夏の日、残像
- 1 名前:5M 投稿日:2005/07/18(月) 00:39
- 吉澤さんと後藤さんメインの話です。
エロありません。
恋も愛も出てきません。
更新は恐らく不定期です。
中途半端に更新することもありえます。
では、始めます。
- 2 名前:5M 投稿日:2005/07/18(月) 00:40
- 「よしこー。今日の授業行く?」
「行くー」
「マジで?だって今日日曜だよ?」
「行かなきゃ欠席扱いじゃん。ごっちん皆勤賞狙ってるんじゃないの?」
「バカにしてるでしょ。怒るよ」
「スイマセンデシタ」
記録的な猛暑が続いているこの夏。
あたしはごっちんと一緒に、いつもの溜まり場にいた。
溜まり場と言っても、普通の公園の隅っこの木製ベンチ。
丁度大きな桜の木が植わっていて、日射しを避けるのには良い場所だった。
公園内も見渡せるし、あたしは結構この場所が気に入っていた。
- 3 名前:5M 投稿日:2005/07/18(月) 00:40
- 「つーかもう12時じゃん。授業終わってるよ?」
「んぁーほんとだ。うちらヤバくない?」
「ヤバイヤバイ」
そう言いながらごっちんは、さっきコンビニで買ってきたパピコの袋を開いた。
「よしこも食べる?」
「うん」
ごっちんは長い爪のくせに、起用にパピコを2つに割る。
ぐいっと差し出されたごっちんの右手。
その中には汗を掻いたパピコが握られている。
- 4 名前:5M 投稿日:2005/07/18(月) 00:41
- 「…やっぱいいや」
あたしは差し出された右手を見下ろしながら、静かにそう言った。
「よしこのバカ」
「そっちこそ」
あたしが少し笑って返すと、ごっちんは2ついっぺんに口にくわえた。
「ふへふぁーい」
幸せそうな顔でパピコを食べるごっちんを、何故かいじめたくなり、
あたしは容器の下の方を思いっきり上に押し上げた。
ごっちんは冷たさが頭にきたのか、少し頭を抑える仕草をする。
「アハハハハ!間抜け面〜」
「よしこ!」
「ごめんごめん」
こんな感じでいつも放課後はごっちんと遊んでいる。
あたしは今高2で、一番楽で楽しい時期。
人生一度きりなんだから、損はしたくない。
だから今は遊んでればいいんだ。
- 5 名前:5M 投稿日:2005/07/18(月) 00:41
- 「なんか喉渇いたよ。コンビニ行こ」
「動くのめんどくさい」
「じゃあよしこの奢りで」
「もー。わかったよ。行くって」
あたしはのろのろとベンチから立ち上がり、バッグに手をかける。
少し立ち眩んで、あたしたちは太陽が照りつける町中へと戻って行った。
- 6 名前:1.花火 投稿日:2005/07/18(月) 00:42
-
1. 花火
- 7 名前:1.花火 投稿日:2005/07/18(月) 00:42
- 「いらっしゃいませー」
ドアの前に立つと、自動的にドアは開き、あたしたちに冷気を浴びせる。
バイトの若者のやる気のない声をBGMに、あたしは店内に足を踏み入れた。
「あー涼しい」
「んー!」
ごっちんは此処がコンビニであるにも関わらず、冷気を取り入れようと両手を広げた。
そんなごっちんが少し可愛くて、あたしは思わずごっちんの頭を撫でていた。
「よしこの手、汗掻いてる」
せっかく可愛いと思ったのに文句を言うごっちんは置いておいて、
あたしはさっさと飲料水の棚に向かった。
とりあえず売っている全ての物に目を走らせる。
こう暑いと炭酸飲料に思わず手が伸びてしまうが、最終的には緑茶に落ち着く。
この辺り、歳を取ったことを実感してしまう。
炭酸飲料の外側に張り巡らされている見えない有刺鉄線。
その名も『カロリー』。
カロリーオフのダイエットコカコーラだって、怖くて手が出せない。
- 8 名前:1.花火 投稿日:2005/07/18(月) 00:42
- 「やっぱりあたし歳取ったかな…」
思わず漏れた独り言に気づいているのかいないのか、
少し前にあたしの横に並んだごっちんはまだ品定めをしている。
「ごっちん決めた?」
「悩んでんだよねぇ…」
「ふーん。あたし先に買ってるね」
あたしがレジに向かおうとした時、ごっちんの瞳があたしを捕らえた。
- 9 名前:1.花火 投稿日:2005/07/18(月) 00:43
- 「よしこも買うんだ」
「?買うけど」
あたしが不思議そうな顔でそう答えると、ごっちんはまた棚に目を視線を戻した。
「124円です」
レジで会計をしている最中、さっきのごっちんの言葉をよく考えてみる。
すると、自分でも今コンビニの店員にお金を払っていることが不思議に思えた。
あたしは別に、喉が渇いていたわけじゃないんだ。
喉が渇いたからコンビニに行こうと言い出したのはごっちんで、
寧ろあたしはめんどくさがっていたのに。
ようやくごっちんの質問の意味に気づいたあたしは、買ったばかりの緑茶を握り締め、
ごっちんのいる場所まで戻った。
あたしが会計を済ませても、まだごっちんは悩んでいた。
- 10 名前:1.花火 投稿日:2005/07/18(月) 00:43
- 「よしこおかえりー」
「ただいま」
この後に用事があるわけでもないので、ごっちんが決めるのを気長に待つ。
3分、5分、10分、15分、20分と、時間は進んでいく。
もう既にこのコンビニにある全商品に目を通したと言っていいだろう。
さすがにコンビニにいるのに飽きたあたしは、ごっちんを急かした。
「早くしてよごっちん」
「待ってよー。いつもなら迷わずメロンソーダなんだけど…」
「だけど?」
「今日はなんだかイチゴソーダがごとーを呼んでるんだよ」
意味のわからないことを言う人だ。
いつものことだけど、今日はなんだかすごく長引きそうな予感がしたので、
あたしがメロンソーダを買ってあげることにした。
そう告げると、ごっちんはイチゴソーダのボトルを持って、
一目散にレジへと走っていった。
「ありがとーございましたー」
やっぱりやる気のなさそうな店員の声をBGMに、あたしたちは再び町中へと戻った。
- 11 名前:5M 投稿日:2005/07/18(月) 00:44
- 今日はここまでです。
- 12 名前:ぱっち 投稿日:2005/07/18(月) 08:27
- 更新乙です
タイトルに惹かれて来ました
かなりいいですね、期待です!
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/18(月) 21:37
- よしごまのまったりしたとこが良いですね。
- 14 名前:1.花火 投稿日:2005/07/21(木) 01:15
- 「ふー暑かった」
よいしょっ、と言いながらベンチに座る。
公園は、あたしたちがコンビニに行く前と何も変わっていない。
あたしが緑茶のキャップを開けていると、横でごっちんが驚いた声を出した。
「よしこ!コレ、当たってるよ!!」
「ん?」
ごっちんはボトルの側面の部分を指で強調する。
確かにそこには<当たり>と印刷してあった。
「イチゴソーダの精がごとーを呼んでたのは当たりだったからなんだぁ」
ごっちんは一人納得したような感じでうんうんと頷いている。
- 15 名前:1.花火 投稿日:2005/07/21(木) 01:15
- 「凄いじゃん」
「へっへー。凄いでしょ」
「それ当たるとなんかあるの?」
「えっとね…もう一本貰える」
「じゃあ貰ってくれば?」
「そうだね」
そう言ってごっちんは一人、また町中へと姿を消した。
残されたあたしは、考える。
だってこの状況じゃ考えるか寝るかしか出来ないじゃん。
でも何について考えようか。
うーん。
やっぱ自分の将来とか…否、そういうキャラじゃないよ。
考えることが決まらずに悩んでいると、意外と早くごっちんは戻ってきた。
- 16 名前:1.花火 投稿日:2005/07/21(木) 01:16
- 「あれ?早くない?」
よく見ると、少し息切れしている。
そして左手にはバナナソーダのボトルが握られている。
右手にはコンビニ袋がぶら下がっていた。
「走っていってきた」
「お疲れ。つーかバナナソーダってまずそう」
「美味しいんだって!」
むきになって言い返すごっちんが、あたしに質問する。
- 17 名前:1.花火 投稿日:2005/07/21(木) 01:16
- 「よしこは何してたの?」
「うんっとねー…考えてた」
「何を?」
「何について考えるか」
「そっか」
ごっちんはあたしの意味不明な返答に、スムーズに返事をくれる。
あたしの返事に興味がないのか、これがごっちんにとって普通の会話なのか。
結構長く友達やってるけど、未だにわからない。
- 18 名前:5M 投稿日:2005/07/21(木) 01:16
- 更新終了です。
- 19 名前:5M 投稿日:2005/07/23(土) 00:16
- ちょっと別の話載せます。
男×あややなので見たくない方はスルーしてください。
一応言っておきますと、本編とは一切関係ありません。
- 20 名前:もしもあややが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/07/23(土) 00:20
- 登場人物。
・松浦亜弥
・小泉龍哉
・亜弥パパ(妄想内)
・橘(会話中)
- 21 名前:もしもあややが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/07/23(土) 00:21
- ザーザーと雨の降りしきる日曜の午後。
部屋でテレビを見ていると、閉めきっていた窓がコンコンと叩かれた。
一度だけ窓の方を振り向きすぐにまた視線をテレビに戻す。
するとまた窓を叩く音が聞こえる。
今度はさっきよりも強くゴンゴンと叩く。
ゆっくりと窓に近付き、鍵を開ける振りをしてカーテンをシャッと閉めた。
途端に窓を叩く音は消える。
しかし数秒後に今度は誰かが階段を上がってくる音がした。
足音は俺の部屋の前で止まる。
そして次の瞬間。
バァァー――ン!!!!!!!
凄まじい音と、埃と共に俺の幼馴染が登場した。
それも部屋のドアを壊して。
なんと派手な登場の仕方なんだ。
確かに俺が窓を開けなかったのは悪い、それは認めるが。
唖然としている俺の頭の上から声が聞こえる。
- 22 名前:もしもあややが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/07/23(土) 00:21
- 「この可愛いあたしを10秒も雨に濡らすとは何事!?」
俺の幼馴染…松浦亜弥はかなりご立腹の様だ。
学校では可愛くて勉強も出来る才色兼備な女の子として通ってるくせに、この部屋に来ると途端に本性を見せる。
「なんとか言いなさいよ!!」
「……なんつーか…」
「何よ!」
「ゴメンナサイ」
「謝るんならさっさと窓を開けろ!」
「つーかさ……」
「だから何よ!?」
「お前も謝れ」
俺は窓を開けなかったことをちゃんと謝ったんだ。
亜弥もドアをぶっ壊したことを俺に謝るのが筋ってもんだ。
でも亜弥は何を謝るのか全くわからない様子。
- 23 名前:もしもあややが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/07/23(土) 00:21
- 「あたしたっちゃんになんかしたっけ?」
「うん。つーか弁償してくれれば良いけど」
弁償という言葉で、余計わからなくなってきたという顔をしている。
俺は悩む亜弥をちょんちょんと突付き、壊されたドアの方を親指で指し示した。
「ドア?…ドアくらい良いじゃん」
「いや、良くないだろ」
「どーせまたすぐに壊れるんだから」
亜弥は呆れたように溜息を吐いた。
何を隠そう今壊れたドアは、36代目俺の部屋のドア、なのだ。
少し意地悪をする度に壊すものだから、ドアだけは常に新品に近い状態だ。
- 24 名前:もしもあややが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/07/23(土) 00:22
- 「でもドアないと寒いし」
「んー…それはあたしも困るな」
「だろ?」
「うーん………わかった、パパに頼んでみるね」
年中すみません亜弥パパ様。
きっと物凄く迷惑でしょうが、これも全て可愛い娘のしでかしたことです。
…ちゃんと教育してくださいよ…。
俺が心の中で亜弥パパ様に謝っていると、ベッドに寝そべりながら雑誌を読んでいる亜弥からビックリ発言があった。
「あたしさぁ、今日橘クンに告られちゃった」
告られたというのは大してビックリでもなんでもなく、むしろ日常茶飯事なのだが、問題は亜弥に告ったという相手だった。
「橘だって!?」
「そーだけど…なんで?いつもは『そーなんだ』とかの薄い反応なのに」
「だっておい橘っつったら…」
橘と言えば運動神経抜群、定期テスト連続1位記録更新中な上、容姿端麗で女子なら誰もが憧れるスーパーボーイじゃないか!
そんな奴に告られたらいくらガードが固い亜弥だってグラッとくるだろ!?
密かに亜弥に想いを寄せている俺なだけに、聞き捨てならない話だ。
- 25 名前:もしもあややが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/07/23(土) 00:22
- 「橘クンがどーかしたの?」
「いや…あの…そのぉ……返事はしたのか?」
「………………」
おい!
そこで黙るなよ…!
亜弥は雑誌を読むのを止め、ベッドから起き上がると、床に座っていた俺と正対した。
なんとなく正座をしてしまった。
「実はね……」
「お、おぅ…」
「橘クンに告られたんだけどぉ…」
「………」
「あたしには好きな人がいますって言って断っちゃった☆」
「なんだ…」
安堵の息を漏らす。
断ったんなら断ったと言ってくれれば良いのに。
あぁ良かった。良かった。
♪あぁ〜良かったなあなたといて〜
………って違うだろ俺!
すすすすす好きな人がいますだって!?
- 26 名前:もしもあややが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/07/23(土) 00:22
- 「お前すすす好きな人がいるのか!?」
「声裏返ってるよ」
「んなのどーでも良い!…いるのか?」
再びベッドに戻って雑誌を読んでいた亜弥が、首だけ動かして俺の方を向く。
「気になるの?」
「………気にならないこともないかもしれない」
「どっちだよぉー。まぁ……みんなのアイドルのあたしだって好きな人くらいいるよ」
みんなのアイドルっつーのは少し嘘が混ざってるな。
けどマジかよ……。
きっとそいつは橘より良い男なんだろうな…。
俺なんかじゃ一生かかっても、整形しても追いつけないんだろうな…。
いや、整形すれば俺でもイケルか?
- 27 名前:もしもあややが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/07/23(土) 00:23
- 亜弥パパ様。
亜弥ももう好きな男が出来る歳になってしまいました。
そのことについて今度一緒に飲みに行きましょう。
きっと盛り上がれる(もしくは盛り下がれる)ハズです。
追伸。
去年の夏休み海で撮った亜弥の水着写真同封します。
…………って何亜弥パパ様に手紙書いてんだよ!?
しかも水着写真同封!?
どんな関係なんだよ俺と亜弥パパ様は!!
「たっちゃん?おーい…何ブツブツ言ってんの?」
「……なんでもない。あ。水着と言えば、お前修学旅行どこ行くの?」
「んーとねぇ…確か沖縄だった気がするけど。たっちゃんとこは?ってか水着と言えばって何よ」
「俺んとこも沖縄」
そうかー。
亜弥んとこも沖縄ってことは…後藤の水着姿が見れるのか!?
亜弥が好きな俺だけど実は後藤も好きだ。
そして石川先輩も好きだ。
藤本先輩もなかなか…。
要は気が多いのだ。
ニヤニヤと夏の海と戯れる美少女たちの妄想をしていたら、亜弥の本気モードのデコピンが飛んできたのは言うまでもないだろう。
- 28 名前:5M 投稿日:2005/07/23(土) 00:23
- 以上です。
本編が詰まったときたまにこういう関係ない話載せます。
ではでは。
- 29 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/12(金) 02:26
- もしもミキティが幼なじみ〜のあややバージョンみたいなカンジですか?
なかなか面白そうですね。
この話の修学旅行編も見てみたいです。
本編の方も楽しみにしてます〜
- 30 名前:1.花火 投稿日:2005/08/14(日) 22:33
- 「ごっちん」
「何?」
「その右手に持ってるものは何かな?」
「花火」
袋に入っていたからわからなかったが、どうやらお菓子の類ではなさそうだったので、
聞いてみた。
花火…。
もう何年もやっていないかもしれない。
最後にやったのは…。
「やろう」
あたしが最後の花火の記憶を探していると、ごっちんの声が聞こえた。
- 31 名前:1.花火 投稿日:2005/08/14(日) 22:33
- 「やろうって、花火?」
「おー」
「いつ?」
「今日とか」
「良いね」
「おー!」
「おー!!」
二人で少し盛り上がる。
こんな会話で盛り上がれるのも、今だけだ。
大人にどう思われたって構わない。
あたしはこのごっちんとの時間が、素晴らしく大切なものだと思ってるから。
「今日の8時に此処ね」
「OK牧場」
「よしこ古い」
「うっさいなー」
- 32 名前:1.花火 投稿日:2005/08/14(日) 22:33
- 不意にごっちんが持っているバナナソーダと目が合った。
あたしは悪戯を思いついたような少年の顔になり、
ごっちんが持っていたバナナソーダのボトルを奪った。
「シェイクシェイク♪」
あたしの両手によって、バナナソーダは泡を立てていく。
これは開くとき絶対にプシューっていくな。
「あーーー!よしこが意地悪する!先生に言っちゃうぞ!」
「何歳だよ!」
「…なんか漏れてない?」
「え?」
ごっちんが訝しげな視線をあたしに向ける。
自分の手を見てみると、確かに少し湿っている。
否、湿っているどころではない。
ついでに激しくバナナ臭い…。
- 33 名前:1.花火 投稿日:2005/08/14(日) 22:34
- 「ごっちん!!キャップはちゃんと閉めようよ!」
急いでバッグからティッシュを取り出し、手とキャップの部分を拭く。
「よしこが意地悪だから神様がよしこに意地悪したんだよ」
「ごっちんがちゃんと閉めてないのが悪いの」
「違うもん」
「違くない」
「ふんだっ」
「こっちこそ、ふんだっっ」
しばらく二人で頬を膨らませたままそっぽを向いていたら、
どちらからともなく、笑い出していた。
何が可笑しいのかはわからないけど。
今笑えてるって素敵なことだと思う。
- 34 名前:1.花火 投稿日:2005/08/14(日) 22:34
- 「あたしの笑顔は世界を救いマス」
「んぁー……ぁははははは。冗談キツイよ」
結構真顔でそう言ったごっちんだけど、結構真剣にあたしはショックを受けた。
「冗談じゃないって。ごっちんの笑顔だって、誰かを救うんだよ」
「ごとーの笑顔はよしこを救いましたぁ」
確かにごっちんの笑顔に救われたことはあると思う。
でも多分、あたしだってごっちんを救ってるはずだ。
「お互い様だね」
「ねー」
- 35 名前:1.花火 投稿日:2005/08/14(日) 22:34
- そして自然と会話が途切れると、自然とベンチから離れる。
バッグを持って忘れ物がないか確認して。
公園の入口のところで今夜の花火の確認をして。
「バケツとかはごとー持ってくる」
「あたしは?」
「火」
「OK牧場」
「だから古いって」
「だからうるさいって」
二人してまた微笑んで、それぞれ反対方向に帰っていく。
8時になったらまた会おうね、ごっちん。
- 36 名前:5M 投稿日:2005/08/14(日) 22:36
- 更新終わりです。
- 37 名前:5M 投稿日:2005/08/14(日) 22:38
- >>ぱっち様
レスありがとうございます。
タイトルはアジカンの曲名から取りました。
良い曲なのでそちらも是非聞いてください。
>>名無飼育さん様
レスありがとうございます。
よしごまはまったりです。
常にまったりです。
>>名無飼育さん様
レスありがとうございます。
修学旅行編はないかもしれません。
次はこんこん編です。
- 38 名前:ぱっち 投稿日:2005/08/15(月) 11:25
- 更新乙です
漏れなくアジカンファンです(w
やっぱりよしごまっていいですよねぇ・・・
この雰囲気大好きです
次回も頑張って下さい
- 39 名前:5M 投稿日:2005/09/13(火) 23:51
- 男×紺野さんです。
見たくない方は見ないでください。
- 40 名前:もしもこんこんが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/09/13(火) 23:54
- 登場人物
・紺野あさ美
・草野徹平
・雅
- 41 名前:もしもこんこんが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/09/13(火) 23:55
-
カリカリカリ…カリカリ…バキャッ!…カリカリ……
今日も隣の家から聞こえる規則正しいカリカリ音。
幼馴染のあいつは勉強熱心だから、絶えずシャーペンを走らせているのだろう。
そして数分ごとに聞こえる『バキャッ』という異音。
明らかに勉強してる奴から発せられる音ではない。
あいつはある癖があるのだ。
『てっぺー兄ちゃん!!!』
下から妹の雅が俺を呼ぶ。
優雅に午後ティでティータイムを過ごしていた俺は、少し不機嫌な声で返事をした。
『ペットボトル取りに来てよ!!』
再び雅の声。
またかよ…なんで俺が。
急いでボトルの残りの午後ティをカップに入れ、ラベルをはずす。
それを持って下に降りてきた俺が目にしたペットボトルの山。
軽く100本はあるんじゃないか!?
- 42 名前:もしもこんこんが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/09/13(火) 23:55
-
「どーしたんだよこんなに!」
階段の下でだるそうに俺を待っていた雅に訪ねる。
「ダンスの男の子がね、あたしがペットボトルなくて困ってるって言ったら次の日にこんなに」
「世の中可愛けりゃなんとかやってけるんだな…」
「男って単純だよね」
ダンスというのは雅が行っているダンススクールのことだ。
中1にして男を弄ぶ我が妹。
しかしこれには助かった。
なんせペットボトルがないと俺ら兄弟…いや、草野家が危険だ。
「ありがとな雅」
「うん」
大量のペットボトルを抱えて階段を上がっていく。
思うように前が見えず、途中で何本か落としてしまう。
5回に分けて運んだペットボトルは全て俺の部屋に運ばれた。
「ふー…」
- 43 名前:もしもこんこんが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/09/13(火) 23:56
-
改めてペットボトルを見る。
ほんとに凄い数だ。
これからヤバクなったら雅に頼もう。
そう心に決め、ベッドに座り窓を開ける。
隣の家からは相変わらず軽快なシャーペンの音と、異音。
軽く窓を叩くとシャーペンの音が止み、窓が開かれた。
「おっす」
「押忍!」
気合の声と共に幼馴染から繰り出された右ストレート。
それを顔面にくらい、俺はベッドから落ちて床に造られているペットボトルの海に落ちた。
「ごめんごめん。大丈夫?」
そう言いながらこっちの部屋に入ってきた幼馴染――紺野あさ美は、ベッドの上に座り込み俺に手を差し伸べた。
しかし。
それと同時にあさ美の視界に入るペットボトルの海。
俺はあさ美の目が光るのを見逃さなかった。
俺のことなどそっちのけで満面の笑顔になるあさ美。
- 44 名前:もしもこんこんが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/09/13(火) 23:56
-
「どうしたのこんなに!うわぁー!」
「雅が持ってきてくれたんだ」
「雅ちゃんにお礼言わなきゃ!!」
「そーだな、お礼言った方がいいな」
あさ美の攻撃からなんとか回復した俺は、静かにため息を吐いた。
あさ美のある癖とは。
それは『家にいるときは数分に一回の間隔でペットボトルを握りつぶす』という癖だ。
だからシャーペンの音の途中にバキャッという音が出るわけだ。
しかも握りつぶす物がなくなると、あさ美は暴徒と化すのだ。
それはもう恐ろしいなんてもんじゃない。
普段温厚なあさ美なだけに、あの雅も恐怖で固まってしまうほどだ。
だから俺たちは、絶えずあさ美の元からペットボトルがなくならないように、こうして補充作業を手伝っているのだ。
喉が渇いたら缶ではなくペットボトルのものを買い、使えそうな(握りつぶしがいがありそうな)ペットボトルが落ちてたら拾う。
一見変な人だが、このペットボトルは俺たちの命を守ってくれるのだ。
- 45 名前:もしもこんこんが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/09/13(火) 23:57
-
「これ全部もらって良いんだよね?」
「ドゾー」
本当に嬉しそうな笑顔でペットボトルを次々と自分の部屋に投げ込むあさ美。
そんなあさ美を見ているとなんとも言えない気分になる。
こいつは大人になるまでやり続けるのだろうか…。
ふとそんなことを考えてしまう。
きっとそうなんだろうなぁ…。
こうして毎日少し暗い気分で就寝するのだった。
スースースー…バキャッ!…スピースピー……Zzzz…
- 46 名前:もしもこんこんが幼馴染の隣の娘だったら。 投稿日:2005/09/13(火) 23:58
- >>38 ぱっち様
レスありがとうございます。
更新遅くてしかも本編がなかなか更新できずすみません…。
- 47 名前:5M 投稿日:2005/09/16(金) 03:13
- すみません、放置します。
- 48 名前:名無し 投稿日:2006/01/11(水) 13:13
- あー…残念です
ものすごく綺麗で好きな雰囲気の文章でしたので…
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