フェイクファー

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/30(木) 00:09
以前某所で書かせて頂いた物を中心に
短編をいくつか書かせていただきます。
田亀中心で他メンもちらほら出す予定です。

更新は頻繁にはできませんがどうかよろしくです。
2 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:32

あたし達二人はスタジオから遠く離れ、どんどん人気のないところへと進んでいく。
一体このままどこへ行こうというのだろうか。
3 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:34

「なぁ絵里、どこ行くと?」


収録の合間の休み時間。大あくびをしてたあたしの前に
絵里が立ちはだかり、スタスタと歩み寄ってきた。
あたしは顔を面と向かって見れなかった。
この世のものとは思えない程に、恐ろしかったからだ。
だからずっと目を逸らしたままでいた。
そしたらいきなり耳元に絵里の顔が近づいてきて。

「一緒に来て。」

そう耳打ちされた。
とりあえず断る理由もないから頷くと、
腕を掴まれて半ば引きずられるようにスタジオを出た。
かなりの腕力だ。
一体こんな細い腕のどこにそんな力が有るんだろう。

「ちょっ、痛いって」
「これぐらい我慢して」

あたしは絵里よりも半歩分位後ろで歩いていた。
顔を見てやろうと思った。あたしは背丈が小さいから横顔を見上げなくちゃならない。
覗き込むとそこには口元はへの字に曲がっていて、目が据わっている絵里の顔。
これは相当怒ってるな。理由は分からないけど。
4 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:35

そうだ、今思い出した。
そういえばあたし達喧嘩してたんだ。
ていうより一方的に絵里が無視してきた。さゆとは普通に話してるし。
二人だけでこういう揉め事になるのはこれが初めてだと思う。

喧嘩なんて日常茶飯事だった。
まあそれはあたしとれいなとさゆの間でだけなんだけど。
お菓子の盗み食いとか、二人だけでご飯食べに行ったとか。
まあ殆どの原因は食べ物に集束していくんだけど。
それでも大抵次の日にはいつの間にか仲直りしていて。

だけど今回は違っていた。
なんだかこのまま絵里とは仲直りできないんじゃないかって気がしてて、
あたしは物凄く不安に駆られた。

だからといって理由も分からないまま謝るのは癪だ。
本人の口から直接説明してもらってからっていうのが筋というものだ。
だけどこんなにも恐ろしい剣幕でいる絵里を目の前にしたら。
躊躇いつつもあたしは思い切って聞くことにした。

「なぁ絵里っ」
「なに?」

相変わらずつっけんどんな返事だ。
感情のひとかけらすら籠もっちゃいない。
5 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:35

「何で怒っとぅ?」
「自分の胸に聞いてみれば」
「いっつぅ!」

握られていたあたしの腕から絵里の手が離れ、ほっぺたを思いっきり抓られた。

「れいなのバカ!」

「バカってなんね」

あたしは痛みを堪えながら絵里の手を掴んだ。絵里をまっすぐ見つめた。

「何で怒っとぅかちゃんと説明してくんなきゃ分からんと!」

できるだけ声を張り上げた。びくっと絵里が身体を強張らせる。

絵里はそう叫ぶと堰を切ったようにわんわん泣き出した。
あたしは目が点になった。

「そんな...怒んなくったっていいじゃん」

ヒックヒックとしゃくりあげながら絵里はたどたどしく呟いた。
あたしはふーっと思わず溜息を吐いた。
まったく世話の焼ける1コ上の同期だ事。
6 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:36

「別に怒ってなか。言ってみ」

慰めるように絵里の頭をそっと撫でた。その動作を何度も繰り返した。
安心したのか嗚咽が段々と治まっていく。

「大丈夫?」
「...うん」

涙を拭いて、やがて落ち着いた絵里はポケットを何やらゴソゴソと探り、何かを取り出した。

それは携帯だった。

画面のディスプレイにはあたしとぽんちゃんのチュー写真。
こないだダンスレッスンの合間に撮ったものだった。
だけど何で絵里がこれを!?

まあ心当たりが無くもないんだけど。

「さゆが送りつけてきたんだけど」

ったくさゆの奴余計なことをしやがって。覚えてろ..。
7 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:38

「バカって言ったのはこの画像のせいだったと?」
「うん。そーだよ」
「こんなん絵里だって撮ってるし、なんであたしだけ文句言われんとあかんね!」
「だって」

絵里がだんだんと近づいてくる。後じさりすると何か堅いものにぶつかった。
ゴツゴツとした感触からしてどうやら木の幹らしかった。
焦って他の逃げ場を探っていたら、目の前には既に絵里がいて。
それ以上は動けなかった。
遂に追い詰められた。万事休す。

「なんね」

大体そんなに絵里に怒られる筋合いなんかないんだ。
だから。
むかついたから、睨みを利かせてやった。
ところが絵里は怖がる様子もなく満面の笑み。

「れいなはあたしのものだもん」

ほんの一瞬だった。
あたしの唇は絵里に一瞬の隙に掠め取られてしまった。

唇には絵里の感触が確かに残っている。

それはまるで羽根のように柔らかくて、有るようで無いような不思議なものだった。

8 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:39

「な、なんしよっとね!」
「別にこれ位いいじゃない。あたし浮気されたんだよ?」

すると絵里があたしの背中に腕を絡ませてくっついてきた。

「あっちへ行くっちゃ!」
「好きだよれーな」

ああもう何が何だか訳が分からん。
何でこうなんね?
9 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:40

けれど。抱きつかれるのは嫌じゃないんだ。
絵里に決して敵わない自分が意外と嫌いじゃない。

いつも我儘に振り回されぱなしでも。






今度はあたしが絵里の腕を引っ張って歩く。
渋々歩く絵里に声を張り上げて。

「ほら、早ようスタジオ戻らんと!」
「は〜い」
10 名前:ふたりっきり 投稿日:2004/12/30(木) 00:40

おしまい
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/30(木) 00:42

とりあえず今日はここまでです。
お正月までにはいくつか載せようと思ってます。

レス大歓迎なので色々とご意見ご感想待ってます。
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/30(木) 00:44
ラスト隠し
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/30(木) 20:20
嫉妬深いキャメイさん、ナイス。
次作もお待ちしてます。
14 名前:名無飼育さんα 投稿日:2005/01/03(月) 17:15
うひゃーおもしろい。亀井が可愛すぎ。
連作でちょっと読んでみたいと思ってみたり。
15 名前:名無し読者 投稿日:2005/01/03(月) 17:35
田中さんの方言がキャワィすぎ!!
作者さんの田亀もっと読みたいです!!!
16 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/01/03(月) 17:49
某所でも読ませていただいていた者です。
これからも楽しみにしているのでがんがってください。
17 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:42

 歌番組のリハの時、私はちっとも集中できなかった。
原因は妙に違和感が有るこの衣装。
私は風貌からしてやっぱり男装は向いてないと思う。
吉澤さんがこの格好した方が絶対いいのに。

れいなはいいなーヒラヒラのワンピースで…。

この曲の収録の間中、一度もああいう服を着させてもらえないかと思うと
気が滅入ってしまいそうになる。
18 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:43

一度でいいから着てみたいな…。

その時、古典的な表現だけれど頭の中でピコンと電球が光った。
答えは簡単。メンバーの衣装と交換すればいいだけ。
とは言っても本番前に一時的にだけど。

リハの後は小休憩だったので、さっそくれいなの首根っこを引っ掴んだ。
れいなはぐえっと苦しそうに呻いた。

「絵里、なんしよっと!」
「いいから来て!」

半ばずるずると引き摺るようにれいなをトイレに連れて来た。
個室に入りすぐさま鍵をかけた。と同時にれいなの首根っこから手を離した。
ぜえぜえと息を切らしながら私を上目遣いで睨みつけた。
ちょっと恐いんですけど…。
19 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:43

「・・・一体なんね?」

あんまり時間も無かったし、私は単刀直入に用件を述べた。

「脱いで。あたしも脱ぐから」

れいなの顔は何故か耳まで真っ赤に染まっている。

「な、なななんば言いよんね!」
「衣装交換するだけだよ。れいなこそ何かえっちな事考えてない?
 あたしに変なことしようとしたら大声出すからね。」
「だ、誰がそげん事企むか!」

「そ?なら別にいいけど。じゃあ早く脱いで」

とうとう観念したのか、れいなは溜息をひとつ吐くなりこくんと頷いた。

「・・・絵里はあっちば向いとうと」

そっぽを向かせようと強引に肩を掴んできた。

「痛っ!」
「ごめん・・・」

まるで親に叱られた子供のように、小さい体を更に小さくしながられいなが呟いた。
20 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:44

その隙にれいなを身動きできないように抱きしめた。
ジタバタとれいなが腕の中でもがく。

「ひっかかったーれいなってばホント単純なんだから!」
「なっ・・・だましたとー!?」
「別に見たっていーじゃん!れいなも見てていいよ」
「べっ、べべべ別に絵里の着替えなんか見たくなかと」
「とか言って本当は見たいくせにー」

私はいたずら半分にれいなの胸元に手を伸ばした。

もう少しで触れられそうな瞬間、パシンと私の手が払われた。

「・・・何でそんな意地悪すると?」

ポロポロとれいなの頬から涙が伝い落ちた。

私の手はジンジンと叩かれた痛みで疼いている。
ううん、それ以上に胸がズキズキと痛んだ。

泣かせてしまったんだ。

れいなは肩を震わせて泣きじゃくってる。

どうしよう。そんなつもりじゃなかったのに。
ごめん、れいなごめんね。
21 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:45

思わず泣きそうになったけど、ぐっと堪えた。
私まで泣いてどうするんだ。

そして、いつまでも泣き止みそうにない彼女の肩に手を回して
優しく包み込むように抱きしめた。
背中をぽんぽんと叩く。

「れいな、ごめんね。もうこんな我儘言わないから。
お願いだから泣かないで。」

するとれいなが背中に手を回して来た。
うさぎさんのように真っ赤っかになった目であたしを見上げてくる。

「・・・本当にもう言わんと?」
「うん、本当だよ」

そう告げた途端、れいなは今日見た中でもとびきりの笑顔を
私に向けた。
22 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:45

単純で子供ですぐ怒るしすぐ泣くしすぐ笑うし。

でもそんなれいなだからこそ愛おしく思えるんだ。
23 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:46

「れーな、涙の跡すごい事になってる」
「えっ!?」
「しょうがないなーれいなは」

ポケットからハンカチを取り出して、跡をそっと、丹念に拭った。
れいなは恥ずかしそうに私から顔を逸らしている。

「ちゃんとこっち向いてよー」
「・・・分かったと」

れいなは子供だから、今日ぐらいは私がお姉さんになってあげてもいいかな。

「そろそろスタジオ戻らなくちゃね」
「うん」
「メイク直してもらうんだよー」
「そんくらい分かっとう!」

トイレから出てスタジオまで歩く。
れいながいつの間にか私の手を握っていた。
思わず笑みが零れた。
24 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:47

「絵里」
「なーに?」
「さっきの事ちゃんと約束するっちゃ!」

約束って・・・さっき言っただけじゃダメって事?

「指切りげんまんでいい?」

れいなはあっさり首を横に振った。

「そうじゃなか。ちゃんとれなを信用させるような
方法じゃないとダメだっちゃ!」

何だ、私の事信用してないの?
本当に子供なんだから。
うーん。何か形で証明しないと信じないのかな。
形っていってもなー・・・あ、この方法で行こう。
25 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:47

「約束しますよ、お姫様」

私は跪き、れいなの手を取りそっと口づけた。

今日だけはやっぱりお姉さんじゃなくて。
れいなの王子様でいてあげよう。

安心してね。ちゃんと守ってあげるから。

26 名前:きせかえっこ 投稿日:2005/01/03(月) 21:51
おしまい
27 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/03(月) 21:56
>>13名無飼育さん
どうもありがとうごさいます。
確かにうちの亀井さんは田中さんの事になると嫉妬心丸だしですねw
次回も読んでいただければなあと思います。頑張ります!
28 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/03(月) 22:07
>>14
どうもありがとうございます。
亀井さん暴走しまくりなんですけど、それでも可愛いと言って
もらえるなんて嬉しいです!
連作もいずれ挑戦したいと思ってます。


29 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/03(月) 22:10
>>15
どうもありがとうございます!
まだまだ田亀は書き足りないのでここで
沢山書いていきますので、よかったらまた読みに来て下さい。
30 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/03(月) 22:13
>>16
本当ですか!?
どうもありがとうございます。
あの続き物もここで完結させるので
どうかまた読みに来てやって下さい。
31 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/03(月) 23:27
王子様でいてあげる、ですか。この二人でこういう関係のお話って珍しい(というか初めて読んだ)けどすごくはまってるなあ。
ちっちゃくて可愛い田中さんとしっかりお姉さんの亀井さんというのが最高。
32 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:39

 今日は仕事のない日。朝早起きして、ご飯食べて学校に行った。
たまにしか行けないもんだから当然全然授業についていけない。

要するに退屈で億劫だから窓の外をぼんやり眺めていた。
時折ノートの隅に小さく落書きしたり。

家に帰っても何もする事がなくて、部屋に飾ってるぬいぐるみやらポスターやらを暫くぼけーっと眺めたりしてた。
欠伸を手のひらで隠しながら制服のままベッドに寝転がる。

スカートのプリーツがくしゃくしゃになってしまうけどそんな事は一向に構わない。

言いようのない苛立ちが頭の中でぐるぐると渦巻く。じっとしていられなくて手足をジタバタさせる。

あーつまんないつまんないつまんない。

一人でいたって何にもできやしない。

たった一日会ってないだけなのに何でだろう。

ただなんとなくとかじゃなくて。

無性にれいなに会いたい。

そう思い立ち、ベッドの下に有るサブバッグに手を伸ばし
ポケットから携帯を取り出した。
33 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:40

手に取った瞬間、携帯から着信音が流れ出した。
ディスプレイを見るとれいなの文字。

ありえない。まさかれいなの方からかけてくるなんて。
今までそんな事一度もなかったのに。

驚きつつも私はめちゃくちゃ嬉しかった。

「れーなー!」
『今なにしとったと?』
「んー、部屋でゴロゴロしてた」
『何ねーそれ、せっかくの休みなのにそんな過ごし方してたら勿体無かとよ』

だけど今れいなに電話するとこだったんだよ、と私は心の中で呟いた。

「じゃあれーなは今なにしてたの?」
『いま学校の帰り。駅のホームで電車待っとるんやけど・・・暇やったけん、絵里に電話した』
「そっか。でも嬉しいよ。れーな滅多にかけてこないから」
『……』
34 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:40

れいなはそれっきり、しばらく話さなかった。
私もしばらく話さなかった。れいなから話すのを待った。
だけれど待てども待てどもれいなは話さない。
やがて痺れを切らして沈黙を破ったのは私の方だった。

「れーな?」
『あの、さ・・・今から家帰って、そのあと絵里ん家遊び行ってもよかと?』
「えーっ!?」

驚きのあまり、大声をあげてしまった。
「絵里、やかましか!!」と受話器越しにれいなから講義の声が漏れる。
電話といい家に来る事といい、今日はれいなに驚かされっぱなしだ。

以前かられいなは意外と受身な事が多かった。
6期で遊びに行く時もいつも決まってさゆみか私のどちらかがれいなに声をかけていた。
誘われて自分からは相手を誘ったりしない、できない子だと思ってたから。
だから、尚更嬉しかった。私を誘ってくれた事が。
35 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:41

「うん、おいでよ。てかまっすぐ家に来なさい。」
『え?でも制服やし』
「泊まればいいよ!パジャマ貸すし。下着は貸せないけどさ」
『分かった。下着はさすがに借りれんけん、買ってく。』
「うん。そうしてくれると助かる」
『あ〜っ電車来た!すぐ行くから待っとると!』
「はーい、じゃあ後でねー」

電話を切った後、私はすくっと立ち上がると
すぐに部屋の掃除、片付けに取りかかった。

その足取りはコンポから流れ出すポップミュージックに乗せて、軽やかなステップを踏んでいた。

おまけに鼻歌も飛び出した。

これから始まる楽しい時間に何をして過ごそうかと思惑を巡らせていた。
36 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:42

それから一時間半ほど経った頃、私の家のインターホンが鳴り響いた。
床の拭き掃除をしていた私はパッと顔を上げた。
来た。

「はーい!今行くー」

雑巾をバケツに放り、部屋を飛び出しドタドタと音を立てながら階段を駆け降りる。
玄関マットの上を飛び跳ねながら、勢いよくガチャリとドアを開けた。

「れーなー!」
「ちよっ…絵里!」

勢い余って飛びつくようにれいなにぶつかった。
そんな私をれいなは慌てて両腕で支える。

「もうっ!そんな走ったら怪我するっちゃが。分かっとぅと?」

溜息を漏らしつつれいなは私をキッと睨みつけ、きつく叱りつけるように言い放った。

「ごめーん。だってれーなが来たから嬉しくって」

私はいつものように屈託のない笑顔で謝った。
次の瞬間、困り果てるれいなが目に浮かぶ。

「なんかはぐらかされとる気が…」
「気のせい、気のせいだよれーな」

正にはぐらかしてます。と言わんばかりにれいなの頭を撫でる。
納得がいかないのか、れいなは顎に手を当てて唸り声をあげている。
37 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:42

「さてと、買い出しに行こう!」

私はれいなの鞄をひったくるように奪うと玄関に置き、ドアを閉めて
れいなの手を取り歩く。

「どこ行くと?」
「まーそれは着いてきてからのお楽しみ」

行き着く先は玄関から歩いて13歩位のガレージ。
シャッターは半開きになっていて中には車が2台。自家用車のワゴンと社用車である軽トラック。
私は屈んでシャッターを潜る。れいなも潜って私の後をついて来る。
38 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:45

「よいしょっと」

車の脇に止めてある自転車を引っ張り出す。
フツーの、何の変哲も無いママチャリだ。

「れーな、後ろ乗って」

サドルに跨って、れいなに促すよう座布団をポンポンと叩く。
日頃兄が妹を後ろに乗せる為、座布団がつけっ放しになっているのだ。

「ってか絵里自転車乗れると?」
「バカにしないで。あたしこれでも二人乗り上手いんだから」
「…本当に心配いらんとね?」

それでも不安なのかれいなが怪訝そうに聞いてくる。

「もう!大丈夫だって言ってるじゃない!」

強引にれいなを抱っこする。ジタバタと抵抗される。
やっぱり一筋縄じゃいかないか。
だけど私も負けまいとしてれいなを一層高く持ち上げて、担いだ。

「絵里っ!何すると」
「いいから黙って乗りなさーい!」

座布団の上にストンとれいなを乗せる。
とうとう観念したのかれいなはぐったりと肩を落としていた。
私もサドルに跨って、ようやく出発できる準備が整った。
39 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:45

幸い今日は快晴で抜群の天気に見舞われている。
絶好のサイクリング日和という訳だ。
風が吹いたのか、ざわざわと木の葉を揺らす音が聞こえてくる。

「れいな、しっかり捕まってて」
「ん」

腰に手が回されたのを確認して、私は勢いよくペダルを漕ぎ出した。
40 名前:ルルル 投稿日:2005/01/04(火) 04:45
次回につづく
41 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/04(火) 04:53
>>31さん
どうもありがとうございます!
お姉さんな亀井さんといってもうちの亀井さんはどっか
方向性が間違ってたり、抜けてますけどねw

そんな亀井さんだから田中さんは振り回されっぱなしな訳で。

またぜひお暇な時にでも読みに来て頂ければ幸いです。
42 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/04(火) 04:54
ラスト隠し
43 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/07(金) 22:59
うわえりりんがれいなを抱っこですか
映像くっきり浮かんで微笑ましい
二人ともというか特にえりりん元気者だなあ
44 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/13(木) 19:34
あ、俺、某所で読んでたかもw
作者さんのれなえり好きなんでがんばってください
45 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/02(水) 18:53
れなえりさいこーです(*´д`;)
最近主流になりつつあって嬉しい限りですわ。
46 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/04(金) 17:25
続き気になるYo!!
47 名前:ルルル 投稿日:2005/02/04(金) 21:51

そこまでは良かった。ガレージに有る僅かな段差で絵里がハンドルをぐらつかせて転ぶまでは。

あたしは咄嗟に捕まっていた絵里の腰をぐっと持ち上げ、抱えるようにして自転車から離れる事で衝撃を避けることが出来た。
ガッシャーンと派手な音を立てて自転車が地面に倒れる。
ガレージ内に溜まっていた土埃が舞う。灰に入ってしまったのか、絵里が咳をした。

「大丈夫と?」

苦しそうに咳を繰り返しているその背中をそっと擦った。
目を瞑って絵里が顔を顰めた。

「いったーい」

どこか怪我したのかと思って腕や足を丹念に見る。が、どこにもそんな様子はない。
すると絵里がにやにやと笑い出した。
48 名前:ルルル 投稿日:2005/02/04(金) 21:52

「どうしたと?」
「いやー自転車痛そうだなと思って。」
「バカ!二人乗りできないなら最初から言えばよかやろ」

それっきり絵里は黙ってしまった。あたしもかけていい言葉が見つからない。
それに口を開くとまた文句を言ってしまいそうだし。
しばしの沈黙の後、涙目になりながらションボリと肩を落とした絵里がポツリと呟いた。

「…だってれいなと乗りたかったんだもん」
「だからって無理して乗ったら怪我するかも知れんやろ!」

あー全く。何やってんだろう。遊びに来て早々に痴話喧嘩。
あたしだって本当は怒りたくなんてない。
けれどこのままあっさり許してしまうのは今後の本人の為にも良くないだろう。
だからここは厳しく叱っておく必要があるのだ。
49 名前:ルルル 投稿日:2005/02/04(金) 21:53

「とにかくあたしは絵里の後ろには乗らん。」

それでも怯まずに絵里は言い返してきた。

「れいなにはあたしの気持ちなんて分かんないんだよっ」
「あー、そうやね。こんな馬鹿な事しでかす絵里の気持ちなんて、別に分かりたくもないけん」
「れいなの意地悪。小悪魔!」
「うっさい!」

何だか妙なテンションで復活を果たした絵里を尻目に、倒された可哀相な自転車を起こした。
サドルやハンドルに付いた土埃を掌で叩くように掃う。

「ほら、さっさと乗ると」
「へ?」
「絵里の後ろには乗れんけど、だったらあたしが絵里を乗せれば良いっちゃろ?」


あっけらかんとして口をあんぐり開いたまま、絵里はあたしを見つめていた。
アホみたいな顔のまま、まるであっちの世界に行ってしまったみたいに。



さすがに心配になってきた。名前を呼んでみようか。

「絵里?」
「………れいな大好き」
50 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/04(金) 22:12
大分間が空いてしまいましたが更新しました。
しかも少量ですみません!

>>43さん
どうもありがとうございます。
等身大の二人を描こうと思って試みてはいるんですけど
どうも子供っぽくなってしまいがちですw
特に亀井さん。

>>44さん
本当ですか!?ありがとうございます。
そういう言葉を貰えるとすごい励みになります。
これからも頑張ります!

>>45さん
レスありがとうございます。正にさいこーですね!
暇さえ有ればれなえり小説を読みまくっていますw
最近結構増えてきていて飼育に来る楽しみが増えました。

>>46さん
どうもありがとうございます。
少ないですが続きを書きました。
どうぞ読んでやって下さいませ。

51 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/04(金) 22:16
また間が空くかもしれませんが、なるべく更新早めにする事を
心がけていきたいと思っているのでどうか宜しくです。
52 名前:ルルル 投稿日:2005/02/04(金) 22:18

更新しました。
53 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/04(金) 23:36
グッド!次回が楽しみだなぁ・・・・
54 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/08(火) 18:54
一気に読まさせて頂きました。 田亀いいですね^^ 次回更新待ってます。
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/09(水) 21:34
>>53名無飼育さん

どうもありがとうございます。作者です。
今ちょっとゴタゴタしていて更新がままならない状態です。
もう少ししたら落ち着くと思うので、もしよかったらまた読みに
来てくださいね。

>>54通りすがりの者さん

ありがとうございます。かなり間が空いてしまいましたが
早く更新できるよう努めたいと思っています。
56 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/16(水) 21:46
まだ待つ
57 名前:ルルル 投稿日:2005/03/20(日) 03:00

さてと。バカは放っといてさっさと話を進めるとしようか。

ペダルを思いっきり漕ぎ回すと車輪がシャーッと勢い良く音を立てて回り始めた。
後ろでやたらと嬌声を漏らしている絵里がつんつんとあたしの頬を指で突いた。
前を見つつもあたしはチラッとそちらに振り返る。

「何ね?」
「なんか楽しいね!普段こんな時間はスタジオに篭もりっきりでさ。
外を自由に出歩いたりなんか出来ないじゃない?」

瞬間、心地良い風が吹いて絵里の艶の有る綺麗な黒髪がふわっと棚引いた。
シャンプーの匂いが顔中に広がっては消えていく。苺の甘い匂いがした。

「…だから今こうしてるんじゃなかね」
「うん」
「絵里と一緒に普通に遊びたかったけん」

今日ここに来た一番の理由は…喉まで出かかった言葉を無理やり飲み込んでしまった。
本当の事を言うのはあんまり好きじゃない。恥ずかしいからだ。大体柄じゃないし。
だからといって態度には素直に出てしまうようで。

絵里の笑い声が後ろからくすくすと聞こえてきた。

「れーな、顔赤いよ」

また頬をつんつんと突かれた。
58 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 03:05
本当にごくごく少量ですが更新しました。

>>56さん

ありがとうございます。
待っててくださっていたとは本当に嬉しいです。
これからも頑張ります。
59 名前:ルルル 投稿日:2005/03/21(月) 17:10

「絵里のアホ。バカ。うるさか!」

その手を振り払おうとしたら、抱きすくめられた。不意打ちだ。苺の匂いに包まれる。
耳元で囁かれる。絵里の息が当たって妙にくすぐったい。
ハンドルが上手く握れない。

「そんな風にごまかしたって無駄だよ。全部お見通しなんだから」
「はぁ!?」
「れーな分かりやすいもん」

なんなんだこの人は。
どうしてあたしはいつもこんなにこの人に翻弄されるんだろう。
そういう星の元に生まれてしまったんだろうか?
もしもあたしが絵里よりも一コ年上だったら違っていたんだろうか?
馬鹿馬鹿しい。今更有り得ない話だ。

「そりゃあよござんしたー」
「本当なんだからね」
「はいはい分かったから大人しく乗っててねー絵里ちゃん」
「もう…」

何やら文句を言いたそうな絵里の言葉を遮る。
この人は明らかに確信犯だ。
どこまであたしを掌の上で転がしたら気が済むんだ。
やたらと熱を帯びた両頬を冷ますかのように、あたしは夢中で自転車を漕いだ。
60 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/31(木) 00:14
更新お疲れさまです。 田中ちゃん言われ放題(?ですね。 今後の二人が楽しみです。次回更新待ってます。
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/10(日) 20:48
>>60通りすがりの者さん
レス本当にどうもありがとうございます。
田中ちゃんは今のとこは言われたい放題ですが、
今後は…まあ、次回をお待ち下さい(w
もう少し書くのに時間がかかってしまうかも知れません。
更新を早く出来るように、がんがります。
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/10(日) 21:00
番組の途中ですが、桜が綺麗に咲いているので桜に関するお話を
載せます。少しの間ですが、どうかご鑑賞下さい。
63 名前:春爛漫 投稿日:2005/04/10(日) 21:01

線路伝いに有る細い道を歩く私達。その柵の向こうを電車がガタンゴトンと駆け抜けた。

あたしはそれをなぞるように目で追い駆ける。
絵里がこちらを向かせようとTシャツの裾を何度も引っ張る。

「れいなー!早くしないと良い場所取られちゃうよ」
「んな事分かってるっちゃ、そんなに言われんでも今行くけん」

頬を向日葵の種を口一杯に頬張ったハムスターみたいに膨らます。
その癖、子供っぽいから止めた方が良いと思うんだけど。
そして、あたしを睨みつける顔。全然恐くも何ともない。

「…やけん、引っ張るのやめんかい!服が伸びるやろ」

こっちも負けまいとして怒声を浴びせる。
それでも止めない絵里の頭に軽くチョップをお見舞いした。
64 名前:春爛漫 投稿日:2005/04/10(日) 21:13

今度のオフに桜を見に行こう、そう言い出したのは絵里だった。
多分さゆが吉澤さんと石川さんと行ったのが余程羨ましかったんだろう。
楽屋の隅っこで雑誌を読んでいたあたしの隣に歩み寄ってきた。

『れーなと行きたいなー』

嬉しそうに笑顔を浮かべて話し出した。

『いい場所なんだよー。すごい穴場なんだけど』
『行ってもよかよ』
『本当に?』
『絵里、すごい行きたそうやけん。れいなも付き合ってもよかよ』
『やったー!約束だからね?』

指きりげんまんをしようとしているのか、あたしの小指に絵里が指を絡ませる。
どうしてこんな事真顔で出来るんだこいつは。
顔から火を噴く程恥ずかしかったので、あたしはなるべく丁重に優しくその指を外した。

『雨でも台風になっても槍が降っても絶対行くけん』と、その行為に代わる言葉を用意して。
65 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/11(月) 01:04
更新お疲れさまです。 田中ちゃんは仁義を大切にしてそうですね。 次回更新待ってます。
66 名前:春爛漫 投稿日:2005/05/05(木) 15:38

まあそれでもかなり恥ずかしい事を言ってるなあと思う。
最近は絵里に感化されて真っ当な感覚が麻痺してしまっているのか、今みたいな事をうっかり言ってしまうのだ。
こんなに影響されるなんて、今まで無かった筈なのに。

「ほら、着いたよ」

絵里はの指した方に視線を向けると、こじんまりとした本当に小さな公園が有った。
人っ子一人いない。中には砂場とブランコのみ。
何と寂しい。と思いきや、上を見上げると。

そこには見事なまでに咲いた桜が、枝がその重みに耐え切れず揺れていた。
桜の花びらが風が吹くと共に、ぶわあっとそこかしこに舞い散る。

その花びらをそっと掴み取り、絵里に掌を広げて見せた。

「綺麗っちゃね」
「ね、言った通りでしょ」

絵里は嬉しそうに頷きながら、トートバッグから出したレジャーシートを広げる。

「そっちの端っこ持って」
「ん」

桜の木の下に場所を決め、重りの代わりに石を置いた。
靴を脱いで絵里と座る。
しばらくボーっと二人で桜を見上げていた。
67 名前:春爛漫 投稿日:2005/05/05(木) 15:39

絵里が手を繋いできた。あたしもぎゅっと握り返す。
どうしよう、何か言おうか。でも何て言ったらいいのか分からない。
訳が分からなくなる。消化しきれない感情が、そこには有った。

「れいなとここに来れて良かったー。誰にも内緒だからね」
「他に誰にも言っとらんと?」
「うん、教えてないよ」

あたしはまた何も言えなかった。
絵里がその後に紡ぐ言葉が、分かってしまったから。
自惚れなのは分かってる。

けれど、それが本当の事なのだから仕方ない。

「れいなと二人で来たかったから」

その言葉に、あたしはただ頷く事しか出来なかった。
"消化しきれない感情"が胸の辺りをざわざわと蠢いていた。



end.
68 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/05(木) 15:44
>>65通りすがりの者さん

いつもカキコどうもありがとうございます。
仁義を大切にする田中さんですか。
確かに曲がった事とか嘘とかは許せない子かも知れませんw

少なめですがようやく更新しました。
次回からは『ルルル』のお話を進めて行きますので、
またお暇な時にでもどうか読んでやって下さい。

69 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/05(木) 15:45
更新あげ
70 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/05(木) 15:45
更新あげ
71 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/05/12(木) 00:08
更新お疲れさまです。 亀ちゃん健気ですねぇ。 なんだかんだで、田中ちゃんも気付く一歩手前って感じでした。 次回更新待ってます。
72 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/05(金) 21:13
この年齢のこの二人ならではなんだろうなあと思いながら読んだ
せつなくてでもほのぼのした
待ってます
73 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/07(日) 17:40
亀井さんに押され気味のれーながツボりましたw更新楽しみに待ってます↑
74 名前:ルルル 投稿日:2005/08/13(土) 01:35

風に当たり、ようやく頬の熱が引いていく。
これでホッと一安心だ。

「ねぇ、れいなー」
「なん?」
「あのね、さっきの道曲がって欲しかったんだけど」
「はあ!?」

坂道の手前でキイッと急ブレーキをかける。
そんな事はもっと早く言え、と言わんばかりにきつく睨みつけた。
絵里は目を逸らしつつも、眉毛を八の字に曲げて胸の前でモジモジと指を弄っている。

「ごめーん、だって…」
「だってもヘチマもなか!」

ぶーぶー文句を言いつつも、あたしはUターンをして絵里の指示通りの道を曲がる。

「この先はどう行くと?」
「このまま真っ直ぐ行くと交差点に突き当たるから、そこを右折するとスーパーだよ」
「分かった」

ぐっとハンドルを握りしめアスファルトを蹴り、再びペダルを漕ぎ出した。

「れいなは何が食べたい?」
「んー、とりあえず肉」
「じゃあラーメンにしよっか」
「…絵里、れなに喧嘩売るとは随分ええ度胸しとるっちゃね」
「ひっ、冗談だってば!じゃあカレーにしよう」
「簡単やし、絵里の料理の腕前なら妥当な料理やね」
「そんな憎まれ口ばっか言ってんなら作ってあげないよー?」

またまた、作る気満々の癖に。だけどそこは敢えて口にはしなかった。
75 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/13(土) 01:41
>>71さん

遅ればせながら更新しました。
亀ちゃんは健気っていうよりしつこ(ry

>>72さん
長い間更新もしてなかったのに未だに読んでくださっている方がいたとは!
嬉しいですし、大変恐縮です。本当にお待たせしました。

>>73さん
何だかんだで亀ちゃんに翻弄されるれいな…ばっかり書いている作者ですが、
今作が終わったらまた違う田亀を書いていきたいと思っています。
どうか見守ってやってください。
76 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/13(土) 01:44
本当に短いですが更新しました。
長い間放って置いて申し訳有りません。
仕事が忙しいのとスランプが重なってしまい、なかなか執筆できずにいました。

だけど、書き込みをしてくださった方のおかげでこうしてまた書き始めることができました。
更新はできる限りマメにしていきたいと思いますので、
どうかよろしくお願いします。
77 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/13(土) 01:44
更新しました。
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/15(月) 00:00
やった!更新されてる☆まっててよかったぁ マターリ作者さんのペーすきなのでスで頑がって
ください☆この小説面白くて好きなので待つのは苦じゃないです!!
79 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/08/16(火) 19:09
更新お疲れさまです。 待ちわびておりました。 これからもマッタリと待たさせて頂きます。 次回更新待ってます。
80 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/19(土) 12:16
いつか続きが読みたいです
81 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:27
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
82 名前:ルルル 投稿日:2005/12/30(金) 00:22
そんなこんなで色々有りましたが、何とかスーパーに辿り着いて。
絵里に降りてもらい、自転車置き場にチャリを止めに行った。
入り口付近で絵里はカートを用意してキョロキョロしながらあたしを待っていた。
あたしの姿を見つけるなり、嬉しそうに激しく手招きをした。

「れーなこっちこっち!早く行こ」
「………言われなくても今行くとこだっちゃ」

と絵里に気付かれないよう、ボソリとぼやいた。

店内に入る。野菜売り場の前で立ち止まった絵里は玉葱や人参、じゃが芋をどんどんカゴに放り込んでいく。その量は二人分を優に超えていた。娘。全員に行渡る位は作れるんじゃないだろうか。

「そんなに買い込んで一体何作ると!?」
「材料見れば分かるでしょ?カレーに決まってるじゃん」
「や、それ位は分かるっちゃけど…でも何でこんなたくさん」
83 名前:ルルル 投稿日:2005/12/30(金) 00:25
絵里はあたしの顔をじーっと見つめると、ニッコリ笑ってこう言い放った。

「二日目のカレーの方が美味しいでしょ?だかられいなに食べてもらいたくて」
「多すぎじゃなかと?」
「だいじょーぶ、家族にも食べさせるから」

それを聞いてあたしはホッと胸を撫で下ろした。
まさかこれ全部あたしが食させられべるんじゃ…などという恐ろしい考えを抱いていたからだ。
そんなあたしの様子にはまるで気付いていないのか、絵里はやたら笑顔であたしを見てくる。

「肉は何にしよっか。牛さん?豚さん?それとも鳥さん?」
「…そんなん牛さんに決まってるけん!」
「分かったー!じゃあ牛さんね」

最高級国産牛肉、等というシールの付いたパックを2、3個手に取った。
見てみると値段が他の肉よりも明らかにお高い。
そんな上質のお肉買う位だったらいっそ焼肉にして欲しいのに。

「こんな高い肉じゃなくてもよかよ、そっちのタイムサービスので充分やし」
「でもー…」
「カレーはルーが一番大事だっちゃ!絵里が美味いカレーを作ってくれればいいけん」
「れーな…そうだね。絵里がんばる!もち俄然強めで」

絵里は両腕をブンブン振り回し、カートと共にレジへと駆けて行った。
独り取り残されたあたしはまた、ボソリと呟く。

「いやいや、別に普通でええよ…」
84 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/30(金) 00:36
>>78名無飼育さま
どうもありがとうございます!
もう待ってて下さった、という事で胸がいっぱいです。
本当に少ない量ですが更新しました。
完結を目指して頑張っていきたいと思っています。
85 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/30(金) 00:38
>>79通りすがりの者さま
お待たせしてしまって本当にごめんなさい。
ようやく更新する事が出来ました。
良かったら読んでみて下さいませ。
86 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/30(金) 00:40
>>80名無飼育さま
大変お待たせしました!
そして待っていてくれて本当にありがとうございます。
87 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/30(金) 00:41
>>81名無飼育さま
はい。後で見させて頂きます!
ご丁寧にどうもありがとうございました。
88 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/31(土) 00:24
やった!更新されてるw んもぅ新婚さんみた〜いwごちです♪
89 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/12/31(土) 00:37
更新お疲れさまです。
待ち侘びてましたよぉ。
いやぁ、かなり良いものが出来そうですね。
次回更新待ってます。
90 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/05(木) 03:51
更新お疲れ様です。素直に嬉しいです。
続きを楽しみに待っています。

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