未来旅行記
- 1 名前:銘 投稿日:2004/11/07(日) 22:24
- こちらでは初めまして。
短編などをリク形式などで書いていきたいと思います。
ではどうぞ。
- 2 名前:ぼくがおもうきみのこと 投稿日:2004/11/07(日) 22:26
- どれほど好きかわかってないでしょ。
そりゃあもう世界で一番好きなんだよ。
鏡に向かって独り言のようにぼやき続けてるんだよ。
ハタから見たら寂しい一人身みたいだ。
だからもうすこし、心を開いて欲しい。
ちょっとでいいから素顔が見たい。
我侭な事なのかな。
- 3 名前:ぼくがおもうきみのこと 投稿日:2004/11/07(日) 22:29
-
「好き」
「うん」
「あ、言ってくれないわけね」
「言わなきゃわかんない?」
そういうんじゃないって分かってるくせに。
君は雑誌で顔を隠すね。
分り切ってる事を聞くのが好きなんだ。
それはぼくの癖だって見切っているね。
「じゃあ美貴の思ってる事当てて」
「よし、いいよ」
ほんのすこしの決断。
君にはそんな力があるから。
そっと唇に触れて、魔法をかける。
- 4 名前:ぼくがおもうきみのこと 投稿日:2004/11/07(日) 22:31
-
好き、好きだからね。
額と額をくっつけて念じてみるよ。
さあ届いたかな。
唇から漏れるその想いを信じて、そっと抱き締める。
「…美貴は、あたしの事が好き」
「当たり。じゃ、ごほーびをあげよう」
「よっしゃ」
もう、魔法にかかったみたい。
そうだよ。ぼくはきみのことがだいすき。
−fin−
- 5 名前:銘 投稿日:2004/11/07(日) 22:31
- こんな感じで。
他に御希望があればレスして下さいまし。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/08(月) 03:07
- じゃあ、是永と川島のCPを書いてくれ(嘘)。
うーん・・・、新垣と亀井で。
- 7 名前:銘 投稿日:2004/11/08(月) 21:55
- >名無飼育様
のリクでガキ亀。かなり無理がありますが頑張ります。
- 8 名前:梅雨の情景 投稿日:2004/11/08(月) 21:57
- 頭に浮かぶ。
もうすぐ夏が来ると思えば、このけだるさも消えるが。
「亀井ちゃん、傘持ってる?」
「…入ります?」
「うん、入れて」
ザアザアと止むことなく振り続ける雨。
何故ここまで降る必要があるんだろう。
答えは極端なものだ。
カタツムリが紫陽花の葉をつまむ所を通り過ぎ、まだ出ていない太陽を希望する。
- 9 名前:梅雨の情景 投稿日:2004/11/08(月) 22:00
-
「……あの、一つ聞いていいですか?」
「うん。何?」
もともとあまり関わりの少ない亀井ちゃんと帰路を共にするのは歯がゆかった。
どうもおりが合わないとは言えない。
気が合うとも、言えないが。
「夕方から雨が降る事、知らなかったんですか?」
「…いや、そういうんじゃないけど」
「じゃ、何で?」
ううん、分らない。
とっさにふっと笑って誤魔化したり。
本当、体した理由なんか無かった。
- 10 名前:梅雨の情景 投稿日:2004/11/08(月) 22:02
-
「そういう時も、あるんだよ」
心にも無い。
雨が好きだから、とか吉澤さんのように格好良い理由もありはしない。
ただ素になりたかっただけ。
そう彼女に言い返すと、亀井ちゃんは印象的な笑みを零す。
何故かそれが、周りの雨音よりも強い事に気がついた。
- 11 名前:梅雨の情景 投稿日:2004/11/08(月) 22:04
-
晴れてくる空を眩し気に見つめながら、傘を閉じる。
軽く水滴をふるい落とし、そっと彼女の手に傘を委ねた。
空はこんなに蒼かったっけ。
久しぶりに上を見上げたような気がして少しだけ儚くなった。
「今度傘を持ってこなかったら、もう一度入れてくれる?」
「…どうでしょうね。たぶん、です」
「そっか。多分、か」
曖昧な返事をする亀井ちゃんの心理は分らない。
ただ無性に頬をつねりたくなるような笑顔がにくたらしかった。
- 12 名前:梅雨の情景 投稿日:2004/11/08(月) 22:07
-
さようなら。
彼女は別れ際に傘を少しだけプラリと振り、アイドルの笑顔を見せた。
それに受け答えるように私も手を振る。
たった一回きりの梅雨。
別にこれといった想いも持っているわけじゃない。
だけど自然と私が景色が思い浮かべる。
蒼く晴れた空を見上げながら、帰ったら何をしようかと考えた。
−fin−
- 13 名前:銘 投稿日:2004/11/08(月) 22:08
- ガキ亀。
もちろん初めて書きました。
難しいです。
リクを頂きました名無飼育様、ありがとうございました。
- 14 名前:6 投稿日:2004/11/08(月) 23:10
- 本当に書いてくれるとは・・・。
取り合えず有難うございます。
じゃあ、石川と三好
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/08(月) 23:12
- なちごまおねがいします!!!
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/08(月) 23:12
- なちごまおねがいします!!!
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/09(火) 02:46
- 安倍さんと松浦さんって今まで見たことない
んですが、書いて頂けませんか?
- 18 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/09(火) 17:15
- >14 おちょくってんの?
いいですねこういう雰囲気。
友達でもなく恋人でもなくという感じが良いです。
- 19 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/10(水) 01:34
- 田亀で書いて頂けませんか?
どうかお願いします。
- 20 名前:14 投稿日:2004/11/10(水) 21:07
- >18
別におちょくってるつもりはねぇよ。
それに垣亀も石・三好も見たいと思ったから書いただけ。
ただ、もし作者さんがそう思われたのなら謝ります。
- 21 名前:この板の某作者 投稿日:2004/11/10(水) 22:34
- >18
単にマイナーなカップリングだからって事だろ?
それにおちょくるつもりからもっと違うやり方をするだろ。
ま、14の表記の仕方は確かに問題あるけど。
それにしても文章表現、巧いですね。
どう言う点を気を付けているかをよろしければ教えていただきたいんですが。
- 22 名前:銘 投稿日:2004/11/13(土) 17:12
- どうも作者です
>名無飼育様
たびたびのリクありがとうございます。
三好さんと石川さんのカプは残念ながら書き兼ねます。
マイナーカプの挑戦は多大なる目標…そのうち頑張って書かせて頂きたいと思っています。
>名無飼育様
なちごま、了解致しました。
>名無飼育様
安倍さんと松浦さんですか…異様な空気が漂いますね。
すみませんが自分では書けないと…
先程の通り目標目指して頑張って行きたいと思います。すみません。
>名無飼育様
田亀、了解致しました。
>名無飼育様
作者はありがたいばかりです。リクを頂いた事をありがたく思っていますので
全くそんな事はないですよ。
リクエストしていただければできる限りの事はしたいと思ってますんで^^
>この板の某作者様
巧い…私にはとても勿体無いお言葉ですが、ありがとうございます本当に。
あんまり背景を気にせず妄想のままに書いてるので体したものでは…
自分は常になるべくリアルに書こうと志してます。
某作者様の作品も伺ってみたいなぁ…と思ったりw
たくさんのレスありがとうございました。
まずはなちごま。
- 23 名前:霧が降る世界 投稿日:2004/11/13(土) 17:13
-
ただなんとなく接して
ただなんとなく一緒にいる
それだけで幸せだよ
君はそう言った
霧がこもった森の中 一人の君と出会った
- 24 名前:霧が降る世界 投稿日:2004/11/13(土) 17:14
-
手を繋いで歩きたい。
でも拒まれたらどうしよう。
コレって一種の病。
最初の二人はそうだった。
呼吸は自然にできるはずなく目が合うだけでハッとする。
あの眼差しが、僕を狂わせる。
- 25 名前:霧が降る世界 投稿日:2004/11/13(土) 17:16
-
「んぁ、んぅ…」
「どしたの?」
「…あのさぁ」
くいっ、と首に絡ませて、頬にキスをした。
この後は想像がつく。
きっと訛りまくって、顔を真っ赤にして、バカと暴言を何度も言う。
この想像は、外れた事がない。
- 26 名前:霧が降る世界 投稿日:2004/11/13(土) 17:18
-
ほんのすこし、ウソをついたら。
心配性だから、ないてしまいそうな顔をする。
その泣き顔を笑顔に戻すには、相当の力がいる。
僕にしかできない、特別な魔法がある。
とっても甘くてとっても温かい。
キスが必要。
- 27 名前:霧が降る世界 投稿日:2004/11/13(土) 17:20
- めったに彼女からせがむ事はない。
だからいつも自分がするしかないから。
温もりが欲しい時は思いきり甘えて、思いきり甘えて来て欲しい。
君じゃなきゃできないから。ね。
もうすぐ霧が立ち篭める。
もわっとした、雨とは違う異世界が繰り広げられる。
終わりを告げそうな 薄暗い森。
- 28 名前:霧の降る世界 投稿日:2004/11/13(土) 17:22
-
戻ってこれない。戻ってこない。
君はもういない。
手探りで温もりを探す。
でも一生とどかない、永遠に。
宇宙よりも広い愛情は、一瞬にして砕けた。
海に投げ出された片言の言葉は散り、またかきあつめられる運命。
追いかけない。追いかけられない遠いヒト。
- 29 名前:霧が降る世界 投稿日:2004/11/13(土) 17:23
-
「どこにいるの?」
答えは返ってこない。
届かない世界。
それは君がいないせいで降り注ぐ、つめたく冷えた霧。
一生だと思ってた世界は。
たった一度の霧が降る世界だった。
−fin−
- 30 名前:銘 投稿日:2004/11/13(土) 17:25
- あ、途中で間違えた。
脳内変換よろしくお願いします。
結構痛めだったかも。
- 31 名前:ロミオの苦悩 投稿日:2004/11/13(土) 17:31
-
ああロミオ、あなたはどうしてロミオなの。
そんなん、知るか。
知ってたら苦労せんし。
ファンタジーに浸る想い人。
そしてついていけない、自分。
「…なんね、自分だけ寝おって」
気持ちよさそうな寝顔でDVDのリモコンを握りしめる彼女。
きっとロミオとジュリエットの夢でも見ているんだろう。
絵里の考えてる事が、れなには分らん。
- 32 名前:ロミオの苦悩 投稿日:2004/11/13(土) 17:33
-
なんでこげなやつ好きになったんやろ。
自分でもようわからん。
アホでバカでドジの絵里がどうしようもなく好き。
キュッとれなの手を握って寝言を言う。
文句も言わんからこういう時はゆっくりしてられる。
「…絵里のバカ」
「ドジ」
「アホ」
何をやらせてもバカばかりする絵里。
れなが何か言えばまともに受けてしまう絵里。
純粋だと分かっていても、放っておけばきっと危ない。
だかられなは、絵里と一緒にいる。
繋いだ手を離さないように、離れないように。
- 33 名前:ロミオの苦悩 投稿日:2004/11/13(土) 17:35
-
『れいなかわいぃ〜』
『あーもううるさか。だまりんしゃい』
つんつんれなの頬を突っ突きからかう絵里。
やりとりは毎日だ。
だけどれなも抵抗せん。
好きな子からそげんことされても、ムカッとこんから。
放っておく。
やりたいことをやらせてあげれば、そのうち静かになる。
でも好きってことは放っておけん。
この寝顔の犯人に、心を奪われた。
- 34 名前:ロミオの苦悩 投稿日:2004/11/13(土) 17:37
- ああロミオ、あなたはどうしてロミオなの。
引き裂かれそうな二人の愛は今でも時代に流されず。
永遠となっている。
そんな恋は実際に有り得ないと多くの人が言いたいのも分る。
でも、信じてみたい。
ロミオと化したれいなは、ジュリエットの寝顔を眺めながら静かに夜は更けて言った。
−fin−
- 35 名前:銘 投稿日:2004/11/13(土) 17:39
- またミス発覚。
>34
〜夜は更けて言った×
〜夜は更けて行った○
すいませんでした。
- 36 名前:6 投稿日:2004/11/13(土) 20:42
- 更新、お疲れ様です。
いしみよしはやっぱ無理か・・・。
(垣亀をやってくれたんで、もしかしたらって思ったんだが・・・)
ま、三好が(まだ)マイナーだから性格が掴めてないから
どうしようもないか。
では、代わりにアヤカと里田でよろしくお願いします。
(気が向いた時で良いんで)
次回、楽しみに待ってます。
- 37 名前:蜜柑 投稿日:2004/11/14(日) 21:10
- 甘く酸っぱい果物、なーんだ?
- 38 名前:蜜柑 投稿日:2004/11/14(日) 21:15
-
「たん、ミカンとってきて」
「やだ自分でとって」
「ここあたしの家」
「…わかったよ。ああ寒い寒い」
使いっぱしりに送ったみきたんはぶつぶつ言いながら台所へ向かう。
冬の味覚、ミカンを取りにいくために。
コタツでぬくぬくする二人の時間は今となっては貴重。
みきたんが娘。さんに入ってからというもののオフが重なる日はごくまれにしかない。
だから一緒に楽しい時間を過ごせるのも、月に一度、いや二ヶ月に一度あるかないか。
「ほら、投げるよ」
「ちょ、ばか!」
乱暴にびゅっとミカンをあたしに投げ、キャッチしろと言う。
全く、普通に持って来ればいいのに。
- 39 名前:蜜柑 投稿日:2004/11/14(日) 21:18
-
「ったく、何すんのよわざわざ」
「いいじゃんたまには。ほら、剥いてよ」
「は?」
「美貴がミカン取って来たんだから、亜弥ちゃんが剥く番」
「何言ってんだか…」
とあたしも言いつつ、何となく彼女の言う通りにしてしまう。
結局いつもへらへら顔のコイツには負けてしまうから。
一緒にいるようになったきっかけなんてあたしにもみきたんにも分らないと思う。
ただなんとなく一緒にいて、ただなんとなく自然体なだけ。
ミカンをむきつつ、テレビをじっと見るみきたんを覗いてみた。
- 40 名前:蜜柑 投稿日:2004/11/14(日) 21:21
-
「何見てんの?」
「えっ?」
「美貴の事、すっごい見てたよね今。拝観料取るよ」
「あんたに払う金なんかありまっせーん。このナルシ」
「何をぉ。それだけは亜弥ちゃんに言われたくないぞ」
「お生憎様」
別に見てたわけじゃないもん。
別に、ね。
みきたんがぶうぶう言う前に言葉を遮って。
あたしは知らん顔でぽつぽつと返事をする。
- 41 名前:nanashi 投稿日:2004/11/15(月) 07:46
- リクエスト
飯田×藤本で
できたらお願いします
- 42 名前:夏の終わり。 投稿日:2004/11/20(土) 22:38
- 初めて見ました。
作者さんのみきこんがみてたいです。
- 43 名前:蜜柑 投稿日:2004/11/21(日) 17:48
-
たまに覗く視線がカッコイイ。
とか、あたしも女子高生的な考えを持ってるわけよ。
だってまだ18歳だし。
「うわ、これ酸っぱいよ」
「ああ、ハズレ」
「ハズレ?」
「例えだよ。甘い方が誰だっていいでしょ?」
酸っぱいミカンを食べてしまったみきたんは渋い顔をして終止フキゲン。
そっか。
ああ、そうか。
- 44 名前:蜜柑 投稿日:2004/11/21(日) 17:51
-
「みきたんって、ハズレだ」
「は?」
「あたし、ハズレと付き合っちゃってるんだ」
「え?何?」
酸っぱくて。甘くて。
変な例え。自分でも笑えてきそうな程。
不可思議な表情のみきたんを横目に、甘い方のミカンを頬張る。
うん、やっぱりアタリ。
「ねえ、どういう意味?」
「さあ?」
「え?ねえっ、ねえったら」
コタツの中で足をつついてくる。
くすぐったいけど、ま、いっか。
冬の楽しみがまた増えた。
寒い寒い、休日の日。
- 45 名前:銘 投稿日:2004/11/21(日) 17:55
- 先にレス返しを
>6様
御希望に添えられず申し訳ございません。それ程の技術が全くないので…
アヤカと里田。了解しました。
いまいちキャラがつかめていないので、勉強してから挙げたいと思います。
暫くお待ち下さると幸いです。
>nanashi様
飯田さんと藤本さん。了解しました。
>夏の終わり様
拝観ありがとうございました。
みきこん、了解です。
- 46 名前:燃えた花は灰色に染まる 投稿日:2004/11/21(日) 17:57
-
彼女の好きなもの。それは何もない空間。
最初は不思議に思っていた。だってなにも共感できる部分はない。
まして、興味すらない。
手に取るように分るあの人の感性。
静寂が好き、自然体が好き。
- 47 名前:燃えた花は灰色に染まる 投稿日:2004/11/21(日) 17:59
-
ただ、無口。
問いかけてもオウム返しをするか、何も答えないか。
喋る事のない。操り人形。
繰り返し唱えた言葉など、記憶に全くないようだ。
「飯田さん」
「何?」
「ミキは好きな人がいるんですけど」
「そう」
「それが、貴方だったら、どうしますか」
きっと答えはカンタン。
単純で、何の変哲もない、空間に挟まれたミキと飯田さん。
- 48 名前:燃えた花は灰色に染まる 投稿日:2004/11/21(日) 18:01
-
暫くして、彼女は口を開いた。
「だとしても。何もしない」
「え?」
「ミキの気持ちに答えられるような、優しい人じゃないよ」
珍しく笑ったその表情は。
何ものにも変え難く。
ただアツク、熱くミキの心に焼きつく事となった。
- 49 名前:燃えた花は灰色に染まる 投稿日:2004/11/21(日) 18:03
-
優しい心なんてないよ。
ミキが優しいなら、私はそれを超えられない。
そんな事、ない。
そうとは言えない自分がもどかしかった。
そっと手のひらに集めた蒲公英の花びら。
ふっと息を吹き掛けたら 空に広く飛んで行った。
−fin−
- 50 名前:銘 投稿日:2004/11/21(日) 18:04
- nanashi様のリクエストで飯田さんと藤本さんでした。
次回は夏の終わり様のリクで、みきこんを。
では。
- 51 名前:やさき 投稿日:2004/11/22(月) 01:17
- リクエストであま〜い、なちごまおねがいします!!
- 52 名前:nanashi 投稿日:2004/11/23(火) 11:12
- リクエストに応えてくださりありがとうございます
ぶしつけながら次のリクエストを
飯田×後藤か藤本×紺野でお願いします
- 53 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 20:56
-
最近仕事が忙しいせいか、休みの日は家でぐったりしている事が多い。
何も考えず、一人きりで休日を過ごすのがわりかし好きな方でもある。
誰かに電話したり、無心でテレビを見たり、雑誌をパラパラ捲ったり。
そんな暇な午後。
意外な人に呼び出しをくらった。
- 54 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 20:59
-
「で、用って何?紺ちゃん」
寒い寒い北風が吹く、秋の終りを告げる午後。
焼き芋が数本入った紙袋を片手に、紺ちゃんはゆっくりと微笑んだ。
心無しか、焼き芋がよく似合う。
「体した事じゃないんですけど」
「うん」
「藤本さんって、焼き芋好きですか?」
「…はぁ?」
新聞紙にくるまった焼き芋を美貴に差し出し、不思議そうな表情を作る。
あっけらかんとする数秒の間、紺ちゃんは絶えまなく笑顔だ。
- 55 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 21:01
-
「いや、まあ好きだけど」
「そうですか」
え、それだけなの?
美貴がそう言う必要もないかもしれない。
でも、紺ちゃんは至ってマイペースだ。
間髪入れずに、ゆっくりゆっくりと質問を続ける。
「じゃあ、じゃがいもは…」
「うん好きだよ。で…」
「じゃ、冬はどうですか?」
答える間をくれない。
- 56 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 21:03
-
「嫌い。だけど」
「だけど?」
「何かと良い事があるから、好きかもしれない」
「そうですか」
で、何なの?
ちょっといらついてきた美貴は、マイペースな紺ちゃんに投げかけた。
すると、焼き芋を受け取ろうとしない美貴に困惑して、ぐいと焼き芋を握らせた。
ほんのりあたたかくて、丁度よい焼き芋の温度。
なんだかその温かさにつつまれて、焼き芋の事しか頭に入らなくなる。
「…って。違うよ。何で、美貴を呼び出したりしたの?」
カツアゲしてるわけじゃない。
通行人の人にはバレないように、少し小さめの声で喋り出す。
- 57 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 21:07
-
「暇だから、藤本さんと、喋りたかったんです」
「暇…だから」
「他のメンバーはみんな、いなくて」
「……ふーん」
紺ちゃんのくせに、結構モノを言う。
最近雰囲気が変わったと言われるのは、このせいだろうか。
「…でもさ、飯田さんと喋るよりマシかも」
「そんな事言っていいんですか?」
「ま、シークレットにしておいてよ」
喋りづらいんだよね。本音で言うと。
- 58 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 21:10
-
「食べて下さい」
「……ありがとう」
受け取るのを忘れていて、さめそうな焼き芋をそっと手渡される。
何気なく右手を差し出して、カイロ代わりにしてみた。
うん、温かい。
「ねえ、さっきの質問、何?」
「ただ気になっただけです」
「…気になるんだけど」
「藤本さん冷え性でしょ?でも毎年冬になるとウキウキしてるなって
「…そう?」
よく美貴の事見てるんだな。
そりゃカントリーとか娘とか結構一緒にいる時間は多いけど。
不可思議に思いながらも、一口焼き芋をかじってみる。
うん、おいしい。
- 59 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 21:13
-
「冬はさぁ、イベントとかいっぱいあるじゃん」
「はあ」
「楽しいなって。思う」
ソロの時の方が、もっと楽しかったけど。
あえてその事は触れないようにした。
今さら娘。に入ってから、昔の事話しても、卑怯かなって思ったから。
「ソロの時の事、思い出してたでしょう?」
「…何で分るの」
「顔を見れば分ります。あの時は楽しかったなって」
「今も楽しいよ」
「藤本さんはどこかで遠慮してます」
関連性の無い返事。でも何か説得力がある。
紺ちゃんはあっという間に焼き芋一本を食べてしまった。
残った新聞紙を丸めて、手で弄んでいる。
- 60 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 21:16
-
確かに。
ソロの時は、亜弥ちゃんとかごっちんとか、色々なメンバーと関わって
色んな企画をして、十分満足できていた。
でも団体になると、自分自身の事を勝手に出来ない。
そこが少し不便なんだけど。
紺ちゃん、少し寂しいのかな。
美貴が、娘に馴染んで無いとか、そんな事、気にしてくれてたり。
「まあ、いいんですけどね」
「え?」
「藤本さんは、藤本さん。私は、私ですから」
「何が?」
「娘。の中でも、一番格好良いと思います。私は」
芋が喉につっかえそうな程。
込み上げてくるアツイ感情がとどめられない。
なんだ。この気持ちは。
- 61 名前:冬と吐息と焼き芋と 投稿日:2004/11/23(火) 21:20
-
「分かってます。私、藤本さんが思う程抜けてませんよ?」
想像外だなぁ
なんだか美貴の事、見透かしているような気がして怖い。
でもそれ以上に、紺ちゃんがいつも以上に感強い。
ソロの時の事。今の事。
なんで、色々理解しちゃってるんだろう。
「じゃ、そろそろお開きで」
「え?」
「私、マコトと約束があるので」
「え。じゃあ美貴を誘う必要なかったんじゃ…」
「そうかもしれませんね」
彼女の方が、一枚上手だった。
やはり紺ちゃんの脳は完璧。
美貴の考えなどカンタンに押しつぶされてしまう。
突拍子も無く、不可解な事を言い出す始末。
このまま美貴の好きな冬が来るように。
このまま美貴の嫌いな冬が来ないように。
暗くならないように足早に家路に着き、独りで思い出し笑いに浸った。
−fin−
- 62 名前:銘 投稿日:2004/11/23(火) 21:24
- 数カ月前からパソコンがイカれてます。
コピペ機能だけが何故か起動せず、直接打ち込むしか手立てがありません。
かなり面倒な事になってますが御迷惑かけぬよう更新していきたいと思います。
>やさき様
甘いなちごま、了解です。
>nanashi様
たびたびの訪問ありがたく思います。
では藤本×紺野をもう一度。後藤×飯田は考えが付きにくいので。
すいません。
- 63 名前:かたちをつくる 投稿日:2004/11/30(火) 20:03
- 君はもうすこし、心を開くべきだ。
あたしは彼女にそう言った。
そしたら、なんだか物憂気に黙りこくって。
もしかして余計な事したかもしれない。
そんな気にもさせられた。
あたしが悪いのか、彼女が悪いのか。
仕事をしている間も、そんな思いが巡って。
ぜんぶ、全部全部、お前が悪い。
あたしの本音はそうだ。きみが、そうやって不器用な事するから。
- 64 名前:かたちをつくる 投稿日:2004/11/30(火) 20:04
- なんで、あたしがあのコの動作一つ一つでときめいてるんだか、最初は分らなかった。
単なる無意識。そう感じていたから、いつまでも放ったらかしにしていた。
そしたら、だんだん本格的に自覚症状が出てきた。
もっと触れたい。もっと一緒にいたい。
完全に恋に落ちているということが、簡潔にわかった。
だって相手は女の子。そしてあたしも女の子。
異性を好きになるべきが、なぜか同性を好いてしまったのだ。
でもそんな事忘れていた。
彼女が同性であっても異性であっても、関係なく。
- 65 名前:かたちをつくる 投稿日:2004/11/30(火) 20:05
- 「見過ぎ」
「ダメ?」
「気が散る」
鋭い視線にふっと笑ってあたしは負ける。
しょうがなく、メールを打ち続ける彼女から離れる事にした。
地が出過ぎてて、正直こわい。
「誰にメールしてるのって聞いたら怒る?」
「いや、怒りはしないけど」
「ミキティ怖いよ」
「は?」
「なんか、怖いよ」
だって本当に、彼女の存在が怖かった。
それは何故だか、彼女自身が探しても見つからない答えだと思う。
- 66 名前:かたちをつくる 投稿日:2004/11/30(火) 20:05
- あたしに胸をときめかすこともなし。
好きという事もなし。
そんな彼女が、怖くて堪らないという事態に陥ったのだ。
「…なんで」
パタンと携帯を閉じて、あたしと目線を合わせた。
でもその瞳は決してあたしを見ていない。だって目が潤んでる。
なんでかって、こっちが聞きたい。
「機嫌悪いときのミキティも、怖いけど。あたしに何も言えないミキティは、もっと怖い」
溜め息混じりでそう言うと、感じ取るかのようにビクリと肩が跳ねて。
あたしはその肩を落ち着かせるように、ポンポンとなだめた。
言い合いすることはしょっちゅうだけど。こんな彼女、あたしは苦手だ。
- 67 名前:かたちをつくる 投稿日:2004/11/30(火) 20:06
- 「じゃあ、美貴はよっちゃんさんに、どうすればいいっていうのさ」
半フキゲン気味に、あたしに言う。
ちょっと開き直ったような、幼稚的な行動だった。
あたしはその答えを見つけた。
なんか、ダサくて格好つかないけど。これしかないんだ。
「ミキティが、あたしに対して思ってること。ぜんぶ、ぶちまけちゃえばいいんだよ」
思ってること、いやなこと、全部話してよ。
常日頃から、あたしに何を思っているのか。
それを知っておけば、すべて万事解決なんだと、安易な考えに落ち着いた。
簡単な事しか浮かばなかったけど。
- 68 名前:かたちをつくる 投稿日:2004/11/30(火) 20:07
- 「…あほで、ばかで、やさしい」
「それだけ?」
「美貴のこと、愛してくれてる」
「まだまだ」
ちゃんと彼女が言ってくれるまで、あたしは待った。
初雪が降るのを楽しみ待つように、彼女がぽつりぽつりと語るまで。
「…美貴は、どうしようもないぐらい、よっちゃんさんが好き…」
悔しがって、そっぽを向く。
そうだよ。 そうやって、どんどん悔しがっちゃって。
最終的に辿り着くのは、あたしの胸。
- 69 名前:かたちをつくる 投稿日:2004/11/30(火) 20:08
- 「よし、安心した」
「え?」
「ミキティは、あたしの事が大好きだね」
「…たぶん」
「たぶんかよ」
多分、でもいいか。
あたしは、そんな事以上に、異常?に彼女が大好きだ。
愛って、案外そんな事でいいのかもしれない。
−fin−
- 70 名前:銘 投稿日:2004/11/30(火) 20:10
- みきよし。なんとなくなのですが。
以前頂きましたアヤカ×里田の駄文はストックが帳消しになってしまい
うpできませんでした。
すみませんが、暫く遅れてしまう可能性が大なのです。
リクを頂きました名無飼育様、申し訳ないです。
次回更新時はなちごまを。
では。
- 71 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/01(水) 16:11
- なんだか引き込まれるような雰囲気…
- 72 名前:名無し飼育2 投稿日:2004/12/03(金) 03:18
- リクされた方とは別人ですが
僕もアヤカ×里田を楽しみにしています。
マイナーCPですがよろしくお願いします。
- 73 名前:6 投稿日:2004/12/10(金) 03:20
- お久しぶりです。
こっちの方は全然、急いでないんで他の人を優先してあげてください。
そして、余裕がある時にでも書いてください。
それに他のリクの作品も十分に面白いんで。
気長に待ってますので、頑張ってください。
- 74 名前:この板の某作者 投稿日:2004/12/10(金) 03:34
- お久しぶりでございます。そしてお疲れ様です。
この雰囲気は自分の技量では出せないもの。
正直、羨ましいと・・・。
>某作者様の作品も伺ってみたいなぁ…と思ったりw
そう言ってもらえると物凄く嬉しいです。
ただ、現在のところ、とてもお見せ出来る状態ではないんで・・・orz。
ま、自分の事は置いといて、次回更新を楽しみに待ってます。
頑張ってください。
- 75 名前:眠るロンリネス 投稿日:2004/12/11(土) 15:16
-
ここに印した永久の愛が消えないように
ずっと見てる ずっと想う
いつまでも、ずっと
- 76 名前:眠るロンリネス 投稿日:2004/12/11(土) 15:16
-
「しばらくだね」
「そりゃあ、うん」
「まあ、それぐらい年もとったんだよ」
重いカバンには、何が入ってるんだろう
そう問いただす前に彼女は特有の笑顔で笑った
久しぶりに見た、太陽みたいな人
- 77 名前:眠るロンリネス 投稿日:2004/12/11(土) 15:17
-
「よかったね、叶って」
「うん」
「さぞ愉快な事だろうね」
「なんで、そんな皮肉っぽいの」
裏切ったくせに
小さくアスファルトに呟くと、それは彼女に筒抜けだったらしい
あたしを置いて、夢ばっか追いかけてた頃
そして今、本当のきみがいる
- 78 名前:眠るロンリネス 投稿日:2004/12/11(土) 15:18
-
「もう、いいよね」
「何が?」
「欲しいもの、全部手に入れたんだったら」
「…え?」
ちょっとは別けてよ 幸せってモンを
懐かしい彼女の匂いに響かせて
二度と戻れない欲望を抱きしめた
−fin−
- 79 名前:銘 投稿日:2004/12/11(土) 15:27
- なんだか更新が遅くて申し訳ないです
レスありがとうございました。
里田×アヤカ、いつ出来上がるかわからないもので…
大変御迷惑おかけします。
安倍さんの事情と言い更新が遅いと言い、色々と年末は忙しいばかり…
本日は二度の更新を致します。
では後程。
- 80 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:40
- 宇宙の中でもまれにあるちょーじょーげんしょうとかいうやつ
美貴は多分、それを見たんだと思う
だって夢みたいだから
いや、夢だったのかもしれない
なんだか人間みたいなやつだった
美貴みたいにフツーの人間みたいな
でもどっかかけ離れてた
あいつが死んじゃったなんて
- 81 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:40
- 「やっほ」
緑色のフェンスを乗り越えて、煩い程に笑顔なやつだった
元気だなぁって、いつも思ってた
なんか、人一倍エネルギーを所持している
名前はなんて言ったんだっけ
あ、そうだ、よっちゃん
名前を聞いたら、それしか言わなかった
そう呼べって、言った
- 82 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:41
- 「暇人だねぇチミは」
「そっちも」
「ふん、どうせおれっちはプ−タローだもんね」
何にもせずにいつも笑ってるやつだった
でも、どこかひとりぼっちなやつ
美貴とは自然に関わってたけど、きっと色んな過去があった
喋らなくても、分かった事
「ねー、学校って楽しいところ?」
「うーん?そうでもない、かな」
「なんで?」
「勉強は大変だし、友達のこととか色々あるでしょ」
「へぇーっ、そんな事気にする人間だったんだねーっ」
いかにも物珍しそうな顔で興味津々
彼女は学校に行った記憶が殆どないからだ
なんでかは、知らない
- 83 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:42
- 「ってか失礼だね」
「だって、いつもそういう事言わないから」
「…そう?よっちゃんにはわかんないよ」
「あーっ、ずるいぞそういうの」
何がだよ、とツッコミを入れる前にぺたりと美貴の横に座り込む
まるで動物のような無邪気な笑顔が印象的
男の子か女の子かもわからないほどの、子供だった
「どーせおいらは無知なニンゲンだぜ」
「そんな事ないっしょ」
「どうしてさっ」
そんなに悔しいの?
意地悪く訊ねると、よっちゃんはムッとした顔でしょぼくれた
赤ん坊じゃないんだから
- 84 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:43
-
「よっちゃんは賢いよ。だから、独りでも大丈夫なんでしょ?」
そう、彼女はとても賢かった。
哲学的な事を突発的に喋りだしたりするし、人間らしい事をよく口にするのだ
たぶん勉強面ではダメなんだと思う。知る限りはバカだ
でも、そういう頭が良いとは違う
だからちゃんと、一人でつっぱって生きている
- 85 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:43
- 「…そうかぁー、おいらは賢いのかー」
「うん。天才とか言われてるニンゲンより、ニンゲンに近いよ」
「え?どういうこと?」
「ふふ、ニンゲンじゃなくなったらわかるよ」
「えー?じゃあおまえにもわかんないだろっ」
「そうだね」
ごまかすなよぉ
子供っぽいよっちゃんの接し方には、こっちも心が休まった
安定期に入った妊婦さんってこんな感じなのかな?
ただひとつの宝物を大事に包んで、時がきたらその姿が現れる
あはっ、結構違うか
- 86 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:44
-
「でもさーおいらひとりぼっちじゃないぞ」
「うん?」
「ほら、美貴てぃーがいるし」
だいたいはいつもこうやって過ごしてるじゃん?
だからおいらは、美貴てぃーといると、独りじゃないって思えるんだ
「嬉しい事、言ってくれちゃって」
「あ、マジ?今おいらのポイント上がったでしょ?」
「上がったよ、メーター壊れるぐらい」
「やったね、美貴てぃーのハートをゲッチュしたぜ」
小さくガッツポーズをするよっちゃんの姿がなんだか可愛かった
幼稚園児とか、保育園児とかそこらへんっぽくて
動物やなんらかの生物よりも愛らしい
そこで気がついた美貴のキモチと言えば
これが愛なんだっていうこと
- 87 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:44
- 「美貴は、なんだかよっちゃんの事が好きでしょうがないよ」
相変わらずふざけながら他の物に気を取られてるうちに
真剣な話をしたらどうするのかな?
鈍いから、きっとわかんないだろうな
でも意外に彼女は敏感だった。神経を研ぎすますかのように
「…どーしたの、美貴てぃー」
「何が?」
「なんか、なんかおかしいよ。美貴てぃーがそんな乙女チックな事」
「あ、嫌だった?」
「ち、ちがうっ。うれ、嬉しいけど、なんか痒いっ」
- 88 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:45
- 馴れてない恋の味は難しい
よっちゃんさんの照れる頬は夕焼けよりも真っ赤だった
「お、おいらも好きだよ」
「おぉ、嬉しいね」
「美貴てぃーのこと、なんだかよくわかんないけど、好きかもしんないよ」
まるで、目の前の餌をガマンして「待て」を命令されている犬みたく
よっちゃんは美貴の目をじっと見つめてそう言ってくれた
「こ、こういうのなんていうんだっけ。あの、えっと」
「ん?」
「あんっと…えとー…」
なんかこう、ぎゅっとしたいとか、いっしょにいたいっておもうこと、なんていうんだっけ
- 89 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:45
- 酷く薄っぺらな美貴の心は、よっちゃんが膨らましてくれた
だから美貴もそうしてあげたいと思うような
そんなキモチは、こう言うんだよ
よっちゃんにそっと耳打ちすると、納得したようににっこり笑った
「あい、あいしてる、美貴てぃーのこと」
うん、美貴もだよ
- 90 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:46
- ひとりぼっちのよっちゃんは、美貴とおなじヒトとして生きていた
ほんの少し前まで元気に、跳ね回っていた
愛しいと感じる事がこんなにも快感だとは知らなかったし
生きている事の喜びがここにあったなんて
よっちゃんと会って全てを知った
怒りや悲しみや傷みや喜びや幸せ
- 91 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:46
- 「あ、わりぃー、おいら行かなきゃ」
「どこに?」
「ちょいとね、すぐ、すぐ帰ってくるよ」
「…っちゃん?」
ある日、よっちゃんはフェンスから飛び退いて美貴の頬にちゅっと口付けをした
それが何かを知らせるはじまりで
そんな事は知らなかった。知りたくなかった、あとのこと
「じゃっ、ばいばいきんっ」
待って 行かないで
- 92 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:47
- いつもなら、バイバイなんて言わないから
余計に焦った
またね、また明日、じゃあね、後でね なのに
彼女が口にしたさようならを最後に、よっちゃんは次の日あのフェンスにはこなかった
ギシギシと気味の悪い音を立てる緑色の針金だけがあの笑顔を思い出させる
アスファルトに落ちていた新聞に目をやると、そのには新聞紙はぽつぽつと水の後がある
ああ、これは
自分の落とした涙だと知るには、遅すぎた
- 93 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:47
- もういちど、よっちゃんがあの笑顔で笑ってくれたらいいのに
下らないという事は知ってるけれど
そう思いたくて仕方がなかった
どこにぶつければいいのかもわからないから
自暴自棄になって、よっちゃんの胸にすがりつく事もできない
一体、彼女は何ものだったのだろう
それは唯一一緒にいた美貴でさえも分かっていない
前によっちゃんが言ってた
知ってもいいことと、知らなくていいことはいっぱいあるんだねって
美貴は、それを思い出した
- 94 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:48
- 彼女がどこにいるかなんて 彼女が生きてるかなんて
考えるのをやめた
だってそんな想像は、よっちゃんを困らせるから
だから殺した。美貴の中のよっちゃんを、消したんだ
もうよっちゃんは、死んだってことにして
でも待ってるんだ。よっちゃんは、美貴に言ったんだから
すぐ、すぐに帰ってくるって
- 95 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:48
- いくら泣いたってダメなんだ
美貴は、よっちゃんよりも強くて
美貴は、よっちゃんよりも賢いんだ
あんな馬鹿に、バカにされたくない
だから、最後の涙を振り切って空に舞った
飛べるはず よっちゃんの声が聞こえたような気がして
待っててよ すぐに 追いついてみせるから
- 96 名前:だれもしらない 投稿日:2004/12/11(土) 19:49
- 『……えー、次のニュースに参ります…』
屋上から飛び下りたと思われる女子高生の死体が今日午後3時頃に発見された
ちょうどその時と同じ時刻に、一羽の凛々しい鳥が飛んでいた
真っ白で汚れない空を優雅に舞う姿
ニュース番組の後、その映像がブラウン管をすりぬけた
誰も知らない二人の行方は、誰も知らない世界にある
−fin−
- 97 名前:銘 投稿日:2004/12/11(土) 19:50
- リクの方は次回、なんとか達成できるかと。
実に勝手な申し分なのですが、しばらくリクエストは受け付け停止という形に
させて頂きたいと思います。
何分更新速度が遅いもので、読者様の期待のお答えするのはかなりの限度があるのです。
じきに復活すると思いますので、ご了承下さいませ。
勝手な言い分をお許しください。
- 98 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/12(日) 16:51
- 更新乙でした
痛い程に切ない殺伐とした物語…涙腺緩みます
藤本さんと吉澤さんのまったりとした二人の空気が大好き
だった自分にとって、初体験の物語りでした
次回更新、楽しみにお待ちしております
- 99 名前:ななし 投稿日:2004/12/13(月) 21:44
- 痛い…痛いです…
冒頭から見るとそんなに哀愁はないのですが…
死というものをあからさまに表現することなく演出する文体、最高です。
頑張ってくださいね。
- 100 名前:不可能と無限大 投稿日:2004/12/13(月) 22:20
-
彼女はいわゆる天才と言える子供だろう
ただひとつだけ欠点がある
何も書かれていない画用紙のように、真っ白な心を持っていること
とても純粋だが、時として牙を剥き
その準才を発揮する
その力に、未だ美貴は触れていなかった
- 101 名前:不可能と無限大 投稿日:2004/12/13(月) 22:21
-
白ければ白い程汚れやすい、と言うように、あさ美は純白な子供だった
子供と言えど高校生、物を考える力は持ち合わせている
熱心にノートと教科書を広げ独学の世界を作り上げるのがあさ美の趣味だ
研修教員の美貴でさえ、完璧な子だと思えてしまう
「先生、出来ました」
ガタリとイスを引き、両手でテキストを持ち美貴に丁寧に手渡す
美貴はこくりと頷き柔らかい笑顔で赤ペンを取った
マル マル マル マル マル マル…………
「うん、全問正解。凄いね」
「いえ、そんな事は」
にこりと微笑むあさ美の笑顔は本物ではあった
彼女は学ぶ、という事が本当に好きなのだ
- 102 名前:不可能と無限大 投稿日:2004/12/13(月) 22:21
-
何もかも完璧にこなすあさ美の真っ白な心は、誰にも汚せない
誰もがそう思うかのような秀才女であるからだ
だが、そんな事はなかった
あさ美自身、そのような誤解をされつまづいている
「先生」
「何?」
「藤本先生は、知り合いにどんな人がいますか?」
「え?」
シャーペンを静かに置き、ふいに顔を上げるあさ美
妙な質問に首を傾げる美貴を差し置いて、真剣な瞳と姿勢だ
「えー…まあ、面白い子とか、変な子とか」
「他には?」
「……何が聞きたいの?」
言い方が悪かったようだが、美貴の本心だった
あさ美はとっさに違うんですと首を横に振り、焦る
高校生だし、何か悩みでもあるのかな?
美貴は只単にそう思っていた
- 103 名前:不可能と無限大 投稿日:2004/12/13(月) 22:22
-
「…先生は、完璧を信じますか?」
必ずしも奇跡を起こすとも言えるこの言葉
まさにあさ美のためにあるようなものだった
至って真剣なあさ美の目に困惑しながら、美貴はキュッと赤ペンのキャップをはめた
「あ、いえ、答えにくかったらいいんです」
「いや、そんな事はないんだけどさ」
何でも出来る、何でも可能にしてしまう
秀才の事を人はみな、完璧と改めて表現する
美貴にとってあさ美は、そのような生徒だ
あさ美自身にそんな事を尋ねられては、何と答えてよいのか判断がつきにくい
- 104 名前:不可能と無限大 投稿日:2004/12/13(月) 22:23
-
コンプレックス あさ美曰く、完璧という言葉
俯くあさ美の姿は、まさにそれを表わしている
肩に何か重い荷物が乗りかかっているのを美貴は見逃さなかった
「嫌、なんだ?」
「いえ、そういうわけでは」
「じゃあ、どうして?」
「勝手な事を想像されては困るでしょう?」
それはそうだろうけれど
あさ美の場合は違うのだ
- 105 名前:不可能と無限大 投稿日:2004/12/13(月) 22:23
-
「何故そう思うんです?私が、完璧だから?」
コクリ、と頷きそうになる首を振った
そう言えば、完璧って何?
自分でもよくわからない言葉に惑わされ、あさ美の次の言葉を待った
「壁など、ないわけがないんですよ。何でみんなが私の事をそう呼ぶのか、完璧にも理解出来ません」
わざわざ難しい言い回しを使うあさ美は、笑っていた
窓の外に首を傾けて、美貴とは決して目線を合わせようとしない
完璧。彼女そのものの、計算尽くしな行動がなんだかとても印象的だ
- 106 名前:不可能と無限大 投稿日:2004/12/13(月) 22:24
-
「紺ちゃんって、博士みたい」
「ハイ?」
「生きる為にどうとか、こうするためにはー…とか、ね。だから」
「完璧、と仰るんですね」
「…ああ、そうだけど。気、悪くした?」
「……いいえ」
不得意な英語を理解していくように、あさ美は柔軟性のある普通の女の子だ
だが時として、はめ込んだパズルを取りだせないという問題に陥る事がある
人々が目指す、壁の無い人生。それが完璧と言えるであろう
彼女はそれに向かって進んでいる途中 もしくはスタート地点
完璧を好まない彼女だが、何を言おうとそれに近付こうと努力をしているのだ
- 107 名前:不可能と無限大 投稿日:2004/12/13(月) 22:24
-
「邪魔のない、無駄が全く無い緩やかな人生って、面白いのかな?」
「…多分、つまらないでしょうね」
「じゃあ、何で?」
鳥がさえずりの合唱を始める頃、紺ちゃんは支度を整えてマフラーを首に巻く
それに伴い美貴も赤ペンをペンケースにしまい出す
「分りません。何かを追い掛ける事が、私の生き甲斐ですから」
そう言った彼女は、とても楽しそうだった
完璧という不可能な夢に向かい歩き出す途中のあさ美を、笑顔で見送る美貴
いつか、叶う日がくるといい
それほど遠く無いあさ美の未来は、どこの国を探しても見当たらないものなんだろう
−fin−
- 108 名前:銘 投稿日:2004/12/13(月) 22:27
- nanashi様のリクでみきこんでした
>名無飼育様
ごめんなさい、あんなのを書くつもりはなかったのですが。
もう少し緩やかなみきよしが好きなんですけどね、ハイ。
こんなので喜んで頂けるとは、幸いです。
>ななし様
何だか自分が悪い事をしたような気分に陥りました。小一時間程。
閲覧ありがとうございました。
次回はなんとか、里田×アヤカが載せられるかと。
たぶん、ですが。
ごめんなさい、無責任な作者に愛の手を。
- 109 名前:6 投稿日:2004/12/18(土) 08:08
- 更新、お疲れ様っす。
あまり気にせずゆっくりとやって下さい。
それから、リクを再開する時はまた知らせてください。
後、余計なお世話なのは承知ですが、
今度、リクを取る時には何か制限をかけたらどうでしょうか。
簡単なルールみたいなのを決めるって感じで・・・・。
このままだと、やたらめったら希望が増える一方だし。
(2回もリクしている俺が言うのもなんなんだけど・・・・)
例えば、早い順で5人までで、それ以降は一定の期間はリクを取らないとか。
- 110 名前:銘 投稿日:2004/12/19(日) 16:01
-
更新開始
- 111 名前:see you again 投稿日:2004/12/19(日) 16:01
-
「まいちゃん、今独り?」
ひとみから彼女に電話をかけるという事はあまりなかった
なぜなら連絡を取る事事態、少なかったからだ
人見知りが激しいからしょうがない、そうふざけて言うまいを軽くあしらった
『うん、まあ』
「じゃあ今からウチ行っていい?」
『今?いい、けど』
何かしらの理由があるとこぎつけて、ひとみは一方的に電話を切った
冬の寒い朝から何の用事だろう。まいはきっとそう思ったことだろう
だがひとみはあえて口にしなかった
- 112 名前:see you again 投稿日:2004/12/19(日) 16:02
-
アヤカと別れた
数日前、まいの口から直接聞いた言葉だった
最初の頃はひとみもそれに同情し、少なくとも優しい言葉を投げかけていた
けれどそれはほんのわずかな時間
あきらめた感情がふつふつと、沸き上がって来た
隠し通したいこの気持ちが狭まる
いつかは破裂して、想いが過ぎるまでには
ひとみは携帯を握りしめ、アヤカの着信を探す
やはり一件もなかった
まいとアヤカが別れてから、ひとみにも連絡はなくなった様だ
今まで友達として付き合って来た彼女達が、離れてゆくのがひとみにも分かっていた
- 113 名前:see you again 投稿日:2004/12/19(日) 16:02
-
* * * * * * * *
「他に好きな奴でも出来た訳?」
言い訳しても通用しない女だと知り尽くしていても、彼女は言い訳をした
そして二人は別れた
質疑応答はままならず、まいがアヤカに渡した鍵もゴミ箱に放り投げられた
すがりつくことを拒むアヤカをそのままにしたまいは、鍵もなにもかも、想い出にする事にした
友達の関係も、全て終りとして
ひとみとまいとアヤカで創ったすべてのもの
それは何ものにも替え難い、想い出で詰まったもの
喧嘩もして全てを終らせようとしたこともあった
けれど、本当の終わりはこれから
- 114 名前:see you again 投稿日:2004/12/19(日) 16:03
- そう思ったその時、部屋にインターフォンの音が鳴り響いた
さっき電話で話した相手だろう
まさか
なんて事を考えるのは、やめた
みじめになるのが恐いから?いや、そうでもなかった
ドアを開けたら、何かが終る それとも、何かが始まる
それは彼女達だけが知る事
決して踏み入れられない想い出達は、部屋から全部逃げて行った
ドアノブを握りしめた直後に起こる出来事は、幸せに近いものだったのだろうか
−fin−
- 115 名前:銘 投稿日:2004/12/19(日) 16:06
- >名無飼育様
たびたびの御訪問嬉しく思います。
リクエストを頂きますとやる気が活性されるのでとても感謝なのです。
最近は忙しいながら皆様のリクにお答え出来る機会が少なくなり…
ということで一時停止を申し上げました。
温かいお心遣い、ありがとうございます。
例を挙げて頂きとても助かりました。そうですね、そのような事も
考えたいと思います。
どうもでした。
リクエストが再開しましたら、必ずお知らせします。
勝手な行動をお許し下さいませ……
- 116 名前:銘 投稿日:2004/12/19(日) 16:40
- もう一本
- 117 名前:soulful 投稿日:2004/12/19(日) 16:41
- 目で追いかけていた、あの子の事
最初は分らなかった感情に段々気付き始めた美貴は、その思いを秘めたまま通り過ぎようとした
だが嘘はつけなかった
見事彼女自身に見破られるまでは、知らんぷりを突き通そうとしていたが
そうはいかなかったのだ
二人は付き合い始めた
どっちからというわけではなく、ただお互いが心休まる場所だったから
どちらかと言えば、真希の積極的な行動から成ったと言えるかもしれない
だが美貴はその気持ちに答えてはいない
待ち遠しい言葉 彼女が欲したい欲望は、美貴自身にある
- 118 名前:soulful 投稿日:2004/12/19(日) 16:41
- 雨が降り続く外を見つめて、ただぼんやりする彼女
何も言わずテレビを見るだけのあたしに興味などまるで持たず、ただ雨だけを見つめている
インドアな彼女は、どこかに出かけようとも提案せず
二人きりの部屋には、何だかしらけた雰囲気が漂ってきた
けれどあたしも彼女もそんなことは気にしない
いたってマイペースだから何があろうと関係ない、そんなかんじで
なんで一緒にいるんだろう。あたしが何ヶ月考えてもその答えは見つからなかった
ただ感情に任せて動く、それが人間の脳の働き
そう言ったらおしまいなんだけど。なんで恋をしたり、愛情を持ったりするのか、未だに分らなかったりする
当然あたしと彼女が付き合ってる意味さえ、その言い訳でパーになる
- 119 名前:soulful 投稿日:2004/12/19(日) 16:42
- 「夜何がいい?」
「んー……」
冷蔵庫を開け閉めしながら呼び掛けても、返事は曖昧だ
聞く気が全く有りそうにない声
それは一体あたしのせいなのか、雨のせいなのか
そう考えても彼女の反応は至って薄く、こちらを見ようともしない
彼女はよく遠くのどこかを見ている。たまにだけれど
その目はこの世のものとは思えない程の恐ろしさと周りの皆は言うけれど
あたしはそうは思わなかった
彼女の目つきさえ、不機嫌そうな顔、つまらなさそうな声だって、気に入ってる
つまり、あたしは彼女の事が何よりも誰よりも替え難くて大好きだってこと
- 120 名前:soulful 投稿日:2004/12/19(日) 16:42
- どこ見てるの?
訊ねるのを止めて、冷蔵庫をカツンと爪で殴った
もどかしい。あたしは一体、彼女をどうすればいいの
不機嫌なのか、何が気に入らないのか
そう訊ねたかったけど カンに触って下手にやられたら
ああだこうだ考えてるうちに、時は過ぎて行った
キッチンで色々と立ち尽くすあたしを見兼ねて、彼女もいつの間にかキッチンまで来ていた
キョトンとする彼女より背の高いあたしを見上げて、難しそうに口角を緩めて笑う
「さっきから、何してんの?キッチンのど真ん中で」
「あー、色々考えてて」
「ふふっ、そっか」
今すぐ彼女の手を引っ張って、この胸の中におさめたかった
そう思うくらい、可愛い笑顔を見せた彼女が狂おしい程好きだ
- 121 名前:soulful 投稿日:2004/12/19(日) 16:43
- つられてあたしも笑う前に、彼女がこつんと肩にぶつかってきた
空いた手を腰にあてる事もなく、ただあたしの肩に寄り掛かるだけ
たまにある、猫が甘えたがる行動に似ていた
執拗にくっついてくるわけではない猫はいつでも冷静沈着で、飼い主を持たない
けれどごくたまにある、こういう行動が可愛くて仕方ない
「どうかしたの?」
「……イヤ?」
「そんなことないけど」
あたしが笑ってみせても、彼女はさっきまでの笑顔を隠し通したまま
上目遣いに似て、あたしを見上げる
何かを言いたそうな瞳が、とても憎たらしかった
あたしの全てを奪って 全部を焼きつくすような瞳
これだけが悔しくて、彼女の悪い所だ
無意識に発する、フェロモンとかいうものに近いから
- 122 名前:soulful 投稿日:2004/12/19(日) 16:43
- 「…あの、さ」
「うん」
くい、と傾けられた左肩を彼女の身長まで合わせてあげる
物言いた気なその唇をすぐにでも奪ってしまう前に、早く言って欲しかった
「好き…だよ」
すごく、すごく悔しそうな顔をしている
敗北を意味するような赤い顔は、とても可愛かった
そっか、そういうこと
さっきまで見せていたあのぼうっとした表情は、この言葉を物語っていた
にやにやする前に、その言葉をしっかりと受け止める
あたしも、この言葉を待っていたのかもしれない
- 123 名前:soulful 投稿日:2004/12/19(日) 16:43
- 「…嬉しいね、それは」
「あぁもうヤだ言わなきゃよかった」
「何でよ、ずっと待ってたんだぞ」
「それは、わかってたけど」
慌てふためいてあたしの腕から離れようとする彼女をきつく抱きしめた
このまま時が止まれば、永遠って言葉が似合うかもしれない
「いや、あたしはミキティの事好きだし」
「だ、からわかって…」
「わかってない。分らせてあげようか?」
そっと頬にキスをして、大人しくさせたらこう言ってあげるんだ
ずっと傍にいてずっと好きだと言ってあげるよ
きっと感情が溢れ出て、あたしはその先止まらなくなる
好きの言葉が枯れるまで
−fin−
- 124 名前:銘 投稿日:2004/12/19(日) 16:44
- 一応、ごまみきって事で。
またも更新速度が遅くなりかけない事態が……
今年の更新はあと一度という事にさせて頂きます。
クリスマス前後になるかと。
- 125 名前:6 投稿日:2004/12/22(水) 01:54
- アヤカ&まい、ありがとうございました。
いつか、また、リクを受け付けるようになった時は
その時はお願いします。
- 126 名前:はじまりとおわり 投稿日:2004/12/24(金) 22:08
- 浮気がばれた。まさか見破られるとは思ってもなかった
ツメが甘かったとかそういうのじゃなく、きっと彼女は感付いていた
あたしが彼女から離れてゆくのを、きっと感じ取っていた
気持ちが薄れてゆくのは数カ月前から自覚していた
当初にあった愛だとか好きだとかそんな言葉も口にしたくなくなった
頭ん中がぐるぐる回って、気持ちが悪かった
一人になってガランとした2LDKの部屋には、あたししかいない
なんでだかわかんない 急に寂しくて堪らない
今さらになって、涙なんか流している
ばかみてぇだ、あたし
- 127 名前:はじまりとおわり 投稿日:2004/12/24(金) 22:08
- マンガだったらここで彼女が現れて、やっぱりやり直そうって言うんだろう
でもそんなリアリティのない話なんか存在するわけがない
さらに現実に突き落とされるのがオチなんだから
新しい恋を望んでいたわけじゃなかった
ただ憂鬱な事が多すぎて、彼女の事を真正面から見る事も忘れていた
ナイフで滅茶苦茶にぶったぎられるより、散弾銃で打たれるよりも
この心が確かに痛いと叫んでいた
温もりが、笑顔が、みんなみんなあたしをのけものにしてゆく
- 128 名前:はじまりとおわり 投稿日:2004/12/24(金) 22:09
-
残り香を確かめるようにベッドに沈むと、それを追って静けさが部屋を覆う
誰もいない、何の意味もない静寂の存在
あたしが彼女に残したもの 彼女があたしに残したもの
それはただの飾り物だったのかもしれない
彼女があたしを想い出す事は、もうないんだろう
−fin−
- 129 名前:銘 投稿日:2004/12/24(金) 22:13
- 少ない上に設定が微妙。
何の組み合わせかは自由に脳内変換どうぞ。
私的には吉澤さんと誰かさんという設定だったのですが。
>6様
優しいお言葉、しかと受け止めました。ありがとうございます。
リク再開をはじめる際にはリクエストをまた御利用くださいませ。
年末は忙しいもので、体した事も出来ませんでしたが閲覧大変嬉しく思います。
明日にクリスマス版のあやみきをのせようと思います。
短編ですが、濃い内容に出来ると良いなーと考えています。
では、また。
- 130 名前:lonely christmas 投稿日:2004/12/25(土) 16:19
- イルミネーションが輝く商店街
その光りは色とりどり揃っていて、とても綺麗だった
途中で見かけたケーキ店で、ミキは惚れた弱味を見せられる事になる
これはやばいだろう
そう思わせるような女の子のサンタが、ケーキ店の売り子をしている
それは紛れもなくミキの、一番大事な人であって
赤いミニの生地に白いほわほわがついたミニスカート
そして特徴的なあの笑顔
完全保存板にしたい程、可愛らしい姿だった
- 131 名前:lonely christmas 投稿日:2004/12/25(土) 16:20
-
「先輩ってば、見てるだけですか?」
「だ、だってケーキなんか要らないよ」
「食べないんですか?」
「いやそうじゃないけど。もう買っちゃったし、ほら」
慌てて違う店で買ったケーキを目の前に出すと、膨れた面でミキを睨む
別に怖くはないんだけど
この後輩に一本取られそうで、なんだか胸がハラハラしてくる
「っていうか、うちの高校バイト禁止」
「残念でしたー、ここパパの店なんですぅーだ」
「…へぇ」
サンタが被るような赤い帽子を、ひょいっとミキの頭にかぶせた
面白そうに笑うその後輩は、やっぱり憎めなかった
- 132 名前:lonely christmas 投稿日:2004/12/25(土) 16:21
- 「にゃははー、先輩かわいー」
「う、うるさいな」
「こんなところでふらついてるって事は、もしかして一人?」
「そうだけど」
「うそぉ?」
いや嘘じゃないから
そう言うと増々興味を示したようにケーキ棚から身を乗り出してくる
本当は、目の前の人と過ごしたかったけど
クリスマスの日に商店街で一人買い物に行かされてる高校生って、寂し過ぎる
「恋人、いないんですか?」
「いないよ」
「へぇ、フリーなんだぁ」
「な、何」
「狙っちゃおうかなぁ、恋人の座!」
「はぁっ?」
- 133 名前:lonely christmas 投稿日:2004/12/25(土) 16:21
-
内心、期待してしまったけど
にひひとミキの目の前でピースをしてみせて、余裕たっぷりだ
こういう所が許せなくて、ミキを夢中にさせる
もちろん気付いていもいない
こんなミキの気持ちに
「でもっ、油断しないで下さいね?」
「え…え?」
「あたし、結構本気ですから」
頬を指でふにふにされ、顔をよけるとなぜか嬉しそうな顔をする
腹が立ったけど、今のミキの顔で何を言っても無駄だろう
来年はきっと
なんとか想いが伝われば、いいんだけど
- 134 名前:lonely christmas 投稿日:2004/12/25(土) 16:24
-
「先輩?」
当分は、片想いのままかな
不思議そうにはにかんだ彼女がイルミネーションに照らされて
ミキの想いを、一層遠ざけるようだった
−fin−
- 135 名前:銘 投稿日:2004/12/25(土) 16:25
- 予告通りアップしてみました。
今年は短い間でしたが、読者の方々、目を通して頂いた方々、ありがとうございました。
相変わらず更新ペースは遅くなりがちですが、来年もどうぞよろしくお願い致します。
では、来年にお会いしましょう。
- 136 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/26(日) 17:42
- 今年最後の更新お疲れ様でした。
いいですね、作者さんの甘い作品はあまりお目にかからなかったので
新鮮さが目立って良いと思います。
来年もお待ちしています。頑張って下さい。
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