恋Love

1 名前:みぃ 投稿日:2004/06/24(木) 21:37
やりかた
やりかた
★〜彼方の願い星〜★
このレスを見た人は、超ラッキーな人♪
でも、このレスを見ただけじゃ何も起らないよ。
効果を実感したいなら、このレスを5回違うスレにレスしてね♪
だぁい好きなあの人に告られたり、
成績がどんどん良くなって、先生に褒められちゃったり...。
次々とHAPPYな事が訪れます♪
此の頃変なのがいっぱい回ってますが、これは本当です!!
これが本物の、初代HAPPYメールです♪

2 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/03(土) 22:56
こんなんで成績が良くなるわけないじゃん!!
そーゆーのは個人の努力だよ!!
しかも1レスだけいろんなところで書くのやめろや!!
3 名前:七誌さん 投稿日:2004/07/06(火) 21:59
1>
それも誰かの嫌がらせだったらどうする?
ってかこうゆう関係のは全部ウソ!!ありえん!!
2>の言う通りだ!!
変なこと書くな!!消えろ!!
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/12(月) 13:09
いちいち釣られるなよ…。

邪魔だからochiしときます。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/12(月) 22:53
>>2そのコテハンやめろ
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/13(火) 22:13
コテハンって何ですかぁ?
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/06(金) 14:03
なんか書いていい?
8 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/07(土) 01:39
7>
いいんじゃないですか?
作者さんはもういないみたいですし。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/07(土) 16:22
では、いただきます。
すぐにうpしたいのですが、時間があまりないため水曜日からさせて書かせていただきます。
10 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/07(土) 22:49
楽しみにしてまーす!(プレッシャー?)
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/07(土) 23:07
すげー楽しみです
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/09(月) 02:18
>>5 アンカーミスってた、3だったorz
しかも今更
13 名前:七誌さん 投稿日:2004/08/09(月) 13:57
12>
あっ・・・。僕でしたか・・・。
すいません、あのときは取り乱してました・・・。
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/11(水) 23:40
 小さい頃の記憶がなにも無い。
事故で亡くなったって言う父さんや母さんのことも、どこで何をしてたとか、まったくないんだ…
でも、一つだけ、たった一つの場面だけ覚えている。それも、物凄く鮮明に…
 少しだけ年上の白いワンピース少女が大きな木の横に立ってて彼女に何か話しかけると少し困った笑顔を見せて
「大丈夫、もう二度と会えないんじゃないからさ」
にっこりと少女は微笑み、そっと手を掴んで何かを握らせてくれた。
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/11(水) 23:56
 それは、ガラスでできた小さなハートのついたネックレスだった。
「これね、願い事が叶うお守りなんだって。だからこれに、もう一度会えますようにってお願いしたから、
きっとまた会えるよ。だからさ、そんな顔しないで?ね?」
そう言って天使のような優しい笑顔をすると、同時に強い風が吹いて、少女の姿は消えてしまう。
残された記憶はたったこれだけ。きちんとした記憶があるのは、13才の時から…
どうして記憶が無いのか、その理由は今でもわからない。どうしてあの少女の事だけ覚えているのかも…
 だだ今でも、あの少女がくれたネックレスは肌身離さず持っている。そしていつかまた会えるように願っているんだ…






だってこれは大切な記憶からの贈り物だから…
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/11(水) 23:58





           おくりもの





17 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/12(木) 00:23
「お〜い!裕子ぉ〜!起きろぉ〜!!」
 記憶が始まってもう7年になる。この7年はとっても平穏無事な日々で、記憶の無いことなんてどうでも良くなる位充実して、毎日が楽しくて幸せ。
 記憶が始まったのは、病院のベッドの上から。なんにも覚えてないオイラを親戚は嫌がって、押しつけ合い。
そんな所から始まってる。裕子、母さんの妹の中澤裕子だけが引き取るといい、周囲の反対を押し切って裕子の元に行く事になった。
ただ籍は祖父母の所に残してるらしくて矢口真里という記憶の無い頃から使ってる名前をずっと今でも名乗ってる。
「裕子ぉ〜!まだ寝てんのぉ〜!?」
当時、24才の裕子は、中学の国語の先生で、学校の授業さえ忘れてるオイラに、読み書きそろばん一般常識いろんなことを教えてくれた。
18 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/12(木) 00:46
「ったく…。遅れるぞぉ〜!!」
ついでに家事全般も…。今でこそオイラの方が巧いけど、教えてくれてた頃はなんでも出来てすごい人だった。
あくまでも”だった”過去形。今は寝ボ助ぐーたらオバサン。でも学校ではすごいらしいけどね。
 バンッ!!
「いい加減起きろぉ〜!!」
裕子の部屋のドアを壊れるくらい強く開けて大声を張り上げる。
「ふぁー…。おぁゃうぅ〜」
「はいっ。起きたら着替える!!」
毎日の事だから、あらかじめ用意してた服を裕子に放り投げる。
「もっと優ししてぇやぁ〜」
「い・や・だ!!」
 バンッ!!
優しくしたら起きないじゃん。と軽く毒づいて、途中まで済ませた朝食の準備を整える。
「ふぁ〜。」
と間の抜けた声と共に裕子がテーブルに着く。
19 名前:贈り主。 投稿日:2004/08/12(木) 00:59
今日はここまでで。週一更新目指します。
ついでに携帯から書いてるのであまり大量に上げれないです。改行とかもかなりおかしいかも…
>>10-11
期待して頂いて有難うございます。読んでガッカリされないといいんですが…f^_^;
レス大歓迎なのでどしどしお待ちしてます。
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/12(木) 15:20
次の更新も待ってます
21 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/13(金) 00:09
いいですねぇ〜。なんか。
次の更新も楽しみにしとります。
22 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/18(水) 13:43
「「いただきます!」」
二人で食卓を囲んで食べ始めると、ふっと何か思い出した様に裕子は手を止める。
「どうかした?」
「真里。今日の夜予定空いてる?」
「ん?」
今日は学校へ行って、昼にサークルのミーティングがあって…
「夜なら大丈夫だよ。どうした?何かあるの?」
「あんな、ちょっとな…。ってあかん!!帰ってゆっくり話すし!」
裕子はそう言ってドタバタと出ていってしまった…。
「ったく!!なんだよぅ〜。気になるしさぁ〜。ってオイラもヤバいじゃん!!」
急いで片付けをして自転車置場へ
23 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/18(水) 14:14
「うわっ!最悪!!」
パンクしてんじゃん!!遅刻だよ!遅刻。あぁ。もぅヤダ。凹む〜。
仕方なく、自転車を押して近所の行きつけの自転車屋に…はぁ。朝からツいてない!!
「圭ちゃーん!いるぅ〜?!」
「ふぁーい。ちょっと待ってくださ〜い!」
あれ?この声。まっさかねぇ〜。こんなとこに…ってやっぱり!!
トテトテと中からツインテールの女の子が出てくる。
「辻!!どうしてここに居るの!?」
「あっ!!矢口さぁん!」
やっぱり!裕子の元教え子で、今サークル(ボランティアサークルなんだけど)で行ってる施設の子。
辻希美。
施設って言っても児童養護施設って言って、何らかの理由で親元に居れなくなった子の入る施設。
24 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/18(水) 14:35
「ところで、今日学校は?」
「あのですねぇ〜。土曜日ですから、休みなんです。」
そういえば今日は土曜日かぁ〜。裕子はクラブの顧問だとかで毎日学校だし、オイラのところは土曜日でも学校はあるし…
「そっかぁ〜。」
「はいっ。ところで、矢口さんはどうして、来たんですか?」
「あっ!!そうだ。パンクしてさ、直してくんない?」
辻はちょっと困った様な顔をして、
「のん、まだ教えてもらってないんです…空気を入れるのなら得意なんだけどもなぁ…それにおばちゃんはちょっと出かけてるし…」
ってしょんぼりしてしまった…。
「そっかぁ〜。仕方ないね。じゃあ、圭ちゃんが帰って来たら直してもらってよ。」
「へいっ!!」
辻は八重歯を覗かせて満面の笑み。オイラもつられてにっこりと笑って
「んじゃ。頼んだよ!」
と言って、行きつけの自転車屋こと『保田サイクル』を後にした。
25 名前:贈り主。 投稿日:2004/08/18(水) 14:42
>>20
レス有難うございます。でも不慣れなんでレスはsageでお願いしますm(_ _)m
>>21
楽しみにして頂いて有難うございます。期待に添えるか分かりませんが、これからもよろしくお願いします。
26 名前:贈り主。 投稿日:2004/08/18(水) 14:46
夜にまた更新出来たらさせていただきます。
登場人物が少しづつ増えて行くので暫くは、人物紹介になっちゃいますが、お付き合いよろしくお願いします。
27 名前:贈り主。 投稿日:2004/08/19(木) 01:59
 ちょっと急用が出来て、帰って来たらこの時間になってしまったので明日(木)の夜に今日更新予定だった分をします。
28 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/19(木) 23:43
は〜い!がんばってくださ〜い!!
29 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/20(金) 00:31
 はぁ〜。いらない所で足止めくっちゃったなぁ〜
それもこれも裕子がすぐ起きないくせに変なこと言うからだよっ!!…って言っても今日は暑い!!
よしっ!!あの講義はどうせ出欠取らないし、確かアイツも取ってるし…サボろ!はいっ!決定!!
って事は今9時だし…どうせ学校行かないといけないし、久々にあそこに行ってみるかぁ〜

……
………
30 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/20(金) 00:55
カランカランカラン
「あっ。やっぱり…いらっしゃ〜い」
「もっとやる気出して下さい!!」
やる気のなーい、かったるそーないつもの調子に思わず突っ込んでしまう。
「だって、暇だから。それに、カオリまだ店開けてないもん。」
「でも、開いてたじゃんか。もしかして…」
「当たり前じゃん。矢口が来るって感じたから」
そうだった。この人はいつも…。裕子の友達の妹で飯田圭織。昔から裕子に連れられて何となく来てる寂れた喫茶店。
って言っても、昔からカオリがしてる訳じゃない。カオリが店を任されたのは、去年から。
それまではずっとここでバイトしてた。
「はい。」
オイラがカウンターのいつもの席に着くと自然とオレンジジュースをコトリと置く。 「ありがとう。」
一口飲んで、グラスを元にもどす。
カランカランカラン
扉をゆっくりと開く音がして振り向くと、懐かしい匂いがした。

─────
───────
──────────
31 名前:贈り主。 投稿日:2004/08/20(金) 01:02
>>28
更新しました。いつも読んでくださってありがとうございます。
次の更新はまた来週の水曜日に。
32 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/20(金) 12:06
作者さま、更新お疲れサマです!
31>贈り主。 さま。
いえいえ、更新がんばってくださいね!
待ってますんで!
33 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/25(水) 23:24
「ねぇ、この花の名前はなに?」
紫色の小さな花。とってもいい香り。話しかけてるボブカットの少女はふわりとその花より柔らかい香りを漂わさせて振り向くとにっこりと微笑んだ。
「ん?これ?ラベンダーって言うんだよ。いい匂いでしょ?」
そして、彼女は一つラベンダーを折って持たせてくれた。
「うん。これがラベンダーかぁ〜。初めて見たよ!」
ラベンダーを鼻に近づけてその柔らかい香りを楽しんでみる。
「喜んでくれて嬉しいよ!良かったぁ〜」
彼女は楽しそうに笑うと、目を細めてさっと真っ直ぐ指差して、
「あの木、あそこに行ってみる?」
と言うと胸のペンダントを揺らしながら、跳ねるように真っ直ぐ木の方へ走りだす。
34 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/25(水) 23:28





「「ちょっと!!待ってよ!!」」





35 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/26(木) 00:08
「真里!!」
「えっ!…裕子…」
あれ?オイラ…えっ…!確かカオリのトコに居て…それで…懐かしい…そうラベンダーの香りがして……
「良かったぁ〜あぁ〜〜」
裕子はそう言うとヘナヘナとベッドの縁に手を掛けてしゃがみ込んでしまう…
カオリはホッとため息をしてオイラを見つめている。
オイラは、何故かベッドの上でしかも座っている。
「もぉー…。ほんまびっくりしてんでぇ〜……」
裕子は目に涙を溜めて、オイラを上目使いで見ている。
「裕ちゃん、矢口が倒れたってカオリが言ったら飛んで来たんだよ。」
「オイラ倒れたんだ……」
そっか、それで…夢?違う。もっとリアル。匂いが鼻に残ってる。ラベンダーと彼女の……記憶?
「そうだよ…。もう、ほんとに…矢口が小さくて良かったよ…カオリ一人で部屋まで運んだんだから。」
「カオリほんま、ありがとうな…助かったわ…」
裕子はカオリに向かってペコリと頭を下げる。
36 名前:おくりもの 投稿日:2004/08/26(木) 00:27
あぁ〜…オイラかなり迷惑かけたんだ…
「ありがとう…カオリ…ごめん…裕子も…」
「真里…いいんやで、気にせんでも…」
「ん。そんなつもりでした訳じゃないから。それより、お腹空いたっしょ?カオリなにか作ってくるよ。」
そう言ってカオリは笑顔を裕子とオイラにむける。
「そやな。頼むわ。悪いなぁ〜。」
そう言う裕子にカオリは気にしないでと言って、部屋を出ようとする。そういえば…
「そうだ!カオリ、お客さんは?」
「えっ?あぁ…。郵便屋さん。だから大丈夫気にしないでよ。ちょっとびっくりしてたけど…」
カオリはそう言うとにっこりと笑って、部屋を出た。
37 名前:贈り主。 投稿日:2004/08/26(木) 00:34
更新終了です。
>>32
ほんとにその言葉があるから頑張れます。ありがとうございます。

しかし後浦なつみって…orz
38 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/08/26(木) 13:04
がんばってください!
こんな私ですが、応援してます!
39 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/28(土) 00:08
更新乙です
矢口の記憶の中の少女ってもしかして…誰か楽しみにしてます
40 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/01(水) 22:57
パタンとカオリがドアを閉める。と、
「で、や。真里あんた学校どないしてん。」
裕子はカオリが使ってた椅子を引き寄せてそういった。…結構怒ってるし。どうしよ…
「ごめんなさい…。ねぇ…裕子?」
「ん?なに?」
「怒ってる?」
オイラは俯いて裕子に目だけを向ける。
「真里…。うちがあんたに怒った事あるか?」
そういえば、裕子に叱られた事はあっても怒られたことは無い気がする。オイラは首を横に振る。
いつもと違う雰囲気の裕子だ。どうしたんだろ…
「裕子?」
「はぁ。なんで今日サボるねん。はぁ…」
裕子はいつもの口調に戻って、呆れ顔でオイラの頭をポフポフ叩く。
「オイラは木魚じゃないんだから!!」
暴れながら言うと、裕子はニヤリと笑った。
「ふーん。そんな事裕ちゃんに言うんや。へぇー。」
41 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/01(水) 23:22
「なんだよぅ。」
裕子がこんな顔をする時は決まってなんかある。
「これ。イランねんな?」
裕子はノートをヒラヒラさすと、表紙をオイラに見せる。ん?あっ!!これは!!
「裕子!!どうして石川ノート持ってるんだよ!!」
「えっ?真里知らんかった?石川はうちの教え子やったって?」
裕子はすっとボケた顔をしてヘラヘラしてる。石川ノートいや、石川梨華はオイラのサークルの後輩であり、裕子の元教え子。
ついでに、日曜日サークルのある日以外はここでアルバイトを………
「はっ!!…裕子ところで今何時?」
「へっ?あぁ〜…1時やね。」
……
「じゅう?」
「ん?じゅうさんじ。」
はぁ…。サイアク。
「それで…裕子は、石川ノートを…」
「そやで。どこぞのだれかさんと違って、真面目やわぁ〜。」
裕子は石川ノートをパラパラ捲りながらいう。
42 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/02(木) 00:01
「そや。ついでに、ミーティングノートもあるで。」
「うぅ!!ははぁ〜。」
オイラは裕子に印籠を見せつけられた悪代官のごとくひれ伏した。
「うちやのうて、お肉屋さんの石川に言うんやな。ふぁっふぁっふぁ〜」
「あっ。裕ちゃんが矢口いじめてる!!」
へっ?………見られた………
オイラはひれ伏した裕子は腰にてを当てて高笑い(?)をした状態で固まってる。
「カオリ!!ノックぐらいしいや!!」
裕子は顔を赤くしていう。
「だって、ここカオリの部屋じゃん。カオリが勝手に入ってもいいっしょ?」
カオリはしれっとした顔で、そう返す。
43 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/02(木) 00:04
「それより、ご飯出来たからさ。早く店にきたら?」
「ありがとう。カオリ。」
「店って事は…払わなあかんよな…。」
裕子は不安げに言う。
「もちろん。」
裕子はため息を吐くと、
「ほな、あの子のもか…」
と呟いた。きっと石川がねだったんだな…。仕方ない。迷惑かけたんだ。
「裕子。オイラが払うよ。」
小さく裕子に耳打ちする。
「ん?…あぁ。こっちの事やから真里は自分のだけ払えばええで。」
「えっ。でも…」
「気にすんな。」
裕子はにっこり笑ってぽんっとオイラの頭を叩くと店の方にいく。
「気になるって…」
でも腹が減ってはって言うしオイラも行こっと
44 名前:贈り主。 投稿日:2004/09/02(木) 00:08
>>38
応援ありがとうございます。頑張るんで、最後までお願いします。
>>39
矢口の記憶の中の人は、次かその次ぐらいに出る予定です。楽しみにしてて下さいね。
45 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/09/06(月) 22:54
ゆうちゃんとやぐっちゃんの光景は見ててのんびり?できそうだなぁ。
やぐっちゃんの記憶の中の人物、、、楽しみですね。
がんばってください。
46 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/08(水) 14:15
「なあ、真里?」
「ん?なに?裕子」
カオリの作ったおいすぃ〜ハンバーグ(石川精肉店から仕入れたてのミンチ使用)を満喫して
食後のコーヒーをマッタリと味わってると裕子は何かを思い出したように、カップを置く。
「なんかな、さっき寝言言ってたけど、夢でもみてたんか?」
「そぅそぅ。急に叫びながら起き上がってもう、ホントびっくりしたし…」
カウンターの中で洗い物をしてたカオリも手を止めてオイラの方を見る。
「う〜ん。夢じゃなくって、多分記憶みてた。ほら、郵便屋さん?来たときにラベンダーの匂いがしてさ…。」
「ラベンダー?…真里ラベンダーの匂い分かったんか?」
「ん?あっ。これ。これくれた子が教えてくれた…」
オイラは裕子にペンダントを見せながらそう言った。
47 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/08(水) 14:17
「そっか。矢口。そのペンダントあの子に…。…裕ちゃん…」
カオリは、何かを訴えるように裕子を見つめる。でも裕子は首を横に振ってコーヒーを一口すする。
なに?この二人怪しい…オイラになんか隠してる?
「あのさ「裕ちゃん、どうせ今夜会わすつもりだったんっしょ?」
オイラが喋ろうとすると、カオリが勢いよく遮って真剣な顔でいう。
そう言えば朝、夜空いてるか聞かれたけど…
「そやで。だから呼んでん。ここに。誰かさんが予定外の事をしてくれはるから、ややこしい事になってしもてんな…」
オイラの方をちらっと見て大袈裟に溜め息を吐く。
「オイラのせいっ!?…スミマセン…」
オイラは附に落ちないけど取り敢えず大袈裟に謝ってみる。
48 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/08(水) 14:20
「でもな。」
「無視かよっ!?」
「はいはい。真里は悪無い。うちの計画ミスや。取り敢えず黙ってて。」
取り敢えず黙ってて∴ネ外は棒読みだし…。はい。もうオイラは黙ってすよ〜。はい。口ちゃっく。
オイラは手を差し出して話の続きを促す。
「でも、あの子相当ショック受けとったやろ?」
あの子あの子ってさっきから…オイラの知ってる人?
「まあね。でもさ、一応大人だよ?あぁ見えても。」
「カオリほんまあの子にはきついなぁ〜」
「そう?まあ腐れ縁だしね。それよりあの子の事矢口には?」
はーい。なんですか?飯田さん!!オイラ何にも聞いてないですよー!!っと。多分。
「いや。まだ言ってへん。」
49 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/08(水) 14:23
あ…また軽く無視された。ちぇっ。
「どうすんの?あの子会う気満々だよ。約束だからって。」
約束…オイラの約束って言うと…。オイラはペンダントをぎゅっと握る。
「それやねん。コイツがそれだけしか覚えないから、会わすとどうなるか不安やねんけどね…。」
うぅ。仕方ないじゃんか…。しっかしここに居づらい。はぁ…。
「真里?トイレか?」
「ちがわいっ!!」
「でも、ソワソワしてるよね。」
カッチーン。あぁ。もう。ムカついた!!「帰る。」
「あっ!こら!今帰ったらあかん!!」
「いいじゃん。二人でゆっくり話してよ。じゃあ」
オイラはそう言い残して、カオリの店を後にする。…あっ!カバン忘れた…。鍵カバン中じゃん…
はぁ…。圭ちゃんとこに自転車取りにいこっ。今日はホントツいてない…。
50 名前:贈り主。 投稿日:2004/09/08(水) 14:31
今日はここまで。
更新の仕方のコツが掴めた今日この頃。
>>45
やぐちゅーの場面は結構作者もお気に入りです。なのでそう言っていただけると非常に嬉しいです。
51 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/09/10(金) 19:25
更新乙です。
この3人の会話はまるでコントを見てるようですな。
うん、落ち着く。
>>50
更新のコツ、つかめてきたんですね!?
いや〜、これからが楽しみだ、うん。
次回更新、待ってます。
52 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/14(火) 01:39
でも今日はツいてない。ホントにツいてない。あぁ!ムカついてきた!
あっ!まるでオイラに蹴っ飛ばして下さい。といわんばかりに石ころが転がっている。仕方ないなぁ〜。
「とりゃっ!」
気合いが入りまくってかなり飛んでいく石ころ。あっ!やべっ!!
「いった〜い!!」
ちょうど前の方を歩いていた女の人の頭にぶつかってしまって、その人はしゃがみ込んでしまった。
「わっ!すみません!!大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけないっしょ!あぁ…。瘤になってるし…。………あっ。」
その人はオイラの方を振り向くとじーっと顔を見つめてくる。
「あのぉ〜。」
オイラ今かなり間抜けな顔してると思う。だって、かなり今の声間抜けだったもん。「ヤグチ…会いたかったよ…」
「……えっ……」
―その時、頭の中にラベンダーとネックレス。そしてあの少女の笑顔。この人の声がグルグルと回る。
「………なっち………」
オイラはそう呟く。その瞬間は意識がふっと遠くなる。
53 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/14(火) 01:40
…………
………
……

「はじめまして。矢口真里です。よろしくお願いします。」
はぁ…。今日から暫くの間オイラ達二人でここに住むんだ…ドキドキしてるよ…。
「はじめまして。なっちは安倍なつみだよ。よろしくね?」
安倍さんはニコニコしながらオイラにそう言うと握手を求めるみたく手を差し出してる。
「はい!」
オイラもなんとか笑顔を作ってその手をぎゅっと握る。でもどうして、二人でここに住む事になったんだっけ?
「あのさ、どうして呼んだらいい?なっちはなっちでいいからさ。矢口さんじゃこれから1ヶ月近く一緒だし、堅苦しいっしょ。」
そう言ってどこかソワソワした、興味津々っという期待のこもった目をオイラに向ける。
「あっ。オイラは矢口か真里って呼び捨てでいいです。はい。」
「へへっ。面白いね?ヤグチって。あと。なっちね敬語?ってなんかムズ痒くってちょっと苦手なのさ。」
なっちは口をへの字に曲げて、続ける。
「してさ、ほら、なっち達ってさ実は小さい頃に会っててさ、それでさ、さっきのはじめまして。ってさちょこっと違うのさぁ〜。」
54 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/14(火) 01:41
えっ。オイラ達って初めてじゃないんだ!オイラ知らなかったよ…
「いつ会ったんで…あっ、いつ会ったの?」
オイラが言い直したのが可笑しかったらしくってなっちは楽しそうに笑って
「あのさ、ヤグチがまだ赤ちゃんの時。なっちは4つで…ってなっちもお母さんに聞くまで知らなかったんだけどね。」
と言って照れ笑いをオイラに向ける。
「じゃあ、やり直そ。」
オイラがそう言うとなっちは嬉しそうに笑って、コクリと頷いく。
「なっち。久しぶり!迷惑かけるかもしんないけどヨロシクね?」
「ヤグチ会いたかったよ!これからヨロシクね!」
「うん!」


───────
─────
───

55 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/14(火) 01:43
「…チ!ヤグチ!ねぇ!!どうしたのさ!」
「へっ…あっ!ちょこっと、立ち眩みしただけっで、たぶん…」
オイラはいつの間にか、しゃがみ込んでて、彼女…安倍なつみがオイラを支えて立ち上がらせてくれる。
「はぁ…いきなりさ、ふらっとすんだもん!なまらビックリしたべさ!」
その言葉を聞いてオイラは少しほっとした。さっきみたく何時間も眠ってた分けじゃなくって
一瞬で思い出したんだ…。なんせ、オイラの記憶がハッキリしてる時で二回目の事。しかも、こんな短時間に2つの事を
しかも、記憶の無い頃の事を思い出した事は今日が初めてだし…只今オイラ混乱中。。。
「オイラもビックリしま…ビックリした。」
「そうだよね。言葉可笑しいもん。」
とクスッと笑って、でも…と言うと表情を落として
「…あのさ、ヤグチ、どうしてなっちの事分かったのさ?あの、ほら、裕ちゃんから記憶の事聞いてたから…」
と、触れちゃいけない物に触れるみたく、そう言ってオイラをみる。
56 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/14(火) 01:46
「急に、オイラに記憶が流れてきたんだ。その、あの…なっちの会いたかったよって言葉を聞いて…」
「えっ…。じゃあさ…ヤグチ倒れたのって…」
もしかして…カオリが郵便屋さんって言ってのは…そう言えば、なっちからラベンダーの香りがする。
「なっちの…なっちの…せい…?」
なっちはそう言うとポロポロと目から雫を落として地面に水玉を作っていく。
「…違っ!だってなっちのおかげでオイラ2つも…ううん。3つ過去の思い出が今あるんだよ!!」
「…ヤグチ…」
なっちはそう言うとオイラをぎゅっと抱きしめて、ありがとうと何度も言う。それと同じくらいゴメンねと…
「なんや。暑い暑いと思ったら原因はここやったんやな。熱いねそこのお二人さん!!」
「わっ!!裕子!!」
「ふぇっ!!裕…ちゃん…」
裕子がニヤニヤしながら、オイラに近づいて来る。
ぼふっ!!
「痛っ!!なにすんだよぅ〜」
裕子が頭の上にオイラのカバンを叩きつけて、落ちてきたカバンを裕子を睨みつつ、取る。
57 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/14(火) 01:47
「人がせっかく届けたったのに、そんな態度すんねんなぁ〜。裕ちゃんは悲しいわ…」
といいつつ泣き真似をする。なっちはと言うとそれを見て爆笑してる。さっきとは違う涙を浮かべてまでいる。
「ははは…」
オイラは乾いた笑いしか出てこない。
「そや、なんであんたら、こんなところにおるんや?なっち、歩くん遅すぎやで。」
「へっ。あっ。うん。道迷ってさ、して、カオリのところからもっかい歩き直して…それをさ、二回位しててさ…あははぁ〜」
なっちは顔を赤らめつつそう言って照れ笑いを浮かべる。
「えっ…!それってかなりやばいじゃん。普通に道なりに歩くだけじゃん!」
「忘れとった。なっちあんた方向音痴かなり重症やったんやっけ?」
「あはは…。」
今度はなっちが乾いた笑いをして、頭をポリポリ掻いてる。
「はぁ…。今日はツいてないべさ…」
58 名前:贈り主。 投稿日:2004/09/14(火) 02:00
火・水と忙しいので、出来る時更新!
やっと矢口の記憶の中の人が出てきました。これからはだいたいこの人達中心になって来るとおもいます。
名前だけのあの人達や片割れしか出てきていない人なんかもそのうち、重要になって来るとかこないとか…
>>51
楽しんで頂けている様で、かなり励みになっています。拙い文章ですがヨロシクお願いします。

次回更新は水曜日の予定。
59 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/15(水) 00:48
なかなか面白いですね。
この組み合わせ結構好きなんで頑張って下さい。
60 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/09/15(水) 21:47
おお、矢口の記憶の中の人物とはナッチだったんですね。
ってことはなちまりかぁ・・・
ふむ。いい感じです。
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/17(金) 00:19
>>60
微妙にネタバレじゃない?
62 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/09/17(金) 21:17
>>61
おっと失礼;
うっかりしちゃいました・・・;
63 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/22(水) 02:17
なっちは溜め息混じりにそう言って、でもっ!と言うとにっこり笑って
「ヤグチが、なっちの事覚えててくれてすっごいすっごい、嬉しかったべさ!」
オイラをぎゅっと抱きしめる。オイラは懐かしい匂いに包まれて、まんざらでもなかった。
「はいはい。良かったなぁ〜」
裕子はちょこっと拗ねつつ、そう言った。でも、なっちはすっごい嬉しそうな顔をしてる。
「うん!それにさ、ヤグチがなっちのペンダントを着けてくれてたしさぁ〜。
記憶無いのなっちには信じられないよ…」なっちはオイラの頭を撫でつつ、そう言って、また目に涙を溜はじめる。裕子は諦めたみたいで、ふぅ〜と長い溜め息をはいて
「そやな。でも、約束は守ってや?」
と優しくなっちに言う。
「分かったよ…ヤグチの為だもん。守るよ。」
なっちはオイラを離して、裕子に真面目な声でそう言った。
オイラの為の約束?気になる…今日はこんなのばっかりじゃん。皆さん何を隠していらっしゃるんですか?
64 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/22(水) 02:18
「よしっ。じゃあ、車取ってくるけど、真里どうするんや?自転車圭坊んとこやろ?」
裕子は、車のキーを右手の人差し指で回しながら左手でオイラの頭をポフっと叩く。
「そだよ。明後日は学校午後からだし、そんときに取りにく。」
それに、明日は施設行く日じゃないしね。ついでに予定も空っぽだし、圭ちゃんの店も休みなんだよね…
「ほな、なっちとそこで待ってて。」
「ん。分かったよ!」
「裕ちゃん、気を付けてね!!」
裕子は、軽く手を振ってカオリの店の駐車場に向かって行く。
その後ろ姿を切ない表情でなっちが見つめてる。って、えっ!
うわぁ〜。彼氏を心配する彼女みたいな顔なんですけど安倍さん!!あぁ〜なんかオイラまで切ない気分になって来たよ…。
胸が苦しいよぉ…。どうしたもんだろか…。はぁ…。好きな人に彼女がいた時の気分…って、あれっ?ん?
「ヤグチどしたの?」
「うわっ!!」
ぱっと目の前になっちのドアップ!!うわぁ〜ヤバいくらいドキドキしてんじゃん…
65 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/22(水) 02:24
「また、何か思い出した?」
「へっ!いやっ!な…なんでもナイです。はい…」
「怪しいべさ…」
そう言ってオイラに疑いの表情を見せるなっち…。その表情を見てまた何故かドキッとするオイラの心臓。
「ヤグチが話したくないなら、無理に話さなくっても別にいんだけどさぁ〜」
つまらなそうにそう呟くと、なっちはまた、裕子が向かって行った方向を見つめる。
「あっ!裕ちゃん来たヨ!」
「ホントだ…」
どうしてなっち、裕ちゃんの車知ってるの?どうして、そんな嬉しそうな顔すんの?どうしてオイラの胸がこんなに苦しいの…
記憶が無い事がこんなにもどかしいなんて初めて…つらいよ…すごく。
「真里、置いてくで!!はよ乗りやぁ〜!!」
なっちは、いつの間にか車に乗り込んでた。助手席じゃなくって、助手席側の後部座席に。
ふぅ〜。
なんでオイラホッとしてんだよぅ!!
「乗ります!乗りま〜す!」
オイラは迷う事なく後部座席のドアを開けて乗り込む。なっちが運転席側にすっと寄ってニコッと笑う。
66 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/22(水) 02:30
「そっちかい!裕ちゃんは寂しいわ…」
裕子は振り向いてそう言って小さく溜め息を吐くと、前をハンドルをぎゅっと握って、
「よしっ、ほな家に行くで!!」
と、やたら気合いを入れて、発進させようと後ろから車が来ないか確認をして、いつも以上に、安全運転を始める。
どうしたんだろ?なっちは車が走り始めるとぎゅっとオイラの手を握ってくる。痛いくらいに。
「なっち?」
なっちは真っ青な顔をして少し震えてる。
「ご…ゴメンね…なっちさ…車、に…苦手なのさ…」
震える声を振り絞って、無理やり口角を持ち上げるなっち…すごく痛々しい…。この様子だと苦手どころじゃないよ…
「なっち…」
オイラはぎゅっと握り返して、なっちの顔を見つめる。
「あ…ありがと。ふぅ。だいぶ落ち着いたよ…。」
「なっち、無理すんなや?」
裕子は信号が赤なのを確認して、ミラー越しになっちを見ながらそう言った。
「ん…ヤグチが居るから平気。」
67 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/22(水) 02:32
なっちは軽く微笑んで、裕子に言う。さっきよりも顔色が戻ってきてる。なんかちょっと嬉しい…
信号が変わって、車が進む。あれっ?ふっと、見知った顔が自転車で信号待ちをしてるのが視界に入った。
辻?圭ちゃん所の帰りかな?…いや?体型が微妙に違った気がする。でも、どうしてあの娘がこんなとこに…
でも、ま。チラッとしか見てないし、気のせいかな?
そんな事を考えてると、車がマンションの駐車場に入っていく。
「着いたで。」
裕子はそう言うとシートベルトを外して後ろに向く。
「なっち、大丈夫か?」
「ん。ヤグチのおかげで大丈夫だよ。」
そう言ってオイラにニコッと笑う。
「なら、良かったわ。真里も最近になって助手席に来るようになってんけどな…」
「ヤグチは仕方ないっしょ…」
68 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/22(水) 02:34
そういえばオイラ助手席に座るのって、大学入ってからだよ…。だって前から車がビューンって来るじゃん。
なんかぶつかりそうで、怖かったんだよね…ゲームとかだったら全然平気なのに…。なっちも一緒なのかな?
「ヤグチ、降りないのかい?」
なっちがドアを半開きにさせて、キョトンとしてる。
「あっ!降りるよ!ありがと。」
なっちが半開きにしてる運転席側のドアからそう言って降りると、裕子が心配顔でオイラを見てる。
「真里、今日は疲れてるんか?」
「へっ?そんな事ないよ。」
とは言ったものの、頭がさっきからぼーっとしてる。
「仕方ないっしょ…。いっぱい今日思い出したんだもんね?」
なっちはオイラの頭を優しく撫でて、微笑んでる。もしかして、オイラなっちに子供扱いされてたりする?
「まあな…ほな、あの事は明日ゆっくり話すか…」
「…そだね。」
また。またオイラに隠し事かよっ!!
69 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/22(水) 02:37
「気になる。」
「ん?どうしたん?何が気になるん?」
裕子がとぼけた顔して、オイラの顔色を伺ってる。
「裕子…なんかオイラに隠し事してるだろぅ。」
裕子は、ギクッと一瞬体を強張らせる。
「裕ちゃん。仕方ないっしょ、いつかは言わなきゃいけないことだし…。」
なっちがそう言うと裕子は頷いて
「家に入ってから言うわ。」
とかなり低いめのテンションで、マンションの入り口に向かう。オイラとなっちも怒られたみたいな顔で後に続いた。
こんな裕子見たこと無いよ…。きっとすごい事隠してるはず。オイラの過去に絡んでる…
70 名前:贈り主。 投稿日:2004/09/22(水) 02:54
>>59
この組み合わせ好きなんですね。現実で最近あまり絡んでるの見なくて私はかなり寂しいです。
>>60,62
あまり気にされないで下さい。たいした文章でも無いですし、これからぐんぐんガンガン彼女出てくるんでw
でも、他の所では気をつけて下さいね。
>>61
そうですね。でもまあ↑なんで…。序盤ですから、ネタバレって程でも無いですし。気になさらないで下さい。

レスがいっぱいあって嬉かったのですが、なんかエラー出しまくって微妙に凹んだ人でしたorz
71 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/29(水) 17:53
 玄関ホールに着くと裕子はポストの中を確認して、中に入ってた紙をピラッとさせる。そして、不在時用の荷物入れ用の
暗唱番号の機械の前に立って、ピッピッと軽やかにボタンを押す。その様子をオイラ達は、無言で見つめる。
 外を走る車の音と近くの公園で遊ぶ子供の声がオイラ達の気まずい雰囲気をさらに気まずくさせる。
裕子が荷物をヒョイッと取り出す。それはおっきな旅行用のカバン。

「ありがとう。裕ちゃん。」

なっちが、今までの重い空気を破るみたく明るくそう言う。
「これ、なっちの?」
「うん。そだよ。」
ニコッと微笑みながらそう言って、裕子からカバンを受け取った。
「なっちオイラも持つよ。」
そういいながら、オイラはショルダータイプの部分をクイッと持ち上げる。
「重いっしょ?無理しないでね?」

「ん。大じょう…ぶ…?って」

あれっ?へっ?わっ!世界が回って…ほわっ!!
「ちょっ!!ヤグチ!?」
ドサッ!!
「真里!!」
………………
…………
……

72 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/29(水) 17:54


「…ゴメン…ゴメンネ…」

誰?

「…が悪い…の…」

何?

「ゴメン…ゴメンナサイ…」

どうして謝ってるの?

「…しっかり…してれば…」

聞こえないよ…誰?

「…ちがう…」

オイラに分かるように言ってよ!

「あんなこと…願ったりした…したから…」

…どうしたの?あなたは誰?何をしたの?

「ゴメンネ…ヤグチ…」

73 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/29(水) 17:56





                   なっち!!                  








74 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/29(水) 17:57
「…っく!!ヤグチぃ…」
「真里!!」
目の前には目からいっぱい涙を溢れさせているなっちが居た。ギュッとオイラの手を握りしめてる…ここは…病院?
「オイラ…」

「喋るな…真里。もうちょと寝とき?な?」
裕子は優しくオイラに言う。
「…オイラ平気だよ?」
とわ言ったものの、情けないくらい小さな声。
「…ヤグチ…。なっちが…っく…なっちが来たから…なっちのせいで…。」
ポロポロと涙を流して痛いくらいにオイラの手を握る。
「なっち…あんたもや…疲れてんねん。な?」
裕子がそっとなっちの肩に手を置く。
「でも…裕ちゃ…うっ…くぅ…なっち…のせい…だ。から…」
「…何回ゆうたら分かるん?ちゃうねん。うちがちゃんと…」
また。またオイラの分かんない話し…
75 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/29(水) 18:00
「いいかげんに…いい加減にして!」
オイラはキツくなっちの手を振りほどいた。もう限界!!
「二人共出て行って…。」
「真里っ…」
裕子が驚きと悲しみの入り混じった顔でオイラを見る。なっちはショックで固まってるみたい。
でも、そんなことはオイラに関係

…………ない。

「出てけって言ってるんだよぅ!!」

パシっ!!

「…いったいなぁ…何すんだよっ!!」
「ちょっ!!なっち!!」
オイラの頬を思いっきり叩いて、止める裕子を振り払って、なっちは泣きながら外へ出て行ってしまった。
「…真里…」
「…追いかけないでいいのかよっ…」
オイラは悲しげな表情の裕子に冷たく言い放つ。裕子はその表情にムリヤリ笑顔を作って、ふぅ。と溜め息をこぼす。
「なんだよぅ!」
「しばらく、ここで頭冷やせ。看護師はいつものあいつや。目覚めた事言っとくから…」
そう、優しくオイラに言い、ナースコールを指し、
「それ、鳴らしたら来てくれるように頼んどくから。話したい事あるんやったら話せばいい。」
そう言って、裕子は病室から出て行った。
76 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/29(水) 18:04
「…バカ裕子…」
オイラは裕子が閉めた扉に向かって、呟く。分かってる…いくら何でも言い過ぎた。
オイラがワガママだった…。違う。オイラが忘れてた。記憶喪失だって。知らない事いっぱいあって当たり前。
そんな事を忘れるくらいに、オイラはいっぱい裕子から愛情を貰った。ううん。今も貰い続けてる…

「バカなのは…オイラ。オイラのバカ…」
自己嫌悪。サイアク…。あんなこと言うんじゃなかった…

「後悔先に立たず…か。」

でも…なっち。彼女はホントに誰?オイラの何?…なっち…どうしてオイラこんなに苦しいの…?

カチャ。

扉が開く音がして、オイラはふっと顔をあげる
77 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/29(水) 18:06
「矢口…大丈夫?」
「圭ちゃん…」
いつの間にか、病室に圭ちゃんがいた。圭ちゃんは病院にナイショで二足の草鞋をはいてる。
今日保田サイクルに圭ちゃんが居なかったのは、こっちに来てたからか…。
「裕ちゃんから聞いたわよ。ひどいじゃん。」
「オイラが呼ぶまで来ないんじゃなかったの?」
あくまでもオイラは冷たく言う。圭ちゃんは自分の服を見せて、
「これ、仕事着に見える?あんた、相当ヤバいわね。」
とニヤリと笑った。
「うっさい。」
「裕ちゃんに見張り頼まれた。」
そう言って、さっきなっちの座ってた椅子にドカッと座る。
78 名前:おくりもの 投稿日:2004/09/29(水) 18:07
「見張り?」
「そう、見張り。休みなのに呼び出しくらってさぁ。いつもの患者きたって。
あたしじゃないと血管見つけらんないからって。そのついでに真里見張ってくれって言われたのよねぇ〜。」
ヤレヤレと言った感じで圭ちゃんは溜め息を吐く。
あれ?今日は休みの日は居るはずなのに…
「でも、居なかったじゃん。」
「あぁ、自転車屋?」
オイラはこくんと頷く。
「デートよ。デート。」
「圭ちゃん、彼氏居た?」
確かこないだ合コンで振られたとかなんとか言ってたけど…
「ん?まっさかぁ。居る訳ないじゃん。って何言わすの!!」
「勝手に言ったんじゃん…」
「なんか言ったぁ〜?」
うわっ!!こわっ!!すんげー睨まれた。
「いやっ。何もナイデス!!はい。」
「よろしい。」
圭ちゃんは満足そうに頷く。
79 名前:贈り主。 投稿日:2004/09/29(水) 18:10
今日はここまで
80 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/10/02(土) 01:53
おう・・・やぐっちゃん・・・辛いね・・・。
圭ちゃんとの会話はまるでコントですね。
では、次回更新待ってます。
81 名前:贈り主。 投稿日:2004/10/02(土) 16:30
今日はレスだけ。
>>80
ありがとうございます。真面目なシーンが続き過ぎるといやな人なんで、ついついお馬鹿を入れてしまいます。
こんな作者ですが最後までお付き合い下さい。

話は変わりますが、このお話のおっきなタイトルを決めました。

『ぷれぜんと・ぼっくす』

です。
矢口さん主人公の『おくりもの』ですが書いているうちに、色んなアイデアが湧いてきて
他のメンバーの方々それぞれの日常や、その中での葛藤、などなど書いていきたいと思います。
で、今出ている、矢口さんと矢口さんの記憶の中の人は全ての物語に出てきます。
ちょいだったり、サブとしてだったり…。主人公こそ変われど、彼女達がこの『ぷれぜんと・ぼっくす』の本当の主人公ですから。
なのでこの『おくりもの』で、ちょい役の方々の視点なんかもあるので、あのこはどうしてあんなことを…
みたいなのは心に留めておいてみてくださいね。
更新もせず長々と書いてしまいましてすみませんでした。
次回更新はいつものとおり、水曜日です。
82 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/04(月) 00:48
楽しみにしてます
83 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/10/05(火) 19:55
ぷれぜんと・ぼっくす、、、なるほど。
いい感じですよ!
でゎ更新を待ちます。
84 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/06(水) 17:07

「で?自転車屋どうしたの?」

「今日はちょっと用があって、出掛けてたのよ。バイトの子言ってなかった?」

そういえば、辻がおばちゃんは出掛けてるのれすって言ってた。

「てっきりここに居るのかと…」
「はぁ〜。ここ、シフト制なの。毎週土曜日はあたし休み貰ってるの。ついでに水曜日と。知らなかった?」

「うん。」
オイラは即答。だって、オイラが来る時はいつも圭ちゃんは居る。何曜日でも。
まぁオイラの血管見つけれたの、圭ちゃんとここの院長先生だけだから。

「そりゃあそうよね。あんたの自転車直すのと血管見つけられるの、あたしだけだもんね…。」

「そだね…。ってオイラの血管は自転車と一緒かよっ!」

危ない危ない…突っ込み忘れるとこだったよ…
85 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/06(水) 17:13

「それだけ元気なら大丈夫そうね…」

「…うん。ゴメンナサイ。ありがと圭ちゃん…」

オイラはぺこりと頭を下げる。

「それ、言う人間違えてるよ。あの子安倍さんだっけ?」

コクリとオイラは頷く。

「輸血。してくれたの彼女よ。」

「へっ?」

初耳。ってか、走って大丈夫だったの?…なっち…

「あんた最近まともに食べてなかった?それとも、かなり疲労してた?」

「たぶん、疲れてたかも。今日1日色々あったから…」

「貧血で輸血必要なくらいだったのよ。あんた、体弱いんだから…」

圭ちゃんはふぅ〜と溜め息を吐く。


「裕ちゃんから聞いたわ。過去思い出したのよね?」

圭ちゃんの顔から笑顔が消えて、真面目な顔にかわる。

「うん。でも、全部じゃない。だからオイラ…すごくもどかしい。気持ちがぐちゃぐちゃしてるんだ…」

オイラが俯き加減で言う。悲しい訳じゃないのにシーツが勝手に濡れてくる…。

86 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/06(水) 17:15

「矢口。人は、忘れる事で精神の均等を保つの。自己防衛って事。あんたなら分かるわよね?」

「心理学の授業でせ…先生が…」

悲しいくらいの涙声…。

「で、矢口の場合はそれが余りにも大きなショックだったから、忘れなくていいものまで忘れてしまったの。
あくまでも、これはあたしの推測であって、事実じゃないけどね。」

圭ちゃんは優しい声でそう言うと、ポフっとオイラの頭に手を置く。

「今、過去を思い出してるのはあんたが精神的に成長したって訳。今なら受け入れる器がある。
そう判断したのよ。あんたの記憶の扉がね。…ふふっ。体は成長してないけどね。」

「とっ…途中まで…感動…してたのに…」
きっと最後のは照れ隠しだ。だって、顔赤いもん。圭ちゃん…。
オイラ、彼女の言葉に何度助けられただろう…。
そう、さっきまでのバカ話だって、あんな状態のオイラだったら聞き入れてなかったと思うもん。
だからオイラの気を落ち着かせる為だったんだろうな…。オイラの目はさっきまでと違う涙がこぼれ落ちてた。

87 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/06(水) 17:16

「やだ、ちょっと、泣かないでよ…あたしが泣かしたみたいじゃん…」

「…わかってんじゃん…」

オイラは圭ちゃんの優しさに泣かされたんだもん。そんな事オイラは言えない。

「そうそう。安倍さん。隣の部屋で休憩中よ。」

「えっ…。」

なっち…。オイラはそれを聞いて慌てて、病室を飛び出した。

「世話の焼ける娘ねぇ…」

なんて言う圭ちゃんの声は勿論オイラには聞こえてない…
88 名前:贈り主。 投稿日:2004/10/06(水) 17:48
短いですが今日はここまで。

>>83
気に入っていただけたみたいなので良かったです。

『おくりもの』はあと2・3回で終わる予定です。
89 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/10/06(水) 18:47
更新乙です。
矢口さんってツッコミから離れることはできないんでしょうか・・・?
そういう矢口さん大好きですねぇ・・・
次回更新待ってます!
90 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/13(水) 22:28

オイラは慌てて隣の部屋に行った。
隣の部屋は休憩室?みたいな部屋になっている。

「はぁ〜。どうしよ…。緊張してきたよ…」

「なっちが悪いんだよっ!!ヤグチは悪くない!!」

「!!」

中からなっちの悲痛な声……オイラ…オイラ…何だか…この感じ…なんだろ…あと…後少し…
もうちょっとで…何かきっかけが…

「あの…何…してるんですか?」

「うわっ!!」

ぽそっと今女の子の声が…お化け…?オイラは恐る恐るゆっくり顔を上げる…
91 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/13(水) 22:29

「?えっと…あのぉ〜。さゆの顔…おかしい?…ですか?」

その子はキョトンとして、どっから取り出したのか分からない巨大な鏡であーでもない、こーでもない
と、鏡の中の自分とにらめっこを始める。
「…その鏡…もしかして…重さん?」

「はいっ♪」

重さんこと道重さゆみは超満面の笑みで、ほっぺに人差し指をつけて、スカートをヒラッっとさせてる。

「矢口さん、どうしたんですか?怪しいですよ。」

「あっ、いやぁ〜。ちょっと…ね?」

深く考えないで。っていう思いを込めつつ、はぐらかしてみる

「さゆのお家で変なことしないで下さいね。」

さらっとそういう重さん。この病院は確かに彼女の父親が経営する病院。でもお家かよっ

「いや、変なことなんてしてないから…ね?」

「…怪しいです。警察屋さんに来てもらいます。」

そしておもむろにぴーえいちえすをこれまたどこからか出してます!隊長!!ってまじで押してるよ!!
92 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/13(水) 22:31

「わぁ〜!!こらっ!!」

オイラはネコジャラシに飛び付く猫よろしく、ぴーえいちえすに飛び付く。…が、重さんの身体の方が高くて
ヒョイとオイラの届かない所に腕を上げられてオイラはうなだれる。

「冗談です。えへっ♪」

そういってクスクス笑ってぴーえいちえすを畳んでいる。今まじでカケテタ…絶対。間違いない!!

「次会ったら、逮捕しちゃうぞっ♪」

そう言い残して、颯爽と消えていった…。なんか、疲れた…ものすごく。
ついでに緊張の糸がすっかりきれたオイラはそーっとドアを開ける…

ガチャ!!

「わっ!」

93 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/13(水) 22:33
急に中からドアを開けられてバランスを崩しかける。

「真里…用あるんやったら、さっさと入り」

裕子が冷たい声で、そう言う。どうも、一部始終聞かれてたご様子…オイラは一気にさっきまでの緊張
それに、ものすごくさっきのやり取りに対する後悔。オマケに何かフワフワチラチラ頭に映像が飛んでいる…

「オイラ…」

「ええから、ほらっ。」

裕子はオイラが入りやすいように、ドアを大きく開ける。

「…っく…ヤグチ…」

ソファーの上にちょこんと座ってるなっちが、ゆっくり顔を上げる。
泣きはらした瞼が、ゆっくりと持ち上がって真っ赤な瞳でオイラを見つめる…。
94 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/13(水) 22:35
「ヤグチ…ごめ「なっち。ゴメンナサイ…」

なっちが言い終わる前にオイラは頭を下げる。

「オイラ、頭がぐちゃぐちゃで…あの…ゴメンナサイ。」

それしか言葉が出てこないよ…。
こんな状況前にもあった気がする…。そう、あれはオイラとなっちが出会った頃に…。
…えっ。オイラ、記憶…

「ヤグチ…。ほっぺ痛くない?…なっち、ヤグチ叩くの二回目だよね…って…そっか…」

「オイラがなっちの日記、勝手に読んだ時…だっけ?」

「真里!」
「ヤグチ!!」

2人がビックリした顔でオイラを見る。そりゃ、そうだ。オイラもビックリしてるもん。
95 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/13(水) 22:39

「なんか、思い出したみたい。」

そう。ちょっとした場面や、ちょっとした物で過去の事を思い出すのって良くある事みたく、普通にその場面が出てきた。
そう、授業で習った事とかをふっと思い出すみたく、簡単になっちとの思い出が取り出せた。

「もしかして…」

裕子がオイラの正面に来て、肩を掴む。

「…たぶん…まだ父さん達に何があったとか、オイラがこうなった原因は分かんないけど…」

「ほんまやな?ほんまに、記憶戻ってんな?」

「いや…分かんないよ…でも裕子姉ぇは良く家に、ご飯食べに来てたってのは思い出したよ?」

オイラは敢えて昔呼んでいた裕子の呼び方をしてみた。裕子はそれを聞いた瞬間オイラをギュッと抱きしめて来る。
96 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/13(水) 22:42

「…ヤグチ…っく…っく。よっ…良かったぁ〜…」

なっちが子供みたく泣きじゃくってる。

「なっち…ってか裕子っ!苦しいよ!」

裕子ははっとした顔をして潤んだ瞳でオイラの事を見つめる。

「真里…良かった…ほんまに…良かった…」

「…うん…」

オイラもなっちや裕子の姿をみて、いつの間にか涙がこぼれ落ちている。

「…っく…ヤグチ…」

「何…?ひっく…」

オイラは裕子から離れて、なっちに近づく。裕子はそっとドアを開け

「圭ちゃんに…この事伝えてくるな?」

と言って、部屋を出てく。

「ありがと…裕子…。」

オイラは裕子の背中に、そう言葉を送り出す。裕子はさっさと右手を上げて、優しくドアを閉めた。

97 名前:贈り主。 投稿日:2004/10/13(水) 22:50
>>89
今回も突っ込み命の矢口さんをお届けしました。

激しく睡眠不足中のため、文章が所々意味不明かも…。
ある程度直してみたけれど、見直せば見直す程ドツボに嵌っている気がします…orz
寝不足状態で書く物じゃないですね。新キャラとか特に…orz
98 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/10/14(木) 18:42
重さんと矢口さんとのやり取りに120万点。
重さんでかいもんな〜。矢口さんは・・・っと、これは禁句かしら。
裕ちゃん達、うれしそうですね、こういうのすきです。
次回更新待ってますんでがんばってください。
99 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/20(水) 21:14

二人で残された部屋は、しんと静まり返った。でも、やな空気じゃない。オイラはなっちの隣に座る。

「なっち。どうしてここに?」

「ん?夏だから…。」

なっちはにっこり笑う。オイラはぽかんとして、なっちを見つめる。

「へへっ…ホントは仕事で。こっちに、来る事になったのさ」

「へぇ〜。なっち仕事ってナニしてんの?」

「秘密。きっと明日分かる…と思うよ。」
いたずらっ子みたいな顔をする。可愛いな…。変わってないよ。

「それよりさ…ヤグチ…。これ…。」

「あっ…。」

それは、ハートのネックレスのお礼兼なっちへの誕生日プレゼント…。オイラ、渡して無かったはずなのに…。

「ゴメン…。机に置きっ放しで…中見たらメッセージカード見つけて…」

「…カード、見ちゃったんだ…」

100 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/20(水) 21:16

オイラの顔にどんどん血が上ってるらしくて、すごく暑い。
あのカードにオイラの気持ち、全部書いてたはず…。あぁ…そっか。オイラの初恋の人か…。
だからあんなにモヤモヤした気持ちが出てきたのか…。

「うん…。返事。ずーっと考えてたのさ…。ヤグチがさ記憶無くした後だったしさ…。」

「…う…ん…」

あのカードには、こう書いたはず。

101 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/20(水) 21:18

     『なっちへ
       誕生日おめでとう☆
       ピアスこんなので良かったらどうぞ★
              ヤグチより
       P.S
       ずっとオイラはなっちが好き。
       この気持ちは何年経っても変わらない
       もしなっちがオイラの事好きなら
       次会う時、このピアスを付けて来て
       オイラはあのペンダント肌身離さず着けてるから。』


102 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/20(水) 21:20

「…なっち…」

「でもさ、何があっても、どんな人に会っても、ヤグチの事が頭に浮かんでた…。なっちも…なっちもね…」

なっちは顔を真っ赤にして、もじもじと下を向く。オイラも多分真っ赤…さっきより。

「ヤグチの事…ヤグチが好き。愛してる…」

オイラの目をじっと見つめるなっち。オイラ…オイラは…どう答えればいい?記憶無くした後に、好きになった人も居る。
確かに記憶の中の少女=なっちは気になる存在だった。…そっか。オイラもやっぱり…

103 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/20(水) 21:23

「ヤグチ?」

なっちが不安そうな顔でオイラを見つめる。でも、オイラは自分の中から出てくる想いは止められない。

「オイラに記憶をくれて…ありがとう。オイラに沢山のものをくれてありがとう。」
「どうしたのさ…ヤグチ…。他に好きな人…」

なっちは益々不安を込めて、オイラを覗き込んでくる。

「違う。オイラいっぱいなっちにもらったから…。これからいっぱい返さなきゃいけないから…
オイラから最初のおくりもの…」






104 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/20(水) 21:25




        チュッ




105 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/20(水) 21:29

「!!」

なっちは驚いた顔をしてオイラを見つめる。なっちの唇は柔らかくて、いい匂いがした。
あり?なっちオイラを見て無い?へっ!

「ほぅ。うちがおらん間に…へぇ〜。ふぅ〜ん」

「わっ!裕子!!」

目の前のなっちの顔は爆発しそうなくらい真っ赤で、きっとオイラも負けてないくらい真っ赤。

「うちも仲間に入れろ!」

「わぁ〜!!」

「裕ちゃんっ!!やっ!!」

その後、圭ちゃんに3人で説教を受けて、月曜日の夕方に検査をするって事になって、オイラ達は家に帰された。

106 名前:贈り主。 投稿日:2004/10/20(水) 21:33
>>98
新キャラ気に入ってもらって良かったです。

次回最終回…の予定。
107 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/10/23(土) 12:00
おっと、いい感じじゃぁないですか!
う〜ん・・・次回最終回ですか。
なんか寂しくなりますが、それまで応援してます。
作者さま、最後までがんばってください!
108 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:03

「…真里ぃ…ムニャムニャ…」

「裕子飲み過ぎだから…」

「仕方ないっしょ…裕ちゃんが一番ヤグチの事想ってるんだからさ」

圭ちゃんに家に帰らされてオイラ達は、近所のコンビニでお酒とおつまみ類を買い込んで
オイラの記憶が戻って良かったねパーティーをしてた。
裕子が泣きながら焼酎を一瓶開けて、今はそれを抱き締めつつ夢の世界に入ってる。
なっちは酎ハイをチビチビと飲みつつ、おつまみのポテチをもうすぐで一袋開けようかと言う様子。
オイラは病み上がりだからって事でオレンジジュースを渡されてる。

109 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:06

「裕ちゃん、嬉しそうだね?ほらっ。」

裕子はニヤニヤしながら眠ってる。可愛いけど、怪しい。

「うん。オイラちょっと裕子に掛ける物取って来る」

「待って…」

オイラが立ち上がると、なっちがクイッとオイラのシャツを引っ張る。

「どうしたの?」

「ヤグチ…あのさ…」

なっちがオイラを上目遣いで見つめる。すんげー可愛いんですけど…

「何?どうかした?」

「ヤグチ…ゴメンナサイ。」

「へっ?」

なっちがペコリと頭を下げる。オイラはいきなりで、さっぱり事態が掴めない。

110 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:08

「なっちのせいで、辛い思いいっぱいさせちゃって…」

「なっ…何の事?」

「ホントは思い出してるっしょ?事故の事。」

ば…バレてる?…そう、オイラがどうして記憶を無くしたか、父さんや母さんの事。全部ホントは思い出してる…。

「でも、あれはオイラが急に出てって、それで…」

「違うの。なっちがしっかりヤグチを抱きしめれなかったから…なっちがちゃんと…ヤグチの気持ち考えてたら…」

「なっちのせいじゃないよ…だって…」

111 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:11

なっちの両親とオイラの両親は昔からの友人で、いつか4人で旅行にでも。って約束をしてた。
それが長年待ってやっとお互いに時間が合い、オイラとなっち2人を残して、4人だけで2週間の予定で旅に出た。
しばらく2人で、夏休みを過ごすといい。そう言って…

でも、4人が帰って来る事は無かったんだ…

あの日、オイラが記憶を無くした日。オイラとなっちは朝テレビを見てた。
すると臨時ニュースが流れて、父さん達の乗った飛行機が墜落した事を知った。

112 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:14

なっちはぼう然とテレビの画面を見ていて、なっちの周りだけ時間が止まってるみたいだった。

オイラは頭の中がぐちゃぐちゃで、いてもたってもいられずに、大声を上げて、いつの間にか外に出て

あちこち、当てもなく街中を走り回っていた。どこからかオイラを呼ぶ声が聞こえた。

「ヤグチぃー!」

というなっちの悲痛な叫び声が…

113 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:16






その瞬間、オイラは

空を飛んでいた…。






114 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:22

「なっち…もしかして…」

「ヤグチが…車に…ドーンってぶつかって…なっち…見てたのに…と…止められなくって…」

なっちは首を横振り涙をポロポロこぼしていく。

そっか…それでなっちは車ダメなんだ…それこそ、オイラのせいじゃん。

オイラがただ何も見えてなかったから…決してなっちのせいなんかじゃない。

「それは、なっちのせいじゃないよ。オイラがバカだったから…」

「なっちがもっとしっかりしてれば…」

なっちが悔しそうにそう言う。オイラが死んじゃったみたいじゃん、それってさ…

「大丈夫。オイラは生きてるから…。記憶もきちんと今あるから。」

「でも…」
115 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:24

「事故の時も血くれたの、なっちだよね?」

なっちはコクリと頷いて、ビックリした様子。

「オイラ、その時は気を失ってて、何も覚えてないけど、
裕子があんたの命はあんただけのじゃない。事故の時にいっぱい血くれた子が居るんや。
ってそれってなっちだよね?」

「裕ちゃん…そんな事…」

「うん。…なっちがいたからオイラ生きてる。それに、なっちが来てくれたから記憶も戻ったんだよ?」

オイラはそう言ってなっちをじっと見つめる。

「…そやで、なっち。あんたはなんも悪ないねん。」

116 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:27

いつの間にか起きてた裕子がなっちとオイラ交互に見ながら言う。

「それに、真里あんたも悪ない。まだまだ子供やってんから…な?」

「…裕子…。でもオイラ、なっちに傷つけた…ごめん…なっち…」

「ううん。ありがとう。裕ちゃん。それにヤグチも…。なっち…これで…元気出てきたよ。」

なっちは目に涙を浮かべつつ、にっこり微笑んだ。

117 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:30

「やっぱりなっちは笑顔が似合ってるわ」
裕子は満足そうに言うと、缶ビールのプルトップをいい音を立てて開ける。

「乾杯すんで、ほらっ!!」

裕子はそういうとオイラにも缶酎ハイをポンと投げる。オイラもそれを開けて、にっこり笑う。
なっちも涙を拭いて、飲みかけの酎ハイを手に持つ。

「じゃあオイラが言っていい?」

「うん!」

「しゃあない。短くなっ?」


118 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:34

胸元には今までよりうんと輝きを増したペンダントが楽しそうに揺れていた。
オイラはそれを見て目をつぶり今日1日を思い出す。ふぅ〜と息を吐き出す。
ついてないと思った1日だったけど今日は凄くオイラにとって歴史的な日だったと思う。
ううん。これから、オイラの日常が今までよりもうんと楽しい日々になる気がする。
それは、裕子は勿論これからはなっちがオイラに居るから…沢山の思い出達と共に…

「そしたら、なっちと裕子からもらった沢山のおくりもの達に、乾杯!!」

119 名前:おくりもの 投稿日:2004/10/28(木) 01:37








「「乾杯!!」」









おしまい。
120 名前:贈り主。 投稿日:2004/10/28(木) 02:05

>>107
なんとか最終回を書く事が出来ました。応援ありがとうございました!!

121 名前:贈り主。 投稿日:2004/10/28(木) 02:31

これで『おくりもの』はおしまいです。
最後まで書く事が出来るとも思いませんでした。それにホントはこの様なお話しにする予定では無かったんです。
実はこれ初めて書いた娘。小説なんです。
他は書いたことあるのかよ!!

と、矢口さんに突っ込まれてしまいそうですね。
他は勿論書いたことは無かったんですけどね。
ホントにこんな見切り発車&つたない文章にお付き合い頂いてくれた方、ホントにありがとうございました!!

それと、書いてもいいと言って頂いてくれた方々に感謝しています。
そのレスが無かったら、このお話しは生まれて無かったでしょうから…ホントにありがとうございます!!
と言っても前にも書きましたが『おくりもの』はおしまいですが『ぷれぜんと・ぼっくす』の第一章が終わったと思って下さい。
最後まで書く事が出来るかどうか…(爆
でも一応最終回のプロットは出来ています。
次回からは新キャラがわんさか出てくる予定です。
長々と書きましたが、これからも頑張って書いて行くので、長くなるか、短くなるか分かりませんがお付き合い下さいね?

122 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/10/28(木) 21:19
『ぷれぜんと・ぼっくす』の第一章完結、お疲れ様です。
最後、なかなか感動てきでした。
まさかこれが小説デビュー作品とは!?
信じられません。素晴らしい作品です。
では改めて完結おめでとうございます。
そしてこれからもがんばってください。
新キャラも楽しみにしてます。
123 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/03(水) 22:45

「人生のうち人は何年眠ってるか知ってるか?」

卒業式の日の朝。ホームルームの時間突然担任の中澤先生がそう言った。
突然じゃ無かったかもしれないけど。
ただそれまで、ぼんやりとしてた私にその言葉が耳に飛び込んで来た。

「えー!わかんなーい!」

そんな声があっちこっちから上がって、私もどのくらいかと、考えていた。

「20年や。まだ夢の中で周りの人にみんな守られてるんや。
でも、これからは起きる為に、起きた時に困らへんように、たくさんの事を学んで行くんやで…」

中澤先生は、そう言ってクラスの一人一人の顔を見ていった。そうだ、確かそのとき…

124 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/03(水) 22:46

「じゃあ、裕ちゃんはとっくに起きてるんやね!」

「そうだ!裕ちゃんはもうすぐ三十路だもんねぇ〜」

クラスの中でも問題児の2人組のあいぼんとのんつぁんがそう言って冷やかしてたっけ。

「うっさいねん!!辻!加護!」

そう言って怒る中澤先生の目に、光る物があった。怒られてる2人も、目に同じように光る物を溜めていた。

「ホント夢の中って感じだねぇ」

隣の席のまこっちゃん…小川麻琴が、私に向かってポツリと言う。
まこっちゃんもちょっと泣いてるみたいだった。
このクラスでこんな時間を過ごすのも最後だと、確信を持ってしまい、それがいつの間にか伝染してたみたいで
それから式が始まるまでクラスみんなで泣きじゃくったんだった。

125 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/03(水) 22:47





ゆめのなか




126 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/03(水) 22:49

「…美ちゃん?あさ美ちゃん!ちょっと聞いてんるんかぁ〜!?」

「あっ!ごめんっ!!愛ちゃん。…えっと、そう。夢の話だっけ?」

同じ寮で相部屋の高橋愛ちゃんと、話してたんだっけ。将来の夢の話。
きっと夢の中に居るから、見れるんだろう。
ってぼんやりと考えてると中澤先生の声が聞こえて、トリップしてたみたい。

「もぅ!その話は終わったってぇ〜」

「えっ。そうなの?」

またやってしまったか…。愛ちゃんは呆れ顔で私を見る。

「はぁ〜。あさ美ちゃんっていつもそうやから…。まぁいいや。
明日のコンサートどうなん?行けるん?」

「明日?うーん。あいいよ…あーでも…」

明後日塾のテストだし勉強したいけど…。あー。でも、のんつぁんと遊ぶ約束してたけどキャンセルされたし…

「あさ美ちゃん!どうなん?」

127 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/03(水) 22:50

「あっ。うん。大丈夫。行くよ。」

愛ちゃんははせっかちだ。もう少し考えさせてくれてもいいのに…。

「良かったぁ〜。あっし不安やったでぇ〜あさ美ちゃん居るだけでも、安心やよー」

「そう?」

私は別に行きたくないんだけど、たまには息抜きしてもいいよね?

「ほんま助かるわぁ。あさ美ちゃんありがと。」

「いや。いいよ。きにしないで。あっチケットのお金渡すね?」

私は机に無造作に置いてるカバンを取ろうと立ち上がる。

「いいってぇ〜。あっしが頼んだんやしね。ほぅや。」

「ん?何?」

愛ちゃんは自分の机の引き出しから紙を取り出す。

「これ。今渡しとくし、忘れんと持って行ってやぁ〜」

「うん。分かったよ愛ちゃん。」

愛ちゃんからチケットを受け取って、机の上に置く。

「ほな。明日早いし寝ようか」

「そだね。電気消すね?」

128 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/03(水) 22:53

「おやすみぃ〜」

愛ちゃんはそう言うと、二段ベットの上の方に登って行く。私は入り口近くのスイッチを押す。

これは愛ちゃんと相部屋になった時から自然と決まっている役割。
学年は一緒だけれど、年が一個上の…そう。愛ちゃんは一年の時大きな病気をして、留年した。
もう完治したらしくって、私より全然元気で…。たまに私がついて行けないくらい。
「あさ美ちゃん。明日楽しみやね。」

「そだね。ほらっ。もう明日になっちゃうよ」

「あぁ〜。ほんまやぁ。あさ美ちゃんも早よ寝るんやよー?」

「あっ。うん…。おやすみ愛ちゃん。」

「おやすみあさ美ちゃん…」

ふぅ〜。私の夢は…何だろう…愛ちゃんは看護士になりたいらしいけど…

「夢か…。」

129 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/03(水) 23:10

「ん?なんか言った?」

どうやら、声に出してたみたい。恥ずかしいや…

「あっ。ごめん。独り言。きにしないで。おやすみ」

「ん。おやすみぃ〜。」

私に夢らしい夢なんて持ってなくって…ただただいい高校をいい成績で出て、いい大学に入って…
そんなの一昔前の幻想みたいな期待を両親から背負わされて、いとこの居るこっちに出てきた。
中学3年の春から…。
そこで中澤先生やのんつぁん、あいぼんそれにまこっちゃんと出会って、私は少しずつ変わった。
そう。変わったはずだった。それなのに今また、昔の自分に戻っている気がする。
ただただ与えられた役割をこなして1日1日を無難に過ごす。
またあの頃みたいに私は戻れるんだろうか…。
夢を見つけて、起きれるんだろうか…。

ダメだ。

今考えても仕方ないし…寝よう。明日きっと愛ちゃんに怒られて起きる事になるし…。
「ふわぁ〜。」

大きな欠伸を一つしてタオルケットにすっぽりくるまって、目を閉じた…
130 名前:贈り主。 投稿日:2004/11/03(水) 23:14
あっ…sageて無いのに今気付いた…orz
まっいっか…

>>122
ありがとうございます。頑張って書いた甲斐がありました。これからもよろしくお願いします。
131 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/10(水) 17:28
───────
─────
───



「紺ちゃんはさ…これからどうすんの?」
帰り道。
今までアニメの話で盛り上がってたのに、いきなりのんつぁんが真面目な顔で聞いてくる。

「えっ?うん。私は、ほらっ。推薦で朝高受かってるから…」

「うーん。その事じゃなくってさ。その後だよ。」

のんつぁんにしては、難しい事を聞いてくるなぁ〜。

「あさ美ちゃんって、弁護士になるんじゃないの?」

いつの間にかまこっちゃんがいて後ろから声を掛けてきた。
親はそう期待してるみたい。医者とか弁護士無理なら、いい会社の秘書とか言ってる。

132 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/10(水) 17:29

「えー!アニメのクリエイターって加護きいたも〜ん。ね?紺ちゃん?」

言ったっけ?
小学校の頃は確かにそういう事も考えてた。あとは声優とかアイドルにも憧れてた。
でも憧れと現実は区別しなさいって、親に話をしたら言われた。それ以来誰にも話してないのに…

「おかしいなぁー。あっしは、夢なんて持ってないよ。って聞いたんやけど?」

愛ちゃん?
私の夢…夢の中…夢…夢…ゆめ…

「弁護士だって!」

「クリエイターやんな?」

「そんなん嘘っぱちやよね?」

まこっちゃんとあいぼんそれに愛ちゃんがそう私に詰め寄ってくる。

「紺ちゃん。ホントはどうなの?」

のんつぁんが3人を押しのけて、私の前に現れる。

「わかんないよ…。分からない。」

「それじゃ、のん達とはお別れだね?」

133 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/10(水) 17:31

えっ?のんつぁん待って!!

「そやな。うちらは、こっちいくわ。」

そんな!!あいぼん…

「あさ美ちゃん。ごめん。早くこっちに来てね?」

まこっちゃん…行かないでよ…

「あっし、グズグズしてる子嫌いやし、バイバイあさ美ちゃん」

酷いよ!愛ちゃん!みんな…待ってよぉ〜。私。私…

134 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/10(水) 17:33


「みちゃん…あさ美ちゃん!ちょっと!!大丈夫!?」

「へっ?」

目を開けると愛ちゃんが心配そうに私を覗き込んでる。

「なかなか起きへんから、起こそうおもて、見にきたら、うなされながら泣いとったで、慌てて起こしたんよ?」

「あっ…。うん。大丈夫だから。ちょっとヤな夢見ただけだからさ。」

うなされてたんだ。私。なんて夢見たんだろう。朝からへこむ…。
昨日あんな事考えながら寝たからだろうけど…

「どんな夢見たん?」

「ん?…夢の夢見た。」

「はぁ?!夢の夢!?」

愛ちゃんは怪訝な顔で私を見てる。だって仕方ないよ…本当の事だから。

「それより。早よ着替えて行こ!!」

「ん。そうだね…んっうーん!」

私は大きく伸びをして、ベッドから降りる。でも憂鬱な気分は晴れそうにないよ…。
外は嫌なくらい、いい天気なのに…
135 名前:贈り主。 投稿日:2004/11/10(水) 17:36
今日はここまで

また来週

ノシ
136 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/10(水) 22:36
高紺ってこんな感じっぽい。雰囲気とかいいっすね。
前のtunagiもいい雰囲気だったし初には思えないっすよ!
応援してるので頑張って下さい!
137 名前:贈り主。 投稿日:2004/11/18(木) 01:10
>>136
ありがとうございます!!
そう言って頂けるとやりがいがあります。
これからも応援宜しくお願いしますorz

といいつつ今週はお休みさせていただきます。
まさに今お仕事から帰ってきました。完全に疲れきっていて書く気力が…
土日のどちらかで書きます。必ず。絶対。…たぶん♪
138 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/21(日) 21:38

 どうして、あんな夢見たのか…はぁ。憂鬱。夢…かぁ。
私は私自身はどうしたいのだろう…分からない。今はまだ分からない。

「なぁ。あさ美ちゃん。嫌なんやったら無理して行かんでええんやよ?」

駅に向かう途中の信号で愛ちゃんが、私の顔を覗きつつそう言う。

「えっ!嫌じゃ無いよぉ〜!!私藤本美貴嫌いじゃ無いしさっ!」

笑顔でそう言って、愛ちゃんを見る。

「それやったら、ええんやけど…さっきから溜め息ばっかりやから心配やったで、良かったわ」

愛ちゃんは嬉しそうに、赤から青に変わった信号を見て、スタスタと渡っていく。
私も、愛ちゃんの後ろを追いかけて行く…
あれっ?
139 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/21(日) 21:39

あの人は…

「あっ!」

「どしたん?あっ!ミキティや!」

「えっ?どこ?」

私は中澤先生を見つけたんだけど…あと矢口さん。どうしてこんなところに居るんだろ…

「あさ美ちゃんも気付いとったやろ?」

「えっ?あっ!ん…?」

中澤先生達と一緒に居るほんわかした感じの人。
きっとその人の事だろう。藤本美貴とは違う雰囲気だけれども…

「人違いかも…って!はぁ。」

「すいませーん!」

私の“人違い”って言葉を聞いて無かったらしい愛ちゃんは中澤先生達の方へ駆け出していた。
ぼんやり見てる場合じゃ無い。追いかけなきゃ!!

140 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/21(日) 21:41

「ハァハァ…あのっ…ミ…藤本美貴さんですよね?」

あちゃー。遅かった…

「えっ?へっ?」

愛ちゃんに詰め寄られた人はびっくりした顔で愛ちゃんを見つめている。

「あっ…愛ちゃん!人違いだよっ!」

「紺野!」

矢口さんがすぐに私だと気付いてさけぶ。

「あっ!ほんまや。久しぶりやな。紺野。元気そうやなぁ。」

中澤先生がびっくりして私を見る。そりゃびっくりするはず。
だって、卒業してからずっと会ってなかったから…
それが、人違いした子の友達として現れたのだから…

「お久し振りです。中澤先生。それと矢口さん。」

私は深々と頭を下げる。

「あさ美ちゃん…知り合い?」
141 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/21(日) 21:44

愛ちゃんが間違ってしまった人に謝ってから私の方へサッと寄って小声で聞く。
私はうんと頷いて

「中学の時の先生とその姪の矢口さん。」

これまた小声で返す。

「私の友達の高橋愛ちゃんです。」

愛ちゃんはペコリと頭をさげて、にっこり笑う。

「私は紺野あさ美です。中澤先生の元教え子で矢口さんとは
何度か会った事があるんですよ…あの失礼でなければお名前を…」

「あっ!なっち?安倍なつみです。実はさ…言っていいのかな…」

安倍さんは中澤先生に、困ったような視線を送る。
安倍さんって道産子かな?訛りが懐かしい…

「いいんちゃう?紺野やったら平気やし。な?秘密守れるやんな?」

中澤先生は私と愛ちゃんを交互に見やって、二人共コクリと頷く。
それを見て何か企んだ様な怪しい微笑みをする。

142 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/21(日) 21:46

「実はさなっちさ、そのぉ〜…美貴…藤本美貴の姉なのさ。でさ、よく間違われるのさ…」

最後の方は少し恥ずかしいのかはにかんだ笑顔で…ってえっ?

「まじかよ…オイラ知らなかったよ…」

「あっ。やっぱりそうやったんですね!」
矢口さんがかなり驚いて、愛ちゃんは以外と冷静で…逆に目をものすごく輝かしている。
私はというと今きっとポカーンとした間抜けな顔をしてるだろう…。

「ヤグチ黙っててゴメン。」

安倍さんは、手を合わしつつペコリと頭をさげて、はっと何かを思い出したように顔を上げる。

「ほらっ!一度会った事会ったっしょ?」

「んー…。」

腕を組んでかなり考え込んでいる様子の矢口さん。
私と愛ちゃんは顔を合わしてクエッションを飛ばし合う。

143 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/21(日) 21:49

「あっ!そう言えば…で、…の仕事と…」

ぽんっと手を打ちそう言って早く言ってくれよぅとか安倍さんに甘えた声で絡んでいる。
所々上手く聞き取れないけど、安倍さんはもぅ!とかしーっ!とか言ってかわしている。
なんとか納得させたみたいで私達の方に近づく。

「ところでさ愛ちゃんだっけか?」

「はいっ!高橋愛、17歳です!」

愛ちゃん…張り切り過ぎだから…。はぁ。
そう心の中で今日何度目かの溜め息を吐く。

「高橋愛17歳は、どうしてやっぱりって思ったんだい?」

安倍さんは冗談っぽく、笑いながらそう言う。

「美貴さんのラジオで実はお姉ちゃんがいるって言っとったでぇー…覚えてたんです」

「そう…美貴が…ねぇ〜。ふふっ。じゃあ、なっちも有名人だね?」

144 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/21(日) 21:52

少し遠い目をしながら安倍さんはそう言った。
安倍さんって不思議な人だ。
子供っぽい人と思ってたら、今すっごく大人だった。

「それより、電車やばいで!!ほらっ!!」

中澤先生が近くの時計を指差して、安倍さんと矢口さんに向けて言う。

「わっ!ホントだ!!なっち!!何時に着けばいいのっ?」

矢口さんが、かなり慌てて言う。

「美貴との待ち合わせが10時だよ?さっき言ったっしょ?」

安倍さんはのんびり思い出すようにそういう。

「わっ!やばいじゃん!!紺野!うちら時間ヤバいし行くね!」

「したらね?紺ちゃんと愛ちゃん。」

「紺野!またうちおいでな?高橋さんも良かったら!ほな!」

中澤先生と矢口さんが安倍さんを引っ張るように駅に向かって行く。
私達はボーっと三人を見送る。

145 名前:ゆめのなか。 投稿日:2004/11/21(日) 21:59

「あさ美ちゃん!あっしらも行くで!」

愛ちゃんは、さっきよりもずっと目を輝かせて私の腕を掴む。

「えっ?」

「ミキティに会えるチャンスやもん!ついてくで!」

そんな事だと思ったよ…。はぁ〜。迷惑かけたくないのに…。
それに早めに行って買い物しようって言ったの愛ちゃんなのに…
私は愛ちゃんに引っ張られながら考えていた…。
私はこんな風でいいのだろうかと…
はっきり自分の想いを伝えられないままでいいのかと…
146 名前:贈り主。 投稿日:2004/11/24(水) 16:15

仕事の都合で、今年いっぱい更新出来ません。
来年早々に大量更新する予定です。それで『ゆめのなか。』はおしまいです。
『ゆめのなか。』が終わり次第自スレ立てようと思います。
147 名前:七誌さん(旧・紺ちゃんファン) 投稿日:2004/12/02(木) 22:27
お名前を一つに絞りました。これからはこれで。
おぉ。なんか最近来れなくてどーしてるかなー。なんて思ってたらこんな展開に。
愛ちゃんって意外と積極的ですねぇ〜。
では作者さま、来年にお会いしましょう!

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