高橋さん絡みで徒然と

1 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/15(土) 23:48
同板で連載を書かせて頂きました、ハラポワです。
自分浮気屋なのでどんなCPも好きなわけですが、
このスレでは吉高・小高・亀高・藤高辺りを書いていきたいなと思います。
更新はかなり遅いと思いますが、楽しんで頂ければ幸いです。
2 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:49
いつもと少し違う雰囲気の楽屋。
なぜなら、今楽屋に居るのは私と愛ちゃんの二人だけだからだ。

「愛ちゃん何読んでるの?」
「これですか?これはドラキュアの話です。」
「ど、ドラキュア?」
「はい。ドラキュアです。」
「また難しそうなの読んでんね。」
「面白いですよ。」
「じゃあまた読み終わったら貸してもらっても良い?」
「どうぞどうぞ!ぜひ読んでみて下さいっ。」

そう言ったあとふたたび本に集中しはじめた。
3 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:50
愛ちゃんって本当集中力あるよなー。
でも、決して人を寄せ付けないようなオーラは出さない。
なんていうか、集中してるってことはよくわかるんだけど、話しかけづらいわけじゃない、みたいな。
だから私もさっきみたいに話しかけられるし、話しかけたら愛ちゃんは返事をしてくれる。
なんだろ。愛ちゃんって結構そういう部分多いと思うんだよね。
いつもは天然でバカみたいなこと言ったりやったりしてるけど、決して何も考えてないわけじゃない。
ダンスレッスンの時に後輩の面倒をよく見てるけど、決して自分の練習をおろそかにしてるわけじゃない。
空気が読めないってよく言われるけど、周りが見えてないわけじゃない。
上手く言えないけど、愛ちゃんのそういう部分には結構助けられてると思うんだよね、私は。
4 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:50
例えばこの前、雑誌の撮影かなんかがあった日。
私は疲労で少し体調を崩してたけど、リーダーの私が沈んでるわけにはいかないからって無理してた。
その時にガキさんや6期と喋ってた愛ちゃんが、静かに私の方に寄ってきてくれたんだっけ。

「大丈夫ですか?」
「え?何が?」
「吉澤さんが。」
「・・・私が?」
「だいぶ無理してるんじゃないですか?」
「あぁ〜・・まぁ、大丈夫だよ。」
「見てて大丈夫じゃないですって。あとは私が指示しときますから、休んでてください。」
「え、でも・・・。」
「いいからいいから!ちょっと横になるだけでもだいぶ楽になると思うんで。」
「うん・・ありがとう。」
「いえいえ。じゃあ出番きたら呼びにきますね!」

あの後だいぶ楽になった私は、なんとか撮影を乗り切ることが出来た。
私の代わりに動いてくれた愛ちゃんはだいぶ疲れてたみたいだけど、「お疲れ様です!ちゃんと家帰ったら休んでくださいよ!!」って、笑顔で言ってくれた。
5 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:51
そんな愛ちゃんの仕草や言葉に、私の疲労がだいぶ減らされてるってこと、愛ちゃんは知らないだろうな。
それに・・私が愛ちゃんに対して抱いてるこの気持ちも・・・愛ちゃんは知らないだろう。

「ねぇ、愛ちゃん。」
「・・はい?」

私が呼べば、愛ちゃんは本から目を離してこちらを見てくれる。
まぁ、これは愛ちゃんのクセみたいなものだけど。
話してる時に感じる熱い視線には、もうみんなヤられてるんじゃないだろうか。
そう思うと同時に、うかうかしてられないなとも思う。
愛ちゃんとこれ以上の関係になれなかったり、こうして見てるだけで居ることには耐えられる、と思う。
だけど、他の人が愛ちゃんとベタベタしてるのを見続けるのは、きっと耐えられない。
わがままだとは思う。
でも、好きになったらみんな似たようなことを思うだろう。
6 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:51
そう思った時、「じゃあ自分のものにしてしまえば良いじゃないか」ってすぐに思えるかどうかは、人それぞれだろうけど。

「吉澤さん?」
「・・!」
「どうしました?」
「あ、いや・・・みんな遅いね。」
「そうですねー。もう私が終わってから20分ぐらいたつんじゃないですか?」
「だねぇ。」

今日は新しい公式写真の撮影があった。
私が最初に終えて、その次に愛ちゃんが終わったんだけど、その後の人が帰ってこない。
別に先に終わった人から帰れば良い話なんだけれど、愛ちゃんが本を読んでるのを見て、私は帰るのをやめた。
この決断まで、特に考えることは無かった。心のどこかで、本能的に愛ちゃんを求めているんだろう。

「あの、さ・・・。」
「・・・?」
「ありがと。」
「へ?」

・・・ありがと?
いや、そりゃ愛ちゃんに感謝はしてるけど、いきなり「ありがと」って意味わかんねぇよ!
7 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:52

「いや、あの・・・っ、いつもお世話になってるからさ・・!」
「え、いや、いやいやいや!!そんなのこっちのセリフですよ!」
「いや、そんなこと無いって!」
「そんなことありますよぉ!」
「いやいやー。私の方が愛ちゃんにお世話になってるから!」
「なっ、私の方が吉澤さんにお世話になりっぱなしで・・・!」
「いやいやっ!!私の方が愛ちゃんのこと好きだろ!?」
「違いますよー!私の方が吉澤さんの・・こ・・・と・・っ・・・!!・・・・・・え?」
「・・・・・・ん?」

しばらく二人で目を合わせて、しばらく二人は動かなかった。

今、私なんて言った?

「今、吉澤さんなんて・・・?」
「ん、え、あの、いや・・・っ。」

今、好きって言ったよな!?好きって言ったよな、私!!

「な、ななななんでもない!なんでもないよ!!忘れて・・っ!!」
「・・・。」

愛ちゃんがビックリしすぎて言葉に詰まってるのを良いことに、「じゃあそろそろ帰るね!」と言って楽屋を後にした。
8 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:52

ドアを閉めて、とにかく気持ちを落ち着かせようと思い切り息を吐いた。

「あ、吉澤さん帰るんですかー?」
「うあおdwx;あfjshrえwれj:r!!!!」
「あ、す、すいません・・・。」
「あ、ううん。大丈夫大丈夫。何も、何も言ってないよ・・・何も言ってないよ私は・・・。」
「吉澤さん?大丈夫ですか??」
「・・・あの、いきなり声掛けられてビックリしただけだからっ。」

首を傾げる亀ちゃんに、「じゃあ、またね!」と言って、極力笑顔で手を振った後、私は一度も振り向かずにスタジオを飛び出して家路に着いた。
9 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:53



『今から電話しても良いですか?』


愛ちゃんからメールが届いたのは、夜になってからだった。
なんだろう。
迷惑だと言われてしまうんだろうか。
それとも全然関係無い話だろうか。
出来ればあのことは綺麗さっぱり無かったことにしてしまいたい。
電話は無理って言えば良いし、メールだって寝てて気付かなかったことにしてしまえば良い。
だけどそれが出来ないのは、相手が愛ちゃんだからなのかな。

『いいよ』

句読点もつけずに、たった3文字だけ。
愛ちゃんからのメールを受けた10分後に返事を返すことが出来た。
10 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:53

〜♪

すると1分もたたない内に携帯がなり始めた。
ディスプレイには「愛ちゃん」と表示されている。

「もしもし。」
『あ、もしもしっ。吉澤さんですか?』
「そうだよ。」

私以外に誰が出るっていうんだろう。
そう思ったけど、心の中でツッコんで、心の中で笑うだけにした。

『あの、あの時は忘れてって言われたんですけど・・・。』
「う、うん。」
『やっぱり忘れられなくて・・・今日、家帰ってから今までずーっと考えてたんです。』
「うん・・・。」
『だから、ですね。』
「・・・。」
『あの・・・。』
「・・・。」
『責任、とってくれますよね?』
「・・・へ?」
『今日はあの本読み終える予定だったんです。でも吉澤さんがあんなこと言うから・・・予定倒れしちゃいました。』
「・・ごめんなさい・・・。」

携帯を耳にあてたまま、私はその場で頭を下げた。
11 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:54
それにしても、こんなに攻めてくる愛ちゃんは初めてだ。
それぐらいあの本を今日読み終わりたかったんだろう。悪いことしたな・・・。
そもそも、私があんな微妙な告白の仕方しちゃったからいけないんだろうけど。

『・・さん?吉澤さん??』
「・・・っ、はい!はいはい?」
『さっき聞いてました?』
「・・・聞いてなかった。」
『・・じゃあ、もう一回言いますよ?』
「うん。ごめん、お願いします。」
『もう、あと一回しか言いませんからね・・・。』
「うん。わかった。」

私と愛ちゃんとの間に沈黙が流れる。
静かすぎて、私の胸のドキドキが耳にまで聞こえてきそうだった。
12 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:55

『あの・・・』
「・・・。」
『責任、とって・・くれるんですよね?』
「?・・うん、とるよ。」
『じゃあ、私と付き合って下さい。』
「うん、わか・・・・・・はい?」
『・・責任とって、私と付き合って下さい。』
「・・・・・・え、えぇ?え、ちょ・・・えぇ!?」
『も、もう言いませんからね!!』
「あの、それってつまり・・・」
『私、吉澤さんのことが好きなのかどうかわからないんです。』
「・・・うん。」
『だけど、吉澤さんが私を必要としてくれるのなら、私も吉澤さんのそばに居たい。』
「愛ちゃん・・・。」
『だから、私で良ければ付き合って下さい。』
「・・・うん・・。私も、いつまでも・・・ずーっと愛ちゃんのそばに居たいし、愛ちゃんも私のそばに居てほしい。」
『じゃあ、これからよろしくお願いします。』
「よろしくお願いします・・・。」
『なんか・・・照れますね。』
「そうだね。」

受話器越しに聞こえる笑い声を聞くだけで、愛ちゃんの嬉しいような恥ずかしいようなはにかんだ笑顔が頭に浮かぶ。
途端に、無性に愛ちゃんに会いたくてたまらなくなった。

「愛ちゃん、明日オフ?」
『はい。吉澤さんは?』
「オフだよ。」

愛ちゃんがオフだと聞いて、あまりの嬉しさに笑いを我慢しきれず「へへ」と、つい声を漏らしてしまった。
13 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:55

『あ、じゃあ・・・』
「うん。記念すべき第一回目のデート、だね。」
『デート・・・。』
「じゃあさ、とりあえずうち来なよ。」

デートと呼べるものかはわからなかったけど、その後の予定なんてうちに来てから決めれば良い。

『いいんですか?』
「もちろん。むしろカモーンって感じだし。」
『じゃあ・・・お邪魔します!』
「うん。じゃあまた詳しいことはメールで。」
『はいっ。』
「おやすみ。」
『おやすみなさい。』

電話を切って、そのままベッドに突っ伏した。
もう、愛ちゃんの恋人なんだ、私。
嬉しい・・・。素直に嬉しい・・・。
自然と緩む頬。きっと今、すっげぇだらしない顔してる。
でも、嬉しいものは仕方無い。
とりあえず・・早くメール送らないと。
あのまま電話でも良かったんだけど、電話で話してると「会いたい」だなんてわがままを言ってしまいそうだった。
そんなわがままで愛ちゃんを困らせたく無い。
早く明日になれば良いのに―
はやる気持ちを抑えて、メールの送信ボタンを押した。

これからのオフは全然暇しなさそうだな。
14 名前:そばにいて 投稿日:2005/10/15(土) 23:55


『明日はうちで本読みなよ。私はずっと愛ちゃん見てるだけで良いから。』


15 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/15(土) 23:58
とりあえず記念すべき第一回は吉高で。
久々に小説を投稿しましたが、『書き込む』を押す瞬間の緊張感は相変わらずですね・・・。
16 名前: 投稿日:2005/10/16(日) 15:40
あまぁ〜い(笑)鼻血が…
17 名前:おれんじの中で 投稿日:2005/10/17(月) 20:52
ゆっくりと意識がこちらに戻ってくる。
あぁ、寝ちゃってたんだ。
ゆっくりとそんなことを思いながら、ゆっくりと目を開けた。

―!!

思わず声を出しそうになるのをとっさに手で口を押さえてこらえる。
目の前ではすーすーと寝息をたてながら寝ている愛ちゃんがいた。
あれ、今私ホテルに居るよね・・・?
いや、ホテルってそんなそういうホテルじゃなくて。
ライブ遠征中に泊まるホテルのことね。
そのホテルは一人部屋で、当然ベッドも一つで。
つまり私と愛ちゃんは一つのベッドで寄り添って寝ちゃってるわけで。

部屋に入った私はカバンをその辺に置いて、そのままベッドに突っ伏した。そして、そのまま寝てしまったんだろう。
そこまではわかる。問題は目の前で寝ている愛ちゃんだ。
私部屋の鍵かけなかったっけ?っていうかオートロックだと思ったんだけど・・・あれ・・・?

考えたところでわかるはずもなく、愛ちゃんが起きたら聞けば良いや、という結論に辿り着いた。
18 名前:おれんじの中で 投稿日:2005/10/17(月) 20:53
今何時ぐらいなんだろう。時計を探すために辺りを見回した。
電気もついていなくて、少し薄暗い部屋。
だけど愛ちゃんの顔だけははっきりと見ることができた。
カーテンの隙間から差し込んだ夕陽のおかげだ。
私は目を細めながら、その光の先を目で追った。
直接見ているわけじゃないし、ほんの隙間から差し込んでいるだけの光だ。思っていた程眩しくはなかった。
私は隣で寝ている愛ちゃんを起こさないようにそっと体を起こすと、静かにベッドを下りた

カーテンのそばまで歩いて、そっとそのカーテンを開けた。
少しだけ差し込んでいた光が、ぶわっと部屋の中に入ってくる。
その感覚に、私は思わず目を細めた。

「絵里・・・?」
「・・あ、起こしちゃいました?」

愛ちゃんはもそもそと体を起こして、まだ眠いのか、それとも眩しいのか、ごしごしと目をこすった。
19 名前:おれんじの中で 投稿日:2005/10/17(月) 20:53
「おはよ。」
「んー・・・。」

ぺたんとベッドの上で座ったまま、ぼーっとどこかを見つめている愛ちゃんを見て、私は静かに笑った。

「どうしたの?」
「いや、寝るつもりなかったのになぁと思って。」
「あぁ、・・・あ、そうそう。なんで愛ちゃんここに居るの?」
「なんでって、後で部屋行くからねーって言ったっしょ?」
「・・・あ、あぁ!!」
「もしかして忘れてた?」
「忘れてたわけじゃないんですけど・・あの・・・。」

ただ、部屋に入ってベッドに横になったらそのまま寝ちゃっただけであって。

「・・・・・・すいません。」

これって忘れてたことになるのかな。
そう思ったから、とりあえず謝っておいた。

「疲れとったんやろ。しょうがない。」

怒っているのか、本当にしょうがないと思ってくれてるのか、どうにもわかりづらい表情で愛ちゃんは言った。
20 名前:おれんじの中で 投稿日:2005/10/17(月) 20:55
「あ、机の上置いといたから、鍵。」
「かぎ?」
「それも忘れたのー?絵里が渡してくれたこの部屋の鍵。私に勝手に入ってきてって渡してくれたじゃん。」
「・・・おぉ!!」
「そうじゃなかったら、今ここに私おらんで。」

夕陽に照らされた愛ちゃんが笑った。
その笑顔は、冗談じゃなく、本当に眩しかった。

「せっかく来てくれたのに・・ごめんね。」
「いいっていいって。絵里の寝顔も間近で見れたことやし?」

ニシシと楽しそうに笑う愛ちゃんだけど・・・。

「そんなこと言ったら絵里だって見れたもん。愛ちゃんの寝顔。」
「あ、このやろー。本当に寝るつもりなかったのになぁ。」
「愛ちゃんも疲れてたんだよ。」
「かなぁ?」

だって愛ちゃん、移動中のバスの中じゃほとんど寝ないし。
いつもイヤホンつけて本読んでるか・・・あぁ、最近は攻略本片手にゲームしてるなぁ。
私も寝ないように頑張ってみたりするんだけど、どうしても途中で寝てしまう。
その体力や精神力はどこからきてるんだろうってその度に思うんだよね。
私より背も低いし華奢な体なのに・・・。あ、でも筋力は負けてるかも。
21 名前:おれんじの中で 投稿日:2005/10/17(月) 20:55
「たまにね、思うの。」
「何をですか?」
「空飛んだら気持ち良いのかなぁ、って。」
「空・・ですか?」

そりゃまた大きく飛びましたね。
空じゃなくて話が。

「気持ち良さそうじゃない?風切ってぶぁーって飛ぶの。」

訛り気味に早口でぶぁーとか言い出した愛ちゃんはすごく楽しそうだった。

「こんな夕焼けの中とかを、何の壁も気にせず飛ぶんだよ?」

愛ちゃんはピョンとベッドを下りると、私の隣まで歩いてきて、窓から外を見た。

「綺麗、ですね。」
「うん、夕焼けって好きやなぁ、私。」

夕陽に照らされたその横顔が、すごく綺麗だと思った。
でも、私の「綺麗」は愛ちゃんのことじゃなく、夕焼けのことだと愛ちゃんは受け止めたみたい。
まぁ、そんなの予想できたことだから言い直しはしませんけど。
22 名前:おれんじの中で 投稿日:2005/10/17(月) 20:56
「空、飛べたら良いのになぁ。」
「もし飛べたら、私も連れてってくれるんですよね?」

冗談混じりに私がそう聞いたら、愛ちゃんはゆっくりと顔を空から私に戻して、ふわっと笑って言った。

「もちろん。」

その笑顔に、なんだか心が鷲づかみされたような感じがした。
普段の愛ちゃんなら、冗談で返してくるはずのところなのに、あの笑顔で愛ちゃんは「もちろん。」と言った。
なんでだろう。
寝起きだからかな?
なんて、思いつく限りのことを考えてみても、愛ちゃんの考えていることはさっぱりわからなかった。

「まー、寂しがり屋やからね、絵里は。」

呆気にとられる私を見て、ニヤリと楽しそうに笑った愛ちゃんは、やっぱりいつもの愛ちゃんだった。
23 名前:おれんじの中で 投稿日:2005/10/17(月) 20:57
「なっ・・・!愛ちゃんこそ、一人で飛んだって、どうせ戻ってきちゃうんでしょ!」

私がムキになってそう言い返すと、また愛ちゃんは楽しそうに笑った。
オレンジ色に染められていく愛ちゃんはすごく綺麗で眩しくて。
もし、空が飛べたとしても、できれば一人で夕焼けの中には行ってほしくないなと思った。
夕焼けの中にいる愛ちゃんはすごく綺麗かもしれないけど、きっと眩しすぎて見えないから。
それならやっぱり一緒に行きたいと思う。
まぁ、空を飛ぶことなんて出来ない・・・って言ったら、そこまでの話なんだけど。

「また、いつか行けたら良いね。」

そう言って愛ちゃんの手を握ったら、愛ちゃんは笑いながら私の手を握り返した。
24 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/17(月) 20:59


25 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/17(月) 21:02
>>16 雍さん
あまぁ〜いと感じて頂けたのなら幸いです。
とりあえず鼻血はお拭き下さいw

第2作目は亀高でした。
次は小高か藤高か・・・ですね。
26 名前:ひろ〜し〜 投稿日:2005/10/20(木) 13:56
すごーい!甘ーい!
すっごいイイ雰囲気っ
ハラポワさんワールドー!!

次の話も楽しみに待ってます!!
27 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:13

一際大きな音で鳴った携帯に起こされた。

ん・・・誰だよー・・。

眠い頭でぼんやりとアラームの音では無いと判断した私は、手探りで携帯を探した。
ベッドサイドの棚から携帯を取り、画面を開く。

『愛ちゃん』

確かにそう表示されたディスプレイに、思わず私は身を起こした。

『今からまことの家行ってもいい?』

件名も何も無いメールの内容はそれだけだった。

今起きたばっかりだけど・・・愛ちゃんが今から家出るんなら着替えることぐらいできるか。
それより今何時だ・・・?

部屋の壁にかかっている時計を見上げる。

朝の・・・8時・・?
8時ってまだ早いよ愛ちゃーん・・・。
昨日帰ってきたの12時だよー・・・?
せめて昼からにしようよー・・・。

どうやって返そうかな・・・。

きっと愛ちゃんはわくわくしながら私の返事を待ってる。
なのに昼からにしようよってのはどーも・・・悪い気がする。
私もできれば早く愛ちゃんに会いたいとは思うけど、睡魔には勝てないものです。
28 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:19

―ザー

・・さっきから鳴ってるこの音はなんだー。
耳障りだ・・・。

・・・・・・うぇ!?
ベッドから降りて、窓に駆け寄る。
ガラッと窓を開けて手を出してみれば・・・

雨降ってるじゃん・・。

『雨降ってるよ?』

愛ちゃんからのメールを読んでから10分。
ようやく返事を出すことができた。

〜♪

うぉ!早!!
すると何分もたたない内に携帯が鳴った。

『ごめん。もう家出とる。』

・・・うわぁぁ、あいたたたたー。

ごめんじゃないよ!!
これで私が遊べなかったらどうするつもりだったのさ!
さっきの返事の早さからしてこの文章打って待ってたな、愛ちゃんめ・・・。
私がどんな返事をしてても、この文章がきてたに違いない。
そんな予想をたてることが出来たところで、愛ちゃんとこれから遊ぶことに変わりは無いのだけれど。
なんか愛ちゃんの強引さにはいつも大人しく従っちゃってるような気がするなぁ。
今も少し散らかってた部屋を片付け始めちゃってるし。
それにしてもなんでこんな朝っぱらから愛ちゃんは・・・。
29 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:20
とりえあえずいつ愛ちゃんが来ても良いように着替えよう。
片付け終わった私は、のそのそと服を着替えて、顔を洗って・・・なんとなく朝ごはんも食べる。
そうこうしている内に、さっきの時計はもう9時をさしていた。

愛ちゃん遅いな・・・どうしたんだろ。
窓の外を眺めてみる。
雨はさっきよりも強くなっていた。

それから10分経っても愛ちゃんは来ない。
段々心配になってきて、愛ちゃんにメールを送った。

『迎えに行くから近くのコンビニで待ってて!!』

愛ちゃんがコンビニを過ぎてるかもしれなくても関係ない。
愛ちゃんの返事も待たずに、私は傘を2本手に取って、コンビニまで走った。

「愛ちゃん!!」
「あ、まことぉ!」

良かった。
愛ちゃんに何かあったんじゃないかと不安でいっぱいだった私は、
ぶんぶんと笑顔で手を振る愛ちゃんを見て心から安心した。

「まことぉ!じゃないよーっ。心配したんだからね!」
「ごめんごめん。」
「別にいいけ・・・って、犬?」
「あぁ、うん。麻琴待っとる時にここ通りがかったの。」

通りがかったってそんな友達みたいな・・・まぁ、いいけどね、うん。
30 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:21
「で、その通りがかった犬をなんで愛ちゃんが抱いてるの?」

犬に嫉妬。ってわけじゃないけども。

「なんか寒そうやったから・・・つい・・。」
「あー、確かに寒そうだね。」

そう言って、愛ちゃんの腕の中で幸せそうにしている犬の頭をそっと撫でた。

「どうしよ。」
「え・・・犬?」
「うん。」
「うー・・ん・・・。」

うちに連れてくるのは別に構わなかった。
でも、絶対愛ちゃんコイツの面倒見まくりだよ。
眠いのに起こされた上、雨の中走って迎えに来たのに、そんなのってあんまりでしょ。
私にとって面白くない展開になることは容易に予想できた。
だから、この犬には悪いけど・・・うちには連れてこさせないよ。

「まこ・・・」
「あ!」
「な、何・・・?」
「あのー・・・・」

麻琴の家連れてっても良い?と、愛ちゃんに言われる前に手を打たないと!
とりあえず愛ちゃんの言葉をさえぎったは良いけど、愛ちゃんも納得させられるような良い方法が浮かばない。
31 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:22
「何?どした?」
「か、傘!」
「傘?」
「傘、置いてこうよ!」

何故かはわからないけど2本持ってきてしまった傘。
それがこんなところで活用されるとは思ってもいなかった。

「・・・なんで2本も持っとるん?」
「・・・さぁ・・?」

本当になんでかわからない。
なんとなく2本いるような気がして、2本手に取った。
まぁ、そのなんとなくが今こうして役立とうとしてるんだから結果オーライってやつだ。

「まぁ、ええか。じゃあ一本貸して。」
「ん。」

ちょっと古い方の傘を愛ちゃんに手渡した。
コンビニの前に犬を置いていくのもどうなのかと思ったけど、・・・知ーらないっと。
バイバイ。と愛ちゃんが犬の頭をぽんぽんと撫でた。
今日ほど犬になりたいと思った日はきっと無い。

「行こっか。」
「うん。」

もう一本の傘を差して、自分の家へと歩き出そうとした時、ある事に気付いた。
32 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:22
「愛ちゃん?」
「うん?」
「傘は?」
「何が?」
「自分の傘は?」

今日は朝から雨が降っていたのだ。
愛ちゃんが家を出たときにはもう降ってたハズ。

「持ってへんよ。」

なんでそんな「当たり前やないか」とでも言いたげな顔をするのですか。

「愛ちゃんが家出る時雨降ってたよね?」
「オゥ。」
「じゃあなんで傘持ってないの?」
「・・・・・・忘れとった。」

雨降ってるのに傘を忘れるってどういうことだ。

あぁ、くそー。あの犬に傘あげなきゃ良かった。
あ、今思えば私・・心のどこかで愛ちゃんが傘持ってないこと予想してたのかな?
だから無意識のうちに2本も傘持ってきてたのかな、私。

「ねぇねぇ。」
「何?」
「私、予言者かも。」
「はぁ?」
「愛ちゃんが傘持ってないことを予想したから、傘2本持ってきてたのかもしれない。」

ね、凄くない?
そう言って触れた愛ちゃんの腕は、とても冷たかった。

「うぁ、愛ちゃん冷たいよ、腕!」
「あぁ、やろなぁ。」

やろなぁって愛ちゃん・・・。
33 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:23
愛ちゃんが家出たときはもう雨降ってたんだから、ここまで愛ちゃんは何も差さずに濡れてきたってことだよね。
もう・・・風邪ひかないでよ〜!?

「大丈夫!?体ダルくない!?」
「ふぇ?あ、大丈夫大丈夫!全然大丈夫!!」

愛ちゃんの大丈夫を信じちゃいけない。
これホント。

傘を持っていない方の手で、愛ちゃんの手をギュッと握った。

やっぱり冷たい。

「愛ちゃん体冷えてんじゃん!早くうち帰ってお風呂入った方が良いよっ。」
「だぁいじょうぶやって〜!」
「だ、大丈夫じゃないから言ってるんだよ〜っ!」

何故か半そでの愛ちゃんの腕にも、もう一度触れてみる。
心なしかさっきより冷たい。
34 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:24
「ほら、早く帰ろう。」

愛ちゃんに傘を渡して、空いた右手で愛ちゃんの手をしっかり握った。

「傘差しなよ。」
「でもそしたら麻琴が・・」
「いいっていいって!私は大丈夫!!」

そう言って聞けば苦労しないんだけど。
やっぱり愛ちゃんは渋っていた。

「じゃあ、やっぱり麻琴が傘持って!」
「へ?」

傘を押し付けられ、思わずそれを受け取る。
繋いでいた手も放されて、私は傘を右手に持ち替えた。
愛ちゃんを濡らすまいと必死だったんだと思う。心のどこかで。

「これでええよ。」
「・・ん?」

私が右手で傘を差して、二人で傘の下に入る。
35 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:25

なんだ。相合傘じゃないか。

「もしかして愛ちゃん、相合傘したかったの?」
「っ・・何が!?」

一歩、また一歩と二人で歩き出す。

「傘忘れたーとか言って、これが狙いだったのかなーと思って。」
「違うよぉ!」
「へへ、別に良いけどさー!」

こういうのも良いな、と思ったら段々楽しくなってきて、つい笑ってしまった。

「そういいながらも傘2本持ってきてたじゃん。私が持ってないのわかってたんでしょー?」
「だから予言者かもって言ったんじゃんかー。」

ケラケラと笑ったら、愛ちゃんも笑った。

「嘘つけー。麻琴みたいなのが予言者なわけないやろっ。」
「もういいじゃんかー!あの犬に貸してあげられたんだから、結果オーライ!!」

グッと愛ちゃんの前に左手でサムズアップ。
っていうか愛ちゃんから話振ってきたくせに肯定したら「嘘つけー」って!
そりゃないよ、愛ちゃん!!
36 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:25
なんでこんなに朝っぱらから愛ちゃんが私に会いに来たのかがわからなくて、
今となっては正直どうでも良かったけど聞いてみた。

「あぁ、それは・・・」

こんなに雨が降ってても、愛ちゃんと一緒なら濡れちゃってもいいやって思える。

どんなに濡れて、体が冷たくなっても、

きっと心は、暖かいから。
37 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:25


「麻琴に会いたかったからな。」


38 名前:雨の日の楽しみ方 投稿日:2005/10/23(日) 15:26


こういう日もたまには良いかなって思えた瞬間。


39 名前:ハワポワ 投稿日:2005/10/23(日) 15:26


40 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/23(日) 15:32
>>26 ひろ〜し〜さん
ハラポワワールド、キちゃってますか?w
甘ーいのをこれからも書いていけるよう頑張ります〜。

自分がヲタになって最初に気になったカップリングだったりするまこあいでした。
39レス目で自分の名前をミスったことにちょっと凹んでおります・・・orz
41 名前: 投稿日:2005/10/23(日) 23:54
愛ちゃんが可愛い過ぎです!!自分も小川さんと同じように思いました(笑)
42 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/28(金) 06:18
ttp://makotan.web.infoseek.co.jp/kakolog/makoai/1117478697.html
90から

そんなにネタないなら書くな!
パクるくらいなら書くな!
43 名前:名無し飼育 投稿日:2005/10/28(金) 15:03
同一人物でしょ?
44 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/28(金) 22:23
紛らわしいことして申し訳ないです。同一人物です。
まだ公表してないかと思ってました、本当にすいません。
以後こんなことの無いようにします・・・。
45 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:39
ヤバイ頭痛い・・・。
朝からあった痛みが、収録を終えるとさらに悪化していた。
体も熱いし、熱もあるんだろうと思う。
それは朝から思っていたことだけど、あえて私は熱を測らなかった。
どうせ熱があったところで、仕事を休むわけにはいかないし。
ハロモニ。の収録だけだからと思い、なんとか自分を奮い立たせて収録に挑んだ。
その結果がこれだ。
ロケやゲームじゃなくて良かった、と今になって改めて思う。
もう早く帰ろう。早く帰ってさっさと寝よう。明日はラジオの収録があるし早く治さないと・・・。

「―ちゃん!おーい、聞いとるー?美貴ちゃーん?」
「え、あ、あぁ、愛ちゃん。」

ダメだ。愛ちゃんの声が頭に響く・・・。
46 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:39

「明日ヤンタンの日やから・・・って、美貴ちゃん具合悪いの?」
「頭痛い。」
「熱は?」

愛ちゃんはそう言いながら私の額に手を置いてきた。
その瞬間、今まで以上に体が熱くなる感覚がした。

「ちょ、かなり熱いじゃん!」
「あー、うん。」

愛ちゃんが私に触れたからだよ、なんて冗談を言う余裕も無い。
その前にこの冗談は冗談じゃないような気がするし。
私がこれだけ愛ちゃんのことを想ってるってこと、絶対愛ちゃんは気づいてないんだろうな。

「早く帰ろっ。」
「んー。」
「じゃあすぐ仕度してくるからここ座ってて!」

声を出すのもだんだん辛くなってきて、大きく一度だけ頷いた。

「じゃあ、待っててね!急いで仕度するから!!」
47 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:40

愛ちゃんは急いで帰る準備をすると、ふたたび私の方まで駆け寄ってきた。

「美貴ちゃんのカバンは?」
「それ。」

私は朝から頭痛に襲われてたから、今日はあまり荷物を広げていなかった。
誰とも喋らず、スタジオ入りするまで楽屋のイスに座ってじっとしてただけ。

「よし、じゃあ帰ろっ!」

自分の荷物と私の荷物を持って、私の手をとった。

「あ、愛ちゃんミキティお疲れ〜!」

楽屋を出ようとした時、後ろからガキさんの声がした。
「お疲れ〜!」「お疲れ様でした〜!」とみんなも続く。

「あ、ミキティミキティっ。」

そう言って私に駆け寄ってきたのはよっちゃんだ。

「愛ちゃんに風邪うつすなよ〜?」

私の耳元でそれだけ言って、ふたたびよっちゃんはみんなの方へ戻っていった。
風邪うつすなよってそんなの当たりま・・・・・・あぁ、そういうことか。
振り返り様に見えたよっちゃんのあの笑顔。そういうことか。
残念ながらそんな余裕無いよ、今回は。
48 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:41

「美貴ちゃん?大丈夫?」
「ん、あ、あぁ、大丈夫。」

愛ちゃんは、私の言葉に応答するように手を強く握り直した。
手から伝わる愛ちゃんの暖かさにドキドキしながら、私たちは楽屋を後にした。




「ぁー・・気持ちいー・・・。」

帰りに薬局に寄って買ってきた冷えピタを、愛ちゃんが私の額に貼ってくれた。
額から熱が冷まされる感覚を堪能していると、愛ちゃんに体を押し倒された。
押し倒されたっていうか、寝かされただけだけど。

「はい、ちゃんと布団も肩までかけて、と。」

そう言って愛ちゃんは肩の辺りまで布団をかけてくれた。
ありがたいんだけどそれ・・お風呂じゃないの?

「ゆっくり寝てな。」

布団の上をぽんぽんっとあやすように叩いて、愛ちゃんはすっと立ち上がった。

「・・愛ちゃん・・・。」
「大丈夫。今日はずっとおるから。」
「あ・・・うん。」
「お粥作ってくるだけやから、その間美貴ちゃんは寝とって。」
「うん、ありがと。」
「いえいえ。」

愛ちゃんが部屋から出ていくのを手を振って見送った。
49 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:41
それにしても、人間病気になると弱気になるもんなんだな、やっぱり。
愛ちゃんが立ち上がった時、気づいたら私は愛ちゃんの名前を呼んでた。
行ってほしくない、そばにいてほしい一心で。
愛ちゃんが「大丈夫」と言って優しく微笑むのを見て、私の中のもやもやした部分が一気に軽くなったような気がした。

今思えば、こんなに愛ちゃんと親しくなるなんて加入当時は思ってもみなかった。
入ったばかりの時は、正直苦手なタイプというか、上手く付き合えないだろうと思ってたのに。
私と真逆のタイプだと思うんだよね、愛ちゃんは。
それは付き合いが長くなればなるほど思い知らされることだった。
でも、付き合いが長くなればなるほど私は愛ちゃんに惹かれていった。
ラジオで一緒に仕事をするようになった頃、私の機嫌がすこぶる悪くて、愛ちゃんに当たり散らしたことがある。
50 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:42
一晩たって、激しく私は自己嫌悪に陥っていた。
なのに愛ちゃんは、いつもと同じあの声で「おはよ!」と笑顔で挨拶してくれた。
それどころか、「もう大丈夫?」と心配までしてくれた。
そんな愛ちゃんの態度に私は困惑しっぱなしで、上手く返事が出来なかったことを覚えてる。
私の嫌な部分をいっぱい見てきたはずなのに、私たちは上手くやれてる。
それは相手が愛ちゃんだからだ。
愛ちゃんじゃなかったら、私みたいなのと二人で仕事だなんて長くはやってられないんじゃないかって、自分でも思う。
私の良い部分も悪い部分も、全部ひっくるめて愛ちゃんは受け止めてくれる。
そう感じた瞬間、私は愛ちゃんのことが好きなんだ、ということを確信した。

確信した途端に愛ちゃんと話すのがなんだか照れくさくて、どこか落ち着かなかった。
そんな私の異変に気付いたよっちゃんだけが、私の気持ちをメンバー内で唯一知ってる人だ。
現在進行形で、私に協力してくれてる・・・ようには見えないこともしばしばだけど、まぁあのよっちゃんだから、その辺は目を瞑るとしよう。

「っあー!美貴ちゃんまだ起きてる!!」
「っ!!」
「あ、ごめん。」
「あ、ううん。大丈夫。」

さっきの声が私の頭痛に響いたと思ったんだろう、愛ちゃんは口を押さえて小声で謝った。
っていうか、愛ちゃんのエプロン姿がヤバイぐらい可愛いんですけど。

「お粥できたの?」

顔がニヤケそうになるのを抑えて、私はそう言った。
51 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:43
「ううん、まだだけど・・・。美貴ちゃんはどう?」
「ん?」
「寝れない?」
「あー・・そういうわけじゃないけど・・・。」
「じゃあ寝ないとー・・明日までに熱下がんないよ?」
「明日はヤンタンだからねー、休むわけにはいかないよ。」
「そうそう。さんまさんに怒られちゃうからね。」

そしたらまた私がフォローしなきゃダメじゃん、って言って笑う愛ちゃんに、もう私の我慢も限界だった。

「んー、それもあるけどさー・・・。」

私の布団を肩までかけなおしてくれてる愛ちゃんの腕を引いて、私は愛ちゃんを抱き寄せた。

「!!・・・み、美貴ちゃん・・!?」
「好き。」
「え・・・。」
「美貴、愛ちゃんのこと好きなの。」
「美貴ちゃん・・・?」
「愛ちゃんは?」
「え?」
「愛ちゃんは・・美貴のこと・・・スキ?」

我ながら、こんな聞き方卑怯だなぁと思う。
こう言われて、愛ちゃんが簡単に断れるはずが無いじゃんか。
52 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:43

「・・・。」
「・・・。」

ベッドの上で、私が愛ちゃんを抱きしめたまま沈黙が流れる。
あぁ、愛ちゃん困ってるな。
別にそういう感情持ってないのに、私があんな聞き方したから断るに断れないんだ。
そう思い、私は愛ちゃんを抱く手の力を緩めた。

「愛ちゃ・・・」
「美貴ちゃん。」

もういいよ、って言おうとしたら、愛ちゃんに言葉をかき消された。

「私もね・・私も、好きだよ。」
「・・・。」
「・・・。」
「嘘でしょ?」
「・・嘘じゃない。」
「いいよ?美貴に気なんか遣わなくて。」
「気遣ってなんか無いよ。」
「・・・マジ?」
「マジ。」

嬉しいのか驚いてるのか、なんとも言えない気持ちになってる私の体に愛ちゃんはそっと腕を回した。
53 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:44

「好きじゃなかったら・・家まで送ったりなんてしないよ。」
「愛ちゃん冷たーい。」
「美貴ちゃんに言われたくないわ。」

どういう意味だ、オイ。
ツッコミたかったけど、愛ちゃんが私の服をぎゅって掴んで、私の胸の辺りに顔を押し付けてきたから、私は何も言わなかった。

「どうしたの。」
「ヤなの。」
「何が?」
「顔・・今絶対赤いから。」
「・・・見せてよ。」
「やだー。」

私がもう一度愛ちゃんの体に腕を回して、すぐ下に見える綺麗な髪を右手で撫でた。

「ねぇ、愛ちゃん?」
「何・・・。」
「お粥、いいの?」
「!!」

私がそう言うと愛ちゃんは勢いよく顔を上げた。
54 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:45

「あ、本当だ。顔真っ赤。」
「っ・・・!」
「可愛いなぁ、もう。」
「も、お粥もうすぐできるから、美貴ちゃんは寝ててね!」
「あ、そうだ!ちょっとちょっと!!」

「寝ててね!」と、言うや否や慌てて部屋を出て行こうとする愛ちゃんを呼び止めて、こちらを振り向いた愛ちゃんに右手で手招き。
愛ちゃんは少し考えてから、私の方へ戻ってきてくれた。
そんな愛ちゃんの左手を右手でぎゅって握ったら、愛ちゃんの顔がまた少し赤くなったような気がした。

「どうし・・・」
「美貴の風邪が確実に治る方法が一つだけあるよ。」
「・・・何?」

左手を口元にあてて、もう一度右手で手招き。
すると愛ちゃんは私の口元に耳を近づけるように、顔を寄せた。



「愛ちゃんがキスしてくれたら治るかもしれない。」



愛ちゃんが顔を上げて、私の方を見る。
55 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:46

「ね、愛ちゃんも治ると思わない?」
「美貴ちゃんってそんなキャラだったっけ?」
「なーに言ってんの。愛ちゃんの前だけだよ。」
「なっ、そっちこそ何言って・・!」

顔を真っ赤にさせてそこまで言うと、愛ちゃんは観念したようにベッドに手をついた。

「本当に治るの?」
「治るよ。っていうか治す。」
「もう・・ズルイよ、美貴ちゃんは。」

そう言って愛ちゃんは私の唇にそっと口付けた。
愛ちゃんとの初めてのキスは、私が思っていたものとは違っていた。
絶対私からのキスで、もっと短いものだと思ってたのにな。

「ごちそう様でした。」

愛ちゃんにしてもらったキスだけど、なんとなく私が「ごちそう様」な気分だったから、手を合わせてそう言った。

「これで治らなかったら怒るよ。」
「大丈夫大丈夫。もし愛ちゃんにうつっても、今度は美貴が診てあげるし。」
「あ・・・。」

風邪がうつるかもしれない、という考えは全く無かったらしい。
56 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:49
愛ちゃんは口をぽかんとあけたまま私の方を見てる。
こうなるとしばらく愛ちゃんは次の行動に入るのが遅くなるからな。
私は愛ちゃんの腕を2回ほど叩いて言った。

「ほら、お粥お粥!」
「!!あ、あぁ・・・!」
「火傷しないでよ。」
「引き止めたんはそっちやろ!!」

そう言い捨てて愛ちゃんは今度こそ部屋を飛び出ていった。
一人になって、よっちゃんの言葉を思い出す。
あの時こそああ思ったものの、いざとなると人間なんでもやれるもんなのかもしれない。
今日あったことをよっちゃんに話したら、一体よっちゃんはどんな反応をするんだろう。


それにしても、まさか愛ちゃんと両思いだったとは・・・、全く考えてもみなかった。
私が促したとは言え、まさか初めてのキスが愛ちゃんからだとは・・・、全く考えてもみなかった。

その後出されたお粥に火傷することになるなんて、全く予期せぬ出来事だった。
その前に愛ちゃんが味見して火傷していたことは、私の知らないことだ―
57 名前:予期せぬ出来事 投稿日:2005/10/29(土) 21:49




58 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/29(土) 21:55
>>41
愛ちゃんが可愛いと言ってもらえて嬉しいです。
自分はガキさんと居るときの自分勝手な愛ちゃんも好きなので(笑)
そんなところを出していけたら良いなと思いつつ。

今回の愛美貴で一通り書けましたので、これからは書けたものから更新予定です。
まこあい、愛美貴が少なくなりそうな気がしないでもないです・・・。

59 名前:麻琴誕生日記念 投稿日:2005/10/29(土) 23:26
今日は私の18歳の誕生日。
目の前の机にはケーキを食べたあとのお皿やコップが置いてある。
で、その向こうには愛ちゃんだ。

「ごちそうさまでしたー。」と二人で手を合わせ、なんとなく顔を見合わせる。

「・・・何?」

あまりにも愛ちゃんがじーっと私の顔を見てくるもんだから、私は思わず首を傾げてそう聞いた。

「いやー、麻琴ももう18歳なんやなぁと思って。」
「なんだそりゃ。」

しみじみとそんなことを言う愛ちゃんに、私は静かに笑った。

「ちょっと前までまだ子どもやと思ってたのに・・・。」
「ぅえ!?そんなこと思ってたの、愛ちゃん!」
「まぁ、たまに?」
「たまにかよ!!」

愛ちゃん相手ならこの私でもツッコミキティですよ。
60 名前:麻琴誕生日記念 投稿日:2005/10/29(土) 23:27
でもミキティじゃないから・・・

「ツッコマコ?」
「何が?」
「あ、いや、なんでもない。」

思わず口に出してしまったけど、ツッコマコは無いな。無い無い。

「なーんかさー。」
「んー?」
「ちょっと寂しい気がする。」
「寂しい?」
「うん。」
「なんでさ。」

ごろんとカーペットの上で寝転がった愛ちゃんに、私は笑いかけた。
寝転がった拍子にめくれたTシャツ。少しだけ見える愛ちゃんのお腹にドキッとしてみたり。

「なんだろなー・・・なんか、アレと一緒だよ。織田信長が死んで豊臣秀吉が寂しく感じるのと似たような感じ。」
「わかんないよー。」

どんな例えだよ!ってかそれだと私死んでるじゃん!!
その前にその気持ちはどこで知ることができるんだよ!!!
愛ちゃんへのツッコミは増えるばかりだったけど、私は一切ツッコまずに笑い返しておいた。
ガキさん、いつもこんな話聞かされてて大変だなぁ。
自分でそんなことを思った後に一人で嫉妬したりして・・・、これは18歳になっても変わらないみたいだ。
61 名前:麻琴誕生日記念 投稿日:2005/10/29(土) 23:28

「麻琴ももう大人なんやなぁと思うと、なんか寂しい。」

手を頭の上で組んで、天井を見たまま愛ちゃんがぽつりと呟いた。
「なんでだよー。」って笑ったら、愛ちゃんもへらっと笑って、顔を私の方に向けた。

「でも、麻琴はいくつになってもそのままやろなー。」
「あぁ!なんだよソレー!」

そんなこと言ったら愛ちゃんもでしょーと言って、お腹をぺちっと叩いてやったら、愛ちゃんが「痛てっ。」と言って体を起こした。
自然と近くなる顔の距離。
しばらくそのまま見詰め合ってたけど、ほとんど同時にプッと吹き出した。
そして、また愛ちゃんは後ろに体を倒して、腕で顔を隠しながら言った。

「大人になってもよろしくなー。」

私は呆然としながらそんな愛ちゃんを見たあと、心の中で静かに笑った。
さっきの言葉よりいつものわけわかんない歴史の話のが恥ずかしいよ、私は。
そんなことを思いながら、耳まで赤くなってる愛ちゃんに私は言った。
62 名前:麻琴誕生日記念 投稿日:2005/10/29(土) 23:31
多分今すっごい顔ニヤけちゃってるけど、愛ちゃん腕で顔隠してるから良いや。

「じゃあ今日から大人の付き合いでも始めちゃう?」
「どういう意味?」
「・・・いや、なんでもない・・・。忘れていいよ。」
「えぇー、気になるよぉ。」
「本当なんでもないから、うん。」

冗談で言ったつもりが、冗談にすらならなくて、ガクンとテンションが落ちてしまった。
わかってよ、19歳・・・!
テンションが下がってしまったことを愛ちゃんに気づかれないように、私は机の上でも片付けようとそちらに体の向きを変えた。

「麻琴っ。」
「ぅお!?」

愛ちゃんに思い切り腕を引かれて、私は思わず愛ちゃんのすぐ横に倒れこむ。

「何するん・・・」
「誕生日おめでとっ。」

私が文句を言う前にそう言われ、ほっぺたにキスされた。
63 名前:麻琴誕生日記念 投稿日:2005/10/29(土) 23:32
・・・・・・ほっぺたにキス?

「うし、じゃあ片付けるかーっ。」

ほっぺたに右手で触れながら、呆然とする私を尻目に、愛ちゃんはお皿を持ってキッチンへ歩いて行ってしまった。
・・・何事もなかったかのようにお皿を洗う愛ちゃんを見て、私は顔が緩むのをこらえられなかった。
恥ずかしいくせに強がっちゃって可愛いなぁ・・・。
でも、今回ばかりは私の負けだ。
不覚にも、1コ上の愛ちゃんにドキドキしっぱなしだよ、私は。

最高のプレゼントだよ。
2つもありがと、愛ちゃん。
―これからもよろしく。
64 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/29(土) 23:34




65 名前:ハラポワ 投稿日:2005/10/29(土) 23:36
今日がまこっちゃんの誕生日ということに気付いて慌てて更新です。
愛美貴書いてる場合じゃないってことに気付いたのが愛美貴更新した後でした、すいませんw
というわけでまこあいです。
もう18歳と19歳なのか、この二人も・・・。
最後になりましたが、まこっちゃん誕生日おめでとう!
これからも愛ちゃんをよろs(ry
66 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/10/30(日) 01:14
やばいっす・・・愛美貴にニヤけますw
67 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/10/30(日) 01:14
失礼、上げてしまいました(汗)
作者様、すいません。
68 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/10/30(日) 08:23
ハラポワさんの小説に毎回ドキドキしてます
愛美貴ファンの私にとってはたまらない作品でした

ただ細かい事を言わせてもらいますと
ハロモニは水曜収録、ヤン土は金曜収録のはず


…ですよね?
69 名前:名無し読書中 投稿日:2005/10/30(日) 12:23
美貴愛にポワワです…
70 名前:ひろ〜し〜 投稿日:2005/10/31(月) 17:00
美貴愛大好きー!!

ってことで、ご馳走様でしたw

まこあいもすっごくご馳走様でしたww

次回も楽しみにしとりますっ!!
71 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:26

   EVERYDAY EVERYNIGHT 愛の中で
   EVERYDAY EVERYNIGHT THAT'S ALL WE WISH! TODAY

移動中の新幹線。
不意に隣から聞こえてきた歌声に、私は頬杖をついていた顔をあげて、隣に目を向けた。
私の視線に気付いたのか、耳にイヤホンを付けた愛ちゃんが私の方を見た。
目が合うと同時にへらっと笑って、すっと私から視線を外した。

   たとえば ほら 愛あるから平和なのかな
   平和だから 愛があるのか

窓の外に流れる景色を目で追いながら、愛ちゃんはまた口ずさみだした。
なんとなく私は愛ちゃんから目が離せなくて、愛ちゃんの歌を聴きながらぼーっと愛ちゃんの顔を見てた。
72 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:26
本当に楽しそうに歌うなぁ、愛ちゃん。
今は新幹線の中だから、隣に居る私にしか届かない歌声だけど、それでもすごく綺麗で楽しそうだった。
歌ってる愛ちゃんの横顔が好き。
歌ってる愛ちゃんが好き。
愛ちゃんが好き。
・・・なんて言ったら、愛ちゃんは顔を真っ赤にさせて「いやいやいや」って、いつもみたいに否定するのかな。
そんな愛ちゃんを想像したら、可愛いなぁと思うと同時に笑えてきて、
私はまだ景色を眺めている愛ちゃんにバレないように、静かに笑った。
73 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:27
すると、愛ちゃんが私の腕を軽く叩いてきた。
なんだろう。何かおもしろいものでも見つけたのかな。
そのようなことを思いながら愛ちゃんの方を向いて、「何?」と首を傾げて見せた。

「1番じゃなくて悪いんだけど、ちゃんと聴いててね。」

愛ちゃんはそう言うと、私の顔を見て意地悪っぽく笑った。
愛ちゃんが何をしようとしているのかさっぱりわからなくて、私は何も言わずに愛ちゃんの横顔を見てた。

   今思えば 笑顔だから 幸せなのか
   幸せのおかげで 笑顔か?

目を瞑って、ふたたび愛ちゃんは口ずさみ始めた。
少し足でリズムを取っているのかもしれない。
愛ちゃんと触れ合っている部分から、わずかに振動が伝わる。
74 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:27

   半信半疑で 恋してても 切なくなっても
   あなたと 出会えたの うれしい事実

愛ちゃんの歌が私の心に響く。
そういえばラブピって、今の私の心境みたいだ。
そう思うと、何度も歌ってきた歌でも別のもののように聞こえてくる。
しっかり聴かなきゃ。
何故かそんな気持ちに駆られた私は、少し座りなおしてから、愛ちゃんの方に顔を向けた。
その時、愛ちゃんとばっちり目があった。
かと思うと、その瞬間愛ちゃんはふわっと笑って、私の手を握った。

   大好きよ

しっかりと私の目を見て歌う愛ちゃんに、不覚にも私の心臓はドキッと大きく高鳴った。
ヤバイ・・・心臓すっごい早い・・・。
自分の心臓がすごい早さでドキドキ鳴ってるのがわかる。
75 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:28

   超大好きよ

続けて歌う愛ちゃんに、もう私の心臓は壊れてしまいそうだった。
愛ちゃんに握られる手が、じわじわと汗ばんでいるような気がした。

   魂込めながら 叫ぶから 叶ってほしい!

愛ちゃんはそこまで歌うと、私の手をぎゅっと強く握った。
呆然とする私を尻目に、愛ちゃんはMDを止めてイヤホンを外した。

「もういいの?」
「うん。もう歌いたいトコ歌ったから。」

今になって恥ずかしくなってきたのか、少し頬を赤らめて、愛ちゃんはそう言った。

「ラブピは、今の私の気持ち。」
「え・・・。」
「これが伝わるまで、1番は歌わない。」
「・・・愛してる・・?」
「!・・・。」
「・・え、いや・・・そういうワケじゃ・・・っ。」

「愛してる♪の部分?」と聞きたかったのに、
今の言い方だと私が愛ちゃんに「愛してる」って言ったみたいじゃないか!
愛ちゃんも同じことを思ったんだろう。ボンッと音が出そうな勢いで、愛ちゃんの顔は赤くなった。
76 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:29

しばらく、私と愛ちゃんの間になんとも言えない気まずい空気が流れた。
つながれたままで離せずにいる手は、もう自分の汗だか愛ちゃんの汗だかわからないけど、ぐっしょりと湿っていた。

えーと・・・つまり、愛ちゃんは私のことが好き・・・ってことだよね?
自惚れなんかじゃないよね・・・?

心の中で、似たような自問自答を繰り返していたら、愛ちゃんが静かに口を開いた。

「さっきので伝わったのかわかんないけど・・、とりあえずあの・・・伝えたかっただけやから、そのー・・・。」

私の方は見ずに、少し俯いて愛ちゃんはそんなことを言い出した。
髪の隙間から見える耳はまだわずかに赤かった。

伝えたかっただけとか、そんなのはナシだよ。

今すぐにでも抱きしめたい衝動に駆られるのをグッと抑えて、私は愛ちゃんとつないでいた手を開放した。
すると、愛ちゃんが不安そうに私の方を向いた。
77 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:29

   ロマンティック 恋の花咲く 浮かれモード

そんな愛ちゃんの視線には気づかないフリをして、私は歌いだした。
恥ずかしくて声が裏返りそうだったから、愛ちゃんの方は見ないようにした。

   史上最大の恋が始まりそう

そこまで歌って、私はチラ、と愛ちゃんを盗み見た。

「・・・愛ちゃん?」

盗み見た愛ちゃんはぽかんとバカみたいに口を開けて私の方を見てた。

「おーい・・生きてるかー・・・?」
「・・・お、あ、うん・・大丈夫。」

肩を2,3度揺さぶってやると、ようやく愛ちゃんは反応を示した。

「ラブピが愛ちゃんの気持ちなら、ロマモーは私の気持ち!」

半ばヤケ気味にそう言い切ると、愛ちゃんはなんともいえない微妙な表情になった。
78 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:30

「えー・・ということはつまり・・・」
「・・・。」
「恋の花咲く浮かれモードで史上最大の恋が始まりそう?」
「・・なんだそりゃ・・・。」

さっき私が歌った歌詞を、早口で繰り返し言っただけの愛ちゃんに思わず笑いがこぼれる。
「え、違う!?」と、私の反応を受けて、愛ちゃんは声のトーンを上げた。

「ううん、合ってる。その通りだよ。」

私がそう言うと、突然愛ちゃんはぼろぼろと泣き出した。

「っちょ・・!何!なんで泣くの!?」
「ごめ・・なんか・・・嬉しくて・・・っ。」

いきなりのことで最初は慌てた私だけど、愛ちゃんの涙の理由を聞いたら、すごく愛ちゃんが愛おしく感じた。

「もう・・泣くなよー。」

よしよし、と頭を撫でてやる私は、一体どんな顔をしてるんだろう。
79 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:30

よっちゃんなら「何ニヤニヤしてんの、キモイぞー。」と言うかもしれない。
ガキさんなら「うわ、何その顔、初めて見たー!」と言うかもしれない。
麻琴なら「幸せそうな顔してんねぇ、美貴ちゃん。」と言うかもしれない。
しげさんなら「わぁーっ、今の顔可愛いー!・・でも、さゆみのが可愛い。」と言うかもしれない。

そして、それが私ならさっき浮かんだ感想全てを持っているに違いない。
自分でもそう感じるぐらい、私は優しい微笑みを浮かべているに違いない。
私をそうさせるのは、他の誰でもない愛ちゃんなんだ。

ねぇ、愛ちゃん。
たぶんだけどさ、二人きりになったらすごい美貴だらしなくなると思うんだ。
だらしなくなるっていうか・・・こう見えて甘えたがりだったりするじゃん?美貴ってさ。
色々ギャップみたいなのはあると思うけど、全部好きになってくれるとありがたいな。
んー・・全部が無理なら、少しずつ・・・ね。
80 名前:歌で届ける 投稿日:2005/11/01(火) 00:31

「美貴ちゃんのそんな顔、初めて見たよ。」
「そぅ?たぶん、それぐらい嬉しかったからだよ。」
「私も嬉しかった。」
「・・・可愛いなぁ、愛ちゃんは。」
「っえ・・いやいやいや・・・。」

   
   答えなんかは無いけれど 幸を願おう
81 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/01(火) 00:31


82 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/01(火) 00:42
>>66-67 名無し飼育さん
ニヤけちゃいますか?wニヤけちゃってくれてますか?w
これからもニヤけて頂けたらありがたいです。

>>68 名無し飼育さん
愛美貴ファンの方にたまらないと言って頂けて嬉しいです。
ヤンタン収録日は知ってましたがハロモニ。は知りませんでしたorz
えーと・・・まぁ、今回は見逃して下さるとありがたいですwご指摘ありがとうございます。

>>69 名無し読書中さん
愛美貴は本人たちがポワワなことしてくれるので困っちゃいますよねー。

>>70 ひろ〜し〜さん
愛美貴ファンの意外な多さにビックリです。
というわけで更新しちゃいましたよ!

皆さん感想ありがとうございます〜。
上でも言いましたが、本当愛美貴ファンの多さにビックリしました。
なので愛絵里更新予定でしたが、その前に愛美貴更新ですw
歌使って一度書いてみたいなぁ、と思ってたので挑戦してみましたが、いかがでしょう?
こうして書いてみるとやっぱりラブピ良いなぁ。
ミキティたちが「ロマモー」と呼んでいるのかわかりませんが、どうなんでしょうね。


83 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/11/01(火) 02:00
歌での表現ってすごく新鮮で良かったです
ラブピ最高ですよね〜これ歌ってるときの愛ちゃんの表情がとってもイイんですよ

本人たちが「ラブマ」「ウィアラ」などと言っているのは聞いたことがあります
もしかしたら「ロマモー」って言っているかもwww

私は愛絵里も好きなので期待しちゃいます
84 名前:ひろ〜し〜 投稿日:2005/11/01(火) 16:40
ごちそうさまですw

いやん。もう可愛いねぇw
85 名前:ぱぱんだ  投稿日:2005/11/06(日) 00:28
今日、はじめて見つけました!
私はハラポワさんの前作の吉愛を読んですっかり吉愛ファンになってしまいました!
なので、吉愛の方もお願いします。
86 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:21
最近私は非常に機嫌が悪い。

「絵里、最近イライラしてるみたいだけどどうしたの?」
「亀ちゃん、何か悩みとかあるんだったら言いなよー?」
「亀、足。足がイライラしてる。」

さゆを始め、まこっちゃんやガキさんにまで気付かれてる。
それぐらい私はイライラを露わにしているのだ。
なのに肝心のあの人が気付いてくれない。

「絵里、今度のオフにうち来ない?」

どうしてこの人はここまで鈍いのでしょうか。
普段人の変化に敏感なくせに、自分が絡んでくると本当鈍いなぁ、この人は。

「結構です。」

あからさまに怒ったように言った絵里に、愛ちゃんは一瞬眉をしかめた。

「・・・・・・なんで怒ってんの?」

なんで絵里が怒ってるのかわからないんですか?
っていうか、ようやく絵里が怒っていることに気付いてくれましたか。
目の前で頭にハテナマークを浮かべて私の顔を見てくる愛ちゃんに、私のイライラも爆発したみたいで。

「・・・っ、もう!愛ちゃんのバカっ!!!」

思いっきり叫んで、楽屋を飛び出した。
87 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:21





「・・・・・・愛ちゃん?」
「おーい・・・愛ちゃーん。」
「愛ちゃ〜ん?」
「駄目だ。完璧に心ここにあらず、だ。」
「おぉう、言うねぇー、ガキさん。」
「いやいや、褒めても何も出ないよ、まこっちゃん。ってか褒められたのか?」
「褒めたんだよ。」
「二人とも漫才は良いですから早く愛ちゃんを・・・。」
「いや、漫才じゃないから。ね、さゆ。漫才じゃないから。」

3人で愛ちゃーんと何度も呼びかけて、何度も体を揺さぶった。

「・・・絵里、怒ってた・・・よなぁ?」
「誰がどー見ても怒ってたね。」
「というか第一声がそれかい。」
「絵里大丈夫かなぁ。」
「で、愛ちゃんはなんで亀ちゃんが怒ってたのかわかんないの?」
「うん。」
「その前に愛ちゃんは亀が怒ってたことに今気付いたの?」
「機嫌悪いなぁ、とは思ってたけど・・・。」
「と、とにかく早く絵里を追いかけないと・・・!」
「お、おぉ。そうやね・・・。」

あたふたと楽屋を出ようとする愛ちゃんをガキさんが呼び止めた。

「ちゃんと二人で戻ってくるんだよー。」
「あーい。」

愛ちゃんはわかっているのかいないのか、一声返事をして楽屋を後にした。
88 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:22



楽屋を飛び出して、すれ違う人に挨拶をしながらただひたすら走った。
特に行く当ても無かった。
息を整えようと速度を落とした時、自動販売機を見つけた。
何か買おうと思ったけど、財布は楽屋に置きっぱなし。
自動販売機を前にして、私はイスに腰掛けた。

「・・・愛ちゃんのバカ。にぶちん。天然。親切。可愛すぎ。優しすぎ。にぶちん。バカ。・・・バカ。」

思いつくままに呟いて、愛ちゃんの顔を思い出しては「バカ」と言った。

「だーれがバカやって?」
「っ!!あ、愛ちゃん・・・。」

聞き慣れた声に頭を上げて、周りを見渡した。

「急に『バカ』とか言って走ってくから、スタートが遅れたわ。」

声が聞こえるままに後ろを向くと、愛ちゃんは絵里の方に歩み寄ってきていた。

「だって愛ちゃん・・・バカだもん。」
「だから人をバカバカ言うなってー。一応先輩やのに。」
「一応でしょ?」
「・・・もう、何にそんなに怒ってんの?」

愛ちゃんも絵里の態度に少しイライラしているようで、乱暴に私の隣に座った。
89 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:22

「絵里が怒っていたことに、今頃になって気付いたことに怒ってるんです。」
「いや、機嫌が悪いことはわかってたよ?」
「じゃあ、それが愛ちゃんのせいだってことには?」
「・・・そうやったん?」
「はい。」

ほら、気付いてない。

「まさか私のせいだとは・・・」
「思っても無かったでしょうね。」
「え?」
「自覚無いんだろうなとは思ってましたよ。」

やっぱり自覚は無いみたいで、相変わらず愛ちゃんはちんぷんかんぷんな顔をしていた。

「絵里?」
「なんですか?」
「・・・もっとこう・・はっきり言ってくれんとわからんで。」
「でしょうね。」
「ね。」
「愛ちゃんはにぶちんだもんね。」
「にぶちん?」

また話がそれそうだ・・・。
愛ちゃんの質問は無視して、私は最近機嫌が悪かった理由を話すことにした。
90 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:23

「最近れいな・・・愛ちゃんと仲良いよね。」
「え?誰と誰がって?」
「れいなと愛ちゃんが。」
「なんで私とれいながって言わんの。」
「愛ちゃんがれいなと仲良いって言いたくないだけです。」
「あ、そぅ。」

あ、今「別にどうでもいいがし!」って思ったな。
愛ちゃんの考えてることなんてお見通しなんですからね、絵里!

「別にどうでもいいじゃん、とか思ってないで?」
「っ・・・。」

愛ちゃんも絵里の考えてることはお見通しのようで、不覚にも言葉に詰まってしまった。
しかもちゃっかり標準語チックだ。
愛ちゃんの標準語のイントネーションが絶妙で絵里のツボなのは今は言わないでおこう。

「っ・・で、どうなんですか?」

絵里が無理矢理話を戻すと、愛ちゃんは「あぁ。」と静かに反応した。
「あぁ。」ってなんですか、「あぁ。」って!!
91 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:24

「れいなと仲良くしてる、っていうつもりは無いんやけど。」
「はい。」
「あ、れいなと仲悪いわけでも無いよ?」
「わかってます。」
「いや、あのね、前のシャッフルの時にれいなと一緒になったやろ?エレジーズで。
 当然楽屋でも撮影でも一緒やんか。それで自然に一緒におるやろ?
 いっぱい話すやろ?なかよ・・・親しくなるやろ?」

仲良いって言うと絵里が怒るからって親しいに言い直さなくても・・・。

「それはそうですけど!!娘。として居るときぐらい絵里とも喋ってくださいよ!」
「だって怒ってたじゃんか!!」
「でも愛ちゃん自分のせいだとは思ってなかったんでしょ?
 だったら声掛けてくれれば良かったじゃないですか!!」
「それは・・・っ。」
「・・・なんですか。」

さっきまでの勢いはどこへやら。
急に愛ちゃんは絵里から目をそらして、言いにくそうにしている。

「愛ちゃん?」
「・・・じゃん。」
「え?」

いつまでも続きを言わない愛ちゃんを促したら、
言ってはくれたものの、聞き取ることができなかった。

「ちょっと聞き取れなか・・・」
「麻琴たちに言われてたじゃんか。」
「・・・んん?」
92 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:25
「声掛けようかどうか私が迷っとる間にガキさんとかさゆに声掛けてもらってたじゃん。」
「・・・はぃ。」

それが何か。

「先にみんなに声掛けられてるのに、その後に私が声掛けても意味無いでしょ?」
「・・・。」

ダメだ。絵里の頭では全然理解できません。

「だからあの、麻琴たちが声掛けたから、私が絵里の機嫌が悪いってことに
 気付いたんだって思われたら・・・悔しいやろ?」
「・・・???」

全然理解できない絵里に説明しようとすればするほど、
愛ちゃんの日本語の意味がわからなくなってくる。
しかも段々早口になってきて聞き取りにくい。

「・・っ、誰かのあとに声掛けても意味無いの!!」
「・・・へぇ?」
「あの・・私が誰と仲良くしてても気にしなくていいから・・・
 あぁ、いや・・全く気にしてもらえないのもアレだけど・・・。」
93 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:26

つまり、声を掛けようか迷ってる間にまこっちゃんたちに先に声を掛けられてたから、
愛ちゃんは今まで声を掛けなかった、と。
よくわかんないけど、機嫌の悪い絵里に「どうしたの?」とか「大丈夫?」とかいう言葉は、
一番に言わないと意味がない、ってことだよね?
・・・変なトコ意地っ張りだよね、愛ちゃん。
まぁ、ちょっと嬉しいですけどね。
いや、違うか。なんか、なんかすっごい嬉しいかもしれない。
顔を真っ赤にしてぶつぶつと言っている愛ちゃんを、私は思わず抱きしめた。

「!?ちょ、絵里・・・」
「すいません。」
「え?」
「勝手に嫉妬して、勝手に怒って、愛ちゃんに当たっちゃって・・・。」
「別に・・・」
「愛ちゃんが追いかけてくれて、すっごい嬉しかったです。」
「ん・・。」

くぐもったような声で返事をした愛ちゃんが、絵里の胸を押して絵里から離れた。
何かと思って愛ちゃんを見ていたら、たちまち愛ちゃんは耳まで真っ赤にして言った。

「・・私が好きなのは・・・え、絵里だけやから。」
「・・・ぇ。」
「ぁぁ〜・・・もう、もう言わんっ。」
「・・・知ってますよっ。」
「〜〜・・・。」

愛ちゃんの言葉に「ウヘヘ」とだらしない笑みを漏らしてしまったけど、愛ちゃんが可愛いから良しとしよう。
94 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:27


「おかえりー。」

絵里と一緒に楽屋へ戻ったら、やたらニコニコと嫌な笑顔で3人が迎えてくれた。

「なんだかんだでラブラブだよねぇ。」
「ごめんねー。私たちが先に亀ちゃんに声掛けちゃって。」
「絵里と愛ちゃんが結婚したら、さゆ、絵里の妹になれるね!」

ちょ、ちょ、ちょ・・・なんか嫌な予感が・・・。

「れいなにもちゃんと言っとくからね、亀。」
「それにしても羨ましいなぁ、亀ちゃん。」
「『私が好きなのは、絵里だけだから』・・・あーんっ、さゆみも言われたーい!!」

楽屋にはれいなもこんこんも美貴ちゃんも吉澤さんも居るってのに、この3人はペラペラと・・・。

「あの、愛ちゃん?」
「何?」
「もしかしなくても3人に見られてたみたいですね。」
「・・っ・・・。」
「あれ?どうしたました?」

さっき絵里に言ったことを思い出して、またも赤面してしまった私に絵里はイジワルな笑みを浮かべた。


95 名前:不機嫌→上機嫌の法則 投稿日:2005/11/06(日) 17:28

「な・・っ、絵里も3人の味方するの〜!?」
「だって別に恥ずかしくないですもん、絵里。」
「っあー!さっきの愛ちゃん、みんなにも見せてあげたいなぁ!」
「もう私はいいや。ごちそうさまです。」
「じゃあ、今度はさゆに言って下さい。」
「ダメダメっ!!何どさくさに紛れて言ってんの、さゆ!」

そういう絵里もどさくさに紛れて私を抱くのやめてくれへんかな・・・。

「あぁ!絵里ばっかりズルイ〜っ!!」
「ダメーっ。愛ちゃんは絵里の!!」

いや、絵里のものとかいつのまに・・・って、うぉ!?

「逃げるよ、愛ちゃん!」
「はぁ〜!?」

絵里に手を引かれて楽屋を出た。

「に、逃げるってどこに・・・」
「とりあえず人の居ないところ!」
「うへぇ〜?」
「ほら、走って走って!!」

絵里に主導権を握られっぱなしのような気がしてならんけど・・・。
まぁ、絵里の機嫌も直ったみたいやし、良しとするか。
96 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/06(日) 17:28




97 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/06(日) 17:37
>>83 名無し飼育さん
愛ちゃんの表情良いですよね〜。
春コンDVDの「愛してる♪」のあとの照れ笑いとか最高ですよね。
その後よっすが来ることも踏まえれば吉愛キター!!ですねw
情報ありがとうございます!
よく考えたら「ミキティ、ロマンティック浮かれモード歌ってよー!」とかって
わざわざ言わないような気がしてきましたw

>>84 ひろ〜し〜さん
愛美貴に関しては小説以前に本人たちに「ごちそうさまです」な気分ですよw

>>85 ぱぱんださん
ありがとうございます!
自分の小説で吉愛ファンになってもらえて嬉しいです。
次回更新は吉愛を予定しているのでお待ち下さいませ。

更新が見送られていた愛絵里です。
実は書いたのが愛ちゃんとれいなが仲良くなった頃だったので、こんな話になっちゃってます。
愛絵里は新曲のPVメイキングに期待したいところです。
98 名前:めろ 投稿日:2005/11/07(月) 09:34
愛絵里は爽やかだなぁ〜
99 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:45

「一緒に帰らない?」

ふと目が合った時、私は気づいたらそう言っていた。

一個下の学年の高橋愛。
こうして目が合うのは初めてじゃなかった。
最初のきっかけみたいなものは何もなくて、ただ校門に立っているあの子と目が合っただけ。
その瞬間から、私はあの子のことが好きだったんだと思う。
なんていうかほら・・あのー・・・一目惚れってヤツ?
それからほとんど毎日下校の時には目を合わせていた。

名前はなんていうんだろう・・・。
いつしかそう思うようになって、すぐに友達に聞いたりして調べた。
その時に学年やクラス、クラブも知った。

声が聞きたい。
話がしたい。
触れてみたい。

もう1ヶ月は確実に過ぎていた。
1ヶ月経った今になって、私の中の思いは膨らむばかり。
100 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:46


好きな人は居るのかな。
彼氏は居るのかな。
あんなに可愛い子を周りが放っとくわけ無いよね。

2ヶ月が過ぎた。
話しかけようとは思うんだけど、どうもあと一歩が踏み出せずに居た。


いつも下校時は校門に居るけど、誰を待ってるんだろう・・・。
友達?やっぱり付き合ってる人とか?
私がこうしている間にも告られたりしてるんじゃないか。
どうにもならないことで悩んだりもした。

そして・・・3ヶ月が過ぎた。
101 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:46

私は決心した。
今日絶対話しかけよう。
「バイバイ。」でも「こんにちは。」でもなんでも良い。
なんでも良いからあの子と話そう。声を聞こう。

そう決心していつものように校門へと向かう。
居た・・・。
あの子の姿を見つけた瞬間、じわじわと嫌な汗が浮き出てくるのがわかった。
こんなに緊張することって今までであったか・・・?
なんとか平静を装いながらあの子へと近づいていく。
私に気付いたあの子が私を見る。
いつもと同じように目を合わせて・・・あの子は微笑んだ。

可愛い・・・。
102 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:47

いつもは目を合わせるだけなのに、さっき確かにあの子は微笑んだ。
その顔があまりにも可愛くて、さっきまでの緊張でドキドキしていた心臓は、より大きく動いていた。
バクバクと脈打ち続ける心臓が、口から飛び出てくるんじゃないか。
無駄な心配をした後、ふとある疑問が浮かんだ。
そういえばなんで今日は微笑んでくれたんだろう・・・。
緊張しすぎてる私を見て笑ったのだろうか。
歩き方でもおかしかった?むしろ顔?
手と足が同時に出てたとか?
頭の中でグルグルと言葉が駆け巡る。

いつもは止めない足を、その子の目の前でピタッと止めた。
その子も何事かと私の方を見ていた。

「もし良かったら・・・一緒に帰らない?」

・・・あれ。何言ってるんだよ。
ただ声が聞けるだけで良かったのに、一緒に帰らない?だって。
103 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:47
これで「友達が居るので」とか言われたら、明日からは目を合わせることでさえ出来なくなるだろう。
でもそんな私の心配をよそに、その子は心無しかパァァと顔をほころばせて言った。

「・・・私で良ければ。」

あぁ、こんな声なんだ。
さっきまでの緊張はどこへやら、気持ちは案外落ち着いていた。
二人で歩き出して、家どの辺?とか、じゃあ同じ方向だね、とか話してた。
私の隣を歩いてる。
すぐ横を向けば、この笑顔がある。
信じられない。
素直にそう思った。

「ずっと・・話したいなって思ってたんだよ。」
「私もです。」
「え、そうなの?」
「はいっ。」

その後、好きな人の有無とか付き合ってる人の有無とか、とにかく3ヶ月間知りたいと思っていたことを全て聞いた。
告白はやっぱりよくされるらしいけど、全部断っているらしい。
やっぱり好きな人でも居るのかな?これについてはあいまいな返事をされたからよくわかんないんだよね。
104 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:50

「あ、じゃあ私はこっちなので。」
「あ、そう?じゃあここでバイバイだね。」
「はい・・・。」
「・・・なんか寂しいね。」
「そうですね・・・。」

何を言ってるんだろう。
つい私は苦笑じみた笑顔を浮かべてしまった。

「また、明日も待ってますから。」
「・・・うん。わかった。」

私がそう言うと、愛ちゃんは笑顔で「また明日」と言った。
「またね」と私が言ったら、愛ちゃんはペコリと頭を下げた後、家へと歩いて行った。

その日はなかなか眠れなかったのを覚えてる。
目を瞑っても愛ちゃんの顔や声が離れなかった。
・・・これが恋なのかなぁ。
まんざらでも無いことを思ってみたら、その後すぐ寝付けた。
105 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:51

それからは毎日一緒に帰っていた。
その日にあったことや昨日見たテレビのこと。好きな音楽のこと。いっぱい話した。

「それじゃぁ、また・・・」
「愛ちゃん。」
「はい?」

いつもの十字路。
愛ちゃんは右へ、私はまっすぐ行くところ。
今日もまた、決心してやってきた。
告白する。
友達に相談したら「早いよ」って言われたけど、私はもう一緒に帰るだけなんて我慢できない。
もっと触れてみたいし、もっといろんな愛ちゃんが見たい。
一度深く深呼吸をしてから、私は口を開いた。

「初めて目が合った時から・・・愛ちゃんのことが好きでした!」
「っ・・・!」
「それで・・あの〜・・・っ。」

好きってことを伝えたのは良いけど、どうもその後が続かない。
真っ赤になりながらしどろもどろに口ごもる私を見かねたのか、さっきまでビックリしていた愛ちゃんが噴出した。
106 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:51

「え・・・。」
「ははっ・・・可愛いなぁ、吉澤さん。」

笑ってそう言った愛ちゃんだけど、そう言う愛ちゃんが可愛いよっていうのはお約束のことで。

「私がなんで告白されても断ってきたか教えてあげましょうか?」
「へ・・・?」

少し得意げに愛ちゃんはそう言った。
そんな愛ちゃんが可愛いのも・・・うん、お約束。
でも、なんで急にその話・・・?

「ずっと・・・好きな人が居たからです。」
「・・・。」

あぁ、そうか。
私、断られちゃうんだな。
愛ちゃんが告られても全て断ってきてたってこと、すっかり忘れてた。
それにしても、ずーっと愛ちゃんに想われてる相手って誰なんだろう。
すっごい幸せ者だよ。ちょっとムカつくけど、本当に幸せ者だ。

「目が合った時に、一目惚れ・・・したんです、私も。」
「あ、そうなの。」

完璧に落ち込んでいた私は、真面目に愛ちゃんの話を聞く気になれなかった。
107 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:51
「初めて声を掛けられた時は、心臓がずっとドキドキいってて・・・。」
「うん、わかるよ。」

私も愛ちゃんに話しかける時。
愛ちゃんの笑顔を見た時。
すごくドキドキしてた。

「でも、その次の日もその次の日も・・だんだん話すのは慣れてきたんですけど、そのドキドキだけは抑えられなくて。」
「うん。」
「・・・今も、すっごいドキドキしてるんですよ?本当は。」
「そっかー・・・。」
「好きだったって言われた時は、ビックリしすぎて心臓が飛び出すかと思いましたよ。」
「・・・え?え・・ちょっと待・・・。」
「私が毎日校門に立ってたの・・・吉澤さんを待つためだったんですよ?」
「はいぃ!?」

頬を赤らめて、少し俯いて愛ちゃんはそう言った。
確かにそう言った。
108 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:52
私が愛ちゃんを見るために校門へ急いでいたのと同じように、愛ちゃんも私を待っていてくれてたんだ。
そう思うとすごく嬉しかったけど、私はまだもっと肝心なところに気付けていなかった。

「・・好きです。私も・・・吉澤さんのことが好きです。」

愛ちゃんも、私のことが好き。
ようやく今そのことを理解した。

「え、ちょ・・な・・・え・・・・・・マジで・・・すか?」
「マジですよ。」

そう言って、初めて微笑んでくれた時みたいにはにかんだ愛ちゃんは最高に可愛かった。
嬉しさと可愛さのあまり、私は思わず愛ちゃんのことを抱きしめた。

「うわ・・すっごい嬉しい・・・。」

私がそう呟いたら、愛ちゃんの手が私の背中にも回された。
しばらくしてから、私たちは離れた。
すると、愛ちゃんは楽しそうに話し始めた。
109 名前:始まりの日 投稿日:2005/11/12(土) 22:52

「吉澤さん。気付いてました?」
「ん?」
「私たち、まだ自己紹介してないんですよ?」

あ・・・。
呆然とする私を見て笑った後、愛ちゃんは道路に置きっぱなしだったカバンを手に取った。

「高橋愛です。吉澤さんの・・恋人・・・です。」
「っ・・・あ、えーと・・・吉澤ひとみです。愛ちゃんの恋人です。」

そして二人で同時に頭を下げた。

「すいません。ちょっと調べちゃってました。」
「なんだ、じゃあ愛ちゃんも私と一緒じゃんか。」

お互いがお互いに一目惚れして、お互いがお互いに調べちゃってた。
自己紹介も無しに5ヶ月ぐらい一緒に帰ってた。

「しっかりしてるのか抜けてるのかわかんねー。」

二人で顔を見合わせては笑い、落ち着いてきたところで別れの挨拶。

「じゃあまた・・帰ったらすぐ連絡する。」
「はい、じゃあ待ってますね。」
「うん。」

バイバイ。と言ってお互いの家へと足を進めた。
その日は家に着いてすぐ電話をした。
その次の日はすぐメールをした。


「また明日」だった挨拶が「また後で」に変わった日―
110 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/12(土) 22:53


111 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/12(土) 22:56
>>98 めろさん
そうですねー。自分でも愛絵里は爽やか目指してますw

今回は吉愛更新です。
ちなみに吉愛は少女漫画みたいな話が書けたら良いな、と(笑)
こういうパラレルっていうんですか?
学園モノ設定で書くのは初めてなのでまだ手探り状態な感じです。
学園モノは読むのも好きですね。
112 名前:名無しで失礼します 投稿日:2005/11/16(水) 09:51
よっすぃ〜が愛ちゃんに憧れているんじゃないか疑惑?!
ハロモニ心理テストを思い出しました
久しぶりに見返そうかな〜
113 名前:風まかせ 投稿日:2005/11/16(水) 13:19
松高か藤高をお願いします
114 名前:ぱぱんだ 投稿日:2005/11/16(水) 21:55
やっぱり、吉愛いいですね〜
吉愛の学園ものて珍しいですよね、これって続編とか考えたりしてますか?
放課後だけで続く物語も良いかなぁ〜って。
115 名前:星になる 投稿日:2005/11/19(土) 22:16

「あれ?」

トイレから戻ったら、そこに居たはずの愛ちゃんはいなかった。

「愛ちゃーん?」

自分の部屋、部屋のタンス、台所まで見て回っても、どこにもいない。

「どこいったんだあの人・・・。」

〜♪

「ん?」

メンバーの着信音が、机の上に置いてあった私の携帯から流れる。
愛ちゃん?
なんとなく他のメンバーではないと思った。

『外きて』

それだけ書かれたメールは、やっぱり愛ちゃんからだった。
私はその画面を消さずに携帯を閉じ、ポケットに押し込みながら玄関へと向かった。
116 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/19(土) 22:20


「・・・何してるんですか?」
「あ、遅いよ、絵里ー。」
「え、あ、ごめ・・って別に遅いこと無いでしょ。」
「もっと早く見つけてほしかったのに。」
「まさか外にいるなんて思ってもみませんでしたよ。」

庭にある縁台に愛ちゃんは寝転んでいて、顔だけこちらを向かせて笑った。

「まぁ、絵里もこっちこっち。」

上を向いた愛ちゃんに手招きされ、愛ちゃんの頭のすぐ横に座った。

「ん、上、見てみ。」
「上?」

愛ちゃんが指差した空を、私は言われるままに見上げた。

「・・・何ですか?」
「星。」
「星?」

星、といっても、東京の空に見える星にそう目立ったものは見当たらない。
117 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/19(土) 22:21

「星がどうかしたんですか?」
「ちょっとね、星見ながら考え事してた。」
「でも、そんなに多くは見えないでしょ?」
「そりゃまぁ、福井ほどはね。」

今までここで生きてきて、「星がキレイ」なんて思ったことがない。
空はつながってる―なんて言うけど、そんなの嘘だ。
実際、私と愛ちゃんが見てきた空は全然違うものじゃないか。

「でも、今回は少ない方がいいかも。」
「え、なんで?」
「んー・・まぁ、あとでわかるよ。」

星は多い方がキレイだと思うけどなぁ・・・。
なんで少ない方が良いのかはわからないけど、私は何も言わずに空を見上げていた。

「死んだら、星になるって言うじゃん?」

いきなり何を言い出すんだ、愛ちゃんは。
色々ツッコミたいことはあったけど、私は何も聞かずに見上げたまま「うん。」と言った。
118 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/19(土) 22:21

「別に、死ななくても良いんだけどね。」

いい加減話の意図が掴めなくて、私は見上げるのをやめた。
「さっき言ってた考え事ってそれ?」という言葉が咽まで出たけど、私はそれを声に出すことは出来なかった。

「そう思うやろ?」

そう言って、柔らかく笑う愛ちゃんに不覚にもドキッとしたからだ。
何も言えずに居た私には構わず、愛ちゃんは空に見える星に向かって腕を伸ばし、話し始めた。

「あれがガキさんで、こっちがさゆ。で、えー・・と・・・あっちらへんが麻琴で・・あ、あかんわ。星が足りない。 じゃあ麻琴は無しで・・あれが絵里で、その隣が私。」

いくつかの星を指差しながらそう言う愛ちゃんは、本当に楽しそうに笑っていた。
とりあえずまこっちゃん、ごめんなさい。

「私の隣って決まってるんだ、愛ちゃんは。」
「イヤ?」
「そんなわけないじゃないですか。」

私も自然と笑顔になっていた。

「ありがたいです。」

そう言いながら愛ちゃんの髪を撫でたら、愛ちゃんも笑った。
119 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/19(土) 22:22

「なれるかな、星に。」
「なれるよ、愛ちゃんなら」

私がそう断言したら、愛ちゃんは一瞬不満気な顔をしてみせた。

「私だけ星になっても意味無いんやけど。」
「だって、絵里こそなれるかわかんないですもん。」
「絵里。」
「はい?」
「・・・なれるよ。」
「え?」
「なれる、絶対。」

思わぬ愛ちゃんの強気な発言と真剣な表情に、私は思わず手を止めて愛ちゃんの顔を伺った。
星に向かって拳を掲げた愛ちゃんは、力が溢れ出てくるような、強い笑顔だった。

「ってか、絵里がなってくれないと私一人で寂しいじゃん。」

そう言って、愛ちゃんはふにゃっと笑った。

「星になる頃、絵里たちはどうなってるんでしょうね。」
「まだ絵里のこと好きやったらええなぁ〜。」
「ま、まだってなんですか!?」
「ははっ、冗談冗談!」
「笑えない冗談はやめてくださいよ〜っ!」

私がそう言ったら、髪をいじっていた私の手を愛ちゃんの手が掴んだ。

「愛ちゃん?」
120 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/19(土) 22:22

何気なく空を見上げていた私は、愛ちゃんに視線を戻した。

「いつか星になった時も、そばにおってくれる?」
「・・・もちろん。むしろ、居させますから。」

私の言葉に愛ちゃんは目を丸くして驚いてたけど、一呼吸置いて声をあげて笑った。

「何、居させるって。そんなこと言われたら、私も居るしかないじゃんか。」

愛ちゃんは掴んでいた手を離して、身を起こした。

「ね、少ない方が良かったやろ?星。」
「あ・・・。ですね。」

さっきまで忘れていたけど、ちょっと前まで胸に引っかかってたこと。
それの謎が解けて、心無しか胸の辺りがスッと軽くなったような気がした。

空を見上げる。
都会の空に見える星は数少ないけど、二人で静かに過ごすのもいいかもね。
私は右手を高く上げて、二つの星を掴んだ。

星が掴めるわけないけど、その動作に愛ちゃんが笑ってくれたから―

星が、掴めた気がした。
121 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/19(土) 22:31
>>112 名無しで失礼しますさん
ハロモニ。心理テストの回は吉愛ヲタ的には永久保存版ですよね。
吉愛はお互いに憧れてる部分があるんじゃないかな、と思います。

>>113 風まかせさん
り、リクですか!?初めてリクもらってドキドキです・・・w
松高は書けそうにないので藤高で良ければ。
次に更新できるかはわかりませんが、気長にお待ち下さるとありがたいです。

>>114 ぱぱんださん
続編は今のところ考えてないです。
というか学園ものって学校生活が上手く描写できそうになくて避けてたんですね。
でも、放課後だけで続く物語か〜・・・そういうのもアリですな。
他の小説更新に行き詰ったら考えてみます(笑)

福井の空にどれぐらい星が見えるのかは知りませんが、東京よりは見えるんじゃないかな、と。
夜、ぼーっと空を見上げるのは好きです。ハラポワが。
どうでもいいですね・・・orz
122 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/19(土) 22:32

123 名前:さかなや 投稿日:2005/11/20(日) 23:37
いいですね。ものすごく好きです、こういうの。
ふたりの感じている外気温まで伝わってくる様な気がします。
124 名前:もっと 投稿日:2005/11/27(日) 23:06
今日は愛ちゃんがうちに遊びにきた。
遊びにきたというか、うちに来ただけで本当何もしてないんだけど。
かといってうちには何も二人で遊ぶものなんて無い。
まぁ、愛ちゃんはそういう・・・なんて言うかな。
同じ空間に居るんだなーと思うだけで十分、みたいな。
そこに愛ちゃんが居て、ここに美貴が居る。
この距離感が良いんだよね。

そんなことを思いながら、愛ちゃんをじーっと見ていた時だった。

「美貴ちゃん。」

美貴のCDを眺めていた愛ちゃんが、不意に口を開いた。

「ん?何?」

ベッドにもたれたまま、美貴も口を開く。

「寒くない?」
「寒い?」
「うん。」
「風邪?」
「ううん。」

正直美貴は全然寒くない。
別に着てるものは愛ちゃんとなんら変わりは無いのだけれど。
125 名前:もっと 投稿日:2005/11/27(日) 23:06

「美貴は寒くないよ。」
「そりゃ、美貴ちゃんは北海道の真ん中らへん出身やから。」
「愛ちゃんだって福井じゃん。」
「いや、寒いのに福井は別に関係無いだろー。」
「あぁ、そっか。」

愛ちゃんに『北海道の真ん中らへん』と言われると、ついつい田舎自慢みたいになってしまう。

「寒いよ〜。暖房つけようよ〜。」
「えーっ、それは暑いよー。」

いくら寒いからって、暖房は暑いだろ。

「でもこのままやと死んでまうで。」
「死んでたまるかよ!!」
「いや、美貴ちゃんじゃなくて、私が。」

あぁ、え?うん、わかってるよ?

「でも暖房つけたら溶けちゃうよ。」
「何が?」
「美貴が。」

いやいや、そこ「ヒャー」って笑うところじゃないよ、愛ちゃん。
126 名前:もっと 投稿日:2005/11/27(日) 23:06
うーん。愛ちゃんに風邪ひいてもらうわけにはいかないし・・・しょうがない、暖房つけるか。
美貴がそんなことを考えていたら、愛ちゃんが「じゃあどうしよっかなぁ。」と呟いた。

「暖房つける?」

美貴がそう言ってリモコンに手を伸ばしても、愛ちゃんは頷かない。

「つけないの?」
「だって、美貴ちゃんが溶けちゃう。」

本当に溶けるわけないじゃん!!
真剣に悩む愛ちゃんを見ていたら、そんな野暮なツッコミをする気も失せてしまう。
なんか、ちゃんと考えてくれるんだなぁ。

「・・・じゃあさ。」
「うん?」

美貴は手に取ったリモコンをもう一度机に上に置いて、愛ちゃんの方に顔を戻した。

「ほら、こっちおいで。」
「へ?」
「いいから。ここ、ここ。」

足を開くことで出来たスペースを、手でバンバンと叩いて愛ちゃんを促す。
愛ちゃんは理解したのかしていないのか、何も言わずに手と足をついて美貴のそばまで来た。

「後ろ向いて、ここ座って。」

美貴に言われるがままに、美貴の足の間に座り込む愛ちゃん。

「これでいいじゃん。」

そう言って、腕を愛ちゃんの体に回した。
127 名前:もっと 投稿日:2005/11/27(日) 23:07

「おぉ。」
「どう?まだ何かご不満なことはございますか?」
「・・・無い、です。」
「ん、よろしい。」

どうも噛み合ってないなぁ、と思いながら、笑いを噛み締める。

「美貴ちゃん暑くない?」
「うん、大丈夫。丁度良いよ。」
「良かった。」

目の前の愛ちゃんの肩に顔を埋める。
顔に当たる愛ちゃんの髪の毛がこそぐったいけど、髪からほのかに香るシャンプーの匂いがすごく心地よかった。

「愛ちゃん良い匂いがする。」
「なんだそれー。」

愛ちゃんの笑い声を聞きながら、そっと目を閉じてみる。
その瞬間、愛ちゃんがふわっと美貴の中に広がった気がした。

「愛ちゃんワールドだ。」
「愛ちゃんワールド?」
「・・・ううん、なんでもない。」

いつかのヤンタンでこんなのあったなぁと思いながら、私は静かに笑った。
128 名前:もっと 投稿日:2005/11/27(日) 23:09

「ありがとね。」

不意に、愛ちゃんが言った。

「・・何が?」
「ちょっと暖かくなってきた。」
「ん、なら良かった。」

そうじゃん。愛ちゃんを暖めるためにこの格好になったんだっけ。
愛ちゃんワールドの心地よさのせいで、すっかり当初の目的を忘れてたよ。

なんて、今思うとすごい言い訳。
愛ちゃんが“そこ”に居るだけじゃ物足りないのかもしれない。

人間って贅沢で我侭な生き物だなぁ。
他人事のようにそう思いながらも、美貴は腕に力を込めた。
129 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/27(日) 23:10

130 名前:ハラポワ 投稿日:2005/11/27(日) 23:16
>>123 さかなやさん
ものすごく好きだと言ってもらえると嬉しいです。
>ふたりの感じている外気温まで伝わってくる様な気がします。
というコメントがとても好きです(何

リクを頂いた藤高更新。
「愛ちゃんワールドでようこそ!」とかあったなぁと思いながら。
ヤンタン聞いてなくてわからない人はすいません。

131 名前:konkon 投稿日:2005/11/28(月) 12:47
ヤンタン聞いてなくてわかりません(泣)
けどやっぱあいみきは最高です!
この二人の距離ってなんかいいですよね〜。
今後も待ってます♪
132 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 03:45
突然失礼します。いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
133 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:01
「ねー、愛ちゃん。」
「んー?」

こたつに入って、机に突っ伏す愛ちゃんに呼びかける。
今にも眠ってしまいそうな愛ちゃんは、今にも眠ってしまいそうな声を漏らした。

「寝るのならベッドに行かないと。風邪引いちゃいますよ?」
「んー・・・。」

もうほとんど声というか音に近い返事。
変わらず頭は机の上だ。

今日は絵里の誕生日ということで、お付き合いさせて頂いてる愛ちゃんの家にお邪魔してます。

『どうせ次の日クリスマスだし、うち泊まってきなよ。』

楽屋でさゆと喋っているときにそう言われて、気づいたら「はい。」と言っていた。
その後、またガキさんの方へ走っていく愛ちゃんを目で追っていたら、さゆが「いいなぁ。」と呟いたのが聞こえた。

そして今日、二人でバースデーケーキやクリスマスのシャンパンを買ってきた。
愛ちゃんからのプレゼントは、星がいくつもぶらさがった可愛らしいピアスで、なんとおそろいらしい。

『おそろいにでもしないと、絵里つけてくれなさそうだもん。』

絵里は「もったいない」と思ってなかなかつけないに違いない、と愛ちゃんは思ったらしい。
ナイスな判断です。さすが愛ちゃん。
134 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:01

夜になって、買ってきたケーキを食べて、シャンパンを飲んだ。
二人でこたつに入ってのんびーりテレビを見てたんですけど、気づいたら向かいに座っていた愛ちゃんはおねむの様子。

「愛ちゃん。」
「・・・。」
「愛ちゃーん。」
「・・・。」
「あーいーちゃーん。」
「・・・。」

ありゃ、ついに寝ちゃったみたい?
気持ち良さそうに寝ている愛ちゃんを起こす気にもならなくて、とりあえず私は机の上を片付けることにした。
お皿やコップ、シャンパンのビンなどをキッチンへ持っていって、濡らしたふきんで机を拭いた。
ほんの5分で片付けが終了し、きれいになった机を見て一息ついた時に、ふと私の視界に入ったものがあった。
135 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:01

リビングの隅っこに置かれ、さりげなく存在を主張している黄色の掃除機。

スケルトンのくせになんだあの存在感。
と言っても今気付いたわけですが、絵里は。

『すごいんだって吸引力が!!』

興奮気味にそう言う愛ちゃんの姿が思い出される。
あぁ、いつかのラジオで言ってた掃除機ってコレかぁ。

掃除機のそばまで言って、愛ちゃんの重大ニュース第3位になったそいつを軽く睨み付けた。
くそぅ・・・、絵里とあったあんなコトやこんなコトを差し置いて3位になりやがってこのやろう。
「おりゃ」と呟いて、軽く蹴ってみても、軽すぎたのかびくともしない。
それにまたムカッときて、今度はしゃがんでチョップをくらわしてやった。

「いてっ。」

ちょっと力を入れたら、絵里の手の方が痛かった。
右手をさすりながら、あの時の愛ちゃんを思い出してみる。
・・・嬉しかったんだろうなぁ、掃除機買ったの。
黄色のそれをじっと見て、愛ちゃんの嬉しそうな顔を思い浮かべる。

「・・・ごめんね。」

自分と掃除機にしか聞こえないような声でそう呟き、自分が叩いたところを撫でてやった。
136 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:02

さて、と・・・。

すくっと立ち上がって、こたつで眠りこける愛ちゃんに視線を移す。

「いい加減起きて下さいよぉ〜・・・。」

せっかくの絵里の誕生日なのに、このまま終わるなんて絵里は認めませんよ!

「愛ちゃん。愛ちゃん起きて。」

愛ちゃんの隣に腰を下ろして、愛ちゃんの体をゆする。

「んー・・・。」
「起きて下さーいー・・・。」
「・・・んー。」
「早く起きないとここに住み着いちゃいますよー。」

愛ちゃんが寝てると思って、好き勝手にぼやいてみる。
137 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:02

「絵里もここで寝ちゃいますよー。」
「・・んー・・・。」
「二人で風邪引いちゃっても知りませんよー。」
「・・・あーい・・・。」

「あーい」って言ったよ、この人!!
そんな可愛い返事の仕方は反則だよ!!

不意に胸がドキッとなって、絵里のテンションも段々おかしくなってきた。
もう、どうにでもなれぇ。

「愛ちゃーん。」
「・・・。」
「起きてくれないと絵里ちゅーしますよ?」
「・・・。」
「本当にしちゃいますよー?いいんですかー?」
「・・・。」

・・・ええい、こうなったらエリック亀造。腹をくくらせてもらいますよ。
ゆっくりと愛ちゃんの顔に近づいて・・・

「っ!!ぎゃぁぁ!!!」

起きました。愛ちゃんが起きました。
・・・なんだろー、このすごく残念な感じ・・・。
138 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:02

「起きました?」

まだ寝ぼけ眼の愛ちゃんに、平静を装って喋りかけた。

「うん。」
「じゃあ、ベッド行きましょ・・・」
「起きないとできないかなーと思って。」
「へ?」
「ちゅー、してくれるんやろ?」
「へ?え?・・・え?」

聞こえてたんですか?ってか、起きてたんですか?

「ん、どーぞ。」

や、いやいやいやいやいや。
どーぞってそんな目瞑って待たれても困る・・・っ。

「愛ちゃん?」
「・・・。」

・・・・・・ちゅーするまでこのままなんだろうなぁ・・・。

今日は絵里の誕生日なんだし、男エリック、腹をくくって・・・・・・ん?
絵里の誕生日だからって絵里が愛ちゃんにちゅーすることは無いんじゃないのか。

目を瞑ったままの愛ちゃんを前にして、少しそう思ったけれど、もう理由なんてどうでもいい。
したいと思ったらするべし!!
・・・絵里、腹をくくってやっちゃいますよぉ・・・!
139 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:03

愛ちゃんの両肩に手をかけて、そっと愛ちゃんの顔に近づく。
狙いが定まったら、絵里も目を閉じて、そのまま静かに口付けた。
そんなに長い時間では無いけれど、絵里の我慢と緊張の限界まで。

愛ちゃんと離れても、ずっと心臓はドキドキしたままだった。

「・・・ぁー・・緊張したぁ・・・。」

ふぅ、と気持ちを落ち着かせて、愛ちゃんの方を向いた。

・・・あれ。

「愛ちゃん?」
「・・・。」
「え、ちょ、嘘でしょ?」
「・・・。」

愛ちゃん寝てるんですけど・・・。

ありえなさすぎるよ、この先輩は。
そんな愛ちゃんが可愛いんだけど、と一人でノロケてみたりしながら、愛ちゃんをおぶった。

「軽・・・っ。」

予想以上の軽さにビックリしたようななんともいえない複雑な気持ちになりながら、ベッドに寝かせた。

「これじゃどっちが年上かわかんないよ。」

愛ちゃんを起こさないように静かに笑って、布団を肩までかけてあげた。

「おやすみ。」

そっと髪を撫でてから、電気を消して部屋を出た。
リビングに戻った絵里は、寝れそうな場所がこたつしか無いことに気付き、仕方なくこたつで眠った。
140 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:03

「―・・ん・・・。」
「お、起きた?」

体を起こして、目をこする。
目の前に「おはよっ。」と可愛く笑う愛ちゃんが見える。

「あ、おはよーございます・・・。」
「もう、こたつで寝たら風邪引くよ?」

そう言って笑う愛ちゃん。

・・・いや、ちょっと待て。

「それはこっちのセリフですよぉ!」
「え、何が?」
「昨日、絵里が必死に起こしたのに起きなかったのは愛ちゃんじゃんかぁ!」
「え?え?」

まさか覚えてない!?
頭に「?」がいっぱい飛んでる愛ちゃんに、絵里は必死に説明してあげた。
・・・掃除機に八つ当たりしたことは言わずに。
141 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:04

「え、じゃあ、ちょっと待って。」
「ん?」
「ちょっと待って、ちょっと待って。」
「何?待ってるよ?」
「・・・じゃあもしかしてあれも覚えてなかったりしますか?」
「あれ?」
「あの、絵里が、愛ちゃんに、ちゅ、・・あー・・・あのー・・・。」
「・・・んー?私覚えてないみたいやわぁ。絵里教えてー?」

急にニヤニヤしながら寄り添ってくる愛ちゃん。

「え!覚えてるんでしょ!?絶対覚えてるよね、愛ちゃん!」
「えぇ?何がぁ?」
「ちょ・・!ごまかさないで下さいよ!!」
「絵里、かわいいー。」
「えー、ちょっと愛ちゃーん!!」
「よっしゃ!朝ごはん食べるぞ、朝ごはん!」

愛ちゃんは鼻歌交じりにキッチンへ入っていった。
この短い距離を、スキップで。

くっそ〜・・・このままで終わると思うなよ〜・・・!

「愛っちゃん!!」
「ん?」

愛ちゃんの後を少し小走りで追いかけて、腕を引っ張ってこちらを向かせる。
142 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:04
絵里の本気を見るがいい!

その勢いで愛ちゃんの唇をふさいでやった。
息が苦しくなるぐらいのキスをして、私は顔を上げた。

「・・・ど、どーだー・・・。」
「っ・・・。」

真っ赤になってる愛ちゃんを見て、段々私も恥ずかしくなってきた。

「・・・ほ、ほら!朝ごはんにしましょ!」
「お、おぉ・・・。」

ぎこちない空気のまま、絵里たちは昨日と同じようにこたつに座った。
何も言わずに黙々とご飯を食べていたけど、不意に愛ちゃんが沈黙を破った。

「あーぁ。」

それも、ため息のような声で。

「な、なんですか。」

そんなに絵里のキスが気に入りませんでしたか。
勝手にそう思い込み、軽く凹んで見せた。
143 名前:クリスマス前に一祝い 投稿日:2005/12/23(金) 14:04

「いや・・・悔しくて。」
「悔しい?」
「またなんか、あの、私の絵里好き度が高くなった。」
「はぃ?」
「もう、なんでもないよぅ!」
「えぇ!?」

すっかり食欲も失せてしまった絵里を尻目に、愛ちゃんはパクパクと昨日の残りのケーキを食べ始めた。

「なんかわかんないですけど、絵里だってさっきの悔しかったんですからねー!」

聞いてるのか聞いてないのかわからない愛ちゃんに向かってそう言って、絵里もケーキを口に運んだ。

「・・・じゃあおあいこか。」
「おあいこ?」
「そっか。あいこなら良いか。」

勝手に納得しちゃったけど、愛ちゃんはまた機嫌が良くなった。
まぁ、愛ちゃんが嬉しそうだから良いや。

最後の一口を噛み締めながら、「掃除機のことは言わないでおこう」と心に誓った。

クリスマスはまだ始まったばかり―
144 名前:ハラポワ 投稿日:2005/12/23(金) 14:05

145 名前:ハラポワ 投稿日:2005/12/23(金) 14:12
>>131 konkonさん
ヤンタンはあいみきファンとしては聞いて損は無いですよ♪
でも聞けない地域ありますからねぇヤンタンは。
あいみきの距離って良いですよね。近すぎず遠すぎずと言いますか。
かと思えば直感2メイキングみたいなことしてくれちゃうので困ります(笑)

更新遅くなってしまいすいません。
最近小説書けなくて・・・_| ̄|○
今回はクリスマスと亀ちゃん誕生日に書かないわけにはいかないだろうということで亀高。
クリスマス話も別のカプで書けたら良かったんですけど、
クリスマスは家にいなくて更新できそうにないので・・・。
では、皆さん。少し早いですが、良いお年を〜。
146 名前:konkon 投稿日:2005/12/24(土) 02:09
この間落として聞きましたよ〜♪
あれは愛六好きにはたまったもんじゃねぇw
今回もまったりした感じでとてもよかったですね。
これからもがんばってください。
147 名前:名無し読書中 投稿日:2005/12/29(木) 17:56
亀高(・∀・)イイ!二人ともかわええのぅ…
次回更新楽しみに待ってますー
148 名前:雪が積もった日には 投稿日:2006/01/15(日) 01:52

―あれ・・・?

愛ちゃんの家へと向かう途中、ふと視界に白い粉が見えた。
なんとなく空を見上げてみると、絶え間なく粉のような雪が降ってくる。
周りに居る人も雪の存在に気付いたみたいで、楽しそうに空を見上げていた。
これは積もりそうだな・・・。
少し寒くなってきたような気がして、私はマフラーをぐっと引き上げた。

雪を見ると、たまにあの日のことを思い出す。
私は静かに、大きく白い息を吐いた。


149 名前:雪が積もった日には 投稿日:2006/01/15(日) 01:53



―ボスッ

「いたっ!もう〜、何すんの、愛ちゃん!」

私と話していたガキさんの頭に、見事に雪玉が命中した。
頭を抑えるガキさんの後ろには楽しそうに笑う愛ちゃんが居た。
その笑顔にどこかほっとしている自分が居た。
その時は、まだそのことに気付いてなかったんだけど。

「こ・・・のぉ・・・!」

ガキさんも負けじと雪玉を作って、愛ちゃんに向かって思いっきり投げつけた。
それを愛ちゃんは思いっきりよけて、いつの間にか作っていた雪玉をガキさんにまた投げつけた。
そんな二人の様子を笑って見ていた私だけど、油断は禁物だった。

「おりゃっ!!」

思いっきり愛ちゃんが投げた雪玉を、ガキさんが声をあげてよけた。
そして、その先に居たのは私で。

「いたっ!」

気付いて顔を背けたけど、その雪玉は見事に耳の辺りに直撃した。
150 名前:雪が積もった日には 投稿日:2006/01/15(日) 01:53
あぁ、でも今思えば良かったな。顔背けてなかったら、確実に顔面直撃だったよ。

「うわっ、ごめん亀ちゃん!」

すぐに愛ちゃんは謝ってくれたけど、私はふざけて怒ってみせた。

「やったなぁ〜!」

すぐに雪玉を作って、私は愛ちゃんに向かって投げつけた。

「ひゃぁ!」

とっさの出来事で愛ちゃんは上手くよけきれず、雪玉は愛ちゃんの体に当たった。
それでも楽しそうに笑う愛ちゃんに、私は胸を射抜かれた気分だった。
ああいうのを、ドキッとした・・・って言うのかな。
可愛く言うと、胸がときめいたって感じで。

「ほら、亀!ぼーっとしてるとやられちゃうよっ。」

気付いたらガキさんはすっかり楽しんでいて、私はそんなガキさんを見て笑った。

「よっしゃ!じゃあ愛ちゃん対私と亀ねーっ。」
「えー!なんでそっち二人やの!?」
「そっちから投げてきたんだから当然じゃんかー!」
「なんだよー、そっちもノリノリのくせにぃ!」
「いいんだよっ、それは関係ないの!ほら、いくよー!?」

ガキさんは『ノリノリ』になっている自分に、愛ちゃんに言われてようやく気付いたんだろう。
少し恥ずかしそうにした後、開き直ったかのように雪玉を投げまくっている。
151 名前:雪が積もった日には 投稿日:2006/01/15(日) 01:53

「隙ありぃ!」
「っ・・え・・・!」

ガキさんから目を外すと、雪玉が絵里に向かって飛んできていた。
あ、やば・・・。

「やった!亀ちゃんアウトー!!」
「はぁぁ!?何やってんの、亀ちゃーん!」
「え・・・あ、すいませーんっ!」

つい、二人を見るのに夢中になっちゃったな。
私は激戦を続ける二人から距離を置いて、大きく息を吐いた。
予想していた程、白い息は出てこなくて、その時初めてあまり寒くないことに気付いた。
結構、運動になるもんだな。
そんなことを思いながら、私はなんとなく雪を手に取った。
冷たさを感じないぐらい手は冷えていた。
久しぶりだったな、こんなに雪で遊んだの。
そのきっかけとなった人に目を向けると、ガキさんの猛攻撃にやられているところだった。
そんな愛ちゃんを見て、私は静かに笑った。
152 名前:雪が積もった日には 投稿日:2006/01/15(日) 01:54

そしてこの時、ようやくほっとしている自分に気付いたんだっけ。
いつの間にか愛ちゃんのことを目で追っていて、好きなのかなぁぐらいにしか思っていなかった。
普段は幼い愛ちゃんだけど、歌やダンスの時、楽屋で一人の時、たまに見せる顔はどこか大人びていて。
いつになっても自分が追いつけないんじゃないかと思わされるようになった。
その頃から、だんだん私の気持ちも焦ってきていて、自分が愛ちゃんのことを好きなんだって確信することができた。

だけど、焦る必要なんてなかったみたい。

「あーぁ。ガキさん強すぎだよー。」
「いやいや、愛ちゃんが弱いだけだから。」
「うそぉ!」

無邪気に笑う愛ちゃんを見ると、焦っていた自分が馬鹿みたいに思えてくる。
愛ちゃんは上へ上へ行ってしまうけど、それでも愛ちゃんは愛ちゃんで、何も変わらない。
いつ私が追いつけるか、そもそも追いつくことができるのか、それは全くわからないけど、
いつか私が上へと上がれた時、愛ちゃんに見ていてほしいから。
だから、今はしっかり愛ちゃんの背中を追っていきたいな、なんて。
153 名前:雪が積もった日には 投稿日:2006/01/15(日) 01:54

「じゃあ今度は私が亀ちゃんと組むから、ガキさん一人ね。」
「え・・・?」

グイ、と愛ちゃんに腕を引き寄せられ、私は我に帰った。

「えー、私が一人ぃ?」
「だってガキさん強いもん。」
「わかったよ。じゃあこれ終わったら亀が一人ねー。」
「えぇ!」
「だってそうじゃん、順番的にさー。」
「まぁ、それはそうですけど・・・。」
「よっしゃ、じゃあいくぞー!」

愛ちゃんはいくつかの雪玉を手に持って、私の方を見た。

「絶対勝とうね!」
「あ、はいっ!」

舞台は違うけど、今愛ちゃんと同じ場所に立ってると思うと嬉しくて、自然と私は笑顔になった。

「ガキさんには負けませんからねー!」
「あ、言ったなぁ、亀!!さっきはすぐやられちゃったくせにーっ。」
「あれは・・・っ、ちょっと油断してただけですーっ!」

愛ちゃんが投げ始めたのを合図に、3人で雪玉を投げあう。
もう自分が当たっても相手が当たっても関係無しで、ただひたすら投げ合った。
154 名前:雪が積もった日には 投稿日:2006/01/15(日) 01:55
だんだんみんなが疲れてきて、ガキさんの「一旦休憩しようよー。」の声で私たちはその場に座り込んだ。
私は変なツボにハマってしまったらしく、ずっと笑いが止まらなかった。
そんな私を見てヒャー!と笑う愛ちゃんと、変なものを見る目で私と愛ちゃんを見るガキさん。

あの時のことは、忘れられないなぁ。


―ガチャ

「いらっしゃい!」
「あの、愛ちゃん。」
「ん?」

部屋の中へ戻ろうとする愛ちゃんを呼び止めて、私は言った。

「雪が積もったら、雪合戦しない?」

最初はビックリしていた愛ちゃんだけど、思い出したように笑った。
「今度こそ勝ち負けつけるかぁ。」と言った愛ちゃんに、私もやっぱり笑ってしまった。
155 名前:ハラポワ 投稿日:2006/01/15(日) 01:55


156 名前:ハラポワ 投稿日:2006/01/15(日) 02:04
>>146 konkonさん
あれはたまったもんじゃないですねw
これからもまったり頑張ります。
konkonさんの小説も楽しみにしてますよ。

>>147 名無し読書中さん
今回の更新も亀高になっちゃいましたけど、いかがでしょうか?
可愛い二人を書いていけたらいいなぁと思います。

遅くなりましたが、みなさんあけましておめでとうございます。
2006年初更新は愛絵里でした。というわけで連続になっちゃったわけですけれども。
本当はまこあいの初詣話も考えてたんですよ。
でも頭の中で考えてる間に正月終わっちゃったので、無かったことに・・・スイマセン・・・_| ̄|○

愛絵里とは関係無いですけど、愛ガキの関係はこんな感じが良いな、と。
愛ガキも好きですがあの二人は本人たちがガチすぎるので書けないんですよねー。
157 名前:名無し読者 投稿日:2006/02/02(木) 19:38
愛絵里大好きです!
吉高や愛美貴はあまり読んだことがないですがハラポワさんのを読んで気になってきました
158 名前:spatial sleep 投稿日:2006/02/11(土) 23:34
眠っている姿は可愛い、だなんて、誰が最初に放った言葉なんだろう。
目の前で眠る彼女の髪に指を絡ませてみる。
その指通りの良い綺麗な髪から、ほんのり香るシャンプーの匂いに誘われて・・・なんていうのは、ちょっと私のガラじゃないかな。

「眠っている姿は・・・か。」

先ほど心の中で思った言葉を、小さく声に出してみる。
すぐ後に「眠っている姿・・『も』だけどね。」と、心の中で付け加えたのは言わずもがな。
でも、本当に可愛いんだよ。
眠ってる愛ちゃんは、普段の愛ちゃんよりもっともっと。
なんていえばいいのかな。
普段の愛ちゃんが、かわいい50%かっこいい50%だとすると、眠ってる愛ちゃんはかわいい100%って感じで。
ダンスの時や歌ってる時の「高橋愛」が、眠ってる時は素の「高橋愛」になる。
この二人の愛ちゃんは、同じだけど違うもので、違うもので同じもの。

「あいちゃん。」

そっと呼びかけてみても、何も反応は見られない。
別に起こすつもりは無いから良いんだけど。

ふと、愛ちゃんの唇に目が止まる。
同じように、髪に絡ませて遊んでいた手も止まった。

途端に静かになり、周りの音が耳に届いた。
ベッドサイドにあるオレンジ色のランプから聞こえてくる、微かな音。
いつもより寒かった夜。タイマーをかけて、つけていたエアコンの風の音。
159 名前:spatial sleep 投稿日:2006/02/11(土) 23:35
タイミング良く、私の携帯がピピッと鳴った。
充電が終わったみたいだ。

しばらくの間、また何も耳に入らなくなる。
かと思えば、途端に自分の心臓が大きく動き出した。

ダメだダメだ。
抑えろ、抑えろ私・・・。

自分の心臓の辺りを、左手でぎゅぅと押さえ込む。

考えちゃダメだ。
意識するな。
愛ちゃんを見てちゃだめだ。

私はもぞもぞと動き、ゆっくり愛ちゃんに背中を向けた。
脳内にちらつく愛ちゃんの寝顔を、振り切るようにギュッと目を瞑る。
オレンジ色の光がぼんやり瞼に映る。
うっとうしいけど、寝返りを打ったら愛ちゃんが居る。
愛ちゃんを見たら、自分が抑えられなくて、手を出してしまいそうになる。
そんなのだめだ。
160 名前:spatial 投稿日:2006/02/11(土) 23:35

精一杯右腕を伸ばして、私はランプの光を消した。
すると、思っていた以上に部屋は暗くなり、何も見えなくなった。

人間、視覚を奪われると、聴覚は敏感になるもので。
後ろから聞こえる、規則的な寝息。
またも活発に動き始める、私の心臓。
止まれ止まれ!
止まったら死ぬ、そこまで考えられない程、私は焦っていた。

いっそのこと、襲ってしまえばいい。
ちょっとぐらいなら、大丈夫。

だめだ。愛ちゃんがもし起きたらどうする?
嫌われたくないし、そんな勇気もないでしょ?

二つの気持ちが葛藤する。
人間、自分の欲には正直なもので。

前者の言葉に揺さぶられ、もう一度寝返りを打とうと体を上に向けたが、そこで私の動きはストップすることになる。

「まこと?」

161 名前:spatial sleep 投稿日:2006/02/11(土) 23:36
「っ!!!はいぃぃっ!」
「な、どうしたの。そんな大きな声出して。」

ケタケタと愛ちゃんは楽しそうに笑っている。
起きてた・・・?それとも、今起きただけ・・・?

「起きてたの?」

私が思ってたことを、そのまま愛ちゃんに質問された。
なんと返事をしたら良いものか。

「ちょっと前に、目覚めちゃって。」
「ふーん・・・。」

本当、なんでいきなり目が覚めちゃったんだろう。
普段ならぐっすり眠ってる時間のはずなのに。

「おなかへってたんじゃない?」

私がさっき消したばかりのランプをつけながら、愛ちゃんは言った。

「あぁ、そうかもね・・・・・・って、わかるの?」
「は?何が?」
「いや、私の思ってること。」
「そんなのわかるわけないじゃん。」

どーしたぁ、まだ寝ぼけてんのかぁ?と言って、愛ちゃんはまた楽しそうに笑った。
愛ちゃんこそ、寝起きなのによくそんなに笑えるよね。
162 名前:spatial 投稿日:2006/02/11(土) 23:37
「っ!!!はいぃぃっ!」
「な、どうしたの。そんな大きな声出して。」

ケタケタと愛ちゃんは楽しそうに笑っている。
起きてた・・・?それとも、今起きただけ・・・?

「起きてたの?」

私が思ってたことを、そのまま愛ちゃんに質問された。
なんと返事をしたら良いものか。

「ちょっと前に、目覚めちゃって。」
「ふーん・・・。」

本当、なんでいきなり目が覚めちゃったんだろう。
普段ならぐっすり眠ってる時間のはずなのに。

「おなかへってたんじゃない?」

私がさっき消したばかりのランプをつけながら、愛ちゃんは言った。

「あぁ、そうかもね・・・・・・って、わかるの?」
「は?何が?」
「いや、私の思ってること。」
「そんなのわかるわけないじゃん。」

どーしたぁ、まだ寝ぼけてんのかぁ?と言って、愛ちゃんはまた楽しそうに笑った。
愛ちゃんこそ、寝起きなのによくそんなに笑えるよね。
163 名前:spatial sleep 投稿日:2006/02/11(土) 23:38

「別に、私が今おなかすいてるから麻琴もそうじゃないかなと思っただけ。」
「え。」
「何か食べるものある?」
「え、あ、あるよ。あるある。パンか何か持ってこようか?」
「ううん。自分で取ってくるからいいよ。」
「そぅ?」
「うん。寝てていいよ。」

愛ちゃんはむくっと起き上がると、まだ眠いのかごしごしと目をこすりながら、ベッドを降りて行った。
見た感じ私より眠そうなんだけど、愛ちゃん。
あ、そういえば場所わかるのかな・・・。
いくら愛ちゃんが何度も私の家に遊びにきたことがあるからって、パンの場所まではわからないだろう。

「麻琴は?」
「っ・・へ?」
「いる?パン。」
「ぁー・・・私はいいや。」
「ホントに?めずらしー。」
「どういう意味だよぅ!」

私が怒ってみせると、愛ちゃんはまた楽しそうに笑いながら部屋を出て行った。
ぁあ!!・・場所わかるの?って聞くの忘れてた。
まぁ、いっか。
164 名前:spatial sleep 投稿日:2006/02/11(土) 23:39

愛ちゃんを待ってる間、そっと目を閉じてみた。
さっきと同じ音が聞こえる。
違うのは、隣に愛ちゃんが居るか居ないか。
気持ち的にだいぶ違うもんだなぁ。

遠くで、袋をガサガサと探る音がしていた。
愛ちゃんが探してるんだな、そう思いながらも、目は開けなかった。

なんだかだんだん眠くなってきたな。
今はオレンジ色の光も心良く感じる。
丁度良いぐらいだ。
165 名前:spatial 投稿日:2006/02/11(土) 23:39



166 名前:spatial sleep 投稿日:2006/02/11(土) 23:39



丁度眠りに入ってすぐのことだった。
愛ちゃんに起こされ、パンの場所を聞かれた。
夢だったのか現実だったのか、愛ちゃんに聞くまで思い出すことができなかった。
167 名前:ハラポワ 投稿日:2006/02/11(土) 23:40

168 名前:ハラポワ 投稿日:2006/02/11(土) 23:48
>>157 名無し読者さん
そう言ってもらえると嬉しいです。
気になってきた時が行動のときですよ!!
色んな吉愛、愛美貴を読んでみて下さい。

更新速度が徐々に徐々に遅くなってきててすいません。
久しぶりにまこあい書いてみました。
ヘタレな麻琴とマイペースな愛ちゃんが書きたかったんです(笑)
169 名前:ハラポワ 投稿日:2006/02/12(日) 01:28
>>161=>>162ですね。
ミスです、すいません。
170 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/03(月) 21:40
久しぶりに吉高が読みたいな・・・・。
171 名前:たま 投稿日:2006/04/04(火) 00:09
スゴクみきあいが読みたいです♪
172 名前:ハラポワ 投稿日:2006/05/16(火) 23:57
更新ストップ申し訳ありません。
吉高&みきあい、また徐々に書いていきたいと思います。
いつになるかはわかりませんが、6月中には更新できたらいいなぁ・・・orz
こんな作者ですいません。また更新できた時には読んで頂けると嬉しいです。
173 名前:名無し飼育 投稿日:2006/05/19(金) 01:09
のんびり待ってます
174 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:01

「起立!気をつけ!礼!」

学級委員の子の号令に合わせて、適当に「さよならー」と呟く。
みんな口々に言っているから、ちゃんと言っているか言っていないかなんてわからない。
そもそも号令だって適当だし。
絶対みんな「気をつけ」してないよ。

ふと、窓の外に目をやる。
空には今にも雨が降り出しそうな、灰色の雲が浮かんでいた。
早く帰ろう。
カバンを肩にかけ、バイバイという声に返事をしながら教室を出た。

「愛ちゃん愛ちゃん!」

どこからか自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
踏み出そうとした足を止め、辺りを見回した。

「おぉ、麻琴ー!」

少し離れたところに居る麻琴が、ヒラヒラと手を振っている。
麻琴とは中学の頃からの仲だ。
同じ高校に入ったものの、クラスが違うためになかなか話す機会が無い。
麻琴は部活に入ってるから、放課後も会えないし。
175 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:02

廊下で掃除を始めようとする人、部活へ行こうとする人、帰ろうとする人・・・。
人通りの多い放課後の廊下。麻琴はすいませんすいませんと言いながらこっちへやってきた。

「ふぅー。」
「お疲れ様。」

一息ついてカバンを下ろす麻琴に笑いながら、私も自分のカバンを床に置いた。

「どうした?」
「今日も吉澤先輩と帰るの?」
「えぇ!?あー・・うん。そう、だよ?」

急に吉澤さんの名前が出て、心臓が一度だけ大きく跳ね上がった。

「はは、そんなに照れなくてもいいのに。」
「照れてないよーっ。」

私が必死に否定しても、麻琴は楽しそうに「はいはい」と言うばかりだ。
悔しいけど、これ以上に言い返せる言葉が無い。

吉澤さんとのことは、メールや電話で話してあったから、麻琴は知っている。
というか、友達によると結構みんなに知られているらしい。
なんでだろう。吉澤さんモテそうだもんなぁ・・・。
176 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:03

「今日部活無いから久しぶりに遊べるかなーと思ったんだけどね。」
「あぁ・・・ごめんね?」
「ううん、いいよいいよ。だってほら、雨降ってきたし。」

そう言って麻琴は窓の外を指差した。

「うわ、すごい雨・・・。」

傘を差しながら歩く人や、カバンで頭を覆いながら走って行く人を見て、
さっき見た灰色の雲を思い出した。

「だから、今日は大人しく帰って寝ることにするよ。」
「そっか。まぁ、休むのも大事なことだよ。」
「だよねー。」

麻琴はまたケラケラと笑った。

「じゃあ、私は一回教室戻るから。」
「え、そうなの?」
「うん、傘忘れた。」

へらって笑う麻琴を見て、私も笑った。
あんまり喋らなくなったけど、全然変わってなくて、ちょっと安心した。

「じゃあまたね。」
「うん、ばいばい!」

麻琴に手を振った後、床に置いていたカバンを持ち上げた。
その時、左手の腕時計が目に入った。

!! 早くしなきゃ!吉澤さんと待ち合わせしてるんだった!

私は慌ててカバンを肩にかけると、昇降口まで走った。
177 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:04


「愛ちゃん!」

入り口のところで、吉澤さんが手を振っているのが見える。
そばに居る人が、私と吉澤さんをチラチラと見ている。
うひゃぁ、なんか、恥ずかしい・・・!

「遅くなってすいません!」
「いや、私も今来たところだから。」

周りの人の視線のせいで、どんどんドキドキが早くなっていく。
この感じは、いつになっても慣れないなぁ。
急いで靴を履き替えて、傘を手に取った。

「すいませんっ。」
「いいっていいって。さ、行こうか。」
「はい!」

屋根が無くなるところまで歩いていって、傘を差した時に、私は初めて気がついた。

「あれ、吉澤さん傘は?」
「忘れちゃった。」
「えぇ!?」

吉澤さんがあまりにもあっさりと言うものだから、私は思わず大きな声を出してしまった。
どの天気予報でも、雨って言ってたのに。
178 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:04

「え、じゃあ・・・」
「うん、入れてほしいなぁー。」
「あ、は、はい!どうぞ!!」

吉澤さんと相合傘だなんて、考えるだけで胸が破裂しそうだ。

「ありがと〜。」

吉澤さんはそう言うと、私の傘に入ってきた。

こうしてみると、思ったよりも近い。
腕が触れるか触れないかってぐらい近い。

「あ、そうだ。傘持つよ?」
「え、いえ、いいですよ、そんな!」
「いいっていいって!これぐらいやらせてよ。」

ね?と言いながら、私の手から傘を奪った。
すると、一気に傘の位置が高くなった。

あ、そっか・・・私が持つと、吉澤さん疲れちゃうんだ。

「じゃあ、行こっか?」
「あ、はいっ。」

それから校門を出るまで、恥ずかしくて私は何も喋れなかった。
吉澤さんの顔を盗み見るたび、綺麗だなと思う。
いつもより早いドキドキを抑えようと、私は必死だった。
179 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:05

校門を出てすぐに、吉澤さんは吹き出すように笑った。
いきなりのことで、私は何事かと吉澤さんの方を見上げた。

「なんかさ」

吉澤さんは私の視線に気付いたのか気付いてないのか、笑いをこらえながら続けた。

「今すごい、心臓がドキドキなってる。」
「え、吉澤さんもですか!?」
「愛ちゃんも?」

私は黙って頷いた。

「そっかそっか。ドキドキしすぎで、笑えてきちゃったよ。」
「こんなにドキドキしてるの、私だけだと思ってました。」
「そんなことないよ。私もすっごいドキドキしてる。」
「良かったぁ。」

そう呟く私を見て、吉澤さんは優しく笑ってくれた。
そんな顔で見られたら、私のドキドキは納まらないじゃないですかー。
心の中で文句をつけつつも、そんな自分が幸せ者だと思う。

それから落ち着いてきた私たちは、いつもみたいに他愛も無い話をしていた。

「明日は晴れると良いですね。」
「うーん・・・私はどっちでもいいけどね。」
「え、なんでですか?」
「雨だったら、また愛ちゃんと相合傘できるじゃん?」

そう言ってのけた後、照れくさそうに吉澤さんは「へへっ」と笑った。
180 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:05
吉澤さんの口から「相合傘」という言葉が出て、
嬉しいやら恥ずかしいやら・・・私は耳まで赤くなっていくような感じがした。

「風邪引いても、知りませんよ?」

恥ずかしいのをごまかすために、目だけで吉澤さんの顔を見上げてボソッと呟いた。

「その時はその時だよ。愛ちゃんが看病してくれるでしょ?」

同じように目だけでこっちを見て、吉澤さんはニッと笑った。

「なっ・・!!もぅ、本当に引いても知りませんからねっ!」

自分の方が熱があるんじゃないかってぐらい、顔が熱い。
いつもそうだ。
吉澤さんの一言一言に胸がドキドキしてしまう。

「あれ、愛ちゃん怒っちゃった?」
「お、怒ってません!」

怒ってはないんだけど、いつも私ばかりがドキドキさせられっぱなしで、なんか悔しい。
・・・よし、今日は絶対私がドキドキさせてやる。
181 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:06

「大丈夫。私バカだから、風邪とか滅多に引かないよ?」
「本当ですかー?」
「うん、マジマジ。」

そんなことを言っていたら、もう目の前にはいつもの十字路が見える。

「じゃあ、また明日ね。」

はい、と傘を渡された。

「あ・・・。」
「ん?」

吉澤さんは、自分のカバンで頭を覆おうとしていた。

「・・・家まで、送ります。」
「いや、いいよいいよ!愛ちゃん帰るの遅くなっちゃう。」
「私は大丈夫です!送ります!!」
「え、でも・・・。」
「それこそ吉澤さんに風邪引かれたら、困りますもん・・・。」

私がそう言ったら、吉澤さんは顔を背けて、手で顔を覆った。
髪の隙間から見える耳は真っ赤だった。

「じゃ、じゃあ・・・お願いしても、いいかな?」
「はい!」

もう一度傘を吉澤さんに手渡して、帰り道の反対方向へと歩き出した。
182 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:06


十字路から吉澤さんの家までは、ほんの5分ぐらいだった。
話していたら、すぐに着いてしまう距離。

「今日は本当にありがとね。助かったよ。」
「いえ、私も・・・嬉しかったです。」
「あ、うん・・・またやろーね。」

吉澤さんも顔を赤くしながら笑った。

「じゃ、また明日。気をつけてね。家着いたらメールしてね。」
「わかってますって。」

お母さんみたいなことを言う吉澤さんに、私は思わず笑ってしまった。
「じゃあ、バイバイ。」と、手を振る吉澤さんに私も手を振り返した。

家へ帰ろうと2,3歩あるいた時だった。

「あ」

今日は私がドキドキさせてやるって決めてたんだった!!

「よ、吉澤さん!!」

慌てて振り向いて、私は呼びかけた。
いきなりのことで、吉澤さんはビックリした様子で私を見ている。

私は傘を持っていない左手で、お構いなしに吉澤さんの肩を抑えた。
そして、体制が低くなった吉澤さんの頬に触れるだけのキスをした。
183 名前:雨の日 投稿日:2006/06/27(火) 00:07

「っ・・・!!」

吉澤さんは頬に触れながら、私の方を真っ赤な顔で見ている。

「し、失礼します!!」

私はカバンを一度だけ肩にかけ直し、無我夢中で家まで走った。
一度も吉澤さんを振り返ることなく、雨に濡れるのも気にせず走った。
家に着く頃には走ったせいか、かなり暑かった。
顔が熱いのは、走ったせいじゃない・・・かなぁ。

息を整えた後、吉澤さんにメールを送ろうと携帯を取り出すものの、
なんて書いたら良いのかわからない。
こんなの、初めてメールをする事になった時以来だ。

一旦携帯をカバンの中に閉まって、まず自分を落ち着かせようと、お母さんの元へ行った。


―ねぇ、もうちょっと大きい傘ない?
184 名前:ハラポワ 投稿日:2006/06/27(火) 00:07



185 名前:ハラポワ 投稿日:2006/06/27(火) 00:08


186 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/27(火) 00:12
いい感じですね。こういうの好きです
187 名前:ハラポワ 投稿日:2006/06/27(火) 00:19
>>170 名無飼育さん
長らくお待たせしました!
>>99-109で書いた「始まりの日」とつながってたりします。
最近リアルの吉高が仲良しになってきたような気がして、
若干喋り方も仲良しです(笑)

>>171 たま さん
美貴愛良いですよねw
また長らくお待ち頂けるとありがたいです。
8月中に書けたら良いなーと_| ̄|○
更新遅くてすいません。

>>173 名無し飼育 さん
ありがたいです。・゚・(ノд`)・゚・。
なんとか6月中に更新できて良かったです。

久しぶりすぎる更新です。待っていて下さった方々、ありがとうございます!
そしてすいません_| ̄|○
文の書き方が前までと若干違うような気がします。
自分がどうやって書いてたのかわからないという…。
2,3ヶ月に1回は更新できたら良いなと思いつつ、娘。を応援していきたいです。
こんこんと麻琴が夏に卒業ですけど、
まこあいも含めて思いつくままに書いていきたいなと思っています。
188 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/27(火) 00:51
更新お疲れ様です。
いいですねー。続編ありがとうございます。
こういう感じの『吉愛』が大好きです。
189 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/04(火) 09:19
まこあい期待!
吉愛期待!
もう全部期待!
190 名前:良い夢を― 投稿日:2006/07/23(日) 01:14
あさ美ちゃんの卒業―
麻琴の留学―
二人が離れて行ってしまった後、必ず美貴ちゃんが出てくる。
そして、悲しそうな笑顔で口を開くんだ。
「バイバイ」って言って、走っても走っても追いつけないところへいってしまう。
そして、膝をついて涙をこぼしながら息を整える私の元からみんなが離れていく。
ガキさんの手を掴もうと腕を伸ばしても、私の腕は空を切るだけ。

そこで必ず、目が覚める。


「っ・・・!!」

勢いよく起き上がり、肩で息をする。
まただ・・・。
最近、疲れを残したまま眠ると、決まって同じ夢を見る。
体中に汗をかいているようだ。
シャツはしっとりとしめっていた。
191 名前:良い夢を― 投稿日:2006/07/23(日) 01:15

「喉渇いたな・・・。」

はぁ、と一息ついた後、サイドベッドのランプをつけた。
ぼぅっとやわらかいオレンジ色の光が辺りを照らす。
ランプの向こうに見える彼女を見て、ほっと緊張がほぐれた気がした。
こちらに顔を向けて、スー・・と静かに眠る美貴ちゃん。
今日は美貴ちゃんと同じ部屋になったんだっけ。
こんなに近くに居るのに、夢の中では追いつくことができないなんて。
夢の中の自分に苦笑いしつつ、ベッドから降りて冷蔵庫の扉を開いた。
汗をかいた体には冷蔵庫から漏れる冷気が心地よかった。
一本だけミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、扉を静かに閉める。
ベッドには戻らず、その場でボトルに口付けた。
冷たい液体が、内から身体を冷やしていく感覚に襲われる。
ボトルの3分の1ぐらいを飲んだ後、ふたたびフタをした。
冷蔵庫には戻さずにサイドテーブルに置き、ベッドに腰掛けた。
一度こうなると、もう一度寝直そうとは思わない。
何をするでもなく、何を思うでもなく、ただただ美貴ちゃんの寝顔を見つめていた。
192 名前:良い夢を― 投稿日:2006/07/23(日) 01:15

「―ん・・・。」

水を飲もうと、ペットボトルを手にした時だった。
美貴ちゃんはゆっくりと目を開けると、二三度瞬きした後こちらを見た。

「あれ・・・もう朝?」
「ううん、まだ3時だよ。」
「そっか・・・。」

美貴ちゃんはのそのそと起き上がると、しばらくぼーっと一点を見つめていた。
寝ているのかと思ったけど、たびたび眠そうに目をこすっているのを見ると、起きようとしているらしい。

「寝ないの?」

目をこすりながら、美貴ちゃんは言った。

「寝たいけど・・・寝れない。」
「どうしたの?具合悪い?」

ようやく頭も起きてきたらしい。
美貴ちゃんは私と同じように、ベッドに腰掛けるように座った。

「ううん、具合は悪くないんだけど。」

静かに首を振って、先ほど手に取ったボトルのフタを開けた。

「寝るのが・・こわい・・・。」

今にも消えそうな声で、美貴ちゃんに届けば良いという思いで、私は呟いた。
一口だけ水を含み、もう一度フタを閉める。

「どうした?怖い夢でも見た?」

美貴ちゃんは私の手からペットボトルを奪うと、静かにフタを開けた。
193 名前:良い夢を― 投稿日:2006/07/23(日) 01:16

「みんなが、居なくなっちゃうの。」

思い出すだけで、体が震える。
涙が出そうになる。
怖い。

震える声で、それだけ言って、私は唇を強く噛み締めた。
俯く私の耳に、「―ゴク」という喉の音が聞こえる。
美貴ちゃんが水を飲んだんだろう。
私が顔を上げると同時に、美貴ちゃんはボトルをサイドテーブルに置いた。

「みんなって、娘。のみんな?」

美貴ちゃんの言葉に、私は黙って頷いた。
手を伸ばしても、届かない、掴めない・・・あの感覚を体は覚えていた。

「美貴も?」
「・・・うん。」

私が頷くと、美貴ちゃんは「そっか」とだけ呟いて、黙ってしまった。
やっぱり、美貴ちゃんも呆れてるよね・・・。
私だって、こんな夢を見てしまう自分に腹が立つ。
大事な時期なのに、私がしっかりしなきゃ駄目なのに。
あさ美ちゃんと麻琴は、夢なんかじゃなく、本当にみんなから離れて行くのに。
本当に不安なのは、あの二人のはずなのに。
そう思うと同時に涙が溢れた。
二人が居なくなってしまう寂しさのせいか、不甲斐ない自分への悔しさのせいか、何からくる涙かはわからない。
でも、一粒二粒と、俯く私の目からは涙がこぼれ落ちる。
情けない。
194 名前:良い夢を― 投稿日:2006/07/23(日) 01:16
涙をぬぐおうとした時、視界が暗くなった。

「・・・美貴ちゃん?」
「愛ちゃんは一人で溜め込み過ぎ。」

美貴ちゃんに抱きしめられているらしい。
涙が美貴ちゃんのTシャツにしみこんでいく。
私は何も出来ず、ただ美貴ちゃんの胸に頭を預けるだけだった。

「二人は、こんこんと麻琴は・・・自分の未来のために卒業するんだよ。
もう今までみたいには会えないと思うけど、二度と会えないわけじゃない。」
「ぅん。」
「だから、二人を応援してあげよ?」
「うん、それは、わかってる・・・。」

こんこんは国内にいるとはいえ、ハローも卒業してしまうから会う確立は低い。
麻琴に至っては、戻ってくるとはいえ、それまで外国に行ってしまう。
淋しいけど、そんなことは言ってられないんだ。

「あとのみんなも、離れていったりなんてしないよ。」
「うん・・・。」
「今から電話で『愛ちゃんが泣いてる』って言ったら、みんな絶対やってくるね。」

美貴ちゃんは自信満々にそう言うと、その場面を想像したのか、楽しそうに笑った。
私にそんな価値があるんだろうか。
一瞬そんなことが頭をよぎる。
でも、こう思うことで、美貴ちゃんの好意も裏切ることになる。
私はそれ以上深く考えるのをやめた。
すると、そのタイミングを見計らったかのように、美貴ちゃんは言葉を続けた。

「私もだよ?」
「・・・?」
「美貴も愛ちゃんから離れたりなんかしない。ちゃんと居るから。」

力強くそう言った後、私の背中に回す腕にギュッと力が込められた。
いつの間にか、身体の震えは収まっていた。
さっきみたいに手を伸ばす感覚を思い出してみる。
でも、美貴ちゃんの体温がある。
美貴ちゃんの存在が感じられるから、手が空を切る感覚は思い出すことができなかった。
今はしっかりと、美貴ちゃんが掴んでくれる。
195 名前:良い夢を― 投稿日:2006/07/23(日) 01:17
「・・・ぁりがと。」

くぐもった声で呟き、私は美貴ちゃんの腰辺りに腕を回した。

「どーいたしまして。」

頭上から美貴ちゃんの優しい声が聞こえて、私は静かに笑った。
一人で溜め込み過ぎ・・・か。
もっと早く、相談すれば良かったな。
そんなことを思いながら、私は美貴ちゃんの腕の中で眠ってしまった。
―安心、したのかな。

「おやすみ、愛ちゃん。」

そっと手を伸ばしてランプを消し、美貴もそっと目を閉じた。
196 名前:ハラポワ 投稿日:2006/07/23(日) 01:17



197 名前:ハラポワ 投稿日:2006/07/23(日) 01:17


198 名前:ハラポワ 投稿日:2006/07/23(日) 01:23
>>188 名無飼育さん
そう言ってもらえると嬉しいです!
ありがとうございます。

>>189 名無飼育さん
そんなに期待されると困ります(笑)
いや、でも期待して頂けるのは本当ありがたいです。
過度な期待をしすぎない程度に、お楽しみ頂ければなと思いますw

美貴愛お待たせしました。
いつもとちょっと違った感じで・・・。
これを書く前のBGMと読んでいた小説のせいで若干暗めのものが書きたくなってしまいましてw
それでも最後はほのぼの終わると良いなと思いつつ書いてみました。
公式写真で久々に美貴愛がきてテンションが上がりました(笑)
さり気ないミキティの右手が良かった・・・!

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