ダウンタウンボーイズ〜我らヒーロー〜

1 名前:カフェオーレ 投稿日:2004/06/18(金) 22:00
今日からよろしくお願いします。
主にあやみき、いちよしごまですので。
舞台は渋谷、アンリアルです。
2 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/18(金) 22:07

  “お前ら、てっぺん取ったら一人前だ。認めてやる”

あの日憧れの人からもらった一言、あたしたちはハチ公に誓った。


勝ち続ければマネーが入る、この世界に住んでるんだ。
3 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/18(金) 22:14
ド田舎中の田舎と言われる北海道、まん中らへん。


遥々彼方からやってきた1人の田舎者がいた。

その年の冬は特別寒く、例年よりも気温がやや低い頃だった。


2006年2月26日、渋谷に降り立った若者の名は藤本美貴。
4 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/18(金) 22:20
北海道の冬は確かに渋谷より寒いが、都会の冬も負けたものじゃない。
美貴の身につけている物はダッフルコートに冬帽子、サングラス。
どうやら都会の冬をなめていたらしく、自分いわくこれでも寒いそうだ。

−−−深夜の渋谷は、危険。デンジャラスゾーン。


耳元には美貴の内心が響いた。田舎者が持ち金ゼロでここらをふらついて
いたらイチャモンつけられて鼻の穴から手を突っ込まれ奥歯ガタガタ言わされる
のがオチである。
リュックの中身は、財布と少々の着替えに、家族の写真だけ。
しかも財布の中は2000円あるかないかの状態だ。
5 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/18(金) 22:29
家族の写真には、5人の姿が写っている。
右端にいるのが姉、その隣が兄。
中央に美貴がいて、その横で母と父がニッコリ笑っている。
写真の美貴はとても無愛想で1人だけ笑っていない。
「・・・おかーさぁん、おとーさぁん・・ごめん・・」

今になって家を出た事を後悔するしまつ。
一時の親子ゲンカが、こんな大きい事になるなど自分でも思って
いなかったのだ。
街行くチャラい男や忙しそうにせっせと歩くサラリーマンまでもが
美貴を嫌煙している様に見えてしまう。

そんな時、トボトボあても無く歩いている美貴の目の前に3人程の
ヤンキーが現れた。
6 名前:カフェオーレ 投稿日:2004/06/18(金) 22:30
さて、ここで更新終了します。
明日の夜ぐらいにはちびちび更新しようと思います。
感想などくれたら嬉しいです。
7 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 11:43
いかにもケンカっぱやい顔をしている。
美貴の目には3人とも同じような顔に見えた。
一応説明するが美貴は女である。
美貴の頭から足先まで交互に見つめ、こんな事を口にした。

「あんたここらへんの男じゃねえな、どっから来た?」

サングラスでよくわからないのか、男呼ばわりされた美貴。
中央の高校生ぐらいの男が慣れ慣れしく美貴の肩をこづいた。
カッとなりやすい性格・・・怒らせたら何をするか分らないとは
この女の事だ。
だがぐっとそこを抑え、余計な事を言わないように黙る事にした。

「オイ、こっちが話しかけてやってんだろ、答えろよっ!」
「やめとけって弱っちいやつに売っても安いだけだぜ、ハハハ!!」

3人がバカ笑いし始めた時、美貴の頭のどこかが切れる音がした。

ショウタイムの始まり始まり。
8 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 11:52

「誰が・・・安いっつったぁ?」

指をボキボキならしながら怒りに満ちた低い声でヤンキーに歩みよる美貴。
サングラスとリュックをベンチに投げ捨て、得意の睨みをかました。

「お、女ぁ?」
「女だからってそういう事言っても容赦しないよお嬢ちゃん?」
「いいじゃねえか、度胸があるだけマシだぜ」
相変わらず美貴をナメている。どうしても全治3ヶ月の重症を負わせねば
ならぬ状況に変わる前に誰か美貴を止めなければならない。

「ほんとーに、マジでやっちゃっていいわけ?ガキ共が!!」


「・・・がき・・だぁ?テメ−ふざけんなっ!!」

ふざけちゃいない、本気の本気。
9 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 11:59

「じゃ、右のガキからやっちゃおうかな。来れば・・・?」

軽く挑発すると、すかさず3人の1人一番背が高い奴がかかってくる。
スキだらけのポーズをとり、何のマネか。

「顔はカワイソ−だから、腹に痕残すよ?」
「んだとっ・・・ぐっぁ!!!」

相手のヘソらへんを右足でガツン。男はあっけなく倒れてしまった。

「うあ、痛そ・・・ごめん、本気出そうと思ったけど必要ないかもね〜」
余裕しゃくしゃくで残った2人をガンつける。
2人は顔を見合わせ、コクリと相づちをうった。
10 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 12:05

「おらぁぁっ!!!」

2人がかりで美貴に向かってきた。
ふん、と軽く笑った美貴は拳で肩を殴りつけようとした・・が。


「ちょっと待った!!!」

美貴の背後からニット帽を深く被った誰かが叫んだ。
相手の男2人も唖然として、美貴から身をひいた。
美貴も拳を引き、ポケットに両手をつっこんでニット帽の人物を
覗く。

11 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 12:14

「い・・・・いいい市井さんっっ・・・」

2人の男はきちっと横に整列してペコリと頭を下げた。
今までの態度が嘘のように畏まっている。
ふぅ、と溜め息をついたニット帽はつかつかと男の前に立ちはだかる。
美貴の事をまるで無視したかのように。

「おまえら、今2人でかかってたよな?」

「は、はいっ・・・・」

「鉄則忘れたか?あ?」

「いえっ!そんな事では・・・・」

躙りよって1人の胸ぐらを鷲掴みにしてアスファルトに突っ伏させた。
その後じろりと美貴を睨むと、1ミリも口元を緩ませずこう言った。

「あたしは渋谷のボス。こいつらアンタに何した?」

「え・・・何って・・ケンカ売られたから買っただけで・・」

「・・そか、どうもな。聞いたか?また女に負けたんだなオメーラ」

市井という人に目を合わせようとしない3人は悔しそうに黙る。
12 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 18:38
くるりとコートを翻し、美貴の方を再度まじまじと見る。

「ここらへんのヤツじゃないな、どっから来た?」
さっきのヤンキーと同じ事を聞かれたが、逆らう余地はなかった。

「・・・北海道の滝川」

「滝川・・・?どこだそりゃ。まあいいや、とにかくスマンな。
コイツらちゃんとシめとくから、謝るよ」

さっきまでキツく閉ざしていた唇が緩み、微かに笑った市井。
親分肌なのか、丁寧にきちんと頭を下げて美貴に謝罪した。

13 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 20:30

それからヤンキー達は市井に首ねっこを掴まれ、渋谷を追放された。
渋谷駅での事だった。
絡まれた場所から移動して、近くにあったファーストフード店へ成りゆき
で美貴は市井に連れられた。

「・・家出たわけね、典型的なケースだな」
「そう・・・ですね。こんな所来なきゃよかったです・・・」

ズズ−ッと残り少ないドリンクをストローで吸い取った美貴は大きく
溜め息をつくのだった。

「こんな所っつっても、結構良い所だぞ。悪いヤツもたくさんいるけど
な、イイヤツはその何倍もいるんだ」
 思わず相づちをうってしまう程、市井の表情に美貴は見愡れていた。

「いつから渋谷にいるんですか、市井さんは?」

「中学の時から、かな。美貴と同じ家出でね。人の事言えないっか・・」

美貴には持っていない物を、市井は数えきれない程持っている。
ふと美貴はそう思うのだった。
14 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 20:38
何かを隠すわけでもなくごくごく自然に笑顔が似合う市井を
いつしか美貴は慕うようになっていた。
お互い呼び合う名前も気がついた頃にはもう友達。

「で、美貴はどこで寝泊まりするつもり?金も持ってだろ?」

「あ・・・忘れてた」

「ふっ・・ハハハッ!!心配すんな、あたしのアパート泊めてやる。
金の稼ぎ方だって、うまくやりゃお前なら扱える仕事だから・・・」

「え、いいんですか!?知り合ったばっかりの変な女かもしれないんですよ!?」

「変なって・・そんなことねーよ。疑ったりなんかしてないから」

出会ったばかりの美貴を家に居候させてその上仕事まで探してくれるとは
律儀な青年(?)市井。

「でな、その稼ぎ方ってのが渋谷独特なんだ」
「・・・独特?」
「ヘタすりゃ命とぶけどな・・・・あたしその仕事5年続けてるんだ」
「命とぶってぇ?そんなに大変な仕事・・」

突然市井は本題に入る前にキョロキョロと当たりを見回し始めた。
そそくさと美貴の手を引っ張り、深夜のファーストフード店を後にした。
15 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 20:46

「・・・あー、つまりだな・・かなり暴力的な物でー・・」

「いいですから、早く言ってくれて大丈夫です」

ガッと美貴の首に肩をかけ、小さく慎重に市井は呟いた。



「ある場所で・・・喧嘩するって仕事なんだ」

耳に入ったのは、何度と聞かれた言葉。
さっきまで喧嘩をしていたのだから当たり前だが。

「けん・・・か?喧嘩って殴り合いの・・?」
「そーだ、殴り合いだ。けどルールがちゃんと決まってる」

「まずだなぁ・・・」

仕事を見つけてくれるのはとても感謝している美貴だが、喧嘩と聞いて
とっさに身を引いてしまう。
いまいち市井の言っている事がよく飲み込めなかったのだ。
16 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/19(土) 21:01
カンカンカンカン・・・・・

乾いた金属の階段が2人の足音で鳴り響く。
市井のアパートに居候する事になった美貴はおずおずと
階段を上がる。
先程の渋谷から少し離れた市井の家は少し薄汚れたアパートだった。
喧嘩の事は市井の家で聞く事になった。

「まあろくな所じゃないけど、ゆっくりしてろ」
「あ、ありがとうございます」

部屋にはベッド、キッチン、TVにちゃぶ台とシンプルな光景が
広がる。シンプルなのだ。

「あのっ・・・喧嘩商売って?」

「んー・・・さっきのな、お前のポーズみて『うわっ』て思ったんだ。
スキのない構え、夙な目つき、そしてあの技・・・あたし驚いたよ。
渋谷にこんなヤツいたんだーって。
・・・それでな、お前なら1日で10万、いや50万稼げるって確信したんだ」

「・・・美貴ってそんな凄いんですかね?」

『渋谷のボス』。初めて会った時市井が美貴に言った事がよぎった。
ホンモノなのかニセモノなのか、よく分らないでいる。

「ああ、うまくやれるさ。警察にはバレるこたぁないから安全かな。
・・・けどな、陰でヤられちまう事もある。危険だけど・・・やってくれないか?」

「はぁ・・まあ、お金がもらえるなら・・やります」
「よく言ってくれた。これでボスに首絞められなくてすんだよ」

暴力沙汰になるのはゴメンだったが、市井の言う事はすんなりと
受け入れられたのだった。

運命は自分の手でかえられる。そう確信できたのがこの瞬間、この時
だった。

愛しいヒトに、出会えた喜び。
17 名前:カフェオーレ 投稿日:2004/06/19(土) 21:04
今日の更新終ります。御意見御感想お待ちしております。
それと次回からあややとごっちん登場です。
あやみき突入!?かな?
18 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/20(日) 18:17
それからそれから、市井の説明は続いた。

「肝心の、喧嘩場所ってどこなんですか?」

「おお、言うの話すれてたな・・・」

片手に持っていた缶ビールを一気に飲み干した市井は、缶をゴミ箱
にシュートした。

「場所は渋谷の中心で行う。まあクラブの中でやるんだな、変なやつら
が多いけど、あたしぐらいの位になればちょっかい出してくるヤツいないから」

へぇ〜へぇ〜。本格的に聞かされると自分が今後誰と戦うのか不安になってくる。
それにしても市井の存在が今だによく理解できなかった美貴は
思い出したかのように問いただした。

「市井さんって、何ものなんですか・・・?」
カシッと音がしたかと思うと、市井が2本目のビールを開けた音だった。

「何ものって・・・市井だよ」
「分かってますよ、そうじゃなくて渋谷のボスって言ってましたよね?」

ビールをテーブルに乱暴に置いた市井はめんどくさそうに頭をかいた。
切り出すタイミングを逃したらしい。
19 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/20(日) 18:24
「うぅん・・・まあそのー、政界に例えるなら総理大臣みたいな?」

例えがおかしいだろ。美貴は大胆にも思ってしまった。

「総理、ですか?」
「まあな、最高官みたいな感じ。あ、引いた?今」
「いえっ、全然!!まだ美貴実感がなくて・・・」
「そっか、大概の人がこれ聞いたら引くからな。あんがとな」

男勝りで喧嘩最強、だけど柔らかい所があって優しい。
お互いが似ている部分があり、馬が合う2人。
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/21(月) 09:18
設定がなかなか面白いです

続き期待
ごまにも期待(w
21 名前:カフェオーレ 投稿日:2004/06/21(月) 15:09
>20名無飼育さん ごっちん期待ですかw
ありがとうございます。
22 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/21(月) 15:19

「あたしの事ばっかり聞いてないで、美貴の事も教えてよ」

「え、美貴ですか?・・・何を言えばいいんでしょうか」

「んーだから、タイマンはったことあるかとかさぁ」

「ありますねぇ、毎日やってました」

北海道の田舎とはいえ喧嘩は盛んだった。
日常茶飯事気に入らない奴と目が合えばそれは喧嘩の合図と言っても
良い程。

「ほぉー、それじゃぁ・・・・交わせるかな?」
「何をです・・・うわっ!!」

美貴が事をすすめる前に、目の前から拳が飛んできた。
シュンッと風を切る音が確かに聞こえたのだ。
23 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/21(月) 15:24

「・・・・反射神経共に俊敏な動き、合格だな」

とっさに片手で市井の拳を受け止めていた。
美貴でなかったら受け止めていられなかっただろう。

「合格って!!危ないじゃないですか!」
「バカ者、テストだよ。あたしのパンチ止められるなんて大した
もんだよ」
「合格っ・・・・へへ、何か嬉しいな」
「そうだ、喜べっ!」

ぐしゃぐしゃっと美貴の髪の毛をなでた市井。
その夜は美貴も安心して眠りにつく事ができた。
24 名前:怪しいBOYS TWO MAN 投稿日:2004/06/21(月) 15:39

渋谷、降臨。

「さぁさ、商売は夜からだからな。渋谷案内してやるよ」
「ありがとうございますっ。昨日家出たばっかなもんで・・・」
「気にするな、美貴はあたしの妹みたいなもんだからな」

田舎者が見ても格好良く見えるのだから、都会の人にはもっとモテる
んだろうな。美貴は市井の笑顔を見てすぐさま思った。
昼の渋谷は人込みが多すぎて、最初美貴が見た時は慣れなかったが
しだいに目も慣れてきた。

「なぁんかやんなっちゃうよな、目合うだけですたこら逃げられる
んだぞ?いくら怖いって評判でもさー」

近くにあった空き缶を蹴っ飛ばし、市井はぼやき始めた。

「だって市井さん喧嘩強いんでしょ?逃げて当たり前ですよ」
「美貴までいうかよ。大体あたしの喧嘩見た事ないだろ?」
「見なくたって分ります。美貴は節穴じゃないですからね」

自販機からコーヒーを取り出して美貴は言った。
25 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 15:45

「でもなぁ、嬉しいんだぞ。妹分ができて」

「美貴の事ですか?」

「なんかさ、弟子できたみたいで嬉しい」

美貴の目には市井が田舎の姉に見えた。錯覚と分かっていても
自分の姉にどこかが似ていて思い出す。

「弟子にしてもらえるんですか?市井さんの?」
「いやいや、あたしが勝手に言っただけだから忘れて!!」

印象強かった市井のクールな表面が裏返った。
急に顔を赤らめて照れた様子だ。

「いえ、美貴の師匠でいさせて下さい。いいですね?」

「や、まー・・・・ありがと・・」

ぎこちなく会話が続いてしばらく、目の前に2人の男が立ちはだかった。
26 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 15:53
その2人は昨日美貴が喧嘩を買った男達だった。
何故か頬に手のひらの痕がついている。

「何だ、おまえら。池袋に追放したはずだが何やってんだ?」
「市井さぁぁぁんっ!!仕返ししてくださいぃぃ!」
「はぁ・・・?何言って・・」

「クラブで知り合ったコにラブホ行こうって誘ったらいきなりハリテ
喰らわされて・・・・許せないんです自分!!!」

市井の頭には小さく怒りマークがついている。

「しるかっっ!!またナンパしたてめーらが悪いんだろ!!」
「そんな事言わないでお願いします!!昨日の事はきちんと反省して
ますしもう女に手は上げませんから!!だから市井さんから・・・」

「・・・・・行ったら何かくれるっつーのかよ」

美貴の顔をチラっと見ると困ったような顔を見せた。
27 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 15:58
1人の男が市井の耳に手をやり、ボソッと何か言った。
美貴には『イイ感じのコ紹介しますよ』と聞こえたのだが。

「ほぉ、まあそーいう事ならしょうがねえな。よし、話しつけて
やろう」

「さすが市井総長!!恩にきます!!」

「いいって事よ・・・・で、お前その女のコに何したわけ?」

「・・・あっちからそういう事しようって言うから思いきって言って
やったんスよ。けどヤろうって言った途端バーンって殴られて・・」

ふぅと重く溜め息をついた市井は美貴にスマンと謝った。
28 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 16:01

「ごめん、そこのクラブまでついてきてくんないかな?
すぐ終らすから」
「いえ、全然いいですよ。何がなんだかよくわかんないですけど」

「美貴好みのコがいるといいなっ」

「何の事ですか?」

「いや、まあ来てくれれば分るよ」

ごまかしたようにほくそえんだ。美貴にはそれがよく分らなかったが。
29 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 16:11

「っだーーーっ!音止めろ音!!」

夕方になり、目的のクラブへと4人でやってきた。
2人の男はキョロキョロして張り手をかました女の子を探している。
市井さんはというと、流れっぱなしの音楽を止めろと叫んでいる。
すると人のすくない奥から小さい小さい女性が出てきた。

「おっ、紗耶香じゃ〜ん!!久しぶりぃっ♪」
「音楽の音はでかいわ矢口のキーキー声はでかいわ・・最悪だな」
「キャハハ!!まあ気にしない気にしない!!
   あれ、この隣にいる子は?」

矢口というちっこいバイト店員は美貴を見て言った。

「あー、あたしの・・・弟子かな」
「弟子!?紗耶香絶対弟子とらない性分なのに!??」
「うるさい虫っ」
「虫じゃない!!」

仲が良いのか悪いのか美貴には分らなかった。
ただ、市井が弟子をとらない性分だというのを聞いてなぜか心が跳ねた。

「パッと見男の子みたいじゃーん、よっすぃーに似てね?」

矢口が美貴の肩をポンポンと叩いて言った。
30 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 16:17

ガシャァァァンッ

「矢口、あいつの名前出すんじゃねぇ」

あたりが一気に沈黙に包まれた。市井がガラス窓を自らの拳で
割った音が響き渡る。
矢口は市井の表情をただ見つめ、美貴から離れた。

「ごめんっ・・・紗耶香。悪かったよ・・・オイラすっかり
忘れてて・・」

ようやく自分が何をしたのか市井は気がついた。
手の甲には赤い血がつき、地面には粉々になったガラス破片が落ちている。

「・・・も、いーよ。カッとなったあたしが悪い」
「本当に、ごめん紗耶香・・・」

矢口は泣き出し、市井に駆け寄った。
市井は矢口の頭を撫で、血がついた甲をシャツで拭う。
31 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 21:52

『やだぁっちょっと離してよ!!!』


美貴の後から悲鳴に近い声が聞こえた。
振り返ると市井のしたっぱ2人が女の子を羽交い締めにしている。

「大人しくしろ!!何もしないからっ!!」
『何かするから羽交い締めにしてるんでしょ!?放せぇっ!」
ガブッと女の子は男1人の手を噛んだ。痛さの余り男は油断して
手を放した。

「くそ・・・黙ってりゃいい気になりやがって!」
「やめろ手は出すなって・・・!!」
怒りが増したのか、男は倒れている女の子に蹴りを入れようとする。

「やめろお前らっ・・?美貴!!」

市井が止めようと走り出す直前、美貴が飛び出した。

32 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 22:03

床を思いっきり蹴飛ばし、踏み切った。

跳んだというより、飛んだに等しい跳躍力。


みごと放った得意のとび蹴りは、女の子を羽交い締めにしていた
男の頭にクリーンヒットした。
バタンと床に倒れ、身動きもせず微かに喘ぐ声が男から聞こえた。

「オイッ・・・あんたシャレになんねぇぞ!動かねぇじゃんか!!」
もう1人の男が床に倒れた男を揺さぶるが、ピクリとも動かない。

「フン、このまま動かない方がこのコの身の為なんだけど」

張り詰めたピアノ線がプッツンと切れたのだ。
ビッと女の子を指さして、もう一度男を睨んだ。

「カラダ目的で女に近付くなんて最低がするこったぁ。
    知ってんだろ?あたしが一番最初に教えた事だ」
「っ・・・市井さん・・」

鋭い眼光で男に近付く市井は、ぺたんと座り込んでしまった女の子
の方をちらっと見た。
33 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 22:14

「松浦、お前か・・・・メンドクセー事になったなぁ・・。
ホラ、早く立ちなよ」
スッと手をさしのべると松浦という女の子は反発するように手を払い
のけ、自分で立ち上がった。

「あの、大丈夫?怪我とかしてないかな・・・?」

美貴は心配して松浦にニコッと笑いかけた。が、

「平気、別にどこも怪我してないから」
「あ・・・そっか、ならいいね」
冷たい反応に美貴は少しばかり驚いた。なんせ顔は超美形。
美形というのか、顔だちがとてもかわいらしかった。

「おい、倒れてる方かついで今すぐここから出てけ」
「・・・はいっ・・」
「いいか、2度とここ来るな。来たら容赦しねぇ。お前らには失望
したよ、ずっと後輩って思ってきたけどな、こればかりはあたしも許さん」

男は倒れている男1人を担いでクラブから出ていった。
34 名前:カワイコちゃんには気をつけろ 投稿日:2004/06/21(月) 22:26

「ヤベェな・・・偉い事になっちまったぞ美貴」
「ヤバい事って・・・?」

市井はじっと松浦を見ると、何があったのか話せと促した。

「・・ラブホに行こうって無理矢理誘われて、嫌だって言ってもしつこ
かったから殴った。そしたらあっちがキレてこういう風になっちゃった」

「何も、されなかったよな?例えば・・・」
「されてないし、してもない」
「そっか・・」

話し終えると松浦は肩を落とし、うんざりとした顔になった。

「アンタ達、パパにバレて首切られるのが怖いだけなんでしょ?
だからあたしの事ついて回ってるだけなんでしょ?
そんなのあたしにだって分るよ」
「いや、別にそういう事だけじゃねぇけど・・・」

「嘘・・・みんな嘘。あたしの事ちゃんと見てくれる人なんて1人
もいない。あたしの事心配してくれる人なんていないんでしょ・・・?」

ポトリ、と冷たい床に雫が落ちた。
美貴にはそれが確かに見えたのだった。

松浦はドアを開けて裏路に駆けて行った。

35 名前:カフェオーレ 投稿日:2004/06/21(月) 22:27
更新終ります。すいません、ごっちんとよっすぃの
登場がおくれてしまい………
36 名前:カフェオーレ 投稿日:2004/06/21(月) 22:27
なんとなく。
37 名前:カフェオーレ 投稿日:2004/06/21(月) 22:28
隠し?
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/22(火) 21:56
見てますよ〜
面白いので頑張ってください
よっすぃーといちーちゃんに何かあったのかな?
39 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/05(日) 11:33
まだかなあ

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