永遠のバカップル

1 名前:そーせき 投稿日:2005/09/15(木) 21:22

そーせきと申します。
飼育では以前に、赤板の「作者フリー短編用スレ5集目」に1本掲載させて頂きました。

はてなダイヤリーでスレと同名のブログをしておりますが、
小説はこちらでお世話になりたく、よろしくお願いします。


頑固一徹にいしよしで、基本的に短編です。

本日は、スレ立てのご挨拶で、2本。

1本目はブログで既出のものです。
中澤さんが出演した「どっちの料理ショー」で思いついたネタなので、
少々話が古くて申し訳ありません。

2 名前:特選素材 投稿日:2005/09/15(木) 21:23

それは、なんの変哲もない日常のひとコマ。

☆☆☆☆☆

終わった後は、相手の呼吸が落ち着くまで、もう1人が髪を触ってるってのが、
アタシたちのお決まりの余韻の楽しみ方。
汗で張り付いた前髪を額から離したり、シーツの上で乱れた髪を整えたり、ただ髪を撫でてたり。

この時間って結構好きなんだよね。
もちろん、メインディッシュも好きだけど、あちらは華々しい打ち上げ花火。
こちらは胸に染みいる線香花火。

でまぁ今は、梨華ちゃんがアタシの髪を撫でてるトコ。


無造作に髪を括った梨華ちゃんは、女剣士みたいですっげぇ凛々しくてカッケー。
世間じゃアタシの方が男っぽいと思われているけど、ほんとは梨華ちゃんの方がよっぽど男前。
負けず嫌いだしね、フットサルでもベッドで・・・コホン。

え? なんで髪を括ってるのかって?
ロングの人って、上だと髪が邪魔なんだよ。あやみき夫妻も言ってたけど。
論より証拠、一度やってみればわかるよ。

何をって? 一々訊くな!

3 名前:特選素材 投稿日:2005/09/15(木) 21:24

凛々しいんだけどさ、アタシを見る目はめちゃくちゃ優しくて、
愛しくて仕方ないってアリアリでさ、愛されてんなーって思うわけよ。
・・・って、見てくれてねーじゃん!!

お互いに、いつも相手の目をちゃんと見てんのに、
今の梨華ちゃんは、自分が撫でてるとこあたりをボーっと眺めてる。

ちょっとぉ、このシチュエーションで他のこと考えてんじゃねーよ!
・・・なんて恥ずいこと言えねーから、努めてサラっと言ってみる。

「何・・・考えて・・ん・・の?」
「んー、やっぱこっちの方がいいなーって」

こっち!?!? 誰の何と比較してんだよ!?・・・とはやっぱり言えない。

「何・・が?」
「髪。やっぱりよっちゃんはストレートの方がいいよ」

なんだ、髪かぁ。あービビった。さっきまで激しかった動悸が、今度は止まるかと思ったよ。

「ジャケ写・・・好きだって…言ってたじゃん。あれ・・ストレートじゃないっしょ」
「あれは例外。例外のないルールはないのよ」

なんか最近、やけに慣用句とか使うよなぁ、アタシら。作者の影響か?

4 名前:特選素材 投稿日:2005/09/15(木) 21:25

☆☆☆☆☆

「アスパラは電子レンジだと思うの」
「はぁ!?」

いきなり何を言い出すの? 脈絡ねーし。てか、日本語がおかしいし。
イっちゃった? それはアタシか。・・・うわぁ、すげぇオヤジギャグ。

「アスパラガスって、電子レンジで軽く火を通してそのまんまか、
 ちょっとだけマヨネーズかお塩つけて食べるのが一番美味しいと思わない?」
「そ? アスパラベーコンとか、バターでソテーしたのとか、ゴマ和えも美味いじゃん」
「そうなんだけどね、有機栽培とかした特選素材ってゆうの? ああいうのは、
 シンプルにちょっと火を通しただけってのが、一番美味しい食べ方じゃないかなって」
「それなら料理オンチの梨華ちゃんにもできるだろうしね」
「そういうことを言ってるんじゃないの!」

5 名前:特選素材 投稿日:2005/09/15(木) 21:26

「特選素材と言えば! この間の『どっちの料理ショー』!
 ベーグルサンド対フィッシュバーガーでさ、なんでフィッシュバーガーが勝つんだよ!?」
「あぁ、裕ちゃんが出てたやつ?」
「しかも中澤さんもフィッシュ・バーガーを選んだんだよ! 裏切りだよ!」
「年中ベーグルばっか食べてる人が隣にいて、もう飽き飽きしてたんじゃないの?」

「梨華ちゃんはベーグル好きじゃん!」
「・・・そりゃ、私は裕ちゃんとは違うわよ」
「何が?」
「だからぁ、そのぉ・・・気持ちが、よ」
「何のぉ? 何に対する気持ちぃ?」
「いい食材ほど、手をかけない方が、より素材の美味しさが際立つのよ」

あ、スルーしやがった。ま、ごまかされてあげるよ。言いたいことは分かってるしね。

6 名前:特選素材 投稿日:2005/09/15(木) 21:27

「はいはい、それで?」
「よっちゃんのきれいな髪は神様からの贈り物なんだから、絶対いじらない方がいいって」
「アタシは梨華ちゃんの胸とか腰とかの方が、神様に愛されたおかげって思うけど?」
「胸はね、よっちゃんよりは私の方が愛されたんだなって思うけど」
「うっわー、感じ悪ぃ!」

笑って悪態をつきつつ体を起こす。

呼吸も落ち着いたし、話もオチがついたし、今度はアタシが梨華ちゃんの髪を撫でる番。

神様に愛されたのは胸だけじゃない、丸ごと特選素材の体、いっただっきまーす♪



END

7 名前:そーせき 投稿日:2005/09/15(木) 21:27

『どっちの料理ショー』、絶対ベーグルサンドでしょ! と思ったのは、
私が吉ヲタだからでしょうか?


2本目は、先日ブログで回答した「萌えバトン」が元ネタです。

8 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:28

バスタオルで髪をガシガシ拭きながら、よっちゃんがバスルームから出てくる。

もう! またあんなことしてる!
「ちゃんと押し当てるようにやんないと髪が傷むんだよ!?」って何回言っても直さない。
「めんどくせー」って。
折角すごく綺麗な髪質なのにもったいないなぁ。


どうもよっちゃんは、自分の体に無頓着で。乱暴に扱いがち。
さすがに体重は気にするようになったけど、
フットサルで体中ボロボロにしちゃうし、髪もあんな風だし。
・・・あたしの体にはあんなに優しくしてくれるのにな。

9 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:30

☆☆☆☆☆

「おっ先ぃ」
「うん」

お風呂に入るのは、いつもよっちゃんが先。
ここは私んちだから、お客さんのよっちゃんが先、ってワケじゃない。
てか、今更「客」って間柄でもないしねぇ。

別に順番なんか決めてなかったんだけど、
ある日を境に「絶対によっちゃんが先で私が後」ってことになったんだよね。



ちゃぷん。
湯船に浸かって、あの日のことを思い出す・・・。

10 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:31

☆☆☆☆☆

その日、私がシャワーから出てくると、よっちゃんはリビングにはいなくて、
寝室で床に座ってベッドにもたれて、サッカー雑誌を読んでいた。
私は化粧台に座ると、お肌のお手入れをして、その後ドライヤーを使い始めて。


ふと、目を上げると、鏡越しによっちゃんと目が合った。
なんだかじーっと見てる。

「何?」
「・・・いや、色っぽいなぁって」
「なーに言ってんだか」

軽ーく返したけど、なんか顔がちょっと熱くなっちゃって。
ドライヤーのせいだもーん、なんて、心の中で弁解したりして。

11 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:31

気にしてない振りをしてたけど、よっちゃんが雑誌を置いて近づいてくるのが分かった。
知らんぷり、知らんぷり・・・

「キャッ!」
いきなり後ろから抱きついて、首筋にキスしてきて。

「ちょっと、急に何よぉ!?」
「・・・髪、乾かしてる姿ってさ・・・すっげぇソソられる・・・」
艶っぽい声色で耳もとで囁きながら、手は内股を撫でていて。


「やっ・・・ちょっと・・・まだ髪・・・乾かせてないんだから・・・」
「・・・んなの、ベッドで乾くよ・・・」
「髪・・・傷んじゃ・・・あんっ!」
最後の抵抗は、耳たぶを噛むと同時に、大胆に誘惑してきた指に吹き飛ばされて・・・。

12 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:33

☆☆☆☆☆

結局あのまんまベッドに行っちゃったんだよねぇ・・・
翌朝、髪の毛、とんでもないことになってたし・・・


でも、あの日のよっちゃんは、いつになく情熱的で。
いつもの優しい行為に何の不満もないんだけど、
あれはあれで・・・その・・・すごく満たされた。
あ、心がね! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・カラダもだけど・・・。

13 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:37

「ドライヤーで髪を乾かす仕種」が「萌えアイテム」だと分かったよっちゃんは、
あの日以来、絶対に私より先にお風呂を済ませるようになった。


困るのよね、意識しちゃって。
別に嫌じゃないんだけど、後ろからじーっと見られてると、妙に落ち着かなくて。
なんか期待してると思われても困るし、全然期待してないってことも・・・。

なんで私、ただ髪を乾かすってだけのことに、
こんなドギマギ空回ってなきゃいけないんだろ? っていつも思う。

☆☆☆☆☆

もう! 変なこと思い出してたら、すっかり長湯しちゃった。
のぼせちゃう!

14 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:39

バスルームから出ると、よっちゃんはリビングにいなかった。

1つ大きく息をして、寝室のドアノブに手をかける。
・・・ドキドキしてるのは、長湯のせいだからね!

☆☆☆☆☆

!?!?!?!?

へっ!?!? 何!? よっちゃん、寝てるの?!
えっ!? えっ!? 今って寝るとこ? これって寝るシチュエーション?


ちょっとぉ!!!
私の火照るカラダ・・・あ、それじゃベタ過ぎだわ。
私の欲望・・・それじゃ、そのまんまじゃない!
んーと、えーとぉ、私の想い・・・そうこれ!

ちょっとぉ!!! 私のこの想いをどうしてくれんのよぉ!!!

15 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:40

☆☆☆☆☆

そっとベッドに近づく。

なんだか少しやつれたみたい。
フットサルもあったし、新メンバーのお披露目ツアー中だもんね。

この間の公演では、あの、絶対に人前では泣かないよっちゃんが、
ステージ上で涙をこぼしたって聞いた。
毎日すっごく気を張ってるんだろうな、きっと。


疲れ切った、でも今ここで安心して眠っているその寝顔がとても愛しくて、
さっきの想いと入れ替わりに、別の想いが込み上げてくる。

・・・ゆっくり休んでね。
そっと呟いて、バスルームのドライヤーを使おうと、寝室を出る。

16 名前:萌え仕種 投稿日:2005/09/15(木) 21:41

ま、いっか。
ツアーが終わったらいっぱい・・・ね!


って、ちょっと待って!?

それって、11月じゃんよぉ!




END

17 名前:そーせき 投稿日:2005/09/15(木) 21:44

薄っぺらい甘甘が多いかと思いますが、これからもよろしくお願いします。

かなり過激なことも書いていますが、よろしければ、ブログにも遊びにいらしてください。
アドレスこちらです。(短編スレに掲載したアドレスは変更いたしました)
ttp://d.hatena.ne.jp/soseki1231/
18 名前:くろ 投稿日:2005/09/15(木) 23:01
新スレおめでとうございます。
甘甘ないしよしにニヤニヤが止まりません。
次回も期待しています。
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/16(金) 23:59
いしよし・イイですよね〜
ブログも拝見してました。これからも
甘・甘なお話、楽しみにしています。
私も いしよし・オンリーです♪
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/17(土) 15:37
新作お疲れ様です!
バカップル最高ですねー。
あまぁ〜い話期待してるので頑張ってください!
21 名前:そーせき 投稿日:2005/09/19(月) 17:06
>くろ様
ありがとうございます。
それもこれも、ごひいき頂いてる方々のお陰です。

>19名無し飼育さん
ブログも見て下さっているというお言葉、とても嬉しかったです。
やっぱりいしよしですよね! あっしもいしよしオンリーです♪

>20名無し飼育さん
ありがとうございます。
ほんと、いしよしには、バカップルが似合いますよね!


さて、本日は、前作「萌え仕草」の続編です。
先日BSで放映されたハロコンを観て浮かんだものです。
22 名前:萌え仕種・後日談 投稿日:2005/09/19(月) 17:08

バスルームから出てくると、よっちゃんはリビングでTVを観ていた。

冷蔵庫からミネラル・ウォーターを出してグラスに注ぎながら、チラっと見ると、
よっちゃんは、なんだかニヤニヤして、顔をだらしなく緩ませてる。

ハッ! まさか岡パ・・・じゃない、岡やん観てるんじゃないでしょうね!?
急いで・・・ない振りをしながら、急いでリビングに行ってTVを覗き込む。


なーんだ、私じゃん。いやーん、よっちゃんたら!
って、これ「ひとりじめ」じゃん! 岡やんいるじゃん!
確認しないと! ・・・でも、さりげなく、さりげなくよ、梨華。

23 名前:萌え仕種・後日談 投稿日:2005/09/19(月) 17:09

「ねぇ、何ニヤニヤしてんのよ?」
「んー、これ、わかんね? 思い出のラ・イ・ブ」
「へ?」

しみじみとTVを観る。

!!!!! あーっ!!! これ!!!

「えっ!? えっ!? な、なんでこれが? えっ、DVD出たっけ?」
「何言ってんの。この間BSでやったじゃん。知らなかった?」
「知らなかった! TVで流れたの?」
「そーだよーん♪ エヘヘェ。全国に知らせちゃいましたねぇ」
「やだぁ!」
24 名前:萌え仕種・後日談 投稿日:2005/09/19(月) 17:12

よっちゃんが悪いのよ。よっちゃんがあんなこと言わなかったら、
こんなに私、恥ずかしい思いしなくて済んだのに!

「あら! 心外でございますわ。わたくしは親切心で教えて差し上げましたのに」
「いきなり『今年の目標:大和撫子』の実践しないで!」


☆☆☆☆☆


ずっとストレートだったから、ちょっと久しぶりに緩くパーマをかけてみた。
少しイメチェンできたかな? 気に入ってくれるかな?
ドキドキしながら、この髪型をよっちゃんに初披露した日。

よっちゃんの反応は、「可愛いよ!」でも、憎まれ口の「なんだそれ?」でもなくて、
無言のニヤニヤ顔だった。

思えば、あの時にちゃんと訊いておくんだった、ニヤけ顔の理由。
私ったら、よっちゃん照れてるー、かわいー! なんて、
激しい勘違いをかましてたのよね・・・。
25 名前:萌え仕種・後日談 投稿日:2005/09/19(月) 17:14

夏のハロコン初日が終わった後、さゆにザックリ斬り付けられた。
「石川さんの髪型、中澤さんとカブってますよね」
がーん!!!!!

ショックを受ける私に、保田さんが更に追い討ちをかけた。
「なんか踊ってるとさ、連獅子みたいだよね。裕ちゃんと連獅子シスターズ」

「れんじし」って何かわかんなくて、テキトーに笑ってたんだけど、
帰宅してネットで調べて、またまたがーん!!!!

もうこの髪型やめる! すぐやめる! と叫ぶ私に、愛しいあの人が、とどめを刺した。

26 名前:萌え仕種・後日談 投稿日:2005/09/19(月) 17:15

「やめる気になったんなら言うけどさ、確かにヤバいよ、その髪」
「そんなにヤバい?」
なんかもう、半ベソな気分。

「ほら、髪乾かしきらないでHした次の日ってさ、髪の毛ボアボアじゃん?
その髪型ってさ、それとそっくり」

がーぁぁぁぁん!!!!! もう今まで最大のショック!!!!!
てか、今までのなんかすっ飛ぶ大ショック!!!!

「そーゆーこと今更言わないで! 言うならもっと早く言いなさいよ!
「いやぁ、ある意味見とれてたんだって、嬉しくて」
「私は嬉しくなーい!」

27 名前:萌え仕種・後日談 投稿日:2005/09/19(月) 17:17

☆☆☆☆☆

ハロコンが終わって即、オフになるまでも待てなくて、
空き時間にすぐ髪をストレートに戻しに行った。
で、この時の髪の毛の記憶は封印してたのに、
今になってこんな形で突きつけられるなんてぇ!

「全国に知らせちゃったねぇ、梨華ちゃんが半乾きの髪でHしたら翌朝どうなってるか」
「もうやめて! その話!」
「ハロコン本番もさ、H明けの頭で足腰くねくねさせるもんだから、目を離せなかったんだよねー」
「・・・・・・」
「この映像さ、他んとこは梨華ちゃんの腰が映らなくてつまんねーんだけど、
 「ひとりじめ」だけで十分観ごたえあるよ」
「・・・・・・」

私が無言なのに気づいてないの? 怒ってるのを察しなさいよ!


「でもさ、参ったよ。あたしが見入ってるのが映ったんだよねー。
 カメラ入ってるの分かってるから、顔締めといて良かったよ。
 この上、あたしがニヤケてる顔まで全国にさらしちゃヤバいよねぇ。
 ・・・あれ、梨華ちゃん?」

28 名前:萌え仕種・後日談 投稿日:2005/09/19(月) 17:22

もういい! 他人事だと思って嬉しそうに話しちゃって。
聞いてらんないわよ!

立ち上がって寝室に向かう。

大体、他人事じゃないわよ! ボアボアになるのは、よっちゃんのせいでしょ!
・・・って、そんなこと、どうでもいいって!


寝室に入ると、ワザと音を立てて鍵を閉めた。

「何も鍵閉めることねーだろー!」
「金輪際、よっちゃんの前でドライヤーは使わない!」
リビングから叫ぶよっちゃんに、叫び返す。

そうよ! もうあんなエロオヤジの誘惑になんか、絶対乗らないんだから!


☆☆☆☆☆


お風呂上りすぐの濡れた髪の毛もいーんだよねー、って思ってたエロオヤジに、
バスルームを出てすぐを狙われるようになったのは、このまた後日のお話。



FIN
29 名前:萌え仕種・後日談 投稿日:2005/09/19(月) 17:26
いしかーさんのあの髪型は、あっしにはこのようにしか見えなくて、
ニヤニヤしながら観ていたそーせきです。

きっと、よしざーさんもそうだったハズです!
30 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/09/19(月) 20:33
ここ読ませてもらってからこの間のハロコン観かえしちゃったw
ヤバイよっすぃ以上ににやけてるぞ
31 名前:くろ 投稿日:2005/09/20(火) 00:08
同じくBSハロコン見てニヤニヤしちゃったよ
32 名前:前・NO19 投稿日:2005/09/20(火) 01:47
更新お疲れ様です。おもしろかったです♪
ハロコンの梨華ちゃん、色っぽかったですね〜
・・あーいう風になるんだ・・(笑)
また、楽しみにしていますね。
33 名前:そーせき 投稿日:2005/10/30(日) 18:54
>名無し飼育さん
>くろさん

より多くの方にそのような反応をして頂けることを望んでおりました。
共感してもらえて嬉しいです。

>前・NO19 さん
>・・あーいう風になるんだ・・(笑)

(爆笑)ナイスなレスをありがとうございます。

( *^▽^(O^〜^)<「あーいう風になるんです」
34 名前:そーせき 投稿日:2005/10/30(日) 19:00
それでは、新作を更新させて頂きます。

私の書くいしよしは、常に・・・ていることに気づいて苦笑していたのですが(^^ゞ
たまにはプラトニックに(?)過ごす気になったようです。
35 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:02

「紅茶はいったよぉ」
「あいよっ」


寝室から出てきたよっちゃんが、
手に持ったタオルをバスルームのストッカーにしまってからリビングに戻って、
ガラステーブルの脇にどっかと座る。

ソファーはあるんだけど、よっちゃんは床に座る方が落ち着くみたい。
女の子なんだから、あぐらかかないの! って口では言いながら、
心の中で、でもそんな姿も可愛くて好きよ、とか呟いたりして。
ホント、私たちってどーしよーもないバカップルね。


え? あ、あのね、ここは私の家なんだけど、
私が紅茶の準備をしてる間、
よっちゃんはいつも私の洗濯物を畳んでくれてたりするのよね・・・。

36 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:03

紅茶を持ってテーブルに着くと、よっちゃんがザ・テレビジョンを閉じて言った。

「面白いTVねーな」
「あー、何かDVD借りてくるんだったね」
「いいよいいよ、『美勇伝説』観よ」
「また!?」
「いやぁ『曖昧』はホントいいよねー♪」

あのね、恋人に目の前であれを観られるのって、相当恥ずかしいのよ?

「あの衣装の中身まで知ってるウチにさー、今更照れることないじゃーん」
「そーゆー問題じゃないのっ!」
「じゃぁ、この間の連獅子ハロコンにする?」
「その呼び方はしないでって言ってるでしょ!!」

37 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:04

ソファー自体を背もたれにして、TVに向かって座ってるよっちゃんの隣に座る。
こんな風に二人並んで座って、紅茶&ケーキ&TVってのが、
私達のいつもの休日の過ごし方。


たまには普通のカップルみたいなデートがしたい、ってずっと思ってた。
素敵なカフェでお茶して、人気の映画観て、おしゃれなお店でご飯食べて、みたいな、
ベタだけどスタンダードなデート。

でも、芸能人で、しかも噂になったこともある私達が、
2人でデート・スポットなんて行けるわけなくて。

いつも私んちでお茶飲んで、
特に何をするわけでもなく、ぼーっとTV観たりだらだらしてるだけ。
滅多にない折角の2人の時間なのに、なんだかすっごく無駄な過ごし方をしてる気がして。


「あーあ! こんな時は普通の人が羨ましいよぉ!」
なんて私が叫んでも、よっちゃんは「仕方ないよ・・・」って少し困った風に笑うだけ。

それがなんだかじれったくて。
よっちゃんは私のこと、そんなに好きじゃないのかな、なんて邪推しちゃったこともあって。



でも、そんな気持ちは、あの時に全部吹き飛んだ・・・
38 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:06

☆☆☆☆☆


ショックだった。

そりゃ、私はサイボーグじゃないんだから、病気をしたことがないわけじゃないけれど、
こんな大事な時、自分がモーニング娘を卒業する、
そのコンサート・ツアー中に、インフルエンザにかかるなんて。
麻琴はかかっちゃったけど、まさか私がなんて思ってもなくて。

どんなことをしてでも次の公演までには治さないと、と思っても、
気が焦るだけで何が出来るわけでもなくて。


熱にうなされながら、色んな人の顔が次々と脳裏に浮かんできた。
心配と迷惑をかけているメンバーにスタッフさん、コンサートに来て下さってるお客さん。

いきなりラジオの代役にされちゃった愛ちゃん。
「いやぁ、自分の番組がやれて、嬉しいですぅ」って言ってたって、
マネージャーさんが教えてくれたけど。

例えそれがいくらかは本心だったとしても(丸々本心かも知れないけれど)、
突然の話で迷惑をかけたことには変わりないわけで。


「病気をしない人はいないんだから、気にせずにしっかり治して」って皆からメールが入った。
でも、仕事は確かに一生懸命やってるつもりだけど、
その分、生活管理がおざなりだったことは否めなくて。
自己嫌悪にさいなまれて、気が付けば涙が溢れてきて。
39 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:08

「会いたいよ、よっちゃん・・・」
一番脳裏に浮かんでくる人の名を呟くと、余計に切なくなってきた。


感染防止のため、もちろんメンバーはお見舞いを禁止されてて。
ママが泊り込んでくれてるから不自由はないんだけど、なんだかすごく寂しくて。

ツアー中じゃなくても、私が芸能人じゃなくても、絶対にうつしたくないから、
自分がインフルエンザになった時に、恋人に来てもらったりなんかしないけど。
でも、病気の時一番会いたいのが恋人なのも、ツアー中とか芸能人とかってことには関係なくて。


情けなくて切なくて寂しくて、涙はいつまでも止まらなくて・・・


☆☆☆☆☆


インフルエンザにかかってから初めてよっちゃんと2人だけの休日が持てたのは、
卒業ツアー・取材ラッシュ・美勇伝のコンサートと怒涛のスケジュールが一段落した、
6月も終わるという頃。


よっちゃんは、いつものように合鍵で入ってきて、
ケーキの箱をテーブルに置くと、ヤカンに水を入れてた私に、
いつものように背中から抱きついて、いつものように腰に腕を回してきた。

そう、ほんとにそれは、いつもと全く同じだったんだけど。
40 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:09

「どうしたんだよ?!」

いつもなら「もう! 邪魔だからあっち行ってなさい!」「へいへい」って続くところが、
いきなり私が泣き出したもんだから、よっちゃんがびっくりしてる。

大好きな大きくて綺麗な瞳。
それが今、戸惑いの色をまとって、いつも以上に優しく見つめるもんだから、
ますます涙腺は緩んで。


嬉しかったの。こんなに幸せなことだなんて、今まで、思ったことなかった。
あなたがここにいてくれて、ただあなたと一緒にいられることが、こんなに素敵なことだなんて。
・・・ごめんね、今まで考えたことなかったの・・・。

泣きじゃくりながら告白する私に、よっちゃんは何も言わなかった。
ただそのまま、ずっと優しく抱きしめてくれてた。
41 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:10

☆☆☆☆☆


よっちゃんには、分かってたのかもしれない。
本当に幸せなことは、意外にささやかなものなんだって。

訊いたことないけど、小さい頃に大病をしたことがあるのかも知れない。
もしかしたら、バレーで膝を傷めたこととか、関係があるのかな。
今も事あるごとに襲ってくるその痛みに、いつもいつも噛み締めてるのかも知れない。
なによりも健康が一番なんだ、って。


ボーっとTVを見ている今の横顔とか、パっと見、何も考えてないように思えるけれど、
この人って本当は、すごく繊細で神経の細い人。

それでいて、でっかくてあったかい人。

やっぱり「長男」だからかな?
普段はチャラチャラしてるけど、ここぞって時にはすごく頼りになる。

42 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:11

「ん?」

視線に気づいたよっちゃんが、私の方を見る。

・・・やめて、その顔。
私はあなたのその、なんでもない柔らかい笑顔に弱いんだから。


「ダイスキ」
「!!!・・・あぁ・・・」

こんな風に突然「好き」って言うの、もう何度もしてるのにこの人は、
どうして、一々照れてくれるんだろう?

いつまでたっても私の告白に慣れないで、ぶっきらぼうに返事をして目を逸らすのが、
ちょっと不思議だけど、すごく嬉しい。

43 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:12

そのまま黙って見つめていると、
よっちゃんは、私に視線を戻して、もっと柔らかい笑顔で近づいてきた。

目を瞑った直後に唇に降ってきたのは、いつもと同じ、陽だまりみたいなあったかい感触・・・


☆☆☆☆☆


「♪マッタリ・マッタリ・キスしてGATO♪」
「なんだ、そのテンション?」
「ケーキ、食べよ!」
「うん。あ、モンブランはウチのね」
「白玉のせ抹茶ムースは私んだからね!」

44 名前:いっつも一緒がうれしい 投稿日:2005/10/30(日) 19:12

ねぇ、よっちゃん?

これからも、ずーっとこうやって、一緒にのんびり紅茶飲んで過ごしてね。




FIN
45 名前:そーせき 投稿日:2005/10/30(日) 19:17
あるいしよし友達に、私と恋人の休日の過ごし方を話したら、
良いいしよし小説になりそうだ、と言われて、
おだてられて図に乗って、ほんとに小説にしてしまいました。

最後の替え歌は、実際にそーせきが時々歌っているものです(^^ゞ

46 名前:30 投稿日:2005/10/30(日) 20:14
そーせきさんのいしよし待ってましたよ
今回も良い!良い!
47 名前:前・NO19 投稿日:2005/10/30(日) 23:36
更新、お疲れ様です。
そして、復活おめでとうございます。
こっそり心配していました。ホントに健康が一番です・・
今回は、ある意味 ノンフィクション・ってやつですね?イヤン・・♪
次回、まったりお待ちしています。
48 名前:いしよし最高 投稿日:2005/10/30(日) 23:36
そーせきさんのいしよしはいいですね
いい話です。最高!!
ブログもすげーおもしろいです^^
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/31(月) 01:08
>48 いしよし最高さん
レスする時はメール欄に「sage」と入れてください
50 名前:あるいしよし友達 投稿日:2005/10/31(月) 08:39
思ってた通り、良いいしよし小説になったねー
これからもネタ求む!
51 名前:そーせき 投稿日:2005/11/18(金) 23:25
> 30 様
待っていてくださったなんて、恐縮です。
とてもありがたいお言葉を、ありがとうございます。

> 前・NO19 様
いつもご覧頂き、ありがとうございます。
ご心配おかけしてすみません。お気遣いに心温まりました。
あと、「いやん♪」にウケました(^^)

> いしよし最高 様
私のいしよしがイイと言ってくださるのは、何よりの励みになります。
ブログもお褒め頂き、すごく嬉しいです。
かなりヒンシュクなことを書いている自覚はありますので、
面白いと言ってくださる方がいると、勇気が出ます。

> あるいしよし友達 様
すっごく美化しちゃいました(^^ゞ ご期待に副えたでしょうか?
でも、あの・・・私達は別に、ネタのために付き合ってるわけでは・・・
52 名前:そーせき 投稿日:2005/11/18(金) 23:27
前回が少々真面目路線でしたので、
本日は、小噺風味の軽い口当たりのドリンクを一杯。
53 名前:・・・・ごっこ 投稿日:2005/11/18(金) 23:31
♪ ♪♪  ♪ ♪♪  ♪♪♪♪ ♪ ♪   

軽快な着メロが、私のピンクの携帯のサブ・ウィンドウに、愛しい顔を運んでくる。


「もしもし?」
「うぃーっす。もうフロ入った?」
「うん、今出たとこ。よっちゃんは?」
「ウチはちょっと前に出た。今やっと、もらったアルバム、一通り聴き終わったよ」

私が卒業してから、自分達のグループのCDは、お互いにプレゼントし合ってる。

「どうだった?」
「ジャケットの梨華ちゃん、カワイイじゃん」
「そ?」
「うん。衣装は悪趣味だけど、顔はすげーいいよ」

嬉しいけど、で、曲は?
54 名前:・・・・ごっこ 投稿日:2005/11/18(金) 23:33

「あのジャケさ、ほんとにスイートルームで撮影したんでしょ?」

・・・あくまでも、ジャケットの話なのね。
なんかちょっと引っかかるけど、まぁいっか、褒めてくれたし。

「うん! もうね、すっごかったんだよ!」

どんなに素敵なホテルだったかを、よっちゃんにとうとうと説明する。

海外に行った時とかは、セキュリティの問題もあるし、結構いいホテルに泊まるけど、
さすがに、スイートなんて泊まったことないじゃない?
3人とも、中に入ったら、ポカーンって口開けて見とれちゃったんだよ。
お部屋がいっぱいあるし、家具とかすっごい豪華だし。

よっちゃんと一緒に泊まりたいなぁって思っちゃった、
なーんて、ちょっと甘えて言ってみたのに。
55 名前:・・・・ごっこ 投稿日:2005/11/18(金) 23:34
「へぇ」
「ちょっとぉ! 「へぇ」はないでしょ、「へぇ」は!?」
「だって、部屋がたくさんあったって仕方ないじゃん。
 どーせウチら、使うの、ベッドだけっしょ?」
「バスルームだって使うでしょ!?」
「バスルームでもシたいの?」
「違ーう!!」

もう! すぐそうゆうこと言うんだから!

わざとからかってるんだって、分かってるけどね。
で、私もわざと怒って見せるんだけどね。
56 名前:・・・・ごっこ 投稿日:2005/11/18(金) 23:36

「ベッドだって、すごくゴージャスだよ?」
「じゃ、今度そのゴージャスなベッドで “カッチョイイゼ!JAPANごっこ” しよーよ」
「は?」

“カッチョイイゼ!JAPANごっこ” って、何?

「略して “カッチョごっこ”」
「いや、略なんか訊いてないって」
「1人はベッドの上にうつぶせになって、もう1人が耳に息を吹きかけるんだよ」
「・・・それって楽しいの?」
「やりたくないの?」
「いや、やりたいとか、やりたくないとか言う問題じゃ・・・」
「じゃ、やろ!」
「・・・・・・」

よっちゃんて時々、妙なことを思いつくのよね・・・
57 名前:・・・・ごっこ 投稿日:2005/11/18(金) 23:37

「ところでさ、ウチ、あさって仕事昼からだから、あしたの晩からそっち行っていい?」
「もちろん! 久しぶりだね、泊まりに来るの♪」
「とりあえずさ、梨華ちゃんちのベッドで “カッチョごっこ” しようよ」

・・・そんなにしたいの? “カッチョごっこ” が・・・

「ヤなの?」
「だからぁ、イヤとかじゃなくてね、なんでそんなことしたいわけ?」
「・・・ヤなんだ。三好ちゃんにはさせたくせに、ウチにはさせてくれないんだ・・・」

!!! あぁ、なるほどね。
もう、可愛いなぁ、よっちゃんたらっ!
58 名前:・・・・ごっこ 投稿日:2005/11/18(金) 23:38
☆☆☆☆☆

『カッチョイイゼ!JAPAN』のPVの三好ちゃんと私を観て、
よっちゃん、ちょっと怒ってた。
なんだよ、このシーン!? 全然曲にカンケーねーじゃん! って。
まぁそれは、私も同感だけどね。
でもそんなこと、別に珍しいことじゃないでしょ。

もちろん、ただの仕事だし、よっちゃんも本気で怒ってるわけじゃなくて。
なんて言うのかな? 痴話喧嘩ごっこ、みたいなカンジ。
お互いの気持ちと関係に自信があるからこそできる、ちょっとしたお遊び。


私達、確かに時々、こんなバカップル劇場をやってるけど、
今更『カッチョ』なんて言い出したのは、アノせいだね、きっと。
59 名前:・・・・ごっこ 投稿日:2005/11/18(金) 23:39

三好ちゃんたら、ちょっとノリ過ぎだよね。
コンサートの「セクシーな言葉対決」で、私のことばっかり言うんだもん。
「梨華ちゃんの太腿」だなんて。
そりゃ私は、太腿もセクシーだけど。

わざと言ってるんだってわかったから、私も悪ノリしちゃった。
「三好ちゃんにお尻もセクシーって言われる」なんて暴露して。
きっとそれでよっちゃん、また妬いてるんだ。

でも、もちろんそれもわざとでしょ?
私達がわざと煽ったんだって分かってて、
煽られてくれて、妬いてる振りしてるだけでしょ?

しょうがないなぁ。 “カッチョごっこ” にも、付き合ってあげるよ。
60 名前:・・・・ごっこ 投稿日:2005/11/18(金) 23:42

「やった! ウチが三好ちゃんの役ね!」
「えー! 私、自分の役やるのぉ!? つまんなーい!」
「じゃあ、唯ちゃんの役やってよ」
「よっちゃんの足にすがりつくの?」
「♪あーいがーあぁるぅかーらー、の振りやるの」

・・・それって、谷間を見せる振りをしろってこと!?

あの振り付けはあんまりだよなー、とか言ってたくせに、
やっぱり実は喜んでたんじゃない!!

“カッチョごっこ” って何よ!? 何なのよ!?
真剣に話してるのよ!? 電源、切らないでよ!?

だいたいねぇ! よっちゃんはいつも ※△■#○▼@☆◆◎ (`▽´メ)


(久しぶりに、本当の痴話喧嘩になったいしよし家)




FIN
61 名前:そーせき 投稿日:2005/11/18(金) 23:43
皆さんは“痴話喧嘩ごっこ”、なさいませんか?
そーせき達はよくやってます(^^ゞ

すっごくどうでもいいことですが、最初の音符は、『GO GIRL』のつもりです。
62 名前:きょんすけ 投稿日:2005/11/19(土) 00:32
こんばんわ。
やっぱいしよしイイっす〜!
マジでやってそーな感じが素敵^^
63 名前:くろ 投稿日:2005/11/19(土) 19:49
吉澤さんの頭の中では、あんな風につながるんですねー。
小ネタも満載でおもしろかったです。
64 名前:前・NO19 投稿日:2005/11/23(水) 23:36
更新お疲れ様です
そーせき様のいしよし・は読んでて、心が
ポワッ〜ってなります。私のビタミン剤ですよ。
(最初の音符に「GO〜・・」の歌詞あてはめてみました(笑))
更新、楽しみにしています♪
65 名前:そーせき 投稿日:2005/11/26(土) 19:56
> きょんすけ様
「マジでやってそー」という言葉に、とてもハッピー\(^▽^)/になりました。
見てきたような嘘をつき、がモットーなので。
でもほんとは、嘘とは思ってなくて、絶対やってる!と信じているのですが(^^)

> くろ様
よしざーさんは、何でもいしかーさんを中心に繋げていると思われます。
それは、私達も一緒ですね(^^)
小ネタに気づいて頂けて嬉しいです。

> 前・NO19様
過分なお褒めを頂き、恐縮至極ですm(__)m
> (最初の音符に「GO〜・・」の歌詞あてはめてみました(笑))
いつもながら、ナイスなレスをありがとうございます。
私は、前・NO19様のレスに、いつも心がポワ〜となってます。
66 名前:そーせき 投稿日:2005/11/26(土) 19:56


前作では、非常に子供っぽい2人でした。
本日は一転、アダルトな2人です。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


67 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 19:57



「脱いで」
「え?」
「脱いで」



68 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 19:58


仕事から結構遅くなって帰ってきたら、
オフを私の家で過ごしていたよっちゃんに、いきなり命令された。

「ただいま」の返事が「脱いで」って、おかしくない?

あっけに取られて突っ立っていると、
TVを消して立ち上がったよっちゃんに、手を引っ張られて寝室に連れて行かれた。


69 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 19:59


「・・・本気なの?」
「本気だよ」

その口調は確かに真剣で。
笑い飛ばすこともできなくて、かと言って、唐突過ぎて脱ぐことも出来ないでいる私を、
よっちゃんが急かせる。

「脱いで、って言ってんだけど」

言い回しに反して語調が穏やかだから、言葉はそのまま霧散して、
心に感じる部屋の温度は変化しない。


70 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 19:59


寝室の闇に慣れてきた目で、月明かりを頼りによっちゃんの表情を窺う。

怒っているようには見えない。

感情を押し殺しているのは確かなんだけど、
怒りよりはむしろ、なにか切羽詰った情動が感じられて、
思わず私はセーターに手をかけていた・・・


71 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:00


ブラウスを脱ぎ、スカートのホックを外しても、
よっちゃんは微動だにせず、無言で見つめている。

こんなこと初めて。
すっごく恥ずかしいのに、なんで私、従っているんだろう?
まるで催眠術にでもかかったみたい。

・・・そっか。
あの美貴ちゃんでさえ、ニセ催眠術師に操られるんだから、
私がよっちゃんの術にかかったって、全然不思議じゃない、
なんて、変な納得をする。


72 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:01


下着だけになったところで、乱暴にベッドに押し倒される。


いつもと違うよっちゃん。

怖いはずなのに、どうしてなのかな…
なんだかドキドキする・・・

73 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:01

☆☆☆☆☆


私の上になったまま、よっちゃんはやっぱり私をじっと見ているだけ。
その顔は、どこか苦しそうで。

「ねぇ、どうしたの?」
「・・・・・」
「よっちゃん?」
「・・・相変わらずだよね」

搾り出すような声。

「なにが?」
「梨華ちゃんの写真集」

? さゆとの写真集のこと?

「よくまぁあんなに、これでもかってくらい露出させるよね」
「・・・・・」
「なんだよ、あのDVDは!」

今度は吐き捨てるような声。

やっぱりあの本のことなんだ。
さっき、TVの画面なんか観てる余裕はなかったけど、
きっと、メイキングDVDがかかってたんだ。


74 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:02


「カメラがさ、ココからせり上がってんだよ」
「んっ・・・・!!」

言いながら私の足の間に自分の足を割り込ませて、その部分に膝を押し付けてくる。

「この谷間なんてさ、舐めるみたいに映すし」
「あんっ!」

左のそれを強めに掴まれる。

「世のヤローどもがさ、あの映像を見て何をするかと思うと、ムカムカするよ」

そんな・・の・・・・今更・・・じゃない・・・

「ヤローだけじゃないよね。オンナもだよ。ウチだってこんな気分になるんだから」

それは・・・よっちゃんは・・・私の・・恋人だから・・・だよ・・・・・
他の・・女の子は・・・違う・・よ・・・・・きっと・・・


75 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:03


「あれ観た奴らはみんなさ、頭の中で水着を脱がすんだよ」

努めて語気は荒げないようにしているようだけど、
息遣いと私に触れている部分の動きはどんどん激しくなってきてる。

そんな・・こと・・・・私に・・・言われても・・・・

「でもっ・・・・ほんとに・・・脱がせ・・られるのは・・・よっちゃん・・・だけじゃ・・あぁんっ!!!」
「当たり前だろ!」

私が言い終わる前に言葉を遮って、もう一度強く膝を押し付けた後、
よっちゃんは自分にしか脱がせられないものを私から取り去った。

76 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:04

☆☆☆☆☆


よっちゃんがベッドの上に膝立ちして、服を脱ぎながら私を見下ろしている。
わざと時間をかけるから、脱いでいるのはよっちゃんなのに、私が焦らされている気になる。

目が、露になった私の体を這っている。
カメラが舐めた体を洗うように、上から下まで何度も、何度も。

静かな炎でじりじりと焼かれている七面鳥になった気分。
その視線に焦がされ、内側から熱せられてスープが滲み出てくる。

いたたまれなくなって顔を背けるのに、やっぱりまたよっちゃんを見てしまって。
その度に、欲望を湛えた大きな瞳に射抜かれる。
でも多分、私も同じ目をしていて、よっちゃんも同じように射抜かれているはず。

77 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:04



私と同じ姿になったよっちゃんが覆い被さってくる。


嵐の前の静けさのように、ゆっくりと・・・。



78 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:04


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆


79 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:06


「私、明日仕事なんだけど?」
「もう今日じゃん。ウチも仕事だよ」

嵐はすっかり過ぎ去って、よっちゃんに背中から抱きしめられて、凪を漂う。

「今何時か分かってる?」
「んー? もう遅いだろうねぇ」

他人事みたいに言わないでよ。

「・・それに・・激しすぎだよ・・・」
「ヤだったの?」
「・・そうじゃないけど・・・だから…明日も仕事なのに…」
「これ以上、腰振れない、ってか?」
「またそういうこと言う!」


80 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:06


「分かってるよ。すごく良かったでしょ?」
「・・・バカ」

声のトーンを下げて耳元で囁くのは反則だよ。
いっつもそのテで、うやむやにしちゃうんだから。

ちょっ・・! ついでに耳たぶを噛むのはやめてったら!
折角・・・その・・・落ち着いたのに・・・


81 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:07


それにしてもさ。

「したくなったんなら、そう言えばいいのに」
「そんなの芸がないよ。“嫉妬ごっこ” にした方が面白いじゃん」
「嘘」

“ごっこ” じゃないでしょ? “ごっこ” の振りした本気だったでしょ?

「・・・・・まあ・・・そう・・かな」

強引だったのが少しやましいのか、よっちゃんは素直に認めた。

やっぱりね。
・・・でも、許してあげるよ。

82 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:07

☆☆☆☆☆


仕事に妬くなんて、ほんとはタブーだと思う。
でも、ほどほどなら、それはお互いの関係のスパイスになる。
そして、これ以上は許されない、という域に近ければ近いほど、スパイスは効果がある。

よっちゃんは、そこの一線、
本当の揉め事にならず、2人を熱くするギリギリの線を、上手く見極めていると思う。
意識してるのか無意識なのかわからないけれど。


私は多分、無理。
一旦妬いちゃったら、抑えられなくなりそうだから。


83 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:08


文化祭でよっちゃんがスーツを着た写真を見て、イヤな予感がしてた。

案の定、麻琴や亀ちゃんはもちろん、
最近やけによっちゃんに懐いている小春ちゃんまで皆キャーキャー言ってたって、
ハロモニの収録中に美貴ちゃんが教えてくれた。

もちろん顔には出さなかったけど、心の中はモヤモヤして。

そんな私の想いを知ってか知らずか、
ちょっと離れたところで、よっちゃんは、
小春ちゃんに腕にしがみつかれてニヤニヤしてて。

そのよっちゃん、スーツを着たよっちゃんを押し倒したいって衝動に駆られた。


私にはよっちゃんは、水着なんかより、ああいう格好の方がソソるの。
しっかりと肌を隠してクールにキメてるから却って、
そんな彼女を組み敷いて、その仮面を剥ぎ取りたくなる。


そうね、その時の私は、最近では一番大人っぽいと思ってるあの衣装かな。


84 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:08


『クレナイの季節』のドレスを着た私が、よっちゃんの上に覆い被さって、
キツく締めたネクタイを、敢えて片手で緩めてシュルッと抜く。

きちっとはめたボタンも、もちろん片手で外す。
その方が余裕があるのを見せつけられるから。

その間、私はよっちゃんから目を逸らさない。
自分だって結構強引なくせに、強引に迫られるのに弱いよっちゃんの方が、
きっとオドオドして目を逸らすはず。
それが更に私を焚きつけるから、わざとスローモーションで外していくの。


85 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:09


はだけたシャツから現れた透き通るような素肌は、希少な白磁。
しっとり滑らかで、なまめかしく唇に吸い付いてくる。

ほんのり色づいた実は、高級な葡萄。
口に含むと上品な味わいが広がって、その舌触りに恍惚となる。

でも、それよりももっと私をウットリさせるのは、
よっちゃんの口から漏れる、普段より少し高めの声。


86 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:10


誰もこんな声を聴いたことがないでしょ!?
この後のよっちゃんの嬌態なんて、想像もつかないでしょ!?
それを私は知ってるんだよ!!!

彼女が騒がれる度に叫んで回りたくなる。

それが叶わないなら、せめて、あのスーツのよっちゃんを抱ければいいのに。


でも、今日のよっちゃんのようにスマートには出来そうにない。
何かと突っ走りがちな私だから、嫉妬心も突っ走っちゃってドロドロになりそう。


87 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:10


スパイスは、入れ過ぎちゃうとすべてを台無しにしちゃう。

幸い、私が下手なスパイスを使う前に、よっちゃんがこんな風に上手に使ってくれるから、
今のトコ、私達の料理は美味しく仕上がっている。


でも、なんだか悔しい。
これじゃ私、料理関係は何もかもヘタみたいじゃん。

・・・みたいじゃなくて、そうなんだろうけど・・・


88 名前:スパイス 投稿日:2005/11/26(土) 20:11


覚えててよ、よっちゃん。

いつか、いつか絶対、
本当の料理も2人の関係の料理も、ベッドで相手を料理するのも、
あなたより上手くなってやるから!


梨華、ファイッ!





・・・・・でもとりあえず、今日は寝るわ・・・疲れたもん・・・





FIN
89 名前:きょんすけ 投稿日:2005/11/26(土) 21:28
つ、ついに・・・・・(´д`*)
ごちそうさまです。
90 名前:くろ 投稿日:2005/11/26(土) 22:42
同じくごちでした
もうおなかいっぱいだぁ
91 名前:前・NO19 投稿日:2005/11/27(日) 23:59
ドキドキ・・の更新ありがとうございました。
大人・な二人ですね〜 素敵ィ♪
(私なんかのレスに・・こちらこそ恐縮やら、照れるやらデス)
毎回、素敵なお話を読めて本当に嬉しいんです。
更新、楽しみにしてますね。
92 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 04:57
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
93 名前:そーせき 投稿日:2006/03/02(木) 21:53
> きょんすけさま

ありがとうございます。
ついに、と言っていただけるほどのものじゃないことは承知しておりますが、
これがそーせきの限界ということで、どうかご容赦を^_^;

> くろさま

おそまつさまでしたm(__)m
あとはご想像で脳内をいっぱいにしていただくということで・・・^_^;

> 前・NO19さま

いつも心温まるレスをありがとうございます。
いしよしの魅力は、大人っぽくて子供っぽいところ、
ガキっぽくてエロイところ、と思っております。
これからもお楽しみいただければ幸いです。
・・・って、新作はいしよしではないのですが^_^;
94 名前:そーせき 投稿日:2006/03/02(木) 21:55


当スレッド開設時の「頑固一徹いしよし」の公約を破ってしまいますが、
私が村田さんを好きになって初めて迎える彼女のご生誕日を記念して、
イブの本日、前祝いに、初村柴小説を上げさせていただきます。

95 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 21:56


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「むらっち」
「はい?」

相槌を返す「はい」。

「明日、泊まりに行っていい?」
「はい?」

ビックリして訊き返す「はい」。
文字だと同じ「はい」なんだけど、耳に入ってくる音(おん)は全然違う。
イントネーションって大事よね・・・って、そんなことはどうでもいいんだけど。

「ど、どうして?」

なんでそんなにビックリするかな?

「あたし、むらっちんちには、まだ泊まりに行ったことがないから」
「だ、だからって、なんで、いきなり明日なんです?」
「あさって二人ともオフじゃん」

むらっち、まばたきの回数が異常に多くなってない?


96 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 21:57

「ウチにはお客さん用の布団がないんですけど?」
「むらっちと一緒のベッドでいいよ」
「!!!・・・ ウチのベッドはシングルですよ?」
「平気でしょ。むらっち、細いし」

うん、やっぱり、まばたき、多いよ。

「・・・村田は寝相が悪いんで、あゆみちゃんを蹴るかも知れないですよ?」
「そしたら私も蹴り返すから大丈夫」

冗談のつもりだろうから笑って返したけど、むらっちが浮かべたのは苦笑で。
あたしの笑顔も引っ込む。
97 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 21:58

「ねぇ、なんでそんなに嫌がるの? ひとみんだってマサオくんだって泊めたんでしょ?」
「えぇ、まぁ・・・」
「あたしのことは泊めたくないの? むらっち、あたしのこと嫌いなの?」
「そんなわけないでしょ! ただ、ひとみんやマサオくんならともかく、
 あゆみちゃんをベッドから蹴り落としたりしたら、申し訳ないなって・・・」

俯いてボソボソと弁解するむらっち。
それを聞いて、あたしに笑顔が戻る。
ま、元々嫌われてるなんて思ってなかったけど。

「ひとみんたちはともかくって、むらっちヒドイ」

むらっちも思わず吹き出して空気が和んだところで、もう1度言ってみる。

「で、明日、泊まりに行っていい?」
「いいですよ」

98 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 21:59


笑顔でOKしてくれたから気づかなかったんだ。


あの時のむらっちが、どんな気持ちで承諾したのかなんて。


99 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 21:59


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


スタジオから2人でむらっちの家に帰ってくる。

あーもう! 外出着兼変装衣装なんてさっさと脱ぎたい!

「落ち着かないから着替えていい?」
「どうぞ。何か貸しましょうか?」
「いい。ジャージ持ってきたから」

フットサルがあるから、ジャージを持って歩くのも面倒じゃなくなったんだよね。

100 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:01

「ちょっと待って!」
「なに!?」

いきなりむらっちが大声を上げるから、
スカートを降ろしかけたところで止まってしまう。

「ここで着替えるの!?」
「え、なんで? だめなの?」
「脱衣場で着替えてよ」
「いいじゃん、むらっちしかいないんだし」
「窓の外から見えるかも知れないから、とにかく脱衣場に行って!」

カーテン、開いてないんだけどな。ま、いっか。
でもなんでむらっち、あたしの方を見て喋らなかったのかな?
101 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:02

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


テーブルに向かい合わせに座ってご飯を食べた後、
ソファには隣り合って座って、紅茶を飲みながらTVを観てるんだけど・・・

むらっちとあたしの間、すごく空いてない?
むらっちって・・・なんて言うんだっけ?
えーと・・・快適距離? パーソナルスペース?・・・が広いのかな?

あたしは、むらっちの隣なら、この遠さが逆にあんまり快適じゃないんで、
少しむらっちの方ににじりよる。
と、むらっちの体にキンチョーが走ったみたいに感じて。

・・・なんだろ? よそよそしい、とまでは言わないけど、どこか変。
しかも、無理に会話を弾ませようとするもんだから、更に居心地が悪い。

102 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:03


「シャワー、先に借りていい?」
「どうぞ」

雰囲気を変えたくて、シャワーを浴びに行ったっていうのに、
あたしが戻ってきたら、むらっちは更に挙動不審になって。

目を泳がせたまま、逃げるように自分もシャワーを浴びに行った。

103 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:04

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「・・・・・」
「なんです?」
「いやぁ、濡れ髪のむらっちってステキだなーって」
「!!!」

あ、フリーズした。なんで? 照れてる?

「髪がすごくきれいだしさ、乾かしてる仕種が、すごく色っぽい」
「・・・・・」

104 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:05

ドライヤーを使ってるむらっちに見入っていたあたし。

そう言えば、どこかのバカップルの片割れが、
「ドライヤーを使ってる姿って、すっげー色っぽい」って言ってた。

うん、わかるわかる。そうだね!
で、思ったことをそのまま口にしただけ。

悪口じゃないよね? 絶対褒めてるよね?

なのに、むらっちったら、泣きそうな顔に見えるんだけど?

105 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:06

「・・・もう、寝ましょうか・・・」

コトリとドライヤーを置くと、振り向いて呟くようにむらっちが言う。

今日はちょっと元気ないみたいだから、
あたしがいつも寝る時間よりは早いけど、素直に「そうだね」と従う。

それにしても、なんでそんな、罰ゲームに向かう梨華ちゃんみたいな顔なの?

106 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:07

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「・・・あ、あの・・・あゆみちゃん・・・?」
「なに?」
「・・・も少し・・離れた方が・・よくないですか?」
「なんで?」
「・・・窮屈じゃない・・ですか?」
「そんなことないよ。それに、これ以上離れたら落ちちゃうよ」
「・・・そう・・ですか・・・」

「気持ちいいなぁ」
「は?」
「むらっちの匂いがするじゃん? むらっちに包まれてるってかんじで気持ちいいよ」
「・・・・・」
「すごく良く眠れそうだよ」
「・・・それは・・・良かったです・・・」

あたしはそのまますぐ寝入って、すっごい熟睡できて、
とってもすがすがしく目覚めたんだけど、
むらっちは、徹夜明けみたいにボロボロで。

この時には、それがなんでなのか分かんなかったんだけど・・・。

107 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:08


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「お疲れぇ」
「お先に」

ひとみんとマサオくんが帰って、むらっちと2人になった楽屋。
コートを着ようとしているむらっちに声をかける。

「ねぇ、むらっち」
「はい?」

柔らかい笑顔で振り向くむらっち。

「あたしんとこに泊まりに来ない?」
「・・・・・」

なのに、いきなり片袖を通した状態でフリーズする。
前もこんなこと、なかったっけ?
108 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:10

ちょっと目を伏せて、でも、すぐ顔を上げて、もう一方の袖を通しながらサラっと答える。

「今日は無理ですよ」
「なんで?」
「泊まる用意をしてないですから」
「そんなの、なんでも貸すって」
「また今度ね。じゃ、おつ・・・」
「待って!」

バッグを引っ掴んで、話を打ち切るように帰ろうとするむらっちの腕を、
慌てて掴んで引き止める。

「ねぇ、前から思ってたんだけど、むらっち、あたしを避けてない?」
「避けてなんかないですよ。今日もいっぱい話だってしたでしょ?」
「うん、仕事場では普通だけど、家に絶対来ようとしないよね。
 あたし、ここ1ヶ月、誘ってもずっと断られてるよ?」
「・・・・・」
「その前に、あたしが泊まりに行く時も嫌がったよね? ねぇ、なんで?」
「・・・・・」

あたしから顔を背けたけど、困りきった顔になってるのは分かる。
109 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:11

「もしかしてさ、やっぱりほんとは、あたしのこと嫌いなの?」
「そんなわけないって言ったじゃないですか」

ずっとずっと誘ってもかわされてきて、
今また、のらりくらりとかわそうとするのにカチンときた。

「ねぇ、はっきり言ってよ。その方がスッキリするよ!」
「だから、嫌ってないですって」

不機嫌がむらっちにも伝染する。

「子供じゃないんだから、嫌われてたって仕事には影響させないよっ!」
「違うって言ってるでしょ!」

掴んでいたあたしの腕を振り払って、こっちに向き直る。
・・・美人って、怒るともっともっと、氷みたいに綺麗になるんだ・・・

ドキドキしてるのは、声を荒げられたことになのかな?
それともむらっちの美しさになのかな・・・?

110 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:16


「・・・・・」

「・・・・・」

しばらく無言で見詰め合った後、視線を落として大きくため息をつくと、
諦めた口調でむらっちが言った。

「・・・我慢できなくなりそうなんですよ・・・」
「なにが?」
「だから・・・あゆみちゃんちもシングルベッドでしょ?」
「うん」
「泊まりに行ったら、ベッドで一緒に寝るんでしょ?」
「そうだね。そのつもりだよ」

はぁ、ともう1回大きなため息をつく。

「・・・この間もね、ほんとにヤバかったんですよ・・・」
「なにが?」
「・・・・・」
「ねぇ、なにが?」
「・・・ホントに分からないの?」
「うん」
「・・・・・」

その目が、なんで分からないの!? と言ってるのは分かるんだけど、
肝腎なことは分かっていないらしいあたしの顔を、むらっちが黙って見つめる。

111 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:17


これで何回目なのかな?
ため息をついて天を仰いだ後、
しっかりあたしの目を見て、半ばヤケのように言い放つ。

「だから、抱きたくて仕方なかったってことですよ」
「!!!!」

リスが豆鉄砲、じゃないや、鳩が豆鉄砲くらったような目になったあたしを見て、
むらっちがまたため息をつく。

112 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:18


「・・・・・」

「・・・・・」


また無言になる。

113 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:19



頭の中でグルグル考えていたあたしは、全然そんな風に感じてなかったんだけど、
「あの間(ま)は相当キツかった」って、後からむらっちに文句を言われたっけ。


114 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:20


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「・・・ということで、帰るね。おつか・・・」
「待って!」

もう、勘弁して。
再び腕を掴んだあたしに振り向いたむらっちの眼鏡越しの目がそう言ってる。

「・・・抱きたいってそういう意味だよね?」
「・・・まあね・・・」

少し躊躇った後、ため息と一緒に肯定を吐き出す。

「むらっち、あたしのこと好きなの?」
「好きだったんですよ、ずっとね」
「いつから?」
「そんなの、分かりませんよ。製造年月日みたいにはっきりしてるものじゃないでしょう?」
「でも、この間泊まりに行きたいって言った時に断ろうとしたってことは、
 その時にははっきりしてたってことだよね?」
「とっくにね」

えへへ。
あたしが頬を緩ませたのをむらっちが訝しげに見たから、慌てて言葉を繋ぐ。
115 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:21

「あのね、さっきね、想像してみたの」
「何をです?」
「ベッドでむらっちが、あたしを抱こうとしているところ」

むらっちが決まり悪そうに目を逸らす。

「そしたらね、あ、嬉しい、って思ったの」
「はい!?」

むらっちにあるまじきイントネーションの声を出して、
むらっちにあるまじき素早さで視線を戻す。

「して欲しい、って思ったの」
「!!!!!」
116 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:23

「・・・・・」

綺麗な目を見開いたまま、微動だにせずにあたしを見つめるむらっち。


「・・・あゆみちゃん、村田のこと、好き・・なんですか?」
「知らなかったけど、そうみたい」

開いた口が塞がらないって顔。口、開いてないけど。

「・・・・誰にでもOKとか・・・」
「失礼なこと言わないでよ」
「マサオくんで想像したらどうです?」
「んー・・・イヤー!って突き飛ばしたりはしないけど、ちょっとタンマ! ごめん!ってカンジかな」
「ひとみんは?」
「あー・・・ひとみんのそーゆー色っぽいシーンは想像できない」
「何てコトを言うんですか。仮にも我がグループのセクシー担当に」
「へへっ!」

むらっちの顔に微笑みが戻って、嬉しくなってくる。

「・・・梨華ちゃんとか?」
「論外! あの子と付き合えるのってよっすぃ〜だけだよ」
「失礼ですねー!」

屈託なく笑ったむらっちの顔を見て、すごく幸せな気分になる。
これって「好き」ってこと、じゃない?
117 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:24

「・・・てかさ」

掴んでいた腕を離し、むらっちの首に両手を回す。
笑顔が消えて、期待と不安が入り混じった優しい目があたしを見つめ返す。

「仮定の話はいいよ」
「・・・・・」

ほんの少し、瞳の不安の度合いが強くなる。

「そんなことより、今あたし、むらっちにキスがしたい」
「!!!」
「そっちの方が大事じゃない?」
「・・・・・」

瞳に一瞬浮かんだ驚きの色は、でもすぐに幸せの色に変化して。
118 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:26

ドサッ!
むらっちが持っていたバッグが床に落ちる音がする。

あたしの腰にむらっちの細い両腕が回ってきたのを感じて、
あたしの方から顔を近づける。





・・・かすかに触れただけの、でも、あたしたちが友達じゃなくなった証のキス。

119 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:27

「で、泊まりにくる?」
「もちろん」

もう一度訊くと、ニヤっと笑って即答するむらっち。
なんか、笑顔がヤらしくない?



今度は、どちらからともなく顔が近づく。









・・・むらっちって、けっこう情熱的なキスをする人だったんだ・・・


120 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:29


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・むらっち、眠いの?」
「あー、眠いですねぇ・・・」

「恋人と1つベッドにいて、寝るつもり?」
「んー・・あゆみちゃんの匂いに包まれてぇ・・気持ち良くてぇ・・眠くなってきましたぁ・・」
「あたしは眠くないんだけど?」
「・・・・・・・・・・」

「ちょっ・・しがみつかないでよ!」
「・・・にぇ・・あゆみちゃん・・・」
「えっ、ちょっと! ほんとに寝ちゃうの?!」

121 名前:シングルベッド 投稿日:2006/03/02(木) 22:30


・・・寝息が聞こえてきたよ・・・


そんな、リラックマみたいな安らいだ寝顔しないでくれる?
あたしはちっとも安らげないよ!




てか、眠れるわけないじゃんよぉ!!!!








FIN


122 名前:くろ 投稿日:2006/03/03(金) 12:55
初の村柴小説お疲れ様でした。そーせきさんのおかげで、村柴にハマりつつある私にとっても、嬉しい作品となりました。
あと、さりげない小ネタにも笑わせてもらいました。
123 名前:名無し家こん平 投稿日:2006/04/03(月) 00:56
可愛らしいお話を有難うございます。
また、村柴を書いて下さいね。
124 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/03(月) 21:21
>123
それはいいけどageないように。
125 名前:名無し家こん平 投稿日:2006/04/05(水) 16:59
すいません。大変失礼しました。
126 名前:そーせき 投稿日:2006/04/12(水) 17:17
> くろさま 
いつもご愛読ありがとうございます。
極めて独断的に、村柴はもっともっと愛されるべきCPだと思っているので、
気に入っていただけて、書いた甲斐がありました。

> 名無し家こん平さま
「れっきとした大人の、恋愛初心者みたいな微笑ましい関係」が私の村柴設定なので、
「可愛い」というお言葉は、とてもとても嬉しかったです。
また書きましたら、読んでやって下さいね。

127 名前:そーせき 投稿日:2006/04/12(水) 17:18


今回更新いたしますのは、
「割と初期から、心身ともに成熟した(し過ぎた?^_^;)大人の関係」
と私が設定している、いしよしの新作です。

当スレの35〜44までの「いっつも一緒が嬉しい」の吉澤さん視点です。
と言っても、同じ時間の別視点ではなく、その後の話を経て現在に至っている設定で、
同じテーマについて吉澤さんが語っています。

よろしければ、35〜88までに目を通していただいた後、
本日更新分をご覧いただければ、幸いです。
128 名前:一本の木 投稿日:2006/04/12(水) 17:18

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「さっびー!!!」

梨華ちゃんの部屋に入った途端、
部屋の暖かさと空気の優しさと馴染んだ香りに気が緩んで、
4月の言葉とも思えない叫び声が出る。

「そんな薄着してるからだよ」

ウチが鍵を回す音が聞こえて、雑誌を閉じてリビングから移動したんだろう。
キッチンの梨華ちゃんが、ヤカンに水を入れながら呆れ声で返す。

「だってさ、もう春だよ? モコモコ着こめないじゃん」

靴を脱ぎながら反論する。

「だめだよ、この時期は気をつけないと。花冷えって言うでしょ?」
「鼻冷え〜」
「キャッ!!」

ケーキの箱をテーブルに置いた後、背後から抱きしめて、
オヤジギャグを言いながら冷たい鼻をうなじに押し付けると、思った通りの嬌声。

「もう!! 危ないでしょ!?」
「だって、さびーんだもん」
「すぐ、あったかいミルクティ作ってあげるから!」

「ミルクティーより、梨華ちゃんにあっためて欲しい」
「・・・もう、よっすぃ〜はそんなことばっかり言うんだから・・・」
「そんなことって、どんなことぉ? ウチは、こうやって梨華ちゃんに抱きつかせてもらって、
 あっためてもらおうって思っただけなんだけどぉ?」
「!!!」

梨華ちゃんの「しまった!」って心の声、よしざー、確かに聞こえました!
129 名前:一本の木 投稿日:2006/04/12(水) 17:21
「ねぇねぇ、ナニを想像したのぉ? もしかしてもしかしてさぁ、えっちなことぉ?」

ウチがわざとからかってるってのはわかってるんだろうけど、
咄嗟のことで反論がすぐに浮かばないらしい。
梨華ちゃんは、やたら喋る割に、突っ込みは下手だもんな。
美勇伝には突っ込みがいないんだもんな。

普段自分がウチのことを「エロおやじ」って言ってる手前、己の失言に戸惑っているのか、
いつもの「もう! 邪魔だからあっち言ってなさい!」ってセリフまで飛んじゃってるらしい。

そんなとこが愛しくて、余計に意地悪したくなって、まだ冷たい鼻を首筋に這わせる。

「・・んっ・・・」

いいねーいいねー、期待通りに動いてくれるじゃないですか!
嬉しくなって勢いがついて、今度は唇で首筋を辿ったあと、耳に噛み付く。

「あんっ・・!」

梨華ちゃんが漏らす吐息は、高純度の酸素。
ウチの中でいつもくすぶっている種火を簡単に情火へと変えてしまう。

気が付けば、腰に回していたウチの手は、もうちょっと上の盛り上がったトコを這っていて。

130 名前:一本の木 投稿日:2006/04/12(水) 17:21

・・・あ、マジ、ダメ。

こういうの、なんて言うんだっけ?
「毒を食らわば皿まで」?・・・違うな。
「ミイラ取りがミイラ」?「嘘から出たまこと」?

ま、なんでもいいや。


勝手にコンロを消して、「ちょ、ちょっとぉ!」という抗議の声は無視して、
“カッチョごっこ”をやったところへ、梨華ちゃんを引っ張っていく。

131 名前:一本の木 投稿日:2006/04/12(水) 17:22

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆


極楽、極楽♪ いやぁあったまった! 服着てないのに暑いくらい。
腕の中のエロいカイロの性能と感度に感謝だね!

略してエロイカ? エロリカ? そりゃカイロじゃない時でもそうだな。
エロカ?・・・は三好ちゃんか、
てなことを考えていたら、カイロが文句を言う。

「・・・ただ抱きついてあったまるんじゃございませんでしたこと?」
「人の気持ちは変わるものですねぇ」
「・・・何言ってんのよ・・・」

ほんと、よっすぃ〜は気まぐれなんだから、なんて、不服そうな声。
本気で怒ってるんじゃないのは分かってるけど、ここはやっぱなだめるトコでしょうね。

「梨華ちゃんを好きだって気持ちは、ずっと変わってないけどね・・・」

必殺耳元アルト声に、自分でもこっぱずかしい言葉。
でも、効果あるんだよね。

やっぱウチって口説き上手? なんて思うけど、
今、その言葉を聞いて、テキメン体温が上がった梨華ちゃんも、相当な口説かれ上手だよね。
その素直な反応に、こちとらハマっちまってるんだから。

きっと、踊らされてるのはウチの方。腰振らされてるのは梨華の方、
・・・なんつって。

132 名前:一本の木 投稿日:2006/04/12(水) 17:23


「あったまったしさ、ノド渇いた。紅茶飲みたい」
「もう! そもそも準備してたのを中断したのはよっすぃ〜でしょ!?」

なんてブツブツ言いながらも、願いを叶えてくれようとする彼女が愛しい。

起き上がって剥き出しになった背中からワザと目を逸らして、自分の服に手を伸ばす。
背骨のくぼみとか腰のラインとか見ちゃうと、ついそっちに手が伸びて、
元の木阿弥で、エンドレスナイトになっちまう。

・・・いやまぁ、そういう時もあるんだけど、今は喉が渇いたんだよ!
って、ダレに言い訳してんだろ?

133 名前:一本の木 投稿日:2006/04/12(水) 17:24


「今日は何観る?」

ケーキの箱をガサゴソ開けているウチに、紅茶を運んで来た梨華ちゃんが訊く。

「んー、そうだなぁ・・・」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



休日は大体いつもこう。
梨華ちゃんちにウチが買ってきたケーキを持ってきて、
梨華ちゃんが淹れてくれた紅茶を飲みながら、TVやDVDを観る。

なんでいつも梨華ちゃんちかって言うと、たまにはウチでも来てあげないと、
この家は収拾のつかないことになるから。

梨華ちゃんちの洗濯物を畳むのはウチの担当みたいになってる。
「やらなくていい」って梨華ちゃんは言うけど、別にやってあげてるわけじゃないの!
ウチがこのやりっぱなしがイヤなの!

134 名前:一本の木 投稿日:2006/04/12(水) 17:25


以前の梨華ちゃんは、もっとデートらしいデートをしたがった。
流行の映画を見て、人気の行列グルメに並んで、みたいな。
番組で食べられる日が来るなんて思ってなかったからさ。

でもアイドルで、しかも噂になったことがあるウチらがそんなとこに行けるワケがない。
それにぶっちゃけ、ウチはあんまりそういうとこに行きたいとも思わなくて。

外出するのが嫌いなわけじゃないけど、ウチが行きたいのはバッティングセンターとか大井競馬場。
梨華ちゃんはきっとそういうとこには行きたくないっしょ?

そんなこと言ったら喧嘩になりそうだから、「仕方ないよ」としか言わなかったウチに、
梨華ちゃんはずっと、少し不満そうだった。


そんな不満を微塵も感じなくなったのは、多分あの時から。

そう、梨華ちゃんが、卒業ツアー中にインフルエンザで倒れた、あの時から。

135 名前:そーせき 投稿日:2006/04/12(水) 17:26


本日の更新はここまでです。

私自身が非常にせっかちで、待つのが苦手なので、
自分の小説も完結させてから上げるようにしておりましたが、
脱稿を待っておりましたら、128の季語が似合う時期を逸してしまいそうでしたので、
吉澤さんのお誕生日なのを大義名分に、
本日、出来上がってる途中までを掲載させていただきました。

少々空気の変わるこの続きは、早晩・・・
136 名前:コウハク 投稿日:2006/04/13(木) 05:24
お待ちしております
137 名前:くろ 投稿日:2006/04/13(木) 19:21
次!次!
138 名前:きょんすけ 投稿日:2006/04/13(木) 22:45
つづきがよみたいれす

…w
139 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/14(金) 22:46
あの時から何が起こったんだぁぁぁぁぁぁ!!

気になって夜も眠れませんw
140 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/15(土) 09:06
きっ、気になる・・・。
141 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2006/05/15(月) 16:42
そーせきさんのいしよし
バカップルだけど切なくて凄くいい雰囲気でいいですね
一本の木続きを期待してます
ttp://hellogirls.myphotos.cc/files/data/hellogirls7033.jpg
142 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/04(月) 00:10
続きまってます。。
143 名前:そーせき 投稿日:2006/11/19(日) 17:48
> コウハクさま

お待たせしておりまして、すみません。

> くろさま

( ^▽^)つ <「ホイ!」とすぐに次をお出しできなくてごめんなさい。

> きょんすけさま

私も続きを早くお見せしたいと思っていたのれすが・・・^^;

> 139:名無飼育さま

今はもう、おやすみになっていることと思いますが、
そんな大したことは起こってないんで、
少しの間でも、睡眠を妨げてしまいましたことを、お詫び申し上げます。

> 140:名無飼育さま

気にしてくださってありがとうございます。

> 141:名無し募集中さま

うちのいしよしを誉めていただきありがとうございます。
この写真、なんだか素の2人が微笑ましくて、私も好きです。

> 142:名無飼育さま

大変大変お待たせました。
144 名前:そーせき 投稿日:2006/11/19(日) 17:49

たくさんのレス、本当にありがとうございます。

超短編スレでありながら、完結までに大変時間がかかってしまったことを、深くお詫び申し上げます。

それでは、「一本の木」の後編を更新させていただきます。
145 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 17:51
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


仕事に対する姿勢が誰よりも真摯な梨華ちゃんだから、きっとインフルエンザの辛さよりも、
自分の体調管理がおざなりだったせいで仕事に穴を開けたことを嘆いていただろう。
でもウチは正直、そんなことは二の次で。

感染しないようにメンバーは見舞いを禁じられてて。
それは当然のことだと思うけど、会いたくて仕方ないのも当然じゃん?
恋人が病気の時に心配で会いたくなるのに、芸能人だとかツアー中だとか関係ないから。

ただのインフルエンザだって、すぐに復帰できるって、頭ではわかっているのに、
心の中の漠然とした不安が消えなくて。
146 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 17:52

だってこんな時代、明日はどうなるか誰にも予想できない。
ある日から世界が一変することだってあるんだから。


1月17日や9月11日に人生が変わった人がたくさんいるはず。

現にウチの考え方だって一変したんだから、あの日・・・

147 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 17:53
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆


わからなかったんだ、本当に。
頑丈にできた室内にいると、大した揺れだとは感じなくって。
よっぽど小ホールでのライブ中にお客さんが起こす揺れの方が大きいくらいで。

後からなにを言っても言い訳にしかならないけれど、
あんな大地震だったなんて知ってたら、もちろんあんなこと言わなかった。


マスコミに叩かれたのは仕方ないと思った。
言った事実も大地震だった現実も変わらないから。

でも、庇ってくれたファンの人もいっぱいいて、それがとても有難くって。

だから、この時にショックだったのは、批判されたことじゃなくて、
「一寸先は闇」って本当なんだって思い知らされたこと。
148 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 17:56

自分の体は自己管理の範疇だけど、それすら気をつけていても崩す時は崩す。

自分は元気でも、家族になにかあったら昨日と同じではいられない。

自分も家族も元気でも、昨日と同じ公演ができるのは、スタッフさんが元気だからこそ。

ウチら興行側が元気でも、本番にお客さんが倒れたり、ステージでボヤが起こったりしたら、
やっぱり昨日と同じ公演はできない。

そして・・・きっとこれが一番、多くの人に大きな影響を与えるんだろう。
人間や機材に何も問題がなくても、天災はいつ起こるかわからない。

149 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 17:58

何万もの人の中からあたしとよっすぃ〜がモーニングに選ばれたのって奇跡だよね。
しかもそのあたしたちが付き合えるようになったのはもっと奇跡だよ。

梨華ちゃんはこれまで何度も、あのキラキラした瞳でそう言ってた。

それはもちろんその通りだと思うんだけど、昨日と同じ1日を過ごせるのは、
実はものすごい幸運の積み重ねで、奇跡に近いものがあるんじゃないかなって思ったんだ。
150 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:00

地震の後初めて梨華ちゃんちに行った時、
いつものように合鍵で入っていくと、いつものように梨華ちゃんはキッチンにいて、
いつものように後ろから抱きつくと、いつものように「もう!」って言われて、
思わず涙が出そうになった。

やっぱりどこにも出かけたりなんかしなくてもいい。
梨華ちゃんちで紅茶とケーキとDVD、いつもと同じ時間を過ごせるだけで最高だよ・・・

そんなこと、口にはしなかったし、涙もこらえたけど。

だって、ウチが泣いたら梨華ちゃんも泣いちゃうじゃん?
ウチのせいで梨華ちゃんを泣かしたりなんかしたくないじゃん?
151 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:01

でも、梨華ちゃんがウチの前で泣くのは嬉しいんだ。
卒業コンサートですら泣かないで気丈に振る舞うような人だから。


だから、あの時もすごく嬉しかった。

インフルエンザが治ってから初めて梨華ちゃんちに行った日。

いつものように抱きついたら、いつもの「もう! あっち行ってて!」じゃなくて、
いきなり梨華ちゃんが泣き出した日。

152 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:05

「どうしたんだよ!?」

びっくりして尋ねると、しゃくりあげながら梨華ちゃんは言った。

「嬉しかったの。こんなに幸せなことだなんて、今まで、思ったことなかった。
 あなたがここにいてくれて、ただあなたと一緒にいられることが、こんなに素敵なことだなんて。
 ・・・ごめんね、今まで考えたことなかったの・・・」


言葉が出なかった。

ウチを想ってくれてることが愛しかった。

一緒にデートスポットに行けないことに不満を漏らしたこともある梨華ちゃんが、
そんな風に感じてくれるようになったことが嬉しかった。
153 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:07

これって伝える必要はないことだと思う。
でも、だから黙ってたってわけじゃないんだ。

なんだかすごく切なくなって、ウチもちょっと泣きそうでさ。


あの2匹のことを思い出しながら、ただ梨華ちゃんを抱きしめることしかできなかったんだ・・・
154 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:11

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「うわっ!」

キキーッ!!


地震の後、少し疲れて里帰りした日。

ボーっと懐かしい風景を眺めていたら耳に飛び込んできた、
タクシーの運転手さんの叫び声と急ブレーキの音。


「どうしたんですか?」
「いや、犬が」

外を見ると、2車線の道路の丁度カーブのところに、茶色の犬と白色の犬。

茶色の犬は横たわっていて、白色の犬はその隣に座り込んでいた。


タクシーがゆっくりと犬を避けて通り過ぎる間、その2匹から目が離せなかった。

車の中からは怪我とかは見えなかったけれど、
こんなところに横たわっているということは、あの茶色の犬はきっと・・・

白色の犬は、きっと恋人か家族なんだろう。
155 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:13

ウチはドリトル先生じゃないから、犬の言葉はわからない。
でも、白色の犬が泣いているんだろうってことはわかる。
涙は必ずしも目に見えるわけじゃない。
それはきっと、人間も犬も一緒だろう。


白色と茶色の犬のペア・・・
白と茶・・・

思わずウチと梨華ちゃんを思い出した、って言ったら、梨華ちゃん、怒るかも知れない。

でも、ごめんね。思い出しちゃったんだ。

・・・で・・・すっげぇ悲しかったんだ。
156 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:14

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


地上に降りてきた神様が怪我をした。
通りかかった老夫婦が神様を助けて。
感謝した神様が言った。

「お礼に願い事を何でも叶えよう」


老夫婦は少し考えて答えた。

「私達は今まで仲良く幸せに暮らしてきました。最後は一緒に天に召していただきたいです」

神様は願いを叶えることを約束して天へ戻っていく。
157 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:16

しばらく時が流れて。

老夫婦は「その時」が来たのを悟る。

二人は寄り添って微笑んで見詰め合う。

二人の生の炎が消え行くにつれて、彼らの体は木に変わっていく。





二人が天に召された時、そこには1本の木が立っていた。
158 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:18

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ちょっと前に絵本だったかで読んだ、昔話? 神話? 寓話?・・・か何か。


何もかもが見えないウチらの未来。
見えているのは、結局、いつかは死ぬってことだけかも知れない。

そのたった一つのはっきりした未来を、愛する人と共有して、
この世界から別の世界へ一緒に旅立つ。

こんな幸せなことってない、それを読んだ時に思った。


・・・これが一番の奇跡だってわかっているけれど。
159 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:22

奇跡は、なかなか起きないからこそ奇跡。

でも、このまま梨華ちゃんと仲良く幸せに過ごしてって、
毎日頑張って仕事して、もしかしてそんなウチらに救われたって人がいてくれたなら、
神様が最後には2人を1本の木にしてくれるかも知れない。


だって、奇跡で選ばれて奇跡で付き合えてるウチらでしょ?
最期にもいっちょいきまっしょい! で、奇跡を起こしてもよくね?


・・・そんな途方もないことを考えて、あの時梨華ちゃんを抱きしめてたんだ、って言ったら、
梨華ちゃん、どう思うかな?

同意、してくれるかな?
160 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:26

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆


「ねぇ、何観るのよ?」


ケーキを取り出した後、TVまで這って行って、
横のDVDラックを見据えたままタイムスリップしてたウチは、
背中から聞こえた梨華ちゃんの色っぽいじれったい声に我に返って、
咄嗟にそこにあったシングルVを手に取る。

「これにしよ!」
「『クレナイの季節』?・・・久しぶりじゃん。なんで?」

ほんとは理由なんてないんだけど、考える前に口が動く。

「前から思ってたんだけどさ、この衣装ってさ、下着のラインが見えるよね」
「は!? 見えないわよ!」
「見えるって、絶対」
「勝手に想像しないで! 見えるワケないでしょ!」
「ワケないって・・・え! じゃぁノーパンなの!? ウワォー!!!」
「バカ言ってないの! ちょっと落ち着きなさいよ! もう! ほんとエロオヤジなんだから!」
161 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:29

・・・良かった。空気、変わった。
シリアスこいてたの、バレなかったみたい。

梨華ちゃんに背を向けて、静かに安堵の息を吐きながらDVDをデッキにセットする。


ソファーに戻って、フォークをモンブランにグサっと刺す。

・・・なんか、視線感じるなぁ。

もしかして、まだ呆れてる?
162 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:31

気づかない振りも限界に来て、何気ない風を装って振り向く。

「ん?」
「でも、好きよ」
「!!!!!・・・あぁ」

なんなの、いきなり。

思わず目を逸らして、ぶっきらぼうに相槌を打つ。

何回も言われてる言葉なんだけど、なんで慣れないんだろ?
いまだに恥ずいウチって、学習能力ないのかな?
163 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:33

自覚してる?

ウチに「好き」って言う時の瞳、
潤んでてさ、誘われてるみたいでドキドキするんだよ?

さっきシたばっかっしょ?
・・・って、そういうことじゃなくて!


まだ視線を感じるから、顔を無理やり戻す。


魅入らせてるつもりが、魅入らされて。


梨華ちゃんは、ウチを見てる時の顔が一番かわいいよな。


・・・なーんてね。
164 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:34





誘ってる瞳に、そっと唇で応える。


・・・あったかいね、梨華ちゃんの唇も、この時間も。

165 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:41

☆☆☆☆☆


「♪マッタリ・マッタリ・キスしてGATO!」
「また出たよ、変な替え歌」

呆れ声で返す。

「ケーキ食べよ!」

・・・無視かよ。・・・にゃろぉ。

「白玉一個もーらい!」
「あっ、ダメーッ!」
166 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:43


ねぇ、梨華ちゃん。

これからも、ずっとこーやって、
エロく、仲良くやってこーね。
167 名前:一本の木 投稿日:2006/11/19(日) 18:43



END



168 名前:そーせき 投稿日:2006/11/19(日) 18:53

文中の寓話? は、実際にそーせきがどこかで読んだものです。
出典がどうしても思い出せないのですが。

また、2匹の犬のエピソードも、そーせきの実体験です。

更に、最後の2人の『クレナイの季節』のエロトークも、
あるいしよし作家さんのサイトで、そーせきを含めて実際にした会話で、
サイトの管理人様、会話の関係者様に了承を得て使わせていただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。


つたない作品ではございますが、この小説は私の、いしよし小説の集大成のつもりでした。
拙作に込めた想いを、蛇足ながらブログにしたためましたので、よろしければ、ご覧になってください。
ttp://d.hatena.ne.jp/soseki1231/20061119
169 名前:くろ 投稿日:2006/11/20(月) 01:28
更新お疲れ様でした。
集大成にふさわしい、深くて重みのある内容でした。

「いしよしは奇跡」
170 名前:そーせき 投稿日:2006/12/31(日) 16:01
以降の更新の予定がありませんので、
次回の整理の折には、倉庫にお願いします。
長い間お世話になりました。

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