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色々なお話

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 18:45
暇つぶしに書いた話を載せていきます。
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 18:46
ここの所、2人の様子がおかしい・・・。
後輩のよっすぃ~は何故か、最近、大人しい。
逆に梨華ちゃんは、最近、物凄く凶暴になっている。

いじめられっ子だった梨華ちゃん。
彼女がいじめられる度に、良く庇って上げたりしていたが、
最近は、そう言う事が一切無い

それどころか、いつも自分の事をいじめていた子を完膚無きまで叩きのめし、
今ではパシリとして使っている。
逆によっすぃ~はと言うと・・・。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 18:47

「何、やってんだ!吉澤!!」

何でもないボールをトスミスするよっすぃ~。

「おい、しっかりやれ!!」
「す、すみません!」

オドオドする、よっすぃ~。

「おい、最近、おかしいぞ!どこか悪いのか!!」

男勝りな性格で、ぐいぐいとチームを引っ張るよっすぃ~が、
最近は可愛らしい女の子となってしまい、ぐいぐいとチームの足を引っ張っている。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 18:47

どのプレーをやっても、まるで初心者みたいなプレーを見せるよっすぃ~。
正直に言うと、彼女の絶不調は、うちのチームにとっては物凄く痛い。
なんと言っても彼女は、うちのチームの中心人物。
彼女にしっかりして貰わないと、キャプテンとしても物凄く困る。

「す、すみませ~ん」
「おい、吉澤、やる気がないんなら帰って良いぞ!!」

コーチの言葉に首をうな垂れ、スゴスゴと控え室に戻っていく。
元々、顔の作りは良いので、あれならあれで苦労する事は無いだろうが
私としては物凄く困る。

しかし、一体、どうしちゃったんだろう・・・。
何か悩み事でもあるのだろうか。

5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 18:49

『キンコーンカンコーン』

帰りのホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴る。

「ふぅ・・・、さてと、部活にでも行きますか・・・」
「あのぉ・・・」
「ん?」

見ると梨華ちゃんが、私の目の前に立っていた。

「ん?どうした」
「ちょっと、ご相談が・・・」

(ご相談・・・?)

まるで上級生に対して、喋る言葉遣い。
そう言えば、梨華ちゃんは私との会話を避けているような気がする。

「・・・ま、良いけど・・・、何?」
「ここじゃあ、ちょっと言い辛いので一緒に来て欲しいんですけど」

この時、私は何となく嫌な予感がしていた。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 18:49

連れて来られた所は、体育館の裏。
そこには誰か、先客が座って待っていた。

「・・・誰?」
「・・・美貴ちゃ~ん」

振り向いたのは、よっすぃ~だった。
一直線に走り、私の方へ抱きついて来る。

「怖かったよ~」

よっすぃ~は一体、いつからこんなに軟弱だったのだろう・・・。
そう思う程、私は鈍くなかった。

「・・・で、いつからそうなったの?」

私は2人に詳しい話を聞く事にした。

7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 18:50

1つ、梨華ちゃんから相談ごとがあると言われた。
2つ、連れて来られた所によっすぃ~がいた。
3つ、よっすぃ~が私に向かって『美貴ちゃん』って呼んだ。
4つ、何よりも最近、様子がおかしいと感じていた接点のない2人が揃っている。

これらの事を考慮して、ちょっと考えると必然的に答えが出てくる。

「何がきっかけでそうなったの?」
「・・・ってまだ、私達、何も話していないじゃん?」
「・・・何て呼んだら良いのか分からないけど・・・取り合えず、梨華ちゃんの格好したよっすぃ~」
『え?』

ほぼ、同時に返事する2人。

「な、何で分かったの?」
「ま、色々とね」
説明するのが面倒くさいから、私は話を割愛する。

「もっとも、2人が私を驚かせようとして、演じているとも考えられるけどね」
「そんな事、しないよぉ」
――とよっすぃ~の格好をした梨華ちゃんが答えた。

8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 18:51


――続く
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 20:35
ほうほう。期待大。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 22:47
お~いいじゃな~い
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/30(日) 10:58
>9,10
サンキューです!!
12 名前:本編 投稿日:2005/01/30(日) 10:59


その日は、部活もあるって言う事で、相談については、後にしてもらうようにした。
――と言っても、私にそんな事を言われても、解決しようがない。

大体、私は、超能力者でも魔女でも無く、ましては、霊能力者でも神でもない。
なんとか出来るなら、幾らでも何とかしようがあるが、私の知識ではどうしようもない。
可愛そうだけど、ずっとそのままで行くしかないんでは・・・・。
もし普段の心がけを良くすれば、きっと神様が何とかしてくれるよ、うん。

「ねぇ、美貴ちゃん、聞いている?」
「え?」
帰る方向が違うのに、何故かべったりとくっ付いてくるよっ・・・じゃなくて、梨華ちゃん。

「え、うん。聞いているけど・・・で、いつまで付いてくる訳・・・」
「えー、そんな事、言ったってぇ」
久しぶりに自分の本来の姿を見せられて、ほっとしたのか(あれでも演じていたらしい・・・)
やたらと私に甘えてくる梨華ちゃん。
しかし、外観はよっすぃ~なので、どう見てもよっすぃ~がふざけているとしか見えない。

「・・・帰り道、違うでしょ」
「久しぶりに会えたんだからぁ・・・」
「いつも部活で会っていたじゃない」
「だって、それはよっすぃ~としてでしょ」
当たり前である。
目の前にいる姿形は、誰がなんと言おうが吉澤ひとみ、そのものだから。

13 名前:本編 投稿日:2005/01/30(日) 10:59

そして、私の家がある駅に到着した。

「じゃあ、私・・・ちょっとぉ」
何故か梨華ちゃんも一緒になって、同じ駅に降りてしまった。

「あのね。ここは、私が住んでいる駅。大体、よっ・・・・梨華ちゃんは、反対方向でしょ?」
「だって、久しぶりに美貴ちゃんと話せるんだもん。もうちょっと、一緒に居てよ」
「いい加減にしなさい!!」
あまりべったりとくっついて来るので、少し強めの口調でしゃべった。
そうしないと、本当に家までくっついて着そうだから。

すると少し悲しげな表情をし、肩を落としながら、ポツリポツリと反対ホームへ歩いていった。

(あー、もう!!)

「分かったよ、もう。今日はうちに泊まれば!!」
するとさっきまでの悲しげな表情が、嘘のように明るい笑顔でやって来た。

(ま、こんな時間だから、よっすぃ~の家へ辿り着くのは大体、11時)
(性格は男勝りのよっすぃ~も外見だけは、美人。)
(ましてや、中身が梨華ちゃんとなると、余計、夜中、1人で返すのは危ない)
美貴が見せたちょっとした優しさ、それが私にとっては後で多大な後悔へとつながるのであった。
14 名前:本編 投稿日:2005/01/30(日) 11:00


一晩中、梨華ちゃんに愚痴を聞かされ、結局、眠る事が出来なかった。
私は肉体的での疲労回復が出来なかっただけで無く、
精神的にダメージを負うはめになってしまう。

「・・・眠い」
しかも、私の睡魔を増幅させるかのように、教師のしゃべりが・・・。
・・・・・・
・・・・


「藤本ぉ」
「はい!」
「そんなに俺の授業ってつまらないか?」
はい――なんて、死んでも言えず取り合えずは否定する事に・・・。

「い、いえ」
「嘘はつかなくても良いんだぞ。ま、廊下で立って、反省してろ」
――と高校生にもなって、私は廊下に立たされる羽目になってしまう。

しかし、私にとっては有難かった。
少なくても、次のチャイムが鳴るまでは、ゆっくりと眠れるの・だ・か・・ら・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・zzz。
15 名前:本編 投稿日:2005/01/30(日) 11:51


「体調が悪いから、保健室に行って来る」
授業を終えると、私はクラスメイトに、そう言い残し、保健室へ。

「こんにちは」
「何だ。また藤本か」
開口一番、いきなり失礼な言葉を発するのは保険の稲葉先生こと、あっちゃん。

それにしても・・・・何だって何よ。それに、またって何よ。またって。
怪我以外で、ここへ来た事は一度も無いでしょ。
こう見えても、意外とちゃんとやっているんだから。

「体調不良よ。ちょっと寝かして」
「ああ、右側のベッド、塞がっているからな」
カーテンが閉めてあるので、見れば分かる。

「あっそ。どっちでも良いよ。私は寝れれば・・・」
「なあ、うちがこう言ったら、何か事件みたいな事があったに決まってるやろ」
まるで、噂好きのおばちゃんみたいな事を言っている。

「別に人がどうだろうと、興味が無い。それより、こっちは色々と大変なんだよ・・・」
「ん?どうした」
「ま、色々とね。後でゆっくり教えてあげるから」
「ちょちょちょ・・・、5分、いや3分で済むから。うちの話を聞いてくれ」
物凄~く迷惑だったが、話を聞かないと寝かしてくれそうも無いので
私は取り合えずは、あっちゃんの話を聞く事にした。

「なぁ、今、ベッドで誰が寝ていると思う?」
「知らない・・・」
眠い目をこすりつつも、私は彼女の話を聞く。
答える気など更々無い。
ただ、一刻も早く心身の疲労回復へ勤めたかった。

「なぁ、知りたい」
「知りたい・・・・」
どうでも良いが、こう答えないと寝かしてくれそうもなかったので
私は取り合えずお決まりの文句を返した。

「実はな、あの!バレー部の吉澤ひとみが貧血で倒れたんやって。な、ニュースやろ!!」
「・・・あっそ・・・もう駄目・・・・・お休み・・・zzz」
「ああ、もう、カーテンぐらい閉めときや」
私は、ふらふらっとベッドの方へ倒れ込み、このままの格好で寝てしまった。
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/30(日) 13:01


――続く
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/01(火) 22:30
面白そう!頑張ってください。
18 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:04

あれから、どれ位の時間がたったのかは分からない。
ただ、さっきに比べると大分、体調の方が良くなっていた。
しかし、眠気と精神的ダメージはかなり、残っている。

「ふぁ~あ。今、何時?」
「え、おお。大体、2時ぐらいや」
「へ?やば・・・って、もう明らかにアウトか・・・」
午後の授業には行くつもりだったが、気づいたら5時間目の終わり。
はぁ、もう・・・どうでも良いや。今日は早退しよう・・・。

眠さのあまり、足はフラフラ。
まっすぐ歩けなかった。
しかし、それが功を奏したのか、先生はあっさり早退を認めてくれ
その足で私はまっすぐ家に帰る事にした。

19 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:05


やっとの思いで、家に辿り着く。
(はぁ・・・・、早く寝て、明日はちゃんと授業を受けよう・・・・)

「みーきちゃん」
この声は・・・。

「私から、逃れようとしても駄~目」
中性的な魅力が、すっかり失われ、ただの美少女となってしまった
よっすぃ~改め梨華ちゃんが、現れた。

「実は、気分が悪かったから、早退させてもらって、先回りしてたの」
そういや、あっちゃんがよっすぃ~が倒れたって言っていたけど、
考えてみたら、中身は梨華ちゃんって事をすっかり忘れていた・・・・。

結局、この日も前日の2の舞となってしまった・・・・。

20 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:05


「じゃあ、私、こっちだから」
「うん」
不安気な表情で、私の事を見るよっすぃ~(梨華ちゃんver.)。
でも、そこまでは、面倒見切れない。大体、歩くのがやっとだと言うのに・・・・。

足取りがフラフラとしながら、教室に向う。立つのが、辛い。
ハァー・・・・やっと、机に辿り着いた・・・・。

「あ、おはようございます」
ちょうど、その時、梨華ちゃん(よっすぃ~ver.)と出くわした。
「おはよう・・・・」
「なんか調子、悪そうですね」
「・・・・そりゃあ・・2日・・・も・・徹夜・・・で・愚痴を・・・聞か・・・・・さ・れ・・ちゃあ・・・ね」
「・・・・保健室に、行った方が良いですよ」
「・・・・いや、意地・・・・で・も完走・・・してやる」
こうなったら、意地だ。
絶対に、最後まで授業を受けてやる~!!

21 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:06


―――――――――
――――――
―――



22 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:06


「大丈夫ですか?」
目が覚めると、梨華ちゃん(よっすぃ~ver.)の顔が・・・・。
一体、どうしちゃったんだろう。

「びっくりしちゃいましたよ。だって、急に倒れるんですもん」
「倒れる?」
辺りを、見回すと、そこは、昨日と同じ風景が・・・・。

「4時間目までは、何とか、なっていたんですけど、5時間目の田中先生の授業で、
 また、廊下に立てって言われて、廊下に向う途中に倒れたんですよ」
倒れた以前に、朝、起きてから、4時間目までの記憶さえ、途切れている。

「田中先生、もうすっかり、焦っちゃって。完全に、パニくってましたよ」
「昼休みは?」
「ええ。ちゃんと、食べてましたよ」
・・・・夢遊病者か、私は・・・・。

「まぁ、とにかく、今日は、ゆっくりと帰って、寝なさい」
「・・・・そうする」
出来るのならね――と心の中で呟きながら、私は、保健室を後にした。

23 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/11(金) 22:07

――続く
24 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/11(金) 22:08
>17
軽い気持ちで、読んでくれたら良いなと思います。
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/12(土) 01:23
がんばれーミキティ!!
作者さんもがんばれー
26 名前:作者 投稿日:2005/02/20(日) 04:26
今回は、少し変則的な更新をしたいと思います。
1回目は、今。
2回目は、12時~14時ぐらい。
3回目は、18時~20時ぐらいです。
27 名前:本編 投稿日:2005/02/20(日) 04:27



「美貴ちゃん」
妖艶な目つきで梨華ちゃんが近づいて来る。
何か、様子がおかしい。

「ん?」
「実は、美貴ちゃんの事を・・・」
突如、シャツのボタンを外し、スカートも脱ぎ、下着姿になる。

「ちょ・・・、ちょっと、どうしたの。突然、脱ぎだして」
一瞬のためらいを見せ、発せられた言葉は私にとっては信じられない言葉だった。
28 名前:本編 投稿日:2005/02/20(日) 04:27


「・・・抱いて」
「はあ?」
すると、突然、私に抱き着いて来た。

「ちょっ、ちょっと、冗談は止めてよ」
「冗談なんかじゃない」
「ちょ・・・」
言葉を発しようとした私の口を、彼女の唇で塞いで来る。
言葉を発する術を失った私は―――

29 名前:本編 投稿日:2005/02/20(日) 12:44


――
――――
――――――――
――――――――――――

30 名前:本編 投稿日:2005/02/20(日) 12:46


「わあぁぁぁぁぁぁ!」
起き上がるとそこには誰もいない。
どうやら、夢を見ていたらしい。

「はぁ・・・、夢か・・・」
夢にしても生々しかった。
何であんな夢を見たんだろう・・・。
(まさか、欲求不満?いや、そんな訳ない!!)
自分で言った発言ながら、恥ずかしくなり、大きく首を横に振る。

「どうしたの?美貴ちゃん」
よっすぃーが現れた。私の悲鳴を聞いてやって来たらしい。
私は夢で見た出来事を全て話す事に。
すると、よっすぃーの顔色が変わった。

「どうしたの?よっすぃー」
「実は、美貴ちゃん・・・」
「はぁ?」
この時、完全に忘れていた。
彼女達が今、入れ替わっていた事を。
そして、人が変わり、さっきと同じ光景が――

31 名前:本編 投稿日:2005/02/20(日) 19:28

――
――――
――――――――
――――――――――――

32 名前:本編 投稿日:2005/02/20(日) 19:30



「わあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
夢で見た光景とまったく、同じ場面だった。
どうやら夢の中で夢を見ると言う訳の分からない夢を見たらしい。

「どうしたの?美貴ちゃん」
よっすぃー(梨華ちゃん.ver)がやって来た。私の悲鳴を聞いてやって来たらしい。
ここまで、まるっきり同じである。
(まさか・・・・)
この時、何故か知らないけど、嫌な予感がしていた。
そして、その予感が当る事になるのだが、この時は具体的に
どうなるかまでは、考えても見なかった。


「ど、どうしたの?睨み付けちゃって・・・」
知らないうちに、彼女の事を睨み付けてしまっていたらしい。
正直、どこまでが夢でどこまでが本当なのか分からない。
それに、夢の通り、襲われる可能性もある。
どうしても、警戒心と解く訳には行かなかった。


「・・・そんなに睨まないでよ」
目を潤ませ、今にも泣きそうな表情を見せ始めた。

「ご、ごめん、変な夢を見たから・・・」
「変な夢?」
「う、うん・・・」
私は仕方無しに、彼女の私の見た夢の一部始終を話し始めた。

33 名前:本編 投稿日:2005/02/20(日) 19:31


「――と言う夢を見たんだ・・・」
多少の警戒心を残しながらも、夢で見た内容を全て話した。
すると、よっすぃー(梨華ちゃん.ver)の表情が変わった。

「・・・夢じゃないわ」
ゴクリ――唾を飲み込む音が、物凄く良く聞こえた。

「実は・・・」
「ちょ・・・ちょっと待って、梨華ちゃん。私、そう言う趣味は――」
「恋愛に性別なんて関係ないでしょ」
一歩、また、一歩と私に近づいて来る。
そして、私のパジャマのボタンに手をかけた。

「・・・なんて、冗談!」
ペロリと舌を出し、そして、私のパジャマのボタンをはめた。
どうやら、寝る前にボタンをしっかり付けてなかったので、
外れてしまったようだ。

「もうちょっと経ったら、ご飯が出来るから。それまで寝ててよ」
「うん・・・」
この時点で、おかしな点があったのだが、夢が正夢でなかった安堵感と、
眠気と疲労感で、この時は考える余裕もなかった。

34 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/20(日) 19:32

続く――

35 名前:作者 投稿日:2005/02/20(日) 19:34
以上が今回、更新分です。
次回、ミキティに新たな災難が――。

>25
ありがとうございます。
頑張りますとも!!


…自分のペースでね。
36 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/26(土) 20:47
ドキドキ
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/08(火) 22:57
放置してて、ごめんなさい。
そして、上げさせてもらいます。
今週中に、少しだけ更新します。

>36
前回の話で謎がひとつ有ります。
さて、それは何でしょう。
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/09(水) 15:06
普通に答えていいのかな?
起きた時に石川が側にいたことかな?
それにしても…すごい夢見るね、藤本さん。
39 名前:本編 投稿日:2005/03/10(木) 02:31


「ほら、おいしそうでしょう。美貴ちゃんの為に、一生懸命、作ったんだから」
誇らしげに、私を見るよっすぃー(梨華ちゃん.ver)。
食卓の上には、色々なおかずの山で、埋め尽くされていた。

「うん、ありがとう・・・」
「どう致しまして」
満面な笑みで答えるよっすぃー(梨華ちゃん.ver)。

「あのね、梨華ちゃん」
「なーに?」
「私の為に料理を作ってくれたのは、物凄く嬉しいんだけど・・・」
「うん」
「どうやって、この家に入ったの?」
今日は、私一人。
兄は大学の合宿、弟は修学旅行、両親は夫婦水入らずの旅行に出かけていて
誰も彼女をいれる者はいない筈である。

そして、彼女の口から出て来た言葉は、私の耳を疑うような内容だった。

40 名前:本編 投稿日:2005/03/10(木) 02:31


「え、だって、美貴ちゃんが入れてくれたんじゃない」
え、そんな記憶なんて無い。
だって、多分、その頃は寝てた筈・・・・
まさか、寝ながら・・・・。
でも、さっきもちゃんとご飯を食べていたらしいし・・・・。

「そんな事より、食べよう!
 美貴ちゃんの為に、たっくさーん、おいしい物を作ったんだから」
そこに並べてあるのは、確かに美味しそうな料理ばかり。
ただ、私の今の状況にはとても相応しくない料理ばかりでもあった。

41 名前:本編 投稿日:2005/03/10(木) 02:32


大体、こんな時に肉じゃがなんて食べたくない。
しかし、彼女のあの顔を見るとそうも言えず、素直に食す事に。

「どう、美味しい?」
「うん・・・・」
美味しい事は美味しい。もしかしたら、うちのお母さんのよりも美味しいかも。
しかし、これらを全て平らげるとなると、とても、二人きりでは・・・・。

「全部、美貴ちゃんの為に作ったんだから。遠慮しないで全部、食べて」
(私、一人かい!!)
仕方なしに黙々と、私は食べ続ける。
梨華ちゃんは、その間、じっと私の顔を見ていた。

42 名前:本編 投稿日:2005/03/10(木) 02:33


比較的にどれも美味しかったので、何とか食べられた。
そして、残るは焼きそばのみ。
(ん?)
ここで、何か違和感みたいな物を感じた。

それは何かは分からない。
しかし、物凄く嫌な予感がした。
(・・・・何か、私の細胞が、"この焼きそばを食べるな!"と叫んでいる)
(でも、折角、作ってくれたんだから、食べない訳にもいかないし・・・・)

取り合えずは、一口、口の中に入れた――

43 名前:本編 投稿日:2005/03/10(木) 02:33


「・・・・ここは?」
気付いたら、自分のベッドの上で寝ていた。
えーと確か、色々とあった料理を平らげて、焼きそばを・・・・。

そうだ、焼きそばを口に入れた瞬間、何か異様なものが感じた。
よくよく臭いをかいでみると何とも言い難い臭いがしたんだよなぁ・・・・。
そして、無理して完食をしたんだけど、何か急激に寒気がして、
で、熱を計ったら・・・・・。

「はぁ・・・・、いつまで、こんな生活が続くんだろう・・・・」
私は、天井を見ながら呟いた。

44 名前:本編 投稿日:2005/03/10(木) 02:33


――続く

45 名前:本編 投稿日:2005/03/10(木) 02:39
と言う訳で今回、更新分です。
次回は、もう少し早めに更新します。

>38
大正解です(って言うか簡単すぎたかな?)
多分、精神的に参っているんでしょう。

次回、よっすぃー、マジギレ??
46 名前:作者 投稿日:2005/03/10(木) 02:39
↑訂正:本編⇒作者
失礼しました・・・・orz
47 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 07:21

翌日ーー

48 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 07:21
この日は、私と梨華ちゃんだけ。
親、兄弟は共に旅行に出かけている為、家は梨華ちゃんと二人きり。
昨日のパターンの夢をまた見た。
ただ、今度はあっちゃんまで・・・・。



いや、もう思い出したくない!


疲れているのかなぁ・・・・。

うん、疲れているんだ。
そう、疲れているんだよ。
だって、そうじゃなければあんな夢なんて見る筈がない。
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 07:22
・・・・むなしい
否定すればする程、肯定するような気がしてならない。
なんか、益々凹みそう・・・・。
50 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 07:22

『ピンポーン!!』
51 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 07:22
玄関からチャイムの音が聞こえて来る・・・・。
誰だよ・・・・勘弁してよ、こんな時に・・・・。
パジャマの上にドテラを来て、更にマスクを着用。
押し売り対策ばっちし!
まあ、そのために付けているんじゃないけど・・・・。
52 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 07:23

『ガシャ!』

53 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 07:39

「あれ、梨華ちゃん、お帰り。随分、早かったね」
梨華ちゃんが泣きそうな表情をし、仁王立ちの状態で立っていた。
この時、私は二人が入れ替わっている事を完全に忘れていた。
54 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/13(金) 07:40
続く…?
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/10(金) 02:38

「あ、梨華ちゃん。お帰り」
「お帰り?」
「どうしたの?そんなところで突っ立てて。あがんなよ」
私は彼女に上がるように促した。

「じゃあ、失礼します・・・・」
「どうしたのよ。急に。昨日、今日と当たり前のように上がってたのに」
「じゃあ、石川梨華は来て居たんですね!?」
「はあ、一昨日からの来てたじゃん!?」
「あんなゃろー・・・・」
ますますハの字型の眉毛になる彼女。
それは泣きそうな表情と言うには不自然な顔であった。
56 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/10(金) 02:39

「ただいまー」
玄関から聞こえてくる野太い声。
「お帰り梨華ちゃん」
え、梨華ちゃん?
梨華ちゃんは目の前にいる。そして、今、帰って来たのも梨華ちゃん。

そして、梨華ちゃんと梨華ちゃんが対面した?
どう言うこと?
57 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/10(金) 02:39

「てんめぇ・・・・」
指をポキポキとならしながら梨華ちゃんが・・・・そう言えば、二人とも様子が変!!
違う!!
私が変だったんだ。
熱で頭がおかしくなってた。
二人は入れ替わっていたんだ!!
私は慌てて、殴りかかろうとする梨華ちゃん(よっすぃーver)を止めに入った。
58 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/10(金) 02:40

10分後


59 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/10(金) 02:50

「あいてて・・・・」
止めては突き飛ばされての繰り返しで、傷だらけの私。

「すみません・・・・」怒りがおさまると同時に先輩に対して暴力を振るった事に気付き真っ青な表情となる梨華ちゃん(よっすぃーver)

「ごめんなさい」
何故か無傷であるよっすぃー(梨華ちゃんver)。
そして、傷だらけの私・・・・。
60 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/10(金) 02:51
続く
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/10(金) 02:51
次回で終わりです。
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/26(日) 10:02
落とします
63 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:29

******

64 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:29

「ほら行ったぞ、吉澤!!」
監督の怒声が体育館に鳴り響いた。

ボールはよっすぃーの正面へ
そのボールを難なく受け止めるよっすぃー。
そのボールを私は高々とあげた。
65 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:29


高々とあげられたボールに向かって、
彼女は大きく飛び上がり、そして、力一杯、ボールに叩きつけた。
その姿は大空に羽ばく鳥のようであった。

「キャー!!」
梨華ちゃんのアニメ声が体育館にこだまする。

66 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:30

試合終了後――


67 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:51


「お疲れ様!!」
祝勝会を終えた後、私達は3人だけで祝勝会を行った。

「それにしても一時はどうなるかと思ったよ」
ジュースを飲みながら、あの時の事を語るよっすぃー。
「ごめんね」
よっすぃーに謝る梨華ちゃん。

え?
何故、彼女達の後ろに(~.ver)がついていないって?
それは自分の体に戻る事が出来たからである。

68 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:51

1ヶ月前――

69 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:51

その日は3人とも結局、私の家に泊まる事となった。

梨華ちゃん(よっすぃー.ver)は一足先に夢の中へ旅立っていた。
私ももうすぐ彼女の後を追うかの如く、旅の支度をしている時であった。

「ねぇ、美貴ちゃん」
人の安眠の邪魔をしようとする悪魔が、まだ私の隣にいた。
「よっすぃーも結構、大変だったんだね」
「うん・・・・」
彼女の苦労話を聞かされた梨華ちゃんは、自分がどれだけ人に甘えていたかを
痛感させられていたようだ。
・・・と言っても、その苦労話をしたのは彼女では無く私なんだけど。

70 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:51

「私って駄目ね」
「そうね」
私は敢えて否定はしなかった。
否定しても、何の慰めにもなってないからだ。

「本当に駄目ね」
「でも、その駄目って部分が分かったから良いじゃん」
「うん・・・・」
素直に頷く。

「戦う、周りとも自分とも。私も一緒に戦ってあげるから」
「うん」
「これからどうなるか分からないけど、元に戻れなかったら戻れなかったで良いじゃん」
自分でも以下に無責任な事を言っているかは分かっていたけど、でも私はそれならそれで、
楽しまなくちゃどうしようもないと思ったから、素直な言葉を彼女に伝えた。
彼女は黙って、私の方へ向き笑みを見せた。何か吹っ切れたようだった。


――――――――――――
―――――――――
―――――
―――

71 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:52

目覚ましの音で目が覚める。
気が付いたら朝だった。

十分とは言えないまでも人間に必要な睡眠時間は取れている筈だが、あまり寝たと言う
感覚はなかった。

「おはよう」
「おはよう」
梨華ちゃんの朝の挨拶に私も返す。
「今日からよっすぃーとして頑張るから」
「うん。頑張ろうね」
彼女の笑顔にもう迷いはなかった。

彼女の作ってくれた朝食を食べつつも、テレビのニュースを見る。

72 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:52

「ただいま!!」
よっすぃーが朝のジョギングから帰ってきたみたいだった。

「あ、藤本さん。シャワーを借りまーす」
「あいよ」
額から流れる汗、端整な顔立ち、そして短い髪型がまるでスポーツ漫画の主人・・・・。

「え?」
この時、私はよっすぃーの下へ行き、マジマジと顔を見つめた。
「ちょ、ちょっと、どうしたんですか?藤本さん。そんなにマジマジと見られると
 照れますよ。」
「よっすぃーだよね」
私はショートカットの美女へ質問した。

「はい・・・・」
「本当によっすぃーだよね」
「はい・・・・え?」
彼女はようやく自分の体に異変が起きていた事に気づいた。

そして、鏡の方へ向かった――

73 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:52

―――
――――――
―――――――――
―――――――――――――


あの出来事は、二人に取っては災難だった。
しかし、二人の運命を変える事ともなった。

梨華ちゃんは前向きに生きるようになり、今は誰も彼女の事を虐めようとはしなくなった。
今まで唯我独尊を通していたよっすぃーはよっすぃーで、弱い者の気持ちが分かるようになり、
チームメイトの事を気にかけるようになった。

二人は間違い無く、人間として一回りも二回りも大きくなった。

74 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 00:53


翌朝――


75 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 01:11

授業を終え、私は保険室に向かった――
あっちゃんに優勝の報告を行う為に。

保険室に辿り着く――そこには誰も居なかった。

「あれ?あっちゃん。あっちゃん?」
「ちょっと、あんた。何してんの?」
後ろから聞きなれない声が聞こえてきた。
ふと、振り向くと獅子舞みたいな顔した女が現れた。

「え?誰??」
「誰?って失礼ね。保健室の先生に向かって!!」
本気で私に対して怒る獅子舞――
でも、私の記憶には彼女の存在は一切無い。

76 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 02:14

周りの皆にあっちゃんの事を聞いて見た。
しかし、帰って来る返事は皆、同じ――
『はぁ?』
――の一言だった。

夢でも見ていたのか、
それとも狐にでも化かされているのか?
私は自問自答した。

でも、答えは出なかった――
77 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 02:51

その日、夢を見た――


78 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 02:52

夢の中で、あっちゃんが現れる夢を――
79 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 02:52

彼女は私に向かって微笑んでくれた
そして――
『ありがとう。楽しかったよ』
――と一言、言い残して去って行った。

80 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 03:02

あの出来事が起きてから、私達は良く共に行動するようになった。
考えてみたら、私は本当の友達と言える者がいなかった。
そして、あの事件をきっかけに本当の友達と言う者が出来た。

友達と一緒に居るだけで頑張れる
友達と一緒だから、頑張れる。
今、考えると梨華ちゃんのマイナス思考を変える為に神様が
入れ替えたのでは無く、私にその事を伝えたかったからかも知れない――
友達の大切さを。
81 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 03:02

終わり・・・
82 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 03:07
と言う事でこの話は一応、完結となります。
無理矢理、完結させましたが、本当はもっと違った展開にする筈でした。
ただ、現状ではあまりこの話に裂いている時間が無いので、
申し訳ないのですが、かなり割愛させて貰いました。
今後は、このスレは放棄いたしますので、もし使う人がいれば
ご自由にお使いください。

期待していてくれた人、本当にすみませんでした。

83 名前:作者 投稿日:2005/09/18(日) 05:41
落とします
84 名前:背番号2 投稿日:2005/10/10(月) 21:41
使用させてもらいます。
一気に更新します。みきれなえりみたいな違うような。
もしかしたら続きを書く可能性も在り。
85 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:43

勉強キライ。スポーツ嫌い。考える事、大嫌い。
はっきり言って、自分の長所を挙げろと言われたら絶対答えられない。
特技だって特に無い。勉強も運動も出来やしないんだから。
つくづく自分が嫌になる。
なんで、こんな自分に生まれて来たんだろうか。
86 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:43


「れいなぁー、お昼一緒に食べよ?」


雲が、身体を包み込んでくれる。
風が心地よい、開放された学校の屋上。

目を瞑って寝たフリをすると、絵里はしつこく肩を揺さぶって来た。
放っておくとどんどんうるさくなる。
そう思って、トロンとする頭をかかえてむくりと起き上がった。
さすがに、コンクリートの上は痛い。
87 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:43
亀井、絵里。
いつでもヘラヘラ笑ってる、高等部の一年。
まあ、中等部と高等部の校舎はこの屋上で繋がっているから、
こうやってちょくちょくれいなの所に来ては、お昼を食べたりしている。
普通の先輩・後輩の関係じゃ、こんな親しくしたりしない。

言えば幼馴染み、腐れ縁。
切っても切れない縁だと、絵里は自身満々にいつも言う。

88 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:44



「れいな、授業ちゃんと出てるの?」


からあげをモグモグとするれいなに、絵里はお節介っぽく言った。
言うと思った。そう思って、すこし苛ついた。
ごくん、と飲み込んで、憎たらしく言う。

「絵里、せからしか」
「うるさくないもん。心配して言ってるんでしょー?」
「出とうよ、毎日ちゃんと。フケたんは一度だけと」

れいなが訛っても、絵里はちゃんと言葉を理解してる。
他のクラスメイトにうっかり喋ると、「は?」と反応される。
弁当を食べ終えて、教室に帰ろうと立ち上がる。
89 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:45


「ちょ、れいなぁっ」
「今日は先帰るけん、じゃ」


なんだか、無性にイライラしてた。
絵里に、じゃない。自分にも、学校という場所にも。
多分、反抗期の真っ盛り。他人に自分を見透かされる事が、嫌で仕方なかった。
誰も悪くない。自分だけが汚いだけ。


「…っ美貴さんに言いつけちゃうもん!れいなのばぁーか!」


絵里の憎たらしい声が、高い空に響いた気がした。

90 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:46


『美貴さんに言いつけちゃうもん!れいなのばぁーか!』


ぐるぐる。絵里の言葉が、頭の中で廻る。
最後のは、余計だ。
制服から部屋着に着替えて、リビングのソファに倒れこんだ。
お母さんは買い物に行ってるらしい。書き置きと、冷蔵庫にプリンがあった。
91 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:46

美貴。
自分より三つ上の、姉だ。絵里と同じ、高等部の三年生。
れいな、絵里、美貴ねぇ。小さい頃は、三人で一緒に遊んだ事が多かった。
同じ小学校に入学して、同じ進路に進んだのはただの偶然だけど。
明らかに、絵里の目は違っていた。

美貴ねぇを見る、目の輝きというか、色というか。

92 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:47

ガチャッ、という玄関のドアが開く音がする。
ただいまの一つも言わずにリビングに来た影を盗み見て
も、れいなはソファに埋めていた顔を上げようとしなかった。
すると、ずしりと腰に重みがかかる。


「こら、お姉様におかえりの一つもないの?」
「……おか、えり」
「ただいま。おかーさんは?」
「…買い物やって。冷蔵庫にプリンあると」
「お、ラッキー」

93 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:47

腰の重みは、予想してた通り美貴ねぇが乗ってきた重みだった。
別に重くはない。むしろ、軽すぎるくらい細いから。
苦し気に一言言うと、美貴ねぇは身を翻して冷蔵庫に向って行く。
せめて、制服くらい脱いだらどうだ。
開きかけた口を閉じて、テレビのスイッチをつけた。


「ねえ」
「…ん?」
「今日あんた、えりりんに何か言ったの?」
「……あ」


『美貴さんに言いつけちゃうもん!れいなのばぁーか!』


今の衝撃で、忘れていたのに。
プリンを食べながら、あろうことにスカートのままあぐらをかく
美貴ねぇは、テレビを見ながら何気なく口にした。
もう食べ終ったれいなの容器に自分のを重ねて、カラメルがついて
しまった指を舐めていた。
94 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:48


「…べつに、なんも」
「うっそー。れいなが怒っちゃったんですぅ、って言ってたけど」
「知らん。被害妄想やん」
「それに、あんた今日えりりんと別々に帰ったでしょ?」


美貴ねぇに、関係なか


つい言葉に出してしまいそうだったけれど、ごくんと飲み込んだ。
さっき食べたプリンの味が、舌から滲み出て来る感覚。
甘く、ほろ苦い。
95 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:48


「えりりん、れいなの事心配して――」
「わかっとぅ。ちょっと、黙って。美貴ねぇがれなに言う事やなか」


びしっ、と音をたてて、れいなの頭はショートした。
何故こんな感情がうまれるのだろう。行き先のない感情ばかり。
ソファから飛び起きて、久しぶりに美貴ねぇと睨み合う。
絵里も美貴ねぇも、れいなの事を考えてくれているのに。

いらいらする。むかつく。
誰に?
96 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:49



「…フーン。美貴に向ってそんな態度で良いの?」
「い゛!?」


両手首をがしっと掴まれて、ぐるんと背中に回される。
痛くて声も出ない。ジタバタするけど、美貴ねぇは決して止めてくれない。
結局、美貴ねぇには何を言っても無駄。
れいなより力がある美貴ねぇと言い合ったって、喧嘩したって、いつもいつも
こうなるんだから。

「ったく、生意気な事言うんじゃないよ。中坊のくせして」
「いつつ…美貴ねぇとみっつしか変わらん」
「うるさい。とにかく、よく考えな」
「…なんを」
「あんた、美貴の話聞いてた?」
「うぐっ」
97 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:49


胸倉を掴まれて、額をごんっとぶつけられる。
これまでにないくらいの怖い目をして、美貴ねぇは溜め息を吐いた。
何にも知らないくせに。絵里が、美貴ねぇの事を気にしてることも。
なんで、れいなが怒られなきゃいけないんだ。


「…美貴ねぇも、絵里ん事好いとう?」
「…は?」
「やけん、そげに怒るっちゃろ…れなが、絵里に何かする度に目ぇ光らしとるやん」
「あんた何言っ…」


はじめて、美貴ねぇに反抗した。
今までだったら力じゃ適わなくて、ただ流されるままにだったけど。
溜まっていた感情が、ぶわっと押し寄せて来て。
我慢の限界だった。
殴られようが、縁を切られようが。
98 名前:ヴァイレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:50

嫉妬なんだ。
絵里のこと、好きだから。
99 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:50

肩を掴まれた手を避けて、だっしゅで二階に駆け上がる。
部屋に飛び込んで鍵を閉めた。
どきどきという不規則な心音と、後悔の渦。
ぐるぐる、ぐるぐる。

美貴ねぇがいなければ。
絵里はれいなを好きになってたかもしれない。
美貴ねぇがいなければ。
比べられる事もなかった。自分と、姉を。

顔も綺麗で、格好良くて、何でも出来て器用なひと。
れいなみたいに鈍臭くて、バカなひとじゃない。
100 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:51
それが美貴ねぇなんだ。
絶対に近付けない、超える事なんて不可能な壁。
憧れ、理想、存在価値。美貴ねぇの全てが、否定など出来ないくらい魅力的で。
だいきらい。ただの戯言だったけれど。


『絵里、美貴さんのこと好きなんだよ?』


れいな、気付いてた?

101 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:51

中学1年の夏。あどけない表情で、絵里は打ち明けた。
冷や汗が背中をつたう。顔に出ている動揺が、絵里を一段と輝かせていた。
ギラギラと光る真夏の太陽にも負けないくらい。
おなじくらい、れいなの心臓はギラギラ燃え上がっていた。
くやしい。
ただそれだけの、幼い感情が働いていた。

変わらない絵里の気持ち。
ずっと、引きずったままのれいな。

どっちが子供なんだろう。
美貴ねぇは、どう思う?
102 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:52





目が腫れぼったい。
朝起床して鏡を見ていると、両目は赤く腫れていた。
ゆうべ眠ってから、知らぬ間に泣いていたという事が分かる。
弱音は一言も口にしない。
弱い人間が吠えたって、ただの負け惜しみにしかならない。
いつか美貴ねぇが、れいなにそう言った事を憶えている。

弱い人間。紛れも無く、今の自分を指していた。
103 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:52


「れいなぁ、何で今朝先行っちゃったの?」
「…気分悪かったけん。待つの面倒だったから」
「何それ?ふつー遅刻するもんでしょ、そういう時は」
「もう、ええっちゃろ。はよう校舎戻らんと」


繕った言葉を並べて、絵里を丸め込んだ。
いや、きっと嘘だとわかってる。絵里は馬鹿だけど感は鋭いから。
こうやってわざわざ中等部までやってくる意味がワカラナイ。
絵里にまで難癖をつけては、苛立ちを増やして行く。

好きなのに何故だろう。幾度となく考えた。
だけど理由は見つからない。
それに、見つけようと思った事もない。
104 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:53


「…ねー、なんかあったの?」
「なんもない」
「あ、美貴さんと喧嘩したんだ」


悪戯じゃ済まされないような口調で、絵里はれいなをからかう。
いつもの事。そう言い聞かせようと目を閉じたけれど。
昨日みたく、堪忍袋の袋がどんどん膨れ上がって行く。
爆発寸前。
105 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:53



「絵里に関係なか」
「関係あるよー。美貴さん怒らせちゃったとか?」


どいつもこいつもなんなんだ。
106 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:54

絵里がれいなをどう思うと構わない。いや、構うけれど。
据え膳の感情は要らない。
無神経すぎる絵里の言葉に、れいなはとうとうブチ切れた。


「…そうたい。絵里の大好きな美貴ねぇ、怒らせたんだよ」
「……れいな?ね、なんかおこってる?」
「いつもいつも何かある度に美貴さん美貴さんて、れいなと喋る気ないっちゃろ?」
「ちょ、何?れーな、ねぇっ」


暴れ出す心。意識は飛んで、口が動き続ける。
絵里がれいなの制服の裾を引っ張った瞬間。
ぱちん、と何かが弾ける音がした。
107 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:54


「れなは絵里んこと好きなのに」


言い直す事なんて出来ない。
後戻りも出来ない。
リセットも出来ない。

関係が壊れた。しゃぼん玉が弾けた音と共に。




108 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:55



「鼻っから絵里は、れいなの事見てんこと知っとうよ。ばってん、美貴ねぇの話ばっかする絵里が好いとう」


泣きそうになる自分と、呆然と立ちすくむ絵里。
だからと言って溢れ出す言葉はとりとめが無かった。
面と向ってこんなこと、普段の自分なら言えるはずがない。

絵里の事が、すきで、すきでしょうがなかった。

109 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:56


「絵里が美貴ねぇの事好きなのは知っとう。やけど諦められんっちゃ」
「…れーな」
「許せん。悔しいと」


元に戻れなくなる。こわい。怖い。
でもそれ以上に、今は、手に汗をかいて、絵里の表情を伺う事しか出来なかった。
ふっと俯いていた顔をあげて絵里を見ると、向こうに腕を組んでニヤニヤ笑ってる姿。
見慣れた茶色い頭が、いまは霞んで見えた。

110 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:57



「ほぉー、かっけー。さっすが美貴ちゃんさんの子分」
「馬鹿、妹だよ」
「ふーん。だったら、協力したげないと」
「いいの。よっちゃんも余計な事しない」
「あーい」


――美貴が何言ったって聞きゃしないんだから。
それに、首突っ込んだら可哀想じゃん?
あの弱虫が、美貴の手も貸りないで気持ち伝えたんだからさ。


111 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:57


「うわぉ、やっぱ美貴ちゃんさんかっけー」
「るさい」


112 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:58



「…れいな?泣いてんの?」
「なっ、泣いてなんかっ…」
「そんなに、絵里の事好きなの?」


絵里がれいなに一歩近付いて、恥ずかし気もなくそう言った。
こっちはこっちで人一倍苦労してるっていうのに。
何の気もなしにそんなこと尋ねてくる絵里は、狡い。
目を泳がせて戸惑っていると、絵里はさらに追い詰めてくる。

113 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:59



「…美貴さんに嫉妬しちゃうほど、絵里の事想ってくれてたんだね」
「……そう、たい…」
「ふふっ、れーなかわいぃー」
「バッ…」


わしゃわしゃと頭を撫でられて、いつもの嫌味が叩くに叩けない。
こんなんだからペースが崩れる。
本気で、理解してるのか?

「好きだよ」
「…はっ?」
「れーなのこと、大好きだよ。美貴さんも好きだけど…」
「そっ、そんなんやったら答えになっとらんっ」
「もう、最後まで聞いてよ。あのね…」

ぐいっと手を引っ張られて、少しだけ背の高い彼女に抱きしめられる。
114 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 21:59

こんなこと初めてじゃない。
小さい頃からいつも繰り返して来た、お遊び。
だからこんなことでドキッとしたり不安になったりすることは、絶対に無い。
だけど絵里がれいなの耳元で、死んでも良い位嬉しい事を言ったりするから。


「美貴さんが好き。でも、れいなの方がもっと好き」


どこかで聞いたようなフレーズ。
複雑な心境だったけど、耳まで真っ赤になるくらい、嬉しくて。
そんなれいなを、面白そうに、いじわるそうに眺めていた美貴ねぇが視界に入って。
昨日のことを、謝りたくなってきて。
美貴ねぇ、ごめん。いなくなっちゃえなんて、嘘だから。
115 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:00




「おー熱い熱い。うし、美貴ちゃんさんこっちも対抗して…」
「調子乗んなバカ犬っ」
「いてぇっ」


…あの金髪頭のひと。


美貴ねぇの横で、犬みたいにへらへら笑ってる姿。どこかで
見た事があると思ったら、高等部で有名な吉澤って人だった。
後から美貴ねぇに抱きついて、どつかれて喜んでる。
でも、美貴ねぇこそ本気で嫌がって無い。

そういう、ことだったんだ。


116 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:00


「…ただいま」
「おかえりー」


今日は色々と疲れた。
色んな事があり過ぎて、頭が痛い。
絵里とは結局うまく行ったけれど、家に帰ればまだ残っている問題。
まだ、謝って無い。美貴ねぇに。


「おかーさん、美貴ねぇは?」
「部屋で寝てるんじゃない?また制服のまま眠ってたら起こしてらっしゃい」
「…ははっ」

117 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:01


シャツがシワになるたびに、お母さんはいつも怒るから。
それをなんやかんや言い訳して最終的にれいなのせいにされるのはいつもの事。
苦笑いをして冷蔵庫からプリンを二個取って、二階へ上がった。


「…美貴ねぇ、入るよ?」


ノックをしても返事が無い。お母さんが言ったように、爆睡している
に違い無い。
ドアに耳をひっつけて様子を伺っても、物音一つ聞こえなかった。
ガチャリとドアを開けて、そろりそろり中へ入る。
118 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:01


案の定、ベッドの上で制服のまま眠っている美貴ねぇがいた。
くーくー寝息を起てて眠るその姿は、いつも凶暴で可愛気の無い美貴ねぇ
ではなく、幼くて子供みたいだ。
もしかして、大人しくしているのは寝ている時だけかもしれないなぁ。

仕方なくテーブルの上にプリンを置いて、ベッドの横にしゃがみ込む。
そこからは何となく、昔から知っている美貴ねぇの匂いがした。
言うなら、今しかない気がする。


「…美貴ねぇ、ごめん。昨日酷い事言って、悪かったけん」
「…………」
「美貴ねぇには言わんかったけど、後でたくさん悪口言ってごめん」
「…………」
「大嫌いなんて、ほんとは嘘やけん。ほんとは…」

119 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:02

短気で口より先に手が出て意地悪で狡猾くて喧嘩っぱやいけど
ほんとうは
優しくて強くて格好良くて綺麗で何でも出来る美貴ねぇ


『今度美貴の妹いじめたら、あんたら全員どうなるかわかってんだろーねぇ?』
『う、うるせぇ!女のくせにっ…』
『アァ?』

思い出した。

あの言葉は、れいなに言ったんじゃない。
クラスの男子にいじめられていたれいなを助けてくれた時。
泣きじゃくるれいなの手を握って、こう言った。
120 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:02



『弱い人間が吠えたって、ただの負け惜しみにしかならないんだよ。バカ』


純粋に嬉しかった。美貴ねぇしか頼りにならなくて、いつも甘えてた。
れいながいじめられたと聞く度にすっ飛んで来て、相手を蹴散らしてくれた。
優しかった。誰よりもれいなのことを、知っていて。
誰よりもれいなを、大事にしてくれていた。


『あんたは弱虫だけど、あいつらとは違うんだから。ほらっ、泣かない!』
『…っ…みきねぇっ、ごめんなさいっ…』
『何で謝んの。れいなは何も悪い事してないでしょが』
『…だってみきねぇおこっとぅもん…』
『…怒って無いっつの。ほら、帰るよ』


握ってくれた手の温かさ。涙で濡れた頬を服の袖で拭ってくれたこと。
全部古い記憶だけど、どんどん思い出してくる。
今じゃいじめられることも無いから、大人になるにつれてそんなことも無くなった。
美貴ねぇがれいなに優しくしてくれることは少なかった。
でも、ほんとうは。
121 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:03




「ほんとうは、美貴ねぇのこと大好きやけん」


ほ昔みたいに泣いてみたら、美貴ねぇはまた助けてくれる?
弱虫のれいなを、また怒ったような顔で優しくしてくれる?

膝をかかえたまま、自分の頬が濡れている事に気が付いた。
拭っても拭っても溢れて来る。いったいなんだろう。
伏せていた顔をあげると、瞳を閉じていた美貴ねぇはぱっちりを目を開けていた。
びっくしたというか、頬を赤くして、照れてるような感じ。
でも、むすっとした表情は変えなかった。

122 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:03

「…お、起きとったと?いつから?」
「……れーなが謝り始めたところから」
「さ、最初からやん…何で寝たフリすると…」
「黙って聞いてりゃ実のお姉様に大嫌いとか短気とか口より先に手が出るとか…」
「そっ、それも聞いてたと!?」
「当たり前でしょ。…真横でんなこと言われたら、寝たフリだって苦しいんだよ」


あ…れ?
殴られると思って身を伏せても、美貴ねぇは出しかけた拳を握って
唇を噛んでいた。
恥ずかしそうにそう言って、小さく溜め息を吐く。
こんな美貴ねぇ、まるで女の子やけん。
123 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:04


また謝ろうと思ってベッドに手をかけると、それをぐいと引っ張られる。
引っ張った力はいつもれいなが知っている、紛れもない美貴ねぇの馬鹿力。
だけど、引っ張られた腕はいつもと違って全く痛く無い。
それどころか、あたたかい。
気がつくとれいなは美貴ねぇの胸の中にいて、びっくりした。
…れいな、美貴ねぇに抱きしめられてる?


「……あんたさ、ほんっと鈍臭くてたまにウザいけど」
「…美貴ねぇ?」
「あんたは、れいなは美貴の妹なんだよね。からかったり馬鹿にしたりするけど、ホントはこっちだって構って欲しいだけだし。れいなが思ってる程、美貴は強い人なんかじゃないよ」
「…ど、どうしたと?」
「完璧なんかじゃない。こうやってバカみたいにあんたのこと大事に思ってやりたいのに、裏表に殴ったりすることしか出来ないんだよ?…れいなみたいに、可愛い事一つ言えないんだから」


ちがう。そんなんじゃないよ。
次第にか細くなって来る美貴ねぇの声に反応して、ギュッと抱き締める
力を強めた。
こんなに華奢で、寂しい背中がある。知ってるよ。
124 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:05


「…れいなは知っとう。美貴ねぇが優しい事、ちゃんとわかっとう。だからそげんこと言わんでよ」
「……ありがと」
「……もうちょっとこのままでよか?」
「え?」
「…美貴ねぇとこうするん、久しぶりやけん」


とびきり甘えたい。甘えさせたい。美貴ねぇと、あともう少しだけ
抱き合っていたい。
あんまり我侭言うと、またぶたれるから。
ほんのささやかな、お願いをした。

125 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:05




「…美貴ねぇ?」
「何?」
「吉澤先輩とも、こうすると?」
「……はっ?」
「やから、美貴ねぇ、吉澤先輩のこと好きっちゃろ?」

がんっ

「いったぁぁぁー!!」
「いちいち首突っ込まないでよこのガキッ…」
「ば、ばってん美貴ねぇ、違う目で吉澤先輩の事見とった」

がんっ ごんっ

126 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:06


「おかーさん、美貴ねぇがぶつと!」
「ああもう、前言撤回!あんたみたいなやつ殴る為にいるようなもんだよ」
「ばってん吉澤先輩と抱き合っとったもん」
「お前殺す!」


どたばた ギャ- ぐわー どんっがんっ


その日、久しぶりに美貴ねぇと大げんかをしました。
どうやら美貴ねぇと吉澤先輩は付き合っているようで、でも
美貴ねぇは恥ずかしがってちゃんと答えてくれない。
サバサバしてるくせに、恥ずかしがりなんだ。

美貴ねぇ、あんまり怒らんと、優しくしてくれるんじゃないのか。
127 名前:ヴァイオレンス・シスター 投稿日:2005/10/10(月) 22:06



「何でれいなのプリンまで食べると!」
「うっさい、あんたが一人で騒いでるのが悪いんじゃん」
「そっちこそ吉澤先輩の名前出しただけで動揺するけん」
「…あんた急に態度大きくなったねぇ」

ごんっ

「おかーさん!美貴ねぇがまたれなのことぶったと!」


姉妹喧嘩はまだまだ続きそうです。


128 名前:背番号2 投稿日:2005/10/10(月) 22:07
まあ殆どがれなみきを占めているという。
れなえりは後日多分書きます。駄文ですいません。
129 名前:背番号2 投稿日:2005/10/10(月) 22:08
おとしときます
130 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/12(水) 21:03
こういうれなみきが私的に好みです。
今度是非れなえりも書いて頂ければ…
131 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:10
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。

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