いつでも微笑を
- 1 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:27
- 更新遅めですが、ラストは考えているので放置はないです。
よろしくお願いします。
- 2 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:27
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「―――結婚にいたらない恋なら、いらない?」
- 3 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:28
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「うわっ…なんだよっちゃんか。」
「なんだってなにさ…そこあけてよ。」
昼休みが終わり午後の講義が始まろうというのに、藤本は
雑誌を広げ頬杖をつきながらぼうっと見ていた。大きな講堂のわりに
人数は少ない。後から覗き込んだ吉澤はそのまま藤本の隣についた。
「やっぱ山じぃの講義はとる人少ないよね〜。」
「まーね。教職じゃなきゃ必要ないし?」
視線を雑誌から離さず答える。いつもなら雑誌を閉じて話に花を
さかせるのだが、今日に限ってはまったく視線を上げない藤本。
「なに、熱心だね。っていうか、この子超綺麗…って後藤真希か!」
――後藤真希。高校一年生にして日本代表に選出されるほどの実力を持つ
女子サッカー選手。高校二年でのオリンピックではチーム2位の得点を挙げるが、
左腕に大怪我を負う。しかし本人曰く「サッカーは足でやるものだから」らしい。
そう、藤本の読んでいた雑誌はサッカー雑誌。表紙は制服を着て微笑む後藤真希。
一見、芸能雑誌に見えなくもない。
- 4 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:28
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「この子さぁ、CMに出てたじゃん?なんだっけ、ほら…。」
「あぁ、スポーツ飲料水のやつね。」
藤本はようやく雑誌を閉じた。
「あの時知ったんだけどこの子中学まで男子とも練習してたらしいね。」
「へぇ…あぁ、よっちゃん」
「でさ、梨華ちゃんがさ、私だって!とかいって対戦したらしいのさ、高校時代。」
「………ぁそ」
「でね、超ほめられたらしいのさ、「石川さんのディフェンス上手いね」って!」
「……へぇ。」
結局話はそこへ行き着くのか、と渋い顔をして藤本は適当に合図ちを打つ。
吉澤は見てて痛々しいほどに顔が緩んでいる。
もう一度、雑誌を見つめる。
そういえば、そんなこと書いてあったかも。
- 5 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:29
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山じぃと呼ばれたおじぃさんが入ってくると、吉澤は話をやめ、藤本にすりよる。
「何?気持ち悪いんですけど。」
「美貴さぁ、こないだ綺麗な女の子と一緒にお茶してたらしいね。」
「は?」
「ふっふっふ。知っているのだよ。美貴が綺麗な女の子とデートしてたこと。」
「………で?」
シャーペンを指でクルクル回しながら藤本は話を促す。
吉澤はニヤリと不気味に笑った。
「会ってみたいんだけど、その子と。」
「なっ……」
- 6 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:29
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カシャン
- 7 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:29
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回していたシャーペンを不意に落としてしまう。
「シャーペン落としちゃうくらい動揺する美貴初めてみたよ。」
こらえきれない笑いを無理にこらえているせいか、ひっひっひ…と
まるで白雪姫に出てくる魔女のような笑いが漏れた。
「うそつけよ!どんだけ一緒だと思ってんだよ、よっちゃんと。」
「まぁまぁ…ってか怒るとこ間違ってるから、美貴。しかも動揺するとこも
間違ってるよね。なに、そんなあたしとあわせたくないわけ?」
「うん。」
吉澤はへーぇ、とすりよせた体を引き、勝ち誇ったかのような顔をして
藤本の弱点をついた。
「じゃあ、亜弥ちゃんに聞くから良いよ。きっといろんなこと教えてくれるだろうね。」
「ちょっ……よっちゃんそれヒドイ!」
バン、と藤本が机をたたく。いっせいにクラスメイトの驚いた顔がこちらを振り返る。
- 8 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:30
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「…………」
「藤本さん、静かにね。」
- 9 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:31
-
「バーカ、声でけぇよ。」
「よっちゃんのせいじゃんよ。」
恥ずかしさと、吉澤に馬鹿にされたことですねた藤本は山じぃに謝ると、
視線を外にずらし、吉澤との会話を断ち切った。
授業が再開される。
「帰り、ちゃんと呼んでよ。」
そんな吉澤の声に、聞こえないふりをしながら心の中で悪態をついた。
ふん、紹介させてくんなかったのはよっちゃんでしょーが。
毎日毎日ノロケやがって…
携帯を開いて、そっとメールを送った。
- 10 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:31
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【ごめん、今日前から話してた変なバカップルも一緒だけど、いい?】
きっとやさしい彼女は喜んでオーケーしてくれるだろう。
こうなったらよっちゃんを驚かしてやれ。
少しやけくそになり始めた藤本であった。
- 11 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:32
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- 12 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:32
-
カランカラン
「いらっしゃいませ〜」
「あ、来た?…なんだぁ、男じゃん…くるの?本当に?」
駅前の喫茶店。洋風な作りの喫茶店は、藤本たちの大学生がよく
たまっている。なので少し奥まった場所に腰を下ろし、とりあえずカフェラテを
頼んだのだが、吉澤がさっきからソワソワして落ち着かない。
「来るよ。つーかなんでよっちゃんがそんな落ち着かないの?」
「いや、だってさ……」
モジモジして顔を赤らめる。おいおい、そんな顔してると梨華ちゃんに誤解され
るよ…。その隣でさっきからサッカー雑誌を読んでいる吉澤の彼女、石川梨華。
熱心に先ほど藤本が読んでいたページを開いている。
- 13 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:33
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カランカラン
「いらっしゃいませ」
「っつーかさ、美貴がもうその子と三年以上付き合ってるなんて信じらんない。」
「うん、美貴としては高校三年間両想いだったくせに、どっちも告んないで
大学受験のクソ忙しいときに修羅場を迎えてゴールインしたよっちゃんたちのが
もっと信じられないよ。美貴の睡眠時間返せ、コラ。」
「あ、あたしじゃん!何、美貴ちゃん会えなくて寂しいからってそんな雑誌
持ち歩かなくてもいいじゃん…。」
「「は?」」
藤本と吉澤の言い争いに振ってきた、少し低めの、でもかわいらしい声。
顔を上げると、黒のヘルメットにちょっとダークなくじらのデフォルメと14と
書かれたシールが見えた。
「え?え?誰?」
「いや違うから。ちょっと、店内ではヘルメットごと外してよ。」
美貴がそういうと声の主はカパッとヘルメットを外す。と同時にセミロングの綺麗な
茶色の髪がのぞく。
「ごめんごめん、あ!梨華ちゃんじゃん!」
「え…美貴ちゃんの彼女ってまさか…。」
その声に石川は驚いたように言った。吉澤も目が点になっている。
- 14 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:34
-
「あ〜紹介してくれてないの?えーとあたし後藤真希っていいます。
久しぶりだね、梨華ちゃん。」
「紹介しようと思ったんだけどさ、三年前に。よっちゃんそれどころじゃなかったし。
やっと両想いになったから言おうと思ったらノロケでさ。」
声の主―――後藤真希はにこっと笑うと藤本の隣に腰掛けた。
吉澤は正面に座った後藤と石川から奪った雑誌を交互に見比べていた。
「え?え?」
「ふはっ、吉澤さんって美貴ちゃんが言ってたとおり面白い人なんですね。」
「あ、いや、その…ていうかなんで名前…?」
「あぁ、美貴ちゃんがよく写真見せてくれてたから。」
可笑しそうに笑うと、石川の方を向き、また笑顔になる。
「ごっちんが…美貴ちゃんの彼女って…」
二人とも開いた口がふさがらない。
でもどう見ても目の前には後藤真希。怪我をして動かなくなった左手には、
手袋がはめられていた。どう見ても、後藤真希だ。
「ふふん、びっくりした?」
美貴はしてやったり、とうれしそうな笑みをこぼした。
- 15 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:35
- >>11すいません、時間経過ってことで。
文才なくて申し訳。
更新終了。
- 16 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:36
-
( ´ Д `)<フットボールアワーの後藤さんは男前担当。
アタシは今回かわいらしい女の子担当。
- 17 名前:名無しだYО 投稿日:2005/08/15(月) 21:37
-
(´ Д `)<(だといいな…)
- 18 名前:名無し読者 投稿日:2005/08/16(火) 10:14
- 85年組が主役ですか?
この4人好きなので次回を楽しみにしてます。
- 19 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/16(火) 12:47
- おほほ、面白そうですね。
期待。
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/03(土) 15:22
- 待ってます
- 21 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:46
- 名無し読者 さん
いいですよねぇ〜85年組!なんだかキャラ合わないかも
しれませんが…そこはご了承ください。
名無飼育さん さん
あーとうございます。また気軽に読んでもらえるとうれしいです^^
名無飼育さん さん
お待たせしました!
- 22 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:47
-
―――
―――――
- 23 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:48
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「え?真希ちゃん一人暮らしなの?」
「うん、あー…ていうか、ホラ、まっつー…亜弥ちゃんいるじゃない?
あの子と一緒なんだ。今流行のルームシェア?」
「じゃあ、亜弥ちゃんと同居してるんだ〜いいなぁ、そういうの。」
「うん、そのほうが家賃半分だし、一人より楽しいじゃない?
それに…今、手こんなだし。」
どんなに活躍する選手であろうと、彼女はまだ高校生。
久しぶりに会った石川とは親しげに話している姿は、とても日本代表には見えない。
いつの間にか座席を移動して、藤本・吉澤の正面に後藤・石川という並びに。
肩を寄せ合って石川の持っていた雑誌を見ながらたまにお互いの近況をはなし、
互いの恋人の話をしたり…とまるで別世界。
取り残された藤本と吉澤は、何をするでもなくただその光景を見ていた。
- 24 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:48
-
- 25 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:48
-
「じゃあ、帰ったらメールするね〜。」
「うん、よろしく。」
日も暮れ、メールアドレスや電話番号を交換したのち、後藤は藤本と、
石川は吉澤とそれぞれ反対方向に歩き始めた。
すっかり仲良くなった石川と後藤は「今度は二人で遊ぼうね」と無邪気に
笑いあった。
藤本は後藤と手を繋ぎながら駐輪場へと歩いていく。
そのあいだずっと、後藤は楽しそうに今日石川と話した会話などを
聞かせていた。
「うん、美貴もそれ聞いてたから。まったく、二人とも美貴たち放置だもんなぁ〜。」
「だってさ〜梨華ちゃんに会えるなんて思ってもいなかったし。」
最近進路について悩み、ふさぎがちだった後藤のうれしそうに話す姿が、
藤本にはとても愛おしく感じた。
(うるさくて女たらしのよっちゃんだけど、今回は感謝しないとな…)
- 26 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:48
-
ポケットからキーを出し、エンジンをかけようとする後藤の手を止めた。
「?どうしたの?」
不思議そうにこちらを見る後藤。
周りには猫一匹。こちらを興味深げに見ているだけ。
猫よ、静かにしていておくれ。
心の中でそう呟くと、止めた手を引き寄せ、抱きしめる。
「美貴ちゃ……んっ……」
驚いたように目を開き、こっちを向いた後藤の唇に、自分の唇を重ねた。
「やっ…んっ、ちょっ…」
突然の出来事に、思わず体を離す。
「こんなっ…人、来るかもしれないのに…。」
「いいじゃん、猫しかいないし。キス、イヤ?」
「イヤじゃないけど…。」
少しうつむいて抱きついてくる後藤の耳は赤く、噛み付きたい衝動にかられたが、
そうなると歯止めがかからなくなりそうなのでやめておく。
- 27 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:48
- 「さ、かえろっか。」
「も〜不意打ちやめてよね〜。」
後藤は苦笑し「あーもー」なんていいながらヘルメットをかぶる。
「当然美貴ちゃん運転してくれるよね?」
「うん。」
「七時までに、よろしくね。まっつー怒ると怖いから。」
「はいはい。」
「じゃ、出発!」
ぎゅっと後から抱き疲れる格好は、さっきのあとだけにかなり拷問だ。
しかも意図的にではなく天然だからなお困る。
これでもし真希が制服だったら絶対我慢できないだろうなぁ…
ん?
なんで真希制服じゃないんだ?
- 28 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:49
-
- 29 名前:名無しだYО 投稿日:2005/10/11(火) 19:49
- 更新終了。
キャラ変わっちゃってますね…^^;
- 30 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/15(土) 09:42
- おもしろいです。
2レス目が気になるし、続きがもう待ち遠しい。
- 31 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/15(土) 12:00
- 更新されてる!!!!!嬉しい♪♪
この先どうなるんでしょう??気になります。
頑張ってください
- 32 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/15(火) 21:32
- 待ってます!
- 33 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 03:41
- 突然失礼します。いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
- 34 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/18(日) 20:25
- 待ってるよ。
- 35 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/13(月) 23:28
- 作者さん、保全だけでもしておくれ
整理がくるよ
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