響きあう者達

1 名前:スペード 投稿日:2005/07/20(水) 22:14
どうも、お久しぶりです。スペードです。

今作は予告どおりファンタジーです。
主役は後藤さんです。

読んでいただけたらとてもうれしいです。
2 名前:旅立ちは…!? 投稿日:2005/07/20(水) 22:18



声が聞こえたような気がした。

自分を呼ぶ声が


3 名前:旅立ちは…!? 投稿日:2005/07/20(水) 22:24
「ほぉ…?それが親友であるこの俺を置いていこうとした理由か?」

そういって女の頬をつねる。
「いひゃひゃひゃ!いひゃいっていちーちゃん!」
「ずいぶん冷たーいやつなんだなぁ後藤くん?」
つねる手にさらに力がはいる。
「いひーひゃん!はなひへよ!!」
(いちーちゃん!離してよ!!)
「何言ってるか俺様さっぱり〜」
4 名前:旅立ちは…!? 投稿日:2005/07/20(水) 22:35
5分後、後藤はようやく痛みから解放された。
「くそ〜、だから連れていきたくなかったのに」
「何か言ったかなぁ〜?」
「いーや!なーんにも?」
「ところでよ、その声って女だったか?」
「う、うん…そうだけど?」
どうかしたの?と後藤が首を傾げる。
「そっかそっか!後藤くんもそんな年か〜」
後藤の顔が赤くなる。
「ち、違うって!助けを求めてる女の子を助けるのは英雄の役目だからね!」
5 名前:旅立ちは…!? 投稿日:2005/07/20(水) 22:43
「そうだよなぁ〜。お、ん、な、の、こ!を助けるのは英雄の役目だよな」
女の子を強調する市井。
「だ、だだだだからぁー!」
ますます赤くなる後藤。
「照れちゃってかわいいなぁ…くっそぉぉぉお!!俺も彼女ホシイィィィィイ!!」
「本音はそこかよ!!」



6 名前:旅立ちは…!? 投稿日:2005/07/20(水) 22:53
「で?これからどこ行くんだよ?当然あるよな?」
「……………あはっ」
「ないんかい!!」
「とりあえず南のサイクルの町に行ってみない?あそこなら旅に必要な物は大体そろいそうだし」
「ああ〜、ってオマエ準備してなかったのかよ!」
ボソッ「あそこなら美女もたくさんいそうだなぁ〜」
「よっしゃ行くぜ後藤!!」
そういって全速力で駆け出す市井。
「速っ!待ってよいちーちゃん!」
後藤も後についていった…
7 名前:スペード 投稿日:2005/07/20(水) 22:55
更新終了ー!
やるからには最後まで完成させるつもりです!
8 名前:謎の剣士と全戦全敗女 投稿日:2005/07/21(木) 21:54
「はぁ〜なぜだ…なぜなんだあぁぁぁ!!」
「いちーちゃん、道の真ん中で叫ぶのはやめて。視線が痛い」
頼むからふられる度に叫ばないでよね。
ってか元は悪くないんだから中身をみがけばいいのに…。
「後藤!!今日は飲むぞ!さあ飲むぞ!やれ飲むぞ!」
全戦全敗の憂さ晴らしかい。
「いいけど自分の財布から出しなよ。これは旅の資金だからダメ」
そういって自分の持っているバッグを軽くたたく。
どうやら一月はもつようだ。

……………市井が手を出さなければ。
9 名前:謎の剣士と全戦全敗女 投稿日:2005/07/21(木) 22:01
「ちっ…あまり飲めないな」
市井の財布には先程槍と防具等を買ったためあまり金は残っていない。
後藤も同じく自分の財布から剣と防具を買ったらしく、似たようなものである。となれば後は旅の資金からだが…。
「やっぱりちょっとくらい…」
「ダ〜メ」
市井が伸ばした手を払い除ける。
「しかたねえなぁ…あの安そうなとこで我慢するか!」
10 名前:謎の剣士と全戦全敗女 投稿日:2005/07/21(木) 22:11
カラ〜ン
「いらっしゃい!」
中年男の低い声。
後藤は酒場の雰囲気が昔からあまり好きではない。
酔った輩に言い寄られたことも一度や二度ではないからだ。
「なあなあねーちゃんこっちきて一緒に飲まねえか?」
こんなふうに…、って
「いちーちゃん?こんなとこでもナンパ?」
「こんなとこだからこそだ!」
そういってカウンターに向かう。
後藤もそちらに視線を送ると、
「あの人…」
真っ先に目にとまったのは全身を黒でおおった剣士だ。
顔は見えないが体格と少しだけ見える白い肌から女とわかる。
11 名前:謎の剣士と全戦全敗女 投稿日:2005/07/21(木) 22:19
「なあ〜ねえちゃんおねがいだからさぁ」
「こ、困ります!」
市井が声をかけているのはその剣士の隣にいる、いかにも清楚な女だ。
(なるほど、いちーちゃんの好きそうな清楚かつお姉さまタイプだな)
後藤は冷静にそんなことを考えていた。
(しっかしそろそろ止めないと、あの子困ってるし)
後藤が止めようとしたその時、
「おい、お前。そろそろ離してやったらどうだ?」
横にいた剣士が声をかけた。
12 名前:謎の剣士と全戦全敗女 投稿日:2005/07/21(木) 22:25
「あぁ!?なんだよテメエは!」
市井が怒鳴り声をあげる。
(あ〜、ありゃいちーちゃんが嫌いそうな美形だ)
なんとなく客観的に考えてしまう後藤。
「お前は相手の迷惑とやらを考えたことがあるのか?」
「ああ!!?余計なお世話だ!!」
怒鳴り声がさらに大きくなる。
まわりもこのやりとりに注目しはじめた。
「頼むからあたしの迷惑も考えてよね…」
後藤のつぶやきは市井の怒声にかき消された。
13 名前:謎の剣士と全戦全敗女 投稿日:2005/07/21(木) 22:31
「ふざけんじゃねぇー!!」
とうとういちーちゃんが掴み掛かろうとした。
(いちーちゃん馬鹿力だからなぁ…大丈夫なんだろうか)
「何ッ!!」
しかし市井の手は空を切った。
チャキッ
後ろを向くと剣士は市井のすぐ後ろに立っていた。
「は、速い!!」
後藤が思わず声をあげた。
「…………クッ!!」
市井が相手を睨み付ける。
だが相手の表情はピクリともしなかった。
14 名前:謎の剣士と全戦全敗女 投稿日:2005/07/21(木) 22:39
「フン、くだらんな…」
そういって剣士はカウンターに金を置き、出ていこうとする。
「へっ!!俺の勝ちだな!」
市井が剣士に向かって言う。
だが剣士は市井に振り返ることはなかった。
「あれ?」
剣士の目が一瞬後藤にいったような気がした。
「さあーておねえちゃん?今度こそ一緒に酒を…」
しかし、
「剣士様…」
女の目は完全に剣士のほうへ。
「な、なんだとおぉぉぉ!」
(この勝負、戦いでもナンパでもいちーちゃんの負けだね)
なんとなく市井の敗戦日記をつけてみたくなる後藤だった。
15 名前:スペード 投稿日:2005/07/21(木) 22:41
更新終了!昨日に引き続き更新しました。

次はそんなに時間かからないかと思われます。
16 名前:ミッチー 投稿日:2005/07/21(木) 23:04
更新お疲れ様デス。。。
お久しぶりです、スペードさん。
今回の話も読ませていただきます。

剣士の正体が誰なのか気になりますね〜。
続き楽しみにしてます。
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/22(金) 01:02
ファンタジーは大好きです。
話の展開にわくわくします。楽しみに待ってます。
18 名前:めかり 投稿日:2005/07/23(土) 02:16

更新おつかれさまです。
新作とっても続きが楽しみです
謎の人もとってもとっても気になります
これからも楽しみにしてま〜す
19 名前:今度は美女!? 投稿日:2005/07/23(土) 23:36
「くっそー!!」
翌日もまだくやしがってる市井。
「あははは。目が完全にあっちにいってたもんね」
「うるせーよ!!あ〜、腹立つ!」
「でもさ、いちーちゃん元は悪くないんだからさ、押さないで引いてみればいいんだよ」
「ほほう…さては俺に惚れたな後藤?」
「…な!」
「ほれ、この市井様に抱きついてこーい!」
バキッ!!
「いちーちゃんのバカー!」
ズンズン先に歩く後藤
「おい!そっち出口!!まだ準備終わってねえだろうが!」
20 名前:今度は美女!? 投稿日:2005/07/23(土) 23:48
「えへへへ…」
「まったく…とりあえず薬と寝袋とテント、それと食料か…」
雑貨屋にて、一通り必要なものをそろえる。
「おーい、後藤?」
「あの子…」
後藤が指差した先には一人の女がいた。
髪は肩までかかり、身長は後藤より少し低いくらい。そして何より目立つのは肌が若干黒いということか。
「へえぇ〜一目惚れかぁ…」
「な、ななな何言ってんのさ!!」
かわいいと思ったのは否定できない。
しかし気になったのはずっと下を向いていることだった。
21 名前:今度は美女!? 投稿日:2005/07/23(土) 23:56
その女は下を向きながら町を出ていこうとする。
「おいおい…あっち出口だぞ?」
「あの子も冒険者かな」
「あんな虫も殺せなそうな子がか?」
「うう〜ん、気になる…」
「……尾行してみるか?」
「え?それってストー…」
ギュウウウ!
「いひゃひゃひゃひゃ!」
「まったく…ってあー!!見失ったー!」
「…まあしかたないよね次の町行こう!」
二人は町を後にした。
22 名前:今度は美女!? 投稿日:2005/07/24(日) 00:03
「おーい…これからどこ行くんだぁ?」
「やっぱりさっきの子を追い掛けよう!なんかある気がする!」
「まあ特にすることもないしな。後藤のカンってやつに期待するか!」






23 名前:今度は美女!? 投稿日:2005/07/24(日) 00:11



―――助けてください!―――

「……はっ!」
「おーい、どうした後藤?」
「今…、声が聞こえたような…」
「声ぇ?俺にはなーんにも聞こえなかったけどな」
後藤は辺りを見回したがここは木一本ない草原。人の声など聞こえるはずもない。
しかし、
―あの子が助けを求めてる―
後藤はなぜかそう感じた。
24 名前:スペード 投稿日:2005/07/24(日) 00:21
更新終了!

>>16ミッチー様
お久しぶりです!ファンタジーは2作目ですが、最後まで頑張ります!
>>17名無し飼育さん様
レスありがとうございます!展開が読めてしまうかもしれませんが、最後までおつきあいいただけたらうれしいです。
>>18めかり様
謎の剣士の正体は…実物とキャラ全然違うんでこれどうなの?って感じになるかもしれませんが、その人らしさも出せるよう頑張ります。

毎回更新は結構早めにやる予定です。
ではまた次回…
25 名前:ミッチー 投稿日:2005/07/25(月) 00:09
更新お疲れ様デス。。。
謎の人が多いですね(w
今回の人は大体分かったけど。
何かが起こりそうな予感・・・。
次回期待。
26 名前:美女を尋ねて森の中 投稿日:2005/07/30(土) 21:53
「お〜い、俺達はなんで森の中にいるんだっけ?」
「…次の街への近道だと思ったから」
「ほぅ、じゃあなんで今は夜中なんだろうなぁ?普通に街道を行けば今頃着いてるのに」
「…道に、迷ったから」
「確か俺『普通に街道行ったほうがいい』って言ったよなぁ?」
後藤の頬を引っ張る。
「ひょ、ひょひぇんひゃひゃい!!(ご、ごめんなさい!!)」
「まったく19にもなって方向音痴が治んねえとはな。しかも自覚がないからタチがわるい」
「うぅ〜、こっちの方から声がしたんだよ〜ぅ」
「もうその声ってのがとんでもなくうさんくせえな。」
27 名前:美女を尋ねて森の中 投稿日:2005/07/30(土) 22:05
「だいたいお前は…!」
『きゃあーー!!』
市井の言葉は甲高い悲鳴にかき消された。
「な、なんだ!?」
「あっちだ!!言ってみよう!」


さらに奥に入ると一人の女が賊とおぼしき輩に囲まれていた。
「つれねえこと言うなよ。ただ一緒に楽しもうってだけじゃねえか」
「いやっ!!は、離してください!」
「うへへへへ…いくら叫んだって誰も来ねえよ!」
「ほーぅ?今ここにいるんだがなぁ?」
28 名前:美女を尋ねて森の中 投稿日:2005/07/30(土) 22:19
「い、いちーちゃん突っ走りすぎ!」
「うるせえ!美女の危機に何もしないなど俺の美学に反する!」
「まったく…」
「おい!さっきからごちゃごちゃと…こっちはお取り込み中なんだよ!ガキは家帰っておネンネしてな!」
賊の一人が後藤に向かって言った。
「ガキ、だと…?アタシはこれでも19なんだよ!」
と言いながら賊を叩きのめしていく。
「おおっ!後藤がキレた。って言うかあいつがガキって言われたのってずいぶん久しぶりだなぁ…」
市井はのんきなことを言っていた。
29 名前:美女を尋ねて森の中 投稿日:2005/07/30(土) 22:28
「誰がクソガキだー!!」
「いや、そこまで言ってねえし!」
市井のツッコミは、後藤に届かなかった。
気が付けば賊はすべて地面に伏せっていた。

「んで、お嬢ちゃんはどうしてこんなとこにいるのかなあ?」
とりあえず後藤を落ち着かせ、何も言わない女に問い掛ける。
「…………」
女は何も答えなかった。
「なんか言ったらどう?」「……英雄を探しているの」
「英雄?だったらアタシの出番だね」
と後藤は言うが、
「……ごめんなさい、私、真剣ですので」
30 名前:美女を尋ねて森の中 投稿日:2005/07/30(土) 22:35
「ええ!?アタシだって真剣だよ!」
「……やっぱり違う」
「え?」
「助けてくれたことにはお礼を言います。けど、私に関わらないでください」
そう言って女は夜の闇に消えていった。
「か、感じ悪ぅ。おい、あんなのに関わるなよ」
「後藤決めた!絶対あの娘に英雄だって認めさせる!」
「お、おいおい!やめとけって」
しかし後藤にはまったく聞こえていなかった。
31 名前:スペード 投稿日:2005/07/30(土) 22:41
更新終了!
今回長引きそうだなあ…。

>>25ミッチー様、
はい、おそらく正解です。
だって…ねえ?わかりやすいですから…。
32 名前:ミッチー 投稿日:2005/07/31(日) 03:55
更新お疲れ様デス。。。
不思議な雰囲気ですね。
英雄って・・・誰だろう?
33 名前:絶望の剣士 投稿日:2005/08/06(土) 23:17
ここは難攻不落と名高いとある城の庭園。
大きめの白銀の鎧を身に纏った少女と大柄な男が手合せをしていた。
男が猛然と襲い掛かるも、少女の剣は全てを受け流していた。
まるで流れる水のように。
「くそっ!」
男は苛立っていた。
まったく反撃しない少女。
まるでいつでも勝てると言わんばかりである。
少女が動いた。
まわりで見ていた兵士の誰もが目で追えない速さで。
少女の動きが停止すると同時に男は地面に仰向けにされていた。
34 名前:絶望の剣士 投稿日:2005/08/06(土) 23:26
「ひーちゃん!」
稽古を終え、広間への廊下を歩いていると背後から女の声がした。
少女が後ろを振り返ることはない。
声の主が誰であるか知っているからだ。
「亜弥様…いい加減ひーちゃんと呼ぶのはおやめ下さいませんか?」
少女は後ろを振り返らずに会話をする。
なぜなら気恥ずかしさで顔が赤くなっているからだ。
「いいじゃない。吉澤ひとみ=ひーちゃん、これはあたしが作った法則なんだから」
単なるあだ名で法則はないだろう、と心の中で突っ込んでおいた。
35 名前:絶望の剣士 投稿日:2005/08/06(土) 23:36
「それよりアタシ退屈なの〜。一緒に遊んで?」
後ろから抱きつきながら女が言った。
「あのですね…昔ならともかく今あなたは王女として、次期女王として大切な時期なんですよ!?」
「あ、次期と時期をかけた。ひーちゃん寒〜い」
昔なら間違いなく拳骨を飛ばしている。
しかし彼女は次期女王、自分は彼女を守護する付き人。
昔とは勝手が違う。
ここはぐっと堪えて彼女を完璧な女王にし、生涯守り通す。
これが自分の使命だと少女――吉澤ひとみは思った。
36 名前:絶望の剣士 投稿日:2005/08/06(土) 23:44
「ひーちゃん…」
「どうか、したの?」
打って変わって真剣な表情になる亜弥。
「お母さま、大丈夫かなぁ?」
この言葉に吉澤は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
現女王である亜弥の母。
亜弥にはただの肺炎と言っているが、実はもう2、3日もつかどうかというところであった。
彼女が死んだら次は亜弥が女王、普通はそうなるのだが、一つ年の離れた血の繋がっていない妹を女王にしようという動きがあった。
37 名前:絶望の剣士 投稿日:2005/08/06(土) 23:49
物心つく前から一緒にいた亜弥。
吉澤は亜弥のことが当然好きであるし、亜弥もまた吉澤のことが好きなのだろう。
だからこそお互いに離れたくない存在なのだ。
「亜弥様…私は何が起ころうと亜弥様を生涯守り通します」
「うん!ひーちゃんとずっと一緒だよ…」



死が二人を分かつまで……

38 名前:絶望の剣士 投稿日:2005/08/06(土) 23:57
「またあの夢か…」
旅に出てから何度見た夢だろうか。
生涯守り続けると誓った王女。
その王女は汚い策謀により殺されてしまった。
しかし守れなかったのは自分の罪。
何の為に王国一の剣士にまでなったのか。
守るべき人はもういない。
吉澤の心には絶望と悲しみが埋め尽くされていた………………。



39 名前:スペード 投稿日:2005/08/07(日) 00:01
更新終了!
これからもこのペースを維持しますのでどうぞよろしくお願いします。

>>32ミッチー様、
不思議な雰囲気…ぶち壊しにしないようがんばります




40 名前:ミッチー 投稿日:2005/08/07(日) 03:44
更新お疲れ様デス。。。
暗くて重い過去ですね。
もしかして英雄って・・・。
41 名前:もはやストーカー… 投稿日:2005/08/09(火) 22:15
「やっと…街に…ついた…」
「もう…森の中はごめんだ」
息も絶え絶えな二人。
十分だったはずの食糧はなぜか尽きかけている。
「こうなったのもいちーちゃんが迷うからだよ!」
「おめえがペースも考えずバカみたいに食うからだ!」
道の真ん中で言い争う二人。
はっきり言えば迷惑である。



42 名前:もはやストーカー… 投稿日:2005/08/09(火) 22:21
食糧を買い込み、出口に向かう。
するとなぜか出口付近に人が集まっていた。
「あのー、何かあったんですか?」
そばにいた男に聞いてみる。
「いやね、この先の山道で崖崩れがあってさ、こっから先に進めないっていうのに女の子が一人止めるのも聞かずに行っちゃったんだよ」
「女の子ってもしかしてピンクの服を着てませんでした?」
「ああ、そうだったな」
「いちーちゃん!」
「…ああ、あの子だな」
43 名前:もはやストーカー… 投稿日:2005/08/09(火) 22:27
「追い掛けよう!」
「おいおい、追い掛けようったって崖崩れだろ?そのうちこっちに引き返してくるはず…」
「何言ってんの!向こうで怪我してたらどうすんのさ!」
「どうするって…」
「とにかく!困ってる女の子を助けるのも英雄の役目なんだから!」
後藤が街を出ていく。
「はぁ…ここまでくると英雄じゃなくてただのストーカーだな…」
市井も後藤の後を追った。
44 名前:もはやストーカー… 投稿日:2005/08/09(火) 22:37
「また行っちまった…」
「なんか今日は無謀な女が多い日だな」
と、町民が話していると、「…失礼」
後ろから黒衣の剣士が通り過ぎていった。
「またかいな…」


街を出て、吉澤は遠くに二人の女を目にした。
「へえ…」
自分以外にも無謀なことをする女がいたんだ、と感心する。
旅を始めてから他人に興味をもったのは初めてだな、と不思議な気持ちになりながら吉澤も二人と同じ方向に歩きだした。
45 名前:もはやストーカー… 投稿日:2005/08/09(火) 22:47
ふもとの街から3キロほど北にある川。
そこに二人の女が対峙していた。
「たしか石川梨華、だったよね」
大きな斧を携えた女が言う。
「あなたは…確か!」
「藤本美貴…あの方直属の配下よ」
「あなたが…どうして!?」
「それほど重要なのよ…」石川が後ずさる。
「まともに戦っても勝てないのは分かってるでしょ?おとなしく捕まりなさい、さもなければ…」
藤本に殺気がみなぎる。
「…殺すわ!」
46 名前:スペード 投稿日:2005/08/09(火) 22:51
更新終了!ようやくメイン四人の名前出せた…

>>40ミッチー様
吉澤さんの暗い過去はおいおい…前半は主役メインですから…
47 名前:ミッチー 投稿日:2005/08/10(水) 00:35
更新お疲れ様デス。。。
「もはやストーカー」って(w
ピンクの服の人ピーンチ!
48 名前:凶悪かつ最強な女 投稿日:2005/08/13(土) 22:21
「あっ!いちーちゃんあれ!」
「ああ、あの子だ!けどなんか…雰囲気やばくないか?」



「きゃあ!」
石川が地面に投げ出される。
「ふっ初級魔法程度じゃあ私は傷つかないよ」
「アクアエッジ!」
二つの水の刄が藤本を襲う。
しかし、
「ふんっ!!」
振り下ろされた斧にかき消された。
「くっ…」
49 名前:凶悪かつ最強な女 投稿日:2005/08/13(土) 22:33
「つまらないな…。せめて断末魔の叫びくらいは楽しませてもらおうかな」
藤本が斧を振り上げる。
そこに、
「待て!」
後藤と市井が立ちふさがる。
「あ、あなた達…」
「なんだおまえら?」
藤本が表情を変えずに言う。
「未来の大英雄!後藤真希!」
「モテモテ戦士!市井さやかだ!」
…約一名肩書きが不自然な人がいるが。 「英雄?笑わせるわ!」
「いちーちゃん、無視されたね」
「…自分で言ってて恥ずかしかった」
50 名前:凶悪かつ最強な女 投稿日:2005/08/13(土) 22:44
「おまえら…私の前で英雄を名乗ったことを後悔させてやるよ」
斧を構える。
「くっさっきはふざけたが万が一にも勝ち目はないな…」
真剣な顔で言う市井。
「そんなことない!私の全てをぶつけてやる!」
「ふっ、かかってきなよ!」

「はっ!」
後藤の剣が一閃する。
しかし剣の先に藤本はいなかった。
「…弱すぎるわ」
後ろから斧を振り下ろす。
「あぶねえ後藤!」
市井が後藤を突き飛ばす。
51 名前:凶悪かつ最強な女 投稿日:2005/08/13(土) 22:53
「い、いちーちゃん!!」
肩をおさえてうずくまる市井。
「次は…おまえだ!」
後藤に向き直り斧を構える。
「くっ…」
後藤が後ずさる。
そこではっとする。
自分が今引けば待っているのは市井と、そしてあの子の死。
「さあ、死ねぇ!!」
斧が振り下ろされた。
52 名前:凶悪かつ最強な女 投稿日:2005/08/13(土) 23:00
「負けて…たまるかあぁぁ!!」
斧を横に払い除ける。
「何っ!」
「くらえ!!」
渾身の力で剣を振るう。
しかし、
「なっ!!」
藤本は後藤の渾身の一撃を後ろに引いて躱した。
「はぁ、はぁ…」
「こいつ…私の一撃を防ぐとは…」
だがそれも只の悪あがきだということはこの場の誰もがわかっていた。
53 名前:凶悪かつ最強な女 投稿日:2005/08/13(土) 23:08
「残念だったね、英雄になれなくて」
藤本が斧を振り上げる。
(くそっ!負けたくない!)
しかし体が言うことを聞かなかった。
そして振り下ろされると思われた刹那、
「刺閃剣!!」
藤本が後ろに引いた。
そして藤本がいたところを閃光が通り過ぎた。
「誰だ!」
藤本がこの閃光を放った人物に向かって叫ぶ。
そこにいたのは…。
「て、てめえは…」
全身を黒で包んだ剣士、吉澤ひとみであった……。
54 名前:スペード 投稿日:2005/08/13(土) 23:10
更新終了!
いいとこですが…次回をお楽しみに。
55 名前:ミッチー 投稿日:2005/08/14(日) 01:45
更新お疲れ様デス。。。
あぁ!いいところで・・・。
続きがかなり気になります。
56 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/14(日) 21:50
ほんといいとこで・・・
続き期待してます。
57 名前:英雄探しの旅、英雄になる為の旅 投稿日:2005/08/17(水) 23:05
「てめえは…」
市井がサイクルの酒場で絡んだ相手、吉澤ひとみがそこにいた。
「……」
吉澤は覚えていないのか、市井には目もくれず藤本に剣を向けていた。
「へぇ…」
藤本のような実力者だと構えだけで相手の力量がわかる。
今吉澤とまともに戦っても勝つ自信はある。
しかし自分自身も手傷を負うだろうと藤本は思った。
「……今日はこれで失礼するわ」
考えた結果、無理をしないことに決めた。
引き際の良さも一流の証であろう。
58 名前:英雄探しの旅、英雄になる為の旅 投稿日:2005/08/17(水) 23:14
「…行ったか」
吉澤が呟く。
今の自分で相手に勝てたかどうか吉澤は不安だった。旅の最中、死を覚悟するような戦いがなかった。
それが自分をどこか腐らせていると思った。
「てめえ…なぜ俺たちを助けた」
市井が肩をおさえながら言う。
「…弱いほうに加勢するのも悪くないと思ってな」
「なんだと!!……痛ッ!」
「い、いちーちゃん!」
「…傷は深いな」
「…下がってください」
石川が市井のそばに来て言った。
59 名前:英雄探しの旅、英雄になる為の旅 投稿日:2005/08/17(水) 23:25
「いったい何を…?」
後藤の質問には答えず、石川は魔法の詠唱を始める。
「万物の根源である水の精よ、彼の者の傷を癒し給え。ヒーリング!!」
詠唱が終わると、市井の痛々しかった肩の傷はほとんどふさがってしまった。
「す、すごい…」
後藤が呟く。
「ウソみてえだ…痛みがほとんど引いてる」
市井が肩を動かしながら言った。
「あ、ありがとう!おかげで助かったよ」
「…礼を言うのは私のほうよ、ありがとう」
「ううん、アタシ結局なんにもできなかったよ。やったのは…」
そういって吉澤を見る。
「あなたも…ありがとうございました」
石川が頭を下げる。
60 名前:英雄探しの旅、英雄になる為の旅 投稿日:2005/08/17(水) 23:33
「…別に礼などいらない」
そういってあさっての方を向く。
照れているのだろうか?
「あの…」
後藤が石川に話し掛ける。
「はい?」
「英雄を探してるって言ってましたよね?」
「…ええ」
「アタシは…あなたが探してる英雄じゃないけど…、英雄を探すことは手伝えると思うんです。だから…一緒に行きませんか?」
「え?でも…」
「いいんだよ。コイツは根っからのお人好しだからな」
市井が言った。
「……わかりました。じゃあ、お願いします」
「こちらこそ!」
61 名前:英雄探しの旅、英雄になる為の旅 投稿日:2005/08/17(水) 23:41
「………」
吉澤は黙ってその場を去ろうとする。
「ああっ!待ってください!」
後藤が呼び止めた。
「…まだ何かあるのか?」
「あの…もしよかったらアタシ達についてきてもらえませんか?」
「……は?」
「だ、か、ら、ついてきてもらえませんか?」
にこやかに言う後藤。
「いきなり何を…!」
「だって…暇でしょ?」
暇と断定されたことに吉澤は無性に腹が立った。
「……斬るぞ」
「じょ、冗談ですって!でも、あなたのような強い人が来てくれたら心強いなぁ…」
何かを訴えるような目で吉澤を見る。
62 名前:英雄探しの旅、英雄になる為の旅 投稿日:2005/08/17(水) 23:51
「わ、私からもお願いします!」
石川も賛同する。たった今仲間になったとは思えないコンビプレーだな、と市井は思った。
「……まぁ退屈せずに済みそうだな」
「それじゃあ…」
「いいだろう、ついてってやる。ただし敬語はやめろ。たぶん年も近いんだし」
「え、あ、うん」
「そういえば紹介がまだだったな…私の名は吉澤ひとみ」
「後藤真希だよ」
「石川梨華です」
「市井紗耶香だ」
これがこの四人の出会いだった…
63 名前:スペード 投稿日:2005/08/17(水) 23:57
更新終了!
RPGでいうと第一章が終わったって感じですかね。

>>55ミッチー様
私的にいいとこでひっぱるのはCM的感覚だったんですが…いかがでしょうか?

>>56名無し飼育さん様
レスありがとうございます!この作者、暇人ゆえに更新は早めにしますのでおつきあいいただけたら幸いです。
64 名前:ミッチー 投稿日:2005/08/18(木) 17:22
更新お疲れ様デス。。。
これからこの4人がどうなっていくのか楽しみです。
CM的感覚ですか、イイと思います☆
65 名前:英雄って誰!? 投稿日:2005/08/24(水) 23:17
「さて…英雄を探してると言ったが、何かあてはあるのか?」
吉澤が石川に尋ねる。
「いえ…」
「ふぅ…。困ったものだな」
「お前はなんかあてはあんのか?」
「…まあな」
「えっ!?」
「だ、誰ですか!?」
「…今現在、英雄と称されるのは二人しかいない。一人はここから遥か北のフリーズランドの女王、中澤裕子。そしてもう一人はそのフリーズランドきっての将軍、平家みちよ。この二人だろうな」
「だとしたらこの二人のどちらか…?」
「石川の探してる英雄とは違うかもしれんが、会ってみる価値はあるだろうな」
66 名前:英雄って誰!? 投稿日:2005/08/24(水) 23:26
「ふ〜ん、よっすぃーってそういうのに詳しいんだね」
「…別にそれくらいは常識だろう。とゆうかなんだよっすぃーって!?」
「吉澤ひとみだからよっすぃー、ナイスセンスでしょ?」
「………」
「ありゃりゃ、黙っちゃったよ」
「中澤裕子に…平家みちよ…。あの人が手を出さないとは限らないわ…」
石川がぽつりと呟く。
「梨華ちゃーん、早く行こう!」
「は、はい!って梨華ちゃんって!?」
67 名前:英雄って誰!? 投稿日:2005/08/24(水) 23:35
「うわっすげえ霧…」
市井が声をあげる。
「今日はこの辺で野宿にしたほうがいいな…。この辺で迷えばほぼ助からな…」
と、吉澤は前の二人に呼びかけるが、
「梨華ちゃん!あっち行ってみよう」
「ちょ、ちょっと待って!」
どんどん先に進んでいく。
「………人の話し聞けよ」
「ま、後藤はああいうヤツだからな」
「お前が保護者だろう?」
「誰が保護者だ!!」
そんなやりとりをしながら先へ進んでいく…
68 名前:英雄って誰!? 投稿日:2005/08/24(水) 23:43
「で?案の定迷ったわけだな」
「……ごめんなさい」
「さて、どうしたものか……魔物にも囲まれているしな」
迫りくる魔物を蹴散らしながら吉澤が言う。
「みんな…ファイト!」
……周りの気温が5度下がった。
誰が言ったかは述べないでおこう…。
そんなこんなでどうにか魔物は倒せたものの、街道からは完全に外れてしまったようだ。
69 名前:英雄って誰!? 投稿日:2005/08/24(水) 23:50
「よっすぃー」
結局その日はこれ以上移動することはせず、野宿をすることになったのだが…。
「どうした?」
「あのさ、ちょっと稽古つけてほしいんだけど」
「別にかまわんが、明日へばっても知らんぞ」
「わかってるって!」
互いに剣を構える。
(……おそらく我流だが、まだまだだな。これからの努力次第といったところか)
…この日は吉澤に一撃も当てることができなかった。
70 名前:スペード 投稿日:2005/08/24(水) 23:53
更新終了!
キャラを大事にしようとした結果、後藤さんはあんなアホキャラに…、
71 名前:ミッチー 投稿日:2005/08/25(木) 01:10
更新お疲れ様デス。。。
周りの気温が下がる人といったら、あの人しかいませんね(w
ごとーさんはアホキャラも似合いますよ(w
72 名前:ある日森の中…? 投稿日:2005/08/27(土) 23:46
「うげっ!」
「これは…?」
「仏さんだな。しかもかなり時間が経っているようだ」
一行の目の前には見るも無残な白骨死体があった。
「魔物にでも襲われたか飢え死にしたか…ん?これは…」
死体のそばにあった紙切れを手に取る。
「この辺の地図だな。やはりかなり外れてしまっている」
「どれくらいでもどれるかな?」
後藤が尋ねる。
「まあ二時間もあればもどれるだろう。余計なことをしなければ」
後藤を見ながら吉澤は言った。
73 名前:ある日森の中…? 投稿日:2005/08/27(土) 23:55
一行は進む。
ただ黙々と。
途中魔物がいようが、

怪しいキノコがあろうが、
「だからお前のせいで迷ったんだ高橋ぃ!!」
「何言ってるんですか!矢口さんのせいですよ!!」
口喧嘩中の二人組に遭遇しようが…………。

「スルーすんな!!」
ドゴッ!!
「はぐぁ!!」
市井にドロップキック命中。
「なにすんだてめえ!!」
「何よ!シカトすんのが悪いんでしょ!」
「だったら吉澤にやれ!」
「ふざけるな!何で私が…」
74 名前:ある日森の中…? 投稿日:2005/08/28(日) 00:07
5分経過……。

「へえ〜、あんた達も迷ったんだ」
矢口と呼ばれた少女が言った。
「ああ、このバカ二人のせいでな」
石川と後藤を見ながら市井は言った。
「私もなの?」
「まあ心配ない。ここに地図もあるし」
「ふ〜ん、じゃああんた達についていけば出られるんだね」
「こっちのカワイイ娘はいいが、お前は却下だ」
高橋の肩に手を置きながら市井が言う。
「なんだってえ!?」
その発言に、矢口は不機嫌なようだ。
「お前のようなチビは問題外…」
「あ〜、言っちゃった…」
75 名前:ある日森の中…? 投稿日:2005/08/28(日) 00:17
「死ねコノヤロー!!」
ギリギリギリ!
「ギャアアアア!頭が割れる!!」
「あ、あれはアイアンクロー!」
「市井…成仏しろよ」
「勝手に…殺すな」
息も絶え絶えである。
「………む!」
吉澤が後ろを振り返った。
「どうしたのよっすぃー?」
「談笑はここまでだ、くるぞ!」
と、吉澤が指差した先には…
「く、熊……?」
「しかも異常にでかいんですけど」
「間違いなく人は食うな」
この時後藤は、そういえば森の中で熊に出会う童謡って実話じゃあただのホラーだな、と思ったとか。
76 名前:ある日森の中…? 投稿日:2005/08/28(日) 00:25
「よし行く……よ?」
後藤が剣を構えた時にはすでに矢口の蹴りが熊の延髄にきれいな角度で入っていた。
「おっかねえ女…」
市井のつぶやきに一同は同意した。

「さて、行こうか!森を出るまでよろしくねぇ〜!」
「よ、よろしくお願いします」
「なんなら人生という長い旅路も一緒に…」
「「「「こんな森の中でナンパするな!!」」」」
「はぅぅ…」
77 名前:スペード 投稿日:2005/08/28(日) 00:28
更新終了!
メインは四人ではなかったりする……
78 名前:名無し読者 投稿日:2005/08/30(火) 14:06
今回出てきた二人が主役ですか?
誰がメインでもついて行きますよ。
がんばってください。
79 名前:それいけ船旅!このイカ何人前? 投稿日:2005/09/04(日) 23:22
熊を倒し、どうにか森から出られた一行。
「さて、こっからすぐ近くにある港町から船に乗るぞ」
「え?徒歩じゃないの?」
後藤が尋ねる。
「今の季節、フリーズランドの魔物は凶暴なんでな」「え!?みんなフリーズランドに行きたかったんですか?」
高橋が驚いたように声をあげる。
「うん、ちょっとフリーズランドの女王様に会いにね。それがどうかしたの?」
石川が言うと矢口が、
「だってアタシたちフリーズランドの兵士だもん」
「「「ええ!?」」」
80 名前:それいけ船旅!このイカ何人前? 投稿日:2005/09/04(日) 23:29
「へえ〜英雄を探してるのかぁ。しかしみっちゃんはともかくあのアホ裕子が英雄とはとても思えないんだよなぁ」
「アホ裕子って…」
一応女王でしょう?と心の中でつっこむ後藤。
「ま、どーしても会いたいならオイラ達が会わせてあげるからさ」
「ほんとですか!?」
「あ、石川は黒いからナシな」
「なんでですかー!!」
81 名前:それいけ船旅!このイカ何人前? 投稿日:2005/09/04(日) 23:37
そんなやりとりをしている間に港町に着いた。
「おっ、どうやらすぐ出航するみたいだぜ!急がねーと」
市井がみんなを急かす。
「あ!待ってよいちーちゃん!」
後藤もあとを追う。
そしてそのあとを石川が。
「……まるでガキだな」
「とかなんとか言いながらよっすぃーもあんなふうにはしゃぎたいんじゃないの?」
矢口がからかう。
「ふん、くだらんな」
そう言って吉澤は船に乗り込んだ。
「……そういえば吉澤さんってどっかでみたことありません?」
高橋が矢口に聞くと、
「ああ、オイラもだ。でもどこだったか全然思い出せないんだよなぁ…」
考え込みながら二人も船に乗った。
82 名前:それいけ船旅!このイカ何人前? 投稿日:2005/09/04(日) 23:50
「うおおおお!!うーみーだー!!」
「うるさい。少しは静かにしろ」
「何を言う!てめえは冒険者でありながらロマンの欠片もないのか!」
市井が熱弁をふるう。
「ふん、所詮貴様のロマンとはナンパのことだろうが」
「………………そんなわけねえだろ?」
今の間はなんだ。


「うーん…」
「うーん…」
この二人は未だ考え中…。
そして残った二人は、
「風が気持ちいいー!」
「ほんとね…」
なにやら二人でいい雰囲気…。
こんなの市井が見たら確実に邪魔するだろう。
「ところでさ、あれ何?」
後藤が指す方角にはなにやらうごめく物体が。
どうやら市井ではなく、巨大生物により二人の雰囲気は打ち壊されたようだ。
83 名前:それいけ船旅!このイカ何人前? 投稿日:2005/09/05(月) 00:00
「どわっ!!」
その時、船体が大きく揺れた。
「もしかして、あの生物のしわざ?」
「後藤!」
ちょうど全員が甲板に集まった。
そしてその生き物を凝視する。
「あれは…巨大イカの一種だな」
「あぶりイカなら何人前だろう?」
「ま、ざっと二千人前くらいじゃねえか?」
「とにかくまずは乗客を甲板から避難させるか」
市井と後藤のバカなやりとりは、吉澤に無視された。
「それじゃオイラと高橋が避難させるから、あとは頼むね!」
そう言って矢口は高橋を連れて駆け出していった。
「さ、俺たちだけだが、やるしかねえよな?」
「「「当然!!」」」
84 名前:スペード 投稿日:2005/09/05(月) 00:03
更新終了!
展開が早い気がするのはご愛嬌ということで……(泣)

>>78名無し読者様
こんな作品ですが最後までお付き合いいただけたら嬉しいことこの上ないです。
85 名前:ミッチー 投稿日:2005/09/05(月) 02:40
更新お疲れ様デス。。。
そうか、主役は4人じゃなかったんですね。
石川は黒いから・・・ってところにワロタ(w
86 名前:この船実は…? 投稿日:2005/09/08(木) 23:12
「よし行く……うおっ!!」
イカに向かって市井が突撃しようとした瞬間、船が進行方向を変えた。
「どうやらこの船の船長は逃げを選択したようだな。なかなか賢明な判断だ」
「あ、あぶりイカがぁ〜」「まだ言うか」
さらにスピードが上がる船。
「と言うかスピード上がりすぎじゃねえの!?」
たしかに、客船で出せるスピードではない。
そう思い、船尾の方へ行ってみた。
もうイカの姿は見えない。
87 名前:この船実は…? 投稿日:2005/09/08(木) 23:22
ゴゴゴゴゴ…
「おい、なんか客船にあるまじき音が聞こえるのは気のせいか?」
市井が吉澤に尋ねる。
「安心しろ。お前の聴力はいたって正常だ。下を見てみろ」
「うわっ!!何これ?」
「外装が剥がれていってる…」
「大変大変たいへーん!!」
そこに矢口達が慌てた様子でやってきた。
「どうした?ちっこいの」
市井がからかい口調で言った。
「誰がちっこいのだってぇ!?ってんなことはどうでもよくって…。この船オイラ達以外に客がいないんだよ!それどころか船員も!」
「「「なんだって!!?」」」
88 名前:この船実は…? 投稿日:2005/09/08(木) 23:32
この様子をモニターで観察する女がいた。
「ふふふふふ…さーて仕上げは…」
女は手元にあるボタンを押した。

パカッ!
「へっ!?」
突如石川の立っている場所に穴が開いた。
「「「「「………………」」」」」
「きゃああああ!!」
……落ちるまで少し間があったのは気のせいだろう。「梨華ちゃん!!」
後藤が駆け寄るが、穴はすぐに閉じられてしまった。
「いったいなんだってんだこの船は!?」
市井はもはや半ギレである。
『ふふふふふ…あーっはっはっは!!』
船内にけっして上品とはいえない笑い声が響く。
89 名前:この船実は…? 投稿日:2005/09/08(木) 23:42
「誰だ!!」
『カワイイ娘ゲーット!!いやあこんな簡単にひっかかってくれるとはねぇ』
「てめえ!質問に答えろ!」
『ふふふ、メロンって聞いたことないかしら』
「メロンって確かこの辺を荒らし回ってる海賊…」
『そ。今回のターゲットはこのカワイイ娘ってわけ。あ、あんたらはいらないからどうぞ海の藻屑にでもなっちゃいなよ』
「はぁ!?」
「ってわけでやっちゃいなあんた達!!」
90 名前:この船実は…? 投稿日:2005/09/08(木) 23:53
船内から出てきたのはおよそ百人はいようかという海賊だった。
「こんなにいたの!?」
「さっきは誰もいなかったのにー!」
百対五、数では圧倒的に不利である。
「……………て」
「い、いちーちゃん…?」
そんな中、市井の様子がおかしいことに気付いた後藤。
「ふざけやがってええええ!!」
「い、いちーちゃんがキレた…」
「うおりゃああああ!!」
市井が一人、また一人と海に弾き飛ばす。
「ちょっと待て!お前一人で先に行くなー!」
吉澤の制止も聞かず、市井は船内に突撃していった。
91 名前:スペード 投稿日:2005/09/09(金) 00:00
更新終了!
次回更新も早めにします………たぶん。
>>85ミッチー様
やっぱり矢口さんの石川いじりは不滅ですから…。
メインはだいたいこんな感じで。駄作者ゆえにこれ以上やると頭こんがらがっちゃうんですよ…
92 名前:ミッチー 投稿日:2005/09/09(金) 00:15
更新お疲れ様デス。。。
リアルタイムで読ませていただきました。
石川さんは大丈夫なんでしょうか?
市井さん突っ走っちゃいましたね(w
93 名前:暴走機関車いちーちゃん 投稿日:2005/09/15(木) 21:59
「ちっ…おまえらは船内に入ってあのバカの暴走を止めてこい。こいつらは私がなんとかする」
「えっ?よっすぃー一人で?」
「こんなところでぐずぐずしている間に石川が何されるかわかったもんじゃないぞ」
それを聞いた後藤は、
「そうだった!梨華ちゃーん!!」
「お前もかよ!!」
矢口のツッコミは届かなかったようだ。

94 名前:暴走機関車いちーちゃん 投稿日:2005/09/15(木) 22:25
三人を見送った後…。
「お前バカか?この数相手に勝てると思って…」
男の言葉を最後まで聞かずにその男を海に叩き落とした。
「…久しぶりにやる気出すか」
吉澤が静かに剣を構える。その威圧感に海賊達は完全に押されていた。

「おりゃああああ!!」
………市井は船内を暴走中。
「って石川はどこなんだ?」
95 名前:暴走機関車いちーちゃん 投稿日:2005/09/15(木) 22:49
「いちーちゃんはどこまで行ったかなぁ?」
「あのバカのことだからかなり先に行ってるんじゃないか?」
「そうですね、でもその前に…」
船内で最も広いホールの扉を開ける。
「あの二人を倒さないといけませんね」
「その通り」
ホールの中央には二人の女がいた。
96 名前:暴走機関車いちーちゃん 投稿日:2005/09/15(木) 23:01
「只者じゃないね」
「それはどうも。でも、あなた達にこの斎藤瞳と村田めぐみの相手がつとまるかしら?」
「あんたらなんてオイラと高橋二人で十分だね」
「ってことで後藤さんは先行っててくださいね」
「無茶はしないでよ」
「何言ってんの。お前こそ無茶すんなよ」
後藤はホールを後にする。
「ふう、石川のこともとりあえず!心配だし、さっさとやるか!!」
97 名前:暴走機関車いちーちゃん 投稿日:2005/09/15(木) 23:10
「石川ー!!どこだー?」
大声をあげながら船内を捜しまわる市井。
その大声が敵を引きよせているのだが。
「こっから先は通さない!」
一人の女が通路をふさいでいる。
「どうやらその先に石川がいるようだな」
「そうだ。しかしこの先に行くことはできん」
「なんで?」
「この私、大谷に殺されるからだよ!」
自らの背丈に近いほどの長刀をいとも簡単に振り回す。
市井も静かに槍を構えた
98 名前:スペード 投稿日:2005/09/15(木) 23:14
更新終了!
課題に追われているため、少量更新です。
いつもですけど…
>>92ミッチー様
いちーちゃんは今作も突っ走りキャラです!
なぜならこんなキャラしか出せませんから。
99 名前:ミッチー 投稿日:2005/09/16(金) 04:29
更新お疲れ様デス。。。
目的がどこなのかも分からずに突っ走る市井ちゃんにワロタ(w
それぞれに敵が現れたけれど大丈夫なんでしょうか?
100 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/19(月) 15:43
お疲れ様です。
今日初めて読みました。
アホっぷりやらなにやらがいい感じですねw
みんな頑張ってほしいです。
101 名前:それぞれの闘い1 投稿日:2005/09/20(火) 23:57
「ふん!」
地面を力強く踏みしめながら斎藤に正拳突きを放つ。
斎藤はそれを左に避け、隙のできた右ボディを狙う。
しかし矢口は突き出した右手でバランスをとりながら後ろ回し蹴りを繰り出した。
避けきれずに左肩に命中する。
「いたた…。小さい分バランスのとり方が巧いわね」
「まあね。……って誰が小さいだコラ!!」
今度は左ハイキックで相手のガードを上に意識させ、隙のできたボディに連打をたたき込む。
102 名前:それぞれの闘い1 投稿日:2005/09/21(水) 00:09
「ぐはっ!」
斎藤が後ろに下がる。
「これで終わり…!」
「矢口さん、下がって!」
追い打ちをかけようとする矢口を高橋が止める。
矢口が後ろに退くとすぐ目の前には炎の壁があった。
「ふう、危なかったー!」
「ほんま突っ走りすぎですよ矢口さん」
「そう思うなら高橋も援護しなよ。忍だからって戦えないわけじゃないだろ?」
「ええ、もちろん」
斎藤はその間に体勢を立て直した。
「ちぇっ、引っ掛からなかった」
「まあ相手も一筋縄じゃいかないってことですよ。まあ私の魔法もあれだけじゃないですし」
103 名前:それぞれの闘い1 投稿日:2005/09/21(水) 00:23
「それじゃあ今度は私も」
高橋が取り出したのは小刀と札。
高橋の扱う札には魔法の力がこめられている。
どんな魔法でも閉じ込めるのは可能だが、使用するには高橋自身が強くならなければならない。
「さっ、いきますよ!」
「ってお前が仕切るな!オイラが上司だろうが!」

高橋が素早く村田に近づいていく。
村田は雷の魔法を使って高橋の足止めをするが、高橋は全てを回避しながら一枚の札を村田に向かって飛ばした。
104 名前:それぞれの闘い1 投稿日:2005/09/21(水) 00:30
その札はまっすぐ村田に向かって飛んでいき、村田のすぐ目の前までくると光を放った。
「炸火!!」
高橋が叫ぶと光を放った札が爆発した。
「きゃあああああ!」
村田はその場に崩れ落ちた。
そして札は何事もなかったように地面に舞い落ちた。
「あーしのお気に入りの一枚、どーやった?」
その札を拾いながら、高橋は気を失っている村田に話し掛けた。
もちろん返事はないが…。
105 名前:それぞれの闘い1 投稿日:2005/09/21(水) 00:38
「ぐあっ!」
「いたた…海賊がオイラをここまでてこずらせるとは思わなかったよ」
斎藤を見下ろしながら矢口が言った。
「おっ!どうやら高橋も勝ったみたいだな。…無傷ってのが気に入らないけど」
「おーい、たかは…」
「あっ!これあーしが欲しかった化粧品やぁ。どうしようかな。つけてみようかなぁ」
矢口が高橋に話かけようとするとそこには敵の荷物を勝手に私物化しようとする高橋の姿が。
「………忍びじゃなくて泥棒の方があってるんじゃない?」
106 名前:スペード 投稿日:2005/09/21(水) 00:47
更新終了!
今回はバトルゆえに描写がうまくいかない点が多々ありまして…。なんというか、すいません。

>>99ミッチー様
いちーちゃんは「これからも突っ走りまくるぜ!」って言ってました。

>>100名無し飼育さん様
アホッぷりがいい感じですか?
そう言っていただけると本当にうれしいです。
アホにした甲斐がありますw
これからもこの作品をよろしくお願いします。
107 名前:ミッチー 投稿日:2005/09/21(水) 02:09
更新お疲れ様デス。。。
高橋さん意外と強いっすね〜。ビックリでした(w
108 名前:それぞれの闘い2 投稿日:2005/09/25(日) 23:00
「いちーちゃん!!」
闘い始めて2、3分たったころ、後藤が追い付いてきた。
「おう後藤!石川ならこの先だ。先に行ってろ。…すぐ追い付くからよ」
「うん、わかった」
後藤は闘っている二人を飛び越して先に進む。
「そうはさせん!」
大谷が進路を塞ごうとするが、市井の槍に止められた。
「お前の相手は俺だろう?」
「…ちっ!まあいい。向こうに行ったところで所詮あいつには勝てないさ」
109 名前:それぞれの闘い2 投稿日:2005/09/25(日) 23:08
「梨華ちゃん!」
船内で一番豪華で広い部屋。
そこには石川と、
「へぇ、ここまで来るなんてなかなかね」
おそらくこの船の船長であろう女がいた。
「梨華ちゃん!怪我は!?」
「大丈夫、あの人は何も手出ししてこなかったから」
二人はその女に視線を送る。
「ほんとはもう少し二人っきりで話したかったんだけど…邪魔が入っちゃったわね」
「お前…!いったい何者だ!?」
「ふふふふふ。この海賊船メロンの船長、柴田あゆみよ」
110 名前:それぞれの闘い2 投稿日:2005/09/25(日) 23:18
「くっ……!こいつ、強い…!!」
相手の細剣の構えを見て後藤は直感でそう感じた。
自分では隙が見えない。
相手は確実に自分より数段上だろう。 吉澤ならば勝てる相手だろうが、今の自分では勝てる見込みがほとんどなかった。
「ほらほらどうしたの?威勢の良さは最初だけかな?」
案の定、相手の連続して繰り出される突きに押されていく。
「ファイアランス!!」
石川も後ろから魔法で援護するが、全て簡単に躱されてしまった。
111 名前:それぞれの闘い2 投稿日:2005/09/25(日) 23:27
「つあっ!!」
そして魔法を躱しざまに放った柴田の突きを避けきれずに左肩に命中してしまった。
「ごっちん!」
「ふふ、大したことないわね。」
後藤にとどめをさそうと柴田が細剣を心臓めがけて突き刺す。
辛うじて躱すが、今度は右足を負傷してしまった。
「まったくあがくのが好きねえ。ま、これでちょこまか逃げらんないでしょ?」
「ごっちん!」
石川が駆け寄ろうとするが、
「あーっと下手に近づくと刺しちゃうかもよ?」
細剣を向け威圧する。
112 名前:それぞれの闘い2 投稿日:2005/09/25(日) 23:37
柴田は後藤の胸ぐらをつかんだ。
「ま、たいした運動にもならなかったわね」
これで終わりとばかりに右手で細剣を顔に突き刺そうとした。
(こんなところで……)
後藤の持つ剣が輝きを放つ。
「負けらんない!!」
渾身の力で掴んでいる左手を引き剥がすと隙のできた左肩めがけて剣を振るう。
「何!?」
完全に躱したつもりが、肩からは激しく出血していた。
「お前……それは何だ!?」
後藤の剣からはバチバチと電気のような光が放たれていた。
113 名前:スペード 投稿日:2005/09/25(日) 23:42
更新終了!
この海賊船編は後1、2回くらいかと…。
>>107ミッチー様
年功序列で矢口さんのが上司なんですが、実力は同じです。あくまでもタイプの違いってやつで…
114 名前:名無し読者 投稿日:2005/09/26(月) 11:08
ごっちん苦戦してますねー
でもなんとかできそうかな?がんばれ!
115 名前:ミッチー 投稿日:2005/09/26(月) 22:16
更新お疲れ様デス。。。
後藤さんに何か変化が起こったのでしょうか?
116 名前:それぞれの闘い3 投稿日:2005/10/01(土) 21:38
「何だその剣は…!」
後藤の剣は電気のような光を帯びている。
どちらかといえば魔法に近いと柴田は思った。
か、その光もやがて消え、後藤もその場に倒れてしまった。
「最後の悪あがき、にしては質が悪いね。どちらにせよこれでとどめ…!!」
「おっとそうはいかねえな」
「なっ………!!」
柴田の目の前には市井、高橋、矢口の3人が揃っていた。
「馬鹿な!!斎藤達が負けただって!?」
「おう!あんなん余裕だぜ!!」
グッと親指を立てる市井。
117 名前:それぞれの闘い3 投稿日:2005/10/01(土) 21:45
「よく言うよ。一番ボロボロのくせに」
「バーカ、俺に避けるなんて必要ないね」
「ただ避けられないだけなんじゃないの〜?」
「なんだと!?」
「なにさ!!」
「二人とも、こんなときに喧嘩は…」
「よくないよ!」
「「うっさい黒いの!!」」
「なんで私ばっかり…(泣)」
「…………お〜い?」
一人シカトされる柴田。
「ま、まあそんなわけでこの場はあなたの負けってことで」
高橋がうまくまとめようとする。
「うぐっ、たしかに…」
118 名前:それぞれの闘い3 投稿日:2005/10/01(土) 21:53
いくら腕がたつといってもさすがにこの四人相手では勝ち目はない、と柴田は判断した。
「ふう、とりあえず後藤は石川に任せるとして…」
「この船でフリーズランド港まで連れてってもらうよ」
「……好きにしな」
「あれ、そういえば吉澤は?」
その場にいた全員があ、という表情をした。
「まだ闘ってるかなあ?なんせ百人だし」
「高橋、ちょっと様子見てきてくれる?」
「は、はあ…」
119 名前:それぞれの闘い3 投稿日:2005/10/01(土) 22:00
「吉澤さん!!」
甲板に出てまず目についたのは座り込んでる吉澤の姿。
「ずいぶん遅かったな」
「遅かったなって海賊はどうしたんですか!?」
「全員倒した」
「全員!?」
この短時間で?と高橋は驚愕した。
自分や矢口でも百人を相手にするのは不可能だし、ましてや入ってからまだ三十分と経っていない。にもかかわらず吉澤にはまったく疲れた様子がなかった。
(吉澤さんって……いったい何者?)
120 名前:それぞれの闘い3 投稿日:2005/10/01(土) 22:08
「おー寒っ!おっ、吉澤無事だったんだな」
「ふん、そんな心配するならはじめから突っ走るな」
「まぁそう言うなよ。おかげで石川も無事だったんだし」
「後藤と矢口は?」
「あの暴力女なら全然元気だね。後藤のほうはちとアレだが」
「あいつもまだまだ成長途中か」
「まあな。だがあいつはいつかすげえ強くなる。そんな気がする」
「まだまだ越えなければならない山はたくさんありそうだがな…」

船はもうすぐフリーズランド港に入ろうとしていた…。
121 名前:スペード 投稿日:2005/10/01(土) 22:14
更新終了!
海賊船編ようやく終わった…。
>>114名無し読者様
こんな中途半端な感じですが後藤さんの成長は暖かく見守ってやってください。

>>115ミッチー様
後藤さん、主役なんだけど別のキャラが目立ってるなぁ…今回負けちゃったし。すいません。なんとかなりませんでした。
122 名前:ミッチー 投稿日:2005/10/03(月) 01:57
更新お疲れ様デス。。。
吉澤さん、さすがですね。かなり強い。
確かに、後藤さんはすげえ強くなる気がする。
123 名前:第一次雪玉大戦 投稿日:2005/10/05(水) 21:51
日も傾きはじめたころ。船はフリーズランド港に着いた。
「うおおお!ゆーきだー!!」
「ってか寒っ!寒いよいちーちゃん!」
「ごっちんに市井さん…。雪国で半袖はきついかと」
「アホだ…」
「アホですね」
「ふぅ…」
「っくしゅっ!超寒!」
「とりあえず服買おうよ」
「そうだよ!言っておくけどフリーズランド城はこっからさらに北にあるんだからね」
矢口が言う。
「んじゃあ防寒対策をしっかりしないと…」
「そーゆーこと。今日はもう遅いから出発は明日な」
124 名前:第一次雪玉大戦 投稿日:2005/10/05(水) 22:00
そして翌朝…
「う〜、まだ寒い…」
防寒具がっちり装備中の後藤。
「さてさて後藤くん。雪国でやることと言えば何かな?」
「え〜?何かなぁ?」
「答えは…これだぁ!!」
ベシャ!
足元の雪を掻き集めて玉を作り、後藤に向けて投げた。
「冷た!何すんのさいちーちゃん!」
後藤も負けずに投げ返す。それは市井に当たらず石川に当たってしまった。
「きゃっ!ごっちん何するの〜!?」
「ごめん!今のはいちーちゃんにってうわっ!」
ボスッ!
「えへへ〜お返しですよーだ」
125 名前:第一次雪玉大戦 投稿日:2005/10/05(水) 22:09
「はぁ〜お子さまか…ってなんでオイラに投げるんだ!」
「だっていちーちゃんがやれって…」
矢口の視線の先にはニヤケる市井の姿が。
それを挑発ととった矢口は…。
「くそ〜!負けるか!高橋!!」
「ひゃい!?」
急に話を振られておかしな返事になった。
「あの3バカを攻撃だぁー!」
「は、はぁ」
言われるがままに雪玉を投げる。
いつのまにか3バカ対矢口、高橋の戦いに発展していた。
126 名前:第一次雪玉大戦 投稿日:2005/10/05(水) 22:16
「バカばっかりだ…」
その様子を見た吉澤はあきれ顔で呟いた。
ボスッ!
「フッ、私はやらないぞ。そんなガキの遊びはとうの昔に卒業し……」
ボスッ!ボスッ!ボスッ!ボスッ!ゴンッ!!
何発もの雪玉が吉澤に命中した。
「誰だ!!雪玉に石を詰めたヤツは!!!」
吉澤が剣を抜く。
「うわあ!!吉澤が剣を抜いたー!」
「逃げろー!!」
「待て貴様等ー!!」
127 名前:第一次雪玉大戦 投稿日:2005/10/05(水) 22:24
こんなこともありながら一行はフリーズランド城に向けて歩を進める。
そしてフリーズランド城が見えてきた。
「おおー!でっかいなー!」
「だろー?」
「………?」
「吉澤さん?どうかしました?」
「あの城に狼煙なんかあるのか?」
「い、いえ。まわりに砦とかはありませんし」
「だとしたらあの煙は…?」
「まさか…何かあったのか?」
「急ごう!!」
一行はフリーズランド城に向かって走っていった。
128 名前:スペード 投稿日:2005/10/05(水) 22:29
更新終了!!
今回から新章です。
次回は新キャラ登場の予定…。

>>122ミッチー様
後藤さんの成長はしばらくお待ちいただければ…。主役が弱かったら話にならないですしね。
129 名前:ミッチー 投稿日:2005/10/06(木) 02:45
更新お疲れ様デス。。。
吉澤さんは大人ぶってるけど、結構ムキになってるよね(w
新キャラ楽しみにしてます。
130 名前:自称天使〜その1 投稿日:2005/10/09(日) 09:53
城下町に着くと街中はかなり混乱した様子だった。
あちこちを行き交う民間人。
そしてそれを落ち着けようとする兵士達。
「おい!これはどういうことだ?」
矢口が近くにいた兵士に話し掛ける。
「あ、矢口殿。お戻りになられたんですか!実は二時間ほど前城の東部の門が魔物によって突破されました!」
「うそだろ!?ここいらの魔物じゃあ通常防備で大丈夫なはずなのに…」
「それが…その少し前に城内で爆発がありまして、その混乱に乗じて突破したものと思われます。それに…」
「「「「「それに?」」」」」
全員の声が重なる。
131 名前:自称天使〜その1 投稿日:2005/10/09(日) 10:02
「その魔物はこの辺りでは見たことのない魔物でした」
「なんだって!?」
「とにかく今城内では魔物を城下町に出さないよう防衛線を張っています。これは中澤女王、平家将軍二人の命令です」
「わかった。城内のことはオイラたちに任せておけ」
「はっ!みなさんもお気を付けて!」
その兵士は敬礼し、去っていった。
「これでこの城でやることは決まったな。城内に侵入したということは女王と将軍が狙いなのだろう」
「早く行かないと!」
一行は城に向かって走りだした。
132 名前:自称天使〜その1 投稿日:2005/10/09(日) 10:12
フリーズランド城内―――

城内は兵士と魔物の死体があちこちに散乱していた。
かなりの激戦が繰り広げられたようである。
「あ、あれ!」
後藤の指差す先には魔物の姿が。
「不死者の類か…ということはこれを操っているやつが近くにいる」
「でもどうしましょう。私光の魔法は…」
「心配いらん。後藤、市井、10秒時間を稼いでおけ」
そういって魔法の詠唱に入る吉澤。
「え!?」
「よっすぃーが…魔法を?」
133 名前:自称天使〜その1 投稿日:2005/10/09(日) 10:23
そしてきっかり10秒後、
「シャイニングレイ!」
吉澤の声が城内に響きわたると、無数の光線が魔物に降り注いだ。
あとに残るのは黒い跡だけであった。
「す、すごい…」
「何をしている、さっさと行くぞ!」


途中城内で戦っている兵士を支援しながら、王の間の前まで辿り着いた。
そこにいたのは――
「へえ…また会ったね…」「ふ、藤本…美貴…!」
以前後藤達がまったく相手にならなかった敵、藤本美貴がそこにいた。
まわりには多数の兵士の死体が散乱していてその血が壁を真っ赤に染める。
まるで始めからその空間だけ真っ赤だったかのように。
134 名前:自称天使〜その1 投稿日:2005/10/09(日) 10:34
「おまえか!!おまえが魔物を……!!」
「正確には私‘達’よ。まあ魔物を呼び出したのはあの方だけどね」
「…………!!」
そのことばを聞いて石川は背筋が凍るような感覚を覚えた。
「さっさとそこを通らせてもらうぜ!」
市井が槍を構える。
「………できるのかしら?」
藤本が殺気を放つ。その圧倒的な威圧感にその場にいたほとんどの者が動けなくなった。
「………クスッ。所詮はその程度…」
言い終わる前に吉澤が斬り掛かった。
吉澤だけはこの威圧感に押されなかったようである。
「何をしている!!こいつは私に任せてさっさと女王と将軍を助けてこい!!」
135 名前:自称天使〜その1 投稿日:2005/10/09(日) 10:42
「!!体が動く!?」
吉澤が斬り掛かったおかげでどうにか体が動くようになったようだ。
「悪いな!先に行くぜ!!」
市井が走りだす。後藤達もそれについていった。
「ふふふふふ。まさか私の殺気に押されない人間がいるなんてね」
「ふん、自分が最強だと思うなら、そいつは大きな間違いだ」
「あら、私は自分が最強だとは思ってないわ。あの方は私より強いし…それに…」
「くだらん談笑などしたくない。さっさとかかってこい!」
二人はそれぞれ武器を構えた。
136 名前:自称天使〜その1 投稿日:2005/10/09(日) 10:50
「…………」
(藤本美貴が言っていたあの方、もしかして…!)
「梨華ちゃん?大丈夫?」
後藤が声をかけてくる。
「え、ええ…」
矢口が王の間の扉を開ける。
そこには――
「みっちゃん!!」
右肩をおさえて膝をついている平家みちよ。
その平家を気に掛けながら敵を睨み付ける中澤裕子。そして――――
「い、飯田、さん……」
「久しぶりね、石川」
その二人を見下ろす長髪の女、飯田圭織がそこにいた―。
137 名前:スペード 投稿日:2005/10/09(日) 10:56
更新終了!
重要な場面ゆえにちょっと多めに更新しました。

>>129ミッチー様
吉澤さんのキャラは素直じゃない人、これが主です。
138 名前:ミッチー 投稿日:2005/10/10(月) 04:36
更新お疲れ様デス。。。
吉澤さんは何でもできるんですね。すごいです。
“あの方”は相当強いみたいですね。
139 名前:自称天使〜その2 投稿日:2005/10/12(水) 22:29
「石川!!こいつのこと知ってるのか!?」
市井が石川に問う。
「……どうしてあなたが……!?」
それには答えず、ただ目の前にいる相手に話し掛ける石川。
「ふふふ。まあ挨拶がわりにからかいにきたのよ。仮にもこれから滅ぼす国だしね」
「な……!!」
「それにしても人間って大したことないのねぇ」
「人間って……あなたもでしょう!?」
後藤がわけもわからず飯田に問う。
「あら、私をそんな下等なのと一緒にしないでよ。ね、石川?」
140 名前:自称天使〜その2 投稿日:2005/10/12(水) 22:36
「どういうことだよ!!」
矢口が怒鳴り声をあげる。
「言葉のとおり、私と藤本、そしてそこにいる石川は人間じゃあないわ」
「「「「「!!」」」」」
石川をのぞく全員が驚きの表情をする。
「石川…オマエまさかこいつらの仲間だっていうんじゃ…!!」
矢口が石川に詰め寄る。
石川は何も答えなかった。
「正確にはついこないだまで仲間だったんだけど。何を思ったか裏切って地上に降りてったんだよねぇ」
141 名前:自称天使〜その2 投稿日:2005/10/12(水) 22:46
「地上に降りてったって……」
「何も知らないようだから教えてあげるわ。私達は神の声を代弁する‘天使’よ」
「天使………だと!?」
「そう、人間とは違い、神の声を聞くことにより恩恵を受け、神に近い天界に住まうことを許されたのよ」
「天界……それに神?はっ馬鹿馬鹿しい…」
市井が呆れたような声を出す。
「恩恵を受けることで私達は人間には比べものにならない力を得るのよ」
「なるほど。ウチとみっちゃんが二人がかりで相手にならんとはそういうことやったんか」
142 名前:自称天使〜その2 投稿日:2005/10/12(水) 22:54
「まああなた方二人もなかなかのものですがその程度ならいくらでもいます」
「うそだろ…?」
「地上で英雄と称される存在も所詮その程度…神の決定は覆らないわ……ねえ石川?」
「まだ……わかりません!」
「なんの話だったかよくわかんねえが覚悟しやがれ!」
「あんたと同意見なのは正直納得いかないけど」
「女王と将軍の仇!」
「「いや、死んでないっちゅーねん高橋!」」
「覚悟!!」
五人が武器を構える。
143 名前:自称天使〜その2 投稿日:2005/10/12(水) 23:04
まず矢口と市井が飯田に向かっていく。
「ふふ…無駄よ」
飯田が右手をかざすと光が放たれ、それは集まってやがて輝く剣となった。
「「くらえ!!」」
飯田が剣を一振りする。
すると強烈な風とともに真空波が二人を襲った。
「「ぐあっ!」」
遠くの壁まで吹き飛ばされる。
「炸火!!」
高橋が札を飛ばし、爆発させる。
「やった!!」
完全に命中した…はずだった。
「無駄だって…」
その札を投げ返し、高橋の目の前で爆発させた。倍近い威力で。
「きゃああっ!!」
防いだもののかなりのダメージを負ってしまった。
144 名前:自称天使〜その2 投稿日:2005/10/12(水) 23:14
続いては後藤。
動きを俊敏にし、相手を撹乱させようとしたが、
「まだまだねえ…」
簡単に見切られ、市井達のように吹き飛ばされた。
「おっ!最後は石川かぁ」
「いきます!ウォーターキャノン!!」
石川の杖から勢いよく水の弾が発射される。
これもまともにくらった…はずなのに。
「石川も成長したのねえ。中級魔法まで使えるようになったなんてね」
まったく無傷の飯田がそこにいた。
「さて、今日はここら辺にしとこうかな。消すのはいつでもできそうだし。石川、戻るなら今のうちだからね。今ならまだ許してくれるはずよ。あの人も」
「………!!」
そう言い残して飯田は消えていった。
145 名前:自称天使〜その2 投稿日:2005/10/12(水) 23:22
「ふふふふふ、なかなかやるじゃない」
「貴様こそな…」
この二人、吉澤と藤本は激戦を繰り広げていた。
と言ってもお互いわずかな傷がある程度だが。
その戦いは飯田の邪魔により終了した。
「藤本!今日はもう終わり。帰るよ!」
その言葉に従うように消えようとする藤本。
「まて!!」
吉澤が止めようとする。
「あら?あなたはあの時の…。生きていたのね」
「………!!」
その言葉を聞いて吉澤は絶句する。
自分の正体を知っている者でないと言えない言葉だからだ。
吉澤は茫然としたまま、二人が消えるのを見ているだけだった…
146 名前:スペード 投稿日:2005/10/12(水) 23:27
更新しました。

石川さんの正体編。そして話の核心にふれる。そんな感じですね。

>>138ミッチー様
そうですよ。あの方、は現時点で最強キャラです。
今思ったのは前作といい飯田さんがなぜか最強……。
これって作者のひいき?

147 名前:ミッチー 投稿日:2005/10/13(木) 04:32
更新お疲れ様デス。。。
まさか○○だったなんて、ビックリです。
う〜ん・・・謎が多いっスね。

ひいきの可能性大ですね(w
148 名前:超絶天才科学者 投稿日:2005/10/17(月) 22:06
「おい!石川!これはどういうことなんだよ!」
「ちょっと矢口さん落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるか!」
石川に掴み掛かろうとする矢口を高橋が押さえていた。
「私にもどういうことか教えてもらおうか」
そこに吉澤もやってきた。
「………わかりました」
話し始めた石川は沈んだ表情をしていた。



「………なるほど。その天使と名乗る者がこのフリーズランドを滅ぼさんとこの城に攻め込んできた。だがその飯田という女は余裕のあらわれかとどめをささずに消えたということか」
「ええ、あの状況、全員で戦っても間違いなく負けていました」
149 名前:超絶天才科学者 投稿日:2005/10/17(月) 22:13
「しかし本当にフリーズランドを滅ぼすだけが目的なのか?」
「え?」
吉澤の言葉に一同は首を傾げる。
「フリーズランドを滅ぼすだけならさっきできたはずだ。女王と将軍を殺せばこの国はほぼ間違いなく終わりだからな。でもそれをしなかった……」
「何か、別の目的があるのかな?」
「おそらくな…石川、おまえは知っているだろう?」
「………はい。飯田さん達は、フリーズランドではなく、地上そのものを滅ぼそうとしているんです」
150 名前:超絶天才科学者 投稿日:2005/10/17(月) 22:27
「なっ!!」
「うそやろ…?」
「信じられないのも無理はないでしょうが、少なくともあの人達は本気です」
「あーっとなんか頭痛くなってきたな…」
「みっちゃん、こんな小難しい話大好きなヤツおったやろ?」
中澤が話をふると、
「紺野かぁ…ウチ苦手やからなぁ…」
「呼びましたか?」
「「っているんかい!!」」
王の間に一人の女が入ってきていた。
「だからいつも急に出てくんな紺野ぉー!」
矢口が紺野のほっぺたをつまむ。
「いひゃいですよ矢口さん!今すぐ外さないと新薬の実験台に…」
「あーやめやめ!!」
151 名前:超絶天才科学者 投稿日:2005/10/17(月) 22:36
「………まぁたしかに、フリーズランドではなく、別の目的があるのは間違いないでしょうね」
「なあ紺野、ウチは女王としてどうしたらええと思う?」
「まずは敵を減らし、あわよくば味方につけること、ですかね…」
「味方につけれそうな国っていうと…」
「ヒートランド、やな?」
「……………!!」
ヒートランドという言葉を聞いて吉澤は一瞬動揺した。
「まあまず落ち着いて考えなあかんから今日は休んどき。矢口、客間に連れてきな」
矢口の案内で客間へと通された。
152 名前:超絶天才科学者 投稿日:2005/10/17(月) 22:49
その夜―――

「………さっきの戦いでようやくわかった」
一人外に出ていく石川。
「あの人に勝つには本物の英雄じゃないと…それにごっちん達にはもう迷惑はかけられない」
そう言い残して石川は光とともに消えていった。


翌朝―――
「石川は!?」
「ダメだ、いねえ!」
「梨華ちゃん…どうして!?」
「早く捜さないと…」
「行ってどうするんだ?」
「そんなの決まってる、梨華ちゃんを連れ戻しに…」
「行ったところでもう一度いなくなるだけだ」
「なんでそんなことが言えんだよ!」
市井が吉澤に詰め寄る。
153 名前:超絶天才科学者 投稿日:2005/10/17(月) 22:55
「まだわからないか、あいつは英雄を捜してるんだ。あの藤本より、そして飯田という女より強い英雄をな。はっきり言えばあいつにとって私たちは邪魔でしかなかったのさ」
「よっすぃー、それは違うよ」
「何が違う?」
「少なくとも邪魔でしかないなんてことはない。それにあたしらは英雄捜しを手伝うって言ったんだから最後まで手伝いたい!」
「………ふっやれやれだな。しかしどこにいるのか…」
154 名前:超絶天才科学者 投稿日:2005/10/17(月) 23:01
「それならわかりますよ」
紺野が客間に入ってきた。
「どうして?」
「昨日、その方の雰囲気がおかしかったので発信機を付けておきました………えーっ今はこっから50キロほど東のところにいるみたいですね」
手元の機械をいじりながら言った。
「雰囲気がおかしかったってだけで発信機を…」
軽く犯罪じゃねーの?と市井は思った。
「じゃ、行きましょうか!」
「はっ!?」
「だから私も行くんですよ」
「あきらめな…紺野は一度言ったら絶対聞かないから」
155 名前:スペード 投稿日:2005/10/17(月) 23:04
更新しました。
新キャラ登場です。まあ私の作品にこの人は欠かせませんから。
156 名前:名無し読者 投稿日:2005/10/21(金) 10:18
さすが紺ちゃん
157 名前:本当の英雄その1 投稿日:2005/10/24(月) 22:48
「しっかし大丈夫かぁ?」
前を行く紺野を見ながら市井が言った。
「何が?」
「あの紺野ってやつ、どっからどー見ても戦闘できるとは思えねーけど」
「それなら心配ないよ。普段はあんなふうにお菓子ばっかり食べてるけど、あれでも魔術では裕ちゃんに次ぐ実力者だからね」
「魔術においてフリーズランド第二の実力者ってことか」
「まったく…オイラが五年かかって得た地位と同等のものをあいつは半年で手に入れやがったってんだから納得いかない話なんだけどな」
158 名前:本当の英雄その1 投稿日:2005/10/24(月) 22:59
「……梨華ちゃん……」
一行の最後尾をいく後藤は会話に加わっていなかった。
「気になるのか?」
「よっすぃー…さっきはあんなふうに言ったけど本当にそれでいいのかって今頃になって考えるようになっちゃった…。あたしってダメだね」
「そんなことはない…」
「……?」
「少なくともお前は石川のことを思いやっている。今から助けに行って余計なことをされたと感じるかどうかはあいつ次第だが助けられなくなってからでは遅いんだ」
159 名前:本当の英雄その1 投稿日:2005/10/24(月) 23:08
「うん、そうだね!アタシはまだ梨華ちゃんと一緒にいたい!だから助ける!!」
そういって市井達の会話に加わる後藤。
「……そうだ。私と違ってお前はまだ助けられる…。自分の大切な人をな…」
吉澤のつぶやきは雪と風にかき消された…。

「反応が近いですね…おそらくあの寺院かと」
一行の目の前には大きな寺院があった。ひび割れや崩れてしまっている所があり、長年人が来た形跡がないようだ。
160 名前:本当の英雄その1 投稿日:2005/10/24(月) 23:19
「なんでこんなとこに寺院があんだよ…」
「…昔は宗教に身を捧げる人が多かったそうだ。そういう人達は修業として各地の寺院を巡礼した。ここもその一つだったんだろうな」
「…ふ〜ん」
紺野が感心した様子で吉澤を見る。
「…なんだ?」
「矢口さんが見込んだ人だからどんなアホかと思ったけど案外まともなのもいるのね〜っと思ったわけよ」
「紺野…そりゃどーいう意味だ?」
「これくらい歴史書を読めばわかるだろう」
「宗教についてのそんなに詳しい歴史書って城の書庫にあるかどうかの代物よ?」
「……」
161 名前:本当の英雄その1 投稿日:2005/10/24(月) 23:28
「それに…さっき城でのあんたの戦いぶりを見せてもらったけど、あれは相当高度な教育を受けたとみたわ」
「………」
「高度な教育って…」
「そうねえ…たとえば国家の上級騎士、いや、あれは平家将軍レベルね」
「…私の話はどうでもいいだろう。それより今は石川を助けるべきだ」
「そ、そうだったな」
「話をそらそうとするあたり、怪しい…」
「紺野ー?置いてくぞ?」
「ああ、もう待ちなさいよー!!」
一行は寺院の中に入っていった。
162 名前:本当の英雄その1 投稿日:2005/10/24(月) 23:38
寺院の中は広く、また、飾りなどもなかった。
薄暗いかと思われたが、外の光もちゃんと入る。
「……おい」
「ああ…」
次の部屋への扉の前に、一人の女が立ちふさがっていた。
その女は笑みを浮かべている。
「まーったくなっちはなんでこんな寒いとこで寒い奴の見張りなんてやらなきゃならないっしょ?」
「はぁ?」
いきなりの疑問系と訛りに一同は唖然とした。
その一瞬後、
「ぷっ、ククク…はーっはっはっは!なんだよその訛りは!ありえねー!!」
163 名前:本当の英雄その1 投稿日:2005/10/24(月) 23:51
「訛ってないべさ!!」
((((((いや、訛ってるから…))))))
「もー怒ったべ、こんなとこに連れてきた圭織にもだけど、あんた達にも怒ったべ!!」
そう言うと、女は何やらぶつぶつとつぶやき始めた。
「あんたたちの相手は…このフリーズドラゴンで十分だべ!!じゃね〜」
女は奥の部屋へと入っていった。
残されたのは一行と青く大きな龍。
「ウソだろー!!?こんなとこで伝説上の生物と戦うはめになるなんて…」
「いちーちゃん!謝って!!今すぐあの人に『笑ってすんませんっしたー!!』って謝って!!」
「のんきにそんなこと言ってる場合か!!来るぞ!!」
全員が戦闘態勢に入った。
164 名前:スペード 投稿日:2005/10/24(月) 23:54
更新しました。
今回の女の人、誰だかわかりますよね?あえて名前は出してませんが…、

>>156名無し読者様
紺ちゃんは今作、全員にタメ口です。あと天才ゆえにぶっとんでます。かなり。
165 名前:ミッチー 投稿日:2005/10/25(火) 03:14
更新お疲れ様デス。。。
女の人誰だかバレバレっすね(w
次回も期待。。。
166 名前:本当の英雄その2 投稿日:2005/10/29(土) 21:40
フリーズドラゴンは大きく息を吸い込んだ。
「ブレスか!!」
「私にまかせて!」
紺野が一歩前に出る。
同時にフリーズドラゴンが強烈な吹雪を吹き掛けてきた。
しかしそれは紺野に命中する前に穏やかな風に変わった。
「アルティネイト…」
「す、すごい…」
後藤が驚きの声をあげる。
フリーズドラゴンはさらに息を吸い込もうとする。
「そうはさせん!」
いつのまにかフリーズドラゴンとの間合いを詰めていた吉澤。
167 名前:本当の英雄その2 投稿日:2005/10/29(土) 21:48
吉澤は高く跳躍し、首めがけて剣を振り下ろした。
「やった!!」
と思われたが、
ガキィ!!
「!!?」
剣は傷一つ付けることなく弾かれてしまった。
さらに空中のため、自由に身動きがとれない。
そこへフリーズドラゴンの吹雪が襲ってきた。
「よっすぃー!!」
吉澤が地面に着地する。
「くっ……!」
無理矢理体勢を変えて直撃は避けたものの、ダメージはかなり深い。
168 名前:本当の英雄その2 投稿日:2005/10/29(土) 21:56
「まさか私の剣で傷一つつかんとは…」
「どーすんのよこれー!?」
「ちっやむをえん…おい、そこのパワーバカ」
市井を指差し吉澤が言った。
「てめっ!誰がパワーバカだ!!」
「ふん、お前の馬鹿力だけは認めてやってるんだ。私が引き付けるからお前はあいつの眉間を思いっきり叩け」
「は〜ん…」
「なんだ?」
「さては…俺に惚れたな?」
「「「「「黙れこの愚か者!!」」」」」
全員が見事にシンクロした。
169 名前:本当の英雄その2 投稿日:2005/10/29(土) 22:05
「ではいくぞ!!」
吉澤がフリーズドラゴンに突っ込んでいく。
フリーズドラゴンは吹雪を吹き掛けた。
吉澤はそれを左に跳んで躱す。
「はっ!!」
今度は足への一撃、傷はつかなかった。
しかし衝撃で一瞬バランスを崩す。
「今だ!!」
「わかってらぁ!!」
市井が高く跳躍し、槍を真上にかかげる。
「くらいやがれぇー!!」
槍を渾身の力で振り下ろした。
甲高い悲鳴をあげ、フリーズドラゴンは崩れ落ちた。
170 名前:本当の英雄その2 投稿日:2005/10/29(土) 22:24
「はぁ…はぁ…」
吉澤がその場に膝をつく。
「よっすぃー!?」
「相当ダメージ深いわね」
「ちっ…私はここで休む。お前らは先に行ってろ」
「え……でも」
「それだったらあーしもここに残るやざ!」
「……何故だ?」
「ほ、ほら誰かいないともしもの時にあ、ああ、アレだし…」
なぜか吃りながら高橋が言った。
「ふ〜ん?」
紺野がニヤニヤしながら奥の部屋へと向かっていく。
「あ〜あ、な〜るほどねぇ」
矢口もニヤニヤしながら奥へ行った。
後藤と市井と吉澤にはなんでニヤニヤしているのかはわからなかったが、高橋はどうしてかわかってしまったため、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
171 名前:本当の英雄その2 投稿日:2005/10/29(土) 22:39
「高橋もやるねぇ」
「ま、わかってないのもいるけど」
紺野と矢口は後ろを振り返りながら言った。
「「なんなんだよ…」」


「ここかな?」
「たぶんな」
大きな扉の前に立つ四人。
市井が扉を思いっきり押しあけた。
そこにいたのは―――
「ごっちん!!」
何かの結界に閉じ込められている石川と、
「あら、あのフリーズドラゴンに勝ったんだべか…」
先程の女がそこにいた――。
172 名前:スペード 投稿日:2005/10/29(土) 22:48
更新しました。

補足説明
アルティネイト…紺野オリジナル魔法。物の性質を変化させる。それを応用し、攻撃魔法を無効化することも可能。しかしかなり魔法力の消耗が激しい

>>165ミッチー様
まあ…訛ってますし…ねえ…?また今回も名前出しませんでしたがw
173 名前:本当の英雄その3 投稿日:2005/11/06(日) 22:15
「あ、自己紹介がまだだったべ。あたしは安倍なつみ。天使の中でも上位クラスに属してるべさ」
「そんなことはどうでもいい!梨華ちゃんを返せ!」
「んー、返せって言われて返すバカはいないし、それにあんたの言うことを聞く義理はないっしょ」
「なら力ずくだぁー!」
市井が突きを放つ。
女はそれを軽やかに躱すと剣を抜き、市井に向かって斬り掛かった。
ガキィ!
なんとか防いだものの、大きくバランスを崩す。
174 名前:本当の英雄その3 投稿日:2005/11/06(日) 22:24
安倍は続けざまに斬撃を繰り出す。
その一撃を躱しきれず、市井は腕に深いダメージを負った。
「ダークスピア!!」
いつのまにか詠唱の終えた紺野が闇の魔法を放つ。
しかしその魔法は安倍が剣を一閃すると消滅してしまった。
「そんな…」
「なっちのこの聖剣ファーウェルの前に魔法は通用しないべさ」
「くっ……」
矢口が接近戦を挑もうと間合いを詰めようとするが、
安倍の剣から放たれる衝撃波に弾き返されてしまった。
175 名前:本当の英雄その3 投稿日:2005/11/06(日) 22:33
「つ、強い…この人」
これほどの強さはあの藤本と同等ぐらいではないか。
「油断大敵、だべさ」
安倍が一気に後藤との間合いを詰める。
「くっ!!」
左肩から血が流れた。
今の安倍の動きが見えたのはこの場にただ一人としていない。
「やばっ…」
意識が失いそうなのを堪える。
「ごっちん!!負けないで!」
「……そうだ。負けちゃいけないんだ。こんなところで―――!!」
後藤が剣を強く握り締める。
そこへ安倍の剣が再び襲い掛かってきた。
176 名前:本当の英雄その3 投稿日:2005/11/06(日) 22:43
「くっ!!」
しかし吹き飛ばされたのは安倍のほうだった。
「な、なんだべその剣……!」
安倍が見た後藤の剣、それは一言で表現するに炎の剣、というのが正しいだろうか。
「ブレイズ・ソード…」
実は少し前から練習していた魔法剣。それが今、土壇場で完成したのだ。
「はっ!」
後藤が剣を振るう。
「くあっ!!」
胸の辺りに浅く入っただけだが、斬撃と炎を同時にくらってはたまらない。
「こんなやつがいるなんて聞いてないべさ!!ひとまず退散するっしょ!」
傷を押さえながら安倍は光とともに消えてしまった。
177 名前:本当の英雄その3 投稿日:2005/11/06(日) 22:50
「……行ったか」
安倍がいなくなると同時に石川のまわりに張られていた結界も消滅した。
「ごっちん!!」
石川が後藤に駆け寄る。
「………どうして?私、ごっちん達に黙って出ていったのに」
「梨華ちゃんが、泣いてる気がしてさ。梨華ちゃんは、一人じゃない。あたし達がいるんだから」
「…………!!」
「梨華ちゃん?」
石川がいきなり後藤を抱き締めた。
「あなただったんだ……。あなたこそが………私の………英雄………!」
178 名前:スペード 投稿日:2005/11/06(日) 22:55
更新しました。
補足説明をば…。

聖剣ファーウェル…安倍の所持している剣。神の恩恵が具象化したものらしい。魔法を打ち消す効果をもつ。

ブレイズ・ソード…後藤が厳しい修業の末編み出したらしい魔法剣。その初期型。初期型とはいえ攻撃力は高い。炎属性。

179 名前:ミッチー 投稿日:2005/11/07(月) 01:05
更新お湯彼様デス。。。
ごとーさんが○○…!?
次回期待。。。
180 名前:名無し読者 投稿日:2005/11/07(月) 13:20
いしごまいいね
181 名前:彼女の正体1 投稿日:2005/11/16(水) 21:53
「………おーい、いつまでいちゃついてんだ?」
「べ、別にいちゃついてなんかないよ!」
「そ、そうですよ!市井さん変なこと言わないでくださいよー!!」
「二人して赤くなりながら言い訳してもねぇ…?」
「や、矢口さんまでー!!」
「ほらほらバカやってないでさっさと帰るよ?」
紺野が四人を急かす。
「紺ちゃんまで…」
「誰が紺ちゃんよ!次言ったら新薬の実験台にするからね」
182 名前:彼女の正体1 投稿日:2005/11/16(水) 22:07
「……あの」
「………なんだ?」
「……………いえ、なんでもないです」
「………そうか」
「………」
「………」
(重い!空気が重い!ただよしざーさんのこともっと知りたいだけなのにすっごい空気で威圧される!)
高橋は思い切って聞くことにした。
「あの!よしざーさんはどこの国の出身なんですか!?」
「それを聞いてどうする?」
「どうもしませんよ。ただ寒いのが苦手みたいだからもしかしたら南国の出身じゃないかなーって…例えば、ヒートランド、とか」
183 名前:彼女の正体1 投稿日:2005/11/16(水) 22:20
「………!!」
(やっぱり…女王の話の時おかしかったからな…)
「だからってどうしようってわけじゃありませんから…」
「………」
「おーい終わったよ…って何この空気?」
矢口が高橋のそばに寄ってきて耳打ちする。
(おいおいなんだよこの空気は!?口説き落とすんじゃなかったのか?)
(は!?ななな何言ってるんですか!そそそそそんなことできるわけないでしょう!?)
「どうやら石川は無事だったようだな……」
吉澤は後藤と石川のくっつきっぷりを無視することにした。
184 名前:彼女の正体 投稿日:2005/11/16(水) 22:31
「おっ帰ってきた。随分遅かったんやな」
「このできたてバカップルのせいだ…」
石川、後藤を除く五人が溜め息を吐いた。
「……ま、ほっといたり。それより今後のことやけど……」
「うちらは復興やら防衛やらでどこにも兵を出せる状況やないねん。やからあんたらに行ってほしいとこがあんねんけど」
「…ほう、どこだ?」
「……ヒートランド、や」
「………やはりな」
「あっちで何をするんですか?」
「簡単に言えば交渉と、国勢の調査やな。最近いい噂を聞かへんし、3年前の革命があってからやな」
185 名前:彼女の正体1 投稿日:2005/11/16(水) 22:44
「…………」
「3年前の革命?」
「そうや。3年前、あの国の女王が病気で亡くなって、当時第一王女であった亜弥王女が継ぐはずだった王位が家臣の専横によって第二王女の小川麻琴王女に王位がいったんや。んで亜弥王女はその家臣によって殺されたって話しや」
「………そんなことはどうでもいいだろう。話が終わりなら私は失礼する」
吉澤は王の間を出ていった。
(…よっすぃー?)
今の吉澤は少しどころかかなり変だ、と一同は思ったが誰もそれを聞くことはできなかった……。
186 名前:スペード 投稿日:2005/11/16(水) 22:45
更新しました。
最近なかなか時間がとれません。
完成させる気はあるんですが…
187 名前:ミッチー 投稿日:2005/11/17(木) 02:32
更新お疲れ様デス。。。
吉澤さんの重い過去に少し触れましたね。
辛いですね…。吹っ切れる時はいつ来るのでしょうか?
次回も期待。。。。
188 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 04:23
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
189 名前:スペード 投稿日:2006/01/24(火) 08:02
2ヵ月以上にわたって放置してしまって本っっっ当に申し訳ございません。

作者としてはスレを立てた以上完結させるのが筋だと思っております。
これから再開させていただきます。
190 名前:彼女の正体〜2〜 投稿日:2006/01/24(火) 08:14
皆が寝静まったフリーズランド城外。
吉澤は一人大きな木の前に立っていた。
そして剣を抜き、横に切り払った。
メキメキと音をたて、木は後ろに倒れる。
その様子をみて吉澤はチッと舌打ちした。
(昔の自分は…こんな程度ではなかった…そう、先頃の戦いも一人でやれたはずだ。今のこのざまはなんだ?これでは…あの時よりさらに弱くなってるじゃないか…)
191 名前:彼女の正体〜2〜 投稿日:2006/01/24(火) 08:22
「まったくこんなとこにいやがったのか」
「!!」
突然現れた市井に吉澤は思わず剣を向ける。
「おいおい、シャレになってねーっつの」
「貴様が気配を消して近づくからだろう!」
「気配?んなもん消してねーって。お前が鈍くなったんじゃねーの?」
「!!」
(たしかに…そうだ。私が鈍くなってるのか…こいつが気配を消して近づくなんて器用なことができるはずないしな)
「今失礼なこと考えたろ」「いや…」
192 名前:彼女の正体〜2〜 投稿日:2006/01/24(火) 08:31
「で?何の用だ?」
「…そろそろ話したらどうだ?」
「何を」
「…ヒートランドのことさ」
「…私が何か知っているとでも?」
「ああ、悪いがこれはもう確信の領域だ」
「………」
吉澤は黙ったままだ。
「イエスととるぜ」
「あの国はもう私とは関係ない」
「それは違う!」
別の方から声がする。
下を見ると矢口が半分雪に埋まっていた。
193 名前:彼女の正体〜2〜 投稿日:2006/01/24(火) 08:38
「うおっ!!ちっこいの!お前全身埋まらなくてよかったなぁ〜」
「やかましい!それにオイラだけじゃないんだよ!」
「あ、あの〜高いんでぇ、誰か降ろしてくださーい」
上を見ると高橋が確かに高い木の幹に乗っていた。落下したら雪とはいえかなりダメージを受けそうだ。
「よっすぃー…」
また別の方からは後藤と石川、それと紺野の姿が。
「なんだよ、結局全員集合じゃねーか」
194 名前:彼女の正体〜2〜 投稿日:2006/01/24(火) 08:48
「それだけ皆よっすぃーが心配なんだよー」
「そうそう」
「フフフ。私は新薬の実験に〜」
若干一名おかしなことを口走っているが。
「話してくれたっていいだろう?俺たちは仲間なんだから」
吉澤は少し考えていたが、「…いいだろう」
と答えた。
「じゃあさ、よっすぃーってヒートランドの軍人だったの?」
「ああ…。そして私の…階級は…」
少し間を置いて、
「ヒートランド松浦亜弥王女守護役総長、吉澤ひとみだ…」
195 名前:スペード 投稿日:2006/01/24(火) 08:59
更新終了!
放置していた理由としては言い訳ですがすっごい忙しかったことです。
これからはこんなことがないよう努力いたしますのでよろしくお願いします。

>>187ミッチー様
お久しぶりです。吉澤さんの過去、作者も頭をひねって考えました。もう主役変わっちゃうくらいに。でもあくまで主役は後藤さんですよ?

>>188名無し飼育さん様
2005飼育大賞、私も少し覗きましたが。なんと私の前々作、迅雷の英雄が投票されてましたー!!ひっじょーにうれしいです。またこのような企画があるといいですね。
196 名前:ミッチー 投稿日:2006/01/25(水) 02:48
更新お疲れ様デス。。。
ついに、皆に話すときがきましたね。
この後どうなるのでしょうか???
次回も楽しみにしてます。
197 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/01/31(火) 23:44
―ヒートランド北西部、カーライム渓谷―

「くっ、こいつら…強ぇ!」
兵士が負傷した左肩を抑えながら言う。
兵士達は女王の命にて魔物の討伐に派遣されたのだが、戦況は不利であった。
「ふーむ、どないしたらええんやろ?」
本陣で戦況がきわめて不利と聞いたヒートランド軍参謀、つんくがまわりの者に問い掛ける。
「「「………」」」
まわりの者は何も答えなかった。
自分が行くとは言えず、かといって策も浮かばないからであった。
198 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/01/31(火) 23:56
この沈黙を破って立ち上がったのは、一人の少女であった。
「…私にお任せ願えませんか?」
「馬鹿をいうな!貴様のような小娘にできるわけが…ッ!」
反論した男は少女に睨まれただけで口をつぐんでしまった。
「……やってみ」
つんくは一言そう呟いた。
その少女―吉澤ひとみは名剣と名高いヴェインスレイを手に、本陣を出発した。
「………こんな腐った国にもあんなヤツがおったんやなぁ」
つんくの呟きは誰にも聞こえなかった。
199 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/01(水) 00:08
「蒼天破斬!!」
吉澤の剣から放たれる衝撃波は複数の魔物を一撃で吹き飛ばしていた。
まわりの兵士も吉澤の活躍に戦意が上昇し、不利な戦況を一気に盛り返した。

「これで終わりです!覇王絶炎翔!!」
炎を纏った剣が最後の魔物を焼き尽くす。
その炎が消えた時、兵士は勝どきをあげていた。

「ふん!小娘がいい気になりおって…」
吉澤に睨まれた男が毒づく。他の者も吉澤に対する皮肉を口にするばかりであった。
200 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/01(水) 00:16
「ひーぃーちゃーんー!!」
城に戻って早々、そんな叫びがどこからか聞こえてきた。
何となく上を見上げると、
「王女様!そこは危ないと何度も…!!」
城壁の上を歩く亜弥王女の姿があった。
「平気だってこんくら…ってきゃあ!!」
案の定、落下。
「くそっ!」
ボフッ!
間一髪、キャッチすることに成功した。
「え、えへへへへ〜………」
ポカッ!
「えへへへへじゃありません!!」
「ひーちゃんがぶった」
「子供ですかあなたは…」
201 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/01(水) 00:23
「コラ!ひーちゃんに迷惑かけるなとあれほど言ってるでしょう!」
「女王陛下…」
「お母さま…」
「まったく…これじゃあ将来が心配だわ」
「お体の方は…」
「心配いらないわ。最近すごく調子がいいから。
ひーちゃん。悪いけど亜弥を部屋で勉強させてあげてくれる?
この子ったらひーちゃんが城を出てからまったく勉強したがらないのよ」
「やれやれまたですか…」
ジト目で亜弥を見ると、
「だって勉強なんてつまんないー!」
「「はぁ…」」
202 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/01(水) 00:32
「それから陛下…いい加減…その…ひーちゃんってのやめてもらえませんか?」
「ダメよぅ。ひーちゃんはひーちゃんなんだから♪」
「はぁ…」
もう疲れた、というような感じで亜弥を部屋に連れていく。
その後ろ姿を見ながら女王は、
「そう、あなた達がいればこの国は大丈夫よ。私の後も…」
と呟いた。

この日は女王が崩御される5日前の事、そして、歴史上最悪のクーデターのわずか7日前の事であった。
203 名前:スペード 投稿日:2006/02/01(水) 00:36
更新終了!
試験終了および春休みのため頻繁に更新できそうです。

>>196ミッチー様
二ヵ月も開いたのに待っていただき、ほんとにありがたいです!これからは早めの更新を心がけます。
204 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/01(水) 11:33
始めまして。更新ご苦労様です!!
かなり面白いですっ!!
続き楽しみにしてます
205 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/06(月) 22:45
カーライム渓谷の魔物討伐から4日後、前日まで元気だった女王が急に倒れ、危篤状態に陥った。

それを聞いた吉澤は亜弥王女の部屋に駆け付けると、王女は我を忘れたかのように泣いていた。
「王女様!落ち着いてくださいませ!」
「お、お願いだから誰かお母さまを助けてよー!!」
まわりの者が落ち着かせようとするが効果はなかった。
「王女!」
「ぐすっ…ひーちゃん…お母さまが…」
吉澤の姿を認めると抱きついてきた。
「………」
吉澤は何も言うことはできなかった。
206 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/06(月) 22:52
やがて泣き疲れたのか眠ってしまった亜弥をベッドに降ろし、吉澤は女王の容体を見に行った。
「ひーちゃん…」
前日までの声とは違い、ひどく弱々しい。
「亜弥のこと、よろしくね?」
「何を言われるのですか!女王様はまだこの国になくてはならない存在なのです!ですから…」
「自分の体のことは自分がよくわかるからねぇ…」
息も絶え絶えでなんとなく聞き取りづらいが、まだ意識はしっかりしているようだ。
207 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/06(月) 23:00
「そう…これからは…あなたたちの…時代…」
その言葉を最後に女王は深い眠りに落ち、翌日、そのまま意識を回復する事無く永遠の眠りについた…。

女王が崩御されたその翌日、葬儀は盛大に執り行われたが、そこに亜弥の姿はなく、第2王位継承者である麻琴王女の姿があった。
この日、そして翌日にわたりクーデターは行われたのだが、それは思えばこの葬儀に亜弥の姿がなかったからかもしれなかった。
208 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/06(月) 23:10
女王が危篤状態になってからというもの、亜弥王女は心身共に万全というわけではなくいつも取り乱していた。
その反面、麻琴王女は落ち着いており、どちらかといえば麻琴王女のほうを次代の女王にすべきではないかという考えが国中に広がったのである。
そしてその考えを広めているのが参謀のつんくなのであった。
「ふふふふふ。もう少し、もう少しや…。飯田達の準備が整えば…」
その時、一人の兵士が部屋に入ってきた。
「つんく様!亜弥王女の姿がどこにも…」
「なんやて!?まさか…計画がバレたんか!?」
「それから王女守護役総長の吉澤の姿も…」
「くっ…あいつか…!!飯田を呼べ!少し早いが計画実行や!」
209 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/06(月) 23:17
葬儀の翌日〜カーライム渓谷〜

「はあっ…はあっ…」
吉澤は亜弥を連れてここまで逃げてきた。
途中の関所などは若干強引に突破したのでもう追っ手は放たれているだろう。
「ひーちゃん…やっぱり私…」
「亜弥様…今は耐えてください。いつか、この国を幸せにするためにも」
吉澤の体には無数の傷があった。
ここに至るまで何回戦い、何人斬ったのか、それさえわからなくなっていたが、亜弥を国外、フリーズランドに逃がすため、命を賭けて戦っていた。
210 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/06(月) 23:27
「けどそれじゃあひーちゃんが…」
「…私はいいのです。あなたはこの国になくてはならない存在…」
「違うの!私はひーちゃんがいれば何もいらない!」
「亜弥様…」
「お願い、亜弥って言って…」
「亜弥…」
そこから一言も話す事無く二人はしばらく抱き合い、そしてどちらからともなく唇をあわせた。
「ん……」
「……」

しばらくして渓谷のさらに奥に進むと橋があるはずだったが、その橋は落とされていた。
「ようやくきたんやなぁ…」
「なっ!!お前は…」
亜弥をかばうようにしてまわりを見渡すと、そこには参謀のつんく、飯田圭織、そして千を越えるヒートランドの兵士が吉澤達を囲んでいた…
211 名前:スペード 投稿日:2006/02/06(月) 23:30
更新終了ー!

いつものようにレス返し!

>>204名無し飼育さん様
おもしろいっすか!!ありがとうございます!
おもしろさをコンセプトにしてるんでかなりうれしいです。
212 名前:ミッチー 投稿日:2006/02/07(火) 15:00
更新お疲れさまデス。。。。
うわぁ…最悪の状況ですね。
この先どうなるのか気になります。
213 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/08(水) 16:11
更新ご苦労様です!!
続きが気になるぅ〜〜〜〜〜〜っ!!!!
待ってます!!!!!!!!
214 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/19(日) 18:38
なんかやばめだ
215 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/21(火) 22:14
「ぐっ!!」
もう何回斬られただろう?
彼女は頑張った。それこそ一騎当千の働きともいえる。
しかし一人で立ち向かうには相手が悪すぎた。
「へぇー、以外と頑丈やな」
後ろで気味の悪い笑みをうかべながらつんくが言う。
「もう…やめてよ!!あなたたちの狙いは私のはずでしょう!?」
亜弥はすでに兵士に取り押さえられていた。
「そうもいかんなあ…。なにせあの娘は危険やしなぁ。生かしとくわけにはいかんのや」
216 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/21(火) 22:21
「……亜弥!?」
掴んでいた兵士の手を振りほどき、亜弥は吉澤の前に立つ。
「そんなに死にたいんやったらしゃーないな……」
そういってつんくはまわりの兵士に指示を出す。
吉澤の目には兵士が剣を構え亜弥に近付き、そして貫く様がスローモーションのように見えた。
「亜……亜弥ーー!!!」
(私が悪いんだ!私の力が足りないばかりに亜弥を…)
217 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/21(火) 22:29
「亜弥…」
もう動くことのない亜弥の体を抱き締め、その場にうずくまる。
「心配せんでもすぐに会えるで。地獄かもしれんけどな」
つんくが吉澤を殺すよう指示を出す。
さらに多くの兵士が吉澤に近づくが、一瞬の後、その兵士達の首は飛ばされていた。
「「………なっ!」」
これには飯田もつんくも驚いた。
身体的にも限界のはずなのにこの動き。
完全に予想外だった。
そしてさらに吉澤が二人の予想を越える行動をする。
218 名前:ヒートランド攻防〜過去〜 投稿日:2006/02/21(火) 22:41
「其の光は神界の王の怒り……彼の者達に力の違いを見せよ!!」
「そ、それはまさか!?」「嘘やろ!?全員退……!!」


――光属性最高魔法インディグネイト・ジャッジメント――




「……亜弥」
全ての魔法力を放出した吉澤は吸い込まれるように滝に落ちていく――



「シャレにならんでホンマ」
間一髪防御魔法で防いだつんくがつぶやく。
「あたり一面焼け野原ですね…兵士も今ので2、300人は消えましたし」
「ま、こっから落ちたら助からんやろ」
そういってつんくはカーライム渓谷を後にした……。
219 名前:最終決戦の前に 投稿日:2006/02/21(火) 22:51
――――――現在――――――

「……けれど私は死ななかった。いや、死ねなかったというのが正しいか」
「そんなこと言わないで!」
「……後藤?」
「もしその時死んでたら、その人…絶対怒ると思う」
「…………そうだな」
「にしてもその亜弥って娘にはずいぶんやさし〜いんだなあ吉澤くん?」
「…………死ね」
「だぁー!!冗談だ!剣を抜くのはやめれー!!」
「そうだーー!!」
紺野が何かを思い出したかのように手を叩く。
220 名前:最終決戦の前に 投稿日:2006/02/21(火) 22:59
「なんだよ紺野?」
「いやぁー最終決戦の前にみんなに武器を作ってたの忘れてた」
「「「「「「んなの忘れんな!!」」」」」」
「あはははは。ま、明日出発する前に渡してあげるから」
そういって紺野は部屋を出ていった。他のみんなも後に続く。

東の空が明るくなってきた頃、一行はようやく眠りについた。



―――――――天使との最終決戦まであと2日―――――――
221 名前:スペード 投稿日:2006/02/21(火) 23:01
更新終了ー!

次回作のネタも決まりつつある今日この頃……

今作もいよいよクライマックス?
222 名前:ミッチー 投稿日:2006/02/22(水) 01:14
更新お疲れ様デス。。。
悲しい別れでしたね。。。。
吉澤さんの苦しみが伝わってきますね。
223 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/02(木) 18:03
更新お疲れ様です
続き・・・待ってますぅっ!!!!!!!
224 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/13(月) 13:21
待ってます
225 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/19(日) 23:14
まだまだ待ってます
226 名前:ヒートランドの攻防〜現在〜 投稿日:2006/03/23(木) 23:38
翌日、紺野から渡された武器を手に船に乗り。日も傾いた頃、船はヒートランド港に着いた。
「………変わってないな……人以外は」
吉澤がつぶやく。
全てはあの日から変わってしまった。
庶民の暮らしは楽とは言えなかったが、飢えるほどではなかった。
しかし今目の前にあるのは変わり果てた母国。
「……とりあえず行動は明日にして今日は宿に泊まろう?」
後藤の一言で一行は宿をとることにした。
227 名前:ヒートランド攻防〜現在〜 投稿日:2006/03/23(木) 23:50
ヒートランド城下町の外れにある墓地――

吉澤はある墓の前に立っていた。
その墓に刻まれていたのは、『第5代女王松浦亜弥ここに眠る』
「見ててよ亜弥……。もう、迷いはないから」

「吉澤様?」
「!?」
背後から聞こえる声に振り返り、いつでも剣を抜ける構えをとる。
「やっぱり吉澤様だ!」
「お前は…新垣!生きていたのか?」
「はい!あのクーデター以降私たちは軍を辞め、国をつんくたちから奪い返す機をうかがっているんです」
228 名前:ヒートランド攻防〜現在〜 投稿日:2006/03/24(金) 00:00
「へぇー、抵抗勢力とはねぇ」
「まぁそんなとこです」
宿に戻り、新垣に後藤達のことを紹介し、新垣にも自己紹介させた。
「しかし麻琴女王がいるかぎり名分は向こうにあるだろう?」
「麻琴女王は完全に操り人形ですから。つんくさえ倒せばどうにでもなります」
「しかし女王を倒すのは反対だぞ」
(義理でも、亜弥の妹だしな)
「ええ、私たちも女王を罰する気はありません。ただ、民を思う女王になっていただければ」
229 名前:ヒートランド攻防〜現在〜 投稿日:2006/03/24(金) 00:09
「んで?具体的にどうすんだ?」
「城には外から入れる隠し通路があります。それを使って明日の深夜、忍び込みます。今仲間の一人が城に潜入し、仕掛け等を外しています。」
「……あそこか」
自分が亜弥を外に連れ出す時に使った通路だ、と吉澤は思った。
「城の5階、玉座の間につんくはいるはず、ですがつんく以外にも何人か倒さなければならない人物がいます」
「ほう、それは?」
「飯田圭織、それから藤本美貴と名乗る女性、あとは名前が判明していません」
230 名前:ヒートランド攻防〜現在〜 投稿日:2006/03/24(金) 00:18
「ま、ようするに阻むヤツには容赦するなと?」
「ま、そんなとこでしょう」
「いよいよ神との最終決戦ね〜」
「紺野、お前も緊張とかするんだな」
「神ってことは〜常識では測れない物凄いデータがでるかも!ん〜、ワクワクしちゃう〜」
一人舞い上がる紺野。
「あ〜、なんだ、まあ…ほっとくか」
「それが正解」
長年の付き合いだけあってこういうときは放置したほうがいいということはしっかりとわかっているようだ。

ともかく、最終決戦まであと一日―――
231 名前:スペード 投稿日:2006/03/24(金) 00:26
やっちまった月1更新orz
いや、完成させますよ?…………………ホントだよ?

>>222ミッチー様
>>223-225名無し飼育さん様
本ッ当に申し訳ありません!稚拙なうえに遅い?これじゃいつ吉澤さんにインディグネイト・ジャッジメントくらわされるかわかりません!
「お望みとあらば今すぐにでもな…」
232 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/24(金) 01:32
更新おつかれさまですっ!
待ってますんで確実に進めていってくださいっ。

ガキさん登場っ!!
233 名前:ミッチー 投稿日:2006/03/28(火) 04:24
更新お疲れ様デス。。。
ついに最終決戦の幕開けですね。
どんな結果になるのか楽しみです☆
いつまでもマターリ待ってます^^
234 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/19(水) 22:47
待ってまぁす
235 名前:ヒートランドの攻防〜最終決戦 投稿日:2006/05/22(月) 23:56
「ってかこんなんあるなら最初から言えよ紺野ぉ!!」
城を囲むように魔法陣を張り、催眠魔法を詠唱し終えた紺野に市井と矢口が文句を言った。
「いやぁーこれやると私こっから動けなくなるんだよねー」
「これの効果はどれくらいだ?」
「ん〜、兵士ならほとんど寝たんじゃない?ま、上位の将軍、もしくは天使は効かなかったかもしれないけどね」
「ってことは少数精鋭で問題ないってことか…」
「問題は誰が誰を相手するかなんだが…」
236 名前:ヒートランドの攻防〜最終決戦 投稿日:2006/05/23(火) 00:05
「…藤本という女は私に任せろ、というかご指名だ」
「え?」
隠し通路から中庭に入ると女が一人斧を携えて立っていた。言うまでもなく藤本美貴その人である。
「さぁ…始めようか…こないだの続きを!!」
強烈な殺気を放つが、吉澤はぴくりともしなかった。「先に行け。どうせこいつとまともに戦えるのは私だけだ」
吉澤が剣を抜く。
「わかった!無理しないでよよっすぃー!!」
後藤達が城に入ると同時に二人は地面を蹴った…。
237 名前:ヒートランドの攻防〜最終決戦 投稿日:2006/05/23(火) 00:14
「おおっと!次はあんたかい」
城のロビーに入ると、背中に翼を生やした天使がいた。
そのほほ笑みはどこか歪んでいるようにもみえる。
「こないだは遅れをとったけど今度はそうはいかないべさ!」
そう言って聖剣ファーウェルを抜く。
「後藤!それとついでに石川!おまえ等先行け!こいつは俺等3人でぶっとばしてやる!」
「ついでってなんですか市井さーん!?」
「しゃあ行くぜ矢口!高橋!」
「って無視!?」
238 名前:ヒートランドの攻防〜最終決戦 投稿日:2006/05/23(火) 00:20
「梨華ちゃん!?」
大広間へと続く階段で石川は突如へたりこんでしまった。
「はぁ、はぁ…」
(わかる…この威圧感、飯田って人のだ。だから梨華ちゃんは…)
「大丈夫、必ず勝てる!」
「………?」
「だってあたしは……石川梨華の……たった一人の英雄だからさ!!」
「ごっちん…」
「さ、立って!行こう!」
「うん!」
239 名前:ヒートランドの攻防〜最終決戦 投稿日:2006/05/23(火) 00:28
「残念だけどここまでよね…」
その扉を開けた瞬間、後藤は今まで味わったことのない奇妙な感じがした。
(なんだろうこの感じ…もしかしたら…みんなが言ってたあたしの力?)
「フフ、石川。今からでも遅くないのよ?」
「お断わりします。だって私は…もう天使じゃない!一人の人間としてごっちんのことが好きだから!!」
「愚かね……せめて苦しまずに逝かせてあげる」
飯田の右手に魔力が集まる。それと同時に後藤は剣を抜いた…。
240 名前:スペード 投稿日:2006/05/23(火) 00:30
はい、おまえいい加減にしろと。お怒りはごもっとも!ごもっともです!!
ようやく時間とれたんで完結までどんどんいきたいかと
241 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/20(火) 14:20
待ってます!!
242 名前:モウリ 投稿日:2006/08/27(日) 18:09
待ってますよ!!
243 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/06(金) 17:23
生存報告を〜〜〜!!
倉庫行きはもったいないですよ!!
244 名前:スペード 投稿日:2006/10/20(金) 01:08
作者です。非常にもうしわけないんですが、保全させていただきます。完成させる意志はあるんで。

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