星屑の唄

1 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/09(日) 19:02
星屑の短編集。
2 名前: 投稿日:2005/01/09(日) 19:02
これから登場するお話は全てフィクションです
実在する人物・団体などとは一切関係ありません
3 名前: 投稿日:2005/01/09(日) 19:03

『楽屋で眠る女』
藤本メイン(なのに、いしやぐ)

4 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:04


『誰かに迷惑をかけなければ、
 別に楽屋でどう過ごそうと勝手でしょ!』
            藤本美貴


5 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:04

良い言葉だよね。
我ながら名言ってやつ。
まさに才能溢れた美貴だからこそ作れた言葉。
これだけ才能があれば詩人にでもなれるんじゃないの?
絵描きにはザセツしたけど詩人はイケルね。
まぁ、なんにしてもジムショが許さないだろーけど。

美貴はね。
こういう格言を残してるからこそ、こうやって楽屋で寝ているわけですよ。
まこっちゃんみたいに闇雲に寝てるわけじゃないっつーの。

にしても今日は静かだなぁ・・・・。
楽屋に誰もいないなんてキセキ的。
ソロだった頃を思いだ・・・・っと、『ソロ』という言葉は禁句だった。

ぽかぽか陽気で周りも静か。
こーゆー日はゆっくり寝れるんだよね・・・・

寝れる・・・・寝れるはずなんだけど、
実をいうとあんまし、眠くないんだよね。

昨日、12時間ぶっとおしで寝たからか?
だって一昨日はよっちゃんが寝かしてくれなかったし、
さらにその前の日は亜弥ちゃんが寝かしてくれなかったから・・・

6 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:04

・・・・・へっ?
何をしてたから寝れなかったのかって?
別に変なコトをしてたんじゃないよ。
愛のある行為ってやつ。

うん・・・?
なんで2人もいるんだって?
別に二股かけてるわけ・・・・・・かけてるか。
ほら、美貴愛されたいタイプだから。
2人の愛を受け止めてるの。

まぁ、それはそれで置いといて♪
とにかくめっちゃ、疲れてたからめっちゃ寝てたんだよね。
目を半開きにして死んだように寝てたね。

その反動かなぁ。
まぁ、横になっているうちに眠くなるでしょ。


ガチャッ♪


うわっ・・・・静寂を破るべくドアが開いたよ。このヤロ!誰だ?

「おはようございま・・・ありゃ、ミキティ寝てるよ」

この声は・・・・・ボンボンちゃん・・・じゃなかった矢口さんの声。

「疲れてるのかな。どうする。起こす?」
「やめた方がいいと思いますよ」

もう一人いたのか。
この甲高いアニメ声。梨華ちゃんだな。

「なんで?ミキティ、起して3人でなんかしようよ」
「そんなことしたらキレますよぉ」
「まさか・・・。そんなことないでしょ」
「こないだ、石川が起こしたら物凄い形相で睨んできたんです。あからさまに機嫌悪そうだったし・・・」
「それ、梨華ちゃんだからキレたんじゃないの?」
「・・・・・・どういう意味ですか?」

・・・まぁ、そのまんまの意味だね。
よっちゃんが起してくれれば心地よく起きれたのにあのアニメ声に起されたからね。
誰だって、機嫌悪くなるよ。

7 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:05

「そっか。んじゃ、ミキティの反対側いこっか」
「ハイ♪」
「んじゃ、梨華ちゃんのおっぱいでも触りながら・・・ね♪」
「やっ・・ちょっと、真里ちゃん!」
「ん〜?また大きくなったかぁ?」
「もう、えっち!」

矢口さんと梨華ちゃん。
実は前々から美貴はこの2人『怪しい』と思ってたんだよね。
やたら矢口さんから梨華ちゃんへのボディタッチが多いし・・・
触られてる梨華ちゃんも満更じゃなさそうだし・・・
なぜか収録でも必ず隣同士にいるし・・・
怪しい。怪しすぎる。

それに普段、梨華ちゃんは矢口さんのことを
『矢口さん』か『まりっぺ』って呼んでるのに
2人っきりのときだけ
『真里ちゃん』って呼ぶんだよね。
たまに気をぬいて収録中に『真里ちゃん』って
呼ぶこともあるけど、それは滅多にない。
やっぱ、怪しい。怪しすぎる。

もしかしたら・・・・・・2人は『そーゆー関係』なんだろうか?

べ、別に『そーゆー関係』であることを願っているわけじゃないよ。
ただね。
なんかウケルじゃん、あの2人がそうだとしたら。

やっぱ
『そーゆー関係』でそーゆーこと『する』ときは・・・・・・
矢口さんが『上』だよね・・・。
梨華ちゃんが『上』なはずないよね・・・。

もしかして、
梨華ちゃんの胸が大きくなったのは
『矢口さんが揉みまくったせい!?』
・・・・・・だとしたら

美貴も矢口さんに揉みまくってもらおっと♪
よっちゃん、亜弥ちゃんごめんね。
美貴の悪事を許してね。

8 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:05

それに・・・
美貴が寝てると勘違いしている今。
2人は大胆な行動にでるかもしれない。

(「いいだろう、梨華ちゃん」
 「いいよ・・・真里ちゃん」
 重なり合う2人。
 お互いの唇が相手を求め合い、そして・・・)

ヤバイ・・・。
今日の美貴変だ・・・。

やっぱ、矢口さん、上手なのかなぁ?
梨華ちゃんも求めちゃったりするのかしら?

あぁ・・・もう!今日の美貴、おかしすぎる!!
それもこれも矢口さんと梨華ちゃんのせいだからね!


「・・・さてと」
「まだ時間ありますねぇ」
「ちょっと今日、早く来すぎたかな?」
「ミキティが起きてたらトランプでも出来るんですけどね・・・」
「・・・・・・」
「他のメンバーまだですかねぇ?」
「・・・・・・ねぇ、梨華ちゃん」
「はい、なんですかぁ?」


「あのさぁ・・・・その・・・・」
「・・・・ ?」
「おいら、ヤりたいんだけど」

!!??
キ、キタ!!
や、矢口さん、今なんて言った!?

9 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:06

「真里ちゃん・・・・?」
「ねぇ・・・ヤらせて」

ヤりたい・・・・
ヤらせて・・・・
って、まさしく『アレ』のことだよね!!
さっき美貴が妄想してたコトだよね!!

やっぱ、美貴の推理(妄想)は正しかった!!
2人の会話を盗み聞きしてて良かった!!
まったく昼間だというのに!!
さらに楽屋だというのに!!
矢口さんもダ・イ・タ・ンなのね♪

「ねぇ、梨華ちゃん」
「ダ、ダメです」
「なんで?」
「ダメです!」
「どうして?」
「昨日、ヤッたばっかじゃないですか」

へぇ・・・昨日も2人はヤッたんだ。
やっぱり2人は『そーゆー関係』だったてことだよね。
美貴、天才じゃない?

「いいじゃんか、毎日ヤッたって。おいら、我慢できないんだもん」
「ダメです。身体に毒です」
「ねぇ・・・」
「甘い声出したってダメです」
「梨華ちゃぁん♪」
「ダメ・・・・って、真里ちゃん!どこ触ってるんですか!」
「どこって・・・・おっぱい」
「やめてください!やっ・・ん・・」
「んふっ。そう言いながら感じてるんでしょ?」

来てます、来てます!
こっちに来てます!
このままだとこの2人、ホントにおっぱじめるぞ。

まぁ・・・・・ソレを期待してますけど。

10 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:06

「ねぇ・・・・」
「ダ、ダメです!」
「・・・ふぅ〜ん。そういうこと言うんだ。おいらにむかってそういうこと言うんだ」
「だって・・・」
「おいら、知ってんだぞ。梨華ちゃんが夜遅くまで一人でヤってること」
「!?」

へぇ〜・・・
梨華ちゃんも独りで『する』んだぁ・・・・
もうホント、すごいこと聴いちゃったな。

「しかも梨華ちゃん、結構おっきな声出すよね」
「そ、そんなことないよ!」
「出してたよ。隣の部屋に聞こえるくらいおっきな声で♪」
「!」

どうしよう。どうしよう。
聴きたいには聴きたいけど、
やっぱり、いざとなるとサスガに迷うな・・・。
犯罪的なスリルだよ。
美貴のしてる行為、訴えられたりしない?

だって、すぐ側で矢口さんと梨華ちゃんが
あぁん♪
って、チョメチョメしちゃうんでしょ?
聴きたいよ。
2人の関係を。

だ、だから
何度も言ってるけど別に美貴は決してそーゆー趣味はないよ!
そーゆー趣味はないけど、楽屋でヤる方が悪いの!

11 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:06

「じゃあ、いいんだね・・・」

良くないですよ。
矢口さん、全然良くないです。

「ちょっとだけですよ・・・。真里ちゃん、止まんなくなくるから・・・」

いいのかよ!
許しちゃう梨華ちゃんも梨華ちゃんだぞ!

「へへっ・・。そいつはどうかな」
「1回だけですからね」

そうそう、1回ね。
少なめでお願いね。
後処理とか大変だから。

「んっ?なに言ってるのさ。いっぱいヤるよ」
「ま、真里ちゃん・・・」
「梨華ちゃんの記録を塗り替えちゃうね」
「や、やめてぇ・・・」

や、やっぱ、止めるべきだ!
記録を塗り替えるってコトは1回や2回じゃないよね。
もの凄くいっぱいしちゃうってコトでしょ。
そりゃ、聴きたい気持ちもあるけど・・・・凄くあるけど
風紀を乱しちゃダメ!
ヤるんなら個室でヤッてくれないと。


「ちょ、ちょっと、待ったぁ〜!!」


美貴はその場に勢いよく立ちあがった。

12 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:07

「「へ?」」

突然立ちあがり、大声を出す美貴に
ポカンとする矢口さんと梨華ちゃん。
大丈夫。2人ともまだ服を来てる・・・。

「2人とも、良くないと思います!まだ真昼間だし、しかも楽屋でなんかありえません!そりゃ、矢口さんの我慢できない気持ちもわかりますけど・・・梨華ちゃんも前戯だけで止められて辛いのはわかるけど・・・楽屋でえっちするなんてどうかしてると思います。だいたい、年下のメンバーもいるんだし、スタッフさんが入ってきたらどうするんですか?そーゆーえっちなことは2人だけの空間ですべきです!」

言ったぞ・・・・。
言いきった・・・・。
2人の関係が美貴の推理(妄想)どうりだっただけで
美貴は満足だよ・・・。


が、2人の反応は意外のものだった。

「はっ?なに言ってんのさ、ミキティ?」
「やっぱ、寝起きだから機嫌悪いんじゃないですかぁ?」
「うん。梨華ちゃんの言うとおりだったね」
「でしょぉ♪」

とぼけたことを言い出す2人。
とぼけたって無駄ですよ。
美貴は全部聴いちゃってたんですから。

13 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:07

「まったく、2人とも照れちゃって♪」
「は?」
「隠さなくたっていいですよ。これから、えっちしようとしたんですよね?」
「えっち?」
「わかってます。美貴、わかってますから」

にんまりと笑ってみたが、相変わらず2人は放心状態。

「? おいら、『えっちしたい』なんて言った?梨華ちゃん?」
「言ってないですよ」
「言ってないよねぇ・・・」

まったく・・・
往生際が悪いですねぇ・・・
止めを刺しちゃいますか♪

「ほら。さっき矢口さんが梨華ちゃんに『ヤりたい』って言ってたじゃないですか?」

美貴の言葉に一瞬凍りつく矢口さんと梨華ちゃん。
が、次の瞬間。

「キャハハハッ・・・『ヤりたい』ね!キャハハハッ・・・」
「もう・・・美貴ちゃんったらぁ・・・」

はい?
笑い出す2人に困惑。

「美貴、別に面白いこと言ってないんですけど・・・」
「キャハハハッ・・・言ってるよ、プハッ・・・『ヤりたい』だって・・・」
「美貴ちゃん、ずっと盗み聞きしてたんでしょ?もう・・・」

14 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:07

矢口さんの笑いは5分ほど続き・・・

「はぁ〜・・・。おいら、笑いすぎで死ぬかと思ったよ。あ〜、お腹痛い」

美貴には、
未だに2人が笑い出した理由がわからない。
別に面白いことなんて一言も言ってないし。

「ミキティの勘違いには参ったね、まったく」
「だ、だって、えっちしようとしてたんじゃないですか?」
「違うよ。これをやろうとしたんだよ」

矢口さんは梨華ちゃんのバックを開けて中からなにかを取り出した。
いかにも怪しい黒くて四角いもの。
それはもしや『えっちに使う大人の玩具』

・・・じゃなかった。

「それは・・・」
「そ、プレイステーションポーダブル。これをやらせてって言ってたんだよ」

してやったり顔の矢口さん。
が、美貴は納得がいかない。

「じゃ、じゃあ、なんで梨華ちゃんのおっぱい触ってたんですか?」
「それは今に始まったことでしょ。矢口さん、昔からアタシのおっぱい触ってじゃない」
「梨華ちゃんのおっぱい触ってると気持ち良いんだよね〜」
「こっちはいい迷惑です!」
「でも、梨華ちゃんもすぐ感じちゃうくせに」
「そ、それは・・・恥かしいからそんなこと言わないで下さいよぉ」

顔を赤らめる梨華ちゃん。
一方、矢口さんはイヤらしい目で梨華ちゃんの胸を見ている。

15 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:08

「ちょ、ちょっと待ってください。じゃあ、梨華ちゃんが夜遅くまで1人でヤってるっていうのは?」
「それはほら、ツアー先でコイツ一人で夜中ゲームしてんだぜ。次の日、あからさまに眠そうな顔してるし」
「キリのいいとこまでって思うんですけどねぇ・・・。なかなか、キリのいい所まで行かないんです」

「梨華ちゃんがするときおっきな声出すっていうのは・・・」
「そう、梨華ちゃんゲーム機にむかって大声出すの」
「だってぇ、全然クリアできないんだもん」
「負けず嫌いなんだよ、梨華ちゃんは」

「昨日も『した』っていうのは・・・」
「昨日も梨華ちゃんから借りてたんだ」

「記録を塗り替える・・・・」
「梨華ちゃん、持ち主なのに記録ヘボいんだもん。梨華ちゃんのP・S・Pなのに、全記録おいらが作ったやつなんだ♪」


てことは・・・
てことは・・・

「美貴の勘違い・・・・?」
「そーゆーコト♪」

あはは・・・
あはは・・・
勘違いか・・・
半分がっかり、半分ほっとした気分・・・


16 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:08

「それにしても、ミキティってアレなんだね。おいら知らなかったよ」
「へ?アレってなんですか?」
「ん?なんでもない、なんでもない」

にやりと笑みを浮かべる矢口さん。
なんか物凄くいやな予感がするんですけど・・・。

「矢口さ・・・」
バタンッ♪
「おはよ〜ございま〜す。あっ、矢口さん、それ買ったんですか?」
「違うよ、これ梨華ちゃんの」
「良いなぁ・・・。石川さぁん、次貸してください」
「いいよぉ。壊さないでね」

まこっちゃんの登場でこの件の矢口さんとの会話は途切れてしまった。
そして、次々とメンバーが集まり・・・

その日はそれで終わった。
その日は・・・。




17 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:08


――― 翌日。

美貴は、いつもの様に楽屋を目指して廊下を歩く。
すると、見覚えのある後姿が目入った。

「ごっちん!」

美貴の声にくるりと後ろを振り返る長髪の持ち主。

「ん? おおぉ、ミキティ〜。おはよ〜」

帰ってきた答えは相変わらず気の抜けたような声。
やる気あんのかね、君は。

「ごっちんもここで仕事?」
「うん。そ〜なんだよね〜」

ジロジロと美貴の顔を見るごっちん。

「? なんか美貴の顔についてる?」
「ううん。ついてないよ」

が、ごっちんの目線は依然として美貴に向けられたまま。

・・・今日はパットしてないから
美貴の貧乳がそんなに気になるとでも言いたいのですか?

18 名前:楽屋で眠る女 投稿日:2005/01/09(日) 19:09

「ごっちん?」
「・・・ふふっ、ふははははっ」

突然、笑い出した。
思いだし笑いとはごっちんもエロくなったもんだ。

「何笑ってんの?」
「いや、別に」
「うそ。隠したって無駄だよ」

まだ、美貴を見ながらニヤニヤしている。

「いやぁ〜あのね〜」
「?」
「やぐっつあんから聞いたよ〜」
「へっ? 何を?」


「ミキティって、むっつりエロ女なんでしょ?」



楽屋で眠る女・おしまい


19 名前: 投稿日:2005/01/09(日) 19:09

20 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/09(日) 19:10

こんな感じで短編を書いていきたいと思います。
更新はかなり遅くなると思いますが、
お付き合いのほど宜しくお願いします。

21 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/09(日) 21:13
ふはは、おもろいですw
22 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/11(火) 19:00
>>21 名無飼育様
レスありがとうございます。また読んで下さいね。

それでは、次のお話です。

23 名前: 投稿日:2005/01/11(火) 19:00

『質疑応答を始めます』
もう、ぐちゃぐちゃです。

24 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:01

それでは、質疑応答を始めます。
今回は飯田さん卒業間近企画(でもない)です。

【解説】では、セリフの前に01〜12までの番号がついています。
それは、各メンバーにランダムに数字がふってあり
誰が何番なのか考えながら読んで頂けると光栄です。

それでは質疑応答を始めます。


25 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:01

【質問】
他のメンバーになれるとしたら誰になりますか?
理由もお願いします。

26 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:02

【応答】
飯田圭織
「え〜、誰だろう・・・。あややかな・・・。なんとなくね」

矢口真里
「おっぱいは松浦!お尻は梨華ちゃん!色気はカントリーのまいちゃん!」

石川梨華
「もちろん矢口さん♪え、理由ですか・・・。それは矢口さんになって・・・・・キャッ♪恥かしい♪」

吉澤ひとみ
「つんく♂さん!金持ってるし!」

高橋愛
「んっと・・・そ〜やな・・・美貴ちゃんかな?」

小川真琴
「吉澤さんでスよぉっ!カッコいいっス」

新垣里沙
「メンバーなら誰でもいいですけど・・・・愛ちゃん以外なら誰でもいいです」

紺野あさ美
「後藤さん。憧れだったんです」

藤本美貴
「亜弥ちゃんですね。理由は・・・・美貴、一度でいいから『大きく』なりたいんです」

亀井絵里
「藤本さん・・・かな」

田中れいな
「石川さん。で、キャスターをやりたいと」

道重さゆみ
「私以外、誰にもなりたくないでぇ〜す♪」


27 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:02

【解説】
02「・・・という結果になったんだって」
05「ふぅ〜ん・・・カオリ、あややになりたいんだ?」
02「うん。なんとなくなんだけどね。ソロであれだけいっぱい歌えたらいいなって・・・」
05「カ、カオリ・・・」

一同号泣。

01「それはそうと矢口さん、欲張りすぎですよ」
05「え〜、そうか?おいらの正直な意見だぞ」
03「そうですよ。どうして矢口さん、アタシじゃないんですかぁ?」
05「だって梨華ちゃん、色黒じゃんか」
03「まいちゃんも結構、色黒じゃないですか?」
05「ん?肌の色は松浦なの!」
03「そんなぁ、ひどいです!」

05「・・・じゃあさ、なんで梨華ちゃんはおいらなのさ?」
03「え・・・?知りたいですか?」
05「そりゃねぇ」
03「ホントに聴きたいですか?」
05「うん」

03「・・・あのですねぇ・・・鏡を見るんです」
05「鏡?」
03「はい。鏡をじっと見るんです」
05「それで?」
03「まだわからないんですかぁ?だって鏡を見たら自分が矢口さんなんですよ」
05「うん・・・?」

03「そしたらぁ・・・・・・石川、ムラムラきちゃうかなって♪」
05「はぁ!?」
03「ムラムラきちゃったら、多分我慢できなくなって、鏡を見ながらひとりで・・・はぁはぁ・・・ってもう、なに言わすんですかぁ♪キャハ♪」

シーン・・・・

03「あれ?どうしてみんな黙っちゃったの?」
05「まぁ、こんなやつほっとこうぜ」

一同頷く。

28 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:03

02「それにしてもよっすぃ〜」
10「はぁ〜い♪」
05「『はぁ〜い』じゃないよ。答えがめっちゃ現実的すぎるよ」
10「いやぁ〜、世の中金ですよ、カ・ネ♪」
05「まこっちゃん、泣いてるぞ」
04「そうでスよぉぉ。どうして私じゃないんでスかぁ?」
10「フッ♪所詮は金さ」
04「なんでぇぇ!ひどいでスぅぅ!」

02「ミキティはなんであややなの?」
05「カ、カオリ、それは言っちゃ・・・」
01「大きくなりたいんです・・・」
02「え?何が大きくなりたいの?」
05「だ、だから、カオリ!」
01「・・・・・・」

遠い目をする藤本。
飯田さん以外一同号泣。

05「ガキさん、現実的だね・・・」
11「そうですね、愛ちゃん以外ですね」
07「えぇっ!なんでぇ??」
11「だって、愛ちゃんにはなりたくないよ」
07「ワタシ、なんか里沙ちゃんに変なことゆーた?」
11「・・・・・・」
05「・・・全然、気付いてねぇな」

06「ねぇ、さゆ」
09「ん?」
06「ホントに自分大好きだね」
09「うん♪」

08「れいなは石川さんの味方ですよ」
03「ありがとう、れいな・・・。でも、やっぱりまりっぺのことが・・・・はぁはぁ・・・」
08「ちょ、ちょっと石川さん!何しとるとっ!」

12「あれ・・・?私の出番がなかったような・・・・まぁ、いいか。次もあるし」



29 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:03

【質問】
あなたがもし男だったら、メンバーの誰と付き合いますか?

30 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:03

【応答】
飯田圭織
「んっと・・・石川かな・・・」

矢口真里
「え〜、誰だろ・・・。ミキティ?」

石川梨華
「もちろん矢口さん♪矢口さんと一緒に暮らすの。それでね、それでね、お部屋の中ではお洋服を着ない決まりを作ってぇ・・・・キャッ♪恥かしい♪」

吉澤ひとみ
「あややかな。金持ってるし」

高橋愛
「え・・・?誰やろ・・・?美貴ちゃん?」

小川真琴
「だからぁぁ、吉澤さんでスってぇ!」

新垣里沙
「え〜・・・矢口さん、かな」

紺野あさ美
「後藤さんです!」

藤本美貴
「よっちゃんさん♪」

亀井絵里
「れいなかさゆ♪」

田中れいな
「矢口さん・・・かな?」

道重さゆみ
「ワ・タ・シ♪むふふ♪」


31 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:04

【解説】

02「・・・という結果になりました」
05「だからぁ!よっすぃ〜!」
10「はぁ〜い♪」
05「答えが現実的すぎるって!」
10「世の中、所詮は金さ♪」
05「まこっちゃんとミキティが泣いてるぞ・・・・・・あれ?」

01「大きくなりたい・・・・・・」
05「まだ前の質問を引きずってんのかよ・・・」

03「矢口さん、またアタシじゃないんですね・・・」
05「おいらが誰を選ぼうと勝手じゃんか」
03「・・・人間って悲しいね」
05「そんなんで悲しくなるなよ!」

03「じゃあ、あれだけ愛し合った日々は嘘だったんですね」
05「!?」
01「えっ、なになに?2人は愛し合ったの?」
05「り、梨華ちゃん、それは・・・・」
03「矢口さん、あんなに可愛かったのに・・・」
05「ちょっ、やめて!」

10「・・・矢口さんもなかなかやりますねぇ」
05「だ、だから・・・」
03「もういいです。石川、拗ねちゃいます。シクシク・・・」
01「あ〜ぁ、矢口さんが泣かした」
05「コイツ、泣いてないだろ!」
10「あ〜ぁ、矢口さんが泣かした」
05「だから、泣かしてねぇだろ!」
03「ぐすん」
05「嘘泣きするな!」

32 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:04

10「で、矢口さんは梨華ちゃんのことどう想ってるんですか?」
05「ふぇ?」
01「そうですよ。この際、はっきりさせちゃいましょうよ」
05「それは・・・」
10「愛し合っちゃたんですから♪」
05「うっ・・・」
03「どうなんですか、矢口さん・・・」
05「・・・・・・」

一同、沈黙・・・。

05「おいらはその・・・・」
03「その・・・?」
05「だから・・・・・・・好きだよ」
03「矢口さん・・・・」
05「あ〜、もう恥かしいから言わせるなよ」
03「矢口さん・・・・アタシも好きです!キャッ♪」
05「うわっ、抱きつくな・・・・・んぐっ・・んん・・」
03「・・んん・・・」

02「ちょっとぉ、2人ともこんなところでキスなんかしないでよ」
12「しかも、舌動いてる・・・(あっ♪初めてしゃべれた♪)」

03「・・・ん・・矢口さぁん・・」
05「梨華ちゃん・・・」
03「キャッ♪」
05「梨華ちゃん・・・・・好き」
03「アタシもです・・・・んんっ・・」

01「・・・・・・もうほっときません?」

当たり前です。

09「次行きましょう♪」

03「はぁ・・んっ・・・真里ちゃんっ・・」
05「梨華ちゃん・・・・かわいい・・・」

01「いつのまにか、2人とも裸だし・・・」


33 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:05

【質問】
どんな人がタイプですか?

34 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:05

【応答】
飯田圭織
「優しくて背の高い人がいいですね」

矢口真里
「少年の心を持ってるカッコイイ人」

石川梨華
「え〜、どんな『体位』ですかぁ?石川、やっぱり普通の・・・かな♪でも真里ちゃん、ちっちゃいから石川が上に乗ると悪いじゃないですかぁ。だから、いつも気をつけて愛し合ってます。真里ちゃんも凄いんですよ。石川が・・・ ―――」



【お知らせ】
この質問は石川さんが暴走した為、これにて打ちきります。



35 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:06

【解説】
01「なんだよそれ!」

36 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:06

【質問】
もし、メンバーになっていなかったら何をしてましたか

37 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:06

【応答】
飯田圭織
「歌手じゃなかったら、喫茶店とかお店を開いてると思う。そこで、自分の絵を飾りたいですねぇ」

矢口真里
「ギャルだね。間違いない」

石川梨華
「矢口さんと出会えないなんてありえません!2人は運命なの!」

吉澤ひとみ
「競馬、競輪、競艇・・・とにかく金儲け」

高橋愛
「宝塚ぁ〜♪」

小川真琴
「なにやってたんだろ???わかんない。とりあえず、新潟脱出?」

新垣里沙
「普通にファンやってます」

紺野あさ美
「北海道で一旗挙げてます」

藤本美貴
「遊ぶね。もしくは焼肉を食べまくるか」

亀井絵里
「いたって普通の高校生」

田中れいな
「むふふ♪・・・・言えないと」

道重さゆみ
「地元で超可愛い学生♪」


38 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:07

【解説】

02「・・・という結果に・・・あれ?ヤグチと石川は?」
12「教育上良くないので別室に移動させました(これで私の出番が増える♪)」
01「ありえないよね。こんなところで始めちゃうなんて」
08「矢口さんもホントに石川さんが好きなんですね」
10「さっき、2人にテイッシュの差し入れしといたぜ♪」
09「テイッシュ?何に使うんですか?」
10「そりゃ・・・・ねぇ」
09「?」
01「キレイにするのに使うんだよ」
09「キレイ・・・?私みたいに?」

恒例、道重天然トーク。

08「絵里・・・」
06「うん・・・」

アイコンタクトで頷きあい、道重の両腕を掴む。
そしてそのまま、ずるずると道重は田中と亀井に引きずっていかれるのであった。

09「ちょっ、ちょっと、2人とも離して!吉澤さん、何に使うんですかぁ・・・・」

10「あ〜・・・連れてかれちゃった」
01「まだ早かったんじゃない」
10「そうかもね」

吉澤、藤本、ニヤリと笑う。

39 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:07

02「・・・なんかさぁ、もう面倒くさくなっちゃたね」
01「もう終わりでいいじゃないですか?美貴、結構しゃべったし・・・」
12「えぇ!?もう終わりにするんですか?私まだそんなにしゃべってないです」

10「さ、フットサルの練習行こうぜ」
01「美貴も行く♪よっちゃん♪」
12「ちょっと吉澤さん、藤本さん・・・」

07「里沙ちゃん。家に来る?」
11「え〜、どうせ宝塚のDVD見させられるんでしょ」
07「当たり♪」
12「愛ちゃんに里沙ちゃんも・・・・里沙ちゃんもあんましゃべってないのに・・・」

04「さぁ〜・・・痩せるぞぉぉ!!」
12「まこっちゃんまで・・・」

02「紺野」
12「飯田さん・・・」
02「また今度たくさんしゃべればいいじゃない」
12「・・・・・・」
02「さ、帰ろ。帰りにおいしいオムライス奢ってあげるから」
12「ほ、本当ですかぁ?・・・じゃ、帰りましょ♪」



以上で質疑応答を終わりにします。
ご協力ありがとうございました。
またの際も宜しくお願いします。


40 名前:質疑応答を始めます 投稿日:2005/01/11(火) 19:08











05「・・・・・・みんな、ごめん。どこまで行ったぁ・・・・・あ・・・あれ?」
03「みんな・・・帰っちゃったみたいですねぇ」
05「くそぉ・・・。いつのまに・・・」
03「真里ちゃんが悪いんですよ。何度も何度も・・・」
05「梨華ちゃんだって・・・凄かったじゃんか」
03「だってぇ・・・あれだけ触られたら・・・」
05「・・・梨華ちゃんのえっち♪」
03「・・・真里ちゃんだって♪」
05「そんなこと言うと、またしちゃうぞ」



03「・・・・・・いいですよ。誰もいないし」
05「あっ・・・・そうか・・」
03「真里ちゃん・・・」
05「ん?・・・・・・」







・・・このあと、どうなったんだろ?
   知ってる人は教えてください。


【質疑応答を始めます】
おしまい

41 名前: 投稿日:2005/01/11(火) 19:08

42 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/11(火) 19:09

誰が何番だったかわかりましたか?

01藤本美貴 02飯田圭織 03石川梨華 04小川真琴
05矢口真里 06亀井絵里 07高橋愛  08田中れいな
09道重さゆみ 10吉澤ひとみ 11新垣里沙 12紺野あさ美
で御送りいたしました。

それでは次のお話まで♪

43 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/11(火) 22:54
∬´▽`)<麻琴
44 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/12(水) 03:19
わかんないわけない!といいながら12が謎だった・・
45 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/01/16(日) 15:43
雑談かなり面白いですね、更新待ってます。
46 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/18(火) 17:06
>>43 名無飼育 様
『質疑応答を始めます』内、「真琴」→「麻琴」ですね。
失礼いたしました。これからは訂正いたします。

>>44 名無飼育 様
ありがとうございます。紺野さんのキャラが微妙になってしまったので反省...。

>>45 通りすがりの者 様
ありがたきお言葉ぁ..。まったり更新しか出来ませんが、読んで頂ければ光栄です。



それでは、新しいお話を更新します。



47 名前: 投稿日:2005/01/18(火) 17:06

『楽屋で眠る女2』
もちろん藤本メイン(それでも、いしやぐ)


48 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:07

『美貴は・・・
 美貴は・・・
 むっつりエロ女なんかじゃないもん!!』
             藤本美貴


49 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:08
今日も元気だ、楽屋で眠い。


すっかり収録の待ち時間に美貴が楽屋で寝ることは
メンバー内でもお馴染みになっていた。

ただし、起こす人は決まってよっちゃん、もしくは紺ちゃんと決まっていた。
目を開けたときよっちゃんがそこにいただけで美貴は幸せだし
紺ちゃんはその顔を見ると美貴はなぜかイライラしない。

それ以外の人が起こそうものなら
寝起きの美貴のご機嫌はナナメになってしまうのだ。

特に梨華ちゃんが起こそうものなら
彼女のチャームポイント(?)のそのアゴを鷲づかみにして睨んでしまう。

そうすると、決まって彼女は
「矢口さぁ〜ん。美貴ちゃんが怖いです」
と言って矢口さんに抱きつく。
「・・・ったく、暑苦しいから抱きつくな」
言うには言うが矢口さんの顔はニヤけている。

もとはといえば
美貴の不幸話の始まりは
あれもこれも全てこのバカップルのせいなのである。

美貴の不幸話とは・・・
そう『藤本美貴、むっつりエロ女疑惑事件』。

あの日以来、メンバーも含めて
美貴を見る目が確実に変わった気がする。
50 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:08

たまたま移動のバスで隣になった亀ちゃんに・・・
「藤本さん・・・・絵里はいつでもいいんですよ・・・キャメイ、女になりますから・・・」

楽屋で2人っきりになった時、重さんには・・・
「・・・藤本さんに奪われないうちに逃げよっと♪」

すれ違いざまにあいぼんに・・・
「あっ!むっつりミキティだ!」

そして、亜弥ちゃんとよっちゃんにまで・・・
「みきたんは、もとからむっつりだもんねぇ♪」
「むっつりでもフットサルは出来る!」

ちくしょう!
なんで?なんで、美貴だけ?
なんで美貴だけがこんな思いをしなくちゃいけないの?
あのバカップル2人にも絶対裏があるはずだ。
その裏を暴露して美貴の汚名を返上させなければ・・・

メラメラ・・・フッフッフッ♪・・・グゥ〜♪
メラメラ・・・フッフッフッ♪・・・グゥ〜♪


「・・・・・・こ、紺ちゃぁん。藤本さんがおかしいよぉ!!寝ながらニタニタしてる」
「・・・いつものことです」




―――


51 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:09

こないだの一件に懲りた美貴は
寝るときはMDを聴きながら寝る様にしている。
そうすれば外部の雑音は入ってこない。
あんな変な会話も・・・・・・ね。


でも、今日は・・・?
んんっ・・・あれ?
眠りから覚めた美貴の耳もとのヘッドホンがやけに静かだった。
曲がかかってない・・・
眠る前に入れといた美貴のファーストアルバムの曲がかかってないのだ。

電池切れかな?
そーいやーしばらく充電してなかったし。

むくっと顔を上げると楽屋には美貴に背中を向けた格好で
2人で顔を寄せ合って雑誌を見ている矢口さん、梨華ちゃん(またこの2人かよ...)。
よっちゃん(♪)とそのよっちゃんにしつこく迫る麻琴。
・・・美貴のよっちゃんに手出したら
ただじゃおかないおかないからね、麻琴。

よっちゃんは散々麻琴をからかってから楽屋を出て行った。
それを追いかける様に麻琴が出て行く。

楽屋には3人。
再び、美貴は寝る格好に入った。
この時点で今、美貴が起きたということを知る者はこの楽屋にいない。

MDがかかっていないので自然と二人の会話が耳に入ってくる。


52 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:09

「・・・よっすぃ〜、出てっちゃったね」
「うん・・・。矢口さん、早く次のページめくってくださいよ」
「あぁ、うん・・・」

しばしの沈黙。が、

「ねぇ、梨華ちゃん」
「なんですかぁ?」

「あのさ・・・誰もいないうちに・・・『アレ』見せてよ・・」
「『アレ』って・・・なんですかぁ?」
「ほら、昨日約束したじゃん」
「・・・あっ・・」

梨華ちゃんは矢口さんが何を言いたいのかわかったらしく口ごもった。

「ねぇ〜」

やけに甘えた声を上げる矢口さん・・・。
なんか・・・あの時と同じような空気感。
変な予感がするんですけど・・・。

「矢口さん。美貴ちゃんがそこにいるんですよ。絶対、ダメです」
「・・・寝てるじゃん」
「寝てないかもしれませんよ。この前みたいに」
「ダメ?」
「ダメです」

「いいじゃんか、見せてくれたってぇ〜」
「イヤです。恥かしいです」
「おいらと梨華ちゃんの仲じゃんかぁ」
「ダメです」

・・・こないだと同じパターン。
でも、美貴はもうダマされないもん。
決定的な証拠が聴けるまで動かない、動かない。

53 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:10

「ねぇ・・・♪」
「ダ〜メ」
「ちょっとだけ♪」
「ダメ」
「ね♪」
「・・・ぁん・・!」

何?今の声は何?
また、何が起きたの?
もしかして・・・
もう『そーゆーこと』が始まってるの?

・・・いや。
早とちりは良くない。
こないだの一件を思い出すんだ。

確か・・・・
『矢口さんはいっつも梨華ちゃんのおっぱいを触っている』
じゃあ、この声もきっと・・・。

「ま、真里ちゃん・・・」
「ねぇ・・・いいじゃんかぁ・・・」
「やぁ・・・ん・・」

そう!
矢口さんが梨華ちゃんに何かを頼む時はいつもこうしてるんだ!
だから、決して『そーゆー行為』の始まりではない!

美貴も賢くなったもんだ。

「・・・ぁぁ・・・耳ダメぇ・・」
「じゃあさ・・・お願い・・」
「もぉ・・・」

梨華ちゃんも矢口さんの攻撃に耐えきれなくったご様子。

54 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:10

「もう、ホンとちょっとだけですからね」
「うん。いいよ」

2人は美貴の寝ている近くまで場所を移動してきた。
そう、美貴の机の隣は梨華ちゃんの席だった。

何やらごそごそやっている・・・。


ジィー・・・♪


へっ?
何か今、チャックが下りる音が・・・。

「隣で美貴ちゃん、寝てるんだから静かにお願いしますよ・・・」
「おいらは別に大丈夫だよ。・・・ただ、梨華ちゃんがねぇ・・・」

矢口さんの意味深な発言。
・・・・・・てか、今2人、美貴の寝ている隣ですよね。
近すぎ。近すぎです。

「じゃあ・・・どうぞ・・・」
「うん・・・」








「梨華ちゃん・・・?」
「・・・・・やっぱ、恥ずかしいです・・・」

な、なに?
やっぱ恥ずかしいことなの?
恥かしいことをここでやっちゃうの?

「恥ずかしがることないよ。おいらと梨華ちゃんの仲じゃんか」
「でも・・・」
「つべこべ言わないでさ・・・。ゆっくりでいいから、梨華ちゃん開いて・・・・・」
「ちょっとだけですよ・・・」

55 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:10

開く?
何を開くんだろ・・・?

「うわぁ・・・」
「やぁ・・・真里ちゃん、そんなに見ないで・・・恥ずかしい・・・」
「そんなことないよ・・・このちっちゃい梨華ちゃんもかわいい・・・」
「いやぁ・・・」

どうやら梨華ちゃんは矢口さんにねだられた『それ』を開いたらしい。
なんか・・・
なんか・・・
この反応ってやっぱり・・・

で、でもこないだの一件もあるし。
慎重に慎重に。

「あれ?梨華ちゃん」
「はぁい・・・」
「・・・なんでココ。こんなにぐちょぐちょなの?」
「!?」
「ねぇ・・・」
「し、知らないです!も、もう閉じますよ」

なにか慌て始める梨華ちゃん。
ぐちょぐちょ・・・?
もしかして・・・

「いいじゃん。もう見ちゃったんだし・・・」
「ダ、ダメです。美貴ちゃんが起きちゃったらどうするんですかぁ」
「大丈夫だよ・・・うまくごまかせるよ・・」
「そりゃ、真里ちゃんはいいかもしれないけど・・・」
「ね、最後まで♪」
「ダメです!」
「もっと、いろんな梨華ちゃんが見たい・・・」


!?
わかった!わかりました!
今度こそ・・・
今度こそ・・・
美貴の大勝利です!!

56 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:11

つまり・・・
『チャックの降りる音』
→梨華ちゃんは今日、ジーンズをはいていた。よって、ジーンズのチャックを下ろす音。

『開く』
→ジーンズを脱ぎ、下半身を露にした梨華ちゃんの足を開く。

『ちっちゃい梨華ちゃんもかわいい』
→足を開いちゃったんだから見えるものは・・・梨華ちゃんのオンナノコの部分。

『ぐちょぐちょ』
→きっと矢口さんの愛撫で感じちゃった梨華ちゃんから溢れる愛液。

『最後まで』
→最後までって言ったらねぇ・・・。最高潮に達するってこと。

『いろんな梨華ちゃんが見たい』
→普段では見られないような喘ぐ梨華ちゃんが見たい。


・・・・これだけ、証拠がそろった。
これはもう・・・間違いありません!!

『矢口さんと梨華ちゃんは美貴の寝ている真横で
えっちな行為をしようとしているのです!』

長かった・・・
これで美貴の汚名は返上されました。
後はこの2人の『行為』を止めるだけです!

2人とも覚悟しててください!


57 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:11

「はあぁんっ・・・・真里ちゃん、ダメぇ・・・」
「うわぁ〜・・・・すごいよ、梨華ちゃん・・」

「あの・・・・」

「・・真里ちゃん、見ないでぇ・・・」
「大丈夫、可愛いって」

「あの・・・」

2人とも『こと』に集中しているのかまったく美貴の声に気付かない。
なのでもうちょっと大きな声を出した。

「あの矢口さん、梨華ちゃん」
「「!?」」

今度は気付いた。
そして、2人とも突然静まり返る。

「藤本、お前・・・・・・」

唖然とした声の矢口さん。

「ダメぇ・・・・」
「はい・・・?」
「ダメぇ!ミキティ、目を開けちゃダメぇ!!」
「へ?」

梨華ちゃんが叫んだ。
目を開けちゃダメ・・・?

ん・・・あ、そうか。
そりゃ、そうだ・・・。
だって目を開けたら梨華ちゃんの『梨華ちゃん』が見えちゃうんだもん。

この梨華ちゃんの驚き様も美貴の考えを確信に変えさせた。

58 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:12

「・・・やっぱり2人は『そーゆー関係』だったんですね」
「な、なにがだよ!」

フッフッフッ・・・・・・
矢口さん、もう強がっても無駄ですよ。

「まったく、美貴が隣にいるというのに・・・」
「だ、だから、なんだよ!」

まだしらばっくれようとしますか。

「こんなところで『えっち』しようなんて・・・」





「・・・はい?」

意外に反応が薄い。
・・・てか、こないだよりひどい反応じゃん。

「・・・藤本、目開けてごらん」
「えっ、いいんですか?」
「いいよ」
「でも、梨華ちゃんが・・・」
「いいよね、梨華ちゃん?」
「・・・・・・いいですけど」

いいの?
美貴が見ちゃっていいの?
だって梨華ちゃんのあの部分は矢口さんのもののはず。
それを美貴に見せちゃっていいの?

でも、本人が目を開けていいと言うのだ。
バッチリ証拠を確認しましょう♪


59 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:12

ゆっくり目を開けると・・・

まずニヤニヤと笑っている矢口さん視界に入った。
そして、顔を赤くしている梨華ちゃん。

ズボンは・・・・・・あれ?履いてる・・・。

「藤本、どこが『えっち』なんだよ」
「えっ、だって2人とも・・・」

と、ここで美貴は言葉に詰まった。
梨華ちゃんが手にしていたものが目に入ったから・・・。




「卒業アルバム・・・・・・」
「そっ。梨華ちゃんの卒業アルバム見てたんだけど」

その瞬間、目の前が真っ白になった。


つまり・・・
『開く』
→卒業アルバムを開く。

『ちっちゃい梨華ちゃんもかわいい』
→梨華ちゃんの幼い頃。

『最後まで』
→最後のページまで。

『いろんな梨華ちゃんが見たい』
→学校に通ってた頃の梨華ちゃんが見たい。


60 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:13

てことは・・・
てことは・・・

「また、美貴の勘違い・・・・?」
「そーゆーこと♪どうせおいら達の会話聞いてエロいこと考えてたんでしょ?」

あはは・・・
あはは・・・

また、やっちゃった・・・
また、やっちゃったよ・・・


「で、でも『ぐちょぐちょ』っていうのは」
「あぁ、ぐちょぐちょ?」

矢口さんは卒業アルバムをパラパラとめくり始めた。

「ほら、ここ♪」

矢口さんが指差した所は少し色が褪せていて、ページがよれよれになっていた。

「なんかね、卒業アルバムに梨華ちゃんの妹がジュースかなんかこぼしたみたい。だから、梨華ちゃん知らなかったんじゃん?」


なんだぁ・・・そうだったんだ。
美貴は力なく笑うしかなかった。

そして、チャックが下りる音は
そのアルバムを入れたきたトートバックを開ける音だとわかった。



61 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:13

「や、矢口さん!!」
「ん?なんだよ、いきなり?」

「あ、あの、このことは内密にお願いします」
「・・・・・・なんで?」
「だってぇ・・前みたいに変な噂立てられたら・・・」

あんな変な噂立てられたら、もう美貴やっていけません・・・。

「でもなぁ〜・・・エロいのは事実だし」
「お願いします!!」
「でも・・・」
「お願いします!!」
「ん〜・・・・・・んっ?」

美貴はゆっくりと矢口さんの胸に手を伸ばした。
そう、おねだりをするときはこの方法しかない。

「ふ、藤本!」
「矢口さん、お願い♪」
「・・・・ぁ・・」
「ねぇ♪矢口さん♪」
「ひゃぁ・・・」

思わぬ快感に矢口さんも切なげな声を上げる。
美貴の両手が確実に落城へと追いこむ。

「誰にも言わないで下さいよ♪」
「・・・はぁ・・ん」
「ね♪」
「そ、そうだな・・・や、焼肉おごってくれたらいいよぉ・・・」
「焼肉ですか・・・?」
「そう、焼肉ぅ・・」

焼肉ぐらいなら・・・・

「いいですよ♪」
「うん・・・」

矢口さんから両手を離す。
焼肉おごるぐらいで済むなら美貴もラッキーだ。

「それにしても・・・藤本って、やっぱりすごいね」

自分の胸をさすりながら若干、顔を紅くさせた矢口さんが呟いた。



62 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:13

そう言えば・・・

「あれ?梨華ちゃんは?」

矢口さんと変なやり取りをしている間に
いつのまにか梨華ちゃんの姿が消えていた。
どこ行ったんだろ?
梨華ちゃんにも口止めしなくちゃ・・・

「ムフフ♪・・・梨華ちゃんがいない内に藤本も卒業アルバム見ちゃおうぜ」

矢口さんがニヤリと笑った。
梨華ちゃんに口止めするのも重要だったが、
こっちも気になるには気になる。
そんなに笑える内容なんですか?

「ほら、この写真とか見てみな」
「へっ?誰ですか、コレ?」
「だから、梨華ちゃんだって」
「あ、ありえない・・・」
「でしょ?ほら、これも」
「ありえない!」



・・・・・・このあと
矢口さんと梨華ちゃんの卒業アルバムで盛り上ってしまったので
梨華ちゃんへの口止めもすっかりどこかへ忘れていってしまった。

でも、まぁ噂好きの矢口さんさえ押さえとけば大丈夫でしょ。


そのときはそう思った。
そのときは・・・・・・。







63 名前:楽屋で眠る女2 投稿日:2005/01/18(火) 17:14

―― 翌日。

今日はフットサルの朝練習。
ちょっと早く来すぎたのか誰もいなかった。
仕方ないので一人で練習場でストレッチをしていたら
しばらくして、柴ちゃんと斉藤さんもやってきて横に座った。

「美貴ちゃん、おはよ〜♪」
「あぁ、おはよ〜」

にこやかなスマイルを浮かべる柴ちゃんと
ちょっと眠そうなボス・・・・・・じゃなかった斉藤さん。

「藤本ぉ、噂は聞いてるぞぉ。またやっちゃんだって?」

あくびまなこに美貴に話しかける斉藤さん。

「ふぇ?なにをですか?」
「昨日さ、あゆみんとこに梨華ちゃんが来てさ・・・」
「ふぇ?」

物凄くいやな予感・・・。
梨華ちゃんには口止めしてない・・・・し
梨華ちゃんは柴ちゃんと仲が良いから・・・


!!??
まさか!?


その『まさか』を柴ちゃんはずばり言い当てた。


「美貴ちゃんって、むっつり極エロ超妄想女なんでしょ?前よりパワーアップしたじゃん」




『楽屋で眠る女2』・おしまい

64 名前: 投稿日:2005/01/18(火) 17:15

65 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/18(火) 17:15
本日の更新を終了いたします。
それでは、また逢う日まで。
66 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/18(火) 23:45
面白い!!
続き期待です
67 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/24(月) 21:58

>>66 名無飼育 様
ありがとうございます。ホント、そう言っていただけると嬉しい限りです。期待に応えられるよう精一杯頑張ります。


それでは新しいお話を更新します。


68 名前: 投稿日:2005/01/24(月) 21:58

『栄光の架け橋』
あの名言がよみがえったり、よみがえなかったり。

69 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 21:59

「「「梨華ちゃん、誕生日おめでとう!!」」」
「ありがとうっ♪」

それは何気ない日常の1コマだった。
お祝いされた当人は顔を紅黒く、アゴを鋭くさせ、
お祝いする側もさして心のこもってないプレゼントを渡す。

ただ1つだけ違うコトといえば
その誕生日が『二十歳』の誕生日であるということだった。


「いやぁ〜、梨華ちゃんもとうとう二十歳かぁ・・・」
「おばちゃんやね」
「まだおばちゃんじゃないもん♪」
「二十歳には見えないよね」
「あらミキティ、写真集見てないの?すっかり大人チャーミーよ♪」
「・・・胸だけでしょ」
「あら、胸だけじゃないよ。あんな所やこんな所も・・・。キャッ♪ミキティのえっち」
「・・・そこが大人じゃないんだって」

なんだかんだ言ってこのグループは仲がいい。
言葉こそ悪いが、それは愛情がこもった言葉たちだった。

70 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 21:59

「そーいやぁ、ミキティとよっすぃ〜ももうすぐ二十歳だよね」
「それこそ見えな〜い♪」
「うるさいよ、梨華ちゃん」
「一気におばちゃんが増えるね」
「だから、なんで二十歳超えるとおばちゃんなんだよっ!」
「さゆみんはピチピチ十代ですよ♪」
「出た。石川2号...」

ここでようやくケーキが運ばれてきた。
石川がケーキのロウソクをみつめている。

「じゃあ、いくよぉ♪みんなの前でセクシーにイクよぉ♪」
「うるせぇ。早く消せ!」
「せーの。ふぅ〜・・」

石川の吐息に20本のロウソクについた炎が次々に消えていく。

が、4本ロウソクは消えずに残った。
なんとも不吉な『4』という数字を出してしまうのも
さすがは幸が薄い石川梨華ということであろう。
消え残ったロウソクに再び石川が息を吹き込むと
今度はチョコのプレートが飛んでいった。
本日2度目の失態。

「ホント、ありがとうっ!」

改めて石川がお礼を言う。
再び、その場が拍手に包まれた。

と次の瞬間・・・

「うぎゃっ!」
「押さないでぇ!」
「この!」
「キャ!」

本人を差し置いて、
ケーキの強奪合戦が行われたことは省略する・・・。



71 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:00


「・・・いやぁ、ケーキおいしかったね」
「毎日、食べれたらいいのに・・・」
「食べれるじゃん」
「えっ?」

「明日はおいらの誕生日だからね、みんな♪」

「「「・・・・・・」」」
「なんだよ!その態度は!」


「出費がかさむのぉ・・・(高橋)」
「やっぱり誕生日が2日続くとね・・・(新垣)」
「・・・またケーキが食べれるんですね♪(紺野)」

悲観的な人もいる。
楽観的な人もいる。
ま、人それぞれと言ったトコロ。

72 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:00

「美貴ちゃんの誕生日は・・・・・・あと一ヶ月ほど先やね」
「そう!2月26日。『226事件』って覚えてください」

「・・・・・・ミキティが産まれたことが世間を震わす事件だよね」
「梨華ちゃん、なんか言った?」
「いえ、なんにも♪」

藤本の鋭い視線に石川は殺気を感じ
すばやく道重の背中に隠れた。

「美貴も二十歳かぁ・・・」
「・・・胸はないのに」
「重さん♪」
「じょ、冗談ですって」

今度は道重が石川の背中に隠れた。

「美貴ね、20歳の目標を決めたんです」
「ほ〜・・・どんな目標をたてたのさ?」

藤本の発言に吉澤が興味なさげに聞いてみる。
コレが『今回の事件』の始まりだった......。


73 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:00

「聞きたい?」
「まぁ、それなりに」

「皆さんも聞きたいですか?」
「おいらは別にいいや・・・」
「あーしもいいでぇ」
「えっ!?聞いてよ!」

藤本はイスから立ちあがり高々と宣言した。


「二十歳の美貴は絶対キレません!!」


その場が一瞬、凍りつく。
満面の笑みを浮かべる藤本と
シーラカンスでも見てしまったような雰囲気を漂わすメンバー。

それも無理はない。
今まであからさまに不機嫌なときの藤本が鮮明に頭をよぎる。
幽霊に逢うことより
明日地球が滅亡するより
藤本がキレたほうが怖いという証言もあったほどだ。


「藤本ぉ・・・。もっと実現可能な目標を立てなよ」

ようやく矢口が凍った空間に熱を吹き込んだ。

「全然、実現可能ですって!」

心の中ではみんな「どこがだよ!」とツッ込んでるが
決して誰も口には出さない。

74 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:01

「美貴、色々考えたんです。どうすればキレないでいられるか」
「あぁ・・・そう・・・」
「ちょっとみんな、もっと興味持ってくださいよ!」

仕方なしに藤本に耳を傾ける。

「発表します。私、藤本美貴。二十歳は・・・・・・・『ぶりっ子キャラ』でいきます♪」

キャハッ♪とあの藤本が石川ばりのスマイルをしてみせたもんだから
メンバー全員、困惑の色を隠せない。

「あの〜・・・・ミキティ?」
「キャハ♪ウフ♪」
「美貴ちゃん?」
「キャハハハ♪ウフフ♪」

「・・・藤本さん、熱でもあるんじゃないですか?」
「・・・やっぱり、コンサートで忙しかったから」
「・・・フットサルとかもあったし」
「そんなことないって♪キャハ♪」

「でもさ、なんでぶりっ子キャラなんだよ」
「ちゃんと理由があるんです♪」
「理由?」

「ほら、ぶりっ子キャラならキャピキャピしてて怒る雰囲気がないじゃないですか」
「人によるだろ・・・」
「でも、いいんです♪これから藤本美貴はキャピキャピのぶりっ子キャラに生まれ変わるんです。キャハッ♪」


・・・やはり、無理がある。


75 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:01

「・・・藤本さんがキレるに2000円」
「れいなは3000円」
「えりは3500円」
「ほら、そこ。そんなことしなぁ〜い♪キャハ♪」


「おいら、寒気がしてきた・・・」
「矢口さんもですか?実は石川も・・・」
「美貴のあったかいスマイルで暖めてあげます♪キャハハ♪」


「愛ちゃん、なんか食欲が出ないね」
「そやね・・・・」
「じゃあ、美貴があ〜んしてあげる♪ウフ♪」


「もういいから元に戻れ」
「なに言ってるんですか?これが本当の美貴ですよ♪キャハ♪」
「冗談はいいから」
「冗談じゃないですよ♪ウフ♪」

「だから・・・・・・」
「なんてたってあいどぉ〜る♪」
「藤本・・・?」

「なんてたってあいどぉ〜る♪」
「ちょ、ちょっと藤本!」
「フフン♪」



「・・・・これはもしや・・・」
「美貴ちゃん・・・・ホントに壊れちゃった・・・・?」

メンバー全員が騒然とした。
さっきまでは普通の藤本だった。
だが、突然ヒューズが飛んだように狂い出した。
なにが原因で・・・?
なにがきっかけで・・・?
とにかく目の前にいる藤本は・・・・キショかった。

76 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:01

「どうしたんですか?みんな、元気にいきましょうよ♪」

あなたのせいですよ、藤本さん。

「もう。みんなそんな態度だと美貴怒っちゃうぞ♪プンプン♪」



「だ、誰か、あいつを止めろ・・・」
「さもないと街が滅びる・・・」
「イヤァ!今日が地球最後の日だなんて・・・」

そう終わるときなんてあっという間・・・・。
こうやって地球は終わってくんだね。

「な、なにか作戦を・・・」
「作戦っていったてどうするんですか?」
「どうするもこうするもとにかく藤本を・・・」
「美貴ちゃんを?」
「亀甲縛りで縛る・・・とか」
「・・・真面目に考えてください」

慌てれば慌てるほど物事というのは深みにはまっていくもの。
いっこうにいいアイデアが浮かばない。

「あ〜、もうどうしろって言うんだよ!」
「落ち着いてください!」
「落ち着くもクソもあるか!おいらが発狂するぞ」
「じゃあ・・・・こーゆーのはどうですかぁ?」

救いを差し伸べるような小川の一声にみんな(藤本以外)が一斉に注目した。

77 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:02

「メンバーみんなで藤本さんのキレそうなことをしたり、言ったりするんです」

「はい?」
「だから、メンバーみんなで・・・」
「ちょ、ちょっと、待ってよ。キレさせてどうするのさ?」
「それは・・・・・わかりません」
「わからないのかよ!」
「でも、なにもしないのよりマシかと」

そう何もしないのは何も考えないのと同じこと。
失敗したっていいじゃないか。人間だもの。

「・・・くじ作りましたからみんな引いて下さい。それで順番に藤本さんにアッタクしてください」

無言で頷くとそれぞれクジを引いていった。

「うわっ、おいらが一番かよ!」
「やった、最後」
「うわぁ・・6番。微妙!」


とにかく準備は整った。
あとは目の前にあるものにぶつかっていくだけ。


78 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:03

1番・矢口真里

「うわぁ、なんだか緊張するなぁ〜〜」
「頑張ってください、矢口さん。最初が肝心ですから」
「うん・・・。死んだら、泣いてくれよな」
「泣きますとも。アマゾン川の領域面積ぐらい泣きますとも」


おそるおそる藤本に近づく矢口。

「ねぇ、藤本」
「なんですか♪矢口さん♪」
「その・・・・いい天気だね」
「そうですね♪お日様が気持ちいい♪」

(なにやってるんですか、矢口さん!ちゃんとやってください!)
(う、うん・・・)

「あ、あのさ・・・」
「なんですか?」
「藤本ってさ・・・・ソロのときはもっとかわいかったよねぇ」

(ブチッ)

「あ、いや、そういう意味じゃなくて・・・その・・・大人っぽくなったってことだよ」
「あら〜、もう矢口さんったら♪美貴、嬉しい♪」
「う、うん。それだけ。じゃ、じゃあ!」

逃げる様に退散。

「ダメじゃないですか、矢口さん!ちゃんとやってくれなきゃ!」
「やっぱりあの目がねぇ・・・」
「仕方ないですね・・・じゃあ、次!」


79 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:04

2番・紺野あさ美

矢口と同様に恐る恐る藤本に近づく紺野。

「み、美貴ちゃん」
「あら、紺ちゃん♪今日もほっぺが可愛い♪」
「えっ、あ いや・・・その・・・ありがとうございます」
「あんまり可愛すぎてチューしちゃうぞ♪」
「えっ、あ あ!」

その瞬間を見てしまった。
藤本が紺野にキスした瞬間、紺野の魂が吸い取られて行くさまを。

「イヤあぁぁぁぁぁ!」


「ついに犠牲者が・・・」
「紺ちゃん・・・君の命を無駄にしないよ」
「じゃあ・・・・次の人・・・」
「あっ、私だ」
「重さん、ガンバ!」


80 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:04

3番・道重さゆみ

前の2人とは違って落ち着いた感じで藤本に近づく。

「藤本さん」
「ん♪」
「藤本さんって、可愛いですよねぇ」
「あら、重さんったら♪」
「まぁ、私には及びませんけどねぇ♪」

(ブチッ)

「あ、あらぁ、何言ってるの?美貴の方が可愛いもん♪キャハ♪」
「あらやだ。さゆみんの方が可愛いもん♪」

(ブチブチッ)

「ちょ、ちょっと、美貴の方が可愛いに決まってるでしょ♪」
「藤本さん、鏡見たことないんですか?かわいそう・・・」

(ブチブチブチッ)


「も、もうダメだって、さゆ!!」

「だいたい藤本さんは・・・・って、ちょっと!なにするのれいな!えり!」

慌てて飛び出した亀井、田中に連れて行かれる道重。


「いい線までいってたけどなぁ・・・」
「重さんの命を優先しましたね」
「まぁ、この調子でいこう。次は・・・・」
「はぁい。アタシです」
「り、梨華ちゃんか・・・・。まぁ、期待はしないけど」


81 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:05

4番・石川梨華(また4という数字を引いてます)

さすが藤本と同い年あって一気に接近した。

「ミキティ」
「ん、梨華ちゃん♪」
「ミキティってぇ・・・・すっごく貧乳だよね♪」

(ブチブチッ)

「そ、そんなことないよ。ちゃんと胸あるよ♪」
「そうかなぁ」

(ちょっと梨華ちゃん、マズくないか?)
(そうですね。特に前に重さんのダメージが残ってるから)

空気を読まない。
石川の得意技ではある。
ここにきてその得意技が炸裂した。
調子に乗った石川はとんでもないことを口走っていく。

「どこ?どこに美貴ちゃんのおっぱいがあるの?」
「・・・・・・・」

(やっぱ、マズいって)
(誰か石川さんを止めにいかないと)

それでも石川の暴走は止まらない。

82 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:05

「ほらぁ、石川のおっぱいは『ふかふか豚まん♪』って感じだけどぉ、美貴ちゃんのおっぱいは『コンビニで売ってるドラ焼き』って感じじゃん♪」

(ブチブチブチッ!)

「り、梨華ちゃんも口が悪いねぇ・・・」
「そんなことないよ。メンバーみんなが思ってる事実だもん」
「・・・・・・」


もうそれだけでも十分だった。十分なはずだった。
だが、トドメは更に強烈だった。


「しかもね、そのドラ焼きの皮の部分がパットなの♪」

(ブチブチブチブチブチ―ッ!!!)




83 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:06




その瞬間、誰もが言葉を放つことさえ忘れた。
息を飲み、日本中の全国民が固唾をもって見守った。
そして、今まさにその答えが出ようとしている。



『心身の藤本が描く回し蹴りは栄光への架け橋だ!』



決まったぁ――っ!!



藤本の見事なまでの回し蹴りは
石川の弱点であるアゴを強打し
石川は身体を中に浮かせ斜方投射曲線を描いたのであった。



「り、梨華ちゃんっ!」
「石川さんっ!」

石川に駆け寄るメンバー。


「ちょ・・・超気持ちいぃ・・・・・」


若干のS気味のセリフを残し、石川は気絶した。
せっかくの誕生日だったのに・・・。


一方、回し蹴りを決めた藤本は

「あれ・・・?美貴・・・・なにやってんだろ?」

普通に元に戻っていた。

84 名前:栄光の架け橋 投稿日:2005/01/24(月) 22:06


とにかく、こうして地球の平和は保たれたのであった。
メデタシ、メデタシ。



ちなみにふっとばっされた石川だが
意識が戻ったときにはすでに日付変わって矢口の誕生日になっており
とんだ二十歳の誕生日を終えていたのであった。



「イヤぁ!こんな終わり方イヤぁ!なんで石川がこんな目にあわなきゃいけないの!」


だって、キャラだもん。




【栄光の架け橋・END】



85 名前: 投稿日:2005/01/24(月) 22:06

86 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/24(月) 22:07

ちょい古いネタ(去年の8月だもんね)でした。
ちょっと石川さんがかわいそうだったかも・・・。

それでは、次のお話まで。

87 名前:マカロニ 投稿日:2005/01/24(月) 23:50
はじめまして(^O^)
いつも吹き出しながら読んでましたW
ミキティが毎回おもしろくて、お腹痛いです!今回の石川さんも良かった〜
いいとものやつが思いだすだけでおかしいしさすがって感じで♪
そんでは作者さん頑張ってください!!(>_<)
88 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/25(火) 00:22
(; T▽T)<ヒドイ……



読んでて微笑ましいです
応援しております
頑張ってください
89 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/25(火) 15:27
かなり笑った
梨華ちゃんキャワ!
90 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/01/29(土) 13:58
ミキティの暴走にチヤーミーのとんだ災難な誕生日。
すっごく面白かったです!
それにしてもやっぱりミキティは今のままがお似合いですね。
更新待ってます。
91 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/01/29(土) 13:59
すみません、あげちゃいました。汗
92 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/31(月) 14:58
笑た笑た。オモロイっス。
93 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/31(月) 18:23

>>87 マカロニ 様
こちらこそ、はじめまして。
ホントいいともの石川さんはナイスキャラでした。
ゆっくり更新していきますが、これからも読んで頂ければ光栄です。

>>88 名無飼育 様
はい、ありがとうございます。
石川さんのハッピーエンドはいつになるやら・・・。

>>89 名無飼育 様
これからも石川さんが絡みまくる予定です。

>>90 通りすがりの者 様
ありがとうございます。
実はミキティの誕生日編も製作中だったり・・・。

>>92 名無飼育 様
これからもニヤリと笑える話を書いていきたいです。



それでは次のお話へと参ります。
あの2人組が登場いたします。



94 名前: 投稿日:2005/01/31(月) 18:23

『幸福恋愛論』
愛って簡単に崩れゆくものなんだね。


95 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:24


薄暗い部屋の中。
カーテンは外の太陽の光を完全に遮断している。
閉め切られた部屋の中を
パソコンの光だけが妙に明るく照らしていた。

どうやら、ここはなにかの研究室らしく
研究台の上には所狭しと試験管と三角フラスコが置かれ
その中には黄色やら青やらの液体が入っていた。

そして、部屋の一角には
試験管を持ちながら何やら難しい顔をした人影と
ポリポリとポテチを食べている人影があった。
つまり、この部屋の使い手はこの2人ということになる。

難しい顔をしていた方が試験管に三角フラスコの液体を注ぎ込むと
ポン♪と音をたてて液体が躍りだした。
やがて液体は鮮やかな黄色を示していた。

「・・・のん、ついに完成したで」

試験管女がポテチ女の方を振りかえる。

「・・・ついにですか」

それでも、ポテチ女は食べる手を止めない。

96 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:24

「そう。ついにや。ついに完成や」
「長かったですなぁ」
「ホンマに長かった」

ポテチ女はつまみ食いに満足したらしく
ようやく席を立ち試験管女のもとまでやってきた。

「あいぼん・・・今度の薬はどんな薬なの?」
「フフフッ・・・。題して『リャクダツアーイ』」
「『リャクダツアーイ』?」
「そうや。これさえ使えば世界平和間違いなし」

試験管女こと、加護亜衣はニヤリと笑みを浮かべた。
一方、ポテチ女こと、辻希美は指先についた残りカスを舐めながら
その『リャクダツアーイ』という奇妙な液体を見つめている。

「まぁ、とりあえず・・・・誰かに実験した方がいいんじゃない?」
「実験?」
「うん。誰かに実験台になってもらって研究結果をまとめないと」
「あぁ、せやな。この薬の効果を確かめるにはな、2人必要なんやけど」
「2人・・・?」
「誰がええかな・・・?」

「「う〜ん・・・」」

乏しい脳みそをフル回転させる。

97 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:25

「矢口さんと梨華ちゃんは?」
「あの2人はあかん」

「そっか。じゃあ、美貴ちゃんと亜弥ちゃん」
「その2人もあかん」
「なんで?」
「なんでもあかん」

「「う〜ん・・・」」

「待てよ・・・」
「?」
「のん、良いアイデアが浮かんだ!」
「良いアイデア?」
「そうや。これならこの薬の効果がちゃんと確かめることが出来るで」
「そうでっか。・・・・ところでこの薬の効果ってなんなの?」
「それはな・・・・。明日、教えるで。イヒヒヒッ・・」

何やら不気味にケタケタ笑い出した加護を見ながら
再び辻はポテチの袋に手を伸ばした。




98 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:25


――― そんでもって翌日...。



「久しぶりやな。ここに来るのは」
「まぁ、あいぼんはフットサルのメンバーじゃないからね」

2人はフットサルの練習場に来ていた。
ぐるりと辺りを見渡す。
どうやら『実験台』はこの中にいるらしい。

「さぁ〜てと。実験台、実験台は・・・・と」
「んっと・・・あそこじゃない?」

辻が指差す方向には
練習が終わりぐったりしている藤本がいた。

「ホンマや。ほな、のの行くで」

てくてくと2人揃ってコートのふちを歩いていく。

99 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:25

「お〜い、ミキティ」

その声に
汗で前髪がべっとりおでこに張りついている藤本が振りかえった。

「あら、のんちゃんとあいぼん。・・・って、のんちゃん練習サボったでしょ?」
「え、あ いや・・・その・・いろいろあって」
「いろいろじゃないでしょ」

そう言いながら藤本の手は辻のお尻にのびていた。
『触り魔ミキティ』の由来はこのあたりにあるらしい。

「美貴ちゃん・・・セクハラはやめてよ」
「セクハラじゃなくてスキンシップだよ」
「セクハラだよ」

もう1人違った甲高い声が混ざった。
どうやらもう1人の実験台ターゲットが3人のもとへやってきた様子。
石川梨華。
辻と加護を見つけたので嬉しそうに近づいてきたようだ。

「梨華ちゃん、これはセクハラじゃなくてスキンシップ!」
「どう見てもセクハラにしか見えないけど」
「チッ、チッ、チッ。甘いな梨華ちゃん。セクハラっていうのはこういうのを言うんだよ」

藤本の手が前の方にのびる。

「バ、バカぁ!」

さすがの辻も後退する。
藤本さん・・・同性とはいえ完全にセクハラです。

100 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:26

「ところで今日はあいぼんまでどうしたの?」
「あぁ、そうそう。実はな、梨華ちゃんと美貴ちゃんにお願いがあって来たんよ」
「お願い?」

「そう。2人ともこの薬を飲んで欲しいの」

2人にカバンから取り出したビンを渡す。
中には液体が入っていて、なにやら怪しげな黄色をしている。

「何コレ?」
「これはな、とっても良い薬なんや」
「ホントに〜?なんか変な薬なんじゃないの?」

石川さん・・・ズバリです。

「そ、そ、そんなわけないじゃん」
「え〜、怪しいよ」
「怪しくない」
「あ・や・し・い」
「怪しくないもん!」

「まぁ、いいじゃん、梨華ちゃん。試してみようよ」

意外にも藤本が助け舟を出してくれた。
この助け舟に乗らない手はない。

101 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:26

「そ、そう。実はな、コレは豊胸剤なんや」

とっさにひらめいた加護の真っ赤な嘘。

「豊胸剤?」
「そ、そうや。これを飲めば美貴ちゃんもあややぐらいになるで」
「亜弥ちゃんぐらい・・・?」

藤本の頭の中をあややのおっぱいが駆け巡る。
あのおっぱいが自分のものになるのだ。
あの『おっぱい』が。

「イヒヒヒ・・・亜弥ちゃんか・・・」

なんともイヤらしい笑みを浮かべながら妄想にふける藤本。
これで藤本は完全に落ちた。
一方、石川は首を傾げつつあった。

「豊胸剤じゃ、あたし要らないんだけど・・・」

この言葉に世の女性何人を敵に回しただろうか。
少なくとも目の前にいる藤本と辻は確実に敵にまわったと言っていい。

「い、いやな。矢口さんが『最近、梨華ちゃんのおっぱい、張りがないんだよね〜』って言ってたねん」
「えっ!?真里ちゃんが!?」
「そ、そうや。なんか『触ってても触りがいがなくなってきた・・・』って」
「そんな・・・・・でも・・そういえば最近ご無沙汰だし・・・」
「そうやろ。きっと矢口さん、梨華ちゃんのおっぱいに飽きてきてるんや」

石川は加護の効果的な一言で
一気にネガティブチャーミーになっていった。
それにしてもよくもまあ、加護はここまで嘘を並べたもんだ。

「その薬って、即効性あるの?」
「もちろんや!飲んで2時間すれば効果てきめんやで」
「実は今夜、真里ちゃんが家に来ることになってるんだよね・・・・」
「それじゃあ、飲めば今夜梨華ちゃんに矢口さんが燃え上がること間違いなしやで!」
「じゃあ・・・・飲もっかな・・・」

こうして2人は薬を試しに飲むことを了解したのであった。

102 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:27

「絶対、安全な薬やから安心して」
「うん・・・」

「とりあえず目隠しせな」
「目隠し?」
「そう、目隠し」
「えっ、ちょっとぉ」

加護は、手早く石川と藤本の頭にタオルを巻いて目隠しをする。
この時点で2人は豊胸剤ではないと気付くべきだった。

「ハイ、口開けて」

液体をゆっくり流し込む。

「ウゲ、変な味!なんだよ、コレ!」
「まず〜い・・・」

「いい?飲んだら目隠し取るよ」

加護は一旦、辻を離れさせると2人のタオルを取った。
目隠しを取った2人はお互い目をあわせた。

「まずかったね・・」
「うん・・なんかザリガニの水槽みたいな匂いがしてたし・・・」
「うん・・・ん?」


藤本は石川をまじまじと見つめていた。
石川もその視線に合わすかのように藤本を見つめていた。


「ん・・・美貴ちゃん・・・」
「梨華ちゃん・・・・」


2人はじ〜と見つめあったまま。
一体何が起きたのだろう?

103 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:27


「あ、あのさ・・・」
「何・・・?」
「梨華ちゃん・・・かわいいね・・・」
「み、美貴ちゃんだって・・・かわいいよ・・・」



お互い顔を赤らめてもじもじしている。



「そのさ・・・なんだか美貴・・・梨華ちゃんのこと・・・す  好き・・・になっちゃった・・・」



はい?・・・あの藤本さん?
今、なんとおっしゃいましたか?
藤本さんには松浦さんがいるじゃないですか?



「梨華ちゃんのこと好き!」



「あ、あたしも美貴ちゃんのことが・・・   好き・・・だよ」



へっ?石川さんまで。
矢口さんはどこに飛んでいったんですか?



「梨華ちゃん!」
「美貴ちゃん!」

次の瞬間、2人はお互いを確かめる様に熱く抱きしめあっていた。
突然のその光景にいつも以上にポカ〜ンとする辻。

104 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/01/31(月) 18:28

「実験は成功や!」

1人喜ぶ加護。

「ねぇねぇ、あいぼん。つまり、この薬は・・・」
「そう。コレを飲んで初めて目があった人のことを好きになってしまうわけよ」
「ほぇ〜・・・そうなんだ・・・」
「鳥の性質を真似したのよ」
「鳥?」
「そう。鳥はね、初めて見た動く生き物をお母さんだと思いこむ性質があるわけ」
「うん ? 」
「つまり、初めて見た動く生物が人間だったなら人間をお母さんと思いこむわけ」
「ほぇ ? 」
「それをな、うまく応用したのがこの薬や」

「なんだかよくわからないけど、とにかくすごい薬なんだね」
「そう!」

気付けばまだ石川と藤本は強くお互いを抱きしめあっていた。

「でも、なんで実験台に美貴ちゃんと梨華ちゃんを選んだのさ?」
「それはな、梨華ちゃんには矢口さん、美貴ちゃんには亜弥ちゃんという恋人がいるわけや。お互い違う愛があるのに、この薬でその愛を越えてしまうほど愛が芽生えてしまう。つまり、この薬の効果はホンモノってわけ」

なるほど。確かに加護の言うとおりだ。
ある意味、略奪愛のために薬と言っていい。

「とりあえず、これで8割がた実験は成功や。のん、帰ろ」
「えっ、もう帰るの?」
「うん。あとは若けぇもんの好きにさせときゃいいのよ」

石川と藤本はまだ抱き合ってる。
ホントにこのままにして大丈夫なのだろうか?
辻は若干の不安を残しながら、その場を後にするのであった。

105 名前: 投稿日:2005/01/31(月) 18:28

106 名前:ゆーたん 投稿日:2005/01/31(月) 18:29

てなことで、次回に続きます。次回、完結です。
ラストシーンは・・・・・・?


107 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/01(火) 02:30
面白いです。次も楽しみにしてます。
108 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/01(火) 14:09
触り魔ミキティW
さっそく笑いましたWいつも話の中にこうゆうネタが入ってて面白いです!
続き気になるんでマイペースにまっとります☆では更新おつかれさまで
109 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/02/05(土) 19:44
なにやら大変なことに!この先どうなることやら・・・。
でも面白い!更新待ってます。
110 名前:ゆーたん 投稿日:2005/02/06(日) 21:45

誠に申し上げございませんが
しばらく更新できない状態になってしまいました(パソコン故障)。

(T▽T)<スミマセン・・・。

三月までには復活いたしますので
更新を待っていただいてる方々、よろしくお願いします。

111 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/02/12(土) 15:33
いえ、自分もパソコンが故障していますので、
ゆっくりと更新待たせていただきます。
112 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 16:55
初めて読みました。すごくおもしろいですね。楽しみにしてます。
113 名前:ゆーたん 投稿日:2005/02/17(木) 11:05

長い間、交信できなくてすみませんでした。
更新を再開いたします。


>>107 名無飼育 様
ありがとうございます。楽しんでいただければ光栄です。

>>108 マカロニ 様
ミキティの真相はいかに・・・。
実は昔、石川さんがテレビかラジオで「矢口さんはボディタッチが多い」
と言ってたことからこのいしやぐ関係の図式になってたりもします。

>>109 通りすがりの者 様
ついに最後はこんなことになってしまいました。
パソコンはなおりましたか?

>>112 名無飼育 様
なかなか更新が出来なかったですが、またお楽しみください。



それでは前回の続きです。



114 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:05

こんな日に限って悪いことって続くんだよね。ホントに。


115 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:06

この日、珍しく松浦もフットサルの練習場に姿を見せていた。
目的はただ1つ。
練習終わりの藤本を強引に買い物へと連れて行くためであった。

だが、練習時間はとっくに終わっているというのに
藤本はなかなか出てこない。

「ミキたん、なにやってんだろ?とっくに練習は終わってるハズなんだけどなぁ・・・」

さっき出てきたスタッフに聞いたところ
1時間ほど前に練習は終わったと言っていた。
しかし、一向に出てくる気配はないし
先に帰った形跡もまったくない。

それなら中に入って確かめればいいのだが、
もしかしたら自主練習でもしているのかもと思い
入るのを躊躇っていたのである。


愛する人が真剣になっているのを邪魔したくない・・・。

松浦の心温かい配慮だった。


116 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:06

しかし、外は寒風吹き荒れる状況。
松浦は手の甲まで冷たくなっていた。

「・・・たん、寒いよぅ・・・」

手を擦って温めてもすぐに冷たい風にさらされて冷えてしまう。
こんなことをさっきからずっと繰り返していた。


と、ここで入口に人影が見えた。

「ミキたん・・・?」

確かに練習場から藤本が出てきた。
石川と2人で出てきた。
別にこれだけならなんてことない。
だが、問題はその次の行動にあった。

「ミキたぁ〜・・・・・  んっ!!」

藤本を呼ぼうとした松浦は愕然とした。
入口から出てきた2人は仲良さげに手を繋ぎ
そして、目の前で熱いキスをしたのだ。

今まで寒い思いをしていた松浦をあざけ笑うかのような熱いキスを。

117 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:06

あまりのことにキョトンとする松浦。
目のまえで激しいキスが繰り広げられている。
いくら人気がないとはいえ公共の場で。

「ちょっとぉ!2人とも!」

叫びながら慌てて藤本と石川に近づくが、
2人はキスに夢中で松浦に気付かない。

近くまで来てよく見ると舌が動いているではないか。
ディス・イズ・ア・『ディープ・キス♪』

「何やってんのよ!!ミキたん!!」

ようやく2人も松浦の存在に気付いたようだ。
キスをやめ、お互いの体が離れた。

「あら、亜弥ちゃん、いたの?」
「『いたの?』じゃないでしょ!何やってんの!」

「何って・・・キスじゃん」
「キ、キスってねぇ!」
「あ、ごめん。ディ―プキスだった」

この際そんなことはどうでもいい。

「いつからミキたんと梨華ちゃんはそんな関係になったの!」
「いつからって・・・ねぇ、梨華ちゃん」

藤本は隣にいる石川を見る。

118 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:07

「亜弥ちゃん、ごめんね。今日からあたしと美貴ちゃんはこういう関係になったの」
「こ、こういう関係って!・・・だいたい、梨華ちゃんにはやぐっつあんがいるでしょ!」
「矢口さん? 矢口さんはただのお友達だよ」
「だ、だって、あんなにラブラブだったでしょ!」
「もう過去の話じゃん。今は、美貴ちゃんなの♪」
「な!」

この泥棒猫に何言っても無駄。
そう思った松浦は今度は藤本を問い詰める。

「ミ、ミキたんはどうなのよ!」
「何が?」
「ミキたんは誰が一番好きなの?」
「え?美貴?」
「ミキたんはもちろん松浦のこと好きだよね?」

藁にもすがる思いだった。
だったが・・・。

「え〜・・・美貴の好きなものは・・・1位が梨華ちゃん。2位がレバ刺し。3位がカルビで、4位がタン塩だけど・・・」
「へっ? わ、私は?」
「亜弥ちゃんは8位。ちなみにキムチが7位ね」

韓国の漬物に負けた松浦。
悔やんでも悔やみきれない。
みるみるうちに涙を溜めていった。


「ミ、ミキたんのバカぁ!ミキたんなんて焼肉食べすぎてデブデブになって、ペチャパイだけはそのままで、フットサルで骨折して入院して、復帰祝いにレバ刺し食べて食中毒に当たっちゃえばいいじゃん!」


なんとも汚い捨てゼリフを残し
ワーッと泣きながら出ていってしまった。




「・・・・どうしちゃったのかな、亜弥ちゃん?」
「さぁ〜・・・?生理なんじゃん」

松浦の想いなど知るよしもない2人であった。

119 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:07


「亜弥ちゃんはほっといて・・・」
「ん?」
「早くご飯食べに行きましょ♪」
「そうだね♪」

「ご飯食べたあとはどうする?」
「それはもちろん・・・あたしの家に来てぇ・・・・一緒にお風呂入ってぇ・・・そのあとはぁ・・・」

急にフリフリし始めてポッと顔が赤くなる石川。
・・・まったく、この人は何を考えいるのでしょう。

「なに、そのあとは?」

意地悪そうに笑みを浮かべる藤本。

「もう・・・美貴ちゃん、わかってるくせにぃ♪」
「え〜、美貴わかんない。教えてよ、梨華ちゃん」

「・・・今夜わかるから♪ね♪」
「じゃあ、楽しみにしてるね」
「うん♪」


こんなおバカなカップルは再び手を繋ぐと
タクシーを拾い、夕暮れの東京の町へと消えていくのであった。







120 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:08


矢口は、石川の家に向かっていた。
前の石川の発言にあったように
この日、石川は矢口を自分の家に招待していたのだ。

「ちょっと遅くなっちゃったかな〜」

顔をしかめながら時計を気にする矢口だったが
実は今日、朝起きたそのときから
心の中はロマンティク浮かれモードだった。

「ムフフッ・・・久しぶりだなぁ、梨華ちゃんの家。よぉし、今夜は寝かさないんだからぁ♪」

密かな決心を抱き、顔がにやけきっている。
そんなもんだから思わずスキップしてしまう。
石川家にはあっという間に到着した。


ピンポーン♪


し〜ん・・・・・・


ピンポーン♪


し〜ん・・・・・・


・・・・・・反応がない。
もしかしたら、外出してるかもと思ったが
外から見る限り部屋からは明かりがもれている。

「おっかしーなぁ。部屋の電気はついてたはずなんだけど・・・」

仕方なく矢口は、先月作った合い鍵を使って石川の家に入った。


121 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:08

「梨華ちゃぁ〜ん?」

し〜ん・・・・・


相変わらず返事がない。
仕方なく矢口は靴を脱いであがらせてもらうことにした。
ひたひたと廊下を歩き、リビングの扉を開けた。





・・・・・・・いや、開けるべきではなかったのかもしれない。





いつもと変わらない石川家のリビングだった。
この前来た時と同じカーテン、同じ家具の配置。
全てが見なれた景色だった。・・・・ただ一点を除けば。


ソファの上で何かがうごめいている。


それは、すっかり裸で抱き合いチョメチョメしている石川と藤本だった。

122 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:08


「な、な、何やってんだよ!!!!」

・・・そりゃ、矢口さんも大声になるわ。

「・・・あら、真里ちゃん。見ちゃ、イヤン♪」

イヤンと言いながらも隠すそぶりをまったく見せない。
Dカップ(推定)とAカップ(本人は違うと言い張っている)が
矢口の目の前であらわになっている。

「ひゅじもとぉぉぉ(藤本)!!!!」

「・・・矢口さん、なに怒ってるんですか?」
「お前、おいらの梨華ちゃんをよくもぉぉ!!!」
「はぁ?」
「やっぱり触り魔だったのかぁぁ!!何回触ったんだ!」

「待って下さい」
「待てるか!」

「矢口さん。梨華ちゃんから誘ってきたんですよ」


「・・・へっ!?」


「美貴からじゃなくて、梨華ちゃんから言ってきたんですよ」
「う、嘘だ!」
「嘘じゃないですもん」
「嘘だ!」
「じゃあ、本人に聞けばいいじゃないですか?」

思わず石川を見る矢口。
が、石川の胸にすぐ目がいく。

・・・・・・矢口さんも結構えっち♪

123 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:09

「・・・真里ちゃん」
「・・・梨華ちゃん、嘘だよね・・・・嘘って言ってよ・・・」
「・・・・・・」
「・・ねぇ・・嘘だよねぇ・・・・・」



「・・・ごめんね、真里ちゃん。ウフ♪これから美貴ちゃんといいトコロなの♪」



浅間山の100トン岩が矢口さんの頭の上に落ちました。
矢口さんのちっちゃい頭は跡形もなく
上州の土になりました。


「美貴ちゃん。先にベットに行ってて♪」
「うん」
「ちょっ、ちょっと!」
「さ、真里ちゃん。帰って」
「えっ、ええっ!あの・・ちょっと・・・・おいらの話はまだ・・・」

矢口は全裸の石川に追い出されるように玄関の外に出ました。


「じゃあね、真里ちゃん。明日もお仕事頑張ろうね♪あたしは、今夜もがんばるぞ♪」


バタンッと勢いよくドアが閉まると
冷たい2月の風が矢口を包み込みました。


かたや、ニャンニャン。
かたや、独りぼっち。
あなたはどっちがお好き?



「り、り・・・梨華ちゃんのバカァァァッ!!」



矢口は泣きながら石川の家をあとにしました。

このあと矢口は新橋で
飲み家街をはしごする姿が目撃されたとか、されないとか。


124 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/17(木) 11:09

125 名前:ゆーたん 投稿日:2005/02/17(木) 11:10

すみません。
前回『次回で完結』と書きましたが、
諸事情により(パソコンの長期離脱の影響)2回に分けさせていただきます。
なので、次回が正真正銘のラストシーンです。


126 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/17(木) 15:36
おもろ〜ぃ!!!甘甘な雰囲気を出してて・・・。
私は、みきりか好きなので結構いいっス。
でも、松浦さんと矢口さんが・・・。
127 名前:ゆーたん 投稿日:2005/02/18(金) 11:15

>>126 名無飼育 様
甘いあとにはちょっぴり刺激の強いものを・・・。


それでは続きです。


128 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:15

みんな幸せにな〜れ☆


129 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:16

ちっちゃい邪魔者(リーダー)を排除した石川は
ウキウキしながらそのまま寝室へと向かう。
ベットにはもう藤本が待っていた。

「美貴ちゃぁ〜ん♪」
「愛してるよぉ〜」

ベットの藤本めがけて飛び込む石川。
と、同時にすぐさまロマンティックチョメチョメモードへ・・・


「ちょっ・・美貴ちゃん、早ぃ〜♪」

「いいじゃん。もう全て知ってるんだから」

「・・・やぁん・・・美貴ちゃん・・・」

「梨華ちゃん、可愛い・・・」

「イジワルしちゃ、ヤダよ」

「・・・いっぱいイジワルしちゃお♪」

「もぅ・・・」


暗い寝室のベットの上で愛し合う2人の声が響く。
その声のトーンは次第に高ぶっていく。
それはお互いの愛を確かめあうように・・・。
それは愛する人のために・・・。


「ん・・・・」



快楽の世界に引き込まれた2人。
この日は夜遅くまでベットのきしむ音が聞こえていたという・・・。





130 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:16


そのころ研究室では・・・・

「ふぁ〜ぁ〜・・・あいぼん、眠いね・・・」
「もうちょい待って。もうすぐで終わるから」

なにやら難しそうな原稿とパソコンを
同時ににらめっこしている加護。
なにやら、新しい研究内容らしい。

「ねぇ、あいぼん」
「ん〜?」

「大丈夫かな〜?」
「なにがぁ?」
「梨華ちゃんと美貴ちゃん」

さっきから辻は胸騒ぎがしていた。
なにか自分達はとんでもないことをしてしまったのではないか?と。

「なんや、のん。ウチの発明品が信じられへんのか?」
「いや、そうじゃないけど」

あの2人を実験台に選んで正解だったのだろうか?

「のん、そんなに心配せんでええで。あの薬はな、12時間しか効果がないんや」
「えっ?」
「そやから、もうすぐ効き目は切れるはずや」

時計を見る。
確か2人に薬を飲ましたのは4時すぎ頃だっただろうか。
長針と短針の追いかけっこゲームは
日付変わって4回目の追い越し寸前だった。

「じゃあ、あと1時間ちょっとすると薬の効果もなくなるんだ」
「そうや。朝起きたら薬を飲んでいる間のことは覚えてないさ」


覚えてない・・・・?


131 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:17

「・・・なんにも覚えてないの?」
「そうやで」
「・・・やばくない?」
「?」
「その間に変なことしてたら・・・・」
「変なこと?」

けげんな顔をする加護。

「例えば・・・梨華ちゃんと美貴ちゃんが、あややの前でキスをしたり・・・」
「そ、そんなことないやろ。確か、亜弥ちゃんは違う仕事のはずやで」

そうは言ったものの、加護自身も『逢ってない』という絶対の確信はない。

「あとは・・・梨華ちゃんと美貴ちゃんが、矢口さんの目の前で裸で抱き合ってたり・・・」
「そ、それもないわ。昨日、矢口さんもあの2人とはあってないはずやで」

これもやはり確信はない。


「もし・・・あったとしたら・・・」


「あったいしたら・・・・ウチたち・・・確実にほされるな・・・」


考えるだけでも恐ろしいことが待っているような気がする。
なんたって『あの2人』のことだから。

キレると怖い石川梨華。
キレるともっと怖い藤本美貴。


「の、のん。はよ寝よや」
「そ、そうだね。おやすみ・・・」
「ほな、おやすみ・・・」


こんな時は早く眠りについて現実逃避に走るのが一番だった。





132 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:17


――― 翌朝...。


朝の日差しがカーテンの隙間からもれている。
もう東京は新しい朝を迎えていた。

石川はどんな時でも必ず時間を守る人であった。
やはり元運動部の部長というところが
こういった責任感に繋がるのかもしれない

少しくらい眠くたって
布団から出るのが憂鬱だったって
朝はいつも決まった時間にきちんと起きる。

それが石川だった。

今日も体内時計がきちんと朝を知らせてくれようで
目を擦りながらも起きたようだ。

「あれ・・・?あたし・・・??」

起きると同時に石川は不安を覚えた。
石川としたことが昨日どうやって自分の家まで帰ってきて
いつ寝たのかまったく覚えていなかったからだ。

ただ、自分が裸だということはすぐに理解出来た。

部屋中には使用済みで丸め込まれたティッシュが散乱していた。
それを見てポッと赤くなる石川。
思えばちょっと下半身がだるかった。

「そっかぁ・・・あたし、昨日は真里ちゃんと・・・」

隣を見れば頭まで毛布に包まって眠っている膨らみがある。
頭まで毛布を被ってしまうのは矢口の癖だった。
それを見て思わず笑みがこぼれる石川。

「・・・もう、真里ちゃんったらお寝坊さんなんだから」

133 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:18

この時点で石川の頭の中には
隣で寝ているのが矢口だと完全に思いこんでいた。
なんせ、自分は裸なのだ。
それにこの部屋の状況。
これは確実に昨日の夜も熱く愛し合ったということ。
その相手は矢口以外考えられないし、矢口以外ありえなかった。

その分、1枚の毛布をめくったときの衝撃はハンパなかった。

めくった毛布の中には熟睡しているのに
白目を向いている藤本が寝ていたのだから。


「!」


それを見た石川はすぐさま毛布を元に戻した。
今のは・・・・何か悪い夢だったのだろうか?

ためしにもう一度毛布をめくってみる。
やっぱり・・・・・・


「み み、み   美貴ちゃん  ?」


自分のベットで藤本が寝ていた。
しかも、産まれたまんまの姿、すっぽんぽんの藤本が。

134 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:18


つまり昨日、石川と愛し合った相手は・・・。



「イ、イ・・・」




(T▽T)<「イヤァァァァアァァァァアァァァァッッ――!!!!!」




石川はコウモリともイルカともとれるような超高音の叫び声を上げた。
が、藤本はビクともせずに眠っている。

慌てて飛び起きた石川はあたりに散乱したティッシュを拾った。
テイッシュは少し湿り気を残している。
石川は自分の鼻先にそれを持っていき、くんくんと匂いを嗅いでみた。

紛れもなく『あの液体』の匂い...。

ということは・・・
ということは・・・やっぱり藤本と・・・!?




(T▽T)<「イヤァァァァアァァァァアァァァァッッ――!!!!!」




本日2度目のフィ―バータイム。
さすがのねぼすけ藤本も2度目の叫び声で目を覚ました。

135 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:19

「ん、んん・・うるさいなぁ・・」
「み、美貴ちゃん・・・」
「ん  あれ、梨華ちゃん・・・  ん? んん!?」

部屋の中には石川と藤本だけ。
すっぽんぽんの石川。
同性から見ても羨ましく思えるカラダを見て
思わずエロ目になる藤本。

石川としてはこんな藤本だけには見られたくなかった




(T▽T)<「イヤァァァァアァァァァアァァァァッッ――!!!!!」




本日3度目のフィーバータイム。
あまりの衝撃波に石川家のガラスにはひびが入った。


「な、な、な、なんで美貴ちゃんがいるのよ!」
「いや・・・なんでって言われても・・・」
「覚えてないの?」
「全くといっていいほど・・・・梨華ちゃんは?」
「あたしも覚えてないの!」

朝からこの石川のテンションは辛い。

「それにしても・・・美貴、なんかだるいんだけど・・・」
「へっ?・・・ど、どの辺りが・・・?」
「・・・・・・下半身が・・」
「!?」

2人とも固まる。

「もしかして・・・梨華ちゃんも・・・?」

「・・・うん」


136 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:19

ちゃんちゃかちゃ〜ん!
梨華の方程式♪イエイ♪

「石川梨華」+「藤本美貴」+「2人とも下半身がだるい」

=「お互いに・・・・しあいっこ♪♪♪」




(T▽T)<「イヤァァァァアァァァァアァァァァッッ――!!!!!」




朝から石川家は生き地獄と化した。








――― そして、楽屋で・・・



137 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:20


「ねぇ、真里ちゃん・・・」
「・・・気安く触らないでくれる?」
「ねぇ・・」
「触るんじゃねぇ!このアゴン!」
「ぐすん・・・」
「あ〜、頭痛い・・・。昨日、飲みすぎたかなぁ・・・」

2日酔いに頭を抱える矢口。
そんな矢口に甘える石川。

「真里ちゃん、昨日のことはね・・・」
「ああ゛!」
「だから、昨日は・・・」
「昨日はあんな感じじゃ、夜はたいそう燃えたんだろうね!」
「そ、そんな・・・あれはあいぼんとのんが」
「あぁ゛!言い訳するのかよ!」
「い、言い訳じゃないけど・・・」
「もう、おいら知らない!!」
「ま、真里ちゃん・・」


プイッ>(〜`◇´〜)   \(T▽T)<そんな・・・。


一方、藤本も・・・。


「もしもし・・・亜弥ちゃん。こないだ貸したやつなんだけど・・・・へ?昨日の梨華ちゃんとのキス?・・だから、昨日のは違くて・・・・だから、のんちゃんとあいぼんがね・・・えっ、ちょ、ちょっと亜弥ちゃん!『絶交』ってそんな・・・梨華ちゃんだって覚えてないって・・・えっ、うそつきじゃないよ!・・・亜弥ちゃん?・・・もしもし・・亜弥ちゃん!!」


電話を切られる藤本。
こちらも修復不可能。

138 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:20

そんな重苦しい雰囲気の楽屋が漂っていた。
機嫌の悪いリーダー。
凹むネガティブチャーミー。
あややに絶交を言い渡され大噴火直前のミキティ。

そんな楽屋に関係なく
突如として明るいおバカな奴らが現れた。


「「みっなさ〜ん!おはようございまぁ〜す!!」」


いつも元気な辻加護がやってきた。
2人は昨日、眠る前に考えていたこともすっかり忘れていた。
ただ、なんでこんなに楽屋が重苦しいのかと疑問に思っただけだった。

「あれぇ?なんか、みんな暗いですねぇ」
「朝なんですからもっと明るくいきましょか」

呑気なことを言う2人だったが
石川と藤本と視線を合わせた瞬間、寒気が走った。

「まさか・・・・」

じりじりと近づく石川と藤本。
顔を合わせて何かを察知した辻と加護。

「・・・2人とも昨日はよくも騙したね」

藤本のドスのきいた声にようやく
昨日、眠る前に考えていたことを思い出した。
最悪のケースがどうやら現実のものになったらしい。

139 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:21

「な、何があったんです?」
「2人のせいでねぇ・・・こっちは大変なんだけどなぁ・・」

あまりの殺気にじりじりと壁際に追い詰められていく。
もう逃げ場はなかった。

「ふ、2人とも落ち着いて・・・」
「・・・落ち着いてるよ」
「ね、ね。ちゃんと話せばわかるから・・・」


そういえば歴史上で
『話せばわかる』と言いながら射殺された総理大臣のことをふと辻は思い出した。
あれは誰だったか?
誰だか知らないけど、多分そのときはこんな気持ちだったんだろうな。
辻らしからぬことを考えた。


「あ、あいぼん。は、早く研究室に戻って、ゴキブリみたく素早く逃げられる薬作らないとね!」
「そ、そうやな。も、もしくはどんなに殴られても不死身な薬やな!」



140 名前:幸福恋愛論 投稿日:2005/02/18(金) 11:21

そこまでは覚えていた。
それから先はそんなに恐ろしいことが待っていたことか。

ただ、
石川の拳が思った以上に硬かったことと
藤本の靴下の色が赤だった気がした。

そのあとはあまりに凄まじいことが起こり
2つの悲鳴は空の彼方へ消えていった。





辻が研究室で食べたポテチ
¥ 298




石川の往復パンチで負った辻の怪我の治療費
¥ 25300




藤本の回し蹴りで負った加護の怪我の治療費
¥ 38200




かけがえのない愛
¥ プライス・レス




恋愛幸福論
¥ おしまい


141 名前: 投稿日:2005/02/18(金) 11:22

142 名前:ゆーたん 投稿日:2005/02/18(金) 11:22

というわけで完結です。


次回予告
『藤本美貴、宣戦布告!打倒、岡田唯!』

もちろん藤本メイン。ギャグです。
どんな内容になるかは・・・???。



143 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/18(金) 18:38
おもろいっす〜〜〜
144 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/18(金) 23:13
すんごいおもしろいかったです!!
でもその後がなぜか気になりますけどw
あと次回作に岡田さんとは、あまり見掛けないんで、どうなるか楽しみにしてます☆
マイペースに頑張って下さい〜
145 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/02/24(木) 17:26
面白い!かなり面白かったです。 できれば続きも見たいのですが、いえ!作者様の気分次第でいいので。 次の更新待ってます。
146 名前:ゆーたん 投稿日:2005/02/25(金) 20:44

>>143 名無飼育 様
これからも頑張ります〜。

>>144 マカロニ 様
あまり岡田さんが出てくるお話はあまり見かけないですが、
けっこう岡田さんは良いキャラだと思っています。

>>145 通すがりの者 様
続きは考えてなかったですねぇ・・・。
ウ〜ム・・・。ホントに気分次第だと思いますが。
新しいお話も気ままに書いていきます。


それでは続きをどうぞ。


147 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 20:44


『藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯!』

タイトルはともかく藤本さんの20歳誕生日記念のお話です。
なので、もちろん藤本さんメイン。


148 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:45


(藤本美貴は、貧乳ちゃん。藤本美貴は、ぺったんこ)


・・・え?・・・なに?
いきなりなんなのこの神の声は?


(藤本美貴は、まな板ガール)


貧乳? まな板? ぺったんこ?
なに? 美貴にケンカ売ってるの?


(ぺったんこ♪ぺったんこ♪)


あれ?
途中から曲になった。


(ぺったんこ♪ぺったんこ♪)


どっかで聞いたことあるな、このメロディ。
・・・なんだっけ?


149 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:45

(ウェルカム、ウェルカム♪貧乳、ミキティ♪)


・・・え?


(胸がないからパットを入れる♪)


この曲・・・
なんか梨華ちゃんのユニットの新曲じゃなかったっけ?

で、でも!
でも、なんで歌詞が美貴の胸のことばっかなの!

おかしい!
おかしいって!


(少しのボリュームあれば良い♪ひ・ん・にゅ・う、ミキティ♪)


こ、こら、そこっ!
そこは『よ・う・こ・そ、ジャパン』でしょ!
なんで?なんでよ!
何で美貴の胸の歌なのよ!


150 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:47

(藤本さん)


へ?誰?
誰が美貴を呼んだの?


(藤本さん、こっちですぅ。こっち、こっち)


へっ・・・あっ!
岡田・・・唯ちゃん。


(藤本さん。聞いてくれたん?うちらの新曲『パットいれるぜジャパン』)


はぁ!?
パットいれるぜジャパン!?


(これ藤本さんのテーマソングなんです)


い、いつからそうなったんだよ。
それに美貴はパットいれてない!


(藤本さん、胸があらへんから入れてるんちゃう?)


ブチッ!なにィ!
岡田唯!もう一度言ってみい!


(んっとぉ♪藤本さんは胸がない♪)


お、おのれぇ・・・岡田唯ィ・・・・


151 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:47

(だって、ほら。うちの胸見てください。毎日、マッサージしてるから・・・こんなになっちゃった♪)


ねぇ、美貴を馬鹿にしてる?
ね、そうでしょ!美貴を馬鹿にしてるでしょ!


(馬鹿にしてへんよぉ。ほら、うちらはぁ、リーダーもボンッ!キュッ!ボンッ!やし、絵梨香ちゃんもボンッ!キュッ!ボンッ!やろ。なんと言っても、うちが一番ボンッ!キュッ!ボンッ!やんかぁ)


み、美貴だって・・・


(藤本さんは、ポン、ポン、ボンッ!みたいな)


・・・死にたい?死にたいの、岡田ちゃん!


(まぁまぁ。ここにな、藤本さんの新しい写真集があるんや)


今度出るやつ?


(そうや。それとな、うちと絵梨香ちゃんで出す写真集もここにあるんや)


だ、だからなに?


(自分で比べて見ればええやろ)


152 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:47

バサッと目の前に置かれた2冊の写真集。
1冊が美貴ので、もう1冊は三好絵梨香・岡田唯写真集。

開かれているのは水着のページ。
美貴と・・・・岡田ちゃん・・・。
美貴と・・・・岡田・・・・。


(な。わかったやろ)


わかんない!
わかんないもん!
美貴だって、美貴だって・・・

これは遺伝のせいだもん!
こんなことで悩む美貴じゃ・・・美貴じゃ・・・


・・・・ぅ・・・


悔しいよ・・・


お母さん、悔しいよ・・・


お母さん・・・


「ミキ・・」


お母さん・・・


153 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:48

「ミキティ!」


お母さん・・・えっ?


「おい、コラ!藤本!誰がお母さんだよ!」
「やぐ・・・矢口さん?」

見れば目の前に矢口さんがいた。

「まったく・・・。おいらにむかって『お母さん』とか言ってたぞ」
「え、あ き、気のせいですよぉ」

ヤバ!美貴、めっちゃ恥かしいじゃん。

「へんなミキティ」
「藤本さん、大丈夫ですかぁ?」
「大丈夫・・・   んっ!?」

お、岡田ちゃん!
ていうか、後ろにニコニコ顔の三好ちゃんもいるし。
なんでここにいるんだよ?
ここは春コンサートのリハーサルスタジオだよ!

「あぁ、大丈夫、大丈夫。どうせ、ミキティのことだから大丈夫。岡田ちゃんもそんなに心配しなくていいよ」

矢口さんが岡田ちゃんに言い放つ。

154 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:48

「なんで岡田ちゃんと三好ちゃんが?」
「あ〜!藤本さん、ひどいですよ。春ツアーはうちらも一緒にまわるんですよ」

三好ちゃんの一言で思い出した。
そーいえば、梨華ちゃんと一緒だもんな。
一緒にまわらなかったら逆に変だ。

それにしても・・・

美貴も自然に岡田ちゃんの胸に目がいく。
コイツ、ホントにデカイな。

さすが、自分達のラジオ番組で
『私が一番スタイルがええよぉ♪』というだけある。
ホントに自分でマッサージしてるのかな?
美貴もそのやり方を教わって大きく・・・ってなに考えてんだ美貴は。

それにしても
あの番組の翌日のラジオで今度は美貴が
『お前、胸小さいよな』
って言われたときの美貴がどんなにミジメだったことか!

美貴、そんなに小さいか?
脱いだら凄いんだけど。
徐に岡田ちゃんの胸と自分の胸を見比べる。

155 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:48

「お〜い、ミキティ。岡田ちゃんの胸ばっか見るな〜」
「イ、イヤだなぁ、矢口さん!み、美貴が見てるわけないじゃないですか!?」

そういいながら、めっちゃ動揺してるけどね。
実際、見てたし・・・。

「2人とも気をつけたほうがいいよ。ミキティ、おっぱい大好きだから」
「そ、そんなことないですって」
「そんなことあるだろ」
「ないです」
「あるよ」
「ないです!」
「あるよ」

「ないって言ってんだろ!このボケぇ!」


「「 ・ ・ ・ ・ ・ 」」


あれ?あれれ?
2人ともどうしたの?
もしかして、みんな怯えてる?
み、美貴はそんな怖い人じゃないよ。

「・・・な、なんちゃって♪」

慌てて自分でフォローするも
完全に三好ちゃんと岡田ちゃんは怯えている。
やっぱり、怖かったのかな?

「ミキティ、ダメじゃん。怯えさせちゃ」
「や、矢口さんが余計なこと言うからですよ」

この責任は全て矢口さんにあると思うんですが・・・。

156 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:49

「・・・まぁ、いいや。そういえば2人とも写真集出すんでしょ?」

ギクッ

そ、その話題は・・・。

「はい、そうです。2人で撮って来ました」
「いいねぇ。2人ともスタイルいいから羨ましいよ、おいら」
「そうでもないですよ。そうそう、藤本さんも出しましたよねぇ」

い、いきなりかよっ!

「ウ、ウン、まぁね。あはは・・・」

「私見たんですけどぉ、すっごく可愛かったし、大人っぽかったですよ」
「うちも見た。ホンマに色ぽかったわぁ」

この2人の証言は信用していいの?
本当は自分達の方が凄いボティしてるって思ってるんじゃないの?

「2人とも遠慮しないで言っていいんだよ。ミキティの方がひんにゅ・・」


ボスッ!ボガッ!ドスッ!


「あは、あはは。もう矢口さんったら余計なこと言うから・・・・」


「「 ・ ・ ・ ・ ・ 」」


あちゃー・・・。
また怯えさせちゃったか?

157 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:49

「い、いやぁ、その・・・2人は正直な所・・・どう思った、美貴の写真集」

失神した矢口さんをたたき起こしてから聞いてみる。

「・・・ホントに大人っぽかったですよ」
「お、お世辞はいいから」
「お世辞じゃないです。服とかも凄くよかったし・・・」

「ホントに?」
「ホントです」

「ホントに、ホント?」
「ホントにホントです」
「藤本さんに比べたら、うちらはまだ子供やな」
「そうだね・・・って、私一応藤本さんと同い年なんだけど」
「見えへん、見えへん」
「見えるって!」
「でも・・・確かに岡田ちゃんの方が年上に見える」
「ふ、藤本さんまでぇ!」


3人であはははって笑ってるうちに
ホントに三好ちゃんと岡田ちゃんはいい娘なんだと思った。
さっき美貴の中に出てきたのはきっと悪い幻想だったんだって思えた。


「・・・あの、明日藤本さんの誕生日ですよね」
「え、あぁ。そう明日2月26日は美貴の誕生日」

「それで明日は私と唯ちゃん、来れないんです。だから、今プレゼント渡していいですか?」
「うん。いいよ」

「じゃあ、まず私からのプレゼントです」

三好ちゃんからプレゼントを受け取る。
なんだろ?やっぱりワクワクする。

158 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:49

「開けていい?」
「いいですよ」

するするっと袋のラッピングをとって中から出てきたものは・・・

!?

こ、これは

『焼き肉お食事券!』

さすが、同郷の三好ちゃん。
美貴のツボをしっかり押さえとるねぇ。

「ありがとう、三好ちゃん♪美貴嬉しいよ♪」
「喜んでくれて光栄です」

ニコニコ顔を更にニコニコさせる。

「あれ?まだなんか入ってる・・・」

袋の奥に綺麗に包装紙に包まれた物に気付いた。
これまた取り出して中を見ると・・・

159 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:50

「んっ?」

こ、これは・・・

「こ、これも三好ちゃんからのプレゼント?」
「あ、それは石川さんから渡されたんです。これもついでに入れといてって・・・」

あいつのせいか・・・。

「・・・三好ちゃん、これバイ〇だよ」
「え、ええっ!」

驚きの顔をする三好ちゃん。
バ〇ブなんてありえないもんね。
・・・そこに呼んでもいないのに変な奴が現れた。

「えへっ♪気が付いた?それね、こないだ真里ちゃんに使ったの♪そしたらね、いつもよりすっごく可愛く・・・」


ボスッ!ボガッ!ドスッ!


本日2人目。
さすがの三好ちゃんと岡田ちゃんも美貴の行動に慣れてきた様子。
もう怯えることもなくなっていた。
ホント、飲みこみも早くていい娘だ。


160 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:50

「んで、これはうちからやねん」

今度は岡田ちゃんから包み紙を受け取る。

「開けていい?」
「ええよ」

中を開けて出てきたものは・・・。

「岡田ちゃん、これなに?」

なにやらボタンとディスプレイが設置されている。

「このボタンを押すとなぁ・・・」
「押すと・・・?」

「誘導型ミサイルが発射されるねん」

へっ?

「ミ、ミサイル?」

ミサイルってアレだよね。
ひゅ〜んと飛んできて、
ど〜んと爆発するものだよね?
なんで岡田ちゃんが持ってんだよ!

「大丈夫。殺傷能力はないですから。ちょっとした、おもちゃやね」

おもちゃといっても・・・

161 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:51

「藤本さんは可愛すぎるので街を歩くだけでも危険で一杯です。なので護身用にいいかなって。使い方はこの枠に目標物をセットしてボタンを押すだけ。あと、予約機能もあるんやな」
「よ、予約機能?」
「到着予定時間と目標物をインプットしてからボタンを押すとセット完了。時間通りにミサイルが飛んで行くねん」

・・・なんだか、物凄く恐ろしいものを貰った気がするんだけど。
まぁ、いいか。
2人からの心のこもったプレゼントだしね。


「・・・あれ?こっちもまだ何か入ってる」
「あぁ。それは矢口さんに持ってけって言われて・・」

こっちもあのコンビがかかわってるのかい。
包みを剥がすと・・・


『Aカップ専用・特大パット。これであなたもCカップ』


あはは、あはは、これで美貴もCカップだぁ・・
夢にまで見たCカップ♪
胸が、胸が・・・おっきいよぉぉぉ〜♪

「・・・ねぇ、岡田ちゃん。これさっきの使っていい♪」
「え?あぁ、いいですけど・・」

美貴はにんまりと笑うとさっきの袋を手にした。
こんなにも早くこれを使う機会が出来るとは。

2人には感謝しなくちゃね。
ありがとう。三好ちゃん岡田ちゃん。















162 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:51


2人は夜空を眺めていた。
冬の夜空は東京でもある程度暗いところに行けば
数多くの星を眺めることが出来る。
2人は肩を寄せ合いながら星を眺めていた。

「綺麗だね、真里ちゃん」
「うん。とっても綺麗だね」

冬の空の下はこんなにも寒いというのに
この場所だけは2人の愛で熱くなっていた。

「星も綺麗だけど、梨華ちゃんも綺麗だよ」
「もぅ・・・真里ちゃんったら」
「ホントだよ。君は地上に降りた一番星さ」
「キャッ♪真里ちゃん、ロマンチスト」
「あっ、流れ星」

矢口が指差す方向に1つの流れ星が流れた。

「お願い事、お願い事」


2人は流れ星に向かって手を合わせた。
2人の願い事を唱えながら・・・。


163 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:51

「・・・梨華ちゃんはなんてお願いしたの?」
「えっ・・・真里ちゃんは・・・?」

矢口は照れくさそうに顔を赤らめた。

「お、おいらはね・・・この先もずっと梨華ちゃんと一緒にいられますようにって」

「真里ちゃん・・・」
「り、梨華ちゃんはなんて?」

今度は石川が照れくさそうに顔を赤らめた。

「あたしもね。真里ちゃんとずっと、ずっ〜と一緒にいられますようにって」


「あははっ♪一緒だね」
「うん、一緒♪」
「一緒に叶うといいね」
「うん、叶うといいね」

「あっ、また流れ星」
「えっ、どこどこ?」

164 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:52





ひゅ〜・・・





「なんか、こっちに近づいてない?」
「え?」





じゅど〜ん♪





・・・・・なかなか性能の良いミサイルのようで。
・・・・・見事命中。

165 名前:藤本美貴、宣戦布告!打倒・岡田唯! 投稿日:2005/02/25(金) 20:52


「ゴホッ!ゴホッ!なんだよ、一体!」
「ゴホッ!ま、真里ちゃん・・・」
「うわっ!梨華ちゃん、真っ黒!・・・・・て、もとから黒いか」








「フッ♪結局、最後に笑うのは美貴なのさ♪」

1人ほくそえむミキティでした。


『藤本美貴、宣戦布告!打倒、岡田唯』
*おしまい*


166 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 20:53

167 名前:ゆーたん 投稿日:2005/02/25(金) 20:53

ラジオ番組での藤本さんと岡田さんの発言をもとにお話でした。
それではまた次回のお話で。


168 名前:ひろ〜し〜 投稿日:2005/02/26(土) 10:39
おもろ〜!マヂおもろい!めっちゃ笑った!!
三好&岡田コンビ、すっごいイイキャラっス!!!
169 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/02/26(土) 18:48
面白い!かなり爆笑しました!まさかそこをつかれるとは、岡田さんの誕プレは決まりましたね。 今日は藤本さんの誕生日、おめでとうございます! またの更新待ってます。
170 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/02(水) 00:33

>>168 ひろ〜し〜 様
ありがとうございます。
また今度、あの2人を登場させるつもりです。

>>169 通りすがりの者 様
いつもありがとうございます。
石川さんに続く誕生日ネタのお話でした。
今度は誰の誕生日ネタを・・・・・。


それでは次のお話です。


171 名前: 投稿日:2005/03/02(水) 00:34


『ブレンド珈琲』

【アンリアル/紺野メイン】
ちょっとマジメなお話。
たまにはセンチな気分になりたいときもあります。


172 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:35


あなたにとって大切な人は誰ですか?
かけがえのない人は誰ですか?

私は大切な人を探すために北海道からはるばる
東京という街へやってきました。

だけど、東京という街は広すぎて
何もかもを飲みこんでしまいそうでした。

それはまるで
コーヒーに溶けていくミルクのような感じでした。


173 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:35


私の名前は「あさ美」。
北海道生まれの北海道育ち。
北国の空の下で育った純粋な女子高生です。

ただ、
私には両親がいません。
産まれてすぐに父親が病気で亡くなり、
3歳のときに母親が交通事故で亡くなりました。
なので私は生きている父親の顔と母親の顔を見た記憶がないのです。

私が見たことがある両親は、
写真の中で私を抱きながら微笑む姿だけ。
2人とも写ってる写真はこの1枚っきり。
たった1枚っきり。
これを撮った時には、
もう病魔が父の身体を蝕んでいたそうです。

母が亡くなってすぐ、
私は札幌に住む親戚のおばのもとへ引き取られました。
そこで私はなに不自由なく過ごしました。
なに不自由なく。



* * * * * *



174 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:35

私は平日にもかかわらず人でごった返す渋谷駅の改札を出ると
青山方向へと歩き出しました。

昨日の朝、北海道の家を出て東京へやってきました。
そう、私にとって大切な人と逢うために。
私にとって大切な人に。

その人に逢うために私はバイトをしてお金を貯めました。
東京で道に迷わない様に地図も買いました。
そして今、私はこの大都会を歩いているのです。

渋谷駅からゆったりとした坂を道なりに進んで行くと
突然、空から大きな雨粒が落ちてきました。
通り雨かな?と思いましたが、やがて雨足が強くなり
この季節には珍しい豪雨となってきました。

天気予報を見ていなかった私はもちろん傘など持ってません。
どこかのコンビニに逃げ込んで傘を買おうと思いましたが、
見渡す限りコンビニも見つかりません。

仕方なく私は店の軒の下で雨宿りをすることに決めました。
しばらく早足で歩くとたまたま都合よく定休日の喫茶店があり、
私はその喫茶店の軒の下へ雨から逃げ込んだのです。

175 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:36

オシャレな感じの喫茶店。
流行じゃないけどちょっとアンティークな喫茶店。

「はぁ〜・・・。天気予報、見とけばよかった・・・・」

後悔しながら見上げた空はどんよりとしていて
北海道の空とは比べ物にならないくらい狭くて。
私から言わせれば東京の空は本当の空じゃない気がする。

「雨宿り?」
「え?あ、はい」

いきなり、話しかけられた。
振り返ると定休日なはずの喫茶店の扉から女の人が顔を覗かせていた。
見れば緑色のエプロンをしている。
喫茶店のマスターにしては若い。

「いいよ、中入って」
「え、でも、定休日って・・」

そうなのだ。
今日はこの店の扉には定休日と書いてあった。

「いいって。入りな」

躊躇する私を彼女は優しく手招きした。
その姿がどこか懐かしくて切なくて。

176 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:36

「失礼します」

私は手招きされるまま店の中へと入っていく。
中に入るとそこは温かい空気が広がっていて
そこがまるで東京であることを忘れてしまいそうな空間で。

「ジュースがいい?それともコーヒー飲める?」
「え?あ、でも今日は・・・」
「定休日でしょ。でも、いいよ。雨降ってるし特別サービスしてあげる」

どうやら本当にこの若い女の人がマスターの様です。
マスターはカウンターに手をかけて微笑みました。

「なんでもいいよ。そこにメニュー表があるでしょ」
「はい、ありがとうございます。じゃあ・・・」
「うん」
「・・・ホットミルクと・・・・」
「ホットミルク?かしこまりました」

「あ、あと・・」
「あと?」
「・・かぼちゃのプリン下さい」
「はい。かしこまりました」

注文を受けたマスターはコンロに火をかけ始めました。

177 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:36

「高校生?」
「はい・・そうです」
「東京の娘じゃないでしょ?」
「えっ、わかるんですか?」
「私もね、田舎の町から東京へ出てきた人だから・・・」

マスターはそう言うと
冷蔵庫からビンに入った牛乳を取り出しました。

「あの・・・あなたがこの店のマスターなんですか?」
「そうだよ」
「へぇ・・・」
「若いと思ったんでしょ?」
「え?」
「ふふっ。顔に書いてあったもん。この人がマスター?って。若すぎるって」
「えぇ?」

私は慌てて顔に手をやりました。
その姿は自分でもちょっとおかしくて。

「あはははっ、冗談だって」

マスターの一言に顔は私の顔は真っ赤に。

「そ、そうですよね」
「私ね。あなたと同じくらいのときに、高校中退してこっちに出てきたの」
「中退?」
「そう。高2の春だったかな・・?」

このとき、心なしかマスターの顔が淋しそうになったのを
私はかぼちゃの匂いに包まれたカウンターから感じていました。


* * * * * *


178 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:37

「プリンはもうちょっと待ってね」

私の目の前には甘い匂いのするホットミルクが運ばれてきました。
ゆっくりとそれを口に運ぶと・・・

「おいしい」

雨の音もかき消くほどに口の中にほのかに広がる甘味は・・・

「はちみつ、入ってませんか?」
「うん、よくわかったね。そう、はちみつが入ってるの。」

マスターが背中ごしに答える。
どうやらプリンも出来たようでトッピングをしている。

「・・・なんか懐かしい味がするんです」
「懐かしい味・・か」
「マスター、どこ出身なんです?」
「私?」

くるりと振りかえり、かぼちゃのプリンが登場。

「はい、お待ちどうさま」
「わぁ、おいしそう」
「おいしいよ。なんたって私が作ってるんだから」

綺麗な器に乗せられたプリン。
私の大好きなかぼちゃプリン。

179 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:37

「いただきます」

私はスプーンを口に運び、2人ともわずかな無言の時間。

「・・・どう?」
「おいしいです!すごっくおいしいです!」
「でしょ?」
「かぼちゃそのものの甘さとカラメルが見事にマッチして・・・・」
「うふふっ。ありがとう」

マスターは本当に嬉しそうな顔をして私を見ました。

「・・・それでマスターはどこ出身なんですか?」

再びその質問に戻ったのは
お皿の上のかぼちゃのプリンが全て私の胃袋の中に入った頃で。

「あぁ、私?私はね・・北海道出身なの」
「あっ・・・」
「え?どうかした?」
「私も北海道から来たんです」

「あはっ、そうなんだ。偶然だね」
「はい・・・」
「あなたの名前はなんていうの?」
「私ですか?」
「うん」

「私は・・・・私は、紺野あさ美」
「あさ美ちゃん・・・って言うんだ。あさ美ちゃんはなんで東京に来たの?」

私はその質問に黙り込んでしまいました。
だってそれは・・

180 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:38

「・・・聞いちゃいけなかった?」
「いえ」
「別に気にしなくても・・・」
「私は・・・私は・・・大切な人を探しに来たんです」

「大切な・・・人?」
「はい。大切な人を探しに」

私はポケットに入った1枚の写真を取り出しました。

「写真・・・?」
「はい、私の両親が写ってる唯一の写真です」
「唯一・・・」
「はい。私の両親は2人とも死んじゃったんです」
「あ・・・」

重い空気が流れました。
だけど、これはもう仕方のないこと。

「ごめんね・・・。そんなこと聞いちゃって」
「いいんです。もう昔の話ですから」

マスターは気まずそうな顔をしましたが私は話を続けました。

「それでですね。この写真には4人写ってるんです」
「うん。4人写ってるね」
「でも、私はこの人を知らないんです」

私は私を抱きかかえている母親の横にいる女の子を指差しました。

181 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/02(水) 00:38

「知らない・・・?」
「はい。この人は・・・・私のお姉さんなんです」
「お姉さん・・・」
「私、ずっと一人っ子だと思ってたのに・・・。それで私を引き取ってくれたおばに聞いてみたんです。そしたら・・・」
「うん。そしたら・・・?」
「最初は教えてくれなかったんですが、何度もしつこく聞いたら私には6歳離れた姉がいることがわかったんです」
「・・・その人を探しに来たんだ」

マスターは静かに、でもはっきりした声で私に言いました。

「そうです。その人を探しに」
「住所とかわかってるの?」
「はい。それもおばに聞いたんです。でも昨日、東京に着いてすぐその住所の所に行ったんですが、もう引っ越しちゃったみたいで」
「そっか。逢えなかったんだ」


* * * * * *


182 名前: 投稿日:2005/03/02(水) 00:38

183 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/02(水) 00:39

本日はここまでです。
次回に続きます。


184 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/03(木) 15:08
更新お疲れ様です。
うあ〜なんかいいですね、大切な人を探しに・・・泣ける話じゃないですか。
紺ちゃんはその人に出会えるのでしょうか?
次回更新待ってます。
185 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/09(水) 00:24

>>184 通りすがりの者 様
急に作風が変えましたが、これは作者の気まぐれです。
今回はちょっとマジメなのを書いてみました。


それでは前回の続きからです。


186 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/09(水) 00:24

雨は相変わらず強く降っている。
都会の雑踏さえもかき消してしまうほど強く。


187 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/09(水) 00:25

「人間って、ツイてないときはホントにツイてないですよね」

私はため息まじりに言いました。
東京に来る前から思ってた。
両親も死んじゃったし、お姉ちゃんにも逢えない。
どうしてこんな目にあっちゃうんだろ?
不公平だよ・・・。

「せっかく東京まで来たのにお姉ちゃんに逢えないなんて・・・」
「あさ美ちゃん」
「やっぱり、神様はいないんですかね」
「・・・いるよ。神様はいるよ」

マスターは私をなだめますが、私の視界は滲んでいく一方で。

でも、これは涙なんかじゃない。
悲しくないもん。
悲しくなんてないんだもん。
今までずっとそれで生きてたのだから。
お姉ちゃんなんて知らないで生きてたのだから。
ツイてない人生だけど
これが私の人生なんだ、きっと。

188 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/09(水) 00:25

「あさ美ちゃん」
「・・なんですか?」

私はうつむき、涙声のままマスターに答えます。

「・・・私でよかったらなんでも協力するよ」
「・・・・・・」
「店にポスターとか貼ることもできるしさ。なんだったら、私も色々聞きこみしたり・・・」
「マスター・・・」
「ん?」


「私、しばらくここで働いていいですか?」


私の口から出た言葉はとんでもない一言で。
これには若いマスターもさすがに驚いた様で。

「は、働くって・・ここで?」
「はい・・・。この喫茶店で」
「だって、あさ美ちゃんまだ高校生・・・」
「春休みが終わるまでで良いんです。私なんでもしますから。お皿洗いだって、ごみ捨てだって」
「でも・・・」
「ダメですか?」

私はマスターを見つめます。

「どうして、ここにこだわるの?」
「それは・・・東京にいれば逢える気がするんです」
「お姉ちゃんに?」
「はい。少しでも、近くにいたいんです。お姉ちゃんが住んでいるはずのこの街に。北海道に帰ったら、当然その確立も少なくなるし・・・」

その言葉にマスターはちょっとの間、天井を見上げて考えていましたが、
やがて全てを納得したように微笑みました。

189 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/09(水) 00:26

「よし。わかったよ。じゃあ、ここで働いてもらおうかな」

「あ、ありがとうございます!」
「おっと、その前に先に北海道に電話で連絡をいれること」

言われるまま携帯で北海道のおばに電話し
東京の喫茶店でしばらくお世話になる話をすると
最初は『ダメ』と言われたものの
マスターがきちんと説明してくれたおかげでOKがでました。

「マスター、ありがとうございます」
「うん。しっかり働くんだよ」

マスターは私の頭をなでなでしました。
大きくて温かい手で。

「あとは住む所なんだけど・・」
「え、あっ。私、あんまりお金持ってない・・・」
「そうだと思った。私の家に泊まりなよ」
「え?いいんですか?」
「『いいんですか?』って、他に泊まれる場所あるの?」
「・・・ないです」
「じゃあ、決まりだね。もう今日は帰るから、あさ美ちゃんの荷物はどこ?」
「ホテルに置きっぱなしです」
「んじゃ、ホテルに寄ってから家に行こう」

190 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/09(水) 00:26

急いで片づけを済ませ
裏口から鍵をかけて外に出ました。
雨はもう止んだようで薄光が渋谷の坂道に反射してました。

「なんでマスターは定休日なのに店にいたんですか?」

渋谷駅に向かう途中、ふと疑問に思ったことを聞いてみると
マスターはちょっと照れくさそうに笑いました。

「ん?ちょっと昨日の片づけをね。昨日、店閉めてすぐ飲みに行っちゃったから」

「あの、マスター」
「うん?」
「マスターは名前、なんて言うんですか?まだ聞いてなかったもので・・」
「あぁ、そうだったね。私は飯田圭織。よろしくね」

飯田圭織さん・・

「あっ!そっか。だから、お店の名前が・・・」

そう。この店の名前は『喫茶・かおり』。
『圭織』さんがやっている店なので『かおり』。
なるほど。

とにかくこうして私の東京での暮らしが始まったのです。


* * * * * *


191 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/09(水) 00:27

飯田さんの住んでいる家は喫茶店同様
ちょっとアンティ―クな感じになっていて
なんとも言えない落ち着いた雰囲気が漂ってました。

「飯田さんって、いくつなんですか?」
「いくつに見える?」
「う〜ん・・27歳とか」
「えぇ!27!?そんなに老けて見える?」

ちょっと驚いた姿はとってもチャーミング。
この人も北海道生まれだけあって純粋な人なんだろう。

「あ・・・すみません」
「こー見えて、私23歳なの」
「えっ、じゃあ・・」
「そう、あさ美ちゃんが探しているお姉ちゃんと同い年」
「へぇ〜・・・」
「んん。今、『23歳には見えない』と思ったでしょ?」

えっ?

「そ、そんなこと思ってませんよ」
「嘘ついてもダ〜メ。圭織ね、人がなに考えてるのかわかっちゃうんだもん」

た、確かに私は23歳には見えないと思いました。
雰囲気は大人だけど、案外子供っぽい人だと思いました。
思っただけです。口にしてないのになんでわかったんだろ?

192 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/09(水) 00:27

「私ね、テレパシーが使えるの」
「テレパシー?」
「そう。人がなに考えてるかすぐにわかっちゃうの」

現代社会の波に飲まれる今日この頃にテレパシーですか?
携帯電話よりインターネットより
もっとハイテクを飯田さんは行ってるんだ。
すごい。この人はホントにすごい。

「だから、あさ美ちゃん。隠し事はすぐバレるからね」
「はい・・・。気をつけます」

まぁ、何もやましいことはありませんけどね。

「でも、すごいですね。23歳で店を持ってるなんて」
「そうかな?」
「普通じゃ考えられないですよ」
「まぁ、私の実家が喫茶店やってたからね。豆は実家から仕入れてるんだ。それで私、料理好きだからセットメニュー作って。あとこっちの知り合いが店舗持ってたから、って感じでトントン拍子にね」
「へぇ〜」
「同い年の人達よりかはちょっとリードしてるかもね」

同い年の人か・・・。

「お姉ちゃん、なにやってるんだろ?」

23歳。東京の空の下。
お姉ちゃんはちゃんと暮らしていけてるのだろうか?

193 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/09(水) 00:28

「・・・あさ美ちゃんのお姉ちゃんのこと、もっとよく教えてよ」
「はい。いいですよ」
「名前とかはわかるの?」
「えっと、『なつみ』です。苗字は確か・・・」

私は鞄に入っていた手帳を取り出し、
紙を挟んでおいたページをめくります。

「苗字は安倍です。安倍なつみ。お姉ちゃんは、安倍家に引き取られたんです」
「安倍なつみ・・・」
「はい。安倍なつみ」

その途端、飯田さんの顔がこちらから見ても明らかに変わりました。
さっきまでの和やかな顔から一転、なにか悲壮な顔をして。

「なっち・・・」
「え?なっち?」
「北海道出身?」
「はい、北海道です」
「・・・・・・」
「飯田さん?」


「先週まで・・・・いた・・・」
「えっ?」
「・・・働いてた・・」
「な、なにがですか?」


「先週まで安倍なつみさん・・・つまりあさ美ちゃんのお姉ちゃんは、私のお店で働いてた」


* * * * * *


194 名前: 投稿日:2005/03/09(水) 00:29

195 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/09(水) 00:29

少ないですが、今回の更新はここまでです。
次回に続きます。


196 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/13(日) 02:32

前回からの続きです…。

197 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/13(日) 02:33

「働いてた・・・?」
「そう・・・あの喫茶店で働いてた」
「飯田さんと・・・お姉ちゃんが一緒に?」
「うん・・・」

え〜、ちょっと待って下さい。
私、ものすごく混乱してるんですけど。

・・・働いてた?
お姉ちゃんが飯田さんといっしょに働いてた?
先週まで働いてたってことは先週引っ越したってことなの?
なんで?なんでってことはないけど
じゃあどうして辞めてしまったの?

「でも、人違いじゃ・・」
「なっちも言ってたの。妹がいたんだけど、今は別々に暮らしていて10年以上逢ってないって・・」
「そんな・・・・・」

そんなことあり?
たまたま雨宿りで入った喫茶店で
別れた姉妹がすれ違うだなんて。

「確か、室蘭から来たって言ってたから、お姉ちゃんを引き取った家って・・・」
「はい・・・室蘭です」

図星だった。
本当にお姉ちゃんはあの場所にいたんだ。

198 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/13(日) 02:33

「まさか、あさ美ちゃんがなっちの妹だったなんて・・・」
「・・・・・・」
「そう言われてみれば、ちょっと雰囲気が似てるかもね・・・」

「あの」
「うん?」
「お姉ちゃんのこと・・・安倍なつみさんのこと、話して頂けないですか?」
「うん、いいよ。協力できることはなんでもするって言ったしね」
「お願いします」

飯田さんに頭を下げると飯田さんは「楽に楽に」と言ったあと、
ゆっくりと安倍なつみさんとの話を始めました。

「じゃあ、何から話そうか。まずね、私となっちが出会ったのは、私が北海道から出てきて東京で勉強して、あの店を開くとなったとき。突然、なつみさん・・・なっちがね、準備中のお店に入ってきたの」


* * * * * *


カランカラン♪

「すみませんだべさ〜」
「え、えっ?」
「コーヒー飲みたいんですけど〜」

そりゃ、びっくりしたよ。
だって、確かにこのお店の扉には『準備中』と書いてあるはず。
なのに、このお客さんは堂々と入ってきた。
第一印象はちょっと変な人ってとこかな。

199 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/13(日) 02:34

「あの・・・すみません。まだこのお店開店してないんです」
「え?」
「明日がオープンなんですよ」
「えぇっ!そうなの?なっち、てっきり今日からなのかと思ってました」

かわいらしく舌を出す自分のことをなっちと呼ぶお客さん。
訛り丸出しだし・・・。
でも、その訛りはとても懐かしい感じで。

「入口の扉に書いてあったはずなんですが・・・」
「入口?」
「はい。『準備中』って」
「あ〜、そうなの。全然気付かなかったです。なっちねぇ、なんのお店ができるのかな〜ってずっと楽しみにしてたの。そしたら、喫茶店ができるって聞いてね、オープンしたらすぐに行こうって心に決めてたんだ」

機関銃のごとくしゃべり出した。
この人、物凄い天然だ・・・。

「そっかぁ〜、明日からなのか・・・。そりゃ、勘違いしてました。じゃあ、帰ります」
「あっ、あの、ちょっと待って下さい」

慌てて外に出ようとしたお客さんに声をかける。
日にちを間違えたからといって、
コーヒーがいれられないわけではない。
とりあえず開店の準備はもう出来ていた。
だから、初めての一杯を・・・
この人に飲んでもらおうと思った。

200 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/13(日) 02:34

「あの、せっかくいらしてくれたんですから、飲んでいってくれませんか?」
「え?いいんですか?」
「はい。ぜひ」

自分のことをなっちと呼ぶお客さんは
にっこり笑うとカウンターの席に座った。
私はそれを見計らって訛り娘のためにコーヒーを用意し始めた。

「お客さん、北海道出身でしょ?」
「えっ、なんでわかったの?」
「訛りで判りますよ。私も北海道から来た人間なんで・・・」
「えぇ!なっち訛ってないだべさ」

いや・・・
あきらかに訛ってます。
それに『だべさ』って・・・。

「それにしても、いいお店ですねぇ〜」
「ありがとうございます」
「お店の人は、あなたひとりなんですか?」
「えぇ、私一人で切り盛りしていこうと思ってます」
「でも、大変じゃないですか?結構、広いし・・・」
「まだお客さんも入るかわからないし・・・」
「入りますって!なっちなら常連さんになりますよ」

なっちにコーヒーを差し出す。
「いただきます」と私に軽く礼をしてからコーヒーカップを取った。

201 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/13(日) 02:35

・・・・・・無言の数秒。

しかし、やがて・・・

「おいし〜ィ!」

この一言で私もほっとする。

「ありがとうございます」
「ホントに、ホントにこれおいしいよ」

こうやって嬉しそうにコーヒーを飲んでいただけると
作ったほうも涙が出るくらい嬉しい。
しかも、このお店で初めてお客さんに出したコーヒーだ。
ちょっと東京でやっていく自信がついたかも。

とりあえず無事1日早い船出も成功し、カウンターを拭いていると
コーヒーを飲み終えたなっちは
ちょっと上を見上げて何かを考えたあと私にこう尋ねてきた。

「あの・・・このお店、バイトとか募集しないんですか?」
「うん・・・まだ予定してないんです」
「そっかぁ〜。こんないいお店、なっちだったらすぐバイトしちゃうけどなぁ・・・」
「そうですか?」

お店を開店させて、ちょっとしたらそれも考えようと思った。
だが、その考えはなっちの一言で一瞬にかき消されることになる。


「ねぇ、マスター・・・。なっちを・・・私を働かせてください」


* * * * * *


202 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/13(日) 02:35

「・・・それで雇ったんですか?」
「そう。最初は迷ったんだけどね。でも、同じ北海道出身だったし、なにより私と同い年だったってことが大きいかな」
「じゃあ、ホントにあのお店に・・・」

そう、お姉ちゃんはいたのだ。
お姉ちゃんが働いていたんだ。

「でね。今日、あさ美ちゃんが食べたあの『かぼちゃのプリン』っていうのは、なっちが考えたメニューなの」
「!?」
「まさか、姉妹でこんな繋がり方するなんてねぇ・・・」

おいしかったかぼちゃのプリン。
あれがお姉ちゃんの考えたメニュー。
じゃあ、きっとお姉ちゃんも・・・。

「・・・私、覚えてるんです。3歳のときだったけど、お母さんがかぼちゃのプリン作ってくれたときのこと。それがすっごくおいしくて・・それで私はかぼちゃが好物になったです。だから、きっとお姉ちゃんも・・」
「その味が忘れられなかった、ってこと?」
「はい。私が覚えてる、たった1つのお母さんの味ですから」

忘れられないお母さんお味。
そして、あの日。
かぼちゃのプリンを作る材料を買うために出かけたお母さんが

・・・交通事故にあったということも。



203 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/13(日) 02:35

「そ、そう言えば、お姉ちゃん、どこに行くとか言ってませんでした?」
「なっち?なっちはねぇ・・・」

飯田さんはふっと顔をニヤけさせた。
その飯田さんのちょっとお茶目な笑顔に
私も笑顔になってしまった。








* * * * * *








204 名前:ブレンド珈琲 投稿日:2005/03/13(日) 02:36

結局、私はあのあと
そのまま北海道に帰ってきてしまった。

だって、飯田さんの言ったことがあまりにも笑えたから。

自分から働かせてください!って言ったのに
一度も働かずに帰ってきちゃうなんて。
飯田さんにはちょっと悪いコトしたけど
北海道に飯田さんのお店の常連さんが出来ただけ嬉しいと思って♪



あれから、まだなっち姉には逢っていない。



それもやっぱり
あのとき飯田さんが言ったことがあまりにおかしかったから。

だって、飯田さん


「なっちね。歌手になるんだって。オーディションに受かったんだって。これからは、なっちをテレビで見れるようになるよ」


なんて言うんだもの。
私なんておもしろすぎて泣いちゃったよ。
今まで逢えなかった分の涙まで流しちゃったよ。


だから、今日
私は『安倍なつみ札幌コンサート』の楽屋に足を早めている。
右手には、わざわざ東京から送ってもらった『喫茶・かおり』のかぼちゃのプリンが2つ入った袋を手にして。


あなたにとって大切な人は誰ですか?
かけがえのない人は誰ですか?


*fin*


205 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 02:36

206 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/13(日) 02:37

そんなこんなでおしまいでございます。
ちょっとセンチすぎたかもしれません。
今までの作風と全然違うし・・・。

まぁ、作者の気のままに書いていきたいと思います。


207 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/13(日) 04:36
更新お疲れさまです。 いい結末でした。 かぼちゃプリンですか。 前確か近所のコンビニにあったと思うので買いに行ってこようかな? なんて(ワラ 次回更新待ってます。
208 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/18(金) 20:44

>>207 通りすがりの者 様
かぼちゃのプリンお買い上げ、ありがとうございます。 
次回は再びギャグ路線になります。

それでは次のお話です。

209 名前: 投稿日:2005/03/18(金) 20:45

『サクラサク合宿』
三好さんメインの三好さん視点。
もちろん石川さん、岡田さんも登場。
基本ギャグですが、
ちょっとエッチぃ場面もあるのでお気をつけ下さい。

210 名前: 投稿日:2005/03/18(金) 20:45

【出会う前の石川さんのイメージ】
「綺麗で頑張りやさんで責任感が強くて尊敬できる人」

【出会ってからの石川さんのイメージ】
「頼れるリーダーだけど……ちょっと変でおちゃめな人」

まぁ、アイドルなんてそんなもの。


211 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:46


「「強化合宿〜っ!?」」


一緒に活動しているうちに
薄々、石川さんはちょっと変な人だと気付き始めていたけど
まさかここまで変な人だとは思ってなかった。

「そう、強化合宿をやるの」

平然と言い放つ石川さん。
呆然とする私(三好)。
お泊まりだと聞いてちょっと嬉しそうな顔をする唯ちゃん。
…唯ちゃん、小学生じゃないんだから。
それにしても石川さん、なんでまたそんなことをいきなり決めるんですか?

「やっぱりね、グループはチームワークが大切だと思うのよ。なのに、またあたし達はそれがイマ一つだと思うの」
「…そうですか?」
「…そうかな?」
「そうなの!だから、今のうちにチームワークを鍛えるための合宿なの」

チームワークを鍛えるための合宿って …どんなのですか?

「もちろん、歌とかダンスを鍛える合宿じゃないワケよ」
「えっ、歌やらないんですか?」
「当たり前じゃない。あくまで、チームワーク強化なんだから」
「じゃあ、どうやってチームワークを鍛えるんですか?」
「2人は、なんだと思う?」

なんだと思うって言われても…

212 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:46

「石川さんの滑舌を鍛える」
「そうそう、あたし滑舌悪くてラジオでいっつもカミまくり……って、三好ちゃん、違うでしょ!あたしの滑舌を鍛えた所で全然チームワークとは関係ないし!」

「石川さんのアゴを矯正する」
「そうそう、あたしのアゴを引っ込ませて……って、それもちが〜う!アゴだけでチームワークが強化されたら苦労しないっつーの!それに岡田ちゃんも人のこと言えないし!」

唯ちゃんの笑顔が消える。
あっ……実は気にしてたんだね。
石川さん、唯ちゃんの17歳の乙女心を傷つけましたよ。

「じゃあ、なんなんですか?」
「2人とも、わかってないなぁ。そんなんだと梨華怒っちゃうぞ、プンプン♪」

…勝手に怒っててください。
なんならその怒りを日本の政治家にぶつけて下さい。
そして、729兆の借金を返済して来てください。

「と・に・か・く!今日から合宿に行くから!」

今日からって言われても…。

「えっ?私、着替えとかもってないです」
「うちもや」
「大丈夫。ちゃんとあたしが用意しておいたから♪」

えっ?
その自信溢れる笑顔がめっちゃ怖い。

213 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:46

「…石川さんが用意したんですか?」
「そうよ。あたしの抜群の服センスで選んでおいたわ」

抜群って…。

「…それをゆーなら抜群のヘンテコ…」
「岡田ちゃ〜ん。なにか文句あるの〜?」
「だから、ヘンテコ…」
「岡田ちゃ〜ん」
「ヘンテコ…」
「岡田ちゃん♪これ以上、何か言うとあなたのおっぱい潰すわよ。そして、ミキティと同じ大きさにしちゃうわよ」
「へっ!?」
「どうする?」
「ひ、ひぃぃぃ!そ、それだけはぁ〜!」

このやり取り、めっちゃ藤本さんに失礼。

「へ・・へ・・へっくしゅんっ!…あ〜、誰が美貴の胸の話してるな。まったく。これだから巨乳は困る」

…こっちも勘違いしてるからまぁいいか。

「さぁ、じゃあ行くわよ」
「行くって…どこにですかぁ?」
「最初のトレーニングポイントよ」
「はぁ…なんか無理やりだな」
「まぁ、ええやん。楽しそうやし」
「そう…だね(そうなのか?)」

ルンルン気分でスキップしている石川さんのあとを歩く。
なんであんなにテンション高いんだろう?
あっ、転んだ!
平らな所で転んだ!
まぁ、いいや。だって…石川さんだもん。




214 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:47

<チームワーク強化のための合宿*その1>


215 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:47

「あの…石川さん」
「なに?」
「あの、これは一体…?」

なんですか?
3人が着ている服は…。

「見ればわかるでしょ」

わかりたくない。
出来ることなら大人にはなりたくない。
子供の心のままでいたい。ピーターパンシンドローム。
わかってる。
現実を見なきゃいけないってことも。
今着ている縦じまの服のことも。

「阪神タイガースのユニフォームよ」
「で?」
「『で?』じゃないでしょ。早く始めるわよ」

何を始めるんですか?
それにこれはチームワークとなんの関係が…?

「いい。チームワークを鍛えるためにここでは…」

ここでは…?

「ダブルプレーの練習をします♪」
「「はぁ!?」」

『ダブルプレー』って言われても私、野球あんまし知らないし。
しかも、阪神タイガースのユニフォームを着ている意味がわからない。
そもそも『ダブルプレー』ってなによ!
マックのダブルチーズバーガーと何が違うの?
ダブルプレーって……ちょっと語呂がえっちっぽいし!
2つの……プレー……ダブルプレー……キャッ♪
…って、私はこんなキャラじゃない!
もう、ツッコミ所が一杯でツッコミキティよ。
あれ…私、三好絵梨香だよね?

216 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:47

「そもそも三好ちゃん。阪神の背番号9のといえば誰?」
「せ、背番号9?そんなのわかりませんよ」
「もぅ、阪神の背番号9といえば藤本選手でしょ!」
「『でしょ』って言われても…」

知らないもんは知らないもん。
一億円の献金なんて貰ってないもん。
そりゃ、記憶にございませんって言いたくもなるよ。

「岡田ちゃん、阪神の背番号1は誰?」

そんなの唯ちゃんがわかるわけ…

「阪神の背番号1は鳥谷選手やね。今シーズンからショートのポジションのレギュラーが期待されているプロ入り2年目の選手で、2003年ドラフト自由枠で加入した……」

…なんでさ。
なんで知ってるのさ。
唯ちゃん、いかにも野球なんて興味なさそうな顔してるのに。

「そう、今シーズンの阪神V奪回のカギを握るこのニ遊間コンビ。ここにあたし達のチームワークを鍛えるための重要なポイントがあるのよ」
「はぁ…」
「楽しそうやね」

…楽しいですか?

「三好ちゃんが着ているユニフォームは背番号9、岡田ちゃんが着ているユニフォームは背番号1。もう、わかったわね。いい!4・6・3のダブルプレーよ」
「4・6・3?」

ナニソレ?

217 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:48

「つまり、セカンドの三好ちゃんがボールを取ったらショートの岡田ちゃんへ送って、ショートの岡田ちゃんはファーストに送るの」
「じゃあ、石川さんがファーストに入るんですか?」
「ううん。私はボールを打つ人よ」



「あの…じゃあ1塁には誰が?」
「大丈夫。1塁にはマリちゃんについてもらうわ」

マリちゃん…?
矢口さんかな?
矢口さんって野球出来るのかな?

「さぁ、マリちゃんの登場よ!」

パンパン!と花火が上がりスポットライトが照らされた。
そこから現れたのは…

「ハ〜イ。マリちゃん、マリちゃん、オー、マリちゃん、オーマリーちゃん。ハ〜イ、トーマス・オマリーです」

む、むちゃくちゃだ…。
しかも誰ですか?この太ったおっちゃんは!?

「もう、みんな知ってるよね。あの阪神の助っ人外国人、トーマス・オマリー選手です!」

知らんよ。
少なくとも私は知らないよ。
野球知っている人ならともかく私にとっては
トーマスだろうが、トースターだろうが、トータスだろうと関係ない。

「マリちゃんですっ♪」

とりあえず無視。

218 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:48

「じゃあ、いくわよ!守備について」
「あ、あの…」
「三好ちゃん、なに?」
「あの、セカンドってどこですか?」

私の質問に石川さんはまるでシーラカンスを見るような目で私を見た。
いやっ、そんな目で見つめないで…見つめられると私…
…って、キャラが違うか。

「セカンドも知らないの?」
「はい…」

あの……。
渋谷の女子高生100人に聞いたって
せいぜい知ってるのは5、6人だと思いますよ。

「セカンドはね、1塁ベースと2塁ベースの間あたり。詳しくは…岡田ちゃんに聞いて」

…唯ちゃん?
あれ、そういえば唯ちゃんは?
唯ちゃんはショートがどこだかわかってるのかな?
辺りを見渡すと……

……へっ?
唯ちゃんはすでに準備万端をいう感じで屈伸運動をしていた。
唯ちゃんがいるところがショートなの?
てか、なんでそんなことまで知ってるの?

私は、とりあえず1塁ベースと2塁ベースの間あたりにいることにした。

「絵梨香ちゃん、もうちょい右だよ」
「右?」

唯ちゃんに言われた通りに右に動く。

「バッターが右打ちだから、そのあたりでええよ」
「そう。ありがと」

219 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:48

右打だろうが、左打ちだろうが私にはよくわからない。
とりあえず来た球を取って唯ちゃんに投げればいいんだ。

「行くわよっ!」
「バッチこーい!」
「バ、バッチこーい ???」

カキーンッ!

物凄い勢いでこっちに飛んでくるボール。
こ、これを取ってから……?
唯ちゃんに投げる……?
これを取ってから……




………絶対、無理っ!


「こらーっ!三好ぃ!腰が高―い!もっと低く構えないと取れね―ぞ!もう一本っ!」


た、達ちゃん。
絵梨香を甲子園に連れてって…(泣)。




220 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:49

<チームワーク強化のための合宿*その2>


221 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:49

「はぁぁぁ…疲れた。」

一体何のためのダブルプレーの練習だったのかわからない。
これで本当にチームワークが強化されたのだろうか?
ダブルプレーがチームワークと何が関係あるのだろうか?
とにかく2時間もやってたから体中あちこちが痛い。
特にボールが当たった所なんかが痣にならなきゃ良いけど…。

「はい、お疲れ様。それじゃあ、次のトレーニングポイントに行くわよ」
「はぁい…。次はなんですか?」

「みんな、汗かいたでしょ?」
「ハイ…。もうぐだぐだです」
「えぇ汗かいたんけど」
「だからぁ、次はぁ」

次は…?

「次は……裸と裸のお付き合いよ♪」
「「はぁ!?」」

裸の裸のお付き合い!?

「3人でお風呂で洗いっこをしましょ♪」
「「……」」

やけにニヤニヤする石川さん。
このエロリーダー、どうしたらいいことか。

222 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:49

「あの…石川さん?」
「ん、なに?」
「なんで洗いっこなんてするんですか?」
「だって、みんな汗かいたでしょ?」
「まぁ…あれだけ運動すればかきますけど」
「だから、みんなでお風呂に入るの♪」
「それとチームワークはなんの関係が…?」

裸と裸のお付き合い = チークワーク強化
には絶対に繋がらない気がしますけど…。

「もぅ、わかってないなぁ。そんなんだと梨華怒っちゃうぞ、プンプン♪」

だから、勝手に怒っててください。
そして、その怒りを中澤さんにぶつけて下さい。
大丈夫です。100%返り討ちにあいますから。

「やっぱりね、これから3人でやっていく上でお互いの全てを知っておくべきだと思うの」
「そうですか…?」
「そうなん…?」
「そうなの!だからぁ、裸と裸で…何も隠さず…生まれたままの格好で…あんなことや、こんな所まで知っておけば……キャッ♪2人ともエッチぃ♪」

あの〜…石川さん?
一人で頭の中の想像で盛りあがらないで下さい。
それに私も唯ちゃんもエッチなこと何も言ってないし…。

「と・に・か・く。早くお風呂に行きましょ」
「は〜い」
「どんなとこやろな?」

それぞれの想像を乗せてお風呂場へと向かう。
…なんかイケナイ想像している人(リーダー)もいますが。
…修学旅行気分の人(唯ちゃん)もいるし。

223 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:50

「さぁ、さぁ、みんな脱いで!」
「「はぁ〜い…」」

泥だらけになった阪神タイガースのユニフォームを脱いで
下着に手をかけて下ろそうとすると…
なにやら怪しい視線を感じる。

ふっと視線の先を辿ると
石川さんが慌てて視線をそらした。

……何やってるんですか?

一方の唯ちゃんはポンポンポンとさっさと脱いで浴室の中に入っていってしまった。
当然、誰かさんの視線はそちらに釘づけになり…。

「いやぁ…やっぱり凄いね。」
「なにがですか…?」
「あれはぜひ両手で包み込みたい…」
「石川さん…」
「でも、無理かなぁ〜。…ん、待って。良い考えが…」
「石川さん…」
「むふふふっ…良いこと思いついちゃったぁ〜♪」

「石川さん、鼻血出てますよ」
「え……えぇっ!」

頭の中でどんなえげつないことを考えてたのかは知りませんが
鼻血を出すほどって…。
そんな変態石川さんはほっといて自分も早く浴室に入ろっと。
再び、下着に手をかけると…


じー……。


「…石川さん」
「え、あ、あはははっ。見てない、見てない。三好ちゃんのお尻なんて見てないよ」

…その反応、絶対見てましたよね。
まぁ、女同士なんで見ても良いんですけど…。

224 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:50

覚悟を決めて下着を脱ぐと…

「おぉっ!」

石川さんの歓声が上がる。
…完全にエロ親父ですよね。

「おぉ、おぉ、おぉぉぉっ!」
「…また鼻血出てますよ」
「え…あはははっ……こーふんしちゃった♪」

鼻血チャーミーさんをしり目に
浴室に入ると唯ちゃんがすっぽんぽんでうろうろしている。
この娘はタオルとか巻かないんだね。

「ここ、露天風呂もあるんや」
「へぇ、結構良いお風呂なんだね」

そう言いながらも視線は唯ちゃんの体へ…。
なるほど。
これがリーダーまで鼻血を出すほどの唯ちゃんのボディか…。
確かに……
って、いけないいけない。
私はこーゆーキャラじゃないですよ。

225 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:50

「はぁい、皆さん注目〜!」

いつのまにか登場したピンクのシャンプーハットを被った石川さん。
鼻にはさっきの鼻血の影響でティッシュが詰められている。

「はい。チームワークを鍛えるためにお互いの体を洗いっこしますからね」
「「は〜い」」
「いい?洗いっこの順番は…
石川→岡田
岡田→三好
三好→石川
 に決定しました。イエイ♪」

……なるほど。さっきの怪しげな笑みはここにあったのか。
石川さんが唯ちゃんの背中を流す。
→石川さんが唯ちゃんの体を触り放題。

「あと、背中だけじゃなくて『前』も洗ってあげてくださいね♪」

へっ…?
『前も』ってことは…。

「はい、じゃあ岡田ちゃん。ここに座って」
「はぁい」

純粋な17歳が20歳のお姉さんに促されお風呂用のイスに座る。
まさか洗う人がよからぬことを考えているとはつゆ知らずに…。

「じゃあ、洗うね」
「お願いします」

あからさまに唯ちゃんの裸を見る石川さんの目はエロい。
エロすぎます、石川さん。

226 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:51

「ねぇ、岡田ちゃん…」
「なんですかぁ?」
「岡田ちゃんって、いっつもマッサージしてるんでしょ?」
「そうですよ」
「へぇ…。どんな風に?」
「んっとなぁ…こうやるねん」

徐に自分の胸のあたりを揉み始めた。
これ、唯ちゃんよくツアー先のホテルでお風呂上りにやってるんだよね。
同じ部屋で最初見たときはびっくりしたけど。

「へぇ…。じゃあ、あたしも岡田ちゃんにマッサージしちゃおっかな♪」
「えぇよ」

あぁ…いいの?
ホントにいいの?
あとで絶対後悔すると思うよ。

ゆっくりと石川さんの両手が17歳の豊胸にのびて…

モミモミ……

「いや〜ん、石川さん♪」
「あはっ。岡田ちゃんの柔らか〜い」

あはははっ……
ここは天国か地獄か。
あなたならどっちを選ぶ?

「もっと揉んじゃぉ♪」
「あぁん…石川さんのエッチぃ」

227 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/18(金) 20:51

「気持ちいい?」
「えぇよぉ…すごく…いぃ」

なんか、唯ちゃんの目がいつも以上にトロンとしてきてるような…

よーく見ると
石川さんは左手で胸を触りながら
ゆっくりと右手は唯ちゃんのおへその下のもっと下にのびていて…

…って、石川さん!

「ぁ…石川さん……」
「ウフフッ♪どーしたの?」

どーしたもこーしたもすべたはあなたのせい。
あなた色に染まっていくの。

「おかやんはぁ、上と下どっちが気持ちいい?」
「どっちも気持ちええよぉ…」
「そっかぁ…上も下も気持ちいいのかぁ…じゃあ、もっと気持ちよくさせてあげるね」

「あぁん…石川さぁん…」

徐々に唯ちゃんの声が高ぶっていく。
その声はやがて一定のリズムを刻んでいき……

って、2人は何やってるんですか!
いつそんな関係になったんですか!
私は何も聞えないように
慌ててシャワーの蛇口をひねり頭からかぶる。

♪カッチョイイゼ、カッチョイイゼ♪
♪カッチョイイゼ、カッチョイイゼ♪

嗚呼、現実逃避。
本日2度目のピーターパン・シンドローム。


228 名前: 投稿日:2005/03/18(金) 20:52

229 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/18(金) 20:52
本日はここまでです。
230 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/18(金) 22:32
三好の口調で想像すると、すごくイイ
231 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/20(日) 22:57
>>230 名無飼育 様
レスありがとうございます。
ぜひ、想像してみてください。

それでは続きです。

232 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 22:59

「…今度は絵梨香ちゃんの番だよ」

唯ちゃんの声でようやく我にかえる。
唯ちゃん……無事だったの?
その17歳にしては突き出した胸は無事だったの?

「唯ちゃん、どうだった…?」

恐る恐る聞いてみる。

「何がぁ?」
「石川さんとの……」
「あぁ、めっちゃ気持ちよかった。あんなん初めてやったわぁ〜」

遠い目をする唯ちゃん。
その目は一体何を意味してるの?
やっぱりあのまま最後まで……。
あぁ…唯ちゃんのこと妹みたいに可愛がってきたのに…。

「ほな、洗うで」
「唯ちゃん…」
「んん?」
「東京で頑張ろうね…」
「?」

ホントに芸能界は怖いところだ。今日で再認識。
233 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 22:59

なにはともあれ、唯ちゃんに背中を流してもらう。
まぁ、唯ちゃんなら石川さんみたいなことはしないでしょ。
やがて手が前の方に回されても変なことされないと思うし…。

「なぁ、絵梨香ちゃん」
「んん?」
「絵梨香ちゃんも気持ちよくなりたい?」

!!
いた!
石川病患者発見!
直ちに当局に連行いたします。

「あの、唯ちゃん。私は別に…」
「ほんなら、始めるよぉ。岡田式マッサージ♪」

モミモミ……。

うわわわっ……。
ゆ、唯ちゃん…そ、そこは…ぁ…
唯ちゃんはそんなことしないって信じていたのに…。
信じていたのにィ〜。恋なんてシャボン玉。
しかも、なんかまた視線を感じるんですけど…。

234 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 22:59

「い、石川さん…」
「ん、なに?」
「なんでそんなに私のこと見てるんですかぁ?」

「ウフフッ♪だってぇ、三好ちゃんがおっぱい触られるとどんな顔するのかなぁって♪」

圧倒的に形勢不利。
2対1じゃん。
勝ち目ないじゃん。

「あぁ〜♪三好ちゃん、感じてるでしょ〜♪」
「い、石川さん!ち、違くて…」
「気持ちええやろ?」
「ひゃい…」
「もぅ、び・ん・か・ん♪」

2人で言葉攻めですか?
父さん、東京は怖いところです…。
父さん、富良野が恋しいです…。

……あれ?私、富良野出身じゃないな。
って、そんなこと考えてる暇はなくて。

235 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:00

「…は〜い。おしま〜い」
「え?」

お、おしまい?

「じゃあ、シャワーで流すね」
「え、えぇっ?」

こ、これでおしまいなの?
胸をマッサージしただけでおしまいなの?
その先はナシなの?
さすがにこんな中途ハンパじゃ、私だって…。

「あ〜♪三好ちゃん、最後までシテ欲しかったんでしょ?」
「…ち、違います!何言ってるんですか石川さん!」

私はリーダーとは違います。
…でも、ホントは図星だったし、それを期待してたのに…。
あぁ…17歳の唯ちゃんに本気になっちゃう私って…。
背中に当たる唯ちゃんのおっぱいが…
…って、私はそんなキャラじゃありません!


236 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:00

「はい。石川さん、どうぞ」

いよいよ、ラスト。
私が石川さんを洗ってあげる番。
別にイヤらしいことは考えずに背中を洗って、と…。
次に両手を前に回し…
両手を前に回し…

「どうしたの、三好ちゃん」
「な、なんですか?」

動揺…。
だって、石川さんのお腹しか洗えないんだもん。
だって、胸なんて洗えないんだもん。
胸を洗うってことは触らなきゃいけないんですよ。
それこそ、見るだけでも恥かしいのに…

「三好ちゃん」
「はい……」
「ちゃんと胸も触って♪」

さ、触る?
洗うじゃないんですか?

237 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:00

「さ、早く…」
「はい……」

覚悟を決めて石川さんの胸を洗い始める。
………や、柔らかい。それに形が良い。

「ねぇ…」
「な、なんですか?」
「タオルじゃなくてぇ…直に触って欲しいんだけど」

だから、触るじゃなくて洗う…
…って、その前に『直に』ですかぁ!?
『直に』って、ことはあれだよね?
石川さんの胸の蕾とかを指先で触れたり…。
その胸の谷間に…。

カァァァ――――。

で、でも、リーダー直々の指示なんだし。
やっぱりお望み通りにシテあげなくちゃね。
タオルを置き再び覚悟を決めて
石川さんの胸を触り始める。

…じゃなかった、洗い始める。

「こんな感じですか」
「うん…」

238 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:01

(モミモミ…。)
これじゃ、さっきの石川さんと
(モミモミ…。)
やってることが変わらないじゃないですか。
(モミモミ…。)
私はこんなキャラじゃないのに。

「三好ちゃん…もっと、強くぅ…」
「こうですか?」
「もっとぉ…」
「こうですか?」

言われるまま揉む力を強くする。
すると石川さんも体をくねらす。

…ちょっと、おもしろい。
その反応がおかしくて
無意識の内に石川さんの胸の突起部分を指で弾いてみたり転がしてみたり…


「石川さん…」
「…ぁん…ぁあ…あん………」


あら♪
可愛らしい声♪
石川さんの声、もっと聞きたいなぁ♪

………ハッ!
わ、私は何やってるの!

239 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:01

「三好ちゃん上手ぅ…」
「も、もう、流しますね」

何、私は石川さんを感じさせてるんだ?
私は体を洗ってるあげているだけなハズだったのに。

「えぇっ…焦らしちゃ、いやぁ〜」

焦らしません。
もう、終わったんです。
あ〜…多分、私の顔真っ赤だよ。

「…前戯だけでお預けなんてずるいよぉ。あたしは、ちゃんと岡田ちゃんイカせてあげたんだよぉ。」

へっ!?

…やっぱり、そうだったんですか。
私の妹みたいに可愛がってきた唯ちゃんを…。
あの17歳にしては大きい胸を…。
20歳の黒チャーミーさんが食べてしまったのですね。

私は無言のままシャワーの蛇口をめーいっぱいひねる。
そう、赤い色の蛇口じゃなくて青い色の蛇口を。


その直後、石川さんの悲鳴が響いた。




240 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:01

<チームワーク強化のための合宿*一休み>


241 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:02

「はぁ〜い。みんなちゃんと温まりましたかぁ〜?」
「「はーい!」」
「ちゃんと、体キレイキレイしましたかぁ〜?」
「「はーい!」」
「水を思いっきりかけられた人はいませんかぁ〜?」
「「いまーす!」」
「それは誰ですかぁ〜?」
「「エロ大明神・石川さんでーす!」」

「ぐすん…。三好ちゃんと岡田ちゃんにまでいじられキャラにされるなんて…。せっかく、カッチョイイリーダー目指してたのに…。でも、梨華負けない。くじけない。だって……だって……岡田ちゃんのおっぱい揉めたんだも……」

ゴスッ!ドスッ!ボカッ!

「藤本美貴、参上〜っ!」

「ふ、藤本さん!」
「な、なんでいきなり?」

突然の藤本さんの登場。
しかも、上空から登場した藤本さんのせいで石川さんはぺちゃんこの下敷きに…。

「絵梨香ちゃんに唯ちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです…。どーしたんですか、今日は?」
「2人とも晩御飯まだでしょ?」
「はい、まだですけど…」

そーいえば、お腹ぺこぺこ。
昼から何にも食べてないもんなぁ。

242 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:02

「じゃあさ、一緒に焼き肉食べに行こう」
「いいんですかぁ?」
「うん。焼き肉はみんなでワイワイ食べないとね。愛ちゃんとかも呼んだし」
「あたしも連れてって……」

ゴスッ!ドスッ!ボカッ!

「ぐふっ!」

「なんか今、変な声が聞えたような……」
「気のせい、気のせい。さ、行こう。奢ってあげるよ」
「ホンまですかぁ」
「藤本さん、大好きです」
「あたしも奢ってほしい……」

ゴスッ!ドスッ!ボカッ!

「ぐふっ!」

「なんかねぇ、1人忘れている様な気がするけど…まぁ、いっか♪さぁ、レッツ・ゴー♪」
「だから、あたしも一緒に……」

ゴスッ!ドスッ!ボカッ!

「うぅっ…」


……リーダー、すみません。
何も見えなかったことにしますね。
藤本さんはいい人です。
石川さんも今度奢ってくださいね♪




243 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:02

<チームワーク強化のための合宿*その3>


244 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:03

藤本さんと一緒に焼き肉を食べた後、
私と唯ちゃんは恐る恐る合宿所に帰ってきました。
石川さん、怒ってるかなぁ…。
怒ってるだろうなぁ…。
とにかく祈ろう。
独りぼっちにさせた石川さんが怒ってません様に……。

シャー、シャー……

んっ?なんの音だろ?

シャー、シャー……

「見・捨・て・た・な・ぁ……」

隠れながら覗いて見ると…。
部屋の真ん中。
ろうそくの灯りだけともして包丁を研ぐ石川さん…。

「見・捨・て・た・な・ぁ……」

「ひぃぃぃぃっっ!!」
「シィーっ!唯ちゃん、声大きい…」

245 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:03

慌てて唯ちゃんを引っ張って壁に隠れる。
見つかった?見つかってないよね?
見つかってな…

「三好ちゃん…岡田ちゃん…お帰りぃ……」

いきなりニョキッと現れた石川さん。
その姿はまさに。

「「さ、さ、貞子やぁ―――――――っ!!」」

もしくはケメ子や!

「「す、すみませんでしたぁ!!」」
「いーよ、2人とも…。あたし、怒ってないよ。全然、怒ってない…」
「でも…」
「怒ってないよ…全然ね…」

持っていた2本の包丁を壁に投げつける。
包丁は2本とも見事に壁にブチ刺さった。
それはまるで私と唯ちゃんに対する怒りの様で。
…リーダー、怒ってる。マジ、怒ってる。

「別に怒ってないよ…あははは……」
「…ホントに怒ってないですか?」
「うん、怒ってないよ。……でもね、焼き肉は食べたかったけどね」

ギロリと私達を見るリーダー。
ヤバイよぉ。ホントに怒ってる。
リーダーはマゾで…
……じゃなかった、マジ怒ってる。

246 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:03

「いいんだ…2人が楽しかったらそれでいいの……でもね…」

でも…?
なんか物凄くイヤな予感。
こーゆーときのイヤな予感ってよく当たるよね。

「楽しいことのあとには……辛いことも待ってるだよ……」

ほら…当たったでしょ?いやな予感。

「このーっ!!2人だけで楽しい思いしちゃってぇ!!どれだけチャーミーが淋しい思いしてたかわかってるの?どれだけチャーミーが切ない思いしてたかわかってるの?どれだけチャーミーがモンモンとしてたかわかってるの?どれだけチャーミーがムラムラしてたかわかってるの?」

悪いですけど最後のムラムラはわかりません。
ていうか、わかろうとも思わないですけど。

「あんまり淋しかったから真里ちゃん呼んじゃったんだから!」
「マリちゃん?また、あの変な外人ですか?」
「違う!矢口真里さんですぅ!」

石川さんが指差した方向には…
なにやら脱ぎ散らかされた服に
こんもりと膨らんだ布団。
そこにはすっかり疲れ果てた矢口さんが横になっていた。
……って、あなたがた2人はなにしてたんですか?

247 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:04

「とにかく2人には罰として今から強化メニューを増やします!」
「「えーっ!?」」
「さ、今から始めます!」

今からですか?
だってもう11時過ぎですよ?
もうみんなおねむの時間です。

「石川さん、明日にしましょうよ〜」
「ダメ!」
「今日はうちら頑張ったやんかぁ〜」
「頑張ったのは認めますが、抜け出したことは認められません!」
「え〜っ!石川さんのケチぃ」
「……」
「石川さんのアゴン!」
「……」
「石川さんの黒毛和牛!」
「……」
「岡田唯はナイスボディ!」
「「それは関係ないでしょ!」」

「「「どうも、ありがとうございました〜」」」


……何、3人でコントしてるでしょう?
うちらお笑い路線でいくんですか?

248 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:04

「と・に・か・く、始めますよ」
「「は〜い……」」
「今回はトレーニングというよりかは鑑賞です」
「鑑賞?」
「そう。チームワークを強化するためというよりかは、大人の女性になるために、大人の女性はどーゆーものなのかをみんなでしっかりと鑑賞して勉強しましょうってことです」

……それだけ?
じゃあ、楽じゃないですか。
今までで一番楽なメニューな気がしますよ。
大人の女性になるためかぁ〜。
どんなのを見るんだろ?
ちょっと楽しみ♪

「じゃあ、スタート!」

再生ボタンが押される。
ドキドキ…ワクワク…。



……あれ?なんか色っぽい女の人が出てきましたね。
女の人が出てきて…服を……



……あれ?


……あれれ?


249 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:04


(……ぁあん…あっ…ああん…んん)


あの…これって…


(…はぁんっ…あっ、あっ…んん…)


これってさぁ…
これってまさに…


(ぁぁん、あぁっ…あぁっ、あぁっ…あぁあぁぁんっ……)


「石川さん!」
「ん?なに?」
「これって、ただのえっちなビデオじゃないですかぁ!」

こんなんで大人の女性を学ぼうというのですか!?

250 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:05

「そーだよ。真里ちゃんオススメのビデオ♪物凄く大人っぽくてセクシーでしょ♪」
「大人っぽいっていうより、ただのエロじゃないですか!」
「…エロこそ…大人の美学」
「はぁ?」
「三好ちゃんにはまだわからないのかな?」

わかりたくない。
出来ることなら大人になりたくない。
本日3回目のピーターパン・シンドローム。

「ほらぁ、岡田ちゃんは真剣に見てるよ」
「え?」

隣に座っている唯ちゃんを見ると
頬を赤らめながらじっと画面を見つめている。
画面では、裸の女の人が髪を乱して喘いでいる途中だった。
…唯ちゃん、私はあなたを妹の様に可愛がってきたのに
こんなことで汚れてしまうなんて。
あぁ…情けない。私は情けないよ。
でもこれが運命なんだよね。
可愛い妹分の唯ちゃんもいつかはあんな風に…。
んっ?そーいやー今日のお風呂で…。

カァァァ――――。

いけない、いけない。
お風呂の中の唯ちゃん(特におっぱい)を思い出しちゃうなんて
私、どうかしてるぞ。

仕方なくボケ―っとしながらえっちぃビデオを見ていると
急に私はトイレに行きたくなってきた。

251 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:05

「あの石川さん」
「ん?」
「あの……トイレに行ってきていいですか?」

そ―言いながら
立ち上がろうとすくっと腰を上げると
石川さんは顔を赤らめながら私の顔を見た。
…私、なんか変なこと言いましたか?

「もぅ…三好ちゃんったら」
「はい?」
「こんなエッチなの見たあとにトイレに行くなんて…」
「はい?」

なにがですか?
なんかおかしいのかな?

「我慢できなくなっちゃの?」
「まぁ…」
「三好ちゃんのエッチ」
「はい?」

私はただトイレに行きたいだけなんですけど。

「エッチなビデオを見て……トイレに行く……」
「そうですけど」
「そこですることは1つしかないでしょ?」

そこですること?
トイレに行ったらすることって普通1つですけど…。

「トイレでひ・と・り・え・っ・ち♪」

252 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/20(日) 23:05

「はぁ!?な、なに言ってるんですかぁ!そんなことしませんよ!」

私はそんな人じゃありません!
石川さんじゃないんでそーゆーキャラでもないし!

「そっかぁ…三好ちゃんもようやく心開いてくれたんだね」
「だ、だから違います!」
「もう…恥かしがっちゃってぇ…。いいんだよ。あたしと岡田ちゃんがいるここでヤッても」

だ、だ、だ、だから!
私はただトイレに行きたいだけです。
しかも変な誤解されてるから
余計に行きにくいじゃないですか!?

……もういいです。我慢しますから。

「……三好ちゃん、しないの?」
「しません!」
「……じゃあ、石川がシテあげよっか?」
「結構です!」

「それとも……したことないの?」
「そ、それは…」

「あー、その反応。その反応は、もちろん…あるよね♪」

私をエッチな目で見つめてくる石川さん。
あぁ…神様。私はどうなるのですかーっ!?




253 名前: 投稿日:2005/03/20(日) 23:08

254 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/20(日) 23:08
本日はここまでです。
255 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/22(火) 11:45
おもしろい
美勇伝がいろいろ楽しみになる
256 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/22(火) 15:45
更新お疲れさまです。 ( ̄□ ̄;)・・・・。 が、頑張ってください。 次回更新待ってます。
257 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/23(水) 13:24
うん、おもしろい
三好さんはいろいろがんばれ
258 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:42
それでは更新を再開いたします。
259 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:42

<チームワーク強化のための合宿*番外編>


260 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:43

どうして?
ねぇ、どうして?
私にはまったく記憶がないんの。
裸のまま手足をベットに固定された記憶なんてないのに…。

それを囲む様に石川さんと唯ちゃんがいる。
石川さんはニヤリと笑うと唯ちゃんにむかってなにやら指示を出した。
それを聞いた唯ちゃんは手に持ってた物体のスイッチを入れた。
物体は微振動を帯び始めた。

まさか…。
私は手足をばたつかせた。
しかし、完全に固定されているので逃げ様がない。
唯ちゃんは私の足を開かせその振動物体を…




「っ!?」




…あれ?…夢?
隣には唯ちゃんが気持ちよさげに寝息を立てていた。
寝相が悪いらしく毛布がずれている。

261 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:43

…と、とにかく…夢。
寝る前に石川さんが変なビデオ見せたから
こんな変な夢見たのかな?

あのあと結局、ずっとトイレ我慢してたもんなぁ。
石川さんはえっちな勘違いするし、
唯ちゃんは興味津々、真剣に見てたし。
それで私、呆れてそのまま寝ちゃったんだ。

……とりあえず、今起きたついでにトイレ行っとこ。
春とはいえちょっと肌寒いよね。
私は唯ちゃんのずれた毛布を直してあげてから部屋を出た。

トイレは部屋からちょっと離れた場所にある。
そもそも都内なんだからこんな所で寝泊りしなくても…と思ったが、
石川さん曰く、これもチームプレーの強化らしい。
一緒に衣食住を共にすれば連帯感が生まれる。
そーいえば、石川さんたちもそうだったよね。
実際、今回の合宿で
石川さんの変わった(元々変わっているが)一面が見れたし、
唯ちゃんもたまに壊れキャラになることがわかった。
それに……ちょっと楽しい。

262 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:44

トイレから部屋に帰ってくる途中、ふと話し声が聞えてきた。
こんな時間に誰が…?
私はその声の主の方向へ向かった。

自販機の灯り近くで声がしている。
私の記憶では確かあそこにはベンチが設置されているはず。
もしかしたらそこに座って話をしているのかもしれない。

「……」
「……」

どこかで聞いたことのある声。
まさしく石川さんと矢口さん。
矢口さんは結局家には帰らず、ここに泊まっていくことになっていた。

どうしようかな?
ちょっと迷ったけど、2人がどんな話しているのか興味があったので
隠れながら自販機の近くまで行ってみた。



263 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:44


「……そうかぁ、梨華ちゃんももうすぐ卒業かぁ〜」
「淋しいんでしょ〜?」
「そりゃ〜ね」
「ちゃんと泣いてくださいね」
「何が?」
「真里ちゃんがあたしの卒業式で♪」
「誰が泣くか」
「そんなこと言って…。すぐ泣くくせに」
「梨華ちゃんの時は泣かないよぉ〜だ」
「まりっぺも素直じゃないなぁ♪」
「まりっぺ言うな!」
「真里ちゃん♪」
「うわっ、くっつくなって!」

そう言いながらも、矢口さんめっちゃ嬉しそう。

「梨華ちゃんとは5年も一緒だったんだね…」
「そーだよねぇ。早いよねぇ…5年かぁ…」

「……早すぎだよ。」
「えっ?」
「早すぎだって言ったの!」
「真里ちゃん…?」

「…もっと、一緒にいたかったのに」
「えっ?」
「……」

「なんですか?もう一度言ってください」
「…もう、いいよ。なんでもない」
「なんですかぁ?教えてくださいよぉ」
「梨華ちゃんが聞き逃したのが悪いんだぁ」
「もう…けちぃ」

矢口さんも結構意地っ張り。
本当はなんだかんだ言って、ずっと石川さんのこと気にしてたのに。

264 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:44

「…で、どうなのよ、三好ちゃんと岡田ちゃんは?」
「うん…。とってもいい娘たちだし、仲も良いし…でも」
「でも…?」
「でも、あたしなんかが引っ張っていけるかなぁって」
「随分とまた弱気だねぇ」
「だって、中澤さんとか飯田さんって、いかにもリーダーっぽいじゃないですか?」
「……おい。1人忘れてるぞ」
「えっ?誰かいましったけ?」
「今のリーダー忘れてるじゃん」
「えぇ〜?今のリーダー誰でしたっけ?」
「……アゴ折るぞ」
「冗談ですって、冗談」
「梨華ちゃんだと冗談に聞えないよ」
「まぁ、ともかく…」
「流すのかよっ!」
「ちゃんと、聞いてください」
「えっ…あ、うん…」

「…あたし、リーダーで頑張っていけるかなぁって…」
「だって、元テニス部部長だったんでしょ?」
「名前ばっかりだったし…部活とグループじゃ全然違うじゃないですかぁ?」
「まぁ…ね」
「それなのに…あたしなんかが…」

「…いいじゃんか。梨華ちゃんなりのスタイルで」
「でも…」
「梨華ちゃんが背伸びする必要ないでしょ」
「……」
「背伸びしようとするから、余計重圧がかかる。ありのまま、梨華ちゃんのままでいいじゃんか」
「…それでも…いいんですか?」
「いいもなにも、それしかないじゃん」
「……」

265 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:45

「それにさ……十分今のままでもリーダーっぽいと思うよ」
「えっ……」
「あの2人は梨華ちゃんのこと頼りにしてるじゃんか。頼りにされる人こそ本物のリーダーだよ。名前ばっかにとらわれているリーダーなんてリーダーじゃない」
「…真里ぢゃぁん…」

「な、なんだよ。こんな所で泣くなよぉ」
「だって、だってぇぇ……」
「よしよし…梨華ちゃんいい子、梨華ちゃん立派なリーダー」
「……うん」
「…それでさ、どうしてもダメになりそうなときはおいらの所にでもカオリの所にでも行けばいいよ」
「……うん」


「……おいらがそばにいるからさ」


「…えっ?」
「だから…おいらが…」
「おいらが…?」

「…もういいよ。なんでもない」
「なんですか?もう一度言ってください」
「なんでもないって」
「なんですかぁ?教えてくださいよぉ」
「梨華ちゃんがまた聞き逃したのが悪いんだぁ」
「ひど〜い。ホントにけちなんだから」
「おいら、けちだもん」
「…けちなところも好きなんですけどね」

「……」
「ちょっと、なんか言ってくださいよぉ。あたしだけ恥かしいじゃないですかぁ」
「…言ってもどうせ聞き逃すくせに」
「今度は聞き逃しません」
「ホントにぃ?」
「ホントです」
「ホントのホント?」
「ホントのホントです」



「……梨華ちゃん、好きだよ」



266 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:45

「…もう一回言ってください」
「ヤダよ。恥かしい」
「いいじゃないですかぁ。減るものでもないし」
「ヤダ」
「それじゃなかったら……キスしてください」
「はぁ?」
「今日はまだしてないじゃないですか?それに真里ちゃんがキスしてくれたら、リーダーとして頑張れるかもしれません」
「調子のいい梨華ちゃんだこと」
「チャ―ミー、真里ちゃんの唇が欲しいなぁ〜」
「いきなり、チャーミーになるなよ」

「いいじゃないですか…真里ちゃ……んっ……んん…」













「…さ、もう遅いから寝よ」
「あっ、ちょっと待ってください。まだレモンティー飲み終わってないんです」
「まだ飲み終わってなかったの?」
「だってぇ……」



267 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:45


私はここでそーっと部屋に帰りました。
なにか心が温かくなったまま。

部屋に帰ると唯ちゃんの布団がまたずれていました。
…ホントに寝相悪いねぇ。

「唯ちゃん…石川さんのためにも頑張ろうネ…」

布団を唯ちゃんにかけてあげて、
自分も布団の中に入ると丁度2人が帰ってきました。


「すっかり長話になっちゃったね」
「うん、早く寝よ♪」
「 ? なんか楽しそうだね」
「ウフフッ♪」
「なんだよ。キショイぞ」
「キショくないもん♪」
「それがキショいんだって。まぁ、いいや。おやすみ」


「真里ちゃん……」
「ふぇ?」
「大好き♪」

「ダ、ダメだよ…三好ちゃんと岡田ちゃんが隣で寝てるんだから」
「大丈夫♪もうぐっすりオネンネしてるから」
「ダメだってばぁ…ぁ…」

「あれぇ〜♪ダメだって言ってるわりには真里ちゃんのおっぱいのココ、固くなってるよぉ」
「ちょっ…やっ…ひゃぁ……」


……すみません。
さっきのまでの優しい温かい気持ちが一気に冷めました。

……今日は寝れそうにありません。




268 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/23(水) 22:46

<チームワーク強化のための合宿*その4>


269 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/23(水) 22:46

眩しい光で目が覚めた。
どうやらもう朝になってしまったらしい。
…まだものすごく眠い。
昨日はあんまし眠てないもんなぁ。
理由はもちろんお隣さんの深夜の秘め事のせい。
普通、同じ部屋で私と唯ちゃんがいるのにそんなことしますか…?
まぁ、それでもしちゃうのが2人らしいというかなんというか。

ぐーと背伸びをして
ふと、枕のすぐ左を見ると可愛らしい唯ちゃんの寝顔が目の前にあった。
ココ、私の布団なんだけど…。
寝相、悪すぎ。
なんでこんな所まで転がってくるかな?

ん…。

……てか、どうしよう。
寝顔の唯ちゃんかなり可愛いかも。
キス……したい。
キス……しても良いかな?
キス……してもいいよね?

いやいや、いかん。
なに考えてるんだ私。
唯ちゃんは妹みたいな存在で…。
でも…昨日の矢口さんと石川さんの甘いひとときを見ちゃってから
ちょっとそういうことに憧れてもみたり…。

…いいよね。
寝てるし、キスぐらいしても。

ゆっくり顔を近づける。
ヤバイ、可愛い。

あと5センチ…。
もうちょっと…。

270 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/23(水) 22:47

……あれ?

唯ちゃんはごろんごろんと反対側に転がって行ってしまった。
…あははは。私、何やってるんだろ。
そうそう。唯ちゃんはあくまで妹みたいな存在だっつーの。
ちょっと、先走っちゃったかな。
なんだか、恥かしくなって切なくなって
今度は右側を見ると……

!?

裸のまま抱き合って毛布に包まれている2人。
昨日はあのまま寝たらしい。
矢口さん、石川さん、ちゃんと服ぐらい着てから寝てくださいね。

「ふぁぁあ〜あ…」

ヤバイ。矢口さんが起きた。
なぜか寝たふりをしてしまう私。

「……ん?おいら…」

矢口さん、寝ぼけてるのかな?

「梨華ちゃん、梨華ちゃん。起きて……」
「んんっ……」
「何か着ないと風邪引いちゃうよ…」
「ん……」
「また病気になってラジオ休むの?」
「…ううん……ちゃんちゃかちゃ〜ん……むにゃむにゃ……」
「ほら、今服着なきゃ。三好ちゃんたちが起きて、おいらたちが裸だったら怪しまれちゃうじゃんか」

矢口さん、大丈夫です。
もう十分2人の関係はわかってますから。

271 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/23(水) 22:47

「ううん…真里ちゃん、着させてぇ…」
「もう…」

私は眠ったふりをしたまま左側に寝返った。
ん?
まさか、朝っぱらから変なこととかしませんよね。
私はイヤな予感がした。
私のイヤな予感はかなりの確率で的中する。

が、今回に限って言えばこの『イヤな予感』が
違った方向に転んでいくことになる。

「真里ちゃん、眠いよぉ…」

矢口さんと石川さんが立ち上がって服を着始めていた。
私は左側、つまり唯ちゃんの方を向いて寝たふりをしていた。
次の瞬間、寝相の悪い唯ちゃんが再び私のほうに転がってきて……。



ん?



なんか、唇に柔らかい衝撃。
これってまさか…。

目を開くとそこには……

私の唇と唯ちゃんの唇がどっきんぐ♪

……これって

キスしてる?

272 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/23(水) 22:48

更に悪いことにこの状態を
着替え途中の矢口さんと石川さんにばっちし見られてしまったこと。

「へぇ〜……」
「な、なんですかぁ!?」
「三好ちゃんと唯ちゃんって、そういう関係なんだぁ?」
「ち、違いますよ!これは偶然…」
「てか、三好ちゃん、起きてたんだね」
「あっ…」

そうだ、私寝たふりしてたんだ。
石川さんのあまりの感嘆の言葉に過敏に反応してしまった。

「寝たふりしながら、岡田ちゃんにキスするなんて三好ちゃんも考えたね」
「や、矢口さんまで!」

私にとって唯ちゃんは妹みたいな存在であって、
そんなキスしたいとかは……さっきはちょっと思ったけど……
でも、そんな衝動はまったくなくて…

273 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/23(水) 22:48

「怪しいと思ってたんだ」
「な、なにがですか?」
「ほら、ずっと三好ちゃんと岡田ちゃん2人でいたじゃない?そのうち愛が芽生えちゃうんじゃないかなって思ってたの。やっぱり、芽生えちゃったんだ…」
「ち、違いますって!」
「それとも、嫌いなの?」
「もちろん、嫌いじゃありません」
「好きなんでしょ?」
「石川さんが考えてる『好き』ではないです」
「キスしたでしょ?」
「これは事故です」

「そうだ♪良いこと考え付いちゃった♪」
「ふぇ?」
「三好ちゃんの最後の強化プロジェクト♪」

ごくん…。
いやな予感。
今までで最高潮にいやな予感がします。


「三好ちゃんの最後の関門は『今日中に岡田ちゃんとちゃんとしたキスをする』に決定!」


274 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 22:49
本日の更新はここまでです。
見事に名前の欄にタイトルを入れ忘れ途中で気付きました…。
275 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/23(水) 22:50
>>255 名無飼育 様
ありがとうございます。
きっと良いグループになることを願っております。

>>256 通りすがりの者 様
こんな内容ですみません….
たまにはいいかな…とこんな感じになってしまいました。

>>257 名無飼育 様
ホントに頑張って欲しいです。
いっつも笑ってる印象しかないですけど。

276 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/25(金) 00:05
更新お疲れさまです。 (;-_-+・・・。 ほんとーに頑張って下さいの一言です。 次回更新待ってます。
277 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/30(水) 14:14
それでは更新を再開いたします。

278 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/30(水) 14:14

結局なんだかってあって
矢口さん、石川さんの強引(すぎる)展開によって今日中に私が唯ちゃんの唇を奪うはめになった。
うぅっ…そんなんじゃないのに…。泣けるよ…。

「さ、じゃあ今日も一日頑張りましょう♪」
「は〜い♪」
「はい…(泣)」

問題はどうやって唇を奪うか…。
いきなりキスしよって言ったら、引くよね。
なりゆきでしちゃうとか。
もしくは倒れた拍子に……ん、待って。
どうやってキスしたことを証明するんだろう?
石川さんのわからないところでキスしたって意味がないの?
見られながら…キス?
ヤバイです。それは恥かしいです。

「……三好ちゃん!」
「えっ?あ、なんですか?」
「もう!聴いてなかったでしょ!そんなんだとチャーミー怒っちゃうぞ!プンプン!」

何度も言うけど勝手に怒っててくれ…。
こっちはあなたのせいで頭が稲葉さん状態なんでから!

279 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/30(水) 14:15

「岡田ちゃんと三好ちゃんでラブシーンをやるの!」
「あ、そうなんですか…へぇ〜、ラブシーン……って、ラブシーン!!??」
「そ、ラブシーン」

…展開が読めないッス。
先輩、何がどうなってラブシーンになったんスか?
混乱する私にそっと石川さんが耳打ちした。

(これはね、三好ちゃんにチャンスあげたんだから。ここで決めちゃっていいよ)
(で、でも私の心の準備が…)
(そんなの、流れに任せるままよ。いい?必ず決めるのよ)

こんな所で決めちゃうんですか?
かなりいい加減じゃないですか?
そんな私の疑問をよそに矢口さんがカメラを回し始めた。


「さ〜、始めるわよ♪よ〜い…アクション!」


280 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/30(水) 14:15

放課後の通学路。
季節は春。きれいな梅の花が彩りを添えていた。
絵梨香と唯は夕日に照らされながら家への道を歩いている。

「……こうして2人で帰るのも久しぶりだね」
「そやね。この学校に入りたての頃を思い出すね」
「ずっと部活で忙しくて一緒に帰ってなかったもんね」
「うん…」
「?  どうかしたの、唯ちゃん?」
「え?」
「なんかいつもの唯ちゃんじゃないみたいだよ」
「……」
「私でよかったら相談に乗るよ…」

立ち止まる唯ちゃん。
私のことをじっと見つめている。

「なぁ……絵梨香ちゃん」
「うん?」
「絵梨香ちゃんって、石川先輩のこと……」
「石川先輩のこと…?」
「…石川先輩のこと好きなん?」
「ふぇ?なんで?」
「だって、絵梨香ちゃんいっつも石川先輩のこと見てるやんけ…」
「そんなことないよ。石川先輩は部活のことでよく相談に乗ってもらってるだけだよ」
「ホントに?」
「ホントだよ。石川先輩、後輩の面倒見が良いし、スタイルも良いし、可愛いし、人望もあるし……って、なんですかこのセリフ!?」


281 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/30(水) 14:16

「は〜いっ!カットぉ!ちょっと三好ちゃん、ちゃんとセリフまわしてくれなきゃ困るよぉ!」
「だって、このセリフ明らかにおかしいじゃないですか?」
「事実でしょ?」
「事実は事実ですけど……なんか納得いかないです」
「演技なんだからキッチリやらないと。次から注意してよ。は〜いっ!続きいきま〜す。よ〜い…アクション!」


「ホントに?」
「ホントだよ。石川先輩、後輩の面倒見が良いし、スタイルも良いし、可愛いし、人望もあるし…色が黒いし、すぐキレるし、噛むし、精神年齢低いし、記憶力悪いし、キショイし……」


「は〜いっ!カットぉ!ちょっと三好ちゃん、そんなセリフどこにあるの?」
「え?私の台本にはそう書いてありますけど…」
「どれどれ……」

台本を渡す。
確かに原稿には書いてあった。
ただ、どうみてもあとから書き足したもの。
犯人はもちろん…

「ちょっとぉ!真里ちゃんでしょ、こんなことしたの?」
「…えへ。バレちゃったか」
「『バレちゃった』じゃないでしょ!」
「はぁ〜い……凄く適切なこと書いたんだけどな…」
「…真里ちゃん、何か言った?」
「いえ!言ってません。梨華ちゃんがキショイだなんて言っておりません!」
「もう…。(あんなこと言ってるくせに夜になると燃えちゃうんだから)
 続きいくよ、くるよ、納税しよう。よ〜い…アクション!」


282 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/30(水) 14:16

「ホントに?」
「ホントだよ。石川先輩、後輩の面倒見が良いし、スタイルも良いし、可愛いし、人望もあるし、色が黒いし、すぐキレるし、噛むし、精神年齢低いし、記憶力悪いし、キショイし…。ホントに相談してただけだよ」

「……よかった」
「え?」
「あんなぁ…うち、絵梨香ちゃんのこと好きやねん…」
「ゆ、唯ちゃん…」
「だって、もし絵梨香ちゃんが石川先輩のこと好きやったらうち絶対ふられると思ったし…」
「そんなことないよ…」
「あんなぁ…もう一回言うなぁ。うち、絵梨香ちゃんのこと好きやねん。だから…」
「だから…?」
「うちと付き合って」

唯ちゃんの目は本気。
しかも、ちょっと潤んできている。

「あんなぁ…もし、OKやったらぁ…うちにキスして欲しいねん…」
「唯ちゃん…」
「イヤやったら……その両手でうちのおっぱいを厭らしく厭らしく触って…」
「ちょ、ちょっと待って!なにそのセリフ!?」


283 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/30(水) 14:17

「は〜いっ!カットぉ!ちょっと三好ちゃん、なに取り乱してるの?」
「だって、ありえなくないですか?」
「ありえるの!」
「石川さんの文章構成がありえない…」
「…三好ちゃん、なにか言った?」
「いえ!言ってません。石川さんの学習能力がないだなんて言っておりません!」
「もう…。(あんなこと言ってるくせに唯ちゃんのこと好きなくせに)
 続きいくよ、くるよ、この度はご迷惑をおかけしました。よ〜い…アクション!」


「唯ちゃん…」
「イヤやったら……その両手でうちのおっぱいを厭らしく厭らしく触って揉んで欲しいねん…」
「わかった…」

私の心はもう決まっている。
目を瞑る唯ちゃん。
私は唯ちゃんの肩を抱いてゆっくりと唇を近づける。


……たっぷり15秒。


ん?あれ?
唯ちゃんの舌が入ってきて…
はぁぁん…き、気持ちいいかも…。


284 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/30(水) 14:17

「は〜い、カットぉ!2人とも良いよぉ、最高だよ」

あぁ…こんな良い所で止めちゃうなんて石川さんのバカ。
もっともっとしたかったのに…
…って!
と、とにかくこれで命題はクリアしたぞ。
これを冥土の土産にさせていただきます。

「じゃあ…次はいよいよベットシーンね♪」

そう。次はベットシーン。
お互いの『好き』という気持ちを確認した絵梨香と唯は…

へっ?

「べ、べ、べ、べ……」
「ベッキ―?」
「そう、ベッキ―。…ってちゃうねん!ベットシーンってなんですか!?」
「ベットシーンはベットシーンでしょ。いい?お互いの気持ちを確認した2人はそのまま岡田ちゃんの家でぇ……キャッ♪エッチィ♪」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ…」
「超いい感じ?」
「そう、超いい感じ。…ってちゃうねん!ちょっと、待ってください。告白していきなりそんなの…」
「最近の子は早いの♪」
「そうじゃなくて…」
「いいから、いいから。いい?岡田ちゃんがリードするのよ」

唯ちゃんがリード!?
わ、私がリードされるんですか?

「ええよ」

唯ちゃんまで!

285 名前:サクラサク合宿 投稿日:2005/03/30(水) 14:18

(いいじゃない、三好ちゃん。このままあげちゃいなさいよ)
(そんなこと言ったって私にも心の準備が…)
(昨日のお風呂のときだってホントはあのままされたかったんでしょ?)
(な、なに言ってるんですか?)
(体は正直なの。さ、唯ちゃんにめちゃくちゃにされちゃいなさい)
(え、えぇっ!)
(お逝きなさい。扉の向こうにお逝きなさい)


「さっさといくよ。よ〜い…アクション!」

え?
ホントにちょっと待って…。
唯ちゃんに押し倒される私。
徐々に服を脱がされていく私。
ちょっ、ちょっとぉ、待ってぇぇ!!
ゆ、唯ちゃん、うまい……じゃなくて!そこはぁ……!
矢口さんがニヤニヤしてる。
石川さんがニヤニヤしている。
唯ちゃんもニヤニヤしている。
だ、誰か、誰かこの人達をどうにかしてぇ〜っ!

で、でも……

これでも良いかもぉぉぉ!



『サクラサク合宿』。一先ず(強引に)おわり。


286 名前: 投稿日:2005/03/30(水) 14:18

287 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/30(水) 14:18
ということで完結です。
今後の三好さんのご活躍を期待しております。

288 名前:ゆーたん 投稿日:2005/03/30(水) 14:19
>>276 通りすがりの者 様
ほんとーに頑張っていきたいの一言です。

289 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/01(金) 03:24
更新お疲れさまです。 確かに強引な完結でしたがよかったです。 次回更新楽しみに待ってます。
290 名前:ゆーたん 投稿日:2005/04/04(月) 17:40
>>289 通りすがりの者 様
ホントに作者が文章力がなくて…。
次回作も読んでいただければ嬉しいです。

291 名前:ゆーたん 投稿日:2005/04/04(月) 17:40
『ミキティ・クリニック』
アンリアル。
某ラジオ番組のコーナーをヒント(根本)にしたお話です。

292 名前:ゆーたん 投稿日:2005/04/04(月) 17:41

街外れのもっと外れ。
都心のビル街は見えることは見えるが、
明らかに交通の便が悪いその場所にこのクリニックはあった。

『ミキティ・クリニック』

293 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:41

「あぁ〜、なんでだよぉ!なんでこーにも赤字が続くんだよっ!」

机の上に置かれた明細書をバシバシと叩きながら院長は頭をかいた。
病人がいない。
世間的には好ましいことなのだが、病院にとっては話が別。
もちろんちゃんとした病院なので、ある程度補助はしてもらっている。
だが、いくらなんでも日あたりの患者数が少なすぎるのだ。
このクリニックでは日に5人も来れば良い方で、
時には人っ子1人もいない時さえある。

「あぁ〜もう、どうすっかなぁ〜っ。」

実はちょっと前まではこのクリニックにもそれなりの患者さんが来ていた。
が、3年ほど前に2キロ離れた国道沿いに
『あやや病院』という大きな病院が出来たのだ。
それからというものそちらにみんな流れていってしまった。

294 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:42

「くそぉ。松浦めぇ…。」

ミキティ・クリニックの院長、藤本美貴というのだが、
あやや病院の院長・松浦亜弥とは大学時代の同級生だった。
もちろん、仲は良かった。
3年の夏までは仲は良かったのだ。
だが、3年の夏。
一緒に焼き肉を食べに行った時、美貴はレバ刺しを5人前注文。
松浦としては当然自分の分も頼んでくれたのだろうと
5人前のレバ刺しに箸を伸ばした瞬間

「ちょっと、亜弥ちゃん!美貴のレバ刺し食べないでよ!」
「え?私の分も頼んでくれたんじゃないの?」
「ちげーよ!誰が頼むかよ!これは全部美貴が食べるの!」

焼き肉屋での藤本はいつもの美貴ではなかった。
なにか怖い顔をしている。
藤本美貴にとって焼き肉とは『人生』であり『戦争』なのであった。

295 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:42

「ミキたんのケチ…。」
「あぁ゛誰がケチだと、オラッ!」
「ミキたんのケチ!まな板!デコガッパ!」
「…言ったなこのデカパイ野郎!どうせ、揉んで揉んで揉まれすぎなんだよっ!」
「あぁ、そうだよ。私の胸を揉んでくれる人がいるんだもん。ミキたんみたいに誰も揉んでくれる人がいないのとはワケが違います!」
「このぉっ!」

カルビが宙を飛んだ。
ロースも宙を飛んだ。
タン塩を焼くときは網を代えた。
冷麺が床にこぼれた。
キムチをTシャツの中にぶち込んだ。
石焼ビビンバの石鍋が壁を突き破った。

…まさに戦争だった。
散々店を荒らしたあと
店長に「出て行ってくれ!」と追い出されてから2人は絶交した。

「元々は、美貴のレバ刺しをあの野郎が食べようとしたからいけないんだ!」

大学卒業後、2人の進路は別々になったのだが
またここで逢うはめになったのだ。
しかも、松浦はわざとミキティ・クリニックの近くに病院を建てた。
これは美貴に対する挑発のほかならない。

「ミキたん。もし『ミキティ・クリニック』が潰れたら、いつでも『あやや病院』で働いてもらって構わないんだよ。もちろん、掃除のオバサンとして雇ってあげるから。にゃはははっ♪」

唇をかみ締めながら、美貴は外を見た。
遠くのあやや病院の桃色のビルが見えた。


296 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:42

「藤本先生、おはようございますなの。」

今日もいつもの様にさゆが出勤してきた。
ミキティ・クリニックには看護婦さんが2人、
そのうちの1人がさゆというわけだ。
もちろん『さゆ』というのはあだ名で本名は道重さゆみという。

「ねぇ〜、さゆ。」
「はい?」
「あのさぁ〜、ものは相談なんだけど…。今日は水着で診察室にいてよ。」
「な、なに言ってるのなの!」
「え〜だってさぁ〜、患者さん少ないじゃん。さゆが水着かなんかでいてくれりゃ話題性もあるし、男性患者は増えるだろうし…。」
「イヤなの!」
「…じゃあ、ブルマは?レオタードは?裸にエプロンは?」
「みんなイヤなものはイヤなの!藤本先生が水着着れば良いの。」
「え〜、美貴じゃダメなんだよ…。」
「なんでなの?藤本先生も十分可愛いの。」
「……美貴には胸がないだろうが。」
「え?なんて言ったの?」
「いやなんでもない、なんでもない。一応、さゆ考えといて。」

297 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:43

「先生、患者さんでぇ〜す。」

受付の方から声が聞える。
この人がさゆの他のもう1人の看護婦さん。
名前は……忘れた。
だって、ほどんと診察室には来ずに
受付と薬の伝票打ちをやっているので顔さえ覚えていなかった。
まぁ、それでもさして仕事には支障はない。

「はい、どうぞォ〜。」

美貴の声におずおずと1人の男性が入ってきた。
見覚えのあるメガネデブ。
ここ最近、たいした病気もしてないのに毎日このクリニックに来ていた。

「はい。今日はどうされました?」
「……ボソボソ……。」
「え?なんですか?もう一回お願いします。」

この患者さん。とにかく声が小さい。
こんな患者さんでも一応金は頂いているので診察はしている。

298 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:43

「……ボソボソ……。」
「『あの、実は今日はお話があってきたんです』ですね?」

メガネデブは首を縦に振る。
このやり取りはどう見たって変なのだが、美貴はもう慣れてしまった。
金のためならこの患者の息が臭くても体が臭くても服が臭くても
耳を近づけて聴いてあげていた。

「……ボソボソボソ……。」
「『ボクはあなた、つまり藤本先生のことが大好きになってしまいました。』」
「……ボソボソボソ……。」
「『毎晩毎晩、あなたのことを考えては眠れない日々を過ごしています。』」
「……ボソボソボソ……。」
「『そして、あなたのことを考えながら<よからぬこと>をして…』…えっ?…。」

美貴の顔が徐々に青ざめていく。
どうやらこのメガネデブの頭の中では美貴はそーゆー存在らしい。

「……ボソボソボソ……。」
「『…もうボクの妄想も限界です。今日こそ、あなたを押し倒して…。』」
「……!!」

299 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:43

次の瞬間、メガネデブが美貴の体に襲いかかった。
体重は90キロはあるだろうか?
細い体の美貴にとっては圧倒的に不利な状況だった。

「や、やめてくださいっ!」

美貴は叫ぶが、あいにくさゆはその場にいなかった。
みるみるうちに美貴の体の上にメガネデブが覆い被さる。

「こうすることが……ボ、ボ、ボクの夢だったんです。」
「いやぁっ!いやぁっ!」

抵抗する美貴。
が、体重90キロ近い奴には勝てなかった。
両手を完全塞がれた。
体も完全に上に乗られている。
さすがの美貴もだんだんと涙目になってきている。
それを見たメガネデブがニヤリとした。

「大丈夫…。優しくする…。」
「いやぁ…やめてぇ…お願い…。」
「……。」

ゆっくりとメガネデブの両手が美貴の小さいけど形の良い胸を包もうと……

300 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:44

「テメェ…いい加減にしろよな…。」
「……。」
「こっちが抵抗しないからって舐めてんじゃねーぞ。やめろっつってんのが聞こえねーのか!このボケッ!」

美貴の塞がれていたはずの両手がするするっと抜けると
あっという間に美貴の右ストレートが炸裂した。
たったその1発だけで90キロメガネデブは吹っ飛んだ。
距離にして……5メートルってところか。

「ルンルンルン♪あ、藤本先生ったらなにしてるのなの?」

鼻歌を唄いながらさゆが帰ってきた。
美貴としてはもうちょっと早く帰ってきてほしかった。

「ああん。ちょっと荒手の診察方法を試してみたんだけど失敗しちゃって…。」
「あら、本当なの。患者さんがあんなに遠くに飛んでいってるの。」

メガネデブは足をぴくぴく痙攣させている。
もうコイツは二度とこのクリニックには来ないだろう。
また1人患者がいなくなった。
さゆさえいればあそこで止めてくれて
あと2、3回は稼げたのに…。

「さゆ、悪いけどさ。あの患者さん、外に運んどいて。そのうち、意識も戻ると思うから。」
「はぁい。」

ずるずると引きずって行く。
財布だけでも取っておけば良かったのだが、
さすがにそれでは犯罪になってしまう。
これでまた1歩『ミキティ・クリニック破産への道』を歩むことになった。


301 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:44

「先生、患者さんでぇ〜す。」
「はい、どうぞォ〜。」

午前中に2人目の患者さんが来るなんてかなり珍しい。
この時間帯に病院に来るのは決まってお年寄りか
学校を休んだ小学生ぐらいなものである。
だが、どうしてどうして美貴の目の前には
美貴と同い年ぐらいの若い女性が座った。

「はい、『石川さん』ですね?今日はどうしました?」
「あのぉ…そのぉ…。」
「はい?」

なにやら下を向いてもじもじしている。
いかにも女の子って感じの女の子。
患者をパンチ1発で仕留める美貴とは大違いかもしれない。

「…最近、真里ちゃんと…その…エッチしてても真里ちゃんが喜んでないというか…。」

美貴は少し首をかしげた。
果たしてそれがクリニックでどうにかなるものなのか?

302 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:44

「あの…『真里ちゃん』と言いますと…。」
「はい。あたしの大好きな人なんです。」
「女性?」
「あ…はい…。」

石川と名乗る女はさらにもじもじし
顔を赤く、いや赤黒くして照れている。

「普段はどのような方法で?」
「え?」
「ですから、普段はどのような方法でされてるのですか?」
「…エッチですか?」
「そうです。」
「ぇ…ぁ…そんな、恥かしい…梨華、言えない…。」
「耳打ちで構いませんので…。」
「ハイ……ごにょごにょごにょ……。」

恥かしいと言いながらもこの女、余計なことまで話していく。
出逢いは喫茶店のカウンター席だとか…。
初デートで遅刻した話だとか…。
初めては自分の家だったとか…。

303 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:45

「それは、つまりバリエーション不足ですね。」

話を聴き終えた美貴先生はズバリと言い当てた。

「バリエーション?」
「そう。例えば、どんなにおいしいラーメンでも毎日食べてみると飽きるじゃないですか?それと同じでどんなに気持ち良いことでも同じやり方だと飽きてしまうんです。」
「はぁ…。」
「なにか別の方法で挑みましょう。」
「そんなこと言っても…あたし、そんなに詳しくないと言うか…今までのしか知らないと言うか…。」
「そうですね…それじゃあ、取って置きのをおひとつお教えいたしましょう。」

美貴は机に置かれていた聴診器とさゆのナースキャップを手にする。

「それでは服を脱いで診察用ベットに横になってください。」
「え?服って、下もですか?」
「もちろん。全部脱いでください。」

言われるがまま服を脱ぎ診察用ベットで横になる梨華。
その梨華に美貴がマウントポジションをとった。

「はぁ〜い♪それじゃあ、藤本先生がどこが悪いか診てあげますねぇ♪」
「え?あの…。」

聴診器をマッパの梨華の体に当てていく。
いかにも怪しい手つきで。

「ここはどうかな?……それともここかな?……でもぉ…やっぱりぃ、ここかな?」
「やんッ……。」
「あ♪…ここが悪いんだぁ。じゃあ、こっちは?」
「ぁんっ…。」
「う〜ん…こっちも悪いみたいですねぇ。急いで治療しましょう♪」

304 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:45

*ここからは診察用ベットのきしむ音だけでお楽しみください。


ミシ……ミシ……

ミシミシ…

ミシ…ギシ…ギシ

ギシギシギシ…

ギシッ…ギシッ…

ギシギシギシギシギシッ!


「……さゆ〜。」
「は〜い、藤本先生……って、なにやってるのなの?」
「何って…診察じゃん。さゆ、悪いけどテイッシュ何枚か持ってきてくれない?」
「……変な診察なの。」

簡単に体を許してしまう梨華も梨華だが、
それを見てなんとも思わないさゆもさゆ。

「石川さんには、今日は聴診器とナースキャップを出しておきますのできちんとご使用下さい。」
「はい。今日はありがとうございました。早速、今夜試してみます。あと…。」
「はい?」
「また、相談に来てもよろしいでしょうか?」
「いいですよ。いつでもいらしてくださいね。」

丁度、午前中に1人患者を減らしたばかりなので
破産寸前の美貴としては嬉しいかぎりだった。


305 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:46

お昼の買出しに出かけるというさゆに
『高級・焼き肉カルビ弁当』を頼むとあっさり断られた。

「少しはこのクリニックの経済状態も考えてなの!そんなお金はどこにもないの!お蕎麦で十分なの!」

プンプンしながらさゆが裏口から出て行くのを見届けると
改めて空白だらけで赤文字が並ぶ明細書を見た。
どう見ても赤字。何度見ても赤字。
何かこれを脱する良い方法はないだろうか?
いや、ちゃんと美貴なりに考えてはみていた。出てきた答えは…

「やっぱりさゆに水着を頼むしかないかなぁ…。美貴もブルマかなんかで…。待てよ。それじゃあ、なんとかプレイとかに勘違いされたり…。」
「先生、お客様です。」

受付の方から顔も覚えてない看護婦の声がする。
こんな時間にお客様?
はて、誰か来る予定があったかしら?
とにかく頭に浮かんでいたさゆの水着姿を排除してから診察室を出た。
するとロビーにいたのは…。

306 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:46

「よっ♪ミキたん、お久しぶり♪」
「あ、亜弥ちゃん…。」

まさしくあやや病院院長・松浦亜弥、その人だった。

「こんな時間に何しに来たんだよ。」
「まぁまぁ、慌てない、慌てない♪」
「用がないならとっとと帰ってよ。こっちも忙しいんだし。」
「はぁ?どこがぁ、どこが忙しいの?患者さん、見当たらないんだけど?」
「い、今は昼だから昼飯食ってるだけでしょ!」
「へぇ〜、そうなんだ。あやや病院はお昼にもいっぱぁい患者さんいるんだけどなぁ♪」

美貴はぐっと拳を握り締めた。
どう考えても美貴を茶化しに来たとしか考えられない。

「とにかく、用がないなら帰ってよ。」
「まぁまぁ、用があったからこんな汚いトコまで来てあげたんじゃん。」
「じゃあ、なにさ?」
「あのさぁ…ほら、うちの病院ってすっごく広いじゃん。ここと違って。」
「…で?」
「だから、いっぱぁい患者さんが来るの。でもね、良いことばっかりじゃなくてぇ、なんせ人材が不足してるわけよ。良い医者がなかなかいなくて。」
「そんなの大学病院あたりから引っこ抜いてくりゃいいじゃん。亜弥ちゃんの権力を使えばそんなの簡単でしょ?」
「それも良いんだけどぉ、やっぱり信頼性に欠けるというかぁ…。」
「なにが言いたいワケ?」

美貴は亜弥を睨みつける。

307 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:46

「つまりぃ、ミキたんさえよければぁ、うちの病院に来て働いて欲しいんだけど。」
「はぁ?なに言ってるの。前に逢った時は『掃除のオバサンとして雇ってやる』とか言ってたくせに」
「それと今回のは別ぅ♪ミキたんだって、私と同じ大学出てるしぃ。胸はないけど腕は認めてるよ。それにこんな所で医者の一生を終えたくないでしょ?」

いとも簡単に『ミキティ・クリニック』を『こんな所』呼ばわれ。
すでに美貴の堪忍袋の緒は限界に達していた。

「給料だっていっぱぁい出すしぃ…。悪い話じゃないと思うんだけど。」
「じゃあ、ここを閉めろって言うわけ?」
「そうだよ♪だってぇ、医者のいない病院なんてないでしょ?」
「うちには看護婦が働いてるんだけど。」
「うん。その件なんだけど…。」

亜弥はちらっと受付の方をみると声を低くした。

「…あの受付の看護婦さんはうちの病院で雇ってあげても良いよ。こないだ調べてみたんだけど、あの看護婦さん、結構良い大学出てるしぃ…。」
「さゆは?」
「え?あ〜、もう1人のほう?あの娘はダメぇ。だってあの娘、ド田舎の3流大学出身なんだよ。あんな娘雇えるわけないじゃん。あの娘は違った仕事が良いと思うなぁ。ほらぁ、可愛いからちょっと脱いだりしたら稼ぐ方法いっぱぁいあると思うよ…。」

亜弥はすっかり忘れていた。
美貴が空手、柔道、剣道、合気の達人であることを。
美貴の右拳もここまでが限界だった。


308 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:47

季節はあっという間に流れていくもの。
年齢を重ねるごとにそのスピードが速く感じてしまうのも仕方がないこと。
美貴が亜弥の左の頬に
自慢の右ストレートを食らわせたのはもう3ヶ月も前の話だった。
3ヶ月もたったというのにミキティ・クリニックは相変わらずの暇。
その間、受付の看護婦はここを辞めた。
噂によると今は『あやや病院』に勤務しているらしい。
さびしいクリニックを美貴とさゆみの2人が切り盛りしていた。

「暇なの。誰も患者さんがいないの。」

さゆみは受付もこなし、美貴の手助けもしている。
といっても1日3人ほどの患者。
それほど苦労するわけでもない。
あとは梨華がちょくちょく来るようになっていた。
別に病気というわけではなくて、
美貴が相談を受けてあげたり、一緒にお茶を飲んだりと言ったところ。
なんの変化もない。
なんも変わらない。
いや。変わらないことも本当は大事なのかもしれない。

309 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:47

「先生、久しぶりの患者さんなの。」
「ん、患者さん?」

この日も暇で受付の横にあるテレビで
ドラマの再放送を見ていた美貴。
別に病院なのだから患者さんが来るのは当たり前なのだが、
当たり前じゃない所に今のミキティ・クリニックの状態が伺われる。

「じゃあ、こちらへどうぞ。」
「……。」
「あの…?」

美貴が話しかけても患者はその場に立ちつくしたまま。
不思議に思い、美貴が一歩踏み出した次の瞬間…。

「すみませんでしたぁ!!」

スミマセンデシタ?
突然のことで唖然とする美貴。
その患者は美貴に向かって土下座していた。

「本当にすみませんでした!!」
「いや…あの何がですか?」
「お許し下さいませ!」
「てか…誰ですか、あなた?」

ようやく患者は頭を上げた。
目にはうっすら涙を溜めている。
短く切った髪とこんがりと焼けた肌。
なかなかのイケメン君だが、美貴の知り合いにこんなイケメンはいない。

310 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:47

「覚えてませんか?」
「いや…美貴、物覚えが悪いというか…患者さん少ないから、顔はそれなりに覚えてるはずなんだけど…失礼ですけど、どちら様ですか?」
「あの…3ヶ月前…。」
「3ヶ月前?」
「あなたを襲おうとした大バカ者です!」
「…あぁ、あのメガネデブ………え、えぇっ!」

あのメガネデブ。
診察をしようとした美貴を襲おうとした人。
あのメガネデブ。
見事なあまりの美貴の右ストレートをお見舞いした人。
そのメガネデブとは似ても似つかないイケメンが目の前にいた。

「…随分とまた変わりましたね。」
「はい…。藤本先生にぶっ飛ばされたあとよく考えたんです。自分はとんでもないことをしてしまった…。つい、自分の叶わぬ欲望のまま行動してしまった…。なんて自分は弱いんだろうって…。」
「まぁ、犯罪ですからね。」
「はい。それで自分を鍛えなおすためにボクシングを始めたんです。体重も40キロ絞りました。何事にも我慢する心を知りました。そして…生きがいを見つけました。」
「それはそれは…」

実は美貴、ちょっと後悔している。
こんなにイケメンだったなら、あの時に抱かれておけば良かった。
もったいないことをした、と。
今の痩せた状態で美貴を襲えば
何のためらいもなく美貴は全裸になっていたであろう。

311 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:47

「…それで今日はどうしたんですか?」
「…はい。実はボクシングのプロテストを受けようと思うんです。」
「プロテスト?」
「はい。それで今日はどうしても…」
「どうしても…」

美貴は息をのんだ。

「あの右ストレートを僕に伝授してください!」
「え?」
「藤本先生は線が細いのに僕に対してあんな物凄いパンチを打ったんです。あのパンチを、あのパンチを伝授してください!」

元・メガネデブは頭を深深と下げた。
本当は美貴は違うことを期待していたのだが、それは内緒。

「まぁ…いいでしょう。美貴の伝家の宝刀・右ストレートパンチを伝授してあげましょう」
「あ、ありがとうございます!」
「これを教えるからには、世界チャンピョンになってもらわなきゃね」
「ハイ!頑張ります!」

「その前に1つ…」
「はい?」
「……いまでも美貴のこと思いながら<よからぬこと>をしてるんですか?」

するとイケメン君は笑いながら
「今は彼女がいますから」と答えた。


312 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:48

いよいよ切羽詰ってきた『ミキティ・クリニック』。
やはりホワイトナイトを待つべきなのか。
それとも、東北のどっかの球団みたいに…。

「なに言ってるのなの。楽天は優勝するの。」

野球を何にも知らないさゆが叫ぶ。
そう。それはフランスのワールドカップで
『日本が優勝するし』と言い放った女子高生とさして変わらない。
やはりホワイトナイトもパ・リーグ優勝もソフトバ……。

「さゆ…。」
「なんですか?今いい所なの。」
「ちょっとさ、話があるんだけど…。」
「打ったの!誰だか知らないけどホームランなの!」
「あのさ…。」
「こんな選手知らないの。でも、打ったんだから凄い選手なの。」

ぐるぐるとタオルを振りまわすさゆ。
そんなさゆを見ながら美貴は1人暗い気持ちになっていた。
理由は…1つしかなかった。

「なんでなの。なんでアウトなのに1点入ったの。」

テレビの相手チームの攻撃に疑問を持つさゆ。
タッチアップぐらいルールとして知っておきましょう。

313 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:48

「ホントに真面目な話なんだけど…。」
「なんですか?」
「あのさ……さゆって、ここの他に働けそうな所ある?」
「え…?」
「ほら、資格持ってたり、身内で商売している人とか…」
「先生…?」
「や、やっぱりないよね。不況だもんね。再就職は難しいよね。」
「……」

下を向いてうつむくさゆ。
ようやく状況が飲みこめたらしい。
テレビの電源を消すといっそう静けさが増した。

「嫌…。」
「え?」
「嫌なの。ここでずっと働きたいの。」
「そりゃ、そうだけどさ…。」
「……。」
「……。」

すっかり患者さんは来なくなっていた。
1日3人いた患者さんは週に3人になり
決まってくる人は梨華ぐらいだった。
もっとも梨華は患者ではないが。

314 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:48

「経営も苦しいしさ…。さゆだって、もっと一杯稼ぎたいでしょ。」
「そんなことないの。」

さゆは涙ながらに答えた。
実は亜弥がここに来た時、
最初、美貴は亜弥の条件をのんでもいいと思っていてた。
確かに絶交した仲ではあるが、
もっと良い仕事ができるならそれで良いと思った。
『あやや病院』で働けば、もっと多くの人を助けられると思った。
でも…

心配だったのはさゆのことだった。

ミキティ・クリニックを閉めたら、さゆはどうなってしまうのだろうか?
あわよくば、さゆも『あやや病院』で働ければ…
そう思ったのだが、現実は違った。
亜弥は学歴だけでさゆを判断した。
美貴の右腕として働いてくれたことを無視した。
だから、美貴は亜弥に手をあげてしまったのかもしれない。

315 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:49

「私は藤本先生と一緒に働きたいの。ここで一緒に働きたいの。」
「美貴もさゆと一緒に働きたいけど…」
「じゃあ、このままでいいと思うの。このまま仕事を続ければいいの。」
「『このまま』って言っても、ここが赤字なのは知ってるでしょ?」
「それなら、私の給料を下げればいいの。私はそれでも構わないの。」

もう、さゆの大きな瞳からは涙が零れていた。

「さゆ…。」
「嫌なものは嫌なの。ここは辞めたくないの。」
「そりゃ、美貴だってヤだけどさ…。」
「じゃあ、なんでそんなこと言うの?藤本先生、信じられない!」

さゆはそのまま机に突っ伏してしまった。
美貴はどうすることも出来ず、たださゆの頭をなでてあげるだけ。
それ以上、なにも出来なかった。
時計の針が動く音だけがやけに寂しかった。


316 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:49

さゆが机に突っ伏してから1時間たっただろうか。
まだ2人の間に会話はない。
窓の外は夕日の色の雲が一面を覆っている。
そんな時だった。

「すみません!美貴ちゃん、美貴ちゃん!」

けたたましいアニメ声。
それは間違いなく梨華の声。
美貴は立ち上がって、声の主のもとへと向かう。
声の様子から今日は単なるお喋りに来たわけではなさそうだ。

「美貴ちゃん!真里ちゃんが凄い熱で…食欲も全然なくて戻しちゃったの…」

受付の横にちょこんとへたり込んでいる人がいた。
話には聞いていたが、美貴は真里と逢うのは初めてだった。
見た感じ背が低い。
美貴も背が高い方ではないが、真里はもっと低いようだ。
熱っぽいとは言っていたが、顔色もかなり悪い。

「真里さん、真里さん。大丈夫ですか?」
「うん…とりあえず生きてる…。でも、目の前がくらくらして…。」
「熱は?」
「わかんないけど…。昨日は39度あった…。」
「じゃあ、今測りましょう。さゆ、さゆ!」

317 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:49

美貴が叫ぶ頃にはさっきまで泣いていたさゆも準備が出来ていた。
真里に診察室に入ってもらう。

「どんどん酷くなってきてたから、とにかく美貴ちゃんのところにって…」

心配そうな梨華の声をよそに美貴は手際よく診察を始める。
さゆもぽんぽんと必要な器具を渡していった。

「う〜ん。熱は40度超えてる…。よく歩いて来たね。」
「ううん。今日はあたしが車を運転してきたの。おかげで歩いて30分のところを車で2時間かかっちゃった…」
「「……」」

美貴もさゆも言葉が出ない。
梨華らしいといえば梨華らしいが、いろんな意味で怖い。
ぐったりしてる真里だが、なんとか意識はあるし
おそらく季節外れのインフルエンザといったところか。

「とりあえず今日はここで入院してもらおっか。」
「入院?」
「うん。まぁ、点滴打って、薬飲んでもらって様子を見るだけだから。それに家だといろいろ不安でしょ?」
「あたしも泊まっていい?」
「別にいいけど……。」
「いいけどなに?」

「病院では変なコトをしないよ〜にね、梨華ちゃん。」

318 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:49

ミキティ・クリニックに2つだけある
……といってもほどんと使われない入院用のベット。
そこに真里を寝かせ点滴を打つと急に静かになった。
どうやら安心した真里は寝てしまったらしい。

「んじゃ、点滴が終わったら美貴達を呼びに来てよ。」
「うん。わかった。それと…。」
「 ? 」
「ありがとね、美貴ちゃん。」

「……バカ。仕事だよ。」

受付の部屋に戻るとさゆがお茶を進めてくれた。
さっきまで拗ねていたさゆの機嫌も戻ったらしい。

「久しぶりに医者っぽいコトしたなぁ。」
「藤本先生は名医なの。手際が良いの。」
「そんなことないって。でも、梨華ちゃんも梨華ちゃんだよ。あんなに慌てて入ってきてさ。てっきり交通事故にでもあったのかと思っちゃったよ。」
「石川さんにとって、矢口さんは大切な人だからあれだけ慌てていたの。」
「大切な人 か…。」
「大切な人なの。」
「…じゃあさ、なんであやや病院に行かなかったんだろ?」
「え?」
「だって、ここらで一番設備が整ってるのはあやや病院なんだよ。大切な人だったら1番良い治療を受けられるそっちを選ぶのが普通じゃない?」

「それは……それは違うの。石川さんは……石川さんは藤本先生を信頼しているの。信頼しているからあやや病院じゃなくて、藤本先生がいるここを選んだと思うの。」

319 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:50

「そっか…。」
「信頼だけはお金じゃ買えない物なの。私も…

 藤本先生を信頼しているからここにいるの。ずっとここで働きたい!」

それだけ言うと、またさゆから大粒の涙が溢れ出した。
そんなさゆを美貴はただ優しく抱きしめた。

「ありがと、さゆ。」
「……。」
「美貴もさゆのこと信頼してるよ。」
「…ありがとうなの。」

柔らかいさゆを強く抱きしめてあげないと
さゆがどこか遠くに行ってしまいそうなそんな気がして
美貴はずっと、ただずっとさゆを抱きしめた。
このまま抱き合っていたい。
そんな心地よさに包まれた。

「…美貴ちゃん、点滴終わっ……キャッ♪」

…タイミング悪く入ってくる奴。

「…いいのよ。続けて、続けて。やっぱり…そうだったんだ。美貴ちゃんもさゆもお似合いだよ♪」

そして、勘違いする奴。
梨華は美貴とさゆの関係を
よからぬ妄想で繰り広げ、顔を赤くさせたのであった。

「ちょっと、梨華ちゃん?」
「あぁ、もう照れなくていいのよ。お互い様♪」

やはり梨華にも眠り薬でも打っておけばよかった。
美貴は後悔した。


320 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:50

あれからさらに1ヶ月。
相変わらず『ミキティ・クリニック』は暇だった。
思えば昨日も梨華が<真里との深夜の秘め事の話>をしに来ただけで
患者は1人もいなかった。
でも、美貴はそれでもよかった。
美貴を信頼してくれる人がいる。
美貴が信頼している人がいる。
その人がいる限り美貴はミキティ・クリニックを閉めることはない。



「ミキティ・クリニック」・完



321 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:50










「すみません…。」
「はい。どうしました?」
「藤本先生いらっしゃいますか?」
「藤本先生ですね。ちょっとお待ち下さい。藤本先生〜っ!」

さゆの声がクリニック中に響き渡る。
すると奥の方からバタバタと美貴が出てきた。

「…な〜に、さゆ。トイレぐらいゆっくりさせ…… !? 」

そこにいた人物とは…。

「にゃはははっ♪ミキたん、お久しぶり♪」
「あ、亜弥ちゃん!?何しに来たんだよ。」
「懐かしい♪逢うのは殴られて以来だね。」
「…また茶化しにきたの?」
「違う。今日はね、ずっごい重大な話があってきたの。」
「なんだよ。こっちも忙しいんだから手早くね。」
「へぇ〜。どこが忙しいの?どこにも患者さんが見当たらないんだけど。」

再び美貴は拳を握り締めた。
しかし…。

322 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:51

「なんだよ。重大な話って。」
「いやぁ〜。あのさ〜。あやや病院なんだけどぉ…。」
「あやや病院がどうした?ついに潰れたか?」


「うん♪潰れちゃった♪」


「はぁ!?」
「だからぁ、つまりィ…亜弥をここで働かせて♪」

唖然とする美貴。
あやや病院が潰れましたとさ。
だから、亜弥を働かせろ?
なに言ってるんでしょう、この人は?
さらに…。

「美貴ちゃ〜ん。」
「あ…梨華ちゃん…。」
「あのさ…あたし、ここで働きたいんだけど…」
「へ?」
「ウフフッ♪実はね。あたし、こー見えて看護学校卒業してるんだよ。」

ぐいっと卒業証書と資格証明書を前に出す梨華。
看護学校卒業なのに真里の容態もわからなかったらしい。
どいつもこいつも似たり寄ったり…。

323 名前:『ミキティ・クリニック』 投稿日:2005/04/04(月) 17:51

「お前ら、誰も雇うとは……」

そう。誰も雇うとは言ってない。
言ってないはずだが…。

「ねぇ、この際だから『あやや病院2』にしない?」
「え〜。『チャーミー石川病院』がいい。」
「ううん。『さゆ可愛すぎる病院』に決まりなの。」
「じゃあ、じゃんけんで決めよっか。」
「いいよぉ。絶対負けないから♪」
「それでいいの。」

はぁ……。
ミキティ・クリニックの未来は

明るい    のか?



「ミキティ・クリニック」・本当に完



324 名前: 投稿日:2005/04/04(月) 17:52

325 名前: 投稿日:2005/04/04(月) 17:52
おしまい
326 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/04(月) 21:50
面白かったです。
さゆがハマり役ですね。
327 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/05(火) 02:45
面白いです
続編大希望です
328 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/06(水) 01:33
更新お疲れさまです。 面白いですね、サイコーでした(^.^)b 最後オチもうけました(^^)またの次回更新待ってます。
329 名前: 投稿日:2005/04/10(日) 22:21

330 名前: 投稿日:2005/04/10(日) 22:22
ちょっと息抜き。

短編ゴト1

『スミレ』

331 名前:スミレ 投稿日:2005/04/10(日) 22:23

「空になりたいな…。」

おどけてみせたあなたの笑顔はやたら眩しくて。
そんな笑顔を見るたびに
あたしは嬉しそうにただ目を細める。

「梨華ちゃんは何になりたい?」
「あたしですかぁ?あたしは…」

首を斜めにして考えてみる。
案外、考えてみるとすぐには浮かばないもの。
だって、今の生き方がなりたいものだったから。

「…じゃあ、雲になろっかな。」
「雲?」
「そう、雲。」

あなたはあたしのことを不思議そうにみつめる。
その眼差しにあたしはちょっと照れる。

「なんで雲なのさ。」
「だってぇ…雲って良くないですか?」
「はぁ…?」

ここから見える空はあまりにも狭い。
しかも、少し濁ってて霞んでて。
それでも世界中どこにだって繋がっていると信じている。


332 名前:スミレ 投稿日:2005/04/10(日) 22:23

「ほら、雲って風に流されるままじゃないですか?」
「…まぁね。」
「そーゆー生き方って憧れません?」
「風に流されるままの生き方が?」
「はい。」
「いやぁ…そうでもないけどなぁ…。」

また首をかしげるあなた。
そんな仕草もやたらと可愛くて。

「梨華ちゃんは雲みたいな生き方に憧れてるの?」
「さぁ…わかりません。」
「なんだよ、わからないのかよ!」
「自分でもわからないんです。でも『さすらい』って感じがして。」
「さすらい…ねぇ。」

『さすらい』という言葉が本当はどんな意味なのかは知らない。
だけど、放浪者みたいな感じがして。
それがあたし達の現状にはぴったりな言葉だった。


333 名前:スミレ 投稿日:2005/04/10(日) 22:24

「人はなんで旅に出たがるのかなぁ…」
「え?」
「いやぁね。誰かの唄で

 『旅をするのは、帰る家があるからだ。
 さすらいの旅ほど淋しいものはない。』

 って歌詞があってね。」
「帰る家ですか…。」
「そう、帰る家。…そう思うとさ、おいらたちの帰るべき場所はどこなのかな?って。」

あなたはふっと空を見上げる。
それは大きすぎる瞳から優しさが溢れない様にするため。
それはあなたの強がり。
あたしの前ではお姉さんでいようとするあなたの強がり。

「あたしの帰る場所は…」

あたしはあなたのことを後ろからそっと抱きしめる。

「…ここじゃ、ダメですか?」
「り、梨華ちゃん…。」

いつもは小さな背中。
あたしといるときは大きな背中。

「…いいに決まってるじゃんか。いつでもここに帰ってきていいよ。」
「ありがと。」

あたしはあたなの背中におでこをあてる。
それはあなたの優しさに触れたから。
あなたと同じものが瞳から溢れそうだったから。


334 名前:スミレ 投稿日:2005/04/10(日) 22:24

「ねぇ、梨華ちゃん。」
「ん?」
「雲ってさ、空の近くにあるんだよね。」
「…うん。そうだよ。雲は空の近くにあるんだよ。だから…。」
「だから…?」
「だから、空の近くにある雲になりたかったの。」

「そっか。」
「そうだよ。空に一番近いものだもん。」

空は狭く見えてもやっぱり青いらしい。
東京の汚れた空でもやっぱり空は青いらしい。
ただ、それは周りに流されてしまいそうで
立ち止まることさえ躊躇う人達には
青く見えないだけなのかもしれない。

「じゃあ、おいらはやっぱり空になりたいな。」

あなたの言葉とともに
スミレが風に揺れている。


335 名前: 投稿日:2005/04/10(日) 22:25

336 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/10(日) 22:25
スミレ*おしまい

337 名前:ゆーたん 投稿日:2005/04/10(日) 22:26
>>326 名無飼育 様
ありがとうございます。ナースさゆです。

>>327 名無飼育 様
ありがたきお言葉。近い内に続編を書かせて頂きます。

>>328 通りすがりの者 様
いつもありがとうございます。新しいお話も是非♪

338 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/11(月) 07:13
更新お疲れさまです。 石川さんあと少しで卒業ですもんね(T_T) あと一ヵ月も無いですし・・・。 次回更新待ってます。
339 名前:ゆーたん 投稿日:2005/04/27(水) 00:14
>>338 通りすがりの者 様
ありがとうございます。卒業後の石川さんも頑張ってほしいものです。


(T▽T)<帰る場所がなくなっちゃった…。


それでは、次のお話です。
設定はアンリアルです。

340 名前: 投稿日:2005/04/27(水) 00:15

341 名前: 投稿日:2005/04/27(水) 00:15



庭先の赤い花壇に咲いた赤い花。
ずっと咲いている赤い花。
1年中咲いている赤い花。
だって、それは…。


『赤い花壇』




342 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:16




――――――
―――

それでは次のニュースです。
都内で相次いで発生した『連続女子高校生失踪事件』ですが、
今日で最初の事件から1年が経過しました。
2ヶ月おきに犯行が繰り返され、
未だに6人の女子生徒たちの消息不明になっております。
調査は引き続き行われているものの、
全くといっていいほど手がかりがなく、
また、目撃者もいないことから捜査は難航している模様です。
前回の失踪事件から2ヶ月。
2ヶ月ごとに事件が発生していることから
各学校ともに厳重な警戒が必要です。

―――
――――――







343 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:16

校庭の片隅。
冬の木枯らしが砂埃を上げている。
部活動の賑やかな声の行く先に大きな欅の木があって
そこに寒さで頬を赤くさせた女の子が立っていた。

冬は日の入りが早くて野外の部活動は大概早く終わる。
遅くなる部活以外、みんな帰り支度をして家路につくものだが、
どうしてどうして、この女の子はずっと木の下で立っていた。
まるで誰かを待っているようで。

やがて期待通り、白いマフラーをした女の子が欅の下にやって来てた。

「あなたが手紙をくれた人?」

白マフラーが問う。
赤頬の女の子はこくりと頷いた。

「ごめん、待ったでしょ?ちょっと職員室に呼ばれてたんだ。」
「いいえ、待ってません。今、来たばっかりです。」
「ならいいけど…。で、なにかな?美貴に用事って?」
「あの、実は…」

赤頬の女の子はさらに頬を赤く染める。
どうやらこの赤くなった頬は寒さだけが原因ではないようだ。

「あの…その…」
「?」
「…ふ、藤本先輩のことが好きです。絵里と付き合ってください!」
「へっ?美貴と?」
「はい。お願いします。」


344 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:17

告白をした赤頬は深々と頭を下げた。
緊張の一瞬ってヤツ。
経験した人ならわかるであろうこの緊張感。
まぁ、何度も味わえば良いというわけではないが…。

とにかく告白するには相当の勇気がいる。
この答えを聴くまでのドキドキ感…。
なんとも言えない期待感。
が、そんな淡い気持ちが込み上げる前に
答えは案外あっさりと返ってきた。

「いいよ。付き合ってあげる。」
「ホ、ホントですかぁ!ありがとうございます。」

告白をした女の子はまた深々と頭を下げた。
ちょっと涙目になっている赤頬の女の子に
白マフラーの女の子が手を差し伸べた。

「それじゃ、一緒に帰ろっか。」
「はい!」

自然と手が繋げた。
学校の帰り道が早速2人の初デートと言ってもいい。


345 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:17

「あぁ、ごめん。名前聞いてなかったね。名前はなんていうの?」
「はい!亀井絵里って言います。絵里って呼んで下さい!」
「絵里ね。美貴も一応言っとこうか。藤本美貴。」
「はい!知ってます。」
「ここの高校の3年生で…」
「はい!知ってます。帰宅部で英語の成績は赤点すれすれ、数学も友達の答えをカンニングさせてもらって辛うじて赤点を免れた、あの藤本美貴先輩ですよね。」
「……く、詳しいね。」
「はい!大好きですから。」

絵里はにっこりと笑みを浮かべた。

「…絵里はさ、美貴のことどこで知ったの?」
「この学校に来てから知りました。藤本先輩って、結構うちの学校じゃ有名じゃないですか?」
「そうなの…かな?」
「はい!すごく美人だし……絵里、人目惚れしたんですよ。」
「あぁ…そうなの。」
「はい!」

2人は手を繋ぎながら夕焼けの道を歩いていく。
幸せそうな絵里の笑顔は夕日に照らされて輝いていた。
そんな絵里の笑顔を約50メートル後ろで見ている人がいた。

「……絵里。」

やがて、2人は一軒の家の前で立ち止まった。

「ここが美貴の家。誰もいないけど、あがってってよ。」
「はい!あがらせて頂きます。」

美貴はカバンの中から鍵を取り出すと
玄関の扉をあけて絵里を中に入れる。

このとき美貴の顔が一瞬、フテキな笑みを浮かべていることに
絵里はまったく気付かなかった。




346 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:18

絵里は靴を脱いで2階に上がる。
家の中はえらく静まり返っていた。
誰もいないのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが、
それにしても不気味な雰囲気をかもし出していた。

階段上がってすぐ横の部屋に通された。
おそらく、ここが美貴の部屋なんだろう。
部屋に入ると…

やけに大きなセミダブルのベットが目に入った。

「キャッ!」

すると突然、美貴が後ろから絵里の体を力いっぱい押した。
思わずベットに倒れこむ絵里。
一体、何が起こったというのか?
状況を把握する前に絵里の上に美貴が飛び乗った。

「ふ、藤本先輩…?」
「絵里は、美貴のこと好きなんだよね?」
「ハイ…好きですよぉ…。」
「じゃあ、今からすることは好きな人にだったらされてもいいことだよね?」

それだけ言うと
美貴は絵里の制服のスカートを捲り上げた。

「や、いやぁ!やめてください!」
「嫌じゃないでしょ?美貴のこと好きなんだから。」
「でも!」
「はい、つべこべ言わないの。おとなしく脱がされなさい!」

美貴は強引に絵里の制服を脱がしていく。
もちろん一番敏感なところを手で撫でながら。


347 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:18

「イやぁ…ん…ダメです…。」
「ダメじゃないでしょ?今、すっごく感じてるじゃん。」
「…ぁん…あっ…」
「ホラホラ♪」

激しく抵抗する絵里だったが、美貴の腕の力には勝てなかった。
徐々に美貴のペースに持ちこまれ
やがて絵里の体は美貴の目の前に曝け出された。
絵里の呼吸も荒いが
美貴の呼吸はさらに荒くなっている。

「すっごい…。」
「イやぁ…見ないでぇ…。」
「大丈夫。絵里は可愛いよ。ホラ、足開いて。ちゃんと美貴に絵里の大事な所見せて。」

無理やり足を開かせる。
絵里はもう「そこ」がどうなっているのか容易に予想できていた。
じっと強い視線を感じる。
こんな格好しちゃって、なんて恥かしいんだろう。
無理やり脱がすなんて、なんて強引なんだろう。
それでも絵里は美貴のことを心から愛してたかもしれない。
だから、このあともすべて美貴に身を任せてしまったのだろう。




348 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:18









349 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:19

幾度となく愛を確かめ合う行為が続き、
全てが終わった頃には絵里はぐったりベットに横たわっていた。

「可愛かったよ。」
「…ありがとうございます。」
「美貴も絵里にハマちゃったよ。」

そう言って絵里の髪を撫でた。
愛しい時間を過ごした2人にとって
今が一番幸せをかみしめている時間なのかもしれない。

「嬉しかったです…。」
「よかった、喜んでくれて。ちょっと、強引すぎたかなって思ってたけど。」


「そんなことないです。でも…これでおしまいですね。藤本先輩。」


「ふぇ?」
「これでおしまいです。」



350 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:19


「『これでおしまい』ってどういうこと?」
「もうダメなんです。おしまいなんです。」


「言ってる意味がわからないんだけど。」
「…わかりませんか?」


絵里は右手に持っていたものを見せる。
それはバチバチッと綺麗な光を放つものだった。


「じょ、冗談だよねっ。そんなことないよねっ。」
「冗談じゃありませんよ。」


「え、ええ、ちょっと!」
「さようなら。」



ドンッ!



一瞬、全世界の時間が停止した。
何が起こったのかわからなくなる。
美貴の体にぶつかった絵里はゆっくりを後ろに下がる。
するとゆっくりと美貴の体が前のめりになった。

「うっそ……。」

そのまま美貴の体は重力に従いベットから崩れ落ちた。
美貴の身体機能はあっというまに停止した。

この時を待ってたかのように絵里は窓を開ける。
すると、スッと1人の女の子が中に入ってきた。


351 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:20

「絵里、遅いの。」
「ごめん、ごめん。ちょっとえっちを楽しんじゃった♪藤本先輩、すっごく上手なんだもん。」
「もうっ!あとつけて、1人外で待ってる身にもなってなの。」
「ごめん、さゆ。あとで奢るから。」
「もうっ!たくさん奢ってもらわないと割に合わないのなの!」
「まぁまぁ…。とりあえず、コレ運ぼっか?」
「うん。もう準備は出来てるの。」

2人は美貴の体を素早く外に運ぶと
あらかじめ用意してあった荷台に乗せる。
あとは絵里の家にこれを運ぶだけだ。
今回もあっという間に仕事は片付いた。

「これでまた2ヶ月は綺麗な花が見れるね。」
「うん。今度はどんな花なんだろ?」
「どんな花でもいいよ。1年中、絵里の花壇は花が咲くんだから。」
「それもそうだね。」

美貴の体は絵里の家にある赤い花壇の下に埋められた。
すると翌日、この花壇に新しい花が咲いた。



ニュースでは7人目の犠牲者の話題が上っていた。





352 名前:赤い花壇 投稿日:2005/04/27(水) 00:20




「あの高橋さん。絵里と、絵里と付き合ってくれませんか?」
「ふぇ?あーし?」
「はい!お願いします。」
「まぁ…えーよぉ。」
「ホントですかぁ。ありがとうございます。」





『赤い花壇』・おしまい



353 名前: 投稿日:2005/04/27(水) 00:20


354 名前:ゆーたん 投稿日:2005/04/27(水) 00:20

ということでした。
それでは、また新しいお話を更新する日まで。


355 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/27(水) 23:18
更新お疲れさまです。 か、かなりペースが早く、ついて行くのに大変でしたが、かなり恐怖を感じました。 もう夏ですね・・・。 次回更新待ってます。
356 名前:ゆーたん 投稿日:2005/05/03(火) 20:00
>>355 通りすがりの者 様
説明不足、内容不足、申し訳ないです。
気ままに更新しますので、また宜しくお願いします。

357 名前:ゆーたん 投稿日:2005/05/29(日) 23:06

『夏色の景色』


358 名前:『夏色の景色』 投稿日:2005/05/29(日) 23:06

窓の外には大きすぎるほどに膨らんだ入道雲が
水平線の上でぐっすり昼寝をしている。

「夏っていいですよねぇ。」

近くで雑誌を読んでいるその人に話し掛ける。
だけど、その人は素っ気無い答えを返してくる。

「はぁ?暑いだけじゃん。」

いつもと同じ。
なにも変わらない風景。

「それが良いじゃないですか。」
「そうかぁ?暑くて蒸してて…。」
「…藤本さんは暑いの嫌いなんですかぁ?」
「ウン。美貴は北海道の心地良い気候で育ったからねぇ。」

遠い目をするあなた。
きっとその瞳の奥には絵里の知らない世界が広がってる。

「じゃあ、絵里が教えてあげますよ。」
「へっ?何を?」
「夏の良いところを。」

夏だって良い所が一杯あるんです。
だけど、やっぱりあなたは乗り気じゃなくて。

「…いいよ、別にィ。」
「そんなんじゃ、いつまでたっても夏を好きになれませんよ。」
「好きにならなくていいから。」
「好きにならなきゃダメです。」
「…なんで?」
「なんでもです。」


359 名前:『夏色の景色』 投稿日:2005/05/29(日) 23:06

無理やりあなたを外に連れ出す。
そうでもしないと、あなたは意外とインドアな人だから。
外には風いっぱい太陽の匂いがして。
広すぎる大空はほんの少しだけ夏の匂いがして。

「気持ち良いですね♪」
「まぁね。…で、どこに行くのさ?」
「…どこに行きましょう?」
「はぁ?決めてなかったの?」
「ハイ。決めてません。」

ぶらりぶらり行きましょうよ。
一日は全ての人に平等に24時間あるんですから。
生き急ぐ必要なんてこれっぽっちもありません。

「…だって、亀ちゃんが『夏の良い所を教えてくれる』って言ったんだよ。」
「そうですねぇ。」
「なのに行くとこないんじゃ意味ないじゃん。」

すでにあなたはご機嫌斜めです。
人間、辛抱が大事。
そんなに短期じゃ、良いことありませんよ。

「じゃあ…とりあえず、海に行きましょうか?」
「海ぃ?」
「そうです。恋人達の集まる海に行きましょう。」
「別に美貴と亀ちゃんは、恋人じゃないじゃん。」
「…でも、可愛がってくれるじゃないですか?」
「へっ?」

そう、あなたはいっつも絵里を可愛がってくれます。
それが絵里にとって、心の底から嬉しいんですよ。

「美貴、可愛がってるつもりはないんだけど…。」
「さぁ、行きましょ、行きましょ。」
「むしろ、いじってるだけだし…。」
「はい、はい。準備はいいですかぁ?」
「準備って…なにこれ?」

見てわからないんですか?
これに乗って2人で海に行くんですよ。


360 名前:『夏色の景色』 投稿日:2005/05/29(日) 23:07

「これ、普通の自転車だよね?」
「そうですよ。普通の自転車です。」
「これを…どうするの?」
「後ろに乗ってください。」

そう、自転車2人乗り。
こうやって2人っきりで海まで行くのが夢だったんです。

「それって普通、恋人とかとやるもんでしょ?」
「絵里と一緒だって、いいじゃないですかぁ。」
「まぁ、イイケドさ…。」

しぶしぶ、絵里の後ろに乗るあなた。
これで準備万端です。

「しっかり、つかまっててくださいね。絵里、自転車の運転には自信がないんです。」
「はぁ!?」
「大丈夫です。藤本さんが一緒なら大丈夫です。」
「ちょっ、ちょっと待って!やっぱ、やめる!降りる!こんな所で怪我したくない!」
「もう、遅いです。それじゃあ、レッツ・ゴー♪」
「えっ!ええっ!ギャッ、ギャーッ!」

あの海、目指して一直線です。


361 名前:『夏色の景色』 投稿日:2005/05/29(日) 23:07



「それーっ!」

あなたを自転車の後ろにのせて
ゆっくりゆっくり下ってく。

何気ない日常。
それが、街角の夏色の景色。














「どうでしたか、藤本さん?」
「死ぬかと思った…。」
「また一緒に行きましょうね♪」
「ヤダ…。」
「じゃあ、今度は山に行きましょう。」
「…って、美貴の意見も聞いてよ!」


362 名前: 投稿日:2005/05/29(日) 23:08

おしまい

363 名前: 投稿日:2005/06/13(月) 20:05




短編ゴト2

『夜の秘密』





364 名前:夜の秘密 投稿日:2005/06/13(月) 20:05

既に時計の針は24時を回っている。
日付もかわり、街は深い眠りに包まれていく…


…はずだった。
そう、このホテルの一室では眠りに包まれぬ、夜の世界があったのだ。


「三好ちゃぁん…。」

なんとも切なげな声を出す娘。
この娘は、目の前にいる「三好」という子におねだりをしていた。

「ちょっと待ってください。」
「え〜。もう待てないよぉ。」
「今、説明書読んでるんですから。」
「え〜。もうダメぇ。」

我慢できなくなった娘はゆっくりとショーツを下ろした。
その姿に思わず顔が赤くなる三好さん。


365 名前:夜の秘密 投稿日:2005/06/13(月) 20:06

「ま、待ってって言ったじゃないですか!」
「そんなこと言わないでさぁ。 …早く入れてよぉ。」

「あの… ホントに絵梨香でいいんですか?」
「三好ちゃんがいいのぉ。」
「後悔…しません?」
「後悔しないよ。」
「じゃあ…。」

三好さんはゆっくりとそこ娘のお尻に近づく。

「梨華ちゃん。入れますね?」
「うん…。痛くしないでね…。」

その娘
―――― どうやら梨華というらしいが
今にも泣きそうな顔をしながら絵梨香を待っていた。


366 名前:夜の秘密 投稿日:2005/06/13(月) 20:06

「入れますよ?」
「うん…。」


ヌポッ♪


「ぁんっ…。絵梨香、そこ違うよぉ。」
「えっ? す、すみません。 …実は絵梨香、初めてなんです。」

「え?初めてなの?」
「はい…。だから、絵梨香じゃない方が…。」
「ううん。絵梨香が良いの。だってぇ…。 実はあたしも初めてなの。」
「そ、そうだったんですか?」
「うん。初めてだから…優しくしてね…。」
「はい…。じゃあ、もう一度…。」

今度は慎重にコトを進める。
失敗しないように…。
痛くならないように…。


367 名前:夜の秘密 投稿日:2005/06/13(月) 20:06

「そこぉ…。絵梨香ぁ…。」
「もっと奥に入れますね。」
「ウン…ぁあ…。もっとぉ…。もっとぉ…。」

ずんずん中に入っていく。
梨華の体が厭らしくくねり出す。

「はぁ…んっ…。」
「梨華ちゃん…。」
「あぁ…もう…。」
「梨華ちゃん…。終わりましたよ。」












368 名前:夜の秘密 投稿日:2005/06/13(月) 20:07



「えぇっ!?もう終わったの?」
「はい。終わりました。」
「早いねぇ、三好ちゃん。」






「…てか、座薬ぐらい自分で入れてくださいよ!」
「だってぇ…。熱っぽいとき、これ即効性あるよって言われたんだもん。あたし、入れ方わからないし。」
「誰に言われたんですか?」
「のんに。」





「…多分、それ嘘ですよ。」





369 名前: 投稿日:2005/06/13(月) 20:07



短編ゴト2

『夜の秘密』:おしまい





370 名前: 投稿日:2005/06/13(月) 20:07


371 名前: 投稿日:2005/06/13(月) 20:07




短編ゴト3

『旅路』





372 名前:旅路 投稿日:2005/06/13(月) 20:08


どこまでも続く明日。
振り返るとやけに遠くにのびた道。

ここまで歩いてきた。
こんな所まで歩いてきた。


流した涙の数は数えていない。
数えるだけでまた涙が零れてしまいそうだから。

でも、あの日の涙は
きっとまだポケットにしまってある。


生真面目すぎる生き方も。
背伸びしすぎる生き方も。

どれもこれもかけがえのない自分。
まだまだ発展途中の自分。


ゴールが見える生き方なんて、
きっとつまらないんだろうな。

どこがゴールとか。
ここから再スタートとか。
そんなのいらないかも。


373 名前:旅路 投稿日:2005/06/13(月) 20:08


だって
きっとそれはその全てが自分自身だから。

通りすぎたものは二度と手に入れることが出来ないけど
今近くにあるものが
きっとかけがえのない宝物になる。


「「石川さぁん。」」


あたしを待っているあなたたちがいるから。


「あれぇ?三好ちゃん、あたしのこと『梨華ちゃん』って呼ぶんじゃなかったの?」
「あ〜。そうでした。」
「唯ちゃんも呼んでいいんだよ。」
「岡田はぁ、まだいいですよぉ。」



あなたたちと歩いていく旅路。
まだまだ遠くにのびていく果てしない旅路。



たった1つ。
夢だけを握りしめて。




374 名前: 投稿日:2005/06/13(月) 20:09



短編ゴト3

『旅路』:おしまい




375 名前: 投稿日:2005/06/13(月) 20:10



376 名前:ひろ〜し〜 投稿日:2005/06/16(木) 20:00
こんにちは。
短編ゴト2、かなり誤解しちまいました。テヘ。
短編ゴト3は爽やかでイイでし。
次回も楽しみに待ってます!
377 名前:ゆーたん 投稿日:2005/06/30(木) 23:13

>>376 ひろ〜し〜 様
ありがとうございます。
ちょっとした誤解を混ぜつつ御送りしました。

次のお話はちょっと変わったお話です。

378 名前: 投稿日:2005/06/30(木) 23:14




『東京大騒動』





379 名前: 投稿日:2005/06/30(木) 23:15




<指令書>

指令:道重さゆみを捕獲せよ
期日:本日午前0時まで

1.道重さゆみを捕獲せよ。
2.道重さゆみを殺してはならない。生け捕りにする。
3.捕獲するためならどんな手を使っても良い。
4.ただし、交通ルールは守る。
5.できるだけ、いや絶対に低コストで捕まえること。

以上。すぐに任務に取り組む様に。







380 名前:東京大騒動 投稿日:2005/06/30(木) 23:15

そんな、たった1枚きりの紙きれを渡されたって意味わかんないじゃん。
何が指令?
何が任務?
さゆだったらさっきまでそこのスタジオにいたじゃん。
その時に捕まえとけばよかったじゃん。
どうしてこんなに回りくどいことするのかねぇ。
うちらだって暇じゃないんだし。

なに?
でも、とにかくコレをこなせと?
どーするよ?
どーするよ?
隣にいるミキティに合図を送ってみる。

「……だってさ。」
「ふぅん。どうせいたずらでしょ。」
「かもね。」
「最近、こーゆーいたずら増えてるよね。」
「そうなんだ。」
「そう。ホントに困るよ。こんなの作る暇があるんだったら、日本の未来について真剣に考えろっつーの。」
「ニッポンのミライ?」
「そう。少しでも美貴が暮らしやすい国にしてもらわないと。」
「へぇ…。ミキティが暮らしやすいねぇ…。」


なんか嫌な予感がするんですけど。


「……まず、国民の祝日に『焼き肉の日』を増やすべきだと思うの。あと『レバ刺しの日』、『ホルモン記念日』と『タン塩感謝の日』とか。」
「全部、肉なんだ。」
「当たり前でしょ。ミキティ=焼き肉の2乗 っていう公式が大学入試の物理の問題に出たくらいだからね。」
「へぇ…。それは、それは。」


381 名前:東京大騒動 投稿日:2005/06/30(木) 23:16

「……確か、ニュートンが発見した偉大なる公式なんだよ。アインシュタインもそれについて論文書いてるって言ってたし。」
「言ってたんだ。」
「うん。実は昨日、アインシュタインに渋谷で会ったんだ。美貴とアインシュタインは『美貴ちゃん』『アンちゃん』で呼び合う仲で…。」



「……ミキティ。そろそろ、ぶん殴ってもいい?」


「イヤン♪痛いのはイヤ。 でも…よっちゃんさんに叩かれるんだったら…叩かれて縛られてセメられちゃうんだったら…すっごく気持ちいいかも…。」



バシンッ!



「あぁ…キモチイイ…もっとぉ……よっちゃんさん、もっとぉ…」
「んなこと言ってないでさっさと重さん探しとこうぜ。」
「…はぁい。」

こうして私とミキティは、軽い気持ちで重さんを探すことにしたのですが…。
これがまさか、あんなことになるとはねぇ。
多分、誰も予想してなかったね。





382 名前: 投稿日:2005/06/30(木) 23:16

383 名前:ゆーたん 投稿日:2005/06/30(木) 23:16

かなり短いですが、入りはここまでです。
次回に続きます。


384 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/01(金) 16:13
藤本さんのマゾキャラがツボですw
385 名前:ゆーたん 投稿日:2005/07/17(日) 22:58

>>384 名無飼育 様
普段とはちょっと違ったテイストのミキティでございます。


それでは前回からの続きです。


386 名前:ゆーたん 投稿日:2005/07/17(日) 22:59

「重さんか…。収録終わって、すぐに楽屋に帰らなかったっけ?」
「ウン。珍しく番組で出たご褒美には目もくれないで出ていったよね。」
「んじゃ、とりあえず楽屋に行きますか。」
「そうしますか。」


私とミキティは仕方なくスタジオを出て楽屋へと向かう。


……そもそもあの指令書は誰が書いたんだろ?
いきなり変なピンク色の服を着たチビに渡されたんだけど。
なんかかなり怪しかったんだよねぇ…。
しかも、あの文字。
どっかで見たことあるんだけどな。


「お疲れ様でぇす。」


前かられいなが歩いてきた。
丁度いいや。
ちょっとれいなに聞いてみよっと。


387 名前:東京大騒動 投稿日:2005/07/17(日) 23:00

「れいなぁ、重さん見なかった?」
「さ、さゆですか?」
「そー。いっつも可愛いでお馴染みの道重さゆみィ。」
「れ、れいなは知らんと!」


おいおい…。
なんだよ、そのわかりやすい動揺の仕方は。


「知らない?ホントに知らない?」
「石川さんに口止めされ ……じゃなかった。れ、れいなが気付いたときにはもういなかったんです。」
「梨華ちゃん?」
「い、石川さんは関係ないです。」


ミキティの鋭い(鋭すぎる)眼光が光る。
とたんにれいなは石に変化した。
ある意味、ミキティの漆黒の闇魔法。



388 名前:東京大騒動 投稿日:2005/07/17(日) 23:00

「へぇ〜……梨華ちゃんが関係してるんだぁ?」
「し、してないです!してないです!」
「ホントに?」
「ホントです…。」

「ホントにホント?」
「ホント……です。」

「ウソついてないよね?」
「ついて……ないです……。」

「ウソついたらどうなるかわかってるよね?」
「え……?」


怯えた顔のれいな。
ミキティ……それ以上はかわいそうじゃん。
ただでさえ『裏番長』って言われてるんだしさ。
これ以上、変な噂が広まると……。


「いい?ウソついたら、よっちゃんさんに縄で縛られて、叩かれて、何度も何度もイキそうなところをスン止めされて…… あぁ!想像しただけで美貴、悶えちゃうっ!」


バカ!
何言ってんだよ!
またさっきの続きかよ?
しかも、どんな想像力だよ!
悶えるなよ!
ツッコミ所満載で意味ヨシコだよ!



389 名前:東京大騒動 投稿日:2005/07/17(日) 23:01

「……藤本さん、それ本当ですか?」
「本当も何も、美貴には何回もヤッてくれたの!」
「じゃ、じゃあ、れいなもウソついてやってもらいますとっ!」


おいおい……。
そこのバカ2人。
チミたちどんなグループに所属してるんだい?
こんな奴らのリーダーの顔が見てみたいや。


「とにかく、石川が関与してるの?」
「してます。 ……じゃなった、してません!石川さんなんて関与してません!でも、これはウソです。」
「じゃあ、関与してるんだね?」
「はい、してます!私、ウソつきました!れいなは悪い子です!吉澤さんから罰を受けなければなりません……。」


そう言いながら上着のボタンに手をかけるれいな。
だ・か・らぁ!そんなことしません!


「あっ、美貴にもしてよ。」
「はいはい、順番にね。  ……って、ちがーうっ!」
「え? じゃあ、いきなりこっちですか?」


今度はスカートに手をかけるれいな。
だ・か・らぁ!そんなことしません!


390 名前:東京大騒動 投稿日:2005/07/17(日) 23:02

「じゃあ、もう吉澤さんの好きにして下さい。」
「……れいな、いいの?」
「ハイ…。れいな、覚悟は出来てます。」
「……そう、じゃあ…。」
「あっ……吉澤さん……。」


目をつぶるれいな。
私はゆっくりと手を握り……


えっ?
れいなの手じゃないよ。
ミキティの手。


「逃げるぞ、ミキティ。」
「え?いいの?」
「いいの、いいの。」


「もぅ……吉澤さんってば……そんなにれいなを焦らさないでくださいよ……。」
「れいな、かわいい……。」
「キャッ……。 そんな大胆に……。 って、絵里!なにしてるとっ!」
「なにって…。そんなの決まってるじゃん♪」
「えっ、ちょっ…え、絵里、冗談だよねっ!じょ、冗談って言ってぇ――――!」
「れいなぁ♪」





391 名前:東京大騒動 投稿日:2005/07/17(日) 23:02

「いいの?あれで?」
「いいの、いいの。全然、問題ない。それより、問題は重さんだよ。」
「…もういいじゃん、重さんなんて。」
「よくないっしょ。」
「えぇ?美貴とこのまま愛の逃避行しよっ♪」

「…遠慮しときます。」
「もう、よっちゃんさんったら照れちゃって。」


照れてない、照れてない。
120パーセント照れてないよ。
それにミキティと逃避行したら、体がいくつあっても足りないし。


「あのさ、一つ思ったんだけど…。」
「なに?」
「携帯で呼び出せばいいんじゃないの?」
「あっ!その手があったか。」
「美貴って、頭良いっ♪」


392 名前:東京大騒動 投稿日:2005/07/17(日) 23:03

慌てて取り出した携帯電話。
みちしげ、みちしげ……と。
ヨシャッ!
もしかして、これでイッチョ上がり?


プルルルルルっ♪プルルルルルっ♪


(はい、もしもし……)
「あ、重さん。今どこに…。」
(只今、さゆは電話に出ることが出来ないのなのら〜。代わりに梨華があなたのハートを射止めるような歌声を披露しますっ。  ♪しらぁたまぁはぁ〜♪しろくてぇやわらかぁ〜い♪ ブチッ!)


「……」


今のって絶対、( ^▽^)ノシ だよね?
てことは、完璧に読まれてた……。
あの梨華ちゃんに完璧に先読みされていた……。

まだまだ、さゆを探すたびは続く……。
残り時間あと 10時間。


393 名前: 投稿日:2005/07/17(日) 23:03

394 名前:ゆーたん 投稿日:2005/07/17(日) 23:04

本日はここまでです。
次回に続きます。


395 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/07/19(火) 11:55
更新お疲れさまですってかかなり拝見してませんでしたm(__)m しかも話が(グホォッ(血 じ、次回更新待ってます。
396 名前:ゆーたん 投稿日:2005/08/23(火) 22:58

>>395 通りすがりの者 様
最近、こちらはひっそりと短編(よりちょっと長め)を更新しております。
金板の某3人組ユニットの幽霊話も宜しくお願いいたします。


それでは前回からの続きです。


397 名前:東京大騒動 投稿日:2005/08/23(火) 22:59


「……で、どうすんの?」
「どうするって言われても……。」


私は頭をかいた。
頼みの携帯電話が石川のせいで重さんに繋がらないとなると、もうどうしようもない。


「あの感じだと自宅の電話も石川が留守電にしている可能性が高いからなぁ。」
「でも一応、かけてみたら?」
「同じだと思うけど。」


しぶしぶもう一度携帯電話を取り出して、重さんの自宅の番号を押す。
今度も( ^▽^) の留守番電話サービスが流れるような気がする……。
でも、一応。『物はためし』ってよく言うし。


プルルルルルっ♪プルルルルルっ♪


(はい、もしもし。可愛いさゆなの。)
「し、重さん?」
(ハイ、可愛いさゆみんなの。)
「ホントに重さん?」
(違うの。『可愛い道重さゆみ』なの。)


つ、繋がったよ。
さすが石川( T▽T)。どこか抜けてる所が必ずある奴。
まさか、重さんの自宅を抑え忘れるとは甘いね。


398 名前:東京大騒動 投稿日:2005/08/23(火) 22:59

「吉澤だけど、今自宅?」
(そうなの。  ……あれ?)
「どうしたの?」
(な、なんか変な人が入ってきたの。キャ、キャ―――っ!)
「し、重さん?重さん?」
(わ、わっ――――!  ガチャッ♪)
「ちょっ!重さん!」


時既に遅し。
受話器の向こうの重さんに問い掛けてみても
私の携帯からはツー、ツー、ツーという音しか聞こえてこない。


「どうしたの?」
「なんか、重さんが誰かに襲われたみたい……。」
「えっ!」
「どうしよう。重さん、大丈夫かな…。」
「じゃあ……  とりあえず、よっちゃんさんが美貴を襲うってコトで。」
「それもそうだね……  て!おいっ!」


とにかく、もう一度重さんの自宅に電話してみよう。
それでダメなら、最悪警察を呼ぶことになるかも…。
もしかしら本当に変なヒトに教われたのかもしれないし。


プルルルルルっ♪プルルルルルっ♪


お願い…。誰か出ますように…。


(はい、もしもし。ツッコミ担当、北海道出身、スイカ大好き三好絵梨香です♪  ……じゃ、なかった、我は怪盗21面相であ〜る。)


399 名前:東京大騒動 投稿日:2005/08/23(火) 23:00

「 ……三好ちゃん、何やってるのさ?」
(わ、我は怪盗21面相であ〜る。三好ではない。)
「なに?石川に頼まれたの?」
(そーなんですよねぇ……  じゃなくて、聞こえんのか?我は怪盗21面相である。)
「て、ことは、岡田ちゃんもいるんだ?」

(  ……唯ちゃんだって。)
(はい〜。お電話代わりました〜。)
「あ、もしもし?岡田ちゃん?」
(あ〜……。 違いますねぇ。我は、 ……これなんて読むん?)
(えっとねぇ。 …これは『ようきひ』だよ。)
(…我は、平成の楊貴妃・ダーカオなりィ。)


おいおい……。
チミたち、誰だかバレバレでっせ。
しかも、『ダーカオ』って!『おかだ』を逆にしただけじゃん。
棒読みだし。ちゃんと前読みしなきゃダメだよ。


「…でさ、三好ちゃんに岡田ちゃん。重さんに代わってよ。」
(それは出来ません。)
「…なに?やっぱり石川からなんか言われてるの?」
(そ、そんな、リーダーからは何も言われてませんよ。)
「…えっ?リーダーってなに?」
(い、いえ、違います。リーダーじゃなくて、石川さんからは何も言われてません!)

400 名前:東京大騒動 投稿日:2005/08/23(火) 23:00

「…まぁ、いいけどさ。これからどこに行くの?」
(それは言えません。)
「なに?都内なの?」
(はい。せたが……。)

プツッ!
ツー、ツー、ツー……。


あれ?あれれ?
肝心な所で切れちゃったよ!

せたが……?
せたが、せたが……。
世田谷?

なるほど。世田谷区か。
つーても、世田谷ってめちゃくちゃ広いじゃん。
どこ探っせーつーの?


401 名前:東京大騒動 投稿日:2005/08/23(火) 23:01

「よっちゃんさん……。」
「ん?どした、ミキティ?」
「世田谷なら、美貴心当たりがあるんだけど。」
「マジで?どこ、どこ?」
「知りたい?」
「うん、知りたい!岡田ちゃんの胸とミキティの胸がどれくらい違うか?ぐらい知りたい!」

とたんにミキティの顔色が曇る。

「……それ、やな例えだな。」
「えっ?いや…その……なんつーかな……ミキティの胸の大きさを比べたんじゃなくて……。」
「はぁ?それって、あからさまに『比べた』って言ってるよーなもんじゃん。」

しまった!フォローがフォローになってなかった!
火にガソリン注ぎまくってるじゃん、私。


「ふぅ〜ん。よっちゃんさんは美貴のこと、『貧乳』だと思ってるんだ?」
「ひ、貧乳だなんてとんでもないッス!」
「じゃあ、なに?」
「な、なんつーかな……『そこそこ?』というか…『やっとこさ?』というか…『秩父盆地』というか……。」


「んふっ♪ よっちゃん、死にたいんだ。」


「ひ、ひぃっ!し、死にたくないです!」
「だって、美貴のこと貧乳だと思ってるんでしょ?」
「だ、だからって殺さなくても……。」
「美貴の敵は全て消える運命なの。」


ゆっくりと近づいてくる北海道の狂犬。
その不気味な笑みで何人の子供が泣き出したことか……。
何人の指名手配犯が自首を覚悟したことか……。
この状況を改善するのは、産婦人科で処女を探すより難しい。


402 名前:東京大騒動 投稿日:2005/08/23(火) 23:02

「……ミ、ミキティの言うことなんでも聞くからさ…。た、助けて…。」


てか、さっきまでのミキティのキャラはどこ行ったんだよ!
あんなに乙女ちっくだったのに。
胸の話題になっただけでこんなに豹変するとは……。


「『なんでも』聞いてくれるんだ?」
「な、なんでも聞きますよ!」
「なんでも?」
「はい、なんでも……。」


「じゃあ、美貴のこと抱いて♪」


け、結局それかよっ!
どれだけミキティは欲求不満女なんだよっ!
でも、それだけで命が助かるなら…。


「わ、わかったよ。」


私は素早くミキティの衣服を剥ぎ取ると
焼き肉で出来ている狂犬のカラダに抱きついた。


本当に重さん、見つかるのかな…。
残り時間 行為が終わった時点で あと9時間。



403 名前: 投稿日:2005/08/23(火) 23:02

404 名前:ゆーたん 投稿日:2005/08/23(火) 23:02

本日の更新は以上です。
またお目にかかる日まで。


405 名前:ゆーたん 投稿日:2005/11/05(土) 19:17

こっそり更新。


406 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:17

私の隣には裸のミキティが横になっている。
焼肉ばっかり食べているミキティの体はほんのり塩だれの味がして
美味しすぎて私もつい何度も何度も……

……じゃなーーーい!

そんなことするためにこーゆーことになったんじゃなーーーい!
私は重さんの居場所を見つけるためにやむをえずこーしたわけで。
神に誓って性欲のままミキティを抱いたわけじゃないんです。

ああ、神よ。
我が行為を許したまえ。


「よっちゃんさん、サイコーに気持ち良かったよ♪」
「そう……?」
「やっぱり、よっちゃんさんの指は神の手だね♪」
「いやぁ、そこまで褒められると……  じゃなーーーい! 私は神の手でもないし、しかたなくミキティのことを抱いたの!」
「えー、せっかく愛し合ったのに……。」
「愛し合ってないし。私はなにもされてないし。」
「じゃあ……。」


ミキティの目がきらりと光る。


407 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:18


「じゃあさ、今度は美貴がよっちゃんさんのこと抱いちゃおっかなぁ〜♪」
「いいから!抱かなくていいから!そんなことよりミキティ、約束どおり世田谷のどこに重さんがいるのか教えてよ!」
「えー…。重さんの居場所なんかよりぃ、美貴がよっちゃんさんにあんなことや、こんなこと教えてあげる♪」


や、約束が違うじゃん!
ミキティのこと抱いたら教えてくれるのではなかったの!


「さ、よっちゃんさんも全部服脱いで♪」
「や、やだよ。」
「えっ? じゃあ、美貴が脱がしてあげる♪」


強引に襲いかかってくる焼肉女。
ならば仕方ない。
私はこれから先足手まといになるであろうミキティを排除するしかなかった。
襲ってくるミキティを軽くかわすと上から覆いかぶさった。


「え、えぇ?? よっちゃんさん…?」
「ミキティ…。」
「……ぁっん…あ〜ん…ぁっ。」


…本当に私の指には神が宿っているのかもしれない。
わずか5分かからずにミキティはあまりの激しさに耐え切れず気絶してしまった。
よし。気絶したところをさらに……
…って、違う、違う。
完全にミキティに汚染されてるわ、私。こんなキャラじゃなかったのに。

とりあえずミキティに毛布をかけると
私は自分の携帯と財布だけを持って、その場をあとにした。




408 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:18

とにかく何らかの手がかりがほしい。
どんな小さな手がかりでもいいから重さんに繋がる手がかりを。
なんてたって世田谷区ってめっちゃめちゃ広いのだ。
こんなところから重さん1人だけを見つけるは至難の業。

さらにミキティを失った今、一人だけで探すのは困難をきわめる。

やっぱり誰か一人助手が必要となるなぁ。
頭の回転が速くて、機動力に優れていて、勘が鋭くて、利口で、地理に詳しい……


……そんな人物、知ってる連中でいたか?


確実にいないじゃん。
コンコンは頭はいいけど、おっとりとしているし。
機動力からいえばまいちゃんだけど、思考回路がおっさんだし。
地理に詳しいのはごっちんだけど、いつも眠そうだし。

やっぱ意外性のある人選がいいか…。

意外性、意外性…。

ミラクル?

小春…?


…まさかねぇ。
いくらなんでも小春じゃねぇ。

♪ ♪ ♪

と、ここで電話が鳴り出した。
誰だろう?とディスプレイに映し出された文字は

『久住小春』


……おいおい、マジかよ。
テレパシーみたいじゃん。


409 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:19

とにかく携帯に出てみますか…。

「はい、もしもし、小春?」
(あっ、吉澤さん。)
「うん、どーした?」
(吉澤さん、今私のこと考えてましたよね?)


えっ……?


「いやぁ…まぁ…ね。考えてはいたけど…。」
(大丈夫です。小春が吉澤さんの助手になります。)
「ふぇ?」


なんで小春は私が考えてたことがわかるんだよ!
ま、まさかこれがミラクル…?


410 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:19

「…ん、じゃあさ、今から来れる? ま、これないなら別にいいけど…」
(ハイ! もう吉澤さんの後ろにいますよ。)


ふぇ?

本日、2度目の小春ミラクル。
後ろを振り向いたらぶったまげた。
にこやかに笑いながら小春がこちらに手を振っている。
おいおい。なんでここにいるんだよっ。


「吉澤さぁん♪」
「こ、小春っ。なんで私がここにいるってわかったんだよっ?」

さてはインチキ霊能力者か?
それとも日本の最先端の技術を結集させた精密なロボか?

「それはですね。 …吉澤さんの体に発信機をつけてあるんです。」
「はぁ!?」
「こないだ、みんなに内緒でつけておいたんです。メンバー全員につけてるんで、小春はいつでもどこでも駆けつけますよ。」

い、いつのまにうちらにそんなの取り付けていたんだ…。
軽く犯罪じゃないのかな?

「今の携帯だってそうゆー機能あるじゃないですか?」
「いや、アレはちゃんとお互いの了解ってもんがあるじゃんかぁ。勝手にやるのはどうかと思うけど…。」
「大丈夫です。絶対、バレませんから。」


そーゆー問題じゃなくて…。やっぱり、ミラクル?
完全なる天然娘だよ。


んっ、でも待てよ?


411 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:20

「も、もしかして、重さんの居場所もわかるの?」
「ハイ!教育係で『超可愛い』道重さんの居場所もわかりますよ。」


マジかよっ!
やっぱり救世主じゃんか!


「ど、どこどこっ!? 重さん、いまどこにいる?」
「ちょっと待ってください。」

小春はドでかい鞄からノートパソコンを取り出すとカタカタやり始めた。
か、かなり、本格的じゃん……。
スパイの資格でも持ってるんか?

「わかりました! 『可愛いすぎる』道重さんの居場所がわかりましたよ!」
「よっしゃ! どこにいる?」

パソコンの画面にはとあるホテルが映し出されていた。
ここに重さんがいる。
一刻も早く重さんを見つけ出さなければ。


412 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:20

「よし!タクシーで…」
「ちょっと、待ってください。タクシーじゃ遅すぎます。」
「ふぇ?」
「今から足を用意します。」

小春は携帯電話で誰かと話している。
すると上空から

上空から……?


ヘリコプター!!??


「こ、小春ぅ!?」
「さぁ、これに乗ればあっという間ですよ。」
「てか、どこに降りるんだよ!」
「そこの道でいいんじゃないですか?」


そこの道って、車がびゅんびゅん走っている道じゃん。
大丈夫なの?

「東京が大騒動だ……。」
「なんか言いました?」
「新潟じゃないんだから…。」
「気にしちゃだめです。」


……ヘリは大通りに降り立った。
うわっ、めっちゃ迷惑じゃん。
車が大渋滞を起こしてますよ。


413 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:21

「さっ、吉澤さん、早くっ!」
「う、うん。」

急いで小春が用意したヘリに乗り込むと
ヘリはあっという間に大空に飛び立った。
上空で向きを変えると猛スピードで重さんのいるホテルへ。


「小春、すげーよっ!」
「ありがとうございます。」
「てか、このヘリってどこのヘリ?」
「えっ…? 知りたいですか?」
「そりゃ、知りたいよ。」
「どうしても知りたいですか? どうしても…。」


小春は影のある言い方をする。


「 ……な、なんか、あるの? 」

「知ってしまえば、二度とフットサルが出来なくなって、二度と日本に帰ってこれなくなりますよ。それでも知りたいのなら……。」
「や、やっぱ、いいっ! てか、知りたくないっ!知りたくないから、別にいいっ!」
「そうですか…。」


怖いよー。
小春が怖い。


414 名前:東京大騒動 投稿日:2005/11/05(土) 19:21

「そろそろ、ホテル上空ですね。」
「うん、そうだね…。  …で、小春はなにしてるの?」


小春は私の体になにかをくくりつけている。
何かシートベルトのような、ゴムのような…。
なにこれ?


「小春、これは…?」
「ヘリが降りる場所がないので、このままパラシュートで突入します。」


えっ?


「冗談だよね…?」
「冗談じゃありませんよ。」
「嘘だよね…?」
「本当ですよ。大丈夫です。小春と一緒に飛びますから。」

「…小春って、スカイダイビングの免許とかって持ってるの?」

すると小春は満面の笑みで

「いいえ。持ってませんw」


415 名前:ゆーたん 投稿日:2005/11/05(土) 19:22

また更新します。

416 名前:初心者 投稿日:2005/11/13(日) 00:53
面白いです
さゆはいずこへ
こっそり待ってます
417 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 03:42
突然失礼します。いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
418 名前:ゆーたん 投稿日:2006/01/03(火) 01:55

>>416 初心者 様
ありがとうございます。陰ながら更新しております。

またまた更新をこっそりと再開。


419 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:55


「吉澤さん、行きますよ〜ぉ!!」
「うわわっ! マジで!?マジで??」

小春は今にもヘリから飛びだそうとしている。
私は恐怖で震えていた。
いやいや、だってね。
別に高いところが苦手ってワケじゃないんだけど、
いくらなんでも今回ばかりはマジで無理があると思う。

だってさ、小春と一緒にヘリから飛び降りろっていうんだから。
悪いけど、こんなことで命を粗末にしたくないわけ。


「や、やっぱり、無理があるって!」
「なにがですかぁ?」
「だって小春、ヘリから飛び降りたことあるの?」
「ありませんよぉ!」
「だったら、なおさら……。」
「吉澤さん!行きますよぉ! ミラクル〜ぅ♪」
「えっ、ええっ! うそっ!まだ話が……。」


次の瞬間、私の反論もむなしく、
小春と繋がれたベルトに引っ張られる形で私の体は空中に投げ出された。


420 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:56


びゅーーーーーっ


重力加速度って、なんだっけ?
なんかわからないけどものすごい勢いで落下運動をしている。


「わ、わわわ、わわっ――――!」


口を開けていられない。
なんかわからないけど目から涙も出ない。


「こぉぉぉはるぅぅぅっーーー!!」
「なぁぁんですかぁーーー??」
「死ぬぅぅーーー!!」
「だいじょーーぶでぇぇす!!」


だ、だって、もう地面近いよ!
こんなに近くて大丈夫なのさ?
だって、だって
テレビとかで見るスカイダイビングって、
もっと上空の地点でパラシュート開いてなかった?


「吉澤さぁぁん! パラシュート開きますねぇぇぇ!」
「早くっ! 早くぅぅ!」
「それぇ♪」


「わっ!」


物凄い勢いで上に引っ張られる。
どうやらパラシュートを開いたみたい。
これで助かった…

……あれ?  なんか減速しないんだけど…。


421 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:57

「あ、あのさ。なんか速くない? このスピードで大丈夫なの?」
「……ダメですねぇ。」

ニンマリと笑う小春。

「いや、『ダメです』じゃなくて…。」
「パラシュート開くのが遅かったみたいです。 てへ♪」

てへじゃねぇ!
てへじゃ!!

うわわわっ!地面が!地面が!
地面が目の前に迫ってきてる!!

あー……神様。
私、吉澤ひとみはここで死ぬ運命だったんだ。
小春と一緒に死ぬなんてなんともミラクル???


「いや〜ぁ。短い人生でしたね。」
「のほほんするなぁっ!!」


「思えば、新潟の片田舎で生まれて……」
「思い出を走馬灯のように語るなぁっ!!」


あぁ、もうすぐ地面が、地面が…。
と、ここで強風が吹いてきて。


422 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:57


「「うわっ!」」


急に私と小春の落下が止まった。はてな?

なにがあった? と上を見上げてみれば
パラシュートがホテルのベランダに引っ掛かって万事休す。

た、助かった?
九死に一生!


「小春、やりました! ミラクル起こしました!」

小春が歓声をあげる。
果たして小春のおかげなのかはわからないけど、とにかく助かったんだからいいや。
パラシュートのロープをひっぱりホテルのベランダに飛び移る。
うまい具合にその部屋の窓の鍵が開いていて中に入れた。

「よかったぁ。」

生きてるだけで感謝。
二十歳そこそこで死にたくはない。


423 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:57

「吉澤さん……。」
「はい?」

見れば小春がうつむいてる。
なに?泣いてるの?
やっぱりパラシュートが開かなかったのが怖かったのかな?
そりゃ、私だって怖かったさ。


「あの……。」
「うん。」
「……中学生のオンナノコの体がどうなってるか、知りたくないですか?」
「ふぇ?」


チュウガクセイノオンナノコノカラダ?
ど、ど、ど、どーゆー意味よ?
するといきなり服を脱ぎだす小春。

へぇ……。小春にもそーゆー趣味が……。

じゃなーーーい!!


「あ、あのさ……。」
「吉澤さん、優しくしてくださいね。」


そうか、初めてか。
じゃあ、優しく……

……しません!

「しません」って、
じゃあ、激しくする?って意味じゃなくて
「小春が考えてるようなピンクなことはしない」って意味だからね。


424 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:58

そりゃ、年齢のわりにはちょっと色気のある小春だけど、まだまだ中学生。
なのに、なのに……。

誰だ!純粋な田舎娘にこんなこと教えたのは!

教育係のさゆか?
いやいや、さゆじゃないな。
んーと。……ん?( ^▽^)ノ
……でもなさそうだし。

さゆ → 石川 → 3人組のユニット

从,,^ ロ ^)ニヤニヤ

実績十分。岡やんにもいろいろ仕込んだと噂のオ・マ・エか!


「……来てください。」


もう小春は産まれたままの姿。
強引にベッドに引き込まれる。
まだ体は幼いようだったけど、ベッドの上では結構セクシー。
成熟した体じゃなくて、これが中学生の……

じゃなくてーーーー!!


425 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:59

ガチャリ♪


!!
だ、誰か入ってきた!
こ、この状況はマズイ!


「……岡田ちゃんのおっぱい大きいよねぇ。」
「そんなことないですよぉ。石川さんのお尻だってセクシーやないですかぁ。」
「えー、だって岡田ちゃんは…… えっ?」


目があう。
キョトンと2人。
……というか、石川と岡やん。
身内じゃん。


「よ、よっすぃー?」


「い、いや、あのね…。」


時間とともに悲惨な現場の現状が明らかになる。
するとだんだん梨華ちゃんの目には怒りの炎が灯り始めてきて。


「よっすぃー! なにやってんの!?」
「な、なにって…」
「純粋な小春ちゃんを襲うつもりだったのっ!!」
「じゅ、純粋って、こいつから誘ってきたんだよ!」

そうだよ。小春が勝手に脱ぎ始めたんだから。


426 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:59

「そうなの、小春ちゃん?」

当たり前じゃん。
私は中学生を襲う気はこれっぽっちもないです。


「……もうちょっとで吉澤さんに奪われるところだったんです。」


おいおい、ちげーだろ!!


「ほら、やっぱりよっすぃーが襲おうとしたんじゃん。」
「ち、違うって!」
「小春ちゃん、もう大丈夫だよ。」


小春をそっと抱き寄せる石川。
その姿はまるで幸の薄い貧乏な母親のようで。
全裸の小春に服を着せてあげている。


「岡田ちゃん。ちょっと小春ちゃんを隣の部屋で休ませてあげて。」
「はい。」


あー、行くなら誤解を解いてからにしてほしい。
岡やんと小春は部屋を出て行く。
これじゃ、私ただの変態じゃん!


427 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 01:59

「よっすぃー……。」

石川がうつろな目でこちらを見てくる。

「いや、あのね。その…小春がいきなり…。」

どう説明しようか?
一番やっかいな人が相手だからな。
理解してるようで理解しない人だから。
理解して、石川さん。


「私はなんにもね……。」
「久しぶりだね。よっすぃーと2人きりなんて……」


いや、あの…。
石川さーん?

ちょっと瞳を潤ませて上目遣い。
どこで覚えた、そんなこと?


「い、石川?」
「もぅ、『梨華ちゃん』って呼んでよぉ。あたしも『ひとみちゃん』って呼ぶから。」

「いや…あのぉ…」
「もぉ〜、ひとみちゃん♪」


抱きついてくる石川 ……じゃなかった梨華ちゃん。
なんかさ。今日、こーゆー展開多くない?
何回かあったんだけど、このケース。
それでさ、この後いきなり脱ぎだすんだよね。


428 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 02:00



……私の思ったいた通り、
ゆっくりと服を脱ぎ始める石川 …じゃなかった、梨華ちゃん。
そうか。 やぱっり最後はこうなった……

って! え、ええ?
本当に何してるの!?
本当に脱いじゃうの!?


「り、梨華ちゃん?」


そりゃ、今日はこれで4人目ですよ。
ミキティ、れいな、小春と来たけどさ。
でも、前の3人と一番違うところはやっぱり艶やかさというかセクシーさというか。
ミキティには悪いけど胸の大きさが違うというか。

いただいてもよろしいなら、
私、吉澤ひとみもありがたくいただきます。
なんなら『ひとみスペシャル』で梨華ちゃんを絶頂の彼方へとご招待しますよ。

あー、指がうなる。
物凄いスピードであなたの望むポイントを望む強さで……






429 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 02:00




ハッ!
つい取り乱してしまった。
私としたことがよくない、よくない。
私はあくまでリーダー、キャプテン、頼れる同期。


「ちょっと、待って!」
「ん?」
「や、やっぱり止めた方がいいんじゃ……。」

「えっち。」
「はぁ?」
「よっすぃーのえっち。」
「か、勝手に脱いだのは梨華ちゃんじゃん!」

なんでそこで「えっち」呼ばわれされなくちゃいけないのさ。

「……じゃあ、この両手は何?」

両手?
ちょっと視線を下に向けると梨華ちゃんの立派な胸の膨らみ……
……に私の左手が触れていて。
さらに視線を下げるとあの部分に右手があって。

あれ?
あれれ?
反射的に手がそんなところに。


430 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 02:00

「よっすぃー、やる気満々だね♪」

いや、そうじゃなくてさ……。
な、なんて言うんだろうな。
長年の職人芸が生み出す産物ってヤツ?
だから、私にとっては事故みたいなもん。
でも、そんな言い訳、梨華ちゃんには3分の1も伝わらないわけで。


「ねぇ、来て♪」

ベッドに座ると隣をポンポンと叩く。
り、梨華ちゃんがその気ならやっぱりいいよね?

私は、梨華ちゃんをそっとベッドに押し倒してあげた。















431 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 02:01


「……そういえばさ、『重さんを捕まえろ』って指令が着たんだけど。」
「えっ?」
「それでさ。その指令出したの梨華ちゃんでしょ?」
「し、知らないよぉ。」


へぇ〜…。
そんなこと言うんだ。
そんなこと言っちゃうんだ。


「梨華ちゃんじゃないの?」
「え?えぇ? あっ……ぁん、あんっ。」

「梨華ちゃんでしょ?」
「あっ…あ、ああっ…いやぁ…ぁん。」


梨華ちゃんの艶かしい喘ぎ声のテンポが早くなる。
感じてるね?感じちゃってるね?

ここで私は指の動きを止める。


「ふぇ? よ、よっすぃー、やめないでよぉ。」
「本当のこと言ってくれたらまたシテあげる♪」
「……うん。」
「『重さんを捕まえろ』って指令を出したのは梨華ちゃん?」


「……うん。」


432 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 02:01


「よく聞こえないなぁ?」

梨華ちゃんの胸の蕾を指先でイジってあげる。

「あっ…。」
「誰がしたの?」
「さ、さゆを捕まえてって指令を出したのはあたし…。」

そうそう。
正直に答えようよ。

再び梨華ちゃんの体が求めているコトを再開する。


「あん……あぁん♪」
「じゃあさ、重さんを連れ去ったのは三好ちゃんと岡やん?」
「あっ、あ……そぅ……。」


梨華ちゃんは涙目になって、首をたてに振る。もう、欲しがり屋さん。
そして、『重さん奪還指令』は全て梨華ちゃんが仕組んでたんだね。


433 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 02:01

「じゃあさ、重さんは今どこにいるの?」
「い、言えないよぉ。」

「……またやめちゃうよ。」


そっと耳元で囁いてあげる。
さらにふぅっと息を吹き込んであげると
梨華ちゃんの体がビクッと反応する。


「や、やっぱり言えないよぉ!」

「梨華ちゃん、言ってよ……。」

「はぁんっ…ああぁ……。」

「言って♪」


「ウン…。イ、イッちゃうかも…。」

「言っちゃいなよ♪」

「イッちゃうっ!!」

「言って♪」

「イッちゃうよーっ!!」


へっ?
甲高い声とともにぐったりする梨華ちゃん。

これって、もしかして……。
これって、もしかして……イッちゃった?


434 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 02:02

指に絡む梨華ちゃんの愛液。
ここで私はハッとした。
私の言う「いっちゃう」は話すという意味で
梨華ちゃんの「いっちゃう」はイクという意味だったんだ。

あー、私のバカバカ。
もうイカせちゃったじゃん。
もっと焦らしてあげるつもりだったのに。
もっと楽しむつもりだったのに。

梨華ちゃんもこんなに早く来ちゃうとは知らなかった。
後悔を感じながら、ふと顔を上げると……。


| ロ ^)ニヤ

|彡 サッ


ん?
んんっ?
……今、なんか変なのが見えたんだけど。
最近、完全にエロキャラが板についてきた変なのが見えたんだけど。

「……やっぱり、よっすぃー凄いね。」

ようやく呼吸を整えた梨華ちゃんが呟く。
…そんなことよりも変なのが2人の行為を見てたんだけど…。

「でもね、よっすぃー。三好ちゃんのほうが上手だよ。」


|ロ ^)v ピース

|彡 サッ


435 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/03(火) 02:02

……ま、負けた。三好ちゃんに負けた。
誰にも負けない自信があったのに…。
ぐっと唇を噛み締めていると梨華ちゃんが起き上がった。


「今度はあたしの番だね。」
「へっ?」


私の体の上で馬乗りになる梨華ちゃん。


「梨華ちゃん?」
「大丈夫♪ 三好ちゃん直伝のテクニックだから♪」


そ、そっちのほうが余計心配だよ!


「石川、頑張りまーす♪」
「いい!いいっ! 頑張らなくていい!」


私の抵抗もむなしく梨華ちゃんは
『三好ちゃん直伝テクニック』に沈んでいってしまった。


436 名前: 投稿日:2006/01/03(火) 02:02

437 名前:ゆーたん 投稿日:2006/01/03(火) 02:03
本日の更新は以上です。
438 名前:通りすがりの者 投稿日:2006/01/03(火) 22:28
更新お疲れ様です。
またヒソーリと更新されてましたか;
まだまだ続きそうな感じですね。
次回更新待ってます。
439 名前:初心者 投稿日:2006/01/05(木) 18:42
更新お疲れ様です
ナイスミラクル小春
いしよしの「いって」の勘違い良かったです
この先どうなるのか楽しみに待ってます
440 名前:ゆーたん 投稿日:2006/01/28(土) 15:19

>>438 通りすがりの者 様
そうですね。出来るだけヒッソリと更新をしていきたいです(謎)。
うーん。もしかしたら、エンディングも近かったりです。

>>439 初心者 様
昔からそーゆーネタばっかりでやってます(笑)。

それでは「コッソリ」と言いながら久しぶりですし、
忘れ去られている可能性もあるのでageで更新を再開いたします。

441 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:19


ん、んん?

ぼんやりと天井が見える。


私は…?
ふと途切れた記憶の糸を辿っていく。
えっと… 小春と一緒にヘリからパラシュートで落ちてきて、
落下スピードが速すぎて死にそうになって、
偶然このホテルのベランダに引っかかって、
そしたら、おかしくなっちゃった(もしくは元からおかしい)小春が脱ぎ始めて、
そこに梨華ちゃんと岡やんが来て勘違いされて、
そして…


「あ、そうか。」


ようやく私自身がベッドの上で毛布に包まっている意味が確認できた。
何時間ぐらい寝てしまったんだろう?
寝たというよりかは、梨華ちゃんに失神させられたんだよね。
まさかの『三好ちゃん直伝テクニック』で。

体を伸ばす。
すると隣のベッドが視界に入ってきて……


442 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:20


「あ〜ん、絵梨香ちゃんもっとぉ…。」


ハァッ!?


見れば、隣のベッドで岡やんと三好ちゃんがまさに真っ最中。
なるほど、これが噂の三好ちゃんのテクニックか……
そして、あれが天下の岡やんのおっぱいか……

って、私なにも感心してるんだよ!


「あの〜……。」
「…あん…あっ、あかんっ… 絵梨香ちゃん……あ…」
「凄い… 凄いよ、唯ちゃん。指がこんなに締め付けられてる…。それにおっぱいだって…」
「あの、真っ最中になんですけど、お二人さん?」
「「えっ?」」


(;o^〜^)<……。 (´^`*川(^ ロ ^,,从<ナンデスカ?


「な、なにやってんのさ?」
「ヤッてるんですよ。」
「いや、そうじゃなくて、なにしてるのさ?」
「えぇっ!? 天下の吉澤さんのことですから、この状況で私たちが何をしているのかは十分にご存知だと…。」


はいはいはい。そりゃ、十分にご存知ですとも。
でも、私が聴きたいのはそーゆーことじゃないんだな。


443 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:20

「いやいや、なんでそんなことしてるのか? ってこと。」
「それは… メンバー愛を確かめ合ってるんですよ。」
「あぁ〜、そ、そうなんだ…。」
「たまに石川さんも参加しますよ。」


へぇ… じゃあ三つ巴ですか。
なんかいいなぁ…。3人かぁ…。
同じユニット同士で全て曝け出して分かち合う。
じゃあ、石川はそこで三好直伝テクニックを…
羨ましい……

って! そうじゃなくて!!


「石川は?」
「石川さんですか? 石川さんだったら、今さっきさゆみちゃんと部屋を出て行きましたよ。」


あ、そう。今、さっきねぇ。
ん? い、今さっき?


「はい。ひとみちゃんをよろしくって言ってましたけど…。」


んな、ことしてられないわ。
早く服着て、石川と重さんのあとを追わなきゃ!


444 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:21

「待ってください。」
「はい?」
「そう簡単にここから出させませんよ。」


ぐいっと前に出る三好ちゃん。
でも、全裸だから全くといっていいほど説得力なし。
それに岡やんの隣にいるから大きさを比べちゃうし……

…え? 何をって?
そりゃ、決まってるじゃん。
全裸だからこそ明らかに見えてしまう部分が……

って! 私もなに考えてるんだか…。


「絵梨香と勝負して、勝ったらこの部屋から出て行っても構いません。でも、負けた場合はここにずっといてもらいます。」
「しょ、勝負って、なんの勝負だよ!」
「決まってるじゃないですか。唯ちゃんに……




445 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:21



――― 放送中断 ―――



…えー、誠に申し訳ございませんが、ココの内容はあまりに刺激がお強いので、
『カット』 ということにさせていただきます。

えー、ご期待をしていただいた方々。
恐らくその『期待通り』の内容でした。

…え? 具体的に言ってくれないとわからない?
それはちょっと当店としてもですね、誠に言いづらいことでございまして。

…え? じゃあ、もう二度と来ない?
それもちょっとこちら側としては困ります。

…え? じゃあ、見せろ?
えー、ですから、その……
吉澤さんと三好さんの勝負とはですね、岡田さんとエ……

ハッ! 危ない、危ない。
思わず言ってしまいそうになってしまいました。

それでは続きをどうぞ。




446 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:21



「……唯ちゃん、判定は?」


さっきより明らかにぐったりしている岡やんに注目する。
そりゃ、ぐったりもするよ。
なんたって、こんなわずかな間に
私と三好ちゃんとの激しいすぎるダブルヘッダー……

って、ここは言っちゃいけないんだった。
中断した意味がなくなるとこだった。


「判定は……?」


――― 緊張の一瞬。


「……吉澤さん。」

「ヨッシャーーッ!!」
「えぇーー!? なんで、なんで?」

「あんなぁ…… 吉澤さんのほうが私を大事に大事にしてくれたねん。」


そんなぁーと思わず倒れこむ三好ちゃん。
フッ♪ 勝った。まだまだこのテクニックは天下一なのさ。


447 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:22

「三好ちゃん…。」
「……吉澤さん。負けました。」
「いやいや、三好ちゃんも敵ながらアッパレだったよ。」
「あ、ありがとうございます。いつの日か、いつの日にか、吉澤さんに勝つ日を夢見て精進させていただきます。」


硬い握手。
変な友情が芽生える私と三好ちゃん。
お互いの健闘をたたえ、私は服を着て部屋を出た。
三好絵梨香に岡田唯。
石川…。こりゃ、いいユニットになるぜよ……。
ニッポンの夜明けも近いぜよ……。

って、そんなこと考えてる暇はないんだった!
こんなにタイムロスしちゃったじゃん!

もう時計の針は19時を回ったところ。
辺りはすっかり闇の世界。
こんなんで本当に重さんを見つけることは出来るんだろうか…?

不安になりつつホテルの正面玄関を出ると……


「っ!? こ、小春。」
「吉澤さん!」


なんでまたまたこんなところにミラクル娘がいるんですか!?



448 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:22

「小春、なんで……?」
「吉澤さん、早くしてください。もう石川さんたちはとっくに出ましたよ。」
「え…?」
「『とっても可愛い』道重さんを捕まえるんじゃなかったんですか?」


そうだけど…。
小春…。オマエってやつは…。


「早く追いかけてください!渋谷方向に行きました。小春はここで2人がどこに逃げてるかの情報を吉澤さんの携帯に送りますから。」
「……うん、わかった。小春、ありがとう。」


あぁ… なんか熱いものがこみ上げてくる。
私は渋谷方向に走り出そうとする。
でも、その前に…


「小春。行く前に一言だけいい?」
「はい。」

「その……さ。 小春が16歳になったらね…。」
「はい…。」
「16歳になったら… 小春のオンナノコとしての体がどうなってるのか教えてくれる?」
「え? それって、その…。」
「…うん。抱いてあげる。」
「本当ですか? 小春…。嬉しいです。」
「それまでちゃんと守っておくんだよ。」
「はい!」
「じゃあ、いっちょ捕まえに行きますか!」


小春に見送られながら、私は大通りを走り始めた。
バス停を探すか、もしくは鉄道を使うか。
とにかく一刻も早く追いつかなくちゃ。


449 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:22

小春から発信機を頼りにした居場所情報が私の携帯に送られてきた。
どうやら重さんと石川はもう渋谷周辺にいるらしい。
とはいえ、普通に考えてあの2人が
渋谷のど真ん中を悠然と突っ切ることはまずないと思う。
ま、私の動物的直感だけどね。

とにかく電車に乗ろうと駅を目指していると後ろからバイクの音がした。


「よっちゃんさん!」
「ミ、ミキティ?」


ヘルメット越しだからよくわからないけど、確かにミキティの声だった。
ミキティは昼間、私のテクニックで失神させちゃったんだっけ…。
アレはミキティが私を襲おうとしたから
思わず自己防衛的にやっちゃったことだけど…。

ぽかんとしているとヘルメットを渡された。

「後ろに乗って。」
「ミキティ……。」
「重さん、探すんでしょ。美貴だって、協力するときは協力するよ。」
「…ごめん。」
「なに言ってんのさ。もとはと言えば、よっちゃんさんと美貴宛てに宛てに来た指令じゃん。それに……よっちゃんさんにあんなに激しく愛されちゃったし。」


今更、本当は愛したんじゃなくて、
邪魔だったから失神さちゃったなんて言えないな……。


450 名前:東京大騒動 投稿日:2006/01/28(土) 15:23

私を乗せたミキティのバイクは、フルスロットルで加速していく。
もう速度規制なんて関係なし。
ミキティには信号という発光機械も関係ないらしい。
ドイツのアウトバーン並にスピードを出す。

んー。その前にこのバイク、絶対改造しているでしょ?
だって、速度メーター、おかしいもん。



「もうすぐ渋谷だよ!」


あっという間に渋谷。
ここで小春からの最新情報が入ってきた。

『赤坂です』

どうやら渋谷は素通りして赤坂、六本木方向に逃げているらしい。


「ミキティ! このまま赤坂まで行って!」
「了解!」


いよいよ、うちらの歯車が回り始めた。
待ってろよ、石川。
必ず今日中に重さんを捕まえてみせるから。
そう誓いながらバイクはさらに加速していく。


451 名前: 投稿日:2006/01/28(土) 15:23

452 名前:ゆーたん 投稿日:2006/01/28(土) 15:23
本日の更新は以上です。
次回へと続きます。

453 名前:通りすがりの者 投稿日:2006/01/29(日) 04:25
更新お疲れ様です。

ははぁ、またイザゴザがあったと言う解釈だけは
させて頂きます。
次回更新待ってます。
454 名前:初心者 投稿日:2006/02/08(水) 15:54
更新お疲れ様です
「やってる」んですか、そーきましたか 面白いです
よっすぃは小春とも約束しちゃって、ミキティと一緒にさゆゲッチュ
どうなるのか楽しみです
455 名前:ゆーたん 投稿日:2006/03/29(水) 18:36

>>453 通りすがりの者 様
本当にイザコザばっかりです(笑

>>454 初心者 様
ドタバタ劇場をお楽しみください。

ちょこっと更新。


456 名前:ゆーたん 投稿日:2006/03/29(水) 18:36

【19:25】

左側に渋谷駅が見える。
だけどそんなことはお構いなし。
バイクはあっという間に山手線の高架下を潜り、青山通りに出た。


「よっちゃんさんっ!」
「なにー?」
「パトカーが待ち構えてるっ!」


ミキティの声に思わず前方を見た。
なるほど、赤く点滅する光源のついた白黒の車が見えた。

……いやー、参ったね。
都心のこの時間帯は交通量が多いから、
パトカーで追ってこられないのはわかるけど、まさか待ち構えているとはね。
まぁ、うちらがスピード違反しているのは事実だし。
何キロオーバーだろ?
捕まったらミキティ一発免停だろうな。


「どーする?」
「ミキティのお好きにどーぞ。」
「好きにさせてくれるの?」
「うん。縄でも手錠でも好きにして。」
「イヤン♪ 縛るのはヤダ♪ でも、美貴がんばっちゃおーかなぁ♪」


とたんにウィリーするバイク。
てか、ミキティ、アイドルだろ。
どこでこんな技覚えたんだよ…。


457 名前:東京大騒動 投稿日:2006/03/29(水) 18:37

「よっちゃん、行くよっ!」
「はい、どーぞ。」
「イッちゃうよっ!」
「イッちゃって。」


バイクはパトカーに向かって突進していく。
どんどんスピードが増す。
次の瞬間、バイクは大きく宙に浮かんだ。

……と、飛んでる?


カ、カッケー……。
カッケーよ! ミキティ!
ヤバイ、惚れる!


何事もなかったようにバイクは着地。
待ち構えていたパトカー軍団は唖然とした表情。
まさか飛ぶとは思ってなかったんだろーね。
バイクはまた悠々と青山通りを走り続けた。


「スゲーよ、ミキティ! どこでこんな技覚えたんだよ?」
「フッ♪ ……話すと長いぜ。美貴がまだ『北海道の真ん中らへんの狂犬』と呼ばれていた時代に……」
「あ、いい。長いならいい。」

「……まだあの頃は美貴も若くてね。それこそ、悪いことばっかりしていて……」
「いや、あの… だから話さなくていいんだけど…」

「それこそ万引きとか、恐喝とか、飲酒・喫煙、殺人……」
「え…?」
「…以外のことをね♪」


なんか一瞬だけミキティの悪行を納得しようとしていた自分が怖い…。


458 名前:東京大騒動 投稿日:2006/03/29(水) 18:38

バイクは順調にかっ飛ばし、赤坂が近づいてきていた。
『北海道の真ん中らへんの狂犬』ことミキティの運転は本当に素晴らしかった。


「よっちゃん! もうそろそろだよ!」
「オッケー。とりあえず小春に連絡とってみるわ。」


携帯電話を取り出して小春に電話する。
とにかく今は小春から送られてくる情報が頼りだ。


「あ、小春? うちら赤坂に着いたんだけど、今、重さんたちはどこいる?」
『それが…』
「ん? どした?」
『それがですね、地下に入ったみたいなんです。地下に入ると発信機からの電波が途切れちゃうんです。』

ふぇ…?

「じゃ、じゃあ、どーすればいい?」
『地上に出るまでわかりません。おそらく地下鉄を使ったんだと思います。』


小春〜っ!
ここぞ!という時に限って、ボロが出るとは…。
しかも、赤坂周辺って、
いろんな地下鉄が通ってるからどの方向にも逃げられるじゃん。


『吉澤さんなら、どっちに逃げます?』
「えー、私だったら…?」
『吉澤さんが思う通り行動すれば大丈夫です♪ それじゃ!』
「え、ちょっと待て! 小春? 小春!?」


電話からはツー、ツーと虚しい音が流れてきた。
小春、逃げたな。
てか、おいおい… 
重さんと石川がどっちに逃げるだなんてわかるわけないじゃん。


459 名前:東京大騒動 投稿日:2006/03/29(水) 18:38

「ミキティなら、この先どこに行く?」


藁をもすがる思いで狂犬(ミキティ)の意見を聞いてみる。


「えー…。 美貴ならとりあえずホテル行く。」


そうね、やっぱりホテル。
カラダも気持ちも有頂天ホテルね。
んっ…?


「……ハァ!? なんでっ!? なんで、ホテル? 地下鉄と関係ないじゃん!」
「えー、だってよっちゃんさん、バイクに乗ってる間ずっと美貴のこと抱きしめてくれたしぃ……。」
「だ、抱きしめたんじゃなくて、しがみ付いていただけじゃん!」
「アレで美貴、女になっちゃったっていうか… その…」
「その?」

「……ちょっと感じちゃった♪」

「な、なんで、あれだけで感じちゃうんだよ!」
「……だって、だって、美貴のおっぱい触られちゃったんだもん。」
「触ってないって! 大体、おっぱいだったらすぐにわかるよ! おっぱいだったら膨らんでるじゃん! ミキティのは全然、膨らんでなかった…」


ハッ!
ここまで言って、私はギョッとした。
そういえば… ミキティはそんなに膨らんでないね。

さっきまで好意的な目だったミキティがまさに『狂犬』に変わった。


460 名前:東京大騒動 投稿日:2006/03/29(水) 18:39

「それはどーゆー意味かなぁ?」


こ、怖い。
その笑っているようで、まったく笑っていない目が怖い。


「イ、イヤ、だからね…。ミキティのおっぱいが小さすぎて、おっぱいだと思わなかったワケじゃなくて…。」
「…ホー、おっぱいが小さい?」
「ち、小さいんじゃなくて、まな板というか、ペッタンコというか、『ペッタンコJAPAN!』 …って、これは関係ないか。」
「なにそれ? 全然、笑えないんだけど。」


どんどん狂犬が近づいてくる。
もう、おしまいだ…。


「昼間はあんなに揉んでただろ! え?どーなんだよ、コラ!」
「ミ、ミキ様のいうとおりでございます。だから、ぶたないで!」


カッコ悪いのは百も承知で土下座謝罪を試みた。
だって、これが私の生きる道なのだから…。


「…わかりゃ、いいんだよ。わかりゃ。」


本当にミキティに貧乳ネタはタブーだな。
ヒンドゥー教で牛食べるぐらいタブーだよ。
タブーってわかっててもやっちゃうんだよなー…。


461 名前:ゆーたん 投稿日:2006/03/29(水) 18:39

ここまで。
462 名前:通りすがりの者 投稿日:2006/04/07(金) 01:02
更新お疲れ様です。
いやぁ、まさに美貴様は秤しれないと言いますか、仏像でも破壊するかも(岩石投 ギャー
じ、次回更新待ってます。
463 名前:ゆーたん 投稿日:2006/08/19(土) 14:12

>>462 通りすがりの者 様
短編全てのミキティのポジションがずっとこんな感じなので、次回あたりは優しいミキティの登場といきたいのですが…。でも、やっぱり狂犬キャラが一番しっくりきてたりします(爆。

464 名前:ゆーたん 投稿日:2006/08/23(水) 00:35

それでは更新を再開します。

465 名前:東京大騒動 投稿日:2006/08/23(水) 00:36

【19:55】

「と、とにかく早く重さんたちを見つけないと!」


時間がない。
さらに小春からの情報も頼ることが出来ない。
なんとしてでも自力で重さんを見つけなければならない。
なのに目の前にいるこのお方と来たら。

「その前にホテルだって言ってんじゃん。」

満面の笑みのミキティ。
だけど、父さん…
ミキティの心の中はさっきのことを引きずっているから全然笑ってないわけで。


「いや…。だから、早く重さんを探して……。」
「ホテルでしょっ!」
「重さんが先!」
「ホテル!」
「重さん!」

「……ふ〜ん。よっちゃんさん、二度とフットサルのピッチに立てなくなってもいいんだぁ〜。」

父さん…
それは一体どういうことなのでしょうか?
父さん…
私にはわからないような、わかるような。


「さっき美貴、感じちゃったって言ったじゃん。」
「でも、先にやるべきことが……。」
「もう一度言おうか? 二 度 と フ ッ ト サ ル の ピ ッ チ に 立 て な く な っ て も い い ん だ ?」

どっちにしろこーなる展開なのかよ!
やっぱりミキティは失神させたままの方がよかった…


466 名前:東京大騒動 投稿日:2006/08/23(水) 00:36

と、ここで私の携帯電話が着信を知らせる。
グッドタイミング♪
しかも、相手は小春。


「もしもし?」
『あ、吉澤さんですかぁ?発信機がまた反応したんです。どうやら地下を抜けたみたいです。』
「マジで?じゃあ、どこにいるかわかるの?」
『はい。今は代々木公園で反応してます。』

代々木公園?
代々木公園っつーたら原宿や渋谷にすぐ出れるところ。
あの辺の人ごみに紛れ込まれたらやっかいなことになりそうだ。


「わかった。すぐ行ってみるわ。ありがとう。愛してるよ〜。」
『よ、吉澤さんに「愛してる」なんて言ってもらえて光栄です!』
「フッ、愛してるぜ。」
『キャァ〜、もぅ吉澤さんったらぁ〜♪』

電話を切り、ふと目の前を見ると……。

「誰から?」

さっきにも増して不機嫌な顔のミキティ。

「誰からって…。小春から電話だよ。重さんの居場所がわかったんだって。だから、今すぐ……。」
「へぇー、小春ちゃんに『愛してる』なんて言ったんだ。」
「ふぇ?」

マイナス何百度のほのかな香り。
もしくは液体窒素でカチンコチンになる前のバナナになった気分。

父さん…
私は富良野を見ずに凍死してしまうのでしょうか?


467 名前:東京大騒動 投稿日:2006/08/23(水) 00:37

「よっちゃんさんが愛してるのは美貴だけのはずでしょ?なのに『愛してる』って、どーゆーこと!?」

「それは、言葉のあやってやつで…」
「そうやって誰でも『愛してる』って言っちゃうんでしょっ!」
「だ、誰でもってわけじゃねーよっ!」
「誰でも言ってるじゃん!」

あー、もう!


「ミキティ!」
「なに?  ……あっ。」

私はミキティの耳元にそっと息を吹き込んだ。

「よっちゃん…… さん。」
「ホラ、もっと力抜いて。」

もっと身を預けるように促す。
ミキティは恥ずかしそうに呟いた。


「よっちゃんさん、そんな……。美貴、外でなんか恥ずかしいよ。」
「大丈夫。大丈夫……。」


左手を重ねて。
呼吸を整えて。
ミキティの細い腰に右腕を回して。

そっと、そっと。
まるで貴重な骨董品を扱うように。


468 名前:東京大騒動 投稿日:2006/08/23(水) 00:37

「あぁん。そんなぁ。 ……って、よっちゃんさん?」
「ん?」
「なにやってんの?」
「見りゃ、わかるじゃん。」


ミキティの体にはぐるぐると巻かれた縄。

「なんなの、この縄?まさか……。」

そう、そのまさか。

「拘束プレイ?」
「ちげーよっ!」

そんなこと道の真ん中でしないっつーの!

「じゃあ、なに?」
「ん?ちょっと、ミキティには大人しくしておいてもらおうと思って、ね。」

そう。これ以上、余計な手間が増えないように。


「バイク借りるから。」
「え? 美貴はどーなるの?」
「どうにかなるでしょ。」
「ならないって!こんなのシャレになんない!」
「大丈夫、大丈夫。ミキティならどうにかなるって。それじゃ…。」

「ま、待ってよ!」


縄に縛られたミキティを路上に放置して、私は重さん捕獲へと向かうのであった。


469 名前:ゆーたん 投稿日:2006/08/23(水) 00:38

本日はここまで。
470 名前:東京大騒動 投稿日:2006/11/19(日) 02:12

【20:45】


バイクで風を切る。
ミキティを路上に放置にして、赤坂から代々木へ。
たぶん、ミキティの怪力なら、あのぐるぐる巻きにした縄も今頃解けているはずだろう。
後が怖いけど、今はそんなこと言ってられない。
早く重さんを捕まえなければ。

…というか、なんのために重さんを捕まえるんだっけ?
もうそんなことどうだっていっか。


バイクは誰にも邪魔されることなく代々木公園に到着した。
ここで、再び小春と連絡をとる。


「もしもし、小春?」
『あ、吉澤さん』
「代々木公園に着いたんだけど、重さんのくわしい居場所わかる?」
『えぇっと…ちょっと待ってください。…代々木の体育館の方です。』
「体育館?」
『はい、体育館の中みたいです。』
「わかった。じゃあ、そっちに行ってみるわ。」
『あ、でも……』

なんか小春が言いたそうだったけど、
そんなことはお構いなしに私は体育館の方へと駆け出した。
時間にも余裕がある。


471 名前:東京大騒動 投稿日:2006/11/19(日) 02:12

体育館の入り口はなぜか開いていて、そこから全速力で走って入った。
すぐに体育館のコートに出た。
そこには一人の人影。


「重さん!」

くるりと振り返った髪の長い女の子。

「吉澤さん!」

私は急いで重さんの元へと駆け寄った。


「どうしたんですか?こんなところで。」
「どうしたもこうしたもずっと重さんのこと探してたんだよ!」

私は思わず重さんのことを強く抱きしめた。
強く、強く、離れないように。


「吉澤さん…。」
「重さん…。」


472 名前:東京大騒動 投稿日:2006/11/19(日) 02:13












「……吉澤さん、わかりました。」
「ふぇ?」

「私、女になります!」


え?
なにソレ?
え?
なんで?その展開。


「吉澤さんになら抱かれても構いません。」

そう言いつつ、服を脱ぎだす重さん。

白い肌が物凄く艶っぽくて。
それが露わになる度に私の心臓が高鳴り…。

って、この展開今日何回目や!


473 名前:東京大騒動 投稿日:2006/11/19(日) 02:13

「ちょっ、重さん!」
「なんですか?」
「脱がないで!脱がないで!!」

「なんでですか?脱がないと出来ませんよ。」


そーゆー問題じゃ…。
と、ここで後ろの方から声がした。


「吉澤さん…。」
「こ、小春?」

「吉澤さん、小春のこと抱いてくれるって言ったのに…。」

それはもうちょっと大人になってからって意味で…。


「吉澤さん、小春ちゃんも抱きはるんですか?」
「お、岡やん!?」
「岡田は今日のことは忘れないでぇ。私のカラダ、全部吉澤さんにあげたんやから。」

そ、それはただの成り行きで…。


「よっすぃー、あたしのことも抱いてくれたよね?」
「石川!?」
「へぇー、唯ちゃんのことも抱いたんだ?」

みんななんか近づいてくる。
みんな殺気だってるし。


474 名前:東京大騒動 投稿日:2006/11/19(日) 02:14


「み、みんな落ち着いて!」

「落ち着いてられねぇーよ!!」


なんか、なんか一番嫌な声が聞こえてきた…。
間違いなく、ミキティの声。


「よっちゃんさんがそんなに大勢相手にしてたなんてねぇ。」



あぁ、生き地獄。
こんなにたくさんの閻魔大王様がこちら見て笑ってるよ。


誰か、助けてーーー!






おしまい。



475 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/28(火) 21:52
え、ちょ、終わりですか

よっちゃんが心配です
というか、もしやご冥福をお祈りした方がいいのでしょうか…… w

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