ごわごわ
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/24(金) 11:41
- サクサク更新するのが目標
- 2 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:41
- 「お昼食べてたよね」
「うん。喰った」
「あんまたくさん持ってくなって、お母さんに言われてんでしょ」
「持ってきたんじゃねぇーて、もらった」
高校生って青春、まっただ中じゃん
なにを間違えたかな?
制服の下のエメラルドのハーフパンツか?
たしかに、せっかくの健康的色気がアピールしにくいな
でも仕方ないじゃん、チャリだし
花もはじらう乙女じゃんミキって
しょうがないか。そのうちイヤでもにじみ出ちゃうだろうし
ココは今保留
1番早いトコ改善すべきは、荷台につかまってる幼馴染み
ちなみにつかまってる理由はハグレないためだと思う
改善より切り捨ての方向で考えていきたい
- 3 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:42
- ミキの憂鬱に少しも気付いていない幼馴染みは
好物のベーグルくわえて、ゴキゲン
コイツのせいでミキに流れつくべき幸福が、かるく見積もって4割減はかたい
なにがいけないってコレしかない
高いな、その確率。無難だな。いや絶対だな
自転車置き場で袋を破いてから、オマエはどんだけ味わって喰らうんだ
おそい。話し声、モグモグしてるし
「もらったって、誰に」
「しんね。昼休みに呼び出されたコ」
知らないコにもらったのよく口にできるよね
怖いでしょ、特別な添加物の可能性とか
それに告白現場に相手の好物持参ておかしくないか
どのタイミング?来てくれてありがとう、まずコレをってさし出すの?
「思いつめた様子のコだったら、食べんじゃないよ」
「はーい」
ミキはいくつの子供を相手にしてるんだろう
なれたけどさ…
- 4 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:42
- 「最近けっこう呼ばれんのはなんでかね」
口にモノ入れたまま喋んな
「体育祭あったからでしょ」
黙ってムダに優れた運動神経を発表するんだから
勘違いさせるにはもってこいの舞台
背中に『ダマされないで』ってハリガミしとけば良かった
「よっちゃんさ、ベーグルあげるから付き合ってって言われたらどーする?」
「なん個?」
あー重要なのは個数なんだ、へー
食べ物でまんまと釣れるわけね
「あーミキきっと、前世でワルイことしてしまったんだ」
「なにを言い出すの?」
罰ですか?
じゃなきゃこんな細い肩に、こんな重たい荷物のせるはずない
神様、もう許して
- 5 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:43
- 「因果なんとかだ」
「おーほー」
「ミキの発言をオマエが正すな」
「なんだよ」
「やるか」
「やんない。美貴ちゃんは前世ってトコでワルイことしてるはずない」
「な、なんだよ急に」
持ち上げてなにかを掠めとろうって作戦か?
それともなにか、よっちゃん
いつもヘラヘラしてるだけの、無能人間にしか見えないけど
つねに感謝を抱いて生きてたの?もしや
バカでもさすがに分かっちゃってるのか、その辺
「だってさ、美貴ちゃんがワルイことすんだよ
ぜってぇハンパないって。神様が生まれかわんの許してくれるわけない」
…オマエのナチュラルな失礼をどう正してくれよう
思わず右手をあげたら、よっちゃんは反射的に頭をかばう
痛みだけじゃ覚えてくれないのが、もどかしい
溜息を吐いて、そのまま拳を下ろした
「感謝は?」
ようやく食べ終わったよっちゃんが、制服にくっついたパン屑を払いながら適当に言った
「感謝してます。ありがとう美貴ちゃんさん」
- 6 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:43
-
「後乗れ」
「おい」
ミキが自転車に跨ると、荷台によっちゃんも乗る
背中合わせになる後ろ向きの乗り方
交番前にさしかかるとスピードを落とす前に飛び降りるから
何度も転がってるのに直そうとしない
「よっちゃん、いい加減誰かと付き合いなよ」
「なんだよそれ」
ミキの負担をへらしたいの。重荷を誰かにあずけたいの
全部が無理ならちょっとでもイイ
「先月の男の子は?」
よっちゃんのお母さんのことを考えると、取りあえず男子を押しておく
「無理」
「ダメだっけ?男の子」
「しんね」
- 7 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:43
- 「美貴ちゃん前に付き合ってた人いたじゃん」
「まぁね」
「で、別れてるでしょ、また付き合うでしょ、別れるでしょ――」
「ま、まぁね」
人聞き最悪エンドレス
「好きだなって思った人がキライになるってトコが分からん」
感覚勝負で生きてるくせに
そんなトコで頭つかおうとすんなよ
「別れるトコはいいからまず付き合ってみればいいんだって」
どーつくろっても見た目だけが惹かれた理由だとしても
こんなヤツと交際したいなんてヤカラがいるんだ
ありがたく承れよな
「なんで、ダメなの?」
「フィーリングが合わない」
フィーリングのトコのうさんくさい発音がカチーンときた
走ってなきゃ、叩けたのに
勢いつけて身体を後に倒して。背中でよっちゃんの頭が弾んだ
- 8 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:44
-
「どんなのがイイのさ」
「えー、かーいーこ」
「かわいいってどんな?」
「えーぇ、美貴ちゃんかーいー」
「振り落とすから」
「ほめてあげたのに。美貴ちゃんじゃダメ。かーいくて怒っても怖くない人希望」
誰が選んでくれなんつったんだよ
オマエの選別にもれて残念だとでも思ってるわけ?
「美貴ちゃん恋人できたんでしょ」
「…なんで知ってんだよ」
「どんな人?続きそ?」
「うるさい黙れ」
「ねえねえ、どんな感じ」
「なにが」
「美貴ちゃんでもドキドキすんの?」
ミキみたいな純情可憐な乙女つかまえて
でもってなんだ
- 9 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:44
- まーいい
バカ相手に本気になったら負け
気を取り直して、恋心を明確にコイツに伝える例を考える
「よっちゃんちに安眠枕あるじゃん」
「あー。あの寝返りすると安眠できなくなるヤツ?」
「アンタの場合、寝返りどーこー以前の問題だけど」
効能は分からないけど、真ん中がくぼんでる安眠枕
よっちゃんは枕にぴたっと鼻と口を押しつけて、うつ伏せ寝する
くぼみの僅かな空間で呼吸を確保して寝ているらしい
酸素薄いって絶対
脳に新鮮な空気いきわたってないんだと思う
脳細胞が確実に死んでってるもん
プチンプチンと死滅していく脳細胞がミキには見える
「ともかく、あんな感じ」
「はぁ?」
「身体があんな感じになるの」
「あんなって、真ん中ぬいつけられちゃう感じ?」
「そうそう」
「こえぇ…」
あの人を想って胸が痛むの、なんて恥ずかしいこと言えるか
- 10 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:45
-
当分よっちゃんには関係ないみたい
もういいや
「ついたぞ」
諦めたトコでちょうどよっちゃんちに到着
ブレーキをぎゅっとにぎる
完全に止まるのを待てないで飛び降りるから
よたついた幼馴染みがニヘラとごまかすように笑ってた
「今日もあんがとございました」
「うん、バイト行く時ちゃんとカギ締めて出るんだよ」
「ほい」
「明日はちゃんと朝起きてんだぞ」
「それは分からない」
ダーメだ、コイツ
今更か、今更だ
数十メートル先の美貴の家に自転車が入るまでよっちゃんは手を振っていた
バイト遅刻すんじゃないか、アイツ
- 11 名前:10月は神無月 投稿日:2005/06/24(金) 11:45
-
10月は神無月 終了
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/24(金) 11:46
- 11月 「イイと思う」
http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/green/1086191650/260-268
同高校2年生。幼馴染みと、幼馴染みで恋人が出来た人と、恋人になった人
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/24(金) 11:46
-
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/25(土) 16:13
- 短編スレの時読みました これ好き。頑張ってください
- 15 名前:ぱっち 投稿日:2005/06/27(月) 18:06
- やばい、こーゆーの大好きです(w
次の更新も待ってます
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/28(火) 11:59
- >>14
ありがとうございます。今更蒸し返していきます
>>15
書いてる方にレスいただくと妙な感じが致します
- 17 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:00
-
あーひま
「忘れ物チェック表があったんだよ」
あーひま
「ねえ、石川さんちゃんと聞いてる?」
「は、はい。ちゃ、ちゃんと聞いてます」
「第1項目はランドセルだったのね。バカでしょ」
「でも、たまにいますよね。忘れるコ」
「たまにじゃん。コンスタントに、週1」
「もー美貴ちゃん。うっさい」
オマエは黙ってろ
石川さん大丈夫?こんなヤツ
降りるんなら、早めをオススメします
- 18 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:00
-
「ミキだってね冗談だって信じたかったの」
「は、はい」
「中学あがって低血圧発症したとかぬかして、毎朝むかえ行ってるんだよ」
よっちゃんのお母さんに涙目で頼まれから
高校受験前には『美貴ちゃん高校もお願いします』って頭下げられた
毎年、よっちゃんのお母さんに相当額のお年玉をにぎらされてる
「低血圧と朝起きないのは関係ないみたいですよ」
「石川さんそれゆーとよっちゃんのつたない言い訳、全否定」
しくじったって顔しないでもイイよ
「あ、あの。これからは私ちゃんとモーニングコールしますから」
石川さんをつつむ薄幸オーラはにじみ出てるだけじゃなくて
自家発電で日々つくり出されていくんだね…
ご愁傷様
「うん。頼んだ」
「昔のことはいーでしょうが」
「バカ、今だって帰り上履きはき替えたかチャックしてんだぞ」
石川さんは困るとマユゲが下がる
付き合いだしたばっかりなのに。よく見る、その表情
そんな視線よっちゃんに送ったところで、ソイツはあらためないから
- 19 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:00
- あーひま
デートの予定が恋人の急なバイトのせいでつぶれた
『大丈夫だよ、仕事ガンバってね』
あーミキって絶対、でき過ぎた恋人
つくづく尽くす女
あー怖い。自分の優しさが怖い
「石川さん、ベスト投入タイムだ!」
「あ、はいっ!」
…ひまだからって行くとこないのかな、ミキ
賢そーなトコ行って、賢いこと考えたい
図書館とかそんなトコ
学校で進路調査票わたされたし、考えなきゃいけないことたくさんあるのに
寒さに屈してこんなトコ来ちゃった
- 20 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:01
-
よっちゃんちのキッチン。ダイニングテーブルにべったり突っ伏して
石川さんにちょっかいだして遊んだり、目の前で繰り広げられる喜劇を観賞したり
ひまだよなーミキ
ヤツラは仲良く料理をしている
料理って言っても玉子ゆでようとしてるだけ
たいした作業じゃないのに、なんでよっちゃんはエプロンしちゃうんだろ
「冷蔵庫開けるます」
「おい、頼んだ」
あっ石川さんダメだよ、気をつけて
危惧むなしく、あんのじょう力一杯に扉を引っ張る姿
「あっ」
- 21 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:01
-
ストーンとポケットから飛び出した玉子
あ〜あ、ほら
3人して動きが一時停止
玉子だけが、放物線を描き、落下
「やっちゃったね石川さん」
フローリングの上
無惨に黄色が広がる玉子。てかてか光る
「……ごめんなさい」
よっちゃんちの冷蔵庫、扉がアホみたいにカルくって
しかも玉子ポケットが微妙な作り
そーっと開けないと飛んでくんだよ
怒るぞ、玉子のこととなるとよっちゃん
前にワーワーわめかれて、イラついたもん
蹴ったさ、バシッと
ミキは力業で黙らせた
- 22 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:02
- 初か。石川さん初見ですか
よっちゃんの怒るトコ
「大丈夫?ケガしてない?」
するかよ、ガラスじゃねーんだから
「ううん、してない。ごめんね」
「奥にもあるから、だいじょぶだよ」
…あれ、ちょっと。おかしいぞ流れが
「飛び出してきちゃった」
はい、ミキ異議あり
「石川さんが言うと羽根生えてるみたいに聞こえる」
ミキは事実を述べてるだけだから
不服そうに見ないよーに
「あるよーなもんだよね」
よっちゃんのフォローって納得いったことない
「ないから。可能性含めてないから」
ホッビロンでないから、無精卵だから
- 23 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:02
-
「美貴ちゃん、石川さんまでイジメんなよぉ」
むーかつく
石川さん、よっちゃんのエプロンを握りしめて、いじらしさアピールに努めないで
「だいたいよっちゃん、ミキが玉子割った時怒ったじゃん」
「そーだっけ」
「ミキだったら、わめいてただろう」
「うん」
ヘラヘラあっさりと、オマエなあ
「なんだそれ、ミキに申し訳立たないだろう」
「だってほら、玉子の神様に申し訳立たないから、怒るかも」
「んーだよ、玉子の神様って」
「えーっと……ニワトリ」
神様じゃないじゃん。製造元じゃん
オマエほら、頭のワルい回答に横の石川さんが悲しげだぞ
- 24 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:03
-
「石川さんが割っても神様はなげく」
「石川さんニワトリ、キライだもん」
ねーっと、エプロンごと石川さんの手をつつみ微笑みかけるバカ
「はい、でもチキンは好きです」
ミキはビーフが好きです…
石川さん真面目な子だと思うよ
交際はじめちゃって、隠せるはずなく一気にあふれ出したろうボロ
ミキなら詐欺で訴えるけど、すぐに見捨てない前向きな姿勢
あれだね
真面目も1周しちゃうと、とんでもなく近づくね。よっちゃんの辺りに
あれかな?呼んじゃったのかな、友を
「もういいや、可哀想な玉子がひからびる前に拭け」
「「は〜い」」
- 25 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:03
-
ミキの苦労増減グラフはどーなってんだろ
保母さんとか向いてるかな
優しいしな。考えてみよ
真面目だよな
ちかごろの若者は模範とするべきだな
ミキだってミキじゃなかったら見倣う、絶対
- 26 名前:極月ホッビロン 投稿日:2005/06/28(火) 12:03
-
極月ホッビロン 終了
- 27 名前:まとめ 投稿日:2005/06/28(火) 12:05
- (0^〜^) タマゴ
( ^▽^) チキン
川VvV) ビーフ
- 28 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/28(火) 12:05
-
- 29 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/29(水) 00:17
- まとめワラタ
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/29(水) 11:12
- 美貴さんがんばれ美貴さん
- 31 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/01(金) 10:52
- >>29
3行でも事足りそうと思いました
>>30
藤本さんはきっと期待に応えるコ
- 32 名前:1月から押しつけろ 投稿日:2005/07/01(金) 10:52
- ミカンの皮をはいだ
「お正月特番て面白いのやらない決まりなの?」
こたつの向こうのよっちゃんにわたす
「ミキに聞くな」
ミカンのすじ取りって単純作業を与え一時でも黙らせたい
「ねぇ詣でようよ。初めて詣でようよ」
「うるさい、手を動かせ」
「凶ひいたらちゃんと取り替えてあげっから」
「うるさい」
「詣でたい」
「イヤだ」
やることは1つもないけどイヤ
- 33 名前:1月から押しつけろ 投稿日:2005/07/01(金) 10:53
- 「イヌは喜びかけずり回りたい」
歌詞を微妙に間違えて覚えたんだな、コイツ
「ネコになってこたつで丸くなれ」
ミカンをほったらかして近づいてきたよっちゃんを手でしっしと払う
その手に鼻先を擦りつけ猫なで声
「もーでたい、詣でたい」
「大人しくしてろ、気色ワルイ」
つぶらな瞳を潤ませて、うーとノドを鳴らす
欲求の実行にかけるプライドのなさがハンパない
「そんな手に落ちるのは石川さんぐらいだから」
鼻を弾いてやったら逃げていった
「なにがさぁー美貴ちゃんと詣でたいだけじゃん」
「イヤだ」
やることは1つだってないけどイヤ
「つまんねぇー」
「ミカンよこせ」
キレイな姿になったミカンが、ようやくミキの元に返ってきた
- 34 名前:1月から押しつけろ 投稿日:2005/07/01(金) 10:53
-
藤本家と吉澤家の親連中は温泉旅行に出かけた
毎年こうれい。宿はよっちゃんのお母さんの実家近く
おかしいよね?
どーしてコイツを連れて行かない?
こんな大荷物を残して。いや、ミキに押しつけて
よっちゃんの両親、しょっちゅう旅行で家を空ける
血を分けたこんなカタマリが身近にあったら目を反らしたいんだろう
現実逃避をしている間、止むことないよっちゃん発の迷惑は、コッチ方面に押しよせる
駅までコイツと見送りに行った
よっちゃんのお母さんは改札口で、黙ってミキにお年玉をくれた
引きつった笑顔。うむ言わせない力。痛いほど気持ちは伝わってきた
ミキとしては金銭で解決しようって姿勢、キライじゃない
「石川さんまだ帰ってこないの?」
「明日」
期待の新星、石川さんは田舎に行ってしまった
よりによってミキの恋人は家族旅行
毎年『フジサン目指さないの』と聞いてくるよっちゃんを新年早々しめるのも疲れた
コイツの面倒見る人間が大変不足しています
追い払う理由も不足しています
- 35 名前:1月から押しつけろ 投稿日:2005/07/01(金) 10:54
-
ほっぺたをふくらましたよっちゃんがこたつから抜ける
ミキにじっとり視線をやったまま部屋を出て行った
帰ったか?
だったら安心して寝れるんだけど
再度、フスマの開く音
「美貴ちゃんのママから初詣してきなさいって電話あった」
帰るわけないか
「嘘だろ」
都合良くくるか、バカ
「…うん」
受信音聞こえてないのに、小芝居だけでのりきれると思うな
いたいけな風にしゅんとしてみせる
オマエの落とした肩を優しく抱いてくれるのは、石川さんだけとわきまえろ
「…詣でたい…詣でたい…」
「しつこい」
寒いから半纏姿。着替えるなんて面倒くさい
しかも人混みでよっちゃんがはぐれなかった例がない
絶対行かない
- 36 名前:1月から押しつけろ 投稿日:2005/07/01(金) 10:54
- くだらないテレビの特番が郷土の正月恒例行事から子供らのお年玉調査に移った
「よっちゃんお年玉もらった?」
「…子供みたい。美貴ちゃんまだもらう気なの?」
「すでにもらったし」
オマエのお母さんを筆頭に
なんとでも言えばイイ。現金は現金
「あたしイトコにちゃんとお年玉あげんだ」
せがんでいた件から離れるニワトリよっちゃん
「へー」
「お母さんにあずけた」
「へー」
よっちゃんお金だけは貯めてるもんね
良いんじゃないの
日頃世間に迷惑をかけて生きてるんだから、それぐらいした方が
- 37 名前:1月から押しつけろ 投稿日:2005/07/01(金) 10:55
- 「すごい?」
「普通」
「でね、おじいちゃんがエライからってお年玉くれんだ」
…もらってんじゃん
お年玉って断言しちゃったじゃん
せめてさ、せめて
寸志とか言ってごまかせなかったかな
「ミキには?」
「美貴ちゃんイトコじゃないからやんない」
…コイツと血縁関係にならなきゃ得られない、小金ならいらない
- 38 名前:1月から押しつけろ 投稿日:2005/07/01(金) 10:56
-
「そーかい。もう帰って安眠枕で寝れ」
「アレお母さんが大掃除の時すてた。キケンなんだって」
オマエの寝方に限りな
乳幼児でもないのに、お母さん大変だね…
ミキできるコです
明日石川さんが来るまでは気合い入れてガンバリます
このバカが放つ害を最小限にくい止めてみせます
安心して、ゆっくり温泉つかって疲れを癒してください
- 39 名前:1月から押しつけろ 投稿日:2005/07/01(金) 10:56
-
1月から押しつけろ 終了
- 40 名前:まとめ 投稿日:2005/07/01(金) 10:57
- ( ^▽^) 不在
(0^〜^) あげられるときにあげる
川VvV) もらえるものはもらう
- 41 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/01(金) 10:58
-
- 42 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/02(土) 20:55
- 美貴ちゃん優しいなぁ(w
- 43 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/03(日) 22:54
- 詣でたい…ツボでした。
よっちゃんおバカだけど、かぁいぃ〜。
ミキ様はやっぱり出来る子でした。
- 44 名前:ぱっち 投稿日:2005/07/04(月) 20:34
- 更新乙です
かけずり回りたい
丸くなれ
学校なの忘れて爆笑するとこでした(w
- 45 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/05(火) 11:07
- >>42
仰るとおりであります
>>43
詣でさせてあげたいですが、藤本さんの教育方針に従います
>>44
名無はどこまでも名無なので、ココで更新お疲れ様ですと言ってみる
- 46 名前:睦月エタニティ 投稿日:2005/07/05(火) 11:08
- 目覚めたら、外は雪景色
わー世界中が真っ白だー。雪だるまさんつっくろ
…嘘だよ。はしゃげるか
チャリって強硬手段はママに見つかり阻まれた。しかも叱られた
こんな日でも連れ歩かなきゃならないバカ幼馴染み
何度軌道しゅうせいしても
ニタニタ嬉しそうに踏まれていない雪道に吸いよせられてくから、遅刻した
あー休めば良かった
授業を終えた帰り道、朝からのなげきを引きずっている
「ダメだよぉ」
「だって…」
「ダメったら」
「ちょっとだけだから…」
「おねがい、ねぇやめよ」
石川さんココ公道ですので、艶っぽい声は自粛してください
テレテレ歩くカップルの後
ローファーのつま先が冷たい
- 47 名前:睦月エタニティ 投稿日:2005/07/05(火) 11:08
- 別に目の前で意味ありげの事態はくりひろげられてない
学校にいる間に雪はやみ、そこいらに雪かきで集まられた雪山
よっちゃんがいちいち登りたがって石川さんが困ってるだけだ
「転んじゃうから、やめようよ」
「だいじょぶ」
「靴下ぬれちゃうよ」
「だいじょぶ」
さっきからこんな調子
「吉澤さんの誕生日はいつ?」
あ、石川さんよっちゃんのあつかい方学習してる
別な話題をふって気を反らす。話の流れをくむ必要なし
それでイイ。ガンバレ石川さん
「どーして?」
「どうしてって、私もうすぐ誕生日なんだ」
「あ、おめでとー」
「ありがとう」
- 48 名前:睦月エタニティ 投稿日:2005/07/05(火) 11:09
- まんまと術中にはまり、手を引かれ軌道しゅうせいは成功
「それで、いつ?」
ひとまずは速く歩け
「たんじょーび?」
「うん」
名簿でもなんでも調べればイイのに
知ろうとすれば簡単じゃん。個人情報手に入れんのなんか
「たんじょーびは、ない」
「…ないんだ」
「うん」
まだ根に持ってんのか
淡泊にしか見えないけど、時々しつこいよな
「……歳、とらないね」
「そーだね」
「………ピーターパンだね」
「うん」
ミキ、セロニアスが浮かんだけど違うんだ
- 49 名前:睦月エタニティ 投稿日:2005/07/05(火) 11:09
-
ローファーの靴底の滑り具合を、地面を蹴って確認
うん、まぁいけんでしょ
短い、助走
左足で、確かな踏切
ふわっと身体を浮かばせた
とーーっ
「あわー」
第1ポイントよっちゃんの背中
無事、右足でとらえる。照準どおり
足許が滑りやすくなっております、ご注意下さい
キレイに前につんのめっていくよっちゃんを眺めながら、着地
きまった
「あ…」
反射神経で身体をひねり、柔らかそうな雪の上によっちゃんは倒れた
ちっ、つまんね
- 50 名前:睦月エタニティ 投稿日:2005/07/05(火) 11:10
-
「なんなんだよ美貴ちゃん!」
雪に埋もれたよっちゃんを、しかと
「どー?石川さん。すごくない?」
「す、すごいって?えっ?」
突然倒れた恋人を前に、呆気にとられちゃってる
「いや、だからさ。足場のワルイ中とび蹴りして、ちゃんと着地してるんだよ」
「は、はい」
「すごいよね」
「…すごいです」
- 51 名前:睦月エタニティ 投稿日:2005/07/05(火) 11:10
- 「すごいじゃない!!」
立ちあがったよっちゃんの黒いコートは雪まみれ
すかさず石川さんの手がそれを払う
甘やかすのは良くないと思う
「アンタがくだらないこと言うから、天罰が下りましたとさ」
おしまい
「くだらないことなんか、言ってないよ」
しかと
「石川さん。よっちゃん4月12日生まれ
学年じゃ早く誕生日むかえるくせに、しっかりしてないO型です」
相性占いでもなんでも活用して
買い手があれば個人情報売っぱらってみても構わないから
「ちょっと、勝手に教えんなよ」
「うっさい、事実だろ」
「…ありがとうございます」
「いいえー」
うわーよっちゃん、ひっついた雪がとけて、残念な見た目になってる
離れて歩こうね、石川さん
- 52 名前:睦月エタニティ 投稿日:2005/07/05(火) 11:10
-
「よっちゃんね、昔誕生日忘れられたことがあってね。ずっとひがんでるの」
「そうなんですか」
そうなんですよ
一人娘の誕生日をうっかり忘れるなんて、さすがよっちゃんの両親でしょ
その日ミキがよっちゃんと遊んでいたとは言及しない
『今日はなんの日だ?』と聞かれて『4月下旬』とマジ回答し
『せめて中旬でしょ』と涙目で言われたのは、あえて伏せる
過ぎたこと。今更ね
タイムマシーンでその場に連れて行かれても、忘れてる自信ある
あーなつかしい
後で口を尖らせたよっちゃんがミキ達を見ている
うっとうしい
「バイトだろ、着替えなきゃいけないんだから、走って帰れ」
条件反射でかけ出したよっちゃんが、ミキ達を追い越し飛んでいく
その背中を石川さんも止めたりしなかった
2人で仲良く零した、いつもより白い溜息を一瞥した
- 53 名前:睦月エタニティ 投稿日:2005/07/05(火) 11:11
-
睦月エタニティ 終了
- 54 名前:まとめ 投稿日:2005/07/05(火) 11:12
- ( ^▽^) 出題者
(0^〜^) ピーターパン。
川VvV) セロニアス?
- 55 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/05(火) 11:12
-
- 56 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/05(火) 12:46
- 気持ちの良い阿呆たちですね。大好きです。
- 57 名前:ぱっち 投稿日:2005/07/05(火) 22:54
- 更新乙です
85年組万歳
幼馴染っていいなぁ・・・
読んで頂いてるんですかっ!(汗
- 58 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/07(木) 17:51
- 真面目そうに、どっかおかしい3人のバランスがはまりました。
更新楽しみに待っています。
- 59 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/08(金) 11:27
- >>56
ありがとうございます、嬉しいです。阿呆なコほどかわいいものです
>>57
選べないところですので、良い幼馴染みに当たるのは難しそうです
>>58
きっと3人とも真顔ですね。でもココの吉澤さんは真顔でも薄笑いの気がします
- 60 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:28
- 「た、大変でしたね」
「大変だったよ」
「どうして吉澤さん達のクラスだけ疑われたんですかね?」
「五限目、自習だったからね」
学校で事件が起きた
「よっちゃん、バイトは?」
「間に合わないと思ったから休みもらっちった」
ペットボトルの水を歩きながら飲むよっちゃん。みっともないから止めさせたい
「デートキャンセルだからミキ」
「しんねかった」
事件が起きた
「バイトだったんでしょ?」
「うん」
「予定くらい考えて行動しろ、あと歩きながら飲まない」
「はい。ごめんなさい」
- 61 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:28
-
「えっ?」
キャップを閉めてあげてた石川さんがマヌケな声をあげる
直感人間に言ってもムダだけど
こんな時間だし、もう真っ暗じゃん。石川さんもよく待ってたね
「あ、あの…」
「石川さんさ、そんなによっちゃんと一緒にいたいの?」
「え、あの。バイトばっかりだから帰り一緒じゃないと毎日はお話しできないので…」
恋だね。バカだね
よっちゃんのとりとめのなさだけ追求した話が楽しいか?
毎日言ってること変わるんだよ、コイツ
「あ、あのですね。もしかして今日の犯人…」
気付いてなかったの?
1つの学校にバカな悪戯する人間がたくさんいたらヤじゃない?
「あーよっちゃんだよ。でしょ?」
「うん」
- 62 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:29
- またペットボトルを口に運んだよっちゃん
キャップの閉じてもらったのを忘れてた様で、前歯を強打し目を白黒させている
アホな行動に関しては気を抜かない
「楽しかったの?」
「わりと」
本日の事件
五限目後の休憩時間、騒ぎが起こった
校舎南側女子トイレ、1階から4階まで全ての個室にカギがかけれられていた
無論、なかは無人
昼休みは普通だったらしい
五限目が自習だったのはミキ達のクラスだけ
とうぜん疑いの目が注がれ
自己申告を強要するロングなホームルームが催された
- 63 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:29
-
ミキはすぐに犯人の目星をつけ、よっちゃんの出方を窺った
コイツは時計を見上げて我関せず、上の空で小さく口を動かしていた
「よっちゃん良く名乗り出なかったね」
「だって流血ザタ以外は、美貴ちゃんがイイて言うまで黙ってなきゃいけないんでしょ」
そうだ。隠せる事は隠しておかないと
オマエの場合くだらない事やらかし過ぎでいちいち面倒臭くてしょうがない
「ホームルーム中なんか言ってなかった?」
「うん。何秒かかるのか数えようとしたんだけど、先生が怒鳴っから分かんなくなった」
「バーカ」
「なんだよ、ソレ」
「まぁいいけどさ、どーして南側にしたの?」
教室から離れた南側を選んだのはバカでもちっとは頭使ったのか
- 64 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:29
-
「石川さん見に行ったんだよねー」
振られて、思いあたったらしい石川さんが目を丸くした
「きた。手振ってた時?」
「そうそう。そん後」
教室で授業を受けていた石川さんに、もちろん落ち度はこれっぽっちもない
なのに、世界中の不幸を背負った顔でうなだれる
「どーせアレでしょ。上から抜けれるなと思って、超えたら面白くなったんでしょ」
「そー、さすが美貴ちゃん良く分かってんじゃん」
なんの役にもたたねー
「だからって全部やんなくてもイイじゃん」
「どこまで人に見つからないかチャレンジ」
「わ、私。謝って来ます」
足を止めてしまった石川さん
「いやいや、完璧にコイツしかワルくないから」
「で、でも…」
よっちゃんの親御さんがまたムダに悲しむからやめておいて
- 65 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:30
-
「バレなそうだから大丈夫だって」
「先生お巡りさん呼ぶって言ってたけどね」
小学生だって通じない脅し
「吉澤さん、捕まっちゃう…」
つ、通じちゃった、ベタすぎ。教師の思うつぼだから
「ないない。学校はよっぽどじゃないと警察なんて呼ばないから」
想像して。鑑識が女子トイレで指紋検出を真剣にする姿
裁判官だって罪状つげにくいから
ないでしょ、ない
「捕まったら会いきて。ガラス挟んで話しよーね」
ワクワクした表情で石川さんとつないだ手をビュンビュン振るバカ
「どうしよう、どうしよう…」
石川さんを追いつめるな
「石川さんホントに大丈夫だから」
「だいじょぶよ、美貴ちゃん嘘つかねーから」
いい加減テンションにムカついて手が出た
すかさず石川さんのかげに隠れたのが更にムカつくからヒザ裏にキックもおみまいした
- 66 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:30
-
「中学の時もけっきょく警察来なかったしね、よっちゃん」
ガンバレ、ミキ。石川さんを立ち直らせろ
「停電させた時?」
「そうそう」
「…停電て」
ガンバレ石川さん。立ち上がるんだ
中学生時代のとある平和な放課後
「コンセントあるでしょ。あれによっちゃんが鉛筆つっこんだの」
ミキが試せって言った気もするけど、良いコはマネしちゃダメだぞ
よっちゃんが楽しいそうに先を続ける
「すごかったよね。バーンて変な音して廊下の電気全部とんだ」
瞬間、2人して無言で走りさった
速かった。記念すべき人生で最速のスプリント
哀しいかな、幼馴染みの呼吸を悟ったね。あの時は
「感電しなくて良かったね」
「感電すんの?アレ」
「するんじゃない?生きてて良かったね石川さん」
かわいい好奇心が、シャレにしにくい結果をつれてきたけど
翌日丸1日授業つぶして犯人捜しで、教師は怒鳴ってたけど
- 67 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:31
-
そんな過去を乗り越え石川さんとよっちゃんは巡り会いましたとさ
めでたし、めでたし
…あれオカシイな、石川さん?
ちょっと眉間に入ってない?
見間違えだとイイけど、一瞬目細まったよね?
「じゃあミキ時間ないから、行くわ」
「なんで?デートなくなったんでしょ」
「いや、とにかく時間がない」
石川さんから薄幸オーラとは別物の
新種の、やっぱり良くないオーラが発生しはじめてる気がする
ミキの厄介リストの項目は日々更新されいく
- 68 名前:2月に名探偵 投稿日:2005/07/08(金) 11:31
- 2月に名探偵 終了
- 69 名前:まとめ 投稿日:2005/07/08(金) 11:32
- (0^〜^) ふうさ
川VvV) きょうさ
( ^▽^) めどぅさ
- 70 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/08(金) 11:32
-
- 71 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/08(金) 16:03
- やっぱり阿呆なこの子等が大好きです。
石川さんがどんどん開発されていくんですねハァハァ
- 72 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/08(金) 23:34
- よっちゃんの扱いに振り幅ありすぎだよ美貴ちゃん
- 73 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/12(火) 11:26
- >>71
どんどんね、まぁどんどん。イイワルイ別にして
>>72
大事に仕方はそれぞれと受け取ってやって下さい
- 74 名前:如月スターダスト 投稿日:2005/07/12(火) 11:27
- テーブル上に広がる、色とりどりの箱たち
あたかも夜空に瞬く星の群
「また大量だね…」
例年の2割増くらいあんね
「ははは…」
願わくは、流星であってほしい
そんな顔したよっちゃんが情けない乾いた声をあげた
「早く食べなよ」
トーン低っ…
テーブルの向こうに鎮座する石川さん
半端なく鋭いまなざしをよっちゃんに突き刺す
あなた、そんなキャラじゃないでしょ
……怖いよ
大切な日じゃん
ミキだってデート行かなきゃなんないわけ
優秀なミキも、今日に限っては判断をあやまった
帰り道に漂った微妙な沈黙
かるい修羅場を面白がって覗こうとするんじゃなかった
うっかりよっちゃんの隣すわんじゃなかった
- 75 名前:如月スターダスト 投稿日:2005/07/12(火) 11:27
- 空気の重さに耐えかねて、よっちゃんと一緒にうかがうようにヘラヘラ笑ってみる
なんかこーね。仕方ないじゃん、石川さん?
先方の表情筋がまったく動こうとしない
失敗。撃沈
うなだれたよっちゃんと目線が合うと、ミキまでワルイことしている気分になる
かたく唇を引き結び、石川さんは立派なアゴで早くしろと促した
よっちゃんはフーとゆっくり深呼吸
そして試しにゆっくり瞬き
もちろん流星の如く消えてくれるわけもない
覚悟を決め、ひとつ目に手が伸びる
いけっ!よっちゃん。突きすすめっ!!この空気を打ち砕けっ!!!
取りあえず大モノから。重そうだね、ずっしりだね
よっちゃんの代わりに頼むけど、サイズになにかを託したりしないで
渋い面持ちでガッシッと口に運ぶ
「おいしい?」
広がる。占領する。目眩く
「ん…あめぇ」
だな、チョコレートは甘いな。見てるだけで頭痛がする
- 76 名前:如月スターダスト 投稿日:2005/07/12(火) 11:28
- 「どうしてこんなにもらってくるの…」
分析能力のないよっちゃんの代わりに考える
1つ。学業、労働、恋人とフル回転の生活。やつれ気味でビジュアルが無用に向上した
1つ。交際発覚で彼女いるしマジには受け取らないわなーと、ノリであげやすくなった
1つ。交際発覚でマジ気味のコ達は女子いけんじゃんと、あわよくば期待した
以上がミキが導き出した仮説
「藤本さん、どうしたらなくなりますかね、こういうの」
「は、はい?」
ミキとしたことが名前を呼ばれて声が裏返った
恋って怖いね。石川さんが怖いね、今
チャカしたら呪われるかもしれない。出来そうだもん石川さん、しかも得意そう
「人の気持ちなんてどーもできないと思うよ」
「…そうですね」
ありがとう、一般論
- 77 名前:如月スターダスト 投稿日:2005/07/12(火) 11:28
- ホントは大体を削る方法に心当たりがある
よっちゃんの人気なんてビジュアルに沿ったもの
いや、ココはハッキリさせとこう。ビジュアルのみ
告白してくる相手で、まともに話したことある人はいない怪奇現象
恋の魔力もあいまって、頭の中を一人歩きする完璧そうなよっちゃん像
普段のバカさ加減を知らしめれば即刻
想像上の生き物でしかなかったとキレイさっぱり正気へと戻るだろう
でも教えないから
- 78 名前:如月スターダスト 投稿日:2005/07/12(火) 11:29
- 石川さんが、じゃあ学校でも普通に話してなんて言ったとしたら…
内外の防衛に尽力してきた長年の努力が水のアワ
よっちゃんのことはどうでもイイけど、一緒にいたミキの価値もろとも暴落しかねない
万が一、同等だなんて錯覚されてみろ
あー空恐ろしい
「あのさ…腐りやすいわけでなし、1度に食べなくてもいんでねぇ?」
あ、よっちゃんいたんだった
石川さんの返事は、なし
「あのね、ちゃんと言ったのは見てたっしょ。石川さんと付き合ってるって」
そーかそーか、よっちゃんのくせにガンバったな
「そういうのじゃないから、とかなんとか言ってたじゃん」
「女の子にわたし行ってそう言われたら、他に言えることある?」
確かに。モグモグしながら頷くよっちゃん
- 79 名前:如月スターダスト 投稿日:2005/07/12(火) 11:30
-
「まーアレだ、お返し大変だね」
「お返しはすんだ」
よっちゃんがまた意味分かんないことをぬかす
「なにそれ」
「ん?石川さんがお返しだってくれたコにわたしてたから」
「…マジで?」
「はい、そういうのはハッキリしておいた方がイイと思いまして」
今日1日中、いつ見ても紙袋持った石川さんがよっちゃんをマークしてた
そんな理由だったのね
怖いよ、石川さん
相手のなによりのダメージはソレと思うよ
「よっちゃん、捨てれば良かったんじゃないの?」
「ん、んー…」
相手のコにはワルイけど、恋人が嫌がるなら
「そんなのヒドイと思います」
「石川さん数かぞえてたし…」
うわー石川さんの気の回し方分かんない
- 80 名前:如月スターダスト 投稿日:2005/07/12(火) 11:30
- 「美貴ちゃん」
「なんだよ」
「なんかちょーだい。しょっぱいのちょーだい」
ま、待て
巻き込むな
ミキにまで石川さんの目から光線が…
「い、石川さんがくれんじゃないの
ミキ、用あるから。大事な大事な用があるから」
おいとまします
「待って、美貴ちゃん、た――」
助けない、絶対に助けない
眠れる獅子さんには安眠を
そーっとそーっと静かにドアを閉めた
- 81 名前:如月スターダスト 投稿日:2005/07/12(火) 11:30
- 如月スターダスト 終了
- 82 名前:まとめ 投稿日:2005/07/12(火) 11:31
- (0^〜^) あまい
( ^▽^) こわい
川VvV) さとい
- 83 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/12(火) 11:31
-
- 84 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/12(火) 17:02
- 愛されてますね。愛してますね。愛してますよね?
- 85 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/13(水) 17:56
- 恋って怖いんですね。
- 86 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/15(金) 11:39
- >>84
使い勝手のイイ言葉ですよね、愛。使ったことないけど
>>85
そうですね。しないに限るかと
- 87 名前:3月も快走 投稿日:2005/07/15(金) 11:40
- 「藤本さん、どうしましょ。助けてください」
「どーしたの」
「卒業式ありましたよね」
ミキの部屋
石川さんは泣きそうな目で内緒話のように声をひそめる
「ありましたね」
「私、その、あのなんと言いますか、あの」
「落ち着きなよ」
「こ、告白、的なものをされまして」
「ほー」
よっちゃんがモテるだなんだで脇に置いてきたけど、石川さんだってキレイな顔してる
なんてゆうか守ってあげたくなる雰囲気?
告白した人とは思いは別物だけど、実際ミキは全力で守ってあげようと誓っている
希望的観測かもしれないけど
よっちゃんさえ存在しなければ石川さんはもう少しまともな人間のままでいれたと思うんだ、うん
恋人に問題人物をつかんでしまい、今も続けている不思議ちゃんではあっても
世間にはびこる恋だなんだには、そうそうほっとかれるタイプじゃない
- 88 名前:3月も快走 投稿日:2005/07/15(金) 11:40
- 「こ、困り果てています」
しつこいようだけど大っぴらな交際相手がよっちゃんだもん
性別うんぬんもあるし、ひょっとしなくても石川さんて難儀な状態だね
「幸せにするからとか言うんです」
一気に興奮してせっかくひそめた声をキンキンはりあげる
告白段階で恥ずかし気もなくそんなセリフ吐くヤツ、イタイわ確かに
「ほうほう」
「私今、人生これ以上ないくらい幸せなんです」
頬に両手を当てて恥じらわれるのは困る
隙があればノロケようって姿勢はまず治してあげたい
「ほうほう…」
「これ以上なんて無理です」
要点はソコじゃないと思う
そして、現在めいっぱい泥水飲まされてるようにミキには映ってるよ
果てしない見解の違いってやつを感じる
- 89 名前:3月も快走 投稿日:2005/07/15(金) 11:40
- 「しつこいんです」
石川さんの交際相手がよっちゃんでなければなあ
こき下ろすよ、もちろん
でもさ、情熱的ねつれつアピールと頭の中を良心的にすり替えて
ソチラに移ってみるのも手じゃない?
そう思っちゃうんだけど…
長い目でじゃなく、現在の安全性が確実に向上するよ
「全然タイプじゃないの?」
「全然タイプじゃありません」
「…そっかぁ」
残念だけど言い切られてしまうと、見たこともない人間だし押しようがない
- 90 名前:3月も快走 投稿日:2005/07/15(金) 11:41
- 「陸上部のすっごい速い人なんです」
「あー知ってる、そんな男いたね。ホールに張り出してあったよね」
「速いんですよ、ものすごく。きっと」
言い切る割に自信はないんだ
まー速いんじゃない?
もしかするとそれくらいしか誇れる能力ないかもしれない
「きっとピンチの時私を置いて逃げる気です」
今度はなにを持っての自信だろう
逃げる時用に告る人、ミキは会ったことないよ
「よっちゃんも走ればそこそこ速いよ」
かっけこで1等とってモテるのって小学校半ばくらいまでだよね
…なんかもう問題点が速さになっちゃてる
- 91 名前:3月も快走 投稿日:2005/07/15(金) 11:41
-
「断ったんでしょ」
「毎日電話来るんです」
「番号教えたの?」
「教えてないんです」
「…キショイね、ふつーに」
「個人情報が漏洩してます。藤本さんも気を付けて下さい」
「そーします」
メチャクチャ真面目な顔で相談されると兆しくらい差し出したい
なにより落ちている時の石川さんが呼び集める不幸には伝染性ありそうでイヤなの
「よっちゃんに電話ださせて、ビッシと言わせたら?」
「考えました…けど、途中にもし吉澤さんのアドリブが入ったら…」
「ややこしくなるだろーね、確実に」
いらんコトするために生まれてきたようなヤツだからね
恋人にまでその辺を容認されてるよっちゃんて…
- 92 名前:3月も快走 投稿日:2005/07/15(金) 11:42
-
「わかった、ミキがビッシっと言ってやる」
「す、すみません」
相手を黙らせる自信はあるよ
でもさ、イイのかな?こんな流れ
「つー話だって、聞いてる?」
ミキの部屋。石川さんは1人でやってきたんじゃない
ミキ達のすぐ側のベットの上でマンガを読んでたよっちゃん
内緒話なんて限度がある
つーか石川さん狙ってるフシあるの?
「聞こえてるさー」
かるいなーオマエはどこまでも他人事だな
よっちゃんのバタついていた足は、はたかれてからようやく止まる
「なんか感想は?」
「ん?石川さんモテモテ、かっけー」
「「…バカ」」
- 93 名前:3月も快走 投稿日:2005/07/15(金) 11:42
- 3月も快走 終了
- 94 名前:まとめ 投稿日:2005/07/15(金) 11:43
- ( ^▽^) こまります
川VvV) まもります
(0^〜^) います
- 95 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/15(金) 11:43
-
- 96 名前:そーせき 投稿日:2005/07/15(金) 20:11
- いい!もーさいこー!!!爆笑!!!
よくよく考えるとアフォないしかーさんと、
どっからみてもアフォなよしざーさん、愛してます!
あ、一応、帝も^_^;
- 97 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/16(土) 06:25
- 楽しい話がサクサク更新されてて
嬉しい限りです。
- 98 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/17(日) 05:11
- テンポの良さ、GOOD!
ミキティの強さ、GREAT!
次にまた広がる物語、Priceless
- 99 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/19(火) 11:30
- >>96
的確に振り分けありがとうございます
藤本さんがいないとたぶん収拾つけられません
>>97
今後もこのペースで更新していきたいとは思っています
飽きなかったらお付き合い下さい
>>98
勢いと藤本さんに託して
価値ないですが、そこそこでも楽しんでいただければ嬉しいです
- 100 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/19(火) 11:31
- 弥生 「ぎゅっっ」
http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/green/1086191650/625-634
教科書捨てたのに、補習のため教科書を奪いにいった藤本さんの巻
川VvV) いじめっ子
( ^▽^) 板挟み
(0^〜^) イジメられる子
- 101 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:32
- 「♪さ〜く〜ら〜」
「チャッチャチャン」
「♪さ〜く〜ら〜」
「チャッチャチャン」
たのしそうだなバカップル
頭のワルそう具合の方のバカップル
生まれ持った特別なベールに保護されミキには一切症状が出てないけど
そろそろ空気感染を疑ってかかった方がイイのかもしれない
「♪さ〜く〜ら〜」
うん、十分伝わってるから歌わないで良いんだよ
「チャッチャチャン」
オマエも乗るから続くんだ、バカ
「♪さ〜く〜ら〜」
だから、咲いてるのは見て分かる
「チャッチャチャン」
うっさい、黙れ
昨夜よっちゃんちにお泊まりしていた石川さんと2人して
春休みまんきつ中のミキの部屋に、朝っぱらから押しかけて来やがった
掃除を始めるママに、天気のイイし若いんだからと追い払われ
仕方なしチャリで近所の公園まで桜見学に来た
- 102 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:32
- 現在、昼間っから宴会をしている酔っぱらい達よりワル目立ち中
「♪さ〜く〜ら〜」
「チャッチャチャン」
「♪さ〜く〜ら〜」
「チャッチャチャン」
さっきからソコのリピートのみ、壊れて音飛びしてる
石川さんアレだね、歌唱力が
なんといーますか、音域が自由だね。こーオリジナリティの飽くなき追求だね
よっちゃんの相の手は偏差値を下げる手助け
他人のフリは出来ない距離。溜息の吐きすぎで頭がクラクラする
今に始まったことじゃないぞ。ミキ、ガンバ!
振り返り、見るからに頭ワルそうで歌いにくい体勢のよっちゃんに一応問う
「大口開けて上向いて、よっちゃんはなにしたいの?」
春になるとおかしな人増えるって耳にするけど
目覚めるんだろうな、暖かさに誘われてひそんでるモノが
- 103 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:33
- 「桜じか食い」
あー、コイツは年中無休。ひそんでる隙なかった
オマエの呼吸が静まるなら桜餅でも購入してミキ直々に詰め込んでやるよ
「ねー美貴ちゃん、疲れた」
「あっそー」
「3人乗りしてぇ」
「吉澤さん、してぇじゃないでしょ」
あっ叱られてやんの
「3人乗りしよーよ」
「はぁ?」
していただけますか、お願いします。だろ
そしたらミキだってしばし考えるフリしてやんのに
ミキの低速走行チャリの後には石川さん
よっちゃんは小走りで追っかけるのが不満らしい
「吉澤さん、ファイト」
オマエの彼女、降りる気はないみたいよ
- 104 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:33
- 春先に抱えていた悩みが消え失せた石川さんは本日もあきれるほど上機嫌
「よっちゃんちゃんとついて来いよ」
「つーかーれーたぁ」
「吉澤さんファイト」
そうそうファイトファイト。ちゃんと走れ
オマエの後釜を、走るの得意なヤツとかが狙っているんだぞ
今か今かと指くわえて、石川さんの移り気待ち
「石川さんアレからどー?」
「は、はい。おかげさまで。藤本さんにかかれば怖いものなしです」
石川さんは持ち上げてるつもりだろうけど、どーかな?
ほとんど嬉しくないよ
平和な解決のため、なにをどう言って説得したのか
詳細は伏せるけど、ビックリするくらいスムーズに解決した
自信はあったけど、効き過ぎなんじゃない?みたいな
速いだけの年上男の涙声が聞ける貴重な経験をつんだ
- 105 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:34
-
「ストップー」
いきなり引っ張られて強制的にチャリが止まる
「あ、バカ。危ないだろ!」
石川さんもろとも倒れるトコだったでしょ
考えなくてもわかんだろ
「ごめん」
ミキ達が傷を負ったあかつきには、ばくだいな慰謝料を貪ってやる
「無理でしょ、3人乗りなんて」
「できるぅ。後に1人、サドルに1人」
「こげないじゃん」
「立ちこぎ」
動力を任される1番きついところにその仕打ち
「よっちゃんがこげよ」
「美貴ちゃんあたしの運転ヤなんでしょ」
あー絶対ヤダ
- 106 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:34
- 「私の中学校、そうゆう乗り方バカ乗りて言いましたよ」
石川さんが弾んだ声で口を挟む
よっちゃんが混ざったらかなり逃げ場のない呼び方になっちゃうんだね
「絶対やらない」
却下して再びこぎ出す
「は、はい」
「石川さん意見をどーぞ」
「吉澤さんがサドルでこぐ人、藤本さんフレームの所にしゃがんで運転でどうですか」
「おーナイスアイディーア」
- 107 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:35
- …アホか
想像図だけで絶望的な恥ずかしさだよ
なに気分なら、そんな状態楽しめる?アルコールそうとう入れないと出来ないから
「石川さん、なしで」
「美貴ちゃんはワガママさんだな」
「なんとでも言え。よっちゃんスケボー持ってくれば良かったんだよ」
「アレ怖い」
「吉澤さんスケボー得意なの?」
「んーできるけど、足がしびれる。前ケガしたし」
「はははっっ、あった、あった」
思い出してもオカシイ
- 108 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:35
- バイトを始めたばっかの頃
よっちゃんが移動時間短縮にスケボーなら電車にも持ち込めると購入した
ある日ひまだったミキが、親切にも駅まで送ってやった
後に乗ればイイのに練習だからとガーガー追っかけてきた
そのうち疲れて、後につかまり電動みたいだって楽しそうだった
普通に乗っけるより重いつーのはお構いなし。ミキの太ももは筋肉痛になるぞって震える
ケガに至った経緯とは無関係だけど、気の回らないバカにイラついてはいた
曲がり角
ゆるやかにカーブを描くとよっちゃんも合わせてそっちに重心を傾ける
何度か曲がってたら思ったわけ
そうしないと、どうなるのかな?って
意地で出したスピードのまま、目先のT字路に目標を据えた
もちろん実験なんだからよっちゃんにはふせて
- 109 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:36
- 直進で速度を上げる。ミラーを見上げ安全確認
イメージは直角。ビッシっとハンドルを切る
ミキの靴の側面が、地面をズル
心の準備万端のミキはよっちゃんを振り返る
いやー遠心力ってすごいね
がっしり荷台をつかんでたよっちゃんはそのまま振られた
ははっ、ヤバイ笑う
思い出し笑いで涙でそう
次の瞬間
道路とよっちゃんが平行になってた
普段の生活の中で真横になってる浮いてる人間を見る機会があるか?
ないでしょ。いくら結果が淡い予想の範疇だったとしても
実際見たら、あのマヌケさは強烈
「あれ超笑った」
「美貴ちゃんひどいんだよ、カベにぶつかって痛がってるのに、笑ってんの」
よっちゃんでも重力にまで自由にはなれない
カベに叩き付けられた時、一瞬人形みたいにひしゃげた
- 110 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:37
- 「……」
「あんな希少なのなかなか見れないじゃん」
「死んじゃうかと思った」
ミキだってブレーキかけて安全を確保した後、死ぬかと思うほど爆笑した
「……」
「アレはすごかった」
「痛かったのにぃ、血でてたのにぃ」
「……」
「石川さん、さっきから無口だね…」
「石川さん、美貴ちゃん怒って」
「……」
「……」
- 111 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:37
- …ミキ、空気読めるコだから
腰に添えられてる手の握力とか、背中に刺さるなにかとか
チャリ運転してて良かった。前を向いているしかないもの
神様、ワルイことなんかしてませんよね?ミキ
ぎりぎり、今はしてませんよね
「チャッチャチャン」
再び歌い出したよっちゃん。石川さんが続くことはもうなかった
はぁ、いつの日か捨て身のガードに出るようになったらどうしよ
タチのワルさとしたら、石川さんタイプってかなり上位にくい込んできそうだもんな
「チャッチャチャン」
なーんにも察しないよっちゃんの間延びしたノンキな声だけが
桜並木の間を通り過ぎていく
- 112 名前:4月の酔いどれ 投稿日:2005/07/19(火) 11:37
- 4月の酔いどれ 終了
- 113 名前:まとめ 投稿日:2005/07/19(火) 11:38
- ( ^▽^) ♪さ〜く〜ら〜
(0^〜^) チャッチャチャン
川VvV) ……
- 114 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/19(火) 11:38
-
- 115 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/19(火) 19:21
- 楽しそうで良いな。美貴ちゃん学習して(w
- 116 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/20(水) 01:47
- よっちゃんもよっちゃんだが、美貴ちゃんも美貴ちゃんだという気がしてきた
- 117 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/20(水) 03:13
- 毎回飽きるどころか楽しみです
85年組さいこー
…あっ後藤さん
かなりよっちゃんのアホさに影響受けてます
- 118 名前:そーせき 投稿日:2005/07/20(水) 19:31
- >116
あっしもそんな気がしてきやした。
もしかして、この3人は、みんなおバカでは?
- 119 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/22(金) 11:54
- >>115
豹変されるまでは、つい油断してかかるみたいです
>>116
誰が一番アレなのかを考え出すと、アレですので
>>117
影響受けそうならば避けた方が無難かと
>>118
じゃあ…その件に関しましては御内密に
- 120 名前:卯月カート 投稿日:2005/07/22(金) 11:54
- 「待ってなくて、良かったんでしょうか」
「いつまでたっても帰れないよ」
「吉澤さん1人で帰れますかね?」
「…帰巣本能くらいならヤツにもあるよ」
周りには下校する生徒の波
日に日に日照時間が延びてきた空をオレンジが染める
絶対遅いと教えてやったのに、頑なに待つと言い張った石川さん
まぁ用事入ってないし、暇つぶしで付き合ってあげていたけど
全日の下校放送が流れ、結局見回りに来た教師に追い出された
石川さんは渋々ミキと2人だけの家路についた
ミキは今チャリを押して歩いている
「石川さん、1つ聞いてイイ?」
「は、はい。どうぞ」
- 121 名前:卯月カート 投稿日:2005/07/22(金) 11:55
- 「…石川さんはなぜ、後に座っているの?」
よっちゃん用のテンションを残していたのに使い道がなかった石川さん
血迷ってしまったのか。チャリを押し歩き出そうとしたら、ちょこんと荷台に腰掛けた
「藤本さんに置いていかれないために、です」
「ミキ、歩くって自転車置き場で言ったよね」
かなりのツッコミにくさに当初黙認したけど、チャリを支えるウデは震えている
「吉澤さん夜電話くれるかな?」
おい、あなた
はぐらかしたよね、ミキ答えようがない話題に
「石川さん?」
両手を胸の前でにぎって、女の子ポーズ
百面相でぶつぶつ呟く。石川さん1人劇場が幕を開けた
どうしてミキにばっか厄介な人が寄ってくる?
端から見たら完全に気色ワルイよね
人多いのに、周囲ガラあき。明らかに避けられている
このチャリ押してるの、今すごくイヤ
ミキはただ。できるだけキレイな夢を乗せて走りたい
- 122 名前:卯月カート 投稿日:2005/07/22(金) 11:55
- よっちゃんめ、アイツのせいだ
六限目の体育の時間。体力測定の長距離走
かったるくて一部を除き、真剣になんて走らなかった
気合、根性が大好きで一生懸命が常のキンニク教師は、発狂した
『止めだー』叫んで招集。クダクダとおっぱじめた説教。
1年中着ている物の面積が狭いくせに真っ赤な顔
「分かったか、吉澤」
突然ふられたのがよっちゃん
ちゃんと走ってゴールしちゃっていたせいでマヌケにも教師の真ん前
石川さんが出現してからミキのチェックが甘くなってたせいか
ご丁寧に運動靴にはき替え忘れで、ワル目立ちまでして
ヤツが気を張ってるわけなく、ポケーッと遠く遠くを見つめていた
名前を呼ばれたのを関知出来ないで、結果しかと
キンニク沸騰、激憤
- 123 名前:卯月カート 投稿日:2005/07/22(金) 11:56
- 「よっちゃんて間がワル過ぎ」
ミキはかなり被害受けているし、まぁ離れていればの話だけど
ぼんやり、ニヘラっとしていて完全無害みたいな生き方
なのに時々ね
よっちゃんがダメって人間に当たっちゃう
総じて余裕のない人。コイツは笑ってばっかでシャクって感じで
やる気がないとか取る人もいて昔から特定の教師とかに疎まれる
バカにするなって怒鳴った大人げない教師もいた
バカにしてるわけない。よっちゃんはただのバカなんだから
放っておけば実害はないんだって
入学した頃キンニク顧問の部活のお誘いを
面倒だからと蹴ったよっちゃんは前々から目をつけられている節があった
だから今日なんていつ解放されるのか
- 124 名前:卯月カート 投稿日:2005/07/22(金) 11:56
-
「―――もとさん聞いてます」
「へい?」
「今ヘイって言いましたね、面白い」
「言ってません」
石川さんがコッチに戻ってくる間にミキまでアッチいっちゃったじゃんか
「吉澤さんが、火曜日と金曜日どっちが好きなんですかって聞いたのに」
唐突な2択だね…
どこの引き出しからそのチョイス探し出した?
燃えるゴミの日?分かっても絶対に役立たないでしょ
頼むからよっちゃんに直接尋ねて
「金曜」
「金曜か。どうしてですか?」
「お金貯まりそう」
「あー吉澤さんたくさんバイトしてますもんね」
ついずいを許さない石川さんの飲み込みの早さ
他人とレベルが違い過ぎる。もはや人間業じゃない
ミキはうろたえるより、なかったこととして対処していく
- 125 名前:卯月カート 投稿日:2005/07/22(金) 11:57
- 「石川さん」
「は、はい」
「だーかーら。なぜ歩こうとしない
ごまかしたらよっちゃんのメアド勝手に変えて教えてやんない」
「……怒りません?」
ほとんどそんな感じだから
空気よめっ
「……」
鋭い眼光に、更にみがきをかける
「あ、あの。こうしてた方が藤本さん疲れるかなーって」
ご心配なく、日々疲労こんぱい
とりわけ精神的に
あなたとあなたの彼女に手がかかるせいだよ
- 126 名前:卯月カート 投稿日:2005/07/22(金) 11:57
- あ、よっちゃんを幼馴染みと思わないで
石川さんの彼女と思うと心持ち距離感が生まれるかも。イイかも
「たくさん疲れましたか?」
忘れてた
そしたら、この新しめの疲労が距離をちぢめてくるのかも
面倒な漢字はひかえるけど、四面なんとか
「分かってるなら降りようよ」
「分かってますけど…藤本さんに疲れてもらえないと」
「なんでよ」
「……吉澤さんがちょっとでもイジメられないように」
- 127 名前:卯月カート 投稿日:2005/07/22(金) 11:57
- 卯月カート 終了
- 128 名前:まとめ 投稿日:2005/07/22(金) 11:58
- (0^〜^) 呼び出され中
( ^▽^) 努力中
川VvV) 呆れ中
めでたく進級。同高校3年生
- 129 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/22(金) 11:58
-
- 130 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/22(金) 18:55
- 久しぶりに飼育に来たら、こんな秀作が。
良いですな、この何とも言えない雰囲気。
こういう風に生きれたら良いでしょうね。
チャリの荷台の梨華ちゃん、正座してそうです。
- 131 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/23(土) 00:12
- やっぱり石川さんも石川さ(ry
- 132 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/23(土) 01:34
- 近くにいたらちょっと…だけど、ここの梨華ちゃん健気でカワイイ!
- 133 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/23(土) 01:56
- いしかーさん、少し賢くなってません?
気のせい、気のせいですよね(汗
- 134 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/26(火) 11:33
- >>130
ありがとございます。快適に生きる資質だけは恵まれているのかもしれません
>>131
やっぱり、なんだろう?きっとイイ意味だろうなと思い做す
>>132
友達の友達くらいにいたらなら楽しめるよね。とは書いてる分際で言えません
>>133
少しだ、気のせいだなどと憚らずに、誉めて伸びるコもいますから
- 135 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:34
- 帰るぞ帰るぞ
よっちゃんを引きつれ石川さんを教室でハント
公共の場で平気で手をつなぐヤツラ
いつもの行動に今日もへきえきしながら、靴箱の前まできた
「あ、忘れてた」
「どーした」
「お呼ばれされてたんだ」
「早くしろよ」
はーいとかるい返事を残し、さっさっか走っていったよっちゃん
「…また」
ホールに響き渡りそうな溜息。大仰役者も真っ青の、沈んだ声色
振り返るのが、恐ろしい
「い、石川さん?」
「吉澤さん、恋人いないって思われてるんですかね」
「いやいや、有名じゃん。石川さんと付き合ってるの」
不名誉な話、かつてミキと付き合ってるなんて噂もあったけど
手をつないで帰るのが目撃されて、一気に浸透したじゃん
チョコレート会社の企みの日から、石川さんのマジさに若干みんなひくほどじゃん
- 136 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:34
- 「で、でも。今も時々あるじゃないですか」
「新入生も入ってきたし、しょーがないよ」
誰かのものでもほしいって感覚は分かんないけど
しかも対象がよっちゃんじゃ納得しようもないけど
「しょうがないって…」
ミキを睨んだ石川さんは、涙目
ちょ、ちょっとさ
「ご、ごめんなさい。先帰ります」
…あーあ走っていちゃった
絶対泣いてたけどミキ止めらんないよ
石川さんのテンションにも気持ちにも寄り添う自信ない
なんかあったのかね?今日はいちだんと熱がこもっていた
『吉澤さん、ばぁいばーい』
ペタペタ上履きを引きずる足音と誰かのかけ声
諸悪のこんげんが無言で微笑み会釈し通り過ぎる絵が目に浮かぶ
口を開かなければ爽やかなだけの造形が今、憎い
- 137 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:34
- 「ただいまー」
「…」
「あら、石川さんは」
「…ヘコんで帰った」
「あらあら」
「…断ってきたんでしょ」
「うん」
靴に替えているよっちゃんに聞いてみる
「今、ばぁいばーいって言ってたの誰」
「しんない」
石川さんに代わりコイツに向かって甘い声を出すなと睨んでやりたいけどさ
ミキが隣にいる時点で声かけるの思い止まるんだよね、ヤツら
「石川さんとケンカした?」
「んーなのしたことないよ」
だよな。コイツその辺の機能が正常に動作してないもんな
「昼休み石川さんとなにしてた?」
「なーにしたっけ?ちゃんと教室では遊んでないよ」
バカが露見するから他人様がいるトコではしゃがない約束だもんな
- 138 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:34
- 「なにしてたって聞いてるの」
「んーとね、じゃんけんとかケータイ見せ合いっことか」
…前者はイイや、勝手にしろ
「ケータイ見せたんだ」
「うん、あんね石川さんの待ち受けあたしだった」
脳天気は誇らしげにピース
「あっ!オマエの待ち受け」
よっちゃんがじゃーんと効果音を付けてケイタイを開く
「…替えとけよバカ」
浮かび上がっているのは睨み付けてるミキの顔
ケイタイを替えた日ニコニコしながらやってきて、ムダにパシャパシャ撮って
なんでか待ち受け設定したのは石川さんと付き合い出すちょっと前だった
「だってコレなら落としてもぜってぇ戻ってくるもん」
どんな自信だ、バカ。ミキの顔にそこまで御利益あるか、バカ
「…石川さんの画像あんの?」
「あるさー」
バカの手からケイタイを強奪してピピッと操作
「コレにしとけ」
なにがソコまで幸せなんだと問い詰めたい笑顔全開の石川さん画像
「あ、かーいー」
「ああ、カワイイカワイイ」
あーまたきっと、石川さんムダな疑惑を膨らませてるんだろうな
- 139 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:35
- 「メールとか履歴も見られてるよ、きっと」
やましいことがあってもなくても、ノーガードは止めとけ
「そんなの別にイイけど、時々知らないコからメール来るのがコワイ」
「へ、へー」
「呪われてるのかな、あたしのケイタイ」
そうなんじゃないかな。そんな映画あったじゃん
石川さんの本日どん底理由のキーがそこらに落ちてそうでもこれ以上紐解かずに閉じる
…やむを得ない事情が発生して
何度かよっちゃんのメアドを売っぱらったのは多分ミキじゃなし関係ない
「よっちゃん、石川さん好きなんでしょ」
「うん好き。かーいー」
くったくないな、オマエは。無邪気な大人になるべく一直線
「内面とかもほめちぎって安心させてあげなよ」
「石川さんイイ人」
で、残念な人。でなきゃオマエなんかと付き合ってくんない
- 140 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:35
- 「よっちゃんはだね、石川さんと交際しているわけ。分かるね」
「ほい」
「てことは、この地上に唯一生息するオマエの恋人なわけ。分かるな」
「ほい」
「例えるなら、断崖絶壁に石川さんとミキがぶら下がってるとする」
「クライミングだ」
「違う。助けてーと呼んでる
そしたらオマエは、むかーし昔から迷惑をかけてお世話になってるミキじゃなく
近頃甘やかしてくれる恋人、石川さんを助けるべきなの」
「うー…高いトコこわい」
「じゃそんなに高くない」
「じゃーだいじょぶだね」
「ダメなの。助けろよ」
「ほい。あっ美貴ちゃん死んじゃわない?」
「ミキはミキの恋人が助けてくれる」
「ほーダブルデートだ」
「しないけどね」
「あんさ美貴ちゃんの恋人、強いの?」
「まあ、ある意味」
「そーだよね。美貴ちゃんの恋人だもんね」
- 141 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:36
- 「…なんかさ、よっちゃんしゃべり方微妙に変わってない?」
「そ?分かんない」
「前に石川さんに怒られてたじゃん」
「んーかわいくしゃべってって言われる」
よっちゃんにソレさせるとすんごい精神年齢下がるよね
甘えとバカ方面だけ堂に入る。幼児返りが深刻なラインに
母性本能はけっこうですが、石川さん目指すは保護者なの?
「石川さん、ずーっとイイ人だと良いな」
「なんだよソレ」
あー見えて酒乱とか?
あー見えてミキがいないトコでDVとか?
「美貴ちゃんだって時々優しーでしょ?」
今、ちょっと引っかかること言われた気する
「石川さんも、たまたまコワくなったら困る」
整理しようてみようかな
石川さん=ほぼ優しいと認識している。ミキ=ほぼ優しくはないと認識してる
- 142 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:36
- はははっさすがよっちゃん
大事なトコで勘違いを発動するなぁ。むずかしい問題だったかな?
「よっちゃんに問題です。毎朝むかえにきてくれて
そして学校までつれてきてくれる美貴ちゃんさんは――」
「えーっと………優しい?」
はい、正解
メモれ。手の平に書き込め、2度と消えない加工をほどこせ
「だーかーらー――」
「えーっと………美貴ちゃんさんありがとう?」
良くできました
オマエにしては良くやった。ほめてやる
「で、石川さんだけど、ヘコませるな」
「あたしのせーなの?」
「なんだと思ってたんだよ」
「お腹空いたんじゃないの?」
痛いならまだ分かるけど…
バカだなコイツ
つくづく思う。日に日に思う
- 143 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:36
- 「教えたでしょ、好きな人くらいは大事にしろ」
「はーい」
「好きな人に優しくもできないヤツなんて救いようないんだかんね」
「はーい」
長いこと幼馴染みやってるけど
コイツの心の底まで言葉を響かせる方法は見つけられてない
…方法自体が1つもないおそれも、ある
「それで、よっちゃんは今後どーすればイイの?」
「えーっと、お呼ばれされた時に断る?」
「あとは」
「えー石川さんに優しくする?」
「今日すぐ電話しろ。あとは」
「えー石川さんとデートする?」
「…あとは」
「えー美貴ちゃんとダブルデ――」
「しないから」
「えー楽しそーじゃん」
そんな疲れるって分かり切ったこと願い下げ
- 144 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:37
- 「大事にしておかないとイタイ目見るよ」
「こわぁーい」
「石川さん怒ったら手つけられないタイプと思うよ」
「そぉ?きっと怒鳴っても声はコワくないよ」
「声なんかじゃなくってさ」
「だいじょぶ。目つぶるから」
…火に油を注ぐから
でも見たい。それは見てみたい
注意するのやめとこ
「ねぇねぇ美貴ちゃんち遊び行っていい?」
「ダーメ」
「バイト休みなの、遊んで遊んで」
「予定あります」
「デートでしょ、ついてっていい?」
「5回くらい死んだらね」
- 145 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:37
- 「今した話も覚えてないの?」
「?」
「石川さんトコ行けよ」
「そっか。そーする」
よし、じゃーいけ
「美貴ちゃん知ってた?」
「まだなんかあんの?」
「石川さんち、とーいの」
「いっつも一緒に帰ってんじゃん」
「電車で4駅なんだって」
「…いつも歩いてるよね?」
「駅まで戻るの大変だもん」
確かにこの辺りは最寄り駅まで距離がある
…石川さんてすごいコだね
朝は一緒じゃないのが疑問だったけど謎が説けた
「よっちゃん歩いて行ったことあんの?」
「歩いて行ったことはないよ」
「大丈夫なの?石川さん」
「ウォーキング大好きなんだね、きっと」
違うと思う
- 146 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:37
- 「で、それが?」
「自転車、乗ってきたい」
「退けます」
「なんでよ、貸してよ」
「1人で乗るなってお母さんに言われてるでしょ」
「言われたの中学生の時じゃんよ」
普通小学校低学年が言われることだと気付いている?
「イヤなものはイヤ」
「貸してよぉ」
「デートだって言ってんじゃん」
「どーせ駅まででしょ」
「そーだよ」
「石川さんちは4つ」
石川さんの苦労を身をもって体験すべき
けして、ミキが楽をしたいとかじゃない。石川さんとよっちゃんの今後のため
いつも石川さんと別れるT字路でチャリに飛び乗り
背後でうるさくわめくよっちゃんを振り切った
一日一善
神様、今日もこんなよっちゃんを思いやって優しくしました
ミキにイイことありますように
神様がよっちゃんに流す予定だった幸福ごと、うっかりミキに訪れますように
- 147 名前:5月が呼んでる 投稿日:2005/07/26(火) 11:37
- 5月が呼んでる 終了
- 148 名前:まとめ 投稿日:2005/07/26(火) 11:38
- ( ^▽^) 呼ばないで
(0^〜^) 怒られないで
川VvV) 忘れんな
- 149 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/26(火) 11:38
-
- 150 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/26(火) 18:05
- 幼馴染みの脱力した会話。今回の話特に好きでした。
やっと美貴ちゃんが優しい思いました。途中まで
- 151 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/29(金) 11:07
- 148の訂正
(0^〜^) 怒られないで→ (0^〜^) 怒らないで
まあどっちでもいいですが。本文の方でも誤字あるでしょうけど見逃してください
>>150
そのうち最後まで思っていただけるように尽力致します
- 152 名前:皐月ハングリー 投稿日:2005/07/29(金) 11:07
- 『あの人カッコイイ』言った後チラッと横目でよっちゃんを盗み見る石川さん
『あーホントだ』同意されちゃって肩を落とす
迷惑カップルは近頃そんなやり取りをしょっちゅうしている
察するに、石川さんはどーも嫉妬に飢えている
よっちゃんからソレを引き出すのは不可能に近い作業
もくろみはことごとくスルーされ、かなりの確率で気付いてすらないと思う
『よこせ』と言われると考えないで差し出すヤツだから
ひょっとすると今まで、なにかをひとりじめしたことなかったのかも
そんなわけで、無関係のコッチが見るに忍びない
嫉妬=想われている。みたいなウザイ風潮あるでしょ
石川さんのガンバリが報われるには、どうしてあげればイイ?
万年五月病のよっちゃんにガツンと利かせて
ミキとよっちゃんに対する石川さんの思いこみごと木っ端みじんに始末したい
「あのさ、ミキね。石川さん好きかもしんない」
勝負に出る
直球ど真ん中。他に受け取りようもない言葉
それも、身近な人間
どーよ。これえでもかって危機感わいてくるでしょ
ドロドロの昼ドラ展開が目下の目標
- 153 名前:皐月ハングリー 投稿日:2005/07/29(金) 11:07
-
「あらー」
「…好きかもしんない」
「もう恋人ダメになったの?」
「…好きかもしんない」
「んーでも石川さんあたしのこと好きみたいよ」
「…好きかもしんない」
「残念だね」
コントロールの問題じゃない場合どうすればイイ?
「よっちゃんて、顔だけじゃん」
手を替え品を替えあらん限り
やってみるよ石川さん。応援してね
「ははっひでぇ」
「中身分かっても一緒にいてくれるなんてイイ人他にいないじゃん」
「ははっ石川さんイイ人イイ人」
「イイ人だから、好きかもしんない」
よっちゃんは鼻の頭にシワを寄せ天井をあおぐ
効いたか?
でもすぐに、目にかかる前髪をフッと吹き上げ
ミキのセリフも忘れ楽しげに遊びだす
- 154 名前:皐月ハングリー 投稿日:2005/07/29(金) 11:08
- 「聞いてんの?」
「ん?コレゆかいだからやってみ」
「前髪引っこ抜くぞ、すべて」
「美貴ちゃんが言うと冗談に聞こえない」
うん、ミキは絶えず心のまま実直人間だから
やる時は、やるよ
「ビジュアル的にもミキの方が相性良くない?」
「美貴ちゃん小っさいからそーでもない」
「聞いたことないけど、趣味も合うと思う」
無理矢理感がミキとしてもツライ
「歩くのキライでしょ。自転車ばっかりだもん」
オマエはまだ石川さんの趣味がウォーキングだと勘違い続行中か
「なにをどー取ってもよっちゃんに勿体ないでしょ、だからミキが――」
「恋人ダメになっちゃたの?」
振り出しに戻る
ダメダメ言いやがって。今までのミキと思うなよ
オマエには絶対報告しないけど
石川さん出現を契機に、運命の恋人との順調な交際続行中です
- 155 名前:皐月ハングリー 投稿日:2005/07/29(金) 11:08
- 「藤本さんちの美貴ちゃんは優しいと界隈で評判なわけ」
「界隈ってあたしが住んでない辺り?」
可能なら住んでほしくない
「優しいミキとイイ人石川さんは上手くいっちゃうわけ、完全に」
「んーどーだろ?いろいろと上手くはいかないもんだよ、世の中」
「…オマエが言うな」
- 156 名前:皐月ハングリー 投稿日:2005/07/29(金) 11:09
- 皐月ハングリー 終了
- 157 名前:まとめ 投稿日:2005/07/29(金) 11:09
- ( ^▽^) 不在
川VvV) 攻め入る
(0^〜^) 迎え撃つ
- 158 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/29(金) 11:09
-
- 159 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/29(金) 11:52
- 振り回されるみきてぃ・・・・どんまい
これでよっちゃんが計画して言ってたら・・・すげぇ
- 160 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/30(土) 02:57
- 石川さんの空回りっぷりが目に浮かぶ。
ガンバレ!よっちゃん、気付いて!
- 161 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/02(火) 11:14
- >>159
自分で振り回されに行く藤本さんと我が道しか行けない吉澤さん
無自覚であって欲しいです。何かかわいそうだから
>>160
から回ってこその石川さん
気付かない方が良いことが世の中にはたくさんある気もします
- 162 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:14
- 「ごめんね、よっちゃんつっ走って帰ってった」
「あ、はい。聞いてましたから」
肝心の人間が欠けても、石川さんと帰る癖はすっかりついた
本日よっちゃんはどうしてもと入れられた
バイトの無理なシフトをこなすため慌てて下校して行った
六限目が終わって30分後なんて無理じゃん
ホームルームもあるのに、バイト先でもイイように使われてる感ありあり
「今日はよっちゃんに会えた?」
「はい。休み時間に何度も来てくれたので」
席替えでドア横になってから、よーいドンでスタートを切るよっちゃんをよく見る
アイツほど高校生にもなって廊下を走らないと注意されてるヤツはいない
「イイですよね藤本さん。3年間吉澤さんと同じクラスなんですよね」
ミキとしては陰謀だと思うね
なんかこー黒い物がウズ巻いてるんだよ
で、ミキにいやーなトコが流れ込んでくる仕組みをつくってるんだ
「体育くらい合同だったら嬉しかったんですけど」
「教室もけっこう離れてるもんね」
「私…もっとたくさん会いたいんです」
ココにほら、立候補してる人いますよ、神様ちゃんと振り分けおねがいします
- 163 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:15
-
「あのさ、石川さん。長いフリだったらソロソロ落としてもイイと思うよ」
「フリ?」
「ホントのところよっちゃん、どーなの?」
「ど、どう?」
「冗談だよね、よっちゃんが好きなんて」
笑ってみた。ノドに引っかかって乾く
「…藤本さんそれよく聞きますよね。ダメですか、私じゃ…」
たまに石川さんにきっちり根付いている病は心配になる
自覚症状がでないと治療ってはじまらないでしょ?
河原を歩いていたら溺れている人を見つけて
レスキュー呼んで引き上げてみたら、泳いでたんですって本人は言い張るみたいな
「石川さんがダメじゃないならイイんだけどさ」
「本心ですか?」
「ソコまでなにがイイわけ?あのよっちゃんの」
「…なんなんでしょうね」
あ、分かってなかったんだ
理由がハッキリしてないなら、手の打ちようない
ズルズルズルズル悪循環の渦の中。悲惨だね
- 164 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:15
- 「なんですぐ浮かばないんだろう…やっぱり顔なのかな…」
しょげながらの自問自答
この方の悲観ポイントがミキには理解できそうもない
「顔にしときなよ。人間性とか言っちゃうと石川さんの人間性うたがう」
「藤本さん意外と吉澤さんの評価低いですよね」
「意外じゃないよ」
不動の最低ランクを独り占めだから
「顔かなー顔なのかな」
よっちゃんのお母さんの口癖がね『この子は寝てると本領発揮よね』
親も認めるところだから。ビジュアルって揺らぎにくいよね、ガンジガラメじゃん
「確かに吉澤さん見てると幸せです」
ノロケ?ちっとも羨ましくないのがすごい
- 165 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:16
-
「あ、あのー藤本さんてホントに恋人いるんですか」
「います」
実体のある方と、そうほう合意の上で交際してます
つーかあなたうたがってたわけ?
「どんな方ですか」
「よっちゃんに伝わるから教えない」
「吉澤さんにはそういうところ知られたくないんですね」
意味ありげだね、石川さん
ミキがよっちゃんとの可能性をわずかでもつなげたいみたいな響きない?
「あのねージンクスだから。だから教えないだけ」
手頃なおもしろストーリー的に飛びついてきて
他人の真面目な恋愛話を嬉しげにニタニタと聞いてくる、うっとうしいしヤツなの
「ジンクスですか」
「よっちゃんに話すと、ダメになる」
「それって…別れたの吉澤さんのせいにしようとしてませんか」
「いーえ、事実です」
- 166 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:16
- 「あと、ですね…吉澤さんと藤本さんは目で会話できるって噂は、本当ですか?」
心当たりってより理由があるけど曲解されそうだし
ヘコむのが特技の石川さんに伝えるのはよそう
「アイツ考えてること分かんないでしょ」
「はい…今も時々……」
「慣れだから」
あとは諦めも大変重要ポイントになります
「ちゃんとデートできるようになったの?」
「おかげさまで最近は、おでかけしたりしてます
吉澤さん歩くの好きみたいで、どこ行ってもすごく歩きますけど」
あーそれよっちゃんなりに石川さんの好みに合わせてるつもりだよ
お互い相手がウォーキング好きと勘違いしてるデート
かなり遠足に近いものになる
ドッチに注意すればイイ?
「楽しー?」
「はい」
じゃあ問題ないか
馬に蹴られるようなヤボはやめとこ
あんな刺身でオイシクいただけるヤツに蹴られるなんてごめんだ
- 167 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:17
- 「まあいろいろあるだろうけど、試練だよ」
「試練ですか」
「石川さんの未来には良いことしかないと思う」
「はい、良い未来が待ってます」
今日は上り調子だね
「石川さんの素晴らしい未来にはなにがあるかね?」
「私の将来に……結婚とか」
あら、意外な展開
ちゃんとよっちゃん捨てる決心はあったんだ
「そーだよね結婚ありだね」
「はい、してみせます」
「みせるって…お相手お決まりで?」
「よ、吉澤さんですよ」
…あーそんな先まで見通してるんだ
真面目なお付き合いなんですね。感心しちゃうな、ミキ
じゃなくってさ
- 168 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:17
- 「知ってた?言ってなかったかもしれないけど。あー見えてよっちゃん女子だよ」
「見て分かりますよ」
そっかぁ、その上での発言か
石川さんは見間違えようない女の子だもんな
敵は手強いぞ
「知ってた?女子はオノコとじゃないと結婚出来ないっぽいよ、この国」
「…私、最近日本にわたってきたんじゃないですよ」
「ハッキリ言ってみるけど、できないよね結婚は」
「気持ちの問題です」
残念ですが結婚は完全な制度の問題です
「そっか、ガンバ」
ミキの諦めの早さはあなたの恋人あってこそ培われたものだから
望んで手にしたんじゃない
「もしかしてミキじゃまだったりする?」
「どうしてですか」
「2人だけで帰りたい?」
「藤本さんだって吉澤さんと帰りたいんですよね」
「いえ、全く」
- 169 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:17
- もうさ…気乗りしないけどさぁ
肩に提げたカバンのサイドポケットに手を突っ込む
手探りで2冊重なる一方のミキの生徒手帳を取り出した
なにをしてるのと訝しげの石川さんに開いて中を見せた
「あっ」
「ミキの恋人。よっちゃんに情報漏らしたら恨むよ」
「だ、大丈夫です」
口にチャック、サムイ動作を真剣にしながら石川さんが頷く
「信じた?」
「はい、本当だったんですね。信じました」
百聞は一見にしかず。ことわざ持ち出す賢いミキ
「お似合いでしょ」
「ええ」
「石川さんの恋人はよっちゃん。よっちゃんの恋人は石川さん。ミキの恋人は?」
「その方」
そうそう分かってんじゃん
- 170 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:18
-
「でさ、これから毎日2人で帰る方向で進めてイイ?」
「あの…藤本さんがいないと帰るまでものすごく時間かかっちゃうんです」
散歩している犬をご覧なさい
シツケは大事なんだよ
飼い主が手綱を引っ張る腕力にかかってるんだよ
「取りあえず、石川さんがよっちゃんちそのまま泊まる日とかはおじゃましないね」
「す、すみません。お気づかいいただいて」
「いいえー」
なんか、アレだね。世界は平和と愛に満ちてるね
重たい梅雨空からミキにだけ晴れ間がのぞいた
- 171 名前:6月の命乞い 投稿日:2005/08/02(火) 11:18
- 6月の命乞い 終了
- 172 名前:まとめ 投稿日:2005/08/02(火) 11:18
- (0^〜^) 不在
川VvV) そでがない
( ^▽^) ふり過ぎ
- 173 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/02(火) 11:19
-
- 174 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 04:10
- ( ^▽^)<恋人 永遠の恋人〜♪
从 v 从<……………
- 175 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/05(金) 10:13
- >>174
なんとなく頭の中で藤本さんが歌ってくれてるんですが…そんな曲?
- 176 名前:水無月ランキング 投稿日:2005/08/05(金) 10:14
- 「マヌケ」
「うるさいなぁ」
「似合ってるよ、笑ってほしいんでしょ」
「イイでしょもー」
「掻いちゃダメだよ」
ほっぺたまで伸びた手が、石川さんの一言でピタリ
人差し指は寂しく空を掻く
「寝てたってのが唯一の救い」
よっちゃん、左のほっぺたの中心が赤く腫れている
出始めた蚊に早くも標的にされ、マヌケさを存分にさらした顔でうちに来た
「で、でも藤本さんならどうしました?」
よっちゃんを起こしに行った石川さんは、その一部始終の目撃者
「叩くよ、思いっきり」
よっちゃんだよ?チャンスだよ?
蚊がどうこう以外の気持ちをこめて、つぶすね
「そんなぁ」
起こすのが目的で出向いたのに
安眠の妨げをおそれ蚊が飛び立つまで見届けた石川さんて絶対ヘン
- 177 名前:水無月ランキング 投稿日:2005/08/05(金) 10:14
- 「藤本さんの恋人だったらどうですか?」
「優しく払う」
「…あー」
その手があったのねと落ち込まれても。普通に考えつくから
「かゆいよー、薬塗ってほしい」
塗りたいじゃないのがコイツの甘え癖なのか、石川さんの甘やかし癖なのか
「もっともしみるヤツ塗れ」
「ダメっ!です。吉澤さんこすって目に入ったら痛いよ」
「痛いのヤダ」
ほっとけほっとけ
「あ、よっちゃん。チッビコらが貼ってるまぁるいシールみたいの貼れよ」
言っても聞かないからって子供が貼られちゃうヤツ
キャラクターとかで子供が喜んでダマされるヤツ
バカっぽさに拍車がかってイイ見栄えになるよ
「あ、そーしよ。石川さん後で薬局いこ」
「うん、行こうね」
…ホントにやるんだ。石川さんソレ許しちゃうんだ
- 178 名前:水無月ランキング 投稿日:2005/08/05(金) 10:14
- 「美貴ちゃん、ノート使いたい」
「まだ」
テーブルを囲みミキ達は今、期末に向けた勉強中
「ちょっとでいーから、返してよ」
「まだだって言ってるでしょ?オマエは集中的に国語を学べ」
「吉澤さん私のじゃダメ?」
鼻にシワ寄せて、よっちゃんは石川さんからノートを受け取る
「あーでも世界史の先生、石川さんのクラスと違う」
「バカ、歴史なんて同じこと書いてあるよ」
「嘘だー」
序列が変化に富んでたら、みんな揃ってお手上げじゃん
「だいたい範囲同じだから大丈夫だよ」
「ホント?」
「本当」
石川さんなら鵜呑みかよ
- 179 名前:水無月ランキング 投稿日:2005/08/05(金) 10:15
- 相変わらずよっちゃんには迷惑してる
毎朝モーニングコール後ウダウダしている首根っこつかまえて登校
誰のおかげで高校生やっていけてると思ってんだ
そんなよっちゃんでも稀に役立つ、テスト前
いくつかの教科はテスト後ノートを任意提出をする
それが平生点に加算され成績に影響していく
基本的に物事を同時に出来ないよっちゃん
授業中にメールしたり内職をする能力がない
よって、せっせと取られるノート
よっちゃんに板書以外も教師の話とか書いておくよう
手懐けたミキの手柄として、完コピ
「吉澤さんて、中間どれくらいだったの?」
「んーとね中の上。石川さんは?」
「私?中の中くらいかな」
中でイイよね。完全に
「藤本さんは?」
「ミキは中の、まぁそこそこ」
「中の下。つーより、下の上」
「オマエが答えるな」
- 180 名前:水無月ランキング 投稿日:2005/08/05(金) 10:15
- 「美貴ちゃんのママなげいてた」
…高望みの高校に入ったせいだ
親同士の話し合いで、勝手によっちゃんも同じ高校を受けると決まった
ヤクビョウ神を蹴落とすためだけ、ランクを下げろとの教師の助言は無視
合格発表で受験番号を見つけた時の達成感
ミキをみくびんなよ!やれば出来てしまうと証明した喜び
束の間『また一緒、一緒』よっちゃんの声で、相殺
正直きつい。定期テストは憂鬱
わからない、どーしてミキがコイツに…
神様の野暮助…
「あたし、美貴ちゃんとテスト勉強しなかったら、もっと成績イイと思うよ」
んーだと、テメェ
「美貴ちゃんがしつこく説明させるから、いっつも範囲おわんない」
ミキのせいにするなんて不届きな
努力が足りてないだけだ、完全に
- 181 名前:水無月ランキング 投稿日:2005/08/05(金) 10:15
-
「納得できないのが多過ぎる」
「あー分かります」
「だよね、だよね、石川さん」
教科書にあるからって素直にそうですかと認めちゃ負け
「そうだ、石川さん進路決まってるの?」
「私は受験します」
「ミキもなんだ」
「おー2人お似合いお似合い」
「だからオマエは国語から学べ。興味ないけど、よっちゃんは?」
「しゅーしょくします」
あ、初耳
「バイト先から社員にしてあげるって言われたの」
「ウソ!どれよ」
「え?3つ言われてるから考え中」
バカだから文句は言わないし、ホントに使い勝手イイのか
- 182 名前:水無月ランキング 投稿日:2005/08/05(金) 10:16
- 「今バイトいくつしてたっけ?」
「5」
「そんなだった?」
「お歳暮お中元の時は、もう2こ」
できるもんだね、バイトって。ヘタなフリーターより労働時間ありそう
「よくやるね」
「石川さんとたくさん遊べない」
「大丈夫だよ、私」
「あんがと。誰のせいだろ?」
誰のせい?
世の中には不思議なことがたくさん起こってるだけでしょ
「イイからほら、勉強するぞ」
目指せ!中ランク
- 183 名前:水無月ランキング 投稿日:2005/08/05(金) 10:16
- 水無月ランキング 終了
- 184 名前:まとめ 投稿日:2005/08/05(金) 10:17
- (0^〜^) 中の上
( ^▽^) 中の中
川VvV) 中の下(希望)
- 185 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/05(金) 10:17
-
- 186 名前:174 投稿日:2005/08/05(金) 12:04
- ( ^▽^)<幼い恋だと思わない〜♪
从 v 从<…十分幼いから
ってかそれ美貴の曲だから
- 187 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/05(金) 12:17
- 三人揃うのが久し振りなような。
やっぱり良い!更新頑張ってください。
- 188 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/08/07(日) 07:00
- てか吉澤さん頭よかったのね。
- 189 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/09(火) 11:06
- >>186
藤本さんにしばかれないようにもっと勉強します
>>187
確かに。ご指摘を受けるまで気付きませんでした
>>188
ある程度までの学力は、素直な方が負けにくい気がしています
- 190 名前:7月も棒読み 投稿日:2005/08/09(火) 11:06
- 「よっちゃん、なにしてんの」
「なにって読書」
「なんで?」
「なんでって、サマーリードウィーク?」
勝手に1人開催中か
「へーなに読んでんの」
「本」
そうだな、映画鑑賞してるヤツに読書って言われたらミキ驚いちゃう
「見て分かんだよ」
「面白い本」
よっちゃんは意外と読書家
昔は音読派だったけど、うるさいから蹴っ飛ばしてるうちに
いつの間にか黙読派に移行した
ミキ、ぐっじょぶ
- 191 名前:7月も棒読み 投稿日:2005/08/09(火) 11:07
- 「オマエ前もそー言ってたな」
「面白いのしか読まないもん」
「頭ワルそ」
「あたしそんなにバカじゃないよ」
「いや、オマエはバカ」
そして人がヒマな時に限って大人しくしてる空気読めないヤツ
「そっかなぁ」
「もっとさ、賢いの読めば」
「美貴ちゃんマンガしか読まないじゃん」
「ミキはもともとの詰まってるものが違い過ぎるからイイの」
「ふーん。あたし悲しい話キライ」
カシコイとカナシイ、5割かぶれば上等
「へーなんで?」
「悲しーことなんか、そこいら辺にいくらでも落っこてるからいーの」
「誰の受け売り?」
「司書さん」
司書さんコイツと会話したんだもんな
こんな脳天気まで悲観に暮れてたら、この世は終わりだと踏んだのだろう
- 192 名前:7月も棒読み 投稿日:2005/08/09(火) 11:07
- 「よっちゃんでも悲しーことあるの?」
「あるよ。美貴ちゃんが朝むかえ来てくんなきゃ悲しいし
石川さんに叱られたら悲しーと思う」
「ミキに叱られるのは?」
「それはいつもだから平気。あとベーグル禁止とか」
「自分で買ってじゃん、禁止できないじゃん」
「前にお母さんに食べちゃダメって言われたのさ」
「なんで」
「家にあると思ってたのが無くなってて、お母さんうたがったら禁止された」
大人げないぞ、お母さん
小腹が空いて、気付かないと思って食べたんだろうな
「家で食べなきゃよかったじゃん」
「だって、ダメって」
そーかそーか
オマエは言いつけだけは守れるコ
- 193 名前:7月も棒読み 投稿日:2005/08/09(火) 11:07
- 「あっそだそだ。あんさ王子様って王様とお妃の子供でしょ?」
この飛びっぷり
頭の中は愉快な夢の国。枯れない花が咲き誇るお花畑
「…じゃないの」
「だよね」
うんうん納得して目線を本に戻す
いやいや、ちょっと待て
「なんでそんな疑問が生まれた?」
「ん?バイト先であたしに王子様ですって言ったコがいたの」
ぷわーとアクビまじりに答えるよっちゃん
あーそれでか
その子に出来るアドバイスは、まずコイツをどっかの王国に連行して
もちろん性別変更の手続きはお忘れなく……
- 194 名前:7月も棒読み 投稿日:2005/08/09(火) 11:08
- 「王子と八王子って割と離れてるよね」
ひとまず現実逃避しよう
「あたし8番地と0番地と思ってた」
疲れるな、ホント疲れるな
「…日常会話に王子様って単語が出てくる人間と目を合わせるな」
「どして?キケンなの?」
「キケンなの」
絶対危ない
物陰で思い詰めた顔した石川さんがちらつくイメージがキケン
「わかった」
「そのコとは話すな」
その事は話すな(石川さんに)
「今日石川さんは?」
「んー、用事があんだって」
「きっとデートだよ」
「美貴ちゃん今日デート行かないの?」
オマエにコミュニケーション能力は備わったないな
- 195 名前:7月も棒読み 投稿日:2005/08/09(火) 11:08
- 「石川さんひと夏のアバンチュールで新恋人あらわる、じゃないの?」
「気温が何度になったら夏?」
聞こえてますかぁ?
「ひと夏のアバンチュールで新恋人あらわる」
言い切ってみる
「ひと夏ってすぐ終わる」
「意外と保つんだよ」
「夏はダメになるからゆで玉子は持ってくなってお母さん言ってた」
「…あーもう。ミキなんだか悲しい」
「あらー」
「石川さんもきっと悲しい」
「じゃああたしも悲しい」
その便乗には絶対許可を下ろさない
「ダメだっ!悲しいが悲しむから、よっちゃんは悲しいを語るな」
「あ、はーい」
「オマエは幸せだなー」
「はい、悲しいことなんか世界に1つもありません」
「そーだ」
オマエは人々の悲しみ製造器だけどな
- 196 名前:7月も棒読み 投稿日:2005/08/09(火) 11:08
- 7月も棒読み 終了
- 197 名前:まとめ 投稿日:2005/08/09(火) 11:09
- ( ^▽^) 不在
(0^〜^) 喜びの1日
川VvV) 悲しみの2日
- 198 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/09(火) 11:09
-
- 199 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/09(火) 18:34
- よっちゃんに癒される。最後のセリフが言えたら幸せだろうな。
- 200 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/12(金) 11:24
- >>199
確かに幸せそうです、吉澤さんは
- 201 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:24
- 来たか、この時が
心臓なら胸が。脳なら頭が。臓器なら胃が
心が宿ってるとこらへんの過重
テスト休み中に答案返却で登校日
暑いのに、返ってこなくて構わないブツを受け取りにわざわざ御足労
気利かせろ。回答編つけて郵送しやがれ
でも今日は…負担メインイベントはココから
「いくぞ、よっちゃん」
「ほーい」
コイツのかるさに更に気が重くなる
休み時間は悩みの種を教室のカーテンの中に隔離した
隠し通した。その辺のミキの大変な苦労は配慮されるよね
「早くいこーよ」
カバンを引っ張るなバカ
心の準備と、ちみつな作戦がこんな時ものを言うんだ
- 202 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:24
- 「バカ、よっちゃん聞け」
「はい?」
「まずはだな、ミキの後にかくれてろ」
「あたしが?」
「他に隠すもんあるか、バカ」
「かくれるの?美貴ちゃんの後に?」
「そーだっつってんでしょ、バカ」
「でも美貴ちゃん小っさい」
「バカ、かがめ」
ミキの肩に手をのせ、言われた通りの姿勢をとるよっちゃん
はい、ソコの名前の知らない同級生
ミキ達に不審な目を向けないよーに。コッチはコッチで大変なの
分かるよ、ヘンでしょ。知ってる
「登場の仕方がカギだからね」
「ジャーンて飛び出すのね」
「ちげーよ、バカ」
「今日バカって言い過ぎ」
少なくても毎日心の中で叫んでる
- 203 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:25
- 「ミキが会話で気を引きつけるから、こーちょっとずつ
ちょっとずつ、自然に姿をあらわせ」
「それ、自然?」
たまにまともに頭回すな
「あ、あの2人とも…」
「あー石川さん、ちょうど良かった」
「石川さん、かーえろ」
ミキの陰から手だけ見せて振るよっちゃん
よし、その調子
「藤本さん、なんの練習ですか?」
「練習?」
「なんらかの新しい競技ですか?」
「こ、コレね。まーソレ的な、そーでもないみたいな」
まぁまぁと促して歩き始める
左に石川さん。右に顔を隠すよっちゃん
「いやー石川さん、暑くて困りますねぇ」
「そ、そうですね」
「夏休み、いかがお過ごしになるご予定ですか」
- 204 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:25
- 「はいはい、あたしと遊び行く」
バカ、勝手に口はさむな
「あの、藤本さんキャラおかしいし、吉澤さんどうして後にくっついてるの?」
どんぴしゃで核心をつく
お手上げだ。下手な細工は止めるよ
「石川さん、すまない」
「な、なんですか」
「よっちゃんを傷物にしてしまった」
緊張の一瞬
背中から引っぺがしたよっちゃんを石川さんに示す
緊張感の欠片もない脳天気は、間近にいる石川さんに犬のシッポみたいな手を振る
いつもと違うのは、その顔右側を覆うでっかいガーゼ
「あ、吉澤さんこんなにひどかったの?」
「えっ知ってたの?」
「はい」
「テメー昨日だまっとけって言っただろっ!」
首元をつかんで揺する。脳みそ徹底的にシェイクさせろ
- 205 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:25
- 「ちがうちがう」
無実を訴えるごとく、よっちゃんがビュンビュン首を振る
振られてるのに振る。どうなろうがミキに責任はない
「吉澤さんに聞いたんじゃないです」
あ、そうなの
手を放したらよっちゃんの目がグルグルしていた
「友達が吉澤さんケガしてるって、休み時間見に行ったんですけど
カーテンと戯れてたから大丈夫なんだと思いました」
「だいじょぶよ」
そうそう、大丈夫
ケガはしたけど、傷はきっとペリッと脱皮するから
セミのヌケガラみたいに落ちてるのをミキが見つけたなら
粗品としてお送りしますのでご笑納下さい
- 206 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:25
- 「どうしたの?」
優しくガーゼの端っこをなぞる指
「ころんじゃった」
「吉澤さん運動神経あるのに…痛い?」
だね、だけはあるね
「痛かった。あんね、美貴ちゃんがね――」
ストーップ
口を塞ぐ。説明はミキに任せろ
「ミキとぶつかってさ、運ワルく荷物で手ふさがってて。ね、よっちゃん」
「んーまぁそだね」
「そっかぁ、大変だったね」
あっぶね
細心の注意を払わないと。石川さんよっちゃん絡みだとヤーな殺気だすじゃん
石川さんに詳細は伝えない
「昨日?」
「うん、石川さんちの帰り」
- 207 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:26
- 昨日。よっちゃんは石川さん、ミキは恋人とデート
恋人と焼き肉で夕食をすませて、別れた帰り道
たまたまチャリじゃなかった
好きな人と好きな物食べて。テンションあがるじゃん
商店街の通り。たまたま見つけた石川さんち帰りのよっちゃんの後ろ姿
後ろ手にお母さんに頼まれた買い物袋を持ってた
見て分かったよ、そんなの
何度だって言うけどテンションあがってたの
お茶目さんのミキは、どうやって驚かすか深慮
インパクト勝負じゃん?
決めた。走った
得意のね、とび蹴りを
最近石川さんの手前自粛してて、感が鈍ってたってゆーか
いやー案外助走とれたね。トップスピード?
買い物袋はつぶせないし、いつもより高く飛んだね
んがってうめいたよっちゃんの上体が勢いよく折れた
さすがにヤバイって感触が靴底からした
よっちゃんは、手をつく間もなくズザーと
アスファルトがおろしがね。右の頬がまぁ大根だね
偶然と心づかいが、良くない結果を導き出した悲運の事件
- 208 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:26
- 「ごめんね」
「石川さんワルくない」
「そーだよ、ころんだのよっちゃんだもん」
ミキも推定無罪で
「お母さん驚いてたでしょ」
「んー普通に溜息ついてた」
ミキは、面倒かけてごめんねと謝られた
よっちゃんの近くにいると、どうしても
骨身に沁み付いた公式。トラブル=原因よっちゃん
「石川さんごめんね」
石川さんには謝るべきだよね
「あ、美貴ちゃんが謝るなんて貴重」
「うっさい。石川さんのモノの管理に手落ちがありました」
「モノ、だなんて」
「モノだよ。権利をショウアクした以上」
「け、権利?」
大半がすでに石川さんにジョウトされてるんだよ
断る権利はミキの権限でなしとします
- 209 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:26
- 「資産価値ゼロだけど、あらゆる価値がゼロだけど石川さんのだから」
ミキ、負債は抱えられないんで
マイナスと口に出さないのが心ばかりの優しさ
「傷物ですが今後ともヨロシクしてやってください」
口開けて聞き入っていたよっちゃんの頭を無理矢理つかんで下げる
「ヨロシクおねがいします」
ヘラヘラ笑って顔をあげたよっちゃん
「はい、おねがいします」
石川さんはどう突き詰めたって解せない、幸せそうな顔で見つめた
- 210 名前:文月スクラッチ 投稿日:2005/08/12(金) 11:27
- 文月スクラッチ 終了
- 211 名前:まとめ 投稿日:2005/08/12(金) 11:27
- 川VvV) 気で気を病む
(0^〜^) 気褄を合わす
( ^▽^) 気疎い
- 212 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/12(金) 11:28
-
- 213 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/12(金) 20:33
- 幸せですね。たぶん。相当。
- 214 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/13(土) 22:32
- 幸せですか?
byセクシー8
- 215 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/16(火) 10:45
- >>213
ですよね、かなり
>>214
SO HOW MUCH DO YOU LOVE ME? byセクシー8。みたいな
- 216 名前:8月に徒人 投稿日:2005/08/16(火) 10:45
- 「うちはデートスポットじゃないの」
ベットに寄りかかったよっちゃん。に、寄りかかった石川さん
2人して似たようなきょとん顔でミキを見る
「ほか行けよ」
「だって暑い」
クーラーの利いててもよっちゃん顔が赤い。右頬が生まれたての薄皮で赤い
「自分ちにいればイイでしょ」
密着度のせいだろ、暑苦し
恋人同士はベタベタしとくもんだと思ってそうで怖い
「ほら、あたしんちと、美貴ちゃんちでクーラーかけてるより
1カ所にしぼった方が地球に優しいよ」
「わー吉澤さんエコ」
「でしょ」
石川さん拍手してる場合じゃないんだよ
地球の前にまず、ミキに優しくなれ
「どっかでかけよーよ」
「暑いってオマエが言ったばっかじゃん」
「だから涼しートコ」
「2人で行け」
- 217 名前:8月に徒人 投稿日:2005/08/16(火) 10:45
- 「石川さん夏と言えば?」
「え、海?」
石川さん、よっちゃんの問答に付き合うべきじゃないよ
「海行きたい?」
「日焼けはちょっと…」
「石川さん夏と言えば?」
「え、花火?」
「花火しよー」
「夜じゃねーし、お母さんに禁止されてるでしょ」
火を見ると普段以上はしゃぐよっちゃん
ネズミ花火を蹴ろうとしてサンダルに挟んでヤケド。噴水も打ち上げも必ず人に向ける
ロケットはうるさいからダメって言われた側から点火
挙げ句の果て、火事おこしかけて禁止
野生動物が火を恐れるって嘘かもしれない
「そうなの?じゃあ見に行こうね」
「うん、いこー」
あー石川さんイイの?人混みとソイツの組み合わせは手強いよ
- 218 名前:8月に徒人 投稿日:2005/08/16(火) 10:49
- 「石川さん、夏と言えば?」
「え、まだ。うんとプール?」
「プールいこー、美貴ちゃんもいこー」
「断る」
「だいじょぶ美貴ちゃん。人の価値はむ――」
キーーック
皆まで言わせない。立っていたからサッカーボールキック
肋骨を強襲。石川さんの肩に顔を埋め咽せる
「きっとよっちゃん、やらしー目になるから止めときな」
窮屈な姿勢で労る石川さん。ダメでしょ気にしてること言ったら、と小声で諫める
過ぎた心配り、かたじけなし
たくさー長居するなら活用するぞ
「石川さん、プリント持ってきたんでしょ?かたしちゃお」
「は、はい」
腕の中から這い出てスクールバックから宿題を取り出す
私服だけどスクールバックなのは見過ごすね
- 219 名前:8月に徒人 投稿日:2005/08/16(火) 10:49
- 「不満そうな顔してないで、よっちゃんもやれよ」
「持ってきてないもん」
「家から取ってこい」
「ヤ。夏の風物詩を大事にしたいの」
「なんだそれ。んなもんない」
「ヤダヤダ。夏越せない」
そんな夏、終わらない方がマシ
脳みそ溶けるまで、熱射にやられてしまえ
「分かった。ミキのをやれ」
「ほーい、石川さん一緒やろう」
まーでも
鋏とかさ、使いようってヤツだ
- 220 名前:8月に徒人 投稿日:2005/08/16(火) 10:50
- 8月に徒人 終了
- 221 名前:まとめ 投稿日:2005/08/16(火) 10:50
- (0^〜^) 地球に優しい人
( ^▽^) 吉澤さんに優しい人
川VvV) きっと優しい人
- 222 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/16(火) 10:50
-
- 223 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/16(火) 12:53
- 85年組大好きだぁ・・・
(´Д`)<んぁ?ごとーは?
- 224 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 10:32
- >>223
85年組好きですけど、後藤さん常識人のイメージがありまして…
- 225 名前:葉月ウエスト 投稿日:2005/08/19(金) 10:32
- 「美貴ちゃーん、オミヤゲ」
「石川さん久し振り」
「ご無沙汰してました」
「オミヤゲオミヤゲ」
「海でも行ってきたの?」
「い、いえ。違います」
「オミヤゲオミヤゲ」
「じゃー川?」
「いえ、あの」
「無視しないで」
間に入ってがさがさ紙袋を押しつけてくるよっちゃんを毅然とした態度でもって、スルー
「分かった、山だ。ハイキングでしょ」
「…藤本さん屋外にこだわり過ぎです」
夏休みで石川さんを見る期間が空いてたわけよ
室内労働に勤しむよっちゃんは夏だってのに不健康な色素のまま
こー対比として、ね
「…思ってることハッキリ言ってください」
「…石川さんの肌色が若干、明度を落とした気がしなくもないかなーと」
「…表現方法に気配りはいりません……」
- 226 名前:葉月ウエスト 投稿日:2005/08/19(金) 10:33
- 「ねーねーオミヤゲ」
よし、よっちゃん。無邪気に話題をぶった切れ
今だけオマエの欠点としての無邪気も、長所としてやる
「おーなにコレ」
「ほい、開けて開けて」
脇目もふらず紙袋を破く
ミキの興味はすべてこちらに移ってますと石川さんにアピールを兼ねる
「…なんだコレ」
「美貴ちゃんしんないの?」
中から出てきたのは、手の平サイズの
「マンボー」
のヌイグルミ。いらねー
「かーいーっしょ、飾ってね」
「ヤ」
無理。ミキの小洒落たお部屋の和を乱す
しかも薄べったいから立てかけないと小人さんのクッションでしかない
「なーんでよ、マンボーかーいーのに」
「すいません。吉澤さんマンボウお気に入りで」
フォローする役回りを得て石川さん闇からご帰還
- 227 名前:葉月ウエスト 投稿日:2005/08/19(金) 10:33
- 「マンボー」
「うん、マンボウね」
石川さんはよっちゃんをかなり低年齢に設定してかかる
「マンボー」
「うん、分かったよ」
「マンボー」
「……ボ?ウ?」
コイツラ独自のペースで奇跡のツッコミなし会話が成立してる
「ウ」
「ウナギ」
「ギ……」
しりとり好きだねよっちゃん。楽しめる年齢ってあると思うんだ
そして早速つまってるし
「ギンチャク」
…ギンチャク?
よっちゃんにフトコロの深い石川さんもってしても言葉に詰まった
「ギンチャク。あのね、イソにいるヤツ」
…ズルしてんじゃん、しりとり界を揺るがす不正行為だろ
「あー…クジラ」
石川さん納得しないで注意しないと
その情けがどんどんコイツをのさばらせ、腐らせる
- 228 名前:葉月ウエスト 投稿日:2005/08/19(金) 10:33
- 「ラッコ」
「ラッコは海の上だから吉澤さんの負け」
「潜ってたから海の生き物だよ」
「魚じゃないもん」
意外に石川さん勝負にこだわるね。負けるつもりは毛頭ないね
ちょっと引っかかったのは、どの時点で魚でってルールが?
例えね、決まってたんだとしてもだよ
すでに怪しいのあったよね…
「でね、美貴ちゃん。マンボーの水槽の中って透明なカーテンあるんだよ」
よっちゃんは敗北宣言を忘却の彼方に
「へー」
「ゆっくり泳いでた」
「へー」
「美貴ちゃんも行きたかった?」
「全然。石川さん、よっちゃんどれくらいマンボーにまっしぐらだったの?」
「1時間強ですかね」
あなたも、よくそれに付き合えるね
あらゆる意味で、よく付き合えるね
- 229 名前:葉月ウエスト 投稿日:2005/08/19(金) 10:34
- 「吉澤さんどーしてもオミヤゲそれにするってきかなくて」
石川さんもどーかなってのは思ったんだ
安心した
「美貴ちゃん嬉しくない?」
「嬉しくない」
「なんでさぁーどんなのなら嬉しかった?」
「肉」
「ダメだよ、マンボー食べちゃ」
「あ、でもマンボウって食べれるらしいよ」
「石川さんまで食べようとしないでよ」
「私は食べないけど、テレビで見たんだもん」
一応断っておくけど、マンボー食べたいわけじゃないからミキ
数時間前に数時間も眺めていたマンボーが何人前だったのか
真剣に論じ始めた2人は、猛暑の犠牲者かもしれない
知人として、そうであれと願わずにいられない
- 230 名前:葉月ウエスト 投稿日:2005/08/19(金) 10:34
- 葉月ウエスト 終了
- 231 名前:まとめ 投稿日:2005/08/19(金) 10:34
- (0^〜^) きらい
( ^▽^) まけずぎらい
川VvV) くわずぎらい
- 232 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 10:34
-
- 233 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/21(日) 09:42
- たまらなくおもしれーでっす♪
- 234 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/23(火) 11:00
- >>233
ありがたいです
- 235 名前:9月から御中元 投稿日:2005/08/23(火) 11:00
- 夏休み明け初日
バカ幼馴染みは諸事情により1人ロスタイム突入
1年で1番穏やかな学校生活が約束された1週間
朝から一切のムダな消費を抑えているから、最高に気分がイイ
なのに今目の前には迷える子羊
「昨日吉澤さんが急に来て、コレ渡してすぐ帰ったんです」
石川さんが小鳥を包むかのように怯えた手つきで両手にのせてる箱
「…開けてみて」
そーっと慎重にフタが開かれると予想通りの煌めくブツ
「取りあえずはめてみよ」
薬指にすっと納まる
「ぴったりです」
「あんま嬉しそうじゃないね?」
「う、嬉しいですけど…コレ」
「結構…アレだろうね」
「やっぱり…アレですよね」
夜店じゃ見れないクオリティ。はっただろうな
「まあ…悩んでもアレだし、帰り行こうよ」
「はい。でも迷惑じゃないですかね?」
「迷惑の意味を知ってたらあんな生き方は出来ないよ」
- 236 名前:9月から御中元 投稿日:2005/08/23(火) 11:01
-
「で、よっちゃん。なに記念に贈ったの?」
本を広げてレポート書き中のよっちゃんが手を止める
「え?石川さんソレ違かった?」
「ううん。前イイなって言ったやつだよ」
「サイズ合わない?」
「ううん。ぴったり」
「なんでもイイけどいくらだよ」
ハッキリさせろ。ミキの下世話な探求心を満たせ
「8万くらい」
「「はちまんっ!」」
「うん」
た、高いよね。
たかが高校生のファッションリングに、8の横にゼロ4つだよ
ミキはゼロ1つでもよっちゃんなら拒む
前から目をつけてる最高級神戸ビーフがキロ約2万だったから、4キロ
4キロといえば、新生児くらいでしょ
アノ石川さんの指には成分神戸牛の新生児がとまってる
…いやいや、平静に、ミキ
金額に動揺して、想像力豊かになってるぞ。食すところまで浮かぶ前に自主規制
- 237 名前:9月から御中元 投稿日:2005/08/23(火) 11:01
- 「…そんなぁ貰えないよ」
うそ?ヤッホーイっと小躍りしちゃいなよ
ミキならする
牛の方が喜ばしくてもする。いざとなれば牛にするからする
「あんね。貯金が取りあえず目標額いったから還元」
「で、でも」
「いんないならサイズ合う人にあげて」
コイツの辞書にデリカシーの文字はない
だったら貰っとけ、石川さんに目で告げる
不安は抱えたまま、なんとか石川さんは頷いた
「取りあえずっていくらよ?」
「美貴ちゃんには言わない」
「なんでだよ」
「だって怖いじゃん」
ミキはね、確かにアンタをぞんざいに扱うこともあるよ
いや、基本ぞんざいだよ
ソコは認める。けど、法は遵守して真面目に生きてんだよ
「ミキにカツアゲされたことでもあんのか」
- 238 名前:9月から御中元 投稿日:2005/08/23(火) 11:01
- 石川さん石川さん
さり気なくよっちゃんの方に後ずさらない、想像しない
「小学校の時あたしが500円拾って、駄菓子屋いったら
ほとんど美貴ちゃんが使っちゃったじゃん」
うわー…覚えてないけど
覚えてないけど、すると思う
「そ、それは拾ったから元々よっちゃんのじゃないじゃん」
「あ。そっか」
「そーだよ。人聞きワルイ」
バカ相手で助かった
「ねー石川さん。失礼なこと言ったら謝るべきだよね?」
「へっ?え、えっと…」
眉間に力を集中した笑顔で問いかける
「…はい」
愛は脆い
「謝れ、よっちゃん」
「はい。ごめんなさい」
あっさり。分かってるけど、手応えがない
ジワジワいたぶるとか向かないよな
- 239 名前:9月から御中元 投稿日:2005/08/23(火) 11:02
- 「で、いくら貯まったの」
「100万」
「「ひゃくまん!!」」
「うん。だからね税率より上で、末広がり」
発想の不可解さはどうでもイイ
「オマエさ月収いくら?」
「んー学校ある時は10万はいかないくらい」
毎月おいしいお肉食べたい放題じゃん
「でもさ、だとすると遅くない?」
高校生になってわりとすぐバイトしだしたよな
「んーお母さん達勝手に旅行とかに使うんだもん」
あ〜あ…趣味と実益を兼ねた逃避行の財源はココね
親孝行の感動エピソード。なのに胸にウズ巻く、割り切れなさ
「…よっちゃんほしいもの買ったの?」
「え?ベーグル買ってるよ」
よっちゃんがちょっとだけ可哀相なコに見えた
- 240 名前:9月から御中元 投稿日:2005/08/23(火) 11:02
- 「吉澤さんは100万円貯めるためにたくさんバイトしてたんだ」
あ、石川さん。ソコはつめない方向で
「違うよ」
「違うの?」
追求するなって
「美貴ちゃんがね、バイト始めてすぐ合わないってさ」
よっちゃん、黙ってなさい。いつものようにぼんやりスルーしちゃいなさい
「仕事覚えた頃に辞めたがるのさ。迷惑じゃん」
…忍耐力がないとかじゃないから
「あたしが代わりに行けって」
ちゃんとアレよ。履歴書つけて送り出してあげるんだからね
バイト先の人に迷惑かなって頭は回るんだよ
「ふ、藤本さん…」
「分かったハッキリ言う。派遣社員なの、ミキのトコの」
「へ、へー」
そうしとこ。お金貯まって良かったじゃん
だからさ
- 241 名前:9月から御中元 投稿日:2005/08/23(火) 11:02
- 「ミキにも還元しろ」
「イイよ。なにほしいの」
ホント手応えないな
「お米券的な、お肉券的な物希望」
「んなのあるの?」
「知らない。面倒だから現金で可」
「石川さん、助けて。現金要求だよ。誘拐付きだったら身代金だよ」
物なら良くて現金は不可?
日本人的の美意識か?キャッシュでかたつけろよ
「は、はい」
縋られて石川さん挙手
はい、じゃー意見を陳べよ
「あ、あの。もう少しこう、オープン価格的な物だと吉澤さんは有難いみたいです」
ギフト包装は値札取りますみたいな話か
まぁいいや
「わかった、焼き肉行くぞ」
生から焼くのから全部。値段見ないで存分に頼んでやる
後悔させてやる
「今からですか」
「今からです。よっちゃん財布忘れずに持てよ」
「えー肉ヤダ、肉キライ」
「オマエの意見は聞こえない」
- 242 名前:9月から御中元 投稿日:2005/08/23(火) 11:03
- 9月から御中元 終了
- 243 名前:まとめ 投稿日:2005/08/23(火) 11:03
- (0^〜^) 92%(食前)
( ^▽^) 8%
川VvV) ビーフ換算
- 244 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/23(火) 11:03
-
- 245 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/23(火) 16:42
- 相変わらずツボにはまる話を
アリガトウゴザイマス!!
頑張ってください(^o^)
- 246 名前:そーせき 投稿日:2005/08/23(火) 21:43
- 「7月は棒読み」以来、よしざーさんは哲学者で仙人だと思ってます。
素晴らしいお人柄だ!
- 247 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/25(木) 07:36
- 食後に何パーセントになるのか……
やばい、よっすぃが人格者に見えてきました!(笑)
- 248 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/26(金) 00:10
- はぁっっっ。今回も面白かった・・・。
次を楽しみにお待ちしております。
- 249 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/26(金) 11:41
- >>245
ありがとうございます。あと少し頑張ります
>>246
そんなこと言われると、吉澤さんが深みのある人に見えてきました
>>247
肉食藤本さんですからね。想像を絶するかと
>>248
ありがとうございます。楽しいと嬉しい
- 250 名前:長月ステイ 投稿日:2005/08/26(金) 11:41
- 1時限目は英語。隣の席を見て確認
あら、プリント?
プリント、プリント…
やばっ宿題!
昨日そっこーデート行ったから忘れてた
配られた時のまま、教科書にはさまれたプリント
英語教師うるさいんだよな
窓際で鋭い日差しに負けず突っ伏したよっちゃんが目に入る
アイツ昨日石川さん来てたから宿題やってるかも
取り急ぎ尋ねに出向く
「よっちゃんプリントやった?」
- 251 名前:長月ステイ 投稿日:2005/08/26(金) 11:42
- 上瞼を閉じたまま気だるげにのんびり2度、瞬き
「貸して」
今度は1回だけ
教室でよっちゃんはほとんど声を出さない
目で会話するって言われたりもするけど、以心伝心なんかじゃないから
Yesは2回、Noは1回
レベルの低いよっちゃんの会話。話す相手のミキ
『会話が成立してるのは2人が同じレベルだから』はい、ココ落とし穴
園児と保育士だって会話は出来るわけ。はい、ココ重要
なのに同級生となると勘違いも発生するんだよ
そうなったらミキの人格に及ぶ被害は計り知れない
肝心なのは未然に防ぐこと
「ミキ困ってるの」
早く出せよ、リミット6分
首を振りながら机の上で組んだ腕にかえっていく
コイツの片意地ポイントは昔っからずれてる
教室じゃなきゃ髪つかんで起動してない脳を叩き起こすのに
- 252 名前:長月ステイ 投稿日:2005/08/26(金) 11:42
- こういう時は。急いでケイタイを開く
「石川さん、おはよ」
『お、おはようございます…さっき会いましたよね』
「だね。昨日よっちゃんと英語の宿題やった?」
『しました』
「ミキ忘れててね。よっちゃんにミキに見せるよー言って」
『え、見せてあげってってですか?』
「そーそー。今替わるから」
上になってる左耳にケイタイを押し当てる
叶うなら頭がい骨まで、ひびけ
うっとうしそうに払う手が、石川さんの声に反応して止まる
うん、うん。返しながら、ごそごそ机の中を探るよっちゃんの手
ミキに見向きもしないままプリントをかかげた
ゲット
引ったくって席に戻った
もー3分しかないじゃん
ケイタイ引ったくってくるの忘れた
3分ぶんの通話料きっちり回すからな
- 253 名前:長月ステイ 投稿日:2005/08/26(金) 11:42
-
鼻歌まじりの家路。1人なら歩くのもワルくない
今朝の石川さんはちょっと見物だったな…
チャリで風を切っていたら前方をフラフラ行く後ろ姿
家出をするとしか思えないパンパンのバックを下げてた
いつもより遅いねと声をかけたら『はい、荷物が多くて』と
ダメだよね、歩行速度に影響ある荷物持って満員電車乗っちゃ
今日はよっちゃんちにお泊まりだと
なん泊だよみたいな。いっそ住み込んでくれると何かと助かるんだけど
あー傘ってジャマ
チャリのらないと足がなまるしな。明日は晴れろよ
ぼんやりしたまま十字路を右折して、広がれる光景に溜息を吐いた
ミキんちより手前の家
軒先に落ちてる水色の開いた傘
- 254 名前:長月ステイ 投稿日:2005/08/26(金) 11:43
- 「…なーにしたんだよ」
今日はもう顔見ないでイイ予定だったのに
「あ、お帰りなさい」
傘が傾くと見上げてくるよっちゃんが笑った
隣の石川さんは頭を下げる
制服のまま2人して膝を抱えてしゃがんでる
「石川さん今日アリガトね。こんな雨の中捜し物?」
「雨脚見学。美貴ちゃんも見てみ。雨ちょう速いから」
「オマエに聞いてないんだけど。石川さんスカートぬれちゃってるよ」
「あ、でも着替えありますから」
うん、でも制服がぬれたらダメじゃん
考えよ、乙女なんだから
「石川さん着替えてきなさい、今すぐ」
「は、はい」
命令に慌てて家の中に駈けて行った
- 255 名前:長月ステイ 投稿日:2005/08/26(金) 11:43
- 「ねぇねぇ美貴ちゃん。あたしは」
傘に1人取り残されたバカは期待あふれる笑顔
「オマエはイイ、なんでも」
「あーズリィ」
ヘラヘラ笑って傘の柄を回して遊び始めた
雨粒がコッチに飛ぶのなんかお構いなし
蹴飛ばそうとしていたら目に留まった、よっちゃんの手
「よっちゃん、ツメ」
「ツメ?」
「ツメ」
「えっ?ツメ。メ、メダカ?」
オマエはホントしりとり好きだな。ミキはのらないから
「のびてる」
「うん。吉澤さんちのツメ切り、ゆくえふめーなの」
「…ダメじゃん」
「石川さんにも切ればって言われた」
そりゃ、ねぇ。なにがって、ねぇー
ちょっとばっかり生々しくって、ねぇー
- 256 名前:長月ステイ 投稿日:2005/08/26(金) 11:43
- 「うち来なよ、貸してやるから」
「おー美貴ちゃんさんは親切」
「はいはい」
「ね、知ってた?」
「はあ?なにを」
「あたしね足の爪自分で切れないの」
バカまた期待あふれる笑顔を向ける
そんなサービスを受けられると信じて疑わない瞳
「残念だね。ほら行くぞ」
どーしてミキがそんなトコまで気をつかわなきゃならない
バカか?このバカは
「切ってよ、切ってよ」
「お断り」
「あ、どこ行くの?」
玄関から出てきた石川さん
ぐっとタイミングなのか逆なのか
着替えるの早すぎ。あと学校指定ジャージはどーかと
「石川さん、すぐ戻るからちょっとコイツ貸して」
「は、はい」
「ツメ切ってくるねー」
…バカ
雨のカーテンの向側で、不思議そうに石川さんが手を振った
よっちゃんもニコニコと傘を持ってる方の手で振って応えた
雨ざらし。カゼなんかひけそうもない
- 257 名前:長月ステイ 投稿日:2005/08/26(金) 11:44
- 長月ステイ 終了
- 258 名前:まとめ 投稿日:2005/08/26(金) 11:45
- ( ^▽^) オオニモツ
川VvV) ツメ
(0^〜^) メダカ
- 259 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/26(金) 11:45
-
- 260 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/26(金) 17:48
- 相合い傘だー!美勇伝の曲よく絡んできますね。
- 261 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/26(金) 21:09
- まとめで吹いた
- 262 名前:そーせき 投稿日:2005/08/26(金) 21:33
- あっしも割としりとり好きなんすよ。楽しいですよね♪
- 263 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/30(火) 11:19
- >>260
ホントだ、知らなかった。…嘘です
2ndは諦めました。気付いてもらって、ちょっと嬉しい
>>261
ちょっと苦しくてもまとめてきた甲斐がありました
>>262
荒んでいるて出来るものじゃないです。しりとり愛好家にワルイ人間はいません
- 264 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:20
- 始まりはよっちゃんの一言
『だって、滅多にないチャンスじゃん』
ダブルデートがしたいがため、のほほんと言い放った
『いつか別れるつもりなんだ…』
負に引っ張る力を発揮して、石川さんがここぞとばかりに落ち込んだ
学校の廊下でも構わず、崩れ落ち床に手を付き悲劇を表す石川さん
隣にミキの瞬殺キックで、うつ伏せでのびたよっちゃん
他の生徒が見えないことにして通り過ぎていった
陰を引きずったままの石川さんと3人で映画館へ
デートだったらしいけどそんな状態で2人なんて気まずいでしょ?
立ち直って欲しい
ただ暇だったからだなんて思わないで
「美貴ちゃんはなに見たいの?」
「空いてそうなヤツ」
取り合えずオシャレなラブストーリーは避けるのが妥当
「ヤダヤダ話題作っ!あ、映画でデートだからポップコーン買ってくる」
「いけいけ。券買っといてあげるから」
「あ、おごりだ」
「ちげーよ」
ぴょこぴょこ跳ねながらよっちゃんが売店に走っていく
- 265 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:20
-
「取りあえず列ならぼ」
「…はい」
「あのさ石川さん。よっちゃんが言ったのは、ミキが今までの人と
あんまり長続きしなかったからで。あの、深い意味はないから」
なにが悲しくて自分を落としてフォローしなきゃなんないんだろ
「…はい」
「バカだから、いったん好きになったらキライになる方法知らないと思うよ」
石川さんはただ力なく頷いた
「石川さん学生証貸して。学生3枚」
受け取った石川さんのと、ミキのバックから出した3人分を提示した
「あの、いつ吉澤さんの学生証預かったんですか?」
「アイツ無くすからミキが持ってるの」
「…そうなんですか」
中学の時からよっちゃんのお母さんに頼まれてそうしてるけどやっぱり変だよね
「端にパンチして首から下げとこーか」
あ、今石川さんパンチって拳の方想像した、絶対
ビックってしたもん
- 266 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:21
-
その後よっちゃんちへ
映画つまんなかった。疲れた
「よっちゃん6千円」
「はーい」
計算面倒だから学割制度廃止
「そーだ石川さん、よっちゃんの生徒手帳と学生証あずけてイイ?」
「えっ?でも」
「問題ないでしょ、よっちゃん?」
「うん。おねがい」
「じゃあ…はい」
受け取ると、それはそれは大事そうに一度胸に抱き
覚悟を決めた神妙な顔で、カバンにしまった
「悪用しないでね、美貴ちゃんみたいに」
「いつした、そんなこと」
「前に食い逃げの時使ったじゃん」
「それは悲しい偶然の重なり」
前の恋人とファミレスに行ったとき
たまたまよっちゃんの生徒手帳を置き忘れた。なぜだか
帰り際2人してトイレに寄って、たまたまお互い支払い済と思いこんで
混雑に紛れて帰ってきちゃったってだけの話じゃん
「お巡りさんから電話あったんだよ」
「…」
「先生とお母さんと謝り行ったんだよ」
「よっちゃんだったから、うっかりで済んだんでしょ」
ミキだったら計画的犯行になってしまう。店員が顔覚えてなくて助かった
- 267 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:21
- あら?石川さん?
なんか、ワナワナしてるよ、大丈夫?
首折れる寸前って感じまで曲げていたくない?
突っ立ったまんまのよっちゃんもマヌケな顔して見守っている
「守りますっ!私が全力で吉澤さんを守りますから」
頭を跳ねあげ
胸の前に右拳を掲げ唐突に決意表明
あ、あのね
この平和な日本で敵が現れる確率低いじゃない?
ミキとしては、是非
よっちゃんの起こす迷惑撲滅に尽力してほしい
「吉澤さん。信じて、私のこと」
「う、うん。信じてる」
さすがのよっちゃんでも引いてるし
構わず、その手をヒッシと握りしめに行く石川さん
なーんかヘンなドラマ始まった
「頑張るから」
よっちゃんと見つめ合う。水分量豊富な石川さんの瞳が光る
「ありゃ?」
よっちゃんが脈略もなくマヌケた声を零し不思議顔で頭を傾げた
- 268 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:21
- 「吉澤さん?どうかした?」
「ん?んー、ありゃなんだ?」
「どうしたの?大丈夫?」
どうかそんなのは2人っきりの密室だけで
石川さーん、近いよ、顔近いですよ
「う、うわぁ」
バカが雄叫びをあげ、今度はのけ反った
「吉澤さんっ!!」
「ヤバッ!なんか……」
「ねえっどうしたの!」
胸を押さえたよっちゃんが膝からグラッと崩れ落ちた
あ、マジなわけ?
「おい、よっちゃん?」
「吉澤さんっ!どうしたの、どこが痛いの!?」
「なんか、心臓が、心臓が…」
心臓っ!!
思いっきり致命傷じゃん
落ち着けミキ、どう考えても頼りになるのはミキだけだ
- 269 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:22
-
「心臓が、ゴワゴワする」
…?
……?
「ゴワゴワ?」
「うん、ゴワゴワ」
初耳なんだけど
体内がゴワつくって、アンタさ
恋人の身体を懐に確保すると石川さんの迷惑な声は悲鳴になった
「どうしましょう藤本さん!!」
ミキは今、一気にどうも出来ない感に襲われてるよ
「痛いんじゃないんだね」
つま先で力ないよっちゃんを小突きながら問う
「痛くない」
「じゃあだいじょぶなんじゃん」
「で、でも」
そーだね、柔軟剤でも飲ませとけば?
そしたら、たちまち
石川さんといる時の舌っ足らずな話し方も治んじゃない?
- 270 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:22
- 「ゴワゴワするーこえぇーよ」
彼女の腕の中怯える
そこが世界の中心ならいつまでも叫んどけ
「しっかりして、吉澤さん」
「石川さんが落ち着いて」
「無理ですよ。どうしようどうしよう…」
石川さんがよっちゃんの左胸にぴたっと右手を当てた
「心臓すごいドキドキいってます、脈拍異常です」
中継されても…
ミキ医師じゃないから
なに1つ満足な対処を施せないよ
熱はないか、他の異常はないか
石川さんの左手はほっぺたやら、おでこやら
ペトペトよっちゃんの身体に触れる
「あーさっきよりもっとゴワゴワする、助けてよ」
……オマエさ
- 271 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:22
-
「よっちゃん。ゴワゴワしたの初めてじゃないよね?」
「わっかんねぇ、たぶん初めて」
「いやいや、初めてじゃないでしょ」
「藤本さん分かるんですか、この病気」
あのね、なんとなく察するに…
「し、死んじゃうんですか吉澤さん」
いくね、とばすね
取りあえず最悪まで持ってくか、アナタは
「だいじょぶ。こんな病原体みたいなヤツ死なない」
「病原体だって、病気にかかったらきっと死んじゃいます」
どうしても殺めたい?
「よっちゃん、思い出せ。石川さんとチュウする時ゴワゴワすんでしょ?」
ハイ、石川さんのほっぺた着火
よっちゃんの左胸にいた手が、今度はぴったっとよっちゃんの目を覆う
いちいち行動が理解しにくいコだよね、石川さんて
「し、してません、そんなこと」
消えそうな超小声で囁いた
- 272 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:23
-
ん?
待ってよ
してないとかなんとかって聞こえたんだけど
「してないって?」
「だから、その…」
ちょっと待て、オマエらはなにか?
今までのイチャつきはキスもまだでか?
バカか、このバカどもは!
どうせバージンロード歩かないんだから、さっさと進め
この天然記念物ども!!
つーか石川
なんでよっちゃんの視界を塞いだ?
音声は耳から!
聞かせたくないなら塞ぐのは耳なの
覚えとけっ!!
- 273 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:23
- 石川さんの手首を引っぺがして
覗き込んだよっちゃんは、ポッカーン顔
疲れるんだよ、オマエら
「よっちゃんっ!!」
唇をムギュッとひねりあげる
ウーウー声を漏らしながら、涙目になっていく
オマエの潤んだ目に揺らぐ心なぞ無い!
「チュウしてほっときゃ、そのうち落ち着く、以上。帰る」
「よ、良かったね。治るみたいだよ」
後で石川さんの蕩けた甘い声が聞こえた
- 274 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:23
-
- 275 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:23
- 恋なんてさ、本当に怖いだけかもしんないよ
まあね、今までだってバカなりに好きだったろうけど
石川さんの根気強い必死の作業により、よっちゃんに魔法あるいは呪いがかけられた
誰だって時々、換われないのに生まれ変わる
よっちゃんみたいなヤツがどーでもイイことで、心臓がゴワゴワさせちゃったり
不思議な不思議な世界に落ちていく
もう、めんどくさいからなんでもありで
進化でも退化でも、この際仕方ないから受け入れろ
石川さんよく頑張った
この本物のバカに負けず、挫けず、諦めず、投げ出さず
勝ち組ではないと思うけど、とにかく良くやった
労いの言葉だけ贈ります
だから。めでたし、めでたし
…で、本当にイイんだよね?石川さん
- 276 名前:だから、10月は神無月 投稿日:2005/08/30(火) 11:24
- だから、10月は神無月 終了
- 277 名前:△ 投稿日:2005/08/30(火) 11:24
-
- 278 名前:余日 ファミレスにて 投稿日:2005/08/30(火) 11:25
- 「美貴ちゃん、ダメと思う」
「なにが」
「石川さんの隣はダメと思う」
「イイじゃん別に」
「美貴ちゃんは欲張りさんだからダメ」
はいはい、分かりました
面倒だから向かいの席に移動
「…よっちゃん?」
「なに?」
「で、なんでオマエがミキの隣くるわけ?」
「…だって、はずかしい」
「石川さん?」
「は、はい」
「今ずっと見てたよね?コイツが勝手に来たよね」
「はい」
「じゃあ睨まない」
「睨んでなんていません…」
なに?もしかしてミキの厄介が増えただけってオチ?
- 279 名前:△ 投稿日:2005/08/30(火) 11:26
-
- 280 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/30(火) 11:27
- 1個目を短編スレにあげたんだから、そこで止めとけばと何となく反省もしてます
某リーダー、バカ連発は申し訳なかったと多少思わなくもないです
ダメ話を読んでくれた方、レスくれた方とかまぁいろいろ ありがとうございました
- 281 名前:まとめ 投稿日:2005/08/30(火) 11:27
- 川VvV) 吉澤さんの幼馴染み
(0^〜^) 藤本さんの幼馴染み 石川さんの恋人
( ^▽^) 吉澤さんの恋人
- 282 名前:△ 投稿日:2005/08/30(火) 11:28
- ごわごわ 終了
- 283 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/30(火) 11:58
- 完結おめでとうございます!
さくさく更新には脱帽でした
この3人の雰囲気も大好きですw
良作をありがとうございました
- 284 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/30(火) 12:54
- この雰囲気、大事にしたくなります。
よくわかんない配役の石川さんが大好きでした。乙。
- 285 名前:そーせき 投稿日:2005/08/30(火) 20:18
- あっしはリーダーの大ファンですが、この描かれ方は好きでした。
だって、ここのよっちゃんはアホじゃなくてピュアなんですもん(と信じてます)
独特の雰囲気と、>1の目標通りサクサク更新してくださったことに敬服しています。
大好きな作品が完結して、ちょっと寂しいけど、お疲れさまでした。
- 286 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/30(火) 21:22
- なんのかんので持ちつ持たれつな3人が好きでした。完結お疲れ様でした。
- 287 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/31(水) 00:30
- ああ終わってしまった。悲しい
この3人の空気が好きです
乙でした
- 288 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/31(水) 05:51
- この話を読むのがすきでした
イヤミのないかわいいキャラクターの三人は魅力十分でした。
またなんか気まぐれに書いてほしいです。。。
お疲れさまでした。
- 289 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/31(水) 23:11
- おもしろかったです!
この三人何気にバランスいいですよね
- 290 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/02(金) 07:51
- すごく好きな3人でした。
次回作も楽しみに待ってます。
- 291 名前:タッチ 投稿日:2005/10/29(土) 13:51
- おもしろい
- 292 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:09
- 突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
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