テスト

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/18(火) 01:29
アットラスト
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/18(火) 02:16
test
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/18(火) 22:15
テスツ
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/21(金) 23:40
test
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 21:40
「た、大変です!亜弥おねえちゃん!!」
亜弥がうちに帰ってくると、妹のあさ美がどたばたとやってきて言った。
普段おっとりしているあさ美がこんなに慌てていることに亜弥は些か面食らって
「どうしたの?ちょっと落ち着いて」
そうあさ美を宥める。
あさ美は息を切らしながら亜弥の手を引っ張ると
家の二階の、4女のさゆみの部屋につれてきた。
「さゆがどうかしたの!?」
ただ事でない雰囲気に亜弥は妹のことをあんじた。

さゆみは部屋でいつもどうりちょこんと座っていた。
あさ美も息を落ち着けて座る。亜弥も二人の前に座った。

「落ち着いて聞いてね。亜弥おねえちゃん…」
あさ美が話し始めた。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 21:46

「えぇえぇーーー!!!さゆに好きな人ができた!?」

亜弥の声が部屋中に木霊した。

「あさ美おねえちゃんも亜弥おねえちゃんもビックリしすぎなの」
さゆみが何でもない風に言う。
そんな言葉も耳に入らないかのように亜弥はあさ美に尋ねた。

「それで、このこと真希おねえちゃんには…?」

あさ美は黙って首を振る。
「言えるわけないですよ…」
「だよね…」
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 21:54
のどかな街の外れに小さな家がある。
そこには4人の姉妹が、仲良く暮らしていた。
腹違いで生まれた4人はそれぞれ別の姓を持っていたけども
4人は仲良く暮らしていた。
長女の真希は高校を卒業してから地元の飲食店で働いて家計を支えていた。
次女の亜弥はこの春高校3年生になった。
三女のあさ美は亜弥の一つ下で、同じ高校に通っている。
そして4女のさゆみ。彼女は中学3年生で、姉たちに可愛がられて大事に育った。

特に長女の真希のさゆみの可愛がり方は半端じゃなかった。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 22:01
今まで亜弥にはあってもあさ美やさゆみには、恋愛沙汰の浮いた話は無かった。
ましてや、さゆみにはそんなことに興味のあるそぶりさえなかった。
だから真希も他の二人も安心していられたのだ。
それが急にこんな話が出ては、真希がどうなるかが怖かった。
優しい姉には違いないが、一家の柱という責任感から厳しい姉でもあった。

「それで、どんな人なの…?」
亜弥が恐る恐るといった風に聞いた。
「クラスメイトらしいんですが…」
何故かあさ美が応える。
さゆみは不満そうに二人を見ていた。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 22:07
「もう、私だってもうおとななんだから、
 恋愛くらいしたっていいじゃない!」
さゆみが言う。
亜弥とあさ美が顔を見合わせる。

「いや、別にいいと思うんだけどね…てか私はオススメするけど
 真希ちゃんがねぇ…」
「真希おねえちゃんが気絶してしまわないかが心配ですね…」

さゆみも、自分が可愛がられていることはわかって嬉しいのだけれど
そしてこの姉たちが自分の一番大切な人であることも確信しているけども
こうして子ども扱いにされることが普段から少し面白くないのだ。

「とりあえず真希おねえちゃんには秘密の方向で…」
「そだね…」
亜弥とあさ美が勝手にそう結論づけてしまった。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 22:18
「さゆも真希ちゃんには秘密で、ね?」
「うぅ…わかったの」
さゆみもしぶしぶと頷いた。

とりあえず落ち着いた3人は、さゆみの部屋で足を崩して喋りだした。
「それはそうと、その相手の子のことを聞きたいな。どんな子なの?」
「写真とかないの?」
亜弥とあさ美から矢継ぎ早に質問。
さゆみは得意そうに、クラス写真を取り出した。

「この子なの。亀井絵里っていう子。とっても優しいの」
そういって、さゆみは写真の中の髪の短いキリリとした人物を示した。

「あれ?この子女の子?」
「失礼なの。男の子なの」
「へぇ、何だか可愛らしい子ですねぇ…」
「うん…」

ピンクを基調とした可愛らしいわゆみの部屋で、亜弥とあさ美は
何ともいえない溜息をついた。
それは可愛い妹が確実に大きくなっている
うれしさとも喪失感ともつかない溜息だった。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 22:31
「どうなの、上手くいきそうな感じ?」
亜弥が尋ねる。
「うまくって?」
さゆみが聞き返す。

「だから、付き合ったりできそう?」
「うーん…」
さゆみは少し考え込んだ。絵里とはよくお話はするけども
明るくてみんなに人気者の絵里が自分とつきあったりするだろうか
そう思うと、あまりできそうに無い気がしてきた。

「なんか、よくわかんないの…」

亜弥はなるほどねぇ、と一人頷いた。
あさ美はなんとなく想像を膨らましながら聞いている。


12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 12:07
と、そろそろ辺りが暗くなってきた。
3人は夕飯の準備をするために立ち上がった。
真希の帰りは遅い。
だから家のことは三人で分担してする慣わしだった。

亜弥が料理の準備をする。
あさ美が買出し。さゆみは家の片付け。

こうして日が暮れたころにはささやかな食卓が完成する。
三人仲良く待っていると、真希が帰宅。

「ただいまー」
「おかえりー」「おかえり、お姉ちゃん」「おかえりなさい」
真希が嬉しそうに、食卓を見渡す。
4人が等しく幸せな瞬間だ。
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 12:11
4人で楽しく食事をしていると不意に真希が言う。
「あれ?あさ美と亜弥何かあったの?」

ドキリとする二人。
「え、な、何が…?」
「べ、別に何もないですよ…?」
妙にかたい二人に真希はいぶかしむ。

「喧嘩でもした?」

「まさか」

当人のはずのさゆみは平然とご飯を食べている。

「何か知ってる?さゆ」
真希がさゆみの方に話を向ける。
さゆみは真希を見てから、少し笑って
「知らないの」
とだけ言って、お漬物に箸を伸ばした。

真希はただ頭上にハテナを浮かべるだけだった。
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 12:22
その晩あさ美と亜弥は二人で密かに会議していた。
二人ともさゆみの思い人が気になってしかたがないのだ。

「あさ美、私いい考えがあるんだけど」
亜弥が声を潜めて言う。
「と、いいますと?」
あさ美も同じく。端から見れば悪巧みしているように見える。

「さゆの学校に潜入するの」
「えぇえぇ…誰がですか?」
「私たちがだよ!」
「どうやって…」
「制服なら昔のがあるんだから」
「そりゃ、ありますけど…」
「さゆの思い人が本当にさゆに相応しいかどうか
 私たちにはそれを見極める義務があるでしょ?」
「確かにあります」
「だったらやるっきゃないでしょ!」
「そ、そうですか…?」
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 12:28
亜弥の勢いにあさ美がたじろぐ。
あさ美はこの元気で能動的で無鉄砲な姉が
いつかとんでもないことをやらかさないかと心配しているが…。
「私たちの学校はどうするんですか?」
「一日くらいさゆの為にはしょうがないよ!」
「真希おねえちゃんにバレたら…」
「そこは…バレないようにすんの!いい?」
「ハイ…」

いつもかなわないあさ美だった。
ともかく、亜弥の強引な『さゆの思い人実態調査』計画が
開始されることとなった。

一人先に寝室で寝ていたさゆは、同室のあさ美が
帰ってくる前に静かな寝息を立てていた。
絵里のことと、大好きな姉たちのことを思いながら。
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 12:34
真希と亜弥の寝室では真希が勉強していた。
そこに亜弥が戻ってくると、真希は亜弥に声をかけた。

「今日はなんかやけにこそこそしてるねぇ?」
薄笑いを貼り付けた顔で。
亜弥がまたドキリとして顔を引きつらせる。
「そ、そんなことないよ…」

「あはっ、ま、悪巧みはほどほどにね」
「あは、あはは…」
「あさ美やさゆを巻き込むのが亜弥の悪い癖だからねぇ」

真希は意外と鋭い。妹たちのことになると特に。
あらためてそんなことを思い知らされる亜弥なのだった。

とにかく、真希の視線を感じながらも
亜弥は床に就いた。
明日、久々に中学の制服が着れるとか、変なことにわくわくしながら。
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 00:59
翌日、妙な動きを見せそうな姉たちを横目に見つつ
さゆみは学校へと出て行った。
亜弥とあさ美はお互いに打ち合わせて、昼までは学校にいるようにした。
優等生のあさ美にとっては学校をサボるというのは勇気のいること。
ただ、亜弥の面白がりかたはともかく
純粋に妹の思い人に対する興味や好奇心が勝って
結局話しに乗ることにしたのだ。

中学校は昼休み。
2年ぶりで中学の征服を身に付けてくぐる門は小さく感じる。
変な気分だ。
亜弥と待ち合わせて構内に入ると、高校とはまた違った活気が溢れている。
思わず懐かしさを覚えないわけにはいかない。
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 01:03
「ところでさゆって何組だっけ?」
亜弥がいかにも魔の抜けたことを聴いてくるので
あさ美も思わずため息。

「3年D組ですよ」
「そうそう、忘れてた」

堂々と老化を横切っていく亜弥。
その横を遠慮がちに歩くあさ美。
通る生徒たちがチラチラと二人に視線をくれていく。
あさ美はともかく、亜弥はなかなか中学生には見えにくい。
しかし亜弥はおかまいなしに進んでいく。
19 名前:   投稿日:2005/03/30(水) 23:39
「ちょっとお姉ちゃん…さゆに見つかったら大目玉食らいますよ…」
みんなに注目されるのが嬉しくて仕方なかった亜弥は
あさ美にそういわれてようやく本来の目的を思い出した。

ともかく二人は妹、さゆみのいるはずの教室に向かった。
生徒たちは教室や色んな場所で思い思いにお弁当を食べている。

ようやっと二人は3年D組の前までやってきた。
ちょっと中を覗き込んでみる。

さゆみが、女の子と仲良くお弁当を食べているのが見えた。
その女の子に二人は心当たりがあった。
さゆみの口からよく話題に上るれいなという子に違いない。


20 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/30(水) 23:45
「あ、さゆお弁当食べてるね」
「ほんとだ。嬉しそうですね。作ったかいがあります…」
「可愛いね…」
「可愛いですね…」

この姉たちも真希に劣らないシスコンである。

「って今はそんなことじゃないよ!噂の美少年は何処」
「亀井君ですね。教室には…いないようですが…」

教室を覗きながらぼそぼそと話している二人は
傍目には完全にヘンタイさんだ。

「いないってことは、どこか別のところでお弁当食べてるのかな・・・?」
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/30(水) 23:52
「どうしましょう…」
「どうしよう。作戦建て直さなきゃ」

作戦なんてあったろうか、あさ美は疑問に思いながらもとりあえず頷いた。
教室のさゆみが名残惜しい二人も、見つかっては拙いととりあえず
教室から離れることにした。

「うーん、どこにいるんだろう。亀井君」
「定番なところでいうと、屋上とかですかね?」
「あー屋上かー。懐かしい、行こう行こう!」
「お姉ちゃん…」

亜弥の変なテンションに押されるまま二人は屋上に向かった。
街が見渡せる風の気持ちいい屋上。
何年か前まで亜弥は毎日この屋上でお弁当を食べていた。
それを思い出し思い出し、懐かしくて嬉しくてついはしゃいでしまう。
それはあさ美にしても同じで、やはりここは思い出の詰まった
大切な場所に違いないのだ。
22 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/30(水) 23:56
思ったとおり、屋上は沢山の生徒でにぎわっていた。
三々五々、スペースを確保して楽しそうにお弁当を食べる生徒たち。
亜弥とあさ美は目を細めて屋上の全景を一度見渡した。

楽しそうに話している人たちのなかに
写真で見た亀井少年らしき人物は見当たらない。

「亀井少年はいないみたいですね…」
「そうみたいだね…」

二人は暫く屋上の空気を楽しんだ後、そこを後にした。
23 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/09(月) 08:23
屋上を離れ、再び校舎内に戻った二人。
しかし困った。昼休みが終われば当然亀井少年も
教室に戻っては来るだろうが、まさか授業が行われている教室を
廊下から覗くわけにもいかない。
昼休みのうちになんとか亀井少年を見つけなければ
今日の二人の潜入劇はすべて徒労に終わってしまう。
とはいえ、もう手がかりらしい手がかりも無いのだ。
ふたりは半ば消沈しながら廊下を歩いた。
相変わらず廊下は賑やかで、懐かしい空気が漂っている。

「何かお探しですか?」
24 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/09(月) 08:29
「「へ…?」」
不意に声をかけられて二人が同時に頭をあげた。
其の先にいたのは、ノリのきいた詰襟に身を包み
肩先までのやや長い、茶色髪を揺らせて仄かに笑っている美少年だった。

「(お、お姉ちゃん、亀井くんですよ!)」
「(え、ええ!?マジすか!)」

突然挙動不審になる二人を亀井少年は不思議そうに見ていた。
「卒業生の方ですよね?お困りじゃないですか?」
亀井少年が言う。
((バレてるし・・・))
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/09(月) 08:33
慌てふためく二人。
卒業生に違いないが、正当な理由があって来たわけではない。
ましてや現役の制服を着て。
人探しに来たという目的はあるものの、当の相手が
今目の前に居るのだ。

「え、えっとその…」
何か言おうにも、言う言葉が見つからない亜弥。
あさ美にしてもそうだ。
と、そこで亀井くんが言葉を発した。

「道重さんなら、教室にいたと思いますけど?」

驚く二人。
26 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/09(月) 08:40
亀井くんは小さな笑みを漏らしながら続ける。
「道重さんのお姉さんですよね?」

思わずあさ美が尋ねる。
「え、えっと…どうしてそれを?」
「え、だって・・・紺野先輩は一昨年生徒会長をやってらっしゃったし
 そのときから有名な方だったので…。それに松浦先輩も、いろいろと
 伝説を残されてたみたいで」
そう言って亀井少年はおかしそうに笑った。

二人の顔が蒼ざめる。
あさ美にすれば、そういえば今の3年生は自分が会長をしていた2年前には
すでにこの学校にいるのだから知らないわけがなかったことを思い出した。
亜弥にしても亀井くんに言われた通りである。
亜弥、あさ美、さゆみ、この3人が同時に在学していたことは無いが
亜弥、あさ美とあさ美、さゆみの美人姉妹は有名すぎるほど有名だった。
27 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/09(月) 08:46
そこで先ほどから廊下を歩くたびに自分たちが
注目されていたことを思い出した。
みんな自分たちのことを知っていたのだ。

魂の抜けたような二人に亀井くんが慌てて声を掛ける。
「あ、あの…大丈夫ですか?」

あさ美が慌てて取り繕う。
「あ、あはは…大丈夫。ありがとう…
 実は今日妹に届け物があって来たんだけど、もう用事は済んだから
 今から帰るところだったの」
「そうだったんですか」
あさ美は尚も引きつった笑顔で言う。
「うん…わざわざ、親切にどうもありがとう。君の名前は?」
28 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/09(月) 08:53
「あ、僕亀井絵里っていいます。道重さんとは一応クラスメイトです」

その言葉を確認すると、まだ半分魂の抜けている亜弥を掴み
逃げの姿勢に入るあさ美。
「そ、そうなんだ。ありがとう亀井くん。さゆみのことヨロシクね」
そう言って慌てて駆けていく二人なのだった。

後に残された亀井くんはキョトン。

昼休みが終わり教室に戻ってきた絵里に
「面白いお姉さん達だね」と声を掛けられたさゆみの頭上には
ハテナが飛ぶのだけれども
いろんな友達から「今日姉達が学校にいた」ことを聞かされて合点がいった。

そして其の夜亜弥とあさ美にさゆみの大目玉が落ちたことは
言うまでも無い。
29 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/18(土) 08:19

あさ美たちの部屋。
亜弥とあさ美はさゆみの大目玉にも懲りず、定例会議を催していた。

「確かに相当の美少年ではあるね」
「ですね」
議題は直に目で見た亀井君の感想である。
「でもなんか、掴みどころの無い感じがしますね」
「てーと?」
「普通に考えれば親切ないい子なんですけど…
 なんていいうか、何を考えてるかわかんないみたいな」
「うーん…確かに…」

二人の勝手な定例会議の為に部屋の外に追い出されていたさゆみが
二人の会話を聞いて乱入してくる。
「もう、二人とも何勝手なことばっかし言ってるの!」

「え、いや、やっぱり一度見ただけじゃ良くわかんないからさ。
 ほら、可愛い妹の彼氏候補ならやっぱりじっくり…」
「バカ!」

そのままずかずかと部屋に入り込むと
さゆみはベッドの上にぼてっと身を預けた。
30 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/18(土) 08:25
「お姉ちゃん達、酷いの…
 私がそんな変な人好きになるわけないの…
 それに、絵里に私まで変な子って思われたかもしれないじゃない…」

背中で寂しげに言う妹にとても申し訳なくなる二人。
でも、ちょっと待って『私まで変な子』って…。
未だ自分たちの行動を正当化しようとしている亜弥とあさ美だった。

何となく気まずい沈黙。
暫く、亜弥もあさ美も喋れないでいると
さゆみから静かな寝息が漏れだした。

「寝た、か…」
31 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/18(土) 08:30
なんとなく亜弥がさゆみの顔を覗きこむ。
穏やかな、それでいてどこかしら寂しげな寝顔。
あさ美も身を乗り出して覗き込む。
二人は同時に溜息を吐いた。

「ごめんね、さゆ…」
あさ美が呟く。

「でも」

「やっぱりこんな可愛い妹のこと、ほっとけないよね…」
亜弥の言葉に静かに頷くあさ美。
それから二人は言葉少なに、自分の寝床に戻っていった。

亜弥の真希の部屋の真希の隣のベッドへ。
真希は寝転んで本を読みながら、何か考え事をしているようだった。
32 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/05(火) 16:00
次の日学校にやってきたさゆみには様々な視線が寄せられた。
原因はわかってる。昨日の姉達のせいだ。
さゆみは思わず顔を伏せて登校。
ようやっとで自分の席にたどり着くと、大きな溜息を吐いた。

「なあ道重!昨日いた人達って道重の姉ちゃんなんだって?」
男子生徒に声を掛けられる。
さゆみは恨めしそうに目をあげるだけ。
「めっちゃ綺麗だよな、二人とも」
いつの間にか数人の男子生徒がさゆみの周りに集まっていた。
「ほんと、すっげー美人。なぁ紹介してくれよぉ」

家族を褒められるのは悪い気はしない。
だけど、お姉ちゃん達をこんなアホ達に紹介する気なんて露ほどもない。
もっとも、二人が相手にするわけなんてないけどさ。

登校一番男子生徒に囲まれてるさゆみを見たれいなは何を思ったか
ニヤニヤ笑っておはようを言うとすぐに自分の席についてしまった。
(あーもう、朝はれいなとお話するって決めてるのにぃ…
 はやくどっか行ってよ…)

見れば亀井君も既に来てて、れいなと何やら楽しそうにお喋りしてる。
(あー、れいなズルイ…)
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/05(火) 16:04
始業ベルがなってやっと解放されたさゆみ。
しかし朝からどっと疲れた。
これもみんなお姉ちゃん達のせい…。

れいながまたニヤニヤとさゆみに視線をくれる。
さゆみが恨めしそうにれいなを見ると
タイミングよく教師が入ってきた。

亀井君は相変わらず、不思議なニコニコ顔で前を向いている。
空は今日も青い。
34 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/08(金) 11:43
授業の間、さゆみはぼんやりと考え事をしていた。
姉達のこと。亀井君のこと。
彼は相変わらず真面目に前を向いて授業を受けている。
彼がいつも幽かに浮かべている不思議な微笑には
ちょっとした魔力があった。
全部を曖昧にして、覆い隠してしまうような
それは、誤魔化しのようにも思える。
「何を考えているかわからない」
昨日あさ美がいった言葉。
さゆみにしても内心で思っていたことで、だからさゆみは余計に落ち込んだ。

あの笑顔は誰にでも向けられる。
誰も彼の本当の笑顔を知らない。
本当の表情を知らない。もちろんさゆみも。
(亀井くんが本当の笑顔を見せる相手、いるのかな…?
 私が、なりたい…)

終点を見ない思考は一層さゆみの顔を翳らせた。
35 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/14(木) 01:22
昼休み。
れいなと一緒に教室でお弁当を食べる。
さゆみはこの時間が大好きだった。
毎日、亜弥とあさ美の手作りのお弁当には、豪華ではないけれど
二人の姉のたっぷりの愛情が詰まっている。
そして何より、美味しい。

「さゆのお姉ちゃんってさぁ」
れいなが自分のお弁当のサラダをつまみながら言う。
「なんか、凄いよね」

「ふぇ?何が?」
さゆみの頭の中に昨日の姉達の姿が思い出される。
思い出したくない。赤っ恥もいいところ。

「ほら、なんかこの学校じゃ伝説じゃん」
「そんなの知らないの…」

「れいな一人っ子やけん、羨ましい」
36 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/14(木) 01:35
さゆみの姉達は三人とも、どこに行っても評判がいい。
しっかりしているし、何よりも美人だから。
さゆみにとっては自慢の姉なのだから、それは嬉しい。
嬉しいのだけれど、少しだけ、そんな姉達のことが羨ましく思ったりもしていた。

「さゆみの自慢のお姉ちゃん達だもん」
何故か拗ねたようなさゆみに、首を傾げつつもれいなは
あまり空気を読まずに喋り続けた。
そんなれいなのことがさゆみは嫌いじゃない。
おっとりしているさゆみはせっかちなれいなによく助けられるのだ。

亀井くんはいつもお昼休みには教室にいない。
4時限が終わるとすぐ席を立ってどこかにいってしまうのだが
今日は、教室に残っていた。
ただお弁当を食べている様子はない。
さゆみは、れいなの話に耳を傾けながら、そのことが気になっていた。
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/24(日) 21:08
テストです。 携帯でも更新したいので練習させていただきます。
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/24(日) 21:09
もう一度。 テスト
39 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/30(土) 00:14
いやぁ〜っ、設定が(・∀・bイイ!

続き待ってます。
40 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/29(月) 15:43
まだかなまだかな
41 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:08
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。

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