なかよし

1 名前:TAKU 投稿日:2005/04/25(月) 22:19
以前に他の板で書かせてもらってたんですけど
久々に、ここで書いてみようかと思いました。
今回は、なかよし1本でいきたいと思います。
下手くそですけど、読んでもらえたら嬉しいです。
殆ど短編になりますけど、まずはサイトに掲載してたものから(笑)
よっちゃんの生誕月という事で。
2 名前:人生最大の日 投稿日:2005/04/25(月) 22:20
あの人・・・覚えてるかな?
4年も経てば忘れちゃってるかなぁ・・・。
陽も暮れた街の中を私は歩いていた。
約束の場所へ向かって。


「いらっしゃい」

店に入ると、私は店内を見渡した。
あの人の姿を探して。
でも、その姿はなかった。

「お客様、お一人ですか?」

「いえ・・・待ち合わせです」

来るかもわからないのに、私はそう答えた。

「お名前をお伺いしてもよろしいですか?」

「へ?」

「待ち合わせの方がおいでになられたら、ご案内致しますので」

「はぁ、吉澤です」

「吉澤様・・ですね。
 では、こちらのお席へどうぞ」

私は案内されて奥の席へと向かった。
店員さんがテーブルの上から何かをどけて、私を座らした。
そして、いつもの癖かアイスティーを頼む。
店の扉が開く度に、視線はそっちに行く。
何時の間にか、4年前の事を思い出してた。
バイトを始めて、恋をした。
その人は、自分よりもずっと年上で・・・。
想いを伝えようとした頃に、去って行ってしまった人。
最後の日、大人の人達は送別会と言って呑みに行ってしまった。
でも、未成年だった私は参加できず・・・。
3 名前:人生最大の日 投稿日:2005/04/25(月) 22:21
『いろいろありがとな』

『はい・・・』

『どした?』

『あの・・私・・・』

なかなか言葉にならない私に、その人は少し考えて言った。

『なぁ、あんたが20歳になった日。
 その日に、呑みに行こか。これから行くこの店で』

そう言って手渡された案内状。
私は“はい・・・”としか言えず、その人は手を振って出て行った。
でも、よく考えたら私の誕生日なんか知らないはず。
ここに来た私はバカかもしれない・・・。
それに、4年も経って一度も連絡なんか取ってない。
覚えてる方が奇跡なのかもしれないよな・・・。
時間とかもわかんないから、開店時間に合わせて来てみたけど。
どれだけ時間が過ぎたんだろ。
グラスの氷も溶けて、アイスティーも薄まっちゃった。

「ここいいですか?」

声を掛けられて、顔を上げた。
全ての思考回路がストップしっちゃったよ。
4 名前:人生最大の日 投稿日:2005/04/25(月) 22:22
「あ・・・・」

「久し振りやんな」

「な・・中澤さん・・・」

来た。
ホントに来てくれた・・・。

「何固まってんねん」

「お久し振りです・・・」

柔らかく微笑んで、中澤さんは店員に声を掛けた。
運ばれて来たのは、ワインと洒落た料理。
でも、注文らしきものは言ってないよね!?

「ここな、予約しとったんや」

「予約!?」

そういえば・・・来た時何かどかしてた。
って事は・・・。

「なんで知ってるんやって顔してるな」

「は、はい・・・」

「あんたの友達に藤本って居るやろ?」

「藤本・・・美貴!?」

「そう、あれなアタシの従姉妹やねん」

ひゃー!!そうだったのか・・・。
それで、私の都合やら聞いてきてたんだ。
少し落ち着いて、やっと中澤さんの顔をちゃんと見れた。
あの頃と変わらない。
いや、もっと綺麗になってる。
5 名前:人生最大の日 投稿日:2005/04/25(月) 22:22
「取り敢えず乾杯しよ」

「はい」

「誕生日おめでとう」

「ありがとうございます」

初めて呑んだお酒は、ほろ苦いような甘酸っぱいような。
これが大人の味なのかなって。

「やっと一緒に呑めたなぁ」

「そうですね、前は私も子供でしたから」

「ずっと楽しみにしてたんやで」

「ずっと・・・?」

「吉澤とこうやって呑みたくてなぁ」

4年も待ったよなんて言う。

「吉澤、綺麗になったな」

「中澤さんだって・・・綺麗ですよ」

私の中で、ずっと我慢してた想いが膨れ始める。
言ってみようか・・・。
引かれるんだろうか・・・。
でも・・・。
6 名前:人生最大の日 投稿日:2005/04/25(月) 22:23
「中澤さん・・・」

「ん〜?」

「ずっと言いたい事があって・・・」

「なんや?」

中澤さんは口の端を少し上げて笑った。
バレてるのかな・・・。

「好きです・・。
 あの頃からずっと好きでした・・・」

「知っとったよ」

「迷惑だと思ったんですけど・・・でも・・・」

「プレゼントなぁ、用意してないねん」

「へ?」

いや・・・流れと全く違うんですけど・・・。
放心してる私に、中澤さんは身を乗り出してそっと頬にキスをした。
7 名前:人生最大の日 投稿日:2005/04/25(月) 22:23
「え・・・!?」

「これがプレゼントでえぇか?」

「はぃぃぃ!?!?」

それって・・・。

「アタシもあんたが好きやねん」

魚のように口をパクパクしてる私に、中澤さんは続けた。

「あの頃から気になってたん。
 でも、年も離れてるし一時の気の迷いかもしれへん。
 そう思って何も言えへんかったんや・・・。
 吉澤の気持ちも気付いてたんやけど、あんたの人生狂わせたらアカンとも思ってな。
 4年経てば、吉澤も大人やし覚えてて来てくれたら・・・。
 会って、アタシの気持ちも変わらんかったらって思うてな」

「それで・・・」

「ん、変わらんかった。
 それに、想像以上に素敵になってんやもん・・・反則やわ」
8 名前:人生最大の日 投稿日:2005/04/25(月) 22:24
もう言葉にならなかった。
嬉しくて・・・嬉しくて・・・。
その後は、中澤さんの部屋に招待してもらって。
最高のプレゼントもらっちゃった。

隣で静かに眠る彼女を見て。
20歳になった日が、とても大切に愛しく思えた。
いろんな意味で大人になれた・・・・この日を。

私は忘れない。



fin
9 名前:TAKU 投稿日:2005/04/25(月) 22:25
終わりです。
もし感想とかいただけたら嬉しいです。
更新はゆっくりだと思いますけど、宜しくお願いします。
10 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/04/26(火) 00:53
なかよしキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!

あまり見かけないだけに嬉しいです
大好物大好物

これからも楽しみにしてます
11 名前:ぶなぴー 投稿日:2005/04/26(火) 02:22
石の上にも三年…以上ですね(笑)
想い続けることは難しいものなのに…いいですねぇ!

これからも応援してます!
12 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/04/26(火) 17:10
長年の想いがようやく叶った2人・・・
いいなぁ、これぞなかよしっていう感じですね!

TAKUさん、これからも期待してるので頑張ってください
13 名前:手虎 投稿日:2005/04/30(土) 21:40
タイトル見てひょっとしたら…って思ったら予感的中でしたw

4年間思い続けたんだからそりゃあ忘れられない日になるでしょうね^^
やっぱりTAKUさんの作品イイですね〜
14 名前:TAKU 投稿日:2005/05/02(月) 22:49
わーい!レスついてた♪
嬉しいです!!

>名無し飼育さん
大好物ですか!私も大好物です!

>ぶなぴーさん
ありがとうです!
思い続けるのは難しいですよねぇ。
私も見習いたい(苦笑)

>名無し飼育さん
うんうん!私の中でのなかよしってこんな雰囲気なんです^^
いろんな話がありますけど、ここの2人はこんな感じなので見守ってあげてください!

>手虎さん
予感的中おめでとうございます!
こちらでも感想いただけて嬉しいです!


みなさん、応援ありがとうございます!
拙い文章ですけど、楽しんでもらって2人を好きになってください!

それでは、更新します。
15 名前:つつみ込まれて 投稿日:2005/05/02(月) 22:51


『リーダーは吉澤』

突然告げられた事実。
他人事のように耳に入ってきた言葉。
自分に集まる視線に、やっと事の重大さが解ってきた。
必死に涙を堪えてるメンバー。
泣きじゃくるメンバー。
気付けば部屋にただ1人残された私。
静まり返った部屋には街の喧騒だけが響き渡る。

「ハハ・・・」

思わず込み上げてきた笑い。
別に可笑しい訳じゃない。

「なんで・・・どうして・・・」

凄くショックだった。悲しかった。
でも、不思議と涙は出ないんだ。
それ以上の重圧が私を押し潰そうとしてる。
そんな日が1日、1日と過ぎて。
ライブが近付いてきた。

「よっすぃーお先にー」

「お疲れ様」

「よっちゃん、大丈夫!?」

「あぁ、うん。大丈夫だよ」

掛かる声になんとか対応。
私も早く帰って体を休めないといけないのに。
帰ろうって気にならないんだよね・・・。
事務所の部屋で1人天井を見上げた。
16 名前:つつみ込まれて 投稿日:2005/05/02(月) 22:51

「元気か?吉澤」

「へっ!?」

声のする方に顔を向けると、何時の間にか中澤さんが立っていた。
いつ来たんだろ?気付かなかった。

「大丈夫なんか・・・?」

「大丈夫ですよ」

私は必死に笑って答えた。
でも、中澤さんの表情は曇ったまま。

「あんなぁ、無理はいかんで」

「無理なんて・・・」

「1人で頑張ろ思うてない?自分」

「そんな事は・・・」

ダメだ・・・なんか見透かされてる。
これがリーダーやってた人なんだ・・・。
17 名前:つつみ込まれて 投稿日:2005/05/02(月) 22:52

「今回の事はな、アタシも驚いた。
 でも、そこで止まってたらアカンねん」

「はい・・・」

「だからってな、1人で背負い込む事はあらへん。
 何の為に、アタシ等卒業メンバーがハローに残ってる思てるん?」

「それは・・・ソロ活動とか・・・」

「それだけやないで?
 今の吉澤みたいに悩んでる子達の相談に乗る為でもあるんよ?」

なんだろ・・・この包み込まれるような感じ・・・。

「私なんかで勤まるんでしょうか・・・」

「大丈夫やて、あんたならできる。
 それにな、いつでもアタシが付いてるんやから」

「中澤さん・・・」

「吉澤がいつまでもそんなやったら、下の子どうなるん?」

「なんか、凄い心細くて・・・。
 石川も卒業しちゃうし・・・同期いないし」

「卒業したら、もう関係ないん?
 そんな寂しい事言わんでな・・・アタシかて卒業組やで?」

「ごめんなさい・・・」
18 名前:つつみ込まれて 投稿日:2005/05/02(月) 22:52

俯く私の体が暖かく包まれた。
中澤さんが私を優しく抱き締めてくれてる・・・。
同時に頬に暖かいものが流れ落ちた。
私・・泣いてる?あんなに涙なんか出なかったのに。

「な、あの笑顔見せて?
 吉澤の笑顔が大好きやねん。だからな・・・」

「へ・・・?」

「・・・好きやから、ずっと支えたるで」

言ってる意味がわからなかった。
だって、中澤さんだよ?あの中澤さんですよ?
私より小さい体が、ちょっと震えながら私を包もうとしてる。
突然の事で驚いたけど、なんだか落ち着くというか・・・。
涙も止まって、この状況が恥ずかしくなってきて。

「中澤さん・・・あの・・・」

「あ、スマン・・・。
 いつでも話聞くから、アタシのとこおいで」

「ありがとうございます」
19 名前:つつみ込まれて 投稿日:2005/05/02(月) 22:53

中澤さんが出て行った後、不思議とさっきまでの重たい気持ちが消えていた。
辛い気持ちを持っていってくれたみたいに。
凄いなぁ、辛くないはずないよね・・・。
矢口さんの事、凄い可愛がってたんだから。
私もあんなリーダーになれるかな?
ううん、なってみせる。
頑張ってみんなを引っ張って行かなきゃ!
応援してくれる沢山のファンの為にも。
卒業してく石川・・・梨華ちゃんの為にも。



そして・・・疲れたらまた癒してくれますか?中澤さん・・・。



20 名前:TAKU 投稿日:2005/05/02(月) 22:55
終わりです。
これからのよっちゃんを応援したいなと思う気持ちで書いてみました。
次の更新もまた遅いと思います。

それでは。
21 名前:つつみ込まれて−その後 投稿日:2005/05/09(月) 04:33


5月7日。武道館。
アタシは他の卒業メンバーと石川を見届けに行った。
年齢も忘れて、ノリノリやったけどな・・・。
ライブが終わって、裏に行ったら記者会見の準備やら何やらで慌しかった。
全て終わって落ち着いた頃、吉澤の姿を探したんやけど見当たらん。
ごっちんの時も・・・そやったなぁ・・・・。


22 名前:つつみ込まれて−その後 投稿日:2005/05/09(月) 04:33

「吉澤・・・?」

やっぱり・・・。

「あ・・・」

必死に涙を拭って立ち上がろうとする。
それを制して、再び座らせた。

「頑張ったな」

「あれが精一杯でした」

「立派やったよ」

それ以上、言葉はいらん。
そっと頭を撫でてやった。
みるみるうちに、大きな瞳から治まったはずの涙が零れ落ちる。
そのうち、アタシに抱き付いて声出して泣きよった。
いろんな思いがこの涙になってるんやろな。

23 名前:つつみ込まれて−その後 投稿日:2005/05/09(月) 04:34

「・・・すいません」

「落ち着いたか?」

「はい・・・」

「もうすぐ戻らなあかんけど、大丈夫か?」

「私の顔・・・ヤバくないっすか?」

「ん〜みな同じやし、気にせんでえぇんちゃう?」

「はははは・・・」

「あんたは、立派にリーダーやってるよ。
 これで、アタシも安心してモーニングを見てられる思うたで」

これは、ホンマの気持ち。
リーダー代わるたんびに心配して、安心して。
そうやって、大好きなモーニングを見守ってきた。

24 名前:つつみ込まれて−その後 投稿日:2005/05/09(月) 04:34

「ありがとうございます」

「さて、戻ろか」

「はい。
 そういえば、中澤さんノリノリでしたね」

「見てたん・・・?」

「もちろんですよ」

「恥ずかしなぁ・・・」

「まだ現役いけるんじゃないですか?」

「アホな事言うな!」

立ち上がって歩き出すアタシの手を、少し大きな手が包み込む。
アタシより背の高いその顔を見上げると、しっかりと前を向いとった。
前よりも自信に満ちたその顔に、未来は明るいなと思えた瞬間やった。

25 名前:つつみ込まれて−その後 投稿日:2005/05/09(月) 04:35

「吉澤、頑張りや」

「はい!」

「明日も仕事やろ?」

「仙台っす」

「大変やなぁ・・・。
 アタシもディナーショーラストやけど、うち来るか?」

「いいんですか?」

「その方が寂しないかなて」

「はい・・傍にいて欲しいです」



その夜は、疲れてたんか吉澤は即眠りについとったよ。
寝顔もちょっと大人になったような気がした。
お疲れさんやったな・・・・。
眠る吉澤の額に軽くキスを落として、アタシも眠りについた。

26 名前:TAKU 投稿日:2005/05/09(月) 04:37
とても短い短編(苦笑)
昨日のライブ観て、書きたくなっちゃいました。
なかよしって、あんまり需要ないんですかねぇ・・・。

それでは。
27 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/05/09(月) 22:14
うわ〜・・・めっちゃリアルっすね〜。
ステージ上では一生懸命笑顔で頑張って、陰でひっそり涙を流してたんでしょうね〜よっちゃん。
そんなよっちゃんを支えてる、黄色Tにサイリウム逆持ちでノリノリだった中澤さん(w
凄い良い関係ですよね〜。
なかよしは需要ありますって!・・・まぁ、少しマニアックかもしれませんが、私は大好きですよ〜!
これからもひっそりと応援してます!
28 名前:ぶなぴー 投稿日:2005/05/11(水) 02:14
リアルですねぇ〜!
中澤さんに支えられて、
しっかり前へ進んで行くよっちゃんが頼もしいです。
なんだか勇気付けられました。
29 名前:ヒロ 投稿日:2005/05/14(土) 19:42
タクさんの小説を見つけてしまいました(^^
やっぱりタクさんの小説はすごく大好きなんだなって
思いながら読みました。
これからはここにも来ますね^^
では、応援しているんで頑張って下さい!
30 名前:TAKU 投稿日:2005/05/18(水) 05:44
レスあったー!!
ちょっと寂しかったんで嬉しいです!

>名無し飼育さん
リアル苦手なくせに書いてみました(笑)
きっと必死に笑顔作ってたんですよ・・・よっちゃん。
石川さんと抱き合った瞬間に、表情が崩れましたから(泣)
それでも笑顔のよっちゃんに拍手を送りたいです!
ノリノリ裕ちゃんも最高(笑)

需要・・・もっと増えたら嬉しいんですけどね。
応援ありがとうございます!

>ぶなぴーさん
こんな拙作で勇気付けられたなんて・・・嬉しいです。
この2人と共に前に進みましょうね!
レスもらえるだけで、私は元気が出ます^^

>ヒロさん
あら〜!見つかっちゃった(笑)
大好きなんて嬉しいお言葉を・・・(涙)
もっともっと楽しんでもらえるように頑張りますね!



ちょっと体調悪かったりで更新できなくてすいません・・・。
来週くらいには1編載せたいと思ってます。
それでは。
31 名前:TAKU 投稿日:2005/05/30(月) 21:15
うわ・・・日にちが経ち過ぎてしまいました^^;
取り敢えず、書いてみたので更新します。

なかよし好きな人増えないかなぁ・・・。
32 名前:フィルムの向こう側 投稿日:2005/05/30(月) 21:16

この場所に来始めて1年。
イコール、写真に目覚めて1年なんだな。
たまたま入った個展で、1枚の風景写真に心惹かれた。
それから写真の虜ってわけ。
専門学校にも通い始めたんだ。
写真ってさ、簡単そうで難しいって思い知ったけど。
私の撮った写真で、感動してくれる人がいればいいなって思うから頑張るんだ。



「あら、また来てるんかい?」

「あ、こんにちはー!
 今度、おばさんも撮ってあげましょうか?」

「ははは。こんなおばさん撮ってもしょうがないでしょ」

「そんな事ないっすよ」


いつも散歩してるんだろう。
来る度に声をかけてくれる。
ここに来るのは景色が気に入ってるから。
ま、それだけじゃないんだけども。
私はファインダー越しに風景を眺める。
そのうち、いつもと同じ場所で映り込む人。
顔なんて見た事ないんだけど、ファインダーの中の横顔にいつしか惹かれてる自分がいた。


33 名前:フィルムの向こう側 投稿日:2005/05/30(月) 21:17



「あ・・・」


やっぱり、今日もいる。
いつも何をしてるんだろう?
ずっと見てると変に思われるから、いつもカメラで覗いてる。
土手に座って、いっつも川の向こうを見つめてるんだよね。
風景に溶け込んでて、凄い綺麗なんだ。
私は無意識にシャッターをきる。
ふと、その人が消えた。

「あれ・・・?」

「隠し撮りか?」

「あ・・・・・」

「あたしになんか用?」

「いえ、すいません・・・。
 景色を撮ってただけなんです・・・」

「ふ〜ん」

何時の間にか、私の傍に移動してた。
っていうか・・・バレてた!?
恐る恐る顔を上げて、その人の顔を見た。
思わず息を飲んだ。
綺麗・・・。


34 名前:フィルムの向こう側 投稿日:2005/05/30(月) 21:17


「あたしの顔になんか付いてる?」

「あ・・・いや」

「写真、好きなん?自分」

「はい・・」

「そんな夢中になれるもんなの?」

「・・・私はそうですね」

「そか」

そう言って、また川の向こうを眺める。
その切なげな横顔に釘付けになってしまう。

「ちょっと見せてくれん?」

「えっ!?」

「カメラ」

「あ、どうぞ」

手渡したカメラを覗き込んで、静かに私の隣りに腰を下ろした。


35 名前:フィルムの向こう側 投稿日:2005/05/30(月) 21:18


「なぁ、こんな狭い空間に何が見えるん?」

「何って、世界が違って見えるような気がするんです。
 実際、目で見えない物とか見えるような気分っていうか・・・」

「目で見えない?」

「えっと、自分しか感じ取れないような物ですかね。
 でも、その写真を通して見た人にも伝わるようなのを撮りたいんですよ」

そう。自分が感じたように。
写真を見た人に何かを伝えたい。

「あの子もそうやったんかな・・・」

「あの子?」

「あたしの親友。
 あんたみたいに写真が大好きでな」

「どんなのを?」

「人を撮るのが好きやったみたい。
 そのうち、いろんなのを撮りたいっていうてな・・・」

「はい」

「戦場の子供達の写真撮りに行って帰ってこんかった」

「・・・そうですか」

凄い大切な人だったみたい。
親友って言ってるけど、たぶん違うんだろうな。
川の向こうに、いなくなったその人を見てたんだろうか。

36 名前:フィルムの向こう側 投稿日:2005/05/30(月) 21:19


「あんた・・・似てるわ」

「その人にですか?」

「うん、顔とかやないんだけど。
 なんちゅーか、雰囲気みたいなのがな」

ん〜なんか複雑。

「さっきな、あんたに気がついた時。
 あの子と重なったんよ・・・帰って来たんかと思ったわ」

「そうですか・・・」

「あんた、いや・・名前は?」

「あ、吉澤です。吉澤ひとみ」

「吉澤さんか。
 これからも来るんか?」

「はい、この場所好きなんで」

「あたし、中澤裕子って言うんやけど。
 毎日ここに来てるから、たまにはこうやって話してもえぇ?」

「はい・・私なんかで良ければ」

「吉澤さんとは仲良くできそうや。
 ほな、また会えるのを楽しみにしとるから」

「私も楽しみにしてます」


中澤裕子さんか・・・。
去って行く後姿からずっと目が離せなかった。
切ない話を聞いただけだったけど、私は更に惹かれた。
もっと近付きたい。そう思った。
私の中にあの人を見てるのかもしれない。
フィルムの向こうに私がいろいろと見ているように。
今はそれでもいい。
いつか、私を見てくれれば。


37 名前:TAKU 投稿日:2005/05/30(月) 21:21
更新終わりです。
短くてすいません^^;
たぶん、こんな感じでこれからも更新してくと思います。
たまに、短編ですけど続編っぽいのを書いたりもするかも(笑)

それでは、次の更新まで・・・。

38 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/01(水) 00:13
なかよし好きです
綺麗な人と素直な子と
この話の続きがそのうちあったらいいなと思いました
39 名前:ぶなぴー 投稿日:2005/06/01(水) 01:25
綺麗な風景が目に浮かんできました。
これからもこの二人を見守っていきたいです。
お体に気をつけてがんばってください!
40 名前:TAKU@携帯 投稿日:2005/11/17(木) 16:02
長い間、放置状態で申し訳ありませんm(__)m
実はパソコンが壊れてしまいまして…再起不能になりました_| ̄|〇
新しく買い替えないといけないみたいです。
データも全てその中なので更新もできません…。
待っていてくださる読者の方には申し訳ないと思っています。
もし、スレが残っている間に買い替えられたら必死に更新させていただきたいと思います。

なんて…ツイてないんでしょう…。・゚・(ノД`)・゚・。
41 名前:TAKU 投稿日:2005/11/30(水) 02:12
>名無し飼育さん
>ぶなぴーさん
レスも遅くなってすいません・・・。
こうやってレスをくださる方の為にも頑張ります。

今日はパソコン借りれたので、久々に短編を書いてみました。
同じような設定かもしれませんが^^;
なんだか、こんな感じの好きみたいですw
よろしければ目を通してください。

それでは、更新します。
42 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:13
ひんやりとした芝生に横になってみる。
イライラして熱くなってた体が冷やされてくようや。
何もしとぉない、誰も見とぉない。
全てがこの空みたく澄んでればえぇのに・・・。

「いややなぁ・・・・」

「おねーさん」

「ぬぁぁぁあああぁぁ!?」

空を見てたあたしの目の前になんか出た・・・・。
固まったあたしにそれはまた話しかけてくる。

「こんなとこで寝てたら風邪ひきますよぉ?」

「うっさい」

「声大きかったですか?
 んじゃ、小さい声で・・・風邪ひきますよ?」

「はぁ!?あんたに関係あらへんわ」

あたしはクルッと向きを変えて無視する事にした。
せやけど、そいつはまた目の前に来よる・・・。


43 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:14
「ん〜見つけちゃったから関係なくないですねぇ」

「知らんやつとは話さん主義なんでな。あっち行け!」

「吉澤ひとみ、15歳。中学3年生で家はすぐそこ」

「は?」

「これで知ってもらえたでしょ?」

なんなんや・・・こいつ・・・。
知らんやつにニコニコ声かけよって・・・・。
さらわれたって知らんからな。って、あたしはそんな事せんけどな。
あぁ・・・調子狂う・・・。
無視や、無視。

「ねぇ、おねーさん」

「・・・・・」

「おねーさんってばぁ!」

「やかましい」

「あ、しゃべってくれた」

「あんなぁ・・・一体なんなわけ?あたしに何か用?」

「だからぁ、風邪ひいちゃいますってば」

しつこい。
あぁ・・・もうっ!!!!

「わぁかったって!!帰ります」

「え?帰っちゃうんですか?」

「なんやねんなぁ・・・」

「おねーさんの名前は?」

「なんで言わなあかんねん」

「私だって言ったのに・・・」

「勝手に言うただけやろが」

「えーーーーーーー」

44 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:14
なぁ、あたしなんかしました?
悪い事なんかしてへんと思うんやけどなぁ・・・。
薄暗くなった空に問うてみた。
返事なんかあるわけないけど。

「・・・・・なかざわ」

「なかざわ?」

「もうえぇやろ」

「下の名前はぁ?」

「・・・裕子や!裕子!!」

「裕子さんかぁ、いい名前ですねぇ」

「じゃな」

「あ・・・・」

あたしは早足にその場を去った。
なんか聞こえたけど、そんなの聞く耳なーし。

「ったく・・・けったいな子やなぁ・・・」

あんな風に人と話したの久々だったかもしれん。
裏切られ続けて、他人なんか信用でけへんようになったから。
自分さえ信用できん時だってある。
最近は誰も寄って来なくなったしな。
あぁ・・・考えんのよそう・・・。


45 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:15
暫くして忘れかけた頃にあの場所へ行った。
自分の1番落ち着くとこやから。
静かで無心になれる唯一の場所。

「さすがに寒くなってきたなぁ・・・」




「裕子さん」


「!?!?
 ま、また・・・あんたか・・・」

「あんたじゃないです、ひとみです!」

「中学生がこんな時間に何してるん?」

「んとですねぇ、裕子さん待ってました」

「・・・意味わからん」

「ずっと来なかったですねぇ」

「あんたは・・・ずっと来てたんか?」

「ひとみですってば!
 毎日来てましたよぉ。裕子さんだって前は毎日いたじゃないですか」

「毎日て・・・なんで・・・」

46 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:15
ダメや・・・。
この子と話しとると調子狂う。
でも、楽に話せてる自分がいる。
なんも柵がない相手やからか?

「なんで知ってるのかって?
 だって、毎日通ってる道ですもん」

「だからって、話しかける事ないやろ?」

「寂しそうだったから」

「べ、別に寂しくなんかないで!!」

寂しくなんか・・・・。
いや、寂しかったんかなぁ・・・・。
なんで、こんなガキに見透かされなあかんねん・・・。

「笑ってた方がいいです」

「はっ!?」

「裕子さんはぁ、笑ってた方が可愛いですよ」

「そんな事言われる筋合いないわ!」

「前はもっと笑ってたじゃないですか・・・。
 何があったのかはわからないけど、絶対笑顔の方が魅力的ですから」

「なんで・・・そんな・・・」

「ずっと見てたって言ったでしょ?
 私は・・・1年前から裕子さんの事を見てたんです」

そう言ってぎこちなく笑った顔に心が揺れた。
なんやろ、壁が壊されるような不思議な感覚・・・。

47 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:17
「あんた、ストーカーか?」

「へっ!?ち、ちがいます!!」

「あはっ・・あははははは」

思わず笑ってもうた・・・。
あまりにもこの子の反応がおもろくて。

「あ、笑った!!」

「ホンマ変な子やなぁ・・・・」

「・・・普通の子です。たぶん・・・」

「たぶんって・・・。
 で、1年前からあたしを知ってたと?」

「はい・・。
 やっぱり・・・覚えてないですか?」

「は?会った事あるん?」

ん?覚えとらんで?
こんな変な子、会ってたら忘れんと思うけど・・・。
っちゅーか・・・普通に話してるやん・・・あたし。


48 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:17
「これ・・・見覚えないですか?」

「ん・・・?」

差し出されたハンカチを見てみる。
これと同じの持ってた気ぃするな・・・。
最近見ないけども・・・。

「1年前、私は部活の試合で負けて・・・。
 レギュラーになって初めての試合だったから悔しくて、
 家にも帰れずに駅で泣き崩れてたんですよ・・・・。
 そしたら、優しくこのハンカチを差し出してくれた人がいたんです」

「あ・・・・」

「優しい笑顔で何も聞かずに頑張れって言ってくれた。
 あの時から・・・ずっと裕子さんを見てたんです。
 いつかお礼言いたいって思ってたんだけど、なかなか近寄れなくて・・・」

思い出した・・・。
別に気にもせんかった事やったしな・・・。
あれからいろいろあって、すっかり忘れとったわ・・・。

49 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:18
「あん時の子やったんか」

「私に頑張れって言ってくれたのに、だんだん裕子さんは笑わなくなって。
 いっつも寂しそうに、ここでずっと空を眺めてました。
 私は救われたのに・・・何もしてあげれない自分が悔しかったんですよ」

「そうかぁ・・・」

「で、勇気出して話かけたら冷たいし・・・」

「すまん・・・」

「思い出してもらえたならいいです。
 でも・・・もっと話したいなって・・・」

「こんなあたしと?」

「そんな風に言わないでくださいよぉ!
 裕子さんはホントは優しい人なんだって、私は知ってるんですから」

あたしが優しい!?
自分でも嫌になるくらいだってのに?

「優しくなんかないよ・・・」

「優しいですよ。
 だから・・・私は裕子さんの事・・・」

「あたしの事?」

「ま、いいです・・・」

「なんやねん!
 言いかけてやめんなや!!」

「と、取り敢えず・・・お友達になってもらえますか?」

「はぐらかしたな?
 友達言うたって、いくつ離れてる思うてんねん?」

「いくつですか?」

「聞くか・・・」

かなり離れてると知ってて聞いとるんやな?
いい度胸してるやないの。

50 名前:心と空 投稿日:2005/11/30(水) 02:19
「だって、名前しか知らないですもん」

「15歳言うてたよな?」

「はい」

「同じ干支や・・・」

「えぇ!?15歳なんですかぁ!?!?」

「ケンカ売っとる?」

「・・・3歳ってわけじゃないし・・・」

「殴るで」

「・・・ごめんなさい」

謝ってるわりに顔が笑っとる。
ムカツクけど、憎めん子や。

「まぁ、それだけ離れてるんやけど?」

「年なんか関係ないですよ!
 私が友達になりたいって思うんだし、裕子さん好きだし。あ・・・言っちゃった」

「まぁ、えぇか」

「あ、スルーですか・・・」

「なん?」

「いえ・・・」

「で、友達になって何するん?」

「んー。じゃ、今度遊んでください!」

「やっぱ子供やね」

ぎゃいぎゃい騒いどる姿は子供そのもの。
あたしにもこんな頃があったなぁと懐かしく思う。

「じゃ、宜しくな。ひとみちゃん」

「あっ!やっと名前呼んでくれた!!」

「この手はどうしたら?」

「あ・・・」

差し出した手を慌てて握るひとみちゃん。
コロコロと表情を変える人懐っこい子。
気付けば凍った心を溶かされて、逆に温かい気持ちになってた。
この子なら信じられるかもしれん。
また人として生きていけるかもしれん。
そう思いながら見上げた空は、いつもより澄んで暖かく見えた気がした。


51 名前:TAKU 投稿日:2005/11/30(水) 02:22

これで終わりです。
久々に書くと感覚が戻らないです^^;
こんな話でも感想いただけると作者は喜びますw

パソコンも年内には買えそうな気配なので、もう暫く待ってください。m(_ _)m

それでは、また。
52 名前:ぶなぴー 投稿日:2005/11/30(水) 02:57
お久しぶりです!
待ってましたよ!
懐かしくて、温かい気持ちになりました。
真っ直ぐな吉澤さんと少し曲がった中澤さんが対照的で楽しいです。
これからも焦らずがんばってください!
53 名前:TAKU 投稿日:2005/12/05(月) 19:18
>ぶなぴーさん
待っててくれてありがとうございます!
嬉しいお言葉感謝します!
これからも、のんびり更新ですけどヨロシクです♪


突然ですが、なかよし以外のも書いてみまして。
こちらで掲載するほどのものでもないので・・・・。
携帯サイトを作ってみました。
興味のある方は寄ってみてください。
因みに、藤本・田中・吉澤・亀井さんが主だと思いますw

ttp://hp21.0zero.jp/408/mikirena/
54 名前:TAKU 投稿日:2005/12/06(火) 22:51
需要ないみたいですけど、自己満足更新w
55 名前:心と空2 投稿日:2005/12/06(火) 22:52

出会ってから5年。
あたしとひとみちゃんは、今も変わらずに仲良ぅしとる。
中学生やった彼女も、今では大学に通い始めて随分と大人っぽくなった。
そして、あの頃と同じように一緒に空を眺めてる。
この空を見上げてるとなんや安心するんよね。
まるで・・・・。




「どうや?最近は」

「あんまり変わらないですよ」

「友達とかいないんか?
 いつも、あたしといてばかりやん」

「あはは。友達くらいいますってばぁ!
 私は裕子さんと話すの好きだから、こうやって一緒にいるだけです」

ひとみちゃんは笑ってるけど・・・あたしの最近の悩みはこれ。
まだまだ遊び盛りの子が、こんなんでえぇんやろか?
あたしは嬉しいんや。せやけど、このままじゃいかん気ぃする。
こんなにも、人の事を気にするようになるなんてな・・・。
あたしも変わったっちゅー事なんかなぁ。


「あっ!」

「なん!?」

「変わった事ありました!」

「なにぃや?」

「えっとぉ、裕子さんがいっぱい笑うようになりました。
 それと、いっぱい話してくれるようになった」

「それ…ひとみちゃんの事ちゃうやん。あたしの事は別にえぇねん」

「いや、大切な事ですよー!最初なんか冷たかったんですから」

「…それは」

そうよな…あの頃のあたしは、何もかも信じてなかったんやし。
今でも殆ど変わらんと思う。
ひとみちゃんに対して以外は・・・。

56 名前:心と空2 投稿日:2005/12/06(火) 22:52
「…さん、裕子さん?」

「はっ…。なんや?」

「どうしたんですか?」

「なんでもないよ」

「なんか怪しいですけど?」

「ん・・ひとみちゃんも大人になったな思てな」

「そりゃ、20歳にもなれば大人になりますって!
 いや・・・大人になってんのかな?自分じゃわからないです」

あどけない笑顔とかは昔のまんま。
せやけど、ふと見せる表情はすっかり大人。
背ぇだって伸びて、今じゃ見上げてまうもんな。

「いつかわかるって」

「むぅ・・・そうなのかな!?」

「うんうん」

「あ、ところで裕子さん?」

「ほぇ?」

「どこか行きたいとこありますか?」

「・・なんやの?いきなし」

こんな風に突然話を変えるのは昔のままだな。ははは・・・。

57 名前:心と空2 投稿日:2005/12/06(火) 22:53

「もうすぐ、クリスマスじゃないですか」

「あぁ、そんな時期やったな。
 あたしには縁のないイベントやで」

「今年こそは裕子さんと過ごしたいなって・・・」

「友達とか好きな子と過ごしゃいいやんか。
 自分で言いたくないけど・・・若い子同士の方が楽しいやろ?」

どうしても若いって言葉に力入ってまうな・・・。
あたしかて、まだまだ若いって思って・・・る・・・けど。

「そう言ってずっと逃げてるじゃないですかぁ!!
 当日とか全く音信不通になるし・・・・。
 あ・・・もしかして、恋人とかいます・・・?」

「はぁ!?!?
 おらんって、そんな相手・・・。
 もしおったら、こんなとこであんたと一緒に居ないわ」

「ほっ・・。あんたって・・・。
 じゃ、なーんで一緒に過ごしてくれないんですか?」

「だからな、さっきも言った通り・・・」

「若いとかそんなの関係ないです。
 私は裕子さんと過ごしたいんです!!!
 今年は、全ての誘い断りましたんでよろしくです」

「よろしくって・・・。
 なぁ、なんでそんなにあたしに拘るん?」

「そ、それはぁ・・・・」

「それは?」

「ねぇ、裕子さんわかってて言ってます?
 それともホントにわからないんですか・・・?」

「わからんから聞いとるんやけど?」

なに、突然俯いてんねん。
気持ち・・・耳紅いんは寒いから?

58 名前:心と空2 投稿日:2005/12/06(火) 22:54

「・・・5年も一緒にいて気付かなかったんですか?」

「な、なにを・・・?」

「だからぁ・・・私は・・・・」





その後に続く言葉であたしの顔も紅くなった。
驚きと嬉しさがごっちゃになって、言葉が出んかったけど。
心臓が暴れてる言う事は・・・あたしもなんかな?
一緒に居過ぎてわからんかったのかもしれん。

59 名前:心と空2 投稿日:2005/12/06(火) 22:54


「なぁ・・・」

「はい?」

「この空ってひとみちゃんみたいやな」

「どうして?」

「なんや、広くて包んでくれてるような感じする」

「裕子さんの私に対するイメージってそうなんですね?」

にひひって笑ってからかってくる。
で、空見上げて“嬉しいなぁ”とか呟いてるし。
そんな横顔にちょっとドキッとした自分が恥ずかしい・・・。

「私は、裕子さんと一緒に見る空が大好きです」

「アホ・・・」


寒空に、繋がれた手だけはとても温かかった。




60 名前:TAKU 投稿日:2005/12/06(火) 22:55
更新終了です。
61 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/07(水) 00:11
なかよし好きですよー。
もっと続きが読みたいです。
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 03:33
突然失礼します。いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
63 名前:TAKU 投稿日:2005/12/25(日) 03:22
>61 名無飼育さん
ありがとうございます。
なかよし好きって言ってもらえて嬉しいです!
頑張って書いていくので見守っていてください。

>62 名無飼育さん
えーと、こんなものでも対象になるのですか!?
取り敢えず、覗きに行ってみたいと思います。




クリスマスという事で、短いですけど更新します。
相変わらず下手くそですけども^^;
64 名前:心と空〜Merry Christmas 投稿日:2005/12/25(日) 03:23



『只今、留守にしております・・・・』



『只今、電話に出る事が出来ません・・・』



「出ない・・・」

朝から何度もかけている電話。
自宅も携帯も・・・聞こえてくるのは冷たい機械の音声だけ。


「どうして・・・出てくれないの?」


時計を見ると、もうすぐ18時。
私は小さな箱を握り締めて、時計と携帯と睨めっこ・・・。
確かに約束したわけじゃないけど・・・。
クリスマスを一緒に過ごそうって言った私に、裕子さんは微笑んだだけだった。
それを肯定と受け取った私の勘違い?
悶々と考えてるだけで、時間は過ぎて行く。
気付けば、あと少しで日付も変わっちゃう。


65 名前:心と空〜Merry 投稿日:2005/12/25(日) 03:24


「・・・・・よし」

私は着の身着のまま、小さな箱と携帯だけ手にして外へ飛び出した。
向かう先はただ1つ。
小奇麗なマンションの一室の前で深呼吸して、そっと呼び鈴を押した。

「・・・はい」

いるじゃないですか・・・・。

「あの・・・吉澤です」

「えっ・・・・!?」

「開けてもらえませんか?すっごい寒いんで」

静かに開けられた扉の向こうに、困ったような裕子さんがいた。

「なんで、出てくれないんですか・・・・?」

「とりあえず・・・入り・・・」

「おじゃまします」

答えもなく通された部屋は、裕子さんらしくスッキリとしていた。
私は促されるままソファーに腰をおろす。


66 名前:心と空〜Merry 投稿日:2005/12/25(日) 03:25


時計を見ると23:45。
今日・・・何回時計見てるんだろ・・・。

「もうすぐ終わっちゃいますよ・・・」

「へ?」

「クリスマスイヴ」

「あぁ・・・」

「迷惑でした?」

「迷惑なんかやない・・・」

「じゃ、どうして?」

「やっぱりな・・・若い子は・・・」

「またそれですか・・・・。
 私は、裕子さんが好きなんです!
 好きな人とクリスマス過ごしたいって当然でしょ?」

「あたしかて・・・・同じや」

「私達って付き合ってるんですよね?」

「・・・うん」

「なら・・・」

この人は言葉で言ってもダメなんだな。
それなら行動で示してあげる。
私は、握り締めていた物を裕子さんに手渡した。


67 名前:心と空〜Merry 投稿日:2005/12/25(日) 03:25

「なに?」

「プレゼントです」

「あたしに?」

「他に誰がいるっていうんですかぁ!
 いいから・・・開けてみてくださいよ・・・」

箱の中身を見て、裕子さんは私とその中身を交互に見ていた。
私はそれをそっと裕子さんの指にはめて抱き締める。

「それ、外しちゃダメですよ?私の気持ちなんですから」



言葉の代わりに裕子さんがくれたもの。
頬に流れる涙と初めて感じる唇への温もり。


68 名前:心と空〜Merry 投稿日:2005/12/25(日) 03:26




「イヴ・・・終わっちゃいましたね」

「そうやね」

「来年は一緒に過ごしましょう?」

「うん」

「約束ですよ?逃げはナシですよ?」

「逃げんよ・・・」



どこまでも続く空のように、私と裕子さんの心もずっと繋がってますか?

私の心の問いに、キラリと光るリングが答えてくれたような気がした。




“繋がってるよ”と。




69 名前:心と空〜Merry Christmas 投稿日:2005/12/25(日) 03:28






70 名前:TAKU 投稿日:2005/12/25(日) 03:32
更新終了。
今気付いたんですが・・・題名が途中で切れてました・・・。
申し訳ありません・・・。

一応、この「心と空」シリーズは終わりです。
また新しい話が思い浮かんだら書きたいと思っています。
年内は無理なので、また来年にでも・・・。
それでは。
71 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/11(火) 12:47
待ってます
72 名前:TAKU 投稿日:2006/08/15(火) 03:12
すいません・・・。
放置する気は全くないのですが、スランプから抜け出せずにいます・・・。
現在、頑張ってリハビリ中なのでもう少しお待ちください。m(_ _)m
73 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/23(水) 16:56
なかよし大好きなんでがんばって!
気長に待ちます
74 名前:TAKU 投稿日:2006/09/19(火) 01:01
>名無し飼育さん
待っててくれてありがとうございます!
頑張っていきますね!!



それでは…。
まだまだリハビリ中なんですけども…。
短編を仕上げたので載せていきたいと思います。
出来は良くないので申し訳ありません…。
75 名前: 投稿日:2006/09/19(火) 01:02
小さな町の錆びれた公園。
私は一歩足を踏み入れた。
11年前まで暮らしていた場所。
その風景は全く変わっていなかった。

「懐かしいな…」

大学を出て都会に行った私。
そこでいろいろな経験をした。
ただ、都会の雑踏の中で私は疲れ果てていた。
ふと落ち着く場所に行きたくて、気が付けばこの町に着いていた。

「さすがに誰も居らんわな」

居たとしても、自分を知る者などいないだろう。
たった4年しかいなかったのだ、それが当たり前なのだろう。
公園に入り、古惚けたベンチに腰を下ろす。
夏も終わり、秋を思わせる風が頬を掠めていく。



76 名前: 投稿日:2006/09/19(火) 01:02
辺りを見回すと、サッカーボールのような物を蹴り続ける人が目に入った。
私は砂場やブランコを見つめ、視線は徐々に足元に戻る。
どれくらいそうしてたのだろう、ふと目の前にボールが転がってきた。

「あ、すいません」

「あぁ、これな」

「ありがとうございます。あ…」

「なんや?」

「あのぉ…」

「私になんか用か?」

「間違ってたらごめんなさい。
 もしかして…裕子お姉ちゃんですか?」

「…確かに私は裕子やけど。あんた誰?」

私をお姉ちゃんと呼ぶ子。
会った事あるんだろうか。
私の答えに笑顔になるその子。

「覚えてないですか?」

「わからんから誰やって聞いてるんやろ」

「そっかぁ…私はすぐにわかったのにな。
 昔、ここで一緒に遊んでもらってた…ひとみです」

「ひとみ…?」

「はい、吉澤ひとみです。
 まだ小学生だったから…忘れられちゃいました?」

ひとみ…吉澤ひとみ…。
私は記憶を辿った。
そういえば、確かにあの頃会ってるかもしれない。



77 名前: 投稿日:2006/09/19(火) 01:03
「それと、このボール覚えてないですか?」

「ボール…。あぁ…」

思い出した。
確かに知ってる。この子の事を。
誰も寄り付かない私に、ただ1人懐いてきてた子。

「まだ持ってたんか…」

「私の宝物ですから。
 お姉ちゃんが初めてくれたプレゼントですし。
 このボールのおかげで今の私がいるんですよ?」

「宝物か…。
 随分大きくなっとるからわからんかったよ」

「私だって21歳になりましたもん。
 今は大学でフットサルやってるんですよ!
 その大学だって、お姉ちゃんと同じ大学です」

「そうかぁ」

「戻ってきてくれたんですね」

「いや、たまたま足が向いただけやで」

なんでだろう…。
この子と話してると落ち着く。

「たまたまかぁ…。
 それじゃ覚えてないですよね?」

「何がや?」

「私、小さい頃にお姉ちゃんに言った事。
 あれ、今でも変わってないんですよ…ずっと…」

「なんかあったっけ?」

そのままの体勢で見つめてくる。
その視線は真剣なもので、バカな私にも真剣さが伝わってくる。
だからなのか、息をするのを忘れてしまいそうな空気を感じる。




78 名前: 投稿日:2006/09/19(火) 01:04
「裕子お姉ちゃんが好き。
 大人になったら、お姉ちゃんと結婚したいって…」

「結婚って…自分女の子やろ?
 私だって女やねんから、結婚なんてできんよ?」

「それでも、好きな気持ちは変わらなかった。
 男だろうが女だろうが…好きっていうのは関係ないですよね」

「そりゃ…そうかもしれんけど」

次の瞬間、ふわっと何かに包まれた。
それが抱き締められてるんだとすぐに気付く。

「ずっと待ってたんです。
 ここに居れば会えるような気がして…」

「来んかったかもしれんのに?」

「でも、来てくれました」

「私は逃げて来てるだけなんやで?ここに。
 あんたの気持ちにだって応えてあげれんかもしれんよ」

「私はいつまでも待ちますよ。
 だって、自分の気持ちが変わらないんですから」

「アホな子やね」

「アホでもいいです」

なんだか笑いが込み上げてきた。
私もまだ笑う事が出来たんだと。
こんな人生もアリなのかと、私は彼女の背中に腕を回した。
この先の事など分かりはしない。
それでも、この子となら楽しく笑って過ごせるのかもしれない。

そんな気がした…秋の夕暮れ。





79 名前:TAKU 投稿日:2006/09/19(火) 01:05
更新しました。

短くてすいません…。
また書き上げる事が出来たら戻ってきます。m(_ _)m


80 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/20(水) 00:35
なかよしヽ(゚∀゚)ノイイ!!!
季節感があって少しばかり切ない感じが実にイイです
次の更新も期待してます
81 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/20(水) 06:54
待ってましたー!!!
TAKUの描かれるなかよしの雰囲気が大好きです。
待ってますから必ず戻ってきて下さいね!
82 名前:81です 投稿日:2006/09/20(水) 08:30
ごめんなさーい
TAKUさんの"さん”が抜けてしまってました
失礼しました〜〜〜
83 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/20(金) 11:36
待ってました!
すごく良かったです!
84 名前:TAKU 投稿日:2006/12/23(土) 03:35
なかなか更新出来ないのに…読んでくださってる方がいて嬉しいです。
頑張ってスランプ乗り越えないといけないですね^^;
なかよしが書けなくなってきてる自分が悲しいです…。




>80さん
ありがとうございます。
こんな感じの2人しか書けないんですけどね^^;
でも、そんな雰囲気の2人が好きなんでいいですかね?w
気長に待てってもらえると嬉しいです。

>81さん
ありがとうございます。
この2人の雰囲気を好きって言われると嬉しいです!
私も大好きなので^^
待っててもらえたので戻ってきました!!

>83さん
ありがとうございます。
拙い話ばかりですが待っててもらえて嬉しいです!
もっと良い話を書けるように頑張ります!





それでは、ホントに短いんですけど…。
今年最後の更新です。
クリスマスに更新出来そうもないので、ちょっと早目ですがクリスマス話を。


85 名前:ラストクリスマス 投稿日:2006/12/23(土) 03:36


大して面白くもない休日の仕事を終え。
クリスマスで華やぐ街を通り抜けて。
売れ残ったクリスマスケーキを売りつけられた。
人が良いのか…いや違う。
その店員があの子に似てたから。

突然あたしの前に現れて、突然消えた子。
それも、あたしの心をガッチリ奪って。

「元気にしてるんやろか…。
 今、どこで何をしてるん?あたしを覚えてるんか…?」

そんな独り言を呟きながらあたしは家に向かう。


86 名前:ラストクリスマス 投稿日:2006/12/23(土) 03:36


「えっ…あんた…」

「おかえりなさい」

「今までど…」

「遅いですよ。
 もう少しで氷の柱になっちゃうとこでした」


あたしなんかとっくに氷付いてヒビ入りかけてたわ。
なんて毒気付いても、この子はニコニコ笑ってるだけ。
あの頃と全く変わらない。


「入る?」

「当たり前じゃないですか!」


部屋に入ってキョロキョロ見渡す様子が面白い。
何も変わってないよ。あの頃からずっと…。



87 名前:ラストクリスマス 投稿日:2006/12/23(土) 03:37


「よしっ!浮気の気配はないですね」

「あんたねぇ…」

「ずっと私を待っててくれたんでしょ?」

「忘れかけとったわ。
 …なんて嘘や。忘れたくても忘れられなかったんよ」

「へへへ。成功ですね!」

「何が成功なん?」

「突然いなくなったら、思いは強くなるでしょ?
 だから、私の行動は大成功だったってわけですよー」

「…見た目は大人っぽくなったけど。
 中身はなーんも変わってないようやね」

ふわっと抱き締められて涙が零れそうになる。
あたしが捜し求めてた温もりが今ここにある。

「なぁ、どこに居ったん?」

「裕子さん、クリスマスしましょ!」

「だから、どこ…」

「一緒にクリスマスする為に帰ってきたんです。
 だから、早くやりましょ?時間もなくなっちゃいます…から」

「ふぅ…わかったって。
 幸いにもここにケーキもあるでな」


88 名前:ラストクリスマス 投稿日:2006/12/23(土) 03:38


ケーキを食べて、お酒を飲んで。
他愛もない話で大笑いして。
全てがあの頃と変わらず、いなかったのが嘘のようだった。

「裕子さん…愛してますよ」

「あたしもや」

「これ、大切にしてくださいね」

「うん、大切にするで。ありがとな」

「へへ…メリークリスマス」

翌朝、目が覚めたあたしの隣には誰もいなかった。
確かに隣にいたはずのあの子の姿がなかった。
でも、あたしの体にはあの子の温もりは残ってたし…。
指には昨夜もらった指輪が確かに…。


89 名前:ラストクリスマス 投稿日:2006/12/23(土) 03:39


「どこ行ったんや…?
 また、さよならも言わずに行ってしまったんか?」

諦めにも似た気持ちで何気なくテレビをつける。
どのチャンネルにしても同じニュースばかり。

−昨夜未明…ニューヨーク発の…便が…

「飛行機事故か…」

テロップには日本人乗客の名前が流れる。
コーヒーを飲む手が止まり、カップが落ちた。



吉澤ひとみさん(21)



「嘘やろ…?昨夜ここに居ったやんか…」




不意に、昨夜彼女が言った言葉を思い出す。

“一緒にクリスマスする為に帰ってきたんです。
 だから、早くやりましょ?時間もなくなっちゃいます…から”





「そうか…あたしの為に…。
 最後にあたしに会う為に…。これ渡す為に…」

そっと左手の指輪に触れる。
ツーっと頬に暖かいものが流れ落ちた。


90 名前:ラストクリスマス 投稿日:2006/12/23(土) 03:39



「ありがとな…。
 あたしも愛しとるで。メリークリスマスや…」


ふと頬を優しく撫でられた気がして。
泣いてるくせに微笑がこぼれた。
素敵なクリスマスをありがとう。
また一緒にやろな…。


「なんやねん。
 まーた…あたしの心を盗んで行きよってからに」







〜 fin 〜




91 名前:TAKU 投稿日:2006/12/23(土) 03:43
更新させていただきました。
クリスマスなのに楽しい話じゃなくてごめんなさいm(_ _)m
コッソリと読んでいただければと思います。

また、何かしら書けるようでしたら戻ります。
それまでこのスレが残ってればいいなぁと…。

それでは皆様。

Merry X’mas & Happy New Year!!!

92 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/23(土) 16:11
待ってました!
やっぱりなかよし最高
93 名前:TAKU 投稿日:2007/01/10(水) 02:36
明けましておめでとうございます。
新年1発目から衝撃受けたTAKUです…。
取り敢えず心が落ち着いたので1本。

>92さん
ありがとうございます!
なかよし最高って思ってもらえて嬉しいです♪
私も大好きですので!
これからも見守ってくださいね。
94 名前:TAKU 投稿日:2007/01/10(水) 02:37


それでは更新します。


95 名前:決心 投稿日:2007/01/10(水) 02:38

いつものように家に来て。
いつものようにソファーで寛ぐ。
でも、今日はなんや落ち着かない様子やね。
それはきっと昔あたしが経験したのと同じやろ。

「吉澤、落ち着かんのか?」

「んーそうですねぇ」

「自分で納得しとるんやろ?」

「そうなんですけど…なんだかねぇ」

じっと天井を見上げて一点を見つめてる。
あたしもそうやったなぁ…。
1人で酒呑んで。
やっと卒業できるって嬉しい反面、寂しい気持ちがいっぱいやった。


96 名前:決心 投稿日:2007/01/10(水) 02:39

「寂しいか」

「はい」

「決めた事、後悔しとるんか?」

「いえ、後悔はしてないです。
 ただ…楽し過ぎたんですかねぇ。この7年」

「7年か、長い事頑張ったな。
 あたしなんか3年ちょいや。それでも寂しかったわ」

「私はまだお子様でしたよね。
 でも、悲しかったっすよ…あの頃」

「ホンマかぁ?」

「ホントですって!
 あの日に自分の気持ちがわかったんですから」

「そういや、そんな事言っとったな」

「でも、ホントのきっかけはロケですけどね」

「あぁ!ごなつよ!」

「そうそう!それですよ。
 初めて裕子さんと一緒に組んだんですもんね」

「懐かしいなぁ…」

思い出したわ。
あたしだって、あのロケで気持ちが大きくなったんよね。
せやけど、バレないようにしとったんやわ。


97 名前:決心 投稿日:2007/01/10(水) 02:39

「今じゃ、いい思い出やろ?」

「そうですね」

「この卒業やって、いつか思い出になる。
 モーニングももっと大きく成長して、うちらを驚かせてくれるよ」

「あぁ…あの空間から離れたくないなぁ」

「撤回するか?」

「しませんよ…。
 私だって、負けないくらい成長してやるんだから」

「ははは。
 あとどれくらいやっけ?」

「んと、5ヶ月切りましたね」

「そか。あっと言う間やな。
 吉澤らしく、思いっきり突っ走ればええ」

「はい!」

「悔いは残すんやないで」

「わかってますよ!」

あたしは吉澤の目を見た。
うん、濁ってない。輝いとる。
卒業して、あたしとはまた違う道へ進むだろう。
せやけど、大丈夫!この子やったらやってける。


98 名前:決心 投稿日:2007/01/10(水) 02:40

「これからはライバルやな」

「ええ?敵になっちゃうんですかぁ?」

「アホ!いい意味でって言ってるんや。
 あんたは…21歳になっても変わらんのやねぇ…」

「えへへ。こんな吉澤は嫌いですか?」

「嫌いやったらこうしてないやろ」

「ですよねぇ」

こんなんでも不安なんやろね。

「1人で抱え込むんやないで?
 これからも、あたしを頼ってええんやからな」

「わかってますよー。
 私には裕子さんっていう最強アイテムあるんですもん」

「アイテムか」

「そ、誰にも負けないアイテムです」

「ふふふ。
 最後まで頑張りや?
 最高のリーダーやって見せ付けたれ!!」

「はい!初期リーダー!」

99 名前:決心 投稿日:2007/01/10(水) 02:42

こうやって、みんな成長してくんよね。
あたしはいつまで見届けてあげれるんやろ。
これだけは言える。
あたしが築いてきたグループ。
そして吉澤が立派に引っ張って築いたグループ。
それをいつまでも見守って行こうという思い。
これからはこの子と一緒に見つめて行こう。

「な、吉澤」

「ほぇ?なんっすか?」

「うんって言っとけばええねん」

「う、うん」

「よし!」

「裕子さん、アレ歌ってくださいよ」

「アレってなんや?」

「恋の記憶」

「あぁ。しゃーないな」




〜 自分で決心したから大丈夫 〜







〜 fin 〜



100 名前:TAKU 投稿日:2007/01/10(水) 02:44
更新終わりです。

なんかグダグダで申し訳ないです^^;
でも、よっちゃんにはこれからも頑張ってもらいたいです!
そんな思いを込めて書きました。
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/11(木) 01:29
わーい、更新されてる!
よっすぃー卒業を聞いた時、感慨深いものが。
中澤さんが育てた娘。たちがこれで全員卒業なのかと…。
中澤さんファンの自分にとっては、ある意味、一区切りなんだなぁと感じました。
102 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/11(木) 01:44
ヤバイ泣けました
103 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/07(水) 08:55
すごく良かったです!感動しました
104 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/03/14(水) 00:45
更新されないかなぁと期待を胸に、お待ちしている今日この頃です。
105 名前: 投稿日:2007/06/30(土) 14:44
よかったです!!
106 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/30(土) 21:45
ageんな。
107 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/01(日) 04:50
作者様 お元気でお過ごしでしょうか?
私も含めみんな、作者さまの作品を楽しみにしてます。
108 名前:TAKU 投稿日:2007/08/08(水) 03:10
皆様、お待たせしてしまってすいません。
なかなか書けない状況に陥ってしまいまして…。
短いお話ですが出来上がったので更新させていただきたいと思います。

ずっと待っていてくれてありがとうございます。
109 名前:夏の思い出 投稿日:2007/08/08(水) 03:11


川沿いにポツンとある1つのベンチ。
裕子にとって、この場所は思い出のある場所。
梅雨が明けたこの時期なるといつも訪れる。

「ねぇ、裕子さん」

「なんや?」

「夏ってなんで暑いんでしょうね」

「そりゃ夏だからやろ」

「もう…夢がないですね」

「あんたはどう思ってんねん」

「んー秘密です」

「とか言って、何も考えてないんやろ?」

「おっと、鋭いですねぇ」

「まったく…」

川に石を投げながら、あの子はいつも笑ってた。
辛い時も1つも顔に出さずに。


110 名前:夏の思い出 投稿日:2007/08/08(水) 03:11


「もうすぐ高校卒業しますよ」

「そうやねぇ」

「同時に…親がカナダに転勤になりました」

「そっか…」

「家を探さないとなぁ」

「一緒に行けばええやん」

「それ、本気で言ってます?」

「親はなんて言ってんねん」

「一緒にって言いますけど…うちは…」

「なぁ、終わりにしよか」

「えっ?」

「あたしな、もう疲れてもうたわ」

「裕子さん…?」

「せやから、終わりにしよ?
 あたしの事は気にせんでカナダ行けばええ」

「ちょ…」

「じゃ、元気でな。
 今までありがと…」

あの時、初めて悲しそうな顔を見た。
あたしの言葉だって本心やなかってんで?
あっち行けばあの子の夢だって近くなるって思ったし。
あたしのせいで…人生狂わせとうなかっただけや。


111 名前:夏の思い出 投稿日:2007/08/08(水) 03:12


「今頃…何してんのやろ。
 夢は叶ったんやろか?元気なんやろか…」

あれから4年。
別れを告げたこの日に同じ場所にいる。
忘れられない愚かな大人がここに1人。

「情けないなぁ…」


「そんな事ないですよ」

「えっ?」

「お久し振りです」

「なんで…?」

「夢叶えて戻ってきました。
 自分に自信もついたんで、迎えに来ましたよ」

「迎えにって…あたしはあんたに」

「うちの事を思って別れたんですよね?」

「それは…」

「あの時の裕子さんの悲しい顔はずっと忘れられなかったです。
 だから、頑張って夢叶えて迎えにこようって思ってました。
 もし…今日この場所で会えなかったら諦めようとも思ってたんです」

「ひとみ…」

「一生…傍にいてもらえませんか?」

言葉が出ず、あの子の胸に飛び込んだ。
あの頃と変わらない温もりに涙が出た。
また1つ、この場所に思い出が増えた夏。





〜 了 〜


112 名前:TAKU 投稿日:2007/08/08(水) 03:13
以上です。
ホントに短くてすいません…。
また精進して戻ってきます。

それでは…。
113 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/08(水) 21:12
裕子さんは純情行進曲だなぁ
吉澤さんは忠犬だなぁ

作者さんおかえりなさい
そして行ってらっしゃいwまた帰ってきてください
114 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/08/09(木) 00:18
ずっと待ってました!
読んでて自分も涙が出てきました。
お帰りお待ちしてますね。

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