カクレンボ
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:05
- とりあえず、短編。
たぶん、二月中に終わると思います。
そんな予定です。
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:06
- 「‥‥‥95、96、97、98、99、100っと。んじゃ、探しにいきますか」
ここはとある廃校となった学校のグラウンド。
わけもわからずこの地に連れてこられた私達は飯田さんの号令のもと、かくれんぼをすることになった。
「はぁ。なんでミキが鬼なのよ・・・」
きっかけは一通のメールだった。
『とりあえずカオの家に集合』
一目で大量送信とわかるその文面からイヤな気はしていたが、リーダー命令ともなれば逆らうわけにはいかなかった。
飯田さんの家につくと私と同じように呼び出された他のメンバーがすでに集合していた。
連れてこられたのは聞いたこともない学校。
しかも今は廃校だときている。
こんなところで何をするのかと思えば、「かくれんぼするぞー」と大きな声をだし、1人暗闇に消えていった飯田さん。
しかも御丁寧に「鬼は藤本だから」と付け加えていった。
最初は渋々参加したハズの他のメンバーは、自分が鬼じゃないことがわかると喜びいさんで闇の中へと消えていった。
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:06
-
なにもいちいち新月の日を選ぶ必要なんてないのに。
これじゃ何も見えないじゃん。
ってかこんなことするなら番組でやればいいのに。
スタッフさんとかいれば勝手が違うのにさ。
しかも冬だし、寒いし。
思いつく限りの不満を口にしながら私はとにかく真っ暗な校庭を突き進む。
しかし、進めど進めど闇が迫ってくるだけで一向に人の気配がしない。
たまらず携帯電話を開き、液晶の光を頼りにとりあえず校舎の方へと向かう。
ピピピピピ
突然辺りに電子音が響き渡る。
それにビックリした私はつい携帯を放り投げてしまった。
しかし、先程の電子音が自分の携帯からでているものだとわかるとすぐに拾い、電話にでた。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:07
-
「アナタのナマエはミキティー、アナタのナマエはミキティー」
「なんですか、人をポッキーみたいに」
「忠告だけしておこうと思って。
明かりを照らしてると鬼がいる場所がばれちゃうよ。だから明かりはできるだけ使わないようにね。
それじゃ、がんばって探してねー」
切れたよ。
本当に勝手な人なんだから。
でも、飯田さんのいってることは間違いじゃないか。
あらためて携帯をポケットにしまうと校舎の方へと向かうことにした。
ここまで寒ければ外に隠れているバカはいないはずだ。
「おわっ!!」
突然現われた突起物に躓いた私は咄嗟に地面に手をつき、転がるのを防いだ。
それにしてもこんなところに突起物があるなんて意外だ。
普通のグラウンドに大きなでこぼこがあるわけない。
たぶんみんな隠れる時につまづいていったんだろうな。
それより、はやくみんなを探しにいこうっと。
明日は亜弥ちゃんと遊ぶ約束になってるし。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:08
- 先程より幾分暗闇にも目が慣れてきた頃、目の前にはっきりと電灯が立っているのがわかった。
これじゃ暗闇に慣れた目が台無しだと思った私は、その場所を通るのを止めようとした。
しかし、そこに見覚えのある小さな人がオロオロしているのが見える。
校舎の影を利用し、ゆっくりと明かりのある方に近付いていくと相手が後ろを向いた隙をみて飛びかかった。
「矢口さんみーつけた」
「ぎゃぁぁぁぁーーーーーーー!!!」
私が後ろから捕まえるのと同時にこの世のものとは思えない絶叫を発した矢口さんは私の手を振りほどこうとじたばた動き回っている。
これじゃ、捕らえられた宇宙人みたいじゃん。
仕方なく手を離すと矢口さんは逃げようともせず、その場にしゃがみ込んだ。
「どうしたんですか、矢口さん」
「・・・じもと・・・藤本かよ。もうビックリさせないでよ、オイラはまたてっきりお化けかと」
おいおい、人をお化け呼ばわりかよ。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:10
-
「それよりなんでこんな明るいところにいるんですか?
見つかるところにいたらかくれんぼじゃないじゃないですか」
「オイラは、暗いところはダメなんだよ」
あぁ、そういえばこの次期リーダーさんは怖いものが一切ダメな人だった。
随分前にテレビの企画で放送ギリギリの顔で騒いでいるとこを見た記憶がある。
それでもゲームはゲームだ。
「それじゃミキは、他の子達を探しにいきますから」
「待ってよ、置いてくなよー」
さっきは人をお化け呼ばわりしたくせに、今度はお願いかよ。
ま、ミキも鬼じゃないし‥‥今は鬼だけど、連れていってあげるか。
「わかりました。一緒に連れていきますよ。だから早く立って下さい」
「いや、その・・・」
「なにやってるんですか?本当に置いてきますよ」
「腰が抜けて立てないんだな、これが・・・は、はは」
「はぁ。ほら、乗って下さい。はやくしないと置いていきますよ」
私は矢口さんと同じ高さになるまでしゃがむと小さな次期リーダーを背負った。
「よっと、じゃあ他の子を探しに行きましょう」
「よし、行くぞー」
まぁ、1人で探すよりも2人でいた方が何かと心強いか。
校庭で矢口さんを発見 残りあと10人。
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:10
- 「矢口さん。他に外にいる子ってわかりますか?」
「いや、いないと思うよ。この寒さだし」
ということは、後はみんな校舎の中ってことか。
そうとわかれば、こんな寒いところからおさらばするべきだな、うん。
いくつかの階段を昇り、校舎の入り口のようなところが見えてきた。
御丁寧に開かれている外開きのドアは、暗黒への入り口のようにも見える。
少し背中の人が震えているような気がするが、かまわず建物の中へと入った。
校舎の中に入ると、すぐに校内案内の掲示板が設置されていた。
廃校になった割には、掲示板の字が擦れていることもなかった。
それに廊下の床も痛んでいる様子もなく、むしろ立て直したばかりのような気さえする。
よくよく観察してみると、別段老朽化したために廃校となったわけではないようだった。
「どこから行きます?」
「そうだな・・・これだ!給食室」
「あぁ、たくさんいそうですね、なんとなく。
えーっと給食室はすぐ近くですね」
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:13
- 玄関から入った私達から見て二つ隣の教室が給食室ということになっている。
なおも矢口さんを背負ったまま、私は給食室と書いてあるドアの前に辿り着いた。
さっきから気になっていることを一つだけ後ろの大将に聞いてみた。
「なんかいい匂いしません?」
「うん」
それ以上何も言う様子がないため、そーっと扉を開いた。
すると先ほど廊下に漂っていたいい匂いがさらに濃いものへと変わった。
「カレーだ」
突然大きな声をだした矢口さん。
それに驚いた何かが金属製の何かを落とす音がした。
「紺ちゃん」
「・・・・・・・・・はい」
正解。
まぁ、食べ物のところにいるのは容易に想像できる。
私はポケットから携帯を取り出すと紺ちゃんがいる場所と顔を確認する。
間違いない。
顔に少しカレーをつけた紺ちゃんの顔がそこにあった。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:17
- 「他には誰かいるの?」
「あっちにまこっちゃんがいます」
さすが紺ちゃん。
私の言うことは素直に聞いてくれる。
カントリーの時に上下関係を叩き込んだ成果がここでてるな、うん。
紺ちゃんが指さした方向に携帯の明かりを移すとそこには、一生懸命カレーをパクつくまこっちゃんがいた。
そっか。
まこっちゃんはまだ食べ続ける気なのか。
もう少し自粛しないといなかったことにされちゃうんじゃないだろうか。
うん、今度こっそり教えておこう。
給食室で紺ちゃんとまこっちゃんを発見 残りはあと8人。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:18
- ピピピピピ
またもや鳴り響いた電子音にまたもや驚いてしまう私。
でもそれよりもビックリした次期リーダー。
「矢口さん、恐がり過ぎですよ」
「な、なにいってるんだよ、そういう藤本だってさっきから心臓バクバクしてるく・・・ぎゃん!!」
あまりの暴言ぶりに思わず手が滑り、背負っていた矢口さんを地面に落としてしまった。
あぁ、ミキったらうっかりさん。
それより、はやく電話に出ないと。
「もしもし」
「あなたと私のミキティー、あなたと私のミキティー」
「また人をポッキーよばわりですか」
「3人見つけたのか。カレーはカオリのサービスだから食べて体を暖めてね。
あと、その部屋だけ電気と水道とガスが使えるようにしてあるから見つけた人はそこに誘導しといて、よろしくね」
あ、また勝手に切った。
なるほど、このカレーはプレゼントなのか。
それじゃ、お言葉に甘えてちょっとだけ食べておくか。
人のこと言えなくなってきたもんな、最近。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:18
- 一段落つくと、紺ちゃんとまこっちゃんと次期リーダーを給食室に置き、1階の別の教室に行く・・はずだった。
「なんでまた背中にいるんですか、矢口さーん」
「うっさい、リーダーの言うこときけないのか」
「次期ですけどね」
「うるさーい、とにかく一緒に行くの」
「じゃ、とりあえず教室棟から行ってみますか」
ミキ達は入ってきた玄関の前を通り、給食室とは反対側の校舎に進んでいった。
この学校は1階部分が教室棟と実験棟が行き来可能で、どちらに進むにも必ずこの玄関前を通っていかなければならないようだ。
さっきも感じたが、この校舎自体老朽化が進んでいる様子はまったくない。
むしろ新しいくらいだ。
そんな校舎がなぜ廃校になったのか。
そしてなぜ飯田さんはこの校舎があることを知っていたのだろう。
こんなことを背中で矢口さんは語っていたけど、そんなことミキはしったこっちゃない。
とにかく全員を見つけないことには鬼からは開放されないみたいだし、さっさと見つけて帰りたいのだ。
2人であることないこと話していると教室に辿り着いた。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:19
- 暗闇の中、どの教室に誰がいるかわからないため、一部屋ずつ確認の為、ドアを開く。
しかし、そこにあるのは机と椅子ばかり。
そしてなぜか動いている壁掛け時計。
そのおかげで1分ずつに刻まれるガシャンという音にびびらされる。
例外なく後ろの次期リーダーは逐一ビクッとなるのが背中越しに伝わってくる。
「ここもいないってことは1階の教室は全滅みたいですね」
「よ、よし。じゃあ早く2階にいこうよ」
「あの、そろそろ自分で歩けるんじゃないですか?」
「いいんだよ、早くいこう」
うながされるまま教室棟の2階へと上がった。
学校の構造は特段複雑なものでもないので、2階でも変わらず教室を回っていく。
一つ目の部屋を探したところで後ろの大将がもぞもぞしだした。
「矢口さんどうしたんですか?」
「・・レ」
「なんですか、ハッキリ話して下さいよ」
「トイレ」
さっきカレー食べてる時に散々人に食い過ぎるなって注意したくせに、自分がその様ですか。
飯田さんが卒業してからが思いやられるよ・・・。
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:19
- 「んじゃ、トイレいきますか」
「いくいくいくいく」
先ほど昇ってきた階段の前を通り、校舎の突き当たりの女子トイレに移動する。
到着するやいなや、背中から飛び下りた矢口さんは一目散にトイレへと駆け込んだ。
なんだよ、自分で歩けるんじゃん。
戻ってきたらおぶるのやめるか。
というか、大体矢口さんが連いてくる必要なんてないんだから。
しかし、あと8人もどこに隠れてんだよ。
そもそも教室棟なんかに誰かいたりするのか。
実験棟の方が隠れるところが沢山あると思うんだけどな。
でも、裏をかいて教室棟に隠れる人がいるかもしれないってか。
あれこれ考えていると、数分ほどたった。
しかし、矢口さんがトイレからでてくる気配はない。
さらにおかしなことに使用後の水の音も聞こえてこない。
なんだよ、大の方かよ。
大体、廃校になった校舎に水は供給されているのだろうか。
そういえば飯田さん、給食室しか水が使えないようなこといってたけど。
と思った瞬間、トイレの中から人が倒れるような音がした。
私は慌ててトイレの中へと向かう。
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:19
- そうか、廃校になった校舎だ。
私達以外に誰かがいてもおかしくない。
どうしてそんな単純なことに気付かなかったのか。
「矢口さん!!」
トイレの引き戸を力任せに開くと、そこにはしゃがみ込んだ矢口さんが震えていた。
「どうしたんですか、矢口さん!」
私の問いかけに応えようとせずに頭を振り続ける矢口さん。
ただ暗闇の一点のみを見据え、一向にそこから目を離そうとはしなかった。
とりあえず矢口さんを抱え、一度トイレの外にでることにした。
「矢口さん、何があったんですか?」
トイレの外にでても変わらず、トイレの中の暗闇を見つめている矢口さんは、私の問いかけに応えようともしない。
何度か肩を揺すってもみるが、意識はどこか遠くにいっているような目をしていた。
しかし
「おかあさーーーーーーーん!!!」
トイレの中から発した懐中電灯の明かりのようなものをみた瞬間、本日二度目の絶叫を上げた矢口さんは教室の方へと走り去ってしまった。
私はただ、矢口さんが走っていくのを見ているしかなかった。
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:20
- 矢口さんを見ていた私は一瞬トイレの中の人物のことを忘れていた。
思い出して振り向いた瞬間。
「藤本さん」
振り向きざまに明かりで照らされた私は、相手の顔が見えない恐怖に急速に侵されだした。
普段テレビにでているんだ。
学校に侵入した奴が私の名前を知っていてもなんら不思議はない。
「なんだ、みつかっちゃったの」
はい?
私を照らしていた明かりが不審人物の元へと移動していく。
徐々に照らしだされたそのシルエットに見覚えがある。
「なんだ、シゲさ・・・イヤーーーーー!!」
あろうことか自分の顎に明かりをもっていったシゲさん。
その姿は暗闇に浮かび上がる般若の面。
おうとつがくっきりと浮かび上がったその顔は、知っている人だとわかっていても十分な恐怖。
はは、ちょっとおしっこちびったかも・・・
「さっきから失礼なの。
さゆがトイレの鏡でかわいさをチェックしてただけなのに矢口さんは鬼でも見たかのようになっちゃうし。
藤本さんまでさゆの顔見て絶叫するの。
ねぇ、さゆかわいくない?」
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:20
- 明かりを顎にあてたまま、執拗に迫ってくるシゲさんは私からすれば恐怖の塊だった。
かわいくない、かわいくないと問いかける様は新しい妖怪の誕生を見ているかのようだ。
私は近付いてくるシゲさんの手から懐中電灯を奪い取るとなんとかその場を落ち着かせた。
「ねぇ、かわいい?かわいい?」
明かりがなくなってもなお、迫ってくるシゲさん。
これは一言言ってあげるしか収拾はつきそうになかった。
「かわいい。シゲさんはかわいいよ」
「本当に?世界で一番かわいい?」
「世界で一番、いや宇宙で一番かわいいよ」
「じゃ、さゆ藤本さんの女になってあげるの」
あいたたた、そうくるか。
これまたおかしな壊れ方するんだな、シゲさん。
って、こらくっつくなよ。
そんな幸せそうな顔したら突き放しにくいじゃん。
とにかく2階女子トイレでシゲさん発見 残りあと7人。
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:21
- あぁ、せっかく1人になったと思ったのに今度はシゲさんか。
そういえば、矢口さんはどこまで逃げていったんだろう。
というか、あの人お母さんって叫びながら逃げていったような。
まぁ、それはさておき
「シゲさん、この懐中電灯どうしたの?」
「さゆがトイレ行くって言ったらガキさんが貸してくれたの」
「シゲさん、ガキさんと一緒にいたんだ」
「うん。あと絵里も一緒なの」
「それどこか教えてくれる?」
「こっちなの」
あら、この子って便利かも。
懐中電灯持ってきたし、他の子が隠れているところも教えてくれるし。
矢口さんより断然役に立つじゃん。
もういっそのこと、あの人は放っておこうかしら。
シゲさんに案内されたのは、先ほど調べたはずの教室。
あの時は、暗闇ということもあって探し方が雑だったのは、間違いない真実。
だけど、人の気配くらいは暗闇でだってわかるもんだ。
一応警戒した私は、シゲさんに普通に戻ってもらうことにした。
「わかったの。さゆ藤本さんの言う通りにするの」
本当にこの子ってば、役に立つ子だ。
後ろでビビってただけのあの人とはえらい違いだ。
- 18 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:21
- ガラガラと教室のドアを開けて普通に教室の中へと入っていくシゲさん。
私が入っていった時と違いはない。
しかし、1分も経たないうちに教室の中から話声が聞こえてきた。
「シゲさん遅かったじゃん」
「途中何度か叫び声聞こえたけど、さゆなんかしたんでしょ?」
「何もしてないの。ただ相手が勝手に驚いてただけなの」
あれ、ガキさんも亀ちゃんもいるじゃん。
さっき探しに入った時にはいなかったのに・・・
ピピピピピ
突然鳴り響く電子音に三たび驚く。
何回鳴ってもこの音に慣れるはずがない。
しかし、私は驚きを感じたのと同時に教室の中でゴソゴソと動く音がしたのを聞き逃さなかった。
しまった。
私が近くにいることがばれた。
鳴りやまない携帯を握ったまま、私は教室の中へと入った。
しかし、そこにいたのはシゲさん1人だった。
逃げられた・・・
でも、鬼が近くにいたからといって、教室を出たような形跡はない。
それは外にいた私が一番よく知っている。
要するにこの教室の何処かに隠れるような場所があるということだ。
そこまで考え付いた私は、教室に入ったまま鳴りやまない携帯に出ることにした。
- 19 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:22
-
「イイダカオリのミキティー、イイダカオリのミキティー」
「いつまでポッキーなんですか、私は」
「いま2階か。まだ終わるまで時間がかかりそうだね」
「飯田さんが電話かけてくるからガキさんと亀ちゃんを取り逃がしたじゃないですか」
「そろそろ美貴ちゃんもマナーモードにした方がいいよ。
いつまでかかってくる度にビックリする気?」
「ちょっと、こっちの話聞いてるんですか?」
「それじゃ、がんばってね」
「ちょっ、飯田さん」
また勝手に切ったよ。
しかし、なんであの人は私がどこにいるかとか誰を見つけたのかとかわかるんだろう。
もしかして、私達にだけ言ってないだけで本当はテレビの企画なんじゃないだろうか。
私達が気付かないようなところにカメラをセットして、飯田さんは今頃煎餅片手に爆笑しているのだろうか。
まぁ、それも全員を見つけた時にわかるはず。
とりあえずマナーモードにしておこう。
それで、ガキさんと亀ちゃんだ。
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:22
- 私はシゲさんから懐中電灯を貸してもらうと教室を改めて探してみる。
均等に並べられた机と椅子。
それは異様なまでに綺麗に並べられており、昨日まで授業が行なわれていたかのようだ。
暗闇ではわからなかった部分が少しずつ照らされていく。
壁に貼られている時間割り表。
ロッカーの上に置かれた水の入っていない水槽。
もう火がつけられることはない石油ストーブ。
こうやって改めて見返してみるとそれはどこか懐かしい風景だった。
黒板には大きく新垣塾と書かれている。
なるほど、だからシゲさんと亀ちゃんはガキさんと一緒だったのか。
でもれいながいないのはなんでだろう。
やっぱりあの子、はぶられてるのか。
「藤本さん。ここがさゆのオススメなの」
呼び掛けられ振り向くとシゲさんは、ロッカーを指さしていた。
しかし、いくらあの二人が小さいからってロッカーの中に隠れるのは無理がある。
でも、たしか亀ちゃんは狭いところが好きだったような。
半信半疑でロッカーを開けてみるが、やはりいない。
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:22
-
どこにいるのさ、という顔をした私を見てシゲさんは、今度は掃除用具箱を指さした。
なるほど。
こっちの方が隠れるには適当だろう。
先程よりも期待を込め、私は掃除用具箱を開いた。
「ガキさんと亀ちゃん見ーつけた」
中にはいくつもの箒とモップ、雑巾に囲まれる二人の姿があった。
見つかったことにガッカリした様子の二人はしょんぼりと掃除用具箱から出てきた。
掃除用具箱からガキさんと亀ちゃんを発見 残りあと5人。
- 22 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:23
-
「さゆ、藤本さんに隠れてる場所言ったでしょ」
「言ってないの。さゆは指さしただけ」
「それも一緒の意味だろーが」
ガキさんの見事なツッコミが決まったところでまた携帯が鳴った。
今度はきちんとマナーモードにしてあるため、驚きはなかった。
「オシッコチビッタミキティー、オシッコチビッタミキティー」
「出てませんから!!」
おおっと。
つい声が大きくなってしまった、平常心平常心。
もしかするとテレビに映ってるかもしれないんだから、取り乱すのは良くない。
まぁ、今さらといえば今さらだけど。
- 23 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:23
-
「ようやく半分まできたねー。もっと時間かかるかと思ったけど」
「さっきから私のことどこから見てるんですか?」
「あと半分は個性強いのが残ってるから頑張ってね」
「ちょっと聞いてるんですか?」
「聞いてるよ?、じゃ頑張ってね」
くそ、また切ったな。
ていうか、聞いてるなら質問に答えろよ。
本当に一方通行でしかないな、この電話。
でも、なんで私がおしっこちびったこと知ってるんだろう。
あの時、声にだしてないはずだし。
所詮当てずっぽうだよね、そんなのわかるわけないし。
とりあえず、この3人を給食室まで連れていくか。
私はガキさんと亀ちゃんとシゲさんを連れて教室を出た。
- 24 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/16(水) 18:25
- 今日はここまで。
たぶん、次回更新で終了になると思います。
設定を言い忘れましたけど、飯田さんが卒業する少し前のお話です。
- 25 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/19(土) 20:53
- 面白いですね^^ 次回も楽しみにしてます
- 26 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/20(日) 21:48
- かおりん面白すぎ!
続き早く読みたいです
- 27 名前:戸尾利酢賀理 投稿日:2005/02/28(月) 21:46
- 今日で2月終わりですよぉ
めっちゃ楽しみなんで、更新待ってます!!
- 28 名前:作者 投稿日:2005/02/28(月) 23:34
- 作者です。
ミスった!
今月28日までだった‥‥
すっかり忘れてた‥‥
orz
すいません、もう少しだけ時間をください
- 29 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/01(火) 02:00
- お待ちしてます(^^)/
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/01(火) 22:46
- マッタリと待ってますから、がんばってくださいね。
- 31 名前:作者 投稿日:2005/03/05(土) 00:09
- 本編に入る前にレス返しからです。
名無飼育さま(25)
最高のほめ言葉ありがとうございます。
二月中終了と宣言したのに、完結しなくてしません。
ちなみに、今日の更新でも終わりません(ぉぃ
もうしばらくお付き合いください。
名無飼育さま(26)
おぉ、飯田さんがほめられた。
自分はこうした飯田さんを書くのは初めてなので純粋にうれしいです。
期待にこたえられるようがんばります。
戸尾利酢賀理さま
すいませんでした。
ちょっとした手違いから日付感覚が狂っていたので・・・
なんとか完結できるようにがんばりますので、お付き合いお願いします。
名無飼育さま(29)
がんばります。
上でも書きましたが、今回分では終了しないので、楽しんでいただければ幸いです。
名無飼育さま(30)
お待たせしました。
当初の予定とはだいぶ変わってしまい、量が増えたので何回かに分けることになりました。
それでは、本編です。
- 32 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:11
- 「ねぇねぇ、れいなは一緒じゃなかったの?」
私は、はぶられ疑惑のあいつを3人に聞いてみた。
「れいなは最初の方は一緒にいたんですけど、校舎に入る前にはぐれちゃいました」
うーん、それって一緒にいたっていうのか。
すぐはぐれちゃってるんじゃん。
「それより、矢口さんいませんでした?」
ガキさんが思い出したように口にした矢口さんの名前。
そうだ、あの人どこかに走っていったまんまだ。
というか、れいなはそれよりって言われちゃう存在なんだな。
なんだか、ミキ悲しいよ。
「トイレまで一緒だったけど、どっかいっちゃったんだよね」
「矢口さんったら、さゆを見て絶叫したの。もう失礼しちゃうの」
「可愛いすぎて、絶叫したのかもよ」
「あ、そうかもしれないの」
なるほど、そういう方法もあるのか、メモメモっと。
さすが亀ちゃん、6期同士。
てか、一応私も6期だけど。
- 33 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:12
- 「ガキさん、どこいったかわかる?」
「たぶん、階段の反対方向だからさっきの教室よりも奥にいっちゃったと思うですけど」
まじか。
ここまできて反対方向に行くなんて相当面倒くさいわ。
もうあの人、放っておいても良くないか・・・
「あ、でも、こっちからきたりして」
何を思ったか、先程の女子トイレの方向を指さす亀ちゃん。
まさかとは思い、懐中電灯の明かりを向けた。
しかし、そこに人がいる様子はなかった。
「もういいよ、矢口さんは私があとで探しとくから」
私の言葉に頷いた3人を連れ、階段をおりることにした。
しかし、矢口さん。
この3人には確実に大事に思われてないですよ。
そして、それより大事にされていないれいなって一体・・・。
途中、シゲさんの顎に懐中電灯をつけた顔がどれだけ怖いか実験しながら給食室へと辿り着いた。
- 34 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:13
- 「ここは、電気もガスも水道も使えるらしいから暖かくして待っててね」
そういってドアを開けた私達の目の前に現われたのは、必死にカレーをかき込む矢口さんの姿だった。
その横でまこっちゃんは、いびきを立てて寝ている。
これじゃ、どこかのおっさんとなんら代わりはない。
「おう、遅かったね藤本」
「遅かったねって勝手に走っていったのにですか?」
「そんな細かいことは気にせずに、ほらガキさん達もカレー食べなよ」
そういった矢口さんは紺ちゃんに3人分を用意させ、自分はさらに食べ続ける。
ほどなくしてガキさん達の前にカレーが用意されると楽しそうに食べ始めた。
私も一息着こうとした瞬間。
ドーン!
一瞬、カレーを食べていた手をとめる一同。
誰もが、目配せをしながら他の人の様子を窺っている。
「うーん・・・だれですか、太鼓叩いているのは?」
突如飛び出したおっさんの一言。
先ほどの音は、まこっちゃんの目覚まし代わりになったようだ。
眠そうに目を擦りながら頭をかくその姿はまさに怠けの極み。
この子は一体何しにきてるんだろう。
- 35 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:13
- 「よぉっしゃー、腹も満腹。いくぞー藤本ー!」
「いや、ついてこなくても良いですよ。
っていうか、矢口さん鬼じゃないじゃないですか」
まだついてくる気なのか、この人は。
というか、シゲさん・・・あぁ、ミキよりもカレーに夢中なのね。
良かったっていうか、なんか少し寂しいかも。
矢口さんを連れていくかどうかは一先ず置いておいて。
次に誰かがいるところの目星はついた。
給食室に来る途中で聞いたガキさん情報によると教室棟には他に人が来た様子はないとのこと。
ということは、あとの子達は実験棟に隠れていることになる。
もちろん、飯田さんも含めて。
- 36 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:14
- 私は、無理矢理ついてこようとする矢口さんを振り切ることができず、二人で案内掲示板の前に戻ってきた。
もちろん、ガキさんから懐中電灯を借りてきた。
「とりあえず、太鼓の音みたいでしたから音楽室にいってみますか」
「よし。それじゃ行くのだー」
「………ちょっと矢口さん」
「なんだよ?」
「なんで背中に乗る必要があるんですか。
さっき自分で走って逃げじゃないですか、お母さんって叫びながら」
「つべこべいわずに行けばいいの」
「はいはい、わかりましたよ」
掲示板によると音楽室は実験棟の4階にあるようだ。
その他にも実験棟には理科室、保健室、視聴覚室、技術室、
美術室、放送室、職員室、生徒指導室など見覚えのある単語がこれでもかと記されていた。
改めて見ると、教室棟よりもこちらの方がやっかいである。
しかし、なんとなくよっちゃんさんは、理科室にいる気がする。
飯田さんは私達が知らないところでカメラ見ててそうだから、放送室が妥当か。
案外、れいなは保健室あたりでちゃっかり寝てるのかもしれないな。
あとは梨華ちゃんと愛ちゃんか。
正直、どっちかが音楽室にいそうなんだよな。
どっちも不注意で太鼓鳴らしそうだし。
- 37 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:15
- 「ほら、藤本。行くんでしょ、早く動きなよ」
「わかってますよ、ちょっと考え事してただけです」
後ろの大将に急かされ、私は渋々階段を昇り始めた。
だいたい、なんで私が矢口さんをおぶりながら4階まで昇らなきゃダメなんだ。
ちょっと優しくしてあげたら、すぐ調子に乗るなんて矢口さんもまだまだ子どもだな。
あーあ、これじゃシゲさんの方がよっぽどマシだよ。
シゲさんは命令しないし、こっちの言うこと聞いてくれるし。
不満を思い続けながらもなんとか3階まで昇ってきていた。
そんな私の止まらない文句をストップさせたのはポケットの携帯だった。
背中に矢口さんを背負ったまま、通話ボタンを押した。
「なんですか」
「もしもし、みきたん?」
うわ、亜弥ちゃんじゃん。
てっきり飯田さんだと思って、ぶっきらぼうにしちゃったよ。
- 38 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:16
- 「あ、亜弥ちゃん」
「どうしたの、みきたん。なにかあった?」
「いや、ちょっとその、あれだ、寝ぼけてたんだよ」
「えー、何か変なの」
「そ、それより何か用?」
「うん、用があったんだけどまた後にするね。それじゃ」
「あ、亜弥ちゃん、ちょっと・・・」
一方的にきられた電話に、少し放心状態になった私。
後ろでは早く動けと私の頭をポカポカと叩くちびっ子。
しばらくして、携帯をポケットにしまうとゆっくりと階段を昇り始めた。
「しかし、藤本も松浦の前だとビビるんだね。
背中越しにドキドキしてくのがわかったよ。
これからオイラも何かある時は松浦に代わりに言ってもらおうかな」
私はあえてこの話には突っ込まないことにした。
ミキは大人なのだ。
こんなちびっ子の戯れ言に付き合ってるヒマはないんだ。
それに他の誰かに言いふらされたとしてもこっちにもお母さん≠ェあるんだから。
- 39 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:17
- 「ねえ、聞いてんの?ねえったら。
よし、それじゃ松浦に電話してみるか、藤本が言うことをきかな・・・」
言い終わる前に私は矢口さんを抱えている手を離した。
激しい音を立てて階段から落ちていく矢口さん。
幸いなことに3段ほどのところからの落下なので大きな怪我をする心配はない。
下の方から痛いと聞こえてくると私は懐中電灯で矢口さんを照らした。
「すいませーん、手が滑っちゃいました」
「お前絶対わざとだろう!!」
「なにいってるんですか、人の背中に勝手に乗ってるくせに」
「それでも階段から落としたら危ないだろ。
それくらいわかれよ、もう大人だろうが」
ありゃ。
この人から大人だろうと注意されるとは思ってなかったや。
まぁ、ミキに注意する前に人を怒らせるようなことを簡単に言っちゃう自分を直した方がいいと思うけどね。
でも、確かに階段から落とすのは悪かったかも。
- 40 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:18
- 「すいませんでした、矢口さん。もう落としませんから」
私は矢口さんの傍まで駆け寄ると自ら背中に乗るよう促した。
そんな私の姿を見た矢口さんは、絶対だぞと念を押し、背中へと乗った。
この時、矢口さんが笑っているように見えたが暗闇の中、なんの確証もなかった。
再び矢口さんを背負った私は、4階の音楽室を目指して歩き始めた。
「矢口さんは、音楽室にいるのだれだと思いますか?」
「そうだな・・・高橋あたりが妥当なんじゃない。
あの子隠れてること忘れて楽器鳴らしちゃいそうだし」
私の問いかけに少し考えてから応えた矢口さんの意見はほぼ私と同じ。
それじゃ他の人はどうかと尋ねると大体私が考えていることと同じだった。
- 41 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:18
- 「でも田中はどこにいるかわかんないな」
れいなの話をし始めた時、私は一つの疑問を思い出した。
「矢口さん、トイレの水流れました?」
「あぁ、流れたよ」
「そういえばあの時、結構時間かかってましたよね」
「当り前だろ、暗くてよくわかんなかったんだから」
「なーんだ、ミキはてっきり大の方かと思いましたよ」
「なに言ってんだ。アイドルはしないよ」
うわ、キショ。
最後はたぶん梨華ちゃんの真似したんだろうな。
暗闇の中、矢口さんが後ろにいても、どんな顔しているのかが容易にわかった。
物真似にあえて何もつっこまなかった私は、黙って階段を昇りすすめる。
後ろではしきりに評価を聞く声をあげているが、それすらも無視した。
次第に後ろの声がなくなりかけた時、ようやく4階へと辿り着いた。
- 42 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:19
- いくつか空き教室を通り過ぎると音楽室の表示を見つけた。
しかし、ここでも気になることがある。
「大体、こういう使う回数がすくない教室って鍵かかってませんでした?
ミキの学校だけもしれないですけど」
「うん、おいらの学校もそうだった」
ここまで来て、鍵という問題を思い出した私達。
私は懐中電灯を矢口さんに渡すと鍵がかかっていないことを願いながら、ゆっくりとドアノブを回す。
音を立てないようにゆっくりと回したドアノブは止まることなく、回り切った。
後ろから小さな声でやったじゃんと聞こえてくる。
私は聞こえてきた声に笑って振り返った。
そこですっかり暗闇だということを忘れた自分がいた。
すぐに見えてないことがわかると恥ずかしさから、急いでドアを開いた。
- 43 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:22
- 広く大きな教室がぼんやりと見えてくる。
矢口さんから懐中電灯を受け取ると、辺りを照らしていく。
最初に感じた通り、そこは広く大きな教室で中央にピアノが置かれ、それを取り囲むようにいくつかの机が並んでいる。
明かりを壁に向けると、校歌と思われる歌詞が画用紙に書かれ貼り出されている。
そしてその上には音楽室お決まりの音楽家達の絵が並べられている。
バッハにモーツアルト、シューベルトにヴェルディ、ベートーベンにブラームス・・・
大昔に音楽を大成させた偉人達はどれも優しく微笑んでいた。
一通り部屋を見回してはみたものの、人の姿はどこにもない。
まして隠れるようなところなどどこにもない。
そして肝心の太鼓はどこにもなかった。
「やられましたかね?」
「そうかもな。
誰かが太鼓を持ち出して鬼をからかうために違うところで太鼓を叩いた。
そして、そんなことをするのは・・・」
「よっちゃんさんか」
- 44 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:22
- 確かによっちゃんさんならそれくらいやるだろう。
でも、よっちゃんさんが音楽室に来るというイメージが全くない。
それよりも疑問に思うことがあった。
「ここ音楽室のわりに楽器が少なくないですか?
ピアノが一台しかないし、あとは棚にしまわれているリコーダーとかカスタネット」
「そうだけど廃校になった学校だしな。
楽器が残ってる意味がないし・・・ちょっと藤本、懐中電灯かして」
何かを思いついた矢口さんは私の手から懐中電灯を取り上げると四方の壁に明かりを順にあてていく。
「ここじゃない。外出てよ、外」
言われるがままに音楽室を出るとそこでも近くの壁際を念入りに調べていく。
というか、階段終わったんだし、降りてくれてもいいんじゃないか。
そりゃ私が乗せさせてくださいみたいに言ったけどさ。
それでも遠慮ってものがあるんじゃないか。
心の中で文句を言いつつ操られるがままに壁から壁へと移動する。
- 45 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:23
- 「あった!!」
矢口さんが照らしたその先には音楽準備室と書かれたドア。
そうかなるほど。
確かに私の学校にも大事な楽器だけは準備室に置いてあったわ。
それはどこの学校だって例外じゃないってことか。
そうとわかれば、すぐさまドアノブをひねる。
しかしドアノブは一向に回らない。
今度は先程よりも力を入れて回してみる。
すると少しだけドアノブは動いてまたもとに戻った。
往生際の悪い奴め。
ほとんど見つかってるのに力ずくで見つからないつもりだな。
私は両手で力一杯ドアノブを左右に動かした。
徐々に反動に耐えられなくなってきた人力の鍵はもう少しで開きそうだ。
しかし、かくれんぼだけに走ることは予想していたが腕力を使うとは思わなかった。
そういえば、子どもの頃こうやって無理矢理隠れるやついたな。
完全に弛んだのを感じ取った私は、最後目一杯の力でドアノブをひねった。
- 46 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:33
- 「いたーい」
中から聞こえてきたその声は聞き覚えのある声は、あの時の物真似
完全に開いたドアを手前に引くとそれに引っ張られて梨華ちゃんが廊下に倒れこんだ。
音楽準備室で梨華ちゃんを発見 残りあと4人。
- 47 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:34
- 梨華ちゃんを見つけ、自信満々で私の背中から降りた矢口さん。
てっきり梨華ちゃんを立たせてあげるのかと思いきや音楽準備室の中へと入っていった。
私は梨華ちゃんを立たせてあげた。
「なんでわかったの?」
どうやら相当自信がある隠れ場所だと思っていたらしい梨華ちゃんは不思議そうに私に聞いてきた。
「なんでって、太鼓とか鳴らしたらそりゃばれるでしょ」
「太鼓?」
「おい、藤本。
こんなかにも楽器なんて何もないぞ」
なにいってるんだ、このおちびさんは。
音楽準備室なんだから楽器が置いてあるに決まってるじゃないか。
自分だってそう言ってたくせに。
意味不明なことを言う矢口さんと不思議そうなままの梨華ちゃんを連れて私は音楽準備室に入った。
先程の音楽室にくらべると随分と狭い教室だが、楽器を置くだけならこれくらいで問題はないだろう。
しかし、おかしなことに楽器は一つもない。
ここにくるためのヒントであった太鼓すらそこになかった。
- 48 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 00:35
- そこに着信をしらせる振動が右ポケットから伝わった。
なるほど、そういうことか。
カラクリがわかったわたしは、ゆっくりと通話ボタンを押した。
「あややとカオリのミキティー、あややとカオリのミキティー」
「いつまでやってるんですか、それ」
「三角関係だね」
「違いますから!!」
「まぁまぁ、そんなに怒らないでよ。
それよりカオリがだしてあげたヒントが役に立ったみたいだね」
「こんなことしたら梨華ちゃんが可哀想じゃないですか」
「でも美貴ちゃんは早く帰りたいんでしょ」
「それはそうですけど・・」
「わかった、これからヒントはなしね」
「それでお願いします」
「じゃ、頑張ってね・・あっと、そうそう。
実験棟全体電気とか使えるようになったからそれとか上手く使ってよね」
なんか普通に切れたな今回。
でも、なんで今さら電気使えるようにしたんだろう。
今になって使えるようになっても、もういらないんだけどな。
というか、もう飯田さんを捕まえちゃえばいいのか。
よーし、次は放送室に決定だな。
- 49 名前:作者 投稿日:2005/03/05(土) 00:36
- 更新終了です。
感想お待ちしております。
- 50 名前:戸尾利酢賀理 投稿日:2005/03/05(土) 01:31
- カオリは一体…
それより、矢口さんトイレを済ませた後だったんですねぇ
てっきり、美貴ティ同様…
- 51 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/05(土) 16:57
- いい感じになってきましたね。楽しませて
くれそうな面子が残っていますし…。
次回も期待しています。(^^)/
- 52 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/18(金) 01:08
- 作者さんもカクレンボしてないで、更新を…
- 53 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 01:09
- 隠れ過ぎやって…
しかし、カオリンは一体…?
更新、本気で待ってます
- 54 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/02(土) 00:29
- 更新待ってます
- 55 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/08(金) 00:46
- 楽しみに待ってます
- 56 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:24
- 私は矢口さんをおぶり、梨華ちゃんの手を引きながら3階まで降りてきた。
確か掲示板には放送室は3階となっていたはずである。
「あの、矢口さん。梨華ちゃんを給食室まで連れてってもらえますか?」
「えー、まぁいいけど」
「お願いします、私は次誰かを見つけたら給食室まで戻りますから」
矢口さんは私の背中から飛び下りるとすぐさま梨華ちゃんの背中に飛び乗った。
そして後ろから命令をだし、階下へと消えていった。
なんだよ、誰の背中でもいいんじゃん。
ただのおんぶされたがりかよ。
別にミキじゃなくてもよかったんじゃん。
- 57 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:30
-
梨華ちゃんとその背に乗った矢口さんを見送ると私は3階廊下の電灯をつけてみた。
数秒の間をおき、辺りは白い光に照らされた。
なるほど、ちゃんとつくようになったんだ。
これなら1人でも怖くないじゃん。
それじゃさっさと飯田さんを見つけに行きますか。
3階の廊下を放送室目指して突き進む。
4階と比べ、電気がついたことは大きく、どこにどの教室があるか把握することはとても簡単なことだった。
時折、明かりがついている教室があるのは、スイッチをオフにしておくことを忘れたのか、
誰かが隠れる時にいつものくせで押してそのままになっているところだろう。
ほどなくして放送室を見つけた。
しかし、私の頭の中にはもう一つの場所が気になっていた。
それは階段のすぐ傍にあった美術室だ。
- 58 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:31
-
飯田さんが絵が好きなのは誰もが知るところ。
それゆえ美術室にいる可能性も捨てがたいところだ。
幸いなことに同じ階にある両室。
私は気になった美術室からみてみることにした。
ガラガラガラと懐かしい音を立てながらドアを引くと電気をつけるために電気のスイッチを探す。
廊下の明かりを頼りに見つけたスイッチを躊躇なくオンにする。
しかし、一向に電灯がつく気配はなかった。
蛍光灯特有のつく前の不思議な音まで聞こえてはこない。
何度かスイッチのオンオフを繰り替えしたが全く電灯はつかなかった。
- 59 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:32
-
なんでだろう。
別におかしなことはしてないし、スイッチだってオンだし。
廊下がつくんだからこの教室だけつかないわけがない。
ん?
なんだ蛍光灯入ってないじゃん。そりゃつくわけもないか。
すぐにあきらめるとポケットの懐中電灯に手を伸ばす。
しかし、そこにあるべきものはなかった。
それもそのはず、音楽準備室で矢口さんに貸したままだったのだ。
しかたなく廊下の明かりを頼りに誰かの姿を探す。
- 60 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:33
-
美術室特有の不思議な匂いを感じつつ、ぼんやりと浮かぶ長方形の机。
そして背もたれのない木の椅子。
それらは右隅へと追いやられていた。
中心にあったのは人が1人立つことが可能な円形の台。
その近くにデッサンをしていた形跡が残っている。
どれもこれも私には縁がないものだった。
後ろの方へと目を移すとロッカーの上に複数の石刻が並んでいる。
不自然に同じ方向を向いている石こうは、明暗を表しているようだった。
石刻の上の壁には、生徒が書いた絵が貼られていた。
私はガキさん達の例もあるため掃除用具箱など可能な隠れ場所を入念に調べた。
しかし、誰かが隠れている様子はなかった。
けど、間違いなくここでデッサンしていたのは飯田さん。
その証拠は、ここに残された描きかけの絵
これは飯田さん特有のもの。
絵がさっぱりな私にだってそれくらいわかる。
- 61 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:34
- 注意深くいろんなところを探してみたが誰も隠れてはいなかった。
しかし、飯田さんがいた形跡を発見することはできた。
発想は間違っていないという自信を手に入れ、私は放送室へと向かった。
先ほど、目の前までやってきた場所へと戻った私を襲ったのは一つの確信だった。
忍び足で近寄る放送室の中からは、誰かの話声が聞こえてきていたからだ。
しかし、それは私が想像していたその人のものとは違うようだ。
物音を立てないようにドアに耳を近付けると聞き慣れた声が響いている。
- 62 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:35
- こいつは、本当に隠れる気あるのか。
こんな大きな声だしてかくれんぼなんて笑っちゃうね。
絶対にばれないって自信でもあるのかね。
でも、そんな自信があるからってオンエアの明かり照らしちゃダメだろ。
私の頭上で煌々と光るオンエアの文字は中にいる人物の図太さまで示しているのだろうか。
何度かの自問自答に決着をつけると耳をドアから離した。
自分の話に夢中になっている中の人に気付かれないようにゆっくりとドアノブを回す。
少しずつ見えてきたその姿は楽しそうにしゃべる愛ちゃんだった。
その声色から想像はできていたが、いざ目の前に現われた彼女は、ラジオのDJのようだった。
- 63 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:36
-
「愛ちゃんみーつけた」
怒濤の1人しゃべりのなかに足を踏み込んだ私にお化けでも見るように目をひんむいた愛ちゃん。
その顔はホラー映画を見て怖がる人のようだった。
しかし、矢口さんといい、愛ちゃんといい、人を見て恐がり過ぎだろ。
大体、愛ちゃんは自分で外の明かりをつけてたくせに、驚くなんてもってのほかだ。
確認するけど、ミキはお化けじゃなくて鬼だから。
「あーれー、藤本さん。なんでここにいるんですか?」
「鬼だからに決まってるでしょ」
「でも、なーんで私がここにいることがわかったんですか?」
「外のオンエアがつきっぱなしだったから」
なんだ、訛ったり訛ってなかったりするな。
しかし、この子はこんなところでなにやってるんだ。
- 64 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:37
-
「それより、愛ちゃんはここで何やってたのさ。
外までぶつぶつ聞こえてきてたけどさ」
この私の質問に愛ちゃんは俯き、少し恥ずかしそうに何やら呟いている。
「なに?聞こえないから、もっとハッキリ言ってよ」
「い・・や、わた・・そろ・ろ・・ラジォ・・が、ぁって・・・ぃぃな・・・って」
「はぁ!?」
「私にもそろそろラジオの仕事がくる頃かなーって1人で練習してました!!!」
なんだ、はっきりしゃべれるんじゃん。
ていうか、ラジオやりたいなら恥ずかしいことでも大きな声で聞こえるように言わないとリスナー困るじゃん。
放送室でなんちゃってラジオ放送中の愛ちゃんを発見 残りあと3人
- 65 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:38
- 愛ちゃんを見つけてから小一時間ラジオとはどういうモノかを懇々と話し終えた私はいろんな意味ですっきりとすることができた。
ふと見た愛ちゃんの表情が沈んでいるように見えるのはたぶん暗闇のせいだ。
そういえば、この部屋も電気がつかなかった。
蛍光灯は入っているのだが、何度スイッチを押してみてもつかなかった。
飯田さんはなにか大切なことを伝え間違えたのではないだろうか。
しかも、こんな時に限って電話がかかってくる様子はない。
そうか、こっちからかければいいのか。
わかりやすく、ポンと手を打った私は、ポケットにある携帯を取り出し、着信履歴にある飯田さんの携帯にかける。
・・・お客様のおかけになった電話は電波の入らないところか電源が入っていないためかかりません。
- 66 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:39
- くそ、電源入ってないじゃん。
なんだよ、役に立つんだか立たないんだか。
絶対実験棟の廊下だけつくようになったって言うハズだったんだよ。
ん?
でもオンエアはついたから・・・もういいや考えるのやめた。
私が1人で電気のスイッチをパチパチ、携帯でプルプルしている間、黙ってその様子を見ていた愛ちゃん。
その瞳は窓の外の一点だけを見つめていた。
「愛ちゃん、外に何かある?」
先程のこともあるため、極力優しく聞こえるように努めた。
「あそこ、グラウンドのとこで何か動いてますよ」
声色に何の変化もださずに、愛ちゃんは暗闇の一点を指さした。
しかし、私の目には黒が一面に広がっているようで、何かがあるようには見えなかった。
- 67 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:40
-
「本当に何かいるの?
私には何も見えないんだけど」
「あそこですよ、よーく見てください・・・ほら、今動いた」
おいおい、本当に何か見えてるのかよ。
私には何も見えないよ。
北海道の空はこんなに暗くなかったもん。
もっと星がキラキラしてたもん。
キラキラ、キラキラ・・・ん?何か光ってるじゃん。
あれは・・・携帯か!
「ほら藤本さん、グラウンドのあそこ光ってるからわかるでしょ。
あれは携帯なんかなー?」
「愛ちゃん、みんなのところに案内するからついてきて」
「あちょ、ちょっと待ってぇぇ」
呑気に光を予測している愛ちゃんの手を引き、急いで給食室へと向かう。
先程探した美術室を通り過ぎ、階段を大急ぎで下る。
一段抜かしなんて甘い。
二段抜かしで暗闇を降りていく私には、電灯をつけているヒマなどなかった。
一度通った道を己の勘のみで下っていく。
不思議と恐怖はなかった。
ただ愛ちゃんがついてきているのかが心配だった。
右手に握られた愛ちゃんの手は決して重くなることもなく、離れることもなくしっかりと握られていた。
- 68 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:41
-
すべるように階段を下ってきた私は、すぐ近くにある給食室へと駆け込んだ。
「矢口さん、外行きますよ。カレー食べてる場合じゃないですよ」
「んふ、ふずもつ、ろーした?」
くそ忙しい時になんでこの人はまたカレー食べてるんだよ。
大体、勘でしゃべったのに本当に食べてるし・・・
ええい、この際だ。
私は皿を持ったままの矢口さんを無理矢理背負うとグラウンドへ向け駆け出す。
「あの、私は・・・」
「カレーでも食べてて。紺ちゃんよろしく」
後ろ背に聞こえた愛ちゃんを紺ちゃんに託すと暗闇の中へと飛び込んだ。
外で待っていたのは、暗闇と忘れていた寒さだった。
- 69 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:42
-
「おい藤本、どこ行くんだよ。
もっとゆっくり走ってくれないと・・ヒック・・オイラ気持ち悪くなってきた」
「そんな何杯もカレー食べるからですよ」
後ろではいかにも吐きそうなうめき声を上げながら矢口さんがカクカクしているのがわかる。
暗闇のグラウンドにはスプーンがカレー皿を打つカンカンという音と妙な息遣いが広がっていた。
もう少しだ。
最初に私が数を数えていたのはもう少し奥までいった場所。
そこに行けば、大体の場所はわかる。
校舎の方へ目をやるとぼんやりと明かりがついている場所がある。
あそこが放送室近くの廊下。
さっき見た影は、もう少し右の方向。
いた!!
「おわっと!!」
- 70 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:42
- 矢口さんの素頓狂な声のすぐ後、私の頭に生暖かい何かが降り掛かった。
あれだけ止まれ止まれと騒いでいた親分はすっかり黙ってしまった。
しかし、私も何が頭にかかったのかぐらいはすぐにわかった。
「なんでちゃんと持ってないんですか!!」
「なんだよ、勝手に止まる方が悪いんだろうが!!」
なにおう、人の頭ぐちゃぐちゃにしたくせに私の責任にしようってか、このちびっ子が。
「さっきまで散々止まれ止まれっていってたのあなたでしょうが!!」
「うっさいな、熱々じゃなかっただけマシだろ!!」
「まぁまぁ、二人とも何をそんなに怒鳴りあっとーと?」
「矢口さんが私の頭にカレーぶちまけてくれたんだよ」
「藤本が勝手に止まるのがいけないんだよ」
「なるほど、藤本さんが急に止まったから矢口さんの持ってた皿の中身が藤本さんの頭にかかったってことやね」
- 71 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:43
- そうそう、こういう時冷静な第三者がいるとまとまりやすいよね。
しかし、れいなもこんなにしっかりと人の意見をきけるようになったのか、お姉さんはうれしいよ、れいな。
ん、れいな?
「だいたいなんで矢口さんはカレーなんか持っとーと?」
「これはカオリの差し入れなんだよ」
ダメだ。
このおチビさんときたら、れいながいることに何の違和感も感じてないよ。
違和感を感じるどころか普通に会話しちゃってるじゃん。
私は、何ごともなかったかのように会話をするれいなと矢口さんの間に割って入るとれいなの手を掴んだ。
「れいなみーつけた」
なぜかグラウンドでれいなを発見 残りあと2人
- 72 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:43
- 「ちょっと藤本さん、抱き着かんでも、あ、カレーが。
臭い、臭いって、あ、つくつくつく……もうごめんなさい、ごめんなさいって」
こいつめ。
かくれんぼの主旨を無視しやがって。
鬼が探しているのに、自分から出てくるなんてもっての他だ。
それなら最初から私の傍にいてくれればよかったんだ。
自分から喜んで隠れに走っていったくせに隠れるのを放棄するなんて。
罰としてカレーまみれにしてやる。
一通りれいなにグリグリとカレーに侵された後頭部を擦り付け終わると次の標的を探す。
しかし、奴は私がれいなと戯れている隙にどこかに逃げてしまったようだ。
「ところで、なんでれいなは外にいたの?」
「なんでって、外に隠れてたからじゃないですか……うわー、カレー臭い」
「外に隠れるとはなんともオマヌケさんだね」
「なにいってるんですか、藤本さん一回私を蹴っていったんですよ」
しきりに体中の匂いを確認しながら、れいなはぽつりとこぼした。
- 73 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 21:44
-
蹴った?
私がグラウンドで会ったのは矢口さんだけのハズだし。
外で誰かを蹴るなんて・・・
「もしかしてグラウンドの出っ張りか」
「そうですよ。あれ結構痛かったんですから」
あぁ、あの出っ張りか・・・
れいながまだ何か言い足りそうな雰囲気に今度はタイミングよく呼び出しが来た
- 74 名前:作者 投稿日:2005/04/21(木) 21:46
- 更新終了です。
うん、次回で終わると想います。
というより、終わってからしか上げません
まぁ、現実でいろいろとあったので着地が少し変わりそうです。
レス返ししていきます
- 75 名前:作者 投稿日:2005/04/21(木) 21:58
-
戸尾利酢賀理さん
飯田さんは謎です。
遅くなってすいませんでした。
ちゃんと完結を見据えていますので、しばらくお待ち下さい。
名無飼育さん(51)
ずいぶんとお待たせしました。
面子は大変苦労したのですが、こういった形でおさまりました。
名無飼育さん(52)
カクレンボというよりは、引っ越ししたりネット申し込んだりいろいろありました。
報告せずにすいません。
完結するまで隠れませんのでよろしく。
- 76 名前:作者 投稿日:2005/04/21(木) 21:59
-
名無飼育さん(53)
お待たせしました。
長らく時間がかかりましたが、まだ完結しません。
もうしばらくおつきあいのほどを・・・
名無飼育さん(54)
まだ見捨てないで待っていてもらえたでしょうか?
とりあえずは、環境も落ち着いてきたので、できるだけ早く完結させたいと思います。
名無飼育さん(55)
今回の更新分も楽しんでもらえれば幸いです。
予定完結からかなり時間が経過していますが、がんばります。
では、感想お待ちしております。
- 77 名前:戸尾里酢賀利 投稿日:2005/04/22(金) 02:33
- お待ちしてました。
カレーのトコが、ホントにウケました(笑)
一瞬、アレかと思った…
- 78 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/04(水) 23:50
- 更新、待ってます
- 79 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/07(土) 01:09
- 更新、待ってます
- 80 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/07(土) 12:54
- れいなの隠れ方がかわいい
- 81 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/11(水) 01:39
- 更新待ってます。
- 82 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/17(火) 13:53
- 交信待ってます
- 83 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/18(水) 09:47
- 放置??
- 84 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/21(土) 09:31
- 更新して欲しいなぁ〜。
- 85 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/28(土) 11:37
- もうすぐ6月…
でも、待ってます
- 86 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/02(木) 08:00
- もう6月…
でも、待ってます
- 87 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/06(月) 01:13
- 更新、待ってます。
- 88 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/10(金) 23:44
- 期待させといて…
- 89 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/13(月) 23:43
- ちょっとだけでもいいんで、更新待ってます。
- 90 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/22(水) 01:11
- 信じてます!
- 91 名前:古賀 投稿日:2005/06/22(水) 21:59
- 待ってます
- 92 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/30(木) 19:47
- 少し落ち着きましょうよ。
- 93 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/02(土) 09:42
- 落ち着けるかぁ〜!!
コッチは続きが読みたくて、たまらんのじゃ(笑)
- 94 名前:作者 投稿日:2005/07/07(木) 14:29
- お久しぶりです
いちお、生存報告です
もう少し時間下さい
更新したときはageますのでそれまでお待ち下さい
レス返しは次の更新でします
こんな作品を待ってくれてる人もいるようなので
できるだけ早めに頑張ります
失礼します
- 95 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/09(土) 17:20
- 久しぶりに来てみたら…、作者さん。(^^)
またしばらくしたら来ますね。
- 96 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/22(金) 23:59
- 更新待ってます。
- 97 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/23(土) 01:05
- >>96
作者さん、あっちで放棄宣言してたよ・・・
- 98 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/23(土) 14:23
- ↑あっちってどこ?
- 99 名前:かず 投稿日:2005/07/24(日) 14:18
- >>97
俺も見ました。残念です
>>98
あっちのサイトっす
- 100 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/24(日) 21:07
- ↑どこだよ
- 101 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/26(火) 03:51
- ↑http://www.google.co.jp/
- 102 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/26(火) 04:38
- ↑見れないよ?検索サイトになるさぁ
- 103 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/26(火) 13:14
- ↑http://www.google.co.jp/
- 104 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/26(火) 13:31
- ↑検索サイトだよ
- 105 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2005/07/26(火) 20:26
- ググれって意味でしょ
- 106 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/27(水) 00:03
- ↑102,104はバカだから・・・
- 107 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/27(水) 13:03
- 検索も知らない小学生が来てたのか
作者さんがんばれ
- 108 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/04(木) 01:58
- それ以前にここでも、更新しないならその意志を表明すべきでは…?
- 109 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/04(木) 02:03
- >>108
諦めるしかないよ
あっちではしっかり言ってるんだけどね
- 110 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/10(水) 02:49
- うむ、名残惜しいが諦めるしかないだろう
- 111 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/26(金) 02:25
- あっちの更新も止っちゃった・・・
- 112 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:37
- 「もしもし」
「カレーにまみれたミキティー、カレーにまみれたミキティー」
「本当になんで知ってるんですか?」
「食べごろだね」
「いや、それいろんな意味がありますから」
本当にこの人はなんていうことを言い出すんだ。
「で、今度は何のようですか?」
「うん、そろそろ佳境に迫ってきたみたいだから、激励の一言でもと思ってね」
「それはありがとうございます。で、なに考えてるんですか?」
「ひどいわ、カオはそんな子に美貴ちゃんを育てた覚えはありません」
「いや、親じゃないですから」
「ま、とにかくがんばって」
くそ、また切っちゃうんだな。
まぁ、その余裕ももうすぐ終わりだ。
ミキの手にかかれば、全員制覇も時間の問題なのだ。
- 113 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:38
- 私は一方的にきられた携帯をしまうと、れいなの手を引っ張り給食室へと向かった。
給食室のドアを引くとそこにはいつもの楽屋の賑やかさがあった。
私は、中の水道で頭を洗うと、背中についたカレーを紺ちゃんに拭き取ってもらった。
それでも、多少の匂いが残ったがそれは我慢するしかない。
「ねぇ、美貴ちゃん。あとはよっすぃ〜だけよね?」
ガシガシと髪を拭いていると、聞き慣れた声が迫ってきた。
「いや、あと飯田さんも一応残ってるんだけど」
「あ、そっか。
でも、今からはよっすぃ〜を探しに行くんだよね?」
あ、もしかしてこいつもついてくるとかいう口か。
最初から鬼はやりたくないけど、あとから体験したいという甘ったれた考えだな。
ミキが暗闇の中、どんな気持ちで数を数えていたと思ってるんだ。
- 114 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:39
- 「そうだけど、ミキが1人で行くから」
私は部屋を出るついでに梨華ちゃんの考えをピシャリと封じ込めた。
それでも梨華ちゃんは食い下がってきた。
「いいじゃん。なんで矢口さんはよくて私はダメなのよ」
「あの人は勝手についてきてるだけ」
「じゃ、私も勝手についていく」
「ダメだって、ルール守りなよ」
まったく、鬼がやりたいなら最初に立候補しろっての。
これだからグループって疲れるんだよね。
なんでも言えばできると思っちゃって。
「なによ、大の大人がカクレンボにマジになっちゃってさ。
いいもん、勝手に探すから」
あいつの何気ない一言で私の何かが音を立てて、はじけた。
私は勝手に出ていこうとしたあいつの首元を掴んだ。
そしてぐいっとこちらに引き寄せた。
「な、なによ」
- 115 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:40
- 「そうだけど、ミキが1人で行くから」
私は部屋を出るついでに梨華ちゃんの考えをピシャリと封じ込めた。
それでも梨華ちゃんは食い下がってきた。
「いいじゃん。なんで矢口さんはよくて私はダメなのよ」
「あの人は勝手についてきてるだけ」
「じゃ、私も勝手についていく」
「ダメだって、ルール守りなよ」
まったく、鬼がやりたいなら最初に立候補しろっての。
これだからグループって疲れるんだよね。
なんでも言えばできると思っちゃって。
「なによ、大の大人がカクレンボにマジになっちゃってさ。
いいもん、勝手に探すから」
あいつの何気ない一言で私の何かが音を立てて、はじけた。
私は勝手に出ていこうとしたあいつの首元を掴んだ。
そしてぐいっとこちらに引き寄せた。
「な、なによ」
- 116 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:40
- 気を取り直して、私は実験棟に足を運んだ。
放送室、美術室が3階だったので、残るは2階のみ。
階段を昇ると、とにかく目についた教室から扉をあける。
しかし、どの教室にも人がいた形跡を見つけることはできなかった。
仕方なく1階に戻ってきた私の目に飛び込んできたのは、保健室の文字。
そういえば、こんな簡単な場所を探すのを忘れていた。
ガラガラと戸を開ける。
半信半疑で明かりをつけると、パァと明かりが灯る。
どうやら保健室の電気は生きているようだ。
なんともないえない薬品の匂い。
目の前に飛び込んできたのは憎き体重計とメジャー。
- 117 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:41
- すぐさま目を切ると、近くのベッドに目をやる。
3セットの備え付きのベッドはどれも使用可能となっており、冷えた体を暖めてくれそうだ。
しかし、おかしいことに私は気付いた。
足音を立てないように一番端っこにあるベッドに近付く。
明らかに膨らんだ掛け布団。
そして不自然にはみ出た毛布。
最後に綺麗に並べてぬいである靴。
3・・2・・1・・
心の中でカウントダウンを済ませると勢いよく布団をめくった。
- 118 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:42
-
「・・・ん、もう朝?」
「朝なわけないでしょ、大体こんなところで寝てるんですか!」
「だって寒いし、なんか眠くなったし、丁度布団あったから」
「ほう、人をカレーまみれにしたくせに当人は布団でぬくぬくですか。
こっちはカレーを落とすのに冷たい水使ってるのにですか」
ジリジリと近付く私に恐怖を感じたのか、ゆっくりと後ずさるチビっ子。
その頭に手をかけた時、ポケットの携帯から振動が伝わった。
心の中で舌打ちをかましつつ、携帯を取り出す。
ディスプレイに表示されている名前は、吉澤ひとみ。
届いたメールを開くと、そこには呆れた内容が表示されていた。
- 119 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:43
- 『早く来てよー。体育館で待ってるから』
うーん、よっちゃんカクレンボの意味わかってるのか。
よっちゃんが思ってるのは、鬼ごっこ?
とにかく相手が居場所を教えてくれるんだ、こんなに簡単なことはない。
「いいですか、紺ちゃんにちゃんと言っときますから。
言う通りにしてくださいね、矢口さん。」
私は彼女に無理矢理うんと言わせると保健室を後にし、急いで体育館へと向かった。
- 120 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:43
- 途中、紺ちゃんへの電話をすませ、案内にあった経路を通ると程なくして、大きな扉の前へと辿り着いた。
ゴロゴロと大きな音を出して開かれるドア。
その前に佇む1人の女性。
彼女を照らす1本のスポットライト。
「遅かったじゃん、美貴ちゃん」
「こっちだってヒマじゃないの。それによっちゃんで最後みたいなものだし。
それより、よっちゃん。かくれんぼのルール知ってるの?」
「知ってるよ。タッチされるまでは自由でしょ」
あぁ、よっちゃん。
本気でかくれんぼと鬼ごっこ勘違いしてるじゃん。
あちゃー、お尻叩いて挑発してるよ。
ここまでくると引っ込みつかないもんね。
しょうがない、ちょっとぐらいなら付き合ってあげるか。
「じゃ、捕まえちゃおうかね」
そう言って、2、3歩近付くとグルっと世界が回った。
- 121 名前:作者 投稿日:2005/08/29(月) 22:44
- すいません。
残りはできるだけ早く上げます。
- 122 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/29(月) 23:41
- 更新お疲れ様です!
焦らずに作者さんのペースで良いですよ。
次回楽しみにしています。
- 123 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/29(月) 23:53
- 待ってたかいがありました(TT)
これからも続き期待しています
- 124 名前:通りすがり 投稿日:2005/08/31(水) 09:58
- >>115には別の部分が入るんじゃなかったのかなと予想
- 125 名前:作者 投稿日:2005/08/31(水) 11:42
- しまった
うっとりしてました
あ、うっかりしてました
通りすがり様のおっしゃる通りでございます
脳内消去でヨロシクです
- 126 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/02(金) 01:48
- 復活\( ̄▽ ̄)/
次回も楽しみにしてます
- 127 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/30(金) 16:00
- 待ち続けます
- 128 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/14(金) 00:43
- 作者が来るまで待ち続けます!
- 129 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/28(金) 00:51
- 作者さん、またあっちで放棄報告か・・・
- 130 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/08(火) 02:33
- >>129
さっき見た
でもあのコメントだと期待してしまいそう・・・
- 131 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/09(水) 00:07
- >>130
そうかなぁ〜?もう無理な感じがする
- 132 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/27(日) 00:53
- まあ、信じるしかない
- 133 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/28(月) 00:16
- もうやる気がないんでしょ
それなら言ってくれたほうがありがたいけど・・・
- 134 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 04:58
- 突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
- 135 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/02(月) 21:59
- 別に何ヶ月掛かろうが、待ってるからココで書いてよぉ。
- 136 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/15(日) 21:43
- >>135
おっ、いいこと言った。
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