if

1 名前:if 投稿日:2005/04/05(火) 20:04

好きな人ができた。

その人のことを考えると、世界はそれだけで満ち足りた。

これは、間違いなく、世間一般で言う、恋というものだ。

だけどあたしは、その初恋に、素直に喜べはしなかった。

なぜならその人は―――――

「後藤真希です」

その人とあたしは―――――

「寝るのが趣味なだけの奴だけど、どぉか仲良くしてやってくださーい」


同じ、女性だったから。


2 名前:if 投稿日:2005/04/05(火) 20:06

「よっちゃん、おーいよっちゃーんさぁーん」
休み時間。いつものようにミキがあたしの机にやってくる。
「・・・やっぱかわいーなぁ」
「え、ミキのことぉ?何を今更そんな分かりきったことを・・・」
「ちっげーよ、タコ」
「た、タコ!?ひどすぎる・・美少女に向かってタコとは・・・」
あたしは今、都内の高校に通ってる。
運悪く、いや運良く幼馴染みのミキと2年連続同じクラスになれて、
ちょっと経ったころだ。

んが。

あたしは今それどころじゃないのだ。
2つ前の席の後藤さん。・・・やばい。かわいい。
女の人に対してかわいいなぁと思ったことは今までだって何度かあるけど、
もうなんなんだこりゃ、なんていうか、どきどきするのだ。

3 名前:if 投稿日:2005/04/05(火) 20:08

「ねーよっちゃんてばー無視しないでよー」
「なんだよ!今考え事してんだよ!」
「よっちゃんさんの頭で考え事なんてできたんすか!?」
「あーこいつうっせー!・・・てかミキってさぁ」
「ん?なになに?やっとあたしに関心を持ってくれたのね」
「なんつーか、かわいいよね」
「お?なに急に。惚れたか?」
「うーん・・・でもやっぱ違うんだよな・・ダメだ」
「え、なになんなの!なにがダメなんすか!?」
ミキと後藤さんじゃ違うんだ、気持ちが全然。
しっかしこいつ、表情がぽんぽん変わっておもしろいな。
「うけるー」
「よっちゃんさぁーん、あたしとちゃんと言葉のキャッチボールをしましょうよ・・」

4 名前:if 投稿日:2005/04/05(火) 20:09
キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴って、はてな顔のミキが自分の席に戻ってった。
さてさて数学の時間か。
最近、授業中は丸々後藤さんを見るのが日課になってきている。
・・・話したいなぁ。
初めてしゃべったのは始業式の次の日だったな。
5 名前:if 投稿日:2005/04/05(火) 20:10

クラスで一人ずつ自己紹介をしてくことんなったんだ。
何人か知ってる子もいたし、あたしはそんなに緊張してはいなかった。
今の席とは違って、後藤さんはあたしの右横にいた。

たしか、「え」の苗字らへんの人の時だったかな。
「うー緊張するねー」
突然その、右横の人が話しかけてきた。
「え、あーうん、めちゃめちゃ緊張するよね」
全然そんなことは思ってなかったんだけど。
ただ、その人があまりにも素敵で。頭が真っ白んなっちゃったんだ。

その自己紹介を聞いたら、どうやら後藤さんは2年からここに転入してきたらしい。
なるほど、だからあんなに緊張してたわけだ。
ふー、だか、はー、だか言いながら席に戻る時、あたしに笑いかけてきた。
「お疲れー」
動揺してるのを悟られないように、わざとちょっと眠そうに返事をした。
6 名前:if 投稿日:2005/04/05(火) 20:13

―――そんくらいだなぁ、後藤さんとしゃべったのって。
「はぁ・・・」
もう一ヶ月くらいたつのに、全然仲良くなってない。
後藤さんがそばにくると、自然に後ろを向いたり避けてる。
なにやってんだ、あたし。
あー消しゴム落としてる。おい隣のやつ拾えよ。
あーもー何やってんだよ、早く拾わないと後藤さんが困るだろ。
ったく。
・・・なんであたし、こんな風になっちゃったんだろ。
だって後藤さん女だよ?
普通、ダメ・・・じゃんこんなの。
それとも恋じゃないのかなーこれって。
もうよくわかんなくなってきた・・・。
とりあえず今わかっているのは一つだけ。


後藤さんは、かわいい。

7 名前:もしもし 投稿日:2005/04/05(火) 20:17
とりあえず更新しゅーりょーで(;´Д`)
というか初めまして、もしもしです。
もうなんか暗い話なんだかバカな話なんだかよくわかりませんね・・・。
ヒマでしたら読んでやってください。

目標は、ストーリーはどうあれ「ダメ、絶対、放置」なんで頑張りますw
よろしくお願いします。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/05(火) 21:33
よしごまですか?
期待してます。
9 名前:名無読者 投稿日:2005/04/06(水) 05:38
よしごま?!大好物なんで期待しとりますっ!!
10 名前:もしもし 投稿日:2005/04/07(木) 01:12

なんだか突拍子もなく、願ってたことが実現したりして。



「ほいじゃあこの時間は委員会決めよかー」

担任の、通称ゆーちゃんこと中澤先生がしゃべってる4時間目のHR。
数学の担当のくせに大阪弁。けどその話しやすさからか、学校では結構人気がある。

委員会か、正直、何に入るかはどうでもいい。
第一、自分のことなんかより彼女のことが一番に気になるわけで。
なに入るんだろ。
転校してきたばっかだし入らないかな。

「体育委員やりたい人ー」

ミキがさっと手をあげる。
体育委員は活動がつらいので有名なのに。アホか?
あれ、後藤さん、なんだか手、あげそうだ。

―――体育好きなのかな。
ミキとだったらすぐ仲良くなれるんだろうな。
二人で体育祭のこと決めたりとか?あー、楽しそうだな―――

一瞬でそんなこと考えちゃって。
でも後藤さんは背中をかいただけで、気が付いたらもうほかの委員を決め始めてて。
あたしは、また、意味もわからなくホっとしてて。
11 名前:もしもし 投稿日:2005/04/07(木) 01:14

「次ーえっとこれで最後か、文化委員ー」

文化委員は体育委員に劣らず仕事が多い。
行事とかに積極的になるのは苦手だし、もちろんやるつもりなんてない。
・・・って。

「はい後藤ーがんばりや。あと一人ー」

・・・逆転ホームランのチャンス到来。
もうこの瞬間には後藤さんと2人で文化祭の打ち合わせをしてるあたしの姿を
想像し始めてる。
どうしよう。後藤さんとやりたいな。でもなんだか、怖い。恥ずかしい。
後藤さんが入ったから入るってことを知られたくない。
こんな経験今までしたことなかったのに。

・・・さぁ手をあげろ、吉澤ひとみ。

もう心では決まっていて、だけど体が動かない。

たのむ手をあげてくれ、吉澤ひとみ。
12 名前:もしもし 投稿日:2005/04/07(木) 01:15

とっさに、ものすごい勢いで手をあげてた。
「き、決まんないし、誰もいないんならあたしがやりますよー」
うわ、すっげー早口。
「よし、吉澤に決定ー」

ふぅ・・・もう一生分の大仕事を終えた感覚だ。
なにはともあれやったぜ吉澤ひとみ!

後藤さんは後ろのあたしの席の方を向いて、口パクでよろしくねーと言って笑った。
うちらの席の間の石川さんて子が邪魔で、後藤さんは半分しか見えなかったけど、
あーうん、とぶっきらぼうに返事することしかできなかったけど、
あたしはそれだけでもう、満タンだ。
13 名前:もしもし 投稿日:2005/04/07(木) 01:18
「よっちゃん文化委員とかやる人だっけ?」
昼休み。
二人でパンにバクついてる時に、また痛いところを突っ込んでくるミキ。
「や、ほら誰も手あげてなかったしさ。
 てかミキこそなんで体育委員なんて?」
聞いた途端、ちょっと笑顔になるミキ。
「中学の後輩が今年入学してきてさー」
「はー」
「一緒に入る約束なんだ」
「ほー」
「よっちゃんも知ってると思うよー、松浦って・・」
「へー」
「もー、そっちから聞いてきたくせに聞いてないし」
しっかし文化委員楽しみだなー。
「やっぱ最近よっちゃん変だなぁ」
「ありがとー」
いつだろ、委員会は。

しばらくは、この出来事のおかげで毎日笑顔で過ごせそうだった。
14 名前:もしもし 投稿日:2005/04/07(木) 01:22
更新終了です。

>>8
よしごまでデ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ス!!!!!
どうもありがとうございます!がんばります!

>>9
ありがとうございます!
自分もよしごま大好物です!よろしくです!
15 名前:if 投稿日:2005/04/11(月) 00:20

いよいよ待ちに待った委員会の日がやってきた。
昨日の夜はほとんど眠れなかった。
やっぱり一緒に行くべきだよな、とか
なんて言って誘おうか、とか
むしろ文化委員なの忘れてたフリして余裕みせるか?とか考えは尽きなくて。


やっぱりこれは、この感情は・・・だめだ、考えるのよそう。
16 名前:if 投稿日:2005/04/11(月) 00:22
放課後、普段は掃除なんてさぼるけど、何かしないと落ち着かないので
熱心にゴミを掃く。
チリトリを自主的に取りにいったら、同じ班の子に驚かれた。失礼な。
「吉澤さーん」
ゴミを取ってると、まだ数回しかちゃんと聞いたことの無い、けれどはっきりと
覚えている声がした。
声の主は、小走りで近づいてくる。
また、どきどきが止まらなくなる。
「ねーねー、吉澤さん文化委員だよね、一緒に委員会行こうよ」
あたしの名前を呼んで、あたしの顔を見て、あたしの事を考えてる後藤さん。
「え、あーそうだったよね。いいよー、行こ」
なにがいいよ、だ。
17 名前:if 投稿日:2005/04/11(月) 00:23

「吉澤さんはさー」
移動中、歩きながらあたしの方を見てくるかわいい顔。
「みんなになんて呼ばれてるっけ?」
「え、えっとあーよっすぃーとかよっちゃんとか・・」
空中に視線を漂わせながら答える。
「じゃあ、よっすぃーって呼んでいい?」
「え!?」
びっくりして、嬉しすぎて思わず聞き返してしまった。
「あ・・ごめんやだった?」
「や!ややや!もちろんおっけー!呼んで呼んで!」
「んー」
お互いホっとした顔に戻る。
「後藤さん・・はなんて呼ばれてる?」
「前の学校ではごっつぁんとかごっちんとかかな」
「ごっつぁん・・・ははは、おもしれーあだ名だねー」
「あはっ。やっぱ変だよねー」
「おもしろいよー、そんじゃあたしはごっちんで」
「うん」
18 名前:if 投稿日:2005/04/11(月) 00:24

なんだか普通にしゃべれてる事に気づいた。
あたしちょっとテンション高いけど。
よかった。これって、こういうのって、友達じゃん。
なんだ、やっぱり恋なんかじゃなかったんだよ。
まだそういう経験ないから、バカみたいに勘違いしてただけなんだよ。

そう自分に言い聞かせた。
・・・なんであたしこんなに必死なんだろう。
19 名前:もしもし 投稿日:2005/04/11(月) 00:30
更新終了です。
ミスばかりですいません(0;´〜`)
20 名前:名無読者 投稿日:2005/04/11(月) 11:28
更新乙です
必死な吉澤さんがかわいいです
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/20(水) 18:43
(・∀・)イイ!!すごく(・∀・)イイ!!
今後どうなっていくのか楽しみです
22 名前:if 投稿日:2005/04/29(金) 23:46

後藤さん改め、ごっちんのことは、極力考えないようにしていた。
それでも気が付くと、前方にいる彼女のことを見てしまっている。
なぜだか、他の人と色が違うのだ、ごっちんだけ。
どうしても気になってしまう。

ごっちんは友達。ごっちんは友達。

委員会のおかげであたしは、「結構話す友達」くらいにまでなった。
まだあまり友達ができていないのか、彼女はだいたいいつも一人でいた。
そのおかげで時々彼女の席に行って、2人でくだらないことを話せた。
といってもあたしはミキと一緒にいることがやっぱり多く、ごっちんから
あたしに話しかけてくることはあまりなかった。
23 名前:if 投稿日:2005/04/29(金) 23:48

「そんで体育委員の顧問がさー」

休み時間、いつものようにあたしの横で話すミキ。

「なんと飯田先生!聞いてないっつーの」

やっぱりミキと一緒だとなんか楽だ。
お互い気を使わなくていいし、あたしをあんなにうまくツッコんでくれるのは
ミキしかいないだろう。

「まじかよー、楽しそうじゃんそれ」
「はっ!?やだよー、あの先生の近く、携帯の電波入んないし」
「あたしんとこなんて保田先生だよー」

ガタッ―――
24 名前:if 投稿日:2005/04/29(金) 23:50

近くでイスを引く音がして、ふとそっちを見る。
石川さんだ。
あの人とは一言二言しかまだしゃべったことがない。
あまりみんなと騒ぐタイプではないようだ。

石川さんは席を立ち、そして、話しかけた。
・・・ごっちんに。

あれ、あの二人仲いいっけ、第一ごっちんにはまだあんまり仲いい人は
いなかったじゃん。
なんだこれ、息、できない。
うわ、すごいイヤだ、どうしよう。見たくない。

「よっちゃーん、またヒューズ飛んじゃった?おーい」

ごっちんに、あまり友達がいないこと、心のどこかで安心してた。
あたしだけが友達なんだ。あたしだけなんだって。
最低だ、あたし。自分が気持ち悪い。
25 名前:if 投稿日:2005/04/29(金) 23:51

二人は少し話して、教室を出て行った。
トイレにでも行ったのだろうか。どうだっていい。

思わず下を向く。
ミキにうまく返事ができない。
ざわざわとうるさい教室。

「よっちゃん・・」

泣きそうなのは、石川さんがごっちんに話しかけたからじゃない。
ごっちんが石川さんと教室を出て行ったからじゃない。
この気持ちはやっぱり恋なんだって、簡単に気づいてしまったからじゃない。
26 名前:if 投稿日:2005/04/29(金) 23:51


―――この恋が叶うことは、永遠にないんだって確信できてしまったから。
27 名前:if 投稿日:2005/04/29(金) 23:53

「・・あー次は数学だっけな、宿題やってないや」

ミキは、黙って下を向くあたしに、独り言らしいものを言って席に戻っていった。
次の授業は国語だっつの。
なんにも知らないのに、なんとなくあたしの気持ちを察してくれる親友。
今度は嬉しさで、あたしはもっと泣きそうになった。


この気持ち、伝えられる日が来ることはないんだろうな。
それでもあたしは後藤真希が、好き。好きで好きでしょうがない。
どうしたって変わらない気持ちだ。
・・・まだあたしにはよくわからないけど、今はそれだけでいいと思えた。
もう自分自身に嘘をつき続けたくはない。
たとえ叶うことはなくても、彼女のそばで、彼女の笑顔を少しでも多く見ていたい。
ごめんミキ、あたしまだまだ変なままっぽい。これからもツッコミ期待してるぞ。

チャイムが鳴り、先生が入ってくる。
あたしは大きく、息を吸う。

「・・・おっし」
28 名前:if 投稿日:2005/04/29(金) 23:58
更新終了です。

>>20
まじですかY⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!?
ありがとうございますです、がんばります。

>>21
(・∀・)イイ!?どうもありがとうございます!
今後の話は、自分の中ではある程度展開は決まっていて、
ちょっと変な感じになっていくと思いますw
29 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/04(水) 03:23
更新お疲れです。
石川さんと後藤さんの関係は・・・。
ちょっと変な感じに期待しつつ更新待ち!!
30 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:21

「はいじゃあ4、5人くらいで適当にグループ作ってやー」

さてさて、ただいま大恋愛中の吉澤ひとみは遠足のグループを
決めております。行き先は遊園地。

「やほー」

ミキがやってまいりました。

「誰と組もっか」

二人が組むことを前提に話し始めます。
4人か5人ということは、自分達を抜かすと2、3人ということになります。
はてさて、誰と組みましょうか。

「あ、ねーあの二人はどぉ?」

教室をまるで審査するように見ていたミキは、顎でその二人、とやらを指したのです。

「・・・ぶっ」

わたくしは何も口には入れていないのに思わず噴き出してしまいました。

そう、みなさんが今思い浮かべているでしょうあの二人なのです。
31 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:22

「よっちゃんてあの人たちと結構仲よくなかったっけ。さっさと決めちゃいたいし。
・・・イヤなの?」
ここで反論すれば日本が一瞬で吹っ飛びそうな目をしてくる。
「あ、いや、いやいや、イヤじゃないです」
「じゃあ言ってくるね」
すぐさま二人の元へ行くミキ。

こんな展開は全然期待していなかったが、なんだか嬉しい気持ちが半分、
憂鬱な気分が半分だ。
あの二人が一緒だと、あたしはきっと妬いて妬いて仕方ないだろうな。
当然二人にそんな感情はこれっぽっちもないんだろうけど。

三人で少し話をした後、ミキがあたしを手招きする。
・・・う。
しょうがない、戦場へ突入だ。
32 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:23

「やーやー、どもども」
「おっけーだって。決定だね」
「おーそっか、よろしくねー」

よし、かまずに言えたぞ。

「どうも、よろしく」
二人のうちの一人、石川梨華。
現在あたしが最もやきもきしてる相手だ。
本人はそんなこと想像もしてないんだろうけど。
少しは仲良くなれるかな。

「よっすぃ〜と一緒だぁ、よかったー」
彼女にとってはどうでもいいことなんだろうけど、その一言にまた胸が高鳴る。
そう、もう一人はもちろん、後藤真希。
ふにゃっと笑顔を見せる彼女に、相変わらず目をそらしてしまった。

ちょっと、いやだいぶ、楽しみになってきた遠足。
33 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:27

そんなこんなで都内の遊園地へやってきた。
天気は快晴。平日だからそんなに人もいない。
遠足とは言ってももう高校生。現地で点呼だけとってあとは自由行動だ。

「どっか行きたいとこある?」
ミキが聞く。
「やっぱ定番のジェットコースターとか?」
「いいねー。一発目はやっぱりそれじゃないとね」
あたしの言葉に同意するごっちん。
「えっと、いしかーさんもおっけ?」
「あ、うんいいよー」

しかしこんな調子で石川さんと仲良くなんてなれるんだろうか。
正直にがてなタイプだと思う。
ごっちんのことであたしは一方的だけど、あまりいい感情が持てていない。

二人ずつで乗ることになったジェットコースター。
「グーパーで行きますか」
なんだかこの4人だとどうもミキがリーダーシップをとるようだ。

「ぐーぱーじゃすっ!」
34 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:28

「んぁー」

・・・・・・幼馴染だったのが原因なのか、ミキと見事に一緒。
「梨華ちゃんとだねー」
「うん、よかったー」
「うお、よっちゃんさんとじゃん」
「・・・おー」
「なんかイヤそー。そんなにあたしがイヤなら後藤さんと乗ればいいじゃーん」
またこのミキは。
なんも知らないくせにやばいとこ突いてくるんだから。
「ば、ばか何言ってんだよ、さっさと乗ろ乗ろ」
35 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:28

―――ぐ・・・。

「次どこ行こっかー」
「おばけ屋敷行きたいな」
「お、よっしゃ行こう行こう」
なんだか楽しそうに話してますが。
「・・・きもちわる・・」
ごっちんの手前、やっぱりイヤですとは言えずに乗ってしまったものの、ジェットコースターは
大の苦手だ。
「ほらほらしゃきっとせんかーい」
ふらふらになって歩くあたしをガシガシ蹴ってくるミキ。
「く、このやろ・・」
元気になったら覚えてやがれ。

うちらを見て笑う二人。
うーん、やっぱりちょっと感謝するぜ、ミキ。
36 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:29


「・・・・怖いね」
「・・・・・・うん」

暗いおばけ屋敷の中を、あたしたちは歩いている。
こんなに何とも言えない会話なのは、けしておばけが怖いからではなく、
あたしと石川さんが『チョキ』を出したからだ。

・・・なんか話さなきゃ。
そう考えれば考えるほど、いい話題が浮かばない。
もうおばけを鑑賞する余裕もない。

「だいじょうぶ、まだ気持ち悪い?」
必死で話題を考えていると、突然石川さんが背中をさすってきた。
悩んでた姿が、まだ具合悪く見えたのかな。
「あ、うん、大丈夫だよ、あんがと」
社交辞令とかじゃなくて、本気で心配してくれてるみたいだ。
眉毛が八の字になっている。
「そう?あ、アメ舐めると結構おさまるらしいよ、はい」
ピンクのキラキラしたかばんから差し出してきたアメ。
「一個しかないから二人には内緒ね」
「・・・さんきゅ」
「ずっと吉澤さんと話してみたかったんだー、私人見知り激しいから、
なかなか話しかけられなくて」
37 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:30

なんだかあたしはこの人のことをすごく勘違いしてたみたいだ。
自分が恥ずかしくなる。
石川さんともっと話してみたい、それはやっぱりごっちんへの感情とは違うけど、
あたし好きだな、石川さん。

「あたしも、思ってた」
少しだけ、ほんの少しだけ、二人の歩く早さがゆっくりになった気がした。

ああ、よかった、『チョキ』だして。
38 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:31

「あー怖かった・・・」
「あはは、梨華ちゃん顔真っ青なんだもん、おもしれー」
「よっすぃーひどいよ・・・」
「いや、あれはさすがにあたしも笑っちゃったよマジで」
「んぁほんとほんと、観覧車であんな風になるとは思わなかった」
「だってみんなで揺らすんだもんー」

ずっと4人でいていろんな話をして、うちらはたくさん笑いあった。
みんな打ち解けて、本当にあっという間に時間はすぎて。

「あ、ここ見たいなー」
夕方になったころ、ゆっくり入り口に向かって歩いていると、おみやげショップの前で
ごっちんがつぶやいた。
「おっけー見よ」
ミキの返事でみんなが店に入る。
ということでおみやげを物色中。家族になんか買ってくかな。
39 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:32

「よっすぃーよっすぃー」
4人バラバラになって見ていると、ごっちんが後ろから肩をとんとん。
・・・あぁなんでこの人の声はこんなにかわいいんだろ。
「これかわいくない?」
ごっちんが手に持って見せてきたのは、小さなペンギンのキーホルダー。
ピンクと赤の二色だ。
「いーじゃん、欲しいね」
何気なく言うと、何気ない返事がきた。
「なら二人で買おっか、おそろいー」
・・・神様、結局ごっちんと二人きりでアトラクションに乗ることの無かったあたしに
同情してくれたのでしょうか。
心の中で大きく、とても大きくガッツポーズ。
「え、あ、うんいいね、おっけ、買お買お」
途端に声のトーンが高くなってしまうかっこ悪いあたし。
「やった、よっすぃピンクね。どこにつけようかな」

うーん、かわいい。
40 名前:if 投稿日:2005/05/10(火) 21:32


―――てなわけで、今日はあたしにとって本当に最高の思い出になった。

少し変な顔のペンギンは、もちろん今もあたしの携帯についている。

41 名前:もしもし 投稿日:2005/05/10(火) 21:38
更新終了です。
なんかくだらない話すぎてすいません(´・ω・`)

>>29
どうもありがとうございます。
修羅場とかカップルだらけにあんまりできないかもしれませんw
またヒマなとき読んでくださいです(・∀・)ノ
42 名前:if 投稿日:2005/05/20(金) 22:23

彼女が泣いている。

ここから消えてしまいたいと思った。

それはあまりに、美しすぎたから。

彼女が泣いている。
43 名前:if 投稿日:2005/05/20(金) 22:25

事の起こりは今日の放課後。

「おー、吉澤!ちょうどええとこにおった。
ちょっとこの荷物運ぶの手伝ってくれへん?」
部活もやってないあたしは、すぐさま帰ろうと教室を出たところで、
ゆーちゃんに見事に捕まった。
「・・・げ」
「ええやんヒマなんやろ?ほな行こか!」
そういうことで、かれこれ一時間、荷物を運ぶだけのはずだったのに
ついでに準備室の掃除までやらされて、やっと開放された。
44 名前:if 投稿日:2005/05/20(金) 22:25

もうすでに教室が並ぶ廊下には人影はなかった。
荷物を取りに教室へ入ろうとしたところで、中に人がいることに気づいた。
すぐにわかった。
あの後姿は、ごっちんだ。
窓のそばに立ち、空を眺めているようだった。
入って話しかけようかと思ったが、・・・できなかった。

泣いてる?

遠く、しかも後ろからなのではっきりとは見えないが、頬を伝うキラキラと
光るもの、それは涙だった。
どうしたんだろう。
よくわからないけど近くに行って励ます?
そんな事を考えるよりも先に、思った。

なんて美しいんだろう。

彼女を照らす、まぶしい夕焼けのオレンジ。
その光が眩しすぎてハッキリは見えない、どこか影のある彼女の背中、長い髪。
今までどんな高い評価を受けた絵や写真を見ても、これほど美しかったものなど
存在するはずがなかった。

あたしはしばらく呆然として立ち尽くしてしまった。
45 名前:if [side A] 投稿日:2005/05/20(金) 22:27
[side A]

もうどれだけ見つめていたのかわからない。
ごっちんが動く気配はないから、きっとあまり時間は経ってないのだろう。
あたしはいまだに廊下に突っ立っていた。

いい加減話しかけないとまずい。
だいたい本来の目的はカバンを取りにいくことだったんだから、このままじゃ帰れない。
・・・だけど。

ごっちんは一人になりたいんじゃないだろうか。
普通泣いてる理由なんて聞かれたくないよな。
でも思いっきり泣いてる彼女を無視するのも最悪だし。

またイヤな展開をどんどん考え出してしまう。あたしの悪いクセだ。
どうしよう、吉澤ひとみ、委員会以来の大選択だ。

一歩進みかけてはまた止まる。
やばい、ここで振り向かれたらコソコソ見ていたことになる。
早く話しかけなきゃ。
46 名前:if [side A] 投稿日:2005/05/20(金) 22:29

「・・・・・ご―――」
「あー、よっちゃんさんじゃーん」

同時に二人があたしの方を見る。
教室のごっちんと、階段を上がってきたミキ。

「どしたのこんな時間まで」
あたしに話しかけながらどんどん近づいてくる。
あたしは固まって、ごっちんの方を向けない。
「あ、や、中澤先生の手伝いしてて。カバン取りに」
「へー、ミキはまた体育祭の準備だよー。
あ、ごっちんじゃん。」
ミキが教室の中を覗く。
あたしもやっとまっすぐ彼女を見る。
「ごっちんは何してたの。よっちゃんと一緒に?」
「違うよ、あたしは一人で手伝ってたんだよ」
なぜか慌ててあたしが返事をする。
「んあ、寝てたんだぁ。ねむー」
ごっちんは目を乱暴にゴシゴシこする。
「マジかよっ!うわー今まで寝てたとかすご」
笑いあってる二人。うまく笑えないあたし。

寝てなんか、いなかったじゃん。
そんなこと言えるはずなかった。
47 名前:if [side A] 投稿日:2005/05/20(金) 22:31
更新終了です。
やたら短くてすいません。

sideAというのは、えーっと、sideAがあるということはBもあるかもしれませんw
でもまずはAを完結させてからの話になると思います。
・・・とりあえずは無視して読んじゃってくださいw
48 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/21(土) 13:41
ごっちん……
スゴイ続き気になります。
まったりと次の更新待ちます。
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/21(土) 22:41
よっすぃー頑張れー!!
50 名前:if [side A] 投稿日:2005/07/24(日) 22:36

あたしは、あいかわらずのミキと、そして梨華ちゃんやごっちんと4人で一緒に
いることが多くなった。
あの日、ごっちんが泣いていた日から、何一つ変わっていない。
あたしは結局何も聞けずにいた。
ごっちんが聞かれたくないだろうから、そんなのは勝手に作った言い訳で。
単純に怖かった。
踏み込みすぎることで、嫌われたくないから。

だったらあたしは、気の回らないただの友達でいい。
最近そう考えるようになってきた。
彼女と愛する者同士の行為なんてものはなくても、少しだけそばにいれたら。
ずっとずっとそばにいれたら。
51 名前:if [side A] 投稿日:2005/07/24(日) 22:38

「今日ってさぁ、委員会だっけ?」
今日の授業がすべて終わり教室がザワついている中で、ごっちんが
あたしのほうへやってきた。
空いている隣の子の席に、体を横に向けて座るごっちん。
「そーいやそーだったね」
あたしはカバンに教科書やらノートやらを詰めながら返事をする。
本当はずっと覚えて、楽しみで、なのにめんどくせー、なんてつぶやくあたし。
このアマノジャクな性格、いい加減直さなきゃな。

「なにするんだろー」
「んー・・・文化祭まだまだだし、そんな話し合うことないんじゃん?」
「そだよね」
52 名前:if [side A] 投稿日:2005/07/24(日) 22:39

委員会の始まる空き教室へ、私たちは向かっていた。
「あー、そうだ」
「ん?」
「ちょっとジュース買ってくるわ。荷物持ってってくんない?」
「おう、おっけ」
ごっちんのカバンを預かる。結構重い。ちゃんと勉強してんだな、なんて。
自販機のある一階へ階段を下りてくごっちん。

なんだかちょっと寂しいなーなんて感じつつも、一人で教室に入る。
早く来すぎたのか、まだ誰もいなかった。
適当な席に座り、左隣にごっちんのカバンを置いた。

「はぁ」
小さく短いため息をつく。

恋って、疲れる。
もっと可能性のある恋愛なら、楽しいことばかりなのかな。
こんな気持ち、どうせ叶わないならなくなってしまえばいいのに。
最近あたしは、暗くなったり元気になったり忙しい。
53 名前:if [side A] 投稿日:2005/07/24(日) 22:41

机にうっぷしていると、ドアの開く音が聞こえた。
「おー吉澤ー」
「ぬわ・・・なんだ保田せんせーか」
「まだ誰も来てないわけ?ったく今年の文化委員はやる気ないわね」
「はぁ」
「ところで吉澤」
保田先生の一番の特徴、キリっとした目であたしを見てくる。
「なんすか」
「後藤とはどうなの」
「ぶふぉあっ!どどどどどうって別にどうもないですよ」
バレたか?バレたのか?あたしもう終わりかもしれない。
「は?仲よくしてるの?・・・あのこはさー、転校してきたばっかりだから
まだあたしもあんまりわからないけどさ」
保田先生は窓の外に目をやり、ゆっくりと話し始めた。
「自分でツラいこと全部抱え込んじゃうように思えてね」
「・・・」
保田先生の気持ち、わかるような気がした。
「でも最近はあんたといる時とか、よく笑ってるのを見かけるから」
「は、はぁ」
「ま、頼んだわよ」
「がってんですぜ!」
あたしはドン、と大きく自分の胸を叩いてみせた。
54 名前:if [side A] 投稿日:2005/07/24(日) 22:43

ちらほらと他のクラスの人たちも教室に入ってきた。
それに混ざって彼女も飲み物を抱えてあたしの所へ来る。
かわいいな。

・・・ってあぶねー!先生にあたしの気持ちがバレてないことに、今更ほっとした。

結局話し合いなんてものは無くて、保田先生が文化祭の意気込みを永遠語っている教室。

「あいよ」
ボーっと保田先生の話を聞いていると、頬に冷たい感覚が走った。
「おあっ?」
「あげるー」
ぶどう味の缶ジュースの度アップと、ごっちんの微笑み顔。
「あ、さんきゅ、はうまっち?」
「お代はよござんすよ」
「やーやー、そりゃダメですぜ」
「・・・お礼。だま―――」
「ほらそこちゃんとあたしの話を聞きなさい!大切なことなのよ!!」
ごっちんは苦笑いで、すいませーんと呟くとあたしの方を一切見ずに、窓を向いてしまった。
55 名前:if [side A] 投稿日:2005/07/24(日) 22:44

―――かき消された言葉。

汗をかいた缶ジュースのふたを、プシュッという音とともに開ける。
少し薄めの味が、いろんな意味でカラカラに乾いたノドを通る。
「うめぇ」
「最初に振らなきゃダメだよ」
机にひじをついて、完全にあたしの方を向いている背中が呟いた。
「・・・まじか」
時すでに遅し。申し訳程度に缶を揺らしてみる。
「最後の濃いぃ味をお楽しみくださいな」
彼女の肩が少し揺れる。
あぁもう、笑顔見たいんだからこっち向けよ。
56 名前:if [side A] 投稿日:2005/07/24(日) 22:46


ダマッテテクレタオレイ。

全部バレてたのかぁ。
ったく。
あたしは一人、ため息に似た笑いを吐く。

泣いていた理由なんてどうでもよくなってきた。
もうあんな風に隣の背中を泣かせないようにしたい、それだけだった。

すげーな、保田先生もごっちんも。
あたしのことたった一言でいろんな人間にしちゃうんだもん。
「・・・すげー」
「はっ」
なにが、とでも言いたげに、吐き捨てるような笑いをする彼女。


「すっげー、・・・長いね先生の話」

もう30分になるところだった。

57 名前:if [side A] 投稿日:2005/07/24(日) 22:54
( ;‘д‘)えー

更新遅れてすいませんでした!
いろいろあってとても忙しく・・・って言い訳ですね。
これからはもうちょっとペースあげて行きたいと思ってるので、
よろしくお願いします。

>>48
どうもありがとうございます、続きが気になっていただけるなんて(*´D`)
これからもまったりきっかりやって行きたいと思ってます!

>>49
はい、頑張ります!ってよっすぃー宛てですね(0*^〜^)ノ サンキューベイベー
吉澤さんにはもっともっと頑張ってもらう予定ですw
58 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 11:16
更新乙です。
よっちゃん、頑張れ!!
ここの話好きなんで、マターリ次回の更新も待たせてもらいます。
59 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/25(月) 18:54
ぬぁ、今更この小説に気づいた…
あ、自分もよしごま書かせてもらってる者です(ごとー視点で)
やー、なんか…ホントいいっすねぇ…
60 名前:みよっち 投稿日:2005/07/26(火) 13:27
更新されてるぅぅ!!!!!すごいぅれしぃww
ごっちんのことが気になります。。。
よっすぃ〜頑張れぇぇぇ☆★☆★☆
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/27(水) 22:50
>>60
もちつけ
嬉しいのはわかるがageちゃだめ

更新乙です
次回も待ってます
62 名前:if [side A] 投稿日:2005/08/21(日) 00:46

「よっちゃんよっちゃん!!!」

教室に入り席に着くと、面白いことがあったときにする顔をはめたミキが駆け寄ってきた。
ちょいちょい、と耳を貸せの合図。
「ごっちんさぁ」
やっぱり、と思いつつもはぁ、と相槌を打つ。
「なんか昨日告られたらしいじゃん!」
「告られてはいねーよ」
ついイラっときて嫌な言い方をしてしまった。
自分ではもう納得していたつもりだったけど、人からそのコトを聞くと結構キツい。
「え?」
「・・・メアド渡されただけだったよ」
「え、なによっちゃん一緒にいたの?」
「おうよ」
即答。なるべくその話題を早く終わらせたかった。
63 名前:if [side A] 投稿日:2005/08/21(日) 00:48

―――そう、いたのだ現場に。運悪く。
委員会もやっと終わり、二人で帰れる月に一度あるかないかの大イベント。
あたしは今にも小躍りしそうなほど嬉しかった。
そこにとんでもないアクシデントが起きたのだ。
靴を履き替え外に出ようとすると、私の一番気に入っている苗字と名前が呼ばれた。
ごっちんよりやや早く、あたしは振り向いてしまった。

ニタニタした汚い顔。ボサボサとだらしの無い頭。
高校生が異性を放課後まで待ち、いざ話しかける。
こいつが何を目的としているのかなんて、いとも簡単に理解できた。

「後藤さんですよね?」
そうだよ、わかってるから呼んだんだろうが。
「あー、そーですけど」
いいよごっちん返事しなくて。
「あのぉ、えっとオレ前から後藤さんと―――」
やめてくれ。やめてくれやめてくれ。
ごっちん返事しないでよ、こんな気持ち悪い奴と。
近づくな、そんな下品な目でごっちんを見るな。
あたしの方が断然、ごっちん、あたし―――

気がつくと、あたしは二人の足しか見えないほどに下を向いていた。
顔をあげると、無表情のごっちんが手に持った紙を見ていた。
嬉しいんだろうか、困ってたりするのだろうか。
その表情からは、何も感じることができなかった。

「行こっか」
何も言えないあたしに、ごっちんはぽつりと呟く。

視線はまだあの男が渡した紙にあった―――
64 名前:if [side A] 投稿日:2005/08/21(日) 00:50

「へー、で、で、かっこよかったわけ?相手は」

あたしの机に乗り出して聞くミキ。
なんだかこいつやけに興奮してんな。
いつも二人でいたせいか、恋愛の話はあまりしたことがなかった。
こういう姿を見ると、あぁこいつも女なんだな、なんて妙に感心したりして。
それと同時に、少し距離ができた気がして。

これが普通。普通なんだ。

「あーもうさー、んな気になんなら本人に直接聞きゃいいじゃんかー」
机に突っ伏して、あっちに行け、とそれとなく示す。
「ちぇーつれねーっすねー」
文句を言いながらも、席に戻っていくミキ。
今は話したくないってことを察知してくれたみたいだ。

ミキへの謝罪と、ほんの少しのお礼を念じながら、授業の始まりのチャイムと同時に眠りについた。
65 名前:if [side A] 投稿日:2005/08/21(日) 00:53
―――気持ちが、収まらなかった。

「えーきもくない?普通にさー」

あのあと駅へ向かう道、あたしはあの男の悪口ばかり言っていた。

「だって放課後に待ち伏せって・・・今どきないっしょー」
早足で歩くあたしの2、3歩後ろを歩く彼女。
どんな表情なのかはわからないけど、笑っていないのだけはわかる。
「しかもなにあれ、ロンゲに茶髪ってチャラ男じゃん完璧。最悪」

何言ってるんだろうあたし。

「んー・・・」
「え、まさかごっちんあんな男がタイプなのー?」

何があんな男だ。

「やーまぁ別にごっちんが選ぶんならねー」

一番ふさわしくないのは・・・

「しっかしさっきのは笑えた―――」
「コンビニ寄っていくね。ばいばい」
振り向くと、もう遠い背中があった。


一番ふさわしくないのは、あたしじゃないか。
66 名前:if [side A] 投稿日:2005/08/21(日) 00:54

自分にあきれて涙も出ない。
あたしは女。彼女も女。そしてあいつは男。
不戦勝。
勝負なんて決まってる。
違うそんなことじゃない。
そんなことでごっちんは怒っているんじゃあない。
あたしは・・・邪魔をするしかないのか?
好きな人を幸せにできないなら、好きな人の幸せを願うこともできないのか?
最低。それでも、それでも・・・。


もう、どうすればいいのかわからなかった。
『気持ち悪い』一般的にそう思われている感情を、親や友人に話す勇気もない。
世間は冷たい。いや違うんだ、あたしが臆病なだけなんだ。


あたしが男なら。
そんな叶わないことを、初めて願った。
普通に恋をして、普通に付き合ったりして、普通に結婚して、子供ができて。
そんな可能性が、自然にあったかもしれなかったんだ、ごっちんと。

何が違うんだ男女の恋愛と。
どうして、どうして好きなだけなのにダメなんだよ、伝えられないんだよ。

好きの二文字が、あたしには重過ぎる。
重過ぎて重過ぎて、もうそろそろ溺れてしまいそうだった。
67 名前:if [side A] 投稿日:2005/08/21(日) 01:03
更新終了です。
遅れて短くてごめんなさいっていいかげんしつこいですね(;´Д`)
つ、次こそは・・・明日とかにまた書けたらなーって・・・('A` )

>>58
あざーす!!
マターリでホントすいません、これからは超特急でがんばりますんで!!

>>59
よしごま作者さんですか(* ´ Д `)よしごま小説は読みまくってるので、>>59さんの小説も
読んでると思いますw 嬉しいです、ありがとうございます!

>>60
自分も嬉しいです!!ありがとうございます!!
ごっちんの色々は、もうちょい先になっちゃうかもしれませんが、気長に待っててくださーい。

>>61
わざわざありがとうございます!
なんだか暗い話になっちゃってすいませんです!!
( ´D`)<そのぶんここでテンションをあげていく作戦なのれす!!!
68 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/21(日) 02:17
更新乙です
あー、切ない・・・・
その気持ちよーっく分かるぞよっちゃん
負けるなファイト
作者さんも無理しない程度に頑張って下さい
>>63イキロ・・・・・
ちなみに、自分もいちおーよしごま書いてますよ(宣伝かっ!?


自分が読んでる作品はなんか切ないのが多いけど・・・ブーム?(w
69 名前:みよっち 投稿日:2005/08/22(月) 13:48
更新お疲れ様です。続きがカナリ気になってきました。
これからもゆっくりと待っていたいと思います。
頑張ってください!!
70 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/16(金) 17:11
待ってます
71 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/30(金) 18:46
おもしろいです!!がんばってください♪
72 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/11(火) 20:53
ずっと待ってます!頑張ってください♪
73 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:01

「うひょー、絶景!」

あたしを起こすように大きな声で叫ぶミキ。
バスの中、あたしは腕を組んでうつらうつらしていた。

飛行機で一時間弱、そこからバスに揺られて向かうは海。
あたし達は今、修学旅行で沖縄にいるのだ。

「わーちょっと見てよよっちゃん。てか起きろ」
「揺らすな」
「なんか海でちょっと自由時間くれるらしいよー、遊ぼうね」
うーんと伸びをして、ミキとその奥の空を見上げる。

「・・・うひょー」
「っしょ?ヤバいね沖縄」
74 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:01

「二人ともーすごい綺麗だねー」
後ろから特徴のある声。

「石川さーん、窓側座ってると更に黒こげんなりまっせ」
嬉しそうに言うミキ、すかさずハの字眉毛になる梨華ちゃん。
「ごっちーん、起きろー」
体ごと後ろを向いて、ごっちんの顔を覗き込みながら言う。

「んぁー・・・寝てないしー」
明らかに起きたての声での返事。
「なんでごっちんグラサンしてんだよ」
ミキも同じように後ろを向く。
「んーアイマスク代わりー」
ずり落ちたサングラスの奥から、上目遣いでニヘっと笑うごっちん。

「おはよう」
「ん。おはよ」

75 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:01

―――「この前・・・ごめん」

あの出来事が起こった次の日、彼女に謝った。
ごっちんはちょっと困った顔で、それでも笑って答えた。

「んえー、なんだっけ」

全部わかってるくせに。
あたしはこの子のこういう所が好きなんだ、思わず実感してしまった。

「・・・さんきゅ」
「あはっ。なに言ってんだか」


あの後のこと、あの男のこと、ごっちんの気持ちのこと。
たくさん聞きたいことはあったけど、すべて飲み込んだ。
こうしてまだあたしに笑いかけてくれるなら、大丈夫、今は十分。
それだけで、いっぱいになれる―――
76 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:02

「うおー!!」
四人で素足になり、砂浜へ全力疾走。
「沖縄やべー!!」
ヤバいヤバい言っているミキ、なんだか今日はテンションが高い。

膝まで海に入り、水をバシャバシャとかけ合う。
ナメコを見つけたので梨華ちゃんに投げつけて、泣かせた。
ごっちんがそれを見て笑ったので、調子に乗って何個も投げる。
マジ泣きになってきたので、手頃な二番目にキレイな貝殻を選んで梨華ちゃんに渡す。
一番キレイな方はごっちんへ。
ミキは既に飽きて、砂浜にへたくそなラクガキやうちらの名前を書いていた。
今度は四人で大きく書き始める。
77 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:02

『FOEVER ミキ&よっすぃ&梨華ちゃん(黒)&ごっちん』

「ちょっと誰よカッコクロって入れたの!」
顔を伏せて肩を震わせているミキ。
「しかもふぉえばーのR抜けてるし」
「まじすか!」
ごっちんの突っ込みに慌てて直すあたし。

「んあー!集合の時間過ぎてるよ!!!」
「おっしゃあ走るぞ!!」
ミキに続いてみんな走り出す。

「・・・あ!大変!!」
梨華ちゃんが突然叫んだ。
「どうした忘れ物!?」





「カッコクロ消し忘れたの!!」
78 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:03






79 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:04

「後藤さんて彼氏とかいんの?」
「あー聞きたい聞きたい」

十二時の針を時計が回ったころ。
普段あまり自分達と話さないコたちが嬉しそうに言った。
とうとう修学旅行の恒例、『アレ』がやってきてしまったのだ。
みんなでうつ伏せになり、明かりを消した部屋で話し出す。
ミキは一番端の布団で熟睡中だ。話しかけたら最後、生きてはいられないだろう。

「んぇー残念ながらいないねぇ」
枕を抱きながら少し眠そうに話すごっちん。
「いやいや普通にいるっしょかわいいもーん」
「あーほら4組の男に告られたんでしょ?どうなったのー?」

告られてはいないっつの。
こいつらはどこからそんな情報を手に入れてんだよ。

返事を聞きたくないけどやっぱり聞きたくて、寝たふりをする。
80 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:04

「んーちょっとメールしてもう切れたよ」
目をつぶっているのでどんな表情をしているのかはわからない。
あたしは泣きそうになり、安心もした。

「えーちょーもったいないじゃーん」
「結構かっこいいのにねー」
「そんじゃーさ、今までとか――」

「トイレ行ってくる」

そう言って立ち上がり、部屋を出る。
聞いていられなかった。

梨華ちゃんがあたしもーと言って出てきたので、一人で行けと告げる。
「えーなんでなのよっすぃー」
ピンクのパジャマを追い払い、ロビーのソファーに腰掛けた。
81 名前:if [side A] 投稿日:2005/10/30(日) 21:05

「ふぅ」
目をつぶり、ごっちんの顔を思い浮かべる。

ごっちん、と小さく呟いてみた。

「なぁに」
「うっわぁ!!」
目を開けると、そこにはかわいい彼女。
質問ばっかで疲れちゃったー、と呟き伸びをしている。
「あはっ、あたしのこと考えてたわけ?」
「ち、ちげーよほら、今日一日のことと・・・か」
「ほーお、へー、そうなんですかー」
にやにやしながら顔を覗き込んでくるごっちん。
少しでも動くと唇に触れそうなくらい近い。
「すっごいすっごい楽しかったね」
「あ、え、うん・・・ご、ごっちん・・・顔、近いよ」
「ん?」
「・・・ちゅーしちゃうぞぉー!!!」
わざとおどけて抱きつこうとする。
いやーん、なんて言って軽く殴ってくるごっちん。

「ほら、そろそろ部屋もどろうぜ」
「ん」

いつもこうだ、動き出そうとするストーリー。
自分から目を閉じる。
結末が怖いから、負ける可能性があるから。
あたしは、誰よりも弱い人間だった。


いい加減、歩き出さなきゃな。



部屋に戻る途中、道に迷っているピンクのパジャマがいたので捕獲した。
82 名前:もしもし 投稿日:2005/10/30(日) 21:19
更新終了です。
次回あたりで[A side]は終わりの予定です。
(; ´D`)<訂正なんれすが、sideをrouteに変更します。
        ちょっと意味が違ってしまうので。

>>68
どうもありがとうございます。
よしごま作者さんですか?嬉しいなぁ(0^〜^)いいですよね、よしごまw

>>69
ありがとうございまーす。
本当に更新遅くて申し訳ないです。
頑張ります( ^▽^)ノ

>>70
保全ありがとうございます。
助かります。

>>71
ありがとうございます。
ゆっくりだけど頑張って完結したいと思ってます。

>>72
どうもありがとうございます。
頑張りますです。
83 名前:はち 投稿日:2005/10/31(月) 07:51
更新乙です
くぅー!ごっちん可愛いすぎですよぉ
思わず顔がにやけますw
よっちゃんのヘタレ具合もまたw
84 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/31(月) 17:36
ごっちん超!!!かわゆい☆☆
この先楽しみです。
85 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:27
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
86 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:54

12:46

行事の多い秋、修学旅行も終わって文化祭の季節だ。
あたしとごっちんは文化委員。
当日もいろいろと仕事があって校内を走り回っていた。

ブーーッブーーッ

迷子の女の子と、お母さんを一緒に探していたところ、スカートに入れている
携帯のバイブが鳴った。ミキからのメールだ。

―――おーいこっちゃクラスの仕事おわったよん(V∀V)
うちらのクラスの隣のカレー屋、大行列!いま並んでるから3分で来い―――

「うげっ食べたい・・・」

まずこの子をお母さんに会わせてあげなきゃな。今日はお昼ご飯は抜きか。

「おねーちゃんー」
「ごめんごめん、とりあえず回ってみ―――ん?」

少女はあたしの顔を見上げながら、前方を指をさしている。
その先には若い女性と・・・ごっちん?
87 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:55

「おかーさーん」

その若い女性は、この子を見ると一目散に駆け出してきた。
どうやら一件落着みたいだ。

ごっちんも笑みを浮かべながら歩いてくる。
「かれー」
ごっちんにもミキは連絡してたみたいだ。
「ダッシュで行きますか」

少女のお母さんに何度もお礼を言われ、あたしたちはお昼へ向かった。


「っとー、ビーフカレー二つで。いいっしょ?」
「うん。ミキちゃんが決めて」

そんな会話が聞こえてきそうな二人の表情。ちょうど半券を買うところみたいだ。

「チキン二枚追加ー!!」
指でピースサインをしながら叫ぶ。
振り返ったミキは、一瞬驚いたあとあきれた顔になり、注文を追加してくれた。

「間に合ったんだねー」
「てか遅いっつの」
「んぁーだってさー迷子のお母さんがねー探してたらよっすぃー見つかってー」
「ごっちんそれだとちょっと難しすぎるっす」
「あっはは、みんなすごいおもしろーい」
「や、梨華ちゃんの今日のピンクの靴下のほうが」
「んぁーカレーきたよ、食べよ食べよ」

あの時よく聞こえていなかったのか、特製激辛カレーが二つきたけど、
今回は許してやろうと思った。
88 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:55

14:35

「ね、どきどきするね」
「あ、うん、めっちゃ」
別の意味でね。

あたしたちのクラスの出し物はお化け屋敷。
おばけ役や受付、仕掛け人たちがいるわけだ。
ミキたちはもう自分の担当は終わったらしく、他のクラスへ遊びにいった。

この時間、お客さんに向かって壁の穴からスライムを投げるのは、
あたしとごっちんの担当だ。
こういうことは得意だけど、いかんせん、狭い。近い。いい匂い。
机一個分の上に二人で座っている。あたしが前で、ごっちんが後ろ。
大きな音は立てられないため、ごっちんが肩に顎を乗せている体勢から動けない。
いっそ一人でやった方が効率がいいかも、とも思ったけど口には出さないことにしよう。

お客さんがやってきた。
(ごっちん、スライムスライムっ)
後ろにおいてある、緑のブツが大量に入ったバケツを取るため、彼女の顔が離れる。
(ほいよ、がんば)
左手でいくつかのスライムを受け取り、右手に持ち替え狙いを定める。
女二人組の学生だ。顔や服の上は避けたほうがいいらしい。
うまい具合に手や足元を狙う。
(おし・・・今だっ!!―――!?)
89 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:56

その瞬間。効果音をつけるならそれは、『ふにゃ』だろうか。
小悪魔のような天使は、あたしの肩に再び顔を乗せてきたのだ。
コントロールのはずれたスライムは運良く目の前をかすり、二人は驚いて走っていった。

(ふぅー、あせったぁ)
耳元で小さな声でため息。これはやばいだろ、と思いながら自分を落ち着かせる。
(ごめ、はずした)
ここが暗闇でよかった。赤くなった顔が見られないから。
(おっけーおっけーうまいじゃん、次もがんばろおぜ〜)
(・・・おうよ)

それからはスライムの補充のたびに彼女の顔が離れ、またくっつく。
あたしの心臓の鼓動は止まらなくて。
ひょっとしたらごっちんもあたしのこと、なんてこと何度も考えちゃって。

(―――よっすぃ?お客さんまた来たよ?)
(ん、あ、おっけ)

驚いて逃げられる緑色のソレが、自分と重なった。
90 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:56

17:14

一年に一度の行事も終わり、廊下に散らばるゴミ袋以外はいつもどおりの学校に戻っていた。

帰りにどこか寄っていこう、誰が提案するでもなく決まった。

「ごめん、帰り支度まだ終わってないから先行ってて」
あたしは三人に言う。
下で待ってるから、そう言って教室を出る三人。

なんかいいな、こういう関係。
改めて思うとなんだか照れるけど。
半年前はこんな風に仲良くなれるとは思ってなかった。
梨華ちゃんとも、ごっちんとも。

「よっちゃんさ」
「うわっ!?」
まだまばらにクラスメイトが残っている教室、入り口にミキが立っていた。
91 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:57

「うじうじしてんの似合わないよ」
そのままの距離で話すミキ。
「あたしはよっちゃん自信じゃないからさ、何考えてんのかとかはわかんないけどさ。
なんか、わかるし」
「・・・意味わかんねー」
「わかってるって。
てかさ、なんていうか、ミキはさ、地面にある落とし穴見つけて進めないよっちゃんより、
空見上げながらげらげら笑って落っこちるよっちゃんが好きなんだって」
「あははっ、よけいわかんねー」 
「だーもーよっちゃん頭悪すぎだし。もういい、早く来てよね」
めんどくさそうにくるっと背を向けるあたしの親友。
「さんきゅ。なんか吹っ切れた」
あたしがそういうと、ミキは振り向かずに片手をひらひらさせて出て行った。

きっとあたしの事なんてなにもわかってない。
けどあたしの事を一番わかってくれてる。
やっぱいいな、照れながらそう思った。
92 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:57

20:02

「それじゃあね」
ホームへと向かう二つの階段の間で梨華ちゃんが言う。
ミキは家の用事があるらしく途中で抜け、三人でしばらくブラブラしていた帰り道。
「ん。また来週」
ちょうど電車が来たらしく、梨華ちゃんは困り顔で階段を駈け昇って行った。
あたしとごっちんものんびりとホームへ向かう。

「ねぇごっちん」
階段の途中。振り向かずに言う。
「ん?なぁに」

「ちょっと話がしたいんだ」
93 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:58

20:22

ごっちんが降りる駅であたしも降り、近くの公園へ向かう。

「今日さぁ、すっごい楽しかったね」
ベンチに座り、話題を探していると、ポツポツとごっちんが話し始めた。
「ごっちん前もそんなこと言ってなかったっけー」
「だってすっごい楽しいんだもん。あのね、あたしすっごい嬉しいんだよ。
梨華ちゃんとかミキティとか、よっすぃと仲良くなれてさぁ」
「・・・」
まっすぐ前を見て、少しだけ早口になる彼女。
「あのさ、ありがとね。よっすぃたちがいたからあたし―――」

「好きなんだ」
「・・・え?」
ゆっくりとあたしに顔を向ける。
驚きと疑問そして戸惑い、その顔が伝えている言葉は、『まさかね』。
94 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:58

「え、あぁうん、もちろんあたしも好きだよ〜?」
「いや、そういうのとは違う好きなんだ。
もう隠すのやめた。ずっと好きでした、ごっちんが」
「っと・・・」
「ダメかな、こんなの」
下を向いて目を泳がせ、ゆっくりとあたしを見るごっちん。
そっと唇が開く。
95 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 15:59



「ごめん」


96 名前:if [route A] 投稿日:2005/12/18(日) 16:00

あたしの人生最大の恋は、あっけなく幕を閉じた。


                                [route A]  END
97 名前:もしもし 投稿日:2005/12/18(日) 16:10
[route A]終了です。
一応A・Bあわせて一つの作品としてやっていきたいので、実質完結ではないです。
ここまで読んでくださったみなさん、どうもありがとうございました。
更新遅くて本当にすみませんでした。
[route B]のほうも、早いペースでは無理かもしれませんが、放置だけはせずに
書いていきたいと思ってますので、よろしくお願いします。




>>83
ありがとうございます!
なんだかどうしても自分の中で後藤さんが幼くなってしまってw

>>84
どうもありがとうございます。
(* ´ Д `)ンァンァ もっとかわいくなるよう頑張りますw
98 名前:if [route B] 投稿日:2005/12/18(日) 16:11








99 名前:if [route B] 投稿日:2005/12/18(日) 16:15

「ひとみーあんた部活ほんとにやめるの?」

いつだってそうだった。

「今までずっと頑張ってきたじゃないの。
ちょっとケガで練習遅れただけで終わりなの?」

ダメな部分しか見ないで。

「あんた勉強だって特別できるわけじゃないんだから、これくらい続けなさいよ」

進もうとしなかった。

「もうやめるんだってば。ほっといて」

本当は、続けたかったんだ。

足を、踏み出さなきゃ―――

100 名前:if [route B] 投稿日:2005/12/18(日) 16:16


「ごっちん!」

ゆっくりと、その一歩を。
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/18(日) 20:19
[route A]完結お疲れ様です!!
これからのごっちんとよっすぃ〜がどうなっていくかが
すごい楽しみです♪♪
これからも焦らず頑張ってください!!次回も楽しみに待ってます。
102 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:36

一瞬びくっとなったものの、振り向こうとはしない彼女の元へ向かう。

「あのさ・・・」

なんと声をかけたらいいのか思い浮かばず、教室に沈黙が走った。

「っとー・・・これ」

どーぞ、とポケットに入れていたティッシュを渡す。
ハンカチなんて女らしいものは普段持ち歩いてはいなくて、
少し気恥ずかしくなったものの、このままじゃ彼女の顔が見れない。

ずずっと鼻を一度だけすすったごっちんは、あたしの顔は見ずに
手を伸ばす。

階段を上ってきた足音が、教室の前を通りすぎた。

なんで泣いてたの、なんて聞けるわけがなく、仕方がないので
あたしは教室の中をぐるぐると周った。

「うわーミキの机ん中きったねーな」
適当に整理しながらぶつぶつと文句を言う。

次は梨華ちゃんの机だな、そう思った瞬間。
103 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:36

「失恋しちゃったー」

両手を大きく天井へ広げて伸びをするごっちん。
固まるあたし。

「まじすか」
「・・・まじっすねぇ」
振り返ってぎゅっと笑顔になる彼女。

辞書で引いたら、この気持ちはなんて表されるんだろう。
彼女が泣いていたことへの驚きと。
彼女が悲しんでいることへの悔しさと。
彼女が話してくれたことへの嬉しさと。
彼女が恋をしていたことへの悲しさと。
彼女が失恋したことへの、安心。

なんだろうとても泣きたくなった。

「いやーあたしはさ、結構いい感じなのかなぁなんて。思っちゃったりでさ。
でもさっき恋人できたってメールが来たよー」

気持ち伝える前に失恋かよー、そう言って大げさに泣く振りをするごっちん。

どうしよう何か言わなきゃ。早く早く。
104 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:36

「・・どんな人だったの」

何を聞いてるんだろうあたしは。
そんなこと聞いたってごっちんは困るし、あたしだってつらいだけだ。
もう本当に自分の不甲斐なさに嫌気がさす。

「んぁ、かっこよくてねぇ、ごとーって呼ばれるたんびに嬉しかったー」

ぽたぽたと涙が落ちる。

「なんかね、いっつも・・ぶっきらぼうなんだけど・・・ホントは優しくて―――」
気がつくと、あたしはごっちんを抱きしめていた。

「ごめん・・・もういい、いいから」
「んぁ・・・ちー・・ちゃ・・・」

わずかに聞こえたそのヒトの名前を、今だけは忘れよう。
ごっちんに笑ってほしい、そのためなら、なんだってするから。
彼女が泣き止むまでずっとずっとそばにいよう。
ほんと言うと、このまま死ぬまで抱きしめていたいんだけど。
105 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:37





106 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:38

あたしは、あいかわらずのミキと、そして梨華ちゃんやごっちんと4人で一緒に
いることが多くなった。
あの日、ごっちんが泣いていた日から、何一つ変わっていない。
いや、一つだけあるだろうか。
ごっちんがなんというか、素になった気がする。
あたしの前でいろんな顔を見せてくれるようになった。
その中には、ちょっと怒った顔や疲れた顔もあって、
なんとなくそれが嬉しかった。
あたしの思い過ごしかもしれないけどさ。


「今日ってさぁ、委員会だよね」
今日の授業がすべて終わり教室がザワついている中で、ごっちんが
あたしのほうへやってきた。
空いている隣の子の席に、体を横に向けて座るごっちん。
「そーいやそーだったね」
あたしはカバンに教科書やらノートやらを詰めながら返事をする。
本当はずっと覚えて、楽しみで、なのにめんどくせー、なんてつぶやくあたし。
このアマノジャクな性格、いい加減直さなきゃな。

「なにするんだろーね」
「んー・・・文化祭まだまだだし、そんな話し合うことないんじゃん?」
「そだよね」
107 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:39

委員会の始まる空き教室へ、私たちは向かっていた。
「あー、そうだ」
「ん?」
「ちょっとジュース買ってくるわ。荷物持ってってくんない?」
「おう、おっけ」
ごっちんのカバンを預かる。結構重い。ちゃんと勉強してんだな、なんて。
自販機のある一階へ階段を下りてくごっちん。

なんだかちょっと寂しいなーなんて感じつつも、一人で教室に入る。
早く来すぎたのか、まだ誰もいなかった。
適当な席に座り、左隣にごっちんのカバンを置いた。

「はぁ」
小さく短いため息をつく。

恋って、疲れる。
もっと可能性のある恋愛なら、楽しいことばかりなのかな。
ごっちんはきっと、まだあのヒトのことを・・・。
最近あたしは、暗くなったり元気になったり忙しい。
108 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:40

机にうっぷしていると、ドアの開く音が聞こえた。
「おー吉澤ー」
「ぬわ・・・なんだ保田せんせーか」
「まだ誰も来てないわけ?ったく今年の文化委員はやる気ないわね」
「はぁ」
「ところで吉澤」
保田先生の一番の特徴、キリっとした目であたしを見てくる。
「なんすか」
「後藤とはどうなの」
「ぶふぉあっ!どどどどどうって別にどうもないですよ」
バレたか?バレたのか?あたしもう終わりかもしれない。
「は?仲よくしてるの?・・・あのこはさー、転校してきたばっかりだから
まだあたしもあんまりわからないけどさ」
保田先生は窓の外に目をやり、ゆっくりと話し始めた。
「自分でツラいこと全部抱え込んじゃうように思えてね」
「・・・」
保田先生の気持ち、わかるような気がした。
「でも最近はあんたといる時とか、よく笑ってるのを見かけるから」
「は、はぁ」
「ま、頼んだわよ」
「がってんですぜ!」
あたしはドン、と大きく自分の胸を叩いてみせる。
109 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:40

ちらほらと他のクラスの人たちも教室に入ってきた。
それに混ざって彼女も飲み物を抱えてあたしの所へ来る。
かわいいな。

・・・ってあぶねー!先生にあたしの気持ちがバレてないことに、今更ほっとした。

結局話し合いなんてものは無くて、保田先生が文化祭の意気込みを永遠語っている教室。

「あいよ」
ボーっと保田先生の話を聞いていると、頬に冷たい感覚が走った。
「おあっ?」
「あげるー」
ぶどう味の缶ジュースの度アップと、ごっちんのちょっと照れ顔。
「あ、さんきゅ、はうまっち?」
「お代はよござんすよ」
「やーやー、そりゃダメですぜ」
「・・・ティッシュ代」
ごっちんは小声でそういうと、あたしの方を一切見ずに、窓を向いてしまった。

一瞬だけ見えた彼女の顔は、笑顔だった。
110 名前:if [route B] 投稿日:2006/02/25(土) 16:41

汗をかいた缶ジュースのふたを、プシュッという音とともに開ける。
少し薄めの味が、いろんな意味でカラカラに乾いたノドを通る。
「うめぇ」
「最初に振らなきゃダメだよ」
机にひじをついて、完全にあたしの方を向いている背中が呟いた。
「・・・まじか」
時すでに遅し。申し訳程度に缶を揺らしてみる。
「最後の濃いぃ味をお楽しみくださいな」
彼女の肩が少し揺れる。
あぁもう、笑顔見たいんだからこっち向けよ。

あー、なんかいいや、別に。
ごっちんが誰を好きでも、あたしはごっちんが好き。
もうそれは変えられそうにないや。
あたしは一人、ため息にも似た笑いを吐く。

泣いていた理由なんてどうでもよくなってきた。
もうあんな風に隣の背中を泣かせないようにしたい、それだけだった。

すげーな、保田先生もごっちんも。
あたしのことたった一言でいろんな人間にしちゃうんだもん。
「・・・すげー」
「んー」
まるで何がすごいのかわかっているような反応の彼女。


「すっげー、・・・長いね先生の話」

もう45分になるところだった。
111 名前:もしもし 投稿日:2006/02/25(土) 16:47
更新終了です。
ちょこちょこと細かくしか変わってないですが、
これからもうちょっと変えていくつもりです(;´Д`)

>>101
ありがとうございます!
わかりにくい構成ですいませんですorz
がんばっていきたいと思います(・∀・)ノ
112 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/15(土) 05:27
更新待ってますよー
113 名前:if [route B] 投稿日:2006/08/30(水) 20:25

「よっちゃんよっちゃん!!!」

教室に入り席に着くと、面白いことがあったときにする顔をはめたミキが駆け寄ってきた。
ちょいちょい、と耳を貸せの合図。
「ごっちんさぁ」
やっぱり、と思いつつもおぉ、と相槌を打つ。
「なんか昨日告られたらしいじゃん!」
「あーうん、まあ」
思い出すと、ズキッとする。
「え、なによっちゃんもしかして一緒にいたとか?」
「うん」
即答。なるべくその話題を早く終わらせたかった。

もう、忘れてしまいたかった。
あのときの自分の不甲斐無さを。


―――そう、いたのだ現場に。運悪く、とは言えないのかもしれない。
あたしがあの場所に立ってはいなくて、別のところで彼女のことを考えていたとして。
今日、まさに今、ミキにその事実を聞かされたとして。
あたしはきっと、同じことをしてしまうだろう。
同じように、彼女を傷つけてしまうんだろう。
114 名前:if [route B] 投稿日:2006/08/30(水) 20:25

委員会もやっと終わり、二人で帰れる月に一度あるかないかの大イベント。
あたしは今にも小躍りしそうなほど嬉しかった。
そこにその出来事は起きたのだ。
靴を履き替え外に出ようとすると、私の一番気に入っている苗字と名前が呼ばれた。
ごっちんよりやや早く、あたしは振り向いてしまった。

ニタニタした汚い顔。ボサボサとだらしの無い頭。
高校生が異性を放課後まで待ち、いざ話しかける。
こいつが何を目的としているのかなんて、いとも簡単に理解できた。

「後藤さんですよね?」
そうだよ、わかってるから呼んだんだろうが。
「あー、そーですけど」
いいよごっちん返事しなくて。
「あのぉ、えっとオレ前から後藤さんと―――」
やめてくれ。やめてくれやめてくれ。
ごっちん返事しないでよ、こんな気持ち悪い奴と。
近づくな、そんな下品な目でごっちんを見るな。
あたしの方が断然、ごっちん、あたし―――

気がつくと、あたしは二人の足しか見えないほどに下を向いていた。
顔をあげると、無表情のごっちんが手に持った紙を見ていた。
嬉しいんだろうか、困ってたりするのだろうか。
その表情からは、何も感じることができなかった。
115 名前:if [route B] 投稿日:2006/08/30(水) 20:26

落ち着けあたし。
「すごいじゃん」
ごっちんは今どきのダンシって奴に気持ちを伝えられた。
きっと彼女が握っている紙には、連絡先や友達から、なんて台詞が書いてあって。
今夜あたりメールなんて出しちゃって、デートの約束とかもしたり?
「いいなーごっちんうちら4人の中で一番に彼氏ゲットかー?」
いつかはキスとか、それ以上のことだって。
だってあいつは、あいつは・・・男っていうシュルイなんだから。

あたしはずっと、それを横で見守り続けていくんだろうか。
「頑張れ、応援するよ」
あたしが、女だから?


「待って!」
ごっちんは一方的に喋り続けるあたしを全く見ずに、前に向かって声をあげた。
それと同時に、いきおいよく走り出す。
振り返ったその男は、戸惑いながらも笑みを隠すことができていない。
しかしその瞬間の彼女の行動は、あたしにも、きっと彼にも予想外のものだった。
116 名前:if [route B] 投稿日:2006/08/30(水) 20:27

「ごめんなさい!」
少しうつむき加減で両手を精一杯伸ばしているごっちんを、この期に及んで
やっぱりかわいい、なんて考えてしまうあたし。
あいつも同じことを思ったんだろうか。
「え・・・あ、いやでも別に付き合ってくれってわけじゃないんだ。
友達からで、ぜんぜん」
「ごめん、ホント、ごめんなさい」
顔を上げないごっちん。
淋しそうに唇を噛むと、その男はごっちんの持っている紙を受け取り
去っていった。

あぁ、こんな顔もするんだ。
男は女の顔や身体目当てで、結局愛なんてものはないんだと
どこかで考えていた。
でもそんな考えは逆に、自分自身を否定していたことになるんだ。
男だから、女だから、そんなこと関係なく、彼女が好き。
あいつもごっちんの事が大好きで、ただ話がしたくて、思い切って
想いを伝えたのかもしれない。
あんな考え方をしていた自分を、恥ずかしく感じた。

「行こっか」
何も言えないあたしに、ごっちんはぽつりと呟く。

視線はしっかりと、あたしの方へ向けられていた―――
117 名前:if [route B] 投稿日:2006/08/30(水) 20:27

「へー、で、で、なんで断っちゃったのさ、ごっちんは」

あたしの机に乗り出して聞くミキ。
なんだかこいつやけに興奮してんな。
いつも二人でいたせいか、恋愛の話はあまりしたことがなかった。
こういう姿を見ると、あぁこいつも女なんだな、なんて妙に感心したりして。
それと同時に、少し距離ができた気がして。

これが普通。普通なんだ。

「あーもうさー、んな気になんなら本人に直接聞きゃいいじゃんかー」
机に突っ伏して、あっちに行け、とそれとなく示す。
「ちぇーよっちゃん不機嫌もーどだー」
文句を言いながらも、席に戻っていくミキ。
今は話したくないってことを察知してくれたみたいだ。

ミキへの謝罪と、ほんの少しのお礼を念じながら、
授業の始まりのチャイムと同時に眠りについた。
118 名前:if [route B] 投稿日:2006/08/30(水) 20:28







119 名前:if [route B] 投稿日:2006/08/30(水) 20:28

「なんで?」
先に言葉を発したのは、ごっちんの方だった。

「へ?」
駅へ向かう道、あたし達は互いに無言だった。
「なんで、えっと・・・聞いたりとかさ」
しないの、と少し下を向き、上目遣いで聞いてくるごっちん。
「あーなるほどー」
「うむ」
「えっとそんじゃ、なんで断ったんですかー」
わざとらしく聞いてみる。
「・・・秘密」
ほら、やっぱり。
「うむ」
「おなかへった」
「どっか寄ってきますか」
「うむ!」

ねえごっちん。
あたしさ、がんばっちゃうから。
この気持ち、誰にも負けない、絶対。
周りにどんな風に思われたっていい。

ごっちん、あなたが好きなんです。
120 名前:もしもし 投稿日:2006/08/30(水) 20:30
更新終了です。

>>112
ミラクルな遅さですみませんw
放置は絶対しないので!!
121 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/14(土) 19:19
 
122 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/01(月) 00:01
1年…

まだ待ちます。
123 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/01(月) 00:01
1年…

まだ待ちます。
124 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/01(月) 00:47
 

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