今日も休み!ネコはイイね

1 名前:purisira47 投稿日:2004/07/26(月) 11:50
ネコの脈拍は、人間のそれよりも早い。小さい動物も大きな動物も,総脈拍数は 同じらしい 
それが寿命らしい。 人間より早ければ寿命が短く,遅ければ長いらしい。
2 名前:purisira47 投稿日:2004/07/26(月) 11:52
ネコの脈拍は、人間のそれよりも早い。小さい動物も大きな動物も,総脈拍数は 同じらしい 
http://hp3.0zero.jp/26/takyoboyそれが寿命らしい。 人間より早ければ寿命が短く,遅ければ長いらしい。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/28(水) 17:38
もったいない。最近こういうムダスレ多くないっすか?
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/30(金) 03:33
そう思うなら黙って削除依頼でも出したらどうだ
5 名前:(´_ゝ`)ノ ハーイ 投稿日:2004/08/13(金) 08:30
(´_ゝ`)ノ もろてええと思うしと?
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/13(金) 13:19
面白いのを
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/13(金) 21:20
うん。再利用再利用。
8 名前:(;´_ゝ`) 投稿日:2004/08/13(金) 23:24
(´_ゝ`)面白くないかもしれませぬが、長編の合間に書いた短編をチョコチョコ
載せて行きたいと思います。

(´_ゝ`)ノ それでははじまりはじまり〜
9 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:26
「安倍さん・・・明日オフですよね?今晩空いてたら
 少し相談に乗って・・・くれますか?」
私は『投稿!笑わん姫』の撮影を終え、執事の格好のまま椅子に座って本を読んでいた安倍さんに勇気を出しておずおずと話しかける。

「ん?梨華ちゃんがなっちに相談かい?」
安倍さんは少し怪訝そうな表情を浮かべて、私を上目遣いで見つめる。
「駄目・・・ですか?」
「ん〜ん、いいよ!なっちも久しぶりに梨華ちゃんと話したかったんだぁ!」
『にっこり』という効果音がぴったりと填まる微笑を私に投げかけ、
安倍さんは右手の人差し指と親指で作った輪っかを目の高さに持ち上げる
10 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:28
「有難うございます!よかったぁ、安倍さん忙しそうだったから・・・」
安倍さんの天使の微笑みに釣られて私も笑顔になる。心境は複雑だったが・・・顔は笑っていた。
「ん〜・・・忙しいことは忙しいけど・・・梨華ちゃんとは冬のドラマ以来じゃない?
 またゆっくりお話したいと思ってたところだし・・・」
「だし?」
安倍さんはそこまで「む〜」考え込むような表情で話すと、
「なっちもたまには息抜きしたいべさ」
また天使の笑顔を私に向けた。

(安倍さん・・・そんな顔で私を見ないで下さい・・・貴女は私には眩しすぎます・・・)
11 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:29


夜の短編小説:De・sire〜ねがい〜
12 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:30
その日の収録はあれよあれよと言う間に終わった、普段も忙しくて一日が終わるのは早く感じられたが
この日は特別だった。

(仕事の終わりが早く来て欲しい、でも来て欲しくないような・・・)

このときの私は間違いなく葛藤していた、そう・・・善の心と悪の心が・・・。

まだ仕事が残っていた安倍さんに挨拶し、家に帰る準備をする。

(・・・・・どうしよっか・・・・いまさら無しってことには・・・)
13 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:31
「おいおい、梨華ちゃん。そりゃオイラのだよ」
「あ、ごめん・・・なさい・・・」
間違って矢口さんのポーチを鞄に入れてしまいそうになる。それほど私の心境は不安定だった。

「梨華ちゃん疲れてるんじゃないの?明日オフでしょ?ゆっくり休みな〜」
「はい・・・」
「そうそう、オフって言えばオイラの写真集が・・・」
矢口さんは私を元気付けようと声をかけてくれる、でも今の私には悲しいくらい無意味な宣伝に聞こえた。

「あの・・・それじゃ、失礼します」
「あああ!待ってよ、まだ話の途中だってば・・・」
矢口さんはまだ何か言いたげだったが、私はそれ以上聴く気になれず足早に家路に着いた・・・。

(安倍さん・・・)
14 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:33
家に帰り私はいそいそと部屋の片づけを始める。それくらいの理性はあるようだ。

(安倍さん・・・私は・・・)

ただひたすらに頭の中で同じ事を考え続ける、時計の針が指し示す時刻は午後10時30分、そろそろ仕事を終えた安倍さんが来る頃だろう。

(安倍さん・・・私は・・・貴女のことが・・・)

ピンポーン♪

玄関のチャイムが鳴る、鳴らした人はもちろんあの人だろう。
条件反射のように私はインターホンも使わず玄関に向かい、覗き穴も見ずにドアを開ける。

ガチャ・・・

「ふぃ〜、梨華ちゃんの家に来るの久々だったからさ、なっち少し迷っちゃったよ」

そこには天使の微笑を浮かべたままの安倍さんがいた。
15 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:33
「でも時間どうりじゃないですか、さすが安倍さん!時間に厳しい芸能人って感じですね」
「えへへ、照れるべ」
私は安倍さんに負けじと微笑を返し、家の中に招き入れる。
安倍さんは靴を脱ぎ、「お邪魔します」と頭を下げリビングへと向かった。
私はそのあとで靴を揃え、安倍さんの後姿を見送る。

(安倍さん・・・私は・・・貴女のことが・・・好きです・・・)

「う〜ん、やっぱりそれだったのかい、梨華ちゃんの相談って」
「はい、それで安倍さんに相談しようかと思いまして・・・」
安倍さんの言う『それ』とは、先日発表された私の卒業に関する話題だった。
安倍さんは「外で食べてきた」といい、お土産のマンゴープリンを二人でつつきながら話しはじめる。
私が淹れた紅茶を安倍さんは何の疑いも無く口にする。
16 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:35
ごっちんや保田さんに訊こうかと思ったんですけど、やっぱり卒業したての安倍さんにお願いしようかと・・・」
「そお?なんか嬉しいねぇ」
私は口から出た言い訳にウソを上塗りして喋る。『ごっちん』という言葉を口にした瞬間私の声が上ずった。
この天使のような先輩を騙すのは正直気がひけたが、実際問題として卒業に不安を抱えているのは確かだ。

「なっちの場合ね・・・・」
「あ、はい・・・」
私の心の葛藤が表情に出たのか、安倍さんは会話をつなげようと喋りだす。そんな心遣いが私の心を狂わせるというのに・・・。
17 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:36
「でも梨華ちゃんは大丈夫!可愛いし、いい子だから。なっちが保障する!」
「何ですかそれぇ!でも有難うございます」
正直なことを言うと話は殆ど聞いてなかった、それでも最後ににっこり笑顔で頭を下げる。
下げた時の顔の表情は複雑な表情であったと思う。

「こんなもんでいいかい?卒業するまでにはまだ時間があるし、悩んだらいつでも相談に乗るよ」
「嬉しいです、是非お願いしますね」
安倍さんは目をこすりながらソファーに大きく凭れる。そのしぐさに私の胸が締め付けられる。
居た堪れなくなり、私は飲み終えた紅茶を片付けようと席を立つ。
18 名前:De・sire 投稿日:2004/08/13(金) 23:36
「ふゎぁ・・・なっちなんだか眠くなってきちゃった。あのさ、梨華ちゃん」
背後から、いかにも眠そうな安倍さんの声・・・・。
「はい・・・」
その後に付け加えられる言葉を予想して、私の心臓は大きく鼓動する。

「泊まってっていいかい?ソファーでいいからさ」
「はい、どうぞ」
極力明るく、そして機械的に私は安倍さんに返事をする。
彼女が眠りに落ちるのは時間の問題だろう。

(どうしよう・・・今なら・・・まだ止めれるよね。止めるなら今だよね)
葛藤に苛まれキッチンの流しの前で蹲る。この角度からなら安倍さんは私のこの動作が見えない。

(安倍さん・・・私は・・・貴女のことが・・・好きです・・・滅茶苦茶にしてしまいたい位)
19 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/08/13(金) 23:43
今日の更新はこの辺で・・・
短編ですので来週にはこのお話はオhルと思われます。

なにぶん長編の合間に溜まった妄想が爆発して書き上げた話ですので、
かなり隙間だらけの内容の薄い話になっております。

見てくださる人が居るかどうかは解りませぬが、
「ここはオマエの日記帳じゃねえんだ。チラシの裏にでも書いてろ、な?(ヒゲオヤジのAA略)」
とか書かれない様に頑張ります

(´_ゝ`)ノシ それではまた
20 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:20
私がつんくさんから卒業を告げられたとき、そんなにショックは受けなかった。
飯田さんが横にいたのもあったし、何より『私が抜ける』よりも『誰かを見送る』方が寂しい物なのだなという
どこか冷めた感覚があった。

何よりののとあいぼんの次は私かヨッスィーだと感じていたし、ある意味予定調和の卒業という感じだった。

(知っていれば・・・そんなに淋しくないものね、卒業が近づいたらどうなるか解らないけど・・・)
つんくさんの話を涙目で聞く飯田さんとは対照的に私の心は別に飛んでいた。

(それにようやく安倍さんと同じラインに立てるんだ、憧れの安倍さんと・・・)
21 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:21
卒業発表から一月あまり・・・午前中にハロモニの収録がある日のことだった。
始まる前にロビーで冷たいものを買い、楽屋に向かう。
小さい子が増えたモーニング娘。の楽屋は五月蝿く、廊下を歩いていても中の騒ぎ声が大きく響く。

私は少し立ち止まり『やれやれ』と言った表情で小さな溜息をつく。
私と飯田さんが抜けたあとの矢口さんとヨッスィーの苦労が既に伺える。

止まった足を動かそうと思ったその瞬間、小川とののの大声で笑う声に混じって何かが聴こえた。
何かを訴えるような切羽詰った声・・・どうやら誰かが口論してるらしい。
ふと周りを見渡すとそこは・・・。

『安倍なつみ様(ハロモニ)』

安倍さんの楽屋だった。
22 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:21
ソロ組の楽屋に娘。のメンバーが遊びにいくことは珍しいことじゃない。
私も保田さんの楽屋にはよく行くし、ヨッスィーと一緒にごっちんのトコに遊びに行ったりもした。
でも安倍さんはよく時間ぎりぎりに来るため、誰も行かない。行っても誰もいないことが多かったし、鬼の形相で支度をしている
安倍さんに気を使ってみんな収録後に遊びにいく、というのが暗黙のルールだった。

それでは一体誰がこの中に・・・?

私は悪いことだと知りつつも、恐る恐る中の様子を探る為にドアに近づいた。
他のメンバーはまだ楽屋だ、ADさんが呼びに来るまでにまだ時間もある。
立ち聞きするといっても1分もあれば大体の内容が掴めるだろう。
今思えばこのときが、『安倍さんの秘密を知りたい』という今私を支配しているドス黒い感情の元になった種
が私の中に芽生えた瞬間だったのかもしれない。
23 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:22
「だから・・・なっちは女の子で・・・ごっちんも女の子で・・・」
「そんなことはどうでもいいの!アタシは、ごとーはなっちの気持ちが知りたいの!」

(喧嘩の相手はごっちんか・・・原因はなんだろう・・・)

「・・・・・」
「なっちはごとーの事好きなの?キライなの?」
「・・・・・」

(!!好き、嫌いって・・・)

「何とか言ってよ!ねえなっち!なっちぃ・・・」
「ごっちん・・・」
24 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:23
(ごっちん・・・泣いてる?)
私は堪らずドアを少し開けて中の様子を覗き見る。幸い二人は周りのことに気を使う余裕は無いようだ。
部屋の中ではごっちんが椅子に座った安倍さんの腰辺りに跪いて泣いている。

「うぐっ・・・ひっく・・・なっちぃ・・・スキだよぉ、キライにならないでよぉ」
「ごっちん・・・なっちは笑ってるごっちんが好きだべ、泣いちゃダメっしょ・・・」

そこまで聞くとごっちんが顔を上げて安倍さんを睨む。顔は涙に濡れ、目は赤く充血しており、とても見れたものではないが
その表情は怒りに満ちていた。

盗み聞きの罪悪感からではない、私の心臓は明らかに鼓動を早めた。背中から嫌な汗が出る。

(そんな・・・ごっちんも・・・安倍さんのこと!)
25 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:24
なにそれ!なっちは笑ってるアタシしか好きじゃないの?」
「ご・・・ごっちん?」
「アタシは笑ってるなっち、怒ってるなっち、泣いてるなっち・・・なっちならいつどんなときでも好きだよ!」
「ごっちん・・・そういうつもりじゃ・・・」
「じゃあはっきり言って!なっちは後藤真希を愛せる?後藤真希と一緒にいて幸せな気分になれる?お願い・・・答えて・・・」
そこまで言うとごっちんは再び安倍さんにすがりついた。安倍さんの衣装の腰の辺りはおそらく涙でびしょ濡れだろう。
しかしあの二人にそこまでのことを考えている余裕はなかっただろう。

(安倍さん・・・お願い・・・NOと言って!)

・・・・無論私も。
26 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:25
安倍さんは椅子から降りてごっちんをふわりと抱きしめた。
私の心の中で・・・なにかが崩れた・・・。眩暈がして手に持ったジュースを落としそうになる。

「ごっちん・・・なっちは・・・なっちも・・・」

私はよろよろとモーニング娘。の楽屋に戻る。話は最後まで聞かなくても解る。
あの安倍さんの表情・・・『なっちも』の言葉の意味するもの・・・。
楽屋では年下のメンバーがはしゃぎまわっていた。
しかし私にとっては目の前で繰り広げられるお祭り騒ぎはどこか別世界の・・・そう、映画を見ているような感覚がした。

アベサン・・・ワタシハ・・・アナタガスキデス・・・ゴッチンナンカヨリモ
27 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:26
あれから数日がたった。何度も安倍さんの行動はごっちんを冷静にさせるための芝居だと考えようとした。
しかし、網膜に焼きついたあの表情−抑えていた感情が爆発したような−が私の心を狂わせる。
鼓膜にこびり付いたあの声−文字通りいとしい恋人に愛を囁く様な−が私の脳をかきむしる。

自分を納得させようと考えるたびにそれらが私を苦しめ、私をドス黒く染め上げる。

眠れない夜が続いた。
飯田さんからも「大丈夫?」と心配の言葉をかけられる。
同期や5・6期の後輩からも心配される、自分が情けない・・・
もうどこかに逃げてしまいたい、モーニング娘。のメンバーと言う肩書きも私のこの気持ちも投げ捨てて。

楽屋の喧騒が耐え切れずに目的もなく収録時間までぶらぶらすることが多くなった。
他のメンバーにこんな姿見せたくなかったし、何よりも何も考えたくなかった。
じっとしていたら変なことを考えてしまう、極力何も考えずに足を動かした。
28 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:27
そしてあの日から2週間、また丁度ハロモニの収録の日だった。
目的もなくテレビ東京の中をぶらぶらする。すれ違う人に作り物の笑顔を振りまきながら・・・。

その笑顔も品切れになった頃だった、私は人を避けるように普段あまり人のいないベンチに向かった。
この場所は日当たりも悪く、何より場所柄スタジオなどから遠いため、一人になりたいときにはよく使っていた。
灰皿が置いてあるが、夜遅く行っても吸殻は数本しかない。すぐ後ろのジュースの自販機も電気代の無駄なんじゃないか、とさえ思う。
29 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:28
ベンチに腰掛け、何気なく見たその自販機の売り上げに貢献してやろうと思い、財布から小銭を取り出そうとしたその時に
聞き覚えのある話し声、丁度2週間前に言い争っていた二つの声・・・。

でも今は・・・楽しそう・・・恋人同士みたい。

反射的に自販機のかげに隠れる。二人はベンチに座る。
ベンチは丁度自販機に背を向けるように置かれており、そのまま座った二人の視界には私の姿はない。

「ねぇなっち。ここならいいでしょ?」
「うーん・・・照れるべさ・・・どうしてもしなきゃだめ?」
「だめ、ごとーはなっちの愛の証明が欲しいの!」

(何をする気ですか?安倍さん・・・)
30 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:28
わかった・・・恥ずかしいから目をつぶって」
「はーい♪」

(止めてください・・・やめて・・・やめてぇ!)

ベンチに座った黒と茶色のショートのシルエットの距離がゼロになる。
私は・・・指一本動かすことが出来ないほどの絶望感に打ちひしがれていた。

・・・・予想は確信に変わったのだ。
31 名前:De・sire 投稿日:2004/08/14(土) 23:30
「・・・っはぁ・・・恥ずかしいね、やっぱり」
「あは、なっち真っ赤だよぉ♪可愛いぃ〜」
「からかうんじゃありません!もおしてあげない!」
「え〜ケチぃ!いいもん、絶対そのうちなっちの全てを頂いちゃうから!」
呆然と二人を眺めていた私の耳にごっちんの言葉が引っかかる。

(まだ・・・そういう関係じゃないんだ)
ぷちん、と何かが切れた。今まで私を縛り付けていた糸の様な物が。

二人は満足したのか手をつないでベンチから立ち上がり、もと来た道を引き返す。

(ワタシガ・・・ゴッチンヨリハヤク・・・アベサンノスベテヲ・・・)

私の心にドス黒いもやがかかり、なにか底知れぬ泥濘に飲み込まれていく・・・。
32 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/08/14(土) 23:35
とまあ二回目の更新をいたしました。
今回は石川さんの回想シーンです、少し説明不足だったかなぁ・・。
もう遅いんですが、張るとき、書く時に字数を考えてけばよかったかなぁとか思いました。

(´_ゝ`)ノシ それではまた次回、なぜ落としたのかはその時に明かに
(´_ゝ`)まあ皆さんお分かりだと思いますが・・・
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/15(日) 21:36
おー、再利用されてますな。
楽しいです!
34 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:42
冷蔵庫からガラス瓶に入った黄金色の液体を2つ取り出し、私の部屋に向かう。
ドアを開けると安倍さんはまだベッドの上で無防備に眠りこけていた。

両手をガムテープで固定された下着姿で。
滅多に肌を見せない安倍さんのその姿はどこか艶めかしかった。
決していいスタイルとは言えない、おそらく私やごっちんのほうがいい体型をしているだろう。
しかし、今目の前で睡眠薬を飲まされて眠っている身体は私の心を狂わせる。

もう私自身止めることは出来ない、サイは投げられたのだ。
軽く深呼吸をしてベッドの脇のテーブルにビンを一つ置く。
そしてもう一つの手に持った液体−ブランデー−を一口煽ると、乱暴に安倍さんの唇を奪った。
・・・ごっちんと幾度も愛を交わした唇を・・・。
35 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:43
「・・・ん!?むぅ・・・っはぁっ!」
私からの一方的な愛の授与に息苦しさを覚えた安倍さんが目を覚ます。
自由の利かない腕と下着姿に戸惑っている。
「お目覚めですかぁ?お早うございますぅ!」
私はわざとらしくチャーミーのキャラでにっこり微笑む。
もう後には引けない、私は完璧に開き直っていた。

「こ・・・これは一体?梨華ちゃんなっちにこんな格好をさせてどういう・・・」
「これから愛し合うんですよ♪二人力尽きるまで」
「そ・・・そんなことって・・・冗談は止めて!」
「冗談なんかじゃ有りません。ふふ、もう逃げられませんよ」

私は・・・狂っていた・・・アルコールの所為じゃない、私を狂わせたのは目の前の怯えた天使だ。
36 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:44
「そんな!なんでこんなこと・・・ふぐぅ・・・」
そこまで言いかけた安倍さんの口をまた私の唇でふさぐ、今度は舌を入れて安倍さんの口内を丹念に嘗め回す。
安倍さんは私の不意打ちに体をよじり抵抗する。ガムテープで両手を縛りつけたベッドが軋みをあげる。

「酷いじゃないですか、そんなに嫌がるなんて」
「あたりまえでしょ!何考えてるの!いい?梨華ちゃん。おかしなことは止めてなっちを自由にして、ゆっくり話そ?」
「安倍さん・・・貴女って人は・・・」
不意に楽屋で泣きじゃくるごっちんを慰める安倍さんが頭にフィードバックする。
あの“不快な”思い出に気分が悪くなるとともに、今目の前で自由を奪われ、あられもない姿を晒しているこの人が
憧れの人であるという実感がわいてくる。
37 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:45
「貴女って人は・・・どこまで私を苦しめるんですか!」
「り・・・梨華ちゃん?苦しめるって・・・ひゃぅぅぅ!」
不意に胸に感じた冷たい感触に思わず声を上げる。テーブルに置いた液体−蜂蜜−を安倍さんの胸にたっぷりぶちまけたのだ。

ブラジャーの上から構わず塗りたくる。手のひらで伸ばすように安倍さんのバストを揉みしだく。
ベッドサイドに跪く私の姿は、甲斐甲斐しく患者を介護する看護士のようだった・・・顔は狂気に満ちていたが。
38 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:45
「り・・・梨華ちゃん・・・いけないよ。聞いて!お願い!」
「何ですか?」
私は安倍さんの目を見ずに淡々と首の下まで蜜まみれにしていく。胸の谷間にたまった蜜が私の嗜虐心を加熱させた。

「なっちは・・・好きな人がいるんだ・・・」
最も聞きたくなかった一言が最愛の人の口から発せられる。さっきまで私の舌が蹂躙していたその口から。
「だから・・・こういうことは・・・あぁっ!」
私は勤めて冷静に作業を進めていた、安倍さんの言うことは無視して。
私の指先がブラジャーの上から敏感な胸の先端に触れる、流石に安倍さんも艶っぽい声を上げた。
その声に満足した私は安倍さんに微笑み、耳元でこう言った。ふわりとした髪の毛の香りが私をとろけさせる。
39 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:46
「どうですか?安倍さん。気持ちいいでしょ?ごっちんはこんな事してくれませんよ?」
・・・・安倍さんの表情が凍りついた。
40 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:47
「嘘・・・知って・・・」
「石川が好きな人のことですよ?全部知ってますよ」
安倍さんに薄ら笑いを浮かべ耳元で囁く。顔を上げ安倍さんの表情を見ると明らかに怒りの色が見えた。

「じゃあ知っててこんなことしたのかい!?なっちだけじゃなくごっちんも傷つくの解ってて!最低!」
「安倍さん・・・」
安倍さんは大声で私を罵る、その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
普段の私ならここで止めて許しを請うところだが・・・もう後には引けない。
ブラジャーの下に両手を滑り込ませて先端を直接摘んで刺激する。
「私が最低なのはよくわかっています。でももう決めたんです!好きな人・・・安倍さんを自分のものにするって。」
「んンッ!・・・梨華・・・ちゃん・・・っはぁ・・・」
直接刺激され安倍さんは額にしわを寄せる。それを見て満足した私は安倍さんのブラジャーを強引に剥ぎ取り胸を露にする。
「それと安倍さん、怒るのはいいけど大声はダメですよ♪隣の人はまだ起きてる時間ですから」
41 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:48
観念したのか、安倍さんは顔を背けて目を瞑り、唇を噛んで無言の抵抗の姿勢をとった。
私は露になった乳首を舌でなめ上げ、またそこに蜂蜜を塗ると行った行為を繰り返す。
横顔で表情はよくわからないが、明らかにびくっ、となる。肌の色も上気し、桜色だ。

「なかなかしぶといですねぇ♪」
「・・・・」
ベッドの脇から立ち上がり、蜂蜜塗れの手で安倍さんの顔をぐいっとこっちに向けさせる。
責苦から一時開放された天使の顔は安堵と怒りが半々の複雑な表情だった。
「いいですか?我慢できるのは今のうちだけです。明日から安倍さんは石川無しじゃいられない体になってもらいます」
「・・・変態!」
いとしい人は吐き捨てるように言った。そんなもの・・・今の私には逆効果なのに・・・。
42 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:49
「ねえ安倍さん?その変態にいいようにされてこんなになってる人はもっと変態なんじゃないですかぁ?」
「んふ・・・ん!」
大きく染みを作ってる安倍さんの大事なところをパンティの上からなぞりながらいやらしく笑いかける。
一瞬身体が大きくのけぞり、直後安倍さんの目が非難するような視線を私に投げかける。

ちらりと一瞥し、テーブルに置いた二種類のビンを手に取る。
両方ともふたを開け、安倍さんのあそこにパンティの上からぶちまける。
冷たい刺激に安倍さんも「ひゃ!」と声を上げる。いつものハロモニのゲームで上げる声と一緒だ。
「可愛い声ですね、そういう声ならもっと聞きたいなぁ♪」
「っ!・・・・」
安倍さんは悔しそうな表情でまただんまりを決め込む、そっちがその気なら・・・と私も次の行動に移った。
43 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:50
パンティをずらし、安倍さんの大事な部分を露にする。ピンク色で少し小さい。
花弁は蜂蜜とブランデー以外の液体でも濡れそぼっており、男(私は男ではないけれど)を迎える準備は整っているようだ。
私は追い討ちをかけるように花弁の一枚一枚を指で優しくなぞり、蜜とアルコールを摺りこんで行った。

流石に安倍さんも我慢するのはきついらしく、時折「んッ!・・・んっ!・・・」と切ない声を上げて
必死に迫り来る快感の波に耐えていた。

「あなたがここまで我慢強いとは思いませんでした・・・」
「・・・・」
「まただんまりですか・・・仕方がありませんね・・・」
「!な・・・なにを・・んぐっ!」
私は無理やり安倍さんの口を開き、三種類の液体のこびり付いた指を口にねじ込む。
44 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:51
「どうですかぁ?ご自分の特製カクテルのお味は?」
指を突っ込んだまま顔を近づけて尋ねる。このときの私の表情は酷く下品なものに違いない。
「・・・・・!」
安倍さんのこの顔を見れば一目瞭然だ。しかし構わず私は続ける。
「言っておきますけど・・・石川アイドルですから噛み付いたりしたら承知しませんよ?」
「・・・・・」

「もし・・・噛んだりしたら・・・ごっちんも安倍さんと同じ目に遭わせてやる!」
安倍さんの表情が驚きと恐怖で凍りついた。
45 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:51
「さあ、舐めとってくださいよ。アイスキャンディを舐めるように・・・」
「・・・・・」
口の周りをべたべたしたもので汚しながら安倍さんは顔を背ける。
「あら・・・いいんですか?そんな態度をとって・・・ごっち・・」
「やめて!」
安倍さんは強引に頭を動かし口から私の指を抜き取った。
「あの子・・・ごっちんだけには酷いことをしないで!お願い!なっちは何でもするから」
「ふふ・・・ついにその気になったようですね。いいでしょう、ごっちんには何もしませんよ」
「本当?」
「そのかわり・・・ね♪」
「・・・・わかった」

堕ちた!ついに堕ちた!天使が私の心の中に棲む悪魔の手に堕ちたんだ!
私は恍惚とした表情を浮かべ、安倍さんに強引にくちづけた。安倍さんも諦めたのか舌を絡ませてくる。
46 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:53
右手は安倍さんの大事なところへの責めを再開する。蜜と安倍さんの唾液に塗れた指が可憐な花弁を蹂躙する。

「ん・・・んふ・・・あ・・・あああ・・・」
口をだらしなく半開きにした堕天使は、もう快楽の波に抵抗する力を失っている。
再度左手の指をその口に差込み、軽く前後にスライドさせる。右手の指は濡れそぼった穴に侵入し、同じようにスライド運動を繰り返す。
左の中指と人差し指に積極的に舌が絡んでくる。もう完璧に快楽のとりこだ。

乳首を攻めていた舌をそのままおへその方に這わせ、クリトリスを舌先でつんつんつつく。

「あっ!はああああ、あん!」
安倍さんの腰がびくん、と跳ねる。
「ふふ・・・安倍さん、甘くておいしいですよ♪」
安倍さんのあそこに乳飲み子のようにむしゃぶりつく。太もものあたりまで垂れた蜜を音を立てて吸う。
ジュルジュルという卑猥な音が薄暗い部屋に響く。
最初は閉じられていた両脚も、今ではだらしなくM字型に開脚している。
あそこにすっぽりと顔をうずめ、蜜塗れにさせながら私は自分の服を脱ぐ。自分ももう限界が近かった。
脱いだパンティは大きな染みを作っていた。
47 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:54
「安倍さん・・・一つになりたいです・・・・いい・・・ですよね?」
「梨華ちゃん・・・・」
荒く肩で息をしながら安倍さんが私の名を呼ぶ、そこには否定のニュアンスは無い。

私はゆっくりと安倍さんの股の間に自分の太ももを潜り込ませ、花弁を重ね合わせた。

「ああっ!」
「ふ・・・んっ!」
花びらが触れ合った瞬間二人の口から切ない吐息が漏れる。
私たちは暫く動かずに抱き合い、見詰め合い、そしてキスをする。
それを合図にゆっくりと、スローモーションのように腰を動かす。
胸の先端が触れ合うたびに身体の芯から蕩けそうになる。

花弁が触れ合うたびに腰から脳にとろけるような刺激が伝わる。
「ああ・・・なっち・・・なっちぃ!」
今まで言えなかった先輩の愛称が口をついて出る。
何度も言いかけて、口の中にしまった言葉。
たった3文字の愛しい人の愛称。
48 名前:De・sire 投稿日:2004/08/17(火) 23:54
「んんんぅ!ああ・・・あああ・・・もうダメェ!」
“なっち”が私にしがみついてくる。刺激が強すぎで自分の体を支えきれなくなったのだろう。
愛しい・・・堪らなくいとおしい
また強引に口を吸い、ねっとりと舌をからませる。
なっちが「ダメェ」と口を離しても、私は構わずそのまま首筋に舌を這わせる。

「はっ、はっ梨華ちゃ・・・ああん んっ」
腰の動きが段々小刻みになり、スピードアップする。
もう二人とも限界が近い証拠だ。

「ああ!はあああああぁぁぁ!」
「ん!なっち!なっちぃ!」
お互い限界を向かえ、力なくベッドに倒れ込む。
体についたベトベトも、乱れた髪も、汚れた洋服もそのままに。

もうほかには何もいらない、ただこのイトシイヒトがいれば・・・

私に取り付いた黒い闇は・・・まだ晴れなかった。
49 名前:ヽ(|||´_ゝ`)ノ  投稿日:2004/08/17(火) 23:56
    ∋oノハヽ 
 バン  ∩●´ヘ`) 変態!
 _バン_(_ミつ/ ̄ ̄ ̄/_
      .\/___/
50 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/08/18(水) 00:03
と言うわけで更新完了です。健全な青少年の精神の保護の為落としました。
この話は一応ここまでで完結なのですが、ちまちま続編見たいなものを書いてます。
この終わり方はあんまりにもあんまりなので・・・。
また近いうちに妄想乱舞ゲージがMAXになったら、勢いで完成させようと思ってます。

それでは次回は気軽に読めるものなどを。

>>33
まさか読んでくれている方がいたとは!見捨てられないように頑張ります。
51 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/18(水) 00:48
おお!!思わぬところにいいお話が・・!
続き、楽しみにしてまーす!!頑張ってください!
52 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/18(水) 00:49
ハァ━━━━━(´Д`)━━━━━ン
こういうのもいいっすねぇー!!
53 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/18(水) 04:22
面白いのはわかるけど落としとこうよ
54 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/18(水) 09:08
ずっとやり続けてください
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/19(火) 04:35
続ききぼん
56 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/14(日) 23:27
皆様こんな駄文を読んでいただきありがとうございます
実は続編を書いている最中に「何とかレンジャー」の話を聞いて・・・
最早どうやってもコメディーにしかならなくなったのでその話は廃棄しました(;´Д`)
代わりに折角乗っ取ったスレなので無理やり作った話を・・・
57 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/14(日) 23:28
「というわけで〜さん、国民的アイドルグループのメンバーが失踪したと言うニュースは・・・」

「やはり周囲のプレッシャーなどから・・・」

「関係者からの情報によると、彼女には男性の噂などなかったようですが・・・」

   ぷちん

面白おかしく騒ぎ立てるワイドショーに辟易し、TVの電源を落とす。
番組の収録はお昼から、それまでのんびりテレビでも見ようかと思っていたら気分の悪くなる内容ばかりだった。
58 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/14(日) 23:29
「何にも知らないくせに勝手なこと言ってくれちゃって!」
少し感情的になってリモコンを投げつける。壊れたら面倒だから柔らかいソファにだが。

『モーニング娘。6期メンバー田中れいな失踪!』

このニュースは2日ほど前のスポーツ紙にすっぱ抜かれると、一夜にして日本中を駆け巡った。

「給料問題」「男性関係」「ノイローゼ」「メンバー間の不仲」Etc・・・

さまざまな憶測が飛び交う中、事務所は体調不良とメディア各社に説明を入れていた。

しかし・・・
59 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/14(日) 23:29
「田中と連絡が取れなくなった・・・」

チーフマネージャーからそう発表があったのは4日前のハロー・モーニングの収録が始まる前。

リーダーの飯田が田中の遅刻に青筋立てて

「来たらお説教よ!」

とばかりに楽屋で息巻いていたのを良く覚えている。

しかし、収録開始時刻になっても田中は現れず、何の連絡もないという・・・。
その旨を伝えたチーフマネージャーの苦みばしった表情を見るのが凄く嫌だった。

「とりあえず今日はこのまま収録を行って・・・」
その表情のまま彼は段取りを進めていく。

田中抜きでも番組は成立する、そのための大人数だろう?
そう言う感情がその男の表情、言葉遣いなどに現れていた。

この人たちは田中や自分を含め、ここに居るみんなを商品としてしか扱っていない。
そんな現実を垣間見てしまったようで不快な気分になった。
60 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/14(日) 23:30
「あーあー、気持ちよさそうに寝ちゃって・・・」
視線を自分のベッドに移し、ポツリと呟く。
外は曇り、昼過ぎから雨が降り出すらしい。

――『こいつ』を拾った昨日も雨だった、夏ももう終わりを告げ、暑さを一気に流してしまうような大雨の日だった。

――夕方に自分のマンションに戻ると、玄関にうずくまる小さな体・・
61 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/14(日) 23:31
「そこは私のベッドなんだけどなぁ・・・」
ちゃぶ台で昨日の飲み残しのペットボトルのお茶を飲みながら自分の腰をさする。
昨日は『こいつ』にベッドを占領されたので床で寝たのだ。

――びしょぬれの服、いたるところに擦り傷を負った体・・・

ふと壁掛け時計に眼をやる、時刻は11時ちょっと前、そろそろ準備に取り掛からなくてはいけない。

――あわてて携帯電話を取り出そうとしたら、急に押し倒された。

「そんじゃ私はお仕事行ってくるけど・・・」

――声にならない声、すがるような眼、びしょぬれで泥だらけの髪が顔にかかる。
62 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/14(日) 23:32
「おとなしく待っててね・・・れいな」

――髪の合間に見えた・・・猫の耳、スカートの中からチラリと覗いた尻尾・・・
63 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/14(日) 23:33
不定期短編物語

【今日も休み!ネコはイイね。】
64 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/14(日) 23:37
というわけで今回は予告編みたいな感じです
やっぱこの二人のえちーやつ書いたら犯罪になるのかなぁ・・・(;´Д`)
65 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/15(月) 09:16
えっ・・。なちりか凄く良かったからメチャ楽しみにしてたんですが。
作者さんの気持ちが萎えたのなら仕方ないですね。
もしまた、盛り上がったらなちりかごまかいてください。
66 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/15(月) 13:25
とりあえず昨日、ネコ娘。となった田中れいなを拾ったあと亀井絵里は事務所に連絡を入れた。

いや、正確には入れようとした。

携帯電話を持った瞬間に田中が凄い形相で暴れだしたのだ。
言葉は喋らない、フギャーとかギニャーとかの叫び声を発しながら絵里の携帯を奪おうとする。

いくらなだめてもまるで言うことを聞かない。
67 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/15(月) 13:26
「ね?れなの事心配してる人がいっぱい居るんだよ?」
「・・・・」
「その人たちのこと安心させてあげようよ」
「・・・・ムギャッ!」

こっちの言葉は解っているらしく、絵里がなだめるたびに首を横に振っていやいやをする。

「ん〜、埒が明かないな・・・とりあえずお風呂は入ってきな?風邪引いちゃうよ?」
「フギャー!」
絵里の考えなどお見通しらしく、携帯電話を指差しながらネコ語でまくし立てる。

「レナがお風呂に行ってる間に電話する気やろ!そうはいかんと!」
田中が人間であったならそんな感じであろうか・・・。
68 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/15(月) 13:28
とりあえず田中は絶対に他人に自分のことを知られたくないらしい。

「もぅ!さゆもダメ?あの子すっごい心配してたんだからね?」

自分達と同期の少女・・・。
あの日、マネージャーの説明を聞きながら両手で顔を覆って蹲ってしまったピンクのワンピース。
道重さゆみはその日の収録中ずっと表情が曇っていた。

「・・・うにゃん・・・・」
少し考えごとした後に、申し訳なさそうな表情で首を縦に振る。

(うっ・・かわいいかも・・・)
ネコ耳に尻尾、そして困ったような上目遣いはかわいいもの好きな絵里のハートをくすぐる
69 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/15(月) 13:29
「もぅ・・・それじゃケータイを渡すから、お風呂に入ってきて!」
「にう〜・・・」
うれしそうに差し出された黄色い携帯電話を受け取って風呂場に向かう。
尻尾をピンと立てた後姿は上機嫌の証拠だった。
このマンションは絵里が中学を卒業したときに親と相談して借りた部屋だ。
同期の田中や道重、同い年の新垣などが何回か遊びに来ていた。

固定電話は引いておらず、連絡手段は携帯電話のみとなっている。
そのため、そのことを知っていた田中は安心してシャワーを浴びに向かったのだった。
70 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/15(月) 13:33
「でもこのまんまじゃ・・・いけないよね・・・」
収録のあるスタジオに向かう途中、絵里は考えをめぐらす。
昨日あのあと色々やってみた。

「言葉は理解できるんだよね?」
「にゃ」
「それじゃ、この紙に何でネコになったのか書いてよ」
「にぅ〜・・・」
ボールペンと紙を渡し筆談を試みたが、田中の書く文字は幼稚園児以下の文字で解読不能だった。
というより文字ではない曲線が踊り狂っていた。
辛うじて一番最初にでかでかと書かれた「え り」という文字は理解できた。

その他にも携帯で文字を打たせてみたら意味不明の文章になったり、新聞で切り抜きコラージュを
作らせようにも結果は同じだった。

結局昨日はあれこれと試行錯誤しているうちに夜中の2時を回ってしまい、
田中が力尽きるように絵里のベッドに丸まってしまった為収穫はゼロだった。

「もう!バカ猫・・・」
何とか絵里も引き起こそうとするが無理、結局床で寝る羽目になってしまった。
71 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/15(月) 13:39
もうレスが!有難うございます。なちりかに関しては
「(´3`)〜♪需要なさそうだし、いっかな〜」
とか考えていたのですが、同志がいたのならまた今度書くとしますかな。
今回のは短編コメディなのでそれが終ったときにでも

(´_ゝ`)ノシ それではまた次回
72 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/15(月) 15:12
見つけてしまいました!猫れいにゃ!(;゚∀゚)=3
この二人のえちーやつですか!?
ちっとも犯罪ではありませんw期待してしまいます!!(*´Д`)/ヽァ/ヽァ
73 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/17(水) 00:52
隠れスレにあんまレスつけないほうがいいかなとか思ってただけ
なちりか歓迎
つーかこの話も萌えまくりでございます 愛くるしい
74 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:43
「でも・・・」
ふと、足を止めて考え込む。
少し早めの昼休みのOLの一団がハンドバッグを片手に昼ご飯を買いにわいわいと通り過ぎる。

このまま仕事場でマネージャーに田中がネコ娘になったことを伝えていいものか・・・。
この業界に入ってから一年と少し・・・。
事務所の無茶なやり方は身にしみて実感している。
過密なスケジュール、少女にあざとい衣装を着せて年不相応な歌詞の曲を歌わせる・・・。

そして何より、絵里が加入してからの初めての仕事はブルセラまがいのビデオ撮影だった。
75 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:46
「お疲れ様でした〜」
絵里がぼけーっと田中の事をどうしようか考えている間に今日の撮影は終了してしまったらしい。

(あらら・・・もう終っちゃった)
これも大人数グループのなせる業であろうか、バラエティ番組で一言も喋らないメンバーがいても問題は発生しなかった。
悔しいが、あのマネージャーの考え通りに自体は進行している。
考えたくないが、このまま事態が収束していくにつれ、人々も田中のことを忘れていくかもしれない・・・。
そんな気持ちがふと絵里の心に去来した。
76 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:47
「絵里、ちょっといい?」
「さゆ・・・うん」
『お疲れ様でしたー』と周りに声を掛けながら楽屋に戻る最中に呼び止められる、同期の道重だった。
女の子らしいひらひらの衣装とツインテールにした黒髪がちょこんと曲がり角で絵里を待ち受けていた。

「う・・・うん・・」
「・・・・」

二人とも無言で楽屋へと歩く・・・。
通り過ぎるスタッフには笑顔で対応するが、二人っきりになると表情が暗くなる。

「さゆ・・・?」
「・・・・」
「ねえ、何か用事があったんじゃないの?」
「絵里今日元気なかったよ・・・やっぱりれいなの事・・・?」
「うん・・・そりゃ心配だよ・・・」
やっとこ口を開いた同期の質問に絵里はやっぱりか、と思いつつも自分の気持ちに正直に答える。
恐らく田中の行方を心配している道重とは質の違うものであろうが・・・。
77 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:49
「ねえ、絵里?」
「ん?」
「もうそろそろ一週間・・・たつよね・・・」
くるりと振り向き、道重が首を傾げ尋ねる。その表情は今にも泣き出しそうだ。
表情とは裏腹に「ふわり」と言う擬音がぴったり来る感じで頭のツインテールが軽快に宙を舞った。

「うん・・・そうだね・・・」
暗い表情の道重に何も言えず、生返事だけが口をついて出てくる。

(本当は私が励ましてあげなきゃいけないんだろうなぁ・・・)

道重が絵里を呼び止めたのは『田中れいなが無事である』という確証が欲しかった訳ではない。

それは絵里にも解る、道重は二人で「田中は無事だ」という励ましの言葉を交わしたかっただけなのだろう。

しかし絵里はそう言うことが気軽に言える状況じゃなかった。

泣き出しそうな親友の顔を見ていると本当のことを言って田中との約束を破ってしまいそうになる。

本当のことをいえたらどんなに楽か・・・
78 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:49
――れいなはね、今ウチにいるんだよ――

この一言さえ言えば目の前の親友を苦しめている感情は吹っ飛んでしまうだろう。

でも・・・出来ない。

(昨日れいなはさゆにも言っちゃダメって言ってた・・・)
すがるような田中の目が頭にフラッシュバックしてくる。

悩んだ挙句に苦渋の決断で首を縦に振った・・・。

楽屋に二人で戻った後も絵里の脳裏から田中と道重の表情が消えることはなかった・・・。
79 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:51
「予想はしてたけど・・・やっぱり・・・」
「にゃ〜ん♪」
「ただいま・・・にゃん・・・」

あれこれと考え事をしながら家にたどり着く。
それこそ「いっそのこと誰かに話して解決策を話し合おう」とか真面目に考えていた。

しかし・・・その悩みは自宅のドアを開けた瞬間にどこかへ行ってしまった・・・。

そんな絵里を自宅で待っていたのは悩みの張本人=田中れいなと世紀末的様相を呈したキッチンであった。
田中は尻尾を軽快にふりふりしながら嬉しそうに絵里に飛びついてきた。

おそらく・・・牛乳と思われる液体を頭からかぶった状態で・・・。
80 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:51
「ねえ、れいな・・・字は読めるんだよね?」
「うにっ!」
「じゃあここになんて書いてある?『パンを置いていくから勝手に食べてて』って読めないかなぁ・・・」
「にぅ〜・・・」
「まったく・・・」
体中牛乳まみれのネコ娘を体からひっぱがしながら改めて惨散たる状況を視認する。

(あちゃー・・・明日休みでよかったよ・・・)
今晩は遅くまで後始末に追われそうだ。

「とにかく・・・無茶な真似はしないの、いい?」
「・・・・・うに」
尻尾をくるくる丸め、ネコ耳をぺたりと折り曲げて反省する。
81 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:52
(うっ・・・可愛い)
そのしぐさがあまりにも可愛いので絵里は顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。

「と・・・とにかく!後始末しておくからお風呂に入ってきなよ」
「うにゃ」
無言で右手を出す、恐らく携帯電話を出せという意思表示だろう。

「はいはい」と鞄からお望みのものを手渡してあげる。

「・・・・・」
「なに?これじゃないの?」
『今度は何?』といった感じで無愛想に聞く、その表情に気圧されたのか田中は首を横に振り、おとなしくバスルームに向かっていった。

「なんなの・・・?」
絵里はその寂しそうな背中を見守っていたが、黙示録的状況のキッチンを何とかするために上着を脱ぎ、腕まくりをして現場に向かった。
82 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/20(土) 02:55
「あれ・・・これって・・・」

――ねえれいな、私クリームシチューがこの季節食べたくなるんだぁ〜。

食卓の上には料理の本が牛乳まみれで開かれていた。

――え〜、私だけ〜?・・・そっか、れいなあんまり好きじゃなかったんだっけ。でも私が作ったんだから残さず食べてよね。

昔、自分の家に遊びに来た田中に不評だったクリームシチュー・・・。

「おいしい・・・」

恐怖の最終章的な状況の中において、田中の作り上げたクリームシチューはひっそりと絵里の帰りを待っていたのであった。

「もう・・・バカ猫・・・本当にバカ・・・」

辛うじて読める字で「えりへ」と3文字だけ書かれた紙切れをくしゃりと握りつぶす。

田中れいなの作ったクリームシチューの味は――味付けの所為じゃない――少ししょっぱかった。
83 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/20(土) 03:00
こんな時間に目が覚めてしまったので更新です
ちなみに『亀井さんがクリームシチューが好きで田中さんが苦手』
という設定のソースは作者の脳内です。

あと3〜4回の更新でこの話は終りそうです。ストックないんだけどね(;´Д`)
この話が終ったらなちごまりかの話に戻りそうです。
84 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/23(火) 23:17
軽く涙出ましたw
かなり(・∀・)イイ!!
85 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:00
「んんっ!・・・はっ・・・ご、ごっち・・・」
「気持ちいい?なっち?」
「んっ!・・・はっ・・・うん・・・」
「えへへ、よかったぁ」

場所は変わってここは安倍の家、亀井絵里がシチューの後始末を終えて眠りについた頃、
恋人の後藤真希と安倍なつみは愛の営みを行っていた。
86 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:04
「ねえ・・・なっちこうされるの好きだったよね?」

そういいながら後藤は安倍の太腿の間に顔を埋め、敏感なところに舌を這わせた。

「あっ・・・ダメっ!そんなの汚な・・・ああっ!」
「だ〜め♪いいからおとなしくされちゃいなさ〜い」
両手で頭を抑えて一応の抵抗はする。
しかし後藤の方が腕力に勝るために太腿を抱えられたまま、両手を鷲?みにされて抵抗できなくされてしまった。

「なっちここ弱いもんねぇ〜♪」
そのまま後藤の繊細な舌が安倍のクリトリスを重点的に舐る。
安倍のピンク色に上気した体が絶頂が近いことを示していた。
87 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:05
「ああっ!ごっち・・・ん・・・もうダメェッ!」
抱えた安倍の足が引きつる、限界一歩前だ。
付き合ってまだ二月ほどだが、若さに任せて何度も後藤は安倍を攻めていたために、この限界のサインは熟知していた。

「だぁ〜め♪まだダメだよ、なっち」
「ふぇ、ごっちん?」
すばやく後藤は安倍の股から顔を挙げ、「にやり」として・・・

「ごとぉ〜のも気持ちよくして。ね、一緒にイこ?」

『自分自身』を安倍の前に突き出してせがむ。普段のクールな表情が恥じらいに紅く染まる。
88 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:06
「ん・・・うん、ごっちんは甘えたさんだね」
「なっちだけだも、ひゃっ!・・・あ・・・ん・・・」
吐息交じりの安倍のからかいに抗議しようと思った瞬間、安倍の親指の腹に太腿をなぞられる。

「すごい・・・ごっちんもうこんなになってる」
「やっ、言わないで!」
「ごっちんてばエッチなんだね〜」
恥らったままの後藤に「お姉さんなっち」がからかい続ける。
安倍の言葉に顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった後藤だが、大事なそこからは泉のように溢れてくる。

「だって・・・なっちが可愛くって・・・」
「ふぇ・・・?」
「なっちの声や仕草が可愛くって我慢できなくなっちゃったんだもん・・・」
「ばっ・・・何言ってるんだべ」

不意に後藤の口から出る反撃の言葉、さっきまで年下の彼女に良い様にされていたことが脳裏によぎる。
89 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:07
「本当のことだもん・・・フフン」
「そんなこと言う子は・・・」
「ひゃっ!だ・・・やめ・・・ん・・・はぁ・・・」
一瞬勝ち誇った表情を見せたが安倍の文字通りの『口撃』にシーツに顔を押し付けて言葉が続かない。
後藤の「ンッ・・・ンッ・・・」という甘い喘ぎ声と安倍の指と唇で攻め立てるクチュクチュ・ジュルジュルといった卑猥な音が
しんとした暗い部屋に響き渡る。
90 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:08
「なっちぃ・・・もうダメ・・・ね?いいでしょ?」
「うん、ごっちん。おいで」
先ほどの安倍と同じくらいにピンク色に上気した体を正面に向きなおし、上目遣いでおねだりする。
安倍も後藤の両手に絡めて、足が入りやすいように太腿を開いて腰を浮かす。

両手の指を絡めて体を密着させる、胸の先端が互いの体に触れるたびに甘い電流が走った。
暫く抱き合ったままでじっと動かない、『ふわり』と鼻先で茶色いセミロングが舞う、自分と同じシャンプーの臭いに幸せを感じる。
91 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:08
「なっち・・・」

「ん・・・ん?」

「・・・・・大好きっ!」

「なっちもだよ・・・ごっちん・・・好き」
92 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:09
抱き合って後頭部から聞こえてくる愛の告白に体が熱くなる。

今まで何度も言い合ってきた言葉。

でも、言い過ぎてしまうことのない言葉。
93 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:09
「ねえなっちぃ、キスしよぉ」
相手の同意もまだ得ていないのに一方的に舌が侵入してくる、了解の合図として自分も舌を絡めた。
わざといやらしくピチャピチャと唾液を絡ませ、時に唇を強く吸う。

「ごっちん・・・」
「ん?」
「来て・・・お願い」
「うん・・・」

やや傾きかけた月明かりに照らされたセミロングとショートカットのシルエットが小刻みに揺れだした。
94 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:10
「ひゃっ!・・・」
「に〜?・・・・」

その朝、亀井絵里は頬に不快な生暖かさを感じて飛び起きた。
昨夜は田中の感動的なシチューを食べたあと、その感動の後始末に追われ、寝たのは12時を過ぎたあたりだった。

今日は休み、もっとゆっくり寝ていたかったのだが・・・。

「ど・・・何処舐めてるのよ!もぅ、バカ猫!」
「ふみゅ〜」

同居している猫娘の生暖かい舌の洗礼によって余り清々しくない目覚めを覚えたのであった。
95 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:11
「全くぅ・・・どうしたの?お腹でも減ったの?」
「にゃん〜?」
気だるそうに目をこすりながら田中に向き直る、チラリと目をやった壁時計はまだ5時前だった。

「もぅ〜、絵里は昨日もお仕事で疲れてるんですぅ!もう一寸寝かせてくださいれいなさん、わ か り ま し た か ?」
睡魔と闘いながら渾身の力で嫌味を言い放つ、それを聞いた田中の顔のひげがしょぼんと垂れ下がる。
何も言えなくなった田中に『全くぅ』といった態度で背を向けて布団をかぶった。

(ん・・・・ヒゲ?)

がばりともう一度起き上がって田中の顔をまじまじと見つめる。
96 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:11

「ヒゲ〜〜〜〜!!!???」

「ふぎー!」
97 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:12
突然大声を上げた絵里に対抗して田中も大声で威嚇する。
窓の外では早起きのセミ達が残り少ない夏を謳歌していた・・・。

「ねえ昨日はコレ生えてなかったよね?」
「ににぅ〜♪」
「どうしたの一体?なんなの・・・コレは・・・」
「にゃ〜ん♪」
「って・・・・聞いてない?もしかして・・・」

『猫化が進んでる』
98 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:13
とりあえず昨日までは書いてある文字も理解できたし、絵里の言うことにも応じていた。
しかし、今の田中は絵里が何を言ってもちっとも理解していない。

足で顔をぽりぽり掻いたり、四つん這いになってゴロゴロしたり・・・

このまま行くと完璧に猫になってしまうかもしれない。

「何とかしなきゃ・・・今日の休みを使って・・・なんで猫になっちゃったのか調べないと・・・」

だんだん明るくなっていく東の空をボーっと見つめながら、おぼろげに今日の予定を立てる絵里であった。
99 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:14
「ん・・・・ふぁ・・・」

「おはよう、ごっちん」

――またもや場面は打って変わって安倍の部屋に――

「ん・・・おはよう、なっち起きてたの?」
「うん、ごっちんの寝顔可愛かったよぉ?」
「んぁ・・・おフロ入ってきたんだぁ・・・」
「うん、コーヒー淹れたよ、ごっちんも飲む?」

キッチンから流れてくる香ばしいコーヒーの香り、食卓の上は絵里の家ほどではないがごちゃごちゃと散らかっていた。
100 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:16
(んぁ・・・昨日の晩なっちを押し倒しちゃったんだっけ・・・)

頭にタオルを巻いてバスローブ姿の安倍がいそいそと食器を片付けている。

(むふふ、なっち可愛かったなぁ・・・)

乱れた自分の格好と、乱暴に脱ぎ捨てられた服が生々しく愛の軌跡を物語っている。
先ほどの激しい愛の行為のあと、几帳面な安倍は汗を流しにシャワーを浴びたが、がさつな後藤はそのまま寝てしまったのだ。
101 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:16
「うん・・・少し勿体無い気がするけど、まあいいや飲む」
「何それぇ〜?コーヒー豆くらい別にケチケチしないよぉ」
「いや・・・なっちと一緒におフロ入りたかった・・・なんてねぇ〜」

パジャマ(備え置き)の前をはだけ、愛の行為の余韻を残したままずるずるとベッドから這い出る。
本心を言えばこのまま寝続けるか、もう1ラウンド・・・と行きたい所だが、
折角恋人が淹れてくれたコーヒーなので御馳走になることにした。

「ちょ・・・ごっちん!パジャマくらいちゃんと着なさい!」
「えへへ、なっちぃ、興奮しちゃう?」
「バカなこと言わないの、なっちはごっちんみたいにいきなり襲うなんてことしません」

ぴしゃりと言い放つ安倍に「むー」と口を尖らせて抗議する。
一口飲んだコーヒーが寝ぼけた頭に心地よく香った。
102 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:17
「だってさぁ・・・今日のなっち・・・すっごい元気なさそうだったし・・・」
「ごっちん・・・」
「不安げで壊れそうななっちを見てたらぎゅーってしたくなって・・・それに・・・」
「・・・・それに?」
そこまで行ってまたコーヒーを一口、東の空は日の出前の青が広がり始めていた。

「気持ちよかったでしょ?」
「ぶっ!・・・急に何言うんだべか、この子は全く!」
いたずらっ子のように笑った後藤とは対照的に顔を真っ赤にしてコーヒーを噴出す安倍。
103 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:18
「ねぇ〜恥ずかしい〜わぁ〜♪」

赤い顔でいそいそとコーヒーを拭く安倍を尻目に、ダイニングから朝日を見つめ鼻歌を口ずさむ後藤。
彫りの際立った横顔が朝日に照らされて紅潮する。

「モーニング・・・か・・・」
その歌を聴きながら安倍はまた複雑な面持ちになってしまう。

「なっち・・・昨日元気なかったのはまだ梨華ちゃんのこと・・・?」
「ううん、違う。もう梨華ちゃん落ち着いたみたい・・・」
昨晩一緒に食事をしたときと同じ表情で黙ってしまった安倍を心配そうなまなざしで見つめる後藤。
石川とのことがまだ心にあるのかと思い、軽い嫉妬を覚えた後藤は夕食の後片付けもそのままに押し倒してしまったのだ。
104 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:19
「考えてたのは・・・れいなのこと・・・」
「んぁ?田中ちゃん?どーかしたの?」
コーヒーカップを口につけ後藤の方は見ずに俯いたまま言う。
石川のことは確かに重く心に圧し掛かっているが、今は田中のほうが心配だ。

この前、ハロモニの収録のときに失踪のことを知らされた。
このことを知っているのはメンバー以外、一部のスタッフと・・・司会者の安倍。

「ええええ!体壊したんじゃないのぉ?」
「うん・・・」
「何で早く教えてくれなかったのさぁ!」
「教えようと思ったら押し倒された」
「あ・・・えへへ」

急に大声を上げて立ち上がったと思ったら照れ笑いを浮かべまた椅子に腰掛ける。
105 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2004/11/25(木) 03:20
(こういう百面相も魅力の一つだね)と、安倍は思う。
目の前の恋人が本当に愛おしく感じられた。

「んで、いつから?田中ちゃんいなくなったの」
「恐らく・・・5・6日前、約一週間だね・・・」
「ん・・・?一週間?」

ぴくりと眉を上げ考え込む、新聞配達のスクーターのエンジン音が短く聞こえる。

「モーニング卒業してから、あんま会ってなかったから解らないけど・・・何か悩んでたのかなぁ・・・」
「確かそのくらい前に・・・『二人ゴト』の撮影で一緒になったような・・・」
「本当かい!?何か・・・変わった様子は・・・?」

「う〜ん・・・あ!そういえば!」

外は日がすっかり昇った青空、秋晴れには少し早い陽気にセミの最後の愛の歌が響き渡っていた。

106 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/25(木) 03:27
さあ、今回はエロを含んでいたので落としました。
この話も次回で恐らく最終回!
まあストック無いからどうなるかわかりませぬが・・・(;´Д`)
今回少し多めに更新したのは次のお話(=石川さん騒動のオチ)を思いついたからです
かなり強引ですが・・・('A`)

次回・・・!ついに・・・れなえりのエロが!止めるなら今のうちですぞ!
107 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/25(木) 03:32
思ったより多くの方が読んでいてくれたようで、生意気にも個別レスを

>>72
ヽ(;´Д`)ノ次回、ついに猫れいにゃの秘密が

二人のあられもない姿とともに白日の下に・・・ _| ̄|○

>>73
なちりかはこの次です、乞う御期待!
ちなみにレスくれると作者のパラメーターに「妄想増加量+」が付きます。

>>84
こんな話に涙してくれるなんて!
(´Д⊂ヽこっちが涙出ました。
108 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2004/11/25(木) 03:40
ここでチラシの裏的な話を・・・。

今回のお話を読んでくださった方は解ると思うのですが、作者は「なちごま」ヲタです。
そして石川さんもかなり好きです。

まあ所謂「黄金厨」ってやつですな。

安倍さんのあとを亀井さんが、後藤さんのあとを田中さんが、そして石川さんのあとを道重さんが
継承して行ってくれればいいなぁ〜とか思ったのでこの話を書き上げ((´ー`)y─┛~~まだ未完ですが)ました。

実はこの話には作者のそういった身勝手な妄想が含まれていたのです。

それでは次回、最終回(予定)でお会いいたしましょう!

(´_ゝ`)ノシ
109 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/25(木) 08:39
れなえり濡れ場の(゚∀゚)ヨカーン!!
作者さん、止めませんよw
110 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/26(金) 22:43
ヒゲ〜〜〜〜!ヒゲれいにゃ
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!

…どうも、取り乱してしまいまして。
今回はその上なちごま(;゚∀゚)=3で最高のスレになっておりますな。
GJ!
111 名前:読み屋 投稿日:2004/12/04(土) 03:13
いやぁなんかこれいいねぇ
ネコ大好きなのでニヤニヤしながら読んでたんですけど
未だに分からないことが・・・
れいなってなんでネコ?w
112 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/21(火) 00:07
かなり楽しみなんで応援してます!
作者さんがんばって
113 名前:(;´Д`) 投稿日:2005/01/25(火) 06:12
皆様長々と放置して申し訳ありませぬ
新人研修と年末年始のおおわらわで更新できませんでした。
挙句にはプロバイダ契約が入金していなかった為に切られる始末。
本編は明日更新しますので、今日はさっき思いついたくだらない話でお茶を濁します
114 名前:魁!新垣塾! 投稿日:2005/01/25(火) 06:14
「ふふふ・・・私をここまで本気にさせたのはあなたが初めてですよ」
「ふん・・・つべこべ言わずかかってくるがいい」
円形の闘技場の中央では二人の人影が対峙している。
二人の間にはヒリつくような緊迫感、常人なら立っていられぬほどの殺気が漂う。

一陣の風が舞う、それが引き金となり片方の人影が宙に踊る。
「はぁぁぁぁぁ!燃え尽きろぉぉ!」
宙から手をかざす、その刹那地上の人物が炎に包まれる!

円形闘技場の外から成り行きを見守っていた新垣塾の一号生棚樫(たなかし)が悲痛な叫び声を上げる。
「塾長ぉぉぉぉ!」
「よせ、棚樫!わしらが行ってもどうしようもないんじゃぁぁ」
「は・・・はなせ亀丸!塾長が死んじまう!」
必死に制止する亀丸も思いは一緒だった、あふれ出る涙を隠そうともしない。

「ふっ・・・バカ共が・・・何か勘違いをしておるようだな?」
「!!」
「ナチ先輩!」
狼狽する二人の横に、普段と変わらずに立ち尽くす三号生筆頭 大豪院ナチの姿があった。
115 名前:魁!新垣塾! 投稿日:2005/01/25(火) 06:15
「あの人は貴様らが思っているほど軟弱ではないわ!」
そう言い放ち闘技場を指差す・・・その先には

炎がゆれた、次の瞬間火傷一つない塾長の姿が現れた。

「わしが新垣塾塾長!垣島(ガキジマ)平八であーる!!」
「なっ!」
先ほどまで勝ち誇った表情を浮かべていた対戦相手の炎使いも驚愕の表情を浮かべている。

「今度はわしの番じゃな・・・」
「あ・・・あああ・・・」
形勢は逆転した、塾長は静かに精神統一を始める

「邇威邇威羅武羅武・・・・邇威邇威羅武羅武」
遠目からも塾長の頭の上のほうに光が蓄積されていくのが見える。

「む・・・チベットの奥地に伝わるチャクラ統一法・・・まさかアレは・・・魔融解微威無(まゆげびいむ)」
「知っているのか!重電(しげでん)!!」
116 名前:魁!新垣塾! 投稿日:2005/01/25(火) 06:15
魔融解微威無・・・

眉間のチャクラにすべての気を集中させ放つ一撃必殺の奥義

嘗てチベットの山奥では善良な村人が山賊に襲われる事が多かった。

その悲惨な有様を見た旅の修行僧が心を痛め山賊退治を買って出た。

いよいよ山賊が村に来襲した折、修行僧は破邪の念をこめた気を眉間に集積させ、
100人以上の山賊を一瞬で壊滅させた。

以降この地では眉毛が神聖なものとされる風習が今に伝わる。

なお余談であるが、日本のやくざが眉毛を好んで剃り落すのは、丸腰をアピールする為とする説もある。
民明書房刊『チャクラ・人体の神秘』より
117 名前:魁!新垣塾! 投稿日:2005/01/25(火) 06:18
「まゆげ・・・・びぃぃぃぃぃぃぃむっ!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
塾長の眉間から放たれた凄まじい闘気により炎使いは吹き飛ばされる、決着はついた。

「さ・・・流石じゃぁぁぁ」
「わしらの塾長は無敵じゃぁぁぁ!!」
先ほどの涙をぬぐいもせずに棚樫と亀丸は大喜びだ。

「わしが新垣塾塾長 垣島(ガキジマ)平八であーる!!」

魁!新垣塾 第238話 「勝利の魔融解微威無」 完
118 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/01/25(火) 07:22
>>109
書いててかなり自己嫌悪に陥りました、止めてくれた方が良かったかも

>>110
ヒゲがツボ?Σ(゚Д゚;)
二人の年齢もあってなちごまはかなりエロが書きやすいと思います
安倍さんが受けで後藤さんが攻めと言うキャラが確立している所為かも

>>111
その理由はかなり下らないので今のうちに投げつける石を用意しておくことをお奨めします

>>112
(´Д⊂ヽがんばりました、かなり好きになっていただいて感謝の雨霰です
119 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/25(火) 13:25
ハゲワラ
120 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:21

「え〜っとぉ、ここがれいなのお家だから・・・手がかりを探すならこの辺からかな・・・」
「ナァーン」
「あ、また零してる!もぅ、ちゃんとそれ位普通に食べてよぉ」

夜も明けてすっかり日も高くなった午前8時頃、二人を包む世間はお構いなしに慌しくなっていった。
絵里はヒゲの生えた田中にすっかり目がさえてしまい、近所のコンビニにかなり早めの朝食と付近の地図を買いに行き。
今日一日の計画を立てていたのだが・・・・。

「ニーニー・・・」
「ああ、もうっ、ちょっとぉ!拭いてるそばからひっくり返さないでよぉ」

いくら言っても効果はない、昨日までなら絵里の言葉は田中に通じていたはずが、今日は全く反応なしなのだ。
牛乳に浸したコーンフレークの皿をひっくり返して、自分もそこに浸っていた。

「もぅっ!こっち来なさいぃっ!」
121 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:21
自分の部屋の床とお気に入りのタンクトップを牛乳まみれにされ、絵里もいい加減腹に据えかねたのか
寝っ転がる田中の手をむんずと掴んで風呂場に引っ張って行こうとしたが・・・。

ごろごろと床に転がって背中を掻いているためになかなか進まない。
牛乳まみれの床に・・・。

一向に進展しない事態を打破すべく絵里は田中の両足を掴むとそのまま風呂場に引き摺って行った。
絵里の部屋はフローリング張りのために滑りやすく、非力な絵里でも女の子一人くらい引きずるのは不可能ではなかった。

・・・無論容易いことでもなかったが。

(はぁ・・・大変、子育てってこういうものなのかなぁ・・・)

絵里が田中を引きずってリビングを出た頃、二人を待つ風呂場では昨日の晩に置き去りにされた絵里の携帯が
持ち主と同居人(猫?)の出す騒音に、自らの着信音が敗北したことを悟り、呼び出しを諦めていた。
122 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:22
同時刻・安倍宅

呼び出しのコール音が30回を超えたところで諦めて電話を切る。
目の前には朝食の残骸、それにおかわりのコーヒーカップを両手に持った恋人。
目覚めに飲んだコーヒーを温めなおして、食後にまた飲んでいるのだ。
「ダメだぁ、出ないよ」
「ん〜、この時間じゃまだ寝てるかもねぇ・・・」
「8時だから・・・起きてると思うんだけどなぁ」
斜め向かいの椅子に腰掛けながら右手に持ったコーヒーカップを手渡される。
『ありがと』と受け取りながら、左手に持っていた携帯電話をかたん、とテーブルの上でたたむ。

「他の子は?道重ちゃんだっけ?」
自分の分のコーヒーを冷ましながら後藤が視線を向ける。
外からの風が茶色いセミロングを揺らす。
「ん〜・・・シゲさんは後でカオリから連絡してもらおうと思う」
「そ・・・」
興味なさ気にそう呟くと、少しさめたコーヒーを「ずずっ」と啜る。
123 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:22
「む〜?なんか言いたい事があるなぁ?」
「別に・・・」
「ウソ、ごっちん分かりやすいもん。顔に出てる!」
「・・・・・」
表情は笑っていたが、「言葉の内容は反論を許さない」といった感じである。
片方の眉毛を少し吊り上げて「ん?」といった感じだろうか。

お姉さんモードになった安倍にやれやれといった感じでカップを置く。
『この人には敵わないなぁ』
と、心の中で呟き、自分の不機嫌の理由を口に出す。

「いや・・・何で亀井ちゃんの電話番号だけ知ってるのかな・・・って」
「ふぇ?だってそれは・・・」
「さくら組で一緒だったのは分かるけど・・・ちょっと不安なんだもん・・・」
「ごっちん・・・」
そこまで言うとすねた表情をして視線を逸らしてみた。
視線の先には安倍がモーニング娘。を卒業したときにメンバーから送られた寄せ書きと集合写真が飾ってある。

たくさんの花束を抱え、涙ですっかり化粧の崩れた安倍を中心に撮られた一枚。

その横にぴったりとくっつく金髪と・・・黒髪・・・。
124 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:23


『やぐっつぁんは判るけどさぁ・・・何でその反対側がカオリじゃなくて亀井ちゃんなのさ・・・』


125 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:23
「んもー、ごっちんは甘えん坊さんだねぇ」
むすっとして写真立てと睨めっこをしていると、ふわりとした甘くて柔らかい感触に包まれる。
「だって、なっちもてるんだもん」
拗ねた態度を崩さずに、足をばたばたさせながらそう言う。

「亀井ちゃんなっちのこと好きっぽいしさぁ、そりゃ田中ちゃんもどっかいっちゃうよ」
「ごっちん、そう言う事言わないの!」

いじけながら甘える恋人を耳元で窘める。
「なっちはね、いっつも・・・いつまでもごっちんと一緒だよ」
「なっちぃ・・・」

首に回された手を下からぎゅっと掴み、肩に乗せられた頬に軽く口付けた。

「それに、ホラあんだけなっちを独り占めして。罰当るよ?」
「まだ足りないもーん」

みんなで撮った娘。最後の写真。
その周りには安倍と後藤の2ショットのプライベートフォトが所狭しと飾られていた・・・。
126 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:24
〜一方その頃亀井宅では〜

「ムギャー」
「ちょ・・・おとなしくしてよぉ!」
脱衣所で暴れまわる田中の服を脱がそうと必死で押さえつける絵里の姿があった。

「ちょ・・・そんなに暴れたら破けちゃうって〜!」
「フギー」
タンクトップを両脇から一気に上に脱がそうとする絵里に対し、田中は蹲って抵抗を見せる。
その結果、絵里のお気に入りのタンクトップは裾が大きく伸びてしまうのだった・・・。

「よし、やっと脱げた!」
力ずくでひっくり返して黄色いタンクトップを脱がせる。
少々伸びてしまったものの、思ったより繊維に被害はなさそうだ。
散々暴れた為、足拭きマットは廊下まですっ飛び、きちんと畳んで積み上げられたバスタオルは付近に散乱している。
また、床は掃除しないと確実に牛乳臭くなってしまうだろう。

「にう〜・・・」
「あ・・・」
すぐ目の前には脅えた目をした半裸の少女・・・。
127 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:24
悲しいかな、絵里の着けているサイズでは田中には少々(本当に少しだが)大きかったようだ。
目の前で顕わになった膨らみかけの乳房に、一瞬動きが止まる。
猫耳とヒゲは生えているものの、その面影は自分より一つ年下の田中れいなそのものであった。

「う・・・ごめんね?れーな。でも・・・」
いたいけな少女の衣服を無理やり脱がせていることに罪悪感は有ったが、今日の休みは色々と出歩く予定だ。
猫娘のコスプレでさえ目立つのに、牛乳くさいという嗅覚に訴える主張を見逃すわけには行かない。
耳は帽子で、尻尾はズボンに、ひげは最悪引っこ抜くか切ってしまえばいいと思っていた。

大昔、小学校の頃に先生が言っていた【必要悪】という言葉が頭をよぎる。
これも親友を人間に戻す為と割り切って牛乳まみれのスパッツに手をかける。
足を持ち上げて一気に膝までずり下げると縞模様のショーツが顕わになった。

(うわ・・・でもこれも脱がさなきゃ・・・いけないんだよ・・・ね)
田中が正気に戻ったら何でも好きなものを奢ってあげよう!そう思いショーツにも手を掛ける。
最早観念したのか田中は文字通り脅えた子猫の目をして成り行きに任せている。
128 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:27
(好きにすればよかと・・・犬に咬まれたと思って諦めるけん・・・)

精神年齢猫歳の田中の哀愁漂う表情からはそう言う感情がはっきりと伝わってきた。
まな板の鯉ならぬ脱衣所の猫といったところか・・・。

「・・・・えいっ!」
「!」
「あ・・・・」

眼を瞑って下着を脱がそうと思ったが、どっちにしろ後で見ることになる。
そう思って勢いよく下着をずり下ろした絵里の目の前に・・・
129 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:27


「うそ・・・」


「にぅ・・・」

130 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:28


まさに『生まれたまま』と言う表現がぴったりの田中の『れいな』があった。

131 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/01/27(木) 02:33
(そ・・・そういえば春頃にさゆが言ってたような・・・)

絵里自身も発育は良い方ではなかったが、流石に中学生になる頃には産毛がうっすらと生えていた。
親友の秘密を無理やり暴いたような形になってしまい、少し背徳感が募る・・・。

『れーなってね?絶対にツアーとかでもみんなと一緒にお風呂入らないの』

思い返してみれば・・・
娘。のツアーでもみんなで良く大浴場に行ったりしたが、田中はいつも一人でテレビを見ていた。
みんなが入った後に浴場に行くか、自室の狭いユニットバスを利用していた記憶がよみがえる。

「ミ〜ミ〜」

そんなことはどこ吹く風、牛乳で濡れた衣類から解放された田中は4つ足で尻尾を立てて歩き回ろうとしている。

「あ、ちょっと、こっち!こっちだってば!」

バスルームから半身を乗り出して必死に叫ぶ絵里であった。
132 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/01/27(木) 02:37
はい皆様、大嘘つきの作者です

1絶対更新すると言いながら日付が変わってるし
2濡れ場があると言いながら無いし
3終ると言いながら終わってないし

ヽ(;´Д`)ノ 次こそは・・・次こそは終らせます
ヽ(;´Д`)ノ さらに次のお話はマイナーな「やぐみき」を予定してます

無論エロです(゚∀゚)アヒャ
133 名前:読み屋 投稿日:2005/01/27(木) 02:47
いやいや、そんな自虐的にならなくてもw

そーいえば、作者さんの描く小説に出てくる人物はなんだかみんなカワイイですね
非常によいです^^
次もがんばってくださいね
134 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/28(金) 17:07
パイパン...
135 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/30(日) 21:32
なんてこった…最高じゃないか
136 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 17:37
ぜったい 保全です!!!
137 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 17:39
レスはsageでね。
作者さん、一応落としておきます。
応援してますんで頑張ってください。
138 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:28
「ほーら、れーな。気持ちいい〜?」
「にぅ〜」
「ね〜?牛乳臭いのが取れたし、あったかくて気持ちいでしょ〜?」

そう言ってにっこり笑ってみたものの、蚯蚓腫れになった二の腕と手の甲を見てため息。
いきなりシャワーのお湯を浴びせたらビックリして暴れだしたのだ。
尤も、先ほどの服を脱がせる段階でついたモノかも知れないが。

「はぁ〜、まあでも変なとこ引っかかれなくて良かったかなぁ」
と、風呂場に備え付けの鏡で自分の姿を確認し、今度はほっと一息。

暖かいシャワーに最初は抵抗したものの、田中も心地よさを感じたらしく、今は目を細めて気持ちよさそうだ。
耳がぺたりと折りたたまれ、水を含んだ尻尾がゆらゆらと揺れている。
139 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:28
『バカ猫』が大暴れして絵里もシャワーのお湯を引っ被ってしまった為、絵里も全裸で田中を洗っている。
裸になることには抵抗はあったが、濡れてしまったことに加え以下の理由で自分も脱ぐことにした。

・少し急いでコンビニに買い物に行った為(家で猫化が進んだ田中を放置したくなかった)汗を掻いた
・さっき服を脱がすときに汗を掻いた

そして何より田中だけ全裸で、しかもメンバーにひた隠しにしていた秘密を知ってしまったと言うことは
絵里に更なる後ろめたさを感じさせていた。

恥ずかしさはない、むしろ・・・

(もぉ!ちょっとは隠しなさいよっ!)
先ほどからちらちらと視線が田中の下半身の方に向かってしまう。

まさしく『赤子同然』なそこは、絵里にとって妙に可愛らしく感じられた。

(そんなに足広げてるから気になっちゃうのよ)

とりあえず正対するのはまずい、髪の毛を流す振りをして背後に回る。
140 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:29
「あっ!・・・」
「に゛ゃ?」

膝立ちになったのがまずかった、絵里の露出した敏感なところに揺れる尻尾が触れて思わず声が出てしまう。
思わず手に持っていたシャワーを落としてしまい、がたん、と響く。

「あ!ちょ・・ごめん!」

思わず落としてしまったシャワーのノズルをいそいそと拾う。

(どうしよう・・・私、変な気持ちになっちゃってる?)

お湯に逆上せた訳ではない、絵里の顔は真っ赤だった。
シャワーを拾いなおした手が震える。

上目遣いで絵里を見詰める田中の潤んだ瞳と、ぺたりと折り曲がった猫耳が妙にいとおしく感じられる。
141 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:29
(ああっ!ダメッ!そんな目で見ちゃダメ!)

ふと視線が絡み合って思わず動きが止まった。

「んにっ!」

次の瞬間、田中が短く叫ぶと眼を瞑って身体を「びくっ」と縮こまらせる。

「れ・・・れーな?」

(あっ!)

ふと自分の手元を見ると、シャワーのノズルから発せられた水流が田中の未発達な部分を刺激していた・・・。
142 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:30
「に・・・にぅ〜・・・」

肩を震わせて絵里にしがみ付いてくる小さな猫娘・・・

(どうしよう・・・絶対ヘンだよね・・・こんな気持ち)

普段は勝気で大人ぶっているけど、今の田中は同性の絵里から見ても可愛らしい少女だった・・・

(ダメッ!こんな気持ち今だけよ「イチジノキノマヨイ」ってやつよ)

強く心の中で念じてシャワーを止める、水音の消えたバスルームに微妙な静寂が訪れた。

 どくん・・・どくん・・・

自分の心音が小さなユニットバスルームに響き渡っているように感じられる。

 どくん・・・どくん・・・

肌を合わせてる田中の心音も、しがみ付かれている自分の腰辺りから伝わってくる・・・。
143 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:31
「・・・・」

無言で上目遣いで見詰めてくる猫目・・・

まるで・・・

『・・・・やめないで・・・・』

と、でも言うように・・・。

「れ・・・れいなっ!」

小さな顎に手を掛けて強引にその唇を奪う。

「!・・・んっ・・・」

・・・その瞳に抗うことは・・・今の絵里には不可能だった。
144 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:31
「んっ・・・ふぅ・・・」

絵里が強引に唇を奪うと、田中は暫く驚いて目を見開いていたが、
口腔から発せられる甘美な刺激に身を任せ、眼を瞑ると全神経を唇と舌に集中しだした。

(ん・・・あの漫画と・・・同じように・・・)

絵里もだいぶ猫化が進んでいるザラついた舌と自分のそれを必死で絡ませる。

昔、好奇心から顔を真っ赤にして友人の家で読んだレディースコミックの一場面が脳裏をよぎった。

静かな早朝のバスルームに互いの唾液を求めあう卑猥な音が響く。

「ん・・・んんっ・・・はぁっ」

シャンプーで泡立った互いの肌が擦れ合う、二人のまだまだ未発達な胸の先端が互いの肌を掠めるたびに切ない気持ちになる。
145 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:32



   「ん、れ・・・れいな・・好きっ・・・」


146 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:33
離した唇から本能が呼びかける。
自分でもこんなことを言うとは思わなかった。

ついさっきまで手間のかかるペットくらいにしか思っていなかったのだ。

田中はちょっと気まずそうに視線をはずすと、崩れ落ちるように絵里にその身体を預けた。

無言でそのまま抱きしめて暫く小さな子猫の体のぬくもりを確かめる。

「れいな・・・わたし・・・もう我慢できないの・・・」

田中の返答を待たずにそのまま床に優しく横たわらせる。

小さな身体の表面は粟立ち、肩は震えていた。

「よく見せて・・・?」

小刻みに震える膝を両腕で広げて田中の大事な部分をまじまじと見詰める。

そこはシャワーのお湯とも汗とも違った液体でしっとりと濡れそぼっていた。

まるで少女の外見にそぐわぬ濡れて光る中身。

更に尾?骨辺りから伸びる三毛の尻尾も相俟って、一種異様な光景となっていた。

「んっ・・んんっ・・・」

絵里が濡れた性器の周囲を優しくなでると必死でつぐんだ口から切ない声が漏れる。

単調にならないように緩急をつけた愛撫を繰り返す。
147 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:34
絵里の頭を抱え込んだ両腕に時折力が篭るが、強く跳ね除けるわけではないことから田中も絵里の指を求めているのが解る。

親指が優しく一番敏感なところに触れるたびに田中の顔が強くゆがんで唇咬む仕草が見られる。

その必死で快楽に耐えている様子が、文字通り絵里の興奮を煽って自身の股間を濡らす呼び水となった。

「これなら・・・一緒に気持ちよくなれるよね」

そう言うと絵里はシャワーを手にとって田中に覆いかぶさった。

自分も大きく股を開き、そこにシャワーのノズルを向けると・・・。

「ああっ!」
「んんっ!」

・・・勢いよくコックをひねった・・・。
148 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:35
「ん・・・ごめんっ!強すぎたかもっ!」
「ん〜・・・んん〜〜〜〜〜」

ピンポイントではなく絨毯爆撃のように二人の股を蹂躙していく水流。

自分も興奮して濡れていたとはいえ、いきなりの刺激に勢いを緩めようとしたそのとき。

「ダメッ!このままっ!」
「れい・・・な・・・?」

「れーなから離れちゃいかんとっ!このまま抱きしめててっ!」
「れいな・・・ん・・・言葉が・・・」

田中の口からは数日振りに聞いた人間の言葉、その直後に抱き寄せられる身体。

「絵里っ!えりぃっ!好き!大好きっ!」
「れいな・・・ん・・・ん、ふっ」

これまで「にゃあー」とかしか喋れなかった鬱憤を晴らすように言葉を発する口を自分の唇で塞ぐ。

もう何で猫になったのか、そして今なんで人間の言葉を喋ったのかということはどうでもよくなっていた。

ただ今は二人で快楽を貪っていたい、お互いの身体があれば他は何もいらなかった。
149 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:36
舌を絡めあい、シャワーを持っていない手の指を絡めあい、お互いの腰が快楽を求めて蠢きあう。

水流の刺激を求めて動く尻がなまめかしく、まだ猫の名残を止める尻尾がくねくねと快感に打ち震える。

「れいな・・・れいなっ!好きっ!すきぃっ!」
「えりっ!えりっ!」

お互いの絶頂を教えあうかのように名前を呼び合う、生まれて初めてのエクスタシーの後にシャワーを持つ手が力なく垂れ下がった。

「絵里・・・めっちゃ好きやけん・・・絶対にこの手を離さんとって・・・」

ぎゅっと繋いだ左手に力を感じる、自分の頭の上辺りから呟くような声が聞こえたが・・・。

睡眠不足とお湯に逆上せたのも加わって絵里の意識は急速に遠ざかっていった。
150 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:37
「〜〜〜続いての話題は郵政民営化に・・・」

 ピッ

「それじゃお友達の紹介を・・・」
「・・・エーッ!!」
「それじゃ・・・飲み仲間の船越栄一郎さんを」

 ピッ

「ふぅ・・・あ、絵里気がついたと?」

「れいな・・・」

目の前にはすっかり人間に戻った田中の姿、服は勝手に着たらしい。
ベランダの方から洗濯機が回る音が聞こえる。

(ん・・・待てよ?何で私・・・下着姿なの?)

ソファーにタオルケットをかけられ、その下に下着姿で寝ていた自分に疑問を覚える。

「あの、絵里・・・さっきのことは・・・」
151 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:38
(ああああああああああっ!)

「色々聞きたいこと、あると思うんやけど・・・さっき言ってくれた事・・・本当?」

(なんで・・・なんで猫じゃないのっ!?)

「れいな、マジ絵里の事好きやけん、これだけは・・・聞かせて欲しか・・・」

「れ・・・れいな・・・」

「ん・・・」

「きょ・・・今日はいい天気だねっ!」

「絵里・・・」

「せ・・折角のオフなんだしさっ!どっか遊びにいこうかぁ!」

先ほどまでの風呂場での秘め事がまじまじと浮かんできた。

穴があったら入りたい、本当にそう思った。

とりあえず下着姿のままではなんか気まずい、田中が用意してくれたのであろう、横に折り畳まれていた着替えを手に取る。
152 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:39
「絵里・・・」

「あ・・・着信ありだ・・・安倍さんからかぁ」

かなり気を落とした田中の声が心にちくりと刺さる、どうやら田中の言葉に偽りはないらしい。

もうずいぶん涼しくなった風が開けっ放したベランダの窓から室内に入り込む。

下の往来からの喧騒が穏やかな風に混じって聞こえてきた。

「れいな・・・本気なの?」

「うん・・・」
153 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:39


「私も・・・絵里も・・・だよ、嘘じゃない」

「絵里っ!」

154 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:40
「あ・・・安倍さんにで・・・電話かけなきゃっ!」

耳まで真っ赤になった絵里は背を向けたまま携帯を耳に当てて電話を掛けだした。

何か納得のいかない表情のまま、田中はしぶしぶ絵里の電話が終るのを待つことにした。

テレビを点けて音量を下げずにおくことが自分のできる精一杯の意思表示だった。

「鉄の言霊!アイアン名言!」
「〜〜〜♪〜〜〜♪#♭〜」

サングラスの司会者のタイトルコールに合わせて電子音が聞こえる。

(ん・・・この曲・・・『さくら満開』?)

ぼけーっと液晶のテレビ画面を見ていたが、自分の背後から聞こえる電子音に意識が集中する。

自分の携帯は無い筈だ、少なくとも自分の記憶がある限り。

絵里の携帯は今使用中、少し離れた台所で麦茶の用意をしながら耳にあてがって呼び出しを続けている。

今の自分の気持ちとしてはどうでもいい事なのだが、肝心の絵里が電話中とあれば問題は片付かない。

暇つぶしに、と思って立ち上がっておもむろにクローゼットを開ける・・・。

「や・・・やあ」
「れいな・・・お・・・おはよう?でいいんかな?」

「えええええええええええええええええええええええっ!」

のっそりと小さな影が二つ、クローゼットから姿を現した。
155 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:40
「で!何であんなとこにいたんですか!?」

「ん〜〜〜色々事情があって・・・」

「あ、鍵は管理人さんに借りたんだよぉ」

「あの・・・とりあえず麦茶どうぞ・・・」

招かれざる客人二人は差し出された麦茶をおずおずと受け取ると、ぎこちなく口に運んだ。

「ぷはーっ!結構なお手並みで、ってやつ?」

後藤は一気に飲み干すと、暢気に言い放ってかたん、とコップを置いた。
狭いクローゼットに身を寄せ合って入っていたのは相当暑かったらしく、汗で茶色いセミロングが首にへばりついていた。

「ごっちん、そりゃ日本の昔のお茶のときに言うんでないかい?」

流石に後藤のように一息に飲み干したりはしなかったが、安倍も喉が渇いていたのだろう、
一口飲んでコップは置かずに手に持ったまま合いの手を入れた。
156 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:41
「そんで・・・なんでこんなとこにいたんですか!?ここ絵里ン家ですよ?」

「ん〜と、まず田中っちの事を教えようと電話掛けたら出ないから・・・」

そのままリーダーの飯田にとりあえず連絡を入れて、二人で絵里の家に向かったのだった。

「留守だったから帰ろうと思ったんだけどねぇ・・・なんか騒いでるのが聞こえたから・・・」

「さっ・・・騒いでるのって・・・それにれいなの事で教えることって?」

先ほどの情事を思い出してまた顔が赤くなる。

「それは・・・」

「田中っちがエリエリのこと好きだって事だよ」

言い辛そうに言葉を濁した安倍に、間髪いれず答えた後藤。

「だって二人ゴトの時にしきりに聞いてたじゃん?『後藤さんと安倍さんは付き合ってるんですか』とか『安倍さんは絵里のことどう思ってるんですか?』」

「あ・・・・」
157 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:41
今度は田中が顔を赤くして黙り込む、つけっぱなしのテレビではすっかり頭の薄くなった司会者がサイコロを持って何か言っている。

「最初は田中っちがエリエリのために聞いてるのかな?とか思ったけど、『なっちはごとーのもんだから』って言ったら顔がぱぁーって明るくなってさ」

「そ・・・そんなことなかです!」

「んでもさっき聞いちゃったよ?クローゼットの中で・・・」

「ああああ!」

「それにさっきお風呂場で・・・むぐ」

「か・・・亀ちゃん!なっち達は急用思い出したからここで失礼するっしょ!」

何か言いかけた、と言うよりは『お風呂場』の時点でアウトな後藤の口を抑えて安倍が立ち上がる。

「た・・・田中っちのことはカオリと二人で何とかしておくから、今日はゆっくり休んで!じゃあね!」

「ちょ・・・待ってよなっちぃ!・・・んじゃねーあんまヤリ過ぎちゃ・・・」

「いいから来る!この子はぁ・・・」

引きずられるようにして部屋を後にした二人と、顔を真っ赤にしてうつむいた二人。

そんな二人の空気を読まず、テレビからは本日の当たり目を引いたゲストとそれを祝福する会場の客の声が流れていた。
158 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:42
「まず・・・。うちの実家のあたりには野良猫が一匹おったンよ」

嵐のような二人が帰った後、猫化のいきさつをつらつらと語りだした田中。

麦茶の氷はすっかり解けて、薄茶色の氷水を啜りながら絵里は相槌を打つ。

「ほんで、その猫な、れいなが小さい頃から近所の野良猫のメスにちょっかい出しまくっとって・・・」

田中の住んでいた地域では同じ三毛猫の子猫が溢れかえっていたらしい。

まだ子供だった田中はよくその猫と遊んでいたらしい。

給食の残りをあげたり、ボールで遊ばせてあげたり・・・等等。

「そんで、後藤さんとの二人ゴトの収録の日まで・・・てっきり絵里と安倍さんは両思いやと思っとったんよ」

しかし後藤の強い否定によってそれが自分の思い過ごしだと気が付いたらしい。

まだ自分にもチャンスがある、と・・・。
159 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:44
「そんでその晩ずーっと考えた、もう寝ずに考えたんよ」

どうやったら絵里に自分の気持ちを伝えるか。

安倍にその気はなくても、絵里は安倍のことが好きなんじゃないかとか。

「寝ずに考えるつもりやったんやけど、どうも疲れとったらしくて寝てしまったんやけ」

そこで夢を見た。

小さい頃よく遊んだあの猫が、自分は今日ダンプにはねられて死んだ、と。

小さい頃遊んでもらった恩返しに、お嬢さんの好きな相手を代わりに落としてやる。

両思いになったら直ぐに出て行ってやるから、と。

今朝、更に猫化していたのは、猫が更なる力を出す為らしい。

確かにコトの途中から、必死に声を殺して唇を噛んでいた、あの時はもう・・・ネコはいなかったらしい。
160 名前:今日も休み!ネコはイイね 投稿日:2005/04/09(土) 06:45
「・・・・と言う訳っちゃ・・・」

一通り説明した後、自分も氷水をあおる。

絵里は黙って聞いていたが、急に口を開いた。

「れいな・・・私・・・・」

「うん・・・」

「初めての相手が猫だったの?」

「え・・・いや・・・そう言うわけじゃ・・・あの・・・」

「だって・・・」

「だってじゃないよ!そうじゃん!」

「ゴメン・・・」

「誤る位なら・・・ちゃんとして!」

「え?」

「ちゃ・・・ちゃんとれいなと・・・その・・・しよ?」

またまた顔を真っ赤にしてうつむいてしまった絵里。

田中は状況が理解できなかったが・・・絵里が何を求めているのかは理解できた。

テレビには血の繋がりがないと解った女性を本能のままに抱き寄せる恭二さんの姿があった。

(嗚呼、ごめんなさい。安倍さん後藤さん、そして今頃マネージャーに謝ってる飯田さん)

(れいなは・・・れいなは・・・もう我慢できんとです!)

福岡の路上に散った猫に、今度の休みには最上級のキャットフードを供えてやろうと誓った田中であった。
161 名前: _| ̄|(;´_ゝ`) 投稿日:2005/04/09(土) 06:55
ヽ(;´Д`)ノまず最初に謝罪を、長々と放置してて申し訳ないです
実は暗黒星雲からの征服者と正義の味方として戦っていたので(ry

そんで、ネコれいにゃ編は今回で完結です。
かなり最後の方が強引なオチが付いてますが許してくだされ・・・

「ネコれいにゃ」がやりたかった、ってのと
折角乗っ取ったんだから関連が無さそうに見えるスレタイに絡めて書いてみたかったってのが
この作品の動機です。

個人的にはこの二人は気に入ってるんで、以降も度々登場させて行きたいなぁと思います。

さて、次回はマイナー⇒王道⇒マイナーのセオリーでやぐみきです。

飼育で数少ないエロスレとしてがんばっていきます

レス返し

こんなアレな小説を待っていてくれた皆様、保全してくれた皆様。
そして倉庫行きをお目こぼししてくれた管理人様、感謝です!

ヽ(;´Д`)ノ次回こそはさくっと更新できるといいですなぁ・・・
162 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/09(土) 10:14
キターーー!
待ってました。このままどんどん書いてください!
163 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/09(土) 11:06
落とした方がいいですよね
作者さんお疲れ様です、次回作も期待してますよ
164 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/12(木) 13:23
そろそろサクッと更新してください
165 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/26(火) 14:02
やぐみきまだ〜♪
166 名前:(´_ゝ`) 投稿日:2005/08/17(水) 01:32
作者です・・・スレ整理と聞いてすっ飛んできました。
やぐみきは多数の作者さんが書けなくなったであろうアレによってボツりました・・。

罪滅ぼしというわけではありませんが、生存報告がてらに短編(エロなし)を一本あげて
次回からは通常営業に戻りたいと思います・・・

↓元ネタは都市伝説です、ホラーやバイオレンスが苦手な方は読まないで下さい
167 名前:―― 投稿日:2005/08/17(水) 01:33

  ざっくざっくざっく・・・

許せなかった、ただひたすらに許せなかった。

  ざっくざっくざっく・・・

自らの青春時代を投げ捨てて磨き上げた掌中の珠に等しい『モノ』を煙草の吸殻の如く投げ捨てたあいつが許せなかった。

  どさっ・・・

その時は信に足りる相手であり、その珠を受け渡して大事に守って言ってくれる相手だと思っていた。

  ざっざっ・・・ざっざっ・・・

結果としてこういう結果になってしまったが、相手にも色々な事情があったのであろう事くらいは解る。

が、その時は裏切られた気持ちが何物にも換え難いほど大きく、絶対に許せなかった。

  ざっざっ・・・どん、ばんばん・・・
168 名前:―― 投稿日:2005/08/17(水) 01:33
最初はじっくり話し合うつもりだった、どこでこうなってしまったのかはその時の自分にしか解らない。

感情の爆発とは放たれた弾丸のようなものだ、撃ってしまったらもう何があっても薬莢に収まる事はない。

今自分にできる事はこの地面に半分埋もれた「事実」を丁寧に隠し通すしかない。

そう、丁寧に・・・丁寧に・・・・
169 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:34


          ――エレベーターの女――

170 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:35
免許取りたての時期、車の運転は楽しいものだ。
時間が空いたら意味もなく遠くに行ってみたくなってしまう、たとえそれが東京都内⇒山梨の山中という長距離であっても。

尤も今回のドライブには意味はあったのだが・・・。

長時間のドライブを終え、自宅マンションの地下駐車場に新車のセダンを停める。

かちゃりとドアを開け、すらりとした長身の女が電子キーでロックを掛ける。

手にぶら下げたビニール袋には泥だらけのスニーカーが、肩から提げたバッグには同じく泥にまみれた服が入っている。

深夜になると防犯の為、隔階停止になるエレベーターに苛つきながらこれからの自分の行動をぼんやりとシミュレートする。

「ん〜、とりあえずおフロね〜、そんで・・・」

今夜は眠れなさそうだった、幸いにも明日は休み、普段余り飲まない酒でも飲んで眠りにつこうかと考えた
171 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:36
空いた手でグルグル振り回していた鍵で自分の部屋のドアを開ける。

途端に自分の生活している空間の臭いがまとわりつく、別に悪い気持ちはしないが。

女は無表情に部屋の端に持っていた荷物を抛ると、脱衣所に向かって歩き出した。

「やだ、やっぱり蚯蚓腫れになってる!あっ、それにここも虫に刺されてるし」

まだ春先、今日も少し肌寒く、長袖を着ているのが普通だ。
喉が潰れる位首を絞めた時『あいつ』の爪も腕に食い込んだが、衣服を突き破って皮膚を抉り取るなんて事は無さそうだ。

鏡越しに見る自分の顔は疲れきっていたが、敢えて見ない振りをして浴室に足を進めた。

「気分転換にさ、ドライブ行かない? ん〜そうだなぁ、富士山とか見たいかなぁ、えっ?そう、今からだよ、決まってんじゃん!」

家に誰もいないことを確認して誘い出した、話題のお相手も舞台だか映画だかで仕事中らしい。
やたらと嗅ぎ回っていた写真週刊誌のカメラマンも見かけなかった、一度スクープを掴んで満足してしまったのだろうか。

風呂から上がり、ばっさりと切ってしまった髪の毛にバスタオルを巻き、下着と部屋着を身につける。
その際にまた『爪痕』が目に入ったがもう気にしない、冷蔵庫に向かい冷やしてあるはずのアルコールを手に取る。
172 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:36
「最悪、1本しかないじゃん」

ぶつぶつ文句を垂れながらもプルタブを引き、一気に呷る。
水分を欲していた身体に心地よく麦酒が染み渡った。

半分くらいまで一気に飲んだ後、ソファに腰掛けてテレビのスイッチを入れる。
液晶の画面には開幕したばかりのプロ野球のニュースが映し出された。

当然のことながら自分の事は報道されていない、少し安心して残りを一気に飲み干し、握りつぶした缶をテーブルに転がす。
今頃噂のお相手は必死に探してるのだろうか、携帯もこの空き缶のように叩き潰してしまった為に、永遠に圏外だろう。

「まだ飲み足りないかなぁ・・・」

そう呟くと、部屋着の上にジャケットを羽織り玄関に向かった。

自分以外に使った人が居なかったのであろう、エレベーターは自分の住む9階で停止したままだった。

ほろ酔い頭で乗り込み、@のボタンを押す。

「あー・・・もう・・・」

何度乗ってもこの隔階停止は苛々する、右手は閉のボタンを押しっぱなしにし、左手は腰に、足は貧乏ゆすりを。
173 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:37
「あれ?」

5階で止まった時にふと気がついた、エレベーターの床に泥が落ちている。

恐らく自分が山梨の山中から持ち帰ったものであろう、こんなのはどーって事無いだろうが、なんか嫌な気分になったので
閉まりかけた扉を開けてエレベーターボックスと階の間の空間に泥を足で払って落とした。

「ま、みんなで使うものだからキレイキレイにしなきゃね」

1階に着くと、非常階段のところで誰かが蹲って携帯を手にしている。
普段なら気付かれないようにいそいそと立ち去るところだが、今日は「ふん」と鼻で息をし、コツコツとわざと足音を立ててエントランスのドアを開けた。

1階のエントランスを抜け、表に出ると、深夜という事もあり人影はまばらだった。
普段は帽子などを被り、自分がタレントだという事を気付かれないようにしているが、今日はどうでもよかった。
『大仕事』を成し遂げた事と麦酒1本分のアルコールが、そんな瑣末な事を遠くに押しやってしまったのだった。

コンビニに入ると流石に視線が集まる、が、お構い無しに麦酒と缶チューハイ数本を手に取り、レジに向かう。
雑誌のコーナーにあの週刊誌があったが、歯牙にもかけずに通り過ぎる。
174 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:38
「え〜っと、1246円になります」

リストラされた元サラリーマンだろうか、不慣れな手つきでレジスターを操作する『研修中』の札をつけた中年の男は
目の前に国民的アイドルグループの元リーダーが居るというのに、自分の事でいっぱいいっぱいだった。

女はそんな中年の男に好感を抱き、釣銭が発生しないようにきっかり財布から1246円を取り出し会計を済ませた。

コンビニを出るとビニール袋から缶チューハイを一本取り出し、一口啜る。

今夜は良く眠れそうだ、これだけの量を飲む予定なのだから。

あんな事をしでかした事さえもう忘れかけている。

マンションに到着したらエントランスのオートロックをキーで解除し、エレベーターに向かう。

誰かが使ったあとらしく、エレベーターはまた9階で停止していた。
175 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:38
「・・・・でさぁ〜今〜〜〜の家の下に居るワケぇ〜。〜も来ない〜?」

酔った耳に非常階段の方から男とも女ともつかない掠れた声が聞こえる。

先ほどの人物が携帯で友人か誰かと話しているようだ、どうやらこんな深夜に呼び出しているらしい。

「耳障りな声ね」

そう思いながらエレベーターの停止階を示すランプを眺め、手にした缶チューハイをもう一口、首を傾けて残りを一気に呷った。

「えぇ?明日仕事?そんなのカンケーねえって!絶対みんな居た方が楽しいよ!」

顔を顰めつつ非常階段のほうに向ける、泥だらけの服を着た丸まった背中が見えた。
こちらに背を向けて話しているため顔は解らないが、着ている服から女性のようだ。

見れば点々と足元に泥が落ちている、もしかしたらさっきのエレベータの泥もこの人物が落としたのかもしれない。

そんな事を考えているうちに@のランプが点滅し「ゴゥッ」という音と共にエレベータの扉が開き、女は乗り込んだ。

空になった空き缶を無造作にビニール袋に放り込み、自分の部屋のあるHのボタンを押す。
176 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:39
「あ、ちょとまった!乗ります、乗りマースッ!」

さっきの人物だろう、閉まりかけた扉の音と一緒に掠れた耳障りな大声がホールにこだました。

普通なら慌てて開のボタンを押すところだが、女の左手はそのまま構わずビニール袋から2本目のチューハイを取り出した。

「冗談じゃないわ、あんなのとこんな所に二人っきりだなんて」

女だから痴漢という事はないだろうが、こんな日にこれ以上あの耳障りな声を聞きたくなかった。

大体、あんなところにずーっと居るんなら私が来る前にエレベーター使えばいいじゃない、と一人ごちる。

エレベーターは2階を通過し、3階で停止した。

さっき『ドライブ』から帰って来た時と同じように右手は閉のボタンを押しっぱなしにしておく。

一旦開いた扉が閉まりかけたその時
177 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:40
「だーかーらーちょっと待ってよぉ!」

3階の非常階段の方からまた声が聞こえた。
急な出来事に身体があわ立つ、心拍数も上昇する。

あのあと階段を駆け上ったのだろうか、どうやら意地でもエレベーターに乗りたいらしい。

当然の事ながら無視、扉は無情にも閉まりエレベーターは上昇していく。
一度拒んだという事もあって、もう耳障りなあの声でなくても『あれ』と一緒に乗るのは嫌だった。

『〜んちの下に居る』という会話から恐らくここの住人では無さそうだ、友人はここに住んでる様だが運がよければもう遭遇する事はないだろう。

隔階停止の為に次に止まるのは5階だ、その時も彼女は追いかけてくるのだろうか。

どう考えても階段を駆け上がるよりエレベーターの方が早い、乗り込まれる恐れはない。
自分にそう言い聞かせるも、閉ボタンを押す指に力が入る。
178 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:41
5階に停止し、自動扉が開いた瞬間にその音は聞こえた。

何度も耳にした音だ、聞き間違えるはずはない。

「バタン」という非常階段のドアが閉まる音が聞こえた刹那、こちらに向かって軽快に走り寄る足音。

「そんな・・・嘘でしょ?」

彼女自身、隔階停止に嫌気がさして階段を駆け上った事が何度もあった。
しかしストライドの大きい彼女が二段飛ばしをしてもエレベーターに追いつく事は出来なかった。

それをあの小さな人物が軽々と成し遂げ、こちらに走り寄ってくる。

嫌な汗が噴出す、足がカタカタ震えだして視界が霞む。

「冗談じゃない!冗談じゃないわッ!」

ばたばたという足音がこっちに迫ってくるが、もう扉は閉まりかけている、何とか間に合いそうだ。

「あ〜こりゃ乗れないなぁ!」

あの掠れた大声がまた廊下に響く、どうやらこの階で乗るのを諦めたらしい。
ほっとしてチューハイを一口、ごくりという音ともう一つ耳障りなあの大声が

「次は捕まえるからねッ!」

エレベーターの自動扉越しに聞こえた。
179 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:41
「次・・・次って・・・」

扉の上にあるパネルに目をやる、今自分がいるのがEでその上が自動停止するF。

常識から考えて、約20メートル位の廊下を約半分くらい(の距離まで足音が聞こえた)過ぎた所から急いで戻ったとしても
絶対に7階でエレベータを捕まえる事は無理だ。

「あれ・・・そういえばあの服・・・」

たとえあの小さな彼女がオリンピックで金メダルを取るようなアスリートであってもそれは不可能だ。

「それにあの声・・・・掠れているけど・・・あの声は・・・」

生きている人間・・・ならば絶対に不可能だといえる。

「まさか・・・ううん、絶対に違うわよ」

エレベーターは6階を通過した、全身から嫌な汗が噴出す、もうチューハイどころではない。
少し中身の入った左手の缶を握りつぶして顔面にへばりついた髪の毛を掻き揚げる。

「ウィーン」という機械音と共にエレベーターが停止し、自動扉が開き始めた。
視覚、聴覚、最早全身の感覚を研ぎ澄まし、迫り来る気配を察知しようとする。

が・・・一向に足音もあの声も聞こえてこない、聞こえてくるのは往来の車のエンジン音のみ、

どうやら取り越し苦労だった様だ。
180 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:42
「ハハッ、そう・・・そうよね」

自動扉が閉まっていくのを満足そうに見つめ、ほっと胸をなでおろしたその時

見てしまった、自動扉のガラス戸に映る「彼女」の姿を

紛れもなく数時間前に最後の別れをした「彼女」だった

「い・・・いや・・・イヤッ」

今度こそ本当に捕まった、彼女は7階でついに捕まってしまったのだった。

「彼女」は音もなく女の乗るエレベーターに乗り込み、168cmもある彼女の後ろから見下ろしていた。

「ごめんなさい!許してッ!」

ガラスからは怖くて目を逸らす事が出来ない、女はガラス越しに必死で許しを乞いた。

泥まみれの金髪、虚ろな目と潰れて拉げた喉、手には粉々になった携帯電話。

こちらの声が届いているのだろうか、「彼女」はじっと一点を見つめたまま動かない。

ふわりとした浮遊感と共にエレベーターが9階に到着する。

「彼女」が映りこんだ自動扉が機械の内側に引きこまれて消えた。
181 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:43
「今しかない」そう思い、女は袋に入った酒を投げ捨てエレベーターから飛び出した。

アルミ缶が床に落ちる「がしゃん」という音を後ろに聞き、階とエレベーターの隙間を大股でまたいだ。

・・・つもりだった。

足が動かない。

金縛りではない、しっかりと感覚がある、何かが自分の足首を掴む感覚が。

誰が掴んでいるのかもしっかりと解る、自分が首を絞めて山梨の山中に埋めた「彼女」だ。

見たわけではない、でも解る。

自分が泥を払い落としたあの隙間から彼女が手を伸ばして自分の足首を掴んでいるのだ。

「捕マエタヨ・・・カオリ・・・」

それが彼女がこの世で最後に聞いた音となった。
182 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:48
「午後のニュースをお伝えします、本日正午過ぎ、行方不明となっていたアイドルグループの元メンバー飯田圭織さんが
自宅マンションのエレベータシャフトの底から遺体で発見されました。」

「異臭に気付いた住民からの通報があり、駆けつけた警官が遺体を発見した模様です、現場は普段人が立ち入れない場所となっており
飯田さんは何らかの事件に巻き込まれた可能性が強く、依然行方不明の矢口真里さんとの関連が強いものと見て捜査を進めております」

「続いて、ゴールデンウィークに賑わう各地の行楽地の模様を・・・・」
183 名前:エレベーターの女 投稿日:2005/08/17(水) 01:49


   ――エレベーターの女――

                 End
184 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/28(日) 23:39
とても後味悪くて良かったです
185 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 03:36
突然失礼します。いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
186 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/25(日) 02:02
なちりか、見たいです・・。

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