恋の花が満開
- 1 名前:なつまり。 投稿日:2004/07/18(日) 21:14
- 予告通り書きます。
基本的に年齢は変えていません。
男の名前を出すんですが、あまり突っ込まないで下さい。
辞書で適当に調べて付けた名前ですので。
それでは宜しくお願いします。
- 2 名前:なつまり。 投稿日:2004/07/18(日) 21:27
- 第1話 ボーイフレンド
- 3 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/18(日) 21:50
- ここは都心にある有名な私立朝比奈学園。
元は女子高だったここは去年から共学になり、男子の割合はかなり少ない。
俺はこの学園に入って2年目になる、高校2年生だ。
クラス替えを終えて新しい気分で一人活き込んでいたが、どうやらそれは無理みたいだ。
「ねぇ尊史!今日みんなでプリクラ撮りに行こうよ!」
携帯を弄っていた俺に中学1年から同じクラスメイトの一人、辻希美が話し掛けてきた。
携帯の画面から目を離し、希美の顔を見て言った。
「またぁ?今週何回目だよ。いいだろ、そんなに撮んなくたって。プリクラは逃げたりしないんだから」
希美は机を叩き、前のめりになって抗議する。
「えぇ〜行こうよ〜、あいぼん達も一緒だよ?あっ、もしかしてののと二人っきりで行きたいとか?」
特徴的な八重歯を見せて、笑いながら顔を覗き込む。
「バ〜カ、そんなんじゃないよ。今日は家でゆっくりしていたいんだよ!」
そう言い切り携帯に視線を戻す。
「むぅ〜。いいじゃんか〜・・。いいじゃんかよ〜・・」
希美は涙を滲ませ俯いた。
携帯を置き、慌てて希美を慰める。
「だぁ〜!泣くな!わかったから泣くなって。行くよ、何枚でも撮るから!」
その言葉を待っていたかのように希美はパッと顔を上げ、満面の笑顔で俺を見た。
その目に既に涙は無かった・・。
「やった!約束だよ、今日の放課後みんなでゲーセン行こうね!」
そう言って満面の笑顔のまま自分の席に戻っていった。
- 4 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/18(日) 22:10
- 「ったく、嘘泣きかよ。また騙された・・」
頬杖を付きながらぼやいていると後ろから関西弁が聞こえた。
「まぁええやんか。のの、家に帰っても一人なんやし寂しいやろ」
後ろを振り返ると3人が立っていた。
真ん中の関西弁の娘は加護亜衣、右のおっとりした娘が紺野あさ美、左のおばさんっぽいのが小川麻琴。
この3人も中学からの付き合いだ。
「あぁ、そうだったっけ・・」
そうなのだ。希美の両親は海外で仕事をしており、帰ってくるのは1年に1回あるかないかだ。
それで今は親戚の所に居るのだが、その親戚も共働きしており、帰っても希美は一人なのだ。
3人は俺の周りに集まり、近くの椅子に座る。
「まぁそういうことだから諦めなよ。のんちゃんに付き合ってあげなって。何枚でも撮るんでしょ?」
あさ美は笑って冗談めかして言う。
そんなあさ美に尊史は喋るようになったなぁ、としみじみ思った。
会った頃のあさ美は人見知りが激しく、クラスに馴染めないでいたがそれを気にしていたのかいなかったのかはわからないが、希美が最初に話し掛けてだんだんとあさ美は打ち解けていった。
今では尊史達以外にも友達がいるほどだ。
- 5 名前:なつまり。 投稿日:2004/07/18(日) 22:13
- 疲れたので今日はこのくらいで。
感想いただけると嬉しいです。
- 6 名前:なつまり。 投稿日:2004/07/19(月) 23:27
- 「聞いてたのかよ。だったら助けてくれてもいいじゃんか。ケチだなぁ、コンは」
そう言ってあさ美のふっくらした頬を人差し指で軽く突付く。
コンというのはコンコンの略みたいなもので、いちいちコンコンというのは面倒だ、ということで尊史だけがあさ美に対してのニックネームで他の娘はあさ美ちゃん、コンコン等と呼んでいる。
「うっ、いいじゃん。二人の邪魔しちゃ悪いでしょ?」
「おっ、あさ美ちゃんも言うようになったね〜」
麻琴が茶々をいれる。
「は?邪魔って何のこと?」
不思議そうな顔をして3人に聞く。
そんな尊史に3人は一緒のことを考えていた。
鈍い。
周りから恋愛に関しては鈍いと言われるあさ美でさえ鈍いと思える程、尊史は鈍すぎなのだ。
「何でもあらへん・・。気にせんといて・・」
溜息混じりに言い放つ亜衣。
亜衣を見て、ますます訳がわからなくなる尊史だった。
- 7 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/20(火) 23:04
- その時、昼休みの終わりを告げる、そして次の授業の予鈴のチャイムが鳴った。
「もう終わりかぁ。次の授業なんやったっけ?」
「英語じゃない?確か今日小テストあるって言ってなかったっけ」
亜衣の問いに麻琴が答えた。
「小テストかぁ。まぁええか」
英語と聞いて安心した亜衣とは正反対に焦っているのがこの中で一人、尊史だった。
「ぬぁ〜!英語かよ〜。しかもテストって・・。全然わかんねーよ。範囲ってどこ?」
「んっとねぇ、範囲っていっても単語のテストだよ?落ち着いてやれば出来ると思うんだけどなぁ。ちょっとノート見せて」
小首を傾げてからゆったりとした口調で話すあさ美に突っ込みを入れる。
「それはコン達がやればだろ?」
「まぁ尊史とののは英語が苦手やからなぁ、人一倍頑張らんとあかんわなぁ。それは。特に尊史はなぁ」
にひひと手で口を押さえながら笑っていた。
「くぅ、何も言い返せない自分が悔しい・・」
- 8 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/20(火) 23:14
- 「あ、ここの単語だよ。全部で15個だね。この中から10個出るんだよ、簡単だと思うんだけどな」
ノートに書いてある単語を指で指し示すあさ美。
それを頷きながら聞く尊史。
「おし、わかった。ありがとう、コン」
「うん、大丈夫だと思うけど頑張って」
あぁ、とノートを見ながら返事をする尊史。
それを見てあさ美は微笑んでから自分の席へ戻った。
亜衣と麻琴はあさ美の様子を見て、顔を見合わせニヤっとしてから自分達の席へ戻った。
- 9 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/22(木) 18:10
- 全員が席に戻ったときに教科担任の保田圭が教室に入ってくる。
そして号令をしてから「はい、じゃあ教科書やノートはしまってね。前に言った通り、小テストするから」と言ってから、プリントを配り始めた。
英語のテストは10点中4点以下が追試となり、しかも今日の放課後は居残りというものだった。
テストは10分で終わり、その後燃え尽きた尊史の結果は6点で何とかパス出来た。
希美もギリギリ5点を取り、追試を免れた。
他の3人はあさ美は7点、亜衣は9点、麻琴は8点という結果だった。
その後は普通に授業をして6時間目も終わり、そして放課後。
- 10 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/22(木) 18:22
- 「さ〜、みんな!ゲーセンいこ!ゲーセン」
ウキウキしている希美にみんなは苦笑いでゲームセンターへ向かった。
色々な音が混ざり合ったゲームセンター、ハローモーニング。
ここは学園から10分くらいのところにあり、大体の生徒が立ち寄っている。
朝比奈学園は女子の割合が多いからそれを狙ってか、ここのゲームセンターは他の所よりクレーンゲーム、プリクラの機械が多く、逆に格闘ゲーム、レースゲーム等が合わせて10台にも満たないが、何処よりも早く新しいのが入っている。
「さっ、着いた!何処にしようかな」
きょろきょろしながらゲームセンターを見回す希美に尊史は、
「何処も変わらないだろ」
と言ったら希美だけでなく、他の3人にも
「変わるの!」と突っ込まれてたじたじになる尊史だった。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/26(月) 21:49
- お、楽しみ楽しみ。
頑張って。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/27(火) 09:58
- 前回のスレッドもあまり消費されていないようですし、
そちらに書かれた方が良いのではないでしょうか。
同一の方のスレッド乱立はあまり宜しくないと思いますが。
- 13 名前:なつまり。 投稿日:2004/07/27(火) 18:11
- 11>名無し飼育さん
ありがとうございます。
一生懸命頑張ります。
12>名無し飼育さん
名無し飼育さんと同じ考えの方達や管理人さんからのやめろというレスが来たらすぐにでもやめます。
ですが、私は書いているからには放置をするつもりは全くありません。
この二つは必ず完結させます。
今は百花繚乱のスレにこれを書くのは、全く考えていません。
このまま続けさせてもらいます。これが私の意思です。
すいません、生意気言ってしまって。
- 14 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/27(火) 22:20
- 「あ、ここにしよ!」
うろうろしながら歩いていると希美が立ち止まり指差す。
「だけど誰かいるぞ?」
「ええやん、一緒に撮れば」
「そうそう」
亜衣と希美がずかずかと入っていく。
(おいおい、非常識だぞ。それ)と思いつつも後に続く3人。
「すいませ〜ん、ご一緒してもええですか〜?」
関西弁のイントネーションで相手に尋ねる亜衣。
「あれ?矢口さんじゃないですか〜」
はしゃぐ希美の声。
「あっ、辻加護じゃん。どうしたの?二人で撮りに来たの?」
「いいえ、違いますよ。尊史とまこっちゃんとコンコンの5人で来てます」
亜衣が答える。
「あ、真里姉。どうしたんだよ、こんなとこで」
「おいらはバイトが終わったから撮りに来たんだよ。尊史こそ、また撮りに来たの?付き合いが良いことで」
尊史に対して皮肉を言う彼女、矢口真里は尊史が生まれた時からの幼馴染兼世話役の21歳。
小さい頃から姉弟みたいな付き合いをしている2人は今でも家が隣同士だ。
そして真里は今、145cmと小柄ながらも抜群な運動能力を持っており、それを生かしてダンサーを目指している。
その為にダンス教室に通っているのだが、授業料が高く、いつまでも親に負担させるわけにはいかないと真里自身が決め、ハローモーニングの近くにあるファーストフード店でバイトをしている。
要はフリーターである。
- 15 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/31(土) 12:27
- 「なっ、いいだろ別に。真里姉みたいに一人で撮るより大勢で撮った方が良いじゃんかよ」
「お、おいらだって好き好んで一人で撮ってる訳じゃないやい!今日から裕ちゃんが出張で京都に行ってるの知ってるでしょ!?」
裕ちゃんとは真里の友達。本名は中澤裕子。今年31歳を迎えるうちのクラスの担任である。
「はいはい、そうですかー。だったら早く家に帰ればいいだろ?」
「なんだと〜」
「なんだよ」
ムムムとガンを飛ばしあう二人。
これは本気で言っているのではなく、日常茶飯事だとわかっている4人は2人を放っておいてプリクラを撮り始めた。
「はいはい、お二人さん。喧嘩は外でやってくださいね〜」
麻琴が二人をあしらう。
- 16 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/31(土) 22:33
- プリクラ機の中から追い出された二人はフッと笑い合って近くのベンチに腰掛ける。
「何か飲む?」
ポケットから財布を取り出して、後ろにある自販機に向かいながら尊史が真里に聞く。
「うん、オレンジジュース」
前を向いたまま答える。
尊史はお金を入れてから、
「わかった〜牛乳なぁ。俺はコーヒーにしようかなぁ」
それを聞いた真里はバッと後ろを振り向き文句を言う。
「おい!オレンジと牛乳をどうやったら聞き間違えるんだよ!おいらが嫌いなの知ってるでしょ!?」
慌てている真里の声を聞いて笑ってから、
「冗談だよ。こんなとこに牛乳があるわけないだろ?わかってるって、オレンジだろ」
ボタンを押して取り口から取り出し、真里に投げ渡した。
その後に自分の分も買い、ベンチに腰掛ける。
受け取った真里はブツブツと文句を言っていた。
「悪かったよ、反省してるって。ごめん」
「ふーんだ!」
軽く頭を下げる尊史に真里は頬を膨らませてそっぽを向き、ジュースを開けて飲み始めた。
それを見て微笑んでいると4人が来た。
- 17 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/31(土) 23:29
- 「あ、見つけた。尊史、矢口さん喧嘩終わりました?」
麻琴は冗談で言うが真里は拗ねたままで、尊史は笑って、
「悪化したみたい。だけどすぐ忘れるから心配するなって」
「忘れないもん!」
立ち上がって言う真里に尊史も立ち上がってポンと真里の頭を叩く。
「はいはい、それでもいいけどみんなで撮りにいこうか、プリクラ。真里姉も一人じゃ寂しいだろ」
そう言ってコーヒーの缶を持ち、ごみ箱の前まで歩き、一気飲みしてからごみ箱に放り投げた。
「行かねぇの?」
振り向いて真里に尋ねる。
悩んでいる真里に希美と亜衣が片方ずつ腕を持ち、
「矢口さん行きましょうよ〜」
「そうですよぉ。お金は尊史に払ってもらえばいいじゃないですかぁ。ねっ、行きましょ?」
希美の最後の言葉が聞いたのか真里は折れて、
「わかった、行くよ行きますよ」
返事を聞いた希美と亜衣はわーいとはしゃいで真里を引っ張る。
あさ美と麻琴の二人は微笑みながらそれを見ていた。
- 18 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/31(土) 23:42
- その後尊史は、希美との約束通り何枚も撮られ、しかも全部自腹ということになり、財布の中身は3分の1にまで減ってしまった。
そして時刻はあっという間に8時を回っていた。
「もう8時か。それじゃ!そろそろ帰りますか!あ〜楽しかった」
数時間前まで拗ねていた人は何処へ行ったのか、携帯電話の時計を見て真里は清々しい顔で笑顔の4人と財布の中身を確認して落ち込み気味の1人声を掛けて外へ向かった。
「は〜い」
と4人は笑顔で返事をして、1人は黙って外へ出る。
そして入り口付近で集まり、少し話をしてから希美、亜衣、麻琴の3人は住宅街へ。
尊史、真里、あさ美は駅方面へとそれぞれ挨拶をしてから別れた。
「いやーコンコン、今日は楽しかったね」
歩きながら笑顔で話す真里。
「そうですね」
と、あさ美も笑顔で答える。
そんな他愛の無い話をしていると駅に着いた。
- 19 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/07/31(土) 23:57
- 3人は改札口で定期券を見せてホームへ行く。
終電間近の電車は乗り込み客が多く、座れる椅子が無い為、3人はドア付近に立って窓から見える景色を黙って眺めていた。
5分後、次の駅のアナウンスが流れる。
「あ、私次で降ります」
「あぁ、気を付けて帰れよ」
「何言ってんだよ、送って行ってあげなって。コンコンを一人で帰らせるつもりか?」
尊史を見上げて言う真里。
「う〜ん、俺はいいけど真里姉は一人で帰れるのか?」
少しからかった口調に真里はムッとして、
「馬鹿にするなよな!おいらだってもう大人なんだから一人で家にぐらい帰れるやい!」
「わかったって。コンもそれでいいか?」
コクリと頷くあさ美。
そしてあさ美の降りる駅に着き、2人を見送る真里。
「おやすみコンコン。尊史、ちゃんと送ってやるんだぞ」
「はい、おやすみなさい矢口さん」
「あぁ、真里姉も気を付けて帰れよ」
電車が見えなくなるまで手を振って見送るあさ美。
「お〜い行くぞ」
階段を上りかけている尊史が手を振り終わったあさ美に言う。
「あ、待ってよ」
あさ美は走って尊史の横へ行き、並んで改札口で定期券を見せて駅の外へ出る。
- 20 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/08/01(日) 13:34
- 「ここに来るのも久しぶりだな〜」
軽く伸びをして辺りを見回す尊史。
「だけど2、3ヶ月前じゃないの?ここに来たのって」
「そうだったか?随分最近だな、年取ったかな俺も」
フッと笑って歩き出す尊史に
「もぉ、まだ16でしょ!早すぎだよ、ボケるのは」
追いかけて突っ込むあさ美。
「そうだけどさ・・。コンはもう17だっけ?」
隣りに居るあさ美の顔を見て尋ねる。
「違うよ、まだ16。私の誕生日は5月だよ」
尊史は思い出してポンと手の平を叩き、
「そうそう、5月の7日だっけ。何か欲しいもんある?」
「えっ、いいよ」
「いいって、俺だってみんなから貰ってるんだからさ」
あさ美は右手の人差し指を右の頬にやり、夜空を見上げながら
「じゃあねぇ、ブランド物のバッグが欲しいな」
「・・・そういうのは他を当たってくれないか。俺にはとてもじゃないけど買えないからさ」
あさ美はクスッと笑い、
「本気にしないでよ。本当はペンダントが欲しいの」
「ペンダント?」
「そう、ハート型で中に写真が入れられるの」
「ふ〜ん、じゃあ今から買いに行こうか」
- 21 名前:第1話 ボーイフレンド 投稿日:2004/08/01(日) 13:41
- 横断歩道を渡り、店が多く並ぶメインストリート方面へと方向を変える。
「今から?もうお店閉まってるんじゃないの?」
「大丈夫だって。・・・まだ8時半だし、9時か10時くらいだって閉まるのは。そんぐらいだろ、普通」
携帯電話の時計で確認してからあさ美を見て話す。
「うん、じゃあ買ってもらおうかな」
微笑んで尊史の目を見て言うあさ美。
- 22 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/01(日) 18:10
- 必ず完結させるというなら、どちらか片方終わらせてから順にスレ立てた方が良かったのでは…?
- 23 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/01(日) 22:50
- その通りですね。
なんか欲張ってたみたいで・・・。
どうも失礼致しました。
これからは百花一本でやっていきます。
ご迷惑をお掛けしました。
- 24 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/02(月) 16:03
- 両方平行してやってたほうが、
よい場合もあると思うので、
無理して1本づつにしなくていいよ。
- 25 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/02(月) 16:35
- 有り難う御座います。
本当にありがたいです、こういうお言葉は。
つまらないものですが、これからも2本でやっていきたいなと思います。
名無し飼育さん、本当にありがとうございます。
何か救われました。
- 26 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/02(月) 17:05
- そうそう、放置しなければ2本やっていってもいいと思うよ。
どっちも楽しみにしてます。
がんばってください
- 27 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/02(月) 20:12
- ありがとうございます。
感謝してます。
- 28 名前:七誌さん 投稿日:2004/08/03(火) 00:28
- おっ!!いいとこめっけた!!
おもしろそうっすね!なつまり。さん、がんばってください。
- 29 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/03(火) 12:33
- 街灯が等間隔に並んでいるメインストリート。
そして街路と店の殆どがレンガ造りという少しオシャレな所である。
尊史とあさ美は数十件も並ぶ店の中から一つの装飾店に立ち寄った。
カランコロンと入り口に吊るされている鐘が店中に鳴り響く。
店の中はモダン風で数台のテーブルの上にテーブルクロスが引かれ、
その上に商品が並んでおりネックレス、ブレスレット、ペンダントが主にあり、種類も豊富だ。
「いらっしゃ〜い」
ここの女性店長兼店員稲葉貴子は、ちょっとした勘違いをしながらレジで二人を迎えた。
「お、紺野やんか。なんやぁ、そっちは彼氏か?」
「え、ち、違いますよ。男友達ですって」
肌の白いあさ美は頬をピンク色に染めて、照れながら俯き加減で否定した。
- 30 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/03(火) 12:46
- 「あ、すいません。ハート型のペンダントってありますか?中に写真が入れられるやつなんですけど」
尊史が貴子に尋ねる。
「おぉ、あるで。せやけど紺野、やっぱり彼氏ちゃうんか」
貴子はレジから商品の置いてあるテーブルに歩いて向かいながらあさ美をからかう。
あさ美は再度照れながら
「ち、違いますって。誕生日プレゼントを買ってもらうんですよ。彼氏じゃないです」
貴子は反応を見て、はっはっはっ、と笑ってから
「かわいいなぁ、紺野は」とあさ美に一言言ってからピンク色のペンダントを持ってきた。
「今店にあるのはこの色しかあらへんけどええか?」
「だって。これでいいか?」
コクリと頷くあさ美。
「わかった。これください」
「はい、まいどぉ!今日は特別、半額でええよ」
「本当ですか、助かります」
- 31 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/03(火) 12:59
- そういう会話をしながらレジへと向かう3人。
財布からお金を取り出して払う。
「はい、どうもぉ。そや紺野、折角やから架けて貰ったらどうや?」
「え、い、いや、あの、恥ずかしいですよ」
「照れなさんなって。ほい、彼氏さん」
右手で叩く真似をしてから、左手で尊史にペンダントを手渡す。
尊史は左手で受け取り、渡されたペンダントを数秒見詰めてからあさ美を見て、
「ほい、少し早いけどおめでとう」ペンダントを渡す。
貴子は明らかにがっかりしていた。
あさ美も少し寂しそうに鞄に仕舞いこむ。
「どうもありがとうございました。・・行こうか」
貴子に軽く会釈をしてあさ美に言って外に出る。
「うん。稲葉さん、それじゃあ」
あさ美も会釈して店を出る。
「あぁ、また来てなぁ」
だが貴子はあの子冷たいなぁと、また勘違いをして二人を見送った。
- 32 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/03(火) 13:13
- 店を出てから約5分、並んで歩く二人に会話は無い。
先程の横断歩道を渡り、あさ美の家がある方へと歩き続けていると尊史が突然、
「さっきのペンダント見せてくんない?」とあさ美に聞く。
あさ美はうん、と返事をした後、鞄からペンダントを取り出して渡す。
渡された尊史はあさ美に止まる様言い、あさ美は訳がわからないまま立ち止まる。
尊史はあさ美の後ろに回りペンダントを架ける。
「さっきはごめんな、冷たい態度とって。やっぱ人前じゃ恥ずかしいからさ」
そう言って笑顔であさ美を見る尊史。
あさ美はやっと理解してピンク色になりながら俯く。
「行くぞ」
歩き出した尊史にあさ美は顔を上げ、
「・・・ねぇ、手、繋いでいい?」
尊史は足を止め、振り返って
「いいよ」一言言って手を差し伸べる。
- 33 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/03(火) 13:22
- その後二人は手を繋ぎ、何気ない会話をしているとあっという間に家の前まで来てしまった。
「今日はありがとう・・・」あさ美が礼を言う。
「いやいいって。いつものお礼ってことでさ。誕生日おめでとうな」
「うん、ありがとう。・・・それじゃあおやすみ」
「あぁおやすみ。また明日な」
尊史はあさ美が家に入るのを見送ってから携帯電話を見る。
「9時半か。終電も間に合わないな、この時間じゃ。しゃあない歩いて帰るか」
その後尊史は一時間掛けて家の前まで来ると、坂道の上に一人の女性が居る事に気付いた。
その女性は月を背景にニコリと尊史に笑いかけて向こう側に歩いていった・・・。
- 34 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/03(火) 13:31
- 1話『ボーイフレンド』終了です。
2話は『新任教師』です。
28>七誌さん
ありがとうございます。
いいとこだなんて勿体無いお言葉です。
頑張ります。
- 35 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/03(火) 20:46
- こんちゃんがカワイすぎです
- 36 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/04(水) 14:01
- 突然ですが、2話の題名を『新任教師』から『恋をしちゃいました?』に変えさせていただきます。
あまり意味が無いと思いますが、ご了承ください。
- 37 名前:第2話 恋をしちゃいました? 投稿日:2004/08/04(水) 14:19
- 「ねぇ、手、繋いでいい?」
思い切って彼に言う私。
胸をドキドキさせながら待っていると・・。
「いいよ」と優しい一言。
その差し伸ばされた手をぎゅっと握る。
男の人の手って大きい・・。
握ってみて最初に思った感想・・。
本当はもっと小さいのかと思ってたけど・・。
だけど大きい方が安心する。
「なぁ、公園寄って行かないか?」
それを黙って頷く私。
公園かぁ、ドキドキするなぁ。
あれ?ここはどこ?
「どうしたんだ?」
心配する彼の声に辺りを見回しながら「うん・・」と軽い返事。
私はいつの間にか見たことの無い公園に来ていた。
両手を後ろにして一本の木に寄り掛かっている私。
「本当に大丈夫か?」
「うん、大丈夫・・ってびっくりしたー」
私は顔を上げて返事をしようとしたけど、彼が私を覗き込んでいるのにドキドキした・・。
「・・なぁ、コン・・。いや、あさ美」
「え?」
突然名前で呼ばれて戸惑っていると彼の顔が近付いてくる・・。
「俺・・お前のことが・・」
そっと唇に何かが触れたけど感触が無かった・・。
うそ・・これってもしかして・・・キ・・ス・・・?
「・・好きなんだ・・」
その時パチッと目が開いた。
体を起こし、そっと唇に触れてみる・・。
夢・・?
・・・。
は、恥ずかしい!
私、何て夢を見てんだろ・・。
両手でほっぺたを押さえているとみるみる温かく、ううん、熱くなってきた・・。
これってもしかして・・・恋・・・なのでしょうか?
- 38 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/04(水) 14:25
- ちょっと更新。
35>名無し飼育さん
読んで頂きありがとうございます。
自分のイメージしているコンコンが伝わって嬉しいです。
- 39 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/04(水) 19:47
- 35
こんちゃん・・・
恋をしちゃいましたー♪
どうなるのかこれから楽しみにしています。
- 40 名前:第2話 恋をしちゃいました? 投稿日:2004/08/05(木) 17:48
- 朝7時30分。
ダダダと誰かが階段を駆け上がる音がして布団を被り直す尊史。
「こらー!起きろ、尊史!何時だと思ってるんだ、よ!」
「ごふ!」
「駄目だよひとみちゃん。尊史が死んじゃうよぉ」
この行動、そして聞き覚えのあるアニメ声。
がばっとベッドから起き上がる尊史。
そこには金髪のストレートヘアーでほくろが多めの吉澤ひとみと、去年とは違って髪を黒く染めて大人っぽくなった石川梨華が立っていた。
実はこの二人は従姉妹であり、梨華は母親の姉の娘で、ひとみは母親の妹、つまり三女の娘である。
「何でひとみ姉ちゃんと梨華姉ちゃんがここに居るんだよ」
寝癖の付いている髪型で二人に聞く。
「昨日の夕方に来たんだけどさ、尊史が中々帰ってこないから暇だったんだよ」
「そうじゃなくて何で急に来たんだよ。・・・そっか、ゴールデンウィークか。だけど早くないか?」
今日は4月23日。GWまで後1週間だ。
「いいじゃんか、あたしらは暇だったから来たんだよ。まっ、これからしばらくこっちに泊まるけど、うちらが綺麗になったからって襲いに来るなよ。いとこなんだから」
「誰がそんなことするかぁ!」
「ねぇ尊史。ツッコミはいいんだけどさ、時間は大丈夫?」
「え?うわ!もうこんな時間か!早くしないと!」
時間を確認してドタドタと1階に降りていった。
「変わってないね〜、あいつ」
ひとみはやれやれと両手を上げて、梨華に話す。
「まぁいいんじゃない?そういうところがあの子のいいとこなんだから」
「そうかなぁ」
笑顔で答える梨華にひとみはあれの何処がいいとこなんだろうと、腕を組んで一生懸命考えたが答えは出なかった。
- 41 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/05(木) 18:03
- いしよし登場です。
その後も色々な人が出てくるので・・。
39>名無し飼育さん
いつも読んでくれてありがとうございます。
恋をさせちゃいました!
今、この後の展開を考え中ですが2話のオチだけは頭の中で組み立ててしまったので、それをどうやって持っていってコンコンや他の人達をどうやってからませるか。
問題は山積みなのですが。楽しいですね、話を考えるというのは。ドンドン、アイディアが出ます。けど、没ネタばっかりです。
後は、ネタバレになると困るのであまり言えませんが、・・・色々な人がいますよね?意味わかりました?そういう話も考えています。
- 42 名前:第2話 恋をしちゃいました? 投稿日:2004/08/06(金) 05:13
- 尊史は自分の机に鞄を置いた時、あさ美が目に映ったので挨拶をした。
「コン、おはよう」
「・・・おはよう」
あさ美はビクッとして振り返り、ボソッと挨拶した。
「どうし・・」
「おっはよー!尊史!あれ?どうしたの?コンコン」
どうした?と、あさ美に声を掛けようとしたら急に希美が挨拶をしてきてタイミングを失った尊史。
「あ、あぁおはよう」とりあえず返しておく。
「う、ううん、何でもないよ。のんちゃん」
「そう?それならいいんだけど」
「だけどどうしたんだ、希美。もしかしてまたプリクラの誘いか?」
冗談で言う尊史に希美は急に投げやりな口調で、
「わかんない。今日は無理だと思う。多分これからも・・」そして最後は悲しそうに言った。
「希美?」
「え?あ、ごめん。なんでもないよ、挨拶だけだから」
「そうか」
「うん、じゃあね」希美は無理矢理笑顔を作って廊下へ走って行った。
「・・それじゃあ、私も」
「ん?コン大丈夫か?さっきから様子がおかしいけど」
「う、うん。本当に何でもないから気にしないで」
「わかった」
本当は気になったがしつこいのもどうかと思ったので返事をしておく。
「麻琴。どう思う?あの二人の様子」
教壇に隠れながらヒソヒソと話す亜衣と麻琴。
「何か変だよね。あさ美ちゃんは逢う前みたいにおどおどしてるし。のんちゃんは何か違うし・・」
「せやなぁ。どうしたんやろ、のの・・」
- 43 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/06(金) 16:16
- 明日から私事の為、1週間程お休みさせて頂きます。
- 44 名前:七誌さん 投稿日:2004/08/07(土) 01:37
- 作者さま、更新どうもデス。
最近、忙しくてなかなかここに来れませんでした。・・・不覚・・・
二人のこれからが気になります。
なつまり。さん、ゆっくり休んで(?)しっかり更新がんばってください!
- 45 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/11(水) 19:50
- 44>七誌さん
レスありがとうございます。
今日帰って参りました。
ですが、話は出来ておりません。ごめんなさい。
これから早速書きます。
- 46 名前:七誌さん 投稿日:2004/08/13(金) 00:00
- 45>
がんばってお話作ってくださいね!
応援してますんで!
- 47 名前:第2話 恋をしちゃいました? 投稿日:2004/08/17(火) 17:41
- そして昼休み。
屋上で円になって昼食を食べていた尊史、あさ美、希美、亜衣、麻琴の5人に2人の人物が話し掛ける。
一人はポニーテールで一つ上の先輩の高橋愛である。
そしてもう一人は真里より少し身長が高く、黒髪だが少し茶色がかった髪の色。
あさ美と同じくらいか、それ以上の白く透き通った肌の女性だった。
「あ、いいなぁお弁当。ねぇ、のの。なっちにも分けてくんない?」
としゃがみ込み、希美のお弁当をねだる女性。
「えぇ〜やだよぉ。のんのお弁当だもん」
そんなやりとりを見ていて朝は何でもなかったんだと尊史はほっとした。
そして女性と一緒に来た愛に尋ねた。
「愛さん、この人って・・」
尊史の言葉を聞いた女性はピタッと動きを止めてしゃがんだまま尊史の方を向き、愛の代わりに話す。
「あ、ごめん。自己紹介がまだだったね。私は安倍なつみ。来週からここの先生になるんだ。それで今日は下見ってとこかな」
「そうなんですか。・・・あーー!」
「うわっ!びっくりしたぁ。どうしたの?」
「あ、あの、もしかしてあの安倍なつみさんですか?姉ちゃんと一緒のグループだった・・」
- 48 名前:第2話 恋をしちゃいました? 投稿日:2004/08/17(火) 18:10
- 「お姉ちゃん?」
キョトンとした様子で答えた彼女、安倍なつみは3人の女性だけのグループの元ボーカルで高校卒業と同時に単身で上京してきて、グループの一人と二人暮しを始め、3年間ストリートで歌い続けたが、去年ある理由で解散した。
解散した後、なつみは必死に勉強して資格を取った。そんななつみのデビュー当時から尊史はファンである。
「お久しぶりです。覚えてますか?弟の尊史なんですけど」
「あー!うんうん、覚えてるよ。久しぶりだねぇ、1年振り?元気にしてた?あの頃は毎日見に来てくれてたもんね〜。あの娘は帰ってきた?」
「まだですね。今年帰ってくるって言ってましたけど」
「そっか〜。今日は矢口に会いに行こうかな」
この時、あさ美は箸を咥えながら、二人の話している姿をじーっと見ていた。
「そうだ、ここのこと教えてもらえる?なっち初めて来たからさ、よくわからないんだよね」
「もちろんですよ!これからよろしくお願いします」
「うん、こちらこそよろしく。・・あっ、ごめん。もう時間だから行くね。じゃあね、尊史君」
なつみは腕時計で時間を確認してから、尊史に笑顔で手を振る。
「はい、それじゃあ」
尊史はなつみが立ち去った後もずっと笑顔だった。
- 49 名前:第2話 恋をしちゃいました? 投稿日:2004/08/17(火) 18:37
- (何よ!デレデレしちゃって。確かにさっきの人は綺麗だけど・・・。あそこまで鼻の下伸ばさなくてもいいじゃない!)
と、心の中で文句を言いながらパクパクと弁当を食べていると・・・
「んっ!」喉に詰まった・・・。
「あっ、おい!大丈夫か、コン!」
デレデレして鼻の下を伸ばしていた尊史が逸早く気付き、自分のペットボトルのお茶を渡した。
「これ飲め」
あさ美は苦しそうな表情で黙って頷き、ゴクゴクと喉を鳴らして飲み干した。
「く、苦しかったー!」
「あ、コンコン間接キスやー」
「ほんとだー」
亜衣と麻琴が、からかいながら言った。
「え?」(間接・・・キス・・)
ドクンとあさ美の心臓が脈打つ。
「いいだろ、そんなこと。ま、気にすんなよな、コン」
笑顔で尊史は言うがその笑顔もあさ美には擦れて見え、その瞬間フッと意識が無くなり、その場にゆっくりと倒れてしまった。
「お、おい大丈夫か?」
軽く頬を叩いて意識を確認するが反応がない。
「貧血かな。とりあえず俺が保健室に連れて行くから先生に適当に言っといてくれ」
「うん、わかった」
希美の返事を聞いた尊史はあさ美を背負って屋上を出ようとしたら、
「尊史!」と愛に呼び止められた。
「ん?」
愛は小走りで尊史に近付き、耳元で、
「放課後、うちの教室に来てくれん?大事な話があんのやけど」と小声で話した。
「わかった、放課後ね」
笑顔で返事をした後、ゆっくりと保健室へ歩いていった。
- 50 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/17(火) 18:48
- 久々の更新です。
次回で2話終了の予定です。
46>七誌さん
お待たせいたしました。
応援ありがとうございます。
今回は少し焦って書いたので文章がめちゃくちゃですが、目を通して頂けると嬉しいです。
- 51 名前:39 投稿日:2004/08/17(火) 21:22
- 間接キッスで気を失う紺ちゃん。カワイー♪
愛ちゃん、話ってなんだろ?気になるな・・・
次回も期待しまっくってます
- 52 名前:七誌さん 投稿日:2004/08/19(木) 21:53
- 紺ちゃん・・・なにも間接キスで気ィ失わんでも・・・。
でも・・・可愛いな・・・なんて思ったり。
愛ちゃんの話ってなんだろー?
次回更新、期待して待ってます。
- 53 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 09:58
- (あ、なんか気持ちいい・・。なんだろ・・。手?誰の手だろ)
あさ美はスッと自分の額に乗っている手に触れてみる。
「おぉ!びっくりしたー!脅かすなよなー」
(・・・この声、尊史?)
あさ美はゆっくりと目を開け、その人物を確認する。
「おっす、おはよう。って夕方だけどな」
「尊史・・」
ある程度予想していたとはいえ、本人が目の前に居るのは気恥ずかしい。
「もしかしてずっといてくれてたの?」
「あぁ、そうだよ。飯田先生が居なくてさ。だけど気にすんなよ?コンのおかげで授業サボれたし。あ、こういう言い方って悪いよな、ごめん」
「ううん、いいよ。・・・いてくれたのが尊史でよかったし・・・」
「ん?」
「え?あ、なんでもないよ。一人ゴトだからさ」
「そうか。あ、そうそう、鞄はそこにあるからな。でさ、悪いけど一人で帰ってくれないか?今から用があるからさ」
「うん」
「悪いな。それじゃ、気を付けて帰れよ」
「うん、じゃあね」
「おぅ」
尊史は椅子から立ち上がり、数歩歩きドアの前であさ美に手で挨拶をしてから保健室を出て行った。
- 54 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 10:05
- 「・・さて、帰ろうかな」
尊史が出て行ってから数分が経ち、あさ美はベッドから降りて髪や服装等の身だしなみを整えてから、鞄を持ち、保健室を出る。
「どうしようかな。一人で帰るのも嫌だからまこっちゃん達と帰ろ」
保健室前の廊下で独り言を言ってから、3階にある自分達の教室に向かう。
- 55 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 10:12
- 「まこっちゃん、あいぼん、のんちゃん。一緒に帰ろー」
だが教室に着いたあさ美の第一声は虚しく教室中に響くだけだった・・。
「あれ誰もいないや。帰っちゃったかぁ。んー・・・愛ちゃんいるかなぁ。だけど行くだけ行ってみよ」
あさ美は軽く走り出し、愛の教室がある2階へ向かった。
- 56 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 10:39
- 「はあ、着いた」
『でさぁ』
(あれ、愛ちゃんの声。良かった、いたんだ)
「愛ちゃ・・」
(え?尊史?何でいるんだろ。もしかして用ってこのこと?)
あさ美が愛に声を掛けようとした時、あさ美の視界に教室の中央で向かい合っている二人が目に入った。
慌てて身を壁に隠し、そっと顔半分だけを出し、様子を見ることにした。
「・・・のことが好きなんよ。そういうことだから付き合ってくれない?」
(え?これって告白?こんな簡単に言っちゃうものなの?私のイメージしてたのと違う・・)
昔から恋愛には奥手で、告白の場面をドラマでしか見たことのないあさ美は初めて告白の瞬間を見て、自分の理想と大きく離れていることにがっかりした。
そして次の瞬間、あさ美の中で何かが崩れた・・。
「んー、いいよ。そういうことなら」
(っ〜〜〜。お前もかー!しかもこっちも軽いし・・。何でこの二人は・・。どうなってんの・・。・・グスッ・・私の恋はどうなるの?・・・ねぇ、誰か教えてよ・・・)
- 57 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 10:50
- 「・・・」
あさ美は物音をたてないように静かにその場を離れた・・。
・・・二人に気付かれないように・・・
・・・・気付かれないように・・・・。
テクテクテクテク・・・
ズルッ
フワッ
・・フッ
・・・
ビターン!
・・・・・。
「い、痛い・・・(泣)」
起き上がり、顔を両手で押さえながらキョロキョロと左右を見回す。
よし、誰もいない。
あさ美が確信しようとした時、後ろから視線を感じた。
- 58 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 11:01
- 恐る恐る視線が感じる後ろを振り向く。
「あ」
四つの目と視線が合った。
愛と尊史だ・・。
愛はしゃがんで、尊史は立ち、ヒョコッと教室から顔だけを出して、じとーっとあさ美を見つめている。
「なにやってん」
愛が顔だけを出したまま口を開く。
「なんでもないよ。・・なんでも・・」
(言える筈ないよ。告白してるとこを見てた、なんて・・)
あさ美が視線を二人から外した時、愛が一言。
「もしかして、今の・・・見てた?」
その言葉があさ美の胸に突き刺さった。
自然と涙が溢れそうになったあさ美は隠すように前を向き、黙って走り出した。
「あ、コン!」
「あさ美ちゃん!」
(どうしたんだろ、あいつ。聞いてみるか・・)
「行こうか、愛さん」
尊史は愛の手を握って走り出す。
「え?ちょ、ちょっと!」
- 59 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 11:15
- (なんで?なんであんな簡単に答えちゃうの?私の気持ちも・・・知らないで・・)
今、あさ美は校舎から400m程離れたところにある公園で夕日を浴びながらブランコに揺られていた。
(だけど私。何で尊史のこと好きになったんだろ・・。多分、今朝の夢だよね・・。キスしたから?それなら誰でも良かったんじゃないのかな・・。そしたら幼稚園や小学校で好きになった子でも良いわけだし・・。付き合いが長いから?ん〜・・・わかんない・・・。恋愛って・・難しいなぁ・・・。みんなは誰かと付き合ったことあるのかな・・。・・・尊史は私のことどう思ってるんだろ・・・って、友達としか思ってないんだよね。愛ちゃんのことが好きだから付き合うことになったわけだし・・。・・・なんだろう、変な感じ・・・。こんな気持ちになったの初めて・・)
あさ美が自問自答していると遠くから、
「みつけた」という声が聞こえた。
「え?」
あさ美は思わず、声がした入り口を見た。
- 60 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 11:40
- 「よっ!」
「た、尊・・・史・・」
あさ美に向かって肩で息をしながらも笑顔で挨拶する人物はあさ美自身、追いかけて欲しかった人だったが、その右手はあさ美にとっては恋敵とも言える愛の手をしっかりと握っていた。
そのことに嫉妬を覚えたあさ美は心にもないことを言った。
「なんで来たの!?私のところになんか来ないで二人で帰ればいいじゃん!仲良く手なんて繋いじゃって。自慢しに来たの?!・・・ねぇ、どうなの!」
目に涙を溜めて唇を噛み締めながら、真っ直ぐ二人を見詰めるあさ美。
(どうしてこんなこと言えちゃうんだろ、私・・。・・・最低だよ・・・)
(あさ美ちゃん・・・もしかして尊史のこと・・)
そんなことを考えながらあさ美を見つめている愛。
その愛の手をスッと放し、黙ってあさ美に向かって歩き出す尊史・・。
「・・・何?帰るなら早く帰りなよ・・。私は一人で帰るから・・」
ブランコに座ったまま、尊史を見上げながら言うあさ美。
「・・・」
そんなあさ美を無表情で黙って見詰める尊史は急に・・
「コン・・・。お前・・なんか勘違いしてない?」と笑いながら話した。
「へ?」
思わず間抜けな声が出た。
「俺たちは付き合ってないよ」
「だって、愛ちゃんが尊史のこと好きだって・・」
「そんなこと一言も聞いてないぞ、俺。ねえ、愛さん?」
「え?う、うん」
何を話しているかわからない愛は相槌を打った。
「だ、だけど確かに好きだって」
「あ〜、わかった、そういうことか。お前の完璧な勘違いだわ。愛さんが言ってたのは・・・」
一人で納得した尊史は先程の愛の言葉だけをあさ美に話した。
- 61 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 11:51
- 『尊史に大事な話っていうのはさ、うち、今彼氏がおんのよ。結構上のね。で、服をプレゼントしたいのよ。んで、彼が尊史と同じくらいの身長なの。うち、男の人にプレゼントするの初めてやから、どんなん渡したらええかわからんのよ。変なの渡して嫌われたくないし・・。彼のことが好きなんよ、そういうことだから付き合ってくれない?』
「つまり・・。服選びの手伝いとサイズ合わせに付き合えってこと。結局はその彼氏様の為のお買い物に行くわけ。わかった?」
「尊史、なんか怒ってない?」
最後の怒った口調に疑問を抱いたあさ美は聞いてみるが、
「え?そうか?気のせいだろ。・・・明日なんだけどコンも来るか?」と、誤魔化し話を切り替える。
「え、愛ちゃんが良いって言うなら行きたいけど・・」
思わず答えてしまうあさ美。
「そっか。愛さんなら嫌だとは言わないと思うけど、一応聞いてみるか。ほら行くぞ、3人で帰ろうぜぃ」
- 62 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 11:58
- その時笑顔で何気なく差し出された手。
私は上手く誤魔化されたなと少し思いながらも多少緊張しながらその手を取り、手を繋ぎながら愛ちゃんの元へ歩いていく。
愛ちゃんに聞くと笑顔でいいよと言ってくれて、一緒に行くことになった。
その後、3人で帰ることになったけど、帰り道愛ちゃんが嬉しそうに彼氏の話をする度、尊史はムッとした顔になる。
それがどんな意味を表しているのか、その時の私は尊史が愛ちゃんのことが好きで嫉妬しているんだと思ったけど、まさかそういう理由だったなんて思いもしなかった・・。
- 63 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 12:03
- 2話終了です。
少々ネタバレ気味なオチですが・・。
次回は『愛の種』です。
題名に特に意味はありません。
愛ちゃんが中心になるお話と言う事で・・。
- 64 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 12:16
- 51>39さん
今日、更新致しました。
愛ちゃんの話はご期待に答えれるかは微妙ですが、頑張って書きました。
52>七誌さん
コンコンの間接キスは正直、やり過ぎたかなと思いましたけど、それしか思いつかなかったので・・。
今度は少し常識を考えて書きたいと思います・・。
- 65 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/24(火) 12:16
- オチ隠し・・。
- 66 名前:七誌さん 投稿日:2004/08/25(水) 00:16
- やっぱいつ来てもここはすばるぁすぃ!
続きがますます気になります!
更新待ってます!
- 67 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/29(日) 05:21
- 間接キッス。全然OKだと思います
むしろそれ以上でも・・・
- 68 名前:なつまり。 投稿日:2004/08/29(日) 16:09
- 66>七誌さん
毎回読んで頂いてありがとうございます。
続きは今書いているところです。
お返事だけでもということで・・。
すいません、もう少し待っていてください。
67>名無し飼育さん
レスありがとうございます。
それ以上・・・。
キス程度は考えていますが、それよりも上のことはご希望があれば挑戦しようと思いますが、
書くなっていう方々の方が多いんじゃないかと思います。私の文章力では・・。 長文、すいません。
- 69 名前:67 投稿日:2004/08/30(月) 21:57
- それは話の流れ方しだいでいいと思います
まあ自分は希望してますが、ムリに入れなくてもいいです
そんな事よりこれからもガンバってください
- 70 名前:七誌さん 投稿日:2004/08/30(月) 23:37
- >>68 なつまり。 さん
了解です!!続きがんばってください!
- 71 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/03(金) 09:59
- 紺野さん、あなたはもう・・・・・・・・・・
もう、続きが気になります・・・・・・・・・・
- 72 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 21:54
- 第3話 愛の種
- 73 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 22:05
- 翌日の土曜日、朝9:00。
「尊史起きろ〜。おーい。う〜ん、ダメだな」
軽く頬を叩いて自分のベッドで寝ている尊史を起こそうとしている真里。
そこに亜衣と希美の2人がニヤニヤしながら「まかせてください」と真里に言った。
希美はベッドに上がり、尊史に添い寝して顔を尊史の耳元に寄せる。
亜衣はベッドの縁に顎を乗せ、希美と同じように顔を耳元に寄せた。
2人はアイコンタクトをして頷き合い、同時にフッと息を吹きかける。
「う〜ん・・」
少し縮こまり希美の方に転がる尊史。
- 74 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 22:15
- 「きゃっ、尊史ったら積極的!」
両手で頬を押さえながら照れている希美に真里が、
「はいはい、照れるのも良いけど辻、ベッドから降りな。おいらがよっすぃ〜直伝の方法で起こすから」
ニヤッとして言った。
希美が降りてから真里は数歩下がって走り出し、尊史の上に勢い良く乗っかる。
「うっ!」
真里の行動を見た希美と亜衣は一緒に尊史の上に乗る。
「「えい!」」
「がはっ!・・・誰だよ、またひとみ姉ちゃんか。しつこいぞ」
目を擦りながら体を起こすと自分の足に座っている希美と目が合った。
- 75 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 22:28
- 「おはよ」
満面の笑みで挨拶する希美に挨拶を返した。
「ん、ああ希美か、おはよう。あ、真里姉と亜衣もおはよう」
尊史は眠そうな目で立ってこちらを見ている真里と亜衣にも挨拶をした。
だが辺りを見回して自分の部屋だとわかった尊史は3人に聞いた。
「ん?なんで希美達が俺の部屋にいるんだよ」
「おせーよ!」と真里にツッコまれてしまった。
- 76 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 22:49
- 「ま、いいや。顔洗ってから下でご飯食べなよ」
「ふぁ〜あ、わかった。飯食ってくる」
欠伸をしながら頭を掻いて出て行く尊史を見送りながら真里は、
「やれやれ、大丈夫かねぇ」とぼやいた。
リビングに着いた尊史は相変わらず眠そうな目で「母さん、朝飯」
と一言言ってからソファに乗っている新聞を拾い上げ、番組覧をチェックしながらテーブルに向かい、椅子に座る。
「おはよう、出来たよ」
「お、サンキュ。ん?母さん、新しい茶碗買った?・・・・・あれ?なんでコンもいるんだよ。母さんは?」
そこにはピンクのチェック柄のエプロンを着たあさ美が、なぜかおたまを持って立っていた。
「あ、それ?尊史男の子でしょ?よく食べるかなぁって」
「いやいやいや、コンさん。答えになってないよ、なんで・・」
と、言いかけた時ガチャとリビングのドアが開いた。
- 77 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 23:13
- 「はあーいい湯だった。あ、おはよう、やっと起きたね」
朝風呂から上がったなつみが頭にタオルを巻いて、尊史に挨拶する。
「あ、おはようございまーす、って違ーう!」
バンとテーブルを叩くとまたドアが開き、今度はひとみが入ってくる。
「朝からうるさいぞ、尊史」
「あ、吉澤さんおはようございます」
「おはよう、コンコン。安倍さんおはようございます」
「おはようよっすぃ。また走ってきたの?」
「はい、5キロ程」
と、それぞれ挨拶を交わしてひとみは首にかけてあるタオルで汗を拭きながら尊史の向かいに座る。
- 78 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 23:23
- そしてすぐにあさ美がひとみに沢山のべーグルとサラダを。
尊史に目玉焼きと味噌汁をトレイに乗せて持ってきた。
「ありがと、コンコン」
「おぅ、サンキュ」
尊史は椅子に座ってから礼を言った。
2人はそれぞれ礼を言った後、揃って「いただきます」と言ってから食べ始めた。
- 79 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 23:40
- 10分後、食べ終わり自分達で食器を片付けていると尊史があさ美に質問した。
「そういえば朝飯って誰が作ったんだ?」
「え?それは・・・」
「なに変なこと聞いてんだよ。コンコンに決まってるだろ?朝早く来てくれて一人で作ってくれてたんだぞ」
答えようとしていたあさ美に言わせないようにひとみが流しに食器を置きながら答えた。
「そうなんだ。うまかったよ、朝飯。ごちそうさん」
「え、うん・・・」
あさ美は俯いて気のない返事をした。
尊史はそれを気にする事無く、2階の自室へ戻っていった。
その反応をみてひとみはポンとあさ美の肩を叩いた。
「悪いね、素っ気無い態度で。あいつ他のことは人一倍よく気付くんだけど、何故か恋愛のことは二倍以上鈍いんだ。だから勘弁してやって」
「な、なに言ってるんですか!どうして私にしたんですか?本当は全部吉澤さんが作ったのに」
「ハハッ、気にしない気にしない。これで尊史の中でコンコンの株が急上昇かもよ?」
「そ、それは・・・」
「ほら、それでいいじゃん!コンコンも早く朝ご飯食べちゃいな、まだでしょ?」
そう言ってひとみはリビングを出て行った。
あれ?なんで吉澤さんが?
「ちょっ、吉澤さん!なんでそのこと知ってるんですか」
ドアに向かって叫んだが返事は返ってこない・・。
行っちゃった・・。
諦めたあさ美は用意してあったパンをテーブルの持っていった。
- 80 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/03(金) 23:47
- 株が急上昇かもよ?
先程のひとみの言葉があさ美の頭の中で響いた・・。
急上昇ねぇ、だけど尊史って鈍いんじゃなかったっけ?
はあー、絶対上がってないよ・・・。
そんな溜息をついているあさ美をなつみはソファから微笑みながら見ていた。
いいねー、青春って。なっちもあんな時期があったなぁ、などと考えながら。
- 81 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/04(土) 00:08
- 更新しました。
一つ訂正です。79は『テーブルの上に持っていった。』です。
凡ミスをやってしまった・・・。
もう少し家での話が続きます。
69>67 名無し飼育さん
わかりました。ですが、番外編みたいな形で考えています。今のところ。
70>七誌さん
わざわざお返事ありがとうございます。
頑張ります!
71>名無し飼育さん
私は名無し飼育さんの『・・・・・・・・・・』が少し気になりました。
頑張って書きますので、これからもよかったら見に来てください。
- 82 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/04(土) 02:50
- いいなーこんな生活、あこがれっすね。
- 83 名前:七誌さん 投稿日:2004/09/05(日) 01:56
- よっすぃ・・・勘がするどい!
コンコンが10秒後くらいに反応したぜよ。
家での二人もいいですなぁ〜・・・。うん、OK!
てな訳で続きまってますぜよ。
- 84 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/11(土) 00:17
- 真里はベッドに寄り掛かりながらある人にメールを打っていた。
そのとき、パジャマ姿の尊史が戻ってきた。
そのままスタスタと歩き、ベッドに腰掛ける。
「で、質問したいんですけどお姉さん?」
「ん?なにを?」
真里は携帯から目を離さずに聞いた。
「なんでみんないるんだよ、しかも安倍さんまで」
よし、送信!
「!あ〜、そのことぉ」
真里はやっと思い出し、携帯を閉じながら尊史を見た。
そして隣りに腰掛ける。
- 85 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/11(土) 00:25
- 「・・・お兄さん、今日デートらしいじゃないですか。しかも3人で」
人が変わったように喋り方が変わり、尊史の脇を肘で小突く。
「ウフフ、悪い子だな〜。おいら達に内緒でそういうことをするのは・・。
と、いうわけでおいら達も付いていくことに決めました!イェイ!」
一人盛り上がっている真里に希美と亜衣は・・・。
(矢口さん朝からテンション高いな〜)
(しかも少しキャラ違ってへんか?)
と、本人を目の前にしてあまり言えないことを思っていた。
- 86 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/11(土) 00:39
- 続きは今日中に書きたいと思います。
82>名無し飼育さん
私もこういうのは密かに憧れています・・。
本当にあったら羨ましいですね〜。
83>七誌さん
お!OKもらいました!
よかったです。
少し退屈なとこじゃないかな〜と思っていたので。
- 87 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/11(土) 12:39
- やった、待ってました!!!
- 88 名前:七誌さん 投稿日:2004/09/11(土) 22:28
- 更新乙です!
>>86なつまり。様。
全然退屈じゃぁないですよ!
むしろいい感じ?みたいな(笑)
これからもまってます。
- 89 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/11(土) 22:40
- 「いいけど、別に。みんなも誘おうと思ってたし。じゃあ俺風呂入ってくるから。
適当な時間になったら行こうぜ、昼はあっちで食べればいいし」
「そうだね。お昼は尊史のおごりってことでヨロシクぅ!」
「え?またかよ。自分達で買えば良いだろ」
「いーじゃんか!一番お金持ってるんだから」
「そやそや!」
真里と亜衣が大声で抗議する。
- 90 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/11(土) 22:51
- 「別にいいけどさ。こっちがおごってもらったことないんですけど、一度も」
「あるでしょ、小さい頃にさ」
「駄菓子だろ、それ。しかも5円チョコ」
「だって尊史チョコ好きじゃん」
「チョコ好きだからって毎回はないだろ、しかも拒否ったら無理矢理口に突っ込みやがって。たまには違うものも食いてぇよ!」
希美と亜衣はクスクス笑っている。
「昔のことでしょ?今は今だよ、お兄さん。諦めなさい」
「・・・はい」
真里の冷静な物言いに諦めて折れることにした。
- 91 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/11(土) 22:57
- 「よろしい。ほら、お風呂入ってくるんでしょ?
早く入ってきて、早く行こうよ。おいらほしい服があるんだよね〜」
「ん?どこ行くか知ってんの?」
「え、渋谷じゃないの?」
「いや横浜」
「はあ?横浜?なんで」
「なんでって本人の希望ですから」
「横浜なんてな〜んもないじゃん」
- 92 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/11(土) 23:05
- 「あるじゃん。・・・チャイナタウンがさぁ」
笑いながら遠い目をして言う。
「チャイナタウン!?のん、絶対に行く!」
(チャイナタウンでよくわかるな〜。英語あんま出来へんのに。
まぁ、単語やからわからんってこともないわな)
「だろ?行くだろ!はぁ〜肉まんに焼売、餃子にラーメン、杏仁豆腐、飲茶楼。
考えただけで腹減ってきたな〜。朝飯食ったばかりだけど」
「のんも〜」
遠い目をして今にもよだれを垂らしそうな二人に亜衣と真里は、はあ〜、と深い溜息をついた。
飲茶楼はお茶だよ・・・。
- 93 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/11(土) 23:14
- 飲茶楼・・・。
自分で書いてて懐かしいな〜と思いました。
CMが見たい・・・。
87>名無し飼育さん
待っていてくれてありがとうございます。
これからもお付き合い頂ければなと思います。
88>七誌さん
そう言って頂けると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
- 94 名前:七誌さん 投稿日:2004/09/12(日) 21:50
- 最近、認証コードの意味がわからないバカな七誌です。
>>93なつまり。様
こちらこそ。よろしく。
尊史の心の中の突っ込みもなかなか・・・。
続きまってます。
- 95 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:05
- あの後、下に降りた尊史は今、着替えを持ってバスルームの前にいる。
(ん、シャワーの音が聞こえる・・。・・・・・あ、ひとみ姉ちゃんか。
走ってきたって言ってたし、ここで待ってるか)
そう思い、ベタッと壁に寄りかかって座り込む。
と、その時ガラっと扉の開く音がした。
「ひとみ姉ちゃん、あがった?」扉越しに問い掛ける。
「え?その声尊史?なにしてんの?覗き?」
- 96 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:07
- 「違うって、そんなのに興味ないよ。待ってるだけ」
「なに、あたしに興味がないってことは男が好きなの?」
(なんでそうなるかな・・)
「覗きに興味がないって言ってんの。俺は至ってフツーですから。
ひとみ姉ちゃんじゃないの?同姓に興味があんの。例えば麻琴とか」
「麻琴?・・・麻琴は好きだけどそんなんじゃないよ」
途中、こもった声が聞こえた。どうやらシャツを着たらしい。
- 97 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:09
- 「ふ〜ん。じゃあ梨華姉?」
「ん?い、いやぁ。梨華ちゃんは、ねぇ。そんなはずないじゃんか、ハハ」
「ほほ〜、梨華姉じゃないなら真里姉だ?」
「な!なに言ってんだよ!矢口さんは同じ女性だぞ!そんなはずないだろ!」
さっきとは明らかに違う態度に真里だと確信した尊史はわざとらしい声で聞いてみた。
- 98 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:11
- 「あれ?今頃になってその言い訳?少し遅いんじゃないの?・・・白状したら?図星だろ?」
「ど、どうだっていいだろ、そんなこと。なんで今そんなこと聞くんだよ」
「なんで?フッ、愚問だな。・・・からかいたかった。それだけさ」
「は?そんだけ?」
「そんだけ。他になにがあんの?」
「マジか・・・」という独り言が聞こえた。
「ねえ」問いかけながらひとみが出てきた。オールバックで・・。
「内緒にしといてくんない?」小声で聞いてきた。
- 99 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:16
- 「いいよ」と意外にもあっさり答えた。
あまりにもあっさりしすぎて逆に怪しいと読んだひとみは諦め半分で聞いた。
「やけにあっさりしてんね。なに?口止め料?いくら?」
「いらないよ、そんなの」
(へぇ〜、今時しっかりしてんだなぁ)
「だけどさ」
(!え、なに?もしかしてお金以上の要求?)
- 100 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:22
- 「今日みんなに肉まんおごるってことで黙っといてあげるよ」
あまりにも小さい要求だった・・。
安心したひとみは焦っていた表情を出さないように冷静に努めた。
「ほぉ、自分一人じゃないんだ?」
「当たり前だろ?俺一人で食ってたらそれ以上の物をたかられるっていうことが目に見えてるから・・」
悲しそうに言った。どうやら本当にそれが心配らしい。
(あぁ、それが本音か)
「わかったよ、それでいいんなら」
- 101 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:26
- 「OK、交渉成立だね。あれ?そういえばひとみ姉ちゃんが気になってる梨華姉は?」
「!違反だろ!それ!・・・・部屋で爆睡してるよ、抱き枕抱きながら・・。来ないね、あれじゃあ」
「そっか。なら帰りになんか買って行こうか」
「ふ〜ん。(そうやってポイントを稼ぐ気か)言っとくけど梨華ちゃんはいとこだよ?
まぁ、彼氏いないから手、出しちゃいけないってわけじゃないけど。・・・・いとこだよ?」
最後は心配そうな顔をして念を押した。
「・・・?なに言っとるんですか、お姉さん。俺はそんなのがあったら嬉しいな〜って思っただけ」
「ふ〜ん、しっかりしてんねぇ。そういうことは彼女にするもんじゃないの?フツー」
「いたらの話だろ?残念ながらそういう人はいないものでね」
「なんだ、おもしろくないの。じゃあ好きな人は?」
- 102 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:28
- 「いるよ」
「え?今いるって言った?」
「うん」
(ほっほっほ、バカ正直だなぁ)「で、誰?」
「え、いや、あの、その・・・ひとみ姉ちゃん・・」
俯いて頬を少し赤らめながら言った。
「・・・はぁ?あたし?な、なに言ってんだよ!あ、あたしはお断りだからな!なんで・・・・・」
突然のことに最後はボソボソと文句を言っていた。
「お姉さんお姉さん」
「・・・ん?」
- 103 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:30
- 「じょーだん」
「え?(そ、そうだったの)・・・・そ、そんなのわかってたよ。本気にするはずないだろ、あたしが」
「その割には満更でもないって顔してたけど?」
「う、うっさいなぁ!突然のことにビックリしただけだよ!」
「そーかい。俺もOKされたらどうしようかと思ったよ」
「なんだと!」
「だってひとみ姉ちゃんに対してはそういう感情がないから」
(に対しては?・・・・・ふ〜ん、他にいるってことかぁ。
誰だろ、コンコンだったら両想いになっちゃうから結果的には良いかも知れないけど、
あたしとしてはそれじゃあ面白くないし、物足りないんだよね、なんか。
三角関係なんて面白そうなんだけどなぁ、都合良くなるわけないか)
- 104 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:32
- 「ひとみ姉ちゃん?どうした、ぼーっとして」
「ん、いや、なんでもないよ。・・・じゃああたし行くから、早くしなよ。みんな待ってるから」
「わかってるよ」そう言ってバスルームへと入っていった。
(さて、あたしは・・・。・・・・・梨華ちゃんの寝顔見てよーっと♪梨華ちゃーん)
さっきとは打って変わってごきげんのひとみは満面の笑みで尊史の向かいの部屋、
今はひとみと梨華の部屋へと戻っていった。
- 105 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/20(月) 11:49
- 約1週間振りの更新終了です。
94>七誌さん
どうしたんですか、突然。
認証コード・・・・ってなんでしょうね。
私にはピンときません・・。
心の中のツッコミ・・。
もし92の関西弁のことを言っているのだとしたら、あれは亜衣のツッコミです。
申し訳ありません、表現力不足で・・。
次回からわかりやすく出来るように頑張ります・・。
今回のことでなにかわからないこと等がありましたら言ってください。
毎日のようにここに来ているので早めにお答え出来ると思いますので。
- 106 名前:七誌さん 投稿日:2004/09/20(月) 22:13
- >>105
あ、認証コードのことは気にせんでください。もう「済」です。
そうでしたか、亜依でしたか、すいません。
次からはきちんと読みます・・・。
気を取り直して・・・次回更新待ってます。
- 107 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 10:56
- 15分後、タオルで頭を拭きながら自室へと戻ってきた尊史だが部屋には誰もいなかった。
「あれ?どこいったんだ、みんな。・・・・・ま、その内戻ってくるだろ。着替えて待ってるか」
タオルをベッドに投げ捨て、クローゼットを開けて、上着とジーパンを取り出した。
「・・・・・」
・・・・中にいた何かと目が合ったが、無視してクローゼットを閉じた。
続いてタンスから靴下を取り出そうとしたら、カーテンがモゾモゾと動いていた。
・・・・・これも敢えて無視しておこう。
いざ、着替えようと押し入れの方を向きながらシャツとパンツ姿になると、襖(ふすま)が少し開いている事に気付いた。
- 108 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 10:58
- 押し入れに近付き、そのまま中を覗き込んだ・・・・中にはのぞ・・・・いや、誰もいなかった・・。
いなかったことにしといてあげよう・・。
希望を壊すことはしない方がいい・・。
後で何されるかわからないからな、気付かない振りをしておいてあげよう。
で、驚いた振りをする・・。
そしてあいつらは喜ぶ・・。
それでいいんだ、簡単なことだ・・。
- 109 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:06
- 自分に言い聞かせてから、ジーパンと靴下を履き、上着を着てから、
安楽椅子に座り込み、リモコンでコンポの電源を入れ、音楽をかける。
曲は俺のお気に入りの一つで安倍さんの最後の曲『ひとりぼっち・・』
バラードが好きな俺にとっては最高の一曲である。
あの頃・・・1年前、最後のストリートで安倍さんが泣きながら歌っていたことを思い出しながら口ずさむ・・。
- 110 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:07
- カラダは素直に泣いてる
ココロはひとりぼっち・・
ルールはどこにもないのに
ジブンで決めつける・・
白鳥大橋は冷静な表情
今日も見守ってWOW
いつの日でも
カラダは素直に泣いてる
ココロはひとりぼっち・・
ルールはどこにもないのに
ジブンで決めつける・・
- 111 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:08
- ・・・曲も終わり、電源を切っていつのまにか閉じていた目を開く。
そこには先程とは違い、クローゼットの前に真里姉、カーテンには亜衣、押入れの前には希美が立っていた。
「すごいじゃーん、そんなに歌うまかったっけ?おいら感動しちゃったー」
「うちも感動したわぁ」
「のんもぉ。そういえばなんで今まで来なかったの?カラオケ。もったいないじゃん、そんなにうまいのに」
「ん?あぁ、人前で歌うのが恥ずかしいんだよ」
「え、それだけの理由で断ってきたんか?もしかして」
亜衣の問いに力強く頷く。
- 112 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:09
- 「ふ〜ん。で、一人で歌ってるんや。・・・根暗やなぁ、案外」
うっ、痛いところをついてくるなぁ。・・・あ、そういえば。
「出て来て良かったのか?驚かすんじゃなかったの?」
俺の言葉にしまったという顔をする亜衣と希美。
真里姉は表情を変えていない。
どうやらわかって出て来たのだろう。
- 113 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:11
- 「おいらは付き合わされただけだから、そういう気はなかったよ」
へぇ、その割には縮こまって怯えた目で隠れてたのにな。
・・・・・。
それがちょっとかわいかったけど・・。
いや、いかん!そんなこと考えちゃ!マニアックすぎるぞ、俺〜!
そんな考えは打ち払え〜!
- 114 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:12
- 頭を横に振り、マニアックな考えを忘れようとするその行動に3人はしら〜っとした目で見ているのに気付いた。
「なに、やってんの?」
「い、いやぁ、なにも。オ、オイラは決してやらしいことなどは考えてねぇっすよ?」
真里に普段とはかなり違う口調で答える。
それには動揺を隠せていないことが窺える。
「へぇ〜、そんなこと聞いてないのに。そんなこと考えてたんだぁ、ふ〜ん」
真里姉の意味ありげな笑いにどうせ言い触(ふ)らすんだろうと半ば諦めていた。
- 115 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:14
- 「けど仕方ないよね」
え、わかってくれたんだ、真里姉。さすが幼馴染だなぁ。
「こぉ〜んなセクシーでキュートなお姉さんがいるんだもん。考えない方がおかしいよねぇ」
言いながら真里姉は俺にウインクをしながらセクシービーム(ポーズ)を出してきた。
正直関心が全く無い俺。
真里姉はそんなのそっちのけで出し続ける。
・・・だがそんな真里姉を見ているとある衝動に駆られてきた。
ヤバイ、抑えるんだ。
抑えないと真里姉に、真里姉に・・。
あ〜!もうダメだ〜!ガマン出来ない!
- 116 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:16
- 俺は2、3歩真里姉に歩み寄り、抱きつ・・・・かず、ゲンコツを一発。
「いった〜い、なにすんのさ!」真里姉に怒られるではないか・・。
「うるさい!ウザイんだよ、何回もウインクしやがって!殴りたくなるのも当たり前だろ!」
「いーじゃんかぁ。セクシーでキュートなお姉さんがしてるんだから。ほら、これで許して」
そう言って真里姉はまたセクシービーム(ポーズ)を出してきた。
今度は横ピースと舌を出して・・・。
- 117 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:17
- 「いーや、絶対許さん!次は絞めてやる!チョークだチョーク!」
「いや〜!誰か助けて〜!」
真里が叫んだ時、パチパチとやる気の無い拍手が聞こえた。
「は〜い、ブザマな夫婦漫才、ありがとーございましたー」
「ましたー」
「行こうか、のの」
「そだね、あいぼん」
二人はスタスタと尊史と真里の横を通り抜けて、下へ降りていった。
- 118 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 11:18
- 十数秒経ってから尊史が何かに気付いて、部屋から半身を出して階段の下に向かって叫ぶ。
「あ、おい、ちょっと待てぃ。ブザマとはなんだ、ブザマとは!俺達は立派だったぞ〜!(?)」
(そこかよ、注意すんの)
「や、矢口さん!大丈夫ですか?!今、矢口さんの悲鳴が聞こえたんですけど!」
突然正面にあるドアから心配している顔でひとみが出てきた。
(・・・おいらはこっちを注意した方が良いと思う・・・)
- 119 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/22(水) 14:44
- 更新終了です。
と、同時に家での話は終了です。
長くなりましたがそろそろ愛ちゃん登場。
そしてもう一人・・。
106>七誌さん
そうですか、失礼しました。
今思い出したんですけど、私に『様』は付けないで下さいね。
前みたいに『さん』か呼び捨てでも構いませんよ。
よかった〜、思い出して。言いたいことがやっと言えました。
それでは。
- 120 名前:七誌さん 投稿日:2004/09/23(木) 18:01
- 更新乙です。
>>119なつまり。 さん
はい、わかりました。これからは『さん』で呼びます(?)
お、家でに話は終わりですか。
いい感じでしたのに・・・。
でも、他パターンも楽しみですね。
更新待ってます。
- 121 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:21
- 夫婦漫才も終わり、尊史と真里は下のリビングへ向かった。
その後に梨華を起こさないようにひとみも続く。
リビングには準備を終えたあさ美、亜依、希美、なつみが集まって談笑していた。
「おまたせ〜、そろそろ行かない?」
真里が4人に向かって言った。
4人は気付いてそれぞれテレビを消したり、カーテンを閉めたり、戸締りをし終わってから、
なつみが笑顔で「よし、準備オッケーだね。行こうか」とみんなに言う。
- 122 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:23
- リビングのドア付近にいた真里、ひとみ、尊史が先に出て、玄関で靴を履き、外へ出る。
その後に4人も続く。
4人が出終わった後、梨華が家に居るが念の為、尊史が玄関に鍵を掛ける。
「さて、電車で行く?それとも尊史のお父さんに送ってもらう?」
真里が見回しながら聞く。
「電車でいいんじゃない?父さんどこにいるかわかんないし」
「あれ、言ってなかったっけ?おじさんとおばさん、おいらん家にいるよ?邪魔になるといけないからって」
- 123 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:26
- 「え、いつから?昨日の晩飯の時には居たけど」
「多分その後じゃない?昨日、急に騒がしくなったんだよね。
うるさかったからそっち行こうと思ったんだけど、眠かったからそのまま寝ちゃったんだけど」
「そっか。こっちはトランプしてたんだけどね、梨華姉がやろうやろうってうるさくて・・。
結局夜中までやってたんだけど(しかも七並べ・・地味だなぁ)」
「それであれ?」
「多分」
俺は見てないからわかんないけど、ひとみ姉ちゃんから聞いてるから真里姉が言ってる
“あれ”とは多分抱き枕を抱いて爆睡していることだと思う。
- 124 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:28
- 「で、二人は大丈夫なの?」
「余裕」
「大丈夫ですよ!あ、そうだ!あたしが運転しましょうか?どうせなら」
横からいきなり入ってきたひとみ姉ちゃんには少々驚いたが、『運転しましょうか?』と軽く言ったのには驚いた。
免許取ったのか・・。
「え!よっすぃ運転できるの?」
真里は目を輝かせながらひとみに聞いた。
ひとみは照れながら「えぇ、まぁ・・ペーパードライバーですけど・・」と謙遜して言った。
- 125 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:31
- 「すっごーい!おいら、よっすぃの運転見てみたい!ね、いいでしょ?」
甘えたような上目遣いでひとみ姉ちゃんを見る真里姉。
あれやられたら俺でも断れないからなぁ、ひとみ姉ちゃんは絶対断れないな。
「い、良いですよ!もちろん!」
ひとみ姉ちゃんは張り切って答えてた。予想通り。
「じゃあ、あたし鍵借りてきますね。おじさんに」
「うん、いってらっしゃ〜い」
真里が手をひらひらさせて見送る。
1分もしない内にひとみは帰ってきて、鍵を開ける。
- 126 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:33
- 「ねぇ座席はどうする?」
なつみがみんなが思っていたことを口にした。
「助手席は真里姉で良いんじゃないですか?
ひとみ姉ちゃんの運転見れるし、それにうちの古いナビより役に立つと思いますよ」
それらしい理由を付けて言ってみたけどひとみ姉ちゃんに『バレるだろ!』って
ど突かれる気がして内心はちょっと不安だったけど・・。
ひとみ姉ちゃんはポンポンと俺の肩を叩いて、俺だけに見えるようにグッと親指を立てて見せた。
どうやら良かったらしい。
俺も親指を立てて返した。
- 127 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:36
- その後は適当に決められ、一番後ろに奥からコン、俺、安倍さん(何故か挟まれてしまった・・)となり、
前の席には亜依と希美という形になった。
みんなでガレージへ行き、車に乗り、決まった座席に座る。
うちの車はワンボックスで3人でも結構余裕があるのだが、
前の二人はべったりとくっついて座っている。
・・・仲の良い事で・・。
- 128 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:37
- 「じゃあ、出発するよー」
ひとみがバックミラー越しに聞く。
「はーい」
俺以外の4人が返事をして出発進行となった。
ひとみ姉ちゃんの運転はペーパーというだけあって、人より少し遅かった・・。
まぁ、仕方ないと思うけど。
- 129 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:39
- その少し遅い運転が始まって10分くらい経ってから、
俺の左隣の安倍さんが俺越しに右隣のコンに話し掛けた。
「ね、紺野さん」
「何ですか、安倍さん」
「コンちゃんって呼んでも良い?」
「え、あ、あの、その・・・」
何故かコンは紅くなって俯いてしまった。「ダメ?」
「お、お願いします・・・」
「良かった。じゃあ私のことはなっちって呼んでね、尊史君も」
! いきなりこっちに振られてビックリした。
「い、良いんですか?」
- 130 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/28(火) 23:41
- 「もちろん!本当はもっと早くに言う筈だったんだけど、話す時間が無かったからね」
「そしたら俺は呼び捨てで構いませんよ、みんなそうなんで」
「うん、わかった。ヨロシクね、コンちゃん、尊史」
「「はい」」
や、ったー!!
なっちって呼んでもいいのかぁ、嬉しいなぁ。
ここで小躍りしたい気分だけど、恥ずかしいから心の中でしよう。
やったよ!マイマザァー!!
- 131 名前:第3話 愛の種 〜コンちゃんのご説明〜 投稿日:2004/09/28(火) 23:43
- 「なぁ、コン。そういえばさ、麻琴は?」
「ん?まこっちゃん?午前中は部活だよ?愛ちゃんも」
「あ、そうか。もうだっけ。俺らは明日だよな?」
「うん、そうだよ。飾り付けだけだけどね」
今、私たちが何について話しているのかということを私、紺野あさ美が説明します。
- 132 名前:コンちゃんのご説明 〜部活動について〜 投稿日:2004/09/28(火) 23:45
- 私たちが話しているのは明日の部活のことで、私と尊史が同じバスケ部なんです。
元から共学の学校は男女分かれてると思うんですけど、うちの学校は去年から共学となった為、男子の人数がかなり少ないんです。
しかも男子の部活は尊史を入れて2人だけのバスケ部だけ・・。
(男子は全員で20人くらいいるのですが他は帰宅部です・・)
それで『2人だけなら女子と一緒にやろうよ』という顧問の飯田先生の意見で私たち女子と一緒に部活をしているというわけです。
- 133 名前:コンちゃんのご説明 〜飯田先生について その1〜 投稿日:2004/09/28(火) 23:47
- 飯田先生というのは保健室の先生なんですが、本名は飯田圭織、先生です。
背が高くて、足がスラーッと長くてモデルみたいなプロポーション、そして腰ぐらいまであるロングヘアー・・・。
私はときどきそのロングヘアーに見惚れてしまうんです、おかげで何回ボールが顔に当たったのやら・・・(泣)。
そんな完璧すぎる飯田先生なんですが、一つだけ困ったことが・・。
それは宇宙との交信することなんです。
- 134 名前:コンちゃんのご説明 〜飯田先生について その2〜 投稿日:2004/09/28(火) 23:49
- <黙っていれば良い女>という人はいると思うのですが、飯田先生はその逆なんです。
つまり、<喋っていれば良い女>っていうことなんです。
交信している時の飯田先生は本当に怖いんです・・。
目を見開いたままで瞬きは1回もしません。
そしてず〜っと上を見てるんです。それがどれだけ怖いか・・・。
- 135 名前:コンちゃんのご説明 〜簡潔に・・〜 投稿日:2004/09/28(火) 23:51
- おっと、脱線してしまいましたね。
話が長くなってしまったので簡潔に言えば、明日、日曜日は新入部員の歓迎会の飾り付けをするんです。
下準備や材料は飯田先生が用意してくれて、その為、最近は部活が無くて遊んでたってわけなんです。
詳しいことは明日にでもお話ししようと思います。
- 136 名前:コンちゃんのご説明 〜ちなみにみんなは・・〜 投稿日:2004/09/28(火) 23:52
- あ、そうそう。
ちなみにまこっちゃんは陸上部で、愛ちゃんは合唱部なんです。
それで1日早い準備をするそうなんですよ。で、明日が歓迎会かな?
前にいる二人、のんちゃんとあいぼんはバレー部なんですが、
あいぼんがマネージャーで、のんちゃんがレギュラーに選ばれるほどすごいんです。
- 137 名前:コンちゃんのご説明 〜私はもちろん・・〜 投稿日:2004/09/28(火) 23:55
- 私?私は・・・レギュラーですよ、もちろん。
(3年生が2人で2年生が3人ということは秘密ですけどね)
すごいといえばもう一つ。
尊史がキャプテンなんですよ、男子の。
え?2人だけだからすごくない?
すごいじゃないですか〜、私は2年生が3人だけなのにキャプテン候補って言われたことが1度も無いんですよぉ。
確立は高いのにどうしてだろ・・・。
あ、説明は以上です。わかりましたか?それでは。
- 138 名前:なつまり。 投稿日:2004/09/29(水) 00:00
- 更新終了です。
今回はちょっと変えてみました。
前半つまらなかったので・・。
>>120七誌さん
家での話が好評だったのは嬉しいです、本当に。
ありがとうございます。
- 139 名前:七誌さん 投稿日:2004/09/29(水) 20:09
- おお、こんこんと尊史はバスケ部だったんですね。
男子が二人って・・・少なっ・・・!
こんこんの説明、わかりやすかったです!
飯田先生はやっぱこにうキャラ・・・
運命なんですかね???いい感じです。
次回更新待ってます。
- 140 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/10/06(水) 15:03
- 「そうか〜、新入部員いるかなぁ」
「いるよ、きっと。去年はすごかったじゃん、
少ない人数であれだけの飾り付けをしてくれてたんだよ?」
「そうだったなぁ、俺らも混ぜてもらってな。あれは本当に感動したよ」
「うん、私も。今度は私たちが感動させるんだよね」
「そうだな」
あさ美と尊史の会話に微笑んで聞いていたなつみが二人に話した。
「そういえばあさってバスケ部に新しい顧問の先生が就くんだって」
「「え?」」
- 141 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/10/06(水) 15:04
- 「それ本当なんですか?」
「うん、職員室で圭織に聞かされた」
「じゃあ飯田先生辞めちゃうんですか」
「ううん、そういうことじゃなくて人数が増えるって感じ」
「そういうことか、良かった〜」
なつみの言葉にホッと胸をなでおろすあさ美と尊史。
「やっぱ圭織に辞められちゃヤダ?」
「そりゃあそうですよ」
「中澤先生と同じぐらいお世話になってますから」
「そっかぁ、愛されてんだね。圭織も裕ちゃんも」
- 142 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/10/06(水) 15:09
- あ、愛・・・。
恥かしくないのかな、安倍さん・・・じゃなくて、なっち・・・さん。
「あの、なっち・・・さん?」
「なんですか?コンちゃんさん?」
「う、あの、失礼だとは思うんですけど聞いてもいいですか?」
「失礼なんてとんでもないよ、なに?」
「愛されてるって言って恥かしくないんですか?」
「そんなことないよ、しょっちゅう言ってるもん」
- 143 名前:第3話 愛の種 〜尊史のちょっとした妄想・・〜 投稿日:2004/10/06(水) 15:12
- しょ、しょっちゅう・・・。
それはそれでショックだなぁ、彼氏に言ってるのかな。
『私、愛されてるのね』って言ったら『はは、そうだよ。僕は君のことを心から愛してるんだよー!』って・・・。
マッチョな野郎に・・・。
嫌だな・・つーか誰だよ、このマッチョ。
クソッ、俺の頭の中から消えろ、このマッチョが!
- 144 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/10/06(水) 15:14
- 「はぁ〜」
「どうしたの?ため息になんかしちゃって」
「それがさ、聞いてくれよコン。うわぁ」
「きゃあ!」
話し始めようとした直前。
車が大きく揺れ、あさ美の方に倒れ込む尊史。
バランスを崩した尊史をあさ美が受け止め、
後ろから抱きかかえる形になってしまった。
「わ、悪い」
「うん、いいよ・・」
- 145 名前:第3話 愛の種 〜コンちゃんの大胆な行動〜 投稿日:2004/10/06(水) 15:16
- ビックリした〜、いきなりなんだもん。
・・それにしても尊史ってすごいな〜、まこっちゃん達と全然違う。
まぁ、男女の違いだよね。
・・抱き締められたらどんな感じがするんだろ・・・。
え?私、今なに考えたの?
抱き締められたら?
恥かしい・・。
私、欲求不満なのかな・・。
でも、1回でいいから抱き締められたいな・・・。尊史に・・。
・・・だけど、私からなら何回でもいいよね?
私は緊張しながらも尊史をキュッと軽く抱き締めた・・。
- 146 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/10/06(水) 15:20
- 「・・・コン?どうした?」
・・・尊史もさすがに気付いたようで、
緊張で何も考えていなかった私は黙っていると再び車が揺れた・・。
「ちっ、またかよ。あ、危ない」
あさ美を背負ったままになってしまった尊史は今度はなつみの方に倒れそうになったが、
なんとか右手で窓ガラス、左手で座席に掴まり、防げたのだが、それは誰からどう見ても迫ってるとしか言いようが無かった。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だけど、膝・・」
「膝?あ!すいません、今退かしますから」
なつみは座席に足も乗ってしまい、
尊史の右膝がなつみの両足の間にあり、
ちょうど白いロングスカートを踏み付けていた。
- 147 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/10/06(水) 15:21
- 「尊史、えっちぃ〜」
亜依だけが冷やかす。
希美は何も言わないでぼーっとしているようだった。
「うるせぃ!わざとじゃないっつうの!・・コン、ちょっと離してくれないか?」
「え?あ、うん。ごめん・・」
言われてやっと気付いた・・。
私は名残惜しい気持ちを残しながら、ゆっくりと両手を離した・・。
と、また車が揺れた。
- 148 名前:第3話 愛の種 〜キスが出来そうなほど近い・・けど、私は・・〜 投稿日:2004/10/06(水) 15:24
- 「あっ」
「おっと。大丈夫か?」
3度目の車の揺れに私は態勢を崩して後ろに倒れそうになったとき、
尊史が私の頭を支えてくれてそのままそっと抱き寄せて話し掛けた。
だけど・・・。
だけど、顔が近いの・・。
キスが出来そうなほどに・・。
このまましちゃってもいいんじゃないのかなって。
けど、私にはそんな勇気は無く、気持ちを押し殺して、
「ありがとう・・」って言うことくらいしか出来なかった・・。
- 149 名前:なつまり。 投稿日:2004/10/06(水) 15:41
- ちょこちょことサブタイトルを入れながらの更新でした。
ここで車内の話は終了です。
次回はチャイナタウン上陸です。(?)
>>139 七誌さん
そういうツッコミを待っていました!
部活については最近思い付きました。
2名なのは簡潔に言えば、1人しか名前が思いつかなかったっていうのが1番の理由なんです。
本当にスイマセン・・。
飯田先生については美人だけど、やっぱり短所みたいなのが無ければなぁと思ったので、交信にしました。
- 150 名前:七誌さん 投稿日:2004/10/06(水) 19:11
- 更新待ってました!(笑)
尊史・・・なぜにマッチョ・・・?
PCの前で大爆笑でした!
あさ美の気持ちはどんどん膨らんでいってるんですね・・・
(ネタバレすいません・・・)
でゎ、更新をお待ちしてます。
- 151 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/06(水) 22:39
- 紺ちゃん・・・・あ〜紺ちゃん・・・・・・・
がんばってほしいような、ほしくないような・・・・・
やっぱりガンバって紺ちゃん。作者さんもガンバです!
- 152 名前:第3話 愛の種 〜あの頃の思い出〜 投稿日:2004/10/09(土) 10:19
- 車に揺られること数十分・・・。
やっと、やっと開放されました・・・。
これほどの喜びは久しぶりかもしれない、
それほどひとみ姉ちゃんの運転はすごかった・・。
何がすごいってカーブでの無意味なドリフトがやたらと多かったこと。
(それが車の揺れの原因だった)
そのドリフトは小さい頃にゴーカートで鍛えられたもので、俺は毎回隣で体験させられていた。
それはそれはスリリングなものでその頃からひとみ姉ちゃんのドリフトはプロ級だ。
その時の俺はゴーカートでドリフトが出来るのが当たり前だと思っていた。
だけどそれはひとみ姉ちゃんにしか出来ない芸当みたいで・・。
もう一人幼馴染がいるんだけど、そいつに思いっきりバカにされたことを今でも鮮明に覚えている・・。
『そんなことできるわけないだろー。おまえ、ばかじゃんばかじゃんばかじゃんばかじゃん・・・・』って延々と・・。
頭にきたから泡吹き出すまでフロントネックロックで締めたけど。
抵抗してたけどお構いなしにやってたら気絶しちゃって、真里姉に怒られたけど。
以上、当時小学3年生の思い出でした。
- 153 名前:なつまり。 投稿日:2004/10/09(土) 10:29
- 1レスだけ更新。
次回はいつになるかわからないんですが、登場人物の紹介みたいなものを書きます。
>>150 七誌さん
狙ったわけではないんですが、笑っていただけましたか。良かったです。
コンコンに関してはネタバレではないですよ。
>>151 名無し飼育さん
ありがとうございます。
コンコン共々頑張ります!
- 154 名前:登場人物紹介 安倍なつみ 投稿日:2004/10/10(日) 00:37
- 安倍なつみ・・・今年から朝比奈学園の先生に。
元ストリートミュージシャンでその歌唱力はプロが一目置くほど。
スカウトもかなりの数が来たのだが全部断ってきた。
理由は『ストリートにはテレビには無いものがたくさんあるから』とのこと。
先生を目指したのは解散した後のことで、1年で教員免許を取得したことになる。
その頭脳はかなりのもの!?
現在は彼氏は居らず、当然マッチョな彼氏も居ない・・。
- 155 名前:登場人物紹介 飯田圭織 投稿日:2004/10/10(日) 00:43
- 飯田圭織・・・男女バスケ部の顧問。そして保健室の先生。
いつも白衣と黒のスカートを身に付けている。
他は日替わり・・。まぁ、当たり前だが・・。
部活では経験者故その実力はかなりのもの。
教えるのも上手く、女子は大会で全国も行けるほど。
男子はかっこ良く言えば女子のアシスタント。本当は雑用・・。
本人曰く『全国へ行けるのは圭織の力ではなく、あの子達が頑張って練習してるから。
圭織はその力を引き出してるだけ』とのこと。かっこいい・・。
圭織と言えば学園一とも言えるその美貌。
男子生徒や男性職員が振り返らずには要られないほど。
本人は特に何もしてないと言っていたが、美肌パックは毎日欠かせない、だそうだ。
もしかしてそのパックに秘密が!?
だが、その美貌もなつみが入ることにより、学園一の座も危ういかも!?
そしてホームページを個人でしているのだがパソコンの更新履歴とは他に別の交信履歴の方が多かったりして・・。
- 156 名前:なつまり。 投稿日:2004/10/10(日) 00:49
- こんな感じで書いていこうと思います。
物語を理解するのに少しでも参考になれば良いのですが・・。
ちなみに順番は50音順です。
あと、こういうものを書いたからってこれが終わったりするわけではございませんので。
まだまだ序盤に過ぎません。
- 157 名前:登場人物紹介 石川梨華 投稿日:2004/10/10(日) 22:46
- 石川梨華・・・尊史の従姉妹。
母親は四姉妹の長女。年齢は39歳。
実家は遠くなくあさ美と同じ街にある。
共学になる前の朝比奈学園の生徒でテニス部だった。
現在吉澤ひとみと共に尊史の家に泊まっている。
今年から髪を黒く染め直し、一段と大人っぽくなった。
言い寄ってくる男達がいるのだが、少し男性恐怖症の気があり、付き合ったことは殆ど無い。
尊史と普通に話しているのは弟と思っているから。
今は昨晩のトランプで疲れて眠っている。
- 158 名前:登場人物紹介 稲葉貴子 投稿日:2004/10/10(日) 22:50
- 稲葉貴子・・・あさ美の住む街に店を持つ。
その店に店員は居らず、一人で商売をしている。
周りの人から閉めればいいのにという声にも
『たまにしかお客さんは来ぇへんけど、来た時がめっちゃ嬉しいんや。
最近もカップルが来てなぁ、彼女は男友達です!な〜んて言うてたけど嘘やな。
あれは絶対に付き合うとる、うちにはわかるでぇ。
K野!恥かしがることないで!周りに言ったれ!
この人があたしのダーリンですぅって。
うちも若い頃は・・って、誰がおばはんやねん!
え?そんなこと言うてへん?そうか、それならえんやけど。で、うちの若い頃はな・・』
ブツッ!先が長くなりそうなので終了致します。
K野さんとは昔からちょっとした知り合いだそうです。
で、肝心の閉めない理由は金があるからとのこと。
やらしいやっちゃな〜。
- 159 名前:登場人物紹介 小川麻琴 投稿日:2004/10/10(日) 22:52
- 小川麻琴・・・高校2年生。陸上部に所属。
中学時代に尊史、あさ美、希美、亜依と同じクラスに。
それからはずっと友達。保育園から小学校卒業まで新潟に住んでいた。
新潟にいた時はそういうことは無かったのだが東京に来てから、変な行動が目立ち始めた。
まさか都会の空気が麻琴の脳に何らかの影響を!?
一大事や〜!と慌ててももう遅いことは誰もが悟っていることなので、気にはしていない。
部活ではエースである。
実力は毎回3位以内には必ず入っている。
次期キャプテン候補。
- 160 名前:なつまり。 投稿日:2004/10/10(日) 22:57
- 今回はこの3人。
後、約10人です。
- 161 名前:七誌さん 投稿日:2004/10/11(月) 00:24
- 更新どうもです。
人物紹介〜稲葉貴子〜にでてきたK野ってまさか・・・?
う〜ん・・・違うかも・・・
まこっちゃんはすごいんですね〜。うん、尊敬。
次の更新もおまちしてます
- 162 名前:なつまり。 投稿日:2004/10/12(火) 16:34
- 誠に勝手ながら、体調不良の為、少しの間お休みさせていただきます。
突然で申し訳ないです。休んでいる間にも少しでも多く書き溜めておきます。
>>161 七誌さん
毎回レスありがとうございます。
- 163 名前:七誌さん 投稿日:2004/10/12(火) 17:18
- おお・・・!なつまり。さん!大丈夫なんですか・・・?
完璧に治して復活をまってます。
焦らずにゆっくり治してくださいね。
- 164 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/17(日) 08:03
- しっかり治してクダサーイ
待ってマスカラー
- 165 名前:登場人物紹介 加護亜依 投稿日:2004/10/19(火) 23:18
- 加護亜依・・・高校2年生。部活はバレー部のマネージャーをしている。
主な仕事はボール運びや雑用などなど・・・。
他にも色々とあり、選手よりも動いているのでは?という疑問は誰もが思っている。
だが亜依は文句一つ言うことなく、毎日仕事をこなしている。
部活仲間に『手伝おうか?』と聞かれるのだが、答えは決まって、
『ええって。うちのことは気にせんといて練習頑張りやぁ』と笑顔で。
そんな頑張りすぎともいえる亜依に顧問の中澤裕子はある日亜依に1つの質問した。
『マネージャーの仕事を無理してやってへんか?』と。
亜依は『無理なんてしてません。うちは好きでやってるんですから』
と、笑顔で答えるほど部活が好きなのだ。
もう一つの理由は希美が頑張っている姿を見れるからという単純明快かつ可愛らしい理由。
そんな希美とは小学6年生からの親友で、中学では双子によく間違えられるほど姿形が似ており、
さらに行動も似ている為、見分けれる人は2人と同じクラスになった人の約7割というかなりの少なさだったが、
中学3年の終わり頃に希美から双子コンビ解散を告げられ、見分けられない人は全くいなくなった。
その時はなぜそんなことを言われたのかわからなかったが、3日もしない内にすぐにわかった。
その理由は希美の紹介ですぐにわかる。
- 166 名前:なつまり。 投稿日:2004/10/19(火) 23:30
- 1週間ぶりに復活しました。
ですが、これしか書けていません。申し訳ないです。
>>163 七誌さん
ご心配お掛けしました。
体調は3日ほどで良くなったのですが、調子が出ず、だらだらと1週間も掛かってしまいました。
申し訳ありません。
>>164 名無し飼育さん
ご心配をお掛けしました。
もう大丈夫です。
- 167 名前:七誌さん 投稿日:2004/10/20(水) 09:57
- 更新乙です。
もう大丈夫ですか!?大丈夫ならいいんですけど。
希美の紹介・・・気になる・・・。
次回も待ってます★
- 168 名前:登場人物紹介 紺野あさ美 投稿日:2004/10/23(土) 16:03
- 紺野あさ美・・・高校2年生。バスケ部に所属。
おっとりとした性格の彼女は普段からぽーっとしており、名前を呼ばれても気付かないことが少なくない。
しかしおっとりしてはいるが勉強とスポーツが出来て、まさに文武両道を兼ね備えた才女である。
だがそんな才女にも弱点とも言える存在が2つある。
1つ目は英語。
その出来には教科担任の保田圭が『他の教科は出来るのに何故英語だけ・・・』と少し頭を抱えるほど。
何故少しか、それはあさ美の他に問題児が2人いるからである。
その2人の問題児はクラスのツートップと呼ばれるほど、ある意味すごく、そして他を寄せ付けないほど群を抜いている。
その2人の名前はお教えしたいがイニシャルだけを。
NとT(名前)である。
2つ目の弱点と言えるものは最近のことで、『ある人』とだけ言っておこう。
そしてあさ美は今、恋をしています。
だが早くもひとみにバレてしまい、愛にも薄々気付かれている。
こんなにわかりやすいあさ美に本人は、全く気付くことなくフツーにあさ美に接している。
果たしてニブいヤツはあさ美の気持ちに気付くのか。
そして始まったばかりのあさ美の恋の花は無事に咲くのだろうか。
- 169 名前:なつまり。 投稿日:2004/10/23(土) 16:12
- この小説のヒロイン的存在、コンちゃんでございました。
>>167 七誌さん
毎度のレス、本当に感謝するばかりです。
ありがとうございます。
体調はもう大丈夫です。
希美の説明は尊史と愛の次でございます。
- 170 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/23(土) 21:34
- がんばれあさ美ちゃん!!
- 171 名前:七誌さん 投稿日:2004/10/25(月) 22:11
- 更新おつかれいな〜^-^
お〜。紺ちゃんはやっぱキャラ的にはこんな感じ・・・?
そして気になるNとTとはもしや・・・
う〜ん・・・違うかも・・・微妙・・・(謎
次回更新もお待ちしてます。
- 172 名前:匿名 投稿日:2004/11/02(火) 08:09
- いつも読ませて頂いてましたが初レスです(^^;
物語は小休止ですが、キャラ紹介も良いですね。
しっかりと設定なされているのがうかがえて。
- 173 名前:登場人物紹介 尊史 投稿日:2004/11/05(金) 23:28
- 尊史(たかふみ)・・・高校2年生。バスケ部に所属。
『物心つく前からボールと遊んでいた』という尊史は今までバスケ一筋でやってきた。
そして高校に入ってから、部員は2人だけではあるがキャプテンをしている。
キャプテンを引き受けた理由は実力があるということもそうなのだが、
もう一人の部員、副キャプテンが『俺、そういうの苦手だからパス』というこの一言で決まってしまった。
そのことに最初は抗議したが、そんなことに必死になっている自分に虚しくなり、その後あっさりとOKした。
家族は父、母、姉の4人家族。
母は4人姉妹の次女、38歳。
尊史が言うには姉は昔、なつみともう一人の女性と一緒にグループを組んでいたと言う。
そんな姉は今、留学中。
音楽の勉強をしている。
なつみが言っていた“あの娘”とは姉のことで、今年には帰って来るそうだ。
尊史には今、彼女は居らず、言わばフリーである。
だが気になる人はいるらしい。(ひとみ談)
果たしてそれは本当なのか嘘なのか・・。
知っているのは尊史だけである・・。
- 174 名前:なつまり。 投稿日:2004/11/06(土) 00:00
- 170>>名無し飼育さん
川。・-・)ありがとうございます。
精一杯頑張ります。
171>>七誌さん
あ、どうも、おつかれいな〜。
気になるNとTはある程度予想がついていると思います。
ネタバレしない程度に言えば、もう出てますね。
・・・無意味なヒントでございました・・。
172>>匿名さん
初レスありがとうございます。
読んで頂いていたのは嬉しいです。
未熟者ですが宜しかったらこれからもよろしくお願いします。
2つとも読んで頂いてありがとうございます。
- 175 名前:なつまり。 投稿日:2004/11/06(土) 00:07
- レス返しに約30分・・。
掛かり過ぎました・・・。
今日はこのへんで。
次回は愛、希美と続きます。
順番に関しては多少入れ替わりました。
- 176 名前:七誌さん 投稿日:2004/11/06(土) 20:11
- 更新おつかれいな〜
あ、尊史は「たかふみ」と読むのですね!
今まで読めませんでした。どうもです。
尊史の気になる人とは・・・?
更新待ってます。
- 177 名前:登場人物紹介 高橋愛 投稿日:2004/11/09(火) 22:15
- 高橋愛・・・高校3年生。合唱部に所属。
普段から訛ってる彼女。
『訛ってへんよぉ』と本人は言っているのだが、
誰がどう聞いても“訛ってない”と言う人は本人だけである。
だが唯一訛ってないときがある。
それは部活やカラオケのとき、つまり歌を歌っているときである。
愛の歌は部員の中でも1番上手い。
だがそれには理由がある。
それは高校1年の時になつみと出逢ったこと。
当時、部活の帰りでたまたまストリートライブをやっているグループを見つけた。
それがなつみ達である。
愛はなつみの歌声に一晩で魅了されて、
それから毎晩通うようになり、1ヵ月後にはなつみと当時中学3年の尊史と出逢う。
さらに数週間後に愛はなつみに“どうしたら歌が上手くなる”のかを聞き、
なつみから“気持ち”で歌うことを教わった。
それからというもの愛はなつみを姉のように慕い、現在に至る。
あさ美の変化に逸早く気付いた人物でもある。
- 178 名前:なつまり。 投稿日:2004/11/09(火) 22:22
- 最近やっと調子が戻ってまいりました。
これから少しは更新が早くなると思います、たぶん・・。
176>>七誌さん
いえいえ。
始めに書いておかなかった私が悪いのですから。
- 179 名前:七誌さん 投稿日:2004/11/11(木) 21:14
- 更新乙です。
あいちゃ〜ん・・・やっぱこーゆーキャラ・・・。
ピッタリなのがまたいい・・・(笑)
なるほど、なつみとの出会いはそんな感じだったんですね。
- 180 名前:登場人物紹介 辻希美 投稿日:2004/11/13(土) 23:48
- 辻希美・・・高校2年生。バレー部に所属。
中学3年の時、コンビを突然解散した理由。
それはある出来事をきっかけにクラスの男子に恋心を抱いたから。
オシャレをしてアピールをしたが、相手は全く振り向かず、そのまま卒業してしまった。
尊史とは中学で出会った時から英語が出来ないことで気が合い、毎日のように話していた。
希美の初めての男友達でもある。
- 181 名前:登場人物紹介 中澤裕子 投稿日:2004/11/13(土) 23:50
- 中澤裕子・・・尊史達の担任。バレー部の顧問でもある。
教えている教科は社会(歴史)。年齢は30歳。
裕子の授業は人気で、文句を言う生徒が全くいない。
その理由は規定の授業時間より約10分前には必ず終わっており、ノートも書くことが少ないから。
だがこれではテストは悪いのでは?と疑問に思うかもしれないが、裕子の教えている生徒で50点を切った者は一人もいない。
裕子の密かな自慢である。
何故成績が良いのか、それは授業で黒板にポイントだけをしっかりと書いていて、生徒にはそれしか書かせない。
決して脅してはいない・・・。
それ以外のものを書いていたら減点。(落書きは可)
只今、出張中で週明けには帰ってくる。
- 182 名前:登場人物紹介 矢口真里 投稿日:2004/11/13(土) 23:51
- 矢口真里・・・尊史が生まれた時からの教育係。幼なじみでもある。
尊史、あさ美、希美、亜依、麻琴、愛達6人にとっては姉貴的存在。
現在ファーストフード店でバイトをしている。
カウンターで挨拶する時、背が小さく顔しか出ていないため、初めて来た人は『子供が働いてる!』と思う人が多い。
店の看板娘でもある。
- 183 名前:登場人物紹介 保田圭 投稿日:2004/11/13(土) 23:53
- 保田圭・・・2年生の英語担当。そして尊史達のクラスの副担任でもある。
いつもスーツでお堅いイメージが生徒達には、ついてしまっているが、決してそんなことはない。
人付き合いが良く、職員の間では好感度がかなり良い。
裕子とは週末には必ず飲みに行くほど、仲が良い。
そして家に帰って寝酒にワインボトル1本を必ず空けてからじゃないと寝れないというほど酒豪でもある。(週末限定)
最近の悩みはツートップ+αの成績が伸びるかという事・・。
- 184 名前:登場人物紹介 吉澤ひとみ 投稿日:2004/11/13(土) 23:55
- 吉澤ひとみ・・・去年朝比奈学園を卒業したばかりの19歳。
部活はバレー部で希美は中学からやっていたということもあったのだが、ひとみの姿に憧れて入部をした。
今はバイトを転々としていて、最近辞めたため尊史の家に遊びに来ている。
梨華は実家が花屋をしていて、高校卒業後は跡を継いでいる。
今回は親から休みをもらって遊びに来ている。
二人とも一人暮らしではない。
前々から紹介しているが母親は4姉妹の三女、37歳。
ひとみの母親の下に少し歳の離れた末っ子がいるが、結婚はしてなく、当然子供もいない。
当の本人はそれをひどく気にしていて、3人の姉の家に今でもよく相談に来ている。
ひとみと梨華は中学時代にその末っ子、叔母に会い、その存在を初めて知り、高校生になってから驚いた。
高校からは中学時代にギクシャクしていた叔母とのわだかまりも無くなり、仲良くなった。
叔母さんと言うと本人は本気で怒る。
だが尊史はそのことを未だに何も知らない。
- 185 名前:なつまり。 投稿日:2004/11/13(土) 23:58
- 紹介はよっすぃで終わりです。
ここからは本編再開です。
ではどうぞ。
- 186 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/14(日) 00:00
- 車から降りた後ろの3人。
なつみ、尊史、あさ美はぐったりしていた。
「あ、ありえない・・。あの4人・・。なんであんなに元気なの・・」
なつみがありえないと言った4人、真里、ひとみ、希美、亜依は元気にはしゃいでいた。
「さぁ!着いた!まずは何か食べよっか!」
「のんは焼きそばがいい!」
「うちも焼きそば!」
「あたしは折角来たんだからフカヒレですかねぇ・・」
その言葉になつみは絶句した・・。
「気にしない方がいいですよ・・あっちが異常なだけですから、絶対に・・」
自分に言い聞かせるようになつみに話す尊史。
- 187 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/14(日) 00:02
- 「なっち達は何がいい?」
「俺はデザートがいい・・」
「なっちも・・」
「私も・・」
「ふ〜ん、みんな少食になったねぇ」
(((そういう問題じゃないよ・・)))
しみじみと言う真里に3人は弱々しくも総ツッコミをした。
「じゃあさ!別行動にしない?あの娘らかなり食べると思うから待ってるのも暇でしょ?」
「そうしようかな。こっちはゆっくり見て回るよ」
「よし決定!高橋達が来るのは1時くらいだって辻と加護が言ってたから、50分くらいに集合ってことで」
- 188 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/14(日) 00:05
- 「おーけー。じゃあ行こうか。矢口、お腹壊すなよぉ!」
なつみは笑顔でビシッと真里を指さして言った。
真里も笑顔でお返しをする。
「なっちもね!君らはこっちより食いしん坊だからね」
「そんなことないですよぉ、ねぇ、尊史?」
「いや、悔しいけど当たりだな。コンはよく食べるからなぁ」
「もぉ!それどういう意味!?」
頬を膨らませて怒りながら尊史に段々と近付くあさ美。
「わ、悪い!俺が悪かった!だからあれだけは勘弁してくれ!・・ぐはぁ!」
あさ美の正拳突きは尊史のガードを掻い潜り、見事脇腹にクリーンヒット。
え!私なにやってるの!?
「ご、ごめん、尊史。大丈夫?」
「まぁ、なんとかな。それより少しは元気になったか?」
「え?」
「あ、ほら、車酔いの他にどっか元気が無かったからさ。冗談言ったんだけど、ちょっときつかったかな?」
「じょうだん?」
「そうだよ。まさか本気だと思ったのか?そんなこと思うはずないだろ、あんな幸せな顔、バカになんてしないよ」
顔が一気に紅くなるのが自分でもわかった。
- 189 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/14(日) 00:06
- 「ん?どうした?風邪?」
違うよ・・いじわる・・・。
「風邪じゃないよ・・・」
「そうか、それならいいけどさ・・・。もうちょいテンション上げてこうぜ?
せっかくの休みも今日で終わりなんだから、な」
そう言ってから人差し指であさ美の頬を軽く突く。
「う、うん・・・」
反応が薄いことに少々不満気味の尊史はここで少しいじわるをすることにした。
「んー?なんて言ったのかなぁ?」
今度は両手であさ美の頬を軽く引っ張る。
「にゃあ、痛いよぉ」
にゃあって、なかなか言わないぞ?
- 190 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/14(日) 00:09
- 「いやー、コンはよく伸びるなぁ」
「・・・もうやめて」
尊史の両手を退けて、ぷいとそっぽを向いてしまったあさ美。
やばい・・・。
「コン?怒った?」
「・・・・・」ぷい!
「コンちゃ〜ん?」
コンちゃん・・・。・・・ぷい!
惜しい・・・。
「あさ美さ〜ん?」
「・・・・・」ぷい!
「あさ美?」
ビクッとしてから尊史を見るあさ美。
その顔は真っ赤だ。
「お、やっと反応してくれた。あれ?顔赤いぞ?やっぱ風邪なんじゃ・・・」
「もぉ、そんなに見ないでよ!」
右手で顔を隠して左手で軽く押したつもりのあさ美だったが・・・。
「うっ!・・・今度はみぞおちに・・・いつの間に貫(ぬ)き手なんて・・・」
本人は照れ隠しでやったのだが尊史に致命傷のダメージを与えていた・・。
- 191 名前:なつまり。 投稿日:2004/11/14(日) 00:32
- 何とも中途半端ですが今回はここで終了です。
調子に乗ってコピーしてたらここまでしか書いてないことに気付きました・・。
>>179 七誌さん
やはり訛りあっての愛ちゃんですからね。
- 192 名前:七誌さん 投稿日:2004/11/15(月) 22:54
- お、人物紹介は終わって本編突入だー!
コンコンと尊史のふれあい?ってなんか・・・いい・・・
ってコンコン・・・それ以上やったら尊史が死んでしまうよ?
こういうのがたまにあるのっていいですね。
- 193 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/21(日) 01:22
- 「え、あ、ゴメン。ホントにゴメンね?わざとじゃないんだよ?」
(どうしよ、嫌われちゃう・・・)
泣きそうな顔で必死に謝ってくるあさ美。
「わかってるよ。・・お、おい!泣くなよ、俺は大丈夫だから。な?」
「っく、・・・うん・・・・・グスッ」
「う〜ん、どうすればいいんだ?こういうとき」
「「こーすればいいんだよ」」
ポンッ
「おっ?」
トン
なつみと真里に後ろから押された尊史は自然とあさ美の両肩に掴まった。
- 194 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/21(日) 01:24
- 「あ、悪い」
「『あ、悪い』じゃねーよ!!なんで抱き締めないんだよ!せっかくキッカケを作ってあげたのにー!」
「そーだよぉ。こういうときは抱き締めてあげるんだよ?」
「えぇ?なっちまでなに言ってるんすか。本当にごめんな、コン」
「・・う、うん、いいよ、大丈夫・・・」
どうせなら・・・。
「もぉ!なにやってんの、尊史!コンちゃんがケガしたらどうすんの?」
「え、あぁ・・」
突然横から入ってきた希美に少し戸惑った尊史。
「大丈夫?コンちゃん」
「うん。・・・・・あの、のんちゃん・・・」
「なに?」
「た、尊史のこと怒らないであげて。その・・・謝ってくれたし・・・」
「・・・・・。そーだね、ごめんね尊史」
少しあさ美を見据えてから急に後ろの尊史の方に振り返って謝る希美。
「いいけど・・」
(なんか変だな、あいつ)
- 195 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/21(日) 01:26
- 「お〜い!の〜ん、矢口さ〜ん、時間無くなるから行くで〜!」
「はは、食い意地ばっかり張ってるね、加護は。辻、早くしないと置いてかれちゃうよ」
「はーい」
いつもの様子で返事する希美。
(俺の思い過ごしか?)
「じゃあ、なっち。後でね」
「じゃあね、矢口」
駆け足で亜依、ひとみのところに向かって行く真里と希美。
それを見送ってからくるりと振り返るなつみ。
「さ、なっち達も行こうか」
「そうですね。コン、大丈夫か?」
- 196 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/21(日) 01:28
- 「うん。・・・・なんかお腹減っちゃった」
「はは、さっそく食うのか、いいねぇ。俺はなんでもいいですよ」
「なっちも。コンちゃん、なにがいい?」
「え?あ、あの、基本的にはなんでも・・・」
「フフ、かわいいね、コンちゃんは。じゃ、コンちゃんにおまかせしていいかな?」
「いいんですか?!じゃあラーメンに肉まんに、春巻きに麻婆豆腐、酢豚に五目焼きそばもいいですね〜、あとは〜チャーハンに回鍋肉、デザートには杏仁豆腐にアイスやプリンもいいな〜」
目をキラキラ輝かせながら指で一生懸命、品の数を数えるあさ美。
「すごい食べるんだね、コンちゃんって・・・」
「部活帰りはもっとすごいっすよ・・。一人で焼肉を3人前は軽く食べますからね・・」
- 197 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/21(日) 01:29
- 「なあ、コン。そういうことは歩きながら決めようぜ。で、食べ歩きながら次の物ってことにしようよ。な?」
「ご、ごめん。私ったら食べ物のことになると、つい・・・」
「いいって、そんなことで謝らなくて。ほら、行こうぜ。俺がおごってあげるから」
そっと手を差し伸べる尊史。
恥ずかしながらその手を取るあさ美。
二人は手を握って歩き出す。
(尊史って手を握ることを何とも思ってないのかな・・)
「ちょっとぉ!なっちを置いてくつもりなの?!」
文句を言いながら二人の元へ走っていくなつみ。
そして尊史の左腕に抱きつく。
- 198 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/21(日) 01:31
- 「なっちは置いてけぼりなのかな?尊史?」
むにゅ
(え?な、なんか当たったような・・・。・・・ノーーーーゥ!!!
これはわざとなのか?それとも天然?どっちにしたって・・・。
む、む、む、む、む、ね、がぁ・・って恥ずかしくて言えるかーーー!!)
「そうそう、スカートの裾踏んだ罰としてなっちにもおごってね」
そんな事も知らずに上目遣いで言うなつみ。
「へ?ななな、なんか言いました?」
「もう!なっちにもおごってね、って言ったの」
「あぁ、そ、そういうことですか。構わないですよ、全然。・・・気付いたかと思ったー・・・」
「ん?最後なにか言った?」
「いーえ、なにも!なんでもないですよ」
- 199 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/21(日) 01:33
- (・・・・・。なっちさん、もしかしてアピールしてるのかな?・・・それだったら私だって!)
決心したあさ美は握っていた手を離して、右腕に抱きついた。
むにっ
(ん?右腕に感触が・・・。・・・マイガーーーーー!!!何故コンもそんなことをするんだー!
二人で何か企んでるのか?無意識で?・・・もうわからない・・・)
(よし、手応えあり!・・・なっちさん、負けませんよ!)
恥ずかしがっている尊史(あさ美にはそういう風に見えているが本当は放心状態)に手応えを感じたあさ美。
そしてなつみにある意味熱い視線を送る。
だがそれはなつみの無意識な行動で、別にアピールしているわけではないのだが、あさ美はそのことにも気付かずにずっと対抗心を燃やし続けていた。
そしてお昼も食べないまま、あっという間に集合時間になってしまった・・・。
- 200 名前:なつまり。 投稿日:2004/11/21(日) 01:43
- 更新終了です。
>>192 七誌さん
二人の絡みが少しお気に入りでして・・。
尊史はあと1、2発もらってたら死んでましたね(笑)。
- 201 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/21(日) 20:22
- いいですなぁ〜、尊史さんは幸せ者だ!!
こんな夢みたいな事に・・・・・うらやましぃ
次回も期待してますよ
- 202 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:21
- 集合時間(12:50)の1時間程前の尊史の家。梨華とひとみの部屋。
「んー・・・また私の負けぇ?・・・・二人ともズルしてんじゃないのぉ・・・・・・ほぇ?」
急に夢から覚めた梨華。
うつ伏せで寝ていた梨華はそのままの状態で枕元に置いてあった目覚まし時計を見た。
「えぇ!もうこんな時間?ひとみちゃん!もうお昼だよ、起きて!・・あれ?ひとみちゃん?」
部屋中をキョロキョロと見回すが、ひとみのベッドにもいない。
そのことを確認した梨華は立ち上がってドアを開け、部屋を出てから、正面にある尊史の部屋のドアをノックする。
こんこん
「尊史?いる?」
声を掛けるが返事は返ってこない。
「・・・尊史開けるよ?」
ドアを開けて中を見回すも誰もいない。
「尊史もいないの?変だなぁ」
ドアを閉め、階段を下りて真っ先にリビングに向かう梨華。
「ここならおじさんかおばさんは居る筈よね」
期待を込めてリビングのドアを開けるが、ここにも誰もいない。
ただカーテンが閉められているだけだった・・。
「なんで誰もいないのぉ?!」
梨華は誰もいないことに不安を感じ、部屋に置いてきた携帯電話を取りに戻った。
- 203 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:22
- 部屋に戻った梨華はすぐに携帯電話を開き、数々の名前の中から
『たかふみ』と記された文字に合わせ、ボタンを押し、電話を掛けた。
梨華はボタンを押した後、すぐに携帯電話を耳に当てた。
コールが鳴り響く・・。
トゥルルルルルル・・・・
1回・・・
トゥルルルルルル・・・・
2回・・・
トゥルルルルルル・・・・
3回・・・
ガチャッ
(出た!)
『こちらは・・・』
・・・ピッ
留守電?なんで電源切ってんのよぉ!もぉ!
- 204 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:24
- 梨華は再びディスプレイを見て『ひとみちゃん』に合わせて電話を掛けた。
またコールが鳴る・・。
トゥルルルルルル・・・・
トゥルルルルルル・・・・
ガチャッ
『梨華ちゃん?おはよう、よく眠れた?』
「ひとみちゃん!今どこにいるの?!」
『え?今?チャイナタウンだけど・・・』
「ひとみちゃん一人?」
『いや、みんないるよ。矢口さん、ののにあいぼん。それに安倍さん、コンコン、尊史。後から麻琴と愛が来るみたいだけど』
「尊史も?そこにいるの?」
『いないよぉ、今、安倍さんとコンコンと一緒に別行動してる』
- 205 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:26
- 「そう。でもなんで私だけ仲間外れなの?ずるいよぉ、みんなだけで行くなんて」
『そういうのじゃないよ。梨華ちゃん、昨日ので疲れてたみたいでね、ぐっすり寝てたから起こすのも悪いかなと思ってね。
大丈夫、梨華ちゃんへのおみやげいっぱい買ってくるからさ(尊史が)。家でゆっくりしてなよ』
「うん・・」
『それじゃあね』
ツーツーツー・・・
ピ
携帯を閉じて枕元に放り投げる。
「はぁ・・」
軽い溜息をついたあと、ベッドに横になる。
「せっかくだからゆっくりしてようかなぁ」
天井を見上げて一人、ポツリと呟く。
・・・時計の秒針が静かに時を刻む・・・。
カチ・・カチ・・カチ・・・・・・・・
「むぅ〜〜〜〜〜つまんない!!やっぱり私も行く!!」
そう叫ぶとすぐに着替え、身支度を整えてから横浜に向かう為、家を飛び出した
- 206 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:27
- 12:50。チャイナタウン正門前。
「いやー!食べた食べた!もう食べれな〜いってカンジ?」
さっきとは違い、かなりテンション高めの真里姉。
よほどうまいものを食ってきたのか?
ひとみ姉ちゃん、希美、亜依の3人も幸せな顔をしている。
特に希美に関しては俺のただの勘違いだったみたいだ。
「なっちもかな?ね?尊史?」
「あ、そ、そうっすね・・」
実は腹減ってんだよな〜。
食欲はあったんだけど事情が事情で、ねぇ・・・。
だけどなんで俺に振ったんだろ。
「それじゃ行きますか!」
真里姉は俺の考えなどお構いなしに仕切っている。
真里の指示のもと道脇に止めていた車に乗り込み、愛と麻琴と待ち合わせている場所、
ここから5分ほどの距離にある裏道通りに向かった。
- 207 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:29
- そして5分後。
チャイナタウンから僅か5分で着いたここ、裏道通りは殺風景ながらも店はかなりの数が並んでいて、
田舎町の商店街に来たと思えば裏道だとは思えない。
まぁ、少し寂れた感じがそう思わせるのだろう。
しかし都会にこんなとこがあるなんてなぁ〜。
まさに穴場中の穴場だな・・。
・・人、いね〜。
そういえば昨日愛さんが言ってたな。
『暗い感じやけど、ええとこ見つけたんよ』って。
嬉しそうに話してたなぁ・・・。
『あ、尊史ぃ!』
お、この声は。噂をすれば何とやらってやつ?噂してないけど・・・。
- 208 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:31
- 声のした方、一番後ろにいた俺はその後ろを振り返った。
振り返った俺の正面から制服姿の愛さんと学校のジャージ姿の麻琴が走ってきた。
「愛さん、早いね」
「そうでもないやろぉ、ギリギリやんかぁ」
「だからって走ってくることないよ、もっとゆっくりでも良かったよ?部活はいつ終わった?」
「んーと、電車に乗ったのが30分やから、大体20分?」
「結構ギリギリだね、連絡くれれば良かったのに」
「1回したけど電源切ってたでしょ?最初っから出る気なんて無かったんじゃんか!」
「いやいや、違うって。それには事情が・・・」
「そんなこと聞きたくありません!」
腕組をしてそっぽを向く愛。
「勘弁してくださいよ〜」
「あ、なつみさん。なつみさんも来てくれたんですか?」
「えぇ?!シカト?愛さんシカトっすか?」
「うるさいわ!アタシはなつみさんと喋ってんの!」
「ちょっ、許してくださいよ〜」
「知らん。行きましょ、なつみさん」
愛はなつみの腕を引っ張って、歩き始めた。
なつみは引っ張られながら苦笑いで尊史にひらひらと手を振った。
「ま、待ってくださいよぉ!何でそんなに怒ってるんですか?!愛さ〜ん!」
その後を追いかけていった尊史。
- 209 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:34
- 「はぁ、情けね〜。矢口さん、どうします?3人行っちゃいましたけど」
隣にいる真里に尋ねるひとみ。
「いいんじゃないかな、自由行動で。おいら達は勝手に付いて来ただけだし、元々あの二人で来る予定だったらしいからさ。
あの二人・・・と言っても高橋に合わせればいいと思うよ」
「じゃあそれまで遊んでようか、4人で」
亜依が歩き出してそう言った。
「「・・・そうだね」」
歩き出して亜依に返事したもののあまり気乗りではないあさ美と希美。
麻琴は部活で疲れたのかぽーっとそんな二人を見ながら歩き始めた。
「あまり遠くに行くなよ〜・・・ってもう高校生か。言われなくてもわかってるよね」
「あ、あ、あの、や、や、や、や、矢口さん?よかったら一緒に見て回りませんか?」
「いいよ。行こう、よっすぃ」
「はい!」
真里から手を繋いで店を回り始めた二人。
その後グループに別れて行動した彼女ら9人とプラス1人は3時間ほどの買い物を楽しんだ。
- 210 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:35
- そして3時間後・・・。
楽しかったーと感想を漏らす彼女達。
「だけどここってすごいよねぇ、掘り出し物がいっぱいだったもんねぇ」と真里。
「そうですね、久々に結構買いましたよ」と笑顔のひとみ。
「うちらもいっぱい買ったもんな〜?のの」
「うん、安かったし。もうのんお腹いっぱい」
「ののはほとんどが食い物やったからな」と亜依と希美。
「そういえばあさ美ちゃん、なに買ったの?」
「なにも買ってないよ。食べ物だけ」
「買ってんじゃん。おいしいものあった?」
「うん。だけど愛ちゃん・・・いいの?」
麻琴と話した後、後ろにいる愛に尋ねるあさ美。
「ええんよ、みんなで買い物したほうが楽しいやんか」
「いやぁ、そういう意味じゃなくて。・・・うしろ」
- 211 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:37
- 「こ、こえ〜」
愛の後ろでフラフラと歩いている尊史。
その両手には高さ2メートルを越える彼女達の荷物が抱えられている。
「ええって、気にせんといて。落とさんといてね、尊史君?」
笑顔の愛。
恐い、絶対なんかある。1個でも落としたら俺の人生終わるかもしれない・・・。絶対死守せねば!
「尊史・・なっちも手伝おうか?」
尊史の右横で心配そうななつみ。
「大丈夫です・・。なんとか・・・」
「そう?それじゃあ、こっち向いて口開けて」
「こうですか?」
言われた通りなつみの方を向き、口を開ける。
- 212 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:39
- 「はい、あ〜ん」
パク
「! あ、あふい!な、なんふか、こへ」
「たこ焼き。さっきそこで買ってきたんだけどぉ、熱かった?」
声が出ず、2回頷く。
「そっかぁ、じゃあなっちが冷ましてあげる。フーフー、はい、あ〜ん」
パク、モグモグ・・・
(かぁ〜!うまい!なっちに食べさせてもらうなんて幸せだな〜、あはは・・・)
「おいしい?」
大きく1回頷く。
「そう、よかった。もう1個いる?」
「いいですよ、あとはどうぞ」
「本当に?お昼食べてないのに?」
「! わかってたんですか?」
「そりゃあね。どういう理由か知らないけど」
(ああ、そっちはバレてないのか)
「コンは食べたんですか?」
「うん、食べたみたいだよ」
「そうですか・・・」
「・・・・。コンちゃんのこと心配?」
少し小声で聞くなつみ。
「そりゃあ、心配ですよ。いつもぼーっとしてますから」
「ふーん、普段から気になる?」
「どうですかね〜・・・・・」
少し誤魔化しながら歩いていると出口が見えてきた。
- 213 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:40
- 「あ、出口ですよ」
(ありゃ、はぐらかされちゃった)
前の3組が【ありがとうございました】と薄く書かれた看板みたいな門を潜って、
尊史となつみも潜ろうとした時、左の脇道から誰かが走ってきた。
「きゃあ」
ドン
「お、とっとっと。あ、危ねえ〜」
その人は尊史にぶつかり、尻餅をついた。
尊史はよろめいて荷物を落としそうになるも何とか落とさずにすんだ。
「大丈夫ですか・・・。あれ?梨華ちゃん、なんでここにいるの?」
「あ、安倍さん、助けてください!男の人に追いかけられてるんですよ!」
「え?大丈夫?どこも怪我してない?」
「はい・・・だけど恐かったです。あまりにもしつこくて・・・」
「よしよし、もう大丈夫だからね。安心して・・」
「はい・・・」
梨華の悲しい顔を見て、尊史はその男に怒りを覚えた。
- 214 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:42
- 「で、そいつは?」
「わかんない・・必死で逃げてきたから・・・」
「そうだよね、ごめん・・」
「お〜い、姉ちゃん!どこや〜」と、梨華が出てきた脇道から男声の関西弁が聞こえてきた。
「こ、この声です。私を追いかけてきた男の・・・」
「・・・安倍さん。梨華姉連れてみんなのところに行ってて下さい」
「え?尊史は?」
「そいつをぶん殴んないと気が済まないんで」
「ダメだよ!危ない人かもしれないし、刃物持ってるかもしれないんだよ?」
「・・・もしその両方に当てはまるんなら、ここで捕まえたほうがいいですよ。
大丈夫、武術習ってましたから、昔。それにやばくなったら逃げますから」
「でも・・・」
「いいから行って下さい・・」
「・・・うん、わかった。行こう、梨華ちゃん・・」
「さーて、どんなやつかな・・」
足音が段々と近づいてくる・・。
それにつれて尊史の鼓動も速くなってくる・・。
来た・・。
- 215 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:45
- 「姉ちゃん、どこや〜。俺もう辛いねんけど〜」
「あ・・・」
息を切らせてがっくりと尊史の前で四つん這いになった男に尊史はその姿形、声に見覚え、聞き覚えがあった。
「て、寺田さん?」
「誰やねん・・・」
寺田と呼ばれた男はゆっくりと顔を上げた。
「おぉ!尊史やんか!えーとこにおったわ。あのな、人探してんねんけど。髪が黒で肌もぉ、少し黒かったなぁ。
で、めちゃめちゃかわいい娘探してんねんけど、知らん?」
かなりアバウトすぎる情報に他の人はわからないかも知れないが、尊史はすぐにわかった。
(こいつだよ・・・)
「で、その人に何の用があるんですか」
「あ、あぁ、用ってほどでもないけど、ほらこれや」
ポケットから取り出した物は一つの財布だった。
「財布・・」
「そうや。その娘が落としたから渡そう思うたのに、声掛けたら何故か逃げてしまったんや。
だから追いかけたんやけど、生憎このザマや」
(そういうことだったのか・・)
「その人なら知ってますよ」
「ほんまか?で、どこに行ったんや?!」
「少し待ってください、今呼びますから」
「あ、あぁ・・」
「お〜い!もう大丈夫ですよ〜!」
(って、その場でかい!)
- 216 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:48
- 尊史が声を掛けると尊史達に向かって左側からひょこっと先に顔を出したのはなつみだった。
尊史が手で招くとなつみは笑顔になり、横を向いてみんなを呼び、尊史の元に走ってきた。
「大丈夫?怪我しなかった?」
「えぇ、何ともないです。心配をお掛けしました」
「そう・・よかった・・・」
なつみはそっと呟いた。
その後すぐに全員が来て、尊史の元に集まった。
大丈夫?という声が大半だったが、その中でひとみだけが
「早く言ってくれよぉ、そしたらあたしもそいつを殴ってやったのに」
「ひとみちゃん・・・」
「あーあ、試してみたかったんだよな〜新しい技。せっかく他の人で出来ると思ったのに。また尊史で我慢か〜」
「また俺かよ!」
(うぅ、それが本音なのね、ひとみちゃん。シクシク・・)
「でさぁ、その石川を追いかけてきたやつは?」
真里が尋ねる。
「そこ」
尊史が指差したのはひとみの右膝の横だった。
ひとみと尊史以外全員どよめき、すぐに尊史の後ろに隠れた。
「おし、試せる!」と、一人気合いを入れて後ろを振り向くひとみ。
「ひとみ姉ちゃん、いいんだよ、もう」
「なにがいいんだよ!」
「その人は・・」
「お〜君、中々かわいいなぁ。どや?今から俺とお茶に行かへん?」
「あぁ?なに寝ぼけたこと言ってんだよ!」
シュッ!
パシッ
「いやぁ、えぇセンスしとるわ」
「なっ・・」
ひとみの渾身の右ストレートを受け止めて涼しい顔をしている。
「おっ、よく見たらみんなかわいいなぁ。どっか行かへん?」
- 217 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:49
- 「寺田さん・・・・なんですか?」
ポツリと呟かれた一言。
「ん?その声は・・・愛か?」
「そうです・・・・」
一番後ろから出てきた愛。
その顔はどこか寂しそうだった。
「寺田さん、あたしは、あたしは寺田さんの何なんですか?!」
「何って、彼女やないのか?」
その言葉に尊史以外が騒ぎ出した。
尊史は「戻ろう・・」と全員に言った。
「だったらなんで!なんでナンパなんてしたりするんですか!
あたしのことを彼女だって言うならそんなことやめてください・・・」
「・・・・・・・・。悪いけどそれは出来へんわ・・・」
「!」
「俺が真剣になったらお前は俺しか好きになれへんで?」
「冗談はやめてください」
- 218 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:52
- 「わかったって。・・・・・はっきり言うで。俺は一人だけを好きになれへんねん。一人だけを見つめることが出来へんねん。
わかるか?一人やと不安やねん。常に予備が必要なんや。・・・・・お前の他にも女がおる。この意味がわかるか?一人だけを愛せへん俺はお前のことを何とも・・・」
「もういいでしょう・・・。・・あの、俺から言うのもなんですけど、愛さんと別れてくれませんか?」
「なんや、そしたらお前が付き合うんか?」
「・・違います。・・・・・愛さんはまだ高校生です。あなたのような人とこれからいたらその後の人生が狂います。
そうなる前にあなたと別れて良い人を見つけるべきなんです」
「勝手なこと抜かすな!愛の気持ちはどうなるんや!勝手にお前が別れさせてそれで後悔したらどうするんや!」
「あなたが言うことじゃないだろ!後悔?ふざけんな!後悔するのはあなたの方だろ!
ただ自分の不安が広がるのを恐れて愛さんを手放したくないだけだ!愛さんの気持ちを少しでも考えているなら愛さんの気持ちに応えるべきだ!
なのにあなたはそんなこともせずに自分の性癖に愛さんを利用しただけだろうが!・・・愛さんはあなたの為に・・・」
- 219 名前:第3話 愛の種 投稿日:2004/11/23(火) 21:55
- 「もうやめて!・・・もういいよ・・・」
「愛さん・・・」
「尊史・・・みんなと一緒に車で待ってて・・・。話してくる、あの人と・・」
「・・・・・・・・わかった、待ってるよ」
「ありがと・・」
・・・俺は返事もせずに歩き出した・・。
そして出口付近で待っていたみんなに車で待っているよう告げた。
・・・愛さんがあの人と続こうと俺は構わない。
それは愛さんが決めることだから・・。
・・5分もしない内に愛さんは戻ってきた。
その表情はさっきと変わらず曇ったまま・・。
俺は・・いや、俺たちは何て声を掛けて良いかわからなかった。
ただただ車のラジオが虚しくそして悲しく聞こえた・・。
・・・2時間後。
全員を送り届けて家に帰った俺達は会話を交わさないまま、梨華姉、ひとみ姉ちゃん、俺の順で風呂に入り、汗を流した。
家へと送る際、愛さんが降りる時、俺に囁いたことを思い出した。
『あとで連絡するね・・』と・・。
風呂から上がった俺は自分の部屋へ行き、ベッドの上に置いていた携帯をチェックした。
メールが来てる。
愛さんからだ・・。
ドキドキしながらメールを見た。
『今日はありがと。・・・あの人とは・・・別れました!
たかふみのおかげです。
たかふみが言ってくれなければ、ずっとあのままだったと思います。
あんなに真剣に言ってくれるなんて思っても見なかったよ。
そのお礼と言っては何だけど今度は二人で買い物しようね。
あ、そうそう。今度は携帯の電源は入ってるかな?』
おぉ!良かったぁ!早速みんなに報告だー!まずは梨華姉とひとみ姉ちゃんだな。
あ、そうそう。
・・・・・
よし、送信!
「梨華姉!ひとみ姉ちゃん!」
俺は愛さんに一言返事を返した。
『もちろん!』
- 220 名前:なつまり。 投稿日:2004/11/23(火) 22:14
- 更新終了と同時に『愛の種』も終了です。
長くなりすぎました・・。
次回予告
『ドタバタプリンセス』です。
>>201 名無し飼育さん
ありがとうございます。
本当に尊史は幸せものですね。
女性に囲まれて・・。
- 221 名前:なつまり。 投稿日:2004/11/24(水) 12:12
- 今回出てきた男と尊史の関係については次回の更新終了時に補足説明という形で書かせて頂きます。
いきなりこんな展開になって訳がわからなくなったと思います。
本当に申し訳ありませんでした。
- 222 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/01(水) 17:13
- 更新乙です。
はぁ〜やっと来れた〜。ちょっとテストがあってこれませんでした。
ですのでこの前からの感想を・・・。
あさ美って結構やる人なんですね〜。尊史が放心状態なのもわかる気がします(笑)
ちゃんと想いが届くといいですね!
- 223 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜愛さんを・・・〜 投稿日:2004/12/08(水) 00:25
- 日曜日の歓迎会の準備を済ませた翌日、月曜日。
俺は梨華姉と眠いのか寝ぼけ眼のひとみ姉ちゃんに見送られながらいつもより少し早めに家を出た。
通学する際電車を使って二駅先の学園に行くのだが、その前に愛さんを迎えに行かなければならない。
- 224 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜昨夜のこと〜 投稿日:2004/12/08(水) 00:28
- 何故そんなことになったのか、それは昨夜のこと。
俺は部屋で一人、テレビを見ていた。
時間にして8時過ぎだったかなぁ。
愛さんからメールが来て、その内容があまりにも突然すぎてビックリしたけど・・。
『明日迎えに来て』って一言。
何のことだと思って聞いてみたけどそれっきりだし。
それでしばらくしてから電話を掛けてみたんだけど、様子がおかしかったんだよね。
「迎えに来てってなんのこと?」って聞いたら妙に慌てた感じだったなぁ、声も裏返ってたし。
『え?!あの、え〜っと・・・・・』
「そんなに言いづらいこと?」
『・・・言いづらいって言えば・・・言いづらい・・・』
「そっかぁ、ちょっと待ってよ・・・。明日・・・明日ねぇ・・・・・。
あ!わかった!そういうことかぁ。・・・何時に行けばいい?」
『・・・来て、くれるの?』
「当たり前じゃん。断る理由無いし」
『じ、じゃあ明日は・・・』
- 225 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜と、まぁ・・〜 投稿日:2004/12/08(水) 00:31
- と、まぁ決まったわけなんだけど・・・。
なんで俺なんだろ。
コン達でいいんじゃないかなぁ。
・・・同じ駅だから?
多分そうだと思うな、他に無いし・・・。
それだけなら、何故突然誘ったんだろう。
・・・・・聞いてみるか?
いや、『なんでそんなこと聞くの?』なんて言われたら気まずくなるだけだし・・。
だけど聞きたい。
気になるんだよなぁ、だって異性だぞ?
フツー誘わないだろ。
けど聞いたら嫌われるだろうなぁ。
「・・・み」
嫌なんだよなぁ、気まずくなるのって。
「・・ふみ」
やめておこうか・・・そうしよう、うん。気になるけど。
- 226 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜ここで・・・〜 投稿日:2004/12/08(水) 00:32
- 「・・・・・・・尊史!」
「は、はい!」
「どこ行くの?」
「へ?あ、あれ?愛さん?なんで?」
「ここ、あたしの家だよ?」
「あ、あぁ、そうなの・・」
「・・・そうなのって来てくれたんじゃないの?」
悲しそうな目でじっと見詰める愛。
「そ、そうだよ。・・あの・・外に出てるってことは・・待った?」
「ううん、ここで待っていたかったの」
- 227 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜考え事?〜 投稿日:2004/12/08(水) 00:35
- (・・・カップルみたいな会話だな〜。待った?ううん。・・・・・みたいな感じでな〜、あ〜も〜照れるなぁ〜)
愛は一人でニヤニヤしている尊史に怪訝そうな顔をして聞いた。
「どうしたの?ニヤニヤして」
「え、い、いやぁ、ちょっとした考え事?かな〜」
「ふ〜ん・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「さ、さぁ、行こうか。電車に乗り遅れるよ」
「・・・。そうだね・・」
携帯を出して時間を確認してから俺に呟いた。
そして俺達は並んで歩き始めた・・・。
最初は緊張していたせいか会話が無かったものの、途中からそれも解れ、俺達は自然と笑顔で話していた。
- 228 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜違和感・・〜 投稿日:2004/12/08(水) 00:36
- 駅前に到着するといつもの様子と違うことに二人は気付いた。
「ねぇ愛さん。何か変じゃない?」
「・・うん、わたしも思った・・」
二人が違和感を感じるもの、それは・・。
歩いている人の少なさである。
いつもはサラリーマンや同じ学園や別の学校の生徒を見掛けるのだが、それが全く居ない。
- 229 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜あぁ・・〜 投稿日:2004/12/08(水) 00:38
- (いや〜な予感がするなぁ、なんか・・・)
尊史はそんな不安を抱きながら自分の携帯電話を見た。
「あぁ・・やっぱり・・」
尊史の嘆きに振り向く愛。
尊史は黙って自分の携帯電話を愛に見せた。
「えぇ〜!」
愛が驚くのも無理は無い。
現在の時刻は8:10。
朝比奈学園の登校時間は8:20。
残り10分しかないが今から電車に乗って駅から走って行けば間に合う時間である。
- 230 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜話しすぎたけどゆっくりと・・・〜 投稿日:2004/12/08(水) 00:40
- 「話しすぎたみたいだね」
「うん・・」
「・・・愛さんは皆勤賞ってやつ狙ってた?」
「ううん、別に。・・・尊史は?」
「いや。全く興味無い」
「ふりょーだね、わたし達」
「だね。・・・ゆっくり行こうか」
「うん」
俺達はそんな会話をした後、のんびりと学校へ向かった。
- 231 名前:前回の補足説明 投稿日:2004/12/08(水) 01:13
- 二人の関係はバスケでの師匠と弟子みたいな感じです。元ですが。
中学時代に会って、それから部活以外の時間で3年間教えられてきたんですが、
卒業と同時に行方をくらませてあの時が2年振りくらいの再会だったわけです。
尊史が愛の彼氏だと気付いたのは>>57の時に愛に携帯を見せられたからです。
性癖についても中学のときに知ったと言うわけです。
>>218の時に急に出てきたのは、自分で戻ろうと言っておきながら愛のことが心配で
そのまま戻ってきたわけです。
- 232 名前:なつまり。 投稿日:2004/12/08(水) 01:26
- 更新終了です。
>>222 七誌さん
テストだったんですか、お疲れ様です。
長くなりすぎた愛の種もようやく終わりました。
読んで頂いてありがとうございます。
今回の話からは・・・・・・です。
これも読んで頂ければと・・・。
- 233 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/08(水) 16:30
- 更新乙です!!
いや〜愛って大胆・・・!?
二人とも・・・不良はいけませんよ?
尊史も・・・皆勤賞がどうとか・・・・。
話の中?のタイトル欄がちょっとおもしろい・・・(笑)
- 234 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜久しぶりの先生と新しい先生〜 投稿日:2004/12/13(月) 15:41
- ガラッ
「遅れましたー」
「ん?おぉ、尊史か、おはよう。遅刻なんて珍しいなぁ」
登校時間から10分遅れて教室に来た俺に久しぶりの声が響いた。
「あ、中澤先生。おはようございます」
「まぁ、ええから座って。さっき、うちの出張話が終わったところやから、後でうちのとこに来て聞きに来るようにな」
「は〜い」
「よろしい。じゃあなっち、やなかった。安倍先生、尊史に軽い自己紹介したってや」
「はい。どうも安倍なつみです。今日からこのクラスのお世話になります。よろしくね」
ぺコっと一礼してから笑顔で俺に手を振っている。
俺は突然のことに驚きながらなっちに手を振った。
- 235 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜誰かさん・・〜 投稿日:2004/12/13(月) 15:45
- 昼休み。
俺は屋上で一人、購買で買ったコーヒー牛乳を飲みながら景色を眺めていた。
そこに・・・。
「だ〜れだ?」
両手で目隠しする誰かさん。
まぁ、声でわかるんだけど・・。
「希美だろ」
「あれ?なんでわかったの?」
「・・・あのなぁ、そういうことやるんならせめて声ぐらい変えろよ」
「あ、そっか。じゃあもう一回」
「あほ。バレてるんだから意味ねぇだろ」
「それもそっか」
そう言いながら俺の隣に来る希美。
「あっ、それもらっていい?」
手に持っているコーヒー牛乳を指差す。
「あぁ、いいけど。・・みんなは?」
「購買に行ってる」
- 236 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜ん〜?〜 投稿日:2004/12/13(月) 15:51
- 「そうか」
チュー
「希美、飯は?」
チュー
「まだ。尊史と食べようと思って」
「・・・そう、か」
「薄い反応だな〜。もっと喜んでよ〜」
「ん、あぁ、そう・・・だな」
「ん〜?」
ストローを咥えながら不思議そうな顔をして尊史の顔を覗き込む。
「な、何だよ・・」
「どうしたの?急にぼーっとしちゃって」
「・・・ぼーっとしてねぇよ。・・・ただ・・・驚いただけだよ・・・」
「え?なに?」
「な、何でもない!ただの独り言だよ」
「ふ〜ん・・」
- 237 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜俺のがぁ・・〜 投稿日:2004/12/13(月) 15:53
- チュ〜・・・ズズズズズ〜・・・
「え?もしかして・・・」
「ごちそーさま」
満足そうな顔の希美。
「俺のコーヒー牛乳がぁ・・・」
「あ、パンちょーだい」
「やらん!絶対にやらんぞ!これだけでも守ってやる!」
「むぅ〜・・あ、なつみだぁ」
「マジ?」
パッ
「いっただきま〜す」
「なんだ、いないじゃないか。っておーい!」
- 238 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜今度はそっちかよ!〜 投稿日:2004/12/13(月) 15:55
- 「んぁ?」
パンを咥えながらこちらを見る。
だがそのパンは既に半分以上が希美の口の中だった。
「うぅ、俺の昼飯が〜・・・」
「う〜ん・・。あ、お菓子あげようか?ちょっと待ってね・・・ん〜」
希美はパンを食べて(正確には押し込んで)から自分の制服のポケットからポッキーを出した。
そして袋を開けて咥えてから目を瞑って口を突き出してくる。
「ん〜・・って出来るか!」
「え〜、してよ〜」
- 239 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜強制連行や!〜 投稿日:2004/12/13(月) 15:58
- 「・・なんや楽しそうやなぁ、尊・史・君!!」
「へ?」
後ろを振り返ると怒っている中澤先生がこちらを見ていた・・・。
「あの、な、何か・・・」
「何かやとぉ・・。うちの話も聞きに来んとイチャ付きおってぇ。強制連行や!」
グイッ!
「うっ・・」
ズルズル・・・
「せ、先生・・軽く絞まってるんですが・・・」
「知らん!辛抱せぇ!」
「せ、先生・・そういえば俺、昼飯食べてないんですけど・・・」
「うちの弁当分けたる!」
「弁当・・。手作りですか?」
「・・・コンビニや・・・」
「寂しいっすね・・・」
「うるさいわ!」
俺はそのままズルズルと中澤先生に引きずられ、職員室へ連れて行かれた。
先生の話は説教から始まり、途中からは何故か恋愛話を聞かされる羽目になってしまった。
・・・出張話は何処へ?
- 240 名前:なつまり。 投稿日:2004/12/13(月) 16:05
- 今はここまでです。
次は深夜にでも。
>>233 七誌さん
今回の話からですがサブタイトルを付ける事にしました。
少しでも楽しんでくれればいいんですが。
- 241 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜もう一人の幼なじみ〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:35
- 放課後。
ジャージに着替え終わった俺は体育館で昨日用意した飾り付けをぼーっと眺めていると誰かに頭を叩かれた。
こん
「ん?」
「よう、どうした。ぼーっとしてお前らしくもない」
「あぁ、竜弥か。ちょっとな」
こいつは松藤竜弥(まつふじたつや)。
俺のもう一人の幼なじみで一応同じクラスなんだけど、席が遠くて最近はあまり喋ってなかったな。
竜弥とは昔から一緒にバスケをやってきた仲で、いわゆる腐れ縁というやつだ。
- 242 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜惚れたみたいで・・・〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:37
- 「あ、あれだろ。かわいい娘来るかなぁとか考えてたんだろ?」
「・・・まぁな」
本当は違うけど・・。
「やっぱそうか!ま、精々いい娘を見つけとけよ」
「随分余裕だな」
「ああ!何たって俺には飯田先生がいるからな!」
なんだ、ワンパターンな奴。
竜弥は最初バスケ部に入ることを渋っていたんだけど、飯田先生が何て吹き込んだか知らないけど翌日から俺よりやる気になってたなぁ。
それからは何故か飯田先生に惚れたみたいで・・・。
「変わってないなぁ」
「はは、まぁな。じゃ、俺着替えてくるわ」
「おう」
- 243 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜ここは・・・〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:39
- 20分後。
俺達とコン達女子が軽くアップをしていると、いつもの白衣ではなくジャージを着た飯田先生がやって来た。
「みんな集まって〜」
その一言で全員、先生の元に集まる。
「じゃあ今日は歓迎会ということでゲーム(試合)をします。練習は明日からだから楽しもうね」
ニコリと微笑む飯田先生。
は〜い、と一際大きく返事をする竜弥。
小学校か、ここは・・・。
- 244 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜意味深だ〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:41
- 飯田先生はその後にこう言った。
試合形式はオールコートの3on3(3対3)。
最初は俺達2人に飯田先生が入るということになった。
20点先に取った方が勝ちでメンバーはランダムに入れ替えていくそうだ。
ということは竜弥や飯田先生とも戦えるってわけだ。
で、肝心の1年生は後から来るみたいで、それとは別にもう一人来るからと何故か先生は笑いながら言ってた。意味深だ・・。
- 245 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜うそぉ!〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:42
- 試合が始まる前、飯田先生は俺達二人をを集めた。
「いい?やるからには絶対勝つよ。・・・もし、負けるようなことがあったらあんた達2人退部だからね・・」
威圧感たっぷりのその言葉に俺は思った・・。
楽しめねぇ〜・・。
普段はあんな先生じゃないのに・・。
試合になると変わるのか?
このギャップに竜弥は悲しむだろうな・・・。
そう思いながらちらりと竜弥を見ると・・。
「あんな先生も素敵だ・・・」と呟いていた。
うそぉ!
- 246 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜すぐにゴールへ〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:45
- そして試合が始まった。
あっちのメンバーはキャプテンの松浦さん、副キャプテンに2年生。
審判はもう一人の2年生でコンはベンチみたいだ。
コートの中央で一礼してからジャンパー(ジャンプボールをする人)が付く。
こっちは飯田先生、あっちはジャンプボールを最初からすてているのか2年生だ。
俺は2年生の後ろについた。
笛の音と同時にボールは高く投げられ、それを先生が軽く叩く。
ボールは俺の手の中に。
俺はすぐにゴールへ向かった。
- 247 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜難攻不落のあやや〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:47
- 最初に立ち塞がる副キャプテン、だがそれをロールで避ける。
「行かせないよ!」
低く構えている松浦さん。
確か『難攻不落のあやや』なんて言われてるっけ。
それ程ディフェンスが堅いってことなんだけど。
・・・だけどそんな立派な城にも弱点があるはず。
俺は左から右へクロスオーバードリブルをすると松浦さんが詰めてくる。
狙い通り・・。
そしてそのまま体制を低くしてスピンドリブルで避けたが、
「甘い!」
再び松浦さんが立ち塞がった。
流石に速い。
- 248 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜いーじゃん〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:48
- ・・・だけど俺の勝ち。
俺はそのまま後方に飛んで・・・シュートをした。
・・・・・・・
スパン!
「よし!」
「フェイダウェイショット・・・」
ポツリと亜弥が呟く。
「・・・いーじゃん、面白くなりそう・・・!」
「おっけー、ナイッシュ!」
「おう!」
竜弥に思い切りハイタッチを決める。
「ナイッシュ」
「どうも」
俺は軽く走りながら微笑んで出している先生の手を叩いた。
- 249 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜シーソーゲーム〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:50
- 20分後、いよいよこのゲームも大詰め。
竜弥のパワープレーや飯田先生の神業的なミドル、ロングシュートなどが決まり、楽勝かと思われたが、
松浦さんに3ポイントシュートを決められ、さらに副キャプテンと2年生にそれぞれ1本づつ決められ、
シーソーゲームの末、現在18対19とどちらか1本決めれば勝ちということになっている。
堪らずタイムを取る俺達。
- 250 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜あれ〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:53
- そして作戦を立てる。
・・・・・・・・・
「お、おい!あれをやんのか?」と竜弥。
返事をする俺。
「だけどあれの成功率は低いんだぞ?だったらお前のスリーで決めろよ」
「・・・いや、ダメだ。打っても弾かれるかエアーボールだ。
なるべく近くで打った方がいい、けど松浦さんを抜かせる自信は無い。だからあれしかないんだ」
腕を組んで唸る竜弥。
そして・・・。
承諾した竜弥。先生もこれに乗ってくれ、最後のオフェンスが始まった。
- 251 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜キーワードは・・・〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:55
- ボール運びをするのは竜弥。
俺じゃないことに驚く相手チーム。
最後の1本、キーワードはタイミング。
これが決まらなければ俺達に勝ちは無くなると言っていい・・。
だがやるからには決める!
まず先に松浦さんを押さえる先生。
必死に抵抗する松浦さん。
俺達はアイコンタクトしてから頷き合い、動いた。
弧を描きながらゴールに向かって走っていく俺。
3ポイントライン付近でドリブルをしながら待機している竜弥。
「二人共!何ぼーっとしてるの!ボールマンに当たって!(ボールを持っている人にプレッシャーをかけること)」
叫ぶ松浦さん。
二人は返事をしてから竜弥のところに走ってくるが、もう遅い。
- 252 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜あれ決行!〜 投稿日:2004/12/14(火) 00:57
- 「竜弥!」
黙って頷いた竜弥はゴールの少し横にチェストパスを出した。
弧を描いているボール・・・。
俺はツーステップ踏み、ジャンプしてボールを受け取る・・。
よし、タイミングバッチリ!
後は・・・。
そのままレイアップシュート・・・。
着地してゴールを見ると、ボールは嘲笑うかのようにリングの上をゆっくりと回っていた。
黙って見守る6人・・・。
- 253 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜よっしゃあ!〜 投稿日:2004/12/14(火) 01:02
- 一回転・・・
・・・・・・・
二回転・・・
・・・・・・・
・・・ボールは三回転目に力無く落ちた・・・ゴールへと・・・
「よっしゃあ!」
「やったな、尊史!」
ハイタッチを交わしてはしゃぐ二人。
「うそ・・今度はアリウープ・・・はは、やられちゃったな〜」
そんな二人を見ながら力無く笑う亜弥。
- 254 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜そうだね。だけど・・・〜 投稿日:2004/12/14(火) 01:03
- そこに圭織がやって来た。
「お疲れ。久々に面白い試合だったよ」
ポンと亜弥の肩に手を乗せる。
「あ、お疲れ様です。・・・すごいですね、あの子達。・・・・・完敗です」
「そうだね。・・・だけど今の松浦達に出来ないわけじゃない。明日からはそこらへんを重点的にやるからね」
「・・・はい!」
「うん、良い返事だね。ほら、礼しに行くよ」
「はい!」
- 255 名前:なつまり。 投稿日:2004/12/14(火) 01:07
- 以上バスケものでございました。
- 256 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/14(火) 22:38
- 更新乙ナリ。
ほほ〜尊史ってすげぇんですね〜。
いろいろバスケの専門用語が出てきましたね〜。大体はわかります。
コン達もがんばってほしいですね。
- 257 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜休憩中に〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:35
- 礼をした後、尊史はタオルを被りながら体育館の端で休んでいた。
「お疲れさま」と、突然声を掛けられた。
「あ、あぁ、どうも。お疲れさまです」
その人に驚く尊史。
「すごいねぇ、尊史って。あ、学校じゃ名字かな?」
笑顔で問い掛けながら尊史の隣に腰掛けるジャージ姿のなつみ。
「そのままでいいですよ。中澤先生もそうですから」
「そう?それならそうするけど・・。だけどホントにすごいね、意外な才能ってやつかな?」
(ん?)
ある事に気付いた尊史はじーっとなつみの方を見詰めた。
「な、何?そんなに見詰めて・・・」
ほんの少し顔を赤らめるなつみ。
「あの娘、誰ですかね」
体育館の入り口からこっちを見ている一人の女の子を指差した。
(あ、なっちじゃないんだ・・)
そんなことを思いながら尊史が指差した方を見る。
(誰だろ、何か持っているみたいだけど・・・)
- 258 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜ひ・み・つ♪〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:37
- 俺達は二人でその娘のことを見ていると女の子は何故か柱の影に隠れてしまった。
(・・・ひょっとしてなっちはお邪魔かなぁ)
「んじゃ、なっち、圭織のとこに行ってこようかな〜」
「え、いきなりどうしたんですか?」
「ひ・み・つ♪大人の事情だよ。それじゃ頑張ってね、バイバイ♪」
手を振って笑顔で走り去っていくなつみ。
訳が分からないまま、また手を振る尊史。
なつみはその際女の子にそっと笑いかけた。
女の子は軽く会釈すると尊史の方に掛けて行った。
- 259 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜プリンセス登場〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:40
- 「あ、あの先輩!きゃっ!」
「おっと」
コケそうになった女の子を咄嗟に支える。
「大丈夫?」
「・・・はい・・・」
とろ〜んとした瞳で返事をする。
だが女の子は動かず、じ〜っと見詰めたままだ。
「・・どうしたの?」
そう問いかけると女の子はハッとした様子で、
「あ、ごめんなさい。・・・見惚れてて・・・。あ、あの飲み物買ってきたので良かったら飲んでください」
と、渡されたのは缶ジュース2本・・・。
「どうして2本なの?」
「あの、先輩あんなに動いてたから、その・・・すごくのどが渇いてるんじゃないのかなって・・・思って・・・」
- 260 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜お名前は?〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:42
- 「そうなんだ、ありがとう。けど、2本もいらないよ。君が・・・えっと、名前は?」
「あ、あの、亀井絵里って言います」
「亀井さんかぁ。じゃあ亀井さんが1本もらってくれないかな?」
「ありがとうございます。あの、それから絵里って呼んでください」
「呼び捨て?だけど会ったばかりだからなぁ。絵里ちゃんって呼ばせてもらうよ。よろしく絵里ちゃん」
「は、はい。よろしくお願いします」
- 261 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜飲まれちゃったよ〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:46
- それから二人でジュースの缶を開けて話していると、
飯田先生が「さっきゲームしてない二人と1年生でゲームするから。それから2年生の方になっち入ってね」
クールに言い放つ。
「えー!なっち出んの?!」と、なっちは随分と素っ頓狂な声を出して驚いてた。
「それじゃエリ、行ってきますね。ジュースは先輩にあげます」
「いやぁ、そんなにいらないよ」
「じゃあ、先輩のジュース貸してください」
「あ、うん」
貸してと言われたことに疑問を持ちながら、缶を絵里ちゃんに渡した。
「やっぱり少ない・・・」と、呟くと渡された絵里は缶を数秒見つめてから、ぐっと一気に飲み干した。
(飲まれちゃったよ・・・)
- 262 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜どうぞって・・・〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:48
- 「はぁ・・・。これで少しは少なくなりましたよ。先輩はエリのどうぞ」
笑顔で言うと缶を俺の傍に置いてからコートへ走っていった。
しばしボーゼンとする俺。
(どうぞと言われても・・・)
尊史は絵里の缶を手に取り、少し振ってみた。
(俺のと量変わんないじゃん・・。何であんなことしたんだろ・・)
(エヘッ、先輩と間接キスしちゃった〜。次は・・・。あ〜ん、もう。エリってば気が早いよ〜)
頬に両手を当てて照れる絵里。
休憩中、遠くからずっと二人の様子を見ていたあさ美は少し嫉妬心を抱きながら、
コートの中央で歩いてくる絵里を見詰めた。
しかしこれはほんの序の口にしかすぎなかった・・。
- 263 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜夕焼け空はきれいだねぇ・・〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:50
- 「ふぅ・・疲れた・・・」
部活も終わり、生徒玄関で靴を履きながら独り言を言う尊史。
「尊史、帰ろうぜ」
後ろから竜弥が声を掛けてきた。
「ああ、けどコン達が来るまで少し待っててくれ」
竜弥を見ずに靴紐を結び直しながら言う。
「おっ、いいねぇ。やっぱ男二人で帰るのもどうかな〜って思ってたんだよ」
下駄箱から靴を取り出して放り投げる。
「だったら誘うなよ・・」
頬杖をついて入り口から見える夕焼け空を眺める。
「そんな冷たいこと言うなって。一人で帰る方が寂しいんだからよ」
靴を履きながら話し掛ける竜弥。
- 264 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜真里姉はお休みです〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:53
- 「あぁ、そうかい・・・」
「どうしたんだよ。部活が終わってから変だぞ?
あ、そうだ。矢口姉さんの店行かないか?久々の部活で腹減ってよ」
「真里姉なら今日は休み。それでも行くか?」
空から竜弥へと視線を移す。
「おいおいおい!どうしたってんだよ!なーに拗ねてんだよ。俺で良かったら聞くぞ?」
予想外の言葉にぽかーんとする尊史。
「・・・怒ってないのか?」
「何が?」
「だってほら、結構冷たくなかったか?俺」
- 265 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜テンションアップ〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:56
- 「ドアホ。そんなんでいちいち怒ってたらキリねぇだろ!それに俺達はこんなんで壊れるような仲か?」
「それもそう・・・だな・・」
色々と思い出してみたが、こんなのはしょっちゅうあったような気がする。
「だろ?だったらほらほら聞かせてくれよ〜」
「なんでテンション上がってんだよ」
「だってよ、もしかしたら良い話が聞けるかもしれないだろ?」
(良い話って何だよ・・・)
「・・・まぁ、いいか。実はな・・・」
- 266 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜ま〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:56
- ・・・・・・・・・・・・・・
- 267 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜テンションダウン〜 投稿日:2004/12/20(月) 14:58
- 「・・・。もしかして話ってそれか?」
数分前とは違い、かなり冷めきっている竜弥。
「他に何があんだよ」
「かぁ〜!小っちぇえ〜!小っちぇよ!しかも簡単でつまらん!!」
「うっせーな!こっちは真剣に悩んでるんだっつーの!」
「へいへい。ま、そんなんで悩むなんてお前らしいけどな。
その、亀井さん、だっけ?何で缶を入れ替えたかって、そりゃあお前のことが・・・」
途中で話を止めた竜弥。
あることを思い付いたからだ。
- 268 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜気にしない気にしない〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:01
- 「俺のことがなんだよ」
(これで気付かないのかよ。相変わらず鈍感だなぁ・・。こういう続きってあれしかないだろう。
ま、その方がこっちにとっては面白いからな。黙っておくか)
「あ、わりぃ、間違えた。『お前のことが』じゃなくて『お前で』だ。それでお前で罰ゲームだよ、罰ゲーム。
俺たまたま見たんだよ、1年生がジャンケンしてるとこ。その中に亀井さんもいたの思い出したよ」
「結構な間違いだよな、それ。なんか隠してないか?」
(なんでこういうのには気が付くんだよ!)
「いーや、隠してない!それで合ってるから」
「そうか?それならいいんだけど・・」
「そうそう、それでいいんだよ。あ、紺野達が来たぞ」
- 269 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜生クリーム〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:04
- 「ごめん、待った?」
尊史に声を掛けるあさ美。
「いや、全然。・・ケーキは美味しかったか?」
キョトンとするあさ美。
「口に生クリーム付いてるぞ」
ハッとした様子で慌てて手鏡を取り出した。
確認した後、恥ずかしそうに俯いて「ごめん・・」と一言。
「いいって。コンが食べてこないなんてありえないからな。みんなも食べ過ぎには注意しなよ?」
ギクリとする愛、麻琴、亜依、希美の4人。
「ほらほら、固まってないで帰ろうぜ?」
声を掛けてから一人歩き出す尊史。
(よくわかったな〜。全然わかんなかったぞ、俺は)
そう思いながら後に続く竜弥。
- 270 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜喜んで怒って溜息を一つ〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:07
- その後、生徒玄関を出た5人は2人と合流して校門を出ようとした時、
「せんぱ〜い!」と、後ろから声を掛けられた。
振り返る7人、そしてこの声に聞き覚えのあるのがこの中で3人。
一人はニヤッと笑い、
一人はムッとして、
そして一人は軽い溜息をついた。
走ってくる一人の少女。
- 271 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜8人いるけどリアクションは6人です〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:11
- 「ド〜ン!エヘへ」
そのまま尊史に抱きつく。
カチンと固まる2人。
口に両手を当てて驚き、固まる2人。
嫉妬と驚きで固まる1人。
そしてこの状況を楽しもうとするのが1人。
「ど、どうしたの、絵里ちゃん」
「一緒に帰りましょ、先輩」
尊史の首に腕を回し、上目遣いで言う絵里。
「え、あ、えーっと・・・」
「なんか俺達お邪魔みたいだから帰ろうか。後は二人でごゆっくり〜。さっ、みんな行こうか」
彼女達の背中を押して先を促す竜弥。
- 272 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜最後は殺人事件?〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:16
- 「お、おい、竜弥!え、みんなも行っちゃうの!?ちょ、ちょっと〜!」
尊史の叫びも虚しく、段々と遠ざかっていく6人。
「あぁ・・・行っちゃったよ・・・ガックリ・・・」
「あの人、良い人ですねぇ。先輩のお友達ですかぁ?」
「そう・・・幼なじみ・・・」
「先輩もいるんですか?!幼なじみ。エリも二人いるんですよ、れーなとさゆって言うんですけど。・・・先輩聞いてます?」
「うん、聞いてるよ・・」
「本当ですかぁ?なら、エリと一緒に帰ってくれますか?」
「うん、帰ろうか・・」
「やったぁ!じゃあハロモニ寄っていきましょ?
先輩とプリクラが撮りたかったんです♪あ、あの、あと、先輩の番号とアドレス・・・・・」
絵里ちゃんのそんな言葉を最後に俺の記憶は途絶えた・・・。
- 273 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜まぁ、そんなわけも無く・・〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:20
- 気が付くと自分の家の前にいたんだけど俺の横には何故か家を見上げている絵里ちゃんが居て・・・。
「どう、したの?絵里ちゃん・・」
「やだなぁ、先輩。覚えてないんですかぁ?先輩の家に寄ってってもいいですか?って聞いたじゃないですかぁ」
「は?寄ってくって・・・中に入るってこと?」
「はい、そうですけど」
(やばい!家に上げたら梨華姉ちゃんは何も言わないと思うけど、
あの3バカ(うち二人が両親)にいじられるのがオチじゃないか。なんとしてでも帰らせよう!)
「いやいやいや、ダメだよ!絶対に!」
「え〜、どうしてですか?」
「え〜っと・・あ、ほら!今日はもう遅いし、また今度ね」
- 274 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜今度は缶ではなく耳です〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:22
- 「どうしてもダメですか?」
「ごめんね。一人で帰れるかい?よかったら送っていくけど」
「大丈夫です、近くですから。・・・先輩って優しいんですね」
「そうかな。あんまり言われたことないんだけど」
「・・・。先輩・・・耳・・・かしてください。お話があるんですけど・・・」
俯いて言う絵里。
「ん?どうしたの?」
絵里の身長に合わせて軽く中腰になる。
すると・・。
ちゅっ
何かやわらかい感触が俺のほっぺたに触れた。
- 275 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜あくまでこんな考えです〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:27
- 「・・・え・・・今・・・なにを・・・」
「お、おやすみなさい、それじゃあ」
尊史から離れてお辞儀をすると、そのまま走って帰っていった・・。
「今・・・触れた・・・よな・・・。え〜!・・・絵里ちゃん、頑張りすぎだよぉ。
今の罰ゲームって進んでるな〜、絵里ちゃんも断ればいいのに・・。何か賭けてんのかな・・」
あくまで罰ゲームだと信じ込んでいる尊史。
だがこの考えが後に騒動を引き起こす・・・のかもしれない。
- 276 名前:第4話 ドタバタプリンセス〜おまけ?いやオチかな?〜 投稿日:2004/12/20(月) 15:28
- ちなみにその夜、竜弥と先に帰った5人の各々の家では・・・。
「ふ、増えてる〜!!!」という声が家中に響いた・・。
- 277 名前:なつまり。 投稿日:2004/12/20(月) 15:44
- これで第4話終了です。
次回第5話は『んぁ?あぁ、おかえり』です。
>>256 七誌さん
わかるんですか!いや〜嬉しいです!
少し専門的かなと思っていたんで安心しました。
- 278 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/21(火) 21:59
- お〜亀ちゃんってば大胆だね〜。
尊史もなんで気づかない・・・
コン!がんばれ!応援してるぞ!
- 279 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜GWだけど部活なんです。〜 投稿日:2005/01/10(月) 03:42
- 「ただいまぁ」
家に帰ってきて最初の一言。
と言っても聞こえない程度に言ってるんだけど・・。
いつも通り挨拶をすませて2階へ上がろうとしたら、笑い声がリビングから聞こえた。
楽しそうだねぇ、良いことだと思うけど。
リビングのドアから視線を外して今度は目の前の階段に移す。
そして右足をかけた時、パタパタとスリッパの音がリビングから聞こえてきた。
またドアに視線を戻す。
そのドアが開いた。
出てきたのは母さんだった。
「おかえり。ご飯だから鞄置いたらすぐ来なさいよ。お姉ちゃん達が帰ってきてるわよ」
それだけ言うとさっさとドアを閉めてしまった。
・・・・・。
達って何だ・・。
俺には1人しかいないはずだけど。
まさか隠し子!
・・・んな訳ないか。
バカな考え事をしながら2階の自室へ向かった。
- 280 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜太陽は沈んでるのでほえられない!〜 投稿日:2005/01/10(月) 03:45
- 「な、なんじゃごりゃあ!!」
普段より野太くした声が部屋中に虚しく響いた・・。
・・・ちょっとやってみたかったんだ。
・・・さて。
ちょっとした希望が叶ったところで改めて部屋を見回した。
と言っても荷物が置いてあるだけなんだけど。
まずは革の茶色いギターケース。
これは間違いなく姉ちゃんのだろう、確かイニシャルが小っちゃく書いてあったと思うけど・・・。
お、あったあった。
『S・I』
相変わらずだなぁ、このケース。
ま、1年しか経ってないからな。
あとはスーツケースか・・・。
- 281 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜探偵気分 短い推理〜 投稿日:2005/01/10(月) 03:48
- で、問題はこれだ・・。
無造作に置かれたスーツケースが2つ。
俺のではないということは確かだ。
見覚えも無いし、買ってもらった覚えも無い。
姉ちゃんのでも無いと・・・思う。
こっちにキチンと置いてあるし・・・。
誰のだ?
- 282 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜探偵気分終了 食欲に勝てず〜 投稿日:2005/01/10(月) 03:49
- ぐぅ〜
「・・・お腹空いたな。気にするほどでもないか、さ、飯飯」
部活用の鞄を勉強机の横に置いてジャージのまま、リビングに向かった。
- 283 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜姉ちゃん登場!けど名前は?〜 投稿日:2005/01/10(月) 03:54
- ガチャ
「あ、おかえり」
ソファーに座って最初に言ってくれた梨華姉。
「おかえり」
その隣でテレビを見ながら素っ気無い態度のひとみ姉ちゃん。
「あぁ、おかえり」
二人の座っているソファーの斜め向かいのソファーに座っている姉ちゃん。
「ただいま」
俺は姉ちゃんの後ろを通り、料理が並んでいるテーブルを挟んで梨華姉とひとみ姉ちゃんの向かいに腰掛けた。
- 284 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜いちーちゃんの字ってどう書くの?〜 投稿日:2005/01/10(月) 03:56
- 「んぁ?」
「?」
姉ちゃんの隣に座って口をモグモグさせて俺を見ている人。
女性なんだけど・・。
誰だろ、この人。
「いちーちゃん、この子が弟?」
え、なんで知ってんの?
「ああ、そうだよ。そういえば紹介してなかったね。これが弟の尊史」
これ扱いかよ・・。
「で、尊史。こっちがあっちの方で、と言うか付いて来た後藤真希」
「よろしく〜。かわいい顔してるね、弟君。いちーちゃんよりかわいいんじゃない?」
「ど、どうも・・・」
- 285 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜お姉さん危機一髪〜 投稿日:2005/01/10(月) 03:59
- 「あは、照れてんの?かわいい〜。弟君みたいな子って色々教えてあげたくなっちゃうんだよね〜、お姉さん」
「!?」
思わず後退りする。
「何なら今教えてあげようか?ここで・・・」
四つん這いでゆっくりと迫ってくるお姉さん。
・・じゃなくて後藤さん。
「ウフフ〜、じゃあまずは〜・・・」
ごん!
「いった〜い」
「ふざけ過ぎ。はい、大人しく戻る!」
「へ〜い」
- 286 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜お姉さん危機一髪はまだ続いてた〜 投稿日:2005/01/10(月) 04:02
- 姉ちゃんのお陰で助かった〜・・。
いや、惜しかったと言うべきか?
もうどうだっていいや・・。
「はぁ・・」
軽い溜息をついてから立ち上がり、ソファーに座っている後藤さんと少し距離を置きながらその場を離れ、ドアへ向かった。
「どこ行くんだ?」
「風呂入ってくる」
「あ、じゃあお姉さんと一緒に入ろっか」
振り返ってソファーの上で膝立ちした笑顔の後藤さん。
「お姉さん、着痩せするタイプなんだよね〜。見せてあげよっか?お風呂場で・・」
「え、遠慮しときまーす!!」
猛ダッシュで出て行った尊史。
- 287 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜手におえないおっさん達〜 投稿日:2005/01/10(月) 04:09
- 「あーあ、行っちゃったぁ」
「あほ。初対面で刺激が強すぎんだよ。それに教育上良くないっつーの」
「そーだよ、ごっちん。流石に今は早いって。仕掛けんなら夜中じゃないと」
「お前も乗ってどうすんだよ!」
ごん!!
「いってー!!本気で殴んなくても・・・」
「ったく、この2人は・・。少しは梨華を見習えよ」
「二人きりなら夜中じゃなくてもいいんじゃない?朝でも昼でも・・・」
「「おぉ!過激ぃ!!」」
「なんなんだよ、こいつらは・・・」
- 288 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜マザー アンド ファーザー@〜 投稿日:2005/01/10(月) 04:14
- (うふふ、紗耶香も大変ねぇ。けどお母さんも梨華ちゃんと同じなんだけど、言ったら怒られちゃうかしら♪)
キッチンで洗い物をしながら聞いていた母は心の中で意見した後、
気付かれないように一人、笑顔で鼻歌を歌い始めた。
- 289 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜マザー アンド ファーザーA〜 投稿日:2005/01/10(月) 04:16
- (ずっと聞いていたけど我ながら息子が羨ましいよ・・。父さんは母さんだけで精一杯だったのになぁ、親子で何故これほど違うのだろうか・・。
友達もかわいい女友達ばかりで。父さんはいつも男の花園状態だったのに・・・。くそ!メガネが曇ってきた!)
父はメガネを外しポケットからハンカチを取り出して、レンズを力強く拭き、掛け直す。
(どうしてだ!何故曇ったままなんだ!)
父は外して、拭き、掛けるという行為を数回繰り返した。
(何故だ!何故曇ったままなんだ!何故だ〜〜!!)
父はメガネを投げ捨て、四つん這いになって、俯き、考え、そして悟った・・。
リビングに女性だけが居て、恥ずかしいと言う理由でリビングの隣、襖1枚で隔てられた自室に閉じこもって食事に在りつけていない自分。
この引っ込み思案な性格が息子と自分の大きな違いだと・・・。
そして父は気付いた・・。
メガネが曇っていた訳じゃない、自分の目に涙が溜まっていたんだと・・。
そして父は一人、静かに涙した・・。
- 290 名前:なつまり。 投稿日:2005/01/10(月) 04:30
- 更新終了です。
最後はあまり気にしないで下さい。
気付いたらこうなってたので・・。
余談ですが、ごっちんと尊史の関係は元ネタ、というか私と猫が参考になっています。
ごっちん側が私で尊史側が猫という風に・・。
かわいいからついつい構いたくなるのですが、しつこいからなのか避けられてばかりで・・。
ごっちんは行き過ぎない程度に書きたいと思います。
以上詰まらぬ余談でした。
- 291 名前:なつまり。 投稿日:2005/01/10(月) 04:37
- >>278 七誌さん
遅いですが、明けましておめでとう御座います。
コンとの絡みが最近メッキリと減りましたが、そろそろだと思いますので少々お待ちを・・。
- 292 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/10(月) 11:30
- 更新乙でーす!
おおごっちん過激だな〜^^
梨華ちゃんも・・・なんで・・・。
にしてもお母さん・・・なんで賛成する・・・?
お父さ〜ん・・・がんばれ。
- 293 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜ぶっちゃけ、お母さん天然なんです〜 投稿日:2005/01/30(日) 00:54
- 風呂から上がった俺は体を低くして両手でゆっくりとリビングのドアを開けた。
半分開けたドアの隙間から中の様子を窺う。
右・・・左・・・そして正面・・・。
よし、居ない。
だが安心は出来ない。
いつでも逃げられるように構えて中へ入っていく。
左側のキッチンから母さんの『何してるの?』という冷たい視線を受けているがそんなことはお構いなしだ。
まずは自分の身を守らなくては。
ソファーを調べ、それから辺りを見回す。
いない・・・。
どこだろう・・・部屋だろうか。
「姉ちゃん達は?」
母さんに聞いてみる。
「2階よ。けど、お姉ちゃん達じゃなくて真希ちゃんに用があるんじゃないの?うふふ」
「あはは・・・(違いますよ、お母さま・・逆です・・(泣))」
何とか愛想笑いでごまかし、母さんからレトルト物の夕飯を貰い、
さらに『お姉ちゃん達と食べなさい』と渡された数種類のお菓子と数本のペットボトルと人数分のコップを乗せたお盆を何とか持ち、2階へ行った。
- 294 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜マイルームからオイダサレタ!〜 投稿日:2005/01/30(日) 00:58
- 「あれ?なんで姉ちゃんこっちにいるの?」
自室に戻ってみると寛いでいる姉の姿を発見した。
「今日と明日はこっちで寝るんだよ。あっちじゃさすがに4人はきついだろ?」
「けど、あっちって姉ちゃんの部屋じゃん。変えてもらえば?」
そう、今2人の従姉妹が使っている部屋は元々姉ちゃんの部屋で留学前まで使っていたのだ。
「いいよ、別に。こだわる必要もないだろ?1年も離れてたんだから。今は好きなように使えばいいよ」
「ふ〜ん。じゃあ俺は?」
机に下から持ってきた自分の夕食とお盆を置く。
「下。それとも後藤と一緒に寝る?」
「後藤さん泊まるの!?」
- 295 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜ゴトーサンガキテマァス!!〜 投稿日:2005/01/30(日) 01:01
- 「泊まるよ〜」
何処からか声がしたが見回しても姉ちゃん以外誰も居ない。
ベッド側の窓に目をやると後藤さんが映っていた。
慌てて後ろを振り返るが既に遅く、力強く抱き締められた。
「捕まえた〜」
「つ、捕まった・・・」
「ウフフ〜。ベッドにちょっこー!」
「しなくていいー!」
抱き付かれたまま姉ちゃんの前を通り過ぎ、ベッドに押し倒された。
- 296 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜すげぇストレート〜 投稿日:2005/01/30(日) 01:07
- 「いやだ〜」
「・・・そんなにごとーとするのヤダ?」
そんなストレートに言わなくても・・・。
「会ったばかりじゃないですか」
「ごとーはそう思えないんだよねぇ、いちーちゃんが男の子になったっていう風にしか見えないからさ。弟君はごとーのこと嫌い?」
「いや、あの、会って1時間くらいしか経ってないんで・・・わからないんですけど・・」
- 297 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜経験者は語る・・・そして食う!!〜 投稿日:2005/01/30(日) 01:10
- 「仕方ないよ、後藤ってそういう娘だから」
何でそんなクールなんだよ・・。
こっちに見向きもせず、テレビを見ながら言う姉ちゃん。
右手にフォーク、左手には皿。
皿の上にはミートスパ。
俺の夕飯と同じだぁ。
チラリと机の上を見た。
・・・ん?
ゆっくりと姉ちゃんの食べている物を見る。
・・・あ・・・
2つを交互に見比べる・・。
ま、まさか・・・
「姉ちゃんそれって・・・」
「ゴチで〜す」
んがぁぁぁぁああああ!!
「じゃ、片付けてくるから〜」
にこやかに出て行った姉ちゃん。
「い、行かないで〜。つーか俺の飯〜・・」
- 298 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜♪大人の階段の〜ぼる?♪〜 投稿日:2005/01/30(日) 01:16
- あ・・・。
にやけている後藤さん。
笑窪が出来てます、思いっきり・・・。
「んふ、ダメ・・。にやけちゃう・・・」
ゆっくりと覆い被さってきた後藤さん。
「・・・・・いい匂い・・・・・」
耳元でそっと呟かれて背筋がゾクッとした。
やばい!
抱き締めたい衝動に駆られ、背中に手を回そうとした・・。
- 299 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜機関車梨華ちゃん(レ○風に)〜 投稿日:2005/01/30(日) 01:22
- 「・・・二人とも何してるの・・・」
「あ、梨華ちゃん」
「梨華姉・・」
「何しようとしてたの・・」
「やだなぁ、梨華ちゃん、わかってるくせに〜。決まってるじゃん、エッ・・・」
「だめ〜!」
「ふぎゃ」
突然走ってきて後藤さんを押し退ける梨華姉。
そして・・。
- 300 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜摩擦で?〜 投稿日:2005/01/30(日) 01:26
- 俺の腕を掴んで引っ張ろうとしたみたいだけど、力が無いのか、俺が重いのかわからないけど、ベッドの上を斜めにゆっくりと動いている。
「ん〜!」
必死に引っ張っている梨華姉。
これって俺が動けばいいんじゃないか?
「よっ」
「え?きゃっ」
「うわっ」
体を起こした途端、急に引く力が強くなって梨華姉に飛び込むようにベッドから引っ張り出された。
- 301 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜な?・・・う〜ん〜 投稿日:2005/01/30(日) 01:31
- 「「!!」」
今度は俺が押し倒したみたい・・。
「ご・・・ごめん・・・」
「う、うん・・・」
恥ずかしそうに顔を背けた梨華姉。
こんなところをひとみ姉ちゃんに見られたら半殺し決定だよ・・・。
けど、もし梨華姉じゃなくて真里姉だったらどうなってるんだろ・・・。
あー、やめやめ。
そんなこと考えたって意味無いし、今は退かないと・・・
バキバキバキ(指を鳴らす音)
な・・・。
- 302 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜何もしてないのにボコられたの、な〜 投稿日:2005/01/30(日) 01:39
- 「よう」
「あは、あはははは・・・」
「安らかに眠りな」
「あ〜・・・」
プシュゥゥゥ〜・・・
「大丈夫?梨華ちゃん。さ、行こ」
うつ伏せの尊史を気にすることも無く、にこやかに話し掛けるひとみ。
「う、うん。(大丈夫かな、尊史・・)」
対照的に尊史を気にする梨華だった。
「よっすぃ、すご・・・」
2人が部屋に戻ってからポツリと呟く真希でもあった。
- 303 名前:なつまり。 投稿日:2005/01/30(日) 01:59
- 約3週間振りの更新終了です。
苦戦しました・・。
>>292 七誌さん
お母さん、そういうのが好きみたいで・・・。
お父さんはあれから閉じこもってしまいました・・。
誰も気付いてません・・(泣
- 304 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/30(日) 20:18
- 更新乙。
尊史・・・生きて帰って来いよ・・・(泣
やっぱごっちんってすげー。
- 305 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/31(月) 00:15
- う〜ん・・・いろんな意味で残念!!
ごっちんの積極性すばらすぃ〜です♪
よっすぃの破壊力のすっばらすぃ〜です・・・
これからも頑張ってくださ〜い
- 306 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜目が覚めたらそこは・・〜 投稿日:2005/02/24(木) 23:45
- 「・・・・・う・・・・」
霞んだ目に最初に映ったのは見慣れた白い天井だった。
右目に差し込む明かりが少し眩しくて、右手で光を遮ってみたがそれでも眩しくて、そのまま左の窓に視線を移すと綺麗な月が見えた。
今日は三日月かぁ、なんて考えながらぼんやりと眺めていた。
「あれ?」
なんでベッドで寝てんだろ。
ゆっくりと体を起こしながらそんなことを考えた。
「あ、気が付いた?」
声を掛けてきたのは後藤さんだった。
「はい」
「こっちにおいで。お話ししようよ」
ポンポンと右手で絨毯を叩く。
どうやらここに来いって意味みたいだ。
俺は一言返事をしてから後藤さんの隣に腰掛けた。
- 307 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜いきなり乾杯〜 投稿日:2005/02/24(木) 23:48
- 俺の右隣に梨華姉、その隣(尊史の斜め向かい)が姉ちゃん。
そして姉ちゃんと少し距離を置いて俺の向かいにひとみ姉ちゃんだ。
テーブルにはお菓子が全部開けられていて、飲み物も3本全部(ジュース2本、お茶1本)が半分くらい減っている。
「ジュースとお茶どっちがいい?」
「あ、自分で入れますよ」
「いいのいいの。はい、どっち?」
「じゃあ、ジュースで」
俺が答えると後藤さんは「ジュースねぇ」と返事して、ジュースを取って入れてくれた。
「じゃあ、かんぱーい」
「はい、かんぱい」
一口飲んでコップをテーブルに置いてから後藤さんが聞いてきた。
- 308 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜笑顔で許して♪〜 投稿日:2005/02/24(木) 23:51
- 「頭痛くない?」
「頭?・・・ああ、はい。なんともないです、けど」
「けど?」
「なんでベッドで寝てたのかなって、思って」
「あぁ、あたしが寝かせたの」
「そうなんですか。すいません、なんか」
「いいよぉ、そのくらい。・・・・いたずらしちゃったし・・・・」
なんか嫌な言葉が聞こえたんですけど・・。
「い、いたずら?」
一応聞き返してみる。聞き間違えであってくれと願いながら。
「あ、聞こえちゃった?そうなの、ごめんねぇ」
手を合わせて謝る後藤さん。
けど反省してないでしょ。
だってすごい笑顔ですよ?
- 309 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜そういうことって?〜 投稿日:2005/02/24(木) 23:57
- 「で、どういうことしたんですか?・・・・・後藤さん?」
「・・・・・女の子の口から言わせるの?そう言うこと・・」
急に顔を赤くしてモジモジし始めた後藤さん。
なんかかわいいな・・。
「・・・・・」
「?・・・どうしたの?」
「へ?な、なんでもないです。それよりそういうことってなんですか?」
しまった、見惚れてた・・。
ばれてないかな。
「・・・・・・・。(ごまかすのヘタだなぁ)」
紗耶香は尊史を見ながらそんなことを思った。
- 310 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜ナイスヒント〜 投稿日:2005/02/24(木) 23:59
- 「そういうことはそういうことだよ・・・」
「???」
相変わらずの後藤さんにますますわからなくなった俺。
そんな俺に「ヒントあげよっか」とニコニコしながら言ってきた梨華姉。
「はぁ・・・」と曖昧な返事をしちゃったけど、気にせずに右手の人差し指だけを立ててヒントを出し始めた。
「それではヒント!もし尊史の好きな人が気絶しちゃってその人と2人きりだったらどうする?」
ん?
「上手いな〜梨華ちゃん。これ以上無いナイスヒントだよ」
んん??
思いっきり棒読みのひとみ姉ちゃん。
なんだこれ。
「けどそれってヒントじゃなくて問題じゃあ・・・」
「いーえ!ヒントです!!」
力強く否定されてしまった・・・。
- 311 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜ボケ炸裂〜 投稿日:2005/02/25(金) 00:02
- 「でもそれじゃあわかんないんだけど」
「気絶しちゃったんだからすることがあるでしょ。それが答えだよ。さあ答えて!さあ!さあ!!さあ!!!」
詰め寄ってくる興奮気味の後藤さん。
キャラがさっきと全然違うんですけど・・。
「すること?・・・することかぁ、することねぇ・・・。あっ」
「「わかった?!」」
期待した目で見詰める後藤さんと梨華姉。
「わかったぁ!あれだ、看病するんでしょ。正解?・・・あれ?」
がっくり肩を落とす2人。
ひとみ姉ちゃんは呆れたような表情をしている。
そして姉ちゃんは・・・。
「あはははは・・・」
お腹を抱えて涙を流しながら笑ってた。
なんで?
- 312 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜することは?〜 投稿日:2005/02/25(金) 00:06
- 「違う?自信あったんだけど」
「「全然!!」」
怒ってる・・・。
「じゃあ何?」
「男の子と女の子だよ?しかも相手は気絶。することは決まってるでしょ?」
それが当たり前というような感じの梨華姉。
やっぱそっち系か?
「はい質問。それって保健ですか」
「お、けどちょっと違うなぁ。正確には保健体育なんだよね〜」
保健体育か、惜しいな・・。
いやいやいやいや、何も惜しくないって俺のバカ〜・・。
ん?待て待て待て。
保健じゃなくて体育?
保健・・・・・体育?
!!!??
ぶはっ!
- 313 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜デジャヴ?〜 投稿日:2005/02/25(金) 00:10
- 「後藤さん!なに変なことしてんですか!」
「あは、やっと気付いた?それじゃあお体に異常はありませんか?」
なんだろう、突然。
「別にないですけど・・・」
「そうなの・・」
今度は急に目を伏せてポツリと呟いた。
後藤さんの行動が読めない・・。
「けど!」
「っ!」
ち、近い。
顔がめっちゃ近い。
しかも逃げられない・・。
いきなり俺の首の後ろに腕を回してきて、今ホントに目と鼻の先。
なんか前にもこんなことあったような気がするんだけど。
- 314 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜試合結果〜 投稿日:2005/02/25(金) 00:13
- 「けどね、真希はぁ、体が熱いの」
甘えた声でそう言うと俺の顔の真横に自分の顔を動かした。
その際に頬と頬が触れ、後藤さんはちょっと暖かかった。
ホントに熱いんだな〜と思ったけど耳元で言われたことに俺は・・・。
「誰かさんが激しくするから・・・」
仰向けに倒れた・・・。
その時後藤さんは両腕を外して俺を見送っていた。
結果:後藤真希○―×市井尊史
3R 言葉責め(?)でK・O(鼻からの流血多少あり)
- 315 名前:なつまり。 投稿日:2005/02/25(金) 00:39
- >>304 七誌さん
何とか帰って来ましたがまた行ってしまいました・・。
ごっちん今回も飛ばしてます。
>>305 名無し飼育さん
ごっちんとよっすぃ、ジャンル(?)は違いますが2人とも相当強いです。
>これからも頑張ってくださ〜い
はい、もちろん頑張りますよ〜(w
- 316 名前:なつまり。 投稿日:2005/02/25(金) 00:43
- 今回ageさせてもらいました。
もう少しで5話終了です。
あと1,2回です。
- 317 名前:なつまり。 投稿日:2005/02/25(金) 00:45
- あ、書き忘れました。
更新終了です。
実はオチ隠しだったりして・・。
- 318 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/26(土) 20:24
- 更新乙でどうもで〜す(?)
やっぱごっちんって大胆〜♪
尊史・・・答えがわかったときの顔が想像できていい・・・(笑)
- 319 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜前は秒殺だった〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:06
- いや〜よく3Rももったと思うよ。
対ひとみ姉ちゃんは1R秒殺だったからな。
あれから気絶することも無く、すぐに起き上がれたんだけどなんか鼻に違和感が。
触れて指を見てみると・・・血が!
「あ、鼻血。大丈夫?もぉ、真希ちゃんやりすぎだよぉ」
梨華姉がティッシュで血を拭いてくれているのだが、我ながら情けない・・・。
「このくらいがちょうどいいかなって思ったんだけど、やりすぎだよね。ごめんね、痛くない?」
今度は真面目に謝る後藤さん。
ん〜許しましょう!
・・・いや元々怒ってないんだけどね。
「あ〜、も〜全然!謝ることじゃないですから、気にしないでくださいよ」
「その通り。これがまだまだお子様だっただけなんだから」
「けど・・・」
しゅんとして落ち込む後藤さん。
なんかさっきと雰囲気が違うな・・。
- 320 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜乙女心と上の空〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:14
- 「気にしないの!尊史がそう言ってるんだから、ね?」
「そうだよ。あたしのと比べたら大したことないって。こいつが勝手に出したもんなんだから、ごっちんのせいじゃないよ」
「うん・・。・・・あ、あの・・・・・」
おずおずと聞いてくる後藤さんに俺は笑顔で頷いた。
「ありがと〜」
いきなり抱き着かれて、体制を崩し、そのまま床に後頭部を強打。
悶絶する俺。
抱き着いたまま離れない後藤さん。
一斉に笑う3人のお姉さん方。
悲しい・・・嬉しい・・・恥ずかしい・・・。
感情がもうめちゃくちゃだ・・。
ほんの少しして後藤さんが離れて。
声を掛けてみると「大丈夫・・」と目を擦りながら答えて。
泣いてたのかな。
と、突然梨華姉が「尊史は安心出来るでしょ」って後藤さんに言った。
「・・・うん・・・」
後藤さんはそう返事したけど俺には何のことかさっぱりわからない。
それを察してかひとみ姉ちゃんが一言。
- 321 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜爆弾発言〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:18
- 「ごっちん、元々男嫌いなんだよ」
「女好きとも言うけどな」
「ひどいよぉ、いちーちゃん」
笑いながら言う姉ちゃんに弱々しくつっこむ後藤さん。
「けどそれがどうしたんだよ」
「は?何とも思わないの?レズだよレズ。レズが男に構うはずないだろうが」
(よっすぃ、そんなに言われると恥ずかしいんだけど・・・)
「ほぉ、後藤さんが・・・。・・・・・・。はぁ!?後藤さんが?うそ、めちゃめちゃ絡んできたよ」
その反応だよ、と言わんばかりに大きく頷くひとみ姉ちゃん。
「それは女の子みたいでかわいいから・・・」と後藤さん。
「お、お、お、お、女の子?!(裏声)俺が・・・女の子・・・。この歳で女の子ってイワレタ〜〜・・・。こうなったら!」
俺は携帯を取り出し、急いでメールを打った。
・・・送信!
- 322 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜何事も無かった〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:23
- 「なにいきなり」
「ん、ちょっとね」と、姉ちゃんに曖昧に答えた。
30分くらいして携帯を開いた。
その間『女の子みたい』と言われたことを忘れるために後藤さんに質問責めをした。
それでわかったことが後藤さんは姉ちゃんのファンで高校を卒業した後、留学のことを知って、すぐに後を追って一緒に1年間過ごしたことと、
ひとみ姉ちゃんとは中学からずっと同じクラスで同じ朝比奈学園。
それとさっきまで梨華姉とひとみ姉ちゃんは後藤さんに合わせる為の演技だったそうだ。だから棒読みだったのか。
後藤さんも言ってたことはウソだったみたいで・・。よかった、なにかされてたらどうしようかと思ったよ。けど行動は完全な暴走だったそうだ・・。
それにしても周りは朝比奈多いなぁ。
近いのが朝比奈ともう1校しかないから頷けるんだけど。
おっと、忘れてた。メールの確認っと。
- 323 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜メールの内容〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:26
- 題名:俺って
本文:顔、女っぽい?
愛さん:そう言われればそうだけど
麻琴:そうじゃない?
希美:かわいいもんね、顔
コン:そう思うよ
亜依:今頃気付いたん?
竜弥:今頃気付いたのか?
真里姉:女の子になりたいの?だったらこのくらいでかわいくしてあげる♪
全滅・・・。
期待してたのに・・・。
つーか最後のなんだよ、あれ。しかもたけーよ。
- 324 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜まさか、ね〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:31
- 「はぁ・・」
「どうしたの?」
梨華姉に無言で携帯を渡す。
「・・・。してもらうの?矢口さんに」
「冗談言わないでよ!それに値段見たでしょ?ぼったくりだよ、明らかに」
「私が払うから。ね?」
「・・・・・え?冗談、だよね?」
じ〜っとこっちを見たまま動かない。
・・・マジで?
「梨華、ちょっと見せて」
返事も聞かないまま、携帯を取り上げた。
「・・・・・。へぇ〜面白そうだな、これ」
「姉ちゃんもそんなこと言うのかよ」
「いや、そうじゃない。後藤、ひとみ、ちょっと」
机に前のめりになって携帯を持っている右手を少し前に出した。
後藤さんとひとみ姉ちゃんが覗き込む。
- 325 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜謎のハリセン〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:35
- 「何か変じゃない?」
「「・・・・・。あっ」」
「なに?金額?それは確かに変でしょ」
「文章が似てる。この2人・・」
無視された・・。
「確かに変・・というか怪しいっすね」
「え?なにがなにが?」
「だろ?それを今から調べるから」
完全に空回りしてるよ、俺。
「ねぇ、私が矢口さんに言ってみるからやってみない?」
そしてこちらも・・・。
「けどどうやって?」
「簡単だよ。少し時間が掛かると思うけど。尊史!」
「うぃ!」
「この2人の文章を見て思うことは?」
「似ています!」
スパーン!
「バカ!そんなことはわかってるんだよ!他だよ!」
いてぇ。ハリセンってこんなに威力があったのか。あ、あれ?今どっから出したんだ?
- 326 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜冗談はこのくらいで〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:38
- 「・・え〜、昔から竜弥は面倒くさいことは近くの人のをパクリます」
「それでいいんだよ。これで2人が一緒にいる可能性が高いということになる。それじゃあ実行しようか。
尊史が竜弥に電話して、少しした後ひとみが加護に電話。番号はわかるだろ、早くかけて」
「電話?写メでわかるだろ」
「写メだとごまかされるだろ。やっぱり本人の口から吐かせないとな。紙に書くからその通りにしなよ」
あらら、すっかりやる気だよ。姉ちゃんこういうの好きだからな。
言われた通り竜弥に電話をする。
3回目のコールの後に竜弥が出た。
- 327 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜アドリブ実行〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:43
- 「おぅ、どうした」
「ちょっとな」
少し詰まっていると姉ちゃんが何か書いている。
そして静かにテーブルに置いた。
それをアドリブも交えて読めとの指令。
「今、家か?」
『あぁ、テレビ見てる』
「それはよかった」
『それだけか?なんだよ、いきなり。変だぞ』
いきなり怪しまれてる。
しかも少し不機嫌。お楽しみ中だったのか。
「変じゃねえよ。今何見てる?」
ひとみ姉ちゃんに早くしてくれと目で訴える。
『ロンパー(ロンドンパーツの略)』
ひとみ姉ちゃんが手で合図をした。
「あーそう、ロンパー」
頷くひとみ姉ちゃん。
「あ、あいぼん?あたし。今どこ?」
『それだけか?切るぞ』
「いやいやいや、少し話しようか。寂しいんだよ」
自分で言ってて気持ち悪いな。
「あ、家?それは好都合。あぁ、こっちの話。で、テレビは何見てる?」
決めつけちゃったよ。
「へぇ、ロンパー」
同じか。けどまだわからないな。
- 328 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜第2段階〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:48
- 『寂しい?おいおい、綺麗な従姉妹がいるくせに冗談言うなよ』
「それがさ、出掛けてて俺一人なんだよ。今からどっか行かね?」
『あ〜・・悪い。金無いんだわ。それに明日も部活だろ?』
「あ、そういえばそうだな。悪いな」
『いいって。それじゃ、明日な』
「いやいやいやいや!待てよ。だったら話し相手になってくれって」
「え、あたし?あたしも見てるよ。けどあんまり面白くないんだよね。だからさ、今からどっか遊びに行かない?」
『やっぱ今日のお前変だわ。何かあったのか?』
「梨華ちゃんと?それがさ、梨華ちゃんもう寝ちゃったんだよ。疲れちゃったみたいでさ。それであいぼん誘ったんだけど。
ムリ?ムリならいんだよ、別に。なーに、怒ってないって」
「え〜っと・・・何かと言われても・・・。あ!そう、お前も知ってると思うけど絵里ちゃんが最近俺のこと避けてるみたいなんだよ」
「お、あいぼん。ものまねやってるよ。変えてみな、面白いよ」
お、次の段階か。
『あ、見てたのに』
「ん?誰かいるのか?」
『あ、あぁ。親戚の子供が来てるんだよ』
「それにしては声が聞こえないんだけど」
『大人しい子なんだよ』
「へぇ〜」
『あ、お前。亀井ちゃんのことで困ってるんだろ?』
いきなり切り替えてきたな。なら目には目を。
- 329 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜最終段階〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:51
- 「竜弥、今ロンパーですごいことやってるぞ」
『マジ?!』
「なに?あいぼん。なにすんのって誰に言ってるの?」
思わずニヤッとするひとみ姉ちゃんと俺。
やっぱり似てるんだななんて思ったり。
「独り言?え?ツッコミの練習?いきなりやられても困るんだけど。いやだから怒ってないって」
もうそろそろか。
そろそろ言ってくれとひとみ姉ちゃんの目を見る。
ひとみ姉ちゃんも目を見ながら小さく頷いた。
『なぁ、どこがすごいことなんだよ』
「まぁ、もう少し待ってろよ。もうすぐだから」
「ねぇあいぼん。今日はムリでもさ、今度どっか行かない?あたしが・・・・おごってあげるから!」
言った!さぁ、来い!
『ほんまですか!?』
来たぁー!
- 330 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜あれがどーのこーのでごちそーさま〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:53
- 『バカ!大声出すなよ、聞こえるだろ?!』
「誰?今の関西弁」
「ん?誰?今の声」
『え?!あ、あぁ〜っと・・・テ、テレビだよ、そうテレビ』
「テレビ?まさか。だって今は青木の脇に剃り跡があるっていう話してるじゃん」
『くっ・・』
「え?弟?あいぼん弟いたっけ?は?隠し子?おいおい、ウソつくならもっとマシなウソついてよ。こっちは大体見当がついてるんだよ?誰にも言わないから吐いちゃいなよ」
「どうした?急に黙って。ま、わかってんだけどさ。俺は応援するぞ。さぁ吐け!隣に誰がいるか!さぁ!」
『・・・・・。誰にも言わないか?』
「「言わない!!」」
『いや、けどなぁ・・・』
「「なんで躊躇うんだよ!これから俺(あたし)が相談役になってやる(あげる)から!!」」
『んじゃあ・・』
「「はい、せーの!」」
『加護・・。・・え?』
「「ごちそーさまでしたー!」」
- 331 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜ハリセン鬼降臨〜 投稿日:2005/03/19(土) 21:57
- 2人とも通話ボタンを押した後すぐに携帯の電源を切った。
いや〜清々しい気分だ。
カンペを見て相談に乗るって言ったけど、親友の初めての恋愛だ。
親身になって聞くか。
そしてなんと言ってもこの達成感。感無量です。
ひとみ姉ちゃんと頷き合って分かち合う、はずだった・・。
「お・ま・え・ら〜!」
「「ひっ」」
お、鬼だ。
ハリセンを持った鬼が怒ってる・・。
鬼、もとい姉ちゃんはハリセンで1回ひとみ姉ちゃんを叩くとハリセンを懐に仕舞い、両手でひとみ姉ちゃんを持つと、なんとこっちに投げてきた。
「おぉ?!」
すごい、火事場の鬼力だ・・。
- 332 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜背中からスルスル〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:00
- 「いってー」
「紙の最後に書いてあっただろ!最後は聞かせろって!なのに自分達だけ楽しんで!こうなったらお前らのを聞くしかないな」
「そ、それはちょっと・・」
「問答無用!」
ズバン!
う、さっきの比じゃない・・。重くなってる。
「さぁ言え!言わないと・・・これだぞ・・・」
ハリセンをポンポンと叩く。
「あたしは矢口さんです!」
「あ!汚いぞ!」
「そうか・・矢口ね・・・。困ったことがあったらあたしに言いなよ、ひとみ」
「はい!」
「けど今は・・・」
背中から何かを取り出した姉ちゃん。
・・・はぁ!?
「安らかに眠れ!」
「いや〜!」
ズドン!
・・カクン・・
ひ、ひとみ姉ちゃんが・・。
音が違うぞ、なんだよ、あのハリセン。あんなもの家になかったぞ。
「作ったばかりにしてはいい感じだな」
手作りかよ!
- 333 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜弱っ!〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:05
- 「尊史。言いな」
「誰が言うか!」
「言え!」
「言わない!」
「言えったら!」
「絶対言わない!」
このやり取りを10回繰り返した・・・。
途中何回か普通サイズのハリセンが振り下ろされたが、それでも言えない理由がある。
「そろそろ言った方が身の為だぞ」
「何があっても言わない!」
「ほぉ、何があっても?」
なに?
「後藤、梨華、耳貸して。・・・・・・」
何やら2人に耳打ちする姉ちゃん。
今なら窓から逃げようと思えば逃げられるけど、帰ってきたときのことを想像するととてもその気にはなれない。
会議が終わったみたいだが、何故か3人ともニヤニヤしている。
「頑張って落としてきなさい!」
「「は〜い」」
両サイドに来た後藤さんと梨華姉。
そして手首を掴まれて上に上げられた。
何をされるか全く予想がつかない。
突然。
「「えい」」
「いっ!」
「すごいよ、いちーちゃん。効果ばっちりだね」
やばい。今回は本当にやばい。
「だろ?脇腹が1番弱いところなんだよ」
その通り。脇腹を1回突付かれただけで体が仰け反るほどだ。
くすぐられたりなんかされたら・・・。
「やっちまいな!」
「やめて〜。んはははははは・・・・・」
当然長く持つ筈も無く2分で言いました。
- 334 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜30秒と1分のご褒美〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:09
- 「へぇ〜そうだったんだ。なるほどねぇ」
「うぅ・・」
「で、いつから?」
「い、言わない・・・」
「ふ〜ん。ま、いっか」
「あの、紗耶香さん。あのことは・・・」
え、なに。まだあんの?勘弁してくれ・・。
「う〜ん。落ちたのが2分だったからなぁ、どうしようかって考えてたんだけど」
「なにそれ」
「うん?梨華をやる気にさせる為の約束。30秒以内だったら本人の意思に関係なく梨華が尊史を好きに変えていい。
1分以内だったら矢口に任せるってこと。2分ももつとは思わなかったから考えてないんだよ」
あ、あぶねー。
「ちなみに後藤は30秒以内が女の格好をして後藤と××。1分以内が男のままで××」
そっちの方がもっとやべーよ!
- 335 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜そんなわけで〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:16
- 「でもさ。梨華と後藤だけじゃん。何も無いの。それじゃあ不公平なわけで・・。というわけでグロスとキスくらいいいだろ?」
「・・・。はあ!?なに言ってんだよ!ダメに決まってんだろ!グロスなんて男が塗るもんじゃないって!それにキスだって・・」
「なに、もしかしてしたことがないの?」
「え、あ・・・あ・・・・・」
「それじゃああたしが初めてなんだ。んじゃさっそくファーストキスもらいまーす」
段々と近づいてくる後藤さん。
まさか本気で?
どうすれば・・・。
えーい!覚悟を決めるしかないだろ!
俺はぎゅっと目をつぶった。
・
・
・
ちゅっ
「え?」
「初めては好きな人とがいいでしょ?だからおでこ」
「・・・・・」
「あ、1つアドバイス。男の子ならキスは待つんじゃなくて自分からするもんだよ?したらあたしに言ってね、それまで相談に乗ってあげる」
「・・はい」
力強く目を瞑っていたことが気恥ずかしくなり俯きながら控えめな返事をした。
「うん。あ、次梨華ちゃんだよ。って、えー!なにしてんの、梨華ちゃん!」
後藤さんが声を荒げて驚くこと、それは・・。
- 336 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜チャンス!〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:20
- 「見てわからない?ひとみちゃんにグロス塗ってるの。普段こういうの塗らないでしょ、ひとみちゃん。だから今がチャンスかなって思って」
話しながら塗り終わったみたいだけど、何故か固まってしまった。
あれ?けど微妙に震えてる・・?
気付けば隣に立っている後藤さんも俯いて震えてる・・。
なんで?
「「か、かわい〜!!」」
「!?」
びっくりした〜。
突然叫びながらひとみ姉ちゃんに抱きついた2人。
後藤さんはわかるけど梨華姉も?
- 337 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜父不在〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:27
- あの部屋で何もすることが無いと判断した俺は2人にバレないように1階へ下りようとした。
その時姉ちゃんに呼び止められ、遊園地のチケットを渡された。
姉ちゃんが買ったのかと思いきや、どうやら違うみたいで、石黒さんからの貰い物だそうだ。
石黒さんというのはバンドの元メンバー。
名前は彩、さん。ドラムを担当していた。
で、ここに帰ってくる前に先に石黒さんの所に挨拶に行った際にダンナさんと一緒に行く予定だったらしいが、
忙しくてどうしても都合が着かないらしく、「2人で行っておいで」と言われて渡されたみたいだけど、明日俺は部活で姉ちゃん達は4人で映画。
そしてその翌日には従姉妹2人と後藤さんは帰る。
姉弟2人で遊園地に行くのも気持ち悪いから竜弥と亜依の2人に渡すことになった。さっきあんな切り方をしたからこれで許してもらえってことで。
最後に姉ちゃんが「好きな人誘って行って来なって言いたいけど、まずは友達を大切にしな」って言われた。
全くもってその通りだと思う。
だって俺には・・・誘う勇気がありませんから!!切腹!
と、まぁそれは置いといて。
1階に来たのはいいけどなにしようか。
父さんいないし、母さんは紅茶飲みながらテレビ見てるし。
ん〜・・寝よう!今日は部活よりも疲れたことがあったし、明日に備えよう。そうと決まったら。
- 338 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜母、やはり天然〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:32
- 「母さん、毛布どこ?」
「ここで寝るの?真希ちゃんと寝るんじゃないかなって思ってたから用意してないの」
またこの人は・・・。
「寝るはずないだろ」
「そうなの?仲良かったからもしかしたらそのまま・・って思ったんだけど・・・違うの?」
「ちがーう!なんだよ、そのままって」
「わかってるくせに〜♪わからない歳じゃないでしょ?それとも照れてるのかな〜?」
完全にバカにしてる・・。
「そういう冗談やめてもらえますか」
「あら、冗談じゃ・・・」
「たかふみ〜♪」
勢いよく開けられたドアから入ってきたのは後藤さんだった。
「あらあら。噂をすればね」
後藤さんに勢いよく背中に飛びつかれ、軽く首を絞められながら携帯を見せられた。
聞くとアドレスと番号を教えてなかったと言われ、俺もやっと気付いた。
「お母さん、お邪魔みたいね。二人きりの方がいいでしょ?何かとね」
意味深な笑みを浮かべて立ち去ろうとする母さん。
それを後藤さんが引き止めた。
- 339 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜母、やはり天然A〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:34
- 「あ、すぐ終わりますよ、連絡先の交換だけなんで。お母さんは座っててください」
後藤さんの言葉にピクリと反応した母さん。
そして満面の笑みで振り返り、後藤さんに近づき、両手を握った。
「真希ちゃん、お母さんって呼んでくれるの?嬉しいわ。ねぇ、真希ちゃん、歳はいくつ?」
「18です」
「18歳?よかったわ、それじゃあ早速式場の予約しなきゃ。よかったわね尊史。お姉ちゃんより早く結婚相手が見つかって」
・・・人って、紅茶で酔うものなんだろうか・・・
「何言ってんの、結婚できないって。俺はまだ16」
「そんなことわかってるわよ。あなた達がちょうど16歳と18歳で結婚出来るってこと♪」
何か勘違いをしていらっしゃる・・。
- 340 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜母、今度は本気〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:40
- 「母さん、歳が逆だって。男が18で女が16だよ」
「あら、そうだったかしら。お母さん、結婚がそのくらいだったからそうかなって思ってたんだけど・・・」
「えぇ!18歳で結婚したんですか!?どうりで若く見えるなぁって思ってたんですけど、ホントにお若いんですねぇ」
「ありがと、けど真希ちゃんには負けるわ」
「・・・そりゃそーだろ、生まれた年が違うんだから・・・(ボソ)」
ピクッ
「あーら、何か言うはりましたか?尊史はん?」
ギュウゥゥゥゥ〜
「いへぇ〜(いてぇ)!!!いへっへ(いてって)!ひっはうふぁ(引っ張るな)おひう〜(伸びる)」
「お昼?いつの話をしてるん?お昼食べてから部活に行ったやないの。いややわぁ」
「ほうあほほいっへあい(そんなこと言ってない)」
「なにか言いましたぁ?」
「あのぉ、お母さんそろそろ許してあげたら・・・」
「真希ちゃんがそう言うんやったら今日はこのくらいにしてあげます」
(早っ!)
- 341 名前:第5話 んぁ?あぁ、おかえり〜家のルール〜 投稿日:2005/03/19(土) 22:44
- 「痛かったー。(はっ!何か無言の圧力が・・・)」
恐る恐る母さんを見てみるとニコニコしてこっちを見ている・・。
「言うことがあるやろ?」
(忘れてた!)
「すいませんでしたぁ!」
「よろしい。お仕置きは堪忍してあげます」
そう、これがうちのルール。
母さんを怒らせた(訛った時)奴は何人(なにびと)であろうと謝らない限り何かしらのお仕置きをされる。
例えば飯抜きとか家に入れてもらえないとか・・・。
過去にそれを受けたのは3人。俺と父さんと竜弥だ。
何故かうちに来た女性の被害者は誰もいない。
「ねぇ、お母さん、急に変わったけど・・」
「キレた時訛るんですよ。生まれがそっちの方なんで」
「へぇ・・」
「何話してるの?」
「あ、もう怒ってないんだ」
「はい」
「いいね、わかりやすくて」
「すごく助かりますよ」
2人は笑い合って母だけがキョトンとしていた。
- 342 名前:なつまり。 投稿日:2005/03/19(土) 23:15
- >>318 七誌さん
どうもでーす。
>答えがわかったときの顔が想像できていい
少しでも伝わってよかったです。
- 343 名前:なつまり。 投稿日:2005/03/19(土) 23:20
- 更新終了です。
そして以上で5話終了です。
次回『第6話 部員集め』です。
- 344 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/19(土) 23:47
- やっぱおもろいっすね〜♪
今後の展開も楽しみにしとりま〜す
- 345 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/20(日) 22:08
- あはは・・・www
お母さんとごっちんのキャラ最高ッス・・・www
- 346 名前:なつまり。 投稿日:2005/04/10(日) 15:09
-
第6話 部員集め
- 347 名前:第6話 部員集め〜今日は5月6日〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:12
- GW明け初日の昼休み。
あさ美、愛、希美、亜依、麻琴、尊史、竜弥の7人はいつも通り屋上に集まって昼食を共にしていた。
「バスケ部の部員集めようと思うんだけど」と、突然の尊史の一言。
もちろん全員キョトン顔。
数秒してから口を開いたのは希美だった。
「バスケ部だけなの?」
「う〜ん、正確に言えば男子だな。女バス(女子バスケ部の略)は2、3人入ったけど、男子だけが全く入らない」
『ほぉ』
同時に反応した愛、希美、亜依、麻琴の4人。
「俺はこのままでいいと思うけどな」
「けど、大会に出たいだろ。去年は出られなかったんだから。新人戦だってもう今年しかないし」
「そうだなぁ、出たいって言えば出たいな」
「だろ?だったら集めるしかないだろ」
「どうするんだ?」
「そりゃあスカウトしかないでしょ」
- 348 名前:第6話 部員集め〜先生方に説明を〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:15
- ◇ ◇ ◇
「と、いうわけなんで1、2年の名簿見せてくれませんか」
尊史達は昼食を済ませた後、職員室の裕子の所に来ていた。
「なるほどなぁ・・って今頃かい!」
「うわ、ベタなツッコミされた」
「先生、そんなベタなツッコミはあきませんよ。もっとこう、なんでやねん!って感じで」
亜依が突っ込むマネをすると、裕子はそれを呆れながら見て言った。
「そっちの方がベタベタやないか。で、圭織・・・飯田先生には言ったんか?」
尊史がまだですと答えると裕子はまず報告することを勧めて出席簿を渡した。
職員室を後にした7人はすぐに保健室へ向かい、圭織に説明した。
「ふ〜ん・・5月だよ?新人戦はとっくに終わってます。来年だね」
自分専用の椅子に座って足を組みながら話す圭織。
「え!半年後くらいにあるんじゃないんですか?」
3人座れるソファーに腰掛けている尊史、竜弥、あさ美。
その向かいには愛、麻琴、亜依。希美は亜依の膝の上に座っている。
「それは中学のことでしょ?ここは高校。そしてあなたは高2」
「う・・。だったら別のないですか、大会にどうしても出たいんです」
「そしたら来月のインハイ(インターハイ)の予選に出る?・・冗談だけど」
微笑しながら言う。
「出ます!」
冗談には聞こえなかったらしく真剣な顔で言う尊史、その答えに一気に圭織の表情が変わった。
- 349 名前:第6話 部員集め〜冗談が通じないボーイ〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:20
- 「はぁ!?冗談だって言ったでしょ?!あんた達が出たって初戦敗退は目に見えてんの!」
「やってみなきゃわかんないじゃないですか!」
「わかるわよ!部員集めんのは勝手だけど、あたしは女子の方で忙しいの!帰りなさい!」
「いーえ、納得するまで帰りません!」
「納得?どうしたら納得するのよ」
「今から1on1で勝負してください。俺が勝ったら予選に出させてください。負けたら諦めます」
『え?』
その言葉に尊史と圭織以外が驚いた。
「おいおい、無茶なこと言うなよ。相手は飯田先生だぞ?」
「そうだよ、1度も勝ったこと無いのに・・」と竜弥とあさ美が言うが・・。
「いいわよ、体育館に行きましょうか」
「・・はい」
尊史には聞こえていなかった・・。
- 350 名前:第6話 部員集め〜心配事〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:23
- ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
体育館には次の体育の準備をしているクラスがいる。
バスケットボールが入った籠や得点板を押している生徒達が見受けられた。
2人は今、更衣室でそれぞれ着替えている。
希美達4人は端で2人が来るのを話しながら待っているがどこか浮かない顔をしている。
あさ美と愛は隣同士でそれぞれ膝を抱えて黙って待っていた。
(どうしてあんなこと言ったんだろう・・。わざわざ勝負なんて)
(あんなこと言って大丈夫なんやろか・・。もし勝てんかったら・・)
「「はぁ・・」」
と、2人が溜息をついたとき、更衣室から出てきたのは圭織だった。
圭織の姿はジャージに自前のバスケットシューズと、さらに長い髪を後ろに結んでいる。
それだけ圭織が本気だということが誰にでもわかった。
「あなた達まだいたの?もう教室に戻りなさい、昼休み終わるわよ」
それだけ言うと体育の教科担任に事情を説明しに行った。
そして1分後くらいに尊史が出てきた。
部活をする時と変わらない姿だが顔はいつもより真剣だった。
- 351 名前:第6話 部員集め〜うん・・〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:26
- 「尊史・・・あの・・・・」
あさ美は励まそうと声を掛けたが緊張してなかなか出てこなかった。
「うん・・。なんとなく言いたいことわかるから・・・」
「うん・・・」
「尊史、絶対勝ってな。応援しとるよ・・」
「うん・・」
その後希美、亜依、麻琴にも『頑張って』と声を掛けられた尊史。
「俺が審判やろうか?」
「いらない。多分ファウルしないから」
「そうか・・」
「うん・・。柔軟してくる・・」
そう告げて向こう端へ歩いていった。
「さっきから返事しかしてないよ、尊史。大丈夫なのかな・・・」
希美の言葉に全員が頷いた。
- 352 名前:第6話 部員集め〜赤縁メガネ〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:28
- 「・・・」
「ねぇ」
「・・・」
「ねぇ、君」
「・・・」
「ねぇったら!」
「・・・。え?俺?」
「そう、君。こっち来て」
柔軟をしている途中でネット越しで赤縁(あかふち)メガネを掛けた女子生徒に話し掛けられた。
言われた通りネットに近づく。
「今からなにすんの?わざわざ半面使ってさ」
「ん、ちょっと勝負をね」
「え?飯田先生と?まさかバスケで?」
「そのまさか」
「はぁ?ムリムリ!絶対ムリ!部活もしてない男子が勝てるわけないじゃん」
「一応、俺ともう一人は部活やってんだけど・・」
「え、何部?」
「2人ともバスケ部」
「バスケ部?男子いたっけ?」
「2人だけね」
「2人じゃ何も出来ないじゃん、意味無くない?」
「今はね。けど1週間くらいでなんとかしようと思ってる」
「ふ〜ん・・・」
また柔軟を始めた尊史。それを見ている女子生徒。
少し眺めていたが女子生徒はあることに気付いた。
- 353 名前:第6話 部員集め〜ミキ〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:31
- 「クス、体硬いねぇ、君。ミキが押してあげる」
「え、いいよ」
「いいの。そのままでいてよ?」
「う、うん」
女子生徒はネットを潜り抜けて尊史の背中に両手を当てた。
「はい。んじゃ、いくよ」
女子生徒が押した途端、叫ぶ尊史。
「いたたたた!ちょ、いきなり強くない?」
「なに言ってんの、手、届いてないじゃん」
尚も押し続ける女子生徒。
尊史の呻き声が響く。
「う〜・・」
「ホントにバスケ部?ウソついてたらしばくよ?」
(さらりと恐しいことを・・・)
「ホ、ホント・・。いちお・・・キャプ、テン・・・」
「キャプテン?キャプテンは亜弥ちゃんでしょ?ミキ、ウソつく人嫌いなんだけど」
「ホンマ・・・です・・・。松、浦さんは・・部長」
「キャプテンと部長って変わんなくない?」
「ねえ、ずっと、押しっぱ、なん、だけど・・・。緩めて・・くれない?・・・折れる・・・」
「ミキの質問に答えてよ!」
「っ!答え・・るから・・・まず、は・・ね?」
「・・・。わかった、はい」
- 354 名前:第6話 部員集め〜よくツッコミがキツイって・・〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:35
- 「助かった・・」
「で、どういうことなの」
「キャプテンって言っても男女の、ってこと。部長は松浦さんだけ。俺はただの部員」
「男女って男子2人しかいないって言ってたじゃん」
「一応って言ったでしょ?男子が正式な人数集まる前に決めておいた方がいいでしょ」
「まぎらわしい」
「ごめん、説明すんの苦手でさ」
「ま、いいけど。あ、じゃあうちのクラスの男子誘ってみれば?」
「2年でしょ?去年学年全員に言ったからこっちからは誘わない。はっきり言うと2年は自分から来てくれる奴しか俺は興味ないから。誘うのは1年って決めてんの」
「うわぁ、結構キツイこと言うんだねぇ」
(ミキもよくツッコミがキツイって言われるんだけど)
「そうでもないよ。来月大会なんだけどさ、やっぱブランクが長い方より短い方がいいでしょ。感覚を取り戻すのにそんなに時間を掛けたくないんだよ」
「じゃあもし初心者の2年がやりたいって言ってきたら?」
「入れるけど、ほとんどが中学で見たことある奴だったから初心者はいないと思う」
「ふ〜ん」
『おい、コラ!市井!』
突然柄の悪そうな坊主A・Bが乱入してきた。
- 355 名前:第6話 部員集め〜ツッコミクイーン始動〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:39
- 『さっきっから黙って聞いてりゃ言いたいこと言いやがって』
「誰、君たち」
『あぁん?!誘っておいて誰はねえだろうが!』
「うわ、さっきからハモッてる、キショ!」
(がーん)
「俺も思ってたけど言っちゃダメだよ」
(ががーん)
「て、てめぇ!」「ヤキいれるぞ、こらぁ!」
「ねぇどっちかが喋れば?」
(・・・)
「速いね、ツッコミ。落ち込んじゃったよ」
「なぁんだ、強そうに見えたのに」
(!)
「藤本さん、俺たち強いっすよ」「この通り」
瞬時にポーズを決める坊主A・B。
「マジ、キモいんだけど。今時そんなの誰もしないって」
「あ、藤本っていうの?」
(!)
「うん」
「うるせぇ!」「お前は黙ってろ!」
「あ?それってミキに言ってんの?」
(はっ!1テンポ遅れた!)
「いえいえ、滅相もないです」「とりあえず・・」
『すいませんっしたー!』
土下座で謝るA・B。
- 356 名前:第6話 部員集め〜イチャイチャされちゃ寂しいんです〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:41
- 「あはは、コントみたい。面白いね、君たち」
「うるせぇ!元はといえば」「お前のせいだろうが!」
「・・ん?こっちはお前らのつまんねぇコントに付き合ってやったんだぞ?」
(ひぃ!こちらも恐い)
「そんな性格なの?ちょっとシャイかと思ってたんだけど」
「まさか。ミキのマネしてみただけ」
「うそぉ、ミキそんなに恐くないって」
「そう?ごめんね、なんか」
「あ、いいよ、謝んなくて」
「なにイチャイチャしてんだ、コルァ!」
「こっちは寂しいんだぞ、コルァ!」
「あ、そ。で、絡んできたんだから理由があるよね。早く言ってくんない?時間無いからさ」
「そうだった」「忘れてた」
『今から俺たちどっちかと勝負しろ、コルァ!』
「今から?バスケで?」
『そうだ。さぁ、どっちか選・・・』
「1人じゃ話にならない。2人で来なよ。良いウォーミングアップになると思うから」
『カッチーン!上等だ、ゴルァ!後悔させてやっからな!』
「マジで言ってんの?1対2なんて不利に決まってんじゃん」
「いやぁ、それがそうでもないんだなぁ。本番じゃ1対10みたいなもんだからね」
「?」
- 357 名前:第6話 部員集め〜ミキティ〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:45
- ・
・
・
「ふぅ。体が暖まったよ、ありがとう」
「どう・・」「いたしまして・・」
ドサッ
「そんなにすごかったの?」
「それほどでもないよ。松浦さんや飯田先生はもっと上なんだから」
尊史が話していると圭織が突然言った。
「市井!少し休んだら始めるよ!」
「はい!」
「ミキティ!ちょっと」
「あ、はい!」
呼ばれて駆け足で少し離れて柔軟している圭織の元へ行くミキ。
「なんですか?」
「あの子、緊張してるみたいだからリラックスさせてあげて」
「緊張してるんですか?そんな風には見えなかったけど」
「手を見ればわかるよ。とにかく話でも何でもいいからリラックスさせてね。
緊張して力が出せなかったぁっていう言い訳されたくないからね、あの子は言わないと思うけどさ」
「はあ・・」
「頼んだよ」
- 358 名前:第6話 部員集め〜おまじない〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:48
- ・
・
・
(手を見ればわかる、かぁ)
「どうしたの?」
「ねぇ、手、見せて」
「手?・・恥ずかしいなぁ」
「いいから見せて!」
無理矢理引っ張って手を見てみると小刻みに震えているのがわかった。
「だから恥ずかしいって言ったじゃん」
「ホント・・先生の言った通り。緊張してんの?」
「あ〜・・武者震い?かな?」
「・・・。すっごい目が泳いでんだけど」
「仕方ないじゃんか。自分から言っておいて緊張して力が出せない、なんて言えないよ」
「じゃあミキがおまじないしてあげようか?目、つぶって」
そう言うとメガネを外した。
- 359 名前:第6話 部員集め〜Mr.勘違い〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:50
- 「え?こう?」
「素直だね。もしかして期待してる?」
「期待?」
「またまた〜惚けちゃって〜。わかってるくせに」
(ん?おまじない・・期待・・わかってる・・?なんのことやら。・・・!!!・・・早くも後藤さんの教えを実行する時が来てしまったか・・)
尊史は意を決して目を開けるとミキの両肩を掴み、まっすぐミキを見つめた。
(あ、メガネ取ってる・・)
「え?なに?なんなの?」
「え、いや、・・あの・・・その・・・・」
(外した方がかわいい・・)
- 360 名前:第6話 部員集め〜救世主〜 投稿日:2005/04/10(日) 15:55
- 「なんにもないんだったらさ、とりあえず・・・」
ガシッ
右手の中指と親指で尊史のこめかみを押さえた。
「?」
「手を離せ!コラァ!!」
そして一気に圧力をかける。
これで泣く子も黙るアイアンクローの完成。
「いっってぇえ〜〜〜!!!」
余計うるさくなったが・・。
(何かあの2人がさん付けしたのがわかった気がする。きっとレ○ィースの総○なんだ、○長だからあんなにびびってたんだ・・。俺、とんでもない人に手、出したな〜)
「あの、やめてください」
「?」
尊史が心の中で悔やんでいると1人の女子生徒がミキに話し掛けた。
- 361 名前:なつまり。 投稿日:2005/04/10(日) 16:16
- >>344 名無し飼育さん
あざーす!
面白いですか、良かったです。
そう言ってもらえると作者も自信がつきます。
>>345 七誌さん
あざーす!
笑って頂けましたか。
作者としては嬉しい限りです。
- 362 名前:なつまり。 投稿日:2005/04/10(日) 16:18
- 少し半端ですがここまでです。
- 363 名前:七誌さん 投稿日:2005/04/11(月) 13:32
- 尊史・・・普通はそんなこと言わないですよねぇ〜^^;
ま、試合がとっても楽しみですね〜
- 364 名前:第6話 部員集め〜救世主はコン〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:18
- 「あ、コン」
「誰?」
「私、その人のクラスメイトの紺野あさ美と言います」
「で、その紺野さんが何の用?」
「手を離してあげてください」
「手?はい」
『あれ?』
ミキがあっさりと手を離したことに思わず拍子抜けするあさ美と尊史。
ミキはメガネを掛けながら「遊びだよ」と笑って言った。
- 365 名前:第6話 部員集め〜友達に〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:23
- 「市井、始めるよ」
「お、時間だ。それじゃ行って来るかな」
「が、がんばってね」
「おう、サンキュ」
そう言ってからコートへ歩いていった。
「ひゅー、お熱いねぇ。クラスメイトじゃなくて彼氏じゃないの?」
「ち、違います!・・・そういうのじゃ、ないです・・・」
「けど好きでしょ」
「!!」
口をパクパクしながらあたふたして更に顔を赤くしているあさ美にミキはクスッと笑ってから言った。
「なんでわかったか教えてあげようか」
「?」
「ただのクラスメイトなら助けには来ないと思うんだよね。それとミキに言った時のコンちゃんはまっすぐな目をしてた」
「・・・」
「あとは、かまをかけてみたら見事に引っかかったってとこかな?」
どう?と少し得意げな顔であさ美を見る。
「あの・・・私ってわかりやすいんでしょうか」
「さっきの反応だったら誰でもわかるよ」
「誰でも、ですか・・。どうすればいいんですか?あ、あのどうしても気になって・・」
「まずはその堅っ苦しい敬語からどうにかしない?一応、同じ学年なんだから」
「すいません。初めての人には敬語なんです。癖で」
「じゃあ友達になろうよ」
「?どうやって・・」
「2年C組の藤本美貴」
手を差し伸べる。
「あ、え、えっと。2年D組の紺野あさ美です」
美貴の手をそっと握った。
「はい、これであたし達は友達。よろしく、コンちゃん」
「は・・。う、うん、よろしく。・・え〜っと」
「好きに呼んでいいよ。けど名前で呼んでほしいな」
「・・・よろしく、美貴ちゃん」
- 366 名前:第6話 部員集め〜試合開始直後〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:25
- 「先に10本取った方でいいわね?」
「はい。じゃあ先攻後攻決めましょうか」
「そっちが先攻でいいわよ、サービスしてあげる」
「・・・それはどーも」
ボールを持ってセンターコートに立つ尊史。
「サービスしたこと、後悔しますよ」
「いいから来なさい」
少しむっとしながら構え、圭織を見る。
(この威圧感。やっぱ10人分くらいあるよ)
「それじゃ行きます」
尊史がドリブルを1回つき、2回目をつこうとした瞬間、静かに圭織の手が伸ばされた。
「なっ・・」
「後悔しなさい、わたしに挑んだことに・・」
- 367 名前:第6話 部員集め〜圧倒的〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:28
- 「コンちゃん、今の見えたよね?」
「うん、はっきりと。あんなに簡単にカットされた・・」
「なにやってんだよ、あいつ。本当はヘタなんじゃ・・」
「そんなことないよ。尊史は部では1、2の実力なんだから。美貴ちゃんだって見たでしょ?さっきの1対2の試合」
「うん、圧勝だった。けど、今は1対1なのに。それぐらい先生、強いんだ・・」
(見えなかった・・。何が起きたのかもわからなかった)
「ぼーっとしてる暇があるの?」
「え?」
スッと横切る圭織。
(しまった!)
ゴール付近まで近づいている圭織を全速力で追いかける。
(もう少し・・・。・・追いついた!このまま・・)
レイアップシュートをしようとする圭織。
パシッ
「あ・・」
シュートの途中で右手の甲を叩かれたが気にせずに放たれたボールは何の問題も無くゴールへ入っていった。
「バスケットカウントは取る?」
「・・・」
- 368 名前:第6話 部員集め〜完封〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:31
- その後の試合は一方的だった。
尊史の初歩的なミスやファウルが目立ち、逆に圭織は落ち着いたプレーで次々と得点を重ね、ディフェンスでも尊史に得点を許さなかった。
そして・・。
「試合終了・・」
途中から審判に入った竜弥の声は小さい。
「えー・・10対0で飯田先生の勝ちです・・」
その場でうな垂れる尊史。
体育館全体は静まり返っている。
「良い経験したわね。・・・今度の試合ではこんなことにはならないでよ。
あ〜あ、これから余計忙しくなるわね、もぅ・・わたしの苦労も考えなさいよ」
「・・・・・」
「それじゃ着替えて教室に戻りなさい。どうもお騒がせしました」
教科担任に丁寧にお辞儀してから更衣室へ向かった。
教科担任も遅れて会釈した。
- 369 名前:第6話 部員集め〜喜びを分かち合う〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:32
- 「尊史・・あの・・・」
胡座をかいて俯いている尊史に後ろから恐る恐る声を掛けたあさ美。
「・・・」
黙って俯いたまま立ち上がる尊史。
そのままあさ美に向き直った。
そして・・。
「やったぁ!試合に出れる!俺たち大会に出れるよ〜」
「ホント!?これで一緒に出られるね〜」
笑顔で抱き合う2人をすぐに冷やかす希美、亜依、麻琴、竜弥、美貴の5人。
愛は皆から少し離れてあさ美と尊史を無表情で見ていた。
- 370 名前:第6話 部員集め〜保健室にて@〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:35
- 放課後の部活前。
尊史は1人、保健室の前に来ていた。
圭織が何故予選に出ることを許したのかが気になったからだ。
「失礼しまぁす」
「はい。あら、市井じゃないの」
会釈をしてから中へ入ると見覚えがある女子生徒がソファーに座っていた。
「あ、来たの?」
「ミキ?どうしたの?」
「聞く時はまず自分から」
「あ、あぁ。俺は先生に聞きたいことがあって」
「あたしは亜弥ちゃん待ってんの」
「ここで?」
「ううん、もう少ししたら玄関で待つの」
「その娘、部活が終わるまでず〜っと待ってんのよ」
「終わるまで!?2、3時間はあるんだよ?」
「それがいいの。音楽聞きながら空を眺めて、気付いたら亜弥ちゃんが隣に座ってるなんて最高でしょ?」
- 371 名前:第6話 部員集め〜保健室にてA〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:38
- 「・・・雨の時は?けっこう寒いんじゃない?」
「そうなんだけど、雨の日っていうのもいいんだよね。寒いんだけどさ、ほら、雨の匂いってあるでしょ?あれがなんとなく好きでね、それにガラスの水滴をずっと追いかけてると時間も過ぎていって・・。そこに亜弥ちゃんが来て『寒かったでしょ?』って抱き締めてくれるの。これが温かくて・・。ミキ、それだけでも充分なのに、亜弥ちゃんがもう本当に可愛くてね、ミキはちゃんと傘を持ってきてるのに亜弥ちゃんたら自分の傘に入れたがってさ。『ミキたんの為に買ったの、この傘』って2人は軽く入るような大きな傘に相合傘で帰るの。はぁ・・。思い出しただけで亜弥ちゃんの温もりが〜」
「ふふ、随分お熱ね」
「そりゃあそうですよ。亜弥ちゃんと、それに先生がいなかったらミキはあのままでしたから。2人には感謝してますし、好きですよ2人のこと」
「もしかして告られたの?私」
「えへへ、告っちゃいました」
「そうなの?じゃあ帰りに食事に行きましょうか。記念日のお祝いとして」
「本当ですか!?じゃあ焼肉食べに行きたいです!」
「ウ・ソ。けど焼肉って・・。ミキティ好きねぇ、お肉。栄養偏るわよ」
「肉食なんで。太らない程度にっていうくらいしか考えてないんですよ」
「ダメよ、安易な考え方は。あ、そうだ。部活に入らない?運動すれば気にせずお肉が食べられるわよ」
「はは・・やだなぁ、先生・・。部活のことは丁重にお断りしたじゃないですか」
「けどミキティが入れば全国の上位も夢じゃないと思うんだけどなぁ、先生わぁ」
「甘い声を出してもダメです!ミキはぼーっと亜弥ちゃんを待ってるのが好きなんです!」
- 372 名前:第6話 部員集め〜保健室にてB〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:41
- 「先生、ミキってそんなにすごいんですか?」
「人の話を聞け〜!」
「ええ、即戦力!」
グッと力強く親指を立てる圭織。
「ダサいですよ、先生・・」
「おお!即戦力ですか!」
尊史も親指を立てた。
「だからお前は人の話を聞け〜!ダサいって言ったでしょうが!」
「・・・では、即戦力となれば誘わない手は無いですねぇ、先生?」
「そうねぇ、今回は少し強引に行ってみようかしら・・」
「あれ?2人とも?お〜い・・。・・・もしかしてミキ、襲われちゃう?し、失礼しました〜!」
猛スピードで保健室を出て行った。
「良い瞬発力でしょ。身長の関係でガード向きだけどフォワードでも行けそうな気がするのよ」
「そうですね、すごい得点プレーヤーになるんじゃないですか。それで先生。ボクもフォワードにコンバート・・・・」
「あなたはポイントガード!コンバートは一切無し!」
「・・・・・」
『・・したいんですが・・』と言おうとしたが先に言われて何も言えない尊史。
「それで部員は見つかった?」
「・・はい、2人。・・・やかましいのが・・・(ボソッ)」
「早いのね。それじゃあ、2人の特徴を大体でいいから教えて」
「はい」
- 373 名前:第6話 部員集め〜保健室にてC〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:43
- 「う〜ん・・難しいわね・・。いいわ、あなた達はもう2、3人声を掛けてみてちょうだい」
「はい。・・先生、あの、コーチはどうするんですか?」
「コーチ?なっちしかいないじゃない。他に誰かいるの?」
「いないですけど、安倍先生って顧問でしたっけ?」
「そんなこと言ったらなっち泣いちゃうわよ?2週間前から来てるでしょ」
「いや、てっきり遊びに来てるかと思ってました・・」
「そんなに暇じゃないの、先生方は」
「そうだったんだ・・。あ、先生、もう一つ聞きたいことがあるんですけど」
「ん?何?」
尊史はここで気になったことを聞いてみた。
「わたしは無駄だと言っただけ。それをあなたが自分で条件を付けて言ってきたでしょ?それも一つの選択肢よね?けどわたしは最初から何か行動を起こしてくれればOKは出すつもりだったの。で、今回あなたがああいう形をとった。でも矛盾してるよね?」
「はい・・。負けたのに出させてもらえる・・」
「そう。それで考えたんだけど部活後のお掃除、今日から1ヶ月1人でお願いね」
「ええ!?」
「嫌?じゃあハーフコートの2ヶ月にする?」
「オールコートなんですか!?しかもどっちも変わらないし・・」
「どっちにする?」
「・・オールコートで・・」
「じゃあ他の部の先生に伝えておくわね。あら、部活の時間。そろそろ着替えなさいよ。わたしも少ししたら行くから」
「はい、失礼しました」
- 374 名前:第6話 部員集め〜体育館へ向かう途中〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:45
- 保健室を後にしてから少し歩いていると体育館へ向かっている絵里を見つけた。
「絵里ちゃん!」
「せ、先輩・・。こ、こんにちは」
「固くならないでよ。そんなに恐い?」
「そ、そういうわけじゃないんです!なんていうか、その、緊張・・しちゃって・・・あの・・・」
「そっか。けど緊張しなくてもいいんだよ?取って食おうってわけじゃないんだから」
「・・・・・エリ、先輩になら食べられてもいいです・・ウフフ・・・」
「お〜い、絵里ちゃ〜ん、お〜い」
手を目の前で振って意識を確認する。
「・・・あっ、すいません。・・・えぇ!何でヨダレが?先輩の目の前で恥ずかしい〜」
(これなら聞いても大丈夫かな)
「ねぇ絵里ちゃん、聞きたいことがあるんだけどいいかな」
「はい?」
尊史は絵里に罰ゲームのことを聞いてみた。
「罰ゲーム?エリ達そんなことしてませんよ?」
「あれ?竜弥が言ってたんだけどなぁ」
「おお、尊史!なぁ、聞いてくれよ。お前からもらったチケットで飯田先生を誘ったんだけどよぉ、『そんな暇は無いから』って・・・」
ズブッ
「ぐほっ」
何の前触れも無く貫き手を繰り出した尊史。
「あれはお前と亜依の2人で行けって渡したんだ。ナンパする為のものじゃない。それとお前嘘ついてただろ。今絵里ちゃんから聞いた」
「あ、亀井ちゃん元気?」
苦笑いで会釈する絵里。
「聞け」
ズブッ
「ぐふっ。連続はキツイ・・」
尊史が問い詰めると竜弥は唸りながら白状した。
- 375 名前:第6話 部員集め〜相変わらず気付かない奴〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:47
- そして部活後。
場所は体育館。
「そういうわけだからさ、帰っててくれよ。みんなにもそう言っておいて」
尊史はあさ美に保健室で話したことを伝えた。
「て、手伝うよ。私、遅くなっても平気だし」
「ありがたいけど1人でやれって言われたからさ。俺のことは気にしないでいいから。コン、疲れてるだろ?」
「むぅ・・」
「それじゃまた明日な。気を付けて帰れよ」
「・・・う〜、仕方ないけど今日は帰る・・。じゃあね」
「おう」
後ろ髪を引かれる想いに駆られながらあさ美は玄関へトボトボと歩いていった。
(けど仕方ないってどういうことだ?)
- 376 名前:第6話 部員集め〜のの、涙〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:49
- 「あ、あさ美ちゃん遅いよ〜。・・・あれ?尊史は?一緒じゃないの?」
「ごめんね。あの、尊史は掃除だって。だから先に帰っててって」
「そっか。じゃあ後は愛ちゃんだけだね」
「けどあいぼんとのんちゃんと松藤君が来てないよ」
「あいぼんなら外で松藤にデートに誘われてる」
「デート?付き合ってるの?」
「そうじゃないみたいだけど、のんちゃんの反応から見てそうなるんじゃないかな」
麻琴が指差した玄関のドアを見ると・・。
「うぅ・・あいぼぉん、のんから、のんから旅立たないで〜。告白する時は一緒だって言ったじゃぁん。あいぼぉん・・」
ドアに張り付いて涙ぐんでいる希美がいた。
- 377 名前:第6話 部員集め〜あいぼん、笑顔〜 投稿日:2005/05/05(木) 04:50
- 「そ、そんなに、う、うちと行きたいんやったら行ってあげてもええよ?」
「行ってあげても?だったらいいわ。尊史には断られたって言えばあいつのことだから許してくれるだろ」
「えぇ!?い、行きます!お願いやから一緒に行ってください!」
「嘘じゃないな?」
力強く2回頷く亜依。
「それじゃあ、いつにする?そんなに日にちないぞ」
「やったぁ!んじゃ明後日の土曜日は?」
「そっちはないのか、部活」
「うん」
「じゃあその日にするか。そっちの方(駅)が近いから迎えに行くけど、ちゃんと起きてろよ」
「うん!」
- 378 名前:なつまり。 投稿日:2005/05/05(木) 04:54
- 更新終了です。
レス返しは後ほど。
- 379 名前:なつまり。 投稿日:2005/05/05(木) 19:41
- >>363 七誌さん
普通は言わないと思います。
試合もかなりの簡略化。
2つともどうかお許しを〜(w
- 380 名前:七誌さん 投稿日:2005/05/09(月) 18:16
- 更新乙津っす!!!!
おぉ〜・・・なんというか・・・先生大人ですねぇ。
尊史もかわいそうに・・・。
- 381 名前:第6話 部員集め〜ともかくなんだね・・〜 投稿日:2005/05/20(金) 00:59
- 「ごめん、遅くなって、ってどうしたん」
「愛ちゃん。やばい時に来ちゃったね・・」
「へ?」
「辻、怒んなって。な?」
「怒ってない!」
「どこがだよ・・」
「怒ってないったら怒ってないの!勝手に行けばいいじゃん!」
「なんでのんが怒ってるん?」
「あ、えっとね」
愛の質問にあさ美が説明する。
「それやったら怒る相手が違うんやないの?」
『あ・・。のんちゃ〜ん』
「あさ美はともかく、麻琴が気付かんかったっていうのは珍しいなぁ。・・・・・ん、いない・・・」
- 382 名前:第6話 部員集め〜いつもの挨拶・・。その裏には・・。〜 投稿日:2005/05/20(金) 01:03
- 2、3分してから2人が戻ってきた。
「はぁ、やっと納まったぁ。ありがと、愛ちゃん」
「ええんやけど、尊史は?」
「尊史は体育館の掃除やってる」
「そう、なんや・・」
呟いてから愛はキュッと唇を締めて決心した。
「あ!ちょっと忘れ物した。ごめん、先帰っててくれん?」
「待ってるよ」
「ええよ、これ以上待たせると怒られそうやし」
「あ〜、そんな感じする。じゃ、その前に帰ろうか、あさ美ちゃん」
「う、うん」
「じゃあね、愛ちゃん。また明日ぁ」
「バイバイ」
(あさ美・・)
「バイバイ、あさ美」
「じゃあね、愛ちゃん」
手を振ってから希美達の元へ歩いていった。
(・・・体育館、やったかな・・)
それを確認した愛は少し緊張した面持ちで体育館へ足を向けた。
- 383 名前:第6話 部員集め〜あっはっはっ・・・サボれ(ry〜 投稿日:2005/05/20(金) 01:09
- 「いや〜ここの体育館ってでかいな〜改めて思ったよ、あっはっはっ・・・。はあ〜・・25分かけてやっと半分・・。頑張るか・・」
「・・いるかな。・・・あ、いた」
スー・・(??の音)
キュッキュッキュッ・・(バッシュの音)
スー・・
キュッキュッキュッ・・
スー・・
キュッキュッキュッ・・
ピタッ
「ふぅ。・・・サボろっかなぁ、長いもんなぁ。は、何言ってんだ。出られるのは先生のおかげなんだぞ、せめてこれくらいはやらないと。・・・けどな〜」
「ふぅ・・。・・・あ〜!サボろうとしてる人がいる〜」
「え!?いや、まさか。今はちょっと休憩中で、って何でいるの?」
「様子見に来たの」
「見てても面白くないよ」
「だよね。サボろうとした人がいるもんね〜」
「いや、だから、休憩してただけで。あーもういいよ」
「拗ねんでよぉ。一緒に帰ろうと思ったの」
「・・そ、そうなんだ・・。う、うん・・いいけど・・」
「よかったぁ。それじゃ待ってるから頑張ってな。サボらないように見といてあげる」
「だからサボらないって・・・」
- 384 名前:第6話 部員集め〜??の音は・・〜 投稿日:2005/05/20(金) 01:12
- 「終わった・・」
「お疲れ。じゃ、帰ろっか」
「ま、待って・・。少し休ませて・・。それに着替えたい・・」
「なぁに、女の子みたいなこと言ってんのさ」
「そりゃあそういうことも言うって。体育館を雑巾掛けだよ?ロッカーの中にモップが1本も無くて、代わりにバケツと雑巾1枚。自分の目を疑ったよ・・」
「明日筋肉痛やね。・・・・明日?」
「確実にね。朝怖いな〜」
「ねえ、明日って何日?」
「7日」
「どうしよう!買ってない!」
「何を?」
「あさ美のプレゼント」
「ん〜・・。あ、俺、良いとこ知ってるよ。1回しか行った事無いけど」
- 385 名前:なつまり。 投稿日:2005/05/20(金) 01:18
- 更新終了です。
次回はお店から。
主人公一人称、やや復活です。
- 386 名前:なつまり。 投稿日:2005/05/20(金) 01:40
- >>380 七誌さん 様
御疲れ様っす!
作「先生は伊達に年齢を・・・」
トントン
作「はい?」
圭織「伊達に何ですか?」
作「・・・」
ダダダ・・
圭織「ちょっと、待ちなさいよ〜」
作「うまく逃げ切れた・・。要は先生が大人なんです」
圭織「それは七誌さんが言ったでしょ」
作「あっ・・。・・・ごめんなさい・・」
- 387 名前:なつまり。 投稿日:2005/05/20(金) 02:00
- 作「尊史に関してはそういう経験も必要ですからね」
圭織「そうね、私も本気を出しちゃったからね〜」
作「なんで絡んでくるんですか。あ、わかりましたよ。しばらく出番が無いからでしょ」
圭織「何言ってんのよ!あなたが謝ればすぐにでも帰ります!」
作「謝りましたよ。>>386で」
圭織「あれは七誌さんにでしょ?」
作「そういう意味もありますけど、飯田さんに見つかったから反射的に謝ったんです」
圭織「そうなの、ならいいわ。じゃあね」
作「本当に帰っちゃいましたね。それでは・・」
圭織「また次回お会いしましょうね〜」
作「ちゃっかり残ってるんじゃないですか」
圭織「うるさい」
作「・・はい・・」
- 388 名前:第6話 部員集め〜ダイジェスト〜 投稿日:2005/05/25(水) 03:02
- 店に来た俺たちは4人の店員さんに迎えられた。
初めての人達に少し困惑している俺にレジの奥から見覚えのある人が出てきた。
その人の名前は稲葉さん。
稲葉さんと少し話をした後、4人の店員さんを紹介された。
柴田さん、斎藤さん、村田さん、大谷さんだ。
その後は愛さんがコンへのプレゼントを買って、これで終わりかと思いきや、急に稲葉さんに声を掛けられた。
「高橋さんの様子に気付いた?」と。
俺はなんとなく、と答えると稲葉さんに「それはあんたのせいや」と言われた。
責めてるわけでもなく、極普通に。
だが心当たりが無い俺は稲葉さんに聞いてみた。
けど、「こういう時はプレゼントやで」と言われただけだった。
よくわからないまま愛さんと選び、そのままプレゼントということになったのだが・・。
「お揃いの買わん?」
ここに来てから愛さんと初めての会話。
即OKしたんだけど、愛さんが選んだものを買った後に気付き、ちょい後悔・・。
決してセンスが悪いとかじゃない。けど男が付けるには勇気がいる。
くまのキーホルダー・・。
(青なのが唯一の救いかも・・)
買った後、愛さんにそっこー鞄に付けられた。
稲葉さんに「よかったなぁ!」と、バンバン肩を叩かれながら言われ、苦笑いの俺。
対照的に自分のと俺のくまを交互に見る笑顔の愛さんだった。
- 389 名前:第6話 部員集め〜翌日、7日〜 投稿日:2005/05/25(水) 03:05
- 翌日。
『おめでと〜』
教室に入ると希美と亜依と麻琴がコンを囲んでいた。
それにしても声がでかい・・。
筋肉痛に響く・・。
「おす。昨日掃除だったんだって?大変だったな」
「ん?ああ、違う。昨日からだ」
「昨日から?いつまでとか決まってんのか?」
「1ヶ月だってよ。だから予選前か。そのくらいまで」
「お前も大変だな」
「も?お前も何かあるのか?」
「ああ、昨日飯田先生に『明日から部活後、2年生の廊下を雑巾掛けしてから校庭で100m10本よろしく』って言われた」
「今日からか・・。まあ頑張れ」
「おらぁ!市井!」
「何なんだ!あの先生!」
「これはこれは坊主君たち。おはようございます」
「「あ、おはようございます。・・・じゃねぇ!いきなり朝練とか言われて電話で叩き起こされてクソ辛い練習させられたんだぞ」」
「それは仕方ないよ。君たちから入ったんだから、何も文句は言えないよ。で、どういうことしたの?」
- 390 名前:第6話 部員集め〜小さな張り合い〜 投稿日:2005/05/25(水) 03:07
- 坊主君たちの話を聞いたが・・・。
「「なんだよ、話になんねー」」
「「はぁああ!?」」
「毎日やってることだよ、それ」
「そう。アップだよ、アップ」
「「誰だよ」」
「あ、紹介しようか。うちの副キャプテンで松藤竜弥。ポジションも言おうか。えっと、確か・・センターとパワーフォワードだったか」
「何でうろ覚えなんだよ」
「で、ちょーっと俺より体がデカイからってセンターも取りやがって。背は変わんないのに」
「俺のほうが3cmデカイ」
「ジャンプ力は俺のほうがある」
「それでは3cmの差は埋められん・・。スラダンのゴリが何故センターかわかるか?」
「ゴリだからだろ」
「それは答えにならん。ゴリがセンターなのは・・・。チーム内で1番デカイからだ!」
「・・・だから?」
「俺が1番デカイからセンター。納得しただろ」
「しねーよ。俺とお前は流川と花道くらいしか違わない、納得出来ない」
((子供の喧嘩が始まろうとしている・・・))
- 391 名前:第6話 部員集め〜一言で解決〜 投稿日:2005/05/25(水) 03:11
- 「それはそれぞれ適任のポジションがあるからじゃないのかな?」
「「あ、そうか」」
「「気付くの遅っ!」」
「やるなぁ、本日17歳」
「と、当然のことを言っただけ・・・です」
「言うねぇ、17歳」
「あさ美ちゃーん、何やってんの、こっち戻っておいで〜」
「う、うん。じゃあ、私はこれで・・」
「けど紺野何で来たんだろうな」
「俺たちがバスケの話をしてたから我慢出来なくなったとか」
「まさか、お前じゃあるまいし」
「おい、こら」「なんで女子と仲良いんだよ」
「友達だからな」
「ああ」
「どういう風に知り合ったんだよ」
- 392 名前:第6話 部員集め〜副キャプテン殿の熱弁〜 投稿日:2005/05/25(水) 03:14
- 「どういう風って、中学で同じ・・・」
「待て、ここは俺に任せろ。部活だよ部活。女子がいる部活だと自然と友達になるんだよ」
「本当か!?」
「ああ。なんせ部活やってる男はモテる。しかもここは元女子高!女子はわんさか!男は少ない。しかも数少ない男子で部活をやってるのは俺たちだけ。わかるかね、坊主ども」
「「おぉ!わかるぞ!副キャプテン殿!つまり俺たちはモテるってことだ!」」
「甘い、甘すぎるぞ!坊主ども!貴様等では俺たちの足元にも及ばんわ!モテたければ女子に優しく、女子に気を配り、そして大会で好成績を残すことだ!」
「副キャプテン殿!2つはわかるのですが最後は何故でしょうか」
「そんなことも気付かんのか!成績を残せば注目が集まり、俺たちは学校のスターだ!現に中3では全国でベスト4に残り、大会後は受験前までウハウハの毎日だった!」
「「お〜!」」
「そして俺たちは今でも女子への優しさ、気配りを忘れず、中3の頃程では無いがモテモテの毎日を送っている・・。だがしかーし!!キャプテン殿はそんな平々凡々な毎日は嫌だと、黄金時代を取り戻したいと、大会へ出ることを決意し、先日、飯田先生に勝負を挑まれた・・。結果は見ていた通り負けはしたが、なんとか大会への出場を俺のお陰で許してもらえた。さぁ!野郎ども!大会で結果を残してウハウハな高校生活を送ろうではないか〜!」
「お〜!副キャプテンバンザ〜イ!」
「よっしゃあ!これから練習に行くぞ〜!」
勢い良く教室を出て行った坊主君たち。
もうすぐチャイム鳴るよ〜。
- 393 名前:第6話 部員集め〜なっちから安倍先生〜 投稿日:2005/05/25(水) 03:19
- 「フッ、エロガキどもめ」
「コラ。あることないこと言うなっつーの。それにあの3か条は・・・」
「ああ、お前の受け売り。使ったこと怒ったか?」
違うって・・。あれは寺田さんの受け売り・・・。
「そんなことで怒らないって」
「へぇ〜。そんな3か条があったんや〜、今時いないええ男やと思ってたのになぁ、残念やわぁ」
コツッ
「く〜。先生、角はやめてください・・」
後ろから出席簿の角で叩いた中澤先生に言う。
「そうだよ、裕ちゃん。それは痛いって」
「お〜っと、なっち・・じゃなくて安倍先生おはようございます!」
声がした途端、俺は痛みを忘れ、瞬時に中澤先生の後ろに居た安倍先生の手を取り、挨拶をする。
「あはは・・おはよう、尊史君・・」
「何で手、握んねん。・・それはそうと昨日、保健室に置きっぱなしやったで、名簿。借りたもんはちゃんと返さなあかんよ」
「すいません。・・あの、先生、また貸して欲しいんですが・・いいですか?」
「役に立つんか?あれ」
「はい。1年は少ししかわからないんすけど、2年は名前見ればどういう奴だったかっていうのは覚えてるんで」
「ふぅ〜ん、便利な脳やな。そういうとこをもうちょっと勉強に回してくれんかな」
「今が精一杯です」
「だったらやめてもらうしかないなぁ」
「裕ちゃん!変なこと言わないの!成績は悪くないんだから」
「冗談やって。なっち、必死すぎ」
「だ、だって裕ちゃんがそんなこと言うから・・」
キーンコーンカーンコーン・・・
「はい、今から裕ちゃんって呼ぶの禁止〜。切り替えて、安倍先生」
「・・・わかりました・・」
「じゃあ使うんやったら、昼休みうちの机の上に置いておくからな」
「はい」
「はーい!みんな、席ついて〜。H・R始めるよ〜」
- 394 名前:第6話 部員集め〜鯉、ですか・・。〜 投稿日:2005/05/25(水) 03:29
- 「あ、なぁ、紺野。なんであの時来たんだ?」
竜弥は自分の席の右斜め後ろに座っているあさ美に聞いてみた。
「え?あ、あの、松藤君たちがバスケの話をしているのが聞こえて・・。それで、どうしてわからないのかなって思って・・口を挟んじゃったの」
「ほぉ・・」
(もろ正解じゃねえか、あいつ)
「迷惑、だったよね?」
「全然。お、そうだ。これ」
鞄からプレゼントを取り出し、あさ美に渡した。
「あ、ありがとう」
「ちなみに中身は鯉のストラップ」
「へぇ・・・」
(あいぼんと同じ・・・。この2人のセンスって一体・・)
- 395 名前:なつまり。 投稿日:2005/05/25(水) 03:30
- 更新終了です。
- 396 名前:第6話 部員集め〜購買から帰ってきてたまたま見えたから〜 投稿日:2005/05/25(水) 23:52
- 昼休み。
俺と竜弥とコンの3人は教室で弁当を食べながら、中澤先生から借りた名簿とにらめっこ中。
ちなみに他の4人は屋上で食事中。
「なぁ、見覚えのある奴いるか?」
「いるけど、1人2人ってとこだな。女子は?誰かいる?」
「1人だけ気になる人が・・・」
「隣か・・。え・・っと・・藤本・・・ミタカ?」
「何だよ、その名前。これって、ヨシキじゃないか?」
「あの、2人とも・・」
「あ、わかった」
「「ヨシタカだ!」」
「わざとやってんの?君達」
「「ん?」」
「あ、美貴ちゃん。・・メガネは?」
「あ、コンちゃん。普段はコンタクトしてんの、昨日は忘れてさ」
「そうなんだ・・」
「ちょっとあんた達、漢字も読めないの?ミキだよ、ミ・キ!よく覚えておきなよ」
「尊史・・何だね、この恐そうな娘さんは・・。初対面で脅されたぞ・・」
「俺は前に柔軟という拷問を受けたことがある・・」
「コンちゃん、何やってんの?」
「脅して終わりかよ・・」
「それでいい。それにこれはチャンスかもしれない」
「なにが」
「今度は俺に任せろ、おとしてやる」
「なに、口説くのか?」
「そんなとこ」
- 397 名前:第6話 部員集め〜2年生の理由〜 投稿日:2005/05/25(水) 23:55
- 「なぁ、美貴。バスケ部に入らない?」
「え、前に言ったじゃん。亜弥ちゃんを待ってるのが好きだって」
「美貴は待ってるだけで満足か?」
「え?」
「部活には合宿があるよね。その期間、美貴は何日も松浦さんを待つ自信がある?去年なんて辛かったんじゃない?」
「去年・・。合宿って夏でしょ?だったら学校行ってないし、亜弥ちゃんとも知り合ってない」
「「「は?」」」
「サボってたもん。本当は2年位前に卒業してんの。ま、真面目に行ってたらの話だけど」
「おーっと、これは予想外のハプニングだぁ。作戦タイム!」
「勝手にすれば」
「竜弥、集合」
「俺はムリだぞ。お姉さんを口説けるほど経験を積んでない」
「美貴より少し上の人を口説こうとしてるくせに。まあ、何としてでも美貴には入ってもらいたいなぁって、飯田先生が言ってたんだよなぁ・・」
「なにぃ!美貴!・・さん。是非バスケ部に入ってください!飯田先生も松浦さんもそのことを望んでいるはずです!」
「む・・・」
「紺野!お前も入ってほしいよな!?な?!」
「は、はい」
- 398 名前:第6話 部員集め〜本選への意気込み〜 投稿日:2005/05/25(水) 23:58
- 「コンちゃん、バスケ部なの?・・・じゃあ彼と一緒なんだ」
「「彼?」」
「あ〜!美貴ちゃん、そのことは・・」
「言わないよぉ。もぉ、コンちゃんかわいいなぁ。決めた!コンちゃんと亜弥ちゃんと先生の為にバスケ部入る!」
「あ、結構簡単に決めるんだ・・」
「いいことじゃないか、うんうん」
(これで先生に誉められる〜♪)
「美貴ちゃん、ありがとう・・」
「まぁ、前々から誘われてたからねぇ。そ・れ・に〜。コンちゃんの恋も気になるからね〜。頑張れ!コンちゃん!」
「そんなに大きい声で言わなくても・・」
何はともあれ美貴ちゃんが入ってくれて良かったです。
尊史もそれを望んでたようですし・・。
その後、男子にも部員が入りました。
そして約1ヵ月後。
私たちは予選に出て、男子女子共に8月の本選に出ることが決まりました。
本選は優勝目指して頑張ります!
- 399 名前:なつまり。 投稿日:2005/05/26(木) 00:01
- 更新終了と同時に第6話終了です。
- 400 名前:なつまり。 投稿日:2005/05/26(木) 19:41
- 次回第7話『雨の中のあいつ』
少し真面目なお話になる予定です。
- 401 名前:七誌さん 投稿日:2005/05/27(金) 17:20
- 更新乙津ですww
なんか・・・話と話の間に私の名前があったような・・・?w
なんかちょっぴり嬉しかったり・・・(ヤメィ
次回更新待ってますね♪
- 402 名前:第7話 雨の中のあいつ〜プロローグ〜 投稿日:2005/06/02(木) 20:26
- ────雨の中・・。1人佇むあいつがいた・・。
───あいつに声を掛けてみる・・。けど雨の音で伝わらない・・。
──俺はその場であいつの名前を思い切り叫んだ・・。
- 403 名前:第7話 雨の中のあいつ〜梅雨〜 投稿日:2005/06/02(木) 20:30
- 6月18日。
7時間くらい前・・。
その日の朝。
「嫌〜な天気だ〜」
「どこの人?」
少し訛った独り言を聞かれ、隣の麻琴にツッコまれた。
「こ〜んな天気が続くと訛るもんだって」
麻琴を見ずに窓際の席から窓の外、一面灰色の雲を眺めながらやる気無く答える。
梅雨という時期だからだろう。
今日で5日、こんな天気が続いている。
つまりは平日ずっと曇り空のまんま。
そして、今は降ってないが今日もどうせ雨が降る。
天気予報を見なくてもそんなの誰だってわかる。
こんな天気で降らないほうがおかしいって。
「・・・・・尊史・・・」
「・・・え・・・ああ、どうした希美」
心の中で愚痴っていると、いつの間にか麻琴の隣に立っていた希美に呼ばれた。
「・・ちょっと、話があるんだけど・・・いいかな・・」
「おお、いいよ」
「じゃあ・・・廊下で・・」
- 404 名前:第7話 雨の中のあいつ〜わがまま〜 投稿日:2005/06/02(木) 20:33
- 「これ、返す・・・」
「これって・・」
「・・・プレゼント・・・。ごめんね・・・」
「・・気に入らなかった?」
「ううん・・。けど・・・他のが、欲しかった・・・。ごめんね・・わがままで・・・」
「・・いいよ。・・・・・おい、希美。どこ行くんだよ。もうすぐ先生来るぞ」
けど希美は何の返事もせずに、廊下を歩いていった。
そのまま希美はH・Rにも1時間目の授業にも帰って来なかった。
帰ってきたのは2時間目の始め。
先生に保健室に行っていたと言ってから自分の席に戻っていった。
保健室に行ってたなら具合が悪い、とか・・。
なんか元気が無かったし・・。
けど飯田先生なら早退させるはずだ。
なら別のこと・・か・・。
何だ・・。
「尊史。安倍先生が来るよ。・・・・・あ〜来ちゃった」
「尊史君。教科書も出さないでどうしたの?具合悪いの?」
「・・・・・・考え事っす・・・」
「その考え事は授業よりも大切なことかな」
「・・・多分・・・」
「それなら廊下で考えてみる?」
「・・・じゃあ・・・・・そうします・・」
「え、ちょ、ちょっと!」
冗談で言ったのに・・と、思いながら教室から出て行く尊史を見送ったなつみだった。
- 405 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/02(木) 20:52
- >>401 七誌さん 様
お疲れ様です。
一応返レスなんす、あれ。
気に入っていただければ良いんですけど・・(苦笑
- 406 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/02(木) 20:55
- 更新終了です。
今、行き詰まっておりまして次回の更新は遅くなりそうです。
すいません。
- 407 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/02(木) 21:16
- う〜ん・・・なかなか難しそうっすね
待ってますよ
- 408 名前:七誌さん 投稿日:2005/06/04(土) 13:11
- 更新乙津っす!
>>405
あんなに素敵な返レスはないですw
とっても気に入りましたw
またやってくだs(蹴
・・・コホン;とにかくがんばってくださぃ;
- 409 名前:第7話 雨の中のあいつ〜屋上で〜 投稿日:2005/06/14(火) 13:57
- 尊史は廊下ではなく、屋上に来ていた。
この天気なら誰も来ないと思ったからだ。
仰向けに寝て灰色の雲を見つめながら考える・・。
希美は別のが欲しかったって言ってた・・。
わがままでごめんね、って・・。
あいつのわがままは散々聞いてきたけどあんな悲しい顔で言われたことは1度も無い。
あいつが言ってくる時はいつも笑顔だった。
それがなんで・・。
何かあったんだろうか・・。
それともあれが無いから・・。
もしそうだとしたら希美に言わなきゃ。
もう少し待ってくれって。
あれはまだ家には届いてないんだって。
よし行こう、希美のところへ。
勢いをつけて体を起こし、立ち上がろうとしたが一つの思いが浮かび上がった。
・・・けど、もし理由がそれじゃなかったら・・。
俺はあいつに何をしてやれるんだろう・・。
・・そもそもこんな言い訳で希美の笑顔が見れるのかな・・。
・・・見れるわけが無い・・。
そんな答えに辿り着き、あぐらをかいて腕を組み、また考え直す。
他に何がある・・。
考えろ・・・。
・・・
何か・・
・・・
え・・・・と・・・
「・・・・・」
・
・
・
ポツッポツッ
「・・あ・・・・雨か・・。やっぱ降ってきたな・・・」
一人、呟くように言って、俺は校舎の中に入った。
「・・今何時だ・・・・・3時過ぎ。随分と悩んでたな・・。・・・とりあえず教室に戻ろう」
ケータイで時間を確認してから、俺は誰も居ないであろう教室にゆっくりと向かった。
- 410 名前:第7話 雨の中のあいつ〜そこには・・〜 投稿日:2005/06/14(火) 14:01
- ・・・だが俺の予想は外れた。
今の時間なら部活か帰るか。
この2つの選択肢しか無い筈なのに、教室には1人座り、机の上に鏡を立てておきながら、天井を無表情で見詰めてるヤツがいた。
「どうした、希美」
呼んでみると無表情のまま天井から右側の俺をそのまま見詰める。
無表情だけど希美から、怒っているような泣いているようなそんな複数の表情(かお)が見えたような気がした。
「あ・・」
こっちを見られて気付いたけど、髪、下ろしてる・・。
お人形さんみたいというのはこういうことを言うのだろうか・・。
それほど髪を下ろした希美はいつもと違って見えた。
「・・・何?」
「あ・・いや、それより希美、何で教室にいるんだ?部活じゃあ・・」
「尊史も3時間目からどこ行ってたの・・。なつみ心配してたよ」
「あ、あぁ・・。けどいいよ、俺のことは・・」
「答えて」
?
何だ、なっちに頼まれたのか?
それでここに残ってる?
いや、そんなこと頼まないだろ、普通。
「希美、なっちに頼まれたのか?」
「・・・尊史はのんのことが嫌い・・?のんなんかどうでもいいって思ってるの・・・?」
「・・何言ってるんだ?今日のお前変だぞ、どうしたんだよ」
「・・・・・っく・・・・・・・うぅ・・・・・・・・」
「・・・希美?」
俯いている希美に歩み寄ろうとしたが・・。
「・・近寄らないで!!」
叫び声に思わず足を止めてしまう。
「・・・・・の・・・・・・・・いいんだ・・・・・」
「え?」
- 411 名前:第7話 雨の中のあいつ〜どうでも・・〜 投稿日:2005/06/14(火) 14:07
- 「のんなんかどうでもいいんでしょ!!」
席から立ち上がり、こっちに向かって歩いてきた。
「・・・そんなこと言ってないだろ」
けど希美は俺の言葉を聞かずにこっちに歩いてくる。
「・・・ばか・・・」
すれ違うときに小さくそう言われた。
すぐに振り返ると俺の視界には希美の縦半分しか映っていなかった。
走ったのだ。
すぐに追いかける。
走って10mくらいで希美の左手首を掴まえた。
「待てって」
「放して!放してよ!」
激しく抵抗する希美。
なんとか放すまいとする俺。
「落ち着けよ」
「ヤダ!放してってば!・・放してよ!」
「痛っ・・」
希美が手を振り解いた時、右の頬に痛みが走った。
「あ・・」
「な・・?だから落ち着けって・・・」
「・・・こ、来ないで・・。来ないでよ!」
そう言うと俺に背を向けてまた走り出した。
けど俺は追おうとはしなかった・・。
出来なかったと言った方がいいかもしれない。
追って何て言ったらいいかわからないから・・。
あんな怯えた目をしたあいつに・・。
俺は今のあいつを救える言葉を見つけられなかったんだ・・・。
- 412 名前:第7話 雨の中のあいつ〜心の内〜 投稿日:2005/06/14(火) 14:09
- 大切な人を傷付けてしまった・・。
それが事故だったとしても自分が傷つけたのには変わりは無い・・。
どうしよう・・。
これからあの人とどう接すればいいのだろう・・。
どうしよう・・。
今までのようにはもういかない。
どうしよう・・。
いっそどこか遠くへ行こうか・・。
いや、今そんなことをしなくてもいつかはその時が来る。
その時が来るまでのことを考えよう。
あの人と関わらないように・・・。
さっきからそのことばかり考えているが、一向に先に進まない。
また思い悩む・・。
一人、雨の中・・・。
- 413 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/14(火) 14:12
- 更新終了です。
- 414 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/14(火) 14:35
- >>407 名無飼育さん 様
作者 「お待たせを致しました」
ひとみ「ホントだよ、遅いってお前」
作者 「今度はあなたですか・・」
ひとみ「悪い?」
作者 「いえ・・お願いします・・」
ひとみ「わかればいいんだよ。で、難しそうってことなんだけど、そうなの?あんたの考えること単純だからそんな複雑なこと書けないんじゃないの」
作者 「あはは・・。言いたいこと言ってくれますね・・。けど、図星です・・。ええ、そうですよ、書けませんとも・・。ブツブツ・・・」
ひとみ「ええっと、アホ作者がいじけた為、今回はこの辺で。あたし一人でトークっていうのも苦手なもんで。それでは」
作者 「ぬぉ〜!なんで書けないんだ〜!」
ひとみ「うっせぇ!」
作者 「ぐふっ」
パタッ
ひとみ「それでは今度こそ。また次回に」
- 415 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/14(火) 15:16
- >>408 七誌さん 様
ひとみ「おい、起きろ。始まってんぞ」
作者 「何がですか」
ひとみ「返レス。今回、こういう形になって初めての連チャンなんだから気合い入れてけよ」
作者 「そうでした。失礼しました。で、今回は・・。おお!嬉しいことが書いてありましたよ。素敵な・・。気に入りました・・。ふ、ふふふ・・・」
ひとみ「ああ、とうとう壊れたか」
作者 「キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!」
ひとみ「いや、何もきてないから」
作者 「わかってますよ、ただやりたかっただけです」
ひとみ「じゃあ済んだだろ、締めようぜ」
作者 「もう、ですか?」
ひとみ「あたしだって用事があんの」
作者 「用事、ねぇ。石川さんの家に行くのが用事、ねぇ」
ひとみ「は?なんで知ってんだよ」
作者 「そりゃあ作者ですから。スケジュール帳っていう物があるわけで・・」
ひとみ「出せ!今すぐそれを出せ〜!」
作者 「へ?う、嘘!嘘ですって!そんなものがあるわけ・・・」
(右ストレート)
作者 「なんでこんなことに・・・」
ひとみ「くそ、無いぞ。ちっ、デマかよ。2度とそんなこと言うなよ」
作者 「言いません・・。・・・だから嫌だったんですよ。ああ、飯田さんが優しく思えた今日この頃・・」
ひとみ「自業自得。七誌さんも蹴る(蹴られる?)のも程ほどにして下さいね。じゃないとこうなりますから。ではまた次回に」
作者 「ウソ!?これで終わり?!そ、それでは!」
- 416 名前:七誌さん 投稿日:2005/06/15(水) 22:58
- わぁいwまたこの返レスだぁwやったぁw
蹴られるのはやめますねw(ぇ
よっすぃ〜もほどほどにねw
じゃないと作者さまが話を書けなくなっちゃいますからw
にしても本編は修羅場ですなぁ・・・
- 417 名前:第7話 雨の中のあいつ〜鏡の中の自分〜 投稿日:2005/06/22(水) 01:47
- 教室に戻ってきた・・。
今度こそ誰も居ない教室に・・。
戻ってきた・・・?
いや、逃げたんだ・・。
友人一人救えないんだから・・。
情けない・・。
「ははっ、切れてるよ」
置いてあった鏡で情けない自分の顔を覗き込む。
鏡の中の自分。
その左の頬からわずかな出血。
だが血が出ているにも関わらず、へらへらと笑っている自分・・。
・・・情けない自分に腹が立つ。
「くそっ!」
隣の席の机を思い切り蹴る。
教室中に虚しく机の倒れる音が響く・・。
その後、静まり返る教室。
こんなことしたって何も変わらないことはわかってる。
だがそれ以上に自分が腹立たしかった。
自分が憎かった・・。
何も出来ない自分が・・。
好きな人さえ救えない自分が・・・。
- 418 名前:第7話 雨の中のあいつ〜悔し涙〜 投稿日:2005/06/22(水) 01:51
- 「どうしたの」
突然廊下側から声を掛けられた。
窓側を見ていた俺は少しだけ向きを変え、その人を見る。
安倍先生だ・・。
「・・・先生こそ」
「私は、大きな音が聞こえたから・・」
「そうですか・・。・・・けど何でも無いですよ」
「ダメだよ、学校のなんだから・・」
だが1つだけ倒れている机が安倍先生の目にすぐ入ったらしく、注意された。
「すいません・・・」
一応謝っておく。
早く済ませたい・・。
早く一人になりたい・・。
先生には悪いけど今は一人になって考えたい。
「・・・ねぇ、何かあった・・?」
「何でも無いっす・・」
「・・けど涙目だよ・・」
「目にゴミが入っただけです・・」
「嘘。それならなんで悲しい顔してるの?」
「してないって!・・・そんな顔、するはずないって・・・」
尊史が叫んだ後、なつみはそっと自分のほうに尊史を寄せて、囁いた。
「大丈夫だよ、もう・・。なっちがいるから・・・。大丈夫だよ・・」
・・・何故か心地良かった・・。
安心する優しい声・・。
・・・何故だろう・・。
何で・・・何で俺・・・泣いてんだろ・・。
悲しいわけじゃないのに・・。
そう、悲しいわけじゃない・・・。
ただ・・。
ただ・・悔しいだけなのに・・。
「我慢しなくていいんだよ、いいんだよ泣いて・・」
その言葉で何かが外れ、俺の目からは一気に涙が溢れ出た・・。
先生を強く強く抱き締め、俺の涙は静かに先生の肩を濡らしていった・・・。
- 419 名前:第7話 雨の中のあいつ〜泣いたあと〜 投稿日:2005/06/22(水) 01:53
- 「すいません。スーツ・・」
「ううん、すっきりしたっしょ?泣くことも必要なんだよ、誰でもね。・・・のののところに行ってあげてね。きっと君を待ってるから」
「どうしてそのことを・・」
「ごめんね。全部聞いてた。帰りのホームルームでののの様子がいつもと違ったのが気になって。部活に来てないって裕ちゃんから聞いてもしかして帰ったのかなって思ったんだけど、玄関に靴があるし。その後色々と探し回ってもう少しでここに辿り着くってとこで君が通り過ぎて・・。それで話が始まって・・。帰ろうと思ったんだけど・・。本当にごめんね・・」
「そうですか。なら話す手間が省けてよかったです。俺、探してきます。飯田先生に部活には出れないって伝えてください」
「うん」
「それじゃ行って来ます」
「頼むね」
安倍先生の言葉を背に俺は走り出した。
- 420 名前:第7話 雨の中のあいつ〜可能性は0じゃない〜 投稿日:2005/06/22(水) 01:55
- 「希美、どこにいるんだ・・」
あちこち探したがどこにも希美はいなかった。
今俺がいるのは玄関前。
心当たり、というか残っているのは・・・外しかない。
靴は・・・ある。
だが勢いで出て行ったという可能性がある。
もしかしたら、という可能性にかけ俺はそのまま、今はもう大降りになっている雨の中に飛び込んだ。
- 421 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/22(水) 01:56
- 更新終了です。
- 422 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/22(水) 03:22
- >>416 七誌さん 様
作者 「気付けば今回1週間ぶりですか。早いです、1週間。たった4レスの更新。文字が逆になればいいんですけどね。たった4スレの更新・・。おいおい、どんだけの更新量やねん、ってことになりますね〜。さて、くだらないことを言うのはこれくらいにして。吉澤さん、いるのはわかってますよ」
ガサッ
ひとみ「バレてたか。で、あれだろ?やめろってんだろ。はい、わかった、やめるよ。これでいんだろ、それじゃあたしはこれで」
にょいーん(?)
作者 「待ってくださいよ」
ひとみ「は?お、お前今腕伸びたよな?」
作者 「ええ。もうピッ○ロ顔負けですよ」
?? 「魔○光殺○!」
作者 「うぉ!む、胸に穴が〜!よ、吉澤さん。ボール集め頼みました・・。オ、オラ・・その間界○さまのとこで修行しとるだ〜・・」
ガクッ
ひとみ「な、なつまり〜!って誰がやるか!このボケェ!そのまま逝けー!」
(リンチ)
作者 「・・・」
ひとみ「あちゃ〜やりすぎたか。おい、なつまり。おい起きろ、アホ作者」
作者 「なつまりって・・」
ひとみ「あ?」
作者 「なつまりってオラのことか〜!」
パシン(スリッパで叩く音)
ひとみ「お前の他に誰がいんだよ。つーかパクリすぎ。話ズレ過ぎ」
作者 「急に優しくなりましたね。素手という凶器のリンチからスリッパとは・・。ですが凶器の使用は変わってませんね」
ひとみ「それで氏なないお前ってすごいよな」
作者 「まあ、ピッコ○からの奇襲攻撃でも氏にませんでしたから。今度はべジー○のギャリック○に耐えてみせますよ」
- 423 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/22(水) 03:23
- ひとみ「そのネタはやめろ。つーか古い」
作者 「わかりました。これ以上よけいなことで長引かせるのも嫌なんで。それでは吉澤さん。最後に反省の一言をお願いします」
ひとみ「あ、ああ。って何だよ、反省の言葉って。あたしは何も・・」
作者 「はい、あと10秒。・・くらい」
ひとみ「なんだよ、くらいって」
作者 「はい、9秒。・・くらい。早くしないと強制的に締めますよ。おぉ、あと5秒」
ひとみ「えぇ!?あ、え、ええっと、あの、作者への暴力はほどほどにします。・・これでいいのか?」
作者 「おっけーでーす。録音終了しましたー。お疲れさまでしたー」
ひとみ「何、録音って」
作者 「証拠です。今後の為の。いやぁこれで私の身の安全が保障されましたよ、はっはっはっ・・・」
ひとみ「カウントダウンは?強制的に締めるっていう・・」
作者 「ウソです。切羽詰った方が言うかなぁと思いまして。これが大成功で私自身驚いていますよ」
ひとみ「ほぉ・・。じゃああたしは騙されたわけだ」
作者 「そういうことになりますね、吉澤さんて単純なんですね」
ひとみ「てめー!!」
(以下省略・・)
- 424 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/22(水) 03:26
- 本文長すぎ&時間掛かり過ぎ・・。
レス返しと呼べるのでしょうか・・・。
- 425 名前:七誌さん 投稿日:2005/06/22(水) 15:20
- 更新乙です^^;
いや〜私、作者さまの小説の虜になってしまいました!(笑
本編のほうはなんかがんばってるようですが(笑)
作者さまもがんばってくださいね!
- 426 名前:第7話 雨の中のあいつ〜気持ちを胸に秘め・・〜 投稿日:2005/06/26(日) 02:09
- 「どこだ、どこにいる」
学校を出て行ってからゲーセン、真里姉がバイトしている店を探したがいなかった。
真里姉にもし希美が来たらケータイに連絡してくれと言い残し、店を出てからどれくらいだろうか・・。
全身びしょ濡れで目にかかる前髪を降りてくる度に上げ、道の所々にある水溜りに靴は水を吸い、重くなっている。
だがそんなことで足を止めるわけにはいかない。
1分、1秒でも早く、希美に・・・会いたい・・。
会って伝えたい。
自分の気持ちを・・。
- 427 名前:第7話 雨の中のあいつ〜独りの寂しさ〜 投稿日:2005/06/26(日) 02:11
- 来て・・くれるかな・・・。
ううん、そんなことありえない・・。
自分はあの人を傷付けた。
怒って帰ったに違いない。
・・ふふ、この後どうしよう・・。
帰る?
誰もいないあの家に・・?
ふふ、帰って何をするの・・?
何も無いじゃん・・。
誰もいない、何も無いあの家に帰った時ののんの気持ちがわかる?
寂しいんだよ・・?
・・・そ、寂しいの・・。
寂しいと死んじゃいそうなくらい辛いの・・。
本当はね・・。
けど誰にもそんなこと言ったことないの・・。
家族や友達・・。
それにあの人にも・・。
ううん・・言えないのかもね・・・。
言った後の反応をどこかで恐れているから・・。
・・・寂しいよ・・・。
会いたい・・。
会いたいよ・・。
- 428 名前:第7話 雨の中のあいつ〜衝き動かすもの〜 投稿日:2005/06/26(日) 02:17
- 「コンビニでもないか・・」
あと俺が知っている場所は公園しかない。
この街の土地鑑がほとんど無い俺には学校を入れてその5ヶ所(ゲーセン、真里のバイト先、コンビニ、公園)しか知らない。
さっき駅前のコンビニで希美のケータイに連絡を取ったが、繋がるけど出ないといった状態。
もしかしたら場所を聞けるかなと思っていたけど少し甘かったようだ。
そして今は公園に向かって走っている。
けど息が上がってきていてさっきよりもペースが落ちている。
ダメだ、止まるな。
走り続けるんだ。
その時だった。
ガッ
疲労のせいなのか、雨の冷たさで体が固まってきたからなのか、足が縺れ・・。
「うわっ」
ズシャ
扱けてしまった。
「ってー。恥ずいなぁ、誰もいないからよかったけど」
と、立ち上がった時。
「あたた」
右膝から痛みが走った。
見てみると制服が破け、膝から血が滲み出ていた。
「こんなもの・・。・・くっ」
雨が傷口に染みる。
けどこんなものに構ってられない。
待ってるかもしれないんだ・・。
俺は構わず再び公園を目指した。
- 429 名前:第7話 雨の中のあいつ〜逸る想い〜 投稿日:2005/06/26(日) 02:21
- ・・・はは、やっと・・着いた・・。
途中また扱けてしまい、そしてまた膝を擦りむいて・・。
足を引きずりながらやっとここまで来た。
ここにいなかったら・・・。
そんなちょっとした不安を抱えながら公園に踏み込んだ。
しかしそんな不安はすぐに無くなった。
いた・・。
雨の中・・一人空を見上げ佇むあいつ・・。
「希美・・」
声を掛けてみるがこんな大雨だ、伝わるはずも無い・・。
それに距離も2、30メートルはある。
俺は・・
俺は気持ちを押さえられず、思い切り叫んだ。
「希美!!」
- 430 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/26(日) 03:13
- >>425 七誌さん 様
作者「え?あ、ありがとうございます・・(素照」
??「それだけ?もっと言うことあるやろ」
作者「ん?おぉ!姐さん!どうもです!」
裕子「挨拶はええから。ほらなんか言うとき。こういうこと言われるなんて滅多に無いんやから」
作者「そうなんですけど・・。他に言葉が見つからないんですよ」
裕子「だったら行動で示したら?こうやって・・」
作者「えぇ!?姐さん、やめて下さい!土下座なら私がしますから!」
裕子「なんでぇ。お世話になってるやん」
作者「そうですが、そういうことは私の役目です」
裕子「じゃあ何の為に呼ばれたん?」
作者「最近出番が無いからってことじゃダメですか?」
裕子「ホンマか?」
作者「え、えぇ・・」
裕子「なんで別のとこ見とるん?あたしの目見て言いや!」
じー・・
作者「ああ、ダメだ、ハズい!え〜・・ぶっちゃけてしまうと誕生日・・だったじゃないですか、最近。それで呼ぼうと思いまして・・。遅くなってしまったんですけど・・」
裕子「それなら松浦呼べばよかったんやないの?」
作者「いやいや。姐さんが先ですから。辻さんは話に出てるし。松浦さんとは何話したらいいかわからないし・・」
裕子「そ、そうか・・。じゃあもうええやろ・・。ほら挨拶して終わるで」
作者「いやだから姐さんは・・」
裕子「この小説に出てる以上、するのが当たり前。そんな気にせんでもええやん。ほら座って」
作者「は・・はい」
裕子「では・・。七誌さんのお言葉大変嬉しく思います。どうも・・」
裕子・作者「ありがとうございます!」
m(__)m
裕子「よし。それではまた次回に」
作者「それでは」
- 431 名前:なつまり。 投稿日:2005/06/26(日) 03:19
- 初めての挑戦でやっちまいました。
m(_ _)m
もしかしたらこっちかもしれないです。
こっちも違ってたらどうしよう・・。
- 432 名前:七誌さん 投稿日:2005/06/30(木) 18:04
- 更新乙ですw
ついに対面ですね。
Σそして姐さん登場!?(笑
いや〜なかなか珍しい(?)人たちが来てますねw
作者さまの返レス、とっても嬉しいです!!
これからもがんばってくださいっ!
- 433 名前:第7話 雨の中のあいつ〜あの人へ〜 投稿日:2005/07/05(火) 23:14
- 『・・美!!』
え・・?
声が・・・聞こえた・・。
・・・・・あぁ・・・来てくれた・・・・あの人が・・・迎えに来てくれた・・・。
こんな自分を・・・・・迎えに・・・来てくれた・・・。
「尊史ー!!」
あたしは走って思いっきりあの人の胸に飛び込んだ。
- 434 名前:第7話 雨の中のあいつ〜再会〜 投稿日:2005/07/05(火) 23:18
- 「よかった・・。おっと」
向こうから走ってきた希美を受け止めたつもりだったが、膝のケガを庇って右足が爪先立ちだった俺はバランスを崩し、そのまま尻餅をついた。
「いてて・・」
「会いたかったよぉ・・・・・一人で寂しかったぁ」
けど希美は気付かないのかそのまま俺に泣きついていた。
そんな希美が愛しく思い、軽く抱き締め、そのまま2人で雨に打たれていた。
- 435 名前:第7話 雨の中のあいつ〜ちょっとした幸せ・・〜 投稿日:2005/07/05(火) 23:23
- ・
・
・
「少しは落ち着いた・・?」
すすり泣きが聞こえなくなったのを見計らって希美に聞いてみる。
「・・・うん」
俺の胸から目を擦りながら顔を離す。
「じゃあ一旦戻ろうか!このままじゃ風邪・・・へ、へっくしゅん!・・・ひくぞ」
「ふふ、うん」
希美は笑みを浮かべながら手を差し伸べてきた。
ああ、起こせってか。
俺は先に立ち上がり、調子が戻ってきたわがままなお姫様の手を取り、起こしてやる。
「へへ、ありがと」
手を繋いだまま、歩き出す。
「ちょっと待って。少し早い」
「え、普通・・。あ、ケガしてるじゃん」
「途中で扱けてさ。だからもう少し・・」
「肩貸す?」
「・・・い、いや・・俺は、こっちの方がいい、かな・・」
緊張で吐き出された言葉は握っていた手にも伝わり、強張ってしまい、希美の手をきゅっと握ってしまった。
一瞬驚いたみたいだったが、それでも手を離さずにいてくれて、恥ずかしそうにこう言った。
「・・うん、のんも・・」
その言葉の後、2人とも無言のまま、恥ずかしそうに公園を後にした。
手をしっかりと握ったまま・・。
- 436 名前:第7話 雨の中のあいつ〜学校に戻ってきて〜 投稿日:2005/07/05(火) 23:25
- 「着いたなぁ、学校に」
そう、今は職員玄関にいる。
「なんでこっちなの?」
今話します。
生徒玄関に行けばもしかしたら誰かいるかもしれない。
それと職員玄関の方が生徒玄関より教室が近いから。
こんなびしょ濡れで学校中うろうろしてたら休み明けに中澤先生の雷が落ちてくるかもしれない・・。
そういうことも考慮に入れてこっちを選んだのだ。
「こっちの方が近いからな。待ってろ、今鞄持ってくるから」
鞄から取り出した部活用のタオルで髪を拭きながら言う。
「え、のんも行く」
「いいって、少し休んでな。その間髪拭いててさ。大丈夫、すぐ戻ってくるから」
「けどまた一人・・」
「ほんの少しだから、な?」
「でも・・」
「不安になるのはわかるけど、今まで俺が約束破ったことある?」
「・・ない・・」
「だろ?寂しかったらそこの窓口から事務のおっちゃんに話し掛けてな、少しは気が紛れると思うから。じゃ行ってくる」
「・・・あの人、おじさんじゃなくておばさんだよ・・」
「ウソ!?ずっとおっちゃんだと思ってた・・」
- 437 名前:第7話 雨の中のあいつ〜ギリギリ・・〜 投稿日:2005/07/05(火) 23:29
- ・
・
・
「お待たせ」
「遅いよぉ」
「悪い悪い。どうする?傘借りてく?」
「うん」
「よし」
コンコン
「すいません。傘2本貸してください」
「2本?悪いね、あと1本しかねぇわ」
訛った口調で答える事務の人。
ギリギリ・・・おばちゃんか?
「そうですか・・」
「あの!1本でいいので貸してください!」
「え・・」
「一緒に入ればいいじゃん」
「仲がいいねぇ、あれかい?アベックかい?」
希美に傘を差し出しながら言う事務の人。
すげぇ・・死語聞いたよ、死語。
「ありがとうございます。行こ」
「兄ちゃん、幸せにしてあげなよ」
「あははは・・・」
苦笑いしか出来ない・・。
- 438 名前:第7話 雨の中のあいつ〜必死の口説き〜 投稿日:2005/07/05(火) 23:31
- 場所は変わって・・。
ゲーセンの前に差し掛かった時、希美が足を止めた。
「今日は・・あの、ありがとう・・。嬉しかった・・。あんなことしたのに来てくれて・・。・・じゃあね・・」
「・・え、あ・・う・・・う、家に来ない?」
「・・え?」
「ほ、ほら、帰っても誰もいないだろ・・?」
「・・いいの?」
「う、うん。な、なんなら泊まってけよ。いや、あの、決してやらしい意味じゃなくてね、その、明日は学校休みだし・・。こんな天気だと帰る気しない、じゃんか・・。ん?だったらここで帰せばいい訳じゃん。だけど呼んじゃったし・・。あ〜わからん!希美!どっちか決めてくれ!」
「泊まる」
「え、早っ」
まさに即答だった。
「はい、決まり。行こ」
「・・ああ」
そんな訳で俺たちは家に帰った。
- 439 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/06(水) 00:41
- >>432 七誌さん 様
作者 「いやいや、姐さん珍獣扱いですね」
裕子 「えぇ!?何ぃ、いきなり。あたしだけかいな」
(グリグリ)
作者 「ね、姐さん・・。姐さんもですよ、言葉と行動が合ってないんですけど」
裕子 「あ・た・し・だ・け・か?!」
作者 「・・・あの御二方もです、はい」
裕子 「せやなぁ?なんであたしだけなん?」
作者 「さぁ、何ででしょう?」
裕子 「あんたが言ったんやないか〜!」
(右フック)
作者 「ぶふっ!姐さん・・今気付いたんですけど私毎回のように暴行を受けてるんですけど」
裕子 「今頃か・・。あんたは1番下やん、立場が。こうやで(女性陣>男性陣>作者)」
作者 「だからか・・。これって変わるんですか?」
裕子 「弱肉強食とだけ言っておこうか」
作者 「よくわからないんですけど頑張ります」
裕子 「ま、そういうこっちゃな。頑張りや。それと挨拶しときなさいよ」
作者 「あ、はい。私も嬉しいですよ、七誌さんから毎回レスを頂いて、って結構前に似たようなこと書いたような気がするんですよね。とにかくありがとうございます」
裕子 「言うた?じゃあ、はい、それでは〜」
作者 「それでは〜」
- 440 名前:七誌さん 投稿日:2005/07/09(土) 00:26
- 早速更新おつです〜(何
いや〜・・・この二人はもう・・・
っと・・・ネタバレ注意報が出てる・・・(汗
作者さまと姐さん達も毎回こんな私のために返レス感謝ですw;
- 441 名前:第7話 雨の中のあいつ〜自宅到着〜 投稿日:2005/07/14(木) 23:40
- それから約30分後。
玄関前に到着。
「やっと着いた」
だがドアノブを引っ張ったが鍵が掛かっていた。
「誰もいないのか。希美、傘持ってて」
そう希美に言い、鞄の中から鍵を取り出し開ける。
「先入って」
「お邪魔しまぁす。うわぁ、真っ暗」
「本当だ、えっと電気は、っと。・・これか」
壁際のスイッチを押し、玄関だけに電気が付く。
「俺は風呂の用意してくるから。希美はリビングで待ってて」
「け、けど・・」
- 442 名前:第7話 雨の中のあいつ〜ちょっと控えめに〜 投稿日:2005/07/14(木) 23:43
- ・
・
・
「あと10分くらい待って。ん?何突っ立ってんの?座ってなよ、疲れたろ」
浴室から戻ってくると希美は困った顔をして立っていた。
「スカート濡れてるから・・」
「気にすんなって、後で拭けばいい話だし。あ、寒くないか?バスタオル持ってくる?それともシャワー先に浴びるか?」
「大丈夫・・」
「本当か?あとで風邪ひいたって言っても知らないぞ。・・ん?」
話しながらキッチンの方に歩いていくと、キッチン側のテーブルの上に何か書いてある紙を見つけた。
「うん・・」
「・・希美、あとでケーキ食べようか」
希美が返事をしている間にその紙を手に取り、読みながら話す。
「ケーキ?」
「そ、今日届いたんだって」
「いいの?」
「なーに言ってんだよ、お前のケーキだよ」
「え・・」
「ほら、毎年あげてるやつ。今までは単品のをまとめてだったけどさ、今年は、デコレーションっていうのかな、でっかいやつあるじゃん、あれにしたんだよ」
「・・・ありがとう」
ちょっとだけはにかむ希美。
「いいよ、毎年のことだろ」
「うん・・」
「なんか急に大人しくなったな、どうした?やっぱり寒いんじゃないのか」
「うん、少し・・」
「おいおい、言えよ。もう入っちゃえ」
「うん・・」
俺は希美を浴室へ連れて行った。
- 443 名前:第7話 雨の中のあいつ〜大胆告白!?〜 投稿日:2005/07/14(木) 23:47
- ・
・
・
「じゃあバスタオル置いておくから。着替えは・・よかったら姉ちゃんの部屋から持ってって。多分怒んないと思うから」
『・・うん』
「じゃあ行くよ」
『ね、ねえ!尊史!』
「ん?」
『・・・怖い』
「え?」
『だから怖いの。一人でいるのが』
「え、いつも一人だろ、風呂入んの」
『そう、だけど・・』
「ゆっくり入ってな。色々あったと思うから」
『い、一緒に入って!』
「はぁ?!」
- 444 名前:七誌さん 投稿日:2005/07/15(金) 00:00
- ななななんですかぁ!?(落ち着け
- 445 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/15(金) 00:21
- >>440 七誌さん 様
作者 「いつになったら終わるんでしょうかね、これ」
?? 「知らんよ、あんたが書いてるんやろ」
作者 「この声・・。また新しい方ですか・・。・・稲葉さん」
貴子 「はい、たかこと書いてあつこと読む・・。どーもぉ!稲葉でーす!」
作者 「よくわかんない自己紹介ですね・・。しかもテンション高い・・」
貴子 「えーやん。で、いつ終わるん?これ」
作者 「全然目処がたってないですね。今年中には、って思ってるんですけど」
貴子 「ふ〜ん・・。あと半年もないね」
作者 「そうなんですよ。なんとか早く終わらせるように頑張っているんですけど」
貴子 「・・・で、なんでこんな話してんの、うちら」
作者 「七誌さんがいつ終わるかなぁ、と疑問に思ってるかなと」
貴子 「うーん・・確かにそうかもねぇ。男もんでは結構長いからなぁ、これ」
作者 「私自身も不安なわけですよ、こんなに長くなると」
貴子 「そやなぁ・・」
作者 「・・・」
貴子 「・・・」
作者 「あの、締めましょうか」
貴子 「歯切れ悪いけどな」
作者 「今回は愚痴みたいな形になって本当にすいませんでした。駄文ですがこれからもお付き合いください」
貴子 「今回だけにしような、こういうのは」
作者 「はい」
- 446 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/15(金) 00:40
- >>444 七誌さん 様
作者 「稲葉さん続投です」
貴子 「そうみたいやなぁ」
作者 「前回の返レスを書き込んだ後に来てたので驚きましたよ」
貴子 「あまり言えへんけどわかるわぁ。・・・。これしか言えへん・・」
作者 「私は言いません。口下手なので」
貴子 「難しいなぁ、触れずにトークっていうのは・・」
作者 「あ、ですがこれだけは言えます」
貴子 「何?」
作者 「次回をお楽しみに!・・なんて大きなことは言えませんよ〜」
貴子 「ヘタレやなぁ」
作者 「あの、あまり期待せずに、って言うことしか・・」
貴子 「これ以上言ったらネタバレになりそうやからなぁ。終わろ」
作者 「はい、では」
- 447 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/16(土) 10:23
- なんとーーー!
私は大いに期待させていただきMAX
- 448 名前:七誌さん 投稿日:2005/07/20(水) 11:34
- 更新おつですっ!
今回は稲葉サンですかぁw
毎回毎回素敵な方が(ry
期待しないでと言われたら逆に期待してしまうモンですw
というわけで期待しちゃいます☆(ヤメィ
- 449 名前:第7話 雨の中のあいつ〜覚悟を決め、突入!〜 投稿日:2005/07/26(火) 23:02
- 聞き間違い・・だよな。
「あのぉ、今なんて・・」
『だから!服脱いでこっちに来てって言ってるの!』
おいおい直球かよ。
「・・・」
『な、なんで黙るの』
「・・わかった」
濡れた制服を脱いで下にはバスタオルを巻いて準備完了。
もうなんだってこいや〜!
勢いよくドアを開ける。
- 450 名前:第7話 雨の中のあいつ〜即退散〜 投稿日:2005/07/26(火) 23:07
- 浴槽に入っている希美と目が合う。
「・・・・・」
「・・・・・」
・・・すぐに浴室を出た。
無理!
あの中にいたら理性保てません!
あんな・・・あんな上目遣い。
一気に狼です。
『ね〜え、どうしたの〜?』
「今!・・・」
行けるわけない・・。
「何ぃ?」
「い、い、い、今、行く・・。・・・と、思う・・」
「え?」
「今行くから待ってろ!」
- 451 名前:第7話 雨の中のあいつ〜ないもんはない〜 投稿日:2005/07/26(火) 23:14
- と、言ったものの浴槽には入ったが見れずに背中を向けていた。
代わりに壁と対面。
「なんでこっち見てくれないの?」
見れるわけな・・・
いや・・ちょっと情けなくないか、俺。
「今・・」
・・・あ〜・・何だね、これは・・。
腕で隠してる・・。
え〜・・なんでタオルが無いんだ?
「タオルは?」
「ない」
ぶほっ
「なんでだよ!」
「だってないもんはないんだもん」
「早く言えよ」
「今言ったでしょ?」
「遅いっつうの」
- 452 名前:第7話 雨の中のあいつ〜初めての・・・〜 投稿日:2005/07/26(火) 23:21
- 「別に無くてもいいんだけど」
「それは俺が困る」
「なんで?のんは見られてもいんだよ?」
「女の子がそういうこと言わない」
「ホントだよ、ほら」
「! 何やってんだよ!さっさと隠せ!」
慌てて背中を向けた。
「尊史はのんのこと・・・嫌いなの?」
「またそれか・・・。嫌いだったら・・・・・んっ」
え・・
「そ、話すときはかならずこっちを見てくれる・・・」
何が起きた?なんで希美の顔がこんなに近いんだ?
「ねぇ・・聞かせて・・。嫌いだったら・・・何なの?」
俺、何かされた・・?
「ねぇ・・?」
「何かした?」
「え・・?・・・わかんなかったの?じゃあ・・もう1回・・・。・・・ん・・」
・・・やっとわかった。
さっきはわかんなかったけど・・・そうだったんだ・・。
- 453 名前:第7話 雨の中のあいつ〜あ・・・見ちゃった・・〜 投稿日:2005/07/26(火) 23:31
- 「わかった・・?」
「あぁ・・」
「あ、ねぇ、さっき、嫌いだったらって・・・言ってたでしょ?そのあとって何なの?」
「嫌いだったら・・?・・・ああ。聞きたいの?だったらするなよ」
軽く笑ってから話した。
「・・・そうだなぁ。嫌いだったら一緒に風呂なんて入らないって言おうとしたんだけど、今は・・・あんなことはしない、かな?」
「・・・のんのこと、好きってこと?」
「そういうことになるかな」
「嬉しい!」
「バカ!こっち来んなって!うわっ」
・・・・・
「ぷはっ、アホ!いきなり抱き着くな!」
「てへへ。だって嬉しかったんだもん」
「あーそうかい」
かわいいな・・。
「あ、ほらやっぱりタオル必要なかったじゃん」
タ・オ・ル?
「・・・・・あ」
「・・・・・ね?」
「あは、あはははは・・・あ〜・・」
ざぱ〜ん
「あれ?尊史!?ねえ、どうしたの?尊史〜」
- 454 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/26(火) 23:37
- 以上で7話終了です。
次回は夏休みに突入!
- 455 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/26(火) 23:45
- >>447 名無飼育さん 様
ありがとうございMAX!(使い方合ってますでしょうか?)
結果的にこういうことになったんですがどうでしょうか?
- 456 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/26(火) 23:53
- >>448 七誌さん 様
>期待しないでと言われたら逆に期待してしまうモンです
言うんではなかったと後悔しましたよw
まぁ、どうにかこうにかして更新出来たんですけど・・。
自信は・・・。う〜ん、どうでしょう・・って感じです(謎
- 457 名前:447 投稿日:2005/07/27(水) 00:45
- 更新オツカレさMAX!(ちょっと変な使い方ですが・・・)
とってもよかったでございMAX!!
これからののんちゃんの行動を楽しみにしてま〜す♪
MAXは伝わればどんな使い方でも良いと思いMAX♪
- 458 名前:七誌さん 投稿日:2005/07/28(木) 20:43
- 更新おつでした〜。
>言うんではなかったと後悔しましたよw
それはそれは失礼しましたw(悪気ナシ(マテ
二人はなんか・・・・なんか・・・なんでしょう?w;(何
とりあえず続きが気になりますw
- 459 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:23
- 7月、夏休み前最後の部活が終わった。
「みんなお疲れさま。それじゃ明日から合宿だからそのことに関してのプリント配るね」
飯田先生はパイプ椅子の上に乗せていたプリントを取り、端の二人に渡す。
ほほぉ、2週間かぁ・・。ん?
「先生、合宿って2週間もやるんですか?」
「ちょっと待ってね、今説明するから。みんな一通り読んだね?
それじゃ、質問も出たとこで説明するね。
えっと、期間は2週間。これは決定だから変更は無し。
まぁ、6週間の内の2週間だし残りは一ヶ月もあるんだから少ない方だと思ってもらってもいいと思うんだけど」
「あの、先生、こんなこと言うのもあれなんですけど、あたしたち一応受験生・・・」
松浦さんがおずおずと聞く。
- 460 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:27
- 「勉強のことでしょ?大丈夫、心配しないで。持ち物に勉強道具一式って書いてあるでしょ?
1年生、2年生は宿題を全部。3年生は参考書とか自分が必要だと思うものを持ってきて。
それで日程としては朝から夕方まで部活。それから夕食、の後に、休憩を少し挟んでから勉強会だから」
えー!と不満の声があがる。
「文句を言わない。この2週間で全部終わらせちゃうからね。
そしたらあとの一ヶ月は宿題のことは気にせずに部活が出来るでしょ。もちろん遊びもね」
あ〜、と納得の声に変わった。
「それで1年生はあたし、2年生は安倍先生が見てくれるから。3年生は2人で見ますから。
安心しなさい、2人とも現役だから。特に安倍先生は今年卒業したばかりで・・」
「何言ってんの、カオリ。なっちと同い・・」
「しーっ!」
慌てて安倍先生の口を塞ぐ飯田先生。
その際にベチッっという音が聞こえた。
痛そうだなぁ、けど何か隠してるのかな?
- 461 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:30
- 「年齢に関しては25ってことにしてんの」
「な、なんで?」
「大学の時にここの元学長に『あなたにはぜひバスケ部の顧問をして頂きたい』って。
多分、高校のときの成績が関係あると思うんだけど。ちなみに圭ちゃんも26ってなってんの。なっちにも来なかった?」
「う〜ん・・わかんない・・。なっちのとこに来る男の人って大抵スカウトかナンパだから・・・」
「なまら嫌味だよね、それ」
「こんなとこで方言出さなくてもいいべさ」
「なっちも出てるじゃん。ま、覚えてなくても何かしらオマケされてると思うよ。大学2年で卒業扱い、とか」
「2年で卒業したの!?」
ベチッ
「声が大きい」
「カオリ、痛いべさ・・」
「変なこと喋るからだよ」
- 462 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:31
- 「あ!あ〜!今ので思い出した!確かおじいちゃんじゃなかった!?」
「あ、そうそう!」
「ん〜と、それで今すぐ卒業扱いにするからバスケ部?の顧問になってくれって言われて、で、あと、2人で部を強くしてくれって・・」
「2人?あたしとなっちってこと?」
「今考えるとそうだと思う。だけどその時は音楽やってて断ったなぁ・・」
「へぇ・・」
「あ、あと、教育実習がなかった」
「それがオマケじゃない?」
- 463 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:32
- 「あの、先生方?合宿のことは・・・」
「「ん?あー、ごめん」」
「えっと、どこまで話したっけ・・・」
「ここじゃない?」
「ここか。えー、勉強のことはこれでいいね。持ち物はバッシュ、ジャージは当たり前だね。
着替え2週間分に・・。花火と水着は各々持ってきたければ持ってくるってことで、以上」
「なんで冷たいこと言うのさ。えっと、もうここで言っちゃうけど合宿期間内に花火と海水浴するから絶対に持ってきてね!」
「そんなに強く言わなくてもよくない?持ってきたい人だけでいいじゃん」
「ダーメ。思い出作るためでもあるんだから」
「いやいや、バスケしに行くんだよ、なっち」
- 464 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:33
- 「なあ、花火、誰がどれ持ってくるか決めようぜ」
「・・あ、ああ、そうだな・・」
2週間か。
まぁ、あっちも合宿だろうし、亜依もいるから大丈夫だろ。
「つーわけで尊史は詰め合わせな」
「ん?・・あぁ!?いつ決まったんだよ、そんなこと」
「最初から」
「じゃあお前ら何持ってくるんだよ」
「「「打ち上げ系」」」
「3バカめ・・」
「あの、僕は線香花火を・・」
「「「あぁん!?てめぇ、一番安いじゃねえかよ!」」」
「4バカか・・」
- 465 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:35
- 今、僕は・・と言ったのが予選前に入った2年の中島。
体がデカくて背も180以上あるのに気が小さいという、ちょっと面白い奴。
だから入った頃から竜弥を含んだ3バカによくいじめられている。
3対1じゃないと勝てないから。まぁ、遊んでるんだ、要は。
で、坊主君2人はそれぞれ二階堂と東堂院。
聞いた時はやっぱりなって思った。
何がって?
坊主関係だなぁって。
堂あたりが・・(笑
まぁ、個性豊かな仲間が出来たってことだ。
「ほら、そのくらいにしろって」
「「「うっせぇ!お前もいじめてやる!」」」
「フッ、出来るもんならな・・」
ギャーギャーギャー・・・
- 466 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:36
- 「男子静かにする!じゃあこれで・・あ、言い忘れた。携帯だけど持ってきても荷物になるだけだからね。以上、解散」
「なんでですか?」
美貴が聞いた。
先生は、
「そういうとこだからだよ」
と微笑しながら答えて安倍先生と歩いていった。
- 467 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:38
- 「尊史〜」
「お?・・ぐはっ」
ドカッ、ズザザザザ
「あっちー!摩擦が・・。希美、当たりが強すぎ」
「ごめんごめん。ねえ、明日から合宿でしょ?今日の夜、花火しない?」
「お、いいねぇ。他に誘おうか」
「じゃあ場所は尊史の家ってことで」
「えー、まず一人・・」
「あいぼんもね。あっ、コンコンも花火しない?」
「あ、うん」
「これで5人」
「俺たちも行く!」
「8人。美貴も来る?」
「うん。あ、亜弥ちゃんは?」
「ごめんね、みきたん。勉強しなきゃいけないから」
「そっか・・」
「悲しい顔しないでよ〜。合宿で花火出来るって言ってたじゃぁん。だからその時にね?」
「うん」
「うんうん、偉いぞぉ。それじゃあ明日ね」
「うん」
「確かぁ、美貴ちゃんの方が年上、でしたよね?立場逆なんですね」
「なっ、コンちゃんに言われたくないですぅ。コンちゃんの方が任せきりだと思うんですけど、ミキはぁ」
「み、美貴ちゃん!」
「だーいじょぶだって。だーれも気付いてないからぁ。もうっ、かわいいなぁ」
「美貴ちゃんそればっか・・」
- 468 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:39
- 「あの、先輩。エリも行っても、いいですか?」
「おぉ、おいでおいで。場所わかる?」
「はい、大丈夫です」
「よし、じゃあこのくらいでいいかな」
「そうだな。集合は何時にする?」
「今4時か。・・・7時くらいにしようか。帰って明日の用意すればちょうどいいと思うし」
「おし、そうすっか。7時集合ってことでみんないいな?」
それぞれ返事する。
「じゃあ俺はすぐ行くからな。飯はお前んちで食うから」
「何もないぞ」
「誰もごちそうしてくれなんて言ってないだろ。自分の飯くらい自分で買ってくるよ」
「あ、ならついでに花火も買ってきて」
「花火ならのんとあいぼんが持ってくるからいいよ。けどあんまり量が無いから買出しは決まってるようなものだから」
「そうか、じゃあ切れたら買出しってことでいいか。よし、だいたい決まったとこで帰るか!」
- 469 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:42
- ・
・
・
20分後。
「ただいまー」
「おかえり〜!」
「う゛っ!」
リビングのドアを開けた途端に凄まじい衝撃が顔を襲った。
けど柔らかいのはなんで?
「もう!なんで連絡くれないの?会いたいとか会いたいとか会いたいとかさぁ」
「・・・部・・・・・じゃ・・・・すか」
「にゃはは、くすぐったい」
今さっきは誰かはわかんなかったけどやっとわかった。
俺はその人を退けて言った。
「全部会いたいじゃないですか、後藤さん」
「いや〜ん、真希って呼んでよ〜」
「真希」
「いや〜ん」
パタッ
「倒れちゃった・・」
「お前後藤に何したんだよ!」
「いや何も・・」
「後藤、しっかりしろ!」
「・・・大丈夫だと思うよ」
「何でわかるんだよ」
「だって笑顔だよ、すっごい」
「・・・あ。何だよ、心配させて〜」
- 470 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:43
- 「ねえ、母さん。今日結構友達来るから」
「え?急に言わないでよ。何も無いわよ」
「いいんだよ。かなりうるさくなるってことを言っといた方がいいかなって思っただけだから」
「そうなの・・。あ、明日から合宿でしょ、用意しておきなさいよ」
「わかってるって。今からするとこ」
そう言って自分の部屋に戻っていった。
- 471 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/07/29(金) 13:45
- 「あの子、変わったね」
「母さんもそう思った?なーんかスッキリしたっていうか、吹っ切れた感じがするんだよなぁ」
「それもあるけど、ずいぶんと落ち着いたわね。真希ちゃんと会ったばかりの頃は何かと騒いでたけど、今は胸を押し付けられても冷静だったわねぇ・・。
何かあったのかしら、きゃっ♪」
「きゃって・・。年齢感じるよ、その表現」
「そう?かわいくなく・・・なく・・・・・なく、ないかしら?」
「今なくって何回言ったの?そういううろ覚えなのここではいいけど、外で言うのやめてよね」
「いいじゃない、お母さんだって若くいたいもの」
「だからって10代が使う言葉だよ、それ」
「お母さんにちょうどいいじゃない」
「20年もギャップがあんじゃん・・(ボソ)」
「あーら、何か言ったかしら?紗耶香ちゃん?」
「い、いいえ、何でもございませんわ、お母さま・・。あははは・・」
- 472 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/29(金) 13:46
- 久々の?大量更新終了です。
- 473 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/29(金) 13:58
- >>457 447 様
申し訳ありませんです!
今回の話はバスケとk…がメインでございMAX。
しかも男キャラばっかりで2重で申し訳ないです。
- 474 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/29(金) 14:07
- >>458 七誌さん 様
続き…大分先になると思います・・。
今回は私が書きたかったとこなのでダラダラと長くなってしまうと思います。
ごめんなさい、自己中な作者で…(泣(?
- 475 名前:なつまり。 投稿日:2005/07/29(金) 14:09
- >>472の?の場所が違った〜。
関係ないんですけど…
- 476 名前:447 投稿日:2005/07/30(土) 01:02
- いえいえ、またまた次回が気になる展開になってますなぁ〜♪
これからも頑張ってください。
続き楽しみにしてます
- 477 名前:七誌さん 投稿日:2005/08/02(火) 21:44
- お母さんと紗耶香のやり取りに爆笑中・・・w
- 478 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/02(金) 22:34
- 「えーと、これと、これと、これと、これと、これと、これ。よし、準備完了!下で待ってるか」
ピンポーン
「早いなぁ、もう来たのか」
・
・
・
「おう、早いな」
来たのは竜弥だった。
「いや・・予定より遅い・・。こいつらが家教えてくれって」
「おお、お前らか、まぁ上がってくれよ」
竜弥の後ろに居たのは男子3人だった。
「「「「おじゃましまーす」」」」
4人が靴を脱いでいる間にリビングに入る。
「ああ、後藤さん、大丈夫ですか?」
「・・なんであたし寝てたの?」
「それは・・・」
「「「「ちわーっす」」」」
「い・・」
「い?」
「いや〜!男〜!!市井ちゃ〜ん!」
竜弥達を見るなり、姉ちゃんのところに走って行った後藤さん。
「大丈夫、大丈夫だから。お調子者とでっかいのと小坊主2人だから、安心して」
どう見ればその集団を安心と判断出来るんだろうか。
「「こ、小坊主・・・」」
「でっかいのって僕・・・だよね・・」
「紗耶香さん、あんまりじゃないすか!」
文句を言う竜弥。
「うるさい!後藤を落ち着かせるにはそう言うしかなかったんだよ!」
怒鳴る姉ちゃん。
「男いやぁ〜」
その姉ちゃんに泣きすがる後藤さん。
あとの3人はそのまま落ち込んでいた。
はは・・少し来ただけでこの騒ぎかい・・。
え〜と・・あと何人来るんだっけ・・・。
そう考えると先が思いやられるなぁ・・。
- 479 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/02(金) 22:36
- ・
・
・
約束の7時。
家の中には10人の男女。
わいわいがやがやと、まぁ、集まった・・。
亜依と希美、コンと美貴はソファーに座っておしゃべり。
絵里ちゃんは立って物珍しそうにリビングを見渡していた。
ちなみに女性方は隣の矢口家に追いやった。
後藤さんはここにいると泣きっぱなしだろうし、姉ちゃんは後藤さんの付き添い、母さんはすることないだろうからということで。
「じゃあ始める?」
全員に聞いてみた。
それぞれ返事をする。
そしてみんなで中庭へ。
- 480 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/02(金) 22:39
- ・
・
・
「希美、花火は?」
「じゃじゃーん!これでーす!」
『え?』
希美以外の人が固まった。
何、この特大なオール線香花火は・・・。
つーか、こんなものが存在すんのか・・。
「のの、もう1個は?」
亜依が聞く。
「あいぼん持ってくるって言ったじゃん」
「あ゛あ゛!忘れたぁ!」
『ええ!?』
「ごめん!ほんまごめん!」
「いいじゃん。買うのは決まってたんだから、それで買いに行く人決めれば」
美貴から意外な提案。
「いいと思うよ。面白そう」
それを真っ先に賛成したのがコンだった。
- 481 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 22:42
- 「コンちゃん積極的だねぇ。美貴、コンちゃんの為に言った甲斐があったよ(小声)」
「え?え?どういうこと?」
「しぃ!このパターンだと男女2人だと思うの。いや、力づくでそうするから、コンちゃんと、あいつ・・・彼とゆっくりしてきなさい、ね?(小声)」
「えぇ!そ、そんなの無理だよぉ!」
『ん?』
「し・ず・か・に!そういうことしないとコンちゃん何も出来ないでしょ!?美貴がバスケ部入ってから全・然!進展してないじゃん。今日はほんの練習なんだよ?明日から2週間の合宿が始まんのにそんなテンパってちゃ、何も出来ないよ?(小声)」
「合宿って集中して部活をする期間じゃ・・・(小声)」
「ちがーう!」
『?』
「オホン。男女が一緒のところに泊まるんだから恋愛でしょう?恋愛しないで何の為の合宿なの?(小声)」
「美貴ちゃん誰かいるの?(小声)」
「・・・いないよ。だからこうしてコンちゃんを応援してる(小声)」
「そうなんですかぁ(小声)」
「美貴に任せなさい。全て上手くいくから」
この後、美貴ちゃんの力・・・じゃなくて積極的な発言で、美貴ちゃんの言う通りになりました・・。
そして・・・。
- 482 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜美貴視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 22:46
- そして今、みんなで円になってしている。
100本あったから1人10本。
数分経ったけど(感覚的に)全部落ちたって言う人はいない。
これから作戦実行!
美貴の位置はコンちゃんと、あ・え・て!あいつの間。
これは美貴の作戦をよりスムーズに実行出来るように、且つ怪しまれないように。
今の状況は・・・。
コンちゃんがあと6本、あいつが5本。
美貴も5本。
では作戦開始。
まずはコンちゃんに伝令。
(トントン)
左隣のコンちゃんの肘を軽く叩く。
「ん?」
「コンちゃん、今からバレないように自分の火、消してって」
他に聞こえないように(特に右の奴には)コンちゃんの耳元で話す。
「どういうこと?」
「いいから。美貴は隣のを消すから」
「う、うん・・」
よし、コンちゃんの為に・・・。
(クシャ)
息を吸った途端、コンちゃんのところから何かを踏み潰した音が聞こえた。
「コ、コンちゃん?」
「これでいいの?(小声)」
「あ、うん・・」
「じゃあ私、トイレに行って来ます」
と、笑顔で家の中に入っていたコンちゃん。
まさか踏んで消すとは・・。
秒殺だよ。
コンちゃん超行く気じゃん・・。
- 483 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜美貴視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 22:49
- 『おし、これであと一人だな』
男子の一人が言う。
本当ならあんた達全員をパシってやりたいけど、コンちゃんの為に今日は見逃してあげる・・。
けど明日から色々と扱き使ってあげるから、おーっほっほっほっほ。
て、キャラ違うか。
『あ、美貴の落ちたぞ』
隣のあいつが言う。
・・・落ちた?
「え、ウソ」
見てみると美貴の花火は全滅・・。
作戦失敗だぁ・・。
ごめん、コンちゃん・・。
『交換する?』
「は?」
『誰も見てないし、女子2人だと荷物持ちがいないじゃん』
「意味わかんない」
ホントに意味わかんない。
なに、美貴に貸しを作ろうとしてんの?
ムダムダ、美貴はかわいい娘にしか貸しは作らない主義だから。
それであとで・・・・・。
あ〜、もうそれ以上言えない。
とにかく男には絶対に貸しは作らない。
いや、ここで意地を張ってコンちゃんと二人きりになったとき何言われるかわかんないし・・。
『意味わかんなくてもいいから、ほら』
ん、ん〜どうしよう。
交換すれば結果オーライだけど美貴のプライドが・・・。
- 484 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜美貴視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 22:54
- 『早く』
「わ、わかったって、急かすな」
『・・・あ、俺の消えた』
あ〜渡しちゃった・・。
けどこれでいいんだよね、これで・・・。
「あ、先輩よかったですね。松藤先輩が先ですって」
「は?」
ウソ、美貴の苦労は?
コンちゃんに何て言えばいいの?
「決まりました?」
そんな時コンちゃんが帰ってきてしまった。
『あぁ・・俺・・』
「え、松藤君?」
う〜、コンちゃんの視線が物凄く痛い・・。
「ね、ねえ、何とかなんない?」
『竜弥が先なら仕様が無い』
「うぅ・・」
ここでコンちゃんのことなんとも思わないのって聞いても怪しまれるだけだよね・・。
ここは引こう・・。
ごめんね・・。
「こ、コンコン。ちょっとええ?」
「うん、何?」
「ここじゃなんやから、ちょっと・・」
なんか二人で行っちゃったけど今の美貴にはどうでもいいや・・。
コンちゃんには嫌われたし・・。
・・・帰ろっかな。
- 485 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 22:59
- 「代わってくれへん?」
「え?どういうこと?」
「ほら・・買い物・・行くやん・・・だから・・・」
「いいの?」
「・・・あ、あ、明日から合宿やし、しばらく会えへん・・・から・・その・・・」
携帯があるのに・・・。
あ、繋がらないんだっけ。
「二人はぁ、付き合ってるの?」
「え?!そ、そういうわけぇ、になるんかなぁ・・」
「え〜!いつから?」
「声大きいわ」
「あ、ごめん・・」
「で、代わってくれる?」
「うん。けど二人で過ごせば良かったんじゃない?」
「しゃーないって、あいつが行くぅ、言うて聞かないんやもん」
「あ、誘ったの?」
「え?そ、そんなことせえへんよぉ、何言ってんのぉ」
「だって・・・。・・いいや」
「何ぃ、言いかけた事は言ってぇやぁ」
だって花火忘れたじゃん、って言えないよね・・。
「だって恋人同士だもんね」
「な、何言ってん。嫌やわぁコンコン」
あ、アドリブ利いた。
結構怪しかったと思ったんだけど・・。
そんなことも気付かずにあいぼんは私の肩を嬉しそうに何回も叩いてます。
・・・惚気ですか・・。
- 486 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 23:02
- 『おーい、コーン。どこだぁ』
「どうしたの?」
『美貴が帰るって言ってんだけど引き止めてくれない?何かコンに嫌われたから居る意味が無いって』
ん?イマイチ話が見えてこない。
「美貴ちゃんどういうこと?」
「・・・みんながいるから大きい声じゃ言えない・・」
「じゃあどこかで話を・・」
『あの、悪ぃんだけど俺はどうなんの』
「あ、それならあいぼんに代わってもらったの」
『加護?まぁ、いいか。行って来るか』
「うん」
「あいぼん、頑張って〜」
と、のんちゃんが手を振って見送ってる。
やっぱり知ってたんだ、ほとんど一緒にいるもんね。
「美貴ちゃん、どこで話そうか」
「・・・じゃ、ソファーで・・・」
- 487 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/02(金) 23:05
- 竜弥と亜依、コンと美貴が行き、少しの間暇を持て余す。
大人しく待ってるか・・。
「ねぇ、尊史」「あの、先輩」
腰を掛けた途端、希美と絵里ちゃんに左右同時で話し掛けられた。
「何?」
「あのねー」「あのですねぇ」
「ちょ、ちょっと待って。二人一緒に話さないでくれ。どっちか先に・・・」
「じゃあのんー」
「何言ってるんですか、あたしが先ですよ」
「あの・・・」
「そっちが何言ってんのさ、後輩でしょ?先輩に先譲るのが当たり前でしょ?」
「ちょ、待ってくださいよ。エリは先輩の後輩であってあなたの後輩じゃありませんから関係ないです!」
「はぁ?その先輩とタメなんだからのんも先輩じゃん」
「年齢なんて関係ないです!エリはあなたのことを先輩と認めてないんですから!」
「認める認めないじゃなくて、のんが先に朝比奈に入ったんだから後から入ってきたら後輩じゃん」
「はーい、ストップ!ケンカはしない。こういうときはジャンケンで決めよう」
・・・自分で言っといて何だけどこういうときってどんなとき?
- 488 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/02(金) 23:07
- 「負けませんよ」
「えー!腕相撲がよかった〜」
「公平じゃないだろ。絶対お前が勝つし」
「尊史には負けるけどね」
「そーかいそーかい」
「あー、照れてる〜」
「そ、そんなんじゃねえって!」
「そんなこと言ったってわかってるもんね〜。そんな不器用なあなたが好き〜!」
「あ〜!寄るな!来るな!近付くな〜!」
「あ・の!!しないんですか!」
「ああ、ほら行って来い」
「ヤダ〜」
「試合放棄ですか?」
「そんなこと言って無いじゃん。はい、最初はグー・・」
「「ジャーンケーン・・・」」
・
・
・
- 489 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/02(金) 23:10
- 「それでですねー・・・」
「うんうん・・・」
「あ〜つまんない〜」
『それじゃ俺らと話しない?』
『そうそう』
「・・・いたの?」
『ずっといたよぉ、やだなぁ』
『で、どう?』
「ねぇ、君は?」
『え、あ、僕・・?僕は・・・』
「おいでよ、話しよう」
『お、やった』
『よっしゃ』
『・・・あ、う、うん・・』
「二人も?ま、いっか・・・」
- 490 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 23:13
- 「美貴ちゃん、どういうことなの?」
「・・・だって失敗、しちゃったじゃん。線香花火・・・」
「花火?あ〜、買い物?いいよ、多分何も話せないし・・」
「ダメだよ、そんなことじゃあ。明日から2週間も一緒なんだから」
「あ、いつもの美貴ちゃんだね」
「へ?」
「何か声が小さかったから」
「そう?変わんないと思うんだけど」
「じゃ、そういうことにしといてあげます」
「どういうこと?」
美貴ちゃんの新しい一面が見れて良かったです。
なんて本人には言えないんですけどね。
代わりといってはなんですが・・。
「可愛かったですよ、美貴ちゃん」
「そ、そう?」
どうやらわかってないみたいですけど、いいです、これで。
あ、そういえば・・。
- 491 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 23:16
- 「ねぇ、美貴ちゃん。聞いてもいい?」
「おぅ、何でも聞いて」
「どうして私に良くしてくれるんですか?」
「ん〜とね、コンちゃんが一番女の子って感じだからかな?」
「ん?」
「え〜と、まずは男3人と話してる娘(美貴達から見て左側)は」
「のんちゃんだね」
「うん、その娘は何か品が無いって言うか男っぽいっていうかそんな感じだし・・。で、そっち。彼と話してる亀井ちゃん。(右側)あれはかなり美貴の嫌いなタイプだね」
「え、え、美貴ちゃん、そんなこと言っちゃダメだよ」
「大丈夫、存在否定じゃないから」
そういう問題でも・・・。
「美貴ね、見え見えのブリッ子ってホントに吐き気がするほど、う゛う゛んって感じでさ。まぁ、それは友達だったらなんだけど。後輩としてはいいんじゃないかな。・・・それでもあんまり構いたくないんだけど・・・。あ、あと、今出掛けてる娘、あれって男いるでしょ?」
- 492 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 23:19
- 「な、なんで知ってるの?私もさっき知ったのに・・・」
「普段から目に付くよ、あれ。男よりもあの娘の方がベタベタしてんだよねぇ・・・。で、あの日、好きなのがバレバレのコンちゃんに会って、応援したくなったの。・・・初めての恋愛でしょ?」
「そ、そんなことないよ、私だって1人や2人・・・」
「見栄を張らないの。経験があるんだったらああいう顔にはならないよ」
「え゛、変な顔してた?鼻の下伸ばしてたとか・・うぅ、恥ずかしい・・」
「違う違う。大体鼻の下伸ばすなんて男にしか出来ない芸だから」
「え?そうなの?」
「さぁ?女の子でそういう人見たこと無いから。男なら嫌って程見たことあるけど」
「へぇ〜・・。そ、そうじゃなくて!私、どんな顔してたの?」
「大丈夫、変な顔なんてしてないよ。良い顔してた。可愛いよ、コンちゃんの恋してる顔。それがコンちゃんを応援したくなった理由かもしれない」
「へぇ〜・・」
「へぇ〜、って自分のことだよ?」
「よくわからないもん。あ、今度鏡で見てみようかな」
「無理だと思うよ。あの顔は意識してやったら崩れるから」
「なっ、じゃあ紙一重ってことじゃないですか!」
「違うよ、意識したら完全に作りじゃん。美貴はコンちゃんの、あの、心から好きだよ、っていう自然な顔が好きなの」
「ん〜?美貴ちゃんの言ってること難しい・・」
「コンちゃんにはわからないか。ま、好きな気持ちは大事にしなよ。初めてならなおさら」
「うん・・・」
- 493 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/09/02(金) 23:20
- 「じゃあ、お菓子でも食べようか!」
「勝手には悪いよ」
「大丈夫だって。あいつなら良いって言うから」
「でも一応聞いたほうが・・」
「・・・。じゃあコンちゃん聞いて」
「う、うん・・。た、尊史、お菓子食べてもいい?」
『おー、いいよー』
「ね?」
「うん・・」
なんでわかったんだろう・・。
ってちょっと考えればわかることかな、尊史のことだし。
考えすぎだよね。
それから私たちは2人が帰ってくるまで、少しの間でしたがそれぞれの時間を過ごしました。
- 494 名前:なつまり。 投稿日:2005/09/02(金) 23:35
- 1ヶ月振りに帰って参りました。
言い訳させてもらいますと…夏バテです…。
あ〜!殴らないで下さい!ごめんなさい!冗談です!
特に忙しかったというわけでもなかったのですが、あえて言いますと…。
久しぶりにゲームをやったら止まりませんでした…。
あ〜チョップも止めてください!
ごめんなさい!ごめんなさい!
…というわけで返レスします。
意味わからん…。
- 495 名前:なつまり。 投稿日:2005/09/02(金) 23:41
- >>476 447 様
ありがとうございます。
心がお広い方で…。
ありがとうございます…ありがとうございます…。
- 496 名前:なつまり。 投稿日:2005/09/02(金) 23:51
- >>477 七誌さん 様
え〜、あの方たちは長い夏休みでございます…。
次回には戻ってくると思います。
その時にはお母さんが特別ゲスト!…にはならないですね…。
他の方でございます。
- 497 名前:なつまり。 投稿日:2005/09/02(金) 23:56
- 何なんでしょう、最初のテンション…。
この30分の内に虚しくなりました…。
以上で更新終了です。
- 498 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/03(土) 01:17
- お帰りなさいませ
これから楽しみですな〜
ガンバレこんちゃん『なつふく』のようなアピールを
すればイチコロです
作者さんこれからも楽しみに待ってま〜す
- 499 名前:七誌さん 投稿日:2005/09/05(月) 19:27
- 久々の更新乙でした!
いや〜、美貴ちゃんがいい味出してますね。
夏バテ、ワタクシもそうでございます。
次回更新がんばってくださいね。
- 500 名前:なつまり。 投稿日:2005/09/26(月) 19:06
- >>498 名無飼育さん 様
作者「ただいまです」
??「遅っ!すぐ返せよ」
作者「何か…ご用ですか?」
??「あんたが呼んだんじゃん」
作者「え?……。ミスったぁ!」
??「あ?」
作者「睨まないで下さい。石になる…」
??「なんないから。で、えっと、あ、コンちゃんの話じゃん。なつふく?ふ〜ん、なつふく。なつふくねぇ。フフ、フフフ。いいねぇ、コンちゃん…」
作者「すごい。なつふくと聞いただけで妄想してる…。もっさん!ちょっともっさん!」
??「ウヒャヒャ」
作者「もっさんがイチコロ…。恐るべし、なつふく。…見た〜い!」
- 501 名前:なつまり。 投稿日:2005/09/26(月) 19:56
- >>499 七誌さん 様
作者「もっさんカムバ〜ック!」
??「美貴ちゃんがいい味、か。ま、当然ちゃ当然よ。あともっさん言うな」
作者「復活してたんですね。藤本さん」
美貴「何、その嫌そうな顔」
作者「なつふく」
美貴「ウヒャヒャ、なんてするかボケェ!」
作者「ちぃ!…あ、紺野さん」
美貴「コンちゃん?どこどこ」
作者「いません」
美貴「てめぇー!」
??「美貴ちゃんが…。そんな…」
- 502 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/26(月) 20:00
- 買った花火も無くなり、片付けも済んだ頃。
「それじゃ、明日もあるしこの辺にしようか」
『そうだな、明日何時だ?』
「何時だっけ・・」
「明日は6時に学校出発だよ。到着予定はお昼頃」
『よく覚えてるなぁ』
「半日か・・。MDの枚数増やそう・・」
と、隣にいる美貴の独り言が聞こえた。
「そっちは?」
希美に聞いてみた。
「6時半だっけ?あいぼん」
「ん〜、そんなとこやったと思う・・」
かなりアバウトだな、いいのか、そんなんで・・。
けど・・。
「顔見てから行こうと思ったんだけどな・・・」
誰にも聞こえないようにちょっと愚痴る・・。
けど1番聞かれたくない本人には聞こえたみたいで意味深な笑顔をしている。
「ねぇ、明日さ、ちょっと早くに学校来ない?話そ?」
希美が俺の耳元で言う。
「いいけど・・お前、絶対起きれないだろ」
「起きれるよぉ。じゃあ、それで決まりね」
「おお・・」
果たして起きれるだろうか・・。
俺・・。
- 503 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜美貴視点〜 投稿日:2005/09/26(月) 20:02
- 何、あの二人だけの空気。
コンちゃん、気付いてないみたいだけど・・。
もしかして・・・。
いや、まさか・・・。
あいつは誰でもあんな感じだし。
じゃあなんでコソコソ話してんの?
- 504 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/26(月) 20:04
- ・
・
・
それぞれ別れの挨拶を告げ、帰っていく男女。
だが玄関先で見送った俺の目の前には希美だけがいる。
「じゃあ、明日ね」
「ああ」
「え?それだけ?キスは?」
「・・・普通に言うなよ」
「してよぉ」
唇を突き出している輩に一言。
「断固拒否!」
「なんでよぉ、早くぅ」
『のーん!何してんのー!行くよー!』
「ほらぁ」
「ヤダ」
「軽くでいいから〜。ちゅっ、てするくらい」
「何お前、別の期待してたの?」
「・・・じゃあ、する?」
「え?」
予想していた答えとは全く違うのが返ってきた。
俺の予想は照れて『してないよ〜』とか言いながら叩いて、顔を赤くして走っていくのかと思ったんだけど・・・。
浅はかな考えだったな〜・・。
- 505 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/26(月) 20:07
- 「し・ま・す・か?」
「あははは・・。あ〜・・・しませんよ」
「じゃあ、ちゅってしてよ〜。触れるくらいでいいから〜」
「ん、うん・・・」
「「・・・」」
「えへ、じゃあまた明日ね」
よくわからないまましたけどなんていうか・・。
あれからしてなかったからなぁ・・・って、冷静に解説してどうすんだよ。
いやぁ、けどなぁ・・・。
〈ゴン〉
「くぅ、痛い・・」
ドア閉めてたの忘れてた。
浮かれすぎたぁ。
神様、ごめんなさい・・・。
けど俺、今幸せです。
- 506 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/09/26(月) 20:08
- 翌日、早朝。
「う〜、眠・・」
眠い目を擦りながらあいつを待っていた。
やっぱり時間通りには来なかった。
メールすっか。
「・・・」
ケータイ持って来ても意味無いって言ってたけど、まぁ、大丈夫でしょ。
今役に立ったし。
・・・空を見上げて待ち続けた。
- 507 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜美貴視点〜 投稿日:2005/09/26(月) 20:10
- 「亜弥ちゃん、早いってこの時間。まだ30分もあんじゃん・・・」
目を擦りながら朝からスキップしている亜弥ちゃんに必死に付いて行く。
「だぁ〜ってぇ〜美貴たんとのデート2週間もお預けじゃん。だから今の内にデートするのぉ。朝から2人だけの秘密のデート・・。あぁ、ス・テ・キ」
「場所が学校っていうのがシラケんだけど〜」
「いーじゃんいーじゃん。まつーらはたんとならどこでも楽しいよ」
この人が全国常連バスケ部のキャプテンか・・。
なんて改めて思った。
部活中は真剣な顔で指示出して、自分のことをあたしって言って、美貴のことは美貴ちゃんって呼んで・・。
けど2人っきりの今はまつーらに、たん。
変わり過ぎ・・。
美貴はいつでもどこでも亜弥ちゃんって呼んでる。
亜弥たん、なんて・・。
自分で言って寒気がしたし・・。
- 508 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜美貴視点〜 投稿日:2005/09/26(月) 20:12
- 「まぁ、美貴も楽しいよ」
「まぁって何よ、まぁって!」
「え、あ、ちょっと待って!」
校舎の角を少し通り過ぎた時だった。
美貴の視界にぼーっと座っているあいつが映った。
亜弥ちゃんは振り返って言った(つまり美貴を見て)からわかんなかったみたいだけど。
その亜弥ちゃんの両腕を引っ張って引き寄せた。
「え、なに?どうしたの・・・?」
その際、怪しまれないように亜弥ちゃんを抱きしめた。
そして壁に抱きしめたまま押し付ける。
もちろん軽く。
「み、美貴たん?どしたの?」
美貴はそのままあいつの様子を窺った。
・・・言っとくけど覗きじゃないから。
- 509 名前:なつまり。 投稿日:2005/09/26(月) 20:14
- 半端ですが更新終了です。
- 510 名前:七誌さん 投稿日:2005/09/27(火) 22:14
- わっはーいい!(落ち着け
美貴、ガンバ!
- 511 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/13(木) 20:24
- 続きをお願いしまーす
- 512 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/10/14(金) 14:22
- 来ねえなぁ〜・・・。
・・・暇だから遊んでよう。
バッグの上に乗せてあるマイボールを取る。
ボールを人差し指の上で回して両手で掴む。
よし、今日も好調。
そのままボールを落とし、少しの間軽いドリブルワークをした。
「・・・こんなもんかな」
「ごめ〜ん!・・・はぁ、待った?」
ドリブルワークが終わった時、あいつが息を切らしながら走ってやってきた。
「・・・。いや、今来たとこ」
文句の一つでも言おうと思ったけど、何か気が失せた。
「ホント?尊史も寝坊?」
「いや、ボールで遊びながら来た」
「な〜んだ。のんと違うのかぁ」
「当たり前だろ。俺はお前みたいに二度寝はしないから」
「ええ!なんでわかったの!?」
「お前、あれほどするなって言ったのに・・・」
「だってぇ、早いんだもん、時間・・」
「だったら起きてればよかっただろ?」
実はあれからずっと起きてた。
「それにお前が5時半って言ったんだからな」
「それは、すっごい反省してる・・」
「あ・・え〜っと・・・。朝からそんな顔すんなって」
「ウソで〜す!」
「あぁ?」
「や〜ん。怒んないで?」
「怒りたくもなるわ〜!」
「あははは・・・」
- 513 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜美貴視点〜 投稿日:2005/10/14(金) 14:25
- すごっ!
美貴すごくない!?
当たっちゃった・・・。
え、うわ、あ〜、手握ってる〜。
完全にクロだ〜。
朝から見ちゃった・・。
「・・・たん」
いつから?
「・・・たん。ねぇ・・・」
怪しい感じは無かった筈・・・
「美貴たん!」
「・・・あぁ、亜弥ちゃん」
「痛い」
「へ?」
意外な単語が出てきたから一瞬理解できなかったけど、亜弥ちゃんを強く抱き締めてたことに気付いて、慌てて身を引いた。
おぉ!見つかる〜!
そしてまた亜弥ちゃんに接近。
「どしたの?美貴たん」
「え?いやぁ、何でもないよ、あは、あははは」
さりげなく亜弥ちゃんから離れる。
けど・・・ぴと、っと腕にくっ付く亜弥ちゃん。
「なに?」
「んーん」
「・・・そう」
なんとなくだけど今の亜弥ちゃんの気持ちがわかった気がして、
それ以上話さず、2人でその場に座って校舎に寄り掛かって、バスが来るまで朝の空を眺めてた。
- 514 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/10/14(金) 14:27
- 「みんな居る?キャプテン人数確認」
バスの中。
寝起きだとすぐにわかる先生の指示に従って確認する。
「いまーす」
「女子もいまーす」
「わかった」
お願いします、と運転手の人に言ってからまた俺らに言う。
「目的地まで好きにしてていいけど、私の眠りだけは邪魔しないで。以上」
そしてすぐに席に着いてガサゴソと何かしてから眠りに就いたみたいだ。
窓を見やる。
笑顔で手を振っている希美に俺は軽く手を振った。
- 515 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/10/14(金) 14:29
- 数時間後。
着いた。
山奥に。
「じゃ、先生達について来てねぇ」
安倍先生の嬉しそうな声。
楽しみだったのかな・・・。
あ、飯田先生笑ってる・・・。
珍しい・・・。
バスから降りた俺たちは自分たちの荷物を担いで、先生達の後について行く。
ほんの数分歩くと正面に石段が見えた。
ん?あれは・・・
- 516 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/10/14(金) 14:30
- 「あ〜!まだあったんだね、圭織」
安倍先生がそれに駆け寄る。
「うん、懐かしいね。まだ使ってんのかな」
その後をゆっくり歩いて後ろから覗き込む飯田先生。
まるで珍しい物を見つけた子供とその子をあやす親だな。
そう思った。
「錆びてないから使ってんじゃないかな。あ、これ付いたままなんだぁ」
「それってあの2人が付けたんだよねぇ」
「そうそう、みんなで修理した後にどこから出したのか、これ付けよ〜ってね。懐かしいなぁ」
「ホント・・・」
「「・・・・・・」」
「行こっか」
「そうだね。ごめんね、待たせちゃって」
再び歩き出した先生達。
思い出があるのかな、あの自転車。
俺は石段の横の草むらに横たわった自転車から視線を外して、石段を登った。
- 517 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/10/14(金) 14:31
- 石段を登りきると正面に旅館ぽい建物が。
その左側は多分体育館だろう。
そして右側に小屋があった。
「うわぁー、きれー」
後ろから女子のはしゃぐ声。
『へぇー』
と、珍しく竜弥が感心している。
どんなものだろうと思い、振り返ると海が見えた。
少し遠いけど太陽の光に反射して光っている海が一望出来た。
「もういいかな?これからお世話になる人達に挨拶に行くよー」
ほんの少し海を眺めてから後について行った。
- 518 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/10/14(金) 14:32
- 「「こんにちはー」」
『はーい!』
パタパタとスリッパの音が近付いてくる。
「あ、どうもお久しぶりです」
来たのは若い女性だった。
「まいちゃーん。元気だった?」
「久しぶりだね」
「この子達ですか?」
「そ。みんな、この子は里田まいちゃん。今日からお世話になるここの管理人さんの娘さんで先生達のお友達」
「初めまして、里田まいです。気軽にまいちゃんって呼んでね。よろしく!」
『よろしくお願いします』
「さ、狭いところですがどうぞ上がってください。お昼用意してありますので」
- 519 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/10/14(金) 14:34
- ・
・
・
少し遅い昼食を終え、部屋割りが発表された。
ここは3階建てで3階に女子4部屋、2階に男子1部屋。
なんなんだ、この差・・・。
だが先生達が2階で各1部屋になった。
ま、まぁ、いいかな・・・。
あと1階は食堂やお風呂、自販機やトイレ等がある。
練習は明日からで午後からは自由時間となった。
特にすることもないのでボールとバッシュを持って体育館へ行った。
- 520 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/10/14(金) 14:35
- 「コンちゃ〜ん」
「なんですか」
「ひま」
「私に言われても・・・」
自由時間の午後。
私は美貴ちゃんと同じ部屋になりました。
(他の3部屋は3年生2人、2年生2人、1年生だけが3人となっています)
そんな美貴ちゃんはTシャツに短パンの格好で大の字になっています。
(部屋に入るなりあっという間にあの格好になりました)
私は壁に寄り掛かって何故か体育座り。
「甘くみてた。まさかこんな山奥だなんて・・・。ケータイも圏外だし・・・。あ〜ひま!」
「・・・じゃあ体育館行かない?1on1しよ」
「マジで?いいよ。コンちゃんに勝てるかな〜」
どうして言えたんだろう。
私は全開にした窓から体育館に歩いていくあの人を見かけて、気付いたら美貴ちゃんを誘っていた。
・・・何かが起こりそうな気がした。
- 521 名前:なつまり。 投稿日:2005/10/14(金) 14:36
- 以上更新終了です。
- 522 名前:なつまり。 投稿日:2005/10/14(金) 14:49
- >>510 七誌さん 様
結局は…頑張ったんでしょうか…。
いや!これからです、これから!…だと思います。
>>511 名無飼育さん 様
お待たせして申し訳ないです。
お気持ちありがたく思います。
- 523 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/19(水) 02:57
- 何が起きるのかな?
楽しみに待ってますよ
- 524 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/11/21(月) 13:27
- 《ガン》
「入んない・・・」
「けど良くなってると思うよ。焦らずゆっくりいこう」
「・・・うん」
今シュートを教わっているんですけど、なかなか感じが掴めません。
私シューティングガードなんですけど、ガードに必要なものなんです。
そうです、3ポイントシュート。
・・・咄嗟に思いついた口実がこれしかなかったもので・・・。
「おーい、美貴も参加しろよ」
「いいって。ミキ、フォワードだし」
「あって損するもんじゃないぞ」
「・・・聞けよ」
「ほら」
「・・・わかったよ。・・・よっ」
「・・・エアーボール」
「ですな」
「フォワードだから向いてないんだって」
「そんなことないよ。ポジションは先生方が決めたことであって、基本が出来れば誰だって出来る。見てて思ったのが、コンも美貴も前のめりになってんだよ。ちょっと待ってて、拾ってくる」
尊史はボールを拾ってきて、元の場所でシュートポーズをする。
「見てなよ」
放たれたボールは見事ゴールの中へ入っていった。
「少し大袈裟にやったからわかったと思うんだけど、どう?」
あ・・・見てなかった・・・。
- 525 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/11/21(月) 13:31
- 「多分、膝」
「お、わかった?」
「誰だってわかるでしょ」
「そう、膝を曲げることによってボールを遠くに放つことが出来る。手だけじゃダメだってこと」
「ふぅ〜ん」
「へぇ〜」
「フリースローだって手だけじゃないだろ?ロングシュートだって同じ事だよ。
けど遠くにゴールがあるからって力んでしまってフォームが崩れてしまう。だから外れる。
あくまで使うのは足だ。右手はボールを乗せるだけ、左手は添えるだけ。あとは多少のスナップを加える。簡単だろ?」
「つまりシュートの基本姿勢のまま膝を使えってことだ」
「そうだけど、女子は両手だから多少手を使ってもいいかもな。だけど外れることが多いと思うんだけど・・・」
「というと?」
「片手だと手応えがあるかどうかわかるんだけど、両手じゃそれが分散されて両手とも同じ感覚になってよくわかんないし、コントロールが難しいんだよ。あくまで俺の場合だけどな」
「「手応え?」」
「あるだろ?シュート打ったときに入るか入らないかっていう手応え。俺はスリーの方が感覚が強いな」
「「ないないない」」
「え?ない?うーん、そんなもんかなぁ」
- 526 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2005/11/21(月) 13:33
- 「尊史はそういう感覚って始めからあったの?」
「ん、んー・・・最近、だな。2、3年前から突然」
「へぇ。そういうのってあるんだ」
「まぁ、・・・そう。あれだ。あれに似てる。足し算の暗算」
「「は?」」
「小学生の頃、突然暗算出来るようになったんだよ。感覚もそれに似てる」
「いやいや、それとこれとは話が別だって、絶対」
「いや、同じだと思うけどね。なんなら問題出してみな」
「ほぉ、言ったな。じゃあ・・・226+914は?」
「・・・え?」
ん?
「ブー!時間切れ〜。ていうか、え?って言ったよね。3桁出来ないの?」
「・・・いやぁ、聞き逃しちゃってね。本当はすぐに出来るんだけど」
今のはそんな感じじゃなかった気がする・・・。
「言い訳にしか聞こえないんですけど〜」
「ホントだって、信じてくれよー」
「知らな〜い」
その後の私たちは急に和やかムードになり、夕食前までずっとシュート練習をしてました。
不思議と疲れなかったです。
・・・楽しかったからかな。
- 527 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:34
- 「はぁ・・・」
自主練したということで先に風呂に入り、その後にみんなで夕食を済ませ、勉強会までの時間を今過ごしている。
自分しかいない5人部屋の窓を開けに行った。
開けた途端、今の季節にはちょうど良い涼しい風が俺を通り過ぎ、部屋に流れ込んだ。
俺はその場に座り込み、暗くなった景色を眺めながら考えた。
偶然、だよな・・・。
適当に言っただけだ、そう、適当だ。
気にすんな。
- 528 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:36
- 「お〜す。お暇?」
「ん、おぉ・・・。どうした?」
突然入ってきたのは美貴とその後ろにコンだった。
「み〜んな、お風呂やらこの後勉強だからって休んでてさ。あれ?4人は?」
「慌てて風呂行ったよ。よかったら上がってけよ」
「最初っからそのつもり〜。お菓子とトランプ持ってきたんだ」
「そうなんだ」
「へぇ、こっちの方が少し大きいんだね。・・・それだけかな、あとは同じ和室か・・・」
「そっちは2人部屋だっけ?」
「そう。けど意外と広くて良い感じ。ね?コンちゃん?」
「うん」
「へぇ。あ、なぁ、勉強会までどのくらい?」
「えーっと、美貴たちが出て来た時が1時間くらいだったかな。だからあとそんくらい」
「そっか。じゃあ大丈夫か」
「4人のこと?いいんじゃない?少しくらい遅れたって」
「・・・それもそうか。よし、じゃあ何やる?」
「3人だからババ抜きとかでいんじゃない?」
その後、お菓子を食べながらババ抜きやら大富豪をした。
3人の時でも盛り上がったが、途中4人が帰ってきてさらに盛り上がり、1時間はあっという間に来てしまった。
- 529 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:37
- ◇ ◇ ◇
勉強会は約1時間程で切り上げた。
あくまでバスケットをしに来たんだと自分に言い聞かせている圭織。
まさかあれほど集中力が無いとは・・・。
特に2年。
ベラベラとまぁ、よく話が続くものだ。
途中なつみに聞いてみると、いつもはもっと集中している。慣れない環境で少し浮かれていると思う。数日も経てば良くなると思う、と話していた。
だがそれでは困る。
もしそれが明日の練習にも続いていたらインターハイ優勝どころでは無い。
- 530 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:39
- 優勝・・・。
圭織は赴任してきてからそれを目標としてきた。
夢ではない、あくまで目標だ。
朝比奈学園が全国常連チームとなったのは最近のことだ。
6年程前の全国初出場初優勝を決めてから2年ほど連覇は続いた。
その時代は正に黄金時代だった。
その時まで予選決勝で負け続けだったチームに2人の新入生と1人の顧問が加わっただけのことだった。
だがその新入生2人が引退し、顧問が変わった途端、朝比奈学園は予選敗退が続いた。
その時既に古豪と称されていた。
圭織が卒業して僅か2年程での称号だった。
圭織は腹立たしかった。
また元のチームに戻っていったことを。
その時、一人の老人に声を掛けられた。
『バスケット部を強くしてくれ』と。
圭織は即答した。
- 531 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:41
- そして圭織が顧問になった年から朝比奈は息を吹き返し始めた。
1年だった松浦亜弥を中心としたチームは、見事全国出場を果たした。
翌年、着々と力を付けてきた松浦の力でベスト8まで勝ち進んだ。
そして今年、松浦よりも成長率の高い紺野がスタメン入り、体力はあまり無いが爆発的な得点力を誇る藤本の加入、
地味ながらも中学ではディフェンスに定評のあった亀井が入り、久々の優勝も見えてきている。
そして中学では名の知れた紗耶香の弟、尊史を中心とした男子チームが初参加で全国初出場を辛くも決めている。
圭織は読んでいた雑誌を置き、コーヒーを煎れる。
雑誌には・・・
《朝比奈学園“女子” 今年も全国出場決定!今年こそ優勝か!?》
《高校男子バスケットにダークホース登場!朝比奈学園“男子”》
タイトルの下には名前、ポジション、学年が載っており、そしてその下に評価が書かれていた。
- 532 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:43
- 《コンコン》
「誰?」
『なっち。上がっていい?』
「なっちか、いいよ」
「おじゃましまーす」
「どうしたの?」
「ん、ちょっと明日の練習メニューの話し合いでもしようかなって」
「そう思ってコーヒー煎れてた」
「え〜ウソだぁ〜。カップ一つしか無いじゃん」
「バレたか・・・」
「けど考えようとは思ってたんだね」
なつみはテーブルに置いてあった紙を持ってひらひらさせた。
そう、コーヒーを飲みながらゆっくり考えようと思っていた時になつみが来たのだ。
「ん?あ〜!何これ!うちの学校載ってんじゃん!」
圭織がさっきまで読んでいた雑誌を拾い上げるなつみ。
そしてそのまま読んでいった。
「はい」
煎れたばかりのコーヒーをなつみの前に置く。
そして自分のも置いたところで、テーブルを挟んでなつみの正面に座った。
「う〜ん、男子ってワンマンチームかなぁ。みんなよく動いてると思うけど」
「記者が素人だからそんな評価をするんだよ。なっちの方が正しいよ」
「そうかなぁ。同じ意見があるんだけど」
「どこ?」
- 533 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:47
- 「総合評価ってとこ。PG松浦。
彼女の武器はどこからでも打てるショットであると考える人は多いと思うが、実はディフェンスだ。
難攻不落のあややと呼ばれるほど彼女のディフェンス能力は高く、そこからのスティール、逆速攻というパターンが多い。
経験と指示力も彼女の武器の一つであろう。まぁ、これはいいとして。
次SG紺野。彼女は特に突出した能力は無いが、シュート力は大したものだ。予選では15/14とシュート成功率は高い。
しかし15本とシュートチャンスに恵まれないため、得点力は低いが、彼女がFに転向すれば朝比奈は毎回100点ゲームも夢ではない。
これが同意見なのさ。コンちゃんがFに転向してSGに亀ちゃんが入ればオフェンス面では松浦も藤本も楽になると思うんだよね」
「確かに考えなくもなかったけど、その亀井が問題なんだよね。あの娘、周りの空気が読めないんだよ、わかるでしょ?」
「・・・うん」
「予選で動き見てたけどぎこちないし、いなくてもいい場所に立ってるし・・・」
「きっと緊張してたんだよ。まだ1年生だもん」
「甘いよ、なっち。松浦は今の亀井と同じ年齢でチームを全国まで引っ張っていったんだから。亀井にも頑張ってもらわないと」
「で、亀ちゃんだけ特別メニュー?」
「・・・よくわかったね」
「練習でどうにかなるものなのかな?」
「どうにかしなきゃ優勝は無理かもしれない。その為の合宿なんだから」
- 534 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:50
- 「じゃああとは男子?」
「男子?あの子達は私の予想以上にやってくれたからなっちに任せるよ」
「それでも監督なの?せっかくの初出場なんだから目標立ててあげないと」
「・・・大会はベスト8、合宿では体力の大幅アップとケガをしないこと、だね」
「なんだ、決まってんじゃん」
「今決めた」
「はぁ〜!?今!?」
「ここ押さえるのに必死だったからさぁ」
「ウソウソ!絶対ウソ!電話1本ですぐ決まったじゃんかぁ!」
「あれ?聞いてた?」
「もう!カオリはどうしてそんないい加減なのさぁ!」
「そんなことないって。ほら決めるよ」
「それだけ!?」
「他になにがあるの。ほらちゃっちゃと決めるよ。明日から大変なんだから。あの子たちもあたしたちも・・・」
- 535 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/11/21(月) 13:52
- ───圭織が借りた雑誌はもう一冊あった。
だがこれを見せたらなつみがこれよりも騒ぐことを読んで、ベッドの下に隠した。
このことは自分の胸の中に仕舞っておこうと。
《女子 朝比奈学園:今年を逃せば優勝はしばらく遠退くだろう。スーパープレーヤー松浦だけで何とか留まっているチーム。ベスト8まで残れば良い方だろう。評価:Bランク》
《男子 朝比奈学園:一部ではダークホースと言われているが、繰り上がりのチーム(予選3位)で何が出来るだろうか。しかも5人でだ。
ベンチもいないチームに何かを期待するものではない。バスケットはそれ程甘いスポーツではない。ランク外ではあるが付けるとしたら・・・評価:Fランク》
こんな評価をした奴を見返してやる・・・。
圭織の孤独な戦いが始まろうとしていた。
- 536 名前:なつまり。 投稿日:2005/11/21(月) 13:54
- 思い通りに改行が出来ないですね。
読み辛くてすいません。
以上更新終了です。
- 537 名前:なつまり。 投稿日:2005/11/21(月) 13:59
- ここからは用語説明です。
PG:ポイントガード。サッカーで言えばMF。よく言われるのがチームの司令塔、コート上の監督。攻撃の起点。
SG:シューティングガード。セカンドガードとも言う。あの元中学MVPもこのポジション。
一見地味だがここぞという時に頼りになるポジションと言えるかも知れない。
PF:パワーフォワード。その名の通りパワーが必要なポジション。ゴール下は戦場だとも言われ、パワーが無ければ使い物にはならない。
PFの他にSF(スモールフォワード)があり、こちらは外(3ポイント)からも打てる万能プレーヤーのポジション。
あと一つはC(センター)。チームの大黒柱、精神的支え。大きい人のポジション。PFと共にゴール下担当。
IH:インターハイ。夏のIH、秋の国体、冬の選抜。称して高校バスケットボール界3大タイトルと呼ばれる。
高校3大タイトル。その中でも日本高校バスケットボール界における最大のタイトル、それがインターハイ制覇である。
(スラムダンク参照)
スティール:ボールをカットすること。手を出すためファウルをしやすい。
逆速攻:相手ボールをカットしてすぐにゴールを決めること。
ちなみに速攻チーム(走るチーム)をラン&ガンチームと言う。
・・・チームだったか作戦だったかな・・・?
- 538 名前:なつまり。 投稿日:2005/11/21(月) 14:05
- その2。
ワンマンチーム:1人だけがすごい、或いは目立ったチームのこと。
特別メニュー:期待しているからこそ課すメニュー。
ダークホース:別称台風の目!(ぇ
もしかしたら番狂わせがあるかもしれない、と一部の人が期待する人、人たちのこと。
作者はそういう一部の人。(聞いてねぇよ!
PF藤本美貴。今年のIH予選の得点王。彼女の魅力は何と言ってもゴール下だ。
シュートもそうだがリバウンドでもかなりの活躍(64得点18リバウンド)をしている。
チームの要だが、体力面にかなりの不安がある。だがそれを克服すれば朝比奈の優勝は目前だ。
SG紺野:努力が実り、スタメン獲得。松浦よりもセンスがあると飯田監督は見ている。しかしポテンシャル(能力)は松浦の方が遥かに上。3ポイントシュートを習得中。
ランクB:まぁ、普通くらいだろうということでこの評価。期待はそこそこしてますよ、という感じ。
ランクF:ちなみにEランクが最低。Fはバカにしていると言っていい。Bの上はA、Sとなっている。
Aは優勝候補に上げられるチーム。
Sは当然優勝でしょうという感じ。滅多に表記されない。
- 539 名前:なつまり。 投稿日:2005/11/21(月) 14:16
- >>523 名無飼育さん 様
ありがとうございます。
お待たせしました。
- 540 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:17
- 突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
- 541 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/12/22(木) 14:38
- 「少し早いけど今日はこれで終わります。
前々から言っていた通り、
明日は全国を想定した練習試合をしますのでゆっくり休んで、明日に備えてください。
勉強会は今日だけ無しです。安倍先生からは?・・・無い?では以上。お疲れ様」
『ありがとうございましたー』
合宿が始まって6日目の練習が今終わった。
明日は折り返し地点ということで、これまでの成果を試すべく1日中練習試合をするのだ。
楽しみだなぁ。
「尊史、風呂行こうぜ風呂」
「おぉ、そうだな」
「えー、あんたたちもお風呂?覗かないでよね」
「まさか。しないって、そんなこと」
「ならいいんだけど。あ、あとで遊びに行くから」
「わかった、待ってるよ」
- 542 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/12/22(木) 14:40
- 美貴が体育館を出て行ってから竜弥が話してきた。
「・・・最近よく話すよな、お前ら」
「大体があっちからなんだけどな」
「おいおい、自慢かぁ?付き合っちまえば?」
「え?居るの知らねぇの?」
「は?マジで?誰かと付き合ってんのか?」
「え?言わなかった?・・・じゃあ聞かなかったことに」
「待て待て待て。俺に内緒にしてたのかよ。・・・今日は朝まで付き合えよ」
あれ?このウザさは確かに2、3週間前に体験してるはずなんだけどなぁ・・・。
・・・あ〜、いた。真里姉だ。
その時も確か寝かせないって言って、散々人に話させておいて自分が寝てたんだよなぁ。
竜弥なら真里姉と同じ事しそうだな・・・。
え〜、また繰り返し?かったり〜。
「そんな話すことないんで無しということで・・・」
「ダメだ、絶対許さねぇ。人を馬鹿にしておいて」
「それなら遊園地でチャラになっただろ」
「あれはあれ、これはこれだ」
「何だよそれ」
「お前が話せばチャラにしてやる」
「なーんでお前が決めるかな」
「さーて先ずは風呂だ。あいつら(男子3人)にも教えてやるかー」
「だから何であなたが決めるんですかー。・・・行っちまった」
- 543 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2005/12/22(木) 14:45
- ◇ ◇ ◇
・
・
・
1時間後。
<あさ美と美貴の部屋>
「よーし、行きますか!コンちゃん」
「? どこへ?」
「男子のとこ」
「また、ですか」
「いーじゃん。暇だし。コンちゃんも嬉しいでしょ?」
「けど、こう毎日押し掛けると迷惑じゃないかな・・・。
それに明日は1日中試合だしゆっくり休まないと」
「ホントにそう思ってる?じゃあ美貴一人で行こうかな。・・・貰っちゃうよー」
「! だ、ダメー!それだけは美貴ちゃんでもダメー!」
「あれー?何かわかったの?それだけって何かなぁ?」
「え・・・あ、う・・・」
「ほらほら素直になりなよぉ。行くの?行かないの?」
「・・・行きます・・・」
- 544 名前:なつまり。 投稿日:2005/12/22(木) 14:54
- >>540
大変だとは思いますが頑張ってください。
陰ながら応援しております。
- 545 名前:なつまり。 投稿日:2005/12/22(木) 14:59
- 更新終了です。
大体目処がたちまして、10話で終わりにしたいと思います。
もう少しお付き合いください。
1日早いですが、亀ちゃん誕生日オメデトー!
- 546 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/05(木) 00:02
-
更新お疲れです
10話で終了ですか?
毎回楽しみにしてたので
少し残念です・・・
続き楽しみにしてまーす
- 547 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/01/19(木) 01:01
- 夜の10時を前にしても、ここの部屋は相変わらず笑い声が絶えなかった。
合宿が始まってずっと。
そしてこの時間になると美貴とコンは帰っていく。
消灯時間が来るからだ。
2人が帰った5分後には、確認のために先生達がやってくる。
それを苦笑いで迎える俺たち。
宴会後の片づけをしているからだ。
もう日課のようになってしまった。
学習能力は無いのか、と3日目から言われ続けているが、それも苦笑いで答える。
俺にとって、こいつらや彼女たちと話すことはそういうことを忘れるほど楽しいのだ。
だから終わりが来るのは寂しかったりするのだが、今日はいつもとは少し違うわけで・・・。
- 548 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/01/19(木) 01:04
- 布団を敷いて横になっている俺ら。
今日は電気を付けたままで雑談中。
いつもはすぐに電気を消して寝るが、明日は練習が無く、試合だけだということで久しぶりのちょっとした夜更かしだ。
「で、どうなんだよ。お前のこれは」
「んー?女だよぉ、当たり前だろー」
「ボケ!んなこと聞いてんじゃねぇよ!」
竜弥に頭を叩かれ、確かに異性だということは当たり前だ。
もしそうじゃなかったら、付き合っているということよりぶっちゃけすぎだ。
まぁ、そんな的外れな回答をするのもちょっとした訳、だろうか。
眠いのだ。
合宿に来てからこの時間(22:15。大した意味は全く無い)になると睡魔がやってくる。
自分の適応能力の高さに驚かされる。
- 549 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/01/19(木) 01:06
- 「というわけでおやすみ」
『!』
「うっ!」
無言で枕の一斉放火。
変なチームプレーだよな・・・。
それをバスケに向けてくれればいいんだけど。
「何?」
枕に伏せられた顔を左隣の竜弥に向け、少し低い声で言ってみた。
「お前の彼女は誰だっつってんの!」
一言一言はっきりと喋る。
何でイライラしてんだよ。
「言ったら寝かせてくれるか?」
「いや」
言うんじゃなかった・・・。
まぁ、無理矢理押し通そう。
「希美と付き合ってる。これでいい?おやすみ」
竜弥「辻?へぇ、いつからだ?」
二階堂「どこまでいった?」
東堂院「つじのぞみ、って誰だ?」
中島「この前、話した娘だよ。・・・はぁ。軽くショックだなぁ」
何か色々返ってきたけどシカトだ。
- 550 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/01/19(木) 01:08
- 寝る!寝ると言ったら寝るんだ!
《ボス、ボフ、ドフ、ドン》
・・・。
お前らのせいで・・・
「ボケどもが!しばくぞ!コラァ!」
俺のキャラ崩壊。
暴走した俺を止める術を知らないあいつら。
俺は部屋中逃げ回るあいつらを、1人ずつ2つの枕で撃破していった・・・。
- 551 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/01/19(木) 01:11
- ──目を覚ますと目の前は暗かった。
・・・数回瞬きをしてこの暗さに目を慣らす。
目を擦った後、伸びをする。
ん〜、よし。
目も慣れ、身体も伸びたところで起き上がり、
自分のバッグの中から財布を取り出し、気付かれないように部屋を出た。
- 552 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/01/19(木) 01:14
- ◇ ◇ ◇
ふあ〜あ。
眠いです・・・。
早起きは三文の得と言いますが、私は毎日この時間に起きているのに得なんてしたことがありません。
いつも苦労ばかり・・・。
あ、どうも紺野です。
おはようございます。
髪をとかすのが一苦労で・・・。
もうすぐ終わるんですけど、1時間くらい鏡の前で格闘してました。
あ、ここ1階のトイレなんです。
毎日ここで髪をとかしてからランニングに行ってるんです。
帰ってきたら水分補給して、部屋に戻ってシャワーを浴びて、
朝食の時間までニュースを見て、と、充実した生活を送っています。
山奥にあるのに設備がちゃんとしていて驚きました。
なのに他の学校は来てなくて、私たちだけの貸切みたいなんです。
- 553 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/01/19(木) 01:17
- さて、それではランニングに行ってきま・・・え?
「おぉ、おはよう」
「おおお、お、おはよう・・・」
な、何で!?
なんでいるの?
トイレから出てくると自販機の前に立っていたジャージ姿(私もです)の尊史に会った。
硬直している私(自分で言うのもなんですが・・・)に気付いてないのか、
気にしていないのか、尊史は自販機で飲み物を買っています。
「ん。早いな」
「あ、ありがとう。髪直してたの。それでこれからランニングに行こうと思って・・・」
ジュースを受け取ってお礼を言ってから、自販機の隣に設置してあったベンチに私たちは腰掛けた。
- 554 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/01/19(木) 01:20
- 「気合い入ってんな。寝れなかった?」
「あの・・・毎日・・・」
「・・・毎日?毎日走ってんの?」
「うん・・・」
「すごいなぁ。俺も朝と夜走ってんだけど、合宿入ってからサボっちゃって」
「練習すごいもんね。裏山走ったり、海行って砂浜走ったり」
「もう、すげぇよ。2kgくらいの重り付けて、行き帰りドリブルしながら行って、着いたら走って走って走りまくって・・・。
安倍先生だからいいけど、飯田先生だったら逃げてたかも」
軽く笑う尊史。
合宿中、ずっと男女別メニューで行っていて、
女子は体育館でいつものメニューの2倍をやって、それから里田さんが入って5対5のゲームをずっと。
男子は午前中は海の方で走って、午後はこの建物の裏にある結構大きい山を上ったり下ったりしてるそうです。
- 555 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/01/19(木) 01:21
- 「・・・ねぇ、尊史はこれ飲んだら寝るの?」
「目、覚めたし・・・。これから・・・海・・・行かないか?」
「・・・え?」
「あの、朝の海なんて・・・行ったことないから・・・。よかったら・・・」
「うん・・・。・・・喜んで・・・」
照れくさそうに言う彼の、多分初めてのお誘いだと思います。
・・・本当に嬉しかった。
- 556 名前:なつまり。 投稿日:2006/01/19(木) 01:43
- 以上、新年1回目の更新終了です。
>>546様
毎回楽しみにして下さったんですか。ありがとうございます。
嬉しいっす。
えっと、1話1話が長めなので、10話がちょうどいいかなと思いまして。
作者の更新速度遅いので、かなり先長いです。
ご了承下さいませ。
- 557 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/19(木) 02:44
-
更新お疲れ様で〜す。
これからの展開どうなるのか楽しみです。
個人的には紺ちゃんを応援してます。
これからも頑張ってくださいです
- 558 名前:七誌さん 投稿日:2006/02/12(日) 14:57
- 作者さま、お久しぶりです!
最近忙しくて顔を出せませんでした;
紺ちゃん頑張ってほしいですね。
作者さま、応援してます!更新頑張ってください!
- 559 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/02/16(木) 02:54
- まだまだ暗い夜明け前。
こっそりと抜ける私たち。
そして石段を降りて聞いてみた。
「走って行くの?」
「えぇ!?走るのだけはホント勘弁してくれ・・・」
「あの、けど、それじゃあ、日の出までに間に合わないよ。
私が着く頃にちょうど見れる時間だから・・・。もしかしてここで見るの?」
丘の上なのでここでも充分に見れますが、海に行こうと誘われたわけなので・・・
私としては、海で見たいな、なんて思ってたりします・・・はい。
「いや、やっぱり海で見たほうが感動しそうじゃない?それに心強い味方がいるんだよ。じゃじゃん!これです」
「自転車・・・。これって・・・」
「先生たちの思い出だと思うけど、今回だけ借りちゃおう。鍵も掛かってないし」
「けど自転車ひとつしかないよ?」
「あれ?知らない?俺のチャリにも付いてんだけどさ、ほら、これ足掛けになってんだよ」
「へぇ〜。あれ?もう片方は?取れちゃったのかな」
「こういうもんなんだよ。反対側は取り付けできないからな」
「ほぉ」
「はは、おーし、行くか」
「あ、うん」
「2人乗りの経験は?」
「無いです」
「ずっと立ちっぱだから辛くなったら、俺の方に寄り掛かっていいから」
「うん・・・」
「よし、じゃあ肩に手を掛けて。では、無限の彼方へ、さぁ、行くぞ!」
「行けーバズ!」
「おう!」
尊史が人形映画の名ゼリフを決め、私たちは坂を下った。
- 560 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/02/16(木) 02:56
- 自転車が坂を下った後、すぐに海が現れた。
けど、手前にはガードレール、そしてその奥にはテトラポッドが並んでいて、砂浜はありません。
私たちはU字に曲がってまだ日が当たっていない海を右側に、
海風を感じながら平坦な道を走った後、少し距離がある下り坂に差し掛かったので、その間、自転車を走らせます。
「寒くない?」
「うん、大丈夫。つ、疲れてない?」
「おぉ。なぁ、やっぱ朝の海ってキレイか?」
「う、うん。すごくキレイだよ。毎回感動する」
「そっか。早く見たいなぁ」
まだ薄暗い海を見てポツリ。
その横顔に見惚れてしまう私。
「あ、このトンネル抜ければそろそろだよな?」
「うん、そうだよ」
「よし、じゃあ急ごうか」
- 561 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/02/16(木) 02:59
- ・
・
・
「いやー、涼しいなー」
「ん、ちょっと寒い・・・かな」
「・・・汗臭いかもしんないけど、これ」
「あ、ありがとう・・・。けどTシャツだけじゃ寒くない?」
「けど・・・くっつくわけにもいかないだろ・・・」
「・・・そうしたいな・・・なんて・・・」
「じょ、冗談はやめろよ・・・」
「あ、ごめん・・・。迷惑だよね・・・。ごめんね・・・」
「・・・そんなことは絶対無い!」
「え・・・?」
少し強めな声に驚いてしまった。
「迷惑なんて思わないよ。・・・けどさ、俺たち友達だろ?だから・・・」
「・・・うん。わかってる。・・・だって友達だもんね。・・・わかってる・・・」
・・・危うく泣きそうになってしまった。
結局は友達で終わっちゃうんだなって考えてしまったら・・・悲しくなった・・・。
「ごめん。自分で言っておいて・・・」
「・・・ううん。・・・冗談に聞こえなかったのかな・・・?冗談だったんだよ?あれ・・・」
精一杯の笑顔を彼に向ける、けど唇が震えて、目の前の彼がはっきり見えなくて・・・
「・・・?」
ふと、何かが唇に触れた・・・。
何かはわからないけど、温かくて優しくて、泣かないでと言っているようだった・・・
それをずっと感じていたくて目を閉じたけど、すぐに離れてしまった・・・
「・・・あっ・・・」
- 562 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/02/16(木) 03:01
- 「・・・泣くな・・・え?」
この後に希美と言おうとしたけど、俺の目の前には希美ではなく涙目のコンがいた。
・・・まさか・・・マジで?
あはは・・・うそぉ・・・
やっちまったーーーーー!!!!!
今さっき友達言うたやん、俺・・・
・・・友達にキスした・・・
泣いてるのに笑顔で冗談だよ、なんて言われた日には、ねぇ?
かわいいな、なんて思ってしまって・・・
で・・・なんか希美に見えてしまって・・・
あー!何言ってるかわかんねぇ!
と、とりあえず謝ろう!
「ご、ごめん!」
こんなことしたって意味がないとわかってるけど土下座をした。
・・・しかし何も反応が無い。
顔を上げて見ると、泣いてる・・・。
「ごめん!ホントにごめん!」
「えっ、きゃあ!」
「っ!」
爪先が腹にクリーンヒット・・・。
・・・息出来ない。
そりゃあ嫌われるよね・・・。
俺、最高に格好悪い・・・。
・・・。
「あ、朝日だよ。・・・尊史?た、尊史!どうしたの!?尊史〜」
- 563 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 〜あさ美視点〜 投稿日:2006/02/16(木) 03:02
- 両手で目を擦ってたら、急に尊史が近くにいてビックリした。
けどなんでお腹抱えて倒れてたんだろ?
今は隣で朝日を一緒に見ているんですが、どこか浮かない顔・・・。
悩み事かな?
- 564 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/02/16(木) 03:03
- うぅ、ものすごい見られてる・・・。
怒ってる?
「キ、キレイだな」
様子を見ようと、話し掛けてみた。
「うん。・・・なんかいつもより綺麗・・・」
あれ?怒ってない?
「そ、そろそろ行こうか・・・」
「あ、あの!」
「ん?」
「・・・今日の練習試合、がんばろうね」
海風になびく髪を押さえながらニコリと笑ってそう言った。
「・・・あ・・・うん・・・」
なんか・・・かわいいと思った・・・。
- 565 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/02/16(木) 03:05
- 「あ、美貴ちゃんおはよう」
「おはよう。また走ってきたの?」
「走ってきたっていうか・・・」
「ん?何?」
「・・・聞いてくれる?あの、ね。・・・は、恥ずかしい・・・」
「え、なになに?なんかあったの?」
「うん・・・。その、一緒に海に行ったの・・・」
「その、彼と?」
「うん・・・」
「やったじゃん!で、した?」
「? 何を?」
「キス」
「えぇぇぇ〜〜!?してないしてない」
「こっちが、え〜だよ。フツーするでしょ。そんなシチュだったら」
「シチュー?」
「違う違う。シチュエーション。食べ物じゃないから。でさ、何も無かったの?」
「無かったけど、不思議な体験したの」
「どんな?」
「突然唇に何かふわぁって温かいものが当たって・・・気持ちよかった・・・」
「??? ・・・! その時さ、彼は?」
「んー、わかんない。涙でよく見えなくて」
「そう。あは、あはは。まさにアンビリーバボーだね」
「うん。汗流してくるね」
「あ、うん。もうすぐご飯だよ」
「うん、すぐ上がる」
「・・・ふぅ。・・・キス。キスか・・・。・・・そっか・・・したんだ・・・」
- 566 名前:なつまり。 投稿日:2006/02/16(木) 03:07
- >>557 様
ありがとうございます。
レスを貰えることが本当に嬉しいです。
作者のやる気の源です!
頑張りやすよ!(笑
>>558 七誌さん 様
どうも、お久しぶりでございます!
ご苦労様です!
応援ありがとうございます。
感謝っす!
- 567 名前:なつまり。 投稿日:2006/02/16(木) 03:12
- 気がつけばあなた……じゃない。
気が付けば約半年ですね…8話。
ペースアップしたい!(切望
以上!(蹴
余談
某グループの歌を聴きながら書いていたら今回のように…。
優しい○○をして、という曲…
伏せました、伏せましたよ?
あと、今回の冒頭は娘。2ndアルバム パパに似ている彼 がイメージです。
>>562は主人公視点です。じゃなかったらコンちゃん、口調が…
以上、更新終了です。
- 568 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 15:55
-
午前9時。
男女ともユニフォームに着替えて、いつもより少し遅くに体育館に集合した。
「アップは済んだね。少し待って、すぐ来るはずだから」
そう言った飯田先生の格好は上がいつものジャージで、下が白の短パン。
ユニフォームにも見えるけど・・・。
安倍先生と里田さんも同じ格好だ。
「おいーっす!」
「えぇ!?」
体育館に入ってきたのは真里姉・・・。
そのすぐ後ろに姉ちゃん!?
なんで?
「どーもー!」
???
稲葉さん・・・。
の、後ろに私服姿の4人の店員さん。
「えー、今日の対戦チームは私たちです。采配などはキャプテンを中心に自分たちでやってちょうだい。
こちらは稲葉さん。審判です。・・・アップは?OK?それではすぐに始めたいと思います。まず女子から」
- 569 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 15:58
-
「あの!」
「ん?何?」
「どういうことですか?」
「だから私たちと練習試合。あっちゃ・・・稲葉さんが審判。あの人たちはお手伝いさん」
「カオリ、多分そういうことじゃないと思うんだよね」
「・・・全国初出場初優勝チーム、ですよね?先生たち」
松浦さんが突然口を開いた。
「あ、よく知ってんね。有名だね、おいらたち」
「当たり前ですよ。あたしの目標ですから」
「へぇ、それは光栄だね」
「ちょ、あの、バスケ部?」
姉ちゃんに聞いてみた。
「言ってなかった?」
「聞いたことねーよ」
「あれ?あんたいたの?」
このチビめ・・・
「いたよ」
「ふーん、ま、おいらたちのプレー見て来年の参考にしなよ」
「来年?なんで?」
「だって全国大会って女子だけでしょ?出んの」
「俺らも」
「!」
「えぇ!?ウソー!」
「言わなかった?」
「聞いてねーよ!」
「まさか5人で出るの?」
「うん、5人」
「あんたたち辞めた方がいいって。恥かくだけだよ?」
「そっか、頑張れよ」
「ちょっと紗耶香」
「・・・カオリが何とかしてると思うよ。どこまで行くか楽しみじゃない?」
「ん、まぁ、ね・・・」
「3人、話終わった?女子待ってるよ」
「あぁ、ごめん」
「今、行く」
「よし、じゃあみんなポジション決めよう。どっかやりたいとこ──」
- 570 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:00
-
「じゃ、みんないつも通りにね。行くよ、がんばっていきま・・・」
『っしょい!』
「あら、パクられてる」
「教えたから」
「じゃあお願い、カオリ」
「では、楽しんでいきましょう。がんばっていきまっ」
『っしょーい!』
紺 色 白
亜弥 PG 真里
あさ美 SG なつみ
女子A SF 紗耶香
美貴 PF 圭織
女子B C まい
- 571 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:03
-
ジャンプボール。
両チームのセンターが行い、まいが勝った。
ボールを拾った紗耶香がドリブルで上がり、3ポイントラインでゴール横にチェストパス。
それを圭織がレイアップシュート。
開始僅か7秒。
アリウープが最初の得点となった。
男女呆然の中、ハイタッチを交わし、余裕を見せる白チーム。
ボールを受け取り、ドリブルで上がる亜弥。
白チームのディフェンスはハーフコートのゾーン。
真里の上を通してゴール下のセンターにパスをしてすかさず走り、パスを受けてレイアップへ行こうとした時、右側から読んでいたまいがボールを叩いた。
正確にボールだけを叩いたので、笛は鳴らない。
ボールがエンドラインから出そうなところを取った圭織がノールックで後ろへ投げる。
それをセンターライン付近で取ったなつみから紗耶香、1番前を走っていた真里がシュート。
0 ? 4
2ゴール差。
- 572 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:05
-
・
・
・
1クォーター終了。
14 ― 54
「あらー、結構差ついてんね」
「遠慮しちゃダメだよ。タメになんないから」
「そうそう。あの子たちのタメだと思わないと」
「だからって飛ばしすぎじゃない?なっち」
「ううん、全然」
(男子と一緒に走っておいてよかったー)
「まいちんはおとなしいよね〜。現役の時もそうだっけ?」
「様子見です。感覚がまだ戻らないんで」
「かーっこいー!様子見です・・・。もー!クールぅ!」
- 573 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:08
-
白チームが雑談で盛り上がる中、紺チームはぎこちない空気が漂っていた。
「・・・」
「亜弥ちゃん?」
「・・・ああ、うん・・・。なんか、ある?・・・1年生も気付いたことあったら言って」
『・・・』
「じゃあはい」
『え?』
「なんか動き固いっすよ、全体的に。この1週間見てないから何とも言えないんですけど合宿前の方が動き良かったですよ。
・・・それと松浦さん。恐いですよ、顔。緊張してるんですか?全国優勝チームだからって遠慮なんて──」
「何様なの!?偉そうなこと言わないで!」
「・・・あのチームが目標、って言ってましたよね?
勝負したい気持ちはわかりますけど、もっと周りを見ないと。フリーの人結構居ますよ?」
「うるさい!喋らないで!」
「・・・」
「亜弥ちゃん、言いすぎだよ」
「なんでガードのあたしより得点低いの?」
「はぁ?亜弥ちゃんが一人で突っ込んで行くからでしょ?だったらパス回しなよ」
「頼れないから無理」
『!』
「あっそう。だったら一人でやりなよ。美貴、降りる。代わりに誰か出て」
笛が鳴った。
最悪の状況の中、第2クォーター開始。
- 574 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:09
- 「え?もう交代?」
真里が驚きの声を上げる。
「温存でしょうか」
「それにしてはあんまり動いてなかったような・・・」
分析するまいとなつみ。
「・・・カオリはどう見る?」
「温存てことで」
「あたしもそう思うよ、今のところ」
理解しづらい会話をする紗耶香と圭織。
- 575 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:10
- あさ美からボールを受け取り、ドリブルしていく亜弥。
既にジャージを着ていた美貴はその様子を腕組みしてベンチから見ていた。
1つパイプ椅子を空けて絵里は美貴の様子を見ていた。
美貴は気付いているようだが、敢えて気にせず、試合を目で追っていた。
本当は助けてあげたいんじゃないか、と絵里はなんとなく思った。
美貴の真剣な眼差しを見てなんとなく・・・。
コートでは逆速攻を決められ、唇を噛み締め、床を見詰める亜弥が美貴の正面に居た。
美貴は亜弥だけをじっと見ていた。
- 576 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:12
-
前半が終了し、既に100点ゲーム成立前であった。
34 - 91
「体力限界な人」
圭織の問いに4人は首を振る。
「よしよし。2人ともちゃっかり練習してきてんだね」
「まぁ、軽くね。近くにコートあるから」
「バイト休む程でもないけど、ほとんど毎日してたね。あとは感覚かな」
「まいも思い出してきた?」
「あ、はい。ジャンプシュートの感覚がまだいまいちなんですけど」
「その分、リバウンド頑張ってるからね。後半もその調子でね」
「はい」
「なっち、何かある?」
「うん、松浦がちょっと・・・。ファウルが前半で3つ。ボールも松浦に集中してるから疲れてるんじゃないかな」
「出たよ、なっちの心配性。変わんないね〜」
「だって心配なんだもん・・・」
「確かに異常に力みすぎだよね。あの娘、もう少し上手かった気がするんだけど」
「へ?紗耶香知ってんの?松浦のこと」
「大会で見てるからね」
「本当は弟を見に行ってる紗耶香お姉さま。実は相当なブラコンです」
「うっさい!」
踵で真里の爪先を思い切り踏む。
「いった〜い!ホントのことじゃんか〜」
『へぇ〜意外〜』
「ち、違うって!」
- 577 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:14
-
「勝てそう?」
ベンチに帰ってきた亜弥に美貴は聞いた。
「・・・無理に決まってんじゃん」
「諦めんの?これが優勝が懸かった試合でも?だったらキャプテン・・・いや、バスケ辞めな。そんな奴と一緒にしたくないから」
「・・・そう・・・」
「・・・亀」
「は、はい!」
「アップするよ」
「え?」
「どうやらうちらのキャプテンはやる気が無いみたいだから。
すいません、メンバーチェンジお願いします。
えっと、コンちゃんPG、亀SG、美貴がPF。
あとの2人は交代しながら様子見ていって。後半これで行くから」
- 578 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:16
- 「おっしゃー、ダーンク!」
しかしリングに届かず、あえなく落下。
「ばーか!届くはずないだろー」
「そんなことないって。最初っから諦めたらそこで終わりだよ」
尊史の言葉に女子全員、亜弥を見た。
- 579 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:18
-
「美貴と同じこと言ってやんの」
耐え切れなくなったのか、ベンチを立ち上がり、出入り口へ歩き出す亜弥。
「逃げんの?今逃げたらバスケと仲間、失うよ?」
亜弥の足がゆっくりと止まった。
「今まで築き上げてきたものを自分の下らない意地で壊すつもり?
そしたら友達でも何でもない。ただの他人だよ、美貴たち・・・」
「・・・」
「悔しくないの?負けっぱなしでいいの?」
「・・・・・・そんな・・・はず・・・・・・」
「聞こえない」
「そんなはずない!!悔しいよぉ・・・勝ちたい・・・。
勝ちたいよぉ・・・。・・・諦められるわけ、ないじゃぁん・・・」
「そう・・・。それこそ美貴の親友の亜弥ちゃんだよ・・・」
「美貴たぁん・・・」
「疲れてるでしょ?この10分は休んで。何とか追いついて見せるから」
「うん・・・うん・・・」
「よしよし。大好きだよ、亜弥ちゃん」
「うん、まつーらも・・・」
「みんな、何とか追い着こう。パス回してこう!」
『はい!』
- 580 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:19
- その後、第3クォーター20点差まで詰める。
しかし美貴のスタミナが尽き、最終クォーターに出れず。
亜弥、あさ美を中心に攻めるが及ばず。
104 ― 131
という結果となった。
- 581 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:20
- 20分休憩した後、男子が対戦。
男子は連日の走り込みの成果が実り、ラン&ガンがより効果的なものになり、
そして5人全員、試合途中のスタミナ切れが解消された。
85 ? 102
そして──
正午が近くなった頃。
「あともう1試合して今日は終わりましょう。えー、松浦、藤本、紺野、市井、松藤。
この5人での混同チーム。他の人達はプレーを参考にするように。20分後始めます」
- 582 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:22
-
20分間、ポジションの話し合いをする中で、
美貴が体力の回復が追い着かないことを告げ、最終クォーターだけ出ることになった。
その間として、副キャプテンの3年生が出場することになった。
エキシビジョンマッチとして行われる最後の試合で、白チームはベストポジションで臨んだ。
亜弥 PG 真里
女子A SG 紗耶香
あさ美 SF なつみ
尊史 PF まい
竜弥 C 圭織
- 583 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:23
- 今までとは違うプレイスタイルに困惑する男女チーム。
前半、これといった手応えが無く、
40 ― 62
両チーム、スタミナが限界に近く、第3クォーターは10点ほどの追加で終了した。
そして、インターバル。
美貴が喝を入れる。
- 584 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:25
- 「こういうこと言うキャラじゃないんだけどさ、辛い時こそ頑張ろう。
逆転出来る範囲なんだから。この試合だけは何としてでも勝とう」
「あったりまえじゃん!逆転してギャフンって言わせるんだから!」
亜弥の言葉に皆頷く。
「美貴にどんどん回して。休んでた分、暴れるから」
「よっしゃ、最後10分頑張ろう!絶対勝つ!」
「おぉ!10点や20点なんてどうってこたぁない!」
「……」
一斉にあさ美を見る4人。
「締めだぞ、コン」
「は、はいっ!か、勝ちましょう!」
「亜弥ちゃん、最後あれ」
「よーし、みんな!絶対、ぜーったい勝つからね!行くよ!頑張っていきま〜…」
『っっしょい!!』
亜弥 PG 真里
尊史 SG 紗耶香
あさ美 SF なつみ
美貴 PF まい
竜弥 C 圭織
- 585 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:27
-
最終クォーター
54 - 72
18点のビハインドからの開始。
序盤、復活した美貴にボールを集め、1桁ではあるが返していく。
美貴へのパスが読まれ始めた頃にあさ美、竜弥へパスを回していく。
あさ美の堅実なシュート、竜弥の高さを活かしたシュートで点差をジリジリと詰めていく。
パスに専念していた亜弥と尊史も意表を突いて3ポイントシュートを放つ。
外れたとしても美貴、竜弥でリバウンドを取り、
シュートが無理ならあさ美へ等、攻撃パターンを試合中に増やしていった。
- 586 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:28
-
しかしそこは全国連覇の経験者たち。
勢いが乗ってきた所でタイムアウトを取り、間を置いた。
残り5分で5点差まで詰め寄られていた。
- 587 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:29
- タイムアウト後、男女チームは勢い落とさず、攻め立てる。
しかし、ディフェンスに専念し始めた白チームに中々得点を決めさせてもらえず、
逆にイージーミスからの得点を許してしまう。
じわじわと点差は開いていく。
そして残り40秒で8点差。
充分に逆転可能だが、嫌な点差だ。
ここで亜弥がタイムアウトを取る。
- 588 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:31
-
「やっばいよ、これ」
「8点・・・。スリー3本で後はディフェンスか?」
「なるべく近くが良い。けどそんなに時間が無いからな。コンもリバウンドに参加させるか・・・」
「たんと松藤君でスクリーンして3人で勝負する?」
「けど中の勝負だと相手が固めやすくなると思うんですよ。1回でもファウルしてしまうと勝ち目が・・・」
『ん〜・・・』
「なんか、今まで見せてないプレイってあったっけ?」
「・・・アリウープか?」
「けどあれは今出来るか?失敗すれば逆速攻の10点差。決定的だ」
「絶対にこっちが先手を打たないと」
「・・・あっちのディフェンスってゾーン、だったよな」
「今更?それが何?」
「真里姉はディフェンスが上手い。けど高さが無いから──」
『タイムアウト終了です』
『えー!』
「とっ、とにかく話したものでやってみよう。それしかない」
「そんなにないって〜」
「仕方ない。竜弥、やるしかないぞ。頼む」
「お、おぉ・・・。任せろ」
「コン、ちょっと」
「はい」
「・・・・・・」
「わ、わかった」
- 589 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:33
-
残り40秒、男女ボール。
亜弥がボールを運び、センターラインを超えたところで尊史に回ったとこで、すぐに行動に出た。
「竜弥!」
「いきなりかよ!」
奇襲に圭織は反応し、竜弥と跳ぶ。
取った竜弥は無理な体制ながら、シュートを打つ。
そして、
「『ピピッ』白4番プッシング。カウントワンスロー」
『ぃよーし!』
竜弥はシュートを決め、さらにその時に圭織がファウルをした為、フリースロー1本打てる権利を得た。
竜弥のフリースロー。
フリースローの成績があまりよくない竜弥。
これをリングに外してしまう。
リバウンドを取ったのは、美貴だった。
「亜弥ちゃん!」
パスを貰った亜弥はその場でシュート。
スリーだ。
しかしわずかに届かない。
2度目のリバウンド、今度はあさ美が取った。
「美貴ちゃん!」
ゴール下で受け取り、シュート。
これが入り、一気に4点を返した。
「ナイスリバン、コンちゃん」
「うん」
「来るよ!集中!」
- 590 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 16:36
-
残り15秒。
このオフェンスを防がなければ、勝てる可能性がぐっと低くなる。
パスを回すかと思いきや、真里がスリーを打った。
しかしリングに嫌われる。
「走れー!」
叫んでリバウンドする竜弥。
「パァス!」
すぐに要求する尊史。
心の中で苦笑いしつつ、ロングパス。
これが通り、その後逸早く走っていた亜弥にパスして2点差。
残り8秒。
- 591 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 17:06
-
「オールコート!」
亜弥の声に4人はピッタリと自分のマークに付く。
パスが出せずに苦し紛れに出したボールを美貴がカット、亜弥へ。
亜弥がミドルシュート。
「外っ!」
尊史が叫んだ時、残り5秒。
ある1人が中から外45度へ。
亜弥のシュートはリングの奥に当たり、高く弾かれる。
3秒・・・
皆が一斉に跳ぶ。
その中で取ったのが・・・
──45度から右へフェイントをかけ、センターへ。
尊史だった。
- 592 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 17:08
-
「はい!」
小さく頷いてチェストパスを出す。
受け取ったのは・・・あさ美だ。
1秒・・・
センターからの3ポイントシュート
フェイントをかけられた真里が跳びつく。
・・・が、指はわずかに届かない・・・。
審判が指を3本上げる。
全員の視線がボールへ。
そしてそれは──
審判の手が勢い良く振り下ろされ、笛が鳴った。
「試合終了ー!」
- 593 名前:第8話 合宿へいきまっしょい! 投稿日:2006/03/05(日) 17:10
- 『・・・ぃやったー!』
「・・・は、入った・・・」
「ナイッシュ」
「う・・・うえぇ〜ん・・・」
「泣くなよー。よくやった」
「・・・グスッ・・・うん・・・」
「うぁー!抱き合ってるー!エロイぞー!そこの2人〜!」
「なっ、・・・エロくないって!」
離れてから言い訳する尊史にあさ美は黙ってくっついた。
『おぉ〜』
冷やかしの声が飛ぶ。
しかしあさ美は決して離れず、尊史はぎこちないながらも受け止めた。
こうして仮想全国の練習試合は拍手の中、幕を閉じた。
- 594 名前:なつまり。 投稿日:2006/03/05(日) 17:11
- 以上更新終了です。
- 595 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/01(土) 23:05
- 更新おつで〜す
紺ちゃんやったぁ〜
ずっと応援してます(作者さんも応援してます)
- 596 名前:なつまり。 投稿日:2006/05/07(日) 11:44
- >>595 様
すいません、もう数ヶ月は更新出来そうにありません。
申し訳ありません。
放置はしません。休載ということでお願いします。
- 597 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/30(木) 15:35
- ゆっくり休養して帰ってきてくださいね♪♪
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