夜明けまえには

1 名前:あみど 投稿日:2005/05/30(月) 01:52

かなり分かりやすく影響を受けています。
色々になる予定ですが亀高など。CPもの以外もありかと。

よろしくお願いします。
2 名前:あみど 投稿日:2005/05/30(月) 01:52

亀高から。
3 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 01:54

「絵里さぁ、そんなに目ぇ悪いの?」

心底不思議だ、というように愛は言った。愛と並んで自室の新調したハイベッドに寝そべり、
二人で一冊の雑誌を覗き込む目を細めていた絵里は「んー」と曖昧な返事をして更に目を細めた。

「だったらぁ」

そう言って、愛は離れた壁にかかっているカレンダーを指差す。

「あのカレンダーの字は読めんの?」
「今は見えますけど」
「ふうん」

うつ伏せの姿勢で愛は顎の下に手をかさねる。
視力というものはフラッシュを浴び続ける仕事のせいで徐々に悪くなるものだ、と聞いたことがある。
が、愛の視力はいまだに変化はなく見える世界は鮮やかなままだった。

遠くのものを見たり、よく見えないものがあると人間は自然と目を細めピントを合わせようとする。
いったんこの癖がつくとなかなか治らないようだ。
絵里を見ていてそう思ったし、もしかしたら美貴もそのせいで目つきが悪いと言われるのだろうか。

「いたっ」

ぼんやり物思いにふけっていた愛は絵里の短い悲鳴で我に返った。
当の絵里は手のひらで片目を押さえたり、擦ったりを繰り返している。

「な、なに。泣いてる?」

泣かすようなことをしただろうか、愛は慌てて今日の行動を振り返る。
起き抜けにせんべいを食べるのは良くないと言われたから、わざわざ持ってきて昼食にしようと言ったことだろうか。
愛ちゃんはやっぱりちょっとおかしい、と言われたけどそんなことはないと思う。

それはおいといて。
4 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 01:55

「えーと、ごめん」

とりあえず謝っとけ、本能が告げた。
思い当たる節が多すぎたのも理由のひとつだが、愛はそれに気付かなかったことにする。

「……違います。コンタクトがずれたみたいで」

愛は一気に脱力した。
なんだそんなことか、と小声で漏らすと「一大事ですよ」と片目だけ涙を流している絵里に反論される。

「いたいいたい。ちょっと洗面所行ってきます」
「あいよー」

絵里はもぞもぞとハイベッドのはしごを降り、最後の二段ほどは滑り落ちるような音をたてた。

「だいじょぶかー」
「大丈夫だと思いますか」
「思わんけど」
「バカ」

そんな言葉の応酬のあと、ドアを開け閉めする音が聞こえて部屋は急に静かになった。
ようやくひとりにされたことに気付いて愛はつまらなくなったが、文句を言う相手も隣には居なかった。
5 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 01:56


6 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 01:57

なかなか絵里は戻ってこない。

くわー、と愛は何度目かのあくびをする。涙が目に滲んだ。
ベッドにうつ伏せたままの体勢では眠ってしまいそうだったが、起き上がるにはあまりにもベッドが心地よい。
読んでいた雑誌もすでに内容がよくわからなくなっていた。絵里のせいだ、呟きはあくびのせいで声にならない。

「寝るぞこら〜」

予告したところで返事はない。
うつ伏せたまま、眠ろうと手足をのばすと枕の横でなにかが手にふれた。
かたい、冷たい感触。愛は無造作にそれをつかむ。

「眼鏡、こんなとこに置いたら危ないやろ……」

つかんだものを見て、愛はあきれたようにため息をつく。
案外いいかげんな性格なのか、絵里は地方遠征のときによく忘れ物をしてはさゆみに怒られているし、
ホテルの部屋でも物をほっぽりだして散らかすことが多い。
そんな絵里を、しょうがないなぁと愛は思っているが、絵里も愛のことを仕方がない人だと思っているから妙なふたり。
7 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 01:58

ときに退屈は人に普段とは違う行動を起こさせる。
愛も眼鏡をかけたことはある。ただし、それは衣装の伊達眼鏡でレンズに度は入っていなかった。
自分にないものに憧れるのが人間だとすれば、愛は今、まさしく人間だった。

つまり、ほんの少しの好奇心。そっと眼鏡をかけてみる。

「おぉぅ」

感嘆の声をあげ、愛はぐるりと首をめぐらす。壁にかかっているカレンダーの文字がぼやけて見えた。
雑誌に目を落としてみてもはっきり見えない。写真の中のモデルがぐにゃりと歪む。

「うひゃー」

さっきまでとはまるで違う風景に、愛は子どものようにはしゃぐ。
物の輪郭がぼやけているのを見るうち、慣れない上に度の強いレンズせいで愛は頭がくらくらするのを感じた。

「……気持ち悪くなってきた」

ちょっと休もう、そう思い、愛は目を閉じた。
8 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 01:59


9 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 01:59

どんっ、と低い音が絵里の部屋に響いた。

「いったいなぁ。あーもう」

ドアに一度ぶつかった絵里はぶつぶつ言いながら部屋に入る。

「愛ちゃーん、コンタクト外したんだけどっ……と」

眼鏡をどこに置いたのか忘れてしまった絵里は手探り状態で部屋を歩く。
近眼ってつらい、そうよぎったとき眼鏡は枕元に置いたことを思い出した。

絵里は躓かないように、そろそろとハイベッドに近づく。
ハイといっても低めのそれは、少し背伸びをする程度で簡単に枕元に手がとどく。

軽くかかとを浮かせ、安全のための柵に手をかけ、じっと目を凝らし目的のものを探す。

「……ん?」

はっきりしない視界になにか気配を感じ、絵里はぎゅっと眉間を詰める。
それでもすりガラス越しに覗いたようでクリアにならない。
顔を近づけ、そうっと手をのばすと、くもったなかにあたたかい手ざわり。
10 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 02:00

「かけたまま寝ないでよ……」

状況を理解した絵里は、眼鏡をかけたまま眠ってしまっている愛の頬をつつく。
むずかるように愛は絵里の手を払う。そしてその手で絵里のシャツの首元をつかんで引き寄せた。

「わ、わ」

加わえられる力に逆らえず、絵里は浮かせたかかとの位置を上げる。
眼鏡を取りたいと思っただけなのに、ちょっと困ったことになったようだった。

愛はシャツをつかんだまま離してはくれないようで、穏やかな寝息をたてている。

「……気まずいなぁ」

数センチ先には愛の寝顔がせまる体勢で、絵里は呟くしかなかった。
11 名前:レンズのせい 投稿日:2005/05/30(月) 02:01

12 名前:あみど 投稿日:2005/05/30(月) 02:02

ネタはいただきものです。ありがとうございます。
13 名前:あみど 投稿日:2005/05/30(月) 02:23

ふたりの視力については詳しく知りません。
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/30(月) 04:49
激しく期待してます。
15 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:25
新メンバーが合流して初めての番組収録。その合間の休憩時間。
私たちは楽屋で昼食をとることになった。

「今日の弁当なんやろ」
「からあげがいいなあ」
「美貴は焼肉がいい」

スタジオから楽屋までの廊下。私とシゲさんと小春ちゃんの前を歩く三人。

……おーい。そんな飢えた会話しないでくれよー。
モーニング娘。は食ってばっかりって思われるだろー、新メンバーにー。
16 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:26

17 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:26
「あ、からあげ」

弁当のふたを開けた亀が嬉々として声をあげる。おまえ、そんなに好きか。

「美貴ちゃん残念やったね」
「肉だから許す」

藤本さん、あなたも好きですね。

「久住はちょっとスタッフに挨拶してまわるぞ。弁当は後でな」
「あ、はい!」

マネージャーさんがひょっこりと楽屋に顔をだす。
それに飛び跳ねるように反応する小春ちゃん。……緊張してるんだよね、やっぱ。
18 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:26
わかる、わかるよ。私だって加入したときは中学一年生だったから、なんとなく親近感。

「ついてくよ。まだ局内よくわかんないでしょ?」
「すいません、いいんですか?」
「いいよ、まだお腹すいてないし」

おどおどする小春ちゃんに、できる限り優しく微笑む。

「じゃあさゆも」

シゲさんって末っ子なのに姐御肌。どこぞの亀とどっちが年上かわからない。

「絵里ー、ちょっと出掛けてくるねー」
「え〜〜っ」

シゲさんが亀に声をかける。えー、って亀。もう割り箸わってるし。
弁当がのった長机にむかってパイプ椅子に腰掛けて、足をばたつかせる。
隣に座っている愛ちゃんはそんな亀に苦笑気味。

ちょっとだけ手を振って、楽屋のドアを閉めた。
19 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:27

20 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:27
置いていかれるように楽屋に残ったあたしたち。
絵里は気にしたふうもなくのんきにからあげを食べている。

「なあ、あたしら行かんでよかったかな」
「いいでしょ」

それに、と箸をくわえながら絵里は続ける。

「絵里、ちっちゃい子苦手なんで」
「そんないくつも変わらんやろ」
「ん〜」

生返事で黙々と弁当をつつく。嫌とかじゃなくて、はやく弁当食べたかっただけやろ?
21 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:27
「そんなに気にするなら、愛ちゃん今からでも行ってきなよ」
「後でいいやろ。後でたくさん喋る」

つっけんどんな物言いは、言外に他の人のことを話題にするなとほのめかしている。
そしらぬ顔であたしは玉子焼きを口にはこぶ。

「からあげくれるなら一緒に行ってあげてもいいですよ?」
「やらん」

むぅ、とくちびるをつきだす。そんな不満顔したってやらん。

「けちー」

いーっ、と歯を見せて、ガタガタとパイプ椅子ごとあたしから離れる。

「おま、自己チューだなあ。待てコラ」

あきれた。けどあたしも椅子ごと追いかける。
ガタガタうるさい、って美貴ちゃんに怒られた。
22 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:28

23 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:28
楽屋に戻ってみると、愛ちゃんと亀が藤本さんに怒られてた。
怒るというより、注意されてたみたい。しゅんとする二人。
かと思うと亀はそっぽを向いて、それを見た愛ちゃんは困ったように笑ってる。

「あの二人は何をしてるんですか?」
「……気にしないで」

私はやれやれと息をつく。小春ちゃんはきょとんとした顔。

「あの二人は仲良しなの」
24 名前:おしょくじ 投稿日:2005/06/04(土) 15:28
おわり。
25 名前:あみど 投稿日:2005/06/04(土) 15:29
>>14
レスありがとうございます。
あ、あんまり期待するともにょもにょ。……頑張ります。
26 名前:名無しです 投稿日:2005/06/06(月) 06:52
亀高好きです。
27 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 05:54
「ハイ、撤収でーす!」
「お疲れ様でしたー」

生放送の音楽番組の収録が終わって、スタッフにはのんびりと片づけを始める人もあれば、
慌しくどこかへ駆けていく人もある。
そして出演者はちりぢりに楽屋に戻ることになる。わたしはぼんやりと共演者である大御所の後姿を
見るともなく見ていた。そうしながらも、覚悟は、していた。

「道重、ちょっと来なさい」
「はい……」

思ったとおり、わたしだけマネージャーさんに呼ばれる。原因はわかっていた。
心配そうに絵里が目配せしてくる。わたしは精いっぱい強がって、笑う。
28 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 05:54
真っ赤な衣装のまま、マネージャーさんのあとをついて廊下を歩く。
赤は嫌いじゃないけど、今のわたしにはこんなに明るい色は似合わない。
29 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 05:55
 
30 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 05:56
生放送の音楽番組で、大失敗。
フォーメーションで右に行かないといけないところを、左に行こうとしてしまった。
……本当に間違った方向に進んでしまったら、どうなっていたか。考えるのも怖い。
一通り注意を受けて、解放され、楽屋へ戻る廊下を歩きながら、マネージャーさんから
言われた言葉を思い出す。

『もうプロなんだから』
『学校の運動会のダンスとは違うのよ』
『教育係なんだから手本を見せないと』

悔しくて、悲しくて。そのときは黙って頷いて、ごめんなさいを言うことしかできなくて。

……悲しいときは、どうすればいいんだろう。よくわからない。
どこかで、ひとりで泣こうかとも思ったけど、みんなのところに戻ることにする。
31 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 05:57
楽屋に戻るとほとんどみんな私服に着替え終わっていた。
ぱっ、とわたしに視線が集中する。

「さゆ、おかえり」
「あんまり気にすんなよー、しげさんよー」
「まーよくあることさ」

口々に明るく励ましてくれる。確かに、そんなに気にすることではないのかもしれない。
番組本番から続いていた緊張がようやく解けたような気がする。自然に、笑えた。

「道重さんお疲れ様でした」

帰り支度は終えたようだ、バッグを抱えた小春ちゃんが、ととと、とやってくる。
怒られたことに対する『お疲れ様』ではなく、収録が終わったことにたいする『お疲れ様』

だとわかる。もう帰るのだろう。
いつもへらへらしているように見えるけど、ちゃんと頑張っている子だ。
教育係であるわたしが『今日はよく頑張ったね』と褒めなければいけないところだった。
そんな言葉では足りないくらい、小春ちゃんはしっかり話せて、歌えて、……踊れていた。
内心に苦い思いを抱えながらも、わたしはわたしの思ったことを正直に伝える。
32 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 05:57
「小春ちゃん頑張ったね。すごく堂々としてて、かっこよかったよ」

えへへ、とはにかむ小春ちゃんはまだまだ、こどもだけど、それでもしっかり自分の仕事をこなしている。
二言三言、ねぎらいの言葉をかけて、ぽんぽん肩を叩いた。

「わたしみたいな失敗しちゃだめだからね」
「はーい」

このことを言うのは、すこし勇気が必要だったけど、言ってみると案外、気が楽になった。
小春ちゃんもさして気にした様子もなく、明るいままだ。ほんの少し、救われたような気がする。
33 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 05:58

小春ちゃんはもう一度、元気よく楽屋のみんなに「お疲れ様でした」と言って帰っていった。

そこでわたしは、自分だけが衣装のままなことに気付いた。
でも、着替えるまえにすることが、ひとつだけ。

「紺野さーん」
「ふぁい?」

すっかりくつろいでいる紺野さんのもとに向かうと、相変わらず口をもぐもぐと動かしていた。

「あの、本番中はありがとうございました」

一寸、紺野さんはきょとんとしたけど、すぐにほんわかとした顔になった。

「あー、アレね。びっくりしたよホント。でも結果オーライだって。気にしないほうがいいよ」

ほっとした。紺野さんが怒るとは思っていなかったけど、
嫌味ひとつくらいは言われるかもしれないと思っていたから。
34 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 05:59

あの時。何度も練習したフォーメーションで、わたしが間違って左に進もうとしたとき、
正しい方向へ手を引いてくれたのは紺野さんだった。
もしも気付いてくれなかったら、生放送でひどい醜態をさらしていただろう。
それも『道重さゆみ』としてならまだいいけど『モーニング娘。』として見られている。
わたしのうかつな行動ひとつで、メンバー全員の印象を悪くするのは嫌だった。

「本当に助かりました。ありがとうございました」
「困ったときはお互い様だよ。私が間違ったら教えてね?」

冗談めかしていう紺野さん。いつもぼうっとしているイメージがあったけど、
やっぱりわたしよりはキャリアが長い先輩なのだ。

ほんの少しだけ、尊敬の意を込めて紺野さんを見ていると、なにか勘違いされたらしい。

「ひとつあげるよ」

ひょい、となにか袋から出したものをさしだされる。
一仕事終えたあとの干しいもは格別らしい。遠慮せず、ひとつもらった。
35 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 06:03
 
36 名前:生放送のプチハプニング 投稿日:2005/08/03(水) 06:03
おわり
37 名前:あみど 投稿日:2005/08/03(水) 06:04
>>26
レスありがとうございます。
今回更新分は亀高ではありませんが……これからも書きたいとは思っています。
そういえば前に緑板のフリースレに『ふたりの時間』という亀高書きました。こっそり宣伝。
38 名前:名無しです 投稿日:2005/08/03(水) 22:30
緑板の読んでました。作者さまでしたか!空気感がすごく好きです

今回のさゆがとても自然でいいなと思いました。さゆっていうキャラはこう、トゥーマッチにされることが多いので…
39 名前:あみど 投稿日:2005/09/08(木) 19:55
読んでくださる方に注意。
真 夏 気 分 で お 読 み く だ さ い 。
40 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 19:56
朝、起きると身体がだるくて熱っぽかった。
体温計を出してもらって測ってみたら、微熱があった。
でも、仕事はあるから、風邪薬を飲んで家を出た。
41 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 19:58
わたしこと、道重さゆみは風邪を引きやすい。
それも、夏に。
42 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 19:58
 
43 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 19:59
テレビ局はどこも冷房がよく効いていて、油断すると身体がぶるっと震えた。

上着を持ってくればよかった。ぼうっとする頭で思う。
考えなしに、半袖だし。だんだん熱も上がっているような気がする。
迷惑も心配もかけたくないし、それにわたしは教育係だし、今のところ誰にも風邪を引いたことは言っていない。
でも、この鼻声で気付かれちゃってるかな。早く治ってしまえばいいのに。

出来るだけ冷房の風を避けるために、楽屋も隅っこにわたしはいた。
絵里は打ち合わせかなにかで、今はいない。挨拶を交わしただけで今日は戯れる暇もなかった。
そんな暇があったとして、風邪引きだとばれてしまうだけだから、それで都合が良かったと思う。今日だけは。
44 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 19:59



外のほうがあったかいのになあ、待ちだから出られないしなあ。
あ、でも吉澤さんと藤本さんは居ないや。ちゃんと、時間には戻ってくるだろうけど。



45 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 20:00
楽屋にはもちろん、わたし一人ではなかった。
だけど、なんとなくぼんやりしていた。周りは騒いで、わたしのことを気に留めていない。
こんなことも、まあ、たまにはいいと思う。

ぼんやりも度が過ぎて、居眠りに入りそうになった時、絵里が楽屋に入ってきた。

「さゆー、どうしたの?」

開口一番に、絵里はわたしの名前を呼ぶ。
今日はただ呼んだってわけじゃなくて、理由があると思った。
わたしが部屋の隅っこにいるのは珍しいから、絵里は不思議に思ったのだろう。

「っていうか、バレバレだから」
「え?」

絵里が言ったことの意味が分からなくて、つい、間抜けな受け答えをしてしまう。

「朝から鼻声でしょー。
 ほら、ちょっと熱あるんじゃない?」

絵里が、ごつん、と額をくっつけてくる。
それも笑ってすぐに離れる。照れくさくなったのだろう。

「そうかなあ」

わたしも手のひらを額にあててみる。熱があることは知っていたから、ポーズだ。
心持、朝よりもあついような気がしたけど、冷房で手のひらが冷えているだけかもしれない。

「今日は早く寝なさいね」

年上らしく絵里が言って、わたしは頷く。
ちょっとだけ、鼻をすすりながら。
46 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 20:02
「はしっこで何してんの?」
「相変わらずベタベタしてるなぁ」

と、藤本さんと吉澤さん。
いつの間に戻ってきたのだろう、気付かなかった。

「あ、リーダー。今日はさゆ……」「なんでもないです」

絵里が気を使ってくれているのは分かったけど、報告はいらない。
なんだよう、と不満げな顔で絵里がわたしに向きなおる。それに笑顔でかえす。

「ああ、ひょっとして、しげさん夏風邪?」

意外なことに藤本さんがずばり、わたしが隠したがっていることを当てた。
一言話しただけでも、鼻声だと気付かれたみたいだ。イコール、夏風邪。
藤本さんは鼻炎らしく、年がら年中、鼻にかかった声をしているから、他人のそれにも敏感なのかもしれない。

「上着とか持ってきてないの? 超寒いじゃん、ここ」

寒がりな藤本さんは、夏でもいつでも、自前の上着を持って現場にやってくる。
風邪ひきなくせに、半袖で無防備なわたしの姿は、おかしなものに映っていると思う。
47 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 20:02
でも
上着を忘れた、というのはなんだか悔しくて、ただ、頷くだけにする。

「じゃあこれ、着て。
 ティッシュも別に美貴専用じゃないから、使っていいし」

自分が着ているカーディガンを、いくぶん乱暴に脱ぎ、投げるように渡してくる。
そして藤本さん専用となりつつある、楽屋のティッシュを指差す。

ぽかんとして、わたしは、藤本さんの一連の動作を見ていた。
やはり、熱があるのかもしれない。ぼうっとしている。
でも、ティッシュは別としても、黙ってカーディガンを受け取るわけにはいかない。

「藤本さんが寒いじゃないですか」
「ガッタスのジャージがあるから、へーき」

娘。イチのさむがりには、上着にもスペアあるらしい。
ありがとうございます、小さな声でお礼を言う。
別にいーよ、と、もうわたしには顔を向けないで、藤本さんはすぐに楽屋を出て行ってしまった。
48 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 20:03
「やっさしー」

絵里がはやし立てるように、もう居ない藤本さんに言った。
そんな言葉にわたしは笑う。

カーディガンに袖を通す。少し、あたたかかった。
優しいあたたかさだ、と、そんな言葉がぼんやりと浮かんだ。
49 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 20:03
 
50 名前:夏風邪 投稿日:2005/09/08(木) 20:03
おわり
51 名前:あみど 投稿日:2005/09/08(木) 20:04
>>38
レスありがとうございます。
あちらも読まれて頂けていたようで、うれしいです。
私が書くとだれもかれも大人しくなってしまうような。でも、ぶっ飛んだキャラだけの話も面白そうです。
52 名前:がき 投稿日:2005/10/20(木) 23:48
壁ぎわに置いたかばんを探っていると、じわじわと沁みるような視線を背中に感じた。
振り返ると、亀が頬杖をついてこっちを見ていた。

「……なにさ」
「今日からセブンティーンなんだね」

おおげさなくらいのため息をついて亀が言う。

「そうだよー、いいでしょ。亀はまだ16だもんねぇ」

そう、私、新垣は今日で17歳になった。亀は同じ学年だけど、12月で誕生日を迎える。
何ヶ月かだけ、私のほうが年上になるのだ。

「いいないいな、じゅうなないいな」

パイプ椅子で腕組みして亀が口をとがらす。
……そんなに羨ましいか?

「いいじゃん、亀が若いってことだし」
「よくないね。だってセブンティーンだよ? 
 この重大さを本人がわかっていないとは、なんたることだ!」

そういうと、亀は勢いよく立ち上がった。

「いい? 17歳はもっとも、……なんだっけ、そう、フェロモンをだす時期なんですよ」
「何の情報だそれは」

いつの間にか壁ぎわに詰め寄られて、私は後ずさろうとして背中を壁にぶつけた。

「つまり、こういうこと」

そう言うと亀は素早く、ほっぺたにちゅ、とくちびるをつけた。

「えー!ちょ、ちょ、と待ってよ!」
「これくらいで騒いじゃって、ガキだなあ」

亀はにやにや顔で見下ろしてくる。……。

……ガキとか、そういうことじゃないでしょうが!
53 名前:がき 投稿日:2005/10/20(木) 23:49
おわり
54 名前:Let's GO 北海道! 投稿日:2005/11/02(水) 20:29
「ほらほら急げカメカメカーメ!」
「まだ時間に余裕ありますよぅ」

11月2日、夜の便で北海道に出発。
明日は文化の日で、祝日なのにお仕事です。
藤本さんと紺野さんの里帰りも兼ねた、北海道でのコンサート。
いま、私を呼んでいる福井の人もたまに地元でのコンサートがあって、その時はすごくはしゃぎます。
でも東京出身、東京在住の私は、東京でコンサートがあっても特にえりりんコールがあるわけでもなく。
ちょっとだけ、地方出身もうらやましいなあ、と思ったり、思わなかったり。

娘。だけでも結構な人数なのに、スタッフさんたちも含めるとそれはもう沢山になります。
こういう移動のときは集団行動が基本です。いつもならぞろぞろと歩きます。

ただ、問題発生。

私たち、みんなとはぐれました。
55 名前:Let's GO 北海道! 投稿日:2005/11/02(水) 20:29
「……どうするんですか」
「いやあ、まいったねえ」

ひろーい空港で迷子のふたり。
行き先は分かっているから、向かう方向にまったく検討がつかないわけではないけど、
チケットはマネージャーさんが持っているし、どっちに向かえばいいのやら。

「愛ちゃんが急かすからー」
「ごめんごめん。でもまだ時間あるしー」

能天気に愛ちゃんは笑っているけど、もしも乗り遅れたりしたら一大事です。
たったふたりの都合で飛行機にストップかけるわけにもいかないですし。

「どうしましょ? みんな探しますか?」
「んー」

のんきにお土産屋さんをのぞいてる場合じゃないですよ。

「あさみちゃんお土産買ったかなあ」
「実家に帰れるんですか?」
「知らんけど、まあ、搭乗口行ってみるか?」
「そうしますか」
56 名前:Let's GO 北海道! 投稿日:2005/11/02(水) 20:30
ほれほれ急げカメカメ、と手招きする愛ちゃん。
「カメ」だからってのろいわけじゃないですよーだ。
荷物ももう預けてしまって身軽な私たちは、一路、北海道行きの便の搭乗口へ。
動く歩道に運ばれているとき、愛ちゃんが言いました。

「あー、なんか時間もったいないわ」
「へ?」

もったいないって、なにがですか?
わけがわからず、きょとんとしている私。愛ちゃんが続けて言います。

「いや、せっかくカメとふたりなのに、何にもなくてただ歩くだけってのも、もったいないなーと思って」
「それはどうも」

動く歩道の上だから歩いてないですけどね、なんて、そんなつっこみは置いといて。
最近、そうストレートに言われると照れちゃうんですよ。
そっけない返事も照れ隠し。それが分かってるのか、愛ちゃんはにやにやしだします。
57 名前:Let's GO 北海道! 投稿日:2005/11/02(水) 20:30
「カメ、照れ隠しみたいなー」
「ぜんぜん照れてませんよーだ」

肘でわき腹をぐりぐりされます。ちょ、ちょっとこそばゆいです。

「嬉しいくせに」
「そっちのほうが嬉しいくせに」

おわっ、愛ちゃんがちいさく叫びます。動く歩道がおわっちゃいました。

「まあ、嬉しいですけど……」

どさくさまぎれに私も呟きます。本心を言うと、そりゃあ嬉しいですよ。
だって飛行機も隣の席はガキさんだし、ホテルの部屋もガキさんと一緒にするんでしょ?
この迷子の時間も大切ですよ、こんな時間はめったにないですから。

「なんてーか、さゆにヤキモチ」

体勢を立て直した愛ちゃんが言います。
な、なんですと?

「だって、飛行機も絵里の隣に座るやろ? 
 でさ、夜もどっちかの部屋に行くじゃん」

……おんなじこと考える、って本当にあるんだなー、と。
58 名前:Let's GO 北海道! 投稿日:2005/11/02(水) 20:31
まあ、恥ずかしいから言いませんけど。
それにさゆと居るのだって好きでいるんだし、ガキさんのことも嫌いじゃないし。
結構、みんなのこと好きだったりするんですよ、カメは。

「あー! いたー!!」

歩道を降りてほてほてと歩いていると、前方から複数の叫び声が。
続いてマネージャーさんがバタバタとやってきます。
迷子の時間もおわりです。ちょっと、残念です。
59 名前:Let's GO 北海道! 投稿日:2005/11/02(水) 20:32
こってりと叱られながら列に加わると、藤本さんが「まあ、見つかってよかったじゃん」と言っていました。
その上機嫌な一言のおかげか、リーダーからはゲンコツいっこのフリで済みました。まさしく体育会系です。

「もぉ、どこ行ってたのさ」
「先輩がそんなのじゃ駄目なの」

ガキさんとさゆにも叱られちゃいました。
愛ちゃんはぺロリと舌をだして、「ごめんなさーい」と謝って、
私も、「ごめんごめん」と謝りました。

迷子の時間はおわりにして、いざ、北海道へ。
60 名前:Let's GO 北海道! 投稿日:2005/11/02(水) 20:33
おわり
61 名前:休憩時間のひとコマ 投稿日:2005/11/03(木) 23:27
「えっ、2年半ぶりなんですか?」
「そうだよ。札幌って結構、都会なのに扱い悪いよねー」

札幌でのいわゆる「凱旋コンサート」を前にして、私たちはリハーサルをしていた。今は休憩時間。
といっても私にとっての凱旋ではなくて、紺野さんと藤本さんのだ。

「山口は今回が初めてですけどね」
「あ、それもそうだね」

各メンバーとも、地元でのコンサートはかなり盛り上がる。
新潟は小川さんと小春ちゃんの地元だったけど、これもかなり盛り上がった。
きっと今日も「こんこん」コールと「ミキティ」コールが響くだろう。

ちょっと照れるよね、と紺野さんは笑ってジュースを一口飲んだ。
「休憩中においしいお店を聞きだそう大作戦」を実行中の私もジュースを一口飲んだ。
このコンサートの後、地元のふたりは実家にすこし帰るらしい。

「藤本さんって札幌出身でしたっけ?」

ほっぺたに人差し指をあてて、疑問のポーズをとっていると、藤本さんがやってきた。

「美貴は北海道の真ん中らへんだから」
「しげさん、それ禁句」

紺野さん、小声で注意してくれても聞こえちゃってます。
そしてちょっと遅いです。
62 名前:休憩時間のひとコマ 投稿日:2005/11/03(木) 23:28
「で、しげさんたちは北海道観光するの?」
「いやー、多分、すぐ帰っちゃうか、ホテルに居るだけだと思いますけど」
「最近帰ってなかったからあんまり詳しくないよ?」
「それでもいいです、教えといてください」

メモ用紙とボールペンを取り出して、手渡すとサラサラと文字と地図をかいてくれた。
紺野さん、さすがです。

「休憩終わりー!」

リーダーが叫んで休憩終了。後半のリハーサルが残っているから、もう少し。

「じゃ、がんばろ」
「はい。今日は成功させましょう!」

久しぶりの地元でのコンサートだ。紺野さんの気合が入らないわけがない。
しっかり頷いてくれました。
63 名前:休憩時間のひとコマ 投稿日:2005/11/03(木) 23:28
おわり
64 名前:空白 投稿日:2005/11/20(日) 18:47
「今日って何日だっけ?」
「20日だよ」
「じゅういちがつ、はつか、かぁ。明後日、誕生日だね」
「うん」

スタジオから迎えの車を停めている駐車場まで、雅と佐紀は歩いている。
30センチほどの高さのブロックの上を雅が歩いていて、ふたりの身長差はいつもより開いている。

「今日ってさ」
「どうしたの?」

佐紀が寒さのためか、早足で歩きながら言う。
雅はブロックの上でバランスをとりながら聞き返す。

「いや……なんでもないや」
「うわぁ、気持ち悪いなあ」

言いかけてやめるなんて。佐紀は下を向いて歩いている。
雅も足元に気をつけながら歩いている。

「そっか、わかった」

雅がブロックから飛び降りて、言う。
佐紀は驚いて顔をあげ、「何?」といった表情で雅を見る。

「舞波の、誕生日だよね?」

雅がそう言うと、佐紀は黙って頷いた。

「うちら、一緒に仕事してたんだよね」

もう遠い過去を思い出すようにして、雅は思う。
いつからか、ずっとメンバーは8人だと信じて疑っていなかった。
そこに突然の卒業発表。メンバーが7人になったこと。
今では、なんの支障もなくすべてがまわっている。

「おめでとう、って言えないね」
「そうだね」

いちごが乗ったショートケーキでも食べているのかな、そう思いながら、白い息を吐いた。
65 名前:空白 投稿日:2005/11/20(日) 18:47
おわり
66 名前:年長さんと年少さん 投稿日:2005/11/30(水) 20:45
「え、なに?」

小春ちゃんが腕にすりすりしてきてた。
突然そんなことされちゃったわけだから美貴は驚いて声を上げてしまう。
ほんのり梅の匂いが漂ってくる。そういえば梅のお菓子が好きだっけ。今も食べているのかな。

「どうしたの?」

依然とすりすりを続ける小春ちゃんに、できるだけ優しく訊いてみる。
怖がられないのは嬉しいけど、すりすりされちゃうような心当たりはない。

「? どうもしませんよ」

ケロッとした表情で小春ちゃん。
なんにもないのにすりすりしてたの? 美貴が首をかしげると、小春ちゃんも同じように首を傾けた。

「なにかないとダメですか?」
「ダメとかじゃないけどさ……」

なんで美貴が口ごもっちゃうんだろう。なんか、たじたじ。
周りのメンバーに「変だよねー」と救いを求めようとしても、今は誰もいないんだった。

ダメじゃないけど。
そこまで言って美貴はまた口を閉じて、唇に人差し指をあてて考える。
その様子もじっと横から見られている。なんか緊張するなあ。

「ダメじゃないけど、驚いたっていうか。いきなりすりすりされたら、びっくりしない?」
「そうですかねえ」

のほほんと小春ちゃんは返す。
そこでスタッフさんからお呼びがかかった。はいよ、今行きます。

「まー寒いですから。」
「へ?」
「ちょっとは暖かくなるように」

そう言って小春ちゃんはきゃはは、と笑った。
結構、歳の差があるけど。
美貴もあまえんぼうなところがあるけど、この子も、もしかしてあまえたいのかな?

そう思うと、背格好も小さな後輩が、本当にちっちゃく見えて、可愛く思えた。
67 名前:年長さんと年少さん 投稿日:2005/11/30(水) 20:45
おわり
68 名前:あみど 投稿日:2005/12/02(金) 00:31
亀高、かめったか。
69 名前:やさしく 投稿日:2005/12/02(金) 00:32
「ん? むぅ、高橋さん……」
「んんん〜。どしたの」

背中からべったり抱きつかれる姿勢で、あたしは横になっている。
ベッドの隣、うむむと唸っているのは亀井絵里。

「水、ください」
「はいよ」

ペットボトルのミネラルウォーターを手渡し、飲む様子を観察する。
こくこくと動く喉。そうとう喉が渇いているのか一気に何口も飲んでいる。

「げほっ、けほっ!」
「あーあー、一気飲みするから」

苦しそうな背中をさすってあげる。
背中側にいたのが正面に向き直っている。

「うぁぁ、びっくりした」
「なにが? なんか夢でも見た?」

今度は正面から抱きつかれる。

「夢の話、聞いてくれます?」
不安そうに絵里が言う。怖い夢だったのだろうか。

「ええよ。話し?」

あたしは絵里の頭を撫でながら言う。
好きな人には優しくしたいから。
70 名前:やさしく 投稿日:2005/12/02(金) 00:32
おわり
71 名前:もしも愛さゆが姉妹だったら 投稿日:2005/12/03(土) 14:53
今年の春にお姉ちゃんは中学校へ入学してしまったので、
毎日さゆみちゃんはお姉ちゃんが帰ってくるまで退屈です。
今日は土曜日なので学校はお休みです。
なので、さゆみちゃんは朝からお姉ちゃんのあとをついてべったりです。

「ねえ、お姉ちゃんお姉ちゃん」
「なぁに、さゆ」
「なんでもないの」
「変な子だねー」
「さゆみは変じゃないもん!」
「はいはい、ごめんごめん」

さゆみちゃんはお姉ちゃんが大好きです。
お姉ちゃんもさゆみちゃんがきっと大好きです。


今日はお父さんとお母さんが出かけてしまっているので、
おうちにはお姉ちゃんとさゆみちゃんのふたりしかいません。

「ほら、さゆ、お外で遊ぼう」
「寒いから嫌なのー」

さゆみちゃんはお姉ちゃんにしがみついて離れようとしません。
お姉ちゃんは困ってしまって、どうしようかと考えます。

「じゃあ、おうちの中で遊ぼう。なにがしたい?」
「えーっとね、えーとね」

さゆみちゃんはいっしょうけんめい考えます。

「えーっとね、お姉ちゃんと一緒ならなんでもいいの」
「それじゃあ困るなあ」

お姉ちゃんはまたしても困ってしまうことになりました。


お姉ちゃんがうーん、と頭を悩ませていると、お外では雪が降り始めました。
ひらひら、ひらひらと、とてもきれいです。

「さゆ、雪が降ってきたよ」
「本当だあ」

お姉ちゃんとさゆみちゃんは窓の近くへ行きました。
くもった窓ガラスを手で拭いてお外をみます。雪が積もりはじめようとしていました。

「きれいだね」
「うん、とってもきれいだね」
「お外に行こうか?」
「うん!」

寒いから嫌だと駄々をこねていたさゆみちゃんも、大きくうなずきました。
お姉ちゃんと一緒だと、なにをしてもきっと楽しいのです。
72 名前:もしも愛さゆが姉妹だったら 投稿日:2005/12/03(土) 14:54
おわり
73 名前:初心者 投稿日:2005/12/07(水) 21:34
いいですね
愛さゆの可愛いらしさがが心地いいです
74 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 04:59
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
75 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:31
昼過ぎからしとしとと降り始めた雨が、夕暮れに近づくにつれだんだんと激しさを増していた。
教室には教師の声とノートをとる音だけが満ちている。私はシャーペンを回していた手をとめ、窓の外に見入る。
雨粒に打たれて、かろじて枝にしがみついている葉っぱも落とされていく。

「……雨」

誰にも聞こえない程度の大きさで呟く。
窓を閉じているから雨音はそれほど大きくはない。むしろ、ざぁざぁと耳に心地よい。

「こら亀井。聞いてるのか」
「え、はい」

ぼんやりとしていると指されてしまった。
がたり、と音を立てて立ち上がりながらも、考えるのは別のこと。
76 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:31
 
77 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:32
放課後、雨は降り止まない。
朝の天気予報ではくもりを告げていたから、傘は持ってきていなかった。
窓際の自分の席に腰掛けたままぼんやりと外を見ていると、後ろから誰かに肩をたたかれる。
ん? と振り返ると傘を掲げた、ガキさんこと新垣里沙が立っていた。

「亀、傘入っていいよ?」
「だいじょーぶ。私は家近いし。ガキさんとは逆方向だし」
「そう?」
「うん。止むまで待ってる」
「じゃーお先に。バイバイ」
「ばいばーい」

ガキさんが教室を出て行くのを見送ると、教室には私ひとりだった。
ざぁ、と雨とともに風が吹いて、窓にぶつかる音がした。
78 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:32
ふっと気を抜く。
空は次々と雲が流れるけど、つれてくるのは雨雲ばかりだった。
こりゃ、いつまで経っても帰れないな。自嘲的に笑って、腰をあげた。

帰ろう。濡れるくらいかまわない。


階段を下りて玄関へ。
ひとっこひとりいないのに蛍光灯だけは煌々としていて、ひどく人工的な明かりに感じられた。
靴箱で上履きをローファーに替えていると、玄関のほうから冷たい風が吹き込んできて、私は身を震わせた。

「絵里!」

ぱしゃ、と水溜りを踏むような音が聞こえたような気がする。
声がしたほうに振り返ると、傘を差した高橋さんがいた。
もう一本、閉じたままの傘を手に持ってこちらに走り寄ってきている。

「携帯にかけても出んから、困った」
「学校じゃ禁止ですもん。それより、どうしたんですか?」

傘を閉じながら高橋さんは、困ったよ、と言い、笑う。
高橋さんは学年でいうとふたつ上で、ご近所さんだ。
私は高校二年生、高橋さんは大学一年生。

「絵里のお母さんに頼まれて。傘、持ってないんでしょ?」
「ああ、そういうことですか」

こんなところで高橋さんに会えるなんて、幻かと思った。
そう言うと高橋さんは「そんな人がユーレイみたいな」と笑った。
79 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:33
いつもの色白の子は? 
と高橋さんが訊くので、私は首を振った。

「さゆは今日はお休みです。風邪引いたみたいで」
「へえ。それは大変やね」

ちょっと驚いた顔をして、うんうんと頷く。
高橋さんに会えると分かっていたら、さゆは学校に来たかもしれませんよ。
言おうとして、やめる。さゆは高橋さんに憧れていて、とても慕っている。
高橋さんは無自覚みたいだけど、さゆの好意はわかりやすくて、私は見ていてとてもひやひやする。
それも私が高橋さんに好意を抱いているからで、それさえなければさゆとペアでいる高橋さんを見ても、
「姉妹みたいだな」と思うだけかもしれない。実際、さゆは高橋さんを「お姉ちゃん」と呼んでいる。

「帰ろう。寒いし」
「……そうですね」

水滴がぽたぽたと滴る傘を、また広げる。
はい、と渡された傘を、私は受け取って、同じように広げる。
80 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:33
すこしだけ小降りになった雨を傘に受けながら、並んで家路につく。

「お迎え、ありがとうございます」
「いやいや、いいってことよ。どうせ暇だったし」
「今度は絵里が迎えに行きますよ」
「おう、頼むぞ」

大学って、終わる時間は決まっているのだろうか。

毎日でも、雨が降れば。
そうすれば、迎えに行ける日がきっとたくさんできる。
大学に入学してしまって少しだけ遠ざかってしまった高橋さんとも、また近づける。
ぽつぽつとお互いに近況報告をしながら、思ったのはそんなこと。
81 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:33
絵里は、高橋さんのことばかり考えています。

高橋さんは絵里のこと、思い出すことはありますか?

こんな、訊けもしないことばかりを考えていると、いつの間にか私の家の前まで来ていた。
楽しい時間があっという間、というのは本当だと思う。
ひとりなら長く感じられる帰り道も高橋さんがいるだけで、ぎゅっと時間が縮まったような気がする。

「じゃあ、また」

高橋さんが言う。
玄関のひさしのところに私はすっぽりおさまって、傘を差さなくてももう濡れない。
そこまで見届けた高橋さんはにっこり笑って、一歩あとずさった。ふたりの間には一歩分の距離。
振り返って、このまま帰ってしまうのだろう。
82 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:33
「高橋さん!」
「はいっ!?」

帰ろうとした高橋さんを呼び止める。
一歩分、開いた距離を私が一歩進むことで埋める。不思議そうに高橋さんは首を傾ける。

雨はずいぶん弱くなった。

「……絵里」
「なんでもないです」

足を踏み出すと、ゆるくなってきた雨が頬にふれた。
一歩分の距離をゼロに。

ゆっくりまだらに降る雨の中、傘を持ったままの高橋さんを、離したくはない。

「ねえ、濡れちゃうよ」

高橋さんは傘を、私が濡れないようにずらそうとする。
だけど私が高橋さんを捕まえている力が強くて、身動きが取れていない。
83 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:34
しっとりと制服の背中が濡れている。
風邪を引くだの、ああだこうだと言い募っていた高橋さんもいつしかおとなしくなって、
されるがままになっている。
きっと、困った顔をしている。
困らせたい、困らせたくない。かまってほしい、かまってほしくない。
こんな自己中心的な私を、高橋さんはどう見ているだろう。
84 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:34
いいかげん背中も濡れきって、もしかしたら高橋さんも濡れているかもしれないとようやく気づく。
私は高橋さんの身体にまわしていた手をとき、二歩あとずさる。

「なんでもないよ」

高橋さんが口を開く前に言う。

「なんでもないから」
85 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:34
「わかった」

高橋さんはうつむき気味に、あたりさわりなく優しいこたえ方をする。
それから顔を上げて、なんていうんだろう、子猫を見るような表情で私を見て、口元で笑った。

「じゃ、今度こそ、またね」
「うん」

くるりと私に背を向けて、傘をさした彼女は歩きだす。
玄関のひさしの下、私は高橋さんが見えなくなるまで見送って、家に入る。

高橋さんは一度も振り返らなかった。
86 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:35
でも、私は二階から、まだ見ている。
みっともない自分にあきれながら、窓ガラスに手をつく。

「バイバイ」

聞こえるわけもないのに、別れのあいさつを。
87 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:35
 
88 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:35
 
89 名前:雨の水曜日 投稿日:2005/12/19(月) 20:35
 
90 名前:あみど 投稿日:2005/12/19(月) 20:39
水曜日って早帰りのイメージがあるもんで。
こんな感じで連作……にできればいいなあ。あ、これ悲恋じゃないですよ。

>>73
レスありがとうございます。
愛さゆはDVDでちゅーしちゃったり激しさが増していてついていけません(笑)
かわいいんですけどね、激しいです、道重さんが。

>>74
91 名前:名無し 投稿日:2005/12/23(金) 18:15
しっとりした雰囲気の亀高いいですね
続き待ってます
92 名前:あみど 投稿日:2005/12/26(月) 21:53
亀井さん誕生日おめでとう。
メリークリスマス。
少し遅れましたが亀井さん生誕記念で、続き。23日気分で。
93 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:54
12月23日、午前零時。
誕生日を祝うメールに返信しつつ、なにげなく窓の外を見た。
ここは一軒家が立ち並ぶ団地で、並んだ家の間に道路が走り、外灯がぽつぽつと立っている。
私の部屋の窓は道路に面していて、斜め前、高橋さんの家の玄関が見える。

半開きだったカーテンを全開にして、曇った窓ガラスをカーテンで拭う。
昨日からの雪で外はだいぶ雪が積もっているようだった。
いまもひらりひらりと控えめにだけど、雪が舞っている。

高橋さんの家の玄関あたりで、動く人影があった。
遠目にも、それが高橋さんだとわかる。
なにをしているんでしょう。
94 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:54
服を着替えてこっそりと家を抜け出す。
午後のうちに踏み荒らされた玄関あたりにも、新しく雪が降り積もっていた。
コートの前をしっかりあわせて小走りに高橋さんのほうへ向かう。
外灯の光が、弱弱しく雪の絨毯を照らしていた。
道路の真ん中、車にも踏まれていない雪は、白さが際立っている。

きゅっきゅ、と自分が雪を踏みしめる音が聞こえる。
しゃがんで熱心になにかをしていた高橋さんが顔をあげた。
私は手を挨拶代わりにあげて、ちょこんと首をかしげた。

「なにしてるんですか、こんな夜中に」
「雪うさぎつくっとった。絵里こそこんな夜中にどうした?」
「窓から、高橋さんが見えたから」
「ふうん」

短く言うと、また高橋さんは雪うさぎ作りにとりかかった。
私もかたわらにしゃがみこむ。影はぴったりとふたつ、くっついている。
95 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:55
「絵里、今日誕生日なんです」
「え? もう23日?」
「はい。ついさっき」
「おめでとう」
「ありがとうございます」
「じゃーこの雪うさぎは絵里にプレゼントや」
「えーっ。ぶさいくですよ、それ」
「なにをー」

高橋さんはふざけて雪をなげつけてくる。
雪は私のコートにぶつかってぱらぱらと地面に落ちた。

「17歳になった記念に、言いたいことがあって」
「なんや?」
「好きです」
96 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:55
「……だから?」

渋面を作って高橋さんが聞き返す。
手は雪うさぎに添えたままだ。
私は頬をふくらませて、続きを言う。

「お付き合い、してくれませんか?」
「……」

あ、無視した。
もくもくと高橋さんは地面から雪をかきあつめて、雪ウサギ2号を作り始める。

「たーかーはーしーさん」
「……なーに」
「さっきの沈黙はどう受け止めればいいんですか?」
「……ちょっと、考えさせて」
「今じゃだめ?」
「だめ」

高橋さんは私を一瞥して、また雪をかきあつめる。

「待ってたら、返事くれますか?」
「うん」
「今日中?」
「うん」
97 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:56
短く返事をするだけで、それ以外には手を動かしているだけ。
その無表情の横顔を眺める。
雲に隠れていた月が顔を出して、見上げると空が微妙なコントラストを織り成していた。

「ねえ」
「なに」

「好きなんですよ」
「うん」

「驚かないんですね」
「……いくらあたしでも勘付くくらいはしとった」

「鈍そうなのにね、高橋さん」
「うっさい」

まったく緊張もせずに告白してしまって、まったく緊張を感じずに話している。
変なの。
想像して、シュミレーションしたときはこんなんじゃなかったのに。
98 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:56
「じゃ、絵里はそろそろ帰ります」
「うん。気をつけて」
「すぐそこですけどね」
「知ってる」
「……期待、して待ってます」
「まあそう固くならずに」
「誰のせいですか、誰の」
「さあね」

憎らしいほど無表情に高橋さんは手を動かし続ける。
2号の形をととのえてから、私のほうに顔を向けた。

「おやすみ、絵里」
「おやすみなさい、高橋さん」

顔全体で優しく微笑んで、高橋さんはおやすみを言った。
私も自然に笑顔になっていると思う。
黙って立ち上がって、私を見上げる高橋さんの顔を見る。
99 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:56
もう一度腰をかがめて、無防備な額にキスをした。

「……反則や」
「いや、つい」

高橋さんは額を手のひらで押さえて抗議の声をあげる。
ちょっとだけ、頬に色がさしたような気がする。
気のせいじゃなければいいな。

「ほーれさっさと帰れ」
「ひどーい」
「……ちゃんと返事はするから」
「はい」

今度こそ私はまっすぐ立って、高橋さんに背をむけた。
振り返らずに、帰ろう。
100 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:57
 
101 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:57
そっと家に帰ってから、ベッドに入ると意外にもすんなりと眠りに落ちた。

朝、目覚めてから夜中のことを思い出すと、夢の中の出来事のように思えた。
でもコートはハンガーに掛けられずに床に落ちているし、現実のことだったと思う。
唇に指をつける。夜中、高橋さんの額に触れた。

……なんで、あんなことしてしまったんだろう。

まだ返事ももらえていないのに、浮かれていた。
もしかしたら、これは謝らなければいけないことかもしれない。
でも、告白してからの高橋さんの反応。
淡白すぎるほどにあっさりとしていて、すぐ断られることも考えてなかったわけじゃないから、
ちょっと驚いて、でも期待していいのか迷うところでもある。

返事はきっと、今日中にもらえる。
それまではただ、待つしかない。
102 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:57
 
103 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:58
服を着替えて、朝ごはんを食べて、なんとなくそわそわしている。
よく考えてみれば、今は誕生日の朝だ。
昨日の夜中にすべてエネルギーを使い切った気がして、どうにも実感がわかない。
まあ、返事待ちではあるのだけど。だからそわそわしているんだけど。

自分の部屋で暖房をきかせて悶々としていると、チャイムが鳴った。
高橋さんかもしれない。私は急いで玄関に向かった。

カチリとロックを外して扉を開く。

「あ、絵里」
「こんにちは」

髪に雪をつけた高橋さんが立っていた。
私は乱れかけた息をただす。
104 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:58
「……おじゃましても、いい?」
「どうぞどうぞ」

遠慮がちに、うかがうように私の顔を下からのぞきこむ。
私はかくかくと何度も頷いて、高橋さんを家の中に通す。

「階段あがって、行っといてください。お茶いれてきます」
「はいよ」

勝手知ったる他人の家。
私の部屋の位置は高橋さんも知っているから、先に行ってもらう。
私はお茶を準備しに台所へ。

お茶がいいかな、紅茶がいいかな。
すこし悩んでお茶にする。みかんとお菓子もお盆にのせて。
105 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:58
「おまたせしました」
「いえ、おかまいなく」

フローリングに絨毯敷き、そのうえに座布団を敷いてちょこんと高橋さんは座っている。
低い小さなテーブルの上にお盆をのせて、向かい側に座る。
思わず、正座で。

「絵里、今日は話があって来た」
「そりゃそうでしょ」

真剣な表情で高橋さんが言う。
でも私は口をすぼめる。話がある、って、当然じゃないか。

「好きです。付き合ってください」

もう一度、返事がしやすいように言う。
高橋さんはちょっと顔を伏せて、ぶるぶると頭を振った。なにかに悩んでいるかのように。
そして、口を開くと一気に話し始めた。

いやもしかしたら絵里あたしのこと好きなんかなー、って思い始めたころから、
あれ? あたしはどーなんよ? って思って、そしたら絵里のこと頭から離れん
ようになってしもて、うわっこれってどういうこと? って美貴ちゃんに、
美貴ちゃんは大学の先輩っていうか友達で、相談したんよ。そしたら
好きなんじゃない? ってあっさり言われてしもて。でもこれって勘違いだったら
えれー恥ずかしいことやざ、って思うとなんか認めきらんで。でも授業中もレポートしてても
絵里絵里絵里、って結構そんな感じで。ねえ、これってどういうことだと思う?
106 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:58
どう思う? 
そう真っ直ぐ見つめられて訊かれて。

「好き、ってことだと」
「……〜ぅ、やっぱりそうか」

がっくりと高橋さんはうなだれる。
むっ。なんですか、失礼な人ですね。

「高橋さんも絵里のこと好きなんじゃないですか」
「そう? やっぱりそうなん?」

どうしてそんなに認めたがらないんですか。
両想いですよ、めでたいじゃないですか。

「なんていうか、絶対に絵里だけは違うと思ってた」
「なにが」
「あの色白の子いるじゃん? あの子とかなら考えられんでもないけど」
「さゆならいいんですか。なんでですか」
「多分、一緒に居りすぎたからやと思う」
「いいじゃないですか、別に」
「うああぁ〜」

高橋さんは唸るとテーブルにつっぷした。
困りました。両想いなのに、なのに認めたがらないなんて。
107 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:59
「大丈夫です」
「……?」

高橋さんが顔をあげて、疑問を顔にうかべている。

「絵里が、絶対その気にさせてあげますから」
「……期待してしまうよ?」
「まかせてください」

高橋さんはふぅ、と息を吐いて肩をすくめる。

「なんか、変なやつに惚れてしもた」
「現実を見てください」
「まあ、いいんだけどね」

そう言うと高橋さんはにやりと笑った。

「期待してるぞ、絵里」
「……ご期待に沿えるように尽力します」

さてはて、こんな私たち、どうなってしまうんでしょうか。
とりあえず、いい誕生日になった、って言えるかな?

ね、高橋さん。
108 名前:ホワイトバースデー 投稿日:2005/12/26(月) 21:59
おわり
109 名前:あみど 投稿日:2005/12/26(月) 22:02
やっと100レスいきました。わーい。

>>91
レスありがとうございます。
続きはこんなことになってしまいましたが、どうでしょうか。
サクサク軽く萌えられる文章を目指したかったのですが、私には無理のようです……
110 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/27(火) 17:04
今までこのCPにはあまり興味がなかったのですが、今日初めてこのスレを読んで
この二人もいいなと思いました。
他のCPのお話も好きです。これからも楽しみにしてます。
111 名前:名無し 投稿日:2006/01/02(月) 02:40
二人のやり取りももちろんですが特に亀ちゃんのモノローグが「らしい」感じで面白かったです。
もしよかったらこの二人の続きも見てみたいです
112 名前:春夏ロケット 投稿日:2006/06/13(火) 20:03
春と夏の間でそれでも梅雨じゃないこの時期、外はとても過ごしやすい。
窓を開けると風が入ってきてそよそよそ。とても気分が良い。

そんな季節の晴れたある週末、私は高橋さんちで宿題に追われていた。

「無理無理。もう終わんない」
「諦めたら負けだ。ほれ、だいもんいちー」

布団が撤去されたコタツにふたりで向かい合って座り、間にはチクタクと時計が実に淡々と
時を刻んでいる。時計ばっかり気にしている私、亀井絵里は二分おきに時計を見ている。

「高橋さんはレポート終わったんですか?」
「あと少しで終わるわ」

私と高橋さんの間を邪魔するもの、ノートパソコン。高橋さんは手元の資料、大学の図書館
から借りてきたというなんかの本に目を遣りながら、時々パチパチとキーを叩いていた。

「ずるいずるい絵里の分もやってー」
「もう高校生の内容は忘れましたー」

なにか目的のものを見つけたらしく高橋さんは本を机に置いて、そばにあった本で重石をし、
猛然とノートパソコンに向かった。パチパチ、パチパチ。意外にも高橋さんはタイピングが上手い。

「なんでこんな良い天気なのに私たちは部屋に引きこもってるんですか?」
「そこに宿題があるからさ」

あ、高橋さんため息ついた。幸せが逃げますよ、と言おうかとしたら、ふっとノートパソコンに
向けていた視線を私に向けた。

「だよねえ。なんで宿題なんてやってるんだろ」

高橋さんはふわぁとあくびをして伸びをした。私もシャーペンを放り出して伸びをする。

「あーホント無理。ロケットで飛び出したい。ばびゅーん、って」
113 名前:春夏ロケット 投稿日:2006/06/13(火) 20:03
 
114 名前:春夏ロケット 投稿日:2006/06/13(火) 20:03
ロケットで飛び出すわけにはいかなかったけど、私たちは家を飛び出した。

「えりー課題はいいん?」
「夜やりますー」

スニーカーを履いた足で坂道を駆け上がる。ああ、日差しがまぶしいや。
坂のてっぺんについたあたりで足をとめる。ぜいはあ、ふたりとも息が荒くなっていた。

「さーどこ行く?」

高橋さんが私のほうを向いて言う。私は即答する。

「運動公園に」
115 名前:春夏ロケット 投稿日:2006/06/13(火) 20:03
坂が多い地域だから、上り下りを繰り返して近所の運動公園に向かった。
その運動公園は緑が多くて、アスレチックの遊具もたくさんある、市民の憩いの場だ。
横を歩く高橋さんは手首にはめていたゴムで髪を縛り、遊ぶ準備万端。
私もわくわくしてきた。
116 名前:春夏ロケット 投稿日:2006/06/13(火) 20:04
「うわ、すごい」

運動公園についてみると予想以上に人が多かった。
なにごとかと思って、私と高橋さんは走って芝生のところを目指した。

「ロケットだ!」

高橋さんが叫ぶ。公園ではペットボトルロケットがバシュバシュ飛ばされているところだった。

「わあ、すごい。初めて見た」
「あーしも」

小学生くらいの男の子が緊張した面持ちでペットボトルロケットに近づく。
数秒後、小気味いい音とともにロケットは宙に舞った。

「うわー珍しいもの見れた」
「運動公園にして正解だったでしょ?」

高橋さんが本気で歓心しているから、私も嬉しくなって声もはずむ。

「私たちもなんかして遊びましょ」
「そうやね」

それは、ある晴れた週末のこと。
117 名前:あみど 投稿日:2006/06/13(火) 20:04
明けましておめでとうございます……?
放置しちゃっててすみませんでした。

>>110
レスありがとうございます。
うわあ私のがきっかけで、「いいな」って思ってもらえたんですか! それは光栄です!
愛絵里は素敵なのでこれからも書き続けられたらいいな、と思っております。
ご期待に応えられるよう、できるかぎり頑張りますのでこれからもよろしくです。

>>111
レスありがとうございます。
らしかったですか。それは嬉しいです。亀井さんに関しては「らしさ」を目指しているので。
このふたりはまだ連作で続きます。もしまだこのスレを見てくださっているのなら、今後もよろしくです。
118 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/14(水) 10:29
再開キタコレ!楽しみにしてます。
119 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/29(木) 08:10
ポルノの曲ですよね?
120 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:26
今日も雨だった。
梅雨入りした日本列島はどこもかしこも雨模様で、時々しか晴れ間はのぞかない。
でも今日の朝は清清しいまでの晴天だった。いつかと同じように午後から雨が降り出す。
傘を学校に忘れていた私は、いつもの帰り道を傘を差して歩いていた。
亀井、亀、緑色の傘。なんとなく選んだこの傘もいまではお気に入りだ。

ばちばちと雨が地面に叩きつけられる音がする。
私は精一杯濡れないように身を縮こまらせて、傘におさまっていた。

ふと足元に向けていた視線を上にあげると、家の前に客人らしき人影。

「どちらさまですかー?」

小走りに家の方へ向かう。足元で水溜りがはねた。
振り向いたご婦人は見覚えのありすぎる人だった。高橋さんのお母さんだ。

「絵里ちゃん、お疲れ様」
「こんにちはぁ。どうかしたんですか?」
「絵里ちゃんにお願いがあって」

高橋さんのお母さんは手に二本傘を持っている。
一本は自分のだとして、もう一本は誰のものだろう。
121 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:26
「あ」

いつかの雨の日の約束を思い出す。
「雨が降ったら迎えに行きます」確かに私はそう言っていた。
高橋さんのお母さんまでそれがきっと伝わっていたのだろう。チャイムを押す寸前だった。

「高橋さんの迎えですか」
「そう。お願いできるかな?」

エプロン姿の高橋さんのお母さんはちょこんと首を傾げた。

「行きます」

私は家の庇があるところまで入って、いったん傘をたたむ。
高橋さんのものだろう、見覚えのある赤い傘を受け取った。
122 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:26
私たちの住む団地から高橋さんの通う大学まではすこし距離がある。
バスに乗ってゆられること15分、キャンパスにたどり着いた。
制服のポケットから携帯電話をとりだす。メールが一通届いていた。

「大学の食堂で待ってるよ☆」

高橋さんからだった。なんだ、突然行って驚かせようと思ったのに。
大学の入り口にでかでかと案内図があったので、それを見て食堂の位置を確認する。

大学の造りはわかりやすかった。迷うことなく私は食堂にたどり着く。
いくつかのグループががやがやと集っていて、私はすこし気後れする。

「あ、絵里ー。こっちー」

高橋さんの声。しばらく、テスト前だとかなんだとか理由をつけては会っていなかった。
今日もきっと高橋さんのお母さんがいないければ、接触することもなかっただろう。
私は高橋さんのほうへ歩みを進める。
123 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:27
「ほう、君が噂の絵里ちゃんか」

高橋さんと一緒にいる、かわいい顔立ちの女性が私に声をかけた。
内心、突然声をかけられて驚きつつ、しかしそれを悟られまいと必死で私は笑顔を繕った。

「はい、亀井絵里です」
「あたしは松浦亜弥。あややって呼んで」
「はぁ」

あややさんは人懐っこい笑みを浮かべて、手を差し出した。
それに応じて握手をする。人懐っこい人だ、と思った。

「噂って、なんか私の話してるんですか?」
「んー、愛ちゃんからたまにね」

やめてよ、という風に高橋さんがあややさんに視線を送る。
そうまでされるとかえって気になってしまう。
124 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:27
「ほら、亜弥ちゃんももう満足したでしょー。帰ろう、絵里」
「あ、はい」

あややさんはそう言われると、ぷーっと頬を膨らませた。
高橋さんは笑ってそれを受け流し、腰掛けていた椅子から立ち上がった。

「じゃあねー」
「また明日ー」

ふたりが挨拶を交わすのを横目に、私は逃げたい衝動にかられていた。
制服姿でいたから、まわりの好奇の視線で見られたのもある。
でも、なにより高橋さんと並んでいるのがつらかった。
125 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:27
「悪いね、絵里」
「……いえ、約束だったし」
「あ、覚えててくれてるんだー」
「……当然」

ふたりきりでキャンパスを横切る。人気はまばらだった。
私のテンションが落ちたのを察したのか、高橋さんは私に声をかけてくる。

「学校はどうだった?」
「別に普通です」
「来るときバス混んでた?」
「普通でした」
「……絵里、怒ってるん?」

心配そうな目で私の顔を覗き込む高橋さん。
苦しくなるから、そんな顔して見せないで。
126 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:27
「うわ、なんで泣くん?」
「…………だって」

高橋さんが優しいから。だから私は、私は……。
一度流れ出すと涙はとめどなく流れた。なぜだろう、なんで私は泣いているんだろう。
周囲の視線を気にしてか、端っこの方へ高橋さんが先導する。

「絵里、なんか気に障ることあたし言っちゃったかな?」
「ひっく、高橋さんは、ん、悪くないです」

やっとのことで声を絞り出す。嗚咽で息が苦しい。
突然泣き出されれば誰だってそう思うだろう、高橋さんは微塵も間違った考えはしていない。
実際、私ですらなぜ泣いているのかわからなかった。それでも涙はあふれてとまらなかった。

自販機の隣にある、ベンチのスペースに手を引かれて行く。
座るように促されて、私は腰を下ろした。
127 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:28
高橋さんが隣にすわり、背中を撫でてくれる。

「ほれほれ、いい子は泣き止め」
「……子供扱いやめてください」
「あ、ごめん」

泣き出している私は子供そのものだったけど、高橋さんは申し訳なさそうに謝った。
違うのに、そういうこと、して欲しいわけじゃないのに。私の息は一層苦しくなる。

どのくらい時間が経ったのだろうか、私の涙もようやく枯れてきた。
すっと高橋さんが立ち上がり、自販機へ向かう。視線で背中を追った。

「ほれ、目を冷やせ」
「……ありがとう」

冷たいスポーツ飲料の缶を手渡される。
助言どおり、缶を目元にあてた。心地よい冷たさが、私を冷静にさせた。
128 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:28
「あの、ごめんなさい」
「うん」

高橋さんはそれだけ言って、また私の隣に座った。
それからだらんと身体の力を抜いたように隣の私に身体を寄りかかせた。

高橋さんは目をつぶって、私に寄りかかっている。
その頬に冷たい缶をあてると、「ひゃあ」と声をだして目を開いた。

「絵里、落ち着いた?」

寄りかかったまま、視線は合わせずに高橋さんが言う。

「はい」

涙は止まって、冷静さを取り戻した私が返事をする。
なにを言われるのか、私は身体をかたくして待った。
129 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:28
「なんていうか、言いたくないんならいいんだけど……」

高橋さんが言い出しにくそうに切り出す。

「いや、なんか絵里もわかんないんですよ」

正直な思いを言う。
そうなんかあ、とつぶやいて、高橋さんはより一層私に身体を寄りかからせた。

「まあ、そういうこともあるかなあ」
「ありますね」

おかしな会話になってきている。
高橋さんはまた目をつぶった。私は高橋さんの顔をじっと見る。

「なんか、自信がなくなっちゃって。高橋さんに私でいいのかな、とか思っちゃて」
「なにそれ」

怒気を含んだ声で高橋さんがこたえたので、私はちょっと慌てた。

「え、え、怒った?」
「怒るよ。だって絵里選んだのはあたしじゃん。自信ないとか言われても困る」

ぐりぐりと頭を肩のあたりに押し付けてくる。
130 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:29
きっかけなんてなかった。
ふとした時に高橋さんのことを思い出すと、私よりずっといい相手が見つかるんじゃないかと思った。
怖かった、不安だった。
だから会わないようにした。不安な気持ちに気づかないふりをした。

それがさっき、堰を切ったようにあふれだしたんだと思う。

わずかなことだったけど、私は言葉にして、このことを高橋さんに伝えた。

「絵里、けっこうネガティブなんだね」
「根暗なんですよ」

高橋さんがまっすぐした姿勢になおった。かと思うと、突然抱きしめられる。

「え、え」
「絵里がいいの。あたしが選んだんだから。それに言いだしっぺは絵里でしょ?」

私から言い出した恋だった。私に拒否権はないように思った。
こわごわと高橋さんの背中に手をまわす。ぎゅっと力をこめる。
131 名前:あなたのことが 好きです 投稿日:2006/07/05(水) 12:29

安心感。
抱き合っていると、自然と心が和んだ。
そろり、と高橋さんが離れる。大丈夫、離れても泣かない。

「どーう? 落ち着いた?」
「おかげさまで」

今度は私がぐりぐりと高橋さんの肩に頭をおしつけた。

ずっと好きで、いいですか?
132 名前:あみど 投稿日:2006/07/05(水) 12:30
雨の水曜日を読んで頂かないとわからないですかね。

>>118
レスありがとうございます。
前回は生存報告みたいな更新になっちゃってすみません。
楽しんでいただけたでしょうか。

>>119
レスありがとうございます。
スレタイはポルノですね。私ですら忘れていて調べました(笑)
133 名前:あみど 投稿日:2006/07/05(水) 12:32
またおわり、ってつけるの忘れてた、ながし
134 名前:あみど 投稿日:2006/07/05(水) 12:48
最近マンゴープリン動画拾えて嬉しかったんですよ、流し
135 名前:あみど 投稿日:2006/08/29(火) 18:40
れなごま
136 名前:王女さまの秘密 投稿日:2006/08/29(火) 18:43
「れいなって煙草吸うの?」

真希が白地の煙草のボックスを手にして言った。
布団がとりのぞかれたコタツテーブルでクレープを食べていたれいなの動きがとまる。

「ちょ、真希ちゃん勝手に……」
「いけないんだー」

ぐ、とれいなの動きがつまる。
れいなの家のれいなの部屋で、真希とれいなは買ってきたクレープを食べていたところだった。
真希もさっきまで座ってチョコバナナを食べていたのだが、机の上の箱の存在に気づき今に至る。

「うわあおばちゃんに言っちゃおうかなー」
「わー待って!」

真希とれいなは従姉妹という関係で、れいなの母親は意外と厳しいことを知っている真希は
いたずらに言った。れいなは顔面蒼白とまではいかないまでも慌てた様子で立ち上がる。
137 名前:王女さまの秘密 投稿日:2006/08/29(火) 18:43
「お願いやけん、黙っとって?」
「どうしようかなあ」

真希は口元だけで笑った。
れいなが真希の目の前まできて、真希の手の中の箱を取り上げようとするが、
真希より身長の低いれいなには叶わない。
箱を持った左手を高く上げ、背伸びして手を伸ばすれいなの額に右手で真希はデコピンをした。

「いたあ」
「没収しとくからね」

しぶしぶ、といった様子でれいなはかかとを地面につけた。
真希は箱をポケットにしまってれいなの視線の高さに顔をさげた。

「他に悪いことしてない?」
「……しとらんっ!」

れいなが大声で言った。
138 名前:王女さまの秘密 投稿日:2006/08/29(火) 18:43
「まあ、ほどほどにね?」
「なんか、真希ちゃんに言われとーなか」

真希はといえば中学時代は金髪にするは、高校になれば茶髪を「地毛です」で通すわの問題児だった。
れいながそう言うのも頷ける。

「ハタチになってからなんでもできるよ」
「うー」

唸るれいなに、真希はもう一度デコピンをお見舞いした。
139 名前:王女さまの秘密 投稿日:2006/08/29(火) 18:44
おわり
140 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/15(金) 17:15
身長差が・・・イイ
141 名前:あみど 投稿日:2006/09/17(日) 23:01
愛絵里とさゆガキみたいな
142 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:02
夏服のブラウスに腕を通し、リボンを結んだ。

「いってきま〜ふ」

あくびまじりに言い残して絵里は玄関を抜けた。
夏休みの宿題のせいで昨夜はほとんど眠れず、寝不足のせいでちょっとハイテンション。
左に折れて学校に向かおうとすると、斜め前の家の玄関のドアが開いた。愛の家だ。

「高橋さん!」

道に人気は無かったので絵里は大声で叫んだ。
ん? と愛は顔をあげ、ポストから手に取ったのか新聞を持った右手をひらひらと振った。
時間に余裕がありそうだったので、絵里は愛の家の前まで小走りに駆けた。

「今日から学校かあ。よく寝坊しなかったね」
「ってか、寝てない」
「うわ」

愛が顔をしかめてみせる。えへらと絵里が笑った。
143 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:02
「いってらっしゃいのちゅーして」
「うわコイツ朝っぱらから」
「いいじゃん人いないし」

絵里が振り返ってみせる。通りにはひとっこひとりいない。

「……目ぇつぶりなさい」

あっさりと愛がオーケーした。絵里は目をつぶる。
と、頬にやわらかい感触。

「口にー」
「こんなところでファーストキッスできるか」
「え、私たちまだでしたっけ?」
「ほー絵里は経験があると。あーしの純情を返せ!」
「じょーだんじょーだんマイケルジョーダン!」
144 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:02
絵里は鞄を地面に放り出し愛に抱きついた。

「ちょ、見られたら……」
「今日午前中で終わるからさ、遊ぼ?」
「……いいけど」

うりゃあと愛が渾身の力を込めて絵里を引き剥がした。

「いってきまーす!」
「おう」

鞄を拾い、手を振って絵里は学校に向かってダッシュした。
145 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:02
*  *

「何、にやついてんの、カメ」
「うへへぇ」

3年1組の教室、廊下側後ろから2列目の絵里の席。
にやにやする絵里と、つっこむ里沙。
終礼後の教室に人影はほとんどなく、午後から学校で用事があるのか一角で弁当を食べるのが2,3人いるだけだ。
絵里は自分の席に座り、その前の席を借りて里沙は絵里に向かって座る。

「いいことーいいことー」
「なにが」
「……秘密」
「あっそ」

愛と遊ぶ約束はしたものの、詳細は打ち合わせていなかったので学校からこっそりメールを送る絵里。
すると、「2時に運動公園のアスレチック遊具があるとこで」と返信がきた。
季節的に外で過ごしやすいからか、屋外を愛は選んだようだ。
運動公園は絵里や愛が住む団地と絵里の学校の間に位置している。
一度家に帰ってもよかったが、時間的に微妙だったため絵里は時間まで学校で待つことにした。
席を動かずにじっとしていると、里沙が気になったのか寄ってきて、絵里はにやにやしだして今に至る。
146 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:03

「あ、絵里いたあ!」

聞きなれた声に名前を呼ばれて、絵里は振り返った。
ひとつ下の学年のさゆみが教室に入ってくる。
さゆみと絵里、あわせて「さゆえり」と名乗るほどふたりは仲が良い。

「んーさゆなんか用?」
「いや、暇だから遊ぼうと思って。新垣さんもお暇ですか?」
「……ああ、うん、すっごい暇なの、実は。じゃなきゃカメに構わないって」
「ガキさんひどーい」

絵里が拗ねるフリをしてみる。はいはい、と里沙はなだめるフリ。
147 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:03
「あーでも悪いけど絵里ちょっと約束があって……」
「えー暇じゃないのぉー?」

さゆがっかり、といった様子で肩を落とすさゆみ。
んー、と絵里が唸った。ま、大人数でもいいかと絵里が思い直す。

「高橋さんと運動公園で遊ぶ約束してるんだよね。ふたりも一緒に行く?」
「行く行く!」
「え、いいの?」

里沙は遠慮がちに絵里をうかがった。「いーよガキさん高橋さんとも仲良いし」と絵里は笑う。
愛と里沙は幼いころから同じ習い事を続けていて、年齢差はあれど「愛ちゃん」「ガキさん」と呼び合う仲である。

『高橋さん、ガキさんとさゆも一緒に遊んじゃだめ?』
『だめなわけないでしょ。でも、今度ふたりっきりね』
『りょーかい』

という、愛と絵里とのメールのやりとりがあって、運動公園に舞台は移る。
148 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:03
*  *

「お前ら制服かよ!」

というのが愛の第一声だった。

「ってか、ひーっ、なんで高橋さんジャージ」
「うっさい!」

気合を入れたのかジャージで登場した愛だが、顔を真っ赤にして絵里にとびかかった。
遠目にみるとじゃれあっているようにしか見えないのだが。
149 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:04

「遊ぶ気あるの!?」
「あるあるあるって!」

愛が絵里をこしょぐり攻撃している間に、里沙とさゆみは木陰のベンチに腰掛けていた。

「なんか」
「青春ですよね」

ふたりの関係は知らされていないのだが、なんとなくわかっちゃったふたりの意見である。
150 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:04
「さゆみもあまずっぱーい青春してみたい!」
「あーできるといいね」
「ね、新垣さん?」

え、と里沙が自分を指す。さゆみは笑顔で頷いた。

「えーちょっとちょっと本気? 爆弾発言?」
「えー知らなかったんですかぁ?」

本日二度目のさゆがっかり、である。

「う、いや、だって、そんな知るも知らないも……」
「旅は道連れ! 遊びましょう!」

芝生の上でいつのまにか転げまわっている愛と絵里のほうへさゆみは走りだした。

「……ちょっと、勘弁してくれよ〜」

情けない声を出しつつも、拒絶しなかった自分はどうなんだ? と里沙は自問した。
151 名前:9月1日 投稿日:2006/09/17(日) 23:04
とりあえず終わり
152 名前:あみど 投稿日:2006/09/17(日) 23:05
>>140
レスありがとうございます。
おお、れなごま好きな方いらっしゃった。身長差萌えならこはみきですよ!
153 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/18(月) 14:09
すばらしー♪
154 名前:あみど 投稿日:2006/11/02(木) 08:07
リアル愛絵里
初心にかえってみます
155 名前:つながっているんだ 投稿日:2006/11/02(木) 08:08
秋ツアーも終盤にかかって、平日には世界バレーの仕事も入るようになった。
なんというか、日々忙殺。忙しくって休むヒマもありゃしない。

今日も地方のホテルに宿泊して明日のコンサートに備えている。
……まあ、私は、さゆやれいなよりは出番が少ないけど。
同じ6期では藤本さんもソロで歌ってるし、なんか、なんていうか絵里だけ目立ってなくないですか?

ひとりで、ひとりのホテルの部屋で、悶々と考えごとをする。
顔を上げると窓の外は暗くなっていて、月がはっきりと浮かんでいる空をベッドに腰掛けたまま
ちょっとだけ眺めた。立ち上がってカーテンを閉める。

行き場のない感情を抱えて、ベッドにばさっと倒れた。

……むー。

枕元に置いていた携帯電話をつかんで、着信履歴の一番上の人にコール。
156 名前:つながっているんだ 投稿日:2006/11/02(木) 08:08
誰が一番上なのかっていうと、確認するまでもなく愛ちゃん。
今朝、着信があったばかりで、それ以降はメールだけしかしてないから、だから愛ちゃん。

……でも、繋がらない。
157 名前:つながっているんだ 投稿日:2006/11/02(木) 08:08
一回、切って、もう一回かけなおす。

でない。

切る。かけなおす。

でない。

切る。かけなおす。
158 名前:つながっているんだ 投稿日:2006/11/02(木) 08:09

159 名前:つながっているんだ 投稿日:2006/11/02(木) 08:09
繋がった。

「愛ちゃーん、愛ちゃーん」
「はい、愛ちゃんですよ」
「何してんのー? ねー?」
「は? 風呂入ってただけだよ」
「なーんだ」
「ってか何回もかけやがって、イタ電かとおもったわ」
「ごめんなさーい」

ふう、と電話口のむこうで愛ちゃんが一息ついたのがわかる。

「どしたの? 部屋行こうか?」
「む、愛ちゃんのくせに察しがいいですね」
「じゃーちょっと待っててー」
「あうー」
160 名前:つながっているんだ 投稿日:2006/11/02(木) 08:09
通話が切れて、携帯電話はまた枕元に放った。
たまには、いいよね。頼りっぱなしは情けないけど、しんどい時には助け合って。
あー私って意外に寂しがりやなのかなあ、とおもった。

と、ドアをノックする音がきこえて。

「はーい」
「高橋でーす」

ドア越しに聞こえる声。私は立ち上がってドアを開けに行った。
161 名前:  投稿日:2006/11/02(木) 08:09
 
162 名前:  投稿日:2006/11/02(木) 08:09
 
163 名前:あみど 投稿日:2006/11/02(木) 08:10
>>153
レスありがとうございます。
ありがとー♪
164 名前:おはよう、カレー 投稿日:2006/11/15(水) 22:24
今日の給食はカレーですよー

わーい、カレーだあ

カレーだカレーだ

うわぁ、僕、昨日もカレーだったのに……

せんせー、福神漬け食べてもいいですかー?


────カメ、カメ。


……うっさいなあ、絵里、いまから福神漬け食べるから……

「起きろっての!」
「うぇ!?」

べしっ、という音とともに後頭部に衝撃が走って、亀井絵里は顔をあげた。
身体が痛い。机につっぷして寝るにはコツがいる……と、思いながら亀井は上半身を起こす。
授業中にこっくりこっくり居眠りをしていたら、いつの間にか昼休みがきていたらしい。
カレーがどうのこうの、というのは夢、か。
目の前には教卓、黒板。
黒板には時系列にそってなにやら昔の人物の名前やら出来事やらがチョークで示されている。
165 名前:おはよう、カレー 投稿日:2006/11/15(水) 22:24
「あ、日本史終わったの」
「そうです、4時間目が終わりましたよ5分前に」
「給食!」
「高校に給食はアリマセン」

さっきから起こしたり、どついたり、突っ込んだりしているのは、亀井の級友の新垣里沙。
4時間目の授業が終わった3年1組の教室の前のほうで、このやりとりは繰り広げられている。
周囲は弁当を広げたり、購買にパンやジュースを求めに走ったりと慌しげだ。

「今日は弁当ないって言ってたけど、どーすんの?」
「カレーがたべたーい」
「そんじゃ学食にゴ〜」

ばたばたと、とりあえず机上の教科書ノート資料集を閉じるだけ閉じて、亀井は席を立った。
新垣はすでに歩き始めている。

「ガキさんまってぇ〜」
「ハイハイ……」

なんの不運か、3年連続で同じクラスになった新垣はもう亀井のペースには慣れっこである。
弁当包みを片手に、えへらへらと笑う亀井を待った。
166 名前:おはよう、カレー 投稿日:2006/11/15(水) 22:25
「なんで今日はお弁当ないの?」
「えへ、寝坊しちゃって」
「あーまー、いいんじゃない? カメの作ったお弁当って食べると死ぬらしいし」
「死なないよぅ」

亀井は毎朝、自分で弁当作りをしている。
高校生なんだから弁当くらい、アンタ自分でなんとかしなさいよ、という親の指令によって、である。
作るのは面倒ではあるが、見かけや栄養バランスを考えながら、いろいろと弁当箱に詰めるのは楽し
かったりもする。けして料理上手ではないが、プリンを作ったつもりが出来上がったものにはケチャップ
をつけて食すことになったさゆみよりはマシだ、と亀井自身は思っていた。

ちなみに、亀井の作った弁当を食べると死ぬのなんのかんの、というのは、
美術の時間に「本当の私」をテーマに写真を撮って来いと宿題をだされ、弁当を
作っているところを写真に撮り、提出したところ、美術教師から「食べたら死ぬんだよね」と冗談で
言われたことに由来している。まったくもってどうでもいい知識である。
167 名前:おはよう、カレー 投稿日:2006/11/15(水) 22:26
亀井と新垣の通う高校はなかなか規模が大きく、学食も完備である。
学食のメニューは、カレーにうどんになんやかんやとお手軽な価格で提供されている。
ピーク時の学食はなかなかに混雑している。が、亀井の居眠りのおかげか、
いまはごったがえす、というほどのことはなかった。

亀井はカレーを買いに行き、新垣はふたりぶんの座席を確保した。
新垣が包みをひろげながら待つと、亀井は笑顔で福神漬けが大盛りのカレーライスを持ってきた。

「福神漬け多すぎだから!」
「いいじゃん、好きなんだから」

ぷぅっとふくれて見せる亀井に、もう新垣はほとほとため息をつくしかなかった。
168 名前:おはよう、カレー 投稿日:2006/11/15(水) 22:26
おわり
169 名前:あみど 投稿日:2006/11/15(水) 22:27
なんかの雑誌で亀井さんが福神漬けが好きだと言っていました。
幼稚園の給食で4人分、ボール一杯分食べるほど。
170 名前:あみど 投稿日:2006/11/15(水) 22:28
弁当の話はけっこう前のへいへいへいでやってました。
171 名前:あみど 投稿日:2007/01/19(金) 12:50
センター試験が終わるのは日曜日ですけども
愛絵里
172 名前:  投稿日:2007/01/19(金) 12:51
夜明けまえには
173 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:51
センター試験の日はいつも天気が悪いという。
ご多分に漏れず、本日、亀井絵里が受験したその日も雨。
二日間の試験を終えとりあえず一息つけるが、国公立は大学別に課される二次試験の対策もすぐに始まる。
絵里は国公立大学への進学を希望していた。
高校三年生になった四月当初は愛の通う地元の私立大学にでも通おうかと思っていたが、
割と真面目な性格が幸いしたのか、特に苦手な科目もない絵里は経済的な面も考えて志望校を変更した。
地元の国公立の難易度はそれなりにそれなりで、しかし教科数が多い分負担が大きかった。
だから、勉強にとられる時間が多くて。

最後に愛と会ったのはいつだっただろうか?
174 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:52
「え、えりっ」

絵里が試験会場を後にして帰路について、ひとりでとぼとぼと歩いていると、背後から呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると、頬を上気させた愛が小走りに駆けてきていた。

「……あ、高橋さんだあ」
「うん」

小雨降り注ぐ家路に、二人でならんだ。
会うのは久しぶりで、メールはしていたけど、でも試験前はどちらも気をつかって……。
絵里が口を開いた。

「どうしたの?」
「あ、いや、試験終わっただろうから迎え行こうかと思って、うん」

しどろもどろに愛がこたえる。
ちょっとそれがおかしくて絵里がくすっと笑う。

「あー! やっとセンター終わった!」

大声で絵里が叫ぶ。
ちょっとちょっとここ住宅街だからと愛が絵里の口をふさいだ。
175 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:52
「いいじゃないですかぁ別にぃ」
「よくないでーす」

空気は冷たく澄んでいる。雨はほとんど止んでいた。
しばらく、会っていなかったら距離のつかみ方を忘れてしまったかもしれない。
絵里はそう思ったが、できるだけ自然な話し方になるように愛に話しかける。

「あのぅ、いまからうちに来ません?」
「え、ああ、行く行く」

かくかくと愛が頷く。絵里の顔がほころぶ。
しばらく、黙って歩いた。
176 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:53
玄関を抜け、階段を上がり絵里の部屋へ向かった。

「なんか、参考書増えた?」
「ちょっとだけね」

開けっ放しだったカーテンを閉めようと絵里が窓際に近づく。
そういえば、愛との大事な時間は雨とともにあることが多いような気がした。
カーテンを閉め、二人でこたつにもぐりこむ。

「やっぱ冬はこたつだあ」
「みかんもあるし、ちゃいこーです」
「ちゃいこーてなん、アハ」
「最高の最上級です」

ぎこちなくも会話は続いて、こたつテーブルの上に置かれていた愛の手をなにげなく絵里が掴んだ。

「んー?」
「ふにふに」

握手をするように、にぎにぎと絵里が愛の手で遊ぶ。

「ねー高橋さん」
「なーん?」
「キスしません?」
「ええよ」

けっこう、即答だった。
177 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:53
手を絵里に握られたまま、愛がこたつから抜け出し、絵里の隣に移動した。

「……なんか、照れますね」
「目ぇつぶって」
「はーい」
178 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:53



179 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:53
だらりと絵里が隣の愛に身体をもたせかけながら話す。

「ずっと特別ですよ」
「うん」
「高橋さんだけ、ずっと特別」
「ありがと」
「……高橋さんは?」
「えりのことはー大好きですっ!」
「ちゃいこーの答えです!」

夜明けまえまで勉強をした日もあった。
そういう日には必ず愛のことを想った。
いつでもそばにいる。そんな気がした。

夜明けまえには、あなたのことを想います。
その時あなたが安らかにここちよく眠っていられるように、よい夢を見られるように。

夜明けまえには、明るい夜明けを願って、明るい未来の二人の幸せを、願って。
180 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:53
 
181 名前:夜明けまえには 投稿日:2007/01/19(金) 12:54
fin
182 名前:あみど 投稿日:2007/01/19(金) 12:56
これにてこのスレの更新は最後です
更新ペースも安定しないし、拙い文章でした
読んでくださったあなたにありがとうを

では、また機会があればどこかで   
最後に、愛絵里ちゃいこー!
183 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/19(金) 21:49
終わっちゃうんだ・・・

たくさんの素敵なお話ありがとうございました
またどこかで拝見できるのを楽しみにしてます

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