RECORD AND PLAY
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:10
- 更新は不定期です。
愚作ですがお付き合いください。
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:10
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「ラッキーー、やった」
思わず大声が出てしまった。
地方での仕事だった。
偶然、仕事に空き時間ができた。
商店街でお土産を買うと大売出しセールとかでくじをもらえた。
当たればいいかなというぐらいで、くじを引いた。
「大当たり」
大きな声と大きな音楽に思わず恥ずかしくなって顔を両手で覆ってしまった。
その場にいた人が少なかったのが幸いだった。
若い人がいなかったのもついてた。
もし正体がばれたら大騒ぎだった。
当たったのはハンディビデオだった。
お土産よりも大きな箱をぶら下げてホテルへと戻った。
ホテルについて、思わずため息がつく。
今すぐに箱を開けたいのだが、明日の朝にはチェックアウトしなければならない。
お楽しみは帰ってからということで、仕事の準備を始めた。
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:11
-
ピカッ
目の前にはまばゆいばかりのライトが光っていた。
ステージでは見たことないものだった
―えっ―
思考は完全に止まった。
―こんな場所にどうしているの?―
頭の中が真っ白になる。
周りからは男女複数の声が聞こえる。
ゆっくりと思考回路が動き出す。
記憶の中の景色と目の前の景色が一致する。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:12
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電子音とともに大掛かりな機械が並んでいた。
全身青い服、口にはマスク、手には透明の手袋をはめた人々。
丸く配置されたライト。
そこは、病院の手術室だった。
私にはここに連れてこられた記憶がない。
それに、麻酔なんてどこにも効いてない。
「あのぉ、すみません」
「・・・・」
誰も耳を傾けるそぶりはない。
「では、始めます」
淡々とした口調に頷く人々。
「止めてーーー、お母さーーーん、助けてーー」
必死で右腕を動かす。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:13
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目の前にメスの刃先が迫ってくる。
不気味に光る。
その光は赤く輝きはじめた。
―もうダメ!―
覚悟を決めた。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:14
-
10秒ほど経っただろうか。
身体に痛みは感じない。
ゆっくりと目を開けた。
いるはずの人々はいなかった。
ライトもなかった。
そこは、自室のベッドの上だった。
びっしょりと全身汗をかいていた。
雨に濡れたようだった。
こんな体験初めてだった。
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:15
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―どうして・・―
疲れがピークに来てるのか。
でてくるのはため息ばかり。
カーテンを開けてみるが、外はまだ暗い。
目覚ましの針の音だけが聞こえていた。
携帯を手にして、メールを打つ。
しかし、手が止まる。
馬鹿にされるのがオチだった。
再び眠りについた。
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:15
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- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:16
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「ねぇ、こっち向いて」
「そっちも!」
にぎやかな声がこだまする。
大人になっても騒ぐ姿は変わらない。
「なっち、静かにしたら!」
「安倍さん、はしゃぎすぎです」
なつみの行動に誰もが呆れ顔だ。
「だって、こんなの当たったの初めてだし!」
なつみの手にビデオがあった。
そう、くじで当たったものだった。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:16
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「何か面白いことして!」
なつみは誰かまわずにレンズを向ける。
誰もが迷惑と思いながらもポーズをとる。
そのうち騒ぎは全体へと伝わる。
最後には収拾がつかなくなる。
「静かにしろ!」
スタッフの注意でやっと騒ぎもおさまった。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:17
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―何が映ってるかな・・―
なつみはこっそりと再生を始めた。
「嘘でしょう!」
「どうしたんですか?」
「どうしたんだよ」
突然の大声に誰もがなつみに視線を向ける。
「あぁ、何も映ってないやんか〜」
「ほんとだ!なっち、間違えたな」
裕子と圭がつっこむ。
「そんなことないよ」
なつみは頬を膨らませる。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:18
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「私も見せて」
「私にも」
なつみのビデオの周りに人の輪ができる。
「安倍さんらしい・・・何も映ってないよ」
「ドジだから」
誰もが笑いながら、その輪を離れていく。
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:19
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「そうだね・・」
「そうですよね・・」
「そうね・・」
頬を引きつりながら笑うものもいた。
圭織、美貴、あさ美であった。
誰にも気づかれないように息を整える。
異変を気づかれないように誰にも顔を見せなかった。
言っても、誰も信じてはくれないだろう。
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:19
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「ちょっと・・」
あまりのシラケムードに戸惑うなつみ。
自分の目にははっきり見えていた。
だが、誰もわかってくれない。
馬鹿にされて頭にくる。
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:20
-
誰もがいなくなった後、なつみはビデオを見直した。
そこには、とある場面が映っていた。
映るはずがない場面だった。
こめかみから冷や汗が流れる。
思わずつばを飲み込んだ。
―夢と一緒!―
自然と体が震えだした。
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:20
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―どうしたんだろう?―
ドアの隙間から、なつみを見つめる視線があった。
今すぐなつみのもとに行きたかったが、ただならぬ様子に足が進まない。
―やっぱり、止めよう―
そっとその場を去っていく人影があった。
- 17 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:21
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- 18 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/03(水) 00:22
- 次回へ
- 19 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/25(日) 10:01
- 続き気になりますねぇ。
更新まってますぅ
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/27(火) 23:33
- ぬわっ〜〜!!気になるぅ!!
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:09
- 突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
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