Town in Lovemaze
- 1 名前:春水 投稿日:2004/07/11(日) 20:53
- 初めまして。
6期、5期絡みで田亀の予定。
いじっぱりなあの子とちょっと強引なあの子が主役です。
しばらくの間お付き合い下さい。
- 2 名前:Town in Lovemaze 投稿日:2004/07/11(日) 20:57
- 一つ年下のあの子は高等部やこの辺りの学校じゃ名の知れた子で。
本当か嘘か分からない噂ばっかりが渦巻いていた。
一つの噂に飽きれば、新しい噂が流れ出て。
その子を知ったのは隠し撮りされた写真を見たから。
- 3 名前:Town in Lovemaze 投稿日:2004/07/11(日) 21:04
- まだ新品に近い制服の端を風に弄ばれながら緑色の廊下を走る。
長めの黒髪を靡かせて少し早い呼吸の音を気にしながら絵里は走っていた。
昨日の晩につけていたはずの目覚しは規定の時間には鳴らず。いつまでも鳴らなかった。
ごみ捨てに行って近所のオバサンとたっぷり世間話をして帰って来た母に散々文句を言われながら着替えて
散々嫌味ったらしく視線を向けられながら車の助手席で小さくなって
やっと来た開放感を味わっている所で5分前の予鈴が鳴った。
「あ、絵里ちゃんギリギリだねー」
慌ててドアを開けて駆け込んできた絵里を真っ先に見つけて声をかけてきた里沙。
「お、おはよ、う」
元々運動は不得意な方で、それでしかも最近は運動なんて全然してなくて。
その中で校門から4Fの教室まで全速力で走ってきた絵里は苦し紛れに返事を返す。
- 4 名前:Town in Lovemaze 投稿日:2004/07/11(日) 21:14
- ドクドク、激しすぎる心臓の音は周りに丸聞こえのように感じ。
後から後から噴出す汗をお気に入りのぷーさんのタオルで拭う。
「あ、そうそう。聞いた?田中れいなの噂」
椅子にぐたっと倒れるように座り込んだ絵里の耳に聞こえた声。
里沙は窓の外を見て、3組は体育かー、なんて声をあげている。
「田中れいな?」
聞こえたハズの言葉をリピートする。
高等部になってからも、中等部にいた頃も何度も耳に挟んだ名前。
それは、とても人気があって。
とても嫌われている名前だった。
「そう。数学の先生殴ったって噂だよー本当かどうか分かんないけどね」
表情が上手く伺えない無表情の里沙の横顔を眺めて絵里はため息を吐く。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/13(火) 23:10
- おお田亀発見。設定もイイ感じなんで期待してます!
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/18(日) 02:55
- 面白そうですね!
楽しみにしています。
頑張って下さい!!
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/02(月) 02:11
- いい感じですね!
期待してます。
- 8 名前:春水 投稿日:2004/08/03(火) 20:40
- >5 名無飼育さん様。
更新ペースは遅いですが、まったりとお待ち頂ければ幸いです。
嬉しいお言葉ありがとうございます。
>6 名無飼育さん様。
ありがとうございます。
どうぞ、これからも宜しくお願い致します。
>7 名無飼育さん様。
ありがとうございます。
ご期待に添えるよう、努力したいと思います。
- 9 名前:Town in Lovemaze 投稿日:2004/08/03(火) 20:50
- クラスの誰かが絵里の名前を呼ぶ。
顔は大体分かるのだが名前を覚えるのは歴史の勉強をするよりも遥かに嫌いだ。
別に覚えなくたって後1年もすればお別れなのだ。
「ごめん。呼ばれちゃった。行くね」
短い単語の集まりを発して絵里は里沙の肩をポンと叩いて逃げる。
里沙は気にするな、と同じような内容の言葉を絵里に発して、絵里は背中を向けた。
噂が一人歩きをする、とはこんなことなのだろうか。
絵里は名前も知らないクラスメイトの話を曖昧に聞きながら考える。
- 10 名前:Town in Lovemaze 投稿日:2004/08/03(火) 20:57
- 「絵里ちゃん。これが田中れいなって子だよ!」
興奮した様に1枚の写真を片手に話すクラスメイト。
「―――え?」
田中れいな、とその言葉に反応した絵里は慌ててその写真を除きこむ。
隠し撮り写真、という物だろうか。
少しふてくされた表情をした少女が映っていた。
だけどそれは噂で聞くほど悪そうじゃなかったし、まだ純粋な感じがした。
瞳はとても綺麗で。少し鋭い目つきが少し怖かったけど。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/08(日) 06:04
- 続き気になるね…(*´・ω・)(・ω・`*)ネー
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/15(日) 22:24
- 田亀良い感じですッ
期待^^
- 13 名前:春水 投稿日:2004/08/25(水) 20:37
- >>11 名無し飼育さん様
ありがとうございます。まったりですがお付き合い下されば幸いです。
>>12 名無し飼育さん様
ありがとうございます。これからも宜しくお願いします。
- 14 名前:Town in Lovemaze 投稿日:2004/08/25(水) 20:42
- 彼女を1度見た事があった。
だけど記憶に残るその顔と写真の顔とはまるで違う人の様に絵里は感じた。
写真写りが悪いだけ、とか。
たまたま機嫌が悪かった、とか。
絵里は無意識のうちに考えている彼女の写真への言い訳。
それは無意識だからタチが悪い。
「ホント、悪そうだよね〜」
絵里ちゃん気をつけなよ。
何人か円を組むように囲んでいた数人の生徒が絵里にそう声をかける。
「そ、そうだね」
絵里は色々噂を言い立てる彼女達に合わせ、瞳は虚空を見つめていた。
- 15 名前:Town in Lovemaze 投稿日:2004/08/25(水) 20:56
- 「絵里」
か細い声が後ろから降りかかる。
そこには近所の1コ下のさゆみが絵里の肩に手を置いて首をちょこんとかしげていた。
黒く漆黒を誇るかの様な髪が白いカッターシャツに零れ落ちている。
「さゆ・・・?」
彼女の名前と顔が頭の中で一致した瞬間、絵里の手首はさゆみに掴まれる。
「ちょっと来て欲しいの」
彼女はいつも用件しか言わない。
しかもそれで相手の話を聞かないのだから絵里は話をするのは苦手だった。
「もうすぐ1時間目だよ?」
高校は中学とは違いただ通っていれば卒業できる物ではないぐらい、さゆみは知っているはずで。
それにさゆみも受験と言う壁に突き当たる身で。
そうそう、嫌いな授業や友達と喋りたいが為に授業をサボれる身ではないのだ、2人とも。
絵里は掴まれた手をどうする訳でもなく、時計を横目で見た。
「さゆは来て欲しいの」
相変わらず彼女と話しをするのは、こちらが合わせなければいけない。
「ちょっとゴメン、保健室に腹痛で行くって先生に伝えて置いてくれないかな?」
絵里は小さく聞こえないようにため息をついて、先ほど田中れいなの写真を見せた生徒に言う。
さゆみはそれを満面の笑みで見つめている。
絵里の手首を握っていたはずのさゆみの手は絵里の手と握られていた。
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