Small river complex

1 名前:おって 投稿日:2005/03/07(月) 23:14

略して相撲コン
∬∬´▽`)<…

…じゃなくてスモコン。
2 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:15

1.お前かよっ

 チョコをあげる相手が異性じゃなくて同性だなんて悲しすぎる。
 メンバー全員分のチョコレートをジャグリングしながらあたしは溜息を着いた。

 愛があるようなないような、溢れてるような。
 もう人によっちゃ溢れすぎて困っちゃって豆から作り出すくらいに凝りに懲りまくってて
 「私モーニング娘。大好きなんです!」「豆と豆をかけてみました!」
 って気合入れまくりの某A垣、
 じゃなかったA垣って楽天の敵かSPEEDの踊りストじゃん。
 別に楽天のファンってワケでもないけど。ガキさんがいたりする。
 でも美貴はああはなりたくない、ってかなれない。

 美貴としてはメンバー中最強のスレンダーボディーとしてヘルシーなものをあげたい。
 え?最近太ったって?
 それカメラの魔法だから。騙されすぎ。
 知ってた?カメラって太って見えるんだよ?
 だからたとえちょっと太った気がしても、フツー。普通なんです。
 美貴より心配な人いると思うし。
 名前すら出せないくらいに問題外な人が。
3 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:15

 そんなこんなでチョコ作りに勤しんでいるのに、
 さっきから後ろに気配を感じて全然作るのに集中できない。
 なんていうか妖気を感じる。冷蔵庫と壁の間が醸し出すハーモニーから。
 「藤本さぁ〜ん」って甘〜い、それこそ男に投げかけてやれよっていうほど飛びきりな声が。
 体が震えた。

 「…どっから入った?」
 「どこって?」
 「ドアにちゃんと鍵かけたんだけど」
 「気のせい気のせい」
 「チェーンは?」
 「切った?」
 「亀ちゃん!なにそんなこと普通の顔し……て」
 「うへへへへへ」
 「うへへじゃないよ!な、なにその格好!」
4 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:17
      ,-ー─‐‐-、
    ,! ||     |
    !‐-------‐
   .|:::i ./ ̄ ̄ヽi
   ,|:::i |ノ*^ー^)||  < ソース出せ!
   |:::::(!中 濃 ||)
   |::::i |.. ソース ||
     \i `-----'/
        ̄U"U ̄

 「チョコ作るのにソースなんかいらねぇよ!」
 「隠し味に〜♪」
 「隠せんわぁ!!つーか脱げ!今すぐ脱げ!ジャストゥナウ!」
 「英語ヘタ〜」
 「いいから脱げ!ハッ、ハッ…」

 久々にこんだけツッコミ入れた…ちょっと快感。
5 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:18

 ちょっと気持ちよくなっちゃってる間に亀ちゃんはもそもそと着ぐるみを脱ぎ捨てると、
 台所の横に並んでチョコをフライパンの上で溶かし始めた。
 焼肉で油ひくみたいに。無視してかたどりをする。
 途中まで済ますと、一回トイレで抜けた。

 戻ってくると亀ちゃんはいなくなっていた。
 なんだろう、
 美貴がツッコミを入れたい入れたいって思ったあまりに現れた幻だったのかな?

 形を取り終えたチョコを固めるために冷蔵庫を開ける。

 「……どうやってそこに入った?」
 「だって中ほとんど空っぽでしたよぉ?ていうか冷凍庫でしょ?」
 「あ、そうだ」

 バタンッ。

 冷凍庫、冷凍庫っと。……。

 「って違―――う!!!肉!肉はどこに置いた?!この白熊!アラスカで凍え死ね!」
 「白熊ってアラスカにいますかねぇ?」
 「そんなのここではどーだっていいんだよ!熊より牛!凍らすよ?!」
 「絵里のかわいさを永久保存ですか〜?」
6 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:18

 バタンッ。

 「冷凍庫冷凍庫」

 ドンッ。

 「入れて…と」

 ドンドンドン!!

 「あー終わった終わった。休憩しよっと」

 ピロリンピロリン♪

 「なんの音だぁ!!」

 冷蔵庫から聞こえる耐え難い苦痛。やめて、ピロリンピロリンはやめて…。
 別に安倍さんが嫌いとか、そーいうのじゃないからね?うんうん。

 ピロリンピロリン♪

 「…耳栓どこ置いたっけ?」

 ここやよここやよ♪

 「愛ちゃん!?」
7 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:19

 結局ヘッドフォンつけてガンガンに音楽を流してその場を凌いだけど、
 耐えられない、耐えられないから。
 月の欠片を集めて夢を飾りピロリン♪ってどういうことだよ。ありえない幻聴がする。
 以心電信のバック音が全部ピロリンピロリンいってるように聞こえてきたあたりで
 耐え切れなくなって立ち上がると、大股で移動すると冷蔵庫に蹴りを一撃、力いっぱいこじ開けた。

 「……あれ?」

 でもそこには誰もいなくて。
 亀ちゃんが去ったそこには焼肉臭い香りが少しだけ残っていた。
 亀ちゃんの匂いはどこにもなく…ってなんで別れた女の切なげ描写になってんだよ!
 美貴はノーマルですから残念!

 冷蔵庫の中にはなんだか小さな紙切れが一枚だけ残されていた。
 ひんやりとした感触を確かめながら読み上げる。

 「エリック亀蔵の大脱出マジック成功…?」

 思い切り冷蔵庫を閉めると、もしやと思い、冷凍庫の取っ手に手をかけた。
 緊張が走る。そっと、ゆっくりと開けると、そこには。
 
 「凍ってるー!!」

 カチンコチンの亀ちゃん。見事なまでに。
 漫画。もはや漫画。なんかムカついたから思い切り拳を落とした。

 「痛!」

 ピシッ

 「え?」
8 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:20


 こういう話知ってる?
 カチンコチンに凍った水槽の中で凍った金魚が真っ二つになっちゃったけど、
 その場でくっつけて水槽に入れて、春になって氷が溶けたら復活したって話。
 美貴博学〜。
 ……。

 上半身と下半身に中澤さんのしわ(当社比)ほどのズレが生じてる亀ちゃんは、
 しきりに腰を回しながらさっきまで作ってたチョコを台所で作り出した。
 この娘は不死身ですか?

 「明日の朝また取りに来ますね」
 「別に何時間待ってもいいよ」
 「ちょっと体調が悪いんで」
 「そ、そう…。お大事に」

 美貴は悪くない。美貴は悪くない。美貴は悪くない。美貴は悪くない。
 逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。

 不安定そうな足取りで去っていく亀ちゃんに、何も言えなかった。
 とりあえず無事生きたまま生活してくれるように祈るだけ。
9 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:20
 
10 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:21

 チョッコレート♪チョッコレート♪チョコレートが、欲・し・い♪

 キッズのみなさん、群がらないでください!

 「あ、ちょっと!それガキさんの!…それはダメ!麻琴のはまずいよ!
  そんなの知らないって?!ほらほら、こっちのチョコレートみんなで分けて!
  手作り?いやいやいやいやいやいや、あ!ごっちん!ごっちーん!」
 「んあ?」
 「おい何とりあえず「んあ」って言っておけばあたしだって分かるだろ的な登場してるの!
  みんなにチョコ配ってあげて!」
 「チョコ?」
 「そう!」
 「ない!」
 「力強く断言するなー!」

 キッズの手によって麻琴のチョコが犠牲になりつつも、
 なんとか無事楽屋にたどり着いた。さてどうしたものか…。

 「…亜弥ちゃんのだけあるな…」

 亜弥ちゃんとはどっちみち今日会えるか微妙だし…。作り直そう!
 …でも麻琴のだけ中身が豪華だな……すげーやだ…。
11 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:22

 レッツバレンタイン。一人一人に愛という名の建前込めて、

 「うり、うり、うり、瓜!」

 投げる、投げる。ひたすら投げる。流石板チョコ。
 高速回転しながら麻琴顔面ヒット。密かにガッツポーズ。
 てあれ麻琴のじゃないから。麻琴のはこの豪華な……はぁ。

 「ごめん麻琴。こっち」
 「え、マジすかぁ?!本命みたーい!」
 「バカ。本当は亜弥ちゃんにあげる予定だったんだけど、麻琴の分キッズに取られたからさ」
 「なんですって。キッズの奴らを黒祭りに」
 「ちょっと待て麻琴。その如何わしい祭りにキッズ巻き込むな。ていうか血祭りだろ」
 「はーい。じゃあとりあえず藤本さんの本命チョコ頂きまーす」

 何のためらいもなく一口でその巨体の中にチョコを納めていく麻琴に一瞬、
 殺意を覚えた。
 だけど、チョコを食べた途端。麻琴の表情が変わった。
12 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:22

 「藤本さん……」
 「なに?」
 「……」
 「ジロジロ見ないでよ。気持ち悪いんだけど」
 「あたし……」
 「だからなに!」
 「好きです」
 「……………………え?」

 無言のまま頬を赤らめると、麻琴は。

 「…………ぎゃーーーー!!」

 その愛を肉弾に込めて突っ込んできた。
 はっけよい、のこった!ってかけ声が聞こえた。
 覆いかぶされる美貴のスレンダーボディー。そして、

 ガチャッ。

 そして追い討ち。
 今日ここにくるはずのなかった、マイ親友。どうするよ。
13 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:25

 「あ、亜弥ちゃん……」
 「たん……」

 室内に流れる、ありえないくらい緊迫した空気。
 まるで美貴が浮気してばれたみたいじゃないか。ていうかまず亜弥ちゃんとも付き合ってないし。

 なのに亜弥ちゃんは悲しげな顔を浮かべると、泣きそうな顔をして、

 「じゃあね?」

 部屋を出て行った。自分先に男作って幸せな生活送ってるくせに!なんだよそれ!
 美貴亜弥ちゃんに訴えてやるー!なノリで法の力借りるよ?!ていうかそれよりなにより、

 「麻琴どけー!!!」
 「…好きです」
 「キモい!キモい!」
 「またまたぁ?」

 その?、ドクロにしか見えない。
14 名前:1.お前かよっ 投稿日:2005/03/07(月) 23:31
 「あのー」
 「なに」

 笑顔で美貴の視界に入ってきたものは今後問答無用で殺してやろうかと企てていたとき、
 視界に入ってきた亀ちゃん。
 殴ってやろうと思ったけど胴体に目が行くと力が抜けて動けなくなった。

 「ごめんなさい」

 てへっ、みたいなポーズをとる亀ちゃん。
 ごめん。無意識でも今果てしなく殺したい。地の果てまで追いかける自信ある。

 「なに?」
 「松浦さんにあげるもんだと思ってたから……」
 「思ってたから?」
 「新密度アップの薬仕込んじゃいました♪」

 なんだその魔法の薬は。
 て言うかそんな力借りなくても美貴達は充分親友として……ん?ということは?

 「でも、間違って惚れ薬入れちゃって、小川さんが食べちゃったから…うへへへ!」

 お前かよ。

 抱きつかれた状態で助かったな亀之助。
 美貴は今あんたを世界で一番胴体真っ二つに切断してやりたいよ。
15 名前:おって 投稿日:2005/03/07(月) 23:31
多分全6話。こんなテンションで続いていくかと思われますので良かったらどうぞ。
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/08(火) 00:39
すげえおもしれえっすw
17 名前:konkon 投稿日:2005/03/08(火) 11:09
激面白いっす!
こういうのを待ってました〜♪
またよろしくです。
18 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:12
2.頑張れないから

 前回までのあらすじ。
 バレンタインデーに美貴が麻琴にチョコをあげた。
 でもそのチョコには亀ちゃんが変な薬を混ぜていて、麻琴は美貴に惚れましたとさ……
 夢なら覚めてよ、マジで。

 麻琴はその暑苦しい体をこれでもかというくらいに美貴に押し付けている。
 オー、ダイナマイトバディー、なんて誰が言うかアホ。
 たぶんこいつを殺しても娘。には何一つ損害はないだろうけど、
 一応仕事仲間ということで許す。そしてそれよりも許せないのは……

 「亀ちゃん!いや亀井オラ!こっちきやがれコンチクショウ!
  斬るぞてめぇ!斬ってラーメンマンにしてやる!」
 「ミキティ落ち着いて。亀井は切っても中国人にはならないよ」
 「そういう問題じゃないでしょ!
  よっちゃんぶっちゃけ麻琴の呪縛から逃れられたーって喜んでるだろ!」
 「だ、断じてそんなことはない!」
 「目が笑ってんだよ!」

 気づくと亀ちゃんは美貴の視界から完全に姿を消していた。
 いったいどこに消えやがったこの亀造、じゃなかった若造が。
19 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:13

 楽屋くまなく目を動かす。今の美貴の視界はぶっちゃけフクロウより広い。
 逃げられるわけ……。いた。

 亀ちゃんはこんこんの背中に隠れて震えていた。
 こんこんには悪いけど、胴体ごとぶった切って……

 「美貴さぁ〜ん」
 「離せ!なれなれしいんだよ!!!」
 「愛してる〜♪愛して〜る♪愛して〜る♪あなただけを〜♪」
 「キモい!中島美嘉に謝れ!いやホント洒落にならないくらいきついから!ね?自覚しよう?ね?」

 暴言をいくらぶちまけてもこのホリエモン体系アイドル(三木谷所属)はびくともしない。
 むしろ言われて気味の悪い笑顔を浮かべている。

 「そんなこと言っちゃってかわいいと思ってるんでしょうー」
 「自惚れんな!」

 しかしいくら暴れてもこの腕っ節にはかなわない。
 なんせ美貴のスレンダーボディー。
 
 …………なんか文句ある?
20 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:14

 プシューッ。
 ドサッ。

 突然のことに全員が呆然。
 こんこんが虫除けスプレーみたいなスプレーを麻琴の顔面に惜しげもなく発射すると、
 間もなくして大怪獣は地面にひれ伏した。
 全員おびえた目でこんこんを見る。

 「さて、どうしましょうか」

 なんでそんなに平然としてんの?!てか編集点?!
 別にカメラ回ってないから意味ないよ?!

 「とりあえず麻琴をノーマルに戻してくんない?」
 「そうですね……確かいい薬が」

 自らのバックをごそごそと漁るマッドサイエンティストアサミ・コンノ。
 たくさんのビンを机に並べているけど、どれも化粧水にしか見えない。
 でもきっとすごい薬品なのだろう。

 「あ、あさ美ちゃんこの化粧水私の」
 「え、里沙ちゃんごめん!」

 おい。期待して損したよ。相変わらずかばん漁りは続く。
 それにしてもどんだけお菓子入ってんだよ。四次元ポケットかよ。
 美貴はタケコプター派だから。
21 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:14

 「えーっと、ありました。とりあえず、これを飲んでください」

 こんこんは錠剤の入ったビンを、美貴に手渡した。

 「これは?」
 「N極S極はご存知ですよね?」
 「磁石でしょ?」
 「そのとおりです。藤本さんに今渡したのはS極。
  そして明日まこっちゃんにN極の薬を飲ませれば、二人は永遠にカップルとはなりません」

 普段なんに使ってるんだそれ、なんに。

 「はい!」
 「はい吉澤さん」
 「磁石みたいにってことは、物理的に近づくと両方からだがぶっ飛ぶとかそういうこと?」
 「よっちゃんバカだなぁ。そんなことあるわけないじゃん、ねぇこんこん?」
 「…………………………………完璧ですっ!」
 「今の異常な間は何?!」
22 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:15
 
23 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:15

 そして美貴は家に帰った。N極の薬もしっかりと渡されて。

 「今まこっちゃんに一番薬を飲ませやすい環境にいるのは藤本さんあなたです」
 「そうだけど…」
 「頑張ってください!」

 頑張れないから。

 それにしても、亀ちゃんが美貴のチョコに入れたという媚薬はいったい誰が作ったんだろう。
 マンションに入り、エレベーターを上りながらふと思った。
 でも頭を浮かぶのはあのサイエンティスト、娘。の天才、別名井の中の蛙でもないこともない。
 ってどっちやねん。ボーっとしていたらエレベーターが止まった。

 亜弥ちゃんのことがもしかしたら一番気がかりかもしれない。
 変な誤解をしたまま出て行って、いまだにメールの一本もよこしてこない。
 あの娘は何でも望みすぎなんだと思う。愛も、友情も、自分自身も。
 手に入らないことが気に食わない。そしてすねる。
 でもそんな亜弥ちゃんが好きな美貴もいる。分かった上で親友やってるし。

 重いこと考えるのはこれでおしマイケルッ。
 ……ごめんなさい。

 美貴は鍵穴に鍵を突っ込むと、部屋の中へ入った。でも次の瞬間、

 「うぎゃーーーー!!!」
24 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:16

           |        ______                |  || ̄ ̄ ̄||| ̄ ̄ ̄||
           |         |       |        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ||      |||      ||
        ,'| |         |       |        |l二二二二二l||  ||      |||      ||
         |.| |         |       |        ||_____|||  ||      |||      ||
        |,' |         |     O |        ||_____|||  ||    []|||[]    ||
      __' , |         |       |        ||_____|||  ||      |||      ||
    ../ /.|――n_    |       |____|l_____l||  ||      |||      ||
   / //||_.n/||   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         L二二二二二」|_||___|||___||_
  l'|  ̄| |、 /||. ||/||  
  l.|   | |/, '| ||レ!'||
  ,,l.|__|,,/ ,,l| ||/~__                  ∋oノハヽo∈
  |   | l,, "/\/:::/!                Θ (´◇`〜)
  |______.| |/   !ニニ!/:                   || C_C_)  
/          └─8               /旦/三/ /|
                             | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
                             |__あな真里__|/

 「何してんすか?!」
 「親友に誤解されてブルー。そんなあなたがいるから矢口真里」
 「知らねぇよ!とりあえずなんなんですかその段ボール箱は!」
25 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:16

 「今年も何とか残れると思ってたんだけどなー……。いっそミキティのラジオ一緒に出させて」
 「無理。無理っす」
 「なんでだよー!いいじゃねーかよー!補強補強」
 「美貴一人で充分ですから」

 いったいどうやってここに入ったのかはこの際置いておいて、
 どうにかして出て行ってもらわなきゃならない。
 そんでもってS極の薬を飲もう。

 二つのビンをテーブルの上に置くと、ダンボール撤去作業にかかる。
 …なんか矢口さんがホームレスみたいな扱い。

 「ほら矢口さん、帰ってください!」
 「やめろー!おいらからラジオを奪ったら何が残るんだー!」
 「やぐちひとりがあるだろ!」

 あ、こらこら、美貴口がワ・ル・い・ぞ☆
 
 …………吐き気した…。
26 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:17

 美貴がお正月にもらったはがきがたくさん乗せられているダンボールをどかすと、
 矢口さんはしゅんとして悲しそうに身を縮ませていた。
 その姿はさながら芋虫のよう。

 「あな真里……おいらの青春」
 「天地真里?」

 S極の錠剤を一錠飲む。すると矢口さんはそれに反応。

 「それなに?」
 「…おいしくないですよ」
 「おい子供かよ!なんだよその扱い!欲しい欲しい欲しい!」

 やっぱ子供じゃねーか。
 ていうか飲まれたらどうなるんだ?SとNだとカップルにはならないんだから、
 SとSだと………って、

 「飲むな!飲まないでください!頼むから!絶対無理です!」
 「うるせー飲ませろー!」
 「飲んだら大変なことになるんですよ!」
 「ほーう。それはますます興味深い」
 「誰だよそれ!無理、マジで無理!」

 あーもう、こうなったら、矢口さんごめん!
27 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:17



ガシャンッ



28 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:17
 
29 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:18

 「美貴すぁぁん」
 「ええい、寄るなぁ!あ、そうだ麻琴」
 「なんですか?キスはあとで」

 ガンッ!!!

 「痛い、痛いです美貴さん!」
 「その美貴さんってのやめろー!ていうかいつキスすると言ったええ?!」
 「二人の心は繋がってるからいつとかいりませんよ」
 「繋がってないから!山手線と臨海線くらい繋がってないから!
  あ、いやそれは若干繋がってるけど、とにかく!」
 「はい」
 「これを飲め」

 昨日こんこんから受け取ったビンを渡す。楽屋中の視線が集まってきた。
 でもよっちゃんだけ残念そうな顔してるの、見たぞ?

 一つだけ気がかりなことがあった。それは、
30 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:18

 「おはよー。ったく藤本がビンかち割るくらい殴ってきたから頭がんがんにいてーじゃねぇか」

 矢口さん入室。
 あんたといい亀ちゃんといい、みんな不死身ですか。
 一方矢口産入室にまったく興味も持たない麻琴。
 グビグビ薬を飲み干していく。
 
 「あ、飲みすぎ」

 こんこんが口を押さえる。…いやな予感。

 「み、み、みみみみみ美貴ささささんんんん」

 バシッ。

 「スリッパで殴らないでください!でもそれも愛の形はぁーん」

 よたよたとその場に倒れこむ麻琴。この際はっきり言おう、キモい。

 気絶している麻琴。その寝顔は……いとしくもなんともないや。

 「おきたら元通りになっているはずです…」
 「あ、こんこんごめん。もしかすると…」
 「はい?」
 「昨日矢口さんの頭かち割った時に使ったビンが、N極だったら……」
31 名前:2.頑張れないから 投稿日:2005/03/16(水) 16:19

 言っている途中に麻琴は手も使わずにそのままつま先を起点に点移動で起き上がり。
 人間じゃねぇ。

 「美貴さん愛してる!」
 「ぐぁぁ!!」

 ぎゅっと抱きしめられる美貴。
 口付けて♪そぉっと口付け〜るな!!
 無理!やめろ!離れろ!助けて!

 やはり矢口さんを殴ったとき木っ端微塵に砕け散ったのはN極のビンだったらしい。
 しかも大量にS極を飲み込んだ麻琴。

 「あれだけ飲んだんです。二人の愛はますます深いものとなるでしょう」
 「二人ってなんだよ二人って!助けてこんこん!」
 「藤本さん……」

 こんこんは真面目な表情で美貴のことをじっと見つめた。
 …何?

 「がんばって!」

 親指を立ててみせるこんこん。どこの漫画だどこの。

 「頑張れないから…うわぁ!」

 大怪獣に押しつぶされたけど、誰も助けてくれなかった。
32 名前:おって 投稿日:2005/03/16(水) 16:21
更新終了。

>>16 名無飼育さま
   どうもありがとうございます。
   作者のテンションがどこまで持つか分かりませんが頑張ります。

>>17 konkonさま
   激とはまたすごい言葉を頂いてしまいました。
   期待にこたえられる気がまったくしませんが頑張りますです。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/16(水) 20:35
今回はなんといっても、矢口さんがかわいかった

PS.磁石はSとNは引き合い、SとSは反発します。
34 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:46
3.分からない

 「あれ、これ合ってるよ」
 「え?」
 「ミキティちゃんとN極飲ませてる」
 「え゛?!話が違うよこんこん!!」

 今にも服を全て剥がれそうな美貴。大ピンチ。
 レイクエンジェル助けて、って古いか。

 「あーーー」
 「こんこんどうした?」

 よっすぃが相変わらず他人事ということでだいぶ幸せそうににやけた顔。
 やべぇ殺してぇ。

 こんこんは口をポカーンとあけて、
 それが麻琴を髣髴とさせて美貴をスーパー滝川人にさせかけたけど、踏みとどまった。
 いやいっそなって麻琴を吹き飛ばしたほうがいいのだろうか。
35 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:47

 「SとNじゃくっついちゃいますよねー。うっかりうっかり」
 「………………は?」
 「だからー、SとSはくっつくって説明しましたけど、逆ですね。
  SとNがくっつきます。いや〜、失敗失敗」

 誰キャラだよ?!ていうかさっきからみんな自分のキャラ見失いすぎ!
 ていうかそれよりどれより、昨日の美貴の血のにじむような努力はなんだったんだー!!
 まあ実際血が滲んだ、っていうか流したのは矢口さんだけど。
 ていうかどうして美貴達はみんな納得したんだろう。
 相当精神が動揺していたのか、それとも…

 「SとSが……ん?」

 バカいたー!!よっちゃんまじめに悩まないでよ。恥ずかしすぎるから。
 せめて知ったかして。……娘。の未来はwow×4といかないのもこれじゃ無理もない。

 え??美貴は知ってたよ!当たり前じゃん何言ってんのまったくー。
 あはは。焦ってただけだって焦ってただけー。うんうん。そうそう。
 いくらなんでもそれはないよねー。うん。

 「誰と喋ってんですか」

 その言葉が耳に飛び込んできた瞬間、美貴は悟った。
 こいつ、絶対ワザと間違えたろ。
36 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:47
 
37 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:48

 こんこんが確信犯な気がしてならないけど、というかむしろそうだろ?
 と問いただしたいところだけど目の前で麻琴をスプレーで眠らされて下敷きになったらもう逆らえない。
 美貴です。怖くてしょうがないとです。……失礼しました。

 「じゃあどうしましょうかー…。今日はこれいってみましょうか」

 いろいろあるのかよ。今日はって、あと何回続ける気だ。
 こんこんの楽しそうな顔ったらない。

 「これ」
 「また怪しい薬やの」
 「紺野さん大丈夫ですか?」

 責任を感じてるのかどうかは分からないけれど亀ちゃんも不安げな表情。
 …責任感じてなかったら斬るけどね。人斬りになるよ美貴は。
 人斬り美貴介だから。…ごめんなさい。

 「はい!」
 「なにそれ」

 全員の声がかぶさる。一見してただのオレンジジュース。

 「誰か飲んでくれる人〜!」

 ノノ*^ー^) 从*・ 。.・)从 `ヮ´) ( ・e・)川*’ー’)( ^▽^)(〜^◇^)(0^〜^)从VvV)  \(・-・o川<………………。
38 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:49

 「はい!」
 「はい愛ちゃん」
 「かーちゃんに」
 「かーちゃんにオレンジは禁止事項です!」
 「松浦さんにトイレットペーパーがダメなのと同じ理由やけんね!」
 「殺すよ?」

 ノノ*^ー^) 从*・ 。.・)从 TヮT) ( ・e・)川*’ー’)( ^▽^)(〜^◇^)(0^〜^)从VvV)<フン  (・-・o川<………………。

 「と、とりあえずじゃあ……」

 とそこで救世主が登場。ドアが開く音とともに、

 「やっほー、みんな元気?」

 ごっちん登場。
 こんこんはごっちんに近づくと、オレンジジュース(推定)を差し出してみせた。

 「どうぞ!」
 「ありがとー」

 なんの疑いもなく飲み干すごっちん。

 「美味しかっ……!」

 異変が起きたのはその後すぐだった。
39 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:50

 「あ、あ、あ……」

 ごっちんは息を細かく切らしながら言葉を吐き出すと、限界だの無理だの、
 何があたしにこの欲望を駆り立たしてるんだろうだの連呼した後、

 「ごっちん?!」

 部屋の外へ走って逃走。

 「予想外に効きが早いですね」
 「なんの薬なの?!」
 「まあ見ててください」

 こんこんはそういい残すとごっちんを追って楽屋を出た。
 …他人事じゃない美貴は追いかけるしかなかった。

 ごっちんは猛スピードで自分の楽屋を通り過ぎると、スタジオのほうへ。
 そして一気に中に入ると、強烈な音を立てながらドアを閉めた。
 …病的なまでの速さは発作にしか見えないから。

 ドアが閉まってから間もなくして、

 「なんだいきなり!」
 「キャー!」
 「うわ離せ!な、何を!やめろ、茄子はやめろー!」

 なんて軽い悲鳴が聞こえた後、

 ドシャーン!デケデケドコドコダダダダシャンシャン!

 激しい魂のビートが伝わってきた。
40 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:50

               
     デケデケ
       ドコドコ
   ☆     ドムドム
        ☆   ダダダダ!
  ドシャーン!  ヽ     C⌒ヽ デヘデヘデヘデヘーッ     ♪
         =≡= ⊂二二⊃    ☆
      ♪   / 〃( ;` Д ´)  / シャンシャン
    ♪   〆  ┌\と\と.ヾ∈≡∋ゞ
         ||  γ ⌒ヽヽコ ノ  ||
         || ΣΣ  .|:::|∪〓  ||   ♪
        ./|\人 _.ノノ _||_. /|\
41 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:51

 「ごっちん?!」
 「まことを超えるぽ!」

 やめろ、まことって単語はたとえ別人でも今の美貴には禁止ワードだ。
 小川麻琴でも女子アナと結婚したまことでもWhat’s michael?の作者でもダメだから。
 …ていうかぽって。でもごっちん、あんた今「愛のバカやろう」の時くらい輝いてる。

 「まことってそんなハードル高いんかのう」

 愛ちゃんの言葉は相変わらず鋭いし。

 「あのように、この薬を飲み干すとキャラが変わります。
  そしたら藤本さん大好きキャラじゃなくなる!…はずです」
 「はずかい」
 「完璧です!」

 はずの時点で完璧じゃないだろ。
 今まで罪のない笑顔に見えていたものが悪魔のささやきに見えるわ。
42 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:52

 こんこんは四次元ポケットからいつものように薬を取り出す。
 さっきと同じやつ、でも色がちょっと濁ってる気もしなくもない。危険度アップしてるって絶対。
 やばいって。

 「とりあえずはい」
 「はい、うわ!」

 しかもあろうことか美貴は、受け取れずに思い切り手を滑らせた。
 そんでもって漫画みたいに見事に、
 
 バシャッ。

 「…………」

 田中ちゃんの顔面にかかった。
 ええそれは見事なくらいに。もうなんていうか、まるで美貴たちが田中ちゃんを虐めてるって2ちゃんね
 …週刊誌に書かれちゃうんじゃないかってくらいに。

 田中ちゃんは一瞬の沈黙を越えると、自らその静けさをぶった切った。

 「熱―――――!!!!」

 あんなに絶叫する田中ちゃんはじめて見た。って何傍観してんだ美貴。
 とりあえず追いかけよう。でもその前に、

 「ごっちんは?」
 「あの症状なら放っておけばあと1時間くらいで己の限界を感じて挫折してドラムの道を諦めます」
 「………やだなそれ」
43 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:53

 田中ちゃんは迷子が帰省本能だけで家に帰るみたいに楽屋に到着すると、
 一気にその中へと入っていった。
 …う、あの中には麻琴がいる…。
 一瞬全身が拒否信号を放ったけど、こんこんに背中をつんつんされて仕方なく中に入った。
 …こんこんやっぱりわざとS極N極間違えたろ。

 ドアを開けると、それはそれは衝撃的なシーンが見られたのでした…。

 「小川さん、いや、麻琴さん!」
 「はい?」
 「好いとうばい!!」
 「はっ?!」

 真剣な表情の田中ちゃん。
 でもそれ以外の、その場にいた全ての人間は、衝撃のあまり、そう、
 新しいドラえもんの声をはじめて聞いた瞬間くらい絶句して、
 ドラマーに目覚めそうになった。そうでもないか。

 「そんな……田中ちゃん」
 「れいなは本気たい!」

 目がマジだ。もうなにも分からない。なにも。分かりたくない。
44 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:54

 そっと楽屋から逃げ出そうとした瞬間、足に強烈な圧力を感じた。…掴まれた!

 「美貴すぁぁぁん!!」
 「貞子?!ていうかデブ(以下写真集発売により事務所規制)」
 「誤解なんです!私が愛しているのは美貴すわぁぁん!美貴すわぁぁんだけですから!!」
 「痛い!折れる!折れるから!何がすわぁぁんだ!キモい!」

 足を必死に振ろうにも重過ぎて動かない。
 もがいていると美貴の言葉が気に入らなかったのか、田中ちゃんが美貴の前に立った。
 
 「麻琴さんにそんな汚い言葉投げかけるとは…藤本さんでも許さんばい!勝負たい!」
 「なんでそうなんだよ!勝負ってなんだよ!?」
 「どっちが麻琴さんにふさわしいか勝負たい!」
 「負けでいいから!無条件降伏するよ!」
 「逃げるっちゃか?!麻琴さんをそんなに簡単に諦めて」
 「いいよ!!」
 「二人とも、私のために争わないでぇぇ!」

 もうヤダこんな状況。
 お母さん、東京は寒いです。寒いっていうか寒気がします。別の意味で。
 そろそろ実家帰って焼肉屋手伝うかもしんない。
45 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:54
 
46 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:54
 
47 名前:3.分からない 投稿日:2005/03/20(日) 01:55
>>33 名無飼育さま
   そう言われるとどうにかして矢口さんをまた登場させたくなります。
   とにかく無茶な展開を目指します。
48 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/20(日) 17:13
ほんともうわけわかんないんだもん。あばば。
でも、おもしろい。
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 21:14
4.マトリックス

 こんこんが音一つ立てずに近寄って麻琴とれいなにスプレーをぶっ掛けると、
 部屋中は再び静けさが走った。さあ状況が悪化した。どうする。

 「次は何使おうかな♪」

 楽しむな!人の不幸を楽しむな!
 美貴がどんだけ今かわいそうで悲劇のヒロインか分かってるの?!
 「ソロは並行して」娘。加入以降久々に悲劇のヒロインだよ!
 なんて口にしたら何されるか分かったもんじゃないから黙る。

 「じゃあこれ!」
 「なにそれ?」

 こんこんが四次元ポケットから取り出したのは制汗スプレーのような筒。
 っていうか、ぱっと見8×4。せめてBANにしてやれよ。

 「これはミラクル全開パワースプレーといって発熱作用のあるフュージョンと
  アミノ酸分解酵素を配合したポタラを相手に吹き当てることによって
  相手の体を溶解、微粒子レベルにまで分解し消滅―」
 「んな危ないもん作って何する気だったんだよ!!
  説明中ドラゴンボール2回出てきたし!てか消してどーすんだよ!」
 「なんですか?」
 「うわ!?」

 スプレーを美貴に向けるこんこん。やり方がエグイ。
50 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 21:15

 こんこんはしょうがないですね、とため息をつきながらかばんにそれを戻すと、
 さっきのオレンジレンジ(チェスト)を取り出した。

 「もう一回これを試しましょう」
 「…仕方ないか」

 ジュースを机の上に置くと、とりあえず田中ちゃんを起こすことにした。
 美貴はこんこんとスプレーをぶっ掛けられて地べたで倒れている田中ちゃんに近づくと、

 「どうせならすっきり目覚めてもらいたいですしミラクル全開」
 『やめなさい』
 「……ちぇっ」

 目覚めるどころか永久の眠りにつきますから。

 ガチャッ

 「みんな元気?」
 「ケメちゃんキモーい!」

 どうやら保田さんが入ってきたみたい。
 特に気にせずに田中ちゃんを揺する。でもなかなか起きない。
 何度揺すっても起きない。心なしか呼吸も荒い。
51 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 21:16

 「スプレーの効き目が強すぎて昏睡状態にありますね」
 「昏睡?」
 「軽く危篤です」
 「は?!こんこんなにそんな平然としてるの?!
  修羅場潜り抜けてきてる軍医みたいな顔してんだけど!」

 ハハキトク、スグカエレ。ってやつだよね、危篤って。

 田中ちゃんは呼吸が相変わらず荒い。
 すっごく苦しそうに表情をゆがめている。汗も流れてきた。

 「……ん」
 「え?」

 寝言。地面の上で苦しみもがきながら、田中ちゃんは何かを呟いていた。
 聞こえるわけないけれど呼びかける。

 「なんていったの?田中ちゃん?もう一回」
 「………さん」
 「3?」
 「…ダメです……麻琴さ、あっ」
 「…………こんこん」
 「はい?」
 「ミラクル全開スプレー貸して」
 「何に使う気ですか」
52 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 21:18

 こんこんに銃口(スプレー口)を向けられてびびっておとなしくなって、
 とりあえず恐ろしい悪夢の中魘される田中ちゃんの処理を考える。

 「ここじゃ…だめで……あっ」

 あっ、じゃねぇよ!何してんだよ!夢で何してんだよ二人でええ?!
 女同士で何してんだよ!!ていうか苦しそうな顔じゃなくてそういうことか!
 やっぱ消す。やっぱ消す。こんこんスプレー。早く貸せ。いいから。
 ごめんなさい!許して!打たないで!

 「あーーー!!」

 みんなの悲鳴ともとれる声。
 首を回すと、グビグビとコップに入ったオレンジレンジじゃなくてジュースを一気飲みする女一匹。
 当方落ち目でございます。って、まずいじゃん。

 「美味しかっ……う゛!」

 う゛!って!あんたう゛って!うに濁点つけちゃった!

 保田さんは顔を両手で抑えて背中を折ると、声にもならないような声を何度も上げた。
 その姿はさながらホラー映画。えーっとあれだあれ、猫の死体の、そうそう呪怨。

 「そろそろきますよ」

 まるで保田さんが変身するみたいな言い方だな。こんこんめっちゃワクワクしてるし。
53 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:19

 やがて保田さんは動きを止めると、そのままの体勢で、
 ゆっくりと美貴の元へ。
 そして一気に顔を上げると、決めポーズ。

           ||    /     /
\         |     /    /
  \             /  バ─────ン!!
   \
┌───────────────┐
│ 君のハートにいつもダーヤス!!   |
└─────── v ───────┘

         ノハハヽ
 ―――    川`.∀´)つ     ――――
         ( 9   ヽ
          ノ ノ) )
   /    (_ノ(__)     \
  /                  \
/     /          \      \
        /     |     \     \
     /        |       \

54 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:20





             ノ∩
           ⊂ .   ヽ;::;:,∴∵∴
            /(, Д 、 )
            U ノノノハヽ
         ・@;∴‥
           :: ::
:: :.
   ノノノハヽ∩  :: :.
   川VvV从 /  :: ::
  (つ   /  :: :'
  人⌒l ノ  :: ::
  し(_)

 「さ、田中ちゃんに解毒剤を飲まそうか」
 「何事もなかったかのように振舞わないでください!」
 「なんだよガキさん!お前はもしゴージャス松野がナンパしてきたら殴るだろ?!」
 「全然関係ないっすよそれ!」

 美貴の力説をしっかりと否定してツッコミ側に回るガキさん、
 さては美貴のポジションを美味しいとか感じ始めたな、絶対譲らないからな!

 ……麻琴は譲るよ、うん。いくらでも!
55 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:21

 「普通に薬飲ませるにしても飲まないかもしれませんね」

 未だ身悶えながら激しい眠りについている田中ちゃんの頭をなでながら、
 こんこんは四次元ポケットを漁っていた。

 「普通に?」
 「まこっちゃんを好きになるなんて一種の錯乱状態と説明するにはあまりに言葉足らずです。
  よほどの精神ショック、そう、記憶喪失するくらいのショックを受けない限りは―」
 「紺ちゃん何気かなりひどいこと言ってるよね」

 梨華ちゃん、多分それ聞こえてる。

 「―まあつまり、正常な状態とは甚だ言いがたいので、何かに混ぜることにします」
 「何か?」
 「かぼちゃとか」
 「食わねぇよ」
 「ケーキ?」

 亀ちゃんがシゲさんとじゃれ合いながら呟く。
 そういえばさっきから二人ともずっと隣にいるかもしれない。

 「それで行きましょう」

 こんこんは四次元ポケットから薄力粉を取り出した。おいおい。
56 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:22
 
57 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:22

 まさか原材料からケーキを作るとは思わなかった。
 戦力にならないとされる人は最初からカット、というわけで美貴もリストラされた。
 お菓子作りが得意なメンバーが作っているのを後ろから眺めてる状態。って誰かいたっけ。

 その前も今もずっと亀ちゃんはさゆと仲良く仲良く。もう尋常なくらい。
 お前らケーキ作れ、って無理か。

 こんこんが薄力粉の中に粉状の薬を塗した。おそらく解毒剤。
 でもそんなこんこんの顔がなんだか笑顔で、
 その笑顔が四次元ポケット漁ってるそれと全く同一なものだったから美貴は駆け寄った。
 光ファイバーくらいの速度で。

 「解毒剤だよね?」
 「はいっ!」

 その気持ちいい返事逆に不安。

 「副作用は?」
 「あります!」
 「言い切るな」

 すっごくいい感じの笑顔。ムカつくくらいに爽やかに笑ってるよ。
 ガッタス勝った時よりうれしそうだよこんこん。
58 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:23

 「でも他の人が食べなければなんの問題もないので。藤本さん」
 「なに?」
 「ちょっと私の鞄からオーブン出してください」
 「オーブン!?」
 「念じれば出ると思いますんで」
 「念じれないから!」

 仕方がないのでこんこんの鞄を手に取る。怖くて一瞬ジッパーを外すのをためらったけど、
 意を決して開き、手を中に突っ込んだ。

 「……うぉりゃ!」

 何かを掴んで取り出す。MDプレーヤー。

 「んなもん入ってるわけないじゃないですか」
 「何爽やかに冷静なんだよ!笑うなよ!」

 鞄を放り投げる。地面に落ちた瞬間、

 ガンッ

 何か硬くすごく大きなものが地面と当たるような音。

 「…………」

 こんこんを見る。こんこんは気にせず作業を続けていた。

 「…………」

 何の音だ、何の。
59 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:26

 田中ちゃんが目覚めた頃、ケーキは完成した。
 いきなり与えるとまずいというこんこんの意見から、ケーキを机に置いて
 「田中ちゃんの分だよ」と何気なく梨華ちゃんが伝えた。美貴だとまた怒るから。

 田中ちゃんは机のうえに置かれたチョコレートケーキをぼんやりと眺め、フォークを握った。
 麻琴はまだ伸びている。田中ちゃんは切なそうに麻琴を見る。
 つーか切なそうに見るな。
 はぁ、とため息をつくその姿は、片想いに悩む乙女そのものだった。やめてくれ。

 「食えん」
 『え?』

 全員に動揺が走る。予想だにしなかった展開。
 田中ちゃんはケーキを手に持って、じゃれあう亀ちゃんとシゲさんの元へ。

 「さゆ」
 「なに?」
 「ケーキあげる」
 「ホント?ありがとう」

 何のためらいもなく貰った!話聞いてなかったろ!
 ていう亀ちゃんも平然と見過ごすな!二人遊んでて全っ然分かってないだろ、状況が!

 美貴が止めようと走ると、目の前を一筋の気体が走る。
 真正面から来たそれ。
 美貴はその場で止まると下半身に重心を置いて、思い切り体を後ろにそらした。
 リンボーダンスかよ。
 煙にも似た気体はそのまま美貴の眼前を通り過ぎて、誰もいない壁に、
60 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:26



                   \?
                  丶  ゝ\   ∴   ⌒  ⌒⌒/ /?
                             ( ((ゞ ∴ゞ ゞ) ⌒)   ゞ  /
                            ((ゞ ∴\⌒\⌒⌒)))/ソ)/  //
                          (ゞ(\⌒   ⌒   //ソ))/)//
  ノハヾヽ゛
ヽ(VvV川/         \   \\ (\( ∴  (         / / ソ)) /
   \             \ \\∴\(丶 \ ちゅどーーん  ///ソゝ)∴)/ / /
   |\             \(\((ゞ((∴ \            / / )/ ∴ソ? /
                   \丶ゞ((\ \           // //)ソ / /
                     \ (ゞ\∴(( (\         // ))ソ∴ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
61 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:27

 「ミラクル全開とは言いがたい威力ですね、まだ改良しないと」
 「するな!壁飛んだから!なんであんな煙で壁が飛ぶんだよ!」
 「化学の力は偉大ですからねぇ。あ、ナイスマトリックスです」
 「冷静に語るな!ていうかナイスマトリックスって何だよ!」
 「話してる暇はないですよ、シゲさんはこうしてる間にも」
 「あ、そうだ。副作用って?増えたりすんの?」
 「それは別の……いえ、体に影響は出ません」
 「今すっごい気になったんだけど。で?どーなんの?」
 「簡単です」
 「好きになるんです」

 …………それってダメじゃん。

 さゆは早くも効果テキ面。
 顔をポッと赤くして、田中ちゃんの前に立った。

 「…何と?」
 「れいな」
 「うん?」
 「好きなの」
 『えーーー?!』

 楽屋中を駆け巡る混乱の声。もうわけわかんない。誰か止めて。
62 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:28
( `.∀´)y-~~流しよ!
63 名前:4.マトリックス 投稿日:2005/03/25(金) 21:29
( `.∀´)y-~~流しよ!
64 名前:おって 投稿日:2005/03/25(金) 21:31
もはや何でもありです。

>>48 名無飼育さま
   もう意味不明ですあばば。
   作者も読者も娘。も壊れるよーな話です。
65 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 01:59

 5.この野郎

 えーっと、麻琴は不服ながら美貴のことが好きで、田中ちゃんが麻琴のことが好き。
 で、田中ちゃんのことを好きなさゆがいて、亀ちゃんはさゆのことが好き。
 ……どないやねん。

 「ようは、さゆと仲良くしたくて薬をチョコに入れて食べさせた」
 「はい……」

 亀ちゃんはしょぼんとして大分凹んでいる様子。
 田中ちゃんにさゆを取られたのがよっぽどショックらしい。
 そりゃそうか、なんせ亀ちゃんは田中ちゃんが……これ以上言うべきじゃないな、うんうん。

 「で、こんこんどう責任とってくれるのかな?」
 「……責任、ですか」
 「そう責任」
 「…………」

 こんこんは黙り込んだ後、川o・∀・)アヒャッっといきなり笑った。
 
 「仕方ありません、この騒ぎを招いたのは紛れもなく私」
 「分かってんじゃん」
 「全て跡形も無く消し去る必要がありますね」
 「うん…え?」
66 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:00

 「このミラクル全開スプレーを使って何もかも消去」
 「こらぁぁぁ!!!」
 「ん、うーん……」
 『え?』

 なんだその適度に艶かしいのに確実に気持ちの悪い喘ぎ声のような囁きは。
 振り返れば大怪獣。眠りから覚める直前。
 まるでモスラの成長が孵えろうとしている迫力。
 まずい、今こいつに起きられては状況がますますヒートアップするというか
 単純にこいつには永遠に寝ていて欲しいというか。
 止めるしかない!

 「死ねー!」
 「ならば仕方ありませんミラクル全開」
 「もうそれはいいから!!」
 「ん」
 『う』
67 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:01

 大魔神、遂にお目覚め。
 どうせ大魔神が目覚めるならお前じゃなくて佐々木が目覚めてくれ。
 大あくびをしている姿、アイドルとは思えな(ry

 え?美貴よりこの間写真集ランキングが上だったって?!
 そうほざくそこのお前、よく聞け!
 アイドルのドーナツ化現象、過疎地帯のマコヲタはその太い体を愛するように
 太い収入に支えられていて、大人気ないまでに大人買い、
 というちょっと矛盾した行為に出てAmazonに予約して、「Amazonからまだ写真集が届かない件」
 とか2ちゃんに書き込んで矢口さんを笑わせてるんだよ!分かったか!
 ファンの数は美貴のほうが上なの!比べるまでも無いの!
 あ、そこ!ウェストを!ウェストを比べるな!

 「美貴すわぁん!」

 とか言ってる間にキター!

 「この野郎!」

 一直線に飛びついてくる珍獣に右ストレートをぶちまける。
 しかしその拳は珍獣の顔面と思われる場所に届く前に、背後からつかまれ阻まれた。
 後ろを振り向くとよっちゃんの姿。

 「麻琴の愛、受け止めてやれ」
 「てめぇ!」

 キレてる間にしがみ付いてくる麻琴。気持ち悪い肉厚が胸を物理的に打つ。
 変なうめき声を吐きそうになったけど先に怪獣が吐いた。

 「美貴すわぁんazeh/wjk愛してるasutarisku」
 「何言ってるか分かんないけど離れろ!やめろ!間に愛してるとか挟むな!」
68 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:02

 「暴れて暴れても離れない!バカばかりか!ここは!」
 「追いかけて追いかけても掴めないものばかりさ♪」
 「チャゲアス歌うな!よっちゃんやっぱり死ぬほど嬉しいんだろ!
  マコが離れて!畜生!恨む!一生恨むからねよっちゃん!田中ちゃんくらい恨むからね!」
 「なんでれいなと!?」
 「この間美貴の育てた肉とったろがあああ!!」

 もはや理解不能、誰でもいいからとにかくこの怒りをぶちまけたい。
 その対象は誰だっていい。誰だって。もはや誰だって。
 草●(弓へんに前と刀)剛だって。そう、こんこんだって、

 「ミラクル全開フルパワーで助太刀しましょうか?」
 「美貴まで消えるから!ていうかちょっとバージョンアップしてるし!」

 いや、こんこんは無理でした、すみません先生。

 「じゃあこれで」

 伝家の宝刀スプレー。麻琴はそれを浴びると、あっという間に倒れた。
 動物園から脱走したカバを麻酔で眠らせた絵と酷似してて驚いた。
 こんこんはその後まるでドラクエのレベルアップとも思える流れ作業で田中ちゃん、
 さゆを眠らせると、ニコッと笑った。
 それはそれでレクター博士みたいで怖かった。
69 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:04

 「あ、そうかー」

 あまりにわざとらしく、グーにした左手を右手の掌に当てるジェスチャー。いつの時代だ。
 こんこんは完璧です、と前置きすると、

 「藤本さんを増やせばいいんだ」
 『はぁ!?』

 もうめちゃくちゃ、何がめちゃくちゃって発想がめちゃくちゃというより
 そんなこと出来てしまうこんこんがめちゃくちゃ。あーもうわけわかんない。

 「それにまこっちゃんの相手をしてもらえば、二人とも幸せ」
 「ハッピー」
 「石川さん死にたいですか?」
 「(T▽T)」

 哀れ梨華ちゃん。殺されても骨は拾って彼氏んとこに届けてあげるよ。いるか知らないけど。

 「というわけでその薬を作るまでしばらくお待ちください」
 「…………はーい」

 この場に否定するほどの力を持つ人間は、いない。
 完全に政権交代が起こったらしい。これからは裏リーダーこんこんの時代だ、皆の者ひれ伏せっ!

 …バッカみたい、
 と否定しきれない美貴はきっとただのチキン。
70 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:04

 こんこんは机を独り占めして薬の調合をしているけれど、誰も逆らえない。

 「藤本さん」
 「なに?」

 大分申し訳なさそうな顔をして美貴のことを見るのは亀ちゃん。やっと反省したか、この野郎。

 「ごめんなさい、絵里が余計なことしたせいで」
 「いやいいよ、分かってくれたならいいから」
 「そのお詫びにこれを」
 「ん?」
 iーー- ,,-ーーーーー、-ーつ
 と、 , ´ ・("▼)・ ヽノ
   .>  ,,,-ーーー-、.<
  (   /  ノハヽ☆) 
   ゝ(  从VvV) ノ<……………。   
   〆(⌒)-ーー-(⌒)
   ( i⌒ヽ,   i⌒ヽ,
   ヽゝ、__ノー-ーゝ、__ノ

 「かーわーいーいー!」
 「亀ちゃん?これ……動けないんだけど」
 「いやいやお礼なんていいですよ♪じゃあ絵里はこれで!」
 「おい!!」
71 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:05

 さあこんなかわいらしい格好にさせられたはいいけどよくないけどどうしよう。
 別に着てなくても待つ以外に今選択肢が無かったから良かったんだけど。
 人眠りでもしようかな、色々ありすぎて疲れたし。

 にしてもたとえば1000歩譲って美貴が本当に二人に増えたとして、
 人格はどうなるんだろうか。
 もう一人の美貴だって美貴に変わりないわけで、
 今の美貴ではない美貴に麻琴を押し付けるなんて行為は美貴のエゴだ。
 ひどすぎる。もう一人の美貴は結局苦しむわけだし。
 というか苦しむために生まれてくるわけだし。そんなの可愛そうだ。
 ていうか、人でなしだ。最低だ、人間として。

 iーー- ,,-ーーーーー、-ーつ
 と、 , ´ ・("▼)・ ヽノ
   .>  ,,,-ーーー-、.<
  (   /  ノハヽ☆) 
   ゝ(  从VvV) ノ<……………。   
   〆(⌒)-ーー-(⌒)
   ( i⌒ヽ,   i⌒ヽ,
   ヽゝ、__ノー-ーゝ、__ノ



 iーー- ,,-ーーーーー、-ーつ
 と、 , ´ ・("▼)・ ヽノ
   .>  ,,,-ーーー-、.<
  (   /  ノハヽ☆) 
   ゝ(  从;VvV) ノ塙ター   
   〆(⌒)-ーー-(⌒)          +.。・。*゚*(´▽`*∬.・.*。゚
   ( i⌒ヽ,   i⌒ヽ,
   ヽゝ、__ノー-ーゝ、__ノ
72 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:06

 は、早い!過去最高のスピードで復活しやがった!
 もしかしてあれ、あれ?
 殺虫スプレーで死んでたゴキブリがその強さを後世に伝えてそれが効かないゴキブリαが誕生するという、あれ?!
 てかゴキブリ並みかよ。

 「美貴すわわわわ(以下モザイク)」
 「ぎぃやぁーーー!!来るな来るな来るな!美貴に触れるなぁぁ!!」
 「そんな…」
 「え?」

 やけにおとなしい麻琴α。なんかアロンアルファみたいな響きだな。
 一体どうしたのだろう。美貴のほうが拍子抜けしてしまった。

 「私はただ、美貴すわぁんが好きで好きで…」
 「麻琴…」
 「でも想いが全く届かないわけで……いくら祈っても伝わらないわけで…」
 「北の国かよ!あーもうとにかく美貴はあんたのこと全然好きじゃないから勘弁して!」
 「………ぐすんっ」
 「え?」
73 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:07

 麻琴αの瞳から一筋の涙が……そんな美しい表現を使うもんではないのは確かだけど。
 流れ落ちた。麻琴は咽び泣きながら、いやうめき泣きながら美貴の顔を見た。

 「美貴さん…………」
 「……はい?」

 なんだか変な空気になってきた。なんだか麻琴が、可愛い?いや、そんなはずはない。
 落ち着け藤本美貴。落ち着くんだ。
 あんな新手のモンスターどうして可愛く見える。でも何故か心はドキドキとしていた。
 こんなに否定されても、
 涙を流しながら物凄い顔で迫ってくる純粋さにドキドキしているのだとしたら……美貴は末期だ。

 「好きです!愛してます!世界で一番あなたを幸せにしてみせます!だから今すぐ私と」

        ノノハヽ       _ _     .'  , .. ノノヽヽヽ
         川Vv )  _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ '      ⊃Д`∬∬
         , -'' ̄    __――=', ・,‘ r⌒>  _/ /
        /   -―  ̄ ̄   ̄"'" .   ’ | y'⌒  ⌒⌒⌒  i
       /   ノ                 |  /   ノ |
      /  , イ )                 , ー'   /´ヾ_ノ
      /   _, \               / ,   ノ
      |  / \  `、            / / /
      j  /  ヽ  |           / /  ,'           
    / ノ   {  |          /  /|   |
   / /     | (_         !、_/ /    〉
  `、_〉      ー‐‐`            |_/

 「み、美貴すわぁん…なんで…」
 「言わせない。美貴が生きている限りその先は絶対に言わせない」

 一瞬でも麻琴を愛しく思ってしまった自分がバカだった。というか重罪だ。
 田代まさしくらい重罪だ。
74 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:09

 「なんで……どうして……どうして美貴すわぁんは私の気持ちが分かってくれないんですか?」
 「いや十二分に分かった上で拒否してるんだけどさ」
 「理解して!女の子」
 「……もう一発行く?」
 「痛すぎない程度でお願いします」
 「求めるな!拒んでよ!どうりアクションしていいか分んないから!」

 少し頬を赤らめた(殴られ傷)麻琴の顔は乙女そのもの。
 まあ乙女といっても千差万別、色々いますから。誉め言葉で使ってないことだけは確か。

 倒れたままだった麻琴は漸く起き上がると、ゆっくり、ゆっくりと美貴に近づいてくる。
 な、なんだ?異様な空気、異様な恐怖感。美貴と麻琴の距離が2mを切った所で、麻琴は立ち止まり、
 目を閉じた。
 …………。

 え?これは何?キスでもしろと?

 「最後に、最後に一回だけ……」

 なんか言ってるー!閉じた瞳から涙流してキラリ、涙がキラリ。
 何だよお前もうすぐ病気で死ぬ彼女が彼氏に言うような台詞吐きやがって。
 麻琴じゃ再現VTRがせいぜいだから。
75 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:09

 急に周りの視線が集中する。
 さっきまでどんなに美貴が叫んでも梨華ちゃんばりに放置プレーかましたくせに。
 皆目で何かを訴えている。

 よっちゃんと目があう。よっちゃんは本当に珍しく真剣な顔つきで、うん、と無言で頷く。
 しないから。絶対しないから。

 「ミキティ、わかってやれよ」
 「どこの青春ドラマだ」
 「麻琴の気持ち!………分かってやれよ」
 「そこ。ためるなそこ」

 よっちゃんは美貴のツッコミもなんのその、麻琴の後ろに立つとそのいかつい両肩に手を乗せる。
 麻琴は驚いたのか肩を大きく揺らした。嗚呼、今の衝撃で関東はマグネチュード7だ。

 「麻琴……お前はあの星になるんだ」
 「吉澤さん…」
 「おいそこ何してる」
 「麻琴……エースを狙え!」
 「はい!」

 アタックNO.1じゃないのかよ。上戸彩に色々謝れ。
76 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:10

 今のうちに逃げようとしたら「どこへ行くミキティ」「どこへ行くんですか美貴すわぁん」
 とあっさりバレ、それでも部屋の外に出ようとしたらついているはずの無い鍵がついていた。
 もしやと思い作業中のこんこんを見るとやはり犯人。
 とてもじゃないけど奪えないな、とびびっていたらすぐに麻琴に捕まれた。

 「美貴さん今夜私にエースを決めて」
 「キモい、キモいから」

 段々ツッコミに覇気がなくなってきた。疲れたっていうか、もう面倒。
 もういっそ麻琴と……いやいやいやいやいやいやいやいや。
 待て藤本美貴。早まるな藤本美貴。
 そんなことしたら一生後悔した上に成仏できないから。

 「こんこん……まだ?」
 「あと1日くらい戯れててください」
 「はぁ?!」

 思わず声が荒げる。1日も麻琴の相手してたら食われる!確実に食われる。

 大騒ぎしていると、

 「なにしとるか!」
 「た、田中ちゃん……」

 ここまでおとなしく寝ていたのに遂に復活。
 助けて。きっと美貴を救えるのは田中ちゃんだけだ。
77 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:10

 「みきねぇはどうして麻琴さんの良さが分からんの!?」
 「分かんないよ!分かりたくもないし!どこがいいんだ、言ってみろ!」
 「可愛いし元気だし優しいし食べ物美味しそうに食べるしぽっちゃりしてるし気持ちいいし」
 「待て、最後のおかしかった」
 「すごいな、こいつは麻琴の全てを把握してやがる…」
 「よっすぃ感心しなくていいから」
 「梨華ちゃんいたの?」
 「(T▽T)」

 田中ちゃんは麻琴のことがいかに愛しいかを語ると、麻琴は今度こそ本当に顔が赤くなっている。
 マジで照れてるけど、その後「ゲヘヘ」って怪獣みたいに笑ってマジで引いた。

 「みきねぇよりれいなのが絶対麻琴さんのことを愛してるっちゃ!」
 「うん」
 「れいな、麻琴さんのこと考えるだけで、頭の中真っ白になって胸が痛いと!」
 「れいな!なんでそんなファットマームがいいの?!さゆの方がずっといいの!」

 あーもうわけわかんねぇ。
78 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:12

 美貴は麻琴と田中ちゃんとさゆと亀ちゃんの四角関係(断じて美貴を含む五角関係ではない)
 を横目に、こんこんの作業場に寄った。
 作業場では、これまたどこから取り出したのかビーカーやら如何わしい色をした液体が入った試験管が連なって置かれている。
 やっと調合が終わったような様子だった。

 美貴は隙を見ると、完成品と思われる試験管を抜き取った。
 これを飲めばこの状態ともおさらばだ!
 もうクローンの人権擁護云々言ってらんない!その話は余裕のある大人達でして!

 「あ!ダメです藤本さん、まだ」
 「知らな、うわ!」

 未だ気絶するヤススに足を引っ掛ける。
 なんとか転ばないように逆の足で踏ん張ったけど、試験管の中身はヤススの顔面へとこぼれた。

 「!」
 「あ゛あ゛あ゛!!!」

 声にもならないような悲鳴、それは大怪獣麻琴を髣髴とさせた。

 「藤本さん、なんてことしたんですか」
 「え?」
 「あの薬は一滴たらせばそこからクローンが出来るんです。一滴で充分なんです」
 「………つまり?」

 嫌な予感がして後ろを振り向いた時には、遅かった。


79 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:13



( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)
( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)
( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)
( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)
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( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)
( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)
( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)( `.∀´)

 「ギャー!」
 「ヤスリックス!エージェントヤススだよ!」
 「石川さん寒いです」
 「(T▽T)」
 「仕方ないですね、ミラクル全開フルパワースプレーを」
 「許す、打て。打ちまくれ、本人もろとも消せ」

 これって矢口さんが作ったヤススレの数とどっちが多いんだろう。

 その後300体になった保田さんを消すのに30分の時間を要した。
 全部消したらまずい気がしたけど、特に気にならなかった。
80 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:13
_| ̄|○
81 名前:5.この野郎 投稿日:2005/04/04(月) 02:13
_| ̄|○
82 名前:おって 投稿日:2005/04/04(月) 02:14
もう何もかも無茶苦茶ですが、次回で多分終わります。
83 名前:ろむ 投稿日:2005/04/08(金) 02:03
今日はじめて読みました。
めっっっちゃおもろかったです!!
作者さんから溢れるネタパワーに脱帽です。
84 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:06

6.止まらない

               oノハヽo
               从*・ 。.・)
        __  _   (つ . __つ  _      __     __  _
   .  __ |ロロ|/   〜(_)|ロロ|/  \ __ |ロロ| __..|ロロ|/  \
   _|田|_|ロロ|_| ロロ|_|田| .|ロロ|_| ロロ|_|田|.|ロロ|_|田|.|ロロ|_| ロロ|_
         ワー       キャー
         λ  ワー    λ        ワー
             λ             λ


 もうどうにも止まらない♪なんて昔の曲がなんとなく聞こえた。嘘だけど。
 一体何をどうしてどうなったらこんな状況になるっていうんだろう。
 大怪獣さゆみんは一般市民におびえられ、可愛くないといわれたショックで大暴れ。
 次々に尊い命を奪っていく。

 日本海を鏡に自分の顔を見て見惚れるさゆみん。「うん、今日もかわいい!」
 と吐き出されたブレスはブレスケアーを噛んだ後のため爽やかな香りを街に送り込んだけど、
 その代わりに風圧で人たちはおろか、ビルさえも吹き飛んだ。
 これで歌いだそうものなら全人類は一瞬にして宇宙の藻屑と化すだろう。

 この状況を打破するのは誰だ?!世界を、地球を救うのは?!

 ……なんて物語でさえ、可愛く思えるような、美貴の日常。
85 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:07

 本当にビッグサイズだけど一応可愛さを保っている大怪獣さゆみん。
 それに対して人間という枠を超えない程度だけど
 アイドルの枠はぶち破ったビッグサイズで可愛さって言葉に失礼な大魔神マコ。
 愛されるなら、どっち?勿論、

 「美貴すわぁぁん!!」

 バキッ

 「来るな大魔神。美貴に近寄るな」
 「……みみみみきすわん…」

 なんで四六時中マコと戯れなきゃいけないんだ美貴は。
 それに二人だけの問題だったらまだいい。よくないけど。
 芋づる式で恋愛が続いているから困るんだこれは。悪の根源亀ちゃんを一生恨むよ。
 どんだけ釣ったら気が済むんだ。あんたは矢口さんか。

 「呼んだ?」
 「消えた人は例え話上ではまだいても出演しないでください」
 「なんだよそれ!おいらまだ全然消えてないから!
  これから!これからよおいらは!ていうかそのネタ使うな!禁止!」

 とりあえずあなたはヤススレでも作っててください。
 ただでさえ涙が止まらない放課後なんだから。
86 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:07

 『眉毛ビームの必然性』ついて議論が行われる横で、美貴達はじゃれ合っている。
 クローン培養薬はヤスリックスにまたなったときあまりに危険、ということで却下になり、
 こんこんは眉毛ビームよりもスラッシュだ、と熱く語って…おい。
 なんかアイディア考えろそこのふくつら。

 「脱毛薬あるんですけど、試します?」
 「申し訳ございませんほのぼの系アイドル様」

 脊髄反射、この間僅か0.1秒。美貴はもう一生こんこんの下僕かもしれない。

 亀ちゃんはさゆへ、さゆは田中ちゃんへ、田中ちゃんは麻琴へ、麻琴は美貴へ、美貴は……。

 ガチャッ

 「…………美貴たん」

 ドキューン。胸を打ち抜かれるような感覚。流石マイエンジェルアヤ=マツウラ。
 でもその表情はすごく切なそうで、美貴は迫り来る肉厚に蠢きながらかろうじて目線を合わせた。

 「たんは私とまこっちゃん、どっちが好きなの?」
87 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:08

 ―――――从;VvV)ギエー―――――

 血迷うなマイエンジェル。見失うなマイスウィートハニー。
 惑わされるなベストフレンド。そんなの決まってんじゃん。
 人類が最初に月に降り立ったときに決まってたじゃん。

 「美貴さん」

 びくっ、と体が明らかな拒否反応を示す。痴漢にあったみたいな体の揺れ、汗。
 後ろを振り向いたらいけない。振り向いたらいけない。
 ここは振り向いてはいけない場所なんだ。
 振り向いたらどうしようもないパワーに引きずり込まれて永遠に帰ってこれないぞ。
 振り向くな君は美しい。なんか昔の漫画とか歌とか思い出すけどきっとそうに違いない。

 「……たん」

 そんな切なそうに見つめないでマイシスター。悲しそうな顔で笑わないで美しい人。
 溜息交じりの吐息を吐き出して、美貴に一体何を求めてるんだ。
 ……もしかして。

 「こんこん」
 「なんですか?」
 「亜弥ちゃんに」
 「ノーコメントです」

 野郎…。六角形誕生。ヘキサゴン完成。
 美貴、若干ストレス死しそうです。
88 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:09

 「たん」
 「すわぁん」

 こいつ対抗してきやがった。すわぁん、ってアヒル、じゃなかった白鳥かよ。
 二人の視線が激しく交差すると、大魔神が亜弥ちゃんに襲い掛かる。

 「こら!亜弥ちゃんを襲っていいのは美貴とけいt」
 「みきねぇ!れいな達も麻琴さんを賭けて今度こそ勝負ばい!」
 「一人相撲でもしてたら?」
 「!?」
 「れいなれいな、さゆおなか空いた」
 「あっそ」
 「れいな!さゆになんてこと言うの!ハロプロ全体からはぶるぞ!」

 ………なんか今とてつもなく悪意のこもった腹黒く恐ろしすぎる一言が聞こえた気がしたけど、
 きっと気のせい。うん気のせい。うん。
 世の中きっと知らない方が幸せなことがまだまだたくさんあるから。

 「私はすわぁんのことをまだまだ知りたいです!」
 「うわぁ!!人の心読めるのか?!」
 「いつも僕らは繋がっているんだ♪」
 「繋がってないから。Wと勉強くらい繋がってないから」

 段々と麻琴が美貴のハッピーライフにおいて脅威になりつつある、
 今日のこの頃。
89 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:09

 「たん」
 「すわぁん」

 たんの後ろにつくのはハートマークだけどすわぁんの後ろにつくのはドクロマーク。
 死への招待としか思えない。

 「美貴は亜弥ちゃんと相思相愛ですからあなたとお付き合いすることはできません」
 「そんな冷静に丁重にお断りしないでください」

 ツッコミとはガキさん腕を上げたな。
 
 「そんなすわぁん!じゃああの夜は?!あの夜はなんだったんですか?!」
 「たんどういうことぉ?!」
 「変な疑惑ぶっ掛けるなそこのお前」
 「遊びだったんですか?!私を弄んだんですか?!」


        ノノハヽ  
        川VvV)
       )))      (((     ドゴォォォ _  /
     / ,(((イ 、   )))     ―= ̄ `ヽ, _
    / / )))   ( 〈 ∵. ・(〈Д`∬∬ __ >  ゛ 、
   | !  (((  ー=- ̄ ̄=_、  (/ , ´ノ \
   | |   `iー__=―_ ;, / / /
    !、リ   =_二__ ̄_=;, / / ,'
        /  /       /  /|  |
       /  /       !、_/ /   〉
     / _/             |_/
     ヽ、_ヽ
90 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:10

 「そ……そんなためらいもなく……」
 「ないことないことほざくあんたに言われたくない」

 その豊満な腹を抑えて地面に平伏すヒポポタマスを一瞥すると、亜弥ちゃんに手を差し伸べる。

 「たん不潔……」
 「え?」
 「ひどい!!」

 走り去っていく亜弥ちゃん。

 「待って亜弥ちゃん!不潔って亜弥ちゃんに言われても全然説得力ないよ!」
 「トイレットペー」
 「貴様何をほざく気だ」

 倒れてる巨体を踏んづけると変な生き物の音が聞こえた。
 美貴、この数日で劇的に強くなれました。

 「あぁっ、もっと、もっと強くぅ」
 「ごめんトイレ行ってくる」
 「何しにいく気ですか!」

 一刻を争う事態になったから美貴は楽屋を抜けてすぐにトイレに向かった。
91 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:11

 一通り胃液を体から放出して開放感。まるで富士山盗聴の瞬間のような清清しさ。
 登ったことないけど。むしろ24時間テレビのこと思い出すけど。
 全部流し終えると、蓋を閉めた便座の上に腰をかけた。暫く戻りたくない。あんな暗黙空間には。
 考える人が地獄について考えているのだと言うのなら、紛れもなくあの楽屋のことについて考えてるはずだ。

 「藤本さん」

 ドア越しから声が聞こえた。

 「こんこん」
 「今度こそ完璧です」
 「こんこんの完璧という言葉の定義が美貴の中の完璧と大分ずれてることはもう充分に理解したから」
 「藤本、長い」

 それ昔美貴がヨモギダ(ryに言ったやつじゃんか!パクリは犯罪だぞ!
 捕まるぞ!記者会見して謹慎して事務所でお茶くみさせられたという風に事実組み替えて
 嘘涙の復活会見することになるんだぞ!あ、安倍さんは嫌いじゃないよ、別に。
 うん。断じて。なに?なんだよその疑いの目は!なんか文句あんのか!

 「ようは小川さんを」
 「うん」
 「リセットすればいいんです」
92 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:11

 リセット?
 そう言われて美貴の頭の中を浮かんだのは、
 いつもやってるファミコンのゲームで上上下下左右左右BA…ってそれコナミコマンドだから。

 「どういうこと?」
 「記憶を消してしまえばいいんです、藤本さんについて全部。
  そんでもって、強引に記憶を植えつけて元に戻す」
 「………人権擁護法」
 「あーあー聞こえません。藤本さんはそんなこと絶対に知りません」

 何気に美貴今否定された。

 「全部って、美貴を好きだったことだけを断片的に消すことはできないの?」
 「できなくもないですけど」
 「それでいいじゃん。てかそれがいい!!」
 「5年はかかりますね」
 「…………」

 5年……解散してそうだな、そんだけたったら。
93 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:12

 「で、その記憶を消す薬は?」
 「これです!」

 トイレを後にして楽屋の前の通路。こんこんが物凄く嬉しそうに差し出したのは、
 ………リップクリーム。

 「喧嘩売ってんの?」
 「リップクリームなら売ってます」
 「金とんのかよ」
 「いらないなら捨てますけど」
 「コン様ごめんなさいコン様。是非わたくしめにそのリップクリームを譲ってくださいまし」
 「3万9800円で」

 これまた微妙な金額だな、現在の芸能界における山崎邦正くらい微妙だよ。
 4万円支払うと、200円のおつりが、全部5円玉で帰ってきた。

 「……………」
 「コレクションです」

 畜生、ミラクル全開フルパワーが、ミラクル全(ryさえなければインド洋に沈めてるのに。
94 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:12

 楽屋に戻ると麻琴と亜弥ちゃんが女の醜い(醜いのは一方だけど)戦いを繰り広げ、
 田中ちゃんに好かれようと必死なさゆ、それを引っ張ろうとする亀ちゃん。
 ……なんなんだこのドロドロとした人間関係は。見たくないぞこんな世界。

 「たんは私のものだもん!」
 「いくら松浦さんでも渡しませんよ!」
 「どうして麻琴さんはかなわない夢を見るんですか!れいなはここにいるのに!」
 「れいな〜、れいな〜、一緒に焼肉食べに行こう〜」
 「さゆ!さゆはだめ!さゆは絵里とショッピング行く約束したでしょ!」

 なんていうか、

           お 前 ら 必 死 だ な 

 でもそんな中

    |:::::::::::::::::::::::
    |:::::::::::::::::::::::::
    |:::::::::::::::::::::::::::
    ノノハヽo∈:::::::::
   O^ソ⌒とヽ ::::::::::::::::::
   (_(_ノ、_ソ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  /. ::     
/    

 こんなの見てしまうと物凄い後味悪いんですけど。
95 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:13

 恐る恐る女の戦いに割って入ろうとする。
 勇気を出せ美貴。ファイトだ美貴。でもよくよく考えたら争いの原因って美貴なんだよな。
 嗚呼、二人とも美貴のために争わないで……うわ美貴きしょっ。
 梨華ちゃんを超えるくらいきしょっ。

 「二人とも」
 「たん!」「すわぁん!」

 同時に反応も、水と油は決して交じり合わない。濁った響きが耳について、
 振り向く瞬間に揺れた麻琴の脂肪にムカついた。
 でも、今回の用件は本当に困ったことに、このやるせない怒りの対象が対象。

 「麻琴」
 「はい!!」
 「仕事終わったらどっか行こっか」

 はきそうになりながら搾り出した一言、でも直後、

 「たん…………嘘でしょ?」
 「ち、違うんだよ亜弥ちゃん!これには深いわけが」
 「藤本さん必死ですね」

 くそ、ミラクル(ryさえなければ!
96 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:13
 
97 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:14

 二人で街中を歩き、段々と人気の少ない公園に連れて行く。話はそれから。
 それでなくとも美貴のプライドが色々許さないこと多すぎるのに。屈辱だ。
 フュージョンしてくれと頼まれたべジータの気分だ。

 「とりあえずここ座ってて、飲み物買ってくる」
 「はい美貴すわぁん」
 「すわぁんをこれ以上言ったら殺す」

 言い残してジュースを買いに向かう。これが一番楽な方法なはず。
 自販機の前に立つと、

 「無理ですよ」
 「うわ!!」

 後ろから突如顔を出したのはこんこん。怖。怖いから。目がやばいって。

 「間接じゃダメなんです。藤本さんの唾液があってはじめてこの薬は完成します」
 「表現が生々しい」
 「ま、せいぜい頑張ってください」

 あ、今すごい殺意が芽生え……消えた。
 お願いだからそのスプレー構えないで。

 ジュースを両手に、麻琴の元へゆっくりと向かう。
 その間麻琴はベンチにも座らずにただ、
98 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:14

        〆〃ハハハハ
        ∬∬ ´ ▽ `) ホゲー
        (        )
        |   |  |
        (___)__)

 やべぇ殺してぇ。
 ていうか美貴こんなのに唇奪わなきゃならないのか。
 代償はちょっとした飛行機事故に値するよきっと。

 「ほら」
 「あざーす!」
 「芸人かよ!」
 「痛い!痛いですよ、美貴たん!」

 |            |        |
  ‖   |     | ‖    |   ‖      |
      ‖ |   ‖      ‖    |     ‖
         ‖   ,, -''´ ̄`''´ ̄⌒`ヽ ‖ |
       |   /         、   \  ‖
    |  ‖  /   ノ 〉      |ヽ   ヽ、 ___    |
    ‖   ,ノ   / ノ       |  \  !uリノ   ‖
  ┌ --―'⌒´ ,ノ |_/       ,l   メ、 ` ー-- ,, __
   〉 i   _ ,,イ  l__           |  ノ  ,ヽ、_.   ,' i
   !_/ノ ̄  !煤i △、)SS〃ノ从ヾヽ !/ ,/     ̄ヽ ,! |
          ヽ、 . ⌒( V v V 从⌒ ノ           `ー'
             〈ヽ、ヽ        /´〉
        |  ヽ、ヽ       ノ / |        
 ‖     / `''ー 、_,,f,        ,,''´/'⌒.i ‖
  __   / ,, i ,              i  ,|
 〈 `ー''   _ノ   `'' 、_          |  ,--、 >
  .ヽ、 _/   <  `''ー '' `ー--'' ´ | /'''7 >
    `'''      7 ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ / ∨_,ノ
99 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:15

 「な……なぜそこまで惜しげもなく1レスにAAを2つも……」
 「次また美貴たんなんて呼んだらこの世にいられないと思え」

 地面の上で大の字になって痙攣する巨体を眺めながらジュースを飲み干す。
 キスすれば終わり。でもそう思えばそう思うほど、体が震える。
 緊張ではない。緊張だとしたら美貴はいよいよやばい。
 冗談でキスするのは別にいい。さゆとしたことだってあるし亜弥ちゃんとしたことだってある。
 でも麻琴。よりによって麻琴。
 麻琴と亜弥ちゃんを天秤にかけたらかけるまでもなく亜弥ちゃんだし、
 物理的には麻琴だけど、もう色々あり得ない。

 「美貴さん」
 「…………」
 「美貴さん」
 「…………」
 「もう、美貴さんってば〜」
 「なんだよ!」
 「ふふっ、呼んでみただけ」

 やべぇ、斬り捨ててぇ。斬り捨ててカスピ海の真ん中らへんに沈めてぇ。
100 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:15

 二人で暫くぴりぴりとしたムードを若干漂わせつつひたすら会話。世間話。
 キスするタイミングなんて掴めない。当たり前だ。
 冗談っぽくキスする間柄では間違いなくないぞ、向こうが望んでいても。

 「麻琴」
 「はい!」
 「…………………………」
 「?」

 言えない。てか、言えるわけないでしょ。できるわけないでしょ。無理。
 マジ無理だから。唇が汚れちゃうから。汚れた舌だから。

 麻琴は気になったのか、じーーーーーっと美貴のことを凝視する。
 そんなに見るな、いらいらしてくる。理性がぶっ飛びそう。
 そんでもって記者会見開いて「むしゃくしゃしてやった。デブなら誰でも良かった。今はダイエットしている」
 なんて言うんだよ。

 「麻琴」
 「はい!」
 「……………ちょい待って」
101 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:16

 ふーっと溜息。落ち着け藤本美貴。気は確かか藤本美貴。
 リップクリームを塗って、キスをしたら、麻琴の中から美貴は完全に消え去ってくれるんだぞ。
 …………ちょっと待て、完全に?今まで一緒に仕事したこととか、そういうのもひっくるめて、全部?

 なんだか突然悲しい気持ちになる。寂しい気持ちに襲われる。なんだそれ。
 今の状況よりある意味辛いかもしれない。


   ☆ チン     マチクタビレター
  ☆ チン  〃∋oノハヽ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ヽ ___\川o・-・)<   キスまだですか〜??
      \_/⊂ ⊂ _)  \_________
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄./|
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
   |           |/
     ☆ チン     マチクタビレター

 「こんこんお前どっから」
 「ミラクル―」
 「ごめんなさい」

 なんだこの条件反射。美貴はパブロフの猫か?あれ、犬だっけ。どっちでもいいや。
 麻琴もこんこんの突然の登場に驚……くと思ってたら、

 「へっ?キス?」
 「まこっちゃんこれから藤本さんがキスを強要するからしっかり受け止めてあげるんだよ」
 「ええ?!……(赤面)」

 なんだよ(赤面)って!頬赤らめるな!
102 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:17

 もう一度シリアスモードに戻ってよく考えるんだ美貴。
 このまま麻琴に好かれ続けて毎日吐き気を催す生活と、完全に美貴のことを忘れられて
 「あの人誰」顔される生活。どっちが辛い?0か100の選択。

 もう唇に引いたから、あとはキスするだけ。
 それだけでこの苦しみから解放されるのに……どうして胸が痛んでるんだ?
 美貴は。天と地がひっくり返っても麻琴が好きになったわけないけれど、何故か苦しかった。

 「美貴さん」
 「狽、っ」

 迫り来る恐怖。まるでジョーズ。或いはそれよりもタチの悪い代物。
 キスしたくない、どっちに転んでもキスしたくない。それだけは言える。
 あとは0か100か、もしくは……。

 「ストップ!」
 「え?!」
 「あ!あれはなんだ!!」
 「え、なんですか?」

 プシューーーッ。
103 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:17

 まるでウルトラマンの怪獣が倒れるような音を立てて、大魔神は眠りに落ちる。
 こんこんの四次元ポケットから拝借した催涙スプレー効果抜群。
 こんこんは慌てて飛び出てきた。

 「なにしてるんですか!」
 「こんこん、一つ相談がある」
 「はい?」

 耳元で囁くと、こんこんは不思議そうな顔をした後、満面の笑みで、

 「遂に身を固める決心がついたんですね」
 「ま、まあそんな感じ?」

 こんこんはすぐにそれを差し出して美貴に手渡してくれた。

 「サンキュ、こんこん、今何時?」
 「えーっと8時!?……おなか空いた。ごめんなさい、私行きます!」

 食欲に負けたマッドサイエンティストは猛スピードで美貴の元を離れていく。
 美貴は麻琴をたたき起こすと、

 「キスしてやる」
 「え?!……(赤面)」
 「だからキモい。ただし、条件がある」
 「……条件?」
104 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:17
 
105 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:18

 翌日、楽屋に入るとまだ麻琴の姿は無かった。
 美貴は緩む頬を締めないままによっちゃんに近づく。

 「どしたのミキティ。麻琴とできちゃった?」
 「世界がゴキブリだけの世界になってもあり得ないから。よっちゃん」
 「何?」
 「唇乾いてるよ」
 「あ、マジだ」
 「これ」
 「サンキュー」

 よっちゃんはなんの疑いもなくリップを引き、美貴ももう一つのクリームを塗る。
 あとは時間が来るのを、

 ガチャッ

 時間は意外と早く訪れた。
 麻琴は「おはようございます!」と元気よく楽屋に入ってくるとすぐに、

 「吉澤すわぁん!!!」
 「なんで?!」

 美貴は笑いが止まらなかった。
106 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:18

                 ◇

 「……条件?」
 「そう。よっちゃんとキスしたらいいよ」
 「吉澤さん?そしたらその後キスしてくれるんですか!?」
 「勿論」
 「うわー、じゃあ愛を込めて二人にキスします!」
 「ほとほどにね、死ぬから」

                 ◇
107 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:19

 そして襲われるよっちゃん。まるで通り魔の被害に遭ったみたいに絶叫している。
 必死に抵抗しているけれど力及ばず、圧倒的なパワーでよっちゃんは押しつぶされた。

 「やめろー!!!」
 「悪く思わないでください!これも私と美貴さんの愛のためなんです!」
 「愛のパワーって怖いね!」
 「梨華ちゃん、血って、何色だっけ?」
 「(T▽T)」

 順調にマウントポジションをとった麻琴。
 あとは顔を近づけるだけ、麻琴はするりするりとよっちゃんの手をかわすと、
 あっという間に口づ……ディープ!!かなりディープ!!
 よっちゃん泣いてる!男泣き!!はじめて見たよよっちゃんが泣くの!!
 でも何はともあれ、美貴は自由の身だ。
 あとは好きなだけ亜弥ちゃんとラブラブし放題だな。なんたって相思相愛。
 それは薬の力を借りなくても宇宙の真理。

 麻琴は起き上がる。
 よっちゃんに渡したリップはこんこんから貰った、好きになるリップ。
 記憶が完全に消えてしまうとは逆に、その人なしでは生きられなくなるリップ。
 なんておぞましいもんを作るんだろう。
 ていうか、道具で涙♪止まらないわ♪ってセンター取ったんだろ?ええ?

 麻琴はフラフラと美貴に近づいてきた。え?なんか用?
108 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:20

    +        +
     へ    へ     +
    //',',\ /,⊂⊃ヽ        
 _//〃',〃ヽノハハヽ + 
  ゝ'〃',〃.,/';"∬∬´▽`) ・Φ゚ ゚ .。.:*・゜Φ
  ´〃///〃 と    ,つ/    
         / / /    +  
 +       し' し'  +

 「美貴すわぁん!!」
 「嘘―――――!!!」

 大魔王だ、6年遅れで恐怖の大魔王が光臨した!世界は終わりだ!!
 ていうかリップ逆だったとか、もしかしてそんなオチ?!

 「We need kiss forever and ever♪」
 「歌うなー!!!永遠にキスなぞせんわぁ!!」

 逃げて、逃げて、逃げた。逃げないと命はない。美貴の人生は終わりだ。
 もはや8割方終わりも同然な気がするけど。よっちゃんはもう精神的に9割逝っちゃったからまだマシだよね。

 楽屋を飛び出し、とにかくできる限りのスピードで廊下を駆け抜ける。
 こんなときに限ってF1に変わる大魔王は超スピードで迫りきた。
 アテネ五輪の時のヌデレバ。襲い掛かる暗黒大陸。

 「闇に呑まれてたまるかー!!」

 すれ違ったスタッフさんに白い目で見られたけど、じゃあお前これ体験してみろよ。
 上には上がいるって分かるから。

 いつまで逃げてても埒が明かない。とりあえず適当にドアノブを掴むと、一気にまわした。
109 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:20
               
     デケデケ
       ドコドコ
   ☆     ドムドム
        ☆   ダダダダ!
  ドシャーン!  ヽ     C⌒ヽ デヘデヘデヘデヘーッ     ♪
         =≡= ⊂二二⊃    ☆
      ♪   / 〃( ;` Д ´)  / シャンシャン
    ♪   〆  ┌\と\と.ヾ∈≡∋ゞ
         ||  γ ⌒ヽヽコ ノ  ||
         || ΣΣ  .|:::|∪〓  ||   ♪
        ./|\人 _.ノノ _||_. /|\

 「まだいたの!?」
 「まことを超えたぽ!!」
 「早、早いから!」

 ていうか挫折から一気に伸び盛ってラブマのときより輝いてるじゃんか、ごっちん。

 「美貴すわぁん!!」
 「うわぁぁぁ!!!」

 あっという間に押しつぶされる美貴。キスした瞬間、ジ・エンド。

 「愛してるぜベイベェ!」
 「誰だよ!」
 「その証拠に、各タイトルの名前を見てください!」
 「はっ?」
110 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:21

1.お前かよっ
2.頑張れないから
3.分からない
4.マトリックス
5.この野郎
6.止まらない

お頑分マこ止→おがわまこと→小川麻琴

 「ね?」
 「ね?じゃねぇー!!!!だからどうした。
  そんな思いつきはどうでもいいんだよ。そんなオチもいらないから!とにかく離せ−!」
 「今度はドラムでライブツアーやるぽ!ミキティ二人で観に」
 「行かないから!勝手にやってろ!」

 もうやだ、こんな日常。
111 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:21
 
112 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:21
 
113 名前:6.止まらない 投稿日:2005/04/20(水) 03:21
おわれ
114 名前:おって 投稿日:2005/04/20(水) 03:23

 このスレは考えるんじゃない、感じるんだ!
 2000%自己満足でお送りしました。スモコンは一応これでおしまいです。
 笑うだけ笑って、「あー、何の話だったっけ?」となれば理想形です。

 >>83 ろむさま
    はじめまして、ありがとうございます。
    ネタパワーですか、作者の脳内がこんな愉快なことになっているせいかもしれません。
115 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/20(水) 05:05
 初めて見ましたが、笑った笑った笑った♪
おって様、多大な笑いをありがとう!
116 名前:konkon 投稿日:2005/04/21(木) 01:23
あ〜、腹抱えて笑った笑った・・・。
超おもろかったっす!
次回作期待して待ってます♪
117 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/24(日) 16:58
前にも美貴まこ関係のものを書いていた作者さんですか?めっさおもろかったですw
118 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/08(土) 16:45
個々の価値殻〜がDAT落ちしたので羊に美貴介新スレ立てておきました。
119 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:05
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。

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