本当の気持ち2

1 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/14(月) 18:59
突然ですが、サイズオーバーのため続きはここで書きます!!
始めから読みたい方は『本当の気持ち』をどうぞ!!ちなみに続きものですので前を読んでないとまったくわけわからないと思います(苦笑)
2 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 19:00

ジョアン「早く決めなさい!!!」



18「あらら、怒られちゃった。んじゃそろそろ行くよ?」



田中「望むところたい!」


キュッ!




ダンッ!





田中「えっ?」



18番はスリーポイントラインからおもいきりジャンプをした。



田中「スリーポイントラインからジャンプしてなにする気・・・」






ドギュン!!!!






田中「ここから・・・」






ハロ高「ダンクシュートーーー!?」



柴田「うそでしょ・・・」



松浦「スリーポイントラインから・・・」



石川「一歩で・・・」




田中「ダンク・・・」





吉澤「くそーーーっ!!」


3 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 19:05


18番は田中に近づいた。



18「ねえ!!」



田中「なに!?」



18「あんたの言ってた藤本さんってあんますごくないね。」



田中「なっ!?」



18「だって今のでビックリしてるってことはその藤本さんはこんなことできないんでしょ?」



田中「・・・」



18「まあいいや。ディフェンスに行くから!んじゃあね!」




18番は自分のコートへ戻って行った。




4 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 19:13

ジョアン「ちょっと!!あんなこと言っちゃってよかったの?」



18「ん。いいのいいの。」



ジョアン「いいのいいのってあんたね〜!」



18「はいストーップ!!」



ジョアン「なっ!!」



18「いいじゃないの。試合は楽しいほうがいいでしょ?」



ジョアン「そりゃあ楽しいにこしたことはないけど・・・」



18「でしょ?んじゃあ次もパスよろしくね!」



ジョアン「あ、ちょっと!!」



18番は駆けて行ったが止まって振り返った。



18「あ、そうそう。次はあれをやるからそこらへんよろしくね。隊長!!」


18番は再び自分のポジションに走って行った。



ジョアン「まったくしょうがないんだから(ついにあれを出すのね?)」


ジョアンは呆れながらもいつになく楽しそうな顔をした。



5 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 21:44

ハロ高リスタート。


柴田「(さすがにやばい。ここは一本取らないと。)ここはじっくり一本取って行こう!!」



吉澤「おう!」



石川「おっけー!!」



松浦「はいっ!」



田中「わかりました。」



柴田(じっくりって言ったけどどこから攻めよう・・・)



ダムダム。



石川「柴ちゃん!!こっち!!」


石川がマークを外してボールを呼んだ。



柴田「梨華ちゃん!!」



ビッ。



石川「ヨッスィー!!」



ヒュ。



石川は柴田のパスをワンツーで吉澤に回した。



吉澤「おっけー!!いっちゃうよー?」


マリアはパスに反応できず吉澤より一歩遅れた。そしてその間に吉澤はダンクを決めようとすでに飛び上がっていた。


マリア「しまった!」



矢口「よっしゃー!!ヨッスィー決めちゃえ!」



後藤「よしこ!決めろ!」



市井「よしざー!!決めろよ!!」




誰もが決まるという確信があった。





6 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 21:45







「まだまだですね。」




ドンッ!!





7 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 21:58



吉澤「くっ・・・!!あとちょっとだったのに!!」



吉澤がダンクをする直前に18番が走りこんできてボールをおもいきり弾き飛ばしたのだ。





柴田「ボールは!?」




ダムダム。




ジョアン「ナイス!!」


こぼれ球はジョアンが拾っていた。
それを見るとANGELSのメンバーとハロ高のメンバーは一斉に走り出した。

田中と18番を除いて。



田中「・・・さっきの」



18「ん?」



田中「さっきの撤回して下さい。」



18「なにが?」



田中「さっきの『藤本さん』が大したことないって言ったの撤回して!!!!」



柴田「田中ちゃん?」



田中「『藤本さん』はすごいんです!!!」



高橋「田中ちゃん・・・」



18「へぇ〜。どんくらい?」



田中「あんたなんかと比べものにならんたい!!」



シーン・・・


会場はいっきに静まり返った。



18「じゃあさ、その人をここに連れて来てよ。」



8 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 22:10

田中「そ、それは・・・」



18「なーんだできなんじゃん。」



田中「くっ!あんななんて藤本さんがこなくてもれなで十分たい!!!」



松浦「田中ちゃんの言う通りだよ!!」



田中「へっ?」



石川「そうそう!」



柴田「本当っ!」



吉澤「お前なんかー!!」



高橋「あーしらハロ高で十分やざ!!美貴ちゃんが出るまでもないわ!!」



田中「高橋さん・・・」



18「にししっ!おっもしろーい。じゃあ勝負といきますか?」



田中「望むところたい!!!」



18「ジョアン!!」



ジョアン「はいはい。(まったくあんたはどこまで敵を増やす気よ・・)」



パシッ!



18「さあ、勝負だよ。」



田中「こいっ。」



18「おー!威勢がいいねぇ〜。でも・・・」





シュッ!






田中「なっ!?」



9 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 22:14



吉澤「あ、あれは!?」





石川「うそでしょ?」





柴田「な、なんで?」






松浦「まじ?」





ガンッ!




パシュ。




ドンドンドン・・・




10 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 22:20


18「やっぱりサングラスかけてのシュートはきっついな。」






田中「ハーフラインより後ろから・・・」







ハロ高「シューーゥゥゥトォォォ!?」




矢口「すげぇ・・・あいつレベルが違いすぎるよ。」



市井「あそこからシュートできるやつをこの目でふたりも見れるなんて・・・ラ、ラッキー。」



新垣「あの人すごい・・・」



里田「まさかあそこからシュートが入る人が世の中にふたりもいるなんて・・・」







ハロ高全員「す、すんんげぇぇぇぇーー!!」



11 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 22:28


ガラガラガラ!!


「ちょっと!あんたなんで自分のユニフォームをホテルに忘れてくのよ!!」



18「あっ!ジェシカ〜。会いたかったよ!んでユニフォームは?」



ジェシカ「あんたが会いたかったのはあたしじゃなくてユニフォームでしょ!!ほら、ちゃんと言われた通り持ってきたわよ!」



18「おっ!サンキュー!!」



ジェシカは18番に向かってユニフォームの袋らしきものを見せた。



ビビッーーー!!




審判「ANGELSのタイムアウト!!」



選手たちは各ベンチに戻った。



12 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 22:40

〜ハロ高ベンチ〜


吉澤「まさかあそこからのシュートがあるなんて・・・」



松浦「みきたん以外にもあそこから打てる人なんているんですね・・」



石川「しかもジャンプ力と判断力もいいし。」



柴田「技術もすごいよ。今までそれを全部サングラスをしてやってたんだよ?」



田中「・・・」



中澤「どーやANGELSは?」



吉澤「あの18番のメアリーってやつ口だけじゃないっすね。」



石川「もうなんか次元が違う感じ。」



松浦「どうやったらあそこまでできるんですか?」



柴田「あの人が入っただけで今までとは比べものにならないくらいレベルが上がりましたよ。」



中澤「そーか。」



田中「なに暗くなってるんですか!!試合はまだあと5分もあるじゃないですか!!」



ハロ高「・・・」



田中「れなは諦めません!!ちゅーか藤本さんをバカにされてみなさんは悔しくないんですか!?」



シーン・・・



13 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 22:50

中澤「(あいつめ!わざと刺激を田中に与えたな)田中の言う通りや試合は最後までやってみなわからんで?まあ、藤本をバカにされてあんたらがこのまま黙ってるんやったら藤本もそこまでのプレイヤーやったってことや。」





松浦「・・・んは」



中澤「なんや?」



松浦「みきたんはすごい選手です!!!あたしが初めて相棒と思えたくらいなんですから!!」



石川「そうですよ!!美貴ちゃんは私たちの中でも一番努力して上手くなったんです!!」



柴田「それだけじゃない!!藤本は精神面でも私たちを引っ張ってくれたんです!!」



吉澤「よしざーがエースを譲ったんですから!!」



ハロ高「藤本・美貴ちゃん・みきたんはすごいんです!!!」



安倍「そーだべさ!藤本はなっちの中でナンバー1プレイヤーだべ!」



ベンチメンバー「そうだそうだ!!」



ハロ高ベンチはさっきのテンションとは比べものにならないくらい上がっていた。



吉澤「おっしゃ!!最後まで突っ走るぞ!!」



ハロ高「おぉーー!!」



14 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 23:08

〜ANGELSベンチ〜

ジェシカ「まったく人使い荒いんだから!!」



18「ごめんってば。今度WNBAのチケットあげるから!!」



ジェシカ「本当!?」



18「本当本当。」



ジェシカ「約束よ?」



18「うん。」



ジェシカ「やったーー!!じあ私ホテルに戻って事務の仕事をするから!」


ジェシカはそう言うと颯爽と体育館から姿を消した。



18「ったく本当にバスケに弱いんだから。」



ジョアン「ちょっと!!なんか向こうのチームやけに盛り上がってるわよ!!」



18「どーせ監督がなんか言っただけだよ。」



ジョアン「もう!なんであんたはそう冷たいのよ!!」



18「別に冷たいんじゃなくて事実を言っただけだよ。」



ジョアン「それより早くユニフォーム着替えなさいよ!!」



18「あっ!!そうだった!!」



そう言うと18番は袋からユニフォームを出すとそれを着た。もちろんニット帽とサングラスはつけたまま。その背番号は『1』だった。



ジョアン「残り5分よ!!最後まで気を抜かずにね!!」


メンバー「おぅ!!」


ジョアン「レッツゴー?」




全員「ANGELS!!!」


15 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 23:32

第4ピリオド残り5分。

ハロ高(絶対許さない!!)


ピピッーー!!


今度は柴田がボールを持った。



柴田「田中ちゃん!!」



ヒュ。



田中「はいっ!!」


田中は柴田からのパスをしっかり受け取った。


ダムダム


田中「藤本さんをバカにしたことをれなたちハロ高が後悔させたるけん!!」



1「受けて立ってあげるよ。」



キュッ!!



田中は中に入ろうとしたが1番のディフェンスに阻まれた。



1「まだまだ甘いね。」



田中「そんな余裕ぶっこいてると痛い目見ますよ?」



シュ。



1「おいおいそんな大きいシュート入るわけないじゃん。」



田中「れなさっき言いましたよね?れな『たち』で後悔させるって。」



1「そういうことか!!サリー!!」



1番は味方のパワーフォワードに声をかけたがすでに遅かった。



松浦「ナーイスパス!!ほっ。」



逆サイドにいた松浦はジャンプシュートを放った。




パサ。




ハロ高「田中・松浦ナイス!!」



第4ピリオドのハロ高初得点を1・2年コンビが決めた。



16 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 23:38


田中「わかりましたか?これかられな『たち』があなたを後悔させてあげますよ。」


松浦「みきたんをバカにしたことぜぇぇぇーったい許さないんだから!!!」



石川「あなたみたいなどこの誰だかわからない人に美貴ちゃんを悪く言われる筋合いなんてないのよ!!」


柴田「うちのチームの元エースをバカにしないでくださいね?」


吉澤「藤本はすげーやつなんだよ!!まあアメリカにいたあんたにはわかんないだろうけどな。だけど藤本をバカにするやつは・・・」






スタメン「ハロ高が許さない!!!!!」




17 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 23:44

ハロ高の面々は1番にそう言うとディフェンスの位置に走って行った。




1番「・・・」



ジョアン「あなたあの子たちにそうとう嫌われたわね。」


ジョアンは1番の顔をのぞきこんだ。




1番「にししっ!面白いじゃん。向こうは本気でくるってさ!!」


1番は笑いながらオフェンスの構えをした。




ジョアン「こんな状況で楽しそうにするなんて。あんたどんだけバカなのよ・・・」


ジョアンはそう言いながら味方にボールをもらいに行った。



18 名前: 投稿日:2005/02/14(月) 23:56

ジョアン「一本決めてくわよ!!」



ANGELS「おう!」



ダムダム・・・


ジョアン(さっき言ってた通りこの子たち本気みたいね。)



ジーーーーーッ。



ジョアンはものすごい視線を感じた。


ジョアン(もう!わかってるわよ!!わかったからそんなに見ないで!)



ヒュ・・・




パスが渡ったのは




柴田「田中ちゃんいったよ!!」



田中「はい!!」


1番だった。



1「ジョアンサンキュー!!」



田中「そんな余裕見せてるとさっきみたいになりますよ?」



キュッ。



1「ねぇ、さっききみたち本気でくるって言ったよね?」



田中「言いましたよ!!」



1「だったらこっちも本気出さなきゃきみらに悪いよねぇ?」



キュッ!!



ダンダン。




シュ。



田中「は、早い!!」



1番は一歩で田中に並び二歩目で田中を置き去り、そしてフリーでジャンプシュートを打った。



ボシュ。



そしてそのシュートは見事に決まった。



19 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:02

1「うーん、まあまあかな。」



柴田「早い!!」



石川「サングラスをしてるのにあの正確さ。」



松浦「一歩であの田中ちゃんを置き去り・・・」



吉澤「早くてカバーにも入れなかった・・・」



ジョアン「あんまり私を見ないでよ!!」



1「だってパスくれなさそうだったんだもん!!」


言い合いながらディフェンスに戻って行くふたり。



ハロ高(絶対点取ってやる!!!!)


20 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:16

残り3分。

ハロ高のリスタート。


ダムダム・・・



柴田(絶対点取ってやるんだから!!!)


ジョアン(さあ、どの手でくる?)



シュ。



ジョアン「エッ!?」



柴田はその場からシュートを打ってきた。



柴田「ヨッスィー!!」



吉澤「おお!!任せろ!」


ジョアン「マリアシュートじゃないわ!!」



ジョアンがセンターのマリアに声をかけたがすでに吉澤は飛び上がっていた。



ジョアン「アリープよ!!」



吉澤「いまさら気づいてももう遅いよ!!」



柴田「ヨッスィー早くボール取って!!」



吉澤「えっ?」



「残念。ちょっと指示が遅い。」



吉澤「ああーー!!1番!!」



吉澤がアリープで決めようとしているボールを吉澤の手に入る前に1番が間に入って取っていた。



ダンッ!!



1番「キャロル!!」



1番は着地するとゴール前にいる味方のシューティングガードにパスを出した。



キャロル「オーケー!!」



パサッ。



キャロルはスリーポイントシュートを鮮やかに決めた。



1番「キャロルナイス!!」



キャロル「そっちもね!」



吉澤「くそーーーっ!」


21 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:27


この後再びハロ高のリスタートから始まったが吉澤がマリアにオフェンスファウルをしてしまいANGELSボールでのリスタート残り1分。


おそらくこの1プレーで試合は終わると会場の全員が思った。


ジョアン(これで最後ね。じっくり様子を見て・・・)



トントン。


ジョアンがボールを出す前に肩を叩かれた。



1番「ジョアン!!」



ジョアン「ちょ!!なんであんたがこんなところにいるのよ!早く前線に・・・」



1「耳貸して?」



ジョアン「何よ?」



1「あのね・・・・・をやりたいわけ。だからさ・・・」



ジョアン「ふぅーー。あたしはいいけど・・・」



1「みんなにはもう言ったよ!!したらいいってさ!」



ジョアン「まったく手が早いわね。まあいいわ。じゃあ頼んだわよ?」



1「うん!」



ジョアンはそう言うとゴール前に走って行った。



22 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:35

ダムダム



1「さあ、これ決めてスッキリ勝ちましょう!!」



ANGELS「オーケー!!」




田中「なっ!?」



ハロ高「1番がポイントガード!?」


そう1番とジョアンはポジションチェンジしたのだ。



柴田「田中ちゃんは4番について!1番は私がつく!!」



田中「わかりました!」



1番「さっすがディフェンスナンバー1!!」



柴田「えっ?」



1番「いえいえなんでもないです。」



柴田「まあいいけど。ここからパスは出させない!!」



1「ふーん。そりゃ面白い。」



1番は笑った。



23 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:44


ダムダム・・・


1「それじゃあ行きますよ?」



柴田「どーぞ。」



スッーー・・・


1番は一度ドリブルを緩めた。残り50秒



ダムダムダム!



柴田「くっ!!チェンジオブペース!でも・・・」



ギュッ!!



柴田は1番の行く方向を読んでいた。



1番「やりますね〜。」



残り40秒。



ここでシューターのキャロルがパスをもらいにきた。



残り30秒。



すると1番はバックパスね体制を取った。



柴田(シューターにパス!!)


柴田は1番の行動を読みシューターのいる右側へ動いた。



残り15秒。




そして・・・



ビッ。



柴田(くる!!)





24 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:45







ボンッ!!!







25 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:49

残り10秒。




柴田「な・・・に・・・!?」




ハロ高(ボールが投げた方向と逆に・・・)





残り5秒。





1「ジョアン!!スリー!!」




ジョアン「オーケー!!」



ビッ!!





26 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:50


ーーー4ーー






・・3・・・





2・・・
27 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:51















28 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 00:51






ボスッ!!






29 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 01:07



ピッピピーーー!!



審判「カウントスリー!!」



1「おっし!」


1番は小さくガッツポーズをした。




審判「58対39でANGELSの勝ち!!」



ハロ高「ありがとうございました。」



ANGELS「アリガトウゴザイマシタ!」



30 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 01:11


バシッ!!



1「イッテーー!!なんだよジョアン!」



ジョアン「なんだよじゃないわよ!!人をひやひやさせないでよ!」



1「でも作戦成功したでしょ?」



ジョアン「そうだけど・・・」



1「だったらいいじゃん。」



ジョアン「そうね!ってそんなわけないでしょ!!」



ANGELSのエースとキャプテンは言い争っていた。



31 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 01:25


〜ハロ高ベンチ〜


シーン・・・


新垣「あ、あの!最後の1番のパス!あれは何で投げたほうと逆に・・・」



ハロ高ベンチの沈黙を破ったのは意外にも新垣だった。



中澤「あれはエルボーパスや。」



ハロ高「エルボーパス?」



中澤「そうや。左手でボールを放ち同時に右の『ひじ』を突き出してボールを当てる。それでボールを逆サイドに導くんや!!」



後藤「じゃあパスを出した直後のボンッ!!って音は・・・」



中澤「ああ、おそらくひじに当たった音やろうな。」



里田「でもそのエルボーパスって簡単に出来るものなんですか?」



中澤「無理やな。多分あたしやあっちゃんでも出来ん。なあ?」



稲葉「そうやな。エルボーパスは左で出すパスの正確さ、それに右ひじで正確にパスを出す能力がないと無理や。ようは一流選手にしか出来んってことや。」



ハロ高「一流選手・・・」



再びハロ高ベンチは静まり返った。



32 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 01:30


吉澤「ま、負けた・・・」



松浦「ハロ高が・・・」



石川「あんな人に・・・」



柴田「逆サイド・・・」



田中「見返りせんかった・・・」



ハロ高メンバーは整列した場所から一歩も動かず座り込んでいた。




そこへ





タッタッタッ・・・




33 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 01:39


高橋・紺野「みんな!!お疲れ様。」



マネージャーふたりが飲み物を持ってきた。




紺野「飲み物持ってきましたよ!!」




メンバー「・・・」




田中「飲み物なんて飲む資格ないたい・・」



吉澤「よしざー動き読まれまくってたし。」



石川「私なんてシューターなのにシュートさせてもらえなかった・・・」



柴田「私に最後のボールを止めれる能力があれば・・・」



松浦「みきたんの番号汚しちゃった・・・」




吉澤「それに・・・」



ハロ高メンバー「藤本・美貴ちゃん・みきたんの汚名返上できなかった・・・」



高橋「みんな・・・」




ハロ高メンバーはそれぞれ後悔する部分が違っても美貴に対する尊敬心は同じだった。




タッタッタッ。



34 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 01:50


「水分補給は大事ですよ〜。」


話を聞いていた1番がハロ高メンバーの元へやってきた。



吉澤「お前に何がわかるってんだよ。」



1番「わかりますよ。これでもプロのバスケットボール選手ですから。」



紺野「あの、今話してるんで・・・」



1番「まあこれで力の差ははっきりしましたけどね。」



ハロ高「・・・」



1番「勉強になったでしょ?」



紺野「ちょっと・・・」



松浦「・・・だから。」



1番「んえ?」



松浦「ハロ高は負けたけどそれでもみきたんはあんたなんかよりずーーーーっとうまいんだから!!」



1番「・・・」



高橋「あやちゃんの言う通りや!!あんたなんか美貴ちゃんの足元にも及ばん!!」



1番「・・・」



田中「れなの知ってる藤本さんだけでもあんたよりうまい!!」


石川「美貴ちゃんはあなたなんかよりずっと努力してきたんだから!」


柴田「藤本はとにかくすごい選手なの!!」


吉澤「1年で2年のよしざーからエースを奪うくらいすごいやつなんだよ!!」



1番「・・・」



35 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 01:58


中澤「あんたら何やってんねん!!」



稲葉「ほらほらさっさと立たんかい!」



1番「残念だけどやっぱり藤本さんより上だよ!」



ハロ高「なっ!?」



中澤「おいおい!!」



松浦「そんなことないもん!!」



1番「いやそんなことあるんだよ。」



田中「藤本さんはあんたとやっても絶対勝つ!!」



1番「無理だね。」



高橋「そんなのやってみなきゃわからんわ!!」



1番「だから無理だって。」



石川「そんなことない!」



吉澤「そうだよ!やる前から決めつけんな!!」



柴田「勝負に絶対はない!!」



1番「ってか勝負自体ができない。」


ハロ高「えっ?」



1番はおもむろに自分のつけているニット帽とサングラスに手をかけた。



36 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 02:01


1番「だって・・・」



ハロ高「・・・・」




1番「みんなが言ってる『藤本美貴』は・・・」



ハロ高「・・ ・」




ガバッ!



1番はニット帽とサングラスを外した。




37 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 02:02









「美貴ここにいるから。」







38 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 02:04



シーン・・・



中澤「あらら、ばらしてもーた。もうあたしは知らんで?あっちゃん行こか。」




稲葉「そうやな。あとは若い者どうしでなんとかしてくれ?」




ふたりは美貴の肩を叩くと体育館から出て行った。



39 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 02:10



美貴「あ、あの・・・」





松浦「本当にみきたんなの?」



美貴「えっ?ああ、うん。正真正銘の美貴だよ。」




吉澤「うそだろ?」




美貴「うそじゃないですよ。」




柴田「藤本はいなくなったはずじゃ・・・」




美貴「あれからずっとアメリカで暮らしてて・・・」




石川「美貴ちゃんはバスケやめたはずだし・・・」




美貴「アメリカで誘われてまた始めたんです。ANGELSに入ったのも最近ですし。」




シーン・・・



40 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 02:15


田中「・・・もしあなたが藤本さんならなんで自分をバカにしたんですか?」



美貴「もしじゃなくて本当に藤本美貴なんだけど・・・まあいいや。ってか自分のことなんて褒められないでしょ?それに美貴はあのころより少しは成長してるはずだし・・・」




シーン・・・




美貴「まあ信じてもらえないでしょうけど本当に美貴なんです。」




41 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 02:21



松浦「・・・り」



美貴「えっ?」



松浦「おかえり!!みきたん!!」



美貴「うわっ!!」


松浦は美貴に抱きついた。



石川「待ってたんだよ?」



松浦に続いて石川も抱きついた。



美貴「梨華ちゃん・・」



ハロ高「藤本だぁーーーーーー!!!」



ハロ高メンバーまたハロ高出身者は一斉に美貴に駆け寄った。



美貴「わっ!!!ちょっと!!いたたたたっ。」



美貴はあまりの人数に押されたり引っ張られたりしつつも満面の笑みだった。



42 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/15(火) 07:48
新スレおめでた☆
すごい大量更新量おつかれさまです!!(>_<)やっと会いましたけど、なんかどーなるんだろ?いい方行か悪い方行に向かうのか。
でもなんか雰囲気がほのぼのしてて、微笑ましいですね〜
あの人もいろいろ強くなったし。これからが楽しみです☆また頑張ってくださいね>^_^<
43 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 09:19


大谷「このやろー!!急にいなくなるから心配したんだぞ?」



美貴「すいません。」



新垣「美貴ちゃんがいなくなってみんな寂しかったんだよ!?」



美貴「ごめんね。」



安倍「そうだべさ!!あの後すぐ部活やめちゃったし・・・」



美貴「迷惑かけました。」



紺野「みんな元気なかったんだよ!?特に愛ちゃんが・・・ってあれ?愛ちゃん?」



紺野は先ほどまで横にいた高橋のほうを見たがそこには誰もいなかった。



吉澤「あれ?高橋?」


美貴は高橋がいないことを確認して吉澤に近づいた。



美貴「吉澤さん。」



吉澤「え?あ、何?」



美貴「愛ちゃんとはうまくいってるんですか?」




全員「は?」



吉澤「お前なに言ってんの?」



44 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 09:29

美貴「何って・・・吉澤さんと愛ちゃんは・・・」



吉澤「お前いつの話ししてんでよ!」



美貴「ふぇ?」


美貴はわけがわからず顔をしかめた。



矢口「ヨッスィーと高橋はだいぶ前に別れたじゃん。」



美貴「・・・えっ?」



後藤「確か火事のあった日だったよね?」



小川「美貴ちゃんもしかして・・・」



新垣「知らなかった?」



美貴「うん・・・」



吉澤「高橋からなんも聞いてなかったの?」



美貴「まったく・・・」



美貴は下をむいた。



吉澤「そっか・・・。」



シーン・・・



先ほどの盛り上がりとは一変して今度は暗いムードが体育館を包んだ。



45 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 09:39

紺野「愛ちゃんなら屋上じゃない?」



全員「えっ!?」



紺野「愛ちゃんは美貴がいなくなってからよくあそこに行ってたから・・・」



美貴「・・・」



安倍「あの子のことだから今ごろ泣いてるかもよ?行ってあげたら?」



美貴「でも・・・」



美貴は再び顔を下に向けた。




松浦「あーーもう!!みきたん早く行きなさい!!」



ドンッ!!


美貴「うわっ!!」


松浦は言いながら美貴の背中をおもいきり押した。



美貴「あやちゃん・・・」



石川「もう!美貴ちゃんじゃないと愛ちゃんは泣きやまないんだよ?」



美貴「梨華ちゃん・・・」



吉澤「わかったらさっさと高橋のとこに行け!!」




46 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 09:45

美貴「みんな・・・ありがとう!!」


美貴はそういうと走り出した。



吉澤「背番号1か・・・」



石川「美貴ちゃんらし番号だよね。」



柴田「そうだね。」



松浦「みきたん・・・」



安倍「これでなっちもすっきりだべさ。」



紺野「私もです。」



全員体育館を出ていく美貴の背中を見つめた。





全員「がんばれよ!!エース!!」



47 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 09:48


美貴「ハアハア・・・」


美貴は屋上までの長い階段を試合直後とは思えぬ速さで登っていた。






美貴(愛ちゃん・・・待って。今行くから!!)


48 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 11:43



49 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 12:23

美貴が必死で階段を駆け上がっているころ屋上では・・・


「クッ・・・なんで・・・美貴ちゃんが・・」


突然の美貴との再会に混乱し高橋はひとり屋上で泣いていた。





ギィーーッ・・・



「ハアハア。こんなところいいたんですか。高橋さん・・・」



高橋「ふぇ??た、田中ちゃん・・・」



体育館を駆け出した高橋を探してやって来たのはハロ高メンバーや美貴ではなく田中れいなだった。



田中「泣いてるんですか?」



高橋「な、泣いてるわけないでしょ!!」


高橋は自分の頬をつたっていた涙を自分のジャージの袖で拭った。


田中「れなにウソつかんでもよかよ。」


高橋「ウソなんかついとんもん!!」


田中「じゃあ今ジャージで拭いたのはなんですかぁ〜?」


高橋「むぅ〜、それは・・・」


田中「はぁ〜。まったく・・・」


高橋「えっ!?た、田中ちゃん!?」


田中「いいからいいから。泣きたいときは人の胸で泣くものですよ。」


田中は高橋を自分の胸に抱き寄せた。



高橋「あ・・・り・・がとう」



50 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 17:05

美貴「ハアハア・・・ふぅ〜。」


美貴はやっと思いで屋上の扉の前までやってきた。美貴が扉に手をかけたそのとき・・・




『れなは高橋さんが大好きです。れなが高橋さんのことを守ります!』



美貴が扉を少し開けると田中の声と同時に田中が高橋を抱きしめているのが目に飛び込んできた。



美貴「・・・」



美貴はそのまま扉の前に立ち尽くした。



51 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 17:14

『れなが高橋さんを守りますから・・・』


美貴なにやってんだろ・・・
美貴が日本に来たのは愛ちゃんを泣かせるため?違う。美貴は見せたかったんだ。





もう美貴は大丈夫だよ?だから愛ちゃんが自分を責めることはないって・・・



だけど結局愛ちゃんのこと泣かしてるのって美貴なんだよね。



でもさ




でもね、




もうこれで安心したよ?だって愛ちゃんには美貴なんかよりずっと強い子がそばにいる。
だからもう美貴が出る幕はないよね?



美貴はひとり淡々と屋上までの階段を戻った。


52 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 17:22

美貴は強くなったよ?
バスケをもう一度できることになって、それでもう一度愛ちゃんに会うチャンスが出来た。


今までの美貴ならきっと今回日本に来てなかった。その前にバスケをもうやってなかったかもしれない。
でも今は違う。
こうしてバスケが出来てまた愛ちゃんに会うことが出来た。
美貴はいろんな人のおかげで強くなれた。
そのいろんな人の中でも一番大きい存在が愛ちゃんだった。
でも、これからは愛ちゃん抜きで美貴は強くなる。いやならなきゃいけない。
だっていつまでも愛ちゃんから自由を奪いたくないから。


53 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 17:26

美貴は空を見上げた。


愛ちゃんはもう美貴っていう籠に縛られちゃいけない。
だからもう美貴のためになんか泣かないで?
美貴のために苦しまないで。

美貴なんかの犠牲になっちゃだめだよ?


美貴は愛ちゃんに幸せになって欲しいんだから。


美貴は体育館に戻った。


54 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 17:39

ガラガラ・・・


矢口「おかえり!!おふたりさんはラブラブ・・・あれ?高橋は?」


美貴「屋上にいなかったんで探したんですけど見つかりませんでした〜。」


美貴はウソをついた。
今はあのふたりをそっとしておくべきだと感じたから。


紺野「おかしいな・・・。いつも屋上にいるのに。」


柴田「そうだ!!藤本!最後のパス!あれなんで投げたほうと逆に行ったの?」


藤本「ああ、あれはバックパスをした逆のひじに当ててボールの軌道を変えたんです。」


柴田「そっか!だから逆方向だったんだね。」


美貴「あっ、じゃあそろそろ帰ります。」


松浦「えぇーー!!」


吉澤「しょうがないだろ。藤本だって忙しいんだろ?」


美貴「すいません。」


吉澤「いいよ、気にすんな。」


美貴「今日はありがとうございました。失礼します!」


吉澤「こちらこそ。」


美貴はANGELSの仲間と共に去っていった。


55 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 17:45

後藤「案外あっさり帰っちゃったね。もっと名残惜しくすると思ったけど・・・」


吉澤「まあね、でもあいつバスケやってるときすっげー楽しそうな顔してた。あんな顔できんのは立ち直ったって証拠だろ??」


後藤「そーいえば楽しそうだったね。なんかいろんな意味で吹っ切れた感じだったよ。」


吉澤と後藤は美貴の元気そうな顔を見て安心していた。



56 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 22:37

ジョアン「ミキ!!今日この後の練習なんだけど・・・ミキ?」


美貴「えっ?あ、ごめん。なに?」


ジョアン「あんたさっきうそついたでしょ?」


美貴「んえ?なんのこと?」


ジョアン「ちょっと来なさい!!」


美貴「え?は?な、なに?ってかどこ行くの?」



ジョアンは美貴の手を引いてあるところへ連れて行った。



57 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 22:45



美貴がジョアンに連れられて来たところ





それは・・・





美貴「あの、美貴まったく意味わかんないんだけどさ、なんで戻ってきちゃたわけ?」



ジョアン「いいからいいから!!」



美貴「ぜんっぜんよくねーよ!!」


じたばたする美貴をジョアンは首根っこを掴んで無理やり中に入った。



58 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 23:09


ガラガラ!!


ジョアン「タノモーデゴジャル!!」


ハロ高「な、なんだ!?」


美貴(あちゃー。やっぱり出たか・・・ジョアンの自称日本語。まあ間違ってなくもないけど・・・)


吉澤「あれ〜?さっきのガードの!!しかも後ろにいるの藤本じゃん。」


藤本「どもっ。お騒がせしました!ほらジョアン帰るよ!!」


今度は美貴がジョアンを引っ張って出入り口まで行った。


ジョアン「アイタカハシハトラレルカーー!?」



全員「とられるか?」


美貴「ああ、たぶんいるかって言いたいんだと思いますけど気にしないで練習して下さい。ジョアン!!意味わかんない行動をとるな!」



ズルズル・・・


ジョアン「アイタカハシ!!アイタカハシ!!アイタカハシ!!」


美貴「あーもう!!うっさぃ・・・」


美貴がジョアンに耐えかねて後ろを振り向くとそこには高橋が立っていた。


高橋「あーしがアイタカハシですけど?」


59 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 23:26

今美貴の前には1年前と変わらない高橋愛がいる。しいて変わったところをあげるなら髪にはパーマがかかってて、目が赤く腫れてる。ただそれだけ。あとはなーんも変わってない。


ジョアン「アナタガアイタカハシ?ウワサドウリベンピサンヤナ。」


高橋「ベンピさん?」


美貴「あほか!!」


ゴン!!


ジョアン「ベリーイタイデゴンス!」


美貴「ごめん。気にしないで。今連れて帰るから!!(ジョアンまじで恥かかすなよ・・・)」



ズルズルズル



ジョアン「イクサデーース!!」


全員「は?」


美貴「ちょっ!ジョアンなに言ってんの!!」


ジョアン「アイタカハシヲワッテミキトアナタタチノイクサジャー!!」



60 名前: 投稿日:2005/02/15(火) 23:40

吉澤「高橋をわって?」


後藤「んあ?わってってなんだろ?」


新垣「たぶんかけての間違いじゃないですか?」


吉澤・後藤「ああ〜。そういうことか!!」


松浦「って納得してる場合じゃないですよ!!」


ジョアン「イクサイクサ♪」


美貴「ジョアン何言ってんの!!んなの誰もやるわけない・・・」


吉澤「やらねーの?」


美貴「よ、吉澤さんまで何言ってるんですか!」


田中「れなはやりますよ。」


藤本「は?」


田中「高橋さんをかけての勝負なら望むところたい!!」


ジョアン「オオーアナタハラオモイデース!」


藤本「それを言うなら太っ腹だろ!悪いけど美貴は降りる。」


美貴はそういうと今度はジョアンを置き去りにして出て行こうとした。



61 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 00:00

高橋「美貴ちゃんはやらんの?」


ピタッ。


美貴は高橋の一言で足を止めた。


美貴「なに言って・・・」


高橋「あーしのことなんてもうどうでもよくなった?」


美貴「・・・なんなんだよ・・・」


高橋「え?」


美貴「やりゃーいいんだろ!やりゃー!その変わり高橋さんをかけてじゃなくて勝ったほうの言うことを高橋さんが聞くこれが条件!!これがだめなら美貴はやらない!」


田中「れなはいいですよ。高橋さんは?」


高橋「あ、うん。わかった。」


ジョアン「イェス!!イクサイクサ♪」


美貴「んで、対戦相手は誰で何で勝負すんの!?」


田中「やっぱりバスケがよか。」


吉澤「でも1ON1だとあきらかに田中が不利じゃん?」


美貴「じゃあ田中ちゃんチーム対美貴でいいんじゃないですか?」


田中「チームって5人ですか?」


美貴「何人でもいいよ。田中ちゃんが選んでいいから。じゃあ早く決めてね。それまで体温めとくから。」


美貴はコートの端でアップを始めた。


62 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 00:16

吉澤「あいつまじかよ。何人でもいいだなんて・・・。全員対藤本になったらどーすんだよ。」


田中「んーじゃあ吉澤さん、柴田さんそれと後藤さんお願いします。」


吉澤「おー。」


柴田「今度は止める!」


後藤「藤本のプレー楽しみ〜!!」


田中はすぐに自分のチームのメンバーを決めた。


田中「決めましたよ!」


田中が呼びかけると藤本はすぐ戻ってきた。


美貴「なんだ意外と早いじゃん。んで、誰?」


田中「吉澤さん、柴田さん、後藤さんそれとれなです。」


美貴「オッケー。ルールはどうする?」


田中「そうですねー。先に10点ちょうど入れたほうが勝ち。ただし10点を越えた点数をとったら、また引いてピッタリ10点にする。24秒ルールはなし。これでどうですか?」


美貴「ん。いいよ。」


田中「じゃあ10分後に試合開始で。」


美貴「はいはい。」


こうして田中チームは4人で、美貴は松浦に手伝ってもらいアップを始めた。


63 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 00:28

松浦「ねえ、みきたん。」


美貴「ん?」


松浦「大丈夫なの?4人対1人なんて・・・」


美貴「んー無理かもね。」


松浦「えっ?それじゃあ愛ちゃんが・・・」


美貴「まあ負けたら負けたでしょうがない。だけど美貴は勝負するんだったらまじでやるから。」


松浦「みきたん・・・」


美貴「勝てるかって言われたらなんとも言えないけどね。ただ美貴は目の前にある勝負は一生懸命やる。ただそれだけだよ。あーなんかこういうのあんま人に話さないから照れるな//」


ガシガシ!


美貴は少し赤くなりながら頭をかいた。


松浦「ふふふっ。みきたんかわいっ!!」


美貴「あー今美貴のことバカにしたでしょ?」


松浦「ぜんっぜんしてないよ!!っていうのはうそでちょっとしたかな?」


美貴「ぬぁにをー!!」


松浦「きゃー!!みきたんこわーーい!」


ふたりはいつの間にかアップではなく鬼ごっこになっていた。


64 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 00:36

紺野「美貴ちゃん大丈夫なのかなぁ?レギュラー4人も相手しなきゃいけないのにあんな鬼ごっこなんかしちゃって。愛ちゃんは心配じゃないの?」


高橋「あーしは別に試合に出るわけやないもん。」


紺野「でも勝ったほうの言うことを愛ちゃんが聞かなきゃいけないんだよ??」


高橋「そうやね。」


紺野「そうやねって・・・」


高橋は紺野と話している間ずっとコートでアップをしている2チームをじっと見つめていた。


紺野(本当は心配なくせに・・・)


紺野は自分が思った言葉をあえて口に出さなかった。


65 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 00:50

鬼ごっこを始めた美貴と松浦のかたわら、田中たちは入念に作戦をたてていた。


柴田「作戦はどうする?」


吉澤「今回は田中が主役だから田中が決めれば?」


後藤「そうだね。そのほうが田中がやりやすいだろうし。」


田中「じゃあまずディフェンスはふたりが藤本さんをピッタリマーク。」


吉澤「うんうん。」


田中「万が一抜かれてしまったときのためにゴール下にふたりで壁を作る。つまり二重ディフェンスです。これだったらいくら突破力のある藤本さんでもなかなか点はとりにくいと思います。」


後藤「いいねぇ。でどこに誰がつく?」


田中「そうですねぇ、ゴール下の力は吉澤さんと後藤さんがあるのでふたりはゴール下で、ディフェンスのいい柴田さんとあとはれなでピッタリマークでどーですか?」


吉澤「ゴール下は任せろ!!」


後藤「おっけ〜。」


柴田「わかった。」


田中「オフェンスのほうは各自がいつものポジションでプレーすればコートに散ることが出来て藤本さんもマークしづらいと思うのでいつも通りいきましょう!!」


こうして田中チームの作戦は綿密に練られた。


66 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/16(水) 01:02
更新デース!!

名無飼育さま→まずはごめんなさい!!かなり意味不明な感じになってきてます(苦笑)どうかお許しを!!

マカロニさま→駄文を続けに続けてついに2つ目のスレをたててしまいました(苦笑)こんな駄文を毎回読んでいただけるだけで感謝感謝です!!

67 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 03:57
新スレおめでとうございます
更新お疲れ様です
面白くなってきましたね
68 名前:星龍 投稿日:2005/02/16(水) 16:06
新スレおめでとうございます。
どうなるのかとても楽しみです。
これからもマイペースに頑張ってください。
69 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 16:56

ガラガラ


「こらぁー!!待てー!!」


「みきたんに待てって言われて待つほどまつーらはばかじゃないよーだ!!」


扉が開いたのにもかまわず美貴は松浦を追いかけまわしていた。


中澤「おーい!練習やってるかー・・・ってなんで帰ったはずの美貴が松浦と鬼ごっこしてるんや?」


石川「あっ!!中澤先生!!」


中澤「おー石川。これはどーいうことや?」


中澤が指をさしたのは松浦をガミガミ言いながら追いかけている美貴、そしてひとりでイクサイクサ♪とわけのわからない単語を繰り返してはしゃいでいるジョアンだった。


石川「あのですね・・・」


石川はジョアンが美貴を連れて戻ってきたこと、そして高橋をかけて勝負することになったという今までのいきさつを中澤に話した。



70 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 22:05

中澤「ん〜・・・」

中澤は石川がすべて話し終わってからもじっと2チームを見て考えこんでいた。


石川「や、やっぱり私止めてきます!!」

石川は中澤の沈黙を怒っていると察し、美貴やハロ高メンバーにそのことを伝えるためにコートに向かって走っていった。


中澤「ちょい待ちい!!どこいくねん!!」


石川「え、あ、えっとみんなを止めに・・」


中澤「ええわ。そのままやろしとこうや?なんかおもろそうやし。」


石川「い、いいんですか?」


中澤「自分の弱点を知るええ機会やからな。」


石川「はぁ・・・(自分の弱点って美貴ちゃん?それともヨッスィーたち?)」


石川は疑問に思いながらもコートに行くことをやめ、さきほどのベンチに戻った。

71 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 22:32

ピピーーー!!


「なになに!?停電?」


「なに言ってんの!電気ついてるじゃん。火事じゃない?」


あやと美貴は突然鳴り響いた笛の音に自分たちが鬼ごっこをしていたことも忘れ立ちどまった。
一方、相手の田中チームはというと、突然の音に全員口を開けて直立不動の状態になっていた。


「そろそろ試合始めるで〜。」

全員が不思議に思った音は中澤によって吹かれた試合開始の合図だった。

美貴「ゆ、裕ちゃん!!」

中澤「あたしが審判するかりらよろしく。2チームともはよ整列し。」


「はい!」

美貴「あ、しまった。サングラス・・・」


ジョアン「ミキ!!!」


美貴「わっ!ちょっと!!」

ジョアンは美貴愛用のサングラスを投げた。


ガシッ!


美貴「ふーっ。危ない危ない。美貴のなんだから投げないでよ!!壊れたらどーすんのさ!!」


ジョアン「ソーリーソーリー!!ファイト!」

美貴(ったく人事なんだから・・・)

美貴はサングラスをかけた。


72 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 22:45

中澤「よっし全員揃ったな。ルールは基本はハーフコートで1ON1のルール。つまりオフェンス側がディフェンス側にボールを取られた時点で攻守交代や。あとは先に10点取ったほうが勝ちええな?」


全員「はい!!」


中澤「先攻後攻はどうする?」

田中「藤本さんはひとりだから藤本さんからでいいですよ。」

中澤「や、そうやけどどーや?」

美貴「美貴はどっちでもいいです。」

中澤「そしたら藤本先攻な。あ!それからファールは容赦なくとるからな。お情けはなしや。」

全員「はい!」

中澤「それじゃあいくで?」


ピピーーー!!


中澤「はじめ!!」


こうして高橋をかけた戦いが始まった。


73 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 23:00

キュルキュルキュル

美貴はボールを持つと回した。

美貴「ん?」

美貴がボールを回している間に柴田と田中がマークについた。

美貴「ふーん、ふたりのマークか・・・」

美貴は笑みを浮かべた。

柴田「そんな余裕見せてていいの?」

田中「悪いけどいくら尊敬する藤本さんでもれなは容赦しませんよ?」

ふたりは真剣な顔つきだった。

美貴「じゃあ美貴も容赦なくいかせてもらいますよ。」


キュ!!


美貴はそう言うといきなりドリブルを早くし、そしてゴールを凝視したかと思うと右に体を傾けた。

柴田「(右!!)田中ちゃん!!」

柴田は右にいる田中に指示を出した。


キュッ!


柴田・田中「フェ・・イ・・ク?」

美貴は右に傾けた体をすぐにもとの位置に戻し、さきほど田中がいたスペースからシュートを放った。




スパッ。




シーン・・・


矢口「い、いきなり」




全員「スリーポイントだぁぁーー!!」



なんと美貴の初ゴールはハーフラインから少しゴールよりからのフェイクをいれたスリーポイントだった。


74 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 23:09

田中「くそっ!騙された・・・」

吉澤「田中!次取り返そうぜ!!」

田中「はい!」

攻守交代で田中チームのオフェンス。

柴田「取り返そう!!」

吉澤「おう!」

ダムダム。

柴田(藤本は・・・ゴール前?)

美貴は誰のマークにもつかずひとりゴール前に立っていた。

柴田(だったら・・・)


ビッ。


「んあ。柴ちゃんナイス〜。」

柴田がパスを出したのはスリーポイントラインにいる後藤だった。美貴がゴール前にいるのならいくら美貴でもスリーポイントならマークに遅れると思ったのだ。


シュッ。


「いっけ〜。」

もちろん後藤はその場からスリーポイントをうった。




しかし



バシ!



「おっ!ラッキー!取れちゃった。」


全員「え?」


美貴は後藤のシュートをキャッチしていた。


75 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 23:29

柴田(な、なんで?今藤本は確かゴール前に・・・)

後藤「柴ちゃんごめん。ごとーのシュート取られちゃった。」

柴田「え?ううん。次取り返そう!」

後藤「うん!」

後藤はゴール前へ走っていった。


美貴のボールでリスタート。

ダムダム

美貴「さてと。次は・・・」


キュッ。

美貴はまたもドリブルで右に行こうとした。

田中「行かせんたい!」

美貴の前に田中が立ちはだかった。

美貴「やるねぇ。でもね・・・」

キュッ。

美貴はまた田中が動いて開いたスペースに切り返して行こうとした。

柴田「二度も行かせない!!」

今度は柴田が寄せてきた。

美貴「かかりましたね。」

キュキュッ!

美貴は左側、つまり柴田のいたほうに行きドリブルでふたりを抜いた。


柴田「しまった!!」

美貴はそのままスリーポイントを打った。




パシュ!


美貴のスリーが決まり、これで美貴が圧倒的に有利になった。


76 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 23:39

田中チームのリスタート。


柴田「ここ決めてこ!」

田中「はい。」

ダムダム

柴田(藤本は?今度はフリースローライン。だれにもパスさせない気か。さっきのも私のミスだし・・・)


シュ。


柴田は自分でスリーポイントを打った。


柴田「(しまった!)ヨッスィーお願い!!」

吉澤「おう!」


ガン!!


柴田のスリーは外れた。

ダンッ!!


吉澤、美貴のリバウンド勝負。まさにゴール下の一騎打ちだ。

吉澤(ぜってー取る!)

美貴「・・・」


ガコッ!!


吉澤「よぉぉぉし!!」

ゴール下勝負は普段からこのポジションの吉澤に軍配があがった。


美貴6点、田中チーム2点。


77 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 23:47

美貴のオフェンス。

ダムダム・・・


キュ。

美貴は今度は左の柴田へ突っ込もうとした。



ドン!!



ピピーーー!!


「オフェンスチャージング!!田中チームボール!!」


柴田「よし!!」

美貴が抜く直前に柴田がギリギリで出てきて美貴のファウルにしたのだ。

これでボールは田中チーム。

ダムダム。


柴田「田中ちゃん!!」


バシッ!


柴田から田中へのパスが通った。

そして



スパッ。


田中は珍しくスリーラインからシュートを打ち、決めた。

田中「やったー!」


美貴6点、田中チーム5点。


78 名前: 投稿日:2005/02/16(水) 23:52

美貴「すいません。タイムアウトお願いします。」


ピピーーー!!

「タイムアウト藤本!!」


美貴「・・・」

美貴は右足を押さえながらベンチに一度戻った。


田中「なんでタイムなんでしょう?」

柴田「流れを止めるためじゃない?」

後藤「そうだね。藤本さっきファウル取られたしね。」

吉澤「次も止めて行こうぜ!!」

ハロ高ベンチは勢いに乗っていた。
美貴のちょっとした変化に気づかずに・・・


79 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 00:02

いててて・・・
さっきのファウルでやっちゃったかな?

美貴は昔ケガをした右足をさきほどのファウルで再び傷めていた。

こうなったらもうひとつのサポーターに付け替えるしかないか・・・

美貴はおもむろに自分のカバンをあさり始めた。

ガサゴソ・・・

「もしかしてさっきので右足傷めた?」

美貴「え?」

美貴が驚いて後ろを振り返るとそこには松浦が立っていた。

松浦「そうなんでしょ?」

美貴「いや、ただサポーター付け替えるようと思って探してるだけだよ。」

松浦「うそ!!だってさっき押さえて・・・」

美貴「シーッ!!あやちゃん声大きい。」

松浦「やっぱり傷めたんじゃない。」

美貴「あ。でもサポーター付け替えれば平気だから。」

美貴はサポーターを探していた手を再び動かし始めた。


80 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 00:13

松浦「もう!貸して!!みきたんはベンチで座ってて。」

美貴「えっ?あ、はい。」

松浦は美貴が足が不自由なのを見かねて美貴の代わりにカバンを探り始めた。

松浦「あった!!これ?」

美貴「あ、それそれ!!サンキュ。」

美貴は松浦からいつもしているのより頑丈なサポーターを付けた。

ピピーーー!!

美貴「よし!!これでおっけー!あやちゃんありがとね?」

美貴は付け終えると松浦にお礼を言いながらコートに向かった。

松浦「みきたん!!」

美貴「ん?」

松浦「やっぱなんでもない!頑張ってね!」

美貴「??変なあやちゃん。」

美貴はコートに入って行った。
松浦が言おうとしたことそれは

あんまり無理しないで。

しかし今の美貴にこの言葉を言っても無駄だろうと松浦はあえて言わなかった。なにしろ美貴は高橋のことになると自分の体が壊れるまでやるような性格だ。こんな美貴に今無理をするなと言ってもどうせ美貴は聞かない。松浦はそう判断した。


81 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 00:20

紺野「美貴ちゃん大丈夫かな?初めはよかったけどだんだん吉澤さんたちが追いついてきてるし・・・」

高橋「・・・」

高橋はただコートを凝視していた。

紺野(愛ちゃん・・・)

高橋の顔は少しほんの少しだが心配そうな顔になっていると紺野は思った。しかし紺野はあえてそれを言葉にして口に出すことはなく、ふたりは静かにコートを見ていた。


82 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/17(木) 18:46
どっちが勝ってもその後が気になりますね〜(>_<)ミキティ頑張ってほしい!!
あと何げにジョアン好きですw
ではマイペースで☆
83 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 21:52
美貴からのリスタート。

ダムダム・・・

美貴はひと息ついてゴールを見つめた。

柴田「悪いけどもう藤本の動きは見切った。」

美貴「へ?」

柴田「さっきの試合でさんざんやられたし、それにさっきの動きでもうわかっちゃった。これから勝ちにいくけど恨まないでね?」

柴田は自信たっぷりの顔していた。

美貴「ふふっ。それは面白くなりそうですね!!」

美貴は心の底からバスケを楽しいと思った。


84 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 22:05

美貴「それじゃあその見切ったというの証明してもらいますよ?」

柴田「望むところ。ね、田中ちゃん?」

田中「はい。藤本さんにはもう抜かせませんよ。」


キュッ。


美貴はふたりの間にドリブルで進んだ。


柴田「ただ突っ込んでもファウルになるだけだよ?」

美貴「美貴はそんなバカじゃないですよ。」

美貴はふたりが間を詰めようと動いた瞬間にすぐに一歩下がりながらスリーポイントをうった。

田中「またスリー!!」

美貴「しまった・・・」

美貴はぼそりと言うとシュートの行方を見ている田中、柴田の横を通りすぎスリーポイントラインから飛んだ。


田中「吉澤さん、後藤さん!!」

吉澤・後藤「オッケー!!」

吉澤・後藤はゴール下に構えた。


ガツン!


美貴のシュートはボードに当たり跳ね返った。


吉澤「今だ!!」

後藤「んあー!!」


ふたりはボードに当たったと同時に飛び上がった。



ドカン!



ふたりが飛び上がったすぐ後に何かが当たる音がした。


85 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 22:11


・・・・・





「ひとりアリープだぁぁぁ!!」

美貴はスリーを外した後にすぐスリーポイントラインから飛び、跳ね返ってきたボールをそのままゴールに押し込んだのだ。


吉澤・後藤「アリープ・・・」

ゴール下にいた吉澤と後藤はただ口を開けてゴールを見ていた。

美貴「柴田さんこれも読んでましたか?」

柴田「うーん、これは予想外だったかな。」

美貴と柴田は見つめ合いそして笑った。



86 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 22:16

この後、柴田から後藤、そして後藤から田中へワンツーでパスが通り、田中がジャンプシュートを決めた。


これで美貴8点、田中チーム7点。



87 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 22:24

美貴は再びタイムアウトを取った。

松浦「どしたの?もしかして右足痛い!?」

美貴「うーうん。ただサングラス取ろうと思って。」

松浦「へ?」

美貴「だからサングラスを・・・あやちゃん持ってて?」

松浦「あ、うん。」

美貴「じゃあ行ってきまーす。」

美貴は松浦にサングラスを渡すとすぐにコートに戻って行った。


88 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 22:40

美貴「さあ、続きやりましょうか。」

柴田「あれ?サングラスは?」

美貴「気分転換に外してみました。」

柴田「ふーん。まあ藤本がサングラスを外しても私たちが勝つことに変わりはないけどね。」

美貴と柴田は火花をバチバチと飛ばしていた。しかしそんな中でも美貴はどこか子供のように楽しそうなオーラを放っていた。

美貴「それじゃあ行きますよ?」

柴田「どこからでもどーぞ。」


89 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 22:54

〜ベンチ〜

新垣「なんで美貴ちゃんは試合中サングラスかけてるのかな?」

紺野「そういえば・・・」

小川「今まで一回も外してなかったよね?」

石川「あーそれ私も思った!!」

高橋「・・・」



「あんたらそんなんもわからんのかいな。」


全員「稲葉先生!!」

新垣「先生はなぜ美貴ちゃんがサングラスをしてるのかわかるんですか?」

稲葉「まあな。」

石川「なんでですか!?教えてください!」

稲葉「口で言うより見たほうが早いわ。次の藤本のオフェンスよう見とき。」

稲葉が言うと全員無言で美貴のオフェンスを見守った。


90 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 23:02

ダムダム・・・

美貴はドリブルをしながらベンチを見た。
美貴の視線の先
そこには高橋がいた。
高橋はただじっと美貴を見つめていた。そんな高橋に美貴は笑いかけ、再びゴールを凝視した。

美貴「行きます。」

ダムダム・・・

田中「絶対抜か・・・い・・・ない?」

ダムダム!!

田中が言い終わる前にすでに美貴は田中、柴田を抜き去っていた。

吉澤「ごっちんくるぞ!」

後藤「おっけ〜。」


美貴はものすごいスピードでゴール下まで来て飛んだ。しかし美貴が飛ぶと同時に吉澤・後藤も飛び壁を作った。

吉澤「さすがの藤本でもこれは無理だろ?」


91 名前: 投稿日:2005/02/17(木) 23:14

美貴は空中ですかさず半回転した。


そこには


「藤本さんのその行動、柴田さんが教えてくれました!!」

田中が待ってましたと言うかのように立っていた。そして田中は美貴からボールを奪おうと一歩前に出た。


クルッ。


田中「え・・・?」


ガコンッ!!!





柴田「い、一回転した?」


吉澤「それに早い!!」



矢口「今のゴールが決まったってことは・・・」


ピピーーー!!


中澤「この勝負、藤本の勝ち!!!」





全員「ウォォォーーー!!!」

高橋「美貴ちゃんが勝った・・・」

高橋はすごいの安心感とで床にヘナヘナと座りこんだ。


92 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/17(木) 23:21
わずかですが更新です。
名無飼育さま→ありがとうございます。だんだんネタが尽きてきました(苦笑)これからもよろしくお願いします!!

星龍さま→こりずに新スレ作っちゃいました(苦笑)これからも皆様に楽しんでいだだけるように努力します!!

マカロニさま→後が気になりますか?あーなってこーなる予定でございます(笑)

93 名前:星龍 投稿日:2005/02/17(木) 23:24
更新お疲れ様です。
凄い、凄過ぎです!!
藤本さんと作者様にあこがれます。
これからも楽しみにしてます。
94 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/20(日) 21:52
遅ればせながら更新乙&新スレおめでとです〜。
美貴ちゃんも楽しそうでよかったですね〜。
てかやっぱり美貴ちゃんすごすぎ・・・。
95 名前: 投稿日:2005/02/20(日) 22:56


トコトコトコ・・・


美貴は静かに歩いて近づいていった。




もちろんあの人の元に。


96 名前: 投稿日:2005/02/20(日) 23:01

美貴が一歩また一歩と目標に近づくにつれて周りの人も空気の違いを読み段々と静かになっていった。


美貴「あの、大丈夫?」


高橋「あ・・うん。」


ふたりの間いやこの体育館中に不思議な空気が流れた。


97 名前: 投稿日:2005/02/20(日) 23:09

美貴「・・・」


高橋「・・・あの・・」


美貴「え?あっとなんですか?高橋さん・・」


高橋「あの、そんなにかしこまらなくても・・・」


美貴「あぁ、ごめん高橋さん。」


高橋「それにその高橋さんって止めて?」


美貴「え?あ・・うん。」


高橋「前みたいに愛ちゃんでいいよ?あーしも美貴ちゃんって呼んでるし。」


美貴「うん・・・」


ふたりの間に再び沈黙が続いた。


98 名前: 投稿日:2005/02/20(日) 23:33

美貴「じゃあ愛ちゃんさ、その・・・」


高橋「美貴が勝ったんやから遠慮せんで?あーしはどんな言うことでも聞くし。約束やざ!」


美貴はしばらく考えた。そして少しすると美貴は高橋の顔を覗き込むようにしゃがみ、今まで見たことのない笑顔になりその言葉を発した。



99 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/20(日) 23:38
かなり少量でごめんなさいm(_ _)m

星龍さま→ミキティにどんどん憧れちゃってください(笑)ワクワクに憧れですか!?大したことしてませんよ!!

七誌さま→ありがとうございます☆ミキティはすごいのです。これからもよろしくお願いします!

100 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/21(月) 00:31
言葉ってなんだろー?愛ちゃん初めて美貴って呼び捨てにしましたね〜


めっちゃ気になる所で切らないでくださいよー!w(>Д<)/
続きかなり気になる!!!期待しとります♪
101 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/02/21(月) 17:36
一気に読みました!
めちゃくちゃおもろいです!
102 名前: 投稿日:2005/02/21(月) 23:21

試合終了直後ベンチでは・・・

石川「す、すごい。今までの動きよりさらに早くなった!!」

新垣「まるで別人みたい・・・」

ベンチのメンバーは美貴の変化にあ然とした。

稲葉「わかったか?藤本はサングラスをすることによって自分の視界をわざと悪くしてたんや。」

小川「だからさっきのファウルも・・・」

稲葉「たぶんサングラスしとったから横から柴田が来たのが見えんかったんやろうな。」

全員が黙ってしまった。

103 名前: 投稿日:2005/02/21(月) 23:29

亀井「でもなんでそんなことするんですかぁ?」

道重「そうですよぉ。」

沈黙を破ったのは一年のナル&天然コンビだった。

稲葉「はぁ〜。あんたらほんまにわからんのかいな?」

亀井・道重「はい!!」

稲葉「はぁ・・・」

稲葉はある意味大物新人のふたりの言葉にため息をついた。

104 名前: 投稿日:2005/02/21(月) 23:43

稲葉「あんな、あたしがさっき視界を悪くしてるっていうのはわかったやろ?」

亀井「絵里はわかりましたよ〜。」

道重「さゆもですぅ。」

稲葉「いいか?バスケには視界っちゅーのは重要なんや。例えばシュートのときにはゴールの位置がしかっかりわからなあかんし、オフェンスもディフェンスも相手の動きを見ないかん。そやけど藤本はサングラスをしてあえて視界を悪くした。たぶんあいつは片目を開けてるくらいしか見えとらんやろうな。つまりやぞ?あんたらには片目でプレーが出来るか?」

亀井「片目・・・」

道重「さゆには出来ません!!」

稲葉「出来ひんのが当たり前や。あたしでもたぶん無理やからな。藤本はそれを試合で実践したんや。あいつは視界を悪くしてプレーが出来れば視界が戻ったときにもっとええプレーが出来ると思ったんやろ。まあようは練習の一部っちゅうことや。そやからあいつがサングラスを外したときにすごいプレーをした。」

亀井「藤本さんって・・・」

道重「すごいんですねぇ♪さゆ憧れちゃいますぅ。」

亀井「絵里も〜。」

稲葉「はぁ。疲れたわ。」

稲葉が説明したことで疲れたなどふたりは知るよしもない。

105 名前: 投稿日:2005/02/21(月) 23:49

稲葉(まあ藤本が鍛えてたのは目だけやないやろうけどな・・・)

稲葉は藤本を見た。
藤本の額にはうっすらと汗が滲んでいて少し息もあがっていた。
美貴の両腕にはリストバンドふたつがずっとはめられたままだった。

稲葉(なあ藤本。あんたはいったいどこまで成長するつもりや?)

稲葉は美貴の成長ぶりにひとり微笑んだ。


106 名前: 投稿日:2005/02/21(月) 23:58

そんな稲葉に石川が近づいてきた。

石川「あの、稲葉先生。」

稲葉「ん?なんや?」

石川は少し考えた様子で美貴を見ながら言った。

石川「もしかして美貴ちゃんが来たときからずっとつけてる両腕のリストバンドって・・・」

稲葉「(さすが石川やな。やっぱり気づいたか・・)そうやな、あたしも直接聞いたわけやないけど試合中のあいつの動きからすると少なくとも片手に1sずつは負荷がかかってるやろうな。」

石川「やっぱりそうでしたか・・・」

そう美貴がずっとつけてるリストバンドの中には片手で1s超の鉛が入っているのだ。しかしこれはANGELSメンバー、稲葉と石川そして美貴本人しかわかっていなかった。


107 名前: 投稿日:2005/02/22(火) 00:10

石川「そんな状態で私たちと試合してたなんて・・・」

稲葉「・・・石川。あいつの足首見てみ。」

石川「あ、足首?・・・・あっ!!」

石川は美貴の足首を見てあるものに気づいた。

稲葉「あれがなにかわかるやろ?」

石川「・・・はい。」

稲葉「藤本のことやから3sずつくらいわつけてるやろな。」

石川「さ、3s・・・」

石川が美貴の足首に見たもの。バッシュを履いていて目立たないようになっているが確かに美貴の足首につけられていた。パワーリスト。ちなみに手よりもっと負荷がかかって3s超ずつだ。
美貴はこれらを全てつけたままハロ高との練習、そして高橋をかけた試合をしたのだ。しかしこれだけの負荷がかかっているにもかかわらず美貴はうっすらとしか汗をかかず、息も少ししかあがっていない。そしてなによりもパワーリストをつけたままでのすばらしいプレー。石川はこれがジョーダンをも超える逸材だと思った。

108 名前: 投稿日:2005/02/22(火) 00:20

高橋「え?美貴ちゃん今なんて言った?」

高橋は美貴の言葉に自分の耳を疑った。
高橋だけではない。紺野や田中、吉澤に石川などの周りにいたハロ高メンバー全員が耳を疑った。ここにいる人達は美貴意外みんな高橋への美貴の願いを

アメリカについて来て。

と言う言葉だと疑いもしなかったのだ。
しかしみんなの予想とは反した言葉が美貴の口から発せられた。


109 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/22(火) 00:24
またまた少量更新です(苦笑)

マカロニさま→またビミョーなとこで切ってみました。じらしますよぉ?(笑)

101の名無し飼育さま→こんな駄文を読んでいただいたうえに感想までいただいちゃってすいません。これからもよければ読んでください!
110 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/23(水) 20:26
むむ、リアルタイムなり・・・。
美貴の願いとは・・・?予想と反した言葉・・・。
ふ〜む・・・気になる・・・。
111 名前:星龍 投稿日:2005/02/23(水) 20:59
藤本さんの願い・・・なんだろう・・?
作者さん・・気になるところで切っちゃうから
すっごく楽しみです。
112 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 17:07

美貴「まあ、そういうことだからさ!」

美貴は自分の言葉でみんなが硬直してしまっているのも関係ないと言うかのようにひたすら高橋に笑顔を向け、ふいに立ち上がった。

美貴「じゃあ美貴たち練習があるからこれで。」

美貴はそう言うとジョアンに近づいた。

ジョアン「ミキ!!おめでとう!!これで晴れて・・・ちょ、ちょっと!!」

美貴「帰るよ。」

美貴はジョアンを引きずって出入り口まで歩いていった。その間、誰も何も言わずただジョアンの下手な日本語だけが響いた。

113 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 17:24

ズルズル・・・



ジョアン「ちょっと!!ミキ!!」


ズルズル


ジョアン「ねえ!!ミキ!!!」


ピタッ


美貴「・・・なに?」

美貴は笑顔で振り返った。

ジョアン「あんたあそこで何言ったの?」

ジョアンは先ほど美貴たちが話していたのは日本語だったのでわからなかったのだ。ジョアンが質問しても美貴はしばらく答えなかった。

ジョアン「ねぇ、ミキ教えて?」

美貴「美貴は・・・」

ジョアン「えっ?」

114 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 17:59

美貴「美貴は・・・なんにも。ただ大丈夫?って声かけただけだよ。」

ジョアン「でもなんかみんな静かだったじゃない。」

ジョアンは美貴を軽く睨みつけていたが美貴はそんなジョアンにうろたえることもなくずっと笑顔のままだ。

美貴「美貴が愛ちゃんに話しかけたのが珍しかったんじゃない?」

ジョアン「本当に?」

美貴「本当に本当だってば。美貴がウソついてるように見える?」

美貴はジョアンの目をじっと見つめた。
ジョアンもまた真剣に美貴の目を見た。

美貴「・・・」

ジョアン「・・・わかった。ミキにはかなわないわ。」

美貴「わかればよろしい。んじゃホテル戻ろ?」

ジョアン「そうね。」

ふたりはホテルまでの道のりを歩いていった。

115 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 18:02


116 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 18:13



・・・



体育館では美貴たちが去った後も誰ひとりとして話し出そうとはしなかった。それで今もこの沈黙だ。
しかし、美貴の言葉が頭に入っていないわけではない。むしろ全員美貴の言葉が頭の中に何度も響いているのだろう。
誰よりも冷静な市井、そして稲葉、中澤も固まってしまうほどだ。


117 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 18:35

高橋「・・・ったやよ。」

紺野「え?」

初めて沈黙を破ったのは誰よりも美貴に言葉を面と向かって言われた高橋本人だった。

高橋「わかったやよ。」

紺野「あ、愛ちゃん何言ってるの?」

矢口「そうだぞ高橋!!ったくミキティまじ意味わかんないよ!!」

吉澤「本当ですよ!!」

高橋「でも約束やから。」
紺野「愛ちゃん・・・」

高橋「あーし始めに美貴ちゃんと約束したんや。だから約束は果たさんと!!」

高橋は笑顔で全員に言った。

田中「・・・ですか?」

高橋「えっ?」

田中「高橋さんは本当にそれでいいんですかって言ってるんです!!」

田中は真剣な顔つきで叫んだ。

118 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/02/24(木) 19:48
更新中かな?
なんていったのかな?続きを待ってます
119 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/24(木) 21:02
お。ミキティは愛ちゃんになんて言ったんだろ〜?
120 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:14

田中は座っている高橋に近寄った。

高橋「だ、だけど約束やもん・・・。」

田中「高橋さんの好きな人は誰なんですか?」

高橋「それは・・・」

高橋はあまりの拍子抜けした田中の質問に答えるけとを躊躇した。

田中「藤本さんって言うんですか?それは違いますよ。」

高橋「なっ!田中ちゃんに何がわかるんや!!」
田中「わかりますよ。もし本当に藤本さんを好きならあんな約束なんか守りませんから。」

高橋「・・・」

田中「まあ高橋さんは藤本さんが好きじゃないんですよきっと。」

高橋は無言のまま下を向いてしまった。するとふいに中澤が練習開始の号令をかけ高橋はそのままひとりで座っていた。


121 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:17

美貴ちゃん。

あーしどうしたらええの?

美貴ちゃんとの約束守らなきゃだめ?

あーし本当は美貴ちゃんが勝ったらアメリカ付いて来てって言ってくれると思ってたんやよ?
だけど美貴ちゃんの口から出た言葉は・・・


122 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:18





『美貴のこと忘れて』





123 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:26

美貴ちゃんはあのときこう言った。
『美貴と愛ちゃんが遊んだこと、幼なじみだったこと、美貴が隣りに住んでたこと、それと美貴がバスケやり始めたことも含めてぜーーーんぶっていうより美貴の存在自体を忘れて?』

あーしが美貴ちゃんを忘れる?
そんなこと出来るわけない。出来ないけど・・・美貴ちゃんがそうしてほしいって言うんやったらあーし忘れるよ?そしたら美貴ちゃんもあーしのこと気にかけなくてもすむもん。

だけど・・・

あーしまだ美貴ちゃんに何にも伝えてない。
伝える権利はないかもしれない。
それでもせめてもう一度。一度だけでいいから忘れる前にもう一度会いたい。


124 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:33

高橋が気がつくと練習が終わって片付けが始まっていた。
高橋は中澤に駆け寄った。

高橋「中澤先生!!!」

中澤「ん?なんや?」

高橋「どこですか!?」

中澤「は?なに言うてんねん。ここはあんたも通ってるハロ高や。」

高橋「そうじゃなくて!美貴ちゃんが泊まってるところはどこなんですか!?」

中澤「なんや。あたしはてっきり高橋がボケてしまったんかと思ったわ。悪いけどANGELSが泊まってるとこは教えられんのや。厳重注意受けててな。」

高橋「お願いします!教えてください!!」

高橋はなんとか中澤から美貴の居場所を聞き出そうと必死で頼み続けた。

125 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:43

中澤「そう言われてもやな・・・」

田中「れなからもお願いします!高橋さんを藤本さんと会わせてあげてください!!」

高橋「田中ちゃん・・」

普段は人頭を下げることがない田中が高橋の横で一緒に頭を下げていた。

紺野「先生お願いです。愛ちゃんに美貴ちゃんのいるところを教えてあげてください!!」

新垣「あたしからもお願いです!!」

小川「先生だけが頼りなんです!」

松浦「みきたんと愛ちゃんはこのまま終わっちゃいけないんです!」

石川「お願いします!」

高橋「みんな・・・」

田中に続きみんなどんどんと頭を下げていった。ついには中澤と稲葉以外体育館にいる人はみな頭を下げていた。

中澤「・・・や。」

高橋「えっ!?」

中澤「ホテル『ゼティマ』や!!」

高橋「先生・・・」

中澤「勘違いするなよ?今のはあたしの独り言や。」

高橋「ありがとうございました!」

高橋はANGELSのタオルを持ち、駆けていった。

126 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:49

稲葉「裕ちゃん、やたらでっかい独り言やな!」

中澤「うるさいわ。あんたらはよ片付けし!!」

全員「はいっ!!」

中澤は照れを隠すかのように片付けをするよう指示を出した。

稲葉「まったく、素直やないんやから・・・藤本といい裕ちゃんといいこういうとこはホンマいとこ同士そっくりや。」

稲葉はそんな中澤の後ろ姿を見ながらぼそっと言った。


127 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:53

128 名前: 投稿日:2005/02/24(木) 23:53


はあはあ


美貴ちゃん・・・



129 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 00:04

高橋は走った。
今までないくらい必死に。ただただ美貴に会いたくて。

小さいころからいつもそばにいてくれた。
あーしがどこでなにしてても必ず後から追いかけて来てくれた。あーしが泣いてると飛んで来てくれるし、守ってくれた。あーしが悪いことしても怒ってくれた。でもそれは全然怖くなくてむしろ最後には必ずあーしの頭を撫でてくれるその手がとっても優しくて。
なんだか怒られてる気がしなかった。

今度はあーしが追いかける番や!!


130 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 00:11

昔から美貴ちゃんは優しかった。
火事のときに見た夢。
あそこに出て来たのはヒーローさん。
そのヒーローさんは


美貴ちゃん。


あーしのヒーローでいてくれるって約束。あれきっと美貴ちゃんは守ってくれてたんやって今さら気づいた。
美貴ちゃんはバカや。
あんな火の中に飛び込んだら自分も危ないのに。だけどそんなこと気にせずいつものようにあーしを助けに来た。
その背中はいつものようにあーしを導いてくれたんや。
美貴ちゃんは本当にバカや。
だけどそんな美貴ちゃんをかっこいいと思ってしまうあーしはもっとバカや。

131 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 00:18

あーしを騙す手。

あーしを泣かす手。

あーしを撫でる手。

あーしを守る手。

あーしを導く手。

あーしを引っ張る手。


この手はずーーっと昔から全部美貴ちゃんで。
それぞれやってることが違ってても全部あったかくて優しい手。
でも初めて気づいたときにはすでにその手はなかった。


さっきまでは。


132 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 00:24

昼間のあーしが水浸しになったときにこのタオルをかけてくれた手。
それはいつもの手と一緒の手だった。
直接触れることはなくてもタオルに優しいが染み込んでた。
初めは美貴ちゃんやって気づかんかったけどでもとっても優しい人なんやって思った。
それがまさか美貴ちゃんやったなんて。


『NO.1』


これは美貴ちゃんの背番号やったんやね。
あったかくて優しい手で握られてたタオル。
あーしはタオルだけじゃなくて手にも触れたいんや。


133 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 00:26

高橋はひたすら走る。


真新しいタオルを握りしめ、


優しいくて暖かい手を求めて。




134 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/25(金) 00:29
118名無し飼育さま→また更新です。ミキティは愛ちゃんにこう言いました。

七誌さま→ついにじらしていた言葉を書きましたよ!延ばしたわりにビミョーでごめんなさい!!
135 名前:マカロニ 投稿日:2005/02/25(金) 05:37
皆いい人だな〜(>_<)
特にれいなが!
愛ちゃん頑張れ!!
136 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 14:13

〜ホテル『ゼティマ』〜
「藤本選手!!調整は順調ですか?」

「藤本さ〜ん!こっちむいてー!!」

「藤本選手がんばってーー!!」


ニコッ。


「キャーー!!」

美貴たちが練習からホテルに帰るとどこから噂を聞きつけたのか美貴のファン、取材に来た報道陣が待ち構えていた。

ジョアン「ミキはどこにいってもモテモテなのね。」

美貴「んなことないよ。」

「藤本さーーん!!」

美貴は笑顔で手を振った。

「きゃーー!!」

ジョアン「やっぱりあなたは人気者ね。」

美貴「違うって。そんなことよりこのあと美貴の部屋で連携の確認しようよ。」

ジョアン「あー、いいわ。だけどその前に監督と話すことになってるの。」

美貴「じゃあ美貴は部屋で待ってるよ。」

ジョアン「すぐ行くわ。」

美貴「オーケー!」

ジョアンは監督がいるソファーへ美貴はそのまま部屋に帰った。


137 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 14:31

美貴「プハァ〜。疲れた。まさかあんなに人がいるなんてなぁ。」

美貴は部屋に入るとすぐにベットに寝っころがった。

美貴が人気者?
んなわけないじゃん。みんな美貴みたいなのが珍しいだけ。珍しいものが目に入ると誰でも惹きつけられるただそれだけのこと。
いつもそうだった。
昔から美貴は目をつけられることが多かった。美貴は周りから見るとクールに見えて、目つきが悪かったらしい。それで共学なのに女の子からしょっちゅう告白されたし、男子からはアネキなんて呼ばれたりもした。そんな中こんこん、ガキさんに真琴はいつも変わらず美貴を友達だって言ってくれた。
それに美貴がみんなに注目されても愛ちゃんは昔から態度を変えることなくいつも通りに接してくれた。美貴は愛ちゃんがいてくれて本当によかった。

138 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 14:47

もし美貴の人生に愛ちゃんという人が存在しなかったらってたまに考えることがある。
そんなこと考えるだけでも恐ろしい。
美貴がバスケでこうやって有名になったのは誰よりも愛ちゃんのおかげ。美貴が毎日必死で愛ちゃんを守ろうとしたのも愛ちゃんが愛ちゃんだから。
だけどもう守らなきゃいけないものは美貴にはない。
さっき美貴が美貴を忘れろって言ったから。愛ちゃんの中に存在する<美貴>がいなくなれば美貴の中の<愛ちゃん>も消えると思った。そうすればお互いに楽だから。


だけど


美貴の中の<愛ちゃん>はそんなことで消えるほどちっちゃな存在じゃなかった。消えるどころかもっともっと大きくなりそうだった。


139 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 15:12

美貴の中での<愛ちゃん>存在が大きくなればなるほど同じくらい恐怖心も大きくなった。
美貴が愛ちゃんを幼なじみとしてじゃなく女の人として愛してると知ったら?
きっとなにか珍しいものを見るような目で美貴を見るだろう。みんなが美貴を見るような目で。
そしていつかは忘れる。そうなることが美貴は怖かった。
愛ちゃんに嫌われることを考えれば忘れられるほうがよっぽどましだ。
変な美貴に変わるより幼なじみの美貴で忘れられるほうが。

美貴は考えている間もずっと天井を見つめていた。


140 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 15:39

ピンポーン♪

「ミキ?あたしよ!」

「んー。ちょっと待ってよ。今開ける・・・」

美貴が扉を開け、そこに立っていたのは・・・



美貴「あ・・・い・・・ちゃん?」


美貴の前に立っていたのは紛れもなく美貴が愛した愛ちゃんだった。

ジョアン「じゃあ、あたしはこれで。」

高橋「さ、さんきゅー!」

ジョアンは美貴と愛ちゃんを残して自分の部屋へ戻って行った。


141 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 16:07

高橋「美貴ちゃん?」

美貴「えっ?あぁ、えっと、ごめん。とりあえず中入る?」

高橋「うん。」

ガチャ。

美貴「な、なんか飲む?あっ、お酒しかないや。ごめんジュースきらしてるや・・・美貴か、買ってくるよ。」

高橋「美貴ちゃん。」

美貴「あ、な、なにがいい?やっぱりオレンジジュース?」

高橋「美貴ちゃん!!」

美貴「は、はい!」

美貴はいるはずのない高橋がいることで焦っていた。

高橋「そんなかしこまることないよ?」

美貴「えっ?ああ、うん。」

142 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 16:19

高橋「あ、今来たのは美貴ちゃんにこれ返そうと思って・・・」

高橋がそう言って取り出したのは美貴が高橋にかけてあげたタオルだった。

美貴「あぁ、それあげるよ。」

高橋「でも・・・」

美貴「いいっていいって。そんなのいくらでもあるし。」

高橋「そうじゃなくて。これ持ってたらあーし忘れられないから。」

美貴「あぁ、そっか。そうだよね・・・じゃあ、ありがとう。」

高橋「うん・・・」

美貴は高橋からタオルを受け取った。

美貴(本当にもう美貴を思い出させるものはないんだよね・・・)

美貴は自分の手に握られたタオルをじっと見つめていた。


143 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 16:46

高橋「美貴ちゃん??」

美貴「あっ、ごめん。これありがとう!もう遅いし家まで送るよ。」

美貴は脱いだジャージを再び着た。

高橋「・・・れる。」

美貴「ふぇ??」

高橋「あーし美貴ちゃんのこと忘れるよ。」

美貴「うん・・・」

高橋「だけど、だけどね、忘れる前にひとつだけお願いしていい?」

美貴「え?あーと、うん。」

高橋「・・・いて。」

美貴「ん?なに?」

ガバッ!!

美貴「んえ!?ち、ちょっと!あ、愛ちゃん?」

高橋は美貴に抱きついた。

高橋「あーしを抱いて。」

美貴「は?いや、そ、それは・・・」

高橋「今日だけでいいんやよ。お願いや。」

美貴「その、え?いや、ちょい待ち!」

美貴は高橋に抱きつかれ思いもよらない高橋の行動に戸惑っていた。


144 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 17:23

高橋「やっぱり無理やよね・・・ごめん。美貴ちゃんはあーしのことどうでもいいのに。あーし帰るね。」

美貴「・・・」

高橋「じゃあ・・」

高橋はドアに手をかけた。

美貴「んなわけないじゃん。」

高橋「え?」

今度はさきほどと逆で高橋が振り返った。

美貴「美貴が愛ちゃんのことどーでもいいと思ってるわけないじゃん!!」

高橋「美貴ちゃん・・」

美貴「美貴は・・・愛ちゃんを大切に思ってる・・・ょ・・。」

高橋「わかったよ。」

美貴が言い終える前に高橋は美貴を抱きしめた。

美貴「でもそれは幼なじみとしてなんだ。ごめ・・・」

高橋「それでもいい。ただ忘れる前に一回だけ・・・」

美貴「わかった。いいよ。」

美貴は愛ちゃんの望むことならなんでもする。愛ちゃんが抱いてほしいと言うなら抱く。愛ちゃんが美貴を想ってなくて美貴を誰かの代わりにしようとしても。


145 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 18:00

ドサッ!

美貴は高橋をベットに押し倒した。

高橋「美貴ちゃん・・・」

美貴「愛ちゃん・・・」

美貴は今から愛ちゃんを抱く。


なのに・・・


手が震えて思うように動かせない。
情けない。美貴は怖い。前に愛ちゃんを押し倒したときの恐怖心がこんなときに出るなんて・・・。でもこの手はどうしようもなくて。ただ愛ちゃんには知られないように手の震えが収まるまで愛ちゃんに触れなかった。


高橋「美貴ちゃん・・・。あーし怖くないよ?」

美貴「えっ?」

高橋「さっきから美貴ちゃんの手。震えてるから。」

美貴「な、なんで?一回も触ってないのに・・・」

高橋「いつもみたいに触ってくれないから。それにあーしと美貴ちゃんの付き合いは何年やと思ってるの?」

美貴「あははっ・・・バレたか。」

高橋「あーしは大丈夫。だから心配しなくていいから。」

高橋は美貴の手をしっかり握った。


146 名前: 投稿日:2005/02/25(金) 18:20

美貴の震える手を握る愛ちゃんの手はとっても暖かかった。

愛「にししっ///」

美貴「んだよ。その笑い方色気も何にもないじゃん。」

愛「えー!!」

美貴「でも可愛いよ・・・愛ちゃん・・・」

美貴は愛に近づいて耳元でささやいた。

愛「ふぇぇ!くすぐったい///」

美貴「かわいいよ・・・」

愛「美貴ちゃー///」

美貴「にししっ。その呼び方。懐かしい〜。」

愛「美貴ちゃー・・・」

ギュッ!!

愛は美貴に抱きついた。
美貴「かわいいよ・・」

チュッ。

愛「ンッ!」

美貴「愛ちゃん・・」

チュ。

愛「んは///」

チュパ。

愛「み・・・ちゃ・・」

チュッ。

愛「み・・・きー」

美貴「愛ちゃんめっちゃかわいい。」

美貴は愛の体中にキスを浴びせた。まるで愛は美貴のものだというかのように・・・


147 名前: 投稿日:2005/02/26(土) 00:41

愛「み・・きぃ・・ちゃ」

美貴「愛ちゃん・・」

美貴は必死で快楽を求める愛ちゃんに答えた。
美貴の手で愛ちゃんを快楽の世界へ導く。これが最後の美貴の役目だから。愛ちゃんが美貴に求めてくるのはこれで最初で最後になるから。だから精一杯のことをしてあげたい。

愛「みきちゃー///」


それだけなのに


なのにどーして?


なんで美貴はこんなにも涙が出そうなんどろう。
美貴は涙を出さないようにさらにキスを浴びせ続けた。


148 名前: 投稿日:2005/02/26(土) 00:50

何度も何度もキスを浴びせる。その度に見せる愛ちゃんの顔はいつもと違って大人っぽくて艶がある。声だって今まで聞いたことのないような甘ったるい声。どれもこれも初めて見る愛ちゃんばかりだ。
思いきって愛ちゃんの体に手で触れてみる。すると愛ちゃんはピクンと跳ねたが美貴の手を掴んでこう言った。

「大丈夫だから。」

美貴の手の震えは収まるどころか増していた。
この手で愛ちゃんを抱こうとしているのは嬉しい。


だけど


やっぱり怖い。果たして美貴が愛ちゃんにこんなことをしてしまっていいのか。愛ちゃんの中には違う誰かがいるのに。


149 名前: 投稿日:2005/02/26(土) 00:57

美貴は手を止めた。

愛「美貴ちゃー?」

美貴「ごめん。」

愛「え?」

美貴「美貴やっぱりできないよ。」

愛「なんで?あーしなんか美貴ちゃーの気に触ることした?だったら・・・」

美貴「そーじゃない。そーじゃないんだよ。」

愛「じゃあ・・・」

美貴「美貴にはアメリカに好きな人がいるんだ。だからその人を裏切りたくない。それに愛ちゃんとは幼なじみでいたい。」

美貴はとっさにウソをついた。アメリカに好きな人なんていない。美貴が好きなのは目の前にいる愛ちゃんだけだ。でも自分の感情を抑えるにはこう言うしかなかった。


150 名前: 投稿日:2005/02/26(土) 01:06

愛「美貴ちゃーは・・・その人のこと本当に好きなんやね。」

美貴「・・うん。好きって言っても足りないくらい。」

愛「そっか・・・」

ふたりはしばらく黙ったままベットに座っていた。

美貴「抱くことは・・」

愛「ふえ?」

美貴「抱くことはできないけど隣りで寝るくらいならしてあげられる。」

美貴は愛に服を着せながら言った。

愛「あーしが隣りで寝てもいいの?」

美貴「うん。」

愛「じゃあ今日はここに泊まってもいい?」

美貴「いいよ。」

愛「寝るときに美貴ちゃーと手つないでもいい?」

美貴「美貴の手でよければね。」

そういうと美貴は愛に手を差し出し、その手を愛は掴んだ。

愛「にししっ///」

美貴「へへっ。んじゃあおやすみ。」

愛「おやすみ!」

ふたりは手をつないだまま眠りに落ちていった。


151 名前:A 投稿日:2005/02/26(土) 01:44
みきてぃの誕生日なのに二人の心が擦れ違ったままなんて
悲し過ぎるぅ〜!
作者様、どうか二人を素直にさせて下さい!
素敵な誕生日になりますように…。
152 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/26(土) 20:20
ああどうか二人が幸せになりますように・・・
153 名前: 投稿日:2005/02/26(土) 23:48

美貴は目を閉じてたはいいものの眠ってはいなかった。

美貴が愛ちゃんと一緒に過ごすこの一瞬を大切にしたい。こうやって手をつないでるだけでも愛ちゃんの温もりが体中に伝わってくる。それだけで美貴の目に溢れ出しそうなくらい涙がたまってて。この涙がなにを意味しているのかわからないけど、ただ愛ちゃんには見せちゃいけないということだけはわかった。

美貴は暗闇の中できつく愛の手を握りしめた。
まるで愛がそこにいることを確認するかのように



154 名前: 投稿日:2005/02/27(日) 00:00

「スーーッ・・・」

しばらくすると隣りからかすかな寝息が聞こえてきた。


愛ちゃん、最後のお願い聞いてあげられなくてごめんね。美貴には愛ちゃんを抱く勇気と権利がないんだ。
美貴は心のどこかで愛ちゃんに忘れてほしくないって思ってる。だからわざとタオルも置いていったんだ。美貴って本当にずるいよね。だけど愛ちゃんはタオルを持って来てくれた。美貴を忘れられなくなるからって。ずるい美貴なんかと違って愛ちゃんは本気で考えてくれてた。あのときの目。愛ちゃんの目が真剣だった。だから美貴も真剣に答えなきゃって思えたんだよ?もちろん初めから本気だった。だけど心の奥底でまだ期待してたから。結局美貴は最後まで愛ちゃんに頼ってばっかりなんだ。


155 名前: 投稿日:2005/02/27(日) 00:09

美貴は愛ちゃんを守ってるつもりだった。だけど実際は愛ちゃんを傷つけてばっかりだった。
美貴にもうちょっと勇気があれば違ったかもしれない。

美貴に素直になる勇気さえあれば・・・。

愛ちゃんは純粋な心の持ち主で、人を惹きつけることができる。
そんな愛ちゃんにいつの間にか美貴も惹きつけられてるひとりになってた。いつかなんて聞かれたら答えられないけど、きっとずいぶん昔から。
だけど美貴は愛ちゃんみたいに素直になることができなくて、この気持ちに気づかないふりをしてた。
愛ちゃんとはずっと幼なじみだ。そう思い続けた。だけどそれを崩してしまったのは誰でもない美貴自身だった。



156 名前: 投稿日:2005/02/27(日) 00:21

吉澤さんを見つめる愛ちゃんの顔が赤く火照っていて、目は吉澤さんから離れることはなかった。そんな愛ちゃんを見たとき美貴の胸は死にそうなくらい締め付けられた。そのとき自覚したんだ。あぁ美貴はこんなに愛ちゃんが好きなんだって。初めて愛ちゃんを見る目が変わった瞬間だった。だけど美貴が気づいたときにはすでに愛ちゃんの心は吉澤さんに向いてた。
美貴本当に後悔したよ。だってもう少し早ければ美貴と愛ちゃんの関係は変わったかもしれないと思ったから。


あれからかれこれ四年くらい経っても美貴たちの関係は変わってない。
ひとつ気づいたことといえば美貴が守ってると思っていたけど本当は美貴が愛ちゃんに守ってもらってた。
今美貴の握っているこの小さな手に包まれてきた。手だけじゃない。愛ちゃんが美貴ごと包んでくれたんだ。



157 名前: 投稿日:2005/02/27(日) 00:30

悲しいとき。

辛いとき。

苦しいとき。

美貴は素直じゃないからいつも泣かなかった。泣く顔を見られたくなかった。自分は強くいたかったから。
そんな美貴の隣りで美貴の代わりに泣いてくれていたのが愛ちゃんだった。
もう顔はくちゃくちゃになっちゃうくらい泣いてた。
美貴が泣きたいときは必ず愛ちゃんが隣りにいて、愛ちゃんが泣く。そんな愛ちゃんをなだめて頭を撫でてあげるのが美貴だった。
まるで愛ちゃんと美貴がつながってるみたいに。

美貴いつからか気づいたんだ。

本当に強いっていうのは強く見せる必要なんかなくて、自分の感情を表に出すことができる人なんだって。


まさにそれが愛ちゃんだった。



158 名前: 投稿日:2005/02/27(日) 00:42

みんなは美貴を強いって言うけどそれは違う。
美貴のは<見せかけ>の強さで本当の意味で強くはない。
だけど愛ちゃんは<本物>だ。
作りものなんかひとつもない全部愛ちゃんそのものだから。
これ以上美貴のそばにいちゃいけない。
一瞬にいると美貴の<作りもの>が愛ちゃんの<本物>を包み込んじゃうかもしれない。
それに<本物>があれば<偽物>は自然と消えていく。
今の愛ちゃんに必要なのは見せかけだけの美貴じゃなくて田中ちゃんのような存在だろうから。
だから美貴は愛ちゃんの中から消えるよ。


お互い後悔する前に


159 名前: 投稿日:2005/02/27(日) 00:45

ただ一言だけ。




美貴の存在が愛ちゃんの中から消える前に。




後悔したくないから。




美貴のからの最後の言葉を受け取ってください。




160 名前: 投稿日:2005/02/27(日) 00:46







「愛してるよ。」







161 名前: 投稿日:2005/02/27(日) 00:54

言葉と同時に美貴の頬を涙が伝った。
今まで我慢していたものが次々と美貴の目から流れた。


次に目を開けたときにこの気持ちが残らないように流してしまおう。
もう後悔なんかしない。

だって美貴は


美貴の気持ちは伝えたから。


だからたとえ愛ちゃんが聞いていなくても美貴は後悔しない。


美貴は今まで愛ちゃんと過ごしてこれた。
もうそれだけで充分だ。



162 名前:ワクワク 投稿日:2005/02/27(日) 01:01
1日遅れですが・・・
ミキティHappy birthday!!

マカロニさま→れいないい人です。話もやっと終盤です!!そろそろ終わらせないと(苦笑)

Aさま→はじめまして!!ミキティの誕生日なのに相変わらずすれ違いまくってごめんなさい。

七誌さま→ふたりは幸せになれるのでしょうか・・・
163 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/27(日) 13:22
遂に終盤ですか
お互い素直になれると良いんですが
これからも期待しています。
164 名前:七誌さん 投稿日:2005/02/27(日) 22:22
う〜ん・・・ミキティも素直になればいいのに・・・
お互いに素直になれないんですかね・・・。
165 名前:マカロニ 投稿日:2005/03/04(金) 10:18
愛ちゃんがミキティの言葉聞いていますように。。。(>_<)
ワクワクさんもうすぐ終盤ですね〜
マイペースに頑張って下さい!
166 名前: 投稿日:2005/03/05(土) 00:02

〜翌日〜

「んっ・・・朝・・・」

愛はカーテンの隙間から差し込む太陽の光で目覚めた。

「み・・きちゃん?」

愛は繋がれていたはずの手がはずされていたことに気づき横を見た。
しかしそこに美貴の姿はなかった。
愛は慌てて部屋中を探した。そして机に置いてある紙をみつけた。


167 名前: 投稿日:2005/03/05(土) 00:19

愛ちゃんへ


おはよう。愛ちゃんがこの手紙を見てるときにはもう美貴は愛ちゃんの隣にいないと思います。
愛ちゃんのことだから美貴がいなくて部屋中を探したでしょ?(笑)
昨日、愛ちゃんが抱いてって言ったのにしてあげられなくてごめん。
美貴には愛ちゃんを抱く勇気がなかったんだ。美貴の手が震えてたでしょ?あれは美貴がさんざん愛ちゃんを傷つけてきたから怖かったんだ。美貴が愛ちゃんを抱けばまた傷つけるんじゃないかって・・・。
美貴本当に弱虫だよね。でも愛ちゃんは違う。こんな美貴なんかと違って強い。だから美貴と愛ちゃんは一緒にいちゃいけないんだ。愛ちゃんには美貴なんかより田中ちゃんみたいな強い子が似合ってるから。
美貴は愛ちゃんの中から消えるよ。
今までひどいことしちゃったけどこれだけはわかってほしい。


美貴は、


美貴はね・・・



愛ちゃんと過ごすことができて幸せだったよ。
愛ちゃんのおかげで友達ができたし、なによりバスケに出会えたから。
本当に愛ちゃんには感謝してる。


ありがとう。



美貴より


168 名前: 投稿日:2005/03/05(土) 00:28

見慣れていたはずの美貴の字が愛には新鮮に思えた。
字を見ただけで美貴の気持ちがわかるこんなことは愛にとって初めてだった。
最初から最後まで強い意志でしかっかりつづられている。
しかし字で美貴の手が震えていたことがわかる。愛は美貴からの手紙を大切そうに握りしめた。


169 名前: 投稿日:2005/03/05(土) 00:37

「美貴ちゃん・・・」

美貴ちゃんは弱虫なんかじゃないよ。
だってあーしが強くなれたのは美貴ちゃんあなたのおかげだもん。美貴ちゃんが強くなきゃあーしだってきっと強くなれなかったよ。
美貴ちゃんは昔からあーしの背中を押してくれた。そんなことは強くなきゃできんよ。
美貴ちゃんの中からあーしは消える。


だけど


だけどね、


やっぱりあーしの中から美貴ちゃんは消えない。消せないよ。
約束破っちゃってごめんね?でもあーし美貴ちゃんのこと忘れたくないから。どれだけ美貴ちゃんに嫌われてもあーしには美貴ちゃんしかいないんや。だから許してね?



170 名前: 投稿日:2005/03/05(土) 00:40




愛は静かに部屋から立ち去った。



美貴からの最後の手紙を胸あてて



171 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 09:02
更新きてたー
愛ちゃんの方は気づいたみたいですね
後はミキティか
172 名前:A 投稿日:2005/03/06(日) 01:00
二人の気持ちはいつになったら通い合うのでしょうか?
続きすっごく楽しみにしています!
173 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 14:42

「んん〜よく寝た。」

「おはよー。ジョアン!」

「おはよう・・・ってなんでミキがここにいるの!?」

「ちょっとわけありでね・・・」

美貴は愛宛の手紙を書いたあと、こっそりジョアンの部屋に来たのだ。

ジョアン「わけありってアイとなにかあった?」

美貴「ん〜、なくもない。かな。」

ジョアン「その微妙な反応はあるってことね。」

美貴「まぁ。でも大したことじゃないよ。とにかく今はここにいさせて。」

美貴は顔の前で両手を合わせ、いたずらっ子の顔でジョアンに頼んだ。

ジョアン「はぁ〜。そんな無理しなくていいわよ。」

美貴「え?」

ジョアンは美貴の座っているベットへ歩み寄った。


174 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 15:04

ジョアン「なにがあったかはわからないけど、アイといると辛いんでしょ?」

美貴「な・・・」

ジョアン「はいはい。言い訳無用。だてにミキと一緒にいるわけじゃないのよ?それくらいわかるわ!」

美貴「さすがだね・・・」

美貴は笑顔を見せた。しかし笑顔とは裏腹に心は悲しみという名の雨が降っていた。

ジョアン「ミキのことだか昨日の帰り道のもウソなんでしょ?」

そうジョアンは美貴のウソに気づきながらもわざと騙されたのだ。

美貴「気づいてたんだ・・・」

ジョアン「当たり前でしょ。あの後アイが来たから確信したわ。」

美貴「・・・」


175 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 15:20

昨日起きたことが全て夢ならよかった。
愛ちゃんと田中ちゃんが抱き合ってたのが夢ならば。

起きたら全部夢で。

笑いとばして・・・



見たくなかった



愛ちゃんが美貴の知らない子と抱き合ってる姿なんて。


こんな気持ちとっくの昔に捨てたはずなのに。



・・・ずっと・・・



美貴は愛ちゃんを忘れられなくて



でも愛ちゃんはもう美貴を忘れて


やっぱり


これから2人が付き合うってことなのかな?


だから「忘れる」だったんだよね?



どんなに美貴ひとりで考えて想像したって変わらない。

美貴と愛ちゃんの距離は


176 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 15:35

美貴「くっ・・・」

ジョアン「ミキ・・・」

美貴は唇を強く噛み締めた。自分の目から涙が流れるのを耐えるためにただ必死に噛んだ。

美貴「愛ちゃんに嫌われるより愛ちゃんの中から美貴がいなくなる方がずっといい。」

ジョアン「・・・」

美貴「ずっといーよ・・・」

ジョアン「・・・」


・・・本当は

何も知らないで

ただはしゃいで

きっとするはずだった


・・・きっと



177 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 15:50

美貴「・・・昔」

ジョアン「ん?」

美貴「すごく好きな子がいたんだ・・・美貴とは正反対で。純粋でまっすぐで。そんでバスケットと美貴を巡り合わせてくれたんだ。」

ジョアン「・・・」

美貴「それが 愛ちゃん。」

ジョアン「へ〜。」

美貴「美貴は愛ちゃんが一番大事だったし大事にしてるつもりだった。」

ジョアン「・・・」

美貴「でも・・・美貴が普通にしてたことは愛ちゃんを傷つけてばっかだったんだ。」

ジョアン「・・・」

美貴「・・・それから美貴自身もボロボロになって今にいたるんだよ。」

ジョアン「そっか・・」

美貴「・・・まさかバスケをここまで好きになるとは思わなかったけどね。」


178 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 16:09

美貴「そんな愛ちゃんが昨日、美貴に抱いてって言ってきたんだ。」

ジョアン「え!?」

ジョアンは思わず口を手で抑えた。

美貴「だけど美貴は抱かなかった。抱けなかったんだ。」

美貴は震えている自分の手を見た。

美貴「弱ってる愛ちゃんに手ーだしたら美貴がうしろめたいんだ。」

ジョアン「・・・」

美貴「愛ちゃんみたいないーコに手ーだすのは・・・」

ジョアン「・・・」


美貴「・・・美貴が死ぬほどうしろめたい・・・・・・」


ジョアン「ミキ・・・」

美貴「今までさんざんウソついてきた。でも美貴はもうウソつきたくないんだ。」

ジョアン「・・・」


179 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 16:17

ジョアン「本当に・・・」

美貴「え?」

ジョアン「ミキのアイへの態度は・・・ほんとに」



『ずっと愛ちゃんのヒーローでいるよ。』


『美貴ちゃーはあーしのヒーローや!』



『愛してるよ』





ジョアン「全部ウソだった・・・・・・?」



180 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 16:22

夜の闇も


雨も


バスケットコートも


愛ちゃんがいるだけで何もかもが違う色。



美貴の世界は



愛ちゃんがいるだけでキラキラ光る。



181 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 16:33

ジョアン「ミキ」

美貴「愛ちゃんはもう美貴を忘れるって言ったんだよ。こうやって美貴の前からいなくなるんだ・・・友達も」


ジョアン「・・・」


美貴「好きな子も」



ジョアン「・・・いらないの?アイ。」


美貴「え・・・?」


ジョアン「いらないならあたしがもらうわよ。」


美貴「・・・!?」




182 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 16:34

183 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 16:43

ジョアン「ミキにとってアイってなんだったの?」

美貴「・・・・・・」

ジョアン「いや、別に責めてるわけじゃないの。素朴な質問。好きな子と幼なじみで終わるなんてことないってミキはわかってたでしょ。」

美貴「・・・」

ジョアン「・・・それともミキは幼なじみで終わりたいと思ってたの?」


美貴は・・・




美貴はどうしたかった?



184 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 17:01

田中「高橋さん!!」

高橋「田中ちゃん。あれ?クラスのみんなは?」

田中「はぁ〜。何言ってるんですか!もう部活の時間なのに高橋さんが来ないかられなが迎えに来たんです。」

高橋は田中の言葉を聞いて時計を見た。

高橋「あっ・・・本当や。」

田中「ったく。まあいいですけどね。」

高橋「・・・ちょっとサボってみる?」

田中「え?」

高橋「たまには。ね?」

田中「はいはい。それよりそこ。高橋さんの席じゃないですよね?」

高橋「うん。ここは一年生のときに美貴ちゃんが座ってた席なんや・・・。」

高橋は一年生のときのことを思い出していた。


185 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 17:12

美貴ちゃんの目線・・・


席隣やったのに全然違って見える


ここで授業うけて


窓の外を眺めたり


もしも幼なじみじゃくても普通のクラスメイトになれたかな?
たとえ幼なじみじゃなくてもやっぱりあーしは美貴ちゃんのこと好きになってたと思う。


高橋は机を優しく撫でた。

高橋「あっ!!」

田中「えっ?」

高橋「なんか今まで普通につきあわせてたけど田中ちゃん部活やりたかったんじゃ・・・!!」

田中「いいですよ。れなもちょうどサボりたくて高橋さん呼びに来ただけですし。」


186 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 17:25

高橋「・・・・・ありがとね。」

田中「別に高橋さんのためじゃないですから。」

田中は無表情のまま顔を背けた。

高橋「なんだかんだ言ってもさ、もう田中ちゃんがいいひとやって知ってるもん。」

田中「・・・」

高橋「あーし結局いっつもお世話になってるよね。美貴ちゃんのことも田中ちゃんがいなかったらもう二度と会えなかったし。」

田中「・・・」

ガタン

高橋「さて。そろそろ部活行くとしますか。」

田中「・・・・『いいひと』?」

田中は立ち上がって教室を出ようとする高橋の腕をつかんだ。

高橋「田中ちゃん?」

田中「悪いですけどれなは高橋さんが思ってる程いいひとじゃないですよ。」


187 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 17:41

田中「好きだったのに『友達としていいひとになった』なんてウソですよ。」

高橋「・・・!?」

田中「れなはれなでしかないし、れなの気持ちはれなの気持ちでしかない。たとえ相手が誰を好きでもね。」

高橋「・・・」

田中「・・・元からありえないんですよ。恋愛より友情をとるなんて。」
高橋「・・・あーし・・・田中ちゃんのこといいひとだと思ってるよ・・・。それも田中ちゃんにとっはウソなの?」

田中「・・・わかってないですねぇ。れなが誰かと会ったりそばにいる理由なんて『どーでもいい』か『都合がいい』か」


グイッ!


高橋「!!」


188 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 17:43






田中「・・・好きかですよ」



田中は高橋を抱き寄せた。



189 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 17:59


どーでもいいか


都合がいいか


・・・好きか


ドクンドクン

高橋「田中ちゃん!!」

田中「・・・」

高橋「・・・田中ちゃん!?」

田中「・・・」

高橋「どっ、どういう事!?」

田中「・・・」

高橋「まさか・・・あ・・・あーしを好きって事!?」

パッ。

田中は高橋を離して見つめた。

高橋「・・・なの・・・・・・?」

田中「プッ。」

高橋「!!」

田中「あとふたつ言ったじゃないですか。高橋さんって騙しやすいですねー。」

高橋「そ・・・そっか///そーだよね!・・・・・・つーかだめじゃんこんな事したら!!」

田中「・・・」

高橋「こーゆうのは本気で好きなひとにしなきゃ!!」


190 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/06(日) 20:24
お〜愛ちゃんも気付き始めたかぁ〜!!?
191 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 22:48

田中は再び真剣な顔つきになった。

田中「・・・じゃあ本気で好きならいーんですか?れなが本気で好きなら高橋さんはよかったんですか?」

高橋「・・・・・・そっかちがうね。あーしは美貴ちゃんが好きやからあーしが困る。」

田中「やっと言いましたね!」

田中は笑顔になった。

高橋「え?」

田中「高橋さんはみんなに優し過ぎて自分の気持ち隠してたから。」

高橋「あーしは優しくなんか・・・」

田中は笑顔から真剣な顔に戻った。

田中「優しいですよ。でも優し過ぎてどっかでまだ誰も傷つかない方法探してるんですよ。」

高橋「・・・・・」

田中「・・・・」


192 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 22:59

高橋「・・・あーしは・・・みんなに幸せになってもらいたい!その中でやっぱりあーしも幸せになりたい。だから誰に対してもウソはつきたくない。」

田中「・・・・藤本さんが高橋さんを好きじゃないかもしれないですよ?それでも好きなんですか?」

高橋「・・・うん!」

田中はしばらく高橋の目をしかっかり見ると、下を向いた。

田中「わかりました。れなは他に用があるんで先に行っててください。」

ポン。


田中は高橋の背中を押した。

高橋「じゃあ先に行ってるね。」

高橋はドアに向かって歩いて行った。


193 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 23:11

どーでもいいか


ガラッ


都合がいいか


・・・好きか


『れなは高橋さんが大好きです!』


高橋(まさか!?)

高橋が振り向くと田中はさっきと変わらず下を向いたままだった。


バタン。


高橋はそのまま教室から出た。


ウソはつきたくない

今思ってる事をできるだけ行動で表したい

・・・だけど

不安がないわけじゃない

誰も傷つかないわけない

あーしの信じてた正義で


田中「高橋さんのバーカ・・・」


誰かが傷つく事だって


『藤本さんが高橋さんのことを好きじゃないかもしれませんよ?』

高橋は静かに部活へ向かった。


194 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 23:26

〜高橋家〜

『美貴を忘れて』


高橋「ーーーー・・・」

パタン

「あら、愛どこ行くの?」

「ちょっと外の空気吸いにーーー」

「コンビニ行くなら卵買ってきてー。」

「はーぁい」

ガラガラ


外に出ると満月が出ていて、春と夏の間だからか生暖かい風が吹いた。

「ハーー・・・」

美貴ちゃんの好きな人ってどんな人なんかなぁ。

どんな人でもあーしは受け止めなきゃ!

笑え!こんな時は笑え!!


「は・・」


「は、は、は、は」

笑って笑ってこわい気持ちなんかふっとばしちゃえ!!
そしたら何聞いたって笑えるはず!!

「は・・・」

ジーーーッ


195 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 23:36

「・・・・・・み、美貴ちゃ・・・!?」

高橋がコンビニの前に着きひとりで笑っていると中から美貴がジャージ姿で出てきた。

美貴「・・・ははっ」

高橋「・・・///」

美貴「愛ちゃん、時間ある?」

ーーーーーーーーーー

美貴「びっくりしたーー。なんか外で大笑い聞こえると思ったらこないだ手紙を書いた相手の愛ちゃんなんだもん。」

愛「そんなにおっきくなかったやよ///」

美貴「おっきかったよ」

愛「ちっちゃかったよ」

美貴「いや、ちっちゃくはない。」

愛「ちっちゃかったよぉ」

美貴「やー、ちっちゃくはなかったわー。」


196 名前: 投稿日:2005/03/06(日) 23:53

愛「・・・・・不思議だね。美貴ちゃんがいなくなってあーし会えるかもって思ってここの道を歩いた事何回もあるやよ。でも一度も会えたことなかった。期待してなかったら今日こうやって初めて会えた。」

美貴「・・・・試合のときさ、美貴が愛ちゃんを見たのわかった?」

愛「うん!!その後のすごかったやよ!」

美貴「あれね、ほんとは半回転で終わるはずだったんだよ。」

愛「えーーーっ。でも一回転してたよーー!!」

美貴「サービスサービス!美貴が新しく開発した技なんだよ!だけど内緒ね!!」


美貴ちゃんが


美貴ちゃんが優しい


愛「わーー!懐かしい!よくここで遊んだね!」

美貴と愛が着いた先は昔よく遊んだ公園だった。

197 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 00:09

愛「誰もいないね。あーしたちが遊んでるときはあんなにいっぱい子供がいたのに・・・・」


梨華ちゃんも


みんなも


美貴「・・・みんなが遊び始めてるのにいっつも愛ちゃんだけが美貴が来るの待っててくれてたんだよね。その時だけじゃない。朝一緒に学校行くときも。」

愛「・・・だってそれは・・・・・」

美貴「・・・・」

愛「遅れても来るんだもん。美貴ちゃんは。・・・くしゅっ!」


いつだって

結局美貴ちゃんは

美貴ちゃんは本物のヒーローみたいに

とんできてくれる

いつも


いつも


スーーッ


愛「!!」

美貴は愛の頬に自分の手を当てた。

美貴「・・・お風呂上がりだったでしょ?ごめん。風にあたって冷えちゃったね・・・!?」

美貴ちゃんは何の計算もしてない

愛「くっ・・・」

愛は泣きそうになりながらも必死で耐えていた。

198 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 00:17

美貴「・・・・愛ちゃん」


『愛ちゃんにはそんな顔似合わないよ』


愛「・・・美貴ちゃんが優しくて」


泣くな


愛「・・・昔からずっと」


笑え


笑えあーし


美貴「・・・愛ちゃんといると優しくしたくなんだ美貴。」

愛「・・・」

美貴「・・・愛ちゃんが・・・美貴に優しいからかな・・・・・」

愛「・・・」

美貴「・・・答えは考えなくてもでた・・」

愛「え・・・」




美貴「好きだよ。愛ちゃん」


199 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 00:30

愛「・・・」

美貴「だけど・・・一番じゃない・・・」

愛「・・・」

美貴「やっぱり美貴の中で後に引けないんだ。だからもう美貴に期待なんかしちゃだめだ。」


・・・笑え


美貴「愛ちゃんに似合わない顔させてたのは美貴だよ。」

愛「・・・」

美貴「・・・田中ちゃんなら愛ちゃんを大事にするよ。きっと」

愛「・・・どうして・・・」


あーし笑え!


愛「どうしてそんなこと言うの!美貴ちゃんは美貴ちゃんだけはそんな事言わないで!!」

愛は美貴に抱きついた。
美貴「・・・ごめ」

愛「あやまらないで!」

美貴「ごめん」

愛「・・・ごめんなんて言わないで・・・」

あの日

ふたりで遊んだ公園で

今 この瞬間だけはいちばん近くにいるのに

愛「ううっ・・・ぐすっ・・・」

美貴「美貴ひとりでアメリカに帰るよ」


あーしの心の声は


美貴ちゃんには届かない


200 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 00:36

201 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/07(月) 00:45
少量更新です(汗)

マカロニさま→愛ちゃんは聞いてなかったです(苦笑)かなりマイペースな感じで更新です。

名無飼育さま→やっとここまできました!!もう長くてわけわからなくなってます(笑)

Aさま→気持ちはまたもビミョーな感じで(汗)ネタがつきてしまいそうです(笑)

七誌さま→こんな感じでいかがでしょう?(笑)正直ほんっとに逃亡したいくらい駄文でごめんなさい!!
202 名前:ひろ〜し〜 投稿日:2005/03/07(月) 00:49
んなぁ?!
なんで、いっつもこの二人はお互い正直なことを言えないんですかぁ?!
ってか言わせてあげてくださいよ!っと思いつつ続き、待てます。
203 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/07(月) 13:44
ん〜〜この二人はもうちょい素直になんなきゃだめですね〜
本気で語ってほしいですね〜この2人には。
204 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 22:49

愛「ありがと、送ってくれて。なんか取り乱しちゃってごめんね!あんな風に・・・するつもりなかったのに」

美貴「・・・」


もう


泣き顔なんか見られたくなかったのに


笑顔でお別れするって決めてたのに


美貴「・・・送ったのは美貴のわがままだから」

愛「・・・美貴ちゃん!アメリカに好きな人がいるなら他の子に・・・好きとか言っちゃっだめ!ほっぺたさわったり優しくしちゃだめ!」

美貴「・・・」

愛「・・・女の子は心配するし、すぐ誤解しちゃうんだから!!」

愛はとびきりの笑顔で言った。

美貴「・・・うん・・愛ちゃん」

美貴は苦しそうな顔でうつむいた。

愛「ほら、美貴ちゃんそんな顔しないの!!にっこにこになるためやよ!美貴ちゃん これからいっぱいいっぱいバスケできるし、好きな人に優しくできるんやよーー!」

ばんっ!


愛は励ますように美貴の肩を笑顔で叩いた。


205 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 22:59

美貴「愛ちゃん」

愛「・・・」

美貴「ありがとう・・・こんなバカで弱い美貴といっつも一緒にいて支えて。じゃあ。」


バカはあーしやよ


美貴ちゃん


好きだよって言われた瞬間


あーし期待したの


美貴ちゃん


あなたの一番じゃないことなんて


わかってるのに


美貴「・・・あ・・」

愛「・・・振り返っちゃだめーーー」

美貴「!!」

美貴が振り向こうとした瞬間に愛が止めた。

美貴「・・・」

美貴は振り返らず前に進んだ。

でも あーし


美貴ちゃんのそういうとこ好きやったんや


ウソつけないとこ


うまくやれないとこ


みんなに優しいとこ


大好きやったんやーーー


206 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 23:14

〜翌日〜

ジョアン「推薦かい!そんな事言ったの!?ミキ」

美貴「・・・うん」

ジョアン「うんってあんたねぇ。自分が本気で好きな子に他の子薦める?」

美貴「本気だからだよ。」

ジョアン「・・・」

美貴「泣いてほしくないんだ。笑っててほしい。なのになんで 愛ちゃんを泣かすのはいつも美貴なのかな・・・あの子なら田中ちゃんならいいと思ったんだ。変なやつに引っかかってほしくないんだ美貴みたいなさ。」

ジョアン「・・・ほんっとつくづくバカねミキは。それであんたが傷ついてたら世話ないじゃない・・・でもあたし ミキのそういうとこ結構好きよ。」

美貴「バカなとこ?それとも変なとこ?」


ジョアン「愛情深いところ」


207 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 23:28

田中「高橋さん!」

高橋「ん?」

田中は部活の帰り道で高橋を呼び止めた。

田中「少し話しませんか?」

高橋「うん・・・」

ふたりは近くの公園のベンチに座った。

高橋「なんか部活でこんなに疲れたの久々やよ!!」

田中「・・・」

高橋「・・・」

ふたりは見つめ合った。

田中「帰ったらなんにも考えずに寝てください」

高橋「!?」

田中「多分高橋さんいろいろ考えすぎ」

高橋「・・・」


田中「無理しすぎです」


高橋「・・・そっか 無理してたのかなあーし・・・あーしは無理に笑ってたのかな・・・」

田中「楽しいから笑う、嬉しいから笑うんです・・・知ってるでしょ高橋さんは」

にこっ

高橋「・・・うん・・」


208 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 23:37

・・・普通のこと


当然のこと


だけど


忘れかけていたこと


高橋「ありがとう・・・田中ちゃん」

田中「別に・・高橋さんのためじゃなかと」

高橋「なんでもいーんや・・・元気もらった!」

・・・田中ちゃんにも

美貴ちゃんにも

あーしはもらえてる


強さも


優しさも


高橋「じゃあまた明日!!」

田中は走り去る高橋の背中を見つめていた。

田中「・・・バーカ・・・れながしたいだけたい・・・」

美貴ちゃんは誰かに元気もらえてる?


209 名前: 投稿日:2005/03/07(月) 23:41

210 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/08(火) 11:04
う〜ん・・・美貴と愛はほんっとーに・・・
いい人ですね〜〜〜・・・・・・・
211 名前: 投稿日:2005/03/09(水) 23:55

〜数日後〜

高橋「田中ちゃーん!!ごめん!待った?」

田中「いえ。れなも今来たばっかりですから。」

あれから高橋と田中は今まで以上に仲良くなり、今日は買い物に行く約束をしたのだ。田中は高橋が来る30分前から待っていた。

高橋「美貴ちゃんとのこと本当にありがとね!あーし美貴ちゃんと喧嘩別れみたいになってたけどちゃんと仲直りできたよ・・・だからね!スッキリした!!ありがと 田中ちゃんに元気づけてもらったおかげやよ。田中ちゃんが元気なくなったときはあーしが元気づけるからね!!」

田中「・・・それよりれなお腹すいたと///」

高橋「よっし!今日はあーしのおごりや!ただし600円以内ね。レッツゴー!!」

高橋は走り出した。


212 名前: 投稿日:2005/03/10(木) 00:03

田中「プッ!・・・600円以内ってマックのセットかよ・・・」

田中は自分を置いて前を走っている高橋の背中を見つめた。


美貴ちゃん


あーし


あーしね、


一度も


たった一度も


美貴ちゃんのこと嫌いになれんかったよ


今までだけじゃない


きっとこれからもずっと美貴ちゃんのこと嫌いになれん


どんなに意地悪で


酷くて


怖くても


それがみんなを思う美貴ちゃんの優しさだろうから


あーしは


そんな美貴ちゃんを好きになったから


213 名前: 投稿日:2005/03/10(木) 00:17

田中「・・・高橋さん!!危ない!」

高橋「ん?」


キキーッ!

高橋が道路に出た瞬間前からバイクが突っ込んできた。

田中「高橋さん!!」

田中は慌てて駆け寄った。

「大丈夫。気を失ってるだけだよ。」

高橋を支えている人が言った。

田中「良かった。ありが・・・と・・」

田中がお礼を言おうと顔を上げるとそこには自分のよく知る人がいた。

田中「ふ、藤本さん!?」

美貴「久しぶり。それと愛ちゃんにケガはないよ。引かれてないから。」

そう愛が引かれる前に美貴が助け出していたのだ。

美貴「じゃあね。」

美貴は愛を田中に託すと歩き出した。


214 名前: 投稿日:2005/03/10(木) 00:26

田中「あ、あの!!」

美貴「うん?」

田中「高橋さんが気がつくまでいてくれませんか?」

美貴「・・・美貴より田中ちゃんがいてあげて?田中ちゃんは愛ちゃんのことが好きなんでしょ?」

田中「な、なんで・・・」

美貴「美貴のカンだよ。」

田中「・・・れながもしそうだとしても高橋さんが今会いたいのは・・・」

美貴「愛ちゃんと美貴はもうケリをつけたから。愛ちゃんに今必要なのは田中ちゃんきみだよ。」

田中「・・・」

美貴「じゃあ・・・」


美貴の背中はどんどんと小さくなった。


215 名前: 投稿日:2005/03/10(木) 10:49

『愛ちゃん!!』


『み・・・きちゃん?』


『大丈夫??』


『美貴ちゃんが助けてくれたん?』


『美貴は愛ちゃんが困ったときはいつでも飛んでくって言ったじゃん』


『美貴ちゃん・・・』


『ん?』


『あーし頑張るから』


『・・・』


『泣かないように頑張る』


『うん・・・』


『あーしね・・・』


『・・・』


『あーし美貴ちゃんのこと好きやっ。』


『愛ちゃん・・・』


『美貴ちゃんのこと大好き!!』


216 名前: 投稿日:2005/03/10(木) 23:52

「・・・さん。高橋さん!!」

高橋「ん・・・」

田中「高橋さん!!大丈夫ですか!?」

高橋「あれ?あーし・・・」

田中「危ないじゃないですか!!」

高橋「引かれてな・・い?」

田中「・・・通りがかった人が助けてくれたんですよ!」

高橋「・・・そうや!美貴ちゃんは?」

田中「へ?」

高橋「美貴ちゃん!美貴ちゃんがあーしを助けてくれたんや!!」

田中「・・・高橋さんを助けてくれたのは藤本さんじゃなくて知らない人ですよ。」

高橋「え・・・?」

田中「夢でも見たんじゃないですか?」

高橋「夢・・・」

あーし夢見てたんや


夢に美貴ちゃんが出てくるなんて


そうとう重症やね


田中「大丈夫ですか?」

高橋「え?あ、うん!!さあ買い物いくやよ〜!」

田中「あ〜。待ってくださいよ!!」

ひとり歩き出した高橋を田中は呆れたように追いかけた。


217 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 00:04

〜数日後〜

あれから美貴と愛は一度も顔を合わせなかった。
ジョアン「ミキ、大丈夫?」

美貴「あぁ、うん。」

ついに美貴たちANGELSがアメリカに帰国する日になった。
美貴たちは搭乗の準備を済ませた。

「みきたーーん!!」

美貴が振り返るとそこにはハロ高の面々が見送りに来ていた。


ただ高橋を除いて。


美貴「みんな・・・」

吉澤「よぉ!!」

柴田「藤本の見送りに来たよ。」

美貴「練習忙しいからわざわざ来なくてもよかったのに。」

石川「あぁー!!美貴ちゃん照れてる〜。」

美貴「照れてませんよ。」

美貴は顔を真っ赤にしながらそっぽを向いた。

新垣「うそうそ!めちゃくちゃ照れてるじゃん!!」

小川「美貴ちゃんリンゴみたいになっちゃって〜。そんなにあたしが来たことが嬉しかったんだねぇ。こっちが恥ずか・・・」

美貴「それはない!!」

小川「えぇー!!」

美貴「ぜっっったいない!!ありえない!」

小川「そんなに否定しなくても・・・」


218 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 00:14

紺野「まあまあ。」

小川「もー!!すねてやるーー!!」

小川は美貴に背を向けた。

矢口「おいおい!小川はなんのために来たんだよ!!」

矢口はなんとか小川の機嫌を取ろうと必死だった。

市井「ったく。それより藤本は背番号1から変わらないだろ?」

美貴「はい。ずっとこの番号でやってくつもりです。」

市井「そっか。あんま無理すんなよ?」

美貴「気をつけますよ。」

美貴は笑顔で言った。

亀井「あ、あの!」

美貴「ん?えっと・・・」

亀井「1年の亀井絵里です!!」

美貴「亀井ちゃんね。でなに?」

亀井「私!藤本さんを応援します!」

美貴「うん!ありがと!」

美貴は笑顔で答えた。

道重「あぁ〜ずるい!私は1年の道重さゆみですぅ。さゆって呼んでくださぁい♪」

美貴「さ、さゆね。よろしく。」

美貴は亀井と道重の勢いに少し圧倒された。


219 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 00:22

後藤「藤本〜。」

美貴「後藤さん。」

後藤「頑張ってきなよ?ごとーたちに勝ったんだから藤本に負けられると困るんだから。」

美貴「はい!!」

吉澤「そうだぞ!藤本に負けられちゃエースナンバーを取られたよしざーの立場がなくなるんだからな!」

吉澤、後藤は苦笑いを浮かべた。

美貴「わかりました!」

松浦「みきたん!まつーらたちの分までアメリカで暴れてきてね?」

美貴「わかってるって。」

松浦「まつーらもみきたんの10番を汚さないように勝ち続けるから!」

美貴「・・・ハロ高の10番はもうあやちゃんだよ。美貴のためじゃなくて今度はハロ高のエースとしてみんなを引っ張って行くんだよ!!」

松浦「みきたん・・・」

美貴「ね?」

松浦「うん!!!」


220 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 00:34

安倍「藤本・・・」

美貴「安倍さん!」

安倍「頑張ってくるんだべよ?あっ!だけど無理は禁物。なにかあったらいつでも安倍さんに連絡するんだよ?」

美貴「美貴頑張ってきますよ!!」

紺野「美貴ちゃん・・・ごめんなさい!!」

紺野は美貴に頭を深々と下げた。

美貴「ちょ・・・ちょっと!こんこんどうしたの?」

紺野「わ、私一緒に行こうって言ったんだけど・・・」

美貴は紺野の一言ですぐに理解した。高橋のことだと。

美貴「あぁ・・・そのことね。まあいいよ。忙しいんだよきっと。」

紺野「美貴ちゃん・・・」

美貴「ほらほらそんな顔しないの。美貴ぜーんぜん気にしてないし!ね?」

紺野「でも・・・」

美貴「美貴もともと誰も見送りに来ないと思ってたし。だからみんなに会えただけで嬉しいんだ!」

紺野「・・・ごめんね」

美貴「ほんっとこんこん気にしないで?」

紺野「うん・・・」


221 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 00:42

ほんとは


本当は


気にしてないなんてウソ


みんなと話してるときも目だけはキミを探してて


だけど


だけどね、


キミが来ないことはわかってたんだ


ここに来ると


お互いに


忘れられなくなる


だからでしょ?


美貴にはわかるよ


だって


美貴は


美貴たちは


幼なじみ『だった』もんね


これからは


キミなしで戦う


もう隣にキミはいない


キミがきっかけを作ってくれた


バスケ


これだけは捨てないよ


どんなに体がダメになっても


バスケだけは絶対やめない


だって


バスケは


たったひとつのキミとの思い出だから


そして


美貴がバスケを


大好きだから


222 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 00:52

ジョアン「ミキ!そろそろ時間よー!」

美貴「オーケー。それじゃあみなさん元気で!」

吉澤「おう!藤本もな!!せーの!」


全員「がんばれエース!!がんばれ藤本!!」

美貴「みんな・・・」

吉澤「今までハロ高のエースだったからな。でも今度は世界のエースになってこい!!」

美貴「・・・はい!!」

ジョアン「ミキ!」

美貴「それじゃあ行ってきます。」

全員「行ってらっしゃい!!」

美貴はみんなに背を向けて歩き出した。

美貴「真琴ー!!」

美貴は背を向けたまま叫んだ。

小川「へっ?」

美貴「見送りありがと!!結構嬉しかったよ!」

小川「美貴ちゃん・・・」

矢口「相変わらず素直じゃないなぁ〜。」

美貴「ハロ高のみんな!全国制覇してください!!美貴は世界制覇します!」

美貴は拳を高々と掲げ通路へと消えて行った。


223 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 01:01

吉澤「あいつめ!」

後藤「んあ。藤本でっかくでたねぇ〜。」

石川「本当。」

松浦「まつーらたちも負けてられませんねぇ」

柴田「まあとりあえず・・・」

全員「全国制覇!!」

市井「おー。なんかすげぇ楽しそうじゃん。」

矢口「紗耶香もがんばれよ!」

安倍「そうだべさ!」

市井「ん、そーする。そうしないとあいつらに怒られそうだし。」

矢口「そんな理由かよ!」

安倍「なっちたちも負けてられないべさ!」

矢口「そうだね!おいらたちも頑張るぞぉ!」

安倍「おぉー!!」

市井「市井さんはマイペースにいきま〜す」

矢口「紗耶香!返事くらいしろよ!!」

市井「へ〜い。」

矢口「はぁ〜。本当にこんなのが日本代表で大丈夫なのかよ・・・」

こうして美貴は日本を去った。


224 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 01:02

225 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/11(金) 01:05
こーしん!!

ひ〜ろし〜さま→はじめまして。作者のワクワクと申します。素直に・・・なるのか!?(笑)

七誌さま→このふたりを含めみんないいひとです!たぶん(汗)
226 名前:みきみき 投稿日:2005/03/11(金) 14:48
作者さん〜♪最高☆☆この更新が待ちどーしい!
素直になれよ!!みぃ〜きぃ〜 涙
227 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/11(金) 21:58
んあ〜なんだか切ね〜な〜
228 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 22:36


ピピーーーッ!!


「つ、ついに高校バスケット界最強とうたわれたオスカー女学院が敗れました!!過去の全国大会決勝でこんな波乱が起きたことがあるでしょうか!?おそらくないでしょう。大型ガードでキャプテンの米倉選手、ルーキーでエースの上戸選手のコンビが抑えることはできませんでした。しかし今日!ついにハロー高校ガードの柴田選手、エースの松浦選手そしてルーキー田中選手の活躍によりハロー高校が初の全国制覇を成し遂げました!」

美貴が去って4ヶ月後の夏の全国大会でハロ高は高校トップを不動のものとしていたオスカー女学院を決勝で敗り、約束通り全国制覇を果たした。


229 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 23:07

「ハロー高校は昨年、高校生初の日本代表そして現在はアメリカWNBAで新チームながらもトップ争いをに加わっている『ANGELS』のプレーヤーでスパーエース藤本選手が率いていましたが、その藤本選手が突然いなくなり、優勝候補と言われたハロー高校は夏の全国大会まさかのベスト16止まり。それから冬の大会に持ち直すも全国制覇ならず。そのハロー高校が悲願の全国制覇です!!それではハロー高校の選手にインタビューしたいと思います。まずは中澤監督、優勝おめでとうございます。」

中澤「ありがとうございます。」

「ずはり今日の勝因はなんですか!?」

中澤「そうですねぇ、藤本じゃないでしょうか。」

「ふ、藤本選手ですか!?」

中澤「ええ。」

中澤は初優勝の嬉しさを体中で表しているハロー高校の選手たちを見ながら微笑んだ。


230 名前: 投稿日:2005/03/11(金) 23:28

「しかし藤本選手はここにはいませんよ?」

中澤「あの子たちは藤本との約束を果たしたんですよ。」

「や、約束ですか?」

中澤「はい。」

「そうですか。本当に優勝おめでとうございます!!」

中澤「ありがとうございました。」

「続いてはキャプテンでセンターの吉澤選手、ガードで副キャプテンの柴田選手です!!」

吉澤「どうも!!吉澤です!」

柴田「こんにちわ。柴田です。」

「初の全国制覇おめでとうございます!!」

吉澤・柴田「ありがとうございます!!」

「最強のオスカー女学院に勝った感想は?」

吉澤「最高っす!!」

柴田「よかったです。」

「先ほど中澤監督が藤本選手との約束を果たしたとおっしゃっていましたが約束とはなんですか?」

吉澤「あぁそれはうちらが全国制覇するから」

柴田「藤本は世界制覇をするという約束です。」

「せ、世界制覇・・・ですか?」

吉澤・柴田「はい!」

柴田「私たちの目標はあくまで藤本なので。」

「あ、ありがとうございました。これからにも期待しています!」

吉澤・柴田「ありがとうございました!!」


231 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 00:05

「続きまして本日ひとりで30得点と大活躍だったエース松浦選手です。こんにちわ。」

松浦「こんにちわぁ。まつーらと申します!」

「藤本選手からエースナンバーを引き継いでプレッシャーだったでしょう?」

松浦「はい。初めはみきたん、あ、えっと藤本選手の番号を汚さないようにしようと思ったんです。だけど藤本選手がハロ高のエースはもうまつーらだって言ってくれたんです。だからまつーらはエースとしての役目を果たせるように頑張りました。」

「へぇ〜。松浦選手は藤本選手が好きなんですね!」

松浦「はいっ!まつーらは藤本選手を最高の相棒だと思ってます。それに藤本選手を好きなのはハロ高みんなですよ!」

「みなさんがいるから藤本選手もがんばれるんですね!」

松浦「それはわかりませんが少なくともまつーらやハロ高の選手は藤本選手がいたからここまでやってこれました!」

「それでは最後に松浦選手の目標を聞かせてください。」

松浦「あたしの目標はいつまでたっても藤本選手です!!」

「ありがとうございました。ハロー高校のみなさん初の全国制覇本当におめでとうございました。」

全員「ありがとうございました!!」

こうしてハロー高校は今まで以上に注目を浴びるようになった。


232 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 00:36

233 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 00:49

〜夏休み〜

中澤「ちょっと集合してくれぇ!!」

吉澤「集合!」

全員「ハイッ!」

中澤「突然やけど再来週息抜きと見学を兼ねてアメリカに全員で行く!!」

全員「えぇーー!?」

中澤の本当に突然なアメリカ遠征に選手の面々はただ驚くしかなかった。

中澤「プレイヤーは本場のバスケを見れるし、マネージャーはプロのケアが見れてまさに一石二鳥や!!」

中澤は得意げに笑った。

柴田「まさかWNBAの試合を見るんですか?」

中澤「当たり前や!!アメリカの本場っちゅったらWNBAやろ!!」

全員「や、やったぁ!!」

234 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 01:04

新垣「アメリカ!あのWNBAの試合が生で見れるなんて・・・」

小川「すごいよ!!」

紺野「本当!アメリカのケアをしっかり学ばなきゃ。ね?愛ちゃん!」

高橋「え?あぁ・・そうやね。」

高橋は少し戸惑っていた。


アメリカ


美貴ちゃんのいるところ


あーしが行く?


忘れられなくて


離れ離れになっても


ずっと


ずっーと


あーしだけここでストップ


みんなも


美貴ちゃんも


あーし以外


みんな前に進んでるのに


235 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 01:15

田中「高橋さーん。何ぼーっとしとっと?」

高橋「あ、ごめんごめん!最近忙しくてついついぼーっとしてしまうんや。」

高橋と田中は珍しく一緒に帰っていた。

高橋「それよりわざわざ田中ちゃんが遠回りして送ってくれんでもよかったのに・・・」

田中「世の中には高橋さんみたいな天然だろーとガキだろーと 女なら誰でもいい人たちだっているんですよ。」

高橋「あっ そっか!田中ちゃん優しいんやね!」

田中「・・・なんなんですか高橋さんは・・・(れながただの親切なキザになっとーと。少しはイヤミに気づかんかね・・・)」

高橋「いやーそっかぁ、そうやよねぇー。なんかあーしあんまり考えずに夜 外出てたなぁ。」


・・・あ


そっか


いつも


どんなときでも


美貴ちゃんがいてくれたんや


236 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 01:22

田中「高橋さん」

高橋「・・・」

田中「藤本さんと仲直りしたって・・・」

高橋「あ、うん」

田中「・・・高橋さんは藤本さんのこと諦めるんですか?」

高橋は空を見上げた。

高橋「・・・あーしね、美貴ちゃんに振られたんや。」

田中「えっ!?」

高橋「あーしの想いを伝えようと思ったら美貴ちゃんがアメリカに好きな人がおるって言ったんや・・・」


『美貴はアメリカに好きな人がいる』


『もう』


『待ったらだめだよ』


高橋「・・・初めからわかってたのに・・・」

田中「・・・」


237 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 01:29

例えば


例えばの話


美貴ちゃんがアメリカいる人のことが好きじゃなかったとして


それでも


美貴ちゃんはきっと同じ事を言ってあーしを振るやないかな


アメリカの人が好きじゃなくったって


あーしを一番に好きじゃないのはきっと同じで


高橋「・・・あきらめるよ もう あきらめる・・・前みる。」

田中「・・・」

高橋「ははっ。今まで散々どーもありがと!!」

田中「・・・前みるんですか?」


238 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 01:33

高橋「・・・?うん・・・」

田中「じゃあ行きましょ!!」

田中は高橋の腕を引っ張って歩き出した。

高橋「えっ・・・行くってどこに?」

田中「とっておきの場所です!!」

高橋「・・・」

高橋はされるがままに田中についていった。



239 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 01:41

田中「着きましたよ!」

高橋「着いたってここは・・・」

田中「そうさっきまでれなたちが練習してた体育館です。」

田中の言っていた『とっておきの場所』はハロー高校体育館だった。

田中「バスケットしましょう。」

高橋「ふぇ?」

田中「高橋さんと藤本さんの思い出が詰まったここで!!前に進むのはなにもひとりじゃなくていいんです。」

高橋「田中ちゃん・・・」

田中「ここでバスケットをしてきれいサッパリ忘れましょう!それでこれからいっぱい新しい思い出作るんです!」

高橋「うん・・・」


バスケットも


美貴ちゃんじゃないひとを思い出すように


240 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 01:48

高橋「ハァ・・・ハア・・・」


バタン!


田中「大丈夫ですか?」

高橋「あ ありが・・・」

ドキッ・・

高橋が顔をあげるとすぐ近くに田中の顔があった。


田中「・・・れながいつも高橋さんのそばで進んで行きますから・・・」

高橋「・・・」

田中「れなは・・・好きな人をひとりにしません」


・・・前を


みる



241 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 01:55

『田中ちゃんは 愛ちゃんを大事にするよ』


『きっと』



・・・聞き間違いじゃない


田中「・・・」

高橋「・・・」

ふたりはしばらく見つめ合った。


からかって


ない


『れなは好きな人をひとりにしません。』


頭が


ドクン ドクン


高橋「・・・・た」


頭が 回らない


ドクン


高橋「田中ちゃん」

田中「いきなり断ったりしないでくださいよ?」

高橋「・・・」

田中「・・・付き合ってほしいとか言ってないんですから。ただ高橋さんとバスケットやりたかっただけです。」


242 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 02:01

高橋「・・・」


『あーし美貴ちゃんと一緒にいたいんや!』


田中「言いたかった・・・だけです」


高橋「・・・」


『あーし美貴ちゃーのこと大好き!!』


田中「・・・だから」


高橋「!!」

田中が高橋の手首を掴んだ。


ドク・・・


田中「さけたりしないでください!」

高橋「・・・」

田中「れなだって不安じゃないわけじゃないんです。」


不安な気持ち


あーしがよく知ってる


243 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 02:09

田中「・・・高橋さん、れなの誕生日知ってますか?」

高橋「・・・そういえば・・・聞いた事なかった・・・・」

田中「11月11日・・・誕生日も知らなかったんです。もっと知らない事、もっと もっとあるでしょ?前みるんならそれをみる事から始めてもいーんじゃないですか?答えを出すなら・・・れなみてからにしてください。」

高橋「・・・///」


これは


美貴ちゃんの事とは関係ない


田中「・・・///」


田中ちゃんの


『本気』なんや


244 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 02:18

高橋「・・・11月11日」

田中「!!」

高橋「あーしほんとに誕生日も知らんかったんやね。」

田中「・・・」

高橋「・・・避けない ちゃんとみる。ちゃんと知るよ。ちゃんと考える!」

田中「・・・」


あーし嬉しい


高橋「・・・ありがとう・・・」


告白


されたのは生まれて初めて


あーし


吉澤さんのときも


美貴ちゃんのときも


いっつも追いかけてたから


やっぱり


どこかで


あーしが誰かに好かれることなんてないと思ってた


嬉しかった


田中「じゃあ・・・」

田中は高橋を家まで送ると去っていった。


245 名前: 投稿日:2005/03/12(土) 02:23

本気で言ってくれる


田中ちゃんの気持ちが


すごく


嬉しかった


だから・・・


あーしも本気で返さなきゃ


美貴ちゃん


あーしの気持ちに


本気で返してくれたよね?


高橋は自分の目に溜まる涙を上を向いて必死にこらえた。


美貴ちゃんとの生活


まんざらじゃなかったやよ・・・・


246 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/12(土) 02:28
更新しました!

みきみきさま→はじめましてですよね?作者のワクワクです。まだまだ未熟でほんっとすいません。

七誌さま→作者は切ないの大好きなんです(苦笑)
最近読者さまが減ってしまっている気がするのはワクワクだけでしょうか?(涙)こんな駄文を好んでくださるかたは所詮いないんだなぁと痛感しております(苦笑)
247 名前:A 投稿日:2005/03/12(土) 08:54
毎日更新されてるか楽しみにしているひとりです!
みきてぃと愛ちゃん、本当にこのままでいいの?
本当の気持ちに正直になって欲しいです。
続き期待しています。
248 名前:星龍 投稿日:2005/03/12(土) 17:13
久しぶりに来て見たらこんな事に・・・。
藤本さんと高橋さんどうなるんでしょう・・。
すごく続きが楽しみです。
これからも頑張ってください!!
249 名前:ひいらぎ 投稿日:2005/03/13(日) 00:20
私も更新を楽しみにしている一人です。作者さん、今後の展開も楽しみにしているので無理せずに作者さんのペースで頑張ってください。
250 名前:マカロニ 投稿日:2005/03/13(日) 09:45
ちゃんと毎回読んでますよ〜(^O^)

ミキティもなんかじれったい(>_<)
愛ちゃんも!
二人とも素直になってほしいです!
田中ちゃんは良い人すぎです☆
251 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/13(日) 19:38
ああ〜田中ちゃんええ人や〜
252 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 22:25

『れなが高橋さんの隣で進んで行きますから。』

あの後田中ちゃんは言葉通りいつもあーしの隣にいてくれた。


笑ってるとき


困ってるとき


落ち込んでるとき


悩んでるとき


いつもいつもあーしの隣にいた


これで


いいんやよね?


あーしには


田中ちゃんを拒否する理由なんか


なーんもないんやから


きっと


このまま田中ちゃんと一緒にいれば


楽しいことが待ってる


253 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 22:32

田中ちゃん


あーしが美貴ちゃん好きなの知ってて


なのにいっつも


励ましてくれた


照れ屋で


案外不器用なところもあって


好きになっても・・・


全然不思議じゃない子


むしろ


田中ちゃんがあーしを好きなのが不思議なくらい


知るたびにいい所や可愛い所がみえて


こんなの


どんどん


好きになるんやないかなって思う


254 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 22:36



あーし



田中ちゃんなら



『田中ちゃんは 愛ちゃんを大事にするよ』



好きになれるかも



田中ちゃんとなら



美貴ちゃんを




忘れられる?




255 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 22:36

256 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 22:48

*アメリカ*

ガコッ!!!


「ま、またきた!!これで何点目でしょう?もう私たちもわからないほどのシュートを決めています!彼女はアジア人初めてのWNBAプレイヤーにして歴代の得点王に引けをとらない!!いや、むしろ最もすごいのではないでしょうか!?」

アメリカではシーズン真っ最中。今日も体育館ではある選手ひとりに目が向けられていた。


「決めなさいよ!!」

「わかってるよ。」

シュバ。


「今度は鮮やかなスリーポイントだぁーーー!!計り知れない力を持ってます!!まさにコート上の『天使』です!」


ピピーーーィ!!
257 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 22:49

258 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 22:56

中澤「全員おるかぁ?」

吉澤「うっし!全員います!!」

中澤「そーか。そしたら出発やーー!!」

空港でいちばん張り切っていたのはハロ高の選手ではなく、今回のアメリカ行きを提案した中澤本人だった。

稲葉「ったく〜。もう見てるこっちが恥ずかしくなるわ。」

そんな中澤を見て稲葉は半分呆れながらも笑っていた。


そんなこんなのうちにハロー高校の面々はアメリカに旅立った。


259 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 23:20

今日は雲ひとつない見事な晴天。文字通り『勝負日和』だ。
そんな日にこれまた絶好な対戦カード。

デビルズ

VS

エンジェルス

現在WNBAで1位つまりは最強のデビルズ
これに対抗するのは今最も勢いのあるエンジェルスだ。現段階では3位と新チームながらも圧倒的な強さを誇り注目を集めている。
この注目の2チームが対戦するにはまさに絶好な日なのだ。


260 名前: 投稿日:2005/03/13(日) 23:33

〜控え室〜

「今日も攻めて攻めて攻めまくれ!!」

「はいっ!」

「特にミキ!!お前はマークがキツくなる。だが、そんなの気にするな!」

美貴「了解。」

エンジェルスメンバーはそれぞれテンションを上げていた。

「ミキ!!」

美貴「ん?どーしたジョアン。」

普段は試合前になると必ず控え室の端で黙って集中力を高めているジョアンが美貴に話しかけた。

ジョアン「今日はいつも以上にミキにボールを集めるから覚悟しなさいよ?」

美貴「ん。わかった!望むところ。」

今思うとこれが何か起きる前触れだったのかもしれない。


そうあんなことが起きるなんて誰も予想してなかった。


美貴も美貴の相棒のジョアンもわからなかったんだ。


261 名前:みきみき 投稿日:2005/03/14(月) 12:38
更新まだ?この話最高☆
262 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/14(月) 22:00
あんなことってなんだ〜〜〜!!!
263 名前: 投稿日:2005/03/14(月) 22:11

ジョアン「みんな!!覚悟はできてるわね?」

全員「イェス!!」

ジョアン「今日の相手は言わずと知れたデビルズよ!!マークは当然キツい。特に・・・」

美貴「美貴でしょ。」

美貴は自分を指差し言った。

ジョアン「そうよ。ただマークがキツいだけならまだいいわ。だけどデビルズにはエースキラーのスミスがいる。向こうはうちのエースで得点源のあなたを確実に潰してくると思うの。だけどそこで逃げると・・・」

美貴「勝負にならない。」

全員「・・・」

ジョアン「そう・・・私たちは今から最強のチームに挑む!!だから生半可な気持ちでやると勝ち目はないわ。」

全員「・・・」

ジョアンの一言にメンバーは黙ってしまった。


264 名前: 投稿日:2005/03/14(月) 22:55

美貴「はいはーい!!みんな暗くならないでよ〜!」

マリア「そ、そんなこと言ってもね・・・」

キャロル「うん・・・」

ナンシー「やっぱりキツいわよ。」

サリー「私たち通用するのかしら・・・」

ジョアン「そ、それは・・・」

美貴「するよ。だから美貴たちは今この大舞台にいる。」

キャロル「でも今までのチームのは違うわ。」

美貴「・・確かに、今までのチームとは格が違う。」

マリア「やっぱりそうなんじゃない。」

ジョアン「・・・」

美貴「だったら通用するようにすればいいじゃん。」

ナンシー「な、なに言ってるの!?そんなこと出来るわけ・・・」

美貴「出来るよ。美貴がやる。」

全員「・・・」

再び沈黙が訪れた。


265 名前: 投稿日:2005/03/14(月) 23:09

美貴「美貴にパスをくれれば絶対決める。例え5人全員がマークしてきたとしても。みんなの繋いだボールを外したりしない!!」

ジョアン「ミキ・・・」

全員「・・・」

ジョアン「そうよ・・・私たちをここまで引っ張って来てくれたミキがここまで言うのよ?やる前から諦めたらそこで終わりよ!!」

マリア「・・・うん。ミキに5人つくことは有り得ないわ!!だってこんな頼れるセンターがいるんだから。」

美貴「マリア・・・」

サリー「私のパワーでかき回してやる!!」

ジョアン「サリー!」

キャロル「私のスリーポイントをなめられちゃあ困るわね。」

美貴「・・キャロル。」

ジョアン「よし!!私たちのバスケットを見せてやるわよ!」

全員「オーケー!!」

ジョアン「レッツゴー?」



全員「ANGELS!!!!」


エンジェルスメンバーは意気揚々と控え室をあとにした。


266 名前: 投稿日:2005/03/14(月) 23:19

「さあいよいよ始まります!!今季の山場と言ってもいいでしょう。注目の対戦カードはエースキラーのスミス率いる最強デビルズ、一方17歳にしてすでに各国から注目を集めているエースのミキ率いるエンジェルス。この対決はどちらに勝利の女神が微笑むのでしょうか!?」


ガヤガヤ


会場内の人はすでにヒートアップしている。

「俺はやっぱりエンジェルスだな!!エースミキは誰にも止められないぜ!!」

「そうだよなあ。それにデビルズのプレーはなんか好きじゃないんだよね。なんかこう、せこいって感じで・・・」

「あぁ、わかるよその気持ち!!」

「何言ってんだよ!!デビルズは立派なチームだぜ?」

「そーだよ!エースキラーのスミス。あいつはすげえよ!!」

両チームが出てくる前に観客はどちらのチームが勝つかというので盛り上がっていた。


267 名前: 投稿日:2005/03/14(月) 23:30


ザッザッザッ


「おぉ!!両チームが出て来たぞ!!」

「ウォォォーーー!!」

「ミキ頑張ってぇ!!」

「デビルズ今年もやっちまえ!」

「エンジェルス期待してっぞぉ!!」

「スミスのエース潰し見に来たんだからなぁ!!」

各チームそれぞれいろいろな方向から声援を受けた。
特に声援を受けたのは



「ミキさまーー♪」

「ミキ!期待してるぞぉ〜!」

「エースの意地を見せてくれ〜!!」

「いつものミキダンクみたいに派手なの頼むぞぉぉ」

やはり今季一番注目度の高いエンジェルスエースのミキだった。


スミス「騒ぎたきゃ騒げばいいわ・・・」

スミスは声援に笑顔で答えているミキに見て不気味な笑みを浮かべた。


268 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 00:12

*デビルズ*

42 ジェリー G
(キャプテン)

22 スミス SG

15 ミッシェル PF
7 ヘレン SF

36 シモン C


*エンジェルス*

4 ジョアン G
(キャプテン)

18 キャロル SG

21 サリー PF

1 ミキ SF

34 マリア C


269 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 00:28

ピピーーーィ!

「ついに試合が始まりました!まずジャンプボールは・・・」


ダンッ!

ビッッ。


「デビルズだぁ!!」

ジョアン「ハリーバァーック!!」

ドドドドドド

全員が一斉に走り出した。

観客「速攻か!?」


ダムダム


42「決めるわよ!!」

ジョアン「(速攻じゃない!!)ちいっ」

ジョアンはガードのマークにつき、すぐさまボールを奪いにかかった。

ビュン!

相手はなにごともないかのようにかわした。

ジョアン「(なめんじゃないわよ!)なっ」

ギュン!!

今度は股を通し、再びジョアンはかわされた。

ドバッ

観客「オォッ!うまい!!」

42「ヘレン!!」

ビッ

美貴「マリア行ったよ!!」

マリア「わかってる!」

42のパスは7に通った。


ギュン


マリア「!!」


パサッ


ティンティンティン


観客「オオォォォ!!」

「試合開始からヘレン選手得意のターン爆発です!!なんて速いんでしょう!速すぎてマリア選手も反応できませんでした!」


270 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 00:42

マリア「くうっ!!(速い!あたしが見えなかった・・・)」

マリアは悔しさのあまりに下をむいた。

ポンッ

美貴「気にすんな。次のオフェンスで美貴が取り返すから。」

美貴はマリアの背中を叩くとゴール下へ走って行った。


ダムダム


ジョアン「落ち着いていくわよ!!」

全員「うん!」


ビッ


ジョアンは一瞬の隙を見逃さずにパスを出した。

美貴「おっし!」

美貴がボールを持った途端にマークが増えた。


観客「だ、ダブルチームだぁぁぁ!!」

美貴にはエースキラーのスミス、そして先ほどゴールを決めたヘレンがついた。

美貴「ふ〜ん」

美貴はドリブルで突っ込んだ。

7「行かせない。」


ギュン!!


7・22「!!」


ザシュ。


観客「い、今のは・・・」

ジョアン「ナイス!!」

美貴「ほいよ!」


観客「ヘレンのターン!!しかもミキのほうが速い!スリーポイントだ!!」

「な、なんていうことでしょうか!先ほどシュートを決めたヘレン選手の得意なターン返しだぁぁ!!」


271 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 00:46

7「ちっ。あたしのターンをよくも真似してくれたわね。」

ヘレンは顔をしかめた。

22「まあまあ、楽しみはもう少し後にしましょ?」

7「ふふふっ。そーだったはね、スミス。」

ふたりは仲間たちとタッチを交わすエンジェルスエースを見つめた。


272 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 01:03

デビルズのリスタート

ダムダムッ

ジョアン「ディフェンスしっかり!!ハンズアーーーップ!」

全員「おう!」


42「シモン!!決めちゃって!」

36「よぉぅし!」

バシ!

36はボールをゴール下で受け取ると強引にシュートモーションに入った。

マリア「今度はさせない!!」

36「まだまだ甘いわねぇ。」

マリア(フェイク!?)

36はシュートフェイクでマリアのマークを外すと今度は本当にシュートを打った。


バンッ!!


36「なっ!?」

36が放ったシュートは真っ直ぐにリングへ向かったと思いきや途中で行く手を阻まれ、バックボードに当たり落ちた。

36「1番のブロックショット!!」

美貴がボールをはじき出したのだ。

ジョアン「速攻!!!」

ドドドドドドドドッ

ジョアンのかけ声と共に両チームとも走り出した。


273 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 01:10

ダムダムッ!

ジョアン「ふふっ、引っかかったみたいね。」

ビッ!

42「バックパス!?」

ジョアン「いいタイミングでフリーになったんだから決めなさいよ?」

ジョアンがパスを出したのは・・・


美貴「オーケー!!」


ガシュッ!!


テンテンテン・・・


「で、で、出たぁ!!ミキフジモトのハーフラインからのシュート!!」

観客「ワァァァーーー!」

美貴は拳を天井に突き出した。


22「ふんっ。」

スミスはイライラを隠すかのように走って行った。


274 名前:みきみき 投稿日:2005/03/15(火) 13:19
やっぱりこれ最高♪♪
275 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 18:36

デビルズボール

42「オーケー、落ち着いて行きましょ。」

デビルズ「イエス。」

デビルズメンバーは美貴のハーフラインからのシュートに一瞬戸惑ったかのように見えたが、そこは最強と言われているだけのことはありすぐに立ち直った。

42「スミス!!」

エンジェルス(きたっ!!)

22「・・・あたしのマークはあんた?」

キャロル「あら、私じゃ不満ですか?」

エースキラーのスミスのマークについたのはエンジェルスで一番キレイなスリーポイントシュートを放つ。美貴と同じくらいキレイな。そしてディフェンスにおいても美貴やジョアン、マリアのように派手ではない。しかししつこさではピカイチだ。そうデビルズでいうならスミスのような存在なのだ。


276 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 18:45

ただデビルズスミスとエンジェルスキャロル、似たもの同士にもたったひとつだけ違いがった。



それは



『エースキラー』

文字通りデビルズスミスは容赦なしに当たってくる。相手チームのエースは生かしておかない。たとえケガをさせたとしても。一方エンジェルスキャロルはそんなことはしない。エンジェルスにはオフェンスディフェンスどちらをとってもピカイチなエース美貴がいる。したがってキャロルが相手のエースをマークすること自体がないのだ。


ここがふたりの差だ。


277 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 19:03

スミス「いくわよ・・・」

テンテンテン

キャロル「その程度で私を抜くことは・・・なっ!?」

ダッ

スミスは突っ込むと見せかけて右後方へ下がった。


シュッ


エンジェルス(フェイドアウェイ!?)


パサッ・・・



シーン



「出たぁ!スミスの新技フェイドアウェイです。フェイドアウェイとは体を後ろに傾けながらジャンプをしシュートすることです。これを利用することによってブロックよりも高い起動でゴールに向かうのでなかなか止めることができないのです!!」

観客「すげーー!!スミスはいつの間に身につけたんだぁ!?」

観客「あなた知らないの?この前の試合で初披露してたじゃない!!」

そうスミスのフェイドアウェイは美貴たちエンジェルスと対戦する前の試合で見せていたのだ。
しかし美貴たちも同時に試合を行っていたのでチェックしていなかったのだ。


278 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 19:15

スミス(ふふふっ。楽しみの前に私の新技で突き放してやるわ。)

42「どう?今日の調子は?」

22「見ればわかるでしょ?」

42「ふふっ。そうねぇ。あたしも負けないように頑張るわ。」

パンッ!!

ガードとエースキラーはハイタッチを交わした。

ジョアン(す、すごいわ!やっぱり今までのチームとは比べものにならない。ミキに2本決められたのに動じないなんて・・・)


ポンッ。


ジョアン「ん?」

ジョアンは肩を叩かれ振り返った。


279 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 19:25

「な〜にビビってんの?」

ジョアンが振り返るとそこには美貴が笑顔で腰に手をあて立っていた。

ジョアン「な、なに言ってんのよ!!」

美貴「ウソこけ〜。現に今だって焦っちゃってるじゃん。」

ジョアン「うっ・・・」

美貴「ほらね。やっぱり図星なんじゃん。」

ジョアン「・・・」

美貴「な〜にあんなのでビビってんだよ。」

ジョアン「あ、あんなのってあんた・・・」

美貴「まあみてなよ。」

美貴は不適な笑みを浮かべてから走り出した。

ジョアン「なんなのよ・・・ったく。」

ジョアンは少し不安そうな顔になりながらも美貴を信じた。


280 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 20:44

エンジェルスのリスタート

ダムダムッ

ジョアン「一本決めてくわよ!!」

美貴「オッケー!!」

3人「・・・」

エンジェルスメンバーの美貴以外は先ほどのスミスのフェイドアウェイに動揺していた。
エンジェルスはデビルズと違って作りたてのチームだ。やはりメンタル的な面では弱い。今までチームとしての大きな挫折がなかったために立ち直りが難しいのだ。

ジョアン「ミキ!!(頼むわよ・・・)」

ビッ

美貴「オッケー。」

メンタル面で不安を抱えたのはジョアンも一緒だった。


281 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/15(火) 21:18
エンジェルスがんばれー
282 名前:星龍 投稿日:2005/03/15(火) 21:34
この試合すごく面白そうですね。
エンジェルス頑張ってください!
そして作者さんも無理をなさらず頑張ってください。
283 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 22:00

新しくエンジェルスが作られてキャプテンを任された。重圧に押しつぶされそうだった。
そんなときに現れたのが誰でもなく『ミキ』だった。
ミキは年齢が一番下にもかかわらずエースになり、正直メンバーから苦情も言われてた。こんな若いアジア人をエースにしていいのかって。
だけどミキのプレーを見てみんな納得した。
それからミキは多分誰よりも期待されて重圧がのしかかってた。なのにミキはそんな仕草などみじんも見せずに常にエースとしてみんなを引っ張ってきてくれた。


だから



だから



あんたを信じるわよ!!


284 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 22:17

美貴にボールが渡ると再びスミスとヘレンがダブルチームについた。


ビタッ!


美貴「ダブルチームで徹底マークね・・・」

キュキュ

スミスとヘレンは徹底的に美貴をマークした。

キュッ!!

美貴は得意の姿勢の低いドリブルで進んだ。


22「いかせ・・・えっ?」

ダムダム

美貴はドリブルで一歩後ろに下がりスリーポイントラインからシュートを打った。

美貴「いっけぇー!!」

7「こ、これは・・・」


バサッ


「フェ、フェイドアウェイ!?」


285 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 22:25

ビッ!!

スミス「!!」

美貴「悪いけど美貴はあんたたちには負けないよ!」

美貴はスミスを指差して言うとすぐにディフェンスに戻って行った。

スミス「なっ、生意気な・・・」

美貴「あんなんでビビることわないよ。やられたら美貴がやり返す!」

マリア「お、おう!」

キャロル「わかった!」

サリー「ミキ!!」

ジョアン「(やっぱりこの子はすごい!!)よぉし!ここからはミキだけじゃなくあんたたちにもパスどんどん回すからね!!」

3人「オッケー!!」

美貴「その前にまずはこのディフェンスでボール奪うよ。ハンズアーーーップ!」

エンジェルスは美貴のプレーで雰囲気がガラリと変わった。


286 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 22:38

ーーその後
試合はお互い一進一退の攻防が続いた。
デビルズはエースキラーのスミスが外から、ヘレン、シモンがインサイドからと中と外をうまく使って得点。一方エンジェルスはインサイドからマリア、サリーが攻めるもデビルズのインサイド3人には勝てず、外からはキャロルにスミスがつきなかなか打たせてもらえなかった。しかし美貴がうまくカバーに入ったり美貴にパスが通ると必ず決めた。


第一クォーター終わった時点で

デビルズ29点

エンジェルス27点

わずかワンゴール差になった。


287 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 22:57

〜エンジェルス〜

「ハア・・・ハア・・」

ジミー「だ、大丈夫か?」
エンジェルスメンバーの疲労はこの10分だけで相当なものだった。体力プラス精神的にやられてしまったのだ。

美貴「んーっ!結構キツいですねぇ。」

ただ美貴だけは他のメンバーと比べて疲労は薄かった。

ジョアン「ンハ・・あんた・・ハア・・一番・・・動いてるのに・・・なんでそんな・・フウ・・元気なのよ・・・」

美貴「ん〜なんでだろうね。」

そう美貴は試合の中で一番運動量が多いにもかかわらず疲労の色が見えないのだ。

ジミー「ミキ!!」

美貴「はい?」

ジミー「試合はキツいか?」

美貴「今までとはレベルが違いすね。だけどその分すっごい楽しいです!!」

4人「!?」


288 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 23:05

ジミー「そうか・・・まだまだいけそうか?」

美貴「はい!バッチシいけますよ。」

ジミー「よし!!じゃあそろそろそれを外せ。」

全員「!?」

ジミー監督が指差したのは美貴の腕と足首についたパワーリストだった。

美貴「ふえ?これ外すんですか?」

ジミー「そうだ。お前は疲れがあまり見えていないがこの通り他の4人は疲労がたまってしまった。第二クォーターはミキ、お前が全てやれ!!」

ジョアン「監督!!ハア・・・いくらなんでも・・・ウッ・・・1人で・・全ては・・」

マリア「そ・・うですよ・・はぁ・・ミキひとりなんて・・・」

ジミー「お前こいつを誰だと思ってる!こいつはエンジェルスエースのミキだぞ?」

キャロル「でも・・・」

4人は監督の指示に戸惑った。


289 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 23:14

ジミー「それに今まではパワーリストをしていたがこれからは外してやるんだ。」

4人「・・・」

4人は黙ってしまった。

美貴「美貴やります。」

ジョアン「ちょ・・・なに・・ゲホゲホ・・言ってんのよ!」

美貴「監督の指示は絶対だよ。それに今美貴がひとりでやって第三クォーターからはまたみんなでやるってことですよね?」

ジミー「そうだ。それにまだエースキラーのスミスがミキについていないんだ。ここが一番チャンスなんだよ。もちろん他の4人には最低限の仕事はしてもらう。要はディフェンスだけするってことだ。とりあえずマークだけは頑張れ。あとはリバウンドはマリアに少し頑張ってもらって、オフェンスはミキに全部任せろ。」

キャロル「だけど・・・」

美貴「大丈夫だよ。美貴はそんなんでぶっ潰れたりはしないから。それにオフェンス楽しいしね。」


290 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 23:20

ジョアン「わかったわ。ハアハア・・・ミキに・・任せる」

ジミー「よおし。キャプテンがこう言ってるんだ!お前たちもいいな?」

3人「・・・はい」

ジミー「お前たちは下手に気を使うな!とりあえず自分の体力に専念だ。そしてミキ!」

美貴はパワーリストを外した。

美貴「パワーリストを外せ!!ですよね?」

ジミー「そうだ!!いいか。お前にエンジェルスの勝負を託す。ただ気負いはするな!お前のやりたいようにやれ。」

美貴「はい!」

ジミー「お前はエンジェルスのエースだ!!自信を持っていけ!!」


バシ!


ジミーは美貴の背中を叩いた。

美貴「オッケー。任してください。」


エンジェルスメンバーはコートに入った。


291 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 23:31

〜観客席〜

吉澤「す、すげー・・」

石川「本当に来たんだね・・・」

後藤「雰囲気が違うねぇ〜。」

柴田「さすが本場アメリカのプロリーグWNBA!!」

ハロー高校メンバーはデビルズVSエンジェルスの試合を観客席で観戦していた。

中澤「どおや?すごいやろWNBAは。」

新垣「すごいもなにも・・・こんな試合が見れるなんて!」

小川「うんうん!WNBAの試合見れるだけですごいのに!!」

里田「まさか見る試合が注目の対戦カードデビルズVSエンジェルスなんて!!」


全員「聞いてないですよ!!!」

中澤「そりゃそーや。あたしは言っとらんもん。それにこういう試合のほうが学ぶことも多いやろ?」

中澤はちょっとしたイタズラを終えた満足感で満たされた。


292 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 23:43

稲葉「ん?なんや松浦今日はやけに静かやなぁ。」

稲葉は普段なら誰よりも早く話し出す松浦が今日はまだ一言も話していないことに気づいた。

松浦「・・・」

松浦はただジッとコートを見つめていた。

辻・加護「あやや〜??」

辻・加護がからかっても松浦はコートを見つめた。

石川「松浦。どーしたの?」

見かねた石川が嫌がる加護を自分が座っていた席に移動させ、加護の座っていた松浦の隣の席に自分が腰掛けた。

松浦「石川さん・・」

石川「なんか気になることでもあった?」

石川は松浦に問いかけたが実は石川自身にもひとつひっかかっていることがあった。

松浦「あの・・・」

石川「うん?」

松浦「みきたんは本気なんでしょうか?」

全員「えっ!?」

松浦の思いがけない一言に全員が松浦を見た。


293 名前: 投稿日:2005/03/15(火) 23:52

松浦「確かにみきたんはすごいです。だけどまつーらにはどうしてもみきたんが本気を出しているようには見えないんです。」

松浦はエンジェルスのベンチにいる美貴を見つめて言った。

紺野「あやちゃんの気のせいじゃない?」

高橋「・・・」

新垣「そうだよ!いくら美貴ちゃんがすごくてもこんな場面で本気を出さないなんて・・・」

石川「そうでもないよ。」

全員「!?」

石川「実はね、私たちとエンジェルスが練習試合をしたことがあったでしょ?」

吉澤「うん。だけどさそれとこの試合どう関係あんの?」

石川「美貴ちゃんの格好だよ。」

後藤「んあ、格好?」

石川「そう格好。美貴ちゃんが変わったところは?」

柴田「そういえば今日はサングラスしてないよね。」

石川「そう。あれはなんのためだったか覚えてる?」


294 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 00:03

道重「はいはぁい♪さゆ先生から教えてもらいましたぁ。確か視野を片目で見えるくらいに狭くして鍛えてたんですよねぇ♪」

石川「うん。さゆの言う通り!だから美貴ちゃんは試合中もサングラスをしてたの。」

田中「でも今はしてませんよ?」

石川「うん。だけど問題はサングラスじゃないの。」

吉澤「え?じゃあ・・・・」

石川「美貴ちゃんは目を鍛えてた。これってちょっと変わってると思わない?」

柴田「確かに。」

石川「でしょ?松浦なら自分を鍛えるとしたらまずどこに目をつける?」

松浦「それはやっぱり足と手ですね。」

石川「だよね。普通のバスケット選手ならまず鍛えるのは足と手。」

松浦「でもみきたんは・・・」

石川「って練習試合したときは私も思ったんだけどね。美貴ちゃんとみんなの違いは?」


295 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 00:10

松浦「みきたんとみんなの違い・・・」

石川「そう私たちと美貴ちゃんの試合中の決定的な違い。」

松浦は美貴をジッと見つめた。

吉澤「えー?よしざーたちと藤本の違いなんて・・・」

松浦「リストバンド・・・」

全員「えっ?」

松浦「みきたんはまつーらたちとの練習試合のときも今もずっと両腕にリストバンドしてます!!」

後藤「あーそれはごとーも気づいたけどあれはただ御守りみたいなもんなんじゃない?」

吉澤「なぁんだ。せっかくわかったと思ったのにぃ!!」

全員肩を落とした。


296 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 00:25

柴田「梨華ちゃん。」

石川「ん?なに?柴ちゃん。」

柴田「藤本のリストバンド・・・あれ鉛入ってるよね?」


全員「えぇぇ!?」


吉澤「柴ちゃん。いくらなんでもそりゃないっしょ?藤本は今までの試合ずっとあれしてたんだから。」

後藤「そうだよぉ。鉛なんて入ってたら重くて試合なんて・・・」


石川「柴ちゃん正解!!」

吉澤「うえ!?」

後藤「んあ!?」

石川「柴ちゃんの言う通り美貴ちゃんのリストバンドには鉛が入ってるの。稲葉先生いわく片手ずつに約1s。」

新垣「す、すごい!!」

田中「い、1s!?」

松浦「だからみきたんは本気に見えなかったのか〜。」

石川「多分そうだろうけど今の柴ちゃんの答えだと100点中50点かな。」

全員「えっ?」

全員答えがわかってすっきりした顔になったが石川の意味深な一言で再び眉間にシワがよった。


297 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 00:35

吉澤「まだなんかあんの〜!?」

石川「もう!ヨッスィは鍛えるならどこ?」

吉澤「そりゃ〜手とあとは足だろ!!」

松浦「まさか・・・」

全員再び美貴を見た。今度は全体ではなく足首を。

石川「ちなみに足首には約3sくらいだそうよ。」

小川「3キロ〜!?」

里田「全部で8sだよ・・・」

紺野「そんなので美貴ちゃんは試合をやってたんですか!?」

石川「うん。私たちとの練習試合、その後の高橋をかけた試合もそして多分WNBAの試合も今までのは全部。」

松浦「すごい・・・」

吉澤「ちょちょっと待って!ってことは練習試合でのスリーポイントラインから飛んだのも、一回転シュートも全部8sつけてやったってこと!?」

石川「うん。」

後藤「あはははは。やっぱり藤本すごいなぁ。」

ハロー高校メンバーは美貴の秘密を知り、あまりのすごさに唖然とした。


298 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/16(水) 00:40
途切れ途切れの更新です。(汗)
みなさまカキコありがとうございます!!
ワクワクの駄文をこんなたくさんのみなさまに読んで頂いているとしり感激です(ToT)
話もそろそろ最終回に近づいてまいりました!!これからもカキコ待っておりますm(_ _)m
299 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 22:37

第二クォーター開始

エンジェルスボールから始まったがセンターのマリアが疲れのあまりオフェンスチャージングをとられそのままデビルズボールとなり、エンジェルス監督ジミーはセンターマリアに代えてセンタースーザンそしてひとまずガードジョアン、パワーフォワードサリーに代えスモールフォワードナンシー、パワーフォワードエイミーを入れた。
しかしジョアンが抜けてガードが存在しない。


300 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 22:48

美貴「ディフェンス!!スーザン、ナンシー、エイミーはとくにリバウンドだよ!!」

3人「オーケー!」

コート内の監督ジョアンが抜けてしまったので美貴が指示を出した。

美貴「キャロルは22の徹底マーク!フェイドアウェイに気をつけて!!」

キャロル「はあ・・・はあ・・・」

キャロルは疲れて美貴の声が耳に入っていなかった。


ダムダム


42「スミス!!」

デビルズの司令塔はその隙を見逃さなかった。

22「オーケー。」


シュ


スミスは再びフェイドアウェイを使った。


ザシュッ


美貴「くそっ!!」

キャロル「ハアハア・・・」

スミスのシュートはキレイな弧を描いて入った。


301 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 22:56

ビビーーーッ!!

「おーっとここでエンジェルス再びメンバーチェンジです。キャロルに代わりシューティングガードのジェーン選手です。これでエンジェルスはスターターで残っているのはエースミキ選手だけになりました!しかしジョアン選手が抜けてガードがいません。ここはやはりシューティングガードのジェーン選手がボール運びをするのでしょう。」

観客「まじかよーー。俺ジョアンのパスワーク好きなんだぜ?」

観客「私も!!ジョアンとミキのラインが見れないなんて〜。」

会場のあちこちからブーイングが飛んだ。


302 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 23:04

ジョアン(すごいブーイング・・・だけど私が出てるよりももっといいものが見れるかもしれないわ)

〜観客席〜

吉澤「あのガード下げちゃって大丈夫なんっすかね?」

中澤「んー、まあジミーも何か考えがあってのことなんやろう。」

吉澤「はあ・・・」

稲葉「それよりも全員今から藤本のプレーから目離すなよ?」

全員「えっ!?」

稲葉「お前らはラッキーや。まあ見ればわかるやろ。」

ハロー高校メンバーの視線は美貴に向けられた。


303 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 23:18

ダムダム


「さあ行きますよ?」

4人「オーケー!!」

デビルズ「えっ!?」

観客「!?」

「な、な、なんと!!エンジェルスはエースミキがガードの位置でプレーしています!これは非常に珍しいです!」

美貴「スーザン、ナンシー!!ゴール下入って!」

2人「わかった!」

美貴の指示はとにかく的確だった。

42「他人のことを気にしてる暇はないわよ?」

デビルズ司令塔が美貴のボールを奪おうと突っ込んできた。

美貴「待ってましたぁ。」

美貴は42が動くの待ってたかのようにドリブルで進んだ。

42「なっ!」

そしてすぐさまジャンプシュートを打った。


バサッ


美貴のドリブルとシュートモーションは速くてマークについていた42番には見えなかった。


304 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 23:27

観客「い、今の何が起きたんだ?」

観客「わかんないけど・・・」

「すんげーーーー!!」

観客「俺はこれを待ってたんだよ!これを!!」

観客「ミキ!!!」

美貴の思わぬプレーに会場全体が湧いた。


ナンシー「ミキナイスよ!!」

美貴「うん。さあ今度はディフェンス!気を抜かずに!!」

4人「おう!」

美貴「各ポジションの相手をマンマーク!!自分のマークする相手だけには絶対負けちゃだめだ!」

ジョアン(ミキ・・・)

4人「オーケー!」


305 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 23:36

ティンティン

42「なかなか活きがいいわね。」

美貴「お褒めの言葉ありがとう。」

42「(カチーン!)シモン!」

ビュ

42はセンターにパスを出した。

36「オーケー!」

スーザン「させないわ!!」

36「ひかかったわね」


ビッ


22「ナーイスパス!シモン!!」

スーザン「バックパス!!」

シモンはスミスがノーマクになったのを見てバックパスを出したのだ。


22「残念ね。」

スミスはスーザンに嫌味を言い放つと得意のフェイドアウェイを打った。

ビッ!


306 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 23:43



「残念はどっちだかね。」


バシッ!!



デビルズ「なっ!!」


22「バカな・・・」


スミスのフェイドアウェイで放たれたボールはある影が出てきたとともに弾かれた。



全員「ミキ!!!」


ジョアン「ルーズボールを取って!!」

美貴が止めたことによってコート内は敵味方関係なく全員棒立ちになっていた。


ガシッ!!


美貴「おっし。速攻!」

4人「お、おう。」

デビルズ「し、しまった!」

デビルズメンバーが気づいたころには時すでに遅し。美貴がレイアップを決めた後だった。


307 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 23:51

ジョアン「ミキナイスよ!!」

美貴「おう。」

美貴はベンチのメンバーに向かってピースサインをしてディフェンスに戻った。

ジョアン「・・・ったく、お調子者なんだから・・・」

ジョアンは言葉とは裏腹に美貴を尊敬の眼差しで見つめた。

美貴「喜んでる暇はないよ!さっきみたいに試合中ぼーっとしてちゃダメ!常に集中!!」

4人「わかった!!」

美貴「それとエイミー!簡単に抜かせちゃダメだよ。せめてパスコースは防ぐ!」

エイミー「う、うん。」

ジョアン「ミキのおかげでいい雰囲気になったわ・・・」


308 名前: 投稿日:2005/03/16(水) 23:59

〜観客席〜

新垣「い、今確か美貴ちゃんは・・・」

小川「逆サイドの42番をマークしてた・・・よね?」

里田「な、なんで・・・あれが止められたの?」

ハロー高校メンバーは今の美貴のディフェンスに疑問を持った。

中澤「はぁ〜。あんたらなんのために記憶ちゅーもんがあんねん!!」

辻「どういうことれすか?」

稲葉「あんな、あんたらが練習試合したときを思い出せって裕ちゃんはいいたいんや。」

全員「・・・」

ハロー高校メンバーは真剣な顔つきで練習試合をしたあの日を思い返していた。


309 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 00:07

道重「あっ!!」

道重は何か思い出したかのように顔を勢いよく上げた。

石川「さゆなんか思い出したの!?」

道重「あの日もさゆは可愛かったですよねぇ♪」

全員「はあ・・・」

石川「期待した私がバカだった。」


田中「スリーポイントライン・・・」

全員「へっ?」

田中「確か藤本さんはスリーポイントラインからジャンプしてダンクしたっちゃ。」

全員「あぁーー!!」

中澤「そうや。あれはパワーリストを全部で8sもつけてたんや。」

柴田「そうか!だったら今のは・・・」

全員「リストバンドを外した!!!」

稲葉「そういうこっちゃ。」


310 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 00:08
少量更新でございます!!
311 名前:ひろ〜し〜 投稿日:2005/03/17(木) 11:46
すげぇ・・・。美貴ティすげぇ・・・。
ってか最終回近いんですか?!
結局、愛ちゃん達どうなっちゃうんですかぁ?!
312 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 16:37

デビルズスタート

ダムダム

42「みんな!!こんなのWNBAだからいっぱいいるのよ!!だからビビるこたーない!」

デビルズキャプテンで司令塔の42番ジェリーは自分の得意技フェイドアウェイを止められたスミスやそれを見たメンバーが明らかに気負いしていたのでメンバーに呼びかけた。


313 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 16:51

スミス「・・・次は止めさせないわ!!」

ジェリー「スミス・・・」

シモン「あたしがリバウンドを死ぬ気でとる。」

ミッシェル「ヘレン!!」

ヘレン「うん。私たちがシュート決めてリバウンド取れば余裕よ!」

スミス「みんな・・・」


ティンティン


ジェリー「はいはい!余韻に浸ってるひまはないわよ。今は攻撃!シモン、ヘレン、ミッシェルはインサイドでボールが落ちたらリバウンド。」

3人「イエスサー!!」

ジェリー「スミスはかまわずどんどん打つ!」

スミス「わかった。」

314 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 17:11

キュッ

美貴「悪いけど好きにさせないよ。」

デビルズ司令塔42番に美貴がついた。

42「エースで騒がれてるからっていい気ならないほうがいいわよ?」

美貴「忠告ありがとうございます。だけど美貴負けられないんだよ。」

ダムダム

42「私たちデビルズに勝つつもり?」

美貴「当たり前!」


シュ


42「ヘレン!!」


パシッ!


7「オーケー・・・えっ?」

美貴「残念でした!」

ジェリーからゴール下のヘレンにパスが出されたが美貴が止めていた。


315 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 17:26

42「くっ・・・ハリーバック!」

美貴「走れーーーっ!!」


ドドドドドド


美貴が叫ぶとともにコート内全員が走った。


キュキュッ!


美貴「なっ・・・」

22「今のうちにマークついて!!」

先を走っていた美貴にエースキラーのスミスが追いついた。

美貴「やりますねぇ。」

22「ふんっ!あんたに褒められる筋合いはない。」

スミスは美貴を睨んだ。

ダムダム


ビッ!


美貴「いっけーーー!!」

22「は、速い!シュート!」



ドカッ!!



デビルズ「!?」


316 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 17:33

観客「ウ、ウォォォーーーーーー!!」

観客「すげえ!すごすきだよ!!」


「ア、アリープゥです!!エースミキのシュートかとだれもが思ったのはつかの間。あれはパスだったのです。ミキのパスに反応したセンターのマリアも強烈です!!」

そう美貴はスミスを抜きシュートを打ったかのように見せかけたが実はゴール下マリアへのパスだったのだ。


317 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/17(木) 17:37
すみません間違えました(^。^;)
センターはマリアではなくスーザンです。
318 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 17:41

ジョアン(速い!!今までの美貴とは比べものにならないわ。あのディフェンススペシャリストのスミスがついていけなかった・・・)


美貴「スーザンナイッシュ!」


パン!


美貴はスーザンの背中を叩いた。

スーザン「ミキもナイスパス!」

美貴「おぅ。」

美貴はスーザンに微笑みかけた。


319 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 17:55

この後エンジェルスは速攻でデビルズに得点を許した。しかしエンジェルスは美貴のゲームコントロールによってどんどん得点を重ねていった。
美貴かゲームコントロールだけではない、本来スモールフォワードというポジションでエースを張っているだけあり、シュート、リバウンド、スチールと色んな場面で活躍した。
そしてなんといってもいつもと違う美貴のスピードとパワーに観客そして普段一緒にプレーしているエンジェルスメンバーまでもが釘付けになった。


320 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 17:59

ビビーーーッ。


第二クォーター終了


デビルズ42点

エンジェルス63点


この第二クォーターは美貴の活躍によりエンジェルスが21点という大差をつけて終了した。


321 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 18:08

〜観客席〜

「おいおいなんか今日のミキいつもと違くないか?」

「そうねぇ。スピードが比べものにならないわ。」

「スピードだけじゃない。パワーもだろ?」

「それを言うならジャンプ力も違う!!」

「「「「とにかくすごい!!」」」」

中澤「やそうやけどあんたらはどう思った?」

観客の意見を聞いていた中澤は隣に座っているハロー高校メンバーに聞いた。


322 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 18:38

吉澤「違う・・・」

柴田「違うどころじゃないよ。」

石川「あんなに・・・」

松浦「す、すごい!」

後藤「さすがだねぇ。」

中澤「あれが本来の藤本や!!」

新垣「あれが・・・」

小川「本当の」



全員「藤本美貴!!!」


全員声をそろえて言った。


323 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 19:00

〜控え室〜

試合の半分第二クォーターまで終わったので両チームともいったん控え室に戻った。

ジミー「ミキ!よくやったぞぉ!!」

美貴「フゥ・・・うっす。」

ジョアン「ナイスプレー!!」

美貴「・・・うん」

美貴はひとりでゲームを作ったので少し疲れていたが、それはほんの少し息が切れる程度だった。

ジミー「ミキ後半にもいけるか?」

美貴「もちろんっすよ。」

ジミー「よっし!それじゃ第三クォーターはスターターのメンバーに戻すぞ!」

全員「はい!!」


324 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 23:13

カツカツカツ


観客「出てきたぞ!!」

ワーーーァァ!!

両チームが再びコートに登場するとサポーターのボルテージは急上昇した。

「またすげーの見せてくれよ!!」

「私さらにミキ大好きになっちゃった♪」

「えー私だよ!」

「エースはすげぇよな〜」

「ミキのダンクもっと見てー!!」


マリア「なにこれ・・・」

マリアが驚くのも無理はない。観客から向けられる声援というものは敵味方関係なく全て自分のチームのエースミキに向けられたものなのだ。


325 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 23:23

〜デビルズ〜

ヘレン「な、なんで・・・」

デビルズメンバーもまた驚いていた。なにしろ自分たちデビルズのサポーターまでもが相手チームのエースミキに声援をおくっているのだ。


ポン


スミス「気にすることないわ。」

ヘレン「スミス・・・でも・・」

ジェリー「スミスの言う通りよ!」

ヘレン「!!ジェリー!」

ジェリー「みんな集まって!」

全員「はいっ!」

デビルズメンバーは円陣を組んだ。

ジェリー「次の第三クォーターが勝負所よ。」


ゴクッ・・・


326 名前: 投稿日:2005/03/17(木) 23:33

ジェリー「さっきの第二クォーターは21点リードされて私たちは出遅れた。」

全員「・・・」

ジェリー「だけど私たちは負けない!!」

シモン「当たり前よ。」

ジェリー「勝つためには・・・」

スミス「いつもの作戦ね?」

ジェリー「そう。」

全員「オーケー。」

デビルズメンバーはエンジェルスのベンチを見ながら怪しげな笑みを浮かべた。


ジェリー「勝つのは?」


全員「最強デビルズ!!」


327 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/18(金) 21:02
エンジェルスがんばれーーーーー!!!
328 名前:っヵ± 投稿日:2005/03/18(金) 22:25
更新されるの楽しみにしてますっ!!!もぅ、最高だょ☆☆(>∪<)
329 名前:みきみき 投稿日:2005/03/20(日) 22:17
作者さん〜♪更新待ってるでッッ!
330 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 22:20
あげないでね。
更新来たのかなって期待しちゃうから。
331 名前:A 投稿日:2005/03/21(月) 01:29
皆が息を呑んで見守る試合展開!
早く続きが読みたいです!
332 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 22:59

第三クォーター開始

デビルズボール

ダムダム・・・

42「まずは一本よ!!」

全員「オーケー!」

デビルズメンバーは気負いしたかと思いきや一気に回復していた。


333 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:08

ジョアン(デビルズの雰囲気が変わった・・・?)

ジョアンはデビルズの雰囲気が良くなったことに気づいた。不意にジョアンは不安になった。

そんなとき・・・



「よっしゃ!!元のメンバーに戻ったんだからディフェンスしっかり!」


エンジェルスメンバーに声をかける美貴がいた。

ジョアン(ミキの言う通り。まずは自分たちのプレーに集中しなくちゃ・・・)


パチン!!


ジョアンは自分の気持ちを切り替えるために頬を叩いた。


334 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:13

ジョアン「ハンズアップーーーー!ディフェンス一本止めるわよ!」

美貴「はいよ。(やっとジョアンらしくなってきたじゃん。美貴はボール運び苦手だよ。でも今はジョアンっていう最高のパッサーがいるから美貴は点取りに集中できるよ。やっぱうちのチームはこうでなきゃ!)」

3人「わかったわ!」

エンジェルスは気合いを入れてディフェンスに入った。


335 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:20

ダムダム


キュッ。


ジョアン「抜かせない。」

42「くっ・・・」

エンジェルス、デビルズともにコートにいる選手たちは今までにないくらいプレーに集中していた。


ビッ


42「ヘレン!!」


パシッ


7「オッケー!」

42番からのパスはゴール下で待ち受けていた7番に通った。


キュキュ


7番はそこからターンをした。


しかしそこには


「させないわ!!」

エンジェルスの大黒柱センターマリアがいた。


336 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:25

ギュン!!

マリア「なっ!?」

マリアは7番のシュートを完全に防いだと思った。しかし7番はターンをした場所でさらにもう一度ターンをしたのだ。しかも今度はゴール下逆サイドへ移動するターンだ。さすがのマリアもこれは予想外で防げなかった。

7(よし!いける!!)

シュッ

7番はそのままジャンプシュートを打った。


337 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:31







「エンジェルスをなめんな!!」



バン!!


7「!?」

綺麗な弧を描いていたボールは音と共にヘレンの描いていた方向とまったく逆へと弾き飛ばされた。


338 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:37

7「また1番のブロックショット!!」

そう7番のシュートを阻止したのはエンジェルスエース藤本美貴のブロックショットだった。


美貴「ルーズボール!!」

バシッ。

美貴が叫んだすぐ後に誰かがボールに触った音がした。


美貴「ジョアン!!」

ジョアン「ルーズボール取ったわよ!!みんな走って!」

4人「おし!」


ダダダダダ


エンジェルスメンバーはジョアンがボールを持ったのを確認するとゴールに向かって走った。


339 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:40

42「ハリーーバッーーーーク!!早く!みんなディフェンス体制をとるのよ!!」

デビルズ司令塔ジェリーは大声で指示を出した。

4人「わかった!」

デビルズも急いでゴールに戻り、ディフェンスについた。


340 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:43

〜観客席〜

「ウォーーーーッ!!」

コートで熱い戦いが繰り広げられているとき、観客席もまた熱くなっていた。

「ヘレーーン!!いっけーー!」

「マリアー!止めろ!」

「よっしゃヘレンの勝ち・・・」



「ミキのブロックショット!?」


341 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:49

「・・・すげーーーー!!!」

美貴のプレーを見て会場は一瞬静まり返ったが、すぐに歓声があがった。

「た、高い・・・」

「どんだけ跳んだ?」

「それよりあのターンマスターヘレンのターンを見抜いた・・・」

「大黒柱マリアでもわからなかったのに」




「「「さすがエンジェルスエースミキ!!!」」」


観客全員が声をそろえて美貴のプレーをほめていた。


342 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:52

ティンティン

ジョアン「さあ、第三クォーター先制点はエンジェルスが取るわよ!」

4人「うん!」


ダムダムッ


42「簡単に言ってくれるじゃない。」

ジョアンのマークについているデビルズ司令塔のジェリーが言った。

ジョアン「簡単になんか言ってませんよ。」

ジョアンはドリブルしながらジェリーに返答した。


343 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:56

42「どーだかね。」

ダムダム

ジョアン「簡単じゃないです。だけど不可能ではないですよ。」

ジョアンはジェリーに笑いかけた。

42「ふん私たちはチャンピオンデビルズよ?」

ジョアン「それでもです。だってうちには・・・」


ビッ!


ジョアンは力強くパスを出した。


344 名前: 投稿日:2005/03/22(火) 23:59

42「そんな強いパス誰が取る・・・」




バシッ!!


「ナーイスパス!!」


42「なっ!?」

ジェリーは通らないと思ったジョアンの強いパスが出されたほうを向いて驚いた。


345 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:01






「うちにはエースミキがいますから。」





346 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:05

おそらく世界中どこを探してもきっと誰ひとりとして取ることができない。そんなジョアンの気持ちがこもった誰も取れないような力強いパス。




しかしパスを取れる人物がたったひとり。




この世にたったひとりだけ。




それは




エンジェルスのエース藤本美貴。


347 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:09

ジョアン「ミキおもいっきり決めなさい!!」

ジョアンは世界中たったひとり自分からのパスを受け取れる相棒ミキに言った。

美貴「わかってるよ。」

バッ!

7「そんな簡単には決められないわよ?」

今度は先ほどとまったく逆で美貴の前にヘレンが立ちはだかった。


348 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:14

美貴「来ましたね。」

7「当たり前よ!!私はやられたまま終わるようなやつじゃない!」

ヘレンは美貴の冷静な口調とは逆の熱い口調で言った。


ダムダム


美貴「悪いけど・・・」


キュキュ


7(ゴール下!!)


美貴はゴール下へと切り込んだがそこには相手のセンターシモン、エースキラースミス、そしてマークについているヘレンがいた。


349 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:17

ヘレン(やった!ゴール下でシモン、スミス、あたし対ミキこっちが有利だわ!)


ダンッ!!


美貴はゴールに向かって跳んだ。


シモン「バカね!!3人にかなうわけないじゃない!!」


美貴が跳ぶと同時にシュートを防ごうとシモン、スミス、ヘレンも3人で壁を作り跳んでいた。


350 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:22

美貴「美貴は・・・」


グッ


スミス「な・・に!?」

美貴は跳びながらもダンクの体制から体をヘレンのいる側つまり右に傾けた。


シモン「空中で体制を・・・」


ヘレン「任せて!!ここは意地でも防ぐわ!」

ヘレンは戸惑っているふたりに声をかけた。


351 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:27

グググッ

美貴はさらに体を右に傾けた。しかしどんなに空中で体を動かしていても目だけはゴールを見据えていた。


美貴「誓ったんだ・・・」

ジェリー「ヘレン来るわよ!!」

ヘレン「わかってるわ!(わかってる。わかってるけど・・・この子いつまで跳んでるの?)」

ヘレンは美貴のほうが先に跳んだはずなのにまだ空中にいることが不思議でしょうがなかった。


美貴「絶対に・・・」


352 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:32

ググググッ

ヘレン(くっ・・・まだ来ないの?)

ヘレンはさらに体を傾けている美貴を見た。

ジェリー(!?この子滞空時間が長いわ!!まだシュート体制に入っていない!!)

ジョアン(ミキ!!あなたの本当の力を見せてやりなさい!!)

美貴がシュートするまでの間いろんな人の気持ちが交差していた。


353 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:37


美貴「美貴は・・・」


ガクン


ヘレン(しまった!!この子がシュートする前に私が・・・)


ダンッ。


ヘレンはジャンプしていたが美貴のあまりの滞空時間の長さに持ちこたえられずに着地していた。ヘレンだけではないシモン、スミスもだ。


ヘレン「くっ・・」


ダンッ!!!


ヘレンは美貴のシュートを防ぐためにもう一度跳び上がった。


354 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:39








美貴「負けない!!!」


ガゴッ!!



リングから大きな音が響いた。



355 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:43

シーン・・・


会場は静まり返った。



「う、ウォォォォオ!!!!」


「すげー滞空時間!!」

「な、長い・・・」

「それより空中で動かなかった!?」

「ミキのダンクが来た!」

「その前にジョアンのパスめっちゃ速かったよな?」

「なんであんな動きがでんんだよ!!」




「す、すごい!!すごすぎだーーーー!!」

美貴の一連の動きに会場全体が盛り上がった。


356 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 00:50

美貴の動き。


それはジョアンからの誰も取れないような力強く速いパスをなんの問題もなく受け取りそしてヘレンにマークされながらもゴール下に行く。ゴール下にはデビルズの巨頭センターシモン、エースキラースミス、そしてヘレンの3人がいた。しかしそれを気にすることなく美貴はゴールに向かって跳ぶ。そのままダンクに行くかと思いきや空中で体を右に傾ける。その間もヘレンやシモン、スミスは美貴をマークしているが美貴の滞空時間には誰も勝つことができず、3人とも美貴より後に跳んだはずが美貴より先に着地。そして再びヘレンが跳び上がるがときすでに遅し。美貴は右からダンクを決めた。
この一連の動きは素晴らしいの一言ではとても収まらないほどだった。


357 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/23(水) 00:59
更新です!!

七誌さま>いつも感想ありがとうございます。エンジェルスがんばっちょりますよ!

つか±さま>更新楽しみとはうれすぃです!!これからもどうぞよろしくお願いします。

みきみきさま>更新してみたでッッ!(笑)

名無飼育さま>あげませんよ!!どんどん更新していこうと思いまっす!

Aさま>早く続きを読んでもらいたいと思いながら更新しましたよ!
358 名前:みきみき 投稿日:2005/03/23(水) 12:19
作者さ〜ん☆☆大好き♪いっそ結婚しましょか?
みきゎすごいね!!自分もバスケしてたけどみきゎ
すんげぇ〜♪☆
359 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/23(水) 16:28
更新乙ですwww
エース美貴すっげぇ〜!!!
もう神業ですなww
このままエンジェルスがんばれー!!
360 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 17:22

エンジェルスエース美貴の実力の開花は誰もが予想していた以上の内容だった。
美貴の実力は今まで誰も目にしたことがなかった。ハロー高校メンバー、中澤、稲葉、エンジェルスメンバーそして一番近くにいたジョアンでさえも見たことがなかった。そして美貴独特の気迫が入ったプレー自体が初めてだった。
今までの美貴はどんなに熱く競っている試合でも感情を表に出すことはなく、冷静だった。


361 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 17:29

しかし今日の美貴はひと味違った。
初めて自分以外のレギュラー陣がベンチに下がり、いつものエースとしてではなくガードつまりコート内の監督としてチームを引っ張ったのだ。
さらに最強デビルズが相手ということで今まで付けていた合計8キロものパワーリストを初めて外した。
この出来事が美貴を刺激したのだ。
そして美貴は爆発した。美貴が誓った




  『負けない』



という精神を。


362 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 17:39

デビルズリスタート

ダムダム・・・

42(まずいはね・・・完全に向こうのエースが開花したわ。)

ジェリーは美貴の開花に不安を感じていた。
美貴が本当に実力を爆発させたときのプレーに。

ダムダム

ジョアン「どうしました?足が止まってますよ。」

ジョアンはジェリーが美貴を恐れていることがわかっているように歯をちらつかせてみせた。

42「くそっ・・・」

ジョアンの予想は的中した。ジェリーは美貴にボールが渡ることを恐れて仲間にパスを出すことを躊躇していた。


363 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 17:46

ダムダム

42(あいつ・・・ミキフジモトはどこにいる?)

ジェリーはドリブルをしながら美貴を目で探した。

42(!?)

ジェリーはヘレンをマークしている美貴を見つけて驚いた。
今までの美貴とは目つきが違い、姿勢もうんと低かった。目はずっとヘレンを見据え常に次の動きを読んでいるかのようだった。

42(す、すごい!!とてつもない集中力だわ。それにあのオーラ。今までのあの子とは比べものにならないわ・・・)


364 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 17:58

キュキュ

42「(とてもだけどヘレンにはパスが出せない・・・)スミス!!」

ジェリーはヘレン、美貴がいる側とは逆にいたスミスにパスを出した。

ジョアン「キャロル!いったわよ!」

キャロル「う、うん!」

キャロルは今までの自分のプレーで迷っていた。自分の体力不足のせいでチームのリズムをくずしたそんな自分に不甲斐なく思っていた。
そしてベンチに下げられて頭を冷やしたときのエース美貴のプレー。
キャロルの目に焼き付いて離れなかった。


365 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 18:08

キャロル(ミキ・・・すごいわ。今までどのチームのプレイヤーたちよりもミキのそばでプレーしてきた私たちでさえもミキの力を知らなかった・・・こんなにすごい子と一緒のチームでプレーしていたなんて・・・信じられない。)

バシッ。

22「ナイスパス。(この人・・迷ってるわね。)」

スミスはキャロルのプレーにわずかな迷いを読みとっていた。

ダムダム!!

キャロル「くっ!!」

スミスはお構いなしにドリブルで切り込んだ。


366 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 18:17

キャロル(私にこの人を止めることはできないの??)

キャロルはスミスを止めるだけの力が自分にあるのかどうかを見極めようとしていた。

22「隙あり!!!」

ビュン!

キャロル「しまっ・・・」

スミスはキャロルの隙を見逃さずにドリブルする手を止め、すかさず得意のフェイドアウェイでシュートを打った。
そんなスミスの行動をキャロルはただ見過ごすしかなかった。


キャロル(やっぱり私じゃ無理・・・)


367 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 18:33


バシッ!!!


キャロルが諦めて顔を下に向けた直後。
どこからともなく何かを弾く音が聞こえた。


スミス「なっ!?」

スミスはそれに驚きを隠せずに声を発した。

キャロル(まさか・・・)

キャロルはふと思い立ち自分の後方にいるスミスを確認するために振り返った。


368 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 18:37








キャロル「ミ、ミキ!!」





369 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 18:47

キャロルが振り返るとそこには予想した通りスミスのフェイドアウェイをブロックショットでまたも止めている美貴の姿があった。


美貴「ルーズボール拾って!!」

22「カバー!!」

美貴とスミスが同時に叫んだ。


ダダダダダ


両者が一斉にボールめがけて走った。


370 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 18:57

そんな両者がボールに殺到する中、ただひとりその場に立ち尽くしてしまっている選手がいた。


ジョアン「キャロル!?」

それは先ほどスミスにあっさりと抜かれてしまったエンジェルスシューティングガードのキャロルだった。

キャロル(私じゃだめ・・・)

キャロルはジョアンの声に反応もせずただ下を向き、コートを見続けた。

バシッ!!


マリア「とった・・・とったわよ!!」

ルーズボールにいち早く触れたのは意外にもエンジェルスセンターのマリアだった。


371 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 22:26

ジョアン「マリア!こっち!」

ジョアンはマリアがルーズボールを取ったのを見るとボールを要求した。

マリア「ジョアン!頼んだわよ!」

ビュン!

マリアはルーズボールを取るときに体制を崩していた。しかしジョアンに答えるかのようにマリアはパスを出した。

ジョアン「よし!ミキ!!」

ビッ。

ジョアンはワンツーですぐにゴールへ向かって走るエースへパスを送った。しかしその間もキャロルは同じ場所に立っているだけだった。

キャロル(私は・・・)


372 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 22:38

バシッ


美貴「・・・」

美貴は無言でパスを受け取った。そして視線はボールから自然とゴールへ。


キュキュ


7「スミス!」

22「わかってる!」

再びヘレン、スミスが美貴のマークについた。

ダムダム

美貴「・・・」

美貴はふたりがマークに来ても目はゴールから離さなかった。

7「ふっ・・そんなにゴールを見たってシュートは入らないわよ?」

美貴「・・・」

ヘレンは美貴に嫌みを言ったが美貴はまったく相手にせずゴールを凝視した。


373 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 22:49

マリア「嫌みも相手にされないと惨めね。」

急いでゴール下に走ってきたマリアが通りすがりにボソッと言った。

7「くっ///」

ヘレンはマリアの言葉を聞くと顔を真っ赤にした。

36「ヘレン!相手の言葉に騙されちゃだめよ!」

ゴール下でカバーに備えているシモンが言った。

7「わ、わかってるわ!!」

ヘレンは図星だったので思わずどもってしまった。

ティンティン

美貴「・・・」

22(くる!!!)

ヘレンが美貴から目を離した一瞬、スミスは美貴の目つきが変わったのを感じた。


374 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 23:00

〜観客席〜

石川「あのシューターどうしたんだろ?さっき抜かれてから一歩も動いてないよ。せっかく絶好のチャンスなのに・・・」

石川は自分と同じポジションのキャロルの動きに疑問を感じていた。

吉澤「本当だ・・・どっかケガでもしたのか?」

石川の言葉に美貴に注目していたメンバーが次々とキャロルを見た。

柴田「でもさ、あのシューター接触とかしてないよね?」

コクッ。

柴田の言葉に石川は静かに頷いた。

松浦「じゃあなんで動かないんですかね?」

後藤「んあ、きっと眠いんでない?」

「「「それはない!!」」」

柴田「ごっちんじゃないんだから。」

吉澤・石川「うんうん」

後藤のボケを最後に全員黙ってしまった。


375 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 23:09

「あの・・・」

後藤「んあ?にいにいなんかわかったの?」

沈黙を破ったのは今やハローになくてはならない存在にまで成長した新垣だった。

新垣「これは私の予想なんですけど・・」

小川「なになに?」

小川が興味津々な顔で新垣を見つめた。

新垣「じ、自信がなくなったんじゃないでしょうか?」

全員「自信??」

新垣の言葉に全員首を傾げた。

新垣「はい。さっきの22のマークについたときほんの少しですが迷いが生じていたんです。」

新垣は先ほどのキャロルの迷いを見逃していなかった。


376 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 23:16

柴田「そういえば・・・」

石川「一瞬だけディフェンスが崩れてたよーな。」

注目力のある柴田、そしてシューターの石川は新垣と同じようにキャロルの心情に薄々気づいていた。

辻「だけどそれとガキさんの言った自信をなくしたとどう関係あるのれすか?」

加護「ののの言う通りや。なんやさっぱり先が見えんのやけど。」

先ほどまでふたりで遊んでいた辻加護コンビが空気を察し話に入ってきた。

後藤「ごとーもさっぱりわかんないや。」

さらには後藤まで頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた。


377 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 23:26

新垣「えーとですね。」

3人「うんうん」

新垣の説明を真剣に聞こうと後藤、辻、加護が前に乗り出した。

新垣「私が一年のときに全国大会予選の試合で初めて出たときのこと覚えてますか?」

後藤「あぁ、あの試合は確か出だしボロボロだったよね?にいにいが緊張しちゃってて・・・」

新垣「はい。私がミスばっかりしてたんです。しばらくして交代のブザーが鳴って・・・」

辻「美貴ちゃんが出たのれす!!ののはてっきりガキさんが交代かと思ってたのれす。」

新垣「そう。それでその後は美貴ちゃんのおかげで私は立ち直ることができました。」


378 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 23:42

加護「あのときの美貴ちゃんのプレーはホンマにすごかったよな〜。」

辻「うんうん。まるでガキさんのカバーしてるみたいだったれす!」

辻加護の話に全員ハロー高校時代の藤本美貴を思い出していた。

新垣「そうそれ!」

全員「え?」

新垣「美貴ちゃんは私をカバーしてくれた。そのとき私は素直に嬉しかったんです。でもあのシューターは自分が試合のリズムを崩した上に私と違ってベンチに下げられました。そしてその後に美貴ちゃんのあのプレーを外から見た。」

柴田「そうか。それであんなすごい選手がいたことに身近な自分が気づかなかった後悔。」

石川「それだけじゃないよ。多分その後なんとかして22番を止めようとした。だけど隙をつかれて抜かれた後に自分が気にしていた美貴ちゃんのカバーもあった。」

新垣「そうなんです。だから多分自信をなくして精神的ダメージがおっきいと思います。」

新垣の説明が終わると全員もう一度キャロルを見た。


379 名前: 投稿日:2005/03/23(水) 23:53

ダムダムダム!

美貴はさらに強くドリブルをした。

22(今度はどう出る!?)

ダッ!

22「なっ!?」

7「またゴール下!?」

美貴はドリブルに緩急をつけてふたりのマーカーを抜いた。そしてさらに前へ進みゴール下まで行った。

42「シモン!!」

36「大丈夫よ!」

シモンが答えると美貴の反応になんとかついていったスミスがシモンの右側につき壁を作った。

36「スミス、さっきのはさせちゃだめよ!左は私が守るから右はあんたに任せる。いいわね?」

22「オーケー。」

ダンッ!!

美貴はゴールに向かって跳び上がった。そしてそれを見たスミス、シモンも地を蹴った。


380 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 00:01

ググッ

美貴は先ほどのシュートのときと同じように右に身体を傾けた。

2人(きたっ!!)

ゴール下のデビルズのふたりは予想通りに美貴はさっきと同じシュートでくると思った。現に美貴は同じような体制をとっている。

22「シモン!」

36「わかってる。」

シモンは空中で左に向いていた自分の体をスミスのいる右側に向きを変えた。

美貴「・・・」

グググッ

美貴はふたりに構わずさらに体を傾けた。

36(2回もやられてたまるもんですか。ふり落としてやる!!)


381 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 00:05

22(よし!シモン、振り落としちゃって!)

シモンが美貴をボールごと振り落とそうと手を伸ばした瞬間。


ヒュ。


22・36「なにっ!?」


ひょい。


パサッ。


テンテンテン・・・


タンッ。




382 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 00:13

「ワァァァア!!!」

美貴が着地すると一斉に歓声があがった。

36「うそでしょ・・・」

22「あの体制からボールを持ち替えるなんて・・・」

美貴は途中まで前のゴールとなんの変わりもなかった。ただひとつ変わったのは右手に持っていたボールを左手に持ち替え、ひょいとシュートしたのだ。体制は右に向けたまま手首だけを使い放った。そしてそのシュートはリングに吸い込まれていった。
まさにコート内いや会場内の誰もが予想していなかったシュートを決めたのだ。

ジョアン「ミキーー!」

マリア「やったわね!」

ジョアンとマリアは嬉しさを分かち合おうと美貴に近づいていった。

くるっ。

しかし美貴はふたりを無視し、歩き出した。


383 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 00:21

美貴の向かった先。



それは



美貴「キャロル!」

立ち尽くしたままだった自分のチームのシューターキャロルのもとだった。

キャロル「・・・」

キャロルは美貴が寄ってきても顔を上げずにコートを見つめた。

マリア「ちょっと!キャロルいい加減に・・・」

マリアはキャロルの態度に痺れを切らしふたりのところへ行こうとした。


ガシッ!


しかしそんなマリアをジョアンが腕をつかんで止めた。

マリア「ジョアン!」


フルフル


ジョアンはマリアに向かって首を横に振った。

マリア「でも・・・」

ジョアン「ミキに任せましょ?」

マリア「・・・」

コクン。

マリアは静かに頷いた。


384 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 00:30

美貴「キャーロル!」

美貴はうつむいているキャロルの顔を覗きこんだ。その顔はいつもの無邪気な美貴に戻っていた。

キャロル「・・・」

それでもキャロルはずっと下を向いていた。

美貴「キャロちゃん?」

キャロル「なんで・・・」

美貴「ん?」

キャロル「なんで失敗ばっかりしてる私をかまうのよ!!」

キャロルはやっと顔を上げ美貴をじっと見つめた。

美貴「・・・」

キャロル「もっと私を責めてよ!私がミスするからミキに負担かけてるんでしょ!?」

美貴「・・・なーんだそんなこと・・」

キャロル「ミキは私に気を使って言ってるんでしょ!!」

キャロルは涙目になりながら美貴を見た。


385 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 00:38

美貴「なにバカなこと言ってんの?」

キャロル「!?」

美貴「キャロル、バスケットは5人でやるもんなんだよ?だから美貴も仲間のピンチに手を貸した。人間なんだから誰だってミスするでしょ?それをいちいち責めてたらきりないし。それにもとから美貴は仲間を責める気もないよ。誰かがミスしたら他の4人でカバーする。これがバスケットなんじゃないの?」

美貴はキャロルの目をしっかり見据えて言った。

キャロル「でも私ミスばっかり・・・」

美貴「あーもう!そんなの気にしなくていいよ。もし向こうに得点されても美貴が得点すれば問題ないしょ?」

美貴は厳しい表情から一転して今度は笑顔になった。


386 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 00:44

キャロル「ミキ・・・」

美貴「だからそんな顔しないでよぉ。美貴がバンバン点入れてくからさ!!だからキャロルも思いっきりプレーしなよ。もしキャロルがミスしても美貴がその分ディフェンスも頑張るしさ!」

美貴は力こぶを作ってキャロルに見せた。

美貴「ね?」

キャロル「・・・ミキ、ありがとう!!」

バシッ!

キャロルは嬉しそうに美貴の腕を叩いてディフェンス体制に入った。

美貴「う〜、いったぁぉい!!」

美貴は叩かれた腕を抑え痛そうな顔をしたがそれでもどこか嬉しいそうにキャロルの後を追った。


387 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/24(木) 00:48
またも駄文更新!!

みきみきさま>結婚は性別によりますねぇ(笑)ミキティはすごい人なのです!!

七誌さま>ミキティ神業炸裂です。もう神業ではなくミキティ自体が神様なのかも!?(笑)
388 名前:みきみき 投稿日:2005/03/24(木) 12:54
おぉ〜更新してるよぉ♪あーしゎ女やよ☆
エンジェルス最高
389 名前:ピィー 投稿日:2005/03/24(木) 12:56
メル友なりませんか?
390 名前:みきみき 投稿日:2005/03/24(木) 12:57
>389
メル友ゎ関係なくナイ?
391 名前:星龍 投稿日:2005/03/24(木) 13:15
更新お疲れ様です。
藤本さんはプレーでも、精神面でも
皆の支えになってますね。
自分もバスケをしているので
そんなプレーヤーになりたいですね。
作者様応援してます!!
392 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 23:26

この第三クォーターはエンジェルスシューティングガードキャロルの立ち上がりが悪かったが、それをエース美貴が持ち前の明るさとスパープレーで見事立ち直らした。
それからのエンジェルスはオフェンスが爆発。特に美貴のプレーはディフェンス、オフェンスどちらをとっても隙という言葉がなかった。

エンジェルス85点

デビルズ62点

ここでさらに23点の差がついた。


393 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 23:41

〜ベンチ〜

42「やるわね。向こうのエースは。」

36「ほんっと。まさかあの体制で左に持ち替えるなんてね〜。」

22「・・・」

15「しかも試合は終盤に入ってるのに全然衰えてないわ。それどころか精度が増してる。」

デビルズベンチでは美貴ひとりに話題が集中していた。
しかしそんな中シューティングガードのスミスはこの第三クォーターが終わってからまだ一度も口を開いていなかった。


394 名前: 投稿日:2005/03/24(木) 23:53

42「スミス??」

そんなスミスのただならぬ様子にいち早く気づいたのはデビルズキャプテンジェリーだった。

22「・・・す」

42「え?」

22「潰す!!」

スミスの第一声は今までとは違った意味で気迫のこもった言葉だった。

15「す、スミス!?」

スミスの隣りで変化に気づいたミッシェルはスミスの一言に焦った。
ミッシェルが焦るのも無理はない。明らかにオーラが違っているのだ。それはどんな苦労した試合でも冷静にしていたスミスにとってありえない変化だった。


395 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 00:15

36「スミス落ち着いて!」

あまりのスミスの変化に見かねたシモンが止めに入った。

7「そ、そうよ。」

シモンに続いてヘレンも身を乗り出した。


42「待って。」

全員「え?」

42「あたしはスミスに賛成よ。」

ジェリーはデビルズメンバーに向かって意外な言葉を発した。

15「さ、賛成ってジェリー正気!?」

42「ええ。あたしはいつでも正気よ。」

22「・・・」

ザワザワ

デビルズベンチはジェリーの反応に騒がしくなった。なにしろキャプテンが相手のエースを潰すことに賛成することなどないのだから。


396 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 00:24

42「どうしたの?みんなそんなに騒ぐことじゃないでしょ?」

ジェリーは騒がしいチームメイトたちに向かって何事もないかのように言い放った。

36「騒ぐことじゃないって・・・ジェリーはスミスの言った潰すって意味わかってるの?」

42「もちろんよ。それがあたしたちデビルズの戦い方じゃない。」

全員「えっ?」

42「あたしたちデビルズは今までの試合でも必ずと言っていいほど相手のエースを潰してきた。そしてデビルズは今ここにチャンピオンとしているのよ。」

全員「・・・」


397 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 00:35

36「そうね。私すっかり忘れてたわ。」

7「だからスミスもエースキラーの称号をもらったんだしね。」

15「やっぱりあたしたちはデビルズなんだからどこまでも悪役じゃなきゃね!」

レギュラーの3人は息を吹き返したような生き生きとした顔になった。

42「そうよ!最後まであたしたちデビルズのバスケットを貫きましょ!!」

コクン。

全員がジェリーの一声に頷いた。

42「それじゃああの子はスミス!あなたに任せるわよ?」

22「オーケー。」

42「よし。最終ラウンド大逆転するわよ!」


全員「おお!!!」


398 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 00:45

場所は変わってエンジェルスベンチ


ジミー「よぉうし!!よくやったぞ!これで23点差だ!!」

エンジェルスメンバーがベンチに戻ると監督のジミーが嬉しそうにメンバーを迎えた。

サリー「これはミキのおかげよ!」

マリア「うんうん。さすが我らのエースミキフジモトよ!」

美貴「んや、んなことないよ。」

キャロル「ミキ、さっきはありがとね。」

美貴「美貴はな〜んもしてませんよぉ。」

美貴は本当に何もしていないような口ぶりだった。

ジョアン「あら、今日のミキはえらく謙虚ね。雪でも降るのかしら?」

ジョアンはふざけて空を見上げた。


399 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 00:52

美貴「ひどーい。それどういう意味さ!!」

ジョアン「どうもこうも意味はひとつしかないわよ。ミキならそれくらいわかってると思ったんだけど?」

美貴「むー!!」

美貴は頬を膨らました。

キャロル「ぷっ!」

美貴「あー!!今キャロル笑ったでしょ!?」

美貴はキャロルを指さして指摘した。

キャロル「え?そ、そんなわけないじゃない。」

美貴「うそだー!!今ぷっって言ったじゃん!ぷっって!!」

ベンチに戻った美貴はいつもの無邪気な美貴だった。


400 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 00:59

〜観客席〜

紺野「すごいね!!美貴ちゃん、シューターの人を立ち直したよ。」

高橋「・・・」

紺野が話しかけた相手高橋はただじっとコートを凝視したままで返事をしなかった。

紺野「(愛ちゃん・・・)美貴ちゃんエースって感じだよね!!」

高橋「・・・」

紺野「愛ちゃん?」

高橋「ふぇ?あぁ。ね。」

紺野「大丈夫?」

高橋「うん。」

高橋は大丈夫だと言ったが紺野には高橋が無理していることがわかった。


401 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 01:07

中澤「なあ、あっちゃん。」

稲葉「ん、なんや?」

中澤「おかしいよな。明らかに。」

稲葉「そうやな。あのエースキラースミスやデビルズがまだ全然藤本を攻撃してきとらんよな。」

中澤「それもそんやねんけど・・・」

稲葉「なんや?他に気になることでもあるんか?」

中澤「いや・・・(愛ちゃんの様子がおかしい。やっぱり美貴となんかあったんか?)」

中澤はアメリカに来てから特にこの試合を見ているときの高橋の様子がいつもと違うことを気にしていた。


402 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 01:20

紺野「愛ちゃん。」

高橋「ん?」

紺野「心配ないよ。」

高橋「ふえ!?」

高橋は紺野の思わぬ一言に驚いて目を見開いた。

紺野「ふふっ。愛ちゃんの目は相変わらず大きいね!」

高橋「な、なに言ってるんやざ///」

高橋は顔を真っ赤にして笑った。

紺野「初めて笑ったね!」

高橋「え?」

紺野「愛ちゃんここに来てから一度も笑ってなかったから。」

そう紺野は少しでも高橋を励まそうとしたのだ。

高橋「あさ美ちゃん・・・」


403 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 01:25

紺野「ほらやっぱり笑わないと辛くなるでしょ?だから少しでも笑っといたほうがいいよ。愛ちゃんには笑顔が一番。」

紺野は満足そうに高橋に言った。

高橋「ありがと。」

紺野「ううん。」

しかし紺野は内心高橋が美貴のことを心配していることがわかっていた。だから高橋に心配ないと言ったのだ。その言葉にはなんの根拠もない。だが紺野は美貴プレーを見ていてなんとなく確信したのだった。


404 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 01:32

ジョアン(美貴は絶好調ね。このままいけばいいんだけど・・・)

ジョアンはまだ胸に何かつっかえていた。これから何か起こるのではないかという胸騒ぎが消えていなかったのだ。
ジョアンは客席を見回した。

ジョアン(!?あれは・・・でもミキがいつもと変わらないってことはまだ気づいてないのね・・・)

ジョアンは客席にある人物を見つけ美貴とその人物を交互に見た。

ジョアン(今は・・・教えるべきじゃないわよね・・・)


405 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 01:37

美貴「ジョアンどうかしたの?」

美貴は自分の顔をじっと見つめていたジョアンの視線に気づき話しかけた。

ジョアン「ううん。なんでもない。」

美貴「あぁー!!!」

ジョアン「え?(やばい!もしかしてバレた!?)」

美貴「美貴に見とれてたなぁ〜?ったくしょうがないなジョアンは!」

ジョアン「はぁ〜。(よかったわ。ミキが鈍感で・・・)」

美貴「そっかそっか!ジョアンがねぇ〜。」

美貴は満足そうにジョアンを見た。


406 名前:みきみき 投稿日:2005/03/25(金) 14:20
こ、こ、更新してる☆
結末が楽しみ
407 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/25(金) 14:43
美貴・・・THE・鈍感☆・・・
408 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 17:12

ジョアン「最後の最後よ!」

全員「おう!!」

ジョアン「ミキ!」

美貴「うえ!?」

美貴はここで自分の名前が出るとは思わなかったので奇妙な声を出した。
ジョアン「あんたはいろんなことがあったわよね。」

美貴「・・・」

美貴は突然自分の過去に触れられて思わずうつむいた。

ジョアン「だけどねミキ 。いろんなことがあった分あんたも成長したわ。」

美貴「せ・・い・・・ちょう?」

ジョアン「そう!あんたは立派なバスケットボーラーよ!!」

美貴「バスケットボーラー・・・」


409 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 17:21

ジョアンは美貴の肩を抱いた。

ジョアン「それにね、ミキにはたくさんの仲間がいるわ。」

美貴「仲間?」

ジョアン「そうよ。あんたは私たちエンジェルスの大切な仲間よ!!」

ジョアンは笑顔で美貴に言った。

サリー「そうよ。最初はこんな若いやつに負けてたまるかって思ったけどね。」

マリア「私は正直ふざけんなって思ったわよ。」

キャロル「来ていきなりエースだって言われたんだもん。だけどね・・・」

3人は美貴を見据えた。


410 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 17:34

ジョアン「今から見るとエンジェルスのエースはミキフジモト以外には考えられないわ。」

美貴「みんな・・・」

美貴は顔を上げた。

ジョアン「それにミキにはあたしたち以外にもいっぱい仲間がいるんじゃない?」

美貴「他・・・?」

美貴はジョアンを見た。そしてジョアンも美貴を見て頷いた。

ジョアン「ここでミキを応援してくれてる人達、テレビで応援してくれる人、遠い国でミキに期待してくれてる人、そしてなによりもミキを信じてバスケットをしてきたハロー高校の人・・・みんなミキの仲間よ。」


美貴「・・・」


411 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 17:49

ジョアン「ミキにはいろんな仲間がついてるの。もちろんあたしも。だからこの試合最後までミキらしいプレーをしなさい!!」

美貴「・・・うん!!」

美貴はジョアンの言葉に笑顔で答えた。

ジョアン「さあ、この試合どんなことがあっても気抜くんじゃないわよ!!」

全員「よしっ!!」

ジョアン「レッツゴーーー??」



全員「エンジェルス!!」

エンジェルスメンバーは元気にコートへ駆け出した。そんな仲間の背中を美貴は見つめた。

美貴「仲間か・・・」

美貴は握り拳を作って嬉しそうに見ると仲間を追ってコートへと走りだした。


412 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 18:00

いよいよ試合の大詰め第4クォーターで両チームの激しい戦いも幕を閉じる。
しかしこの第4クォーターでこの試合で一番大きな出来事が起きるなどエンジェルスメンバー、ハロー高校メンバー、サポーターさえ誰も予想していなかった。


413 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 18:02

414 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 18:21

ビビーーッ!

第4クォーター開始

デビルズボールでのスタート。

ダムッ

キュ

42番ジェリーがボールを持つとすぐさまジョアンがマークについた。

42「(きたわね。点を取りに行きたいところだけどまずは・・・)シモン!!」

ビュ。

ジェリーはゴール下にいるシモンへパスを出した。

36「わかった。」

ダムダム

マリア「なっ・・・」

シモンはすぐにシュートを打たずゴール下でボールをキープした。今までのデビルズの攻撃パターンはシモンがパスを受けると必ずすぐにシュートを打ってきた。しかし今はまったくパターンが異なるのでマリアは戸惑って一瞬ボールから目を離した。


415 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 18:30

36(よし。今だ!!)

クルッ

マリア「しまった!!」

シモンはマリアの一瞬を見逃さずに背を向けていたゴールに振り返り、マリアのマークを外した。

シュッ

シモンはマークを外すといつもと違い一呼吸置いてからシュートを放った。

マリア「くそっ!!」

マリアは後ろからシモンの手から放たれたシュートを落ちるように祈った。
しかしマリアの祈りも虚しくシモンのシュートはまっすぐゴールへ向かっていった。




バンッ!!



416 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 18:38

ゴール一直線だったシモンのシュートはリング手前でまたしても美貴のブロックショットによって道筋を変えた。

マリア「ミキ!!」

美貴「よっしゃぁぁ!!」

シモン「・・・」

美貴はさらにテンションが上がり叫んだ。
しかしなぜかシュートを阻まれたシモン、そしてデビルズメンバーは驚きの顔ひとつ見せなかった。それはまるで美貴がブロックにくるのをわかっていたかのようだった。

美貴は着地するとそのままゴールへ走りだした。


417 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 18:54

ダムダム。

ジョアンは美貴が来るのを待つようにボールをキープした。ジョアンのマークはもちろんデビルズキャプテンジェリーだ。

キュッ。

ジョアン(この一本で流れをつかむ!!)

42「・・・」


タッタッタ


ジョアン(よっし!!)


ビュン。


バシン!


ジョアン「ミキ!!」

美貴「おう!」

ジョアンのパスはスリーポイントラインより少し中に入った美貴へ通った。


ダムダムッ!

美貴はボールを受け取るとドリブルをした。


キュキュ


そこへエースキラースミスがマークについた。


418 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 19:13

美貴(きたぁ!!)


ギュ。


スミス「・・・」

スミスは無言で美貴のマークについた。
その目は今まで以上にバスケットにうちこんでいる目だった。


美貴(絶対に・・・)


ギュッ


美貴は足に力を入れた。


ダッ!!

美貴は足にこんしんの力を込めて前に踏み出した。
しかしそんな美貴の行動を読んでいたかのようにスミスも美貴についていった。


ダダダダダッ


ふたりはその状態のままゴール下へ。
ここでスミスは一歩前へ出てゴールに向かってくる美貴の前に立ちはだかった。


419 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 19:24


ダンッ!!


美貴はスミスに構わずゴールに向かって高く跳んだ。そのジャンプは今までのどのジャンプよりも高かった。その姿はまるで美貴の望んでいた『天使』のようだった。
美貴は右手にボールを持ったままゴールへ向かう。

美貴(狙うは・・・)

ジョアン「ミキーー!!一発かましなさい!」

美貴(ゴールに・・・)

全員「いっけーー!!」

美貴(叩き込む!!)


420 名前: 投稿日:2005/03/25(金) 19:39

美貴はリング手前まで来た。


ダンッ!!


それを見計らっていたようにスミスが跳んだ。


美貴(美貴は・・・)


美貴はただゴールを見つめた。



ジョアン「ミキ!!危ない!!」


美貴はジョアンの声でゴールから美貴をマークしていたスミスに目を移した。そのときすでにスミスは美貴に寄りかかっていて顔は美貴のすぐ近くだった。




ドーーーンッ!!




421 名前:みきみき 投稿日:2005/03/25(金) 23:24
で、ミキゎどぉなったの?
更新楽しみに待ってるで♪♪
422 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 23:27
レスはsageでね。
作者さん、次回も楽しみに待っています。
頑張ってください♪
423 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 01:01

会場には床に叩きつけられる派手な音が響いた。一瞬会場にいる人たちはなにがあったかわからずにただあ然としていた。


ジョアン「ミ、ミキーーーー!!!」

しばらくしてジョアンは倒れている片方エンジェルスエースへと駆け寄った。
美貴はダンクに行ったがそれをスミスが直前でジャンプして美貴に寄りかかりそのまま美貴を下にして床に落ちたのだ。

42「スミス!!」

ジョアンに続いてデビルズキャプテンジェリーがもうひとり床に落ちたメンバースミスを心配して駆け寄ってきた。


424 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 01:13

22「ん・・・。私は大丈夫よ。」

ジェリーの呼びかけにスミスはむくっと起き上がり答えた。

42「(本当にスミスはやるって言ったときはやるわね。)よかった・・・」

気がつくとスミスの周りにはメンバー全員が集まっていた。そしてスミスは全員を見ると静かに頷き少し離れたところに倒れているに自分が下敷きにしたエンジェルスエースに目を移した。

ジョアン「ミキ!!ミキってば!!」

美貴のそばには涙目で必死に呼びかけているジョアンの姿、そして周りでは言葉を発せないほどショックをうけているエンジェルスメンバーがいた。


425 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 01:24

そのうち観客たちもやっと状況をのみ込み会場全体がざわつき始めた。

ザワザワ

吉澤「おいおいまじかよ・・・」

それは観客席で見ていたハロー高校メンバーも変わらなかった。

柴田「そんな・・・」

石川「ここでこんな・・・」

松浦「みきたん!!起きて、起きてよ!」

松浦の悲痛な叫びも虚しく美貴は依然として起き上がらない。

新垣「ありえないよ・・・」

小川「なんかの冗談だよね?」

里田「美貴ちゃんに限ってね・・」

田中「そうたい!これは冗談ですよ!!じゃないと・・藤本さん!起きるたい!」

美貴はピクリとも動かない。


426 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 01:34

この状況に主審も美貴に駆け寄った。

「おい、きみ大丈夫か!?」

主審がパチパチと美貴の頬を叩くがなんの反応もない。

ジョアン「・・・わざとね・・・」

ジョアンはふつふつの怒りが湧き上がってものすごい形相でスミスを睨んだ。そんなジョアンを見てもスミスは顔色ひとつ変えない。

ジョアン「この・・・」

ジョアンは美貴を離して立ち上がろうとした。


ガシッ。


しかしそんなジョアンを止めるかのように誰かが腕をつかんだ。

ジョアン「止めない・・・ミキ!?」

ジョアンの腕をつかんでいたのは倒れている美貴だった。


427 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 01:42

美貴「だ・・・めだよ。」

全員「ミキ!!」

美貴はみんなの声に目を開いた。

美貴「美貴は・・・大丈夫だから・・・」

美貴はジョアンに笑顔を向けた。

ジョアン「くっ・・・」

ジョアンは悔しさのあまり下唇をぐっと噛み締め手は拳が握りしめられていた。

主審「大丈夫かね?」

美貴「はい。」

美貴は立ち上がって大丈夫だというアピールをした。

主審「それでは君のフリースローからだからね。」

美貴「はい。ご迷惑をおかけしてすいません。」

美貴は主審に深々と頭を下げた。

キャロル「ミキ!!」

マリア「ドキっとしたじゃない!」

サリー「ビックリさせないでよ。」

ジョアン「・・・」

美貴「ごめんごめん。」

美貴たちはそのままフリースローへと向かった。


428 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 01:52

主審「試合再開!バスケットカウントツースロー!!」

主審はコールすると美貴にボールを渡した。

ダムダム

しかしこのときすでに美貴はあるものを失っていた。それは美貴本人しかわからなかった。

美貴(決めなきゃ)

美貴はシュートの構えをした。


そして


42「なっ・・・」

36「目を・・・」


全員「つぶってる!?」


ヒュン。


パサ


美貴は目をつぶってシュートをして決めた。


主審「ワンスロー」

もう一度主審から美貴へボールが渡された。

美貴(よし・・・)


ビッ!


「また目をつぶってる!?」


ガンッ!


今度はバックボードに当たってボールは跳ね返った。


429 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 02:00

美貴「(しまった!)リバウンドォ!!」


ダンッ!

美貴が叫ぶとともに両チームが一斉にボールを取ろうと跳び上がった。


バシ。


空中戦を制したのは



36「速攻!!!」

デビルズの守護神シモンだった。

ダダダダダ!

シモンのかけ声とともにデビルズは一斉にゴールめがけて走った。

ジョアン「ハリバック!!なんとしても守るのよ!」

エンジェルスもまたディフェンスのために戻りはじめた。
そんな中美貴はフリースローを終えた場所からあまり動いていなかった。

マリア「ミキ戻って!!ディフェンスよ!」

マリアが美貴に声をかけるもすでに遅し。デビルズがスリーポイントを決めた。


430 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/26(土) 02:07
とぎれとぎれですが更新です(^_^;)

星龍さま>いつも応援ありがとうございまっす!ミキティ強しです☆

七誌さま>ミキティ=鈍感でいってみましたぁ!アイラブ鈍感(笑)

みきみきさま>とぎれとぎれですいません。頑張って更新しますね!

名無飼育さま>がんばります!がんばりますよ!!皆さまのために☆
431 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 02:41


マリア「もう。なにやってんのよ〜。」

美貴「・・・ごめん」

マリア「まあ倒れた後だから無理もないわ。次よ!次!オフェンス期待してるからね?」

ポンポン

マリアは美貴の肩を軽く叩くとゴールへ走っていった。

美貴「期待してる・・・か・・・」


ダムダム


ジョアン「ここ落ち着いて決めるわよ。」

全員「オーケー。」

ジョアンはいつもの冷静さを取り戻していた。

キュッ

42「悪いけどここから反撃させてもらうわよ。」

ジェリーはすぐさまマークについた。

ダムダム

ジョアン「(マークがきつくなった!ここはやっぱり・・・)ミキ!!」

ピッ!

ジョアンは美貴にパスを出した。


432 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 02:48


美貴「え?」


テンテンテン・・・


ピーッ!!

「デビルズボール!!」

美貴はジョアンのパスに反応できず、ボールはラインを割った。

ジョアン「ミキ?」

美貴「ああ、ごめん。次は取るよ。」

ジョアン「あ、うん。」

美貴はディフェンスに戻っていった。


ティンティン

42「行くわよ!」

全員「おぉ!!」

ジョアン(簡単にパスさせない!)


ヒュ。


ジョアン「なっ!?」

42「入って!」

ジェリーはスリーポイントシュートを打った。


バサッ。


42「よしっ!!」

ジェリーはシュートが決まったのでガッツポーズをした。


433 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 02:54

エンジェルスボールのリスタート。

ダムダム

ジョアン「一本!一本よ!!」

ジョアンはみんなに声をかけた。

ジョアン「(流れが向こうに傾き始めてるわ。ここは断ち切らないと!)ミキ!」

ビッ。

ジョアンは再び美貴にパスを出した。

バシ。

そしてそれに答えるように美貴はパスを受け取った。しかしいつもはバウンドをする前に受け取るのに今のパスはバウンドを一度させてから美貴はパスを取った。


ダムダム


そして美貴はすかさずドリブルで切り込む。




しかし




ドンッ!!


434 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 03:03

ピピーーッ!!

主審「オフェンスファウル!白1番!」

美貴のドリブルをした先にヘレンが立っていてそのまま当たった美貴の反則がとられた。

ジョアン(・・ミキ?)

ジョアンはいつもの美貴らしからぬプレーに疑問を感じた。

ジョアン「ミキ大丈夫?」

先ほどの衝撃でしりもちをついたままの美貴にジョアンは手を差し出した。

美貴「ん?え?ああ。」

美貴はジョアンの手を借りて立ち上がろうとした。


ヒュ、ヒュ・・・


ジョアン「ミ・・・キ?」

美貴の手は何度か空を切りやっとジョアンの手をつかんだ。

美貴「ごめんごめん。冗談だよ。」

ジョアン「・・・」

美貴は立ち上がってすぐにゴール方面へと走っていった。

435 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 03:10

デビルズスローインで試合再開。

ダムダム

42「シモン!!」

ジェリーはボールキープはせずすぐにゴール下のシモンへとパスを送った。ゴール下はデビルズがシモン、ヘレン、エンジェルスがマリア、そして美貴だった。

36「いくわよ!!」

ダンッ。

シモンは跳び上がりダンク体制に入った。




ドンッ。


ピーーーッ!!

主審「ディフェンスチャージング!白1番!バスケットカウントツースロー!」

ダンクをしようとしたシモンに美貴がぶつかってファウルをとられたのだ。


436 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 03:17

36「よっしゃぁぁ!」

シモンは狙っていたかのように喜んでいた。その横ではシモンとは対照的に落ち込んでいる美貴がいた。

ジョアン「ミキ!あんた・・・」

ジョアンは心配そうに美貴を見た。

美貴「ごめん。ちょっと足に力が入らなかっただけだから。」

美貴はジョアンに笑顔で答えた。



ブッブーーー!



「エンジェルス1番ミキフジモトに代わりナンシーが入ります。」

美貴「えっ?」

交代のブザーを聞いた美貴はその場で青ざめた。

437 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 14:13

〜観客席〜

「ねぇ、なんかさっきからミキおかしくない?」

「なんであんなファウルしてんだよ!」

「やっぱりどこかわるいのかな?」

いつもの美貴らしからぬプレーに観客も動揺せずにいられなかった。

辻「美貴ちゃんらしくないれすね。」

加護「そうやな。どうしたんやろ?」

紺野「美貴ちゃん大丈夫かな・・・」

高橋「・・・」

ハロー高校メンバーも美貴の様子に気づいていた。


そして




ブッブーーー!

「エンジェルス1番ミキフジモトに代わりナンシー選手が入ります。」

美貴の交代がアナウンスで流れた。


438 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 14:21

美貴「ちょ、ちょっと待った!!美貴はまだやれますよ!ほらこんなに体力も残って・・・」

美貴は両手を広げて体力があまっていることを必死で監督ジミーにアピールした。

ジョアン「ミキ!!」

そんな美貴にジョアンは肩に手を置いて落ち着かせようとした。

美貴「ジョアン!!ジョアンもまだ美貴は大丈夫だって言ってよ!」

美貴はジョアンに協力を求めたがジョアンは一言もしゃべろうとしなかった。

美貴「なんで?なんで美貴まだやれる・・」

ジョアン「ミキ。ベンチでおとなしくしてなさい。」

ジョアンは美貴の手を引っ張り無理やりベンチへと出してコートに戻って行った。


439 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 14:31

美貴「なんでだよ・・・」

美貴は自分が交代になったことにうなだれた。

ジミー「ミキ。」

そんな美貴に交代をさせた監督が神妙な面もちで来た。

美貴「監督!!なんで!?美貴はまだまだ元気・・・」

ジミー「ミキ、この指は何本だ?」

監督はおもむろに美貴に質問した。

美貴「・・なに言ってんですか!!」

ジミー「いいから答えろ。」

美貴「・・一本でしょ・・?」

ジミー「・・・」

美貴「あ、じょ、冗談ですよ!!二本!!」

ジミー「・・ミキ・・」

美貴「今のもフェイクですよ!!さ、三本・・・」

ジミー「俺はな・・」

美貴「や、やだなぁ〜。監督冗談ですって!本当は四本・・・」




ジミー「俺は手すら出していないよ。」


440 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 14:38

美貴「え?あ、そうですよ!!今までのはアメリカンジョークですよ!だから早く美貴を出して・・・」

ジミー「ミキ、お前を試合に出すことは出来ないよ。」

美貴「な、なんで!?美貴はやれる・・」

美貴は監督につかみかかった。

ジミー「なぜ出さないかわお前自身がよくわかってるだろ?」

美貴「んな・・・」

監督は自分の胸ぐらをつかんでいる美貴の手を優しくほどいた。




ジミー「お前、今目が見えてないんだろ?」

美貴「・・・」

ジミー「おとなしく座ってろ。」

監督は美貴をベンチに座らせると頭からタオルをかけた。


441 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 14:45

美貴はスミスとの接触プレーで頭を強打した。そしてそれ以降は目がまったく見えていなかったのだ。だからフリースローも両目をつぶり打ち、一本目のファウルはドリブルのさきにいるヘレンが見えていなくて接触、二本目のファウルもブロックをしにジャンプしたはいいもののシモンが見えていないためにぶつかったのだ。
ジョアンからのパス、一本は反応できなかったのではなく見えなくてとれなかった。二本目はボールの気配とジョアンの声に集中し、ワンバウンドさせなんとかキャッチに成功した。
本来ならとてもバスケットをできる状態ではなくなっているにもかかわらず美貴はなんとかしてプレーを続行しようとしたのだ。しかし美貴の努力も虚しくベンチ行きとなってしまった。


442 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 14:55

美貴はベンチに座るとタオルを被ったままうつむいた。

美貴(なんで・・なんでだよ。せっかくリードしてたのに。やっと・・仲間とバスケットができるっと思った・・負けないって決めたのに・・・交代なんて・・コートの外なんて負けたのと同じじゃんか!!)

ギュッ。

美貴は悔しさでタオルをギュッと握りしめた。

美貴(くそっ!!なんで・・・こんな大事なときに・・・)

ジミー「ミキ、悔しいのはみんな一緒なんだ。だがこういうやり方をするチームがあるということを頭に叩き込んでおけ。これが現実なんだ。」

美貴の横に座った監督はコートを見ながら美貴に言った。その言葉に美貴は返事もせずただ下を向いて肩を震わせていた。


443 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 16:34


そして




ピピーーッ!!!

美貴が再びコートに戻ることなく無情にも会場に試合終了のホイッスルが響いた。

「試合終了!デビルズ92点、エンジェルス88点でデビルズ勝利!」


ワァァァァア!!!


444 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 16:44

美貴が抜けてからの第4クォーター、エンジェルスは見事なほどにリズムを崩した。その結果美貴のフリースロー一本とジョアンが切り込んでのレイアップの計二本のシュートしか決まらなかった。あとは制限時間内にシュートを打つことができずにオーバータイムスになるか、シュートを打ってもことごとくブロックかリングに嫌われるかだった。そして美貴が抜けたエンジェルスがゴール下でデビルズに勝つことはなかった。
逆にデビルズは美貴が抜けたとともに怒涛の攻撃をしかけた。スリーポイントシュートを六本と徹底的にゴール下攻めで六本と計30点を取り一気に逆転した。


445 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 16:57

エンジェルスメンバーが控え室に戻って行く中、美貴はひとりベンチに座ったまま動かなかった。


キュッ。


ジョアンが美貴を見るとタオルで顔は見えないが美貴の肩は微かに震えていた。

ジョアン「ミキ・・・」

美貴(美貴は・・・)


ぽんっ。


ジョアンは美貴の肩に手を置いた。


美貴(負けないって決めた・・・のに・・・)


ジョアン「行こう・・・」

ジョアンは美貴の手を引いて歩き出した。


美貴「ごめん・・・」

美貴は頭にタオルを被せたままボソッとつぶやいた。

エンジェルスのキャプテンとエース。ふたつの背中は控え室への道へと消えていった。


446 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 17:07

〜観客席〜

「あーあ、結局デビルズの勝ちかぁ〜。」

「なんか第4クォーターつまんなかったわよね。」

「俺たちエンジェルスに買いかぶり過ぎたんじゃね?」

「ってかミキもデビルズに負けるくらいじゃ大したことねぇじゃん。」

ハロー高校の後ろに座っていた日本人サポーターが言った。


ガタッ!!


松浦「みきたんはすごいんだよ!!あんたたちなんかになにがわかる・・・」

柴田「松浦!!」

松浦は観客につかみかかる勢いだったがそれを柴田が止めた。

松浦「でも!!」

柴田「でもじゃない。」

「んだよ!」

「あ〜こいつらミキのいたハロー高校のやつらじゃん。」

「本当だぁー!!」

「きみらも来てたんだぁ。まあきみらはミキが抜けてレギュラー枠もひとつ増えたし優勝もしたしラッキーだったよね〜。」

ひとりの日本人サポーターが言った。


447 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 17:16


松浦「このっ!!!」

柴田「だめだってば!」

松浦は怒りのあまりさらに身を乗り出した。




バンッ!!!!



松浦が身を乗り出したと同時に大きな接触音が聞こえた。

吉澤「悪いけど、うちらが勝ったのはまぐれでもなんでもない実力ですよ。それにここはWNBAなんだ。藤本だって苦戦することはある。」

吉澤はキッと睨んだ。

「な、なんだよ!もう行こうぜ!!」

「う、うん。」

日本人サポーター数人は慌ててその場を去った。吉澤はその姿を見送ると再びどかっと椅子に座った。

柴田「ほ、ほら松浦も座ろ?」

松浦「・・・」

松浦も静かに席についた。


448 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 17:27

ふたりが座ったのを確認すると中澤は話しだした。

中澤「これが勝負の世界や。」

全員「・・・」

中澤「どれだけやり方が汚くても勝つためには手段を選ばない。プロにそういうチームがある以上あたしら日本の高校界にもそういうチームは必ず存在するんや。あんたらはそこんところをしっかりわかっとかないかん。」

全員「・・・」

稲葉「これからあんたらが追われる立場なんや。必ず潰しにくるチームが出てくるやろう。そんときに・・・」

松浦「だからってまつーらには関係ありません!!まつーらにはまつーらのバスケットが・・・」

稲葉「そこが甘いんや!現に藤本もそう思っててああなったやろ?」

稲葉はいつになく厳しい言葉を発した。

石川「美貴ちゃんが甘いって言うんですか?」

石川もまた中澤と稲葉を睨んだ。


449 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 17:37

稲葉「そうや。あいつもお前らも甘い。勝負の世界ではそんなんありえんのや。」

全員「・・・」

ハロー高校メンバーはみんなうつむいてしまった。

中澤「けどな。あたしやあっちゃんはあんたらや藤本にそんなせこいプレーに負けてほしくないんや。せこいプレーを相手がしてきたらそれを超える健全なプレーで打ち勝ってほしい。これはあたしらの考えやけどな。」

吉澤「監督・・・」

中澤の言葉にキャプテンの吉澤が顔を上げた。
その様子を見た中澤・稲葉は笑顔で頷いた。

稲葉「そやけどそうなるとどうしてもプレイヤーの個人技、そしてケガしたときのマネージャーのケアが必要になってくるんや。」

稲葉が言い終わるといつの間にか全員が顔を上げていた。


450 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 17:45

松浦「まつーらは絶対負けない!!!」

田中「れなもっともっと練習するたい!」

道重「さゆも〜♪」

亀井「あ!さゆずるい!!絵里だって!!」

選手たちは次々と闘志を燃やしていった。
そんな選手たちを見て、中澤、そして稲葉は嬉しそうに微笑み合っていた。


451 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 22:15

ジョアンと美貴はちょうど階段を降りきったところだった。

美貴「ジョアン・・・」

ジョアン「ん?」

美貴「ちょっとひとりになりたいから先に行ってて・・・」

ジョアン「でも・・・」

美貴「大丈夫。ちょっと気持ちの整理つけないからさ。」

ジョアン「・・・わかった。すぐ来るのよ?困ったら大声で叫んで。控え室はすぐそこだから。」
美貴の言葉にジョアンは少し間を置いて答えた。

美貴「うん。」

ジョアンはつかんでいた美貴の手を離して控え室へひとりで向かって行った。


452 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 22:23

美貴は前方に壁があるのを確認するともたれかかって床に座った。


美貴「ふぅ・・・(美貴ほんっとなにやってるんだろ・・・ばっかみたい。)」


ドンッ!!!


美貴は右の拳で壁を殴った。

美貴「くそっ・・・」


ドンッ!!


さらにもう一度殴った。すると美貴の手に生暖かいものが流れた。



453 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 22:33


そこへ


「あっ・・・」


タタタタタッ


あっという声が聞こえたかと思うと今度は誰かが駆け寄ってくる足音がだんだん近寄ってきた。

「手、血が出てる!!早く手当てしなきゃ!」


グイッ


美貴「うわっ!?」

美貴は右手を急に引っ張られびっくりした。いやそれよりも声の主がここにいるはずのない人によく似ていたのに驚いていた。

美貴「あの・・・もしかしてこんこん・・・?」

「・・・」


美貴「あっ・・違いますよね。ここにいるはずないし。すいません人違いでした。(そうだよここにこんこんがいるはずないじゃん。なにやってんだか・・・)」


454 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 22:44

「・・・」

美貴「あの・・・?」

美貴は右手に自分のじゃない体温があることでその人がまだつかんでいるのだとわかった。

「美貴ちゃん、もしかして目・・・」

美貴「へ?(今確か美貴ちゃんって・・・)」

その声で『美貴ちゃん』と呼ぶのはただひとり。しかしその人がここにいるはずがない。
美貴はさらに混乱した。

美貴「こん・・こん・・・だよね?」


「・・・うん・・・」


美貴は声とともに頷いた気配を感じた。

美貴「やっぱり。そっか来てたんだね。」

美貴が紺野に笑いかけるが焦点は合っていなかった。


455 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 22:56

紺野「それより美貴ちゃん、目・・・」

紺野は自分のほうを見ているが明らかに焦点の合っていない美貴の目を見た。

美貴「ああ、これね。見えなくなっちゃった。」

美貴は自分の目を指差しおどけてみせた。

紺野「そんな・・・」

美貴「そんな落ち込んだ顔しないでよ!あっ、見えてないんだけどの美貴のカンね。」

美貴は笑顔で紺野に言った。

美貴「あっそうだ!こんこんこっちには家族旅行で来たの?」

紺野「ううん。中澤先生の案で息抜きと試合見学のためにハロ高バスケ部みんなで来たの・・」

紺野はハロ高バスケ部で来たことを言いにくかったが美貴にうそはつきたくなかったので仕方なく言った。


456 名前:みきみき 投稿日:2005/03/26(土) 22:59
みきぃ〜涙。スミス憎い!作者さん更新頑張って♪
457 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 23:06

美貴「そっか・・・みんなで来たんだ・・」

美貴は少し寂しそうな顔になった。

紺野「あっ、あのね!」

美貴「ん?どうした?」

紺野「私たち今年の夏の全国大会優勝したんだよ!!」

紺野は美貴の隣りに座りながら言った。

美貴「へぇ〜。すごいじゃん!!」

紺野「うん!!特にねあやちゃんがすごかったんだよ?最後の優勝インタビューでも目標はって聞かれたらね、まつーらの目標はいつまでもみきたんですって言ったの!」

紺野は嬉しそうに隣りの美貴を見た。しかし美貴の目はどこか辛そうだった。

美貴「ふ〜ん。美貴が目標・・か・・・」

美貴は伏せ目がちに言った。

紺野「美貴ちゃん?」

紺野も嬉しそうな顔から一転不思議な顔で美貴を見た。


458 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 23:15

美貴「美貴なんか目標にしちゃだめじゃん・・・」

紺野「・・・」

美貴「ねぇ、こんこん。」

紺野「うん?」

美貴「全国制覇したとき嬉しかった?」

美貴は紺野のほうを向かずに前方の階段をまっすぐ見て言った。

紺野「うん・・」

美貴「こんこんはそんとき笑った?」

紺野「笑ったよ。」

美貴「みんなも?」

紺野「うん」

美貴「あやちゃん、梨華ちゃん、真琴、ガキさんも?」

紺野「うん。」



美貴「・・・あ・・いちゃんも?」

紺野「美貴ちゃん・・」

美貴「愛ちゃんも笑えてた??」

紺野「・・・うん」

美貴の手をつかんでいた紺野の手は離れた。


459 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 23:28

美貴は自分の首にかけていたタオルをつかむと再び頭に被せた。

美貴「そっか・・・」

紺野「・・・」

美貴「美貴が笑わせてあげたかったなぁ・・・」

美貴の声が微かに震えていた。

紺野「美貴ちゃん・・・」

美貴「ずっとさ、ハロ高でプレーしてたときね、吉澤さんと愛ちゃんが付き合い始めてめっちゃくちゃショックでさ」

紺野「うん」

美貴「でもね、美貴は愛ちゃんの笑ってる顔が一番好きなんだ。だからどうにかして笑わせてあげようと思って・・・」

紺野「・・うん」

美貴「美貴が・・・ハロ高が全国制覇すればきっと愛ちゃんも喜ぶと思って」

紺野「うん」

美貴「それで頑張ったんだけどさ・・・なんかひとりで空回りし始めて」

紺野「うん」

美貴「したら、スタメンから外れてアメリカではバスケやめようと思った」

紺野「・・・」

美貴「でもね、こっち来たら運良く今の監督が美貴のこと拾ってくれてさ・・・」


460 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 23:39

美貴「前からさ・・・日本にいたときからもう負けないって決めてたんだ・・・」

美貴は紺野が無言になっているが首を縦にふっている気配を感じた。

美貴「負けなかったらいつか愛ちゃんが美貴に振り向いてくれるんじゃないかって・・・」

紺野「・・・」

美貴「だけど今日負けちゃった・・・」

紺野「美貴ちゃん・・・」

美貴「わかってたんだ。勝ち続けるだけじゃ・・・愛ちゃんが振り向くなんてないって・・・」

紺野「・・・」

美貴「だけどさ・・・やっぱり・・・」

紺野「もういいよ美貴ちゃん。もうわかったから・・・」

紺野は再び美貴の手を握った。

美貴「美貴は・・・」

美貴は紺野に握られている右手で拳を作った。




美貴「美貴は負けた今でも愛ちゃんが・・・好きなんだ。」

美貴は声と肩を震わせ、目からは涙がひと粒流れた。


461 名前: 投稿日:2005/03/26(土) 23:55

美貴「美貴バカだよね・・・愛ちゃんは美貴なんかずっと見てないんだよ?なのに美貴は昔からずっと愛ちゃんのことが・・・」

紺野「・・・」

美貴「愛ちゃんが吉澤さんに一目惚れして・・・それが悔しくて振り向いてもらうためにバレー始めて・・・」

紺野「・・・」

美貴「だけどそんなの通用しなくて・・・」

紺野「・・・」

美貴「ときが経つほどそばにいるのが辛くなって・・・」

紺野「・・・」

美貴「会うたびに好きだって言いたくなってて・・・」

紺野「・・・」

美貴「初めは愛ちゃんが幸せだったらいいんだって思ってたのに」

紺野「・・・」

美貴「日に日に独占欲が増してってさ。独占なんかできないのにね。」

紺野「・・・」

美貴「これ以上好きになっちゃうのが怖くて美貴は逃げたんだ。だけどこっちに来てさらに愛ちゃんのことばっか考えて・・・」

紺野「そっか・・・」

美貴「だけど今日負けて思ったよ。」

美貴は前を見た。




美貴「美貴にはもう諦めるしかないんだって。」


462 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 00:10

紺野「え・・・?」

美貴「美貴さ、この間日本に行ったとき見ちゃったんだ・・・田中ちゃんが愛ちゃんを抱きしめてるとこ」

紺野「え!?」

美貴の思わぬ発言に紺野は自分の耳を疑った。

美貴「それ見ちゃって美貴思ったの。田中ちゃんなら愛ちゃんをずっと笑わせてあげられるんじゃないか・・・ってさ。ほら、美貴はいっつも愛ちゃんのこと泣かしてたからさ・・・」

紺野「美貴ちゃん・・・」

美貴「美貴は愛ちゃんを笑わせてあげられないから・・・」

美貴は床に手をつき立ち上がった。

美貴「愛ちゃんにはこんこんや田中ちゃんがいる。もう美貴は必要ないんだよ。愛ちゃんは前に進んでるんだよ。もう美貴を必要としてたころの愛ちゃんじゃないんだ。だから・・・美貴もいい加減前に進まないとね。」

美貴は笑った。

美貴「あっ、あやちゃんにさ、美貴なんか目標にしちゃだめだって言っといて?ほら、こんなことで視力失っちゃう選手だからさ。」

美貴は自分の見えなくなった目を指して言った。

美貴「じゃあ、美貴そろそろ行くね。」

美貴は壁を手でつたって控え室へ一歩また一歩と進んでいった。


463 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 00:18

そんな美貴の後ろ姿を見ながら紺野は勢いよく立ち上がった。

紺野「美貴ちゃん!!」

美貴「ん?どうした?」

美貴は紺野の呼びかけに振り返った。

紺野「ひとつ聞いていい??」

美貴「ひとつでもふたつでもどーぞ。」


紺野は少し間を置いた。


紺野「美貴ちゃんは今でも愛ちゃんが好き?」


美貴の顔が一瞬こわばったがすぐに笑顔になった。



美貴「・・当たり前じゃん。じゃなきゃこんなとこにいないよ。」

美貴は苦笑しながらも紺野の質問に答えた。




「じゃあなんでそんな簡単に諦められると?」

美貴「は・・?その声は・・・」


464 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 00:29

美貴「田中ちゃん??」

田中「そうです。藤本さんなんで簡単に諦めるなんて言うんですか!!」

田中は美貴に歩み寄ると胸ぐらをつかんだ。

田中「だいたいさっきの試合。なんで途中で下がったと?それも勝負をすてたんですか!?」

美貴「・・・違うよ。美貴は勝つためチームのために交代したんだ。」

田中「だったら交代なんかしなきゃよかったんじゃないですか!?そういうのを逃げって言うんですよ!!」

紺野「ちょっと!!田中ちゃん!!」

紺野は田中をなんとか止めようとした。

藤本「逃げね・・・」

田中「そうたい!!藤本さんが勝負を逃げたたい!!」

紺野「止めなって!!」

藤本「いいんだよこんこん。」

美貴は田中に怒鳴っている紺野をなだめた。

紺野「だけど・・・」

藤本「美貴が逃げたのは本当のことだからさ」

美貴は紺野たちに笑顔で言った。しかし当然焦点は合っていなかった。


465 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 00:40

田中「さっきからなんでれなの顔を見て話さないんですか!!それとも・・・」

美貴「田中ちゃん、美貴の目今使いものにならないんだ。だからこれだけは勘弁して?」

美貴は自分が責められているにもかかわらず優しい声で田中に言った。

田中「え?」

美貴「美貴今目が見えてないんだ。ほら、試合中床に落ちたでしょ?あれからずっと。」

田中は美貴を見た。

田中「そうだったんですか・・・だけど!!なんで高橋さんのこと簡単に諦めるなんて言うと!?」

美貴「美貴は田中ちゃんと違って愛ちゃんを笑わせてあげられないから・・・」

美貴は寂しそうに笑った。

田中「それは藤本さんのいいわけたい!!」

美貴「・・・」

紺野「・・・」

田中「そっか、藤本さんは本気で高橋さんのこと好きじゃなかったとですね。」

美貴「・・・」

田中「もうよかです。れな藤本さんのこと見損ないました。」

田中は美貴にそう言うとひとり歩き出した。


466 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 00:50

美貴「・・・んな」

ピタッ。

田中「なんか言いました?」

美貴「ふざけんな!!美貴が本気じゃないだって?んなわけないしょ!本気じゃなかったらこんな苦しくなるかっての!!」

田中「・・・」

紺野「美貴ちゃん・・」

美貴「だいたいね、愛ちゃんとまだ一年もいないくせに愛ちゃんのこと語ってるな!!美貴は田中ちゃんなんかよりずっと付き合い長いんだよ!!」

田中「その付き合いが長いとか好きなら関係ないちゃ。」

美貴「あぁ?うっさい!!美貴はもうちっちゃいころから愛ちゃんが好きなんだよ!愛ちゃんは一度も美貴のことそんなふうに思ってないだろうけど・・・」

紺野「・・・」

田中「藤本さんは好き止まりですか?」

美貴「はあ?んなわけないっつーの。美貴は世界で一番高橋愛のことわかってるし!!」

田中「わかってる止まりなんじゃん。」


467 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 01:01

美貴「田中ちゃん。いい加減にしないと美貴キレるよ?」

田中「だって本当のことたい。まあ、藤本さんが高橋さんを諦めるんだったらライバルが減るかられなにとっちゃーラッキーたい。これで高橋さんのことを一番に思ってるのはれなっちゅーこと証明されたようなもんたい。」

紺野「・・・」

美貴「あ゙ぁ?まじふざけんな!!世界で一番高橋愛を愛してんのは美貴なんだよ!!」

田中「でも諦めちゃ意味ない。」

紺野「・・・」

美貴「撤回!!こんなクソ生意気な後輩に世界・・・宇宙一美貴が愛してる愛ちゃんは任せられん!!」

紺野「あの・・・」

田中「だれがクソ生意気な後輩ですか?」

美貴「なーにをとぼけちゃって。田中ちゃんとこんこん意外にここにはいないじゃん。しかも後輩なんて田中ちゃんだけ。」

田中「こーんなにいい後輩なのに・・・」

紺野「あの!」

美貴「どこが。いい後輩ってのはもっと先輩を思いやる子のことを言うんだよ」

紺野「あのっ!!」


468 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 01:10

美貴「しっかしこんな悪ガキにひっかかる愛ちゃんってどんだけなんだか・・・まあそんな純粋なとこも愛しちゃってる美貴も美貴だけど。」

田中「ふふっ・・」

紺野「ねぇ!!」

美貴「なーに笑ってんだよ!!」

田中「いや・・・」

紺野「ねぇってば!!」

美貴「んもー!さっきからなにこんこん!!美貴は今後輩をしつけて・・・」

紺野「いるの。」

美貴「はい?こんこん勉強のし過ぎでついに幽霊が見えるようになったの?あっ、勉強と幽霊は関係ないか・・・」

田中「ひとりノリツッコミ・・・ぷっ。」

美貴「あぁー!!今笑ったろ!?」

田中「わ、笑ってませんよ。」

美貴「うそつけ!!美貴には聞こえた!ぷっって!!」

紺野「美貴ちゃん!!」

美貴「もう!!なに?また幽霊でも見たの?」

美貴はイライラしながらも紺野に聞き返した。


469 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 01:21

紺野「そうじゃなくて・・・」

美貴「あっ!もしかしてトイレ行きたいの?悪いけど美貴連れしょんって好きじゃないんだ。トイレならこの先にあるはずだからこんこんひとりで行って。」

田中「鈍感・・・」

美貴「今鈍感って言っただろ!!悪いけど美貴はそんな鈍感じゃないし。肌とかまじ敏感肌だし!!」

紺野「美貴ちゃんいるんだってば!!」

美貴「もーこんこんうるさ・・・」



「本当田中ちゃんの言う通り鈍感やざ。こんなとこにお化けなんかおらんわ。」


美貴「その声は・・・」

紺野「だから言ったのに・・・」

田中「藤本さんって意外とバカなんかな?」


美貴「・・・愛・・・・ちゃん?」


470 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 01:30

田中「高橋さ〜ん、藤本さんがれなのこといじめるたい!!」

田中は高橋に駆け寄った。

美貴「アホか!!美貴いじめてなんかないじゃん!むしろ美貴のほうがいじめられてたっつーの。はぁ、なんかアホらし。美貴帰るから。」

美貴はそう言うと再び壁づたいに控え室へ歩き始めてた。

愛「美貴ちゃん?」

ピタッ。

美貴は愛に呼ばれて止まった。

美貴「なに?」

美貴は背を向けながらできるだけそっけなく対応した。

愛「こっちむいて。」

美貴「無理。」

愛「なんでやの?」

美貴「なんででも。(こんな焦点も合わない情けない顔見せれるかっての)」

愛「頭打ってたけどなんともない?」

美貴「別に。」

愛「別にって・・・」

美貴「悪いけどみんなが待ってるから美貴行くわ。」

美貴は一歩一歩ゆっくりと進んだ。


471 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 01:43

愛「またや・・・美貴ちゃんはそうやっていっつもあーしの前からいなくなる。」

美貴「・・・」

愛「あーしの目すら見てくれん。」

美貴「・・・うるさいな。どこ見ようと美貴の勝手じゃん。」

愛「勝手じゃないわ!!なんであーしの目見てくれないん?」

美貴「別に。」

愛「答えになっとらん。」

美貴「・・・」

愛「ねぇ、なんでやの?」

美貴「なんででも。これで答えになった?」

愛「納得いかん。」

美貴「はぁ〜。相変わらず頑固だね。」

愛「頑固上等や。」

美貴「いばるとこじゃないっつーの。」

美貴は歩きながらしゃべっていたため頼りにしていた壁を見失った。

美貴(やべっ・・・)


ヒュ、ヒュン。


美貴の手は何回か空を切った。しばらくすると今度は手をつかまれているような感覚になった。


472 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 01:55

愛「美貴ちゃん。ちゃんとあーしのこと見て。」

美貴の腕をつかんでいるのは先ほどまで少し遠くにいたはずの愛だった。

美貴「やだ。」

愛「美貴ちゃん」

美貴「美貴疲れてんの。」

愛「あーしのこと見るまで離さん。」

美貴「それは勘弁。」

愛「だったらこっち向いて。」

美貴「それも無理。」

愛「わがまま。」

美貴「わがままで結構。」

愛「いばるとこじゃない。」

美貴「いばってないし。」

愛「・・・」

美貴「どんだけ愛ちゃんが美貴の腕つかんでても美貴見ないから。」

愛「なんで?」

美貴「めんどくさい。」

愛「そんなにいや?」

美貴「うん。」

愛「だったら・・・」


グイッ!


美貴「うわぁ!?」

愛は美貴の肩をつかみ無理やり自分のほうを向かせた。

美貴「いたたたた・・・」

愛「やっとこっち向いた。」

美貴「向いたんじゃなくて無理やりそうさせんじゃん。」

美貴は愛のほうを向いたが目は愛より高いところを見ていた。


473 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 02:04

愛「だけどこっち向いた。」

美貴「もう気はすんだでしょ?じゃあね。」

愛「だめ。」

美貴は背を向けようとしたが両腕をつかまれて動くことができなかった。

美貴「はい?美貴もう向いたじゃん。」

愛「あーしのこと見てない。」

美貴「見た。」

愛「うそ。」

美貴「うそじゃないし。」

愛「だってあーしと目合ってないもん。」

美貴「・・・」

愛「あーしの目見てよ。」

美貴「無理。」

愛「なんで?」

美貴「だって美貴目見えないもん。」

愛「・・・えっ?」

美貴「だから目見えないないだって。」

愛「な・・んで?」

美貴「今日の愛ちゃんなんでって多いね。まあいいんだけど。試合中に頭打って見えなくなった。」

愛「・・・」

美貴「もういいでしょ。悪いけど手離して。美貴壁ないと歩けないから。」

グッ。

美貴「あの、美貴離してって言ったんだけど。」

愛「やだ。」


474 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 02:11

美貴「はい?」

愛「あーし絶対離さんもん。」

美貴「あのさ・・・」

愛「やだ、美貴ちゃんが嫌がっても離さんもんは離さん。」

美貴「・・・」

愛「あーしの目見るまでは嫌や。」

美貴「いい加減にしてくんない?」

美貴は冷たく言い放った。

美貴「そうやって愛ちゃんはいっつも美貴に無理難題押し付けてきてんの。自分でわかんないわけ?」

愛「だって・・・」

美貴「その無理難題押し付けられる度に今まで美貴がどんだけ苦労したかわかってんの?」

愛「・・・」

美貴「もうやめてよ。美貴疲れる。」

愛「・・・」

愛は静かに美貴から手を離した。


475 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 02:23

美貴は控え室に行くために背を向けようとした。
愛「・・・もん。」

美貴「なに?」

愛「今回は無理難題やないもん!!」


グイッ。


美貴「なっ・・・」

愛は美貴の顔を両手で包み込み、自分の顔のまん前に持ってきた。

愛「ほら、目が合った。」

美貴「ふざけないでよ。美貴には全然見えてない・・・」

愛「でもしっかり見てるもん。」

美貴「あのさ、愛ちゃんはわかってないだろうけどそういうことされる度に美貴は辛いの。わかる?」

愛「わからん。だってこんなに簡単にできるんやから美貴ちゃんは辛くなんかないでしょ?」

美貴「やっぱわかってない。」

愛「わかってる。」

美貴「美貴が言ってんのはそういうことじゃないの。」

愛「じゃあなに?」

美貴「そういうことされると美貴が勘違いするってこと。」


476 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 02:32

愛「勘違い?」

美貴「そ、勘違い。」

愛「なんの?」

美貴「愛ちゃんが美貴のこと好きなのかもとか思っちゃうわけ。」

愛「なーんや。」

美貴「なーんやってなんだよ。せっかく人が真剣に話してるのに。」

愛「そんなこと。」

美貴「愛ちゃんにはそんなことくらいかもしんないけど美貴には大問題・・・」

愛「間違ってない。」

美貴「はあ?」

愛「だから間違ってないって。」

美貴「なにが?」

愛「あーしが美貴ちゃんのこと好きかもしれないってやつ。」

美貴「はい?」

愛「あっ、好きかもじゃなくて愛してるってのが正しいんやけどね。」

美貴「は、ははは・・・」

愛「へへへへへ///」


477 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 02:41

美貴「美貴のことからかって楽しい?」

愛「からかってないもん。」

美貴「そうやって美貴のことその気にさせといて後でからかうんでしょ?」

愛「違うって。」

美貴「あぁ、じゃあ田中ちゃんと賭けしてて・・・」

愛「そんなわけないやざ。」

美貴「んじゃあドッキリ。」

愛「あーしのほうがある意味ドッキリや。」

美貴「ああ、わかった。裕ちゃんに美貴を元気づけるために言ってくれって頼まれたんでしょ?」

愛「あーしがこんなうまくうそつけると思う?」

美貴「・・・ない。」

愛「でしょ?」

美貴「だけど他にうそつく理由がないんだけど。」

愛「だってうそじゃないもん。」

美貴「本気?」

愛「うん。あーし美貴ちゃんのこと本気で愛してる。」


478 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 02:51

美貴「マジ?」

愛「大マジ。」

美貴「いやいや、信用ならないなぁ。あ、あはは・・・」


チュッ。


美貴が引きつって笑っていると唇に生暖かいものが触れた。

愛「これが証拠。いくらなんでもうそでキスなんかしないよ?」

美貴「今の・・・なに?」

愛「キス。」

美貴「キスってあの口と口がくっ付くいわゆる接吻?」

愛「そう、接吻。」

美貴「今、それ誰と誰がした?」

愛「そんなの美貴ちゃんとあーししかおらん。」


美貴「・・・」

愛「わかった?」

美貴「うえぇぇ!?美貴とああああ、愛ちゃんが・・・ききききき、きす!?」

愛「美貴ちゃん焦りすぎ。」

美貴「いや、だって、あぁ!?」

愛「なに?」

美貴「あああああ愛ちゃんと美貴・・・」


チュッ。


愛「もっ。美貴ちゃんうるさい。」


479 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 03:00

美貴「ご、ごめん///静かに・・・じゃなくて!!」

愛「ん?」

美貴「なんでキスなんかしてんの!!そして美貴の顔からいい加減に手を離せ!!」

愛「なんでよぉ〜。美貴ちゃんはあーしのこと嫌いなん?」

美貴「そんなわけないじゃん!むしろ愛し過ぎて困ってる・・・だからそうじゃなくて!」

愛「あーし愛されてるんやね////」

美貴「あぁ、なんかもういいや。美貴疲れた。」

愛「じゃああーしがキスして・・・」

美貴「せんでいいわ!」

愛「えぇ〜。」

美貴「えぇ〜じゃない!!ってかするなら美貴からしたいし・・・///」

愛「美貴ちゃんもしたいんや。」

美貴「え?わぁ!そうじゃなくて・・・」

愛「美貴ちゃんもっかいだけしよ?」

美貴「やだ。」


480 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 03:09

愛「目が見えるようになったら美貴ちゃんからしていいから。」

美貴「本当に?」

愛「あーしうそはつかん。」

美貴「じゃ許す。」

愛「わぁい!!じゃ・・」

愛はそう言うと美貴の顔に自分の顔を近づけた。

愛「・・・」


美貴「・・・」


あと少し。あと少しで三度目の・・・。


美貴「あぁ!!」

愛「もう、今度はなに?」

美貴「愛ちゃん今日は赤の服着てる?」

愛「そうやよ?」

美貴「足元はブーツ?」

愛「そっ!これ可愛いやろ・・・ってまさか! 」

美貴は笑った。

美貴「ばっちし見えます。」

愛「まじ?」

美貴「まじ中のまじ。ってことで今度のキスは美貴から〜。」

愛「うぇぇ〜。しょうがないなぁ。」

愛は目をつぶった。


481 名前: 投稿日:2005/03/27(日) 03:18

美貴「な〜に勘違いしてんの?美貴は今するなんて一言も言ってないし。」

美貴は笑いながら目をつぶった愛の顔を見た。

愛「あぁひどい!!美貴ちゃんのうそつ・・・」


チュッ。


美貴「にしし///引っかかった。」

愛「・・・///」

美貴「あー照れてる照れてる。さっきは二回も自分からしてきたくせにぃ〜。」

愛「照れてないもん!」

美貴「愛。」

美貴は急に真剣な顔になった。


そして


美貴「愛してるよ。」


愛「あ、あーしも///」

美貴「まあ美貴のほうが先だったけどね。」

愛「あーしだって負けないくら・・・」


チュッ。


美貴「二回目いただきぃ。さあてと、控え室行こっと。」

愛「こ、こら〜待て〜!!!」

美貴「待てって言われて待つほど美貴はバカじゃありませぇーん。」


こうしてふたりは互いに本当の気持ちを通い合わせたのだった。


482 名前:本当の気持ち 投稿日:2005/03/27(日) 03:19


FIN

483 名前:gung 投稿日:2005/03/27(日) 03:21
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!! って感じですw
本当にお疲れ様でした。
最後の最後にこうなってよかったです(*´ Д `)
484 名前:A 投稿日:2005/03/27(日) 13:08
よかったぁ〜!(感動)
作者様本当お疲れ様でした!
あまりの擦れ違いっぷりに一時はどうなるかと思いましたが、最後やっと
本当の気持ちが通じ合って本当よかったです。
またお時間のある時で結構なんで、その後の幸せな二人やハロ高の面々の
様子などを番外編として書いていただけたら嬉しいなぁ。

485 名前:星龍 投稿日:2005/03/27(日) 13:27
作者様お疲れ様でした。
藤本さんと高橋さん良かったですね。
一時はどうなるのかと思いましたが
いつも楽しみにしてました。
作者様本当に素晴らしい作品有難うございました。
486 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/27(日) 14:31
ん〜作者さま本当に今までお疲れ様ですぅ〜!!!
愛ちゃんと美貴ちゃん本当に良かったですね〜(涙
すっごく最後感動してしまいました〜
こんな素晴らしい小説に出会わせてくれてありがとうございました!!!
487 名前:みきみき 投稿日:2005/03/27(日) 20:02
感動感動(涙)作者さん大好き☆
488 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/27(日) 23:38
読者のみなさま応援ありがとうございました!!そしてご報告がふたつあります。
まず遅くなりましたがワクワクは某有名私立大学に合格いたしました(^O^)いや〜一時は小説同様どうなることかと思いました(汗)
そしてふたつ目!!
こりずにアナザーストーリーとしてハロー高校のメンバーそして美貴愛のことなどを書くことにいたします。良ければ今後も支持していただければと思います!!
489 名前:本当の気持ち 投稿日:2005/03/27(日) 23:40
アナザーストーリー編
490 名前:桜の木 投稿日:2005/03/27(日) 23:43

第1話

491 名前:桜の木 投稿日:2005/03/27(日) 23:57

心地よい風が吹く季節。

『春』


この時期、道や電車人通りのあるところは全部初々しい人がいる。
そうこの季節は入学式の季節。そしてあたしも初々しい中のひとり。
中学生になるのだ。だけど普通の公立だから周りは見知った顔も何人かいる。
あたしの通うここ『緑川中学』は3地域くらいから人が集まる。
この緑中は運動、勉強まあ可もなく不可もなくってところかな。
だけどやっぱり3地域から集まってるだけあってごくたまーに運動部が強くなったり、めちゃくちゃ頭良い人が出てくるらしい。
まああたしにはどっちも関係ないんだけど。


492 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 00:05

あたしこそ緑中にピッタリだと思う。
だって小学生のときはまあそれなりに運動できてたけどひいでてできるわけでもなかったし、勉強だって中の下くらいで特に良いわけじゃなかった。むしろ悪いほう。
だからあたしは可もなく不可もなくってやつ。
別に友達だっていないわけじゃない。まあそれなりってやつ??
これまた可もなく不可もなく。
あたしの存在自体がそんな感じだった。
クラスでも小学生のときは別に目立つほうじゃなかったし、自分から目立とうとも・・・少し思ったか。まあでも本当少しだけだしとりあえず一般ピープル、いわゆる凡人だった。


493 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 00:19

そんな凡人的あたしでも今日、真新しくて不慣れな制服に身を包んで緑中の門をめでたくくぐった。
晴れて中学生になった。これからどんな生活になるのか予想もつかなくてすごく楽しい。なによりも初めての制服で初めての学校にいること自体がなんか新鮮で嬉しかった。
今日は親も一緒にいてさらに慣れないけど。
親にクラスを見てきなさいって言われてクラスの掲示をしてあるところに言って自分の名前を探した。


「え〜と・・・小川・・・小川・・・小川真琴・・・」

「その名前、あそこにあんじゃん。」

不意に横の子があたしの名前を掲示板に見つけ指差した。

「あっ、3組か。」

「ねぇ。」

「えっ?あ、はい。」

「礼とかないわけ?」

「はい?」

「だからあんたの名前見つけあげたお礼は?」

「あ、ありがとう!」

「わかればよし。」

な、なんだこの人。かなり怖いんですけど!しかもこの掲示板見てるってことはもしかして新入生!?あ、あり得ない・・・

494 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 00:29

あたしは名前のある場所を教えた子をじっと見た。見たことない顔。たぶん他の学区から来た子なんだろう。
それにしても・・・怖すぎる。


バンッ!!


「いってぇ〜!!なにすんのさ!!」

怖い顔が頭叩かれてさらに怖くなった。

「なにもかにもないやざ!!なにいきなり脅してるの!」

「脅してないし。むしろ美貴は名前教えてあげただけ。ね?」

「そうなん?」

怖い顔の人の後ろからひょっこり顔が出てきた。目がクリクリしててめちゃくちゃ可愛い。でもこの子よくこんな怖い人叩けたなぁ〜。すんごい根性。

「あ、うん。」

「ほらぁ〜。だから美貴が言った通りでしょ?」

「美貴ちゃんの言うことは信用できん。」

「うわっ。ひでぇ!」

あたし唖然としてふたりのやりとりを見ていた。

495 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 00:40

「お〜い。」

「あ、はいっ!」

あたしがぼーっとしてたらしい。前方には怖い顔の人が手を振っていた。

「口。」

「はい?」

「口開いてたよ。」

「あぁ!!」

あたしは思わず自分の口を手で隠した。

「プッ。いや、もう遅いから。」

「あ・・・」

この人、笑うんだ。

「あ、今美貴ちゃんのこと笑うんやって思ったでしょ?」

「え?いや・・」

やばい、ばれた。

「いいのいいの。よくあることなんや。」

「待った。それ愛ちゃんが言うことじゃなくない?」

「だって本当やろ?」

「まあ・・間違ってはないけど。」

なんかこの人達面白いかも。

「美貴ちゃん素の顔が怖いだけでいったって普通の子なんやよ?」

「へぇ〜。」

素の顔が怖いの納得。

「いや、納得するとこ違うんですけど。」

「あ、ごめんなさい。」

一応この人も自分の顔が怖いの気にしてるんだ。

496 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/28(月) 00:41
ちょこっと更新。
497 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 00:53

「別にいいけど。」

なんかこの人ものすごく素っ気なくない?普通はもっと人の目見て話すと思うんだけど。少なくともあたしは絶対そうする。

「あ、美貴ちゃんこんな顔して恥ずかしがり屋なんや。」

「あっ、そうなんだ。」

だからあたしの顔を見ないってやつね。これまた納得。

「こんな顔とか言うな。」

「じゃああんな顔。」

「一緒だから。」

この人達一見不釣り合いな感じするけど実はお似合いかも。

「あ、また開いてる。」

「え?」

「口。」

「あぁぁ!!」

あたしの悪いクセ。ぼーっと考えごとしてると必ず口開いちゃうんだよね。

「にしし。あんた面白いね。」

「ほ?」

あたしが面白い?初めて言われたかも。


スパーン!!


498 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 01:05

「い゙だい゙。なにすんだよ。てかカバンで殴るな、カバンで!」

あ、また可愛い子が頭叩いた。しかも今度は手じゃなくて通学用のカバン。こりゃそうとう痛いよ。だって意味わかんないとこに濁点ついてたし。

「美貴ちゃんがこの子のことあんたって言うからや!!ちゃんと名前で・・・」

「だって名前知らないじゃん。愛ちゃん知ってんの?」

「あっ・・・」

この子は天然?天然ですか?ってか天然じゃないとこんなミスしないよね?

「もーこれで愛ちゃんのミスツッコミ何回目だよ。」

「あ、あは!!」

「こんなときに可愛い子ぶってもむだ。」

「えへっ!」

「美貴怒るよ?」

「ご、ごめんなさい!!」

「ふぇ?」

あっ、思わず関係ないあたしが謝っちゃった。

「あ・・・あはははは!!まじウケる!なんで謝ってんのさ!」

「つ、つい・・・」

「やっぱ面白いね。3組の・・・なんだっけ?」

3組だってことは覚えててくれたらしい。

「小川真琴。」

「そうだ。小川さんだ!」

いや指差さなくても小川はあたしひとりです。


499 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 01:13


ドカッ!!


「ぐぇ!!こ、今度はなにさ!」

あーあ、ついに手じゃなくて足できたよこの子。

「なにじゃないわ!人を指差しちゃいかんやろ!!」

「たんま。愛ちゃんも今美貴を指差してるけど?」

うんうん、そうだよね。

「あーしはいいけど美貴ちゃんはだめ!」

なんだそりゃ。

「まあいいや。」

いいやって本当にそれでいいの?まああたしも別にいいや。

「美貴ちゃん、そろそろ行かんと。」

「あ、そっか。じゃあまたね、小川さん!」

「う、うん。」

ふたりは笑顔で手を振りながら去っていった。
しかしとっても不思議だったなぁ。だけど面白かった。あっ、名前聞くの忘れた・・・まあいっか。
こうしてあたしたちは出会った。


500 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 01:14

第1話終了

501 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/28(月) 12:59
作者さまアナザーストーリー第一話おめでとうございます!!
まずはあいさつを・・・。
この3人の出会いはちょっと怖いですねぇ〜(たじ・・・
まぁ、他の人もどうやって出会ったのか気になりますし・・・
待ってますよ〜次回更新!!!
502 名前:星龍 投稿日:2005/03/28(月) 13:36
アナザーストーリー第一話おめでとうございます。
そして更新お疲れ様です。
この3人はこんな風に出会っていたんですね。
次の更新も楽しみにしてます。
503 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 15:52

第2話

504 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 16:05

入学式。

クラスごとに来た人から順々に座っていく。あたしの席はちょうど真ん中あたり。周りは全然知らない子ばかり。
さっきの怖い人と可愛い子の姿も見あたらない。きっと違うクラスなんだろう。

「あの・・・」

「え?」

不意に隣りに座っていた子が話しかけてきた。

「さっきから口開いてるよ?」

「げっ!!!」

しまった。またやっちゃったよ・・・。

「あっ、大丈夫だよ。今のあたししか見てないと思うから。」

「あ、ははは・・・」

いや、ひとりに見られただけで充分恥ずかしいんですけど・・・。


505 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 16:24

「あ、あたしもダメなとこあるよ!!ほら、眉毛とかみんなによく太いって言われるし!」

「あ・・・」

確かに言われてみればこの子の眉毛って結構目立つかも。しかもなんであたしの考えてることわかったんだろ?

「ね?これでお互い様。へへへ///」

「ははははは///」

この子・・・優しいなぁ〜。それになんか気が合うかも。

「あっ。あたし新垣里沙!!よろしく。」

「あたしは小川真琴。こちらこそよろしく!」

あたしたちが挨拶を交わすと式が始まった。


506 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 16:37

「えぇ〜それでは校長からの祝辞です。」

司会の先生が校長先生どうぞというと先生たちの席からヒゲの長い白髪のおじさんが笑顔で壇上に上がった。

“あのおじさんさんが校長先生なのかな?“

隣りの新垣さんが校長先生らしき人を指差しながらあたしに話しかけてきた。

“きっとそうだよ。だって顔が校長先生っぽいもん。“

“なんだそれ〜。“

あたしの言葉に苦笑しながらも新垣さんは耳をかたむけてくれた。
小学生のときはあたしの話が長くて流す人が多かったけど新垣さんは違う。この子となら仲良くなれるだろう、そう思った。


507 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 16:54

「ごほん!!えぇ〜入学生の諸君ならびに父兄の皆様本日は入学おめでとうございます。本校はーーーー・・・」

校長先生の言葉が始まった。

“なんか長くなりそうだよね。“

“長いのはヒゲだけでいいよぉ〜。“

“ははは。確かに。小川さんって面白いねっ。“

“そーかな?“

まただ。ここに来てからあたしのこと面白いって言ってくれたのふたり目だ。

“うん。かなり面白いよ。小川さんは。“

“小川さんってなんか恥ずかしいなぁ。“

“う〜ん、じゃあまこっちゃんはどう?“

“おーなんかしっくりくる。じゃあ新垣さんは・・・ガキさんで。“

“おっけー。まこっちゃん。“

本当いい子だなぁ。

「以上を私からのお祝いの言葉とさせて頂きます。」

いつの間にか校長先生の話が終わっていた。


508 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 17:14

「校長先生ありがとうございました。続きましては新入生代表・・・」

どうやら次はあたしたち新入生の挨拶をするらしい。きっと頭良い子なんだろうなぁなんて思いながら壇上を見つめる。


タンタンタン・・・


静かな体育館に響きわたるひとりの足音。

「えーと、本日は私たち新入生のために・・」

「あっ!!」

“まこっちゃん、あの人知ってるの?“

知ってるもなにもさっきの怖い顔の人じゃん。

“あ。あのねさっき喋ったんだ。“

ほんの少しだけどね。

“そうなんだ。あの人さ・・・“

“うん?“

“なんかさ、かっこいいよね。“

“ふえ?“

確かに。さっきは気づかなかったけど言われてみればガキさんの言うなかなかかっこいい。なんてゆうかこう・・・キレイな顔って感じで。


509 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 17:31

あそこにいるってことは・・・あの人頭良いんだ。あんなに何回も頭叩かれててあんまり頭良さそうな感じじゃなかったけどなぁ〜。
世の中わからないもんだね。

「・・・新入生代表、藤本美貴。」

藤本さんって言うんだ、あの人。

“なかなか堂々としてる人だね。“

ガキさんの言う通り藤本さんは壇上に上がってから降りるまでの間堂々としてた。あたしだったら絶対恥ずかしくて顔さえも上げてらんないよ。

「以上をもちまして第52回緑川中学校入学式を終わります。新入生は案内の生徒に従って・・・」

「やっと終わったね〜。」

「うん。なんかど〜っと疲れたよ。ピーまこは。」

「ピーまこ?」

「そ、ピーまこ。今とっさに考えましたぁ。」

「プハハハ!!やっぱりまこっちゃん最高!」

そうかな?あたしあんまり大したこと言ってないような気がするんだけど・・・。


510 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 17:52

「あっ、そろそろ教室に行くみたいだよ。ほら。」

ガキさんが指差している先を見ると先輩らしき人を先頭にどんどんと新入生が体育館から出ていっていた。
それに続いてあたし、ガキさんも席を立ち上がって人の群の後について行く。

「あたしたち3組ってどんな子がいるんだろ〜ねっ!!」

あたしはガキさんに頷いてみせた。

うん。それはあたしも気になるところだ。変な人がいっぱいじゃなきゃあたしは別にいいけど。

「ここみたいだよ。」

ガキさんの声であたしが顔を上げると教室の入り口のプレートには確かに『3組』と書かれている。

「3組、これから一年間あたしたちはここに通うんだね。」

「うん。」

「ガキさんよろしく!」

「まこっちゃんについていけるようがんばりまっす!!」

ガキさんはあたしに向かって敬礼をするとドアに手をかけた。

「じゃあ入るとしますか。」

「そうしましょうか!」

あたしたちは勢いよくドアを開けた。


511 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 23:04

ガラガラガラ!!

「・・・あぁーー!!」

あたしはドアを開けてすぐに叫んだ。


だって・・・


だってさ

「よっ!小川さん。」

「な、なんでいるんですかーーーー!!」

「なんでって言われても美貴このクラスなんだもん。」

そううわさの藤本さんは入ってすぐの席に座っていたのだ。

「あっちなみに小川さんの席ここだから。」

「えっ!?」

藤本さんが指差しているのはまさに藤本さんの隣りの席だった。

「これからよろしくぅ〜。」

あの、藤本さんのめちゃくちゃ笑顔である意味怖いんですけど・・・。

「小川さん、美貴ちゃんがなんかして来たらいつでもあーしに言って!」

あ、可愛い子も同じクラスなんだ・・・しかもあたしの前の席かよ!

「あ、ありがとう。えっと・・・」

「高橋愛やよ〜。愛でええやざ。」

「うん。よろしくね。」

この子結構なまってるんだ・・・。

「あの、まこっちゃんあたしのこと忘れてない?」


512 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/28(月) 23:05
×真琴 → ○麻琴
といってみる。
513 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 23:16

「ぽ?ん、んなわけないじゃん!!」

ガキさんがいたことすっかり忘れてた。

「いや、絶対忘れてたっしょ?」

どうやらばれてるらしい・・・やっぱりガキさんは鋭いや。

「おーー。あんたいいツッコミだねぇ。」

うん。藤本さんも相当だけどガキさんもいいツッコミもってるよね。


ベシッ!!


「いったぁーー!!」

「美貴ちゃんまたあんたって言った。」

「だからっていちいち叩かなくてもいいじゃん。叩かなくてさ!」

さすがにあたしでもこんなに叩かれたことはないなぁ。なんか藤本さん可哀想かも。

「だって美貴ちゃんのしつけはあーしが担当・・・」

「んなことだれが決めたんだよ!!」

「わぁー!!これが本物のツッコミてやつだよね?」

いやいや、ガキさん。そこで指差したら・・・


バンッ!!


「人のことを指差さないの!」

ほらやっぱり。この子、愛ちゃんは容赦ないんだよ。


514 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 23:33

「・・・」

あーあ、ガキさん会っていきなりだったからショックで言葉出なくなっちゃったよ。

「あの、ガキさん・・・」

「うほぉーー!!まこっちゃん、あたしツッコミ受けたの初めてだよ!!超うれすぃ〜。」

そっちかい!!!

「ぶははは!小川さんのお友達もなかなか面白いねぇ〜。美貴気に入った!!ねぇ、名前は?」

「あたしは新垣里沙!!さっきまこっちゃんとも友達になったばかりなんだ〜。」

「へぇ〜。美貴は藤本美貴。よろしく。そっちの叩いてくる人が高橋愛。」

あ、藤本さん。今愛ちゃんのこと指差したよね?


バッ!


ガシッ。


「もう叩かせませーん。」

うお。愛ちゃんの叩きを受け止めた。

「む〜う。美貴ちゃんの意地悪!!」

「いや、これ以上叩かれてると美貴バカになっちゃうから。」

確か叩くと脳細胞減るとかよく聞くなぁ。


515 名前:桜の木 投稿日:2005/03/28(月) 23:51

「藤本さんと高橋さんかぁ、よろしく!!」

「ん〜なんか藤本さんって恥ずかしいな。」

「あーしも。愛でいいやざ!!」

「じゃあ美貴ちゃんと愛ちゃんよろしく!」

「はいよ。新垣さんは・・・」

「あ、まこっちゃんはガキさんと呼んでおります!!」

ガキさん、なんで敬礼してるのさ。

「じゃあ美貴もガキさんって呼ぶよ。」

「うん!!」

ガキさんはそう言うと美貴ちゃんの前の席に座った。どうやらガキさんの席はそこらしい。


ガラガラ。


「おーそろってるな。今日からお前らの担任になった鬼瓦だ!!よろしく頼むぞぉ。」

うわっ。また怖そうな先生だな。なんで手に竹刀を持ってるの!竹刀を!

「おい!!そこの男子!人の話を聞くときはしゃべるな!!」

おー結構まともなこと言うんじゃん。

そうこうしているうちに初ホームルームが終わってあたしたち新入生は下校となった。


516 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 00:12

美貴ちゃんと愛ちゃんは用があるからと言って足早に教室を去っていった。

「あのふたり仲良いんだね〜。」

「そ、だね。」

ガキさんは突然、何を思い出したのかごめん先帰るって言って急いで出ていった。

「あんなに慌ててどーしたんだろ?」

あたしはひとり教室に残されすることもないので、まだ筆記用具しか入っていない真新しいカバンを肩にさげ教室から出た。

「はぁ〜。風気持ちいぃ〜。」

外に出ると頬に心地よい風が吹いていた。
まさに眠くなる風って感じ。


ザワザワ


「あ、今ちょうど桜の時期かぁ〜。」

入学式の時期はちょうど桜が咲くときだったことすっかり忘れてた。

「ん??」

風のせいで桜吹雪になってる中、誰かが木の下にいるのが見えた。


サラサラ・・・


「うわぁ〜。」

木の下にいる子、すっごいキレイ。なんかほんわかしてて桜が似合うなぁ。


これがあたしの始まりだった。


517 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 00:13

第2話終了

518 名前:ワクワク 投稿日:2005/03/29(火) 00:17
七誌さま>ご挨拶ありがとうございます。またこりずに駄文書いちゃってます(苦笑

星龍さま>どうもどうもです。いっつも感想ありがとうございますぅ。

名無飼育さま>あわわ。これはこれは失礼しました!ご忠告ありがとうございます!!

519 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 14:48

第3話

520 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 15:12

入学式から早くも2週間が過ぎていた。とはいっても土日を挟んでるから実際はまだ8日くらいなんだけどね。

あの子・・・

入学式の日に桜の木にいた子。見たことなかったなぁ。でもあの時間にあそこにいたってことはあたしと同じ新入生・・・だよね?

「うぉーい。まこっちゃん??」

あたしが考えごとしてるとガキさんが不思議そうに顔を覗き込んできた。

「うわっ。ガキさん顔近いよぉ〜。」

「だってまこっちゃんがぼーっとしてたからさ。はははは。」

確かに考えごとしてたけどぼーっとはしてませんよ。ぼーっとは。

「おー。朝から麻琴はぼーっとしてるんやね。」

「あー!!愛ちゃんおはよう!」

「おはようガキさん、麻琴!」

あたしとガキさんが話していると愛ちゃんが来た。

「あれ?今日美貴ちゃんは?」

あれから美貴ちゃんと愛ちゃんは毎日一緒に今日に来る。美貴ちゃんと愛ちゃんはお隣さん同士で幼なじみだって言ってた。これ聞いて入学式の日の出来事は納得だった。幼なじみだからあんなに息が合ってるんだ。


521 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 15:36

なのに今日は愛ちゃんと美貴ちゃんは一緒じゃない。美貴ちゃんになんかあったのかな?

「ん〜、ふたりともあれ見るやざ。」


そう言われて愛ちゃんが指差すほうを見ると・・・


「な、なにあれ!?」

「あんなのどこがいいんだか。あーしにはまったくもってわからんわ。」

こりゃ誰でもビックリだよ・・・


だって


だってさぁ・・・


なにさこの大群は。しかも見事に女子ばっかり。先輩、それにあたしたちと同じ新入生まで。

「藤本さ〜ん、いつもこの時間に登校なの?」

「まあ。」

「食べ物何が好きぃ?」

「焼き肉。」

「何部に入るの〜?」

「決めてない。」

「私たち藤本さんと同じ部に入る♪」

「じゃあ私たちの部に入ってよぉ。」

「考えときます。」

「えぇ〜!ずるいよ!!だったら私の部に・・・」

「だめ!!私たちが藤本さんを・・・」

「なによー!!」

「そっちこそ!」

あらら、先輩たち争っちゃってるよ・・・


522 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 15:53

「あの、先輩たち。」

「「なに〜??藤本さん♪」」

「美貴教室行くんで。」

「えぇ〜!!もう行っちゃうの?」

「やだー!行かないでぇ〜!」

女の子たちの悲痛な叫びが廊下中に響きわたる。

「いや、美貴怒られんのやなんで。じゃ。」


ニコッ。


「キャァァーー!!」

美貴ちゃんの笑顔に秒殺されたみなさんは名残惜しそうにしながらも各自の教室へと散っていった。

「あー、なんか疲れた。」

「そりゃあんな大群に可愛い女の子たちに騒がれれば疲れるやよ〜。」

「なに?愛ちゃん美貴に喧嘩売ってんの?」

「べっつに〜。」

「美貴疲れてんの。」

「あんなにあーしのこと先行けって言ってみんなとおしゃべりしてたんやもんねぇ〜。」

ありゃりゃ。なんか修羅場の予感・・・そして愛ちゃん。あなた笑顔だけどものすっっごい怖いんですけど。


523 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 16:17

「はぁ〜?」

「美貴ちゃんは女の子だーい好きやもんねぇ。」

「それまじで言ってんの?」

美貴ちゃんの顔が疲れた顔から一転真剣な顔で愛ちゃんを睨んでる。

「本当のことやも〜ん。」

「・・・もういい。勝手に言ってれば?」

「ふんっ!」

“美貴がどんな思いで先行っててって言ったかわかってないクセに“

美貴ちゃんは愛ちゃんにいや、みんなに聞こえないくらい小さな声でボソっとつぶやいた。だけどあたし聞いちゃったんだよね・・・美貴ちゃんごめん。

それからふたりはまったくしゃべらなくて、目すらも合わせなかった。

「ねぇ、ど〜するまこっちゃん。」

「ど、どうするもなにも・・・ねぇガキさん。」

あたしにはどうしていいかわかんないよぉ。


524 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 16:49

「あ、あの、美貴ちゃん!」

あーあ、あの子めちゃめちゃタイミング悪いなぁ〜。美貴ちゃんに話しかけちゃってしかも愛ちゃんめっちゃ睨んでますよ・・・。

「ん〜。何?」

それを知ってか知らずか美貴ちゃんすごい笑顔だし・・・。

「ここの問題なんだけどね・・・」

「あぁ、これはここがこうだからさ、こうなって答えが出るわけ。」

美貴ちゃん、顔近すぎだよ・・・ってか愛ちゃんが見てるの知っててやってるでしょ?

「しっかし相変わらずこんこん真面目だねぇ。」

「そ、そんなことはありませんよ。」

「なんだよ。敬語じゃなくていいって。」

「は、はい!」

「ぷっ、こんこんまた敬語使ってるから。」

「あ!い、いけない///」

「なんかこんこん見ると懐かしくなるなぁ〜。」

「それは北海道のせいかな?」


525 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 17:11

北海道?美貴ちゃんってずっと愛ちゃんの隣りに住んでたんじゃなかったっけ?

「んーそうかも。あっ、ばんちゃん元気だった?」

ばんちゃん?

「あ、うん。私がこっちに来るときも見送りに来てくれたんだ。」

「あぁ、あの人昔からこんこんのこと大好きだったもんね。」

「そんなことないよ。」

「いやいや。だって美貴のことなんかこれっぽっちも触れないでいっつもあさ美ちゃんはねえって言ってたんだよ?」

「そ、そうなの?」

「うん。だから美貴いっつも悔しかったもん。」

ばんちゃんって誰?

「ごめんなさい。」

「うぇ?」

「わ、私がいたから・・・」

「いや、謝らないでよ。」

「でも・・・」

「ばんちゃんはこんこんがいるとすごい元気になったんだよ?だから美貴はこんこんに感謝してるんだから。」

「ほ、本当に?」

「うん。だから美貴に気使わないで?」

「・・・うん!」


526 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 17:24

美貴ちゃんとあの子なんか妙に親しげだな。もしかしてもうひとりの幼なじみ・・・とか?

「ところで美貴ちゃん。」

「うん?」

「私なんかと話してていいの?」

「なんで?」

「だってあの子・・・」

そうだよね。あの子の言う通り愛ちゃんものすっごいブスッとしてるもん。

「あぁ。いいのいいの。」

「いいのいいのって・・・」

「いいんだって。美貴はどーせ女好きですからね〜。」

み、美貴ちゃん!?

「お、女好き?」

「そ。あの人によると美貴は女好きらしーよ。」

“まこっちゃん。こりゃヤバいね。“

“だすね。“

「み、美貴ちゃん!いくらなんでもそんな言い方したら・・・」

そ、そうだそうだ。あの子の言う通り今のはないですよぉ。


527 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 22:05

「いいんだって。美貴は本当に女の子好きだも〜ん。だけどそれはどっかの誰かさんみたいにブスッとしてる子じゃなくてこんこんみたいな可愛い女の子限定だけど。」

あらら、美貴ちゃん肩まで回しちゃって。これじゃまるで・・・

「誰がブスッとしてるやって?」

「あ、愛ちゃん!落ち着いて!!」

「麻琴は黙ってて!」

「は、はひ・・・」

ひゃーー。愛ちゃん怖い。怖い過ぎです!ある意味美貴ちゃんより怖いよ・・・。

「さぁね。誰だろーね。」

「いい加減にするやざ!」

「別に愛ちゃんには関係ないじゃん。」

「なっ!?」

「美貴はいろんな女の子とおしゃべりするの好きですからぁ〜。」

「それどういう意味?」

「どうもこうも今言った通りなんですけど。」

「あーしじゃ役立たずってこと?」

「はい?ってかそもそも美貴のこと女好きって言ったのそっちじゃん。なんで美貴が責められなきゃいけないわけ?」


528 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 22:20

うぅ・・・。ヤバい。非常にヤバいよ。

「それは美貴ちゃんがあーしを邪魔者扱いするからや!!」

「はぁ?じゃあ愛ちゃんはあそこにいた人たちと仲良くなりたかったわけ?」

「・・・」

「あー、出た無口戦法。愛ちゃんって自分の立場悪くなるとすぐ黙るよね。そろそろそのクセ直したら?」

「美貴ちゃん!!」

「ガキさんは黙ってて。大体さ、なんで美貴がすねられなきゃいけないわけ?美貴なんもしてないじゃん。まじそういうのかん・・・べ・・ん」

「・・グズッ・・美貴ちゃんのバカ!!」


バチン!!

パタパタパタパタ

あーあ、美貴ちゃん明らかに言い過ぎだよ。

「いってー。なんだよ・・・。泣いて殴るとか反則じゃん・・・。」

「美貴ちゃん!今のは言い過ぎだよ?愛ちゃんきっと・・・」

「ガキさん、美貴次の時間保健室行くわ。悪いけど先生に言っといてくれない?」

「いいけど・・・ってちょっと美貴ちゃん!?」

美貴ちゃん行っちゃったし・・・。愛ちゃんのことどーするんだよ!


529 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 22:38

「美貴ちゃんも相変わらず素直じゃないんだなぁ。」

「ふぇ?」

「あ、私紺野あさ美って言います!」

紺野さんって言うんだ。あぁ、だから美貴ちゃんは『こんこん』って呼んでたわけね。なんかメガネかけてるせいかすっっごい真面目そぉ〜。ってなんかこの子どっかで見たような・・・。

「紺野さん、あたしさっきから気になってたんだけど『ばんちゃん』って誰なの?あ、あたしは新垣里沙。ガキさんでいいよ。こっちは小川麻琴。まこっちゃんだよ!」

「まこっちゃんで〜す。」

「あ、よろしくお願いします。ばんちゃんは美貴ちゃんのおばあちゃんで北海道にいるんです。私はその隣りに住んでました!それで美貴ちゃんが来たときはいっつも遊んでたんです!」

あぁそうか。それで美貴ちゃんは懐かしいって言ってたんだ。

「だけど素直じゃないって??」

「あぁ、あれはですね、美貴ちゃん昔から素直じゃなくてばんちゃんが褒めてくれても『別に』って言っちゃうような子だったんですよ。」

「ぷっ。あたしなんか想像できるかも。」

うんうん、ってか全然変わってないんじゃない?


530 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 22:49

「でしょ?でもね昔からすごく優しい子でもあったんですよ。」

「ふぇ〜。なんかものすごく意外だね。」

「そうですか?私は昔からあんまり外で遊ばなくて本とか読むのが好きだったんですよ。でもやっぱり小さいから外で遊びたいときもあって・・・だけど私、外に出るといつもいじめられてたんです。付き合い悪いとかで・・・」

「そりゃ酷いな!」

「ですよね。でもそんなときいつも美貴ちゃんが助けに来てくれたんですよ?それでみんなに言うんです。『弱いものいじめすんな。』って。」

うぉ〜。美貴ちゃんかっこいいじゃん。

「そうやって私がピンチのとき私はいつも助けに来てくれたんです。で、私がありがとうって言うと『別に』っていつもみたいにそけっなくなるんです。」

「なんかすごい美貴ちゃんらしいね〜。ね、まこっちゃん?」

「うん。今でもよく『別に』って言うもんね。」

「だから今も保健室に行くって言ってたけど多分泣いて出ていっちゃった子のこと探してると思います。」

今の話を聞いた感じでは絶対愛ちゃんのこと探してるね。


531 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 23:01

ここからは美貴視点です
532 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 23:14

「あぁ〜いったいな。」

ったくなんで美貴が叩かれたわけ?
・・・まぁ美貴が悪いんだけど・・・

美貴は愛を探し回っていた。もちろん保健室に行くなんてウソだ。

「やっぱあとは愛の行くところって言ったらここしかないし・・」

美貴は屋上の扉を開けた。


ギィィー。


「うぉ〜。気持ちい・・・い・・・」

「うぅ・・・」

ビンゴ。やっぱりここだったか。


ドサッ。


美貴は愛の隣りに腰をおろした。

「・・グズッ・・」

「ねぇ。」

「ズズズー・・・なんやの・・・」

「ん〜単なるサボリ。」

「授業サボったら怒られるやよ・・・」

「平気。美貴は怒られ慣れてるから。」

「・・・」

「風気持ちーいね。」

「・・・」

「やっぱ美貴屋上好きだなぁ。」

「女の子もでしょ・・・」

「ん。まあね。」

「・・・」

「確かに女の子たちに囲まれるのに悪い気分はしない。だけど美貴はこうやってどっかの誰かさんといるほうが楽しいかな。」

「・・・」


533 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 23:31

「まあ、殴られるのは勘弁だけどね。にしし。」

「・・・」

だめか・・・

「・・あーしね、」

「うん?」

「あのとき、先行っててって言われたとき悔しかったんや。」

「ほ〜。」

「だって今まではいっつも一緒にいたのに急にあーしなんかいらんって言われたみたいで・・・」

そんなこと思ってたのかよ・・・

「んなわけないしょ?あのね、美貴が愛ちゃんに先行けって言ったのは愛ちゃんが美貴のそばいると周りの人達にイヤな目で見られるっしょ?美貴はそれがいやだったの。」

あー、なんかすっごい恥ずかしいかも。

「あ、そうなん?」

「そ。まあこれから美貴専用のめざましがないと結構つらいしね。」

「え゙ぇ〜!!」

「なにさ。美貴にめざましは必要なんだよ?それとも美貴が遅刻してもいいわけ?」

「う〜ん、あーしはどっちでもいいもん。」

「はぁ?美貴のしつけ担当は誰だっけ?」

「さぁ〜ね。」

「うわっ。とぼけるなよ。」

「ししししし。」


534 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 23:40

「ねぇ愛ちゃん。」

「なんや〜?」

「桜。めちゃくちゃキレイだね。」

うん。愛ちゃんみたいだよ。

「あぁ〜。本当や。」

ふたりは屋上から見える桜にしばし見入る。

「ごめん。」

「ふぇ?」

「いや、なんか言い過ぎたっぽかったからさ。」

「あぁ。それならあーしも言い過ぎたやよ。ごめんね?」

「別に。」

「人がせっかく謝ってるのに〜。」

「だって別に美貴は愛ちゃんに言われてないし。」

「ふふふっ。」

「なーに笑ってんのさ。」

「なんでもないやざ。」

「うわっ。きもーい。」

「なんでよ〜!!」

「さっ、じゃあ行くとしますか?」

美貴は立ち上がって手を差し出した。

「そうやね。」

愛も美貴の手につかまりふたりはそのまま屋上を後にした。


535 名前:桜の木 投稿日:2005/03/29(火) 23:40

第3話終了

536 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/30(水) 12:34
う〜ん・・・まこっちゃんいいキャラしてるやざ・・・(あ、うつったw
美貴ちゃんとこんこんは北海道で仲良しだったんですね〜。
「美貴ちゃんも素直じゃないんだからぁ〜」ってのは「お」って思いました。
537 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 17:06

第4話

538 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 17:21


バシン!!


「いったぁー!!なにんすんだよ!!」

「美貴ちゃんがあーしのこと指差すからや!」

あの喧嘩から愛ちゃんは相変わらず美貴ちゃんを叩くし美貴ちゃんは美貴ちゃんでそんな愛ちゃんに文句を言いながらも言う通りにしてる。

ただ前とひとつだけ変わったことがある。


そうひとつだけ。


「もうふたりとも止めてよ〜。」

美貴ちゃんと愛ちゃんが言い合いをしている間にひとり止めに入る影。

「あさ美ちゃん!!止めに入らんで!」

「こんこんは美貴の味方なんだよ〜だ!あっかんべー!!」

あ、美貴ちゃんがあさ美ちゃんを盾にして愛ちゃんにあっかんべーってしてるよ。

「なにをーー!!」

「ふふ〜んだ。」

美貴ちゃんなんでそんな得意気なのさ。


パシッ。


「ふぇ?」

なに?今の音。


539 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 17:35

「美貴ちゃんいい加減にしないと。ね?」

ああ、あさ美ちゃんが美貴ちゃんの頭をかるーく叩いたのね・・・ってえぇ!?あ、ああああさ美ちゃんが!?

「えっ?え?美貴?あ、はい。」


パシッ。


あ、今度は愛ちゃんにも!?

「愛ちゃんも叩くのはよくないよ?」

「あ、うん。」

「ふたりともわかったら仲直りの握手。」


パンッ。


あさ美ちゃんにお互いの手を握らされたふたりはブツブツと言いながらも握手をした。
そうなんです。今まではふたりを止められる人はいなかったの。ガキさんやあたしでも無理だった。だけどあさ美ちゃんとも仲良くなってからはいーっつもあさ美ちゃんがふたりを仲直りをさせてる。あ、でもふたりを叩いたのは初めて。かるーくだけどね。

「う〜ん。さすがあさ美ちゃん。絶妙な仲裁だね。」

「だよね〜。ピーまこも見習わなくては。」

「ははは。そうだね。」

いつかは止められるようになっていたいよ。
だってさ、いつもあたしたち被害者じゃん。


540 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 17:56

あ、ちなみにあさ美ちゃんはあたしたち1−3のクラス委員に任命されたの。なんか美貴ちゃんいわくあさ美ちゃんもものすご〜く頭が良いらしい。

「あー、麻琴!口、口!」

美貴ちゃんが自分の口を指差しながら言う。

「んほ?」

「んほ?じゃなくてさ。口開いてるって。」

「あ・・・あぁぁぁ!!」

みんなが一斉に耳をふさぐ。

「ま、麻琴!うるさいやざ!!」

「だって・・・だって・・だぁぁぁぁぁ・・・んぐ!?」

「よし。麻琴の口確保。」

「グッジョブ!!美貴ちゃん!」

「本当。美貴ちゃんのおかげで麻琴の絶叫聞かずにすみました。」

「やるときはやるやざ!」

「へへーん!あたぼーよ。」

「んぐ!!んぐぐ!!」

美貴ちゃん苦しいよ・・・。

「ん?もう叫ばない?」

こくこくこく!!

あたしは必死に首を振った。そりゃもう引きちぎれんばかり・・・。大袈裟だって?いや、ほんっと生きるか死ぬかくらい苦しかったんだよ。


541 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 18:06

「では離してやろーぞ。」

美貴はにやけつつふざけ口調で手を離した。

「ぷっは!!美貴ちゃんひどいよ!めちゃめちゃ・・・んぐ!?」

「あーあうるさいよ。」

美貴は再び麻琴の口をふたいだ。

「む!んぐんぐ!!」

美貴ちゃん離してくださいよ〜。

「だって麻琴うるさいんだもーん。」

「んぐーーー!!」

し、静かにします!!しますから!だからあたしに空気を恵んでください!

「もう叫ばないでよ?」

こくこくこくこく!!

あたしはさっきよりさらに激しく首を上下に揺らした。

「よーし。」

「ぷは!!はあはあはあ・・・」

し、死ぬかと思った。


542 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 18:16

その日の給食の時間。


「ねえねえ。あさ美ちゃんって昔から目ぇ悪いん?」

「うん。あ、でもたまにメガネ外すときもあるよ。」

「あ、そうなんや〜。」

あさ美ちゃんと初めて話したとき、あっ、美貴ちゃんと愛ちゃんが喧嘩したときね。あのときは愛ちゃんの言葉に少しトゲがあったのに・・・いつの間にかこんなに仲良くなってるし。

「でもさ、あたしたちあさ美ちゃんがメガネ外したとこ一回も見たことないよね。」

あぁー。言われてみればガキさんの言う通りあさ美ちゃんがメガネ外してんの見たことないや。

「美貴ちゃんはあさ美ちゃんのメガネ外したところ見たことあるん?」

給食の焼き肉にガツガツと食らいついていた美貴ちゃんが顔を上げた。ってかそんなに必死に食べなくても・・・


543 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 18:33

「モグモグ。っぷは!ん〜?あるよ。」

「へぇ〜。どんなやったぁ?」


チラッ。


美貴ちゃん。今あたしは見たよ。肉をチラ見したでしょ?

「ねぇ。どやったんや?」


パクッ。


「もう!食べてばっかりいないで教えてよぉ。」

そうだそうだ!ガキさんの言う通り早く教えてよ。

「ん〜?んなの可愛いに決まってんじゃん。」

「「「へっ??」」」

あたしたち3人は声を合わせて驚いた。だって普通そんなことをあっさり言わないでしょ?

「ちょ、ちょっと美貴ちゃん!!」

「いいじゃん。可愛いってのは事実なんだし。」

まあ確かにあさ美ちゃんは可愛いよ?だけどそんなあっさりと・・・

「わ、私なんか・・・」

「可愛いって。」

「・・・///」


544 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 18:46

なんていうかさ・・・
美貴ちゃんって男前だね。あ、でも美貴ちゃんは女か。じゃあ女前だ。

「も、もう!美貴ちゃんってば///」


バシン。


およよ?あさ美ちゃん顔が真っ赤だよ。

「ん〜・・・」

美貴ちゃんが腕を組んで考え始めた。またなんか悪巧みでもしてるんじゃ・・・。

「あ!そうか!うんうん。」

あの、ひとりで納得しないでください。

「こうすれば・・・」

「あぁ!美貴ちゃん!!」

あらら。ついにあさ美ちゃんまでも美貴ちゃんの餌食に・・・

「ほぉ〜ら。これでみんな納得っしょ?」

「ほわぁ〜・・・」

「いや〜・・・」

「・・・あぁ!?」

「ねっ?だから可愛いって言ったじゃん。」

「美貴ちゃん!私のメガネ返してよ〜!!」


545 名前:七誌さん 投稿日:2005/03/31(木) 19:09
美貴ちゃんってば意地悪なんだからぁ〜。
ってかリアルタイムだぁ〜!!!うれすぃ〜!
あさ美ちゃんも・・・たたいてるし・・・
・・・あ。ネタバレすいません。
546 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 19:14

う、うそでしょ?

「本当やぁ〜。メガネかけてても可愛いけどねっ!」

「うんうん。やっぱりこの新垣里沙の目に間違いはなかったよ!」

「だから言ったじゃん。」

「・・・」

「ん?まこっちゃんどーしたー?」

いや、どうしたもなにもさ・・・




なんで桜の木の子がここにいるわけ!?

「ま、麻琴?大丈夫?」

あたしの顔の真ん前に桜の木の子の顔が『ど』がつくほどのアップであった。

「・・・」

「おーい!!まーこーとー?」

美貴ちゃんの手がヒラヒラと舞う。

「・・・」

「麻琴の目が点になってるやざ。」

遠くの方で聞こえる愛ちゃんの声。

「まこっちゃん!!大丈夫か!?」

ガキさんのせいで体がゆっさゆっさ揺れてる。


547 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 21:27

う、うそでしょ?

「本当やぁ〜。メガネかけてても可愛いけどねっ!」

「うんうん。やっぱりこの新垣里沙の目に間違いはなかったよ!」

「だから言ったじゃん。」

「・・・」

「ん?まこっちゃんどーしたー?」

いや、どうしたもなにもさ・・・




なんで桜の木の子がここにいるわけ!?

「もしやこんこんに恋した?」

「麻琴が私に恋するわけないよ〜///」

美貴ちゃん、そしてあさ美ちゃん・・・結構シャレになってないよ・・・

「なんで・・・」

「へ?」

「なんであの子がここにいるんだーーー!!!」

なんでだよ!!


548 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 22:21

「はぁ?麻琴何言ってんの?」

美貴ちゃんはなんで教えてくれなかったんだよ!あ、でも美貴ちゃんには桜の木の子教えてなかったんだった・・・

“ねえ、まこっちゃん!もしかしてさ桜の・・・“

あたしは静かにガキさんに頷いた。
そうそうガキさんだけにはあの子のこと話してたんだ。

“ほ〜!!ラッキーじゃん!“

ガキさんが笑いながら肘でつついてきた。
いや、ラッキーだけどさ・・・まさかあさ美ちゃんがあの子なんて・・・ねえ?

「なにこそこそ話してるんやぁ〜??」

「いや〜、まこっちゃんがね!!」

「わぁーー!!ガキさん!!」

「ん?」

ん?じゃないよ!!


549 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 22:32

「おい、何隠してんの?」
藤本さん、怖いっす!!怖いっすよ・・・

「な、なんでもないっすよ!!」

「麻琴??」

いや、あさ美ちゃん!メガネをかけてください!メガネを!!

「ん〜本当になんもないよ〜。ただ可愛いねって話してただけだから!ね、ガキさん?」

あたしウソはついてません。

「へへへへ。うん!!ま〜ね。」

ガキさんにやけ過ぎ。

「そっか。だから美貴が可愛いって言ったじゃん!!」

ってか美貴ちゃんが自慢することじゃないと思います。

「美貴ちゃんが自慢するとこじゃないやざ!」

愛ちゃんよく言った。

「それより私のメガネ〜!!」


550 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 22:40

やっぱ可愛いなぁ〜。

「ん〜・・・」

美貴ちゃん顔近過ぎ!!あたしのあさ美ちゃんから離れろー!!あ。あたしのじゃない・・・じゃなくて!近いってば!

「な、なに?」

「こんこん見えてんの?」

「す、少しだけ・・・」

「ふ〜ん。」

ふ〜ん。じゃないですよ!早くあさ美ちゃんから離れてよ〜。

「な、な、なんですか?」

「う〜ん、美貴はメガネかけないほうが好きだなぁと思ってさ。」

「は?」

「うえ?」

「ほえ?」

「そ、そんな///」

「昔はメガネかけてなかったじゃん?やっぱこっちのほうが美貴は好きです!!」

は、はははは・・・


551 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 22:47

「「「えぇーーー!?」」」

見事にそろった愛ちゃん、ガキさん、あたしの3人。

「も〜うっさいな〜。」

美貴ちゃんはあたしたちの声がうるさくて耳をふさいでる。

「今なんやて!?」

「美貴はメガネかけないほうが好きなんだもん。」

「美貴ちゃんとあさ美ちゃんってそういう関係なの!?」

「そういう関係ってどーいう関係だよ。」

美貴ちゃんはいいとして・・・あさ美ちゃん本当なんですか!?っていうかあさ美ちゃん顔真っ赤だし・・・

「まあ、美貴とこんこんは仲良しだよ。ね?」

美貴ちゃんあさ美ちゃんの肩に手回してるし。

「えっ?・・・あっ、はい///」

あさ美ちゃん動揺し過ぎです・・・


552 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 22:55

「ほぉ〜らね!」

「やっぱり恋人関係だったんだねぇ。」

「はぁ?」

あーあ、なんか一気に現実突きつけられましたよ〜・・・。現状を音で例えるとまさに『ガーン』ってやつです。はい。

「もー美貴ちゃんとぼけなくてもいいじゃん!」


バシッ!!


「はい?ガキさん美貴意味がわかんないんだけど・・・」

「だーかーら!美貴ちゃんとあさ美ちゃんは恋人なんでしょ?」

「恋人??」

「そ。こ・い・び・と!」

「・・・」

「・・・」

はぁ、ハイテンションなのガキさんだけじゃん。あさ美ちゃんは顔真っ赤にしてうつむいてるし、あたしは現実逃避しそうだし。あ!愛ちゃんもなんか深刻な顔してるしさ・・・まじ最悪です。

「誰と誰が?」

「美貴ちゃんとあさ美ちゃん!!」

ニヤニヤ。


553 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 23:10

「・・・ははははは!!ガキさん面白いこと言うねぇ!」

いや、あたし的にはぜーんぜん面白くないっす。

「え?だって・・・」

ガキさんが美貴ちゃんとあさ美ちゃんを交互に見ながら戸惑ってる。

「いやさ、確かに仲良いけど恋人って・・・プッハハハハ!!」

あーあ、なんかもう人生終わった感があるんですけど・・・

「残念ながら美貴はそんな感情持ち合わせてませーん。もちろんこんこんも。ね?」

「・・・うん・・」

あぁ、これでカップル成立ですね。おめでとうございます。あたしの分まで幸せに・・・



ってえぇ!?違うの!?まじで?あたしにも神様がついてたーー!!

「ほ、本当なん!?」

「うん。美貴たちまったくもってそんなんじゃないよ。あ、もしかして愛ちゃん妬いた?」

「な、なんであーしが・・・」


554 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 23:17

「そっかそっか。愛ちゃん寂しかったんでちゅねぇ〜。」

「あーしは赤ちゃんやないもん!!」

「よちよち。」

「なんやのーー!!」

「あははは!にっげろ〜。」

「待てーーー!!!」

「相変わらずにぎやかなおふたりさんだね。」

ガキさんの言葉はあんまり頭に入らなかった。
あたしはとりあえずほっとしたよ・・・

「・・・」

だけどさ、あさ美ちゃんはなんでそんなに寂しそうなのよ?

「あさ美ちゃん!」

「へ?な、なに?麻琴。」

「元気ないなぁと思ってさ!!」

「そんなことないよー」

口ではこんなこと言ってるけど顔はやっぱり寂しそう。

もしかして・・・さ


555 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 23:24

じーっとあさ美ちゃんの顔を見るとやっぱりあさ美ちゃんはあの人ばっかり見てた。
はぁ・・・よーし!

「あさ美ちゃん!!」

「ん?」

「元気ですかぁ!?」

あたしはおもいっきり拳を上げる。

「あ、うん。」

「だめだーめ!そんなあなたに・・・」


「ピーピーピーピーピーピーまこ小川ですっ!!」

「・・・ふふっ。」

わ、笑ったぁ!

「オガワッショイ!!オガワッショイ!さあご一緒に!」

「「オガワッショイ!それ、オガワッショイ!!」」

あたしとガキさんの声が重なる。

「あさ美ちゃんも!」

「そーれ!オガワッショイ!!オガワッショイ!!」

「オガワッショイ!!」

ガキさんがあたしの後について言う。


556 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 23:32

「オガワッショイ!!オガーワッショイ!」

あたしは汗だくになりながら必死で腕を振り上げる。

「ワッショイ!!」

ガキさんもあたしの気持ちを知ってか知らずかずっと付き合う。

「それそれワッショイ!!」

「ワッショイ!!」


あたしの桜は


「オガワッショイ!!あっさ美ちゃんも一緒にワッショイ!」

「・・・ワ、ワッショイ!!」

「オーガーワッショイ!!」


「「オガワッショイ!!」」

咲き続けます。


あたし小川麻琴はまだまだ青春の道まっしぐらですぞ。


まあ、この続きはまた別の話なんですけどね!


「「「オガワッショイ!」」」


557 名前:桜の木 投稿日:2005/03/31(木) 23:33

第4話終了

     END

558 名前:七誌さん 投稿日:2005/04/01(金) 12:43
騒ぎ続ける小川さん・・・
そしてまんざらでもない紺野さん(笑)
藤本さんはどこもでも罪ですねぇ〜
559 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/01(金) 16:18

第1話

560 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/01(金) 16:36

「美貴ー!!歯ブラシは持ったのー??」

「あー持った持った。」

相変わらず心配性の美貴のお母さん。しかも歯ブラシくらいなら北海道でも買えるって。

「みーき!!!」

「・・・なに?」

「なーんでそんなにぶっきらぼうなのよ!」

あー、また面倒くさいのが来たよ。

「お姉ちゃんこそなんでそんなにご機嫌なわけ?」

「ん〜?それはね・・・」


ピーンポーン♪


「は〜い♪」

やっぱりこれのせいか・・・まあわかってたけど。

「いらっしゃーい♪」

「どうもです!!」

「こんにちは〜。」

「おはようございます。」

「3人とも相変わらずかわいいねぇ♪」

いくらお姉ちゃんだからって美貴の友達に手出したらまじ許さないよ?


561 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/01(金) 17:02

「あら、いらっしゃい!!」

「あ!美貴ちゃんのおばさん、こんにちは。」

「こんにちは、あさ美ちゃん。」

こんこんはいつも礼儀正しいなぁ〜。
あ、とりあえず部屋に荷物取りに行かなくちゃ。


パタパタパタ。


美貴は二階の自分の部屋へと急いだ。


ガチャ。


「あっ!美貴ちゃんおはよ〜!」

「・・・なんでここにいんの?」

「あそこから入ったんやぁ。」

愛ちゃんが指差した場所を見るとそこはまぎれもなく美貴の部屋唯一の窓。

「また窓から入ったわけ?」

「うんっ。」

「うんじゃなくてさ、危ないっしょ!」

「大丈夫やざ。だってあーしたちもう中2やよ?」

「いや、愛ちゃんは精神年齢低いじゃん。」

「えぇ〜!?」

美貴ー!!早くしないとっと遠くのほうからお母さんの声が聞こえる。

「今行くー。ほら、行くよ?」

美貴は愛に手を差し出した。

「うん!!」

愛も美貴に答えて手をとる。


562 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/01(金) 17:12

「んじゃ行ってくるから。」

「「「「行ってきまーす!!」」」」

美貴の後に続いて4人も挨拶する。

「美貴、迷惑かけないようにするのよ?」

「わかってる。じゃあね。」

美貴は背を向けながらヒラヒラと手を振る。

「みんな美貴をよろしく頼むわねー!!」

「新垣里沙に任せてください!」

「小川麻琴もがんばりまっす!」

「あーしがいるやざっ!!」

「私の家族がいるから完璧です。」

ってか美貴はそんな迷惑かけないから。


563 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/01(金) 18:56

564 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/01(金) 19:29

「んぉぉ〜。いい空気だぁ〜!!」

ばんちゃん家の最寄り駅に着くと麻琴が手を広げておもいっきり深呼吸をした。

「なんか懐かしいな〜。」

「あさ美ちゃん中学入ってからこっち来てないの?」

「うん。いろいろ忙しいかったから・・・」

「美貴ちゃんは最後に来たのいつなんやぁ?」

「う〜ん多分3年前くらい。」

あんときは家族みんなで来たんだよなぁ〜。


565 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/01(金) 21:45

「そんなに来とらんの〜!?」

「まぁね。」

だから北海道の空気がすごい懐かしい感じがする。

「まぁね。って寂しくなかったんかぁ!?」

「別に。」

「うそ〜!あーしやったら絶対耐えられん!」

あー、愛ちゃんは寂しがり屋だからね。まぁ美貴も寂しくなかったわけじゃないんだけどさ・・・なんて言うかさ、やっぱそういうのって恥ずかしいじゃん?美貴のキャラじゃないしね。

「愛ちゃ〜ん!!あれ見てあれ!」

麻琴が愛ちゃんを呼ぶ。

「え〜?なになに??」

こう見てるとやっぱあの3人は幼いよなぁ〜。

「懐かしいね〜。」

こんこんが北海道の太陽をまぶしそうに見つめながら言った。

「うん。ここの太陽ってさ、よく見えるよね。」

「え?」

「ほら、東京はビルが建ってて太陽が丸々見えることあんまないからさ。」

「そういえばそうだね。」

566 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 00:53

「それにね・・・」

「うん?」

太陽ってなんとなく・・・愛ちゃんと似てるんだよね・・・

美貴はガキさん、麻琴とともに大はしゃぎしている愛を見た。

「いや、なんでもないよ。」

だから美貴は太陽が好きなんだよなぁ。

「美貴ちゃーん、あさ美ちゃんも早く!!」

ガキさんが美貴とこんこんを呼ぶ。

「はいはい。こんこん行こ?」

「うん。」

ふたりは前のほうではしゃいでいる3人のもとへと向かった。


567 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 00:53

第1話終了

568 名前:ワクワク 投稿日:2005/04/02(土) 00:59
かなり短い(-.-;)まぁ序章みたいな感じに思っていただけるといいな(苦笑)

七誌さま>いつも感想ありがとうございまっす!一応小川さんは紺野さんを応援してる感じにしたかったんですけどなってますか?まぁなってなくても読者さまが納得していただければそれでいいかなと(^_^;)最近読者さまがかなり減ってしまって正直なところ落ち込んでおりますがワクワクは七誌さまのためにがんばりまっす☆
569 名前:星龍 投稿日:2005/04/02(土) 01:06
更新お疲れ様です。
ばんちゃん家とても楽しみです。
この5人が揃うととても楽しくなりそうですね。
次も楽しみにしてます。
570 名前:トキ 投稿日:2005/04/02(土) 10:19
更新お疲れ様です。
遅くなりましたが本編の方も完結おめでとうございます。
ハッピーエンドで本当に良かったです。
サイドストーリーも面白いですね。
これからも頑張ってください。
571 名前:七誌さん 投稿日:2005/04/02(土) 11:52
更新キテタヨ〜!!!(崩壊寸前)
2つめ?でいいのかな。2作目のサイドストーリー始まりですね!
今度はばんちゃんチでのお話ですか〜。
ここではどんなドラマが繰り広げられるのか楽しみです〜^^
>>568
そそそそんな〜!きっといろんな人が作者さまのこの小説見てますよ〜
ま、どんな理由があってもがんばってください!
572 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 16:16

第2話

573 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 16:25


ガラガラ


「いらっしゃい。よくきたねぇ〜。」

あーしたちを迎えてくれたのはひとりのおばーさん。

「お久しぶりです。」

あさ美ちゃんがおばーさんに向かって笑顔で一礼。

「あさ美ちゃん、また一段と大きくなったんじゃない?」

「いえ、あんまり変わってませんよ。」

「いんや、さらに可愛いくなったね〜。」

おばーさんは照れるあさ美ちゃんを嬉しそうに見つめる。

「美貴は何年ぶりだったかね?」

「多分3年ぶり。」

「お前も大きくなったね。」

「別に。」

美貴ちゃんはおばーさんをチラッと見ただけでまた顔を背けた。
なんでこんなに素っ気ないんやろ?
まあ、美貴ちゃんの場合はいつもなんやけど。

「そちらはふたりのお友達だね?」

「「「はい!!」」」

「元気がいいねぇ。まあ立ち話もなんだからとりあえず中に入りなさい。」

おばーさんが言い終えるとすぐに美貴ちゃんは無言で中に入っていった。


574 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 16:35

「おじゃましまーす!」

美貴ちゃんに続いて麻琴、ガキさん、あーしそして最後にあさ美ちゃんとおばーさんが中に入った。

「今お茶でも入れるから座っててね。」

おばーさんはそういうとひとり台所へと向かっていった。
あーしたちはとりあえず荷物をおろして言われたままに座って待っていた。

「美貴ちゃんのおばーちゃん綺麗だね!」

「うんうんピーまこ小川はビックリしたよ!」

美貴ちゃんのおばーさんと初対面のガキさんと麻琴は手ぶり身ぶりを加えながら話していた。
まあ、あーしも初対面なんやけどね。

あーしたちはそれぞれ部活が違う。
ガキさん、麻琴はバスケ部。
あさ美ちゃんは生徒会。美貴ちゃんはなんでかわからんけど一年の中頃になってからバレー部に入った。
あーしは前から決めてた合唱部。


575 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 16:48

それぞれ部活が違うから休みが重なることは少ない。だけどあーしたち緑中はどの部活もそんなに強豪ってわけやないから休みがないってわけでもない。あ、でもバレー部はここのところいい成績が残ってる。
夏休みに入ってたまたまあーしたちの休みが重なった。今週1週間。
バレー部はこの休み以外1日も休みがないって美貴ちゃんが文句言ってた。でも文句言ってるわりに美貴ちゃんはバレー頑張ってる。元々運動はできる人やったからすぐに上手くなってた。
あーしたち合唱部は練習の日にちが多いわけやないけど1日の時間が長い。帰るときには外は真っ暗なんてことはしょっちゅうで、その頃にはどの部活も必ず終わってる。でもあーしたち合唱部の練習がある日は決まって正門に美貴ちゃんがいる。あーしが待っててくれたん?って聞いたらたまたま美貴たちも遅かったんだよって言ってた。
初めのほうは美貴ちゃんも遅かったんや〜ぐらいにしか思ってなかった。


576 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 17:37

だけど来る日も来る日も決まって美貴ちゃんは正門にいた。
あーしは不思議に思ってクラスのバレー部の子に聞いたらバレー部はあーしたち合唱部が終わる1時間前くらいに解散してるって言われた。
あーしそのときまでずっと気づかんかった。
美貴ちゃんはあーしが終わるの待っててくれたんや。
それであーしは合唱部のある日、珍しく早く終わったから体育館に行った。今日はバレー部の練習見てみようかなと思って。大きな扉が人ひとりだけ入れるくらい開いていたからそこから覗いた。だけどもうすでにバスケ部もバレー部もいなくてからっぽだった。
なあーんだ一足遅かったかぁなんてひとりで思ってると


バシッ!!


バン!


体育館で何かが当たる音がした。
あーしはビックリした。だってだれもいないはずの体育館から音がするんやよ?


577 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 17:49

バコッ!!

あーしがひとりでビビってるとまた音がした。
恐る恐る開いてるところから首を突っ込んで覗いた。


すると


「あ・・・」


あーしが見てる場所からは死角になってたところにバレーボールのカゴと一緒に人がおった。


「あ゙ぁ゙〜!!なんでうまくいかないんだよ!」

その人は壁に向かってボールを打ってうまくいかなかったのに怒ってるのか髪をワシャワシャとかいた。

「あーもう一回やろ。」

あーしはその人の後ろ姿がなんか妙にカッコ良く見えた。吉澤さんもやけどやっぱりスポーツやってる人にはこういうオーラみたいなんがあるって思った。


578 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 18:03

バシン!!


ボカッ!


その人は次々にボールを打っていく。
ボールを打つとき高々とジャンプして右手がほどよくしなると同時にボールの弾かれる音。


「わぁ〜・・・」


あーしは思わず声をあげてしまった。そのフォームの綺麗さ、そしてボールがしっかりと床に叩きつけられる力強さに。


「ん?誰かいんの?」


あっ、ヤバい。そう思った瞬間にはその人があーしの前に立ってた。

「あれ?愛ちゃんなんでここにいるわけ?」

「え・・・?」

あーしの前に立ってる人を見るとまぎれもなく美貴ちゃんやった。

「え?じゃなくてさ、部活は?」

「え?あ、あぁ、今日は早く終わったから見に来たんや。」

予想もしてなかった。
まさか今まで自分が見てたのは美貴ちゃんやなんて。


579 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 18:20

美貴ちゃんはそっかって言うと散らばったボールを片付け始めた。

「もうやらんの?」

「え?」

「あ、いや・・・」

思わず出てしまったあーしの声。
だってもっと見てたかったから・・・。

「・・・帰り遅くなるよ?」

「合唱部より遅くならんなら平気やもん。」

「じゃあさ、とりあえずそんなとこに突っ立ってないでここ座ってれば?」

美貴ちゃんは端のほうにあるパイプ椅子を出してくれた。

「うんっ!!」

あーしはパイプ椅子に駆け寄って座った。
美貴ちゃんはそれを見届けるとまた練習に入った。


バン!!


ビシッ。


バコン!!


本当に綺麗やった。
へたなバレー選手よりも高くてキラキラして。
美貴ちゃんはすごいんやなぁって改めて思った昨年の秋の日やった。


580 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 18:29

「お〜い、愛ちゃ〜ん??」

気がつくと麻琴があーしのこと不思議そうに見ながら手をヒラヒラしとった。

「あ、なんやぁ?」

「なんやぁじゃないよぉ〜!愛ちゃんさっきからあたしと麻琴が話しかけてんのに全然返事しないんだもん!!」

あぁ、ガキさんと麻琴があーしに話しかけてたんや。全然気がつかんかった。

「ごめんごめん。」

「も〜!!」


あーし昔のこと思い出してたんやなぁ・・・あれれ?


「ねぇ、美貴ちゃんは?」


581 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 18:41

「美貴ならあそこだよ。」

あーしが麻琴に聞いたときちょうど美貴ちゃんのおばーさんがお茶とおせんべいを持って戻って来た。
おばーさんが指差したほうを見ると美貴ちゃんがいた。

「美貴は昔からあそこが好きなんだよ。」

美貴ちゃんのいる場所、それは縁側やった。

「あそこでいつもミキ次郎と遊ぶのよ。」

「「「ミキ次郎??」」」

ガキさん、麻琴、そしてあーしの声が重なった。


ワンッ!!

「お〜、元気だね。ミキ次郎。」

美貴ちゃんの膝に飛び込んで来たのはこの純和風な家に似合わん白と黒のボーダーコリーやった。


582 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 18:51

「あれがミキ次郎だよ。」

あさ美ちゃんはお茶をずずっとすすって言った。

「まじ・・・?」

目が点になってるガキさん。

「あれが?」

いつも以上にぼーっとした顔になってる麻琴。

「「「ミキ次郎!?」」」

うそや!絶対うそ!ちゅうかなんでミキ次郎なんよ!!

「ビックリしたかい?」

「そりゃ〜もう・・・あっ!」

言いかけた麻琴が自分の口を両手でふさいだ。
あーしとガキさんが麻琴の足を叩いて本人はやっと気づいたらしい。

「いいんだよ。名前変でしょ?」

「・・・」

あーしたちは何も言わずにおばーさんの話に耳をかたむけた。


583 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/02(土) 18:59

「あれはね、美貴がつけたんだよ。」

「美貴ちゃんが?」

おばーさんの美貴ちゃんがつけたって言葉に驚いてあーしは思わず聞き返した。

「そう、あれは美貴が最後に来たときだったかねぇ〜、美貴があの子を拾って来てね、どーしても飼いたいって言ったんだよ。」

「ほー。それでどうなったんですか〜?」

麻琴も興味津々と言うような顔で聞く。

「だけど私の娘、あの子から見ると母親がね、もと居た場所に戻してきなさいと言ったんだよ。ほら、あの子たちはここに住んでるわけじゃないから世話できないでしょ?それにもし連れて帰っても庭がないから可哀想だからってね。」

おばーさんは淡々と話を続けた。


584 名前:ワクワク 投稿日:2005/04/02(土) 19:00
すいません題名はばんちゃん家です(-.-;)
585 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 21:59

「美貴はそれでもミキ次郎を手放そうとしなかったの。」

美貴ちゃん頑固やもんねぇ。

「そのときね、美貴なんて言ったと思う??」

おばーさんはそのときのことを思い出しているのかあーしたちに質問しながら縁側にいる美貴ちゃんとミキ次郎を微笑ましく見てる。

「あの子、美貴はね、『こいつ捨てないで!!ひとりで鳴いてたの。本当に捨てるなら変わりに美貴を捨てて!!』って言ったのよ。」

「うひょ〜!!美貴ちゃん女前っ!!」

美貴ちゃんの言葉に感動している麻琴。

「すっごーい!!」

右に同じのガキさん。

「そんなことがあったんですか・・・」

初めて事実を知ったあさ美ちゃん。

「さすが美貴ちゃんやざ。」

そして美貴ちゃんを改めて見直したあーし。


586 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 22:13

「ふふふっ。そうでしょ?でもこの話には続きがあってね、その後美貴は私たちに向かって『こいつは美貴なの。美貴の分身なの!!』って言ったの。それでミキ次郎をずーっと抱きしめたままだったわ・・・。」

美貴ちゃんの分身か・・・。
なんかあーし美貴ちゃんの気持ちわかるかも・・・。

「それから美貴は『ね、ミキ次郎?』ってミキ次郎に同意を求めたのよ。犬だから反応するはずないのにね。でもね・・・ミキ次郎はそのときワンッ!って美貴に答えるように鳴いたの。」

おばーさんの話が終わるとあーしは自然に美貴ちゃんとミキ次郎を見た。ふたりはあっ、ひとりと一匹はそろって縁側に座って空を見てた。
確かに美貴ちゃんの言う通り似た者同士やざ。


587 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 22:23

「美貴ー。お茶入れたわよぉ。」

おばーさんが美貴ちゃんを呼ぶと無言であーしの隣りに座った。
美貴ちゃんとミキ次郎。あーしの知らない美貴ちゃんの一面を見た気がした。

「ばんちゃん。」

不意に美貴ちゃんがおばーさんを呼んだ。

「ん?」

「みんなに名前聞いた?」

「あ!!」

おばーさんはしまったというような顔で舌をチラッと見せた。
この人・・・お茶目やざ。

「ったく。そっちに座ってる子がガキさんこと新垣里沙。」

「ガキさんでいいです!」

「その隣りが麻琴こと小川麻琴。」

「まこっちゃんとか麻琴とかなんでもオーケーでっす!」

「んで、美貴に隣りに座ってるこの子が愛ちゃんこと高橋愛。」

「よ、よろしくです!」


588 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 22:31

「あら、あなたが愛ちゃん??」

「ふぇ!?」

なんであーしの名前知ってるんやろ?

「美貴のお隣りさんでしょ?いつもお世話になってます。」

おばーさんがあーしに向かってお辞儀をした。

「いえ!!こ、こちらこそいつもお世話になってます!」

そっか。お隣りさんやから知ってたんや。

「あぁーはい。かしこまったのはなしね。んで一応みんな同じクラス。あとは、この人が美貴のおばーちゃん。」

美貴ちゃんがおばーさんを指差した。
今日はさすがのあーしでも叩かんよ?

「ってなわけで。」

美貴ちゃんは立ち上がった。

「どこ行くんや〜?」

「ちょっとそこまで。」

美貴ちゃんは笑顔であーしに返してくれた。


でも・・・


そこってどこや??


589 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 22:39

美貴ちゃんは自分の靴を持ってきたかと思うと縁側から庭に降りてミキ次郎の鎖を取った。

「んじゃ、ちょっと行ってきまーす。ミキ次郎行こうか。」

行こうかってミキ次郎に鎖つけんの!?

「愛ちゃん、ミキ次郎は鎖つけなくても美貴ちゃんの後について行くんだよ。ほら。」

あさ美ちゃんが指差してるほうを見ると確かに美貴ちゃんが歩いているあとを嬉しそうにミキ次郎がついて行ってた。

ミキ次郎は美貴ちゃんが大好きなんやねぇ〜。

「みんな、私のことは美貴とあさ美ちゃんみたいに『ばんちゃん』でいいからね。この家に来てくれたんだかららあなたたちはもうあたしの孫みたいなもんさ!!」

「わかりました!ばんちゃん!!」

元気よく返事をする麻琴。


590 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 22:47

「ばんちゃーん!!」

嬉しそうに言うガキさん。


それじゃああーしも。


「ばんちゃんやざ!!」

あーしたちが呼ぶとばんちゃんはなんだいと優しい笑顔を向けた。


あぁ、やっぱりばんちゃんはいい人やざ!!


「それじゃあ夕食の準備でもしようかね〜。」

「あ、私手伝います!」

「あーしも!」

「新垣もやりますよ。」

「ピーまこもお手伝いいたしMAX!!」

ばんちゃんは最初あーしたちは疲れてるやろうからって断ったんやけどあーしたちはお手伝いしたくて結局みんなで作ることになった。


591 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/02(土) 22:47

第2話終了

592 名前:ワクワク 投稿日:2005/04/02(土) 22:53
更新でっせ!!

星龍さま>楽しくなるかどうかはわかりませんが(苦笑)楽しくするつもりです!!

トキさま>完結できたのもみなさま読者がワクワクの駄文を読んでいてくれたからです!!
これからも応援していただけると光栄でっす。

七誌さま>パニーック!!(笑)2作目であってますよぉ〜。いや、本当に七誌さまやほかの読者もマジ大好きです!!

593 名前:七誌さん 投稿日:2005/04/04(月) 16:36
更新乙〜〜!
ばんちゃん優しい人やねぇ〜
そしてミキ次郎・・・(笑)
でも過去は少し切なくて。
なかなかいいですよ〜!(何がw)
594 名前:A 投稿日:2005/04/04(月) 23:22
遅くなりましたが、アナザーストーリー編開始おめでとうございます!
また違った視点での新しいストーリーを読む事が出来て本当嬉しいです!
更新、大期待で待ってま〜す!
595 名前:ワクワク 投稿日:2005/04/05(火) 22:46
お知らせです!!
海板でも小説をはじめました。もしよろしければそちらもどうぞ。
題名はマウンドです!
596 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 17:01

夕食を作り終えたころにお隣のあさ美ちゃん家族もおかずを持って訪ねて来た。

「どーも、今日はあさ美と美貴ちゃんがお友達を連れて来ると言っていたのでうかがいましたぁ。」

あさ美ちゃんとあさ美ちゃんのお母さんそっくりやざ。

「そーかいそーかい。それじゃあみんなでお祝いでもしようか!」

「そうしましょ〜!」

なんかばんちゃんとあさ美ちゃんのお母さんやけに盛り上がっとる。

なんだかんだ言ってるうちに料理ができて、セッティングも終わった。



あとは・・・


597 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 17:02
すいません!第3話っていれ忘れました(-.-;)
598 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 17:11

ガラガラガラ

「ただいま〜。」

「ワンッ!」

美貴ちゃんとしっぽをちぎれんばかりに振るミキ次郎のお帰りや。

「美貴ちゃん、遅いやざ!!」

「あーごめんごめん。」

あーしの言葉を面倒くさそうにあしらいながら席につく美貴ちゃん。

「なんなや・・・」

こっちに来てから美貴ちゃんは変や。いつもは冗談冗談とか言いながら笑ってくれるのに今日はそれが一回もない。

「「「いっただきまーす!!」」」

みんなが食べ始めると大人は大人で飲み会みたいなんやってるし、食べ物に目がない麻琴やあさ美ちゃんは食べるのに夢中。ガキさんもふたりにつられてどんどん食べてる。


599 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 17:26

そんな中、肝心の美貴ちゃんはというと、食事もそこそこにしてすぐにまた縁側へ行ってミキ次郎と遊んでる。

あーしは心配になって美貴ちゃんのところに行った。

「ミキ次郎は美貴ちゃんが好きなんやねぇ。」

あーしは庭に降りるとミキ次郎の頭を優しくなでた。

「ワフッ!!」

ミキ次郎も嬉しそうにあーしに向かってしっぽを振る。

「・・・」

「美貴ちゃん??」

美貴ちゃんはミキ次郎の頭をなでるあーしを不思議そうに見てた。

「愛ちゃんさ」

「なんやぁ??」

「ミキ次郎になんかした?」

「ふぇ?」

なんか?

なんかってなんや?


600 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 17:35

あーしはひとりで黙って考えた。

なんやろ?あーし別に変なことしとらんと思うけど・・・。

「あ、いや。ごめん。」

美貴ちゃんが突然謝ってきた。

「なんで謝るんや?」

「いやさ、愛ちゃんはミキ次郎になんもしてないんでしょ?」

「まあ・・・」

「なんかね、ミキ次郎って美貴とばんちゃん以外になつかないんだよ。だからさ、愛ちゃんがミキ次郎を触ったのにびっくりして・・・」

ミキ次郎こんなに可愛いのにみんなになつかんのか・・・

「そーなんや・・・。」

「あさ美ちゃんにも触らせないんだよ?ミキ次郎は。」

「本当に!?」

「うん。だから美貴とばんちゃん以外でこいつに触れたのは愛ちゃんだけ!」


あーしだけ・・・


601 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 17:47

「なあ、ミキ次郎。」

「ワォン!!」

美貴ちゃんの問いかけにミキ次郎は嬉しそうに答えた。

なんかあーしに触らしてくれたことが妙に嬉しくなった。

だってあさ美ちゃんも触れんのやよ?

「美貴さぁ・・・ここから見る空がすっごい好きなんだよ。」

「そらぁ?」

「そ。空!」

美貴ちゃんが指差すほうを見るとそこには星がたくさん散りばめられた夜空があった。

「きれぇ・・・」

「でしょ?」

美貴ちゃんも縁側から降りてあーしの隣りにしゃがみこんだ。

「じっちゃんがさ、この空好きだったんだよ。」


じっちゃん。

美貴ちゃんのおじーちゃん。亡くなってからもう4年も経つというのはあーしも聞いたことがある。でも実際に会ったことは1回もなかった。


602 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 17:54

「じっちゃんはいっつもそこに座って空を眺めてた。」

「そっか・・・」

「でね、美貴が近寄ると必ず膝の上に乗っけてくれてさ・・・」

だんだん美貴ちゃんの声がかすれてきた。
だけど美貴ちゃんはかまわず話を続ける。

「そんで・・・一緒に見て・・」

「うん。」

「だけどある日突然じっちゃんが死んで・・・」

「・・・」

「美貴さ・・泣かなかったんだよ・・・」

「・・・」

「ただお焼香して・・・骨拾って・・みんな泣いてたのに・・・美貴は泣かなかった・・」

美貴ちゃんの手がミキ次郎の頭をなでた。


603 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 18:02

「じっちゃんは頑固で意地っ張りですんごく意地悪で・・・」

「・・・」

「でもさ、美貴は・・・」

美貴ちゃんの声が震える。

「本当は・・・」

あーしたちはしゃがんでいるからみんなからは見えない。
意識していないせいかみんなのわいわいと楽しそうに騒いでいる声があーしの耳に届かなくなった。


「美貴はじっちゃんが大好きだよ。」


コツン。


美貴ちゃんがあーしの肩に頭を乗せてきた。

美貴ちゃんが泣いてる。

いつも強がってる美貴ちゃんが今泣いてる。

あーしの肩で。


美貴ちゃんが・・・


604 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 18:09

あの美貴ちゃんが泣くほど大好きなじっちゃん。


見てますか?


あなたの孫藤本美貴はこんなにあなたが好きなんやよ?


普段はあーしにさえ涙を見せない美貴ちゃんが


あなたのために泣いてます。


今までずーっと我慢してたんや。


あなたが大好きな空を見て。


「ごめ・・・」

「いいやよ。もっと泣いて。」

あーしは顔を上げようとする美貴ちゃんを抱きしめた。

「み、美貴は泣いてなんか・・・」

「いいからいいから。」


バレバレやよ?


あーしには美貴ちゃんの考えてることがわかるんやから。


605 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 18:15

じっちゃんさん。


どーや??


あーし美貴ちゃんのことこんなにいっぱいわかるんやよ?


あなたがわからんかったこともあーしならわかる。


あーしたちは生まれたときからずーっと一緒なんやから。


あーしはじっちゃんさんと違うんや。


でもね


じっちゃんさん、


あーしはあなたにかないません。


美貴ちゃんはあーしのために涙なんか流してくれん。


だけどあなたのためなら美貴ちゃんは涙を流せるや。


それに美貴ちゃんは


じっちゃんさん、


あなたのことが大好きなんや。


最後のお別れのときに涙をグッとこらえちゃうくらいに。


606 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 18:21

だけどもうあなたはこの世におらん。


だからあーしは美貴ちゃんを支える。


「美貴ね・・・ずっと・・寂しかった・・・」

これが今の美貴ちゃんの本音。


4年間も心に居続けたあなたのせいやよ。


じっちゃんさん。


「美貴バカだよねぇ・・・」

「美貴ちゃ・・・」

「じっちゃんはもう帰ってこないってわかってるのに・・・待っちゃてるなんて・・・」

美貴ちゃんはずっとじっちゃんさんを縁側で待っとった。


あなたの大好きな空を見つめて。


ずーっと


ずっと・・・・


607 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 18:28

今のあーしになにができる?

あーしは何をしてあげたらいい?

あーしはなにをしたら・・・・

「でもさ・・・もうやめるよ。」

「ほぇ?」

美貴ちゃんはあーしの肩から顔を離して空を見上げた。


「じっちゃん元気でな!!」

美貴ちゃんはちっちゃな声で空に話しかけた。

「美貴ちゃん・・」

「あっ!!」

「えっ!?」

美貴ちゃんの声であーしも空を見上げると


キラッ。


「「流れ星!!!」」

空を走るようにひとつ。流れ星が流れて消えた。

美貴ちゃんは願い事願い事と言いながら手を合わせて目を閉じた。


608 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 18:34

じっちゃんさん。


あーしがんばるやよ。


美貴ちゃんが寂しくないようにあーしがあなたの代わりに美貴ちゃんの隣りにいます。


代わりになれんかもしれん。


それでも


あーし友として美貴ちゃんを支える。


だから


じっちゃんさん、


心配無用です。


あーしは心の中で空になったじっちゃんさんに話しかけた。



『美貴を頼んだよ』


風が吹くと共にあーしの耳に届いた。


たぶんじっちゃんさんの声。



「任せるやよ!!」

あーしは空に向かって微笑んだ。


609 名前:ばんちゃん家 投稿日:2005/04/10(日) 18:34

終わり

610 名前:ワクワク 投稿日:2005/04/10(日) 18:39
久々更新です!

七誌さま>お褒めの言葉光栄です!!中途半端で本当申し訳ないm(_ _)m

Aさま>大期待に答えられていない気が・・・(苦)一応これでばんちゃん家は終了です。

みなさま、もしよろしけてばぜひ海板「マウンド」にも来てください。
611 名前:七誌さん 投稿日:2005/04/11(月) 13:25
更新乙です。
ミキ次郎〜;;;か、、、かわいい!(ぇ
じっちゃんも最高です!!!

それと作者さまの「マウンド」見ました!
612 名前:星龍 投稿日:2005/04/11(月) 14:56
更新お疲れ様です。
ミキ次郎かわいすぎです。
藤本さんも。
とにかくサイコーです!!
613 名前:っヵ± 投稿日:2005/04/17(日) 20:29
美貴、最高ぅっ☆☆(≧U≦)ノ☆
更新楽しみに、してますネェ〜♪
614 名前:星になる 投稿日:2005/05/03(火) 15:44

シュッ。

「ウォォォーーー!!」

『すごい、すごいです!!またもエンジェルスエースです!!もうこの選手を止められる人は存在しないのでしょうか!?』

時はアメリカ。
今日もまたひとりの少女が注目を浴びていた。

ピピーッ!

『試合終了!今日もエンジェルスが快勝しました!ヒーローインタビューはもちろんこの方!』


615 名前:星になる 投稿日:2005/05/03(火) 16:04

「どーも、藤本美貴ですっ。」

少女、藤本美貴は声援に笑顔で応える。

『ミキ選手、今日もまた記録へと一歩近づいたのですが感想はどうですか?』

「そーですね、とりあえず今をがんばるだけです。」

そう美貴は女子バスケット界最高峰のWNBAに所属し、わずか1年で5000点という記録を打ち出そうしているのだ。過去最高は1年で4000点だ。

『以上、今日のヒーローインタビューはエンジェルスエースのミキ選手でした!』

そうこうしているうちに美貴のインタビューは終わった。


616 名前:星になる 投稿日:2005/05/03(火) 16:32

「ミキ、お疲れ。」
「ジョアン!お疲れさん!!」

パシッ!

ふたりはお決まりのハイタッチを交わした。

「相変わらず絶好調ね。」
「何言ってんのさ、ジョアンこそ絶好調のくせに〜。」

エンジェルスのキャプテンとエース。
今、世界で最も注目されている女子バスケット界のルーキーふたり。
昨年、新しく作られたチームエンジェルス。
誰もが最下位だろうと予想していたが、ふたりがそれを大きく覆した。


<準優勝>


エンジェルスは昨年優勝のデビルズに負けはしたものの、発足してすぐに準優勝を果たした。
その立役者がなにを隠そう、キャプテンでガードのジョアン、そしてもうひとりは初日本人WNBA選手。エースでどこでもこなせる美貴だった。


617 名前:星になる 投稿日:2005/05/03(火) 16:54

特に美貴は日本人初ということもあり、雑誌、新聞そしてテレビなど多くのところでとりあげられた。
そしてそれはアメリカだけではなく、世界へと広がっていった。もちろん、美貴の母国である日本にも。

「そういえばミキ、さっき日本から新人が来たわよ。」
「あぁ、今日だったけ?新人が来るの。」
「そうよ!あんたね、チームのことくらい把握しときなさいよっ!!」
「はいはい。」
「はいはいじゃな・・・ってちょっと!」
「控え室に行くから。」

美貴は控え室へと行ってしまった。

「もう、いつまでたっても人の話を聞かないんだから・・・」

ジョアンはエースが歩いて行くのを優しく見ていた。


618 名前:星になる 投稿日:2005/05/03(火) 16:54

序章終わり

619 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/03(火) 17:54
続きキター
今回も面白そう
620 名前:星龍 投稿日:2005/05/03(火) 18:01
更新お疲れ様です。
続きもすごく面白そうですね。
楽しみにしてます。
621 名前:赤嶺あゆみ 投稿日:2005/05/03(火) 20:44
おもしろい
622 名前:マカロニ 投稿日:2005/05/03(火) 21:37
誰が来るんだろか?
気になります(>_<)
マイペースで頑張って下さい
623 名前:七誌さん 投稿日:2005/05/03(火) 21:53
更新乙津っす。
やっぱ美貴は凄いですね。
日本からの新人って誰でしょうか?
624 名前:ワクワク 投稿日:2005/05/03(火) 22:24
えーみなさま!!
中途半端に切れてしまうとわかりにくくなってしまうので新スレ立てました!なので続きはそちらで(^O^)
625 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/04(水) 00:44
まだ350レス、150KBほど残ってるんですが。。。
626 名前:ワクワク 投稿日:2005/05/04(水) 01:39
名無飼育さま>続きは長くなりそうなので新しくスレを立てました。こちらの余った分は短編を書こうと思っています。
作者の勝手をお許しくださいm(_ _)m
627 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/25(木) 22:46
本当の気持ち1がhtml変換中になってしまった
よって話が分からない(汗)
628 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/07(月) 02:53

***

629 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/07(月) 03:04

『天使って本当におるかなぁ?』


『いや、いないでしょ。天使とかかなり非現実的じゃん。』


『でももしおったら?』


『もしってことすらないね、きっと。』


『なんでぇ?』


『だって天使ってそもそもおとぎ話とかで出てくるだけじゃん。』


『う〜ん、でも・・・もし、もしも本当に天使おったら?』




630 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/07(月) 03:08

「なぁなぁ。」
「うん?」

ひゅうひゅうと風が吹くなか、ひとつの自転車にまたがる二人の人物。

「今日も風が気持ちええのぉ〜。」
「なんだそれぇ。まぁ気持ちいいのは認めますけども。」

後ろに乗っている少女が長い髪をなびかせながら、風を感じる。
一方、受け答えをした少女は前でハンドルを操作しながら、ペダルをこぐ。

「今日から三年やね。」「世に言う受験生になっちゃったね。」

二人は今日から高校の三年。

「なんか変わるんかなぁ〜?」
「いや、世の中そんなすぐには変わんないでしょ。」

彼女の言う通り、世の中そんなすぐに変化はしない。

「なんやつまるわぁ〜!」
「だったら頭がつまるくらいの勉強、しましょーよ。」
「そういう意味やのぉて。」
「わかってる、わかってる。冗談だよ。まぁ半分は本音だけど。」


ペダルをこぐ少女があははと笑った。


631 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/07(月) 03:19


キキキキーーッ!!


「はい、とぉちゃぁく!!」

片足をペダルから下ろし、止める。

「今日もサンキュウやざぁ〜。」
「今日もユアウェルカム。」

自転車から元気良く跳び降りた少女に、またも笑顔で答える少女。

「自転車、置きに行くんやろ?」
「まぁ、そのための自転車置き場だからねぇ?」

いつものやりとりなのか、自転車をこいでいた少女は、もう一人の少女の質問に間発入れずにスラスラと答える。

「なぁ、また同しクラスなんかな?」
「どーだろ?まだクラス発表見てないからなんとも言えないね。」
「そやね。これでまた同しクラスやったらまた後ろ乗せてきてな?」
「いいよ。っていうか同しクラスじゃなくてもどーせ後ろ、乗るんでしょ?」
「まだわからんよ?」
「なーにそれ。」

彼女のまか不思議な発言にも少し驚く程度である。


632 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/07(月) 03:31

「じゃあまた後でねっ!」
「ほいほい。」

いつものように元気良く歩き出す彼女の後ろ姿を見送りながら自転車を降りる。


カタカタカタ。


「あ、そろそろチェーン変えなきゃまずいかな。」

自転車を押してるさいに聞こえるカタカタという音。
それはまるで自転車からの救急サインのようだ。


カタン。


いつものように登校して、いつものように彼女を降ろし、いつものようにここに自転車を止める。
それが毎日繰り返される日課だった。

カゴに入ったカバンを肩にかける。
今日は新年度という面倒くさい日なので、いつもより多少カバンが重い。今年から使う教科書、ノート、それにもうかなり使いこまれているものもプラスされて、重さがズッシリと体全体にかかる。

「もぉ〜、なんで朝からこんな重いの持たなきゃいけないんだよぉ。」

愚痴をもらしては見るが聞いてくれる人がいるはずもなかった。


633 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/07(月) 10:14

重い荷物を肩にかけながら、クラスの掲示してあるところまで歩いて行く。

「あぁあ人ごった返してるじゃん。」

見てみると人、人、人。どこを見ても人ばかりだ。

「うわっ!ちょっちょっと苦しい・・・」

人ごみに入った途端、いろいろな方向から押される。

「おわっ・・・っと。あたしの名前は・・・」

三年の欄を見る。
すると毎年のように五段にわかれていて、上から一組の順で記載されている。

「あ、私また二組だぁ!」
「うちは四組だよ。」
「今年は違うクラスだねぇ。」

所々からいろいろな声が飛び交う。
歓喜の声、落胆の声、なんとも中途半端な声。

「あたしの名前・・・お、あった。」

三組の真ん中辺りに自分の名前を発見する。そしてすかさず、別の名前も探した。

「あ、か、さ・・・」

あいうえお順に並んでいる名前を徐徐に見ながら、目を横へスライドさせる。


634 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/16(水) 00:51

「なんだ・・・結局三年間同じクラスかぁ〜。」

同じ三組の列で彼女の名前を見つける。

「あーあ。この一年もあたしの後ろはあの子の指定席になっちゃうわけね。」

彼女の風吹かれて嬉しそうにする姿を思い浮かべるとなんだか顔がほころんだ。

「うぁ・・・今あたし、顔ヤバかったかも。」

自分の顔を気にしてあちこち触る。

「へ、ヘーキだよね?」

ほころんだ部分をキュッと引き締めて、自問自答。

「せんぱーい!!!」

一人で掲示板を再確認してたらまたもうるさいやつが現れた。

「あ〜。亀子じゃん!」
「おはよーございますっ!!」


相変わらず朝からハイテンションな子だな。


「おはよ〜!!」


だけどこういうの、あたしは嫌いじゃない。というかむしろ好きだと思う。


「先輩何組なんですかぁ?」
「3組。亀子は〜?」
「絵里は1組です!!」
「ほぇ〜。そっかぁ1組ねぇ〜。」


635 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/16(水) 01:04

隣に立った亀子もとい亀井絵里がなぜかあたしのクラスの掲示板を眺める。

「先輩たち・・・また一緒のクラスなんですねぇ!」


どうやら亀子も彼女の名前を発見したらしい。


「あー、うん。結局、三年間同じクラスになっちゃった。」

冗談めかして言ってみる。
すると亀子はくくくとおかしそうに笑った。

「ふふふ・・・先輩。」
「ななななにさ?亀子」
「口ではなんだかんだ言ってるけど、本当は嬉しいんじゃないですかぁ?」
「え・・・・」

自分では意識してなかったからかもしれないけど・・・なんだか顔が熱くなってきた。

「そういう亀子はどーなのさ!」

あたしが声を張って聞いた途端、しゅんとうつ向いてしまう。

「絵里は・・・」
「あーストップ!なんか幸薄いオーラになりかけてるから言わないで!!」
「えぇ〜!なんでですかぁ!?絵里の話も聞いてくださいよぉ!」

「あーうるさいうるさい!!」


636 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/16(水) 01:12

本当は大事な後輩にあんな寂しそうな顔をさせたくなかったんだ。あいつ・・・亀子には笑顔が似合うから・・・だから・・・亀子にはいつも笑っててほしい。

「聞いてくださいってばぁ!!」
「そのうちねっ。」
「そのうちっていつですかぁ!」
「まぁ気が向いたら・・・でもやっぱやだ!!」
「えぇ〜!!!」


亀子はあたしの大切な大切な・・・


「いいから早く教室行くよぉ〜!!まぁ行かないなら置いて行きますけど?」
「待ってくださいよっ!!」
「じゃあダーーッシュ!!」


妹的存在の一人だから。


「はぁい!!」
「あ・・・・」


久々に見た亀子の走り姿・・・誰かに似てる・・・


「はぁはぁ・・・先輩?」
「あ?え?お、行こっか!」
「はぁいっ。」

仲良く二人で並んで下駄箱に向かう。


637 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/16(水) 19:09

「おっ、今日も二人で仲良く登校かぁ??」
「あ。吉澤さん。」
「さんじゃねーよ!!」


バシッ。


「っ!い、痛いじゃないですかぁ〜!」

殴られた。しかもただでさえあたしより大きな体に全体重をかけて。

「痛いじゃねー!うちは今『さん』じゃなくて『先生』なんだよ!!」

この人、こんなんだけど一応先生なんだよ?まぁ今日からだから『一応』だけど・・・

「だって、吉澤さんが先生ってイメージ違う・・・」


グイッ。


「いひゃいいひゃい!はらしてくらはいよぉ!」
「うちは先生っぽいだろ?」


ブンブンブン!!


すごい勢いで首を縦に振る。


パッ。


「あははは・・・」

さっきまで吉澤さんにつねられていた自分の頬を摩ってみる。

「相変わらず力強いですね。」
「まぁな。」


638 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/16(水) 21:35

吉澤さんこと吉澤ひとみ。彼女はここの卒業生で去年は教育実習生として舞い戻ってきた。そして今年は正規の職員。
そんでもって吉澤さんは・・・

「あの・・・二人とも絵里のこと忘れてません?」
「あ・・・」
「そんなことないよぉ〜。」

隣で珍しく静かだった亀子が不満そうに頬を膨らます。


ピンポンパンポン♪


『えぇ〜、吉澤、吉澤。職員会議やのに何遅刻しとんねん!!どうなるかわかってやってるやろな?』


ピンポンパンポン♪

「やべぇ・・・」
「早く行ったほうがいいですよ。」
「だな。裕ちゃんは昔っからコエーからなぁ。じゃあ・・・」

吉澤さんは落ち着いた声とは逆にもうダッシュで駆けていく。

「あーあ・・・初日からあんなんでヘーキかな・・・」
「中澤先生そーとー怒ってましたね。」

亀子の言葉で中澤先生の声を思い出す。


639 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/17(木) 00:49


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640 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/17(木) 01:00

ガラガラ。

亀子とは当然だけど、教室が違う。亀子は二年、あたしは三年。
うちの学校は上の階から三年、二年、一年となってるんだ。
だからここにくる階段で亀子とはバイバイ。

「おー!!おはよ〜。」

去年も一緒のクラスだった子が、教室に入ってきたあたしを見て、嬉しそうに手をふってきた。

「おっはよ。今年も一緒だね〜。」

ありきたりな言葉に、我ながら苦笑する。

「ねっ!!うちら運命なんじゃない?」

いつもと変わらぬ朝の光景だ。

「ははは!じゃあ、あたしたちは赤い糸で結ばれているんだね!マイスィートハニー!」
「そうよ!ダ〜リン。」

あえてオーバーリアクションで反応してみる。

「きもーい!!!」
「いやいやいや、お主もなかなかですけど?」
「いや、絶対まこっちゃんダントツでキモいから!」
「ひどぉ〜!」
「だって本当のことだもん。」


641 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/17(木) 17:32

ギャアギャアと騒ぐまこっちゃんとあたし。やっぱ楽しいや。

「ガキさんのがキモかったって!」
「いや、あたしにはまこっちゃんを超えることはできないっすよぉ〜!!」

まこっちゃんこと小川麻琴。一緒にバカできるサイコーのやつなんだよ?

「まーとりあえず今年もよろしく!」

まこっちゃんが手をさしのべてくる。

「こっちこそ!」

まこっちゃんの手を握ると、二人して笑いあった。

「ぷっ・・・」
「あはは・・・」

まこっちゃんと笑いあっていると、まこっちゃんの背後に談笑二人が微かに見える。

「あ!愛ちゃんおはよ〜。」
「あさ美ちゃん!!おはようやざぁ!」

また一緒だねと手を握って喜ぶ二人。

「ガキさん?」
「へ?」
「へじゃなくてさ、どこ見てんのさぁ〜。」
「ごめんごめん!ただ意識が飛んでましたよぉ〜。」

まこっちゃんが不思議そうにしながらあたしの目を見る。


642 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/17(木) 17:55

「愛ちゃんさ、今日も歩いてきたの?」
「そうやよ。学校まで来るんには歩くんが一番!!」


うそつけ。


「へ〜。愛ちゃんって健康思考だね。」
「まぁね!」
「でもけっこう距離あるのによく毎日一人で飽きないよね〜!」
「あーし一人でいるんもけっこう好きなんやぁ。」
「ふーん。」


あたしの後ろに乗ってしゃべってたくせに。


「あ、ガキさんさ、今日から新しいセンセーが来るの知ってる?」
「あぁ、うん。知ってるよ。」
「なーんだ、つまんないのぉ。」
「なんだって・・・あたしが知らないほうが良かったみたいじゃん!!」
「だってその通りだもーん。」
「えぇ!?」

明らかにからかってるときのまこっちゃんの顔。

「このぉ・・・・」

まこっちゃんの冗談にわざと乗っかって怒ったふり。


643 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/17(木) 18:14

ガラガラガラ!

「はいはぁい!!席つきなーい!」

あたしたちがドアの前でジャレあってたら先生が入ってきた。

「またあんたたち?たまには静かにしたらどうなのよ!」
「そんなこと言われても・・・ねぇガキさん。」
「そりゃぁ無理ってやつですな、まこっちゃん。」


やっぱりあたしたちはこうでなくちゃ。


「はぁ〜・・・いいから座りなさい。」
「はぁい!」
「了解しました!」


二人で細やかに拳を合わせてから、両端の席に座る。
ちなみにあたしの席は窓側の一番後ろ。

「えぇと、私のことを知らない子はいないだろうけど、一応自己紹介しとくわね。保田圭、生物担当よ!」
「知らなかったぁ〜。」「ありゃりゃ?保田先生は神社担当じゃなかったんでしたっけ?」


まこっちゃんの発言に続いて、どんどんみんなが保田をからかう。


644 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/17(木) 23:30


バンッ!!!


「静かにしろーーー!!!」

保田先生が教壇をおもいっきり叩いて、みんなを静かにさせる。

「オホンッ。あんたたちね、もう三年生なんだから。」
「はぁい・・・」

心なしかまこっちゃんの声が怯えてる。

「わかればいいんだけどね・・・」

わかればいいのかよ!とか一人、心の中だけでつっこんでみる。
だけど保田先生のことならもう嫌ってくらい知ってるから特に興味なく、窓の外を見る。

「あーぁ・・・」

今日も空が青い。
春の風が窓から吹き込んで心地いい。

「やっすだセンセーが今年も担任なんてあたしたちラッキーですよ!!」

保田先生の機嫌を取ろうとまこっちゃんが褒めて褒めて褒めまくっている声が耳に入る。

「あら、あんたたちの担任は私じゃないわよ?」
「ふぇ??」


645 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/17(木) 23:53

「入っていいわよ。」

保田先生がドアに向かって声をかける。


ガラガラガラ。


あたしもキレイな空からそちらに視線を戻す。


カツカツカツ。


「待たせて悪かったわね。」
「いえ。」

保田先生とその人は、一言二言だけ言葉を交すと、前に座っているあたしたちを見渡した。

「紹介するわ。今日からみんなを教えることになった新任の先生よ。」
「今日からこのクラスの担任をすることになりました、藤本美貴です。どうぞよろしく。」

その人、藤本先生はペコリと頭を下げる。


パチ、パチパチ。


所々から拍手が聞こえてくる。


パチパチパチパチ!


ついには全員総出の拍手喝采。
もちろんあたしもみんなに合わせて一応拍手。

「あ・・・」

真ん中らへんから小さい、本当に小さい微かな声が聞こえた。
だれが言ったかなんて、絶対あたしにしかわからない。


646 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/18(金) 00:08

「あのっ!先生はか、か、か・・・風邪気味ですか!?」
「へ?」

やっぱりね。

「あ、いや・・・その・・・」
「あぁ、美貴の声ね。これね、地声なんだ。元々鼻にかかってる声なんだよ。」
「そうなんやぁ〜!」

普段は口数少ないくせにさ。
なんだよ、嬉しそうにしちゃって。

「藤本先生!好きな食べものはぁ?」

あいつ、愛ちゃんこと高橋愛が藤本先生に質問してからどんどん質問が浮上する。

「焼き肉だよ。」
「目、悪いんですか?」「うん。だからこのとーりメガネかけてます。」

藤本先生がちょんとメガネの真ん中を触る。

「はいはい、質問はそんくらいね。私は一応このクラスの補佐だから。」

保田先生も構ってほしいのか、藤本先生の肩に手を乗せる。

「はぁーい。」
「保田先生も頑張ってね!」
「なんとかなるよ。」

なんで励ましてんのさ。
ちょっと保田先生が気の毒になってくる。


647 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/18(金) 01:45

あの後、保田先生は呆れたように笑い、入ってきたときと同じようにスタスタと去っていった。
藤本先生は保田先生がいなくなってからもしばらく質問攻めにあっていたけど、タイミングよくチャイムが鳴って、教室から出て行った。


「ねぇねぇ!担任ヤバくない?」
「ヤバいヤバい!」
「ねっ!!」

まぁた始まった。
なーにがヤバいんかまったくわかんないよ!

「ガキさん!」
「ん?」

頬杖をついて空を見ていたあたしの目に、机に突っ伏したまこっちゃんが入ってくる。

「なに?すねてる?」
「え?んなことないよぉ〜。」

頬杖を止めて、両手をブンブン振ってみる。

「本当にぃ?」
「本当に〜!」

そうだよ。だいたいなんであたしがすねなきゃいけないの?

「ならいいけどねぇ〜。」

まこっちゃん必殺のふにゃり笑顔炸裂じゃん。


648 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/18(金) 03:18

「なんかさぁ〜、さっきの珍しかったよね!」
「さっきの??」

まこっちゃん、いきなりすぎて意味わかんないよ。

「高橋さんだよぉ。高橋さん!」
「あぁ・・・高橋さん 、ね。」
「普段は紺野さんとかとおとなしくしてんのにさ。いきなり発言するからピーマコはびっくりしたよ!」
「あー、あたしもびっくりしたよ。」

愛ちゃんとあたしとはグループが違う。
愛ちゃんは紺野さんとか静かで真面目な女の子っぽいとこ、あたしはまこっちゃんみたいに明るくていわゆるクラスの中心的存在のさばさばしたとこ。
クラスでは一言も話さない。話すとしたら連絡事項くらい。だから、あたしたちはクラスでお互いに『さん』付けで呼んでるんだ。

「高橋さんでもあんなときがあんだねぇ〜。」
「まぁいいじゃん。」

まこっちゃんや紺野さん、それにクラスの子たち、みーんなあたしたちの関係を知らない。


649 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/18(金) 08:05


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650 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/18(金) 08:19

「なーんでこうなるかなぁ・・・・」

放課後、余ったプリントを誰かが運ぶことになって・・・

「あーもう!なんであたしなんだよ!」

結局あたしがなぜかプリント運ぶ係に決定。あたしってついてないんだよね・・・。


ガラガラガラ。


「よっいっしょ!失礼しまぁす。」

プリントを渡す相手は確か・・・


「あ、こっちこっち。」

わーかってますよ。
藤本先生。

「持ってきましたよ。」
「ん、ありがと。」

笑顔で受け取るあたしのクラスの担任。


「新垣さん。」


なんだ、もう名前覚えたんだ・・・。

「おっ?なんだ新垣は美貴ちゃんさんのクラス?」
「え?なになに?よっちゃんさん、新垣さんのこと知ってるの?」


よりにもよって吉澤さんが藤本先生の隣・・・。

「いやぁさ、知ってるもなにも、うち、こいつの育ての親なんだぁ!」

へらっと笑いながら言うことじゃないでしょ!


651 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/18(金) 14:05

「っていうか、なんで吉澤さんがあたしの育ての親って初耳ですよ!?」
「あぁ?だってうちはガキさんの・・・」
「あたしが中学のときにコーチやってたって素直に言えばいいじゃないですか!」

ったく、この人は本当に先生になれたのかよ。

「コーチも育ての親も一緒だろ?」
「違いますって〜!」
「はいはい、で、よっちゃんさんは新垣さんに何を教えてたの?」


藤本先生と吉澤さんって仲良いのか・・・?


「あーっとね、うちバスケ部だったんだ。もちろんガキさんも。で、よしざーは出身中学の子たちにたびたび手ほどきしてたってわけ!」
「ふ〜ん。よっちゃんさんバスケやってたんだぁ・・・」
「おぅ!美貴ちゃんさんは・・・バレーだっけ?」
「うん。いちおーね。」

藤本先生バレーやってたんだ・・・なんかイメージと違うかも。


652 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/18(金) 17:27

藤本先生がメガネをくいっと上げる。

「ほぉ〜!美貴ちゃんさんもなかなかやるねぇ。」
「なにがだよ。」
「なにがですか!」

吉澤さんがクリクリと目を動かす。
一方、あたしはというともうひとつのツッコミ、藤本先生を見る。すると、藤本先生もあたしのことをびっくりしたように見ていた。

「あははは!なんか今日はツッコミダブルなんだけどぉ!」
「よっちゃんさんがおかしいんだよ。」
「そーだそーだ!吉澤さんが・・・」
「だぁぁぁ!お前また『さん』って言ったぁ!」

妙なところで敏感なんだから。

「だって吉澤さんはよ・し・ざ・わ・さ・んじゃないですかぁ〜!」
「先生って呼べって言ってるだろ!!」


ガラガラガラ。


「あー、二人とも廊下まで聞こえてるわよ?」
「あ、石川先生!」
「うぉ、梨華ちゃん!」
「お疲れ様〜。石川先生。」


653 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/18(金) 18:09

「ちょっとヨッスィ!学校では私のほうが先輩なんだから梨華ちゃんって呼ぶのはやめてって言ってるでしょ?」

石川先生。石川梨華。今年二年目のまだまだういういしい若手の先生。
学校ではちょっとどんくさいけど、そこがまたいいなんて少数派のマニアがいたりと、結構人気者・・・かな。

「え〜!いいじゃん!!うちら幼馴染みなんだしさぁ〜。」
「って、吉澤さんも石川先生のことちゃん付けで呼んでるんじゃないですか!!」
「よしざーはいいけどガキさんはダーメ!!」
「なんで!?」
「なんででも!」

どんだけ自分中心で世界が回ってるんだよ!なんて口が裂けても言えない。



「あーもう、うるさい。」

あたしたちがギャアギャアと言い合ってると、横から藤本先生がピシャリと言ってのける。

「あ・・・すいません・・・」
「美貴ちゃんさん止めるな!よしざーは・・・」
「はいはい、美貴の生徒イジメないでよね。」


654 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/19(土) 03:46


美貴の生徒か・・・

藤本先生の言葉に、自分の目尻がぴくっと反応するのがわかる。

「えぇ〜だってさぁ!」
「えぇ〜じゃない。美貴の大事な生徒をいじめるなっ。」

藤本先生がコツンと軽く吉澤さんの頭をこづく。

「ちぇっ。」

3対1で吉澤さんは一気に不利に。


大事な生徒ね。


藤本先生の言葉が耳にこびりついて離れない。

「新垣さん?」
「え?あ、はい。」

不思議そうにあたしの顔を覗き込んでくる担任の藤本先生。

「大丈夫?」
「あ、なーんともないですっ。」
「なら良かった。」
「どーもです。」

なんだかやりにくい。まぁここが職員室で、あたしの周りには教師が三人だから、当たり前っちゃ当たり前なんだけど。

「もういいですかね?」

とりあえずこの空間から早くおさらばしたい。

「うん。ありがとね。」

藤本先生が笑顔で行っていいというそぶりをしてくれた。


655 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/19(土) 22:24
更新お疲れ様です。
主人公だと思われる方、大好きです。
楽しみに続きも読んで行きたいと思います。
656 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/19(土) 23:19

「失礼しました〜。」


パタン。


とりあえずこのややこしい場所から去ることに成功。

「はぁ・・・なんか職員室が賑やかだったし・・・。」

あたしの想像とはまったく別の世界が広がっていた。
なんていうか、ほら、職員室ってどんよりしたイメージがあるから。


ブブブブ。


「うわっ・・・」

ポケットから急に振動が伝わる。


パカッ。


受信:高橋 愛
遅い〜やざ!!はよしねまっ!!


「プッ・・・本当に用件だけしか送らないんだから・・・」

いつもより遅いあたしを教室でふてくされながら待っているであろう彼女からのメールだった。


パタン。


「しょーがない。急いであげますか。」

携帯を元あった場所にしまって、足早に教室を目指す。


657 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/19(土) 23:34

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658 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/19(土) 23:42

「遅いやざぁ〜・・・」

あさ美ちゃんも帰ってもうて、今は教室にあーし一人と、カバンが二つ。

「もー、なにしてんのやぁ。」

その子のカバンにケチつけてみるけど、返事は返ってこん。

「あーし先帰ろっかなぁ・・・」
「どーぞどーぞ。そのほうがあたしはうんと楽になるんで。」
「えっ?」

振り返るとそこにはあーしが待ってたカバンの持ち主がドアにもたれとった。

「なんや、おったんや。」
「今来たとこだよ。」
「で、あーしにお詫びは?」

いっつもからかわれてばっかやから、今日はあーしがからかってみる。

「え?あたしは待っててなんて一言も言ってないよ?」
「なななんやざ!あーしせっかく待っとったのに!」
「愛ちゃんがあたしをからかおうなんて一億年以上早いよ。」
「バレてた?」
「ん、もぉ〜バレバレ。」

あーしやっぱりうそつくんヘタなんかなぁ?


659 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/19(土) 23:50

「そーでもないよ?」
「ほぇ?」
「いや、愛ちゃんがウソつくのヘタかってやつ。」
「ななななな・・・」

びっくりしてガキさんを指差すあーし。

「なんでかって?」


コクコクコク。


あーしが思っただけやのに・・・
もしやガキさんはエスパー!?

「失礼な。あたしはエスパーみたいに変じゃないし。」
「あわわわわ〜・・・」

またしてもガキさんにあーしの心を読まれたやざ。

「いやいや、あたしそんな能力ないよ。」
「な、なんでやぁ?」
「そんなの愛ちゃんが口に出して言ってるからに決まってるじゃん。」

そっかあーしが口に出して・・・

ってあーしが!?

「そ、愛ちゃんぜーんぶ口に出してたから。」
「は、はははは・・・」

どんだけ変人なんや、あーしは。


660 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/20(日) 00:04

「よし、まぁとりあえず帰ろっ。」

あーしがひとりで落胆しとったら、いつの間にか帰る支度が終わったガキさんがドアの前で待っとる。

「あ、うん。」

一瞬、ほんの一瞬やけどガキさんのほうに行こうかどうか迷う。

「あ、そっか。あたし先に行っていつもの場所らへんで自転車停めて待ってるよ。」
「あ・・・」

あーしが戸惑ったんに気付いたんか、ガキさんはそのままひとりでスタスタと行ってしもうた。

「なにやってるや・・・あーしは・・・」

珍しかった。
あーしとガキさんが教室を一緒に出ようとすること、友達のように学校内で接すること、何もかもが新鮮過ぎてあーしは迷ってた。


「昔はあんなのフツーやったんに・・・」


あーしたちの今の関係はいつからやろう?


あーしたちはいつからこんなんになってしもうたん?


661 名前:ワクワク 投稿日:2005/11/20(日) 00:07
ほーんのちょこっと更新。

名無飼育さま>新作読者さま第一号で感想いただけて感謝してます(>_<)
今回もいろいろな人間関係を作っていこうと思っているので、どうかよろしくお願いします!!
662 名前:774飼育 投稿日:2005/11/20(日) 00:19
この作品も楽しく読ませていただいてます
期待してるんで作者さんのペースでがんばって下さい
663 名前:星龍 投稿日:2005/11/20(日) 11:08
更新お疲れ様です。
新作ですね。
どんな話になるのかすごく楽しみです。
まったり待っているので頑張って下さい。
664 名前:名無し 投稿日:2005/11/20(日) 21:07
更新お疲れ様です。
655の名無しです。
吉澤先生のキャラものすごく好きです!
次回も楽しみにしてますv
665 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/20(日) 23:24


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―――


カタカタカタ。


「でさ、さっきの話なんだけど・・・」
「ん?」
「愛ちゃんさ、ウソへたじゃないよ。」

学校の帰り道、いつものように彼女を背に自転車をこぐ。

「だってさっき・・・」
「いやいや、実際今日もさ、紺野さんにうまくウソついてたでしょ。」
「あ・・・聞いてたんや・・・」
「たまたまね。かーなりうまかったじゃん。」
「そーかなぁ?」
「うん。」

そうだよ。
昔はウソつくことさえしなかったのに・・・


「ならええかのぉ。」

嬉しそうな声が後ろから風と共に流されてくる。

「うん。」

彼女、愛ちゃんはそれ以上なにも話さなくて・・・あたしは無言でひたすらペダルをこいだ。


666 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/20(日) 23:27

***

667 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/20(日) 23:35


キィコキィコ。


今日もまた、いつもの場所から自転車を引いて歩く。


なぜかって?
それは・・・



「あ、来た来たぁ〜!!」

彼女がいつも待ってるから。

「どーもぉ。」

芸人さんが登場してくるときみたいに登場してみる。
ただし、相方は自転車だけど。

「今日もきっかりやね。」

彼女はいつものように笑顔で指定席のあたしの後ろへ。

「あたしはぴったしが好きだかんねぇ。」
「相変わらずってやつやね〜!」
「まぁそんなとこ・・・かな。よーいしょっ。」

自転車をまたいで勢いよくペダルを踏む。

「ゴーやざぁぁ!!」

後ろから楽しそうな声。

「はいはい、かしこまりぃ。」

後ろにあるその姿を想像しながら苦笑。


668 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/20(日) 23:42


いつもの重さ


いつもの速さ


いつもの声


いつもの道


そしていつもの愛車


なにを取っても『いつもの』が付いて、変化のない毎日。
きっと学校に着いてからも『いつもの』挨拶をして『いつもの』あたしがいて、『いつもの』彼女がいる。
そんな変わりのないなにが楽しいのかって思う人がいるかもしれない。


それでもあたしは


「行け行けぃ!!」


変わらないほうがいいと思った。
変わってしまってからはもうその『いつもの』がなくなってしまうから。


「はよはよ!」
「これでも急いでるんだって。」


なくなってしまってからじゃ遅いんだ。


669 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/20(日) 23:43

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670 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/20(日) 23:48

球技大会。


ダンダン。


「ガキさん!!」

あたしにパスが来る。



「ガキさん!シュートやよぉ!!」

コートの外から聞き慣れた彼女の声。

「言われなくても・・・」


ダンダン。


「させないよ!!」


シュ。


相手の声とほぼ同時にシュートを放つ。

「シュート打ちますから。」

バスケ部で鍛えられた自慢のシュート。
まさかこんなところで役に立つとは思わなかった。


671 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/20(日) 23:52


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もし


もしもあの頃に戻れるなら


あたしたちは今頃


こんな関係になっていなかったかもしれない。


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672 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/21(月) 00:03


パサッ。


ピッピィ!!

「50対32で2年6組の勝ち―――」

主審の声。

「きゃーー!!ガキさんすっご〜い!!」

クラスメイトの歓声。

なんとなく彼女をチラッと見てみる。
彼女はいつもの笑顔でクラスメイトと騒いでいた。

「ガキさん、なーに見とれてんの?」
「べーつにぃ。」

見とれてなんかない。ただなんとなく気になっただけ。

「ふ〜ん。まぁ私は別にいいけどね。」

友達の意味深な言葉も聞き流し。

「あたしたち、優勝じゃん。」
「そーそー。ガキさんのおかげでねぇ!」
「あたしはみんなが楽しめればいいの。」
「あらら、謙虚なガキさん。」
「バレちゃいました?」


だって本当にただなんとなくクセになってるだけだから。


673 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/21(月) 00:23

「ほぁ・・・さむっ・・・」

帰り道。
いつもの道を歩く。

「あっ・・・」

前に見慣れた後ろ姿を発見。

「よーし・・・」


タッタッタッ。


「うぅ・・・寒いやざぁ・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」


ピクッ。


「なななな、なんやざ!?はぁはぁ言って!言うとくけど、あーしは変質者なんかに・・・」

スッ。

「や、や、ややめ!!」


カチッ。


歩行者用の信号のボタンを押す。

「へ・・・?」
「だっさ。」
「・・・ちょっと!ガキさん!あんなに息荒かったら誰でも怖いやろ!?」
「あーうるさいなぁ。」

彼女の声のボリュームに合わせて耳をふさぐ。

「ちゃんと聞くやざ!!」
「しょーがないじゃん。前に見えたから走ってきたんだもん。」

とりあえず理由をね、言わないと一生言われるはめになるから。


674 名前:ワクワク 投稿日:2005/11/21(月) 00:31
今日も少ない更新です(*_*)

774飼育さま>感想そして期待にそえるようがんばりますっ( ^_^)/なので末永く見守ってやってください(笑)

星龍さま>まーた懲りずにやってしまいました新作(苦笑)
なんとなくこーいう雰囲気が好きだったり…f^_^;

665名無しさま>キャラが好きって言っていただけるとは!!ありがとうございます( ^_^)/これからも彼女の活躍に期待を(笑)
675 名前:星龍 投稿日:2005/11/21(月) 17:25
更新お疲れ様です。
やっぱりこの2人の雰囲気好きですね。
作者様の書かれる話はどれも面白いので、
頑張ってください。
676 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/21(月) 23:22

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―――――――

「はぁ・・・さっむっ。」
「急いでたんやないの?」

一歩後ろから着いてくる彼女。

「ん〜、もう良くなった。」
「なんやそれ!」

暗い中での帰り道。
冬だからか、暗いからかわからないけど、なんだかゾクゾクした。

「ねー。」
「うん?」
「ガキさんってちっちゃいのにようやるね。」


ピクッ。


一番気にしてることを・・・


「キモチにカラダがつあてくんやね!シュートんときとか、絶対決めるって目、してるもんなぁ〜!」

振り返らなくてもわかる。
彼女のキラキラと目を光らせた嬉しそうな表情。

「・・・や、愛ちゃんも、唄ってるとき、いい顔してんじゃん・・・」
「え・・・?」


677 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/21(月) 23:31

「普段はあんな野蛮なのにとか。」


ドンッ。


「あたっ!なーにすんの。」
「ガキさんがあーしのことバカにするからやろ!」
「だって本当のこと・・・あ、着いた。」

一軒の家が視界に入る。

「ほんまやぁ。」

それはあたしの家じゃなくて

「じゃあ、また明日な?」
「できれば会わないことを願います。」
「ガキさんひっでー素直じゃないやざ。」
「あたしは十分過ぎるほど率直に言ってるし。」
「まぁええやよ。じゃあね!」
「はいはい。」

彼女と別れた後、一人何軒か先の自分の家に向かう。
これが週に3、4回繰り返されるあたしの日課だった。
そして、あたしは知らなかったんだ。
彼女もまた、自分の部屋からあたしが去るのを見守るのが日課だったなんて。


678 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/22(火) 00:03

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「愛ちゃーん!部活行こ〜!」
「あ、ちょっと待って!!」


ガヤガヤ。


今日も騒がしい放課後の学校。


ガラッ。


「あ・・・おぅ。」
「おったおった!」
「なに?」

あたしに用があったのか、嬉しそうにあたしを指差す。

「あの・・・」
「なにそれ。」

彼女が手に持っている物体に顔を近づける。

「な・・・なにが!?」
「それだよ。そーれ。」
「どれ!?」

彼女が持っているのは毎週あたしが見てるドラマの題名が書かれたビデオ。
昨日は走って帰ってるときに愛ちゃんを見つけて結局間に合わなかった。

「ぐ、偶然///お母さんがっ!偶然・・・」

彼女の腕を掴む。


679 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/22(火) 00:09

「ふっ・・・やった。」

やばい、チョー嬉しい。もう再放送を待つしかないと諦めてたから。

「・・・」

愛ちゃんが珍しく無言であたしを見てくる。

「ガキさんたちなにやってんの?」
「まぁ取引みたいな?」
「へへへっ///」

無言だった愛ちゃんも楽しそうに笑う。


タッタッタッ。


いつものように二人並んで廊下を歩く。

「早く返すんやよ?」
「うん。」

さりげない優しさ。
彼女は意識してないのかもしれない。だけど、彼女の暖かい優しさは昔から人を喜ばせる。そんな不思議な力を持っていた。


680 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/22(火) 00:17

ピーー。


ダムダムダム。


ピッピーー。

「おーし、次のグループ始めっ!」

コーチの吉澤さんが笛を吹いて、あたしたちの次に並んでいたグループに練習をさせる。

「はぁ・・・」

疲れた。


けど


楽しい。

バスケはこのサイクルの繰り返しだった。

ふと体育館の入口から見える校舎を見る。

「うぉ・・・」

そこにはちょうど練習している合唱部の子たち。
そしてその中で一番に目に入るのはもちろん彼女。
部員と楽しそうに唄う彼女を見ると、なんだか疲れなんてふっとんだ。

「集合〜!!」

吉澤さんの号令でまた体育館の中に戻る。

このとき、彼女もあたしを見てたんだ。
でもあたしはそんなこと知らなかったし、彼女もあたしが見てたなんて知らなかった。


681 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/22(火) 00:25


ガヤガヤ。


「疲れたぁ〜!」
「昨日さぁ・・・」

合唱部の練習が終わり、帰りの支度。

「愛ちゃん、ばいばい!!」
「あ、バイバイ!」

一足先に音楽室から去っていく友達にいちおー挨拶。

「私たちも行こ?」
「そうやね。」

クラスの子と音楽室を出て、階段を降りる。

「あ、バスケ部まだやってるよぉ〜。運動部は大変だねぇ。」

体育館のほうをチラっと見る。
するとあーしの幼馴染みがあんまり見せないような真剣な顔でバスケ、やっとった。

「愛ちゃん?」
「ふぇ?」
「行くよ?」
「あぁ、うん。」

靴を履きながら、体育館をチラチラ見る。
だってやっぱり気になるやろ?


682 名前:ワクワク 投稿日:2005/11/22(火) 00:27
更新すくねっ!(苦笑)

星龍さま>こんな駄文らを面白いなんて言っていただけて…涙ちょちょぎれちゃいますよ?(笑)
いつも更新少ないんで申し訳ないです(*_*)
683 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 13:53

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「ったくさぁ〜、吉澤さん最近さらに厳しくなってない?」
「ねー!!本当どーにかしてほしいよ。」
「まぁまぁ、コーチだってあたしたちのためにやってるだろうし・・・ね?」

体育館から漏れて自然に耳に入る会話。

「ねー、このあとマックでもよってかない?」


7時25分


幼馴染みの顔を見ながら時計にチラっと目をやるとすでにこんな時間だった。

「ねぇ、ガキさん?」
「え、あ?にししし。」


パタン。


体育館の扉をこっそり閉める。

「あーしなにやってるんやろ・・・」

部活が終わって、友達の誘いを断って、結局ひとりで体育館にいる幼馴染みの観察。
見たことない幼馴染みの表情を飽きもせずにずっと観察。そしたらもうこんなに時が経ってて・・・


684 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 14:08

「あ・・・雪や・・・」


気がついたら雪なんか降ってきて・・・


「どーりで寒いわけやね。」


独り言なんか言ってもーた。


ザッ・・・


ザッザッ。


雪の中で誰かが走ってくる気配。


「ガキさ・・・」


振り返るとそこには



「へへへっ、やっと二人きりになれた。」


ザッ・・・


「なっ・・・むぐっ!」「おとなしくしてよ?僕はずっと君と二人きりになることを待ち望んでいたんだから。」



ザザン。


「や・・・」
「はははは・・・」

変な男の人があーしの上に乗っかっとって。


「いや・・・」
「その声、いいなぁ。」


すごい睨んでも相手は楽しそうに笑ってて・・・


もうだめや


そう思った。


685 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 14:19



ガサッ!!

「・・・」
「わわわわ!」

気づいたら男の人があーしから離れてて


「なーにやってんのかな?」


その男の人は後ろからガキさんに持ち上げられとって


ガンッ!


ドカッ!ゴンッ!


見たこともないくらい怖い顔したガキさんがその男の人を殴ってて


「ぐあ・・・このガキャァ!」


ガッ!!


ゴッ!ドガ!


あーしはガキさんが殴られてんのを見てることしかできなくて、動くことができんかった。


「こほっ・・・」
「邪魔しやがって!」


ガンッ!


それでもあーしは必死で


「・・・警察がきたやよ!!」


ピタ。

ドサッ。


「くそっ!!」

男の人はガキさんの胸ぐらを放すと、暗闇に消えてった。


686 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 14:31


ジャアアア・・・

蛇口から出る水の音がやたらと響く。


パシャパシャ。


傷だらけの顔や手を洗い流す、あーしの幼馴染みガキさん。


ゴシッ。


「ったくさぁ、こんな時間にひとりで体育館裏でいる・・・か・・・ら・・・」


ガキさんと目が合う。


「うぅ・・・ずっ」
「・・・」


本当は怖くて怖くて


「・・・さん・・・」
「・・・」

しゃがんどるガキさんがじっとあーしを見てるだけで


「うっ・・・ガキさん、ガキっ・・・」
「・・・」


ガキさんが来んかったらって考えてると、ますます不安になってる自分がおった。


「ガキさん―――・・・・・」


クイッ。


「帰ろ。」
「う・・・ん。」


687 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 14:39

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「昨日手ぇ繋いで帰ってたんだって?」
「えっ・・・////」
「んも!いつの間に〜!隣のクラスの子が見たって言ってたよ?いいよねぇ、クリスマス前に〜。」

次の日の帰り、友達に無理矢理廊下でひっぱられて歩く。

「さっ、早く帰りな?」
「あ・・・」
「・・・」

そこには下駄箱で靴を履き替えてるガキさんがおった。

「帰る?」
「う、うん。」


今日は珍しく二人とも部活なしで通常下校。


「・・・」
「・・・」


・・・昨日はどうも。
どうもありがと。

あり・・・


昨日、結局お礼が言えんかったから、必死でその言葉を考える。


688 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 14:50

ありがと?

いや、違う。お礼を疑問系で言ってどーすんのやよ。


「・・・寒くない?」
「あり!?あ、さっさむいやざっ!」
「じゃあなんでコート着てないの?」
「探してるけどみつからんの・・・」
「ふーん。」


バタバタ!


「ガキさん、じゃあねー!」
「あ、うん。また明日。」

バスケ部の子たちがガキさんに挨拶。


「あれ?なになにぃ?高橋さんのほうが大きいから、てっきり先輩かと思ったぁ〜!」
「え・・・///」
「じゃあね!」


『ガキさんちっちゃいのによーやるね!』


自分がつい先日言った言葉を思い出す。

「・・・なんだあれ。」
「そりゃ間違うやざー!本当なら、同級生のカップルはこれくらいが理想やろ?」

ガキさんより頭ひとつ分、腰を低くする。

「あはははは・・・」
「・・・」

ガキさんと目が合ったけど、すぐに目をそらされた。


689 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 15:06

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――――――

今日も外は雪でいっぱいや。

「・・・じゃ。」


バサッ。


あーしの家の前に着くと、コートの帽子を被って、ガキさんは足早に歩いて行く。


お礼・・・

昨日のお礼言わな。


ガシャン!


さっき入ったばっかりの、ちょっとした小さな自分の家の門を乱暴に開けて、歩いて行くガキさんの後ろ姿に声をかける。


「・・・あ!」


ピタッ。


そしたら急にガキさんが立ち止まって。


「ははは、大声出してなーにやってんの?寒いから早く中入んなよ?じゃあね。」


ザクザクッ。


「・・・」


ガキさんの今までて比べものにならないくらいとびっきりの優しい笑顔だった。


690 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 23:11

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「んでね〜。」
「うっそだぁ!」
「いやいや、本当だって!」
「え〜!ガキさんうそくさぁい。」
「あたしのどこがうそくさいのさぁ!」


キュ。


廊下をバスケ部の仲間と歩く。


スッ。


自分のクラスの扉を通り過ぎる。

「・・・」

「あはははっ!」

中を少し気にしても決して引き返さない。
なんでかって?
そんなの気まずいからですよ。


691 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 23:30

「しっかし愛ちゃんもほんっと可愛くないねぇ〜。」
「な!?」
「学校でも、部活でも時間、ずらしてるでしょ?」
「うっ・・・」

同じクラスの加護ちゃんこと加護亜依ちゃんとクリスマスプレゼントを買いに来た。

「・・・やって、なんかうまくしゃべれんのよ。しかも!こないだなんてバスケ部の子にまで冷やかされたんや・・・なんか やで―――・・・なんかあるやろ?こう・・・人に見せるための自分いうか・・・『他人から見たあーし』ってあるやろ?そーゆーのなんかこう変な・・・」
「変な意地張らないの!」


やって恥ずかしいんやもん。


「それにあーしたちはみんなの思ってるような関係やないし・・・あ、これガキさんに似合いそう。」

黒地に黄色の星が印象的なリストバンドを手に取る。


692 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 23:37

「え?愛ちゃんたち付き合ってんじゃないの?」
「ないやよ。あーしらは・・・あ、こっちもええのぅ。」

今度は白地に赤い星が刺繍されているリストバンドを取る。

「そっかぁ・・・まぁでも、さすがに誘ってくるでしょ?なんてったってクリスマスだからねぇ。」
「・・・やっぱり黒にしよ。すいません、これください。」
「はぁ・・・お互いウジウジして・・・」

ガキさん喜んでくれるかな?

びっくりするんかな?

こーやって改めてプレゼント渡すんは初めてやから驚くやろなぁ。

「加護ちゃん、あーしはウジウジなんかしとらんやざぁ!」
「聞こえてたんかい!」
「当たり前やざ!」

ガキさんの反応、楽しみやざ。


693 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 23:46

「決まったれすかぁ〜?」
「むぅ・・・」

これもいいけど・・・

あっちもいいよなぁ。

「そんなに悩むんじゃダメれすよ。」

・・・や、悩むっていうかね・・・

あたしは現在、バレー部で仲のいい辻ちゃんとちょっとしたショッピング。

「好きな人からならなにもらっても嬉しいんれすからぁ!あはははっ!」


チラッ。


あ・・・


「だけど、最近はあんまり一緒にいるとこ見ないれすね。」


加護ちゃんと愛ちゃんが楽しそうに歩いてるところをガラス越しに見つけた。


「・・・」
「のんとあいぼんみたいに常に一緒らったのにね!」
「・・・」


694 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/23(水) 23:53

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――――――
――――――

「うーーあ!やだもーーー!!雪が横向きに降ってるじゃん!」
「ほんとだぁ!」


ガラッ。


「う〜・・・さむっ。ってちょっと!!閉めて!閉めて!」


プレゼント・・・買ってもーた・・・


「愛ちゃん!!」

「はっ!かか加護ちゃん!」


ガサッ!

「今日どーする?部活出る?っていうかガキさんは?」
「・・・」
「とりあえず体育館行こうか。」

あーしに少し飽きれつつも、いつもあーしの力になってくれる加護ちゃん。
とりあえず二人して体育館にいる人に用があるから、用意してドアを開ける。


ガラッ。


695 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/24(木) 00:02

「あ・・・・」
「・・・どーも。」

そこには、今まさにあーしが会いに行こうとしとったガキさんが立っとった。

「ガキさっ・・・」


「えーー!ホントにあの二人って付き合ってるんだねー・・・」


ムッ。


「あんな・・・」
「あっ・・・」


クイッ!


「なっ!?」


バシャ!!


「え・・・?」

急にガキさんに引き寄せられたと思ったら、耳元で明らかに何かにぶつかった音がした。

「うっわ・・・ごめん!!」
「ちょっと〜!なしてんの!?窓、閉めなさいよっ!」

クラスメイトが窓を開けとった子達を怒ってた。

「なにもあんなに怒んなくても・・・」

あーしが顔を上げると、ガキさんは雪玉でびっしょびしょになっとった。


696 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/24(木) 00:09

「あ、大丈夫だっ・・・た・・・?」


ガキさんがあーしの顔に手近づけてきて


「・・・///」


バッ!!


「・・・」
「あ・・・」


反射的に避けてしまったんや。


キュ。


あーしがそのことに気付いたときには、すでにガキさんは歩いて行ってて


グッ。

タッタッ。


その顔は無の顔やった。


「愛ちゃん!ヘーキだった!?」
「あ・・・うん、ヘーキやった。」

せっかく加護ちゃんが心配して話しかけてくれたのに・・・あーしはそんなことより、なんで自分がガキさんを避けてしまったのかということだけしか頭になかった。


697 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/24(木) 00:15

「あれぇ?愛ちゃんなにしてるんれすかぁ?」

その日の放課後、あーしは体育館にいた。
そしたら、あーしを見つけた辻ちゃんが話しかけてくれた。

「・・・あ」
「ガキさん?帰ったれすよ?」


――――――
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――――――
――――――

『部活出ないって言ってたからてっきり二人で帰ったんらと・・・あ、でも約束してるんれすよね?』

雪がよーしゃなくあーしに吹き付けてきてプレゼントを持ってる手も寒い。


「・・・」


でもそれ以上に


ザクザク。


「うぅ・・・」


ガキさんを傷つけたほうがもっと辛くて


「グスッ・・・」


心が寒かった。


698 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/24(木) 00:22


ザッザッ。


「愛ーー!ごはんよぉ!」


ザクザクッ。


ピタ。


「あーーいー?」


彼女に否定されるとは思わなかった。


「ちょっと!ご飯よーー!」


こんなにも寒い日はなかった。
少なくとも今日までは。


ギュ。


このプレゼント・・・渡す機会なくなっちゃったじゃん。


渡すはずだったクリスマスプレゼントに力をこめたところで彼女があたしを受け止めてくれるなんてことはなくて。


「・・・」


あたしの心は寒くて死にそうだった。


ザクザクッ。


だから彼女の家から静かに立ち去ったんだ。


699 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/24(木) 00:28



これ以上はムリだと思った。


―始業式―

「・・・」
「・・・」
「もーさ、止めよ。」


ガラガラ。

パタン。


これだけ、たったこれだけのことであたしたちの『友達以上恋人未満』の関係は終わった。


「うぅ・・・」


「・・・」


離すしかなかった。


苦しまないようにするには


バカだよね。


自分ばっかり彼女を気にして


結局は否定されたんだから。


彼女にとってのあたしは


なんだったんだろ?


あたしにとっての彼女は


なんだったの?


700 名前:星龍 投稿日:2005/11/24(木) 13:28
更新お疲れ様です。
何か悲しい展開に・・・?
読んでるとどんどん引き込まれますね。
すっごい良いです。
これからも頑張ってください。
701 名前:名無し 投稿日:2005/11/24(木) 22:53
更新お疲れ様です!
あぁ…切ないよ〜〜;;
朝、学校行く前に実は読んだんですけど、
泣き顔で登校するわけにもいかず危うく遅刻する所でした(汗
それぐらいのめり込んでるんですよ。
次回更新もお待ちしてま〜す
702 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 15:06


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703 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 15:09


もしも


もしもあの頃に戻れるなら


最後に握ったあの手を


絶対に放さなかっただろう


あたしに温もりを与えた


あの手を・・・


704 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 15:30


シュパン。


ピーーーーッ!


「3年3組、25―17で勝ち。」
「よっしゃあ!まこっちゃんやるねぇ!!」


今年もまた春恒例になっている、球技大会が始まった。
うちのクラスはまこっちゃんが出てるバレーはひとまず勝ってた。あたしはまだ空き時間で、静かに見守ってた。


「まこっちゃん!!」
「ガキさ・・・」


バチン!


「んぉ!」
「ナイスプレイ!」
「おぅ。っていったいじゃんよぉ〜。」

しまった。
力込めすぎた。


「だってずるいじゃん!!まこっちゃんばっか目立ってさ!」
「ガキさん、試合!」
「ずるいぞーー!!」


ズリズリ・・・


ひっぱるなぁ!
まこっちゃんばっか目立ってたからもの申してたのに!


705 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 15:45

「・・・新垣さんやたらとはりきってるね〜。」
「新垣さん、中学3年間バスケ部だったんだよ。」
「そーなの?あ、なんで愛ちゃんがそんなこと知ってるの?愛ちゃんは新垣さんと同じクラスだったの?」

隣のあさ美ちゃんから質問される。


そーいえば、あーしたちが同じ中学だったって、みんな知らないんだっけ・・・。


「うん。そ――・・・・・」
「ガキさん!」


キュキュ。


「・・・」

答える途中に聞こえた名前で、あーしの目はそっちのほうに釘付けになる。


スカッ。


「アハハハハ!」
「だ、だっさぁ!」
「しっかりしてよぉ〜、元バスケ部!」

パスを見事に取り損ねクラスメイトが大爆笑。

「ち、ちがう///今のはパスが悪い!ガード交代!!」


「あははははは〜!」


706 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 15:52


4年前


中2の冬休み明け


あーしたちは『友達以上恋人未満』の関係をやめた。


住んでるところが元々近くて、クラスも同じで


幼馴染みからちょっと進もうとしたあーしたちは


お互いなんの言葉もなくて


青くて


「もーやめよ。」


ガラガラ。
ピシャ。


「うぅ・・・」


それからは目も合わなかった


けど


707 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 16:04


『新入生クラス掲示板 』


『1年5組』


「あ。あーしは5組かぁ・・・え?」


『新垣里沙』


「おっ、お世話んなります。」


チラッ。


ガキさんのこんな近くで見るんは久々やった。


それから


心なしか、前より明るいキャラに変わったガキさんと、ずーっと同じクラスで


「49―21で3年3組の勝ち。」
「イエーイ!らっくしょぉ〜!!」
「ガキさん、お疲れぇ!」


パチン。


小川さんと仲良くハイタッチをするガキさん。

「イエーイ!!」

それからガキさんは、クラスの子に順番にハイタッチしていく。


パシッ。


「ガキさんナイス。」
「まぁねぇ。」


ピタ。


ついにあーしの前に来て


708 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 16:17


「やったよぉ〜!」
「アハハ!やったねぇ!」


パシン。


一瞬やったけど、あーしたちは久々に学校でコミュニケーションをとった。


決めたんだ。


あのころのことは



なかったことにするって。


―――――――
―――――――
―――――――
―――――――


「球技大会って楽だよねぇ〜。」
「テキトーにやってればなんとかなるしね。」

「愛ちゃん、ナスも食べなきゃダメだよ?」

「うぅ・・・」


ガラ!!


「高橋さんっ!呑気に食べてるばーいじゃないっしょぉ!コート使えるから練習練習!!」
「ちょっ、ちょっと!!」
「目指せ優勝!」


ずるずる。


「・・・熱い。ガキさんめっちゃめちゃ熱いね。」
「付き合わされてる愛ちゃんも可哀想だけどね。」


709 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 17:17

「やぁやあ、連れてきましたぞーい。」
「弁当くらい食べさしてくれてもええやろ・・・」
「おっつー。それじゃ高橋さん混ぜてグッパーね?」

あーしとガキさんはバレーとバスケで種目が違うのに、なぜかガキさんも混ぜて練習らしい。

「うん。あ。あたしと高橋さんセットでいいや。高橋さんいりゃあとはどーでもいーよ。」
「え・・・?」


今なんて?


「んじゃあ、グッパー。」

しかも小川さん、あーしたち省いてグッパーやっとるし。

「練習でも負けたくないんでしょ?」
「あったりまえ〜。」

なんなんや・・・

なんなんよ。この展開。


ガラガラ。


「おっ、やってるねぇ〜。」
「あ、藤本先生!!」

藤本・・・先生?
なんでここに?


710 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 17:27

「あ、今日のコーチの藤本先生でぇす!!」


小川さんが藤本先生の背中を押して、さぁさと勧める。

「いや、美貴コーチやるなんて・・・」
「いいじゃないっすかぁ〜。どうせ先生もジャージなんだし!」
「良くないでしょ!つーか少なくとも美貴自身良くない!」


――――――
――――――
――――――
――――――


ドッ!!


「とりゃあ!」
「おぉ!ガキさん、なんかかっこいいよぉ!」

飛込んで得点阻止するガキさん。

「パス!あたしにパース!!」
「え?」

セッターをやってるあーしに大声でパスを呼ぶ声。


ポンッ。


「・・・」
「・・・」


静かな空間にボールと彼女だけが飛んでる。


バシッ!!!!


711 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 18:23


スタッ。


「わ・・・・」
「っと・・・」

気がついたら相手のコートにボールが転がっとった。

「・・・すっご・・・」
「すっごいじゃん!ガキさん!!」
「へへへん。」

彼女、ガキさんは得意気に笑ってた。

「ボソボソ・・・うそっ、かっこよくない?」
「ボソボソ・・・うん。ヤバイかっこいいね!」

ネット越しに先生が近づいてきた。

「ガキさん、なーに今の。なんかズルくなーい?」
「ずるくないっすよ。むしろセンセーが本気で打ってきたさっきのアレ。アレのほうがズルいですよ!」
「ははは。もう次は取らせないよ?」
「いやいや、コッチも負けませんから。」

そう言うと、藤本先生はまたポジションに戻っていった。


712 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 18:35


「にししし!」
「・・・・」

逆光の中からあーしに笑いかけてくるガキさん。

「・・・新垣さん、今何センチ?」
「え?」
「身長。」
「あぁ、最近測ってないからわかんないやぁー。なんで?」


だって


「なんか、なんかやよ?」
「うん。」


目線が


「なんかおっきくなったんやない?」


ちょっと高いんや


「ししっ。」
「・・・」


がしっ。


「たかはーしさんがちっさいんでしょ。」
「・・・!?」

久々に

本当に久々にガキさんに肩を組まれた。


「・・・///・・・ちょ、ちょっとしか変わらんやろ!」


バシッ。


今度はブロック。


「っし!そんでもたかはーしさんよりはおっきいも〜ん。」


なんなんや。
昔はあーしよりちっさかったクセに・・・

「ガキさんすっごいよ!」
「チッチッチ。まこっちゃん、あたしをなめちゃいかんよ!はははっ!」


713 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 18:44

久しぶりにガキさんの楽しそうな顔を見て、あーしは笑顔になれた。

「たかはーしさんっ。次、速攻ね!」
「え?」
「今日はスターになっちゃいますよ。」


キュ。


バン!


「よっし!!」
「やったやざぁ!」


――――――
――――――
――――――
――――――

ジャアアアア。


「いや〜、ナイストス。さすが!たかはーしさん。」
「・・・新垣さんが他人褒めとる・・・珍し・・・」
「冷たぁ〜。それを上回るナイスプレイの連続であたしのほうが目立ってたから、オッケーなの。べっつにぃ。」

ガキさんの髪先からポタポタ水が滴れ落ちる。

「ちょーっとあーしより大きくなったくらいで調子に乗って・・・」


ビシャァ!


「ふわっ!げほげほっ!!」

み、水があちこち入って苦しいやざ。
なにもいきなり水かけてくることないやろ!


714 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 18:58


「昔はあたしのが小さかったもんね。」
「こほっ・・・」

気にしてたんや

あーしの言葉。

「可愛かったよね、あたし。」
「はい!?あれのどこが可愛かったんよ!!」

やっぱり撤回。この子、全然気にしとらんやざ。

「常に無愛想やし、口悪いし・・・」
「てゆーかさ、たかはーしさんもたいがいヒドかったよ?常に人の話聞かないんだもん。しかもいっつもピリピリしてたし。」


ポタッ。


今度はあーしの髪からも水が滴り落ちる。

「それはな・・・」

周りの冷やかしがうるさくてつい・・・


パサッ。


「でも、ずいぶん変わったよね。愛ちゃん。」


自分も濡れてんのに、彼女は上のジャージをあーしに被せてくれた。


715 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 19:15

「昔、むっかしあるところで大ゲンカしたっけてね〜。はははっ!なっつかしぃ〜!」



『ずいぶん変わったよね。』

さっきのガキさんの言葉が耳に残って離れない。

それはガキさんもやろ。

心の中で言い返す。

「ガキさん、着なよ。」
「いや、いーや。あたしは涼しいの好きだから。」


あ、でも


あの目・・・


バスケをしてるときの目は相変わらず・・・


「ねーねー、あたしさ、中学のときから気になってしょーがなかったんだけどさ、アレ。けっこーすごくない?」

ガキさんの指を辿っていくと、体育館の天井にハマったバレーボール。

「あぁ!わかる、わかる!」
「どーやったらあんなとこにハマるんだろーね?」

自然な会話。

「あ、むこうはバドミントンのハネもやぁ!」
「なんだ。なんでもアリだね。どーする?あたしたち。」
「あはは、どーするって!」
「ぜひ参加しよーよ。」
「なんやろ?上靴とか?」
「それはまだ使うからダメじゃん。」
「じゃあブーメランや!」
「戻ってきちゃうから。」
「じゃあ名誉?」
「持ち合わせておりませーん!」
「ハハハハッ!」


716 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 19:34

本当に楽しい。
こんなに楽しいのは久々かもしれん。

「いやぁ〜なかなかのボケ具合だねぇ!」


なかったのかもしれない


あの『季節』は


「やろぉ?にしししし!!」


ホントは


「こらこら、ちょーしに乗らないのぉ!」


ほんとになくて・・・


「ガーーーキさんっ!!!」


キュ。


「ガキさんなに出てんのぉ?」
「ん?もちバスケ。」
「うっそー!あたしも!!補欠だけどぉねぇ。」
「出なさぁいよ。」
「えー?ガキさん応援してくれんなら出る〜。」
「いいから、出んさーい。」

ガキさんに話しかけて来た子はめちゃめちゃ楽しそうに話してた。


「あっ、じゃあさじゃあさ、ガキさんのジャージ貸して〜♪」
「っていうかなーんでジャージ履いてないんですかぁ?ヤル気ゼロかーい!」
「だってぇ!」
「あ、じゃあさじゃあさ、スカート貸してくれるぅ?」
「やははは!ガキさんチョーうけるぅ!」


717 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 19:47


「・・・・」

つまらん。
なんかわからんけど、あーしだけのけ者みたいな気がする。

「なんか濡れてない?髪とかぁ。」
「ん〜。」

その子はガキさんの髪を触って遊ぶ。

「なにしたのぉ?」
「水遊び。」
「えー?カゼひくよぉ?」


ギュ。


「・・・・」

さっき、ガキさんにかけてもらったジャージを握る。


「ジャージ貸してあげよっかぁ〜?」
「ん、ヘーキヘーキ。」


ザッ。


「新垣さん。ごめんね、コレ。あーし行くからもういいやよ。」


パサッ。


「あ、うん。」

なんかあーしだけ場違いな感じがして、その場にいるんが嫌やった。

「・・・それ、ガキさんの〜?」
「うん、まぁ」


キュキュ。


「ガキさんのほうが濡れてんのに。」

彼女の言葉を最後に、あーしは体育館から出た。


718 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 20:15

――――――
――――――
――――――
――――――

チャリン。

自動販売機にお金を入れる。


「なんやあれ・・・」


なに言ってんやあーし。

あーし・・・


バン!

ビーーー

ガコッ。

「イエーイ。」
「・・・あ・・・」

缶ドロボー新垣里沙の背後に悔しそうに去っていくさっきの子。

「・・・あの女の子だれなん?」
「きゃぁコワーイ。『あの女の子』だってぇ〜。ジェラスィ?」
「ぬぁ!?」
「安心しなさぁい。ただのお・と・も・だ・ちだからぁねぇ。」

あっちはそう思ってないやよ。

「飲む?」

ガキさんが缶ジュースをあーしに差し出す。

ん?

それ、もとはといえばあーしのやろ。


「・・・いらん。あーしスポーツした後はカルピス飲めんのやぁ。」
「そーだっけぇ?あらっ誰もいない。」

教室に入ったらあーしたち以外、誰もおらんかった。


719 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 20:31

「なー、アタマ。ちゃんと拭かなあかんよ?」


パラパラ。


「・・・なに勝手に人の本見てんのや。」


ワサワサ。


後ろから座っているガキさんの髪を拭く。

「コレで現代の女子高生のココロを研究するんですよ。お。」

自分も現代の女子高生やろ

と思ったけど、言わんかった。


ふわぁ。


窓から吹き込む風でガキさんの髪がなびく。

「・・・じゃあ可愛くしてあげよか?」
「おぉ!!してしてぇ〜♪」


ザァァ―――


さっきよりさらに強い風。今度はガキさんのウナジが見える。


パラパラ。


ガキさんの持ってる雑誌も激しく捲れる。


「・・・」
「・・・」

さっきとは違う雰囲気の沈黙。
今度の沈黙は心地いい沈黙だった。


720 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 20:44

***

721 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 22:22

――――――
――――――
――――――
――――――


「あ、ガキさんだ。ホラッ!愛ちゃん、ガキさんだよガキさんっ。」
「ううううるさいやざぁ〜!だからなんなんやぁ。」
「・・・挨拶くらいしなよ。」

片想いかよとちょっと加護ちゃんに突っ込まれる。

「ほーんとに付き合ってんの?」
「だーかーら、付き合っとらんって。」


ザァァ。


「・・・」
「なーんかさ、ガキさんってウナジとかキレイな感じするよねぇー。」
「・・・」

風でふわふわする隙間からわずかに見えるガキさんのウナジ。
確かにキレイやった。

「加護ちゃーん!寒いから窓閉めてぇ!」
「ごめんごめーん。」


チラ。


「あ!」


プイ。


「・・・愛ちゃん、何隠れてんの。」
「・・・///」
「愛ちゃん、閉めるよ?」


ガラガラ。


あーしはこのとき、窓を閉めてからもピタッと張り付いて、ガキさんが見えなくなるまでずーっと見てた。


722 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 23:18

――――――
――――――
――――――
――――――

「ふふっ。」
「なに笑ってんのさぁ。」
「やぁ、ガキさんってクセっ毛やったかなぁと思ってたんや。はい、終わり!」
「かっわいー!クセっ毛だったよ。だから頑張ってストレートにしたんだもん。」

やってあげた髪を気に入ったんか、鏡で横、後ろと交互に確認してるとこがたまらなくおかしかった。

「ふははははは。あんときはフワフワ気持ちよかったやよぉ。」
「っていちおー気にしてんだから笑うなぁ。」

手鏡越しの本気じゃないってのがわかる、ふんわりしたガキさんの笑顔。

「えー?なんでやのー。あーしすっごい好・・・」


サワサワ。


ガキさんの髪を最終チェック。


「き・・・やったしそーゆ髪!あーしもそれでパーマかけよう思ったんやぁ〜。」


723 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 23:29


ガタッ


座ってとったガキさんが急に立ち上がる。

「ええ?なんで?愛ちゃんよかったじゃん。」


サラサラ。


あーしの髪に触れる懐かしい手。

「サラサラスットーン。今のパーマもだけど・・・」


サラッ。


「あたしは好きだよ。」



ガラッ


「ガーーキさぁん!」


パラ。


懐かしい手が一瞬で離れる。

「おーぃす。ってみんなドコ行ってたぁんよぉ?」
「ソフトボールの応援。ってあらヤダ〜!!」

あっきらかにからかってくるやざ。

「なにさぁ〜二人して〜♪ピーンクタイム?オジャマァだった??」
「ホントホント〜!もーねぇかんなりいいとこだったのにぃ。ねぇ?高橋さん。」
「は!・・・ぅ。ホントよ!も〜!」

ドンッ。

とりあえずごまかさな。

「気分じゃなくなったからジュース買ってくるやざぁ〜。」


タッタッタ。


724 名前:もしも天使に会えたなら 投稿日:2005/11/25(金) 23:37


チャリ―――ン


「あ、落としてもーた・・・」


ちがう


――――――
――――――
――――――

ポンッ。


「で?どーなのホントのとこはぁ?」
「はえ?」
「はえ?じゃないでしょ。さっきも高橋さんと体育館でピーンクタイムだったっしょ??」
「ピーンクタイムって・・・ぷぷ。」
「さてはガキさんたち秒読み!?」
「っは!なーに言って・・・」


パシッ。


「んなわけないじゃん。」


――――――
――――――
――――――

ちがうやよ


『すき』なんて初めて言われたから


ちょっとびっくりしただけや


「・・・うわ・・・手・・・震えとる・・・」


このドキドキに


意味なんてないんや


725 名前:ワクワク 投稿日:2005/11/25(金) 23:41
こーしんしん(^o^)/

星龍さま>引き込まれるとか!!ホントですか?(笑)ホントにいっつも読者さまの感想に励まされつつ頑張っております( ^_^)/

名無しさま>遅刻!?遅刻は厳禁でございますぞよぉ〜(^_^;)
こんな作品で泣いていただけたなんて光栄です!!
726 名前:774飼育 投稿日:2005/11/25(金) 23:53
なんかいい話だと思います・・・
次回更新も楽しみにしてますねー
727 名前:お知らせ 投稿日:2005/11/27(日) 18:40
ワクワクです!!
こちらも残り少なくなってきました。
ということで!同板に『もしも』の話というところを新しく作ったので、もしも天使〜の続きはそちらにて書いていきたいと思います!!
なお、こちらでは短編をちょこちょこ書きたいと思っていますので、よろしくお願いします(*^o^*)
728 名前:ワクワク 投稿日:2005/11/28(月) 00:55
774飼育さま>いい話と言っていただけると書いたかいがあります(ToT)
これからも感想いただけるとありがたいでっす!!
729 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/29(火) 23:59

いつも見つめてるよ


「田中ちゃん?」

「え?」

「なーにボーッとしとんのやざ。」

「れーなが?」

「他に誰がおるんよ。」

「あは、あははは。」


愛ちゃんには絶対言えんとよ。


「なー、なに見とったん?」

「なんも。」


あなたのその唇を見てたなんて、口が裂けても言えんとよ。


「あ、そんなことより今日もサボってたんやって?」

「なんで知っとぉの?」

「亀ちゃんから聞いたんよ。」

あのアヒル口。後で見てろよ。


730 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/30(水) 00:08

れーなはハロー学園1年、田中れいなっちゃ。
自分で言うのもなんやけど、れーなは学園1『悪』の称号を受け継いだ。
ちなみにれーなの前はれーなが入学したと同時に卒業してった美貴ねぇこと藤本美貴先輩っちゃ。

「田中ちゃん、あーしの話聞いてる?」

「聞いてるっちゃよ。」

今話してる愛ちゃんは3年生の高橋愛。こんなんでも生徒会長やってて、学園きってのアイドル。

つまり学園1の人気者の愛ちゃん



学園1悪のれーな

どー考えても不釣り合いな二人。


731 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/30(水) 00:19

こんな不釣り合いなれーなたちが出会ったキッカケ


それは


『藤本美貴』

「田中ちゃん。」

「なん?」

「美貴ちゃん、元気にやってるんかな?」

「美貴ねぇならきっとうまくやってるっちゃよ。」

美貴ねぇの話をするときの愛ちゃんが


スキ


だけど


美貴ねぇの話をするときの愛ちゃんの目は


キライ


「やよね・・・」

「うん・・・」


だって・・・


美貴ねぇのことを話す愛ちゃんはとっても幸せそう。


でも


それと共に寂しそうな顔もする。


そんな愛ちゃんを


れーなは


スキになった。


732 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/30(水) 01:08

愛ちゃんは


美貴ねぇの彼女


だけど


美貴ねぇは歌の勉強でアメリカ留学中。


美貴ねぇはれーなの憧れ


でも


恋のライバル


「愛ちゃん、こんなとこによかと?」

今は昼休みの終わり。そろそろチャイムが・・・


キーンコーンカーンコーン♪


「ほら。」

「田中ちゃんこそ次の授業に遅れるやよ??」

「れーなはいつものことっちゃよ。」

ここは学校の屋上。
別名、れーなの屋上。またはワルの溜り場。


733 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/30(水) 01:13

「じゃあ、あーしもたまにはサボろーっと。」

「んにゃ?」

「たまにはええやろ?」

「はぁ・・・れーなはかまわんと。」


愛ちゃん、スキ。


いつもこの一言が言えない・・・


なぜかって?


それは・・・


れーなと愛ちゃんが出会ったときは


すでに美貴ねぇと愛ちゃんは付き合ってたから


元々、れーなに入る隙なんてなかったとよ


「愛ちゃん。」

「なんやぁ?」


呑気に笑ってる愛ちゃんにムカムカする。


愛ちゃんが悪いわけじゃない。


なのに・・・


イライラする。


734 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/30(水) 01:19

「美貴ねぇのこと好いとーっと?」

「え・・・///」

「愛ちゃん。」


お願いだから正直に答えて欲しい。


「あ、あーしは・・・」


ムカムカ。


またれーなの胸がムカムカする。

「好いとーと?」

「あーしは美貴ちゃんが・・・」


最後まで聞かなくてもわかる。


「愛ちゃん・・・それ、チョーダイ。」

れーなが指すのは、愛ちゃんの手に持たれたイチゴミルク。

「これ?」

「そう、それ。」

「いいけど・・・あと少ししか残ってないやよ?」

「いい。れーなそれ欲しいと。」


735 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/30(水) 01:24

「じゃあ、あい!!」

笑顔で自分のイチゴミルクをれーなにくれる、愛ちゃん。

「ありがと。」

少しの間、もらったイチゴミルクをじっと見つめて、心を落ち着かせる。

「愛ちゃん、れーなね。」

「うん??」


キョトンとした彼女の顔がまた一段と可愛くて・・・


「れーな、バリ好いとーよ。」

「知ってるやよ。れーながイチゴミルクお気に入りなんは。」


わかってなかよ。


愛ちゃんは全然わかってなか。


「れーなはバリ好いと〜。」

「わかった、わかった!」


736 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/30(水) 01:30


そんなオトボケさんなとこも


「今度の誕生日はイチゴミルクを箱であげるやざ。」


優しいとこも


「やから今はそれで我慢しなさいっ。」


れーなの前ではちょっとお姉さんなとこも



ぜーんぶ


ぜーんぶ・・・



バリ好いとーよ?


「あ!あーしのクラス。今日、国語の小テストやった!!」

「・・・はは」

「行かな!!じゃあ田中ちゃん、またなぁ?」

「またね。」

彼女が去って行く。


737 名前:あなたと唇とあなた 投稿日:2005/11/30(水) 01:36


れーなは


愛ちゃんの全部が


スキたい


だけど


なかでも


愛ちゃんの唇がバリ好いとぉ。


チューッ。


彼女からもらったイチゴミルクを飲む。


「はぁ・・・愛ちゃんはなんもわかってなかよ・・・」


れーながイチゴミルクを好きな理由。


愛ちゃんがイチゴミルクを好いとーから。


愛ちゃんの唇のイメージがイチゴミルクになったから。


れーなは愛ちゃんが


スキ


けど・・・


れーながスキなあなたと、れーながスキなあなたの唇は・・・


美貴ねぇのモノ


唯一れーながあなたを感じれるのは


あなたが


あなたの唇がスキな


イチゴミルクだけっちゃよ




fin


738 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/29(日) 23:23
待ってます

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