〜寝る前に読む短編集〜

1 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/15(火) 23:28
題名どおり、寝る前に読むといい夢が見れそうな短編を書けれたらいいなと思ってます

更新速度は遅いですが悪しからず…。
2 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/15(火) 23:29
まずはこちらをどうぞ

「も〜にんぐLOVE」


3 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/15(火) 23:30



           ん〜


4 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/15(火) 23:30
最初に目を覚ましたのは私のようだ

朝、今日は休みなのかなぁ・・・休みだったらいいのになぁ・・・
まだ寝ぼけ眼でそんなことを考える

近くでも寝息が聞こえるが、誰だろうと見回してみると
私の胸の中でちょこんと居座る少女一人
体を丸めてこちらを向き、両手を顔の前で曖昧に絡めている
5 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:31
ちょっと悪戯をしたくなったので頭を撫でてみる
悪戯には程遠い些細な悪戯だ

さらさらの長い髪の間から小さな耳がひょっこり顔を出している
それにふぅ、と息をかけてみる

その小さな少女は私の胸の中でもぞりと動いた
ちょっと可哀想だったかなぁ、なんて思っていると
上目遣いでこちらを覗き込んできた
6 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:32



「・・れーな・・・」


7 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:32
寝起きで少し喉がかれているのか小さな声で私の名を呼んできた

「もう少し寝ててもいいよ」
優しく微笑みながら囁くと小さな声で「うん」と発し、また眠りの世界へ・・・

私はというと、じっとその静寂の中に身を包まれながら朝を愉しんでいた
なぜ絵里がわたしと同じベッドで寝ているのか・・・昨日の事を思い返していた
8 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:33
          ▼

「ようこそ、れいな邸へ〜」
などと調子に乗りながら絵里を私の部屋へ招き入れた
明かりが付いていなかったので、まだ絵里かどうかさえ分からないが
そんなことはお構いなしだ
9 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:33
「んふふ〜れーなの匂いがする・・・」
こんなことを平気で言い出すもんだからどうしたものか
10 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:34
電気をつけて絵里を見遣る

「え、絵里、髪切ったん?」
「うへへ〜どう?かわいい?」
「う、うん、かわいい・・・よ」

突然のことに少し驚いたが絵里はこう話を持ちかけた

「これね見せるのれーなが初めてなんだよ」
とふにゃふにゃわらいながらどこか勝ち誇ったように話を進めた
11 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:35
私は彼女に近づきその短くなった髪に触れた
それからそっと抱き寄せた
12 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:35
「ねぇ、絵里」
「なぁに」
「大事にしてたんだよね?」
「何が?」
「その・・・髪・・」
          ▲
13 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:36
         ▽

昔絵里はこんなことを言っていた

14 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:36
自分の長いさらさらの髪を触りながら
「れーなこれねぇ、伸ばすのすっごい時間掛かったんだよ」
「へぇー綺麗な髪っちゃね」
「ありがとれーな」

         △
15 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:37
          ▼

「私があんな事言ったから?」
「ん?」

          ▲
16 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:37
         ▽

私は4,5日前絵里にこんなことを言った

17 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:38
絵里の家でふたり寄り添いながらテレビを見てたときだ
私の好きなアイドルが出てきた
「この人可愛いっちゃね〜」
唆すように言った
「むっ!」
っと可愛く怒りながら絵里はベッドに潜り込んでしまった
18 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:38
「あ、ごめんごめん絵里、今の嘘、嘘だからぁ、
れーなの一番は絵里だから、ね?だから出てきて」
頭だけ出して絵里はこー言った
「ほんと?」
「うん」
「ほんとにほんとに?」
「うんうん、そげんなこと聞かんでもわかっちょるやろ?」
そーやって言ってあげるとふにゃりと笑って「れーな大好き」なんて言いながら
私の首元に抱きついてきた

         △
19 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:38



・・・そう、この時のそのアイドルの髪型がショートカットだったのだ・・・


20 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:39
            ▼

「折角伸ばしてたのに、なんで?」
私は少なからず絵里を苦しませ哀しませた
しかし絵里は私を見据えたままふにゃふにゃと笑っていた
どのような気持ちで長年延ばし続けた大事な髪を切ったのだろうか
自惚れかも知れないが、もしその髪を私のために切ったなら、私は、私自身を許さない
そして絵里を許さない・・・
21 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:40
「なんばしょっと絵里!そげんなことして私が喜ぶと思うか?」
「え・・・」
「そげんなことして・・・そげんなこと・・・なんで絵里はそんなに優しいと?」
それだけ言い放ち私は俯き、合わす顔がなかった

ただ、絵里に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、自分を責めた
「なんでこんな私のためにそんなことができると・・・」
1つ2つと瞳から、透き通る雫が落ちて行く
このやりきれない思いをこの不甲斐なさをごまかすため
22 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:40
しかし絵里は私を胸元で抱きしめた
「れーな・・・私のこと、嫌い?」
そう、耳元でささやかれ鼓動が高鳴る
「好いとるよ、愛しとるよ、絵里・・・」
23 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:40
「なら、もっかい聞くよ?」
「うん・・・」
と言い放つと一度私から離れ距離を置き
足を後ろに回し、手を後頭部にあて、まるでモデルさんみたいなかっこでこう言った
「カワイイ?」
24 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:41

少しうつむき加減で絵里を見ていた私は、なんだか妙にはまっているその絵里をみて
噴出してしまった
25 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:41

「もう!れーな!」
あははは、と私は腹を抱えて笑っていると絵里はそっぽを向いてしまった
26 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:42
「あ、ごめん絵里」
と、言いながら絵里の前まで行くと
絵里は向き直り、静かに私を見つめてくる
その透き通るような目は私をとりこにした
27 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:42
「か、可愛いよ絵里、似合っとるよ」
その短くなった黒髪にそっと手を添えてみる
その心地よい感触、指どおりの良さにはいつも感激してしまう
それからどーしようもない衝動に駆られたが、どうすることもできずに絵里をただ見つめていると
絵里が静かにこう呟いた
28 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:42


「キス、してもいい?」

29 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:43

返答をせずに私は静かに口ずけた

短かったけど今までで一番綺麗なキスをした
30 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:44
「今日泊まってってもいい?」
突然絵里はこんなことをいいだした
もちろん答えはYES
「うん」
「んじゃー一緒に寝てもいい?」
「うん・・・」
「それじゃー・・」

「絵里の頼みごとなら何でも聞くっちゃ」
「れーな大好き、だからね今日は離さないで?」

再び抱きしめ耳元で囁いた、もう離さないよって

          ▲
31 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:44
           ∴


そっかそーだったっと心で囁く
私の胸で小さく蹲りすやすや眠るその少女を再び静かに抱きしめる

32 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:44



でも・・・その後は何したっけ・・・。


33 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:45
「れーな・・・今日も大好きだよ」
目を瞑ったままそんなことを言われた

もう起きてしまったみたいだ
だからちょっと聞いてみた
34 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:45
「ねぇ絵里ー、昨日あの後何したっけ?」

「へ?」
こちらを覗き込み少し考えた後、顔を真っ赤にし、また私の胸の中にもぐりこんだ
35 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:45


「れーなのばか」

36 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:46
私はなんだかよく分からず、うぅーと唸る

「・・・でも好き」

ま、いっか、絵里は変わらず私のことが好きみたいだし、私も絵里が大好きだし
37 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:46


ちょっと謎が残ったけど、こんな朝もいいかなぁ、なんて思った
38 名前:も〜にんぐLOVE 投稿日:2005/03/15(火) 23:47


end
39 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/15(火) 23:48
以上、「も〜にんぐLOVE」でした。

いい夢は見れそうですか?
40 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/16(水) 23:35
ええものすごくいい夢みれそうです!
41 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/17(木) 02:07
>>40 名無飼育さん
そうですか、それは良かったです^^
良い評価をしていただき非常に有難く思います

それでは次ですが、私どもファンにとっては耐え難い苦痛の疑惑が渦巻いているM氏のCPです
少しシリアスで、いい夢は見れそうにないですが(ぉぃ
そこのところはよろしくお願いしますペコペコ
42 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:07



Lost Angel...
43 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:08


     「会いたい」


44 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:09

ただ・・・それだけ・・・・・・・・
寂しいの、もう、一人は嫌なの

45 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:09


雨が降っていた
気がつくと彼女の家の前にいた


46 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:10


体は凍てつき
同時に心も凍りついていた気がする


47 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:10

その凍りついた心を、傷ついた心を癒すのは彼女だけ


48 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:11

「みきたん・・・みき・・たん・・・・・・・」

49 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:12
音として発せられたのかさえ分からないほど小さな声だった
雨にかき消されそうになりながらも必死に心で叫んだ

しかし、その体に雨は容赦なく降り続く
冷たい雨は冷酷な刃物と化し、彼女の体を傷つける
悲鳴を上げる身体

まるで、死を目前にした獣のように・・・
そして力なく横たわる
50 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:12


しんしんと降り続く冬の冷たい雨・・・・・・


51 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:13

彼女はこのあふれる思いを逃さないように雨に流されてしまわないように、小さくうずくまった

「みきたんっ・・・助け・・て・・・」
しかしその言葉はどす黒い雲に吸い込まれていく
何もかもを暗黒と化す宇宙のように・・・
52 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:13


限界を迎えたその体からはもう熱は感じられない


53 名前:Lost 投稿日:2005/03/17(木) 02:14
.
54 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:14
.
55 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:15
.
56 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:15


天使は暗雲を突き抜け、彼女の元へと舞い降りる

優しく頭を撫でた後、天使は彼女を包み込んだ

だが、その天使は罪を犯す


57 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:16
カタン
「亜弥ちゃん!」

声がしたほうへ目を向ける
開いているか閉じているか分からないほど
力ないその瞳は優しさをも感じさせる
58 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:17
そしてそこには私の大好きな
「・・・みき・・・たん」

心は温かい何かに満たされる

そのまま安心したのか、彼女はゆっくりと瞼を閉じた
59 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:17


暗闇に消えてゆく


60 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:18
.
61 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:18
.
62 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:18
.
63 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:19


罪を犯した天使はもう天空には、戻れない

そして天使は最後の願いを星に託す

64 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:19


何かを感じる、暖かい、暖かい何かを・・・


65 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:20


それは・・・心・・・


66 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:21
暖かくて哀しいものが私の肩を伝う

「嫌だよ・・・亜弥ちゃん・・・美貴が、守ってあげるから・・・
もう離さないから・・・だからおねがい・・・美貴を、美貴を一人にしないで・・・」

雨で冷え切った私を抱きかかえている

自分も同じぐらい冷えきっていると言うのに・・・
67 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:22

「みき・・たん・・」
耳元でささやく


「亜弥ちゃん」
あふれる思いが涙となり、言葉となる

68 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:22

そしてその思いは彼女の元へ

69 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:23

「あったかいよ・・・みきたん、みきたんを感じるよ、もう、寂しくないよ」

70 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:23

ベッドの上で抱きしめあう
お互いの心を暖めながら

「亜弥・・・ちゃん」
「みきたん、もう泣かないで・・・」
「亜弥ちゃん、ごめんね、ずっと、一人だったんだよね、でも・・・もう大丈夫だよ
これから、絶対寂しい思いなんてさせないから・・・」

71 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:24

その優しい言葉に彼女は再び・・・涙した

72 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:24

そして互いに抱きしめあいながら深い眠りに付く

73 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:25
先ほどの雨はすっかり上がり雲もどこかへ行ってしまった



・・・天使の願いは届いたのだろうか・・・



空には美しい、まばゆいほどの星が一面に広がっている
この夜空の下、二人は眠る

彼女達の見る夢の世界にもこの夜空が存在していることを、願おう・・・
74 名前:Lost Angel 投稿日:2005/03/17(木) 02:25




end...
75 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/17(木) 02:27
以上、「Lost Angel」でした。

いい夢は見れそうですか?
76 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/18(金) 22:07
どうもねこじゃらしです。いい夢はご覧になられたでしょうか?
できれば感想ほしいです(文句言うな!(ハ、ハイ・・・トボトボ

ということで見ておられる方が居ると信じて次参ります^^
77 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:08
「はい、さようならー」
やる気の無さが伺える

学校の先生というものはいったい何を考えているのだろか
生徒もそんなに変わらないけど・・・
78 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:09
今日は珍しく5時限目で授業が終わった
なんでも、3年生のテストが7時限目まであるとか

そんなこんなでまだ2時である
79 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:09
別におなかが減ってるわけでもないし
どこかへ行かなきゃならないわけでもないし

「はぁー」

ひじ枕を付いて大きなため息をつく
80 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:09


・・・とりあえず待っとこーっと・・・


81 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:10
昼休みに買ったミルクティーがまだ半分以上残っていたので一口飲んでみる
あまーい味が口いっぱいに広がる

なんだかちょっと幸せ
82 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:10

そうこうしていると、いつの間にやらほかの生徒たちは教室から居なくなってしまった
83 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:10
どうやら、今教室に残されているのは私だけのようだ

先生は黒板をきれいにするのに夢中で私に気づいてないみたい
84 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:11
時折なびくカーテンの隙間からは澄み切った青空が見える
雲一つ無い初夏の陽気だ
85 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:11
「おっ、松浦、まだ居たのか?」
「うん、せんせー気づいてなかったの?」
「おぅ」
「先生鈍感だね」
「何〜、それより、帰らないのか?誰か待ってるのか?」
86 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:12
「あ、うんちょっとね・・・」
「分かったぞぉ、あいつだろ、あの・・」
「あ、言わないでください、恥ずかしいじゃないですかぁ」
「いいじゃないか、もう学校中に染み渡ってるんだし・・・」
「もう!!!」
「おっ、すまんすまん、んじゃわしはもう行くぞ、鍵頼んだぞ」
「はぁ〜い」
87 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:12


「ひとりになっちゃった」
早く来てくれないかなぁ・・・
88 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:12
太陽が南中したのだろうか
どんどん気温が上がっているみたいだ

「ん〜」

両手をぐぅーっと伸ばして背伸びをする
89 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:13
昨日あんま寝てないからちょっと寝よ
90 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:13
机に手を折りたたんでその上に頭を乗っける
ヒンヤリしているが、なぜか暖かい木のぬくもりが肘に伝わってきた
91 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:13
左に顔を向けると澄み切った青空が、
そして右に顔を向けると愛しいあの人が居る校舎が見える
92 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:14

「テストなんかほっといて早く来い、ばぁ〜か」

93 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:14
そうやって小さく呟いた、ささやかな抵抗。

にしても、自分は学校のテストにやきもちを焼いているのだろうか
恥ずかしくなったのでそのまま顔をうずめて目を瞑った
94 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:14
あったかいなぁ・・・春って大好き

ポカポカした陽気に包まれて亜弥は浅い眠りにつく
愛しいあの人を思いながら
95 名前:放課後 投稿日:2005/03/18(金) 22:15


今、白い鳩が一匹、大空へ舞い立った


96 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/18(金) 22:16
以上、「放課後」でした。(内容意味分からん(ヘ、ヘイ、スミマセヌ
;^^

いい夢は見れそうですか?
97 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/19(土) 13:41

昼下がりに読みましたがぽかぽかしてくるお話でした。
98 名前:AMA 投稿日:2005/03/21(月) 08:53
あやみきイイ!なんかあったかかったです!これからも応援してます♪
99 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/23(水) 02:04
ドーモねこじゃらしです、ご無沙汰しております^^
まずは皆様にお礼のレス返しを

>>97名無飼育さん様
ぽかぽかですか、方針としては心地よくなれる小説を
書こうと思っていますので、これからも応援お願いいたしますペコリ

>>98AMA様
イイですか、素直に嬉しいです。これからもがんばっていきますので
温かく見守っててください

私のような者に温かいお言葉を向けていただき本当にありがとうございます
これからも読者様の期待に沿えるようにがんばっていきますので
どうかよろしくお願いいたします
直、感想などは作者非常に嬉しいのでどんどんレスをなさってください
100 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/03/23(水) 02:06
それでは次に参ります(ナニゲニ100ゲトー(早く本題行け(ハ、ハイ
れなえりでございます

春の風、恋の如し...

101 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:07

なんか絵里を怒らせてしまった・・・

102 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:07
「えーりーごめんっていっちょるやないかー」
「れーななんかもう嫌いだもん」
くぐもった絵里の声は押入れの中から発せられている
103 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:07
「息できんくなるよ」
「いいもん」
とまぁ、さっきからこんな感じだ
104 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:08
ここは絵里の部屋。
さっぱりした感じの女の子らしい清楚な部屋だ

12畳ほどの間取りにベッド、机、テレビだけが置かれている
洋風なその部屋にはなぜか和風の押入れが存在していた
105 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:08

いつか聞いたことがある

106 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:08
『なんで絵里の部屋って押入れがあると?』
『んん〜?特別に作ってもらったんだよー』
『へー』

なんの特別なんだか知らないが絵里はそう言った
107 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:09
「れーなのばか、鈍ちん、分らず屋」
私をけなす言葉が並べられる
「もう知らん!」

立ち上がり、絵里のベッドの縁を背もたれに腰掛ける
「はぁ・・・」
何で怒らしたっけなぁ・・・なんて考えるがもうそんなものは忘れてしまった
108 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:09
見上げるとちょうど窓があった
南窓で晴れてる日は一日中太陽の光が入ってくるので、
電気代が浮くとか

小さな雲が通り過ぎたと思ったら、透き通るような青空が顔をのぞかせた
109 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:10
「絵里、今日はいい天気っちゃね」
「・・・」

「どっか遊び行こっか」
「・・・」

『今日は高気圧に覆われて気温がぐんぐん上がるでしょう』
その空は、毎朝恒例のお天気お姉さんの笑顔を思い出させる
予報どおり、まだまだ気温が上がりそうだ
110 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:10
よいしょと立ち上がり窓を開けてみる

春の風がすーっと絵里の部屋に入ってきた
なんだか妙に心地よく良い香りがした

・・・気持ちいいなぁ、絵里と一緒に公園でも行こうかな・・・
111 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:10
ふと、黙りこくった絵里が気になり、押入れに近づく・・・
そっと戸に耳を当て中を覗き聞く
112 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:11
すると、何か聞こえるが・・・声ではなく・・・
すぅーすぅーすぅー
という寝息だった
113 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:11
絵里らしいなと、ほころぶ顔を抑えながら
そっと戸を開け中を覗き見ると
絵里は横になり、ちょうど体育座りをする格好で寝ていた
114 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:11
「こんなところで寝ると風邪引くっちゃよ」
と言うが起きない

ふぅっとため息をつく
叩き起こすのもあれだから、ベッドに連れて行くことにした
115 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:12
お姫様抱っこの形で抱いてあげると絵里がうっすら目を開けた

「あ、起きちゃった?」
「ん・・・れーな・・・ごめんね・・・」
うつむき加減でこちらを覗き見ながらそんなことを言った
116 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:12
「もういいちゃそんなこと、忘れよ、ね?」
「うん」

というと絵里は再び目を閉じた
117 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:13
そのまま絵里をベッドに寝かせ、顔に掛かった絵里の髪を退けたやった
すると、もぞりと動いて、私のほうへ向き直り、ぼんやり目を開いた

「あぁ!もう絵里かわいい!もう!そんな目で見んといて」

耐え切れずこんなことを言ってしまうのは絵里の前だけ
118 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:13

「れーなえっちだ」

119 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:13
悪戯っ子の様な、恥ずかしがっている様なそんな顔をして彼女は言う
どうにかなりそうな自分をなだめる様に絵里のさらさらの髪を撫でてあげる
擽ったそうに身を潜め、お互いに見つめあいながら

「天気いいからさ、どっか行こう?」

どうやらさっきの私の問いかけは聞いてたみたいだ
120 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:14
「うん、そうっちゃね、暖かいからアイスでも買おっか?」
「うん!いいね!れーな大好き!」

そうやって私の首元に抱きついてきた
121 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:14


・・・春の匂いがした・・・


122 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:14
.
123 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:14
.
124 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:14
.
125 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:15

「れーなのもちょっと頂戴?」
「ん〜交換しよっか?」

126 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:15

笑い声とともに春の風がざわめいた
頭上には大きな桜が一つ、彼女達を羨ましそうに見つめ揺れていた

127 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:15

「おいしかったね」
「うん、また来ようね」

128 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:16

一人の肩の上にもう一人の少女の頭がちょこんと乗っかっている

129 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:17
ちょっと季節外れのアイスクリーム。
ヒンヤリしてて、ほのかに甘い

このアイスクリームよりも、もっと甘いオーラが2人を取り巻く
春もまた、彼女達の幸せを歓迎しているようだった
130 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:17


...春の風、恋の如し...


end
131 名前:春の風、恋の如し... 投稿日:2005/03/23(水) 02:19
以上、「春の風、恋の如し...」でした。

いい夢は見れそうですか?
132 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/25(金) 22:44
春眠、暁をおぼえず
れなえりの暖かさに気持ちよく眠れそうですw
133 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/04/04(月) 03:49
どーもねこじゃらしです(ペコリ
まずはレス返し。。。

>>132名無し飼育さん様
いやぁ、ありがとうございます、ほんっと嬉しいんですよw
また私の小説を読んでくださいましたら、レスを御願い致します

はい。では次に参ります。
あまーい?れなえり小説
「LOVE記念日」
どぞ
134 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:50
──あなたは珈琲に砂糖を入れますか?

・・・

そうですか、ミルクだけですか
でもたまにはたっぷり砂糖を入れて、甘い一時を過ごしてはどうでしょう?
そう、この二人のように・・・
135 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:50
「えーりー」
さっきから手を繋ぎっぱなしでなんだか恥ずかしい
ほんとのところ離してほしい・・・

「ねぇ、えりー、手離して」
「やだぁー」
136 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:51
季節はもう春…冬にお別れをして新しい季節をお迎えしなくちゃ

いつからだろう、朝起きて学校に行くとき鼻がツンとしなくなったのは・・・
いつからだろう、コートがクローゼットから出てこなくなってしまったのは・・・
137 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:51
季節というのにはそれぞれ匂いがある、私だけかもしれないけど
今まさにその「春」の匂いが私の頬を掠めた
ゆっくり味わうようにして肺に取り込み吐き出す

程よく心地よいその香りは言葉では表せず、
匂いでしか味わうことのできない不思議なものだった
138 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:52
ふと我に返る…。
絵里と一緒に下校してたんだ。

川岸に沿って隣接する公園
川に沿って作られているので、やたら横に長い

そこは人々にランニングロードとして愛用されている
今まさにそこを歩きながら絵里と帰路についているのだ
139 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:52
「れーな、れーな」
「なんね?」
「呼んだだけぇー」
140 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:52
はぁ・・・なんか最近絵里が私にべたべたへばり付いて来る
ちらっと横目で見るとなんかニヤニヤしてるし・・・

「ねぇ絵里、何がそんなに嬉しいと?」
と聞くと、うへへ〜っと笑いなんだか恥ずかしそうにもじもじする
141 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:53

まったくわけが分からない

142 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:53
「れーな胸ちっちゃいね」
唐突に、そんなこと言われ、少し怯む
「は、はぁ?!」
またうへへ〜っと笑いもじもじ

改めて絵里のと比較する
うぅ〜絵里のほうがおっきいかも・・・って!!!
143 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:53
そんな妙な感慨に浸り一人顔を赤くする私
その異変に気づいた絵里は私の顔を覗き込んでくる

「れーなえっちぃ〜」
とニヤニヤ・・・

はぁっとため息一つ

再び手を繋ぎなおし、帰り道を歩き出す
144 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:54
絵里の異変について考えを巡らす

テストでいい点数を取ったのか?最近テストは、ない
誕生日が近い?はずがない。絵里の誕生日はとうに過ぎている
友達が増えた?普段絵里は静かだ、小説を読んだり、窓をぼーっと眺めたり・・・
145 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:54
絵里にいったい何が

まさか絵里が壊れてしまったのでは???
146 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:54
「ねぇ絵里」
「ん〜?」
ニヤニヤしながら覗き込んでくるが
それを無視し前を向きながら話す

「なんかあった?」
「なぁ〜んもないよ」
さっきからこんな調子
もううんざりなので極限まで問い質す事にした

「絵里!」
わぁっと驚く絵里
「いいんしゃい!何があったと?」
「うぅ〜」
と言うが、今度は白状しそうだ
147 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:55

「れーな私のこと嫌い?」

148 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:55
何を言い出すかと思いきや
「はっ?」
「嫌いなの?」
「いや、嫌いじゃなかと、まぁどっちかって言うと好きだけど」
「むぅ」

なんだか不満そうな絵里
149 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:56
「その”どっちかって言うと”ってやつ退けてよ」
「えぇっ?」

「いや、嫌いじゃなかと、好きだけど」
そのまま反復するように言うと

「む!」
っと可愛く怒る絵里
150 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:56
「違うー!もっとさぁ、こう、特別な感じで言って?」
「はぁ?!」

「ねね、ほら早くぅ」
いったいどうしたというのか・・・
151 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:56
「え、絵里?」
なんだか改まりだした絵里
こちらに向き直り、恥ずかしそうに上目遣いでもじもじしている
とおりすがる人たちはニヤリと笑いそそくさと通り過ぎる

いったい何が起ころうとしているのだろうか・・・

もうなんか・・・絵里・・・どきどきするよーっってなんでだぁ?
152 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:57

「絵里んこと、す、す、好き・・・だよ」
「はい、絵里もれーなのこと好きです」

153 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:57
時すでに遅し、私はなんだかよく分からないうちに
絵里に”愛の告白”してしまった

当の本人、絵里は手を股にはさんで、これまでになくモジモジしている

突然私の顔を見たと思うと手で覆い隠し、
キャーっと叫びながら走り去る
154 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:58
「あ、え、絵里ー」
あわてて追いかける
155 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:58
「うわぁ!」
突然立ち止まり絵里にぶつかりかける
危ない危ないと安堵のため息を漏らしていると
絵里が私に抱きついてきた

「れーな、好きだよ」
156 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:58
きた、とうとうやってしまった・・・

わけも分からず絵里を抱きしめる
絵里に本気で好かれてしまったようだ・・・

はぁ・・・絵里、まいっか
157 名前:LOVE記念日 投稿日:2005/04/04(月) 03:59
──あらら、少し砂糖を入れすぎたようですね
量を加減しないと虫歯になってしまいますよ

ちなみに私は砂糖ではなくたっぷりの練乳を入れますが・・・ニヤリ
158 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/04/04(月) 04:00
以上、「LOVE記念日」でした。

いい夢は見れそうですか?

159 名前:名無し読者 投稿日:2005/04/07(木) 10:39
甘すぎなれなえりありがとうございます
いい夢見れそうです
160 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/04/11(月) 03:13
深夜です。眠いですw
でも張り切って更新します!

まずはレス返し
>>159 名無し読者 様
私のような未熟者をお褒め頂き、まことに有難う御座います
感謝の限りです、また再び読んで頂けたら幸いです

さ、次に参りましょう
次も、れなえりで、またちょとシリアスな感じで参ります(ペコペコ
「一夜限りの幸せ」
どぞ
161 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:14
楽屋・・・
「絵里、帰ろ」
「・・・」

うつむいたままの絵里は何も言わずそこに佇んでいた
どうしたのか聞こうと、立ち上がり絵里の肩に触れた
162 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:15
「え、絵里?」
「・・・れい・・・な・・・」

突然、絵里の肩に触れていた手を掴れ、こちらに振り向き私の名を囁いた
その目は驚くほどに潤っていて心を奪われた

「・・・大丈夫?」
163 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:15
絵里は私の心配をよそにこちらに向き直り本格的に私の顔を覗き込み始めた
それはまるで母親とはぐれ迷子になった子供のような、
失恋をして12月の雨に打たれ、立ち尽くす女性のような
心をナイフで切りつけられた天使のような

言葉では表せないその表情に私は微動だに出来なかった
164 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:15


───れーな…だよね?



165 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:16
その問いの意味が分からない
だが、直感的にそれを聞いてはならないと感じた

静かにうなずく
166 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:16


───そうたい、私は絵里の知るれーなっちゃ


167 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:16

すると静かに微笑み

168 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:17


───よかった


169 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:17
と彼女は静かに安堵のため息を漏らした

かさり、とヒスノイズがしたかと思うと、そっと私の頬に絵里の右手が触れた
途端、私の脳内にフラッシュバックが起き、目を瞑らずにはいられなくなった

刹那、私の唇に何かが触れた
170 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:17


───絵里、どうして?解からない・・・


171 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:18
,
172 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:18
.
173 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:18
.
174 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:19
ばさっ

飛び起きた、上半身だけ起き上がり周りを見渡す
ホテル?そうだ、今私達は地方のコンサートに来てるんだ
2人づつ部屋を分けられてるはず、隣で寝ているのは誰?
175 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:19

絵里・・・だった

176 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:19
こちらを向き、すやすやと寝息を立てて寝ている
手を顔の前で祈るように絡めていた

少し顔が歪んだかと思うとうっすらと目を開けこちらにまなざしを送った
177 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:20

「れーな?どうしたの?」

178 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:20
私は何も言えず、ただ見つめることしか出来なかった

そんな私を心配してか、絵里が体を起こして私のベッドのところまで来た
179 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:20

「れーな?怖い夢でも見たの?だったら私が一緒に寝てあげるから、そんな顔しないで・・・」

180 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:21
私の頬を両手で包み込みながらそう優しく声をかけてくれた

理由はわからない
涙があふれてきた
止め処もなく、あふれてきた
絵里の両手にもそっとその雫が覆った


「やだ、れーな、泣かないで、絵里が居るから、何も怖くないから」
181 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:21

そっと胸に抱き寄せられた

182 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:22

───絵里のこと・・・好き・・・

183 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:22
そのとき初めて声が出た
自発的に出したのではない、どういえばいいかわからない
あえて言うならば、心の私が発した言葉、だった

「えっ?」

「絵里が好き・・・っ」

そっと抱きしめていた絵里の手がぎゅっと強くなった

「・・・ありがと、れーな、私もね大好きだよ・・・ありがと・・・」
184 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:23
そこまで言うと絵里は静かに涙を流し始めた

抱きしめられていただけの私も絵里の背中に手を回し優しく抱きしめる
185 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:23

彼女の鼓動が聞こえた

186 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:23

切ない音で、泣いていた

187 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:23



───ずっとね、れーなの夢見てたんだよ
───れーなと遊びに行く夢とか
───海とか山とか野原に一緒に歩きに行く夢とか、旅行も行ったんだよ
188 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:24
涙ながら語るその様はまさに天使のよう
私はその天使が飛び立たぬように、その声を聞き逃さぬように
そっとぎゅっと抱きしめた
189 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:24

───だからね、今も夢見てるみたいなんだ・・・

190 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:25
最後の一言は悲哀に満ちていた

───何で今まで気付かんかったかわからん、でも夢じゃないよ、絵里

───そうだよね?そう信じたいの
191 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:25
一呼吸おいて絵里は再び口を開いた

───でもね、夢の中のれーなはね絶対してくれないことがあるの

───何?
192 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:25

───んとね・・・キスだけはしてくれないんだ・・・

193 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:26
抱きしめていた体を少し離し、彼女に口付けた

人生で初めてのキスは・・・切ない味だった
194 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:26
唇を離すと艶やかな瞳でこちらを見つめてきた
195 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:26

───れーな、だよね?

196 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:27
やっとこの問いの意味が解かった
だがそれは口に出してはいけないと、感じた
197 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:27

───そうたい、私は絵里の知るれーなっちゃ

198 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:28
再び涙を流しながら、絵里は微笑んだ

切ないその微笑み

彼女の心が見えた
199 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:28

───よかった

200 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:29
と、彼女は満足した表情のまま静かに目を閉じた


静かに彼女を彼女自身の寝ていたベッドに移した




そして私は静かに自分のベッドに潜り込んだ
誘い込まれるように眠りに落ちた
201 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:29
純黒のそらに浮かぶ星達はもう西の空に沈みつつある

静かに太陽を歓迎しているようだった
202 名前:一夜限りの幸せ 投稿日:2005/04/11(月) 03:30


     end...
203 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/04/11(月) 03:32
以上、「一夜限りの幸せ」でした。

いい夢は見れそうですか?(ミレルワケネェダロ、ボカスカw^^;
204 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/11(月) 21:56
甘ーい!甘すぎるよ作者さん!
ピュアな愛ですね。
良い夢見れそうです。
205 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/05/01(日) 03:14
お久しぶりです、ねこじゃらしです
まずはレス返し。。。

>>204名無し飼育さん
お褒めのお言葉、非常にありがたく思います
甘すぎましたか?では、今度はバランスよく
摂取できるような小説を書きたいと思います
と良いつつ、次は痛甘w

春ですね。外に出ると夏のような日差しが照りつけます
しかし夕方の風はまだまだ冷たさが残ります
その風を浴びながら、つづりました
「冬の行方」
どぞ
206 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:16


───冬の行方


207 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:17

───頃は11月
───もう“冬”になるのかな?
───まだ“秋”なのかな?

───なんだか中途半端な季節だ
208 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:17
カチャンっと自転車の鍵をはずす
ふと見上げると彼女がいた
209 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:18
「あ、絵里」

11月の夕方
もう10度をゆうに下回ると言うのに絵里はコートも着ず、
マフラーさえも着けていなかった
210 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:18


絵里は視線を傾け、ただ、何も言わずそこに佇んでいた

211 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:19
冷たい風が頬を通り抜ける

夕日が眼に入った
それはすべてのものを赤に染めていた
空、地面、車、家、校舎・・・
それから、私の頬
212 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:19
ちょうど絵里の立っているところは夕日が当たっていなかった
それは、より凄涼感を際立てていた

そっと絵里の許へと歩み寄る

「そげんな格好して寒くなか?」

私のマフラーを彼女の首に巻いてあげた
213 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:20
それまで何も言わずに佇んでいた彼女がキッ、と私をにらんできた
そして私のマフラーを地面にたたき付けた


まだ怒っているんだなって思った
また新しい傷が増えたような気がした
214 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:20

また、昔のように戻りたかった


もう、叶わないのかな・・・

215 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:20
そっと、私の頬に涙が伝った
その哀切な涙の色は、赤だった
216 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:21
瞳を閉じてもなお、流れ続けるその涙
冷酷なその冷たい風は彼女の頬を極限まで冷やす
首を傾け自分の涙が落ちてゆくのを他人事のように眺めた

突然、体がぐらりと揺れた

耳元で誰かの息遣いが聞こえる
そっと目を開けた
217 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:22

───いつか見た事のある景色が広がった

218 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:22
涙というフィルターを通して広がるその風景は
今までとはまた違う世界を作り出していた

また、冷たい風が頬を掠めた

だが、それはなぜか、温かかった

甘いその香り
過去の記憶を呼び戻す
再び瞳を閉じると走馬灯のように彼女との記憶が蘇る
219 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:23


「れーなのほうが温かいもん」

220 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:24
それだけ言うと彼女は私から体を離し、私の眼を見つめてきた
私はそっと手を伸ばし、彼女の手を握った

「ほら、こんなに冷たか・・・」

涙声で彼女に伝える
次は彼女の頬に両手を当てる

「絵里の頬、冷たか・・・」

私の涙はとどまる事を知らない
221 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:24
今度は私が抱き寄せる
絵里は素直に私の背に手を回してくれた
222 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:25

「どこ行ってたのに、心配したんだからね」
「絵里、ごめん、もう離さんからね」

223 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:26


空には綺麗な夜空が広がっていた

まるで夕日など無かったかのように、そこには漆黒の闇が存在していた
その中に点在する星達は彼女等を見て美しく微笑んでいた

224 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:26

「れーな温かい」
「なん、絵里が冷たいだけやろ」
「れーないじわる」

225 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:26

───頃は11月
───本格的な冬はもうすぐそこまで来ている
───だが、彼女ら周辺は、まだまだ冬は来そうに無い
226 名前:冬の行方 投稿日:2005/05/01(日) 03:27



end...
227 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/05/01(日) 03:29
以上、「冬の行方」でした。

いい夢は見れそうですか?
228 名前:名無し読者 投稿日:2005/05/10(火) 13:23
ほのぼのしますね
229 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/10(火) 14:42
最初から読みました。
そろそろ100かな、と思ってレスの番号を見たら、なんと200。
それくらい、夢中になって読めました。
230 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/06/08(水) 01:25
1ヶ月ぶりです。ねこじゃらしです
もう今日は嬉しいです
とにかく嬉しいので、早速レス返しです

>>228 名無し読者さん
ほのぼのしていただき、まことに有難うございます
また再び読む機会がありましたら、また一言くださいまし

>>229
まず、読んで頂いた事にお礼を申し上げ、そしてまた
偉大なレスをしていただいた事に深くお礼申し上げます
なんかこう、夢中になっていただけるほど愉しんでいただける
小説を書けるようになったんだなぁと少し自惚れてみたりしています
しかし、レス数は1レスがやけに少ないので、仕方なく多くなってしまうわけです
もし読みにくいのでしたらすぐに改善いたします

いやぁ、なんだかみきあや業界で色々ありましたが、私はすべて忘れます
そして、日々のミキティを勝手に妄想し綴りました
「ミキティの私生活」
どぞ
231 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:26
「みーきたん♪」

うっすら目を開けてみる
なんだか可愛い声が聞こえるなァ・・・

「うぅ〜・・ん〜」

あれぇ、何で亜弥ちゃんが居るんだろう・・・
232 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:27
えぇ〜っと昨日は・・そっかぁ〜

って

「えぇっ?」
「うわっ!!!」
「はぁあぁあぁー・・・」

一瞬頭がごっちゃになり飛び起きてしまったがすぐにまた夢の世界へ・・・

「みきたん!ほらほら朝だよ!」
233 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:27
ばさぁ
「うわっ!」
頭が働かず腰から上だけ布団から起きてみる
うっすら見える亜弥ちゃんの顔
ばたっ
「なにさっきから起きたり寝たりしてんの?みきたんなんか今日変だよ?」
「ん〜眠いなァ・・・」
なんだかよく分からないけど起きよう・・・
落ち着いてから昨日のことをゆっくり思い出すか・・・
234 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:28
目をごしごしし、布団から足を出し、回りを見渡してみる
い、いない?

「あ、あれ?あ、亜弥ちゃん?」
235 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:28
そう、ここはいつもの見慣れたマイルーム
勿論私以外は誰も居ないのだ

「夢かぁ・・・」
ふっ、夢の中にまで亜弥ちゃんが出てくるようになっちゃったなぁ
私、そんなに亜弥ちゃんのことが好きなのかなぁ
236 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:28
そんな徒事を口ずさみながら2,3分ベッドで座っているとまた眠気が襲ってきたので
窓のほうへ行くことにした

静寂の中、窓を開けてみる、
西側だから太陽は見えないが、空は限りなく青く広がっている
春のような陽気である
「ん、ん〜・・・はぁ・・・」

大きく背伸びをしながら、「平和だなぁ」なんて言葉が出てきた
緩々とした時間が流れる中
けたたましい車のクラクションがそこらじゅうで響いている
237 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:29
ちょっと高級なマンションの12階と言っても
そんなに高くは無い人間の顔ぐらいは識別できるぐらいの高さだ

ベランダのほうに行ってみる
「うひゃっ、眩しー」

なぜだか朝の太陽は苦手である
乾燥した体を蝕んでいくような気がする

「とりあえず、顔でも洗うか」
とため息混じりに呟く
洗面所に行く途中何気なく時計を見たがまだ10時だ
238 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:29
今日は昼からだったなぁ、まだまだ時間はあるし、どーしよっかなぁ・・・
そんなことを心の中で呟きながら鏡で自分の顔を見てみる

「よし!今日もカワイイ!」
としげさん風に言ってみた・・・
「はぁ、しげさんには敵わないよ」
と、まぁ自嘲気味に呟く
239 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:29
というか私がそんなことを公で口になんかしたら
いったいどーなってしまうんだろう

なんだか恐ろしくなってきた
もー絶対こんなことは言わないぞ
と、そう自分に言い聞かせ
洗面所を後にする
240 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:29
亜弥ちゃんと違って私の部屋は殺風景である
12畳の部屋にベッドとテレビと鏡台と低いソファーが一つ
すっきりしているのが好きなので意外と自分では気に入ってるほうだが
亜弥ちゃんは決まってこう言った
「あのさぁーもーちょっとなんかさぁ部屋変えようよー」

噂によると梨華ちゃんの部屋は恐ろしく汚いとか?
絶対行きたくない家の一つである
241 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:30
とりあえずテレビでもつけよう
10時ともなればやっている番組の雰囲気がかなり変わっている
早朝のあの甚だしいニュースにはもううんざりだ

一通り全チャンネル見終えたところで、携帯のメールを確認してみる
2件・・・
多いんだか少ないんだか
それにしても・・・全部亜弥ちゃんかぁ
「ん〜何々?」
胡坐をかいて新聞を読むおじさんみたいに言う
242 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:30
『おっはぁ〜ミキたん♪今日も大好きだよん(ハート)』
何もせずとも顔が綻ぶ
「えぇ〜っと次は?」
また先ほどと同じように言う

『まだ起きてないの?コラコラ!早く起きなさい!』
「・・・」
「・・・」
243 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:30
10分ほど笑いこけた
いったいなぜ笑ったのか・・・
意味が分からないが後は勝手に想像して下さい
244 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:31
「はぁはぁ」
もうやだやだ、朝っぱらから亜弥ちゃんのことを考えると、いつもこうだ
それから素っ気無いメールを亜弥ちゃん宛に返す
『起きたよ』

もうちょっとなんか添えたほうが良かったかなぁ・・・
送った後に少し後悔する
でもまぁそれが私っぽくていいかもね
245 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:31
それから数分
休憩時間だったのか
すぐにメールが帰ってきた
『遅いぞコラッ!でもみきたんだから許す』
うぅ〜
意味ありげーな亜弥ちゃんの謎の言葉・・・
『意味わかんないし』
そーやって送り返してから
また後悔する・・・

それからはもう帰ってこなかった
246 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:31
そうこうしている内にもう11時30分だ
なんか食べよう
よろよろと台所に向かい色々物色してみる
「冷蔵庫〜冷蔵庫〜」

ばさぁ
冷蔵庫を開けてみるが、トバだか枝豆だか、変な物ばかりである
「朝っぱらからこんなもの食べれないなぁ」
食卓に目を向ける

「あ、食パンが2,3切れ残ってるなぁ」
「全部食べよ〜っと」

アイドルとて食べなきゃ死んじゃうからね
247 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:32
焼いている間、椅子に座って机に頬杖を付きながら色々と感慨に浸ってみたリする
「あ〜やちゃん」
なんて言っちゃったりして
「んふふ、こんなところ本人になんか見られたら何されるか分かんないな」
ニヤニヤとしながらパンが焼けるのを待つ

この妙な光景、端から見ると異常者かただの変態だろう
朝何もないときはずっとこんな感じである
248 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:32
チン!
私の妙な妄想が瞬時に断ち切られるその音
ちょっと不快感を覚えたが、それ以上妙な考えに耽っていたら
かなりやばい方向に行ってしまうので、そこから先はもう考えないように・・・

こんな朝がもう1ヶ月近く続いてるが、亜弥ちゃんには長い間会ってないなぁ
249 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:33
そんなことを思いながらバターを付けたパンをほおばる

食べ終わるころには丁度いい時間帯になっていた
「さて!行くか!」
地上に下りてそのままタクシーを拾って収録があるスタジオまで行く
タクシーの中でもう一度スケジュール表を確認する
あ、今日はごっちんと一緒なんだ
久しぶりなので何を話そうかと窓の外を見ながら考える
250 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:33
「はい、着いたよ、お姉ちゃん」
「あ、どーも」
「なんだかさっきから何考えてるのか知らないけど、何ニヤニヤしてたんだい?」
「え?私ニヤニヤしてました?」
「あぁ、恋でもしてるのかなぁ」
「ま、まさか・・・」
「ははは」
苦笑しつつ挨拶だけしてドアを閉める
「なんだろうな」
そんなことを呟きながら楽屋に向かう
251 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:33
[藤本美貴様 後藤真希様]

全く誰が書いたのやら、マジックで、しかも手書きで書かれている
少々興醒めしながらもドアに手をかける
252 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:34
「あぁ〜美貴ちゃ〜ん」
「やぁ、ごっちん」
「なんだか眠そうだね」
「さっきまで寝てたからね・・・」
「今起きたの?」
「うん」
「なんか美貴ちゃんが来そうだったから」
「なにそれ」
253 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:34
そんな「謎」に満ちた会話はいつものことである
とりあえず荷物を置いてごっちんの隣に座る
前方にはなんだかよく分からない顔をした美貴を映す大きな鏡がある
254 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:34
「そーいえば久しぶりだね、この二人で仕事するの」
「うぅ〜ん、そだね」

「そーいえばね、ごっちんってさぁあんま仕事来ないよね?」
「うん、まぁ、来ないって言えばこないけど、来ると言えば来るねぇ」

「そーいえばね、最近新曲だしてないね」
「うぅ〜ん、つんくさんもう駄目かも」
「うはははっ、そんな事言っちゃったらやばいんじゃないの?」
「・・・」
「・・・」

・・・・沈黙・・・・
255 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:35
もう何もない。「そーいえば」って言おうかなっと思ったけどもう話す事ないなぁ

あぁ困った、相変わらずごっちんは眠そうだし、いっその事眠ってくれればこっちは楽なんだが・・・
「ぐぅぅ・・・」
何々?この音は、ん?ごっちん?あ、寝ちゃった?あらら
イスから離れてそーっと近づき、顔を覗き込む・・・

口を開けっ放しにして上を向いてぐぅぐぅといびきをかいている
ダックスフンドみたいな顔だ
256 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:35
でもちょっとカワイイかも・・・・・・

そう、私は浮気性なのだ
ずぅ〜っとずぅ〜っと、限界まで顔を近づけてみる

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
257 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:35
バタン
「それじゃーそろそろ準備・・・・・・・・・お・・・ねがいしまぁーす」
「ウギャー!!!」
「わぁ!!!」
「何、美貴ちゃん?」
「あぁ!ごっちん!」
「何でもないよ、何でもないよ」

といいながら焦りまくりで部屋の端っこまで後ずさる
そして心の中で私は叫ぶ
258 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:35
お願いだから、神様神様、私は浮気性なんです、だから許してー
ごっちんごっちんごっちんごっちん、もうキャー!
もう!ごっちんがそんなカワイイ顔して寝てるから悪いんだからね!

っとまぁ逆切れしてみたりもする
そうこうしている内にごっちんが発する

「ん、じゃいいや」
「へ?」
「あたし先行っているから」
「あ、うん・・・」
259 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:35
た、た助かったぁ・・・
フニャフニャと壁にもたれて、座り込む・・・

「あ、そうだ!」
こうしちゃ居られない
というか撮影が始まってしまう!
早く準備しなきゃ!
・・・・・
260 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:36
2時間ほどで
ひととおり撮影はすべて終わった
何かの本の表紙やその付近に載せられるらしい
そしてあの悲劇の楽屋へと戻る・・・
261 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:36
ギィ・・・

顔だけ入れてみる
目を凝らして見る・・・
「寝てる」

一度ドアを閉めて腹を抱えて死ぬほど笑った

ひととおり笑った後もう一度覗いてみた
・・まだ寝てるまだ寝てる・・

こころで怪しく囁く

なんとなく隣に座ってみる・・・・沈黙にたまらずごっちんのほうへ目が行く

『あぁ、やぱい、かわいいなぁ・・・キスしちゃおっかなぁ・・・』

そんな他愛もないことを考えながらぼんやりと見ていたら
「ん〜ふぅわぁ〜」
おぉっと
目をそらす
262 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:36
「さっき私のこと見てたでしょ?そうでしょ?」
「えっえぇっ?」
「私に惚れちゃったでしょ?」
「えぇっ?な、な、何言ってんのごっちん」
「んふふ、でも美貴ちゃんには亜弥ちゃんがいるもんね
あ〜ぁじゃー逆に亜弥ちゃん食べちゃおっかなぁ〜」
「あぁー、駄目!」

少々気合が入りすぎてしまった
263 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:37
沈黙が流れる・・・

「マジで亜弥ちゃんのこと好きなんだ・・・」
コクリ小さくうなずく
「へぇ〜、でも、なんか美貴ちゃんおかしいよね?」
「へっ?」
「だってさぁ、なんかさぁ亜弥ちゃんが居る時と居ない時じゃ、ぜんぜん違うよ」
「あ、う〜ん」
「こう、なんというか、美貴ちゃんって恥かしがり屋?」
「・・・・・」
「亜弥ちゃんがいるとあんまそんな感情出さないじゃん?それってずるいよ
それに〜そんなことしたら勘違いされて逆に避けられちゃうよ」
「え・・・」

そう、私は自覚している、でも素直になれないのだ
264 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:37
「一回さぁほんとに甘えてみたら?美貴ちゃんが逆に
亜弥ちゃんみたいになってみたりするのもいいんじゃない?」
「あぁ〜」

この一ヶ月を振り返ってみる

──あぁ、みきたん、そこ、あぁ、そこ───

そう、私は亜弥ちゃんに飢えてるのだ

「そ、それもいい・・かな?」
ちょっと震えた声になってしまった

しかも半笑いでだ
265 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:37
まるで
「亜弥ちゃんのコンサート会場に来るけどお金がないし行く度胸もない40を過ぎたおじさん」
みたいな顔がおっきな鏡に映る

「えぇ〜えっちだねぇ〜、もう早速今日とか抱きついたりするんじゃないの?もう!美貴ちゃんったらぁ〜」

おばさん風味の口調でそう言う
でも私には聞こえない

まだおじさんの顔をしながらいろんなことを考えていた
266 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:38
「ん?んぁ?美貴ちゃん?キャー、ど、ど、どしたの?」
私はおじさんのままごっちんのほうへ顔を向ける

「うっわ、美貴ちゃん美貴ちゃん、まだだめだよ!」

といいながら私の肩をがくがく揺さぶる

その衝撃によりふっと私が戻ってくる
「あわわわ・・・ごっちんごっちんもう大丈夫もう大丈夫」
「え?あぁ、よかったぁ〜」

といいながら私のおなかに抱きつく
数秒抱き合ったあと、ごっちんもいつものごっちんに戻った
267 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:38
「ん〜じゃあたし先帰るね」
「うん、んじゃーまたネ」
ギィ、バタン

「・・・はぁ・・・」
大きなため息をついた
全く、謎である
ごっちん・・・謎多し
あたしもかなり謎かも。。。
そんなことを思いながら帰りの身支度をする
268 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:38
スタジオを出た、怪しい雲行きである
時計は4時30分を指していた
うぅ〜ん中途半端だなぁ・・・
何をするでもなく、途方にくれていたその時、♪〜
かばんから音の発生源を探る

ん〜誰だろう

"ピッ"
269 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:39
「あぁ〜腹減った」
「はっ?」
いったい何?私に何を求めてるわけ?

「あ、あれ?あ、ミキティだ、キャハハハ・・・」
「もう、何?つ、辻ちゃん?」
「うん、そーだけど」
「で?何?何の用?食べ物なんかないわよ」
「うん、間違い電話」
270 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:39
"ピッ"

先程よりももっと途方にくれた
ツーツー音を聞きたいわけじゃないのだが、ケータイを耳から離すのもめんどい
スタジオの正面玄関で立ち尽くすあたし
はぁ、と一息おいてケータイをかばんに放り込む
家帰ってもあれだからどっかの喫茶店でも行くか
271 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:39
てくてくと歩いてゆく
ふと空を見上げると、恐ろしい量の雨雲が空を浸食していた

雨が降りそうだ
ついてないなぁ

はぁ、とため息をつき、当初の予定とはかなり狂い
仕方なく近くのハンバーガーショップへ向かった

・・・・・・・
272 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:39
適当にジュースやらバーガーやらを頼み、席に着く
こんな時間のためか店内はがらんとしていた 
外を行き交う人々は私に目もくれず、家路についていた

ほら、藤本美貴だよ!ここに芸能人がいるよ!

っと、言ってみたい・・・少しは私にかまってよ
でも、ここでこんな事を叫んでも人々は、"なんだあいつは"
ぐらいしか思わないんだろうな・・・
273 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:40
あぁなんか寂しいなぁ・・・

最後の1かけらを口に放り込む
安物のパンと妙な肉が交じり合ってうまい

こんなものがうまいと感じるのはまだまだ子供なんだなぁと思った
274 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:40
そんな妙な感慨にふけっていると通りを歩く二つの影
なんか見覚えがある
あ、ごっちんだ、隣は・・・?
紺野?へぇ・・・あいあい傘なんかしちゃってなんかエロイし
突然、紺野の顔が赤くなったと思ったら、手とか繋いじゃってるし

ニヤニヤと笑って外を見ていると中年サラリーマンに変な目で見られた
なんかムカムカしてきたので一気に全部食う
と言ってもポテトが一つ二つ・・・

「もう行こ」
小さくため息をつきながら店を後にした
275 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:41
外はバケツをひっくり返したような土砂降りの雨だ

どうするか迷う。。。
1、近くにある傘立てから一本掻っ攫う
2、「みきたぁーん迎えに来てあげたよー」と天使が来るのを待つ
3、走る


馬鹿らしいを超えてアホらしいので3にした

うぅ〜とことんついてない
とぼやを履きながら、糞走る

マンションまでそんなには遠くなかったのでとりあえず着いた
ここにつく頃にはもう月が出ていた
早々にマンション内を駆け巡り部屋の前へ

ガチャリとドアを開けそのまま風呂場へ
276 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:41


30分後


277 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:41
フンフンと分けの分からない音楽を口ずさみながら
風呂場を後にし、ソファへダイブ

ここで初めて時計を確認すると
なんかもう、11時だ

腹も減ってないことだし、もう寝よ
278 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:42
なんてだらしない生活なんだろうか
もう少しメリハリをつけて日々を過ごした方がいいのかなぁ
なんて思う今日この頃

そして今日もまた『亜弥ちゃん』を思い、眠りに着く
279 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:42


「おやすみ、愛しの亜弥ちゃん・・・」



                             カチッカチ
280 名前:ミキティの私生活 投稿日:2005/06/08(水) 01:43



end
281 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/06/08(水) 01:44
以上、「ミキティの私生活」でした。

いい夢は見れそうですか?
282 名前:みきみき 投稿日:2005/06/10(金) 14:07
亜弥ちゃ〜〜〜ん美貴ちゃんの所に行ってあげて!!!!
美貴ちゃんんに浮気されるぞ!!
283 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/14(日) 23:43
背景描写がとても綺麗でのまれました。なんか、こう日常の中でのあまり表現しにくい
感傷な気分になれる風景を切り取って貼ったようなリアルさで・・そこに人の繊細な気持ちを
組み込んであって・・んもぉ大ファンです!
284 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/08/17(水) 03:13
えぇ〜お久しぶりです、ねこじゃらしです
2カ月放置してしまいまして本当に申し訳ございません

それではまず言い訳を・・・(ハヨコウシンセーボケ(ハ、ハイペコペコ

取り直してまずはレス返しを
>>282 みきみき 様
レスありがとうございます
亜弥ちゃんの出て来ない少し寂しい小説でした
ホントごめんなさい
次も読んで頂けたら幸いです
>>283 名無飼育さん 様
なんかもうほんとに申し訳ございません
そんなお言葉をかけていただいたことを本当に有り難く思います
うれしい限りです、今後もいろんな方々にそのように思って頂けるような
小説を描いて行きたいと思いますので、よろしくお願いします
285 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/08/17(水) 03:20
それでは早速更新します

熱りが冷めて参りましたが、私はまだ、彼女を信じております
あやみきで
「いつまでも・・・」
どぞ
286 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:22



『花火、しようよ』



287 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:22
簡素なメール
何の味気も無い、至ってシンプルな

久しぶりの亜弥ちゃんからのメール
もう何カ月も鳴ってなかった亜弥ちゃん指定の着音
288 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:23
楽屋でぼんやりと自分の顔を眺めていた
ふと、驚き顔になったと思ったら瞬時にして笑顔に

でも・・・
289 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:24



『いいよ、亜弥ちゃん!会いたかったんだ!
場所はどこがいいかな?毎年やるいつもの海岸でいいかな?』



290 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:25



『そこでいいよ、んじゃ8時にね』


291 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:26
私の送ったメールの半分にも満たない文章
不信の念はない

マスメディアたちは大いに騒いだ
そして大いに喜んだ

ファンなら誰もが目を覆いたくなる現状
被害者となった多くの人々と当事者一人
292 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:27
『世界で一番近いファンだね』なんてはしゃいだのはいつ?

そして『世界で一番好きなんだよ』なんて思ってたのはいつ?

言葉でできなかったけど・・・
293 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:28
いつまでも晴れないこの思いを胸に抱きながらバイクを走らせる

途中、コンビニで花火を買う
冷淡で冷酷な店員は金額だけ告げた

暗過ぎてどこからが海か分からないが
微かに鼻孔をくすぐる磯臭い匂いがしたので
脳はそこを海と判断した
294 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:29
ヘッドライトの先、手を振る彼女

糞煩いエンジンを止める
静かな海の音と亜弥ちゃんの息遣いが聞えた

よく似合うデニムスカートとプリントTシャツ

「花火もってきたよ」
「私も、あ、おんなじやつだ」
295 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:30
それは同じ業者が製造し
同じ店が販売した花火だった
亜弥ちゃんも冷淡で冷酷な店員に
出くわしたのだろうか

そんなことを考えながら亜弥ちゃんと砂浜を歩く

だれも居ない静かな砂浜
規則的な波の音
漆黒の闇にちりばめられた星達
真ん丸の月
それらをきらびやかに照り返す海

それを不気味と判断するか
神秘的と判断するかはその人のパーソナリティにもよるが
わたし自身はそのどちらでもなかった
296 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:31

「たん、きれいだね」
「うん」

「ほら、お空に落書き」
「うん」

297 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:33

亜弥ちゃんはずっと喋りっぱなしだったが
途中から押し黙り、私と同じようにただ、花火を燃やした

298 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:35
線香花火・・・
縁起でもない、線香だなんて
それを皆は「綺麗」と表現する
とてもじゃないが私にはそんな表現はできない
299 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:35


「亜弥ちゃんはずるいね」

300 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:36
何事もなく出てきた言葉
しゃべろうなんて思ってなかったのに
こんなこと何で言ったんだろ私

そして彼女は黙ったままその最後の花火を見つめている
まるで私の存在を否定するかのように
301 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:37

「そうだね」


「・・・ずっと続くと思ってた」
302 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:38
ぽとり、とその赤い球体が砂の上に落ちる

手の甲に穴が空くほどの温度なんだって
何時、だれに聞いたか分からない、くだらない事を思い出す

数秒遅れて亜弥ちゃんのそれも息絶えた
303 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:39


最後だけは・・最後だけは笑顔で・・・


304 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:39


「亜弥ちゃん、ありがとね」


305 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:41
バシュー
離れたところで花火が舞っていた
照明弾のようなその花火は一瞬私達を照らしたかと思うと、すぐに息絶える

ひとり、去って行く私を呼び止める声が聞えるが
花火の音でかき消された

ぱらぱらと舞い落ちる光たち

306 名前:いつまでも・・・ 投稿日:2005/08/17(水) 03:41


それは儚く淡い亜弥ちゃんとの最後の夏だった


307 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/08/17(水) 03:43
以上、「いつまでも・・・」でした

いい夢は見れそうですか?
308 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/18(木) 01:06
更新おつかれさまです☆相変わらず素敵な文章ですね!私もまだ、信じてます
309 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/08/24(水) 04:15
朝なのか夜なのか
さっき変なバイクのおじさんが
ポストになんか入れて去って行きました

はい、どーもねこじゃらしです
まずはレス返し

>>308
ほんとうれしいんですよー、どーもです
文章から判断するともしかして、前から読んで下さってたんですかね
もしそうでしたら、ものすごく感激です、これからもよろしくお願いします

それではそれでは次に参りましょう
れなえりでございます
「淫らな夏の昼下がり」
どぞ
310 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:16

「あぁん、最高・・・」

窓際に設置されたベッド
窓が空いていて、青いカーテンが「起きろー」
と言わんばかりに靡いている
だがそれは私にとっては逆効果
311 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:18
夏の暖かい風に紛れて私の鼻先を擽るそれは
丁度良い子守歌となっている

「うぅーん」

時折唸る私
唸るというよりは喘ぎ声に近い

部屋の外や窓の外へ漏れるその声は
第三者にとっては非常に不快かつ
不可解なものだろうが
生憎、私にとっては最高の快感なのだ
312 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:20

午後の昼下がり、夏の補修から帰宅し
適当な昼飯を貪り、満足した私の体は
何とも言えない気分のままベッドに倒れ込んでいた
313 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:21
鳥たちも暑いのか『空』という名のプールで
気持ち良さそうに泳いでいる

「わたしもぉ」

と、手を伸ばしても飛んで行けるはずもなく
少々興ざめしながらも、また心地よい風が
部屋に入ってきたので、気分は元どおり
どーいう訳か風が入るたびに青いカーテンが私の鼻先を擽る

「うぅん、うぅー」
314 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:22


れいなはゆっくりと夢の世界へ落ちて行った・・・


315 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:23

「・・れーな、あはっかわいー・・・」

がさがさごそごそ

ごそごそ

「・・・つんつん・・つんつん」

がさごそがさごそ

「れーな・ちっちゃいのに・・・してる・・・」

がさがさ

「・・・こんなことしちゃっていいのかなぁ・・・」

もぞもぞもぞ

「かわいい・・・履いてるぅ・・・」


がさりごそり

「もう!れーなの・・・!」


316 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:24
目を開ける
寝返りをうったのか、体が横を向いていた
例のカーテン、今度は耳を擽りだしている
ぼんやりと見えてきたもの

絵里だった

なんでもない、よくあることだ
317 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:25

“うふふ”と微笑みながらこちらに視線を投げかけてくる
318 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:27

「絵里?」
「起きたぁ?」


うへへー、なんて至近距離で笑い出す彼女
明らかにいつもと違う雰囲気の彼女

なんだか嫌な予感がして仰向けになり自分の体を確認する
ふ、ふくが乱れてる
ボタンの掛け方もおかしい・・・
319 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:28
絵里が耳元で怪しく微笑みながら“どうしたの?”
などと言ってくる

「え、えり、私の体になんかした?」
「なぁんもしてないよ」
320 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:29

そんなはずは・・・
でも、信じたくない・・・
321 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:30
「なんか聞えた」
「空耳、空耳」

うふふ、絵里は依然として微笑みを絶やさない

すると、突然絵里の目の色が変わった
322 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:31

「うぅ〜ん、れーなかーわーいーいー」

そうやって私を煽りながらずんずんと迫ってくる
私はというと、狭いベッドの上をぎりぎりまで
逃げようとじりじり後ずさるが無情にもべっどの淵に・・・
323 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:32

「か、かわいくなんか、なか!」

うへへ〜

と尚も接近する彼女の瞳は好奇心に満ちている
いや、それは“良い”言い方だ
悪い言い方をすると・・・ただの変体おやじじゃないか!!!


うわぁ!!!
ズドン!


そんなことを考えていると自分がベッドの淵にいることを
すっかり忘れていて落下してしまった
324 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:34
「いたたた」

うぅ〜と床で蹲り腰を摩りながら、
うっすら目を開けると
ベッドから頭だけだし心配そうに見つめてくる目が二つ


「大丈夫?」
「だめ、無理、死にそ・・・」

「んー、んじゃ、ちゅうしたら治るかなぁ」
「治らん!」

ムー、と口を尖らせているが私の知ったことではない


「じゃぁさ、ギュって抱き締めて上げる」
「はぁ、もう、いい・・・」

「え?いいの?やったー」

「って、うわぁー!」
気付いた時には絵里は宙を舞っていた
325 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:34
頭をふらふらさせながら目を開けると
案の定絵里が目に入るが非常になんというか
絵里は満足そうである

私のお腹の上に座り込み、手を押さえ付けている

「れーな可愛すぎるからキスしていい?」

私の返答を聞く前に接近してくる彼女の顔

「なんでだぁーーー!!!」
326 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:35




              *


327 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:36
う、うぅー

「れーな、れーな?」
「あぁーん」
「大丈夫?」

「うわぁ!!!え、え、え、絵里!」
328 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:37

心臓が飛び出るほどびっくりしてベッドの上に跳び起きた
329 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:38
絵里がいる
絵里がいた
そう、絵里がいたのだ
330 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:38
「どうしたの?かなり魘されてたみたいだけど・・・」
「あ、うん大丈夫、何でもなかよ」

ふん、と高い声変事をした
回りを見渡してみるが特に変なところは見つからない
331 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:39

夢だったんだよね・・・
332 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:40
よかった、と安堵の溜息を漏らしながら
顔を洗いに行くことにする

「ちょっと顔洗ってくるたい」
「うん、行ってらっしゃい」
333 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:41

ベッドから立ち上がり制服を正す

正す・・・正す、正せない・・・
上から順にボタンの位置を確認して行く
334 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:41

ひ、ひ、ひとつ、ずれ、てる
335 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:42

ドアの前で立ち尽くす
唇がガタガタと震え出し
まるで神経が途絶えたかのように足が動かなくなった

ゆっくりと、振向くと・・・
不適に微笑む絵里の姿が
336 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:43


―――れーな、かわいかったよ


337 名前:淫らな夏の昼下がり 投稿日:2005/08/24(水) 04:44
                         







end
338 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/08/24(水) 04:46
以上「淫らな夏の昼下がり」でした

いい夢は見れそうですか?
339 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/24(水) 23:17
作者様ハァ━━━━━━;´Д`━━━━━━ン!!!!もう結構なお点前で
血がたりませんよ・・・ 攻亀たまりませんね!夢どころか明日もコレ
思い出スだけでハッピーハッピーですよ!まじで!
340 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/09/11(日) 03:00
どーもねこじゃらしです

毎度のことですが
いつもどおり深夜に密かに更新します

まずはレス返し

>>339 名無飼育さん 
書いてる自分も途中で血を吐くぐらい萌えてましたw
また読んで頂けたら嬉しいです

それでは参りましょう

れなえりで
「夏の贈り物」
どぞ
341 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:02
ものすごい日差しが照りつける中
私と絵里は浜辺を歩く

「ねぇ、絵里暑くなか?」
「ん〜暑いね」

にっこりと私に微笑みかけてくれたが
別にそんな微笑がほしいわけではない
はぁ、とため息を砂浜に落とす
342 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:02
「一緒に歩くだけでいいの!」

楽屋での休憩中、絵里はよく小説を読んでいる

『恋愛小説だってさ、絵里も恋したいんじゃないの?』
と、さゆは、洩らす

なんだかそういうわけで、私は今日、絵里の彼氏役?でこの暑い中、
2時間もバスに揺られ、ようやく海に来たわけだ
まぁその途中も結構いろいろとあったわけだが・・・
343 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:02
「あぁ〜海の家だ」

先ほどから何か低い建物が見えていたのだが、
まさかこの時期から海の家がオープンしていたとは

「あ、れーなこっちこっち」
「えぇっ?」

突然私の手を引く
笑顔で“ほらほら”と時折こちらに振り向き愛想を振りまく様は
まるでドラマのワンシーンのようだ
344 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:03
「な、何」
「れーなはここで待っててね」

海の家から数十メートルほど離れたとこにあるベンチに私を強引に座らせる
眩しいほどの笑みを残し、彼女はどこかへ走り去ってしまった

「あぁっ、絵里ー、どこ行くとー、一人じゃ危なかー」


別に逃げるというわけでもなく、“追いかけてー”という訳でもない
ただ、彼女はものすごい速さで海の家に消えていった

再び、はぁ、とため息をつき、仕方なく暑い熱いベンチに腰掛ける
ケツまで焼けそうだ
345 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:03
しばらくぼぉーっとしていると眠くなってきた
いやいや、こんなところで寝ると干物になってしまう
顔をぶるぶるし、絵里の帰りを待つことにした

別に几帳面なわけではないが、気になって仕方がない
足の裏に付着する砂、取っても取っても無くならない
ただ、サンダルを履かなければいいのだが、
不条理な私は、どうにかならないものかと、いつも思う

しかし、すぐに開き直った私は
まぁ、それもサンダルの醍醐味なんだろうなと、妙な当て口をつけ
その問題にピリオドを打った
346 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:03
4,5分したところで絵里がほてほてと戻ってきた
両手には赤と青の、いかにも体に悪そうな色をした
シロップのかかったかき氷が握られている

「はぁ〜、れーな・・どっちがいい?」
「どっちでもよかよ、それより絵里大丈夫?」

ふと、顔を見ると酷く赤らんでいた
目もうつろになっている
347 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:04
「んじゃ、れーな青・・・」

言い放つと絵里は私にそのカキ氷を手渡すことなく、
地面に落とし、私に凭れ掛かってきた

「絵里?」

返答がない、透かさず呼吸と脈を確認する
どうやら暑さにより気絶したようだ
この季節特有の熱中症というものだろうか
348 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:04
おっと、そんなことを考えている暇はない
早く絵里を日陰に連れて行かなくては・・・

とは言うものの、ここは砂浜、海の家までかなりあるけど
仕方ない、このままでは絵里が死んじゃうからね

早速絵里を背負う
ぐったりとした人間は重いと聞くが、尋常ではない
まぁ、でも痙攣してるよりましか

文句をたれながらも砂浜を走りぬけ到着した、海の家
349 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:04
「あれ、さっき女の子」
「あ、この子ちょっと倒れちゃって、ここで休憩させてもらってもいいですか?」
「どうぞ、ゆっくりしてってね」
「どーも、すみません」

店主に許可を取り、茣蓙に絵里を寝かせる
なんと、親切にも店主のおばさんが冷たい濡れタオルをもって来てくれた

最後に何故かにっこりと微笑み、“がんばるのよ”などとわけのわからない事を残していった

首をかしげながらも、未だ意識が戻らない絵里を横目に再びため息
350 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:05
ま、折角来たのだから、ゆっくりしよう

ふと、海を眺めてみた

遠くのほうでは水上バイクのうなり声が聞こえる
陽炎でぼやけた砂浜の上ではビキニを着た女性がはしゃいでいる
時折、海の家の中を夏の温かい風が颯爽と駆け抜けた
351 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:05
“夏”だなぁと再び横目で絵里を伺う
今度はため息は出なかった
そっと彼女の頭を撫でる

がさがさがさ

「・・・絵里?」
「はぅ・・・れーな・・・」
352 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:05
振り向くとふにゃふにゃとした様子で茣蓙に座る絵里がいた
いまだに赤く染まっている絵里の顔はなんだか妙に色っぽい
息を呑むほどに艶かしいその姿は・・・

おっと、どうした私!で、でも絵里が・・・
このままでは絵里を襲いかねないので気を紛らわすように視線を再び海へ戻す
353 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:05
「ん〜、れーなー」

もじもじとはっきりしない絵里
腰あたりに抱きついてきた

「あぁ?」

「え、絵里、どげんしたと?」
「んふふー」

私のお腹あたりに埋めていた頭をくにゃっと持ち上げ、一瞬見上げて来たと思うと
今度は頭を腹にぐりぐりしてきた

「擽ったか!絵里!ちょー!あぁん・・・」
「れーなえっちな声出してる」
「んぁ?」
354 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:05
気が済んだのか、彼女は私の隣に座り直った
静かなときは可愛い子なのにな

前を見つめたままの彼女は一言だけ囁いた

「ありがと、れーな」

その時はもう、笑顔のよく似合ういつもの彼女に戻っていた
はぁ、と安堵のため息を漏らしながらも、妙な期待をしていた私は
なんともいえない表情で絵里に返す
355 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:06



「うん、でも今度は無理したらいかんよ」



「わかってる」


356 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:06
私を試しているのかと思うぐらいの彼女の確信的なその行動に
翻弄されている私は何なのだろうか

と冷静に分析しているのに、私はまるで茹蛸状態

つまり、彼女は私の耳元で囁いたのだ
357 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:06
トトロが一瞬身震いをし、毛を逆立てているような
高級猫缶をたっぷり食べた後の眠気眼のネコのような
早く眠りたいのに調子に乗って大人ぶって食後にブラックコーヒーを飲んだような
まだ眠いのにカーテンが鼻先を擽り“起きろー朝だぞー”と喚いている様な

そんな感情が心を取り巻く
358 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:07
絵里は私から少し離れて指差しながら、れーな真っ赤だ、などとほざいている
他の視線を感じると思ったら、海の家のおばさんで、その人はその人で、
あらまぁ、うふふ、と笑いながら店の裏へ・・・

もうなんだか、イライラしてきたので海の家を出ることにした

「もう知らん」

「あぁ、れーな待って」

砂浜に出た、もやもやが紛れると思ったから・・・
359 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:07
青い青い、本当に青い空
遠くのほうにぽつんと一人ぼっちの雲を見つけた
でもどこか誇らしげなその雲は、私をどこか遠くの島へ
連れて行ってくれそうだった。

いつの間にか私の隣に絵里がいた
早速腕をつかんでいる

もう、私が怒っていないことを知っている彼女
360 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:07
「アレ!」
「ん?」
「アレに乗りたいな」

それはまた一つ、水平線の遠くのほうにあった雲だ

「アレに乗って、れーなと一緒にどっか遠くに行きたいな」
「・・・」
「いや?」
「ん〜、絵里とずっと一緒はちょっとー・・・」
「むー!」

私は遠くを見つめたまま、そして、彼女も遠くを見つめたまま
まるで私たちの遠い未来を見ているような・・・
361 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:08
夏がくれたもの

“微笑み”
“恋する女の子”
“とろけそうなほどの夏の日差し”
“おばさんの励まし?”
“広く青い空”
“雲の乗り物”
362 名前:夏の贈り物 投稿日:2005/09/11(日) 03:08


いつか、誰かに自慢したいな


363 名前:_ 投稿日:2005/09/11(日) 03:10

364 名前:_ 投稿日:2005/09/11(日) 03:10

365 名前:_ 投稿日:2005/09/11(日) 03:10

366 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/09/11(日) 03:12
以上、「夏の贈り物」でした。

いい夢は見れそうですか?
367 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/11(日) 22:28
またよハァ━━━━━━;´Д`━━━━━━ン!!!!もぅ駄目・・・ゲフゥ(゚Д゚)
血が・・・血が足りない
368 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/17(土) 21:47
一気に読みました。
ALLイイです!!
次回更新楽しみです。
369 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/18(日) 21:09
上の二人に激しく同感☆更新めちゃ楽しみです!
370 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/09/20(火) 22:28
初めまして。と言っても本当は初めましてではありません(ぇ
ずいぶん前に一度だけレスさせていただいて(>>229)、その後も時々拝見しておりました。
甘いけれども甘ったるいこともない、そして切ないのにどこか心地良さが残るこの絶妙な空気がすごくいいです。いつも寝るだいぶ前に読んでいましたが、今度は寝る直前に読んでみようと思います(w
次回も楽しみにしています。
371 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/10/10(月) 23:14
どーもねこじゃらしです

今日はもう、うはうはですw

>>367
血ですか?血は・・・。ごはんをいっぱい食べませうw

>>368
良い評価をしていただき真にありがとうございます
また再び読んで頂けたら幸いです

>>369
素直に嬉しいです
よろしければ次の作品もどうぞ

>>370
そんな・・・私には勿体無いです
しかし、そのように評価していただいたことを非常に感謝しております
また再び読んで頂けたら幸いです
372 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/10/10(月) 23:17
なんともセンチメンタルな季節の
秋がやってまいりました
肌寒い日々が続く中綴りました

れなえりで
「雨の中零れ落ちたものとは」
どぞ
373 名前:雨の中零れ落ちたものとは 投稿日:2005/10/10(月) 23:20
空を見上げるが、空という名の蒼は見えず
また再び悲しみに包まれる私の体

自分を抱きしめる
だが、彼女の溝は埋らない
届かないこの思いはどこへ

手を伸ばすと届くはずだった
今では過去形でしか表すことのできない

すっと手を伸ばしてみるが
冷たい冷たい感情の無いしずくが私の手に降りかかった
374 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:21
「絵里のこと、もう、なんか、わからん」

1メートル・・・その間は埋ることは無い

「なんで泣いてるの?」

さも分からないと言った声で問いただす
涙とは程遠い言葉が秋の冷たい雨を通して響いていた


雨にぬれたままの体は急激に体温を低下させる
北西からの冷たい風が私たちの間を通り過ぎた
375 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:21
「れーな、寒いでしょ?」

その間を埋めるために一歩踏み出す
ぐしゃりと靴が唸った

彼女は動かないまま目を合わすことなく
呟いた

「寒く・・なかよ」

雫は動きを止める

理解したくないのに、理解しようとする私の身体

見分けのつかなくなった雫は行き場を失い
硬い地面に滴り落ちた
376 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:21
もう彼女の瞳を見つめることが出来なかった

胸からは細く長い光り輝く棒が次々と落ちていった
金属質の甲高い音とともに空っぽになってゆく私の身体

静かに去ってゆく彼女の後姿
上着の裾からは何かの雫が滴り落ちていた
377 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:22





378 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:22
何度も通いつめたれーなの家は変わらず同じ場所に佇んでいた
目線の先
彼女の家族よりも指紋の数が多いんじゃないかって言うぐらい握り締めたドアノブ

傘を差すのをやめた
折りたたみ、左手に持ち替える

彼女の部屋は二階
カーテンは堅く閉ざされている

まもなく私の身体は体温を失っていった・・・
379 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:22





380 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:23
そのまま膝から崩れ落ちる

目の前には私の身体からあふれ出た金属質の棒
いつかどこかで見た楽器の一部に似ている
バーチャイムだっけ?


「れーな・・私、寒いよ・・・」
381 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:23
抜け殻の私にはもう何もない


その後はどーやって家に帰ったなんて覚えてない
ひたすら何かに没頭した
何かやっていないと頭がおかしくなりそうだったから

382 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:23





383 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:24
透明感のある美しい雨は目の前を通り過ぎては
黒い黒い地面に落ちて行き、無となる

いったい何時間この場所に居るのだろう
もう、彼女は私のことは忘れているのだろうか
新しく、彼氏でもできたのだろうか
親しい友達と一緒に部屋で遊んでいるのだろうか
それとも一人のほうがいいのかもしれない
邪魔、だったのかな?私はただのモノだったのかな?

考えたくも無いのにそんな不安が頭の中をぐるぐると駆け巡る
384 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:24





385 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:24
たくさんの人の中、私は自分のクラスの場所で一人座っていた
みんな同じ体操服≠着ている、唯一、見分けるためについている
右胸の校章の上に縫ってある名前は遠くからは見分けにくい

「・・・あ」

立ち上がり、歩み寄る
20メートルほど先には見覚えある後姿
10メートルまで詰めた
確信した私は叫ぶ
386 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:25

「れーなぁー」


振り向くと彼女も私に向かって手を振ってきた
柔らかく微笑む彼女
途端跳ね上がる心臓
堪らなくなり、私は早速彼女に抱きつく

「絵里、よう見つけたとね」

ビックリ顔の彼女はなんともコミカルな感じで自然と頬も緩む

「ん〜?れーなだからすぐ見つかるの」

かなり不条理な返答をしても彼女は納得したように微笑んだ

387 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:25





388 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:25
がちゃり≠ニ、音は聞こえなかったが目の前のドアが開いた
今、私と彼女の距離は5メートル

立ち尽くした彼女は私を見たかと思うとすぐに目を逸らす

また傷が増えた
癒しても癒してもその傷は癒える事は無く
増え続ける
心から流れる血はなくなることは無い
それがまた哀しみをより深めていった
389 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:25





390 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:26


もうすぐ寒くなるから、コート買おうよ


391 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:26
休みのよく晴れた日、絶好のお出かけ日和だった
駅の近くの大きなデパートへと二人でそれを買いに行った

離れないように手を繋いだまま

売り場についても私は手を放さなかった
392 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:26
「ねぇ絵里」
「ん〜?」
「手離してくれんと選べんよ」
「んー」

しぶしぶ手を放す
しょうがないので私も本来の目的を果たすことにした

何度も試着室に入っては彼女の意見を取り入れ
あーだこーだと意見を出し合った
393 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:26
閉店間際まで吟味しあったが結局決まる事は無かった


「決まんなかったね」
「また次の休みの日に行けばよか」
「また一緒に行ってくれるの?」
「こんなことするの絵里だけだかんね」
「やったぁ」

くすぐったい優越感が私を包み込む
それは幸せ≠セった
394 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:27





395 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:27
いつ買ったのかな
私の知らないレインコートを羽織っていた
清楚な青を基調としたものだった

それ、可愛いね、私もれーなとおんなじのが欲しいな

声にはならずに、冬の冷たい雨でできた水たまりに落ちていった
溶け込んでしまったその感情はもう二度と拾うことができない
その水たまりにはどす黒い雲に覆われた秋空が移りこんでいた
396 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:27





397 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:27
「デートみたいだね」

むせ返る彼女を前に私は頬を緩める
店員が運んできたもの

ソーダフロートとイチゴパフェ

「おいしそー!!!・・・れーなはふつーだね」

ははっと失笑し彼女はそれに口をつける

私は突き刺さるポッキーを手に取り
2本あったそのひとつをれーなの口元へ
398 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:28
「ほい」
「へっ?」

ポッキーを見つめる彼女は寄り目になっていて
なんとも滑稽だ

「食べないの?」
「よかと?」

わたしがどうなろうと、くれる事を知っているのに
何度も問いただすのは彼女の癖なのだろうか
399 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:28
「やっぱりあげない」

悔しいのであげない事にした
引き止める彼女を尻目に私はポッキーを齧る
小気味よい音とともに3分の一が私の口に収まった

残念そうな顔をして見つめてくるれーながなんだか可哀相になってきたので
突き刺さっているもう一本をれーなのソーダフロートに突っ込んだ

「何よ、一本あげたじゃん」

なおも不満そうな彼女
目線の先には
400 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:28
「・・・そっちがよか」
「え?」

蚊の泣き声ほどの小さな声は
店内のスピーカーから流れる音楽にかき消された

「なんでもなか」

平静を装っているつもりなのだろうか
正直者の顔≠ヘ真っ赤だ

珍しく口が軽い彼女
折角なのでその彼女を頂く事にする

「な、なん?」
「いやぁー、かわいいなぁっと思ってぇ」
401 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:29
覗き込むと同時に背もたれにのけぞり
その更に後ろにある木製のパーティションに衝突した

「った・・・」


あはは、と痛がる彼女なんかそっちのけで私は腹を抱えて笑った
私に睨みを聞かせていた彼女も途中からあきらめたのか薄笑いを浮かべた

その笑顔、私の大好物だった

402 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:29





403 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:30
手先の感覚はもう無い
息が荒くなってきた

異変に気づいた彼女がやっと私を見てくれた
ただ、見つめられているだけで嬉しいなんて

「れーな・・・ありが・・・と・・・」

微笑みを投げかけた後、暗闇に包まれた
404 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:30





・・・暖かいな

「絵里!」

・・・暖かいよ、れーな

「っえ、り」

405 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:31
頬に添えられた手は、暖かかった
ただただ、心の声が聞こえる

いつか見たことのある天井が視界いっぱいに広がった
手は外され、瞬きをした直後に広がった風景
すぐ左には彼女の耳があった
私の左頬と彼女の左頬は重なる

ほんのりと頬が熱を持つ
406 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:31


───どうか、これが夢でありませんように


407 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:31
ふいに彼女の顔が眼前に広がった
何かを拾い上げている

「寒かったやろ?絵里の手、暖かくしたるばい」


両手で私の手を握り締めている
徐々に体温を取り戻しつつある私の身体
彼女の涙が私の頬に滴り落ちた
408 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:32
「絵里・・なんか言って・・・絵里の声・・聞きたか」

れーなが私を求めてる

「・・・れーな、私・・寒い・・よ・・」

だから私もれーなを求めた

自分自身では温度の戻ることの無い場所
それは心
409 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:32
「えりぃ、れなが、温めたるけん・・・ねぇ、私じゃ駄目?」

懇願するような声
再起動した私の心

「れーな」
「絵里!」

緩やかに柔らかく本当に穏やかな声で囁いた彼女の名前
その名前、彼女のいない間もずっと独り言のように呟いていた
410 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:33
「どうして・・・」

突然の問いにも彼女は状況に対処した

「絵里が怖か、突然絵里に、もうれなのこと嫌い≠チて
言われるのが怖かったと・・・」
「・・・ばかぁ」

傷口がまた大きく開き、心から流れ出す
涙≠ニいう形となって・・・
溢れんばかりのそれは彼女のそれと混ざりあう
411 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:33
「れーなのばかぁ」

か細い声が空気を振動させる
外の雨は先ほどにも増して激しくなっている
窓や隣の家の倉庫のトタンを叩く音がこの部屋にも聞こえてきた


「絵里から・・・好きって言ったんだよ?なのに、嫌いだなんて言う訳無いよ」

ゆっくりと噛み締めるように完璧に囁いた
そしてその言葉は完全にれいなの聴神経へと伝わり、理解する
412 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:33
私から離れたれいなは床へと座り込んでしまい
放心し、声も出さずに涙を流していた
413 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:34
彼女の姿の先
コルクボード・・・
たくさんの思い出たちが
張り付けられていた

机の上には私が彼女の誕生日に
買ってあげたハート型の硝子の置物
たしか私と彼女の名前を彫ってあったはず
ここからでは確認できないが・・・。
414 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:35
彼女に視線を戻す
ベッドから降り
だらんと垂れ下がった手をとる

「・・・まだ、付けててくれたんだね?うれしい・・よ・・・」

そこには私と彼女の存在の証
二人で少ないお金を出し合って買ったシルバーリング
ちゃんとそれぞれ名前が彫ってある
いつでも一緒で居られるようにって

彼女は私の名前の彫ってるものを
そして私はれいなの名前が彫ってるものを
415 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:35
「絵里、好いとるよ、頭おかしくなりそうなぐらい好いとるよ」

愛しくて愛しくて
堪らず彼女を抱きしめる


「もう、一人にしないでね」


返答する理由なんて無かった

飢えた心は彼女に満たされる
416 名前:  投稿日:2005/10/10(月) 23:36
先ほどの雨は・・・?
どこかで蛙の泣き声が聞こえる
まだ湿っぽいブロック壁にはカタツムリがへばり付いていた

・・・ポタリ

葉先から一滴の雨粒が滴り落ちた



417 名前:雨の中零れ落ちたものとは 投稿日:2005/10/10(月) 23:37
雨の中零れ落ちたもの・・・

それは哀





418 名前:雨の中零れ落ちたものとは 投稿日:2005/10/10(月) 23:38

end
419 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/10/10(月) 23:39
以上、「雨の中零れ落ちたものとは」でした

いい夢は見れそうですか?
420 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/10/11(火) 09:24
更新お疲れ様です。心が温かくなりました。
昨晩寝る前に携帯で読んだら、本当にいい夢(楽しい夢)を見ることができました。ありがとうございました。
次回も楽しみにしています。
421 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/10/17(月) 02:21
どーもねこじゃらしです
相変わらずひっそりと深夜更新でございます

では、まずはレス返し

>>420 駆け出し作者さん
レスありがとうございます
励まされまくりでとろけそうです
ほんとにありがとうございます
422 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/10/17(月) 02:27
どこかに落し物をしたような
でも何か分からないのです

だから、もう忘れることにしました
いつか時が教えてくれるでしょう

「訪れる秋とともに」
どぞ
423 名前:訪れる秋とともに 投稿日:2005/10/17(月) 02:28
虚ろな私の目を見たからか、彼女は心配そうに前の席の椅子に座った
私はというと手をだらんと下にに下ろしたまま机の傷を眺めていた

「大丈夫?」

両肘ついて手を頬にあてがい問うてくるが
返事をしないのはアタシ流

ぐいっと近づいてきて至近距離で見つめられるが
気にも留めないような素振りをする

「絵里、近いって」
「だってれーなが心配なんだもん」
424 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:28
心配だからって近づくことなかろう
って言おうとしたがこれが彼女の愛情表現だったな、と今更思い出す

はぁ、と再びため息を落とし上目で彼女を見つめる

「絵里のこと誘ってる?」

これにはさすがに笑いが漏れた
425 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:29













426 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:29
あのじめじめとした空気はどこへ行ったのか
今では乾燥した冷たい空気が教室に蔓延っている

二人だけになった教室にはなんともセンチメンタルな夕日が差し込んでいた

ただ私を見つめている彼女はそれだけで満足なのかやさしく微笑んでいた

「そろそろ行こっか」
「うん」
427 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:29
案の定、外はもう日は沈み、先ほどよりももっと冷たい空気が肌を刺した
グラウンドの奥のほうでは生徒たちのかけ声が聞こえる
どこかの部員が校門の前を塊になって走りすぎた
自転車置き場の横に佇んでいる大きな木は早くも葉を落とし始めている

ふと私の手にぬくもりが伝わる
同じようにぬくもりを分け合った

はにかむ様に笑う彼女の頬をなでる

「れーなあんまり元気ないね」
「そっかな・・・」
428 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:30
校門を抜けるが何も無い
ただただ、空虚な倦怠感が心を体を渦巻くだけ
街頭に照らされた街路樹はもうすぐ冬が来るぞと喚いている
何の気なしに見上げた秋空に輝く星たち
まだ明るいのに両手を広げるようにして光輝いていた

「なんか寂しくなってさ」
「ん〜?」

絵里はへらへらとした様子で私の横を歩いている

「絵里は、そんなことなかよね?」

首を傾け、そうでもないよ、と絵里は呟いた
429 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:30
「季節の変わり目ってなんだか寂しくなるよね?」

口出しをしないことにする


「今までずっと一緒に過ごして来たわけじゃん、それがさ、
私の知らないところに行っちゃってさ」

前を見つめたまま彼女は続ける

「でもまた必ず戻ってくるじゃん?一年ぐらい待ってやるかって思うんだ
そしたらさぁ、次の季節が来るからね、それに付き合ってあげるわけ
ちょっと物足りないけど」

説得力のあるような、ないような
誇らしげに、どこか寂しげに・・・
430 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:30
「ちょっと見直した」

口元だけの笑いを浮かべながら、小さな小さな声でひとり呟く

「え〜?絵里はずかしいー、もうれーなったら!」

ばしばしと私の腕を叩きながらもう片方の手は頬へとあてがわれている
彼女なりの恥ずかしがり方だ

「痛いって、もうやめ」

折角、いい感じの雰囲気が出来上がっていたのに、私の一言で彼女はいつもどおりの彼女に
すこしぐらい余韻を残してくれてもいいのに・・・。
431 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:31
「でもなんか、れーなもおんなじようなこと思ってたんだなぁってちょっとびっくりした」

おとなしくなった彼女は遠くを見つめながら呟く

「まぁ、れなもいろいろあるわけよ」

ふふっと隣で薄笑いを浮かべる彼女はなんだか少し大人びている
疎外感とまではいかないが、いつもの彼女ではないのでなんだか変な感じ
432 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:31
「へ?」

だから手を繋いでやった

「れーなから手ぇ繋ぐなんて珍しい」

不思議そうに私の手を見つめると彼女もぎゅっと握り返してきた

「たまにはよか」

なにが?≠チと絵里は問うてくるが、私にも分からないのでなんだろね≠ニ返す
433 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:32













434 名前:  投稿日:2005/10/17(月) 02:32
どんなだっけなぁ、と考えても、どうしても思い出すことができず
ただ、今、私たちの間を通り抜ける少し冷たい風だけを感じながら
今日も絵里に別れの挨拶をした

明日になればまたいつもの絵里に出会うだろうし、またいつもの私がそこにいるのだろう


心にもやもやができたり、絵里が大人っぽくなったり、そんな絵里に納得してしまったりする自分がいたり

頬杖付いて澄み切った秋空を眺めながら呟いた

「へんな季節」
435 名前:訪れる秋とともに 投稿日:2005/10/17(月) 02:32










                             end
436 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/10/17(月) 02:33
以上、「訪れる秋とともに」でした

いい夢は見れそうですか?
437 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/19(水) 00:56
このスレれなえり好きにはホントたまりませんね・・・
438 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/10/21(金) 09:52
更新お疲れ様です。共感と言いますか納得と言いますか……季節の変わり目になると感じるあの不思議な気持ちはこういうことだったのか、と思いました。
437様の言われたれなえり好きというのは自分のことでしょうか(w 初めて読んだ長編のれなえりでマグニチュード7級の衝撃を受けて以来、れなえりには目がないのです。
もちろん、れなえり以外でも大喜びで読ませていただきますよ〜。
439 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 04:59
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
440 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/12/24(土) 17:40
どーもねこじゃらしです
2ヶ月ぶりですね・・・。
と言っても今回はさっくりと更新いたします

ですがその前にレス返し

>>437
はい、全くその通りでございますw
良かったらまた読んで下さいね
>>438
ときどきみきあやも飛び出しますのでこうご期待

さて、冬ですねぇ雪が降っております
ほんっと最近まで暖かかったのに
いつからこんなに寒くなったのやら
そのまだ暖かかった頃に書いた作品です

「斜陽」
どぞ
441 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:41
授業も七時間目に突入している

カーテンの隙間からは沈みつつある
赤みの強い太陽の光が差し込んでいた

11月だというのに日差しはまだまだ強い
何でも、今年は暖冬だそうだ
寒いのが苦手なので悪くはないが良くもない
夏の延長線のような感じでいつも(去年や一昨年)より
ゆったりと日々が流れているような気がする
442 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:41
一番前や中心に近い席は気が滅入っていろんな意味で集中できない
幸運にも、11月入ってすぐの席替えのくじで
窓際の一番後ろを引いた
さすがに隅とあって教室全体が隈なく見渡せる
なんだかクラスを支配したような気分になってしまうのは私だけだろうか

そんなこんなで改めて見渡すが皆机にひれ伏している
疎らに顔を上げてちゃんと授業を聞いている者もいる
勤勉だなぁ、とまぁ失笑しながらも感心する
443 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:41
ふと、こちらに振り向く女の子と目があった
絵里だ
彼女は教室の中心の席
444 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:42




ある日曜日、ケーキがおいしいと有名の喫茶店に行ったときに
クラスに関しての話題が出てきたのでついでに今の席について聞いてみると
さも居心地が悪いと思いきや彼女いわく
「なんだか狭いし、落ち着く」
のだそうだ

言いようのない殺人的衝動に駆られ
私は絵里の小さな頭をしばいてやった

ぱしん、と喫茶店には不釣合いな音が響く
両手で可愛く頭を押さえながら「いったぁい」
なんて叫ぶ彼女を私は大声であざ笑う


445 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:42



・・・再び教室へ


446 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:42
なんか睨みつけられている
彼女はあのときのことをまだ根に持っているのだろうか・・・
負けじと私も睨み返すとあわてた様子で前に向き直る
コミカルな動きで笑わせてくれる彼女
ずっとその背中を眺めていると恐る恐るといったふうに
きれいな長い黒髪の間から私を覗き込んできた

「亀井さん・・・?」
「うぇ?」
447 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:42
変な声で返事をするがどうやら皆そんな声で
起きるような浅い眠りではないようだ
私は俯き肩を振るわせる

「せっかく起きてるんだから授業聞いてくれ」

数少ない受講者に今にも泣きそうな声で懇願する
これほどまでに情けない人間を私は見たことがない
448 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:43

「うん、せんせーがんばって」

右手を握り締め、顔の前でがんばれの格好で先生を勇気付けている

「絵里、ばり可愛かー」

感極まってこんなことを逝ってしまうのは絵里の前だけ

「ふぇ?もぅ!れーなったらぁ!」

身体は完全にこちらへ向けて恥ずかしがっている
449 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:43
頼みの綱を失った先生は黒板の前で立ち尽くしていた
その表情はいつかどこかで見た
ドキュメンタリー番組の主人公だ
その主人公は皮肉にも麻薬常習者
450 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:43
可愛いと言われ気を良くした絵里はその時間ずっと
私のほうを見たり、うつ伏せになって笑ったり、と忙しそうだった
私はというと相変わらず、授業を聞くでもなくノートを書くでもなく
ただ、静かに流れる時間を愉しんでいた
451 名前:斜陽 投稿日:2005/12/24(土) 17:43
そろそろセンチメンタルな気分になりたいのに
秋は私を焦らし続ける
突然寒くなるのは勘弁だ

穏やかな眠気に誘われながら私は瞼を下ろす

その数日後れいなの願いが届いたのか
秋は静かに訪れた
452 名前:ねこじゃらし 投稿日:2005/12/24(土) 17:44
以上「斜陽」でした

いい夢は見れそうですか?
453 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/25(日) 23:35
ん〜イイですねぇ♪幸運にもれいなと同じ席なので・・2学期からの楽しみが
増えました☆
454 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/12/26(月) 09:30
更新お疲れ様です。
忙しい合間に読むとほっと一息つけるような、そんな雰囲気が大好きです。自分は忙しいか暇人かでいうと暇人なほうに分類されるのですが(汗
次回も楽しみにしてます。
455 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/04/01(土) 03:46
どーもねこじゃらしです
なんだか4ヶ月も開いてしまいました
もし待っていた人居りましたらごめんなさいです

>>453
そうですか、それは良かったです
それから良い事はありましたか?

>>454
ほっと一息・・・してると私はよく寝てしまいます
それと、駆け出し作者さん、あなたの板もちゃんと見てますからね
毎度楽しみにしています、頑張って下さい


さて、春が来ましたね
私の地方では桜も咲いていて
待ちきれない若者たちが
早速花見をしていました
そんな小さな春を感じながら綴りました

「冬去りし日、春来たる」

どぞ
456 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:48


───冬去りし日、春来たる

457 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:49
朝っぱらから退屈というよりまさに悲惨な状況
授業は世界史だ
1時間目とあって皆机にひれ伏している

私はというと、すでに机の傷の数を数え終え、
教室の壁の、謎の絵を分析する工程に入っている
458 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:49
そんな状況にもめげずに淡々と説明をし続ける先生も先生だ
いい加減注意をすることに飽きたのか
それとも元々注意をするほどアグレッシブな先生ではないのか
それに至るまでの経緯を私は知らない
459 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:50
憮然たる面持ちで先生は授業を続ける
悲壮感漂う教室から目を逸らし窓の外を見つめることにした

冬空が広がっていた
実際、小春日和なんてものは非常に稀な物で、
先日まで暖冬だ!暖冬だ!≠ネんて騒いでたのも嘘の様

いつの間に、朝から哀愁漂う普段通りの冬に戻っていた

そうこうしていると1時間目も終わりを告げた

寂しそうに去ってゆく先生の背中を一瞥し、私は絵里の元へと歩み寄る
案の定、絵里も机にへばりついている。その表情は伺えない
460 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:50

「さっきの授業ばりおかしかぁー、そう思わん、絵里?」
「・・・」
「絵里?」

461 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:50
様子がおかしい
この後何度も調子を尋ねたが俯いたまま「うぅ」と唸るだけ
2時間目の休憩になると同時にふらふらと教室を出て行った
それっきりで昼休みになっても帰ってくることは無かった
462 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:51







463 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:51
やっぱり調子悪かったのかなぁ・・・
憂鬱な曇り空を眺めながらさゆと2人で昼ごはんを食べる

「やっぱり中の方が良かったかな?」
「中はうるさか、でも外は外で寒かぁ・・」
「どっちがいいのよ、全く優柔不断なんだから、れいなは」


夏には賑わう中庭の広場、冬ともなれば、ほんの一握りの生徒しか利用しない
広い中庭に設置されたベンチに2人して腰掛ける
464 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:52
特に問題は無いが一つだけ足りないものが

「そーいや、絵里どうしたとね」
「えぇ?れいな知らないの?同じクラスなのに」

その内容はやはり絵里の体調があまり優れないとのことで
私には全く伝わっておらず少々不満
465 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:52
「ってことだけど、メール1つも来てないの?」
「・・・うん」
「絵里になんかしたんじゃないの?」

つんつんとさゆが私の腕を悪戯っ子のように突付く

「やめぇ、ってか何もしとらんし、ん〜朝から調子は悪そうだったけど、そんなひどいとは思ってなかったしぃ…ってさゆ聞いとっと?」
466 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:52
長々と朝の私を説明してもさゆの目線は校舎の3階
ふりふりとそちらへ手を振っている

「ご飯食べ終わったら保健室行ってみたら?」

ごくりとペットボトルのお茶を飲んでから一言私につぶやいた

「そうする」

さすがに寒くなってきたので早々に切り上げることにした
467 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:52






468 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:52
今ではすっかり軽くなったこの小さな鞄を教室に置きに行く為に
吹き抜けのピロティへと向かう

私の教室の校舎に入るにはこのピロティを通らなければならないのだ
が、しかしよくよく考えてみれば、保健室は1階、私の教室は4階
さすがにこれを往復する気にはならない

ただっ広いピロティで立ち尽くしたまま
やはりそのまま保健室に向かうことにした
469 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:53
途中、暖かいお茶と微炭酸飲料を買う
後者は私のもの
私はまだまだ子供なのだ
470 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:53


      『在籍』


471 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:53
保健室のドアのよこに掲げられている札を一瞥し
ノックをすると「どうぞ」と声が返ってきた
静かにドアを開ける

「・・・おぉ」
472 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:54
始めて見るその空間
独特の雰囲気を持っている
まず、消毒液の匂いが鼻にきた
ベッドが並べられている、カーテンで
仕切られているのではっきりと
確認できないが恐らく6台ほど

その手前には診察台があり近くに
包帯やら消毒液やら薬やらが乗ったカートが置いてあった
473 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:54
「どうしました?」
「あ、いや、その、えっと、お見舞いに・・・」
「は?」

とりあえずその旨を伝えなければ

「亀井絵里っていう女の子がここに来ませんでしたか?」
「えぇ?あぁー、ちょっと待ってね」
474 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:55
診察台の更に手前にある、広い机の隅に置かれた
カルテのような物をぱらぱらとめくっている
その隙にこっそりと胸元を伺うと『石川』と書いてあった
よく似合う白衣を身にまとうその人は重々しい雰囲気の
保健室の備品とは裏腹になんだか非常にナチュラルな感じで
全く嫌味の無い人だった
475 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:55
「あぁ、来てるみたい、多分一番端のベッドで寝てるはずよ」
「えっと、どこですかね」
「あ、うん、こっちよ」

その綺麗な人の後ろをひょこひょこと付いて行く
カーテンに首だけ突っ込んで中を確認している
476 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:56
「寝てるみたい」
「・・・あっ、そ、そ、そうなんですか?」

振り向きざまに答えてくれたため
なんというかその横顔の美しさにどきまぎしてしまう
丁度見返り美人図の格好なわけだ
477 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:56
「どもです」
「あんまりきゃっきゃ言っちゃだめだよ」
「はい」

病室?と言うより、あのひだひだのポリエステル地の
パーティションで区切られただけのかなり簡易的の個室
478 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:56
「入るよ」

とだけ、小さくつぶやき
その個室に入る

中で寝ていた絵里は鼻まですっぽりと布団を被っていた
479 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:56


───やばいかわいい

480 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:57
『どうしました?』
「え、あ、いや何でもないですけど・・・」

口に出していったつもりはなかったんだけど
まぁ今後気をつける、と言うことで良いだろう
481 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:57
絵里の眠るベッドの下から丸イスを出してちょこんと腰掛ける
狭い病室を見渡してみるも特に変わった様子はない
かと言って絵里の顔をずっと眺めるのもなんだか覗き見したみたいで・・・
どうしたものか


「・・・ん」

小さくうなる声が聞こえたような・・・
今まで仰向けに寝ていた体がこちらに向いた
すると絵里の小さな鼻が出てきた
482 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:57


───うわっ、かわいい

483 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:57
『へっ?』
「うっ、か、痒い」

後から自分でもかなり苦しいと思った
私っていったい
それにしても保健室の先生、妙に耳がいいな
484 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:57
「ん?だぁれ?」

おっと起こしてしまったようだ

「れいなだけど・・・大丈夫?」
「ん〜?れーなぁー」
485 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:58
寝起きなのかそれとも彼女の本性なのか
もそもそと起き上がり、布団から身を乗り出し
なんだか妙に甘ったるい声で話しかけてきた

「んっ」
「は?」
「んんんっ!」

アヒル口

「なん?」
「キスしてぇ〜」
「ちょっ、何言うとぉ!馬鹿!」
486 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:58
これは参った
こんなに甘えたさんの絵里は始めてである
いや、常に甘えたなんだけど、
この寝起きの絵里は
私が作る激甘ホットココアよりも
さゆが授業中にこっそり食べるホワイトチョコレートよりも
・・・甘い
それも恐らく今世紀最大・・・。
487 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:58
「れぇーなぁー」

私がくだらない瞑想にふけっていると
更なる絵里の攻撃が始まる

とろんとした目付きと艶かしい唇
淫らに動く手が私を撫でる

「え、ええ、ええり、どげんしたと・・・」
「今日のれぇな、何だか可愛いよぉ」
488 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:58
私を覗き込んでいる
先ほどまで私の頬を撫でていた絵里の手がちょんと
私の唇を突付く

「・・・おいしそう」
「はぁ?!」
「これ、食べてもいい?」
489 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:59
紛れもない
絵里が今食べようとしているもの

「ダメばい、これは食べるもんじゃなかよ!」
「む〜!」

小さな個室でひそひそと繰り広げられる小さな戦争
490 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:59
保健室の先生は何をしているのだろうか
この妙なやり取りは聞こえていないのだろうか
あぁ、石川先生誤解しないで・・・。
491 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 03:59
「んふふ〜、れーなだぁ、来てくれて嬉しいよ」

突然、ほわほわとさゆのような笑みを浮かべる絵里
先ほどまでのピンク色の戦慄から開放され、やっと落ち着ける環境に

「はぁ、元気そうやね」
「うん、れーなが来てくれたからね」
492 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:00
ここに来た理由をちょっと問いただしてみると、
どうやら女の子特有の例のアレ≠轤オい
まぁ、今は落ち着いたようで、特に以上も無いらしいが
念のため今日は一日はここで過ごすことにしたらしい
493 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:00
「ところでさ、いつまでいてくれるの?」
「んー、後10分ぐらいで5時間目始まっちゃうから」
「むぅ・・・」
「なん、無理言わんといて」

人差し指をシーツにぐりぐり

「いてよぉ、おねがぁい」
「・・・」
「後でせんせーに言い訳しとくからぁ」
「・・・」
「あ、ほらほら次数学じゃん」
「へ?」
「れーなあの先生嫌いじゃなかったの?」
「んー・・・、じゃあ今日ぐらいはいいかな?」
「ほんと?やったぁー!れーなぁれーなぁ」
494 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:01
私が了承した途端、抱きついて甘えてくる
そんな可愛い彼女をため息混じりによしよしと頭をなでなで

うふふーと抱きついたまま上目遣いで見つめてくる
あぁ、そんな目で見ないで・・・。

「ねね」
「ん?」
495 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:01
今度はなんだろうか
私から離れるや否や、少しはだける絵里
ベッドの上に佇み私を誘う様は天使のよう・・・。

「かもーん」
「んん?」
「はやくぅ」
「はぁ?!何考えとー!」
「だめぇ?」
496 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:01
そんな可愛い彼女に頭を抱えてしまう


「だめとかそんなんやなくて!」
「むぅー」

497 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:02
がらがら、と保健室のドアが開く音がした

どうやら絵里はその音にびっくりしたようで
途端、布団を頭まですっぽりと被ってしまった
498 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:02
「ねぇ、誰?」

絵里の問いに無言でうなずきこっそり個室から外へ顔を覗かせる
さっきの養護の先生だった
499 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:03
「気温が上がってるみたいだから、ちょっと窓開けるね」

私が絵里にそのことを伝えるまもなく、
先生が言葉を発したので絵里も安心したように布団から出てきた

からからから、と窓がサッシを滑る音がした
昼食のときの冷たい空気ではなく、太陽に温められた、
決して暑くも無く、冷たくも無く
いい天気の日に干していた布団の香りのような
快い風が保健室に流れ込んできた
500 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:03
「気持ちいいね」
「うん」

さっきまで寒かったのになぁ

そういえばさっきお茶を買ってきたんだっけ?
今ではぬるくなってしまったお茶を手渡す
501 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:03
「ごめん、忘れとった、ちょっと冷めとうけど、はいこれ」
「んんん、嬉しいよ、ありがと、れーな」

ちょっとうれしくなったので今日は彼女の気が済むまで
傍に居てあげることにした

それを伝えると、彼女はまた、嬉しいと呟き私の首元に抱きついてきた
502 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:04
そして私はまた、彼女にばれないように小さなため息をつく
疎ましい気持ちなんて微塵もないのに・・・
彼女の笑顔が愛しくて仕方がないのに・・・
503 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:04


───私って嘘つきだなぁ


504 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:04

すると温かい春風が私の耳元で“許してあげる”と囁いた
505 名前:  投稿日:2006/04/01(土) 04:05






end
506 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/04/01(土) 04:06
以上、「冬去りし日、春来たる」でした

いい夢は見れそうですか?
507 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/02(日) 07:22
れなえりいいですねぇ…
また定期的に読める事を期待しています
508 名前:駆け出し作者 投稿日:2006/04/03(月) 09:52
更新お疲れ様です。
北国在住なもので春はまだ来ないのですが、一足早く春気分を味わわせて頂きました。
春夏秋冬どの時期でも季節感が溢れていてちゃいこーです。次回も楽しみにしてます。
…返レスを読んで地味に焦る自分(w 頑張ります。
509 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/07(月) 02:13
待ってます!
作者さんの書く話とても好きです。
生存報告だけでもお願いします。
510 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/08/14(月) 04:16
お久しぶりです、ねこじゃらしです
4ヶ月ですね・・・。
ごめんなさい

>>507 名無飼育さん
こんな品で喜んで頂けるなんて感激です
ぜひ定期購読お願いいたしますw

>>508 駆け出し作者さん
こちらこそお疲れ様です
いやいやほんとに頭が上がりません
駆け出し作者さんの能力には脱帽してしまいます
もしよろしければこちらの作品どうぞ

>>509 名無飼育さん
過分のお言葉、真に有り難うございます
今回もぜひ読んでくださいまし
511 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/08/14(月) 04:17
何だか、4ヶ月更新になってしまっているような・・・w
えぇーでは早速本題に

夏ですねぇ、毎日ほんとに暑いです
夏の日差しに蝉の声、そして彼女たちの想い、青春のひと時
そんな情景を思い浮かべながら執筆しました

「初夏の陽気に包まれて」

どぞ
512 名前:ねこじゃらし 投稿日:2006/08/14(月) 04:26
うわ、ごめんなさい、容量が足りないようなのでこちらに移転します

ttp://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/grass/1155497014/

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