ショコラ
- 1 名前:のら 投稿日:2005/03/10(木) 11:54
- 吉澤さん主役の短編を書いていきたいと思います。
こちらは初めてなので何か不明な点がありましたらどんどんおっしゃって下さい。
とんでもない駄文ですが一人でも読んでいただけたら光栄です。
とりあえず最初はいしよしで。
- 2 名前:スノースマイル 投稿日:2005/03/10(木) 11:56
-
+++++
冬が寒くってほんとによかった。
君の冷えた左手を、うちの右ポケットにお招きするためのこの上ないほどの理由になるから…
さり気なく君の手を取って、そのままうちのポケットの中で繋ぐ。
君はちょっとびっくりした顔でうちを見ると、すぐ笑顔になってギュって握り返してくれた。
ホントは君の体ごとすっぽり包んであげたいんだけどね…
「寒いねー」
「うん。めっちゃ寒い」
梨華ちゃんはふと空を見上げると、
「雪が降ればいいのにね」
と呟いた。
「そんなうまくはいかないよー」
と、うちが笑うと、
「もう、よっすぃには夢がないんだからっ」
って怒らせてしまったので、ここは素直に「ごめんなさい」と謝った。
だって今日はクリスマスだから、そんな些細なことでケンカなんかしたくないじゃん
- 3 名前:スノースマイル 投稿日:2005/03/10(木) 11:56
- 「これからどうする?梨華ちゃん」
と聞くと、「よっすぃは?」と逆に聞き返されてしまったので「ん〜〜…」と少し考えてから、
「どっか温かいトコに行きたいなッ」
すると、梨華ちゃんはなぜかじと〜っとうちのことを見つめてきた。
「…なんか、よっすぃが言うとやらしい…」
「そ、そんなこと…!」
ないよ、とは言えないのが悲しいところ。
だってその通りなんだもん。
でもあからさまに出しちゃカッコ悪いじゃん?だからここはグッとこらえて…
「じゃあ、うち来る?」
「うんッ!」
あ、しまった…うちは待ってましたとばかりの満面の笑み。
これじゃバレバレだよ…カッコ悪……
いつもこうだ。いくらかっこよく振舞おうとしても、梨華ちゃんの前だとなんでかカッコ悪いうち。情けないうち。
「よっすぃ、可愛い」
そう言って梨華ちゃんは笑った。
梨華ちゃんの笑顔が見れるなら、それでもいっか。
ポケットの中の手を確認し合い、うちらは恋人達であふれる町にゆっくりと溶けていく。
今夜だけは、普通の恋人同士のように…
ねぇ、梨華ちゃん
君に会えてホントによかった。
ずっとずっとうちの側に居てくれる?
ずっとずっと君を好きでいていい?
これから何度同じ季節が巡っても、うちのこの右ポケットにしまった思い出は、ずっとずっとしまったまま歩いていくよ。
例え、別々の道を歩いていくとしても…
【End】
- 4 名前:のら 投稿日:2005/03/10(木) 11:59
- 以上です。時期外れですみませんww
こんなカンジで、次はちょっと長いものを書きます。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/10(木) 15:09
- 面白かったでふ
次回も楽しみにしてまふ
- 6 名前:プリン 投稿日:2005/03/10(木) 18:15
- 更新お疲れ様です。
時期外れでも作品はすごくイカッタですw
次回の更新も待ってます〜♪
- 7 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/10(木) 21:39
-
目を覚ますと、ひとみは広いベッドの上だった。
見覚えのない天井
見慣れない風景
−自分は夢を見ているのだろうか?
そう思いながら体を起こすと、
ジャラッ
「??」
ふと、足音になにか違和感を感じた。
(なんだろう?)
首を傾げながらシーツをめくってみたひとみは、その光景に驚愕した
「なっ…!?」
それは鋼鉄の足枷だった。
その枷には鎖が付いていて、ひとみの足とベッドを繋いでいた。
わけがが分からないまま、足元を凝視する。
「な、んだよ…これ……」
ただその光景にボー然とするひとみ。
カチャッ
ふいに部屋のドアが開いた。
(だ、誰!?)
警戒心をこめて入り口に視線を送る。
入ってきたのは女性だった。
明るいブラウンの肩まで伸びた綺麗な髪。
色は白く、整った顔立ちで、年齢はひとみより上の、
おそらく20代後半といったところか?
「やっと目ぇ覚めたか。」
(!?)
女性の声で、微かな記憶がよみがえる……
- 8 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/10(木) 21:40
-
+++++
その夜、ひとみはいつものようにクラブにいた。
「お〜〜っす」
「お〜ひとみぃ、聞いたよ?あんた進級できたんだってー?」
「まぁね」
「まぁじ!?あんだけ好き勝手やっててよく進級できたな??」
「ったく、ほっとけよ」
名前しか知らない仲間との他愛のない会話。
ソレがひとみの日常。
別に、良くもないけど退屈はしない。
そんな感覚で毎日を生きていた。
- 9 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/10(木) 21:45
- ◇◇◇◇
「え?ひとみってまだそんなトシだったの!?見えね〜!」
「だよね〜、ココでもすっかりカオだし。」
「あ、でもあの子さぁ、けっこー家庭複雑って聞いたけど…ホントかなぁ?
そうは見えないけど……」
あたしの日常
昼間は出席が足りる程度に学校に行き、夜になると毎日のようにこーやって“活動”している。
家には週に1,2度帰るくらい。
母親は一人で会計事務所をやっていて、でも20歳くらいの頃にはどっかの社長の愛人をやっていて、
男を繋ぎとめる為にあたしを産んだ。
でも、その作戦は見事失敗に終わって小学校のときはソレが原因でいじめられたりもしたけど、
世間ではよくあるコトだ。
「なぁ、ちょっと話せえへん?」
夜のショータイムも終わり、クラブから出て一服していると、知らない女性が声をかけてきた。
綺麗な女性だった。
「ん?あぁ。いいけど…。」
「いつもおるん?」
「ん、まぁほぼね。」
そう言ってあたしは、ポケットからタバコを取り出し、ジッポで火をつけた。
女はその煙をしばらく見つめていると、ふと、こう言った。
「…なぁ、この後ひま?」
「……別にひまだけど」
「うち来ん?」
「……いいよ」
あたしは、吸いかけのタバコを足元で消すと、女に向かって言った。
あたしの中ではお決まりのセリフを。
「言っとくけど、うち高いよ。」
女は承知とばかりににっこりと微笑んだ。
それから、彼女に促されるままにマンションへ行った。
そして、
それから………??
なぜこんなに記憶が曖昧なのか……?
一体自分の身に何が起きたのか?
- 10 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/10(木) 21:56
- 以上、更新終了です。今回はアンリアルで。
ちなみに◇◇◇から下の部分はひとみ視点です。
5>名無飼育さん
初レスありがとうございます。リアルタイムで感想頂けると
すっごい嬉しいですね。これからも頑張ります。
6>プリンさん
レスありがとうございます。
更新は遅めですが、どうぞ暖かく見守ってやってください。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/10(木) 22:14
- 更新お疲れ様です。
全然駄文じゃありませんよー。
続き待ってますね。
- 12 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/10(木) 22:40
- 「おいっ!これは何のつもりだよ!?」
ひとみは女の目の前に鎖を突き出し叫んだ。
が、女はひとみの質問には答えずに、
「ええか。今からうちの言うことをよく聞くんや。今からこの部屋にお嬢様が来られる。
あんたはその方の言う通りにしてるんやで。」
「はっ!?」
ひとみは女の言葉が理解できなかった。
(大丈夫か??こいつ?)
「余計な詮索はすんな。黙って言う通りにしてれば命まではとらん。」
「…おい、あんた頭だいじょう…」
コンコン
その時、ふいに部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「さ、おいでなすったわ…」
「だからっ、誰がだよ!?」
静かに部屋のドアが開らき、そこから現れたのは、ひとみと同じくらいの少女だった。
「……!?」
それは完璧と言っていいほど整った顔立ちに、肩まである美しい黒髪を持つ、美少女だった。
ひとみは思わず声を失うほどに、その少女に目を奪われていた。
しかし、次の瞬間その感情は一変することになる。
「真希ちゃん!起きたのね!!」
「???」
ひとみは一瞬ソレが自分に向けられていることに気付かなかった。
- 13 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/10(木) 22:42
- 「寂しかったでしょう?でも、お姉ちゃんが来たからもう安心よ。」
少女はそう言うと、ベッドの淵に腰掛け、ひとみの頭を優しく撫でた。
少女の冷たい手がひとみに触れた瞬間、ひとみは全身が総毛だってしまった。
(な、な、なんなんだ!??)
恐る恐る顔を上げると、まるで聖女のような優しい笑顔が返ってきた。
一瞬にして本能が悟る。
(く、狂ってるッ!!!!)
それから、少女はひとみを自分のひざの上に寝かせ、自分が持ってきていた本を読み始めた。
時折、本を読むのをやめて、ひとみの髪をなでたり、パジャマの襟をかき合わせたりした。
ひとみは、悲鳴を堪えるのに必死だった。
一通り本を読み終えると、少女はひとみに食事をさせた。
さっきの女が運んできた料理を、一口ずつ、文字通り少女が食べさせてくれるのだ。
青くなっているひとみを、女が冷静な目で監視している。
「さぁ、もう寝ましょうね?」
喉まで布団をかけると、少女は(お世辞にも上手いとはいえない)子守唄を歌いだした。
目を閉じて、必死に寝たふりをしながらどれくらいがたっただろう。
ようやく、少女達が出て行き、一人にされたひとみは起き上がって冷や汗をぬぐった。
(とんでもないことになった!!!)
- 14 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/10(木) 22:45
- 少女が出て行くとともに部屋の電気はすべて消されてしまったが、暗いところでもかなりモノが見える。
さして広くはないが立派な部屋だ。部屋にあるのは、ひとみが寝かされているこのベッドと、部屋の反対側においてある高級そうなグランドピアノ、それだけだった。
また、部屋には天窓があって、壁にも窓があるが、どれにも鉄格子がはまっていた。
たった一つのドアも二重扉になっていて、たとえ声をからして叫んでも外には決して聞こえないだろう。
そして、もう一度自分が繋がれている鎖に目をやる。
(道具さえあれば、こんな鎖一分もたたずに外せるのに……!!)
ひとみは歯がゆさのあまりに舌打ちをした。
(うちはあんなおかしな女の為にここに監禁されてるのか!?)
冷静になろうとしても、それは到底無理だった。
「冗談じゃない!!」
あの女が言ってた、言うとおりにとはこのことだったんだ。
(とにかく、どんな手を使ってもここから逃げる!この鎖と部屋の鍵は……あの侍女のような女が持っているらしいが……)
見た限りひとみよりは華奢な体つきだが、少女といる間中、ずっとちらつかせていたもの……
恐らく、あれは拳銃だった…
(それがある限り、あの女には逆らえない。それよりも、狙うとしたらあの少女だな……)
頭はおかしいが、彼女は常に優しく、凶暴性はないようだ。
理由は分からないが、ひとみのことを自分の妹だと思い込んでいるらしい。
(それなら、巧妙に持ちかけて鎖を外させることも出来るはず……鎖さえ外してしまえばこっちのものだ!)
その夜、ひとみは明日が待ち遠しいと思うあまりなかなか寝付くことが出来なかった。
- 15 名前:のら 投稿日:2005/03/10(木) 22:49
- 更新終了です。いちおう今日の更新はここまでで。
11>名無飼育さん
そう言って頂けると光栄です。
これからも頑張って更新していきます!
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/10(木) 22:54
- んっ?なんか読んだことあるぞ
- 17 名前:のら 投稿日:2005/03/11(金) 08:19
- >16名無飼育さん
実は以前自身のサイトで連載していた作品でして、
終わり方が中途半端だったので今回こちらに移してキチンと完結しようと…
すみませんww
- 18 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/11(金) 08:34
- ―翌朝
少女が再びこの部屋にやってきたとき、待ち焦がれていたひとみは、大人しく少女の膝枕に頭を乗せ、昨日の本の続きを聞いていた。
かなりの抵抗があったが、自発的に「お姉ちゃん」とも呼んでみせた。
逃げるためだもの。
案の定、少女は大喜びで、手を叩いてひとみの頬にキスまでした。
チャンス到来と思い、ひとみは、外で遊びたいから鎖を外して欲しいと言った。
その瞬間、少女の顔が大きく変わった。
すさまじいばかりの表情の変化に、ひとみは即座に、相手の狂気を甘く見ていたことを悟ったが、もう遅かった。
ヒステリックな甲高い声で、あの女を呼びつけた。
「お嬢様」
現れた女に、少女はきしるような声音で一気にまくし立てた。
「真希がまた外に出たいと言い出したの!早くこの子の足を切ってやって!!」
ひとみは自分の耳を疑った。
(―足を、切るだって………!?)
「じょ、冗談だろ…?」
「…ダメよダメ!外には絶対出さないわっ。貴女は私の可愛い妹なんだもの。
………さぁ早く準備して!!」
「で、でもお嬢様。あの手の手術はとても難しく、私でも出来るかどうか……」
どうやら、足の、アキレス腱だけを切断するつもりらしい。
- 19 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/11(金) 08:35
- 「早くっ早くっ!」
少女に急かされ、躊躇いながらも、女は黙って部屋を出て行くと
しばらくしないうちに、手術道具のようなものを持って戻ってきた。
ひとみの体中に恐怖が走った。
「あんたら正気か!??」
張り裂けるような目で、メスを見たひとみが絶叫する。
「お嬢様。手術します間は、部屋をお出になっていたほうが……?」
「いいえ。あなたが本当にするかどうか、ここで見ています。」
少女は強情に首を振った。
(足を切られる!?歩けなくなる!!)
「やだっ!離せッ!!」
怒鳴って暴れまくるひとみに、女は局部麻酔を打った。
あっという間に、両足が動かなくなる。
「悪く思わんといてや」
やや気の毒そうな声で呟きながら、女の手がひとみの足を掴んだ。
- 20 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/11(金) 08:36
- 「や、やだ!やめろーっ!!!」
「痛くないのよ、真希ちゃん。すぐ済むから……」
ひとみは死に物狂いで、少女のスカートを掴んでいた。
「こら、あんたっ。放さんか!」
驚いた女が思わず拳銃を取り出したが、足を切られる恐怖は、何にも変え難かった。
ひとみは完全にパニックに支配されていた。ただ、少女に縋り付いて泣き喚いた。
少女は視線を逸らしたままで、
「ダメ……ダメなの。だって真希は、そのままだとすぐ外に出たがるんだもの」
「約束するから、もう二度と言わない!」
少女はただ首を振り、それから少しため息をついて、
「……治ったら、お姉ちゃんが何でもしてあげる。そうだ、家には車椅子があるの。それでお外にも出られ るわ。ね、だから…」
「嫌だ!嫌だッ!嫌だぁッ!!」
その様子は、まるで哀願する小さい子供のようだった。
だが、結果としては、それが良かったのだろうか。
「ほら、もうあきらめぇ…」
女の手が力ずくで、少女から引き離した。
もう一度メスを持ち直した手を見て、逃げ場を無くしたひとみが悲鳴をあげる。
その時、頭の上で弱々しい声が呟いた。
「もういいわ。」
「よ、よろしいんですか、お嬢様?」
少女は一度だけ頷いた。
その瞬間、こともあろうかひとみは安堵のあまりに気絶してしまったのだった。
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/12(土) 00:31
- ひぃぃぃおっ恐ろしい
でも続きがきになるー
- 22 名前:ひすい 投稿日:2005/03/15(火) 12:24
- うわっ!強烈な作品がΣ( ̄□ ̄;)
続きが気になります。作者様頑張ってください!ファイッ!
- 23 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/21(月) 22:22
- 一気に読まさせて頂きました。 えぇっ!?なんかかなりすごい作品がっっ。 か、かなり怖めですが・・次回更新待ってます。
- 24 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/21(月) 23:08
- それから数日が過ぎた。
ひとみがこの家に連れて来られてから、およそ一週間あまり………
監禁生活は続いていた。
あの恐怖の日の翌日、前の日と変わらない笑顔で部屋にやってきて、本の続きを読み始めた少女。
(昨日のことは覚えていないんだろうか??)
そんなことを考えながら、じっと少女を見つめる。
そんなひとみの視線に気付いた少女は、ひとみに優しく微笑んだ。
『また外へ出たいと言い出したの!』
―この部屋の造り、この足かせ
コレがあたしのために初めて作られたモノのはずがない。前にもこの部屋に閉じ込められていた人間がいたんだ。
そして……
今までの連中は何らかの形で処分されたに違いない。自分もこのままでは生きてここから出ることは出来ないだろう。
(あせるな、あきらめるな!!)
しばしひとみは、呪文のように言い聞かせていた。
- 25 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/03/21(月) 23:11
-
監禁されているひとみの日課は、ほぼ決まっていた。
朝、目が覚めるのが7時。天窓から朝日が入ってくるので分かる。
起きてすぐ、鎖の許す範囲の運動をする。体力の低下を少しでも防ぐためだ。運動に飽きた頃、朝食を運んでくるのは女の役目だった。
彼女はどうやら、この家の家事一切を引き受けているらしい。
風呂は、手に手錠をはめられ(もちろん、足かせはつけられたままで)、部屋についている浴室にお湯をためて、そこで済ます。
手錠をつけられたままの状態で、身体は何とか洗えたが、髪を洗うことは至難の業だった。
そこで、髪は二日に一回、女が洗ってくれることになった。
最初はかなりの抵抗があったが、両手の自由が利かないため仕方なく言うとおりにするしかなかった。
不本意であるとはいえ、自分の髪を洗ってくれる人間に敵意を持ち続けるのは難しいものがある。
ひとみでさえ、やや穏やかな気持ちになって、
あるときこう尋ねた。
「なぁ、あたしって今いくつになってんの?」
あの少女はひとみを、自分の妹だといっていた。
さらによく気をつけていると、少女は、ひとみを12,3歳くらいの病弱な少女であると思いたがっているらしかった。
「答えてよ。あたしは今いくつってことになってる?」
「13歳や。」
相手はあっさりと答えた。
(ふうん……13歳ね……)
ひとみはなおも首をひねった。
「分かんないな。だいたい13の子供がほしいんなら、きっかりその年齢の子供をどこかの小学校からでも掻っ攫ってくればいいじゃん?」
「………………」
女は沈黙を守り続けていた。ひとみは肩を竦めて、
「秘密にすることもないでしょう?どうせ、あんたらはもうあたしをココから出すつもりはないんだから。」
目と目が合ったので、ニヤリとしてみせた。
(ま、あたしも大人しくしてるつもりはないけど…)
ひとみの言葉を聞いて、女はふと顔を逸らし、窓の外へ目をやった。
そして、ぽつりと呟いた。
「真希様は……お嬢様の本当の妹やなかった。お嬢様は、この家の旦那様の再婚相手の連れ子やったんや
- 26 名前:のら 投稿日:2005/03/21(月) 23:26
- 少ないですが本日の更新終了です。。。
あんまり関係ないけど、昨日からの地震の影響でちょっとナイーブになってますww
>>21 :名無飼育さん
レスありがとうございます。
更新遅めなんですがどうぞお付き合いください
>>22 :ひすい さん
ありがとうございます。頑張って更新しますんで!
>>23 :通りすがりの者 さん
そんな一気に読んでいただけて光栄です。。
更新がんばります!
- 27 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/25(金) 21:41
- 更新お疲れさまです。 やっぱり何かあったんでしょうか? 次回更新待ってます。
- 28 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/13(水) 12:45
- 怯える吉澤大好きです!
はやく続き読みたいっす
- 29 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/13(水) 22:48
- アブノーマル系大好き
( ^▽^)<監禁大好き!
- 30 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/15(金) 12:46
- おもしろいです!更新まだですか?
- 31 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/04/16(土) 09:39
-
+++++++
真希の母親は、彼女が12の時に病気で他界した。そして、その一年後、父親は再婚。
その時、義母とともにやってきたのが、ひとつ年上のあの少女だったという。
「真希様は、新しくやって来た義母と姉を快く思ってなかった。むしろ、敵意すら持っとった。
とくにお嬢様には、絶対口をきこうともせんかった……」
真希はもともと体が弱く、ずっと部屋に閉じこもりっきりだった。
人と接することもなく、真希はますます自分の殻に閉じこもっていった。
それでも、少女は肉親に対するように、精一杯の愛情を注ぐように真希様に接していた。
「寝たきりの真希様のために本を読んで聞かせたり、歌を歌ったり……」
初めはそんな少女を邪険に扱っていた真希も、時がたつにつれて、頑なな心を少しずつ開き始めていった。
「思えば、あの頃が二人が一番幸せやった時や」
だが、そんな幸せも長くは続かなかった。
「その日は、真希様の気分が良くて、お嬢様が気分転換にドライブに行こうと言い出した。
旦那様は仕事やったから、真希様と奥様の3人で。真希様も大喜びで承知した。」
楽しいドライブの帰り道に、事件は起こった。
- 32 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/04/16(土) 09:42
-
3人を乗せた車が事故にあったのだ。
対向車線を走る車が暴走し、3人の車に突っ込んできた。
少女は奇跡的に軽い怪我で済んだが、母親と真希は―
「二人は即死やった…」
相手の運転手は飲酒運転だった。
「事故は明らかに相手側の責任やったのに、お嬢様はたったひとり生き残った自分を責めた。そして、事故を知った周りの人間までもお嬢様を責めたてた。」
「父親も?」
娘を溺愛していた父親は、誰よりも激しく非難した、
と、女は暗い声で答えた。
「お嬢様はとても耐えられんかった。それに追い討ちをかけるように旦那様がはき捨てるようにこう言った。
『お前だけが死ねばよかったんだ』て。………それで、お嬢様はすっかりダメになった。」
「……………」
それから、父親は発狂した少女をこの家の一室に閉じ込めた。そして数年後、父親は病に倒れあっけ亡くなり、
少女はこの家ごと打ち捨てられ、この女一人が身の回りの一切を世話するために残された。
時々、どちらかの親族から、人が様子を見にやって来るという。
「ただお嬢様が死ぬのを待っとんのや……」
はき捨てるように言う。
- 33 名前:のら 投稿日:2005/04/16(土) 09:48
- 更新が遅くなってすみませんでした。
とりあえず本日はここまででww
- 34 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/16(土) 10:59
- 更新お疲れ様です!おもしろいです!
作者さん頑張ってください
- 35 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/16(土) 11:12
- うううぅ〜続き気になる
- 36 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/16(土) 13:21
- ( ^▽^)<よったん監禁よ (^〜^0)人(´ Д `*)<梨華ちゃんにはワタサナイポ
- 37 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/16(土) 14:55
- なんか悲しいですね
中澤さんがカッケー
- 38 名前:ジョージ 投稿日:2005/04/16(土) 21:56
- (・∀・ )っイイ!
- 39 名前:通りすがりの喪の 投稿日:2005/04/17(日) 20:43
- ( ´ Д `)<更新まだぽ?
- 40 名前:ゴメス 投稿日:2005/04/18(月) 11:49
- 監禁萌えエエエエエエエ〜!
- 41 名前:13q 投稿日:2005/04/19(火) 15:41
- 楽しみに待ってます!
- 42 名前:M9(0´∀`) 投稿日:2005/04/21(木) 16:38
- 更新まだ〜あ?
- 43 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/04/22(金) 00:01
-
少女の狂気が確実となり、監視人が必要になったときに、選ばれてこの女がつけられた。
元来が監視役だったはずの彼女が、今では少女の手足となって獲物を探しているというのか?
「そうや。うちはお嬢様が望むことは何でもすると決めたんや。生け贄が必要なら何人でも連れて来ると…」
女の言葉によれば、少女は普段はまったく正常で、わずかにぼんやりしている程度だという。
彼女がついていればどういうこともない。
「せやけど、半年に一度くらい、発作が始まるんや。その間はとても手がつけられへん…
死んだ真希様の代わりになるもんを連れて来んとどうしても収まらんのや。あんたも、一度は見たやろ?」
思わずひとみが低く息をのむ。
「その…妹の代わりさえいれば……いいのか?」
「せや。それですっかり落ち着く」
「分からないな。その妹ってのは13歳だったんでしょ?」
この時、女は初めて疲れた…打ちのめされた様子で頭を抱え込んだ。
「うちにも、分からん。事件があったのは6年前やった。生きていれば、今年は19になってるはずや…」
狂気の考えなのだから、他人に分かるわけがないのだ。
だが、この女にはそれが辛いのだろう。
しかし奇妙な偶然か、ひとみは今年で19になるのだった。ひとみは思わず身震いをした。
ひとみはそれ以上何も聞かなかった。
女も、もう何も語ることはなかった。
しばらくすると、女は静かに部屋を出て行った。
- 44 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/04/22(金) 00:03
- 沢山のレスを頂き、ありがとうございます!
レス返しは後日必ず!
- 45 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/22(金) 12:15
- 更新お疲れ様です!
この中澤さん大好きです
- 46 名前:通りすがりのもの 投稿日:2005/04/22(金) 17:50
- 謎の娘は梨華ちゃんか!?
誰?
- 47 名前:ひすい 投稿日:2005/04/23(土) 10:38
- おぉぉ(つДT)更新おつです!
いいですね(*´∀`*)謎がとけていく〜。
よっすぃ〜どうする!どうなる!
期待して待っております。ゆっくり頑張ってくださいヽ(´▽`)ノ
- 48 名前:メゾピアノ 投稿日:2005/04/23(土) 13:06
- (0´〜`)<うぅぅぅぅぅ〜ぅ続き気になるぅ
- 49 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/23(土) 14:47
- ( ´ Д `)よしこに萌え
- 50 名前:名無し 投稿日:2005/04/23(土) 22:56
- エロ期待してます!
- 51 名前:名無飼育 投稿日:2005/04/24(日) 02:41
- ∬*´▽`)よしざぁーさんかわいいー
です
がんばってください
- 52 名前:M9(0´∀`) 投稿日:2005/04/24(日) 21:45
- 更新まだ?
- 53 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/04/25(月) 12:50
- MMよっちぃ〜いい感じ!
- 54 名前:名無し飼育 投稿日:2005/04/26(火) 10:25
- 続ききになる〜ぅ
はやくーーー読みたいです
- 55 名前:名無し飼育 投稿日:2005/04/28(木) 17:02
- 更新まってます!
- 56 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/05/01(日) 00:39
- 更新お疲れさまです。 悲しい過去を持ってたんですね。 ・・・でも、そんな事しても自分が虚しいだけです。次回更新待ってます。 >>30、34、53 自分の名前で投稿してる人、やめてくれませんか?紛らわしいので。他のに変えて下されば幸いです。
- 57 名前:名無し飼育 投稿日:2005/05/01(日) 16:40
- レベル低い
書かんでよい
- 58 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/05/01(日) 22:28
- また放置か・・・M9(0´∀`)
- 59 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/01(日) 22:56
-
- 60 名前:名無し飼育 投稿日:2005/05/14(土) 00:19
- ゆっくり待ってますよー
- 61 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/05/15(日) 23:35
- 更新まってま〜す
濡れます
- 62 名前:名無し飼育 投稿日:2005/05/19(木) 11:33
- ハアハアだわ萌え
- 63 名前:のら 投稿日:2005/05/23(月) 22:52
- 大変遅くなってしまいましたがレス返しを
>>45
レスありがとうございます。ここの中澤さん気に入ってもらえましたか^^
よかったです。
>>46
ん〜誰でしょう??それは後々…
>>47
ありがとうございます。なかなかレス返しできなくてすみませんでした。
これから少しずつ核心に迫っていきますので。
>>48
>>49
>>50
なかなか更新できなくてすみませんでした。
たぶん…エロは…ないと思いますWWすみません
- 64 名前:のら 投稿日:2005/05/23(月) 23:02
- >>51
よっすぃカワイイですか^^ありがとうございます。
頑張ります。
>>52
>>53
>>54
>>55
大変お待たせしてすみませんでした。
- 65 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/05/23(月) 23:25
-
横になったままで、ひとみはさっきの話をおさらいした。
何か役に立つ情報はなかっただろうか?
老人が、最初に少女を閉じ込めたというのはきっとこの部屋だったのだろう。窓の鉄格子はその時つけられたのだ。
あとは足かせをつけるだけ…バカ、そんな話はどうでもいい。舌打ちをした瞬間何かが閃いた。
13歳だって!?
(うちが13歳の頃は何をしていただろう??)
「ええと…スポーツ……サッカーとかバレー……」
いや、待てよ。とひとみは考え直した。「真希」は女の子だ(ひとみも一応は女の子なのだが…)。しかも体が弱いのにスポーツなんてできっこない。
体の弱い、その年齢の子供がやりそうな事といえば……、読書、手芸?そんなんじゃてんで話しにならない……ん、待てよ。模型なんてどうだろう?
確かに女の子はあまりやらないかもしれないが、別に模型が趣味の女の子がいたっておかしくはないんじゃないか?実際、ひとみもそうだったように。
くくく…と、ひとみは忍び笑いを漏らした。あの頃模型でごちゃごちゃになっていた自分の部屋を思い出したのだ。
(今考えると、あの頃うちは男の子がするような遊びばっかりしてたっけなぁ…)
「模型ね、こりゃいいや」
- 66 名前:ダンデライオン 投稿日:2005/05/23(月) 23:44
-
昼になって、いつものように少女が会いに来ると、ひとみは計画的に駄々をこね始めた。
なだめる手をわざと払いのけ、あやす声にも耳を貸さない。
「真希ちゃん…今日は何か機嫌が悪いの?」
「…退屈なんだ」
少女は慌てて、
「それじゃあ、お姉ちゃんが新しい本を読んであげる!」
急いでページを開くが、ひとみは不機嫌そうに横を向く。
「……もう、本は嫌いなの?」
唇を震わせて少女が尋ねる。まるで、何か大切な宝物をなくすのを恐れているようだ。
「ね、真希ちゃんお願いだから機嫌を直して?……お願いだから…」
少女の困惑が最高潮に達したところで、ひとみは我がままに、
「本なんかもう飽きたよ。飛行機が欲しいなッ」
…飛行機?目を見張っている少女にひとみはえらそうに頷く。
「飛行機だよ、お姉ちゃん。知らないの?模型のやつ。自分で作りたいんだ。
あれがないともう口も聞かない。食事だってしないよッ」
それまで恐る恐るひとみの顔を覗き込んでいた少女はハッとしたようだった。
「飛行機の模型……そうなのね!真希ちゃんは模型が好きだったのね!
そうよね、真希ちゃんは手先がとても器用だったものね!」
ふいに手をたたいて嬉しそうな声を上げた。
「どうして気づかなかったのかしら??ダメなお姉ちゃんね。分かったわッ。すぐに買ってきてあげるから!」
ひとみはそこで初めて笑顔を見せてやった。
「ありがとう、お姉ちゃん!出来たら、お姉ちゃんに一番に見せてあげるよ!」
- 67 名前:のら 投稿日:2005/05/23(月) 23:47
- 本日はここまでです。。散々お待たせした挙句、少ない更新ですみません。
- 68 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/05/24(火) 22:00
- 待ってました!更新お疲れ様です
はやく続き読みたいです
- 69 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/05/24(火) 22:24
- 更新お疲れさまです。 よっすぃーそう考えましたか。 そうですもんね、だって(ry 次回更新待ってます。
- 70 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/05/25(水) 11:33
- よ、よっすぃ〜あまり調子に乗らないほうが・・・
身の為だと思うです。。
- 71 名前:名無し飼育 投稿日:2005/06/02(木) 21:32
- ヤラレヨシザワに乾杯!
- 72 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/28(木) 13:54
- 待ってます。
- 73 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/17(水) 15:32
- 面白い!更新待ってます。
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