■□ かっちょ □■

1 名前:魚坊主2,004 投稿日:2004/06/23(水) 19:52

大切なおもい。
大切なもの。
大切なひと。

なんだっていい。
それぞれの胸に秘めるなにか、掲げて生きていこう。


  魚坊主2,004
2 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:53



3 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:53



――― 人を信じるってなんだろう ―――


――― 信じて、人に裏切られたとき、悲しくないんだろうか ―――


4 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:54



◆ ◆ ◆ ◆ ◆




高2の夏。
あたしは大切な人を失った。

5 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:54



□ □ □

6 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:55


高1
 4月


新しいクラス・友達。
中学生とはまた違った環境の中、あたしは冷めた目で教室内を見渡していた。
すべてが新しい春。4月。
みんな胸をワクワクさせながら今日の入学式を迎えたに違いない。
昨日の夜、興奮して眠れなかった人も中にはいると思う。

7 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:55


「おはよ」


「…うす」


幼稚園の時からの友達が話しかけてきた。
教室に入ってくるなり、不安そうにきょろきょろを動いていた目が
あたしを見つけると パッとした輝きをみせる。
新しい環境で不安なのはみんな一緒なんだ。
あたしみたいな天邪鬼を除いてはね。

8 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:56


「なに、なんかやる気ないね」

「べっつに…」


「ほらほらっ、さっきからあの子たちとかさやかのこと見てんじゃん。
 友達になりたいのかもよー?」

9 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:56


「…はぁ?」


促されるようにして、横を向くと
3〜4人輪になって話している女の子達が目に入った。


あたしとおもいっきり目が合うと、一斉にこっちに集まっていた(らしい)視線が
別の場所へと飛び散っていく。

10 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:57


「ほらぁ。
 もてるオンナはつらいねぇ?」

「…オンナが『女』にもてて嬉しいわけ?」

「さぁ?少なくとも好感はもたれてるわけだし、いいんじゃない?」


「…ふーん…」


こいつと会話してると疲れる。
なにが疲れるかっていうと、なんとなく意味不明な(または支離滅裂な)ことを言われても
その場のノリと勢いに押され、頷いてしまうからだった。

11 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:57


「…それにしてもさやかが女子校に来るとはねぇ」

「あたしだって来る気は無かったよ」

「バスケ推薦で、学費免除だからね。凄いじゃん。」

「まぁね」

「ぅわ!むかつく〜」

12 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:57


太陽と月みたいなようなもの。
季節に例えて言うと、夏と冬。
矢口とあたしは幼い時からこんな関係だった。
お互いが無いもの、そして欲しくても手に入らない性質を持っている事に気づき
あたし達は何も言わずともいつも一緒にいた。
正反対な性格は合わないと聞くけれども。
あたしと矢口はまるでパズルのピースみたいにガッチリとつながれていた気がする。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇


13 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:58


『さやかはネコみたいだね』

14 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:58


『…矢口は犬みたい』

『そっかなぁ?』

『なんであたしがネコみたいだって思うの?』

15 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 19:59


『…なんかねー、…なんだろ? いつもつまんなそうにしてるとことか。
 急に傍に来る時とか。普段はクールなのに…
 …今みたいに、甘えてくるとことか』



中学3年。
秋に近い夏。


部活も引退して、みんなそれぞれの進路を決めて勉強をし始める時期。
あたしと矢口は教室にいた。
蒸し暑い室内、参考書を開いて向かい合わせになるように机をくっつけて
あたしは数学、矢口は英語の教科書を出して難しい問題を解いていた時だった。

16 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 20:00


窓から入ってくる柔らかい風。
矢口のつけている香水の甘い匂いがあたしの鼻をくすぐる。
矢口は、窓の硝子に反射してキラっと弾けた日差しに目を細めていた。






無性に、触れたくなった。

こんな気分になったのは初めてだ。


あたしはナニカに誘われるかのように席を立った。

17 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 20:00


少し驚いた様子の矢口を、後ろからギュウときつく抱きしめる。


『さやか?苦しいよー』

矢口の手があたしの腕にかかる。

18 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 20:00


『もうちょっとこのままで……』


「いさせて」
と言う前に、解かれると思っていた腕が
予想外にも強く引っ張られて。
微かに香っていた矢口の香水の甘い匂いを鼻いっぱいに吸い込んで
あたしと矢口は初めてのキスをした。
『女の子』の唇は思っていたものよりももっとずっと柔らかくて、
このままでいると
本当に自分がどうかなってしまいそうだった。
心臓が激しく鼓動を繰り返している。
あたしは変なのかな…
矢口といると、おかしくなる。
唇じゃなくて、額でも、頬でも、腕や足でも
矢口なら、どこに触れていても心地良くて。

19 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 20:01


『…きもちいい』

20 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 20:01



『うん…』


『こんなんだったら、もっと前からしとけば良かったね』


『…そうだね』

21 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 20:02


あたしは臆病すぎて、多分さっきだって抱きしめる以上のことは出来なかっただろう。
なのに矢口は簡単にその境界線を越えて、あたしの心のすぐ傍まできてくれた。
単純に嬉しかったんだ。
初めて人と心の底から触れ合えた気分になった。

22 名前:_ 投稿日:2004/06/23(水) 20:02




その頃から、矢口はあたしのすべてで。


あたしは矢口のすべてであり。



あたしと矢口は、2人で1つ。
かけがえのない存在へ変わっていった。

23 名前:魚坊主2,004 投稿日:2004/06/23(水) 20:05

更新ここまでです(〜^◇^〜) 
稚拙な文ですが、なにかご意見・感想ありましたら言ってください。
24 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/23(水) 21:53
このCP好きです。
久しぶりに見つけたんで、嬉しい♪
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/24(木) 08:22
さやまり?まじ好き!!
26 名前:魚坊主2,004 投稿日:2004/06/24(木) 19:21
更新致します
27 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:22



高1
 4月


28 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:23


◇ ◇ ◇ ◇ ◇

29 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:23

あたしは何も考えずにバスケ部に入った。
スポーツ推薦で来たのだから当り前だけどね。

30 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:24


流石毎年インターハイに出るほどの強豪高だ…
見る人見る人あたしから見れば化け物のように背がでかい。


『あいつ、スポ薦だってさ』

『アメリカのジュニアバスケ大会で優勝したんだって?』

31 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:24


『へぇー。 市井さやかってゆうんだ』


あたし以外にも推薦で来た子はいるのに…
背が小さいから逆にこの中だと目立つんだろう。



「……」

32 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:24


「どうも」


さっきからイヤに目につく(と、ゆうか目立つ)女が話しかけてきた。
あたしより少しだけ背が高い。
ちょっと見上げるような形で、あたしは1回頭を下げる。

33 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:25


「市井さやか、さん?」

「…そーですけど」


「そっか」


「……」

34 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:25



「待ってたわ…
 覚えてないん? オレのこと」

35 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:25


…俺?
ここって女子校だよね?
まぁ、外見はそこらの男達よりもガッチリしてるけどさ。
顔、も…、なかなかな男前だ。
こんな先輩いたら間違いなく1年の憧れの的だろうなぁ。


「………」

「…忘れてんなぁ?」

36 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:26


何も言わずにボーっと顔を眺めていたら、勝手にそう解釈された。
否定するのも面倒なのでとりあえず頷いてみる。

「…はぁ…」

「『はぁ』ってなんや!?
 オレはあんたが来るのをこんだけ楽しみにしてたのにっ!」
37 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:26


どっか地方の人かな?
あたしの予想だとこの人は絶対大阪辺りの元ヤンだ…。


生え際は黒いけど、スポーツには相応しくない金色に染めた髪。
髪の長さは肩らへんまである。
バスケをする時邪魔じゃないんだろうか。


「オレの名前は中澤ゆうこ!
 一応このバスケ部のキャプテンをやってる。」

38 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:27


へー…こんなヤンキーがねぇ。


「……」



「……なんや、なんか文句あんのか。あ?」


「!?」


知らず知らずのうちに胡散臭そうな目で見てしまってたようだった。
中澤さんのなんともいえない威圧感に押され、必死で首を横へ振る。

39 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:28


中澤さんは、弱弱しく溜息をつきながら話しはじめた。


「うちの学校は毎年インターハイには出場してるけど…1・2回戦負けが続いとるんや。
 オレ達3年は今年の夏で引退だし、今までにない
この学校の歴史に残るくらいの記録を出そうと思ってる……そのためには!」

40 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:28


鼻がぶつかりそうになるくらい顔を近づけられた。
色素の薄い茶色の目があたしの目を覗き込む。

一瞬
ほんの一瞬だけれど、ドキッとしてしまった。


「…そのためには……なんですか…?」

41 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:29


「…………即戦力や」

「即戦力…?」


「そう。うちのチームにはアンタみたいなすばしっこくて
 ドリブルが天才的に上手いプレーヤーが、いない。
 チームの要となる、大切なガードがおらへんねん。」

「はー…そうなんですか」


大変ですね。
なんてあまりにも人事みたいに口に出してしまう。

42 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:30

「…市井ってなんか、 なんかな……」

「?」


「クールすぎるんとちゃうの?」

43 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:31


やっと顔が離れたと思ったら、
今度は肩に腕をまわしてきた。
…なんだか中澤さんはスキンシップが好きみたいだ。

「ま、ガードは冷静な判断力を持ったもんの方が適してるしな。
 ちょうどえぇか」

「…はぁ」

44 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:31

「顔も可愛いし。」

「…は?」


関係あるのか?

45 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:32




…ちゅ

46 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:32


「……」


 え?


「いひ」


   え…



「………―――――!!…っ!…!?―――――」

47 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:33



◆ ◆ ◆

48 名前:_ 投稿日:2004/06/24(木) 19:33



バスケ部に入部した初日。
部活のキャプテンにキスをされた。
高校に入って初めての衝撃を受けるあたし。
こんなにびっくりしたのは何年ぶりだろーか……

49 名前:魚坊主2,004 投稿日:2004/06/24(木) 19:34


从´∀`从< ゆうこ男前

50 名前:魚坊主2,004 投稿日:2004/06/24(木) 19:37

レスのお返事です。


>>24 作者もさやまりは好きです。
   実はもっと好きなカプがあるんですけど…(笑)

>>25 最近はなかなかないですよね。
   脱退したメンバーなどを中心に進めていきたいと思います。


レスありがとうございました。
51 名前:名無し読者。 投稿日:2004/06/25(金) 04:36
関係ないけど考えてみれば・・・さやゆうって元祖男前CPだったな〜。
結構好きなCPだった。
書かれてた数はかなり少数っだったけど(w
52 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/27(日) 16:27
さやまり小説に出会ったの久しぶり〜♪
これからも期待してます。
53 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/01/16(日) 16:58
さやゆうは結構はまってたんでそこにやっぐっちゃんが入るとなると結構好きな
PCになりそうです。
更新待ってます。
54 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/02/12(土) 16:47
待ってますよ〜。

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