恋の嵐

1 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:09
同じく金板の「ほんとの気持ち」内「純愛ラプソディ」のあやみき編です。
どうぞよろしくお願いします。


2 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:10
あーあ、高校生になったっていうのに、
いまだに恋人の1人もできないってどうなの?
そりゃ、アタシは一応モテてはいるけどぉ。
中学生のときだって、先輩からも後輩からも同級生からも何度もコクられたしー。
もちろん街を歩けばフツーにナンパだってされる。
でも、でもね、こう、なんていうのかなあ、
ビビッとくるような、ドキドキッとさせてくれるような人が全然いないのですよ。
とりあえず誰でもいいから付き合うとか、そういうことは何かできなくて。
「とりあえず」とも思える人がいないっていうのもあるんだけど。
っていうか、恋人が欲しいっていうよりも、
恋がしたいー!好きな人が欲しい!!

アタシってそんなに理想高いのかなあ。
別にフツーだと思うんだけど…

「ちょっと、そこのあなた」
1人でボンヤリしながら歩いてたら、
民族衣装みたいな服を着た背の高い女の人がこっちを見てた。
え、と…声かけられたの、アタシなのかな?
周りを見るけど、どうやら彼女の視線は私に釘付けで。

「…アタシですか?」
「そう、あなたよ」
彼女は大きな目でアタシをじーっと見てきた。
ちょっとコワイかも…逃げたいけど、コワイ…

「…何でしょうか?」
「あなた、今、恋がしたいと思ってたでしょ?」
「えっ!?」
彼女はニッコリと微笑んだ。
「カオリにはわかるの。でも大丈夫よ」

「大丈夫ってどういうことでしょう?」
「すぐに運命と思える人が現れる」
「…運命、ですか?」
「そう。だから安心して」

いや、そう言われても。
そう簡単にそんな人が現れると思えないし、安心もできないし。

3 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:10

あ、こんなとこでボーっとしてる場合じゃない。
今日は、同じクラスの紺野あさ美ちゃんが入ってるフットサル部の試合があって、
土曜日だけど、制服着て、その会場に向かってるとこ。
同じクラスの高橋愛ちゃんと待ち合わせしてる。

会場についたら、結構たくさんの観客がいてビックリした。
愛ちゃんの話しからすると、どうやらフットサル部は、
学園内でも人気のある人が多いらしく、
選手それぞれにファンがいるのだとか。

「へー、じゃあ、こんちゃんにもファンの人いるの?」
「いるいる!あさ美ちゃん、中等部のときからフットサルやってるし。
とくに先輩のファンが多いみたい」

ふーん、すごいなあ。
あ、でもアタシはテニス部だけど、そういえばテニスコートに見に来てる人、いるなあ。
その人たちも誰かのファンだったりするんだ。
そもそもほとんどの生徒が中等部から上がってきてるけど、
アタシは高等部から入ってるから、この学園の人のことそんなに詳しくない。

「ね、ね、一番人気ある人ってどの人?」
「そりゃー、吉澤先輩だよー…きゃー!かっこいい!!」
え?吉澤先輩?
コートではその吉澤先輩らしき人が、練習でシュートを決めたとこだった。

愛ちゃん以外にも、観客から『キャー!』とか言う声がしてた。
…吉澤先輩って、あの吉澤先輩だよね?
確かにアタシの知ってる人と顔と名前は一致してる。
しょっちゅうテニス部に来ては、アタシのことからかっていく吉澤先輩。

4 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:10

そう、テニス部に入ってすぐくらいのときだったっけ。
1年生だから、後片付けをして、テニスボールの入ったカゴを運んでるときに、
思いっきりダッシュで走ってきた人とぶつかりそうになった。
何とか避けたからアタシ自身は何ともなかったんだけど、
持ってたボールをその辺に転がしてしまった。

『うわっ!わりぃ!!』
その人がしゃがみこんで、ボールを拾ってくれた。
アタシももちろん、一緒に拾ってたんだけど。

『あー、もしかしてもうテニス部終わっちゃったの?』
『ハイ』
『ちっくしょー!まいまいのつまんねーギャグに付き合ってたから、
間に合わなかったじゃねーかよぉ…』

その人はブツブツ言いながらも、ボールはちゃんと拾ってくれた。

『どうもありがとうございました』
『ナニ言ってんの、悪いのは、ウチの方だか…』

その人はしゃべりながら、やっとアタシの顔を見て、すごく驚いた顔になった。

『ね!1年生だよね?』
『は、はい』
『名前なんて言うの?』
『松浦、亜弥です』
『うわーっ!マジかわいいよ、亜弥ちゃん』

その人は、ニコニコとアタシの頭を撫でた。

『あ、ウチはね、2年の吉澤。吉澤ひとみだから。覚えておいてね』
『は、はい。わかりました』

なんていうのが、吉澤先輩とアタシとの出会いで。
それから、吉澤先輩は、よく部活の終わり間際に来て、
アタシのことをからかっていく。

そういえば、他のテニス部の人から言われたっけ、
『吉澤先輩って、亜弥ちゃんのこと好きなんじゃないのー?』って。
でも、アタシは全然そう思ってない。
ただ単にからかわれてるだけだし。
だって、たまに、最初からテニスを見学しに来てるときもあるけど、
吉澤先輩はボンヤリ誰かのことを見てて、アタシのことなんて全然見てない。
その視線の先が誰かはよくわかんないんだけど。

5 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:10

しかし、その吉澤先輩が一番人気なんて。
いっつもニヤニヤしてて、くだらない冗談言ったりとか、
体触ってきたりとか、アタシからしたら、
セクハラオヤジみたいなもんなんだけど。
確かに顔はきれいだし、背も高いし、
こうやってフットサルやってる姿なんて確かにかっこいい。
ニヤけてもないし。

でも、普段と違いすぎ。
あのファンの人たち、ある意味騙されてるよ……ん?
何?あの子?
観客の中で、1人、学ランの長いやつを来て、
『必勝』って書いてあるハチマキをしてる子がいる。
もう1人、学ランを着てる子がいるけど、
こっちの子は普通の学ランだから、一瞬男の子なのかと思った。
でも、2人とも下が学校のジャージだった。

「ねー、愛ちゃん。あの学ラン着てる子たちって…」
「あー、中等部の子だよ。
長いの着てるのが田中れいなちゃん。もう1人は新垣里沙ちゃん」
「有名な子たちなの?」
「うん、フットサルの応援、あの子たちが仕切ってるから」
「へー、すごいね。誰かのファンとかなの?」
「うん、3年の藤本先輩」
「藤本先輩?」
「あの、6番の人…」
愛ちゃんが指差した方を見たら、背番号6番の人がパスの練習をしてた。
でも背中しか見えないから顔がわかんない。
小柄な人だけど、そんなに熱狂的なファンがつくなんてすごい人なんだろうな。

ピーって笛が鳴って、選手が上に羽織っていたコートを脱いだり、
ボールを片付けたりしはじめた。

「あー、あさ美ちゃん、超うれしそー」
こんちゃんが、14番の人に手をひかれて歩いてる。
あー、後藤先輩だ。
こんちゃんが中等部でフットサル部に入ろうと思ったきっかけの人。
すごくかっこいい、何かオーラがあるって言ってたっけ。
写真は何回か見せてもらったけど、実物を見るのははじめてで。
こんちゃんが憧れるのも確かに納得できるほど、きれいな人だ。

6 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:11

そして試合がはじまった。
あ………
今、最初にボール蹴った人…すごくかっこいい…
コートの中をすごく走り回って、大きな声を出して指示を与えたりしてる。
その声がまたちょっと鼻にかかっててステキかも。
すっごい汗ダクになって髪を振り乱して、
相手チームの人にガンガンぶつかっていったりしてる。
うわぁ…かっこよすぎ…
なんだろ…胸がドキドキしてきた…

相手チームに攻められて、ゴールを入れられそうになったけど、
キーパーのこんちゃんがナイスセーブをした。
そしたら、さっきの人がこんちゃんのところに来て、
笑顔でポンポンってこんちゃんの肩を叩いていた。
……その笑顔がすっごくかわいくて、アタシの胸がキュンってした。

もう、試合中、ドキドキとキュンの繰り返しで、試合内容はほとんど記憶になかった。
でも、彼女がゴールを決めたときは、本当にうれしそうな笑顔だったし、
試合終了のときも周りの皆と抱き合ってたから勝ったみたい。
そう、試合が終わって、退場するときに、客席の方に選手の人たちが寄ってきて、
笑顔で皆に『応援ありがとう』みたいなことを言ってた。


「みきねえ!超かっこよかったっす!!」
長ランの田中ちゃんが、笑顔で彼女に声をかけた。
「あはは、れいなもいつも応援ありがとね。ホントはげみになるから」
「いやいや、みきねえのためなら、このくらい大したことないっす。
次もがんばって下さいね」
「うん、ありがとー」

ニコニコと会話をしてる彼女は超かわいくって。
田中ちゃんがすっごくうらやましく思えた。
…あ、そっか、6番の人だ。
『藤本先輩』なんだ…



その日は、結局3試合あって、ウチの学校は全勝。
藤本先輩は、ほとんどずっと試合に出てて、
フットサルのルールもよくわからないアタシでも、
彼女はうまいんだっていうのはよくわかった。

勝ち残ったんで、明日も試合があるらしい。

「愛ちゃん!」
「ん?どした?」
「明日も見に来るよね?」
「え?あ、うん、いいよ。暇だし」

やったぁ!明日も藤本先輩のことが見れる!

7 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:11

はぁ、超かっこよかったなぁ、かわいかったなぁ…
高校入って5ヶ月もたってるのに、何であんなステキな人に気付かなかったんだろう。
あー、この5ヶ月が悔やまれる。
だって、3年生じゃ、3月には卒業しちゃうんだよ!
ウチの学校の付属の大学に行くかどうかもわからないし。

今朝、恋したいなんて思ってたのが、ウソみたい。
運命の人に出会っちゃったかも。
…ん?運命?…

あー!あの占い師の人が言ってた通りじゃん!!
あの人、すごい当る人なんじゃないの!?
明日いたら、ちゃんと観てもらおうかなあ…

部屋でゴロゴロしながら、藤本先輩のことを考えてたら、
メールが届いた。
あ、こんちゃんからだ。

『今日応援に来てくれて、ありがとねー。
優勝目指して、明日もがんばるからね』

…そっか、こんちゃんなら藤本先輩のこと、いろいろ知ってるはず!
よぉし!

「もしもし、こんちゃん?」
『あー、亜弥ちゃん。今日はありがと』
「ううん、明日も行くね」
『そうなの?ありがと』
「でー。でね………」

8 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:11

アタシは、藤本先輩のことをいろいろ聞いた。
名前は美貴。藤本美貴。
あー、かわいい名前…
フットサル部では、それぞれコートネームというかあだ名があって、
藤本先輩は『ミキティ』らしい。
あだ名まで、かわいい…
部員はコート内でも声がかけやすいように、全員それで呼び合ってるのだとか。
でも、こんちゃんは先輩に対してそんな風に呼ぶのは、まだ気がひけてて、
『さん』付けで呼んでるらしいけど。

ああ、そういえば、新垣ちゃんだったっけ?
田中ちゃんの横で、名前の書いたボードみたいの出してた。
それがどうやらそのあだ名だったみたい。
応援するときに、皆に呼んでもらう名前らしい。
ちなみに、こんちゃんは『コンコン』、吉澤さんは『よっすぃー』らしい。
あー、でも、『ミキティ』じゃ皆が呼んでるから、つまんない。
アタシだけの呼び名で呼びたいなあ…
そうだなあ…あ、『みきたん』にしよ!
たんってかわいいもん。

あと、みきたんも実は高等部から入学組。
で、フットサルもそれから始めたのに、1年のときから、レギュラーになってたらしい。
すっごーい…天才なんじゃないの?

普段のみきたんは優しくて、すごく周りの皆に気を遣ってくれるらしい。
試合が終わった後、こんちゃんがミスをしたときでも、
うまくできたときでも、必ず笑顔で抱きしめてくれるって…
ソレ、超うらやましいんですけど…

9 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:11

『藤本さん、吉澤さん以上に触り魔だからなあ』
「ええっ!?」

触られたい…
つーか、アタシが触りたい…
あー、アタシ、ヤバイかも。

どうやら、今付き合ってる人はいなさそうだし、
こんちゃんは今までもそういった話しは聞いたことがないらしい。

でも、ライバル多そうだし…
ちなみに、田中ちゃんはそういう気持ちではなく、
みきたんのことを『姉貴分』として慕ってるとか。
だから『みきねえ』なんて呼んでたんだ。
田中ちゃんはどうみてもヤンキータイプだけど、
みきたんは実際はそんなことないのに、そう思いこんだ田中ちゃんが、
崇拝してるくらいの勢いらしくて。

いいなあ、アタシもみきたんともっとお近づきになりたい…

10 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/08/17(水) 21:12

みきたんのことを思うと、なかなか眠れなくって、
次の日は結局ちょっと寝坊してしまった。
ホントは、行きがけにあの占い師さんに観てもらいたかったけど、
そんな時間もなくて。
彼女は昨日と同じ場所にいて、走っているアタシを笑顔で見ていた。

「大丈夫、望みは叶うわよ」
って近づいたときに言われた。

アタシの望みって、みきたんにお近づきになること?
触られること?
あー、もう何でもいいから、早く、みきたんに会いたい!


会場についたときは、まだ試合がはじまってなくて、練習中だった。
みきたん、みきたん…あ、いた!
今日はこんちゃん相手にシュートの練習してる…いいなー、こんちゃん…
はぅ…今日のみきたんもかっこいい、かわいい…


アタシがみきたんに見惚れてるうちに、試合は全て終わってて、
ウチの学校は優勝してた。
さすが、みきたん。
すっごくいい笑顔してた。
はぁ、その顔が見れただけでも、今日は来てよかった。

「ね、ね、亜弥ちゃん、出待ちしよ」
「出待ち?」

会場から出てくるところを、「お疲れ様でした」って見送ろうってことらしい。
愛ちゃんは、宝塚ファンでよくお母さんと一緒に、
宝塚の出待ちをしているらしい。

11 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/08/17(水) 21:12

会場の出入口に行くと、すでにウチの学校の人がたくさん待ってた。

「あーっ!!高橋先輩っ!」
中等部の制服を着た色白のかわいい子が、愛ちゃんに近づいてきた。

「おーっ、さゆも来てたんだ?」
「はいっ!れいなの付き合いみたいなもんですけど。
高橋先輩は?あ、紺野先輩の応援ですか?」
「うん、そう」
「んー、一緒に応援したかったなあ」
「あはは、じゃ、また今度ね」

愛ちゃんが彼女の頭を撫でるとうれしそうに微笑んでた。

ふーん、愛ちゃんも人気あるんだ。
確かにかわいいし、ダンスもうまいしね。
さゆって子、うれしそうに愛ちゃんのこと見てるし。
いいなあ、こんなストレートに好きな先輩に近づけるなんて。


どうやら、控え室とかで軽く祝勝会でもしてたのか、
ウチの学校の人たちが出てきたのは、1時間半くらいたってからだった。


まず、吉澤先輩が、背の高いスタイルのいいキレイな人と出てきた。

「あー、吉澤先輩と里田先輩だー」
愛ちゃんがうっとりとして2人を見つめている。

2人とも手前の方にいたファンの人たちからプレゼント攻撃にあってる。
すごいなあ…やっぱり吉澤先輩がモテてることに改めてビックリ。
アタシたちは新参者なので、列の後ろの方で見てたんだけど、
さすがにみきたんが出てきたときは、前の方に行きたくなった。
田中ちゃんと田中ちゃんと手を繋いでるショートカットの子と話しをはじめてる。
あ、さゆって子も一緒に話してるじゃん!
ずるいよぉ、アタシもみきたんと話したいのに…

12 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/08/17(水) 21:13

「ああっ!!亜弥ちゃんじゃん!!」
吉澤先輩が、アタシに気付くと、うれしそうに近づいてきて、
ギュッと抱きしめられた。

「そっか、そっか、ウチのことを応援したくて来てくれたんだ?」
「いえ、違いますから。こんちゃんの応援です!」
アタシは、その腕から逃れようとしてるのに、
吉澤先輩はしっかりアタシのことをつかんで離さない。

「コンコン?もしかして同じクラス?」
「そうです」
「マジで!?何だよ、じゃあ、コンコンに頼んで、
亜弥ちゃんとデートの段取りしてもらおう」
「しませんから、デートなんて」
「ナニ照れてんの?」
「照れてなんかないですから!」

ホント、吉澤先輩、調子いいんだから。
皆、こんな人のどこがいいの?

「あーっ、よっちゃんさん、セクハラしてるー」

……!!
アタシの背中の方から聞こえてきた、ちょっと鼻にかかったステキな声…
アタシがもがけばもがくほど、吉澤先輩は面白いらしく、
なかなか離してくれない。

「ナニ言っちゃってんの?
セクハラじゃないよ。愛情表現。
L・O・V・E I LOVE亜弥ちゃん」
吉澤先輩が、またギュッと抱きしめてくるもんだから、
アタシはおもいっきり暴れた。

「でも、彼女、迷惑そうだよ」
「ええっ?そんなことないよね?」
やっと、吉澤先輩は、アタシのことを離してくれた。

13 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/08/17(水) 21:13

それよりも、アタシは自分の後ろに立っているだろう人が気になった。
ゆっくり後ろを向いて、顔を上げると、
みきたんが驚いた顔をしてた。

「…おー、さすが、よっちゃんさんのお気に入りの子だねえ。
かわいいじゃん」

…みきたん、アタシのこと、かわいいって言ってくれた…
それだけでも超うれしいのに、
みきたんはニコッとして、アタシの頭を撫でてもくれた。

「うわっ、ダメだよ。
ミキティにそんなことされたら、子供できちゃうじゃん」
「は?何で美貴が触っただけで子供できるんだよ!」
「それくらい危険だってことだよ。
亜弥ちゃん、あの先輩には気をつけた方がいいからね」

吉澤先輩が、アタシの腕をひっぱったけど、
アタシはみきたんなら、危険な思いしちゃっても全然構わないのに。

「そんなことないからね!
よっちゃんさんの方が、よっぽどエロオヤジだし」

みきたんが、アタシのことを勢い良くひっぱって、
アタシがフラついたら、みきたんがさっと抱きとめてくれた。
…うわー、ヤバイ…シアワセすぎて死んじゃうかも…

「…ああ、これで、もう妊娠3ヶ月くらいになっちゃったよ」
「んなワケないじゃんか!」

みきたんがアタシのことを抱きしめながら、吉澤先輩と言い合ってる。


「あのー、藤本さん、吉澤さん、すみません」
こんちゃんの声がして2人ともそっちを向く。

「後ろがつかえてますので…」
みきたんがアタシのことを離して、後ろを向くと、
吉澤先輩、みきたんのファンの人たちの冷たい視線が…
ヤバイ、アタシ、殺されるんじゃないの…

14 名前:サチ 投稿日:2005/08/17(水) 21:16
こんなカンジでスタートしました。
途中でタイトル変えてないことに気づき訂正しました…スミマセン。

あやちゃん視点の「A」と、みきたん視点の「M」の交互に進んでいく予定です。
よろしくお願いします。
15 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/08/17(水) 23:37
更新お疲れ様です。「おや、新スレだ」と覗いて『ほんとの気持ち』の続きだと知り、「よっしゃ」と軽くガッツポーズしました。
あやみき楽しみにしてます。
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/18(木) 01:37
サチさんキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
あやみき編とても楽しみにしております。
17 名前:名無し読者 投稿日:2005/08/18(木) 13:56
ほんとの気持ちの続きと知り
こちらはかなりの勢いでガッツポーズしました(笑
あやみき楽しみです
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/18(木) 19:23
待ってたよっ!!!!!
ビバあやみき。
19 名前:名無し読者 投稿日:2005/08/19(金) 00:02
ほんとの気持ち大好きでした!!
相互視点楽しみ〜♪
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 01:37
こういうあやみきを待ってた。
セクハラ帝だいすっきです。
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 01:58
楽しみな作品です!
これからも、チェックさせていただきます。
22 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:21
「藤本センパーイ!」
声がした方を振り返ると見たことない中等部の子。

「あ、あのコレ、クッキーなんですけど、作ってきたんで食べて下さい」
「あ、ありがと。うれしいよ」

ニコッと一応微笑んであげると、その子はすっごく真っ赤な顔したまま、
走って行っちゃった。

ったく、朝からなんなんだか。

美貴は中学は地元の学校に通ってて、高校からこの学校に来た。
ココはほとんどが中学からエスカレーター式であがってきてる子ばっかりだけど。

なんでこの学校を選んだかっていうと、
まあ、大学も付属してるから、もう受験はしなくても済むかなって思ったのもあるけど、
一番大きいのはフットサル部が強かったこと。

美貴の中学にフットサル部はなかったんだけど、
うちのお兄ちゃんが友達と遊びでフットサルをやってて、
美貴もちょっとやらせてもらったら、すっごく面白くって。
で、本格的にやりたいって思ったんだよね。

この高校に入って、フットサル部の雰囲気もいいし、
まあ勉強の方はともかく、毎日が楽しくてしょうがない。

ただびっくりしてるのが、美貴のモテっぷり。
中学は共学だったから、普通に男子からとかコクられたりしてたけど、
女子からも美貴は人気あるんだなーって。

しかも、入学して数日後に手紙とかもらったりしたし。
高等部から入る人が少ないから、目立つってのもあるんだろうけど。
フットサル部は強いし、とくに人気のあるような人が多いから、
部活を本格的にはじめたら、余計にモテはじめちゃったし。
23 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:21
そうそう、すっごく懐いてきてくれてる後輩もいる。
田中ちゃん―れいな。

入学してすぐくらいだったけど、学校帰るときに、
クラスの友達と何人かでふざけあってたら、何か視線を感じたんだよね。
でも、美貴は目が悪いから、誰が見てるのかよくわかんなくて。
そしたら、少し離れたところに中等部の子が1人で突っ立ってて。
あの子がこっちの方見てるのかな?
よくわかんないけど、あの子っぽいなあ。
ウチらの中にお目当ての人でもいるのかな?
んー、誰のこと見てんだろ?
なんとなく、その子のことを見つめてしまっていた。

そしたら、その子がスタスタと近づいてきた。
あ、かわいい子じゃん。
ちょっとヤンキーっぽいけど。
目つきも悪いなあ。ま、ソレは美貴もよく言われるけどさ。

彼女はペコリと頭を下げて、
「中等部1年B組の田中れいなっていいます。
先輩の名前、教えて下さい」

「え?美貴?高等部1年A組、藤本美貴だけど」
あ、美貴のこと見てたんだ…全然わかんなかったよ。
まあ、自分からちゃんと名乗ってるし、
こういうヤンキーっぽい子の方がキッチリしてたりすんだよね。
ニコッと微笑むと、田中ちゃんは目を丸くしてた。

「先輩は部活とかやってるんですか?」
さっきの勢いある自己紹介と違って、なんかかわいらしいトーンになってるし。

「ああ、フットサル部入ってるよ」
「じゃ、応援に行きます!先輩にどこまでもついていきます!」
「ははは、ありがと。田中ちゃん」

美貴のファンが増えたってことは、まあ、応援もしてもらえるし、うれしいかな。
試合ってやっぱり、観客があってなおさら盛り上がるものだし。


それから、れいなは応援に来てくれてる。
試合はもちろん、普段の部活のときもたまに。

ああ、そういえば、ウチの近所に住んでるガキさんも、
たまたまウチの学校の中等部に入って、
フットサルの応援によく来てくれてる。

れいなもガキさんも、
他の子とは違って「好きです」とか「付き合って下さい」とか言うワケじゃない。
だから、すごく付き合いやすいんだよね。

24 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:22
実は、美貴は中学んときは男のセンパイと付き合ってたこともあった。
すっごいカッコイイ人だったし、向こうからコクられたから「じゃあ」って程度で。
なんか今考えると美貴の方は本気で好きじゃなかったんだろうなあって。
だって、美貴がいつも素っ気無い態度だったから、
「お前の気持ちがわかんない」って言われて別れることになっても、
『じゃあしょうがないかな』って素直に思っただけだったし。
別に悲しくもなかったし、泣きもしなかった。
それから、なんとなく恋愛ってメンドクサイって思っちゃうようになっちゃったくらいで。

高校に入って女子校だし、まあコクられても、
「今はそういう気がないから」って断ってきた。
まあ、実際誰かとデートするよりも、フットサルやってる方が楽しいと思ってるし。
だいたい、否定するワケじゃあないけど、
オンナ同士で付き合うなんて、美貴にはちょっと抵抗があった。
25 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:23
だから、フットサル部で一緒の柴ちゃんと大谷先輩が付き合ってるっていうのを聞いて、
超ビックリした。
でも、2人とも隠してるワケじゃなくって、ヘンにイチャついたりしてるワケでもないから、
その辺の街中の人込でキスとかするカップルに比べたら、よっぽど好感は持てたけど。


でも、こんな風に思ってた美貴でも、ちょっと気になる子ができたときがあった。
2年になったときに、フットサル部に入ってきた、1つ下のよっちゃんさん。

最初に見たときは超キレイと思ったし、プレイしてる姿は超かっこいい。
中等部のキャプテンもやってたから、後々は彼女が高等部でもキャプテンをやるんだろうし。
でも、一旦コートを離れると、まるでオッサンみたいなキャラで。
そのギャップが面白いし、また魅力的だと思った。

やっぱりよっちゃんさんはメチャメチャもててた。
美貴なんかメじゃないほど、すごくって。
でも、よっちゃんさんは、皆に優しくて、誰に対しても同じ態度をとってて。
コクってくる子は、皆が「マイスィートハニー」らしい。
逆に言うと、特定の恋人を作ってない。

でも、美貴がよっちゃんさんの恋人になりたかったかっていうと、そうでもない。
何となく美貴の中では他の人とは違う存在であったのは確かで、
2人で遊んだりしたら楽しいだろうなーっては思うけど、
キスしたいとか、自分1人だけを見て欲しいなんては思わなかった。
「皆の恋人」のよっちゃんさんだから、いいんだろうなって。
26 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:23

そんなこんなで、フットサルが生活の中心になってる美貴の高校生活もまる2年が経ち、
3年目に突入。
この学園の大学にもフットサル部はあるので、そのまま美貴は進学するつもり。
成績的にも大丈夫だろうし、フットサルでも活躍してるから、まず問題ナシ。
そのままここの大学に進むことが決まっていても、
秋の大会で、3年生は引退しなくちゃいけない。
まあ、たぶん、そのまま指導みたいなカタチで部活には出ることになると思うけど。
大学行くまでに体鈍らせたくないし。


あ、そうそう、美貴自身は恋愛はサッパリだったけど、
あの、あのれいなに恋人ができたのがすごくうれしかった。

れいなはなんかツッパってるとこがあって、
とくに1年のときなんかは友達さえいなかった。
ホントは素直でかわいいヤツなのに、福岡から出てきたところだったし、
どうも東京の人に苦手意識があったみたいで。
それが2年になって同じクラスの子2人と仲良くなって、
フットサルも一緒に見に来てくれるようになった。

しかも、美貴は気付いてたんだよね、
『あー、あの子、れいなのこと、好きなんだろうな』って。
れいなと一緒に来てくれてた最初の頃、
彼女―亀井ちゃんは、れいなと話してる美貴のこと、睨むように見てて。
あきらかにジェラシーなんだもん。
かわいーなって思っちゃった。
だいたい、れいなとしゃべってるときの顔がすっごくうれしそうで。
でも、れいなはそのヘン鈍感そうだから、気付いてないんだろうなって思ったけど。

一応さ、美貴的にも、かわいい妹分のことを好きになってくれる子が、
どんな子か気になるからね、
しょっちゅうフットサル部に来てくれるようになってからは、
亀井ちゃんともたくさん話しをしてみた。

ちょっと変わってるけど、すごくいい子。
結構女の子女の子してるから、
れいなみたいなしっかりした子とならお似合いなんじゃないかなとも思ったり。

27 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:23

亀井ちゃんともよく話すようになったくらいの頃かなあ、
れいなにヘンなことを聞かれた。
「あのー、みきねえは、かわいい子とかっこいい子、どっちが好きですか?」
「んー、別に決まったタイプとかないんだよねえ」
「じゃあ、じゃあ、もし、もしですよ?
どうしてもどっちかと付き合わなきゃいけないとしたら、
れいなと絵里だったら、どっち選びます?」
って。

「は?れいな、美貴と付き合いたいの?」
「え!?そ、そんなこと思ったことありませんよ!」

じゃあ、その質問の意味は何なんだろうとは思ったけど、
「つーか、美貴は自分から好きになった人じゃないと付き合えないかな」
って答えたら、
れいなはちょっとうれしそうな、でも複雑そうな顔をしてた。

そのことが何となく心に引っかかってたのもあって、
その後に気付いたのは、美貴が亀井ちゃんと笑って話しをしてるとき、
れいながすごく悲しそうな悔しそうな顔をしてること。

あれ?コレってもしかしてジェラシーじゃないの?
でも、れいながそういう意味で美貴のことを好きではないだろうし…
そう思うと、れいなが好きなのは亀井ちゃんじゃないのかなって。
れいなはそういうのにあんまり興味ないのかと思ってたから、
意識して見てなかったけど、
改めて見てみると、亀井ちゃんに抱きつかれたり、腕組まれたりしてるとき、
れいな、真っ赤な顔になってる。


いいなあ、青春だなあ。
2人はたぶん、両思いなのに、お互い気付いてなさそうで。
かわいいなあ、美貴もそんな恋愛してみたいよ。
ちょっとしたことで、ジェラっちゃうような、
抱きついただけでドキドキしちゃうような。
そういう純粋な気持ちの恋愛なら、女同士だって全然アリだよなあ。
28 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:23

で、3年になってすぐくらいに、たまたま、れいなと亀井ちゃんが2人で手を繋いで、
学校から帰っていく姿を目撃した。
話しかけようかどうか迷ってたら、2人は人通り少ない道の建物と建物の間に入っていった。

どうしようかと思ったけど、やっぱりね、れいなのことは気になるじゃない、
妹分として。
だから、ちょっと陰に隠れて、話し声だけ聞いてた。

「…ちゃんと、絵里のこと好いちょるよ」
「ホントに?絵里だけ?」
「当たり前やけん。絵里以外に考えられん」
「…えへへ、絵里もれいなだけー」

そのあと、しばらく静かになってて、そーっと覗いてみたら、
2人は抱き合ってキスしてた。
しかも結構激しいのを…

…うん、よかったじゃん。
両思いになれたんだね。
うれしいよ、うれしいんだけど、何かさびしくも悔しくあって。
妹だと思ってたれいなに先を越されたみたいな気持ちなんだろうな。
なんか、美貴もそういう相手が欲しいなって思っちゃったよ。
でも、ちゃんと2人の幸せは願ってるから。
29 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:24

結局、夏休みが終わっても美貴の環境が大きく変わることもなく、
美貴の高校時代、最後のフットサル大会の日を迎えた。
大学行ってから続けるにしても、やっぱり最後は最後だから、
ビシッといいカタチで、『優勝』で締めくくりたい。

2日間のトーナメント方式。
1日3試合、勝ち進めば最大6試合をこなさなければならない。
1日目、順調に勝ち進んで、2日目までコマを進められた。


観客も超満員。
ラストを飾るには、ふさわしい。
そして、最後の試合はちょっと苦戦したものの、
無事ウチの学校が優勝!
会場の拍手と歓声ってホントたまんない。
よし、大学でもまた優勝してやる!

試合そして表彰式が終わって、
控え室で優勝とウチら3年の卒業を祝っての簡単な打ち上げ。
もちろん、改めてちゃんとやるけど、
こう気持ちが高ぶってるときにちょっとでもやるのが最高に気分がイイ。



着替えもして、やっと会場から出ると、出口にはウチの学校の子たちがいっぱい待っててくれた。

「おめでとうございます!」「お疲れ様でした!」
ってプレゼントや花束を渡してくる子もいるし。うれしいけど、どうも照れ臭い。
美貴はしばらく、れいなと亀井ちゃん、あといつも一緒にいるシゲさんとしゃべってた。
れいなと亀井ちゃんがしっかり手を握ってるのを見て、
うまくいってるんだなってうれしく思ったり。
今はこういうときだからナンだし、今度絶対からかってやろーっと。

30 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:24

「ああっ!!亜弥ちゃんじゃん!!」
よっちゃんさんのデカイ声が聞こえてきた。
何となく気になって、そっちの方を見ると、
よっちゃんさんがウチの制服と着た小柄な子を抱きしめてた。
こっちに背中を向けてたから顔は見えないけど。
よっちゃんさん、そこまでファンサービスしなくてもいいのに。

「そっか、そっか、ウチのことを応援したくて来てくれたんだ?」
「いえ、違いますから。こんちゃんの応援です!」
「コンコン?もしかして同じクラス?」
「そうです」
「マジで!?何だよ、じゃあ、コンコンに頼んで、
亜弥ちゃんとデートの段取りしてもらおう」
「しませんから、デートなんて」
「ナニ照れてんの?」
「照れてなんかないですから!」


あれ?よっちゃんさんのファンじゃないんだ?
むしろ、よっちゃんさん、迷惑がられてない?
面白いなあ、あのよっちゃんさんにそんな冷たい態度取る子がいるなんて。

「あーっ、よっちゃんさん、セクハラしてるー」

よっちゃんさんをからかってやりたいのもあったし、
相手の子にもちょっと興味があったから、声をかけてみた。

「ナニ言っちゃってんの?
セクハラじゃないよ。愛情表現。
L・O・V・E I LOVE亜弥ちゃん」

いやー、充分セクハラだよ。
むしろストーカーくらいの勢い?

「でも、彼女、迷惑そうだよ」
「ええっ?そんなことないよね?」

よっちゃんさん、彼女が本気でイヤがってるとは思ってないんだろうなあ。
『イヤよイヤよも好きのうち』ってとこなのかな。
まあ、実は彼女もよっちゃんさんが好きなのかもしれないしねえ。

やっと、よっちゃんさんに体を離してもらえた彼女がこっちを向いてくれた。
31 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:24

……!!
か、かわいい!!
超かわいいんだけど!
な、何、この子…ちょっと顔赤くして上目使いで見てくるのが、
何だかソソられるというか…
無意識でやってるんだったら、すごいんだけど。

「…おー、さすが、よっちゃんさんのお気に入りの子だねえ。
かわいいじゃん」

確かに、よっちゃんさんがここまで執着してるのもわかる気がする。
美貴も彼女のこと、気に入っちゃったかも。
彼女の頭を撫でてみた。

「うわっ、ダメだよ。
ミキティにそんなことされたら、子供できちゃうじゃん」
「は?何で美貴が触っただけで子供できるんだよ!」
「それくらい危険だってことだよ。
亜弥ちゃん、あの先輩には気をつけた方がいいからね」


ちくしょー、よっちゃんさんのヤロー。
美貴の印象、悪くなっちゃうじゃんか。
ぐっ…しかも、よっちゃんさん、さりげなく彼女―亜弥ちゃんの腕とってるし。

「そんなことないからね!
よっちゃんさんの方が、よっぽどエロオヤジだし」

あー、もう、なんかムカつく!
美貴だって、負けてらんない。
いい印象を与えておかないと。
美貴が亜弥ちゃんの腕をひっぱったら、フラッとしたから、抱きとめちゃった。
えへへ、ラッキーかも。
…しかし、亜弥ちゃん、結構胸ありそう…
やせてるのに、なんか女の子っぽい体つきというか。

32 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:24

「…ああ、これで、もう妊娠3ヶ月くらいになっちゃったよ」
「んなワケないじゃんか!」

よっちゃんさん、マジでムカつく!
美貴はどんなに悪いヤツなんだってーの!

「あのー、藤本さん、吉澤さん、すみません」
こんちゃんのスローな声が聞こえてきた。

「後ろがつかえてますので…」

確かに後ろを見ると、よっちゃんさんや美貴のことを待ってるだろうファンの人たち。

「あー、ごめんごめん」
よっちゃんさんは、みんなに手を振るとニコッと微笑んだ。

「あ、でも、亜弥ちゃんにヘンなことしたら、ウチが許さないからね」
笑顔のまま、よっちゃんさんはコワイ、いやカッコイイことを言ってくれる。

「美貴も許さないからねっ!」
よっちゃんさんにばっかりいいとこ持ってかれるのは悔しいから、
美貴もビシッと言ってやった。

亜弥ちゃんから体を離して、もう1回頭を撫でて、ニッコリしてあげた。
亜弥ちゃんはボンヤリと美貴のことを見てた。
あー、どう考えてもマイナスイメージ。
よっちゃんさん以上のエロオヤジか、相当コワイ人だと思われたに違いないじゃん。

33 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/08/21(日) 16:25

その日、家に帰って優勝の喜びをかみしめるとともに、
美貴の高校生活そのものといっていい、フットサル部の活動が終わったんだなあってしんみり考えてた。

そんなとき、亜弥ちゃんのことが頭をよぎった。
本当にかわいい子だったなあ。
あー、美貴ももっと後輩とかに興味を持っておけばよかったかな。
あんなかわいい子がいるなら、もっと早くに知っておきたかった。
よっちゃんさんはいつから知ってたんだろう?ったくズルイなあ…

ふと、亜弥ちゃんを抱きしめたときの感触を思い出す。
柔らかいカンジ、髪の甘くていい香り、首筋の色の白さ…
…もっとちゃんと抱きしめてみたい…
…ん?
…うぁ、やべー!美貴、ヘンだよ!
女の子相手に何考えてんだか。


確かに、とくにスポーツとかやる仲間にはスキンシップで、
愛情表現というか仲良くなろうと思うけどさ。
深い意味は全然なくて、動物の子供がじゃれあうみたいなつもりなんだよね。

でも、亜弥ちゃんとはそんなことする関係にもなってないのに。
今日はじめて会って、ほんの数分しかいられなかった。
しかも、よく考えたら美貴と話しすらしてくれてないじゃん!

でも、抱きしめたい、だけじゃなくって、
なんつーか、あのかわいい唇にキスもしてみたいとか、
大きそうな胸を触ってみたいとか、
そんなことまで考えてしまっている。
今までそんなこと思える人なんていなかったのに。

…ソレってさ、つまり…美貴、亜弥ちゃんに…惚れちゃったってこと!?

34 名前:サチ 投稿日:2005/08/21(日) 16:31
更新しました。

>>15さん
ありがとうございます。
そんな言葉を聞いて、私もガッツポーズです(笑)

>>16さん
ありがとうございます。
大した作者ではありませんが、がんばります♪

>>17さん
ありがとうございます。
私も勢いよくガッツポーズです(笑)

>>18さん
ありがとうございます。
お待たせしました♪

>>19さん
ありがとうございます。
ご期待にこたえられるかわかりませんが、がんばります。

>>20さん
ありがとうございます。
みきたん本人はセクハラではないと思ってるのですが(笑)

>>21さん
ありがとうございます。
引き続きよろしくお願いします。


たくさんのレス、ありがとうございます。
俄然ヤル気になりました(笑)
次の更新は1週間以内をめざしたいと思いますので、よろしくお願いします。
35 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/21(日) 20:15
うほほー、藤本さんたらこんなこと考えてたのね。
作者さん乙です。
36 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/21(日) 20:20
更新乙です。
またもや期待を裏切らない展開!サイコー。
楽しみにしまくってます。
頑張って!!!
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/21(日) 21:18
キタ――――(゚∀゚)―――――!!!
新スレおめでとうございま〜〜す(≧▽≦)
すげぇ楽しくなりそうですねー♪ガッタス大好きな俺としては、マジでハマりそうですww
これからも頑張って下さい☆
38 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/21(日) 22:16
れなえりも微妙に入ってて嬉しい限りです!
楽しみに待ってます。
39 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/08/21(日) 22:17
更新お疲れ様です。田中さんと藤本さん、2人の出会いの真相が面白かったです。
そして動揺してる藤本さんがかわいい(w
次回も楽しみにしております。
40 名前:名無し読者 投稿日:2005/08/22(月) 01:06
更新お疲れ様です
今回も最高じゃないですか!
本当に待ってたかいがありました(喜
次回も楽しみです
41 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/31(水) 18:00
待ってるよ!頑張れ!!!
42 名前:名無し読者 投稿日:2005/09/02(金) 03:07
作者さんふぁいとー!!
43 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/02(金) 19:54
待ってますよ!ファイト〜!
44 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:27
「亜弥ちゃん?……亜弥ちゃーん、大丈夫?」
フットサルの試合の、次の日。
アタシは朝からずーっとぼんやりしたままだったらしく、
こんちゃんや愛ちゃんに「大丈夫?」って何度も聞かれた。

いやー、大丈夫じゃないでしょ!
だって、みきたんに抱きしめてもらって、頭撫でてもらったんだよ!
しかも『美貴も許さないからねっ!』なんて、
アタシのこと守ってくれる発言までしてくれて。
もー、夢みたい!

「また、藤本さんのことでも考えてたの?」
こんちゃんが微笑みながら聞いてきた。

「うん、ずっと考えてる」
「あははー、そんなに好きになっちゃったんだぁ」
愛ちゃんも楽しそうに笑ってて。

うん、今まで、誰かのことをこんな風に思ったことなんてない。
何となくいいなーって思う人はいたけど、
ほとんど何も知らない人のこと、見た目だけで、
こんなに好きになれるなんて思ってもみなかった。


「あさ美ちゃーん」
「あ、まこっちゃん!」
お昼休みに、教室でお弁当を食べたあとだったんだけど、
教室のドアのところから、こんちゃんのことを呼んでる人。
たまに、廊下とかですれちがうと、こんちゃんに面白い顔とかしてくる人。

こんちゃんがそっちに向かうと、封筒を受け取ってた。
中には写真が入っていたらしく、それを2人で見ながら楽しそうに笑ってた。

「まこっちゃんは写真部なんよ」
愛ちゃんが説明してくれた。
中等部から、こんちゃんとは仲が良い写真部の小川麻琴ちゃん。
まこっちゃんは、どうやら吉澤先輩の大ファンらしく、
フットサル部の試合のときには必ず撮影に来ているらしい。

まこっちゃんに手を振ると、こんちゃんがこっちに戻ってきた。
「イイものあげるー」

こんちゃんが、見せてくれたのは昨日の試合の写真。

「うわっ!!」
みきたんがボールを蹴る瞬間の超かっこいい表情の写真も、
こんちゃんを抱きしめてる超かわいい笑顔の写真も、
もー、どーしよって思うくらい素敵すぎます…
45 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:28
どうやら、昨日のうちに、こんちゃんはまこっちゃんに頼んでおいたらしい。
自分の写真と、後藤先輩の写真、そして、みきたんの写真も。

「こんちゃん、ホントありがと…」
アタシが涙ながらにこんちゃんにお礼を言うと、
こんちゃんはニコニコしてた。

「3年生は、引退試合だったから、最後になっちゃうけど」
「ええっ!?」

そ、そっか…もうみきたんの勇姿を見ることができないんだ。
ウチのテニス部だって、夏休み中の大会で、3年生は引退だったし。
…じゃあ、フットサル部見学に行っても、みきたんに会えないんだ…

「でも、引退してからも、指導とかは来てくれるんじゃないかな。
毎回ってワケじゃないと思うけど」

こんちゃんのその言葉に少しだけ勇気付けられた。
だって、普段学校内でみきたんに会うことなんて、
そうそうあることじゃないだろうし、一瞬のできごとだろうし。
でも、部活とかなら、ずっと見てられるし。

でも、実際は、テニス部とフットサル部は基本活動日が同じ。
だからまず見に行けることがなかったりもするんだけど。


せめて、帰るときの姿でも見たいと思ったけど、
やっぱり引退してる身だからか、
部活に出てくれても、早めに帰るか、
もしくは、監督とかと話しこんで遅くまでなっちゃうとかで、
こんちゃんがいろいろ情報をくれるものの、
結局なかなかみきたんに会えることはなかった。


でも、会えなさすぎはツライ。
さすがに3年生の教室に覗きに行くのは抵抗あったから、
みきたんのクラスの時間割を調べておいて、
他の教室に移動するときとか、こっそり見に行ったりはしてたけど。
あと、体育を校庭でやるときはホント楽しみで。
っていっても、アタシの席は窓際じゃないから、
休み時間のうちに見るくらいしかできないんだけど。
友達と楽しそうに笑いながら、校庭に来るときと、帰っていく姿しか見れない。
本当は、みきたんが走ったり、ボール追いかけたりする姿が見たいけど、
それでもみきたんのことがちゃんと見れるだけ、うれしかった。
46 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:28
そんなことで満足していたアタシだったけど、11月の最初の頃、
テニス部もフットサル部もダンス部もない日で、
こんちゃんと愛ちゃんでカラオケでも行こうって話しをしてた。

でも、愛ちゃんは、中等部のさゆって子に、頼みこまれて、
どうやらデートすることになったみたいで。

「シゲさんと仲良くね」
「もー、何言ってんの」
こんちゃんに言われて、愛ちゃんは照れたように笑って、走っていった。

「愛ちゃんは、あの子のこと、どう思ってるのかな?」
「んー、愛ちゃん、あんまりそういうこと言わないからわかんないけど、
結構気に入ってるとは思うよ。
少なくとも、愛ちゃんにコクったりしてきた子の中では、
一番いいと思ってるんじゃないかな」
「かわいいもんね、あの子」
「しかも、すごく積極的だし」
「んー、うらやましいなあ。
アタシもガンガンアタックできるようになりたい」
「あははは、藤本さんはどうなんだろ?
すごくモテるし、ファンの人にも優しいけどね。
個人的に出かけたりとかはしてないと思うよ」


そっか、それなら、少し安心。
でも、逆にいうと、アタシが誘っても来てくれないってことだろうし。
っていうか、アタシ、ファンだってことも知られてないんだから、
いきなり誘ったらびっくりされるだろうし。
断られるの当然だし、そんなのショックだし。
はぁ、アタシはやっぱり、遠くから見てるだけでいいや。
47 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:28
こんちゃんとアタシが、校門を通るときに、
「ヘイ、そこのかわいこちゃん2人!
オレとお茶でもしない?」
なんか、ノーテンキな声が聞こえてきて振り向くと、
吉澤先輩がニヤニヤしながら、こっちを見てた。

「…相変らずですね、吉澤先輩」
そう、吉澤先輩は、2学期になってから、
フットサルで部長をやることになって忙しいのか、
テニス部を見学に来ることがなくなって。
実際、顔を見るのも久しぶりだった。

「いやいや、会えない時間が愛を育てたっちゅーか」
吉澤先輩が、アタシの肩を抱いてきた。
こんちゃんはクスクス笑ってるだけで、助けようともしてくれないし。
こんちゃんからしたら、いつもの光景なんだろうな、
吉澤先輩がこんな風に女の子を口説いてるの。

「で、もしかして、2人はこれからどっか出かけようとしてた?」
「はい、カラオケにでも行こうかと」
こんちゃんが答えると、吉澤先輩は目を見開いて、
「奇遇だなあ、ウチもシャウトしたい気分でさ。
誰かいないかなあって探してたんだよ」

「シャウトしたいなら、海とか行ってきたらどうですか?」
「そうそう、波を見ながら『あーっ!!』とか叫んで…
ってちげーよ。ウチも2人と一緒にカラオケ行きたいよ」
「無理です。吉澤先輩と行くのなんて」
「どーしてさ?」
「だって、密室にいたらセクハラされそうですもん」
「セクハラなんかしねーよ。愛を確かめ合うだけだって」

別に吉澤先輩が嫌いなわけじゃないけど、
やっぱり他のファンの人に悪いし。
まあ、からかわれてるだけだから、本気で誘ってるんじゃないと思うけど。

吉澤先輩が、アタシのことを抱きしめると、
「ちゃんと、亜弥ちゃんのこと、大切にするから」
って耳元で囁いた。
…一瞬、ドキッとしちゃったじゃん。
こんなこと、ファンの人が言われたら、気絶しちゃうだろうなあ。
アタシもみきたんにこんなこと言われちゃったら…

48 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:28

「よっちゃんさーん、何してんのさ?」

…え?
みきたんの声が聞こえた気が…
アタシ、ついに幻聴まで…
吉澤先輩がギュッと抱きしめてるもんだから、
みきたんがいるかどうかも確認できないし。

「亜弥ちゃんとコンコンがカラオケ行くっていうからさあ、
ウチも混ぜてもらおうかと思って」
「え?マジ?美貴も行きたい!」

…今、『美貴』って言った!
アタシは、何とか吉澤先輩の腕から逃れると、
思いっきり振り向いた。

…あ、ああ…みきたんだぁ…
久しぶりに間近で見るみきたんの笑顔。

「じゃあ、ぜひ藤本さんもご一緒に」
こんちゃん、グッジョブ!!
こんちゃんが笑顔で言うと、吉澤先輩は不満そうな声を出した。

「なんで、ミキティだと即答でOKなワケ?」
「だって、私、藤本さんと一緒にカラオケとか行ったことないですから」
「え?よっちゃんさんとは行ったことあるの?」
「ハイ、里田さんとみうなと4人で」


どうやら、こんちゃんはフットサルのメンバーと一緒に
吉澤先輩とはカラオケに行ったことがあったみたいで。

「えー?いいなあ、そういうときは、美貴も誘ってよ」
「じゃあ、今度はぜひ」
「そうだね、じゃ、とりあえず、今日は3人で行こうか」
みきたんは笑顔で、こんちゃんとアタシの肩を叩いて、歩きはじめた。
うわー…超幸せです。

「ちょ、ちょっと、ウチも行くってーの!」
吉澤先輩が一足遅れて、ついてきた。
「あー、なんかしつこいナンパだなあ。無視しとこーね」
みきたんがニコニコと、アタシとこんちゃんを見てきた。

49 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:29

どーしよ…
みきたんとカラオケだって…
そんなこと、考えたこともなかったのに。
でも、横に並んで歩いているみきたんはホンモノなワケで。
本当はいっぱいいっぱい話したいこと、聞きたいことあるのに、
胸が苦しくって、なんにも言葉が出てこない。

「あ、ごめん、ちゃんと自己紹介してなかったよね。
3年B組の藤本美貴です」
みきたんは笑顔で、アタシの顔を見て、ちょこんと頭を下げた。

…かわいい…
自己紹介なんてしていただかなくても、大変よく存知あげております。

「…1年A組の松浦亜弥です…」
「えへへ、亜弥ちゃん、よろしくね」
みきたんはニコニコして、アタシの頭を撫でてくれた。

しかも『亜弥ちゃん』って呼んでくれた…幸せ過ぎておかしくなりそう…


「あー、コラコラ。
かわいい子を見たらすぐにナンパするクセ、よくないよ、ミキティ」
吉澤先輩が、後ろからみきたんの肩をグイッとつかんだ。


「は?美貴、そんなことしないし!だいたい、それ、自分のことじゃん」
「いやいや、ウチは本命にしか声かけないし」
「よくいうよ!マイスィートハニーが何人いるんだよ!」
「亜弥ちゃんはマイベストスィートハニーだからさ」

吉澤先輩が今度はアタシの肩を抱いてきた。
もー、みきたんの前でそんなことしちゃイヤだって。

「アタシは吉澤先輩のハニーにはなりませんからっ!」
アタシがほっぺをふくらますと、吉澤先輩は目を丸くしたものの、
すぐにニヤニヤして。

「亜弥ちゃんの怒った顔もかわいいんだよねえ」
そういって、アタシのほっぺを指でつついた。

「ホント、かわいいね」
そう逆隣から声が聞こえてきて、そっちを見ると、みきたんがニコニコしてた。
しかも、ほっぺを指でつつかれた。
アタシのほっぺはすぐにしぼんで、真っ赤になっていったと思う。
…うわぁ、またみきたんにかわいいって言われちゃったぁ…。
50 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:29

「でもさあ、何で、よっちゃんさんと亜弥ちゃんは知り合いなワケ?」
「そりゃ、前世から赤い糸で結ばれてて…」
「あー、もー、よっちゃんさんのネタはいいから!
亜弥ちゃんに聞いてんの!」
「は、はいっ!」
突然、こっちに話しをふられたからびっくりしてしまった。

「そ、そんな、驚かなくていいから」
「しょーがないじゃん、ミキティ、こわいもん」
「え?あ、あのね、美貴、こわい人じゃないからね。
ちょっと目つきとか悪いかもしんないけど、
目悪いだけで、にらんでるとかじゃないからね」
「…は、はい」
わかってますよ。
アタシ、緊張してるんです。
こわいとかじゃ、ないんですよ。

「あらら、亜弥ちゃん、かなりビビッてるよ。
こわいねー。大丈夫、ウチがちゃんと守るからね」
吉澤先輩が、みきたんからアタシのことを離した。

「そんなことないよね?
ホントに美貴、こわくないよ。
そりゃ、普段はツッコミ役だけど、別に本気で怒ってたりしないし」
「は、はい!ダイジョウブです」
ホントにみきたんのこと、こわいなんて思ってないし!

「あはは、ミキティ、それじゃあ、脅迫してるようなもんじゃん」
「え?亜弥ちゃん、そ、そんなことないから」

アタシがコクッと頷いたら、
みきたんが、安心したように微笑んで、近寄ってきて、吉澤先輩の腕を離して、
アタシの肩を抱き寄せた。
…みきたん、結構腕の力あって、たくましいかも…

「…亜弥ちゃん、今はガマンしといた方が身の為かもしれないけど、
本当にこわかったら、ちゃんとウチが守ってあげるからね」
吉澤さんがため息まじりで言うと、みきたんはそっちを睨んだ。

「は?身の為って何だよ!
美貴が今まで何したって言うんだよ!」
「うわっ、こわーい。やっぱ、こわいね、亜弥ちゃん」

んーん、こわくなんかない。
かっこいいもん、みきたん。

「え?あ、こわくないよ、ホントに」
みきたんはアタシの顔を覗き込んで、必死に笑顔を作ってた。
…もー、みきたん、かわいすぎ。
アタシってば、幸せすぎ…

51 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:29

カラオケの部屋に入ると、真中にテーブルがあって両サイドに長いソファが置いてあった。
みきたんがまず部屋の奥の方に座って、
吉澤先輩がその向かいに座って。

こんちゃんがチラッとアタシを見て微笑んでから、
吉澤先輩の隣りに座ってくれた。
やったー!こんちゃん、ありがと!
これで気兼ねなくみきたんの隣りに座れる。

「えー、コンコンが隣りなの?」
「私じゃ不満なんですか?」
「いやー、せっかくだから、亜弥ちゃんの隣りがいいなって」

「ダメだよ!よっちゃんさんはセクハラするからっ!」
みきたんが、アタシの手をとって、隣りに座らせてくれた。
…えへへ、すっごくうれしいかも。

「ミキティにセクハラのこと、言われたくないなあ」
「え?あ、亜弥ちゃん、美貴、セクハラなんてしないからね!」
「えー、そうですかぁ?」
こんちゃんもクスクス笑ってる。

「へ?いや、その、自分では、単なるスキンシップのつもりなんだけど」
「それが、セクハラって思う子もいるんだよ。
ミキティ、気をつけないとダメだよ〜」
「え?そうなの?亜弥ちゃんも、そう思ったりする?」
みきたんは、今繋がれてる手を見て言った。

そんなワケないじゃないですか。
同じことを吉澤先輩がしたら、そう思うかもしれないけど、
みきたんにされるんなら、こんなにうれしいことはないんだから。

アタシが首を横に振ったら、みきたんは笑顔になって。
「よかったぁ!」
思いっきり、アタシに抱きついてきた。

…あの、むしろアタシの方がよかったって思ってるんですけど。
どんどん、触ったりしてくれて構わないんで。

「あー、亜弥ちゃん、かわいそうに…
また脅迫まがいのことされてるよ」
「違うってば!」
みきたんは、アタシの頭も撫でてくれて。
ヤバイです…もうずっとこのままでいて下さい…
52 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:30

ずっと、そのままではいれなかったけど、
歌ってるときでも、みきたんは、アタシの方にぴったり寄り添ってくれてて。
歌本も一緒に見て
「あー、亜弥ちゃんにコレとか歌って欲しいな」
とかリクエストしてくれたり。
もちろん、歌いましたよ、みきたんに頼まれたんだもん。

吉澤先輩が物まねとかしてたら、みきたん大ウケで。
「似てねーよ!」とか言いながらも、涙流して笑ってて、
アタシの脚の上に倒れ込んだりしてきて。
あー、もー、みきたん、かわいすぎ…


歌いはじめて、1時間くらいしたら、みきたんの携帯が鳴った。
こんちゃんが歌ってたときだったから、
みきたんは電話に出ながら、部屋の外に行っちゃった。


少しして戻ってきたときに、丁度歌も終わってて。

「ねえ、これから、ウチのクラスの子も合流したいって言ってるんだけど、いいよね?
何か暇らしくて。別に気遣うような子じゃないし」
「その人、かわいいの?」
吉澤先輩が笑いながら聞くと、みきたんは大きく頷いた。

「うん、かわいいよ」
「じゃあ、大歓迎!超ウェルカムだよ」
吉澤先輩は本当にうれしそうで。

「ちょっとー、美貴の友達に変なことしないでよ」
「いやー、運命感じちゃったら、わかんないね」
「もー、よっちゃんさん、バカすぎ」

みきたんはあきれたように笑ってた。
…でも、アタシはちょっぴりジェラシー。
だって、そのかわいい人のお願いをすぐに聞いてしまうなんて。
まさか、みきたんとそういう仲なんじゃないよね…

53 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:30

それから10分くらいして、もう1回みきたんの電話が鳴って、外に出ていった。
こんちゃんはトイレに行ってたときだったんだけど。
すぐにみきたんが戻ってくる。
その後に続いてきたのは、石川先輩だった。

「あれー、亜弥ちゃんじゃない?」
「あ、石川先輩だったんですか?どうも、こんにちはー」
「こんにちは。美貴ちゃんの言い方だと、フットサルの人だけなのかと思ってた」

そう、実は、石川先輩は、テニス部の元部長。
言うときはビシッと厳しく言うけど、普段は優しい人で、皆から慕われてた。

「え?あ、もしかして、亜弥ちゃんって、テニス部なの?」
みきたんがキョトンとして、石川先輩とアタシを見る。

「うん、そうだよー。1年生の中じゃダントツにうまいよ」
石川先輩がニコニコとアタシのことを見てくれた。
えへへ、石川先輩、ありがとう。
みきたんの前で誉めてくれて。

石川先輩は、こんちゃんが座っていた席、
吉澤先輩の隣りに座ると、吉澤先輩にペコリと頭を下げた。
吉澤先輩は目を大きく開いたまま、固まってた。
「よっすぃーだよね?
私の友達でもファンが多いから知ってるよ。
テニス部もよく見に来てたよね?」
「…あ、は、はい」
「石川です、よろしくね」
「…こちらこそ」

ん?吉澤先輩がいつもの吉澤先輩じゃない。
単なる人見知り?
いやー、アタシと初対面のときのことを考えるとありえない。
まあ、アタシが後輩だからってのもあるかもしれないけど。
もしかしたら、石川先輩がかわいいから緊張しちゃってるとか?

「あれー?よっちゃんさん、なんかおとなしくない?
いつもだったら、『マイスィートハニー、ようこそ』くらい言いそうなのに」
「そ、そんなことねーって」
「えー?誰にでも言うじゃんかあ、ねえ、亜弥ちゃん?」
「はい、そうですね」
アタシがそう言うと、みきたんはうれしそうに笑ってくれた。

「はーん、さては、梨華ちゃんが、かわいくて緊張しちゃってるな」
「え?ち、違うって」
「なにー?私がかわいくないってこと?」
石川先輩が吉澤先輩の顔を覗きこむと、吉澤先輩は顔を真っ赤にした。
…あれー?ホントにホントにそうなのかなあ?

54 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:30

「ち、違います!石川先輩は、めちゃめちゃかわいいと思います!」
「うわっ、出た!よっちゃんさん、ホントに誰にでも言うのやめた方がいいよ」
みきたんは渋い顔をして…そんなみきたんもかわいいんだけどぉ。

「そーなんだぁ。うれしいなってちょっと思っちゃったのに」
「え?あ、いや、本気で思ってますから!石川先輩のこと!」
んー、やっぱ、吉澤先輩がこんなに動揺するのは初めてみるかも。

「あはは、よっちゃんさん、それじゃあ、マジでコクってるみたいじゃん!」
みきたんが大笑いしてた。

「…へ?あ、いや、その…」
吉澤先輩が真っ赤になってうつむいた。

「…え?あれ?…よっちゃんさん、ホントにマジ?」
さすがにみきたんも気付いたのか、笑うのをやめて、
吉澤先輩の顔をマジマジと見てた。

「えー?うれしいなあ、よっすぃーにそんな風に思ってもらえるなんて」
石川先輩は、そういうのに慣れてるのか、
全然気にしない風で、吉澤先輩の手を握った。

吉澤先輩は、すごくびっくりして、一瞬石川先輩の顔を見たけど、
もっと顔を赤くして、何にも言わないでうつむいて黙ってた。
あはは、吉澤先輩って、ホンキの人に対してはこんなかわいいカンジになっちゃうんだ。


「…へー、ホンキのホンキなんだ…こんなよっちゃんさん見たことないし」
みきたんも、素で驚いてる。
アタシもビックリしたけど、よく考えてみたら納得。
だって、たぶん、吉澤先輩がテニス部の見学に来てたのは、
石川先輩を見るためだったんだろうなって。
だから、先輩が引退後の2学期からは全然来なくなったし。

55 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:30

そんな、甘ずっぱい空気が流れてるときに、
部屋のドアが思いっきり開いた。

「吉澤さん、会いたかったですっ!!」
「よっちゃーん、ウチのこともデートに誘ってや!」

雪崩れ込んできて吉澤先輩に抱きついたのは、
まこっちゃんと、あと、あいぼん。
あいぼんはウチのクラスで、熱心な吉澤先輩のファン。

「あー、すみません。さっき、トイレに行ってる間に連絡があって、
近くにいるっていうから連れてきちゃいました」
あとに続いてきたこんちゃんが申し訳なさそうに、頭を下げた。

「お前ら、くっつくなってーの!」
「いやーん、いつもみたいに優しくして下さい、ヨ・シ・ザ・ワ・サ・ン」
「間に点入れるな、キモイから!」
吉澤先輩は、ほっぺにキスしてこようとするまこっちゃんを避けるのに必死で。

「な、な、ウチとデュエットしようや!」
「し、しないっ!」
「なんでー?この前、してくれたやん。
あまーいセリフをウチの耳元で囁いてくれたやんか」
「そ、そんなことしてないっ!」
あいぼんの攻撃にもタジタジなわけで。

面白いなあ、いつもと違う吉澤先輩。
アタシもいじめちゃおうかっなー。

「えー、そうですか?アタシもさっき、あまーい言葉言われましたよ。
大切にするからとか、愛を確かめあおうとか」

「え?よっちゃんさん、亜弥ちゃんに、そんなこと、言ったの!?」
あ、みきたんにバレちゃった…でも、アタシは吉澤先輩のこと何とも思ってないからね!

「言ってない言ってない!
いや、言ったかもしれないけど、単なるジョークだから」
「えー?じゃあ、さっき、私に言ってくれたのもジョーク?」
石川先輩が笑顔で言うと、吉澤先輩は一瞬固まったあと、
思いっきり首を横に振った。

「あははは!超、面白いんだけど!
これから、よっちゃんさんが暴走しそうなときは、
梨華ちゃん連れてくるから」
みきたんが楽しそうに笑ってた。
それが、アタシにとってもすごくうれしいことだし、
実際、いつもと違う吉澤先輩を見るのは確かに楽しかった。
何か、完璧な吉澤先輩の弱点を見つけたみたいで。

56 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:31

そのあと、結局、吉澤先輩はまこっちゃんとあいぼんに押され気味で、
石川先輩とは全然話しできてなかった。かわいそうに。
石川先輩はフットサル部の3年の柴田先輩って人とも仲がいいみたいで、
フットサル部の人たちは、直接知り合いじゃなくても、
身近に感じるみたいで、こんちゃんとも仲良く話してた。

その間、アタシはみきたんとお話し…
っていっても、アタシは吉澤先輩ほどじゃないけど、
緊張しちゃってて、あんまり話せなかった。
でもみきたんがいっぱい話しかけてくれるからうれしくって。
とくに人が歌ってるときだと、聞こえないから、
顔をすっごく近づけて、話してくれて。
…キスとかできそうなくらい近くって、
超ドキドキもんだったんだけど。


しかも、みきたん、
「亜弥ちゃん、メアド教えてよ」って言ってくれた。
もちろん、すぐに教えて、みきたんがその場でメール送ってくれた。
「それ、美貴のだから。いつでもメールしてね。美貴からもするから」

アタシはうれしくって、うれしくって、
家に着いてから、すぐにメールした。
顔見てると緊張してしゃべれなくても、メールならいろいろ話せる気がするし。

『今日はお付き合いいただきありがとうございました。
すごく楽しかったです。
それにしても、いつもと違う吉澤先輩、面白かったですね』

そしたら、すぐに返事が来た。

『いや、こっちこそ、突然入っちゃって悪かったね。
でも楽しかったよ。
確かによっちゃんさんにはびっくりしたよ。
それも梨華ちゃんとは…』

さすがに、みきたんは全く気付いてなかったんだあ。
だから、アタシは、吉澤先輩がしょっちゅうテニス部を見に来てたこと、
2学期になって来てないことも考えると、
石川先輩を見に来てたんだってことを教えてあげた。

57 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:31

そしたら、今度は電話が鳴った。
もちろん、相手はみきたん。
心臓がドッキーンとした。
深呼吸を1回してからボタンを押した。

「は、はいっ」
『あ、亜弥ちゃん?』
…みきたんだぁ。
電話で聞くみきたんの声もかわいいなぁ。


「あ、そうです」
『もー、亜弥ちゃん、カタイなあ。
先輩とか気にしないでいいから。
普通にタメ口きいてくれていいからね』
「え、で、でも」
『まあ、突然は無理でも、徐々にでいいからさ』
「…はい」
そんな憧れの藤本美貴様と話せるだけで幸せなのに、
タメ口なんて、使えませんよぉ…

『しっかし、じゃあ、よっちゃんさんって、前から梨華ちゃんのことが好きだったんだねえ…』

吉澤先輩の話しでしばらく盛り上がって。
他にもいろんな話しをして、
気付いたら1時間以上経ってた。

みきたんの声はすごく優しくって、かわいくって。
こんな風にみきたんと毎日お話しできたらなあ。

58 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/09/03(土) 22:31

まだまだ話ししたかったのに、アタシのママが
「お風呂入りなさい」って言ってきたのが、みきたんに聞こえてしまってて。

『あ、ごめん、ごめん、長電話しちゃって』
「いえ、そんなことないです。
アタシも、先輩とお話しできて楽しかったです」
『え?ホントに?
じゃ、今度は2人でデートしよっか?』
「えっ!?デート!?」
ほ、ホントにデートしてくれるの?

『あ、あはははー、冗談、冗談…じゃ、またねー…』
「あ、はい…じゃ、おやすみなさい」

なーんだ、冗談か…
ホンキでしたかったのに…

でも、みきたんとここまで仲良くなれたなんて夢みたい…
今日のみきたんもかわいかった、かっこよかった。
あんな人と、メールとか電話とかできるようになっただけでも幸せ。
デートも、もしかしたら、いつかしてもらえるかも!
みきたんはどういう人がタイプなんだろう?
今度、こんちゃんに聞いておいてもらおうっと。
がんばって、アタシ、みきたん好みのオンナになるから!
自信がついたら、みきたんのこと、デートに誘おうっと。
あー、みきたんとデートなんて…考えただけでも顔がニヤけちゃう。


59 名前:サチ 投稿日:2005/09/03(土) 22:43
更新しました。
いしよし登場です(笑)

>>35さん
ありがとうございます。
みきたんも実はカワイイこと考えてるんです(笑)

>>36さん
ありがとうございます。
ほめていただいてうれしいですがはずかしいです(笑)

>>37さん
ありがとうございます。
私もガッタス大好きです♪お台場も行きましたよ(笑)

>>38さん
ありがとうございます。
れなえり、好きなんですよねー。
別のカップルもちょこっと出てくる予定でっす。

>>39さん
ありがとうございます。
みきたん、カッコキャワです(笑)

>>40さん
ありがとうございます。
お待たせしちゃってスミマセンでした。
引き続きよろしくです♪

>>41さん
>>42さん
>>43さん
励ましのお言葉、ありがとうございます。
遅くなってすみませんでした。


予告より遅くなってすみませんでした。
1、2週間のうちに更新できたらいいなあと思ってマス。
また遅れちゃったらゴメンナサイ!
60 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/09/03(土) 23:10
更新お疲れ様です。よっちゃんさんがいろんな意味で素敵ですね(w あやみきのほうも期待大です。
更新はサチ様のペースで大丈夫ですので。次回も楽しみに待たせていただきます。
61 名前:名無し読者 投稿日:2005/09/04(日) 01:04
はあああああ、おもしれー!!
藤本さん視点が楽しみすぎます!
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/04(日) 12:22
更新お疲れ様です。次もめちゃめちゃ楽しみです。
作者さんのペースで更新してくれて全然OKなんで
そんな気にしないでくださいね。応援してます。
63 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/04(日) 17:48
37でした〜
いしよしキタ――――(゚∀゚)―――――!!!(笑)
カラオケに行きたくなりました(ばきゅ
みきたん、勢いでデート誘っちゃって〜(ニヤニヤ 
みきたんの視点も気になります!!
次回の交信を待ち続けます☆焦らずに頑張ってくださいね〜
64 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/04(日) 22:53
他のスレのお勧めにあった「ほんとの気持ち」を読んで
そのままの勢いで読ませていただきました。
サチ様のを読んで田亀好きになりました。責任とってください(笑)
あやみきの控えめな二人にもとろけまくりです。
地味な役回りのこんこんもかわいいですねぇ♪
次の更新も楽しみにしてます!がんばってください!!
65 名前:名無し読者 投稿日:2005/09/06(火) 09:54
ああーじれったい
早く続きが読みたいです(泣)
66 名前:あやみき読者 投稿日:2005/09/12(月) 18:26
あやみきだぁ(T∇T)
最近あやみきでラブラブなの少ないから期待してます!!
頑張ってください♪
67 名前:名無し読者 投稿日:2005/09/15(木) 00:48
催促はすべきじゃない事分かってるんですが…
続き読みたい〜
68 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/17(土) 21:47
前のスレも楽しく拝見させていただいてました!
無理せずまったりと頑張ってくださいね。
69 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/22(木) 17:24
作者さんファイト〜!!
70 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:45
「美貴ちゃん、何キョロキョロしてんの?」
「…へ?キョロキョロなんかしてないよ」
「えー?してたよぅ」

確かに、梨華ちゃんの言う通りだ。
フットサルの最終試合が終わった次の日以来、
学校で廊下を歩いたりしてると、
つい探してしまう…そう、亜弥ちゃんを。

美貴に限って女の子をホンキで好きになっちゃうなんて、ありえない。
だって、男の人と付き合ってたワケだし。
よっちゃんさんをいいなーって思ったこともあったけど、
やっぱり、よっちゃんさんは男の子っぽいってのもあると思う。
それなのに、それなのに。
あんなにオンナノコ、オンナノコした子に惚れちゃうなんて。

でも、美貴が知ってる亜弥ちゃんのことなんて、
こんちゃんと同じクラスだってことくらい。
だからって、こんちゃんのクラスに遊びに行くなんてことはできないし。
せめて、学校ん中で会えないかなーなんて、
いつもキョロキョロしちゃってるワケで。

でも実際、亜弥ちゃんのことを見かけたのは、
この1ヶ月で、2回しかなかった。
それも、1回はガマンできなくて、昼休みに1年A組の前を通ったとき。
こんちゃんたちと楽しそうにしゃべってた。
やっぱり、すごいかわいくて…
すっごいドキドキしてしまった。
ただ遠くから見ただけなのに。
本当は、こんちゃんにでも無理矢理用事作ればよかったんだけど、
そんなこともできずに、ただ見てるだけ…
それも、教室の前を通るほんの一瞬だけ。

あとは、体育の授業の前だったらしく、たまたま通りかかって、
更衣室に入っていく姿を見かけただけ。
もちろん、向こうは気付いてないし、
美貴から声かけるのも何だし。


はぁ、どうしたらいいんだよ。
つーか、無理。
あんなかわいい子だもん、絶対付き合ってる人いるって。
それもたぶん、男だろうし。
だって、あのよっちゃんさんにあんな素っ気無い態度とるくらいだもんな。
はぁ…。
71 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:46
よっちゃんさんに、亜弥ちゃんのことを聞くのはなんか悔しい。
それに絶対からかわれるだろうし。
だからといって、こんちゃんに聞くのはもっと恥ずかしい。
今までそんな風に誰かのことなんて、聞いたことないから、
好意持ってるのバレバレになっちゃうし。

なんだか、悶々とした日を過ごして、2ヶ月くらいが過ぎた頃。
その日はフットサルもなかったし、帰りにレンタル屋でも寄って、
映画でも借りてこようかなあって思ってたときだった。


1人で歩いてると、校門の辺りで、3人の子がふざけあってる。
…あれ?…も、も、もしかして!
目をこらしてよく見ると、やっぱり、1人は亜弥ちゃんだった。
しかも、一緒にいるのは、よっちゃんさんとこんちゃんじゃん!
ちょっと、ちょっとぉ、亜弥ちゃんと、ちゃんと話せるチャンスじゃん!

走り出したいのをガマンして、早歩きで近づいていくと、
なぜか、よっちゃんさんが亜弥ちゃんのことを抱きしめた。
ちょっと、何してんの!ずるいよ、よっちゃんさんばっかり。

「よっちゃんさーん、何してんのさ?」

よっちゃんさんは、亜弥ちゃんを抱きしめたまま、
美貴に気付くと、ニヤッと笑った。

「亜弥ちゃんとコンコンがカラオケ行くっていうからさあ、
ウチも混ぜてもらおうかと思って」

マジ!?こんないいチャンス逃すワケいかないっしょ!

「え?マジ?美貴も行きたい!」


そう言ったら、亜弥ちゃんが、よっちゃんさんから離れて、
勢いよく、こっちを見てくれた。

…やっぱ、かわいーよ、亜弥ちゃん。
やべー、美貴、今、かなりニヤけてたかも。
72 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:46
「じゃあ、ぜひ藤本さんもご一緒に」
おぉ、こんちゃん、グッジョブ!!
さすが、ウチのチームの守護神。
亜弥ちゃんのことも、よっちゃんさんから守ってあげて。


「なんで、ミキティだと即答でOKなワケ?」
よっちゃんさんの不満げな声。
そりゃ、普段の行いのおかげでしょ。

「だって、私、藤本さんと一緒にカラオケとか行ったことないですから」
「え?よっちゃんさんとは行ったことあるの?」
「ハイ、里田さんとみうなと4人で」
亜弥ちゃんは一緒じゃなかったんだ。ちょっと安心。

「えー?いいなあ、そういうときは、美貴も誘ってよ」
普通に楽しそうじゃん。
フットサルの子たちとなら、盛り上がりそうだし。

「じゃあ、今度はぜひ」
「そうだね、じゃ、とりあえず、今日は3人で行こうか」

さりげなく、こんちゃん、そして亜弥ちゃんの肩をポンと叩いて、
2人の間に入って歩き出した。

「ちょ、ちょっと、ウチも行くってーの!」
「あー、なんかしつこいナンパだなあ。無視しとこーね」
よっちゃんさんは無視無視。
いいじゃん、いつも亜弥ちゃんのこと抱きしめたりしていい思いしてんだから。

73 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:47
「あ、ごめん、ちゃんと自己紹介してなかったよね。
3年B組の藤本美貴です」
亜弥ちゃん、もしかしたら、美貴のこと知らないかもしれないし。
一応、自己紹介なんかちゃんとして、いい印象持ってもらわないと。

「…1年A組の松浦亜弥です…」
「えへへ、亜弥ちゃん、よろしくね」
よかった、ちゃんと美貴にも口きいてくれたよ。
でも、ぎこちないなあ。
よっちゃんさんに対しての態度と全然違うし。
人見知りとかしてんのかなあ?
大丈夫だからね、美貴、ちゃんと亜弥ちゃんに優しくしてあげるから。
そっと、亜弥ちゃんの頭を撫でてくれた。

「あー、コラコラ。
かわいい子を見たらすぐにナンパするクセ、よくないよ、ミキティ」
後ろから、よっちゃんさんに肩をつかまれた。
「は?美貴、そんなことしないし!だいたい、それ、自分のことじゃん」
「いやいや、ウチは本命にしか声かけないし」
「よくいうよ!マイスィートハニーが何人いるんだよ!」
「亜弥ちゃんはマイベストスィートハニーだからさ」

ホント、よく言うよ!
しかも、また亜弥ちゃんの肩なんか抱いちゃって!

「アタシは吉澤先輩のハニーにはなりませんからっ!」

…か、かわいー…
そんなムキになるとこも、ほっぺをプクッと膨らませるとこも。
74 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:47
「亜弥ちゃんの怒った顔もかわいいんだよねえ」
うん、ソレはよっちゃんさんと同じ意見。
あ、よっちゃんさん、亜弥ちゃんのほっぺつつくなんて、ズルイ。

「ホント、かわいいね」
悔しいから、美貴も真似して、亜弥ちゃんのほっぺをつついた。
そしたら、亜弥ちゃん、キョトンとして、真っ赤になってうつむいちゃった。
くぅ…そんな亜弥ちゃん、マジかわいいんですけど。



「でもさあ、何で、よっちゃんさんと亜弥ちゃんは知り合いなワケ?」
「そりゃ、前世から赤い糸で結ばれてて…」
「あー、もー、よっちゃんさんのネタはいいから!
亜弥ちゃんに聞いてんの!」
「は、はいっ!」

…やべー、亜弥ちゃん、ビビッてる?

「そ、そんな、驚かなくていいから」
「しょーがないじゃん、ミキティ、こわいもん」
「え?あ、あのね、美貴、こわい人じゃないからね。
ちょっと目つきとか悪いかもしんないけど、
目悪いだけで、にらんでるとかじゃないからね」
「…は、はい」

…ごめんなさい、ホント、こわがってるかも。
そのあとも必死で、美貴はこわくないって言ってるのに、
よっちゃんさんがあおるから、
亜弥ちゃんはなんだかオドオドしたままで。
大丈夫、大丈夫だから。
それに亜弥ちゃんだったら人一倍優しくしてあげるし。
75 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:48

カラオケの部屋では、どうも自分からは仕掛けづらいから、
うまく亜弥ちゃんが隣りに来てくんないかなーと思ってたら、
こんちゃんがよっちゃんさんの隣りに行ってくれた。
ホント、随所随所でいいプレイしてくれてんなあ、さすがだよ。


「えー、コンコンが隣りなの?」
「私じゃ不満なんですか?」
「いやー、せっかくだから、亜弥ちゃんの隣りがいいなって」

ちきしょー、こんなとこで、よっちゃんさんに持っていかれるワケにはいかない!

「ダメだよ!よっちゃんさんはセクハラするからっ!」

慌てて、亜弥ちゃんの手をつかんで、美貴の隣りに座らせた。
このまま手握ってよっかなぁ…いいよね?

「ミキティにセクハラのこと、言われたくないなあ」
「え?あ、亜弥ちゃん、美貴、セクハラなんてしないからね!」
「えー、そうですかぁ?」

こんちゃん、こういうときは、いいパスしてよ…なんで落とすかなあ。
76 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:48
「へ?いや、その、自分では、単なるスキンシップのつもりなんだけど」
「それが、セクハラって思う子もいるんだよ。
ミキティ、気をつけないとダメだよ〜」
「え?そうなの?亜弥ちゃんも、そう思ったりする?」

ヤバイ、イヤがられてる?

でも、亜弥ちゃんは、少し微笑んで首を横に振ってくれた。
うん、大丈夫、この表情なら、拒否されたワケじゃない。
「よかったぁ!」
もう、今日はやれることはやっちゃうよ。
美貴は勢いで、亜弥ちゃんに抱きついた。

「あー、亜弥ちゃん、かわいそうに…
また脅迫まがいのことされてるよ」
「違うってば!」

違うからね、亜弥ちゃん。わかってくれてるよね?
亜弥ちゃんの頭を撫でると、
なんだかくすぐったそうに微笑んでくれたのが、マジうれしかった。


もう、今日で何とか亜弥ちゃんと仲良くなんなくちゃ。
美貴は、カラオケ中、亜弥ちゃんにぴったり寄り添ってた。
亜弥ちゃんの体温を感じれるのが、すごくうれしかった。
よっちゃんさんも面白いことやってくれるもんだから、
亜弥ちゃんの笑顔もいっぱい見れたし。
美貴の方を見て、微笑んでくれたりもしたし。
美貴がリクエストした曲をちゃんと歌ってくれたし、しかもすごくうまいし。
うー、ますます、亜弥ちゃんに惚れそう…
77 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:48
1時間くらいしたら、美貴の携帯が鳴った。
梨華ちゃんからだった。
今日はテニス部の顧問と打ち合わせがあったけど、早く終わったから、
どっか遊びに行こうよって、誘いで。
今、フットサルの後輩たちとカラオケ中だって話したら、
「私もカラオケしたい!」って。
まあ、梨華ちゃんならいいか。
他の皆が反対することもないだろうし。
とくによっちゃんさんなら、かわいい子、大歓迎だろうし。
むしろ、梨華ちゃんに気がいってくれれば、
亜弥ちゃんは、美貴がひとりじめ…ムフフフ。


そんなズルイ考えもありつつ、
梨華ちゃんを部屋に連れてきた。

「あれー、亜弥ちゃんじゃない?」
「あ、石川先輩だったんですか?どうも、こんにちはー」
「こんにちは。美貴ちゃんの言い方だと、フットサルの人だけなのかと思ってた」

え?え?
梨華ちゃん、亜弥ちゃんと知り合い?
しかも、フットサルじゃないってことを知ってるってことは…

「え?あ、もしかして、亜弥ちゃんって、テニス部なの?」
「うん、そうだよー。1年生の中じゃダントツにうまいよ」

なんだよ、もっと早くに知っておきたかったよ。
あとで、梨華ちゃんに亜弥ちゃんの話聞かせてもらおう。
でも、ってことは、亜弥ちゃんに会いたいときは、
テニス部を見にいけばいいんだ。
亜弥ちゃん、スコートとか似合うだろうなあ…
でへへ、ちょっと楽しみになってきた。
78 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:48
しかし、今日一番の驚きは、
よっちゃんさんが、梨華ちゃんのことを好きだったってこと。
いつも、あんな軽いノリのよっちゃんさんがおとなしくて、
顔とか赤くしちゃうほど、好きになってるなんて。
いつもかっこいいよっちゃんさんが、なんだかすごくかわいい。

よっちゃんさん、本命作らないんじゃなくて、
ちゃんといるんじゃん。
だから、逆に他の人はどーでもいいってことなんだろうな。

梨華ちゃんは、付き合ってた人はいたけど、
夏休み中にフラれちゃってた。
しばらくかなり落ち込んでたけど、
最近は「次の人を見つける!」ってはりきってたから。
まあ、多少カラ元気的なとこはあるけど。

もし、よっちゃんさんと梨華ちゃんがうまくいけば…
よっちゃんさんのスィートハニーが完全に1人になっちゃうなんて、想像できないなあ。
でも、面白そう。
よっちゃんさんがどんな風に変わるのか見てみたいし。
あはは、美貴、キューピッド役になっちゃおうかな。



でも、今日のところは無理みたい。
だって、こんちゃんが、まこっちゃんとあいぼんを連れてきちゃうんだもん。
よっちゃんさんファンで1、2位を争う2人が来ちゃったら、
よっちゃんさんは、そっちのフォローで大変だろうし。
逆に変なことまでしゃべられちゃってるし。

梨華ちゃんの相手はこんちゃんがしてくれてたから、
美貴は亜弥ちゃんといろいろ話しができた。
亜弥ちゃんはかわいいだけじゃなくって、結構面白くって。
話せば話すほど、美貴の中で亜弥ちゃんのポイントが高まっていくワケで。

えーい、聞くなら、今しかない!
「亜弥ちゃん、メアド教えてよ」

亜弥ちゃんは、ニコニコしたまま、
自分の携帯を出して、美貴にアドレスを表示した画面を見せてくれた。
それで、すぐに美貴からメールした。
「それ、美貴のだから。いつでもメールしてね。美貴からもするから」
79 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:49
そうは言ったものの、どのタイミングで亜弥ちゃんにメールしたらよいのやら。
別れてすぐにメールするのも必死すぎるし。
どうしよう、どうしよう。
家に着いてからも、迷って迷って。
だいたい何てメールしたらいいんだろ?
「今日はありがとう」とかでいいのかな?
あー、でも即レスこなかったらどうしよう?
かなり凹むんだけど。


部屋のベッドで携帯片手にゴロゴロしてたら、
携帯が鳴ってメールが届いた。
あ、亜弥ちゃんじゃん!!

『今日はお付き合いいただきありがとうございました。
すごく楽しかったです。
それにしても、いつもと違う吉澤先輩、面白かったですね』

…やべー、超かわいいんだけど。
とりあえず、すぐに返事してあげないと。

『いや、こっちこそ、突然入っちゃって悪かったね。
でも楽しかったよ。
確かによっちゃんさんにはびっくりしたよ。
それも梨華ちゃんとは…』

梨華ちゃんとよっちゃんさんのネタをひっぱれば盛り上がるだろうし、
亜弥ちゃんの恋愛話しとか聞きやすくなるし。


そしたら、亜弥ちゃんからまたすぐに返事が来た。
何でも、よっちゃんさんはしょっちゅうテニス部の見学に行ってたらしい。
それで、亜弥ちゃんとも知り合ったみたいで。
でも梨華ちゃんが引退後の2学期からは全く来なくなって。
今考えると、梨華ちゃんを見に来てたんだろうって。

何だよ、そんな面白いネタがあったなんて。
よっちゃんさん、梨華ちゃんのこと、ずっと好きなんじゃん。
今度、絶対、いろいろ聞いてやる!

それにしても、亜弥ちゃん、即レスくれるってことは、
今、ヒマなはず。
亜弥ちゃんの声が聞きたい。
亜弥ちゃんとしゃべりたい。
こういうのは、タイミングというか勢いというか。
思いきって電話をした。
80 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:49

『は、はいっ』
…やっぱかわいいなぁ、亜弥ちゃんの声。

「あ、亜弥ちゃん?」
『あ、そうです』
「もー、亜弥ちゃん、カタイなあ。
先輩とか気にしないでいいから。
普通にタメ口きいてくれていいからね」
『え、で、でも』
「まあ、突然は無理でも、徐々にでいいからさ」
『…はい』

だってさ、よそよそしいの、さみしいじゃん。
ちょっとづつでもいいから、距離縮めていきたいじゃん。
って、まるで恋人みたいだけどさ。

しばらく、よっちゃんさんの話しとか、
最近見た映画の話しとか、家族の話しとかしてた。
でも、なかなか、亜弥ちゃん自身の恋バナに持っていくことができなくて。
たぶん1時間くらい話したら、亜弥ちゃんの後ろで
『お風呂入りなさい』ってお母さんらしき人の声が聞こえてきた。

「あ、ごめん、ごめん、長電話しちゃって」
迷惑かけちゃうのはダメだ。
本当はもっといろいろ話したいけど、今日はガマンして引いておこう。

『いえ、そんなことないです。
アタシも、先輩とお話しできて楽しかったです』
マジで?

「え?ホントに?
じゃ、今度は2人でデートしよっか?」
『えっ!?デート!?』

…軽いノリで言ったつもりだったのに。
『そーですね』とか『いいですね』とか言ってくれるのを期待してたのに。
明らかにビックリされた。
『デート』なんて言葉使わなきゃよかった。
『映画見に行こうか』くらいにしておけばよかった…

「あ、あはははー、冗談、冗談…じゃ、またねー…」
『あ、はい…じゃ、おやすみなさい』


くー…ホントはホンキなのに。
冗談ってごまかすしかできない自分が情けない。
でも、でも、このままメールとか電話とか続けてれば、
きっと普通に仲良くなれて、普通に休みの日にも遊べたりするよね。
美貴的にはデートのつもりだけど。

81 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:50

次の日、学校に行って、さっそく梨華ちゃんをつかまえた。
「昨日、おつかれー」
「うん、ごめんね、突然入っちゃって。
皆に悪かったかなあ?」
「そんなことないでしょー。ほら、1人、大喜びしてた人もいたし」
もちろん、よっちゃんさんのこと。

「んー、よっすぃーの場合、誰でもいいんでしょ?」
「確かにそうなんだけどー、梨華ちゃんに対しては他の人と全然態度違うもん。
アレはマジでホンキだと思うけど」
「…そうなのかなあ?まあ、別にちゃんと告白とかされたワケじゃないし」
よっちゃんさん、あんな状態じゃあねえ…
まともに梨華ちゃんともしゃべってないだろうし。

「でも、実際のとこ、どう思う?よっちゃんさんのこと」
「かっこいいと思うよー。それに面白いし」
梨華ちゃんは、ちょっとだけ微笑んだ。

「じゃあ、よっちゃんさんから『付き合って』って言われたらどうする?」
「…んー……まだいいかな」
「まだ?」
「…だって、またあの人から連絡くるかも知れないし」

…やっぱ、梨華ちゃん、前の人のことひきずってんじゃん。
もう別れて、3ヶ月以上たってんじゃん。
その間、一度も連絡ないんでしょ。
だったら、もういい加減あきらめた方がいいのに。
でも、梨華ちゃん自身だってそんなことわかってるんだろうな。

「…でも、よっちゃんさんと、友達からお付き合いならいいよね?」
「え?あ、それはもちろん」
「じゃあ、よっちゃんさんに、梨華ちゃんのアドレス教えてあげてもいい?」
「うん、いいよ」
梨華ちゃんがニッコリしたから、少し安心した。
よしよし、あとはよっちゃんさんにがんばってもらうしかない。

82 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:50

「あー、そういえば、亜弥ちゃんと、梨華ちゃんは仲いいの?」
そうそう、コレを聞かなきゃいけないでしょ。

「んー、仲いいってほどでもないかな。
フットサル部と違って、先輩後輩きっちりしてるから、
同学年以外で一緒に遊んだりとかしたことないし」
「そっかぁ…」
あんまり、梨華ちゃんからの情報は期待できないか…

「あー、亜弥ちゃん、いい子だしかわいいから、ファンの人いっぱいいるねー」
「え!?そうなの?」
「うん、亜弥ちゃん目当てで見学に来てる人、多いよ」
「へー…」
…まあ、あんだけかわいけりゃ、ファンなんていくらでもいるだろうよ。
はぁ…やっぱり、美貴、かなり出遅れたなあ。
どうやったら、もっと亜弥ちゃんにアピールできるんだろ…
83 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:50

その日、フットサル部に顔を出すことにした。
着替えてコートにいくと、すでによっちゃんさんが柔軟をはじめてた。
その背後にそっと近づいてった。

「よっ、恋する乙女」
よっちゃんさんは、一瞬ビクッとしたけど、
美貴のことをチラッと見ただけで、そのまま無視して、柔軟を続けた。

「あれー?無視ですか?
そんな冷たい態度とっていいのかなあ?
イヤなヤツなんだって言いつけちゃおうかなー、梨華…」
よっちゃんさん、慌てて美貴の口をふさいだ。

「…ミキティ、お願いだから、そのこと黙ってて」
お、よっちゃんさんがこんな風にお願いなんてしてくるのはじめてじゃない?
かわいいじゃん。

「美貴からは黙ってあげててもいいけど、
よっちゃんさんからは聞かせてよねー。詳しくイロイロと」
「…言うことなんて、何もないよ」
よっちゃんさん、なぜかガックリ落ち込んでる。
せっかく、梨華ちゃんと近づくことができたのに、何でだろ?
84 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/09/23(金) 16:50

「…ウチ、昨日、超カッコ悪かったよね」
「…へ?」
「まともにしゃべることもできなかったし、
あいぼんと麻琴に押されっぱなしだったし」
よっちゃんさん、小さくため息をついた。

あはは、ホントかわいいじゃん。
いつもはオッサンのくせに、ホントに乙女みたいじゃん。

「まあ、元気出してよ。あとでイイものあげるから」
「イイもの?」
「梨華ちゃんのアドレス」
よっちゃんさん、目を大きく見開いてキョトンとしてる。

「あ、ちゃんと、本人に確認済みだから。
よっちゃんさんに教えるよって」
「…マジで?」
「うん、だから、メールでアピールしてけばいいじゃん」

よっちゃんさん、ガッと美貴のことを抱きしめてきた。
「ありがと、ミキティ」
「…なーんか、いつものよっちゃんさんじゃなくて、キモイんだけど」
「んだよ…じゃあ、こうすりゃいいのかよ」
って、よっちゃんさん、美貴のお尻を思いっきりつかんだ。

「うわっ!よっちゃんさん、ヘンタイ!チクってやる」
「え?それはちょっと…」
あはは、よっちゃんさんで、困ったときは梨華ちゃんネタが効くんだなあ。

「あー、なんか悔しいなあ。
ミキティは好きな人いないの?」
「へっ!?みみみみ美貴?」
…いつになく動揺してしまった。
よっちゃんさんはニヤリとして、美貴の胸倉をつかんできた。

「誰だか教えろ」
「い、いないって、そんな人!」
「今のリアクションでいないワケねーだろ」

まさか亜弥ちゃんのことなんて、よっちゃんさんに言えるワケないじゃんか。

「よしこー、はじまるよー」
まいちゃんの声が聞こえてきて一安心。
「おぅ!…ミキティ、後でゆっくり聞くから」

…今日は早めに帰らせてもらうわ。
テニス部も見に行きたいしさ。

85 名前:サチ 投稿日:2005/09/23(金) 17:03
更新しました。

>>60さん
ありがとうございます。
うれしいお言葉…甘えて、マイペースでやらされてもらいます♪

>>61さん
ありがとうございます。
みきたん、すっかり恋に堕ちてます(笑)

>>62さん
ありがとうございます!
はい、もっと楽しみだと思ってもらえるよう、がんばります!

>>63さん
いつもありがとうございます。
私もカラオケ、行きたいです♪ヲタカラ希望(笑)

>>64さん
やー、ありがとうございます!
田亀ってホントいいですよね(笑)
自分がきっかけとか言ってもらえるのはうれしいですが、申し訳ない気も(笑)

>>65さん
じれったくさせて申し訳ありません…
そういえば、藤本さんの“じれったい”は「亀井ちゃん」でしたね(笑)

>>66さん
ありがとうございます♪
そうですねー、あんまり、他の方の小説は読まないんですが…
面白いのあったら教えて下さい(笑)

>>67さん
催促されるのは、ある意味うれしいですよ!
待っていていただけるんだなあって。
でも、遅くてごめんなさいです…

>>68さん
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします♪

>>69さん
はい、がんばります!(笑)


ちょっと旅に出たりしてたので(笑)、遅くなってごめんなさい。
できれば文化祭前には1度更新したいなとは思ってマス。
明日、明後日は武道館、楽しんできます♪
86 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/24(土) 08:49
いしよしの展開も気になりますね〜。
シャイな松浦さんが激キャワ。
87 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/24(土) 21:19
63でした!
交信お疲れ様でした〜♪
ミキティ視点、マジ楽しいですw頑張ってますよね〜(・∀・)ニヤニヤ
今後に期待!!(・∀・)ニヤニヤニヤニヤ(ry
武道館盛り上がってきてくださいね〜(´∀`)
カラオケ、行きたいなぁ(また?w)
次回の交信も待ってます〜^^無理せず☆
88 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/09/25(日) 10:08
更新お疲れ様です。>>77の「でへへ」で笑いました。笑いのツボずれてるんでしょうか?
質の良い作品なので、待つのも楽しみの1つだと思うことができます。質の悪さを更新の早さで誤魔化そうとしている●け●し作者とかいう不届き者よりは百倍いいかと(w
次回も楽しみにしております。
89 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/09(日) 23:33
作者さんファイトー!
90 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/10/12(水) 23:03
「亜弥ちゃん、キモイんだけど」
カラオケの翌日、アタシは超ゴキゲンで、
昨日のことを思い出しては1人でニヤニヤしっぱなしだったみたいで。
愛ちゃんの冷たい一言も全く気にならないくらいに。


「ねー、このみきたん、超かわいいよねー?アタシもかわいいけど」
こんちゃんが撮ってくれたみきたんとのツーショット写真を、愛ちゃんにも見せた。

「つーかさ、その『みきたん』ってナニ?ミキティじゃないの?」
「いいんだもん、アタシだけの特別な呼び方だから」
「へー、藤本さんのこと、そう呼んでるんだ。本人は何て言ってた?」
「んー、本人には言ってないよ。アタシがこっそりそう呼んでるだけ」
「…やっぱ、亜弥ちゃん、キモイって」
愛ちゃんのあきれ顔に、こんちゃんもちょっと苦笑いしてた。


いいんだもん、アタシ、幸せだから。
みきたんとカラオケ行ってー、メアド交換してー、夜に長電話してー。
もう、昨日のできごとが夢みたい。
朝、目が覚めてから携帯確認しちゃったもん。
ちゃんとみきたんからのメールも着信履歴もあったから、夢じゃなかったんだなって。

「あ、愛ちゃんは、昨日、どうだったの?シゲさんとのデート」
「えっ!?あ、ああ…まあ、楽しかったといえば楽しかったし…。
そうでもないといえばそうでもない…」
「ナニそれ?愛ちゃん変だよ」
アタシだって、愛ちゃんに攻撃してやる。
91 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/10/12(水) 23:03
「高橋センパーイ!」
そのときは1時間目の休み時間だっていうのに、
教室のドアのところに、さゆって子―道重ちゃん―が来てた。

「さ、さゆっ!?」
愛ちゃんが驚いてそっちの方に急ぎ足で行くと、
道重ちゃんはすっごく笑顔になって、愛ちゃんに思いっきり抱きついて、キスまでしてた。

「!!コ、コラ!ナニすんの?」
愛ちゃんが体を離したけど、道重ちゃんはニコニコ笑ってる。

「んー、先輩にすっごく会いたかったんです。
昨日バイバイしてからすぐ会いたくなっちゃって。
チューも昨日のだけじゃ足りなくって、もっともっとしたくって」
「わ、わわわ…ちょ、ちょっとこっち来て!」
クラスの皆がそっちに注目している中で、
そんなことを言われちゃって、愛ちゃん慌てて道重ちゃんを連れて、教室を出てった。


「んー、愛ちゃん、シゲさんとうまくいってるみたいだね」
こんちゃんがニコニコと教室のドアの方を見てた。

あー、いいなー。
アタシもみきたんとチューしたいよぉ。
道重ちゃんみたいに、自分から無理矢理しちゃえばいいのかな。
でも、そんなことして嫌われたらイヤだし。
その代わり、夢の中ではいっぱいいっぱいしちゃうから。
92 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/10/12(水) 23:03
その日は、テニス部があって、アタシももちろん出たんだけど、
石川先輩が遊びに、というか指導に来てくれてた。

「あー、亜弥ちゃん、昨日は突然ごめんねー」
「いえいえ、大人数で楽しかったです」
アタシの場合は、みきたんと一緒にいれただけでうれしいんだもん。

「うん、私も楽しかったよ。カラオケ久しぶりだったし」
「そうですね、また、昨日のメンバーで行きたいですね」
「そうだね!行きたいね!」
んー、石川先輩から、みきたんのこと誘ってくれたりしないかなあ。


その日の部活の終わり頃、レシーブ練習の順番待ちをしてるときだった。

「あれー、美貴ちゃん、フットサルの方もう終わったの?」
えっ!?
石川先輩の声がしたから、そっちを見ると…
みきたん!!!

「ううん、まだやってるよー。美貴は早めに切り上げてきた」
「そうなんだー。あ、もしかして、私と一緒に帰るために寄ってくれたの?」
「えっ!?あ、あー、そーだね、一緒に帰ろ」

いいなー、アタシもみきたんと一緒に帰ったりしたい…

「亜弥ちゃん…亜弥ちゃん!」
「え?」
アタシの後ろに並んでた子に腕をつつかれた。

「順番来てるよ」
コートに目を戻すと、ボールを打ってくれてた先輩がこわい顔をしてアタシを見てた。

「す、すみませんっ!」
コートに急いで入ったら、一球空振りしてしまった。
次の一球はネットにひっかかって、次には何とか返せた。

コートを出てから、チラッとみきたんの方を見たら、
思いっきり目が合ってしまった。
あー、もうさっきのカッコ悪いとこ見られてたんだぁ…ガックシ。
でも、みきたんは笑顔で手を振ってきた。
アタシはさすがに、部活中だから、こっそり小さく手を振った。
そしたら、みきたんうれしそうに頷いてくれた。
やーん、もう、みきたんの笑顔が見れるなんて、
今日もアタシ、ツイてるのかも。
93 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/10/12(水) 23:04
部活も無事終了して、石川先輩がコートを出ていくときに、
「じゃあ急いで着替えてくるね」
ってみきたんに声かけてた。
「あー、別にゆっくりでいいよ。校門のとこで待ってるから」
みきたんは、そう言って石川先輩に手を振っただけで、
そのままそこに残って足元に転がってたテニスボールを上に投げてキャッチしたりして遊んでた。
はぅ…子供みたいでかわいい…
…あ、まずい、みきたんに見惚れてちゃダメじゃん。
アタシたち一年生には、後片付けの仕事があるワケで。
それが終わって、コートを出ようとしてたら、
ボールが入ったカゴを持ったアタシに、みきたんが笑顔で近づいてきた。

「亜弥ちゃん、お疲れさま」
って持ってたボールをカゴにいれてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「ソレ、運ぶんだよね?美貴が持ってあげようか?」
「え!?いいいいいいです!1人で持てますし」
そんなのみきたんに悪いし。
他の1年生はチラチラこっちを見ながらも、先に行ってしまった。

「じゃ、半分づつ持とう」
みきたんがカゴの取っ手の部分の片方を持ってくれた。
「あ、あの本当にいいですから」
アタシがそう言ってもみきたんはつかんだままで。
「美貴、コワイ人だと周りにも思われてるみたいだしさ、
優しいとこあるんだって、ちょっとくらいアピールさせてよ」
みきたんがニコッとアタシを見た。

みきたん、こわくなんかないのに。
超かわいいし、かっこいいし、優しいし。
でも、みきたんが、そうしてくれるんなら、ちょっと甘えちゃおうかな…
「…じゃ、お願いします」

2人で1つのカゴを持って歩いてると、スーパーで買い物とかしてる気分になれて、
なんだかうれしくなっちゃったり。
94 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/10/12(水) 23:04
「さっきねー、よっちゃんさんに、梨華ちゃんのメアド、送っておいてあげたんだー。
たぶん、今頃よっちゃんさん、テンパってると思う」
クックッって楽しそうに笑ってるみきたんは本当にかわいい。

「どういうメール送ろうか、悩んじゃってるんでしょうねー」
わかるなー、その気持ち。
アタシだって、結局、すっごくフツーの内容しか送れなかったもんなあ。

「よっちゃんさん、きっと今日はメールできないだろうなー。
何気にヘタレっぽいもん」
みきたん、吉澤先輩の話ししてるときって、ホント楽しそう。
…実は、みきたん、吉澤先輩のこと、好きだったりしないよね!?

「あ、石川先輩は大丈夫なんですか?アドレス教えちゃっても」
「うん。まず友達として付き合ってあげてって言っておいたし」
「…へー、うまくいくといいですね」
「そうなったら、よっちゃんさんファンはどうすんだろ?
つーか、よっちゃんさん、どういう態度とってくんだろ?
ハニーが1人になっちゃったらねえ」
「あはは、そうですね。
アタシに何もしてこないでいてくれれば、こっちは助かりますけどー」
みきたんの前とかでベタベタして欲しくないもん。

「…やっぱり、抱きつかれたりするのってメーワク?」
「んー、ファンの人がいるから申し訳ないじゃないですか。
アタシ、吉澤先輩のファンでもないのに。
別にファンの人から何かされたりはないですけど」
みきたんが、もし、吉澤先輩のこと好きだったら、ゴメンナサイだし…


「…そっか、ファンの人に申し訳ないか…亜弥ちゃんは、優しいね」
「え?そんなこと、全然ないですよ!」
それは、相手が吉澤先輩だからであって、
今、みきたんとこうしていられることは、ただ単にうれしいし。
みきたんファンの人には申し訳ないって思ってないし、自慢したいくらいだもん。
95 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/10/12(水) 23:04
「美貴とこうしてたら、亜弥ちゃんファンの人に悪いよね」
「そ、そんなことないです!アタシのファンとかそんなにいないし」
そりゃ、手紙とかプレゼントとかもらったことはあるけど。
本当は、みきたんに、みきたんだけにファンになってもらえればいいのに。

「そう?亜弥ちゃん、モテるでしょ。かわいいしイイ子だし」
「そ、そんなことないです!そんな、モテモテの藤本先輩に比べたら…」
「…美貴だって、そんなにモテないよ…
だいたい、自分の好きな子から好かれなきゃ意味ないし」

……え?…みきたん、好きな人、いるってこと!?
…ガーン…
…やっぱり、吉澤先輩かな…それじゃ、明らかにフラれちゃってるよね…

「…そうですよね…好きな人から好かれないと…」
ああ、アタシ、いつの間にか、みきたんのこと、独占したいって気持ちになってる。
遠くから見てるだけでよかったはずなのに…


「…あ、亜弥ちゃんって好きな人とかい…」
「美貴ちゃーん、遅いっ!」

あと少しで部室ってことだったけど、
もう着替え終わってた石川先輩が近づいてきた。

「え?あ、ああ…そんな急がなくてもよかったのに」
「何よぉ、待たせちゃ悪いと思って、超特急で着替えたのにー」
プリプリしている石川先輩に、みきたんはちょっと戸惑いぎみで。

「あ、藤本先輩、一緒に持っていただいてありがとうございました」
アタシは、カゴを受け取ると、みきたんに頭を下げた。
「…いや、そんな大したことじゃないし」
「いえいえ。石川先輩もお疲れ様でした」
「はい、お疲れ様」
石川先輩は笑顔で手を振ってきた。
みきたんは下唇をかんで、アタシのことをじっと見てるだけだった。
その視線が、何だか辛くてアタシは手も振らずに急いで部室に入っていった。
96 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/10/12(水) 23:05
…みきたん、好きな人いるんだ。
…はあ…
……いいじゃん、いたって!
好きな人がいたっていなくったって、みきたんはみきたんだもん。

もし、みきたんに付き合ってる人がいるって最初に聞いたとしても、
たぶん、アタシはみきたんのことを好きになったと思う。
そうだよ、関係ないじゃん。
自分が付き合いたいなんて欲張りなこと思わなければいいんだもん。

そう!アタシはこれからも、ずっとみきたんのファンでいるもん。
大学行ってからもフットサルの応援いっちゃうもん。
そうだよ、ファンなのに、メールとか電話とかできちゃうんだよ?
それってスゴクない?
うん、すごいよ、すごい!
カラオケも一緒に行っちゃったんだから、すごすぎ。
そこまでしてもらえてるみきたんファンなんて他にいないよ!


何とかポジティブに考えようとしたけど、
やっぱり家に帰って部屋で1人になったとき、少し涙が出てきてしまった。
…もう、アタシ、バカ。
そんな、あんなステキな人と付き合うって考えるなんて図々しすぎる。

手帳に挟んでるみきたんのフットサルのときの写真を見たくなった。
…かっこいい。
電話の声とかを思い出してみる。
かわいいよ…
みきたんの笑顔や優しい声が、誰か1人にだけのモノになるかもって思っただけで、
お腹の奥の方がキリキリしてきた。
…もう今日は早く寝よう。
本当はみきたんにメールくらいしたかったけど、
毎日だとしつこいって思われちゃうかもしれないし。

結局、その日は、みきたんからもメールも電話もなかった。
97 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/10/12(水) 23:05
他の部活を見学に行くとかはじめてだからなー、何かちょっと緊張しちゃうな。
テニスコートに行くと、囲われてる金網の周辺には数人の人がいた。
ああ、あの人たちも見学に来てるんだ。
テニス部って結構かわいい人多いって話しだもんな。

…亜弥ちゃん、亜弥ちゃん…あ、いた!
残念ながら、スコートではなくジャージだったけど、やっぱりかわいい。
レシーブ練習中みたいだけど、確かに結構うまい。
他の子と比べると余計にうまいのがわかる。
美貴が見たことのない、すごく真剣な表情しちゃってるし。
やっぱ見に来てよかった。
また暇なときは来てみようっと。

「あれー、美貴ちゃん、フットサルの方もう終わったの?」

…うっ、忘れてた。
梨華ちゃんも今日テニス部に出るって言ってたっけ。

「ううん、まだやってるよー。美貴は早めに切り上げてきた」
「そうなんだー。あ、もしかして、私と一緒に帰るために寄ってくれたの?」
「えっ!?あ、あー、そーだね、一緒に帰ろ」

『そんなワケねーだろっ!』ってつっこみたかったけど、
『じゃあ何で来たの?』って聞かれたら答えられないし…
ある意味、勘違いしてくれた梨華ちゃんに感謝しとかなきゃな。



梨華ちゃんが戻ってくれたから、また亜弥ちゃんの方を見ると、
あれれれ、空振りなんかしちゃってる。
でも、そんな亜弥ちゃんもかわいい。

コートを出た亜弥ちゃんが、順番待ちの列の一番後ろに並ぶときに、
チラッとこっちを見た。
おっ?美貴に気付いてくれたんだ。
えへへ、何かうれしいじゃん。
つい、亜弥ちゃんに手を振っちゃったら、
さすがに部活中だし1年生だもんなあ、こっそり小さくだけど手を振り返してくれた。
…それが逆に超かわいくって。
やべー、また、美貴、すっげーニヤついてたかも…
98 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/10/12(水) 23:05
テニス部も終わり、さすが元部長で指導に来てるだけあって梨華ちゃんが一番最初にコートを出てきた。

「じゃあ急いで着替えてくるね」
「あー、別にゆっくりでいいよ。校門のとこで待ってるから」
せっかく、亜弥ちゃんと話せる機会なのに、それをブチ壊さないで欲しい…

梨華ちゃんが小走りに去っていって、2年生もどんどん部室に戻っていってるけど、
美貴の足元になぜか転がってるテニスボールを見つけて、上に投げて遊びながら、
後片付けをしている亜弥ちゃんを盗み見ていた。

10分もかからないうちに片付けも終わって、
1年生たちはそれぞれ部室に運ぶ荷物を抱えて、コートから出てきた。
亜弥ちゃんはボールの入ったカゴを持ってる。
あ、丁度いいじゃん。このボール返せるし。


「亜弥ちゃん、お疲れさま」
持ってたボールをカゴにいれてあげた。

「あ、ありがとうございます」
「ソレ、運ぶんだよね?美貴が持ってあげようか?」
「え!?いいいいいいです!1人で持てますし」

いや、持ちたいんだよぉ。
かっこいいとこ、優しいとこ見せたいじゃん。
…じゃ、せっかくだから亜弥ちゃんと2人で!

「じゃ、半分づつ持とう」
半分無理矢理、カゴの取っ手の片方をつかむ。

「あ、あの本当にいいですから」
ヤダヤダ!美貴、亜弥ちゃんと一緒に持ちたいんだもん。

「美貴、コワイ人だと周りにも思われてるみたいだしさ、
優しいとこあるんだって、ちょっとくらいアピールさせてよ」
って、亜弥ちゃんにアピールしたいだけなんだけど、ホントは。

亜弥ちゃん、少し戸惑ってたけど、小さく微笑んで、
「…じゃ、お願いします」
って言ってくれた。
やったー!

他の1年生は、美貴と亜弥ちゃんのことをチラチラ見ながらも先に行ってしまったから、
亜弥ちゃんと2人っきり状態。
何か楽しい話しでもして、盛り上げないとなあ。
あ、そうだ、いいネタがあるじゃん。
99 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/10/12(水) 23:07
「さっきねー、よっちゃんさんに、梨華ちゃんのメアド、送っておいてあげたんだー。
たぶん、今頃よっちゃんさん、テンパってると思う」
絶対、今頃、部室で叫んでるか、逆に固まってるかどっちかなはず。
美貴に好きな人のことを問い詰めることなんて忘れてるくらいに、

「どういうメール送ろうか、悩んじゃってるんでしょうねー」
「よっちゃんさん、きっと今日はメールできないだろうなー。
何気にヘタレっぽいもん」
その辺は、美貴も一緒だからさ。
結局、亜弥ちゃんに、自分から送れなかったんだもんな。

「あ、石川先輩は大丈夫なんですか?アドレス教えちゃっても」
「うん。まず友達として付き合ってあげてって言っておいたし」
まあ、亜弥ちゃんになら、この辺くらいまではしゃべってもいいよね。

「…へー、うまくいくといいですね」
「そうなったら、よっちゃんさんファンはどうすんだろ?
つーか、よっちゃんさん、どういう態度とってくんだろ?
ハニーが1人になっちゃったらねえ」
「あはは、そうですね。
アタシに何もしてこないでいてくれれば、こっちも助かりますけどー」

…やっぱり、亜弥ちゃん、イヤなんだ…そういうことされるの。

「…やっぱり、抱きつかれたりするのってメーワク?」
「んー、ファンの人がいるから申し訳ないじゃないですか。
アタシ、吉澤先輩のファンでもないのに。
別にファンの人から何かされたりはないですけど」

ってことは、美貴に対しても同じこと思ってんだよな。
一応、よっちゃんさんほどではなくても、美貴にもファンはいるわけだし。

「…そっか、ファンの人に申し訳ないか…亜弥ちゃんは、優しいね」
「え?そんなこと、全然ないですよ!」

あるよ。
美貴、そんなこと、考えたこともなかった。
ああ、そう考えると、亜弥ちゃんファンの人にも悪いってことだよなあ。
100 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/10/12(水) 23:07
「美貴とこうしてたら、亜弥ちゃんファンの人に悪いよね」
「そ、そんなことないです!アタシのファンとかそんなにいないし」
いや、いるって。
さっき見学してた人のうちの1人は明らかに亜弥ちゃんファンっぽかったもん。
その人、本当は亜弥ちゃんに何か声かけたかったみたいで、最後まで残ってたもん。
でも美貴が先に話しかけちゃったから、あきらめたみたいで、そのまま行っちゃったけど。

「そう?亜弥ちゃん、モテるでしょ。かわいいしイイ子だし」
「そ、そんなことないです!そんな、モテモテの藤本先輩に比べたら…」
たぶん、亜弥ちゃんの方が人気あるよ。1年生なんだしさ。
これからもっと人気になるだろうし。

「…美貴だって、そんなにモテないよ…
だいたい、自分の好きな子から好かれなきゃ意味ないし」

そう、亜弥ちゃんに好きになってもらわなきゃ、どんなにたくさんの人から好かれたって意味がない。

「…そうですよね…好きな人から好かれないと…」

亜弥ちゃんが、大きくため息をついた。
…今、好きな人のことを思ったんだろうな。
ああ、悔しい。
亜弥ちゃんが好きになるヤツってどんなヤツなんだ!

「…あ、亜弥ちゃんって好きな人とかい…」
「美貴ちゃーん、遅いっ!」

…梨華ちゃんって、ホントに空気読めないな…
もう制服に着替えて部室の前にいた梨華ちゃんが、
怒りながら近づいてきた。

「え?あ、ああ…そんな急がなくてもよかったのに」
あとちょっとで、亜弥ちゃんの好きな人の話聞けたのに…

「何よぉ、待たせちゃ悪いと思って、超特急で着替えたのにー」
そんな必要なかったんだよ。
勘違いもそこまでしなくていいのに。

「あ、藤本先輩、一緒に持っていただいてありがとうございました」
亜弥ちゃんは突然業務的な口調になって、頭を下げてきた。

「…いや、そんな大したことじゃないし」
「いえいえ。石川先輩もお疲れ様でした」
「はい、お疲れ様」

亜弥ちゃん、素っ気無いなあ…
つきまとってるみたいなカンジに思われちゃったかなあ。
迷惑だったかなあ…
101 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/10/12(水) 23:07
帰り道、梨華ちゃんは相変らずテンション高くてずっとしゃべってた。
美貴は、むしろ凹んでるのに。
亜弥ちゃん、どういうタイプが好きなんだろう?
美貴に何が足りないんだろう?
もし、ウチの学校のヤツとかだったらすげー悔しい。
男だったら、まだあきらめがつくけど。
…いや、やっぱ悔しい。
亜弥ちゃんがオトコの腕に抱かれてたりなんかされてたら…
余計に悔しい。
つーか、ちょっと想像しただけで、カーッとなるくらいムカついた。



「あれ?コレ誰だろ?」
梨華ちゃんの携帯が鳴って、メールが届いたみたいだけど、
知らないアドレスだったみたいで。

「…ああ、よっすぃーだ!」
「えっ!?マジで!?」
…よっちゃんさんのこと見くびってたわ。
こんなにスグにメール送るなんて、なかなかヤルじゃん。

「返事してあげないとね」
「どんな内容だった?」
「え?普通だけど」

梨華ちゃんは、画面を見せてくれた。

『フットサル部の吉澤です。
ミキティにアドレス教えてもらったのでメールしました。
昨日はいろいろとすみませんでした。
またメールさせてもらってもいいですか?』

…むー、なかなかやるなあ。
余計なことも言わずに、普通にジェントルマンじゃんか。
いつものエロオヤジじゃないじゃん。

「簡単でいいから、すぐに返事してあげて」
「うん、そうだね」
美貴がよっちゃんさんの立場だったら、すぐ返事欲しいし。
梨華ちゃんはちょこちょこっとメールをいじってすぐに送信してた。
たぶん、返事もらってからの方がテンパるだろうなあ。
あとで、家帰ってから、よっちゃんさんに電話してからかおうっと。
102 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/10/12(水) 23:07
家に着いてゴハン食べて、お風呂入って、部屋でくつろごうとしたときに、
電話がかかってきた。
あ、なんだ、こっちからかけなくても、よっちゃんさんからかかってきたわ。

「ハイ」
『ミキティ!ど、どうしよぉ…』
「は?何、突然?梨華ちゃんから返事きたんでしょ?」
『来たも何も…』

あのあと、梨華ちゃんが送った返事は
『メールありがとう。昨日は楽しかったよ。
いつでもメールでも電話でもしてね(はあと)』
って電話番号も書いてくれてたらしい。

梨華ちゃん、「はあと」とか使うなよ!
よっちゃんさん、勘違いすんじゃん。

「で、返事か電話かしたんでしょ?」
『…うん、でも…』

結局、なるべく早く返事をしなくちゃっていうのと
あんまりしつこいのは迷惑だろうって、
『はい、またメールします』って一言だけ返事したらしい。

まあ、上出来じゃないの?
最初はそんなもんで…って、よく考えたら、美貴、いきなり電話してたじゃん、亜弥ちゃんに。

ちょっと亜弥ちゃん、引いたかな…
でも、先輩だもんな、そんな冷たい態度とかとれないだろうし。

よっちゃんさんの進展しない話を聞きながら、
心の中では自分の反省をしていた。


それから、美貴は、2日に一度くらいの割合で亜弥ちゃんとメールしていた。
基本、亜弥ちゃんから送ってくれるメールに返事する程度。
内容も今日こんなことがあった的な普通の内容。
返事もあんまりしつこくせずに、2、3回のやりとりで終わらせていた。

…ああ、でも、正直、こんなんじゃ全然足りない。
亜弥ちゃんと会いたい、もっとしゃべりたい。
でも、何の理由もないのに誘うなんてできない。
…だって、もし拒否されたら、美貴立ち直れない。
こんなにこんなに好きなんだもん、亜弥ちゃんのこと。
103 名前:サチ 投稿日:2005/10/12(水) 23:14
更新しました。
短かったので、それぞれの視点を。
予定より遅れて申し訳ありません…

>>86さん
ありがとうございます。
たまには、みきたんに積極的にいかないあやちゃんもありかと(笑)

>>87さん
いつもありがとうございます。
武道館は盛り上がりました!
そのあとのカラオケも盛り上がりました(笑)

>>88さん
ありがとうございます。
そんなたいしたものじゃないので、申し訳ないくらいです…
執筆がんばってくださいね♪

>>89さん
応援ありがとうございます。
いつも遅くてスミマセン…
104 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/12(水) 23:47
デートにさそっちゃえ〜!!
105 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/10/13(木) 09:38
更新お疲れ様です。頬が緩みっ放しで大変でした(w
励ます立場のはずなのに逆に励まされてる(汗 励ましのお言葉ありがとうございます。
諸事情により、「頑張ってください」は言われたら感謝しても自分が言うのはタブーにしているので言いませんが、何よりも作者様が楽しんで執筆されることを願っています。
106 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/13(木) 12:03
87でした!
交信お疲れ様でした!!
あぁぁぁぁーーもどかしいです_| ̄|○早くいい感じになってほしいですよ〜(´∀`)
誰にも負けないくらい(・∀・)ニヤニヤしてました(苦笑)危ない危ない…w
デートでもカラオケでもいいから(爆)〜頑張れーー!!!
カラオケ楽しかったみたいですね♪早く行きたいな、カラオケ(爆)
作者さんも無理せず楽しんで交信してください!次回も待ってます!
107 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/30(日) 15:32
お待ちしております!!
108 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:52
その日は、愛ちゃんと2人でちょっとブラブラ買い物とかしながら帰ってた。
しかし、もう街はすっかりクリスマス色。
ディスプレイもだけど、プレゼントを一緒に選んでるカップルとか見ると、
うらやましーなとも思うけど、ちょっと悔しい気もする。

「愛ちゃんは、クリスマスどうすんのー?」
「へっ!?…いやー、どうすんだろ?…」
すっごくビックリ顔になってる愛ちゃん。
さては、ラブラブな日を過ごそうとしてんじゃないのー?

「もしかして、道重ちゃんと過ごすの?」
「…まあ、そうなるとは思うんやけどぉ」
「?何か問題でもあるの?」
愛ちゃん、何だか浮かない顔してて。

「実はさぁ…」
24日は終業式の日。
学校帰りにゴハンに行こうってのはまあ当然としても、その後どうする?って話しになったら、
道重ちゃんは何やらパソコンからプリントアウトした紙を愛ちゃんに渡したらしい。
『コレね、女の子同士でも大丈夫なところなんです。どこにします?』
って、よく見るとラブホテルのリストで。

「別に、さゆとそういうことになるのはいいんだけどさあ…」
正直、道重ちゃんがあまりにも積極的というかまっすぐ過ぎるのは、
これまでも、そういうことをたくさんしてきた、いろんな人と付き合ってきて、
慣れてるからなんじゃないかって、愛ちゃんは不安に思うらしい。


「それって、つまりはヤキモチでしょ?前にいたかもしれない付き合ってた人に」
「だって、普通にイヤじゃない?自分の好きな子が過去にそういうことしてたなんて」
「そりゃ、イヤだけどー、過去は過去だもん。
今、自分のことがいいって言ってくれてるんならそれでいいじゃん」
「まあ、そうだけどさー、さゆにそういうことした人がいるかと思うと、
すっごい悔しいんだよね」
…ふーん、愛ちゃんって結構独占欲強いんだ。

「本人に聞いてみたら?今まで付き合ってた人のこととか」
「でも、それですごい数とかだったら、超へこむんやけど。
あたし、初めてなのに」
愛ちゃんも、それだけ、彼女のことが好きってことなんだよね。
109 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:52
みきたんは、過去にどんな恋愛してきたのかな?
中学は共学だったみたいだし、普通に男の人と付き合ったりしてんだろうな。
そっちの方が、めちゃめちゃ悔しい。
道重ちゃんはたぶん付き合ってたとしても相手は女の子なんじゃないかと思うけど。
みきたんの相手は男だと思うと、自分はやっぱり無理なんだろうなって思う。
今の好きな人も、たぶん男の人なんだろうな…
吉澤先輩だとしても男の子っぽいもん。
あーあ、みきたんは、クリスマスどうするんだろ?
好きな人と過ごせるのかな?
…あー、もうまた悲しくなってきた。

最近、みきたんのメールも前より減ったし、
電話は全然来なくなった。
こっちからしちゃいたくもなるんだけど、
迷惑なんじゃないかと思うと、結局何もできず…
もしかしたら、好きな人とうまくいってるから、
他の友達とかに時間とれないのかもしれない。
やっぱりクリスマスも、その人と過ごすんだろうなあ…はぁ…
110 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:53
でも何もみきたんに聞くこともできず
当り障りのないメールのやりとりをすることくらいしかできなくて。
モヤモヤしたまま、迎えた12/23。
中学時代の友達と遊んで、家に帰ってきて、部屋で雑誌を見ながら、
くつろいでたとき、電話が鳴った。
…!!…この着メロは!
最近、鳴ることもなかったみきたんから!

「も、もしもしっ!」
『あ、あー、美貴だけどー』

…いやーん、かわいすぎる…『美貴だけど』なんて。

「はい、こんばんは」
『うん、なんかさ、久しぶりだね、電話すんの』
「そ、そうですね」

あー、もう気の利いた言葉が出てこない。
アタシがそんなんだからか、みきたんも次の言葉が出てこないみたいで、
変な沈黙があって。

『…あのさー、突然で悪いんだけど、明日空いてる?』
「…へっ?明日!?」

明日っていえば、クリスマスイブじゃない!
もしかして、みきたん、アタシのこと、誘ってくれようとしてるの?

『あ、いや、クリスマスイブだもんね。
予定あるならいいんだけど』
「いいいいいえっ!ダイジョウブです!めちゃめちゃヒマです!」
『あははっ、それならよかったー』

みきたんは今お母さんと2人で暮らしている。
冬休みに入ってから、お父さんが単身赴任している北海道にお母さんと一緒に行く予定だったんだけど、
お母さんのお友達のダンナさんが亡くなったとかで、急遽明日葬儀に行くことに。
ちなみにお母さんの出身も北海道。
だから、終業式のあるみきたんを置いて、一足先にお母さんは北海道に行くことになったとか。

で、みきたんは元々予定してた明後日に北海道に行くから、
1日だけ1人で東京で留守番することに。
終業式だし、元々石川先輩と遊ぶことにしてたから、家に来てよって話になって。
で、いいチャンスだから、吉澤先輩も誘ってみて、もちろん即OK。
でも3人ってのも、むしろみきたんがジャマものっぽくなりそうだから、
誰か4人でいても大丈夫そうな人…ってことで、アタシを誘ってくれたらしい。
111 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:53
…もう、理由は何だっていいの!
みきたんが、アタシを選んでくれただけでうれしい!
しかもクリスマスの予定が石川先輩と遊ぶくらいしかなかったこと。
もうダブルでうれしいんだけど!

ダブルっていえば、これってダブルデートみたいなものじゃないの?
きゃー、どうしよ…みきたんのおうちに行けるだけでもうれしいのに。


『亜弥ちゃん、泊まりとかも大丈夫?』
「ひえっ!?…と、泊まりですか?」

み、みきたんちにお泊り!?
みきたんと一晩中一緒に過ごせるの?
もしかしたら、『お客さん用の布団1つしか用意してなくって』
なんて、一緒のベッドで寝たりとか…

『あ、あー、無理ならいいからね。
急だもんね、ダメでもしょうがいないよ』
「いえっ!大丈夫ですっ!」

せっかく、みきたんとそんな近くで長く一緒にいられるのに、
断るなんてもったいなすぎるもん!


うわぁ…明日、みきたんと会える。
それもおうちにお泊まり!
一番お気に入りの服と下着とお泊まりグッズを用意して。
お風呂に入ったときはいつも以上にすみずみまで丁寧に洗って、
マッサージとかいっぱいしちゃって。
この前のカラオケは突然だったから、何の準備もできなかったけど、今回は違うもん。
お風呂上りにパックとかもしてー、ツメもきれいに磨いてー。
もうカンペキな状態でみきたんに会いたいんだもん!
いろいろやってたのと、緊張で全然眠れなかった。
本当はお肌のことを考えたらちゃんと寝なくちゃいけなかったんだけど。

112 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:54
終業式もうわの空で、教室でもこんちゃんや愛ちゃんにからかわれて。
「いーなー、クリスマスイブに家にお泊りなんて」
「でも、すっごい緊張してんだけどー。あ、愛ちゃんは結局、どこにするか決めたの?ラブホ」
「うわっ、ソレ、言わんといてよ!」
「愛ちゃんも緊張してるでしょ?」
「あ、あさ美ちゃんだって後藤先輩と一緒なんでしょ?ドキドキもんやないの?」
「んー、でもフットサル部のヒマな人たちみんなでパーティーってだけだから。
うれしいけど、それほどドキドキもしてないかなあ」

まあ、3人それぞれだけど、好きな人と一緒に過ごせるっていうのはおんなじ。

「何か進展あったら、あさ美ちゃんも亜弥ちゃんもちゃんと報告してね」
「愛ちゃんも道重ちゃんとのエッチがどんなんだったか聞かせてよね」
「…ぐっ…だからー、あたしんことはいいから」
「えー、私も聞きたいなー、どんなのか」
「も、もういいって」

あはは、愛ちゃん、からかうと結構面白い。
んー、それにしてもうらやましいなあ。
アタシだって、できればみきたんと、そのー、ラブホテルでするようなことしてみたい。
今日は吉澤先輩も石川先輩もいるから、それは確実にないだろうけど。
っていうか、みきたんがアタシにそんなことするワケなしし。
でも、今日、家ってことはお酒とか飲むよね、きっと。
そしたら、酔っ払ってるフリして、みきたんにチューしちゃおっかなー。
酔っ払いなら、みきたんも許してくれそうだしー。
…まあ、アタシにそこまでできる勇気があるかわかんないけど…

113 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:54
待ち合わせは校門だったけど、みきたんはもちろん、先輩たちを待たせるワケにはいかないから、
HRが終わってから、ダッシュで走った。

でも、校門にはすでに吉澤先輩の姿が。
「おぅ、亜弥ちゃーん」
「よ、吉澤先輩…早いですね」
私は息を切らしてるのに、吉澤先輩は涼しげで。

「なんだ、ウチに会いたくて、そんな急いで来たの?
ホントにかわいーなあ、亜弥ちゃんは」
吉澤先輩がそう言うと、アタシのことをギュッと抱きしめてきた。

「違いますって!先輩たちを待たせちゃ悪いと思ったから」
「そんな照れ隠しはいいってー。
亜弥ちゃんのそんなシャイなところもまたかわいいなあ。よしよし」
吉澤先輩は、アタシの頭まで撫でてきて。

「もーっ!!やめて下さいって!」
こんなときに、みきたんが来たら、勘違いされちゃう…

「よっすぃー!お待たせ♪」
ヘンに甲高い声が聞こえてきたと思ったら、吉澤先輩の腕の力がすぐに抜けて。
アタシも声のした方を見ると、
石川先輩がニコニコしてて、その隣りでみきたんがニヤニヤしながら立ってた。

あー、みきたん…会いたかったぁ。
ホントは抱きつきたいくらいだけど、グッとガマン。

「あははは、よっちゃんさん、どーしたのさ」
みきたんがこらえられなくなったように大笑いしはじめた。
確かに吉澤先輩を見ると、石川先輩を見て固まったまま。

「よっすぃー、大丈夫?」
石川先輩が吉澤先輩に近づいて、顔を覗きこむと、
今度は顔を真っ赤にして。
「だだだだ大丈夫っす!」
「あはは!それのどこが大丈夫なんだよ!」
みきたんのツッコミに返せないほど、吉澤先輩は照れてて。
うん、こんな吉澤先輩、見てるだけでも楽しい。
それを見てる楽しそうなみきたんを見れるだけでもアタシはうれしい。
114 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:54
みきたんの家の近所のスーパーで、いろいろ買出しして。
とりあえず、皆制服だったから、お酒は子供用のシャンパン程度で、ゴハンものだけ買って。
あとで、ゴハン食べたら、着替えて、みきたんの家のすぐ前のコンビニで、
お酒も買おうってことになった。

みきたんのお家は、マンションなんだけど、部屋の中は結構シンプル。
ムダなものはないってカンジ。

「美貴ちゃんの部屋も見せてーっ」
「え?何も面白いもんないよ」
って、ドキドキしながら見たのに確かに何もなかった…
男の人の部屋、っていってもいいくらいに、
黒とかグレーのものばっかりで、ぬいぐるみとかもまったくなくって。
でも、ある意味、みきたんのイメージ通りかも。
ピンクで統一してて、ズラッとぬいぐるみとか並んでたら、少し幻滅したかもだし。


ゴハンはリビングのテーブルで、自然とみきたんと石川先輩が向かい合わせで座って、
もちろん石川先輩の隣りは吉澤先輩。
ってことは、アタシはみきたんの隣り。
幸せすぎて、何を話したのかあんまり覚えてない。
ただずっとみんな笑ってたのは確か。
吉澤先輩も少し緊張はほぐれてたみたいで、みきたんのツッコミにちゃんとツッコミ返してたし。

ゴハンも終わって、さあ、お酒を買いにいこうってことになって、私服に着替えた。
みきたんはジーンズにシンプルなTシャツの上にスカジャンを羽織ってた。
んー、私服もみきたんっぽい!
いやーん、どうしよう、すっごく腕組んで歩きたい…

石川先輩はなぜか全身ピンクのジャージだし、
吉澤先輩はトレーナーにオーバーオールで男の子みたい。
でも3人ともすごく大人っぽいもんなあ。
さすがに、私服だったら普通に20歳以上っていっても通用するもん。

115 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:54
みきたんは、お酒を飲むと眠くなっちゃうらしい。
そんなとこは逆にかわいい!
おねむなみきたん、見てみたいっ!!
でも、アタシも実はみきたんと一緒。
そんなにお酒は強くない。

お風呂を用意してるから、お酒飲む前に入りたい人は入って、ってことだったんだけど、
石川先輩と吉澤先輩は寝る前でいいってことだったんで
みきたんとアタシだけはとりあえず先に入らせてもらうことに。

「あ、亜弥ちゃん、お客さんなんだから、先入ってー」
「え、でも、アタシ、長風呂なんですけど…」
「いいよ、ゆっくり入ってくれれば。あ、使い方、教えるね」
ってお風呂場で、シャワーの説明とかしてくれて、タオルも出してくれて。

「あ、ありがとうございます」
「いやいや……何なら2人で一緒に入る?」
「えっ?……ええっっ!?」
みきたんとオフロ!?
そ、そんな、夢みたいなこと…

「あは、あはははー、冗談だってー。じゃゆっくりねー」
「…あ…はい」

みきたんの背中流してあげたかったのに…
あー、それにしても緊張する…
これからお酒飲んで、ちょっと酔っ払ったフリしてみきたんに甘えたいんだもん。
たぶん、いつものみきたんからしても、抱きしめるくらいはしてくれそうだし。
アタシからもギューッってしちゃう。
あくまで、フリだから、ホントに酔っ払わないようにしないと。

116 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:55
お風呂から出ると、すでにソファーの方で、吉澤先輩と石川先輩は飲み始めてて、
みきたんはアイス食べながら、テレビを見てた。

「お待たせしましたー」
「ううん、いーよー。ねー、亜弥ちゃん、キョンシー好き?」
「あ、ちゃんと見たことないです」
「じゃ、美貴がお風呂から出たら、キョンシー見ようね」

「だいたいさあ、キョンシーってナニ?悪者なの?」
「え?よっちゃんさん、知らないの!?
ま、じゃあ見てからのお楽しみってことで。美貴はお風呂入るから。
あ、亜弥ちゃん、冷蔵庫に入ってるお酒、持ってきて飲んでていいからねー」
「あ、はい、ありがとうございます」

みきたんがお風呂から出てくるまで待とうかとも思ったんだけど、
もう2人が飲んでるし、吉澤先輩が
「いいから、飲みなって」
ってグラスにどんどん注いでくるもんだから、ついつい飲んでしまった。

吉澤先輩は、顔はまっかになってるけど、いつもとそんなに変わんない。
いつもに増してヘラヘラしてるくらいで。
石川先輩は、いつも以上によくしゃべるしゃべる。
しかも高い声でよく笑うもんだから、正直な話し、すごくうるさい…

吉澤先輩は何気にすすめ上手なのか、気付いたらアタシ、かなり飲んでしまってる。
みきたんがお風呂から出てくるときには、もうかなり上機嫌。
「どーもー、おかえりなさーい」
みきたんが髪の毛をタオルで拭きながら、冷蔵庫からカクテルの缶を持ってきて、
アタシの隣りに座ってきた。
アタシはここぞとばかりに、みきたんの腕にしっかりしがみついて、
肩に頭をのせちゃったりしてー。

117 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/03(木) 17:55
「あれー、亜弥ちゃん、もう結構飲んじゃってんの?」
「んー、吉澤先輩が飲ませるんですぅ」
「よっちゃんさん、ダメじゃん」
「いやー、亜弥ちゃんが飲むからだよー」
「そっか、亜弥ちゃんは結構イケる口なんだ」
みきたんは、アタシの頭を撫でてきた。
あー、もうこうしてもらえるだけで、シアワセ…

みきたんが、キョンシーのDVDを流しはじめて、
隣りのみきたんがすすめてくるがままに、アタシはお酒を飲んじゃってた気がする…
DVDの内容なんて全然頭に入らないくらい、フワフワしてて気持ちいい。
ふぁ〜…あくびも止まんなくなってきた…

118 名前:サチ 投稿日:2005/11/03(木) 18:03
更新しました。

>>104さん
みきたんから誘っちゃいました(笑)

>>105さん
いつもありがとうございます。
そうですね、楽しく書いてれば、きっと読んでる人にも伝わりますよね!
今のところは楽しんで書けてますので大丈夫です(笑)

>>106さん
いつもありがとうございます。
いい感じになりそうな、ならなさそうな…(笑)
はい、次回もがんばります!

>>107さん
ありがとうございます。
お待たせしちゃってすみません!


次回は、そんなに間があかないで更新できると思います。
そろそろ終わりに近づいてますので…
119 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/03(木) 20:43
106でした!!
リアルタイム…ではないですね(苦笑)

交信お疲れ様でした!!!
  お  泊  り  と  か  (・∀・)  !!
激しくソワソワしてきました(なじょ)
今後、どうなるか楽しみです〜♪
あやみきも大好きですが、いしよしも結構好きなので、2組の進展がもうワクワクです☆(≧0≦)
あやや視点、楽しかったです〜^^ミキティ視点も楽しみだぁーーー!!w
終わり…淋しいっす(>_<)
120 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/03(木) 22:35
もう終わりに近いんですかぁ??
ちょっと寂しいのと共に激しく楽しみです!!!
次も楽しみに待ってまーす☆
121 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/11/04(金) 09:27
更新お疲れ様です。まつーらさんの思考が大胆になってきてますね(w みきたんに甘えているところを想像すると微笑ましいです。
もうすぐ終わってしまうのは寂しいですが、毎回楽しみにしてます!!
122 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/06(日) 22:37
うひょ〜イイわぁ☆こういうの大好きです♪ 
終わりですか・・・寂しいです(泣 
123 名前:名無し読者。 投稿日:2005/11/09(水) 11:12
うをっあやみき急接近ですね♪もー…溶けちゃう位あっっまぁ〜いあやみきを期待してます(*´д`*)笑。
124 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:26
はあ…亜弥ちゃんと仲良くなるどころか、
何だか距離ができてしまった気がする。
亜弥ちゃんに付きまとうのは迷惑なんだろうなって思うと、
どうもメールの内容も、相手が誰でも同じような、
どーでもいい、無難なものしか送れない。
電話は、すっかりできなくなってしまった。
ホント、美貴っていくじなしだよ…
そんなに好きなら、ガーッといって、ダメならダメで、きっぱりあきらめろとも思いながらも、
やっぱりあきらめきれる自信がないんだもん…はあ…



「ねー、美貴ちゃん、終業式のあと、何か予定ある?」
「は?終業式ってイブでしょ?」
「そう。美貴ちゃんなにもないなら、私と遊んでくれないかなーって」
「…ホントはイヤだけど、美貴、ナニもないからいいよ。
まあ、クリスマスイブって言っても、単なる冬休みの前日だもんね」
「そんな言い方しないのー。
せっかく寂しいもの同士寄り添って生きていこうとしてるのに」
「別に、梨華ちゃんと一緒に生きてくつもりないから」
「ひどーい」

なんでイブに梨華ちゃんと過ごすことになってんだか。
フットサル部でも毎年ヒマな人たちが集まって
クリスマスパーティーするのが恒例になりつつある。
まあ、あんまり大人数でも疲れるから、今年は梨華ちゃんと2人でいいか。
…ホントだったら、亜弥ちゃんと2人で過ごしたいけどさ。
でも、「単なる終業式の日」ってワケじゃないから余計に誘いづらいし。
もし、予定あるって断られたら、超凹むし。
125 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:27

結局、亜弥ちゃんにイブには何か予定があるのかすら聞けないまま、
12/23になった。
昨日は期末試験最終日だったから、クラスの子たちとの忘年会も兼ねて、
10人くらいでカラオケに行った。
帰りも結構遅かったから、今日目が覚めたのも夕方近かった。
とくに予定もなかったから、明後日からの北海道行きに向けての荷物の準備でもしようかと。
お父さんが単身赴任してるから、たまに遊びには行ってるけど、
こうやって年越しを北海道でするのははじめて。
ちょっと楽しみだけど、めちゃめちゃ寒そうだからなー。
しかもお正月明けまでいることになるからそれなりに荷物も用意しなきゃいけないし。
まあ、お父さんの部屋だから洗濯とかはできるし、足りないものがあれば、
お父さんかお母さんに言えば買ってもらえるだろうけど。
一応小さめのスーツケースをひっぱりだして、荷物をつめていた。


「美貴?開けるわよ」
「ん?いいよー」
お母さんが、部屋のドアを開けてきた。

「美貴、明日が終業式なのよね」
「うん、そうだけど」
「学校休みたくないでしょ」
「うん、できれば」
別に行かなくてもいいんだけど、通知表が受け取れないっていうのイヤじゃん。
一生受け取らなくて済むならいいけど、イヤな気分になるのは確実なんだから、
そういうのって早く済ませたいじゃん。
まあ、赤点はまずないはずなんだけど。

「実はね、お母さんの学生時代の、あ、北海道のね、友達が…」
そう、うちのお父さんとお母さんは2人とも北海道出身。
東京の大学で一緒になって、同郷ってことで息投合して仲良くなったとか。
まあ、そんなんだから、お父さんも北海道に本社がある会社に就職したみたいなんだけど。

で、お母さんの学生時代の友達、地元で結婚したんだけど、
どうやらダンナさんが事故で昨日亡くなってしまい、
葬儀が明日行われるらしい。
お母さんも仲の良い友達だし、ぜひ行ってあげたい。
どうせ北海道に行くんだし、1日早く行っておこうかと。

126 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:27

「美貴は、予定通り明後日に来てくれればいいから」
「うん、わかった」
「明日は1日、留守番お願いするわね」
「うん…あ!あのさー…」

明日は元々友達と遊ぶ予定だったし、明後日の出発も夕方だから、
1人だとさみしいから梨華ちゃんを泊まりに呼んでもいいか聞いたら、
お母さんからOKが出た。

「火の元と戸締りだけはしっかりしてよ」
「うん、わかってるって」


まあ、梨華ちゃんのことはお母さんにもよく話してるし、
男をつれ込むとかは思われてないだろうなあ。

すぐに、梨華ちゃんに電話してOKをもらった。
梨華ちゃんも親に美貴と一緒だって言えば、疑われなかったみたい。

本当は、梨華ちゃんじゃなくて、亜弥ちゃんと部屋で過ごしたいよ…はぁ…
ん?
…亜弥ちゃんも誘ったらいいじゃん!
ウチでクリスマスパーティーするってことで、誘うのってアリだよね?
あー、でも、断られたら、凹むなあ。
予定あるってことだもんなあ。
でも、でも、それを確認できるいいチャンスじゃん!

んー、でも、梨華ちゃんと3人ってちょっと不自然じゃないかな?
…あ!梨華ちゃんといえば、よっちゃんさんじゃん!
よっちゃんさんと亜弥ちゃんも知り合いなワケだし、みんなそれぞれ繋がりあるんだから、
その4人が揃うのは、全然おかしくないし。
確かよっちゃんさんは、フットサルのパーティーに行くって言ってたから、
個人的な予定はないはず!
だいたい、梨華ちゃんと一晩中過ごせるなんて聞いたら、断るワケないし。

127 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:27

早速、よっちゃんさんに電話!
「よっちゃんさーん、明日、梨華ちゃんのこと誘ってないのー?」
『…うっさいなぁ…なんか予定あるかもしんないじゃん。
そんなの聞きたくないんだよ』
「うん、美貴、明日の梨華ちゃんの予定知ってるよー」
『…うっ…い、いいからね、何の予定か言わなくても』

よっちゃんさんが、『やっぱ男か…』とかブツブツ言ってるのが聞こえる。
あはは、超面白い。
梨華ちゃんも、美貴じゃなくて、よっちゃんさんのこと誘ってあげたらよかったのにねえ。

「梨華ちゃんはー、明日ー」
『い、いいっていってんの!言わなくて!』
「美貴んちに泊まりにきまーす」
『………へっ?』
「梨華ちゃんが寂しいものどうし一緒に過ごそうっていうからさあ」
『…マジで?ホントに何もなかったの?』
「そーだよ。で、よっちゃんさんもウチ来る?」
『よかったぁ…え!?い、今何て?』
「だからー、よっちゃんさんも一緒に梨華ちゃんとイブを過ごそうって言ってんの」
『………』
「聞いてんの?来なくていいなら、美貴と梨華ちゃん、ラブラブなイブになっちゃうけど」
ってそんなの、絶対イヤだけどさ。

『…美貴様、ありがとうございます』
「…キモいんだけど」
『今、正座して頭も下げてんだよ』
「見えないから!意味ないから」
『はあ、どーしよ…石川先輩と一晩過ごせるなんて夢みたい…しかもイブだし…』
「あ、なんかさ、3人ってイヤだからさ、他にもう1人誰か誘っていい?」
『もう、美貴様の言うことなら、何でも聞きます』
「別に命令とかしてるワケじゃないんだけど。
亜弥ちゃんとか誘おうかなーって思ってんだけどさ」
『もちろん、どなたでも構いません。
あ、あいぼんとか麻琴はイヤだけど』
「あはは、大丈夫大丈夫。よっちゃんさんファンはやめておくから」

さすがにかわいそうでしょ。
せっかく梨華ちゃんとラブラブな時間が過ごせるかもしれないってーのに、
それをブチ壊すような子連れてきちゃったら。

128 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:27

うん、これで亜弥ちゃんを誘う理由も正当になったし。
明日のことだからな、メールより電話!
亜弥ちゃんの声聞くのも久しぶりだから、結構緊張する…
よしっ!
気合を入れて、亜弥ちゃんの番号を呼び出した。


『も、もしもしっ!』
…やべー、いつ聞いても亜弥ちゃんの声ってかわいすぎ…

「あ、あー、美貴だけどー」
…緊張してんのバレバレじゃん…かっこわりー…

『はい、こんばんは』
「うん、なんかさ、久しぶりだね、電話すんの」
『そ、そうですね』

…なんか、亜弥ちゃん、引いてる?
あー、やっぱ、電話するんじゃなかったかなあ…
って、何、弱気になってんだよ!
電話したなら、誘うしかないんだから!


「…あのさー、突然で悪いんだけど、明日空いてる?」
『…へっ?明日!?』

…亜弥ちゃんの驚きっぷり、普通じゃない…
イブを誘うなんて、下心あるみたいに思われちゃうよなあ…
…はぁ、ちょっと凹んだ…

「あ、いや、クリスマスイブだもんね。
予定あるならいいんだけど」
『いいいいいえっ!ダイジョウブです!めちゃめちゃヒマです!』
…マジで?亜弥ちゃん、予定なかったの!?
亜弥ちゃん、好きな人がいるっていっても、完全に片思いなのかなあ。

とりあえず、今回のいきさつを説明して。
梨華ちゃんとよっちゃんさんも一緒にウチで遊ぼうって。

129 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:28

「亜弥ちゃん、泊まりとかも大丈夫?」
『ひえっ!?…と、泊まりですか?』

…また引いてる?
さすがに、明日のことだから、親がOKしてくれないかもしれないし。
先輩の中に1人で泊まりは緊張しちゃうかもだよね…

「あ、あー、無理ならいいからね。
急だもんね、ダメでもしょうがいないよ」
『いえっ!大丈夫ですっ!』

え?いいの!?ホントに?

とりあえず、待ち合わせだけ決めて、電話を切った。


…やったーっ!!
亜弥ちゃん、イブに何も予定なかったじゃん!
美貴が誘ったらOKしてくれたじゃん!
しかもウチに泊まってくれるじゃん!
亜弥ちゃんとずっと一緒にいれるじゃん!

ヤバイ、もう最高のクリスマスになりそう…

たぶんさー、お酒飲もうってことになるよなー。
梨華ちゃん、お酒好きだしー。
美貴は、すぐ眠くなっちゃうから、あんまり飲めないけどぉ。
亜弥ちゃんはどうなんだろう?
美貴がお酒弱いってこと、梨華ちゃんも知ってるし、
酔っ払ったフリして、亜弥ちゃんに襲いかかっちゃおうかな…
って、さすがに、梨華ちゃんもよっちゃんさんもいる前で、ソレは無理か。
んー、チューくらいならしちゃってもよいよねえ?
唇は無理でもほっぺくらいなら…
うん、よーし、明日の目標、亜弥ちゃんのほっぺにチュー!

130 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:28

次の日、終業式のあとのHRが終わって、
本当は待ち合わせの校門に走っていきたいくらいだったけど、
梨華ちゃんが一緒だったから、ガマンしてのんびりと向かった。

途中で、校門のところにすでに亜弥ちゃんとよっちゃんさんがいるのが見えた。
「あ、もう2人、来てるね」
「うん、じゃ、急いで行ってあげないとね」

梨華ちゃんが早歩きになると同時に、よっちゃんさんが亜弥ちゃんを抱きしめた。
もーっ!なんですぐそういうことするかな?
よっちゃんさんは今度は亜弥ちゃんの頭を撫でて。
あー、むかつくなあ!

「ねー、よっすぃーって、ホントは亜弥ちゃんのことが好きなんじゃないの?」
「…え?ソレはないよ」
あははは、梨華ちゃんに勘違いされてんの、よっちゃんさん。
ばっかだなあ。

「よっすぃー!お待たせ♪」
梨華ちゃんは、ちょっと離れたところから、大きな声を出した。
あははは!
ナニ、あの、よっちゃんさんのアホ面!
梨華ちゃんに、ヘンな場面見られちゃって、動揺してんな。

「あははは、よっちゃんさん、どーしたのさ」
おっかしー、よっちゃんさん、固まったままなんだけど。

「よっすぃー、大丈夫?」
梨華ちゃんはわかってないのか、よっちゃんさんの顔を間近で覗きこむ。
あー、ソレはヤバイでしょ。
ほら、よっちゃんさん、顔が一気に真っ赤になってるし。

「だだだだ大丈夫っす!」
「あはは!それのどこが大丈夫なんだよ!」

よっちゃんさん、面白すぎ。
亜弥ちゃんのことをチラリと見たら、亜弥ちゃんも楽しそうに笑ってた。
あー、ヤバイ。
今日の亜弥ちゃん、めちゃくちゃかわいいかも…

131 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:28

駅からウチへ向かう途中にあるスーパーで、惣菜とかお菓子とか、シャンパンとか買って。
今は制服だし、ご飯食べて着替えてから、
お酒は買いに行けばいいっかってことになった。


ウチに着き、まずゴハンをってことになって、
リビングのテーブルでゴハン。
梨華ちゃんが座った向かいに美貴が座る。
もちろん、よっちゃんさんが梨華ちゃんの隣りにおずおずと座って。
となると当然亜弥ちゃんが美貴の隣り♪

シャンパンだって子供用だから、アルコールも入ってないのに、
みんな超テンション高くて。
最初は梨華ちゃんが言ったりやらかしたことに美貴がつっこんでて。
よっちゃんさんが徐々に緊張がほぐれてきてからは、面白いこと言ってくれて。
亜弥ちゃんも何気につっこんだりして。
なんか、すげー楽しい。
楽しいだけじゃなくって、なんかシアワセってカンジがする。
やっぱ亜弥ちゃんが横にいるからなのかな。


ゴハンが終わったから、お酒買いにいこうって、着替えた。
美貴は自分の部屋で、サッと着替えてきちゃったんだけど、
リビングの方に戻ったら、よっちゃんさんは不自然なくらいに、
梨華ちゃんの方を見ないように、背中向けて着替えてるし。
亜弥ちゃんは残念ながら、もう着替え終わってたんだけど…
えへへ、でもデニムの短パンが超かわいいんですけど。
亜弥ちゃん、ホント色白いよなあ。

で、お酒とか、お菓子の追加とかアイスとか買ってきて。
テレビ見ながら、飲み始めることになったんだけど、
美貴、お酒弱いからさ、飲むと寝ちゃうかもしれないじゃん。
だから、少しでもスタートを遅くしとけば、まだいいかなって、
お風呂に入ってから飲むことにした。
飲んだあとのお風呂って危険だしさ。
そしたら、亜弥ちゃんも、弱いから飲む前に入っておきたいって言い出した。
…亜弥ちゃんの直後に入ろう…やべー、美貴、ヘンタイっぽい。
梨華ちゃんとよっちゃんさんは寝る前でいいっていうから、先に入るのは2人だけ。

132 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:28

「あ、亜弥ちゃん、お客さんなんだから、先入ってー」
「え、でも、アタシ、長風呂なんですけど…」
「いいよ、ゆっくり入ってくれれば。あ、使い方、教えるね」

お風呂場に2人で向かって、使い方を教えてあげて、タオルも出しておいた。
亜弥ちゃんが着替え用に持ってきてる下着がチラッと見えてしまって、
ドキッとしちゃったよ。
ピンクじゃん、かわいいなあ…

「あ、ありがとうございます」
「いやいや……何なら2人で一緒に入る?」
「えっ?……ええっっ!?」

…かるーく笑ってくれたらいいのに、そんな素で驚かれるとちょっとかなしい。

「あは、あはははー、冗談だってー。じゃゆっくりねー」
「…あ…はい」

亜弥ちゃんと一緒にお風呂なんて入れるわけないじゃん。
美貴、襲いかかっちゃうかもしれないもん。


リビングに戻ると、すでに梨華ちゃんとよっちゃんさんは飲み始めてた。
お酒も入ってきたせいか、よっちゃんさんも普通によくしゃべってるし。
梨華ちゃんはいつも以上に。
うん、やっぱいいね、この2人。
こうして並んでソファーに座ってるのを見てると、
なんか新婚さんみたいな雰囲気だし、すごくお似合い。

2人は飲んでるし、美貴は布団の準備でもしておこうかな。
お母さんが和室に布団を用意しておいてくれてるはずだから、
一応敷いておくだけおいておこう。

133 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:29

って、和室にいったら、布団は2組しかおいてなかった。
あ、そっか、お母さんに梨華ちゃんが来るってしか言ってなかった。
だから美貴と一緒に布団並べるってことで2組なんだ。
ま、押し入れさぐれば、他の布団もあるだろうけど、
この調子だと朝まで起きてそうな気もするから、
とりあえず2つ敷いておけばいっか。

って思いながら、敷きはじめたんだけど、
よく考えたら、これを理由に、美貴、亜弥ちゃんと一緒に寝ることできそうじゃない?
『お母さんが布団2つしか用意してなかったから』
って言えば、美貴のベッドで一緒にでもおかしくないもん。
さすがに梨華ちゃんとよっちゃんさんを1つの布団に寝させるワケいかないでしょ。
よっちゃんさん、梨華ちゃんに襲いかかりそうだもん。
並んだ布団ってだけでもヤバイかもだけど。
まあ、そういうことになったらなったで、美貴は許すよ。
ホントはウチであんまりそういうことはしてほしくないけど、

つーかさ、美貴の方がヤバくない?
亜弥ちゃんと一緒に寝て、何にもしないでいるなんて無理な気が…
んー、まあ、ギュッとするくらいはOKでしょ。
冗談で「おやすみのチュー」とか言ってしちゃってもいいんじゃないの?
だいたい酔っ払ってたら、許されるでしょ、そのくらい。
よしよし、目標はおやすみのチューにランクアップ!
亜弥ちゃんもお酒入ったら眠くなるって言ってたし、
たぶん朝までは飲んでいられないんじゃないかな…
亜弥ちゃんが眠くなったきたら、美貴も一緒に寝るって方向で。
そーだ、美貴のベッドもキレイにしておかないとな。
シーツと枕カバー変えておこうっと。

134 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:29

リビングに戻ると、梨華ちゃんとよっちゃんさんは、
テレビのバラエティ番組を見ながら大笑いしてた。
美貴も、さっき買ってきたアイスを食べながら一緒に見て笑ってた。

「お待たせしましたー」
振りかえったら、お風呂上りでパジャマ姿の亜弥ちゃん…
ヤバイ…何か色っぽいぞ…ヤバイって。

「ううん、いーよー。ねー、亜弥ちゃん、キョンシー好き?」
「あ、ちゃんと見たことないです」
「じゃ、美貴がお風呂から出たら、キョンシー見ようね」

「だいたいさあ、キョンシーってナニ?悪者なの?」
「え?よっちゃんさん、知らないの!?
ま、じゃあ見てからのお楽しみってことで。美貴はお風呂入るから。
あ、亜弥ちゃん、冷蔵庫に入ってるお酒、持ってきて飲んでていいからねー」
「あ、はい、ありがとうございます」

…ヘンな気になる前に、お風呂入っちゃおうっと。

はぁ、大丈夫かな、美貴、こんなんで。
でも、でも、亜弥ちゃんにおやすみのチューは絶対するぞ!
それ以上は絶対ガマン。
亜弥ちゃんに嫌われるようなことは、絶対しちゃダメだからね、うん。

ゆっくり時間かけてお風呂に入って、少し気持ちも落ち着いた。
平常心、平常心。
あんまり、お酒飲み過ぎないようにしないとな。
マジで寝ちゃったら、シャレになんないもん。

135 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:29

リビングに戻ったら、亜弥ちゃんが笑顔で
「どーもー、おかえりなさーい」
…もう酔っ払ってる?
…でも、かわいい…

よし、美貴も一応ちょっとは飲んでおかないと、
眠くなったふりもできないし、酔った勢いもつけれないし。

美貴は冷蔵庫からカクテルの缶を持って、ソファーの亜弥ちゃんの隣りに座った。
そしたら、亜弥ちゃん、美貴の腕をとって、肩に頭を乗せてきた。
…だからー、かわいすぎるってーの。

「あれー、亜弥ちゃん、もう結構飲んじゃってんの?」
「んー、吉澤先輩が飲ませるんですぅ」
「よっちゃんさん、ダメじゃん」
「いやー、亜弥ちゃんが飲むからだよー」
「そっか、亜弥ちゃんは結構イケる口なんだ」

亜弥ちゃん、楽しそうだし、かわいいから、どんどん飲ませちゃう。
確かに眠そうな目にはなってきてるけど、美貴よりは強そうだし。

あ、美貴の持ってきた缶、ほとんど美貴が飲まないで、
亜弥ちゃんのグラスに注いでた。
亜弥ちゃん、ちゃんと飲んでるし。
美貴も、ほんのちょっとだけで酔いはじめてきた。
たぶん、顔もちょっと赤いだろうなあ。
でも、まだ平気。
もうちょっとくらいなら、飲めそう。
とりあえず、テーブルの上に散乱してた空き缶とか、お菓子のゴミをまとめて、
キッチンに向かった。

136 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:29

ゴミはちゃんと分別して、ゴミ箱に入れて、
美貴もお酒を飲むのにグラスを使おうと、グラスを出そうとしていたときだった。

「みきたーん」
背中に柔らかい感触がして、腕が回ってきた。
…つーか、今何て?

「…亜弥ちゃん、ソレって美貴のこと?」
亜弥ちゃんが背中で思いっきり頷くのがわかった。
あのー、そのあだ名ってちょっと恥ずかしいんだけど。
まあ、亜弥ちゃんが、亜弥ちゃんだけが呼んでくれるなら、うれしいかな。

「あはは、ありがと」
亜弥ちゃんの方を向いて、抱きしめた。
…はあ、コレができただけでもシアワセ…

「ねー、みきたん」
「ん?」
「チューして♪」
「……へっ!?」

超ビックリして、体を離して、亜弥ちゃんの顔を見たら、目をつぶって顎を上げて。
…こ、これはしないわけにいかないでしょ!
…い、いいんだよね、ホントに?

何となく気になって、梨華ちゃんとよっちゃんさんの方を見る。
2人はこっちに背中を向けて座ってて、DVDを見てるから、全然こっちは気にしてない。



…じゃ、遠慮なく…
ゆっくりと、唇を重ねる。
3秒くらい、ただ重ねるだけのキスをして、唇を離した。
そしたら、亜弥ちゃんは恥ずかしそうに、美貴の肩に顔をうずめてきて。

…あー、もう、無理!
美貴のスイッチ、完全に入っちゃったよ。

137 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:30

「…亜弥ちゃん…2人っきりになろっか?」
亜弥ちゃんが、コクンと頷いてくれた。

もう、コレ以上、どうやって抑えろっていうの。


亜弥ちゃんを抱えたままの状態で、リビングに行く。

「あ、あー、亜弥ちゃんも美貴も眠くなっちゃったから、もう寝るわー」
「え?早くない?」
「いや、あ、冷蔵庫の中のもの、どんどん出してもらって構わないし。
寝るときには、あっちの和室に布団敷いてあるから」
「うん、わかったー。おやすみなさい」
「ん、じゃ、おやすみー」


平然を装って、リビングから出ていく。
でも、このときの美貴の心拍数は異常なことになってたと思う。
こんなにドキドキしたのはじめてってくらい。
フットサルの試合のときだって、ここまではならないのに。


美貴の部屋に入り、念のため、すぐに鍵をかける。
そして、亜弥ちゃんを思いっきり抱きしめた。

「…亜弥ちゃん、好き…」
「ん…アタシもみきたんのこと、ダイスキ」

亜弥ちゃんの唇を奪う。
今度は、何度も何度も、角度を変えたりして、舌を滑り込ませた。
「…んっ」
亜弥ちゃんの声が、聞こえて、もう、理性とか完全になくなっちゃった。
すっごい激しいキスを繰り返して、そのまま、亜弥ちゃんのこと、ベッドに押し倒した。

キスを続けながらも、亜弥ちゃんのパジャマの上から、胸を触った。
「…あっ…」
…亜弥ちゃんの声、色っぽくってたまんない。
直に触りたくて、パジャマの下から手を入れた。

138 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:30

プルプルプル…
…って、なんでこんなときに電話が鳴るんだよ!
もう、無視無視!
そのまま続けようと思ったけど、梨華ちゃんたちが電話を取って呼びに来られても困る。
しょうがない、美貴が電話取るよ。
「…亜弥ちゃん、ちょっと待ってて」

部屋に置いてある子機をとった。
「はい、藤本です」
『あ、美貴?そっちは大丈夫?』
…んだよ、お母さんかよ!
タイミング悪いってーの。

「ああ、うん」
『ナニしてたの?』
「へっ!?あ、あー、DVD見てる」
『そうなのー。あんまり夜更かししすぎないようにねー。
さっきね、お友達とゴハン食べてきてねー…』

って、お母さんの久しぶりに会った友達の話しとか、
お父さんの部屋が汚くて驚いたとか、そんな話しを延々と聞かされて。
なんか、美貴も、今やってたことがやってたことだから、
どうも後ろめたくて、ちゃんと話しを聞いてあげてた。
横になってる亜弥ちゃんの髪を撫でながらね。
で、気付いたら、30分以上も経ってた。

『それでねー…』
「あ、お母さん」
『ん?』
「友達来てるからさ、もう電話いい?」
『あ、そうよね、ごめんごめん。
じゃ、明日、到着時間には空港に迎えに行くから』
「うん、よろしく」

139 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:30

あー、やっと終わったよ。
子機を置いて、亜弥ちゃんに抱きつく。
「ごめん、お待たせ!」

チュッってしたのに、亜弥ちゃんは無反応。
あれれ…
顔をよく見てみると、亜弥ちゃん、眠っちゃったみたい。
「亜弥ちゃーん」
呼んで、揺さぶってみたけど、起きそうもない。
もう1回、キスしてみたけど、全然ダメ。

寝てるのにしちゃうのは、さすがにヤバイよなあ。
…ま、いっか。
すっごいチューできたし、亜弥ちゃん、美貴のこと、好きって言ってくれたし。
おっぱいもちょっと触れたし。
よく考えたら、すごいじゃん!
美貴の目標以上のこといっぱいできてるし。

『好き』って言い合ってキスしたってことはー、もう恋人関係ってことだよね?
よっしゃーっ!!
ってことは、今日焦ってしなくても、いつでもそういうことできるはずだし。
相思相愛ってことでしょ?
ヤバイ、美貴、シアワセすぎるんですけど。

こうやって、亜弥ちゃんの寝顔を見つめられるだけでもうれしい。

あー、でもまだ興奮しちゃってて、なんだか眠れそうもない。
亜弥ちゃんの唇を見るだけで、ドキドキしてくる。
この唇にキスして、あんなことやこんなこと…
うわぁ…またしたくなってきちゃったじゃん。
ダメだって、寝てんだから。
ヤバイ、ヤバイ。
ちょっと、気分切り換えて、ウーロン茶でも飲んでこよっと。

140 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/11/12(土) 15:30

リビングの方に行くと、ドアのガラス越しに
梨華ちゃんとよっちゃんさんの背中が見えた。
あ、まだ起きてるんだ。
ちょっと驚かせてやろっかなあ。

そーっと、ドアを開けると、
梨華ちゃんの声が聞こえてきた。
「…で、それ以来、電話もかかってこなくなってー」

梨華ちゃん、グスグス泣いてるみたい。
あー、前付き合ってた人の話してるんでしょ。
ソレ、よっちゃんさんにはキツイと思うわ。

よっちゃんさん、腕を梨華ちゃんの肩の方に持っていってるのに、
なかなか直接触れることができない。
あー、イライラするぅ!
もー、肩くらい抱けってーの。

その願いが通じたのか、よっちゃんさんは、梨華ちゃんの肩を抱いた。
そしたら、梨華ちゃん、よっちゃんさんの肩に頭をのっけて。

「…あのさー…ウチが忘れさせてあげるなんてことは言えないけど」
よっちゃんさんがつぶやくように言いはじめた。

「気を紛らしてあげることくらいできるから。うん、ウチでよければ。
さみしいときとか、ヒマなときとか、呼んでくれれば、いつでも行くから」

梨華ちゃんは顔を上げて、よっちゃんさんのことを見た。
よっちゃんさんは照れたように微笑んで、梨華ちゃんのことを見てた。

「ありがとう、よっすぃー」
梨華ちゃんはそう言うと、よっちゃんさんに抱きついた。
よっちゃんさん、目を丸くしてたけど、そのまま、梨華ちゃんの背中に腕を回して。

…よかったじゃん、いい雰囲気になって。
よっちゃんさん、なかなかやるじゃん。
うん、きっと、梨華ちゃんも前の人のこと忘れられるよ、よっちゃんさんといれば。

ウーロン茶のことはあきらめて、自分の部屋にそっと戻った。

気持ちよさそうに眠っている亜弥ちゃん。
…はぁ…亜弥ちゃん、好き、大好き。
美貴は、そっと亜弥ちゃんの隣りに横になった。
抱きしめて寝るくらいはいいよね?

亜弥ちゃんの腰にそっと腕を回して、眠りについた。

141 名前:サチ 投稿日:2005/11/12(土) 15:37
更新しました。

>>119さん
いつもありがとうございます。
2組ともかなりの進展がありまして…
ご期待に添えてたらうれしいのですが(笑)

>>120さん
ありがとうございます。
もう数回で終わるかと思いますが、最後までよろしくお願いします♪

>>121さん
いつもありがとうございます。
みきたんも甘えんぼさんなんですよね(笑)
引き続きよろしくお願いします。

>>122さん
ありがとうございます。
好きといっていただけてうれしい限りです。
もう数回ありますので、どうぞ最後までお付き合い下さい。

>>123さん
ありがとうございます。
一応、あっまーいカンジでいってみましたが、いかがでしょう?(笑)
142 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/12(土) 21:32
119でした!
交信お疲れ様です!

           ⊂⌒~つ。Д。)つ……パタ

あのー…言葉にならないくらい甘いんですけど!!!(*・∀・)ノシ
しかも、今後のあやみきが微妙に見えちゃった感もあり(謎
…鼻血でそうです(爆)これからも甘甘あまーーーーいの期待してます♪
溶けちゃいたいくらい、次回の交信待ってます!
143 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/11/13(日) 05:27
こんな朝っぱらから興奮バキバキですw
美貴ママめ〜怒
144 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/11/13(日) 12:15
更新お疲れ様です。2組とも大きく前進できてよかったよかった。まだ結婚できない年齢なのに、子供を見守る親のような気持ちでした。無理っぽいですがミキママには空気を読んでほしかったですね(w
次回も楽しみにしてます。
145 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/13(日) 15:54
ヤバイヤバイ、今後の展開が楽しみ過ぎます。
作者様、更新お疲れ様でした。
146 名前:名無し読者 投稿日:2005/11/13(日) 16:05
更新お疲れ様です!!あまぁ〜いあやみきに溶けてしまいましたよ(*´д`*)笑
これヤバいです顔ニヤけちゃいますよっ!!変な人ですょ〜汗
でも…もっちっと溶けても大丈夫なんで、えへへ。次回も楽しみにしてますね!!
147 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:17

んー、よく寝た気がする。
はっきり覚えてないけど夢の中でみきたんとラブラブだった気がするし、
なんか目覚めがすごくいい。

…目を開けたら、見たことない風景。アタシの部屋じゃない。
あれー?…昨日、アタシ…あ!みきたん家じゃん、ココ。

ん?
でも、アタシ、いつの間に寝たんだろ?
たしか、リビングで吉澤先輩に、いっぱい飲まされて、
みきたんが、お風呂から出てきてー…
あれ?そのあと、アタシ、どうしたっけ?

んー?伸びをしながら、ぐるっと寝返りをうった。
「…へっ!?」

なぜか、アタシの隣りにはみきたんがいて、眠ってた。

…ちょ、ちょっと待って!
なんで、アタシ、みきたんと同じ布団に寝てんの?
つーか、こんなオイシイ状況なのに、なんでアタシの記憶ないわけ?

思い出そうとしても、リビングでお酒を飲んでいたところまでが限界。
この部屋に来た記憶がないし、
酔っ払っちゃったアタシを、みきたんが寝かせてくれたってカンジなのかな?


あ…でも、今こうして、すぐ側でみきたんの寝顔を見れるなんてシアワセ。
はぁ、みきたん、かわいすぎ。

「…ん」
みきたんが、アタシの方に体を向けてきたと思ったら、
腕が伸びてきて、ギュッとされた。

…うわぁ…
超ドキドキなんですけど。
みきたんとベッドの上で抱き合ってるなんて…。
思いきってアタシからもギュッと抱きついた。

148 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:17

みきたんの眉がピクッと動いて、目が開くと、ニッコリしてくれた。
「…えへへ…亜弥ちゃん、おはよ」
「あ、おはようございます」

みきたんが、アタシの頭を撫でてくれた。
「あのー、藤本先輩がアタシのこと、ベッドまで運んでくれたんですか?」
「…へ?藤本先輩って?」
「すみません、アタシ、酔っ払っちゃって」
「…もしかして、全然覚えてないの?」
みきたんがキョトンとしてた。

「はい、藤本先輩がお風呂から出てきたあたりまでは、
何となく覚えてるんですけどー。それ以降はさっぱり」
「…マジで?」
みきたんはすごく悲しそうな顔になった。

「…あのー、アタシ、何かヘンなことしませんでしたか?」
例えば、みきたんに思いっきり迫っちゃうとか、
いきなり服脱ぎ出したりとか…

「…へ?…いや、別に、亜弥ちゃんはヘンなことしてないよ…」
「あ、そうですか」
よかったー。みきたんに嫌われちゃうとこだった。

「…亜弥ちゃん、お酒飲むといつも記憶なくすの?」
「いえ、そこまで飲んだことないし、記憶なくしたのもはじめてです」
よりによって、みきたんと一緒のときに記憶なくならなくてもいいのに…

「そーなんだ…じゃあ、これからはあんまり飲みすぎない方がいいかもね」
「…はい、気を付けます」
はあ、アタシってばどーしようもないなあ。
みきたんに心配かけちゃって。

149 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:18

変な沈黙が少しあったあと、
また、みきたんがアタシのことをギュッと抱きしめてきた。
「…亜弥ちゃん…」
すぐ側で名前を囁かれると、何だか余計にドキドキしてくる。
「…な、なんでしょうか?」
「…ううん、何でもないよ…」
みきたんは、アタシから体を離すと、ベッドを出た。

「…顔洗って、ゴハンの用意してるわ」
「あ、はい。アタシもすぐ行きます」

みきたん、アタシに背中を向けたままで、全然こっちを見てくれなかった。

そのあとのゴハンのときも、なんだかみきたんは素っ気無くて。
あー、やっぱり、アタシ、みきたんになんか失礼なことしちゃったに違いない。
なんだろ?
…もしかして、襲いかかったりしちゃったのかな!?
イヤがるみきたんに無理矢理チューとかしちゃったとか…
アタシ、本当に何しちゃったんだろう?
…はぁ、もう、絶対お酒飲まない。

150 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:18

その日、みきたんはそのまま北海道に行っちゃったし、
冬休みはほとんどそっちで過ごすとか。
だから、会えそうもないし、そもそも、何かやらかしちゃっただろうアタシが、
みきたんのことを誘うなんてできそうもない。

年末に1回、こんちゃんと遊びにいった。
愛ちゃんは、年末年始は小学校のときまでいた福井で過ごすから会えなかったんだけど。
そういえば、愛ちゃんからイブの夜に届いてたメール、
『やみつきになりそう』って一言だけ。
明らかに道重ちゃんとのエッチのことだから、すっごく気になるじゃない。
いろいろ質問してみたんだけど、『メールじゃなんだから、会ったときに話す』って返事しかこなくて。

こんちゃんにも同じメールが届いてて、こんちゃんは電話したのに、
『会ったときに話すね』って言われちゃったらしく。
3学期学校で会ったら、質問攻めにしてやろうって、こんちゃんと決めた。

こんちゃんのイブも、すごく楽しかったみたい。
フットサル部のパーティーで、ケーキをおいしく食べてたら、
後藤先輩が近づいてきて、『コンコンは、食べ物食べてるとき本当に幸せそうでいいよね』って言われて。
『はい、幸せです』って返したら、笑顔で頭を撫でられて、ほっぺにチュッってされて!
もう、ケーキどころじゃないくらい、超幸せな気分になれたとか。

アタシのイブの話、何かやっちゃったかもしれない話も、こんちゃんに聞いてもらった。

「んー?でも、朝になって突然冷たくなったんなら、やっぱり夜のうちに何かあったんだよねえ」
「記憶がないから何とも言えないんだけど…」
「でも、藤本さんだったら、『亜弥ちゃん、美貴にこんなことしたんだよ?覚えてないの?』
とか怒って文句言いそうなのにね」

…確かにそうかも。
アタシがバカなことしたんだったら、普通にネタとして笑って話してくれそうだし。
怒ることも笑うこともできないようなコトって…アタシ、本当に何したんだろ?

151 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:18

「あ、そういえばー、私、後藤さんとかフットサルの人と何人かで、
元旦に初詣に行くんだー」
「へー、よかったじゃん。もっと後藤さんと仲良くなれるといいねえ」
「うん。亜弥ちゃんも藤本さんのこと誘ってみたら?
こっちに帰ってきてから、一緒に行きませんか?って」
「でも、断られそうだよ、今の状況じゃ」
「そんなことないよー。
早めに自分が何しちゃったのか確認しといた方がいいと思うし。
もしかしたら亜弥ちゃんとは関係なくって、ただ単に、
藤本さんの機嫌が悪かっただけかもしれないし」

その可能性は低そうだけど、確かに確認は早い方がいいよね。
謝らなきゃいけないようなことしたなら、ちゃんと謝らなきゃいけないし。


でも、結局みきたんからメールは全然来なかったし、
アタシからもメールはできずに、初詣の誘いをすることもなく年は明けてしまった。

でも、せめて、新年の挨拶はしなくちゃ。
元旦、朝ごはんを食べたあと、家族で近所の神社にお参りにいって、
おみくじを引いてみたら、なんと「大吉」!
恋愛もすごくいいことが書いてあった。
なんかみきたんとのこともうまくいきそうな気がしてきた!

うれしくなって、おみくじの写真を撮って、
みきたんにメールを送った。

『あけましておめでとうございます♪
初詣でおみくじひいたら「大吉」でした!
藤本先輩にとってもいい1年でありますように。
今年もよろしくお願いします』

152 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:18

家に帰ってから、お雑煮を食べてたら、みきたんからメールが届いた。
『あけましておめでとー。メールありがとね。
実は、美貴も初詣でおみくじを引いたら「大吉」でした♪
今年もよろしく。お互いいい年にしたいね』
みきたんが、雪の中で、小さい雪だるまを手にしてる写真が付いてきてた。
うわぁ、このみきたん、超かわいい!
年明け草々、こんなかわいいみきたんが見れるなんて、うれしい!
それに、全然普通にメール返してくれたし!
さすが大吉だっただけある!



『藤本先輩、こっちに帰ってきたら、一緒に初詣行きませんか?
あ、「初」じゃないですけど(笑)
また2人とも「大吉」出たら本当にいい1年になれそうですよね』

こんちゃんにも言われたし、勢いにのって誘っちゃった。
これでOKもらえたらホントに大吉だしー。
…でも、断られたら、どうしよ…

…返事がなかなか来ない。
やっぱり、ダメなのかな…


10分くらいしてから、やっと返事が届いた。
『美貴でよければ。帰るのは、4日だから。
5日か6日ならいいよ。
そうだね、「大吉」出るといいね』

一応、OKだけど、なんか素っ気無い返事…
やっぱり、迷惑なのかなあ…

153 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:19

でも、アタシはやっぱりみきたんに会いたかったから、
約束して、初詣にいくことになった。

待ち合わせ場所に向かうと、みきたんはすでに来ていて、
コートのポケットに手をつっこんで、地面をぼんやり見つめてた。
…あー、やっぱりかわいいなあ、みきたん。
このままずっと見てたいくらい。

でも、アタシの視線に気付いたのか、みきたんは顔を上げるとこっちを見た。
アタシが微笑んで手を振って近づくと、みきたんも笑顔になった。

「すみません、遅くなってしまって」
「ううん、まだ時間になってないよ。
美貴がちょっとだけ早く来ただけだし。あ、コレ、お土産ね」
みきたんが、紙袋に入った「白い恋人」をくれた。
「あー、コレ、大好きです!ありがとうございます」

みきたんは、笑顔のまま首を横に振る。
「じゃいこっか」

みきたんが歩きはじめて、アタシも横に並んで歩き出した。
「しっかし、寒いねー」
みきたんの吐く息も白くて、マフラーに顔をうずめて、手はポケットにつっこんだまま。

…寒いってことは、あったかくしたいってことだよね?
…いいかな?いいよね?

アタシは勇気をふりしぼって、みきたんの腕をとって、ピッタリ寄り添った。
みきたん、ビックリしてアタシの顔を見てきた。
「…少しはあったかくなりました?」
「…うん…あったかいよ」

でも、そのあと、みきたんは、あんまりしゃべってくれなくて。
アタシが話しかけても、返事もなんだかそっけなくて。
…やっぱり、誘ったの迷惑だったのかな。

154 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:19

神社でお参りして、おみくじを引いた。
そしたら、大吉!すごくない?アタシって!
「先輩!見て下さい!アタシ、また大吉でした!」
うれしくて、みきたんに見せると、
「あ、美貴も大吉だ。すごいね、2人ともなんて」
みきたん、ニコッってしてくれた。

あー、もう!
アタシ、ついついうれしくってみきたんに抱きついちゃった。
でも、みきたんは、体を固くしたままで、何にもしてくれなかったし、
何にも言ってくれなかった。
今までのみきたんなら、ギュッって返してくれるのが普通なのに。

そのあとに腕を組んでても、やっぱりみきたんは無口で。
イブの夜のことなんて、聞ける雰囲気でもなかった。
…やっぱり、アタシ、嫌われるようなことしちゃったのかな。

なんか悲しくなってきた。
そのあと、お茶しようって、お茶もしたけど、
やっぱりみきたんはほとんどしゃべってくれない。
だから、お茶も30分くらいで済ませて、すぐに別れた。

…はあ、アタシ、絶対、みきたんに嫌われたんだ。
ここまで、みきたんがしゃべってくれなかったことないし、
難しい顔してることが多かったし。
もう、アタシ、あの夜に何したの?
記憶がない自分にむかついてしょうがない。

ヤダよ、みきたんに嫌われるなんて。
別に恋人同士になれなくてもいいから、
今までみたいに、仲良く話したりとかしたいだけなのに。
なんで、なんで、こんな風になっちゃったんだろう。

155 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:19

3学期がはじまり、始業式で学校へ。
こんちゃんとアタシが教室で待ち構えてるところに、愛ちゃんがやってきた。
しかも、アタシたちを見ると、ニヤーッとした顔になって。

「愛ちゃん、なんかいやらしい顔になってる」
「そうかのー?」
って言いながらも、愛ちゃんはニヤけ顔のままで。

「で、シゲさんとのこと、詳しく聞かせてよ」
こんちゃんが、めずらしくつっこんでいく。
そりゃー、聞きたいよねえ。未知の世界だもん。

「いやあ、福井行く前にももう1回と、あと、おとといの昼頃帰って来たんやけどぉ、
そのあとさゆに会ってー」
つまり、イブも合わせて冬休みに3回やってる…じゃなくて会ってるってことなんだ。

イブに、ラブホに行って、道重ちゃんも実はそういうことはもちろん、
誰かと付き合ったりするのも初めてだということを聞けて、
愛ちゃんは本当にうれしかったみたい。
しかも、道重ちゃんはマンガとかネットとかでそういう知識だけは、
いっぱい知ってて、むしろ、道重ちゃんがリードしてくれたんだとか。

『先輩に、いっぱいいっぱい気持ちよくなって欲しいんです。
そしたら、私も気持ちいいですから』って。
…なんか、道重ちゃん、かわいいなあ。
そんなこと言われて、がんばってくれたら、確かに余計に好きになっちゃいそう。


「だから、あたしもその後いろいろ調べてさあ…」
道重ちゃんにも気持ちよくなって欲しいから、愛ちゃんもいろいろ研究して。

道重ちゃん家は、お姉ちゃんお兄ちゃんは高校生、大学生だから、
遊びやらバイトやらであんまり家にいない。
お母さんもパートに出てたりするから、家で2人っきりになれることもできる。

さすがにラブホ通いじゃお金ももたないし、
道重ちゃんの部屋で、年末も、おとといも、ラブラブな時間を過ごしたらしい。

「今日も、さゆの家に行く予定なんやけどぉ」
愛ちゃん、ニヤけながらも、一応顔赤くしてる。
いいなあ、幸せそうで。
アタシも、みきたんとやみつきになれるようなことしたいのに。
はぁ…人の幸せな話って、自分が不幸なときって余計にツライのかも。

156 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:19

結局、それからも、みきたんとは大したことないメールを週に1、2回するだけ。
しかも、やっぱりいつもメールを送るのはアタシから。
みきたん、返事はくれるけど、すごく短いメールだし。
はぁ…
学校でもこっそり姿を見に行くことはあるけど、
ちゃんと会って話をすることも全然なくなって。


2月に入ってすぐの日曜、ヒマだったから、1人でブラブラしていた。
街はもうバレンタイン。
はあ、アタシだって、みきたんにあげたいよ。
でも、今の状況であげたって、むしろ迷惑がられそうだし。

「ちょっと、そこのあなた」
…え?なんか聞いたことある声。

声のした方を振り向くと、あやしい民族衣装を着た背の高い女の人。
あ!!
この人、アタシとみきたんの出会いを予言してくれた人じゃん!
アタシはペコリと頭を下げた。
彼女は大きい目を更に大きくして、アタシをじっと見てきた。

「あなた、何を迷ってるの?」
「…え?」
「迷う必要はないわよ。ちゃんと相手はあなたのことを待ってるから」
「でも…」
「きちんとあなたの気持ちを伝えなさい。
相手が勘違いとか誤解とかしないように、まっすぐに」
「…は、はい」
彼女の勢いに負けてつい、いい返事をしてしまったけど、そんな自信はない。

「不安に思わなくていいの。
ほら、チョコレートの1つでもあげて、自分に素直になればいいだけよ」
彼女はニコッとして、ポンとアタシの肩を叩いた。

彼女の目を見てるとすいこまれそうで、ちょっとこわかったから、
アタシは頭を下げるとそのまま逃げるように足早に去った。

157 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:20

気持ち伝えるっていったって…
確かにバレンタインでチョコをあげれば、それは「好き」って意味だし。
でも、でもさあ…
確かにあの占い師さんの今まで言ったことは当ってた。
信用しちゃっていいのかな?

でも…もし、ココでみきたんに何もしなかったら?
ウチの大学は高等部・中等部とは別の場所にあるから、
学校で会うこともなくなる。
きっと大学生だから、サークルとかバイトとかで忙しくなって、
余計にアタシのことなんて相手にしてくれなくなっちゃうだろうし。

そうじゃん、何もしないで今のままでいても、
コクってダメになっても、みきたんと離れちゃうのは同じ。
だったら、アタシの気持ちを知ってもらって
何万分の一の確率かもしれないけど、それに賭けたい。
よぉし!
アタシ、みきたんのために手作りチョコとか作っちゃうんだから!


相変らずメールは少ないままだったけど、
バレンタイン当日。
めちゃめちゃ気合を入れて作ったチョコレートケーキを持ってきた。
ここ1週間くらい、毎日作って、いろいろ研究して、
本当においしいって思えるものができるようになった。
毎日、チョコレートケーキ食べてたから、ちょっと太っちゃったけど…
ちゃんと味見もしたし、今日のが一番おいしくできた。
きっとみきたんにも「おいしい」って思ってもらえるはず!


放課後、愛ちゃんは道重ちゃんが教室に迎えに来て、そのまま、
道重ちゃん家に行くらしい。
あー、またエッチするんだろうなあ…ちょっとうらやましい。
こんちゃんは、「後藤さんに渡してくるっ!」ってめずらしく慌てて出てったし。

アタシは急いでみきたんの教室に向かったら、まだ掃除中だったから、
呼ぶのも何だし、みきたん、全然気付いてなかったから、
下駄箱のとこで待つことにした。

ああ、そういえば、アタシもいくつかチョコをもらっちゃった。
こんちゃんもくれたし、他にもクラスの子とかテニスの子とか。
あと、アタシのファンだっていう人からも。
でも、アタシは、みきたんにしかあげない。
義理とか友とかのチョコも作らなかった。

158 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:20

あー、早くみきたん、出てこないかなあ…
でも、アタシはめちゃめちゃ緊張してて。
どうしよう、なんて言えばいいのかなぁ。
「好きです」とかやっぱり言うべきなのかな。
でも言える自信がなかったから、一応手紙を書いてきた。
ちゃんとチョコレート同様、アタシの気持ちをこめまくったから。
みきたんにちゃんと伝わるといいけど…


「あれー?亜弥ちゃん、何してんのー?」
…げっ!こんなときに吉澤先輩…

「別に何でもありませーん」
「あ、もしかして、ウチにチョコくれるつもりだった?
うれしーなぁ。亜弥ちゃんからもらえるなんてー」
「いえ、吉澤先輩にあげるチョコなんてありませんっ」

吉澤先輩は何が楽しいのかニヤニヤしてて。
「そんな強がんなくてもいいってー。
ちゃんと亜弥ちゃんの気持ち大切にするから」
アタシが大切にしてもらいたいのは、みきたんですぅ。

吉澤先輩は、アタシのことを抱きしめてきた。
「もーっ!やめて下さいよぉ!勘違いされるじゃないですかっ!」
でも、吉澤先輩はギュウギュウ抱きしめてきて。

「アレ?よっすぃーと亜弥ちゃんじゃない」
後ろの方から、甲高い声が聞こえてきて、
吉澤先輩はすぐにアタシから腕を離した。

声をした方を見ると、石川先輩がニコニコしてて。
…あっ!その後ろにはみきたん!
ど、どうしよ…一気に緊張してきた。

「あ、あの、石川先輩、一緒に帰りませんか?」
吉澤先輩は、顔を真っ赤にしたまま、石川先輩の方を見てて。

「え?あ、美貴ちゃんと帰ろうと思ってたんだけどー」
「あ、美貴はいいよ。よっちゃんさんに恨まれたくないから、
2人で帰ってよ」

みきたんがサラッと言ってのけると、吉澤先輩、一瞬だけ、
ギロッとみきたんのこと睨んでた。

「そう?じゃあ、よっすぃー、一緒に帰ろっか」
「は、はいっ!ありがとうございます!」
石川先輩と並んで歩き出す吉澤先輩。

へー、あの2人うまくいきそうじゃん。
それにしても、石川先輩はあんな軽い人でホントにいいのかなあ。

159 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:20

「…あ、亜弥ちゃん、1人?」
みきたんが優しいトーンで話しかけてくれたけど、
心の準備が出来てなかったから、思わずビクッとしちゃった。

「は、はいっ!」
「じゃ、一緒に帰ろうか」
みきたんが歩き出したから、アタシはすぐにその隣りに並んだ。

あー、どうしよ。
歩きはじめちゃったら、チョコレート渡すきっかけがなくなっちゃった。
しかもみきたんは、何をしゃべるワケでもなく、
たまにチラチラってアタシのこと見るくらいで。
アタシ、緊張しちゃってて、何しゃべっていいかわかんないし。

そしたら、校門のところで、待ち伏せしてた中等部の子が何人か、
みきたんに近づいてきた。
「藤本先輩!コレどうぞ!」
「あ、あー、ありがと」
「大学行ってからもフットサル応援にいきます。がんばって下さい」
「うん、がんばるね」

とか言って、みきたんはカバンにチョコを入れていった。
あー…アタシがあげるチョコも、たくさんの中の1つでしかないんだろうな…。

駅に向かう途中、信号が赤になって、2人で並んで待ってた。
渡すとしたら、今じゃない!?
よ、よしっ!

160 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:20

「あ、あの、コレ…」
アタシは手に持ってた小さい紙袋をみきたんに差し出した。

「…え?」
「チョコレートケーキ、藤本先輩のために作ったんです…食べて下さい!」
いったん頭を下げてから、みきたんの顔を見たら、キョトンとしてて。

「…美貴のために作ってくれたの?」
「はいっ!藤本先輩だけのために作りました」
勢いで言えてるけど、アタシの顔、真っ赤っ赤だと思う。

「…他の人にあげてないってこと?」
「はい!…ほ、本命だけです…」
本当に恥ずかしくなってきて、勢いもなくなってきちゃった。

みきたんは、目を思いっきり丸くしてて。
「…ありがと」
って、紙袋を受け取ってくれた。

そのあとすぐに、信号が変わったから、歩きはじめて。

どうしよ、言っちゃったぁ。
コクっちゃった…

みきたんはその後も何も言わないで、うつむいたまま歩いてる。
…どうしよ…アタシの気持ち、迷惑だったのかな…

駅が近くなってきたら、
アタシがあげた紙袋を左手に持ったまま、
右肩に下げてるカバンの中を探りだした。

…定期探してるんだ。
もうこのまままっすぐ帰るつもりなんだ。
アタシとなんか長くいたくないってことだよね。

161 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/11/23(水) 16:21

ガックリしてきたところに、
「松浦さんっ!」って声が聞こえた。
そっちの方を見ると、ウチの制服を着た人が駅の方から近づいてきた。
よく、テニス部を見に来てくれてて、アタシにも話しかけてくる2年の先輩だ。

彼女がアタシの前に来ると、
「ちょっといいかな?」って、チラッと挑戦的にみきたんのことを見た。

みきたんは、一瞬キッと睨んだけど、すぐに優しい笑顔になって。
「じゃ、帰るね。亜弥ちゃん、バイバイ」
って、アタシに手を振って行ってしまった。

…はぁ、やっぱ、ダメじゃん。
みきたん、アタシのことなんてどーでもいいってことだよね。
さっき、校門のとこで、チョコあげてた中等部の子とかと同じってことだよね。

呼びとめてきた先輩が、何か話してたけど、アタシは上の空で。
とりあえず、渡された紙袋だけは受け取ったけど。
アタシはそのままフラフラと自分の乗る電車のホームに向かった。

…あー、フラれちゃった…
ふと、涙が込み上げてきた。
ダメダメ。家に着くまではガマンしなくちゃ。
なんとか涙をこばさないようにしながら、
家に着いて自分の部屋に入って、ベッドに倒れ込んで大泣きした。

そりゃ、うまくいくなんて思ってなかったけど。
名前も知らないような中等部の子と、アタシが変わらないっていうことにショック。
むしろ素っ気無かったし。
今まで仲の良い後輩くらいに思ってた子に、マジにコクられて気持ち悪いとか
思われちゃったのかな…
どんなに泣いても泣いても涙が止まらない。
はぁ、明日、目、腫れちゃうんだろうな…
もう、あの占い師さんのウソツキ…
162 名前:サチ 投稿日:2005/11/23(水) 16:30
更新しました。

>>142さん
いつもありがとうございます。
今後のあやみき見えちゃってますか…
甘いベタな展開がスキなものでスミマセン(笑)

>>143さん
ありがとうございます。
ホント、ママティにやられたってカンジなんですが(笑)

>>144さん
いつもありがとうございます。
そうですね、あたたかく見守っていただければと思います(笑)
あやみき、いしよし、それに愛ちゃんとシゲさんも(笑)

>>145さん
ありがとうございます。
一歩後退的な展開ですが、今後はどうなるかはもちろんヒミツです(笑)

>>146さん
ありがとうございます。
書いてる人はもっと変な人なので、大丈夫ですよ(笑)
そうですね、もっと甘ーく書いていけるようにがんばりたいです!


たぶん、あと2、3回くらいで終了しそうな気がします。
まだ書き終わってないので、言い切れませんが…
引き続きよろしくお願いします。
163 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/23(水) 21:34
更新されてるぅ!
てか続き気になるぅ!
美貴たんの返事はどーなるんだろう?
次回も期待して待ってます
164 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/23(水) 21:34
142でした。交信お疲れ様です!

あーーーーー_| ̄|○やっぱりそうきたかぁ・゜・(ノД`)・゜・。
きちんと●●●渡せた亜弥ちゃん、よく頑張った(笑)
初(?)詣での結果通り、上手くいってほしいです!!!!
俺も甘いベタな展開が逆にはまっちゃって(爆)今後も期待してます♪
165 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/11/24(木) 09:07
更新お疲れ様です。甘酸っぱい展開ですねぇ…。ちょっと酸味が強めですが(w
他の4人ももちろんですが、亜弥ちゃんと美貴たんは特に応援してます。
次回、どうなるのか楽しみです。
166 名前:名無し飼育 投稿日:2005/11/24(木) 23:10
更新お疲れ様です
激しく続きが気になります
167 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/25(金) 00:15
やっぱチャラになったかw
イベントはこなせてるのになんだこりゃ!
でも、可愛いなぁ
更新待ってます
168 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/27(日) 21:25
めっちゃ続き気になるんですけどまだですかねぇ?
待ってます
169 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/27(日) 21:30
>>168さん
まだ1週間経ってないですもん。マターリ待ちましょう♪
170 名前:名無し読者 投稿日:2005/11/28(月) 13:57
亜弥ちゃん…忘れちゃダメよーっ・゚・(ノД`;)・゚・笑
いやぁもどかしいですねぇ…甘いくせにっっ!!笑
終わりに近づいてるのは寂しいけど続き楽しみにしてます!!!!頑張ってください☆
171 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/29(火) 02:09
「ほんとの気持ち」からのサチさんのヲタですw
やっぱサチさんの作品は好きだなぁ
もうあまあまにしちゃってください!
更新待ってます!
172 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/03(土) 05:10
更新まだかなぁ?
二人の今後めっちゃ気になるわぁ
173 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:13
『みきたん、だーいすきっ』
『美貴も亜弥ちゃんのことダイスキ!もう離さないからっ』
ギュッって亜弥ちゃんのことを、抱きしめた。

…コレって夢だよなあ。
すごい、シアワセな夢…

夢の中の亜弥ちゃんにギュッとしてもらえて。

…ん?
でも、美貴、昨日、亜弥ちゃんと…

目を開けると、目の前に亜弥ちゃんがいて、
美貴としっかり抱き合ってた。

うん、今のは夢だけど、昨日のことは夢じゃない。
だって、亜弥ちゃんと同じベッドで寝てるし。

「…えへへ…亜弥ちゃん、おはよ」
「あ、おはようございます」

あー、この子とコイビトになれたんだよなあ。
こんなカワイイ子と。
亜弥ちゃんの頭を撫でたら、恥ずかしそうに上目づかいでじっと見つめてきた。

「あのー、藤本先輩がアタシのこと、ベッドまで運んでくれたんですか?」
「…へ?藤本先輩って?」

え?『みきたん』って呼んでくれないの?
…つーか、ベッドに来たこと覚えてないって…

「すみません、アタシ、酔っ払っちゃって」
「…もしかして、全然覚えてないの?」

ま、まさかね…

「はい、藤本先輩がお風呂から出てきたあたりまでは、
何となく覚えてるんですけどー。それ以降はさっぱり」
「…マジで?」

…ガーン…
あそこまでしておいて、まったく覚えてないなんてアリ?
174 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:13
「…あのー、アタシ、何かヘンなことしませんでしたか?」
「…へ?…いや、別に、亜弥ちゃんはヘンなことしてないよ…」

『チューして』って言ったのは亜弥ちゃんだけど、
したのは美貴からだし、その後のことも全部美貴がノリノリだっただけで…

「あ、そうですか」
亜弥ちゃんが、安心したように微笑んでた。

…でもね、美貴とあんなことやこんなことしちゃったんだよ?
…もしかして、美貴とだけじゃなくて、酔っ払うといつものこととか!?

「…亜弥ちゃん、お酒飲むといつも記憶なくすの?」
「いえ、そこまで飲んだことないし、記憶なくしたのもはじめてです」

…それなら、安心だけど…
って、安心じゃねーよ!
これから、オトコと飲みに行ったりすることあったら、間違いなく襲われるじゃん!

「そーなんだ…じゃあ、これからはあんまり飲みすぎない方がいいかもね」
「…はい、気を付けます」

絶対、飲みすぎたらダメだかんね!

…でも、でも、覚えてないなんて…
つーか、酔っ払ってのことだったら、別に相手が美貴じゃなくっても
よかったってことじゃん…
…イヤだよ、美貴は亜弥ちゃんじゃなきゃイヤなのに。

亜弥ちゃんのこと、ギュッと抱きしめた。
「…亜弥ちゃん…」
美貴、亜弥ちゃんのこと、ホンキで好きだよ。

「…な、なんでしょうか?」

…亜弥ちゃん、すごく戸惑ってる。
やっぱり、亜弥ちゃんのスキな相手は、美貴じゃない。

「…ううん、何でもないよ…」
亜弥ちゃんから離れて、ベッドを出た。

「…顔洗って、ゴハンの用意してるわ」
「あ、はい。アタシもすぐ行きます」

亜弥ちゃんは優しくそう言ってくれたけど、
美貴の目には涙が浮かんできて、亜弥ちゃんの顔は見れなかった。

175 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:14

ったく、泣くなよ。
別に面と向かって、フラレたワケじゃないんだし。
洗面所の鏡で、自分の情けない顔を見てあきれてきた。

「はははは…」
美貴、バカもいいとこだよ。
勝手に亜弥ちゃんの好きな人、自分だって思いこんじゃって。
…つーか、最悪。
意識ない子に、あんなキスまでしちゃって。
犯しちゃったみたいなもんじゃん。
…はあ…美貴、めちゃめちゃひどいヤツじゃん。


ぼんやりしてたら、美貴の部屋のドアが開いた音がした。
慌てて、顔を洗った。
亜弥ちゃんとすれ違って、とりあえず、キッチンに向かった。

っていっても、朝ゴハンは昨日、菓子パンとかベーグルとか買ってきたから、
たいした用意もしなくていい。
テーブルに出して、紅茶用にお湯を沸かして。

さすがに、梨華ちゃんとよっちゃんさんは、リビングにはいなかった。
ってことは、2人で並んで寝てるってことだよな。
…昨日だったら、手放しで喜べたのに、今の美貴にとっては、なんだか悔しい。

和室に行ってみたら、2人はそれぞれ別の布団で寝てたものの、
すごく近くで向き合って寝てて。
まるで1つの布団っていってもいいくらいに接近してて。
もしかして、キスくらいはしちゃってんじゃないのー?
一応、美貴もしたけどさあ。
…なんか、また切なくなってきた。


「梨華ちゃん、よっちゃんさん、朝ゴハン、食べるよー!」

梨華ちゃんは、一瞬しかめっ面になってから、うーんと大きく伸びをして、
「あー、おはよー」って言ってきた。

よっちゃんさんは目をパッチリ開いたと思ったら、
隣りに梨華ちゃんがいることを思い出したのか、すぐに顔が真っ赤になってって。

「ゴハン、準備してるから、早めに来てね」
って言うだけ言っておいた。



ゴハン食べながらも、亜弥ちゃんを見ちゃうと、どうも自己嫌悪に陥る。
はぁ…美貴、もう、亜弥ちゃんとちゃんとしゃべれそうもないよ…

176 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:14

重ーい気持ちのまま、北海道へ行った。
別に友達とかがいるワケじゃないし、
本当に家族や親戚の身内だけでノンビリと年末年始を過ごした。

元旦に初詣にも家族と行って。
おみくじ引いたら、なぜか「大吉」。
去年、何引いたか忘れちゃったけど、
きっと、今年はいいことがあるんだよね…
恋愛のことも「思いが叶うでしょう」みたいなことが書いてある。
ホントに叶うのかよぉ…
亜弥ちゃん以外の誰か新しい人が現れて、付き合えるってことなのかな。
それでもいい。
いや、むしろそうなって欲しい。
今の美貴じゃ、亜弥ちゃんと顔を合わせるのもツライもん。


そんなことを考えてたら、メールが届いた。
あ!…亜弥ちゃんからだ。

『あけましておめでとうございます♪
初詣でおみくじひいたら「大吉」でした!
藤本先輩にとってもいい1年でありますように。
今年もよろしくお願いします』

亜弥ちゃんが、笑顔で「大吉」って書かれたおみくじを持ってる。
…ヤバイ、亜弥ちゃん、かわいすぎ。
やっぱ無理だよ、亜弥ちゃんのこと、あきらめるなんてできそうもない。
でも、でも、美貴ってヒドイやつなのに…

散々悩んだけど、返事くらいはしないと、亜弥ちゃんが傷つくと思う。
美貴だって、メールに返事が来ないのはさみしいもん。
だから、無難なメールを返すことにした。
メールっていっても年賀状みたいなもんだよね。
美貴、ここ何年も年賀状とか書いてないし。


『あけましておめでとー。メールありがとね。
実は、美貴も初詣でおみくじを引いたら「大吉」でした♪
今年もよろしく。お互いいい年にしたいね』

美貴も何か写真つけようと思って、
データをいじってたら、北海道に来た初日に、雪がうれしくって、
お父さんのマンションの駐車場でちっちゃい雪だるまを作ったときに、
お母さんに頼んで撮ってもらったのがあった。
年賀状っぽくなるから、コレでいいかな。

177 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:14

そしたら、すぐに返事がきた。

『藤本先輩、こっちに帰ってきたら、一緒に初詣行きませんか?
あ、「初」じゃないですけど(笑)
また2人とも「大吉」出たら本当にいい1年になれそうですよね』

……亜弥ちゃん、美貴って亜弥ちゃんが知らないとこで、
すごいキスとかしちゃったサイテーのヤツなんだよ?
それでもいいの?
そんなヤツと2人で出かけるなんて。

…でも、でももし断ったら、亜弥ちゃん、ホントにショックだよね。
亜弥ちゃんのこと、少しでも喜ばせてあげたい。
どう返事するか、頭を悩ませたけど、とりあえずシンプルに返した。

『美貴でよければ。帰るのは、4日だから。
5日か6日ならいいよ。
そうだね、「大吉」出るといいね』

すぐに、返事がきて、5日に会うことになった。
…自分がOKしたとはいえ、すっごく緊張する。

はあ、亜弥ちゃんと、ちゃんとしゃべれる自信もないのに。

178 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:15

でも、やっぱり、亜弥ちゃんの顔が見たいって気持ちは大きすぎて。
待ち合わせ場所に30分以上も前に着いてしまったくらい。
美貴、寒いの苦手なのに、よくこんな早く来たよなあ。
…しかし、亜弥ちゃんに会ったら、どんな顔したらいいんだろ?
何の話ししたらいいんだろ?

ボンヤリ考えながら、なんとなく顔を上げたら、
亜弥ちゃんがこっちを見ながら歩いてきてた。
美貴と目が合うと、すっごい笑顔になって駆け寄ってきた。
…あー、やっぱり、美貴、亜弥ちゃんのこと、大好きだわ。

「すみません、遅くなってしまって」
「ううん、まだ時間になってないよ。
美貴がちょっとだけ早く来ただけだし。あ、コレ、お土産ね」

一応、北海道に行ってたから、定番の白い恋人を買ってきた。
亜弥ちゃんと「白い恋人」にはなれそうもないけど。
「あー、コレ、大好きです!ありがとうございます」
美貴が大好きなのは、亜弥ちゃんの笑顔だよ。
そう思っても言えるはずもなく。
「じゃいこっか」
って歩き出した。
すぐに亜弥ちゃんも横に並んできた。

…何の話ししようか。
まあ、無難に天気ネタだよなあ。

「しっかし、寒いねー」
北海道ほどじゃなくても、もともと寒いのが苦手な美貴にとって、
冬はホントにツライ季節。

そしたら、亜弥ちゃん、突然、腕を組んできて、ピッタリくっついてきた。
な、なんで、こんなこと…

「…少しはあったかくなりました?」
「…うん…あったかいよ」

…ホントいい子だね。
亜弥ちゃんにこんなことされちゃったら、あったかいどころか、
あっつくなっちゃうくらいだけど。

つい、亜弥ちゃんの唇に目がいってしまう。
また、あのときのことを思い出してしまって…
亜弥ちゃんとまたしたい。すっげーしたい。
はぁ、こういうのを「ムラムラする」っていうんだろうな…

179 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:15

とりあえず、お参りして、約束通り、おみくじを引いた。

「先輩!見て下さい!アタシ、また大吉でした!」
先に引いた亜弥ちゃんがおみくじを見せてくれた。
亜弥ちゃんは何が叶ったらうれしいと思うんだろうね…

美貴も亜弥ちゃんのを見ながらも、自分のを開いた。
「あ、美貴も大吉だ。すごいね、2人ともなんて」
また、恋愛にいいことが書いてある。
コレが、亜弥ちゃんとだったらなあ…

…!!
うわっ、亜弥ちゃんに抱きつかれた!
ど、ど、どうしよ…
コートも着てるし、厚着なのに、はっきりわかる胸の大きさ。
ヤバイって…またムラムラきてんじゃんか。

そのあとも、亜弥ちゃんは寒さ対策なのか、
ずっと美貴の腕をとってて。
美貴は、つい目がいっちゃう唇とか、ちょっとあたってる胸とかに、
変な欲望を押えるのに必死で。
もし、人がいないようなとこだったら、
美貴、亜弥ちゃんのこと、襲っちゃうかもしれない。


その後、亜弥ちゃんが「お茶いきませんか?」って誘ってくれたから、OKしたものの、
向かい合って座って、亜弥ちゃんが笑顔でいろいろ話してくれてるのを見てると、また自己嫌悪。
こんな無邪気な子に、美貴はなんてことしちゃったんだろ…
亜弥ちゃんにとって、美貴はたぶん「優しい先輩」なのに。
本当は、ヒドイ先輩なんだよ?
亜弥ちゃんが知らない間にとんでもないことしちゃってるんだから。

美貴が、あんまりしゃべらないのを察してなのか、
それ以上、誘われることもなく、もちろん美貴から誘うこともなく、
すぐに亜弥ちゃんと別れた。


はあ、どうしたらいいんだよぉ…
…一番いいのは、美貴の気持ちをコクって、
あの夜のことを正直に話すこと。
もし、それでダメならダメでしょうがない。
…しょうがないだけじゃなくて、亜弥ちゃんに軽蔑されるだろうな…
それが一番コワイ。

いっそのこと、美貴自身も、あのときのことを忘れてしまえばいいじゃん。
…って忘れられるワケがない。
あんなに、あんなに気持ちよかったのに。
もう、どうしたらいいのか、全然わかんない。

180 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:15

3学期が始まってからも、亜弥ちゃんはたまにメールをくれる。
必ず返事はするけど、あんまり余計なことは言えないし、
美貴からはメールをする勇気はない。
ホント、ヘタレもいいとこだよ…


その日はフットサルもなく、1人でまっすぐ帰ろうとしたら、
校門のところで、れいなにたまたま会った。

「あ、みきねえ、今、帰りっすか?」
「うん、そう。れいなも?」
「はい」
「じゃ、一緒に帰ろっか」
「はいっ!喜んで!」

駅までの道、れいなは楽しそうにいろいろ話をしてきた。
といっても、亀井ちゃんのことばっかり。

「この前の日曜、絵里と2人で映画見に行ったんっすよ…」
「絵里って、鎖骨触るとエビになるとか言うんですよー。
ウソだぁーって、触ってみたら、まあ確かにエビの体勢にはなってましたけどぉ…」
「あ、コレ、このストラップ、絵里と色違いなんっす。
れいなは水色だけど、絵里はオレンジでぇ…」

…なんか、コレってただ単にノロケ話聞かされてる状態じゃない?
美貴が、このどうしようもない思いで苦しんでるときに、
こんな話聞くの正直ウザイくらいなんだけど…

「…で、で、絵里がー…」
「れいなさ、亀井ちゃんと、どうしてつきあうことになったの?」
「………へ?」
れいなは、思わず立ち止まってキョトンと美貴のことを見てた。

「つきあってるんでしょ?」
「…な、なんで、わかったんっすか!?」
「そりゃー、見てればわかるよ」
「えっ!?マジっすか!?…やばい、周りにもバレとるんかなぁ…」
れいなは顔を真っ赤にして、ガックリとうなだれた。

一応隠してるつもりなんだ。
まあ、美貴は気にして見てたから、気付いたんだと思うけど。
ただ仲いい友達に見えなくもないだろうねえ。

「れいな、時間ある?」
「え?大丈夫ですよ」
「じゃ、おごるからさ、ちょっと、マック寄ってこ」
ウザくもあるけど、あんな風にお互いの気持ちに全く気付いてなかった2人が、
どうして気持ちを伝えあえたのかは知りたい。
もしかしたら、参考になるかもしれない。
れいなの手を引っ張って、駅前のマックに入った。
181 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:15

「…へー、亀井ちゃん、れいなのこと、ずっと好きだったんだあ」
「ハイ、れいなは、絵里のことじたい全然知らんかったんですけど」

れいなに助けてもらって、会ったそのときに恋に堕ちてしまった亀井ちゃん。
でも、れいなはそんなことは知りもしなかったし、
バレンタインに下駄箱に入っていたチョコレートも知らない子からだと、
ホワイトデーにお返しもしなくて。
2年になって、同じクラスになって亀井ちゃん、ホントうれしかったんだろーな。
亀井ちゃんの相談を受けてたシゲさんも協力してくれて、れいなと仲良くなれて。

「れいな、絵里は、みきねえのことを好いとーと思っとって」
「へ?美貴のことを?」

れいなも、亀井ちゃんのかわいさが段々気になっていっちゃって。
たぶん、好きな人に接するときって、余計にかわいくなるんだろうな。
でも、れいなは勘違いしてて、亀井ちゃんは美貴のことが好きなんだって思いこんでたみたい。


「だから、バレンタインで、1年前と同じチョコをもらわんかったら、
ずっと気付かんままやったと思います」
「…ほー」

きっかけはバレンタインかあ。
美貴も一応、毎年、仲の良い友達とかにはあげてる。
今だったら、フットサルのメンバーと監督と、あとは、れいなとガキさん。
でも、手作りとか面倒だから、安い市販のヤツなんだけど。
まあ、要は気持ちだからね。

よく考えたら、美貴は今まで、そういう本命チョコをあげたことがない。
もうすぐバレンタインだし、亜弥ちゃんに本命チョコあげてみてもいいのかも。
それで、もしOKだったら、あの日のこと笑って話せるかもしれない。
…ダメだったら、あの日のことは美貴の心にしまっておこう。
そう、美貴、もうすぐ卒業だし。
ココの大学いくっていっても、中等部・高等部と大学は違うとこにあるから、
顔合わせることもないし。
もし、亜弥ちゃんがウチの大学に進むとしても、再来年でしょ。
その頃には、美貴にも違う相手がいるかもしれないし、
亜弥ちゃんも誰かしらと付き合ってるだろうし。
きっと忘れることもできてるよ、うん。
よーし、ダメもとで、バレンタインでがんばってみるか!

182 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:16

っていっても、手作りをするほど張り切るのも何だか恥ずかしすぎる。
んー、ココはちょっと高いチョコとか買っちゃって、他の人と差つけるか。

他の人は200円くらいだけど、
亜弥ちゃんには2000円くらいのヤツを買った。
よしよし。
メッセージカードとかつけた方がいいのかな…でも、それも照れ臭い。
何書いていいかわかんないし。

それに学校で渡すのは、誰かに見られちゃったりしたら、ホント恥ずかしい。
他の友達と同じようなつもりで渡したら、亜弥ちゃんにあげる意味がない。
ちゃんと美貴の気持ちを伝えないといけないし。
学校を出てから、亜弥ちゃんに連絡してみよう。
もし、亜弥ちゃんが帰ってたら、亜弥ちゃんの家の方まで行ってもいいし。



バレンタイン当日。
ま、美貴はそれなりにモテるんで、
朝とか、休み時間とかいろんな人が来てチョコをもらった。
…亜弥ちゃんが来ることはなかったけど。
美貴も昼休みには、フットサルの子とかに配りに行った。
ガキさんとれいなも来てくれたから、2人には美貴からも渡したし。

放課後も、掃除してたら、何人かチョコを渡しにきてくれた。
ま、あんまりノンビリもしてらんないなと思って、
掃除が終わってすぐに1人で帰ろうとしたら、
「美貴ちゃーん、一緒に帰ろう」
って梨華ちゃんが声をかけてきた。
ま、どうせ、駅までだけだろうしいいかと思って、OK。

2人で下駄箱に向かったら、前方に見慣れた2人…よっちゃんさんと…亜弥ちゃん!
しかも、またよっちゃんさんが、亜弥ちゃんのこと抱きしめてて。
…アイツ、マジで一度シメておきたい。

「もーっ!やめて下さいよぉ!勘違いされるじゃないですかっ!」
亜弥ちゃんの声がしたから、梨華ちゃんがそっちに気付いて。

「アレ?よっすぃーと亜弥ちゃんじゃない」

よっちゃんさんは、慌てて亜弥ちゃんから腕を離して。
真っ赤な顔をして、梨華ちゃんを見てた。

背中を向けてた亜弥ちゃんも振り返ってこっちを見た。
…はぁ、やっぱかわいいなあ、亜弥ちゃんは。

183 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:16

「あ、あの、石川先輩、一緒に帰りませんか?」
ぬわにーっ!
よっちゃんさん、何気にヤルじゃんか!

「え?あ、美貴ちゃんと帰ろうと思ってたんだけどー」
いや、別にいいし。
むしろ、亜弥ちゃんと帰れるなら帰りたいし。

「あ、美貴はいいよ。よっちゃんさんに恨まれたくないから、
2人で帰ってよ」

よっちゃんさんが『余計なこと言うな』って視線を送ってきたけど、気にしない。
だって、ホントのことだもん。

「そう?じゃあ、よっすぃー、一緒に帰ろっか」
「は、はいっ!ありがとうございます!」
よっちゃんさん、うれしそうに梨華ちゃんの隣りに並んで。
実は梨華ちゃんにチョコ用意してきたりすんのかな?
何気に乙女だしな、よっちゃんさん。

おっと、それより、美貴は自分のこと、心配しないと。
亜弥ちゃんを見たら、ボンヤリ梨華ちゃんとよっちゃんさんのこと見てて。
『うらやましいなあ』とか思ってんのかなあ。
もし、もし、美貴でよければ、いくらでも、一緒に帰ったりするのに。

「…あ、亜弥ちゃん、1人?」
「は、はいっ!」
亜弥ちゃん、すごくビックリしてた。
…なんか、美貴、亜弥ちゃんにやっぱり恐がられてるのかなあ。
今更だけど、そんな気もしてきた。

「じゃ、一緒に帰ろうか」
なるべく優しく言って、ゆっくり歩き出したら、
亜弥ちゃんがすぐに隣りに並んでくれて。

184 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:16

あー、どうしよ。
亜弥ちゃんに、チョコあげるとしても、学校から離れたとこの方がいいよな。
駅の近くに行ったら渡そう。
それなら、まだ人に見られる心配もないだろうし。

っていうか、今、手とか握っちゃってもいいかなあ。
ほら、初詣行ったときは、亜弥ちゃんから腕組んでくれたんだし。
亜弥ちゃんをチラッと見ると、無意識に唇に目がいってしまった。
はぁ…また、クリスマスのときのことを思い出して、罪悪感感じる…

…あー、しっかし、どーしよ。
でも、今日は絶対にチョコ渡さなきゃ。
何て言って渡そうかな…
つーか、『好き』とか言わなきゃいけないんだよね…
…うわーっ、緊張してきたんだけど!


美貴が頭ん中で、シュミレーションしようとしたら、
校門のところにいた中等部の子たちが何人かキャッキャッ言いながら、美貴に近づいてきた。

「藤本先輩!コレどうぞ!」
「あ、あー、ありがと」
「大学行ってからもフットサル応援にいきます。がんばって下さい」
「うん、がんばるね」

正直、あなたたちとゆっくり話してる余裕なんてないし。
とりあえず受け取って自分のカバンに放りこんだ。


うー、どうしよ。
『亜弥ちゃんのこと、はじめて見たときから好きだった』
…なんか重いよなあ。
もっと軽くでいいか。
『亜弥ちゃん、好きなんだけどー。美貴と付き合わない?』
このくらいの方がいいかな。
もし、イヤな顔されても、
『冗談、冗談』で済ませられそうだし。
よし、コレでいこう。

185 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:16

信号が赤になったから、2人で並んで待ってた。
よし、この信号渡って少し歩いたら、亜弥ちゃんにチョコ渡すぞ。
うん、今のうち、深呼吸とかしてリラックスしておこう。

「あ、あの、コレ…」

亜弥ちゃんの声が聞こえてきて、そっちを見ると、
手に持ってた紙袋を美貴の前に出してきた。

「…え?」
「チョコレートケーキ、藤本先輩のために作ったんです…食べて下さい!」
亜弥ちゃんが頭を下げてきた。
…つーか、今、『藤本先輩のために作った』って言ったよね?
聞き間違えてないよね?

「…美貴のために作ってくれたの?」
「はいっ!藤本先輩だけのために作りました」
美貴だけのためって…ソレってソレって…

「…他の人にあげてないってこと?」
「はい!…ほ、本命だけです…」

……本命!?
美貴が、亜弥ちゃんの本命なの!?
亜弥ちゃん、顔真っ赤にしてうつむいて、
美貴のことを上目づかいで見つめてくる。

そのカワイイ顔にもやられちゃってるけど、
さっきの亜弥ちゃんの言葉、『本命』って…

「…ありがと」
とりあえず、目の前の紙袋を受け取った。

そしたら、信号が変わったから、そのまま歩き出した。


…『本命』って、その人のことが好き、一番好きってことでいいんだよね?
美貴、バカだけど、ソコは間違ってないよね?

186 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:17

…えっと、えっと、美貴、何かやらなきゃいけなかったよね?
あ、あー、亜弥ちゃんにチョコあげるんだった。
えっとー、チョコはどこだったっけ?
あ、カバンに入れてきたはず。

カバンの中を見たけど、
もらったチョコもいっぱい入ってて、どれがどれだかわかんなくなってきて。
あれー、確か黄色い袋でー…

美貴が必死で探してたら、
「松浦さんっ!」って声が聞こえた。

声のした方を見ると、ウチの制服を着た子。
どっかで見たことあると思ったら、
テニス部を見に行ったときに、見学に来てた亜弥ちゃんファンの子だ。

その子が亜弥ちゃんのところに来ると、
「ちょっといいかな?」って亜弥ちゃんに言うと、すぐに美貴のことをチラッと見てきた。

なんだあ!?
…ふん、でもいいもん。
亜弥ちゃんの本命は美貴なんだから。
ま、亜弥ちゃんと話すくらいは許してやるよ。
そのくらい大きな心持ってないとね。
せいぜい、頑張って。
どうせチョコ渡すだけなんだろうし。

「じゃ、帰るね。亜弥ちゃん、バイバイ」
って、手を振った。

亜弥ちゃんはすごくさみしそうな顔になったけど、
大丈夫、亜弥ちゃんの気持ち、ちゃんと受け取ったし、
美貴の気持ちはちゃんと亜弥ちゃんに向いてるし。



えへ、えへへへ…
電車ん中だってのに、どうしても、ニヤニヤがおさまらない。
美貴の左手には、さっき亜弥ちゃんから受け取った紙袋。
しかも中には手紙らしきものも入ってる。
すぐにでも開けたい気分だけど、家に帰ってから、じっくりと読みたい。
もっとニヤニヤしちゃいそうだし。

美貴が用意してきたチョコレート、渡しそびれちゃったけど、
亜弥ちゃんからもらえたから全然OK。
むしろ、ホワイトデーに力入れて、何かすごいお返ししてあげよう。

187 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:17

駅から家までいつもの2倍のスピードで歩いて。
寒いってのに、家についたら少し汗かいてたくらいで。
すぐにでも、亜弥ちゃんの手紙を読みたいけど、
何だかもったない気もして、とりあえず、部屋の机の上に、
チョコが入っているだろう白い箱と、
『藤本先輩へ』ってかわいい字で書かれたピンクの封筒を並べてみた。
ヤバイ、見てるだけなのに、かなりニヤニヤしてる。

制服から部屋着に着替えた後も、しばらく机の上をながめてた。
でも、いい加減、中身を見ないと…
いやいや、その前に、一応他の子たちからもらったのを見ておくか。

まあ、いろんなチョコも手紙もあるけど、どれも印象に残らないワケで。
他のを見ながらも、白い箱とピンクの封筒に神経がいっちゃってて。

手作りっぽいのは、早く食べなきゃいけないんだろうけど、
お母さんと、あとはマンションの同じフロアの子とかにあげるか。
全部食べきるのなんて実際無理だもん。
市販のヤツだったら賞味期限まで大丈夫だけどさあ。
つーか、悪いけど、美貴はこの机の上にあるのだけで充分すぎるから。
とりあえず、全部に目を通した…1つを除いて。

いよいよ、メインイベント…
まずは、白い箱を開けてみる。

「うわっ…超うまそう!」
開けたら、まるで売り物みたく、上にココアパウダーがのってるチョコレートケーキ。
ホールで作ったんだろうけど、さすがに美貴1人じゃ食べれないと思ったのか、
小さめの2ピースが入ってて。

すっげー、亜弥ちゃん、料理とか、うまいんだ。
『藤本先輩だけのために作りました』って亜弥ちゃんの言葉がよみがえってくる。
コレ、美貴のことを考えながら作ってくれたんだよね…
なんかもったいなくて食べれないよ…
でも、心から「おいしかったよ」って言ってあげたいし。
だから、スプーンを持ってきて、意を決して一口食べてみた。

…!!…マジでうまいんだけど!
甘すぎないし、ちょっとビターなカンジがちょうどよくってすごくおいしい。
亜弥ちゃんの愛情がこもってるから余計においしいんだよね。
うぅ…美貴、シアワセ…
一口だけでおさまらず、あっという間に1ピース、たいらげてしまった。
もう1つは、夕飯の後に食べようっと。

188 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:17

さてさて、今度はピンクの封筒を手に取る。
ふぅ…なんか緊張すんなあ。
大丈夫大丈夫、亜弥ちゃん、美貴が本命だって言ってくれたんだし、
美貴が落ちこむような内容じゃないはず!

思いきって、封筒を開けて、中から便箋を取り出した。

『藤本先輩へ

先輩、いつもメールとかありがとうございます。
メールじゃなくて、手紙だとなんだか恥ずかしいですけど、
手紙だからこそいつも言えないこと、書いちゃいます♪
私が先輩のことを知ったのは、秋のフットサルの試合のときでした。
すっごくかっこよくて、かわいくて…藤本先輩のことばっかり見てました。
実際お話ししても、優しいし、面白いし。
すぐに藤本先輩のこと、スキになっちゃいました(はあと)。
だから、一緒にカラオケ行ったときも、クリスマスにおうちに誘ってくれたときも、本当にうれしかったんです。
最初は緊張しちゃって、あんまりうまくしゃべれなかったけど、
先輩のこといろいろ知っていくうちに、どんどんスキになっている気がします。
もし、よければ、先輩が卒業してからも、
メールとか電話とか、一緒に遊んでくれたりとかしてくれませんか?
たまーにでいいですから。迷惑じゃなければぜひお願いします。
では、大学行ってもフットサルも勉強もがんばって下さいね!
                             松浦亜弥」


………亜弥ちゃん……
…ヤバイ、ヤバすぎるって!
すげー、今思いっきり叫びたいくらい!

さずがに、叫ぶのはガマンして、ベッドにダイブして、亜弥ちゃんの手紙、
何十回も読み直した。
…亜弥ちゃん、最初っから、美貴のことがスキだったなんて!
シアワセすぎて、頭ん中、おかしくなりそう。

手紙を抱きしめて、ベッドでのたうちまわってたら、携帯が鳴った。
あ、よっちゃんさんだ。

189 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:17

「はーい♪」
『ミキティ!…言っちゃったよぉ、ついに』
「はいはい、何言ったの?」
内容がなくても、明らかに梨華ちゃんのことだってわかる。
どうせ、チョコあげてコクったとこなんでしょ。

『さっきさ、石川先輩にチョコあげた』
「うん」
『「付き合って下さい」って言った』
「おぉっ!梨華ちゃん何て?」
よっちゃんさん、ヤルときゃヤルねえ

『…何にも言ってくれなかった』
「へ?」
『だから「卒業式に返事くれればいいです」って言っちゃった』

よっちゃんさん、優しいんだか、弱気なんだか。

『そしたら、「わかった。卒業式のときにちゃんと返事するから」って言ってくれた』
「ふーん…よかったのかよくないのかよくわかんないけど」
梨華ちゃんもなあ、どうせまだ前の人ひきずってるだけでしょ。
いい加減、忘れられないのかなあ。

『まあ、石川先輩としゃべるどころか、ここまで仲良くなれると思ってなかったから。
ミキティのおかげだよ』
「いやいや、美貴は大したことしてないし」
『5年間思い続けてて、卒業式でケジメがつけられて、ちょうどいいのかもしんない』
「へ?5年間!?」

どうやら、よっちゃんさんは、中等部に入学した翌日、
テニス部の勧誘をしていた梨華ちゃんに一目ボレをしちゃったらしい。
フットサル部に入るつもりでこの学校に来たのに、
一瞬テニス部に入ろうかと思ったくらいに。


『付き合うとかそんなこと考えたこともなかったんだけど』

自分にとって手の届かない存在だと思ってたから、
遠くから見てるだけでよかったとか。
フットサル部とテニス部は練習日が基本同じだし、部活の見学はできなかったから、
部活のない日に学校帰りに校門とか下駄箱で待ち伏せして。
でも、梨華ちゃんの姿を見ることもあと1年しかないと思うと名残惜しいというか、もったいない気がして、
高等部2年になってからは、フットサル部が終わってからも、
テニス部の見学にしょっちゅう行ってたらしい。

190 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:18
「そういえば、亜弥ちゃんにいっつも絡んでたんでしょ?」
そんなことを梨華ちゃん言ってたし。

『あー、亜弥ちゃんはね、ウチのこと好きにならないだろうなって思ったから。
直感だけどね。だから、悪いけどカモフラージュに使わせてもらった』

モテモテよっちゃんさん、いろんな人にあまーい言葉を言うけど、
亜弥ちゃんには必要以上に迫ってる気がしてた。
それって、逆に『この子なら、自分のこと好きにならない』って変な自信があったからみたい。
確かに、普通の子だったら、あそこまでやられちゃったら、
よっちゃんさんに惚れちゃうだろうね。
テニス部にそれだけ見学に行ってたら、周りには誰か目的の人がいると思われちゃうだろうし。
ったく、亜弥ちゃんが、ホントによっちゃんさんのこと好きにならなくてよかったよ。

『で、ミキティ、亜弥ちゃんからチョコもらったんでしょ?』
「…はっ!?見てたの?」

いつの間に!そういえば、あのときテンパってて周り確認してなかった…

『いや、違うけどー。亜弥ちゃん、絶対、ミキティのこと好きだもん。
見てたらわかるよ。他の人に対してと態度違いすぎ』

…美貴本人は気付いてなかったのに…
どうやら、亜弥ちゃんが美貴のことを見る目が違うらしい。
いつも以上にかわいくなっちゃうとか。

『クリスマスんとき、亜弥ちゃんに何か言われたんじゃないの?』
「へっ!?」

翌朝、なんだか気まずい雰囲気になってる亜弥ちゃんと美貴の様子にも気付いてたらしい。
よっちゃんさん、結構ちゃんと見てるんだなあ。
自分のことで精一杯なんだと思ってたけど。
191 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:19
『亜弥ちゃん、いい子だしさ、ミキティとなら、お似合いだと思うんだけどなあ』
「…そうかな?」
『でも、2人が付き合ったら、亜弥ちゃんにベタベタできなくなっちゃうかなあ。
ミキティ、怒ったら、ホントにこわいもん』
「そんくらいで怒んないよ」
『ふーん。そういえば、ミキティは好きな人にチョコあげたの?』
「は?なにそれ?」
『ミキティ、好きな人いるんでしょ』

あ、あー、前にそんな話し聞かれたときに、ヘンなリアクションしちゃったから、覚えてたか。

「…まあ、美貴のことはいいからさ、よっちゃんさん、がんばんなって。
美貴もそれとなく梨華ちゃんにプッシュしとくから」
『あ、うん。あんがと。ミキティもがんばってよ』

なぜか、よっちゃんさんに励まされてるし。
まあ、亜弥ちゃんが美貴のこと、好きだってのは、
他の人が見てもわかるくらいだったんだ。
へへ、なんか余計に自信ついちゃったな。
192 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:19

あ、梨華ちゃんに電話しとくか。
一応、よっちゃんさんにコクられて、どう思ってんのか確認しとかなきゃだし。
よっちゃんさんの5年間の思い、梨華ちゃんの失恋…
あの2人にこそ、付き合って欲しいと思うからさ。


『あ、美貴ちゃん?』
「うん。今、どこ?家?」
『うん、そう。ちょうどね、美貴ちゃんに電話しようと思ってたとこなの』
「へー?何で?」
『うん、今日、よっすぃーに「付き合って」って言われちゃった』
「…で、梨華ちゃんはどうすんの?」
『うーん、正直、すごく悩んでる』


もちろん、よっちゃんさんのことがイヤなわけじゃない。
仲良くなるにつれて、かっこいいだけじゃなくて、面白くて、
優しいってこともよくわかったし。

『…実はね、昨日、あの人から電話があったの』
「えっ!?」

あの人っていうのは、梨華ちゃんが夏まで付き合ってて、フラれちゃった人。
実は、梨華ちゃんが中等部のときに、教育実習で来てた卒業生、つまり女の人。

『今年の秋くらいに結婚するんだって』
「ええっ!?」

ってことは、男の恋人ができて、もうその人と一生一緒に過ごすだろうワケで。

『すごくビックリはしたけど、実はそんなにショックでもなかったの』

彼女がすごく幸せそうな声をしてたというのもあるし、
そうやってキチンと梨華ちゃんに電話してきてくれたこと、
それに、逆に新しい『彼女』ができたっていうんだったら、
梨華ちゃんの気持ちはもっと複雑だったと思う。
でも、彼女がそういう道を選んでくれたから、
スッパリあきらめがつきそうだと感じたみたい。

193 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:19

『それにね、今日、よっすぃーの顔見たら、なんだかすごくホッとしちゃって』

彼女からの電話を切ったあとも、なぜかよっちゃんさんのことを思い出して、
すごく会いたいと思ったらしい。
でも、そんな都合のいい自分がイヤに思えて、
とりあえず、美貴に相談しようと、今日一緒に帰ろうって誘ったとか。
よっちゃんさんに偶然会えて、すごくうれしくて、なんか心が安らいだらしい。
ま、たぶん、よっちゃんさんは待ち伏せしてたんだろうけどね。

『私、よっすぃーのこと、好きになってるのかなあ?』
「好きになってるかはわかんないけど、
少なくとも気になってるでしょ。会えてうれしいなんて」
『うん。今日もバイバイしたあと、なんかさみしかったし』
「んー、ソレってもう好きだよ、きっと」
『でもね、前の人がダメだったから、はい次、みたいな自分がイヤなの』
「そんなこと気にしなくてもいいんじゃないの?
それが素直な気持ちだったら」
『うーん、そうなんだけどぉ…』

梨華ちゃんは、ホントに真面目だから、そういう自分が許せないみたいで。

『よっすぃーには、卒業式に返事するって言っちゃったし』
「じゃ、逆にさ、ちょっと時間あるんだから、
それまでに、梨華ちゃんの気持ちを少しでも固めてったらいいんじゃない?
で、卒業式のときに、そのときの自分の気持ちを正直に言ったらいいと思うよ。
前の人の話もキチンとしてあげてさ」
『…うん、そうだね。中途半端なままでも伝えた方がいいよね』
「うん、よっちゃんさんがそれでもいいっていうなら付き合ったらいいし」
ま、たぶん、よっちゃんさんなら、梨華ちゃんの全てを受け入れてくれそうだよ。
だって、5年間好きだったんだよ?
梨華ちゃんの気持ちが完全に自分に向いてくれるんなら、
何年かかっても待てると思うよ。

194 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/03(土) 18:20

はあ、いいねえ。
梨華ちゃんもよっちゃんさんもがんばれ!
美貴もちゃんと亜弥ちゃんに気持ち伝えないと。
それで、ちゃんと美貴から交際を申し込もう。

…でも、クリスマスの夜のこと、どうしよう。
やっぱり話すべきだよね。
だって、これを秘密にしてたら、美貴は常に後ろめたい気持ちを持ったままだし。
付き合って最初のチューとかなんか複雑じゃん。
亜弥ちゃんの気持ちからしたら初めてなのに、美貴からしたらそうじゃなくて。
うん、やっぱり正直に言わなくちゃ。
それで、亜弥ちゃんに嫌われたら…イヤだけど、なんとか理解してもらわなきゃ。
隠し事してるのなんてもっとイヤだもん。

じゃ、明日の帰り誘ってみよっかな。
うん、早い方がいいし。
メールしよっと。

『亜弥ちゃんのチョコレートケーキ、超おいしかったよ!
ホントありがと。
手紙もすごくうれしかったよ。
で、明日なんだけど、よかったら一緒に帰ろう』


…メールをしたものの全然返事が来ない。

んー、ごはん食べてるときは携帯を近くに置いてないとか、
お風呂とかかもしれない。
じゃ、美貴もゴハンでも食べよっかなあ。

しっかし、ゴハンを食べてもお風呂に入っても、メールの返事がない。
…まさか、さっき駅で声かけられてたウチの生徒と一緒にいるとかじゃないよね!?
い、いやいや、本命は美貴だって言ってたし、そんなはずはない。

…でも、ちょっと心配。
思いきって電話もしてみたけど、出てくれない。
どう考えても寝るには早い時間だしなあ。
電話しても出てくれないなんて、寝てるとは思えないし。

ってことは出られない状況。
やっぱり、さっきのヤツと一緒とか…?
イヤだよ、亜弥ちゃん。
美貴だけの亜弥ちゃんでいてよ…

195 名前:サチ 投稿日:2005/12/03(土) 18:32
更新しました。
たくさんのレスありがとうございます!

>>163さん
ありがとうございます。
まだみきたんは返事できてない状態ですが…(笑)

>>164さん
いつもありがとうございます。
またまたベタな展開ですが(笑)
はまっていただくなんて…それほどでもないので申し訳ないです。

>>165さん
いつもありがとうございます。
今回は、いしよし、れなえりもさりげなく登場してます(笑)
はい、みきたん、がんばって欲しいですね(笑)

>>166さん
ありがとうございます。
視点変えただけなので、話はすすんでなくて申し訳ありません(笑)

>>167さん
ありがとうございます。
テレティなのが、先に進まない理由でしょうか(笑)

>>168さん
お待たせしてしまって本当に申し訳ありません!

>>169さん
お気遣い、どうもありがとうございます♪
マイペースなので、助かります。

>>170さん
ありがとうございます。
本当にベタな展開で申し訳ないくらいですが(笑)

>>171さん
ありがとうございます。
私のヲタなんて…奇特なお方です(笑)恐縮でございます…
基本甘いのしか書けないと思うので、引き続きよろしくです♪

>>172さん
お待たせしてしまってすみません!
196 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/03(土) 19:20
うがー!じれったいけど病みつきですよ!
藤本さんもよっすぃーも頑張れ!
197 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/04(日) 00:25
交信待ってましたーーーー!!!
164でした^^

あー。甘いのかじれったいのかすごーく分からないくらい、大好きです!((謎
次回も楽しみにまってます♪
亜弥ちゃん、よく頑張った(´∀`)皆頑張れー!!!
198 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/04(日) 03:39
更新乙です!
いやぁーーーやばい!!
めちゃめちゃハマってます
美貴ちゃん勇気を出して頑張れ!
亜弥ちゃんも頑張れ!
っていうか両思いなんだってばーー(//o//*)
次回も期待しまくりで待ってます
199 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/12/04(日) 12:15
更新お疲れ様です。亜弥ちゃんには他の人の十倍もするのを買ってあげるみきたん、ナイスです(w
いしよしのほうは前進してますが、主役の二人はなかなかじれったいなあ……。でもそれがまたいい。
次回も楽しみにしてます。
200 名前:名無し飼育 投稿日:2005/12/04(日) 23:08
更新お疲れ様です
悶えるような癒しをありがとうございます
201 名前:そーせき 投稿日:2005/12/07(水) 22:41
ショックです・・・自己嫌悪です。
今日まで、このスレを知らなかったなんて。
ずっとサチさんの小説のファンだったのに・・・。
これまで無駄にした時間を取り戻すべく、どっぷりハマらせていただきます!
202 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/10(土) 09:36
めちゃくちゃおもしろいしぃ!
更新待ってますよぉ☆
203 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 03:58
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
204 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/16(金) 23:54
うわぁーー!
更新まだぁーー!
205 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/18(日) 00:34
き、きになるよー!
206 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/20(火) 17:42
気になるんですけど
207 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/21(水) 00:08
さげてね。
208 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:52
みきたんにふられちゃったバレンタインの日、
あたしは、学校から帰って自分の部屋にこもって泣き続けた。
ママがゴハンのとき呼びに来てくれたけど、いらないってずっと泣いてた。
心配そうにしてくれてたけど、バレンタインに泣いてるなんて、
失恋しちゃったとしか思えないよね。
ママはそのままそっとしておいてくれて。
アタシは、制服のジャケットを脱いだだけで、そのままベッドに突っ伏して、
泣きながら寝てしまって、次の朝を迎えた。

あー、まぶたが重い。
絶対、今日のアタシかわいくない。

でも、いくら落ちこんでも学校には行かなきゃいけないし、
お腹もやっぱりすいてるから、朝ゴハンを食べた。

ママはとくに昨日のことには触れなかったけど、
アイスノンを渡してくれて、
「コレで少しでも目冷やしておいたら?」って言ってくれた。
ありがとね、ママ。

時間ギリギリまで部屋で目を冷やしてたかったから、
駅までは走って、電車に飛び乗った。
電車もいつもよりもちょっと遅いのにしたから、すごく混んでる。

駅に着いて歩きはじめたものの、足取りは重い…
はあ、みきたんに会いたいけど、会うのがコワイ。

「亜弥ちゃん、おはよー」
愛ちゃんがやってきて、アタシの肩をポンと叩いた。

「あ、愛ちゃん、おはよ」
「ん?何か目腫れてない?」
「うん、ちょっとね…」
「え?藤本先輩と何かあったの?」

うん、聞いてもらえば、少しはスッキリするかもしれない…
「…ん、昨日ね…」

209 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:52
「高橋センパーイっ!!」
ってかわいい声が聞こえたと思ったら、愛ちゃんの背中に抱きついてきた道重ちゃん。
「お、さゆ、おはよ」
愛ちゃんが、顔を後ろに向けてニッコリ微笑むと、
道重ちゃんも本当にうれしそうに微笑んで。

「ハイ、おはようございますっ!松浦先輩もおはようございますっ!」
「あ、お、おはよー」
…せっかく、愛ちゃんに、アタシの話し聞いてもらおうと思ったのに。
こんなラブラブを見せつけられちゃったら、失恋話しなんてできそうもない。

「あ、アタシ、先行くねー」
いつの間にか、手を繋いでる愛ちゃんと道重ちゃんを置いて、
アタシはちょっと急ぎ足で学校に向かった。

教室に行くと、こんちゃんがニコニコと手を振ってきた。
「亜弥ちゃん、おはよー」
「おはよー」
自分の席に向かうとこんちゃんがやってきた。

「昨日の愛ちゃんのメール、ビックリしたよねえ」
「え?メール?見てない」
そうだ、昨日、携帯、カバンに入れたまま、寝ちゃってたから、
全然メールとかチェックしてなかった。
カバンから携帯を出して、画面を見る。

「あれ?亜弥ちゃん、目、どうしたの?」
「聞いてよ、昨日ねえ………えっ!?」
わあっ!昨日着信したメールの中にみきたんのメールが!

『亜弥ちゃんのチョコレートケーキ、超おいしかったよ!
ホントありがと。
手紙もすごくうれしかったよ。
で、明日なんだけど、よかったら一緒に帰ろう』

「帰る!!」
「え?亜弥ちゃん、まだ学校来たばっかだよ」

よかったー、誘ってくれたってことは、
嫌われてはいないよね?
しかも次の日に誘ってくれるなんて。

210 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:53

「あ、愛ちゃん、おはよー」
「おはよー」
やっと教室にやってきた愛ちゃん、朝から道重ちゃんと会えたからか、
もう顔がデレデレなカンジで。

「もー、昨日のメール、ホントびっくりしたんだからー」
「でへへ、ごめんよぉ」

あ、愛ちゃんのメールって、何だったんだろ?

愛ちゃんからのメールを見てみると、写真が添付されてて、
道重ちゃんのことを後ろから抱きしめてる愛ちゃんの写真。
道重ちゃんはちょっと振り返ってうっとりと愛ちゃんのことを見てて。
肩から上だけど、明らかに2人は裸。

「何、このエロい写真!」
「いやー、一応、昨日の報告」
「報告って単なるノロケじゃん!」
「まーまー。で、亜弥ちゃん、昨日、藤本先輩と何があったの?」
「へ?あ、みきたんに返事しないと!!」

アタシは、慌ててみきたんにメールした。
『返事遅くなってすみません!
昨日は疲れて早く寝ちゃって。
携帯もカバンに入れっぱなしで気付きませんでした。
はい、今日、ぜひ一緒に帰りましょう。
下駄箱のところで待ってますね』

そしたら、すぐに返事が来た。
『うん。じゃあとで。楽しみにしてるね♪』
って。
わー…よかったあ!
今日はみきたんとデートだぁ!
アタシの方がずっとずっと楽しみだし♪

211 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:53

そわそわしながら、もう今日は授業どころじゃなくって。
帰りのHRが終わってすぐに、教室を飛び出した。

トイレで鏡を見て、髪をとかしたりした。
あー、もう、昨日のうちにメール見ておけば、
こんなに泣かなくってすんだのに。
まだ目、少し腫れてるし。
それに、もっとツメとかお手入れしてきたのに…

下駄箱に行ったら、みきたんはすでに来ていて。
「お、亜弥ちゃん」
ってニコッと手を振ってくれた。

「すみません、遅くなって」
「いや、美貴もさっき来たばっかだよ」

靴に履き替えて、並んで歩き出す。
あー、みきたんの隣りにいられるなんてシアワセ。

「…あのさ…」
「は、はい?」

みきたん、アタシの顔をチラッと見ると、何だか照れたように前を向いて。

「…手、繋いでもいい?」
「…え?」
そんなの、当たり前じゃないですかあ!
だって、みきたんだもん。アタシの好きな人だもん。

アタシは自分から、みきたんの手をとって、ニッコリすると、
みきたんもうれしそうに笑ってくれた。

「寒いよね」
って、みきたん、手つないだままで、
自分のコートのポケットにアタシの手も一緒に入れてくれた。

うわぁ、すっごいうれしい。
みきたん、微笑みながら鼻をポリポリかいてて。
かわいいなぁ…

「あ、あー、あのケーキ、ホントおいしかったよ。
すごいね、亜弥ちゃん、あんなの作れるなんて」
「いえ、すごくないんてないですよ!
あ、あの、藤本先輩に喜んでもらえたらって思っただけで…
だったら、また作ってきます!」
「え?ホント?いいの?」
「はいっ!ケーキ以外でも、何でもリクエストして下さい」
「うーん、そうだなあ、なんか考えておくね」
「はいっ!待ってます」

にゃはは、うれしいなあ。
みきたんのためなら、すっごいの作っちゃうんだから。

212 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:55
歩きながら、道端に転がってる石を蹴りはじめるみきたん。
はあ、みきたんのフットサルやってるとこ、早く見たいなあ。

「あ、そうだ。3月のはじめの日曜にさ、
フットサルの試合あるんだ。亜弥ちゃん、見に来れる?」
「はいっ!もちろんですっ」

みきたんのためなら、何があっても最優先!

何でも、ウチの学校のライバル校のカレッツア学園の3年生たちが
試合を申し込んできたらしい。
だから、今回は卒業する3年生たちをメインにしたチーム編成。
お互い、高校生活最後の試合をやろうってことで。

「来週の期末試験が終わったら、試合まで毎日練習」
「あー、そうですよね…」
じゃあ、みきたんと一緒に帰ったりもできないのかあ…

ちょっとさみしくて、みきたんの手をギュッっと握った。
「…あのさー、亜弥ちゃんの気持ち、すごくうれしかった」
アタシは首を横に振った。

「美貴さぁ、全然気付いてなかったから、ひどいこととか言っちゃったりとか、
やっちゃったりしてなかった?」
「そんなことないですよ」
みきたん、いつも優しいしかわいいしかっこいいもん。

「…じゃあさ、美貴にどんなことされたら、イヤになる?」
「そんな…イヤになんかならないです」
「ホント?」
「あ、でも、ウソとかはイヤです」

例えば、他に付き合ってる人がいるのに、
それを隠してたりとかはイヤ。
213 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:55
「それはそうだよね…じゃ、他は何でもいいの?」
「…はい、先輩のすることだったら」

だって、みきたんにされてイヤなことなんて思いつかないもん。

「…じゃあ、襲いかかってもいいの?」
「もちろんですっ!」

っていうか、大歓迎!
イヤじゃなくて、してほしいもん。

…あ、みきたん、冗談で言ったつもりだった?ひいてる?
キョトンとしたままだし…

「…あ、あの、ソレって…」
「…藤本先輩となら、ってことですよ…」

みきたんを見たら、顔を真っ赤にしちゃって、マフラーに顔うずめちゃって。
…かわいい…でも、勢いで言っちゃったアタシも恥ずかしくって。
しばらく沈黙のままで歩いてたら、駅の近くに着いてしまった。

「…あのさ、プリクラでも撮りにいこっか」
みきたんが、ニコッとして言ってくれた。
「はいっ!」

214 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:56


駅の近くにあるゲーセン。
たいして混んでもなくて、プリクラコーナーには、
高校生、中学生の制服来た女の子が何人かいるだけ。。

「プリクラなんて久しぶりだよー。どれにしよっか?」
なんてはしゃいでるみきたんは、子供みたいでかわいい。

機械を決めて、カーテンを開けて入る。
4パターン撮れるのにして、大きさもいろんなのがあるのを選んだ。
みきたんと顔を寄せ合って、1ポーズ目は、笑顔でピース。
次は「じゃ、じゃヘン顔する?」って、みきたんノリノリで。
アタシもサルっぽい顔とかしちゃって。
みきたんはヘン顔でも超かわいくって。
「次は?次は?」っていうから、みきたんのほっぺにチューしちゃった。
みきたん、キョトンとしちゃってそれがまたかわいくて。

「次、どうしますー?」って聞いたら、
みきたんがアタシのこと、思いっきり抱きしめてきて、
顔が近づいてきて……うわっ!……キスされた、しかも唇に。

…わわわわ、突然すぎます…
ビックリしたけど、もちろんイヤじゃないし、
そのままじっとしてたら、みきたん、何度も何度もチュッチュッってしてきて。
…すっごくドキドキしたけど、うれしくて、みきたんにギュッって抱きついた。

…え…どうしよ…みきたんの舌が入ってきて、アタシの舌に絡みついてくる…
…どうしたら、いいの?…でも、気持ちよくって…
「…んっ…」
アタシもみきたんのマネをして舌を動かしてみた。
そしたら、みきたんの舌の動きがもっと激しくなって。
…うわぁ、すっごい気持ちイイ…

写真が出てきて、照明が落ちるまでずっとキスを続けてた。
みきたんが唇を離した後、アタシのことをギュッっと抱きしめてくれて。

次に並んでる人が待ってるのがわかったから、
みきたんは出てきた写真を取ると、アタシの手をつかんで、
カーテンを開けて外に出た。


215 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:56

…さっきの…すごかった…
…まだ、アタシはドキドキしたままで、顔も真っ赤なままだと思う。
だって、みきたん、あんなすごいの…

プリクラの機械の外にあるハサミでみきたん、さっきのプリクラを
半分に切ってくれてて。

「はい、亜弥ちゃんの分」
って渡されたのを見たら…うわぁ…
1枚目、2枚目は普通にかわいくて、
3枚目はアタシがほっぺにチューしたから、みきたんの驚いてる顔が超かわいい!
で、4枚目…写真でも激しいチューだっていうのがわかるくらい…
は、恥ずかしい…こんなんママとかに見られちゃったら…

みきたんも照れ臭そうに、写真を一瞬だけ見てから、カバンの中に入れてた。

「…亜弥ちゃん、春休みになったらさー、ウチにまた遊びにおいでよ」
「は、はい!」

みきたん、うれしそうにニッコリとしてくれた。



帰りの電車でも、家にいるときでも、唇の感触を思い出しては、
ドキドキが止まらなくなる。
自分の唇にちょっと振れるだけで、もう…
はぁ、みきたんと、またしたいなぁ…


216 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:56

次の日、学校に行くと、こんちゃんと愛ちゃんがニコニコとアタシのことを見てきて。

「どうだった?昨日のデートは?」

アタシの顔、たぶん、すっごくニヤけたと思う。

「にゃははは、チューしちゃったぁ」
「「ええっ!?」」

アタシが昨日のプリクラを2人に見せると、
「わー、なんかなんかいやらしいわ…」
「…うん、見てるのも恥ずかしい」

愛ちゃんもこんちゃんも、あんまりちゃんと見てくれなくって。
でも、アタシもあんま見られるのは恥ずかしいからいいんだけど。

「じゃ、藤本さんと付き合うことになったんだねー」
「…え?…そういえば、そんな話ししてない…」
「はっ!?藤本先輩、亜弥ちゃんのこと好きだとかも言ってくれてないの?」
「……言ってない」

…そうだよ…そんなこと、全く話題にならなかった。

「でも、じゃあなんで、こんなチューしてんの?」
「…なんでって……あ!!」

アタシ、そういえば『藤本先輩になら襲われてもいい』って言った!
だから、だからみきたん、アタシにそんなことしてきたの…?
そのことを、愛ちゃんとこんちゃんに言うと、
「…ソレって、都合のいい女にされとるワケじゃないよね?」
「…え」
確かにいきなりチューされたし、そのあと家に遊びに来るようにも誘われたけど…
でも、でも…

「藤本さんは、そんな人じゃないよ」
そうだよ、こんちゃんの言うとおりだって!
みきたんは、人をもてあそぶようなヒドイ人じゃないもん。


その日、アタシからみきたんにメールして、『一緒に帰りませんか?』って誘った。
すぐに『OK』の返事は来たし…


217 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 17:57

帰り、下駄箱のところでアタシが先に待ってると、
みきたんが急ぎ足でやってきて、アタシを見るとニッコリしてくれた。

「ごめんね、待たせちゃって」
「いえ、さっき来たばっかりです」

並んで歩き出したけど、アタシは何だかちょっぴり不安な気持ちがぬぐえなくて。
みきたんの腕をとって、しっかりと腕を組んだ。
みきたん、アタシの頭を撫でてくれたし。
大丈夫、大丈夫。
みきたんもきっとアタシのこと好きでいいはずだって。


みきたんが、フットサルの話しとか、昨日見たテレビの話しとか楽しそうにしてた。
楽しそうなみきたんの顔を見ると、なんだかアタシも自然と微笑むことができるし。

駅に向かって腕を組んだまま歩いてると、
「あ、ちょっと、こっち…」
ってみきたんが、アタシのことをひっぱって、人通りの少ない道のビルとビルの間に連れていかれた。

すぐに抱きしめられて、キスされた…
昨日はワケがわかんなかったけど、今日はアタシからも…
「…んっ」
気持ちいいのは一緒だけど、みきたんも何だか昨日よりも激しいかも…

…はぁ、みきたん、ダイスキ…もうどうなってもいいくらい…

しばらくして、唇が離れると、みきたんはアタシのことをギュッっと抱きしめた。

…でも、やっぱり、みきたんは何も言ってくれない。
ねえ、アタシのこと、ちゃんと好きだよね?
体だけが目的とかじゃないよね?

みきたんは、少し体を離したと思ったら、またキスをしてきた。
…うれしいけど…なんでキスするだけなの?
『好き』とか『愛してる』とか一言言ってくれるだけでいいのに…
…もう、みきたんのバカ…みきたんの気持ち、全然わかんない…


218 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:02
「…?亜弥ちゃん?…どうしたの?」
みきたんが、アタシの顔を覗き込んで、目を丸くしてた。

アタシの目から溢れた涙が、みきたんのほっぺにもついてた。

「……もしかして、イヤだった?」
みきたんがすごく悲しそうな顔になりながらも、
アタシの涙をぬぐってくれた。

アタシは首を横に振ったけど、やっぱりみきたんは不安そうな顔で。
「…じゃ、どうしたの?」

「…藤本先輩、アタシのこと、どう思ってるんですか?」
「えっ!?」
みきたん、本当にビックリした顔になってて。

「アタシは、藤本先輩のこと好きです、大好きです。
だから、先輩の側にいれるだけでうれしいんです。
でも、先輩はどうなんですか?アタシとキスしたいだけなんですか?」

「そんなワケないじゃん!」
「じゃあ、何で、先輩は何も言ってくれないんですか?」

みきたんは、困ったように唇を尖らせて…ちょっとかわいいかも。
「…あのさー、美貴、亜弥ちゃんより先にコクってんだけど。
亜弥ちゃん、覚えてないみたいだけどさ」
「えっ!?」

219 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:02

覚えてないなんてこと、あるわけない……あ!
「…先輩んち、泊まりにいったときですか?」
「そうだよ。美貴、ちゃんと、亜弥ちゃんのこと好きだって言ったし、
亜弥ちゃんも美貴のこと好きだって言ってくれたのにさ」

えーっ!!
アタシ、何で記憶ないのに、コクってんの!?
つーか、みきたんがコクってくれてんのに、覚えてないなんて最悪な女じゃない?

「…ごめんなさい」
「別に、もういいよ。
亜弥ちゃんが、酔っ払ってたからじゃなくて、本当に美貴のこと好きだってわかったから」
みきたん、優しくアタシの頭を撫でてくれた。

「…あのー、アタシ、そのときのこと、ホントに覚えてないんです、ごめんなさい。
他になんか失礼なこととかしてませんか?」
みきたん、今度は、アタシの頭をコツンと叩いて。

「覚えてないことが失礼だけどね」
「…ホント、ごめんなさい」
「…亜弥ちゃんから『チューして』って言ってきたんだよ」
「…え……ええっ!?」

220 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:03

うっそー!?
アタシ、そんなこと言ったの?
そりゃ、したいとは思ってたけど…何も無意識なときにしなくても…

「だから、キスしたのも今日が3回目」
「…え…」

信じらんない、あのときのアタシ。

「亜弥ちゃん、美貴と一緒じゃないときに、お酒飲みすぎたらダメだからね」
「…はい」

確かに、その通りです。
一緒にいたのがみきたんだったから、よかったけど…


みきたんは、またギュッとアタシのことを抱きしめてくれた。
「美貴、ちゃんと、亜弥ちゃんのこと好きだからね。信じてくれる?」
アタシはコクンと頷いた。

「あ、じゃあ、美貴がどれだけ、亜弥ちゃんのこと好きか証明する」
「え?」
「今度のフットサルの試合のとき、絶対、得点入れる」

みきたんは、アタシのほっぺを両手で包んだ。

「亜弥ちゃんのために、点入れるから」

みきたん、チュッって軽くキスしてニコッとしてくれた。

「だからさ、ちゃんと美貴が点入れたら、亜弥ちゃんにお願いがあるんだ」
「…なんでしょうか?」

みきたん、照れ臭そうに、鼻をポリポリ掻いて。
「美貴のこと、『みきたん』って呼んでよ」
「…え?…ええっ!?」

みきたん、アタシから体を離すと、手を繋いで歩きはじめた。

「亜弥ちゃん、約束だからね」
「…あ、あの、アタシ、あのとき、そんな風に呼んだんですか?」

みきたん、コクンと頷いて。
「あと、敬語も禁止だからね」
「…は、はいっ!」


221 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:04

試験前だから、寄り道とかはできないけど、
駅まで帰るだけでも一緒にいようって、毎日学校帰りに会う約束をした。
試験終わってからは、みきたん、フットサルの練習だから、
一緒に帰ることもできないけど、家に帰ったら、毎日電話するし、
試合が終わったら、いっぱい遊ぼうね、って言ってくれた。

はぁ…みきたん、やっぱり、ちゃんとアタシのこと思ってくれてた。
少しでも疑っちゃってごめんなさい。
っていうか、あのとき、記憶なくしちゃった自分にホントあきれちゃう。
あのときの記憶がちゃんとあれば、こんなに悩まなくて済んだし。


そのあと、試験中もみきたんと一緒に帰ったけど、
手繋いだり、腕組んだりするだけ。
みきたんも、
「フットサルの試合、終わるまでガマンする」
ってチューはしてくれなかった。
ホントはしてくれてもいいんだけどなあ…
でも、みきたんとこうできるだけでもシアワセ。

試験最終日の1日前。
明日からみきたん、フットサルの練習だから、
こうして学校から一緒に帰るのは最後。
みきたん、卒業しちゃったら、毎日なんて会えないんだろうし…

「亜弥ちゃん、なに、ため息なんかついてんの?」
みきたんがアタシの顔をのぞきこんできた。

「先輩と一緒に学校から帰るの、最後なんだなあって…」

みきたん、一瞬驚いたあと、すぐにニッコリして、アタシの頭を撫でてくれた。
「春休みだって毎日遊んでもいいし、週末もなるべく遊ぼうよ。
平日だって会おうと思えば会えるし」

アタシがまだ不安そうな顔をしてるのに気付いたのか、
「美貴だって、さみしいんだから」
ってギュッと抱きしめてくれた。

「…わかりました。ガマンします」
アタシからもギュッと抱きついた。

みきたんが、顔を上げて、アタシのおでこにおでこをコツンと当てた。
「…チューしたいけど、ガマンだよね」
みきたん、唇をグッと噛んでて。
「もし、美貴が点入れたら、試合終わってすぐにチューしてくれる?」
「もちろん、いいですよ」
アタシがニッコリすると、みきたんもニコッとして。

222 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:04

「じゃあ、美貴が2点以上入れたら、もっとスゴイことしてくれる?」
「…え?」

『スゴイこと』って…つまり、その…

「よし、決まり!春休みに、美貴ん家に遊びにきたときに、だよ?」
「えっ!?」

アタシ、返事してないのに、みきたんはうれしそうに笑って、
アタシの手をひっぱって歩き出した。

「あ、あのー、先輩…」
「ん?」
「さっきの話し…」
「美貴が2点以上入れたらだからね」
「…で、でも…」
「イヤ?」
「そんなことないです!うれしいです!…あ…」

つい、『うれしい』とか言っちゃった…

「じゃあ、2点入れなくてもいっか」
みきたんは、アタシの頭を撫でてくれて。

「でも、やっぱ2点入れたらってことにしておこう。
その方が美貴もヤル気がもっと出るし」

みきたんは、アタシの唇に小指を当てて。
「約束したからね」

ただ指が触れただけなのに、アタシはすっごくドキドキしちゃって。
アタシ、本当に、みきたんのこと大好きなんだなあって。


223 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:04

そして、迎えたフットサルの試合当日。
愛ちゃんと駅で待ち合わせて、
会場であるウチの学校に向かった。

3年生メインのチーム編成だから、
こんちゃんは今日はたぶん試合には出れないけど、
ウチの学校のキーパーとしてはトッププレイヤーだから、
一応ベンチ入りはしてる。

選手はまだウォーミングアップ中らしく、コートの中を、
ボールを使わずに走ったりしてるだけ。

みきたん、みきたん…あ、いたーっ!
まだ余裕があるのか、すごく笑顔で走ってた。
他の人と笑い合ったりして。
うん、高校時代、最後の試合だもんね。
楽しくやれるのが一番だよね。

さすが、フットサル部は人気なだけあって、客席も結構埋まってる。
どの席が空いてるかキョロキョロと探してた。

ベンチの真後ろの一番前の列には、学ランを着た田中ちゃんと新垣ちゃん。
田中ちゃんは腕を組んで仁王立ちして、じっとコートの中を見つめてる。
ずっと応援を続けてた田中ちゃんも、感慨深いんだろうね。

そのすぐ隣りにいたショートカットの子が立ちあがって、田中ちゃんの腕をギュッと握って。
何かコソコソって話すと、田中ちゃん、すっごい驚いた顔になって真っ赤になってた。
…なんか、あの2人もあやしいなあ。


224 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:05

「高橋センパーイっ!」
その隣りに道重ちゃんもいて、こっちを見ると手招きしてきた。

「さゆー」
愛ちゃんもすっごい笑顔になって、彼女の側に向かっていった。
「ちゃんと席確保しておきましたから、どうぞ」
道重ちゃんの隣りには、2人分の席に荷物が置かれてて、
それをどかすと、道重ちゃんはニコニコと愛ちゃんとアタシを見た。

「さゆ、ありがとう」
愛ちゃんは当然、道重ちゃんの隣りに座り、
座った途端に腕を組まれてた。

「ありがとう」
アタシもお礼を言って、席に座った。

みきたんのこと、じーっと眺めてたら、気付いてくれて、手を振ってくれた。

「センパーイ!頑張ってくださいっ!」
みきたんはニッコリすると、ピースしてきて。
でも、よく見ると、声は出してないけど、みきたんの唇は、
「2点入れるから」って言ってた。

みきたんが2点入れてくれたら、みきたんと…
うわーっ、うれしいんだけど、恥ずかしい。
点なんて入れなくても、アタシ、みきたんとなら全然いいのに。
でも、みきたんは、それでヤル気だしてくれるなんて、うれしいこと言ってくれたし。


ぼんやり、みきたんとのことを考えてたら、試合が始まった。
まず、みきたんがボールを蹴って、隣りの人にパス、
で、またみきたんに戻すと、みきたんは、一気に相手ゴールを目指して、
進んでいった。
相手をうまく交わしながら、一旦他の人にパスすると、その人が、ゴール前に進んだみきたんにパス。
そして、みきたんがシュート!
…って、開始1分も経ってないのに、みきたん、点入れちゃたよ!

ウチの学校の応援ベンチは総立ちで大喜び。
みきたん、アタシのことを見ると、投げキッスをしてきた。
ベンチのみきたんファンらしき人たちが「キャーッ!」って喜んでる。

…みきたん、アタシのために点入れるって言ってくれたよね?
こんなにすぐに入れるなんて、
それだけアタシのこと好きだって思っていいんだよね?
225 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:05
「みきたーん、ダイスキ!!」
大きな声で言ったから、ちゃんとみきたんに届いて、
みきたん、笑顔でウインクしてくれた。

はあ、みきたん、ステキすぎる…

「藤本先輩、かっこよすぎるわぁ…」
愛ちゃんも、隣りでつぶやいてた。

その後は相手チームも警戒してきたのか、みきたんはしっかりマークされてしまい、
なかなか身動きが取れなくて、ボールもあんまり回ってこなくなって。
相手チームにも1点入れられてしまい、同点になって前半が終わった。
みきたん、すっごい悔しい顔をしたままベンチに戻ってきた。
ドリンクを飲んで、監督の話しを聞いてるときも、すっごく真剣でコワイくらいの表情をしていた。

はあ、あんなみきたん、すごくかっこいい。
みきたん、がんばって!
だって、アタシとエッチできるんだよ?
このかわいいアタシと!
っていうか、アタシがしたいもん!
みきたんにがんばってもらわないと、いつ、してもらえるかわかんないじゃん!
226 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:06

マークされっぱなしのみきたんは、後半はベンチにいた。
試合に出れないんじゃ、アタシとの約束は当然果たせるワケがなくて。
みきたん、悔しい顔をしながらも、他のメンバーを応援してた。

お互い点を入れることなく、試合が進んでた。
でも、終了少し前に、みきたんがコートに入っていった。
相手チームのマークが来る前にみきたんのところにボールがきた。
それをみきたん、ゴールに向けて思いっきり蹴った。
みきたんのシュートしたボールは、キレイにまっすぐと、相手ゴールのネットに食い込んでいった。

ガッツポーズをして、みんなと抱き合って喜ぶみきたん。
みきたん、すぐにアタシを見るとピースしてきた。
アタシもニッコリして、ピースで返した。
…かっこいいなんてもんじゃない。
なんで、あんなにスゴイの?みきたんってば。

ベンチも観客も大喜び、田中ちゃんなんて、まだ試合終わってないのに、
もう泣いてるし。

そして、そのあとはどちらも点を入れることもなく試合終了。
結局、みきたんが入れた2点で、ウチの学校が勝てた。
もうホントに最後の試合だから、ウチの学校も相手チームもみんな泣いてる。
敵味方関係なく、みんな抱き合ったり握手をしたりと、お互いをねぎらってた。
みきたんも、目に涙を浮かべてた。

227 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:06

はあ、みきたん…あんなステキな人と付き合ってるなんて…
アタシってばシアワセすぎる!

選手が観客席に向かって、お礼を言うためにぐるっと回ってきた。

もう田中ちゃんも新垣ちゃんも大泣きで、
「みきねえー!サイコーっす!!」
「美貴ちゃーん!ありがとう!」なんて叫んでるし。

みきたんも、うれしそうに
「ありがとう、ありがとう」って声をかけてくれる人にお礼を言ってて。
アタシの前に来たときには、スッと小指を立てて。
「約束ね」
って言って、ウインクしてきた。

もう、アタシの胸がキューンってした。
その約束の内容を考えたら、もちろんだけど、
そのときのみきたんの表情が、
まるでちっちゃい男の子が、大きな虫を捕まえて、
自慢してるときみたいな顔で。
かっこいいんだけど、かわいくて、
もうアタシ、どこまで、みきたんにハマっていくんだろ…


そして校門の辺りで出待ちをすることにした。
でも、アタシは、みんなが並んでる一番最後に敢えて並んでみた。
選手たちがくると、みんなキャーキャー言ってて。

みきたんがくると、一番みんなに歓迎されてて。
今日のMVPだし、当然なんだけど、ちょっと悔しい。
でも、今日はアタシも一緒に喜んであげないと。

いろんな人から声をかけられて、やっとみきたんがこっちに来てくれた。
みきたんは、アタシを見つけるとそれまでみんなに向けていた笑顔から、
もっととろけるような笑顔になって。

228 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/22(木) 18:07

「みきたんっ!」
ちゃんと約束通り、『みきたん』って呼んでるからね!
そのまま、みきたんに抱きついた。

「ありがと。亜弥ちゃんのおかげだよ」
みきたんの笑顔があまりにかわいかったから、みきたんの唇にチュッとキスをした。
みきたん、一瞬目を丸くしたけど、ギュッと抱きしめてくれて。

周りから驚きの声とか聞こえてきて、視線が痛いくらいだったけど、アタシは気にしない。



「みきたんからアタシへの愛、しっかり受け止めました」
にゃははは、だって、約束通りだもん。
「うん、愛の力ってスゴイね。美貴、今まで、こんな点の入れ方したことなかったし」

みきたんは、アタシの頭をポンポンと撫でると、
「2点入れたからね。春休みの約束、楽しみだよ」
「あ!…は、はい…がんばります…」
うわー、みきたんのスゴさに、一瞬忘れかけてたけど、
みきたんとスゴイことする約束だった…
やっぱり、新しい下着買っておかないと…
229 名前:サチ 投稿日:2005/12/22(木) 18:19
更新しました。たくさんのレスありがとうございます!!

>>196さん
ありがとうございます!
2人ともがんばってますよ(笑)

>>197さん
ありがとうございます。
甘いといわれるのも、じれったいといわれるのも、くずぐったいけどうれしいです♪

>>198さん
ありがとうございます。
ハマっていただけるなんて、ホントに恐縮です…うれしいです!

>>199さん
いつもありがとうございます。
じれったくさせてすみません(笑)
でも、今回で大きく前進です(笑)

>>200さん
ありがとうございます。
私ごときの作品で癒されていただいてるなんて…ウレシイです!

>>201さん
ありがとうございます!
そこまで意っていただけるとは、感激です!
毎度、こんなベタな展開でもよろしいのでしょうか?(笑)

>>202さん
ありがとうございます。
遅くなっちゃってスミマセン!

>>203さん
ご報告ありがとうございます。
そうですね、今年中に完結できれば…ですね(笑)

>>204さん、>>205さん、>>206さん
お待たせしてしまってスミマセン!

>>207さん
ご配慮ありがとうございます。


予定より長びいてます…あと1〜2回では終わるハズ!ですので、
引き続きよろしくお願いします。

230 名前:名無し飼育 投稿日:2005/12/22(木) 21:50
更新お疲れ様です
幸せな気持ちになりました
231 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/22(木) 22:35
いやー、甘くなって来ましたねえ。
春休みの二人が楽しみで楽しみでしょうがないんですけれども。
232 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/23(金) 01:42
やばいやばい!
めっちゃ甘いやん
2人がくっつけてよかったぁ
次も期待してます!
233 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/23(金) 02:38
俺の気持ちを一言で表させてください


ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!!

234 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/12/23(金) 09:49
更新お疲れ様です。
溜めて溜めて溜めてから一気に来られると太刀打ちできません(何が
もうすぐ終わっちゃうんですね。早く読みたいような、やっぱり溜めて溜めて(ryがいいような複雑な気持ちです。
235 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/23(金) 13:30
交信お疲れ様です!!197でしたw

キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
(・∀・)ニヤニヤ(・∀・)ニヤニヤ(・∀・)ニヤニヤw
2人の春休みも楽しみにしてます!いやぁ、今回もいい話でした〜
次回も待ってます!!
236 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/23(金) 23:17
も〜とろけそうです(嬉   
237 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/24(土) 11:49
キャワなあやみきすっごいイイです!
川*VvV)<とろけましたぁ
238 名前:名無し読者 投稿日:2005/12/27(火) 19:02
(*´д`*)ハァハァ…ヤバいよヤバいよっ!!甘過ぎて顔がニヤケっぱなしです(汗
何回読み返してもイイです!!あやみき最高だーっ!!作者様はもっと最高!!
239 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/12/29(木) 19:41
勘弁シテ下さい…
読者を萌え殺す気ですか!?ww
240 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:48
バレンタインの翌朝になっても、亜弥ちゃんから返事がなかった。
美貴、昨日、亜弥ちゃんになんかイヤなことした?
そんなちょっとだけで嫌われちゃうようなことした?
それとも、やっぱり、あの亜弥ちゃんのファンの人の方がよくなっちゃった?
…はぁ…

学校に行く前に、もう1回、亜弥ちゃんの手紙を読み返した。
こんなに美貴のこと好きだって言ってくれてるんだから、
きっと、例えば、携帯を学校に忘れちゃったとか、
電池切れてセンターにいってるとかだよな、うん。
絶対大丈夫、大丈夫。
何とか自分に言い聞かせた。
お昼休みくらいにもう1回メールしよう。



とはいうものの、なんだかテンション下がったまま、学校に向かった。
途中で亜弥ちゃんに会っちゃったら、どうしようかとも思ったけど、
幸か不幸か会うこともなく、教室に入った。

「美貴ちゃーん、おはよ」
梨華ちゃんがニコニコと手を振ってくる。
「おはよー」

「ん?美貴ちゃん、寝不足か何か?」
「なんで?」
「顔、疲れてるよー」
「……まあ、寝不足ぎみかも」

亜弥ちゃんからメールくるかもって、なかなか寝れなかったのは事実だし。
席について、カバンから携帯を取り出す。
あー、やっぱり返事きてないよ…
と思った瞬間にブルブル携帯が震え出した。

うぉっ!亜弥ちゃんじゃんか!!
『返事遅くなってすみません!
昨日は疲れて早く寝ちゃって。
携帯もカバンに入れっぱなしで気付きませんでした。
はい、今日、ぜひ一緒に帰りましょう。
下駄箱のところで待ってますね』


…よかったぁ!
まだ、美貴、亜弥ちゃんに好かれてるみたい。
マジで安心したよ。

241 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:48

HRが終わって、教室を急いで出て、下駄箱に向かった。
さすがに亜弥ちゃんは、まだ来てない。
何か、美貴、はりきりすぎててかっこわるいなあ…

でも、スグに亜弥ちゃんも来てくれて。
「お、亜弥ちゃん」

亜弥ちゃんはニコニコと笑顔で、頭を下げてくれた。
「すみません、遅くなって」
「いや、美貴もさっき来たばっかだよ」

あー、亜弥ちゃん、いつもとちょっと違うかも。
なんかいつもよりももっと女の子っぽくなってるっていうか…
たぶん、美貴にコクってくれたからだよね?
いつも以上に照れたりとかしてくれてるってことだよね?
その辺は、美貴、自信持って大丈夫だよね?

並んで歩いてたけど、亜弥ちゃんをもっと近くに感じたい。

腕を組んでもらえるのも好きだけど、
なんつーか、直接、亜弥ちゃんに触れたい気持ちが出てくる。

「…あのさ…」
「は、はい?」
「…手、繋いでもいい?」
「…え?」

…やべー、超照れるんだけど。
亜弥ちゃんの顔、見れないじゃん。
何にも言わないで、勝手に手握っちゃった方がよかったかな…

そしたら、スッと左手にあったかい感触。
ふと、亜弥ちゃんの方を見ると、繋がれた手をチラッと見てから、
照れたようにニッコリ笑ってくれた。
…亜弥ちゃん、かわいすぎ…
今、美貴、かなりニヤついちゃってるかも。

えへへ…でも、もうちょっと近くに感じたい。

「寒いよね」
って言って、繋がれた手をそのまま、美貴のコートのポケットにつっこんだ。
自然と2人の距離も縮まって。
なんか照れるけど、こうやって、亜弥ちゃんと歩けるなんて、シアワセ…
亜弥ちゃんの顔をチラッと見たら、目が合った。
そしたら、恥ずかしそうにうつむいて…ヤバイくらいにかわいいんだけど!

242 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:48

「あ、あー、あのケーキ、ホントおいしかったよ。
すごいね、亜弥ちゃん、あんなの作れるなんて」
「いえ、すごくないんてないですよ!
あ、あの、藤本先輩に喜んでもらえたらって思っただけで…
だったら、また作ってきます!」
「え?ホント?いいの?」
「はいっ!ケーキ以外でも、何でもリクエストして下さい」
「うーん、そうだなあ、なんか考えておくね」
「はいっ!待ってます」

やっぱり、亜弥ちゃん、美貴のこと、大好きだよね?
美貴も大好きだなって、今、すっごく感じちゃった。


…でも、亜弥ちゃんに言わなきゃいけないことがあった。
クリスマスイブのこと。
美貴が亜弥ちゃんとキスしたこと。
もし、話したら、美貴のことイヤになっちゃうかな…
でも、亜弥ちゃん、美貴のこと、好きだもんね。
大丈夫…なはず…はぁ…

ふと、足元にあった石を軽くドリブルみたく蹴ってみた。

「あ、そうだ。3月のはじめの日曜にさ、
フットサルの試合あるんだ。亜弥ちゃん、見に来れる?」
「はいっ!もちろんですっ」

あー、うれしい!
亜弥ちゃん、今、本当にうれしそうな声出した。
美貴、はりきっちゃうからね!

実は、ちょっと前に、ウチのライバル校・カレッツア学園が、試合を申し込んできた。
3年生メインのチームで、試合をしようって。
もちろん、ウチの学校は即OK。
お互い、コレが実質、高校時代にやる最後の試合になる。


「来週の期末試験が終わったら、試合まで毎日練習」
「あー、そうですよね…」

亜弥ちゃんが、ちょっとさみしい顔になった。
と思ったら、手にギュッと力が入った。
…もしかして、フットサルの練習があると、美貴とあんまり会えないと思って、
さみしくなっちゃったのかな…

243 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:48

「…あのさー、亜弥ちゃんの気持ち、すごくうれしかった」

亜弥ちゃんは顔を赤くしながらも、首を横に振ってくれた。

「美貴さぁ、全然気付いてなかったから、ひどいこととか言っちゃったりとか、
やっちゃったりしてなかった?」
「そんなことないですよ」

…実は、ひどいこと、やっちゃってんだけどね…


「…じゃあさ、美貴にどんなことされたら、イヤになる?」
「そんな…イヤになんかならないです」
「ホント?」
「あ、でも、ウソとかはイヤです」

…ウソかあ…ある意味、美貴、ウソついてるのとおんなじようなものだよね。

「それはそうだよね…じゃ、他は何でもいいの?」
「…はい、先輩のすることだったら」

ホントに?じゃあ、じゃあ…

「…じゃあ、襲いかかってもいいの?」
「もちろんですっ!」

…え?
『もちろん』って?
……つまり、その……

「…あ、あの、ソレって…」
「…藤本先輩となら、ってことですよ…」

……ヤバイって!!…
美貴となら、エッチしてもいいってことでしょ?
あー、もう、どうしよ…
唇に、亜弥ちゃんの感触がよみがえってくる。
亜弥ちゃんとすっげーしたくなってきちゃった…

…でも、ダメだって…
まずは、美貴ともうキスしてるんだってことを言わないと…

244 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:49

どうしようどうしようって思ってたら、
もう駅の目の前になってしまった。

このまま別れたくないし、せめてちょっとくらい話ししないと!
でも、試験前だから、カラオケとかお茶とか誘いにくいしなあ…
ふと、駅の入口にある証明写真の機械が目についた。

「…あのさ、プリクラでも撮りにいこっか」
うん、亜弥ちゃんとのプリクラ、欲しいしなあ。
「はいっ!」
亜弥ちゃん、すぐに笑顔で答えてくれたから、安心した。



駅の近くにあるゲーセンにいって、プリクラコーナーに向かった。
それほど混んでもなかったし、機械も選びやすいかも。

「プリクラなんて久しぶりだよー。どれにしよっか?」
亜弥ちゃんと一緒に撮れるっていうのが、何よりうれしい。

カーテンを開けて中に入ると、ちょっとした密室状態でなんかドキドキする。
4ポーズ写せるヤツにしたから、亜弥ちゃんのいろんな顔が見れるかも。
最初は無難に顔を寄せて、笑顔でピースして。
あー、顔がこんなに近くにあると、またヘンな気持ちになってくる。

「じゃ、じゃヘン顔する?」
気分変えないと、亜弥ちゃんに襲いかかっちゃいそうだもん。
亜弥ちゃんがしたサル顔は超かわいくって。

あー、亜弥ちゃんってホント何してもかわいい!
「次は?次は?」って言ったら、突然、ほっぺに亜弥ちゃんの唇が…
…え?
…今、亜弥ちゃんに、チューされた?…

……もうそんなことされちゃったら、美貴、ガマンできないんだけど!!

「次、どうしますー?」なんて、亜弥ちゃんの声は無視して、
亜弥ちゃんのこと、思いっきり抱きしめた。
…そして、亜弥ちゃんにキスした。
…亜弥ちゃん、好き、大好き。
何度か触れるだけのキスをしたら、亜弥ちゃんからもギュッと抱きついてくれた。

245 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:49

…いいよね?亜弥ちゃん、美貴のこと、好きだもんね?
唇を割って、舌を滑り込ませた。
亜弥ちゃんの舌を探して絡みつかせると、
「…んっ…」
って、亜弥ちゃんの声が聞こえてきて、亜弥ちゃんからも、舌を絡ませてくれた。
…ヤバイ…もう、気持ちよすぎて、おかしくなりそう…

本当はいろいろボタン操作とかしなきゃいけなかったんだろうけど、
時間切れで勝手に操作されて、写真が出てきて、照明が落ちた。
ふと、カーテンのすぐ外に足がいくつか見えて、順番待ちをしてるのに気付いた。
…あー、もっとチューしてたかったけど…
しょうがないから、唇を離して、もう1回ギュッっと抱きしめるだけ抱きしめた。

そして、写真を取って、亜弥ちゃんの手を握ってカーテンを開けて外に出た。
亜弥ちゃんをチラッと見ると、顔が真っ赤で、唇に指で触れたりしてる。
…あー、もう、亜弥ちゃん、超かわいい!
もっともっとしたい!
ふと、手元のプリクラを見ると、最初の方は普通にかわいいのに、
最後の1枚、写真で見ても、すごいキスをしてるのがわかるくらい…
…恥ずかしいけど、亜弥ちゃんとしたんだと思うとうれしくて、うれしくて。
逆に、今更、クリスマスイブのことなんて言わなくていいよね?
もうしちゃってるんだからさ。


置いてあったハサミでプリクラを半分に切って、亜弥ちゃんに渡した。
「はい、亜弥ちゃんの分」
プリクラを見た亜弥ちゃん、もっと顔が真っ赤になっていっちゃって。
恥ずかしい思いさせちゃって、ゴメンね。
でもさ、美貴、やっぱり、亜弥ちゃんのこと大好きだからさ。

「…亜弥ちゃん、春休みになったらさー、ウチにまた遊びにおいでよ」
「は、はい!」

亜弥ちゃんの即答がうれしかった。
えへへー、ウチに来たら、またチューしちゃうからね。
もしかしたら、もっとスゴイこともしちゃうかもよ?
だって、亜弥ちゃん、美貴だったら襲われてもいいって言ってたもんね。
あー、早く春休みになんないかなあ。

246 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:49

次の日も浮かれモードのまま学校にいって、
帰り、亜弥ちゃんのこと誘おうかなー、
でも毎日だとしつこいと思われちゃうかなーなんて思ってたら、
亜弥ちゃんから、『一緒に帰りませんか?』ってメールがきた。
もちろんすぐに『OK』の返事をして。

あー、何かいいねー。
こうやって学校から一緒に帰れるって。
毎日、亜弥ちゃんに会えるって、ホントうれしい。

HRが終わって、下駄箱にいくと、もう亜弥ちゃんは来てて。

「ごめんね、待たせちゃって」
「いえ、さっき来たばっかりです」

歩き出したら、すぐに亜弥ちゃん、美貴の腕をつかんで腕を組んできた。
やべー、超かわいい。
思わず、亜弥ちゃんの頭を撫でたら、恥ずかしそうにうつむいて。
美貴、こんなかわいい子に好かれてるんだよなあ。

気分もよくなって、いろんな話しをした。
フットサルのこととか、昨日チラッと見たお笑い番組のこととか。
亜弥ちゃんもニコニコしながら聞いてくれたから、
なんかうれしくなっちゃって、すげーしゃべりまくってたかも。


駅に向かって歩いてたけど、途中、横の人気のない道に目がいった。
あ、この道のあのビルとビルの間…
前にれいなと亀井ちゃんがキスしてたとこだ。
結構激しくやってたよなあ…

チラッと亜弥ちゃんを見ると、つい唇に目がいってしまった。
…また、すごいしたくなってきた…
いいかな…いいよね?

247 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:49

「あ、ちょっと、こっち…」
亜弥ちゃんの腕をひっぱって、そのビルとビルの間に連れていった。
大丈夫、全然人も通ってないし。

亜弥ちゃんのこと、思いっきり抱きしめてキスをした。
最初っから激しいキスをしたけど、亜弥ちゃんもすぐに応えてくれて。

「…んっ」
亜弥ちゃんの声が聞こえてくると、もっともっと亜弥ちゃんのこと欲しくなる。
…亜弥ちゃん、ダイスキ…

本当はまだまだキスしてたかったけど、唇を離したあと、
亜弥ちゃんのことギュッと抱きしめた。

あー、もうどうしようもないくらい、
亜弥ちゃんのこと好きなんだけど。
ずっとずっと亜弥ちゃんのそばにいたい。

もう1回、亜弥ちゃんにキスをする。
今度は、優しく触れるだけ。
はぁ…亜弥ちゃんの唇、気持ちいい…

…ん?
なんか、ほっぺに濡れた感触。
…何?

唇を離すと、亜弥ちゃんの目には涙が浮かんでた。

「…?亜弥ちゃん?…どうしたの?」

なんで、泣いてんの!?
え?え?……

「……もしかして、イヤだった?」

亜弥ちゃん、本当はキスとかしたくなかった?
美貴に合わせてくれてるだけとか?
…ごめん。
亜弥ちゃんの涙をぬぐってあげたら、亜弥ちゃんは首を横に振ってくれた。

…イヤじゃないなら、なんでそんな悲しそうな顔してんの?

248 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:50

「…じゃ、どうしたの?」
いつもの美貴じゃないみたいな、すっごく優しい声を出したのに、
亜弥ちゃんはまだちょっとグズッとしてて。

「…藤本先輩、アタシのこと、どう思ってるんですか?」
「えっ!?」

は?今更ナニ言ってんの?
こんなことしてんだから、好きに決まってんじゃん!


「アタシは、藤本先輩のこと好きです、大好きです。
だから、先輩の側にいれるだけでうれしいんです。
でも、先輩はどうなんですか?アタシとキスしたいだけなんですか?」

そりゃ、キスしたいけど、それは好きだからじゃん!

「そんなワケないじゃん!」
「じゃあ、何で、先輩は何も言ってくれないんですか?」

…確かにさ、亜弥ちゃんの気持ちを聞いたあとは言ってないよ。
でもさ、最初の、クリスマスイブの美貴からのキス、
ちゃんと亜弥ちゃんに気持ち伝えてからしたんだけど。

「…あのさー、美貴、亜弥ちゃんより先にコクってんだけど。
亜弥ちゃん、覚えてないみたいだけどさ」
「えっ!?」

亜弥ちゃん、ホント全く覚えてないなんてさあ…

「…先輩んち、泊まりにいったときですか?」
「そうだよ。美貴、ちゃんと、亜弥ちゃんのこと好きだって言ったし、
亜弥ちゃんも美貴のこと好きだって言ってくれたのにさ」


亜弥ちゃん、本当に驚いた顔になったかと思ったら、
顔がどんどん真っ赤になっていっちゃって。
あはは、そんな亜弥ちゃんもカワイイよ。

「…ごめんなさい」
「別に、もういいよ。
亜弥ちゃんが、酔っ払ってたからじゃなくて、本当に美貴のこと好きだってわかったから」

本当に、あの直後は不安だったんだから。
でも、亜弥ちゃん、あの頃もちゃんと美貴のこと、好きだったんだもんね。
亜弥ちゃんの頭を撫でたら、不安そうな目で美貴のこと、見つめてきた。

249 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:50

「…あのー、アタシ、そのときのこと、ホントに覚えてないんです、ごめんなさい。
他になんか失礼なこととかしてませんか?」

…まったく、酔っ払いめ。
亜弥ちゃんの頭を軽く小突いてやった。

「覚えてないことが失礼だけどね」
「…ホント、ごめんなさい」
「…亜弥ちゃんから『チューして』って言ってきたんだよ」
「…え……ええっ!?」

ホントだもん。
激しいのをしたのは、美貴からだけどさ。

「だから、キスしたのも今日が3回目」
「…え…」

あ、おっぱい触ったことは隠しておいてもいいかな…
だって、ホントちょっとしか触ってないし、パジャマの上からだしねえ。

「亜弥ちゃん、美貴と一緒じゃないときに、お酒飲みすぎたらダメだからね」
「…はい」

もしかしたらさ、そのとき一緒にいる人のことを、
美貴だと思ってキスとかしちゃうかもしれないじゃん。
ソレは絶対ダメだからね。
亜弥ちゃんのこと、ギュッっと抱きしめた。

「美貴、ちゃんと、亜弥ちゃんのこと好きだからね。信じてくれる?」
腕の中で亜弥ちゃんはコクンと頷いてくれたけど、
まだ不安に思わせちゃってるかな…
あー、やっぱバレンタインのとき、美貴が亜弥ちゃんにチョコ渡してれば、
亜弥ちゃんのこと、こんな気持ちにさせなくて済んだのになあ…
美貴、こんなに亜弥ちゃんのこと、好きなのにな。
どうしたら、信じてもらえるかな?
…あ、そうだ!

250 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:50

「あ、じゃあ、美貴がどれだけ、亜弥ちゃんのこと好きか証明する」
「え?」
「今度のフットサルの試合のとき、絶対、得点入れる」

うん、なんかね、美貴、亜弥ちゃんのためって思ったら、
絶対点入れられそうな気がすんだよね。
亜弥ちゃんのほっぺを両手で包んだ。
亜弥ちゃんは、キョトンとしてて。

「亜弥ちゃんのために、点入れるから」

チュッって軽くだけキスしてニッコリしたら、
亜弥ちゃんもちょっとだけ微笑んでくれて。

「だからさ、ちゃんと美貴が点入れたら、亜弥ちゃんにお願いがあるんだ」
「…なんでしょうか?」

…ちょっと恥ずかしいけどさ、
やっぱ、美貴、亜弥ちゃんにとってトクベツな存在なワケじゃん?
そういうの、もっともっと味わいたいっていうか。

「美貴のこと、『みきたん』って呼んでよ」
「…え?…ええっ!?」


無意識に呼んでたんなら、何のことかわかんないかもだけど、
他の誰も呼んでないアダ名で亜弥ちゃんが呼んでくれるの、うれしいんだもん。

でも、ただ単に美貴の趣味だと思われたら、かなり恥ずかしいんだけど。
なんか照れ臭くなってきたから、亜弥ちゃんの手をとって歩きはじめた。

「亜弥ちゃん、約束だからね」
「…あ、あの、アタシ、あのとき、そんな風に呼んだんですか?」

そうだよ、最初はビックリしたけどさあ。
美貴がコクンと頷くと、亜弥ちゃん、『はぁ』って小さくため息をついてた。

いいんだよ、だって、亜弥ちゃんと美貴ってコイビトでしょ?
先輩、後輩ってだけの間柄じゃないじゃん。

「あと、敬語も禁止だからね」
「…は、はいっ!」

って、その返事が敬語だけどさ。
きっと、それは、自然に慣れてきてくれるよね。

251 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:51

これからも、美貴が卒業するまでは、一緒に帰ろうねって約束した。
フットサルの練習があるから、試験までになっちゃうけど。
それでも、少しだけでも、亜弥ちゃんと一緒にいたいから。
電話やメールは毎日でもできるし、
フットサルの試合が終わったら、春休みだし、いっぱいいっぱい遊べるし。


でも、そのあとは、亜弥ちゃんと一緒に帰っても、キスはガマンした。
だって、フットサルで点入れて、美貴の気持ちわかってもらうっていうのに、
その前にしちゃうなんて、ズルイもん。
たぶん、それだけガマンした方が、美貴のヤル気も出そうだし。
何気にストイックだったりするんだよね。
その分、試合でバクハツするし、そのあともスゴイのやっちゃうからね!



あー、明日でやっと試験も終わり。
まあ、美貴は卒業できればいいだけだからさ、
赤点とらない程度にがんばればよかったから、
それほど力入れてはないんだけど。

学校帰り、隣りで歩いてる亜弥ちゃんは何か浮かない顔をしてて。
なんだろ?試験、ヤバかったのかなあ?
しかも、思いっきりため息ついてるし。

252 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:51

「亜弥ちゃん、なに、ため息なんかついてんの?」

「先輩と一緒に学校から帰るの、最後なんだなあって…」

……もー、亜弥ちゃん、かわいすぎ…
頭を撫でたくもなるよ、こんなかわいいこと言われちゃったら。

「春休みだって毎日遊んでもいいし、週末もなるべく遊ぼうよ。
平日だって会おうと思えば会えるし」

でも、亜弥ちゃん、まだ唇を尖らせてて。
あー、もう美貴のためにそんな顔しないでよ。
かわいいけどさあ。

「美貴だって、さみしいんだから」
ってギュッと抱きしめたら、
「…わかりました。ガマンします」
ってギュッって返してくれた。

…『ガマン』だって…
美貴と、会いたくて会いたくてしょうがないってことだよね?
あー、もう!美貴がガマンできないじゃんかあ!
…でも、ココはガマンしなくちゃ。


亜弥ちゃんのおでこにおでこをコツンと当てた。
「…チューしたいけど、ガマンだよね」

あー、すっげーしたい!
でも、ここでしちゃったら、意味ないから。

「もし、美貴が点入れたら、試合終わってすぐにチューしてくれる?」
「もちろん、いいですよ」

亜弥ちゃん、うれしそうに笑ってくれた。
『もちろん、いい』だってー…
そりゃあさ、美貴に襲われてもいいって言ってくれたもんねえ。
……あ!!そうだ!

253 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:51

「じゃあ、美貴が2点以上入れたら、もっとスゴイことしてくれる?」
「…え?」

亜弥ちゃん、キョトンとしてるけど、わかってるよね?
美貴となら、いいっていってくれたじゃん。

「よし、決まり!春休みに、美貴ん家に遊びにきたときに、だよ?」
「えっ!?」

いまさら『イヤ』とか言わせないからね。
亜弥ちゃんの手をひっぱって歩き出した。

「あ、あのー、先輩…」
「ん?」
「さっきの話し…」
「美貴が2点以上入れたらだからね」
「…で、でも…」
「イヤ?」
「そんなことないです!うれしいです!…あ…」

…『うれしい』だって!
その言葉がうれしいんだけど!

「じゃあ、2点入れなくてもいっか」
真っ赤になっちゃってる亜弥ちゃん、かわいいんだけど。
あんまイジメちゃかわいそうだよね。

「でも、やっぱ2点入れたらってことにしておこう。
その方が美貴もヤル気がもっと出るし」

うん、絶対入れる!
入れたら、即亜弥ちゃんとエッチできるってことだし!
えへへへ…亜弥ちゃんの唇に小指を当てた。

「約束したからね」

真っ赤な顔のまま、美貴のことを見つめる亜弥ちゃんの目は、
すごくうるんでで。
あー、俄然、ヤル気出てきた!
2点でも、3点でも入れてやる!!

254 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:51

そして、試合当日。
公式戦じゃないとはいえ、明日が卒業式だし、
本当に高校時代最後の試合だから、気合が入る。
会場はウチの学校。
ホームグランドで負けるワケにいかないし。

それは、皆の気持ちも一緒。
とくに、前部長だった柴ちゃん、
いつもと同じで冷静だけど、いつもよりも気迫が感じられる。
柴ちゃんは、派手なプレイはしないけど、確実、堅実っていうか、
すごく信頼のおけるメンバー。
今や部長になったよっちゃんさんも、やっぱり一目置いてる存在だった。

コートでウォーミングアップ中、そんな柴ちゃんが声をかけてきた。
「ミキティ」
「ん、ナニ?」
「今日はさ、最後だしさ、いつも以上に思いっきりいこうね」
「うん、そうだね」
「スピード重視で。速攻でいこう」
「了解」
「ま、楽しんでやるのがイチバンだけどね」
「あははは、そりゃそうだね」

実は、今の3年生の中で、メインでレギュラー入りできてたのは、
美貴と柴ちゃんくらいだった。
1、2年生に優秀なメンバーが多いから。
だから、今日の3年生メインのチームなら、美貴と柴ちゃんの頑張りにかかっている。

255 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:52

ふと、客席を見ると、一番前の席に座ってる亜弥ちゃんと目が合った。

「センパーイ!頑張ってくださいっ!」

すっごい笑顔で、手を振ってくる亜弥ちゃんは超かわいくて。
やべー、またヤル気出てきた。
試合もだけど、そっちのヤル気も…
おーし、絶対、2点入れてやる!

声は出さなかったけど、
「2点入れるから」って、亜弥ちゃんにVサインしてやった。

亜弥ちゃんが恥ずかしそうにうつむいたのが見えた。
マジでかわいいんだけど…

「藤本センパーイ!」
「がんばってー!」
客席から、たくさん声がかかる。
うん、こうやって、美貴のこと、応援してくれてる人のためにもがんばんなきゃ。
亜弥ちゃんとエッチしたいからだけじゃないよ、美貴ががんばるのは。

声のした方に向かって手を振っていく。

ふと、学ランを着たれいなが、難しい顔をして腕組みをしてるのが目に入った。
美貴がれいなにも手を振ると、
れいなはハッとして、今にも泣きそうな顔になって。
「…みきねえ!がんばって下さい!」
「うんっ!」

256 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:52

れいなはさ、部活やってなかったし、
美貴の応援が部活みたいなもんだって言ってた。

大学行ってからも続けるっていったって、校舎は違うし、
大学にはチアリーディング部とかあるみたい。
だから、れいなにとっても、今日が部活の引退日みたいなもんなんだろうな。
ありがとね、れいな。
亀井ちゃんがれいなの腕をとって、ニコニコと美貴に手を振ってきた。
ああ、れいなはちゃんと大切な人、できたもんね。
美貴は離れちゃうけど、ちゃんと2人仲良くやるんだぞ。

「美貴ちゃーん!がんばって!」
ガキさんの声も聞こえてきた。
手を振ると、ガキさんも思いっきり手を振ってきた、

年は4つ離れてるけど、家がすぐ近所だから、
小学校くらいまでは近所の子たちみんなでよく遊んでたっけ。
親同士も仲いいから、ガキさんと美貴が同じ学校に通うってことになったら、
すごく喜んでたし。
ガキさんは大人っていうかしっかりしてるし、本当にいい子だから、
昔っからみんなに好かれてる。
れいなとは違って、あんまり心配もしてなかった。
でも、そんなガキさんにも寂しそうな顔をされると、
本当にがんばんなきゃいけないなって気にさせられる。

よしっ!
気合を入れて、コートに並ぶ。
カレッツアの気合もハンパじゃない。
でも、絶対負けねー!!

257 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:52

試合開始のホイッスルが鳴る。
最初に美貴が、柴ちゃんにボールをパス。

で、すぐにまた美貴に戻してくれる。
よし、今日は速攻勝負だからね!

美貴は一気に相手ゴールに向かって、
2人交わしつつ、進んでいったけど、
さすがにそう簡単にはいかなくて3人目で苦戦。
ふと「ミキティ!」って声が聞こえてきて、
柴ちゃんがゴール少し手前のいい位置にいてくれた。
すかさず柴ちゃんにパス。
そこで、美貴はゴール前まで走る。
柴ちゃんがうまくボールをキープしてくれてて、
美貴の位置を見ると、きれいにパスしてくれた。
よしっ!…キーパーの動きと逆の方にシュート!
うまくすりぬけて、ゴール!!

すげーっ!我ながら、こんな速攻にビックリ!
柴ちゃんたちが抱きついてきて、大喜び。
「柴ちゃん、作戦通りだね」
「うん、ミキティすごいよ」

やっぱり、この気合の一番の理由は亜弥ちゃん。
客席の亜弥ちゃんに向かって、投げキッスをしてあげた。
亜弥ちゃん、すっごく笑顔になって。

「みきたーん、ダイスキ!!」
…今『みきたん』って言ってくれたよね?
しかも『ダイスキ』だって!
あははは、よーし、この調子でもう1点入れてやる!
亜弥ちゃんにウインクで応えてあげた。

258 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:52

でも、そう簡単にはいかないワケで、美貴はしっかりとマークされてしまった。
カレッツアはウチのチームと違って、みんな体が大きい。
その中でも一番っていっていいくらいのデカイ人が、
美貴にずっと張りついてて。
せっかく美貴にボールを回そうとしてくれても、
その人はとりあえずカットするだけ。
美貴がそれでも行こうとすると、ガンガンぶつかって来る。
そんなデカイ人だから、全然かなわないワケで。

美貴が何もできない状態のときに、
ウチのチームは点入れられちゃうし。

あー、このままじゃ、ウチのチームじたい負けちゃうかも。
もう1点、もう1点入れたいのに。
前半が終わって、後半、美貴はベンチだった。
監督が、マークされてるだけの美貴を入れてても、
戦力にならないからって。
すっごく悔しかったけど、このままチームが負けてしまう方が悔しい。

チームを応援しながらも、亜弥ちゃんとの約束、
2点目を入れることがどうがんばってもできない自分にイライラする。


柴ちゃんが健闘してくれてるけど、どうしても点には結びつかない。
カレッツアの方も点は取れずに、ゲームは動かないまま。

259 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:53

あと、3分で試合が終わるってときに、監督が美貴に声をかけてくれた。
「藤本、最後に暴れてこい!」
「はいっ!!」

よーし!!
美貴がコートに入ってすぐ、ボールを持っていた柴ちゃんが美貴にパスしてくれた。
幸い、まだ美貴にマークの選手はついてない。
少しボールを運んでいくと、ゴールへの道が見えた。
…コレはいける!!
普段あんまりやることのないミドルシュートを放った。
すると、ボールはキーパーの腕をすりぬけて、ネットを揺らした。
よっしゃーっ!!決まったーっ!!
柴ちゃんが美貴に抱きついてくる、他のメンバーもみんな美貴に抱きついて喜んでくれた。

美貴はすぐに客席の方を見る。
…亜弥ちゃん、見てた?ちゃんと2点入れたよ!
亜弥ちゃんにピースすると、笑顔でピースを返してしてくれた。

ホントはもう1点入れたいくらいだったけど、さすがに無茶はしないで、
あとはウチのゴールを守ることに徹して、試合は終了。
よーし!勝ったよ!
選手みんな「お疲れ様」「ありがとう」って声かけあって、
抱き合ったり、握手したり。
ほとんどみんな泣いちゃってて。
思わず、美貴もウルウルきちゃったよ。
あー、みんなありがとう。
選手のみんなも監督も、そして応援してくれたみんなも。
この3年間、美貴、よくがんばったよ。
ほとんどフットサルばっかりの高校時代だったけど、
それはそれで楽しかったし、いい思い出もいっぱいできた。
…何より、亜弥ちゃんに出会えたのはフットサルをやってたからなんだし。

260 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:53

応援のお礼を言うため、ぐるりと客席の前を回る。
「お疲れ様でした!」
「おめでとうございます!」
なんて言葉をもらえて、美貴はなるべくみんなの顔を見て、頭を下げたり手を振ったりしてた。

れいなとガキさんなんて、大泣きしてて。
本当にありがとう。
2人がいなかったら、ウチのチームの応援がキッチリ揃うこともなかったし、
おかげで選手のヤル気ももっと出てきたんだよ。
本当に感謝してるから。

そして、亜弥ちゃんの前に来た。
『2点入れたら』って話しをしたときと同じように、小指を立てて、
「約束ね」
ってウインクした。

そしたら、亜弥ちゃん、顔真っ赤になっちゃってんの。
超かわいい!
もう、どうして、亜弥ちゃんは美貴の心をこんなにくすぐるんだろ。

261 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:53

部室でジュースで軽く乾杯して、着替えて外に出た。
校門の手前で、応援してくれてた人たちが待っててくれて。
みんなお祝いの言葉をかけてくれた。
ホントにうれしいよ、みんなありがとう。

進んでいくと、いとしい顔が目に入ってきた。
亜弥ちゃん…。

「みきたんっ!」
ありがと、ちゃんと約束通り『みきたん』って呼んでくれて。

「ありがと。亜弥ちゃんのおかげだよ」
ホントにそう。感謝してるからね。
亜弥ちゃんからチュッっと軽くキスされてビックリしたけど、すごくうれしくって。

周りから「きゃー」とか「いやー」とか「おぉーっ」って声が聞こえたけど、どうでもいい。
一応、みんなの視線があるから、これだけでガマンするんだからね。
2人っきりだったらもっとスゴイのやってんだから。

「みきたんからアタシへの愛、しっかり受け止めました」
うん、しっかり贈ったもん。

「うん、愛の力ってスゴイね。美貴、今まで、こんな点の入れ方したことなかったし」
ホント、ボールに触れてたのが、実質3分もないと思うし。
どっちもボール触ってすぐにゴールできたし。
そんな記録めったにないと思うけど。

ま、コレも亜弥ちゃんとの約束があったおかげ。
「2点入れたからね。春休みの約束、楽しみだよ」
「あ!…は、はい…がんばります…」

…『がんばります』だって!
…やばいって!かわいいってーの!
しっかし、亜弥ちゃんにがんばられちゃったら、
美貴、どうなることやら…

262 名前:恋の嵐 投稿日:2005/12/30(金) 11:53
 
263 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:53

フットサルの試合の次の日、卒業式。
みきたん、この学校からいなくなっちゃうんだぁ…
会おうと思えばいつでも会えるのかもしれないけど、やっぱり寂しい。
実際、校舎の中でそうそう会えることはなかったけど、
なんだろ、同じ空間にみきたんがいるんだって思うだけで、
安心っていうかうれしいなって感じてたところがあったのに。


「亜弥ちゃん、さっきっから、ずっとため息ついとるけど」
愛ちゃんが大きな目をして、アタシのことを見てた。

「だって、みきたん、卒業しちゃうんだもん」
「いーやんか、もうコイビトなんやから」
「そうだけどぉ…」
…はぁ…またため息。

「あ、そういえば、シゲさんは明日卒業式だよね」
こんちゃんがニコニコと愛ちゃんのことを見てる。
中等部は1日遅れの卒業式らしい。

「うん。もう、高等部の制服作ってて、この前見させられた」
いいなあ、愛ちゃんは。
4月からは完全に同じ校舎になるんだもんね。
アタシなんか、あと2年後だもんなあ。

264 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:54

卒業式で、みきたんが壇上に上がって、証書を受け取るとき、
思わず涙が出そうになったけど、ダメダメ泣いちゃったら。
だって、みきたんは笑顔なんだもん。

式が終わってから、みんないろんなところで写真を撮ったりしている。
アタシもみきたんと写真撮りたいなあ…
携帯で撮るのはもちろんだけど、
そういえば、部室のロッカーに使い捨てカメラ置いてたっけ。
まだ使ってないヤツだから、ソレも使っちゃおうかなー。

テニス部の部室に向かっていったら、少し前を石川先輩が歩いていた。
あ、先輩ももしかして、部室に何か忘れ物かな?
声をかけようとしたら、先輩はテニス部の部室じゃなくて、
手前のフットサル部の部室のドアをノックすると、中に入っていった。



…?…なんでだろう?
他に人も通ってないし、ちょっと気になったから、
ドア越しに何か聞こえないかなって思って、近づいてみた。


『…前に付き合ってた人のこと、よっすぃーにも話したよね?』
石川先輩の声だ。
『よっすぃー』って言ってるってことは、吉澤先輩も一緒なんだ。

『その人のこと、もう完全にふっきれたって言いきれないと思う。
だから、よっすぃーのこと「好き」って言える自信もまだないの…
でも、これからもよっすぃーと仲良くしていきたいと思う…
もっとよっすぃーのこと知りたいし、私のことも知って欲しいし…
こんな中途半端な気持ちでもよければ…私と付き合って下さい』

265 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:54

…うわっ、告白タイム!?

中で、ガシャン、バタンと何かモノにぶつかるような音が聞こえてくる。

『ちょ、ちょっと、よっすぃー?』
『…う、うれしすぎて…』
『え?』
『絶対断られるって思ってたから』
『なんで?』
『ウチなんて子供だし、相手にしてくれてるのは、
先輩が優しいからだけなんだって思ってた』
『そんなことない。ちゃんと、よっすぃーのこと思ってるから、ね』


少し沈黙があって、またガシャンって、1回だけだけど、大きな音がした。
『だ、大丈夫?』
『……ヤバイっす』
『立てる?』
『……先輩が、もう1回してくれたら、立てるかも』
『え?…もう…』


…え?もしかして、チューしてる!?
うわー、この2人も付き合うことになったんだぁ。
よかったですね、石川先輩も吉澤先輩も。
にゃはは、2人のことよく知ってるだけに、アタシもうれしいです。

あ、こんなことしてる場合じゃない!
みきたんと写真撮らなきゃ!

266 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:54

部室に寄ってから、校庭へ向かうとたくさんの人たち。
後輩からプレゼントもらってる先輩とかもいるし。

みきたん、いるかなあ?
まだ教室とかかなあ?
キョロキョロしてたら、すごい人だかりのところがあって。
何だろうって思って、背伸びとかジャンプとかして、のぞこうと思っても全然無理。

その中から、
「ありがとねー」
って、アタシの大好きな鼻にかかった声が聞こえてきた。

え?え?
もしかして、みきたんに群がってる人たちなの!?
ざっと見ても、30人以上いる…

「藤本センパイ…私、私…」
「あー、泣かないでよー、美貴が悪いことしたみたいじゃん」
なんて声まで聞こえてくる。
……もー、みきたん、モテすぎ!

この人波の中に突っ込んでいこうかと思ったけど、
みんなだって、アタシと一緒でみきたんと離れるのさみしいんだよね。
アタシは、これからもいっぱいいっぱい会えるけど、
この人たちはもしかしたら、本当にみきたんと会うのは最後なのかもしれないし。
…うん、今日は、今日だけはみんなのみきたんでいいよ。
その代わり明日からは、アタシのみきたんだからね!

……でも、あまりのみきたんの人気ぶりに、やっぱりさみしくなる。
せめて、2人で写真を撮るくらいはしたいのに、
このままじゃ、いつまで待てばいいのかわかんない。
…はぁ…みきたん、アタシに気付いてよ…

267 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:54

ちょっと離れたところから、みきたんを囲んでる人たちをじっと見てたら、
アタシの隣りに誰か並んできた。
その人を見ると、その人はニコッって微笑んでくれた。
…この人誰だっけ?なんか見覚えあるんだけど…

その人は、みきたんを囲んでる人込みに近づくと、
「ミキティ!フットサル部で写真撮るから、体育館来てよ!」
って大きな声で叫んだ。

「あ、柴ちゃん!?わかった、すぐ行く!」
「早く来てねー」
その人は、もう一度、アタシのことを見て微笑むと、
体育館の方に向かっていってしまった。
あ、そうだ、フットサル部の柴田先輩だ!
んー?アタシ、1回もしゃべったことないのになあ?
まるで、アタシとみきたんの関係も知ってるみたいなカンジだし。
ま、いいか、柴田先輩のおかげで、
みきたんは、「ちょっとごめんね」とか言いながら、
囲んでる人たちをかきわけて、出てきたと思ったら、そのまま体育館の方へ。

みんなも「フットサル部の撮影、見たい!」とか言い出して、
結局、ゾロゾロみきたんについていっちゃうし。

しかも、みきたん、アタシに全然気付かないで行っちゃった…
…もー!自分の好きな子がこんなに熱い視線送ってるんだから、気付いてよ!
みきたんなんか知らないっ!

…んー、ホントはアタシもフットサルの撮影会見たいよぉ…
でも、他のファンの子と同じみたいでなんかイヤ。
それで、みきたんに気付かれなかったら悲しいし。
……はぁ。

268 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:55

体育館に向かうかどうか、悩んで悩みすぎて、気付いたら、
フットサル部の人たちが出てきてしまった。
みきたん、みきたん…あ、いた!柴田先輩とかと笑って話してる。
後ろには相変らず、ファンの人たちの行列。
…え?みきたん、突然ダッシュして、校舎の方に消えてしまった。
みきたんファンの人たちも、あまりに突然でビックリして、固まってる。
さすがに走って追いかけるまではしないみたい。
…それにしても、みきたん、どこに行ったんだろ?

ん?
ポケットに入れてた携帯がブルブル震え出した。
誰だろ?………みきたんっ!!
慌てて通話ボタンを押す。

「みきたんっ!?」
『うん、そうだよ』
…あー、よかった。みきたん、アタシのこと忘れてるのかと思った。

『亜弥ちゃん、今からさ、屋上に来てくんない?』
「え?」
『待ってるから、なるべく早く来てね』
「は、はいっ!」

うわーっ!みきたんとちゃんと会える!
アタシは、猛ダッシュで屋上まで駆け上がって、思いっきりドアを開けた。

269 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:55

みきたんは、フットサルのボールを眺めていた。

「お、亜弥ちゃーん」
ボールを、足元の紙袋に入れると、
みきたん、ニコニコしながら、アタシを見て、
両手を広げて、「おいで」って言ってくれた。

…みきたんっ!
アタシは勢いよくみきたんの胸に飛び込んだもんだから、
思わずみきたんまでよろけてしまって。

「あははは、もう、亜弥ちゃんはかわいいなあ」
みきたんは、アタシの頭を撫でて、ギュッっと抱きしめてくれた。

「…だって、だって、今日はみきたんとお話もできないかもって…」
「何言ってんの。ま、美貴も亜弥ちゃんとゆっくり話しできないかもって、
コソコソ呼び出しちゃったんだけど」
「…んーん、ありがと」
アタシはみきたんの肩にスリスリした。

「ま、こうやって、亜弥ちゃんと同じ制服を着るのも今日が最後だしさ、
2人で一緒に写真撮りたいと思ってたし」
「うん!アタシも同じこと考えてた」
「よーし、じゃ、早速撮ろっか」

2人で思いっきり顔を寄せ合って、携帯と使い捨てカメラで撮りまくった。
チュー写真も撮っちゃったし、みきたんにいろいろポーズとってもらって、
ワンショット写真もいっぱい撮った。
もうすっごく楽しくてはしゃいでたのに、みきたんに電話が…

270 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:55

「…ごめん、そろそろ行かなきゃ」
今日は、みきたん、クラスの人たちとパーティー。
ちなみに明日は、アタシたち1、2年生の終業式。
そのあと、フットサル部で3年生も交えてパーティーをするらしい。

「亜弥ちゃんと会えるのは、あさってだね」
そう、あさっては、みきたんと一緒に遊園地に行って、その後みきたんちにお泊まり…
でも、明日は会えないし…今日もコレだけなんて…
アタシは、たぶん、すごく寂しい顔になってたと思うけど、コクンと頷いた。

「美貴、すっごい楽しみなんだけど」
みきたん、アタシにチュッってしてくれて、ギュッって抱きしめてくれた。
「…あー、亜弥ちゃんと離れたくないよぉ」
「アタシだって離れたくない…」
アタシが腕に力をこめると、みきたんももっとギュッってしてくれて。

「…ん、でも、今日はここまでにしといて、あさってのお楽しみにする」
みきたんが、アタシから体を離すとニコッとしてくれた。

「何なら、あさって遊園地やめて、美貴ん家でずっとイチャイチャしてる?」
「えっ!?」
「んー、ま、それはまた別の日にすればいっか」
みきたんはニヤニヤしながら、アタシを見ると、
もう1回だけ、軽くチュッってしてくれた。

「じゃ、あさってね!」
みきたんは、そう言って、屋上から出ていった。

みきたんとイチャイチャだって…
そりゃ、したいに決まってるじゃない!
…でも、みきたん、アタシにどんなすごいことするつもりなんだろ?
もー、あさってのことなのに、ドキドキしっぱなしなんですけどー。

271 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:55

次の日の終業式。
こんちゃんはフットサルの会があるから来れなかったけど、
愛ちゃんとかクラスの子たちで、最後だからって、ゴハンとカラオケに行った。

ちなみに愛ちゃんは、ちょっとだけ中等部の卒業式の様子を見に行ってて、
道重ちゃんとのツーショット写真を見させられた。
はいはい、道重ちゃんはかわいいですよ。
まったくー、愛ちゃんのデレデレなとこもかわいいんだけど、
今日は、アタシがみきたんと会えないからなんかちょっとムカつく。

そう、何をしててもアタシの頭ん中には常にみきたんがいて。
明日のことを思うと、ギュッって胸がしめつけられて、心ここにあらずってカンジ。
早く明日になって欲しいけど、なってほしくないような、
すごく楽しみだけど、めちゃめちゃ緊張もしてる。
でも、やっぱりみきたんの側にいたい。
早くみきたんのかわいい笑顔を近くで見たい。
みきたんの優しい声を聞きたい。
あー、待ちきれないよぉ…
もう、今日は早く寝る!
その方が、時間が早くたつ気がするもん。

272 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:56

たっぷり睡眠をとって、目覚めもよくって。
でも、起きてすぐに、みきたんのことを思って、
朝からドキドキしちゃってる。

みきたんとの待ち合わせも1時間近く早く着いちゃって。
しょうがないから、近くにあった本屋で立ち読みでもしよっと。

あー、なんか面白そうなマンガとかないかな。
と、思ったら、雑誌コーナーにちょっとエッチなマンガが置いてあって。
…読んじゃおうかな…
パラパラと見るつもりが、結構内容が激しくて、ついじっくりと見ちゃった。
…はぁ、アタシ、みきたんとこんなようなこと、今日の夜するんだよなあ…
うれしいけど、やっぱりちょっとだけコワイ。
でも、みきたんだもん。アタシの好きなみきたんだもん。
大丈夫、絶対大丈夫。

マンガに夢中になってしまって、気付いたら待ち合わせ時間ギリギリになってた。
慌てて待ち合わせ場所に戻ると、みきたんがもう来てた。
アタシに気付くと、パァっと笑顔になって、手を振ってくれた。
走っていって、みきたんに飛びつく。

「ごめんね、待たせちゃって」
「ん、美貴も来たばっかだよ」
みきたんが、アタシの髪を優しく撫でてくれる。

「じゃ、行こっか」
みきたん、アタシの手を握って歩きはじめた。

遊園地の乗り物ももちろん楽しいけど、
アタシは隣りにみきたんがいるって思うだけでうれしい。
みきたんのかわいい顔、優しい表情が見れればそれだけでいい。

273 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:56

夕方くらいに、みきたん家に行ったら、
みきたんのママが歓迎してくれた。

「美貴の友達は、ホントにかわいい子ばっかりね。
顔で友達選んでるんじゃないの?」
「んなワケないじゃん!」

…そりゃ、確かに、みきたんの周りはカワイイ人ばっかりだよね…
石川先輩、柴田先輩、吉澤先輩…
アタシが知ってる人だけでも、みんなカワイイもん。
でも、でも、みきたんにとってはアタシが一番なんだよね?
にゃははは。
みきたんにニコッってしたら、不思議そうな顔をしながらも、
ニコッってしてくれた。

ママと一緒にゴハン食べて、そのあとデザート食べて、
そしてお風呂に入ることになった。

「亜弥ちゃん、お客さんなんだから、一番に入って」
「あ、うん」

お風呂に入ったけど、この後、みきたんと…って思うとすっごく緊張してきた。
でも、でも、みきたんのこと好きだから…
体もちゃんとすみずみまでキレイにしないと。

お風呂から出て、みきたんがお風呂に入ってる間、アタシはリビングで
みきたんのママと一緒にテレビを見ることにした。

「お母さん、亜弥ちゃんにヘンなこと言わないでよ」
「ヘンなことってどんなこと?」
「…とにかく!余計なことしゃべんないでよ!」
「はいはい」

みきたんは、ママのことを睨むように見ながら、
お風呂場に向かっていった。

274 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:56

んー、逆にアタシがみきたんのこといろいろ聞きたいんだけどなあ。


「亜弥ちゃんは、ご兄弟は?」
「妹がいます」
「そうなの?きっと妹さんもかわいらしいんでしょうねえ。
ウチは、お兄ちゃんがいるんだけど、大学生になってから1人暮ししてて」
「そうなんですか?」
そういえば、お兄ちゃんの話し、詳しく聞いたことなかったなあ。


「でも、この前ねー、彼女連れてきたのよー」
兄妹揃って…みきたんも一応、コイビトであるアタシのこと、
連れてきてるワケだし…って、そこまでママには話してないだろうなあ。

「美貴は、全然そういうのがなくって…あ、でも一度だけあったわ」
「えっ!?」
「美貴が中学生のときに、2人で駅前を歩いてるときにね、
かっこいい男の子が美貴のこと呼んでてねー。
その子が『美貴さんとお付き合いさせていただいてます』ってね。
美貴から何も聞いてなかったからビックリしたんだけど。
いい子だったのに、何で別れちゃったのかしらねえ」

…みきたん、彼氏いたんだ…
まあ、みきたんみたいなカワイイ子なら、いて当然だし。

でも、何か何か…
くやしいっていうかさみしいっていうか。
そんな話し聞いたことなかったし…
みきたんがあんなにチューがうまいのは、
その人と経験があるからなんじゃないかって思うと……
しょうがないじゃん、アタシと知り合ってないときなんだし、
そんな昔のことを、こだわることもないし。
いいじゃん、今、みきたんがアタシをイイって言ってくれてるんだから。

そのあとは、みきたんママから、アタシのことをいろいろ聞かれて、
それに何となく答えてた。
…はぁ…みきたんの元カレのことを聞いちゃったから、
なんかすっごく凹んでる自分がいる。

275 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:56

みきたんは結構早くにお風呂を出てきて、すぐに一緒に部屋に向かった。

部屋に入って鍵をかけると、みきたんはいきなり、
アタシのことをギュッっと抱きしめてきた。

そして、唇が重なって、激しいキスになると、
みきたんは、アタシのことをベッドに押し倒してきた。

…え?も、もしかして、このままはじまっちゃうの?
みきたん、早すぎるって!
アタシ、まだ心の準備とか全然できてないしっ!!

やっぱり、みきたんはアタシのパジャマのボタンを外そうとしはじめて。
「ま、待って!!」
「…待てない」
「だって、ママ、まだ起きてるでしょ!」
「大きな声出さなきゃ大丈夫だって」
「で、でも!」

みきたん、アタシの顔を心配そうに覗き込んできた。
「…イヤ?コワイ?」
アタシは、思いっきり首を横に振った。

「…そうじゃない、けど…」
「けど?」
「ホントにアタシでいいのかなあって」

みきたんがキョトンとした顔になった。
「何で?どうしたの?」

276 名前:恋の嵐 A 投稿日:2005/12/30(金) 11:56

「……みきたん、彼氏いたんでしょ?」
「えっ!?…あ!お母さんがしゃべったの?」
みきたん、途端に険しい顔になって。

「…アタシ、オンナだけど、いいの?」
「いいに決まってるじゃん!」
「…ホントに?」
「っていうか、美貴は亜弥ちゃんがいいの!
亜弥ちゃんじゃなきゃダメなの!」

…みきたん…
みきたん、アタシのことをじっと見つめてきた。

「…アタシも、みきたんじゃなきゃダメ」

みきたん、すっごく優しい目になって、
またアタシのことを抱きしめると、キスをしてきた。

「…キス以上のことしてもいい?」
みきたん、キスの合間にそうつぶやいた。

「…うん、して」
アタシがそういうと、みきたんは優しくアタシの体を撫ではじめた。

…あー、みきたん、好き、大好き。
優しいみきたん、かわいいみきたん、かっこいいみきたん…全部ダイスキ。
アタシのシアワセはみきたんと一緒にいること。
これからもずっとずっと一緒だからね、みきたん…







277 名前:恋の嵐 投稿日:2005/12/30(金) 11:57
 
278 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:57

フットサルの試合の翌日が、卒業式。
っていっても、ほとんどの子が付属の大学に進むから、
それほどさみしいとか悲しいとかはないんだけどね。

…でも、やっぱり、亜弥ちゃんと離れるのはさみしい。
少し前に一緒に帰ってたのもあるけど、
やっぱり会える時間が減るんだろうし。
あー、でも美貴がこんなこと思ってちゃダメじゃん。
この前、さみしがる亜弥ちゃんのこと、なぐさめてたのは美貴なのに。


卒業式も無事終わって、クラスの子とかと教室や校庭や校門で写真を撮ってた。
あー、亜弥ちゃんともプリクラだけじゃなくって、
ちゃんと写真も撮りたいなあ。

校庭を歩いてたら、たまたま柴ちゃんに会った。
「おう、ミキティ」
「あ、昨日はお疲れー」
「あ!そうだ!ミキティ、かわいい彼女できたんだね」
「えっ!?」

確かにできてますけど、何で!?
「昨日、抱き合ってキスしてたじゃん。
後輩だよね?1年生?2年生?」

…あ、あー、そっか。
美貴、今までそんなことしたことなかったしな。
ま、柴ちゃんだって、大谷先輩と付き合ってるんだし、
女の子同士でも全然OKな人だしね。

「1年生。こんちゃんと同じクラスだよ」
「へーっ!ナニナニ、こんちゃんの紹介?」
「紹介っていうかー……」

柴ちゃんにいろいろ聞かれて、美貴、素直に答えてたけど、
亜弥ちゃんのこと、しゃべってるだけでうれしくって。

「ミキティ、顔がやらしい」
「はぁ!?ナニソレ?」

279 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:57

まあ、そんなことを言われつつも、ゴキゲンでいろいろ話してて。
そしたら、後輩の子が近寄ってきて、
「藤本先輩、卒業おめでとうございます」
って花束を渡された。
「あ、あー、ありがと」

それをきっかけに、気付いたら、美貴の周りにはすごく沢山の後輩たちが。
柴ちゃんはいつの間にかいなくなってて。
コイビトいるのが、みんなの公認になってるから、
そんな本気の人はいないだろうけど、
柴ちゃんも人気あるからなあ、きっと後輩からプレゼントもらったりしてんだろうな。

フットサルを見に来てて顔を知ってるくらいの子、一度も話したことない子とか、
いろんな後輩から声かけてもらって。
手紙とかプレゼントとかいっぱいもらって。
うん、何か普通にうれしいよ。
こうやって、美貴のことを思ってくれてる人たちがいるんだなあって思うと、
もっといろんなことがんばんなきゃって。



「ミキティ!フットサル部で写真撮るから、体育館来てよ!」
って、美貴の周りの人の後ろの方から柴ちゃんの声がした。
人が多すぎて、顔は見えてないけど。

「あ、柴ちゃん!?わかった、すぐ行く!」
「早く来てねー」

さすがに、この後輩の子たち全員とちゃんと話してたら、
時間がいくらあっても足りないし。
申し訳ないけど、美貴は体育館に向かうことにした。

「フットサル部の撮影、見たい!」とか言う子たちもいて、
ほとんどみんなついてきちゃったんだけど。

280 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:57

「お、ミキティ、遅いぞ」
よっちゃんさんが、ニコニコと美貴を見てきた。
美貴たち3年生だけでなく、顧問である監督も1、2年生もちゃんと揃ってた。


あ、そういえば、さっき、梨華ちゃんが、
「よっすぃーと待ち合わせてるから」って、
クラスの子といるときに、途中抜けてったけど、
梨華ちゃん、どんな返事したんだろ?
まあ、断ってはいないだろうし、
よっちゃんさんの表情からすると、絶対いい返事もらってるはず。

写真を撮ったあと、そっと、よっちゃんさんに近づいて、
「どうなったの?梨華ちゃんとは?」
って聞いたら、よっちゃんさん、ニヤーッって顔になって。

「向こうから『付き合って下さい』って言われた」
「おぉー!」
「で、キスされた」
「へっ!?」

つーか、展開早くない?
ま、美貴と亜弥ちゃんも早いっちゃー早いけど。

「コレも全て美貴様のおかげだと思ってます」
「ま、美貴は大したことしてないけどさ。
よかったじゃん、マジで」
よっちゃんさんはニヤニヤしたまま、美貴の頭を撫でた。

そこに、こんちゃんが大きな紙袋を2つ持って、やってきた。
「吉澤さん、コレ、お願いします」
「おっ!そうだ」

紙袋の中には、フットサルのボールがいくつか。
3年生それぞれに、後輩たちが寄せ書きをしてくれたもの。
美貴の分ももちろんあって、みんなのメッセージが書かれていた。
うん、うれしいねえ、早くみんなと大学でまた一緒にプレイしたいよ。

281 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:58

体育館から出るときに、柴ちゃんが美貴の側にきて、小声で話しはじめた。
「さっきさー、ミキティの彼女、さみしそうにしてたよ」
「え!?いつ?」
「ミキティが後輩たちに囲まれてるの、ちょっと離れたとこから見てた」
…亜弥ちゃんに、さみしい思いさせちゃったか。

「たぶんさ、この後ろについてる子たち、なかなかミキティの側離れないと思うんだよね」
「うーん、そうかな?」
「だからさ、体育館出たら、サッと消えちゃいなよ。
彼女と2人でゆっくり話したいでしょ。学校で会うの最後なんだし」

柴ちゃんのアドバイスにしたがって、
体育館を出てすぐにダッシュして、その場から消えた。
とりあえず、校舎の方に来たものの、どこに行こう?
教室じゃあ、誰か来るかもしれないしなあ…
あ、屋上なら、さすがに誰もいないかな。
とりあえず向かってみよう。


幸い、屋上には誰もいなかったし、ついてこられてもない。
すぐに亜弥ちゃんに電話した。

『みきたんっ!?』
「うん、そうだよ」
亜弥ちゃん、安心したようなため息をついてた。

「亜弥ちゃん、今からさ、屋上に来てくんない?」
『え?』
「待ってるから、なるべく早く来てね」
『は、はいっ!』

あー、早く来てよ。
早く亜弥ちゃんに会いたいもん。

282 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:58

待ってると手持ち無沙汰だから、
さっきもらったメッセージの書かれたボールを見てみた。

その中の、こんちゃんのメッセージ、
『ご卒業おめでとうございます。
藤本さんのボールに向かっていく姿、ホンットかっこよくって、
実は試合中もたまに、後ろから見惚れちゃってましたぁ。
さみしくなっちゃうけど、また再来年から一緒にプレイできるのを
楽しみにしています。
いつまでもかっこいい藤本さんでいて下さい。
それと、かわいい彼女を大切にして下さいね(はあと)」

…もちろん、大切にするって!
それにしても、自分では言ってないのに、知られてるのって何か恥ずかしい。
亜弥ちゃん、こんちゃんとかに美貴のこと、どんな風に話してんだろ?
今度、こんちゃんから亜弥ちゃんのこといろいろ聞かせてもらおうかな…


そんなことを考えてたら、屋上のドアが開いて、亜弥ちゃんが肩で息しながら、
美貴のことを見てた。ああ、ホントに急いで来てくれたんだね。


「お、亜弥ちゃーん」
持ってたボールを紙袋に入れた。
亜弥ちゃんは突っ立ったままで、こっちに来てくれない。
だから、両手を広げて、「おいで」って言った。


そしたら、亜弥ちゃんは走って美貴の胸に飛び込んできた。
思わず、その勢いで美貴がよろけちゃうくらいに。

283 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:58

「あははは、もう、亜弥ちゃんはかわいいなあ」
ホントかわいい。
ごめんね、さみしい思いさせちゃって。
亜弥ちゃんの頭を撫でて、ギュッっと抱きしめた。

「…だって、だって、今日はみきたんとお話もできないかもって…」
「何言ってんの。ま、美貴も亜弥ちゃんとゆっくり話しできないかもって、
コソコソ呼び出しちゃったんだけど」
「…んーん、ありがと」
亜弥ちゃんが美貴の肩にスリスリしてくる。
マジでかわいいんだけど!

「ま、こうやって、亜弥ちゃんと同じ制服を着るのも今日が最後だしさ、
2人で一緒に写真撮りたいと思ってたし」
「うん!アタシも同じこと考えてた」
「よーし、じゃ、早速撮ろっか」



携帯と、亜弥ちゃんが持ってきた使い捨てカメラで、
いろんなポーズで撮った。
もちろん、チューしてる写真も♪
亜弥ちゃんが欲しいっていうから、美貴のワンショット写真まで撮らされたけど。
あー、亜弥ちゃんと一緒にいるってだけで、どうしてこんなに楽しいんだろ?

そんな風に2人の時間に浸ってたのに、美貴にクラスの子から電話がかかってきた。
今日はクラスの子たちで一応お別れパーティー。
っていっても、クラスでウチの大学に進まないのって、2人しかいないんだけど。
まあ、学部とかも違うから、大学行ったら、みんながみんな、
そう顔を合わせられるワケじゃないしね。

そろそろ出発して、予約してるカラオケ店に向かうらしい。
はぁ、せっかくの亜弥ちゃんとの時間だけど…

284 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:58

「…ごめん、そろそろ行かなきゃ」

あー、亜弥ちゃん、そんなにさみしそうな顔しないでよ。
離れらんなくなっちゃうじゃん。

「亜弥ちゃんと会えるのは、あさってだね」
あさっては、一緒に遊園地に行って、それから亜弥ちゃんはウチにお泊り。
泊まって、何をするかっていったら…ねえ…

亜弥ちゃんはさみしい顔をしながらも、頷いてくれた。
「美貴、すっごい楽しみなんだけど」

亜弥ちゃんに軽くキスして、ギュッっと抱きしめた。
ホントは、亜弥ちゃんとずっとこうしてたいよ…

「…あー、亜弥ちゃんと離れたくないよぉ」
「アタシだって離れたくない…」
亜弥ちゃんが美貴の背中に回してくれた腕に力をこめてくれた。
だから、美貴ももっとギュギュッっとしてあげて。

「…ん、でも、今日はここまでにしといて、あさってのお楽しみにする」
亜弥ちゃんの『離れたくない』って言葉を聞けただけでも、うれしかったし。
んー、でもやっぱり、亜弥ちゃんとピッタリくっついてたいなあ…

「何なら、あさって遊園地やめて、美貴ん家でずっとイチャイチャしてる?」
「えっ!?」
亜弥ちゃんの顔見たら、真っ赤になっちゃって。
えへへへ、まあ、そんな焦んなくてもいいか。

「んー、ま、それはまた別の日にすればいっか」
亜弥ちゃんがかわいすぎるから、もう1回、チュッってして。

「じゃ、あさってね!」

思いきらないと、このまま、本当に亜弥ちゃんの側を離れられなくなっちゃう。
亜弥ちゃんに手を振ると、屋上を出た。

285 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:59

クラスの子とのパーティー。
制服だからさすがにお酒なないけど、最後だし盛り上がった。
美貴は、やっぱり、梨華ちゃんの話しを聞きたくて様子をうかがってた。
何せ相手があのよっすぃーだしねえ、
ウチのクラスにもファンが何人もいるし、2人でしゃべれる時間がないかなって。

席も離れてたから、トイレに行くときに、ちょっと声をかけた。
「梨華ちゃん、春休み中のデートはどうすんの?」
梨華ちゃん、ニコニコしながら、
「あさってね、映画見に行くつもり」って。
ああ、梨華ちゃん、すごくシアワセそうな顔になってる。
梨華ちゃんのこんな表情見るの、久しぶりだな。
うん、よっちゃんさんなら、ちゃんとシアワセにしてくれるよ、きっと。



次の日、1、2年生が終業式ってこともあって、
フットサル部での卒業生を送る会みたいなパーティー。
やっぱり、ツライこともうれしいこともちゃんと共有してた仲間だからね、
すごく盛り上がった。
まあ、大学行ってからもほとんどの人がフットサルを続ける予定だから、
これからもよろしく!みたいなノリだったけど。


こんちゃんが美貴のとこにやってきて、ニコニコしてた。
「藤本さん、いろいろとお世話になりました」
「んーん、こっちこそ、ホント、こんちゃんには助けられたよ」
「いえいえ。大学行ってからもよろしくお願いしますね。
あ、亜弥ちゃんともお幸せに」

お!亜弥ちゃんのこと聞けるじゃん!
「亜弥ちゃんさー、美貴のこと何て言ってた?」
「んー、何てっていうか、最初に藤本さんのこと好きになったときに、
いろいろ聞かれたし、そのあとはいろいろ聞かされてましたから」

カラオケのときも、なるべく亜弥ちゃんと美貴が近づけるようにしてくれてたみたい。
ん、ある意味、こんちゃんが、美貴と亜弥ちゃんのキューピッドなんだね。

「こんちゃん、いろいろありがとね」
「いえいえ、私の大切な人たちが幸せになるのは、
私にとっても幸せですから」
こんちゃん、イイ子だねえ…
こんちゃんの頭を撫でてあげたら、くすぐったそうに笑ってくれた。

286 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:59

「むー、ミキティ、コンコンに手出してんの?」
ごっちんがやってきて、こんちゃんの後ろから抱きついてる。
こんちゃん、ビクッとして体固くしちゃって。
あらら、しかも顔が真っ赤なんだけど。
あー、こんちゃんって、ごっちんのこと好きなのかな?
そういや、ごっちんとしゃべるときのこんちゃんって、
いつもと違って早口のような気がする。
きっと、テンパってるからなんだろうなあ。

「別に手出してるワケじゃないしー」
「ふーん、じゃ、コンコンは、後藤がもらった」
「…えっ?」
こんちゃん、キョトンとしながらも、ごっちんの方に顔を向けた。
そしたら、ごっちん、こんちゃんにチュッってキスしてんの!

こんちゃん、本当に目を丸くして固まっちゃって。
あははは、絶対、こんちゃん、ごっちんのこと好きだわ。
ごっちんも、よく見ると、何気に顔赤くしてるし。

「ま、じゃあ、お幸せにー」
何かあてつけられてるみたいで、恥ずかしくなったから、
別の場所に行こうっと。
うん、こんちゃんもよかったね。
美貴と亜弥ちゃんのキューピッドにも幸せになってもらわないと申し訳ないもん。

287 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:59

そして、いよいよ、亜弥ちゃんとのデートの日!
あんまり気合入ってると思われるのもカッコ悪いから、
待ち合わせ場所に5分前くらいに到着。
亜弥ちゃんは、まだ来てないみたい。
あー、早く会いたいな。
と、思ったら、すぐに亜弥ちゃんがやってきて。
手を振ったら、亜弥ちゃんは笑顔で走ってきて、美貴に飛びついてきた。
えへへ…かーわいいなあ、亜弥ちゃん。

手を繋いで、遊園地へ!
楽しくってキャーキャー騒ぎまくって。
うん、亜弥ちゃんと一緒だから、何倍も楽しいんだよ。
遊園地じゃなくったって、亜弥ちゃんと一緒ならどこへ行っても楽しいはず。


夕飯はウチで食べる予定だったから、
夕方くらいにウチへ向かった。

亜弥ちゃん、玄関に出迎えてくれたウチのお母さんに、
「藤本先輩の2年後輩の松浦亜弥です。今日はお世話になります」って、
笑顔できっちり頭下げて。

さすが亜弥ちゃん!
美貴の友達が遊びにきても、こんなちゃんと挨拶した子なんていないよ。
お母さんも感心した声を出して、超笑顔で。
「美貴の友達は、ホントにかわいい子ばっかりね。
顔で友達選んでるんじゃないの?」
「んなワケないじゃん!」

そんなこと絶対ナイ!
だいたい、亜弥ちゃんは友達じゃなくてコイビトだしー。
美貴にとっては、一番かわいい子なんだからね!
亜弥ちゃん、誤解しないでよ…
亜弥ちゃんの顔を見たら、なぜかニコニコしてて。
よかった、怒ってなかったみたい。

288 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:59

ゴハンを食べて、ちょっとまったりして、
その後、お客さんの亜弥ちゃんが一番でお風呂に入ることになった。

亜弥ちゃんがお風呂から出てきて、その後は美貴が入る。
でも、その間、リビングで、亜弥ちゃんとお母さんが2人でいることになるから、
ちょっと不安…

「お母さん、亜弥ちゃんにヘンなこと言わないでよ」
「ヘンなことってどんなこと?」
「…とにかく!余計なことしゃべんないでよ!」
「はいはい」


例えば、昔の恥ずかしい話とか絶対しないでよ!
小さい頃のアルバムとか勝手に見せたりしないでよ!
でも、そんな具体的に言ったら、
亜弥ちゃんが逆に聞きたがったり、見たがったりしそうだから、言えないけど。

お風呂に入りながらも、ちょっと緊張してきた。
一応、これから、亜弥ちゃんと……
だから、体はキレイに洗うけどー、お母さんに余計なことされないように、
早めに出ないと。

さっさとお風呂を出て、亜弥ちゃんの手をとって、美貴の部屋に向かった。
亜弥ちゃんの手、大好き。
…でも、手だけじゃなくって、もっといろんなところに早く触れたい…

部屋に入って、一応、鍵は閉める。
お母さんがいきなり開けるってことはないとは思うけど、念のため。

亜弥ちゃんの顔を見たら、少し不安そうな表情をしてる。
大丈夫、美貴、優しくしてあげるから。

289 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 11:59

亜弥ちゃんのことを抱きしめて、キスをした。
あー、亜弥ちゃんの唇もダイスキ…舌もダイスキ…
もっと、もっと…
亜弥ちゃんのことをベッドに押し倒した。
もう、今日はガマンすることないんだよね!

亜弥ちゃんのパジャマのボタンに手をかけた瞬間、
「ま、待って!!」
「…待てない」
もう、無理だって、ここまで来ちゃったら。

「だって、ママ、まだ起きてるでしょ!」
「大きな声出さなきゃ大丈夫だって」
「で、でも!」

亜弥ちゃんの声が、本当に切羽詰ってたから、
ちょっと美貴も不安になって、亜弥ちゃんの顔をのぞきこんだ。
亜弥ちゃんは困った顔をして、さっと美貴から目をそらした。
「…イヤ?コワイ?」
…亜弥ちゃんにそんな思いさせちゃってたら、ゴメン。

でも、亜弥ちゃんは首を横に振ってくれて。
「…そうじゃない、けど…」
「けど?」
「ホントにアタシでいいのかなあって」

…は?
「何で?どうしたの?」
散々、美貴の気持ち言ってるじゃん。すごい今更なんだけど。
亜弥ちゃん、目をうるませて、美貴のことをじっと見てきて。

290 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 12:00

「……みきたん、彼氏いたんでしょ?」
「えっ!?…あ!お母さんがしゃべったの?」

…うー、一番言って欲しくなかったこと言いやがって!
そりゃ、いたけど、ほんのちょっとしか付き合ってないし、
美貴的には全然本気じゃなかったし!

「…アタシ、オンナだけど、いいの?」
「いいに決まってるじゃん!」
当り前じゃん!そんなことわかってるって!
わかってて、スキになってるんだから!

「…ホントに?」
「っていうか、美貴は亜弥ちゃんがいいの!
亜弥ちゃんじゃなきゃダメなの!」

亜弥ちゃんの目をしっかり見てそう言ったら、
亜弥ちゃん、何だか泣きそうな顔になって。

「…アタシも、みきたんじゃなきゃダメ」

…ありがと…
本当はすぐにでも、襲いかかりたくなったけど、
優しく抱きしめて、キスをした。
なるべく優しく優しく…亜弥ちゃんに不安に思われないように。

「…キス以上のことしてもいい?」
キスの合間に聞いたら、
「…うん、して」
って美貴の耳元で囁いた。

…そのセリフに完全にやられちゃった。
でも、今日ははじめてなんだし、そんなに焦らなくて大丈夫。
ゆっくり、じっくり、亜弥ちゃんのこと、愛していくから…

お母さんにバレないように、声を押えながらも、
亜弥ちゃんは小さくだけどすごく気持ち良さそうな声を出してくれてて。
…亜弥ちゃん…亜弥ちゃん…ダイスキだよ…

291 名前:恋の嵐 M 投稿日:2005/12/30(金) 12:00

終わってからも、お互い裸のまま抱き合って、
体をくすぐりあったりして、クスクス笑い合ってた。

ふと、亜弥ちゃんが、美貴の首に腕を回してきて、至近距離で、
美貴の目をじっと見つめてきた。

「ん?どうしたの?」
「…みきたん、アタシのこと、もっと好きになってくれないかなあって」
んー、もう充分すぎるくらいスキだけどね。
でも、亜弥ちゃんのこと、知れば知るほど、スキになれそう。

「それは、亜弥ちゃんしだいだよ」
「え?」
「亜弥ちゃんがもっと好きになってくれれば、美貴も好きになれる」
そう、亜弥ちゃんが、美貴にスキスキ光線を出してくれたら、
いくらでもキャッチできるし、倍以上に返してあげられるもん。

「じゃ、大丈夫だ」
「なんで?
「だって、アタシ、みきたんのこと、もっとスキになれる自信あるもん」

「あはは、じゃあ、美貴はもっともっと亜弥ちゃんのことスキになる」
「じゃ、もっともっともっとスキになる!」
「美貴は、もっともっともっともっとスキになるって」
「アタシは、もっともっともっともっともーーっとスキ」

…ムキになって言ってる亜弥ちゃんが、超かわいくって、
思わず吹き出しちゃった。

「あー、みきたん、ホンキだと思ってないでしょ?」
「いや、思ってるって」
「もー、アタシ、本当にみきたんのことスキでスキでしょうがないのに」

あー、なんで、こんなかわいんだろ…
「それは、美貴もおんなじ。亜弥ちゃんのことスキすぎておかしくなりそう」

亜弥ちゃんは、美貴の目をじっと見てから、頭を撫でてくれた。
美貴も亜弥ちゃんのこと、しっかりと抱きしめた。
もう、離さないから。
もっともっとずっとずっとスキだからね。


fin

292 名前:サチ 投稿日:2005/12/30(金) 12:00

何とか終了しました。大量でスミマセン…
年越ししたくなかったので(笑)

>>230さん
ありがとうございます。
そんなことを言っていただけると、こちらもシアワセな気持ちになれます♪

>>231さん
ありがとうございます。
やっぱり、あやみきは実際と同じであまあまがいいかなーって(笑)

>>232さん
ありがとうございます。
じれったくしててごめんなさいでした(笑)

>>233さん
ありがとうございます。
一言に全てが集約されてる気がします(笑)

>>234さん
いつもありがとうございます。
一気にやらさせていただきました(笑)
最後も、ちょっとだけありつつもあまーくいかせてもらいましたが(笑)

>>235さん
いつもありがとうございます。
かなり喜んでいただけたようで、よかったです(笑)

>>236さん
ありがとうございます。
トロトロになっちゃってください(笑)

>>237さん
ありがとうございます。
あやみきはキャワで甘いのがダイスキなんです(笑)

>>238さん
ありがとうございます。
あやみきは確かにサイコーです!
が、作者はサイコーなんて言っていただけるほどのものでは…(照)

>>239さん
ありがとうございます。
そこまで萌えていただけるとは、ウレシイかぎりです(笑)



たくさんのレス、本当に励みになりました!
最近、あやみきは人気ないのかなあ、なんて思ってたのですが、
そんなこともなく安心しました(笑)
次の作品についてはとくに考えてないので、どうなるかはわかりませんが…
とりあえず、最後までお付き合いいただいた皆様、どうもありがとうございました!!
またお会いできたらうれしいです♪
293 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/30(金) 14:24
大量交信お疲れ様でした!!

えーっと……多分、本人達よりも幸せいっぱいになりました(爆)
甘すぎです〜(´∀`)
作者さんの次の作品、とっても読みたいです!!
お疲れ様でしたorz
そして、ほんとにほんとにありがとうございました♪
294 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/30(金) 14:24
んああああ!!更新されてる!
作者様、簡潔お疲れ様です。今回も萌えさせて頂きました。
あやみきさいっこう!
295 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/30(金) 14:58
完結おめでとうございます
最後まで安心して萌えることができました
とても面白く読ませて頂きました
ありがとうござます
296 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/31(土) 03:37
大量更新お疲れ様です!
最後まで本当に楽しませてもらいました
予定はないようですが出来れば是非作者さんの次回作が
読みたいです!!まあとりあえず完結おめです!
ありがとう!!!
297 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/31(土) 03:39
やばい!
やばすぎる!
めっちゃ甘いやん!
こういうの好きだなぁ。
また亜弥美貴期待してますね!
298 名前:駆け出し作者 投稿日:2005/12/31(土) 09:02
完結お疲れ様でした。
2人の気持ちの変化が細かく描かれていて、応援しやすかったです。
いつか次回作を読める日を楽しみにしています。
本当にありがとうございました!
299 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/03(火) 14:09
次回作も期待しまくりで待ってますからねぇ!
300 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/12(木) 16:06
あやみき最高です。丁寧な心理描写がよかったです。
それにしても可愛すぎる、ここのあやみき!大好きです。
301 名前:名無し読者 投稿日:2006/01/13(金) 18:05
甘いっ(*´д`*)ハァハァ…素敵な完結ありがとうございました!!次回も楽しみにさせていただきます
もしよければ男前な亜弥ちゃんと乙女なみきたんが見たいとか希望してみます(笑)
302 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/19(木) 00:15
次回作も待ってます
303 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/05(日) 17:55
あげちゃだめよん
304 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/15(水) 01:46
次回作待ってますよぉ
305 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/25(土) 22:53
次回作もまってますよぉ!
あやみきがいいなぁ(〃ω〃)とか言ってみたりして(ヘ_ヘ*)
306 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/03(金) 18:38
次回作楽しみにまってますよ!
できればあやみきがいいなぁ
307 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/03(金) 19:40
ageるのいい加減にしてね。
308 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/04(土) 21:42
もう新しい作品は書かないんですか?
作者さんの作品好きですよ

309 名前:銀色の永遠 前半 投稿日:2006/03/11(土) 16:30
亜弥ちゃんと最初にキスしたのはいつだろう?
そう、ハローのメンバーたちと大人数で一緒にいたときだったと思う。
美貴はまだそのときはハローのメンバーとも
そんなに仲良くなってなかった。
唯一、亜弥ちゃんとはたまに一緒に遊んだりはしてたけど。
楽屋で他のメンバーともじゃれあっててキスをしてた亜弥ちゃん。
美貴のとこにも来て、チュッとして抱きついた。
それまでも、ほっぺにはキスはしてた。
でも、唇にされたのは、それが初めてだった。
そんときはそれだからどうってわけじゃなかった。
みんなにもしてる延長だったワケだし、
普通に友達同士でのスキンシップみたいなもん。

それからは、部屋で2人で会うときも、
キスを普通にしてくるようになった。

「久しぶりぃ」
その日、亜弥ちゃんに会うことじたい久しぶりで、
部屋に入ってくるなり、美貴に抱きついてキスをしてきた。
美貴もふざけて亜弥ちゃんの首筋にキスをした。

「きゃあ、汗くさいからだめぇ。
ね、お風呂入ろう?」
もう遅い時間だから、亜弥ちゃんはウチに泊まっていく。
明日は2人とも仕事が遅い時間からなので、ゆっくりできる。

何度か買い物とかして一緒に遊ぶようになって、
休みの前の日とかにはお互いの家にも泊まるようになった。
一番最初は亜弥ちゃん家に泊まった。
そのときもお風呂に一緒に入った。
そのとき、亜弥ちゃんが痩せてるくせに胸が大きいのに驚いた。
服や衣装も着てるときとかも、大きいかなとは思ってたけど、
下着でうまくそう見せてんのかなって思ってたから。

「亜弥ちゃん、胸、ホントに大きいね…」
湯船に向かい合って入ってるときに、つくづくそう思ったから、
何となくつぶやいてしまった。
「そんなことないよー。
ミキスケは…うーん、小さいか」
亜弥ちゃんは、美貴の胸をじっくり見てそう言った。

「ひっどーい。気にしてるのに」
「にゃはは、じゃ、アタシが大きくしてあげる〜」
って、美貴の胸を揉んできた。

「うわっ!くすぐったいって!」
美貴が亜弥ちゃんの手をどけようとしたら、
「ダメ、大きくなりたいんでしょ?」
「そうだけどぉ」
「じゃ、ガマンして」

実際、亜弥ちゃんの揉み方は別にいやらしいカンジじゃなくて、
普通にマッサージしてるみたいだったから、耐えられたんだけど。
それ以来、一緒にお風呂入るときは、髪や体を洗い合いっこと、
美貴の胸を揉むのがいつものことになっていた。
310 名前:銀色の永遠 前半 投稿日:2006/03/11(土) 16:31

だから、今日もいつものように、湯船につかりながら、
くだらない話しをしたり、胸を揉まれたり。
亜弥ちゃんが美貴の背中を洗ってくれてるときに、
手が前の方に伸びてきて、また胸を揉まれた。
「うわっ!ちょ、ちょっとー」
「今日は久しぶりだからいっぱいやんないと」
亜弥ちゃんは、うれしそうに笑いながら揉んでくる。
何か後ろからこういうことされるのって、
すごくえっちぃカンジがする…
しかも、亜弥ちゃん、しっかり抱きついてるから、
大きい胸が美貴の背中に密着してるし。
…少し変な気分になっちゃうじゃんか…
「…もういいよぉ。次、美貴の番。はいっ」
亜弥ちゃんを離して、今度は美貴が亜弥ちゃんの背中を流してあげた。


その日の亜弥ちゃんは何か変で、いつもとちょっとだけ違った。
確かに会うことじたいが本当に久しぶりだったから、
「さみしかったよ〜」とかとも言ってたけど。
だから、ちょっと甘えたさんになっちゃってるのかもしれなかった。

ソファーに並んで、2人でぴったり寄り添って、
レンタルしてきてたビデオを見てた。
アクションだけど、ラブストーリーにもなっていて、
すごく満足のいく内容だった。
それがエンディングになったときに亜弥ちゃんが、
美貴の顔をじっと見てきた。

「みきたん?」
そう、いつからだろう?呼び方が『みきたん』になったのは。
でも、そう亜弥ちゃんから呼ばれるのは嫌いじゃない。
そのアダ名じたいは美貴に合ってるとは思えないけど、
亜弥ちゃんがそう呼ぶのはすごく合ってる気がしたから。

亜弥ちゃんの方に顔を向けると、チュッとしてきた。
かわいいなあ、亜弥ちゃんは。
何度かチュッチュッチュッチュッしてたら、
今度は亜弥ちゃんは美貴の鼻を噛んできた。

「うわぁ、いたーい」
もちろん、全然本気で噛んでないから、
痛くなんかないんだけど、泣きまねしながら痛いフリをした。

「うぅ…ごめんねぇ」
そう言うと亜弥ちゃんは、美貴の鼻をペロペロと舐めてきた。
…何か、何か、ホント、今日の亜弥ちゃんはいつもと違うことをしてくる。
少し戸惑いながらも、美貴も真似をして、亜弥ちゃんの鼻を噛んだ後、
ペロッと舐めてあげた。

311 名前:銀色の永遠 前半 投稿日:2006/03/11(土) 16:31

美貴の舌が離れても、亜弥ちゃんは、
美貴の両頬に手を置いて顔を近づけたままじっとしている。
「…ねえ、たん…」
「ん?」
「…ちゃんとしたキスしていい?」
「へ?」
『ちゃんとした』ってどういうことだ?

「…舌入れても、いい?」
「え?」
し、舌入れるって、つまり、ディープキスってこと!?

「ダメ?」
「いいいいや、ダメとかそういう問題じゃなくて…」
普通、友達同士でそんなキスはしないでしょ。

「じゃ、いいよね」
「う…」
反論する前に、亜弥ちゃんの唇が重なってきて、
美貴の唇の間から、亜弥ちゃんの舌が入ってきた。

戸惑ったけど、ここで拒否するのはどうなんだろう?
亜弥ちゃんがかわいそうな気もするし、
実際しちゃってもいいかなっていう気にもなってきた。

亜弥ちゃんの舌が美貴の舌を探して絡みついてきた。
…うわっ…亜弥ちゃん、うまいかも…
亜弥ちゃんの舌が巧みに動くのを感じて、
自分の理性はどうでもよくなってきた。
しっかりと、亜弥ちゃんの動きに応えるように、
しばらくの間、ちゃんとしたキスを続けていた。

やっと亜弥ちゃんの唇が離れると、
ギュッと美貴に抱きついてきた。
2人ともかなり呼吸が荒くなってた。

「…みきたん、うまいね…」
「…亜弥ちゃんこそ…」
「…女の子だから、なのかな…何か、甘い、優しいカンジがした…」
それは、美貴も感じてた。
歯磨きした後だからミント味なのに甘いような気がして、
男の人みたく力強いとか、荒々しいカンジとは全く違って、
すごく柔らかい動きをしてた。

「あ、でも優しいのは、女の子だからってワケじゃなくて、
みきたんだからなのかな…」
「…ん、そうかもね…」
「…すっごく、気持ちよかった…」
「…うん、そうだね…」
本当に気持ちよかった。
そりゃ、美貴もある程度の経験はあるけど、
ここまでキスを夢中になってしたことはなかったと思う。

「…ね、たん?」
亜弥ちゃんが美貴の顔をのぞきこんできた。

「…ん?」
「…も1回、してもいい?」
美貴がコクリと頷くと、亜弥ちゃんからキスをしてきた。
その夜は結局、何回も何回もキスをしてた気がする。

312 名前:サチ 投稿日:2006/03/11(土) 16:45
ごぶさたしてます。
ひさしぶりに飼育を見てみたら、統合されてたり、
レスがいっぱいついてたりで驚きました。

まずは、御礼。

>>293さん
ありがとうございます。
幸せになっていただけてよかったです♪
ひきつづきよろしくお願いします。

>>294さん
ありがとうございます。
あやみきサイコーです、ホントに(笑)。

>>295さん
ありがとうございます。
萌えていただけるなんて、ウレシイ限りです♪

>>296さん
こちらこそ、ありがとうございます♪
すみません、とりあえず、あやみき短編で…(笑)

>>297さん
ありがとうございます。
私も甘党なもので(笑)。

>>298さん
ありがとうございます。
気持ちの変化が細かく書かれてるなんてウレシイお言葉です。
いつもありがとうございます。

>>299さん
ありがとうございます。
まずは短編で…

>>300さん
ありがとうございます。
普段からあやみきはキャワなはず…と妄想してます(笑)

>>301さん
ありがとうございます。
今回の短編がもしかしたら、ご希望のものかもしれませんが(笑)

>>302さん、>>304さん
お待たせして申し訳ありません。

>>305さん、>>306さん
ありがとうございます。
とりあえず短編で…

>>308さん
ありがとうございます!
そんな風に言っていただけると、ヤル気が出ます!!(笑)


レスにお答えするだけでは何かなーと思って、
昔、書きかけてたあやみき短編を載せることにしました。
「前半」となっているので、お気づきかと思いますが、
次の後半で終わります。
まだ書き終わってないのですが、短いですので、
更新はそんなに先にはならないと思います。

他の作品はまだ考えてないのです…すみません。
313 名前:名無し読者 投稿日:2006/03/11(土) 21:37
サチさんキタ━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━!!!!
もう何十回も読み返して待ってました♪
新作…前半だけでもヤバいです(*´д`*)
やっぱサチさんのあやみき最高っす!!!!
314 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/12(日) 13:43
293でした
交信お疲れ様です〜(^□^ )
…もうヤバイんですけども!!!!(*゜∀。*)ポワワ
続き、激しく気になります!待ってます(≧0≦)
315 名前:銀色の永遠 後半 投稿日:2006/03/25(土) 19:40

その後、美貴もモーニング娘。に入って忙しくなって、
亜弥ちゃんと全然会えない日が続いて。
本当に何ヶ月ぶりなんだろうってくらいに会ったとき。
それも、美貴の方がツアー帰りで、
大きいバッグを持ったまま、亜弥ちゃん家に直行したときだ。

なかなか会えなくなると、亜弥ちゃんは「会いたい」って言ってくるから、
少しでも早く会いにいこうと思って、そのまま行ったんだよね。

亜弥ちゃんは、美貴の姿を見ると、
「みきたーん、会いたかったぁ」
って目が少し潤んでたくらい。
いやー、そんな風に思ってもらえるとうれしいね。

寝る前にベッドに横になってたら、
亜弥ちゃんが上に覆い被さってきて、キスをしてきた。
久しぶりのせいもあってか、すごく激しいキスだった。

「…みきたん、気持ちいい?」
「…うん………うわっ?」

亜弥ちゃんは、美貴の着ていた短パンに手を突っ込んできて、
パンツの中にも手を入れてきた。

「…ホントだ…すごくなってる…」
「ちょ、ちょっと!」
…フツーそこまでするか!?
亜弥ちゃんの手を掴んで、手を出そうとしたら、
亜弥ちゃんは、指を動かし始めた。

「…ん!…あ、亜弥ちゃん!」
「…もっと、気持ちよくしてあげるから…」

ツアー帰りで疲れていたせいもあるんだと思う、思いたい。
亜弥ちゃんの指が美貴の中に入ってきたり、
敏感な部分に触られたりすると、もう何も考えられなくて、
亜弥ちゃんのやりたいようにやらせてしまってた。
美貴もやっぱり気持ちいいと思っちゃってたし。
ディープキスもしてるんだもん、ここまでしちゃってもそう変わんないよって、
自分の中で言い訳もしながら。

美貴が最後までイッてしまった後で、
亜弥ちゃんが自分のも触って欲しいって言うのも、
素直に聞いてあげた。
亜弥ちゃんのソコは、たぶん、美貴のよりもすごいことになってたんじゃないかな。
美貴はなるべくガマンして、声を出さないようにしてたけど、
亜弥ちゃんはヘーキで大きな声を出すもんだから、
美貴も余計その気になっちゃって、
かなり激しく指を動かしてたと思う。
「…あん…あ、もう…み、みきたんっ!」
って、叫ばれたときには、すごく満足しちゃったりもして。

316 名前:銀色の永遠 後半 投稿日:2006/03/25(土) 19:40

それからは、亜弥ちゃんと部屋で会えばエッチをした。
というか、会うときはほとんど部屋の中になった。
前の方がまだ外に出てた気がする。
亜弥ちゃんから求めてくることがほとんどだけど、
美貴の方からもしたくなることもあった。

美貴は今彼氏もいないから、普通に欲求不満なのかなって思う。
亜弥ちゃんは、この業界に入って付き合いはじめた彼がいて、
ずっと続いてる。
でも、向こうも同じ仕事だから、忙しくてなかなか会えないみたい。
亜弥ちゃんも、それで溜まっちゃってるのかななんて。

そう、亜弥ちゃんの彼氏に紹介してもらって、
一時期付き合ってた人もいたけど、
結局すぐに別れちゃったっけ。
確かに見た目とかはすごくタイプだったけど、
最近、そういうのが面倒くさくて。
いつでも会いたいときに会える人ならいいけど、
美貴だって忙しいからなかなかそういう人はいない。
だったら、家で1人でビデオでも見てた方がいいやって。
今は亜弥ちゃんと一緒にいるのが一番楽しいし、
そういうコトもしてるから、とくに彼氏とかいらないかなって。


そんなある日、亜弥ちゃんの舞台を見に行った。
美貴の方もおとめ組のライブの時期だったから、
全然会えてなかったし、終わってから楽屋に寄った。

「みきたーん!!」
亜弥ちゃんが思いっきり抱きついてきた。
「お疲れさまー」
亜弥ちゃんはニコッとすると、チュッっとしてきた。
軽くね、軽く。
亜弥ちゃんの楽屋だから、今は他に人はいないけど、
マネージャーさんとかスタッフさんが来るかもしれないし。

「亜弥ちゃん、がんばってたねえ」
「にゃはは〜ありがと」
「あー、まいちゃんもがんばってたね」
今日の優勝者はまいちゃんだったし。
「…うん」
「あさみちゃんも、ソロ曲とかやってたねえ」
「…もー、みきたんっ!」

亜弥ちゃんの顔を見ると、完全に怒ってる顔だった。
「…どうしたの?」
「何で、まいちゃんとかあさみちゃんのこと見てるの!
アタシ以外の人、見ないでよ!」
「へ?何で、美貴は亜弥ちゃん以外の人見ちゃいけないの?
美貴は亜弥ちゃんの何なの?」
「コイビトでしょっ!!」

317 名前:銀色の永遠 後半 投稿日:2006/03/25(土) 19:41

…そ、そうなの?
そりゃ、やってることは恋人と一緒だけどさ…
確かに亜弥ちゃんもよく「みきたん好き」って言ってくるし、
美貴からも「美貴も亜弥ちゃん好き」って言ってるけど。
でも、だからって恋人なの?
だって、女同士じゃん。
そもそもさあ…
「…亜弥ちゃん、彼氏いるじゃんか」
「別れた」
「えっ!?いつ?」
「半年くらい前」

…初耳だった。
何で言ってくれなかったんだろうと思った。
半年前か…ん?
半年前って…その、美貴と亜弥ちゃんがエッチするようになった時期じゃ…

「…何で別れたの?」
「だって、みきたんの方が好きなんだもんっ」

…彼氏と美貴を比べられても困る。
と思ったけど、亜弥ちゃんがそんな風に思ってくれてたなんて、
すごくうれしく思えてきた。
そっか、そっか、コイビトか。
亜弥ちゃんはそのつもりだったんだ。
ふーん、じゃ、美貴もそういうつもりでいていいってことだよね。

318 名前:銀色の永遠 後半 投稿日:2006/03/25(土) 19:41

「亜弥ちゃーん、会いたいよー」
『何言ってんの、大阪なんだから無理でしょ?』
「だってー、さみしいんだもん…」

ライブで、大阪に来てて、夜ホテルの部屋で、亜弥ちゃんと電話してた。

「会いたい、会いたい、会いたい!」
『もー、みきたん、最近ワガママ過ぎるよー。
この前だって、朝からウチに来るなんてビックリしたし』
「だって、亜弥ちゃんのこと好きなんだもん」

亜弥ちゃんがクスッって笑ったのが聞こえた。
『アタシもみきたんのこと大好きだよ』
「じゃあ、会いに行ってもいい?」
『もー、だから無理だってーっ!
明日、帰ってきたら会えばいいじゃん』
「わかったよぉ…じゃ、羽田からまっすぐ亜弥ちゃんちに行くから」
『うん、もしアタシが帰ってなくても部屋に入ってていいからね』

もちろん、お互いの部屋の鍵はちゃんと持ってる。

「うんっ…亜弥ちゃん、明日まで美貴のこと、ずっと考えててよ」
『はいはい、ちゃんと考えてるよ』
「美貴もいっつも亜弥ちゃんのこと考えてるしー」
『…あー、もう、たん、カワイイなあ。ギューッってしたい』
「美貴も、亜弥ちゃんにギューってして欲しい、今スグ」
『だから、無理だって!明日までガマンしてね』
「…うん」


自分でもわかってる、亜弥ちゃんのことが好きになりすぎて、
ワガママになっちゃってるのも。
自分でも『キショイ』って思っちゃうようなことを、
なぜか亜弥ちゃんになら平気で言っちゃってるのも。
でも、亜弥ちゃんはそんな美貴のこと、カワイイって言ってくれるし…えへへ。

ずっとずっと、亜弥ちゃんと美貴の仲が永遠に続きますように…

319 名前:サチ 投稿日:2006/03/25(土) 19:50
更新&終了しました。
最後に「fin」入れるの忘れました…すみません。
エロありはちょっと苦手なんですが…
まあ、実話を元に本当はこんなんだったんじゃないのーという妄想です(笑)

>>313さん
すんませんすんませんすんません…
そんなに読んでいただけてるとは恐縮です。
そこまで言ってもらえるなんて…うれしすぎて言葉に詰まります。
今回のあやみき、こんなんでよかったでしょうか(笑)

>>314さん
いつもありがとうございます♪
ちょうど娘。コンでのソロ曲だし、こんな展開にしましたが(笑)
あやみきサイコーです(笑)


今後はまだまったくの未定です。
書きたいとは思ってるのですが、時間もアイデアもなくて…
でも、待っていただいている方がいるならば、
今回みたく短編とか何かしらでお応えできればいいなーなんて思ってます。

とりあえず、ここまでお読みいただいた方、どうもありがとうございました♪
320 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/25(土) 20:53
314でした。交信お疲れ様です!

こちらの完結、お疲れ様でした〜(´∀`)
作者さんのあやみきは、本当最高です!
時間とアイディアがある時に、書いてください!!
ずっと、待ってます〜♪
321 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/25(土) 23:15
やべ〜。今日運チョー良い↑こんな素敵なあやみき見られるなんて・・・・
すんごいツボでした☆
322 名前:名無し読者 投稿日:2006/03/26(日) 00:48
サチさんあなたは天才ですね?(笑)
もう…あと何百回でも読みます!!
その度にニヤニヤして変な人と思われるのはサチさんのおかげですからっ(T∇T)笑
最高級あやみきありがとうございました!!
323 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/29(土) 01:08
あやみき最高ですね!
甘い感じがさらにいい!
また書いてくださいね
324 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/29(土) 01:09
あげちまった
スイマセン
325 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/07(日) 21:57
待ってますよ、サチさんの更新!!
326 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/05/08(月) 09:20
サチさんのあまーいあやみきも大好きですが、
れなえりも大好きです。
あ、いしよしも好きだし、あいさゆも好きです(笑
サチさんのあまーいcpなら楽しめますから。
更新お待ちしてます。
327 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 00:55
『2位はさそり座の方。
たくさんのトキメキを感じる日。今日出会う人はこれから長い付き合いになりそう。
ラッキースポットは喫茶店です』

おしっ!今日は2位か。
トキメキを感じるかはわからんけど、何かイイ1日になりそうやけん。
ちょっとうれしい気分になって、学校に向かった。


―でも、やっぱり、何も変わり映えのしない日やった。―
ボンヤリと美術室の窓から外を眺める。
下校する生徒たちが楽しそうに笑いながら、帰っていくのが見えた。
はあ…みんな、何がそんなに楽しいと?
最近、心から笑ったり、楽しいって思ったことあったかな…

この高校に入って、まだ2ヶ月ちょっとやけど、
普通にクラスの友達もおるし、仲良くやっとる。
部活は、「イラスト同好会」なんてちょっと地味なのに入ってみた。
運動系はしとうなかったし、かといって本格的な文科系はちょっとイヤやったし。
まだ同好会で部活にはなっとらんくて、人数も少なくて、
気楽にやれそうだし、一応絵を書くのも好きやし。
ほとんどの人がユーレイ部員だし、先輩とのわずらわしい関わりもなくて。
週に2回、美術部の活動がないときに、こうやって美術室を借りての活動。
一応、こうやってちゃんと毎回参加しとる。
今日は、れいな以外は2年生の新垣さんしかおらんし。
新垣さんは、「イラスト集」なんて書かれた本をパラパラとめくってた。
328 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 00:57

「新垣さん」
「ん?」
新垣さんが、顔をあげてこっちを見る。
人からこわいとかとっつきにくいって言われるれいなにも、
新垣さんは最初から気軽に話し掛けてきてくれたから、
この同好会の先輩の中でも一番好いとう。
こっちからも話しかけやすいタイプやけんね。

「最近、何かおもしろいことありました?」
「はぁ!?田中っち?ナニ?どういうこと?」
新垣さんは、リアクションも大きいから、普通に楽しい。

「いやー、最近、毎日同じことの繰り返しやなあって」
「まだ、高校入って2ヶ月なのに、何言っちゃってんのー。
じゃあさ、何か新しいことやったらいいんじゃないの?
あ、バイトとか?」
「んー、れいな、バイトとか無理だと思います」
「なーんで?」
「人前でニコニコとかできんし。楽しくないのに笑ってなんていられんですから」
「ええっ!?そんなの仕事と思って割り切ればいいんだよ。
難しく考えないでさ」

割り切りたくないから、バイトとかやりたくないんですって。

「新垣さんは、何かバイトしとるんですか?」
「あー、今はやってないんだけど、クラスの子から誘われてるんだよねー。
一緒にやらないかって」
「へー、何のバイトですか?」
「喫茶店なんだけどー、ちょっと面白くってねー。
働いてる人もみんな楽しそうだし」
「えー、面白い店なら、今度連れていって下さいよ」
「うんうん、いいよ。何なら、これから行こっか!
ウチのクラスの子、今日もバイトだって言ってたし」
「いいんすか?」
「ダーイジョーブ、ダーイジョーブ。
行ったら喜んでもらえるし」

ふーん、何だか本当に楽しそうな店やね。
そんなとこでなら、れいなもバイトできるかもしれん。
本当に楽しいなら笑っていられるやろうし。

329 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 00:57

新垣さんに連れられて、やってきたのは、
学校とウチの家のちょうど間くらいにある駅。
大きな通りからちょっと裏に入ったビルに入ると、
新垣さんは、エレベーターに乗り、5階のボタンを押した。

「新垣さんは、何回か来てるんすか」
「んー、4回目かな?何回来てもあきないけど」
「だったら、バイトしちゃった方がいいんじゃないっすか」
「いやー、アタシはこういうとこはちょっと…」
「え?こういうとこって…」
詳しく聞こうと思ったら、5階に着いてしまった。
でも、このフロアには一見、どこかのお屋敷かと思うような扉しかない。
よく見ると、『男子禁制』って書かれたプレートが掛かっていた。
別にお店っぽい看板はないけど、ココなのかな?
その重々しい扉に新垣さんが手をかけた。
おぉ、やっぱココなんだ。
すげー、もしかして会員制とか?


扉が開くと、すぐにショートカットの女の子がやってきて、笑顔で迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」

…は?…お嬢様って?
ココ、新垣さん家?
いや、待てよ。
この女の子が着てるのは…黒いワンピースみたいな上に白いエプロン、カチューシャまで…
コレって、コレって…いわゆる『メイドカフェ』!?

え?え?
ちょ、ちょー、テレビとかで見たことあったけど…リアルでなんて!
しかも、このメイドさん、どっかで見たことある気が……カワイイし…

330 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 00:57

新垣さんが、その女の子の肩をパンッと叩いた。
「かーめ、アタシなんだから、そんなちゃんとやんなくていいって」
「うへへー、でも、お客様はお客様だもん」
彼女が笑顔のままで、チラリとれいなの方を見た。

「あ、イラスト同好会の後輩の田中っち。
今日同好会があったから、帰りに寄ったの」
「あ、そうなんだー。ガキさんと同じクラスの亀井絵里です」

…カメイエリ……って、あーっ!生徒会の人だ!
入学式で生徒会の紹介したときに、
かわいい人やなあって思って見とったんや!
…近くで見てもやっぱりかわいかぁ…

「い、1年2組の、田中れいなです」
うわーっ、どもるなんてカッコ悪かぁ…
でも、亀井さんはニッコリとして、
「今日は来てくれてありがとう。じゃ、こちらへどうぞ」
って、席に案内してくれて、そのままカウンターの中に行ってしまった。


席に座ると、新垣さんは、ニヤッとしてれいなんことを見てきた。
「田中っち、驚かせちゃったかなー」
「そ、そうっすよ!こういうとこなら、最初っから言って下さいよっ」
「あはははー、ちょっとビックリさせたくってー」
新垣さんは楽しそうに笑っとったけど、ちょっと緊張するけん…
だって、こんな世界に自分が足を踏み入れるなんて…

「あ、亀井さんって、生徒会の人ですよね」
「ほぅ、田中っち知ってたんだぁ。なんで?」
…かわいいから覚えてたなんて、言いづらい…
答えに困ってたら、
「お帰りなさいませ、お嬢様」
って声が聞こえて、別のメイドさんがお水とおしぼりを持ってきてくれた。

331 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 00:58

その子が笑顔で、れいなを見てから、目を大きく見開いた!
「…れいな?れいなだよね!?」
「…さ、さゆ?」
「そう!わー、れいなに会えるなんて!」
持ってたお盆をテーブルに置くと、さゆはれいなに抱きついてきた。

「ちょ、ちょー!!」
「れいなぁ、久しぶりぃ」
「い、いいから!離れろって!」
でも、さゆはギュッってれいなに抱きついたまま。

「あれー?さゆ、知り合いなの?」
亀井さんの声が聞こえてきて、やっとさゆは体を離してくれた。

「うんっ!中3のとき同じクラスだったの。
さゆみね、れいなのこと、大好きだったの」
「…は!?何言うと?」
「だってー、れいな、優しいし、かわいいし、かっこいいし」
「へー、田中っち、モテてたんだー」
新垣さんが感心したように大きく頷いとった。

「いいいいや、違いますって」
「んー、でも、わかるなあ」
そう言った亀井さんの顔を思わずキョトンと見てしまった。

すぐに、お店の扉が開いて、別のお客さんが入ってきた。
亀井さんはれいなたちに軽く頭を下げると、
扉の方に向かってしまった。


「あ、メニュー、どうぞ」
さゆが、メニューを開いて渡してくれた。

「じゃ、また後で来るね〜」
さゆは、そのまま店のカウンターの方に行ってしまった。

「しっかし、超偶然だねー。中学の同級生がいるなんて」
「ホントっすよー…」
中学の同級生の中でも、よりによってさゆにこんなところで会うなんて――

332 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 00:58

中3の6月やったかな。
その日は、先生にちょっと呼び出しくらって、職員室でしばらくお説教。
まあ、何で呼び出されたのか覚えてないくらい、
そんなことはしょっちゅうで。
れいなはクラスの中でもいわゆる不良というか目立つグループにいたもんやから、
ちょっとしたことでも先生から目についてしまうようで。

何か気分悪くて、真っ直ぐ帰りたくなくて。
いつも一緒に帰ってる友達たちはもう帰っちゃってるし。
あー、図書室でも寄っていこうかな。
こう見えてもれいなは結構本とか読むの好きやけん。
そうだ、この前やってたドラマの原作が小説やったはず。
面白かったから、原作探して読んでみようかな。

図書室で、その小説を探してしばらく読みふけってた。
ふと時計を見ると、もう6時近くて。
そろそろ帰んないとなー、ってカバンを取りに教室に向かった。

扉の前に立ったら、中から声が聞こえてくる。
『もう、こんな時間なんだから、誰も来ねーよ』
『…いやっ、やめて…』

……コレって何かヤバイ状況?
ガタンガタンなんて机にでもぶつかってる音もする。
…えーと、たぶん、おそらく、男が女を襲ってるんじゃ!?


思いっきり扉をバーンと開いた。
中にいたのは、ジャニーズ系のちょっと人気のあるクラスの男
(れいなはカッコつけすぎてて嫌いやったけど)、
そして、さゆ―その頃は道重さんって呼んでたけど―だった。

さゆは、驚いて固まってる男を突き飛ばして、
れいなの胸に飛び込んできて、泣きじゃくった。

333 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 00:58

れいなは、男をにらんでやった。
「お前、この子に何した!?」
「…何にもしてねーよ」
「こんなに泣いとるやんか!」
「何にもしてねーって。お前が邪魔したんだよ」
「はぁ!?」
れいなは、さゆから体を離すと、その男につかみかかってた。

「何すんだよ!お前に関係ねーだろっ」
そう言われ、逆に突き飛ばされてしまい、思わず尻餅をついていた。
「だ、大丈夫?」
さゆが、まだ泣いてるのに、れいなの側に寄ってきてしゃがみこんだ。


その男は乱れた制服を整えてからカバンを持って、
チラッとこっちをにらむと、そのまま教室から出ていった。

…うわー、勢いでつかみかかったりしたけど、
どう考えても、れいなの勝ち目ないけん…危なかったぁ…
よく後悔するけど、このカーッとなる性格どうにかせんと…
そんな自分にあきれて、そのまま、教室の床に横になった。

「ご、ごめんね?痛かったでしょ?」
さゆが心配そうに、れいなの顔をのぞきこんでくる。
…うわー…かわいい…

実は、このときまでさゆと話したことはなかった。
さゆは、クラスの中でいうと、おとなしめというか、
かわいい子たちが多くいるグループにいたから、
不良グループのれいなとなんて、挨拶すらロクにしてなかったと思う。


334 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 00:59

「…こんな遅い時間まで、教室で何しとったん?」
「あ、あのね…」

さゆが大好きな女性アイドルグループ、
アイツも結構好きらしく、その話しをしてたら、
盛り上がりすぎてて、気付いたら教室で2人っきりになっていたらしい。
そしたら、さっきみたいな状況になって…

「…ったく、その気のないヤツと人のいないとこで、
2人っきりになんかなったらいかんって」
「…うん」
さゆは、まだ涙目で、れいなのことを見つめてくる。
…こんなかわいい子と、2人っきりになって、
何の気も起こらない男の方がありえねーって。

れいなが立ちあがると、さゆも立ちあがって、じっとれいなのことを見つめてくる。
「…なに?」
さゆが、ニッコリ微笑んだ。
…ヤバイ、今、ドキッとしちゃったじゃん。

笑顔のままで、れいなにまた抱きついてくるさゆ。
今、抱きつかれるとドキドキしてんの、バレるんやけど…
「ホントにありがとう」
「…たまたま、残ってただけやけん」

ふと、ほっぺに柔らかい感触。
そっちを見ると、さゆがれいなのほっぺにチューしてた。
「…な、何しとー?」
「助けてくれたお礼♪」
「はぁ!?」

さゆはれいなから離れると、カバンを取って、扉の前に立つと、
呆気にとられてるれいなのことを見つめてきた。
「さゆみのことは、『さゆ』って呼んでね!」
投げキッスをしてきて、手を振って教室を出ていってしまった。

…『さゆ』って呼ぶのは別にいいけど、
なんなんや、あの子は…女どうしでお礼でほっぺにチューとかありえんし…
かわいいのは認めるけど、ヘンな子…
あんまり、あの子と関わらんようにしよ。

335 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 01:00

次の日に学校に行くと、教室に入った途端に、
さゆが笑顔で近づいてきて、思いっきり抱きつかれた。
「れいな、おはよう」
「…あ、ああ、おはよ」

クラスの子たちも、このありえない状況にキョトンとしてる。
いや、むしろ、れいなの方が驚いてるってーの。
もう関わらんつもりやったのに。
れいなは遅刻ギリギリやから、すぐに先生が来たから、
さゆは離れてくれたけど。

自分の席についたら、後ろの席のいつも一緒にいる子が、
れいなの背中をつついてきた。
「なになに、道重さんといつの間に仲良くなってんの?」
「いや、仲良くってほどでもないけん…」

ふと、さゆの方を見ると、れいなのことを見つめてきてる。
れいなと目が合うと、思いっきりウインクされた。
……ドキッとした自分が情けない…

「うわー、仲良くどころか、完全に好かれちゃってんじゃん!いいなー」

お昼休みも、話題はさゆとれいなのことで。
もともと、うちらのグループでも、実はさゆたちのグループのことは
ちょっと話題になることもあった。
かわいい子が多い、私は○○さん、私は△△さんがいいなーなんて。
その中でも、やっぱりさゆは人気があった。
だから、うらやましがられるのも当然なワケで。

「ちょっとー、アタシも道重さんと仲良くなりたいんだけど!」
「べ、別に、普通に声かけて仲良くなったらよか」
「じゃ、じゃあ、れいな、道重さん、こっちに呼んでよ」
「な、なんで、れいなが…」
「お願い!」
なんて、グループのみんなからワクワクした目で見られて。
…しょうがない、別にちょっと来てもらうだけやけんね。

336 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 01:01

立ちあがると、さゆたちのグループが集まってる教室の前の方に向かった。
さゆは、れいなに気付くとニッコリ微笑んで、うれしそうに抱きついてきた。
「れいなぁ」

たぶん、昨日の話をもう聞かされてるんだろうけど、
さゆのグループの他の子たちは特に驚いた様子もなく、
むしろ微笑んでれいなとさゆのことを見てる。

「あ、あの、ちょっと来て欲しいけん」
「ん?さゆみ?」
「うん、さゆ」
れいなから離れると、さゆはうれしそうに微笑んだ。
「さゆって呼んでくれて、ありがと」
「…へ?…あ、い、いいから、ちょっと来て」
恥ずかしくなって、さゆの手をつかむと、うちらのグループのところに連れてった。
みんな、なぜか冷やかすように、れいなとさゆのことを扱って。

それからというもの、どういうワケか、みんな、さゆの味方。
つきまとわれてれいなが迷惑そうにしてると、
「れいなー、さゆのこと、大切にしてあげないと」
なんて、からかわれる。

なぜか、担任にもこのことが知られてて、れいなが何かやらかすと、
「道重からも注意してやってくれ」
なんて言うもんだから、余計にみんなも冷やかしてくるし。

「れいな、ちゃんとしてね♪」
ってさゆに言われると、実際何にも言い返せなくなってしまうんやけど。


最初のころは、さゆはやっぱりかわいいから、ちょっとドキドキもしとったけど、
しだいに慣れっこになってしまって。
つーか、さゆも冗談なんだか、マジなんだか全然わからんし。
だって、遊びにいこうとか誘われたことはないし、
2人で一緒に帰ったことだってなか。
メールはほとんど毎日くれるけど、その日の出来事とか、
テレビ番組の話しとか、いたって普通の友達どうしのメール。

バレンタインにチョコはくれたし、
卒業式にタイ(制服はセーラー服だったから)欲しいって言われて、あげたけど。
ちょっとトクベツな友達くらいの存在やったんやろうなって。
まあ実際、正反対の性格やし、気が合うとは思ってないから、
もし一緒に遊びに行ったりしても楽しめんやろうし。
しかも、高校入ってから、ぱったりメールもくれんくなった。
こっちからメールすんのは何か悔しい気もしたから、そのまま音信不通やった。

それなのに、こんな場所、メイドカフェで、店員と客として会うなんて――

337 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 01:01

「お決まりですか?」
ニッコリ微笑んださゆが、目の前に立っていた。
そりゃ、まだ3ヶ月も経ってないから、中学時代と全く変わらないでカワイイ。
ちょっとだけ、ちょっとだけだけど大人っぽくなったかもしれん。

「オレンジジュースお願いしまーす」
新垣さんが元気よく答える。
「…えーと、アイスミルクティー」
れいなも言うと、さゆはそれを復唱して、カウンターの方に戻っていった。


店はちょうどお茶の時間だからか、すぐに満席になり、
店員さんも忙しそうにしていた。
本当はさゆともっとちゃんと話したい。
何で全然メールくれなくなったのか。
でも、そんなん言ったら、まるでさゆのことが好きで未練があるみたいでカッコ悪か。
遠まわしやけど、高校生活がどうなのかくらいは聞いてみたい。
新しい友達とのつきあいとか、部活とか、バイトが忙しいのかもしれんし。

でも、店員さんとちゃんと話しなんてできる余裕もなく、
結構いい時間になってしまったので、帰ることにした。

338 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/10(水) 01:01

帰り道、新垣さんからあの店の話、それから亀井さんの話をいろいろ聞いた。
何でも、亀井さんは、店の近所に住んでいて、
この喫茶店がオープンした1年ちょっと前から、
近所の人の紹介でアルバイトをはじめたらしい。
でも、その頃は普通の喫茶店だったとか。
もともと看板とか出していなかったし、
お店に来るお客も、オーナーや店長の知り合いってところから、
「コーヒーがおいしくて、落ち着く店」として紹介と口コミで広がっていったらしい。

オーナーも店長も女性だからか、もともとお客も女性ばっかり。
で、オープン半年のときに、常連客を招待して、イベントがてら、
店員全員にメイドの格好をさせたら、コレが大好評。
秋葉原とかにあるお店だと、女のお客さんってどうかと思うし、
他のお客さんが何だかこわそうだし、雰囲気に飲まれそうで、
興味はあったけど、行ったことがないって人がほとんどだった。

『じゃあ、思いきって、お客は女性限定のメイドカフェにしよう!』
ってオーナーが決めてしまって。
といっても、必要以上のサービスはナシで、
ただ単に店員がメイド服を着て、
最初の言葉は「お帰りなさいませ、お嬢様」って言うだけ。
あとは普通の喫茶店。
亀井さんは、メイド服に抵抗もなかったので、そのまま続けてるとか。

ちなみに、『メイドカフェ』としてだけでなく、3ヶ月くらい前から、
週の半分を『執事喫茶』として営業。
亀井さんは、最初の頃は執事の方もたまに入っていたけど、
生徒会もあるので、今ではメイドの方だけにしてるらしい。

しっかし、面白い店やけんね。
紹介とか口コミだけのお客さんだったら、安心だし。
執事の方も、ちょっと見てみたい気もする。
それは新垣さんも同じ意見やった。


そういや、今朝の占いは微妙に当ってたのかも。
ラッキースポットかどうかわからんけど、
喫茶店で、トキメキというかドキドキすることも多くて。
さゆと再会したり、かわいいなってちょっと憧れてた亀井さんと話しできたり。
ちょっと面白い世界も見れたし。
うん、ある意味ラッキーというか貴重な1日やったなあ。

339 名前:サチ 投稿日:2006/05/10(水) 01:16
新作スタートさせました。
さゆれなえりがメイン?のメイドカフェものです(笑)。
みなさまのご希望もありますので、あやみきも出します!
番外編ではメインでやろうかと(笑)

>>320さん
いつもありがとうございます。
あやみきは次回あたりちょこっと出てくる予定です。
待っていただけるとウレシイです(笑)

>>321さん
どもどもありがとうございます(照)
きっと、その日の占いは1位だったんじゃないでしょうか(笑)

>>322さん
いやいや天才というより紙一重の方です(笑)
どうもありがとうございます。
あやみきサイコーですねー。6期が大好きなんです(笑)

>>323さん
ありがとうございます!
とりあえずは6期でお楽しみいただければ…

>>325さん
どうもです!お待たせしました!

>>326さん
どうもありがとうございます。
今回はれなえり?さゆえり?みたいなカタチになりますが、
こんなんでもよろしいでしょうか(笑)

たくさんのレス、ありがとうございます。
また書いてみようという気になりました。
更新はまちまちになると思いますが、ひきつづきよろしくお願いします!
340 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/10(水) 10:10
320でした!お疲れ様です!!
お待ちしておりました━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
これからの展開が気になりますね〜。
中学時代の从 ´ ヮ`)がかっこいいですww

次回も待ってます♪
341 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/10(水) 10:48
まさに自分のツボカプです。

次回も楽しみにしとぉけん!w
342 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/10(水) 14:35
サチさんの作品はどれも大好きです!
むしろサチさんが大好きです!
343 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/12(金) 00:01
うおぉぉぉぉおお!!
新作始まってたー!!!嬉しすぎますっ
続き、ワクワクテカテカして楽しみに待ってます♪
344 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/13(土) 19:02
更新お疲れ様です。
サチさんのあやみきも好きですが、れなえりも大好きなので
新作次回も楽しみにしています。
345 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 22:59

次の日、学校帰りに、友達と駅まで行ってから、
本屋にでも寄ろうかなって、別れて駅前の本屋に1人で向かった。
面白そうなマンガとか小説とかないかなーって、
新刊コーナーとかをじっくり見てたら、携帯が鳴った。
画面には『新垣さん』ってなっとる。

「はいはーい」
『あー、田中っち?今、何してんの?』
「駅前の本屋でブラブラしとります」
『おー、じゃ、時間あるよね?…あ、ちょっとぉ』
なぜか後半は新垣さんの声が小さくなっていった。

『もしもーし、れいな?絵里でーす』
…は?
“絵里”って言ってるんやから、亀井さんやと思うけど、
何で“れいな”って呼ばれるんか、“絵里”で通じると思ってるんかがわからん。

『…アレ?もしかしてわかんない?』
「いや、わかります、亀井さんですよね?」
『そうそう!“亀井さん”じゃなくって“絵里”でいいから』
「はぁ…」
何や、この人。
先輩とはいえ、ちょっとなれなれしいんやないの。

『で、でね、あのね、付き合って欲しいの!』
「はあっ!?」

な、なんで、突然、こんなこと言われると!?
亀井さんと話したの、昨日がはじめてやし、
あんなん話したうちに入るかどうか…
こっちはちょっとは知っとったけど、亀井さんはれいなのこと、全く知らんかったやろ?
それなのに、何で?

『あのね、さゆも一緒なの!』
…は?
た、確かに、中学時代、さゆに好かれとったのはわかっとたけど、
そういう意味やと思ってなかったし。
つーか、本人の口から『付き合って』とか言われたことなか。

346 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 22:59

れいなが答えに詰まって、何も言えんでいると、
『あー、もう、ちゃんと順番に話さないとわかんないでしょ?まったくカメはー…』
なんて、新垣さんの声が聞こえてきた。

『田中っち、ごめんね。カメがワケわかんなくて』
「はあ」
全くもってワケがわかりません。

『昨日行った店、今日は執事の日なのね』
「え?ええ」
確か、基本は日替わりで、日曜は休みって言っとった。
昨日がメイドなら、今日は執事なんやろう。

『で、カメと一緒に行こうって話しになってー。
昨日、田中っちも執事喫茶行ってみたいって言ってたじゃない?
だから、お誘いしたってワケ』
………は?
な、なんやぁ、そういうことか。
“付き合って”は店に行くのに付き合うってことやったんやね…
勘違いした自分が恥ずかしい。
しかも、亀井さんなら断るのちょっともったいないかもとまで考えたのが情けなか。

『さゆとも、向こうの駅で待ち合わせしてるのー』
って亀井さんの声が聞こえてきた。
“さゆも一緒”ね…そういうことやけんね。
まったく、れいな、アホ過ぎるわ。

347 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 22:59

駅の改札で待ってると、新垣さんと亀井さんがやってきて、
れいなの姿を見つけると、2人とも手を振ってニコニコして近づいてきた。

電車に乗ると、まだそんなに混んでないとはいえ、
空いてる席もなく3人で丸くなって立って話してた。
といっても、亀井さんのオチのない話に、
新垣さんがボケかツッコミかわかりづらい反応をするってカンジなんやけど。
でも、2人のかけあいは何か面白かったから、
れいなはほとんどしゃべらんと、聞いとった。

ふと、電車が大きく揺れた。
亀井さんがフラッとなったから、腕をつかんで支えてあげた。
「…大丈夫ですか?」
亀井さんは、上目遣いでれいなのことを見つめてきた。
「…ありがとう」
……うっ、ヤバイ、超かわいいんだけど…
ちょっと変わってるけど、やっぱりかわいかね…

「ん?田中っち、顔赤いよ」
「そ、そんなことなかです!」
新垣さんの言葉を否定したけど、亀井さんは不思議そうな顔をして、
れいなの顔をもっとじっと見つめとる。
ヤバイって…そんなに見られたら、もっと顔赤くなりそう…

「田中っち、カメにお礼言われて、照れてんの?」
新垣さんが笑いながら言うと、亀井さんも笑顔になった。

…!!
うわっ、亀井さんに抱きつかれた!
「れいな、かわいー」

…な、なんやろ、なんかやわらかいってカンジがするけん…
別に太ってるワケでもないのに。
髪の毛いいニオイだな…シャンプーとか何使ってるんやろ…

亀井さんが抱きついてきたのはほんの一瞬で、すぐに離れてしまった。
さゆやったら、自分から『離れろ!』とか言ってるはずなのに、
すごく残念な気がしてしまった。

348 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 23:00

店のある駅の改札に着くと、もうすでにさゆが来てて。
れいなに気付くと、本当にうれしそうな顔をして、抱きついてきた。
…今日は抱きつかれてばっかりやけん。

「れいなぁ、会いたかったよぉ」
「何言うと?高校入ってから全然連絡もくれんと!」
あ、だから、まるで欲しかったみたいな言い方になっとるけん…れいなのアホ。

「だってー、高校入ってすぐのときね、
雨の中で電話してたら、水たまりに携帯、落としちゃったの」
…は?

「携帯、壊れちゃったから、メモリーとかも全部なくなっちゃって。
でも番号もメアドも変えなかったから、向こうからメールとかくれる子とは続いてたんだけど。
れいなこそ、さゆみに全然メールくれなかったね」
ちょっと怒ったように唇をとがらせて、見つめてくるさゆ。
…かわいいって思っちゃったことは、本人には絶対言わん。

「…ごめん」
「じゃ、今日、あとでメールしてね♪」
「…了解」
なんで、こんな言いくるめられとるんだか…

「あーっ!絵里もれいなとメールしたい!メアド教えて!」
「え?あ、あー、いいですけど」
自分の携帯の画面を亀井さんに見せた。
亀井さんはニコニコしながら、自分の携帯に登録していった。

「はいはい、ソレ終わったら、店行くよ」
新垣さんは困ったように、亀井さんの肩を叩いていた。

349 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 23:00

店に到着して、扉を開けると、
中からやってきたのは、蝶ネクタイでパンツ、いわゆる執事スタイルの、
髪にゆるいウェーブのかかったキレイな女の人。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
彼女がニコッとすると、さゆが彼女に抱きついた。
「藤本さんっ!お久しぶりですぅ」
「久しぶりっていっても、先週も会ったじゃん」
藤本さんと言われた彼女は、さゆの背中をポンポンと叩いてから、さりげなく離した。
「でも、さゆみは、藤本さんに会えないとさみしいんですぅ」

…さゆって、誰に対してもこんなんなの?
確かに、この藤本さんはめちゃめちゃキレイやけど。
さゆの態度がれいなに対してだけじゃないことに、何だかモヤモヤした。


藤本さんが、うちらを席まで案内してくれた。
「亀井ちゃんさー、時間あるなら、こっちも手伝ってよー。
最近、愛ちゃんが部活忙しいらしくてあんまりシフト入れなくって」
「んー、たまにならいいですけどー。困ったときには早めに連絡下さい」
「うん、ありがと。よろしく」

あ、そっか、亀井さんは、以前、こっちでも働いてたって言ってたっけ。
だから、店員さんとも顔なじみなんや。
でも、さゆが執事の方をやるとは思えないし、
何で藤本さんと知り合いなんやろか。

350 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 23:03

4人テーブルで、亀井さんの隣りに新垣さん、れいなはさゆの隣りに座った。
藤本さんが側からいなくなっても、藤本さんの方をうっとりと見てるさゆ。
そんなさゆのことをじっと見てたから、
さゆがこっちを見たときに思いっきり目が合ってしまった。

「れいな、何でコワイ顔してんの?」
「は?いつもと変わらん。悪かったな、コワイ顔で」
「ううん、いつもと違ったよー。
あ、もしかして、さゆみが藤本さんと仲良くしてるのがイヤだった?ヤキモチ?」
「な、なに言うと?そんなワケあるか!」
何で、さゆにヤキモチ焼かないかんの?

「でも、田中っち、顔赤いよ?」
「あ、赤くなんてなってなか!」
…でも、自分でも顔が熱いのはわかっとる。

「さゆ、いいなー。れいな、絵里にもヤキモチ焼いて?」
「はあ!?か、亀井さんまで何言うと?」
亀井さんは笑顔でれいなを見てたと思ったら、
突然不満そうにほっぺを膨らました。

「だからー、“亀井さん”じゃなくって“絵里”って呼んで」
「や、やって、先輩やし」
「そんなの関係ないよー。だってさゆだって“絵里”って呼んでるし。ねー?」

亀井さんがさゆの方を見ると、さゆはれいなの腕をつかんできた。
「えー、絵里がれいなと仲良くなっちゃイヤだぁ」
「な、何でなん?別にさゆに関係ないっちゃ」
そう言いながら、さゆの腕を振り払った。
そしたら、なぜか亀井さんが、れいなの横にイスを持ってきて、
れいなの腕を取った。

「絵里もれいなと仲良くなりたいもん。
れいなは?絵里と仲良くなりたくない?」
至近距離でじっと見つめてくる亀井さん…ヤバイ、この上目遣いは反則やって。

「…いや、その…友達は多い方が楽しいと思うし」
「えー?その程度?んー、でも、じゃ友達だから、“絵里”って呼んでよね?
はい、言ってみて」
…ったく、何でこんな無理矢理言わされなきゃいかんの?
でも、その目でじっと見られると、言い返すこともできんくて。

「…ぇ、絵里」
亀井さん、いや絵里は笑顔でクネクネしながらも、
「もう1回言って」
「…絵里」
…何でれいな、こんなに素直に言うこと聞いてるんやろ。
…でも、先輩やし…一応、上の人の言うことはきかないかん。

「…れいな」
耳元でそう囁かれて、思わずビクッとして身を引いてしまった。
絵里はクスクス笑ってるだけやし。

「…もー、呼び方はわかりましたから。これ以上、からかうのやめて下さい」
絶対、絵里もさゆもれいなのことからかってる。
本当はれいなは純真無垢な人間なんやから。
あんまりそう思われることはないんやけど。

「からかってなんかないのにー。あ、敬語とかも使わなくていいからねー」
絵里はそう言うと、れいなの肩に頭を乗っけてきて。
「ちょっとー、さゆみのれいななんだからっ。絵里はダメ!」
さゆはれいなの腕を引っ張った。

「な、何言うと?れいながさゆのモノのワケなかって!」
れいながさゆのことをギッとにらんだのに、さゆはニコニコ笑ってる。

351 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 23:04

「おー、彼女、モテモテじゃん」
オーダーを取りに来た藤本さんが、
れいなが困ってる光景を見て楽しそうに笑ってた。


「あー、絵里はオレンジジュースで」
「アタシはアイスレモンティー」
「…え、と、れいなもオレンジジュース」
「じゃ、さゆみは藤本さんで!」

藤本さんは、『はぁ?』って顔をしてさゆのことをにらんだ。
うわ…かなりコワイのに、さゆはニコニコしとる。
「まったくー、シゲさんはじゃあ青汁で」
「絶対イヤです!藤本さんがダメなら、アイスミルクティーにします」
「ダメに決まってんでしょうが」
藤本さんは苦笑いした。

「アンタもこんな2人に好かれちゃって大変だねえ」
藤本さんが憐れんだ目で、れいなのことを見てきた。

「藤本さんは、もっと強烈な人に好かれてると思いますけどー」
絵里は意味深な目で、藤本さんを見た。
「う…まあ、その通りなんだけどねえ…」
チラッと藤本さんが壁の時計を見る。

「あ、ヤバイ、そろそろ来そう。ちょっと裏に隠れるわ」
れいなたちには、ニッコリ微笑んで、カウンターにいる人にオーダーを通すと、
そそくさと藤本さんは店の奥に入ってしまった。

すぐに、店の扉が開いて、セーラー服の女の子が入ってきた。
色白のキリッとした顔立ちのかわいい女の子。
お店の中をキョロキョロすると、カウンターに真っ直ぐ歩いてきて、
中にいた背の高い目が大きくてキレイでかっこいい店員さんを見た。

その店員さんは笑顔で、
「お、いらっしゃーい、亜弥ちゃん。いつも通りの時間だね」
「たんは?」
彼女は急いできたのか、少し息を切らせながら、ニコリともせずに言った。
その店員さんは、ニヤニヤしながら黙って店の奥の方を親指で差した。

「ありがと」
彼女がそのまま奥に入っていくと、
「たぁんっ!!」
って声が聞こえてきた。
「うわっ!な、何、入って来てんだよ!
従業員以外は入っちゃダメなの!」

困った様子で、藤本さんが出てくる。
さっきの彼女にしがみつかれた状態で。
しかも、彼女はさっきとは全く違って、超笑顔で本当に幸せそうな顔をして、
藤本さんに密着しとる。

「よっちゃんさん、美貴の居場所教えたでしょ!?」
背の高い店員さんをにらみつける藤本さん。
「教えなくても、亜弥ちゃんはミキティのこと探せるもんねえ」
「うんっ」
藤本さんはウンザリといった顔で、自分にくっついてる彼女のことを見とった。

352 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 23:04

「確かに、松浦さんはカワイイけど、
あれじゃあ藤本さんがかわいそうなの」
さゆがつぶやいた。
「でも、松浦さんって、ホント一途だよねえ。
それに何だかんだ言ったって、藤本さんだって、松浦さんのこと好きなはずだし」

絵里は2人のことをうらやましそうに眺めとった。
確かに、藤本さんは迷惑そうにしながらも、彼女―松浦さんのことを
振り払ったりはしとらん。

「へー、あの2人って、コイビト関係だったりするの?」
新垣さんが普通に疑問に思ったから聞いたってくらい自然に質問してた。
「コイビトっていうかイトコなんだけどねえ…」
さゆが2人のことを説明してくれた。


ちなみにさゆは中3のときに、藤本さんに家庭教師をしてもらってたらしい。
そういえば、メールしてたとき、『今日は家庭教師の先生が来てたの。すっごくかわいいの』とか
言ってたことあったな。それが藤本さんだったんだ。
ココのバイトも藤本さんに紹介してもらったから、始めたとか。


家も近所の2つ違いのイトコの藤本さんと松浦さん。
だから、生まれたときからの付き合いみたいなもんなんやけど、
昔っから、松浦さんは藤本さんにベッタリらしい。

さゆの家庭教師しているときも、
松浦さんから「どんな子?」って聞かれて「かわいい子だよ」って答えてしまったからなのか、
最初のうちは家庭教師しているときに、何度も電話がかかってきとったとか。
さすがに、藤本さんもあきれて、電話の電源を落とすようになったものの、
今度はさゆの家の前で、授業が終わるのを待つようになってた。

だから、さゆも以前から松浦さんのことも知ってたし、
藤本さんに対する熱い気持ちも知っている。

現在藤本さんは大学2年生、松浦さんは高校3年生。
松浦さんも本当は、ココでバイトもしたいくらいなんだけど、
さすがに、あの調子だと、藤本さんも仕事にならないので、
店長からNG。というか、藤本さんがNG。
だから、客として、藤本さんがシフトに入ってるときは、必ずやってくるらしい。

353 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/15(月) 23:05

「あー、れいな、松浦さんのことばっかり見てる」
さゆがニヤニヤしながられいなのほっぺをつついてきた。
「…そんなことなか」
「かわいいからしょうがないけど、さゆみを一番にしてね♪」
「なんで、さゆを一番にせないかんの!?」
さゆの腕を振り払おうとしたけど、ピッタリくっついてるから離れそうもない。

「んー、さゆがダメなら、絵里のこと一番にしてぇ」
「なっ…」
絵里がれいなの腕をつかんだまま、じっと見てくる。
…かわいい…かわいすぎるって!
さゆはいつものことやし、もうかわいさにも見慣れとる。
だから拒否ることもできるけど、
絵里のかわいさはまだちょっと味わいたくて、それにイヤがったら悪い気もする。


「ねえ、かめー。今日、安倍さん来てないの?」
隣りに絵里もいなくて、さみしそうな新垣さんが聞いてきた。
「んー、どうだろ?…吉澤さーん、今日、安倍さん入ってます?」
絵里が、カウンターの中の背の高い人に聞くと、頷いてた。
「うん、7時からだけど」

「うーん、7時までは、いれないなあ…安倍さんに会いたかったのになあ」
新垣さんはすごく残念そうにうなだれとった。
「あははー、ガキさん、安倍さん好きだもんねえ。残念だったね。
今度安倍さんが早めにシフト入ってる日チェックしとくよ」
「ホント!?かめ、ありがとー!!」
新垣さんはうれしそうにしとった。

安倍さんというのは、ここの店長代理らしく、
メイドと執事、どちらにも入ることがあるそう。
新垣さんいわく「天使みたいなかわいい人」らしい。
ふーん、そんな人なられいなも一度見てみたかね。



気付いたらもう6時で、うちらは帰ることにした。
店を出るとき、何となく気になって見たら、松浦さんはカウンターの端の席に座って、
藤本さんのことをじっとながめとった。
藤本さんはその視線に気付いていながらも、慣れてるのか、あきらめてるのか、
何にも言わんと普通に働いとった。

しかし、藤本さんも松浦さんもかわいくてきれいで。
2人が並んでるところはすごく絵になる。
女どうしだって、こんなカップルなら全然アリやと思うなあ。

354 名前:サチ 投稿日:2006/05/15(月) 23:15
更新しました!

>>340さん
ありがとうございます。
待っていただけて恐縮です。
ひきつづきがんばりますので、よろしくです!

>>341さん
ありがとうございます。
私も自分のツボカプしか書けません(笑)

>>342さん
ありがとうございます。
コクられました…恥ずかしい…
まずはオトモダチからで(笑)

>>343さん
ありがとうございます。
ワクワクはうれしいですが、テカテカもうれしいです(笑)

>>344さん
ありがとうございます。
私も、れなえりも好きなんで、そう言っていただけると本当にうれしいです!

読んでいただいている方、待っていただいていた方がいらっしゃって、
本当にうれしい限りです。
次の更新もできれば1週間くらいを目指したいと思ってますので、
引き続きよろしくお願いします。
355 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/16(火) 23:27
更新お疲れ様です
作者様の書く個々のキャラが魅力的ですごく楽しいです!
特にさゆとえりがかわいくて好きです〜
続きも楽しみにしていますのでまったりと無理せずがんばってくださいね
356 名前:341 投稿日:2006/05/20(土) 00:43
更新乙です!
今回も楽しませてもらいました。
背が高くて目が大きい執事さんと誰かが絡んだりしないのかなー
とか言ってみるw
357 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/21(日) 00:04
340でした!お疲れ様です〜^^
また面白い時間を覗かせていただきました(笑)
彼女と彼女の登場も嬉しかったです!

>>356 背が高くて目が大きい執事さん
同じくキボンと言ってみるw …思ってる人と同じ人ならばw

次回も待ってます♪ 
358 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:27

絵里とは駅前で別れ、新垣さんとは反対方向やから、
電車からさゆと2人っきりになった。

「そういや、さゆと2人で帰るのなんてはじめてやけんね」
本当にそうだったから、なんとなく言ってみたんやけど、
さゆはチラッとだけれいなのことを見ると、恥ずかしそうにうつむいた。

「…だってー、れいなと2人っきりなんて緊張して何話していいかわかんないもん」
「は?何言うと?みんなの前ではあんなにベタベタしとったのに」
「だーかーらー、2人っきりじゃ恥ずかしかったの。
つまんない女だって思われたくないし、
もし誘って断れらたら、さみしくて死んじゃうし」

いや、さみしくて死ぬことはないやろ。ウサギじゃないんやから。
…つーかさ、それってさぁ、結構本気でれいなのこと好いとったってこと?

「コレ、今日はれいなに会えるからつけてみたの」
さゆが指さした髪についているピンクのボンボン。
あっ、コレ、れいなが、ホワイトデーにさゆにアメと一緒にあげたヤツやけん。

さゆのチョコは手作りやったから、アメだけじゃ悪いかなーと思って。
さゆはだいたいいつも髪を2つに結っとったし、
持ってるものはピンクが多かったから好きなんやろーなーって、
ピンクのボンボンのついたヘアゴムをあげたんやった。
…さゆに言われるまで、コレがれいなのあげたヤツやって気付かんかったけど。

「お気に入りだから、いつも持ち歩いてるの。学校じゃつけられないから、
さっき会う前に付け替えたの」
さゆが今行ってる高校は超お嬢様学校だったはず。
校則とか厳しそうやし。

さゆのウルウルした目で見つめられると、
どうしてか、あんまりさゆのことを見れんくなってくる。
「…ありがと、さゆ」
そんな風にれいながあげたものを大切にしてくれて。れいなのこと思ってくれてて。

359 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:28

メールが来なくなった理由もわかったし、何だか安心しとる、
いやむしろうれしく思ってる自分がおる。

「…別に、れいなと一緒にいて緊張なんてすることなかよ。
さゆのこと、つまらんなんて思っとらんし。
学校も違うんやし、なかなか会えんし、いつでも遊びに誘ってくれてよかよ。
れいなからも誘うし」
「…ホントに?」
さゆが胸の前で手を組んでお祈りするみたいに、れいなのことを見てくる。
…こういう『女の子』っていうリアクションはれいなにはできんなあ…

「…ん、もちろん。あ、今メール送るわ」
さゆにそんな状態で見られてるのが恥ずかしくて、すぐに携帯を取り出して、
まだメモリに残っているさゆのアドレスを呼び出し、携帯番号を入れて送る。

「あー、届いたぁ。ありがと、れいな」
って、本当にうれしそうにれいなのことを見て小首をかしげる。
…ホント、この子はどうしたら自分がよりかわいく見えるかわかっとるね。
それを素直にれいなもかわいいと思っちょるし。


すぐにうちらの最寄り駅に着いて、駅で別れる。
駅を挟んで、さゆとれいなの家は全く逆方向だから。

「じゃ、またね。お店にも来てね」
ニッコリと手を振るさゆは、完璧にかわいい…男だったらコロッとだまされてしまいそう。
「ん、じゃ、また」
れいなも手を振って歩き出す。
少しさみしくなって、何となく振り返ると、ちょうどさゆも振り返ったところやった。
何か照れ臭かったけん、笑って手を大きく振ってごまかした。
そしたら、さゆも同じように大きく手を振ってきた。
そしてまた歩き出した。

360 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:28

家に帰ってからも、何だか胸があったかいような苦しいような感覚がずっと続いとる。
…今日聞いたさゆの言葉…
アレってれいなのことを本当にそういう意味で好いとるってことやけんね?

全然仲良くもなかったのに、あの事件をきっかけに、
「れいなぁ」っていっつもなついてきてて。
最初はそりゃ驚いたけど、さゆみたいなかわいい子になつかれるのって、何かうれしくって。
恥ずかしいから、一応迷惑そうにはしとったけど。

改めて、中学時代の自分のことを考えてみる。
小学校までは福岡におったから、何となく方言でしゃべるのに抵抗があって。
がんばって標準語を使って話そうとしとったけど、
逆に『博多弁教えてよ』なんて周りから言われてからは、あんまり気にせんと普通に話せてた。
でも、やっぱり1人だけは恥ずかしいから、標準語に何となく変えつつあるんやけど、
語尾とかはたまに出てしまう。

中1のときそんな風によく話しかけてきてくれたんが、ちょっと不良っぽい子やったから、
れいなも何となくそういうグループにいることになって。
元々目立ったりするのが好きやったから、何の抵抗もなかったし、それはそれで楽しかった。

さすがに、れいな自身は学校でタバコを吸ったり、お酒飲んだりはせんかった。
グループの子で見つかって停学くらっとる子とかはおったけど。
たまに、誰かんちに遊びに行ったら、タバコとか吸うこともあったけど、
基本的にれいなはあんまり好きにはなれんかったから、
その場の付き合いだけで、家で吸ったりすることはなかった。

そういや、タバコを完全に止めるきっかけになったのはさゆのおかげかもしれん。
学校帰りに友達んちでタバコ吸った次の日の朝、
さゆに抱きつかれたときに、『れいな、タバコ吸ってるの?』って聞かれて。
制服にニオイが残ってたんやと思う。
れいなが答えにつまってると、
『さゆみはタバコ吸う人イヤ。ニオイも煙いのもキライだし』って言っとった。
それを、たまたま仲の良い子が聞いとって。

その後に、友達んちで集まったときに、れいなもタバコを吸おうとしたら、
『あ、れいなはタバコやめなよ。さゆに嫌われるから』って笑いながら言われて。

れいなも断るいい理由ができたと思って、それに従って吸うのを止めた。
でもそれが逆に『れいな、さゆのこと大好きなんだね』って言われることにも繋がったんやけど。

れいながタバコを止めたことを、ウチのグループの子から聞いたときのさゆは、
本当にうれしそうにしとったっけ。
確かその日のメールには
『さゆみのためでも何でも、れいながタバコ止めてくれてうれしいの。
だってれいなの体に良くないもん』って書かれてたっけ。
とりあえず『さゆのためではないけんね』と返したのは覚えとる。

361 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:29

さゆとれいなが仲良くというかなつかれるようになってからというもの、
不良グループじゃない子たちも、気軽にれいなに話しかけてくるようになった。
れいなは別に選んで不良っぽい子たちと一緒にいたワケやないから、
いろんな子と仲良くなれるのは楽しかったし、
ウチのグループの子たちも、普通の子たちと仲良くなっていっとった。
そういうこともあってか、少なくとも女子に限っては、
他のクラスとは違ってウチのクラスはすごくまとまりが良かったような気がする。

パパやママにも、『れいな、最近、学校楽しいんやろ』って言われるほど、
表情も明るく優しくなっとったみたいで。
確かに中3の後半はすごく楽しかった。
卒業式で大泣きしてしまうほど、皆と別れるのがさみしかった。

これも、よく考えたら、さゆのおかげたい。
さゆがおらんかったら、れいなのになついてくれんかったら、
中学時代は、れいなにとってもっとつまらないものだったかもしれん。
もっと悪い道に流されてしまってたかもしれないし、
警察のお世話になるようなこともしてたかもしれん。
実際、中2のときに仲良かった子なんて、そうやったから。

本当は自分でも止めたいって思ってたいろんな悪いコト。
『さゆに嫌われないため』っていう建前で、止めていくことができた。
しかも周りもそれを認めてくれたし。
改めて考えると、れいな、心のどこかで、
『本当にさゆに嫌われたくない』って思っとったと思う。

れいなが悪いことして、先生に怒られたりしてるとき、
さゆは本当にさみしそうな、心配そうな顔をしてれいなのことを見てくる。
その表情を見るのがツライと思ったこともあった。
そんな顔してくれる友達なんて、それまでいなかったから。

れいな、本当にさゆに救われてたんやと思う。
さゆがいなかったら…
そんなこと考えるのもこわかった。

362 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:29

ふと、今日会った藤本さんと松浦さんのことを思い出す。
2人はイトコといいながらも、本当にコイビトみたいな関係やった。
もし実際はそういう関係やなくても、松浦さんはソレを望んでるはず。
藤本さんは、それにどこまで応えてるのかわからんけど。
藤本さんやって、ホントは松浦さんとちゃんとそういう関係になりたいんやないかな。
でも、世間の目がソレを許さないというか…
そもそも女どうしで、しかもイトコなんだし。

でも、2人にはそれを乗り越えて欲しい。というか既に乗り越えていて欲しい。
応援というか、そうであって欲しいっていう妄想もある。
やっぱり、そういう人が近くにいると心強いから。

…って、何で、れいな、こんなこと考えとるんやろ?
何で、女どうしの恋愛応援するとか、心強いとか思っとー?
……もしかして、れいな、さゆに惚れてしまったのかもしれん…


むしろ、何で中学んとき、ソレに気付いてなかったんやろって今になって思う。
たぶん、さゆの気持ちがわからんかったから、気付かないようにしとったんや。
周りがさゆとれいなのことを祝福してくれてるムードが、
恥ずかしいけど心地よかったのかもしれん。

もし、今日さゆから聞いたことを、中学時代に聞いてたら…
それはそれで、れいなはさゆのことを受け入れてないかもしれん。
自分の気持ちをキチンと分析できてなかったはずやし。

少しだけでも、さゆと距離を置いた今だからこそ、気付いたんやと思う。
れいなの中で、さゆがどれだけ大切やったかってことに。

363 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:29

…そうや、さゆにメールしよ。
携帯電話を手に取ると、れいながボーっとさゆのことを考えてる間に、
メールが2件届いてたらしい。
1件はさゆ。『今日は楽しかったよ。また遊びに行こうね』
えへへ、やっぱうれしいけんね、こんな短いメールでも、
すぐにメールもらえるってのは。

もう1件を見ると、絵里からやった。
『今日は付き合ってくれて、チョーうれしかったよ♪
今度は絵里と2人っきりでデートして下さい(はあと)なんちゃって(笑)』
………あ、あのー、コレってどうとったらいいんでしょうか?

まだ、絵里とも仲良くなってるとは思えんし。
それなのに『デートして下さい』とか言われちゃってるし。
それも『なんちゃって』だし。
どう返していいか全然わからんのですけど…

ぶっちゃけ、さゆがれいなのことを好いてくれるのはわかるけん。
偶然とはいえあんな風に助けてもらったら、れいなやって、
その助けてくれた相手に惚れてしまうかもしれんもん。

それだけに、絵里に好かれる理由が全然わからん。
昨日と今日2日合わせてもそれほどしゃべったとは思えんし。
やっぱ、先輩やけん、ちょっとかわいい後輩をからかっとるとしか思えん。
コレは冗談として返すのが、礼儀ってモンやろな。

『こちらこそ、誘って下さってありがとうございました。
メイドももちろんですが執事も楽しかったです。
はい、れいなでよければぜひデートしましょう!なんちゃって(笑)』
うん、絵里にはコレでいいやろ。

さゆはー、思い切って、誘っちゃう?今週末とか!?
『さっきはありがとー。早速なんやけど、今度の日曜とか空いてない?
渋谷で映画見て、買い物とかカラオケとかしよう』
よーし、送信!


待つこと、数分で届いたのは絵里からの返事やった。
『ありがとー(はあと)またメールするね♪』
…あれ?お礼言われとるってことは、マジでデートするつもりなんやろか?
まー、これもからかわれとるだけやけん。
社交辞令っちゅーヤツやろ。


すぐに、さゆからもメールが届いた。
『今度の日曜、OK。プリクラも一緒に撮ろうね!
時間とかはれいなが決めてくれていいよ(はあと)
楽しみにしてるねー』
…えへ、えへへへ…さゆ、かわいかあ…

すぐに時間を決めて、待ち合わせはウチの最寄り駅の改札にした。
…ヤバイ、超楽しみになってきたんやけど。

364 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:30

なぜか、さゆの部屋にいるれいな。
今日は家の人がみんな出かけとるらしい。

さゆの部屋は基本的にピンクで統一された部屋。
イメージ通りというか、れいなには絶対ありえんっていうか…
薄いピンク色のカバーのついたベッドに腰掛けると、さゆもすぐ隣りに座ってきた。

さゆはじっとれいなのことを見とる。
「…なん?」
れいながさゆのことを見ると、さゆはれいなに抱きついてきて、キスをしてきた。
「!!」

すぐに唇が離れたけど、れいなが驚いて固まっとると、
さゆはれいなに抱きついたままで、上目づかいでじっと見てくる。
「…ずっと、れいなとこういうこと、したかったの」
そう言ってすぐに、また唇を重ねてくる。
今度は舌まで入ってきて。
…わ、わ、わ…さゆ、なんちゅーことを…
でも、気持ちよくって、もちろんれいなにも抵抗するつもりなんか全くなくて。

気付いたら、ベッドに押し倒されてて、胸とかも触られて。
乱暴にでもなく、ちょっとためらいながらも、
れいなの体のいろんなところを触ってきて、服も下着も脱がされてて。

いつのまにかさゆも全部脱いでて…さゆの色の白さ、
痩せてはいるのに、必要なところにはある程度ついてるのが、
すごく女っぽいカンジがした。
そんなさゆと裸で抱き合ってて、もうそれだけでも気持ちいいのに、
さゆはまたれいなの体を触ったり、いろんなところにキスをしてくる。
…ヤバイ、気持ちよすぎる…

もう、どうにでもして欲しいと思ったときに、コンコンって部屋のドアから聞こえてきた。

…え?ええっ!?
ママとか帰ってきちゃったの?
今の状況、ヤバイでしょ、どう考えても!

とりあえず、服!と思ったけど、
さゆは裸のままドアを開けにいった。
ヤバイやろ!何考えとるんよ、さゆ!

365 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:30

と思ったら、ドアから顔を覗かせたのは、絵里やった。
「やっほー」
「もー、絵里、遅いよ」
「ごめん、ごめん」

そう言って、絵里は部屋の中に入ってくると、
さゆに抱きついてキスをした。

へ?…あ、あの、さゆ、れいながいること、忘れとらん?
しかも、そのキスがどんどん激しくなっていって、
立ったまま抱き合って、さゆが絵里の胸を触ったりしながら、
どんどん絵里の服を脱がしていく。
絵里もさゆの胸やお尻を触ってって…

…すごい、ヤバイ…
2人ってこういうことする仲やったんや。
さゆの色の白さと、絵里のちょっと黒いカンジ、
ときたま聞こえてくるエッチな声とか、音とかで、
見てるだけのれいなもすごくエッチな気分になってくる。

いつもかわいいカンジの2人だけど、
その表情はむしろ、キレイで、いやらしくて。
思わず見惚れてしまっていた。

さゆの手が、絵里の脚の間に入っていく。
「…絵里、もう充分そう」
「…うん」
2人が微笑みあうと、なぜかれいなの方を見てくる。

へ?絵里、れいながおること気付いとったの?
絵里がさゆから離れると、れいなの方に近づいてくる。
れいなは思わずビビって、ベッドの端の方まで逃げた。

「れいな、お待たせ♪」
なんて言いながら、ベッドに乗って四つんばいになって近づいてくる絵里。
そのポーズ、胸の大きさとかリアルすぎてすごくエッチい。
れいなが戸惑ってるのにもかかわらず、抱きついてきてキスをされた。
すぐに舌も入れてくる。
…ヤバイ、さゆとも気持ちよかったけど、絵里とも超気持ちいい。

今度は絵里がれいなの体を触ってくる。
さゆと違って、何かちょっと慣れてるっていうか、
動きからしてイヤらしいカンジがする。
「…れいなぁ……れいなぁ…」

名前を何度も呼ばれて…あまりの気持ちよさに思わず声が出ちゃいそうになったときに、
「絵里ばっかり、ズルイの」
ってさゆの声が聞こえてきて、後ろからさゆに抱きしめられて、胸を揉まれた。

前から絵里が、後ろからはさゆが…うわあ、ヤバイって…

366 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:30

「…れいな、れいなっ!」

……ん?絵里の声じゃない。
さゆの声とも違うような…

「れいな!はよ、起きんしゃい!」

目を開けると、ママの顔が…

「急がんと、遅刻するけんね!」
「…あ…うん…」
れいなが起きたのを確認すると、ママは部屋から出ていった。


…れいな、すごい夢、見てしまったったい…
ありえん…れいな、欲求不満すぎ?
さゆだけならまだしも、絵里まで…しかも3人でとかマジありえん。
れいな、頭おかしいっちゃ…

掛け布団と思いっきり抱きしめてる体勢で寝とったみたいで。
れいな、変な声とか出しとらんよな…ママにばれとらんといいんやけど。
はあ…パンツん中もすごいことになってるみたいで、なんだか気持ち悪い。
すぐにトイレに向かった。

367 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:31

寝坊しとるから、いつもよりも遅い電車で学校に向かった。
電車の中、制服姿の女の子2人が、
混んでる中で顔を寄せ合ってヒソヒソ話しながら微笑みあってる。
何かこんな普通の光景も少しイヤらしく思えてしまう。

はあ、れいなって、こんなにエッチやったっけ?
つーか、これまで男の人ともエッチどころかキスもしたことないんやけど…

中学のときの仲いい子のほとんどは、おんなじ不良タイプの子と付き合って、
子供できちゃって、中絶とかまでしとる子もおった。
そういうのも身近で見てたせいもあると思う、
れいなは、そういうとこに関してはマジメっていうか、少し潔癖なところがあって。

中学んときも、結構いろんな人にコクられたけど、
本当にいいなって自分から思える人はいなくて。
というか、別にどっか遊びにいくだけとかなら全然いいんやけど、
この人とキスとかエッチとかしたいと思うかって考えると、
そんな人は1人もおらんかった。

まあ、さゆと仲良くなってからは、
本当にうちらが付き合ってると思われてたこともあってか、
れいながコクられたりすることはなくなって、ホッとしとったんやけど。

実際、さゆへの気持ちに気付いちゃったし、
さゆとだったらキスとかそれ以上のことも全然イヤじゃない。
つーか、そういう機会があったら、本当にしてみたいし…
…あ、ヤバイ…今日の夢を思い出してしまった。
さゆ、かわいかったなぁ…気持ちよかったし…

しかしそれにしても何で絵里とまで、そんなことになる夢を見てしまったんやろ。
確かに絵里はかわいいし、何だかれいなのことかまってくるし…
うん、たぶん、絵里は生徒会でまだ1年生が入ってきてない状態。
だから、身近な後輩としてかわいがってくれとるんや。
きっと、そう。
ただ、かわいいし、ちょっと色っぽいっていうか、
昨日抱きつかれたりベタベタされたからそんな夢みちゃったんや。
しっかし、れいなってやっぱスケベなんやろかぁ…

368 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:32

「おはよう、れいな!」
「ふぇ?」
メイドカフェのある駅で、電車が止まったときやった。
…つまり、絵里の家の最寄駅なワケで。
気付いたら、絵里がすぐ後ろに立ってて。

どうやら、駅で待ってるときに、電車の窓からつり革につかまってるれいなの姿が見えたから、
近づいてきたらしい。

電車の中は混んでるもんだから、絵里はれいなに密着してくるワケで。
というか、手すりとかつり革をつかんでないもんやから、
絵里はれいなの腕にしっかりしがみついてる。

…あー、もう、れいなのアホ!
あんな変な夢見てしまったから、絵里の胸が当たってくることとか、
耳元で小声で話されるのとかで、さっきからドキドキしっぱなし。

どういうワケか、電車を降りてからも学校まで、絵里はれいなの手を握ってて。
まあ、絵里は基本的に甘えんぼ気質なんやと思う。
この前、メイドカフェ行ったときも新垣さんと手繋いどったし、
帰りはさゆとも手繋いでたし。
だから抵抗もするのもヘンかと思ってそのままでおった。
でも、れいなはドキドキしとって、絵里の話しもほとんど上の空で聞いとった気がする。
はあ…あんな夢見て、意識してしまう自分が情けなか、マジで。

369 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/05/25(木) 00:34

教室に入ると、仲のいい子が近づいてきて、おはようの後にこういわれた。
「ねー、れいなって亀井先輩とつきあってるの?」
「はあっ!?」
確かに手繋いで学校までは来たけど、イコールつきあってるにはならんやろ、フツー。

「ええっ!うそーっ!亀井先輩!?」
周りの子にも聞かれてて驚かれた。
どうやら、絵里はかわいいから、人気があってファンも多いらしい。

とりあえず、イラスト同好会の先輩と仲がいいから、皆で一緒にお茶して、
家が同じ方向でたまたま今朝電車で会っただけだって話した。

「そっかー、なーんかいい雰囲気だったから、2人」
最初に聞いてきた子が残念そうにつぶやいた。

「いやいや、絵里とはそういうんじゃなかよ」
「えっ?“絵里”って呼んでるの?先輩なのに?」
「ええーっ!絶対あやしいっ!」
なんてみんなが勝手に盛り上がっとる。

「だからー、それは本人がそう呼んでって言ったからやって」
「ますます、あやしい!何でそんなに仲良くないのに、
名前で呼んでなんて言うの?」

…ソレはこっちが教えて欲しいけん。
申し訳ないけど、みんなが思ってるような仲では全然ないワケで。

「んー、でもれいなが亀井先輩のこと好きなら応援するよ!」
「うん、私も!れいなも亀井先輩も好きだしー」
「れいな、がんばって!」
「え?だからー、違うって言うとるやろっ!」

れいながちょっとキレても、周りは全然動じなくて。
あー、もう勝手にしてくれって。
みんな勘違いやったって、すぐに気付くやろうし。

確かに絵里はかわいいし、フツーに好きやとは思う。
ヘンな夢見ちゃったから、ちょっと意識してしまうけど。
絵里だって、新垣さんと仲のいい後輩として、
かわいがってくれとるだけなんやから。

370 名前:サチ 投稿日:2006/05/25(木) 00:42
更新しました!

>>355さん
ありがとうございます!
さゆ&えり好きなんですよね〜。
岡井さんに「道重さん=亀井さん」ってイメージもたれちゃうほど
仲良しな2人がステキです(笑)

>>356さん
いつもありがとうございます。
もうちょっと先になると思いますが、
その方と、たぶんあの方はもしかしたら登場するかも…(笑)

>>357さん
いつもありがとうございます。
定番な方々ですけど、懲りずに絡んでいきます(笑)
ご期待にそえるようがんばりまっす♪
371 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/26(金) 22:13
更新お疲れ様です。
さゆは正統派、えりりんは不思議ちゃんですね。
どうする!?れいなっ!?

次も楽しみにしてます。
372 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/27(土) 00:40
357でした^^お疲れ様です!

夢の部分、夢でよかった・・・(爆)
読んでて「こっちに行くのか?!」ってビックリしました(笑)
今後も期待してます!頑張って下さい☆
373 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/29(月) 23:09
更新お疲れ様です
展開が面白くってはまっております!
さゆえりコンビの可愛さにもやられておりますw
今後もまったり楽しみにしています〜
374 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/30(火) 23:25
356でした!

夢やばいっすね…ちょっとホントやばかったw
噂が広まってあの子の耳に入ったら大変なことになりそうだ!
執事喫茶のあの方のお話も楽しみにしてます!^^
375 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:02

そして、待ちに待った日曜日。
それまでも1日何回かはさゆとメールしてて。
さゆはかわいいのはもちろんだけど、本当に大人だなってつくづく思う。
子供っぽいところもあるけど、本質的にはすごく大人。
周りのこともしっかり見えとるから、
中学時代もれいな、さゆにいっぱい助けられとったんやろなあ。


待ち合わせはウチの駅の改札。
れいな、張り切りすぎて、30分以上も前に着いてしまった。
改札で立って待ってるのも何かかっこわるかって思って、
改札前のファーストフードに入って、窓際の席を確保した。
うん、ココなら、さゆが来てから行っても待たせることはなかね。

あー、さゆどんな格好してくるんかな。
きっと、ピンクとかのかわいい女の子ってカンジの服やろな。
…いかん、いかん、今、れいな、顔がニヤけとったわ。

まだ待ち合わせまでに20分…
暇やし誰かにメールでもしよっかなあ…
携帯をピコピコいじっとったら、着メロが鳴り出した。
あ、さゆやけん。

「さゆ?どした?」
『あー、れいなぁ、ゴメンね、今日ダメになっちゃったの』
「えっ!?」
『ホントにゴメンね。また連絡するからっ』
「あ、あ、うん」


…そっかぁ、ガッカリや…
さゆは何だか慌てた様子やったから、何か急用ができたんやろ。
れいなとの約束よりもずっと大切な用が。
何の用事だったかは、今度ゆっくり聞いてみたらいいか。

376 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:02

今日これからどうしようかと思ってボンヤリしてると、
さゆが走って改札に向かってくるのが見えた。
「あ…」

さゆは、改札の中にいる女の子に笑顔で手を振ると、
その子も笑顔で手を振り返しとった。
たぶん、ウチらよりもちょっと年上の人、髪が長くて、
目が大きくて、すごく整った顔をしててかわいいけど大人っぽい人。

さゆが改札を通ると、その子に思いっきり飛びついた。
彼女もニコニコとさゆの背中を撫でて。

すぐにさゆは、彼女のほっぺにキスをした。
彼女は一瞬目を丸くした後、すぐに顔をくしゃくしゃっとさせて笑って、
さゆの頭をポンポンって撫でると、手を繋いで歩き出した。

…え…あの人とさゆどういう関係なの?

れいなが見たことない人やから、中学関係の人やないやろうし、
さゆの高校の先輩とかやろか。
…でもほっぺとはいえキスするなんて、単なる先輩後輩やないよね?
やって、れいななんて、散々抱きつかれたりしとっても、
ほっぺにチューなんて、助けたときの『お礼』での1回しかされとらんし。

っていうか、あきらかに、れいなの方が先に約束しとったよね?
さゆにとっては、突然誘われたやろう彼女の方が大切やってことやね…
さゆはれいなのことを一番大切に考えてくれると思っとたのに。

これまでのさゆの態度からしたら、そんなカンチガイも当然してしまう。
れいなだって、さゆのこと本気で好きってことに気付いたとこやったのに。

…あはは…つまりれいなはフラれたってことやけんね。
なんか自分がバカすぎて、おかしくなってきた。
…すっごくタバコが吸いたくなってきた。お酒も飲みたい。

377 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:03

家に帰る途中、酒屋の販売機で缶チューハイを2本買った。
飲まなきゃやってられん、そんな気分やったし。
タバコも買って、自分の部屋に入ってから、まずはチューハイを1本空けた。

…もうワケがわからん。どうしたいのか、どうしたらいいのか。
空腹で飲んだせいか、一気にクラクラしてきた。

…あー、もう!何で、恋愛感情とかって生まれるんやろ…
友達っていう、そういう気持ちのままでの好きやったら、
こんなに苦しむことなんてないのに。
どうにもならない感情に、すっごくイライラしてくる。

…タバコ、タバコ…
タバコの箱を手に取った瞬間、さゆの悲しそうな顔が浮かんできた。
『タバコ嫌い』って言ってるさゆ。
れいなのことを、心配そうに見とる。

「…だいたいー、ライターとかマッチとかないしー」

たぶん、リビングとかにパパが使ってるライターくらいはあるはず。
でも、またさゆの顔がよぎってきて、何だか吸う気が失せてきた。

タバコの箱は机の引き出しの奥にしまっておくことにして、
チューハイをもう1本飲んでから、ベッドに横になった。
…こういうの、ヤケ酒っていうのかな。
寝て、目が覚めたらキレイすっきり忘れてるなんてことになっとって欲しい。
「…さゆぅ…」

378 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:03

また、さゆの夢を見た。
でも、今度は、さゆがれいなの元から去っていく夢。
『ごめんね、れいな。れいなのことは遊びだったの』
なんて笑顔で言われてしまってる。
夢だってわかってるのに、必死でさゆのことを追いかけるれいな。

さゆが走っていった先には、改札で待っていた彼女がいた。
2人はキスをすると、れいなの方を見た。
『さゆみはこの人のことが好きなの。れいなの何百倍も』
って、手を振っていなくなってしまう。



「…さゆーっ!!」
思わず大声で叫ぶれいな。
耳元で何かメロディが聞こえてくる。

…あ、ああ、夢やけんね。
視界がぼやけてる。ほっぺもぬれてて、どうやら泣いてたみたい。
涙をぬぐうと、鳴り続けている携帯電話の画面も見ずに通話ボタンを押した。


「…はい」
『あ、れいな、さっきはゴメンね』

…今、一番聞きたくなかったかもしれん、さゆの声が聞こえてくる。

「あ、まあ…」
『ホントにゴメンね。今度必ず埋め合わせするから!』
「…うん…あのさ」
『ん?何?』

さゆから言ってこないのに、聞くべきか迷ったけど、
やっぱりコレを聞かないとモヤモヤしたままになってしまう。

「…さゆって付き合ってる人とかおるん?」
『え?突然どうしたの?』
「ん、何となく気になっただけやけん。答えたくないならよかよ」
…友達としても信頼されてないなんて、ちょっと悲しすぎるけん。

『んー、実はね、今日できたの!』
「…へ?」

379 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:04

2週間くらい前、バイト先の開店1周年記念で、メイドと執事が全員揃っての日があったらしい。
執事の方では、さゆは藤本さんしか知らんかったから、初めて会う人も何人かいて。
その中の愛ちゃんって人にさゆは一目ボレ。
もちろん、その場で猛アタックして、メアドの交換はできた。
それからメールは毎日のように続けてて。
ときたま意味不明なメールを愛ちゃんは送ってくるらしいけど、
さゆはそんなメールもうれしくて楽しみでしょうがなかったとか。

愛ちゃんは高校3年生で、大学は付属のに行くから受験勉強はしなくていいものの、
合唱部に入ってるため、秋のコンクールに向けてがんばってたりとか、
習い事ではバレエや英会話をやってるとかで、バイト以外にも結構忙しい。
なかなかプライベートでは会えることもなくて。

でも、今日は、遊ぶ約束だった友達がカゼで急にダメになって、
夜のバレエ教室まで時間ができたから、さゆに会いたいって言ってきてくれたらしい。
会いたいどころか、さゆの家の最寄駅まで来ちゃって。
それなら、れいなとの約束を断ってでも行くしかないと。

本当はれいなとするはずだった買い物やカラオケやプリクラなんかをして。
やっぱり、さゆはこの人のことが好きだなーって感じて、
帰り際に、思い切って本気の告白をしたらしい。
そしたらOKをもらって。
今は忙しくてなかなか会えないけど、今日みたいに時間ができたときは、
さゆを一番に考えるって言ってくれたらしい。

『ホントかわいいの。もう見てるだけでもいいんだけど、
歌はホントにうまいし、すっごく優しいし』

……失恋した相手から、ノロケ話しを聞くことになるとは。
まあ、れいなが聞いたんやから仕方ないことやけど。
こんな付き合いたての超ラブラブで〜すみたいな話しを聞くのって、マジでつらい…

380 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:04

『れいなは?れいなは付き合ってる人いないの?』
「…おらんよ」
『じゃあ、好きな人は?』
「……おらん…」
散々ノロケてるアンタに惚れてんだよ!なんて言えるはずもなく。

『そっかー。でも、れいな、かわいいし、かっこいいし、優しいし、
その気になれば恋人なんてスグできるよ!
さゆみだって、中学んとき本気で好きだったくらいだもん』
「…え…」
『こんなにカワイイ子がアプローチしてるのに、
れいな、全然相手にしてくれないんだもん。
さゆみのことはタイプじゃないんだろうなあって』
「…じ、自分でカワイイとか言うな…」

そんなこと、さゆならいつでも言ってるけど、ちょっとした強がり。
やっぱり、中学んときは、本当に好いてくれとったんや。

『れいなに好きな人ができたら、応援するね!
で、恋人になったら、紹介してね』
「あ、あははー。そうやね…」
『でも、さゆみみたいなカワイイ子を見て、
れいなより好きになられたら困るの』
「…アホ…そんなことあるわけなか」

うー…何とかツッコミはできてるものの、全然キレがない。

『あ、そうだ、明日、れいな空いてる?』
「…何もないけど」

もうフラれてるのに、誘われるとやっぱりうれしい。
会うのはツライかもしれないけど、それ以上に会いたい気持ちがある。

『ホント?じゃあ、明日は執事の日だから一緒に行こ!』
「…え?」
『愛ちゃん、紹介してあげるね』

…何てコトだ…さゆには会いたいけど、愛ちゃんには会いたくない。
というか、2人でいるとこなんか見とうない。
でも、執事喫茶に行くならイヤ、なんて言えるはずもなく、
気付いたら、明日の待ち合わせを決めていた。

381 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:04

その日は1日、朝から学校にいるときはもちろん、改札に向かうまで、
緊張したり落ち込んだり…全然落ち着かなくって。
クラスの子に「今日のれいな、何かヘン」って言われるくらい。
そりゃー、好きだって気付いてすぐにフラれて。
しかも、その子とその恋人に会う日に普通にいられるワケがない。
友達でいなきゃいけないのに…ヘーキな顔してさゆに会えるかな…

待ち合わせの喫茶店の最寄り駅へ向かう電車の中で、
徐々にドキドキが増していって。
さゆの顔を見つけて、ドキドキは最高潮になった。

「れいなーっ!」
さゆがニコニコと手を振ってくる。
…れいな、たぶん、うまく笑えてない。
こんなカワイイ子のこと、なんでもっと早く捕まえておかなかったんやろうって
悔しさでむしゃくしゃする。。

ちょっとだけ急ぎ足で改札を抜けると、さゆが思いっきり抱きついてくる。
…ドキドキしたけど、さゆはそんなつもりやないんやし。
…さゆは誰にでもこういうことする子なんや。
そうや、藤本さんにもしとったやん。
…れいな、本当にアホやと思う。


喫茶店に向かう途中も、さゆはゴキゲンで、愛ちゃんの話しをしてた。
でも、れいなの耳には全然その内容は届いてこん。
…れいなが気になるのは、さゆのキラキラしてる目とか、
きれいな黒髪とか白いうなじとか、やさしいトーンの声とか。
…この子を、れいなの、れいなだけのモノにできたのかもしれないと思うと、
マジでくやしい。くやしすぎる。
せめて、愛ちゃんとさゆが出会う前に、再会できてたらよかったのに。


「あー、そうだ!絵里も来るかなあ?」
さゆは、歩きながら携帯を出してボタンを押した。
「えりりーん?…今ナニしてるのー?……
そっかー、今からね、愛ちゃんに会いに行くの!れいなも一緒だよ!……
うん、帰りでいいからバイト先に来てよー……じゃ、後でねー、バイバーイ」

電話を切ると、さゆはニッコリとれいなの方を見た。
「絵里、今日生徒会なんだって。
でも、どうせ帰り道だし、帰りにお店寄ってくれるってー」
「…絵里も、そのー、さゆと愛ちゃんとのこと、知っとるん?」
「うん!いろいろ相談のってもらってたし、昨日のうち報告しておいた」

…そっか。じゃあ、最初から絵里はさゆが愛ちゃんのこと好きって知ってたんや。
さゆがれいなにくっついてくるのも、本気じゃないってわかっとったってことやけん。
やっぱり、絵里やって、さゆと同じでれいなのこと、からかってるだけなんやろな。
…れいな、何気に人にだまされやすいのかもしれん。
本当に注意して生きていかんといけんね。

382 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:05

店のドアを開けると、案の定、昨日、駅の改札で見かけた子が、
執事の制服を着ていて、さゆを見るとニコニコと近づいてきた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「きゃーっ!愛ちゃんに初めて言われたぁ!」
なんて、さゆは上機嫌で、愛ちゃんに抱きつく。

愛ちゃんは、さゆの頭を撫でて、体を離すと、れいなの方を見て微笑んでくれた。
…むぅ…確かにかわいい…

「れいなやろ?うん、うん、さゆが好きやったってのわかるがし。かわいいのう」
…は?…どこの言葉?れいなも人のこと言えんけど、すごい訛りやけん。

「あ、挨拶忘れとった。高橋愛です」
今度はマジメな顔でペコリと頭を下げてきて。
「…田中れいなです」
れいなも頭を下げると、愛ちゃんは、今度はれいなの頭を優しく撫でてきた。

「あー!愛ちゃん、れいながかわいいからって優しくしちゃだめ!」
「何言うとる。人には常に優しくせんと。なあ?」
愛ちゃんは、れいなの肩をポンポンと叩き、席の方へ誘導した。


席に座ると今度は藤本さんがメニューと水とおしぼりを持ってやってきた。
「いらっしゃーい。さっき、愛ちゃんから聞いたよー。ったく、シゲさん、やるなあ」
さゆの腕をツンツンつついてる藤本さん。

「はいっ!今、チョー幸せですっ」
「てっきり、シゲさんは美貴のこと好きなんだと思ってたのになー」
藤本さんは、楽しそうに笑ってる。

れいなも藤本さんと同じ風に思っとった…
さゆはきっとみんなにそう思わせてとるんやないやろか…かなりの小悪魔やけん。

「藤本さんのこと最初に見たとき、本当に好きになりましたけど。
スグ松浦さんの存在がわかったから、あきらめました」
「亜弥ちゃんの存在って…あ!ヤバイ!」


藤本さんがハッとドアの方を見たら、ドアが開いて、松浦さん登場。
笑顔で小走りにやってきて、藤本さんに抱きついた。
「たぁんっ!」
「こ、こらっ!営業妨害だって!」
藤本さんは困ったような表情ながらも笑顔で、
松浦さんの体を離すと手をとって、カウンターの端の席に座らせて。
藤本さんはカウンターの中に入り、作業をしはじめた。

松浦さんはそんな藤本さんのことをじっと見てる。
藤本さんが、お水を出すと、その手を握る松浦さん。
藤本さんはハッとして、慌てて手を引っ込めてて。
散々抱きつかれたりとかしとっても、
そういうのはやっぱり新鮮なんかなあ。

つーか、やっぱり、恋人関係やなくて、あくまでイトコなんやろか。
それにしても、あの2人は何だか微笑ましいっていうか、
何だか見守りたい気にさせられる。

383 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:05

「何にする?」
愛ちゃんがやってきて、さゆとれいなのことを見てた。

「さゆみはアイスミルクティーにします」
「あ、れいなも同じで」
「あーい」
愛ちゃんはニコニコしながら、オーダーを藤本さんに通してた。


愛ちゃんって、何だか不思議な人や。
かわいくてキレイなのに、飾ってないというか、自然な人で。
自分の付き合ってるさゆが、昔好きだったらいなと一緒にいても、
全然気にしてないどころか、むしろれいなのことを認めてくれてるし。
もし、れいなが付き合ってる人がいて、
その人が昔好きだった人と一緒におったら、めっちゃ怒ってしまうはず。
大人の余裕ってヤツやろか。2つしか違わんのに、大人やけん。


さすがに本人がすぐ近くでいるってのもあってか、
愛ちゃんの話しはほとんどせずに、
さゆとはいたって普通の、学校の話しとか、
中学時代の友達は今何してるだとか、そんな話しをしとった。


しばらくしたら、絵里が手を振りながらやってきた。
「お待たせ♪」
れいなの隣りに座ってきたものの、
その言葉が、前に見たヘンな夢の中の絵里が言ってたのと一緒で、
あのシーンを思い出して、ドキッとしてしまった。

思わず、絵里のブラウスのふくらみとかに目がいってしまって…
あー、もう!れいな、何でこんなスケベなんやろか。


「藤本さーん、絵里、オレンジジュースがいいですぅ」
「亀井ちゃん、自分でやってよー」
「えー?藤本さんが入れてくれるオレンジジュースがいいですぅ」
「は?ばーか」
藤本さんは笑いながらも、グラスを用意していた。

384 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:06

「絵里、そんなこと言ったら、松浦さんがコワイよ」
さゆが小声で言うと、絵里がチラッと松浦さんの方を見る。
確かにムッとして絵里のことを見てたけど、
藤本さんが「亜弥ちゃん」ってたしなめるように言うと、
すぐ笑顔で藤本さんの方を視線を戻した。

「んー、確かにこわかったね。
でも、藤本さんがフォローしてくれれば大丈夫だし。
あ、それよりー!」
絵里はニコニコして、さゆのことを指差した。

すぐに、オレンジジュースを持った愛ちゃんもやってきて。
「何や、カメまで来たんか」
「あ、愛ちゃーん!もー、おめでとう、2人とも」

愛ちゃんはでへへへって笑って。
さゆは愛ちゃんの腕をつかんで、うっとりと見つめてる。

「ね、ね、愛ちゃんはー、さゆのどこがよかったんですか?」
絵里は芸能レポーターのごとく、愛ちゃんにマイクを向けるようにした。

「んー、そうやね。やっぱかわいいし、素直やし、まっすぐやし。
なーんか、あーしのこと、じっと見てくる目見てると、
あー、この子のこと、泣かしたりしたらあかんやろって思って」

…愛ちゃんの気持ち、ようわかる。
れいな、中学時代、さゆのこと泣かしてはいないけど、
さみしい思いさせとったんやろうなあ…ごめん、さゆ。


「カメは、いい人おらんの?」
愛ちゃんはニヤニヤしながら、絵里のこと見とって。
「えっ!?絵里のことは、いいんです!ま、まだ」
なぜか、真っ赤になってうつむく絵里。

「まー、幸せのおすそわけしたるから、
相談あったら、いつでもしてくれてええよ」
愛ちゃんは絵里の肩をパシンと叩くと、
そのままカウンターの方に戻っていった。

385 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:06

「絵里も、がんばった方がいいんじゃない?」
さゆがニコニコと絵里のこと見てて。
「もーっ、いいのっ!絵里は自分のペースでいいんだもん」
絵里は、まだ真っ赤なままうつむいてた。
れいなが見てることに気付いたんか、チラッとだけれいなのことを見ると、
またうつむいてしまって。

…ほら、絵里やって、ちゃんと好きな人おるんやし。
また、カンチガイするとこやった。
れいな、あんまり恋愛経験ないから、人の恋ゴコロとかよく読めない。
とにかく、れいなはしばらく恋愛とかいいや。
運命の人は絶対どっかにおるはずなんやから。
焦らんと、じっくり、自分のこと、もっと磨いていったらいいんや。


絵里は昨日のデート話を、詳しくさゆから聞きだしてて。
れいなはもう聞いとったし、正直もうあんまり聞きたくない。
さゆの話しはちゃんと聞かんと、何となく藤本さんと松浦さんを見つめてた。

松浦さんはやっぱりずっと藤本さんのことを見つめてて。
藤本さんはわざと見ないようにしてるっぽいけど、
やっぱりそれだけ見られてると、たまに目が合ってしまっているようで。
そのときの一瞬、藤本さんが照れたように、少しだけ微笑んで、
目をそらすのがすごくカワイイ。
れいなが松浦さんの立場だったら、あの表情にだけでもやられてしまいそう。
きっと、藤本さんはいわゆる「ツンデレ」やと思う。
松浦さんと2人のときって、実はすごく甘えとったりして。

386 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/11(日) 23:07

絵里の携帯が鳴り出した。
「あー、お母さんだぁ……もしもしー」
…絵里の声ってホントかわいかね。
れいなも、さゆや絵里みたいに女の子っぽいタイプやったら、
もっといろんな恋愛ができとったに違いない。
でも、だからといって、相手に合わせていろいろ変えるようなことはしたくないけん。
今のこのれいなのことをわかってくれて、それでもいいって言ってくれる人、おらんかなあ…



絵里は、ママからゴハンはどうするのかを聞かれたみたいで。
そろそろ帰ることにした。

店を出たときに、絵里に手を繋がれた。
今日はガキさんもおらんし、たまたま近くにいた方のれいなの手を取っただけやけんね。
そのまま3人で並んで歩いて、駅に着いた。

絵里から離れようとしたら、手にギュッっと力を入れられた。
びっくりして、絵里を見たら、不安そうな顔をしとった。
「…絵里?」
絵里が首を横に振って、手を離してくれた。

「……じゃ、またね」
絵里はれいなとさゆに手を振って、行ってしまった。
どうしたんやろ、絵里…



「ねー、れいな、好きな人いないって言ってたよね?」
電車の中で、さゆが聞いてきた。
「あ、ああ、おらんよ」
「じゃ、どんなタイプが好き?」
さゆがウキウキした表情でれいなんことを見とる。
…どんなって…簡単に言ったらさゆみたいな子かなあ…なんて言えるワケないけど。

「んー、優しい人がよか」
「あとは?」
「れいな、子供やけん、考え方が大人っぽい人がいいかな」
「じゃ、年上の方がよかったりする?」
「あんまり年にはこだわらんけど、年下はちょっと厳しいかもしれん」
「ふーん……ね、さゆみがイイ人、紹介しよっか?」
「え!?い、いいけん!好きな人くらい自分で見つける」
…フラれた子から、誰か紹介してもらうなんて、屈辱的たい。
それに、やっぱり、自分から本当にイイと思える子やないと。
紹介とかだと、そういうのを前提に会うってことでちょっと気がひけるけん。

「そう…でも、本当にイイ子なんだけどなあ…れいなにピッタリだと思うし」
…自分では、さゆがピッタリやと思っとったんよ。
はぁ、れいな、なんか未練がましいなあ。

387 名前:サチ 投稿日:2006/06/11(日) 23:19
更新しました。
ちょっと間が空いてしまって、スミマセン…

>>371さん
ありがとうございます。
さゆも、かなりの不思議ちゃんになってますね(笑)
現実は、やっぱりカメちゃんの方が不思議そうですよねー(笑)

>>372さん
いつもありがとうございます。
夢は、あくまで夢で(笑)
この3人なら、これくらいしてて欲しいっていう願望&妄想です(笑)

>>373さん
ありがとうございます。
「さゆえり」は本当にユニット組んで欲しいですよねえ。
絶対推しますよ(笑)

>>374さん
いつもありがとうございます。
ちょっと早めの展開でしたが…(笑)
執事の方の1人の方は、今回もちょっと出てますが、
もう1人の方は、ホントちょこっとですが次回あたりに登場するかも。
もちろん、まだ登場していないあの方とともに(笑)


すっかりお礼を言うのが遅くなってしまったんですが、
年末にの投票で、こちらの「恋の嵐」に票を入れてくださった方がいたようで…
こんな作品を選んでいただけるとは、大変恐縮です…
まだまだ未熟ですし、自分が書きたいものしか書けませんが、
引き続きがんばりますので、どうぞよろしくお願いします。
388 名前:亀かめカメ 投稿日:2006/06/12(月) 17:02
更新おっつです
かめちゃんガンバでーす
389 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/15(木) 00:57
更新お疲れ様です!
はつきりいってサイコウにスキです
390 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/18(日) 07:01
>>374でした。
交信お疲れ様です〜(´∀`)

「脚の綺麗な女性」たちも気になります(笑)
早めの展開も好きです〜(・ω・*)

次回の交信も楽しみにしてます!!
391 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:42

自分の部屋で、1人っきりになると、頭に浮かぶのは、さゆと愛ちゃんのこと。
もし、愛ちゃんが気取ったようなイヤなヤツやったら、
さゆに「あんな人やめて、れいなにしたらいい」って言えたかもしれん。
でも、愛ちゃんはすごくイイ人で、大人で。
さゆと並んでると、本当にお似合いだった。
正直全く勝ち目がないと思った。
愛ちゃんも本当にさゆのことが好きなんやってのがわかったし。
うん、愛ちゃんならさゆのこと、ちゃんと大切にしてくれそうや。
れいなよりもずっとずっと、さゆにふさわしいと思う。

…はあ、もう完敗ってカンジ。
れいなには1%のチャンスもないけんね。
フラれたってのは痛いけど、ある意味スッキリしたっていうか。
相手が愛ちゃんなら、納得できてあきらめられるっていうか。





携帯が鳴った。
画面を見ると、絵里から。何やろ?

「はい」
『あ、え、えっとー、れいな?』
「うん、そうやけど。絵里、どうしたん?」
絵里からメールはよく来るけど、電話なんてはじめてかもしれん。

『あ、あのね、うーんと…れいな、ダイジョウブ?』
「…は?」
『…何か落ち込んでたみたいだったから、さっき』
…絵里が気付くんじゃ、さゆも気付いとったんやろな。

『あは、あははー…ねー、もしかしてー、さゆのこと好きだった?』
絵里がヘラヘラってしたカンジで聞いてきた。
何気に鋭いのか、バカなれいなが思いっきり態度に出しとったんか。
たぶん、れいながバカなんやろう。


「…さゆにはヒミツにしとってよ」
『………』
「もしもーし?絵里、聞いとる?」
『え、あ、や、やっぱ、れいな、さゆのこと、好きだったんだぁ』
「でも、もう、あきらめたから大丈夫やけん。
普通に友達として付き合ってくから」
人に言うことで、余計に自分で決心がつきそうな気がした。

『…そう…れいな、強いね』
「強くなんてなか。弱いから、自分の気持ちぶつけられんかったし」
『ううん。それに優しいし』
「優しくもなか。れいなはズルイんよ。
本当は恋人になりたかったのに、そんな気持ち見せないようにするんやから」
『それが優しさなんだよ。絵里が、れいなの立場だったら、
たぶんもうさゆとは会わない。友達も辞めると思うもん』
「いや、そっちの方が本当はいいのかもしれん。
あきらめたって言っても、いきなりそんなスッパリなんて忘れるなんてできんから、
ズルズル友達としてでも会おうとする、ズルイやつなんよ、れいなは」
『れいなはずるくなんかないよ!』
絵里が珍しく大声で叫ぶもんだから、コレ以上この話しをするのもどうかと思った。

「…ありがと。絵里がそう思ってくれとるだけでもうれしかよ」
『…ホントに?』
「うん、何か救われた気がする」
『…ウヘヘ…』
絵里の笑い方はヘンだけど、何だか癒されるっちゅーか。

「うん、ホントありがと。今日は何か疲れたから、もう寝るけん」
『あ、ごめんね。…じゃ、おやすみなさい』
「おやすみー」


…ふぅ。
ベッドに横になって、ぼんやりと天井を見る。
こういうことって、ホント、人に話すだけで少しは気が楽になれるんやな。
でも、絵里が心配して電話かけてくれたのに、ちょっと冷たかったかな。
何だか悪いことしてしまったかも。
明日にでも、メールしよう…


392 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:42

次の日、気がつくとさゆのことを考えてて。
やっぱり、そんなスグになんて忘れることなんてできるわけないけん。
…はぁ。
いつになったら、さゆのこと、完全に友達だって思える日が来るんやろ…


その日は、イラスト同好会もあって、
自分のスケッチブックを広げるけど、何にも書く気が起きん。
大きなため息をついて、机に突っ伏した。

「田中っち、今日、ため息ばっかりついてるよ。どうしたの?」
顔を上げると、新垣さんはマンガを読んでた。

「…んー、ちょっとイヤなことがあって」
「…そっかぁ。あんまりイヤなこと考えすぎちゃダメだよ。
何か別のことでもして気紛らわしたりした方がいいって。
そうだなー、田中っちは、何してるときが一番楽しい?」
新垣さんはニッコリとこっちを見てきて。

「んー、何やろ?…新垣さんは?何しとうとき?」
「こうやって、好きなマンガとか読んでても楽しいし、
カラオケ行くのも楽しいし、友達とメールしてるときも楽しいけどー、
やっぱり一番は好きな人と一緒にいるときじゃないのかな?」

…ぐっ…今、その言葉はツライけん…

「…新垣さんは、付き合ってる人おるんですか?」
「いない、いない!こっちが一方的に好きなだけ。
それでも、側にいれるだけで、なんかこうワクワクするっていうか、
ドキドキするっていうか、そういう気持ちって他の人じゃ味わえないじゃない?」
「ん、そうですね」
れいなも、さゆとおるだけで、そんな気持ちやった。
他の人と一緒にいても、経験できない感覚。

「ほら、恋愛って片思いしてるときが一番楽しいっていう人もいるじゃない。
だから、今のままでいいかなーって。
ヘンに何かして、今までの関係がダメになるより、片思いを楽しんでおこうかなって」

なるほど。新垣さんの考え方もありやけん。
れいなもフラれたとか考えないで、さゆの側にいるときを楽しめばいいんや。
…愛ちゃんの話しされるとツライけど…

そういえば、新垣さんの相手って誰なんやろ?
「あ、新垣さんの好きな人って…」

393 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:43

聞こうとしたら、ドアがコンコンって鳴って。
「どうぞー」って新垣さんが答えると、ドアがゆっくりと開いた。
「どーもー」
絵里が何だか照れたように、上目遣いで新垣さんれいなのことを見てくる。


「おぅ、カメー!入って入って」
新垣さんが言うと、モジモジしながら入ってきて絵里はれいなの近くのイスに座った。

「昨日はありがとう、電話」
れいなが絵里に言うと、絵里は一瞬キョトンとしてから、
うれしそうに微笑んで首を横に振った。

「あー、カメ来たなら、アタシもう帰ろうかなー」
「えっ!?」
新垣さんが言うと、絵里は驚いて。

「今日さー、お母さんに買い物頼まれてて、早めに帰ろうかと思ってたの。
田中っち1人じゃ申し訳ないけど、カメが来たならいいかなって。じゃ、帰るわ」
「え?え?ちょ、ちょっと、ガキさーん!」
新垣さんは、絵里の言葉を無視してそのまま出てってしまった。

絵里は、ボー然と新垣さんの出ていったドアを見てる。

「…あれ?そういえば、今日バイトじゃなか?」
昨日、執事だったんやから、今日はメイドの日やないっけ?

「うん、今日、生徒会があったから、バイト休んだ。
早く終わったから、ガキさんとれいながいるかなーってのぞいてみたの」
「そうなんや」

でも、絵里が来たからって、ヤル気がおきるワケでもなく、
もう今日は帰ろうかなって、スケッチブックを片付けようとした。

「…れいな、やっぱり顔、暗いよ」
絵里がそう言うと、立ち上がって、れいなのことを抱きしめてきた。
…うっ…むむむ…
れいなはイスに座ってるもんやから、ちょうど絵里の胸のあたりに顔をうずめてるみたくなって。
…絵里、結構胸おっきいんやけど…柔らかくて、気持ちイイ…
絵里はれいなの頭を優しく撫でてる。
…ドキドキしとるけど、気持ちよか…ずっとこうしてて欲しいくらいかも…

「…れいな、どうしたら、元気になれるかな」
絵里が心配そうに、つぶやく。
…絵里はやさしかね。そんなに心配せんでもいいのに。

394 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:43

「あ、コレ、れいなが書いたヤツ?」
絵里の手が離れて、れいなが顔を上げると、絵里の視線は、
スケッチブックにいってた。
「ん、そう」
「見てもいい?」
「ん、よかよ」
絵里にスケッチブックを渡す。

中身は何てことのないイラストたち。
絵里はニコニコしながら、
「かわいー」「うまーい」なんてつぶやきながらながめてる。
日記風に日常生活を書いてみたり、動物を書いてみたりしてるくらいなんやけど。

「…あ、コレ…」
絵里が手を止めたのは、メイド服を着た女の子のイラスト…
さゆをモデルに書いたものだった。

「…さゆ、だよね?」
恥ずかしくなったけど、れいなはコクンと頷いた。
はぁ、また思い出してしまう…
ガックリうなだれてしまったれいなの頭を、絵里がまた優しく撫でてくれた。

「じゃ、今度は、絵里をモデルに書いてよぅ」
「へ?」
絵里はニコニコと、れいなのことを見てて。

「やっぱり、メイド服がいい?それとも執事のときの見てみる?」
絵里はうれしそうに、首をかしげて考えてて。

「あ、それともー…ヌードとかどう?」
「はぁっ!?」
絵里が、制服のネクタイをゆるめて、ブラウスのボタンに手をかける。

「あ?えっ?な、何しとるの?」
「え?モデルとして、まずは見てもらおうかと」
「い、いいからっ!ヌードとか書くつもりなんてなかっ」
ナニ考えとるんよ!
ヌードって、つまり裸やろ?
こんなことでそんなことされたら、れいなどうしていいかわからん。
つーか、へ、ヘンな気持ちになってしまうかも…そんなの、ヤバイやろ!
絵里の手をグッとひっぱって止める。

「そう?じゃ、何がいい?」
「な、何でもよか!別にモデルとかしてもらわんでも、想像で書くし」
「れーな、何かやらしー」
「別にやらしくなんかなか!」
…正直、絵里の裸なら、夢で見ちゃったし、書こうと思えば書けるけん。
…つーか、書かんって!
アホすぎる、れいな。

「ウヘヘー、よかった、いつものれいなっぽくなってきた」
…つーか、びっくりして怒っただけなんやけど。
まあ、こんなバカ話ししてると、確かにさゆのことは考えんで済むけん。
れいなが頷くと、絵里は満足そうにコクコク頷いてた。

395 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:44

「じゃ、れいな立って」
「…へ?」
「いいからいいから」
れいなが立ち上がると、絵里が抱きついてきた。

「…どうしたん?」
「…次は、絵里のこと、なぐさめて」
背中に回されてる絵里の腕にギュッっと力がこめられる。
そして、肩が震えてるのがわかる…泣いてるみたいやけん。
驚いたけど、いきなり理由を聞くのもどうかと思った。

絵里の体はやっぱりやわらかくて、髪はいいニオイで。
そっと右手で絵里の髪を撫でて、
絵里の背中に左手を回し、ギュッっと力をこめた。
絵里の吐息が首筋に感じられて、何だかドキドキしてきた。
…ごめん、絵里が悲しんでるのに。

絵里は、さっきよりも肩を大きく震わせ、ヒックヒック言って泣き始めた。
…それにしても、どうしたんやろ?
理由はわからんけど、絵里がこんな風に悲しんでるのをみるのはツライ。

「…絵里、大丈夫?」
「ご、ごめん…」
れいなは制服のポケットから、ハンカチを出して、絵里の涙を拭いてやった。
絵里の顔を心配そうに覗きこんだからか、無理矢理笑顔を作ろうとしてた。

「…絵里、何があったん?
話したくないなら、無理に話さんでもいいけど」
絵里の顔を見ながら、髪を撫でてあげた。


「…フラれちゃった」
「え?あ、ああ、好きな人おるって言ってたけんね」
絵里がコクリと頷く。

「でも、その人、好きな人がいるんだって」

…ああ、れいなと同じやけん。
絵里も、ツライ思いしとるんやね。
れいなは、もう一度絵里のことを抱きしめた。

「…その人たちは付き合ってるん?」
絵里は首を横に振った。

「じゃ、絵里、がんばったらよかよ。
付き合ってるんじゃなかったら、あきらめたらもったいなか。絵里、かわいいんやし」
「…そう、かな?」
「ん、何にもせんと身を引くなんて後で後悔するけん」
れいな自身、今になって後悔しとる。
中学時代に、さゆからの気持ち、そしてさゆへの自分の気持ちに気付かんかったことに。

「…んー、じゃあ、がんばっちゃおうかな…」
「うん、そうしぃ。絵里なら大丈夫。自信持ってがんばって」
「…ありがと」
絵里は、ギュッっと腕に力をこめてきた。

絵里の笑顔、好きやし、絵里には幸せになってもらいたか。
絵里のこと、幸せにできるん、どんなヤツなんやろな…。

396 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:44

絵里も落ち着いたから、そのまま一緒に帰ることにした。
駅までの道のり、絵里はギュッとれいなの腕にしがみついてて。
くだらない話しをしながら、2人で何だかカラ元気を出しとったカンジで。

電車に乗って、次が絵里の降りる駅ってとき、絵里がれいなのことをじっと見てきた。
「…あ、あのねー、デート、いつにする?」
「へ?」
…あ、あー、前にデートしようってメール来とったっけ。
社交辞令かと思っとったけど。

正直さゆのこと考えんで済む時間が欲しい。
少しでも気を紛らわしたいのもある。
絵里もそんな気分なんかもしれん。

「いつでもよかよ」
「ホントに?」
「今週で、バイトも生徒会もない日っていつ?」
「んー、明日は生徒会だし、あさってはバイト…その次の日なら空いてる!」
「じゃ、一緒に帰って、カラオケでも行かん?」
「うん、行くー!!」
絵里はすっごい笑顔で、れいなのこと見てきて。
よかった、絵里もちょっとは元気になったみたいやけん。



帰ってからも、絵里からメールが来て。
『なぐさめてありがとうね。カラオケも超楽しみ♪
れいな、ダイスキ(はあと)』

絵里、かわいかぁ。
絵里に好かれとるヤツ、もったいなかよ、こんな子ほっとくなんて。


その日から、絵里もさみしいのか、これまで以上に絵里からメールが来るようになった。
さゆからは全然来んし、絵里とのメールはくだらないけど、結構楽しい。
絵里とのメール、本当に楽しみやけん。

397 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:44

そして、絵里とのカラオケの約束の日。
下駄箱のところで待ち合わせしとって。
れいなが着くと、まだ絵里は来とらんかった。

でも、すぐに絵里が走ってくるのが見えた。
れいなに気付いて笑顔で手を振ってきて、急いで靴に履き替えとった。

「あー、れいな、何してんの?」
声が聞こえた方を見ると、クラスの子。
「いや、何って…」
「何もないなら、一緒に帰ろうよー」
「あ、約束しとるから…」

「れいな、お待たせっ♪」
そこに絵里がやってきて。

クラスの子が、絵里を見ると、目を丸くしてからペコリと頭を下げた。
そして、れいなのことをヒジでつつくと、
耳元で「よかったね、うまくいってて」ってつぶやいた。

「…ち、違うって!」
思わず大声を出すけど、クラスの子はニヤニヤしながら、行ってしまった。
ったく、カンチガイすんなってー。

「れいな?…早く行こう」
絵里に手を握られてそのまま歩き出す。

さっきのクラスの子が後ろを振り返って、手を繋いどるれいなと絵里のことを見ると、
またニヤニヤしとった。
だーかーら、違うってーの。

そういや、絵里はさっきから全然しゃべっとらん。ずっとうつむいてて。
「…絵里?」
絵里が、悲しそうに上目遣いで見てくる…この目に、れいなはどうも弱い。
思わずドキッとしてしまった。


「…れいな、さっき、あの子と何話してたの?」
「へ?ああ…」
そりゃ、目の前でコソコソ話しとったら、自分のことやと思うし、
気分のいいもんやないよね。

「何かカンチガイされとるんよ、絵里とれいなが付き合ってるとか」
「…えええぇっっ!?」
つーか、絵里、驚きすぎ。
そりゃ、そんな話し、メイワク以外の何モノでもないと思うけど。

「ゴメン、ちゃんと否定しとくけん。
れいなはいいけど、絵里はヘンな噂広まったら、
好きな人ともうまくいかんかもしれんもんね」
「えー?あー、いやー…」
絵里は、うつむいて、何かブツブツ言っとる。
ハッキリ「迷惑」なんて言ったら、れいなに悪いと思っとるんやろな。
絵里は優しいから。

398 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:44

どこのカラオケに行こうかって話しになったときに、
絵里が「ウチの近くなら、割引券がある」って言ってくれたから、
絵里んちの近くに行くことにした。
どうせ、れいなは帰り道の途中やし。


駅前のゲーセンでプリクラを何枚か撮って。
絵里が必要以上にピッタリくっついてきて、顔を寄せたりするもんだから、
何だかドキドキしてしまった。
文字を書き込めるヤツやったんやけど、
絵里はハートマークを書いて「ラブラブ(はあと)」なんて書いとった。
さっきの絵里とれいなの噂のことで、絵里なりの冗談やろうけど、
そのときの絵里のちょっと照れてる表情がかわいくて、胸がキュンとした。
なんか、なんかこういうのっていいなあ。
ホントに『デート』みたいやけん。
絵里も、自分の好きな人とこんなことしてみたいんやろうな、きっと。
れいなも、絵里みたいにやさしくてかわいい子とこんなことできたらいいなあ。


そしてカラオケは3時間、部屋をとった。
普通に5人とか入れる部屋なのに、
絵里はれいなの隣りに来て、腕を組んでくる。
…絵里って、ホント甘えんぼやけん。
まあ、正直絵里みたいな子に甘えられるのは悪い気はせんけど。
つーか、むしろウレシイみたいな…

絵里の好きな人だって、よっぽどスゴイ人を好きになってなきゃ、
絵里みたいな子にコクられたら、心揺れると思うんやけどなあ。


れいなが最初に歌うと、絵里は曲を選ぶ手も止めて、
じっとれいなの顔を見つめていた。

「…れいな、うまーい…かわいい…」
なんてつぶやきながら。

恥ずかしくなって、間奏のときに、
「絵里、あんまりれいなの顔見んといて。歌いづらいけん」
「え?あ、ああ、ごめんごめん」
絵里は慌てて、曲を選び始めて、れいなの顔をチラチラ見ながら、
画面の方も見とった。

次に絵里が歌い始めたら、絵里の声、しゃべり声と一緒でかわいくて、やっぱりうまい。
「絵里、うまいけん!かわいかぁ!」
って叫んだら、絵里はニコニコってしながら、れいなの顔を上目遣いで覗きこんできて。
…この腕を組んでる距離で、ソレをやられると、余計にドキドキする。
何だか、誘われてるみたいな気になってしまって。
絵里には好きな人がおって、その気なんか全くないのに。

399 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:45

まさにストレス発散ってカンジで歌いまくってた。
絵里の曲が終わるときに、部屋の電話が鳴った。
れいなが電話を取ると、「あと10分です」って言われて。
カラオケとか久しぶりやから、すっごく楽しくってアッという間やった。
もっといても良かったけど、さすがにもう3時間歌っとるし、
また次でもいいかって、延長はせんかった。

「じゃ、次れいなだし、絵里の歌で最後ね」
絵里は少しさみしそうな顔をしたけど、れいなの歌がはじまったから、
れいなは歌うことに集中しとった。

そして、絵里が最後に入れた曲。
「この曲ダイスキで、いつも歌うんだー」って『100回のキス』を入れた。

いつも歌うってだけあって、すごく絵里に合ってて、歌いこなせてて。
最後で、れいなも自分の曲選びをせんでいいから、じっくり聞いとった。

そして、絵里は歌い終わると、マイクをテーブルに置いた。
「れいな」って呼ぶから、絵里の方に顔を向けると、
顔が近づいてきて、絵里の唇がれいなの唇に触れた…

…………………………
絵里は照れたように笑って、れいなにギュッっと抱きついてきた。

……えっと…今…絵里…れいなに……うわーっ!!!
一気に心臓がバクバクしてきた。
絵里は、何事もなかったかのように、
マイクとリモコンをカゴに入れはじめて、部屋を出る準備をしとる。

「…あ、ちょ、ちょっとトイレ…」
慌てて立ち上がって、トイレに向かった。


個室に入って、便器に腰掛ける。
……さっき、絵里……
自分の唇に指で触れてみると、自分のリップの色じゃないオレンジの色がついてた。
…コレ、絵里の………うわっ、えっと、うぅ…
まだ心臓がすっごく早く動いとる。このまま壊れるんじゃないかってくらい。
…と、とりあえず、落ち着こう…深呼吸でもして…すー、はー、すー…


…しかし、何考えとるんやろ…好きな人おるのに。
いや、絵里は甘えんぼやし、きっと友達とかにフツーにキスとかする子なんやろ。

…れいなにとっては、初めてのキスやったんやけど…はぁ…
甘えんぼ絵里にとっては、何でもないスキンシップの1つで。
こんなにドキドキしてしまう自分が情けなか。

…絵里、かわいすぎるけん。
ソレっぽい曲歌われて、あんな風にキスされたら、絵里の好きな人も堕ちるって。
…つーか、れいなだって絵里のこと…

…いかんいかん!れいなは練習台やけん。
絵里にとっての本番の人は別におるんやから。
…あー、どうして、れいなの周りは、小悪魔だらけなんよ…

400 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:45

「れいなぁ、いる?」
外から絵里の声が聞こえてきた。
「あっ!?ああ」
「大丈夫?お腹イタイの?」
「…いや、大丈夫」

れいなが個室から出ると、絵里が心配そうに見とった。
「気分悪い?」
ある意味、気分悪いかも。
顔も体も熱くて、胸がドキドキして苦しいっていうか。

「…大丈夫やけん。待たせてゴメン」
「ん、ダイジョーブ。先にお会計してきたし」
絵里がニコニコして見てくる。
…あー、やっぱり、絵里にとっては、さっきのキスなんて何でもないことで。
1人で、こんなにドキドキしてるれいなってバカやけん。


駅まで絵里が送ってくれるってことで、また絵里は腕を組んできて、
楽しそうにさっきの曲がどうとか、今度歌いたい曲の話しとかをしてる。
その表情がかわいすぎて。どうしても目がいっちゃう唇は色っぽくて。
…はぁ…絵里の好きなヤツがうらやましか。
あの唇に好きなだけキスできるんやから。

駅に着くと、絵里は不思議そうな顔をして、切符売り場の方を見てた。
「アレ?…吉澤さん…」
そっちを見ると、執事喫茶で働いている背の高いキレイな人、吉澤さんが立ってた。
今日はバイトだったから、きっと帰りなんやろう。
そしたら、切符を買ってただろう女の人、ちょっと色は黒いけど、
すごくキレイな顔をしてる人が吉澤さんに近づく。

「お待たせ♪」
って言った声は、すごく高くてアニメみたいな声。

すると、吉澤さんは彼女の腰に腕を回して歩き始めて、改札を抜けていった。
思わず2人の姿が見えなくなるまでその背中を見つめていた。

…どう見ても、カップルにしか見えん。
女同士で、腰に腕とか回さんやろ、フツー。
しかも、2人の間には何かいやらしい、エロい雰囲気が漂ってて。
微笑み合う表情とか、甘い空気が流れてるっちゅーか。

「あー、吉澤さん、あの人と…」
絵里がつぶいやいたのが聞こえてきたから、聞いてみた。

「あの人、絵里も知っとる人なん?」
「んー、執事の方によく来るお客さん。店長の知り合いらしいんだけど。
確か石川さんっていったかなー。でも、吉澤さんとそんな関係だとは…」

「やっぱ、どう見てもコイビト関係っぽいよね」
「うん、ちょっとビックリしちゃった」
「たしかにね」

まあ、吉澤さんは男の人にも見えなくないから、
すごく自然にカップルに見えたけん。
ビックリしたけど、ちょっとうらやましいけん、あんなラブラブなカンジ。

「絵里もあんなステキなカップルになりたいなぁ」
…あんな雰囲気がある2人って確かにうらやましい。
絵里は、今、自分が好きな人と並んでるのを想像してるワケで。
…何だか悔しい。
そんな絵里の表情を見てるのがつらくて、
定期を取り出して、改札に進むことにした。

「…じゃ、絵里、今日はありがと」
「え…あ、うんっ。またね」
…絵里の笑顔はかわいい。
それを独り占めできるヤツがうらやましすぎる。

401 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/06/21(水) 01:46

ゴハンを食べて、自分の部屋に戻ると、絵里からメールが届いてた。
『今日はどうもありがとう。れいな、超歌うまいね♪またデートしてね(はあと)』
…また“デート”とか言うし。

つーか、今日の絵里はカワいすぎた。
照れたときの表情とか、上目遣いとか、甘い歌声とか、唇とか…
…はぁ。
自分の唇に触れてみる。
さすがにもうオレンジ色はつかないけど、
あのときのふわっと柔らかい感触はリアルに思い出せて。

…もう1回したい…
はぁ、ヤバイ、れいな何考えとるんよ。

ついこないだまで、さゆのことばっかり考えてたのに、
今頭ん中を占めてるのは絵里のこと。

きっと、れいなって惚れっぽいんや。
ちょっとでも優しくされたりするとその気になっちゃうっていうか。

ベタベタしてくるのもれいなにだけじゃなか。
気のある素振りを見せるのも、れいながからかわれてるだけやし。
絵里は好きな人がいて、その人とうまくいくために、
がんばってるところなんよ。

さゆで苦い思いしとるんやから、繰り返したらいかんって。

402 名前:サチ 投稿日:2006/06/21(水) 01:50
更新しました。

>>388さん
ありがとうございます。
カメちゃんはがんばるみたいです(笑)

>>389さん
ありがとうございます。
ハッキリ言っていただいて、サイコウにうれしいです(笑)

>>390さん
いつもありがとうございます。
GreatAyaMikiは本当に楽しみですね♪
こちらのお話でも番外編で活躍する予定です(笑)
403 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/21(水) 03:12


あ〜〜〜〜〜
うんうん、そうかそうか
れいな早く気付きーや(笑)

続き楽しみにしてます
404 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/02(日) 15:36
最高ッス!
405 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/03(月) 20:46

7月に入り、そろそろ期末試験。
部活や同好会もお休みに入って。

一緒に帰ってカラオケに行って以来、
絵里がたまに「一緒に帰ろう」って誘ってくるようになった。
試験前の今は、絵里は生徒会もないし、バイトも休んでて。


そんなある日、絵里と帰る約束はしとったけど、
HRが終わってクラスの子とちょっと話しとった。
そしたら、「れいなー、呼ばれてるよー」ってドアに近い席の子に言われて。
そっちを見たら、開いたドアのところに絵里が立って、れいなを見てニコニコしとった。

クラスの子たちも、なんだか冷やかすような歓声をあげてくるし。
「れいな、今日、デートなんだ、いーなー」
「ち、違うって!そんなんじゃなかって」
慌てて、自分のカバンを持って、絵里の方に向かった。

「お幸せに♪」
なんてみんな言われて。
絵里はニコニコと微笑んどった。
もう、いくら否定しても通じないと思ったから、
あきらめて無視して、急いで教室を出た。


「ごめんね、HR早く終わったから迎えにきちゃった」
廊下を歩きながら絵里がつぶやく。
「あー、別にかまわんけど…こっちこそ、ごめん、クラスの子たちがまだカンチガイしとって」
絵里は首を横に振って。
「…むしろ、絵里はウレシイかな」
すっごく小さい声やったけど、確かにそう言ってくれた。

…あの、ウレシイってことは、れいなと絵里がつきあってるって思われてても、
いいってことで。
それって、それって…いや、いや、きっと絵里の好きな人は、この学校じゃないとか、
カモフラージュとかのためなんや、きっと。
こんなとこで、れいながカンチガイしたらいかん。

406 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/03(月) 20:47

でも、こうやって絵里と会う度、メールや電話をしてるとき、
れいな、ドキドキ、わくわくしとる。

今も手を繋いで歩いてる絵里の横顔をこっそり見るだけで、
手のぬくもりを感じてるだけで、胸がギュッとしめつけられる。

…はぁ、れいな、絵里に完全に惚れてしまったんや。
コレは認めなきゃいけない事実。
絵里にはその気はない、無理だってわかっとる。
だから、新垣さんが言ってたように、片思いを楽しんでおこうと思う。
こうやって2人でいる時間があるだけでも幸せやと思って。

あ、絵里、今日もこの前のオレンジのリップつけとる…
…キス、したい…
…はぁ、れいなってホントにスケベやけん。
でも、でも、頭ん中だけで考えるんは、許して欲しいけん。



「れいなー、夏休み、旅行とかするの?」
エッチな妄想をしとったときに、突然質問されて、ドキッとした。

「…あー、うん。福岡帰るけん。毎年8月はほとんど向こう」
中学んときも8月になると、弟と一緒に福岡のおじいちゃん家に行って。
向こうの友達と遊んだり、のんびり過ごしとった。
お盆の時期になると、パパとママもやってくるし。

「…そうなんだぁ…さみしいなぁ」
絵里はうつむいて握ってる手にギュッっと力をこめてきた。
ホントにさみしいと思ってくれてると?
…でも、それは友達としての意味やけん。
うん、うん、そういう意味じゃなかよ。

「あ、じゃ、れいな、7月中はこっちにいるんだよね?」
「うん、おるよ」
「じゃ、じゃ、どっか遊びに行こうよ!」
「へ?…あ、ああもちろん」
むしろ、れいなから誘いたかったくらいやけん。
絵里は、笑顔でれいなのことを見とって。

「どこがいいかなー。プールとか行こうか?」
「…ん、いいよ」
…絵里の水着姿、ちょっと見てみたい。
学年が違うから、授業では見たことないし。
でも、2人っきりで水着とかでいるのって何だか恥ずかしい。

「…新垣さんとかさゆも誘おっか?」
「え…あ、うん…あー、れいな、さゆの水着姿見たいんでしょ?えっちー」
「そ、そんなんじゃなか!…さゆは友達やって」
…だいたい、今は、絵里のことが…むしろ、絵里のを見たいんやって。

絵里はうつむいて唇をとがらせてたけど、
顔を上げてぎこちない笑顔を向けてきた。
まだ、れいなのさゆへの気持ちがあると思って心配してくれとるのかな?
「そーだよね。友達だもん、一緒に遊ばない方がヘンだよね」

絵里とれいなも友達やけんね。
だから、こうやって一緒に帰ったり、メールしたり。
これ以上のことを期待したらいかんよ。

407 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/03(月) 20:48

夏休みに入って5日後に、絵里とさゆと新垣さんとの4人で、
プールに行くことになった。

新垣さんはうちらと家の方向が違うし、プールのある最寄り駅で待ち合わせることにした。
同じ場所に行くっていうのに、一緒に行かないのはヘンかと思い、
さゆとはウチの駅で待ち合わせた。

れいなが駅に向かうと、もうさゆは来とって。
れいなに気付くと、小走りに近寄ってきて、思いっきり抱きつかれた。

「れいなぁ、久しぶり♪」
そうや、あの愛ちゃんとのご対面以来、会ってなかった。
抱きつかれて、一瞬ビックリしたけど、ビックリしただけ。
そういう意味でのドキドキはなかった。

さゆのことを友達と思えるようになって安心はしたけど、
自分の変わり身の早さに少しあきれてしまう。
…あんなに、さゆのこと好きやと思っとったのになあ。

「あー、もう暑いから離れて!」
さゆのことを引き離して、歩き出した。

もうそういう気持ちはないとはいえ、
さゆはやっぱりかわいいなあと思う。
電車の中でも、散々愛ちゃんとのラブラブっぷりを聞かされて。
「今度ね、愛ちゃんち遊びに行くの。
しかもね、その日、家に誰もいないんだって!
やっぱり、下着は新しいのがいいよねー。
あー、愛ちゃん、どんなのが好みなのかなぁ?」
「…はいはい、何でもいいやろ。ダイスキなさゆの着てるもんなら」
「やっぱりー?そうだよね、さゆみも愛ちゃんが毛糸のパンツとかでもいいと思うもん」

…いや、むしろ、さゆがウサギの毛糸のパンツとか持ってそうやけん。
まあ、こんな話しをされても、冷静に返せるようになっとるし。

408 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/03(月) 20:48

待ち合わせの駅に5分前着くと、すでに新垣さんが着いてて。
「おぅ!田中っち、シゲさん!」
笑顔で手を振ってきた。

「新垣さ〜ん」
なんて、さゆは新垣さんにまで抱きついとる。
「お?お?おー」
なんて、新垣さんもちょっと驚いちゃってるし。

新垣さんにまで、愛ちゃん話しを聞かせてるさゆ。
新垣さんが執事喫茶に行ったときは、愛ちゃんいなかったから、
わかんないのに、新垣さんはちゃんと聞いてあげとる。
優しいなあ、大人やなあ、新垣さん。

で、待ち合わせから10分たって、絵里がダッシュでやってきた。
れいなたちに気付くと、パッと笑顔になって。
…ヤバイ…マジでかわいい…
絵里は丈の短めのジーンズの上にチェックのシャツっていう格好。
はじめて見る私服姿はやっぱりかわいくて。

「ごめーん!」
改札を通りながら謝ってきて、れいなたちの前まで来て止まると、
ハァハァと息を整えてた。

「カメの遅刻は慣れてるから、大丈夫」
新垣さんは、もう1年以上の付き合いやもんなあ。
れいなの知らんことも、きっといっぱい知っとるワケで。
なんか、ちょびっと妬けた。

「れいな?…怒ってる?」
「へっ!?」
絵里がいきなりれいなの顔をのぞきこんできたから、
思わずビックリして身を反らした。

「…ホントにごめんね」
絵里が悲しそうな顔になる。
「い、いや、怒ってなんかなかよ!そ、それより、早よ、行こ」
もし、怒ってるように見えてたなら、それは新垣さんへの嫉妬なだけやし。

れいなが歩き始めたら、絵里はサッとれいなと手を繋いできた。
…こんなことで、いちいちドキッとする自分が情けなか。
ホント、れいなって純情やと思うわ。

409 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/03(月) 20:48

そして、プールに着き、更衣室で着替える。
みんな、もう既に着こんできとるから、基本的に脱ぐだけ。

れいなは、上は水色のチェック、下はデニムの短パンっぽいセパレートの。
あんまり水着っぽくなくて、かわいいって、去年買ったヤツなんやけど。

おー、新垣さんは黄色に花柄のワンピース。
何気にスタイルいいっちゃね。つーか、細いなあ。

さゆは、ピンクのワンピースでフリフリのスカートがついとる。
さゆっぽい水着やけん。
さゆは色白かねえ…ん、胸も結構あるやん、やっぱし。



ふと、絵里を見ると、ジーンズは脱いでて、上もチェックのシャツは脱いでるけど、
その下のTシャツを脱いでない。
絵里、どんな水着着とるんやろなあ…

「カメー、早く脱ぎなよー」
「え?いや、だって…」
なんだか、モジモジしている絵里。

「もう、絵里が脱がないと行けないよー」
って、さゆが無理矢理Tシャツを引っ張って脱がせた。

!!!…ヤバッ!…白のビキニ…超エロイ…

絵里は慌てて、体を抱きしめるようにして隠してた。

しかも、絵里って痩せてはいるんやけど、
細いってカンジではなくて、脚とかお腹のあたりとか、
ちょっとだけお肉がついてて。
それが、妙にエロイっていうか、
抱きしめたら、気持ち良さそうっていうか…

「れいなー、目がやらしい」
さゆに言われて驚いた。
「そ、そんなことなか!」
慌てて絵里から目をそらしたけど、顔は赤くなってるに違いない。
はぁ、確かにれいな、やらしいこと考えてました、はい。

絵里はバスタオルを、首からかけて少し体を隠してた。
そんなに恥ずかしいなら、ビキニなんて着んでもいいのに。
れいな的にはラッキーやし、うれしいんやけど、
他の客、とくに男になんか見せたくない。

410 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/03(月) 20:49

プールサイドに着いて、空いてるところにシートを敷いて、
それぞれ日焼け止めをぬりはじめた。

「んー、新垣さん、背中塗って下さい」
さゆがなぜか新垣さんに頼む。
普通に考えたられいなに頼みそうなのに。
もしかして、れいな、エロイ目で見とった?

新垣さんがさゆの背中に塗ってあげて。
「じゃ、アタシのもやって」って、今度はさゆが新垣さんに。

「れいなー、絵里の背中塗ってあげなよー」
「へっ!?」
さゆに言われて、驚いて絵里の方を見たら、
なぜか恥ずかしそうに日焼け止めをれいなに差し出してた。

こ、ここで断るのはヘンやけん、友達なんやから。
さゆと新垣さんみたく、普通に塗ったらいいけん。

でも、ホントはめちゃくちゃドキドキしてしまって。
絵里、ちょっと色は黒いけど、背中もすごくキレイで。
背中に触ったら、絵里がビクッとなって。
れいなまでビクッとしてしまった。
「ご、ごめん、くすぐったい?」
「…ん、大丈夫」
絵里の背中のさわり心地はすごく滑らかで気持ちよくって。
腰の肉のつき方とか、ホントえっちぃ。
…はぁ、ギュッって抱きしめたい…
ば、ばかっ!何考えとるんよ!
ヘンに気になってしまいそうだったから、
ササッと塗って終わりにした。

「ハイ、終わり」
日焼け止めを絵里に返すと、絵里はうつむいたまま受け取って。
「…ありがと。れいなのやってあげる」
「あ、い、いいけん」
それこそ、もっとヘンな気になってしまいそうやし。

断ったつもりやったのに、絵里は自分の日焼け止めを、
れいなの背中に塗ってきて。
で、でも、ここでヘンに拒否ってもソレはおかしい。
…何だか、絵里の手つきっていやらしい。
…や、やばい、マジでれいな、ヘンな気持ちになりそう…
「あ、ありがと。そんくらいで充分」
「え?あ…どういたしまして」
れいなの顔、真っ赤になってそうやから、絵里の方なんて見れん…

すぐに、4人でいろんなプールに行っていろいろ泳いで。
ときたま、何かの拍子に絵里がれいなに触れてきたりするだけで、
ドキッとしてしまって。
つーか、絵里の体を見てしまう度にドキッとしとるんやけど。
…はぁ、この状態って、れいなの精神的によろしくなかよ。
もう、絵里とはプールとか行くのやめよう…

411 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/03(月) 20:49

「あー、カキ氷食べたいなあ」
さゆが言うと、
「あ、絵里も食べたい!」
「結構遊んだし、一旦休憩しますか」
新垣さんが仕切ってくれて、休憩することにした。

さっき敷いたシートのところの近くに売店があったから、
戻って買いに行くことにした。

「じゃあ、さゆみと新垣さんで、買ってくるよー。
絵里とれいな、何がいい?」
「え?いいよ、皆で行こうよ」
れいなが言ったけど、
「いいから、さゆみが言い出したんだし」
「そうそう、2人いれば大丈夫だから」
新垣さんまで、何だか気を遣ってくれた。

「絵里はいちご?」
「…うん、ありがと」
「田中っちは、メロンとか?」
「あー、うん、メロンでいいです。すんません」

さゆと新垣さんは、売店の方に向かっていった。

…何か、絵里と2人っきりって緊張するんやけど。
れいなの横にちょこんと体育座りしている絵里。
絵里の方ちゃんと見たらヤバイ気になりそう…
確かにちょっと疲れたし、そのままシートに横になってみた。

「れいな、疲れたの?」
「ん、ちょっと」

目はつぶらずにぼんやり空を見とったら、突然、
目の前に陰ができたと思ったら、何か白いものが…
…うっ!!え、絵里の胸の谷間が目の前に。
な、何しとー!?

…どうやら、れいなの向こう側にある荷物を取りたかったらしく、
れいなをまたぐようにして手を伸ばしてたらしい。

「…コレ?」
「あ、ありがと」
ってその荷物を渡そうとしたら、絵里が体を支えていた方の手がすべったらしく、
れいなの上に倒れこんできた…

…うわっ!ヤバイ、ヤバイって!は、離れてって!

でも、絵里は離れるどころか、なぜかれいなの上に覆いかぶさってきて
思いっきり抱きついてきた。

「…ぇ、絵里?」
な、何しとるんよ!
水着で、ほとんど裸の状態で抱きつかれるとかカンベンして!

も、もうれいなの頭ん中、やらしいことしか考えられなくなってしまう。
…絵里にもっと触れたい…絵里の肌を感じたい…
思わず、絵里の腰に腕を軽くだけど、回してしまった。

「…ぁ」
って耳元で、絵里の声が聞こえてきて。
…何て色っぽい声出すんよ!…も、もうれいな、ガマンできんくなるやんか!

412 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/03(月) 20:49

「あー、絵里がれいなのこと、襲ってるっ!」
「シゲさん、ジャマしちゃダメだよー」
…頭の上の方にさゆと新垣さんが立ってて。
慌てて、絵里のことをどけて、体を起こした。

「ち、違うって、襲われてなんかなか。
たまたま、絵里の手がすべっただけやけん」

むしろ、れいなの方が襲う寸前やったわ。
こんな人がいっぱいおるとこで…
ある意味、さゆと新垣さんにに助けられた。


もう、その後は何をしてても、絵里の体に目がいっちゃうし、
さっきの絵里の体の感触を思い出しちゃうし。
ホント、自分のスケベさにあきれてしまう。

家に帰ってからも、もう絵里のことしか考えられなくて。
どうしよう、こんなん気持ちじゃ、友達のままでいられない。
絵里が好きな人と付き合うなんて話しになったら、
れいな、ショックで立ち直れそうもない。

でも、れいながこの気持ちをコクったところでうまくいく自信は全くない
だって、絵里には泣いてしまうほど、好きな人がいるわけで。
しかも「がんばる」って言ってたから、うまくいくかもしれんくて。
れいな、絵里のこと、あきらめきれるんやろか…
絵里のこと考えると胸が苦しくて苦しくて。
新垣さんみたいに、片思いを楽しむことなんてできそうもない。

413 名前:サチ 投稿日:2006/07/03(月) 20:52
更新しました。やっと終わりが見えてきた気がします…

>>403さん
ありがとうございます。
れいなはカワイイやつなんです、はい(笑)

>>404さん
ありがとうございます。恐縮です…
414 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/04(火) 00:38
れーな…



おまおれw
415 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/04(火) 19:33
ひとこと言わせて・・・

大好きです!
416 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/06(木) 19:46
ちゃいこー
417 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/08(土) 16:50
サチさんの作品はどれも全部超大好きで
いつも楽しませてもらってます。
だので・・・
わたしもひとこと言わせて・・・
大好きです!w
418 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/09(日) 19:31
一気読みしました
今まで読んだサチさんの作で一番好きです。アヤミキストなのに(笑
小悪魔さゆえりに翻弄される、脳内思春期男子なれいながちゃいこうです!
419 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:00

さすがに高校生だから、夏休みの宿題はほとんどないけど、
ちょっとした課題みたいのはあった。
あんまり福岡にまで持っていきたくないから、
7月中に終わらせてしまおうと思ってた。

自分の部屋で手をつけてても、ふとしたときに、絵里の顔が浮かんでしまう。
さすがに、れいなは恥ずかしくてできんかったけど、
さゆはこの前のプールでの写真を携帯で撮ってて。
なぜか、絵里の水着のワンショットをれいなに送ってきた。

『絵里って、なんか色っぽいよね』なんて書かれてて。
確かにそうやけど、わざわざ画像なんて送ってこんでもいいのに。
ちょっとかがんで胸の谷間を強調するような格好で…
さゆが『こうやって♪』なんてリクエストして撮ってたヤツ。
この画像、見るたびにドキドキしてしまうんやけど…1日何回も見てしまう。
本当は待ち受けにしたいくらいやけど、誰かに見られたら、
ヤバイからできんのが残念やけど。


あー、絵里に会いたい。
もう明後日には、福岡に行くことになっとる。
1ヶ月も絵里に会えないなんてつらすぎる。
福岡に行く前に一度だけでも会いたい。

あ、そういえば、今日はバイトの日やなかったかな?
絵里から着たメールを読み返してみると、
確かに今日は執事の方でバイト。
しかも昼から入ってるから夕方に終わるみたいやけん。
絵里の顔が見れるだけでもいい。
課題をカバンに詰めて、絵里のバイト先に向かうことにした。

420 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:01

何か1人で来るのって緊張する…
さゆでも誘えばよかったかな。

店のドアの前で、開けるのをためらっとったら、中からドアが開いた。

「ありがとうございました」
って声が聞こえて帰る客がいたみたい。
そのドアを開けたのが藤本さんで、れいなに気付くとニコッとした。

「お帰りなさいませ、お嬢様」
…藤本さんの笑顔、かわいくて、でも執事スタイルはかっこよくて。
さゆが惚れかけたのもわかるわ。
「…どうも」
ペコッと頭を下げた。

「亀ちゃーん、田中ちゃん、来たよー」
「えっ!?ええっ!?…れいな!?」
絵里が、慌てて店の奥から出てくる。

絵里、執事でもかわいかあ…
他の人はかっこいいのに、絵里はやっぱりかわいい。
お姉さんとかに好かれそう…そんなんイヤやけど。


「れいな、どうしたの?」
「…夏休みの課題やっとったんやけど、はかどらんくて。ちょっと気分転換」
はかどらないのも、絵里のこと考えてばっかりやからけど。

「そっかー。うへへ、でも、うれしいなぁ、れいなが来てくれて」
絵里はニコニコとれいなのことを見とって。
れいなの方がうれしかよ、絵里に会えて。

「あ、れいな、席、カウンターとテーブルどっちがいい?」
カウンターの方が絵里の近くにいれるけど、あんまりジロジロ見られんし。
「…テーブルがよか。一応、課題持ってきたからやりたいし」
「いいよー。あ、わかんなかったら、絵里が教えてあげるよ」
「ん、ありがと」
いいねえ、絵里との個人レッスン…って、またやらしいこと考えるとこやった…

421 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:01

一応、課題は広げてるけど、れいなの視線はこっそり絵里の方。
…はぁ、絵里かわいかぁ…
お店はほとんど満席状態で、絵里も忙しそうに動き回っとる。
もう、こんな風に絵里のこと見られるだけでもいい。
今度、また絵里がバイトんとき、1人で来てみよう。

でも、絵里のこと見すぎてるからか、ちょこちょこ目が合ってしまう。
慌てて目は逸らすけど、別に絵里も何も言ってこんし。

はぁ、これじゃあ、松浦さんが藤本さんを見てるんと変わらんやん。
あ、そういえば、今日藤本さんおるのに、松浦さんおらんやん。
どうしたんやろか。

ちょっと落ち着いたのか、絵里がれいなの席に来て、
ほとんど残ってないオレンジジュースのグラスを持った。
「おかわり、サービスしてあげるね」
絵里がそういって、おかわりを持ってきてくれた。

「絵里、ありがと」
絵里は照れ臭そうに微笑みながら首を横に振った。
かわいかぁ…あー、抱きしめたい…

「お腹はすいてない?」
「…ん、大丈夫やけん。あ、それよりさ、今日、何で松浦さんおらんの?」

絵里の顔が一瞬曇った。
「…れいな、この前も松浦さんのことばっかり見てたよね?
もしかして、今日も松浦さんに会いにきたの?」

「ち、違うって!そんなワケなか!
だいたい、松浦さんには藤本さんがおるやん」
っていうか、れいなは絵里に会いにきたんよ!

「…ホントに?」
「ホントやって。藤本さんおるのに、何でおらんのかなって思っただけ」

絵里がニコッって笑うと、藤本さんの方をチラッと見た。
藤本さんはカウンターの中にいて、
カウンターのお客さん、大学生風の2人と楽しげに話してる。

422 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:02

絵里が中腰になって、れいなの耳元に顔を寄せてくる。
うわわ…顔近いって…
「れいなが来る少し前まではいたんだよ。
今、藤本さんが話してるお客さん、右側の人のこと、覚えてる?」
「え?」

キレイな女の人だ。ちょっと色が黒くて、声がヘンに高いけど。
…あ、吉澤さんのコイビトじゃん!

「うん、覚えとるよ。吉澤さんの相手の人やろ」
「まあ、石川さんはまだいいんだけど、もう1人の人、石川さんの友達、
今日はじめてココに来たみたいなんだけど、藤本さんにも普通に話しかけてて。
もちろん、藤本さんもお客さんだから、ちゃんと笑顔で対応するじゃない?
それが松浦さん、気に入らなかったみたいで、さっき、ムッとして出てっちゃったの」

んー、確かに、石川さんの友達もキレイというかかわいい。
目が大きくて、色が白くて。
あんなかわいい人と楽しそうに話してたら、松浦さんが嫉妬しちゃうのもわかる。

「藤本さんも、『もう、あのバカ…』とか言って、追っかけようともしないし」
さすがに、バイト中、しかも接客中に、追っかけていくことはできんのやろな。
藤本さん、大人やし。

「でも、藤本さん、ちょこちょこ裏に行って、携帯で電話してんの。
繋がらないみたいだけど。藤本さんも、ホントは心配してるくせにね」
…やっぱり、ツンデレや、藤本さん。


「…れいな、その課題、どこまでやるの?」
「あー、できれば、明日までに全部」
「間に合いそう?」
「…ちょっと厳しいかも」
絵里のことばっかり考えてしまうから、進まなくて。

「じゃ、絵里が教えてあげる〜。んとね、今日ね、バイト、5時までなの。
その後、ウチ来る?」
「へっ!?」
…絵里ん家って…部屋で2人っきり…いかん、いかん、またやらしいことを…

「あ、あー、イヤならいいんだけど…」
「そ、そんなことなか!突然行ったら迷惑かなって」
「迷惑なんかじゃないよー。あ、でも絵里の部屋ちらかってるから、
今のうち、お母さんに掃除してもらっておくね」
絵里はそう言って、店の奥の方に行ってしまった。


やばい、絵里の部屋とか超楽しみなんやけど…
この前、絵里の方からキスしてきたんやし、今日もしてくれたりして…
うわっ、考えるだけで、ゾクゾクするんやけど…
…でも、絵里に嫌われるのだけはイヤやから、れいなからは襲いかからんようにせんと。
ガマンできるかなあ…


423 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:02

5時10分になって、私服に着替えた絵里が出てきた。
「お先に失礼しまーす」なんて言う絵里と一緒にれいなも店を出る。

絵里の家までは、店から歩いて15分くらいとか。
この時間は絵里んとこはママしかおらんらしい。
パパは仕事やし、大学生のお兄ちゃんは遊びやらバイトやらで、いつも夜遅いし、
中学生の妹は、部活か塾で帰りは遅い。

絵里の妹、絵里と似とるんかな?
絵里が無理なら妹でも…って、れいな、ヒドイなあ。
でも、妹が絵里と顔も中身も似とったら、普通に惚れてしまうかもしれんし。
とりあえず、今日は会わなくて済むことに、ホッとした。



絵里の家に行くと、かわいらしいママが出てきて。
絵里はママ似やね。絵里も将来はこんなカンジになるんやろなあ。

そのまま、絵里の部屋に通されて。
さすがにさっき掃除を頼んでただけあって、スッキリ片付いとる。
部屋の中は、ぬいぐるみとかはいくつかあるけど、
カーテンやベッドカバーの色は青だったりで、
そんなに女の子女の子ってカンジではなくて、
掃除された後だからか、わりとシンプルな部屋やった。
部屋の真ん中に小さなテーブルがあって、クッションがテーブルを挟んで2つ置かれとる。
絵里が手前の方に座ったから、れいなは奥のベッドに近い方に座った。


「絵里、普段は部屋散らかっとるんやろ?」
「うへへへ、今日はお母さんに掃除頼めてラッキーだったな〜」
なんて笑っとるし。
…トコトン甘えんぼな絵里はカワイイと思う。
もし絵里がコイビトだったら、いくらでも甘えて欲しい。
はぁ、うらやましか…絵里が好いとうヤツが。

424 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:02

絵里のママがジュースとお菓子とを持ってきてくれて。
本当は課題なんてせんで、絵里と話しでもしてたいと思ったけど、
そもそも課題するからって呼んでくれたんやから。
やっぱり、ちゃんとやろ…カバンから課題を出した。

「どれどれ、わかんないとこはお姉さんが教えますよー」
いや、わかんないワケじゃなくて進まないだけで。

絵里がれいなの隣りにきてピッタリくっついて、課題のページを覗き込んでる。
…マジでくっつくのとかやめて欲しい。
いや、うれしいんやけど、今の状態ではカンベンして欲しい。
…う…れいなの腕に絵里の胸、あたっとるし。
もー、こんなんやったら、課題なんてできるワケなか。

「んー?もしかして、れいな、全然わかんないの?」
「へっ!?あ、いや、その…」
さすがに、さっきから全然手が動いてなかったらそう思われても仕方ない。

「じゃ、一個ずつ、絵里が教えてあげるね」
絵里が説明しながら、進めてくれる。
でもその説明がれいなの頭に入ってくるはずもなく、絵里に言われるままに書いていた。
絵里は、生徒会入るくらいやから、頭もそれなりにいいんやろうなあ…

みっちり、1時間くらいやって。
あと3ページくらいになったから、もう今日はここまででいいって、
終わりにすることにした。
「絵里、ホントにありがと」
「いーえ、どういたしまして」

うーんと伸びをして、ベッドに寄りかかって足を伸ばした。
絵里も、れいなの横で同じように足を伸ばしてベッドに寄りかかった。

「疲れたでしょ」
「んー、ちょっと」
れいなの疲れは、勉強じゃなくて、ヘンな気持ちを抑えるための疲れ。
今だって、絵里の髪からする甘いニオイとかを感じててヤバイのに。

すると、なぜか絵里がれいなの足をまたいでれいなに抱きついてきた。
…な、ナニ…絵里の足の間にれいなの体があって、
絵里の腕はれいなの首の後ろに回されてて…
…コレってエッチしてるみたいな体勢…ヤバイ、ヤバイって!
れいな、ヘンなこと考えたらいかん!
…つーか、なんで、絵里、こんな体勢しとるの?

425 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:03

「ぇ、絵里?……お、重いんやけど…」
そんなことを言うのが精一杯。
もう、これ以上このままでいられたら、れいな、絵里のこと襲ってしまう。

「…もう、れいなのイジワル」
…そ、そんな言葉、耳元で言わんでよ…
今のれいなからしたら、絵里の方がよっぽどイジワルやって。

また文句でも言おうとしたら、唇が塞がれた…絵里の唇で。

でも、ほんの数秒で、唇は離れて、絵里はれいなにギュッと抱きついてきた。

………つーか、もうマジでムリ!
こんなことする、絵里が悪いんよ!

れいなは、絵里の肩をつかんで、キスをした。
そして、絵里のことをギュッっと抱きしめながら、角度を変えて、何度も何度も唇を重ねてた。

「…れぃな…」
唇が離れたときに、絵里が苦しそうにつぶやいた。

…え……うわっ!?
れ、れいな、今、絵里にマジなキスした!?
な、なにしちゃっとるん?
い、いかんって!ヤバイって!


「…ご、ごめん!!」
慌てて、絵里の体をどかすと、立ち上がった。

「…ホントにゴメン…れいな、今日は帰るけん」
もう、絵里に嫌われた…
絵里からのキスなんて友達にするような軽いもんなのに。
れいなからのキスは下心アリアリのキスで…

これ以上この空間におったら、れいな、もっとひどいことしてしまいそう。
絵里の顔も見んと、カバンをつかんだら、絵里に手を引っ張られた。

「何で?何で、突然、帰っちゃうの?
せっかく来てくれたんだからまだいてよー」

…何で、絵里はそんなに優しいと?
ホントにツライんやから、もう止めて欲しいけん。

426 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:03

「…絵里、あんまりれいなに優しくせんといてよ。
そ、その、抱きついたりとか…キ、キスとかもしたらいかんって。
そういうことは、自分の好きな人にだけしとったらいいから。
れいな、単純やから、そういうことされたらその気になってしまうんよ…
もう、さゆんときみたいに苦しい思いしとうないから…」
涙はこぼれなかったけど、目がうるんできてしまって。

はぁ、これじゃ、コクってるみたいやんか。
…つーか、もうさっきのキスで、バレとるやろ、れいなの絵里への気持ち。
もう、きっぱりフッてくれた方が、まだあきらめられる。


「…れいな…それって、絵里のことが好きってこと?」
…もう、バレとるんやから、いまさら隠したってしゃーない。
コクンと頷いた。

「…絵里のこと、好きすぎてもうおかしくなってしまいそうやけん。
…だから、ちゃんと、れいなのこと、フッて…」

絵里はれいなの顔を不思議そうに見てて。
「…っていうか、れいな、バカでしょ?」
「…へ?…まあ、下から数えた方が早いけど」
入試だってギリギリやったと思うし、1学期の成績だって赤点手前ギリギリだった。

「もー、誰も勉強のことなんて言ってないし」
絵里が、れいなの肩をつかむと、軽くキスをしてきた。

…だから、そんなことしたらいかんって言うてるのに!
絵里はギュッってれいなの背中に腕を回して。

「…絵里、自分の好きな人としかキスしないよ。
れいなが最初だし、れいな以外の人としたことないもん」

……へ?…それって、それって…

「絵里が好きなのはれいなだよ」

………もう、ガマンとか完璧にムリやから!


427 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:03

すぐに、絵里の唇を奪った。
でも普通に重ねるだけじゃ、満足できなくて、
絵里の唇が開いた隙間から、舌を入れた。

「…んっ…」
絵里のえっちぃ声が聞こえてきて、もうれいなの理性は完全に飛んでしまったみたいで。
舌で、絵里の口の中をかき回して。
れいなの舌と絵里の舌とを絡みつかせた。
…ヤバイ、気持ちよすぎる…ずっと絵里とキスしてたい…
聞こえてくるのは、お互いの心臓の音と荒い息遣い、それと舌が絡み合ういやらしい音。

…もう、止められん…
絵里のことをベッドに押し倒して、キスをしながら、絵里の胸を触った。
「…ぁ…んっ…」

絵里のおっぱい、柔らかい…気持ちいい。
直に触れたくて、絵里の着ているTシャツの中に手を入れた。
ウエストやおなかの辺りをゆっくり触って、どんどん上の方に手を持っていって。


「ぁ…ダ、ダメ…」
「…もう、ムリやって…」
れいなが、Tシャツの中で、絵里のブラの上から絵里の胸を触った。

「…れ、れいな、ホントにダメ!」
絵里が足をばたつかせてるけど、れいなが上から覆いかぶさってるから意味ない。
…つーか、これでやめろっていうのが、ダメやろ…

428 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:04

もっと、もっと、絵里を感じたい…
ブラのホックを外した…
その瞬間、思いっきり、絵里にお腹を蹴られて、ベッドから転げ落ちた。

「も、もうっ!ダメって言ったでしょ!」
絵里が涙目でTシャツの前の部分を押さえてる。
…ダメって言われても、それが余計にそそるんやけど…
でも、絵里、本気でイヤがっとるよね…

「…ごめん」
いきなり欲張りすぎたか…
さっき、お互いの気持ちがちゃんとわかったとこなのに、
ディープキスして、もっと先まで進もうとしたんやもんな。
さっき、絵里、れいなとしかキスしとらんって言っとったのに。
いきなり、それ以上のことまでするなんて思わんかったよね。

…絵里もしかして、スケベすぎるれいなんこと、嫌いになってしまったとか!?


絵里が、れいなのことを怒った目で見とる。
…ホントごめん、お願いだから、れいなのこと、嫌わないで…

そしたら、絵里はクスッと笑って。
「…もー、れいなのその顔、ズルイよ」
「…へ?」
「れいなの困った顔、すっごくかわいいんだもん。
何か捨てられたイヌみたい、んー、れいなはどっちかっていうとネコなのかなあ?」

…イヌでもネコでもかまわんけど、れいなのこと、嫌いになってないってことやけんね?

429 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:04

「…別にね、れいなと、そのー…こういうことするのイヤじゃないよ…
でも、今日は突然だったから…ブラとかかわいくないヤツなの…
今度、れいなに会うときは、ちゃんとかわいいのしていくから」

…そ、そんな理由なん?
…でも、そんな絵里がかわいいっていうか、
かわいすぎて惚れ直したっていうか。


「わかった、れいなもかわいいのしてくるけん」
「れいなのかわいいのってどんなのだろ?…うへへへ」
「…絵里、キモイよ」
ここで、その笑い方はないやろ。

「あー、そういうこと言うんだ?
もう、れいなとは何にもしない!」
「えっ!?そんなー…」

…絵里がせんでも、れいなからしちゃる!
チュッっと絵里の唇を奪った。
「あ、ずるーい」
って言って、絵里はほっぺを膨らました。
でも、目は笑ってて。
…はあ、超かわいいんやけど、その顔。

部屋のドアがコンコンってノックされた。
『絵里?いい?』
絵里のママの声が聞こえてきて。
「あ、う、うん、いいよー」

絵里はベッドに腰掛けるようにして座りなおした。
たぶん、絵里のブラのホックが外れてることはバレんはずやし、
れいなは、テーブルの前のクッションの上に移動した。

「れいなちゃん、晩ゴハンどうする?」
「あ、大丈夫です。もう家に帰りますんで」
「そう?じゃ、また今度ゆっくり遊びに来てね」
「ハイ、ありがとうございます」

絵里のママが行ってすぐに、れいなは自分のカバンを持って立ち上がった。
絵里がすごくさみしそうな顔になる。
「…れいな、ホントに帰っちゃうの?」
「絵里、さみしいん?」
絵里は唇を尖らせてコクンと頷いた。

「じゃ、今度は、絵里ん家、泊まりに来ようかな〜
ちゃんとかわいいブラつけとってよ」
「えっ?…もー、れいなのエッチ」
「やって、絵里がいいって言ったとよ」
「そうだけどぉ」

モジモジクネクネしとる絵里はかわいい。
「…まー、れいなもさみしいっちゃよ」
「ホント?」
絵里がうれしそうにれいなのことを見てきた。

「うん、さみしいから、もう一回…」
そう言って、絵里の唇を奪った。
でももう唇を触れるだけじゃ満足できない…
結局、れいなが絵里の部屋を出たのは、それから10分後やった。

430 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:05

その次の日、すぐに絵里とのキスのこととか頭によぎっちゃって、
なかなか進まなかったけど何とか課題を終わらせた。

「…絵里ぃ…」
ベッドに横になって布団を抱きしめて、絵里の体の感触を思い浮かべてた。

…はぁ、早く絵里とエッチしたいとよぉ…

そんなことを考えてたら、携帯が鳴った。
この音は残念ながら、絵里じゃなくてさゆ。

「はいはい」
『ちょっと、れいな、さゆみに報告ないんだけど!』
なんてキレ気味で。

「え、あー、え、絵里から聞いたの?」
『聞いた。っていうか、絵里の気持ちは前から知ってたけど、
れいな、さゆみが聞いたとき、好きな人いないって言ってたじゃん』
…いや、そんときは、さゆのことが好きやったから…
ん?っていうか、絵里の気持ちを前からって?

「…絵里の気持ちってナニ?」
『最初、れいながメイドカフェ来たときに、
さゆみ、絵里かられいなのこと色々聞かれたの。
絵里、れいなのこと見たときから、いいなって思ったみたいで。
中学時代の話ししたら、絵里、もうれいなのことスキになっちゃってー』
「は?」
…ってことは、絵里は最初から本気でれいなのことが好きやったと?

『「絵里もれいなと仲良くなりたいよー」って言われたんだけど、
さゆみに頼むより、新垣さんに頼んだ方がいいんじゃない?って言ったから、
新垣さんにもいろいろ相談してたみたいだったけど』

そうか、プール行ったときも、絵里がイラスト同好会に遊びに来たときも、
さゆも新垣さんも、絵里の気持ち知っとったから、
絵里とれいなを2人にさせようとしてくれたんや…
あ、でも…

「そういや、さゆ、れいなにいい人紹介してくれるって言っとらんかった?」
何で、絵里の気持ち知っとるのに、そんなこと…

『あー、アレ、絵里のこと』
「は?」
『だってー、絵里、なかなか自分の気持ち言えないし、
れいなも鈍いから気付いてなさそうだったし。
でも、れいなも絵里のこと、いいって思ってるんじゃないかなって』
…まぁ、確かに、初めて見たときからかわいい人やって思っとったしな。


『れいな、絵里のこと、泣かしたら、さゆみが許さないからね』
「は?そ、そんなことせんって!」
『そう?れいなって、何気に気が多そうだからなあ』
…ぐっ…さゆ、何でそんなに鋭いん?
でも、気が多いんやなくて、惚れっぽいだけやと思うし…

431 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:05

福岡に行っても、毎日のように絵里と電話して、メールして。

『…れいなに会いたいなぁ』
なんて言われると、もうスグに帰ってしまおうかと思うくらい。
会えないのはさみしいけど、会えないからこそ、その距離を埋めようってするせいか、
もう、超シアワセな時間を過ごせてた気がする。


結局、れいなが福岡から帰ったのは8/30。
絵里にすぐにでも会いたかったけど、31日は絵里が家の用事があるとかで、
会うのは、新学期に、ということになった。

でも、ちょっとでも早く会いたいから、朝、絵里の最寄駅のホームで待ち合わせた。
れいなの乗った電車が駅に着くと、絵里がホームにいるのが見えた。
絵里もれいなに気付いて、パッと笑顔になった。
…うぅ、かわいい…絵里、抱きしめたいけん…
絵里が電車の中に入ってきて、れいなの側に来ると、思いっきり抱きついてきた。
「…れいな、会いたかった」
なんて、耳元で小声で言われちゃったら、もうれいなの理性も飛びそうで。

さすがに、満員電車の中でチューはできんけど、
抱きついとる絵里の首筋にこそっとキスをした。
くすぐったそうにしとる絵里もかわいくて、たまらん。

混んでるもんやから、絵里はれいなに抱きついたままで、身動きとれないでいる。
いや、絵里、わざとその体勢でおる気がするんやけど…
もちろん、そんな絵里もかわいくて。
れいなも絵里の腰に腕を回して、ギュッっと抱きしめた。




本当は、毎日でも一緒に帰りたいのに、
9月で、生徒会のメンバーのうち3年生は完全引退。
10月から新たに1年生が加わるのもあって、
その選出や引継ぎなどで、9月はかなり忙しいらしい。
本当は絵里とラブラブしたいのに、全然する余裕もなくて…

新学期が始まって1週間が経つのに、
週末も絵里と会えんくて、帰りも1日しか一緒に帰っとらん。
だから、れいなもたまりまくっとるっていうか。

絵里のこと、抱きしめたいのに、キスしたいのに…エッチしたいのに。
絵里の部屋でキスして以来、全然してない。

…ん?…キスくらいなら、学校のどっかでこっそりできるやろ。
そう思ったら、余計にしたくてしたくてたまんなくなってきた。

432 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:06

その日、絵里の生徒会が終わるのを、図書室で本を読みながら待っとった。
バイブにしとった携帯がブルブル震え出す。
絵里からの電話に小声で出る。
「もしもし」
『れーな?今終わったよー。どこ?』
「ん、図書室やけん」
『じゃ、今からそっち行くねー』
「うん、待っとるよ」

読んでた本を棚に戻して、カバンを持って廊下に出たら、
ちょうど絵里がやってきたところやった。
「れいな!」
うれしそうに絵里が近づいてきて、れいなの腕にしがみつく。
あー、絵里、かわいかよぉ…

「あ、ちょっと、トイレ行かん?」
「ん、いいよー」

図書室の近くのトイレに、絵里と入る。
…よし、誰もおらん。

絵里の腕を引っ張って、個室に2人で入ってカギをかけた。


「え?ど、どうしたの?」
絵里が驚いてるけど、そんなん無視。
思いっきり抱きしめて、キスをした。
もう、ガマンできなくって、絵里を壁に押し付けて、最初っから激しいのをした。
絵里はれいなの体を離そうとしてるけど、もう止めらんない。
制服の上から絵里の胸を触った。

うわぁ、柔らかい…気持ちいい…
って絵里の胸の感触を味わってたら、思いっきり突き飛ばされた。
「…も、もう!れいなのバカ!」
絵里を見たら、絵里の目にはうっすら涙が浮かんどって。

「ど、どうしたん?」
絵里は涙目ながら、唇をとがらせてて。
「…こんなとこ、トイレでなんかしたくないの!」
「…え?」
そ、そりゃ、できれば、普通に部屋とかでしたいけど、
なかなかそんな機会がないからしちゃっただけで…

「れいな、女の子なのに、女ゴコロわかんないんだからっ!
もう、知らないっ!」
絵里がドアを開けて、外に出ていく。
「え、あ、ちょ、ちょっと」
すぐに追いかけたけど、絵里はもともと足が速いから、
気付いたらもう見失ってて。
れいなも駅方面に向かって走っていったけど、全然絵里の姿は見えん。

…はぁ、絵里のこと、怒らせてしまった。

電話しても出てくれないし、メールしても返事なし。
メールでも、留守電にも、何度も謝っとるのに。
…絵里、ホントにゴメンって。

433 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:06

なかなか寝付けんくて、次の日寝坊してしまって、遅刻ギリギリ。
本当は、早起きして絵里の家に寄っていこうと思っとったのに、
こんな時間じゃさすがに絵里もとっくに家をでちゃってるはずやし。


昼間も何度かメールしたけど、返事は全くなし。
さすがに先輩の教室に行くのは気が引けたから、
『昼休み、図書室で待ってるから』ってメールして、図書室におったけど、
絵里はやってこなくて。

…あー、もー、やっぱりれいなのスケベすぎるところがいかんのかなあ。
このエッチな欲望って、何とかおさえられんのやろか…


今日はイラスト同好会があったから、
今度は『放課後、美術室に来て』ってメールしておいた。

一応、美術室にはいるものの、れいな、何にも手につかん。
向かいにいる新垣さんがニヤッとした。

「田中っち、カメとケンカしたんだって?」
「えっ!?あ、あー…そうなんです。絵里のこと、怒らせちゃって」
「そっかぁ。ま、カメは全然根に持ったりしないから、早めに仲直りしておきなよ」
でも、全然返事くれないんですけど…

「…新垣さんって、絵里のこと、よく知ってますよね」
「まあ、1年のときからの付き合いだからねえ」
「あ、じゃあ、絵里とれいなが付き合うのは、さみしかったりします?」
「…ん、2人がシアワセならいいんじゃない?
…田中っちは今は辛そうだけどね」

そうっす、両思いになったらなったで、やっぱり苦労するみたいやけん。

434 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:06

「そういえば、新垣さんのスキな人ってどんな人なんですか?」
「えぇっ!?アタシのスキな人のことなんて聞いてどうすんの?」
新垣さんはいつも以上に、大げさに驚いとって。

「え?普通に興味ありますよ。
新垣さんみたいな人がスキになる人ってどんな人なんかなー、
新垣さん大人やから、子供っぽい人なのかなとか、
もしかしたら、れいなも知ってる人なんかなーって。
あ、絵里は、新垣さんのスキな人、知っとるんですか?」
「…いや、知らないはずだけど」

新垣さんの声のトーンがすごく落ちてる…
えっ?…あ…もしかして、絵里のことがスキだったとか!?
れいな、新垣さんにとって実はジャマものやとか!?

「あ、あの、もしかして…」
「へっ!?」
「…新垣さんのスキな人って絵里ですか?」

新垣さんは、目を思いっきり丸くしてから大笑いした。
「あははー!カメはそんなんじゃないって!
田中っちには悪いけど、カメのこと、今更そんな風に考えられないし」

そ、そうですよね…普通に親友ですよね、2人は。
ちょっと安心した。

「じゃ、あの、メイドカフェの天使みたいだって言っとった人?」
「あー、安倍さん?安倍さんは好きだけど、憧れの人」
「んー、違うのかあ…じゃ、その人ってどんなタイプですか?」

新垣さんは一瞬困ったように微笑んで、そのまま窓際まで歩いていくと、
壁に寄りかかって、うつむいていた。
…んー、今日の新垣さん、いつもと雰囲気がちょっと違う。
何かスゴク女っぽいっていうか。


「スキな人ねえ………かわいくて、いい子なんだけど、すごい鈍感なんだよね」
「へー、同い年ですか?上?下?」
「…下」
「へえ?ウチの学校とか?」
「そう」
「へーっ!れいな、知ってる人かな?」
「うん」
「マジで!?誰だろ?ヒント下さい!」
れいなが知ってて、新垣さんが好きそうな人って誰?


新垣さんは、小さくため息をついて、れいなのことを上目遣いで見てきた。
…う…かわいか…一瞬、ドキッとしてしまった。
絵里、ごめん…

「…背はアタシよりも小さくて、髪は長めで、動物に例えるとネコかな」
「あはは、れいなみたいやけん」
そんなれいなに似た子なんて、おったかなあ?

435 名前:甘えんぼ 投稿日:2006/07/13(木) 02:07

「その子、最近、コイビトができたんだよねー。
ウチの学校の1つ上の先輩と付き合ってて」
「…え…」
…それって…

「そのコイビトが、アタシの親友だから、
いろいろ協力してあげてるんだけど、ときどきツラくなることもあるわけよ」
新垣さんはしゃべりながら、じっとれいなのことを見とる…

「…あ、え、えっと…」
何か言いたかったけど、何を言っていいかわからんくて。
新垣さんのまっすぐな目に見られてると、何だか身動きできなくて。
すっごくドキドキしてしまって。

新垣さんは、れいなに近づいてくると、ほっぺにキスをしてきた。
「!!」
れいながビックリしとると、新垣さんはニッコリ微笑んで、
美術室を出ていってしまった。


…確かに、れいな、鈍感やけん…全然気付かんかった。
つーか新垣さんはいつも自然すぎるやんか。
最初から、もう少し、れいなに対して何かアプローチしとってくれたら、
もしかしたら、絵里とじゃなくて新垣さんと付き合っとったかもしれんし。

新垣さんなら大人やし、
絵里みたくちょっとしたことで怒ったりせんと、
子供みたいなれいなのことしっかり受け止めてくれそうやけん…

…って、れいな、何考えとるんよーっ!!

あー、マジでこの惚れっぽい性格なんとかせんと。
あとで苦労するのはれいな自身やけんよ…


fin

436 名前:サチ 投稿日:2006/07/13(木) 02:16
さゆ、おたおめ!
更新&終了しました。
こんなオチでごめんなさい、Nさん(笑)

>>414さん
>>415さん
>>416さん
ありがとうございます。
一言でもレスをいただけるのはうれしいものです♪

>>417さん
ありがうございます。
全部スキだなんて、恥ずかしいくらいです。
そんなことを言ってくださるあなたが大好きです(笑)

>>418さん
ありがとうございます。
アヤミキストなのに(笑)
れいなクンには思春期少年になってもらったカンジです(笑)
わりとサクサク書いてしまったのですが、
こんなんでも一番いいと言っていただけますでしょうか…?


次は、告知してた通り、この話しのあやみき編を書きたいと思ってるのですが、
全く書いてないので、更新時期は不明です…

でも、告知した以上は書くつもりでおりますので、
こんな私の作品でもよろしければ、お待ちいただければ幸いです。

「甘えんぼ」を最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました!
437 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/13(木) 03:04
ラスト予想外でワラタ。この後の展開が気になるなぁ。
438 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/13(木) 19:29
更新お疲れ様です・・って、
ええええーっ!!
ここで終わりですかぁ!続きが気になって仕方ない・・。
でも、れいな少年ホントに可愛かったです。
439 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/13(木) 23:39
期待の斜め上を行ったラストがすごく良かったです
序盤のさゆからえりへのスライドのさせ方といい、ラストのはずし方といい、
職人! と呼びたくなる秀逸さ。れいな少年の気の多さがなせる技ですね
楽しかったです。ありがとうございました
440 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/14(金) 00:01
ラスト何この展開━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━!!!!!

楽しかったです。

・・・6期DDなのでより一層楽しかったです(笑

ありがとうございました!
441 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/28(金) 02:12
あやみきしか興味なかったのに作者さんの作品をよんでれなえりにはまっちゃったんですが(笑)
442 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/07/30(日) 23:40

究極のれなえりだぁぁぁ!
自分はもともと、かなりの田亀ヲタで毎日寝る前に田亀のネタ考えてて(笑)
の小説読んで自分のはまだまだだなと思いました。
できれば番外編も書いていただければこの一匹の田亀ヲタも喜びまくって発狂してあっちに逝くかと(マテ

443 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/22(火) 23:45
私、さゆ大好き!愛ちゃん大好き!な愛さゆヲタです。
この小説を読んでれなえりがググッと上位にきましたよ。
あやみき編楽しみにお待ちしております!!!
444 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/16(土) 03:40
あやみき超期待してます(笑)
445 名前:さわって変わって 投稿日:2006/10/03(火) 23:22
「じゃ、お疲れー」
「ミキティ、亜弥ちゃんと早く仲直りすんだぞ」
「…もー、いいんだよ。勝手に怒ってんの、向こうなんだから」
「とかいって、亜弥ちゃんには甘いクセに。
ミキティ、ツンデレっぽいもんなぁ。」
「んなワケないじゃんか!」
「はいはい、じゃねー」

バイトが終わって、よっちゃんさんと別れた。
よっちゃんさんとは中学の同級生だから、住んでるところも近い。
駅から歩いて途中の道で、別々になる。

ちょっと歩いてから、携帯を取り出す。
亜弥ちゃんからの返事はない。

もー…美貴がバイトに入ってるときは、だいたいやってくる亜弥ちゃん。
今日は夏休みってのもあって、
美貴が家を出るときから一緒にバイト先までついてきて。


いつものようにカウンターの端の席に座らせてた。
そしたら、少しして、梨華ちゃんが大学の友達を連れてきた。
ちなみに梨華ちゃんは、この店の店長の保田さんの知り合い。
だから、オープン当初から、よくこの店に来てたらしい。
よっちゃんさんや美貴は執事喫茶がはじまった4ヶ月くらい前からの付き合いだけど。
梨華ちゃんを初めて見たときから、よっちゃんさん、大コーフンだったっけ。
『やばい、超かわいくね?』とか何回も聞かされて。
梨華ちゃんの方も、よっちゃんさんの見た目だけじゃなくって、
面白くて優しいところに惹かれてったみたいで、
気付いたら付き合ってたんだよね。
まあ、お似合いのカップルだとは思うし、2人はシアワセそうなんでよしとして。

で、梨華ちゃんが連れてきた友達、柴田さんっていうんだけど、結構気さくで面白い子。
お客さんだし、美貴もちゃんと笑顔で接するでしょ。
まあ、本当に話しが面白かったってのもあるけど。

でも、それを見てた亜弥ちゃんがムッとしちゃって、お店出てっちゃって。
追っかけてでも、ちゃんと話した方がよかったのかもしれないけど、
美貴は何もやましいことはしてないし。
いつもいつも、美貴の周りに対してヤキモチ焼きで、亜弥ちゃん、困るんだよ…

446 名前:さわって変わって 投稿日:2006/10/03(火) 23:22

そう、亜弥ちゃんと美貴はコイビトでもありイトコでもある。
ウチの父親の妹が亜弥ちゃんのお母さん。
まあ、藤本家は昔っからの地主みたいなカンジで、
今住んでる辺りの大きな土地を所有してる。
だから、親族もほとんどが近所で、美貴と亜弥ちゃんの家も隣同士。

実はウチの母親と亜弥ちゃんのお母さんは、学生時代からの友達。
それで、ウチのお父さんと知り合いになって、結婚して。
母親同士も仲がいいから、本当に小さいときからずっと一緒で、
家族同然の付き合いなわけで。

亜弥ちゃんが産まれたとき、1歳と4ヶ月だった美貴は、
ちょうど風邪をひいてたらしい。
本当はウチの母親も病院まで行きたかったらしいんだけど、
美貴を放ってはいけないし、美貴をつれていったら、
風邪がうつっちゃうかもしれないし。

そんなんで、美貴が亜弥ちゃんとご対面したのは、
亜弥ちゃんとお母さんが退院してきてからだったとか。

お母さんと美貴が松浦家におじゃましたとき、
ちょうど亜弥ちゃんが大泣きしてて、
亜弥ちゃんのお母さんはだっこしながらあやすのに苦労していた。

で、ふと、うちのお母さんが美貴のことを抱き上げて、
亜弥ちゃんの顔を覗きこませた。

――美貴、1歳だったのに、なぜかこのときの亜弥ちゃんの顔を今でも鮮明に覚えてる。

大泣きしてたのに、美貴の顔を見たとたん、
うれしそうに微笑んでくれた亜弥ちゃんのかわいい顔を。

不思議なことに、亜弥ちゃんが泣いてるときに、
美貴がそばにいくとちゃんと泣き止んでくれる。いつもそう。

だから、亜弥ちゃんのお母さんが手をつけられないときは、
美貴が隣りの家まで連れていかれることもあったくらい。

447 名前:さわって変わって 投稿日:2006/10/03(火) 23:23

幼稚園に上がってももちろんそうだった。
美貴はそんなに手のかからない子だったらしく、
むしろ亜弥ちゃんの面倒を子供の美貴がみてるってカンジで。
美貴の行ってた幼稚園は3年だったから、1年だけ亜弥ちゃんと一緒。

美貴が小学校に上がって、一緒に幼稚園に行けないことがわかった亜弥ちゃん、
また大泣きしてたっけ。
「アタシもみきたんといっしょにいくっ!」とか言っちゃって。かわいいの。

ちなみに、亜弥ちゃん、小さい頃に『みきちゃん』って言えなくて、
『みきたん』って呼んでてそれが、ずっと今でも続いてるんだけどね。
今なんか『たん』だもんなあ。

それでも美貴は学校から帰ってきたら、亜弥ちゃん家に毎日のように行ってたし、
亜弥ちゃんが小学校に上がってからは、登下校ももちろん一緒。
本当にずっと一緒だった。


でも、美貴が中学に上がったとき、
何となく部活とかやってみようかなって、バレー部に入った。
週の半分は練習だし、友達との付き合いとかも多くなった。
だから、美貴が亜弥ちゃん家に行くことも少なくなって。

亜弥ちゃんはすっごくさみしがって、美貴の予定を聞いてきて、
美貴が何もない日、亜弥ちゃんが、美貴の家で、
美貴の帰りを待ってたりすることもあった。
まあ、美貴はどちらかというとインドア派だから、
何もない日はちゃんとまっすぐ帰ってたし、
休みの日は家にいるか、家族で(亜弥ちゃんの家族も一緒)出かけたりすることが
ほとんどだから、なんだかんだと週に1〜3回は亜弥ちゃんに会ってた。

まあ、本当に家族同然だから、美貴が帰ると、
亜弥ちゃんは美貴の部屋でマンガ読んでたりして、くつろいでる。
「みきたん、おかえりっ」なんていつも抱きついてくる。本当にかわいい妹。

でも、「みきたん、宿題とかやらなくていいの?」とか、
「あさってからテストなんでしょ?今日はスグ帰るから」
とか、亜弥ちゃん、美貴のこと心配してくれたり。

亜弥ちゃんは松浦家では3人姉妹の長女だからすごくしっかりしてる。
お兄ちゃんとお姉ちゃんがいる美貴の方が、実は甘えん坊だったりして、
ときたまどっちが年上かわかんなくなることもあるくらい。

――そんな関係が心地よかったはずなのに、美貴がその関係を壊すことになった。

448 名前:さわって変わって 投稿日:2006/10/03(火) 23:23

亜弥ちゃんがウチの中学に入って、テニス部に入った。
本当はバレー部に入ろうかとも思ったらしいけど、
どうせ美貴はスグ引退しちゃうし、バレーは痛そうだからイヤって。

で、お互い朝練がない日は、一緒に登校してた。
帰りはお互い部活の日が別の曜日だったり、友達との付き合いもあるから、
一緒に帰ることはほとんどなかったけど。

7月に入った頃、亜弥ちゃんと登校した後、
教室に入ると、クラスの男子から声をかけられた。
「藤本って、テニス部の1年の松浦さんとどういう関係?」
どうやら、今朝、一緒にいたのを見かけたらしい。
「イトコ。家も隣だし」
「マジで!?な、な、松浦さんって彼氏とかいるの?」
「え?いないでしょ」
そんな話し聞いたこともないし、いない、はず、だけど…

「よっしゃー!マジで狙うわ」
「はっ!?ナニ言ってんの?」
「いやー、松浦さん、かわいいし、すっごくいい子じゃん。
超人気あってさー。ファンクラブとかできてるくらいだぜ」

亜弥ちゃんにファンクラブ?
なんだよ、ソレ。聞いたことないし。
つーか、みんな、亜弥ちゃんのナニを知ってるんだってーの。
美貴なんか、生まれたときから一緒にいるんだから。
…なんか、なんか、ムカつくなあ…


その日、たまたま、休み時間に教室移動してるときに、
廊下で亜弥ちゃんを見かけた。
亜弥ちゃんともう1人女の子がいて、2人の周りを、
5人くらいの男子が囲んでて、みんなで楽しそうに盛り上がってた。
アイツらも、亜弥ちゃんのファンクラブに入ってたりすんのかな。
あー、やっぱりムカつく。

449 名前:さわって変わって 投稿日:2006/10/03(火) 23:24

その数日後の土曜日の夜。
亜弥ちゃんが、美貴の家に遊びにきた。
土曜日だから、そのまま泊まっていくことになってて。
泊まるっていっても、隣りだし、そんなことはしょっちゅうあって。

その日も別にいつも通りのつもりだった。
お風呂だって、小さい頃はよく一緒に入ってた。
でも、そのときはかなり久しぶりだったんだよね、亜弥ちゃんとお風呂に入るの。

で、亜弥ちゃんが裸になったときにビックリした。
――胸が大きくて。
も、もちろん、美貴だって、中3だから、それなりにあるけど!
でも、亜弥ちゃんはまだ中1なのに、普通に大きいっていうか…
そのときまで、胸が大きくなってる亜弥ちゃんとか考えたことなかったから、
本当に動揺しちゃって。
思わず、亜弥ちゃんの胸を凝視しちゃってて。

「もー、みきたん、ナニじっと見てんのー?えっちー」
とか言われて胸を隠されるほど、見ちゃってて。
「あ、いや…亜弥ちゃん、胸大っきいね」
「にゃははは、アタシだって、もうオンナだもーん。
みきたんはまだちっちゃいねえ」
「…うっさいなあ…うわ、つつくなって!」
「あっ、みきたんこそ、えっちー」
なんて、お風呂の中では胸をつつきあうことはしてたのに。

450 名前:さわって変わって 投稿日:2006/10/03(火) 23:24

ベッドに2人で並んで入って、くだらないおしゃべりして。
気付いたら、亜弥ちゃん、寝ちゃってた。
美貴の方に体を向けて眠ってて、
横になってるせいで、パジャマの胸元が大きく開いていて、
胸が結構見えちゃってる。
寝るときだから、ブラもしてなくて。
やっぱり大きいから柔らかいのかなぁ…
つつくだけじゃなくて、ちょっと触ってみよっかなぁ。
普通に好奇心なだけ。
母親のは小さいころに触ってるけど、そんな感触なんて覚えてないし。
やっぱり大きいと柔らかさも違うのかなあって。美貴、小さいからさぁ…

パジャマの上から、亜弥ちゃんのおっぱいにそっと触ってみた。
「…んっ…」
…えっ!?
亜弥ちゃん、エッチな声出すから、ドキッとしちゃったじゃん。

「…亜弥ちゃん?」
亜弥ちゃん、起きたワケではなかったみたい。
もうちょっとちゃんと触っていいかな…

美貴が亜弥ちゃんのおっぱいを揉むように触ってみた。
うわー、やっぱり柔らかい…
「…っん、ぅん…」
吐息まじりの亜弥ちゃんの声が聞こえてきて、慌てて手を離した。

「ご、ごめん!」
でも、亜弥ちゃんは起きたワケじゃなくて、ちょっと微笑んだように眠ってた。


…な、なにやってんだ、美貴…
それにしても、異常なほどドキドキしてる美貴の心臓。
亜弥ちゃんのおっぱいの柔らかさと、エッチぃ声のせいだ。
…でも、もっと触りたい、もっと亜弥ちゃんの色っぽい声が聞きたい。

亜弥ちゃんに彼氏ができたら、亜弥ちゃん、こんな声聞かせちゃうんだろうな。
…そんなの、なんかくやしい、イヤだ。

451 名前:さわって変わって 投稿日:2006/10/03(火) 23:24

ふと、亜弥ちゃんの唇が目に入る。

小さい頃から、しょっちゅうキスをしてくる亜弥ちゃん。
ケンカをしたときは「仲直りのチュー」。
テストが終わったときは「お疲れ様のチュー」。
寝るときは「おやすみのチュー」。
起きたときは「おはよーのチュー」。
何でもないときでも、「みきたん、かわいいっ!」とか言ってキスしてくる。

基本、美貴からキスすることなんてない。
いつも亜弥ちゃんから。

もし、彼氏ができたら、亜弥ちゃんもキスされる側になるんだろうな。
…なんか、そんなことを考えただけでムカムカするっていうか。
…今、すっごく、美貴が亜弥ちゃんにキスしたい。
べ、別にいつもしてんだからいいよね?
せめて他の人にされる前にいっぱいしておきたいっていうか。
…それにさ、今日、「おやすみのチュー」してないし。

そっと、亜弥ちゃんの肩をつかみ、その唇に自分のを寄せてみた。
…触れてるだけなのに、すっごく気持ちいい。
亜弥ちゃん、唇も柔らかい…も、もっと…

何度か唇を重ねていたら、「…ん?」って亜弥ちゃんの声が聞こえた。
ビックリして、亜弥ちゃんから離れる。

452 名前:さわって変わって 投稿日:2006/10/03(火) 23:25

「…ごめん、寝ちゃってた…みきたん、おやすみするの?」
「えっ!?あー、まー…」
たぶん、美貴がキスしてたの、ばれてる。

「じゃー、アタシも寝るね。アタシからもおやすみのチュー」
亜弥ちゃんが、美貴の唇にチュッっと音をたてて口付けた。
「おやすみー」
亜弥ちゃんは、そう言って美貴に抱きついて、目をつぶった。
すぐにスースーと寝息が聞こえてくる。

美貴的には、寝るなんてとんでもなかった。
こんなにドキドキしたのはじめてっていうか、
胸に触れてなくても心臓の音が自分でわかるくらい。
とくに、亜弥ちゃんから「チュッ」ってされたとき、
ホンキで一瞬心臓が止まったと思った。

…美貴、バッカじゃないの。
ナニ、こんなドキドキしちゃってんの?
亜弥ちゃんじゃん、イトコじゃん、そもそも女の子じゃん。


あー、もう寝るって。
美貴はうまく亜弥ちゃんの腕をすり抜けて、亜弥ちゃんに背中を向けた。
ふぅ、これで大丈夫。

と思ったら、すぐに亜弥ちゃんが美貴の背中に抱きついてきた。
…やっぱ、胸大きいって…
もっと、ドキドキしてきた。
もう、寝るなんてムリ。
亜弥ちゃんの方に体を向き直して、ギュッっと抱きしめた。

…どうしよ…美貴、亜弥ちゃんともっとキスしたい。
亜弥ちゃんの胸に触りたい…もっと、亜弥ちゃんのいろんなところに触れたい…

あー、もうヤバイって。
美貴、ただの欲求不満なんじゃないかな。
確かにクラスの子とかバレー部の子も、半分近くがもう経験済み。
美貴は、どうも付き合いたいと思える人がいなかったっていうか。
彼氏作るんなら、亜弥ちゃんと遊ぶ、って思ってたから。

このままじゃ、美貴、亜弥ちゃんに襲い掛かっちゃいそうだよ…
美貴も彼氏作んないとダメだな。
亜弥ちゃんも、きっとすぐに彼氏できるんだろうし…
うーすっごいムカムカしてきたけど。


Converted by dat2html.pl v0.2