あやみき〜愛の劇場〜
- 1 名前:記憶 投稿日:2004/11/16(火) 20:15
-
「みきたぁぁーーん!まってよぉ。」
今日から亜弥ちゃんと同じ高校に通い始める。
いつもは美貴一人だからこの時間でも充分間にあうんだけど、亜弥ちゃんと喋りながら歩いてたせいで急がなきゃいけない時間になっちゃった。
「亜弥ちゃん、早く!入学式から遅刻はまずいでしょ!」
そう、今日は亜弥ちゃんの入学式。
小さいころからずっと一緒で当然のように亜弥ちゃんは美貴のいる高校へ。
家も隣同士だから美貴が高校で亜弥ちゃんが中学に通ってた去年も夜は一緒に過ごしてた。
それでも、こうやってまた一緒に学校生活が送れるのはすごくうれしかった。
- 2 名前:記憶 投稿日:2004/11/16(火) 20:17
-
信号機が点滅している。
ここの信号機一回赤になるとながいからなぁ。いいや、渡っちゃえ!
「亜弥ちゃん!渡っちゃうから急いでぇ!」
信号機の点滅は渡っちゃいけないなんて幼稚園児だって知ってる。だから罰が当たったのかもしれない。
後ろから必死に追い掛けてくる亜弥ちゃんを確認して前を向こうとしたその時。
ブッブーーーーー…
「亜弥ちゃん!危ない!!!!」
キイィィィィィィィ…ドォォォン!!!
「きゃぁぁぁぁ!!!みきたぁぁぁん!!」
「‥ぁゃ‥ゃん」
- 3 名前:記憶 投稿日:2004/11/16(火) 20:36
- Side 亜弥
どうして‥?何が起こってるの?みきたん?
みきたんの頭から真っ赤な液体が流れ出る。あたしは、ただボー然とそれをみている。
まわりのオトナ達が騒ぎ始める。救急車を呼べと‥。
そして初めてみきたんがピクリとも動かないずに倒れていることに気がついた。
みきたんが車に引かれた。
いや、いやだよ。みきたん…
「みきたぁぁぁん!!ねぇ、起きてよ!目、開けてよ!いやぁぁ!!」
救急車がくるまであたしは叫び続けていた。
- 4 名前:記憶 投稿日:2004/11/16(火) 20:37
-
「亜弥ちゃん!!」
病院から知らせを聞いたのか、みきたんとうちの親が病院に来た。
「…美貴!!美貴は!?どうして!?」
みきたんのお母さんがあたしの肩をギュッと掴み、前後に揺らす。
あたしはうつむいていたから、その時のみきたんのお母さんがどんな顔をしていたのかは分からないけど床に涙が零れたからきっと泣いているのだろう。
「やめないか!!」
みきたんのお父さんがみきたんのお母さんの肩を抱いて椅子に座らせる。
あたしはこの時、どんな顔をしていただろう。ずっと閉まりっぱなしの集中治療室のドアを見つめながら、どんな顔をしていたのだろう…
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/17(水) 03:14
- あやみき好きなんで、期待してます!
- 6 名前:記憶 投稿日:2004/11/17(水) 19:23
-
―あれから何時間たっただろう‥
プシュゥ―
集中治療室のドアが開き、汗をかいた医者が出て来た。
「先生!!美貴は、美貴はどうなんですか!?」
みきたんのお母さんが勢いよく椅子から立ち上がり、医者に飛び付く。
「命に別状はありません。明日になれば意識ももどるでしょう‥」
「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」
そう言ってみきたんのお母さんは泣き崩れた。
あたしはなぜかイヤな予感がしたんだ。素直に手放しで喜べなかった。
- 7 名前:記憶 投稿日:2004/11/17(水) 19:24
-
お父さんとお母さんに一旦うちに帰りましょうと言われてもあたしは帰らなかった。
一人で、たくさんの管を体中に付けられたみきたんのそばを離れなかった。
夕方ぐらいなのだろう。みきたんの友達、あたしの先輩でもある吉澤先輩が病院に来た。急いで来たのか、息を切らせながら走って来た。
「松浦‥」
「先輩‥みきたん、命に別状はないみたいですよ。」
「そっか、よかった。本当は梨華ちゃんとごっちんも来たがったんだけど騒がしくなると迷惑だろうからって。でもすごく心配してたんだ。ちょっと知らせてくるね。」
そう言ってまた玄関の方へ戻って行った。
- 8 名前:記憶 投稿日:2004/11/17(水) 19:25
-
ピッピッピッ…
機械の音だけが空しく響く病室。
みきたんは助かったのに、あの笑顔を見るまでは安心できなかった。
今日はあたしの入学のお祝いにみきたんが焼肉をおごってくれるってはりきっていたのに。
焼肉なんてみきたんが食べたいだけじゃんってふざけながらも笑いながらじゃれあっていたのはほんの数時間前。
あれだけ一緒にいたのに、今は何もしてあげられない。
頭に巻かれた包帯を見ながらあたしはそう思った。
- 9 名前:記憶 投稿日:2004/11/17(水) 19:26
-
その後、吉澤先輩が戻って来たけど何を話したかよく覚えていない。
みきたんのお母さんが着替えを持ってきても何を話せばいいのかお互い分からずにいた。
そして、その日は看護士さんに無理を言って泊めさせてもらった。でも一睡もできず、ただただみきたんの手を握っていた。
そして、夜が明けた頃、みきたんがゆっくりと瞼を開いた。
- 10 名前:記憶 投稿日:2004/11/17(水) 19:27
-
自分の心臓の鼓動が聞こえる。
ドクンッ、ドクンッ―
みきたんがベッドに横たわったまま、天井を見上げて5秒後―
みきたんは、ゆっくりとこっちに頭を動かす。
スゥーッと視線をあたしに合わせる。
ドクンッ、ドクンッ、
その目はまるで虚で、きっと今自分が置かれている状況を理解できていないようだ。
それでも確かにみきたんは目を覚ましたんだ。
- 11 名前:記憶 投稿日:2004/11/17(水) 19:28
-
そしてあたしはゆっくり話し掛けた。
「…みきたん?」
「…あなた、だれ?」
え?━━━━━━━━━
「―えっ?」
「‥あなただれ?…わたしの事知ってる?‥わたしは‥だれ?」
どうしよう…ただそれだった。
あたしの予感は当たってしまった。
- 12 名前:作者 投稿日:2004/11/17(水) 19:30
-
>5様
ありがとうございます。期待に答えられるか分かりませんが頑張ります。
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/17(水) 21:14
- そう来ますか!
更新楽しみです。
- 14 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:01
-
その後お医者さんや看護士が慌ただしく入ってきてみきたんを検査に連れて行ってしまった。
あたしは、もうこれ以上そこにいることができなくて病院を後にした。
家に帰って制服に着替えてそのまま学校に行くことにした。
一人でいたらイヤなことを考えてしまいそうだから…
あの横断歩道は避けて、少しくらい遠回りしても構わない。絶対あそこの道は通らない。
それだけを心に決めて学校ヘ向かった。
- 15 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:03
-
教室に入るとまだぎこちなさがある生徒たちが10名ほどいた。
すると、一人の少女があたしの所へトコトコとやってきた。
「亜弥ちゃん、おはよ」
「おはよ。麻琴も同じクラスだったんだね。」
出来る限りの笑顔で答える。でも麻琴は吉澤先輩の妹だからきっと知っているだろう。
「今日の帰りも病院行くの?」
なぜ麻琴が泣きそうな顔になるのか、それはきっと麻琴の優しさからなのかもしれない。
「うん。行かなきゃ…」
その後は先生が来るまで軽く雑談をしていた。
- 16 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:06
-
先生の言葉なんてまったく頭に入ってこない。
みきたんはどうなってしまったんだろうか。なんであたしのことが分からなかったんだろう。
そればかり考えていた。今のあたしにみきたんがいない生活なんてありえない。
きっと大丈夫。この後病院に行ったらケロッとしてるよ。亜弥ちゃんって呼んでくれるよ。
まるで暗示のように自分にいいきかすことしか出来なかった。
その後何度か先生に注意された。でも今のあたしによそ見をするななんて無理に決まってる。
- 17 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:09
-
キーンコーンカーンコーン…
授業も終わり、期待と不安な気持ちを抱えながら病院へ向かう。
どちらかと言うと不安な気持ちが勝っているだろう…
コンッ、コンッ―――
「どうぞ…」
みきたんの声だ。
ガラガラッ
最初はみきたんのがどんな反応をするか確かめよう。そう思ってあたしは、みきたんの顔をジッとみた。祈りを込めて。
「あの…」
ドクンッ、ドクンッ―
「…どなたですか?」
―やっぱり。
最初にそう思った。
今朝のは夢じゃなかったんだ。
- 18 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:12
-
すると、後ろからみきたんのお母さんが入って来た。
「亜弥ちゃん、ちょっといいかしら?」
きっともうすべてを知っているんだろう。あたしは冷静に話を聞けるか不安だったが素直についていった。
静まりかえる病院の廊下。静かにみきたんのお母さんが話し出した。
「…あのね、‥美貴の事なんだけど、」
どこかいいにくいのかあたしの目を見ず床に視線を落としながら喋る。
「あの子‥記憶喪失なんだって。自分のことも…私たちの事も覚えてないみたい‥」
━━━━きおくそうしつ?
━━━━あたしのことも、覚えてないんだ…
一雫の涙が頬を流れる。
小刻みに震える手を強く握った。
- 19 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:16
-
「一生…思い出さないんですか?」
もしそうだとしたら…
「お医者さんが言うには、一時的なものだって。でも具体的にいつ戻るかは分からないって…」
流れる涙を必死に拭ってその後、みきたんの病室に戻ってきた。
目の前のみきたんはやっぱり目が虚で焦点が合ってない感じ。
みきたんのお母さんにはみきたんと二人で話がしたいからって席を外してもらった。
「…みきたん?あたしだよ?松浦亜弥だよ?」
名前を言えば思い出すんじゃないか。そう思ったけど‥
「…ごめんなさい。覚えてないんだ」
申し訳なさそうにそう呟いた。
- 20 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:18
-
冗談だよ!!って笑ってほしかった。亜弥ちゃんは単純だなぁって…言ってよ‥
「…っ‥くっ、ヒッ‥ク…」
涙が止まらない。本当なんだ。本当にあたしが分からないんだ。
改めて理解してしまった。
ガラッ―
「…まっつー?」
振り返ると、吉澤先輩と後藤先輩と石川先輩がいた。
慌てて涙を拭い、先輩達を迎えた。
「どうしたの?ミキティ意識戻ったって聞いたんだけど…」
記憶喪失のことは聞いてないんだ。だれか一人ぐらい覚えてるかもしれない。
あたしはみきたんの方を見て聞いた。
- 21 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:19
-
「みきたん…みきたんの友達だよ?吉澤さんと後藤さんと石川さん。覚えてる?」
ジッとみきたんは三人を見つめながら
「…ごめんなさい。分からない、だれも覚えてないんだ」
「「「…え?」」」
三人は同時に驚いた表情で言った。
「みきたん、記憶喪失なんです。自分の事も…っ!‥あたしの…」
自分の口から伝えるのが恐かった。言葉よりも涙が溢れて来る。
「そんな…ミキティ‥」
後藤先輩が何かを言いかけたとき吉澤先輩がそれを止めた。
- 22 名前:記憶 投稿日:2004/11/18(木) 19:23
-
「今日はもう帰ろう。ミキティも疲れちゃうよ。きっと一日中色んな人から質問されてるだろうし‥。」
昔から吉澤先輩は気の利く人だった。あたしも自分の事しか考えてなかった事に気付く。
二人は無言で頷き、病室を出てった。
みきたんと二人きりの病室はまるで温度がない。
初めての空気に戸惑いをかくせないでいるあたし。
これからどうしたらいいのかまったくわからない。何を話せばいいの?どうしたらあたしを思い出してくれるの?
ダレカ オシエテ―
- 23 名前:作者 投稿日:2004/11/18(木) 19:28
-
>13様
ありがとうございます!すごく励みになります!ストックはまだあるので更新は早いと思います!
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/18(木) 21:56
- 亜弥ちゃん可哀想…
幸せになって欲しいです。
- 25 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/19(金) 13:40
- みきたん、思い出せっ
亜弥ちゃんだけでも……
作者さん頑張ってください。続き、楽しみにしてます!
- 26 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:22
-
それから、何の会話もないままあたしは家に帰った。
家ではただただボーッとするばかりで何もする気が起きない。
夢なら覚めて…
わがままなんて言わないから、お願いだから思い出して―
翌日―――
一睡もしていない。
目を閉じればあの事故の場面が鮮明に思い浮かぶ。
あたしのせいだ…
何度もそう思った。
コンッ、コンッ―
「‥はい」
ガチャ‥
「…吉澤先輩」
- 27 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:25
-
夕方ぐらいだろうか。吉澤先輩がうちに来た。
「松浦、大丈夫?」
わざわざ心配して来てくれたんだ。うれしかった。
「…大丈夫‥じゃないです。‥もぅあたし、どうしたらいいか…」
この時のあたしに強がる余裕なんかなかった。みきたん以外の人にこんなに弱っている自分を見せるのは初めてかもしれない‥
すると、
「ミキティはかっこいいよ。松浦のこと守ったんだよな‥」
吉澤先輩が静かに話し出した。
- 28 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:27
-
かっこいいよ、みきたんは。世界中のだれよりもかっこいいよ。
「うちにはとても真似できないなぁ‥」
そう言って吉澤先輩は優しく笑った。
「ミキティは命懸けで松浦を助けたんだ。だったら松浦は恩返ししなきゃ。」
―え?
「今度は、松浦が命懸けでミキティを救ってあげなきゃ」
「…あたしが?」
「ミキティは今、真っ暗な暗闇で一生懸命叫んでるよ。ミキティを助けられるのは松浦しかいない。」
と、よしざーは思うのです。そう言って少し照れ臭そうに立ち上がった。
- 29 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:30
-
―そうだ。
何やってんだろ、あたし…
人に言われて気付くなんて、みきたんが記憶を取り戻したら怒られちゃうな。
そうだよ、あたしがみきたんを助けなきゃ。
―みきたんが好きだから…
なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろう。自分の事しか考えなかったあたしってサイテーだ。
その後、急いでみきたんの病室にむかった。
家にある二人の思い出が詰まったアルバムを握り締めて。
- 30 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:32
-
病室に入ると、みきたんはベッドに起き上がっていた。
昨日より目がしっかりしてきた。少なくとも焦点は合っている。
みきたんはあたしの方をジッと見た。そして、
「あの。松浦さんですよね?」
吉澤先輩の言うとおりだ。みきたんは必死に記憶と戦っている。
あたしが逃げちゃダメ。みきたんを助ける。明るい場所へ連れて行ってあげるんだ。
不安そうなみきたんを見てそう決心した。
「うん、そうだよ?」
大丈夫だよ、みきたん。あたしを信じて―
- 31 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:34
-
「あのね、みきたん。あたしは…」
その後、あたしは自分の事を最初から説明した。アルバムの写真を一緒に見ながら、何度も何度も。
みきたんは思い出そうとしているより覚えようとしているようにも見える。
どの写真の二人も笑顔で写っている。
「わたしってこんな風に笑うんだね…」
みきたんが呟くように言った。
「そうだよ。」
―あたしが大好きな笑顔。
神様、お願いです。
みきたんの笑顔を返してください。
そのためならあたしは何でもします。
- 32 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:37
-
それから毎日あたしは病院に行ってみきたんと過ごした。
たまに笑顔も見せてくれるようになった。心からの笑顔じゃないけど。
こうしてもう一度、最初から思い出を作っていくのも悪くないって思える。
コンッ、コンッ―
「どうぞ」
ガラッ
「あっ後藤先輩!みきたんのお友達だよ。」
「んぁ!後藤です!」
なんでそんなに気合が入っているんだろう。
「後藤さん?ぇえーと‥ごっちん?」
「んあぁぁ!ミキティ思い出したの!?」
- 33 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:40
-
「ううん、亜弥ちゃんに聞いたの。」
みきたんの手には人間相関図みたいなのが書かれた紙が握られている。
あたしが教えた事をメモして一生懸命覚えようとしている。
「んぁ、そっか。でも元気みたいで安心したよ。よかったよかった。」
「ありがとう、ごっちん。」
ニコッと笑ってみきたんが答える。その様子はまるで事故前のみきたんとは違うけどみきたんは頑張ってる。
今はまだ遠くかもしれないけど光りがあると信じて頑張ってるんだ。
ならあたしは、それを応援しよう。どこに光りがあるのかはあたしにも分からない。
- 34 名前:記憶 投稿日:2004/11/19(金) 19:41
-
でも、みきたんが寂しくないように歌を歌ってあげる。
暗闇が恐いならあたしがみきたんの光りになってあげる。
大丈夫。たとえ、世界中がみきたんを裏切ってもあたしは裏切らない。
あたしがみきたんをまもってあげる。
みきたんのためなら悪魔にだって魂を売れる。
世界中でだれよりもあなたが好きだから…
だから、諦めないで―
光りは必ずある。
- 35 名前:作者 投稿日:2004/11/19(金) 19:47
-
>24様
ありがとうございます!作者もそれを願いつつ書いています!
>25様
ありがとうございます!かなりうれしいです!読んでくださっている方のために頑張りたいと思います!
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/19(金) 22:40
- 亜弥ちゃんが健気でウルッときました。
更新待ってます。
- 37 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/20(土) 01:50
- 愛だょね愛っ。
亜弥ちゃん頑張れ!!
みきたんも頑張れ!
そして、作者さんも更新心待ちにしています。頑張ってください。
- 38 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/21(日) 17:08
- 亜弥ちゃんも美貴様も頑張れ!
更新待ってます。頑張ってください。
- 39 名前:記憶 投稿日:2004/11/22(月) 18:48
-
あたしは毎日学校が終わると脇目も振らず病院に行った。
そして、りんごをむいてあげたり、花瓶の水を変えてあげたり。
みきたんの身の回りのお世話をしていた。みきたんもだいぶ自分を取り戻し始めた。
それで、あたしは幸せだった。
―なのに、この日あたしにとって大事件が起きた。
- 40 名前:記憶 投稿日:2004/11/22(月) 18:49
-
「みきたん、みきたんの担任の先生からプリント預かって来たよ。」
「あっ、ありがとう」
あたしはいつも通り学校帰りにみきたんの病院にいた。
コンッ、コンッ―ガチャ
「ミッキー、おひさぁ〜!里田まいちゃんですよぉ〜」
なんて陽気に入って来たのはみきたんの同級生の里田先輩だった。
すると、みきたんは驚いたように里田先輩を見て、信じられない事を言った。
「ま、まいちゃん!!」
「「…へ?」」
あたしと里田先輩の声が被った。
- 41 名前:記憶 投稿日:2004/11/22(月) 18:51
-
「みきたん?‥里田先輩のこと分かるの?」
「うん!同級生のまいちゃんでしょ?バレーを一緒にやった気がする…」
―ショックだった。
なんで里田先輩の事だけ分かってあたしが分からないの?
「ミッキー記憶喪失なんじゃなかった?」
「まいちゃんだけなんとなく覚えてる…」
「愛だね!ミッキー!愛してるぜぃ!」
「はいはい、どうも。」
そんな事をよそに二人はうれしそうに盛り上がっている。
- 42 名前:記憶 投稿日:2004/11/22(月) 18:54
-
もしかしてみきたんは里田先輩のことが好きだったのかな?
だから里田先輩だけ覚えてるのかな?
ボーッとそんな事を考えてると里田先輩が急にこっちを見た。
「もしかして亜弥ちゃん?」
「は、はい!松浦亜弥です。」
「この子が亜弥ちゃんかぁ〜かわいいね!」
そう言ってあたしをジロジロと見た。
「あの‥なんであたしのことを?」
「だってミッキーいつも亜弥ちゃんの話しかしないもん。悪いけどなんでも知ってるよ?」
いったい何をしってるんだろうっていうくらいニヤニヤしている。
- 43 名前:記憶 投稿日:2004/11/22(月) 18:57
-
「あはは…」
とりあえず、笑ってごまかした。
「まいちゃん、まいちゃんのこともっと教えて?何か思い出すかも…あっ、悪いけど亜弥ちゃん帰ってくれる?」
「…うん」
―必要ない。
まるでそう言われているみたいで寂しかった。
だからといってみきたんにとってあたしは最近会ったばかりの子なわけで、あたしは素直に帰るしかなかった。
家に帰ってからもただ不安なばっかりだった。
何の話をしているんだろう。
ほんとうにただの友達だったのだろうか。
それでも時間は過ぎてゆく…
- 44 名前:記憶 投稿日:2004/11/22(月) 18:59
-
Side 美貴
病院にまいちゃんが来た。なんとなくだけどまいちゃんと話していたことや一緒にバレーをやったことを覚えていた。
でもどうしてまいちゃんだけ覚えていたんだろう…
意識が戻ってからずっと頭にもやがかかったような感覚があったんだ。
なにかとても大切な事を忘れているような‥
それは、もしかしてまいちゃんのことなのかな?
だとしたら美貴はなにを忘れているんだろうか。
美貴にとってすごく大事なことだった気がするんだ。
- 45 名前:記憶 投稿日:2004/11/22(月) 19:03
-
「まいちゃん、なんで美貴はまいちゃんのこと覚えていたんだろう?」
思い切って聞いてみた。でもまいちゃんはうーんと唸っている。
「ミッキーがあたしのこと好きだったとか?」
そうなのかな?
まいちゃんが好きだったのかな?
「まいちゃんは?…まいちゃんは美貴の事好きだった?」
すると、まいちゃんは急に真剣な表情になった。
「…うん…まぁね、好きだったよ。ミッキーのこと…」
「…そっか‥」
何か美貴は聞いてはいけないことを聞いてしまった気分になった。
でも、事故に遭う前の美貴は知っていたのかな。
- 46 名前:記憶 投稿日:2004/11/22(月) 19:06
-
もしかして美貴達は付き合っていたのかな。
だめだ、そこまで覚えてない。
それでも美貴にはとても大切な人がいたんだ。それだけはなんとなく覚えている。
ふと隣に座っているまいちゃんを見ると、いつも通りの笑顔だった。
思い出せない自分がもどかしい‥
その後、まいちゃんからいろんな話を聞いたけど、何も思い出せなかった。
夜、一人になった病室で思い出せない苛立ちをどこにぶつけていいのか分からないでいた。
- 47 名前:作者 投稿日:2004/11/22(月) 19:11
-
>36様
ありがとうございます!話が進むたびに読者様の反応にドキドキです!
>37様
ありがとうございます!愛ですよね!喜んでもらえるようがんばります!
>38様
ありがとうございます!美貴様も亜弥様もがんばります!そして作者もがんばります!
- 48 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/23(火) 13:50
- 何で一番大事な人を思い出さないんだよ〜
亜弥ちゃんが可哀想です・・・
- 49 名前:記憶 投稿日:2004/11/26(金) 18:40
-
Side 亜弥
どうしても里田先輩のことが気になったから今朝は学校に行く前に病院に行くことにした。
「じゃあお母さんいってくるね!!」
今日はお弁当を作ったからみきたんに食べてもらおう。きっと病院食にも飽きてきているはず‥
気をつけてねと言う母に適当に返事をしつつ、玄関のドアを開けると―
「おはよう、亜弥ちゃん。」
「…おはようございます、里田先輩。どうしたんですか?」
家の前には、なぜか私服姿の里田先輩がいた。まさかいるなんて思わなかったから驚いた。
そして、一気にあたしは不安になった。なんでわざわざ里田先輩がうちにくるんだろう。
まさかみきたんになにかあったんじゃ…
- 50 名前:記憶 投稿日:2004/11/26(金) 18:41
-
「ちょっと話があるだけどいいかな?」
「…はい」
みきたんのことだというのは容易に想像できた。
そのままあたしたちは近くの公園に行った。
春は桜が満開になってきれいな公園もこの時期はあまりにも殺風景にすぎる。
「みきたん、昨日なにか思い出しましたか?」
公園のペンキのハゲたベンチに腰を掛けながら冷静を装って聞いた。
「ううん、でも時々思いだしそうな感覚にはなるらしいよ。」
里田先輩が一瞬微笑んだのをあたしは見逃さなかった。
―悔しかった
あたしといたときはそんな事さえなかったのに―
「そうですか…で?話って何ですか?」
それでもあたしは込み上げてくる嫉妬の炎を抑えて、冷静を装った。これはきっとあたしの強がりだと思う。
- 51 名前:記憶 投稿日:2004/11/26(金) 18:43
-
里田先輩はちょっと打つ向きかげんに話した。
「うん‥ちょっと言いにくいんだけどさ、しばらく病院に来ないでほしいんだ‥」
━━━━━━━━え?
何言ってるの?
どういうこと?
「あたしだけ行った方がミッキーも思い出しやすいと思うんだ。その…今のところ亜弥ちゃんは出会ったばっかりの人なわけだからさ‥」
―出会ったばっかりの人
あたし達がどれだけの時間を、どうやって過ごしてたかなんて何も知らないくせに。
わざとなのか自然になのかはわからない申し訳なさそうな先輩の表情が余計にあたしを苛立たせた。
みんな無神経だよ…里田先輩も、‥みきたんも。
あたしの気持ちなんてだれも理解してくれないんだ。
……………それでもあたしは約束したんだ。みきたんのためならなんでもするって。
あたしが行かない方がみきたんのためになるならあたしがするべき事は一つしかない。
- 52 名前:記憶 投稿日:2004/11/26(金) 18:44
-
「…分かりました。あっこれ渡しといてもらえますか?お弁当作ったんで。」
「えっ?」
あたしがあっさり了解したのにちょっと驚いた様子の里田先輩に今朝作ったお弁当を渡す。
「…分かった、渡しとく。ありがとね。」
その御礼は何に対してなのか分からなかったが、あえて聞かなかった。それ以上に聞きたいことがあったから。
「里田先輩はみきたんのこと好きなんですか?」
すると、里田先輩はニコッと笑って
「…うん、好きだよ。」
自分で聞いておきながら、どうして今更そんな事言うのよ。そう思った。
でも、この時のあたしはただみきたんがあたしを思い出してくれるのを祈るだけ…
―お願いだから思いだして
そしてそのまま、病院に向かった里田先輩の後ろ姿をあたしは見えなくなるまでずっと見ていた。
- 53 名前:記憶 投稿日:2004/11/26(金) 18:46
-
Side 美貴
「はぁ…」
今日、何度目かのため息をまたつく。毎日寝ても覚めても変わらぬ景色にいい加減苛立って来た。その時、
コンッ、コンッ―ガラッ
「おはよう、ミッキー」
まいちゃんは美貴の唯一の記憶に残っている人。
「おはよ、あれ?学校は?」
「腹痛のためお休みしました!」
「あははっ」
まいちゃんってこういう子だっけかな?
それでもまいちゃんの優しさがうれしかった。まいちゃんはベッドの横の椅子に腰掛けて、持って来た荷物をガサゴソと漁っている。そして何かを取り出し、こっちを見てニコッと笑って、
「お弁当食べる?」
そう言ってまいちゃんは美貴にお弁当を差し出した。
- 54 名前:記憶 投稿日:2004/11/26(金) 18:52
-
「あぁ〜ありがとう!病院食飽きちゃったんだよねぇ!」
「ぁ…」
「いただきまぁす!」
まいちゃんが一瞬なにか言いかけた気がしたけど、とりあえず目の前のお弁当を一口食べた。
パクッ
その瞬間口の中に広がった卵焼きの味。フワッとした優しい味。
―あれ?
なんだか、すごく懐かしい…
もしかして、美貴はこの味を知っている…?
「ミ、ミッキーどうしたの!?」
気付いたら一筋の涙が頬を伝う。
「ま、まいちゃん、これまいちゃんが作ったの?」
美貴が涙を拭いつつ、焦ったようにそう聞くと、まいちゃんは一瞬戸惑ったようにも見えたがすぐに
「…そうだよ。」
そう言ってニコッと笑った。
- 55 名前:記憶 投稿日:2004/11/26(金) 18:53
-
「なんかすごく懐かしいんだ、この味を美貴は知っている…すごく大事な味。」
頭のもやが一瞬晴れた気がした。
この味が美貴になにかを訴えてる気がする。
美貴が忘れている大切なことに関わっている。
やっぱりまいちゃんの事なのだろうか…
でもどれだけ必死にまいちゃんというキーワードを頭に響かせても美貴が忘れている大切な事は思い出せなかった。
「ミッキーそんなに追い詰めない方がいいよ。」
まいちゃんが優しい目で言ってくれた。でもどこか切ない。
- 56 名前:記憶 投稿日:2004/11/26(金) 18:55
-
「ごめんね、まいちゃん…」
まいちゃんが美貴の大切な人だとしたらすごく辛い思いをさせているんじゃないだろうか。
そう思ったら、まいちゃんの笑顔さえ悲しく見えた。
「…まいちゃん‥」
美貴は名前を呼びながらまいちゃんの手をギュッと握った。
「美貴は絶対思い出すからね。」
まいちゃんは泣きそうな笑顔で頷いてくれた。
自分の事もよく覚えてないけど美貴は強かったはずだ。
こんな事ぐらいじゃ負けない。切なげに微笑んでいるまいちゃんを見て美貴はそう思った。
- 57 名前:作者 投稿日:2004/11/26(金) 19:00
-
>48様
読んでもらえてうれしいです!ちょっと切なくなっちゃいました…よかったらまた感想をお願いします!!
- 58 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/26(金) 23:08
- 亜弥ちゃんが健気で泣けてきます…
藤本さん早く思い出して下さい!
- 59 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/27(土) 00:41
- 更新乙です。亜弥ちゃん・゚・(ノД`)・゚・。
続き気になります。美貴様も亜弥ちゃんも、そして作者さんも頑張れ〜!
- 60 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/27(土) 16:37
- 亜弥ちゃん……。
里田さん好きなのに……クソッ!!続き期待してます!
- 61 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:10
-
Side 亜弥
あなたと会わなくなって何日がたったのだろう。
まるで何年も会ってないような気になってしまうの。
でもカレンダーを見てもほんの二日しかたっていない。
真っ暗なあなたの部屋の窓をみては涙があふれてくる。
今までのあなたとの思い出がまるで嘘だったように思えて仕方がないの…
あたしの部屋にあるアルバムは涙で滲んでフニャフニャになっちゃったよ。
あたしの右側は今日も留守…
- 62 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:12
-
ほんとうに、ほんとうにあなたが大好きです。
だれにも負けないくらいあなたを想っています。
―ちょっと鼻にかかったような癖のある声であたしの名前を呼ぶあなた
―あたしが大好きって言うと照れ臭そうに笑いながらも「美貴も好きだよ」ってちゃんと答えてくれるあなた
―あたしが落ち込んでいるとき絶対に一番最初に気付いて慰めてくれるあなた
―寂しいときはいつでも一緒にいてくれたあなた
ほんとうに、ほんとうにあなたが大好きです。
- 63 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:13
-
覚えてる?
あなたが小学校六年生で修学旅行へ行ったとき、
あたしは「行かないで」って泣きわめいてあなたを困らせて…
旅行先から何度もあたしに電話をくれたよね?
あたしはあなたの声を聞くとすごく安心したの。
帰って来てすぐにあたしをギュッと抱きしめて頭を撫でてくれたこと、すごくうれしかったなぁ…
あたしが今ここで泣きわめいたらあなたはきてくれますか?
もう一度ギュッと抱きしめてくれますか?
この声が枯れるくらいあなたに好きと言っていればあなたはあたしの事を覚えていてくれたかな。
- 64 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:14
-
こんなに辛い思いをするくらいなら
あなたをほかの誰かに取られるくらいなら
いっそあなたに出会わなければ良かった。
―違う
あなたに出会ってしまったのはきっと運命。
そしてあなたがあたしを忘れてしまったのも運命。
運命という罠にはまってしまったの。
それでもあなたを想っています。
もし…あなたの記憶が戻ったら、その時はあたしをギュッと抱きしめて「よく頑張ったね」って褒めてほしい。
そのためならあたしは頑張れる。だから、あたしを見ていて下さい。
あたしのあなたへの愛はだれにも負けない。
- 65 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:16
-
キーンコーン、カーンコーン…
「はい、じゃあ授業を始めます。教科書の56ページを開けてください…」
たとえみきたんが傍にいなくても世界は何事もなかったように時を刻む。
「…じゃあ、松浦さん読んで?」
「はい」
あたしもなんでもないように授業を受ける。
「―――――」
それでも心はいつもあなたのことでいっぱい。
あたしはもう高校生、泣きわめくわけにはいかない。
どれだけ心に雨が降ろうと…
- 66 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:17
-
信じてるから…みきたんがあたしのことを忘れるはずない。
だってあたしたちはだれよりも近くにいたもん。
あのね、むかし人魚姫っていう絵本を読んだことがあるの。
人魚姫は王子様に会いに行くために、魔女に声と交換で足をもらうんだよ。
あたしも、あたしの何かと交換でみきたんの記憶が戻ればいいのにね。
あたしは何をあげればみきたんの記憶を取り戻せるのかな。
でもあたしはわがままだから、
みきたんの笑顔を見れるこの目も
みきたんの声が聞こえるこの耳も
みきたんに大好きと伝えられるこの声も
みきたんの温もりを感じれるこの体も
失いたくないの。
ごめんね?あたしわがままだよね?
それでもみきたんが命懸けで守ってくれたこの体を差し出す訳にはいかないの。
あなたが大好きだから…
- 67 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:19
-
「亜弥ちゃんのお弁当おいしそうだね!!自分で作ってるの?」
「…うん」
昼休みにお弁当を食べていると、友達に言われた。
そしてまたみきたんのことを考えてしまう。
みきたんもあたしと同じくらいわがままだったなぁ‥卵焼きの味だってみきたん好みの味にするまですごい苦労したんだから!
甘すぎるとかしょっぱ過ぎるとかいろいろ文句言われて、それでも上手にできた時は「おいしいよ」って言って笑顔で褒めてくれた。
その顔が見たくてあたしは毎日頑張ったんだから…
「…ゃん、…亜弥ちゃん!」
「‥あっ!、ごめん。ボーッとしちゃった!」
「もぉーしっかりしてよぉ。あっ次移動教室だから早く行こう?」
普段の生活の中にこんなにもみきたんが溢れている。改めてそれを実感した。
- 68 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:21
-
Side 美貴
「藤本さん!!落ち着いて!」
「離して!!」
「だれかドクター呼んできて!!」
数人の看護士が暴れる美貴を押さえ込む。
「まだ完全に治ってないんですから!おとなしく寝てて下さい!」
「こんなとこにいたって何にも思い出せないんだよ!離してよ!!」
―辛かった
もしかして一生このまま思い出せないんじゃないか。
時間が経つにつれてそう思うようになった。美貴は焦っているんだ。まいちゃんに会うたびに思い出さなきゃって思っちゃう…
だから病院を出ようとしたら看護士の人に見つかった。
- 69 名前:記憶 投稿日:2004/11/30(火) 19:22
-
もう一度強く頭を打ったら思い出すかもしれない。
どんな所でどうやって美貴は引かれたの?
その場所に行けば思い出すかもしれない。
だめなら美貴の家に行こう。自分の部屋に行って自分が育った場所を確かめよう。
―チクッ
一瞬、腕が痛んだ。ふと見てみると、看護士さんの持っている注射器が美貴の腕に刺さっている。おそらく安定剤かなにかだろう。
急に眠くなった。
なんで邪魔するんだよ。美貴はただ思い出したいだけなんだよ…
だれか助けてよ…
もういやだよ…
- 70 名前:作者 投稿日:2004/11/30(火) 19:34
-
>名無し読者様
感想をありがとうございます。うちの亜弥さんは健気ですよ!美貴様もがんばってます!
>名無し読者様
感想をありがとうございます!なぜか毎回亜弥さんは切なくなってしまいます…なぜ?応援ありがとうございます!
>名無し飼育さん様
感想をありがとうございます!作者も里田さん好きです!いい子ですよ、里田さんは。これからも読んでやってください!
- 71 名前:名無し読者 投稿日:2004/11/30(火) 21:28
- 更新乙です。今回も泣けてきます、うぅ(涙)
あやみき・゚・(ノД`)・゚・。<--なぜか毎回こうなりますよ。
- 72 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/10(金) 22:13
- 待ってます!
- 73 名前:作者 投稿日:2004/12/12(日) 16:50
-
>名無し読者様
ありがとうございます!!待たせてしまって申し訳ないです。
とりあえず今回は短編を載せます。本編とは話の繋がりはありませんのでご注意を…
- 74 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 16:52
-
〜H.P.オールスターズの楽屋にて〜
「もぅ、みきたん!こぼさないでたべなさい!」
「はぁぁい。」
「ちょっと、髪クシャクシャじゃん。もぅこっち向いて!とかしてあげるから。」
「はぁぁい。」
「みきたん!食べてすぐ寝ちゃダメ!!」
「はぁぁい。」
もぅ、亜弥ちゃんはいちいちうるさいなぁ〜。
でも美貴が言い返すとなにかと面倒なことになるから言い返さないけど〜。
- 75 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 16:53
-
ん?なにか視線を感じる…え?ちょっ…なんでみんなこっち見てるの!?
しかも矢口さんなんかものすごくイヤらしい目つきで見てるし。
「な、なんですか!?矢口さん!なんで見てるんですか!」
「べっつにぃ〜。」
くっ…なんか悔しい‥。しかも恥ずかしい。
「み〜きたん!はぃ、あ〜ん」
「ん?あー…ん。」
「みきたん、おいし?」
「うん。おいしいよ。」
―はっ!!
しまった。パッと回りを見るとみんながニヤニヤしてる。
は、はずかしぃ…
- 76 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 16:54
-
♪〜〜♪〜〜♪〜〜♪
突然、美貴の携帯が鳴った。だれだろ?
題名:バカップルめ!
本文:お肉はおいちぃでちゅかぁ〜?? by よっちゃんさん
チラッとよっちゃんさんを見ると…なんてイヤらしい顔…
―プチッ
「よっちゃんさぁん!!言いたいことがあるなら直接いえやぁぁ!!」
美貴はガタンと椅子から立ち上がり、よっちゃんさんに叫んだ。
「あっはっはっ!キレたぁぁ〜!!」
バンバン机を叩いて喜ぶよっちゃんさんを見て、さらに怒りが増す。
- 77 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 16:55
-
生かしちゃおけない。東京湾に沈めてやる!!そこを動くなよ!今、行くから!
ん?動けない…止めるな!美貴は怒ってるんだ!美貴は腰に回された腕を剥がそうとした。
「ちょっ、離し……あ、亜弥ちゃん?」
怒ってます。と言わんばかりに頬をプクッと膨らませて、美貴を睨む亜弥ちゃん。
「み〜きたん!だめでしょ?乱暴な言葉使っちゃ!おとなしく座ってなさい!!」
ブッとだれかが吹き出す音がした。まぁ100%よっちゃんさんだけどね。だからつい…
「だって、よっちゃんさんが!!」
って叫んだら
- 78 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 16:56
-
「こぉらっ!人のせいにしないの!」
って怒られた。
「ブッ」
だめだ。これ以上よっちゃんさんに笑いのネタを提供するわけにはいかない。だから…
「…………はぃ」
おとなしくした。
くっそぉぉぉ!くやしい!絶対仕返ししてやる。このままなんて美貴の誇り高きプライドが許さない!!
しかぁぁぁし!!美貴の腕に絡み付いている亜弥ちゃんがそれを許さない………ん?亜弥ちゃん?
そういや美貴、亜弥ちゃんがマジ切れしてるとこ見たことないや…
- 79 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 16:57
-
亜弥ちゃんが怒るとしたら、何かなぁ〜?ん〜…………………………あっ!いいこと思いついた!フッフッフッ美貴って、て・ん・さ・い!
チラッと横にいる亜弥ちゃんを見ると、楽しそうに鏡を見ていた。そして、
「亜弥ちゃん、あのね…」
ちょっと低いトーンで
「ん?どうしたの?」
キョトンとしたまぁるい目をかなしげに見つめながら
「昨日…よっちゃんさんに、無理矢理キスされちゃったんだぁ…」
言った。すると、
- 80 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 16:58
-
すると、亜弥ちゃんの表情から温度がなくなった。うん、なんか負のオーラが出てる感じ。亜弥ちゃんのまわりからメンバーがいなくなる。
ガタンと亜弥ちゃんは椅子から立ち上がり、その椅子を蹴飛ばした。
いや、恐すぎるから!え?ど、どうしよう…はやまったかな。美貴ってもしかしてバカ?ちょっ…れいな!押さないでよ!美貴だって恐いんだから!
亜弥ちゃんはまっすぐよっちゃんさんを見つめている…いや、睨んでいる。みなさんにはお見せできないような顔で…よっちゃんさん!逃げて!!ってゆうか気付いて!
「…ヒッ!」
気付いた。
めちゃくちゃ怯えてるし。うん、恐いよね。でもね美貴も今更嘘だとか言えないしね。
- 81 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 17:00
-
「…よしざわさん?」
低っ!声低っ!
「は、はぃぃぃ!!」
さようなら、よっちゃんさん…案外君は良い奴だったよ。無くすのは惜しい限りだ。うん。
「みきたんに、手を出したってほんとですか?」
貞子もビックリだよね。『呪縛』なんて目じゃないよ。
「だだだだだしてないよ!!そそそそそんなことするはずないじゃん!!」
ねぇねぇ今思ったんだけど嘘ってバレたらどうなるの?美貴、消されちゃう?
「嘘じゃないですよね?嘘だったら承知しませんよ?」
「嘘じゃないです!!!!」
首がちぎれるんじゃないかってくらいに首を縦に振るよっちゃんさん。
- 82 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 17:01
-
あ、謝った方がいいよね?だから!れいな押すなって!
クルッと亜弥ちゃんが美貴のほうを向いた。
「あああああやちゃん!!!!じ、冗談だよ!そそそんなことあるはずないじゃん!あ、あははは…」
さようなら、みなさん。美貴がいなくなっても元気でね…
ん?…おおおおぉぉ!亜弥ちゃんの負のオーラが消えた!助かったよぉ!おかぁさぁん!
「なぁぁぁんだ!ビックリしちゃったじゃん!もぅ、みきたんってば冗談がわるすぎるぞぉぉ〜?」
いや、こっちがビックリだよ!っとだれもが心の中で突っ込んだ。
- 83 名前:この世で一番恐いもの 投稿日:2004/12/12(日) 17:02
-
「わぁかった!みきたん、あたしが鏡ばっかり見てたから構ってほしんでしょぉぉ〜?」
「そそそそそうなんだよ!寂しくてさぁ〜」
ちょっぴり裏声になっちゃったよ。やめて。みんな見ないで!みんなの視線が痛い。
「も〜ぅ、みきたんってばかわいいんだから!」
ギュウゥゥゥッ!!
「グフゥッ!!…あ゛や゛ぢゃんいだい‥」
この後メンバーから袋だだきにあったのは言うまでもないだろぅ…
End―
- 84 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/12(日) 17:12
- ぁゃゃこえーw
しかしすごい変わり身ですな・・・とても面白かったです。
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/12(日) 18:38
- いやぁー、面白かった!!!あやちゃんこーわーいーぃw
短編ありがとうー!
- 86 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/13(月) 03:09
- あやちゃん・・・こわっw、慌てる美貴さんもw。
短編もオモロイです!!こっちのほうもときたま読みたいっス。
- 87 名前:作者 投稿日:2004/12/13(月) 16:16
-
まずはレス返しを
>名無し飼育さん様
ありがとうございます。おもしろいと言っていただけるとうれしいです。
>名無し読者様
ありがとうございます。ちょっとオーバーに書いちゃいましたw
>名無し飼育さん様
ありがとうございます。そうですか?そんなこと言うと書いちゃいますよ?というか書いちゃいましたw
ということで調子に乗ってまた短編を書いてしまったので載せます!今回も本編とは関係ないです。
- 88 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:18
-
研修医になって一週間が経った。外科部長の中澤先生は、一言でいえば鬼。美貴は奴隷じゃないっつうの。
「藤本〜。これ頼むわぁ〜」
―ドンッ
机に積まれた山積みのカルテ。ね?鬼でしょ?
「ん?なんか言いたそうやなぁ〜?」
「…がんばりまぁす」
絶対ヤンキーだよ。間違いない。あの目は本物だって。
「ほな、うちは帰るわ。なんかあったら携帯に連絡せぇよ」
帰るんかい!!とはいえないので―
「お疲れ様でしたぁ!」
笑顔で手を振る自分が悲しい。
- 89 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:19
-
―ガチャ
「ミキティお疲れ様〜。」
ドアから入って来たのは、同じく研修医の吉澤ひとみ。
「よっちゃんさん、おつかれ〜…って大丈夫?」
よっちゃんさんの目の下には隈が…しかもちょっとやつれてる。
「あはは〜大丈夫だよぉ。ところで中澤先生どこ?ちょっと一発殴りたいんだけど。」
だ、だめだこりゃ…完全にいっちゃってるよ。
「よ、よっちゃんさん、一回休みなよ。ね?ここは美貴がいるからさ。奥の仮眠室で休んでて?」
「そぅ?じゃあよろしくぅ〜」
そう言ってよっちゃんさんは永遠の…あっ違った!仮眠をとりにいった。
あれはたぶん三日は寝てないんじゃないかな?よっちゃんさんは真面目だから途中で仮眠とかしないんだよね。その結果があれな訳だ。うん、仮眠は必要だよね。改めて実感。
- 90 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:20
-
―コチ、コチ、コチ、コチ、コチ……
ピー…
時計が深夜12時を知らせた。
「はあぁぁー…疲れたぁ…」
…ちょっとだけ元気をもらいにいこうかな?確か、今日は夜勤だったはず。
すぐもどってくれば大丈夫だよね。あれがなきゃ美貴だってこんなに頑張れないし。
よっちゃんさんを起こさないようにそぅっと医局を出る。
わぁ〜夜の病院って恐いなぁ。廊下の電気ぐらいつけてもいいと思うんだけどな。
- 91 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:22
-
まっいいや!急げぇ〜急げぇ〜!
あっいた!ラッキー、一人だぁ〜。
ナースステーションでなにか書類を必死に書いている愛しのハニー。
「あ〜や〜ちゃん!こんばんは〜」
「あーみきたん!えへへっうれしぃなぁ〜今日はみきたん忙しそうだったから会えないと思ったのに。」
食べちゃっていいですか?だってナース服だよ?犯罪に近いよね。ってゆうか亜弥ちゃんは美貴のだから許可は必要ないか…
「亜弥ちゃん…」
ゆっくりと亜弥ちゃんの唇を美貴の指でなぞり、美貴の唇をそっと重ねる。
「…っ‥んっ‥」
- 92 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:23
-
亜弥ちゃんの口から漏れるヤラシイ声がさらに美貴の気持ちをかきたてる。
「…ぅん‥んっ、ん‥」
ゆっくりと亜弥ちゃんの腕が美貴の首に回される。美貴もそっと亜弥ちゃんを抱きしめる。
おかしくなりそうだ。このまま永遠に時が止まればいいのに―
「ん、っ‥ふぁっ‥ぁっ…」
なんども角度を変えながら静かなナースステーションに亜弥ちゃんの声が響く。
二人が最高に盛り上がっていたその時―
- 93 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:24
-
―バタンッ
背後から何か物が落ちる音がした。
「「え?」」
驚いて後ろを振り向くと、床には懐中電灯。そのそばには―
「あんたたちねぇ!!真面目に仕事しなさいよぉぉ!!」
保田婦長だ。
「「ごめんなさぁぁぁい!!」」
一番見られちゃいけないひとに見られてしまった。
亜弥ちゃんに『また後でね』と保田婦長に気付かれないように耳打ちをして、全速力で医局に戻った。
- 94 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:26
-
そぅっと医局のドアを開けて、まだたくさんのこっているカルテを見ては小さくため息をつく。
それでもさっきの亜弥ちゃんを思い出す。そうすると、自然と頑張れるんだ。
「よぉーし!やるかぁ〜!!」
始めてから10分くらいしたあと、仮眠室からよっちゃんさんの寝言が聞こえてくる。
「りかちゃぁぁぁん!!!!」
むしろほとんど叫び声に近かった。まぁ梨華ちゃんはよっちゃんさんの恋人で、普通のOLさんだから美貴達みたいに簡単に会えないらしい。
- 95 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:29
-
そんなのイヤだなぁ。って言ったら
「でも、久しぶりに会ったときにすごいことになるからいいんだよ。」
ってすごいヤラシイ顔で言われた。その顔を見たときに絶対こうはなるものかと心に誓ったのを覚えている。
うん、美貴が思うによっちゃんさんは少し変態っぽいんだよね。ごめんね?よっちゃんさん。まぁ忙しい仕事だから今のよっちゃんさんは欲望の塊なんだろうね。
よかった、亜弥ちゃんがナースで。なんとか美貴は変態にならずに済んだよ。
―シャー‥
「おはよう、ミキティ。だいぶ楽になったよ。」
しばらくしてよっちゃんさんが起きてきた。
「あっ、おはよ。じゃあ早速なんだけどこれお願いできる?」
咄嗟に『おはよう、変態』っていいそうになっちゃったことは胸の奥にしまっておこう。
- 96 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:31
-
それから何時間が経っただろう。美貴の腕時計は三時を指している。
チラッとよっちゃんさんを見ると、真剣な表情でカルテ整理をしている。
まずい、会いたくなっちゃったんですよ。亜弥ちゃんに。さっきは中途半端だったからなぁ〜。
亜弥ちゃん、保田さんにいじめられてないかなぁ。あぁ心配だ。ちょっと見に行こうかな?いや、様子を見るだけだって!
「よっちゃんさん、ちょっと美貴夜食買いに行ってくるね。」
「あぁじゃあなんかうちのも買ってきて〜」
「うぃ〜」
美貴の方を見ずによっちゃんさんが言った。まぁチラッと様子を見たら買いに行こう。
- 97 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:34
-
ちょっと小走りでナースステーションに向かった。保田さんに見つからないように細心の注意を払って
ヒョコッとナースステーションを覗くとだれもいなかった。でもいないはずはない。たぶん奥の休憩室にいるよね、こういう場合。
やっぱり保田さんに細心の注意をはらってナースステーションに入り、奥の休憩室を覗いた。
思わずニヤけてしまった。だってそこには亜弥ちゃんがソファに横になって寝てたから。
やっばい、ちょーかわいぃ。でも起こすのはかわいそうなので声をかけずにジッと亜弥ちゃんの寝顔を眺めてた。
- 98 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:36
-
「…ぅう〜ん‥ん?」
心の中で『起きろ〜起きろ〜』と願っていたのが通じたのか亜弥ちゃんの瞼がゆっくり開かれた。
「ん?あっ、みきたん!どうしたの?」
「亜弥ちゃんに会いたくなっちゃったの。」
そう言って亜弥ちゃんの唇を美貴のそれで塞ぐ。
「んっ!‥ぅん‥」
一瞬驚きからか、顎を引いて逃げようとする亜弥ちゃんをすかさず美貴は後を追う。
そして亜弥ちゃんの肩を掴んでゆっくりソファに二人の体を埋める。
- 99 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:38
-
そして亜弥ちゃんは美貴の背中に手を回してくれた。それがうれしくて美貴もつい、亜弥ちゃんの唇を激しく求めてしまう。
「ぅん、ふぁっ‥ふっ‥はぁっ‥」
何度も何度も角度を変えながら、クチュックチュッとイヤらしい音と亜弥ちゃんの声を堪能する。
そしてゆっくりと唇を離す。だめだ、もう止まれない。
ちょっぴり不安げな亜弥ちゃんの目。髪にかきあげてオデコにチュッと口づけた。
「…みきたん」
「うん?」
- 100 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:39
-
「…大好きだよ。」
「うん、美貴も。大好きだよ。」
そう言って二人はもう一度口づけた。
ほんとうは最後までしたいんだけど、命を扱う仕事故そうはいかない。すぐに駆け付けられる態勢でいなければならない。それはきっと亜弥ちゃんも分かっている。
それでも名残惜しい二人はずっと口づけている。
「んっ‥ぁっ‥ふっ、」
ビービービービー…
二人に甘い時間の終わりを告げるのはいつもナースコール。恋人同士とはいえ、二人はプロ。慌てて亜弥ちゃんはナースコールをとった。美貴も白衣を直して気合を入れる。
「藤本先生、305号室の木村さんが急変です!」
「はいよぉ!」
- 101 名前:君がいるだけで頑張れる 投稿日:2004/12/13(月) 16:40
-
病院の廊下を走る二人は、医者とナース。仕事が終わればまた恋人同士。
そんな二人をまわりは理想だと言う。我慢我慢の日々ではあるが、二人は幸せだ。
一生支え合って、寄り添っていられる二人でいよう。
そんな言葉を美貴が亜弥ちゃんに言うのはこれから10年後のお話…
End
- 102 名前:名無し 投稿日:2004/12/13(月) 23:08
- 面白いです!
あやみき最高です!
- 103 名前:作者 投稿日:2004/12/14(火) 19:08
-
>名無し様
ありがとうございます。面白いと言ってもらえるとうれしいです!!
今日も短編です。今回のは、ちょっと…いや、かなりおバカな作品ですw。軽く流してもらって構いません。この次は真面目に書くように心掛けます!
- 104 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:09
-
「じゃあいってくるね」
「うん、気をつけてね、美貴ちゃん。ほらっ絵里、さゆ、パパにいってらっしゃいは?」
すると、小さな女の子が二人、眠い目を擦りながら頼りなさげに手を振る。
「「パパ、いってらっしゃい」」
「はい、いってきます。いい子でね。」
どっからどうみても幸せな家庭。けど、美貴の心は罪悪感でいっぱいだった。
理由は美貴の仕事にある。
- 105 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:11
-
「おはようございま〜す」
「あっ藤本〜、松浦さんとこに原稿取りにいってくれる?」
「えぇー!!またですかぁ!?」
美貴は、ハロモニ出版社に勤めている。主な仕事は、作家さんの所に原稿をとりにいくこと。簡単そうに聞こえるが実は大変な仕事。
美貴が担当してるのは、日本のトップ作家と言われている『松浦亜弥』。これがまたわがままの塊みたいな奴。
美貴がまだ入って間もないころは、まだうちの出版社からは松浦さんの作品は出せなかった。小さい会社だったしね。それでも、何度も先輩の矢口さんは松浦さんに頼みに行ってたみたい。
- 106 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:13
-
勉強になるからって言われて、その日は美貴も一緒に松浦さんの所に挨拶に行ったわけよ。
そしたら、会った瞬間『この人があたしの担当になるならあなたのところで書いてあげる♪』って言われて、矢口さんも大喜びしちゃってさ。
まぁ美貴も初めての仕事がこんな大作家さんでうれしかったよ。あくまでも、はじめはね。
作家さんってもっとクールで物静かでお茶とか啜りながら原稿書いてるのかとおもったら………まぁそれはこの後、分かることだから言わないでおこう。
とりあえず原稿取りに行かなきゃ!!
- 107 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:13
-
「こんにちはぁ!藤本でぇす!原稿取りに来ました!」
―ガチャ
美貴が玄関で叫ぶとすぐに、中から美貴と同い年くらいの女の子が出て来た。
「みきたぁん!いらっしゃい♪」
とたんにギュッと抱きつかれた。まぁいつものことさ。
「松浦さん、原稿できました?」
美貴がそういうと、松浦さんはプクッと頬を膨らまし、不機嫌モード。いや、理由なんて分かってるんだよ。でも編集者としては一応ね。
「はぁ……亜弥ちゃん?」
美貴がため息交じりにそういうと、今度はニッコリ笑って
「なぁに?みきたぁん♪」
松浦さんはどうしても『亜弥ちゃん』と呼んでほしいらしい。編集者ごときが大作家さんをちゃん付けって……
- 108 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:14
-
まぁこれも仕事のうちか。編集者が作家さんが気分良く原稿が書けるように、環境を整えてあげるのは基本中の基本。それはいくらなんでも知っている。でもね………
なんですか?その口は?
「みきたん、チューして?」
そう言いながら、目をつむってキス待ちの大作家さん。
あれ?美貴の仕事ってなんだっけ?ここに来るといつもそんな感覚に陥る。……梨華ちゃん、ごめんね…そう思いつつ―
チュッと突き出された唇にキスをする。いや、実はこれもいつものことなんですよ。
「えへへっ」
そう言って照れながらもすごく嬉しそうな大作家さん。
- 109 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:15
-
美貴のおかげで会社は莫大な利益をもたらした。ここで、美貴が亜弥ちゃんの担当を外されたら間違いなく、クビだ。クビになったら家族は暮らしていけないし、死に物狂いで働かなくちゃ。
「で、原稿はできたんですか?」
すると、さっきまでジーッと美貴を見ていた大きな目が突然、反らされた。
こいつ、まさか………
「まさか、書いてないの?」
嘘だと言ってくれ!!
「だって、そうでも言わないとみきたん来てくれないじゃん…」
呆れた。用もないのに呼びだしやがって。
- 110 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:16
-
「…帰ります。」
普段なら美貴がこう言うと、おもいっきり腕を引っ張るのに今日はなにもしてこない。
不安になって、チラッと亜弥ちゃんを見ると、目に涙をいっぱい溜めてこういった。
「みきたんが帰ちゃうならあたし…もう書かなぃ‥」
脅し?泣き落とし?どっち?っていうくらい卑怯だ。根性悪いよね。
「はぁ、わかったよ。一緒にいるから‥」
どうにでもなれ。それが美貴の心境だった。
- 111 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:17
-
その後、美貴は一生懸命亜弥ちゃんをなだめながらゆっくり書斎に誘導した。
「絶対帰らないでね。」
そう言ってなぜかリビングにあった椅子に縛りつけられた。
はっきり言って亜弥ちゃんは子供。それでも美貴達がここまでするのは、やっぱり才能があるから。出す本は必ず売れる。あぁトイレ行きたい……
縛りつけられてから何時間かすると、書斎からヒョコッと亜弥ちゃんが出て来た。
いくらなんでも早すぎる。まさか、飽きたのかな?それは困る。原稿がないと会社に帰れないし…
そして亜弥ちゃんは美貴の目の前に来た。
- 112 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:18
-
「みきたぁん、お腹すいたぁ〜!!」
と、耳元で叫ばれた。明日は耳鼻科に行こう。
「はいはい、じゃあなんか作ってあげるからこれ解いて」
実は美貴、料理はかなり得意なんです。ロープを解いたかと思ったら、首にロープが巻かれた。犬?美貴は犬なの?しっかりとロープの端を掴んでいる亜弥ちゃん。
「ん〜お寿司が食べたい!」
寿司かよ!!作れねぇよ!!ってことで出前を取りました。
またまた椅子に縛りつけられた美貴はもちろん食べられないわけで…
「ンフフッ。おいしぃーー♪」
と、おいしそうに食べてる亜弥ちゃんを見守るだけ。分けてあげようなんて考えが亜弥ちゃんにあるわけなく、きれーに完食。
「みーきたん♪あと、もうちょっとでできるから待っててね♪」
これじゃ警察に電話することもできませんからぁ!!残念!!
- 113 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:19
-
さらに三時間後―
「みきたぁん!できたぁ!!」
亜弥ちゃんはそう言って美貴の膝の上に乗った。
「はいはい、じゃあ今読むからおとなしくしててね。ってゆうか解いて」
そして美貴は亜弥ちゃんが書いた小説をじっくり読んだ。途中で、何度も亜弥ちゃんに邪魔をされたけど目をつむろう…
やっぱりこの子には才能がある。読んだ後、そう思った。まぁこれでふざけた文章だったらとっくに殺ってるし。今回のもヒット間違いない。
「さすが亜弥ちゃんだね。今回のもかなりいい作品だよ!じゃあ、これ会社持って帰らなきゃいけないから……」
おじゃましましたぁ!っと言える雰囲気ではない。亜弥ちゃんはまたまた涙を目にいっぱい溜めてる。
「みきたん、かえっちゃうの?」
- 114 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:20
-
負けるな美貴!!がんばれ美貴!!ファイトだ美貴!!
「かえっちゃやだぁぁ!!…ぅぅー‥」
ななななななないてるぅぅぅぅーーー!!ま、負けるな美貴!!よし!ここはビシッと!
「亜弥ちゃん?ごめんね。でも美貴帰らないと怒られちゃうよ。」
っていないし!!どこいったぁぁぁぁ!?
きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!原稿ファックスしてるぅぅぅぅぅぅ!!頭良くなってるぅぅぅぅぅぅ!!
「えへへっ!これで大丈夫だよ?ね?今日は泊まっていってね?」
お泊りぃぃぃぃぃぃ!?いやぁぁぁぁぁ!!!!りかちゃぁぁぁん、美貴食べられちゃうよぉぉぉぉぉぉ!!!!
- 115 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:21
-
「あああああああ亜弥ちゃん?美貴はけけけけけ結婚してるんだよ?」
だから食べないでぇぇぇぇぇ!!!!
「あっ!!あたしみきたんの奥さんに会ってみたい!!!!ね?美貴たん家いこ!!」
りかちゃぁぁぁん逃げてぇぇぇ!!!!
「むむむむむむむりだよぉぉ!梨華ちゃんは関係ないじゃん!」
食べるなら美貴を食べろぉぉぉぉ!!!!………………………やっぱり食べないでぇぇぇぇぇ!!!!
「梨華ちゃんっていうんだぁ〜。ね、あたしとどっちがかわいい?」
はあぁぁぁぁぁぁ!?そんなの梨華ちゃんにきまっ……
「あ、あやちゃんかな?あははははは…」
痛いよぉぉぉぉ!!!!足踏まないでぇぇぇ!!!!
- 116 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:22
-
♪〜♪〜♪〜♪〜♪
その時、美貴の携帯に電話がかかってきた。
「も、もしもし!」
『あっ、美貴ちゃん?梨華だけど、今日何時ぐらい帰れそう?』
きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!りかちゃぁぁぁん!!!!……………………………………………あれ?携帯は?
「あっもしもし?あたし、松浦亜弥でぇす!突然なんですが今日お邪魔してもいいですかぁ?………ほんとですかぁ?じゃあこれから行きまぁす♪」
やめてぇぇぇぇぇぇ!!!!悪魔なんだよぉぉ!この子は悪魔なんだぁぁぁ!!!!
「ほらっ、みきたん行くよ!!」
グエェェ!!苦しいよぉぉ!ロープが首にぃぃぃ!!解いてぇぇぇぇ!!!!
- 117 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:23
-
ピーン、ポーン―――
―ガチャ
「あっどうも。いつも主人がお世話になってます。妻の梨華です。」
そう言って頭を下げる梨華ちゃん。うん、よく出来た奥さんだよね。
「どうもぉ。松浦あやでぇぇす。」
もちろん美貴の腕にばっちり抱きつきながら答える亜弥ちゃん。梨華ちゃん、そんな目でみないで!好きでやってるんじゃないだよぉ!!
「あっ、どうぞ!なんにもありませんが。ゆっくりしていってください」
そんなこというとこの子は泊まっちゃうよ?そういう子だから。
「じゃあみきたんの部屋みせて♪」
一瞬梨華ちゃんの眉がピクッと動いた。うん、亜弥ちゃんのことはなにも言ってないから驚くよね?え?怒ってるの?なんで?
- 118 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:25
-
「べ、べつに美貴の部屋はないよ。寝室ぐらいだから。」
あんたの家とは違いますから!!残念!!いやぁ子供が二人もいると親なんて部屋持てないっすよ〜
「ブゥーブゥー!じゃあ、梨華さん、紅茶ください。」
「あっ、はい!ただいま!」
ごめんね、梨華ちゃん……その分、夜頑張るから!テヘッ♪
リビングに行って亜弥ちゃんが座ったソファの向かいがわに座ろうとしたら
「もぅばか!みきたんはあたしの隣でしょ!!」
いや、知らないし!ばかって!ってゆうか近過ぎ!!美貴の顔と亜弥ちゃんの顔の間はわずか2センチ……
- 119 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:26
-
「ど、どうぞ…」
眉をピクッ、ピクッと揺らしながら梨華ちゃんが亜弥ちゃんに紅茶を出した。
そりゃそうだよね。夫が、真面目に仕事をしているかと思えば、いきなり仕事先の大事な作家さんだからってこんなチャラチャラした女の子を連れて来て、こんなにベッタリしてたらそりゃ怒るわな。
うん、梨華ちゃんが正常な人で良かった。あははははは……
「みきたぁぁん、熱くて飲めなぁい〜フーフーして?」
ノォォォォォォォォ!!!!なななななんてことをいうんだぁぁぁ!!
梨華ちゃん!そんなに目を見開いたら目が落ちちゃうよ!!違うんだぁぁぁぁぁ!
- 120 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:27
-
「みきたん?どうしたの?汗びっしょりだよ?ねぇねぇ、いつもみたいにしてよぉぉぉ!」
確信犯かぁぁぁぁぁぁ!!!!どうしてくれるんだよぉぉ!!
あぁぁぁ、それでも紅茶を受け取ってしまう自分が恐い…ってゆうか、手がめちゃくちゃ震えてるんですけど、それでもしなくちゃだめ?あぁ二つの痛い視線を感じる。殺気と期待という二つの視線を…
「フゥー、フゥー…………はぃ‥」
「ンフフッ、ありがとー!…ぅん、おいしぃ♪」
あははははは!そりゃ良かった。だ、だれか胃薬を……
えぇぇぇぇ!?梨華ちゃん、どこいくの!?なにさ!そのスーツケースは!?えり!さゆ!なんでランドセル背負ってるの!帰ってきたばっかりでしょ!はあぁぁ!?なにさ実家に帰るぅ!?いや、冗談はよしこさんだよ!!
- 121 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:30
-
亜弥ちゃん離してぇぇぇ!!!!追い掛けなきゃ!!待ってぇぇぇ!!!!
えぇぇぇぇ!?なんで亜弥ちゃん服脱いでるの!?止めなさい!!
「やっと二人っきりになれたね‥みきたん」
「‥そうだね‥」
ってばかぁぁぁぁぁ!!!!そんなわけないでしょ!!!!ちょっ、えぇ!?そのロープ持ってきてたのぉ!!く、苦しぃよぉぉ!だめだって!そっちじゃないから!そっちには寝室しかないからぁぁ!
食べられちゃうよぉぉぉぉ!!!!りかちゃぁぁぁん!!!!戻ってきてぇぇ!!
- 122 名前:嘘だと言ってよハニー 投稿日:2004/12/14(火) 19:32
-
後日、梨華ちゃんから離婚届が届いた。そして、その次の日の新聞にはでっかくこう書かれた。
『作家、松浦亜弥電撃入籍!!!!お相手はハロモニ出版社の編集者!!』
いやだぁぁぁぁぁぁ!!!!
End?
- 123 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/14(火) 20:02
- ありそうでなかったこの設定…笑えますねw
- 124 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/12/14(火) 21:12
- 面白いっす!ほんとにありそうでなかったですね!次も期待してますw
- 125 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/12/14(火) 21:12
- 面白いっす!ほんとにありそうでなかったですね!次も期待してますw
- 126 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/14(火) 21:44
- やばい、この話最高w
- 127 名前:作者 投稿日:2004/12/15(水) 17:12
-
>名無飼育さん様
ありがとうございます。一番乗りをゲットしました。見捨てずに読んでやってくださいw
>名無し飼育さん様
ありがとうございます。期待されちゃった♪頑張ります!
>名無飼育さん様
ありがとうございます。その二文字を待ってましたw
しばらくは短編を書こうと思います。申し訳ないっす。そして、今回は言い訳のしようがないほどおバカ路線です。不評なら真面目路線に無理矢理戻しますwそれではどうぞ!
- 128 名前:桃太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 17:13
-
〜あやみき的昔話〜
桃太郎編
むかぁし、むかぁし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
「みきたん、山で柴刈りした後、川に洗濯しにいってね♪」
「あ、亜弥ちゃん!台本と違うよ!亜弥ちゃんが川に洗濯にいくんだよ!ってゆうかみきたんじゃなくておじいさんって呼んでよ!」
「………」
「あ、亜弥ちゃん?」
「‥みきたん、あたしのこと嫌い?」
「な、なにいってんのさ!好きに決まってんじゃん!」
- 129 名前:桃太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 17:13
-
「じゃああたしのお願い聞いてくれるよね?」
「う、うん‥なに?」
「川の水が冷たいから洗濯はしたくないの…だからみきたんしてきて?」
「わ、わかった…じゃあ亜弥ちゃん柴刈りに行ってね?」
「みきたんは、あたしが山で熊に襲われてもいいの?」
「イヤだ!わかった!両方美貴が行く!亜弥ちゃん待っててね!」
「…みきたん‥ポッ」
藤本さん、ダマされてますよ?
「よっちゃんさん!!川は超スローで渡って!じゃないと間に合わないから!」
「え?ミキティ?これっておいらが主役じゃ……行っちゃった……」
- 130 名前:桃太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 17:14
-
「はぁ、はぁ…疲れた。えーと柴刈りはここでいいのかな?まっいっか!よぉーし頑張るゾォ!」
「え?もうすぐおばあさんが桃を拾う場所過ぎちゃいますよ!?ちょっ‥ミキティー!走れー!おいら流されちゃうよー!だれかオール貸してください!漕ぐしかないっしょ!!」
「えぇ!よっちゃんさぁぁん!待ってぇー!あっ!紺ちゃんこの自転車借りるよ!待てーーーーーー!!桃太郎ーーーー!!」
「ミキティー!がんばれぇー!もうすぐだぁ!こっちだ!早く!手伸ばして!ぎゃぁぁぁ!助けてぇ!滝だよぉぉぉ!」
「よっちゃんさぁぁぁぁぁん!!今行くぞぉぉぉぉ!この手に捕まってぇぇ!!!!」
「ぎゃぁぁぁ!あぁぁぁぁぁ!ミキティーー!あとちょっとぉ!!」
「っ!掴んだぁぁ!!早く岸に上がって!も、もぅ大丈夫だよ!!」
「た、たすかったぁ…」
「「うわぁぁぁぁん!!よかったよぉぉぉぉ!!」」
- 131 名前:桃太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 17:15
-
「ふっ‥グスッ‥ミキティありがとーーーー!!!!おまえは最高だぁぁぁぁ!!!!」
「よっちゃんさん!!!!よかったよぉぉぉぉ!!」
ガシッと抱き合う二人………あのぅ桃太郎まだ生まれちゃまずいんですけど………ヒッ!睨まないでぇ!わ、分かりました!じゃあとりあえず家に戻ってもらっていいっすか?すぃません…
「あやちゃぁぁん!ただいまぁ!!」
「みきたぁん!おかえりぃ!わぁ大きな桃!どうしたの?」
「命懸けで取ってきた!!」
「ふぇ?命懸けで?まっいいや!ねぇこの服とこの服どっちがかわいぃ?」
「え?うーーん…こっちかな?ね、ねぇ桃開けよ?」
- 132 名前:桃太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 17:16
-
「みきたんはあたしより桃の方が大事なの?」
「そそそそそんなことないよ!!あはは……」
「じゃあ、いいじゃん!!ねぇねぇ…」
あのぅ開けてもらわないと話すすまないんですけど……あっ吉澤さんすいません!今空気穴開けますから!
その夜――、
「よっちゃんさん、よっちゃんさん!今開けるから!しっかりして!えぇ!顔が青いよぉぉ!目を開けてぇぇ!だれかぁぁぁ救急車ぁぁ!」
ピーポーピーポーピーポー………
「よっちゃんさぁぁぁぁん!!!!」
- 133 名前:桃太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 17:17
-
〜次の日〜
「僕は桃から生まれた桃太郎!!!!」
「みきたん?だれ、これ?まさか浮気?ねぇねぇ浮気なの?」
「違うよぉぉぉ!!美貴が浮気なんかするわけないじゃん!桃太郎は大きくなったら鬼ヶ島に鬼退治にいくんだよ!」
「そんなのどうでもいいの!!じゃあなんで二人で朝帰りしたの?」
「あれはよっちゃんさんが死にかけてたから病院行ってたんだよ!!」
「ほんとにほんと?嘘じゃない?」
「ホントだよ!!しんじてよ!」
「うん、分かった!みきたんのこと信じる!えへっごめんね?疑って」
「いいんだよ。それだけ美貴が愛されてるってことだから……」
- 134 名前:桃太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 17:18
-
「…みきたん‥」
「…亜弥ちゃん…………ん?なに?邪魔しないでよ、よっちゃんさん!え?鬼ヶ島行くの!?もう!?まだ生まれて一日も経ってないよ!?勝てる?鬼強いよ?は?コネがあるから大丈夫?あっ鬼になるんだ?じゃあ桃太郎じゃないじゃん!もどってこないの?わかった。元気でね‥」
こうして桃太郎は無事に鬼ヶ島に行きました。そして二度とこの家に戻ってくる事はありませんでした。
めでたし、めでたし…
(О;^〜^){鬼になったほうがましだYO!}
- 135 名前:浦島太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 19:30
-
〜浦島太郎〜
「やーい、やーい!なんだよこの亀〜みんなぁ叩いてみようぜぇ」
「んもぅみきたんってば!好きな子はいじめちゃうタイプなんでしょ?もぅシャイなんだから♪」
「あっ亜弥ちゃんセリフ違うよ!亜弥ちゃんは亀なんだから!もうすぐ浦島太郎がくるから!」
「だぁれ?浦島太郎って。まっいいや!あっみきたん一緒に竜宮城いこ?たぁっぷりおれいしてあげる♪」
「いや、だから御礼は美貴じゃなくて浦島太郎に…」
吉澤さん!もうこうなったら出てください!浦島太郎が出てればタイトルは守れますから!!…え?あなたにいやだと言う権利はありませんよ!!寝言は寝て言ってください!いいから早く出てください!!!
- 136 名前:浦島太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 19:31
-
「こ、こらぁ!亀!いじめっ子Aをいじめるんじゃなぁい!」
「よ、よっちゃんさん!美貴を助けてどうすんのさ!?亀を助けなきゃ竜宮城いけないでしょばか!!」
「そ、そっか!こらぁ亀をいじめちゃいかん!!早く帰りなさぁい!」
「あっ、吉澤さん?なにしてるんですか?まさかみきたんとの愛を育む時間を邪魔しにきたんですか?」
「「……え?」」
「いや、あのよしざーは一応浦島太郎で、ですね‥」
「そうそう、亜弥ちゃんは浦島太郎を竜宮城に連れて行くんだよ?」
- 137 名前:浦島太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 19:32
-
「浦島太郎だか吉澤ひとみだか知らないけどみきたんとの時間を邪魔するひとは容赦しま……‥まさかみきたんの浮気相手?ねぇみきたんこの人と浮気したの?」
「めめめめめめっそうもございません!!!!浮気なんかするはずななななないじゃん!!!!そそそんな睨まないで…」
「ほんと?じゃあなんでその人ここにいるの?」
「あの、ですからよしざーは主役なんですよ‥亀を助けなきゃいけなくて‥」
「あぁ亀ね!あぁそういうことですかぁ!!」
「「そういうことなんですよ!!」」
- 138 名前:浦島太郎 投稿日:2004/12/15(水) 19:33
-
「亀ならさっきあっちのほうで泳いでましたよ?あっ沖の方に泳いでいったから早く行った方がいいですよ?」
「「‥は?」」
「じゃあみきたん竜宮城いこ?早くしないと門限過ぎちゃうじゃん!ほらっ行くよ?」
「え?ちょっ…違うよぉぉぉぉ!!!!美貴じゃないよぉぉぉ!!!!美貴泳げないんだぁぁぁぁぁぁ!!!!死んじゃうよぉぉぉぉ!!!!」
「ミキティィィィィィィィ!!!!おいらはどうすればいいんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!おいらもつれてってぇぇぇぇぉぇぇ!!待てぇぇぇーーー!!」
- 139 名前:浦島太郎? 投稿日:2004/12/15(水) 19:34
-
「よっちゃんさぁぁぁぁぁぁぁん!!助けてぇぇぇーーー!!美貴およげなっ‥ブクブクブク‥」
「ノォォォォォォォ!!!!ミキティィィィィィィィ!!今助けるぞぉぉぉ!!まつうらぁぁぁぁ!!待てぇぇぇぇーーーー!!」
あっ田中さんと道重さんお疲れ様でした!はい!大丈夫です!あとはなんとかしますんで!あっ救急車呼んどいてもらえますか?お願いしまぁす!
「ミキティィィィィィィィ!!!!大丈夫カァァァァ!!うぉぉぉぉぉぉ!まつうらぁぁぁぁ!!ミキティを離せぇぇぇぇ!!ぎゃぁぁぁ!青白ぃぃぃぃぃ!息してないYOOOOOO!!」
「ちょっ‥何するんですかぁ!みきたん返してください!!吉澤さぁぁぁぁん!!待てーーーー!!」
- 140 名前:浦島太郎 投稿日:2004/12/15(水) 19:35
-
「ミキティィィィィィィィ!!!!しっかりしろぉぉぉ!!水かぁ!!水を飲んだのかぁぁぁぁ!?はっ!!人工呼吸かぁぁぁぁ!!待ってろぉ!!今やるぞぉ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あたしのみきたんに何するんですかぁ!!!!触んなぁぁぁぁ!!ドスッ!!」
「ぐはぁぁぁぁぁっ!!腹がぁぁ!!肋骨がやられたぁぁぁぁ!!いてぇぇぇぇぇ!!ミキティィィィィィィィ!!だめだぁぁぁ!逃げれねぇぇ!!…」
「……ぅーん‥ん?ぎゃぁぁぁ!!よっちゃんさぁぁぁぁん!!しっかりしてぇぇぇぇ!!だれかぁぁぁ!!だれか助けてくださぁいぃぃぃぃ!!」
「もぅみきたん!!早く竜宮城いくよ!!」
「せめて!せめて救急車が来るまでまってくださぁぁぁい!!おねがいじまずぅぅぅ!!」
- 141 名前:浦島太郎 投稿日:2004/12/15(水) 19:36
-
ピーポーピーポーピーポー…
「来たぁぁぁぁぁぁぁ!!!!よっちゃんさぁぁぁぁん!!!!もう大丈夫だよぉ!!」
「ミキティィィィィィィィ!!!!ありがとぉぉぉぉ!!お前もがんばれぇーーー!!」
「ありがとぉぉぉぉ!!頑張るよぉぉ!!って、あああああやちゃぁぁん!!そっちは海だよぉぉぉぉ!!…‥ブクブクブク‥」
「うぉぉぉぉぉぉ!!ミキティィィィィィィィ!!!すいませぇぇぇん!!救急車戻してくださぁぁい!!」
強制終了。
川v){美貴はどうなったのさ!?}
- 142 名前:孤独なカウボーイ 投稿日:2004/12/15(水) 20:23
- おもしろい!
- 143 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/15(水) 20:46
- 面白すぎですw
- 144 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/15(水) 22:19
- 吉澤さんのキャラがかなり良いです!!藤本さんと吉澤さんの友情もすてきです(Ο^〜^)
- 145 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/16(木) 03:22
- いやー笑いすぎたw
最高!!
- 146 名前:作者 投稿日:2004/12/17(金) 20:08
-
>孤独なカウボーイ様
ありがとうございます。おもしろいといってもらえると嬉しいですよ!
>名無飼育さん様
ありがとうございます!喜んでもらって光栄です!
>名無し読者様
ありがとうございます!吉澤さんと藤本さんの友情に乾杯!!
>名無飼育さん様
ありがとうございます!最高ですか!やったー!これからもどうぞよろしくお願いしますね。
コント編はとりあえず今回ので終わり。というか他にどんな童話があったか作者がよく覚えてないので_| ̄|Ο
思いついたら書きますが(←いいかげんですね)、それではどうぞ!
- 147 名前:童話 投稿日:2004/12/17(金) 20:09
-
〜3匹の熊〜
「あぁこんな広い森で迷子になってしまったわ。どこかにみきた‥…コホンッ、人はいないかしら?………あらっ?あんなところに小屋があるわ!行ってみましょう。」
そして、女の子は小屋に入っていきました。
ドアを開けるとそこには、テーブルと三つの椅子がありました。
大きな椅子と中くらいの椅子と小さな椅子。
どうやら三人で住んでいるようです。
「まぁ、なんておいしそうなシチュー!すこしいただこうかしら。」
森で長いこと歩いていた女の子はお腹が空いていました。
- 148 名前:童話 投稿日:2004/12/17(金) 20:10
-
「クンクン、クンクン…これだ!!」
そして、女の子は中くらいの椅子に………違いますよ!小さな椅子に座ってください!…あっシカトされた‥
そして女の子は中くらいの椅子に座ってテーブルにあったシチューを食べました。
「あぁお腹がいっぱい。ちょっと眠くなってしまったわ。あっあそこのベッドで休ませてもらおうかしら。」
シチューを食べ終わった女の子は、奥にあったベッドで休むことにしました。
「クンクン、クンクン…これだ!!」
だから小さいベッドに寝てください!!…なんですか?その顔は。打ち合わせしたでしょ!!早く!ほらっ!そぅ、動くなよ!
そして女の子は小さいベッドに……チッ、中くらいのベッドに寝ました。
- 149 名前:童話 投稿日:2004/12/17(金) 20:11
-
……松浦さん、目を閉じてください!そんなにドアを見てたら熊が入ってこれないじゃないですか!!
……………………吉澤さん!なに泣いてるんですか!!一番大きな熊の役なんですから、堂々としてください!!は?アバラがバラバラになる?何を訳のわかんない事言ってんですか!!ほらっ!!
―がちゃ
おや?3匹の熊が小屋に入って来ました。大きな熊と中くらいの熊と小さな熊です。
「あぁー!!あーしのシチューがな……あるわ。なんで?」
藤本さんにセリフ変更でお願いします!!
「あ、あれ?わたしのシチューがなくなってるわ!誰が食べたのかしら?」
「ああああああああ…‥…」
吉澤さん!落ち着いてください!!
- 150 名前:童話 投稿日:2004/12/17(金) 20:12
-
「よっちゃんさん!!大丈夫!!しっかり!」
「う、うん!あっ、あれ?向こうで誰かが寝ているぞ?」
「あぁー!!あーしのベッドに……だれもおらんやん。なんで?」
高橋さんはセリフなしで!!藤本さんお願いします!
「あら?女の子が、ねている…グフゥッ!!、く、ぐる゛じぃ‥あやぢゃん‥はなじで‥」
「もぅ!迎えに来るのが遅いぞ♪みきたん♪」
「よよよよよよしざーはなにも見てない。なにも見てない。なにも見てない。夢だ!これはゆめなんだぁぁぁぁぁ!!!………ん?…た、高橋?どうした?」
- 151 名前:童話 投稿日:2004/12/17(金) 20:13
-
「……もん」
「へ?」
「美貴ちゃんはあーしのやもん!!!!」
「「「はぁぁ?」」」
「美貴ちゃんを返せぇぇぇぇ!!!わあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!いだいよぉぉぉ!!!!腕がちぎれるよぉぉ!!!!」
「みきたんはあたしのよぉぉぉぉ!!!!」
「グキィィッ!!!ぎゃぁぁぁ!!!腕かぁぁ!!折れたじょぉぉ!!!」
「ノォォォォォォォ!!!!ミキティィィィ!!!!今助けるぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!とりゃぁぁぁぁ!!」
- 152 名前:童話 投稿日:2004/12/17(金) 20:14
-
「美貴ちゃんは…美貴ちゃんは、あーしが辛いときいつもそばにいてくれたんやもん!!!だからあーしのやぁぁぁぁぁ!!!」
「ばかぁぁぁ!!!みきたんはやさしぃだけだもぉん!みきたんがすきなのはあたしだけだもん!!ちょっ‥吉澤さん!邪魔!!」
「そうやぁぁ!!!貴様はだまっとれぇぇぇ!!!バキィィィ!!」
「グフゥッ!!足がぁぁぁ!!今日は足をやられたぁぁぁぁ!!だめだぁぁぁ!歩けねぇぇ!!」
「よっちゃんさぁぁん!!!がんばってぇぇ!!!!ぎゃぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉ!!!!ミキティィィィ!!!!殴れぇぇ!!!殴るんだぁぁ!!今しかないぞぉぉ!!」
- 153 名前:童話 投稿日:2004/12/17(金) 20:15
-
「無理だよぉぉぉぉ!!!!腕はおれてるんだぁぁぁぁ!!いだいよぉぉぉ!!よっちゃんさぁぁん!だずげでぇぇ!!」
「何のこれしきぃぃぃぃ!!!今行くぞぉぉ!!たかはしぃぃぃ!!先輩を殴るとは良い度胸だぁ!!覚悟せぃぃ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!吉澤さん、セクハラやぁぁ!!」
「えぇ!?うそぉぉぉぉ!!おいらがどこ触ったぁぁ!?」
「嘘にきまっとろうが!!甘いんじゃぁぁ!!!隙ありぃぃぃ!!ドスッ!!」
「おぎぁぁぁぁぁ!!アバラがぁぁぁ!!アバラがバラバラにぃぃ!!」
「よっちゃんさぁぁん!!大丈夫かぁぁぁ!!!だれかぁぁ!救急車をぉぉ!!」
- 154 名前:童話 投稿日:2004/12/17(金) 20:17
-
「みきたん!!!逃げようとしてもだめだかんね!!!」
「そうやざ!!!ちょっと裏に来てもらおうか?あん?」
「いやだぁぁぁぁ!!!!たちけてーーー!!殺されちゃうよぉぉぉ!!!」
ピーポーピーポーピーポー…
「みきちぃぃぃぃぃーーー!!!!かならず助けにくるからなぁぁぁ!!!!」
「よっちゃんさぁぁぁん!!!!待ってるよぉぉぉ!!!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!その関節はそっちには曲がらないんだぁぁぁぁぁ!!」
End?
- 155 名前:インタビュー 投稿日:2004/12/17(金) 20:19
-
本日は松浦亜弥さんにインタビューをしてみたいと思います!!!!
Q1.好きな色を教えてください。
亜弥「みきたん色」
Q2.好きな季節は?
亜弥「冬!!みきたんと一緒の仕事が増えるから!聞いてくださいよぉ。今年のクリスマスはみきたんと一緒なんですよぉ〜」
Q3.朝起きてまず始めにすることは?
亜弥「みきたんにおはようのチュー」
Q4.もし生まれ変われるとしたら何になりたい?またその理由は?
亜弥「みきたんの家の犬。あんなふうにみきたんに可愛がられたいから」
Q5.今一番興味のあることは?
亜弥「どうすればみきたんのすべてを手に入れられるのか」
- 156 名前:インタビュー 投稿日:2004/12/17(金) 20:20
-
Q6.これなら一週間食べ続けられる食べ物は?
亜弥「みきたん」
Q7.最近見た夢は?
亜弥「みきたんと結婚する夢」
Q8.好きな言葉は?
亜弥「みきたん」
Q9.今年のやり残したことは?
亜弥「みきたんと一つになること」
Q10.願いが一つだけ叶うとしたら?
亜弥「みきたんと一つになりたい」
ありがとうございました。
- 157 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/17(金) 23:44
- ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!
是非みきたんのインタビューも書いてください!
- 158 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/18(土) 01:45
- おもろかったぁー!
確かにあんまり童話って覚えてないですね。
- 159 名前:作者 投稿日:2004/12/22(水) 19:30
-
>名無し読者様
ありがとうございます!みきたん編は今度書いてみたいと思います!
>名無飼育さん様
ありがとうございます!ですよね!なにか案があったらお願いしますw
真面目モードで書きました。何回か続くと思いますが、予定は未定です。結末は決まっているので安心してください(?)
- 160 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:32
-
「美貴ちゃん、いってらっしゃい。今日も遅くなるの?」
「あぁたぶん遅くなるから先寝ててイイよ。じゃあ、いってくるね。梨華ちゃん」
―ガチャ
午前7時に家をでた。朝一で会議があるからと嘘を付いて。
まだ結婚して3年しか経っていない、世間では新婚と言われる時期だと思う。いや、決してうまくいってないわけではない。むしろうまくいってる方だと思う。
寒空の中、白い息を吐きながら小走りで駅のホームに向かう。
まだこの時間だと空いてる方だ。もう少し後だと車輌に押し込まれる状態になってしまう。
だからこの時間を選んだのかもしれない。
- 161 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:33
-
午前8時、会社のある駅に着いた。美貴は慣れた足取りでまっすぐ会社とは反対の出口から出た。
駅を出ると道路を渡り、目的のファミレスに入った。そして辺りを見渡すと眠そうな目を必死に開こうとしている彼女を見つけると、自然に頬が緩んでしまう。
ゆっくり彼女のいる席へ向かった。途中で美貴に気付き、うれしそうに小さく手を振る。
「おはよう、亜弥ちゃん」
「おはよ、みきたん♪」
二人が放つ空気、それはまるで恋人同士のような雰囲気。
「今日は一段と寒いね。風邪引きそうだよ。」
「みきたん寒いの苦手だもんね。あたしが温めてあげる。」
そう言って亜弥ちゃんは美貴の冷たくカサカサになった手を両手で包んでくれた。
- 162 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:33
-
溶けちゃいそうになるくらい亜弥ちゃんの手は温かかった。
―愛してる
それは言ってはいけない言葉。
それでも美貴は必死にそれを目で伝える。伝わっているのかは分からない。でも美貴は…。
「あっ、昨日ね…」
美貴の手をずっと握りながら亜弥ちゃんは昨日のことや友達のコトを話す。
美貴は合い図ちを打ちながら、亜弥ちゃんを見つめる。
―ごめんね。
人気のない場所、人気のない時間帯。
愛してはいけない人、愛されちゃいけない人。
結ばれることのない秘密の恋人。
- 163 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:34
-
午前9時。
「じゃあ先行くね。会社で待ってるから‥」
「うん、気をつけてね。」
時間をずらして会社に向かう。一時間だけ恋人でいられる時間は終わった。今度はいつ会えるなんて分からない。亜弥ちゃんも聞いたことがない。
亜弥ちゃんが昔言ってたんだ。
『あたしね、恋人ができたら周りからバカップルって言われるくらいラブラブになりたいんだ♪』
だれにも言えない恋人。
言うことが許されない恋人。
そんな恋人を彼女は望んでたんじゃないんだ。なのにどうして美貴達は愛し合ってしまったんだろう。
どうして離れられないんだろう。
答え何か分かっているのに、ずっと分からない振りしているんだ。
なのに彼女はいつも幸せだって言ってくれる。
もっと早く出会っていればよかったね、亜弥ちゃん。
- 164 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:36
-
「おはようございます!」
気持ちを切り替えて会社に入る。自分のデスクに向かう途中で彼女とすれ違った。
「おはようございます。コーヒーでいいですか?」
「うん、お願い。」
さっきまでの表情とはまったく違う、仕事の顔。
「ミキティ、おはよ」
「おはよ!よっちゃんさんお酒臭いよ?」
「だって、朝まで付き合わされたんだぜ?マジ強すぎだよ、あいつ。」
「ごっちん?」
「イエス。はぁ、気持ちわりぃ‥しかも今日は中澤建設の社長の接待だし…ミキティもだよね?」
「うん、あの人お酒強いから恐いんだよね。まっお互いがんばろうってことで。」
「うぃ〜」
いつも通り、いつもの雰囲気で仕事は始まる。
- 165 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:37
-
「藤本さん、3番にお電話です!」
「はぁ〜い。……もしもし、お電話変わりました。藤本です。」
『あ〜もしもし、わしだ。石川だ』
「し、社長!どうかなさいましたか?」
『いや、社長としてじゃない。父親として掛けたんだ。』
「あっ、そうでしたか。」
『いや〜そろそろ孫の顔が見たくてなぁ。どうなんだね?そっちの方は。』
「あっ、いや…その、まだちょっと…」
『そうか、そうか。まぁ楽しみにしてるよ。それじゃ、梨華にもよろしく言っといてくれ。』
「はい、じゃあ失礼します。」
三日に一度は必ず掛かってくる。孫の顔がみたい。そればっかりだ。いいかげんにしてくれよ。
「はぁ…」
電話機を見つめながらため息をこぼす。
- 166 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:37
-
「どうぞ‥」
「ん?あっ、ありがとう。」
「どうかしたんですか?ため息ついてましたけど…。」
丸いお盆を両手で抱えながら亜弥ちゃんが美貴に聞いて来た。
奥さんの父親から子作りを催促されたんだよ。なんて言えるわけもなく
「いや、別になんでもないよ。大丈夫。」
それならよかった。そう言って彼女は自分のデスクに戻った。
もし君との間に子どもができたらどんなコに育つだろう。
君に似たら優しいコになるだろう。
美貴に似たら頑固なコになっちゃうかもね。
そんなことを考えてることに気付き、梨華ちゃんに申し訳ないと思ってしまう。
決して梨華ちゃんを愛してないわけじゃない。ただ梨華ちゃん以上に彼女を愛してしまっただけなんだ。
そんな勝手な言い訳ばかりが頭を過ぎる。
- 167 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:39
-
午後3時40分。
「おっしゃー!」
隣のデスクから叫び声が聞こえた。
「よっちゃんさん、どうしたの?」
「中澤さんから電話で、今日の接待は取り止めだってさ!だから今日は定時で帰れるよ。久々ぁ〜♪」
「マジ?美貴も帰っていいの?」
「おぅ!いいよ。」
頭に真っ先に彼女のことが過ぎる。今日は会えるかな。
キョロキョロと辺りを見渡すが彼女はいない。
給湯室かな。
梨華ちゃんには今日は遅くなると伝えてある。こんなチャンスは滅多にない。
―コンッ、コンッ
常に開けっ放しになっている給湯室のドアを軽くノックすると、パッと彼女がこっちを向いて、え?っという表情をしている。
いつ誰が来るかわからないのでゆっくり話している暇はない。小さな声で彼女に言った。
- 168 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:40
-
「今日、時間ある?」
「あ、あるけど…なんで?」
「接待が急になくなったんだ。梨華ちゃんには遅くなるって伝えてあるし、会社が終わったら家に行っていい?」
「う、うん!全然いいよ!ちらかってるけど。」
うれしそうに答えてくれる彼女がたまらなく愛しい。今すぐ抱きしめたい。キスをしたい。
そんな気持ちを抑えて、残りの時間、仕事に励んだ。
あと少しで、彼女との恋人同士の時間がやってくる。そう思うと自然に力が湧いてくる。
何度も時計を見ては頬が緩んでしまいそうになるのを抑えた。
ご飯は何を食べようか。
家で二人で映画を見るのもいいね。
たまにそんなことを考えつつ、時間は刻一刻と時を刻む。
- 169 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:41
-
午後5時。
「お疲れ様でしたぁ。」
残業のない者が次々に帰っていく。その中に紛れて彼女と一緒に会社を出る。
電車にゆられながら彼女の家のある駅で降りる。ここに来たのは1ヶ月振りだ。だれも美貴達の関係を知らない人ばかり、自然に美貴は彼女と手を繋いだ。
途中で夕飯の材料を買った。どうやらあの後、必死にメニューを考えていたようだ。想像すると可愛すぎて笑ってしまった。
重たい荷物を美貴が右手で持って、軽い荷物を彼女が左手で持って、空いた手はもちろん手を繋いで。
この光景を見て、誰が禁断の恋と思うだろうか。ただの幸せそうなカップルにしか見えないだろう。
今日はいろんなことを忘れて普通の恋人同士に戻ろう。
- 170 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:43
-
―ガチャ
「どうぞぉ。ごめんね、ちらかってるけど。」
「構わないよ。急に来た美貴が悪いんだから。」
一人暮しの女性にしてはややシンプルすぎるといった感じの部屋。
彼女の匂いが部屋中に染み付いている。なんだか少しくすぐったい気もする。
「今、ご飯作るから待っててね。」
ほんとうにうれしそうに材料を抱えて台所に入る彼女。
「手伝おうか?」
「いいのぉ!あたしがやるからみきたんは待ってて!」
なにをそんなに張り切っているのか。と突っ込みたくなるけど美貴もさっきからソワソワしていることに気付いた。
久しぶりに二人でゆっくり過ごせる時間が美貴には少し照れくさかった。
鼻歌まじりに料理をしている彼女は誰から見てもかわいい恋する乙女。きっと誰かのために料理を作るなんて滅多にできないことだから。
彼女を見てると気持ちばかりが高ぶってしまう。そんな気持ちを抑えて料理が出来るのを待った。
- 171 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:44
-
「「いただきまぁす!!」」
テーブルに並べられたたくさんのおかず。肉じゃか、きんぴらごぼう、茄子の炒め物…
「おいしい!すごいおいしいよ!」
「えへへっ。がんばったもん♪よかった、喜んでもらえて。」
美貴は夢中で食べた。だれが残すものかと。亜弥ちゃんはそんな美貴をニコニコしながら見ていた。
滅多に食べられないこの味をしっかり覚えておこう。亜弥ちゃんが美貴のためだけに作ってくれたこの味を。
「くるちぃ…」
「もーみきたん食べ過ぎなんだよぉ。」
食べ終わった後、ソファで寝そべっている美貴を洗い物をしながら亜弥ちゃんがいった。
「だっておいしかったんだもん!」
「もぅ。そこで寝ちゃわないでよ?」
「じゃあ、亜弥ちゃんもこっち来てぇ〜」
そして洗い物を終えた亜弥ちゃんがコーヒーを持って美貴の隣に座る。
- 172 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:46
-
美貴が手のひらを上にして亜弥ちゃんの前に出すと、亜弥ちゃんは美貴の手に自分の手を重ねた。
ギュッと強く握った。まるで二人の体が『離れなくないよ』そう言っているかのように。それがあまりにも美貴にはせつなすぎた。『大丈夫』そんな意味を込めて亜弥ちゃんに口づけた。
「…ん‥ぅん…はぁ…」
何度も何度も、角度を変えながら激しく。
「愛してるよ…」
「ぅん…ぁたしも‥」
ずっと…ずっと君のそばにいたいんだ。君だけを愛することが出来たなら君はずっと笑顔でいられるのだろうか。こんな思いをしなくていいのだろうか。
ソッと一粒の涙が彼女の頬を伝う。こんな顔をさせたくて美貴は君を愛しているわけじゃないんだ。君の笑顔が見たいんだ。
彼女の頬に手をあてて、ソッと親指で目元をなぞり涙を拭う。そしてそこにチュッとキスをする。
- 173 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:47
-
「…抱いてくれる?」
「‥うん」
手を強く握り合ったまま、寝室に向かう。そしてゆっくりと彼女をベッドに倒す。
――あなたを愛しています
この瞬間だけは梨華ちゃんのことを忘れてしまう。目の前にいる彼女があまりにも愛おしすぎて理性が効かなくなっちゃうんだ。ごめんね。
さっきのように激しく口づける。
「んっ…はぁ‥ぅん‥」
唇を離し、顔を彼女の首に埋めて耳や首を舌で愛撫でをする。彼女は両腕を美貴の背中に持っていき、美貴を抱きしめる。
「み、きたぁん…んっ…ぁっ…ゃっ‥」
「亜弥…」
大丈夫、美貴はそばにいるから。こんなにかわいい君を見れる美貴は世界一の幸せ者だね。
そして、二人は深く激しく体を求め合った。
なにもかもを忘れて…
- 174 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/22(水) 19:49
-
ビクンッと彼女の体が震えてコトの終わりを告げた。
ベッドの中で美貴の腕枕で気持ち良さそうにスゥスゥ寝ている彼女をみて、彼女への愛情が胸から溢れ出す。
―こんなにも愛しい
―ねぇ君は今どんな夢を見ているの?
このまま君だけを奪い去ってだれも美貴達のことを知らないところでこんな風に二人っきりで暮らせたらいいいね。仕事の事とか世間の目を気にないで…
小さなアパートでもいい。毎朝君に起こされて、家を出るときはキスをしてくれたりして。夜はおいしい夕食をつくってくれるんだ。もし子どもができたら美貴は女の子がいいな。君にそっくりなかわいい女の子。
「ぅ‥ん」
「おっ?起きた?」
「ぅ、ん。みきたん?」
「ん?どうした?」
ギュッと美貴に抱きつく亜弥ちゃん。
「帰っちゃったかと思ったぁ……」
「大丈夫。そばにいるから。」
―君のそばに…
- 175 名前:作者 投稿日:2004/12/22(水) 19:52
- 今日の更新は以上です。皆様の感想をお待ちしておりますm(__)m
- 176 名前:名無し 投稿日:2004/12/22(水) 21:21
- 面白いです!
続きを期待してます。
- 177 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/22(水) 21:23
- まままままさかこんな展開で来るとは・・・!!
- 178 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/22(水) 21:40
- うわわわわわ、つつつ続き期待!!!っていうか、続きを早く!w
- 179 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/22(水) 23:40
- キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!!
こういうの待ってたよん
続きカモンナッ!
- 180 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/23(木) 21:26
- たっぷりどっぷりな感じですね…。続き、期待しまくりです!!
- 181 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/23(木) 23:08
- たまらん…
こういうの大好きじゃあああああああああああああ!!
- 182 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/24(金) 21:47
- ドロドロ設定がやばいくらいツボでございます。
何回かとか言わず、何十回と、この禁断の恋の世界を味あわせてください!
…とりあえず、続き激しくキボンヌ!!!!!
- 183 名前:作者 投稿日:2004/12/25(土) 21:13
-
皆様、レスありがとうございますm(__)mギリギリクリスマスに間に合わせましたw
>名無し様
ありがとうございます。楽しんでくれたらうれしいです。
>名無飼育さん様
ありがとうございます。極端な作者ですみませんwなんでかしら?と自分でも思いますw
>名無飼育さん様
ありがとうございます。お待たせしました!期待通りにいくかは分かりませんがw
>名無飼育さん様
ありがとうございます。ほぉほぉこうゆうのがお好きですか_〆(。。)メモメモ
>名無飼育さん様
ありがとうございます。たっぷりどっぷりがっちりな感じですw期待通りにいくよう頑張ります!
>名無飼育さん様
ありがとうございます。大好きですか!?よかったです、喜んでいただいて!
>名無飼育さん様
ありがとうございます。ほかの作者さんの作品と被らないようにするとこっちの方向へ行ってしまいましたw
- 184 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:14
-
「そうだ。これ…」
「なぁに、これ?」
美貴が亜弥ちゃんに渡したのはきれいにラッピングされた小さな箱。
「…クリスマスプレゼント。」
「あっ…そっか。ありがとう。」
亜弥ちゃんはそう言ってニコッと笑った。人はこんなに切ない笑顔をするものなのか。目の奥がカァッと熱くなった。『クリスマスは会えない』それが美貴の渡したプレゼントに込められた意味だった。
「わぁ、かわいいピアス…ありがとう。すごくうれしい。」
「…ごめん」
「なんでみきたんが謝るの?うれしいよ?」
「………」
だって君が泣いているから。どうしてそんなに強がるの?
美貴はそっと指で彼女が流す涙を拭った。
「あれ?…なんであたし、ないてるんだろ‥」
「いいよ、泣いて。」
誰よりも愛おしく思う彼女を誰よりも強く抱きしめた。
- 185 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:15
-
「…グスッ‥ごめ…わかっ、てた‥のに‥ヒッ‥ク…」
そばにいてあげたい。
泣きじゃくる彼女を抱きしめながら心からそう思った。
―愛してるんだ
「…一緒にいてあげられなくてごめん。」
「だ、大丈夫…今日会えただけでも奇跡だもん。楽しかったよ?」
美貴はどうすれば君を幸せにできるんだろうか。どうすれば君の涙を止められるのだろう。
「あっ、もうこんな時間!みきたん、帰った方がいいよ。」
一生懸命涙が出ないように堪えながら彼女が言った。それを見てまた胸がチクッとした。
「あぁ…うん、そうだね。」
これが美貴達の選んだ恋だから。傷つくと分かっていて、傷つけると分かっていて、それでも愛している人だから。これはしかたがないことなんだ。
「じゃあ…帰るね。」
「…ぅん。」
その言葉とは反対に二人の繋がれた手は、ギュッと強く握り返された。『行かないで、寂しいよ』彼女の瞳はしきりに美貴に訴えかけてた。
それでもなにもできない自分を腹立たしく思った。
- 186 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:16
-
「また…ね?」
「うん…またすぐ会えるから」
「そう、だよね。うん、じゃあ…バイバイ‥」
そして名残惜し気にゆっくりと手は解かれた。
「じゃあ…」
「…ぅん」
―バタンッ
二人が恋人でいられる時間が終わりを告げた。この恋は、ドラマのような甘いシーンはない。それでもお互いが必要で、ひたすら求め合う。終わりなんかないんだ。幸せな恋だけが恋じゃない。
辛くて、切なくて、会いたいのに会えない。それでも好きで好きでしかたがない。そんな罠のような恋に美貴達はハマってしまったんだ。
家に帰る途中、凍えるような寒さの中で体中に染み込んだ彼女の香りだけが美貴を温めていた。
- 187 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:17
-
数日後の12月25日。
「もー美貴ちゃんが寝坊するから映画館混んじゃったじゃなぁーい!」
朝から梨華ちゃんに無理矢理起こされて外に連れ出された。昨日のイブは毎年、梨華ちゃんの実家でクリスマスパーティーがあって梨華ちゃんのお父さんに散々飲まされた。
「ごめんってばぁ〜、ってゆうかこれ観るの?」
「うん!あたしこれ観たかったんだぁ〜。ほらっ入るよ。」
その映画は今話題の純愛映画だった。
亜弥ちゃんも観たいって言ってたっけ。連れてってあげたかったな。もうそろそろ起きたころかな。あっ、ケーキ一緒に食べればよかったな。失敗しちゃった。
「…ちゃん、美貴ちゃん!」
「あっ…あぁごめん、ごめん。ボーッとしちゃった。あははっ」
「もう!久しぶりのデートなんだからね?しっかりしてよ、もぅ…」
梨華ちゃんとのデート中も彼女のことが心配で仕方がない。映画の内容なんてほとんど頭ん中に入ってこない。頭の中は、この前、涙で顔をくしゃくしゃにした彼女の姿でいっぱいだった。
- 188 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:18
-
もしかしたら連絡がくるかもしれない。そう思って携帯を手に持っていたが結局かかってこないまま映画が終わった。
その後、ちょっと高級なお店でお昼ご飯を食べて、銀座に行ってクリスマスプレゼントとして梨華ちゃんが前から欲しがってたブランドのバックを買ってあげた。亜弥ちゃんにあげたのとは値段の0の数が違う。
亜弥ちゃんにあげたのは中学生だって買える値段のピアス。それでも彼女はきっと毎日つけてくれるだろう。
「じゃあ、夕飯の買物してから帰ろう?」
「うん。」
散々いろんなところへ行って時刻はもう夕方。家の近所のスーパーで買物をするために入った。
当然のように美貴がカートを押して、先を歩く梨華ちゃんの後ろに付いていく。野菜コーナーでレタスやトマトを買って、美貴はそれを見て今日の夕飯はなにかな、と考えていた。
その時――――
- 189 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:19
-
―ドンッ
よそ見をしていたら、美貴が押していたカートが前にいた人に当たってしまった。
「あっ、ごめんなさ………い‥」
「…ぁっ…」
亜弥ちゃんだった。
二人とも固まってしまっている。梨華ちゃんが美貴を呼んでいる声がだんだん近くなる。
「だ、大丈夫だった?怪我ない?」
「……ぅん。大丈夫。」
「お、おどろいたな。まさか、亜弥ちゃんがいるとは……」
「美貴ちゃん、知り合いなの?」
ヒョコッと美貴の後ろから梨華ちゃんが顔を出した。
「あぁ、うん。…会社の同僚だよ」
思わず亜弥ちゃんの顔色を伺ってしまった。でも彼女は嫌な顔をせず、こんにちは。と梨華ちゃんに挨拶をしている。亜弥ちゃんが梨華ちゃんを見るのはこれが初めてだった。
- 190 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:20
-
今まで想像していた人が現実に現れるのはどんな感じなのだろう。
「はじめまして。妻の梨華です。いつも主人がお世話になってます。」
そう言って頭を下げる梨華ちゃん。礼儀正しいきれいな奥さん。きっと亜弥ちゃんの目から見ればそう見える。
「ちょっと、玉子取ってくるね?」
「うん。」
美貴の方を見て少しだけ小声で梨華ちゃんが言って、亜弥ちゃんに軽く会釈をした。亜弥ちゃんも梨華ちゃんに軽く会釈。ちらっと亜弥ちゃんのかごの中を見ると、お惣菜が何個か入っていた。
「…すごい、綺麗な人だからびっくりしちゃった…」
「あぁ、そぅ‥かな。」
「そうだよぉ。」
そう言ってニコニコしてる亜弥ちゃん。その顔からは亜弥ちゃんが今、どういう気持ちなのかは分からなかった。
- 191 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:25
-
「どうしたの?亜弥ちゃん家からだとけっこうあるでしょ?」
美貴の家と亜弥ちゃん家は5駅離れているからスーパーに行くのにわざわざここまでくるだろうか。
「ぅ〜ん、あたしもよく分かんないんだけど…みきたんに会えそうな気がしたの。」
「えっ?」
「すごい確率だよね。もしかしたら食べてきちゃうかもしれないのに。なんかね、今日はこのスーパーがあたしを呼んでたの。」
にゃははっと笑う亜弥ちゃん。
でも美貴は笑えないよ。そんな小さな確率を信じてまで、君はここにいるの?スーパーなんて近くにいくらでもあるのに、小さなお惣菜二つだけ買うだけなのに、美貴に会えると信じてクリスマスの夕方に電車に乗ってきたの?
- 192 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/25(土) 21:26
-
「でも‥会えてよかったぁ。これで、クリスマスを乗り切れそう。なんちって♪」
そう言って無邪気に笑う亜弥ちゃん。
「………」
ごまかしてもだめだよ。美貴に会いたかったんだよね?会いたくて会いたくて、それでも家には行けないからわざわざ来るかも分からないこんなスーパーにいたんでしょ?そうだよね、クリスマスだもんね…
「美貴ちゃーん!」
レジのほうで梨華ちゃんが美貴を呼んでいる。
「ほらっ、みきたん呼んでるよ!あたしも、もう行くから。じゃあね、メリークリスマァス♪」
「……ぅん。メリークリスマス…」
たとえすべて分かっていたとしても追い掛けることなんてできない。
きっと君は家に帰って一人キリのクリスマスを過ごすんだろう。もしかしたら泣いちゃうかな。君は案外泣き虫だから…。
ごめんね、そばにいてあげられなくて…それでもずっと君を思ってるから…
- 193 名前:作者 投稿日:2004/12/25(土) 21:29
- 今日の更新は以上です。また皆様の感想を心よりお待ちしておりますm(__)m
- 194 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/25(土) 22:01
- 作者さん……梨華っちの事が憎くなりそうです・゚・(ノД`)・゚・
- 195 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/25(土) 22:06
- …泣きました。
……切ない…。。。
作者さん、更新お疲れ様です。続き期待しまくってます。
- 196 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/26(日) 01:05
- だー、どうしようもないもんなぁ・・・
ミキティもあややも辛いだろうけど、いつか梨華ちゃんも辛くなるだろうし
切ねーなー。こういう切ないあやみきもあるのかと
胸が痛む
- 197 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/26(日) 02:18
- 亜弥ちゃんの気持ちを考えると切なくて悲しくて泣けてきます。
- 198 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/28(火) 11:18
- 自分は梨華ちゃんより美貴さんの方が嫌いになりそうです・・・・。
- 199 名前:作者 投稿日:2004/12/28(火) 14:15
-
今日はレスの返事とお知らせです。
>名無飼育さん様
申し訳ありません。それは作者の文章力のせいですね。
>名無飼育さん様
ありがとうございます。泣かせちゃいましたか?でも、期待してもらえてうれしいです!
>名無飼育さん様
申し訳ありませんが少しネタバレですね‥ネタバレはご遠慮ください!レスをもらえるのはとてもうれしいのですが‥
>名無し読者様
ありがとうございます。そうですね、切ないのが狙いの小説ですので作者にとっては、そのお言葉は褒め言葉ですw
>名無飼育さん様
申し訳ありません、それは作者の文章力のせいです。
えー最初に言っておくべきでした。この作品は切なかったり痛かったり、という内容になってます。そういった小説に対して不快感を感じる方は読む事をご遠慮ください。それでも構わないと言う方だけに読む事をお勧めします。何名かにレスをいただいたのですが、小説を読んで『嫌いになりそう』と思う方は止めた方がいいかもしれません。作者は責任を負うことができません。御了承下さいm(__)m
更新は後日…
- 200 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/28(火) 18:41
- 更新は後日……_| ̄|○
お願いです…なるべく早く楽にさせてくださ…い……ガクッ
- 201 名前:作者 投稿日:2004/12/29(水) 15:53
-
>名無飼育さん様
しっかりしてくださぁぁい!!とりあえず少ないですが、更新することにしました。きっと楽にはならないと思いますが…
それではどうぞ!
- 202 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/29(水) 15:54
-
「おはようございまーす。」
年末だというのに電車は満員で来るだけでクタクタになる。
「あっ、松浦さん…コーヒー入れてくれる?濃いやつね。」
「はい、分かりました。」
変わらない笑顔。でもやっぱりどこか寂しそう。最近は二人きりで会うこともできず、寂しい思いをさせているのは分かっている。
「おはよ、よっちゃんさん。」
「…おはよ。」
「な、なんでそんなに睨むのさ‥」
自分のデスクについて、隣の席のよっちゃんさんに普通に挨拶をしたのになぜかものすごく睨まれた。
「ちょっと話があるんだ。来いよ。」
美貴が返事をする前によっちゃんさんは会議室のほうにさっさと歩いていってしまった。そんな態度に多少ムカついたが、しかたがないので美貴もついていった。
- 203 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/29(水) 15:55
-
―ガチャ
「…なに?話って」
美貴が会議室に入るとよっちゃんさんは不機嫌そうに机に座っていた。
「わかんないの?」
「はぁ?わかるわけないじゃん。はっきり言ってよ。」
怒ったような口調のよっちゃんさんの態度にいいかげんイラついてきた。
「この前、中澤さんの接待が無くなった日…ミキティどこいた?」
―ドクンッ
「な‥なに言ってんの?家に帰ったよ。」
「おいらさぁ、見ちゃったんだよね。」
―ドクンッ
バレた。初めにそう思った。嫌な汗が背中に流れる。
「なに仲良く手とかつないでんの?」
「……………」
「梨華ちゃん知ってんの?」
「……知らない‥」
自分でもびっくりするくらい小さな声だった。どうしよう。頭の中はそんな言葉でいっぱいだった。
- 204 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/29(水) 15:56
-
「……不倫ってやつ?」
「っ!………」
そんな言葉で片付けられたことがたまらなくイヤだった。でも結局自分達がしていることはそういうことなんだっていうことに改めて気付かされた。
「…そうだよ。でも本気なんだ……」
「ふざけんなっ!!」
バキッ!!
「っ!…いってぇ‥」
咄嗟で、歯を食いしばれなくて口の中に血の味がした。そして尚もよっちゃんさんは美貴の胸倉を怒りを込めた拳で掴んでいる。
「じゃあ梨華ちゃんはどうなるんだよ!?なにが本気なんだだよ!自分がしてること分かってんのかよ!?」
「わかってるよ!!梨華ちゃんを傷つけてることぐらい、わかってるよ!!」
「分かってねぇよ!分かってたらなんでそんなこと出来んだよ!!」
「好きになっちゃったんだよ!!!!抑えきれなかったんだよ!!」
こんな言い合いをしたのは初めてだった。ハァハァと息を切らせながら、睨みあう二人。
- 205 名前:愛を知る 投稿日:2004/12/29(水) 16:00
-
「ミキティがそんな自分勝手なやつだとは知らなかったよ…」
「…………」
ずっと避けていたことを真っ正面から言われて、言い訳しか言えない自分が情けない。何にも知らずに無邪気に美貴に笑いかける梨華ちゃんをみるたびに胸の奥がギュッと締め付けられるんだ。
「だから……」
「え?」
よっちゃんさんは今まで見たことがないような恐い顔で美貴を睨みながら言った。
「だから梨華ちゃんを渡したくなかったんだ…」
「…………」
―バタンッ
そのままよっちゃんさんは会議室を出ていった。一人ボロボロになったまま残された美貴は、ただただ自分を責めていた。
自分達が愛し合うせいでみんなが不幸になる。たくさんの人を傷つけているんだ。彼女でさえ、報われない恋に苦しんでいる。どうして愛してしまったんだろう。どうしてこんなに愛おしいのだろう。美貴は―
この思いをどうしたらいいんだろうか……
- 206 名前:作者 投稿日:2004/12/29(水) 16:01
- 今日の更新は以上です。少なくて申し訳ありません_| ̄|○
- 207 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/29(水) 20:09
- ハァ━━━━(;´Д`)━━━━ン!!!!!!
もどかしい…
- 208 名前:200 投稿日:2004/12/29(水) 21:14
- 更新ありがとうありがとうありがとう
でもまた続きがたまらなく気になるよ作者タン……グスッ
- 209 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/03(月) 11:16
- 続きが気になりまする・・・
- 210 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/05(水) 22:19
- 正月も過ぎたし、そろそろ更新を。。。
続きが見たくて我慢できないよーヽ(`Д´)ノ
- 211 名前:作者 投稿日:2005/01/05(水) 22:33
- 明けましておめでとうございます!!新年初の更新です!!先にレス返しを…
>207様
ありがとうございます。もどかしいですか?作者はそれが狙いですw
>208様
こちらこそレスをありがとうございます。気になってもらえてうれしいです!
>209様
ありがとうございます。そしてお待たせしました!!
>300様
ありがとうございます。ボーッとしてたら正月を過ぎてしまいましたw
おそらく、後二回の更新で完結すると思います。それではどうぞ!!
- 212 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/05(水) 22:33
-
「出張‥ですか?」
午後2時。あれからよっちゃんさんは一度も美貴と目を合わせてくれない。
「あぁ、明日から北海道支店に行ってほしいんだ。あーお前、英語できたっけか?」
「いえ、全く。」
「そうか。あっ、吉澤!お前一緒に行ってくれないか?」
課長がよっちゃんさんに言ったが、よっちゃんさんは数枚の書類を課長のデスクの上に置いて『明日は忙しいんです』と、冷たく言い放ってスタスタと行ってしまった。
朝、よっちゃんさんに言われて決めたんだ。けじめをつけようって。
「まいったなぁ〜…えー‥あっ!松浦、お前確か英語できたよな?」
近くで、コピーを取っていた亜弥ちゃんに課長が言った。確か亜弥ちゃんはこの会社に入る前、通訳の仕事をしていたと聞いたことがある。
- 213 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/05(水) 22:34
-
「は、はい。できますけど…」
なぜかとても申し訳なさそうにいう亜弥ちゃん。
「すまんが、明日から藤本と一緒に北海道支店にいってくれないか?」
「ほっかぃ…は、はい!行きます!絶対行きます!」
亜弥ちゃんは満面の笑みで元気よく返事をした。
「じゃあ、二人とも頼むな。」
昔、亜弥ちゃんによく地元の北海道のことを話てたんだ。『いつか二人で一緒に北海道いこうね。』美貴がそう言うと亜弥ちゃんはいつもうれしそうに頷いてくれた。もしかしたら亜弥ちゃんは、そのことを思い出したのかもしれない。
「よろしくね?」
「あっ、はい!がんばります!」
うれしそうに微笑む亜弥ちゃん。この彼女の笑顔を美貴は失ってしまうかもしれない。そう思うと胸がチクチクと痛んだ。
愛してしまってごめんね。
君を守れなくてごめんね。
- 214 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/05(水) 22:35
-
『345便、10時発北海道行きの搭乗を始めます……』
年末ということもあって空港は人でごった返していた。そんな中、美貴は小さなボストンバックを抱えて座っていた。美貴の隣には、とてもうれしそうにチケットを何度も確認している彼女がいる。
「いこっか?」
「う、うんっ」
亜弥ちゃんは、はぐれないように美貴の後からちょこちょこと必死についてくる。人に何度もぶつかりそうになる、その姿が危なっかしくて美貴は彼女に手を伸ばした。
「おいで?」
彼女は一瞬、驚いたがすぐにうれしそうな顔をして少し照れながら美貴の手を握った。
- 215 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/05(水) 22:36
-
その手は飛行機に乗っている間も離れることはなかった。
「みきたん…」
「ん?」
「んーん、なんでもない。」
亜弥ちゃんはそう言って少しだけ寂しそうな顔をした。もしかしたらこの時には、もう亜弥ちゃんは気付いてたのかもしれない。
・
・
・
・
・
・
・
- 216 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/05(水) 22:37
-
「藤本様と松浦様、こちらが部屋の鍵になります。」
「あぁ、どうも。」
空港につき、そのまま予約しておいたホテルに行きチェックインを済ませた。もちろん鍵は二個。
「いこっ。10階だってさ。」
「うんっ。」
だれも美貴達のことを知らないこの場所だから、美貴達は恋人になれるんだ。北海道には君を最初に連れて来たかったんだ。美貴はここで育ったんだって‥教えてあげたかったんだ。
静かなホテルの廊下を二人で歩く。彼女は今、何を考えているのだろう。
- 217 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/05(水) 22:38
-
「「………」」
二つのドアの前に佇む二人。
「あ、亜弥ちゃん早く入りなよっ」
「み、みきたんから入りなよっ。」
だって君を一人にしたくないから‥
「と‥とりあえず美貴の部屋来る?」
「へ?」
「いや‥う、打ち合わせしなきゃいけないし!」
「う、うん!そうだよね!とりあえずね。とりあえず。」
おかしいね、美貴達は何を緊張しているんだろう。誰に見られているわけでもないのにね。やっぱり美貴は思うんだ。こんな関係を続けるべきじゃないって。けじめをつけなきゃ。
―ガチャ
「ど、どうぞ。」
「お、おじゃましまぁす‥」
- 218 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/05(水) 22:39
-
「…みきたん」
部屋に入るなりバックも置かずに、亜弥ちゃんが真剣な顔で美貴の名前を呼んだ。
「ん?」
「最後…なんだよね?」
「え?」
突然彼女の目から大きな涙が流れた。まるですべてを理解しているように…
「にゃははっ、みきたんわかりやすいんだもん。ずぅっと暗い顔してたよ?」
「‥亜弥ちゃん…」
お願いだから泣かないで…
美貴はギュッと強く亜弥ちゃんを抱きしめた。言わなきゃいけないことはたくさんあるのに出てくるのは涙ばかり。
泣くな、止まれ、ちゃんと言わなきゃ…伝えなきゃいけないことがあるんだ…
「あ、亜弥ちゃん…ごめん…」
最初から最後までずっと君を泣かせてばかりで‥
- 219 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/05(水) 22:40
-
「いつかね…こうなるって分かってたから‥大丈夫だよぉ。」
「…クッ‥ごめ…ん‥」
最初から君を幸せにできないって分かってたのに、どうして君を愛してしまったのだろう。
「ずっと…みきたんのこと大好きだから…」
美貴はこんなにひどいことをしたのに‥だいっ嫌いって言ってほしいのに…
「ごめん…ね。こんな終わりを望んでたんじゃないんだ‥」
「ぅん、わかってるよぉ。…あの‥東京に帰るまでは…恋人でいていぃ?」
「…うん。一緒にいよぅ…」
この後、二人は朝まで眠ることなく愛し合った。一度も『愛してる』とは言えなかったけど、心の底から愛してた。この先、君を忘れることなんてきっとできない。松浦亜弥は美貴の永遠の恋人だから…
- 220 名前:作者 投稿日:2005/01/05(水) 22:42
- 今日の更新は以上です。またまた感想お待ちしております。
- 221 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/05(水) 22:45
- ここでストップかよ!!!!・゚・(ノД`)・゚・
ま、まさかこのまま終わりってこたないよね…?(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
- 222 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/05(水) 23:31
- だー、ぐあー、うぎゃー
こんな擬音語しか出てこない
どんな結末でも受けとめる、受けとめてみせる
カモーンナッ
- 223 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/06(木) 01:30
- ・゚・(ノД`)・゚・ 後藤さんじゃないけど、んぁあ〜!!(叫
気になります。気になりすぎます。
- 224 名前:12号 投稿日:2005/01/06(木) 08:37
- ぅあ〜・・・とにかくスゴイとしか言えない・・・作者さん最高です!
- 225 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/01/06(木) 21:26
- マジレス泣きましたからぁぁぁぁぁぁぁ〜。゚(つд∩)゜。
ガンガレ作者タソ・・・
- 226 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/08(土) 17:07
- 今日更新期待して書き込み。
………ってか早く更新してくんなきゃ苦しいままなんだよぉぉぉぉ!!!・゚・(ノД`)
- 227 名前:作者 投稿日:2005/01/08(土) 20:19
- 皆様レスありがとうございます。まずはレス返しを…
>221様
ありがとうございます。フッフッフッどうでしょう。今回の更新が大きな鍵となりますよ。ぜひ‥
>222様
ありがとうございます。ラストはどうなるでしょう…受け止めてください!
>223様
ありがとうございます。お待たせしました!前回は痛いところで終わってしまいましたね…
>224様
ありがとうございます。最高ですか?光栄です。ラストまでがんばります!
>225様
ありがとうございます。泣いてもらえると、達成感がありますねw
>226様
ありがとうございます。期待に答えちゃいますw良い読みをしていますね。
それでは今日の更新です。どうぞ!
- 228 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/08(土) 20:20
-
「わぁ〜これかわいぃ!ね、みきたん、かわいくない?」
「…ぅん」
空港のお土産屋さんではしゃぐ亜弥ちゃん。搭乗まで後30分。
「ね、これお揃いで買わない?」
「え?」
「す、捨ててもいいから!帰ったら捨ててもいいから同じの持ってたいの…」
亜弥ちゃんが持ってたのは、小さなマリモのストラップ。捨てれないよ。捨てれるわけないじゃん…
「…いいよ‥すいません、これ二個ください。」
初めて二人お揃いの物を買った。それは400円の安いストラップだけど、二人が恋人だった唯一の証。いつか彼女はそれを捨てるときがくるかもしれない。でも美貴は、きっと一生捨てられない。
「いこっか…」
「…ぅん‥」
彼女は小さく『ありがとう』と呟いた。
こうして美貴達は東京に戻った…
- 229 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/08(土) 20:21
-
あれから数週間がたった。毎日がのんびりと同じことを繰り返しながら過ぎていく。
「ただいまぁ」
「おかえりぃ〜ご飯食べるでしょ?」
「うん。」
会社では亜弥ちゃんはいつも明るく、まるで今までのことが嘘だったようにさえ感じさせる。ただ、少し痩せたようにも見える。ちゃんと食べているんだろうか。そんなこと美貴には聞く権利なんてないから聞けないけど…
「ねぇ、今日ね―」
「ごめん、疲れてるんだ…」
「何よぉ。聞いてよぉー!パパがね‥」
「うるさいな!!考え事してるんだから黙って……あっ、ごめ‥ん。」
「う、ううん‥ごめんなさい‥つ、疲れてるよね!あっ、お風呂の準備してくるねっ。」
せっかくけじめをつけたのに、これじゃ何の意味もない。イライラする気持ちをどうしても梨華ちゃんにぶつけてしまう。
でも次の日、美貴にとって大事件が起こった。
- 230 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/08(土) 20:22
-
「おはようございまぁす。」
今日は朝から雪で電車が遅れてしまったため少し遅刻した。
オフィスに入るとどうしても彼女をなにげなく探してしまう。今日も元気で来ているかな。そんな気持ちで辺りを見渡すが彼女の姿が見えない。
以前なら探しに行ったが今はそんなことはできない。おそらく給湯室だろう。そう思っていた矢先――
ガシャァァァァン!!!!
突然、給湯室の方から大きな音がした。咄嗟に美貴はイヤな予感がして、給湯室の方へ走った。
―バァン!
ドアを開けると床には割れたガラスの破片と―
「亜弥ちゃん!!!!」
真っ青な顔で倒れている亜弥ちゃんがいた。
「だれか!!だれか救急車ぁ!!」
- 231 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/08(土) 20:22
-
久しぶりに抱きしめた彼女の体は以前よりも痩せていた。
「亜弥ちゃん!!亜弥ちゃん!!…」
救急車が来るまでの間、ひたすら彼女の名前を呼び続けた。
どうして君はこんなに弱ってしまったの?
美貴がいないから?
ふと彼女の手には何かが握られているのに気がついた。
ゆっくり彼女の手を開くと、携帯が握られていた。その携帯にはしっかりと二人で買ったマリモのストラップが付いていた。
目を覚ましたとき、彼女が不安にならないようにそばにいてあげよう。
そう思って、美貴は付き添いとして一緒に救急車に乗った。ずっと彼女の手を握り締めながら…
一度枯れてしまった花をもう一度咲くと信じて、毎日お水をあげているような…そんな彼女を、美貴は好きになってしまったのかもしれない。
- 232 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/08(土) 20:23
- ・
・・
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・
―ガチャ
「あっ、あの先生!亜弥ちゃんは?」
病院に着いてから20分ほどで病院の先生が診察室から出て来た。
「心配いりません。ただの過労です。かなりストレスが溜まっているようですね。まぁ点滴を打ってますから、終わったら帰っていいですよ。」
「あ、ありがとうございました。」
「あ、あと栄養はきちんと摂ってくださいね。お腹の子にもよくないですから。」
━━━え?
「あ、あのお腹の子って…?」
「ご存知なかったんですか?彼女、妊娠してますよ。」
「に…んし…ん…?」
「それじゃあ、おだいじに。」
そう言って先生は行ってしまったが、美貴にはもう何がなんだか分からない。
どういうこと?妊娠?誰の子なの?亜弥ちゃんは知ってるの?
- 233 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/08(土) 20:24
-
―ガチャ
診察室に入り、白いベッドに横たわって眠っている彼女を見た。
頭がよく働かない。どうしてなにも言ってくれなかったの?ギュッと彼女の手を握る。
「‥ぅ…ん‥?」
ゆっくりと彼女の瞼が開いた。そして、ゆっくり美貴の方に目をやった。
「…みき、たん?…どうして‥?」
「亜弥ちゃん、会社で倒れたんだよ。でも心配ないって。」
美貴がそう言うと、亜弥ちゃんの目が少し泳いだ。そして、亜弥ちゃんは手をお腹の辺りに置いた。美貴はそれを見て、亜弥ちゃんは知っているんだと確信した。
「お腹の子も大丈夫だってさ。」
ビクッと亜弥ちゃんの肩が震えた。悔しかった。なにも知らない自分が悔しかった。
「‥そ、っか‥」
「…美貴の子?」
「ち、違うよ!みきたんは関係ないから‥ほんとに違うから…」
亜弥ちゃん…美貴はね、亜弥ちゃんの恋人だったんだよ?君の嘘を見破るくらい簡単なんだよ…
- 234 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/08(土) 20:25
-
「どうして何も言ってくれなかったの?」
「だって!!……もぅ‥別れたじゃない‥みきたんには関係ないよ。」
まさか…
「ひ、一人で産むつもりだったの?」
すると、ゆっくりと彼女の目から涙がツーッと流れた。
「あたし…産みたいの‥みきたんには迷惑かけないから!あたしね、実家に帰るの。実家に帰ってこの子産むから…」
「ちょっ、ちょっと待ってよ!実家に帰るってどういうこと!?会社はどうすんのさ!?」
「辞めるよ…もう課長には話してあるし。実家がね、お惣菜屋さんやってるの。だからお店を手伝おうと思って。」
もし…亜弥ちゃんが倒れなかったら、美貴は何も知らないままだったの?亜弥ちゃんはそこまで考えてたなんて…ちっとも知らなかったよ。
「…でも、これには美貴にも責任があるよ。」
「じゃあ、みきたんに相談したら何かしてくれた?」
「え?」
- 235 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/08(土) 20:26
-
「産むなって言われるのが恐かったの。…だれだって…好きな人の子どもが産みたいって思うんだよ?」
「…………」
「例えそれが…別れた人でも‥」
もし…亜弥ちゃんが美貴に相談したら美貴は亜弥ちゃんに何を言ってあげられただろう。
―産んでほしい。
―産まないで。
分からない。けど、君を放っておけないよ…
今、心から思うよ。
君を幸せにしたい…
今まで君を傷つけてしまった分、この手で君を幸せにしたいと―
- 236 名前:作者 投稿日:2005/01/08(土) 20:28
- 今日の更新は以上です。えーおそらく次回がラストとなると思います。よろしくお願いします。
また皆様の感想をおまちしておりますm(__)m
- 237 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/08(土) 21:29
- かつて、これほどまでにこんなに健気な女の子がいただろうか、いやいない!
どうか、どうか、亜弥ちゃんを幸せにしてあげてください、ほんとマジで……
- 238 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/09(日) 02:01
- 衝撃がきた。こうきたか
全く予想してなかった。どうなるんだーーー
次の更新、待ってます
- 239 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/09(日) 20:34
- あぁ。。。
なぜかすごく感情移入してしまいます。
ラストがどうであれ、二人には幸せになって欲しい!!
作者さん、、、お願い(笑)
- 240 名前:名無し読者 投稿日:2005/01/10(月) 15:34
- 次回更新時は正座して読ませて頂きます!
- 241 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/10(月) 21:07
- あぁ〜亜弥ちゃん、強いですね。
続き激しくキボヌです。楽しみしてます!
- 242 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/10(月) 22:37
- …
藤本しっかりせんかい!
続き、同じく正座してお待ちしています。
- 243 名前:12号 投稿日:2005/01/11(火) 09:55
- どゎぁ〜!すごい展開だ・・・亜弥ちゃん&美貴ファイト!!
- 244 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/12(水) 19:26
- そろそろお願い致します…と催促してみる
- 245 名前:作者 投稿日:2005/01/13(木) 11:10
- 皆様、レスありがとうございます。更新の前にレス返しをさせていただきます。
>237様
ありがとうございます。いないっすね〜でも本物の松浦さんもいい子ですw幸せにできるでしょうか…
>238様
ありがとうございます。衝撃ですか?それを期待してたので、うれしいです。
>239様
ありがとうございます。感情移入していだだけると、きっとラストは泣いていただけるかと…
>240様
ありがとうございます。では作者も正座して読者様の感想を読ましていただきます!
>241様
ありがとうございます。期待通りのラストに仕上がってるか分かりませんが楽しんでくれたらうれしいです。
>242様
ありがとうございます。ほんと、ヘタレ?とか書いてるとき思いましたがそのままでw
>243様
ありがとうございます。美貴さんも亜弥さんも、その他の方々もがんばります!
>244様
ありがとうございます。お待たせしました!今から更新させていだだきます。
えーと、今回がラストです。納得のいくラストになっているか心配ですが、がんばりましたw
それではどうぞ!
- 246 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:10
-
「な、何言ってるの…?別れたいって‥どういうこと?」
床に頭を付けて土下座をする美貴の前にはボー然としている梨華ちゃん。
「勝手なことを言ってるのは分かってるんだ。でも―」
「イヤ!!」
「え?」
「どうしてそんなこと言うの!?ねぇあたし何かした!?どこがいけないの?ねぇ言ってよ!直すから!お願い…」
別れるなんて言わないで…そう言って泣きじゃくる梨華ちゃん。
違うんだ‥梨華ちゃんに悪いところなんてない。悪いのは全部美貴なんだ。
「ずっと…違うって自分に言い聞かせてたんだ…でも‥どうしても自分の気持ちに嘘が付けなかった…ごめん…ほんとにごめん‥」
「イヤ!絶対イヤ!!」
「り、梨華ちゃんっ」
- 247 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:11
-
梨華ちゃんはバタンッと寝室に入ってしまった。美貴はずっと顔を上げることができなかった。自分がどれほど最低なことをしたのか、自分が一番よくわかっている。
でも…もぅ自分に嘘が付けない‥
亜弥ちゃんを忘れることなんて絶対できない。このままにしてても、美貴が梨華ちゃんを亜弥ちゃん以上に愛することは…できないと思うから…
だから、美貴は自分の気持ちに気付いている…それでもこの先も梨華ちゃんと一緒にいるとしたら、それは愛情でも優しさでもなんでもない。ただの偽善に過ぎないんだ。
梨華ちゃんには幸せになってほしいんだ。…でも美貴じゃ梨華ちゃんを幸せにできないって気付いちゃったんだ。
―ごめん…
次の日の朝も梨華ちゃんは起きてこなかった。寝室のドアを軽くノックして『いってきます…』と言って、美貴は会社に向かった。
- 248 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:12
-
「おはようございます。」
昨日は一睡もしていないが、会社にくるまで寒い風に吹かれてばっちり目が覚めた。
「…コーヒーでいいですか?」
何事もなかったかのように彼女が聞いた。
「…うん。」
その後、正式にみんなの前で亜弥ちゃんの退職が伝えられた。
毎朝、笑顔でコーヒーを入れてくれる彼女のことをみんな慕っていたからどよめきが起こった。一週間後には、彼女はもういなくなる。改めて、亜弥ちゃんのいない生活なんて考えられないと思った。
けど、今は亜弥ちゃんに期待をさせるようなことは言えない。美貴自身この先、どうなるのか分からない。梨華ちゃんは、美貴のことをどう思っているだろうか?
昨日、自分がとった行動を思い返しては本当にああする以外に方法がなかったのか、と後悔ばかりが募る。
- 249 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:13
-
トゥルルルルルル……
午後四時。一本の電話が掛かってきた。
「はぃ。」
『藤本美貴さんでいらっしゃいますか?』
「はい、そうですが…」
『こちら飯田総合病院のものですが…』
・
・・
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
「はぁ、はぁ、はぁ…っ‥す、すいません!!さっき運ばれた藤本梨華の夫です!り、梨華ちゃんは!?」
―奥様が車に跳ねられて病院に運ばれました。すぐに来て下さい。
そう言われたとき、真っ先に浮かんだのは笑っている梨華ちゃんじゃなくて、泣いている梨華ちゃんの顔しか浮かばなかった。
- 250 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:14
-
腕に白い包帯をグルグルに巻かれ、ベッドに横たわっている梨華ちゃん。
「怪我は右腕にヒビが入った程度ですから心配ありません。ただ…」
お医者さんが最後言葉を濁した。一気に不安が押し寄せる。
「な、なにか…」
「少し精神的に不安定なようで、治療の時も暴れてしまって、今は安定剤を打ってありますが。相手のドライバーの方によるといきなり道路に飛び出してきたとか…」
今、カウンセラーを呼んでいますから。そう言って先生は行ってしまった。
―飛び出した?
ふと、梨華ちゃんの口が微かに動いていることに気付いた。慌てて、梨華ちゃんのそばに駆け寄った。
「……ゃ……ん」
「梨華ちゃん?どうした?」
「み‥きちゃん‥」
行かないで…彼女の口は確かにそう言った。
梨華ちゃんの手を両手でギュッと握り、梨華ちゃんの目が覚めるまでずっと梨華ちゃんの名前を呼んだ。
- 251 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:14
-
梨華ちゃんはこんなに美貴のことを愛してくれていたんだ。亜弥ちゃんへの思いばかりが先走り、梨華ちゃんの気持ちを無視してしまっていたんだ。
ごめんね?ごめんね…
この時ばかりは亜弥ちゃんのことを忘れていた。
「ぅ…ん?」
「梨華ちゃん?分かる?」
「み‥きちゃん‥?」
「うん、そうだよ。よかったぁ…」
梨華ちゃんの意識が戻ったことで安心したら、美貴の目から涙が流れてきた。
「美貴ちゃん…おねがい‥どこにも行かないで‥」
付き合ってた頃から変わらない気持ちでただ純粋に美貴を愛してくれている梨華ちゃんに美貴はなんてことをしてしまったのだろう。
「‥ぅん。そばにいるよ…そばにいるから‥」
死んじゃダメだよ、そう言いながら流した涙は美貴が梨華ちゃん見せた最初で最後の涙だった…
- 252 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:15
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梨華ちゃんのそばを離れられないから、ずっと使ってなかった有休を一気に使わせてもらった。
毎日、朝から夜までひたすら梨華ちゃんのそばにいた。
美貴の気持ちがどうとかではなく、梨華ちゃんが美貴を必要としている。それは紛れもない事実、だったら美貴は梨華ちゃんのそばにいなきゃ。
「梨華ちゃん、退院したら温泉いこっか?」
「ほんと!?行きたい!行きたい!」
そういえば梨華ちゃんはこんな風に笑うんだったな。美貴がもってきた温泉特集の雑誌をニコニコしながら見ている梨華ちゃんを見てそう思った。
家に帰って、引出しの奥にしまってあった小さなマリモのストラップを取り出して、潰れそうなくらいに握り締めて、静かにごみ箱へ入れた。
もうこの思いは終わりにしよう。
亜弥ちゃんは実家で新しくやり直そうとしてる、美貴も応援するんだ。
いつか、あんなこともあったねって笑いながら話せる日がくるように…
がんばれ‥亜弥ちゃん。
- 253 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:17
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結局、亜弥ちゃんに会うこともなく亜弥ちゃんは実家へ帰ってしまった。
梨華ちゃんも一ヶ月ほどで退院できた。
まるで新婚当時が蘇ったかのように幸せそうに笑う梨華ちゃんをみて、美貴も幸せになれた。
その後、二人で温泉に行ったりスキーに行ったりした。
目の前にある笑顔を絶やさないように。
大丈夫。きっとこのままずっと変わらずに二人でいられる。
そう思っていたのは、どうやら美貴だけだったようだ…
- 254 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:17
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7月23日。
今日は二人の結婚記念日。
美貴は慣れない花屋で薔薇なんか買っちゃって、照れ臭いのを隠しながら家に帰った。
「わぁ〜ありがとう!初めてだね、お花もらうのっ。」
「そ、そうだったかな。」
テーブルの上には普段よりも豪華な料理が並んでいた。
どれもすごくおいしくて、思わずがっついてしまった。
「あたしもね、プレゼントがあるの。」
「へ?なに?」
食事の後、二人が生まれた年のワインを一緒に飲んでいたら、梨華ちゃんがいきなり言い出した。
- 255 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:19
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差し出されたのは、小さな箱。
パカッと開けると、そこには指輪が入っていた。
「こ、これ…」
結婚指輪だった。
四年前の今日。美貴が梨華ちゃんの左手の薬指にはめてあげた指輪。
「ど、どうして…」
梨華ちゃんは、今にもあふれそうな涙を堪えて一言だけ言ったんだ。
「今まで…ありがとう…」
震えながら言ったその一言で、美貴はすべてを理解した。
「り‥かちゃん…」
美貴はそう言った後、ただ指輪を握り締めることしかできなかった。
そして、美貴はこの日梨華ちゃんと最後の抱擁をした。
- 256 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:20
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ミーンミーンミン、ミーンミーン…
8月1日。猛暑。
「あっちぃ‥」
小さな旅行カバンとメモ用紙を持って、活気あふれる商店街を歩く。
みんながみんな顔見知りのような人達がたくさんいる。
こんな温かいところで彼女は生まれ育ったんだ。
ふと、近くのお店から美貴の探していた声が聞こえた。
「ちょっと絵里!あんたもお店手伝いなよ!」
「やだよぉ〜だっ。これから遊びに行くんだもん。」
ドンッと絵里と呼ばれた子が美貴にぶつかった。
「ほらっ危ないでしょ!ちゃんと謝りなさ…ぃ…」
目が合った。
「…亜弥ちゃん」
少しお腹の大きくなった亜弥ちゃんが美貴を見てボー然としている。
そして美貴はゆっくり亜弥ちゃんに近づいた。
- 257 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:23
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「…ぅ‥そだぁ…」
「…亜弥ちゃん‥」
もう一度、その懐かしくて、愛しい名前を呼ぶ。
「‥ゆ、めだ‥よぉ」
「夢じゃないよ…」
「に、にせものだぁ…」
「本物だよ…」
美貴はそれを証明するかのように強く彼女を抱き寄せた。すると、彼女の肩が小さく震え出した。
「…っく…ひっ…たんの…匂い…だぁ‥っく‥」
「ぅん‥ぅん。」
まるで子どもをあやすように背中をポンッ、ポンッと叩いた。すると亜弥ちゃんは我慢の糸が切れたように泣き始めた。
「ぁ、い…たかったよぉ‥みきたぁん…会いたかったぁぁ!」
「ぅん…美貴も会いたかったよ…」
何度も捨てようと思ったこの気持ちを、やっぱり美貴は捨てられなかった。
- 258 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:23
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「みきたぁん…みきたぁん…」
「うん。ここにいるよ…もう絶対離さないから…」
君のその甘い声をずっと耳元で聞いていたい。
君をずっとこのまま体中で感じていたい。
だからこの手を離さない。離したくないんだ。
大丈夫。今の美貴なら君を絶対幸せにできる。だから信じてほしい。
その後、事情を知っていた亜弥ちゃんのお父さんに散々殴られた。亜弥ちゃんが『パパなんて大っ嫌い!』と言うと、お父さんは殴るのを止めてくれたが、一週間ほどずっと顔が腫れてた。
きっと、美貴がしたことはこんなことじゃ済まされない。美貴がそんなことをいったら、亜弥ちゃんが美貴に言った。
「50年後も、あたしが幸せって感じられたら許してあげるっ」
どうやら美貴は後、50年は許してもらえないらしい。でも今の美貴には自信がある。50年後も70年後も君を笑顔でいさせる自信が…
- 259 名前:愛を知る 投稿日:2005/01/13(木) 11:24
-
その年の冬、待望の赤ちゃんが生まれた。
名前は『さゆみ』。
家族三人、幸せな日々を過ごしています。
次の年には、梨華ちゃんがよっちゃんさんと結婚したという報告を受けた。梨華ちゃんのお腹には赤ちゃんがいるとのこと。幸せそうな二人の写真を見て、すごくうれしくなった。
たくさん傷つけて、傷ついて…それでも人は愛することを止めようとはしない。止めることはできない。
愛とは決して後悔しないこと。
そう、後悔だけはしちゃいけないんだ。
亜弥ちゃん、美貴は今最高に幸せだよ。大好きな君と君にそっくりな子どもといられて。
「みきたぁん、さゆのオムツ替えてぇ!」
「はぁーい!」
End
- 260 名前:作者 投稿日:2005/01/13(木) 11:30
- 以上で『愛を知る』は終わりとなります。読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。なお、次回は軽く短篇をちょこっと書こうかと。。
またまた皆様の感想をおまちしておりますm(__)m
- 261 名前:12号 投稿日:2005/01/13(木) 12:35
- スゲぇ〜よかった・・・みんな幸せになれて・・・爆感動しました!
- 262 名前: 名無飼育さん 投稿日:2005/01/13(木) 23:22
- みんな幸せだとは絶対に思えません
- 263 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/14(金) 05:30
- <<255で泣きました。
ステキな作品をありがとうございます。
- 264 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/15(土) 02:36
- ああー…ついに完結…感動しました。
良かったね‥亜弥ちゃん。梨華ちゃんも頑張ったよ……。さすがよっちゃん…!ミキティ……これから亜弥ちゃんを幸せにしてやれよ!じゃなきゃボッコボコノギ(ry
作者さんも、お疲れ様でしたm(__)m
- 265 名前:名無し読者 投稿日:2005/01/15(土) 11:14
- 亜弥ちゃん良かったねぇ…(泣)
五十年後もきっとラブラブなんでしょうね!
最高の完結です。ありがとうございました!!
- 266 名前:名無し読者 投稿日:2005/01/16(日) 04:16
- ひさしぶりにいい作品に出会えました!
ありがとうございます!
あと、「記憶」の方もずっと楽しみに待ってるんですけど・・・。
- 267 名前:名無し読者 投稿日:2005/02/06(日) 20:12
- おぉ!
いい!
- 268 名前:名無し 投稿日:2005/02/17(木) 23:43
- 更新待ってます〜
- 269 名前:作者 投稿日:2005/02/22(火) 13:29
- しばらく更新してなくて申し訳ありません。無事に大学に合格したので、落ち着いたらまた更新を再開します。もうしばらくお待ち下さいm(__)m
- 270 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/23(水) 20:47
- 合格オメデトウ!
- 271 名前:孤独なカウボーイ 投稿日:2005/02/23(水) 21:00
- 合格したんですね!おめでとうございます☆
作者さんのあやみきがまた読めるのかぁ…
マターリまってます。
- 272 名前:12号 投稿日:2005/02/24(木) 17:46
- 合格おめでとうございます!!
更新楽しみにまってまぁーっす☆★
- 273 名前:ローリー 投稿日:2005/03/16(水) 17:40
- おもしろいっす
- 274 名前:なちまりヲタ 投稿日:2005/03/26(土) 15:17
- 「記憶」は……?
- 275 名前:名無し読者 投稿日:2005/04/04(月) 23:56
- あげちゃだめよん。
- 276 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/29(金) 17:18
- まだまだ待ってます・・・
- 277 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/24(水) 22:05
- 待つ。
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