距離感
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/24(日) 16:26
- 年上メンと年下メンのCP話を中心にいくつか。
リアルが多い気がします。
- 2 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:26
-
―――ひとりぼっちで少し退屈な夜……
視界が明るくなっていった。
かすかな伴奏とともに、歌声が聞こえ始める。
私の少し前で、スポットライトを浴びている人―――石川さん。
また、始まってしまった。
お別れの儀式。
もう、何度目になるんだろうって、私は思った。
- 3 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:26
- 飯田圭織と石川梨華がモーニング娘。を卒業します。
そんなことを発表したのは、もう1年近く前の出来事。
安倍さんとのんちゃん、あいぼんに続いて私にとっての3回目と4回目の卒業式の開催を告げられた。
ショックが無いなんて言えば嘘だった。
すぐに絵里に電話してけど、私は何を言ったか覚えてない。
泣いていることはわかってたけど、頭の中がぐちゃぐちゃで、いろんなことが頭に回りまわって。
その中のどの言葉を声に出しているのか、わかっていなかった。
今になって思えば、絵里もつらかったのに、私は悪い事したなって思う。
でも、絵里はそういう部分ではお姉さんだった。
年は一つしか違わないのに。
普段は全然年下みたいなのに。
ちょっとそれが嬉しかったし、悔しかった。
- 4 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:27
- 「れいなが今から泣いてたら、つらいのは石川さんになっちゃうんだよ。
好きならさ、迷惑掛けちゃいけないよ。でないと、石川さんもれいなも、二人とも駄目になっちゃう」
電話で最後に言ってくれた言葉。
それでも泣きやまなかった私。
絵里は、次の日私の家に来てくれた。
久しぶりのオフだったのに、わざわざ来てくれた。
散々泣きはらして、酷い顔してた私を、絵里はギュッとしてくれた。
私はもう一度泣いた。
でも、それで最後にしようって思った。
それから、どこか余裕があったのかもしれない。
毎日が忙しくて、まだまだ先のことって思っていたから、気にならなくなった。
- 5 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:27
- いつもどおり石川さんを目で追う毎日。
吉澤さんの隣で笑う石川さんを、私は遠くから見ているだけ。
それでもよかった。
私は、吉澤さんの代わりになれないってわかってる。
私と石川さんたちを隔てる出来事はたくさんある。
それでもよかった。
石川さんが笑顔だったから。
ラジオで、吉澤さんのことを楽しそうに話す石川さん。
フットサルでゴールを決めて吉澤さんに抱きつく石川さん。
逆に、負けて悔しそうな石川さん。
それら全てを、私は共有することができないんだから。
仕方の無いことだった。
- 6 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:27
- ―――人生ってすばらしい ほら誰かと……
石川さんの隣は吉澤さん。
それは、コンサート開始の「しょい!」の時からの指定席。
もちろん、MCのときも、私は一番端っこ。
石川さんの隣には吉澤さん。
二人の息はぴったりで、本当にぴったりで。
そんなことを考えていて、私は前の曲で振りを間違えて、愛ちゃんと軽くぶつかった。
愛ちゃんは大丈夫だよってウインクしてくれたけど、焦った私は続く自分のパートの歌詞まで間違えた。
- 7 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:28
- 石川さんの最後のツアーだから。
最高のパフォーマンスをって決めていたのに、始まってしまえばなんのことはない。
いつも以上に集中力の散漫な私は、ずっとミスの連発。
矢口さんが突然の脱退で、みんなで穴を埋めるのに必死になっている。
突然変わったフォーメーション加えて、パートの変更。
覚えることは山ほどある。
私も新しく一曲任されている。
そんな時なのに…
- 8 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:28
-
―――晴れの日があるからそのうち雨も降る……
私にとっては雨の日ばかり。
このツアーが始まってから、泣かないと決めたことなんて、もうとっくにどっかへいっている。
みんなが作る花道を通り抜ける石川さん。
コンサートのたびに、それこそ昼と夜で一日2回もやっていることなのに。
涙が出てくる。
私は石川さんが通り過ぎていく横顔と、後姿しか見ていることが出来なくて。
こんな卒業式まがいのことを、毎回のようにやるなんて…
ファンの人のためっていうのはわかってる。
でも、好きな人の卒業式を何度もやらされるのは、つらかった。
公演のたびに、私は泣いた。
嫌だった。
石川さんがいなくなるって現実を、何度も何度も突きつけられていることが。
- 9 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:29
- 「卒業したって、会えなくなるわけじゃないから」
吉澤さんは前にそう言った。
「だから、私は梨華ちゃんの卒業の時は泣かないからね。笑って送り出してあげる」
石川さんとの二人で会話していたときだった。
それは、吉澤さんだから言えること。
吉澤さんが辛くないって言えば、それは違うと思う。
同4期メンバーで、のんちゃんやあいぼんはいないのだから、最後の一人になっちゃうんだし。
でも、吉澤さんは会いたいと思えば、いつでも会うことが出来る。
フットサルだって同じチームメイトなんだし。
お酒を飲みに行く約束ももう出来る年齢だし。
でも、私は違う。
吉澤さんと比べたって、何にもならないことはわかっているけど…
- 10 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:29
- ―――でも笑顔は大切にしたい 愛する人のために
涙を拭いた。
石川さんと、寄り添う吉澤さん。
私は、やっぱり離れたところから後姿だけしか見ることは出来ない。
一度でいいから、あそこに立っていたいって思うけど、それは決して叶わないことだった。
私は今日も泣く。
涙が枯れてしまえばいいのにって思う。
そうしたら、卒業の日は泣かずに笑顔でいられるんだから。
- 11 名前:指定席 投稿日:2005/04/24(日) 16:29
- >>2-10 指定席
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/24(日) 16:30
- こんな感じでやっていきたいと思います。
では、また次作で ノシ
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:04
- 突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
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