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- 1 名前:◆ZpT8ZEbM 投稿日:2004/09/26(日) 00:27
- ダラダラ、長くが続きそうな予感がひしひしとします。
更新オソーです。
- 2 名前:days.0 投稿日:2004/09/26(日) 00:41
-
ちかくにいつも在るもの。
ほら、一歩踏み出してごらん。
そこで世界が変わるんだ。
簡単だよ?
━━━
The stairs to next world is not to high.
I think so.
━━━
- 3 名前:days.0 投稿日:2004/09/26(日) 00:43
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- 4 名前:days.0 投稿日:2004/09/28(火) 06:55
-
プロローグ
――ゆっくりと扉を開く。
まず、認識したのは眩しいほどの真っ白。真っ白な天井。
手入れが行き届いた、というよりも生活間がない、といった感じの白さ。
数日しかここでは過ごしていないはずなのに、見飽きてしまったそれ。
左から右へ、首を動かさずに視線だけを流した。
白いそれには境界線となる壁はなく、かなり広い空間であることが伺える。
けれど、閉ざされた空間であることも。
小さく嘆息して、再び瞳を閉じた。
- 5 名前:days. 投稿日:2004/09/28(火) 06:56
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- 6 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 06:57
- 「あやちゃんおはよー」
「あ…愛ちゃんおはよ」
ざわざわと騒がしい教室。
それは宿題のはなしだったり恋の話だったり今日の昼ご飯の話だったり様々。騒がしい、と一言で形容できるそのなかで、高橋愛は教室に入ってきた同級生に声をかけた。
騒がしい教室の空気とは180°違う彼女の雰囲気。
…無理もない。彼女が慕ってやまない先輩が失踪してもう一周間だ。
こちらに心配をかけないようだろうか。無理矢理に微笑む亜弥。
その姿に愛の胸はチクリと音をたてた。
- 7 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 06:59
-
――3-Bの藤本さんが数日前からから家にかえっていないそうです。心当たりのあるひとは先生に教えてください――
担任の飯田先生から言われたのが、3日前だろうか。
元々奔放な性格な藤本のこと、家族も最初はいつものこととして気にしてはいなかったようだが、3日も学校に顔も出さず、家にも連絡がないというのは初めてということで捜索届けをだしたようだった。
――そのときの亜弥の顔を愛は忘れられない。
未だに警察、藤本の実家ともに何も情報はないらしい。
脅迫や、身代金要求の電話ですらも。
金目的ではないそれに、情報の少なさに警察も手を焼いているようだった。
- 8 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 07:03
- いままで鬱陶しいくらいに明るくて、いつでもにこにこしていて。
常に笑顔だった彼女のしゅんと丸まった背中を愛はみていられなかった。
「…あやちゃん、何かわかった?」
「…ん…なんにも」
「…そっか、はやくなにかわかるといーね。藤本先輩のこと。」
「ん…ありがと、愛ちゃん」
毎日、同じ言葉の繰り返し。
意味がないとはわかっていても愛は何かせずにはいられなかった。
彼女の辛さは愛には実際のところ解るとは言えないが大切なひとが突然目の前から消える。
その辛さが相当なものであることは彼女の様子から推して知ることができた。
愛はそれ以上のことばを亜弥にかけることばが浮かばず、意味もなく机の引き出しを開けてがさがさと中を探った。
- 9 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 07:05
- --------------
- 10 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 07:06
-
「みきたん、おそくってごめんねー。お腹すいたでしょ?」
返答は、ない。
「…寝てるの?」
「寝てるなら…イケナイコトしちゃうぞー?」
「…起きてるよ」
少しの間をおいて。
みきたん、と呼ばれた少女が答える。
寝てなくても、スるじゃん。
そういう目を向ける。
強い、視線。
少女はその視線をうけて
ひゃはは、と笑った。
仰向けに横たわる彼女に唇を重ねる。ふわり、とそれ特有の柔らかさ。
彼女はそれを意識せずただの感覚として認知する。
肯定も、否定もないただの「ゲンジツ」が限定された空間を支配し。
- 11 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 07:07
-
……めんどくさいや
―――――同時に。彼女は考えることを手放した。
- 12 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 07:09
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- 13 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 07:12
-
「みきたん……どうしようかな?」
机に伏すようにしてつぶやいた亜弥の小さな声。
それは教室の喧騒にかき消され、愛をはじめそこにいた誰にもとどくことはなく、
ただ無機質なアルミの机に吸い込まれた。
- 14 名前:days.1 投稿日:2004/09/28(火) 07:13
-
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- 15 名前:◆ZpT8ZEbM 投稿日:2004/09/28(火) 07:14
- とりあえずここまで。
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/28(火) 23:39
- えっ!?
ど・ど・どういうこと?
続きが激しく気になります!
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/21(木) 05:21
- いいですね
期待して待ってます。
- 18 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/05(金) 04:18
- まだ!?
お待ちしてます!
- 19 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 12:09
- ◇◇◇
藤本っ…先輩っ!!
んぇ?何?…てか誰?
あ…あのっ…一年でっ部活勧誘会みて…亜弥って…あのっ!!
あやちゃん?
…あー入部希望の子?んじゃ美貴じゃなくて部長はあっちの黒い…
いや…そうなんだけどそうじゃなくて…!!
- 20 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 12:10
- ◇◇◇
- 21 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 12:12
- 「おはよー、みきたん。目ぇさめた?ごはんたべよっか?おなかすいたでしょ?」
「………」
「好物だっていっても焼き肉ばっかじゃ太っちゃうし栄養偏っちゃうよね。
まぁみきたん細い方だからちょうどいいかもしんないけど」
がさがさとナイロンの触れ合う音がして、少女が何かを取り出したのがわかる。
美貴の喉がぐぅ、と鳴った。
- 22 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 12:12
- 感じる感覚は痛み、乾き、空腹感。
それだけ。
角度的に美貴には見えないが、首には何か動かせば締まるような仕掛けが成されていて
美貴の視界はごく限られていた。腕も後ろ手に固定されていて、数日のうちにその金属との摩擦によってできた傷は少し動かすだけでも美貴に耐えがたい苦痛を与えていた。
- 23 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 12:13
-
もう何日になるのだろうか。
窓もなくただただ白く広いこの空間には何の情報もなく朝か夜かも分からない。
する事もなくただ天井を眺め、意識が途切れたときに「寝て」いる美貴は三日のようにも一ヶ月のようにも感じていた。
「じゃーん、今日はサンドイッチだよ〜なんかおいしそーだったからさぁ。」
目の前に薄いナイロンで包装されたパンが現れる。
反射的に美貴は口を開いていた。
ベットに拘束されている状態なら一日やそこら食事などとらなくてもさして支障はないだろう。
ただ。
- 24 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 12:15
- 少女の訪問は気まぐれだった。
美貴が起きているあいだに複数回くることもあれば、気が狂いそうになるほどの長い時間を一人で過ごすこともあり、しかも毎回食物を与えられる訳ではないのでいつのまにか食べ物
を目の前に出されると反射的に空腹感がおそってくるようになっていた。
水分すらも少女の気分次第なので、十分に摂取できているとはいい難い。
大量に分泌された胃液によって美貴の腹はずきりと痛む。
- 25 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 12:18
-
喉が張り付く。
気分が悪い。
胃が痛い。
少女が美貴の視界に入る。
美貴の心情とは真逆な穏やかな笑顔にいいようもない恐怖を感じた。
少女と、天井。
美貴の狭い世界の、すべて。
口元にはいつものように小さなパンの切れ端とそこからわずかにはみ出したレタスとハム。
美貴の視線が食物を追うことを確認し、少女の唇が笑みの形にゆがんだ。
- 26 名前:days 投稿日:2004/11/28(日) 12:20
- 「おなかすいてるよね?みきたん」
空腹
空腹
空腹
その言葉だけが呪文のように美貴の頭の中を支配し、近づく『少女』を食べた。
プライド思考抵抗感。そんなものはもうどうでもよくなっていた。
「…んっ…ぅ…ん」
二人の間のゼロの距離から食べ物が消えてもなお、美貴はさらなる食物を求めて少女の口内へと舌を伸ばす。
「も…、無いよ。みきたん…」
細く甘い息を吐き離れ、美貴の舌が触れた唇をつぅ…と人差し指でなぞった。
- 27 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 12:22
- 「みきたん…はげしー」
ひゃはは。
笑い声。
新たに口に食物をくわえ、与えられる。
繰り返すそれがやがて目的を変え、美貴の口内を探るような深いものに変化していっても、美貴は少女に時折含まれるわずかな食物を求める。
「だいすきだよ…みきたん…」
少女は美貴の頬に手を添え、愛しそうに薄茶色の髪を撫でた。
「――ねぇ、あたしが必要でしょ?」
一人分の体重が新たに加わり。
白いベットはぎしり、ときしんだ。
- 28 名前:days. 投稿日:2004/11/28(日) 15:39
- 窓の外を小さな人影が駆けていく。
三階の教室から親友の後ろ姿を見送りながら小さくため息をつき、
最近ため息が多くなったなぁと自嘲気味に笑った。
- 29 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 15:40
- ◇◇◇
days.2
- 30 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 15:40
- 最近亜弥は授業が終わるとすぐに帰宅していた。
藤本先輩は未だ消息不明のままで周辺の学校でも防犯ベルが配られたり保護者がパトロールをしたりとかなりの警戒態勢がしかれていた。愛たちの学
校でも緊急の集会が開かれ単独での登下校は避け、まっすぐに帰宅するように
との指示がでていたが、亜弥は一人で帰宅していた。
愛が一緒にかえろうと誘っても、行くところがあるからとするりとかわされた。
藤本先輩の家に行っているわけでもなく何か習い事をしているという話も聞いたこと
がない。愛は少なからず心配していた。
- 31 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 15:43
- 「大好きな先輩」がいると入部した部活もいまではほとんど顔をみせていない
ようで、数日前部長らしき黒い人が心配そうにクラスをのぞきにきていた。
そのときも既に亜弥は帰宅していて会うことはできなかったようだが。
- 32 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 15:46
-
「愛ちゃん、亜弥ちゃん大丈夫ですかね?
クラスが違うのでよくわからないのですが最近益々元気がないとか…」
「うーん…あたしも心配なんやけど…正直なんていってえぇか…よくわからんわぁ」
愛は紅茶の缶を手に持ったまま机に突っ伏す。
授業が終わるとほとんどの生徒は部活に行き、自称帰宅部もさっさと帰宅してしまうため
教室は閑散としていて、気づくといつもおやつに干し芋をかじる少女として有名
な紺野と愛だけになっていた。
すっかりぬるくなった紅茶を流し込む。
「最近なんかずっとどっかにいっとるし…先輩んちでも亜弥ちゃんちでもないみた
いやし…なにしとんのか教えてくれんし聞きにくいし自分から話さんってことは言いづ
らいんだろうしそれを無理矢理聞き出すのも…」
- 33 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 15:50
-
冗談混じりにいった紺野にあはは、と苦笑いながら愛はもらった芋を口に含む。
独特のほんのりした甘みがひろがり不思議と落ち着いた気分になった。
「なんか不思議やねーほっとするわぁ」
「手作りですからね。特製です」
「そうなんやーあさ美ちゃんこんなんもつくれるんやねー」
「愛の力、完璧です」
「え?なんかいった?」
「いやいや…何でもないですよ。それよりも愛ちゃんは部活は行かないんですか」
「あたしは帰宅部なんでね〜てかあさ美ちゃんこそなんか部活はいっとったよね?」
- 34 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 15:55
- 視線を落とすと亜弥が帰っていった時には誰もいなかったグラウンドには、いつのまにか
人が溢れ、部活動にいそしんでいた。この学校は部活動に力を入れているようで必要以
上にグラウンドが広く、さらに驚くことに公立高校のくせに野外用のスポットライトや温水
シャワー、温水プールなども完備されていた。
文化部にしても科学部なんかは実験室並の施設がそろっていたし、家庭科部などは何
故か部室内にラーメン屋のようなカウンターがあった(無意味)。
聞いた話によると部長に押しきられたそうだ。
最初はのれんも付けると言いはっていたようだがさすがにそこは顧問が泣いてとめたらしい。
強気な部長である。
- 35 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 15:59
- 「私の部活はなんだか部長が最近多忙だそうでここ一週間はサボり放題です。」
でなければこんなふうに至福の時を過ごせません、と愛と同じように干し芋を口に含みながら
あさ美は心底幸せそうな表情を浮かべる。
あさ美とは高校に入ってからのつきあいで、度をすぎる芋好きを除けばふつうのまじめキャ
ラだと思っていたが、意外と変わった性格をしているようだ。
「さ…サボり放題てあさ美ちゃん部活なんやったっけ?」
「科学的に芋を加工する部、完璧です」
「……家庭科部?」
「違います。あんな部長が日に日に肥(ryする部活じゃないです」
愛の言葉に少々不機嫌そうになりながら、言葉の代わりに紺野は自
身のネクタイをクイと突き出した。
「えぇと…電気なんとか部…」
- 36 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 16:12
- 愛たちの通うこの学校は学年ごとに3年から青、赤、黄とネクタ
イの色が決められていて、さらに科を示すマークが刺繍される。
紺野の黄色いそれには機械科を表すMの文字が刻まれていた。
「はい、機械科、完璧です。
そして機会科のみ部活が固定。強制的に電気機械開発部です。
選択の自由…日本人に与えられた権利の一つではないのでしょうか。」
「で…でもあさ美ちゃん芋干しとるし…割と自由なんじゃ…」
「確かに研究と称し顧問に芋代とか請求し放題ですが自由な環境の中
でこそ真実の干し芋はのびのびと育つものではないのでしょうか。
とゆうか最近顧問が領収書“雑費”
では処理してくれなくなってきたというのもあるのですが。」
「い…芋だとあんましおっきい金額ならんからねぇ…」
愛は、あまり共感はできなかったがとりあえずそれだけいって
ひきつった笑みを浮かべた。
熱く語るあさ美には細かいツッコミをしてはいけない。そんな気がしたからだ。
人間の自己防衛本能というやつかもしれない。
- 37 名前:days.2 投稿日:2004/11/28(日) 16:14
-
後に、電気機械開発部は「芋部」と裏で呼ばれることになるが
これはまた別の話。
- 38 名前:◆ZpT8ZEbM 投稿日:2004/11/28(日) 16:20
- とりあえず更新。
ジャスト3ヶ月放置です。
…最悪だ自分…〇l ̄l_
つーか…内容大して進展してない上に俺携帯ユーザーなんで改行等読みにくい点は申し訳ないです…
>>16
どういうことでしょう。
俺も分か(ry
>>17
ありがとうございます。
てかもう忘れられてるかもしれませんが(w
ダラダラいきます。
すいません。
>>18
ごめんなさいごめんなさい.・:.(ノД`)・:・.少なくてごめんなさい
- 39 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/29(月) 18:01
- 監禁だったのかああああ
- 40 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/06(月) 03:05
- 何だか恐ろしげな展開に・・・
まだ更新待ってます
- 41 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/09(日) 23:39
-
- 42 名前:名無し飼育 投稿日:2005/01/19(水) 16:00
- 次は何ヶ月放置するつもりだ?
- 43 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/08(火) 09:04
- まだかな?いつまでも待ってます
- 44 名前: 投稿日:2005/02/20(日) 23:31
-
- 45 名前:days. 投稿日:2005/02/20(日) 23:32
- みきたんただいま
ごはん、あげるよ
きょうもいいこでまってたね。
―――しよっか
空気の振動が耳に届く。
美貴の視線はなにを見るわけでもなくただ、天井に固定されていた。
少女の手が触れた。
「は……ん…ぁっ…」
乱れる呼吸にも意志は感じられない。
「…みきたん、あたしのこと、見て?」
「…好きだよ?」
頬に手を添え自分の方に向かせる。
なにも映さない瞳は少し細められたように見えた。
- 46 名前:days 投稿日:2005/02/20(日) 23:33
- ***
- 47 名前:days.3 投稿日:2005/02/20(日) 23:37
- 「松浦…亜弥、ってどこ?」
いつものようにSHRが終わると同時に帰り支度を始めた亜
弥にかけられた声は聞き覚えのないものでだった。
怒りというか苛つきというか。負の感情に満ちたそれに教室
のざわついた雰囲気が一瞬にして緊張したものに変わる。
視線を流すと声の主は簡単に見つかった。何となく見覚えが
ある。確か美貴と同じ部活の…しかし名前は思い出せなかっ
たしそれ以上思いだそうとも思わなかった。
それよりも帰り支度の方に意識が向いていた。
- 48 名前:days.3 投稿日:2005/02/20(日) 23:40
-
「…ここですけど…なんですか?」
手は休めずに答える。不安からだろうか。愛が後ろから亜弥
の制服の裾をつかんだ。
「ちょっと話があるんだけど、いいよね?」
その問いに対する拒否権が無いことは明らかだった。
あまりに一方的な物言いに何か言おうと彼女の方に視線を向
けると彼女のにらむようなそれにぶつかり出かけた言葉を飲
み込んだ。
- 49 名前:days.3 投稿日:2005/02/20(日) 23:45
-
「―――で、何の用ですか?あたし帰りたいんですけど」
さすがに人目があるからだろうか。
心配そうな愛の手をほどいて移動したそこは屋上へと続く階段だった。
常時生徒は立ち入り禁止のためだろうか。
そこは全くといって良いほど人気は無かった。
背中をながめ歩きながらふと名前を思い出す。確か、そうだ、
吉澤と呼ばれていたような気がする。
「…あんたさぁ…先輩に対する態度とかってないわけ?」
「とりあえず敬語は使ってますけど」
亜弥の手に持たれた帰り支度がしっかりとされた鞄が吉澤の
苛立ちを煽っていることは気づいていたがこれだけ敵意に満
ち溢れているなら何をしても変わらないだろうとばかりに亜
弥の態度も自然と強いものになっていた。
- 50 名前:days.3 投稿日:2005/02/20(日) 23:47
-
「…バカにしてんの?」
「いいから早くしてください」
「…ムカつくね」
ムカつかれようが何だろうが関わりの無い人間にどう思われ
ようと関係ない。
殴って気が済むなら殴ればいい。なによりその方が早く済み
そうだと思い、亜弥は敢えて挑発した。
反射的に吉澤は拳を握り締めたがすぐに、小さく舌を鳴らし
壁を思い切り殴りつけた。
- 51 名前:days.3 投稿日:2005/02/20(日) 23:51
- 見た目程短絡な行動に出るタイプではないようだ。
どうでもいいと思った。
「きいてたイメージと大分違うね。すっごいカワイイ子って
きいてたんだけど」
「アリガトウゴザイマス。」
誰に聞いたか知らないがよけいなお世話だ。
美貴だけに可愛いと思われていればよかった。
目的の見えない会話に亜弥もまた苛つき出す。
- 52 名前:days.3 投稿日:2005/02/20(日) 23:53
- 「怖いなぁ…そんな睨むなよ。
…んじゃ単刀直入にいう。」
「ミキティ、返して」
- 53 名前:days.3 投稿日:2005/02/21(月) 00:01
-
亜弥は一瞬目を大きく見開く。
吉澤は構わず続けた。
「うちの部活今マジ荒れてんだわ、梨華ちゃ…石川先輩泣い
てるし後輩つまんねぇことで喧嘩してっし」
俯き気味になった亜弥の表情は吉澤からは見えない。
「なぁ…マジ返してくんねぇ?」
遠くの生徒のはしゃぎ声が、いやに大きく聞こえた。
亜弥は相変わらず無言で俯いている。
- 54 名前:days.3 投稿日:2005/02/21(月) 00:03
- 美貴のことを思い出し鼻の奥につんとした痛みを覚えて、
吉澤は乱暴に目元を拭った。
「なあ聞いて…」
「吉澤…先輩?」
遮るような亜弥の声。
口元を押さえた彼女の肩が小刻みに揺れている。
泣いているのか、笑っているのか吉澤にはわからない。
ただ、何かしらの感情を含むその動きとは対象的に亜弥の声
にはそれが感じられなかった。
- 55 名前:days.3 投稿日:2005/02/21(月) 00:10
- 「――なーんで、あたしだと思うんですか?」
「…あんたが来てすぐ、ミキティがいなくなったんだ
あんたが、ミキティにコクって、振られて、すぐに、だ。
それに、みんな言ってる。『松浦なら閉じこめてでも藤本を
自分だけのものにしてもおかしくない』って。それにあんた
最近部活に出るわけでも家に帰る訳でもなく独りで行動して
るらしいじゃんか」
亜弥の美貴への執着は有名だった。
ほぼ初対面の状態でたくさんの人の前で告白し、更に振られ
たことや振られて尚、つきまとっていたこともまた。
しかし。
- 56 名前:days.3 投稿日:2005/02/21(月) 00:17
- 脈絡も、根拠も無いに等しい。
大体亜弥の動機は?
尚続く愛か、それとも振られたことに対する恨みか。
理由など何でも良いからとにかく、誰かのせいにしたかった
のかもしれない。
一気にまくしたてたあと、吉澤は視線を亜弥から逸らした。
- 57 名前:days.3 投稿日:2005/02/21(月) 00:25
-
「…せーんぱい?」
声の方に目をやると吉澤をみつめる亜弥の顔が目の前にあった。
それは満面の笑みをたたえていて。その場に相応しいもので
はなかった。背中につめたいものが走る。
「…ちゃんとした『証拠』見つけてからいってくださいね。
んじゃあたし急ぐんで失礼しますね」
脇をするりと抜け、亜弥は走り去った。
吉澤は反射的に、動くことができなかった。
「…ちっくしょう……っ!!」
行き場のない怒りを再び製の壁にぶつける。
コンクリートにぶつかった拳が、鈍く痛んだ。
- 58 名前:◆ZpT8ZEbM 投稿日:2005/02/21(月) 00:27
- 生きてます。
そしてごめn。
- 59 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/21(月) 06:20
- 更新キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
いつまでも待ってます、頑張ってください。
- 60 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/20(水) 13:48
- まだまだ待ってますよ・・・
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