娘。英雄シリーズ 安倍なつみ編

1 名前:zero 投稿日:2005/02/11(金) 22:15
完全に後回しにしてました。ごめんなさい。
後、赤板の作者の皆様、よろしくお願いします。
2 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:17


夜遅い、人気のない港――
その場には似つかわしくない美女が立っていた。
どうやら誰かを待っているようで、
側にはジェラルミンケースが縦に置かれていた――。

3 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:18


しばらくすると闇の中から3人の男が現れた。
小柄の男が1人に180cmオーバーの男が2人、
3人とも顔にはこれだと言う特徴がなかった。

「これが最後だ」

真ん中に立つ男が左側に立つ男から女性用の鍵付きのバッグらしき物を
受け取り、美女に差し出す。

「約束の物は?」

美女が側にあるジェラルミンケースを足蹴にし、相手の方に置く。

右側に立つ男がそのジェラルミンケースを拾おうとした時に
美女が立てられていたケースを足で倒し、踏みつける。

一瞬、不穏な空気が流れるも右側の男が真ん中の男が
持つバッグの鍵を美女に手渡す。
美女は鍵を受け取り、真ん中の男から受け取ったバッグを開けた。

4 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:19

バッグの中身を確認した美女は、ケースを踏みつけていた足をどかし
その足でケースを男達の下へ渡した。

左側に立っていた男がケースを拾い上げ、中身を確認する。
そこには一万円札の束が詰め掛けられていた。
中身を確認した男達からは不適な笑みが浮かぶ。

「上嶋さん、他に渡された物があるでしょ」

すると真ん中に立つ男が、コートのポケットからシャーペンらしき物を取り出し
美女に見せる。

「これの事だろう」

物を見た美女は男の手からシャーペンを受け取ろうとする。

しかし――
「これが欲しけりゃ、後1億・・・いや2億もらおうか」
するとシャーペンを受け取ろうとした美女の手が止まる。

5 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:21

更に、両脇に立つ男達が美女に言葉の浴びせる。

「俺達、知ってんだぜ、あんたが運ばせたものが何なのかを」
「とんでもないものを運ばせやがって」

そして、再び上嶋と呼ばれる真ん中の男が口開く。

「プルトニウムだろ、それ」

上嶋の問いに美女が顔を背けた。更に男達は美女に言葉を浴びせる。

「原爆作ってんだってねぇ、おたくら」
「おい、何作ってんだか知らないがそんなヤバイものを運ばせといて
2千万はねえんじゃねぇの!」

すると顔を背けていた女が不適な笑みを浮かべ男達の方へ振り向いた。

「じゃあ・・・」

美女はコートの中に手を入れ何かを取り出した――。

6 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:21


取り出された物は銃だった。
男達が何か言う間もなく、その銃から放たれた弾丸は右側の男の胸を貫く。

「ぐっ!!き、聞いてないよー」

何故か全てやり切った表情を見せ、男の息は絶えた。
絶命していく男の姿を見て、男の顔は強張る。

「う、うわあああああ!!!」

左側の男の1人がジェラルミンケースを捨て、
逃げ出そうとするが美女の銃から放たれた弾丸は容赦無く男の背中を貫いた。

「うぐっ!聞いて・・・・」

ザバーン――撃たれた男はまるで酔っ払いのような足取りで
海へと消えていった。

7 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:22

「す、すみません、取り乱しました・・・・はははは」

まるで、どこかの芸人のような台詞を言って去っていこうとする上嶋に、
何時の間にか、美女の仲間と思われる女達に囲まれていた。
女達は銃を、上嶋の方へ向け、威嚇する。

「けっ、こんな事だと思ったぜ。だがな、お前達だってこのシャーペンが
なんだか知らない訳じゃないだろ。叩き付けてやろうか。」

すると女達の顔色が変わる。
その表情を見るや上嶋は口撃を続けた。

「こいつも立派な原爆なんだってな。こんな物騒な物を運ばしておいて、この有り様か?
だったら、こいつの威力がどんな物か見せてやろうか!!」

上嶋の威嚇に女達は後ずさりする。

「銃を捨てろ!銃を捨てろって言うのがわからねえのか!」

上嶋の要求に女達は答えるしかなく、素直に銃を床に置いた。
すると――
「うわああああああああ!!!!!!」

女達全員が銃を捨てるのを確認するや一目散に逃げ出す上嶋。
上嶋が逃げ出す姿を見て、美女は不適な笑みを浮かべた――。
8 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:22


*****


9 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:23

所、変わって、ゼティマ警察署の捜査一課では――

「乾杯!」

刑事達が何かの祝杯をあげていた。
それぞれが手に持つ紙コップで乾杯し合い、ビールを口にいれる。
すると1人の女が楷書を持って現れる。

「芸能プロデューサー殺人事件!大変でしたね、皆さん」
「あーいやいやいや」

この課のボスらしき男は手に持つビールを置き、矢口と言う
女刑事に紙コップを持たせた。
矢口がコップを持つと周りに居た男は一斉にビールを注いだ。

「今回の山は君の勘が無ければ犯人はあげれなかった。なあ、矢口。」
「いえいえ、あれはマグレです。マグレ」

謙遜する矢口に対し、尚も褒め称え続けるこの課の長。
矢口やその仲間達が盛り上がる中、制服姿の男が現れた。
制服姿の男は矢口とこの課の長を背後に立つが、2人とも一向に気づく気配がなく
尚も談笑を続ける。

この課の長が何気なく振り向き、後ろに立つ制服姿の男の肩に手をやり――
「なあ・・・、あ、署長」

さっきまでニヤけた表情だった課長が気まずい表情をする。

「さ、さ、署長どうぞ。お疲れ様です」
「おお、すまんね」

矢口がコップを手渡すや、同僚の刑事達が一斉に署長へビールを注ぐ。

「わあ・・・あーあ」

コップからビールが溢れてしまった。
同僚達が盛り上がる中、1人警察日誌を手に持ち何かを書き込んでいた女が居た。
10 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:23

女はカリカリと何かを書き込んでいる。
しかし、実際、日誌に書き込んでいた分けではなく
日誌の中にメモ帳を隠し、バカ殿の絵を描いていた。

「安倍ぇ」

1人、輪の中に入らない

「はい?」

安倍と呼ばれる女は課長達の方へ振り向いた。

「お前も少しは矢口を見習え」

横では矢口が安倍に対して、Vサインを出す。
安倍は少し口を尖らせ、再び絵を書き始めた。

「ちょっと・・・」

署長が課長を呼び出し、何か話している。
いつに無く神妙な顔をしていることから、深刻な話なんだろう。
その2人とは相反して、矢口達は相変わらず談笑している。

そんな最中だった、安倍の携帯が鳴ったのは――。
11 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:23


「はい、もしもし。安倍ですが」
『あ、なっち。私、圭織』
「かおり?圭織って、小学校で近所の・・・」
『そう』
「あんれ懐かしい。どうしたんだべさ。急に電話なんてして来て」
『実を言うと折り入って、話したい事があるんだけど・・・』
「うん、分った。で、なんだべさ」
『ちょっと電話じゃ話し辛い事なんで、会って話したいんだけど・・・』
「会ってねぇ・・・。まあ、事件が無ければ大丈夫だと思うけど。ま、ちょっと待ってて」

安倍は自分が所属する課の部屋に戻る。

「なっち、何してんの」
「え?」
「事件よ。事件。行くよ!」
「えー、事件。もしもし、圭織」

安倍が圭織と名乗る女に断りの連絡をしようとした時だった。

「あー、安倍。お前は要らん。帰れ」

就業中にも関わらず帰宅命令を出されてしまった。
しかも受話器の置くからでも聞こえるような大声で。

「・・・圭織、そう言う事だから、今から行くね」

その足でさっさと圭織と呼ばれる女性に会いに行こうとした時だった。
安倍はある事に気が付いた。

12 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:24

「いっけない。コートを忘れたべさ」

安倍は慌ててコートを取りに戻る。
その時、たまたま出入口付近にいた課長と鉢合わせていた。

「な、なんだ」

帰った筈のなつみがそこに居たので、日頃、虐められているウップンを晴らしに着たのかと
怯える課長。だが、安倍から出た言葉は――

「え、コートを取りに戻っただけですよ」

――とハンガーに掛けていたコートを持つ。

「バカもーん!!」

怒り心頭の課長に対して、慌てて部屋を逃げ出す安倍であった。

13 名前:タイトル 投稿日:2005/02/11(金) 22:24


超人刑事 シュなっち!!

14 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:25
同じ異性とは言え、やはり見栄は張りたいもの。
自分の中では一番と言える洋服に着替え、赤レンガ倉庫で待つ旧友の元へ向った。

久しく会っていない旧友の顔
安倍は中々、見つけ出す事が出来ずにいた。

(そう言えば、確か身長は高かったなぁ・・・。よし、先ず身長が高い人から声をかけてみよう)

「あの、もしかして・・・」

取り合えず、ちょうど目の前に座っている人が、長身だったので、彼女に声をかける事に。
女性は安倍の声に反応して振り向く。

(げ!!物凄い美人・・・こ、この人じゃないよね・・・)

まるでモデルのようなルックスや背格好をした女性だった。

「すみません。人違いみたいでした」

一言、侘びを入れ、過ぎ去ろうとした時だった。

「もしかして・・・なっちじゃない?」
「え?」

(なっち・・・なっちって今、言った?)
(もしかして、圭織・・・・ううん。違う。そんな筈ない。圭織がこんな美人の筈が・・・・)
(きっと私の人違い。だって、私の知っている圭織はこんな美人な筈がないもん)

「ねぇ、そうでしょ?」

まるで昔からの知り合いのような感じで話しかけてくる。
しかし、なつみには、こんな容姿端麗な女性の知り合いはいない。
なつみの側にいるのは、真里みたいに明るく、上品と言う言葉とは
縁の無い人ばかりである。

「あ、すみません。多分、私の人違いで・・・」
「私よ、私。圭織よ」
「え、嘘(ガーーーーーーーーン)!!」

親友のあまりにも変わり果てた姿に、なつみは唖然とし、
そして、一発で本人と断定されてしまった自分の成長の無さに、愕然とするなつみであった。

15 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:29


モデル並のスタイルとルックスを備えた親友の隣で、形見の狭い思いをするなつみ。
とにかく、自分の描いていた圭織とは相当かけ離れた姿形となっていた。

「それにしても随分、大人っぽくなったよね。モデルさんかと思った」
「そんな、大袈裟だよ。それに、なっちも・・・・」

なつみを見る圭織だが、すぐ言葉が出て来ない。
小学校の頃のなつみの顔を思い出す。
しかし、小学校の頃と比較して、照らし合わても、顔が変わった訳でもない。
かと言って、性格が大人っぽくなった様子も無い。
発する言葉に困った圭織が、やっとの思いで出て来た言葉は――

「・・・背が伸びたじゃない」

――の一言だった。

16 名前:本編 投稿日:2005/02/11(金) 22:31


「そう怒んないでよ」
「怒ってないべさ!!」

圭織の口から出てくる言葉に少しでも期待していたので、脹れっ面するなつみ。
それを笑いながら、宥める圭織。

「それにしても久しぶりよね。何年ぶりかしら」
「うーん・・・・小学校卒業以来だから、10年ぶりぐらいかな?ん?」

ふと、圭織の隣を見ると、可愛らしい女の子が座っていた。
何気なく、女の子を見るなつみ。

「ああ、この子、亜衣。ほら、従姉妹の・・・・」
「えー?アイボン!!」

随分、大きくなったとは言え、よくよく見てみるとその面影は残っていた。

「そう言えば、目の辺りが面影が残っているね。まぁ、随分、可愛らしくなって」

少女は、照れ笑いを浮かべる一方、自分で少し発言がオバサンっぽいかなっと少し疑問を
感じてきているなつみであった。

「私の事、覚えている?」

なつみの質問に、亜衣は首を頷く。

「安倍さんでしょ?」
「わあ、覚えていてくれたんだぁ。嬉しいな」

喜んだのも束の間。

「だって、全然、変わってへんもん」

年下の亜衣にまで、圭織と同じ事を言われ、益々、落ち込むなつみであった。

17 名前:第一話 投稿日:2005/02/11(金) 22:32

身長が伸びたなっち  〜完〜

18 名前:zero 投稿日:2005/02/11(金) 22:34
慌てて更新した物で、ロクに確認できませんでした。
後で、誤字脱字等がありましたら訂正する事になると思いますが
その辺はご容赦ください。

次回更新はいつになるか未定です(出来次第)。
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/20(日) 21:08
すごく面白そうです。
おちゃめななっちが良いですね。
続きお待ちしてます。
20 名前:作者 投稿日:2005/02/20(日) 22:43
>19 "名無飼育さん"さん
実は、今までのストック分を全て使ってしまった為、
次の分は出来てません。今は、全体の構成は考えているので
そうは時間がかからないと思いますが、もうしばしお待ち下さい。
21 名前:作者 投稿日:2005/02/22(火) 00:26
雑談スレの918さんと"名無飼育さん"さんが同一人物だと
勝手に判断してましたが、考えて見たら違う可能性もある事を
今、気づきました。この場を借りて返事させてもらいます。

>雑談スレの918さん
次以降は、結構、絡んで来ます。

22 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/04(金) 01:43
最近、風邪引いていた為、全然、更新できなくてすみませんでした。

もう、ある程度は更新できるのですが、もう少し先へ進みたいので、
もうちょっと時間を頂きます。

次回の予告を少し・・・・

なつみ達を見つめる怪しい人
なつみ達に危機が・・・・
そして、ついにあの伝説のヒーロー、○○トラマンが登場!?

23 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:27


なつみ達がいるレストランの外には、オープンテラスが設置してある。

そこには、二人の美女が座っていた。
一人は、如何にもモデルと言えるような顔立ちした女、
そして、もう一人がアイドル的な幼く可愛らしい顔立ちした女である。

「あれが、その道の権威である飯田圭織、
そして、その隣にいるのが従姉妹の加護亜衣です」

如何にも何かを企んでいるような会話をしている。
本来だったら、怪しまれるのだろうが、そこはデートスポット。
皆、自分達の空間を楽しんでいる為、誰一人、気付きはしない。

「あの女は?」
「さあ・・・・」

二人は、しばらく、なつみ達の様子を伺っていた。
24 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:27

美女達が、なつみ達の動きを観察している。
すると、なつみ達の動きに変化があった。

なつみは、立ち上がり、圭織に対して、怒っている様子。
一方、圭織はと言うと笑いながら、なつみを宥めているようだ。

「何て、会話しているか、分からないか?」

幼い顔立ちをした女は、なつみ達の口をじっと見つめる。
どうやら、この女は読唇術が出来るようだ。
しかし、しばらくすると首を横に振り、読唇術を止めた。
それと同時に、なつみの勢いも修まりつつあった。

「どうした?」
「大した会話してません」
「どんな会話だ。暗号かも知れんだろう」
「・・・・では言いますが――」

女は、ボス的存在の女に、その詳細を全て伝えた。

25 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:28

*****

26 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:28


『まあ、まあ。でもさ、変って言ったら変でしょ?』
『何が?"小学校で、近所の"――で十分に伝わるじゃない!!』
『でも、正しい日本語だと、小学校の頃、近所に住んでいた同級生の、
――でしょ?』
『それは、圭織だから、そう言う表現したの!
他の人には、そんな表現してません!!』
『本当?』
『そ、それは・・・・たまにはあるかも・・・・』

27 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:28


*****
28 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:29


「――って内容です」
「・・・・」

全てを言い終え、ボス的存在の女を見ると
彼女は開いた口が塞がらないと言った表情をしていた。

「あいつは、何の為に日本に帰って来たんだか・・・・」
「で、暗号的なものはありましたか?」

部下の質問に、ボス的な女は首を横に振った。

「ただの世間話だ。とにかく、もうすぐ時間になる。
その時に、外へ出るだろう。その時がチャンスだ」
「あの女が刑事と言う可能性は?」
「さあ。何にしろ、大した障害にはならないだろう」
「では、10分後、決行と言う事で」

ボス的な女は、不適な笑みを浮かべ、コクリと頷いた。
29 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:30


10分後――


30 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:30



「すいません、チョコレートパフェのお代りをお願いします」

亜衣が、店員を呼び止め、チョコレートパフェのお代りを
注文した。これが、3杯目である。

「ちょっと、またなの?いい加減に太るわよ!!」
「太ってもええもん」

膨れっ面をし、そっぽ向く亜衣。
その姿が可愛らしく、なつみはついつい、笑ってしまった。

「おっと、久しぶりになっちに会えたから、忘れていたけど、
そろそろ、本題に入るね」
「本題?ああ、本題ね。うん、本題」
「まさか、忘れていた訳ではないでしょうね」
「親友の事だよ。忘れるなんて事、無いっしょ」
「怪しい」

若干、疑いを持った目つきで、なつみの顔を見る圭織。
実際、なつみは、自分が何で呼ばれたのか、完全に忘れていた。
コント見たいなやり取りをしている、2人には、お構いなしに
亜衣は、注文したチョコレートパフェをおいしそうに頬張っていた。
31 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:31




「ま、良いや。相談事と言うのはね」

ウンウン――と頷いてはいるが、圭織の言葉を聞いて、
ようやく少しづつ、電話の内容を思い出しているところだった。

この時、圭織の携帯が鳴り出した。

「あ、もうこんな時間か。ちょっと、電話してくるね」
「え、もう、行くの?」

もう、帰られると思った、なつみはまるで捨てられた子犬のように
圭織の顔を見る。
圭織は、ニコリと笑みを浮かべ、首を横に振った。

「ううん。ちょっと、電話するだけ。ま、今の仕事の関係で、
FBIに行き先を常に知らせなければ行けないのよ。
ま、しばらくはゆっくりしていくつもりだから」

すると、なつみは、まるで主人が帰って来たような小犬のような
表情を見せた。

(相変わらずだな、なっちは。でも、良かった。変わってなくて)

変わっていく、自分の周りの環境

変わってしまった自分の故郷

そんな中、変わっていない親友の姿を見て、安堵感を持つ圭織であった。

32 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:34

なつみと亜衣は、日本のヒーローの話でしばらく盛り上がっていた。

「飯田さん、戻ってきませんね」

すぐに終わる筈の電話だったのが、既に10分が経過した。
しかし、圭織はちっとも戻って来る気配が無い。

「そういや、遅いね」
「うん・・・・どうしたんやろう。ちょっと、見て来ます」
「うん、気をつけてね」

たまたま、仕事の関係で、長電話になる事は良くある。
しかし、理由は分からないが、妙に胸騒ぎがした。

「大丈夫かな・・・・」

気を紛らわす為、外を見た。すると――

「圭織!!」

圭織が半失神状態で、連れ去られて行く姿がそこに映し出されていた。

「飯田さん!!」

亜衣が、圭織を助け出そうとするが、あっと言う間に押さえ込まれ、、
亜衣も連れ去られそうになってしまう。
なつみは、二人を救出すべく、慌てて、外へ飛び出した。

33 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:35


必死だった――
自分が出せる力を全て出した。

走った――
懸命に走った。

しかし、相手との距離は縮まらなかった。
逆に差は開く一方。
そう、なつみは物凄く脚が遅かった――。

外には、既に逃走用のボートが用意されており、
2人は乗せられ、連れ去られようとしていた。
ボートが、港から離れようとした瞬間だった。

「なっち!!」

圭織は、持てる力を振り絞り、相手を突き飛ばし、亜衣に向って、タックルを見舞った。
亜衣が、ボートから突き落とされると同時に、ボートは既に港を離れ、
亜衣だけは何とか無事に助かったのである。

34 名前:本編 投稿日:2005/03/09(水) 23:35



「バカヤロー!!」

捜査一課に、課長の怒声が響き渡る。

「目の前で手前の友達が誘拐されて、
しかも警官のくせに、犯人に追いつけずに、そのまま逃げられるとは・・・・。
お前はカメか?いや、カメだ!グズでノロマなカメだ!!」

顔を真っ赤にして、なつみの事を罵る。

「しかも、よりにもよって、相手は世界的天才科学者の飯田圭織って言うじゃないか!
何で、そんな偉大な奴と付き合っているんだ!!」
「いや、でも、幼なじみで・・・・」
「あっそうかい、そんな事は今は、どうでも良いんだよ!!!」

この時、二人の男が入って来た。

35 名前:第二話   投稿日:2005/03/09(水) 23:37


ドジでノロマな"なっち"!? 〜完〜


36 名前:おまけ 投稿日:2005/03/09(水) 23:37


テーブルには、なつみと亜衣しかいない。
亜衣は、相変わらず、チョコレートパフェを食べている。

「おいしい?」
「うん」

亜衣は、満面の笑みを浮かべ答える。

「そう。良かったね!
 アイボンの食べている姿を見ていると、なっちも食べたくなっちゃった。すいませーん」

なつみも亜衣と同じものを注文した。

「ねぇ、安倍さん。お願いがあるんだけど」
「ん?なーに」
「友達にオモチャ、買って来るように頼まれたんだけど」
「うん。どんな、オモチャ?」
「うーん、それが良く分からないんだよねぇ・・・・。何とかトラマンって言う、
 ヒーローの人形らしいんだけど・・・・」
「何とかトラマン・・・・何か聞いた事があるけど・・・・」
 
37 名前:おまけ 投稿日:2005/03/09(水) 23:38


(うーん、如何しよう。あまり、そっち方面は興味が無いんだよねぇ・・・・)
(でも、アイボンのお願いだから、何とかしてあげたい・・・・)

亜衣は、円らな瞳で、なつみの事を見つめる。
その目を見ているうちに、なつみの顔はほころんで来る。

(あー、この円らな瞳で見られると何としても、叶えてあげたい)
(一体、如何すれば・・・・そうだ!!)

この時、ある者の顔が思い浮かんだ。

38 名前:おまけ 投稿日:2005/03/09(水) 23:38


(そうだ!雑学王の矢口に聞けば良いんだ!!
矢口なら絶対に、知っている筈!!!)

「分かった。なっちが何とかしてあげる」
「本当、やったー!!」

まるで子どもように、はしゃぐ、亜衣。
亜衣の喜ぶ顔を見れて、なつみ自身も嬉しかった。

39 名前:おまけ 投稿日:2005/03/09(水) 23:39


取り合えず、なつみは、同僚の真里の携帯へかける事にする。

「もしもし?」
『あ、なっち。何?』
「今、良い?」
『うん、今、休憩中だから』

ここで、なつみは亜衣に聞かれた事を伝える。

『それだったら、多分、ゆゆトラマンの事かな・・・・』
「ああ、何とかトラマンって言ってたから」
『じゃあ、そうだよ。でも、それって、昔話にある伝説をヒーローとして
 作った話でさ・・・・』

ここで、うんちくを語るのが好きな真里は、ここぞとばかり、自分の知識をひけらかそうとする。

「あ、そうなんだ。ありがとう。じゃあねー」
『ああ、待って、なつ・・・・』

なつみは、話が長くなりそうだったので、無理矢理電話を切り、
折り返しかかってこないよう電源をOFFにした。

この時、なつみの頭の中に、これから圭織が連れ去られようとしているなんて
思いもしなかったのであった。

40 名前:おまけ 投稿日:2005/03/09(水) 23:43

ウンチクを語れなかった、まりっぺ!! 〜完〜
41 名前:おまけ 〜その一〜 ゆゆトラマンについて 投稿日:2005/03/09(水) 23:53

子供の間では、絶大な人気を誇るヒーロー、それがゆゆトラマンである。

ゆゆトラマンの特徴としては、光線とか、カッターとかを使えるにも関わらず、
蹴りとパンチで相手の怪獣をやっつける。

ゆゆトラマンとしては、怪獣とは言え、命あるもの。
その命をむやみに奪いたくないとの事で、光線系の技を使わないのだが、
とにかく二度と地球に来ないように、とことん痛めつけ、逃げようとする
怪獣がいれば、とっ捕まえ、相手が泣いて地球に来た事を後悔するまで、
攻撃を加える事から、歴代最狂のヒーローと呼ばれている。

尚、対抗するヒーロー物として、ミツマフィーバーJと言う番組がある。

42 名前:おまけ 〜その二〜 ミツマフィーバーJ 投稿日:2005/03/09(水) 23:56
5人組の戦隊ヒーロー物で、メンバーは以下の通りです。

ミツマフランス:ダバディ○
ミツマコサック:T○TU(唯一、2人組)
ミツマギニア:サンコ○
ミツ豆リカン:新垣里沙
そして、リーダーであるミツマJAPANの5人で構成された歴代戦隊物での
最弱のヒーローと呼ばれている。
現在、ミツマコサックが謎の失踪中。

(詳しい内容については、この話とあまり関わらないので、割愛させてもらいます)
43 名前:作者 投稿日:2005/03/09(水) 23:59
風邪や色々なトラブルで心身ともにボロボロ。
中々、書く気力が起きませんでした。ごめんなさい。

見捨てずに見てくれている事を願ってます・・・・・。
44 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/12(土) 23:26
なちぼんか・・・。
結構、難しいなぁ。
以外と辻ならしっくり来そうだけど・・・。
45 名前:作者 投稿日:2005/03/13(日) 20:08
>44
・・・・orz
46 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/14(月) 21:59
おもしろそうなの発見!!!
俺はなちののよりなちぼんの方がしっくりくrと思うんで
あまり気にしない方が良いと思う。
ところで亜衣ではなく、亜依だよ
47 名前:作者 投稿日:2005/04/02(土) 04:25
申し訳ないんですが、しばらく休ませて頂きます。
事情は後ほど話しますが取り合えず、再開は絶対にしますので。
48 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/03(日) 08:59
マジっすか?今見つけて面白そうだと思ったのに・・・
49 名前:zero 投稿日:2005/04/08(金) 02:32
>48
ごめんなさい。
遅くとも5月中には更新しますので。
50 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/12(火) 21:21
まってるね
51 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/02(月) 16:07
作者さんがんばれ
52 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/28(土) 01:22
そろそろ復活かな〜
53 名前:zero 投稿日:2005/05/29(日) 00:23
ご無沙汰してます。
全部、同じ方かも知れませんが、一つづつレスを・・・。

>50
すみません。もう少し、お待ちを。

>51
ありがとうございます。

>52
もちろん、復活はしますし、現在、書いています。

今現在、次回の話を書いている最中です。
ここで次回の予告を・・・・。
遂に判明、課長の本名。
ゆゆトラマンは何と、あの伝説なる者であった!!
そして、謎の男の正体は?

長らくお待たせしてしまってすみませんでした。
今週中に必ず、更新します。


54 名前:第3話 なっちは芋姉ちゃん? 投稿日:2005/06/04(土) 02:56

*******
55 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 02:56


突如、現れた2人組の男――
そのうちの片方は警視庁のお偉方が来ている制服を着用していた。
その制服を来ている様子から、一見は警視庁のお偉方であろうが、
顔が如何にもお笑い芸人風で、それが怪しさを増していた。

「捜査課長は誰や?」
男が開口一番に放った言葉はこれであった
――そこから感じさせるのは育ちの悪さだけである。

「あちらです」
怪訝な顔をしつつも、真里が彼等の対応を行う。
男の声に反応した課長は、視線をなつみから二人の方へ向く。

56 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 02:57



「あんた、この課の課長」
「え、そ、そうだけど・・・・」
まるでチンピラのように接してくる男に捜査一課長はタジタジであった。

「大変な事をしてくれたのう」
「おたくは?」
突如現れた謎の男に、怪訝な表情を見せる課長・轟ひろゆき。
すると黒く光った手帳を取出し、その身分を見せた。

そこに書かれていたものを見て、課長の顔色が変わった――
「け、け・・・・警視正・・・・」
すると、その場に居たもの全員(なつみを除く)が態度を豹変した。

ある者はお茶を組み(なつみの同僚Y・M)に、ある者は和菓子を調達に、
そしてある者は特に書く事も無いのに日誌を取出し書き始める。
そんな中、なつみ一人は皆の突然の変化にボー然とするばかりであった。

57 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 02:58



「で、ご用件は何でしょうか」
額から大量の汗を流しつつ下からの目線で、警視正へ話しかける課長――
それはまるで、ご機嫌を伺って餌を貰おうとしている犬のようでもあった。

「おたくの部署には、亀を飼っているようですなぁ」
「亀?」
「そう、刑事にも関わらず、目の前で友達を誘拐されたと言うドジでノロマな亀を」
警視正の台詞にその場に居た全員が、一斉になつみの方へ目線を向けた。
皆の向ける視線へ警視正は向ける。

「あなたがドジでノロマで間抜けな亀ですか?」
抑揚の無いトーンで話しかける警視正。
この時、なつみはまだ彼が何者か、気付いていなかった。

「そんな言い方ないべさ。なっちだってさ、一生懸命頑張ったさ」
小声で僅かな抵抗を見せるなつみであるが、当然、警視正には聞こえていなかった・・・・。

58 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 02:58


*****


59 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 02:59


その日の午後5時頃――


60 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 02:59


*****


61 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 02:59


「はい、なっち」
「ありがとう・・・・」
公園のベンチで座っているなつみに、たい焼きと牛乳を渡す真里。

「まだ、気にしてんの?まぁ、ネチネチと言われていたからね」
「うん・・・・」
警視正や課長からネチネチと言われた事もあるが、目の前で親友である圭織が
誘拐された事に対して、自己嫌悪になっていた。
刑事である自分が親友であり、心友である者を救う所か何も出来ずに
逃げられてしまった事に・・・・。

「はぁ・・・・」
なつみの沈みようにただならぬ物を感じた真里は、話題を変えた。

62 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:00


「あ、そうそう。なっちが言ってたの多分、やっぱり、ゆゆトラマンだね。
M21星からやって来た正義?のヒロインで・・・・ってなっち?」
さっきより、より沈んだ表情をするなつみ。

「ヒロインか・・・慣れるもんならなりたいよ・・・・」
「なっち・・・・」
真里が気をつかって変えた話題が、自分の情けなさを冗長させる結果となり、
どうすれば良いか分からなくなってしまった真里であった。

63 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:00

*****

64 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:00



1時間後――


65 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:01

*****

66 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:01


結局、たい焼きを食べ終わった後、なつみは一足早く、自分の部屋に戻る事にした。
そして、フラフラな状態で家に辿り着くなつみ。
フラフラなのは、精神的なショックと共に途中で5回も電柱におでこをぶつけた
ダメージによる物で、なつみのおでこはすっかり真っ赤かな状態となっていた。

「はぁ・・・・反省・・・・」
ドアに手をつけて、反省猿と同じような行動を取るなつみ。
この時、ドアが半分開いていた状態になっていたので、ドアが動き、
バランスを崩してしまい、再び、おでこをぶつけてしまった。

「ぁ痛ーぃ・・・・」
友人を誘拐され、課長や警視正に説教され、同僚からは馬鹿にされた挙げ句、
おでこを6回もぶつけ、もう既に泣きそうな表情になっていた。

67 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:01



「はぁ・・・・」
今日、何度目であろう――
既に数え切れない程の溜息をついていた。

ふと、テレビの方へ視線をやると丁度、画面には『ゆゆトラマン』の
文字が浮かんでいる。

「へぇ、今から始まるんだ」
「そうや」
後ろを振り向くと亜依の姿がそこにあった。

「へぇ、ゆゆトラマンねぇ・・・・私も見よう」
亜依の隣に座るなつみ。

「ふぅ・・・・」
そこから、30分間、テレビを見ながらも親友の安否を気にする、
そして、自分の不甲斐なさに唇をかみ締めるなつみであった。

68 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:02

*****

69 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:02

30分後――

70 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:02

*****

71 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:18



「はぁ・・・・面白かった」
「うん・・・・」
なつみには分からない価値観であった。
ビームや刃物による攻撃があるのに、素手で完膚なきまで叩きのめし、
泣きながら地球から去る怪獣を見て、何が楽しいのか分からなかった。

これは、昨今増えている少年犯罪を考え、殺すと言う概念を排除した物で、
ニュースや何やらで色々と褒められている番組である。
――確かに殺すっと言う概念は無くなるだろうが、戦意を失った怪獣を
叩きのめすシーン等は逆にイジメを促進させる事にもなり兼ねないのでは・・・・と思った。

「あ、ミツマフィーバーだ」
なつみも話の種にと、亜依と共に見ようと思った――と言うのは、建前で本音は、
イケメンの主人公を見て、少しでも心に受けた傷を癒そうと思った。
その時、それによって、まさか留めをさされる事となるとは思っても見なかった。

72 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:18


「どんな人が主人公なんだろうね」
「楽しみだね。今、格好良い人が、ヒーローの主役をやるパターンが多い見たいだから
 きっと、この主人公も格好良いんじゃない」
「わあ、楽しみだなぁ。あ!出てきた・・・・」
この時、主人公の顔を見て二人は言葉を失った。
イケメンの主人公を期待していた二人にとっては、衝撃的な映像であった。

30秒間の謎の間が空く――
そして、先に口を開いたのはなつみであった。

「・・・・なっち、先、寝るね」
「お休みなさい・・・・」
亜依もショックがデカかったのか、声が沈んでいた。

「はーい・・・・」
身も心もフラフラな状態であったなつみは、倒れ込むようにベッドに
横たわると30秒も絶たぬうちに寝息を立てた。

73 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:18

*****
74 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:19



誰もいない真っ暗な場所――
ここで、なつみは何故か一人ぼっちになっていた

辺りを見回しても誰もいない。
そんな時、なつみの後ろから人の気配が感じる

「だ、誰?」
「私よ」
「だから、誰」
「中澤裕子よ」
「中澤裕子?」
中澤裕子の名にピンと来ないなつみに対して、お得意のポーズを決める。

「あぁ、ゆゆトラマン!!」
「それは周りの人が勝手に言っているだけだけどね」
「で、何でゆゆトラマンが?」
なつみの一言にガンを飛ばすような表情で睨みつける。

「何なのよ、その態度は!!
あんたが、私になりたい――って言ったんでしょ!!」
今日、一日の行動を振返ってみると何度か、そのような事を言っていた事に
思い出した。

「・・・そう言えば」
「本当は、あんたの隣のおちびちゃんが良かったんだけど、ま、ええわ」
ブツブツ不満を言いながら、なつみの方へ指差す――
すると、なつみの手から三つのアクセサリーが現れた。

75 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:20


「どう、オシャレでしょう」
「は、はぁ・・・・」
取り合えず、話を合わせるなつみ。
ゆゆトラマンはそのまま、話を続ける。

「そ、それより、ゆゆトラマンって実在したんだねぇ」
「え、知らなかった?
 そうよ、実在したのよ。まぁ、日本の昔話にはモデルとして何度か出て来たけどねぇ」
「え、浦島太郎」
なつみの一言に鬼の形相となるゆゆトラマン――
その顔を見たなつみはきっと桃太郎で、鬼として出て来たのだろうと思った。

76 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:20

――――――――――――――
――――――――――
――――――
――――
――

77 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:20

*****

78 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:21


夜が明け、朝がやって来る。
眠い目をこすり、洗面所に向うなつみ。

(はぁ、何でゆゆトラマンが夢に・・・・)

彼女は、胸のポケットには悪趣味なサングラス、指には必要以上に輝いている指輪、
手首にはそっけない色したブレスレッドを装着しているのに気付いていない。

「あ、お早うございます」
洗面所で亜依とばったり出くわした。彼女は髪が濡れていた。
どうやら朝のシャンとかをしていたらしい。
この時、亜依が妙な表情で、なつみの事を見ていた。

「おはよう」
なつみが入れ替わり洗面所に入り、鏡を見る。

「ん?え、え、何で」
この時、なつみはこの部屋の中で起きてた異変に始めて気付いた。



79 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:21



亜依が何故、この部屋に居るのか――って事を・・・・。



80 名前:本編 投稿日:2005/06/04(土) 03:23


なっちは芋姉ちゃん? 完


81 名前:おまけ ゆゆトラアイテム 投稿日:2005/06/04(土) 03:23


*****


82 名前:おまけ ゆゆトラアイテム 投稿日:2005/06/04(土) 03:26

ここでは、なつみがゆゆトラマンから貰ったアイテムの機能について説明しよう!!

83 名前:アイテム1.ゆゆトラ・リング 投稿日:2005/06/04(土) 03:27

必要以上に黄金の輝きを見せる指輪。
この指輪を3回こすると超人的な力を発揮する。

84 名前:アイテム2.ゆゆトラ・アイ 投稿日:2005/06/04(土) 03:27
ハート型のサングラス。
このサングラスをかける事によって、壁の向こうの光景を見る事や
数キロ先の対象物を見る事が出来る。
一度、外すまでは何時間でも使用できるが、5時間以上、眼鏡を掛け続けると
何故か福井訛りが出て来る
85 名前:アイテム3.ゆゆトラ・ブレスレッド 投稿日:2005/06/04(土) 03:28
銀色のブレスレッド。
手首から外すとフラフープぐらいの大きさになり、それを潜り抜けると
一日に一回だけ、自分の行きたい箇所にワープできる。
86 名前:おまけ ゆゆトラアイテム 投稿日:2005/06/04(土) 03:29

しかし!!
これらの道具は、一度使用すると丸一日、太陽エネルギーを補充しなくてはならない。

87 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/04(土) 03:29

*****

88 名前:zero 投稿日:2005/06/04(土) 03:32
以上が第3話です。
おまけまでが第3話として見て下さい。

次回はなるべく早く更新します。
少なくとも今月中には・・・・。
そして、次回はもっと頑張ります。
89 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/05(日) 21:24
おかえり。
なっちのキャラが良い感じだね。
90 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/07(火) 03:24

なんかおもしろいね
91 名前:作者 投稿日:2005/06/30(木) 05:07
【お詫び】
 前回更新時に、今月一杯に更新したいと言うレスをつけましたが、
 更新する事が出来そうにありません。
 話は少しは書いているんですが、まだ、更新できるような段階ではありません。
 と言う事で、申し訳ありませんが、次回更新は7月の始めとさせていただきます。
 
 返レスについては、次回更新時とさせていただきますが、
 先にお礼だけ言わせて頂きます。ありがとうございました。
 こう言ったレスが物凄い励みになります。

 
 
92 名前:関西男 投稿日:2005/06/30(木) 22:47
お忙しいようですね、無理しないで下さい、更新するまでは過去ログで復習しつつ楽しみますから。
93 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/23(土) 23:20
待ってますよ
94 名前:作者 投稿日:2005/07/24(日) 06:59
更新が滞っていてすみません。
現在、作成中ですのでもう少しお待ち下さい。
出来次第、更新しますので。

<89 "名無飼育さん"さん
ただいま。もう少しだけ待ってて下さい・・・。

<90 "名無飼育さん"さん
もっと面白くなるよう頑張ります。

<92 "関西男" さん
変な日本語表現が所々ありますが、その辺はご容赦ください。

<93 "名無飼育さん" さん
待たせてすみません。
95 名前:なっち、異変にいつ気づく!? 投稿日:2005/07/30(土) 06:16

*****

96 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:17


「う〜ん・・・・」
歯を磨きながら、考え事をするなつみ。

鏡には――
胸ポケットに入れられている悪趣味なサングラス
必要以上に無駄な輝きを発している指輪
どんな物好きでも着用しそうもないブレスレッド
――と言ったゆゆトラマンから貰ったアイテムが映っているが、その事について
考えている訳では無い。

亜依がここに居る事についてである。
あれこれと思い浮かんでは否定される自分の考え
――考えれば考えるほど、なつみの中で謎は深まるばかりであった。

97 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:44

『Sexy Beam――』
なつみの携帯から着信音が鳴る――なつみが出るまで繰り返し。
亜依に聞かれないようにと、なつみは慌てて自分の携帯を取り出した。

電話の相手はわかっていた――それが真里であると言う事を。
なつみは誰かからの電話があった時、誰からの着信かをすぐ判別できる
ようにと個人毎に着信音を設定していた。

ある時、自分の着信音を聞いた真里は首を傾げる。
どうやら、着信音は真里が気に入らなかったらしい。
それならと真里に決めて貰う事にした。それが現在の着信音である。

歌詞の一部と言う訳では無く、この台詞が電話に出るまで繰り返し続く為、
彼女から電話がある度に、なつみはいつも恥ずかしい思いをしていた。

「はい、安倍です!」
『あ、もしもし!私!!』
電話の主は知っての通り真里であったが、どこかいつもとトーンが違った。

98 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:44


「ああ、おは・・・・」
なつみがいつものトーンで挨拶をしようとしたが言い終えるのを遮り、真里が
物凄い勢いでしゃべり始めた。

『それどころじゃないよ。大変!!飯田さんが消えたぁ!!』
「・・・・飯田さんって・・・・だって、圭織は昨日、誘拐されたじゃん」
慌てている真里に対して、物凄く冷静に答えるなつみ。

『違うって!!飯田さんって、いも・・・・』
「分ったって。とにかく、もうすぐにそっちに向うから。その時ね。じゃあ」
これ以上、慌てている真里と話しても埒があかないと思ったなつみは、
真里が伝えたい事を言い終える前に電話を切ってしまった。
そして、電話をマナーモードにし、元の場所に戻すと大きな欠伸をしながら、
ダイニングルームへ向った。

しかし、この時は気付いていなかった。
この電話を最後まで聞かなかった為、なつみが事件に巻き込まれる事を――。

99 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:45


「誰?」
亜依がなつみに尋ねる。
「え?あぁ、真里。ほら、ゆゆトラマンの事を教えてくれた」
「そう・・・・で、何だって?」
「いや、何か、『飯田さんが消えた〜!!』って」
この時、亜依の表情に微妙な変化があったのだが、なつみは亜依が用意してくれた
朝食に視線が向っていた為、気付かなかった。

「わぁ、おいしそう」
亜依は何か言いたげな表情を見せたが、昨夜、夕食を取らずに寝てしまった為、
物凄くお腹が空いていたなつみは、亜依の表情の変化に気付く余裕がなかった。

100 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:46

よほどお腹が空いていたのだろう。
物凄い勢いで亜依が用意した朝食を平らげる。
自分の作った料理を美味しそうに食べてくれるなつみを嬉しそうな表情で見ていた。

101 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:46


*****


102 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:47


そして、10分後――


103 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:47


*****


104 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:51

取り合えず腹を満たしたなつみは、一息つく。
その時、亜依は食器を片付けていた。

なつみは言い辛そうにしながら亜依の事を見る。
亜依はなつみが何か言いたげな表情をしている事に気づいた。

「ん?何??」
なつみの気持ちを察した亜依は、自分から敢えて聞く。
そして――
「そう言えばさ、何でアイボンがここに居るのかなぁ・・・・って?」
――と素直に自分が疑問に思っていた事を質問した。
105 名前:本編 投稿日:2005/07/30(土) 06:53


なつみの質問に一瞬、体が硬直する亜依。
二人の間に、微妙な空間が出来る。
亜依にとっては、この家の中に入った時から必ず聞かれるであろうと思っていた
質問内容であったので覚悟は出来ていたが、いざ聞かれるとなると言葉に詰まる。

(・・・・分っている)
(自分が仕出かした事は行けない事だと分っている)
(でも、自分では、どうしようもなかった・・・・)


――――――――――――――――
―――――――――――
――――――
―――

106 名前: 投稿日:2005/07/30(土) 06:54


*****
107 名前:なっち、異変にいつ気づく!? 投稿日:2005/07/30(土) 06:55


                  〜 第2部へ続く 〜


108 名前:作者 投稿日:2005/07/30(土) 07:31
失敗した・・・orz(107参照)。

更新速度の遅さ、更新量の少なさ、約束のぶっちぎりと
色々と申し訳ありませんでした。
今回、更新分も実はちょっと前に出来た物です。
見直しはしましたが、後で見つかるかも知れません。
その辺は見逃してください。

109 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/04(木) 02:01
更新乙です。
また気になるところで(W
110 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:46

*****

111 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:47


―――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
―――

112 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:47



 小鳥の鳴き声が心地良く響く

 空気は不純物など一切無く

 その空気を乗せ、風が亜依を包み込む 
 
 空は雲一つ無く、まるで、南国の海をイメージさせるような色を

 そんな中で、自然に囲まれながら、大の字になった。
  
 暖かい陽気に爽やかな風が、亜依を夢の世界に誘う

 そして――


113 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:48


亜依は現実の世界に引き戻された・・・・


114 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:49

*****


115 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:49


目を見開く――
そこにあった光景、それは今朝まで圭織と居たホテルの一室。
ほとんど、今朝と同じ状況であった――
ただ、傍に圭織がいないと言う点を除いては。

警察の事情聴取を終えた亜依は、この日の出来事による精神的疲労と
旅の疲れによる肉体的疲労により、ホテルに戻るなり、すぐに寝てし
まったのであった。

食事までは、まだ時間がある。
だが、警察に警備体制が整うまで出歩くなと言われている為、自由に
行動する事が出来ない。

だから、部屋でテレビを見ているしかなかった・・・・。

116 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:49


『どこ見てんのよ!!』
テレビから聞こえて来る女性芸人の声――
笑い声が聞こえて来ると言う事は、日本ではウケているのだろう。
しかし、海外から戻って来たばかりの亜依にとては何が面白いのか
まったく分らなかった。

きっと圭織と一緒であれば、彼女のネタも笑えたのではないだろうか――
そう思えば思う程、寂しさが増してくる。
そして、亜依の心の中に新たな感情が生まれて来た。恐怖と言う感情が・・・・。

日本の警察を信じていない訳では無いが、圭織が無事で戻って来ると
言う保障は一切ない。
それ以上に、一人で居る事が怖くてしょうがなかった――
広いホテルの部屋で、たった一人っきりで居る事が。

117 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:50

*****

118 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:50


30分後――


119 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:50

*****

120 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:51


時計の針は午後4時を指す――
公園では幾人の子供が砂浜やブランコ、滑り台などで遊んでいる。
そんな中、ベンチで一人、座っていた少女がそこに居た。
その少女はまるで人生に疲れ切ったサラリーマンかの如く座っていた。

「はぁ・・・・」
この溜息をついている少女こそが、さっきまでホテル内で悩んでいた
亜依であった。

121 名前:本編 投稿日:2005/08/19(金) 01:51

*****

122 名前:なっち、異変にいつ気づく!? 投稿日:2005/08/19(金) 01:54


なっち、異変にいつ気づく!? 〜消えた主人公・・・編〜 ―完― 

次回へ続く・・・
123 名前:zero 投稿日:2005/08/19(金) 01:59
>109
ごめんなさい。
後半部分はボツになり、ここで留める事になりました。
124 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/11(日) 13:33

*****


125 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:35


――30分前


126 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:35


*****


127 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:36

息苦しかった――
環境の悪さ、土地の違い、そう言った物では無い。
しかし何かと問われると、何かは分らなかった。
ただ、とにかく息苦しかった。

「・・・・ホテル内でも探索しようかなぁ」
少しでも開放感を求める為、亜依は部屋から出る事にした。

128 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:36


*****


129 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:38


大好きなスウィーツでも食べようと、ホテル内にある喫茶店に向う亜依。
すると、そこには亜依をここまで送ってくれた警官が待機していた。

彼は亜依の存在に気付くなり、すぐに亜依の下へ近付いてきた。
「加護さん、困ります!」
突然、注意を受けても何が悪いのか亜依は分らなかった。
「え、何でですか?」
「出歩いたら駄目だと言ったじゃないですか」
感情等、まったく感じられない喋り方で警官は亜依に話しかける。
「え、でもホテル内だけだし・・・・」
「駄目です!!」
いつもだったら反論する亜依であったが、護衛の警官の迫力に
押されてしまい、渋々、自分の部屋に戻る事にした。

130 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:38


*****


131 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:39


部屋に戻るも面白いテレビはやってない。
ホテルの外の光景を眺めて気を紛らわす事にした。

すると、そこには――
132 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:39


 小鳥の代わりに鳴き声を出すエンジン音
 
 空気は排気ガスとの見事なコラボレートで絶妙な味
 
 生暖かい風が亜依の周りを包み込む

 空はどんより曇り空



133 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:39


――と夢とは真逆な光景が映し出されていた。

「何で、あんなに快晴やったのに雨雲が出てんねん!」
1人で過ごす部屋で、突っ込みを入れた亜依の声が虚しく木魂した。

134 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:40


不貞寝して、横になる亜依。
しばらく目を瞑り、再度、夢の世界へ行こうとした時であった。

『チリリリリーーン』
この時、ホテルの部屋に備え付けてある電話が鳴り響いた。

「はい・・・・」
『あ、警察の者です。ご本人ですね』
「はい」
心の中で本人以外に誰が出るのか?――と電話の主に突っ込みを
入れる。

「だったら結構です」
それだけの事を言うと電話の主の方から先に切ってしまった。
部屋に居るか居ないかの確認の電話だったらしい。

この時、亜依が一人になってから感じていた息苦しさが急速に増して
いった。

135 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:40


ふと、思う――
自分は何でここに居るのだろうと。

本当ならば、今頃、圭織と共に某テーマパークで楽しんでいた筈で
あった。しかし、実際はホテルの部屋の中――しかも警官の警備付きと
言うおまけつきである。

色々、考えているうちに分らなくなっていた――
自分は護衛されているのか、それとも監禁されているのか。
――さえも。

136 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:40


そして――


137 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:41


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138 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:41


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139 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:41


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140 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:42


息苦しさに耐え切れずに思わず、逃げ出してしまった。
しかし、少し冷静になって見ると自分は大変な事をしてしまっていると
思い、慌ててホテル付近まで戻ってはみたものの既に大事になっていた
為に、戻るに戻れなくなってしまった。

「はぁ・・・・、これからどうしよう・・・・」
公園のブランコで一人、たそがれる亜依。
頼りにしていた圭織が誘拐され、ホテルには戻るに戻れない状態の亜依は
なつみを頼るしかなかった。
しかし、なつみがどこに勤めているか、またどこに住んでいるか分らず、
この先、どうしようか考えているところであった。

141 名前:本編 投稿日:2005/09/11(日) 13:42


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142 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/15(木) 19:11
更新乙です
先が楽しみ
143 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:46


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144 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:47


紙切れに書かれていたのは内容は――

『もし私の身に何か起きた場合の為、なっちの住所を書いておきます』

――と言う文章となつみの家の住所であった。

今回のような出来事が想定出来ていたのかも知れない。
だから、自分の身に何かが起きたとしても困らないよう、亜依のポケットの
中にこの紙切れを入れて置いたのであろう。

「飯田さん・・・・」
この時、亜依は圭織が自分の事を第一に考えてくれている事に改めて気付いた――。


145 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:47


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146 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:47


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147 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:48


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148 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:48


一人では居たくなかった――
圭織の事を思い出すから、一人では居たくなかった。
だから圭織が無事、見つかるまではなつみと離れたくなかった。

「ねぇ、ちょっとアイボン」
恐らくなつみは立場上、こう言うであろう――
警察の警護の下に居た方が安全だよ
――と。
(そんな言葉は聞きたくない。そんな台詞なんか・・・・)

「ちょっと聞きたい事が・・・・」
「飯田さんが居なくなってから、ずっと一人だった・・・・」
「え?」
なつみが亜依に話しかけるが、亜依の様子がおかしい事に気付いた。
そして、亜依がポツリポツリと話し始めた。

149 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:49


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150 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:51

「赤ちゃんの頃から、両親に先立たれてから親類の家を転々としていた。
 何処でも邪魔者扱いをされていて、どこに行ってもずっと一人だった――
 そんな時、私を拾ってくれたのが、飯田家だった・・・・・。
 ずっと、一人だった私を家族同様に扱ってくれた。
 その飯田家も両親に先立たれて、私は再び一人に成らざるを得なかった。
 でも、飯田さんは故郷で大学の教授になる自分の夢を犠牲にして、企業の
 研究者の道を選んだ。私を育てる為に・・・・」
亜依は目に涙を貯め、なつみの方をじっと見つめた。

151 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:52

あまりにも真剣な表情をする亜依に対して、若干の戸惑いを見せるなつみ。

「――飯田さんが居ない生活なんて、考えられないよ・・・・」
下の俯き、泣きそうな声で話す亜依。そんな亜依をなつみは、うんうん――
と頷き、ギュッと抱きしめた。

「一人ぼっちになりたくないよ・・・・」
「大丈夫。大丈夫だから。圭織は絶対に助け出すし、一人ぼっちになんて
 絶対にさせないから――」
今にも泣きそうな亜依を宥めるなつみ。声を押し殺す。絶対に泣くまいと
耐える。しかし涙は止まらなかった。

152 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:52


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153 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:52


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154 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:53


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155 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:53

時計を見ると午前10時――なつみの遅刻は確定的である。
矢も得ず、なつみは真里に遅刻するとメールを送り少し遅い朝食を取る事に――。

「ごめんなさい・・・・、もう大丈夫――」
なつみに手渡されたハンカチで涙を拭う亜依。
まだ、涙は若干出ている物の亜依の顔を見ると少し胸の痞えが取れたのか、
いつもの明るい表情に戻っていた。

「はぁ〜、お腹空いちゃったね。ご飯、食べよう」
「ところで安倍さんの用事って何?」
「え?」
亜依に問われるまで、自分が亜依に質問しようとしていた事を忘れていた
なつみであった。

156 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:53


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157 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:57


亜依の過去 ―完―


158 名前:本編 投稿日:2005/10/17(月) 06:57


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159 名前:ZERO 投稿日:2005/10/17(月) 07:34
リハビリがてら書いた物をアップします。
表現に稚拙な部分が多々あると思いますがご容赦を・…。

>142
そろそろ、アイテムの威力を見せたいと・…
160 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 03:24
突然失礼します。いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
161 名前:作者 投稿日:2006/02/09(木) 23:37
申し訳ありませんが一旦、終了させていただきます。
理由は多々ありますので割愛させていただきます。

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