単に攻撃を
避けられるようになっていた。
「(避けてばかりではだめだっ!攻撃せんとな。)」
アイはノゾミの次の攻撃を読むと、先に相手の懐へ潜り込んで脛を蹴る。
「わっ!」
ノゾミがバランスをくずし、体制が乱れる。
「(右腕だけに集中・・・いっけぇっ!)」
アイが、カウンターぎみにノゾミの顔へ一瞬で何発もの右ストレートを
当てて吹き飛ばす。
418 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:50
今までのアイでは考えられないくらい攻撃力が上がっていた。
ノゾミは数m吹き飛ばされてようやく止まった。
「いつつ、ノノじゃなかったら死んれますよ。」
「そうかもな〜、けどノノのおかげでこつを掴めてきたわ。ありがとな♪」
「てへへ、じゃなくてもっともっといくれすよっ!」
ノゾミは再びアイに向かっていく。
渾身の一撃をアイの顔を目掛けて放つ。
「読めるから無駄やで。」
アイはノゾミの攻撃を見切っていて、少し後ろに飛んで間合いを取った。
しかしノゾミの攻撃力がすさまじく、風圧によってアイを吹き飛ばす。
「うはーっ、びっくりした。なんや〜、今のは?」
「(今のノノなられきるかもしれないれすね・・・。)」
ノゾミは構えを解いて、力を貯める。
「百獣擬態。最終奥義、竜人儀っ!」
「よっしゃーっ、こうなったらとことんやったるでーっ!」
その後、二人は完全にへばるまで殴り合い続けた。
419 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:50
一つの石が空中で砕け散る。
「当たり。」
次の石は、半分ほどけずって落ちていく。
「う〜ん、五十点ってとこかな。」
ヒトミはレールガンの調整を行うため、石を的にして練習していた。
石を遠くに放り投げては打ち落としていた。
右手の人差し指、中指、薬指、右手が終わったら左手、とずっと繰り返しだった。
体力は限界に近いが、それでも続けて練習している。
「くっは〜、疲れたから一休みっ!」
ヒトミはその場で寝転んだ。
「マキのやつ、起きたかな?」
ヒトミはマキと出会ってからのことを思い出していた。
420 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:51
初めて会ったときはこんな子が剣士?と思ってたけど、だんだん
強くなっていく彼女を尊敬し始めていた。
今では完全に信じられる仲間となっていた。
だからこそ、ミキとの闘いで怯えているマキを見た時は目を疑った。
どんな強敵がいても、最後まで絶対にあきらめなかったマキ。
けれど、今回の件で闘うことが怖くなったかもしれない。
「それでもマキは戻ってくる!」
今までのマキを一番多く見てたヒトミだからこそ、そう思えることであった。
「さって、私も強くなっておかなくちゃマキに笑われちゃうな。練習再開!」
ヒトミは再びレールガンの練習をし始めた。
421 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:53
「ハァッ!」
リカは崖に向かって突きの練習をしていた。
岩が衝撃でめり込んでいく。
「こうしてこうでしょ・・・。」
手で銀の形をいろいろと変えながら、必死で技の型をめぐらせている。
「これができれば・・・。」
リカは崖から少し離れて銀をいくつかに分解し、それを空中で浮遊させる。
「うっ・・・やっぱ難しいな・・・。」
浮遊させた銀を槍の形にしていく。
「そんでもって私のもっと・・・。」
自分の槍も捻って崖に向かって構える。
「これでいいかな・・・疲れるな〜・・・。」
銀の形を変えるだけでもかなりの集中力が必要であり、
さらに何個もの銀を操るとなるとものすごい集中力を消費する。
422 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:54
「さってと、いっくよーっ!」
リカは崖に向かって走っていくと同時に、周りにある全ての銀を
崖目掛けて突き刺す。
「ハァッ!」
ぶつかった瞬間、崖には大きなくぼみができていた。
「・・・まだだめだな〜・・・。」
リカはため息をついてその場に座り込む。
「全ての銀が同時に当たらなきゃ意味がないのよね。難しいな〜。」
銀をいったん一つに戻して、崖を見上げる。
「あれ、同時に当てないで連続で当てられたらどうだろ?」
リカは銀の形状を変えてみる。
そこで、一つのアイデアが浮かんだ。
「これならそれほど疲れないかな。やるだけやってみよっと。時間もないし。」
リカはしぶしぶ立ち上がった。
423 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:56
「・・・・・。」
マコトは目を閉じて黙想をしていた。
居合いがミキに破られた今、さらに攻撃力のある技を考えていた。
「居合いを倍の力にできれば・・・。」
マコトは試しに近くの木に向かって、居合いを放つ。
居合いは木を真っ二つに斬る。
「違うな。遅すぎる・・・。」
誰がどう見ても完璧な技だったが、マコトには納得がいかなかった。
「フンッ!」
さらに二発連続の居合いを放ってみる。
しかし、これでも納得がいかない。
424 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:57
「・・・力を溜めて打ってみるか。」
マコトは先ほどいたとこよりも少し下がり、勢いをつけて打ち放つ。
今度は先ほどよりも格段に速くするどくなっていた。
「うん、これは使えるかもな・・・。」
マコトは、一発目に普通の居合いを放ち、二発目はさらに力を
溜めてほぼ同時に打ち放つ。
すると、二発目に打った居合いが一発目に追いついて、
さらに速さを増していく。
「・・・これならいける。同時に撃てればいいのかもな・・・。」
マコトは少し顔をにやけさせて、居合いの構えをとった。
425 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:58
アイボンは町から離れた森で、魔物と実戦をしていた。
「ハァッ!」
マリのまねして、爆発を起こし魔物を消滅した。
「フレイムボール!」
巨大な炎の塊を放ち、魔物を燃やしていく。
アイボンのスキをついて狼が襲ってくる。
「おっと。」
アイボンはアイの電影速を利用して、狼を超えるスピードで
狼の上に乗っかった。
「これで終わりや。」
狼の頭に剣を突き、狼は絶命した。
426 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 19:59
「まだまだやな。これからはもっとパッと出せるようにならんとな。」
アイボンは、人の技を即座に有効に使える練習をしていた。
今まで会ってきた人の技を使いたいとこで使える、これほど望ましい
能力を持つ人間はそうはいないだろう。
「さってと、いったん帰るか。召喚。」
アイボンが空中に手を向けると、ワンダーランドが現れる。
「もう終わりか?他の仲間はまだ修行してるだろうに。」
「ちゃうわ。だからもっと技を覚えるために帰るんや。
他の仲間を見てみてな。」
「なるほどな・・・。」
ワンダーランドはアイボンが背中に乗ったことを確認すると、
町の方へ向かっていった。
427 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:00
「これなんかいいんでないかい?」
「う〜ん、ちょっと使い道が難しくない?これならちょうどいいと思うけど?」
「なるほどね・・・。」
ナツミとカオリは、町にある図書館でいろいろな本を読んでいた。
少しでも役立つ魔法を覚えるためだ。
融合魔法は二人いなければ完成しない。
だから少しでも各自で魔法を強くする必要があった。
「ん・・・カオリ〜、これちょっと見てみるべ。」
「何?」
ナツミは自分が開いているページを見せる。
「何々・・・コンプレス、魔法を圧縮することにより、より攻撃力を
増すことができたり、様々な特殊魔法が得られる。」
「これ、ちょっとやってみる価値あると思わない?」
「そうだね〜、今から外でやってみよっか?覚えた技も練習したいしさ。」
「んじゃ行ってみるか〜。思いっきし強くなってやるべっ!」
「お〜っ!」
二人は目的を見つけると、町から出て行って修行を始めた。
428 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:01
「ほっ!」
ケイは岩場で修行をしていた。
岩の上方に糸を切り離して投げつける。
「そんでもって・・・。」
ケイは糸に力を入れ、岩に垂直に落としていく。
糸は岩に次々と突き刺さっていく。
「次はっと。」
さらに岩の回りに、今度は糸を落としていく。
「せいっ!」
先ほど同様糸に力を込めると、落ちていた糸が岩に向かって
刺さっていく。
刺さった岩は粉々に砕けていった。
429 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:03
「これはおもしろい。しかし・・・。」
ケイの額からは、かなりの汗が吹き出ていた。
糸を使う時の集中力は半端なものではないため、普通の人間では
一瞬で体力を使い果たしてしまうかもしれない。
さすがのケイも、使いこなすのにやっとの状態だった。
「これほどの力を使うとは、アサミの言うとおりだね。」
一息ついてから、糸を指先から切り離す。
「少し休むかな。マリのとこにでも行ってみるか。」
ケイはポケットにドゥ・イットをしまい込んで、その場から歩き去った。
430 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:05
「爆炎陣っ!」
マリを中心に爆発が広がっていき、近くにあった岩を粉々にしていく。
「うっし、こんなもんかな。」
マリは、ケイのいる岩場の近くで修行をしていた。
マリは桜満開を使って、爆発を自由自在に起こせるようにしていた。
桜満開に剣を変えたために、今まで以上にバラエティに富んだ攻撃が
できるようになっていた。
「それと・・・これを利用した技も編み出したいもんだなぁ。」
マリは一人愚痴りながらその場に寝て考え込んだ。
「考えたって思い浮かばないか。適当になんかやっててみよっかな。
そのうち何か思いつくだろうし。よっと!」
マリは自分の真下に爆発を起こすことによって、自分の体を
浮かせて起き上がる。
431 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:05
「ん・・・・これだぁっ!」
今度は剣を構えながら足元に爆発を起こす。
その爆風にのってマリは目の前にあった岩を叩ききった。
普通に斬るよりも切れ味がはるかに増しているため、斬った岩は
全く崩れることなく斬れていった。
「よっしゃぁっ!これを習得すればおいらも強くなれる!」
マリは背後に何者かの存在に気付き、後ろを振り返って威嚇の爆発を放つ。
「誰だっ!」
「誰だじゃないでしょ。少しは気配で気付けっての。」
そこには、爆発による砂煙を煙たそうにしているケイが歩いてきていた。
「全く、煙幕でも張ったのかと思ったわ。」
「煙幕か〜、それも使えそうだな!」
マリは嬉しそうな顔をして、ケイを見る。
432 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:06
「ちなみに煙幕は動物系の魔物には聞かないわよ。臭いでわかるからね。」
「なるほどなるほど・・・。」
マリは何度も頷いている。
「ずいぶんとはかどってるみたいじゃない?そんな長い刀を
よく扱えるわね。」
「まぁね。そっちはどうよ?」
「それなりに使えるようにはなったわ。他のみんなもがんばってるみたい。
とりあえず、後はマキか・・・。」
「ん〜、まぁマキなら大丈夫でしょ。」
「そうだよね。あいつは大丈夫だよな・・・。」
ケイはまるで自分に言い聞かすように呟いた。
軍人であったケイだからこそわかるのだろう。
戦うことに対し、死の恐怖を覚えてしまった人間は二度と戦えないことを。
マリはそんなケイを、しばらく励まし続けていた。
433 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:07
交信しました。
434 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:14
>MSさん
マキももっと強くなりますよ〜。
これからのマキにご期待ください。

>七誌さんデスさん
嬉しいお言葉をありがとうございます。
以前にも説明した通り、RPG系に
してみたかったので、全員が全員対等な立場で
やらせてもらうためにカタカナとさせていただきました。
ちなみに自分にとっては紺ちゃん=天才のレッテルが貼られております♪

>151さん
あと半月が勝負なんです。
その間にももっと強くなると思いますよ〜。
435 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:26
余談ですけど、
圭織&なっち誕生日おめでと〜!
436 名前:konkon 投稿日:2004/08/10(火) 20:37
>417
すいません、
アイの発言で
「(チャクラを右腕だけに集中・・・いっけぇっ!)」
でお願いします。
437 名前:MS 投稿日:2004/08/10(火) 23:13
みんなマキの事を信じているんですね。
なんかいいですね、そういうの。
交信お待ちしております。
438 名前:七誌さんデス 投稿日:2004/08/11(水) 00:18
作者さん、更新どうもっす。
マキはみんなに信頼されてるんデスね。すごいデス。
434>
僕もそう思ってます。
やっぱ紺ちゃんは天才系が似合います!!
つぎの更新、お待ちしてます!
439 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:44





戦う理由



440 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:46
「ん・・・。」
マキはその場から体を起こす。
「ようやくお目覚めですね。お早うございます♪」
アサミはマキに顔を向けて、優しく微笑んだ。
「大丈夫ですか?あれから三日も寝ていたようですよ。」
マキは思い出したようで顔を青ざめていく。
「わ・・・私は・・・ぐぅぅっ・・・。」
マキは体を震わせながらその場で泣き崩れる。
「マキ・・・。」
アサミはマキを優しく包み込むように抱いた。
「私は、私は・・・怖かった・・・ミキ姉が怖かった・・・。」
「マキ・・・?」
アサミはそーっとマキの顔を覗き込む。
441 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:47
「私は・・・もうやだよっ!戦いたくない、死にたくないよっ!」
「マキっ!」
「・・・。」
アサミに抑えられて、マキは口を閉ざす。
「落ち着いてください。今はとにかく休みましょう。」
アサミは再びマキを寝かした。
マキは何も言わずに、ただ天井を見上げていた。
「・・・初めて・・・怖いと思った・・・戦うことが・・・。」
「そうですね・・・。」
「もう・・・やだよ・・・。」
「(どうしましょう・・・これほどまでに重症だったとは・・・。)」
アサミは少しマキから目をはずして考える。
そして一人の人物を思い出した。
「マキ、もう少し休んだら一緒に行ってもらいたいとこがあるんです。」
「・・・。」
マキはアサミのことを虚無の目で見上げていた。
442 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:48
「と、いうわけで少しの間留守にします。」
「なるほどね。わかったよ。」
「うん、その間はこの町を守るから大丈夫だべ!」
アサミは、ケイ、カオリ、ナツミ、マリを呼び出して話しをしていた。
アサミが離れている間、この町を守って欲しいとのこと、
それとマキのことは他の仲間にも心配させないようにしてほしい、
とのことだった。
「それで、どうなの?マキの容態の方は?」
ケイは、俯きながら質問する。
「体の方はなんともありませんけど、やはり精神面ですね。
死に対する恐怖心が強く出てしまっています。」
「マキは大丈夫なの?治すことができるの?」
マリが心配そうな顔で、アサミを見つめる。
443 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:49
「それは・・・今のところはわかりません。ですが、今のまま
放っておくわけにはいきませんし、それに可能性があるなら
やるだけやってみようと思います。」
「わかったよ。それじゃ、こっちのことは任せておいてよ。」
「最低でも、二人は交代でこの町を守ることにしよう。」
「お願いします。一週間もあれば戻ってこれると思いますので。
マキ、行きますよ。」
マキは、まるで死んだようにベッドに座っていた。
アサミに引っ張られてようやく目が覚めたのか、アサミのあとに
ついて部屋から出て行った。
「大丈夫なのかな・・・あんな状態で。」
「アサミを信じるしかないよ・・・。」
四人はしばらくの間、アサミが出て行った扉を見つめていた。
444 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:49
「ハッ!」
アサミはメモリーのボタンをいくつも押し、雷を起こして魔物を燃やし尽くす。
「もうすぐで着きますよ。がんばってくださいね。」
歩き始めて二日が過ぎていた。
マキは、町から出たあとはずっとアサミに引っ張られていた。
そうでもしないとマキはその場から動こうとしない。
さらに、魔物が出てくるたびにマキは体を震わせる。
死という恐怖がマキを縛り付けているようだ。
アサミはそんなマキを庇いながら、魔物を撃退していく。
「あ、あれではないですか?」
アサミは一つの家を見つける。
マキは気にすることもなく、ただ下を向いている。
「ごめんくださ〜い。」
アサミは家の扉から、中の人に聞こえるように声を出す。
445 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:50
「なんや、お客さんか?新聞なら間に合ってるで?」
「(誰がこの状況で新聞なんか読むんだろう?)」
そんなことを考えていると、一人の女性が出てきた。
「あの、お話しがあるんです。聞いてもらえませんか?」
その女性はアサミを見たあと、マキをじっと見つめた。マキは全く反応を示さなかった。
「なるほどな。なんか訳ありみたいやな。うちのことを知っておってここまできたんやろ?」
「はい、ユウコ=ナカザワですよね?カオリからお聞きしました。」
「カオリ・・・あ〜、あの子の知り合いか。ってことはオロチ絡みやな?」
「それもあるんですけど・・・。」
「そっちの子のことかいな?まあ、ここで立ち話もなんやから上がりや。」
ユウコは奥の部屋に入っていく。
アサミも続いて入って行った。
マキは仕方なしといった感じで付いていった。
446 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:51
「なるほど・・・そういうことがあったんか。」
そう言ってユウコはマキの折れた剣を見つめる。
「前にオロチと戦ったことのあるあなたならば、
ご理解頂けるのではと思いまして・・・。」
「難しく考えることないで。難しいんやけど案外簡単なことなんや。」
「どういう意味ですか?」
アサミは首を少しかしげて聞き返す。
「そっちのマキ言うたな、あんたに聞きたいことがある。」
マキは顔をゆっくりと上げて、ユウコを見る。
その目はやはり死んでいた。
「この剣を直してほしいか?」
マキはまた下を向いて答えようとしない。
447 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:51
「やろうな、死ぬのが怖いのにもう剣を持とうとは思わんやろ。」
ユウコは淡々とした口調で話す。
「けどなんでこの剣を持ったんや?なんで死ぬかもしれない闘いに
身を投じたんや?あんたはなんで戦っとった?」
ユウコはそれだけ言うと、立ち上がって隣の部屋に向かう。
「それだけや。答えが出たら教えてや。ほらあんたも行くで。」
「え、私もですか!?」
アサミはユウコに引っ張られながら、部屋を出て行った。
マキはその場から動かなかった。
「なんで・・・戦ってた・・・?」
二人が出て行ったあと、マキは目を閉じて聞かれた答えを
探し出していた。
448 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:54
「(私はなんで戦ってたんだろう・・・死ぬかもしれなかったのに・・・。
最初はミキ姉を見つけて答えを問いただすためだった。
もしかしたら復讐で、ミキ姉を殺すためだけだったのかもしれない。
そのために剣を取った。旅に出るには武器が必要だったから。
途中ナツミを助けたこともあったっけ。あの時の彼女の笑顔は忘れない。
それからヒトミやリカが仲間になったんだ。ヒトミはばかだけど、
人のことも自分のことのように思うことができる優しいやつだ。
リカは責任感が強くて、自分一人で狼男を倒そうって思ってたっけな。
ノノは初めはなんだこいつは、って思ったけど、いつでも自信を持っていて
負けず嫌いなんだよね。
449 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:55
そんでマコトと戦って、あいつ強かったな。無口で無愛想だけど
町を守ってるようないい奴なんだよね。その後再びナツミに会えたんだ。
カオリっていう強い仲間を連れてさ。私と共に世界を救いたいなんて、
もったいない言葉聞いちゃったね。私なんかとさ・・・
マリは復讐と弱い町を守るため、ケイは世界を守るために戦ってた。
二人とも自分が正しいと信じて戦ってる。カオリに忠誠心を持つアイは、
もちろんカオリのために戦ってる。そこまでして守れるものがあるなんてね・・・。
アイボンはなんでもやってのける器用な子だよな。私の武器もまねされたら
ちょっとへこむかもね。アサミはすごい頭がよくて、頼りにできる子だ。
現に今ここまで連れてきてもらっちゃったし、あの子がいなかったら
私はどうなってたんだろう・・・アサミにはすごく感謝してる。
本人の前ではそんなこと言えないけどね。
450 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:56
そんなすごい人達と一緒に世界を守ろうとしてるなんてね。
・・・そうだよ、こんなにすごい仲間が私にもできたんだ。
世界を愛する人達が・・・だから私は・・・。)」
マキはゆっくりと目を開ける。
「そうだよ・・・私は・・・。」
そして、二人が入っていった部屋へと歩き始めた。
451 名前:konkon 投稿日:2004/08/11(水) 23:57
交信しました〜
452 名前:konkon 投稿日:2004/08/12(木) 00:00
>MSさん
彼女達の信頼関係はすごいですよ〜。
それが今後の戦いにも影響していきます。

>七誌さんデスさん
マキは信じられる子なんです。
信じてもいいと思いますよ。
453 名前:151 投稿日:2004/08/12(木) 00:59
みんな限られた時間の中で頑張ってますね〜。
遅れを取っちゃったぞ、がんがれ主人公!
ついでにやぐやす萌え〜(笑)
454 名前:MS 投稿日:2004/08/12(木) 06:27
死の恐怖に負けずにがんばってマキ!
これからも応援してます!(笑)
マキのだした答えは・・・・。
続きお待ちしております。
455 名前:七誌さんデス 投稿日:2004/08/12(木) 23:37
うおー!マキ・・・。
なるへそぉ〜マキ、そーゆー事でしたか・・・。
恐怖に勝ってほしいデスね。マキには。
なんという答えを出したんでしょうかね?
続きを楽しみにしとりますデス。
456 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:14
マキは、アサミとユウコがいる部屋へと入っていく。
「マキ!」
「なんや、答えは出たんか?」
「・・・思い出したんだ。何で私は戦ってるのか・・・。」
マキはユウコを正面から見据える。
「世界を守りたいっていうのもあるけど、何よりも大切な仲間ができた。
そんな人達を守りたいから、私は戦う。」
「死ぬかもしれへんのやで?それでもええんか?」
「死ぬのは確かに怖いよ。怖くてたまらない。けど、それ以上に
守りたい気持ちのほうが強いんだ。だから私は戦える。みんなが好きだから。」
マキの目は生きていた。
マキの目を見て、ユウコは満足そうに頷いた。
457 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:15
「そか。ならばこの剣も直してやらなあかんわな。」
折れた剣の柄を手にとって、ユウコは立ち上がった。
「直せるかな?」
「馬鹿言ってんじゃないで!今まで以上に強くしたるわっ!」
「うん、お願いするよ。」
「マキ・・・。」
アサミはマキの前まできて、マキの顔を見上げる。
「あの・・・いろいろありがとう。アサミがいなかったら、
私は何もできなかったのかもしれない。私、もっと強くなるよ。
みんなを守るために、世界を守るために、アサミを守るためにね。」
マキは軽くアサミの頭を撫でる。
アサミは嬉しそうに笑う。
458 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:17
「それとさ、そのぉ、後で頼みたいことがあるんだけどいいかな?」
「私にできることでしたら、何でもやりますよ。それで、その頼みたいこととは?」
「ん〜、まあ後で話すよ。無理な頼みじゃないからさ。」
「分かりました。お任せください!」
「話しは終わったか〜?そんじゃ今から役割分担発表するで。」
マキとアサミは、ユウコの方を振り返る。
「この剣を直すのに、だいたい三日かかる。その間はマキは家事と、
家を魔物から守れ。この三日間はうちは動けへんからな。」
「うん、わかった。」
「武器はそこの壁に掛かってるやつを使え。それしかないからな。」
マキはユウコが指した壁にかかってる剣を、手に持ってみる。
その瞬間、マキはあまりの重さに剣を落としそうになる。
459 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:18
「なっ!?何よ、この剣は・・・。」
「けっこういい剣やろ。うちが造ったから買ったら高いんやで〜。」
「あんた普段からこんな重い剣使ってんの?」
「うちにはうちの剣がある。けどそのくらい軽々振り回せるくらいに
ならなきゃ、オロチどころかオロチまでも辿り着かんで。」
「うぐぅ・・・やってやろうじゃん!」
マキは気力を振り絞って剣を持ち、外に出て素振りを始めた。
「あのぉ、私はどうしたら・・・。」
「あんたはうちの手伝いや。」
「えっ!?私、剣を直すのやったことありませんけど・・・。」
「あんたはともかく、あんたのその武器は役に立つやろ。」
ユウコはアサミの手についている、メモリーに視線を向ける。
「この武器を知ってらっしゃるんですかっ!?」
「ああ、前の闘いでも使っとるやつがおったからな。さ、鍛冶場に行くで!」
アサミはしばらく驚きで口が開きっぱなしだったが、自分を取り戻して
ユウコについていった。
460 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:19
マキが素振りの練習をしていたところ、突然二匹の虎が近くの森から出てきた。
虎はマキに気付くと獲物を狙うように襲ってきた。
「ちっ、シルファリ・・・。」
マキは今はレイブが使えないのを思い出して、虎に対して剣を構える。
虎が飛びついてきたとこを、横に転がって避ける。
さらに後ろからもう一匹の虎が飛びついてきた。
マキは顔を反らして避けるが、一瞬遅れてしまって頬から
ひとすじの血が垂れていた。
「(違うっ!剣にばっか頼ってたらだめなんだ・・・私が強くならないと。)」
虎が二匹同時にマキに襲い掛かっていく。
マキは、虎の動きを読んで攻撃を交わしていく。
461 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:19
「(そう、私が強くならなきゃだめなんだ。周りを見定めなきゃ!)」
マキは何を思ったのか、突然目を瞑った。
虎はそれでも攻めてくる。
虎がマキ目掛けて爪を振り下ろす。
「(くる・・・。)」
マキは軽く一歩下がって爪を避ける。
さらにもう一匹の虎が突進していくが、それも飛び越えて避ける。
「(感じるんだ・・・空気の流れを体で感じ取るんだ・・・。)」
マキはまるで見えているように、巧みに虎の攻撃を避けていく。
「(こうするんだね・・・見えるよ。)」
マキは目を瞑ったまま、先にきた虎を肘で殴り飛ばし、もう一匹を
剣で叩き切った。
462 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:24
「終わりだよ。」
マキに殴られて呻いている虎の首を、すくい上げるように斬り飛ばした。
「ハァッ、ハァッ、なんとなくは・・・わかってきたかな・・・。」
マキはその場に座り込んで、空を見上げた。
「何だろ・・・この力は?」
目を閉じて戦った際に、自分とは別の力を使ったような感じをしていた。
「もしかして・・・この剣が力を貸してくれたのかな?」
マキは剣を上に持ち上げて見つめる。
その時、かすかにだが剣が光った気がした。
「そっか、君が力を貸してくれたんだね。私、もっと強くなるからさ、
もう少しだけ力を貸してね。二人とも、いやみんながんばってるんだ。
私だって負けられないやっ!」
マキは立ち上がって、再び素振りを始めた。
463 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:25
「よし、少し火力を上げてくれ。」
「は、はい!」
アサミは剣を焼いている火の火力を、メモリーのボタンを
押しながら調節していく。
夜中、ユウコとアサミはまだマキの剣を造り直していた。
マキは一通り家事を済ませたあと、外で寝てしまっている。
本人曰く、魔物から守るために外で寝るそうだ。
「あのぉ、前にこのメモリーを使っていたのは誰だったんでしょうか?」
アサミは真剣に剣をハンマ−で叩いているユウコに、それとなく聞いてみた。
「ん、あんたが魔物を倒して手に入れたんやなかったん?」
「いえ、そうなんですけど・・・あなたの時代では、また別の誰かが
使っていたのではないのですか?」
ユウコは剣を叩くのをやめて、汗を腕で拭った。
464 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:26
「それを前に使ってたんわなぁ、あんたのおかんや。」
「えっ!?」
アサミは押えていた剣を落としそうになる。
「ああっ!それ落としたら今日の苦労がパーになるで!」
「え、ああ、ハイ!」
慌てて剣を元の位置に戻すと、アサミはユウコを見上げる。
「あんたの両親はすごい人達やった。あんたのおとんは凄腕の格闘家、
おかんはそのグローブを使ってあんたの町を守ってたんや。
町の責任者でありながら、常に最前線で戦いに向かっておった。
町を守るためにってな・・・。ほんまにすごかったんや。」
「・・・そうだったんですか。」
アサミは俯きながら、消えそうな声で呟いた。
465 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:27
「(私のお母さんが・・・これを使ってたんだ・・・。)」
「残念なことに、前にオロチが復活した際に殺されてしもうたらしいわな・・・
けど、あんたのご両親もあの世であんたのことを自慢できて幸せやろな。
あんたみたいな良い子を授かることができたんやから、ほんと羨ましいわ・・・。」
ユウコはアサミに語るように話す。
「あんたはその二人の力をもらってるんや。自信持ってええで。」
「・・・はい・・・。」
「さて、あとちょいで一段落つくから、あんたはもう休んでてええで?
あとは一人でもできることやしな。」
「いえ・・・私が頼んだんですから最後までお付き合いさせていただきます。」
アサミは流れた涙を腕で拭って、ユウコと向かい合う。
アサミは強い眼差しをしていた。
「あんたは強い子やな。そんじゃさっさと終わらせてはよ寝ようや。」
それからしばらくの間、二人は剣と向き合っていた。
466 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:28
三日目の朝、ユウコは魔物の雄叫びによって目を覚ました。
隣ではアサミがまだ寝ている。
「なんや、こんな朝っぱらから戦っとんのか?大変やな・・・。」
ユウコは久しぶりに外に出てみると、マキが何匹かの魔物に囲まれていた。
「なっ!?なんで目ぇ瞑って戦ってんの!?」
マキは、二日前から目を瞑って戦うことにしていた。
空気の流れを読むために、また目を瞑ることによって剣の鼓動を
感じることができて、剣と会話することに成功した。
これまでは剣を振り回すだけだったが、今では剣の力を借りることで
より一層強くなっている。
マキは四方八方から魔物に攻撃されているが、全て避けていた。
467 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:29
自分の流れを崩さずに魔物の攻撃を受け流し、そのまま
流れるように魔物を斬っていく。
「(あの子なら本当にオロチを・・・。)」
ユウコは胸を躍らせて部屋に戻っていく。
「アサミ、あとちょいやからそろそろ起きいや。最後まで付き合うんやろ?
さっさと終わらすでぇっ!」
「・・・ふぁ〜い。」
アサミは眠そうな声で返事をした。
「こりゃあ、もしかしたらもしかするで〜!楽しみやわ。」
ユウコは、アサミの手を引っ張りながら鍛冶場に向かっていった。
468 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:29
今日はここまでです
469 名前:konkon 投稿日:2004/08/13(金) 23:34
>151さん
マキは急成長を遂げるので
恐らくは平気でしょう。
やぐやすもがんばりたいと思います(笑)

>MSさん
ごっちんもがんばりますので
これからも応援してあげてくださ〜い。

>七誌さんデスさん
ごっちんは恐怖に打ち勝って
がんばって答えを出しました!
何卒応援よろしくです(笑)
470 名前:MS 投稿日:2004/08/14(土) 00:26
死の恐怖に打ち勝ちましたね!やったー!!
ごっちんもどんどん強くなっていきますね!
これからも頑張って〜!!
471 名前:151 投稿日:2004/08/14(土) 15:19
凄い・・・これは一体どうなってるんだろう?
そして武器にも色々な想いやら歴史やらが詰まっているんですね〜。
やぐやすはほどほどに(笑)
472 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:00
昼過ぎ頃、マキはユウコに家の中へ呼び出された。
「できたでぇ。あんたの剣や。」
ユウコは剣をマキに渡す。
それをアサミは、横から嬉しそうに見ている。
マキは手に持った剣を優しく撫でる。
「・・・おかえり。また、よろしくね。」
その直後、剣はマキの言葉に答えるように光り輝きだした。
アサミとユウコは、その光景を呆然と見ていた。
「・・・まあ、前よりも頑丈に造ったから、もうぶっ壊れることはないと思うで。」
「そっか、本当にありがとう。」
「そういや報酬もらっとんかったな。うちの報酬は高いで〜!」
「何、報酬って?」
「できることなら・・・お金ならお支払いいたします。」
「二人とも、キスしてええか?」
「「・・・・・・・・・・。」」
二人は冷たい目でユウコを見る。
473 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:03
「冗談やんか〜、だって二人とも可愛いんだもん・・・そんな目しんといてぇ。」
「・・・それで、何がお望みなんでしょうか?」
アサミが真剣な目で聞く。
「・・・うちの望みはただ一つ、オロチを今度こそ倒してくれっ!頼むっ!」
ユウコは二人に頭を下げる。
「そんなことしないでよ。この剣にはあんたの願いも込められてる
わけでしょ?だから絶対倒せるよ!任せといて!」
「そうですよ。私達が絶対倒して見せますから、安心して待っていて下さい!」
「・・・うん、それじゃ気ぃつけてな。」
「本当に助かったよ。またね〜。」
「ありがとうございました!今度うちの町に遊びにきてくださいね♪」
マキとアサミは、ユウコに手を振りながら歩いていった。
「またね・・・か。うちも信じて待ってみるか〜。それにしても眠いわ。」
ユウコは連日の疲れのせいか、部屋に入ると同時に寝てしまった。
その寝顔はとても嬉しそうな顔をしていた。
474 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:04
「ただいまで〜す!」
アサミは、勢いよく仲間達がいる客室のドアを開けた。
「「「「「「「「「「おかえり〜!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」
仲間達が声を揃えて迎えてくれた。
「ってあれ?マキは?」
「私の荷物を持ってもらってたんで、私の部屋に置いてきてくれるそうです。今来ますよ。」
「アサミ〜、マキをパシリにしてたの〜?」
マリがからかう様に言う。
「違いますよ。なんか・・・持ってくれました。」
「ふ〜ん、怪しいな〜♪」
「弱みでも握ってるんれすか?」
「ち、違いますって!ほら、マキが来ましたよ!」
アサミが見たほうを見ると、一人の少女が部屋に入ってきた。
475 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:05
「ただいま。」

・・・・・・・・

アサミ以外の部屋にいた全員が固まってしまった。
「どうしたの?」
「マキ・・・だよね?」
「そうだよ?」
また部屋が沈黙となった。
「髪・・どうしたの?」
ヒトミが恐る恐る聞いてみる。
「ん、アサミに頼んで切ってもらった。変かな?」
今までのマキの髪は腰の近くまであったが、今では肩までしかなかった。
それはそれでとても似合っていたが。
476 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:08
「だ、だって、あれだけ髪が大事だって言ってたじゃん!誰かに
触らせるのも嫌だって言って、私には触らせてくれなかったのに・・・。」
「ん、私は普通に触らせてもらえましたけど?」
「・・・・。」
ヒトミは座り込んでいじけ始める。
そんなヒトミを見て、マキは苦笑いしながら話しを続ける。
「ちょっと過去に対する精算がしたかったからね。」
「どういう意味?」
「今までは今まで、これからの私はこれからの私なんだってね。
前を向いていこうってことだよ。」
「意味わかんない・・・。」
恐らく誰にもマキの言ったことは理解できなかっただろう。
仲間達は難しい顔をしていた。
477 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:09
「まあ、でも私が言った通りっしょ?マキは帰ってくるってさ。」
「何よ〜、私だって信じてたもん!」
「ノノは元から心配してなかったれすけろね。」
「嘘言うなや〜、さっきまで泣きそうな顔してたくせに。」
「ほんとだよ。心配かけやがってさ。」
「無事に帰ってきたんだな・・・。」
「ふん、これで再試合ができる。」
「マキだもん、あれくらいじゃへこたれないべさ!」
「そうだよ。それでこそマキだもんね。」
「何はともあれよかったやよ。」
仲間の声に、マキは少し泣きそうになった。
478 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:11
「だから言ったでしょう。完璧です♪」
「よく言うよ。どうなるかわからないって言ってたくせに。」
「・・・完璧なんです。」
ケイの突っ込みにアサミは頬を膨らます。
「みんな・・・ごめんね、心配かけて。私、改めて考えてみたんだ。
これからの闘いのことを。」
マキの声にみんなが耳を傾ける。
「オロチのせいで、いろいろな物を失った人がいる。大切な人を失った人がいる。
そんなこと、これ以上増やしちゃいけないんだ。私は世界中の人々を守りたい。
だから私は戦う。みんなの笑顔を取り戻すためにね。だから・・・がんばろうね、みんなっ!」
仲間達は嬉しそうに頷いていた。
誰もが守りたい人がいる、だからこそオロチを倒したい。
マキはそう、強く願った。
479 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:12
「何・・・こんなことって・・・。」
マキとアサミが帰ってきてから、二日がたったある日のことだった。
アサミはオロチの居場所を見つけるために、偵察用の機械の鳥を
世界中に散りばめていた。
しかし、全然見つかる気配がなかった。
マキの剣も共鳴しなくなっているらしく、手がかりが掴めずに
アサミが悩んでいた時、一匹の鳥のカメラに奇妙な光景を見つけた。
「早く皆さんに伝えないと・・・。」
アサミは通信機で、仲間全員を客室へ呼び出した。
480 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:12
更新しました〜
481 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:13
ごめんなさい!
今までのマキは髪が長かったことにしてください!
本当にごめんなさい・・・
482 名前:konkon 投稿日:2004/08/15(日) 22:17
>MSさん
ごっちんはこれからですよ。
期待しててくださいね♪

>151さん
武器にも心があるんですね〜。
やぐやすは後に出したいと思います(笑)
483 名前:MS 投稿日:2004/08/16(月) 09:08
期待して待ってますね(ごっちん)
何があったのか気になります。
次の更新お待ちしております。
484 名前:七誌さんデス 投稿日:2004/08/16(月) 13:22
最近、私事で出かけていて来れませんでした。
話が進んできましたね。
ヒトミ・・・いいキャラだ・・・
真剣なお話の中にこういうのがあると和みますね。なんか。
これからどうなるのか。とっても気になります。
次回更新お待ちしてます。
485 名前:konkon 投稿日:2004/08/17(火) 22:00
>MSさん
それは後ほどわかると思いますよ♪
更新がんばります。

>七誌さんデスさん
なんとなくヒトミはお笑いっぽくしてみましたw
たまにはこういうキャラもいいかな〜ってことで
こうなっちゃいました(汗)
486 名前:konkon 投稿日:2004/08/17(火) 22:01
スレが500近くとなったので
白版に新スレを立てました。
よかったら見てください。
これからもよろしくです

http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/white/1092745656/
487 名前:151 投稿日:2004/08/18(水) 00:25
さぁ揃いましたね。マキの髪型了解しました(笑)

ところで500レスで新スレって何か誤解していませんか?
一つのスレには1000レスまで書き込めるんですが・・・。
容量500KB制限と勘違いしちゃったのかな?(^^;)
488 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/09(木) 14:31
この人色々と少し勉強不足なのでは・・?

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