Only You

1 名前:K・K 投稿日:2004/07/06(火) 17:31
昔seekで書いてました。あえて名前変えてみました。
今回は『みきあや?』など書いてみようとスレ立てた物です。
しばらく書いてないので怠った文になると思いますがどうぞ
末永くよろしくおねがいします。
2 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 17:37

−・−・−・−・−・− 天使か悪魔。正直迷った。


「……今っ…の…何!?」

これ以上ないくらいの速さで4階から1階まで階段を駆け降りた。
いけないものを見てしまった。
噂で聞いてたけど、まさか本当だったなんて。

胸がバクバク鳴ってる。 テレビで見るより激しかった。
3 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 17:43

事の発端は、ほんの数十分前。

音楽室までの距離を1人で歩いていた時、見てしまった。

「……っ…から…いやぅ…」
「!?」

最初は空耳かと思った。音楽室まであと数メートル、という所で調理室
から妙な声が聞こえた。それも、声のトーンからして女の子。
見てみたい様で見てはいけない気がした。でも、好奇心は抑えられない。

ほんのちょっとだけ、覗いてみよう。


4 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 17:54
その声の持ち主に音が聞こえない様、出来るだけ音をたてない様に
そっと調理室のドアを開けた。

「んっ…や…せんぱ…ぁん!」
「しーずかに。大きい声出すと誰か来…」
『ガラッ』

あたしが見たものは、2人の女の子。が、つまり…その…何かをしてた。
途端に頬が熱くなるのを感じて身を引いた。

その時、1人の女の子に乗っかってるジャージの人と、ばっちし目が合ってしまった。

「…あ…」
「…っっ!」

死ぬかと思うぐらい体中が熱かった。あんなシーン巡り会う事ないだろうし
なんせ高校1年のあたしには刺激が強すぎた。
5 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 18:01

音楽室にいる先生にプリント提出する事も忘れて、1階まで走った。

まだ頭にあの光景が浮かんで再び頬が熱を持つ。

「亜弥!1階のトイレで何やってんの?」
「…ぁのね!さっき調理室でっ……」

危ない、友達に言ってしまう所だった。
だって上に乗っかってた人、あたしは知ってるから。

3年1組、藤本美貴。 噂という噂が学校中に広まっているある意味
有名人。
目つきが怖くて無口、女遊びが派手、留年の危機アリという超問題児の先輩。

6 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 18:06
もちろん、あたしが知っているだけで先輩はあたしの事なんか知らない。

でも廊下で会う度目でスゴまれる事は何度もあった。

女遊びが派手。行為の最中混じってしまったあたしはあの先輩に何をされるか
分ったものじゃない。

でも……学校でやるんだ。ああいうのって。

「ボーッとしてないで、帰ろうよ。もう昇降口閉まっちゃうし…」
「あ、う…うん。プリント渡しそびれちゃったけど…」
「何やってたの本当に。馬鹿だねぇー、じゃあ明日一緒に渡しに行こう」
「あ、ありがと」

明日学校で先輩に呼び出される。そんな恐怖が帰宅しても続いた。
7 名前:K・K 投稿日:2004/07/06(火) 18:08
夜また更新します。御感想、御意見など頂けると嬉しいです。
8 名前:K・K 投稿日:2004/07/06(火) 20:19
さ、更新開始。
9 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 20:26

朝、初めて学校に行くのが嫌になった。

とてつもなく重い空気がのっかって、上履きを履く足がだるい。

「おはよ……」
「亜弥来るの遅い!早く職員室行こう」
「あ、うん」

モタモタしていたら友達が下駄箱まで来てくれた。
わざわざ来てくれたのは喜ばしいけど、どこかで先輩に会ったらどうしよう。

「「失礼しまーす」」

朝早い時間の職員室内は、先生が会議なのかバタバタと忙しそうだった。
その中から音楽の先生を探した。
10 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 20:34
「あ、ここでいいよ」
「そう?じゃあ待ってるね」

友人をドア前に待たせてあたしは先生の机に向かった。
渡しそびれた分、しっかりと謝らないと。

「先生、これ遅れてごめんなさい…」
「あら、まだ受け取ってなかったかしら。まぁ今度から気を付けなさい」
「ハイ、ありがとうございます」
「…松浦さん、ちょっとお願いがあるんだけど…いいかしら?」
「え?あ、いいですよ。何ですか?」
「3年生の、藤本さんって知ってる?」

知ってるもなにも、昨日の人。背中に冷たい氷が解けた様なゾクッとした
感覚があたしを襲った。
11 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 20:40
ここで頼みを断る訳にはいかない。あたしがプリント提出を
遅らした罪だと実感してしまった。

「あの子に合唱コンクールの予定表渡すの忘れててね、遅れたら彼女も
困るだろうから、松浦さん。知り合いだったら渡しておいてくれない?」
「い……いや、でも…」
「お願い!あの子の担任の先生も私もこの後会議で…」
「あ……や…でも…」

  「お・ね・が・い!」

何でこう、ついてないんだろう。

「はい…じゃあ…渡しておきます…」

優柔不断なんだよあたしって。
12 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 20:45
いつもは何の重みもなく引くドアも、手首が痛かった。
青ざめたあたしの顔色を心配したのか、友達は理由を聞いた。

「あのさぁ…藤本先輩と話した事ある?」
「えぇ!?あの危ない先輩?ないない!あり得ない!」
「…あたし先生に頼まれちゃって、あの先輩にコレ渡さなきゃいけなく
なっちゃった……」
「…もしかして私も一緒についてこいとか…」

さすが持つべきものは友達だよ。なーんて甘かった。


「無理!絶対不可能!1人で行って!私教室戻るから!!」
「なっ!?酷っ…ちょっとぉ!!」

友達はさっそうと走りながら、両手を合わせてゴメン。だって。
13 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 20:53
3年生の教室なんて、行った事も入った事もない。

もちろん知り合いなんていないし、1人で行くなんて。

「い、1組…だよね…?」
幸いにも1組の教室は階段を上がってすぐ隣だったので長い廊下を
歩かずに済んだ。
丁度よく1組から出てきた1人の先輩に声をかけて、呼んでもらう事に
した。

「ん?あー、ミキティか。そこそこ、窓際で寝てるやつ」

あたしが声をかけた先輩の名札を見ると、「吉澤ひとみ」とあった。
男の子みたいな顔立ちで、背が高くて優しそうな先輩。
窓際で机に突っ伏している先輩を指差して笑顔で答えてくれた。

「ミ−キティ、かわいい下級生が呼んでるよぉー」
「……」
「あ…寝てるならコレ渡しておいてくれますか…」
「あーいいいい。今叩き起こすから」
14 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 20:59
どこからか吉澤先輩はメガホンを持ってきて、藤本先輩の前に立ちはだかった。
何するんだろう?なんて見ていたら、吉澤先輩はメガホンで突っ伏している
藤本先輩の後頭部を思いきり叩いた。

「ミキティには勿体無いぐらいのかわいこちゃんが来てる!!起きろ!」
「かわいい……かわいいの?」
「起きてんのかよ!!てゆうかかわいいで反応するなよ!!」

2人のやり取りが、何かおもしろかった。
回りの先輩達も普通に笑ってる。
頭をひっぱたかれた藤本先輩の目は、やっぱり怖い。
しかもこんな近距離で会話なんてしたことない。

ヤバい、思い出しちゃうよ。

藤本先輩と、あの女の人。 しかも、ばっちり目が合った。

15 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 21:11
ドキドキして、何もしゃべれない。

先輩は黙ってあたしの事じっと見てるし。

「……ソレ、ありがと」

パシッとあたしの手に握られていた予定表をひったくられた。
やっぱり迫力がハンパじゃない。
昨日はジャージだったけど、今日はまるまる私服。
元々あたしの学校は私服登校でも制服でもどちらでもOKだから
そりゃそうなんだけど。

「……顔、スッゲ−ね」

予定表を適当に見た藤本先輩は、ふとあたしを見て呟いた。
スッゲ−とは何がすごいのだろう。あたしの顔の事だろうか。

「スッゲ−……?顔ヤバい…ですか…?」
「……2つね」
「ふたつ…?」

あっ、笑った。

16 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 21:22

周りの先輩が、全員あたしと藤本先輩を見た。
っていうか、凝視してる。

当たり前か、1年坊のあたしと、ボス的存在の藤本先輩が2人っきりだから。


「1つめ。顔めっちゃ赤い」
「…ハァ…」
「2つめ」

ポケットに閉じ込めてた先輩の右手が、あたしの頬を撫でた。

「めっちゃくちゃ、スゲーかわいいよ」


何ですか。この先輩は。
17 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/06(火) 21:24
いしよしもアリなので、次回どうぞ。
18 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/08(木) 22:27

よくみたら、すっごい美人だし体のバランスがすごく整ってる。

ちょっと笑う顔がかわいくて顔を真っ赤にしてしまう。

「……やばぁ、ホレるかも…」
「ぁ…の…ち、近…」

どんどん先輩の綺麗な顔が近付いてくる。何か…されるの?

でも拒否できない。なんかなすがままにされちゃう。

やばい、唇が当たるっ……


「お取り込み中失礼するけど、美貴ちゃんちょっと来なさい」


キーンとするようなアニメ声が、あたしの耳元に届いた。
きつく閉じていた両目をうっすら開けると、先輩はそのアニメ声の
人に首ねっこを掴まれている。
19 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/09(金) 15:24
いいとこで…
20 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/09(金) 18:41
3年生は綺麗な人ばっかりで思わず見とれる。
藤本先輩とはまた違うカワイイキャラの先輩だった。
その先輩の後には面倒くさそうな顔で苦笑いしている吉澤先輩。

「邪魔すんなよあともう少しだったのに……」
「何馬鹿言ってるのよ!また違う子たぶらかしてるし」
「梨ー華ちゃん、何言ってもムダムダ。あ、松浦さん?君気を付け
なよ。このタラシに目付けられたらものすごい悲劇が……」
「うっせーよっちゃん…」


仲良いんだなぁなんて先輩にキスされそうになった事も忘れてあたしは
先輩達を見てるしかなかった。

「だってめちゃくちゃカワイイくね?彼女にしたいよ」
「ホンットに馬鹿!あんたの一言で何人の子が泣いてると思ってんの?」
「え……えーっと…」
「ウチが覚えてる限りでは50…4人ぐらいじゃない?」
「もーそんな事どうでもいいわよ!美貴ちゃん昨日の昨日だし今日は一歩も
教室から出ちゃだめ!!」
「は!?不可能!ムリ!昨日はヤりたいって言われたから……」
「馬鹿!声でかい!1年生が目の前にいるんだから…」
「や、もう遅いよ梨華ちゃん」

21 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/09(金) 18:57

「アッハハ、また顔赤い。かわいーなぁ」

スッと手を出して、藤本先輩はまたあたしの頭を撫でる。

顔が真っ赤になってるの、バレバレなんだ。

恥ずかしい。恥ずかしいけど、先輩を怖いって思う気持ちはもうなかった。

普段は目つき悪くて怖いけど、こういう笑顔見せるんだ。

「……どっかで会わなかった……?」
「え゛!?……いや…気のせいでは…」
「気のせいじゃない。…?昨日…調理室……?」


どんどん思い出したように先輩は喋り続けた。
覚えてたんだ……目が一瞬合っただけなのに。

「……あの…」
「あ!」
「っ!?」

思い出した、のかな?あたし何されるのかな……?


「……やっぱ思い違いか。なぁんだ。こんなカワイイ子なら覚えてる筈だよ」
「は……ハア…」
「ね、ね、あなた1年生でしょ?名前なんていうの?」
「4組の松浦亜弥です」
「へ〜、亜弥ちゃんって言うんだ。カワイイ!!」
「何、アンタ名前も知らなくてずっとカワイイ連呼してたの!?」
「相変わらずカルいな考えが。梨華ちゃんもうほっとこ……」
「美貴1限目サボるから。よろしくー。行こ亜弥ちゃん」
「はいっ!?いや…あの……」

いやいやいやいや、先輩何ですか手首掴んで。
22 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/09(金) 19:12
何がなんだか良く分らない。噂にあった無口ってどこが無口?

「あの…先輩…どこに……」
「ん?亜弥ちゃんはどこに行きたい?」
「あたし授業がぁ…」
「授業?授業出たいの?」

授業の事を口にした瞬間、先輩はあたしの手首を掴んでいた左手をパッと放した。
急に先輩が顔を近付けてくるから反射的に身を引いた。

「亜弥ちゃんがそうしたいっていうなら、行っておいで」
「へ……?」
「いや、だって亜弥ちゃんが授業受けたいっていうなら、美貴はその通りにする」

あっけらかんと言う先輩は今度はあたしの両手を握った。
殆ど初対面なのに、よくここまで出来る先輩をある意味すごいと思った。
もう恥ずかしいって思わない筈なのにまだあたしの顔は赤い。

「じゃ……教室戻っていいですか…?」
「うん、もちろん。でもまた会いにきてよ」
「え?」
「当たり前じゃんー、もっと亜弥ちゃんに会いたいよ」
「や…あの…」
「それじゃバイバイ。亜弥ちゃん」

女好きで遊び人なのは、ほんの数分いて分った。

でも、それ以上に優しいじゃん。「会いたい」なんて他の人に
たくさん言ってるだろうけど、なんか嬉しい。

期待しちゃ、いけないんだ。絶対。
23 名前:K・K 投稿日:2004/07/09(金) 19:16
>19さん:いいところで区切ってしまいました。
      2人がああなるにはまだまだです(笑
24 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/09(金) 22:00

「予鈴、早く鳴らないかなー……」

数学の教科書をパタンと閉めて、何となくボヤいてしまった。
別に先輩に会いたいわけでもない。でも言わずにいられなかった。
先生に睨まれようが、先輩と比べればそんなのどうって事ない。
あたし慣れちゃったのかな。

「……ねぇ亜弥」
「何?」
「藤本先輩がアンタに手振ってるぽいんだけど…」
「どこ!?」
「よこ、横の屋上御覧下さい」

びっと友達が指差した先には、屋上でおそらくあたしに手を振っている
先輩がいた。なんか、超笑ってるし……
それを見たあたしの顔は引きつってて、手を振り返す事もできなかった。

「亜弥…あの人と付き合わない方がいいよ?」
「でもっ、そんなに怖い人じゃない…けどぉ……」
「けど?」
「……ちゃんと、目みて話せないんだぁ……」
「取って喰われそうだよね、カワイイ子に目がないみたいだし」
「え!!??」
「冗談だよ。でも、適度に付き合いなよ?分った?」
「うん……?」

やっぱりそうだよ。おかしいよ、あの藤本先輩があたしの事そんな風に
見るなんて。
何回もカワイイって言われる程自分カワイイって思わないし。
カルい人なんだ。彼女さんいっぱいいるし。
25 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/09(金) 22:20

「ねー……」
「はぃぃ?!」

授業が終るとすぐに屋上に飛んで行ったあたし。
あのまま先輩を放っておいたら1年生の教室まで来そうだから。
それで今は屋上に設備されている長いイスに離れて、離れて座ってる。
私服でスカートを履いてない先輩は堂々と足を組んでイスに。
スカートを履いているあたしはというと小さく縮こまって座る。

「離れすぎだから。もうちょっと近寄ってもいいんじゃなーい?」
「……ごめんなさい…」
「いやいや謝らなくてもいいよ。怖いの当たり前だし」
「え…?」
「だから、美貴の事近寄り難いでしょう?見てて分るよ…」

組んでた足を乱暴に地に着かせて、ゆっくりあたしの顔を見た先輩。
その先輩の表情は、少し笑っているけど少し寂しそうで、目が離せない。

「怖くは……ないです。でも、話しづらいというか……」
「はぁ……やっぱそうなんだ……嫌か…」
「嫌じゃないです!!好きです!」
「え」

何言ってんだあたし。嫌いじゃないけど好きでもない。

なのに何言っちゃってるんだろう。
26 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/09(金) 22:35
意外なあたしの反応に驚いたのか先輩は目を丸くしている。
どうにもこうにも言ってしまった事を削除するのは難しい。

「いや…あの好きっていうのはそういう意味じゃなくて!!」
「分った分った、ありがとね」

ムキになって説明したあたしの真っ赤な顔を見て、嬉しそうに笑った。
滅多に先輩は笑う事がない。って友達の噂で聞いたけど、噂は信じられない。
だって全然違う人だって言う事がハッキリした。

「……あのねぇ、自然にしてくれてていいんだよ?
普通に笑ったりしてよ。美貴、亜弥ちゃんの笑顔
まだ一回も見てないんだぁ」
「……ごめんなさい……」

不器用すぎるから、いつも駄目なんだあたし。

好きになった人だって、素直になれないからいつも終っちゃう。

本当は先輩と色々喋りたい。恋人になりたいとは全然違うけど『友達』
になりたい。
27 名前:微笑んだ悪魔 投稿日:2004/07/09(金) 22:43

「美貴、勝手だけど…亜弥ちゃんの事気になるの」
「ハイ…」
「だからこうやって屋上でいっぱい喋りたいの」
「ハイ…」
「敬語もいらないし、そんなに思いつめなくていいから……
色々美貴の噂知ってるだろうけど、それで付き合いたくないならいいし…」
「違います!」
「そんなら……ね?お友達になりましょう」
「ハイ!」
「だから敬語」
「……はい…」
「あーもう。カワイイねぇ亜弥ちゃんは」
「きゃぁっ!?」

空が見えなくなったと思ったら、先輩にイスに押し倒された。

がっしり両手を掴まれて抜けだせないしまともに先輩を見れない。
28 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/09(金) 22:57

「………」
「せんぱっ…!?」

あたしの手首を握っていた強い握力は、先輩の意地悪な笑顔と共に解けた。

「ナハハ、うそだよ。どんな反応するかなぁって。ほら、起き上がって」
「……いいです…!!」
「あ、怒っちゃった?」
「怒ってません!驚いただけです!」
「……怒ってないなら、抱きついていい?」
「は…」

返事なんて、してないのに。なんて勝手な人、何倍も思えてくる。
きつく、それでも優しく、手慣れた様子であたしを抱きすくめた。

「ん〜……良い匂いだぁ…」
「ぇ!?」
「抱き心地良い……」
「せんぱっ……い…?」

するっとあたしの腕をすり抜けて、膝まくら状態になってしまった。
先輩寝てるし、無理にどけたら頭ぶつけちゃうし。
2限目をサボるしかないのかな……
29 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/10(土) 02:41
藤本先輩、あなた素敵です。
その調子でどんどんお願いします(w
30 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/10(土) 16:58
ハゲドウ!
またオロオロしながらも甘んじて受け入れてしまう亜弥ちゃんがキャワです。
31 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/10(土) 18:20

本鈴が鳴ってしまった。結局授業をサボったあたしは担任からキツく
叱られてしまいいつも楽しみにしている学食の時間も憂鬱だった。
それもこれも、全部先輩のせいなんだけど…怒る気にもなれない。

焼肉定食がさめてしまなわないうちに食べなきゃ。


箸を取ったと同時に、隅っこのテーブルから水が跳ねる音が聞こえた。

「……泣くなよ。そんな事で」

コップの水を思いっきりかけられたらしい。声を辿ると、さっき聞いた声。

「迷惑。だから、美貴の事本気になる君が悪い」
「っ…!?……」


空のコップを握りしめて、泣いている。

藤本先輩と、調理室の人だった。
32 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/10(土) 18:30

「……先輩とは……別れますっ……」
「ハ…?別れる?」

すごい展開になってる。先輩は、さっきあたしに見せた優しい顔じゃなかった。
泣いている女の人に向かって睨んでいる。


「別れるも何も、最初から付き合ってないし。そういう妄想迷惑」



濡れた髪をくしゃくしゃかきながら、先輩は食堂を出た。


何で、あんな事言うんだろう。本当の先輩は優しいはずなのに。
33 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/10(土) 18:44


「え?ミキティの態度が違う?」


3年生の教室に再度勇気を出して先輩を探した。
会いたかったとかじゃなくて、絶対そんなんじゃなくて、誰にでも
ああいう事言う人なのか、気になったから。
でも先輩はいなかった。
一度気になるとのめり込んでしまうあたしは、態々吉澤先輩と石川先輩を
呼んだ。

「んなの、いつもだよなぁ梨華ちゃん?」
「うんうん。1週間に1度は違う子といるし」
「体目当てだし」
「顔が良ければ全てよし」

吉澤先輩と石川先輩は顔を見合わせて、相づちを打っている。

「美貴ちゃんって来るもの拒まずじゃない?だから余計なのよね」
「そうそう、自分から寄っていかないというか…」

吉澤先輩の一言で、石川先輩がひらめいたようにあたしの肩を叩いた。


「今日美貴ちゃん、2限目授業出なかったの」
「あ……それはあたしと一緒にいて…」
「ほー、そういう事か梨華ちゃん……」
「そういう事よひとみちゃん」

何か2人ともニヤニヤ笑ってあたしの事見てる。
先輩とあたしの何がおかしいんだろ。
34 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/10(土) 18:48


「あの……そういう事って?」
「んもぉ鈍いわね亜弥ちゃん」
「ミキティーが亜弥ちゃんを誘ったわけでしょ?」
「あ。まあぁ……」

がくがく肩を揺らされると頭痛いんですけど……

「「だから!亜弥ちゃんにだけ優しいの!!」」

「へ!?あたし?ですか?」

何で?何で?十分みなさんにも先輩は優しいと思うんですけど…
35 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/10(土) 18:55

「そんな!先輩方にも同じですよ!!」
「いーや、ウチらに優しくしたミキティなんて見た事ないよ」
「そうよ!いつもつっけんどんなんだから」
「とりまきの女の子にも笑顔かけてるの見ないし」

へぇー……そうだったんだぁ。って納得してる場合じゃないよ。
別にさ、嬉しい……嬉しくないよ、あたしにだけ優しいとか言われても
どう反応すればいいのかわかんないし。

でもでも……調理室の体の関係はどう説明しろと…?

「あの子にとってああいうのは日常だから、気にしない方がいいわよ」
「そーそ、生活の一部だし」
「いやっ!気にしてはいないですけどっ!!」
「そのうちコクられたらどうする亜弥ちゃん?」
「美貴ちゃん手早いもの。明日ぐらいには頂かれちゃうかもよ」
「いやいやいややめて下さいぃ!!そんな関係じゃないですから!!」

先走りすぎですって。確かに頂かれそうにはなったけど……

日常的に…その…なんだ、それをやってるならさっきあたし頂かれても
不思議じゃなかった…んだよね。

どう接していいんだか、わかんないよ。
36 名前:K・K 投稿日:2004/07/10(土) 18:58
>29さん:藤本さん素敵でしたか、ありがとうございます。
      文才がめっぽうないのですがおつき合いお願いします。

>30さん:オロオロしてしまうあややを書くのは難しいです…
      それでも頑張っていきますので。
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/10(土) 19:43
あやみきだぁ!
川VvV从 のキャラがいいっすね(ノ∀`)
話も判り易くて読んでて楽しいです。
更新頑張って下さい。
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/11(日) 01:35
あやみき発見!!
シチュエーションも大好物だし…
続きに激しく期待してますよ。まじで。
39 名前:あやみき最高☆ 投稿日:2004/07/11(日) 04:26
かなりいいっ!あやみき最高ですっ
設定もいいし、キャラも。
作者さん頑張って☆
40 名前:K・K 投稿日:2004/07/11(日) 11:06
>37さん:判りやすいですか?どこにでもあるような設定ですが
     読んで楽しいと思って頂ければ十分です。ありがとうございます。
>38さん:激しく期待……勿体無いお言葉どうもです。  
     シチュエーション発展目指します。
>39さん:頑張っての言葉が励みになります。いしよしなど進展があんまり
     ないので、少しずつキャラ出していきたいと思います。
     ありがとうございます。
41 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/11(日) 11:11
3年生の階から降りて、調理室のドアをじっと睨んだ。

思い出してカッと頬が熱をもつ。でも複雑だった。

何の目的であたしに興味もつんだろ。体目当て……なのかな。

だったらもう優しくしないで欲しい。これが本心だよ。

「亜弥ちゃん?何やってんの調理室の前で」


思い出した途端に現れた先輩は、まだ髪の毛が濡れていた。

首をかしげてあたしに近付いてくる。

おかしいよ、なんか泣けてくる。
42 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/11(日) 13:14

「いえっ…何でもないです…」
「…?どしたの…何で泣いて…」

先輩の右手が、あたしの目尻をなぞった。

何でそんなに優しいの。

「………もう…いいですから…」
「え?」


もう嫌だ。優しくされたら、気になっちゃうから。


「優しく……っしないで…」

「そんなに優しくしないで!!!」


先輩の右手が引いた。
43 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/11(日) 13:29

「美貴が……亜弥ちゃんに優しくしちゃ、ダメなの?」


引いた右手を先輩はトレーナーのポケットに突っ込んだ。

「先輩はっ……何で食堂であんな事言ったんですか……?」


声が出にくかったけど必死で先輩の目を見た。
初めてかもしれない、ちゃんと会話ができるのは。

「見てた……か。あの子が色々言ってきてめんどくさくて……」
「だからっ……あたしはそれが嫌なんです!!」


「何であたしにだけ優しくするんですか……?わかんないです……」


自分勝手な事言っちゃった。もうダメだよ。絶対面倒臭い奴だって
思われた。

それならもう、笑顔はいらないかな。
44 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/11(日) 13:40


「迷惑じゃなかったら、聞いて欲しい」


泣いているあたしから、目を反らしている。

それでもまだかけてくれる言葉があるのかな?


「すごく、好きなんだ。どうしようもないくらい、好きだから」


「優しくしたい。美貴の事気になって欲しいから、毎日亜弥ちゃんの事
ばっか想い出してる」


「だから、亜弥ちゃん。美貴の事好きになってくれるかな?」


こんな事普段から言ってるんだ、先輩。
絶対絶対、嘘ばっか。
なのにあたしはおかしいよ。

どうしようもなく、嬉しい。
45 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/11(日) 13:55

そうやって好きになっていくんだ、みんな。

先輩が思うままにされる。

それでも期待してたあたし。

「答えないって事は、OKですか?」

笑顔であたしの頭を撫でて、顔を覗き込む先輩。


「……好き……です…先輩が……」



「藤本先輩が、好きです」


これが本音なんだ、あたしの。
46 名前:意地悪な天使 投稿日:2004/07/11(日) 14:10


「……ヤバ…めっっっちゃくちゃカワイイ…♪」
「っ……いいですってばそういうのは!」
「照れるのは……」

先輩があたしを抱きしめて、小さく囁いた。


「ベッドの中だけで、よろしく♪」


「せんぱ…!??」
「ナハハ、いつかね、いつか。美貴次の授業遅れるから先行くねー」
「……何……今の!?」


まだ先輩がよくわかんない。それでも、どうにかなるかな…?
47 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/12(月) 01:25
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!
48 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/12(月) 01:36
タラシ美貴様サイコー!!
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/13(火) 23:05
こっちも ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!
タラシ美貴様いいぞ!!
50 名前:トランプの裏 投稿日:2004/07/14(水) 23:09

それから先輩と階段で別れてから、あんまり記憶がない。

嬉しすぎてないのか、過激すぎて無かったのかあたし自身分らない。

でも、その記憶すらかき消すんだから。


  ガラッ

「あーやーちゃぁん!終ったぁ?」


帰学活の途中、空気読まないんだから。

「せっ…先輩!!まだ終ってないんですからっ!ていうか来なくていいです!!」


あたしは慌てて先輩に言ったけど、藤本先輩は気にせず担任を睨んだ。
51 名前:トランプの裏 投稿日:2004/07/14(水) 23:21

「藤本か……さっさと帰れ、松浦に何かようがあるのか?」

担任が先輩に質問すると、先輩は答えずコクリと頷いた。
頷いた後、先輩はあたしの席を見てニコリと笑った。

「後にしなさい…では起立!礼!」
あたしは立ち上がるのも精一杯で、机を睨むしかなかった。


「さっ、亜弥ちゃん。約束通り、デートしよ!!」
「はいぃ!?デートっていつ約束……」
「忘れた?駄目じゃん、美貴の彼女なんだから」
「おっ……声がおっきいですぅ!!」

教室中の生徒が、あたしと先輩が校門を出るまでずっと凝視してた
気がする。
52 名前:トランプの裏 投稿日:2004/07/14(水) 23:27

「あーっ…しまった。靴出せない」

あたしが外履を履き終えた頃、先輩は下駄箱を見つめて頭をかいて
困ってるようだった。
毎日毎日、何らかの手紙が入ってるか、プレゼントが入ってるか。だそう。

「ごめん、これちょっと捨ててくる」
「……捨てる?」
「や、本当こういうの迷惑なんだ美貴。どうしていいんかわからんし」


別に、嫉妬じゃないよ?そうじゃなくて、何かそういうのって捨てていいのかなって思う。


「捨てちゃ…駄目です!!」
「えぇ?」

53 名前:トランプの裏 投稿日:2004/07/15(木) 07:48

あたしは無意識に先輩の手を掴んでいた。

「こういうの送る人って、すごく先輩の事想ってくれてるんですよ?
色んな気持ち……いっぱい入ってると思います。だから……」

あたしが言い終る前に、先輩はプレゼントをカバンの中に押し込んだ。

「…亜弥ちゃんが、そう言うなら…捨てないよ」
「へっ?」
「っ…読む気ないけど、絶対捨てたりしないからっ」
「…そう、ですか。それでいいんです!」
「でもさ、亜弥ちゃん。ちょっとぐらい嫉妬とかしてもいいんじゃない?」
「そっ!!そんな事思ってません!」
「ありゃ、ハッキリ言うね…」

54 名前:K・K 投稿日:2004/07/15(木) 07:50
>47、48、49さん:タラシ過ぎて危ないかもしれませんが喜んで
           くれれば嬉しい限りです(笑
           ありがとうございます。
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/16(金) 23:47
面白いです。
こんなあやみきはなんだか新鮮でよいですね。
これからも頑張って下さい!!
56 名前:K・K 投稿日:2004/07/17(土) 15:25
>55さん:新鮮に感じられましたか?それは良かったです。
     レスありがとうございました。
57 名前:トランプの裏 投稿日:2004/07/17(土) 15:35

その時、丁度吉澤先輩と石川先輩が3年生の下駄箱にやってきた。
なんか重苦しい雰囲気で、藤本先輩は後ろめたそうに無視してあたしの
手を握った。
「……勝手にしろよっ」
「言われなくてもそうするわよ!ふん!」
「っ!!意地張ってももう遅いんだからな!!」
急に繰り広げられた喧嘩にはあたしも驚いた。
石川先輩と吉澤先輩はキッと藤本先輩を睨み、別々に帰って行った。


「あの2人……まーた喧嘩してる…」
「また…?」
「付き合って2年だってのに、しつこいねー」
「付き合ってたんですかあの2人!?……初めて知りました…」
「そーそ、ま、またラブラブになるんだけど。さ、いこっか」
「あ、ハイ」
58 名前:トランプの裏 投稿日:2004/07/17(土) 15:42
先輩の右手はあたしの左手に、左手には黒いトレーナーのポケットに。
ほぼあたしが引きずられてる歩き方なんだけど、それは至って優しい。

会話は途切れ途切れだけど、笑顔かけてくれるのがすごく嬉しかった。


「へへっ、何かいいな〜」
「ふぇ?」
「ん?亜弥ちゃんと、こーやって帰れるの。恋人同士ーみたいな」
「…そうじゃないんですか?」
「あはは、そうだけどー、こういう時が一番好きだなーって」

あたしがはじめてみた、先輩の照れる姿。

59 名前:トランプの裏 投稿日:2004/07/17(土) 17:44

「……ありがとうございます…」
「ん、どう致しまして。っていうかさ、敬語いいよ」
「あ…前にも…」
「そうそう、前も言ったけど直らないんだもん」
「それじゃ…先輩じゃなくてぇー…」


藤本、美貴……美貴……美貴だからぁーえっとぉ…


「みき…たん…?」
「何だそりゃ」


今すごい馬鹿っぽく思われたよね。でもとっさに浮かんだニックネームだったし…


「いいよ、それで。牛タン好きだしぃ、亜弥ちゃんだけ言ってもらえるならそれでいいし」
「みきたんで、いいんですか?」
「オッケーオッケー、全然オッケー。それと…タメ語ね?」

先輩は人指し指をあたしの唇に押し付けた。
60 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/04(水) 16:55
は、、早く。。
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/23(月) 21:21
まだかな〜
62 名前:K・K 投稿日:2004/08/30(月) 18:38

申し訳ありませんでした…。
1ヶ月半ほど放置状態でありまして…部活やらなにやらで忙しかったもので
言い訳がましいのですが…

近いうちに更新したいと思います。
63 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/09/06(月) 17:58
まだ?
64 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/06(月) 21:46
マターリ、マターリ。
65 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/08(水) 10:58
待ってます。待ってます。
66 名前:名無し読者 投稿日:2004/09/25(土) 13:13
ああああああ
67 名前:名無し飼育 投稿日:2004/10/10(日) 22:14
待ってます
68 名前:マカロニ 投稿日:2005/01/15(土) 15:49
あやみき大好きです。(>_<)特にタラシのミキティがvV
話も気になるんで、更新まっとります〜
69 名前:名無し 投稿日:2005/02/02(水) 16:13
待ってます。。。。
70 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/02(水) 17:07
待て〜ます。

Converted by dat2html.pl v0.2