本当の気持ち

1 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 14:45
藤高と他メンバーも出します小説(アンリアル)を書きます!初なのでみなさんの期待しているような話は書けないかもしれませんがよろしくお願いします!
2 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 14:56
美貴には同じ年の幼馴染みがいる。それは…







ガチャ


「美貴ちゃーーん!!!はよ起きんと遅刻するやざ!!」



このちょっとなまってて人の部屋にノックもせずに入ってくる[高橋 愛]






「わーかってるよ!ってか朝からそんな大声出しながら人の部屋に入るなーー!!」






「なーに逆切れしてんや!!そんなことより早く行かんと本当に遅刻してしまうで!」










ってな感じで毎日起こされちゃってる美貴です。





































3 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 15:19
「美貴ー、愛ちゃーん!!ご飯食べて早く行かないと遅刻やでーー!ってか早くせんかい!あんたら高校の入学式に2人そろって遅刻する気かーー!?」



この人は美貴のいとこのおねーちゃんの裕ちゃんこと中澤裕子。怒らすとはんぱなく怖い。さすがに同じ血筋なだけあるよ。




実は美貴の家族はアメリカに仕事の関係で行っちゃったので、今はこの家に裕ちゃんと2人暮らし。そんで今日は美貴と愛ちゃんの高校の入学式だからみんな慌ただしい。美貴をのぞいて…






「美貴!早く制服着んかい!」


「美貴ちゃん!朝ご飯はよ食べてやーー!」



「……。」



「「美貴ーーー!」」



「わかってるっつーの!」



「「わかってなーい!!」」



なんでこの2人は息ピッタリなわけ??顔とか性格とかゼーンゼン似てないのに!!ってかこれでも美貴なりにかなり急いでるのーー!




「もー!愛ちゃん悪いけどこの子の制服持って来たってくれる?あたしはその間にご飯食べさせとくから!」



「わかった!!あーしが美貴ちゃんの制服とってくる!」



「頼んだで!隊員!」




「了解やざ!隊長」



隊員、隊長って…




「美貴ははよご飯食べ!!!」




「ハイハイ」




「ハイは一回で聞こえるっちゅーねん!!」





「ハーイ」




美貴がご飯を食べ終わったときにちょーど愛ちゃんが制服を見つけて持って来てくれた。
4 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 15:34
「美貴ちゃーん!制服持って来たから着替えてー!!」



「ホーイ!サンキュ。」



美貴と愛ちゃんが入学する高校は女子高。その名も[ハロー高校]!この学校はちょっとってかかなり?変わってて制服が2種類ある。
ひとつは普通の女子高生が着るようなブレザー。もうひとつはブレザーはブレザーなんだけど…
男子高生が着るもの。
どちらを着るかはオリエンテーションに参加している校長が決める。
んで美貴は…


「美貴ちゃんやっぱり似合うんやねー!!」




見事に後者つまりは男子用ブレザーに抜擢された。まー楽だからいいんだけどね。
ちなみに愛ちゃんは普通の女子高生が着るブレザー。



「準備できたんかー??」




「「ハーイ!!」」



「じゃあ、あたしは後から行くから先に行っといて!」




「ハーイ!んじゃ行ってくんねー。」
「行ってきまーす!」




美貴たちは急いで学校に向かった。
5 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 16:10
学校に着くとクラス発表の掲示板があったので、美貴と愛ちゃんは自分たちのクラスを確認しに見に行った。


「えーっと、あーしのクラスは……2組やざ!!美貴ちゃんは?」


「美貴?んーっと、藤本……あっ!2組。」


「本当!?またあーしたち同じクラスやね!」



「またかよ!!せっかくおせっかいなのと離れられると思ったのに。」



「ひどっ!美貴ちゃんがいっつもスローなことやってるからあーしがホローしてあげてるんやんか!」



「はー?美貴のはスローじゃなくてマイペースなんだよ!」



「どっちも一緒やざ!」



「なにをーー!!」

「なんやーー!!」


「「「おーい!!そこの夫婦漫才コンビ!」」」



「「夫婦じゃないし!」」




「おー!!さすがに中学と変わらず息ピッタリだね!」

「「うんうん」」


息ピッタリ!っと言ったやつはまことこと小川真琴。そんでそれに同意した2人がガキさんこと新垣里沙とこんこんこと紺野あさ美。
ちなみにまことは男子用、あとの2人は女子用の制服。


「おー!みんなおはよ!!」


「「「……」」」
ジー



なんで返事ないの!?ってか美貴すごい見られてる?


「美貴ちゃん!」


「ガキさんなに?なんか美貴の顔にゴミついてんの?」


「ううん。というか…」



「「「かっこよすぎ!!」」」


は?

「美貴ちゃん、あたしより似合ってるし!」
とまこと。


「そのかっこはやばいよ!」
ガキさんまで。


「美貴ちゃん、完璧です!!」
ついにはこんこんまで。
6 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 16:24
「わけわかんないから!」

相変わらず本当にわけわかんないよ。この3人。そこがおもしろいんだけどね。


「みんな何組なん??あーしと美貴ちゃんは2組やってんけど」


「あたしたちもだよ!!」


「まためんどいのがみんな一緒なのかよ!!」


「「「「1番めんどいのは美貴ちゃんだから!!」」」」


そんな4人とも声そろえて言わなくても…。


「また同じなんて中学のときみたいだね。」
とガキさん。


ウンウン×4


「「「「「よろしく!!」」」」」


みごとに全員そろったし!!


ピンポンパンポン♪



「これから入学式を行いますので生徒の皆さんは体育館に集まって下さい。」



「あっ!そろそろ行かんと初日から怒られるやざ!!みんな行こー!」


「ウン!×4」



こうして美貴たちは明るい未来の入り口へと駆け出して行った。

7 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 16:56
〜体育館〜
「これからハロー高校入学式を行います。はじめに校長のご挨拶です。」

「ハロー高校へよう来た!俺はこの学校の校長のつんくや!よろしくたのむで!!」

パツキンかよ!とだれもが思わず心でツッコミを入れただろう。もちろん美貴もその1人。

「では次に入学生代表の…」

「ちょい待ち!入学生代表は俺が決める!そーやなー、じゃあそこにおる男子用ブレザーのお前や!」

ウワサ通りの気まぐれな校長じゃん。誰だよ運悪いね。かわいそうに。

「お前や!そこの後ろ向いてかわいそうやと思ってるやつ!」

ってかだれだってかわいそうだと思うだろ!

「お前や!2組の!保田の組やろ?わからんみたいやから保田が名前言うたれ。」

「はい。えーと、藤本美貴。」

あーあ、藤本さんって子かわいそうに…

「って美貴かよ!!」

まさか美貴とは…


「はよ上がって挨拶しろ!」


「ったくしょーがないな…。」


カツカツ


「本日このハロー高校に入学できてとても…」


「社交辞令はいらん!お前の思ったことを言え。」

まじかよ…。よし!


「それでは、ただ今をもって私、藤本美貴はハロー高校の生徒になりました!これからこの高校を大改革するような偉大な人物になります!以上1年代表藤本美貴!」

パチパチ

美貴のちょっとというよりかなり大胆な発言に体育館中が拍手が響きわたった。
「よし!よく言った!期待してるでー!!」
とかなり人ごとな校長が大声で叫んでいた。
8 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 17:36
「美貴ちゃん、よかったでー!」

「サンキュ。」


「では続きまして、生徒会長からの挨拶です。安倍さん、どーぞ。」

「はい。」


このとき美貴は自分の目を疑った。生徒会長ということは高3なわけで、美貴の想像ではものすごく大人な雰囲気をかもし出している感じだった。
だけど…
目の前の壇上にはどこからどう見ても高3には見えない人が挨拶をしていた。

「1年生のみなさん、入学おめでとう!私がこの高校の生徒会長の安倍です。あっ!今、みんな高3かよっ!って思ったっしょ!?これでもれっきとした高3だべ!!」

自分でも気にしてるのか…。って顔真っ赤にしすぎだろ!

美貴はさっき挨拶をしたから1番壇上に近いところで見ていたからあの人がよく見えた。

ん?あの人ちょっとフラフラしてる…


「危ない!!!!」


ガタッ


美貴はとっさに壇上に上がり生徒会長さんを抱き止めた。


「すいません!保健室に連れて行きます!」

「保健室わかるの?」
担任の保田先生が話しかけてきた。

言われてみればまだわかんない…


「オイラがついて行きます!だからそのまま入学式を続けてください。」
「わかった。じゃその子たちを頼むはよ。矢口。」

「はい。」

どーやらこのちっちゃい人が来てくれるらしい。
「行くよ。」

「はい。」
それから美貴は会長さんをお姫様だっこしてちっちゃい人の後に続いて体育館から保健室へ向かった。
9 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 18:23
〜保健室〜
「ふー。とりあえずなっちをここに寝かせて。」

「あの〜[なっち]って?」
「あーごめんごめん。その君が抱きかかえてる子。」

「あっはい。わかりました。」


ドサッ


「あの、ありがとね!」


「へ?」


「なっちのこと助けてくれて。あのまんまだとたぶん壇上から落ちてたから。」


「ああ。お礼を言われるほどのことはしてませんから。」


「……」
ジー。





「あの…。なんか顔についてます?」


「こりゃヨッスィーとごっつぁんより人気出るかも…ボソッ」


「今なんて言いました?」

「あっ!ごめん。ひとりごとだから気にしないで!」


「はー。」


「とりあえずありがとね!もう式も終わっちゃってるだろうから教室戻っていいよ。教室わかる?」


「あっはい。さっき通ったとこですよね?」


「うん。」


「じゃあ失礼します。(ペコッ)」


「ほんとありがと!」
美貴はこのときまだ後から大変なことになることになるなんてちっともわからなかった…。
10 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 18:26
これで更新はひとまず終わりです!!もしよけてば感想などなどいただければいいかなーと思ってます!ってか読者さんはいるのか!?(苦)
11 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/11(土) 23:58
テクテク

えーっと、1ー2…1ー2…あっ!あった!なんかさっきの挨拶の後だからちょっとハズイ…。
よし!

ガラッ


「遅れてすいません。」


「キャーーーー!!藤本さーん!」


「は?」


「はいはい!みんな静かに!藤本、安倍の様子は?」


「あっと、ただ気を失っているだけだったんで今はちっちゃい人が付き添ってベッドで寝てます。」


「ちっちゃい…あぁ!矢口ね!わかった。ありがとう。」


「いえ。」


「じゃ藤本の席はー、窓側の1番後ろ。えーっと隣は…。」

美貴が自分の席を見ると隣で嬉しそうに笑ってる愛ちゃんと目があった。

「高橋ですか?」


「そうそう。じゃあ席に座って。」


「はい。」


ガラッ


「コラァー!!美貴なんであんた初日から遅刻してんねん!!」

運悪くグッドタイミングで裕ちゃんが入ってきた。
そうそう、裕ちゃんはこの学校の先生なんだよ。しかも隣りのクラスだから悪いことしたらすぐばれちゃう。だから今も来ちゃってるんだけど…。

「ちょっと裕ちゃん!藤本は倒れた安倍を保健室まで運んだから遅れただけで悪くないのよ!!」
保田先生がいてよかった…。


「美貴、ホンマか!?」


「うん…」


「あんたでかした!!さすがやわ!それやったら裕ちゃんも安心や。そんならな。」


バタン


ふー。嵐の後の静けさってこういうときのことを言うんだよね。


「じゃ藤本座って。」


「はい。」

美貴の隣は愛ちゃんか。ちなみに美貴の前がガキさん、その隣がまこと、そんでまことの前がこんこん。
12 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/12(日) 00:15
「美貴ちゃんおかえりー!」×4


「ん。ただいま。今何やってんの?」


「今から学級委員を決めるってとこでちょうど美貴ちゃんが帰って来たんや!」


「そーなの?」


「うん。」


「今から学級委員を決めるわよー!!さーて誰にしょっかな!」


「ねー、なんであんなに張り切ってんの?」


「あーしにもわからんよ。あーしだって初めて合った人なんやから。」


「それもそーか。」


「じゃあ、そこでコソコソ話してて仲良しな藤本と高橋ね!」


ガタッ×2



「「えーーーーー!?」」


「もー何度も言わせない!藤本と…」


「そーじゃなくてなんで美貴たちなんですか!?」


「仲悪いの?」


「悪くないけど…って、そーいう問題じゃなくて!美貴はそんなキャラじゃないですよ!!」


「あーしも!!」


「「だから、なんで!?」」

「相性。」


「「へ?」」


「あんたたち何もかもがお似合いなのよ!現に今だって息ピッタリだったし。だからもう決定!」

んなアホな…ってかこんな決めかた見たことないよ。


「みんないいわよね?」


するとみんな確かにというような目でこちらを見て口々に「ハーイ」やら「ピッタリ」やら保田先生に答えていた…。


かくして美貴と愛ちゃんはこのクラスの学級委員をやらされることになってしまった。
13 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/12(日) 09:43
〜帰り道〜
あの後、先生のあだ名は圭ちゃんに決まったところで授業が終わり、今はいつものメンバーと話しながら帰ってるとこ。

「ってかさなんで美貴と愛ちゃんが学級委員なわけ!?普通はこんこんみたいに勉強できてマジメな子がやるもんなんじゃないの!?」


「あーしもそう思う!!」

だよねー。だって美貴と愛ちゃんだよ?どー考えてもおかしいでしょ!?

「あたしはピッタリだと思うよ!だってさ、愛ちゃんは優しいじゃん。美貴ちゃんは美貴ちゃんで人を引っ張ってくのうまいし、それにさ美貴ちゃんはなに気にこんこんと同じくらい頭良いじゃん!」


実はガキさんの言う通り美貴とこんこんは中学のときにいつもどちらかが学年トップだったんだよね…。でも美貴はこんこんみたくマジメ!って感じじゃなかったから今までこんな仕事任されたことがないんだよ。
まーしたい!とも思わなかったし。むしろめんどくさい仕事から免れて毎回ラッキー!って思ってぐらい。


「そーだよ!だから完璧です!ねー、まこと!」

「うんうん。あたしも2人はお似合いだと思うし。それにこんこんは生徒会なんじゃない?クラスから1人しかなれないらしいし。」


「「だからお似合いじゃないって!!」」


「またハモった!」


「うっ…。」


14 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/12(日) 10:20
そのころ生徒会長室では…

「なっち〜、本当に大丈夫?ってか挨拶中に突然倒れるなんて変わってないね。」


「大丈夫だべさ!矢口!変わってないってどーいう意味だべか!?」


「う〜んだってさ、なっちは恥ずかしいのがピークになると貧血おこすじゃん。」


「ううっ…」

あーあ、また赤くなっちゃてるよ。それは高3がするような顔じゃないでしょ!オイラもよくみんなに高3の身長じゃないとか言われるけど…。


「そーいえば!矢口がなっちのこと保健室まで運んでくれたべか?」


「うーうん、あの1年の…。名前なんだっけ?えーと、1年代表で挨拶してた子がなっちのこと運んでくれたんだよ!」


「ふーん。そーだべか…」




ガチャ


「「「「失礼しまーす。」」」」


「んあ。もう先客がいるよ〜。」

このちょっとというよりかなりマイペースな話し方をしているのがごっつあん(ごっちん)こと後藤真希。男子用の制服着てて学校ではナンバー2とか言われてる。


「もーごっちん!一応2人は先輩なんだから挨拶しようよ!」

かなり高いキーでってよりこれがいつもの声の女子用制服を着てブリブリした感じの子はりかちゃんこと石川梨華。


「そーそー。って一応かよ!!!」


「まーまー矢口さん落ち着いてください。2人とも悪気があるわけじゃないんで。」

1番まともでいつもこうやってみんなのフォローをしている女子用制服を着ているのがしばちゃんこと柴田あゆみ。


「そーですよ矢口さん。いくら自分がちっちゃくて悩んでるからってうちらにあたらないでくださいよ!」

そして最後に外見はかっこいいし、スポーツができるから人気があるヨッスィーこと吉澤ひとみ。アホだけどね。ちなみに男子用の制服。


「そーなんだよねー。最近はさらにちっちゃく…っておい!!」

バシッ!


「いってーーーー!!」


「んあ。よしこ痛そ〜。」

以上が2年の生徒会委員。こんなんだけどいざというときには頼りになる!!






はず……。
15 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/12(日) 15:29
「あれ?かおりは?」


「ああ、飯田さんならさっき教室で交信してたから今日はこないっすよ!」

今交信中でここにいないのはかおりこと飯田圭織。男子制服でしっかりしてるんだけどたまに意識がとんじゃってる。このことをオイラたちは[交信]って呼んでるの。
んで、さっきからおわかりだろうけどかなりなまってるのは生徒会長で童顔のなっちこと安倍なつみ。学校1の美女って言われててヨッスィーと違った意味でモテる。
最後にオイラは矢口真里。身長は言いたくないんだけど…150ないよ!ああ悪かったね!!どーせチビだよ!ってなわけで3年の生徒会はなっち、かおり、そしてオイラの3人。


「そーいえばさ、なっちはなんでオイラたちを呼び出したの?」


「んーとね、1年生の生徒会のことなんだけど…今年はどーしても入ってほしい子が1人いるんだべよ!」



「藤本美貴!!!」×5


「ふぇ!?なんでみんなわかったべか!?」


「なんとなくそんな気がしてました。」
と柴田。


「んあー。ごとーも!」


「オイラも!!っていうかあの子は…」



「生徒会にぜっっったい必要!!!」×6


おぉー!いつもは意見そろわないことが多いのに今日は満場一致だよ!!

「ってことで決定っすね!!安倍さん。」


「うん!!」





16 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/12(日) 15:52

〜美貴の部屋〜


クシュン!!


「美貴ちゃんカゼ?」


「うーうん。だれかが美貴のウワサしてんのかも(笑)ってなんで愛ちゃんが美貴の部屋にいんの!?」


「だって窓が開いとったし、ヒマやってんもん。」

この子はいっつもでもないけど…たいていは窓と窓の距離が近いから泥棒のように知らないあいだに部屋にいたりするんだよね…。


「そーや!!明日は部活も決めるって圭ちゃんが言っとったで!」


「ふーん。」

部活…か。愛ちゃんは何部なんだろ。やっぱり合唱部かな?


「あーしね、バスケ部のマネージャーやろうと思うんよ!」


「は?なんでバスケ部なの?今までやったこととかないじゃん!」


「聞きたい???」


「やっぱいいや。」


「なんやそれー!!いいから聞いてや!」

結局いつも聞かされるんだよね…。なんかものすごくイヤな予感がするんだけど。


「あーしの憧れの先輩がバスケ部なんよ!」

やっぱし…。美貴のイヤな予感的中(苦笑)


「…ふーん。」


「それでもっと近くにいたいんよ///」


「ふーん。」


「ちょっと美貴ちゃん!ちゃんと聞いてるん!?」


「聞いてるよ。まーがんばれば?」


「なんでそんな人事なん?」


「だって美貴のことじゃないじゃん!美貴には関係ない!」


あーあ、またやっちゃったよ…なんで美貴って素直になれないんだろ。




17 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/12(日) 16:13

「もー美貴ちゃんなんて知らん!!」

泣いてちゃってるし…はー人の気も知らないで……。


「あー。ごめん。美貴が悪かった!ごめんね?」
美貴は小さいころからしてあげているように愛ちゃんの頭をなでながら優しく謝った。


「グスッ…。」


「愛ちゃん…。ごめんね?」


「グスッ…うん。」


「あのさ…愛ちゃんの憧れてる人ってもしかして中学のときにガキさんとまことの応援しに行ったときに相手チームにいた<4番>の人?」


「ふぇ?なんで美貴ちゃんわかったん!?」


「だってあのとき愛ちゃんがかっこいい連呼してたから。それに何年の付き合いだと思ってんの?」


「やっぱり美貴ちゃんにはかなわんよー。」


忘れるわけないじゃん…。好きな子が他のやつのことかっこいいって連呼してんだよ?しかもそのおかげで美貴はバレー部に入ったんだよ?愛ちゃんがあまりにもあの人のことを褒めるから同じことやったって向こうの方が1つ上だから負けるじゃん?だから違うことをやって愛ちゃんにふりむいてほしかった…。


だけど…





「…ちゃん。美貴ちゃん!!」


「ん?ああ、ごめんごめん。」


「もー!で美貴ちゃんは何部に入るん?」


「んー、まだ決めてない。」


「相変わらず美貴ちゃんはスローやね!」


「だからマイペースなんだってば!」


「スローや!!」


「マ・イ・ペース!!」


「なんやー!?」


「なんだよー!?」


ワーーーーー!!!×2


「2人ともうっさい!!」


「ごめんなさい…。」×2



こうして美貴たちの高校生活の初日は過ぎていった



18 名前:名無し飼育 投稿日:2004/12/12(日) 23:43
最近、藤高が好きになったのでとても楽しみです。
男子制服着たミキティ見てみたいですね〜。
19 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/13(月) 00:13
こんばんは!!感想ありがとうございます!これからもがんばるのでよかったらお付き合いください☆
20 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/13(月) 01:03

〜翌日〜


ガチャ


「美貴ちゃーーーーん!起き…ってなんで起きてるん!?」


「何?美貴が起きてちゃ悪かった?」

昨日は結局寝れなかったし…。あー眠っ!!


「ううん。じゃあはよ制服に着替えやて!!」


「あー。うん。」

今日は部活決めるんだっけか?めんどくさい…


「美貴ちゃんできた?」


「うん!」


「んじゃレッツゴーや!!」


「はいはい。んじゃ裕ちゃん先行くよー!!」


「はいよー。悪さしたらあかんで!!」


「「行ってきまーす。」」




21 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/13(月) 01:48

〜学校〜

「おはよー!」×3


「んー。あっ!ガコマトリオじゃん。」


「ちょっと美貴ちゃん、変な略し方しないでよ!!」


「あー、ごめんごめん。ところでガキさんは何部に入んの?」


「そんなのバスケ部に決まってるじゃん!!美貴ちゃんはやっぱバレー部?」

やっぱりね。ガキさんはバスケに命かけちゃってるからねー。聞いた美貴がバカだったかも。


「んー。わかんない。」


コテッ

「なんだそりゃ。」


こんな他愛もない話をしていたら、げた箱に着いた。


ガチャ





ドバーーーー





「ふぇ!?」


なんだこれ!?


「あーあ、やっぱりね。」

「私が昨日計算した数は27通だったけど…大きくはずれちゃった!」

こんこんが計算間違えることなんてあるんだ…ってガキさんもこんこんも何言ってんの?


「やっぱり昨日の挨拶と会長を助けたのが好感度をグーンとアップさせちゃったね。」

まことまで…


「あの…これ何?」


「は?」×4


「いや、嫌がらせかなーと思いまして…。」


「美貴ちゃん、わかとったけど…本当に鈍感!」

「なんだよ!愛ちゃんに言われたくないし!」


「むー!これは全部どこがええかわからんアホな美貴ちゃんへのラブレターや!」

アホって美貴じゃなくて愛ちゃんじゃん…






ってラブレター!?


「は!?」


「だーからラ・ブ・レ・ター」×4


「ラブレターって好きな子に書く手紙?」


「他になにがあるんや!」

それもそーなんだけど…。まさか美貴が貰うとは。しかもこんなに!

ボーーーッ



「美貴ちゃんなにしてるん?はやく行くでー!」

「ああ、うん!」


ゴソッ



とりあえず入っていた手紙を全てカバンに押し込んで教室に向かった。





22 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/13(月) 23:01
あ、すっっごい面白い!
男子制服のみきてぃってなんか新鮮・・・?
23 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/14(火) 23:34
七誌さん→ありがとうございます!!カッコイイ役はあえてミキティにしてみました☆どーですか??他にもいろいろな人を出すのでよかったらお付き合いください!
24 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/15(水) 00:32

〜教室〜

「こらぁー!!おそーい!!」


「ふぇ?美貴たちは時間内に来ましたよ!!」


「はぁー…今日は毎年恒例の1年生VS上級生のバスケ対決があるのよ!」


「はー!?」クラス全員


「あれ?言ってなかったっけ?」


「聞いてないよー!」


「どーするんですか!!」
伝え忘れるとかありえないっしょ!?これから美貴たちそーとー苦労するよこりゃ。


「とりあえずルールを説明すると1年生は全クラスで12人登録。むこうはバスケ部の2軍の6人と1軍の6人。で1年生は2軍に勝ったら1軍と試合ができる!ってかんじかな。もちろん優勝したら賞品ゲット!!」

このハロー高校はバスケで有名。だからこんな行事があるんだろうけど…かなり無謀じゃん!!


「12人はどーやって決めるんですか?」

さすがこんこん!いいとこついてる。


「それは経験者とあとはうまい人。」


「それじゃああまりにも不利じゃないですか?」
ガキさんもいい意見だよ。さすがバスケオタク!

「それがそーでもないの。今から体育館に1年生を集めてバスケ部の名監督の裕ちゃんが12人を決めるし、試合中ももちろん裕ちゃんがアドバイスするから!」

やっぱ裕ちゃんがやるんだ…


「ってことで今から全員着替えて体育館に集合!!」


「えーーーー!」


「賞品はけっこう豪華なんだよなー。」


「みんな着替えて賞品ゲットだーーーー!!」

やっぱりまことはものにつられるのかよ!


「おーーーー!!!!」







って全員かよ!!ったく。ま、美貴もその1人なんだけどねー




こうしてクラスは初めて団結した。







25 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/15(水) 01:04

〜体育館〜

「よっしゃー。そんじゃまずは経験者のやつは前に出て来い!」


ゾロゾロ


「1、2、3…って11人しかおらんのかい!!まーええわ。とりあえずあと1人はどーしよか?」


「中澤先生!!」


「なんや?えーっと…」


「新垣です。」


「おぉそうやった!でなんや?」


「あの、美貴ちゃ…藤本さんを入れたほうがいいと思います!」



…っは!?


「なんでや?」

裕ちゃんごもっとも!


「美貴ちゃんは中学の体育でバスケをやったときにうまかったんです!3年間やった私より…」

いやいや!ありえないから!美貴そんなにうまくないし。


「うーん、よっしゃ!そんなら確かめてみよか。里田!!あんたと勝負や。一本決めたほうの勝ちやで。」


え!?ってか確か里田さんってこの学年で1番うまい人だよね?ぜったい負けるじゃんか!!


「藤本!!やるで!」


「あっ、はい。」


「藤本ボールで始めるで!!」


「はい。」


「よし。始め!!」


こーなったら…




「なっ!?ハーフラインからシュート!?」









パサッ…





ダムダム…





「よしっ!!」









「藤本!!あんたやるやんか!こりゃ使えるわ!あんたも入り!」


「はい。」


トコトコトコ


あっ里田さんがこっちにくる…


「藤本さん…」


「あっ、はい!」


ニコッ
「すごいね!!あんなのあたしでも入らないってかとどかないよ!」


「あ、ありがと!!」


「試合がんばろうね!!」


「うん!!」


まさか美貴にこんな実力があったとは。あたしとしたことが全然きずかんかった。こりゃ今年は波乱が起きるでー!!





美貴は見事にバスケメンバーに入ることができた!!
26 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/15(水) 05:45
「えーとまずはメンバー以外の子らは圭ちゃんと一緒に盛り上げるためにも応援の作戦を立てくれ!メンバーは秘密練習やー!!」


「はい!」

みんなちょー気合い入ってるよ。美貴もだけど


ゾロゾロ


「よっしゃ。そしたら5対5やるで。メンバーは里田、辻、小川、あさみ、岡田。もう1チームは新垣、松浦、アヤカ、三好…それと藤本!!今から10分やるから各チーム作戦を立てくれ!」


「はい!」×10


「よし!とりあえずポジションはみんなどこ?わたしはガード!」

さすがガキさんバスケとなるといち早く口が開いてるよ


「あたしはセンターで〜す!」
とアヤカさん。


「松浦はフォワードです!あややって呼んで♪」とかわいい子が松浦さん。


「わたしはシューターです!」
と三好さん。


「あの…美貴は…」


「美貴ちゃんはフォワード!1番あってるからね。」


うんうん×3





「それからマークだけどあたしがあさみさん、アヤカさんがまこと、あややが辻さん、三好さんが岡田さん、で美貴ちゃんは里田さんね!」





えっ!?


「あのさ…美貴に1番うまい人任せていいの?」

「あの人は美貴ちゃんしか止められないと思う!美貴ちゃんは好きなようにやっていいよ!その分あたしがフォローするから!」


「あたしも藤本さんをフォローしま〜す!」

アヤカさん…


「まつーらも負けじとがんばります!」

松浦さん…


「わたしもできるだけの努力をします!」

三好さんも…




よし!


「わかった!でも美貴がやるからには絶対勝つから!」


「そーこなくっちゃ!」×3



「がんばろー!」×5





この直後、美貴の本当の才能を目の当たりにするのはまだ誰も知らなかった…



27 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/15(水) 18:44
更新乙です。
おお、入学早々大波乱の予感!?
美貴の本当の才能・・・気になりますね〜。
私はミキティ一押しなのでがんばってくらさい。
28 名前:konkon 投稿日:2004/12/15(水) 21:43
どうも〜白版と緑版で書いてるkonkonです。
いや〜、あいみきいいですよね〜♪
さらにはバスケですか〜。なかなか趣向が
似ているかもですねw
これからも更新期待してます。
29 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/15(水) 22:01

「新垣のチームはビブス着て!審判はあたしがやるからな〜!ほな始めるで!」


ピピー


「よろしくお願いします!!」×10


ジャンプボールは美貴のチームがアヤカさん、相手チームが里田さん…


里田さんのあの目…
美貴があの目になるときは…


「ほないくで!そりゃ!」


アヤカさんと里田さんは同時に飛んだ。
そして勝ったのは…





里田さんだ!


そのボールはあさみさんが取った。
するとその一瞬でガキさんを抜きいつのまにか前線にいた里田さんにパスが渡った。


シュッ…



あの目は絶対に…




里田さんはドリブルで一気にゴール下まで行き、ダンクをしようとした…




よし!ここだ!



美貴は思いっきり飛び里田からボールを奪った。前を振り返ると…



あやちゃん!!


美貴があやちゃんにパスを出すとフリーでそのままドリブルシュートした。



この試合の初得点!!




30 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/16(木) 13:37
七誌さん→いつもありがとうございます!更新は遅いですがよろしくおねがいします。

konkonさん→はじめまして!感想ありがとうございます!みきあい超好きなんです♪これからも気長に付き合ってください。
31 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/16(木) 14:22

「よっしゃーー!!」×2

「ナイスパス!!」


「ナイスシュート!」


パチン!!


美貴たちはハイタッチをした。


「今度も守るよー!!」

あやちゃんの掛け声が聞こえた直後…


パシュ…


岡田さんのスリーポイントシュートがきれいにゴールに吸い込まれた。


「岡田さんナイス!」×4


くそっ…
そっちがそーくるなら美貴もやってやる!!


ガキさんがボールを持ってこっちを見ている。






美貴はいつでもオッケーだよ!



美貴ちゃん…いくよ!


美貴はゴールに向かって走った。
そしてボールを持っていないのに思いっきり飛んだ。



その一瞬を新垣は見逃さなかった。






ガコッ





きずいたら美貴はゴールにぶら下がっていた…


「美貴ちゃんナイス!!」

「ガキさんこそ!」









「アッ、アリープゥ!?」美貴たち以外



ピピー


「えっ!?」

なんで笛が鳴ったの!?美貴がなんかやった?


「終わりや!!あんたらの実力はよーーくわかった!これからメンバー決めてくるから休憩しとってくれ!」



「もう終わり!?」

せっかくこの美貴が燃えてたのにー。


「これからまだ試合やるんやから今疲れてどーすんねん!!」


「あー!そっか!!」


「わかったらみんな休むんやでー!」


「はーい。」×12



この後ついに試合メンバー5人が決定することになる…




32 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/16(木) 14:46

そのころ教室では…


「美貴ちゃん大丈夫なんかなー?」


「愛ちゃんは美貴ちゃんのこと知らないの?」


「ふぇ!?」


「美貴ちゃんはバスケもだけどいろんなスポーツがうまいんだよ!!」


「それはあーしも知ってるけど…美貴ちゃん以外はみんな経験者なんやよ?」


「そーだけど…ガキさんがあそこまで言うくらいだからきっと完璧です!!」


「そーやね!!あーしらも応援がんばるでー!」

「うん!!」


「こらぁー!!高橋、紺野!ちゃんとあんたたちもちゃんと考えなさい!」


「「はーい」」





33 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/16(木) 16:10

「んーーどうしたらええんやろ…」

別の場所ではバスケの試合レギュラーメンバーを決めかね裕ちゃんこと中澤裕子が頭をかかえていた…


コンコン


「はい。あー、あっちゃん!ええとこに来てくれたわーー!」


「なんや?裕ちゃんなにそんなに悩んでんねん。」

あっちゃんと呼ばれたこのバリバリ大阪弁な人は稲葉貴子。中澤と同じくハロー高校の先生でバスケ部のコーチをしている。ちなみに1年チームのコーチ。


「なにって1年の試合メンバーを決めかねてんねん!」


「なんでや?今年は中学ナンバーワンセンターの里田が入ってきてんねんやろ?それだけやなく辻やあさみそれに松浦もやからしょーがないんやろけどな。」


「まーそれもそうやねんけど…」


「なんやはっきりせんのは裕ちゃんらしくないで!!」


「もっとすごいのがおってん。それに今年は全体的にレベルが高いねん。」


「里田よりもか?」


「里田とは比べもんにならん!あいつはこのハロー高校でいや日本で1番かもしれん…」


「そやけどそんなにすごいやつが今までどこに埋もれとってん!?なんで表に出んかったんや?」




「それは…バスケをやってなかったからや。」


「なっ!?素人か!?」


「そーや。そいつは今までずっとバレーをやっとった。」


「そーか。だからバスケ界で聞かんかったんか!で、どーするん?」


「そいつを出したいんやけど隠したいってのもあるんや…」


「そしたらあの手を使ったらええやんか!!」


「そーか!!その手があったわ!」


「久々に燃えてきたわー!!」


「あたしもやー!!」


「「絶対勝たせるでー!」」


こうして中澤の悩みは稲葉の提案によって解決されたのであった…
34 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/16(木) 17:43

〜体育館〜

ゾロゾロ

「やーやー1年生諸君!!今日はよろしく頼むよ〜。あっ!そこの1年生かわいいじゃん!」

あーあ、あやちゃんが捕まっちゃってるよ…


「市井さん!なにやってるんっすか!!早く練習しましょーよ!」


あっ!あいつ…


「えー!吉澤だっていつもかわいい子に声かけてるじゃんか!」


「そーっすけど…って何言わせてるんですか!」

「んじゃいいじゃん♪そんでね〜」


あやちゃん嫌がってるじゃんか!!


…ってすげーあやちゃんヤラシイ目で見てるし!



あーもう!!


「あの…この子は好きな人がいるから無理ですよ??」


「……。」

ん?黙っちゃったよ。


「きみだれ?この子のなんなわけ?」


「藤本です。何って言われても…」


「まーいいや。練習あるからまた後でね〜♪」

ふーっ。よかった…


「あの…藤本さん!!」


「あっ大丈夫!?なんかされなかった!?」


「うん!ありがと!…えっとなんて呼べばいいかなぁ?」


「別になんでもいいよ。藤本さんってのもなんかむずがゆいし。」


「うーん…何が好き?」


「へ?あーえっとね、焼き肉かな。」


「うーん、カルビ、豚トロ…牛たん…?みきたん!みきたんだー!」


「あの…ちょっと恥ずかしいんけど。」


「これからよろしくね!みきたん♪」


はーー。まっいいか。


「うん!よろしくね。」


こうして美貴は[みきたん]と呼ばれるようになった。あやちゃんだけなんだけどね…





35 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/16(木) 22:21

「待たせたな!!1年チーム集合や!」


「はい!」


「まずはあたしと一緒に1年生チームのコーチをやってくれる稲葉先生や!!」


「稲葉や!!よろしく頼むわ〜。」


「おねがいします!!」×12


「そしたらまずは2軍とのメンバーの前にキャプテンなんやねんけど…
新垣!やってくれるか?」


「はい!」


「よっしゃ!そしたらまず背番号や!」


「公式試合じゃないのに背番号とかあるんですか??」
さすが里田さん!みんなの疑問をよく言った!!

「うちの学校はバスケ命やねん!だから1年生チームのユニフォームが用意されてるんや。わかったやろ?そしたら背番号と名前言うからあっちゃんからユニフォームをもらったやつから着替えてきてな〜。」


「はい!!」×12


「4番新垣!!キャプテンやからって重荷に感じんで楽にやれ!」


「はい!」


「5番、あさみ!思いきりのええパスに期待してるで!」


「はい!」


「6番!みうな!当たり負けは絶対するな!」


「はい!」


「7番アヤカ!持ち前の元気で相手を負かしたれ!」


「わ〜かりました〜。」


「8番三好!スリーポイントにきたいしとるで〜!」


「はい!」


「9番里田や!あんたはマークがキツいやろうけどお前ならできる!」


「任せてくださーい!」


「10番は…藤本お前や!!」

うえ?10番って確か…


「そーや。10番はエース!あんたは素人や!だからこそあんたにエース番号を預ける。あんたは思った通りに動けばええ。へたに緊張するなや!」


「わかってますって!」


「次11番松浦!あんたのドリブルでどんどん切りこんで相手を翻弄したれ!」


「松浦がんばりま〜す。」

「12番!辻や!あんたは相手にびびるなよ!」

「わかったのれす!」




36 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/16(木) 22:26
「13番!岡田!お前のシュートでどんどん奇襲したれ!」


「は〜い。」


「14番小川!視野をを広くして相手をよく見るんやで。」


「了解です!」


「最後に15番!加護。あんたのガッツでチームを盛り上げるねんで!」

「わかってるちゅーねん!!」




「ふー。名前読み上げるのにもひと苦労やったわ。あっちゃんどーや?」

「そーやな、今年はいつもよりおもしろそうなのがいっぱいおったわ。とくに藤本!あいつはなんかやりそうな気迫やったわ。」


「まープレーを見ればもっと驚くから楽しみにしといて!」


「裕ちゃんに日本一やって言わせたやつのプレーをこの目で確かめんとな!!こっちも気がすまんしな。」





こうしてそれぞれの番号が決まった。




37 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/16(木) 23:13

そのころ応援組は…


「やっとできたー!」


「わーーー!!」全員


応援組が今まで作っていたものは…



横断幕!



そこには[1年チームの優勝!!]と書かれている。


「やっとできたー!この横断幕パワーで1年チームが優勝や!な!あさみちゃん!」


「そうだね…」


「「完璧です!」」


「あははー!」


「ふふーっ」


2人はお互いに見合って微笑んだ。そのとき…


「こっちもできたよー!!」

クラスの子たちがいくつかの大きな大きな横断幕をもって来た。
そこには…





[藤本ラブ!]や[1ー2のアイドル藤本]、[美貴ちゃん大好き!]などが書かれた横断幕が並んでいた。


なんや!?


「どーりでこっちに人がおらんわけや!まったくー!!」


「まーまー愛ちゃん落ち着いて!美貴ちゃんたちに勝ってほしくてやったんだよ。」


「うーん…」


「勝ってほしい気持ちに変わりはないよ!」


「そうやね!あーしも女やからいさぎよく謝るわ!ごめんな!」


「私たちも!」


「よし!じゃあ気合い入れて応援するでー!!」


「おおーーー!」



このときがクラスが一致団結した2回目の瞬間だった。




38 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/17(金) 16:30

「準備できたか〜??」


「はい!!」


「みんな似合ってるやんか〜!!コホン…そしたらスタメン5人を発表するで!」





「まずはガード…5番あさみ!」


「はい!」


「次!シューターは岡田!」


「は〜い。」


「センター、里田!」


「フォアード1人目は…辻!!」


「がんばるのれす!」


「最後にもう1人のフォアードは松浦や!」


「え〜!みきたんは出ないんですか!?」

あっあやちゃん!?何言ってるの!?あやちゃんのほうがうまいっしょ!!


「だれや!みきたんって…」


「あっ!えっと…藤本さんです!」


「ああ!藤本はださん!この試合ではな…お前はそんなこと気にせんと試合に集中しろ!他のみんなも一緒や!わかったか?」


「…はい!!」


「そしたらスタメンは行ってこい!!他のみんなは座って応援や!あっ!藤本!お前はあっちゃんとこに行け!」


「え…?」


「藤本〜!はよ来んかい!!」


「あっ、はい!」

なんで美貴だけ!?ってかあやちゃんや里田さんが出てる試合見たかったな…


「藤本!なにボ〜っとしてんねん!!」


「…っは!?すいません!」


「あんたにはボーっとしてるひまはないで!あんたには次の試合までに成長してもらう!」


「えっ?こんな短い時間でですか?しかもそんな場所がどこに…」


「あんたハロ高をなめたらあかんで。ここはバスケ部に力入れてんねんで?そのハロ高なんやからバスケ部専用のコートくらいいくらでもあるわ!わかったらいくで!」


「…はい。」


こうして美貴と稲葉先生はバスケ部専用の第2回バスケットコートに向かった。
39 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/17(金) 21:56

「ついたでー!」


「すっご!!ちょー広い!!」


「やろ?まっそんなことはどーでもええわ。今からあんたにシュートを徹底的に叩きこむ!」


「美貴はシュート打てますよ?」


「普通のシュートやない!ハーフラインよりもっと後ろから打つんや。そんでついでにフォームも改善する!」


「ハーフラインより後ろ…それって可能なんですか?」


「普通ならハーフラインの手前からでもとどかん。やけどあんたはハーフラインからフォームもわからんのに入ったらしいやん。それやったらフォームを改善すれば十分入るはずや!!どーや?がんばれるか?」


普通はできない…


「やります!!美貴は普通ではとどまる気は全くないですから。それに…」


「なんや?」


「1軍に勝ちたい!いや、絶対勝つんです!!」

ふふ、こいつたいしたやつや…


「そしたらさっさと習得するために練習するで!」


「はい!」


「まずはハーフラインからシュート打ってみ。」

「はい。」


シュ…


パサッ


「うーん、なかなかきれいや。しかし、手と足があっとらん。それと膝もかたい。もう1回!」


「はい。」

膝を柔らかくっと…


ほっ!


パサッ


「うん。膝はよくなったあとは手と足のタイミングや。それと…あんた両手で投げるのやりにくいやろ?」


「はい…。なんかしっくりこないです。」


「それやったら…ワンハンドでやってみ!あんたにはそっちのほうが合うかもしれん。」


ワンハンド…


「やってみます!」


手と足…


ヒューン…


なっ!?投げやすかったけどボールがボードを越えちゃったよ…


「今のや!!!」


「ふぇ?だって今のはボードを…」


「今ので力の加減をすれば前でも後ろでも使える!!」

こいつ!めっちゃ吸収早い!こりゃ裕ちゃんが言った通りや!いや、もしかしたらこいつは全世界のバスケの常識をくつがえす存在かもしれん…
40 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/18(土) 14:41

〜体育館〜

「あっ!まこととガキさんや!お〜い!」


「愛ちゃーん!」


「頑張ってやー!」


「「うん!」」


「あれ?そういえば美貴ちゃんはどこにいったん?まさか!めんどくさくなってサボったん!?」

「違うよ〜。なにしに行ったかわかんないけど稲葉先生とどっか行っちゃった〜」


「ふーん。まことはあいかわらずマイペースなしゃべりかたやね。」


「いやいや!愛ちゃんこそあいかわらずなまってるね。」


「「どっちもどっちだから!!」」


「あーしのほうがましや!」


「え〜!わたしのほうがまともだよ。」


ワイワイ


ピピッーー


「これから1年チーム対2軍の試合を始めるので各チーム整列してください!!」


「あっ!じゃあまたあとでね!ほらまこと!早く行くよー」


「は〜い。」


「「がんばってねー!」」





ついに試合が始められる。



41 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/18(土) 22:34
更新乙ナリ。
美貴ちゃんすごーい!完璧です!
これからどう成長してくか楽しみです!
42 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/18(土) 22:56
七誌さん→こんばんは!今回は少し多めに更新してみました!ミキティはこれからもっと成長していく予定なので暖かく見守ってくださーい!
43 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/18(土) 23:26

「それでは1年チーム対2軍の試合を始めます。礼!!」


「おねがいします!」


ピピッー


ついに試合が始まった。

ジャンプボールに勝ったのはやはり1年チームの里田だった。


「あさみ!」


「はいよー。」


あさみは里田からパスを受け取り、そのままドリブルで相手ガードを抜こうとした…


「そう簡単には抜かせない!!」


チエッ、さすがハロ高の選手。やっぱり簡単には抜かせてくれないか。でも…


「辻ちゃん!」


「ナイスパスれす!」


シュッ


パサッ


「よっしゃー!ナイス辻ちゃん!」


辻のシュートは見事に決まった


里田そして松浦が大活躍し試合は1年チームが優勢となった


「あややナイス!」


「里田さんこそナイスディフェンス!」


この時点で1年チームと2軍は40点もの差がついて残り20分になっていた


ピピッー


「選手交代や!松浦に変わって小川!見せつけてこい!」


「はい!あややナイスファイト!!」


「小川さん頑張って!」


「うん!」



「松浦お疲れさん!感触はどーやった?」


「さすがハロ高ってだけあって簡単には抜かしてくれませんでしたよ。でも勝てない相手ではなかったです!」


こいつもたいしたやつや。今年のやつらほんまにおもろいわ…


「そーか。まっゆっくり休んどき!」


「はい。」


44 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/18(土) 23:58
〜1・2軍ベンチ〜

「今年はなかなか手強そうっすね。市井さん!」

「あーあ、あのかわいいフォアードの子下がっちゃったよー。つまんない。」


「ってどこ見てるんっすか!ちゃんと試合見てくださいよ!」


「んー見てるよ。今年はなかなかだね。とくにセンターとさっき下がっちゃったかわいいフォアードの子。ね、ごとー」


「んあーそうだね。」


「でもかわいさなら断然私のほうが上ですよ!」

「それはないから安心して。石川。」


「えー!?市井さんったら照れ屋ですねー!」


「照れてないっつーの。柴田ー、あいつどーにかなんないの?」


「無理ですよ!なんとかしたいんですけど…」


「そっかー。柴田はどー思う?」


「そーですね、市井さんが言ってた通りセンターとフォアードが目立ってますね。でもあのレベルでは…」


「うちらには勝てない!でしょ?」


「はい。中学ではトップで高校でも普通なら十分エース級だけどここはハロ高ですから。それにそう簡単に勝たせるわけにはいきませんよ!」


「柴田も言うようになったねー。市井は感動だよ。」


「市井さん、がんばってくださいね!」


「やる気が出たらねー。」

「また出たよ!市井さんのやる気が出たらねーって!」


「うるさいなー吉澤!お前がエースなんだからがんばればいいんだよ!」

「開き直りっすか!?」


「いいのいいの。」


「ったく市井さんは…」


ピピッー


「あっ!試合終わりましたよ!」


「柴田ー、結果は?」


「86対52で向こうの勝ちです。」


「そっか。したらアップでもしてくるか。」



1年チームは2軍チーム相手に86対52と快勝したのだった…


45 名前:konkon 投稿日:2004/12/19(日) 06:55
お〜、あやや達強し・・・
ミキティのかっけぇとこにも
今後注目ですね♪
46 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/19(日) 13:46

〜第2コート〜

シュッ…





「やったー!!入った!」

「よーやった!」


ビリッ


「あーーーー!?」


「どーしたんや!?」


「体育館履きが…」

どーしよ…
美貴の体育館履きこれしかないのに…


「あんた普通の靴でやっとったんか!?」


「はい…」


「ったくしゃーないやっちゃ。そろそろ時間やから体育館行き。」


「でも靴が…」


「あたしが新しいの持ってったるから心配するな!!はよ行き!」


そろそろええよな。こいつにならあいつを使いこなせる!やっと…ついに渡せるやつが現れたで。


「はい!」


美貴は急いだ。稲葉先生が靴を持って来てくれることを信じて…


47 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/19(日) 13:48





48 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/19(日) 15:14

〜体育館〜

「次の試合のメンバーを発表するで!」


「あの!まだ美貴…藤本さんが来てません!」


「(新垣…)しゃなーないやろ。そしたら発表するで!」


「ガード!新垣。」


「はい…」


「シューター三好!!」


「はい!」


「センター里田!」


「はーい!」


「フォアード1人目は松浦や!」


「はーい(みきたん…)」


「そんでもう1人は…」



ガラッ



「遅くなりました!」



カツカツカツ



「アホか!!みんな心配してたんやで!」


「すいません…」


「わかったらはよ出る用意せー!!」


「え?」


「え?やない!あんたをスタメンで使うんや!わかったらはよせー!」


「あっ…はい!」


タッタッタ


どんだけ心配させんねん。ほんまに手がかかるやつや…


「あ!そういえば靴…」


「藤本ー!これ使い!」



ヒューン


「わっ!!あっありがとうございます!」


「あっちゃん!遅いやんか!!」


「すまんすまん!調子に乗っ取ったら時間になっててん。」


「まったく…ん?あのバッシュは!!」


「裕ちゃんも思い出したか?あれはうちらの約束したやつや。」


「そうか…あたしもあいつがええと思ったんや!」


稲葉が渡したバッシュは中澤と稲葉の日本のゴールデンコンビと言われていたときに自分たちよりすごいやつが出てきたら渡そうと約束していたものだった。


「ついに出たな…」


「そうやな。」


ピピッーーー


「それではただ今より1年チーム対1軍チームの試合を始めます!」




49 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/19(日) 15:35
勘弁してください
50 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/19(日) 15:37

〜応援組〜

「美貴ちゃん遅いね。」


「そーやね…」

美貴ちゃんどーしたんやろ。


「愛ちゃん!そんなに美貴ちゃんが心配?」


「ふぇ?あー!あんなやつ全然心配してないやよ!!いなくてせーせするわ!」

まったく素直じゃないんだから…


ガラッ




「遅くなりました!」


「あ!美貴ちゃん来たよ!」


バッ!


「美貴ちゃん遅いわ!!」


ニコッ


「あっ!美貴ちゃんが笑った!!」


「心配無用ってことやね。」


「やっぱり心配してたんじゃん!」


「なっ!?しとらんわ!」


ゾロゾロ


「1軍チームの人たちが戻って来た!!あっ!あの人…」


「どーしたん?あさ美…」


「あれって愛ちゃんが言ってた…吉澤さん?」


コクン


「そっか…。こんなに早く試合の姿が見れてよかったね!」


「うん!」



51 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/19(日) 15:47

〜1年チーム〜

「マークの確認や!新垣は柴田や!簡単にパスを出させるなよ!」


「はい!」


「三好は石川や!あいつにプレッシャーかけたれ!」


「はい。」


「里田!あんたには市井を任せる。できるな?」


「任せてください!」


「松浦は後藤や!あいつのペースに乗せられるなよ!」


「はーい。」


「そんで藤本!あんたは…吉澤マークや!あいつはむこうのエースや。でもなあんたは…」


「美貴は負けない!!」


こいつ…


「よっしゃ!その勢いや!そしたら気合い入れていってこい!!」


「「「「「はい!!」」」」」



美貴は絶対負けない!!負けてたまるか!


52 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 16:23

ジャプボールは里田さん対あいつ…


勝ったのは…



吉澤だった。


「ヨッスィーナイス!」

そのボールを柴田が取って新垣がマークするよりすばやく市井にパスを送った。


「市井さん!」


「あーあ、パス来ちゃったよー。こりゃ決めなきゃね!」

市井がシュートを打ったそのとき!



バシッ!



なんと美貴が市井のシュートをはじいていた。


「簡単には決めさせない!」


「ん?あっ!さっきの邪魔してきたやつ!!」


「松浦さん!!」


美貴がはじいたボールを新垣が取って前線の松浦にパスをした。


しかし…


パスを受けた松浦はすでに後藤がマークしていて動けなかった。


そのとき…


「あやちゃん!!」


反対側に美貴がいるのが見えてパスをした。


「みきたん!!」

シュッ


「ナイス!」

パスもらった瞬間に美貴はドリブルでゴール下まできりこんでシュートしようとした。


「そー簡単にはシュートさせないよ!」

美貴にはピッタリと吉澤がマークについていた。

「だれも自分が決めるなんて言ってないし。」

美貴はその瞬間ジャンプしたまま後ろをむきフリーの三好にパスした。


「なっ!?」


「三好さん!シュート!」

パシュ…



「ナイスシュート!!」


三好のスリーポイントシュートはゴールに吸い込まれた。


先制点をあげたのは意外にも今まであまり目立っていなかった三好だった。

美貴はあまり目立っていなかったことを利用して三好にパスを送ったのだ。


「あいつ!やるやんか!裕ちゃん!!」


「だから言ったやろ?あいつはすごいって。」


「あいつめっちゃ視野広いやんか!あれならガードができる。それにその前の市井のシュートを防いだ。あの動きやったらセンターもできるやんか!!」


「そーや。だからあいつはすごいねん。」


「こりゃ予想以上や。」


53 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 16:49

「むこうの10番やるね。」


「……」


「ヨッスィー?」


「くそっ!騙された!!柴ちゃん、あたしにどんどんパスちょうだい!」


「あーーえっと…」


「ね!?」


「うん…」

あーあ、ヨッスィーかなり熱くなっちゃってるよ…


試合はリスタートした。


ここはとりあえず間を置いて様子をみるか…


ん?梨華ちゃんがマークをはずした!よし!


「梨華ちゃん!!」


「いっけ〜!」

柴田からパスを受け取った石川はスリーポイントラインからシュートを打とうとした。


が…




パシッ!



シュートフォームに入った石川の背後から美貴がボールを取った。


ダムダム…


今度は自分でドリブルをしてボールを運んだ。


「里田さん!!」


シュッ


美貴はゴール下にいる里田にパスした。


そしてパスを受け取った里田はシュートしようとした。しかし…



「んあー。まだまだすきがありすぎだよー。」


いつの間にか後藤がカバーに入っていて里田のシュートは阻まれた。


「いちーちゃん!」


「はいよー!」


後藤からパスを受けた市井はそのままドリブルでゴール下までいきシュートした。


「ごとーナイスだ!!」


「いちーちゃんこそ!」


これで1年チーム1軍チーム両方に火がついた。


54 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 17:09

その後も1年チームが決めると1軍チームも決めるとどちらも引かなかったが、ついに試合終了5分前に動いた。


「ヨッスィー!!」

柴田が吉澤にパスを送った。


「よし!いくよー!」

パシュ…


吉澤のスリーポイントシュートを里田が塞ぎきれず入った。


「よっしゃーーー!!」

このシュートで79対78と1軍がリードとなった。


くっ…ディフェンスがよくて抜けない。

リスタートした後ハーフライン付近で新垣は柴田を抜けず苦しんでいた。刻々の試合終了の時間まで近づいていた。


あと1分…


もうダメか…


「ガキさん!!こっち!」


そのとき自分より後ろにいた美貴がパスを要求した。


「ガキさん!!早く!」


こーなったらいちかばちかだ!


「美貴ちゃん!!」


シュッ!


「ナイスパス!!」



30…



20…



55 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 17:18

ガキさんが苦しんでる…


みんなが美貴にパスをしてくれた。



このボールはみんながつないでくれたんだ。



美貴が決めなきゃだれがやる?




美貴がやらなきゃ!




今まで美貴はあいつと勝負するのを避けてた…



だから愛ちゃんの気持ちも美貴にはむかなかった。



今度は…



美貴は真っ向から勝負するよ!



愛ちゃんを振り向かせてみせるから!



だから…





それまで待っててね。






「美貴ちゃーん!シュートやーーー!!」




愛ちゃん…



よし!



「入れーーーー!!!」




56 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 17:20



シュッ!





5…







57 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 17:22


2…



入れ!!




1…








58 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 17:23








59 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 17:24







パサッ…




ダンダンダン






ピピッーーーー!





60 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 17:50



終わった…





はっ!今のは!?








「カッ、カウントスリー!!」




ぺらっ



79対81…





「わーーーーっ!!」



「みきたーーん!!」


ガシッ!


「わっ!あっ危ない!」


ドテッ


「みきたん!やった!やったよ!!勝ったー!!」


「うん!!」


美貴はものすごい勢いで抱きついて来たあやちゃんと倒れながら喜んだ。


と……



「美貴ちゃーん!!」



「「藤本さーん!!」」



いつの間にかガキさん、里田さんそして三好さんまでもが倒れた美貴とあやちゃんの上に乗っかってきた。




「うっ…みんな重い…」



「やったね!美貴ちゃん!!」
とガキさん。


「最後のは私でも打てないよ!」
と里田さん。


「やりましたね!!最後のはドキドキしましたよーー!」
三好さん。



「あのさ…わかったからどいて…」




ピピッ


「整列してください!」



「「「「はい!!」」」」



ふーーっ。助かった…



「81対79で1年チームの勝ち!礼っ!」



「ありがとうございました!!」×10



トコトコ



ん?あっ!あいつ…



「最後のはやられたよ…。藤本さん!」



「なんで美貴の名前を!?」


「会長助けてたじゃん!あたしこれでも生徒会だからね。」


「そーなんですか。」


「あっ!あたしは吉澤ひとみ。よろしく!!」


「あっはい。」


2人のエースはしっかりと握手をした。



61 名前:運命の試合 投稿日:2004/12/19(日) 20:15

〜更衣室〜

「まずはお疲れさん!!あんたらがあそこまでできるとは思わんかった。おめでとぅ!!」


「コホン!えーとあっちゃんも言っとったけど、まずはあんたらはほんまようやった!いいもん見せてくれてありがとう!!この中にはハロ高のバスケ部に入るやつもおるしそーでないやつもおると思う。そやけどな、そんなんはどーでもええねん。大事なんはあんたらがどんな道に進んでも仲間がおる!それだけは忘れたらあかんで。」


「はい!」×12


「よっしゃ。ええ返事や!そしたら解散!」


「ありがとうございました!!」×12


ガヤガヤ


裕ちゃんたちが去ってからもみんなは興奮冷めやらないって感じでしゃべってこの後のことを決めていた。


「この後どーする??」
とあやちゃん。


「どっかよってこーよ!」ノリノリなのはやっぱりまこと。


みんなもそーだね!とかいいねー!とか言ってる。


「みきたんも行くでしょー??」


「んー美貴はパス。」


「えーーーー!!」

みんなでそんな否定しなくても…


「みきたん来ないと意味ないじゃん!」


「でも美貴やることあるからさー。だからパス。」


「むー。まっしょうがないかっ!じゃみきたんまた明日ね!」


「うん。じゃーね!」



パタン


ふーっ。やっと1人になれた。それにしても…
今日は体が勝手に動いてた。最後のあのシュートも気づいたらガキさんからパスを受け取ってた…

コンコン



ガチャ


「失礼しまーす。っているなら返事してやー!」


愛ちゃん…


「聞いとるん?」


「ん?ああ、ごめんごめん。愛ちゃんさ…」


「なんや〜?」


「あの…吉澤さんだっけ?好きなの?」


「なっ!急に何言ってるんやー///」


「そっか。」


「なんも言っとらんやんか!!」


美貴の想いはまだまだ届かないかも…




62 名前:想い 投稿日:2004/12/19(日) 20:46

「よし!そんじゃー帰りますか!」


「うん!」



63 名前:想い 投稿日:2004/12/19(日) 21:08

〜帰り道〜

「今日の美貴ちゃんほんまにすごったわー!!こう…シュッと!」


「あーわかったから!」


「みんなほんとに感動して声も出んかったんよ!」


「ふーん。」


「みんな惚れとったやよ!!」





「愛ちゃんは?」


「ふえ?あっあーしはやね…」


「なにあせってんの?冗談に決まってんじゃん。」

本当は冗談なんかじゃないけどね…


「ああー!騙したな!!」

「騙されたほうがいけないんじゃん。」

美貴は元気でいっつも笑った顔の愛ちゃんが好きだから…



だから…




今気持ちは言わないよ。きっと愛ちゃんは困った顔をして泣くだろうから…





64 名前:想い 投稿日:2004/12/19(日) 21:27

〜翌日〜


「美貴ちゃーーーん!」


ドンッ


「ぐぇ!重い…」


「はよ起きんと遅刻やよー?」


「起きるから…頼むからいきなり人の上に乗るな!美貴死んじゃうよ!」


「あーしはそんなに重くないやよ!!」


「どーだかね。」


パシッ!


「いったーーい!なにすんのさ!」


「美貴ちゃんがはよ起きんからや!!」


「起きるもなにも愛ちゃんが上にいたら起きれないっしょ?」


「!!あっ…」

ったくあいかわらず天然炸裂だよ…


「さー着替えるか。」


んー今日は目覚めがいいな。


ガサガサ


キュ


「よしっ!完成♪」


「美貴ー!ごはん…」


「裕ちゃんおはよー。」


「なんや?今日は早いやんか。雪でも降るんか?」


「雪なんか降るわけないじゃん。美貴にも目覚めがいい日だってあるよ。」


「そーか。まあええわ。」


モグモグ


「「ごちそーさま」」


「おっ!今日は2人とも早いやんか。」


「そんなときもあるやよ!!」


「じゃあ行くか。」


「「いってきまーす」」



65 名前:名無し 投稿日:2004/12/19(日) 21:44
なんだこれ・・・
バスケ舐めてんのか・・・
小説も舐めてんのか・・・

もう少しバスケットボールというものを勉強してください
66 名前:想い 投稿日:2004/12/19(日) 21:51

「今日はもう普通の授業だっけ?」


「ううん。今日は昨日できんかった生徒会と部活を決めるんやって。」


「ふーん。」


「生徒会はきっとあさ美ちゃんやね!」


「そーだね。ってか他にいないし。」


「あさ美はね、あーしといっしょにバスケ部のマネージャーやるんや!」


「は?聞いてないし!」


「だって初めて言ったんやもん。」


「いつ決めたの?」


「昨日!」

こんこんもバスケ部の人に惚れたのかな?


「そっか。」


「美貴ちゃんはもう決めたん?」


「んーまぁね。」


「なに!?どこなん?やっぱりバレー部?」


「うーん、そんなとこ?」


「なんで疑問系なんよー!!」


「まーいいじゃん。」




そうこうしているうちに学校についた。



67 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/21(火) 21:53
更新乙ナリ。
最近来なかったら結構更新たまってた・・・。
これからがたのしみです!
68 名前:想い 投稿日:2004/12/22(水) 18:48

〜教室〜

ガヤガヤ

「おはよー夫婦コンビ!」


「夫婦じゃないわ!!」


「あれ?美貴ちゃん今日は反応しないね。」


「んー?あっごめん。まことはたいした話しないから聞いてなかった。」
本当は考えごとしてたんだけどね。


「えーー!?あたしは常に名言言ってるじゃん!!ねーガキさん?」


「迷言の間違いでしょ。ったくまことはいつもチンプンカンプンなんだからー。」


「そんなことないって!!」


「はいはい。それより美貴ちゃん本当に元気なさそうだけど?」


「気のせいじゃん?美貴はいたって元気だよ!!!」


「ならいいけど…」

ガキさんごめん。こればっかりは相談できないよ。



ガラガラ

「はいはーい、席について!挨拶!」


「おはよ〜ございま〜す!」


「はい、おはよう!今日はまず生徒会を決めまーす。」


「はーい」

あっ!昨日稲葉先生に借りた靴返さなきゃ。忘れるところだったよ。

「紺野!あんたが生徒会ね。」

「はい。」

今日の放課後でもいいよね?

「それと…」

あーでも昼休みのほうがいいかな?

「藤本!あんたもね。」

でも使ってる気配がなかいよね…。やっぱり放課後でいいや。


「…ちゃん。美貴ちゃん!!」


「ん?あぁごめん考えごとしてた。愛ちゃん何?」


「生徒会やって!」


「こんこんがでしょ?そんなのやる前からわかってるじゃん。」


「そーやなくて…」


「何!?こんこんじゃなかったの!?」


「あさ美ちゃんが生徒会やねんけど…」


「やっぱこんこんなんじゃん。」



69 名前:想い 投稿日:2004/12/22(水) 18:54

「美貴ちゃんもやって。」


「ふ〜ん。そっか……って美貴も!?」


「うん。」


「あんたいちいちうるさいわよ!!」


「なんで美貴!?ってか生徒会は1人なはずじゃ…」


「生徒会長からのご指名よ。だからうちのクラスからは特別に2人になったの。」


「は!?意味わかんな…」


「それじゃ決定ね♪2人ともがんばって。」

いやいや!圭ちゃんは美貴のこと無視しすぎだよね?
はぁ〜。ま、こんこんがいるからいっか。あんま仕事なさそうだし。



そんなこんなで美貴は生徒会長の安倍からのご指名で生徒会に入ることになった。



70 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 13:43

「部活は今から各自入りたい部活のところに行って!!」


「はーい。」

ザワザワ

「あーしらはみんなバスケ部やから体育館行くけど美貴ちゃんは?」


「美貴も体育館行くよ。」

「じゃあみんなで行くやよー!!」


「うん!」×4




71 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 13:49


72 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 14:15

〜体育館〜

「おー結構おるやんか!そしたら端から自己紹介してって。」


「はい!1年1組里田です。ポジションはセンターです。」




「次!」





「次!」

何人かの自己紹介が終わって次は美貴の隣りにいる愛の番だった。

「1年2組の高橋 愛です!マネージャーやりたんです!」


「次!」


「あっこの人は違うんや…」


「はい!1ー2藤本美貴です。ど素人です!よろしくお願いします。」


「「「「えー!?」」」」

ここで美貴がバスケ部に入るとは思わなかった4人はすごい勢いで驚いた。


「よっしゃ。そしたら1、2、3…マネージャーを合わせて13人やな。これからよろしゅー頼むわ。言わんでもわかっとるやろうけど、ここのバスケ部はそんな甘いもんやない。それだけは肝に命じといてや!」


「はい!」


「そしたら各自自分のクラスに戻りー。」


「はい。」



73 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 14:16


74 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 14:32

〜廊下〜

「まさか美貴ちゃんがバスケ部に入るとは思わんかったわ!なー?」


「うんうん!だって美貴ちゃんそんなこと一言も言わなかったじゃん!」


「そーだっけ?」


「そーだよ!いつ決めたの??」
ガキさんは気づくと思ったんだけど…


「んー、シュートしたとき。」


「は?」×4


「だーかーら、シュートしたとき!!」


「いやいや!シュートしたときっていつのだよ!!」
おっ!さすがガキさん。ツッコミが鋭いねー。


「最後の。ほら、ガキさんからパスもらったときの。」


「あー!!」×4


「そ。わかったでしょ?」


「うんうん。でもなんであのシュートで決めたんや?」


「それは…」


「それは?」


「気分!!」


「はー!?美貴ちゃんそんなんで決めたん!?」


「そーだよ。」
そんなわけないじゃん。
本当は…




「はぁーー。本当に気楽やな。」



本当はさ…





愛ちゃんに振り向いてほしいんだよ。


なんて言えるわけないじゃんか!


ピンポンパンポン♪


「生徒会委員に連絡します。ただいまから生徒会の集まりを行いますので生徒会室に集合してください。」


「あっ!美貴ちゃん!私たち行かなきゃだよ!」

「本当だ。じゃあみんなあとでね。」


「うん!」×3




美貴とあさ美は生徒会室に向かった。


75 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 14:46

「美貴ちゃん!」


「ん??どーした?」


「さっきの…」


「さっきの??」


「さっきのバスケ部に入る理由…ウソでしょ?」


「は!?こんこんなに言ってんの?そんなわけ…」


「ウソ!美貴ちゃんは隠してるつもりかもしれないけど私にはわかる。」
だって…


「本当ウソじゃないよ?美貴は気分屋だから。」


「美貴ちゃん…」


だって私はずっと…


「こんこん考えすぎだよ?美貴ウソつけない人だって知ってるでしょ?」


「そーだけど…」


「はいはい。そんなしんみりしないの!」

ポンポン
美貴ちゃんはあたしの頭を優しく撫でてくれた。

なんで?



なんでそんなにあなたは優しいの?


「ほらっ!行くよ!」


「う、うん!」


きっとあなたがそんなに優しいから…




だから…





私はあなたを…



76 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 15:13

ふーっ。危ない危ない。こんこんにバレそうだったよ。でもなんでこんこんさはわかったんだろ?


〜生徒会室〜

ガチャ


「「失礼します。」」


「あっ!やっと来たか。ここに座って。」


「はい。」


「それじゃこれから自己紹介してもらうべ。もちろんなっちたちもするんだべ!」


「はーい。」







自己紹介をし終わったけど、美貴が知ってる1年生は隣りに座ってるこんこんとあやちゃんだけだった。上級生は飯田さん?以外はバスケ部やしゃべったことのある人だからだいたいはわかった。


「えーっと、本当は1年生の中で1年生代表を決めてほしいんだけど…」


「あえてこっちで決めたべさ!」

この人って天然なのかな??


「藤本さん!!あなたにやってもらうべさ!」


「は?いやいやあの美貴そんなの無理です。」


「なんで?」

なんでって…

「いやーその…」


「理由がないなら決定だべさー♪」

また美貴は無視ですか?この学校の人たち美貴を無視しすぎだよ…
やっぱ高校長譲り??


「それじゃあ解散!あっ藤本は残って。」

はっ?また美貴はなんか押し付けられるのかな…


「代表押し付けちゃってごめんね?」

「へっ?」


「いや、なっちって思いたつと止まらないからさ。ね?なっち。」


「うん…」

安倍さんと矢口さんって…


「ん?どーした?」


「2人は仲いいんですね。」


「な、なに言ってるんだよいきなり!」


「そんな気がしたんです。」


「そーだべか?」


「はい。」


「2人で勝手に話を進めるなー!!」


「いいじゃないですか。ねー安倍さん。」


「そーだべよ。」


「なんだよ…ったく。」


「あっそーだ!藤本は何部に入ったんだべか?」


「バスケ部ですけど…」


「まじで!?」


「こんなとこでウソつきませんよ!」


77 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 15:28

「おいらたちもバスケ部なんだよ。」


「え?そんなちっちゃ…」


「あーー!!それは禁句だべ!!」


「……。」


「あ、あのー矢口さん??」


「……。」


「おーーーい。」


「…ちっちゃい言うなー!!!」

パシッ!


「いてっ!すいません!!」


ピタッ

「わかればよし!」

わかればいいのかよ!!

「おいらたちはプレイヤーじゃなくてマネージャーなの。」


「へー。あっ!うちのクラスからもマネージャー2人入りましたよ。」


「まじ!?やったー!2人だとなかなか大変だったんだよ。」


「へー。」


「興味なさ気にするなよ!!」


「あーすいません。」


「でっ、藤本はどこのポジションなわけ?」


「素人です。」


「またまたー、藤本は冗談がうまいだべさ!」


「いや…本当ですよ?」


「だってさやかたち1軍に勝ったんでしょ?」


「ど素人ですって。」


「あーわかった!藤本は出てなかったんだね!」


「いや…」


「あーそうか!そうなんだべ?」

否定するのがめんどいし。まーいっか。


「はい…」


「そーか!まー1軍は無理かもだけどこれから練習に励むんだぞ!」


「はい。」


「じゃあまた明日ね!」


「さよーなら。」

なんか嵐のような2人だったよ…



78 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 16:26

〜教室〜

「美貴ちゃんおかえりー!!」


「ただいまー。」


「安倍さんと矢口さんなんだって?」


「んーたいしたことじゃなかったよ。」


「ならいいけど…」


「そーや!明日からさっそく練習やって!」


「ふーん。それよかさ、今日はもう遅いから帰んない?」


「そーやね!じゃあね!!」


「じゃーね!!」


「明日ねー!」×3



79 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 16:26


80 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 16:47

〜美貴宅〜

バスケ部に入ったからにはあいつ…吉澤ひとみを倒さなきゃ!!



でも……




美貴がもし勝ったとしても…




愛ちゃんは振り向く?




きっと愛ちゃんは…



それでもあいつのところにいく



慰めに…



ははっ、先が読めちゃってるよ。



そのときは



いさぎよく愛ちゃんとあいつを応援しよう。



愛ちゃんが幸せになれるように




幼なじみとして




ただ…




愛ちゃんだけの幸せを祈って



81 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 17:00

〜翌日〜

「おはよー!!」


「おはよ。」

美貴と愛ちゃんはいつものように学校に来た。
美貴の気持ちの変化以外はいつも通りに。


「今日から授業だよーー。」


「やだねー。」


「こんこんまで何言ってんの!」


「そうやよ!あさ美ちゃんはあーしらといっしょになっちゃいかんよ!」


「愛ちゃん、それ遠回しにバカって言ってるよ。」


「なっ!あーしは天才やもん!」


「愛ちゃんが天才だったらこんこんはどーなっちゃうのさ!」


「うっ…」


「「あははは!愛ちゃんバカだー!」」


「そこの2人も笑えないから!毎年テスト前に泣きついてくるのはだれかなー?」


「「うーっ」」


こんな話をしながらも初日の授業を無事に乗り越えた5人であった。


82 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 17:12

〜放課後〜

「部活始めるでー!!プレイヤーはみんなに混ざって練習。マネージャーは安倍と矢口に仕事を教えてもらう!わかったか?」


「はい!」


「そしたら行ってこい!」


よっし!ついに練習だーー。楽しみ♪


「あー、藤本!あんたは別メニューや。」


「へっ?」


「あんたは素人。せやから今からあっちゃんに基礎を叩き込んでもらう。」


「そんなー。」


「言い訳無用や!!」


「はい…」


「マネージャーがおらんと不便やろ。そしたら…安倍!ちょー来て!」


「はい!なんですか?」


「これから藤本が別メニューでやるねん。マネージャーおらんと不便やからあんたが付いたって。」


「はい。」


「よっしゃ。そしたら第2コートであっちゃんが待ってるから行ってこい!」


「はい!!」


「藤本さんよろしくね♪」


「よろしくお願いします。」


2人はあっちゃんこと稲葉あつこが待つ第2コートに向かった。


83 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 18:32

〜第2コート〜

安倍は驚いていた。藤本の体力、そしてなによりも才能に。


「まだまだやで!あと1000本打ち!」


「はい!」

スリーポイントシュートの練習で美貴は20本中1本の確率しか外していなかった。それにこの前の練習は1周1キロあるグランドを20走った後にドリブル30分間だった。

すごい体力だべ…

「また足と手のタイミングがあっとらん!」


「はい!」


「何度言ったらわかるんや!…」


「はい!」


どーしてここまでがんばれるんだろ?






「よっし。次はリバウンドの練習や!」


「はい!」


「リバウンドはスクリーンアウトが大事や!あとは飛ぶタイミング!」


「はい!」


「そしたらやるで!」


「はい!」


ダンッ!


ドサッ…


「こんな押しで倒れるな!ゴール下は戦場やねんで!!」


「はい。」








練習が終わったのはそれから2時間後だった。



84 名前:想い 投稿日:2004/12/23(木) 18:45

「お疲れ様!!」


「あっどーも。」


「藤本はなんでそんなにがんばるんだべか?」


「え?」


「普通はあんなにがんばれないよ。何か理由があるんだべ?」





「言いたくなかったらいいんだ!水入れてくるね!」


「安倍さんは…」


「ん?」


「安倍さんは逃げたことはありますか?」


「逃げた?」


「はい。美貴は…逃げてたんです。」


「何から?」


「自分からです。美貴は今やらなきゃいけないんです。今までずっと逃げてたから…」


「そっか…じゃあなっちもそれに付き合うべ!」


「え?」


「なっちは今藤本専属のマネージャーのようなもんっしょ?だからなっちもとことん付き合う!」


「安倍さん…」


「がんばるぞーー!!」





「美貴もがんばるぞーー!!」




このあと2人が仲良くなるのに時間はかからなかった。
しかし、互いに切なさへの一歩を踏み出したのも事実だった。




85 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/23(木) 19:52
面白いですね。ミキティ頑張れ〜
86 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/23(木) 20:54
konkonさん→あやや強しです!期待に答えられるような作品にしたいと思います。
七誌さん→今回から題名をつけることにしました!これからも読んでやってください。
名無しの読者さん→はじめまして!ワクワクと申します。これからもよろしくお願いします!
87 名前:それぞれ 投稿日:2004/12/23(木) 23:25

〜数日後〜

ピンポーン


「はい。どなたですか?」


「なっちだべさ!」


「あ、安倍さん!?ちょっと待ってください!」


ドタバタ…


ガシャン!


バタ!


「ど、どうしたんですか!?ってかなんで美貴の家知ってるんですか!?」


「遊びに来たべさ!矢口も隠れてないで挨拶は基本っしょ!」


「なんでバラしちゃうんだよ!せっかく驚かそうとしたのに。よっ!ミキティ!!」

あれから美貴は矢口さんにミキティと呼ばれるようになった。あやちゃんのみきたんよりだいぶマシだよね?


「あっどーも。汚いですけど上がってください。」


「じゃあ遠慮なくお邪魔しまーす!」

矢口さん、少しは遠慮してくださいよ。
美貴はとりあえずリビングに2人を案内した。美貴の部屋はさすがに入れられない。愛ちゃんの部屋が隣りってバレそうだしね。

「で?」


「でってなんだよ!」


「なんで急に来たのかな〜と思いまして。」


「なっちが急にミキティ宅に行きたいって…」


「わーー!!わーー!!」


「安倍さんなんで急に大声出すんですか!」


「だって矢口が…」


「だって本当のことじゃんか!」


「それは言っちゃダメって言ったべさ!」


「そーだっけ??」


「やーぐーちー!!」


「あーごめんごめん。」


「あの!2人で漫才しに来たんですか?」


「そーなんだよ。おいらたちこー見えてもコンビ組んでて…ってそんなわけないだろ!!」


「じゃあなんですか?」


「もーー!ミキティ鈍い!!」


「だってわけわかんないですもん。」


「なっちが遊びたい!!って言ってるの!」


「へー。じゃあ何して遊びます?」


「うーん、決めてない…」


「決めてないのかよ!」

矢口さんさっきからツッコミ冴えてるねー。






88 名前:それぞれ 投稿日:2004/12/23(木) 23:43

「じゃあこうしませんか?」





「結局こうなるのかよ!せっかくの休みなのに〜。」

美貴が提案したのは近くにある体育館でバスケをするというものであった。


「いいじゃないですか。ちょうどここに来る用意をしてるときに2人が来たんですから。」


「でも藤本は本当にバスケがんばるね!なっちもちゃんとついてかなきゃ。」


「へへっ///」


「あーー!今ミキティすっげー顔デレデレしてるー!!」


「なっ!してないですよ!!」


「してた!」


「してません!」


「してたじゃん!」


「してないですって!」


「こらっ!2人とも止めるべさ!!」


「「はーい。」」


それから3人はバスケをした。


「藤本はやる度にうまくなるねー!」


「まだまだですよ。」


「ほんっと!つーか1軍との試合出てないってあれウソだったんだろ?」


「あーはい。バッチリ出てました。」


「なんでおいらたちにウソついたんだよ!」


「だって2人があまりにも出てないって言うからじゃあ出てないでいっかって思いまして。」


「アホか!そこは否定しろよ!」


「まーいいじゃないですか。今は今ですから。ど素人には変わりないですし。」


「そーだべさ!藤本は今がんばってるからそれでいいっしょ!!」


「いいけどさ…」


「そろそろ帰りますか?」


「そーしよ!おいらもうくたくただよ!」



3人は帰ることにした。このあと起こる出来事も知らずに…



89 名前:それぞれ 投稿日:2004/12/24(金) 00:02

〜帰り道〜

「ミキティってさ、好きな人とかいんの?」 


「な、なに言ってるんですか!いないですよ!」

こりゃ図星か。


「言えよー!!」


「いないですって!安倍さん助けてくださいよー!」


「矢口ー!止めるだべさ!」


「なっちだっているじゃんか。なっちはミキティの好きな人に興味ないの?」


「…ないわけないっしょ。」


「じゃあ吐けー!ミキティ!!」


「まじでいませんってば!!」


「ウソ言ってもムダだって!おいらにはわかる!」


「だから!ウソじゃないですってば!」


「あっ!高橋とヨッスィーだ!でもなんか深刻そう…ここは隠れて観察するぞ!」


「や、矢口さんまずいですよ!」


「しーーっ!いいからいいから。」



美貴と安倍さんは仕方なく矢口の言う通りにした。


90 名前:それぞれ 投稿日:2004/12/24(金) 00:14

〜高橋と吉澤〜

「悪いね、呼び出しちゃって。」


「いえ、あーしもひまやったんで。」


「そっか。」


「はい。」







おいおい、2人とも無言になっちゃってるよ。


「あのさ…」


「はい!」


「高橋は好きな人とかいたりするの?」


「えっ///」


「いやー、いるのかなって思ってさ//」


「…います//」


「えっ?そっか…」


「はい///」


「あたしさ…その、なんて言うか…」


「はい…」


「えーっと、た、高橋が好きなんだ///」


「ふえっ!?」


「あーごめん。やっぱ迷惑だったよね…」


「あーしも…」


「えっ?」


「あーしもずっと吉澤さんが好きでした!」


「まじ?」


「まじです///」


「じゃあ…あたしと付き合ってくれる?先輩後輩としてじゃなく恋人同士で。」


「はい!///」








91 名前:それぞれ 投稿日:2004/12/24(金) 00:27

「すっげー告白場面見ちゃったね!おいら生で見たの初めてだよー!」


「……。」


「なっちもだべさ!まさかあの2人が好き同士だったなんてね!」


「……。」


「あーあ、明日からあの2人ラブラブなんだろーなー。おいらもラブラブしたーい!」


「……。」


「藤本?どーしたべか?」


「なんでもないです…」


「なんでもないことないしょ!さっきから一言も話してないし。」


「本当になんでもないですから。」


「でも…」


「すいません。用事思い出したんで帰ります。今日はありがとうございました。じゃあ…」


タッタッタッ


「なんだよーミキティのやつ!」


「……。」


「なっち!帰ろう!」


「あっ、うん…」



この出来事からそれぞれに変化が現れ始めたのだ。



92 名前:それぞれ 投稿日:2004/12/24(金) 00:39

「みきた〜ん!教科書貸して〜!!」


「……。」


「みきた〜ん?」


「……。」


「みきすけ?」


「……。」



「藤本美貴ーー!!」


「はい!!あっ、あやちゃんか。何?」


「何じゃなくて教科書貸りに来たんだよー!さっきから何回も呼んだのにみきたん気づいてくれないんだもん!!」


「あーごめん。はい教科書。」


「ありがとー!みきたん愛してるよ♪」

はっは。愛してるか…
愛ちゃんもきっと吉澤さんに向かって言ってるんだろーな。

1週間前のことがあってから美貴は混乱していた。というより明らかに落ちこんでいた。まさかこんなに早くことが進むとは思っていなかったのだ。


キーンコーンカーンコーン♪

美貴が考えている間にいつの間にか昼休みになっていた。


93 名前:それぞれ 投稿日:2004/12/24(金) 01:47

ガラッ!

「あっ!吉澤先輩だー!どーしたんですか?」


「ちょっと用事があってさ。藤本いる?」


「美貴ちゃーーん!吉澤先輩が呼んでるよ!」


「うん…」


「おー!藤本!ちょっといい?」


「はい。」

美貴は吉澤に連れられて屋上に来た。


「あのさ!」


「はい。」


「知ってるだろうけどあたし高橋と付き合ってんの。」


「はい。」


「でさ、高橋から聞いたんだけど幼なじみなんでしょ?」


「はい。」


「それだけ?」


「えっ?」


「だって高橋と会うといつも藤本の話ばっかなんだよ?部屋にいつも行ってるって言うし…」


「愛ちゃんとはただの幼なじみです。」


「でもさ、やっぱ恋人としては他のやつの部屋に行くってのは…」


「わかりました。」


「え?」


「美貴の部屋にはもう来ないようにさせます。」


「そっか。悪いね疑ったりして。」


「いえ。」


「ありがとー!んじあ頼むね!」


「はい…」



こうして美貴はツライ決断をした。




94 名前:決断 投稿日:2004/12/24(金) 10:19

〜放課後〜

「こらあ!あんた何やってっんねん!全然なっとらん!」


「すいません…」


「ここ1週間ずっとやろ!!あんたなんかあったんか!?」

美貴はここ1週間ずっと失敗ばかりしていた。バスケでも。そんな美貴を周り稲葉、安倍はいつもとの違いを目の当たりにしてとくに心配していた。そしてもちろん中澤、高橋も…


「なんでもないです…」


「なんでもないってあんたな〜」


「大丈夫ですから。」


「せやけどな。今のあんたはバスケに集中してへん。こんな状態でやってもなんも吸収できんのや!!」


「……。」


「わかったら今日は終わりや。みんなもそろそろ終わってるやろうし。」


「…はい。」


「藤本!お疲れ様。」


「あっありがとうございます…」


「どーしたべか?」


「え?」


「ここのところずーっと深刻な顔してるっしょ?なっちでよければ相談にのるよ?」


「なんでも…ないです。」


「でも顔が深刻…」


ニコッ


「美貴は大丈夫ですよ♪」


「ならいいけど…なんかあったらなっちに言うんだよ!!」


「ありがとうございます!」

美貴は無理に笑って見せた。安倍さんには心配をかけたくなかった。もちろん他の人たちにも…


だから…



心配されたらひたすら笑った。



95 名前:決断 投稿日:2004/12/24(金) 10:45

〜正門前〜

「あっこんこん…」


「美貴ちゃん!お疲れ様…」


「うん…」


あさ美もまた心配しているうちの1人だった。今日は美貴がとくにおかしいと感じたのでずっと美貴を待っていたのだ。


「いっしょに帰ろうと思って待ってたの。」


「そう…じゃあ帰ろうか。」


「うん!」


ーーーー


「美貴ちゃんどうしたの?」


「ん?」


「最近おかしいよ?とくに吉澤さんに呼び出されてから…」


「なんでもないよ。」


「美貴ちゃん!なんでもないわけないでしょ!!それとも私にも言えないこと!?」


「……。」


「美貴ちゃん!私ならなんとかしてあげられるかも…」


「ごめん…」


「え?」


「こんこんにも言えない。」


「……。」


「でも…美貴は大丈夫だから。」


まただ…。美貴ちゃんはいつも自分を強く見せる。


「でも!」


「美貴は大丈夫だよ。」

ニコッ



いつものツライことを隠すときの美貴ちゃんの笑顔。こんな風にさせるのは…


「たださ、これから愛ちゃんがツライ想いをするかもしれない。そのときは…こんこんがそばに居てあげて。」

やっぱり愛ちゃんなんだね…


「それは美貴ちゃんがやれば…」


「美貴には…もうできない。できなくなるから。だからこんこんよろしくね…」


「美貴ちゃん…?」


「ね?こんこん。」


「わかった…。」


「よし!じゃあまたね!!」


「あ…美貴ちゃん…」


タッタッタッ


美貴ちゃん…。あなたは何をしようとしてるの?なぜそんなに悩んでいるの?


私にできることがあるならなんでもするから…



だから…





もうこれ以上傷つかないで。



96 名前:決断 投稿日:2004/12/24(金) 12:37

〜美貴宅〜

「ただいま…」

あっそっか今日は裕ちゃん学校に泊まりで仕事片付けるって言ってたんだ…。
こんちゃんがわかってくれてよかった…。

美貴はとりあえず部屋に居ることにした。


ガチャ


「美貴ちゃーーん!おかえり♪」


「愛ちゃん…」


「ん?美貴ちゃんどっか痛いん?」


「え?」


「ほら!痛そうな顔してるから。」

愛ちゃん…



美貴のこと心配してくれたんだね。

「なんでもない。」


「でも…。」


ごめんね…


バタン!

「なっ!なんや…っう!」

美貴は愛を押し倒しそしてキスをした。


「ちょ……!」


美貴はさらに愛に深いキスをした。それは甘いのとはほど遠い切ないキスだった…


「いやや!!!」


「吉澤さんともしたんでしょ?だったら別にいいじゃん。」


バシッ!


「ヒック…っう…最低や。美貴…ちゃんなんてだいっ嫌い!!」


バタン!


バタバタ…



97 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/24(金) 13:22
内容的にはおもしろいとおもいますよ。
頑張ってください。
98 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/24(金) 14:24
うおお・・・愛ちゃ〜ん・・・ミキティ・・・。
こんこんもがんばれヨ・・・。
99 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/24(金) 18:04
名無飼育さん→ありがとうございます!読者様の言葉がワクワクにとって励みです!

七誌さん→クリスマスなのにかなりシリアスな場面に突入してしまいました(苦笑)これからもよろしくお願いします!
100 名前:決断 投稿日:2004/12/24(金) 18:17

「ごめんね・・・」

もう泣かせないって決めてたのに。


どんなかたちでも美貴の手で守るって決めたのに。



ははっ。



美貴がいちばん傷つけてるね。



でも・・・




愛ちゃんを幸せにする方法はこれしか思いつかなかったんだよ?




きっと美貴が来るなって言っても愛ちゃんは来るでしょ?



これでいいんだ・・・
これで愛ちゃんはきっと幸せになれる。
なのに・・・





なんでこんなに悲しいの?





美貴の想いが伝わらないから?



違う




いっしょにいれないから?





違う





じゃあなに?





きっと・・・








愛ちゃんを





大好きな愛ちゃんを







この手で傷つけて







[守れなかった]から





苦しい・・・






苦しいよ・・・








だれか






だれか助けて・・・




101 名前:決断 投稿日:2004/12/24(金) 18:34

ガチャ


「藤本ー?いる?」


この声・・・


「どーしたべさ!」


「あ・・・べ・・さん?」


「そーだべ!!」


「な・・ん・・で?」


「裕ちゃんが今日は帰れなくて藤本が心配だからって。だから今日はなっちがいるべさ!」

ニコッ


安倍さん・・・


「泣いていいよ?」


「えっ・・?」


「なっちには隠さなくていいから。」


「大丈夫で・・・」

ふわっ


「なっちがこーして抱きしめてれば見えないっしょ?だから泣いてもいいよ。」


大丈夫。美貴は悲しくなんかない。



なのに・・・



ポロッ



どーして?




どーして・・・






涙が出るの?






美貴が泣いてる?







涙もろくない美貴が?








そんなに悲しいの?







違う






悲しいけど


それより・・






怖い








愛ちゃんをこの手で手放したことが








まるで・・・








小さいころに宝物を無くしたときのように








どこにあるのか








どんなふうになったのか







全くわからない





そして





もう






もう二度と







戻ってこない





102 名前:決断 投稿日:2004/12/24(金) 23:47

「ヒック・・ありが・・と・・う・・」


「いいだべさ!なっちにもそういうときがあるから。」


いつもはあんまり頼りがいがなさそうだけど今日は安倍さんが来てくれてよかった・・・


「藤本?」


「はい・・?」


「もうこんなになるまで傷つかないでね。ツライときはいつでもなっちがいてあげるから!」


「安倍さん・・・」


「こんなときに言うことじゃないかもしれないけどなっちは・・」


「・・・」


「なっちはねなによりも藤本が大切だから・・・」


「だから1人で傷つかないで?」

このとき美貴には心に聞こえた。






[お前は誰かから大切に想われる資格はない。]と。




[お前は大切なものを自ら壊した]




うるさい・・・





[お前にはもう何ひとつ残らない]






わかってるよ。






[お前はサイテーな人間だ]






知ってるよ・・・





だから・・・







「美貴は安倍に大切に思われる資格はありません。」




安倍さんの言葉も受け止められない







「でもなっちは藤本が大切だから。」





[お前はサイテーなやつだ]




「もうほっといてよ・・・」


「え?」


「もうほっといてください。」


「でも・・・」


103 名前:決断 投稿日:2004/12/24(金) 23:57

安倍さんは愛ちゃんとはまた別に好きだけど



だからこそ・・・





「美貴は安倍さんが嫌いです。」




もうこれ以上人を傷つけたくない




美貴といるとみんな傷つく


「ウソだべ!なっちは・・・」


「美貴は安倍が大嫌いです。」




さようなら・・・



「そんな・・・」


「帰ってください」


それから安倍は無言のまま出て行った。





ははっ。





結局美貴はなにもできない





愛ちゃんの次は安倍さん





次は誰を傷つけるつもり?






美貴はもーやだよ。






みんな幸せになっていく






美貴を除いては・・・








もう美貴には・・







本当に







なにも残ってない



104 名前:決断 投稿日:2004/12/25(土) 00:26

残ってないんじゃない






美貴が捨てた







この手で・・・







全て・・・






そして







もう拾うこともなければ








見つけることもない








例え見つけたとしても








手に入らない






同じものはひとつもない






美貴に残ったのは







悲しいと自分への憎しみだけだった。




105 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/25(土) 01:12
ああ・・・リアルタイムで見ちゃった!
美貴ちゃん・・・ここで助けに来るのは・・・?
私は「あの人」であってほしいです。
106 名前:苦しみ 投稿日:2004/12/25(土) 10:34

〜翌日〜

あれから美貴は一睡もせずただ自分を責め続けた。

「もう朝か・・・」

いつもなら愛しい彼女がやってくる


でも・・・



もう来ない








[もう後悔しても遅い]


わかってる。


もう美貴は後悔することはきっとない





だってもう美貴に残されたのは[自分]だけだから






「学校・・・休もう」

今日だけはいいよね?
さすがの美貴でも今日は勘弁・・・





「ははっ。することなくなっちゃった・・・」








バスケ・・・








しようかな?




107 名前:苦しみ 投稿日:2004/12/25(土) 12:19

美貴にはひとつ残されたものがあった




それは・・・








バスケ







美貴は近くの体育館に向かった。



バスケをするために


108 名前:苦しみ 投稿日:2004/12/25(土) 14:18

ダムダム


バサッ




ダムダム



ドカッ


美貴はひたすらバスケをした。




まるで自分の苦しみをぶつけるように・・・




気づいたときには外が暗くなり始めていた




ガラッ




「藤本!!」



「・・・なんですか」


入ってきたのは昨日美貴が突き放したはずの安倍だった。


「なんですかじゃないべ!なにサボってるの!」


なんで?



なんで安倍さんがいるの?


「別に安倍さんには関係ないでしょ・・・」


「関係ないわけないしょ!!なっちは藤本のマネージャーなんだよ!それに心配してるのはなっちだけじゃないしんだよ!?」


「は?美貴は心配してくれなんて頼んでません。それに美貴を心配する人なんていませんから。」


美貴にはなにも残ってないんだから


「なっちがいるべ!それに・・・おいで?」


トコトコ


・・・


「美貴ちゃん・・・」

「みきたん!」





「こんこん・・それにあやちゃんも・・・」


「2人とも藤本のことが心配で・・・」



「ウソだ・・・」


「「「え?」」」


「ウソだ!!美貴はひどいやつなんだ!だから美貴にはもうなにも残ってないんだ!」


「美貴ちゃ・・・」


[お前はあの子を傷つけた]



[お前はサイテーだ]



「うるさい!!知ってるよ!美貴がサイテーなことくらい!」


「みきたん・・?」


[お前はまた人を傷つけるのか?]


「いやだ!!傷つくのは美貴だけで十分だ!!」


「ふじも・・!藤本!!」


109 名前:苦しみ 投稿日:2004/12/25(土) 14:30

「いやだ・・・いやだーーー!!」


「美貴ちゃん!!」


「美貴は・・・美貴は・・」


「みきたん!!」


みんなを傷つけたくないよ



「藤本!大丈夫!?」



なのに・・・






どーして美貴にかまうの?






美貴はサイテーなやつなんだよ?







昨日だって愛ちゃんや安倍さんを傷つけた






なのに・・・




「なっちがついてるべ!それに紺野や松浦も・・・」





戻ってきた








美貴を助けるために








あんなひどいことを言ったのに・・・





「なんで?なんで戻ってきたんですか・・・?」





美貴はひどいやつなのに







「藤本は・・・」




「藤本は本当は優しい子だから・・・」



110 名前:苦しみ 投稿日:2004/12/25(土) 14:42

「や・・さ・・しい?」



「そう。だからなっちも紺野も松浦も来た。」



「美貴は優しくなんか・・・」


「藤本は優しいべ!!」


安倍さん・・・


「倒れそうになったときになっちをかばってくれたっしょ?」


「みきたんは松浦にいっつも弱みをみせないから強いの。でもその強さは優しくないとできないよ・・・」


あやちゃん・・


「美貴ちゃんは・・・愛ちゃんをずっと支えてきた。どんなことがあっても・・。」


・・・


「だから美貴ちゃんはサイテーなんかじゃない!!」


こんこん・・・


「あ・・りがと・・」


美貴は3人に救われた。

しかしこのあとさらに美貴は苦しみを味わうことになる・・・


111 名前:苦しみ 投稿日:2004/12/25(土) 16:50

あれから美貴はクラスではこんこんと部活では安倍さんやあやちゃんといることが多くなった。


ダムダム


シュッ


「ナイスシュートだべ!」


「どーも。」


しかし前の美貴の表情は戻っていなかった・・



112 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/25(土) 17:50

七誌さん→七誌さんの希望通りになってましたか?なってなかったらごめんなさいm(_ _)m
そしてメリークリスマス!!
113 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/25(土) 18:30
更新乙ナリ。
おお、私の希望どうり!作者さまちゃいこーです!
美貴の表情はいつ戻るんでしょうか・・・。
コンコンたちに救われるんでしょうか。
ネタバレスマソ。
114 名前:星龍 投稿日:2004/12/25(土) 20:26
はじめまして。
更新お疲れ様です。
かなり面白いですね。
これからも頑張ってください。
115 名前:苦しみ 投稿日:2004/12/25(土) 23:19

ちょうど練習が終わったところに珍しく中澤がやって来た。

「藤本!あんたに紹介したい人がおるねん。今日は特別にコーチで来てもらったで!入って。」


ガチャ


「どーも、福田です。」


「私は石黒。」


「「よろしく!」」


「どーも。」


「あー!稲葉先輩お久しぶりです!」


「先輩?」


「この2人はなここハロ高のバスケ部やってん。そんであたしと裕ちゃんはこの子らの先輩っちゅーこっちゃ。」


「へー。」


「そしたら4人いることやし2人対藤本でやってみるか。うちらは交代ずつな。ええか?」


「はい。」


「そしたらまずはあたしと裕ちゃん対藤本や。」


「はい。」


キュッ


ダムダム


「まだまだすきがありすぎや!」


キュッ


「はい。」


ダムダム


シュッ


パサッ


美貴が見事に2人をかわしてシュートを決めた。


「よっし。なかなか上達したやないか!あっちゃんはどんな風にしこんだんや?」


「あたしはただ教えただけや。あとは藤本の努力のおかげや。」


「そーか。そしたら次は明日香と彩っぺ対藤本や。」


「はい。」


「悪いけど私たちは簡単に抜けないよ?ね、彩っぺ!」


「当たり前でしょ!っていうより簡単には抜かせない!」


「2人ともありゃマジやで。」


「そのほうが藤本にとってはええやろ。」


「まーな。」


「そしたら始め!」


ダムダム

美貴はまずドリブルをしながら相手の様子を伺った。


ダムダム

1人はピッタリマークでもう1人はカバーでゴール前には入れさせないか・・・


だったら・・・


ダムダム



「な!?」


116 名前:苦しみ 投稿日:2004/12/25(土) 23:44

美貴はそのままハーフラインより後ろに下がった。美貴をピッタリマークしていた福田もさすがにそこまで深追いはできなかった。


「明日香!前に来るだろうからゴールに戻って!!」


「う、うん!」


ダムダム




ピタッ



シュッ


「「え?」」

美貴は石黒と福田の予想に反して今下がった位置から直接シュートを狙った。




パサッ


ダムダム・・・


「「えーーーー!!」」


美貴のシュートはキレイな弧を描いてゴールに吸い込まれた。


「そこまで!この勝負藤本の勝ちや。」


ここで4人は休憩をとり、美貴は自主練を始めた。


「どーや藤本は?」


「すごいよ・・・あの子。ね彩っぺ。」


「そーね。状況判断がいいし、なによりセンスがある。」


「うん。しかもあの距離からのシュートは考えられないよ。」


ガチャ

中澤と入れ替えに水を入れに行っていた安倍と様子を見に来た松浦がちょうど入ってきた。


「ん?あーーーー!!」


「どーしたんだべか?ってあーーーー!あなたたちは!ハロ高出身で現全日本チームのガード福田さんとセンターの石黒さん!なんで全日本チームのエース2人がここにいるんですか!?」


そう、なんと美貴が今戦った2人は全日本チームのエースだったのだ。

「ちょっと用があってね。」

「じゃあ私たちはそろそろ帰ります。」


「おお。わざわざ足運ばせてすまんかったな。」


「中澤さんの頼みだったら喜んで来ますよ!ね明日香!」


「うん!」


「それじゃ失礼します。」

ペコッ



これがきっかけで美貴の人生は大きく動こうとしていた。


117 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/25(土) 23:53

七誌さん→ちゃいこーなんてそんな(照)
ワクワクはまだまだ未熟者でございます。


星龍さん→はじめまして!!このような駄文を面白いと言ってくださってありがとうございます。よければ今後も見守ってやってくださいm(_ _)m
118 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/26(日) 13:53

あれから美貴は必死で練習していた。
まるで自分の罪を償うかのように・・・


ダムダム


キュッ


パサッ


「よっしゃ。今日はここまでや!あたしは用があるから先に帰るわ。」


「ありがとうございました。」


「ん。気ぃつけて帰りや!!」


「はい。」


「藤本ー!お疲れ様!はい、タオル。」


「どーも。」


「藤本は本当にやるたびうまくなってるべさ!」


「そんなことありませんよ。」

藤本は以前と比べだいぶ口数が増えてきた。
でも・・・


やっぱりまだ自分は大きな罪を犯したと思ってる。なっちは助けてあげたいよ?
でもなっちにできるのはそばにいてあげることぐらいなんだよね・・・


安倍はどうにかして美貴に立ち直って欲しかった。しかしそれができるのは自分ではないということに気づいていたのだ。

ガラッ!


安倍がいろいろ考えているうちにものすごい顔つきで吉澤が入って来た。

「藤本!!あんた高橋に何したんだよ!!」

吉澤は美貴の胸元を掴んで怒鳴った。


「なにってなんですか?」


「とぼけるな!!高橋が毎日泣いてんだよ!」


愛ちゃんが毎日泣いてる??


「どーなんだよ!!」


ガラッ!

「吉澤さん!止めてください!!」

吉澤を追いかけてきた高橋が止めに入ろうとした。

「そんなに知りたいなら教えてあげますよ。美貴は愛ちゃんを押し倒してキスしました。」


「な!?」


「別にいいでしょ?減るものじゃないし。ただの遊びですから。」

本当は遊びなんかじゃない・・


「本当か・・・?」


「ウソなんてつきませんよ。」


119 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/26(日) 14:11

「・・・。」


ドカッ!


「てめーふざけんなよ!!減るもんじゃない?高橋の気持ち踏みにじってるんじゃねーよ!!」


「止めるべさ!」


「吉澤さん!止めてください!」


ドカッ!

美貴が殴られて愛ちゃんがこいつと幸せになれるなら殴られてもいいよ?

「・・・」


「てめー!!」


「吉澤さん!!!」


ピタッ


あれ?止まった?


「もう止めてください!あーしこんなサイテーな人に何もされてませんから!」


「高橋・・・」


「あーしこんな人知り合いだとも思ってません。ただの[他人]です。」


ただの他人・・・


「だから行きましょ。時間の無駄ですよ。」

ガラッ

高橋は吉澤の腕を掴んでいっしょに出て行った。

「藤本!大丈夫だべか!?」


サイテーな人・・・


プチッ


このとき美貴の中で何かが切れる音がした。


「藤本?」


『大丈夫です。』


「藤本ってば!」


『大丈夫ですって』


「・・・藤本なっちのこと呼んでみて?」


『安倍さん?』


「・・・声」


『え?』


「声が出てない・・・藤本の。」


『まさか・・・ウソでしょ?』


「・・・とりあえず裕ちゃんに言って車で病院行こう?」


『・・・』


「ねっ?」


コクッ

美貴は縦に首をふり、病院に向かった。


120 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/27(月) 02:06

〜病院〜

「先生!美貴はどーなんですか!」

美貴はひとひと通りの検査を終え結果を聞くために中澤、安倍と診察室に来ていた。

「藤本さんの症状はストレスとショックによる一時的なものなので命に別状はありません。」


「よかった・・・藤本は治るんですよね?」


「それはなんとも言えません。一時的といってもこれは精神的なものなので一時的がずっと続いてしまう場合もあります。」


「そんな・・・」


『・・・』


ガタッ

美貴は急に立ち上がって診察室を出て行った。


「藤本!」

そんな美貴が心配で安倍もあとを追いかけて診察室から出て行った。


「すいません。あの子も多分つらいんです。」


「いえ。無理もありませんよ。」


「ホンマすいません。」

中澤も内心はとても不安だった。
美貴はどーしてこんなことになったのか。
何に対してショックを受けたのか。
なぜいちばん近い自分がそのことに気づかなかったのか・・・


121 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/27(月) 11:07
ああ・・・話がどんどん重いほうへ・・・。
ここで救世主のこんこんアンドまっつーの登場か!?
う〜ん・・・なっちにもがんばってもらいたい。
122 名前:星龍 投稿日:2004/12/27(月) 11:58
大変なことに・・・。
この話すごい好きです。
作者さん頑張ってください。
123 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/27(月) 16:36

〜廊下〜

「藤本!待ってってば!」


ピタッ


「どーしたの?いきなり出て行ったからびっくりしたべさ。」


『・・・』

声をなくして辛い?


ううん。

だって・・・



美貴にはもう失うものなんてない



だから声なんてあってもなくてもどっちでもいい


むしろ声なんてないほうがいい



だって・・・



誰かと話さなくてすむから



どっちでもいいのに医者の話聞いても無駄でしょ?


だから美貴は出てきた。



それから美貴と安倍はひと足先に家路についた。


124 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/28(火) 00:47

〜翌日〜

昨日の夜美貴の携帯に一通のメールが届いた。内容は・・・


「明日の朝の7時30分に生徒会室に来て。話したいことがあるから。
安倍」


というものだった。


そして美貴は今生徒会室に着いたところだった。


「あっ!藤本おはよう!」


ペコッ

『おはようございます。』

とメモに書いて挨拶をした。


「あのね、今日呼び出したのは藤本の声のことなんだけどやっぱり紺野と松浦には言ったほうがいいと思うの。」

美貴は安倍さんに声が出ないことはだれにも言わないと昨日言っていたのだ。


美貴は横に首を振った。


もうこんこんやあやちゃんに心配はかけたくない。もちろん安倍さんにも。


「でもクラスでフォローしてくれる子がいないとみんなにばれちゃうっしょ?部活でもプレイヤーで仲のいい松浦にも伝えるべきだと思う。なっちももちろんフォローすけけどなっちがいなかったときに困るっしょ?」


美貴はメモにこう書いた。

『わかりました・・・』


「よし!じゃあ昼休みにもう一回ここ集合ね!」

『はい。』


安倍はできるだけ明るく振る舞った。
美貴も自分も落ち込まないように



125 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/28(火) 01:03
ミキティ頑張れぇぇぇ!!
愛ちゃんを諦めるなぁぁぁ!!!
126 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/28(火) 17:03

〜昼休み〜

美貴と安倍さんはこんこんとあやちゃんが来るのを待っていた。


コンコン

「「失礼します。」」


「呼び出して悪いね。ここに座って。」


「はい。で私と松浦に話ってなんですか?」


「うんとね・・・」

トントン

『美貴が自分で話します。』

美貴は安倍さんにメモを見せた。
すると安倍さんは頷いて美貴をみた。

美貴は必死に作った笑顔で安倍さんを見た。
心の中で大丈夫です。と答えながら


そして美貴はメモにこう書いて2人に見せた。

『美貴は声が出なくなった。』と


「え?みきたんウソでしょ?昨日まで普通に話してたじゃん!」

美貴は横に首を振った。


「ウソだよ!いつもみたいにあやちゃんって呼んでよ!」


美貴はしばらくうつむいていたが間もなく顔を上げ口を動かした。


『あやちゃん』と

しかし声がでるはずもなくただ口が動いているだけだった。


「そんな・・・」


「このことはみんなに言ったの?」

美貴の顔を見ていたこんこんがふいに質問してきた。

『美貴はみんなに言わない。だけどこれから生活するなかでばれちゃうかもしれない。そのときに2人にフォローしてもらって隠したい。もちろん嫌だったらいいんだけど。』
と書いたメモを2人に差し出した。


「「・・・」」

2人はしばらく無言だった。


『やっぱりヤダよね。ごめんなかったことにして。』
と書いて渡そうとした瞬間・・・


「わかった。私は美貴ちゃんに協力する。」

こんこん・・・


「あたしもそれが美貴のためならやるよ!」

あやちゃん・・・


美貴は心から嬉しかった。だからメモではなく口で




『ありがとう』

と何度も言った。


127 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/28(火) 17:56

それから美貴たちは生徒会室を出た。だけど安倍さんは生徒会の仕事があるからと言って生徒会室に残った。


美貴は気付いていた。
安倍が寂しそうな笑顔をしたことに


『ごめん。先に行ってて。用事思い出した。』
美貴はメモを2人に見せた。

「じゃああたしたちは先に行ってるね。」


コクッ


美貴はそのまま回れ右をして生徒会室へ戻った。


128 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/28(火) 18:17

ガチャ


「ヒック・・・うっ・・・」


やっぱり・・・


「ヒック・・・」


安倍さん、泣かないで?美貴は安倍さんの泣き顔は見たくないよ。



「え?ふ、藤本!?」


美貴は安倍さんがわかるように口をゆっくり動かした。



『泣かないで』


「ヒック・・・どーして?」


『・・・』


「どーして藤本ばっかりなの?なんで藤本ばっかりが辛い思いしなきゃいけないの?」


ふわっ


美貴はたまらず安倍を抱きしめた。


このままだと安倍さんが遠くに行っちゃう気がして


「どーして?どーしてなっちじゃないの?なっちの声が出なくなればよかったのに・・・」


『そんなこと言わないでください』


「だってなっちはもう藤本に辛い思いさせたくないよ・・・」


『美貴は辛くありません。』


「え?」


『安倍さんがいるから。』


「でも・・」


『安倍さんの声・・・聞けなくなると美貴がイヤなんです』


「藤本・・・」


『だからそんな悲しいこと言わないで』


「・・・」


『美貴は安倍さんが大好きだから』


「ヒック・・ありがとう」



それから安倍さんは美貴の胸でしばらく泣いた。


美貴は自分のせいでこんなに辛い思いをしている人がいることにはじめまして気付いた。



美貴は安倍さんに守られた。




今度は美貴が安倍さんを守る。




美貴はひそかに心の中で誓った。


129 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/29(水) 00:44
美貴となっちを救ってあげてください
130 名前:星龍 投稿日:2004/12/29(水) 09:21
自分も↑の「七誌さん」さんと同じ意見です。
是非藤本さんと安倍さんを幸せにしてあげて下さい。
131 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/29(水) 16:53

みなさんスレ返し遅れてすいませんm(_ _)m


七誌さん→2人の関係は・・・ネタバレになるので言えません(笑)
ご期待ください!


星龍さん→徐々に2人も・・・ですとは言いかねます(笑)


いつも感想ありがとうございます!

132 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/29(水) 17:09

あれから美貴は極力みんなに心配をかけないようにしていた。


今日は後日行われる夏の全国大会予選のスタメンを決める。


「みきたーん!!おはよ♪」


ガシッ

あやちゃんはいつものように美貴に抱きついてきた。


『おはよう』


「今日はスタメン決めだね!!」


コクン


「あたし入れるかな〜?」


『あやちゃんは入れると思うよ。美貴はわかんないけど』


「弱気なみきたん発見♪」


『だって美貴まだ始めて2ヶ月だし。』


「みきたんなら大丈夫!このまつーらが保証します♪」


『あやちゃんに保証されてもねー』


「何をーー!?」


『ごめん。ウソです。入れるようにがんばります』


「そーこなくっちゃ!じゃああたしクラスに戻るね!バイバーイ♪」


「あやちゃん朝から元気だね!」


こんこんが後ろから話しかけてきた。


コクッ


「今日はスタメン決めだからテンション高いんだね!」


コクッ

『美貴には関係ないんだけどね』


「なんで?私は美貴ちゃんも入ると思うよ!」


こんこんは本当に優しいね。


『ありがとう』


こうしてスタメン発表の時間が刻々と迫っていった。


133 名前:第2の苦しみ 投稿日:2004/12/29(水) 17:18

あれから美貴は極力みんなに心配をかけないようにしていた。


今日は後日行われる夏の全国大会予選のスタメンを決める。


「みきたーん!!おはよ♪」


ガシッ

あやちゃんはいつものように美貴に抱きついてきた。


『おはよう』


「今日はスタメン決めだね!!」


コクン


「あたし入れるかな〜?」


『あやちゃんは入れると思うよ。美貴はわかんないけど』


「弱気なみきたん発見♪」


『だって美貴まだ始めて2ヶ月だし。』


「みきたんなら大丈夫!このまつーらが保証します♪」


『あやちゃんに保証されてもねー』


「何をーー!?」


『ごめん。ウソです。入れるようにがんばります』


「そーこなくっちゃ!じゃああたしクラスに戻るね!バイバーイ♪」


「あやちゃん朝から元気だね!」


こんこんが後ろから話しかけてきた。


コクッ


「今日はスタメン決めだからテンション高いんだね!」


コクッ

『美貴には関係ないんだけどね』


「なんで?私は美貴ちゃんも入ると思うよ!」


こんこんは本当に優しいね。


『ありがとう』


こうしてスタメン発表の時間が刻々と迫っていった。


134 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/29(水) 17:19
133・132がダブってしまいました。
すいませんm(_ _)m
135 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/29(水) 17:40

〜放課後〜

ザワザワ

監督の裕ちゃん、コーチの稲葉先生が来るまでは全員騒がしかった。


ガチャ

「待たせたなー!!」


シーン


裕ちゃんが入って来た途端に今まで騒々しさがいっきに静寂と化した。


「そしたらみんなわかってると思うけどスタメン発表するで!」


「はい!」


「まずは背番号や。呼ばれたやつはあっちゃんからユニフォームもらってってな。」


「はい!」


「4番キャプテン3年市井。」


「はい!」


「5番、副キャプテン3年ミカ!」


「はい!」


「6番2年柴田!」


「はい。」


「7番2年石川。」


「は〜い。」


「8番2年後藤!」


「んあー。」


「9番2年・・・吉澤!」


「・・・はい。」


「ええーーーー!?」


「なんやみんなして。」


「なんでってヨッスィーはエースナンバーじゃないんですか!?」
と石川。


「あーしもそう思います!!なんでなんですか!」
と高橋。


「それは・・・」


「それは?」


「他にエースを任せたいやつがおるからや!!」


「だれですか!?この中にヨッスィーよりすごい人がいるんですか?」


「まー落ち着きぃや石川。」


「落ち着いていられませんよ!!」


「しゃーないなー。今回の10番は・・・」



136 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/29(水) 17:57


「1年藤本!あんたや!」


『・・・』



「ええーーーー!?」


「またかいな!あんたら驚き過ぎや。」


「だって・・・いくらうまいからって藤本はまだ始めて2ヶ月なんですよ!?」
と柴田。


「だってもくそもあらへん。あたしは実力主義や。今回も実力でつけた。そしたらこうなっただけや。」


「でも・・・」


「あんたらなんか勘違いしてへんか?ここはあくまでハロ高や。実力が上のもんが変わるなんてよくあることや。それにこれは固定やないねんで?今後の出来でまた番号も変わる。わかったか?」


「・・・はい。」


「そしたら発表の続きや。11番1年里田。」


「はい!」


「12番1年松浦」


「は〜い!」


「13番1年あさみ。」


「はい。」


「14番1年辻。」


「はいれす。」


「15番1年新垣!」


「はい!」


「以上12名や。あんたらは今はユニフォームを持ってる。やけどこれからあんたら以外のやつらの中で使おうと思ったやつがおったら即交代や!それがいややったら死ぬ気でやれ!!」


「はい!」


「今回漏れたやつらも機会があるんや。あんたらもこいつらを追い抜くくらいに必死でやり!」


「はい!」



「よっしゃええ返事や。スタメンは本番直前に決めるそれまできばりやー!!」


「はい!」



ハロ高バスケ部の夢の舞台への挑戦が始まろうとしていた。


137 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/29(水) 21:30
わぁ〜リアルタイムだぁ〜!
藤本さんすげえですね〜。松浦さんもなかなかすご・・・。
そういえばこんこんはマネージャーでしたね。
>>130星龍さん
同意してくれてどうもですm(__)m
これからも一緒に楽しみましょう!
138 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/29(水) 22:16

〜予選当日〜

「ついに予選だべさー!!」


「そうですね。楽しみですよね!」


「うん!うちの高校が今年はどこまで行けるかってのもだけどなにより藤本がエースってのがなっちは嬉しいよ!!」


「あたしのことも気にしてくださいよ〜!!」


「松浦にも期待してるべさ!!」


美貴は安倍さん、こんこん、あやちゃんと待ち合わせをして会場がある駅まで来ていた。


「美貴ちゃんもあやちゃんもがんばってね!」


『試合に出られるかわかんないけどやれるだけのことはやるよ。』


「藤本は本当に強い子だーー!!」


「なっち、駅で叫ぶと怪しいからやめたほうがいいよ?」


みんなが振り返るとそこには矢口さんがいた。


「あー!矢口さんおはよーございます♪」


「おはようございます!」

ペコッ
美貴は頭だけを下げた。実は矢口さんは美貴が声出せないってことを知らないんだ。


「おっす!ミキティ今日の調子はどーなの?」


「や、矢口!!」

安倍さんやこんこんそれにあやちゃんも矢口さんが美貴に話しかけたことにすごく焦ってる。
でも・・・


バッ!


美貴はピースサインをした。


「おーー!!絶好調じゃん!!」


ニコッ


美貴は笑った。矢口さんにはそーですという思いを込めて。
後ろで胸をなでおろしている3人には大丈夫と言うかのように。


「したら会場に行こう!」


「そーだね!」


「「はい!!」」



139 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/29(水) 22:32
すごいですね作者さま、一日に2回も更新だなんて・・・。
カキコしたばっかですがまたさせていただきました。
それにしても矢口さん・・・し、心臓に悪いです・・・。
でも美貴ちゃんは乗り越えましたね。
でも・・・あの時になったらどうするんでしょう・・・・?
140 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/29(水) 22:40

「去年のハロ高はどこまでいったんですか?」

歩いてる途中にこんこんが矢口さんに聞いた。


「そっか、紺野は藤本と一緒でバスケに関わってなかったんだっけ?」


「はい。」


「去年はね、おいらたちハロ高は全国ベスト4までいったんだけどそのときの優勝校と当たって負けちゃったんだよ。あれは惜しかったなー。ね?なっち。」


「うん。なっちもあのときは本当に優勝できると思ったよ。」


『・・・』


「ハロ高バスケ部ってそんなに強いんですか!?」


「うん。一応全日本にもハロ高出身者は多いんだよ?紺野はもしかして知らなかった?」


「はい・・・。」


「そっか。でもさ、おいらたちは昔よりも今を大事にしなきゃいけない。過去の栄光に浸るんじゃなくて今を必死でがんばる!だから紺野はこれからをがんばればいいんだよ!」


「はい!!私、これからがんばってナンバー1マネージャーになります!!」


「おっ!いいね〜♪でもおいらがすでにナンバー1だから紺野はナンバー2ね!」


「矢口!何を言ってるべか!ナンバー1はなっちだべさ!!」


「えー!おいらだよ!」


「なっちだべさ!」


「おいらだって!」


「なっちに決まってるっしょ!!」


「おいら!!」


「なっち!!」


「何をーー!?」


「やるべかーー!?」


『・・・』


「あの・・・」


「「何!?」」


「私がナンバー1です!!」


「「それはない!」」


ワアワアーー!!


ナンバー1マネージャーはだれか争ってるあいだに会場に着いた。



141 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/29(水) 22:53

〜会場〜

「全員おるかー!?」


「はい!」


「そしたら中に入るで!入ったら各自ユニフォームに着替えて。それから試合は第2試合やから準備もしといて!あとはベンチに入っとるやつらはアップしといて。」


「はい!」

こうして美貴たちは会場入りした。
でもまさかベスト4までいったとは・・・


美貴がエースでいいのかな?



ーーーーーーーーーー



美貴たちは着替えてを終えた。準備はベンチに入っていない人がやる。そしてベンチ入りした美貴たちはアップを始めた。


「今日のスタメンだれなんだろーね!」
市井さんが言ってるのが聞こえた。美貴には関係ないことだけどね・・


「んあー。ごとー出たいな。」


「ごっちん!それは誰でもそうだから!」
さすが柴田さん。ツッコミもしかっかりしてる。


「ちゃんとアップしとるかー?」

稲葉先生がやって来た。


「はい!!」


「そしたらパスとドリブルやって!」


「はい!」


「藤本!あんたはこっち来て!!」


『??』


「ちょっと話があんねん。」


コクッ


142 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/29(水) 22:59

再び間違えて題名を入れ忘れてしまいました。
141は「夢の舞台」です!

七誌さん→連続カキコありがとうございます!
ワクワクはこんな駄文でも読んでくださる読者さまの方々に早く読んでいただきたいので更新を早めに心がけております。しかし早すぎて内容が行き詰まってしまうことがあるので少量更新しか出来ませんがお許しくださいm(_ _)m
143 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/29(水) 23:28

「藤本、あんた緊張してるか?」


フルフル

美貴は首を横に振った。美貴の声のことは安倍さん、こんこん、あやちゃんそれから先生たちはみんな知ってる。さすがに先生に言わないのは無理だからね。


「そーか・・。あんたは自分がなんでエースなったんやろって思ってるやろ?やけどなあんたにはそれだけの力があんねん。迷ったときは自分の思った通りにやればええ。わかったか?」


コクッ


「よっしゃ。そしたら戻ってみんなに合流し。」


コクッ


パタパタパタ


「期待してるでエース(ボソッ)」


ーーーーーーーーーー

パタパタパタ

「あー!みきたん遅いよ!!」

美貴は両手を合わせてごめんというポーズをとった。


「んもー!ほら、パスしよう!!」


コクッ


シュッ


シュッ


自分の思った通りにか・・・


美貴にはそんな力ないかもしれない



でも・・・



稲葉先生が教えてくれたことは絶対無駄にしない


美貴は空を見上げた。




今なら美貴はがんばれるよね?




いや、例えがんばれなくてもやるんだ!!




美貴のためにも支えてくれた人のためにも



144 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/30(木) 00:24

ワァーーー!!


「ん?第1試合が終わったみたいやな。」

美貴が戻って少ししてから裕ちゃんと稲葉先生もみんなに合流した。


「裕ちゃん!そろそろスタメン発表したほうがええんちゃう?」


「そやな。矢口、みんなを集めて!」


「はい!みんなー集合!!」


「はい!」


「えーとあたしらハロ高の相手は港山高や。去年は予選4位やった。力はうちのほうが上や!けどな油断したらあかんで!」


「はい!」


「そしたらスタメンを発表する!」


「はい!」


「ガード6番柴田!」


「はい。」


「シューター7番石川!」


「はい!」


「センター9番吉澤!」


「はい。」


「フォワード1人目は12番松浦!」


「はい!」


「もう1人は辻!」


「はいれす。」


「以上5名や。自分らの力を見せつけやれ!」


「はい!」×5


「そしたら各自体冷えんように待機しといて。」


「はい!」


ーーーーーーーーーー

「しっかし裕ちゃんも思いきったことしたなー!」


「なにがや?」


「あたしもまさか市井と後藤を外すとは思わんかったわ!」


「あいつらにはなこの後よーさんやってもらわなあかんことがあるやろ?そやから今は余計な動きは避けたんや。」


「ああ!だからか。あいつらにあれは出来るんかな?」


「あいつらやったらできるやろ。やってもらわなあかんねん!」


「そーやな!もし出来たとしたらかつてのどのハロ高チームを上回るやろな。」


「そうやな。しかしあの子がおらんと成り立たん。あっちゃんの指導のおかげや!」


「いや、あの子はもとから才能があった。それにあの子は誰よりも努力家や。あたしの指導は関係あらへんよ。」


中澤と稲葉はかつてのハロ高のどのチームをも上回ろうとしている今のチームに期待していた。


145 名前:星龍 投稿日:2004/12/30(木) 01:36
更新お疲れ様です。
いよいよ始まりましたね。
すごくこの先が楽しみです。
作者さんのペースで頑張ってください。
146 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/30(木) 17:17

星龍さん→ありがとうございます。ワクワクは読者のみなさまのためにがんばります!
147 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/30(木) 17:42

〜試合〜

「それではこれからハロー高校対港山高校の試合を始めます。両校ともフェアプレーで!」


「お願いします!」


ピピッーー


ついにハロ高の夢をかけた戦いが始まった。


ジャンプボールは吉澤さん。相手は吉澤さんより少し背が高い。
だけど・・・


「よっしゃー!!ヨッスィーナイス!」

隣りで矢口さんが叫んでる。やっぱりね。あいつが負けるわけないじゃん


ダムダム


「辻ちゃん!先制点だよ!」

柴田さんは辻ちゃんにパスを出した。


「わかったのれす!」


シュッ


パサッ・・


「ののナイスだよ!!」

石川さんと辻ちゃんがハイタッチをした。

美貴も出たいな・・・


それから美貴は出てないけどこの地区のトップクラスのハロ高が押されるわけもなく順調に点を重ねていった。とくに目立っていたのは・・・


あやちゃんと



吉澤さん


2人はハロ高の中でもずば抜けてる。これはさすがの美貴でも知ってた。


それと



柴田さん


あの人は自分から点を稼ぐタイプじゃないから今まで気づかなかったけど人を動かすのがうまい。
というより



その人が引っ張られるようなパスを出してる。それでいてカバーも忘れない。影の仕事だけどこれはこれで実は大変。



次に石川さん


いつもは高い声で自分をかわいいとしか言ってないイメージしかないけど本当はすごい努力家。
それにメンタル面でもみんなを支えてる。



最後に辻ちゃん。


少しってかかなり子どもな部分があるけどどんなときでも明るさを忘れない。それに相手のディフェンスを抜くのがうまい。


やっぱりハロ高は強いと改めて実感した。



148 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/30(木) 17:57

美貴が考えているあいだに30対14という点差で相手チームのタイムになっていた。


「よっしゃ。ええ感じや!このままリズムを崩さずにいけ!守りに入るなよ!攻めて攻めて攻めまくれ!!」


「はい!」


ピピッー


「よっしゃ!いってこい!」


「はい!」


『・・・』


「うちの高校すごいっしょ?」

安倍さんが話しかけてきた。


コクッ


「だしょ!!なっちはね、この学校のプレースタイルが好きだから入学してマネージャーになったんだ。」

安倍さんは語りながらも笑顔だった。

そして美貴たちは無言で試合を見守った。


試合は吉澤さん、あやちゃんが活躍して点を稼いでいった。とくに吉澤さん。いつもより点にこだわってる気がした。


ピピッーー


いつの間にか試合は終わっていた。
スコアは67対31でハロ高の夏予選の初勝利だった。


149 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/30(木) 17:58

美貴が考えているあいだに30対14という点差で相手チームのタイムになっていた。


「よっしゃ。ええ感じや!このままリズムを崩さずにいけ!守りに入るなよ!攻めて攻めて攻めまくれ!!」


「はい!」


ピピッー


「よっしゃ!いってこい!」


「はい!」


『・・・』


「うちの高校すごいっしょ?」

安倍さんが話しかけてきた。


コクッ


「だしょ!!なっちはね、この学校のプレースタイルが好きだから入学してマネージャーになったんだ。」

安倍さんは語りながらも笑顔だった。

そして美貴たちは無言で試合を見守った。


試合は吉澤さん、あやちゃんが活躍して点を稼いでいった。とくに吉澤さん。いつもより点にこだわってる気がした。


ピピッーー


いつの間にか試合は終わっていた。
スコアは67対31でハロ高の夏予選の初勝利だった。


150 名前:ワクワク 投稿日:2004/12/30(木) 18:00
また148と149がかぶってしまいました。毎回すいません!
151 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/30(木) 18:20
更新乙ナリですよ〜^^
連続更新感謝です!最近は放置する作者さまが多いので嬉しいです!
少しずつで全然OKですんで更新がんばってください!
ハロ高ファイト〜^-^/
152 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/30(木) 18:27

〜試合後〜

「お疲れさん。とりあえずええ滑り出しやった!」


「はい!」


「次の試合は2試合はさんだ後や。それまで各自体休めるなり試合見るなりしといて。」


「はい!」


「そしたら解散!」


ザワザワ


「みきたーん!!あたしがんばったよ!」


コクッ

トコトコ

あやちゃんと会話をしていたら1人の人がこっちに向かって歩いてきた。


吉澤さん・・・


「ボソッ」


『・・・』


「ん?みきたんどーしたの?」


「エースは渡さない。」

吉澤さんは通り過ぎるときに確かにこう言った。そしてそのまま美貴の後ろにいた愛ちゃんのところに行ってしまった。


「みきたーん?おーいってば!」


美貴はあやちゃんに呼ばれていることに気づいてごめんというポーズをした。


「どーしたの?なんかあった?」


フルフル

美貴は横に首を振った。

「そ?ならいいけどね♪」


美貴はもう人に心配をかけちゃいけない。


とくに安倍さん、こんこん、あやちゃんには


美貴といつもの3人プラス矢口さんは次の試合まで他のチームの試合を見ることにした。


153 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/30(木) 18:55

「さーてとどこの試合見るべか?」


「んーやっぱ去年予選の決勝で当たった向ヶ丘高の試合がいいんじゃない?ちょうど今やってるみたいだし。」


「じゃあそうするべか!紺野と藤本と松浦もそれでいい?」


「「はい!!」」

コクッ


こうして美貴たちは去年予選の決勝で当たったらしい向ヶ丘高の試合を見ることになった。


ピピッー

バッ!
ジャンプボール。勝ったのは向ヶ丘高の選手。


「んーやっぱり去年のメンバーが全員残ってるね。」


「そーなんですか?」

こんこんが聞いた。


「うん。去年は全員おいらたちと同じ2年だったからね。」


「じゃあ去年は楽に勝てたんですか?」


「それがそーでもなかったんだよね。むこうがミスしてくれたんだけど62対56でギリギリだった。」


「え!?それじゃあ・・」


「そ!紺野の予想通りそのメンバーで今年もきてる。だからおいらたちハロ高は去年のままだとおそらく負けるね。」


「そんな・・・」

『・・・』


「でも!今年は去年のままのハロ高じゃない!なんてたってこのまつーらがいますから♪」


「うん!松浦の言う通り今年は大型新人が何人も入ったし、去年レギュラーだった子たちも成長してる。だからおいらは心配してないよ!」


「そ、そーですよね!」


「そーだべ!それになっちたちマネージャーが弱気になっちゃダメだよ!」


「はい!!」


会話をしているうちに試合は半分も終わっていた。スコアは29対12で向ヶ丘高が勝っていた。


「だからって松浦と藤本は油断するなよ!!」


「はい!」

コクッ


「あーなんかしゃべったら喉かわいちゃったよ。」


「なっちもーー。」


「あっじゃあ私が買って来ます。」
とこんこんが言った。

美貴はこんこんの肩を叩いて美貴も行くと仕草をした。


「じゃあ美貴ちゃんと私が行きます。」


「おー!ありがと!!」


美貴とこんこんは飲み物を買いに売店まで向かった。


154 名前:星龍 投稿日:2004/12/30(木) 23:05
更新お疲れ様です。
吉澤さん・・。
藤本さんには負けて欲しくないですね。
マイペースに頑張ってください。
155 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/31(金) 01:11

〜売店〜

「あー何買おうかな〜♪」


こんこんときたの失敗かも・・・

みんなの分を買い終わってからも紺野は食べ物に目移りして美貴は荷物を持って待っていた。


トントン

『こんこんまだ?』


「んーちょっと待って。」


『じゃあ美貴は先にみんなのところに帰ってるよ?』


「うん。わかった!」


美貴は先に2階にある観客席に戻ろうと階段を登った。



あっ!



吉澤さんと愛ちゃん・・・



「吉澤さん!なんであんなハイペースで試合やったんですか!?」


「なんでって吉澤はエースとして試合に出たい。そのためには監督やコーチにアピールしなきゃなんだよ!?」


「エースがそんなに大事ですか?」


「・・・」


「あーしはエースとかそんなんじゃなくて吉澤のプレーが好きなんです!だから・・・」


『・・・』


「知ったような口聞くなよ!!高橋にはどーせ吉澤の気持ちなんかわかんないんだよ!」

吉澤はそのまま高橋を置いて行こうとした。しかし高橋はそれを抱きしめて止めた。


「待ってください!あーしそんなつもりで言ったわけやなくて・・・」


「そーいうのうざいんだよ!」


バッ!

「あっ!」

ドタドタドタ


高橋は吉澤が振り払おうとした瞬間に階段から落ちた。


しかし・・・


「あいたたたー。え!?美貴ちゃん・・・」


美貴がとっさに高橋が怪我をしないようにかばってがいた。


「高橋!ごめん!怪我なかった?」


「あ・・・はい。」


高橋は吉澤に手を引かれてそのまま行ってしまった。


ははっ。美貴なにやってんだろ・・・


美貴は高橋を助けるために放り出した荷物を集めずに座りこんだままでいた。


156 名前:夢の舞台 投稿日:2004/12/31(金) 01:26

「美貴ちゃん!?どーしたの!?」


ちょうどそこに買い物を終えた紺野がやって来た。


美貴は首を横に振りメモに笑顔でこう書いた。


『ちょっとドジしてころんじゃっただけ。』


「大丈夫?美貴ちゃんは試合があるんだから注意しなきゃだめだよ!」


コクッ


こうして美貴たちはみんなの分の荷物を持って席に戻った。


ーーーーーーーーーー


「遅いじゃんか!おいらは喉かわいたままだし試合も終わっちゃったよー。」


「すいません。試合どーなりましたか?」


「んーとね、56対32で予想通り向ヶ丘高の勝ちだったべさ!でもさすがに去年と少しちがって全体がレベルアップしてた。とくにフォワード」

「そうですね。まつーらから見てもあのフォワードは飛び抜けてました。」


「おいらもあのフォワードは要注意人物だと思う。松浦と藤本は気をつけろよ!」


「はーい!」


コクッ


「とりあえず買ってきてもらったのを飲もうよ!おいらもー喉カラカラ!」


「「はい!」」


この時点ではまだだれも美貴の変化に気づいていなかった。美貴自身でさえも・・・


157 名前:七誌さん 投稿日:2004/12/31(金) 13:43
こんこん・・・イメージどうりでOKです。作者さま^−^/
美貴の変化・・・一体なんなんだ・・・。
158 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 00:38

〜試合前〜

「そろそろ次の試合のスタメン発表かな?」

美貴たちは向ヶ丘高の試合の後にアップを始めていた。今は全員がアップをしており、中澤、稲葉を待っている状態だった。


「先生たち遅いね。なっち呼びに行こうかな。」

ガラッ!


「待たせたな!」


「遅いですよ!なっち呼びに行こうかと思いました!」


「すまんすまん。スタメンを決めんのにちょっと時間かかってしまってん。」


「おいらたちにはいつも時間厳守って言ってるくせに・・・」


「矢口!なんか言うたか?」


「いえ!なにも!」


「そーか。そしたらそろそろスタメン発表と行こか。」


「はい!」


「ガード新垣!」


「は、はい!」


「シューター石川!」


「はい。」


「センター里田!」


「はーい。」


「フォワード1人目ミカ!」


「はいっ!」


「最後は後藤。」


「んあー。」


「以上5人や。対戦相手は水沢高や!去年は準決勝でうちと当たってそんときはうちが勝った。そやけど去年は去年や!みんな気合い入れていくねんで!」


「はい!」


「そしたら出陣や!」


「はい!」



159 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 01:00

「それではハロー高校対水沢高校の試合を始めます。お互いにフェアプレーで!れいっ!」


「お願いします!」


「ジャンプボーラーは前へ。」


ジャンプボール。相手はまいちゃんより5センチほど背が高い。
そうそう美貴は里田さんのことをまいちゃんって呼ぶようになったの。ちなみにまいちゃんは美貴のことを美貴ちゃんって呼んでるんだ。


ピピッー


ジャンプボールは・・・



相手が勝った。でもそのボールの先には石川さんと相手のシューター。
ってことは・・・




「このボールは絶対渡さないんだから!!」


やっぱし。石川はバスケのことになるとガキさん以上に熱くなる。頭から湯気が出そうなくらい。だからボールの競り合いは絶対に負けない。


「梨華ちゃんナイスだよー!!」

柴田さんがエールを送ってる。


「ガキさん!」


「は、はいっ!」


石川さんはガキさんにパスをした。


だけど焦っているのかガキさんは石川のパスを取り損ねた。
そしてそのボールは運悪く相手のフォワードに通ってしまった。


そのままフォワードはやすやすと先制点を入れてしまった。


「す、すいません・・・」


ガキさんが気落ちしてる。このままじゃだめだ!美貴が声をかけたいけど出ない・・・


「おまめー!緊張しすぎだよ。そんなんじゃいいパス送れないよ。」

石川が軽く声をかけていた。


「は、はい!」


でもその言葉は今のガキさんにはプレッシャーだと美貴は思った。


案の定ガキさんはそのあともあまり落ち着きがなくいつものプレーとは全く違った。


この時点でスコアは20対16で相手が勝ってる。



160 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 01:21

「うーん新垣にはまだ早かったんか?」


「そろそろ限界なんちゃうか?裕ちゃんどないする?」


「そやな・・・交代さすか。」


トントン


美貴は裕ちゃんの肩を叩いて首を横に振った。


「そやけどな藤本。あいつがあのままやったらいくらうちの高校が強くても負けてしまう。」


美貴は言われても首を横に振った。

このまま交代したらガキさんがだめになっちゃうよ・・・

美貴は誰よりもガキさんのバスケに対する思いを知っていた。


「・・・そしたらあんたが出て新垣を助けてこい。」


『・・・』


「それでもあかんかったら新垣を代えるどや?」


コクッ


美貴は頷いた。


「そしたら次の試合が止まったときにミカと交代や。」


コクッ


ピピッー

「赤7番ファール!」

ちょうど相手が後藤さんにファールをしたところだった。


「すいません、交代お願いします!5番に変わって10番。」


ピピッー

「交代!白5番に代わって10番!」


「藤本、相手は当たってくるから気をつけて。」


ミカさんが通り過ぎるときに美貴にアドバイスをくれた。


「美貴ちゃんがんばれー!!」


「いつもの調子だべ!」


「みきたんならできる!」
こんこん、安倍さん、あやちゃんの声援が聞こえた。

そして美貴はガキさんのほうに向かって行った。


「美貴ちゃんっ・・・」


バシッ!


「いったーーい!」


美貴はおもいっきりガキさんの背中を叩いた。


ニカッ


そしてガキさんに向かって笑顔を見せ出てそのまま相手側のゴール下まで走って行った。


「美貴ちゃん・・・」


161 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 01:36


ガキさんはだめなんて絶対言わせない!



美貴がガキさんが立ち直るまで点を入れまくってフォローする!


そして試合はハロ高ボールでリスタートした。


始めにボールを持ったのは石川さん。


「ここは落ち着いて一本取ってこ!」

石川さんは落ち着つかないガキさんの代わりに冷静に周りを読み、ボール運びをしていた。


「ごっちん!」

石川さんは後藤さんにパスをした。それを見て美貴はうまく相手ディフェンスをかわしフリーになった。


そして・・・


「藤本!!」

それを見た後藤さんがすかさず美貴にパスを出した。


よし!まずはこのボールを絶対決める!


シュ


バサッ!


美貴のドリブルシュートは見事に決まった。

「やったべさー!」


「美貴ちゃんナイス!」


「さっすがみきたん♪」


美貴の大会初の得点だった。しかし美貴は喜びせずゴール下に戻りディフェンス体制に入っていた。


「美貴ちゃん・・・」


今度は止めてもう1本シュートを決めてやる!



162 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 01:50

今度は相手ボールでリスタートした。


ダムダム


シュ


相手は美貴がマークをしているフォワードにパスを出した。

バッ!

相手は美貴をフェイクを入れてかわそうとした。


美貴はそんな甘いフェイクには引っかからないよ。


バシッ!


美貴は相手がフェイクをして下ろす瞬間のすきをついてボールを奪った。


「なっ!?」


ダムダム


美貴はそのまま自らゴールへと向かった。


ピタッ


スリーポイントラインに来た途端に止まりそこからシュートを放った。


パサッ・・・


シュートはきれいにゴールに吸い込まれた。


ワアーーーーー!!!


よし!これで1点リード。まだまだガキさんが戻るまで入れ続ける!


「藤本ナイス・・・ってあれ?」

後藤が美貴に話しかけようとしたが、美貴はすでに戻ってディフェンス体制をとっていた。


「こりゃそーとー気合い入ってるよ。」


このとき新垣は思っていた。

美貴ちゃんどーしてそんなにハイペースなの?
いくら美貴ちゃんでもそこまでやったら最後までもたないよ。
でも・・・


きっとあたしに早く戻って来いって言いたいんだよね?

美貴ちゃんのプレーがあたしにそう言ってるよ。

163 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 02:01

再び相手ボール。


今度は相手のガードが中まで切り込んでこようとした。そのとき



「行かせない!!」

「くそっ!」

ガキさんだった。


シュ


相手のガードはたまらずシューターにパスを出した。そしてシューターはそのままスリーポイントラインからシュートを打とうとしていた。


ここで決めさせるわけにはいかない!!


「なっなに!?」


シューターはシュートを打とうとジャンプをしてボールを放ったが美貴が前に来てそのボールを奪っていた。


「美貴ちゃん!」

美貴は前を走るガキさんにそのままパスをした。

パサッ


そのままガキさんはシュートをして点を入れた。


「美貴ちゃーん!!」


バチン!

美貴とガキさんはそのままハイタッチをかわした。


「藤本やるね〜。」


「あたしたちもがんばらなきゃね!」



164 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/01/01(土) 15:13
おもしろいっす
165 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 16:19

今度は美貴たちボールでリスタート。さっき復活したガキさんがボールをキープして様子をうかがってる。


バチッ!


ここで美貴とガキさんは目が合った。


ガキさん!美貴はあっちに行って切り込むよ。


美貴ちゃん。あたしとは逆サイドに行って切り込んで。


ダムダム


「うそ!?」


ガキさんは美貴を見ていないのに正確なパスを出した。相手は今までのガキさんを相手にしていたからかなり驚いてる。ガキさんはこんなもんじゃないよ。


ナイスパス!


美貴は前を向いていっきに切り込んだ。だけどゴール下にはすでに相手の3人がディフェンスに入っていた。


「バカだね。こんな密集地帯に自ら切り込んでくるなんて。」


誰がバカだって?美貴は自分で決めるなんて言ってないでしょ?


クルッ


「なに!?」


美貴は飛んだ状態のままで後ろを振り向きスリーポイントラインに立っている石川さんにパスを出した。


「美貴ちゃんナイスパス!」


うわーすっげー笑顔。この笑顔に何人の人が虜になったんだろ。


シュッ


パサッ


「やったー!藤本、石川、新垣よくやったぞー!」

矢口さんが叫んでた。


「美貴ちゃんナイスパスだったよー!」


石川さんが美貴のところに来て言ってくれた。

でも今のは・・・



「まー藤本の前に動きを読んで正確なパスを出したおまめの手柄だけどねー♪」

石川わかってくれてたんだ。


「おまめーよくやったぞー!今度はごとーにもよろしくねー。」


後藤さん・・・


「ガキさん!美貴ちゃんだけじゃなくてあたしにもパスしてね!!」


まいちゃんまで・・・


「うん!!」


ガキさんは嬉しそうに笑って答えていた。


ここでスコアは26対20でハロ高リード。


166 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 16:32

このあと美貴は役目を終えて交代した。


「藤本!あんたよー新垣を立ち直らせたで!」


美貴は首を横に振った。だって立ち直ったのはガキさん本人の力だから・・・


「まーええわ。ゆっくり体休めとき。」


コクッ


「みきたんお疲れ♪」


ニコッ

美貴はあやちゃんの返事に対して笑顔で答えた。

やってるときは気づかなかったけど・・・



右足に違和感がある。



なんだろ?まっいいか。


プレーに支障はなかったし。


たぶん大したことはない。



本当に些細なことだった。


167 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 16:57

美貴が交代した後も息を吹き返したガキさんからくり出されるパスによってハロ高は押していた。


そして・・・



ピピッーー!


試合終了の笛が会場に響いたときには61対37という大差でハロ高が勝っていた。



ーーーーーーーーーー

この試合で軌道に乗ったハロ高は主力メンバー(市井、吉澤、後藤、松浦、藤本)を出さすに順調に勝ち上がった。

そしてついに決勝戦まで来た。


「みんなええか?今日最後の試合や!これに勝ったら全国やで!相手は去年と同じく向ヶ丘高。今年も負ける気はさらさらない。しかし向こうも成長しとる。あんたらはそれより上やってことを証明したれ!」


「はい!!」


「そしたらメンバーや!まずガード!市井!」


「え?」市井以外


「はい!」


「シューター後藤!!」


「んあー。」


「うええーーー!?」


みんなが驚くのも無理はない。
だって市井さんも後藤さんも普段はフォワードなんだよ?


「次!センター吉澤!」


「はい。」


「フォワード松浦。」


「はーい!!」


「もうひとりは藤本や!」


コクッ


こうして驚きのメンバーが発表された。
中澤や稲葉が考えていた策とは市井、後藤のポジションチェンジだったのだ。



「監督!市井さんと後藤さんをいきなり違うポジションにして大丈夫なんですか?」

1年の誰かが言った。


「ん?そんなんやってみなわかん!!」


ズコッ!


今、ハロ高の全国をかけた試合が始まる。


168 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 17:26

「それではただいまから東京都予選決勝ハロ高校対向ヶ丘高校をはじめます!お互いフェアプレーで行ってください!」


「よろしくお願います!!」


「ワアーーー!!」

決勝戦とあって会場全体が観客で溢れている。


「ハロ高ー!!今年も期待してるぞー!」


「今年は向ヶ丘高が勝ちだーー!!」

いろいろな声援が聞こえてきた。


「それではジャンプボーラー前へ!」


ピピッー!


ついに試合が始まった。ジャンプボールは吉澤さんが勝った。


「うっし。まずは1本取ってくからよろしくー。」

あいかわらずのん気な市井さん。

だけど本当にあの人にガード任せて平気なのかな??


「ごとー!」


「はいよー。任しといて。」


美貴が考えているあいだに市井さんは簡単に相手ガードを抜いて後藤さんにパスを出した。


そして


パサッ


後藤さんが放ったスリーポイントシュートは吸い寄せられるようにゴールに入った。


「ワアーーーー!!」


「ごとーナイス。」


「市井ちゃんこそ。」


バチッ!

ふたりは軽くタッチをしてディフェンス体制に入っていた。


「次はディフェンスだぞー。吉澤よろしくね。」


「ったく市井さんもがんばってくださいよ!」


「んー。じゃあ誰か可愛い子紹介してねー♪」


「わかりましたから。」


「よっし。交渉成立!ってことでいちーもがんばる!!」


その後、相手ガードがフェイクを入れて下げる瞬間を市井さんは見逃さずにスチールをしてボールを奪った。


美貴はそれに合わせて相手ゴールまで走った。


「藤本ー!決めないと怒るからなー!!」


言われなくても決めますよ!


ダンッ!


美貴はいっきに踏み込んでダンクをした。


ガコッ!!


「みきたんナイス!」


169 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 17:42

シーーーン・・・


ん?なんなのこの静かさ。



「うおおーーー!!!」


「すげー!あの10番何者だ!?」


「あんな人今まで見たことないよ!どこ中なんだろ?」


「とりあえずかっこいいよ!!」


「キャーーー!!!」


美貴たちはすぐにディフェンス体制に入った。


「みきたん人気者だね♪」


『???』

美貴はあやちゃんの言葉を聞いていなかった。



右足・・・



なんでこんなに動きにくいの?


「次も止めるよー!!」


ダムダム


シュ


相手はセンターにボールを入れた。
吉澤さんがすぐにチェックした。でもその前にすぐにフォワードに切り返された。


「松浦行ったぞ!!」


「はーい!ここは抜かせませんよ?」

あやちゃんはすぐチェックした。今度はシューターに切り返した。


つぎの瞬間


シュ!


相手のシューターはもらってすぐにシュートを放った。


パサッ


「よっしゃー!向ヶ丘高ナイスだぞ!!」


そのシュートはきれいに決まった。


「んあー。よしこごめん。チェックが遅れた。」


「気にすんな!次取り返せばチャラだから。」


「うん。」


やっぱりこの人たちはすごいや。美貴はこの人たちとバスケができて嬉しいよ。


これも愛ちゃんのおかげだよ。



ありがとう。



170 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/01(土) 23:57

今度は美貴たちボールでリスタート。


「さー、みんな気合い入れてけよ〜!」

市井さんは話し方がのん気だけど可愛い子がかかるとめっちゃ燃えるんだよね。


「吉澤!!」

シュ


「はいはい。」

市井さんはゴール下にいた吉澤さんにパスを出した。そして吉澤さんがシュートをしにいったが相手はなかなか簡単に決めさせてくれず、ボールはリングに当たって跳ね返った。


「リバウンド!!」


美貴は右足の違和感を忘れて思いっきり飛んで跳ね返ったボールに少し触れてゴールに入れた。


「藤本ナイス。」


コクッ


「藤本その調子だべさーー!!」


「キャーー!!10番がんばってー!」


美貴には声援は聞こえなかった。


美貴はただ無心でボールを追った。



それから両校ともひけをとらず前半が終了した。


スコアは33対28とわずかな点差。


「よっしゃ。いいペースで来てるで。前半は吉澤にボールを集めた。後半は藤本にボールを集めてひたすら攻めろ!」


「はい!」


「リバウンドは吉澤、藤本にかかっとる!ディフェンスはあんたらが軸になるねんで!とくに吉澤な!」


「はい!」


コクッ


ピピッー


「あんたらの手で全国への切符をもらって来い!」


「おおー!!」


「ハロ高がんばれ!あと一息!」


「10番〜!またすごいのを見せてくれ!」


「10番さんがんばってくださーい♪」


ーーーーーーーーーー

「藤本すごい人気だべ。」


「あのプレーを見れば誰でも虜になるよ!おいらでもね。」


「あたしもいっきに美貴ちゃんファンになりましたよ♪」


「石川もかよ!!」


171 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 00:20

後半が始まった。

今度は相手がボールをキープしてる。

「松浦!9番をしっかりチェック。藤本は10番な!」

市井さんがあやちゃんと美貴に指示を出した。


シュ


指示の直後に相手ガードから9番にパスが通った。


「松浦、しっかりな!」

今度は吉澤さんだ。


「はい!」


相手の9番はフェイクを入れたがあやちゃんはあっさりと見抜きスチールで相手のボールをはじいた。


ボールは・・・


逆サイドの美貴の前方で勢いよくラインをわろうとしていた。



あのボール絶対取る!


美貴は全速力でボールのほうへ向かった。美貴をマークしていた10番はあきらめてディフェンス体制に入っていた。


ズキッ!


うっ!い、痛い・・・


あと少しでボールに追いつく!


ズキズキ!


くっ・・・右足が!!


ちょうどボールはラインをわるところだった。


くっそーー。届けーー!


美貴は思いっきりジャンプしてボールがラインをわる前に中へはじき返した。


ドサッ。


「藤本ナイスファイトだ!」


美貴のはじいたボールをちょうど市井さんが取っていた。


「松浦!これは絶対決めろ!」


「はい!」


ダムダム


パサッ


「んあー!まつーらナイスだ。」


「みきたーん!あたしちゃんと決めた・・・」



ううっ。痛い・・・


美貴はさっきの状態のまま右足をおさえて倒れていた。


「みきたん!?」


「交代や!石川!あんたがシューターで入って後藤にフォワードをやらせてくれ。」


「はい!」


ピピッー!


「交代です。」


ひとまず美貴はハロ高ベンチまで運ばれた。


172 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 00:35

「藤本!どーしたべか!?右足??」


きっとこれはさっきの階段のときにやったんだ・・・


「藤本、あんた右足痛めたんか?」


だめだ。ここでそれを言ったら愛ちゃんが自分を責めちゃう。


「どーなんや?」


「あの!美貴ちゃんはあーしの・・・」


ガバッ!


美貴は急に立ち上がって軽くジャンプをして顔を笑顔にした。


「なんや?大丈夫なんか?」


コクッ


美貴は頷いた。


「なんやねん。あんまり心配させるなや!次に試合が止まったら石川と交代な。」


コクッ


今ここで美貴が止めたら愛ちゃんが傷つく。



もう美貴はだれも傷つけたくない。


「美貴ちゃん・・・本当は足痛いんやないの?」

ふいに愛ちゃんが話しかけきた。


美貴は横に首を振って笑ってみせた。


「せやけど・・・」

愛ちゃんそんな悲しい顔しないで。


ポンポン。


美貴は愛ちゃんの頭を軽く撫でてやった。



美貴はやるよ。



愛ちゃんは悪くない。あれは美貴が勝手にやったことだから。



だから愛ちゃん。




自分を責めないで?



ピピッー


「藤本!交代だべさ!」


コクッ



「美貴ちゃんあとは頼んだよ!!」

石川さんに言葉をかけられ頷きかえし美貴はそのままコートに向かった。


173 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/02(日) 00:45

読者のみなさま新年明けましておめでとうございます☆
今年もよろしくお願いします!!


星龍さま→吉澤さんも強いです!今後のふたりを暖かく見守ってやってくださいm(_ _)m


七誌さま→イメージ通りと言っていただきありがとうございます。これからもご期待に沿えるようにがんばります。


名無し募集中。。。さま→このような駄文をおもしろいと言っていただいてありがとうございます!まだまだ未熟者ですがよければ読んでやってください。
174 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/02(日) 11:57
更新乙ナリ。
明けましておめでとうございます!作者さま!
新年一発目の更新どうもでした!
なるほど・・・美貴にはそんなことが・・・。
大丈夫かな・・・?
175 名前:星龍 投稿日:2005/01/02(日) 12:42
作者さん明けましておめでとうございます。
更新お疲れ様です。
藤本さん大丈夫でしょうか・・・。
頑張ってほしいです。
作者さんこれからも応援しています。
176 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 13:25

ワアーーーーー!!!

「ハロ高の10番がまた出てきた!!」


「がんばれーー!!」


ふぅ。右足が痛い。


だけど・・・


美貴がやらなきゃ


愛ちゃんが自分を傷つける。


美貴は・・・



死んでもこの試合でハロ高を勝たせる


「藤本!大丈夫か?」

市井さんが美貴を心配して話しかけてきた。


コクッ


「そっか。じゃあさっきの作戦通り藤本にボール集めるからな。」


コクッ


相手ボールでリスタートした。


ダムダム


相手ガードは様子をうかがっている。

シュ


「藤本!行ったぞ!」


市井さんの声が聞こえた瞬間にパスは美貴がマークをしている相手つまり向ヶ丘高の10番にパスが通った。


「お手並み拝見といこうかな。」

相手は美貴に対して言った。


望むところだっつーの!


ダムダム


バッ!


相手は美貴の右側からいっきに抜こうとした。だけど美貴はそれをさせなかった。


ズキッ!


くっ。痛い・・・


「・・・ふーん。やるじゃんか。」


こいつ!余裕なこと言ってられるのも今のうちだよ!


シュ


相手はそこからシュート体制に入った。


バシッ!


美貴は相手が放ったボールをはじいた。


「なっ!?」

ざまーみろ。あんたが余裕ぶっこいてるからだよー。


「みきたんナイス」

美貴は市井さんがボールを持ったのを見て相手ゴール下まで走った。


ハアハア・・・


いつもよりかなり体力使ってるよ。右足のせいで。


ダムダム


「ごとー!!」


「はーい。」

美貴とは逆サイドにいた後藤さんにパスが通った。


美貴は相手のマークを外した。


「藤本。決めちゃえ〜」


美貴は後藤さんのパスをしっかり受け取った。


177 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 14:26

美貴はそのまま中に切り込んだ。だけどなぜか10番はついてこない。


あいつ諦めた?


さすがに相手もゴール下には3人いた。


簡単には決めさせてくれないか。

それなら・・・


クルッ


美貴はジャンプしたまま後ろを向いた。


「かかったね!」


後ろを向いたところにはあやちゃんと10番。


「これで9番にはパスできないよ?さーてどーする?」


だれがパス出すって言ったっけ?


シュ


「な!?そんな・・・」


美貴は後ろを向いた状態でシュートを打った。


パサッ・・・


シーーーン・・・



ウワァーーーーー!!


「藤本すごいべさ!!」


「ミキティすげー!」


「美貴ちゃん!その調子だよー!」


安倍さん、矢口さん、こんこんの声援が微かだけど聞こえた。


美貴はすぐにディフェンス体制に入った。


ダムダム


相手ガードはまた10番にパスを出した。


「あんたすごいね。でもさ・・・右足まだ痛いんでしょ?」


やっぱりバレてたか。


「それでも続けるとこは尊敬するけど、そんなんであたしらには勝てないよ。」


10番はセンターにパスを出した。


そのセンターの人は吉澤の動きを読んで逆をついてダンクをしようとしていた。


させないっ!!


くっ・・・動け!!

ダンッ!



ガシッ!


美貴はセンターのダンクしようとしているボールをそのまま掴んで振り落とした。


「な!なんでこいつがここに?」


そのボールをあやちゃんが拾って市井さんにまわしていた。


ドンッ。


美貴は着地するとほぼ同時に前へ走った。


ハアハア・・・


178 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 14:32

ズキッ。


痛い・・・


美貴は顔を痛さで歪めながらも必死に走った。


「美貴ちゃん・・・」


あーしのせいや。


あーしのことを美貴ちゃんはかばったから



だから美貴ちゃんは右足を痛めた。


なのに・・・



痛いはずなのに・・・





どーしてそんなにがんばるんや?




ベンチに下がったときにあーしのせいやって怒りもしなかった。




なんで?




なんでやの?



愛はずっと考えていた。美貴は自分のせいで右足が痛いはずなのになぜ言わないのか。
なぜそこまでしてがんばるのかを・・・




179 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 14:54

ハアハア・・・


次も絶対決める!!


ダムダム


市井さんは中の様子を見ていた。


バチッ!


美貴と市井さんは目があった。

そのときなぜかはわからないけど美貴はひとりでにゴールに向かってジャンプをしていた。


「なんだ?ついにやけに・・・えっ!?」


ガゴッ!!


「ア、アリープゥ!?」


美貴は市井さんが放ったボールをそのままゴールに押し込んでいた。


「藤本ナイス。」


コクッ


「なんだ今の!?」


「あれは技なの?」


「アリープができるなんて・・・」



「「「すげーーー!!」」」


会場は美貴のプレーにただただ驚いていた。


「出た!美貴ちゃんのアリープ。」


「やっぱ美貴ちゃんはすごいね!」

新垣と里田も美貴の実力を改めて感じた。



相手のリスタート。

ダムダム


相手のガードは少し焦ってる。

美貴は感じた。


そして相手はまた10番にパスを出した。


「あんた何者?」


美貴は藤本美貴だよ!!

美貴は心の中で叫んだ。

「でもあたしも負けらんないんだよ。」

キュッ

相手はそう言って美貴の右側から抜こうとした。


くっ・・・足が・・

美貴は一瞬ふたついた。すぐに体制を持ち直した。


しかし相手がすでにシュートを放った後だった。


しまった!!


パサッ


無情にも相手の放ったシュートはゴールに入っていた。


くそっ!!


「んあー。藤本ドンマイ。」


「みきたん次決めよ!」


「よしざーが決めるから気にすんな。」


みんなが美貴を励ましてくれた。
美貴を嫌ってるはずの吉澤さんまで・・・


この時点でのスコアは43対37ハロ高が優勢。


180 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 15:26

この時、残り時間は9分。

「なあ裕ちゃん。」


「なんやあっちゃん。」


「藤本の様子がおかしいと思うんやけど・・」


「気のせいやろ?あそこまでプレーできてるやん。ちょっと疲れてるだけとちゃうか?」


「そーやろか?」


「あっちゃんは心配しすぎや!あいつもさっき大丈夫やって言っとったし。」


「ならええねんけど・・・」


稲葉はほんの少しだか美貴の変化に気づきはじめていた。
しかしあそこまでのプレーできているから大丈夫だと思った。

ーーーーーーーーーー

ハアハア・・・


ははっ。足がキシんでるよ。


美貴ってこんなにやわだったっけ?


美貴は右足の痛みにたえていた。


ダムダム


「みきたん!」


今度はあやちゃんからパスがきた。


ダムダム

「今度は何する?」


こいつさっきから・・


美貴を挑発してる。


悪いけど美貴はその手には乗らないから。


ダッ!


美貴は相手の10番を抜いて中に切り込んだ。


だけど・・・


ドンッ!


ピピッーー!


「赤10番ファウル!バスケットカウントワンスロー」


ファウルされた。それもわざと右足に・・・


「ごめんねー。ワザとじゃないんだよ。」

ニヤッ

相手は美貴に手を差し出したけど美貴はひとりで立ち上がってフリースローラインに立った。


ズギッ!


・・今のでかなり負担になったか。


でもここで差をつけなきゃ!


シュ!


パサッ・・


よし!入った!


「みきたん大丈夫だった?」


コクッ


181 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 17:13

今度は相手ボールリスタート。


ダムダム


さすがに相手ガードは10番にまわさずにシューターにパスをした。


パスを取ったシューターはスリーポイントラインから直接打った。


ガツン!


しかしシュートはリングに当たって跳ね返された。


「リバウンド!!」

市井さんの声が聞こえた。


美貴もリバウンドを取るために飛んだ。しかし足が痛くて今までよりもジャンプが低かった。


くそっ!


そのとき誰かがボールを取るのが見えた。


「うっし!!」


ボールを取ったのは吉澤さんだった。


「よしこ!こっち!」

後藤さんは吉澤さんからパスをもらってすぐにスリーポイントを打った。


その間に美貴もゴール下まで走った。


ガンッ!


後藤さんのシュートは珍しく外れた。


このボールは絶対取る!


ダンッ!


美貴は思いきりジャンプしてボールを取った。そしてそのまま着地せずにシュートを打った。


パサッ


ウォオーーー!!!!


「藤本よく決めた!」

吉澤さんだった。



パシッ!


美貴と吉澤さんはハイタッチをかわした。



スコアは49対44で残り3分。


182 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 17:39

相手のリスタートで今度は時間切れぎりぎりでスリーポイントを決められた。


残り1分。


ダムダム

相手はゾーンディフェンスからマンツーマンに変えてきた。


市井さんがどこにパスを出そうか迷っている。


美貴はどーすればいい?


!!


美貴はなにを思ったのかそのまま自分たちの陣地へ走り始めた。


「なっ!?」


「10番はもうほっといていいからガードにふたり付いて!!」

相手の声が聞こえた。


ハアハア・・・


美貴の足は限界を越えて痙攣を起こしていた。


あとちょっとなんだから動け!


ゼエゼエ・・・


よし!ここだ!


美貴はハーフラインを越えひとりでそこに立った。


市井さん!!


美貴は声が出ないことを初めて後悔した。市井さんは相手のディフェンダーに囲まれて美貴の行動が見えていない。


くそっ!どーすれば・・


市井さん!!気づいて!


その頃市井は


くそっ!誰にパスを出せばいい!?
このままだと相手にボールがとられる!



「・・・しろやよ!」


えっ?


「市井さん!後ろや!!」


高橋?後ろって誰も・・・!!


市井は後ろのほうで美貴が立っているのが確認できた。


そっか!あんたにはあれがあったんだね。


シュ


「藤本!!」


ラストはエースが決めろよ。


183 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 17:49

ガシッ!


美貴は市井さんが必死でキープしていたボールをしっかり受け取った。


「藤本決めろ!!」

市井さん


「頼むよ〜。藤本!」

後藤さん


「みきたーん!!」

あやちゃん


「入れろっ!」

吉澤さん・・・


「「「美貴ちゃーん!」」」

1年のみんな


「藤本できるべさ!」

安倍さん


「ミキティーーー!!」

矢口さん


そして・・・


「美貴ちゃんがんばれーーー!!」

愛ちゃん・・・


残り10秒


美貴の右足はさらに痙攣を増していた。


痙攣なんかしてる場合じゃないんだ!


美貴は自分に言い聞かせた。


そして



シュッ!




みんなの思いが乗ったシュートを打った。



「いっけーーーー!!」

全員が一斉に言った。











184 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 17:52









185 名前:夢の舞台 投稿日:2005/01/02(日) 17:53







1・・・
186 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/02(日) 18:15

パサッ・・・


0!!


ピ、ピピッーー!!


「カ、カウントスリー!!」


シーーーン・・・



ウワァーーーーー!!


「両チーム整列してください!」


「はい!!」


・・・


「そこの君!!はやく整列を・・・」



「君!!ハロー高校10番!大丈夫かね!?」


バタッ!


「「「「え?」」」」


「み、みきたん!!」


あ、歩けない・・・


美貴は右足のあまりの痛さに顔を歪めて倒れた。


「藤本!!」

市井さんだ・・・


「大丈夫か!?」


試合は?
美貴はスコアボードを見た。52対47。
勝ったんだ・・・


「藤本大丈夫だべか!?」

あっ!安倍さん・・・



ズギッ!


ううっ・・・


美貴は右足を抑えた。


「右足??紺野!藤本のバッシュと靴下脱がして!!」


「は、はい!」


だめだよ!それを脱いだら・・・


「な!?安倍さん!足がこんなに腫れてます!!」


バレちゃったよ・・・


美貴の足は今まで見たことがないくらいまでに腫あがっていた。


「藤本!!最初から右足痛めてやってたの!?」


『・・・』


「あのベンチに戻ったときも本当は痛かったんだべ!?」


『・・・』


「なっち!」


「どーして答えないんだべか!!」


「なっち!!とりあえずミキティを控え室まで運んで手当てするのが先でしょ!?」


「あっ・・・ごめん。」


美貴は矢口さん、安倍さん、こんこん、それと愛ちゃんに控え室まで運ばれた。


187 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/02(日) 18:19

186は夢の舞台です。ミスが多くてすいませんm(_ _)m
188 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/02(日) 19:16
わお美貴・・・ああ・・・。
やはりあの時のが響いてたんですね・・・。
美貴はどうなるんでしょうか?
みんな・・・助けてあげて。
189 名前:konkon 投稿日:2005/01/03(月) 00:29
あけおめです!ことよろです!
今年もお互いがんばりましょう!
愛ちゃんに愛が届く日が訪れるのでしょうか・・・?
試合となると、恋敵ではなくなるもんなんですね〜。
続き期待大です♪
190 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/03(月) 01:14

〜控え室〜

「とりあえずここに座って。」

美貴は矢口さんの言う通り座った。


ガチャ

「藤本大丈夫か?」


「みきたん!!」


美貴を心配して裕ちゃん、稲葉先生、スタメンメンバーが入ってきた。


「ちょうどいいとこに来た!紺野と松浦!コンビニで氷買って来て!」


「「はい!!」」


「高橋!救急箱とって!」


「は、はい!」


矢口さんの指示は正確でそれでいてとてもはやかった。


「藤本!痛いだろうけどこの箱に足乗せて。」


コクッ


美貴はおとなしく矢口さんに従った。


「こりゃ歩くのも大変なのによくプレーができたね。」


「矢口、そんなにひどいの?」

市井さんが矢口さんに聞いた。


「うーん、おいらは医者じゃないからなんとも言えないけど全治2週間はかかるね。」


「そんな・・・」


愛ちゃん、そんなに落ち込まないで?


「なんでこんな怪我してたのに出たんだべか!?」


『・・・』


「言えないようなことでもした?」


「なっち・・・」


「なんでなっちには何も言ってくれないの!?なっちは・・・」


「止めてください!!」


「高橋??」


「あーしが全部悪いんです!!」


「どーいうことだべか?」


愛ちゃん!言っちゃだめだよ!!


「あーしが階段を落ちたときに・・・」


『・・・』


「美貴ちゃんがかばってくれたんです!だからあーしが悪いんです!」


「藤本!本当だべか?」


あれは美貴が勝手にやっただけ。



191 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/03(月) 01:34

美貴は首を横に振って笑顔でメモに書いた。


『飲み物を買いに行ったときに足を滑らしてころんだんです。』


「足を滑らしてころんだ?」


コクッ


「うそや!!あのときあーしをかばってなければこんな怪我にはならんかったのに・・・」


「藤本、なっちには本当のことを話して?」


『・・・』

美貴はうつむいて黙った。


トコトコトコ


ガシッ!ドン!


美貴は胸ぐらを掴まれて立たされた。


「なんで藤本が黙るんだよ!!高橋にあそこまで言わせといて!それとも高橋とよしざーをかばって黙ってるわけ?いい加減にしろよ!」


「よしこ!!」


「だいたいなんで安倍さんともしゃべんねーんだよ!!メモなんか使わないでしゃべればいいだろ!!」


『・・・』


「ヨッスィー止めなよ。ミキティは足が・・」


「矢口さんは黙っててください!それとも何か?誰ともしゃべりたくない・・・」


「止めるべさ!!」


「安倍さん・・・」

安倍さんは今まで見たこともないくらい怖いくてどこか悲しい顔をしていた。


「藤本はしゃべらないんじゃなくて・・・」


安倍さん?


「藤本は・・・」


やめて!!言わないで!


「しゃべりたくてもしゃべれないんだよ!!」


「えっ?」


『・・・』


「なっち?どーいう意味?」


「藤本はストレスとショックで2ヵ月前くらいから声が出なくなった。」


やめて・・・


「そんなことあるわけない・・・」


「ヨッスィーのせいだよ!!」


『・・・』


「ヨッスィーがあんなこと藤本に言ったから・・・」


やめてください・・・


192 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/03(月) 01:56

「ヨッスィーが・・・高橋を藤本の家に行かせたくないなんて言ったから・・・」


やだ・・・


「あれは・・・」


「ヨッスィーはその後に藤本を怒ったよね?あれは藤本がヨッスィーと高橋のことを考えてやったんだよ!!」


「でも!だからって高橋を押し倒してキスしなくたって言えばいいじゃないですか!」


「藤本は言っても来ると思ったんだよ。でも高橋とヨッスィーには幸せになってほしい。だからワザと自分が嫌われものになった。」


「そんな・・・」


『・・・』


「でもその後はしばらく声は出てた。」


「じゃあいつ・・・」


やめてよ・・・


「ヨッスィーが藤本を怒りにきたとき。あのとき藤本はすでにボロボロに傷ついてた。だけどヨッスィーと高橋には自分は悪者じゃなきゃいけない。だから藤本はふたりにウソをついた。」


「でもあーしたちがいたときには声は・・・」


「そう。あのときは出てたよ。でも・・・高橋が[他人]って言ったあと声が出なくなった。」


「うそや・・・」


これ以上誰も傷つけたくないのに・・・


「藤本はふたりのことを考えてやった!!なのにふたりは藤本を傷つけるばっかりで・・・」


「そんな・・・」


美貴は傷ついてもいい。だからみんなを傷つけないで。


「あーしなんも知らんと・・・」

バッ!

「高橋!!」

高橋とそれを追った吉澤は部屋を出て行ってしまった。


どうして?



「ごめん!!」


「なっち!」


安倍と後藤も出て行った。


なんでみんなが傷つくの?



美貴だけで十分なのに



どーして?


193 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/03(月) 02:11

「先生方ちょっといいですか?」

市井さんは裕ちゃん、稲葉先生と出て行った。


そして美貴と矢口さんだけが部屋に残った。



「藤本はさ、なんでおいらに言ってくれなかったの?」

矢口さんは美貴に優しい口調で聞いてきた。


『迷惑かけたくなかったから』

美貴は震える手で書いたメモを矢口さんに見せた。


「おいらは全然迷惑じゃないよ?」


『もうこれ以上誰も傷つけないにはどーしたらいいですか?』

美貴は矢口さんに見せた。


「藤本・・・」


『美貴は声が一生出なくてもいいんです。だけどみんなには幸せになってほしいんです。』


「藤本も・・・」



「藤本も幸せにならなきゃだめだよ!!」


矢口さん・・・


美貴は安倍さんを守るって決めてた。だけど結局は苦しめてるだけだった。



ガチャ


「藤本・・・話しがあるんだ。」

部屋に入って来たのは後藤さんだった。


「やぐっつあん悪いんだけど席外してくれる?なっちが観客席のほうにいるからそっち行ってて?」


「わかった・・・」


ガチャ


パタン


194 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/03(月) 02:33

矢口さんが出て行ってからしばらく沈黙が続いた。


その沈黙を破ったのは後藤さんだった。


「藤本の声のことはなっちと先生たちしか知らないの?」


『こんこんとあやちゃんも知ってます。』


「そっか。そーじゃないとクラスとか大変だもんね。」


『・・・』


「あのさ、今言うべきことじゃないかもしれないけど・・・」


『・・・』


「なっちは藤本のことを抱えて苦しんでたと思うんだ。」


『・・・』


「だから・・・」



「もうこれ以上なっちを苦しめないで。」


『・・・』


「ごとーはこれ以上苦しんでるなっちを見たくないんだ・・・」



『わかりました』

美貴は一言だけ書いたメモを後藤さんに見せた。


「藤本・・・」


『美貴のことはいいですから、安倍さんのところに行ってあげてください。』


「ありがとう。それじゃあ・・・」


バタン。


美貴はやっぱり安倍さんも苦しめてた。


安倍さんだけじゃなくて後藤さんも。


美貴は近くにいれば守れるなんて思ってた。


でも・・・




そーじゃなかった。
逆に苦しめてるだけだった。


なにが守るだよ。




美貴って本当にサイテーだよ。


195 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/03(月) 18:05

そのころ市井と中澤、稲葉は・・・


「どーいうことですか?」


「なにがや?」


「どーして藤本の声が出ないことを教えてくれなかったんですか!!」


「それはな・・・」


「あっちゃん。あたしから話すわ。」


稲葉は中澤の言葉に静かに頷いた。


「藤本が言わないでくれって言ったんや。」


「でもあたしはキャプテンですよ!?メンバーのことは・・・」


「キャプテンやからや!!」


「えっ?」


「あいつは自分のことを知ってみんなが動揺するのを防ぎたかったんや。もしあんたがこのことを知ったらひとりで抱え込むやろ?あいつはそれがプレーに関わるからいややったんや。」


「わかったか?」


「はい・・・」


「そーか。そしたら市井はみんなのところに戻って片付けの指示出しといてくれ。」


「はい。失礼しました。」


「裕ちゃん・・・」


「さてと、あたしらも役員のほうに行こうか。」


「そーやな・・・」


196 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/03(月) 18:32

七誌さま→いつもスレありがとうございます!これからもっと展開していくつもりなのでよろしくお願いします!!


konkonさま→明けましておめでとうございます。今年もお互い美貴愛でがんばりましょう!!


197 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/04(火) 01:15

美貴は本当バカだよ。



なに勘違いしてんの?



ははっ。



ポロッ・・・



なんで涙が出るの?



・・・



美貴はどーしたらいい?



誰か教えて・・・



ガチャ


「「矢口さん!氷・・」」


「みきたん!?」


「美貴ちゃん!!どーしたの!?」


美貴はきっとこのふたりも苦しめてる・・・


「みきたん!なんで泣いてるの!?」


『・・・』


美貴の近くにいるとみんな不幸になるんだ。



「みきたん!!」


美貴は手で顔を隠した。


どーして・・・



どーして美貴の周りの人が苦しむの?



苦しむのは美貴だけでいいのに・・・



どーして?


「美貴ちゃん!!あたしたちがいるから泣かないで。」


「そーだよみきたん!なにがあったかはわからないけど・・・」


ダメだよ・・・



美貴の近くにいるとみんなダメになる。



『もう美貴に近寄らないで。』


美貴は必死の思いで書いたメモをふたりに見せた。


「「えっ!?」」


これで・・・



これでもう終わらそう。



『友達やめよう。』


「みきたん何言ってるの!?」


「そーだよ!わけわかんないよ!!」


ごめんね。


『近くにいられるとウザいんだよ。』


「みきたん!!あたしは・・・」


『美貴は友達と思ったことのある人はひとりもいない。』


「・・・わかった。あやちゃん!こんな人ほっといて行こ!」


「でも怪我・・・」


「あやちゃん!!」


「うん・・・」



バタン!


ごめんね。美貴は不器用なんだ。


バイバイ・・・



198 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/04(火) 01:28

あれからすぐに裕ちゃんが来て病院に連れて行ってくれた。


「こりゃすごいですね。歩くのもままならない状態だったろうに。これで本当にバスケをしたんですか?」


「ええ。1試合ずっと動きっぱなしでした。」


「そりゃすごい!!並大抵の根性じゃないね。しかしあまり無理をしちゃいけないよ?」


コクッ


「よし。まーだいたい全治2週間くらいですね。ただし2週間安静にしてればの話です。右足はなるべく使わないようにしてください。もしこれが守れなかったら次の試合は保証できないよ。いいね?」


コクッ


「それと歩くときは松葉杖をついてください。そのほうが右足への負担は減ると思うので。」


「わかりました。いろいろありがとうございました。」


「いえいえ。では安静にしててくださいね。」


美貴は深くお辞儀をして診察室を出た。


それから受付で松葉杖をもらって車でそのまま裕ちゃんと帰宅した。


199 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/04(火) 01:44

〜翌日〜

美貴は誰とも話さなかった。

こんこんとは目も合わない。あやちゃんはクラスに来てもこんこんとずっと一緒だった。


そんな状態のまま放課後の部活の時間になった。


「藤本あんたは怪我してるからあっちゃんと別メニューな!他のやつらはいつも通りで!」


「はい!」


美貴と稲葉先生はそのまま第1コートを去ろうとした。そしてその後ろからいつも通りに安倍さんがついてきた。


「安倍!!あんたも今日からこっちでみんなの世話をしてくれ。」


「え?藤本の世話は?」


「ああ、藤本は怪我してるからあんまり動かれへんし、それにあっちゃんがやるって言っとったからあんたはこっちや。」


「はい・・・。」


美貴は安倍さんと裕ちゃんの会話を聞いて思った。



きっと裕ちゃんや稲葉先生は美貴に気を使ってくれてワザとみんなとの接触を避けてくれた。


みんなにとっては些細なことかもしれないが今の美貴にとってはとても重要なことだった。



美貴と稲葉先生は第1コートをあとにした。


200 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/04(火) 13:48

美貴にとっての大きな代償。


それは声を失うことじゃない。


友達を失うことでもない。




みんなが幸せじゃなくなること。


それだけが美貴にとっての大きな代償だった。



だから美貴はそれだけは避けたかった。


美貴がバスケ部にいる限りは続くかもしれない



だったら美貴は・・・


「藤本。あんたバスケやめようと思ってないか?」


『・・・』


「やっぱりそうか。あんたはなんのためにバスケをしてるんや?」


なんのため?美貴はなんのためにバスケ始めたんだっけ・・・



「あたしはな、バスケが好きで今でもこーしてバスケやってるんや。」


『・・・』


「あたしと裕ちゃんはなあたしらが成し遂げられんかったことがあんたなら出来るかもしれんって思ったんや。だからバッシュもあんたに預けた。」


『でも美貴がバスケをやってる限りみんな幸せになれないんです。』


美貴はうつむきながら稲葉先生にメモを見せた。


「・・・あんたがやめたらあたしと裕ちゃんは幸せにはなれんのや。」



『・・・』



「あんたがあたしらの夢やねん!!」


稲葉先生・・・


「あんたにな話があるねん。ちょっと職員室に行くで。」


コクッ


美貴と稲葉先生は無言のまま職員室に向かった。


201 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/04(火) 14:18

ガラガラ


「おっ!なんやふたりとも深刻な顔して。」


職員室には裕ちゃんしかいなかった。


「裕ちゃん。あたしなそろそろこの子にあのこと話したほうがええと思うねん。」


「そーか。そしたらここに座り。」


美貴は指さされたイスに座った。


「あんたには話しとらんかってんけどあんたに勧誘が来てんねん。」


美貴は驚いた。だってこんな美貴を勧誘してくれるところがあるとは思わなかったから。


「相手がなだいぶ前から話をもってきとってな。でもあんたもあんまり落ち着いとらんかったからな。」


『・・・』


「その相手っていうのが全日本チームなんや。」



『・・・でも美貴のことをなんで全日本の人が知ってるんですか!?』


「前に福田と石黒が来たやろ?」


コクッ


「あいつらは全日本の選手やねん。しかもレギュラーや。」


美貴すごい人に練習相手になってもらってたんだ・・・


「ついでに言うとあたしとあっちゃんも全日本やった。石黒たちにあんたのことを聞いた監督さんがな、密かに練習見に来ててん。」


『・・・』


「でもな、条件があってな。もし全日本に行くんやったら寮に入らないかんねん。それと練習はもちろん全日本のほうに出てこっちには全国大会の一週間前しか出られん。」


『・・・』


「あたしらはあんたのしたいようにさせてやるから安心し。」


美貴は・・・


「どーや藤本。」


全日本・・・





『やってみたいです。』


「そーか。そしたら今は怪我がまだ治っとらんから治ったらでええな?」


コクッ


こうして美貴は決断を下した。


202 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/04(火) 16:58

〜1週間後〜

美貴と裕ちゃんは再び病院に来ていた。


「先生、この子の足の具合はどーでしょうか?」


「いやー、驚きましたね。普通なら完治するのに2週間はかかるんですが藤本さんはもう大丈夫ですよ。」


「ホンマですか?」


「はい。よく我慢したね。もうバスケをしてもいいよ。ただし必ずサポートをつけてすること。いいかい?」


コクッ


「あとは問題ありませんよ。」


「ありがとうございました。」


「これからもがんばってね。」


コクッ


美貴の右足は驚異的なスピードで回復した。



そしてついに・・・


「今日は全日本の監督さんとこに挨拶に行こか。」


コクッ


美貴と裕ちゃんは病院から直接車で全日本チームの練習場に向かった。


203 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/04(火) 18:24
おー、美貴、ついに決めたんだね。
こんこんたちもがんばって・・・
204 名前:星龍 投稿日:2005/01/04(火) 18:40
藤本さん頑張ってほしいです。
これからがとても楽しみですね。
どうなっていくんだろ・・・。
205 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/05(水) 00:37

〜全日本練習場〜

「着いたで。ここが全日本の練習場や。」


そこは美貴が思っていたよりもはるかに大きかった。


ガラガラ


「おーやっとるやっとる!」


「あ!中澤さんじゃないですか。どうしたんですか?」

駆け寄ってきたのは前に練習を見てくれた福田さんだった。


「おぉ!明日香か。今日はなまことさんに挨拶に来たんや。まことさんは?」


「あそこにいますよ!」

福田さんはベンチのほうを指さしながら言った。


「ホンマや!そしたらまたあとでな。藤本行くで。」


コクッ


「まことさん!!」


「ん?あー!!えっと誰やっけ?」


コケッ


「元全日本で今はハロ高の監督やってる中澤です!そんなボケいりませんよ!」


「すまんすまん。ついついやってまうんや。そっちのやつは・・・藤本か?」


「はい。この子が例の藤本です。」


美貴は深々とお辞儀をした。


「それで今日は藤本も一緒でなんの用や?」


「藤本に話したら全日本でやりたいって言ったんで今日はその報告と挨拶です。」


「ホンマか!?」


「こんなとこでウソなんかつきませんわ!!」


「そーか。藤本、お前の実力は知ってる。やけどそれはあくまで高校生相手でのや。今から勝負してみーひんか?」


勝負・・・


「ちょっとまことさん!急に何言ってますん!?」


「俺は年やから無理や。そーやな、全日本のレギュラー3人がディフェンスで藤本がオフェンスでどーや?」


「まことさん!この子はまだ怪我が治ったばっかり・・・」


トントン


『美貴やります』

美貴はメモに書いた。



206 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/05(水) 00:51

「藤本あんたなに言って・・・」


「よっしゃ。ディフェンス3人はこっちで決めてええか?」


コクッ


「ったくしゃーないな。あんまり無理したらあかんで。」

裕ちゃんはなんだかんだと言いながら勝負することを許可してくれた。


「じゃあ、石黒、大谷、それと斎藤ちょい来てくれ!!」

まことさんは3人を呼んで話のいきさつを話した。


「やってくれるか?」


「「「はい!」」」


「そしたら準備しといてくれ。お前らはいつも通りの自分の動きでやってくれてかまへんから。」


「はい。」


「藤本!お前もやりたいようにやれ。ただ実力が見たいだけやから。」


コクッ


美貴のやりたいようにやればいい。


あの人たちのレベルは関係ない。


美貴がやれるだけのことをやればいいんだ。



「審判は村田!頼むわ。」


「はい。」


「ルールは藤本がシュートを決めれば藤本の勝ち。ディフェンスが防げば全日本の勝ちや。いいな?」


コクッ



美貴は自分の力を出すだけだ。


207 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/05(水) 01:13

「それでは始めてます!くれぐれも怪我のないように!」


ピピッーー


こうして美貴対全日本の試合が始まった。


ダムダム


まず美貴は相手の様子をうかがった。


1人は美貴をマンツーマンでマーク。残りの2人はゴール前でか。


「斎藤!その子はそこからのシュートもあるから気をつけてね!」


「はい!」


そっか。石黒さんとは前に一度やったんだ。
美貴のパターンはばれてる。この前と同じ手は使えない。

とするとやっぱり中に切り込むしかないか。


キュッ!ダッ!


美貴はいっきにゴール下まで行った。


「ふーん、速いんだね。でもここまで来たらこっちは3人もいるんだよ。」


そう美貴についていた大谷さんも抜けないまま美貴の前には3人。だけど美貴は気にせずジャンプしてレイアップをしようとした。


「こんな密集地帯でレイアップは無謀。今回はあたしたちの勝ちね。」

石黒さんは言った。


美貴は・・・


あのとき決めた


クルッ


「「「なっ!?」」」




もう誰にも負けない!!


シュ・・・


「半回転してシュート!?」


パサッ



ピッピピッーー


「試合終了!藤本さんの勝ち!」


トコトコ


ん?石黒さん・・・


「あんた本当やるわね。遠投シュートの次は半回転シュート。大したもんよ。完敗だわ。」

石黒さんは笑顔で手を差し出してきた。
美貴はその手を握り返した。


パチパチ!


「お前やっぱりすごいわ!!まさか全日本のレギュラー陣3人に勝ってしまうとわな。」


レギュラー陣!?


「なに驚いてんねん!お前もしかしてこいつらがレギュラーやって知らんでやってたんか?」


コクッ


「お前ホンマ大したやつや。」


208 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/05(水) 12:02
うお美貴たんすげぇ・・・
209 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/06(木) 00:52

七誌さま→ミキティはまじすごいです!!これからもっと・・・



星龍さま→これからもっと読者さまに喜んでいただけるようにします!
210 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/06(木) 01:13

「中澤、お前すごい掘り出し物見つけたな。今まで中澤や稲葉がおおげさに言ってるだけやと思っとったけどありゃ本物や!」


「だから言ったやないですか!あの子はすごいんです。技術だけやなくて根性もあるんですわ。」


「ほー。そりゃ楽しみやわ!」


一方美貴は全日本の選手たちと話していた。


「あんたやるねぇ。藤本だっけか?」


コクッ


「あたしは斎藤瞳。よろしく!」


美貴は頭を下げた。


「あたしは大谷って言うんだ。ちなみにひとみんとあたしはフォワード。」

大谷さんは斎藤さんを指さしながら言った。


「ちょっと!あたしも混ぜてーー。」

叫びながら走って来たのは福田さんだった。


「明日香!あんたメニュー全部終わったの?」


「うっ・・」


「どーせまだなんでしょ?早く終わらせてきなさい!」


「はーいっ。」


石黒さんは福田さんがまるで自分の子どものように言った。


「あのふたりは昔からあんな感じなの。あっ!私は村田です。このチームのことならなんでも聞いて。私は情報コメンテーターだから。」


コクッ


「藤本ーー!そろそろ帰るでー!!」


美貴は今まで話していた人たちにお辞儀をして裕ちゃんに駆け寄った。


「ほな帰ろか。」


コクッ


こうして初めて全日本と交流を持った美貴であった。


211 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/06(木) 11:31
美貴ちゃん結構全日本の人と仲良くなったみたいですね。
うん、これからが楽しみだ。
212 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/07(金) 18:24

あれから3日たった今日美貴はついに全日本の寮に入るのだ。


「美貴!忘れ物はないか?」


コクッ


結局あの日から窓のカーテンを開けることはなかった・・
事項自得なんだけど。

「ホンマに大丈夫なんか!?裕ちゃんは寂しいわ〜。」


『大丈夫だって。週末はこっちに帰って来れるし、それに寮だってここから5駅しか離れてないしね!!』


「そーやな!ちゃんと帰って来てや?」


『はいはい。』


「帰ってこんと裕ちゃん泣くで?」


『わかってるよ。』


そう監督の配慮で美貴は週末の2日は家に帰ってもいいということになったのだ。


「みんなにはあたしから言っとくから心配せんでいいからな。」


コクッ


『それじゃあ行ってきます!!』


美貴は背を向けた。


「がんばってやるんやでー!!」


美貴は裕ちゃんに背を向けたままで拳を空に高く上げた。


「あいつ・・・一丁前なことしやがって(笑)」


美貴は今までの生活と違い寮から電車通学というのが少し嬉しかった。
だって電車に毎日乗るなんてなかったんだよ?


美貴は少しの荷物を持って歩いて行った。


213 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/07(金) 21:12

〜寮〜

「いらっしゃーい!!」

寮に着いた瞬間寮のおばさんそして全日本チームの面々が出迎えてくれた。


美貴はとりあえずお辞儀をした。


「安心し。お前がしゃべれんことはみんな承知の上やから〜。」

まこと監督が選手たちをかきわけて出てきた。


「もちろん取材も申し出がいっぱい来てるんやけど見合わせてもらっとる。」


『ありがとうございます。』

美貴は笑顔でメモを見せた。


「ええってことや。その分お前にはプレーで働いてもらうからな。」


コクッ


「大谷!こいつを部屋まで連れてってやって。」


「はい!」


美貴は手招きしている大谷さんのところまで行った。


「よっ!藤本の部屋の隣りがあたしだからよろしく!」


『よろしくお願いします!!』


「おう!わかんないことがあったらいつでも聞いてくれていいから!」


コクッ


「全国大会がもうすくなんだろ?」


コクッ


「大変だよなー。あたしもさ、この時期は苦労してたよ。」

大谷は明後日の方向を見ながらしみじみとしていた。


『大谷さんはどこの高校だったんですか?』


「あたし?あたしはね、ハロ高だよ。」


『そうなんですか!?じゃあ美貴の先輩ですね!!』


「うん。一応先輩です!(笑)ここはハロ高出身者が多いんだよ。ひとみんとムラ田もそうだしね。」


『石黒さんと福田さんもですよね?』


「うん。うちとひとみんとムラ田は3年前に卒業したの。んで石黒さんと福田さんはうちらが1年のときに3年だったから5年前に卒業したんだよ。」


『へえー!じゃあ今の全日本レギュラーはハロ高OGなんですね!!』


「そういえばそうかも。(笑)あっ!藤本の部屋はここだよ。」


『ありがとうございました。』


「いえいえ。んじゃあまた後でね。」


コクッ


214 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/07(金) 21:19

美貴はとりあえず荷物を置いて座った。

ふーっ。疲れた。


みんなどーしてるかな・・・


今ごろ練習してるよな。


今日は美貴が移り住む初日なのでオフになったのだ。


みんな怒るかな?


何にも言わなかったからね・・・



215 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/07(金) 21:43

そのころハロ高体育館


「全員そろったかー?」


「藤本がまだです!」


「・・・今日はみんなに話さなあかんことがあるねん。」


「先生!まだ藤本が・・・」


「その藤本やねんけどな、あいつはこれから全国大会の1週間前まで練習にはけーへんことになったんや。」


「えっ??」


「なんでですか?もしかして出たくないとでも言ったんですか?」

さすが市井。やっぱりこいつはいつでも冷静やな。


「そーやない。」


「だったらなんでミキティは来ないんですか?」

矢口にも言っとらんかったんか。そしたら多分紺野、松浦、安倍それから愛ちゃんにもきっと言っとらんのやろうけど。


「あいつはな、全日本に入ったんや!!せやからあっちの練習優先でやる。」



「えーーーーー!?」


さすがにみんな動揺するやろな。あたしとあっちゃんでも最初に話をもらったときは焦ったしな。


「あんたらホンマうるさいなぁ。藤本はただ遊びに行くんちゃうんや。あんたらよりもっときっっつい練習でもまれて成長して全国大会に臨むんや。しかしあいつだけが成長してもあんたらと合わんかったらなんの意味もない。せやからあんたらも成長出来るようにがんばるねんで?」


「はい!」


216 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/07(金) 23:31

藤本・・・


どーして?


なんで何も言わずに行っちゃったの?


藤本はいっつもそうだよ


そうやってまた自分を追いこむ。


藤本にはなっちがついてるって言ったのに・・


なっちにはなんだって相談してほしかった。


なっちは・・・



なっちは高橋の変わりにはなれないかもしれない。


藤本にとって高橋はきっとものすごく大きい存在だろうから。


でも・・・


藤本が高橋を想う以上に




なっちは藤本を想ってる


はじめて合ったときからずっと。



だからなっちは藤本の苦しんでる姿は見たくないの。



なっちにとっての藤本はものすごく大きい。




でもそれと同時に藤本にとっての高橋も大きい。


この差はきっといつまでも縮まらないと思う。



むしろ離れるかもしれない。



それでもなっちは藤本を想い続ける。



あなたはなっちの中でなくてはならない存在だから。


あなたの穴は他の誰にも埋められない。




藤本しか・・・



藤本?



なっちはあなたの中でどんな存在?



少しでもいい。



ほんの少しでいいから藤本の心にいさせて?



藤本の心の穴のはじっこでいいから。



藤本の中にあるぽっかりと開いてしまったところを埋めたいの。



たとえその穴がなっちじゃなかったとしても



きっと穴となにかをくっつける針くらいにはなれるだろうから。



どうか・・・



なっちをあなたの中にいさせてください。



217 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/07(金) 23:48

美貴ちゃんなんでなの?


この前確かに美貴ちゃんは私とあやちゃんにこう言った。


『もう友達やめよう』と


でもだからって・・・



どうして何も言わないで行っちゃうの?



美貴ちゃんは昔からそうだよね。



いつも自分の中だけで解決する。


私はそんなに頼りないですか?



確かに私はいつも美貴ちゃんの背中ばっかり追ってた。



私だけじゃない。



美貴ちゃんはみんなより一歩先を行く。



でもそれは偶然なんかじゃなくて、美貴ちゃんが故意にやってること。


みんなより先に行くことで自分を強く見せる。



確かに強く見えるよ?でも本当は・・・



美貴ちゃんは強くなんかない。



美貴ちゃんの心はガラスのようにキレイで繊細。



繊細なのに・・・



美貴ちゃんは誰かを傷つけないようにわざと自分を汚す。



自分が悪者になってみんなを助ける。



でもね、美貴ちゃんはどうして誰かに助けてもらおうとしないの?



助けるだけの優しい心は美貴ちゃん自身を傷つけてるんだよ?



だから私はね、美貴ちゃんを磨く雑巾になってあげたいの。



美貴ちゃんが自分を汚す


私が美貴ちゃんを磨いてまた元通りにしてあげたい。


だめかな?



もちろん本当に磨いてあげられるのは私じゃない。


でも・・・



本当に元通りにしてくれる人が出てくるまで私がいてあげたいの。



美貴ちゃんはいつも私を助けてくれたから。



今度は私が力になってあげたいの。





私は美貴ちゃんが好きだから。


218 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/08(土) 00:05

みきたんのバカ!!


またあたしに何も言ってくれなかった。



あたしはみきたんがどんどん成長していくことは嬉しいよ?



でもね・・・


みきたんの心はどうしていつも置いてけぼりなの?



どーしてみきたんはひとりぼっちになるの?



教えてよ。


みきたんはあたしにとって最高の相棒でとっっっても大切な人なんだから。


みきたんはあたしがこんな風に思ってること知らないでしょ?


始めはね、実は嫉妬してたんだ。


だってバスケを続けてきたあたしなんかよりずっとうまくてそれでもってかっこよくて強いんだもん。


あのころはまだあなたの心の弱さを知らなかった。



本当はあたしが思ってるよりずっと弱かった。


でもそれを表にださなかったんでしょ?



あたしね、みきたんのこと尊敬したよ。



でも、みきたんの心がボロボロになった。


あたしあのとき思ったんだ。




みきたんを救ってあげたいって。



みきたんの支えになりたい。



今でもそうだよ?



だけどみきたんはまたひとりの道を選んだ。



『友達やめよう。』って言って。


どーして?



あたしはみきたんのそばにいちゃいけないの?



あんなにみきたんが苦しんでるのに。



あたしはみきたんに何もしてあげられないの?



みきたんが求めてるのはあたしじゃないって知ってる。


それでもあたしはみきたんのそばにいて支えてあげたい。



みきたんが立ち直るまででいいから。



だからみきたん、遠くに行かないで・・・



219 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/08(土) 00:23

ミキティ、あんたに一体何が起きたの?


おいらはついこの間までミキティの事情をちっとも知らなかった。



でもさ、わかったんだ。



ミキティはおいらが思ってたミキティとは違うんだって。



ミキティはすんげえ強くてかっこいいやつだと思ってた。


だけど本物のミキティは弱かったんだ。


ミキティが手の震えを必死で抑えながら書いたあの言葉


『みんなが幸せになれば自分はどうでもいい。』


あれさ、おいらはミキティすげえって思ったよ?

でもおいらはそんな事を言ってるミキティに幸せになって欲しいんだ。



だってミキティは今までいろんな人を救ってきた


だから今度はミキティが幸せになる番なんじゃないの?


なのにミキティはまた誰かを助けるために自分を犠牲にしてる。



本物のミキティは弱い



おいらミキティが泣きそうになるの見ちゃったんだ。ごめんね?



おいらそのとき無性にミキティを抱きしめてあげたかった。


でも同時にそれはおいらの役目なのか自分に問いただしちゃったんだ。



結局ごっつあんが来て抱きしめてあげられなかった。



でも今思うとさ、



あのとき抱きしめてあげればよかった。


ミキティを苦しみごとおいらが包んであげればよかったよ。


悩んでる場合じゃなかった。



そしたらまた別の方向に進んでいた


っていうよりおいらがミキティを守ってあげれたと思う。


ミキティは今も苦しみ続けてる


ミキティ・・・





ごめんね。


220 名前:大きな代償 投稿日:2005/01/08(土) 00:59

あのとき


藤本の声が出ないって知ったとき正直びっくりした。



だって自分のことじゃないのになっちが泣いてたから


めったに怒らないなっちが取り乱してよしこと高橋を怒ってたから


それと同時になっちが今までずっと悩んでた原因がごとーにはわかった。


なっちはここ最近辛そうで悲しみ溢れた顔をすることが多かった。



でもごとーがいくら問いただしてもなっちは


『大丈夫だよ。』っていつもの笑顔を作って答えてた。


だからごとーはずっとなっちの悩みがわからなかった。


でもね、あの瞬間わかっちゃったんだ。



なっちを苦しめてたのは藤本だって。



ごとーはずっとなっちが好きだった。



だけどなっちの気持ちが藤本に向いてた。


それだけだったらごとーはよかった。



でも藤本はなっちをこんなにも苦しめてる。



今までなっちはごとーためにあんな顔をしてくれなかった。
なっちはごとーために苦しんだりしてくれなかった。



なのに・・・


どーして急に現れたあいつにそんな顔するの?



なっちのあんな顔見たくなかった。



ごとーはねなっちにはなっちらしく笑っててほしいの。



ごとーはなっちが好きだから幸せになって欲しい


だからごとーは藤本に言ったんだ



『なっちをこれ以上苦しめないで』


これがごとーが願うなっちの幸せを手に入れるためだから


221 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/08(土) 20:49
みんなの心の声が切ない・・・
222 名前:星龍 投稿日:2005/01/08(土) 21:12
皆さん切ないです・・・。
これからどうなるんでしょう・・。
すごく楽しみです。
223 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/08(土) 22:18

七誌さま→今回は切なさをテーマに書いてみたので切ないと言っていただけてよかったです。


星龍さま→切なさテーマで書きました。ワクワクは切ないのが好きみたいです(笑)


読者の方々に質問なんですがこれからも今回のようにたまにそれぞれの視点からで書いたほうがいいですか?もしよければ意見をいただきたいです。


224 名前:勘違い 投稿日:2005/01/08(土) 23:08

美貴はあれから必死で練習に取り組んだ。そんな美貴を監督や選手のみんなは何も言わずに見守ってくれていた。


そんバスケを繰り返す毎日を続けて早くも3日経っていた。


「よっしゃ。今日はここまでや!」


「ありがとうございました!」


練習は毎日だいたい8時30分前後に終わった。それから体育館から寮まで帰るのだ。寮までは歩いて20分もあれば着く。


「お疲れ!藤本今日もやってくのか?」

大谷さんが話しかけてきた。


美貴は毎日練習が終わってからもシューティングをしているのだ。


『今日はランニングの距離をのばしたいんでやらないで帰ります。』


「そっか。しかし藤本もよくやるな。練習終わってからもシューティングやって寮に帰ってからランニングだろ?あたしには絶対できないよ!」


『そんなことないですよ!』


「いや、そんなことあるよ!そこまで体力もたないし次の日にひびくからさ。」


「ふたりともー!早く帰ろう!!」

ムラ田さんと斉藤さんが美貴たちを呼んでる声が聞こえた。


「おぉー!今行く!んじゃ帰るとするか。」


コクッ



ーーーーーーーーーー

美貴は一端寮に帰って着替えてからランニングに出かけた。


今日はあと3キロほどのばそう。


美貴は自分の走る距離を考えながら走った。


225 名前:勘違い 投稿日:2005/01/08(土) 23:28

そのころ寮の前では


「なっちー、やっぱ止めほうがいいよ!もう寝ちゃってるかもしれないしさ・・・」


「矢口は藤本がなんで何も言わずに来たか知りたくないの?」


「そういうわけじゃないけど・・・」


「じゃあ行くべさ!」


「あっ!ちょっと待ってよ〜!!」

安倍と矢口はなぜ美貴が何も言わなかったのかを突き止めるべく寮にやって来ていた。
ふたりの家は寮がある駅の隣り駅に住んでいるのだ。


ガチャ

「こんばんはー!」


「はいはい、どなたさまですか?」

安倍と矢口が入ると玄関を入ってすぐの部屋からおばさんが出て来た。


「あの、藤本に用があるんです!」


「あー、ごめんなさいね。藤本さんはファンと取材の方とは合っちゃいけないのよ。」


「おいらたちはファンじゃなくて藤本が通ってるハロ高のバスケ部なんです!」


「あら!そうでしたか。でもあいにく今藤本さんは走りに行っちゃっていないのよ。」


「「走る?」」


「そうなの。あの子はいつもみんなより遅くまで練習して寮に帰って来てからもまたすぐトレーニングのために走りに行くのよ。きっとあの子は本当にバスケが好きなのね。」


「「・・・」」


「なにか用があるなら私が伝えておきましょうか?」


「あっ大丈夫です!夜分遅くにすいませんでした。今日は帰ります。」


「あら、そう?夜道は危ないから気をつけてね。」


「「はい!」」


ガチャ


安倍と矢口は寮をあとにしようと出て歩きはじめた。安倍は下を向いていた。


226 名前:勘違い 投稿日:2005/01/08(土) 23:48

そのとき


「あっ!ミキティ!!」


美貴がちょうどランニンから帰って来たところだった。


美貴一瞬立ち止まったがふたりを無視して通り過ぎようとした。


「藤本!待って!」

美貴は安倍さんに腕を掴まれて立ち止まった。


『なんですか?』


「ちょっと話したいことがあるの。」


『・・・』


「なっちと矢口はね・・・」


『もう遅いから早く帰ったほうがいいですよ?』


「あのさミキティ・・・」


『ふたりじゃ危ないから美貴が送ります。行きましょう。』

美貴はメモを見せてふたりの腕を引っ張って無理やり歩こうとした。


「藤本!なっちたちの話を聞いて!」


ビクッ!

美貴は立ち止まった。


『話す必要はありませんよ。美貴はバスケがうまくなりたくて全日本に入った。ただそれだけです。』


「ウソ!だってミキティは・・・」


『それだけです。美貴はバスケがうまくなりたいんです。』


「だったらなんでなっちたちに一言も言わなかったの?」


『安倍さん、勘違いしないでください。これは美貴の問題でみんなには関係ないじゃないですか。』


「ミキティ、確かにこれはミキティの問題だよ。でもさ、おいらたちは仲間でしょ?仲間には話してくれてもいいとおいらは思うんだけど。」


仲間?


「そーだべさ!なっちも藤本の仲間なんだよ?」


仲間ってなに?


「だからさ・・・」


『美貴に仲間なんていりません。美貴はひとりで生きていけますから。』


「ミキティ何言ってんの?」


美貴と仲間になっちゃったらまた傷つく。


「藤本?」



だから


『美貴に仲間なんていません。』


美貴に近寄っちゃだめ。

227 名前:勘違い 投稿日:2005/01/09(日) 00:02

「藤本はまたそうやって自分を傷つけるの?」


美貴が傷つく?そんなのどーだっていい。
みんなが傷つかなければ。


「なっちは味方だよ?」


ウソだ。
美貴は安倍さんを傷つけてた。


「藤本?なっちは藤本の味方なの。」


なっちをこれ以上苦しめないで。って後藤さんが言ってた。
美貴は安倍さんだけじゃなくて後藤さんにもひどいことをした。


「ミキティ!おいらも味方だから。」


美貴はいつも救われてきた。でもそれと同時に救ってくれた人を知らない間に傷つけてる。


「ミキティ、だからそんな顔しないでよ。」


美貴は・・・




これ以上





人を傷つけたくない。




もうたくさんだ。





『美貴はひとりで生きて行きます。仲間なんていらない。』





美貴なんか






いなきゃよかった







神さまはどーして美貴を作ったの?





美貴はみんなを不幸にする




神さま






あなたは美貴を悪魔にしたいの?



228 名前:勘違い 投稿日:2005/01/09(日) 00:13

美貴はその場を走り去った。


だってあのままいたらきっとまたあの人たちに甘えてしまう。そしてまた傷つける。


美貴はだんだんと人と接することが怖くなっていた。


美貴はどうしたらいい?


どうしたら悪魔じゃなくなる?


たぶんそれは一生無理。だってこれが美貴が生きてくうえの定められた運命だから。


そんなことを考えているうちに自分の部屋についていた。


今日はもう寝よう。考えすぎて頭が痛くなりそう


美貴はそのままベッドに倒れこみ眠りに落ちた。


229 名前:勘違い 投稿日:2005/01/09(日) 00:33

「ミキティやっぱりなにか悩んでるね。」


「うん・・・」


安倍と矢口は美貴が去ってからふたりで家への道を歩いていた。


「おいらミキティが悩んでるのに何もしてあげられないのかな?」


「・・・」


「ミキティ何に悩んでるんだろ・・」


「なっちさ・・・」


「ん?」


「なっち気づいたんがけど藤本はみんなを避けようとしてる。」


「それはおいらも思った。だけどそれは前からだよ?」


「ううん。だって予選の日まで藤本はなっちや矢口とも普通に会話してたでしょ?」


「そういえば・・・」


「藤本の様子がおかしくなったのは次の日からなんだよ。やっぱりなっちがみんなに藤本の声のことを言っちゃったから・・・」


「それはないよ!だっておいらとその後少し話してたもん。それにごっつあんが来たときも普通だった。」


「ごっちん?」


「うん。なっちが出ていっちゃった後にね、みんなどっかいっちゃったっておいらと藤本がふたりになったの。でそこにごっつあんが来た。」


「ごっちんは何しに行ったの?」


「わかんない。だけど藤本と話したいからってそれでおいらはなっちのところに行ったんだよ。」


「ごっちん何話したんだろ?」


「ごっつあんだったらなんか知ってるかも・・・」


「明日聞いてみよ。」


「うん。」


ふたりは互いになにか胸騒ぎがしていた。


230 名前:勘違い 投稿日:2005/01/09(日) 08:27

〜翌日〜

ガヤガヤ

ごとーは昨日藤本が全日本に入ったってことを聞いて驚いた。そんでもって心のどこかでホッとした。
なっちはもう苦しまないですむんだって。


「ごっちん!安倍さんと矢口さんがお呼びだよ♪」

梨華ちゃんが変なテンションでごとーに知らせてくれた。


「んあー、ありがと。」

愛しい愛しいあの人がわざわざ2年の教室まで会いにきた。ごとーにとってこれほど嬉しいことはなかった。


「なっちにやぐっつあんどーしたの?2年の教室に来るなんて珍しいね。」


なっちは普段あんまりここには来ないから正直びっくりした。クラスのみんなも思いがけないごとーの来客に驚いてる。なんてったってなっちは学校一番の美少女なんだから。
そんななっちが学校でモテるほうのごとーをたずねて来たとなるとクラスも浮き足立つ。ちっちゃいおまけ付きだけどね。


「ちょっとごっつあんに聞きたいことがあるんだ。」


「なになに?ふたりとも深刻な顔しちゃって。」


まさかどっかのドラマみたくあたしたちのどっちが好きとか?
そりゃやぐっつあんには悪いけどごとーはなっちを選ぶよ。


「藤本のことなんだけど・・・」


なっちの口から出た名前にごとーの期待はいっきに捨て去られた。

藤本?


「予選の日にさ、ごっつあんはミキティとなに話したの?」

やぐっつあんまで。


「なにって・・・今後の話とか?」


ごとーはわざと冗談っぽく言った。


「なっちと矢口は真剣に聞いてるの!」


そんなこと言われても言えるわけないじゃん。
『なっちのことだよ』なんて。だいいち


「なんでそんなこと聞くの?」


これがごとーの本音。だってわけわかんないもん。


231 名前:勘違い 投稿日:2005/01/09(日) 08:52

「藤本を助けてあげたいの。」


なんで?なんでなっちはそこまであの子に執着するの?それに助けるってなに?


「だからお願い!教えて!!」


なっち・・・


「おいらからもお願い。もしかしたらミキティを助けることができるかもしれないんだ。」


「・・・ごとーは」


「えっ?」

やぐっつあんの声が聞こえたけどごとーはかまわず続けた。


「ごとーはこれ以上なっちを苦しめないでって言ったよ・・・」


「「・・・」」


あーあ、ごとー本当になっちのお願いには弱いよね。


「なんで?」


「んあ?」


「なんでそんなこと言ったの!?」


「なんでって・・・」


「なっちは全然苦しんでなんかないのに!!」


「・・・」


「どーして藤本を苦しめるようなことを言うの!?」


藤本を苦しめる?違うよ。藤本がなっちを苦しめてた。


「どーして!?」


「なっち!落ち着いて!」


「ごっちんがそんなこと言ったから藤本はひとりになったんだよ!?」


「なっち!!」


藤本がひとりになった?


「藤本はあんなにボロボロだったのに!!」


ボロボロ?なんの話なのかごとーにはわかんないよ。


「ちょっと待ってよ。話がよくわからないよ。」


「ミキティはね、だいぶ前から傷ついて心がボロボロだったの。」


「・・・」


「何も言わないで全日本に入ったからおいらたちは疑問に思って昨日会いに行ったの。」


「・・・」


「そしたらミキティは『仲間なんかいらない』って言ったんだ。」


「それって・・・」


「うん。たぶん人を拒絶しちゃってる。」


「ごっちんのせいだよ!」


「なっちやめなよ!!」


「・・・」

知らなかった。藤本がそんなに追いやられてたなんて・・・


ダッ!


「なっち!ごめん。おいらなっちを追いかけるから。」


232 名前:勘違い 投稿日:2005/01/09(日) 09:01

ごとーはなっちのためだと思ってやったのに



結局ごとーがやったことはみんなを傷つけた。



藤本ややぐっつあん



それに





大好きななっちを。



藤本は傷ついてたはずなのにごとーとの約束を果たした。



なっちを苦しめない



イコール



なっちに近づくな



ごとーの気持ちに藤本は気づいてた。
約束通りになったのにどーしてなっちは苦しんでるの?



それはきっと




ごとーのせい





ごとーが藤本のことを考えずにあんなこと言っちゃったから。




ごめんね、藤本。





ごめん、なっち。


233 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/09(日) 12:52
ん〜・・・お?そういや〜リアルタイムだ!ラッキー♪
ミキティを救ってあげれるのはなっちだけなんですかね。
こんこんや亜弥ちゃんも・・・みんなたぶん救える。
でも役目がそうじゃない・・・。重いな〜話が・・・。
なんて深刻に悩んじゃいました(笑)
>>223ワクワクさま。
そうですね。やっぱりたまに視点を変えたほうが
話がわかりやすいかもしれないですね。
234 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 02:06

今日は全日本に入って初めて家に帰る日。


「藤本ー!あたしは寂しいよ。」


『なに言ってるんですか。今日もこんなに練習したしそれに日曜日の夕方にはまた合うじゃないですか。』

美貴は大谷さんに言った。今日も朝から練習をして今夕方の6時に終わったのだ。


「だってさー、毎日一緒だし部屋も隣りだからいなくなると暇つぶしがいなくなるじゃん?」

暇つぶしかよ!
美貴は心の中でひっそりとツッコミを入れた。


「まーゆっくりしてきなよ。中澤さんによろしく言っといてよ!」


コクッ


こうして美貴は寮をあとにして中澤の待つ家へ向かった。


裕ちゃん待ってるかな?


235 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 02:17

〜家〜

ガチャガチャ


美貴は勢いよくドアを開けた。


バタバタバタ!!


ん?


「美貴ーーー!!」


『!?』

美貴が家に入った途端に裕ちゃんが美貴の首に腕をまわして抱きついてきた。


「おかえりぃ〜♪」


裕ちゃんはそんなに寂しかったの?
裕ちゃん、独り身はいやっていっつも言ってるもんね。


『ただいま』

美貴は口を動かした。


「待っとったで!今日はな美貴が帰って来るからご馳走にしたんや。」


すげぇー。美貴の好きなものばっかり。好きなものばっかりって言っても焼き肉なんだけどね。


「どーや!すごいやろ?」


コクッ


「そしたら食べよか。」


コクッ


こんな些細なことでも落ち込んでいる美貴にとってすごく嬉しいことだった。
裕ちゃんがまるでお母さんみたいに思えたんだ。

この日の夜は久々に癒された美貴だった。


236 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 03:51

〜翌日〜

ふあー!もう朝か。なんか久々に熟睡できたかも。昨日の夜はいつも以上に裕ちゃんの存在が大きく感じた。

美貴は自分のベッドから出てリビングに降りた。そこには裕ちゃんの姿が無くて机の上にラップのかかった朝ごはんとメモが置いてあった。


『おはようさん。練習に行ってくるから朝ごはん置いて行くわ。昼飯は冷蔵庫にチャーハン作って入れてあるから。今日は5時に帰れると思うから待っとってな!』


そっか、今日は日曜日だから朝から練習あるんだ。


美貴は中澤が作って行った朝ごはんを適当に食べ、なにをするでもなくテレビをつけてソファーに座った。


んー、なんか暇だな。

あっそうだ!ビデオ見よう。

美貴は前に撮っておいたドラマをまだ見ていなかった。そして美貴はおもむろに一本のビデオを取り出した。

確かこれだった気がするんだよね。


ピッ


「美貴ちゃん!はよせんともう映しとるんやよ。」


再生して流れてきたものは美貴の望んでいたドラマではなく、中学卒業の日に仲良し5人組で撮った記念のビデオだった。


「まじ?撮るの早すぎだから!」


「もう撮っちゃってるんやから仕方ないでしょ!」


懐かしい〜。
あっ!ガキさんだ!


「はいはいふたりともケンカしないの。えーとそれでは今からひとりひとり夢を語ってもらいまーす。リポーターは私新垣が務めまーす!まずはまこっちゃんから!」


「んえ!?あたし?」

まこと口開いてるし(笑)

「まこと!口開いてるから!!」


「あっ!!」


「えー、では気を取り直してまことどーぞ!!」


「んーと、あたしの夢は高校で赤点を取らないように美貴ちゃんとこんこんにノートを見せてもらってさらに教えてもらうことです。」


237 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 04:13

「は?まことはまた美貴とこんこんに頼るわけ?」


「うん。だってあたしバカだから絶対ついていけないもん!だからうちらのダブル天才にあたしの進級を委ねる!」


「美貴絶対やだ!勉強は自分でしろ!!しかもそれ夢とかじゃないし。」


「え〜!これはあたしの夢だよ!!」


まこと変わんないな。


「ったくお前は〜!!」


「はーい!いい感じに盛り上がったところで次はこんこん!」


「わ、わたしはあの、みんなとずっと仲良くしていくこと///」


「あさ美ちゃんらしい夢やね〜!」


「まこと!これが夢ってやつなんだよ!」


「あたしのも夢だもん・・・」


まことだんだん弱気になってるよ。
しっかしこんこんの夢可愛らしいな。


「じゃあ今度はリポーター自ら夢を語ります!」


「ふえ?普通みんな終わってからリポーターが言うんやないの?」


「そーだよ。まだ美貴と愛ちゃん言い終わってないじゃん!」


「いいのいいの。えっとあたし新垣の夢はハロ高バスケ部で全国制覇をすることです!」


やっぱガキさんはバスケ命だね。


「おぉー!!がんばって!あーし応援するやよ!」


「うん!!では続きまして愛ちゃん。」


「はい!あーしの夢は好きな人のそばにいることやよ///」


・・・


「それってある意味あたしの全国制覇よりおっきい夢かも。ってかばりばり吉澤さんのことじゃんか!」


「違うやよ///」


「照れなくていいって!もうあたしたちにはばればれだから!ね、まこと?」


「うん。愛ちゃんわかりやすいから!」


「そんなことないもん!!」


「はいはいムキにならないの。では最後はやっぱりこの方!美貴ちゃ〜ん!」


238 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/10(月) 11:19
楽しくよませていただいています!
マイペースでがんばってください。
239 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/10(月) 11:24
更新乙ナリ。
これは懐かしの映像というやつですね!
美貴ちゃんの夢はなんなんでしょう・・・?
しっかしまこっちゃんって・・・。
こんこんはなんかそれっぽい答えですね。
240 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 16:01

「美貴?美貴は夢なんてないよ。」


「えー!!それは意味ないからだめだよ!ちゃんとなんか言ってよ。」


うわっ、美貴珍しくガキさんにたじたじになってるし。


「えー。だってないもん。あっ・・・!」


「なになに!?」

みんな興味津々だし。
こんとき美貴は確か・・


「美貴はあ・・・」


「あ??」


「み、美貴はあーっと、人の役に立つ!!」


「おぉー!美貴ちゃんにしては珍しい!」


「本当に!じゃああたしにノートを・・・」


「それはやだ!!」


「美貴ちゃんのケチ!」


「ケチでもなんでもいいもん。」


美貴このときウソついちゃったんだよね。
本当は・・・





『美貴は愛ちゃんのヒーローになりたい』


こう言おうとした。昔、ちっちゃいころに愛ちゃんと約束した。でもきっと愛ちゃんは覚えてない。それに愛ちゃんが美貴じゃないヒーローがいたから。


美貴は言えなかった。


いや、




言わなかったんだ。



241 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 16:36

〜美貴の小さいころ〜


「やめて!あーしがなにしたんや?」


「愛ちゃんはいっつも美貴ちゃんといるんだもん!あたしたちは美貴ちゃんと遊びたいの!」


「あーしだって美貴ちゃーと遊びたいもん!」


「愛ちゃんはいつも遊んでるじゃんか!美貴ちゃんもあたしたちと遊びたいの!」


「そんなことないもん!」


「なによ!」


愛を攻めていた子梨華が愛を突き飛ばした。


ドンッ!


「いたーっ。美貴ちゃはあーしと遊ぶんだもん!」


「美貴ちゃんはあたしたちと遊ぶの!」


梨華が今度は愛を叩こうとした。


バッ!


愛は受け身になって叩かれることを覚悟した。



バチン!!


「ふぇ?痛くない?」


愛が顔を上げると美貴が愛の代わりに叩かれていた。


「いってー。」


「美貴ちゃん!!ごめんねあたし・・・」


「なにやってんの?」


「あたしたちは美貴ちゃんと遊びたいの!なのに愛ちゃんが邪魔するから・・・」


「だからって殴るのはよくないよ?」


「ごめんなさい・・」


「愛ちゃんもムキにならないの。」


「ごめんなさい・・」


「みんなで仲良く遊ぼうよ!!」


「「うん!!」」


美貴たちはそれからまるでなにもなかったかのように仲良く遊んだ。


そして帰り道・・・


「美貴ちゃ!!」


「ん??」


「ありがと!あーしのこと助けてくれて!」


「べつに。美貴はみんなと仲良くしたいだけだよ。」


「あーしね、美貴のことヒーローに見えたやよ!」


「ヒーロー?」


「うん!!めちゃめちゃかっこよかった!」


「へへっ///じゃあさ美貴がずっーと愛ちゃんのヒーローでいてあげてもいいよ。」


「本当に?あーしのヒーローは美貴ちゃん!!約束やよ?」


「うん!!」


美貴たちは仲良く手をつないで帰った。


242 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 16:37

〜美貴の小さいころ〜

「やめて!あーしがなにしたんや?」


「愛ちゃんはいっつも美貴ちゃんといるんだもん!あたしたちは美貴ちゃんと遊びたいの!」


「あーしだって美貴ちゃーと遊びたいもん!」


「愛ちゃんはいつも遊んでるじゃんか!美貴ちゃんもあたしたちと遊びたいの!」


「そんなことないもん!」

「なによ!」


愛を攻めていた子梨華が愛を突き飛ばした。


ドンッ!


「いたーっ。美貴ちゃはあーしと遊ぶんだもん!」


「美貴ちゃんはあたしたちと遊ぶの!」


梨華が今度は愛を叩こうとした。


バッ!


愛は受け身になって叩かれることを覚悟した。


バチン!!


「ふぇ?痛くない?」


愛が顔を上げると美貴が愛の代わりに叩かれていた。


「いってー。」


「美貴ちゃん!!ごめんねあたし・・・」


「なにやってんの?」


「あたしたちは美貴ちゃんと遊びたいの!なのに愛ちゃんが邪魔するから・・・」


「だからって殴るのはよくないよ?」


「ごめんなさい・・」


「愛ちゃんもムキにならないの。」


「ごめんなさい・・」


「みんなで仲良く遊ぼうよ!!」


「「うん!!」」


美貴たちはそれからまるでなにもなかったかのように仲良く遊んだ。


そして帰り道・・・


「美貴ちゃ!!」


「ん??」


「ありがと!あーしのこと助けてくれて!」


「べつに。美貴はみんなと仲良くしたいだけだよ。」


「あーしね、美貴のことヒーローに見えたやよ!」


「ヒーロー?」


「うん!!めちゃめちゃかっこよかった!」


「へへっ///じゃあさ美貴がずっーと愛ちゃんのヒーローでいてあげてもいいよ。」


「本当に?あーしのヒーローは美貴ちゃん!!約束やよ?」


「うん!!」


美貴たちは仲良く手をつないで帰った。


243 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 17:53

「以上!リポーターは新垣でした〜。」


「「「「バイバーイ!」」」」


美貴が昔のことを思い出しているうちにビデオは終わっていた。


なんか懐かしかったな。あんなことよくやったよ。


ガチャガチャ


「美貴ー!今帰ったで!今日はお土産つきや!」


美貴は時計を見てびっくりした。もう5時を過ぎていた。


『おかえり』


「ただいま。今日の夕飯はお好み焼きや!お土産はお好みの材料やねん。」


『材料かよ!!』


「あんた相変わらずええツッコミやな。美貴は何時にここ出るんや?」


そう今日は美貴が寮に戻る日なのだ。


『7時。』


「そーか、そしたらはよ用意せんとあかんな。」

コクッ


30分後・・・


「美貴ー!出来たで!」


バタバタバタ


「お?あんたそのかっこ似合うやんか!」


美貴は裕ちゃんがご飯の準備をしている間に全日本のジャージに着替えて寮に戻る用意をしていた。


「ほないただきます!」

美貴は裕ちゃんの声と同時に手を合わせ食べ始めた。


「次のニュースです。モーニング町で放火が多発している事件ですが警察は調査中で・・・」


モーニング町って・・


「ああそうか美貴は寮におったから知らんやろうけど最近この辺で放火が多発してんねん。物騒な話や!」


244 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/10(月) 20:26
リアルタイムだ!やったー!
ここの町の名前はモーニング町だったんですね。
放火ですか・・・。美貴ちゃん大丈夫かな〜。
245 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 21:30

そのころハロ高体育館では

「おい!ごとー!今のところはパスだろ!!」


「ごめん・・・」


ガシャン!!


「ああーなっちもなにやってんだよ。」


「ごめん!」


「最近みんなどーしちゃったんだよ!松浦と吉澤、ごとーはプレーに集中してないしそれにマネージャーは4人そろって失敗するし!!」


「・・・」


「こんなんだったら藤本が帰ってきたらダメ出しだらけだよ!!」


「・・・そうですよね!市井さんの言う通りやよ。あーし外の倉庫の片付けしてきます!」


「お、おう!高橋頼んだぞー。」


「はい!!」

高橋は勢いよく外に飛び出していった。


「さやかごめん!!おいらもがんばるよ!」


「私も完璧にします。」


「あたしもみきたんに負けないようにがんばります!」


「よしざーも気合い入れ直します。」


「ごとーも!」


よかった。これでみんな立ち直ったよ。


「なっちも藤本が帰ってきたときに恥ずかしくないようにするべさ!」


「よっしゃー!じゃあ気合いを入れて全国制覇目指すぞー!!」


「おぉーー!!!」


246 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 23:45

市井さんの言う通りや。あーしたちがしっかりしないとまた美貴ちゃんに迷惑かけちゃう。


「うわっ!ここめっちゃくちゃカビ臭い!」

高橋は倉庫のあまりの荒れように思わず声をあげた。


「んー、しょうがないからあーしが綺麗にするやよ!!」


高橋は気合いを入れて掃除に取りかかった。
この倉庫は第2倉庫で普段は人が寄り付かない。しかし過去のバスケ部のトロフィーなどが保存されているのでたまに掃除をしなくてはならないのだ。トロフィーの数が多い分倉庫の広さもなかなかなものでみんなは掃除したがらない。


「あーあ、みんなちゃんと掃除してよ・・」


バサッ


「あっ!生徒手帳落としちゃった。ん?」


高橋は自分の生徒手帳からはみ出しているものを見た。


「あー!そういえば入学したときに入れといたんや!なくしたと思っとった・・・」


高橋が拾ったもの、それは中学の時に5人で撮った写真だった。


「最近はみんなで集まってもないな・・・」


写真の自分は美貴の隣りで腕を組んでとびっきりの笑顔で写っている。美貴はそんな自分に驚きながらも優しい笑顔だ。


「あーしたちいつからこんなんになったんやろ・・・」


美貴を挟んだ隣りで紺野も少し恥ずかしそうにしながらも美貴の腕に自分の腕を絡めて笑っている。小川と新垣は紺野の隣りでジャレあっている。


「みんな楽しそう・・・」

高橋はいつの間にか笑顔になっていた。


247 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 23:56

〜美貴の家〜

ピリッピリリリ!


不意に中澤の携帯が鳴り始めた。


「はい、もしもし。あ?なんや安倍かいな。片付け終わったんか?」


なんだろ・・・
すごい胸騒ぎがする。


「え?ちょい待ち落ち着け!!」


なに?


「倉庫が火事やって?」


まさかね・・・


「そんでみんなは平気なんか!?」



・・・


「た、高橋が中におる?」


バタッ!


「ちょい待ち・・・っておい!美貴どこ行くんや!!」


美貴はすごい勢いで家を出て行った。



愛ちゃん・・・


ハアハア


美貴はどれくらい走ったかわからないくらい必死だった。


なにやってんだよ


248 名前:勘違い 投稿日:2005/01/10(月) 23:59







愛ちゃん!!!




249 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 00:14

〜学校〜

ハアハア・・・


美貴が学校に着くと倉庫は火に包まれ、消防士の人たちが必死に火を消そうとしていた。


美貴は雨水を溜めているところに走って行って自分の着ていたジャージの上を水につけ着てすぐに倉庫のほうへ向かった。


「藤本!!」


「みきたん!!」


倉庫のところに着くと安倍さんとあやちゃんそれに矢口さんやこんこんがいた。


「高橋がまだ中に・・・って藤本!?」

美貴は安倍さんが言い終わる前に倉庫の入り口に走って行った。


「ちょっと君危ないから・・・!?おい!!」

美貴は消防士の言葉も聞かずに倉庫の中へ入って行った。


「藤本ーー!!だれか早く助けに行ってください!!」


安倍は必死に消防士に訴えた。しかしこの火の中に入ると助けるどころか共倒れになってしまうので消防士は消火活動を続けた。


「そんな・・・」


250 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 00:48

『愛ちゃん!』


美貴は声が出ないのに必死で愛ちゃんの名前を呼んだ。


くそっ!熱くて目が・・


『愛ちゃん!』


なんでここはこんな無駄に広いんだよ!!



『愛ちゃん!!』


美貴はどーなってもいい。だけど愛ちゃんは助ける!



命にかえても



『愛ちゃん』


ゴホゴホ





「愛ーーーー!!!」


ガタガタ

美貴が叫んだ後に微かな物音が聞こえた。


「愛!?」


美貴はなぜだかわからないけど物音がしたところに愛ちゃんがいると確信した。


そして行ってみるとやっぱり愛ちゃんがそこに倒れていた。


「愛!!大丈夫?」


「美貴ちゃん?あーし・・・」


「もう平気だよ!!美貴が愛ちゃんを助けるから!!」


「美貴ちゃん・・・」


「美貴は愛ちゃんのヒーローだから!!」


「美貴ちゃんあーしね・・ゴホッ」


「今は話さなくていいから!これ着て美貴の背中に乗って!!」


美貴は自分の着ていた濡れたジャージを愛に着せ、かがんだ。


「でも・・・」


「いいから早く!!」


「うん・・・」


愛は美貴の背中に乗った。


「よし。ゲホッそれじゃあ行くよ!」


愛は美貴の言葉を聞いてそのまま気を失った。


ゴホゴホ。


くっ!熱くて苦しい・・

出口まであと少し


愛ちゃんを






助ける!



251 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 01:16

「おい!もっと水は出ないのか!?」


「これがめいいっぱいです!」


消防士たちは必死で消火しようとしていた。

そのとき


「危ない!崩れるぞ!」



ガタガタ!ドカン!!


火は消し止められたが倉庫はすごい勢いで崩れ砂埃で包まれていた。


「そんな・・・ふじもとー!」


「ウソでしょ?美貴ちゃんがまだ中にいるのに・・・」


「み、みきたん!!いやだ!いやだよー!!」


「ミキティ!高橋!そんなのありかよ!!」


バスケ部のみんなはその場で泣き崩れてその場は泣き声だけが響いた。



そのとき


スタスタ


「おい!ひとり歩いくるぞ!!」

取材に来ていたカメラマンのひとりが叫んだ。



「いや!ふたりだ!背中にだれかかついでるぞ!!」


やじうまのおじさんが言った瞬間、砂埃の中から愛をかついだ美貴が出てきた。


「ゲホッ!みんな勝手に・・ゴホゴホ!美貴たちを・・殺さないで・・くださいよ。」


「美貴ちゃん!!」


「みきたん!」


美貴は駆け寄ってきた消防士に愛を預けるとそのままそこに倒れた。


「藤本!!」


「おい!ふたりを救急車に乗せるぞ!!」


「はい!!」


こうして美貴と愛は救急車で運ばれて行った。


252 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 01:35

美貴ちゃん!


なに?愛ちゃん


あーしね、嬉しかった。


えっ?


だってあーしのことを助けてくれた美貴ちゃんがすごいかっこよかったんやもん!


へへっ///


美貴ちゃんはやっぱりあーしのヒーローやよ!


愛ちゃん覚えてたの?


当たり前やよ!それとも美貴ちゃんはもうあーしのヒーローやないの?



ううん。美貴はずっーと愛ちゃんのヒーローだよ!!


へへっ///良かった!


253 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 01:50

「・・・たん!みきたん!!」


あれ?あやちゃん?


「みきたん起きた?」


今のは夢か・・・


「みきたん大丈夫?」


「あぁ、うん。」


「みきたん・・・」


「ん?」


「声・・・」


「声?」


「みきたんの声が出てるよ!!」


「ふぇ?あっ!本当だ!!」


美貴は知らない間に声が出るようになっていた。


「みきたん!!」


「わっ!ちょっと・・・」

美貴は抱きついてきたあやちゃんを離そうとした。だけど・・・


「ウッ・・みきたん・・グスッ良かったね!」


あやちゃんは泣いてた。だから美貴は抱きしめてそのまま言った。


「ありがとう。」


「み、みきたんのこと・・グスッ・・すご・・ヒック!心配したんだから!!」


「うん。」


「急に・・火の中に・・行っちゃって・・グスッ」


「うん。」


「倉庫ズズッ・・は崩れるし・・」


「うん。」


「あたし・・本当に・・どうしようかと・・」


美貴はあやちゃんが言い終わるか終わらないかの間にもう一度強く抱きしめて


「ごめんね?」

あやちゃんに謝った。


「うっうわーん!!」


「よしよし。美貴はここにいるから安心して。」


美貴はあやちゃんが泣きやむまでずっと背中をさすってあげた。


254 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/11(火) 07:33
面白い作品発見です!
255 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/11(火) 16:15
美貴ちゃんよかったですね。
やっぱり愛ちゃんのおかげかな?
256 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/11(火) 16:44

名無飼育さま→こんな駄文を面白いと言っていただいてありがとうございます。もしよろしければこれからもお願いします!!


七誌さま→返事遅れてすいませんm(_ _)mこれからもっと読者さまの期待に答えられるような作品を書きたいと思います!

257 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 17:15

しばらくしてあやちゃんは泣きやんだ。


「あやちゃん大丈夫?」


「うん!!そういえば・・・」


「ん?」


「先生が言ってたんだけど、炎の中に入るのはいただけないね。って。」


「うん・・・」


「だけどね、ジャージを濡らして入ったのは良い判断だ。そのジャージを着せたおかげで君のかついできた子は火傷がひとつもない。って言ってたよ!」


「そっか。じゃあ愛ちゃんは・・」


「違う病室で寝てるよ!」


「よかった。」

美貴は愛ちゃんの様態を聞いて安心した。


「あっ!美貴練習に行かなきゃ!!」


美貴は愛ちゃんを助けることに必死で全日本の練習に行くことを忘れていた。


「みきたん!!」


「あっごめん。悪いんだけど美貴練習に行かなきゃ・・・って服は?」


美貴は全日本のジャージではなく入院用の服を着ていた。


「みきたんのジャージは所々焦げてたから着せ替えたんだよ。それに練習は中澤先生が連絡してくれたから平気だよ!今日はゆっくりしていいって。」


「そーなんだ。」


「うん。あのね、こんちゃんが廊下で待ってるから呼んでくるね。」


「ああ、うん。」

こんこんもいてくれたんだ・・・。





ねぇ、美貴は愛ちゃんのヒーローになれたかな?



一瞬でもなれた?



258 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 18:09

〜愛の病室〜

「高橋・・・」

吉澤は後悔していた。自分は彼女を助ける勇気がなかった。そして彼女を見殺しにするところだった。


だけど



その彼女を今まで一番近くで見ていた藤本が助けた。


藤本には自分にないなにかがある。


「よしこ?」

病室の中に後藤が入ってきた。


「ごっちんか・・・」


「んあー、そんな情けない声出さないでよ。」


「ああ、ごめんごめん。」


「よしこさ・・・」


「ねえ、ごっちん。」


「んあ?」


「藤本はさ、なんであんなすげー炎の中に飛び込んだんだと思う?」


「ん〜。ごとーにはわかんないや。」


「あたしはさ、藤本にはあってあたしにはない勇気があると思うんだ。」


「んあ?」


「藤本は高橋を大事に思ってるんだよ。」


「それならよしこだって・・・」


「ううん。藤本はあたしよりもはるかに高橋を守りたいと思ってる。だからあんなことができたんだよ。」


「・・・」


吉澤は眠っている高橋の手を強く握りしめ優しい笑顔をむけた。


「きっと高橋を幸せにできるのはあたしじゃないんだよ。」


「・・・」


「それにさ、あたしには昔から思ってる人がいる。藤本を見ててさ、その人を諦めちゃだめなんだって改めて思ったんだよ。」


「よしこ・・・」


「だからあたし高橋が起きたら別れるよ。」


「んあ!?それじゃ高橋は・・・」


「高橋はあたしを好きだって言ってくれた。だけど高橋が本当に好きなのはあたしじゃない。」


高橋が好きなのは・・





あいつだから



259 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 18:45

「よしこの好きな人ってさ・・・」


「それを聞くか。」


「だってごとー気になるもん。」


「あのねごっちん・・」


「まあ聞かなくてもごとーにはわかるんだけどね!」


「へっ!?」


「よしことごとーは何年の付き合いだと思ってんのさ!」


「はあ〜。わかってるなら聞くなよ!」


あたしの本当に好きな人



「でもその人さ・・・」


「うん。ずっと片思いしてる。だからあたしは諦めたんだよ。」



そう彼女はずっと昔から片思い。



そんな彼女にあたしもずっと片思い。

つまりあたしたちの関係はずっと一方通行。


「じゃあここに片思い同盟ができちゃったね!」


「そっか、ごっちんもずっと片思いだもんね。」


「よしこ一言多い!」


「ごめんごめん。」


あたしはなんか勘違いしてたよ


始めは高橋に告白されて嬉しかった。でも付き合ってるうちに君ならどうするかなって無意識に高橋と君を重ねてる。


そんなんじゃ高橋にも君にも悪い。なにより自分が一番いけないと思うから。


だから



あたしは高橋と別れる。





そしてゴールのない君への思いを走らせ続ける



260 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 21:26

愛ちゃん!



だれや?



君のヒーローだよ



ヒーロー?



そう君だけのヒーローだよ



あーしだけ?



そう君だけの



261 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/11(火) 21:43
あはっ♪すんごいリアルタイムだ♪
よっしー・・・なんか悲しいですね。
・・・てごっちん&よっしーの片思いの人って誰だろう・・・?
262 名前:勘違い 投稿日:2005/01/11(火) 22:11

「ん?高橋!気づいた?」

「あれ?ヒーローさんは?」


「高橋何言ってんの?ここにはあたしとごっちんしかいないよ。」


「あっそうですか。」

夢やったんか・・・


「あんまり心配させるなよ!」


「すいません。あっ!そういえば美貴ちゃんは!?」


「藤本なら別の病室で寝てるよ。」


よかった・・・


「なにそんなに藤本が気になる?」


「そ、そんな・・」


「高橋、自分の気持ちに素直になんなよ。よしざーは怒んないから!」


「すいません・・・」


「うちらさ、別れよう。」


「ふぇ?あ、あーしなんか嫌なこと・・」


「いや、むしろあたしが悪いことした。それに高橋には他に気なるやつがいるっしょ?」


「あ、あーし・・」

あーしの気になる人


「実はあたしもいるんだ。だからお互いのために別れよ?」


「ごめんなさい!」


「なんで高橋が謝るのさ。あたしのほうが悪いんだよ?」


「グスッ。ご、ごめんなさい・・」


「な、泣くなって!なんかあたしと付き合ってからの高橋は泣いたり謝ったりしてばっかだね。」


「ご・・・ごめ・・」


「あーもー!だから謝るなっつーの。」

吉澤さんは優しくあーしの頭を撫でてくれた。
吉澤さんはこんな優しくていい人やのに・・・


あーしは気づいたらあの人のことを心のどこかで追いかけてた。



最近


ううん。ずっと昔から好きやったんやきっと。



263 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/11(火) 22:46
連続?カキコお許しください。
愛ちゃんもやっと自分の気持ちに気づいたんですかね?
よしざーさんもがんばって・・・。
264 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/11(火) 23:16

七誌さま→連続カキコ大歓迎ですよ!いつも感想ありがとうございます(^O^)
265 名前:片思い 投稿日:2005/01/11(火) 23:42

〜翌日〜

「藤本!!」


「ミキティ〜!」


安倍と矢口は昨日残りたいと言っていたが一応受験生なので家に帰されてしまったのだ。


「あんま心配させんじゃねー!!」


「すいません。」


「藤本・・・声!!」


「あぁ、なんか気づいたら治ってました。」


「おいら久々にミキティの声聞いたよ・・」


「なっちも・・」


「あの、こないだはひどいこと言ってすいま・・・」


「ん〜?なんのこと?ね、なっち!」


「さあ〜てね。なっちにもわかんないよ。」


ふたりとも・・・


「ありがとうございます!!」


「おぅ!っておいらたちはなんもしてないよ。」


「いいんです。美貴がお礼を言いたかっただけですから!」


「そっか!なら良しとしてやるよ!!」


美貴はひどいことを言ったのにもかかわらず今まで通りに接してくれるふたりの先輩に感謝した。


だが美貴はふたりの先輩そしてふたりの友達の思いを知るよしもなかった。


266 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/12(水) 17:00
作者さまも連続更新ご苦労様です!
美貴ちゃん声戻って本当に良かったですね!
二人の先輩と二人の友達の思い・・・何だろう?
267 名前:星龍 投稿日:2005/01/12(水) 17:30
更新お疲れ様です。
声戻りましたね。よかったです。
これから先どうなっていくのか楽しみです。
268 名前:片思い 投稿日:2005/01/13(木) 00:07

美貴は今心配になって愛ちゃんの病室の前まで来ていた。


「よしっ!!」

美貴は自分に気合いを入れてドアに手をかけた。そのとき


「吉澤さんありがとう。」


「何お礼言ってんだよ!!あたしはなんもしてないし。」


中に吉澤さんがいるんだ・・・。当たり前だよね。付き合ってるんだし。

美貴はドアにかけた手を離してその場を去った。


美貴なにしてんだろ・・・。愛ちゃんには吉澤さんがいるじゃんか。


美貴は自分が愛ちゃんを火の中から助け出したことによって少し自惚れていた。愛ちゃんに美貴は必要ないのに・・。



「美貴ちゃーん!!」


「あっ!こんこんじゃん。」


「病室に行ったらいないからびっくりしちゃったよ!」


「ごめんごめん。気晴らしに散歩してたんだ。」


「そっか!具合はどう?」


「バッチリだよ!!」


「よかった〜。あんまり無理しないでね?」


「うん。」


「あっそうだ!私これから愛ちゃんのお見舞いに行くんだけど美貴ちゃんもどう?」


「あー、美貴は遠慮しとくよ。これから練習に行かなきゃいけないし。」


「そっか・・・。残念だね。」


「こんこんがそんなに落ち込まないでよ(笑)愛ちゃんによろしく言っといて!」


「うん!また今度ね!」


「うん。じゃあ美貴はそろそろ行くよ。」


美貴はそのまま紺野に背を向けて歩いて行こうとした。


「美貴ちゃん!!」


「ん?」


「あ、あの・・・」


「なにさ??」



269 名前:片思い 投稿日:2005/01/13(木) 00:20


「みんなで全国制覇しようね!」



「私は美貴ちゃんならやってくれるって信じてるから!!」




「任せとけー!!美貴をだれだと思ってんの?」


「美貴ちゃん・・・」


「美貴がみんなに全国制覇の夢を見させてあげるよ!!」


美貴ちゃん、私にはわかるよ。あなたは確かにみんなに全国制覇をさせてあげたいと思ってる。



でもそれ以上に




愛ちゃんに全国制覇をしたところを見せたいんでしょ?


あなたは必死で自分の気持ちを抑えてる。だけどやっぱりどこかで愛ちゃんを求めてるあなたがいるんだよ?

きっとあなたは気づいてないだろうけど。


私にはわかるの。だって私もずっとあなたを求めてきたから。


でも私の思いはきっと報われない。あなたが愛ちゃんを求めてるから。




それでも私はあなたが好きです。



ずっと前から


私のあなたへの思いは宙ぶらりん。


270 名前:片思い 投稿日:2005/01/13(木) 00:27

「じゃあ美貴はもう行くよ。」


「あっ!うん。またね!!」


美貴は紺野に背を向けたまま手を振った。



愛ちゃん、美貴はやっぱりきみを幸せにしてあげたいよ。



遠くからでもいい




きみに求められなくてもいいんだ




ただ美貴がきみにしてあげたいだけだから




今の美貴がきみにしてあげられること


それは




きみが好きな人の隣りで笑っていられること


つまり





全国制覇をする!




だから美貴はきみのためにがんばるよ。




美貴はきみのヒーローだから



271 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/13(木) 00:35
ここからは片思いのある人バージョンを書きます!ある人のことはネタバレないようご協力お願いしますm(_ _)m
272 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/13(木) 00:47

私はずっと片思い中


私の好きな人


それは・・・





美貴ちゃん。




273 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/13(木) 01:08

私の片思い、それは私が4歳のときから始まった。



「うわぁーん!!私の大切なウサギさんのハンカチがないよー(涙)」

私は友達何人かと公園で遊んでいるときに大切にしていたウサギのハンカチをどこかにやってしまって泣いていた。


「梨華ちゃん!もう遅いから帰ろうよ!」


「ダメ!ウサギのハンカチが見つからないと私帰らないもん!!」


「もーいっぱい探したじゃん!!」


「ダメなの!!」


「そんなに言うなら梨華ちゃんひとりで探しなよ。あたしたちは帰るよ!」


「あっ!待って・・」


私はひとり公園に取り残されてしまった恐怖感と大切なウサギのハンカチをなくしたのとが入り混じって泣いていた。

そこに


「ねぇ、どーしたの?」

知らない女の子が私に話しかけてきた。


「ハ・・ンカチ・・・」


「ハンカチ?」


「大事な、ヒック!ウサギさんの・・・なくしたの・・」


「ウサギのハンカチね〜。じゃあさ、ちょっとこの子と遊んでてよ!」

その子の後ろに隠れていた子はとっても目が大きくてお人形さんみたいだった。


「うえっ?でも私の・・」


「いいからいいから!じゃあその子頼むよ!」


「あっ!ちょっと!」


その子はどこかに走っていってしまった。私と隣りにいる目の大きい子を残して。


「名前なんて言うんやー??」

隣りのお人形さんが話しかけてきた。


「わ、私?」


「うん!!」


「私は梨華。あなたは?」


「あーちは愛って言うんやよ。」


「かわいい名前だね!!」


「梨華ちゃーの名前もかわいいやよ。ちょれよりなにしてあちょぶ?」


私と愛ちゃんは段々とうちとけていつの間にか仲良くなってた。


274 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/13(木) 14:24

「おーいっ!!!」


「あっ!美貴ちゃーや!」


「へっ?」

さっき私たちを置いていった子が戻ってきた。泥だらけになって・・・


「はいっ!これきみのでしょ?」


「これ私の・・・。探してくれてたの?」


「た、たまたま見つけただけだよ///」


「美貴ちゃーなんでそんなに顔赤いんや??」


「あ、愛ちゃん!ちょっと走ってきたから暑いだけだよ!」


「ふ〜ん」


「あなた美貴ちゃんって言うの??」


「あ、うん。」


「ありがとう!!」


「み、美貴は偶然見つけただけだから///」


あなたは泥だらけになりながら私の大切なハンカチを見つけてくれた。


「美貴ちゃー、そろそろ帰らんと怒られるやよ!!」


「あー、うん。きみも帰ろ?」


「美貴ちゃー!!きみやなくて梨華ちゃんやよ!!」


「はいはい。梨華ちゃん帰ろ?」


あなたは私にとびっきりの笑顔で私に手を差しのべてくれた。


その笑顔はお日様みたいに明るくて輝いていた


「梨華ちゃん?」


「梨華ちゃー?」


「あっごめんね!帰ろう!!」



「「うん!」」


275 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/13(木) 15:26

あの日から私の中でなにかが変わった


「梨華ちゃー!あーそーぼっ!!」


ガチャ


「愛ちゃん!美貴ちゃん!!」


私はあれ以来愛ちゃんと美貴ちゃんと遊ぶことが多くなった。
愛ちゃんと美貴ちゃんは私よりもひとつ下の3歳。そして私の家の3つ隣りが愛ちゃん家、その隣りが美貴ちゃん家。私はこれくらいしか知らない。


「今日はなにちて遊ぶ?」


「美貴はなんでもいいよ。」



そして美貴ちゃんの隣りには必ず愛ちゃんがいる。


「梨華ちゃん?」


「わ、私はおままごとがいいなー」


「あーちも!!」


「じゃあおままごとしょ!!」


「「うん!」」


「だれが何の役する??」


「あーち子供役がいい!!」


「美貴はなんでもいい。」


「じゃあ梨華ちゃーがママで美貴ちゃーがパパね!」


「うん。」


「じゃあ始めや!!」


「パパ!ママ!あーちお友だちとあちょんでくる!!」


「あ、愛ちゃん!!ちょっとま・・・」


パタン


愛ちゃんは美貴ちゃんと私を残して隣りのテレビがある部屋に入って行ってしまった。


「梨華ちゃん?どーかした?」


ガチャ!


「美貴ちゃー!!夫婦なんやから梨華ちゃーを梨華ちゃーって呼んじゃなめやよ!」


「はいはい。ところで愛は遊びに行ったんじゃなかったかな〜?」


「あっ!!!」


パタン


「ぷっ!いきなり失敗してるし。」


「美貴ちゃ・・・」


「美貴ちゃんじゃなくてあ・な・た!!」


「え?」


「また愛ちゃんが出てきちゃうよ?梨華。」


「う、うん///」


美貴ちゃんが初めて私の名前をちゃん付けじゃないそのままの名前で呼んでくれた。

そのときなんだかわからないけど心の中にお花がさいたんだ


276 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/13(木) 15:28
なんかこんこんがかわいそうになってきた・・・。
なんだか辛いなぁ・・・。
片思い編の主人公(?)はあの人ですか!いいですね〜(何
これからも更新がんばれ〜。
277 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/13(木) 22:41
七誌さま→こんこんにはまたまだいろいろとあるので安心?してください!(笑)
片思いのサイドストーリーは新しい展開で書いてみたかったので始めてみました。


星龍さま→これからも新たな展開を考えておりますのでお楽しみに!!

278 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/14(金) 01:17

あの日、美貴ちゃんが私を『梨華』って呼んだ日から美貴ちゃんをみると心がフワフワした。
だけど愛ちゃんがいつも隣りにいてなんだかモワモワした。あのときの私はまだまだ子供だった。

「やめて!あーちがなにしたん?」


「私たちは美貴ちゃんと遊びたいの!」


「あーちだって美貴ちゃーと遊びたいもん!」

私は愛ちゃんに嫉妬していた。子供にもあるでしょ?自分の大切にしてたものがとられて怒った感じ。私は美貴ちゃんと愛ちゃん抜きで遊んでみたかった。愛ちゃんがいなければ他の子がいてもかまわなかった。


「美貴ちゃんは私たちと遊ぶの!」


「美貴ちゃーはあーちと遊ぶ!」


「なによ!」

私は愛ちゃんを思いきり叩こうとした。


バチン!


「いってー。」


だけど聞こえきたのは愛ちゃんの泣き声じゃなかった。


「み、美貴ちゃん!」


美貴ちゃんが私と愛ちゃんの間に入って止めていた。


「ごめんね!わたし・・・」


「なにしてんの?」


「私たちはただ美貴ちゃんと遊びたくて・・・だけど愛ちゃんが邪魔するから・・」


「だからって叩くのはよくないよ?」


「ごめんなさい・・・」

私はどうかしてた。あんなに可愛い子を叩こうとしてたんだよ?


「愛ちゃんもどーせムキになったんでしょ?だめだよ?」


「ごめんなしゃい・・」


「じゃあさ、みんなで遊ぼうよ!!」


「うん!!」


「いいの?私愛ちゃんを・・・」


「それはもう終わったことじゃん!!ね、愛ちゃん?」


「そーやよ!あーち梨華ちゃーのことだいちゅきやもん!」


「愛ちゃん・・・」


「じゃあ公園行こう!」


「「うん!」」


美貴ちゃんは私のモワモワ感を弾き飛ばす笑顔だった。



279 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/14(金) 16:25

あれからの私たちは今までと違ってもっと強い絆で結ばれた気がした。
時が経つのはあっという間で私は小学校入学直前、美貴ちゃんと愛ちゃんは幼稚園の最年長組に入るそんな幸せな生活を暮らしているときだった。


「梨華ちゃーん!!あーそーぼ!!」


「あ、ごめん。今日はちょっと用事があるの。」


「えー!!あーし梨華ちゃんと遊ぶの楽しみにしてたのに〜。」


「ごめんね・・・」


「愛ちゃん、梨華ちゃんだって忙しいときがあるんだから無理言わないの。」


「は〜い。じゃあ梨華ちゃん明日遊ぼう?」 


「う、うん・・・」


「じゃあまた明日ねー!!」


愛ちゃん行っちゃった・・・


「梨華ちゃん。」


「ふぇ?」


「美貴たちは梨華ちゃんが小学生になっても友達だよ?」


「美貴ちゃん・・・」


「美貴ちゃん!!」


「あ!愛ちゃんが呼んでるから、じゃあまた明日ね!!」


美貴ちゃんは走って愛ちゃんのところに行こうとした。


「美貴ちゃん!」


「ん?」


「私たちずっと友達だよね!!」


「梨華ちゃんがそう思ってくれてる限りは美貴たちはずっと友達だよ!」


美貴ちゃんは私を見て笑顔で言ってくれた。


「うん!!」




美貴ちゃん、ありがとう



280 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/14(金) 17:00
おお・・・梨華ちゃん・・・。
あの時の喧嘩(?)は梨華ちゃんと愛ちゃんだったんですね。納得。
にしても美貴ちゃんいい子だな〜
281 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/14(金) 20:57

別れは突然来るもので、私はこけから6駅離れたところへ引っ越すことになった。
普通の人からしたら6駅なんて大したことはないかもしれない。だけどまだ小学生にもなっていない私にとってはものすごく離れていた。
それを言われたのは昨夜だった。


「梨華!ちょっとママから話があるの!」


「な〜に?ママ」


「この家を引っ越すのよ。」


「え?」


「だからね、梨華の小学校も向こうの・・」


「ヤダ!!」


「梨華・・・」


「せっかく美貴ちゃんや愛ちゃんと仲良くなったんだもん!!」


「・・・」


「私は絶対行かないもん!!」


「梨華!!」


「ヤダよ・・・ヤダもん・・グスッ」


「梨華、ごめんね。」


ママは悪くないのに私に誤ってくれた。


「ママは・・グズ・・悪くないもん!」


「梨華・・・」


そうママは全然悪くない。悪いのはこんなことでワガママを言っている私だ。


私は友達みんなと離れなきゃいけない。





そして美貴ちゃんとも


282 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/14(金) 21:23
ああ・・・梨華ちゃん悲しいね・・・
283 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/14(金) 21:48

私は決心した。


美貴ちゃん、愛ちゃんにはなにも言わないと




だって



言っちゃうと寂しくなっちゃう




284 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/14(金) 23:04

そしてついに私が引っ越す日になった。


「梨華ー!!行くわよ!!」


「はーい!」

梨華は引っ越しのトラックに乗った。


もうこれでここに来ることはないと思うとやっぱり寂しくなる。
なによりも美貴たちと遊ぶことがもうないだろうと子供ながらに理解していた梨華にとってはとても苦しいことだった。


「じゃあ出してください。」

梨華はうつむいて初めて美貴たちと出会ったときのウサギのハンカチをきつく握りしめた。そしてエンジンがかかった。

そのとき



「梨華ちゃーーーん!」

梨華の聞き慣れた声がどこからともなく聞こえてきた。


ガチャ



「美貴ちゃん!!!」

梨華は車のドアを開けてもう一度外に出た。



「ハアハア、梨華ちゃん!!」


「なんで・・・」


「美貴は梨華ちゃんのことならなんでもわかるんだよ。朝早いから愛ちゃんはまだ寝てるけど(笑)」


「美貴ちゃん・・・」


「美貴はさ、梨華ちゃんがどこに行っても友達だから!もちろん愛ちゃんも!」


「うん!」


「美貴は梨華ちゃんが大好きだから!!」


「うん・・・グスッ」


「だけどね、バイバイとは言わないよ。」


「えっ?」


「美貴はまた梨華ちゃんと会えると思うから。」


「うん!」


「だからバイバイって言わない。」


「うん。」


「それとこれ!」


「これって・・・」


「アルバムだよ!」

美貴は梨華、愛と3人で撮った写真をかき集めてアルバムを作ったのだ。


「ありがとう!!」


「うん!」


「私も・・・」


「ん?」


「私も美貴ちゃんのこと大好き!!チュ///」

梨華は美貴の頬にキスをした。


「うわっ!!」


「へへっ///」


285 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/14(金) 23:16

「あっ!そうだ!美貴いいこと思いついた!!」

「ふぇ?」


「梨華ちゃんが今度7歳でしょ?」


「うん。」


「じゃあ10年後!10年後の梨華ちゃんの誕生日に公園で会おう!」


「うん!」


「約束だよ?」


「うん!」


「梨華ーー!行くわよ!」

「はーい!じゃあ、私行くね美貴ちゃん!」


「うん!」


梨華はトラックに乗った。


「梨華ちゃん!!きっとまた会おうね!」


「うん!」


「約束だからね。」


「うん!」


そして梨華の乗ったトラックは走り出した。



「またね!梨華ちゃん!!」




またね美貴ちゃん


286 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/15(土) 09:18
美貴ちゃんってば・・・7歳が考えることがすごい(笑)
287 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/17(月) 01:09
七誌さま→ミキティは昔から頭がよくてませてるんですよ(笑)
それとこれは回想シーンなので考えは今のあの人なんです。わかりにくくてすいませんm(_ _)m
288 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/17(月) 01:27

私が引っ越した町はとても気さくな人が多かった。そして私はそこで新しい大切な友達が3人もできた。その3人は近所に住んでいて同じ歳の女の子。ひとりはとてもしっかりしてて、あとのふたりは人気者と天然。
この子たちとの出会いはこうだったーーー

「梨華!早くしないと遅れちゃうわよ!」


「はーい。」

私は小学生になって1週間がたった。でも最近引っ越して来たから友達はひとりもいなくてクラスでもひとりなことが多かった。そんなとき


「ねーねー、石川さん!あたしたちと遊ばない?」

話しかけてきたのはクラスの女の子たちからすごく人気のあるボーイッシュな感じの子だった。


「あっ、うん!えっと・・・」


「吉澤ひとみだよ!!よろしく!」


「うん!」


初めて話したのがひとみちゃんだった。ひとみちゃんはすごく優しくて犬みたいに人懐っこい子だった。そんなひとみちゃんと友達になってからごっちんやしばちゃんとも仲良くなった。
特にしばちゃん。ひとみちゃんとごっちんは男の子っぽくてよくふたりでイタズラをする。そんなふたりを微笑ましく思いながらも止めるのがしばちゃんと私の役。
しばちゃんはふたりと違ってサバサバしてるんだけどとても女の子らしくてすぐに意気投合した。気づいたら私たちは幼なじみになるくらい長い年月を過ごしていた。


289 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/17(月) 01:48

毎日のように遊んでいつも一緒にいた。
そして私たちは中学生になった。中学生になってからもひとみちゃんはすごく人気があった。だから私がひとみちゃんと呼ぶと痛いくらいの視線がいつも飛んできていた。ひとみちゃんのことをみんなヨッスィーと呼ぶ。私ひとりがひとみちゃんと呼んでいたからきっとみんな嫉妬してたんだろう。それから私はひとみちゃんをひとみちゃんとは呼ばずにヨッスィーと呼ぶようになった。

中学生になると私たちは青春しよう!ってことになった。

「青春といえばやっぱ部活じゃん?」

ヨッスィーのこの一言で私たちの人生を大きく変えた。
私たちは元から運動神経はいいほうだった。特にヨッスィーとごっちん。このふたりは昔から飛び抜けて運動ができる。やっことがない競技もさらっとこなしちゃう。


「ねー!君らバスケ部入らない?」

私が悩んでいたときに勧誘をしにきたのがなにをかくそう市井さんだった。私たちはなにも決めていなかったし、バスケだったら楽しいからやろうという話になった。
入ってビックリしたのは市井さんがものすごくうまい人だったってこと。私たちを勧誘してたときは全然そんな感じがしなかったのに、いざコートに入ると顔つきが変わる。コートに入るまでは女の子を見るとデレデレしてるのに、入ってからは真剣な顔になる。そして2年生なのに3年生の先輩たちよりもはるかにうまい。シュートをする姿がとても綺麗。そんな印象だった。他の3人も同じことを思っていたらしく、ごっちんはいちーさんみたいになる!って言ってたし、ヨッスィーはあの人の上を行くって言ってて、しばちゃんはいつかあの人とプレーしてみたいって。それぞれが言うことが違っても考えてることは同じなんだろーなって思った瞬間だった。


290 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/18(火) 21:30
更新乙です!
番外編って面白いっすね!
続きまってます!
291 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/19(水) 01:35

私たちはあれから必死でバスケを練習した。特に私は一番ヘタで部活が終わってからもシューティングをしていた。ヨッスィーやごっちんは1年の中でもすでに注目されている。ヨッスィーはレギュラーになった。ごっちんやしばちゃんもベンチに入っている。だけどヘタな私はみんなより一歩後ろにいてベンチにすら入れていなかった。
私は時々どうしようもなく自分がひとりなんじゃないかと思うときがある。でもそんなときにあのアルバム、美貴ちゃんからもらったアルバムを見る。すると美貴ちゃんや愛ちゃんに会いたいな〜って思っちゃうけど、心が落ち着く。
そういえばあのころの私は美貴ちゃん大好きだったな〜とか今の美貴ちゃんはどんな子なんだろ?とか気づくと美貴ちゃんのことを考えてる。それを考えるとバスケがヘタなこともひとりだと感じることも消えていく。
3人は私にとって大事な親友。だけど美貴ちゃんはそれ以上に大事で欠かせない存在。



美貴ちゃんの存在が私の心をどんどん支配していった。


292 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/19(水) 01:52

ある日いつものように4人でごっちんの家に集まっておしゃべりをしていた。するとひょんなことから好きな人がいるかという話題になった。


「ごとーはいるよ。」


「「「えぇーーー!?」」」


「んあーみんなして驚きすぎだよ。」

まさかごっちんに好きな人がいるとは思わなかった。だって今まで一度もそんな素振りみせなかったから。
ごっちんの好きな人は昔道を迷ったときに教えてくれた人で笑顔が天使みたいな人なんだって。


「それって一目惚れってやつ!?」

ヨッスィーでもごっちんの恋の話は聞いていなかったらしく興味津々で聞いていた。


「そーだよ。」


「で?」


「でって?」


「だーかーらその後は?」


「その後?」


「メアドとかケータイの番号とか聞いたんでしょ?」


「ううん。それっきりだよ。」


「「ええーーー!!」」

ヨッスィーとしばちゃんが同時に驚いた。


「なんで聞かなかったのさ!?」


「だってもしごとーだったら知らない人に聞かれても教えないもん。」


「でもさー・・・」


「それにごとーはまたどこかで会える気がするし。」


「ごっちんのその自信だか・・」


「そーいうしばちゃんは?」


293 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/19(水) 12:53

「わ、私!?」


「その様子だといるの?」


「いないよー!」


「ウソだー!しばちゃんはいるんでしょ!?」

ヨッスィーそんなに詰め寄らなくても・・・


「いないって!そういうヨッスィーはいるんだ?」


「うっ・・・」


「ヨッスィーいるの!?」

私はヨッスィーがモテるのは見ててわかったけど特定の人は作ってないって言ってたからビックリした。


「いや!えっと・・・」


「よしこもいるんじゃんか!ごとーはよしこを見てれば・・」


「あーーーーー!!丼が飛んでる!!」


「えっ!どこどこ?」


「んあ?よしこどこさ!どこに丼?」


「ふたりともそんなわけないでしょ!!」

しばちゃんはいつものように私たちの素でのボケにツッコミを入れた。


「えっ?本当じゃないの?」


「ごとーも本当だと思った!」


「そんなわけないよ!!」


結局私たちはヨッスィーの好きな人のことを忘れて語った。


294 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/19(水) 20:55
よっすぃ〜って頭脳派・・・?
誰だろうな〜よしざーさんの・・・。
295 名前:星龍 投稿日:2005/01/19(水) 21:34
吉澤さんの・・・
誰なんでしょう・・。
番外編すごく面白いです。
296 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 00:58

私たちは何事もなく仲良く暮らした。
美貴ちゃんがいないところを気づいたら3人が埋めてくれて、私はしだいに美貴ちゃんを忘れていった。

そして高校はみんなバスケ推薦で強豪ハロ高に入ることができた。ヨッスィーは去年の全国大会で優勝した高校からもオファーがあったけど市井さんをまだ超えてない!と言ってみんなとハロ高に来た。
私たちが中学生のとき初めて見たハロ高バスケ部はすごくて私には未知の世界だった。
村田さんや斎藤さんそして大谷さんがいてその人たちは今では全日本の選手。そのときの私はレベルの高さに圧倒されて同時にあのレベルまでいきたいって思った。だけど入ってみて少し驚いた。大谷さんたちはみんな卒業してしまって中学生のときに見たすごいレギュラー選手はみんないなかった。私たちが知っているのは市井さんとミカさんだけ。ミカさんは中学のときに全国大会で当たったから記憶にあった。ミカさんはいつもタイミングのいいパスを出す選手。

「おおー!来たか!」

市井さんが来て先輩たちを紹介してくれた。


297 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 01:13

今のハロ高の現状も





『今年はかなりやばい』

市井さんの言葉に私は納得してしまった。
強すぎてやばいとかそんなんじゃなくてなんていうか・・・



弱くてやばい



私が人のことを言える立場じゃないのはわかってるけどさすがの私でもそう思わずにはいられなかった。



「んなことないっすよ。」


「おーしばらく見ない間に吉澤はまたデカくなったか?」


「まーそこそこですけどね。ってそーじゃなくてハロ高はヤバくないっすよ!」


「いやいやあんま大きい声では言えないけど今年の3年生の中には去年レギュラーの人がひとりもいないんだよ。2年でもあたしとミカだけだし。だからヤバいんだよ。」


「先輩たちはそーかもしんないっすけど、うちらはすでに4人もいるから大丈夫っすよ!!」


「うぉ!お前言うようになったな〜。」


「だって本当のことですもん。今はダメでもあたしらはすぐに先輩たちに追いつきますよ!ってか超します。」


「そりゃ期待してるよ。」


ヨッスィーが言ってた通り私たちは中学ではかなりできるほうだった。今はダメかもしれないけどすぐに追いつく。ヨッスィーの言葉が心に響いた。



私たちがハロ高を強くするんだ!!


298 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 13:38

そして迎えた高校入学初の試合。私たちは見事にレギュラーの座を勝ち取った。しばちゃんにいたっては去年までのレギュラーミカさんを退けてのレギュラー入りだった。ハロ高の新しいフォーメーションは私たちが中学のときと同じでセンターがヨッスィー、フォワードが市井さんとごっちん、ガードしばちゃん、そして私がシューターだった。相手チームは天下のハロ高がほとんど1年で固めるなんてハロ高も落ちたなって言っててヨッスィーは怒った。


「あんたらなー・・・」


「ヨッスィー!今は試合前なんだからだめだよ!!」

私はヨッスィーを止めた。


「梨華ちゃん!でもさ!」


「今はダメ!!それに試合をやればわかるでしょ?」


「梨華ちゃん・・・」


「それでは試合を始めます!!」

いいタイミングで審判から声がかかった。


299 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 15:36


「な、なんだあいつら!」



試合の結果はハロ高の圧勝だった。


「ハロ高は落ちてなんかないですよ。私たちはこれからもどんどん強くなりますから。」

私は相手に言ってやった。


「くそっ!!」


そして私たちは試合をする度に強くなって勝っていった。それを繰り返しす間にヨッスィーはとても有名になった。


この勢いのまま私たちは初の高校全国大会の切符を手に入れた。だけどヨッスィー以外は調子に乗りすぎた。全国はそんなに甘くない。全国大会に参加したはいいけれどごっちん、しばちゃん、そして私は一度もコートに立つことはできなかった。そして負けた。



敗因は戦力不足


私たちハロ高に勝った高校は結局優勝した。あのチームにあって私たちにないもの。それは自分に厳しい心だった。
私たちは今までが順調に行きすぎて忘れていたこと。まるで勝つことが当然のようになって自分を過信していた。



300 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 15:50

あれから私たちは心を鬼にして練習に励んだ。
私たちは2年生となり初めての後輩が入ってくる。


私は1年生と試合をしてビックリした。
あんなにうまい子がいるなんて思わなかったから。去年の私たちでも勝てなかったレギュラーつまり私たちに1年生が勝った。これはハロ高始まって以来の快挙だった。


なぜだかわからないけど1年生の中心にいるその子に私は釘付けになった。その子はぶっきらぼうな顔をしててどことなく誰かに似ている気がした。だけど結局それが誰だかはわからなかった。


301 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 16:12

「藤本美貴です!!よろしくお願いします!!」


私の気になっていた子はバスケ部に入った。
あの後聞いたら藤本はバスケをやったことがないいわゆる素人だった。それなのにあのプレーができていたので私はさらに驚いた。
しばらくするとヨッスィーは藤本に妙にライバル意識を持ち始めた。
今まで特定の人を作らなかったヨッスィーに彼女が出来た。藤本と幼なじみでバスケ部のマネージャーの1年生高橋。
高橋は目が大きくてかわいくてそれでいて美人。とても元気な子。それなのにいつからか元気がなくなっていた。ちょうどヨッスィーが藤本にライバル意識を持ち始めたときくらいからだった。


302 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 16:25

藤本はとても人気があった。今まではヨッスィーが学校で一番人気があった。なのに藤本が入学してからはヨッスィーファンだった子や先輩たちは気づいたら藤本のファンになっていた。バスケ部を見にくる人も今まではヨッスィー目当ての人だったのに藤本目当ての人たちが大勢来るようになった。だけど藤本は稲葉先生と第2コートで別メニューだから藤本目当ての人たちはがっかりして帰って行く。いつの間にかそんな日常が続くようになった。

そして1年生が入ってきてから初の試合。
10番は誰もがいつものようにヨッスィーだと思っていた。だけど中澤先生が読んだ名前は藤本だった。
私たちは思わず反論した。確かに藤本はうまい。だけどエースを任せるとなれば別。あの子はあくまでも最近まで素人だった子。そんな子にエースを任せられないと思った。
だけど中澤先生は素人だったからこそ藤本をエースにすると言った。
私たちは少し不安を抱きながらも先生の言葉に従った。
そのときのヨッスィーは静かに拳を握りしめていた。


303 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 16:40

私たちの不安はいっきに吹き飛んだ。
藤本は見事なプレーを見せた。初めて見たときよりはるかにうまくなっていた。ハロ高のエースナンバーを背負うほどのプレイヤーになった。中澤先生が言っていたこと実力で選んだというのも頷けるほどだった。

おまめが失敗して私たちがカバーをしようとしたけど思ったよりもおまめの心の動揺は大きかった。もうベンチに下がってしまうだろうと思ったときに笛が鳴った。



おまめが交代か




だけど予想とは反しておまめはそのままで藤本が入ってきた。
その後の藤本のプレーでおまめは見事に復活した。このとき私は藤本美貴という選手の大きさに気づいた。藤本はプレーだけで人を引っ張っていくことができる。ヨッスィーもすごいけどそれとは違ったすごさが藤本という選手にあると思った。


304 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 21:11

全国の切符がかかった大事な決勝戦。驚いたことに市井さんがガード、ごっちんがシューター、フォアードは松浦と藤本、センターがヨッスィーというフォーメーションだった。ここにきて市井さんとごっちんのポジションチェンジがあるとは思わなかった。仮にもこの試合は全国をかけた試合。だけど少しも不安はなかった。
だってすごいメンバーだから。



試合が始まってすぐに市井さんとごっちんのポジションチェンジにみんな納得した。
市井さんは視野が広くてパスを出すタイミングが絶妙。ごっちんは綺麗なフォームのスリーポイントシュートを持っていた。ふたりは今までうまいからフォアードにまわっていた。だけど今フォアードには松浦と藤本というすごいふたりがいる。そう考えるとふたりの天性のポジションは今のポジションなのかもしれない。
市井さんがパスを出して外からごっちんが打つ。外がだめなら中にいるヨッスィーや松浦。そしてどこからでも打てる藤本がいる。私はこのフォーメーションが今までのハロ高の中で一番すごいかもしれないと思った。


305 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 23:36

私はこの試合を見て藤本のファンの気持ちがなんとなくだけどわかった。私は藤本を美貴ちゃんと呼ぶようになった。
このときの私は昔好きだった『美貴ちゃん』のことをすっかり忘れていた。
美貴ちゃんはとても必死でラインを割りそうなボールをも追いかけていた。美貴ちゃんのプレーは人を引っ張るだけでなく惹きつける魅力もあった。
美貴ちゃんのボールを松浦がシュートを決めて美貴ちゃんに振り返った瞬間に松浦の顔が凍りついた。


「みきたん!!」


私が美貴ちゃんのほうを見ると右足を押さえて倒れていた。
その姿を見たと同時に安倍さんや矢口さんそして高橋、紺野がベンチまで美貴ちゃんを運んでいた。


「石川!あんたがシューターの位置に入って!!」


「は、はい!」

私は中澤先生に言われた通りにシューターの位置に入ってプレーをした。その間も美貴ちゃんが心配でベンチを気にしていた。見てみると美貴ちゃんは笑顔でその場でジャンプをしていた。どーやら大丈夫そう。


そして私と美貴ちゃんは交代して美貴ちゃんは再びコートに立った。




今までと様子が違う



私と交代でコートに立った美貴ちゃんの第一印象だった。いつもより息も上がっていてときどき顔を歪めていた。




本当は足痛いんだ



私は気づいてしまった。安倍さんや矢口さんそして中澤先生は気づいていない。だけど高橋だけは美貴ちゃんを心配そうに見つめていた。
足が痛いというのを隠してまで試合に出ている美貴ちゃんを私は尊敬した。


306 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 23:45

試合の最後は美貴の遠投シュートで幕を閉じた。試合終了のホイッスルが鳴ったと同時に美貴ちゃんになにもなかったことを安心した。

だけど・・・



「きみ!ハロ高の10番!早く整列・・・大丈夫か!?」


美貴ちゃんは再び右足を押さえて倒れていた。しかも今度は顔をくしゃくしゃにしてすごく痛そうで足は痙攣を起こしていた。



「こんなに腫れてます!」

紺野の一言で美貴ちゃんの右足に目を向けると今まで見たことがないくらいに腫れあがっていた。


美貴ちゃんはその後中澤先生と病院に向かった。


307 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 23:55

〜数日後〜

中澤先生から美貴ちゃんの全日本入りを知らされた。
最初は驚いたけどよく考えてみると美貴ちゃんの実力なら納得いく結果だった。
あの試合からチームの雰囲気はなんとなく悪かった。特にあの試合のスタメンとマネージャーの人たち。
そして美貴ちゃんの全日本入りを聞かされてからさらに状況は悪化した。ヨッスィー、ごっちん、松浦はプレーにいつもの気迫がなく、安倍さん、矢口さんそして紺野、高橋は仕事でミスをすることが多くなった。


そんなときに事件が起きた。


308 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/22(土) 23:57

高橋が気を入れ直して第二倉庫の掃除に向かった。



その倉庫に放火された




309 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/22(土) 23:57
ほう〜なる。
ハロ高にはそんな過去があったんですね。
藤本っちゃんも石川ちゃんもがんばれ〜
310 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/23(日) 00:02

更新が遅れてしまってすみませんm(_ _)m


七誌さま→それぞれの過去を暴いていきたいと思ってます!!


星龍さま→こんなしょーもない駄文を面白いと言っていただいてワクワクは感無量です!!


311 名前:マカロニ 投稿日:2005/01/23(日) 00:21
初めてカキコしました(^O^)このスレが立ったときから、ずっーと読んでました!
なんかすごく先が気になるし展開が読みずらくて、めちゃくちゃ面白いんで頑張ってください〜
312 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/23(日) 00:44

みんなが助けにいくこともできずにただ炎で真っ赤になった倉庫を見て泣き叫んでいた。


「藤本!!」


安倍さんのほうを見ると美貴ちゃんが雨水で濡らしたジャージを着てそのままなんのためらいもなく火の海の中へ走って行った。


しばらくして倉庫が崩れた。周りは砂埃がたってみんながもうだめだと思ったときに砂埃の中から高橋を担いだ美貴ちゃんが出てきた。そしてふたりはそのまま病院に運ばれた。


313 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/23(日) 00:52

私は美貴ちゃんと高橋が心配だったけど、とりあえずしばちゃんと帰ることにした。


「藤本すごかったね。」


「うん。」


「まさかあの火の中に入って行くとは思わなかったよ!」


「私もそう思った!」


「でもさ、もしヨッスィーだったら梨華ちゃんが中にいたら助けに行ったと思う。」


「えっ?」


「あーなんでもない!!それよりあのふたり大丈夫かな?」


「一応中澤先生がついていったから大丈夫なんじゃない?」


「そっか。」


「うん。」


私はそのあとなにも話さないまま家に帰った。


314 名前:片思い(番外編) 投稿日:2005/01/23(日) 00:53


終わり

315 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/23(日) 00:57
えーとりあえず片思い(番外編)はこれにて終了となります!!これからもちょくちょく番外編を書こうかなと思っております。次回からは本編に戻りますのでよろしくお願いします!

マカロニさま→ずっと読んでいただいていたとは光栄です。こんな駄文なのに(苦笑)これからもっと改善していきますのでどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
316 名前:星龍 投稿日:2005/01/23(日) 10:14
番外編すごく面白かったです。
本編の方もすごく楽しみにしています。
作者様頑張ってください。
317 名前:片思い 投稿日:2005/01/23(日) 13:41


全国制覇をする!




美貴の目標が新たにできた。
きみだけには笑っていてほしいから。美貴はもう迷わない。
放火事件から美貴は心を入れ替えて練習に励んだ。
寮に戻ってビックリした。ひとつは美貴の声を聞いてみんなが喜んでくれたこと。もうひとつはまこと監督に褒められたこと。
まこと監督が新聞を広げながらよーやった!って言うから美貴が監督の手にある新聞をみたら




高校生全日本選手がヒーローに!!



という題名で美貴が愛ちゃんを担いで倉庫から出てきた写真がデカデカと一面に載っていた。
いい宣伝になったわ!なんて監督が言ってたようにあの記事が載ってから美貴への取材申込みとファンレターは増えた。今まで美貴は声が出ないことを世間には隠していたから取材は受けなかったけど声が出るようになった今は取材を受け入れていた。
今日は雑誌の企画で全日本選手のひとりにスポットを当てるというものだった。
内容はどの雑誌ともほとんど変わらずいつからバスケを始めたかとかだ。ひとつだけ違ったのは自分の高校に行っていろんな人から美貴のことを聞くということだった。
美貴は少し気が引けたけど勇気を振り絞って自分の通っているハロ高に取材陣と一緒に向かった。

318 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/23(日) 21:27
うおミキティすげぇ
319 名前:片思い 投稿日:2005/01/24(月) 00:37

〜ハロ高〜
ついに門の前まで来ちゃったよ・・・
今は授業が終わってそれぞれが部活をやっている時間だった。

「あっ!藤本さ〜ん♪」


「キャーー!!藤本ちゃん!!」


美貴が校舎に向かうまでの間に先輩たちや同級生たちから声援を贈られた。美貴は終始笑顔でみんなに手を振って対応した。

体育館に着くと中澤先生と稲葉先生がチームを指導していた。

「おぉー!藤本久しぶりやなぁ〜!!」


「稲葉先生お久しぶりです!」

稲葉先生と合うのは美貴が全日本の話をした以来だったからすごく嬉しかった。


「それじゃあ藤本選手について教えてください。」


「あぁはい。藤本はとりあえず人一倍根性がありますね。」


「それにこの子はこんなキツそうな顔してるんやけど・・・」


「裕ちゃん!そんな前置きいらないから!!」


「まーまーそう言んと。キツそうな顔やけどめっちゃ優しい子なんですよ!!」


「裕ちゃん・・・」


「ツッコミはきっついんですけどね。」


「裕ちゃん一言ってより二言以上多い!!」


「たまにはええやんか〜。」


「たまにならいいけど裕ちゃんの場合はいつもでしょ!!」


「あのふたりともあたしのこと忘れてへんか?」

「稲葉先生そんなことありませんよ!!」


「あたしはすっかりあっちゃんのこと忘れとったけどな。」


バシッ!!


「いった〜!!なにすんねん!」


「裕ちゃんが余計なこと言うからでしょ!!」


「せやかてわざわざ殴らんでも・・・」


「ツッコミはやっぱこうじゃなきゃ♪っていっつも言うのは誰だっけ?」


「美貴のツッコミはホンマにええわー!!」


「えーと、では先生方ありがとうございました。藤本選手、次はハロ高の選手のみなさんと対談を。」


「あっ!はい!」

美貴と取材陣は市井さんたちがいるところに向かった。


320 名前:片思い 投稿日:2005/01/24(月) 01:29

「藤本〜、久しぶり。」

最初に話しかけてくれたのは市井さんだった。
吉澤さんや後藤さんは自分から美貴と話そうという素振りがなくて市井さんがいたことにある意味安心した。

「それじゃあハロー高校での藤本選手のことを教えてください。」


「えーと藤本はとにかく人気がありますね!いつもファンの子が藤本目当てで来るんですよ。なっ石川!」


「そうですね!美貴ちゃんは全日本選手になる前からすでに人気ありましたね。」


「そんなことないですよ。」


「またまた〜とぼけるなよ!!悔しいけどかわいい女の子が来たと思って声かけると藤本さんはどこですか?って必ず言われるあたしの身にもなれ!!」


「はあ。」


「市井さんは本当かわいい子に弱いんだから!!藤本は気にしなくていいよ?」

柴田さんってすんごい優しいんだよね。もちろん他の先輩も優しいんだけど、なんというかこうオーラが違うみたいな?


「そーだよ!美貴ちゃんには全然関係ないんだし。」

石川さんも柴田さんとは違った意味でめちゃくちゃオーラあるんだよね。かわいいってオーラ。でもなんか妙に懐かしいような感覚に陥っちゃう。なんでかわからないけど優しく包まれてホワホワする感じ。


「へー、じゃあ藤本選手はモテモテなんですね。」


「そうなんですよ!!基本的に美貴ちゃんはなんでもそつなくこなすしそれになんてったってハロ高エースですから!ねっしばちゃん。」


「うん。初めは不安だったけどそんな不安を吹き飛ばしてくれるすごい子です!」


柴田さんまとめうまっ!


「まーあたしのおかげってやつだね。」


「「市井さんは関係ないですから!」」


ははっ、さすが仲良しコンビ。ツッコミ所もぴったりだ。


321 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/24(月) 17:19
さすがつっこミキティ。おもしろいや。
322 名前:片思い 投稿日:2005/01/26(水) 00:10

「では次は同じ学年の方々に聞きに行きましょう。」


「はい。あの、ありがとうございました。」


「んやー気にすんな!その代わりかわいい子紹介しろよ?」


「またそれですか!!美貴はかわいい子とか全然知らないですよ。」


「うそつけ!!藤本の周りはみんなかわいいじゃんか!!松浦、紺野それに高橋も!ひとりくらいいちーに紹介してよ〜。」


「いやです!!」


「え〜!!藤本ひっどーい!」


「市井さん!!いい加減にしてくださいよ〜。美貴ちゃんが困ってるじゃないですか!」


「チェッ。わかったよ!」


323 名前:片思い 投稿日:2005/01/26(水) 00:33

「この方々が藤本さんと同学年の人たちですか?」


「はい。」

美貴と取材陣の前に立っているのはあやちゃん、まいちゃん、こんこん、ガキさん、真琴、それに愛ちゃんだった。


「では早速藤本選手のことを暴露しちゃってください!」


「暴露か〜。美貴ちゃんはクールって言われるけど実は見せかけなんだよね!」


真琴!いきなり暴露し過ぎだろ!!


「えー!そうなの?あたし美貴ちゃんのことクールだとばっかり思ってた!!」


「チッチッチッ。まいちゃん甘い!!美貴ちゃんの本性を知らないとヒドい目にあう・・」


「真琴!!あんたにいつもノート見せてあげてるのは誰だっけ?」


「!!美貴ちゃんはチョークールだしめちゃくちゃ頭も良いいわゆる天才ってやつなんだよ!」


こいつまじ単純・・


「そーなんだよ!!美貴ちゃんのおかげであたしとまこっちゃんはいつも赤点取らずに済んでたんだ。まーこんこんと美貴ちゃんの天才タッグがあたしたちにはついてるからね!このふたりまじで頭良いから!」


「そ、そんなことないよ!!」


「あさ美は頭良いやよ!!というよりあさ美ちゃんは努力家やね。」


「うんうん。こんこんは努力家だよ!!マネージャーの仕事も頑張ってるし!まつーらが保証するよ〜♪」


「あの〜かなり方向がズレちゃってない?」


さすがガキさん!!


「あーそうだ!今日はみきたんのことを話すんだった!!」


忘れるなよ!


「うんと、みきたんは意外とシャイだよね。」


「そーお?」


「そーだよ!あたしと初めて話したときもぶっきらぼうだったもん!」


「そーだっけ?」


「まーあたしがかわいいから仕方ないけどね♪」


あやちゃんは自分大好きだね。まあ実際にかわいいから許しちゃうんだけど。


324 名前:片思い 投稿日:2005/01/26(水) 00:44

「なんかさ、美貴ちゃんってけっこう見かけと違うよね。」

またまたガキさん何を言い出すんだよ


「そうかも!あたし最初に美貴ちゃんを見たとき正直あんまり目合わせたくなかったもん。実際話してみるとすんごい優しいんだけど。」


まいちゃんは美貴を怖がってたの?したら美貴もちょっとまいちゃんのこと怖いと思ったからお互い様だね。


「うんうん。美貴ちゃんの素の顔とか見ると一瞬体が凍っちゃうもん。」


真琴は美貴の顔見なくても常にフリーズしてるじゃんか!!


「そおかな?私は美貴ちゃんだったら素の顔もかっこいいと思う///」


「こんこん・・・」


「あっ、あの!!変な意味じゃなくて、なんていうか・・・」


「ああ。うん!それくらいさすがの美貴でもわかるから安心してよ。」


「うん///」


325 名前:マカロニ 投稿日:2005/01/26(水) 02:05
あっとゆうまにミキティ有名人だー☆
こんこんも気になるけど、自分的にはこれからの愛ちゃんとの関係が気になる!ミキティとインタビュー絡むとか?
326 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/26(水) 23:17
七誌さま→いつもカキコありがとうございます!ツッコミキティ炸裂です(笑)

マカロニさま→ミキティと愛ちゃんは・・・秘密です(笑)

えー、皆様!ワクワクも一応大学受験生なのでめちゃくちゃ更新が遅くなってます。なるべく早く更新するようにしますが遅くなってましまったらごめんなさいm(_ _)m
327 名前:片思い 投稿日:2005/01/26(水) 23:53

「なになにその雰囲気!!もしかしてふたりってそーいう関係!?」


「ち、違うよ!!私はただ・・・」


「そーだよ真琴!!変なこと言うなっつーの!」

「えー!!だってそんな雰囲気だったじゃん!」


「違うから!!だいたい美貴は恋人とか作る気ないし。」



美貴はあなたのことだけを想うから


「えー!なんで!?美貴ちゃんならすぐにできるのにー!!」


「あのねー、そういうの美貴は興味ない。」


美貴とあなたが結ばれるなんて一生ないだろう。だから<恋人>という名に興味なんてない。
それになにより美貴にはあなたと<恋人>になる勇気がない。あなたの幸せまで奪って<恋人>になるような残酷なことはしたくないから。
だから美貴のこの想いはそっと胸の中に鍵をかけてしまっておくよ。




あなたを見守るために

328 名前:片思い 投稿日:2005/01/27(木) 00:12

[そういうの興味ない。]


あなたのその言葉が私への意思表示。
少しでも期待してしまった私はなんだか悲しくて、だけど安心もした。
興味がないっていうのは私もそうだけど美貴ちゃんの心にいる人も含まれている。
愛する人のほんの些細な言葉は私の感情を大きく揺らす。
そんな私を美貴ちゃんはいつも心配してくれる。そんなくだらないことで愛する人に迷惑をかける自分がいやでいやでしょうがない。
だけどこれだけは自分では抑えきれなくていつもドジばっかり。
それくらい愛する人の言葉は私の中で大きく成長しちゃう。



やっぱり私紺野あさ美は





美貴ちゃんが好きです



329 名前:片思い 投稿日:2005/01/27(木) 00:28

[美貴は興味ない。]


美貴ちゃんはあーしたちの前でそう言った。
美貴ちゃんには好きな人がおることぐらい付き合い長いあーしには聞かんでもわかる。

なのになんでそんなこと言うんや?



きっとそんなこと言うんはあーしが美貴ちゃんに深い傷をおわせたから。あーしが美貴ちゃんの気持ちをなんも知らんとヒドいことしたからや。
だから美貴ちゃんは興味ないって言った。


あーしは取り返しのつかんことをやってしまった


それなのにあーしは気づいたらあなたを好きになってた。


あーしにそんな資格ないのに


330 名前:片思い 投稿日:2005/01/27(木) 00:43

みきたんの言葉


[興味ない。]


あたしはこの言葉に心の中で大きく反応した。



みきたんの目にはまつーらは友達としてしか映ってないってわかってた。



わかってたのに



どーしてこんなに悲しいの?


それはきっとみきたんがまつーらは友達としてしか意識してないことを突きつけられたから。
あたしは心のどこかでもしらしたらって思ってた。だけど現実はそんなに甘くなくて、みきたんの中にはずっと大切な人が住みついてる。


まつーら勘違いしてた



あたしは期待なんかしちゃいけない




未来は自分で切り開かなきゃ


331 名前:片思い 投稿日:2005/01/27(木) 00:53

あたしは無意識のうちに
「ふたりってそーいう関係!?」
って言っちゃった。


あたしって本当バカなんだよね。


あたしには好きな子がいる。だけどその子にも好き人がいてそれはあたしじゃない。
その子に好きな人がいるってわかったのは中学のとき。
その子は好きな人の前にいるといつも顔を真っ赤にして話してる。さっきだってみんなはその人のことを素の顔が怖いって言ってるのにその子だけはそれでもかっこいいと言った。あたしは妙にムカムカして思わずふたりってそーいう関係!?って言っちゃった。
本当はそんなことあったらいやなはずなのにその人ならこの子を幸せにできるだろうと思った。
だからあたしは言った。

それなのに



[興味ない。]


その人の返事にあたしはヒドく後悔した。
あの子はこの言葉を聞いてきっとショックを受けただろう。



あーあ




あたしって本当バカだ


332 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/27(木) 16:16
更新乙です!
う〜ん・・・こんこんついに心の中ででも暴露しちゃいましたね〜。
まこっちゃんの好きな人ってまさか・・・・・。
みんなの心が悲しい・・・
333 名前:星龍 投稿日:2005/01/27(木) 17:09
更新お疲れ様です。
なるほど・・。こういう展開に・・。
すごく先が気になりますね。
作者さんマイペースに頑張ってください。
334 名前:片思い 投稿日:2005/01/27(木) 17:46

「ちょっとー!!みんななに暗くなっちゃってんの?」


「あーごめん。考え事してた。」


「まったく美貴ちゃんはいつもそうなんだから!」


「ガキさんごめんってば!」


「もー!!ところでさ、全日本はうまくいってんの?」


「あぁ、うん。」


「みきたんいじめられてない!?」


「全然。むしろ仲良くしてもらってるよ。」


「そっか!ならよかった♪」


今まであんま意識してなかったけどなんかあやちゃんって





かわいいかも


「みきたん?」


「うぇ!あぁ、なに?」


「みきたんの背番号って何番なの?」


そーいえば美貴の背番号は何番なんだろ?


「わかんない。」


「えーー!!わかんないってなにさ!」


「だってなんも聞いてないんだもん。」


美貴も早く知りたいくらいだよ


「藤本選手ならきっといい番号をもらえると思いますよ!」

取材の人が急に話し始めた。


「そんなことないですよ!!」


「いやいや!!美貴はまだまだですから。」


「いえいえ石黒選手や福田選手をはじめとした全日本の選手たちが絶賛してましたよ!」


「そんなこと・・」


「まあ番号が発表されれば藤本選手にもわかってもらえると思います。」


「はぁ。」


「美貴ちゃんはやっぱどこに行ってもすごいんだね!!私が見込んだだけはある!」


だれが見込んだって?


「さすが私の弟子だ!」


は?なんで美貴がガキさんの弟子なわけ?


335 名前:片思い 投稿日:2005/01/27(木) 23:40

「みなさんいろいろとありがとうございました。」


「もういいんですか?」


まいちゃんは何気に語ったのにまだ語りたりないのかよ!!


「はい。それではみなさんと藤本選手の写真を撮らせてください!」


「はい!」


「じゃあ藤本選手を真ん中にする感じで。」


「はい」

美貴の左にはあやちゃん右は愛ちゃんだ。


「ええーと藤本選手の両隣の人たちは藤本選手の腕に抱きついてください。」


「「「えっ?」」」

いやいやそんなこと聞いてないし。ってかいくらあやちゃんや愛ちゃんでもそれはしないっしょ



ギュッ!


「こうですか?」


!?


「はい!それでOKです!」


あの・・・



美貴の腕には今、あやちゃんそして愛しの愛ちゃんが抱きついてるんですけど///


「藤本選手ー!!写真撮るのでこっち向いてくださーい!」


んなこと言われたって今顔上げたら真っ赤なのがバレちゃうじゃん!!


「藤本選手??それじゃいつまで経っても撮れないですよー!!」


・・・


「みきたん??」


「美貴ちゃん??」


だあーー!!もう!


「それじゃいきますハイチーズ!!」


カシャ。


「藤本選手!もっと笑顔笑顔!!」


「は、はい///」

くっそー!!あのカメラマンめ!!


「それではもう一枚。ハイチーズ!」


カシャ


「OKでーす!!お疲れ様でしたー。」


取材が終わってから美貴は寮に大人しく帰った。


336 名前:再会 投稿日:2005/01/27(木) 23:50

とうとう全国大会一週間前になった。今日からしばらくハロ高に戻って練習する。今はハロ高に向かっている。


ついに全国か・・・




その前にまずはチームに馴染んでいかなきゃいけないんだけど。
この扉を開けたらチームメイトが待ってる。いや別に待ってるわけじゃない。だけどやっぱり久しぶりだし、ごたごたのまま全日本に行ったからなんか不安。

でも行くっきゃない!



ガラガラ




この扉の向こうには未来があるから



どんな未来でも美貴が自分で行かなきゃいけない



それが運命


337 名前:再会 投稿日:2005/01/28(金) 00:08

「おはようございます!!」

美貴は勢いよく扉を開けて挨拶をした。


「ん?おお!藤本!!」


「あー美貴ちゃんだ!」


「みきたーん!!」


「ミキティ!」


「藤本!!」





「「「「おかえり!!」」」」



みんな・・・


「今日から藤本もハロ高バスケ部に戻るんだから手抜くなよ〜。」


「はい!!」

抜けって言われても絶対抜かないし。


「おっし。んじゃ練習始めるとするか!」


「さやか!!まだ先生たちが来てないからメニューがわからないだべさ。」


「ああーそうだった!」


市井さん相変わらずボケかましてるなあ。


「その心配はいらんで。」


「あっ!中澤先生。おはようございます!!」


「おはようございます!!」×みんな


「おおー。おはようさん。」


「先生!今日のメニューは?」


「んーそうやな、まずはロードから行こか。」


「えっ?」×みんな


「なんや?もしかしてあんたらもう実践やるもんやと思ってたんか?」


「・・・」


「はぁ、あんたら相変わらずやな。とりあえずどんだけそれぞれが成長したかみるから全員学校の周りを2周し!!」


「ええーーー!!」


みんなが反論するのは当然だ。このハロ高は超広くて校舎の周りは1周で2キロくらいあるんだから。

「なんや文句あんのか?」

ギロッ!



「い、いえないです!」


「そーか。まあペースは自分で決めろ。集団で走る必要はない。」


「はい!」


「ただしこれはあくまで能力テストをしてるんや。つまりこれもレギュラー決めの要素として入れるから気抜くな!」


「はい!!」


やっぱ裕ちゃんはスパルタだなー。


338 名前:再会 投稿日:2005/01/28(金) 00:17

「それとマネージャー4人!!」


「はい!!」


「あんたらもや!!」


「ふぇ?」


「せやからあんらもロードや。ただしマネージャーは1周や。」


「ぅえーーー!?」×みんな

いくらなんでもマネージャーまで・・・


「あのな、マネージャーもバスケ部の一員なんや。これからはマネージャーにもプレイヤーの気持ちになってほしいねん。気持ちをひとつにせんと全国ではやっていけへんからな。」


裕ちゃん・・・


「よっしゃ!!そこまで中澤先生に言われちゃおいらたちもやるしかないね!!」


「そうだべさ!!」


「あーしたち無駄に毎日動いてないですしね。」


「みんなに出来て私たちに出来ないはずありません!!」


「おいらたちもがんばるぞー!!」


「おおーー!!」


ははっ、やっぱハロ高に戻って来てよかった。これからが楽しくなりそうだよ。


339 名前:再会 投稿日:2005/01/28(金) 00:25

美貴たちはそれぞれ外用の靴に履き替えて門の前にやって来た。


「タイムはあたしとあっちゃんがここで計るからな!!あっ、マネージャーはタイム関係なし・・・」


「おいらたちも計ってください!」


「そうだべさ!」


「そやけどな、今マネージャーは無理せんでも・・・」


「私たちも今はプレイヤーなんです。」


「あーしらもみんなと同じようにするやざ!」


「あんたら・・・」

まったくどいつもこいつもええ根性しとるわ!


「「「「お願いします!!」」」」


「わかった。そやけど無理はし過ぎたらあかんで?」


「はい!」


「したらいくで。よーいスタート!!」


ここから美貴たちの戦いが始まった。


340 名前:ワクワク 投稿日:2005/01/28(金) 00:30
七誌さま→まこっちゃんの好きな人は・・・
徐々に明らかにしていきます。

星龍さま→いつも少量の更新ですいません。読者の方々の励みでワクワクの作品は成り立っていますのでこれからもどーぞごひいきに(笑)
341 名前:再会 投稿日:2005/01/28(金) 17:50

中澤の合図と同時にひとつの影が風のごとく中澤、稲葉の前を通り過ぎた。


「な、なんや!?」



342 名前:再会 投稿日:2005/01/28(金) 21:33

美貴はスタートの合図と同時に思いっきり地面を蹴った。
その不思議と足が軽くていつもより蹴りがよかった。


いける!!


美貴は確信した。しかし確信したのもつかの間背後に気配を感じた。
振り向くと・・・



後藤さん、吉澤さん!


「悪いけどごとーはこの勝負負ける気ないから。」


「よしざーもそろそろエース奪回したいんだよ!」


面白いじゃん!


「美貴も負けませんから!!」


タッタッタッ



343 名前:再会 投稿日:2005/01/28(金) 22:16

「んあ。くそっ!!」


「な、なんでだよ!」


先ほど勝負宣言をした後藤と吉澤は途中まで美貴と同じペースで走っていた。しかし、気づかないうちに美貴はどんどんと本来の美貴のペースにしたためふたりはついていくことさえ出来なかった。



まだまだ!もっともっとペースを上げるんだ!



走れば走るほど自分に当たる風が気持ちよくなる。美貴は走ることへの爽快感を味わっていた。




そうこうしているうちに美貴はちょうどスタート地点つまり校舎を1周した。



「藤本ラスト半分や!タイムは7′06!」


くそっ!7分切れなかった


美貴の後方はすでに誰の気配もなかった。


美貴のスピードは並大抵のものではない。
普通の女子高生なら1キロ4分30秒くらいで走るところを美貴は1キロだいたい3分30秒のペースで走っているのだ。しかも1キロだけならまだしも2キロでこれだけのタイムを出せる人は陸上選手以外ほとんどいない。
それほど美貴はすごいのだ。


344 名前:七誌さん 投稿日:2005/01/29(土) 12:30
美貴サン相当すごいですね。
全日本で鍛えられてたんですかね?
345 名前:星龍 投稿日:2005/01/29(土) 18:27
藤本さん凄過ぎです。
さすがですね。
これからが楽しみです。
346 名前:再会 投稿日:2005/01/31(月) 22:59

一方マネージャー軍は

もともと運動神経のいい矢口、そして長距離に少し自信のある紺野でさえも思った以上に2キロという壁は高く、美貴が1周目を終えた時点でまだ半分と通り過ぎたくらいまでしか来ていなかった。

「ハアハア・・・」

あーし美貴ちゃんがいっつも走ってるの見てて自分にもあれくらいならって思っとったけどやってみると半端無くきつい。こんなんを美貴ちゃんは涼しげな顔で走ってたんやと思うとすごいと思う。確かに今まで美貴ちゃんのことはすごいと思っとった。でもそれ以上の感情なんて無くてただすごい幼なじみやってあーしの自慢やった。



美貴ちゃんは先に何を求めて走ってるんや?

あーしのちょっとした疑問。やっぱり人間は何かを求めてないと突っ走れんやろ?



今の美貴ちゃんには何か求めてるものがある。



347 名前:再会 投稿日:2005/01/31(月) 23:11

だけど美貴ちゃんの求めてるものがあーしにはわからん。


美貴ちゃんはいつもあーしのことを理解してるのにあーしは美貴ちゃんのことを理解しきれてない。


この差はなんやの?



吉澤さんと別れたとき。吉澤さんに言われた<気になる人>
確かに美貴ちゃんは気になる。でもそれは幼なじみで昔から一緒にいたから。好きっていうのも多分幼なじみとして。

美貴ちゃんは昔からあーしを助けてくれてた。
いつの間にかあーしは助けられるのが当たり前になってて美貴ちゃんの苦しみを理解してあげられんかったんや。


それが悔しい。



だから今はちょっとでも美貴ちゃんを理解したいから走ってる。


あーしは美貴ちゃんを追いかける。




美貴ちゃんのことをもっともっと知りたいから


348 名前:再会 投稿日:2005/01/31(月) 23:13




349 名前:再会 投稿日:2005/01/31(月) 23:23

美貴はもう誰にも負けない!!


美貴がそう決めてからだいぶ経った。
美貴は決めた通りずっと負けてない。ひとつを除いて。それは・・・




<恋愛>

美貴はずっと愛ちゃんが好きで、でもその愛ちゃんは吉澤さんを前から好き。
美貴のどーしても勝てない相手それは吉澤ひとみだった。
今までどれだけ頑張っても愛の気持ちは変わらずに吉澤に向けられていた。これはもう美貴にはどうしよもなかった。


だからせめて



他のことでは絶対に負けない!


350 名前:再会 投稿日:2005/01/31(月) 23:32

美貴はさらにペースを上げた。最後の直線、残り500メートル。
当然美貴の後方には誰の姿もない。しかし前方には姿が見える。


マネージャー陣だ。

4人はそれほど差がなく固まって走っている。たとえマネージャー陣が自分よりも1周少ないとはいえ美貴はもう負けないと誓った。ここで負けたらなんのために頑張ってきたのかわからなくなる。



あの4人を抜く!


しかし4人も止まっているわけではない。美貴はさらにスパートをかけた。


ハアハア



351 名前:再会 投稿日:2005/01/31(月) 23:45

残り300メートルを切った。


「みんなスパートやで!!」

裕ちゃんの声が聞こえた。


もっと前へ!


美貴は足をフル回転させた。もう長距離の走りではなく短距離の走りに近い。



あと100メートル


「ハアハア・・・よし!」


美貴は残り100メートルでマネージャー陣に追いついた。しかし美貴もだがそれ以上に普段運動をしていないマネージャー陣にとってのスパートはかなりきつい。

特に愛ちゃん。
今まで見たことないような苦痛な顔をしていた。


美貴に何ができる?



今できるのは



「ハアハア・・頑張れ。あと・・少しだよ!」


通り過ぎざまに愛ちゃんに向けてエールを送った。今はこれしかできない。


美貴は先に行くよ。


ゴールで待ってるから。



美貴は自分に向かってくる風など関係ないかのような足取りでゴールに向かった。



そして



「ゴール!!1位藤本!!タイムは・・・14'02や。」


「ははっ。やった・・・」


美貴はみごとなタイムで1位になった。


352 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/01(火) 13:51
美貴ちゃんすごー!
もぅその一言しかない感じ!強いなぁ〜
あとこの先の大会で
他の皆がどう変わってくれるかが楽しみです

では更新おつかれさまですた(^O^)
353 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/01(火) 16:40
おお美貴ちゃんすげー・・・。
愛ちゃんもなんか迷ってるみたいっすね。
次回更新まってます!
354 名前:星龍 投稿日:2005/02/01(火) 17:31
更新お疲れ様です。
藤本さん速いですねぇ。
もう凄いとしか言い様がありません。
これからも頑張って欲しいです。
355 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 16:15

「ハアハア・・・」


「藤本!!あんた相変わらずすごいな〜。ってゴールしたばっかやのにどこ行くんや!?」

美貴は稲葉の言うことに耳も傾けず自分のゴールした場所へ戻った。




356 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 16:23

ゴールで愛ちゃんを迎えてあげなきゃ。

美貴は今までずっと愛ちゃんを待ち続けてた。でも愛ちゃんは美貴のところには来なかった。きっともう二度と戻って来ないだろう。



でも



それでも美貴は




ずっと




ずーっと・・・




愛ちゃんを待ってるよ


美貴が愛ちゃんがいつでも安心して帰って来られる場所を用意するから



だから




安心して帰っておいで?




357 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 16:35

さっき・・・


さっき美貴ちゃんが通り過ぎたとき
苦しいはずなのに・・



[頑張れ、あと少しだよ!!]


微かだけど確かにこう言った気がしたやよ。
あれはきっとみんなに言ったんや。


だけどあーしは




あーしに言ってくれた気がした。あーしもバカや。美貴ちゃんがあーしのためだけに言ってくれたわけやないのに。




なんかわからんけどあーしわかっちゃった。




きっと美貴ちゃんは



ずっと



ずーっと





誰かのことが好きなんや。




358 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 16:50

わかった瞬間になんか悲しくってよりも寂しくなった。



ちゃちゃいころはずっとあーしのそばにいてくれた。あのころの美貴ちゃんは少なくともきっとあーしのことを一番に考えてくれてた。



だけど



今はあーしが一番やない。


それがわかってすごく悔しくて悲しい。



でも美貴ちゃんは今自由になったのかなぁって思う。



美貴ちゃんはもうあーしのことを面倒見なくて済むから。





美貴ちゃんは自分のことを考えていいんやよ?



359 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 16:53

なのに




なのに・・・




どーして?




どうしていつもあーしののこと待っててくれるの?



360 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 17:17

美貴がゴールしてしばらくから矢口さん、こんこん、安倍さんの順番でゴールした。


「矢口14'15、紺野14'19、安倍14'23や!!まあ、3人とも運動してない割には頑張った!!」


「ハアハア・・・はい・・・」


「おいら・・・疲れた」


「なっちも・・・」


「お疲れ様です!!みんなすごかったですよ!」


「「藤本・・・」」


「美貴ちゃん・・・」


美貴はみんなに声をかけるとすぐにゴール前に戻って行った。



「おいらたちがこんなに疲れてるのに・・・なんでミキティはあんな元気なの!?」


「なっちなんて死にそうだよ・・・」


「さすがの私でもこれだけは無理です・・・」



「「「・・・」」」


「やっぱミキティってすげーや。」


「さすが藤本だべ・・・」


「美貴ちゃんには驚かせられてばっかりですね・・・」


361 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 17:35

愛ちゃん苦しそう


今まで見たことないような顔をしてる。美貴が知らない愛ちゃんの顔。不覚にもキレイなんて思った。


「ハアハア・・・」


だんだん愛ちゃんが近づいてきて苦しそうな顔がより苦しそうになって息づかいまで聞こえる。



「はぁはあ・・・」


「・・・ばれ・・・」


「がんばれーー!!!」


美貴が叫んだのは久々で、一瞬ほんの一瞬だけ愛ちゃんと目が合った・・


気がした。



「ハァハァ・・・」


でもそれは気がしただけじゃないこと気づいた。


美貴の目と愛ちゃんの目はずっと目が合ったままで・・・


美貴は視線を外すことができなかった。


すると



「・・・」



愛ちゃんの口が微かだけど動いた。




たぶん



たぶんだけど・・・





[美貴ちゃん]って



362 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 21:36

美貴が魅とれてたら気づいたら愛ちゃんはゴールしていた。

「高橋のタイムは14'35や。ナイスファイトやったで!!」


「愛ちゃん!おかえり。」


「ハアハア・・・へへっ///」


これでマネージャー陣は無事に全員ゴール。
なんだかんだ言ってやり遂げちゃうこの人たちは本当にすごい。

美貴も負けてられない


−−−−−−−−−−
しばらくすると吉澤さんと後藤さんがデッドヒートを繰り広げながらやって来た。


「こうなったらごっちんにはぜってー負けねー!!」


「あたしだってよしこには負けない!!」


走りながら言い争ってるふたりの先輩。


言い争う体力を使わなきゃいいのにって思ったけどそんなことは死んでも言えない。


「コノヤローー!!」


「んあぁーーー!!」


ふたりの最後のスパートはまるで獲物を狙ってる肉食獣みたいだった。




バタッ!!



363 名前:再会 投稿日:2005/02/03(木) 22:26

ふたりはゴールすると同時に足がもつれて倒れた。


「「タイムは!?」」



「吉澤が15'40や!」


「・・・ごっちんは?」



「後藤は・・・15'40や!」


「ちえっ。よしこに勝てたと思ったのに〜」


「それはよしざーのセリフだよ!」


「あんたらどこまで仲ええねん!」


「「ワザとじゃないし!」」


裕ちゃんの言葉にふたりして反論。ふふっ、おもしろいかも。
美貴は耐えきれず背を向けて少し笑った。


「「ふーじーもーとー」」


ゾクッ!!


なんかものすごくイヤな予感・・・


364 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 13:50

「藤本!!なんでそんな速いんだよ!」


「ごとーがせっかく1位になってかっこいいとこ見せようと思ったのに〜」


ガバッ!!


予想的中・・・


「うぅ。あの・・・重いんですけど・・・」


美貴が笑っていたら後ろからふたりが美貴に覆い被さってきた。


「気にすんな!!よしざーは重くないし。」


「んあー。ごとーも平気。」


いやいや、ふたりじゃなくて美貴が無理なんですけど!!


ドサッ。


美貴がひとりで心の中でツッコミを入れてたらさらに重くなって


「ぐぇ!!また・・・」


「あーあ、せっかく今日は髪型バッチシだったのにー。走ったら崩れちゃったよ。」


「市井さん・・重いんですけど・・・」


「んー大丈夫大丈夫。」


だから美貴が大丈夫じゃないですから!!


気づくとあやちゃん、石川さん、ガキさん、真琴がどんどん乗ってきてて美貴は死にそうだった。


そんな美貴たちをマネージャー陣プラス柴田さん、裕ちゃん、稲葉先生は微笑ましく眺めてた。




ってか誰か助けてよ!!


365 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 17:00

美貴たち全員がゴールしてから再び体育館へと戻った。


「そしたら次は実践や!!紅白戦を行う。」


「はい!!」


「今回は特別ルールで1チーム6人で戦ってもらう。ええな?」


「はい!」


「まず紅組!柴田。」


「はい!」


「石川!」


「は〜い」


「藤本。」


「はい!」


「松浦。」


「みきたんと一緒だ〜♪」


「あとは・・・矢口と高橋!」


「お、おいら!?」


「ふぇ!?あーし?」


「うぅえーーー!?」

体育館にいるバスケ部全員がビックリして声がおかしくなってた。


「ぷぷっ。あんたらおもろすぎや!なあ、あっちゃん。」


「はははっ!ホンマや!笑いの素質あるんちゃう??」


「あの、なんでおいらと高橋なんですか?」


「ん?さっき言ったやろ?今回は特別ルールやって。あんたらマネージャーはふたりでひとり分って感じやから6人やねん。そしたら次白組いくで〜。」


みんなの頭に?マークがついたまま裕ちゃんは話を進めた。


366 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 17:09

「市井。」


「ほーい。」


「吉澤!」


「ういっす!!」


「後藤。」


「んあー。」


「新垣!」


「は、はい!」



「あとふたりは安倍と紺野!」


「なっち?」


「が、がんばります!」


やっぱり・・・

裕ちゃんと稲葉先生は何がしたいの?


美貴にはさっぱりだよ。まあ美貴よりもっとわかってない人たちはいっぱいいるけどね。


「今から少し時間やるから各チームごとにフォーメーションとか作戦とかてきとーに考えてくれ!」


てきとーかよ!


「他のやつらは見学な〜。後であんたらにもいろいろ聞くからちゃんと見とくんやで!」


「はい!」


367 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 17:27

〜紅組〜

「あのさ、おいら思うんだけど明らかにこっちのほうが弱そうじゃない?」

初めに口を開いたのは矢口さんだ。


「ですね。むこうは各ポジションがいるけどこっちはセンターがいませんしね。」

さすが柴田さん。すでに分析してる。


「あっ!でもむこうにはフォワードがいないじゃないですか!」

石川さんだ。


うん。確かにフォワードはいないだけど・・・


「むこうのチームはフォワードがいないってわけじゃないですよ。」


「へ?ミキティそれどーいう意味?おいらよくわからないよー。」


「えっとですね、いいですか?この前の試合では美貴とあやちゃんがフォワードでした。」


「うん。おいらもいたからそれはわかるよ!」


「じゃあ美貴たちが入ってくるまでのフォワードは誰でしたか?」


「そんなの決まってんじゃん!紗耶香とごっちん・・・」


「「「あぁーーー!!」」」


どうやら石川さん、矢口さん、愛ちゃんの3人は気づいてなかったらしい。


「わかりましたか?むこうに正規のフォワードがいなくても元々フォワードだった市井さんと後藤さんがいるんですよ。」


「美貴ちゃん!そしたらあーしたち余計に不利なんやない?」


「うん。かなり不利!」


「うわー!!じゃあもうおいらたちやる前から負けたようなもんじゃんか!」


368 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 17:44

「美貴は不利とは言いましたけど負ける気はないですよ?」


「でもさ、あっちはすごいのばっかそろってるし・・・」


「そうだよ!ヨッスィーだってむこうのチームだし。」


「まあ諦めないでくださいよ石川さん。勝てないこともないですから。」


「えっ?」


「ねぇ、柴田さんとあやちゃん!!」


「藤本の言う通りだよ。作戦を立てればなんとかなるだろしそれに正規のフォワードがふたりともこっちなんだよ?」


「そうですね。いくらうまくても欠点がない人なんていませんし。がんばりましょう♪」


「ふたりの言う通りだ!おいらがんばるよ!」


「私も自分の仕事をしてチームのためにがんばる!!」


「あーしも足引っ張らないようにします!」


紅組はうまくまとまってきた。


「じゃあみんなでがんばりましょう!だけど作戦はどーしましょうか?」

「やっぱりここは柴田さんがボールを中に入れてあたしとみきたんが決めるか外から石川さんが決める無難な形がいいんじゃないですか?」


「んーそうだね。藤本と松浦がマークを引きつけてくれれば矢口さんや高橋にも回せるし。梨華ちゃんはどー思う?」


「それが一番無難だけどさ、それだとむこうの思うつぼじゃない?」


「だよね・・・」

紅組のメンバーは一気ににテンションが下がり黙りこんでしまった。


369 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 18:05

うーん、やっぱこれしかない!!

「あの!美貴に考えがあるんですけど・・・」


「ミキティの考え?」


「はい。」


「どんなの?」


「えーっと・・・ってのはどーですかね?」


「うん!藤本の作戦はいいかもしれない!もし私がむこうのチームだったらビックリだし。」


「そうですね!私だったらイヤですよ。さっすがみきたん♪」


「へへっ///」


「私も賛成!!」


「でもおいらにそんなことできるのかな・・・」


「あーしも不安です。」


「何弱気になってるんですか!!こういうときこそ私みたいにポジティブにならないと!ほら、高橋も。」


「でも・・・」


「大丈夫ですよ。もし失敗しても誰もふたりを責めないし、それにふたりの失敗は美貴が全部カバーしますから!」


「ミキティ・・」


「そうですよ!それにみきたんがいるから大丈夫ですって!」


「だよな!!よっし、やるぞーー!」


「愛ちゃんの分も美貴がちゃんとカバーするから大丈夫だよ?」


「だけど・・・」


「美貴さ、今日は裕ちゃんに感謝してるんだ!」


「ふぇ?」


「だってさ、矢口さんとはしたことあるけど愛ちゃんとバスケしたこと一回もないじゃん?」


「そーいえば・・・」


「だから今から超楽しみ!!」


「美貴ちゃん・・・」


「一緒にがんばろ?ってか一緒に楽しもう?」


「うん!!!」


「よっし。じゃあ決定〜。」


ポンポン


美貴は愛の頭を優しく撫でて立ち上がった。


370 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 21:39

〜白組〜

「ん〜、やっぱあっちは藤本中心でくるよな?」

「そうですね。」


美貴たちが作戦で悩んでるとき、白組は紅組のパターンを予想していた。

「たぶんしばちゃんがボールを運んで藤本、松浦が中から梨華ちゃんが外からでしょうね。」


「じゃあ矢口や高橋はどーしてくるべか?」


「あのふたりはきっとスペースをみつけてパスをもらうってとこじゃないっすか?」


「ふーん。」


「おっし!んじゃあポジションは吉澤はいつも通りで新垣がガード、あたしとごとーがフォワードね。なっちと紺野はボールを持ったらとにかくシュート!」


「はい!」


「マークは吉澤、なっちが藤本、ごとーが松浦、新垣が柴田、紺野が矢口であたしが石川!」


「あ、あの愛ちゃんは・・・」

今まで黙っていた紺野が口を開いた。


「高橋はフリーでたぶん平気。それよりも藤本を抑えられないと。」


「はあ・・・」


「んじゃあいくぞー!」


大丈夫かな?


371 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/04(金) 22:20
やっと更新できました!(^。^;)
今回は微妙にワクワクの実体験を入れてみました。わかるかな?(笑)

マカロニさま>ミキティずこいです!!これからそれぞれ変化させていきますよ!

七誌さま>ミキティはとことんすごく仕上げてみました。いかがでしょうか?

星龍さま>ミキティ速いでしょ?(笑)ワクワクの中でミキティはめっちゃ速いイメージなのでそのまま書きました。
372 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/04(金) 22:35
うっわ!!超〜リアルタイムだ!ラッキー♪
美貴ちゃんの作戦ってなんなんでしょう・・・?
373 名前:星龍 投稿日:2005/02/04(金) 23:27
作戦どんなのなんでしょう。
すごく楽しみです。
藤本さんの事ですからきっと凄い作戦なんでしょうか・・・。
374 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 23:41

「試合始めるでー!!紅組はビブス着て。」


「はい!」


「審判はあたしとあっちゃんやから。時間は20分の前後半で間休憩は15分。後は普段のルール通りや。ええな?」


「はい!」


「じゃあジャンプボーラー前へ!」


相手は予想通り吉澤さんがジャンプボーラーでこっちは美貴。


「よろしく。」


「こちらこそよろしくお願いします。」


「ほんならいくで!」


ピッピピッーーー!!

笛が鳴ると同時にボールは高々と上になげられ、ふたりのエースは高く飛び上がった。


勝ったのは・・・



美貴。


「藤本ナイスだよ!」

美貴がはじいたボールを柴田が持っていた。
それを確認すると柴田以外全員ゴールに向かった。




ただひとりを除いては


375 名前:再会 投稿日:2005/02/04(金) 23:53

「やっぱこの市井さまの予想通りだね・・・!?」


「矢口さん!」


「はいよっ!」


柴田は矢口にボールを渡すとそのまま自分もゴールに走っていった。


「さあ気を引き締めていこうか!!」


「なっ!?矢口がガード?」


そうこれが美貴が考えた作戦のひとつ。
いつも通りにいくとガードは柴田。しかしあえて裏をついて矢口にガードを任せるというものだ。もともと柴田は外からも中からも打てる選手美貴はそこに目をつけたのだ。そして矢口。普段はマネージャーの仕事をしている。なのになぜ美貴があえて矢口をガードにしたかというと、美貴は前に安倍と矢口と3人でバスケをしたことを思い出したのだ。
あのとき矢口はうまかった。それは素人のうまさではなく経験したことのあるような感じだった。そしてあとで聞いたら、矢口は中学でバスケをしていた。しかしあまりに背が小さくて努力をしても報われず、中2の後半にマネージャーに転向した。ということを言っていたのだ。そしてそれを思い出した美貴はあえて矢口をガードにした。


376 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 00:02

もちろんマークのことも考えてだ。
少なくとも柴田のマークより矢口のマークのほうが軽いだろうと美貴は予想した。そしてそれは的中し、柴田には新垣、矢口には紺野だった。


「ミキティ!!」


矢口さんから美貴にパスがきた。美貴のマークふたり、吉澤さんと安倍さん。ふたりは結構きついなあって思ったけど・・


いける!!


そう思った美貴はまずはドリブルで切り込んだ。すると安倍さんが視界から消えた。
それと同時に安倍さんがいたほうからゴールに向かってジャンプシュートを放った。


スパッ!!


「くそー!!」

悔しがってる吉澤さんを尻目に美貴はディフェンスのポジションについた。


377 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 13:47

「さあ、しかっかり守りましょう!」


「おう!」


「がんばるやよ!」


相手は美貴の予想通りガキさんがガードで市井さん、後藤さんがフォワード。


「えっ?」

新垣は驚いてた。
新垣をマークしているのはマネージャーの矢口と高橋だ。


「なんだよこのフォーメーション!よしざーたちをなめてんの?」

吉澤がそう言うのも無理はない。チームの司令塔新垣のマークはふたりといえど普段はマネージャー。市井に石川、後藤に松浦はわかるのだが吉澤自身のマークは柴田ひとり。吉澤は仮にも元ハロ高エース。自分にはマークがふたりつくか藤本がつくと思ったのだ。


「吉澤さん!!」

新垣は吉澤にパスを送った。


「柴田!いったよ!」


「はいっ!」

矢口が声をかけると同時に吉澤にボールがわたった。


「しばちゃん、あたしをマークするなんていい度胸だね。でも残念だけどしばちゃんには止められないよ。」

吉澤は軽くドリブルをして柴田を抜いた。








「ボールがない!?」

吉澤の手にあったはずのボールがいつの間にか柴田の手にわたっていた。

「ヨッスィーもまだまだだね。」

柴田は笑みを浮かべながら言った。


これが美貴のふたつ目の作戦。新垣にはマネージャーふたり吉澤には柴田。一見ミスマッチに見えるが、柴田はディフェンスでいくとハロ高ナンバー1といっていいほどの実力だと美貴は見抜いていたのだ。身長は吉澤が圧倒的に勝っている。確かにゴール前では身長を生かすプレーが多い。しかし、ゴール前でなけてば身長など関係なく技術がものをいうのだ。吉澤のオフェンスより柴田のディフェンスが勝っている。それがこの作戦のキーだ。


378 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 14:19

ボールを奪った柴田は矢口にボールをわたし、再びゴール前に走っていった。


矢口「うっし。んじゃあもう一本いきますか。」

紅組「はい!」


白組のディフェンスは相変わらず矢口に紺野、柴田に新垣、石川に市井、松浦に後藤、そして美貴には吉澤、安倍とさっきのままだ。


矢口「石川!!」


石川「はい!」

石川はボールを受け取った。


市井「そっちのチームはサプライズだらけだね〜。でも石川はこの市井さまには勝てないよ。」


石川「やってみなきゃわかりませんよ!!」


市井「・・・くくっ。石川も言うようになったな。よし!ドーンときなさい!!」


石川「それじゃあいかせてもらいますよ。」


市井「おう!!」


石川「私じゃないですけどね。」


市井「へっ??」


石川は市井に言い放つとすぐにボールを出した。


市井「石川ついに血迷っちゃったか?んなとこにボール出しても誰もいない・・・!!」


矢口「ナイス石川。ほっと!」


パサッ。


さきほどまで人がいなかった石川がボールを出した場所に矢口が走り込んできてシュートをしたのだ。


藤本「ふたりともナイスプレーです。」


市井「こりゃまたサプライズだ〜。」


379 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 15:02

白組ボールでのリスタート。


新垣「一本大事にいきましょう!」


白組「おう!」


新垣は自分のチームに声をかけたが正直不安だった。自分のマークが意外にも抜くことが難しい。高橋がフェイントでバランスを崩しても矢口がカバーをし、高橋も戻ってくるという繰り返しだった。


新垣(なかなか抜けない・・・)


市井「新垣!!こっち!」


新垣が迷っているときにちょうど市井がボールを呼んだ。


新垣「市井さん、お願いします!!」


市井「おう!さっきは負けたけど今度は負けねえーよ。ってか負けられねえ!」


市井は石川に言うとドリブルをして抜きにかかった。


石川「簡単にはいかせませんよ!!」

抜きにかかった市井を石川は防いだ。


市井「ふーん。石川もなかなか成長したじゃん。でも・・・」


石川「しまった!!」


市井はさらにドリブルのスピードをあげ今度は逆から石川を抜いた。


市井「残念無念また来週〜!!」


市井はそのままドリブルシュートをした。




いやしようとした。しかし・・・



藤本「そっちが残念無念また来週〜ですね。」


市井「なっ!藤本!?」


パン!


市井「うえ!?」


市井が藤本に気を取られているところを石川が後ろからスチールをしてボールを奪った。
石川はそのまま自分でゴールにボールを入れた。



380 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 15:14

これも美貴の作戦。レギュラーの3人を市井、後藤、吉澤につけておく。もし抜かれてしまった場合はゴール下にいる自分がカバーに回る。そして相手を止めている間に抜かれた人も戻ってきてまたマークするというものだ。市井、後藤、吉澤は中でのオフェンス力はすごい。しかし、中から少しでも遠くなってしまうと3人の力は半減する。だから美貴は3人をなるべく中に入れない作戦を考えたのだ。そしてもし中に入ってきたとしてもゴール下の自分が防げばいい。


石川「美貴ちゃん。ありがとう!!」


藤本「いえ。でもあんまり抜かれちゃダメですよ?石川さんだって市井さんに負けてないんですから。」


石川「美貴ちゃん・・・」


藤本「さあ、気合いを入れて守りましょう!!」


石川「うん!!」



381 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 16:45

再び白組のリスタート。新垣「後藤さん!」

新垣は後藤にパスを出した。


後藤「んあー。」


安倍「ごっちん!入れて!!」


後藤「!?なっちが応援してくれたから入れる〜!!」


松浦「そんた簡単にはいきませんよ?」


後藤「んあー!!」


松浦「えっ!?」


後藤はその場から直接打った。


シュパ!


後藤「よっし。んで松浦なんだっけ?」


松浦「・・・」

松浦は後藤がシューターだということを忘れていた。


松浦(あ〜あ。なんか自分のできなさにショックかも・・・)


藤本「あやちゃん!!」


松浦「(うっ!みきたんに謝らなきゃ・・・)あの、みきたん。ごめ・・・」


藤本「まあ後藤さんのシュートは切れがいいから。あやちゃんは悪くないよ?」


松浦「みきたん・・・」


藤本「油断してたのはいけなかったけどね。次から気をつけるってことで!!わかった?」


松浦「うん!!みきたん大好き♪」


藤本「はいはい。」


382 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/05(土) 16:56

この後白組も軌道に乗りどりちらのチームも譲らなかった。


ピピッーーー!!


中澤「前半終了や!」


紅組21点、白組19点。わずかワンゴール差で前半が終了した。



383 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 16:56

この後白組も軌道に乗りどりちらのチームも譲らなかった。


ピピッーーー!!


中澤「前半終了や!」


紅組21点、白組19点。わずかワンゴール差で前半が終了した。



384 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 16:57




385 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/05(土) 21:02
うう・・・やっぱり美貴ちゃんすげぇ〜・・・
386 名前:星龍 投稿日:2005/02/05(土) 21:55
凄いっすね。
自分もバスケやってるんですけど、
凄い面白いです。
これからの展開どのようになるか楽しみにしています。
387 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 22:20

〜紅組〜

矢口「おいらたちかなり良い感じじゃん!!」


石川「そうですね!!このままのペースでいけば勝てますよ!」


藤本「このままいけばいいですけどね。」


柴田「藤本の言う通りですよ!今私はうまくいってるけどこれを見てきっとむこうは違う戦法で来ると思います。」


矢口「そんな・・・」


高橋「せっかくあーしたちうまくいってたのに・・・」


松浦「みきたんなんか良い案ない??」


藤本「・・・あやちゃんさ、なんで先生たちはマネージャーたちにゲームさせてると思う?」


松浦「う〜ん、やっぱり久々に運動しろってことじゃない?」


柴田「そんな簡単なことじゃないんじゃない?」


石川「じゃあどーいうこと?」


柴田「それは私にもわかんないよ・・・」


藤本「美貴はたぶん動きが関係してると思うんですよ。」


高橋「動き?」


藤本「うん。矢口さんは経験者だけど愛ちゃんは未経験でしょ?」


高橋「うん。」


藤本「ってことはだよ、当然みんなと同じようには動けないでしょ?」


高橋「あっ!!」


藤本「だからそういう人をどう使っていくかってことなんだと思う。」


松浦「そっか!!そしたら・・・」


藤本「そう。動けない人が動けるってことは当然美貴たちプレイヤーもそれ以上の動きができるってこと。しかもチームワークも良くなる。」


柴田「だから藤本は矢口さんを中心で攻撃したんだね?」


藤本「はい。」


388 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 22:41

矢口「でもさ、後半どーする??もう今のパターンは読まれちゃってるんでしょ?」


藤本「そうですね。じゃあ2個目の作戦いきますか?」


矢口「2個目?」


藤本「はい!」


柴田「それはどんななの?」


藤本「それはですね・・・なんですけどどーですかね?」


柴田「うん!それならみんなでできるね。」


松浦「あえてそれでいくのいいんじゃない?」


石川「美貴ちゃんが言うんだからきっと平気だよ!!」


矢口「そうだね!おいらはミキティを信じる!!」


高橋「あーしも!」


こうして紅組は美貴の提案により新しい作戦を実行するということになった。


389 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 23:33

〜白組〜

市井「うーん、このままいくとマズいな。」


吉澤「そうっすね。だいぶ苦戦したし。」


後藤「ごとーもちょっとビックリしたよ。」


新垣「まさか矢口さんがガードでくるとは思いませんでしたよ。」


白組はどうしようか迷っていた。


市井「だけどあっちもよく考えたよな。」


新垣「どうしますか?」


市井「そうだな〜、とりあえずむこうは同じ作戦でくると思うから矢口には紺野となっちがついて。」


安倍「ふぇ?藤本はいいだべか?」


市井「んー、今日は藤本があんま点に絡んでないからさ。むしろ矢口が点に絡んできてるから矢口を抑える。」


安倍「わかったべさ!」


白組はあまりパターンを変えずにいくことになった。


390 名前:再会 投稿日:2005/02/05(土) 23:33



391 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 00:52

稲葉「後半始めるで〜!!」


全員「はいっ!」


ジャンプボーラーはさきと同じで美貴と吉澤だ。


ーーーーーーーーーー
高橋は先ほどまでの美貴との会話を思い出していた・・・


藤本「愛ちゃん!」


高橋「なんやー?」


藤本「あのさ、ジャンプボールのときなんだけど、ガキさんをちょっと離れて立ってて。」


高橋「ふえ?でもそしたら里沙ちゃんのマークが矢口さんだけになってしまうけど?」


藤本「うん。でもそれはそのときだけ!たぶんジャンプボーラーは美貴と吉澤さん。美貴たちが飛んだと同時にガキさんの前にいって。」


高橋「わかったやよ!」


藤本「でボール持ったら・・・」


ーーーーーーーーーー

高橋(里沙ちゃんより少し離れたところに立つっと。このへんかな?)


中澤「ジャンプボーラー準備はええか?」


藤本・吉澤「はい!」


中澤「よっしゃ。そしたら後半の始まり始まりや!」


ピピッーーーーー!!


ふたりはボールめがけて飛んだ。


高橋(美貴ちゃんたちが飛ぶと同時に里沙ちゃんの前に行く!!)


392 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 01:08

ジャンプボールに勝ったのは




吉澤。

そしてそのボールは味方の司令塔に渡る




はずたった。


バシッ。


高橋「本当にボールがきたやよ!!」


吉澤「なっ!高橋!?」

そう高橋はボールが新垣に渡る直前に新垣の前に入りボールを手に入れたのだ。


市井「ディフェンスだ!!早く各自マークにつけ!!」

白組はなんとかマークについた。


高橋(えっと、ボールを持ったら・・・)


ダムダム

高橋はドリブルをして少しずつ前に向かった。


安倍「紗耶香!高橋がドリブルしてるべさ!!」


市井「なっち、慌てるな。あれはただのごまかしだ。」


高橋にマークはついておらず、なんなくフリースローラインあたりまでこれた。


高橋(次は・・・)


シュ。


新垣「愛ちゃんがシュート!?」


高橋はフリースローラインからシュートを放った。先ほどの美貴の指示はボールを持ったらドリブルをしてシュートできるところまできたらシュートをしろというものだった。


高橋(絶対入らんよ・・・)


ガンッ!!

運の悪いことに高橋の予想は当たってしまいボールはゴールリンクに弾かれた。



393 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 01:20

高橋はチームに申し訳なくそのまま下を向いた。
すると




ガコッ!!


再び何かがゴールリンクに当たる音がした。
それと同時に



「入ってろ!!」

と言う声が聞こえた。高橋が顔を上げると




ゴールリンクにぶら下がっている美貴の姿が目に入った。
美貴は高橋が外したボールをそのままゴールに叩き込んだのだ。



松浦「みきたーん!!ナイスゴール!愛ちゃんもナイスだったよ〜!」


美貴は高橋に向かって歩いき立ち止まった。


藤本「ナイスアシスト!!いやー今のはまじ最高に気持ちいいゴールだったよ。」


高橋「美貴ちゃん・・・」


藤本「なーに試合中に不安そうな顔してんのさ!愛ちゃんのミスは美貴がカバーするって言ったでしょ?」


美貴は優しく微笑みそして高橋の頭を撫でた。


藤本「今のはミスっていうより良いプレーだったよ。」


高橋「・・・美貴ちゃんもやよ!!」


藤本「あはは!そりゃどうも。んじゃ張り切ってディフェンスに行きますか!!」


高橋「うん!!」


藤本と高橋は元気よくディフェンスの位置に向かっていった。


394 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 13:29

白組ボールのリスタート。白組の攻撃パターンは変わらずに新垣がガードだ。


新垣「ここから反撃・・・えっ!?」


新垣のマークは矢口、高橋、柴田の3人になっていた。


市井「新垣にマークが3人!?じゃあ吉澤は・・・」


市井が吉澤のほうに目をやると・・・




白組「藤本が吉澤のマーク!!」


吉澤のマークは美貴がついていた。


吉澤「ついにやる気になったか!!」


藤本「始まってからずっとやる気満々ですよ。」

395 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 13:48

そのころ新垣は3人のマークに困惑していた。


新垣(どうしよう・・・さすがに私でも3人は抜けないよ。)


パシ!


新垣「あっ!!」


新垣が悩み込んでいる間に矢口がスチールでボールを奪った。
矢口は奪ったボールをそのままドリブルシュートした。




いや、しようとした。


バシッ。



「残念だけどもう点はやれないんだよ〜。」


矢口がシュートしようとしたときに突然後藤が横から出てきた。ファールギリギリのディフェンスだ。


矢口「ごっつあん!!」


後藤はボールを奪うとそのままスリーポイントシュートを打った。


シュ。



市井「ごとーナイスだぞー!!」


安倍「ごっちんが味方でよかったべさ!!」


後藤「へへへっ///」


後藤のスリーポイントが決まり、白組の1点リードとなった。


396 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 13:58

藤本「矢口さんナイススチールでしたよ!」


矢口「でも・・・ごっつあんに点入れられちゃった。おいらダメだね・・・」


藤本「何言ってるんですか!!まだまだこれからチャンスがいっぱいあるから大丈夫ですよ!」


矢口「ミキティ・・・」


藤本「美貴は矢口さんのプレーに期待してるんですから!頑張りましょう!!」


ポン。


美貴は矢口の背中を軽く叩いて自分のオフェンスの位置に走っていった。それは優しさの籠もったものだった。


矢口「ミキティ・・・。よっしゃ、頑張りますか!」


397 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 14:25

紅組のボールでリスタート。


矢口「一本取ろう!!」


紅組「はい!」


紅組は前半と変わらず矢口がガードをするようだ。そしてその矢口にマークはふたり。安倍と紺野。


安倍「ここはなっちたちが止めるべさ!!」


紺野「はいっ!」


矢口(ん?おいらのマークは紺野となっち。ってことは・・・)


矢口は美貴のほうに目をむけた。すると矢口の考え通り美貴のマークは吉澤ひとりになっていた。美貴は矢口が自分のことを見ているのに気づくと矢口にむかって笑いかけた。


矢口「(・・・ヨッスィーだけならいけるってか?ミキティはまじ大したやつだよ。)やってみ?」


矢口は美貴にパスを出した。


藤本(きたっ!)


吉澤「ここはぜってー守りきる!!」


美貴はボールをもらうとすぐにドリブルをして少し横にずれ、ジャンプシュートを放った。


パサッ。


美貴のシュートは綺麗にゴールに吸い込まれていった。


吉澤「なっ!?」


吉澤がゴールのほうを振り返るとすでにボールは下に転がっていた。


吉澤(今・・・このよしざーが全く見えなかった・・・)


そう吉澤は美貴の動きが速すぎて全く見えなく、音がしたほうを振り返ったらそこはもうシュートが決まった後だったのだ。


市井(は、速すぎる・・・)


後藤(んあ?今どーなったの?)


新垣(な、なにが起きたの!?)


白組、そして味方の紅組も何が起きたかわからなかった。


398 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 14:37

藤本(よし!今日はまだ少し体が鈍ってるけどこれならいける!)


今の一連の動きがわかったのは美貴本人そして審判をしている中澤と稲葉だけだった。


中澤(今の・・・あいつやりおった!!)


稲葉(藤本め!またさらに化けよった!!)


藤本「矢口さんナイスパスです!」


矢口「えっ?ああ。うん!!」


藤本「さあしっかり守りましょう!!」


柴田(藤本すごい!)


松浦(みきたん今どーやったの!?)


石川(こ、こんなことがあるなんて!!)


高橋(な、なんや?点は入ったんやよね?)


コートに立っている人間は戸惑っていた。美貴本人以外は。


399 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 14:47

白組リスタート。


再び新垣は3人のマークに悩まされる。


新垣(ど、どうしよう・・・)


後藤「ニイニイ!!」


新垣は呼んでいる後藤にパスを出した。そして後藤はまたもスリーポイントシュートを決めた。


これで白組が2点リード。


この後、両チームとも戸惑いは隠せなかったが、一歩も譲らず白組が決めれば紅組が決め、紅組が決めれば白組が決めるというのを繰り返し、白組が1点リードのまま試合終了まであと1分となった。


400 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:21

紅組からのリスタート。おそらくこのプレーで最後になるだろう。そしてこのプレーが勝敗を左右する。体育館にいる全員がそう確信した。

ボールは矢口が持っている。


矢口「はあはあ・・・(さすがにキツい。おいらこんなに体力なかったのかよー。)」


残り50秒


矢口は時計を見た後に紅組全員を見渡した。


矢口(プレイヤーは全員マークキツいから消耗してるよ・・・ん?)


矢口の目に美貴が映った。



矢口(ミキティすんげえ!!まだ余裕なの?)


美貴の運動量はコートの中で一番すごかった。にもかかわらず試合終了前になってもまだまだいけるという顔をしている。


藤本「(よし!あれをやるか。)矢口さん!」


矢口「へ?」


美貴は矢口にボールをもらうためにわざわざ近づいてきた。


藤本「矢口さんはゴール前に行ってください。」


矢口「えっ?あっ、うん。」


矢口は美貴にボールを渡すとそのままゴール前へと走っていった。


401 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:31


藤本「さあ、この一本をきっちり決めて勝ちましょう!!」


全員「えっ?」


美貴の作戦。それは自分のマークは吉澤。それを自分がガードの位置でプレーすることによってゴール下から遠ざけることだ。ただし、この作戦は一度使うとバレてしまう。そこで美貴はあえてギリギリの時間で使ったのだ。


市井「そうきたか。吉澤!!マークしっかりしろよ!」


吉澤「わかってます!!」


ダムダム


美貴はドリブルをして様子をうかがった。


残り30秒


吉澤「藤本!お前に遠投シュートはぜってー打たせないから!」


藤本(チッ。バレたか。さてどーする?)



残り15秒



パタパタパタ・・・


402 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:35

藤本(・・・!?さっき言ったこと覚えてたんだね。)


美貴の目がひとつの影を捕らえた。
そして美貴は笑った。



残り10秒



藤本「シュートだよ!!」


美貴は指示を出しながらその影のほうへパスを出した。



吉澤「なっ!?」



403 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:35



404 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:38

藤本「愛ちゃん!!」



なんとここでノーマークの高橋が味方が作ったスペースにうまく走り込んできたのだ。



高橋「入って〜!!」



高橋はジャンプシュートをした。



残り5秒



405 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:39











406 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:40








パサッ。





ピッピピッーーー!!


407 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:46

長い笛が鳴った。


中澤「試合終了!!」


全員が息を飲み得点板を見た。




40対41から42対41に変わった。




中澤「整列!!」


全員「はい!」


中澤「42対41で紅組の勝ちや!」


全員「ありがとうございました!」


408 名前:再会 投稿日:2005/02/06(日) 18:57

矢口「やったー!!勝った!おいらたち勝ったよ!?」


柴田「やりましたね!!」


石川「勝った!!私たち勝っちゃったよ!!」


松浦「やった〜!!」


高橋「し、信じられんやよ!!」



全員「藤本ー!!」


バタバタ!!


藤本「わっ!?ちょ、ちょっと・・・」


紅組全員は美貴の上に乗った。


藤本「あの、重いんですけど・・・」


矢口「ミキティのおかげだよ!!」


石川「私、美貴ちゃんを信じてよかった!!」


柴田「藤本の作戦バッチリだったよ!!」


松浦「みきたんさっすが〜♪」


高橋「美貴ちゃんすごい!すごすぎやよ!!」


藤本「みんな重い。なんで美貴ばっかりがこんなめに合うのさ・・・」


紅組「やったーー!!」


藤本「まっ、いっか。」


こうして紅組は奇跡の逆転をし、喜びを分かち合ったのだった。


409 名前:再会 投稿日:2005/02/07(月) 00:26

部活が終わって美貴は久しぶりに自宅への道を歩いていた。


藤本「ふ〜。なんかすっごい疲れた。」



高橋「美貴ちゃーーん!!!」


美貴が歩いていると後ろから大声を出しながら高橋が駆け寄ってきた。


藤本「愛ちゃん。そんな大声出してどうしたの??」


高橋「うん。あのね・・・」


藤本「うん?」


高橋「い・・・えろ」


藤本「えっ?なに?」


高橋「い、一緒に帰ろ!!」


藤本「ああ、うん。」


美貴は久しぶりの高橋からの誘いにビックリしながらも嬉しさを感じていた。


高橋「あーし今日の試合すごい楽しんだやよ!!」


藤本「美貴もだよ。」


高橋「えー!!なんか美貴ちゃんあんまり楽しそうな感じしない!」


藤本「そんなことないよ!美貴だってあ・・・」


高橋「あ?」


藤本「愛ちゃんと一緒にバスケできて嬉しかった・・・」


高橋「み、美貴ちゃん///」


藤本「・・・なんちゃって。美貴はみんな久々にみんなとバスケできて嬉しかっただけ!愛ちゃんなに照れちゃってんの?」


高橋「な!!あーしのこと騙したんかー!?」


藤本「(ウソじゃないよ?ただ愛ちゃん困った顔するんだもん。)騙されるほうが悪いんだよ。」


高橋「(あーし結構嬉しかったのに・・・)騙すほうが悪いやよ!!」


ふたりはそれぞれの思いを胸にしながら帰った。


410 名前:再会 投稿日:2005/02/07(月) 23:14

〜美貴宅〜

美貴は自分の部屋のカーテンの前に立っていた。

藤本(もうそろそろこれを開けなきゃだよね?)


美貴は自分に問いかけカーテンに手を置いた。






サワルナ






藤本(えっ?)





オマエハマタキズツケルノカ?




藤本(・・・)






オマエニナニガデキル?



藤本「や・・・ろ。」





オマエハアカノタニンナンダ。




藤本「やめろ・・・」





オマエハサイテーダ。





藤本「やめろって言ってんだろ!!」





オマエニアノコヲマモルケンリハナイ。




藤本「わかってる・・・」





オマエハ





藤本「うるさい・・・」





アノコニ





藤本「やめろ。やめろよ!!」






キラワレタ。




藤本「わあーーー!!」


美貴はそのまま家を飛び出した。


411 名前:再会 投稿日:2005/02/07(月) 23:26

美貴はどこに向かうでもなくただ走った。
そして着いた先は昔よく遊んでいた公園だった。



藤本(公園・・・)


「うわあーん!!」



「桃子ちゃん、泣かないで!私も探すから。」


美貴は知らぬ間に泣いている女の子のほうに近づいて声をかけていた。


藤本「どーしたの?」


「うっ・・・私の、ヒック、ウサギさんの、ヒック、ハンカチが・・・ないの。ヒック!」


藤本「ウサギさんのハンカチ?」


コクッ。


泣いている女の子は美貴の言葉に頷いた。


藤本「そっか・・・。じゃあさ、おねーさんが探してきてあげるからふたりで遊んでな?」


「うぇ?ヒック、本当に??」


藤本「うん!!すぐ戻るからちょっと待ってね?」


コクッ。


ふたりの女の子は静かに頷いた。


美貴はふたりの頭を優しく撫でてその場を去った。


412 名前:再会 投稿日:2005/02/07(月) 23:35

藤本(ウサギのハンカチ、ウサギのハンカチ。そーいえば前もどこかでこんなことがあったよーな・・・)


美貴は公園の隅々まで探していた。


ガサガサ



藤本(ここにはないか・・・)




ゴソゴソ




藤本(ここもだめ・・・)




美貴が隅々まで探したがウサギのハンカチらしきものはひとつもなかった。



藤本(やっぱムリか・・・ん?)



美貴は滑り台の影に風でなびいているなにかを見つけて駆け寄った。




藤本「あ、あった!」



滑り台の下でなびいていたものはまさしくウサギのハンカチだった。
おそらく滑り台で遊んでいて落としたのだろう。美貴は急いで先ほどの少女たちの元へ向かった。


413 名前:再会 投稿日:2005/02/07(月) 23:48

藤本「おーい!!」


「あっ!おねーちゃん!!桃子ちゃん、おねーちゃんが来たよ!!」


「本当だ!おねーちゃーん!!」


美貴はふたりに駆け寄りさっき見つけたハンカチを見せた。


藤本「なくしたのってこれ??」


「桃子ちゃんのだ!!」


「本当だ!!私のウサギさんのハンカチ!!おねーちゃんありがとう!!」


美貴はハンカチを泣いていた女の子に渡した。


藤本「どーいたしまして。これかわいいね。」


「うん!!私のいとこのおねーちゃんが買ってくれたの。そのおねーちゃんすっごく優しいの!」


藤本「そっか。」


「私そのおねーちゃんが大好きなの!!だからこれも私の宝物!」


藤本「そんな大事なものはもうなくしちゃだめだよ?」


「うん!!」


少女はとびっきりの笑顔を見せた。その笑顔が今の美貴にはすごく痛いものだった。


藤本(あっ・・・思い出した。確かここは・・・)



「お〜い!桃子ちゃん、雅ちゃん!!」


「あっ!おねーちゃんだ!!」


ひとりの女の人が美貴たちに近づいてきた。


414 名前:再会 投稿日:2005/02/07(月) 23:58

「もう!ふたり帰って来ないからお母さんたちが心配してたよ?」


「「ごめんなさい。梨華おねーちゃん!」」



美貴はその名前を聞いてつい口に出してしまった。


藤本「り・・か・・・ちゃん?」



「えっ?」


自分の名前を呼ばれた女の人は一瞬驚いた顔をした。


「もしかして・・・みきちゃん??」


藤本「うん・・・」


美貴の名前を呼んだ女の人、梨華は昔美貴がウサギのハンカチを探し出してあげたことで仲良くなった子だった。そしてその梨華は今ではとても優秀なバスケの選手であり美貴の先輩であるハロ高の石川梨華だった。


石川「本当にあの美貴ちゃんなの?」


藤本「うん。」


石川「本当に本当?」


藤本「本当に本当だよ。」


石川「会いたかった!」


梨華は嬉しさのあまり美貴に抱きついた。



415 名前:再会 投稿日:2005/02/08(火) 00:14


石川「まさか美貴ちゃんがあの美貴ちゃんだったなんて・・・」


藤本「美貴も全然気づかなかった。」


ふたりの少女、桃子と雅は梨華に先に帰り、美貴と梨華はふたりで公園のベンチで話していた。


石川「なんか懐かしいね。」


藤本「うん。」


石川「美貴ちゃんがあの美貴ちゃんってことは愛ちゃんは・・・」


藤本「高橋愛、ハロ高のマネージャーの高橋だよ。」


石川「そっか〜。なんかふたりとも変わったね!」


藤本「そうかな?」


石川「そうだよ!!愛ちゃんなんてこんなちっちゃくていつも美貴ちゃんにくっついてたじゃん!」


藤本「・・・そうだっけ?」


石川「そうだよ!!あっ、でも今でも愛ちゃんとは仲良いんでしょ?」


藤本「・・・まあね。」


美貴はしばらく黙って、無理やり笑ってみせた。


石川「どーしたの?なんかあった?」


藤本「えっ?」


石川「だって今無理やり笑ったでしょ?」


梨華は美貴が無理やり笑ったことに気づいていた。



アカノタニンダ。



藤本「なんでもないよ・・・」


石川「うそ!私にはわかるよ?」



ふたりはしばらく黙ったまま座っていた。



416 名前:再会 投稿日:2005/02/08(火) 00:34

美貴は空を見上げゆっくり話し始めた。


藤本「美貴さ、愛ちゃんに嫌われたんだ。」


石川「えっ?」


藤本「美貴が愛ちゃんにひどいことしたんだ・・・」




キラワレタ。



石川「・・・」


藤本「で、気づいたら嫌われてて・・・」


石川「・・・」


藤本「美貴って本当バカなんだよ・・・」


石川「・・・」


藤本「美貴ってまじでさ・・・」


石川「美貴ちゃん・・・」



藤本「サイテーなんだよ。」




オマエハサイテーダ。



藤本「へへっ。ね?美貴ってまじバカでしょ?」


石川「美貴ちゃん、もういいよ・・・」


藤本「美貴サイテー」


石川「美貴ちゃん!!もういいから。」


藤本「美貴ってバカなの。」


石川「美貴ちゃんもういいから。私の前では無理やり笑わなくていいよ?」


藤本「・・・」


石川「笑わないでいいから。」


藤本「り・・か・・ちゃん。」


美貴は梨華をしばらく抱きしめた。


石川「美貴ちゃんそろそろ遅いから帰ろ?」


梨華は抱きしめている美貴を少し離そうとした。しかし美貴は離れなかった。


藤本「梨華ちゃん。」


石川「ん?」


藤本「美貴の・・・美貴のそばにいて?」


石川「美貴ちゃん・・・」


藤本「お願いだから美貴をひとりにしないで。」


石川「うん。私はずっと美貴ちゃんのそばにいるよ。」


417 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/08(火) 19:59
久々に来たら更新たまってた〜!
ついに再会(?)ですね!てか重くなってきた・・・。
愛ちゃんとはどうなるのかな?
418 名前:安心 投稿日:2005/02/08(火) 23:54

美貴が頼むと梨華は家に電話して今日は一緒にいてくれることになった。


石川「美貴ちゃん?大丈夫?」


藤本「あ、うん・・・。ごめん。」


石川「ううん。」


藤本「あのさ、やっぱ梨華ちゃん帰っていいよ?」


石川「えっ?でも・・・」


藤本「美貴は梨華ちゃんがいてくれたからもう大丈夫だよ。明日も練習で朝早いしさ。(本当はひとりなんかなりたくたい。だけどこれ以上他の人を巻き込むわけにはいかない。)」


美貴は梨華にバレないように笑顔を作った。


石川「・・・」


藤本「それじゃあまた明日。」


美貴は立ち上がり公園の入口に向かった。


藤本(もう美貴は誰も失いたくない。)





石川「待って!!」


藤本「えっ・・?」


梨華は美貴の腕を掴んで美貴を立ち止まらせた。

石川「一緒にいるって約束したでしょ?」


藤本「でも美貴は・・・」


石川「美貴ちゃんが本当に笑えてないことくらい私にはわかるよ?」


藤本「・・・」


石川「だから美貴ちゃんがよくても私はダメなの!!一緒にいさせて?」


藤本「梨華ちゃん・・・」


石川「それに美貴ちゃんは帰っても中澤先生がいないからひとりなんでしょ?」


中澤は全国大会準備のため今日から本番までずっと会場のほうにいるのだ。


藤本「本当にいいの?」


石川「うん!!」


藤本「あ・・り・・がと。」


美貴は梨華の手を握りしめ自分の家に向かった。

419 名前:安心 投稿日:2005/02/09(水) 22:29

藤本「とりあえずなんか飲み物入れるからテキトーに座ってて。」


石川「うん。」


美貴は梨華を自分の家に連れてきた。


藤本「お待たせ。」


石川「あ。ありがとう!紅茶??」


藤本「うん。だって梨華ちゃんいつも飲んでるでしょ?あ、もしかしてイヤだった?待ってて今違うの持ってくるから!」


石川「あ、あの!そうじゃなくて・・・その、私がいつも紅茶を飲んでること知ってたんだな〜って思って。」


藤本「あっ、うん。いつも見てたしね。一応先輩のことは少しでも知っておいたほうがいいでしょ?」


石川「(私のこと見ててくれたんだ・・・。)美貴ちゃんでもそんなとこ気にするんだー。」


藤本「もしかして美貴は先輩たちのことなんも考えてないと思ってた?」


石川「うん!」


藤本「えー!ヒドいなー。美貴そんな自己中じゃないよ。」


この言葉を最後にふたりは黙り込んでしまった。


420 名前:安心 投稿日:2005/02/09(水) 22:30



421 名前:安心 投稿日:2005/02/09(水) 22:48

藤本「美貴さ・・・」


ふたりの沈黙を破ったのは美貴だった。


石川「ん?」


藤本「美貴、さっき本当はひとりになりたくないと思ってた。」


石川「うん。」


藤本「でもね、もう誰も巻き込んじゃいけないって思って・・・。」


石川「うん。」


藤本「美貴今までいろんな人傷つけて・・」


石川「・・・」


藤本「でも誰も美貴を責めたりしなくて・・」


石川「うん・・・」


藤本「美貴はみんなを傷つけてるのに助けられてばっかりなんだ。」


石川「そんなことないよ・・・」


藤本「ううん、ほんっと美貴はヒドい事ばっかりしてんの。」


石川「・・・」


藤本「だからもう誰も傷つけたくないんだ。」


石川「・・・」


藤本「なのにまた梨華ちゃんに甘えててさ。美貴だめだなーって。」


石川「私は・・・私は迷惑じゃないよ?」


藤本「ありがと。でもさ、美貴はいつか梨華ちゃんを傷つけるのかって思うとすごく怖い。」


石川「私はそんなすぐに傷ついたりしない。」


藤本「・・・」


石川「私これでも強くなったんだよ?」


藤本「でも・・・」


石川「美貴ちゃんは私といるのやだ?」


藤本「なっ!そんなわけないじゃん!!」


石川「だったら私が美貴ちゃんのそばにいる。」


藤本「・・・」


石川「私は美貴ちゃんを絶対ひとりにしない!」


藤本「梨華ちゃん・・・」


石川「美貴ちゃんがイヤがっても私は美貴ちゃんのそばにいるんだから!」


藤本「ありがとう。」


美貴は泣きながらお礼をいった。


422 名前:安心 投稿日:2005/02/09(水) 23:06

藤本「梨華ちゃん。」


石川「ん?」


藤本「美貴、梨華ちゃんに会えてよかった。」


石川「私も!」


藤本「そっか・・・」


石川「わ、私ね!!」


藤本「ん?」


石川「美貴ちゃんのこと大好きだよ!!」


藤本「すー・・・」


石川「ってなんで寝ちゃうのよー。」


美貴は梨華の隣で気持ちよさそうに寝てしまっていた。


石川「もうっ。かわいいんだから・・・」


美貴の寝顔は普段は見せないような安心しきった顔だった。


石川「・・・そんなにかわいかったらキスしちゃうぞー?」


梨華は美貴のホッペタを触った。


藤本「ん〜・・・」


石川「お、起きた!?」


藤本「スー・・・」


石川「ふ〜。よかった・・・」


梨華はじっと美貴の寝顔を見て自分の顔を近づけていった。


石川「美貴ちゃん・・・」



チュ



梨華は自分の唇を美貴の唇に優しく押し当てた。


423 名前:安心 投稿日:2005/02/09(水) 23:15


藤本「ん〜・・」


グイッ!



石川「わっ!!」


美貴は梨華を抱き寄せた。


石川「み、美貴ちゃん!?」


藤本「梨華ちゃんは美貴のだもん!!」


石川「えっ?」


藤本「ムニャムニャ・・・」


石川「なんだ寝言か・・・」


結局梨華は美貴に抱き寄せられたままで眠った。


424 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 17:55

藤本「ん〜、あれ?美貴いつの間に寝てたんだろ?もう6時じゃん・・・ってなにこれ!?」


美貴と梨華は抱きしめ合っていたのだ。


藤本(昨日は・・・ん〜思い出せない・・・)


石川「み・・・・ん」


藤本「ふぇ?」


石川「美貴ちゃん・・・」


藤本「は、はい!!」


石川「ん〜、ムニャムニャ・・・」


藤本「なんだ寝言・・・」

美貴は梨華から手を離そうとした。



ギュッ!



藤本「えっ?」


しかし梨華がさらに美貴に抱きついてきたのだ。


藤本(・・・しょーがないからこのままいるか。)


美貴はその体制のまま梨華をずっと見つめていた。


藤本(かわいいな・・・)



オマエハコノコモキズツケルノカ?


藤本「ーーっ・・・」





オマエハアクマダ。




藤本(美貴は悪・・・魔・・・)





テンシタチトイッショニイテハイケナイ。





藤本「ははっ。そーだった・・・」




425 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 17:59

藤本(わかってた。美貴は悪魔だって。わかってたはずなのに・・・)





オマエハ





藤本(なのに・・・また・・・)






アクマ。




藤本(また甘えてる。)




426 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 18:01





ミキハ・・・







アクマデス。




427 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 18:05


石川「んっ・・・美貴ちゃん・・・おはよっ。」




ミキハ





石川「美貴ちゃん?」





ミキミタイナアクマハ





石川「美貴ちゃん!?」





イラナイ?




428 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 18:07





ミキハ






イラナイ・・・





429 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 18:15

石川「美貴ちゃんってば!!」


美貴が気がつくと梨華が自分を心配そうに見つめていた。


石川「大丈夫?」




藤本「オマエナンカ・・・」



石川「美貴ちゃん?」





藤本「オマエナンカイラナイ!!」



石川「わ、私家に帰らなきゃ。ま、また後でね・・・」


美貴は美貴をいらないと言った。しかし梨華は梨華がいらないという意味にとらえていた。



藤本「アンタナンカ・・・」




藤本「アンタナンカウマレテコナキャヨカッタ。」


430 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 22:17


美貴は梨華が出て行った後も練習に行く用意はしたもののただ呆然としていた。




ピーンポーン。



家のチャイムに美貴が顔を上げると時計はすでに9時を示していた。



藤本「もうこんな時間か・・・」




ピーーンポーン!



さらにチャイムが鳴った。


藤本「郵便の人・・・かな。」



ピーーンポーン!!



ガチャ



藤本「はい。あっ・・・」

「あっじゃねーよ!!」


藤本「矢口さん・・・なんで?」


矢口「なんでって集合時間の8時になっても来ないから稲葉先生に頼まれて迎えに来たんだよ!」


藤本「そーですか・・・」


矢口「そーですかじゃなくて早く用意して行くよ!!」


藤本「・・・」



美貴は矢口に連れられてハロ高体育館に着いた。



稲葉「藤本!遅い!!」


藤本「・・・」


稲葉「練習2日目からもう遅刻か?」


藤本「すいません・・・」


稲葉「まあええわ。アップしてからみんなに混ざり。」


藤本「はい・・・」


美貴は無言のままアップを始めた。


431 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 22:22

アップをしている間も美貴の頭にはひとつのことしかなかった。





美貴は






『悪魔』





432 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 22:32

悪魔と天使はまったく正反対でまして仲良くなるなんて有り得ない。


美貴は『悪魔』




みんなは『天使』


まさにその正反対な関係が美貴と周りの人たちなのだ。
どんなにお互いが歩み寄っても成り立たない関係。まるで磁石のように反発しあう。それが悪魔と天使。


美貴はそれが分かった瞬間になぜだか心から安心した。






もう自分はここの誰とも結ばれることはない。




それが分かった安心感。



433 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 22:35

安心と同時に沸き起こった不安。





じゃあ自分は誰と結ばれる?





434 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 22:38






わからないならそんな心持たなければいい。






だって美貴は『悪魔』だから




435 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 22:40


市井「藤本ー!!紅白戦やるぞ〜!」


市井の呼びかけで美貴の思考はここでストップ。美貴は静かにみんなのもとへ向かった。




436 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 22:53

稲葉「今日の紅白戦は1チーム3人で行う。先に10点入れたほうが勝ちや!要は3ON3ちゅーことや。それじゃあメンバーを言うで?」


全員「はいっ!!」


稲葉「一試合目、紅組!辻、あさみ、アヤカ。」


紅組「はい!」



稲葉「白組!小川、加護、里田。」


白組「はい!!」


稲葉「両チームともフェアプレーでやんねんで?」



6人「はいっ!!」



稲葉「始めっ!」


美貴はひとりで黙々とシュートフォームの確認や手首の感覚を確かめていた。



437 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 22:54


438 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 23:01


美貴が気づくとすでに試合は最終組になっていた。



稲葉「次!紅組。吉澤、柴田、後藤。」


紅組「はい!」


稲葉「白組。市井、石川、藤本!」


白組「はい。」


この後、
誰も予想していなかった美貴のプレーに変化が起こった。


439 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 23:01


美貴が気づくとすでに試合は最終組になっていた。



稲葉「次!紅組。吉澤、柴田、後藤。」


紅組「はい!」


稲葉「白組。市井、石川、藤本!」


白組「はい。」


この後、
誰も予想していなかった美貴のプレーに変化が起こった。


440 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/10(木) 23:02
わあー!!またミスってしまった(-o-;)
441 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 23:12

稲葉「始めっ!!」


稲葉のかけ声と同時に市井がボールを持ち、石川と美貴はゴール前に走っていった。


市井「藤本!!」


市井はすぐに美貴にパスを出した。
美貴は無言でボールを受け取りゴールにをめがけてシュートを打った。



パサ。


市井「藤本ナイス〜。」


市井は美貴に近寄りタッチを求めた。



しかし



藤本「これくらい当然です。」


美貴はそう言い放つとディフェンスの位置にいった。


市井「まあ、そりゃそうだよな!」


市井は何も気にせず自分もディフェンスの位置に戻った。


442 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 23:31

柴田「一本決めてこ!!」


吉澤「おう!」


後藤「んあー。」


紅組の3人は昔から仲が良いからかコンビネーションが最高によかった。


柴田「ごっちん!」


後藤「んあ、よしこ〜。」


吉澤「よしっ!」



パサ。


その証拠に今は柴田から外の後藤、そして後藤からすぐに中の吉澤に切り返してのゴールだ。


市井「やるじゃん!」


白組のリスタート。
石川から美貴にボールが渡った。


市井「こっち!」


美貴の前には市井が走り込んでボールを呼んでいる。




しかし




シュ。




全員「えっ?」



パサッ。



美貴は全員の予想に反してその場からスリーポイントを決めた。


タッタッタッ


そしてまたすぐに美貴はディフェンスに戻った。


443 名前:安心 投稿日:2005/02/10(木) 23:51

紅組リスタート。


柴田「落ち着いて返すよー。」


柴田のかけ声に吉澤、後藤のふたりは静かに頷いた。


柴田「ヨッスィー!!」


吉澤「おう。任せろ!」


吉澤はそう言うとすぐに後藤に切り返した。


そして後藤はそのままスリーポイントを決め、再び5−5で同点になった。


白組ボールのリスタート。今度は市井から美貴にパスが通った。
すると吉澤、後藤がダブルでマークについた。


石川「美貴ちゃん!」


逆サイドでフリーの石川が美貴にパスを要求した。


後藤「行かせない!」


それに反応した後藤がパスコースを防ごうと少し横にズレた。



すると



シュ。



後藤「んあ!?」



パサッ



美貴はフリーの石川にパスを出さず自分で直接ゴールにシュートを放ち決めた。


市井「・・・」


そして美貴はディフェンス体制に入った。


444 名前:安心 投稿日:2005/02/11(金) 00:12

吉澤「次確実に決めようぜ!!」


柴田「うん!」


後藤「もちろんっ。」


柴田は隙を見てフリーになった吉澤にパスを出した。


柴田「ヨッスィー頼むよ。」


吉澤「おうよ!」


吉澤はそう言うとさらに中に切り込んでダンクをしようとした。



バシ!



その吉澤の手から美貴はボールを奪い前を見た。


石川・市井「パスっ!!」


味方のふたりがフリーでゴール前まで走っていた。美貴はドリブルをしてハーフラインまで行くとそこからスリーポイントを放った。


全員「なっ!?」



パサッ



ピッピピーー!


稲葉「試合終了。白組の勝ち!」


矢口「ミキティすげー!!」


笛が鳴り終わると同時に矢口が喜んだが、体育館内の全員が黙ったままだったので矢口も場違いだと感じ大人しくなった。


そんな妙な静寂の中、市井は静かに美貴に歩み寄った。


市井「なんでパス出さなかった?今のはパス出す場面だろ?」


今までの明るいムードだった体育館は一気に深刻なムードに変わった。


445 名前:安心 投稿日:2005/02/11(金) 00:27

藤本「今のは美貴の判断は間違ってません。このゲームは先に10点取ったほうが勝ちなんだから今の場面はスリーポイントを打っただけです。」


美貴は冷たく言い放った。


市井「ん〜。確かに藤本の判断は間違ってない。だけどさっきも石川がフリーだったのにパス出さなかったろ?」


藤本「それはいけると思ったから自分でシュートしただけです。」


市井「でも普段の藤本ならパスしてただろ?」


藤本「なんですか?市井さんは美貴にいけるときでもパスを出せと?」


市井と美貴の会話にしびれを切らした吉澤が割り込んできた。


吉澤「藤本!お前な〜。市井さんはそういうことを言ってんじゃないんだよ!!」


藤本「じゃあ何が言いたいんですか?」


吉澤「ーーっ。テメーふざけんのもいい加減にしろよ。」


藤本「美貴のどこがふざけてると?ふざけてんのは吉澤さんでしょ?さっきのダンク。あんなのバレバレですぐに相手に取られちゃいますよ?」


吉澤「なっ!なんだと!テメーまじふざけんな!!」


吉澤はたまらず美貴に掴みかかった。


藤本「あーあ、また暴力ですか?その性格治したほうがいいんじゃないですか?」


吉澤「このやろー!!」


吉澤は美貴を殴ろうと拳を高く振り上げた。




そのとき




稲葉「ふたりともそこまで!!」


446 名前:安心 投稿日:2005/02/11(金) 00:46

吉澤「でも!!」


稲葉「でもやない!あんたらは仮にももうすぐ全国大会なんや!それやのにこんなことで練習時間を潰す気か?」


吉澤「・・・すいません」


稲葉「分かったら練習や。シュート練習を各自50本ずつ!!」


全員「はい・・・」


稲葉「それから藤本は第2コートであたしと個人メニューや。」


藤本「・・・」


稲葉「分かったか?」


藤本「はい。」


美貴は素直に稲葉の指示に従った。


稲葉「それから高橋!」


高橋「は、はい!」


稲葉「あんたはあたしと藤本の練習を手伝って!」


藤本「ちょ、ちょっと待ってください!!美貴は手伝いなんかなくてもちゃんと自分で出来ますよ!!」


稲葉「なんや藤本。あんたあたしの指導法にケチつけんのか?」


藤本「そーいうわけじゃ・・・」


稲葉「だったら黙って第2コートに行け!」


藤本「わかりました・・・」


美貴は渋々稲葉に従って第2コートに駆けていった。


447 名前:安心 投稿日:2005/02/11(金) 01:06

高橋「あ、あの・・・」


稲葉「なんや?高橋。」


高橋「美貴ちゃんはあーしと練習するのがいやなんです。だから美貴ちゃんにつくのはあーしやなくて矢口さんに・・・」


稲葉「それはあかん。今の藤本は藤本やない。それは高橋、あんたにやったらわかるやろ?」


高橋「・・・はい。」


稲葉「まあ、他のやつらも薄々は気ついてる。特にさっき同じチームでプレーしとった市井と石川はな。」


高橋「・・・」


稲葉「しかしマネージャーの中で一番あいつのことがわかるんは高橋、幼なじみのあんたやろ?」


高橋「・・・」


稲葉「あんたやったら今の藤本に何が必要か教えられるはずや。」


高橋「わかりました。」


稲葉「そしたらあたしらも第2コートに行こか。」


高橋「はい。」


稲葉には今、美貴に何が足りないか確かにはわからなかった。しかし、幼なじみの高橋には確かではないが藤本の足りないものがわかっていた。


448 名前:安心 投稿日:2005/02/11(金) 01:09


449 名前:安心 投稿日:2005/02/11(金) 01:12

〜第2コート〜


藤本(美貴の判断が間違ってた?いや、そんなはずない。だって実際勝ったじゃん。)


美貴はひとりでさっきのプレーについて考えた。美貴のプレーは今までと何ら変わりはない。

ただ変わったといえば




[人に頼らなくなった]ただそれだけだ。



美貴に仲間なんていない。



周りはみんな敵。


450 名前:安心 投稿日:2005/02/11(金) 01:19

美貴はようやく自分の安心していられる場所を見つけた。


それが・・・





[孤独]




誰にも気を使わなくていい。自分の好きにすればそれでいい。安心できる場所を探し続けてやっと見つけた。
そこは辛さなんてみじんも感じさせない。




ひとりになりたくない?



だったら初めからひとりでいればいい。




仲間?





そんな言葉ここには存在しない。





だってここは





美貴ただひとりしか存在しない[孤独]だから




451 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/11(金) 11:11
感想、いいっスか?
美貴ティ、辛いっスねぇ。。。
石川さんも辛いところでしょうねぇ。。。
ってか全体的に辛いっス。。。
美貴ティは悪魔じゃないって叫びたいっス。
これからも頑張ってください。
452 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/11(金) 11:17
更新乙・・・。
美貴ちゃん・・・・間違ったほうに行っちゃったんだね・・・。
愛ちゃんにしかこれはできないことだからがんばれ・・・。
どうかこの雰囲気が明るいほうへいきますように。
453 名前:星龍 投稿日:2005/02/11(金) 11:23
更新お疲れ様です。
藤本さん変わっちゃいましたね・・。
高橋さん頑張ってください。
明るい藤本さんになりますように・・・。
454 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 13:07

稲葉「よっしゃ。そしたらまずはパス練しよか。」


藤本「は?パス・・・ですか?」


美貴がひとりで練習していると稲葉、高橋が次にやって来て練習を開始するところだった。


稲葉「そうや。」


藤本「わかりました。じゃあ、やりましょう。」


稲葉「ああ。相手はあたしやなくて高橋やから。」


藤本「た、高橋・・・ですか?」


高橋「あーし!?」


稲葉「高橋はひとりしかおらんやろ?さ、早くやり!!」


藤本「・・・」


高橋「は、はいっ!」


美貴と高橋はパス練習を始めた。


455 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 13:22

シュ


シュ



藤本(パス練でしかも相手は高橋かよ・・・美貴のことナメてる?)



シュッ



高橋「(稲葉先生なに考えてるんや?あーしがパスの相手やなんて・・・)あっ!!」


美貴が出したボールを高橋は考え事をしていたために弾いてしまった。


高橋「ご、ごめんなさい!!」


藤本「・・・」




この後も高橋は何度も失敗し、その度にボールを拾いに行った。美貴はそれをイライラして見つめているだけだった。



シュッ!!



高橋「あっ・・・また・・・」


また高橋が失敗した。



稲葉「ストーップ!!」


藤本・高橋「えっ?」


稲葉はゆっくり美貴に近寄った。


456 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 13:50

稲葉「なんや今のパスは!!」


藤本「何って・・・美貴はただパスを出しただけです。」


稲葉「それがいかんのや!!」


藤本「は?パスをしろって言ったのは稲葉先生じゃ・・・」


稲葉「確かにパスをしろって言ったのはあたしや。そやけど誰がパスに力込めろって言った?」


藤本「・・・」


稲葉「あんたさっきからなんで高橋が失敗してるかわかるか?」


藤本「そりゃ素人だから・・・」


稲葉「違う!!あんたがさっきから強いボールを出してるから取れへんのや。」


藤本「そんなの美貴が知っことじゃないです。」


稲葉「藤本・・・。あんたいつからそんなんになってしまったんや?」


藤本「美貴は何も変わってません。」


稲葉「藤本!!」


藤本「変わってないです。」


稲葉「藤本・・・。」


藤本「もう美貴に構わないでください!!」


稲葉「そうはいかん!これでもあんたはあたしの教え子や。」


美貴は何も言わずに第2コートから出て行った。


457 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 14:02

あれから数日間、美貴は第2コートで黙々と練習した。


そして今日、全国大会2日前。ついにベンチメンバーが発表される。



458 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 14:24

稲葉「まず先に言っとくがこのメンバーは裕ちゃんとあたしで話し合った結果やから各自しっかり受け止めるように。」


全員「はい!」


稲葉「それじゃあいくで?」


全員「はい!!」


稲葉「4番キャプテン市井。」


市井「はい。」


稲葉「5番副キャプテンのミカ!」


ミカ「はーい!」


稲葉「6番柴田!」


柴田「はい。」


稲葉「7番、石川。」


石川「はい!」


稲葉「8番。後藤!」


後藤「んあー。」


稲葉「9番松浦。」


松浦「はいっ。」


稲葉「10番エース!今回は吉澤。」


吉澤「おっす!」


全員「えっ?」


藤本(美貴はエースじゃないんだ・・・。まあ、たまには他の人に華を持たせてあげなきゃね。)


稲葉「11番、里田。」


里田「はい!」


稲葉「12番。新垣。」


新垣「は、はい!」


稲葉「13番、アヤカ。」


アヤカ「は〜い!」


稲葉「14番辻!!」


辻「はいれす!」


稲葉「最後や・・・」


藤本(美貴は最後か。)


459 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 14:29


稲葉「15番・・・」




シーン・・・




稲葉「三好!!以上12名で全国大会に挑む!!」



三好「えっ?あ、はい!」


全員「えっ!?」



460 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 14:44


藤本「あ、あの・・・」



稲葉「なんや藤本!」


藤本「美貴のこと間違って飛ばしてますよ?」


美貴は稲葉に近寄り言った。




稲葉「間違ってへん。今回はこのメンバーや。」


藤本「ははっ。稲葉先生冗談は止めてくださいよ。」



稲葉「・・・」



藤本「美貴何番なんですか?」



稲葉「・・・藤本。」



藤本「あっ!そうかドッキリなんですね?」


美貴は稲葉に掴みかかった。



稲葉「やめ・・・」



藤本「美貴は何番なんですか!!」



稲葉「お前は・・・」



藤本「ねえってば!!」





稲葉「藤本は出さん。」



藤本「な・・んで?」



全員「・・・」



稲葉「今のお前はお前やない。」



藤本「美貴が・・・」





稲葉「だからお前は使わん。」



藤本「・・・」



美貴は稲葉を掴んでいた手を力なく離した。



稲葉「今の藤本は使えんのや。」



藤本「ははっ。・・・そーいうこと・・・」


稲葉「そうや。」



藤本「わかりました・・・。」



美貴はその場から走って立ち去った。


461 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 14:51





美貴がメンバーじゃない?





462 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 14:51



463 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 14:53






ポッポツ・・・




464 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:04

〜ハロ高〜


シーン・・・


美貴が出て行ってからもハロ高の体育館は静寂で包まれていた。



高橋「な・・・なんで?」


静寂を破ったのは高橋だった。



高橋「なんで!?なんで美貴ちゃんを出さないんですか!!」


高橋は稲葉に言い寄った。


稲葉「高橋・・・」



高橋「なんで!なんでやの!!」



市井「た、高橋!!」


市井は高橋を止めようとした。



高橋「美貴ちゃんはあんなに頑張ってるのに!!なんで美貴ちゃんを出さないんや!!」




稲葉「・・・」




高橋「先生!!なんでなんも言わんの!?」



稲葉「高橋・・・」



高橋「美貴ちゃんは・・・」



稲葉「高橋。あんたやったらなんで藤本を出さんかわかるやろ?」



高橋「ーーっ・・」





ポツリポツリ・・・




静寂の中に雨の音だけが響いた。



465 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:08

美貴は道を歩いていた。



ポツリ・・・




あ・・め・・?





466 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:10



ポツ・・・





ザッーザーーーー




467 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:12

美貴は雨の中の道に座り込んだ。





(雨・・・)





オマエナンカ






イラナイ。





468 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:14


「・・・っ。」



美貴の頭の中には雨の音と同時に響いた。





オマエハ





イラナイ





オマエハ






アクマダ





469 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:16




ザーーーー。





「ミキハ・・・」






ザーーーー




「イラナイ?」




470 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:17







イラナイ・・・







471 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:18





こんな・・・





こんな美貴なんか






ウマレテコナキャヨカッタ?





472 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:20





美貴なんか





ミキナンカ・・・






雨に流されればいい





雨ニ・・・






ナガサレレバ






ミキハ





イナクナレマスカ?





473 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:22






誰も・・・






ダレモ






イラナイ?





474 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:24







イラナイなら







消えちゃえ・・・






美貴が消えても






周りは何も変わらない






ナニモ・・・





カワラナイ。






だって美貴は







イラナイもの






475 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:27






だったら






ミキハ






雨といっしょに






キエタイ






もう







必要トサレナイ






なら






ナクナレバイイ。






美貴ナンカ






イラナイ。





476 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:29







存在?






そんなの







イラナイ。






「ミキヲ・・・」







「ミキヲケシテ?」





477 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:36





ザーザーーーー。





478 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:40


「ははっ。美貴イラナイ・・・」


美貴はそのまま道に寝そべった。




「ミキナンカ・・・」





「ミキナンカイラナイ!!」




美貴は自分の頭を道に叩きつけた。




「ミ・・キ・・ナンカ」




479 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:44






「キエレバイイ!!」



美貴はさらに雨でビショビショ濡れた道に何度も自分の頭を叩きつけた。



「アンタナンカ・・・」






「キエロ!!!」





480 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:45






「美貴ちゃん!!!」






481 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:48





「オマエナンカキエロ!!!」



美貴は再び頭を強く叩きつけた。




バシッ!




しかし美貴の頭に激痛は走らなかった。




482 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 15:56



「美貴ちゃん!!止めて!!」



美貴の頭と道の間には人の手があった。




「ドイテ・・・」




「やだ!!あーし美貴ちゃんが傷つくとこなんて見たくない!!」



美貴の頭と道の間ある手、それは高橋のものだった。




「ドイテ!!」



美貴は高橋の手をどけると再び頭を道に叩きつけた。




高橋「だめ!!」



再び高橋が美貴を止めた。




「どーして・・・」



美貴は高橋を見た。




「どうして美貴はキエナイ?」



高橋「美貴ちゃん?」




「ミキヲケシテ?」




高橋「美貴ちゃん!!」




「ミキハキエタイ!!」



美貴はまた頭を道に向けた。



483 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 16:00


高橋「だめ!!あーしは美貴ちゃんと一緒にいたい!だから消えないで!!」



ピタッ。




美貴は道に頭を叩きつける直前で動きを止めた。



高橋「消えないで?」




高橋は泣きながら美貴を抱きしめた。




高橋「消えるなんて・・・言わないで・・」



484 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 16:02





「・・・ワ・・ナ」



高橋「えっ?」





「サワルナーーーー!!」




485 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 16:06

美貴は高橋を突き飛ばし、立ち上がって歩き始めた。




「ミキニサワルナ・・」





高橋「み、美貴ちゃん!」





「クルナ!!」





高橋「み・・き・・ちゃん?」






「キエナキャ・・・」





「ハヤクキエナキャ。」





486 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 16:08


高橋はただただ美貴がおぼつかない足で歩いて行くのを見ることしか出来なかった。





そこへ






「高橋!!」



487 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 16:18

体育館から出て行った高橋を追いかけてきた市井、矢口、安倍、吉澤、石川、紺野、松浦がやって来た。



矢口「ミキティは!?」



高橋「・・・」




松浦「愛ちゃん!!みきたんは!?」



高橋「消えなきゃ・・・って。」



全員「えっ?」




高橋「道に自分の頭叩きつけて・・・」




全員「・・・」




高橋「自分のこと・・・いらないって・・・あーし止められんかった・・・」



全員が道を見ると美貴の血らしき赤が雨で滲みながら道一面に広がっていた。



石川「止めなきゃ・・・」


全員「・・・」



石川「美貴ちゃんを止めなきゃ!!」



吉澤「ちょ!!梨華ちゃん!!」


石川はそのまま雨の中を走り去って行った。



488 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 16:26


石川(美貴ちゃん!!)



梨華はあてもなくただ走り続けた。




美貴を見つけるために



489 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 16:29





「美貴はどうやったらキエル??」




美貴は歩いていた。





「どうしてキエナイ?」





ドウシテ?




490 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 16:30






イラナイなら・・・







ハヤク






ハヤクケシテ。




491 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/11(金) 16:39
さらに更新です!!

名無飼育さま→感想ありがとうございます。これからもどんどんカキコしてください(^O^)

七誌さま→再び痛いです。すいません。いつかミキティも・・・

星龍さま→またまた辛い系です。ほんっとにごめんなさい。しかしミキティにもいつか幸せが訪れるでしょう。


492 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 17:44





ダレカ・・・






ミキヲ







ケシテクダサイ。





493 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 17:48

美貴はその場に倒れた。




「ハハッ・・・」





494 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 17:50

美貴はあれから誰も信じていなかった。






バスケ以外は





美貴は唯一バスケだけは自分を必要としていると思っていた。




しかし





バスケにも必要とされなかった。



495 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 17:58





ザアーーーー。





仰向けになって倒れている美貴の顔に容赦なく雨は降り続いた。




「バスケ・・・」





「バスケモミキヲステタ。」






「バスケハ・・・」






「シンジテタノニ・・・。」







「バッカミタイ。」






「ミキナンテミンナイラナイノニ・・」




496 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 18:02



美貴は意識が少しずつ薄れてきた。






「ヤット・・・」






「ヤットキエル。」




美貴はゆっくりと目を閉じてその時を待った。



497 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 18:09


そのころ梨華は必死に美貴を探していた。




美貴ちゃん!お願いだから無事でいて!!



どうして・・・どうして私はあなたに気づいてあげられなかったの?
朝言ってたのは美貴ちゃん、あなた自身のことだったなんて・・・



ピタッ。



梨華は走るのを止めた。




「美・・・貴ちゃん?」



梨華の前方に仰向けになって倒れている美貴がいた。




「美貴ちゃん!!!」



498 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 18:16



「美貴ちゃん!!!」





美貴は自分が呼ばれていることに気づき思わず目を開けた。






ミキノ






ジャマシナイデ・・





美貴は目を開けるとすぐに誰だかわかった。





「リカチャン?」




石川「そうだよ!!」





「ナンデ・・・」





石川「え?」





「ナンデジャマスルノ?」





石川「私すごい美貴ちゃんを探したんだよ!!」





「ミキハ・・・」





石川「良かった!!」





「キエタイノニ。」






「ナゼテンシタチハミキノジャマバカリスル?」



499 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 18:35


石川「私は美貴ちゃんが大好きだから!だから・・・美貴ちゃんをほっとけない!」





「ミキヲスキ?」





石川「うんっ!!」






「オネガイシテイイ?」





石川「うん!私、美貴ちゃんのためだったらなんでもするよ?」





「ミキヲケシテ。」




石川「えっ?」






「ミキヲケシテヨ!」





石川「美貴ちゃん?」



梨華は美貴の言葉に戸惑った。


500 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 18:44


「ナニシテルノ?ハヤク!!」


美貴は梨華の手を自分の首に持っていった。




「ハヤク・・・ケシテ?」



しかし美貴の願いとは裏腹に梨華は自分の手を美貴の首から離した。



石川「そんなの・・・できないよ!!もうやめよ?」


梨華は美貴をなだめた。




「・・・ナラ」




石川「ん?」





「デキナイナライウナヨ!!」




石川「美貴ちゃん!?」




梨華が止めようとしたが美貴はそのまま闇へ消えて行った。





501 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 18:45




ハヤク





ハヤクテンシタチガコナイトコロニイカナキャ





502 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 18:51




ドコなら・・・





ドコナラテンシハコナイ?






”家ニ行ケ!”



美貴の頭の中で指示が響いた。




「家ナラ・・・ミキヲジャマスルモノハイナイ?」



美貴は家へと歩きだした。



503 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 18:51


504 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 21:44

美貴は意識がもうろうとしながならも家に向かって歩いてやっとのことで家の前まで来た。


「家だ・・・」






「「「美貴ちゃん!!」」」


「「藤本!!」」


「ミキティ!」


「みきたん!」





ナンカクル・・・





美貴を待っていたのは市井、安倍、矢口、吉澤、石川、紺野、松浦そして高橋だった。





505 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 21:56







「ナンデ?ーーっ。」


美貴は頭の痛さに耐えられずにそのまましゃがみこんだ。



「美貴ちゃん!!」

それを見た高橋が駆け寄って来た。


高橋「大丈夫?」





ナンデ・・・





ナンデコノコガココニイル?



506 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 22:07







オマエハマタキズツケルノカ?





「ーーっ!」



高橋「美貴ちゃん!?」





オマニハマモレナイ。






「・・・ってるよ!」





ステラレタンダヨ。





「わかってるつーの!!」





高橋「美貴ちゃん?」






ハヤクキエロ!





「どいて!!」



美貴は高橋の手をはらいのけて家まで向かおうとした。


507 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 22:29


「みきたんどーしたの!?みきたんらしくないよ!!」



家に向かおうとする美貴の腕をつかみ松浦が止めた。


「ミキラシクナイ?」



「そうだよ!!こんなの美貴ちゃんじゃない!」


松浦に続いて紺野も美貴に抱きついた。



「ミキラシイッテナニ?」



松浦・紺野「えっ?」





「ミキノコトナンニモシラナイクセニ・・・」




吉澤「おいっ!!いくらなんでも今の言い方はねーんじゃない?」




オマエハステラレタ。




「ミキノコトヲ・・・」



吉澤「は?」





コイツラハオマエヲステタ。




「ミキヲステタンダロ!!」




吉澤「藤本おまえなに言って・・・」



吉澤は近づこうとした。



「くるな!!離せ!」


美貴は松浦、紺野を引き剥がし、さらに吉澤を近寄らせなかった。



508 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 22:35






イカナキャ。





ハヤク!




509 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 22:38







「美貴ちゃん待って!!お願いやから!!」






510 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 22:53


ピタッ。




ナニシテル!?




高橋「美貴ちゃん!!あーし美貴ちゃんがいないとだめなんや!」




アレハウソダ!!




高橋「あーし美貴ちゃんといたいんや!!」


「高橋!?」


高橋は美貴に駆け寄ろうとしたが転けた。




オマニハ必要トサレナイ。




藤本「うるさいっ!!」




マタシンジテウラギラレルダケダ!




藤本「わかってる。」




ダッタラハヤクシロ!




藤本「ちょっとだけ・・・最後に少し話したい。」




ダメダ!!




藤本「少し。少しだけだから!!」




美貴は高橋に駆け寄った。



511 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 23:08



勝手ニシロ・・・



藤本「愛ちゃん・・・」



高橋「美貴ちゃん?戻ったん?」



藤本「へへっ///」



高橋「美貴ちゃん!!」



高橋は美貴に抱きついた。そして美貴も抱きしめ、それから優しく高橋を自分から離した。



藤本「・・・」



美貴は自分の着ていたジャージを高橋に着せた。


高橋「美貴・・・ちゃん?」



藤本「ごめんね・・」



美貴は立ち上がり再び家に向かった。



高橋「美貴ちゃん!!」



イイノカ?



藤本「うん。もう美貴の気は済んだから・・」



ガチャ。



高橋「待って!!」



・・・



藤本「さようなら・・・」



パタン。



高橋「美貴ちゃん!!出て来て!!」



ヨンデルゾ?



藤本「いいんだ。これで・・・」



高橋「美貴ちゃん!!」



ホントニ?



藤本「いいんだよ!美貴はここにいちゃいけなかったんだから・・・」



高橋「ねえ!!美貴ちゃん!!美貴ちゃんってば!!」



今ナラヒキカエセル。



藤本「ーーっ!いいんだよ!!美貴は・・・美貴はイラナイんだから。」



美貴と愛の間にある扉は厚かった。



512 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 23:11


美貴と愛ちゃんの壁。




それは・・・




『悪魔』と『天使』




美貴たちは出会うべきじゃなかった。


出会わなければ・・・





こんな辛い思いしなくて済んだのに



513 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 23:13



美貴はここから消える。





周りは敵だから。





もう美貴に味方なんて存在しない。




514 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 23:17


ピリッ



ピリリリリッ



ふいに美貴の家の電話が鳴った。



「・・・」



デナイノカ?



「出たら辛くなるでしょ?」



デロ!!



「えっ?」



イイカラデルンダ!



ガチャ。



「も・・しもし」



美貴は指示どうり電話に出た。



515 名前:エースは誰だ? 投稿日:2005/02/11(金) 23:18


516 名前:味方? 投稿日:2005/02/11(金) 23:46


「もしもし。美貴か?」



「お父・・さ・ん?」



「ああ。久しぶりだな。元気だったか?」


電話の主は現在アメリカに行っている美貴の父親だった。


「裕ちゃんに聞いたぞ?お前、バスケ始めたんだって?」


「うん・・・」


「全日本にも選ばれたんだろ?」


「うん・・・。でもさっき学校のベンチからも外されて試合出れなくなっちゃった・・・」



「・・・そうか。」



「お父さん?」



「ん?なんだ?」



「美貴ね、もうバスケ辞めるよ。」



「そうか。美貴がいいなら父さんもそれでいいよ。」



「うん・・・」



「なあ、美貴?」



「ん?」



「お前もアメリカに来ないか?」



「えっ?」



「父さんな、アメリカでずっと仕事することになったんだよ。勘違いするなよ?美貴が来たいなら来ればいいし、そっちにいたいならそれでいいんだ。」



「・・・」



「今決めろとは言わない。ゆっくり考えて・・・」



「お父さん。」



「うん?」



「美貴、アメリカ行くよ。」



「本当か?」



「うん。美貴もアメリカでお父さんたちと一緒に暮らしたい。」



「わかった。じゃあいつがいい?」



「すぐ。明日にも行きたい。」



「わかった。明日は無理だが、明後日の飛行機だったら父さんの知り合いが手配してくれるだろうから明後日の便に乗りなさい。」



「うん。」



こうして美貴のアメリカ行きが決定した。


517 名前:味方? 投稿日:2005/02/11(金) 23:53



「ねぇ・・・」



ナンダ?




「電話。お父さんからってわかってたの?」



アア。ナントナクナ。



「ありがと。」



・・・



「美貴にも味方がいたよ・・・」



ソウダナ。オマエニハカゾクトイウ味方ガイル。



「ううん。確かに家族もそうだけど・・・一番は美貴自身の中のあんただよ。」



アタシ?



「そう。あんたがいなかったら今の電話も出なかった・・・」



・・・



「ありがとね。」



美貴の中のミキはこの後一度も現れることはなかった。


518 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/12(土) 00:52
大量更新おつかれさまです>^_^<
なんかミキティいくとこまで行っちゃって、痛いです。それにまた>516で行く事決めちゃうし。。もぅワクワクさん早く元の美貴ちゃんに戻して、幸せにさしてイチャつかせてあげて下さい(T_T)
ではマイペースに頑張って下さいね
519 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/12(土) 10:02
美貴ティのアホ〜!!!
何故愛ちゃんを信じないんですかぁ!!
涙、すっごい、ちょちょ切れましたぁ。
早くハッピーな展開にしてあげてください。
続き待ってます。
520 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 13:23

〜翌日〜


「ん・・・朝・・?」


美貴が目覚めるとすでに日が登っていた。


「昨日・・ここで寝ちゃったんだ・・・」


美貴の目覚めた場所そこは玄関だった。


「美貴・・・アメリカ・・・」


美貴は昨日の出来事を思い出した。




そのとき




「美貴ちゃん?」




扉の向こうから声が聞こえてきた。




「・・・」




「あーし。愛やよ。」




あ・・・い・・ちゃん?



521 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 13:26


「美貴ちゃん・・・」




美貴を呼ぶ声は少しかすれていた。






「お願い・・・」






「お願いやから・・」






「出て来て・・・」






522 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 13:32



愛は何度も美貴の名前を呼んだ。




高橋「美・・貴・・ちゃん」




そのうち美貴を呼ぶ声は力が無くなっていった。





高橋「お・・・ね・・がい」






泣いて・・・る?








高橋「あーしの・・・」






泣かないで・・・






高橋「そ・・・ば・・にいて?」






藤本「ーーっ。」




523 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 13:40



ペタッ。



美貴の家の扉のガラスの部分に高橋の手の平が映った。





高橋「お願いやよ・・」







藤本「・・・」







高橋「お願いやから・・・」





美貴は静かに自分の手をガラス越しに重ねた。





あったかい・・・






愛ちゃん?






藤本「ご・・・」






高橋「み・・き・・ちゃん?」






愛は美貴が手を重ねていることに気づいた。





そのとき






「高橋!!!」



524 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 13:52


部活のために吉澤、後藤が高橋を迎えに来た。




吉澤「何やってんだよ!!早く行くぞ!!」




高橋「いやや!!」




後藤「何言ってんの!!明日から大会で大事な時期なんだから。」




高橋「いや!!」




藤本「ご・・・」




吉澤「ほらっ。行くぞ!!」




高橋「いやや!離して!!」




後藤「高橋!!」




高橋「美貴ちゃんがいるの!!」



吉澤「何言ってんだ!!」



高橋「離してよ!!」





愛ちゃん・・・




高橋「美貴ちゃん!!」




高橋の手がガラスから消えた。





藤本「ごめん・・・」




高橋「美貴ちゃん!!美貴ちゃん!!」




吉澤「高橋!!」




高橋「美貴ちゃーーん!!」





藤本「バイバイ・・・」




美貴は静かに言った。



525 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 13:54








バイバイ。





愛ちゃん・・・








美貴は・・・






美貴はあなたを








愛してる




526 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 13:59


美貴は玄関から一歩も動かなかった。





「バ・・イ・・・バイ」




3人の声がどんどん遠退いていった。





「ーーっ。」






翌日美貴は一枚の紙を残してアメリカへ旅立った。



527 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 14:00




愛ちゃんへ







ごめん






528 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 14:01


529 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 14:10


*1年後*



「ミキ!!早く!!」



「オーケー!!」



美貴はアメリカでたくさんの友達が出来た。ジョン、ジェシカ、マリア、ブライアン。



「ミキ!!おせーよ!」



「ごめんごめん!」



「早くバスケやろーぜ。」



美貴は一度バスケを辞めた。だけどみんなに出会ってバスケの楽しさを改めて教えてもらったんだ。今はチームに入ってバスケをしてる。

そんな毎日だ。



530 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 14:23



「みんなちゃんと練習してるか〜!?」



そして美貴をバスケに戻してくれた人、それが今来たマイケル監督。



美貴がひとりでみんながバスケをしているのを見ていたら



「君はバスケをしないのかい?」

って美貴に話しかけてくれたんだ。でも美貴は悪魔だからみんなに混ざれないって言った。


そしたら



「君にはお父さんとお母さんはいる?」

急だったからビックリしたけど美貴は頷いた。




「じゃあ君は天使だ。」

って。おかしいでしょ?だから美貴はなんで?って聞いた。それで返ってきた言葉は・・・





「だって君のお父さんとお母さんは少なくとも君を天使だと思ってるだろうから。」

って。美貴はそっかって思った。マイケル監督はさらに美貴に言った。




「それにバスケをすれば誰でも天使になれるんだ。」

美貴がわけわかんないような顔してたら




「シュートをするときの姿が天使に見えるんだ。」

マイケル監督はそう言うとコートのほうを指さした。
そのときちょうど男の子がシュートするときで、美貴にはその男の子の背中に見えた。





『天使の羽』が。



531 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 14:27

美貴がマイケル監督のほうを振り返るとマイケル監督は笑顔でさらに続けた。




「君は天使になりたいか?」




美貴は頷いた。



だって美貴、本当はずっと天使になりたかったから。


532 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 14:36

そういういきさつで美貴は今練習をしている。



「ミキーー!!」



考えて事をしてたらふいにマイケル監督に呼ばれた。



そして



「えっ?今なんて?」





「美貴、お前がプロになれるんだ!」



533 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 14:52


突然のマイケル監督の言葉に美貴の頭は真っ白になった。




「プロチームからミキを欲しいって言ってきたんだ!!」




「美貴を?」




「ああ!お前にだ!!」




マイケル監督にプロチームから美貴の召集要請があったらしい。




「どこか聞きたい??」




「はい。」





「ミキが欲しいと言ってきたのはな・・・」




「・・・」





「『ANGELS』だ!!」



「『ANGELS』!?」



「ああ!あの『ANGELS』だ!!」



『ANGELS』はWNBAいわゆるNBAの女子バージョンに所属するチーム。今季出来たばかりでバスケをしている人間の間でしか知られていないチームだ。


534 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:01


「どーだ?」


マイケル監督は美貴に問いかけた。



美貴「・・・」



「ダメか。まあ、ミキには才能がある。これからもきっともっといいチームから・・・」




美貴「やります!」




「そうか。じゃあ断りを・・・って、え!?」




美貴「美貴、『ANGELS』に行きます!!」




「本当に!?」




美貴「はい!!」




「そ、そーか!!じゃあさっそく先方に連絡を・・・イテッ!」


マイケル監督は転けながら急いで連絡しに行った。



美貴「アハハ!マイケル監督、慌てすぎですよ〜。」



「うるさい!!わかってるよ!」



こうして美貴の『ANGELS』入団が決まった。



535 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:10

*日本*


「どーして・・・」


愛は全国大会後、中澤から一枚の紙を渡された。



536 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:11



愛ちゃんへ






ごめん





537 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:16


1週間前、夏の全国大会は幕を閉じた。



ハロ高の結果は・・・






ベスト16




538 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:27


去年ベスト4まで残ったハロ高は優勝候補の一校だった。



しかし





美貴を欠いたハロ高に勢いは無かった。

美貴はハロ高の柱だった。それが無くなってハロ高はうそのように負けた。美貴は技術だけでない。チームをいろんな意味で引っ張っていたのだ。


それがもろに出たのが





松浦・石川




ふたりはとにかく美貴を慕っていた。
その美貴がベンチから外れ、練習にも出なくなったことによってふたりの戦意は無くなっていた。


試合に出ても前のように自分から攻めることはなく、むしろミスをするばかりであった。
ハロ高にとって主力のふたりが使えないことは厳しかった。


その結果、去年はハロ高が圧勝した相手に62−45と大差をつけられベスト16に止まった。


539 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:38


美貴を失ったのをもろにくらったのはプレイヤーだけではない。


マネージャーの矢口、安倍、紺野



そして





高橋




彼女はとにかくひどいものだった。



みんなが話しかけても美貴の名前を呼んでいた。



540 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:41


あの日、美貴がベンチから外れた日、高橋は今まで気づかなかったものに気づいた。





自分は






こんなにも美貴を好きだったのだ。と




541 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:43


美貴をベンチから外すと聞いたとき、美貴は無言で走り去った。そのとき彼女は思ったのだ。









あんなに頑張っていた美貴をどーして外す?







542 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:47


高橋は自分の胸に問いかけた。
しかし美貴が外れた理由を高橋自身が一番よくわかっていたのだ。






美貴は一人でバスケをしている



という理由を。




543 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:49


高橋は美貴を追いかけた。



高橋「あーし、あーし助けてあげんと・・・」




高橋は必死に美貴を探し回った。




544 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 15:51







「キエロ!!」




そのときだった。


美貴が雨でずぶ濡れになりながら道に頭を叩きつけて叫んでいるのを発見したのは




545 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:00



「美貴ちゃん!!」



高橋は美貴に駆け寄った。



しかし



美貴の動きは止まることがなく、再び頭を道に叩きつけようとした。



高橋はとっさに自分の手を道と彼女の頭の間に入れた。その瞬間、美貴の頭が勢いよく降ってきて、高橋の手は固いコンクリートと頭に挟まれた。


普通なら痛い。


しかし、今の美貴のことを考えると自分の手の痛みなどみじんも感じなかった。



546 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:04

再び自分を傷つけようとする美貴を制して高橋は言った。



『もうあなたの傷つくところは見たくない』と。


しかし彼女の思いと裏腹に美貴は言った。




『キエタイ』と。




547 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:07


しかし高橋はまた美貴を止め言った。




『消えないで。』





『一緒にいたい。』




高橋はこう言うと美貴を抱きしめた。


高橋はこのときやっと気づいたのだ。



自分は彼女を





『愛してる』





548 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:10


だが気づくのが遅すぎた。


美貴の心はもうボロボロになっていた。




闇へ向かっていく彼女はこう言った。




『ハヤクキエナキャ』





高橋はこの言葉にただ彼女の背中を見つめることしか出来なかった。




549 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:16


それからバスケ部の面々が心配して迎えに来た。そして美貴がどこへ行ってしまったのかわからずとりあえず美貴の家で待つことにした。




そして






「美貴ちゃん!!」



美貴はフラフラになりながらも家に帰って来たのだ。



その姿は先ほど見たよりも無惨になっていて、頭からは赤い血が流れていた。



550 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:23


美貴が頭を抱えてその場にうずくまってしまったので高橋は思わず駆け寄った。



「大丈夫!?」



しかし美貴はわかってる!と叫ぶと高橋の手をはらいのけさらに家へ向かって歩いた。


途中で松浦、紺野、吉澤が止めようとしたが一向に止まる気配がなかった。





このままだと






美貴ちゃんがいなくなる?




高橋の頭によぎった。そして次にはもう口から言葉が出ていた。






『行かないで!』




551 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:29





『あーしはあなたといたい。』



高橋は心の内に秘めていたものを美貴に向けた。



しかし美貴は止まらず家の前まで行った。高橋は美貴を追いかけようと走り出した。が、転んでしまった。




美貴ちゃん・・・






お願い






行かないで





高橋はもうダメだと思った




そのとき





552 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:34








「愛ちゃん・・・」




自分の名前を呼ぶ声に顔をあげると・・




いつも美貴がいた。




美貴は高橋に笑いかけた。




美貴ちゃんが





戻ってきた。




あーしは美貴ちゃんに抱きついた。




もう離れたくない!




すると美貴ちゃんもあーしを抱きしめ返してくれた。



553 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:39


美貴ちゃんはあーしを離すとずぶ濡れになっているあーしに自分のジャージを着せてくれた。






美貴ちゃんの匂い・・




美貴ちゃんや。




あーしはずっと美貴ちゃんと一緒にいようって思った。





だけど





『ごめんね』




美貴の声が聞こえてきたかと思うとあーしから離れて行った。





どこ行くの?





「美貴ちゃん!!待って!」




あーしは美貴ちゃんを追いかけた。




だけど




ガチャ。




美貴ちゃんちの扉が開いた。



554 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:46


「待って!!待ってよ!」



あーし美貴ちゃんがいないとだめなんや。





ダメなの!





なのに





『さようなら』



パタン。





なんで?





なんで美貴ちゃんは別れの挨拶したの?





なんで?





「美貴ちゃん!!出て来て!」





なんやの




「お願い!!お願いやから!」





さようなら?





「美貴ちゃん!!ねえ!!」





あーしはそんな言葉聞きたくない。






聞きたくないのに・・





なんで?





555 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 16:55

それからあーしがいくら呼んでも美貴ちゃんが家から出て来ることはなかった。




ザアーーーーーー



そして雨がさらに強くなって、バスケ部のみんなはあーしを残して去って行った。




美貴ちゃん?






あーしわかるよ?







今・・・







泣いてるでしょ?




高橋はこの雨が美貴の心だと思った。




556 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 17:04

気がつくと雨は上がり、日が照っていた。
そして高橋は再び美貴を呼んだ。




「美貴ちゃん・・・」





「お願い・・・」





「出て来て・・・」




あーし美貴ちゃんといたい






美貴ちゃんやなきゃ






あーしダメなんや





高橋は扉のガラスに手を当てて何度も言った。




『美貴ちゃん』




泣いて声がかすれてもずっと呼び続けた。




557 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 17:07



すると





ふいに自分の手ではない温もりを感じた。




「美貴ちゃ・・ん?」




美貴ちゃんのあったかさ




美貴ちゃんそこにいるんやね?







美貴ちゃん・・・




558 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 17:15



あーしずっとここにいるよ?





ずっと・・・





いたいの。





「高橋!!」





「何やってんだよ!!早く行くぞ!」



やめて・・・




「明日から全国大会で大事な時期なんだから。」




あーしは・・・




『美貴ちゃんといる』




「行くよ!!」




美貴ちゃんがそこにいるの。





「何言ってるんだよ!!」




あーしは




「行こう。」




『美貴ちゃんのそばにいたい』




あーしの願いも虚しく部活に行った。




そして





あーしの前から美貴ちゃんは『消えた』





ごめんという一言を残して・・・



559 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 17:21



美貴ちゃんがあーしの前からいなくなって1年。市井さんとミカさん、それに矢口さんと安倍さんも卒業した。
あーしたちは2年生になってかわいい後輩たちも出来た。
相変わらずみんなとクラスは一緒。


なんにも変わってない





ただ





『美貴ちゃん』






あなたがいない




560 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 17:27


バスケ部にも後輩がいっぱい入ってきたんやよ?



相変わらず自分がかわいいっていつも言ってる石川に対抗するさゆこと道重さゆみや亀ちゃんこと亀井絵里。




それと




「あ〜もう!!れなはどっちでもよか!」



田中れいな。


この子はバスケうまいけどぶきっきらぼうでいつっつも文句ばっかり言ってる。



だけど




根はとっても優しいんや。





まるで・・・





美貴ちゃんみたいなんやよ?




561 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 17:34


美貴ちゃんがいなくなった直後のハロ高は弱かった。


優勝候補やのにベスト16止まり。




だけど





だけどね、





また強くなったんや。





あやちゃんや石川が立ち直った。
あのふたりは美貴ちゃんがいなくなってボロボロやったんやよ?



それに




田中ちゃんたちが入って来てくれた。



それからみんな頑張って強くなったんや。




もちろん




あーしも強くなったんやよ?



562 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 17:36




高橋は空に向かって微笑んだ。





美貴ちゃん





あーし強いよ!!




563 名前:味方? 投稿日:2005/02/12(土) 17:49


紺野「愛ちゃーーん!!」


高橋「ふえ?あさ美ちゃんどーしたん?そんなに慌てて・・・」


紺野「あのね。今度練習試合するんだって!!」


高橋「そんなんいつものことやろ?」


紺野「問題は相手!!」


高橋「相手?」


紺野「うん!!あのね、相手がアメリカプロチームの『ANGELS』なんだって!!」


高橋「えんじぇるす?」


紺野「うん!!」



・・・



高橋「どこそれ?」


紺野「えぇ!?愛ちゃん知らないの!?」


高橋「うん。なんなんそのえんじょいず?」


紺野「ANGELSだよ!!WNBAに今季から新しく出来たプロチームだよ!」


高橋「うぇぇ!?なんでそんなすごいチームがうちとするんや!?」


紺野「なんでかはわからないけどANGELSが日本で合宿するんだって!!それで中澤先生が申し込んだらしいよ。」


高橋「中澤先生もすごいね。どんな繋がりやか全然わからんもん。」


紺野「だよね。それで1週間後にうちの体育館でやるからよろしくだって!」


高橋「よろしくってなんやの〜。またあーしたちに全部やらせる気なんかな?」


紺野「かもね。とりあえず頑張ろうね!!」


高橋「もちろんやよ!」


高橋と紺野は自分たちの教室に向かった。


564 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/12(土) 17:55
大量更新です!


マカロニさま→お久しぶりです!!かなり痛くなってしまいました。もう途中わけわかんなくて逃亡しようかと思ったくらいです(笑)

名無飼育さま→涙出ました!?もし泣けてもらえてたら光栄です。ミキティがんばれ!(謎)

565 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/12(土) 18:25
もぅワクワクさんが逃亡しないで良かったw
やっとなんか明るい日差しが見えて来ましたね〜いっぱいいろんな人出てきたし。しかも対決とか。二人の合った時の反応がめちゃくちゃ気になります!!これから頑張って下さい!!>^_^<
566 名前:星龍 投稿日:2005/02/12(土) 18:44
すごく続きが楽しみです・・・。
2人はどんな反応をするのか・・・・。
これからも頑張ってください応援してます。
567 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/12(土) 23:18
おおこれはもしや・・・
568 名前:味方? 投稿日:2005/02/13(日) 00:45

〜放課後〜


中澤「いきなりやけど1週間後にここで練習試合やるから。」



全員「うぇぇぇ!?」



中澤「驚くのはまだ早いちゅーねん!!」



柴田「どことやるんですか?」



吉澤「まさか全日本とか!?」



後藤「んあ。よしこんなわけないしょ!」



吉澤「だよねー。」



中澤「そやで吉澤!相手はもっとすごいねんから全日本ごときと一緒にしならアカンわ。なあ、あっちゃん。」



稲葉「そーやな。あのチームに比べたら全日本なんかカスに思えてしまうわ。」



柴田「全日本がカス・・・」



吉澤「そんなすごいチームなんてあるんっすか!?」



中澤「なんや吉澤。全日本よりもっとすごいところがあるやろ?」



吉澤「へ?んなのあるわけ・・・」



柴田「まさか・・・WNBA?」



石川「柴ちゃん。いくらなんでもそんなわけ・・・」



中澤「おお。柴田大正解!!今日の柴田は冴えてるな〜。」



全員「えぇぇぇーー!?」



稲葉「今度の相手はWNBAの『ANGELS』や。」



新垣「ANGELSって今季出来たばかりのですか?」



中澤「ああ、そうや。」



吉澤「なんだ。出来たばっかりならハロ高のが強いんじゃん?」



569 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/13(日) 00:46
おほぉ・・・。さてはこれは・・・、
美貴ティが愛ちゃんのとこに戻ってきて・・・。
いい展開を待ってます!
570 名前:味方? 投稿日:2005/02/13(日) 00:55

中澤「アホか!!」



稲葉「裕ちゃんの言う通りや。出来たばっかりでもむこうはプロや。それにな・・・」



中澤「ジョーダンをも超える逸材がおる!!」



松浦「ジョーダンってバスケの神様って言われてるあのジョーダンですか!?」



中澤「そうや。」



里田「そんな人がいるなんて・・・」



田中「神様以上・・・」



中澤「まあ、わかったら本腰入れて練習し。あんたらも頑張れば勝てるかもしれん。勝負の世界に絶対なんて存在せーへんからな!」



全員「はい!!」



こうして新生ハロ高バスケ部は一週間後の試合にむけて動き出した。


571 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 14:25

〜一週間後〜

高橋「も〜!相変わらず中澤先生は人使い荒いんやから!!」


紺野「まあまあそう言わず。これからプロのチームが見れるわけだし。」


高橋と紺野はみんなが練習をしている端でベンチ作りをしていた。




「大変そうだね〜」


「手伝う?」


「誰か紹介してくれるならやってもいいよ。」


ふたりの後方からふいに声が聞こえた。



高橋・紺野「この声は・・・市井さん!!それに矢口さんと安倍さんも!」



市井「よっ!!」


矢口「元気してた〜?」


安倍「ふたりとも相変わらず仲良いべさ。」


ふたりが振り返ると全日本に入った市井、バスケの名門大学のマネージャーになった矢口、安倍がいた。


紺野「な、なんで先輩たちがこんなところに!?」


矢口「紺野ビックリしすぎだよ〜。」


安倍「中澤先生に呼び出されたんだべさ。」


高橋「中澤先生に?」


市井「なんか面白いもん見せたるから絶対来い!ってさ。まあ多分WNBAのチームを見せたいだけだろうけどね。」


矢口「でもまさかWNBAが練習試合してくれるとはね〜。」


安倍「それだけみんな強くなったってことっしょ?」


5人はベンチ作りをしながらいろいろ語った。


572 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 14:49

中澤「全員集合!!」


全員「はい!」


中澤「今からベンチメンバーとスターターを発表する!」


全員「はいっ!」


中澤「まず4番キャプテン吉澤!」


吉澤「おっす!」


稲葉「頼りにしてるで!キャプテン。」


吉澤「任せてください!」


中澤「5番副キャプテン柴田!」


柴田「はい!」


稲葉「コート内での監督はあんたや!」


柴田「私が監督・・・」


中澤「6番石川!」


石川「ハーイ!」


稲葉「あんたの成長を見せてくれ!」


石川「はい!」


中澤「7番後藤!」


後藤「んあー。」


稲葉「あんたがどれだけ市井に近づいたか見せてくれ!」


後藤「お安いご用意だよ〜!」


中澤「8番、新垣!」


新垣「はい!!」


稲葉「新垣!お前のボール裁き、期待しとるで?」


新垣「はい!!!」


中澤「9番、里田!」


里田「はい。」


稲葉「あんたの力を思う存分出してみぃ!」


里田「力・・・か。」



573 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 14:55

中澤「10番!ハロ高のエースは・・・




松浦!あんたに任せる!!」


松浦「はい!(まつーらがエース・・)」


稲葉「ハロ高のエースちゅうもんを見せつけたれ!!」


松浦「任せてくださーい!」



松浦(みきたん、見てる?みきたんがつけてたハロ高のエースを今度はまつーらがつけるんだよ?まつーらぜーーったいみきたんみたいになるからね!)


松浦は自分のユニフォームを見ながら微笑んだ。その目は希望に満ちていた。



574 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 15:14

中澤「11番、小川!」


小川「はい!」


稲葉「これがあんたのユニフォームや。」


小川「あたしの・・・」


中澤「12番辻!」


辻「はいれす!」


稲葉「ムードで負けるなよ!」


辻「ののがハロ高のムードを作るれす!」


中澤「次!13番、三好!」


三好「はい!」


稲葉「どんどんシュート決めたれ!」


三好「わかりました!」


中澤「14番、あさみ!」


あさみ「はい。」


稲葉「あんたのバスケを全部見せてこい!」


あさみ「はい!」


中澤「15番。最後や・・・




田中!」


田中「はい。」


全員(ついにきたか・・・)


稲葉「デビュー戦やからって緊張せんでええからな?」


田中「わかってますよ。」



中澤「以上が今日のベンチメンバーや!!いつどんなときでも使えるように各自しっかりアップしとくんやで?」


全員「はい!」


矢口「なんか中澤先生めっちゃ燃えてない?」


安倍「そりゃ相手が相手だもん。ねえ紗耶香?」


市井「んー。15番なかなか可愛いね。」




矢口「またそれかよ!!」

575 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 15:24

安倍「あれ?紺野!高橋は?」


紺野「愛ちゃんならみんなの飲み物作りに外行きましたよ。」


安倍「あぁ、そっか。ねぇ、紺野。」


紺野「はい?」


安倍「高橋。あれからなんともない?」


紺野「はい。たまに思い出してるみたいですけど・・・」


安倍「なっち思ったんだけどさ、田中だっけ?あの子なんとなく・・・」


紺野「美貴ちゃんに似てますか?」


安倍「うん。顔は全然違うけど雰囲気がなんとなくね。」


紺野「それは愛ちゃんも言ってました。まるで美貴ちゃんを見てるみたいだって。」


安倍「そっか・・・。なっちさ、藤本のこと好きだったんだよ。」


紺野「私もです。でも・・・」



ふたりは顔を見合わせた。


安倍「高橋ほどじゃなかったよ。」


紺野「ですね。」




市井「おーい!!そろそろスタメン発表だってさ。」


安倍「行くべか?」


紺野「そうですね!」


ふたりは笑いながらみんなの元へ駆け寄った。


576 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 15:30

〜外〜


高橋「もー!!春やのになんでこんなに暑いんよー。」


外はさんさんと日がさし、青空が広がっていた。


高橋「美貴ちゃんもこの空、どっかで見てるんかな〜・・・」


高橋は空を見上げた。



美貴ちゃん。あーし強くなったよ?



だけど




だけどね、






美貴ちゃんのこと





思い出してしまうんや





美貴ちゃん。





どこにおるの?





577 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 15:40

バシャバシャバシャ


高橋「あぁーー!!水止めんの忘れてた!!」


高橋が気づくと水がいっぱいになり、自分の顔にも水がついていた。


高橋「あー冷たっ!」



スッ・・・



高橋「えっ?」


高橋の頭にタオルがかけられた。



高橋「あ、ありがとう!ってあれ?」


高橋が振り返ってもそこには誰もいなかった。



高橋「誰なんやろ・・・ANGELS『No.1』?」


高橋がタオルにはANGELSという文字がでかでかと書かれており、さらに端のほうに小さくNo.1と書かれていた。


高橋「ANGELSの人なんかな?まあ、あとで返せばいっか・・・あっ!そんなことより早く行かんと!!」


高橋は水を持って急ぎ足で体育館に戻った。


578 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 16:00

〜体育館〜

ガラガラ!!


「コンニチハー!!」


中澤「おお!よう来たな!ジミー!」


「ユウコー!オヒサシブリデース!!今日ハヨロシク!」


中澤「おお!こっちこそ頼むわ!」



吉澤「あれがANGELS・・・」



後藤「みんなすごそー。」



吉澤たちハロ高の目の前にいるANGELSのメンバーはみながみな大きく、とにかくオーラが違った。



石川「ん?なんかあの人日本人っぽくない?」


石川が指さしたのはサングラスにニット帽を被った人だった。


柴田「確かにアジア人っぽいけど・・・」



新垣「日本人じゃないですよ!!」



石川「なんで?もしかしたら・・・」


新垣「WNBAには日本人はひとりもいないはずですよ。それに日本人がむこうに行ったらすぐにニュースになるはずじゃないですか。」



石川「そっか〜!!」



柴田「そうだよ。だから多分中国かどこかの人なんじゃない?」



中澤「そろそろスタメン発表するで〜!」



全員「はい!」


中澤の号令にアップをしていたハロ高の面々は集合した。


579 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 16:14


ガラガラ。


高橋「すいません!」


矢口「高橋遅いぞ〜。今からスタメン発表だってさ!」


高橋はみんなの集まっている場所に駆け寄った。

中澤「ではスタメンを発表する!」



全員「はいっ。」



中澤「ガード5番柴田!」


柴田「はい。」



中澤「シューティングガード6番石川。」


石川「はい。」



中澤「センター4番吉澤。」


吉澤「ういっす。」



中澤「パワーフォワード7番後藤。」


後藤「んあ。」



中澤「最後!スモールフォワード10番松浦。」


松浦「はいっ。」



中澤「以上の5人がスターターや!入らんかったやつらも機会があったらどんどん交代させるからそのつもりで。」


全員「はい!」


中澤「よっしゃ!新生ハロ高バスケ部を見せつけるで〜!!吉澤!」


吉澤「おっす!じゃあ行くぞ?」


全員「はい。」


吉澤「がんばって行きまーーーー」




全員「しょい!!!」


新生ハロ高のかけ声は体育館に大きく響いた。


580 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 16:27

〜ANGELSベンチ〜

ジミー監督「日本の高校でもピカイチの学校だ!油断するなよ?」


全員「はい!」


ジミー「それとお前はまだ出さないよ!ユウコとの約束だからね。」


ジミーはサングラスにニット帽の女に言った。


「わかってますよ。それまで頼むよ、ジョアン。」


ジョアン「任しといて!それじゃあいくよ?」



コクッ。



ジョアン「レッゴー?」



全員「ANGELS!!」





581 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 16:28





ついに決戦の火蓋が落とされる。





582 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 16:34


「それではこれからANGELS対ハロー高校の試合を始めます!ジャンプボーラー前へ!」




ピピーーー!!



ダンッ!!




583 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 16:49


〜ハロ高ベンチ〜


「おー。危ねっ。もう始まってるじゃん!!」



全員「えっ?」


新垣「あ、あなたは!!」



市井「大谷さーん!!遅いですよ〜!」


大谷「ごめんごめん。福田さんを起こしてたら遅くなっちゃってさ。」


斎藤「何言ってんのよ!まさおも私たちが起こさなきゃ今ごろまだ夢の中よ?」


村田「ほんとほんと。ちょっとは私たちに感謝してよね〜。」


大谷「はいはい。」


石黒「それに明日香を起こしたのはあんたじゃなくてあたしでしょ!」


大谷「まーまー、そう固いこと言わないでくださいよ。」


斎藤・村田「ほんとのことでしょ!!」


福田「私は結局寝坊ってことなの〜?」



紺野「すごい・・・」



新垣「全日本主力メンバーが・・・」



里田「そろってる!!」



全員「すげーー!!」



矢口「だけどなんで先輩たちが?」



大谷「中澤さんから急に連絡来たと思ったらさ、日曜日にハロ高で面白いもんが見れるで!って言うから来たんだよ。」



福田「そうそう。んでハロ高行くならみんなでってこうなったわけ!」



安倍「へー!!でも面白いことってなんなんですかね?」



石黒「それがあたしたちにもわからないのよ。」


市井「まあ、とりあえず試合見ましょうよ!」



こうして全日本主力メンバーも応援に加わった。


584 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 16:59

〜試合〜

吉澤(ジャンプボールは絶対負けねーー!!)


マリア(この子いい目してる!!)


ジャンプボーラーのふたりはお互いに闘志を燃やしていた。



ピピーーー!



ダンッ!




ジャンプボールは・・





バシッ!



お互い空中で弾いたがボールはふたりの横に飛んだ。




吉澤(やるじゃん!!)




マリア(やるわね!!)




転がったボールを取ったのは・・・





「負けない!!」



ハロ高きっての熱くなる女、石川だった。




585 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 17:11

石川「柴ちゃん!!」


柴田「ナイス梨華ちゃん!!」


柴田の声と同時にハロ高メンバーは一斉に前へ駆け出した。


柴田「さあ、しまってくよー!!」


コクッ。


柴田(まずこの一本で流れを作る!だったら・・・)


ジョアン「マズハキャプテンノヒトミヨシザワデスカ?」



柴田(くっ・・・読まれてる。でも・・・)


ビッ。


ジョアン「ナッ!?」


柴田「ノー。マイチームエース・・・



アヤマツウラ!」



松浦「柴田さんナイス!」


パスッ。




松浦「よっし!今日も絶好調♪」


松浦の放ったジャンプシュートは見事に決まった。


後藤「まっつーナイスシュート。」





??「ふーん。なかなかやるじゃん。」


ニット帽にサングラスの女は笑った。


586 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 17:19

ANGELSのリスタート。


ジョアン(このガードなかなかやるわね。ディフェンスはピカイチだわ。でも・・・)



シュ!



柴田「なっ!?」



スパッ。



ジョアンはその場からのスリーポイントをいとも簡単に決めた。



ジョアン「ノンノン、ユダンハダメデース!」



柴田(この人・・・すごい!!)




587 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 17:21



??「おー?あれをしょっぱなからやるなんて。ジョアンもかなり本気ってことか・・・」



ニット帽にサングラスの女は足を椅子に座りながら足をブラブラさせた。



588 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 17:42


この後、第1ピリオドの10分間はお互いに交代もなく手探りのような状態で点差もANGELSが12点、ハロ高が11点とほとんどないに等しいまま2分間インタヴァルに入った。


〜ANGELSベンチ〜


ジミー「どうだ?」


マリア「あのセンターの子なかなかやりますね。」


ナンシー「10番の子もすごいわ。」


キャロル「シューティングガードの子も闘志が溢れててナイスよ。」


サリー「パワーフォワードの子も動きがいいし。」


ジョアン「ガード子も筋がいいわね。」



??「でしょ??みんなだめだなー!!」



マリア「でもあなたが出るまでもないわ!」


サリー「そうね。」


ジミー「本当か?ジョアン。」


ジョアン「ええ。いいチームだけど私で手に負えるわ。」


??「ええー!!早く出たいのに〜。」



ジョアン「あなたにはいい罰よ!!だいたいなぜ自分のユニフォームは忘れるし、タオルもなくすしなに考えてんのよ。」


??「だって忘れたんだもん!!」



ジョアン「まったく・・・。いい?よく見といてよ?」



??「チェッ。わかったよ。」


ANGELSのメンバーはコートに戻っていった。



589 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 17:56

〜ハロ高ベンチ〜

中澤「どうやプロの力は!?」


吉澤「ははっ。一週間前に言った『ハロ高のが強いんじゃん』ってやつ。あれ全部撤回します。」


後藤「ごとーちょっと甘かったかも。」


石川「私も・・・」


柴田「なんなんですかあのガード!!」


松浦「さっきは決めれたからよかったけど・・・」



スタメン「めっちゃくちゃ強い!!」



吉澤「センターの人すごいっすよ!!ジャンプなんてもうビヨヨーンみたいな!」


後藤「それよりパワーフォワードだよ。名前の通りすんごいパワフルなんだよ!」


石川「えー!?シューティングガードだよ!!チェック早いすぎ!」


柴田「いや、みんなを指揮してるガード。あの人はくせ者だよ!」


松浦「何言ってるんですか!!スモールフォワードなんて全ていいですよ!!」


稲葉「おお、おお。あんたらもようやくプロのすごさがわかったか!」



スタメン「すごいどころじゃないですよ!」


中澤「そりゃWNBAやからな。」





吉澤「でも負ける気はしないっす!!」


スタメン「うんうん。」


中澤「(こいつら・・)でもすごいんやろ?」



柴田「確かにすごいです!!でも・・・」




石川・松浦「だったらその上を行くまでです!!」


中澤「ふふっ。面白いやつらやわ・・・」


ハロ高メンバーは闘志を燃やしてコートに入った。


590 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 18:06



??(まったく罰とかありえないっしょ?そりゃーユニフォームを忘れたのは悪かったよ!!だからって試合出さないなんてー!!)


ジミー「なんだ?お前も早く出たいのか?」



??「当然じゃないですか!!」



ジミー「まあ、落ち着け。それにお前ユニフォームがないだろ?」



??「ふふーん。そこのとこは心配ありませんよ!」


バサッ。


ニット帽にサングラスの女は羽織っていたジャージを脱いだ。



ジミー「!?お前!それは・・・」



??「メアリーが2枚持ってるから借りときました!」



ジミー「はあ〜。まあいい試合が終わるまでには出してやるから。」



??「よっしゃ!!」


『18』と書かれたユニフォームに袖を通しているニット帽にサングラスの女は小さくガッツポーズをした。



591 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 18:34

第2ピリオド開始


バシッ!


吉澤は自分の顔をおもいきり叩いた。


吉澤「うっし!!(今度のジャンプボールは絶対負けねー!負けらんねーよ!)」


マリア(ふふっ面白いじゃない!)


ピピーーー!!



ダン!




マリア(残念だけど今度は私の勝ちみたいね。)


マリアは吉澤より自分のほうが高く飛んだと確信した。





マリア「ナッ!?」



吉澤「よっしゃーー!!」



マリアがボールに触れる前に吉澤が先に触れたのだ。



マリア(なぜ!?今は絶対私のほうが高く飛んだはず・・・)



ジョアン「タイミングチェンジ!!」



マリア(!!そうか!私より背が低いから・・・考えたわね。)



吉澤はマリアより自分の背が低いのであえてマリアの後にジャンプをしたのだ。



ボールは・・・





柴田「一本いくよ!!」



ハロ高の司令塔柴田が持っていた。


592 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/13(日) 21:41
更新乙です!!!!
ついに始まりましたね。
そしてあの「??」とはもしや・・・。
593 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 22:04

ダムダム・・・


ジョアン(さて次はどーする??)


キュ。


ジョアン「(左!!)ナッ!?」


シュ。




パサッ。


柴田はスリーポイントを決めた。



ジョアン(この子たちさっきと・・・





目つきが変わった!!)



吉澤「おっしゃーー!!柴ちゃんナイスプレー!!」



柴田「ヨッスィーもね!!」



パチィーーン!!



ハロ高の新キャプテンと副キャプテンがお互いのプレーをたたえてハイタッチを交わした。





18(なんか楽しくなりそうだね。)



594 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 22:11


ここからハロ高の怒涛の反撃が始まった。

ANGELSが決めれば、ハロ高も負けじとまた返す。中でもその中心にいたのがハロ高の司令塔柴田と新エースの松浦だった。
ふたりのコンビネーションはとてもよく、ディフェンスでもANGELSのメンバーを苦しめた。そんな第2ピリオドが終わり、ハーフタイムの10分に入った。



この時点での点数はANGELSが27点、ハロ高が26点とまったくの互角だった。


595 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 22:26

〜ANGELSベンチ〜

ジミー「おい!みんなどーした!?」


ジミー監督はANGELSとハロ高の点数があまり開かなかったのでメンバーに聞いた。


マリア「すごいんですよ、あの子たち。」


ナンシー「本当。」


ジミー「おいおい。大丈夫じゃなかったのか?」


ジョアン「あの子たち試合の中でもさらに進化するんです。」


ジミー「えっ?」


18「相手が強ければ強いほど燃える。そーいうのがバスケでしょ?」


ジョアン「そーね!」


18「じゃあみんながかなわないならそろそろ出番・・・」






スタメン「ちょっと待ったーーー!!」


サリー「あんたね、言わせておけば!」


ナンシー「そうよ。なんなのよ!」


マリア「私たちがかなわない?」


キャロル「そんなわけないでしょ!!」



18「なんだまだまだ元気じゃん。」



4人「えっ?」



18「まあそんな元気ならまだまだ余裕でしょ。」



ビビッーー!!


18番が椅子に座ると4人はコートに散って行った。


ジョアン「ふふっ。あんた本当にみんなを乗せるのが上手いわね。」



18「そりゃどーも。まあ出番が来るまで頼むよ!ジョアン。」


ジョアン「わかってるわよ。」



ジョアンもコートへ駆けて行った。


596 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 22:40

第3ピリオド。
ANGELSは今までよりも全体的にプレーのきれがよくなってきた。


ジョアン「ナンシー!!」



ビッ。



ナンシー「オーケー。」



スパッ。


ナンシーは得意のジャンプシュートを決めた。




ハロ高リスタート。


ダムダム・・


柴田「一本決めるよ。」


吉澤「おう。」


後藤「了解。」


石川「任せて。」


松浦「わっかりました〜!!」


ハロ高の面々は活気に溢れていた。


柴田「ヨッスィー!」



吉澤「はいよ!」


キュッ。


ダッ!




吉澤は柴田からもらったボールをダンクで決めようとした。



バン!!



吉澤「うわっ!!」


しかしマリアが吉澤の動きを読んでいたため見事に地面に振り落とされた。



ピッピーーー!!



審判「ディフェンスチャージング!フリースローワン!!白21番!!」


マリアのファウルが取られた。

その後、吉澤はフリースローを決めた。



597 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 22:55


〜ハロ高ベンチ〜


中澤「よっしゃ、第3ピリオドも後半やしそろそろ交代といこか?」



稲葉「そやな。田中!」



田中「はい。」



稲葉が呼ぶと田中はすぐにやってきた。


中澤「次試合が止まったら後藤と交代や。それと松浦にパワーフォワードであんたがスモールフォワードやって伝えてな?」



田中「はい。」



田中は淡々と体をほぐした。



稲葉「初めて出る試合やからって固くなったらあかんで?」



田中「れなはそんな臆病者じゃないですよ。」



稲葉「そーか。ならええねんけど。まあ、がんばりや!」



田中(絶対振り向かせる・・・)



598 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 23:21

*入学式の日*

田中れいなという少女はある人を追いかけてここハロ高に入学した。


そのある人とは・・・






『高橋 愛』





れながさゆ、絵里と冬の大会見に行ったときその人がいた。
選手じゃないのに選手と一緒に喜んだり悔しがったり喜怒哀楽が激しかった。
れなはその人が目に入る度にドキドキしとった。あーこういうのが一目惚れかってひとりで納得とかしちゃってて。
もー試合そっちのけでそのを人を見つめ続けた。試合が終わってから会場を去ろうとするその人を追っかけた。


気がついたらその人の腕掴んで人通りの少ない場所に連れてってた。
その人は驚きながらも笑顔でなんですかぁ〜?って。その顔がまためっちゃれなの心臓をドキドキさせて、本当死にそうやった。



だけど勇気を振り絞って



『好きです!』


ってれなは言った。



そしたら




『ごめんなさい』


って困った顔して言ったた。れながどこがだめですかって聞いたら、




『藤本美貴って人を待ってるんや〜』


ってすっごい笑顔で言った。
れなは『藤本美貴』を知ってた。だって、この人はれなの憧れの人だったから。



『藤本美貴』


ついこの間までハロ高のエースやってて高校生初の全日本入りの快挙を成し遂げた。れなのバスケ生活の中で唯一の憧れ。


599 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 23:25





れなの『好きな人』















れなの『憧れの人』





を待ってる?





600 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 23:34

れなの思考回路はもうわけわかんなすぎてパンクしそうだった。



だって



『好きな人』が





『憧れの人』を待ってるんだよ?


まず繋がりがわからんし。高校で部活が同じでもこんなんにならんし。



とりあえずわけわからんでれなが頭を抱えてると



『あーし高橋愛!!』




れなの好きな人は突然自己紹介し始めて、それで最後に言った。





『あなたのバスケしてるとこ見てみたいわ〜!』


この一言でれなのハロ高入りが決定した。
そして今その好きな人にれなのいいところを見せるチャーーンス!!




ぜったいれなに惚れてもらう!!




601 名前: 投稿日:2005/02/13(日) 23:39


ピッピーーー!!


審判「交代!赤、7番に替わって15番!!」



田中「松浦さん!れながスモールフォワードで松浦さんがパワーフォワードだそうです。」



松浦「わかった〜!」


松浦と田中はポジションチェンジをした。





ここからさらにハロ高は進化を遂げることになる。



602 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/13(日) 23:52

マカロニさま→やっと光が見えて来ましたよ〜。一時はワクワクも自分で書いててどうなることかと思いました(汗)

星龍さま→応援ありがとーございます!!
これからも張りきっていきますよ〜!

七誌さま→??は誰でしょうかね?まあそれはおいおい暴いていこうと思います(笑)

名無飼育さま→いい展開ですかぁ!?どーでしょうねぇ、ワクワクはただ者ではありませんからぁ!!残念!!(笑)


603 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/14(月) 00:43
ほぇ〜・・・。田中さんは愛ちゃんが好きなんですか・・・。
でもあなた、愛ちゃんには藤本美貴と言う人がいますから!
残念っ!!!
って展開になってほしいですなぁ(笑)
604 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 01:05

田中が入ってからハロ高は立て続けに得点を重ね、先ほどまで10点離されていたANGELSに追いついた。



吉澤「田中〜!!やるじゃん!」



田中「これくらいなんともなかと。」


田中は褒めにきた吉澤を軽く避けた。


吉澤「なんだよ。人がせっかく褒めてやったのに!!」



柴田「まあまあ。田中ちゃんも初試合だから緊張してるんだよきっと。それよりこの調子でがんばろ?キャプテン。」



吉澤「おお!キャプテンよしざー頑張ります!」


吉澤はひとりではしゃいでいた。



松浦「吉澤さんって本当単純ですよね。」



柴田「まあ、あれがヨッスィーのいいとこでもあるんだよ。ね、梨華ちゃん。」



石川「そうそう。ヨッスィーって実はすごい素直でいい子なんだよ?」



松浦「へー。なんか意外だけどわからなくもないです。」



石川「でしょ?」



柴田「とりあえずどんどんパス出すからよろしくね!!」



松浦「はいっ!」



石川「うん!」






18「へぇ〜。あの15番なかなかやるじゃん。」


605 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 01:12



第3ピリオド終了。


ANGELS37点


ハロ高37点


同点でついに最終ピリオドを迎える。



606 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 01:28

〜ANGELSベンチ〜


シーン・・・

ANGELSは日本の高校生に立て続けに点を取られたので気まずく誰も口を開かなかった。




ジョアン「ごめんなさい。あなたが出てないとはいえ私たちあの子たちを甘くみすぎてたわ・・・」



18「うん。そーだね。」



スタメン「なっ!?」



18「だけどこれでどんなチームとやってももう油断することはなくなった。それがわかったからいいんじゃない?ね、監督!」



ジミー「こいつの言う通りだ。今までのお前たちは心のどこかであの子たちを甘く見すぎていた。だがこれでもう我がチームに『油断』という文字はなくなった!最終ピリオドで挽回するんだ!」



スタメン「はい!」



ジミー「それとお前も出す!!プロの力を思い知らせるんだ!」



18「はい!!」




ジョアン「それじゃあ改めてレッツゴー?」






全員「ANGELS!!!」


607 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 15:23

〜ハロ高ベンチ〜

中澤「よっしゃよっしゃ!みんなええ感じやで〜。特に田中!ナイスやったぞ。」



田中「大したことなかったっちゃ。」



吉澤「確かに慣れれば予想してたよりは全然強くなかったな。」



石川「そうだね。」



稲葉「あんたらまだまだ甘いわ。」



柴田「どーいう意味ですか?」



稲葉「あたしと裕ちゃんが言ったこと覚えとらんのか?」



全員「えっ?」



松浦「ジョーダンを超える逸材・・・ですか?」



中澤「そうや。」



柴田「それはあのガードの人ですよね?」



石川「ああ〜!確かにあのガードの人、試合で一番目立ってるしうまいもんね。」



吉澤「そうだな。あの人がチーム引っ張ってたし。」



松浦「そうですね。だったらまつーらたちも捨てたもんじゃ・・・」






中澤「あほか!!そいつはまだ出とらんわ!」



全員「えっ・・・?」



稲葉「まあ、次出てくるやろうから自分たちの体で体験してこい。」



シーン・・・



ハロ高メンバーは妙な沈黙の中コートに駆け出した。



608 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 16:16

第4ピリオド。


<ハロ高メンバー>

4番 吉澤ひとみ
     (センター)

5番 柴田あゆみ
(ガード)

6番 石川梨華
(シューティングガード)

10番 松浦亜弥
 (パワーフォワード)

15番 田中れいな
(スモールフォワード)


<ANGELSメンバー>

4番 ジョアン
(ガード)

34番 マリア
(センター)

18番 キャロル
(シューティングガード)

21番 サリー
 (パワーフォワード)

18番? メアリー?
(スモールフォワード)



609 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 16:53


吉澤「なんだあいつ?」


これがハロ高がコートに入った第一声だった。
吉澤の視線の先にあるものそれは・・・







ニット帽にサングラスのままプレーをしようとしているANGELSの18番だった。



松浦「あのままやるんですかね?」



柴田「だろーね。だってコートにあのまま入ってきてるし。」



石川「でもあれじゃあすごく視界が悪くなるよね。」



柴田「うん。まあとりあえず今はあのガードを止めなきゃ!そのジョーダンを超える逸材って言われてる人が出てくる前に少しでも点差を広げないと。」



石川「そうだね。」



松浦「まつーらがんばりますよ!」



田中(誰が相手でもれなが勝つ!!今のれなには藤本さんしか勝てん。)



610 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 17:12

ピッピーーー!!



ダダンッ!





この最終ピリオドのジャンプボール勝ったのは・・・






マリアだった。



ジョアン「ナイスプレーマリア!!」


そしてボールはANGELSの司令塔ジョアンに渡った。



ジョアン(もう手加減はしないわよ。)


ダムダム


柴田(この人は要注意。この試合を支配してる。次はなにをする気?)



ジョアン(さあ、そろそろ行くわよ?)



キュッ!


柴田「くっ!行かせない!!」


ジョアンがドリブルで左から抜こうとしたのを柴田は防いだ。



ジョアン(やるわね。だけど・・・)



ヒュ!



ハロ高ベンチ「またシュート!?」



柴田「(違う!!シュートにしては短い!これは・・・)ヨッスィー!!」




ドギュン!!!



吉澤「ふぇ?」



柴田(やっぱり・・・)




ハロ高「あ、アリープだーーーー!!」



市井「すげー!!今の!!すごすぎ!」



矢口「本場のアリープだよ!!」



ハロ高ベンチは異様なほどに盛り上がった。



611 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 17:23

吉澤「アリープかよ!くそっ!!」



柴田(あの4番、自分がシュートを打っても決まるのにあえてアリープを使ってきた。それにゴールを決めた18番!あの人もすごいジャンプ・・・やっぱりすごい!!)



田中「くそっ!(今しっまりマークしとったのに気づいたらあの18番ゴールにぶら下がっとった・・・)」



18「ナイスパス!!ジョアン!」



ジョアン「あなたこそナイスプレーよ。」



ジョアン「ここから一気に突き離すわよ?」



18「了解です!ジョアン隊長!!」


18番は元気よくディフェンスの輪に入っていった。



ジョアン「まったく。なんであんなに嬉しそうなのよ・・・」


ジョアンは愚痴を言いながらも終始笑顔だった。



612 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 17:34

ハロ高からのリスタート。


ダムダム


今度は柴田がボールを持った。



柴田「(ここはやっぱり悪くなった流れを断ち切らなきゃ!)梨華ちゃん!!」


柴田はバックパスで石川にパスを出した。






バシッ!!



柴田「えっ!?」


柴田はパスを受け取った音がやけに近かったので不思議に思い横を振り向いた。



すると・・・





「ナイスパスデース!!」


18番が柴田から石川へのパスをカットしていた。



柴田「な、なんで18番がここに!?」


柴田が叫んでいる間にボールを奪った18番はドリブルでゴールへ向かった。



パスッ。



そしてレイアップシュートをいとも簡単に決めた。



マリア「ナイスプレー!!」



18「へへっ///」


18番はマリアに頭を撫でられていた。



柴田(さっきの18番の動き・・・あれは偶然だった?)



吉澤「柴ちゃんドンマイ!!」



柴田「あ、うん。(まあいっか)」



613 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 17:46

再びハロ高からのリスタート。


柴田「ごめん!!次しっかりパス出すから!!」



吉澤「おう!」




シュ。



今度は柴田から石川へのパスが通った。



石川「柴ちゃんナイス!!ほっ!」


石川はフェイントで自分のマークを外しスリーポイントを放った。





ガシッ!!



石川「うぇ?」


石川は決まったと思いガッポーズをしようとしたらボールの下から黒い影が出てきてガシッ!っという音がした。




「んー、オシイ!!」


石川の放ったシュートを空中でキャッチしたのは18番だった。



石川「18番!!」



18「ジョアーーン!」


ビッ!


18番は着地する前にゴールに走っているジョアンにパスをだした。


ジョアン「わかってるわよ!!」


ジョアンはそう言うと柴田のマークを振り切りジャンプシュートを決めた。



18「いいパスだったでしょ?」



ジョアン「まあまあね。」



18「うえー!!なんでだよー!!」



ジョアンははしゃぐ18番を見ながら大笑いしていた。



614 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 17:51

石川(なんで?なんで18番がここにいたの?)



吉澤「梨華ちゃーん!!どうしたぼっーっとして!ポジティブポジティブ!」



石川「う、うん!!(そうよね。一回くらい止められてなにネガティブになってるの!相手はWNBAのチームなんだからこれぐらい当然のこと。)」



柴田(また18番・・・か。)



615 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 17:59

〜ハロ高ベンチ〜

石黒「ねぇ明日香!」



福田「なに?あやっぺ」



石黒「あれどー思う?」



福田「んーすごいね。日本にいたら間違いなくナンバー1の選手だよ。」



矢口「それってあのガードの人のことですか?」



高橋「あのガードの人本当すごいですよねー。さすがWNBAの選手ですね!!」



石黒「・・・そうね。」



石黒と福田は神妙な面もちで試合を見始めた。



中澤(ふふふ。一部のやつらはなんとなくわかってきたようやな・・)


中澤は不適な笑みを浮かべていた。



616 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 18:23

ハロ高ボールのリスタート。


ダムダム


柴田はボールをキープしながら考えていた。


柴田(まずいな。さっきので一気に流れが相手にいっちゃってる。)



ジョアン(さあ次はどーするの?)



柴田「(こういうときは・・・)松浦!!」



ヒュ。



松浦「わかりました!!」


松浦はボールをもらうとすぐに得意のドリブルで中に入りフックシュートの体制をとった。






パン!





「アマイ!!」



松浦がフックの構えをした後ろからボールが弾かれた。



松浦「じゅ、18番?」


18番は弾かれたボールを自分で拾うとドリブルをし、ダンク体制をとった。





「あまいのはそっちだっつーの!!」


すでに吉澤がゴール下で構えていた。


そして18番がジャンプすると同時に吉澤もジャンプして壁を作った。



吉澤「いただきーーーってあれ?」



吉澤の手は空をきった。




パシュ。




そして吉澤の後ろからゴールにボールが入る音がした。



シーン・・・







ハロ高「は、半回転シュート!!」



617 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 18:26

そう吉澤の読みとは違い、18番は空中で半回転して後ろ向きのままシュートを打ったのだ。



新垣「す、すごい!!」



後藤「すんごいバランス力!!」



中澤「これが世界ちゅーやつや。」



ハロ高ベンチ「これが世界・・・」



618 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 18:31

松浦「す・・・ごい。(あんなのどれだけ練習してもできない。)」


松浦はうつむいていた。


『まだまだだね。あやちゃん。』



松浦「み、みきたん!?」


松浦が顔を上げたがそこに当然美貴の姿はなかった。



松浦(なんだ。空耳か・・・)



松浦はオフェンス体制に戻っていった。



619 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 18:43

またもハロ高からのリスタート。


ダムダム

柴田(あの18番!すごすぎる!!さっきのといい梨華ちゃんや松浦のといいあれは偶然なんかじゃない。)




パシ!!




柴田「しまった!!」


柴田の注意が緩んだ一瞬、ジョアンはスチールで柴田のボールを奪った。



ダムダム・・・


ジョアン「楽しむのもいいけどしっかり決めてよ!!」



ビッ。



ジョアンがそう言ってパスを出した相手は






18「なんだよ!さっきからちゃんと決めてるじゃん!!」


18番だった。



田中「ここは絶対決めさせんちゃ!!」



ダムダム・・・



18「(へへっ。めっちゃ面白そうじゃん!)あんたの目標ってある?」



田中「(なんや?めっちゃ日本語うまか。)れなの目標?」



18「そう。ないの?」



ダムダム



田中「れなの目標は・・・」



18「目標は?」



田中「『藤本美貴』たい!!」



18「藤本美貴?」



田中「そうたい!!れなのあかこがれの選手たい!!」



18「ふーん。じゃあその藤本さんって人より上はいかないの?」



田中「くっ・・・」




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