愛の唄 〜LOVEPOP〜

1 名前:村雨 投稿日:2005/06/20(月) 12:06

下手でお恥ずかしいのですが、長編になる様に頑張ります。
皆が皆出てくる訳ではありませんので・・・そして有り得ない所があります。
全てフィクションとして、宜しくお願い致します。
2 名前:村雨 投稿日:2005/06/20(月) 13:29

午後八時半・東京の一角で少女が二人楽しそうに歩く。
いや、正確には一人が楽しそうなのだ。
その楽しそうな少女は髪を降ろした綺麗なストレートヘア、もう一人はストレートとして左右の高い位置で結んだ髪が可愛い。
時刻的に人の気配が無いこの小道で、この少女二人は何をしていると言うのだろうか。

「愛ちゃん? こんな所怖いよ…だって人気が全然…」
「怖がりだなぁ、もう…」

高橋愛と新垣里沙
仲の良い二人は、この日の休みを一日楽しく過ごし、明日の仕事の為に楽屋へと戻る所だった。
そして公園の前へと差し掛かる。複数の怪しい影に気付かずに……。

「高橋愛と新垣里沙だよなぁ? ちょっと来い」
「えっ、ちょっと…愛ちゃ…」
「離しなさっ…やっ…離して!」

しかし愛の力では男を追い払う事が出来なく、里沙も危うい状態へと持っていかれる。
力を入れて男達の腕を解いても解いても直ぐに捕まえられる。
二人はもう無理だと考えた そんな時……。

「離してやりなぃ…二人とも嫌がってんじゃないかぃ…」
「誰だ!」

黒闇、そして電灯の光の下にシルエットが浮かぶ。
現代にしては妙な服装……それは着物に袴と言う侍の様な格好であり、顔も虚無僧の笠で隠されている。
そして最後…腰には刀が一本。

「あぁ? おい見ろよ、コイツ刀なんて差してやがる、ハハハハッ!」
「マジかよ! 面白れぇ…今時侍だの武士だのがカッコイイつもりかよ!?」
「…やむを得ん…」

その男…いや、"侍" と呼ぶ事にしよう。
その侍は腰に差した刀の柄に手を掛け、ゆっくりと抜く。
抜かれた刀の刃は綺麗に光り、全長は二尺九寸くらいと言った所だろうか。
愛と里沙もボーっと侍を眺め、何故かしら動けずに座り込んでしまったままだった。
侍はそんな二人に……。

「お嬢さん達よぅ…下がってな…」
3 名前:村雨 投稿日:2005/06/20(月) 14:13

「あ、あ、愛ちゃん…」
「里沙ぁ〜」

お互いを強く抱き締め合う二人。
一方公園の中へと入った侍に、男達は次々薙ぎ倒されて行く。
正確には、侍が持った刀に………。斬られた様子は無く 男達は倒れ込んで唸っているが、侍は刀を鞘へ納める。

「峰打ちだ……お前達に害は無かろう………」

二人は揃って礼を言うつもりだったのに、その瞬間に侍も倒れてしまう…。
空腹なのか病なのか。

「あ、あの…」

里沙が侍の肩をそっと叩くが、全く反応は無い。
寝不足なのだろうか…との疑問を持つが、愛が一言元気良く言う。

「助けて貰ったんだから、今度は私達の番だよ!」



「と言う事で、愛ちゃんと私はこの人に助けて貰いました」

里沙は一人楽屋へと戻った。
目の前には先輩である吉澤ひとみの姿があり、片手にコーヒーの缶を持って座っている。
そんなひとみの顔と、自分の直ぐ隣に寝かせた長い髪の青年を見ながらそっと座った。

「そぉ〜、良かったねぇ…でもどうするの? 布団とか無いでしょ? って言うか高橋は?」
「あ、えと…それは…愛ちゃんに決めて貰う…としてぇ……愛ちゃん何処行ったんだろう…」

弱気に言う里沙に、ひとみは思わず小さく笑う。
楽屋は散らかっていて二人座るのが狭いくらいに感じられる。
愛と里沙で散らかして遊んでいたのだろう…と、ひとみはもう一度だけ笑った。

「じゃね、私はもう行くわ…寝たいし…又明日なぁ〜ん」
「はい、おやすみなさい あっ、起きましたぁ?」

里沙はひとみに一礼し、ふと侍の方を見て言う。
侍は腰に差してあった筈の刀と、顔を隠していた筈の笠が無い事に戸惑いを隠せないで居た。
しかも自分が寝ているのは見ず知らずの、それも女の子の部屋である。

「俺は…? お主…いや、助けて貰った様だ……ここは普通で居よう…ところで俺の刀と笠は」
「あっ、刀と笠ですねっ…えっと…何処行ったかなぁ…」

あまりに散らかっていて、服やらスカートやらの下敷きとなってしまっている。
里沙は一生懸命服類を退かし、やっと一番下となっていた刀と笠を見つけ出す。

「ありましたぁ、重いんですねこの刀……偽物なんですか? それとも…本物?」
「それは……」

里沙は両手で鞘を持ち上げる。
ハロモニで持っていた様な軽い小道具とは違う重量感に、少し恐怖を感じる部分もあったかもしれない。
しかし白い鞘に惚れてしまったのか、両手で持ってじっと見つめ続ける。

「…?」
「…(綺麗だなぁ…白色って…すごく綺麗……)」

先程までは気にしていなかったが、白い鞘の刀なんて里沙は初めて見たのだ。
と言うよりも本格的な刀自体を初めて見た。
しかし里沙は鍔を見て、気になる事を問い始めた。
4 名前:村雨 投稿日:2005/06/20(月) 14:27

刀に付けてあった鍔は無地の黒い鉄製の物であり、四隅が丸い四角形の物。
何も描かれていないのは少し寂しい気もしたのか、里沙は……。

「ここの空いてる所ですけどぉ…何か描かないんですか?」
「気にしていたつもりは無いが………」
「ハロプロ の ハ とか……四角形だし、丁度 ハロプロ とかぁ…」

侍にとっては興味が無いのか、首を傾げた。
そんな光景を見て里沙は残念そうに俯いてしまう。

「悪い悪い」
「知らなかったんですかぁ………ここ楽屋です…私と愛ちゃんの」

丁度その時愛が帰って来る。
警備員達に不審者ではない事を説明しに行っていたのか、茶を机の上へと置いた。
そして……侍に向かって一礼する。

「ありがとう御座いました! 助けて頂いて……お名前を…」
「いや…俺の方こそ、助かったよ…名前は弥生」
「弥生さん…大丈夫ですか? ほら、あの…急に倒れちゃったから心配で……」

「…大丈夫だ」

里沙はふと我に返った様に持っていた刀を置いて頭を下げた。
逆に弥生は安心した。
自分の格好や刀を白い目で見られず…………。

しかし安心したのも束の間…………これが、 東京の侍 の始まりだったのだから。
5 名前:村雨 投稿日:2005/06/21(火) 02:19

「弥生さん……どうしますか? 帰っちゃうんですか?」

そんな事を聞く里沙に弥生は微笑んだ。
可愛く見えたのだろうか?

「帰らねば迷惑を掛けてしまう……」
「そんな事無いですよぉ…ね、愛ちゃん」
「うん、助けて貰ったんだから……私達、全然迷惑だなんて思いません」

優しい二人に、どうしても甘えてしまう弥生は……少しだけ二人の楽屋へと置いて貰う事に決めた。
そして家は近くにある為通う事は出来る。
改めて考え、この優しい二人を護って行こうと決めた弥生は計画を練り始めた。

「明日からだ……」


翌日
暑苦しさで目を覚ます弥生。
「んん……何だ………?」
目を開けると真っ黒な面が広がる……シャツであろうか。

実はこれ、この前少しあってイライラしていた里沙が投げた服なのだ。
引っかかっていた里沙の服が落ちてくるなんて弥生は幸せ者なのだろうか?

「新垣殿……高橋殿……」

ここで弥生はふと思い返す。
昨晩自分が言った、あの言葉を………。  

ーここは普通で居ようー

「ん、弥生さぁ…ん…お名前ぇっ……なん…て言うんです…かぁ……」
そんな時、里沙が寝返りながら呟く………寝言だろうか……?

「俺は…弥生…満寿美…」

とは言ったもの、幸せそうな寝顔の里沙。
どんな夢を見ているのだろうか。

少し気になりながらも、あの二人にはいずれ逢えると信じ笠と刀を片手に夜明けのテレビ局を歩く。
入り口付近には警備員が、一・二人……。
その容姿に驚きと戸惑いを隠せなかった様だが、昨晩遅くに愛が言った人物だと分かり一礼する。
「(……)」

同じく満寿美も一礼し、家路へと着くのであった。
明日から 侍 が増えてしまうとも知らずに……。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:39
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。

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