天地創造

1 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 01:59
こういう形式のものをここに載せていいのか迷ったんですが、
もし小説じゃないものは小説板に載せちゃダメとの事でしたら消去又は移動してくださって構いませんので。



まずはじめに、内容が一部とある本と被ってるような感じがする部分もあるかもしれないですが、
事実数年前読んだことで影響を受けてるのは確かなので、そこはどうかご了承下さい。
どのくらい被ってるかなどを確認するにはあまりに大変な作業なので・・
ほぼオリジナルですので、被り気味なとこは多めに見てやってくれると嬉しいです・・。

そして、書き手は修行僧でもなんでもないので、自信などは特にないです。
ずっと手元にあった物なのですが、自信と勇気がなく、出せませんでした。
ですが自分自身何かあった時にこれを読み返すと、前向きになれたので、
人様にもお出ししてみようかなという決意がようやく出来ました。

間違ってる事もあるかもしれないですが、手放しで何でも信じるよりは、
間違ってるか合ってるかその判断を各自でする事も大事だと思うので、
疑って掛かってやって結構です。

過去自分が人生に躓いた時、この手の教えの書物にとても救われました。
そして自分自身、世の中の色んな事が分かってきたので(勿論まだまだですけど)
今度は自分が、人生に躓いて困ってる人、悩んでる人、特に悩んでなくても色んな事を知りたいと思ってる人、
などの力になれればという思いでスレ立てさせて頂きます。
2 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:03




―――――天地創造―――――




3 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:03

「さて今週もハロプロワイドの時間がやってまいりました!!
さっそく今日のニュースキャスターに自己紹介してもらいましょか」

「え〜あたしぃ〜?ていうかめんどくさーい」

「なんですか紺野さん今日のそのギャルメイクは」

「ってゆーかぁあたし元々ギャルだしぃ〜」

「そーでしたっけねー?なんかいつもと180度違いますけど、まいっか。
新曲についての宣伝して貰いましょかっ。
今回のPVはどんな感じなんですか?紺野さん」

「てゆーかぁ〜あたし良く知らないしぃ〜〜」

「……あっそーですか。じゃあ宣伝しなくていんですね」

「えっ、いやあの……―――」

4 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:04

*******

「紺野!!あんた何回言ったら分かんの!?
ネタやんなきゃならないとこと真面目にやんなきゃやんないとこの区別せぃ言うてるやろ!」

「・・ごめんなさい・・・」

「宣伝部分は大事なんやからそこは面白おかしくやる必要ないねん!」

「・・すみません・・」

「いつもそればっかやなホントに。頭いんやったらちゃんと学習しとき!!」


顔真っ赤にして怒って出て行く中澤さんの後ろ姿を見ながら、あたしは泣きそうな自分を必死に堪えていた。
泣いたら泣いたで、“泣けばいいと思ってる”とスタッフに呆れられるのが目に見えてるからだ。
同期の麻琴がポンポンと肩を叩いて慰めてくれたけど、正直全く嬉しくなかった。
麻琴は人を笑わせるのが得意で、切り替えしも上手い。
トークについても、下手そうに見えてその場を確実に盛り上げてる。
そんな麻琴に嫉妬めいた感情を抱いていたから、慰めも同情にしか思えなかった。
5 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:05

つんくさんに赤点と言われて娘に入ったあたしは、高得点をいつになったら取れるようになるんだろう。
そんな事を思ってすっかり凹みきった私は、楽屋へと戻らず、フラフラと広い局内をあても無くブラついていた。

途中、使われていないガランとした部屋の扉が開いていて、なんとなくで、中に入った。
12畳程のその部屋は、床は真っ白のタイル貼りで壁も真っ白。
そして何故か窓が無い。
しかも、建物は新しくないはずなのに、何故かこの部屋だけは作りたてみたいに綺麗。
その真っ白な空間に身を置くと、心が洗われる気がして落ち着いた。
私はドアを閉め、部屋の中心にちょこんと体育座りをした。
この部屋は防音が効いてる特殊な部屋なのか、扉を閉めると外の音が一切聞こえず、とても静かになった。
雑音が一切聞こえないシンとした、真っ白な空間。
その中で暫しぼーっとしていると、急に押し殺していた感情が溢れ出してきて、涙が溢れてきた。

「あ〜あ〜……もうイヤだ!!!!」
防音が効いてる事に安心したせいか、思わず思い切り弱音を吐いてしまった。
私は普段、大きな声を出す事はまず無い。
出したくても出ない。
でも何故か、今まで出した事の無いような大きな声が今は出ていた。
こんなどうでも良い時ばかり出る自分がますますイヤになっていく。
もう全てがイヤで。ゴチャゴチャになった感情を勢いに任せて思いきり吐き出した。

「なんであたしばっかり!!!!不公平だ!!!!神様は不公平だぁ!!!!!神様のバカ!!!!バカバカバカバカ!!!!!」
6 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:05

「そんなにバカバカ言わなくても……」

「だってバカだもん!!!!」

って……え……?

今、声がしたような……。

後ろの方から何か声が聞こえた気がした。
急に我に返った私は、鼻をすすりながら、おそるおそる振り返った。

「……誰……もいない……」

振り返ると、視界には真っ白な床と壁しかない。

……あれ……でも確かに声が……。
首を傾げながら向き直る。

「なんでバカなのさ?」

「ギャアアアア!!!!!」

突然目の前に現れた“何か”に、私は腰を抜かし、目をギュッと伏せてその場に蹲った。

「ああああごめんなさいごめんなさい!!!!」

きっと神様を侮辱したから罰当たったんだ!!!
いや違うこれから当たるんだ!!!!
私の理解を超えた何かに命を奪われて、明日の新聞に『モーニング娘。紺野あさみ、テレビ局の一室で不自然死!!』って一面飾るんだ!!!

そう思った私は、ガタガタと振るえながら祈る気持ちでごめんなさいと繰り返した。
7 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:07

「ねぇコンちゃん」

ああああ私の名前知ってる!!!!やっぱり神様だ!!!!!

「ごめんなさいごめんなさいもう言いません言いませんからどうか命だけは!!!!」

「……コンちゃんてば……ねぇ……」

「ひっ……!!!」

神様か神様の使いか何かに、トントンと肩を叩かれる。
神がダメなら仏様の力を借りようと、手を合わせて心の中で南無阿弥陀仏を何度も唱えた。

「コーンちゃん!!あたしだってば!!」

南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥……
……あれ……この声どっかで聞いたような……。

手をすり合わせながら、恐る恐る顔を上げ、目を開けた。

「そんな怖がらなくても」

「あ……れ……」

目の前にたっていたのは、頭に団子を二つ乗っけた、見慣れた顔だった。

「よっ」

「のんつぁん!?」

のんつぁんはいつものようにクリクリした垂れ目で(私の方が垂れ目だけど)、ニッと笑った。

「あれ……いつからいたの……?」

おかしいな人が入ってくる気配なんてしなかったんだけど……。

「こんちゃんが叫んでる辺り」

あ、叫んでて気付かなかったのかな……?

あ、それより……
……聞かれちゃった……。

急に恥かしくなった私は真っ赤になって下を向いた。
8 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:08

「コンちゃんがののの事呼ぶからさー」

「誰にも言わないでね……って、え?呼んでないよ?」

「呼んだっていうか、喋りかけた。だからのの、ご飯食べてるとこだったのにきたんだよ」

「喋りかけた???」

全く意味が分からない私は、疑問符いっぱいで首を傾げた。

「喋りかけたっていうか、文句言った」

「のんつぁんに?言ってないよー!!」

「言ったじゃん。バカって」

「あれはのんつぁんに言ったんじゃないよ!!」

バカ=自分って思ってしまってるのんつぁんが、失礼だけどちょっと可愛く思えて、私は思わず笑ってしまった。
まぁ確かにのんつぁんはそういうキャラだけど、だからってなんでもかんでも自分だと思わなくったって……。

「言っとくけどののはバカじゃないよ!」

「だからのんつぁんに言ったんじゃないってば!!」

「言ったよ。ののに」

「違うの!!あれはだから!!!……その……」

そこまで言って、また恥かしくなった私は赤面しながら下を向いた。

「か、神様に……」

チラッとのんつぁんの顔をうかがうと、パチクリと不思議そうな顔をしていた。

あーもう、恥かしすぎる!!!

この年で神様がどうとか、きっと幾ら純粋なのんつぁんだってバカだなって思うにきまってる!!
安倍さんは天使キャラだからいいとして……。
一般人が口したら、誰だってバカだと思うか子供だって思うか、イっちゃってるって思うだろう。

「あ、あのね、気にしないであたしちょっと今テンパってるから!!」

「てゆーか、だからののの事バカって言ったんだってば」

のんつぁんまだ言ってる……

「だから違うって言ってるじゃん!!」

バカだと思われるかもとか心配する以前に、この人こそホントにバカじゃないかと、そんな失礼な事が私の頭に浮かび始めていた。
9 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:08

「違くないよ」

ピキッと、こめかみ辺りで音がした。
普段穏やかとは言え、イライラしてるとこに脅かされて気が立ってる状態な私は、今は広い心も余裕もない。

「だ〜か〜らぁ、のんつぁんじゃなくて神様にバカって言ったの!!!!」

思わず怒鳴るように叫んでしまった。

「うんだから、のの神様だもん」

「…………」

私は絶句して引きつった。
のんつぁんがここまでバカだったなんて。
バカというか、自分が神だと思ってるなんて、図々しいにも程があるっていうか……。
天使だと思ってるとかならまだ可愛いけど……。

「もういい。ごめんのんつぁん。あたし今凄い苛立ってるから、のんつぁんの冗談に付き合う余裕ないんだ」

「冗談?ホントだよ。だから来た」

「……あたし楽屋戻るね……」

「戻れないよ?」

のんつぁんが意味分かんない事口にしてたけど、あたしは無視して歩きだし、ドアノブに手をかけた。

「……あれ……?」

ドアノブを回しながらドアを引いても押しても、ドアが開かない。

「どうしたんだろ……」

もしかして外側から鍵かけられちゃった!?」

「やだちょっとどうしよのんつぁん!鍵掛けられちゃったよ!!」

「だから言ったじゃん。戻れないってば」

「知ってたの!?それ早く言ってよ!!一大事だよ!!うちら閉じ込められちゃったんだよ!?」

「閉じ込められたんじゃないよ。ここは異空間だから、ののしか開け閉めできない」

「携帯!携帯かけないと!!」

次も仕事入ってるし、すぐに戻らないと大変な事になる。
すぐにそれが頭に過った私は、のんつぁんののん気な冗談を無視してポケットの中を急いで探した。

「あースタジオから真っ直ぐきたからもって無いや!!のんつぁん持ってる!?」

「んーん」
10 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:09

のんつぁんは落ち着いた表情で首を左右に振った。

「ウソ……どうしようどうしよう……なんか、なんか手段考えないと……」

「次の仕事なら大丈夫だよ?ここ異空間だから、時間っていうのが無いから」

「のんつぁん!!!ふざけてる場合じゃないよ!!戻らないとスタッフとかメンバーとかみんなに物凄い迷惑かけて大変な事になっちゃうよ!!!」

「もーこれだから人間は。せっかちで困る」

誰がどう見てもこの状況では私の言う事の方がもっともなのに、下等な生き物みたいに言われて腹たった私は、完全に無視してダンダンと思い切りドアを叩いた。

「すいません誰か開けてください!!!!誰かぁ!!!!」

「コンちゃん。無駄だってば。余計なエネルギー使うのは良くないよ?せっかく与えられた大切な力なんだから」

「誰か!!!お願いします開けて!!!!」

メンバーやスタッフが心配してあちこちを探す姿が目に浮かぶ。
そしてそのあとこっぴどく先輩やマネージャーさんに怒られる自分の姿も目に浮かんで、めちゃくちゃ怖くなって泣けてきた。

「誰か開けて下さい!!!!!誰かぁ!!!!誰……か……!!!」

声がかすれて、声にならなくなってきた。
目をゴシゴシと擦りながら、それでもダンダンと力いっぱい叩いた。

「あ、ちょっとコンちゃん泣かないでよ……」

「だって……みんな心配して今頃……ヒック……。あたしまたみんなに迷惑かけ……る……ヒック……」

「あーも!じゃあ分かった!ホントはやりたくないけど、信じてもらえないならやるよもう!」

のんつぁんは苛立ったようにそう言うと、私に近づいてきて、私の頭に手の平を当てた。

「なにして……ヒック……」

「シッ黙って」

のんつぁんがそう言うと、急に頭の奥がジワッとあっつくなった。

「……ちょっ……」

そして、急に目の前が、というか視界が真っ白になって、ボンヤリと何かが見え始める。

「わっわっ……なな、ななに!?!?」
11 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:09

「シーッ!コンちゃんの意識がうるさいと出来ないから声ださないでジッとして!」

映写機みたいな感じで映し出されたそれは、メンバーがいる楽屋風景だった。

「これ数分後の楽屋の状態。ほら見て、ののとコンちゃんちゃんといるしょ?」

「……こ、これ何……?どどういうこと……?」

「だから数分後の楽屋風景だってば。ちゃんと戻ってきてるしょ?だから大丈夫」

言われる通り、みんながいるワイワイした楽屋にあたしとのんつぁんが入ってきてる様子が映し出されている。
あたしはどっかポカンとした宙に浮いてるような顔してて、のんつぁんはいつもの能天気な顔してる。

「数分後っていうのは、時間がある世界の中での数分後って意味ね。つまりこの異空間の中での状態はカウントされないよ?カウントしようがないから。こっから出てから数分後って事」

「…………」

のんつぁんの言ってる意味は分からないし、この映像がホントに数分後かどうかも定かじゃないけど、でもとにかく、のんつぁんによってあたしの身に今不思議な事が起きてるっていう事は紛れも無い事実だった。

「ののまだ新米だから、こういうのしたくないんだよね。まだパワーコントロール下手だから、人の意識に入り込むと、その人の意識を変質させちゃう恐れがあるんだ」

「新米……?パワーコントロール……?意識を変質……?」

もう、頭の中がグルグルしてた。
それこそ、あたしの理解を超える何かが起きている。
それは死ではなかったけど、(いやもしかしてもう死んでるのかも)今まで触れた事のない非常識な体験だった。

「信じた?」

「……信じるっていうか……訳が分からない……。あたし夢見てる……?」

「夢だと思ってるならそう思ってても別にいいよ。自分の意識が状態を作るから」

「……?」

「つまり、人が否定しても自分がそうだと思えば結局それはその人に取って“そうだ”という事になるんだよね。
人が“それは犯罪だ”と言っても本人が“犯罪じゃない”と言って実行したらその人の中ではそれは犯罪ではなくなるし。
例え裁かれたとしても、その人が犯罪だと認識しなければ、それはその人に取って単なる裁きという状態の体験でしかないんだ」
12 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:10

「……のんつぁん……?」

なんだか全くもってのんつぁんらしくない理屈っぽい言葉の連続。違う人みたい。

「人がそれはバカげた夢だと言っても、その人がそれをバカげた夢じゃないと思えばその人の中ではバカげた夢ではない。バカげた夢だとその人自身が思う時以外は。
そういう事。だからコンちゃんが今この状態を夢だと思おうが現実だと思おうが、自由。ののが違うよって否定しても無意味だから、別に否定はしないよ」

「……えっと……」

「ん?」

「あたし自身夢が現実か分かんないから、どっちでもいいとして……」

「うん、コンちゃんがどっちでも良いならののもどっちでもいいよ」

のんちゃんはニッと笑ってそう言うと、壁際に向かってテクテクと歩き、腰の高さほどの段になってるところに腰かけ、足をブラブラさせた。
そして、まぁコンちゃんも座りなよ、と自分の隣をポンポン叩いた。
言われるまま、訳が分からぬまま、とりあえず座った。

「ええと、今の状態を分かり易く説明してくれる……?いや、くれます……か……?」

「敬語なんて使わなくていいよ。ののはののだから」

のんつぁんはそういっていつもののんつぁんのようにケラケラ笑った。

「でも……神様なんでしょ……?」

まだ信じられないけど、これが夢ならそれもありえる。
どう考えても夢じゃないという確信があるんだけど、これが夢の状態だとしたらその確信も無意味だし。
なんだか全てが疑わしく思えてきた。

「うん。神様。と言っても下っ端の方だけど」
13 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:11
「え、神様って沢山いるの……?」

「うん。ていうか、正確には一人。神様はみんな沢山で一つだから」

「……意味分かんないよ……」

「神様本体のままだと、自由に人間の身体を操れないから、なんていうのかな、本体の一部を分離させてるんだよね。分離しても繋がってるんだけど」

「……良く分かんないけど、とにかくのんつぁんは人間ではないって事?」

「んーん。人間だよ。ただ、神様の意識がある人間」

「のんつぁんの身体に神様が入り込んだって事?身体を借りてる、みたいな?」

「それも違う。ののは生まれた時から神」

「……なんかすっごいねその言葉……」

「ん?凄いって何が?」

「自分が神だって言うのって、凄いなって……。実際そうなんだったら、別に凄くもなんともないんだけど、すごい……なんていうか……」

「エバって見える?偉そうに見える?」

「……うん……」

「それは何で?」

「だって自分は特別ですって言ってるみたいで……それって“あなた達とは違うのよ”って高飛車になってるみたいで……。例え神様だとしても、ちょっとなんか……」

「それは人間が勝手に神様を特別だと思ってるからじゃない?」

「特別だよ!!特別も特別!!超特別だよ!!!」

「別に特別じゃないよ。ただ、全てを知ってるだけだよ」

「知ってるだけじゃなく、なんだって出来るし、不可能は無いし!!」

「特別じゃなく、異質なだけだよ。でもそれは人間みんなそうだよ」

「異質!?違うよだって何だって出来るなんて夢みたい!!なんだって出来るなんて、人間よりずっとずっと上の生き物だよ!!それって特別って事じゃん!!」

「上?なんでも出来る事が上なの?」

「当たり前だよ!!!人が出来ない事が出来る人間が上でしょ!!」

「じゃあののは上じゃないよ」

「なんで?出来ない事あるの?」

「無い」
14 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:13

「ほら!!」

「出来ない事が無い。だから、“出来ない”という状態が出来ない。人間は“出来ない”という事が出来る。ののはそれが出来ない。出来ない事が無いという事がつまらないと感じて神様を止めて人間になる人もいる」

「……混乱してきた……」

「人の願いも、自分の願いもなんでも叶えれる。神様は人の願いを叶える事が仕事。その代償として、自分自身の願いもなんでも叶う事になってる」

「代償……?その特権でしょ??」

「違うよ。願いが自由自在に何でも叶う事は、凄くつまらないことだよ。だって、なんでも手に入るんだもん」

「それ人類の夢だよ!!!」

「欲しいっていう状態は、手に入らないという状態があって初めて願望となるんだよコンちゃん。
最初から手に入るとわかっていたら、人はそれを欲しいとは思わないよ。」

「ウソ!だって例えば目の前にケーキがあって、これから口に入るとわかってても食べたいっていう願望は存在するよ!」

「そういう事じゃないんだよ。食べたいという願望が起きた瞬間、その瞬間になんでも叶ったとしたらどう?しかもそれは24時間365日だよ」

「何度でも?」

「何度でも」

「幾らでも?」

「幾らでも」

「ん〜……経験できっこないから予測つかないけど……。もしかしたら、飽きる…のかもしれない……」

「飽きるんじゃないよ。生きる事の意味を失う」

「死にたくなるの?神なのに?」

「いやまさか。神は生きるも死ぬもないからね。それにやるべき使命があるから。とてもやりがいを感じるよののは」

「あっていうかそうだ!神様に不可能はないんだから、手に入らない状態を手に入れればいい!あたしってやっぱ頭いい!」

「故意にそれをやる事はつまり、ただ願望成就まで時間っていうものを自分に与えるにすぎないんだよね。時間を与えてジラしてみても、いつそれが手に入るかが自分は分かってるから、面白くもなんともないもん」

「じゃ、じゃあ、神様に不可能はないんだから、いつ手に入るかわからないという状態を自分に与えればいいじゃん」

「神様は意識を手放す事が出来ないんだ。“分からない”っていう状態を経験することだけは出来ない。“全知全能”って言うしょ?」
15 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:14

「ますます混乱してきた……。神様なのに自分に不満持つっておかしいよ。それって結局完璧ではないって事でしょ?じゃあ神様じゃないじゃん」

「人間が使ってる“言語”っていうやつの範囲で言うと“完璧”だよ。それに神様は不満なんて持たない」

「だってさっき、神様を辞める人もいるって」

「神様を辞める“人”もいるって言ったんだよ。神を辞める神はいないよ」

「あ、分かった。のんつぁんみたいに、人間になった神様って意味?」

「そう!正解!流石頭良いね」

「へへっ……」

「正確には人間として生まれたんじゃないよ。神様に形を持たせる為に、人間の魂となったの。」

「なんの為に形になるの?」

「今みたいな、こういうときの為」

「ん?」

「コンちゃんみたく、たまに神様を呼んだりすがったり文句言ったりする人がいるんだよね。
で、そういう時に、意識に話し掛けたりしても、昔の人間は素直に聞いたんだけど今の人間聞く耳持ってくれないんだ」

「神様なのに聞く耳持たせれないの?そんなのちょこっと意識を弄ればいいのに」

「その人の意志は幾ら神でも弄る権利は無いよ。それじゃあ単に神様のオモチャを地上に置いてるだけのことになっちゃうもん」

「こういっちゃ失礼かもしれないけど……人間なんて神のオモチャみたいなもんじゃないの……?」

「うわぁそれきっつぅ〜……今人間の身体持ってるから、幾ら神でも傷つくんだからね……」

「あ、ゴメン……なさい……」

「オモチャじゃないよ。むしろ神の方が人間に使われてるし」
16 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:15

「え、それは……人聞き悪いですよ……」

「だって例えば人間はしょっちゅう戦争を起こすけど、大抵両方が神様の名を口にするんだよね。“神がわれ等に味方してる”“神がわれ等に戦えと言っている”ってさ。神様のせいにすんの。神の御意志だとか言って、無意味に人を殺してきた歴史も沢山あるし。
神の名を使って宗教開いて金儲けしてる人も沢山いる」

「……確かに……」

「とにかくそういう訳で、意識を弄ることは出来ないのさ」

「なるほど……」

「で、話戻るけど、聞いてくれない人を無理に聞かせる事はできない」

「うん」

「じゃあどうすれば聞いてくれる?コンちゃんならどうする?」

「ん〜……何か、神様の存在を信じれる証拠をくれないと……」

「そう。だから、こうやってリアルに側にいるの。で、時と場合によって、その人に、神として話し掛ける」

「あーなるほど。生きてる人間が不思議な事したらいやでも信じちゃうのは確かかも」

「でしょ?一人でいる時に無理矢理に、不思議な経験をさせる事も出来るんだけど、それやると大抵の人間はただ恐怖に震えてすくんじゃうんだ。だから、仲の良い人や安心出来る人が、実際に側にいて、一緒に不思議な体験をさせた方が、安心して信じる事が出来る」

「なーるほど。じゃあ人間になってる神様は世の中にすっごい沢山いるんだ。じゃないと神様と仲良くなれないもんね」

「んーん。そうでもない。あんまいない。日本にも数人くらい」

「え?話が食い違ってくるよ」

「そんなに沢山いる必用ないもん」

「なんで?」

「神様と実際に話したいと思う人がいないから」

「ウソっ。大勢いるよ!」

「なんでもそうなんだけど、現実とリンクさせるには、その人の意識レベルが最大値でそれを望まないと、経験にはならないんだ」
17 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:16

「すっごい望んでる人沢山いるよ!!」

「凄く望む事イコール現実レベルではないんだよコンちゃん」

「じゃああたしは現実レベルで望んでいたの?そんなつもり全く無かったけど……」

「そこんとこは無意識の領域だから、自覚無自覚は関係無いんだ」

「……なんか納得いかない……」

「そこら辺は後で話すよ。とにかく、コンちゃんはののを本気で呼んだの」

「じゃあこれから本気で呼ぶ人のとこにどうやって神を送りこむの?一時的に誰かの体を借りるの?それが出来るんだったら、どうして最初から人間として生まれて人間として生活するなんて回りくどい真似してるの?」

「さっきも言ったけど、神様が人間の意識に入って動かしたり、そういう事できないんだ。だからののは神様だよって言ったんだよ。ののっていう人間に入ってる訳じゃない。神が肉体を持っただけ」

「じゃあどうやって、あたしが神様を呼ぶって事を知っ、、、」

「その答えは、さっき言ったよ。神は全知全能。」

「あ……」

「何でも知ってる。ののはコンちゃんが今こうして呼ぶ事を生まれる前から知ってた。今のために人間として生まれてきた。人間界に送り込まれてきた」

「今の為に何年も……。神様も結構回りくどいというか慎重というか……ご苦労様です……」

「いえいえ、それが仕事だからいいのいいの」

「……でもおかしいよ。人間の意志までは動かせないんでしょ?じゃああたしの意志が神様と話したいっていう無意識の意志……?まで辿り付いたとは限らないじゃん」

「そこら辺を言葉で説明しようとするとかなり難しくなるんだけど、まぁ簡単に言っちゃうと、その人の人生は生まれながらに決まってる事と決まってない事とがある」

「そうなの?いや、そうなんですか?」

「うん」
18 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:17

「じゃ、生まれながらに不幸な人生が決まってる人とかいるんですか?」

「幸せ不幸せは状態じゃなくて感情だよ。その人がどう感じてるかにすぎないから。ののがどうこうできる事じゃないし、生まれつき決まってる事でもない」

「いやでもほら、生まれつき運が悪い人とかいるじゃないですか」

「運が悪い、なんていうものも正確には無いんだけど、まぁつまり感情がマイナスに向かい易い出来事っていう事だよね?」

「そうです」

「その人が望んでいない事は何一つ起こらないよ」

「はっ…?何言うんですか。あたしなんか望まない事だらけです」

「意識では、でしょ?無意識ではそれを望んでるから、おこってる」

「意識してない事っていうのはつまり望んでない事じゃないですか!」

「違うよ。気付いてないだけ。無意識はその人が自分で選択してる領域だよ」

「気付いてないのも望んでない事と同じです」

「違う違う。きちんと自分で無意識の領域を動かしてる人間もいるよ」

「……どうやったらそれが出来るようになるんですか?いやその前に、生まれながらに決まってる事と決まってない事との違いはなんですか?」

「使命と願望の違い」

「使命と願望?」

「うん。人間はみんな何かしらの使命を持って生まれてくるんだよね。それは動かせない。
けど願望は別、いつでもどんな時でも好きなように自由に動かせる」

「じゃ、使命は不可逆的に必ず遂行されるんですか?」

「ううん。果たせない人もいる。というか、果たさない人」

「じゃあ決まってる事にはならないじゃないですか」

「使命っていうのは別に、大それた任務とかじゃないんだよね。生まれる前に、その人が“大体こんな風に生きたい”みたいな感じで先に選択するもの。それは凄いアバウトなのさ」

「ほぉ……」

「それは一本の線にはなってなくて、点としてでしか置かれてないの」

「線と点……?」
19 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:18

「線にしちゃうと人生が一本になっちゃうから。人生のポイントとして、ポツンポツンと、置かれてる。そこは絶対にとおる。けど、どういう線を引くかはその人の自由だし、点はホントに一瞬だから、不可逆的っていう程人生に対しての影響力はない。単なる道案内の標識みたいな感じ。“あなたホントはこう生きたいんですよー”みたいな。
分かった?」

「……なんとなく……。
その“こう生きたい”っていうのを無視したら、不幸になるんですか?」

「それはさっきも言ったけど、どんな状態でも不幸とも幸福とも思える。その人の意識と考え方と心次第で」

「でも例えば人に悪口言われたとしますよね?それで幸福だと思うのって変態ですよ」

「変態じゃないよ。っていうか、変態なんていうものは人間が勝手に作った意識。変態っていうのは“おかしい”つまり“間違ってる”って事でしょ?じゃあ逆に聞くけど正しいとはどういう事?」

「それはつまり……。んー……多数決……じゃないですかね……」

「多数決?」

「100人いて95人くらいが感じた事は、やっぱり正しいんじゃないかと……」

「じゃあ例えば昔の殆どの人が思っていた、地球は平面だっていうのは?」

「科学的なこととか物理的なこととか、そういうのは人関係無いですよー。神様が創ったんだから、絶対です」

「じゃあ例えば、昔は女性が外に出て働くなんて考えられなかったけど、今は普通になってるよ?そういうのは?」

「それは……時代の流れっていうやつで……」

「じゃあ今変態だと思われてるのが普通だと思われる時代がくるかもよ」

「考え方は変わりますけど、感情とか感じ方は変わらないですよ。悲しいものは悲しいし、嬉しいものは嬉しいです。不幸だと感じるものは感じるし、幸せだと感じるものは感じます」

「一つのことに対してみんながみんな全く同じ反応をすると思ってるの?」

「大体は……」
20 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:18

「喜んで人をいたぶる人間もいるし、人を傷つける事を辛く感じる人間もいるよ?」

「でも例えば、家族を失って悲しまないのは人としておかしいです」

「人として悲しいから悲しむの?」

「いえ、自然に悲しみます。だからそれは決まってる事なんです」

「喜ぼうと思えば喜べるよ」

「……神様なのに酷いこと言いますね……」

「いやののがじゃなくて、現にそういう人間だって沢山いたよ」

「ウソですよ」

「例えば戦争の為に息子が戦場に出て死ぬ事は名誉だって、誇り高く思った人間だっていたんだよ」

「それは表面的にでしょ?心の中では悲しくて仕方なかったはずです」

「んーん。ありがとうございますって良く言われたもんのの」

「息子が死んでありがとうございますって!?まさか」

「死ぬって言う事の捉え方の違いだよ。国の為の力となったっていう認識だから、奪われたとか、何かが無くなったっていう意識がないのさ」

「……頭おかしいよその人たち……」

「その人からしてみたら、コンちゃんの方が頭おかしいって思うんだよ」

「めちゃくちゃですね」

「その人の認識や考え方っていうのは、絶対なんだよ。その人に取って。
だから厳密に言うと、“間違ってる人”っていうのは世の中にはいないの」

「それは、その人が間違ってるって気付いてないだけであって、やっぱり間違いは間違いですよ。例えば人を殺すのは間違いだし」

「ののが言ってるのは、“その人に取って”っていう事」

「ああなるほど」
21 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:19

「だから、コンちゃんは間違ってない。自分が間違ってると思ってないでしょ?」

「正しく生きてるつもりです。時に過ちは犯しますけど。出来る限り正しくあろうとしてます」

「でしょ?戦争時代のその人だって、そう思ってたんだよ。国に対しての真摯な忠誠心と、魂というものへの崇高な考え方。確固たる“正義”がそこにはあったわけよ」

「……酔っちゃって見失ってたんですね。本人はカッコイイと思ってたかもしれないけど、可哀相なことです」

「可哀相?本人は幸せなのに?」

「幸せだと思ってるのが不幸せです」

「戦争時代のその人達が今の若者を見たら同じように言うと思うよ。“可哀相に。なんて不幸せな子達だ”ってね」

「は〜あ?なんでですか?」

「だってその人達は、忠誠心をもって何かに慕える事が、何よりの喜びだったんだもん。例え魂を投げ打ってでも、国のため天皇陛下のためって。他にもいるよ。神のために命を投げる者。子の為に命を投げる母。みんな、望んでやってる。名誉でとても嬉しい事だと思って、やってる」

「んー……でもそれは間違いです。子の為に命を投げる母だって、勝手に酔ってるだけで、子にしてみれば偉い迷惑です」

「その子が“迷惑”だと感じるかどうかはその子次第だよ。コンちゃんがどう感じてるかと、他の人がどう感じるかは決してイコールじゃない。だから、どんな状況でもその人次第で幸とも不幸とも取れる」

「じゃあ話し戻って、悪口言われても幸福になる事も出来るって事ですね?その人の考え方次第で」

「考え方だけじゃないよ」

「ん?」

「幾ら思考で感情を操作しようとしても、操作できない事もある。」

「どういう場合ですか?」

「生理的レベルっていう言葉があるしょ?」

「あ〜」

「生理的レベルの好き嫌いはそう簡単に変えれるものじゃない。
例えばゴキブリ苦手な人が考え方次第で好きにはなれないでしょ?
ゴキブリにだって命があって、一生懸命生きてて、、とか考えても、気持ち悪くて殺そうとしちゃうでしょ?」

「ええまぁ……」

「だから、何か自分に取って意味のある事じゃないと、無理。まぁ、意味がなくても感情を自在に操作できる人も中にはいるんだけどね。」
22 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:20

「自己催眠みたいなもんですか?」

「そうだね」

「ほぉ……。で、ええとまたまた話ずっと戻りますけど、結局あたしはなんで辻さん、、というか神様と喋るチャンスに恵まれたんですか?これが元々決まってた点っていうやつなんですか?」

「うんそう。決まってた点」

「……つまりあたしって神様に選ばれた特別な人間なんですか?」

「また特別とか言うし。特別なんてものはないんだってば」

「じゃなんですか」

「単にコンちゃんがそれを選んだだけ」

「喋る事を?」

「そう」

「あたしはなんで選んだんですか?」

「そんな事ののに聞かれても……コンちゃんが決めた事だからさ」

「神様なのに知らないんですか」

「知らないんじゃなくて、コンちゃん自身にこれを選んだ理由がないから」

「あ、そうなんですか……。意味も無く選んじゃったんですね」

「意味はあるよ。大きな意味が。コンちゃんの人生にとってこれは大事な点だよ。ただ、理由がないだけ」

「意味と理由は一緒だと思うんですけど……」

「違う違う。ここで言う意味っていうのはこれからの未来に掛かる言葉。理由っていうのはそれが起こる為の理屈」

「理屈が無いんですか……」

「人生に理屈がないのと一緒だよ。理由は無いけど、意味はある」

「生きる事の意味……とかそこまで大きな事は考えた事ないです……」

「でも、知りたいと思った」

「え?何をですか?」

「言ったじゃん。“不公平だ!!”って。ここんとこずっと思ってたしょ?“どうしてわたしばっかりこんな目にあるんだ”“どうしてわたしばっかり不器用なんだ”って。」

「あー流石神様ですね……お見通しのようで……」

「で、世の中の真理を知りたくなった」

「真理…っていうか、この差はなんなんだろうって。不公平だって」
23 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:20

「それで、心の奥底でののを呼び続けてた。そして今日、ようやく本気でののを呼んだ」

「自分では分かんないですけど……」

「しっかり呼んだよ。バカって呼ばれたのは初めてだけどさ」

「すいません……」

「んーん。神に謝る必要は無いよ。自分がどうかだから。イヤならそれを選ばなければいい。コンちゃんはもう選ばない。そしてまた一つ自分を好きになる。それでいんだよ」

「流石神様……人が出来てますね……。あの、ていうかまた話が横道反れますけど」

「ん?」

「普段の辻さんはあれ演技なんですか?」

「んーや。演技っていうのは、無意識レベルまで望んでいないことを無理にする事を指すんだけど、普段のののはイヤイヤじゃなく、心から楽しんでののをやってる。」

「楽しんでるとか楽しんでないとかと、人間の本質は別じゃないですか?役者は楽しんであれやってますけど、演技は演技です」

「ののは神だから、好きに状態を選べるんだよ。これは人間が簡単に出来る事じゃないんだよね」

「なるほど……。じゃあどっちもウソじゃないんですね」

「うん。どっちものの」

「……失礼ですけど、なんであんなアホっぽいの選んでるんですか?」

「ホントに失礼だな」

「すいません……」

「コンちゃんアホなののは嫌い?」

「いえ、大好きです」

「じゃいいじゃん」
24 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:21

「………。でも、好きな状態選べるなら、あたしだったらあえてアホなキャラは選ばないです……」

「なんで?」

「えーだって、あたしだったらもう、かんぺっきにします!」

「コンちゃんのキャラは“完璧”じゃないの?」

「あれはキャラじゃなくネタです」

「コンちゃんが言う完璧ってどんなの?」

「え〜……例えるならば、後藤さん」

「ごっちん??」

「はい。後藤さんは完璧です。ああなりたいです」

「ごっちんが完璧?ののよりアホだよ」

「なっいくら神様でも後藤さんのこと悪く言ったら許さないですよ!!
それに、後藤さんはああ見えても凄い色んなこと考えてます!!」

「じゃあ、ごっちんは自分で自分の事完璧な人間だと思ってると思う?」

「……さぁ……でも、完璧に近いとは思ってるんじゃないですか?」

「ふーん……」

「ふーんってなんですか。神様ならごっちんのことなんでも知ってるんでしょ?教えて下さいよ。あたしもっと後藤さんのこと知りたいです!」

「悪いけど人の心の情報を提供する事は出来ない。それやったら神じゃなくて悪魔だよ」

「……なんでですか?」

「だってののはなんでも知ってるんだもん。コンちゃんの心の中も全部知ってるよ?それ人に喋ってもいいの?」

「えっ……全部って何処までですか……?」

「ぜ〜〜んぶ」

「あ、あんな事やこんな事も……?」

「うん。あんなことやこんなことも」

「ウソ!?!?そ、そんなの、神様それ、プライバシーの侵害です!!!人には誰だって知られたくない心の秘密を持ってます!!」

「ほら、ね。だから言えないんだってば」

「あ……なるほど……。ででも、全部知ってるって……あたしもう恥かしくて辻さんと顔合わせれないです……」
25 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:21

「ののは神だから、恥かしがることないよ」

「だって、あたしは神でも天使でもなく人間です!!良い感情や考えばかりじゃないです!!」

「うん知ってる。どろどろしたものとか、否定したい感情があるのも知ってる。でもそれは恥かしがることじゃないよ。人間ってそういうもんだから。みんなそう」

「そ、そうなんですか……?後藤さんも……?天使といわれる安倍さんも!?」

「さぁね」

「……神様口堅いですね……」

「そりゃ、神だもん」

「……あたしは人としてどれくらいの人間なんですか……?」

「ん?どれくらいって?」

「その、人格者とか、いるじゃないですか色々。人間としての資質というか」

「わぁたしのぉう〜ランキングゥ〜〜なっんっいっでっしょうかぁ〜〜〜♪って事?」

「まぁ、そんな感じです」

「そのランキングは、その人が“こう言う人は上位でこういう人は下位”とかっていう勝手な定義づけがあって初めて成り立つんだよ。
その定義づけはののがする事じゃなく、個々の価値観で勝手にする事だから、ランキングには出来ない」

「……でも大体あるじゃないですか。例えば女の人騙してお金手にして仕事もせずにフラフラ遊んでたら、その人間は下位じゃないですか。一方、無償で世の中の貧しいや困ってる人の為に一生懸命奉仕してたら、その人は上位じゃないですか」

「それはコンちゃんの中での上位下位だよ。もうランキングつけてるじゃん。そこまで決めてたら自分のもつけれるじゃん」

「……じゃああたしのは無視して、神様的ランキングを教えて下さい」
26 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:22

「そんなの無い」

「ウソです!」

「神がウソ言ってどうすんのさ」

「あ、分かった!ナンバー1にならなくてもいい。元々特別なオンリー1。って事ですね」

「それスマップの歌じゃん。ナンバー1になりたい人はなったらいいと思うよののは」

「神様は競争主義者なんですか。ほぉ」

「競争主義?神様は主義とかないってば」

「だって、ナンバー1になりたきゃなれって」

「うん、なりたきゃなったらいい。なりたくなかったらならなきゃいい」

「意外とてきとーですね神様……」

「てきとーってか、何度も言うけど人の願望はののは動かせない。
一番になりたいと思う人はなればいい。けどなりたくない人までなる必要は全く無い。というか、なりたくなかったらなれないし」

「なればいいって簡単に言いますけど、なりたいと思ってるのになれない人は沢山います」

「いないよ」

「ウソですよ!わんさかいるじゃないですか!!あたしだってそうです。オンリー1なんていいからナンバー1になりたいです」

「何をナンバー1になりたいの?」

「何をって……全てにおいて……」

「漠然としすぎだよ。そんなのののでも叶えれない」

「ほら!やっぱり神様が叶えるか叶えないか決めるんだ!」

「決めはしないよ。導くだけ」

「じゃあ導く人と導かない人の違いはなんですか。エコヒイキじゃないですか」

「違うのあんね、確かに人間は願望を持つ生き物だけど、必ずしも手に入れる事をみんなが望むわけではないんだよ」

「願望イコール手に入れたいじゃないんですか?」

「そうだけど違う」

「神様なのに矛盾してます」
27 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:22

「神は矛盾しちゃいけないの?人間的には矛盾は間違いらしいけど、神的には矛盾こそが真理だよ」

「なんでですか?」

「言葉っていうものが、狭すぎるから」

「言葉が狭い……?」

「言葉で説明できるものは少ないもん。コミュニケーションとしては大事な手段だけど、言葉で世の中の真理全てを知ろうなんて不可能だよ」

「そうなんですか……」

「真理を少しでも正確に伝えようと思ったら、物凄く多弁にならなければならない。物凄く理屈っぽくなるし、言葉をいちいちフォローしなじゃならない。だから、知ってる人間は喋らなくなる」

「面倒だからですか?」

「違う。言葉よりも楽に伝えれる手段を知ってるから」

「スキンシップ?」

「それもある意味ではそう」

「じゃあ言語っていうのは低レベルなものなんですね」

「低レベルじゃないよ。とても大事な素晴らしい手段だよ。好きな人に愛してるよって言われたら嬉しいしょ?」

「……すっごく……」

「喋らなければ伝わらない事だって沢山ある。だから、喋れない人でも手話を使って話す」

「……じゃあやっぱり大事なんだ」

「うん大事。けど、言葉だけで全てを伝えるのはとても難しいし、もっと簡単に出来る事が沢山ある」

「例えば?」

「例えば、目を合わせるだけで沢山の事を伝える事も出来る」

「あーアイコンタクトってやつですね」

「そう。アイコンタクトで送ったものを言葉にするのは凄く難しい」

「じゃあ無口な人間は神に近いんですね。あーそっかそう言えば辻さんて普段言葉より態度で示す事が多いです!!」

「ののは半分人間じゃないから言葉で伝えるのが下手糞なんだ」

「今はいっぱいいっぱいなんですか?」

「今は話せるという状態を選んでる。けど普段の生活の中でこんな状態はののには必要無いし、のの的には好きじゃない。」

「神様が好き嫌いするんですね」
28 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:23

「だから半分人間なんだって。好きじゃないっていうのは神的にじゃなくのの的に。
でも言っとくけど無口な人間が神に近いわけではないよ」

「そうなんですか?でも今、、」

「言葉以上のものを言葉で伝える事は幾らでも可能」

「また矛盾してる気がします……」

「例えばね、“愛してる”って一言でも無限の伝え方がある」

「ああなるほど。大事なのは気持ちって事ですね」

「まぁ、そんな感じ」

「あ、ていうか話反れてる!」

「願望イコール手に入れたいじゃないんですかって質問でしょ?忘れてないよ」

「そうだけど違うって言いましたよね。どういう意味ですか?」

「“手に入れたい”っていう事の捉え方が人によって違うからだよ」

「どう違うんですか?」

「これが“言葉”の幅の広さでありアバウトさ。このアバウトさに惑わされる人が沢山いる。」

「じゃあ狭いとこまで教えて下さい」

「あんね、“手に入れたい”っていうのは、実際に“手に入れる”まで距離があるのは分かるよね?」

「はい」

「この距離をとても長く見積もってる人と、とても短く見積もってる人と、全く距離を持たずに見積もってる人がいる」

「願望成就までの時間設定ってとこですか?」

「んーん。心設定」

「心?」

「時間じゃない。この距離を長く見積もってる人は幾ら時間を重ねても決して手に入らないんだよね」

「……つよ〜く強く願ってもですか?」

「うん。力みは関係無い」

「……冷酷ですね……」

「冷酷?全然。その人が手に入れたいと思ってないから距離作ってるんだもん」

「好き好んで距離置いてる人なんていないですよ!!」

「好き好んで距離置いてる人だらけだよ」

「うそぉ!?」
29 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:24

「人間は好きな状態を選べるんだよ。手に入れる事も、手に入れない事も選べる。
神は人間の願望を動かせない。だからこそ、ホントに手に入れる事を望む人にしか叶えさせれない」

「じゃあ、手に入らない人は、ホントに手に入れる事を望んでないっていうんですか?」

「そうとも言えるし、そうじゃないとも言える」

「また矛盾してます……」

「真理は単純じゃないからだよ。答えが一つしかなかったら、世の中はとてもつまらなくなる。人間は人生を楽しめなくなる」

「単純だったら楽しめますよ。苦しむ事が無くなって、みんなハッピーになる。
まぁ、また話がズレるからその事は置いておいて、今の話説明して下さい」

「無限とも言えるくらい色々パターンがあるんだけど、その中の特に多い例を説明するとまず、手に入る状態よりも、“欲しい”という状態の方を望んでる人」

「難しいですね……。欲しいって思ってる状態を欲してる…?」

「そう。そこの状態にいつまでもしがみ付いて、中々手に入れる状態にいこうとしない」

「ブレーキをかけてるようなもんですかね……。ブレーキをかけてるって事は、それって結局ホントに手に入れたくは無いって事ですよね?」

「本人はそんなつもり全く無いんだけどね」

「可哀相……そんな人いるんですか?」

「とても多いよ」

「何故そんな状態に?」

「願望が叶うという事を、神のマジックのように捕らえてる人がいるからさ」

「……でも、願えば叶うってよく言いいますよね……あれはうそなんですか…?」

「いや、願えば叶うよ。
けれど、叶えるのは神じゃない。本人だよ。
何もしないで座ったまま勝手に魔法が掛かって勝手に自分の夢が叶う事を信じてるのと、真摯に純粋に叶う事を願うのは全く違う。
ここを履き違えてしまう人がいる。
本当に真摯に純粋に願っている人は、決して魔法が掛かるのをただ待っていたりなどしない。」

「…神は無精者には手を差し伸べない、と………」
30 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:24

「いやそうじゃない。無精者であろうとその人がそれで叶うと潜在意識まで本気で信じていれば叶う。
問題は、コンちゃんがさっき言ったけど自らにブレーキをかけっぱなしで、後は神がなんとかしてくれるといつまでもアクセルを踏まない場合だよ。
ブレーキを掛けてるのはその人に心の中に恐れや自信の無さなど、何か問題があるから。
そのブレーキを神が無理やり外す事はできない。
けど、ブレーキをかけたままで願望を叶えてくれと、そういう無茶な願い方をする人が多い。
そんな無茶なマジックをいつまでも信じ続け、僕は運が悪い”私は○○がないから叶わないんだ”などと嘆いている」

「つまり、ブレーキをかけるなと………」

「かけるなっていうんじゃないよ。いい?車を運転する時、目的地につきたいという意思があるのにブレーキを踏む?もちろん、信号とかは別だよ」

「いえ、ブレーキ踏みっぱなしだったら辿り着かないです」

「そういう事だよ。ブレーキは自分の意思。つまりそこに行きたくない”とダダをこねてるのに等しいんだよ。それを神がいいからおいで!!”って引っ張れるかい?」

「………確かに………」

「けど、そんな状態でも願いを叶えてくれるのが神だろうと思ってる人が沢山いるんだよ」

「むちゃくちゃとういうか、全く矛盾してますね。行きたいって強く願ってるくせに、思い切りブレーキを踏んで行きたくないとダダをこねてるなんて………」

「そう。その矛盾に自分で気づいていない人が沢山いる」

「でも、神様を目の前にこういうのも失礼ですが、神がどうとかっていちいち意識してる人は少ないと思うのですが………」

「神を意識してなくても、例えば人は何か願望があったら自然と祈ったり願ったりするでしょ?その祈りって誰に対してしてる?何か自分の理解を超えるものでしょ?それを、神と呼ぶんだよ」

「あ、なるほど………願ってる相手=神なわけですね。その人が意識してようとしてなかろうと」

「そう。神と人間はいつだって二人三脚なんだよ。だから、人間の意志を無視したり、神が勝手に何か力を与える事はできない。その人も一緒に神と進まなければならないんだよ。座り込んでないでね」
31 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:25

「例えば宝くじを当てるのにでもですか?」

「そうだよ。宝くじだって、当たる”っていう状態を神とともにクロスしなければならない」

「ほぉ………具体的な行動とは限らないのですね」

「行動だけをさしてるんじゃないく、意識の問題だよ。
勿論行動が必要な場合もある。何が必要かはその願望やその人によって無限とも言えるパターンがある。だからマニュアル化は決してできない。」

「じゃあどうすれば何が必要かがわかるのですか?」

「それはその人自身が知ってる」

「知ってる?知らないから辿り着けないんじゃないですか!知ってたら苦労しませんよ!」

「違う、知ってるのに気づいていないだけさ。もしくは、耳を傾けないか」

「気づく人と気づかない人、耳を傾ける人と傾けない人の違いはなんですか?」

「理屈ぬきで、手放しで何かを信じる心だよ」

「ピュアになれと」

「そうじゃない。心が綺麗か汚いかは関係ないよ。そうなると潜在意識まで信じてる通りになる」

「どうすれば信じれるんでしょう」

「どうすれば”、って考えるのをやめてごらん」

「え?」

「そんな事考えてる暇があったら前に進むといい」

「と言いますと………」
32 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:25

「多くの人は欲しいものがあったらまずそれを手にしてる人にこう尋ねる。
そうなるには、それを手にいれるにはどうすればいいんですか?”
けれど、手に入れてる人はこういう。
どうもこうもないよ。手にいれればいいじゃないか”」

「それはですね、持ってるからそうやって偉そうにいえるんですよ。手に入ってない人の気持ちを全然わかってないからです」

「偉そうに言ってるんじゃないよ。その人は口で説明のしようがないのさ。
いいかい?マニュアルやハウトゥー本を求める人間は、最も楽な道を進みたがってる。人が歩いた道の後をつけて、その人の歩き方を真似れば辿り着けるとそう思ってるから、人に聞くんだよ。
けれど、最も近道と思える道こそが、最も遠回りなんだよ。安易な近道を探すのに必死でいつまでも前に進まない。」

「いやでも…人に尋ねる人や知りたがる人は、歩く道がわからないから誘導してくれとそういってるだけであって、別によこしまな気持ちで聞いてるわけではないですよ…」

「じゃあ道を教えてくれるその人はどうやってその道を知ったんだい?」

「そりゃ、その人は才能があるから簡単にわかったんであって、だからそういう人に聞くわけじゃないですか」

「それは違う」

「なんでですか?」

「才能があるから簡単にわかったんじゃない。ただ、無心にまっすぐその道を歩いていたら自然と、いつの間にか辿り着いたのさ。余計な事をごちゃごちゃ考えずにね。ハウトゥーやマニュアル本など片手に持たず、導かれるままただ歩いたんだよ」

「例えば勉強するのに参考書とかを読まないって事ですか?」

「いやいや、人の教えてくれてるものを目にしないって言ってるんじゃないよ。何が自分に必要か、その必要なものはしっかり踏みしめなければならない。楽なやり方やうまいやり方を教えてくれる人に耳を貸さないっていう事ではないよ。」
33 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:26

「んー…ますます難しい…。あれですかね、羊たちの沈黙のアンソニー・ホプキンスがなんかで言ってたんですが、まず飛び込め。そうすれば神が味方してくれる”ってやつですか?」

「全くその通り」

「考えたりやり方や辿り着き方を知りたがってる暇があったら、まずやれと」

「そう」

「そうすれば辿り着けますか…?」

「ほらまたそうやって保障を求める。
絶対的結果がないと行動を起こそうとしない。信じようとしない。
結果ばかりを気にしていたらいつまで経っても手にはいらないよ」

「じゃ、じゃあですね、これだけ教えて下さい。まずやれとと言われましても、大抵の人はその”まず”が分からなくて困るんだと思うのです…」

「なんでもいい。出来ることから初めてごらん。小さい事でかまわない。いきなり大きくジャンプしようなんて思わない事だ。
全く何をやっていいか分からない、なんて事はないはずだよ。それは、分からないんじゃなく、今分かってる程度の事なんてやりたくない”っていう単なる怠慢だよ」

「…人間とは、なんとも無精者ですね…」

「あ、言っておくけど、別にアリとキリギリスで言うアリになれって言ってるんじゃないからね。別にキリギリスであっても構わない」

「へっ?」

「何度も言うけど、願望成就に力みは全く関係ない。遊びながら軽い気持ちでやってたら辿り着けない、なんてそんな事はない。
そんな固定観念は持たない方がいい。
必死になって努力しろって言ってるんじゃなく、考えてる暇があったらまずやってごらんと言ってるだけだよ」

「真摯な態度で真剣に必死に取り組まなければならないんじゃないんですか?」

「いやいや違う。その辺は後で詳しく話そう。」
34 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:26

「分かりました。では他の願望が叶わない人の例を教えて下さい」

「他には、それ(願望)を手に入れる事に罪悪感を感じてる人」

「……そんな人いないと思いますけど」

「たっくさんいるよ。人間は願望を手にする事をとても怖がる。
多くの人は、お金を手にし、名声を手にし、成功を手にし、美を手にし、才能を手にし、幸福を手にする事を怖がる。とてつもない罪悪感を抱く。欲してるようで、手にする事を恐れてる。その事に気付いていない」

「罪悪感というか、怖くなる事は確かにあります。モーニング娘が大きすぎて怖いです。でも怖がりながらも手にいれちゃってます。名声というか、知名度というものは」

「コンちゃんは謙虚だね。その年にしてお金も名声も成功も美も才能も手にしてるのに。多くの人が欲しがるものを、もう殆ど手にしてるんだよ?」

「そんなっ……。欲張りなのかもしれないけど、あたしはまだ全然欲しいものだらけです……。それに、才能なんてあたしないですよ……」

「色々持ってるよ?」

「どんなですか?」

「それは自分が気付く事だよ。神様が教えちゃったらオモシクないじゃん。」

「おもしくないじゃんって……そんな、神様の気まぐれでイジワルしないで下さいよ……」

「ののがじゃないよ。コンちゃんがだってば」

「あたしが??知った方が人生楽しいに決まってるんですけど……」

「知りたかったら知れるよ。コンちゃんが望めばね。でも望んでないから気付いてない」

「あーはいはい混乱してくるんで、話の続きお願いします」

「んーとじゃさっきの話だけど、“怖がりながらも手にしちゃってる”って言ったけど、怖くなったのは手にした後でしょ?」

「そーですね確かに。入る前はもう、夢と希望しかなかったです」

「だから叶ったんだよ」

「え、先に恐怖心を感じてたらあたしはモーニング娘に入れてないんですか?」

「恐怖持ったから叶わないっていう事ではないんだけど、恐怖を持つとそれを現実レベルまで望まなくなっちゃう事が多いから。」
35 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:27

「あーなるほど」

「欲しい物を手に入れれる人と手に入れれない人の差を話すなら、メンバーの事話した方が分かり易いよ多分」

「メンバー?」

「だって、夢叶った人の集まりだもん」

「まぁ確かに、何万人から選ばれたラッキーガールの集まりですけどね」

「コンちゃんを含め彼女らは何故夢を叶えたと思う?あ、因みにののは自分で来たからちょっと別」

「ん〜……娘は顔とか歌とかそんなに関係無いですしね……。むしろ、可愛いすぎると受からないっていう定説があります。だから、ん〜〜……運が良かった……以外ないと思います……」

「運てなに?」

「神様の気まぐれ」

「そんなの無いってば!」

「でも人はそう思ってます」

「違うよ。彼女らはみんな、自分で選んでここにきた。使命っていう点が最初からそこにあった人もいるし、道を作った人もいる。とにかく、願望を自分で手にした」

「……あたし特に何もしてないですけど……。受かるとも思ってなかったし、自信もなかったし……」

「無意識レベルでは、叶うと信じきってたんだよ。真っ直ぐに。とても真っ直ぐにね」

「そー……なんですか……?」

「それに、みんな現実レベルで願望を持ってる。叶うっていう事は現実。だから現実レベルで願望をもてない人は夢が夢のままで終わる」

「現実的??夢ばっかり見てる夢想家の集まりですよ。現実的な人が歌手になりたいなんて非現実的な夢持たないじゃないですか」

「あんね、ののは神だから願望の叶え方を知ってる。そのうちの一つの方法をやったんだよね。何やったか知ってる?」
「娘になるためにですか?なんですか?」

「小学校の卒業文集に、、」

「あっ知ってます!!!モーニング娘かバレーボール選手になりたいって書いたんですよね!?」

「よく知ってるね」
36 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:27

「だってあたし辻さんのファンだったんですよ?」

「おい過去形かよ」

「や、今でも勿論好きですよ!!神様に惚れるあたしって見る目ありますよね」

「んー好きになるからなるんであって、見る目とか関係無、、」

「はいはい分かりましたとにかく続き早く話して下さい」

「えーと、文集に書いたんだよ。モーニング娘になりたいですって」

「それ聞いた時、正直凄いなぁって思いました」

「なんで?」

「だって、かけないですよ普通!恥かしいくてとてもとても……殆どの人は思っても胸の内にそっとしまっておくと思います」

「だから叶わないんだよ」

「え??」

「なんで恥かしいの?」

「バカにされるじゃないですか!!こいつ頭おかしいのか?って思われますよ!叶うわけないじゃんって、笑われます」

「うんでも叶ったよね」

「それは結果論です」

「結果は原因があって初めて起こるんだよ。まぁそうでない例外もあるけど。
ののは、非現実的なことだとは思わなかった。モーニング娘になる事が恥かしいことだともおかしいことだとも思わなかった。だから書いた。」

「いや、娘になってしまえばこっちのもんですけど、書いておいて落ちたらバカにされ続けますよ。なんたってずっと残るんですから」

「そんな事気にしたら確かにかけないね」

「でしょ?」

「でもののは、そんな事より、娘になる事が使命だったから」

「使命感でなったんですか?あたしに今こうして話す為にリスクまで背負って?流石神ですね。カッコイイです。ますます惚れます」

「いやいや違うってば。人間世界では、使命なだけでは叶わないから、願望にしないとならない。だから結局みんなと踏んだ過程は一緒だよ。
願望を現実レベルまで引き上げるには、現実とリンクさせていく作業を自分でしなきゃならない」

「その作業が文集ですか?」
37 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:28

「うん。一つの方法。あいぼんも全く同じ方法使ってるよ。卒業文集で歌手になりたいって書いて、ののと同じく速攻で叶ったから」

「でもあいぼんもまさかそんな早く叶うとは思ってなかったらしいですよ」

「うん意識ではね。でも無意識では知ってた」

「娘になる事を?」

「うん。だから書いた。リスクがどうとか、恥ずかしい事だとか、非現実だとかって思うって事は、叶うと信じてないって事で、それはイコール叶いたくないって事なんだよ。
願っても叶わない人がいるっていうのはそういう事。現実レベルまで引き上げることが出来ないというかしない人が殆どなんだよね」

「神の世界では、文集に書くことが現実的なことなんですか?」

「神の世界じゃなく、人間世界でもそうだってば。現実的だから、実際に人に宣言できるんだよ。口にできるんだよ。彼女らはとても現実的だよ。」

「ん〜でも……」

「ケメコも真里っぺもそうだよ。はっきり口にして、人に宣言してたじゃん。恥かしがらずに。
彼女らはそれがおかしい事だとも思ってなかったし、むしろ“バカだ”“非現実的だ”と思う周囲の方がおかしいと思ってたんだよ。叶う事を無意識まで望んでた。本気でかなえるつもりだった。叶う事が不可能ではないと思ってた。だから口にした。だから叶った」

「……つまり……口にすれば叶うって事ですね!良い情報教わりました!ありがとうございます!!」

「違う違う。だから、“こうすれば叶う”なんていうマニュアルは無いんだってば」

「でも、今そう言ったじゃないですか」

「何もそれやれば叶うなんて言ってないよ。上手な手段だって言ったんだよ。上手というか、願望成就を本気で願う人が取る行動の一つ。現実まで引き上げ、引き付けるには、今ある現実の中に、望む現実を中和させていく必要がある。境目がある人は叶わないから。
多くの人は、その境目が凄く好きで、消したがらない」

「現実と非現実との境目が?」

「そう。夢を見るのはとても気持ちの良い事だから」

「ずっと夢のままであって欲しいと、無意識の中で望んでしまうって事ですか?」

「うんそういう人が多い」
38 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:28

「でも現実の方が良いに決まってます」

「そう?コンちゃん実際娘になってどうさ」

「……想像してたのとは全然違いました……」

「どう違った?」

「なんかもっと、もう幸せすぎて毎日浮かれモードだと思ってましたから……」

「実際は?」

「勿論幸せな事も多いですけど、同じくらい、いやそれ以上に辛い事や怖い事も増えました……」

「夢を見たままでいればよかったとは思わない?」

「ん〜……いやそれは思わないですけど、でも、時々、ホントに時々ですけど、普通の女の子だった方がもしかしたら幸せだったんじゃないかってネガティブになってしまう事もあります」

「でしょ?」

「みんなそれ知ってるから叶えないんですか?」

「まさか。単純に現実までのリンク作業をしてないだけ」

「でもあたしは宣言してないし、夢みたいでしたよ。まだたまに夢かと思います」

「現実をどの程度現実と感じれるかはその人次第だよ。夢っぽく現実をフワフワ生きてる人も沢山いる。それに、歌手を非現実的だと言う人が現実的ではないっていう事ではないんだよね」

「??」

「何を現実とするか、何を選ぶか。それだけ。
自分が無意識レベルまで信じてる世界がそのまま現実となる。みんな好きな現実を選んで生きてる」

「好きな現実に生きてる人なんてそういないですよ!現実なんてこんなもんよって、人間はよく悲観します」

「こんなもんよとその状態を受け入れてるから、その状態であるだけ。変えようと思えば幾らでも変えれる」

「無理な時だってあります」

「例えば?」

「例えば夫との愛が冷めてるけど子供のために離婚しないとか」

「不可能ではないじゃん。その人が何を選ぶかだよ」
39 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:29

「子供を不幸にするって分かってて別れるのはエゴです。単なるエゴで願望を通してたら、人を傷つけてばかりいる事になります。そんな事を神様が許すんですか?」

「じゃあ逆に聞くけど、夫との愛が冷めてるのに無理して結婚生活を続けて、ストレス溜めて、子供にまでそのストレスをぶつける事が子供のためなの?」

「ストレスぶつけなきゃいいじゃないですか」

「そう。だから、好きな状態を選べるんだってば。必ずしも離婚し無い事が子供への幸せとは限らないし、離婚する事が絶対的不幸とも言えないんだよ」

「それ、親が離婚した子供怒りますよ。神様と言えども発言に注意した方が良いですよ」

「なんで?離婚したって母親が目一杯愛情を注いで一生懸命育てて、そんな親を慕い、感謝してる子供だっているよ?むしろ繋がりがとても深くなる人もいる」

「でも父親へは恨みしかないと思います」

「そんな事ないよ。何年もたった後でも、会いたいと言う人だっている。出て行ったそんな親でも許す子だっている」

「みんなそうなれって事ですか?みんながみんなそんなに大人にはなれないですよ」

「あんねコンちゃん。悪い事が全て悪い事ではないんだよ」

「ん?意味分からないです」

「人はそれを神の試練って言うけど。ののが与えたんじゃなくて自分で選んでるんだよね」

「点てやつですか?」

「そうの場合もあるしそうじゃない場合もある。とにかく、人生の中で悪い事が何も起きないまま生きる事を選ぶ人っていうのは少ないんだよ」

「え……みんな自ら険しい道を選んでるんですか……?」

「険しい事が必ずしも悪い事ではない事を知ってるからさ。世の成功者を見てごらん?楽に生きて成功を掴んだ人より、過酷な人生を生きてきた人の方が多いよ」
40 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:30

「それは何故ですか?」

「彼らは最初から知ってた。何が必要か」

「ん?成功に必用なものですか?」

「プロセスをさ」

「成功までのプロセス?」

「まぁ成功っていう言葉はとても広いんだけど、ここで言う成功というのは世の中で一般的に使われる意味を指してるから、そこは誤解しないでね。地位と名誉と金を手にする事だけが成功ではないから」

「はい」

「とにかくその場合のプロセスを、彼らはただ真っ直ぐに歩いた。悪い事も良い事も、全て踏みしめて歩いた。
願望成就が上手い人は、身に起きた悪い事も良い事に自分で変える力を持ってる」

「悪い事を良い事に……」

「悪い事は、とても大事な事を学ぶのに必用な事だから。悪い事だって大きなパワーを持ってる」

「バネにするってやつですね」

「そうする人もいるね。だから、身に起きた悪い事に感謝をする人すらいるんだよ」

「マゾヒストですね」

「大抵は勿論、悩み、傷つき、苦しみ、もがく。でもそれでいんだよ。」

「神様はサディストですね」

「その先にきちんと道はあるから。自分の望んでる道がね。ただしそれを選ばなければ意味がないけど」

「選ばなければ……つまり、屈してしまったら意味がないって事ですか?」

「自分で敷いたレールを自分から降りたら、敷いたレールの先にまってる願望には行き着かないよ。また戻れば別だけど。或いは違うレールを敷く事も可能だけど」

「そんな簡単に言うけど、悪い事を乗り越えるのは大変です。苦しんでそのまま死んじゃう人だっています」

「コンちゃんはそうなりたい?」

「いえなりたくないです」

「じゃあ選ばなければいい」
41 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:30

「また簡単にいいますね……」

「大事なのは本人が何を望むか」

「あの、もしかして辻さんの“希美”っていう名前は……」

「うん。ののが決めた」

「そうなんですか!?」

「希望っていうのは美しいから」

「ロマンチストですね」

「揺ぎ無い真理だよ」

「なんか、辻さん普段もそのキャラでいったらどうですか?」

「なんで?」

「凄くカッコイイです」

「普段のののは?」

「凄く可愛いです」

「じゃいいじゃん」

「ま、そうですけど……」

「あ、言っておくけど、世の中の起きてる事全部が、今話したような単純なことばかりではないからね」

「そうなんですか?」

「もっともっと深い意味を持ってる出来事は沢山ある。それは簡単に言葉で表せるようなことじゃない。世の中はとても複雑に絡み合って成り立ってるから。同時にとてもシンプルでもあるんだけど」

「覚えておきます……」
42 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:31

「んーと何か質問ある?」

「ええと願望を口にする人の話をしましたけど、あややとか中澤さんはタレントへの夢を人にする事が出来なかったらしいですよ。恥ずかしくて。バカにされるって思って」

「別に、公言できる人が必ずしも真剣で必ずしも叶うっていう事ではないよ。」

「えっそうなんですか…あーもうなんだかごちゃごちゃになってきました…」

「口にしようとしなかろうと構わないよ。大事なのは、その人自身がどこまで信じているかだよ。どれだけ夢と現実との間にボーダーラインをひいてないかだよ。
真剣に叶える気があるからこそ人に言わない、という場合もあるでしょ?
自分は信じてるけど周囲は信じてくれないだろうから、じゃあ最初から言わないでおこうってそっと胸のうちにしまっておくのだって一つのマジ”という形だよ。
マジだからこそ言えない、という場合もある」

「マジ、ですか。なるほど…」

「世の中の人間はこうすれば叶う”と聞くとすぐにそれを真似る。
例えばある成功者が僕はとにかく宣言した。そうしたら叶った”と言うと、みんなただそれを真似る。
けど、どうすれば叶うかは人それぞれであって、ある人にとっては正解でもある人に取っては不正解なんだよ」

「それを見極めるには…」

「それは自分の心の聞きなさい。信じる通りに真っ直ぐ進むといい。真摯に願うといい。そうすれば、自然と自分はどうすべきかが分かる。自分を信じるとは、そういう事だよ」

「はい。分かりました。
ええとあの、さっきの話でもうちょっと詳しく知りたい事があるんですけど」

「何?」
43 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:31

「願望成就できない人の話です。
手に入れる事に罪悪感を持ったり恐れる人がいるって言いましたよね?」

「うん」

「あたし、さっき辻さんがあたしに“全てを持ってる”って言った時、凄く怖くなったんです……」

「全てっていうのは、上げた数個についてだよ。持ってないものだって沢山ある事をののは知ってるよ。その事でコンちゃんが時に悩む事も。今日みたいにね」

「あ、知ってらっしゃったんですか……」

「神だかんね」

「で……あたしは何故怖いと思ったのかが自分で分からないんです」

「その資格を自分に問うからさ」

「資格?」

「“私にそれらを手にする資格があるんだろうか”ってね」

「あ、そうかもしれないです……」

「コンちゃんはとても謙虚で、それは良い所だけど、でも気をつけなきゃならないよ」

「な、何をですか?」

「自分が何かを持つ事を恐れたり罪悪感を抱く必要は無い。思う存分に喜んでいんだよ。
また、そうでなければ手に入らないよ」

「んーでも……」

「だから時に、何かを手にしてる人間は高慢だ。でもそれでもいい」

「高慢でいんですか!?人間は謙虚でなければなりません。お金がある事を鼻にかけたり、美を振りかざしたり、そういうのは人としてだめです」

「人を侮ったり見下す事はよいことではないよ。でも、何かを持ってる事を誇りに思うのは全然悪い事じゃない。
昔は、何かを得ている事を喜ぶ事はいけない事だという風習があった。
でも少しづつだけど、世の中は変わってきている。
最近は上手く喜びを表現する人が増えてきた。
美について言えば、、そうだねあややが上手いね」
44 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:32

「松浦さんですか?」

「彼女は自分が可愛い事をとても喜んでる」

「ええそりゃあもう」

「見ていて鼻につく?」

「いえ全然。だってホントのことだもん」

「数十年前だったら、剃刀の入った手紙が送られてきてたと思うよ」

「怖いです……」

「でも、人は気付いてきた。何かを得ている事を思う存分喜ぶ事は、悪い事じゃないと」

「でも……結果論ですよね。得たから喜ぶのであって、あややくらいにならなきゃ、喜べません」

「違うよ、喜んだから得れたんだよ」

「まさか!?」

「彼女は愛と感謝と喜びに溢れている。何に対してもね。だから沢山のものを手にする事が出来る」

「まぁ、いつもハイテンションで楽しそうではありますけど……中々ああはなれませんよ……」

「誰でもなれるよ」

「どうやってですか?」

「何に対しても喜んでごらん?」

「何にって、例えば何にですか?」

「なんでも。どんな些細な事でも」

「そんな、嬉しくも無いのに喜べません」

「喜べば嬉しい事が起きるよ」

「はっ?だから逆ですよ神様」

「小さなことで喜べない人は、大きなことでも喜べないよ」

「1円で喜べなくても、1億当たれば誰でも喜びます」

「小さなことで喜べない人は、大きな喜びもやってこないっていう事だよ。まぁ例外もあるけど。
喜びが起きない人は、こう口にする。“良い事無い”。そう嘆く」

「いますね。嘆いてる人」

「喜びが起きる人は、そんな事決して言わない」
45 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:33

「だって良い事起きてるんだから当たり前じゃないですか」

「そう。既にある。だから起きる」

「……もっと分かり易く教えて下さい」

「喜びを沢山手に入れる人からすると、“良い事ない”っていうのはそもそもおかしいんだよ」

「なんでですか?」

「喜びは幾らでも転がってるからさ」

「何処にですか?」

「そういう人は、当たり前の単純な事に喜びを得れる。
人に会った時。声を出した時、歩いた時。景色を見た時。
こんな事、誰にでも出来る。だから良い事が無いっていうのは成り立たない。成り立たないから良い事ばかり起きる」

「……神様の言い方だと、まるで人は“心が状態を引きつけてる”、みたいに聞こえます」

「流石コンちゃん。ご名答だよ」

「えっそうなんですか!?」

「人間は年を重ねると、ある法則に気付き始める」

「なんですか?」

「悪い事が起きる時っていうのは、いくつも重なる」

「あっそれあります!最近なんて運が悪いんだっていう時があります!運勢が落ちてるなぁって思うとき」

「なんでだと思う?」

「んー……運は周期なんじゃないですか?運勢が落ちてる時は自分ではどうにもならないです」

「さっき言ったように、これから起きるなにかの為に自ら苦難を強いてる場合もある。そういう時は、耐える時期。今後の自分の為になるんだと思って、踏ん張って、自分で変えていくしかない。
でも、そうじゃない場合っていうのがある。それは、ただ悪運を自ら引きつけてる時」

「どういう風に?」

「“良い事無い”ばかり口にしたり、マイナスな言葉ばかりグチグチと繰り返す人だよ。
心が状態を引き付けるから、心がドロドロしてたらドロドロしたことばかり起きるようになる。逆に、心が晴れ晴れしてると晴々しい事ばかり起きる。だから、同じような感情周派の出来事がいくつも重なるんだよ」
46 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:34

「ほぉ……。でも、沈んでるのに突然良い事が起こるときもあります」

「それは、沈んでいてもどこかできちんと希望を持ってるからだよ」

「自分じゃいまいち分からないだけに中々難しいですね……。
んーとまとめると、小さな事に喜び、心を晴れ晴れさせ、マイナスな事は口にせず、自分が得ているものに対して大いに喜べばよいって事でいいですか?」

「何度も言うけど、こうしなきゃならないっていうマニュアルは無いからね。
ただ、ヒントにはなる。
自分の中の良くないなと思う部分は、意識的に変えていった方がいい。
じゃないと、何も変わらないよ。
本当に幸せを望むならば、まず幸せになってごらん。
当たり前のことを当たり前だと思わず、感謝してごらん。
そうすれば、いつも楽しくなる。いつも楽しいと、もっと楽しい事が起きる。
一度良い波に乗ると、意識する必要はなくなる。
でも、最初は少し意識的になった方が、変えやすい。
そして、自分が得ていると思うものは、いやまだ得ていないと思っても、喜ぶことは大事だよ。
罪悪感を感じる必要は無い。
全ての人間が等しく受け取れるものなんだから、自分だけが得ているんじゃない。
気付いているか気付いていないかの違いだよ。
だから遠慮はいらないよ。
お金も美も健康も恋愛も名声も成功も、欲しい物はなんでも幾らでも手にいれるといい。
特にお金に関しては、謙虚になりすぎる人が多い。
お金がある事は悪い事じゃない。
1万円を安いと思う事は悪い事じゃない。
1億を夢のお金を思う必要は無い。
好きな現実を手にいれれば良い。
夢だと思っていたら、夢のまま終わるよ。
誰にでも手にする事はできる。その権利も資格もある。」
47 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:34

「なるほど……。でもですね、1万円を安いなんて言ったら世の庶民は大抵怒ります。
矢口さんは8000円の焼肉が安かったと言って、世の人々に反感買ってました。
1500円のTシャツをポンポン買うって言ってさんまさんに反感喰らってました」

「金銭感覚が狂ってるって?」

「そうです。芸能人は金銭感覚が狂ってるって、よく反感かいます」

「だから彼らはお金があるんだよ」

「え?」

「そもそも、金銭感覚って何?」

「一般的な……お金に対する感覚です」

「一般的な感覚を持ったから偉いの?」

「そうじゃないけど、世の中には恵まれない人が沢山います。
1円2円だって、命を繋ぐ事もあるんです。
なのに、1万が安いなんて言ったら、恵まれない子達はきっと泣きますよ。
こんな不公平なことがあっていいのかって」

「アメリカのスター達を見てごらん?彼らは恵まれない子達にどれだけ寄付してるか知ってる?
自分が稼がないと、寄付すら出来ないよ」

「そういう人もいますけど、お金を軽く見てテキトーにガンガン使うのは人としても軽いです」

「ごっちんは一回のコンビニでの買い物に3000円使うけどよっすぃーは一ヶ月で3000円使うって言ってたね。
ごっちんの方が軽いと思うの?」

「後藤さんは……そういうとこがスターっぽくてカッコイイからいんです」

「よっすぃはスターじゃないの?」

「吉澤さんはなんていうか、庶民派で堅実な所がいんです。
でも例えば後藤さんがお金をバラまいたり、1万円を安いとか言ったら、なんかいやです」
48 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:35

「別に口に出す必要は無いよ。でもそういう感覚は別に悪い事じゃない。
お金を出し惜しみする事がそんなに偉い事かな?
お金は使ったら誰かが潤う仕組みになってるんだよ?カバンを買ったらカバンを売った人が豊かになる。金は天下の回りものって言うでしょ?捨ててるわけじゃなく、誰かにあげてるのと同じだよ。それがいけない事?
焼肉8000円分食べてくれたら、焼肉屋さんは喜ぶよ。使った人を人として軽いなんて思わないよ。
ふところに溜め込んで使わない方が偉いのかな?
使わなければ、お金はそこでストップしてしまう。
どこかでお金が止まってたら潤うはずの人が潤わないんだよ。
世界のお金をもっと均等にしたいと思ったら、むしろ溜め込まないで沢山使う事だよ。
一部の人間がどれだけお金を溜め込んでるか分かるかい?
一生でも使い切らないようなお金を溜め込んで、そのままストップさせてる人は沢山いるんだよ。
それらのお金がもし世の中で流動したら、沢山の人が救われるはずだ。
だからお金があったら、あらゆるものに感謝し、喜びながら幾らでも使うといい。
一回のコンビニで3000円使ったっていいさ。
例え10円の商品にだって、そこに沢山の人の苦労と思いが詰まってる。
それらを買ってあげる事が悪い事だなんて言ったら、商売人は悲しむよ。」

「……それは、そうですけど……でも……」
49 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:35

「それにね、高くなればなる程人の苦労や思いも大きくなる。勿論必ずしもそうではないし、安くする為に努力を重ねてる人だっているけどね。
ブランドを悪く言う人がいるけど、ブランドメイカーがどれだけその商品に愛情を注いでるか知ってるかい?
彼らはバッグ一つ一つを手でしっかり縫うんだ。ほんの少しも狂いなく、完璧に仕上げるその職人の腕と努力は素晴らしいものだよ。まさに芸術だ。
値段が高いのにはそれだけの理由があるんだよ。
それを欲しいと思う事は悪い事じゃない。
価値を見出し、値段をつけ、お金を払う事は悪い事じゃない。
10000円のTシャツを選ぶ人間よりワゴンから1000円のTシャツを選ぶ人間の方が人として人格者だなんて思ってるなら、それは大きな間違いだよ。
勿論安いものを選ぶ事は悪い事じゃない。けれど、高いものを選ぶ事だって悪い事じゃない。
高い物にはそれだけの理由がある。勿論そうでない場合もあるけどね。
素材が良いものなのかもしれないし、デザインをした人が一流なのかもしれない。人手と手間が掛かってるかもしれないし、企業が大きいのかもしれない。
良い素材にはそれを作った人の思いと手間が人一倍掛かってる事が多い。
一流のデザイナーは一流になる為に強い思いと多くの努力を重ねてきた人が多い。
そうして出来上がった商品に価値を見出す人が出てくるのは極自然なことだよ。違うかな?」

「それは……確かにそうですけど……。でもなんか、見てて腹ただしい人が多いと思います」

「腹ただしい?どうして?

「自分で働いて稼いでそれを使う事が何故いけないかな?
彼らはそれだけの働きをしたんだよ。
勿論労働力だけのことではなく、沢山の人を喜ばせ幸せにしたかもしれない。
そのご褒美だと考えれば、何も悪い事ではないはずだよ。」

「中にはそうでない人だっています。経済力ある夫の妻だっていうだけで毎日遊んでバラまいてる人だっているし、男に媚びてお金を手にしてる人だっています。
ただ金持ちの家庭に生まれ育ったから贅沢してる人だっています」
50 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:35

「経済力のある夫は、妻がお金を使ってることを不服に思ってるのかな?
媚びられてお金をあげてしまう男は、その女性にイヤイヤあげたのかな?
お金のある家庭で、子供にだけお金を閉める理由が何処にあるのかな?」

「違います不満に思ってるのは他人です」

「人の幸福を第三者が口出しする事じゃないよ。自分もそうしたければすればいい」

「あたしは苦労もせず人のお金で贅沢したいとは思いません」

「自分がしたくなかったらしなければいい。大事なのは自分はどうありたいかだよ。
そんな自分は自分らしくないと思うならば、しなければいい。それで自分が好きになれるなら良い事だ。
本当に今の自分を誇りにおもって満足していたら、人の振る舞いにケチを付けたい気持ちにはならないはずだよ。
ケチをつけたくなるのは、自分に満足してないからだよ。誇りに思ってないからだよ。
自分を誇りに思える人間になりなさい。自分らしく生きなさい。
言い訳せずに、自分の欲しいものは自分で手にいれなさい。無理だと決め付けず、手にいれなさい」

「はい……分かりました……」

「コンちゃんはその年にして働いて稼いでる。そんな自分を誇りには思えないのかい?」

「……食べる事も出来ない子達が沢山いるのに……自分だけが富を得るなんて……」

「恵まれない子の為に自分が稼がない事が愛なのかな?
自分もお金を得なければ、恵まれない子達が助かるのかな?
本当に恵まれない子達を思うのならば、しなければならない事が何かをしっかり考えることだよ。
自分がお金を得ないだけじゃ解決にはならない事は分かるはずだよ」
51 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:36

「でも……でもですね、やっぱり派手にお金を使っていく人をみてて気持ちいい人はいないですよ……」

「それは自分がそう出来ないからだよ。単なる嫉妬だよ。」

「そうです嫉妬です。羨ましいんです!!」

「じゃあ自分も同じようになればいいじゃん」

「簡単にいいますけど、お金持ちになるのは大変なことです」

「大変だと思ってるからだよ。なりたかったらさっさとなればいい」

「でもぉ!」

「コンちゃんだって娘になった事で大金がなだれ込んできてるんじゃないのかい?」

「……そういう、神らしくない発言は控えてください……。
ていうか、そういえば一昨年だったか、辻さんだけ税金が多かったですよね。あれは…」

「うん。ののは税金対策なんてしないからね。
国にお金が入る事は悪い事じゃない
人に奢ったりするのも好きだよ。自分も嬉しいし相手も嬉しいなら、いいじゃん」

「……とにかくあたしは今後も庶民派です。セレブ気取りな事はしないですよ」

「したくないならしなければいい。したかったらすればいい。コンちゃんはそういうのが嫌だと思ってる。思ってるからしないよね?人はそんなコンちゃんを支持すると思うよ。そしてますますお金が入る。
コンちゃんは自分がどうあるべきかをよく分かってる」

「そんな……そこまで計算高くないです……」

「自分がどうあるべきかを知るのはとても大事な事だよ。それは計算高いとか腹黒いっていう事とは違う。一つの愛だよ」

「辻さんの口から“愛”なんて言葉が出るなんて……本当は臭いんですね」

「本当は臭いんですねってなんか誤解を呼ぶ言い方だね……。
とにかく、お金を手にする事や使う事に罪悪感を持ってるうちは手に入らないよ。
でも庶民派とやらになりたかったらなればいい。
何故か、それにしがみ付いてお金を得ようとしない人が沢山いる。
ののはお金は素晴らしいものだと思うけど、どうやらそう思わない人が沢山いる。
けど、その人がどんな願望を持つかはその人の自由だから、ののがあれこれ言う権利はない」
52 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:36

「神様は全ての権利を持ってますよ」

「何度も言うけど、神は人の願望を操れない。それは神でも出来ない」

「でも……庶民派って言っても、みんな心ではお金持ちになりたいと思ってますよ」

「思ってないよ。頭で思ってるだけで心までは欲してない。ホントに欲してる人間は、お金を悪くは言わない」

「金銭感覚が狂うのは、高額な金額を手にするからであって、元々狂ってる人なんていないと思いますよ」

「狂うっていう表現がそもそもおかしいんだよ。変わるって考えてごらん?」

「変わってもいんですか?10万や100万とかをポンポン人にバラまく人間になってもいんですか?」

「貰った人は嬉しいんじゃない?あげてる人も嬉しいんでしょ?何がいけないの?」

「あたしはそういう人嫌いです」

「嫌う人は嫌えばいい。でも、お金を怖がっていたら、手に入らないよ。ポンポンバラまく人は、お金を全く怖がってない。喜びしかないよ。だから手に入る」

「じゃバラまくような人間になればいんですか?そうすればお金持ちになれるんですか?」

「そんな事言ってないよ。お金持ちほどケチだとも言うでしょ?」

「ああ確かに。すんごいケチな人っています。すんごい持ってるくせに、100円とかでも奢ってくれない人」

「それだけ彼らにとってお金が大事だからさ。お金を愛してる。人にやるのは惜しいんだよ。
好きで好きでたまらない。だから手に入る」

「でも、お金に執着する人ってみっともないように思えますけど」

「執着と願望成就は紙一重だよ」

「そうなんですか?」

「言ったしょ?現実レベルまで本気で願わない人は叶わないって。」
53 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:37

「ああそう言えば。じゃあ、金……金……っていっつもそればっかり考えてるような人が手に入るって事ですか?」

「そういう場合もあるけど、大抵の人はそれじゃ手に入らないだろうね」

「なんでですか?」

「あまり大きく捉えすぎると、夢見心地で、妄想の方が楽しくなってしまうから」

「お金を手にする妄想に溺れて終わってしまうって事ですか?」

「そんな感じ」

「また曖昧な返事」

「真理は一つではないから、1パターンに絞ることなんて出来ないんだよ」

「うーん……」

「あと例えば、お金を手にしない人は、高いものを見てこう言う。
“凄い……こんなものが手に入ったら夢のようだ”ってね」

「ああ言いますね」

「実際に手にする事は現実だよ。夢じゃない。ホントに手に入れる人はこういう。
“欲しい。よしなんとか手にいれよう”
この違いは大きい。手に入るという事を信じれない人間は、後者のようには思えない。
前者は“自分には無理だ”と最初から諦めてるに等しい。これじゃあ無理だよ。
どんなものでも手に入れる事は可能だと信じてる人は、夢を夢では終わらせない」

「でも、あたしははっきり言って高い物に対してそんなに欲しいとかなんとか思って事ないです。そんな余裕もなく芸能界入っちゃいましたから」

「そうだね。だからお金も手に入るよ」

「なんでですか?」

「わき目も振らず走ってるからさ」

「わき目?」

「余計な雑音で溢れてる人より、無音の中真っ直ぐに走ってる人の方が沢山のものが手に入る」

「何故ですか?」

「“欲しがってる”暇がないから」
54 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:38

「あ、“欲しい”の状態を欲してる暇すらない、ってとこですか?」

「そんな感じ。走ってるうちに、辿り付いてしまう」

「じゃあ忙しくしろと」

「いや、必ずしもそうではない。忙しすぎて本当の自分の願望を見失ってしまう人だっている。でも、余計な雑音を消すには走るのも一つの手段だよ。
娘は忙しすぎる。けど、あれだけ走ってるから、周囲の雑音を消す事が出来る。自分の中のゴチャゴチャした願望も、次第に一本の道筋になっていく。
娘は元々貪欲な子が多いね。彼女らが立ち止まっていたら欲しがるばかりで終わる場合も増えてくると思うよ」

「なるほど……。
あの、つんくさんのことで一つ聞いてもいいですか?」
55 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:38

「つんくさん?」

「神様だからぶっちゃけますけど、つんくさんて、なんていうか、あたし達の事可愛がってくれてるだろうっていうのは分かるんですけど、なんていうか、物事を決める時にテキトーすぎて思いやりがない気がたまにします……。
なんていうか、ふざけすぎっていうか……」

「例えばユニット名だとか、編成とか、曲とか、そういうのをつんくさんがもっと真面目に考えたらいいのにって事?
急にミキティを娘に入れてみたりとか?」

「あたし達はつんくさんのオモチャだって言うファンもいます」

「じゃあもっと真剣にジックリ深く、一人一人の気持ちを考えて物事を決めればいいのにって事?」

「はい……」

「それやってたら、今の娘はないよ」

「なんでですか???」

「大きな願望になればなる程、人は慎重になり易い。慎重は恐怖心の裏返し。恐怖心は時に願望を遠ざける。
“まぁ上手くいけばいいな”くらいの気持ちの方が人によっては叶うんだよ」

「モーニング娘って名前決める時も笑いながら決めてましたよね。いつもそうで、笑いながら決めてます。安倍さんの脱退決定の時も。
それを“軽い”“思いやりが無い”“バカにしてる”“遊んでる”って言う人もいます」

「人が人に願望をかけるのって、どれだけ難しいか分かる?」

「……いえ」

「大抵の人間は、自分の力を過信しすぎるんだよ。自分が何とかしてやろうと思う」

「それが思い遣りというものじゃないですか?」

「違う。思いやりじゃなく思い上がりだよ。
自分が人の人生を完璧に導こうなんて、驕りだよ。神じゃないんだから、そんな事出来るはずがない。出来るのはきっかけを用意するだけ。手を差し伸べるだけ。そっからどうするかは本人次第。
彼は自分が出来る範囲を認識してる。
自分の完璧なコマにしようと思ってないから、判断が突発的で直感的で、アバウトなんだよ。肩の力抜いて、非常識な事が出来るんだよ。
だから、可哀相だとかって思う事自体がおかしい」

「なんでですか?」

「完璧な道が完璧な訳ではないからさ」
56 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:39

「また、難しいことを……」

「時には辛い事が、その子に取って大きな成長の糧になる。
娘は試練が多いね。それをみんな乗り越えて大きくなってる。
つんくさんが彼女らに何も嫌な思いをさせないでおこうと思ったら、メンバーを増加したり移動させたりはしないはず。
けど、娘は大きくならなかったはずだよ。違う?」

「……確かに……」

「モーニング娘って名前、完璧?」

「完璧です」

「それは今そう思ってるだけで、最初はみんなこれじゃ売れねーなって思ったはずだよ」

「確かに……。でも結果論です。今たまたま売れてるから良かったんであって、あれで売れずに終わってたらみんな怒ったと思いますよ。ふざけやがってって」

「最初の方でも言ったけど、結果は原因と密接な関係にある。全く関係無いって事はない。
彼は思い切り肩の力を抜いて色んな事を決めていた。
何故肩の力が抜ける?」

「愛が薄いから」

「違う。上手くいくと、無意識では分かっていたから」

「どっからそんな確証が生まれるんですか?」

「何か保障がないと確証をもてない人は、いつまで経っても何も出来ないよ。
もっと大きな、自分の理解を超える力を信じれる人でないと」

「つんくさんはそれを信じれてたんですか?」

「大きなものに身を預けていた。それもあったし、彼は一度成功してキャリアを築いたから、それが大きな自信になっていた。何も無い人は中々ああはなれないよ」

「なるほど……。じゃつんくさんはやっぱり凄いんですね」

「偉大な人だよ」

「それ聞いて安心しました」

「とか言って、ホントは分かってたんでしょ?分かってたけど知りたくて聞いた」

「やっぱ神様には何でもお見通しなんですね……」

「まぁね」




57 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:39

「ええとじゃあ次は何を聞こうかな。
んー……あ、そうだ。あたし後藤さんに憧れてるんですけど」

「知ってる」

「後藤さんみたいになりたいです。どうすればいいですか?」

「それじゃあずっとなれないね」

「はっ!?」

「なりたいと思ってたらなれないよ」

「なんでですか!?」

「あ、誤解しないでね。“お前にはどうやったって無理”って言ってるんじゃないよ。
なりたいと思ってたらなれないよって言ってるんだよ」

「何故ですか?」

「考えてみてごらん。ごっちんは誰に憧れてる?」

「んーと、前は安室さんだったかな?」

「んじゃ安室さんは?」

「さぁ……TLCが好きっていうのは気いた事があります」

「何か気付かない?」

「え……。みんな上を見てる……?」

「そう。上を見てる。TLCはTLCで何かに憧れてると思うけど、それはきっともっと偉大な人だと思うよ」

「えーとつまり……?」

「本当の意味でごっちんになろうと思ったら、目指さないとならないのは誰だと思う?」

「あ分かった!安室さん?」

「そう。まぁ、安室さんを目指したからごっちんになれるっていう事ではないけど、歌手として芸能人としてのランキングでいくと、とりあえず安室さんら辺を目指さないとごっちんら辺にはいけないよ」

「ちょっとまって下さい。ランキングってものは無いって言ってたじゃないですか」

「人としてのランキングなんてもんはないって言ったんだよ。
数字として結果が出るものはやっぱりランク付けできる」

「数字って、売上とかですか?」
58 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:40

「それもあるし、認知度や人気や経済効果や、様々なものが数字として出せる。これは揺ぎ無いから、やっぱりランキングにする事はある程度可能だよ。
“歌の上手さ”なんてのも、科学的に検証してランク付けする事だって出来る」

「この人の歌を聞くとアルファー派がよく出る、とかですか?」

「そういうのもあるね。
ただ、心のランキングとかって事になると、それは人それぞれだから、ランク付けは出来ないよ。
安室のが上か知らないけど自分の中では後藤真希が一番なんだって言う人も沢山いる。
歌が下手でもこの人の歌の方が好きっていうのもある。」

「なるほど……。でもあたしは安室さんになりたいんじゃなく後藤さんになりたいんです」

「じゃあこう思ってごらん?“後藤さんを越したい”って」

「……そんなのおこがましいです……」

「じゃあ無理だね」

「なんでですか?」

「おこがましいっていうのは、自分を低く見積もってる証拠だよ」

「低くっていうか……後藤さんは完璧なんです」

「そこまで誰かに憧れれるのは幸せな事だね。多くの人はその幸せを手放せない。だから追いつけない」

「夢が夢のまま終わる……」

「そう。夢を見るのはとても気持ちの良い事。誰かに憧れるのもとても気持ちの良い事。
願いが叶うっていうのは、その状態を手放すって事だよ。
考えてごらん?ごっちんになったらごっちんに憧れるワケないでしょ?」

「まぁ確かに……」

「自分が凄いと思ってる人なんてそういないよ。みんな自分はまだまだだと思い、誰かを追いかけてる。コンちゃんを追いかけてる人だっているはずだよ」

「あたしをですか??あたしなんてまだまだですよ!」
59 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:40

「ほらね。みんなそう思ってる。その人になろうと思ったら、“その人はまだまだだ”と思う必要が時に出てくる」

「でも、水泳選手で……誰だったか忘れましたけど、ずっと憧れて追いかけてきた人の世界記録を抜いた人がいましたよ。とても喜んでいました」

「その人は、自分の中で憧れの対象物を追い抜かしたんだよ。憧れながらね」

「そんな事できるんですか?」

「必死に追いかけてたらいつの間にか越えてるっていうのはよくある事だよ。大きく見積もりすぎて、いつの間にかその人より大きなものを追いかけてる場合、そういう事が起こる」

「なるほど……」

「それに、その選手はもしかしたら“あの人みたく大きな結果を残したい”っていう風に憧れてたのかもしれないよ。だとしたら、追いかけてるのは結果であって、その人自身じゃない」

「ほぉ……」

「そして、大きく成長する人は、簡単に誰かを凄いとは思わない。あの人が出来るなら自分にだってできるって、そう思う」

「その自信はどっからくるんですか?」

「人を比べないからさ。人間はみな同じだって、そう思えば、誰かに出来たら自分にだって出来るって思う。
あの人は持ってるけど自分は持ってないなんて思ったら、手にいれる事は出来ない。
でも、凄いと思わないのと、能力を見抜けないのは違うよ。人の能力をきちんと理解出来る事も、能力のうちだから。
敵の強さを分かるのも、強さのうちだって言うでしょ?
自分が今現在どれくらいの位置で、何が欠けてるのか。それをきちんと分からない人は、大きくはなれない。だから、自分に今現在無いものを認める事は大事だよ」

「はぁ……無いものだけは分かってるんですけど……」
60 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:41

「無い事を悲観せず、得ればいい」

「また簡単に言う」

「あの人は凄くて羨ましい、じゃなく、凄いから自分もああなろう、なるんだっていう願望に変えたらいい」

「あたしは色んな人を見て、すごいなぁってよく思うんですけど、それじゃダメですか?」

「ダメではないよ。何を選ぶかだから。
人を見て凄いと思う事も幸せなことだよ。それを選びたいと思って選ぶのは悪い事じゃない。
けど、本気でそうなりたいと思うなら、“凄い。けどあたしにだって出来る”って思った方が願望成就には近づくね」

「なんだかそれって性格悪いですよ」

「なんで?」

「なんていうか……謙虚な姿勢がないじゃないですか」

「自分は無能でダメな人間ですとでも思ってる人の方が性格が良いと思うの?」

「そこまでは……いきすぎですけど、でも、“あたしにだって出来る”なんて、高飛車な感じします」

「口には出さずとも、大きくなってる人はみんなそう思って成長してきてるよ。自分を高く見積もる事は大事な事。
でも、現時点での己を知らずに、自分は凄いと思い込んでると、痛い目に合うよ」

「そこら辺難しいですね……」

「あと、人ばかり意識してる人も大きくはなれない」

「え?」

「あの人に負けたくないから何かが出来るようになりたいっていうのはそもそもおかしいんだよ」

「なんでですか?」

「例えばコンちゃんなら5期のメンバーがライバルになる訳だけど、まこっちゃんに負けたくないからダンスがうまくなりたいっていうのはおかしいでしょ?」

「…そうですか?」
61 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:41

「ダンスが好きで、単純に上手くなりたいから練習してる人の方が伸びはいいはずだよ。
特に芸術や音楽に関して言うとそうだね。自分が求めてるものが何なのかを見失ってはいけない。
負けたくないなんていう感情をアーティスティックなものに持ってきても上手くはいかないよ。
何のためにそれをやってるのかを理解しないと。」

「何のため……。お客さんを感動させる為です」

「良い答えだね。でも、それが一番大事という訳ではないよ」

「そうなんですか?」

「誰かの為にやるんではなく、自分の為にやってごらん?」

「そんなエゴイストにはなれません……」

「なんで?お客さんの前でパフォーマンスする事が大好きで、幸せで仕方無かったら、結果的にお客さんを幸せにする事になる。
自分の感情は人に伝わるから。
自分を二の次にして、お客さんの為お客さんの為ってそればかり考えていたら、行き詰るよ」

「んー……綺麗事は通用しないっていう事ですかね」

「勝手に作られた固定観念からなる綺麗事はね。必ずしも大事とは限らない。
我侭で自分勝手で我が強い人間の方が成功してたりするでしょ?」

「ええ。やっぱり良い人はダメって事ですか?」

「いやいや、そうじゃないよ。
今ある世の中の常識に間違いが多いだけ。
真理を掴んでる人は、何が大事かを知ってる。どうすべきかを。
既存の概念に依存せず、自分自身でしっかり見つめてるから。
それは非常識だったり、多くの人の考えから外れていたりする。
それを打ち破るには、時に強引である必要が出てくるでしょ?
周囲から見ると、我侭でエゴイストに見えるけど、その人からしてみると何も間違ったことはしてないんだよ。」
62 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:41

「んーでも……謙虚な姿勢が……」

「コンちゃんは謙虚を重んじるけど、謙虚である事と人の言いなりになったり周囲になんでも合わせたり、自分が無い事は違うよ。
謙虚でありたければ、ただ感謝の気持ちを忘れなければいい」

「それだけでいんですか?」

「自分一人の力で何でも出来てると思い上がらなければいい。
謙虚とはそういう事で、自分の意志や考えを人に依存する事じゃないよ。
本当の意味で謙虚である事は難しい。
なぜかというと、自分に力が無ければ謙虚もへったくれも無いからさ。
何も無いのに謙虚になってる人はただ怯えてるだけだよ」

「きついですね……」

「真実を語ろうと思ったら、時にその人に取って都合の悪い事を言う必用が出てくる。
真実は傷つけてしまう事の方が多い。
だからみんな言わない。
だからみんな気付かない。
気付かなければ変わらない。」

「じゃあバシバシと人の気持ち考えずに本音言う人の方が優しいって事ですか?」

「いやそんな事はないよ。大事なのは“そこに愛はあるのかい?”って事だよ」

「古いですねそれ」

「これはいつの時代だろうととても大事な事だよ。
本音を言っても、オブラートに包んでも、黙って見守ってもいい。そこに愛があるならね。
好きなものを選べばいい」

「愛ですね」

「愛だよ」




63 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:42

「ええと話戻っていいですか?」

「うん」

「辻様はあたしに、後藤さんになりたきゃ安室さんを目指せと仰いました」

「別にごっちんになりたかったら安室さんを目指さなきゃならないなんて決まりは全く無い。
ただ、なりたいと思ってる人にはなれないよといったんだよ。
なりたい人よりもっと上を目指してしまった方が人によっては早いと言ったんだよ。」

「でもですね、思ったんですが、身の丈に合わないものを目指したら、余計に願望は遠のくんじゃありませんか?段階を踏んでいく事が大事じゃないかとあたしは思うんです」

「段階は確かにある意味では大事だね。なぜかというと、一歩間違えるとそれは、己を知らない事になるから。
けれど、己をきちんと知っていたら、どれだけ大きなものを目指しても構わないよ。
例えばサッカー選手になりたいと幼い頃に願う男の子がいたとするね。
その子は中田が大好きだとする。その子は中田を目指しちゃいけない?
段階として、まずは中学のお兄ちゃんを目指す事からはじめなきゃならないかな?」

「それは……。
けど、その子は中田が好きなんですよね?だから中田でいんですよ。
大事なのは自分がどうなりたいかですから、すきでもないものを目指してみたってモチベーションがあがりません」

「確かにその通り。好きでもないものになりたいと思う必要は無いよ。
なりたくないものにはなれないからね」

「……なりたいものにもなれなくて、なりたくないものにもなれないんですか……?じゃあ何にもなれないじゃないですか……」

「これが言葉の狭さの一つだよ。この難問を解ける人は少ない」
64 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:42

「そりゃ、そんな事考える人は哲学者か暇人くらいですからね」

「頭で理解する必要は無いさ。感覚としてだよ。何かを手にする人は、この難問を無意識のうちに解いてる」

「んー……」

「コンちゃんなら解けるはずだよ。考えてごらん?」

「んー……」

「その答えは今日何度もしつこく言ってる」

「何度も??えーと……。なりたいとなりたくないの他になにがあるかな……。
あ、分かった!!“なる”だ!!」

「ご名答」

「でもやっぱり分かりません。だって、だとしたら安室さんを目指さずとも後藤さんになればいいじゃないですか」

「うん。なればいい」

「でも、アムラーとか一時あったように、なりきる人って沢山いますけど、なれてませんよ大抵。こういっちゃあれですけど、無理ある人が殆どです」

「それは“ああなりたい”と強く思ってるからさ」

「みんな“なりたい”で実際に“なって”いないからですか?」

「そう」

「でも、その人になる事は決してできません。どんなになりきっても、物真似のプロでさえ、やっぱり偽物です」

「そりゃあそうだよ!!完全コピーなんてものは、物理や科学の世界でも不可能に近いこととされてる。ましてや人間なんて、どれだけ複雑か分かるかい?神にでもコピーは出来ない」

「じゃあ、やっぱり“なる”っていうのは無理って事じゃないですか」

「その人のそのものになんてなれないよ。人間はみんな違うんだから。ただ、能力的なものとか、部分的に近づく事は可能だよ。超える事もね」

「でも、なればいいといわれても……」
65 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:43

「なるっていう事は中々難しい。だから人によってはその上を目指してしまった方が簡単なんだよ。
因みに、なりきるっていうのは違うからね。真似っていうのはなってる事にはならない、真似は模写だから。
模写は自分の能力を育てるのはとてもよい方法の一つだけど、本当の意味でたどり着いてはいないんだよ。
心理学用語で“同一視”というのがあるね。
言葉は悪いけど、誰かの能力を“盗む”為に真似るのは上手い手段。けど、同一視は全く別。
愛する人や尊敬する人になりきる事で自分を愛そうとしてるにすぎないんだよ。
それはイコール、ありのままの自分を愛せてないという事にもなるね。
自分を愛せない人が人から見て魅力的に映るかい?
模写をする人がいまいちだと感じるのはそこだよ。
だから、誰かになりたいと思っていても、なれない。
なりたいと思ってる愛しいその人は、自分が大好きだからさ。
幾ら真似ても、自分が大好きという事まで模写することはできない。
何故なら自分は一人しかいないから」

「神様が心理学を語ってるってなんか変な感じしますね……」

「これは神学だよ」

「じゃあつまり、同一視はダメって事ですね」

「ダメとはいって無いよ。思春期なんかは特に、みんな自分を好きになろうと四苦八苦してる人が多い。その手段として、愛する人に自分を重ねようとするのは良くある事だよ。
それが必ずしも悪い事ではない。本当の意味で自分自身を好きになってる事にはならないけど、同一視してる人は少なからず前の自分よりは自分を好きになってる。そこから始める事だって悪い事ではないさ。
ゆっくり自分を見つけていけばいい」

「なるほど」

「でもコンちゃんみたいに自分の魅力を売る仕事をしてる人がそれをやってしまったら、商売にならないよ」

「それってなんか、あたしは商品っていわれてるみたいで悲しいです……」

「自分自身が商品である事が悲しい?素晴らしい事じゃないかい?」

「なんでですか?」
66 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:43

「売るという事をすぐお金に結びつける人が多い。まぁお金が悪くはないんだけど、
売るという事はお金だけのやりとりではないよ。
例えばカバンを買ったら、双方の間でお金だけが行き来してる訳じゃないのは分かるよね?」

「ええ。カバンそのものも行き来してます。それがいやです。あたしは物じゃないですから」

「行き来してるのはカバンとお金だけじゃないよ」

「え……。あ分かった。心がどうとかまた言う気ですね」

「そう。カバンを売った人は、誰かの喜ぶ顔が見たくて一生懸命頭ひねってそれを作ってるんだよ。
そして買った人は、お金と引き換えにカバンと喜びを貰う。双方が喜ぶ。素晴らしい事じゃないかい?」

「またちょっと臭い事言ってますけど、その通りだと思います。まぁ売り手が必ずしも喜びを意識してるとは限りませんけど、少なくともあたしはそうですね」

「物じゃなく、コンちゃんそのものに喜びを感じてもらえるんだよ?それが悲しい事?」

「……ん〜……それって中々ない事ですね確かに……」

「そうだよ」

「なんだか嬉しく思えてきました……」

「素晴らしい仕事だよ」

「誇りに思おうと思います」

「うん」
67 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:44

「……なんか話が脱線ばかりしてますね……」

「だから言葉で真理を話すのはとても難しいんだよ」

「いちいちフォローしなきゃならないっていうのはこれですね。確かにいつ話しが終わるか分からないです……」

「止めようと思えばいつでもやめれるよ」

「あたしが望めば、ですよね。まだ望まないので続けたいです。
ええと、話を戻しますが、憧れる人に中々おいつけないのは、追いついてしまったら憧れる気持ちがなくなってしまうから、無意識に遠ざけてしまう、という事ですか?」

「必ずしもそうではないけど、その場合が多いね。神格化なんてしてしまったらまず追いつけない」

「自分が神に追いつくなんておこがましい……と……?」

「神という言葉に人は“決して手に届かない”という意味を込めてるからね」

「何故人は誰かを神格化したりするんでしょう」

「心の支えが欲しいのさ。もっと言うと、生きる支えが。だから人はよく神や宗教にすがる。憧れも同じ事だよ。
“世の中は常にスターを求めてる”って言った人がいたね。ある意味宗教と同じだよ。手に届かないものが欲しいのさ。自分の力を超えてると信じれる絶対的な何かが欲しいんだよ」

「何故ですか?」

「願望というのは“無い”ものを“得て”いくという事でしょ?生きるという事は願望の連動だよ。願望がなくなったら人は生きていけない。
というより、生きるという事自体が願望の連続なんだよ。
喋る、歩く、寝る、食べる、それらも願望だ。
だから無欲の修行僧だって、願望を連動させてる」

「……分かるような分からないような……」

「“欲望する諸機械”という上手い事を言った人がいるね。ジル・ドゥルーズという人なんだけど、彼は全ての事象は<主体><対象>間の欲望の連鎖と切断によって規定されていると言った。」

「あの、話が難しすぎます……辻さんが他人に見えます……」
68 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:45

「簡単に言うと、手に入らないものや追いつけないと思うものは大きな生きるモチベーションになるんだよ。
大きければ大きい程、生へのエネルギーになる」

「そうでしょうか。手に入らない事を悲観して死ぬ人だっています」

「なんでもそうだけど、全ての人が一つのことに対して全く同じ反応をするって事はないんだよ。
神や宗教や憧れが何も無くて生きてる人だって沢山いるでしょ?」

「ええまぁ……」

「神格化はその人に取って大事なモチベーションになってる。それを無くすのはとても難しい」

「けれど神格化していたら追いつけない……。難しいですね……」

「例外はあるけど、多くはね。その神と崇めてる人も自分と同じ人間なんだと認識すれば別だよ。
大事なのは、自分とその人は何も変わらないという事を知る事さ」

「神を人間にするのは難しいです……」

「そう。だから神格化してしまったら難しいんだよ。何より、神に近づく度に自分をおごり見失ってしまう難点もある」

「はしゃぎすぎって事ですか?」

「盲目ってやつだよ。それだと、正確に自分を知るのが難しくなる」

「じゃあどうすれば……」

「何を選ぶかだよ」

「……本気でなりたかったら憧れの気持ちを捨てろって事ですか?」

「まぁ、乱暴なやり方だけど、それも一つの方法だね。
なりたいをなるに変えればいい」

「……でもあたしがなれるかな……」

「どうして自分をそう低くみるの?」

「だって……生まれつきの……」

「またそれだ。願望成就に必要なのは心設定だよ」
69 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:45

「心設定ってなんですか?力みは関係無いと仰った」

「信じる心だよ。これはメンバーの夢が叶った話の時に言ったよね」

「どうすれば信じれますか?」

「自信という字は自分を信じると書くよね。自信をつける方法は千差万別だよ。
ただ漠然と信じれる人もいるし、少しづつ積み重ねる事が大きな自信となる人もいる。
好きな方法を選べばいい。それは自分が知ってる事であって、マニュアルに従ってみたって上手くはいかないよ」

「そこに必用なのが努力っていうやつですか?」

「努力だと思うなら努力してみればいい。どんな方法でも、願っていれば自然と辿り付けるさ。
努力なんていらないと思ったら努力する必要はない。
こうじゃなければならないなんてものはない。
むしろ努力が願望成就の弊害になってる人もいるんだよ」

「えっまさか……。何においても努力が一番大事だと教わりましたし、私自身そう思います」

「じゃあここら辺でさっき話したアリとキリギリスの話に戻そうか。」

「はい」

「繰り返し続ける、という事を努力と言うのならば、努力が一番大事”もある意味真理かもしれないね。
けれど、自分を痛めつけるように無理をして力みまくっている人間よりは、らくーに構えて楽しく適当にやってる人間の方がすんなり身につく場合もあるんだよ。
ノイローゼ気味になりながらも必死にやってる人間より、チャラチャラ遊んでばかりいて必用に応じてちょっと頑張る人の方がずっとできる場合もあるでしょ?」

「そういう人、いますよね…。努力型の人間の敵です。一番ジェラシーを感じるし、羨ましくて仕方無いですそういう人」
70 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:46

「努力型のタイプには、“何かを手する”という事を“己の身を削る事でご褒美として貰える”という風に勘違いしている人が多いんだよ。
いたぶった分だけ何かもらえると思ってる。というより、いたぶるくらいしないと申し訳なくて手に出来ない。
けれどチャラチャラタイプの方はそんな事考えもしない。
欲しい物を得る作業はとても楽しい事だから、気が向いた時にやりたいだけやる。
楽しいからどんどん吸収する。吸収が早いから時間なんてそう必要無い。
彼らは得るプロセスまでも楽しんでるから、得る、という事に罪悪感なんてないんだよ。
この違いは大きい。
得る作業を楽しんでるから結果にそう固執してない。固執してないから手に入る。
けれど努力型はプロセスに地獄を見てる。だから結果くらい良くないと折り合いがつかないと考える。
折り合いがつかないから必死に結果に固執する。
結果に執着しすぎてるから肩に力が入りすぎ、結局時間の割に能率が悪いという場合もあるんだよ」

「努力型は要領が悪すぎですね……チャラチャラタイプは要領が宜しいようで……ますます羨ましいです……。
チャラチャラタイプはそんな事どうして知ってるんでずか……?ズルイですよ……。
努力型が可哀相です……。
遊びを削ったり欲しい物を我慢したりして必死になってやってるのに、そのご褒美ももらえないなんて……」

「ほら、辛い事を経験すればご褒美が神からもらえるものだと思ってる。
そんな決まりごと何処にも無いのに。」

「ホントにないんですか……?無情すぎます……そんなの冷酷すぎる……神様ヒドイ……」
71 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:46

「努力に意味が無いなんて一つもいってないよ。
それに、やってる分だけ無駄とも言って無い。コツコツ必死に努力することで身になってるものだってある。
ただし、能率が悪い場合があるといってるんだよ。
己を痛めつけてどうして能率があがるかな?
人間は機械じゃない。けど機械と同じで、痛めつければそれだけ性能は悪くなる。
己を慈しむ事を忘れてはいけない。なちゅみも言ってたね。
人間は完璧で丈夫な生き物では決して無い。限界や弱さを知る事はとても大事なことなんだよ。
時に遊んだり休んだりしてパワー充電してから物事に挑んだ方がよっぽど能率はいいし、短時間で、しかもストレスも少なく取得できる。
己を虐めて虐めて苛め抜いて何かを得れるなんて思ってるのならば、それは人間という生き物に対する驕りでしかないよ。
それこそ、自分を神か何かと勘違いしてるんじゃないかな?」

「……そういうわけじゃないですけど……苦しんだ分だけ喜びがあるみたいに教わってますから……」

「そう信じてたらそうなるよ。けど、別に苦しまなくても喜びは得れる。
自分が信じてるように物事はなる。
努力すれば得れると信じてたら努力は身を結ぶ。
けれど、努力なんてしなくても得れると信じてたら、特に努力する必用は無い。」

「あ、神様そんな事言っちゃったら、またみんなが必死になって努力しない方法”でやろうとしちゃいますよ…」

「そうだね。そしてまたいつまで経っても手に入らない。人間とはなんとも怠慢な生き物だよ」

「けれど怠慢である事が悪いわけではない」

「そう。怠慢でも手に入れようと思えば入れれる」

「それで問題ないと信じていれば」

「信じていれば」
72 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:47

「んー…100人いたら100人が怠慢コースで進みたいと思いますけど…」

「それはさっきも言ったけど、コースを選んでる暇があったら、、」

「まずやりなさい。まず飛び込みなさい」

「その通り」

「近道を最初から求めない事だ」

「ザッツライト」

「怠慢コースに固執していたら、、」

「手に入らない。それだったら最初から努力コースを受け入れてしまった方が近道になる場合もある。
人間は楽な事が大好きだ。だからこそ最初から自分にストイックに努力コースを強いる事で願望を成就させる人もいる」

「なるほど…大事なのは自分はどういう人間でどういう方法が向いていてどうすればいいのかを己自身に聞き、従う、という事ですね。人と比べないで。
それも、自分に聞いてる暇があったらまずやってしまえばいい、と。
そうすれば自然に自分にあったやり方が分かる、と」

「イグザクトリー」

「んーでもまだなんか分からないなぁ…。
怠慢コースや努力コースでいうと、勉強やスポーツの話に当てはまるでしょうけど、例えば大きな夢の場合はどうです?」
73 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:47

「現実レベルで願ってごらん。夢ばかり見てないで、現実にするんだよ。
そのプロセスをしっかり踏んでごらん。現実的に。
夢を現実にする人の多くは、願望成就までのプロセスがきちんと見えてる。それを無精せずにしっかり踏んでる。
イチローが小学校6年生の時に書いた作文を知ってる?」

「いえ」

「コッソリ紹介しよう」

「神が転載するんですか?」

「まぁ堅い事言わずに。
<ぼくの夢は一流のプロ野球選手になることです。そのために中学、高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。活躍できるようになるためには練習が必要です。
 ぼくは3歳の時から練習を始めています。3歳から7歳までは半年くらいやっていましたが、3年生の時から今までは365日中360日は激しい練習をやっています。だから、1週間で友だちと遊べる時間は5,6時間です。
 そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球の選手になれると思います。そして、その 球団は中日ドラゴンズか西武ライオンズです。ドラフト 入団で 契約金は 1億円以上が目標です。>
これが彼が書いた作文だよ」

「……凄い……ドンピシャで叶えてますね……恐ろしいほどに……」

「何か気付く事はない?」

「んー……なんていうか高飛車な感じで、サバサバしててあんまり夢溢れる感じではないですね。事務的というか……小学生の割にとてもしっかりしてる」

「彼が現実的だからさ。夢を夢のまま終わらせない人は、とてもはっきりと宣言する。確信を持って言う。こうなりたいではなく、なりますと」

「それに、“これをしてるからこうなれるはず”という、確固たる自信がありますね」

「プロセスがしっかり見えていて、確実に踏みしめてるから、自信も持てるんだよ。
逆に言うと、何も無いまま自信を持つ事はとても難しい。イチローだって、手放しで自信を持ってる訳ではない。だから中々自信が持てない人は、もてるまでそれをするのが近道だよ」

「なるほど……」
74 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:47

「アントニオ猪木かジャイアント馬場が確かこう言ってたよ。“夢を見るのをやめたら夢が叶った”ってね」

「世の中の人はもしかしたら夢の中で生きてる人ばかりなのかもしれないですね」

「そうだね。リッキー・マーティンも言ってたよ。多くの人は夢ばかり見て幸せになってる。夢を見ている時間の方が長いってね」

「……神様は何の為に夢という能力を人間に与えたんですか?なんだか凄く無駄な気がしてきました……無駄というか弊害というか……」

「その答えは娘が教えてるよ」

「娘がですか?」

「LOVEセンチュリー〜夢は見なけりゃ始まらない〜」

「ああそっか、見なきゃ始まらないのは確かですね……」

「それに夢を見てるのだってとても幸せな事。何を選ぶかはその人次第だよ」

「あの……それは恋愛についてもそうですか……?」

「そうだよ」

「好きな人のハートを射止めれないのは、現実レベルで願ってないからですか?」

「願ってないというより、現実にしないから。片想いは悲しく切ないという人が多いけど、片想いだって幸せなことなんだよ」

「まさか!あんな嫌な事ないです」

「本当にいやかな?その人を想って胸をときめかせ、妄想をして、幸せになる事は幾らでも可能だよ」

「でも、その幸せより現実の方が何十倍、いや何百倍も幸せなはずです!!」

「そう思うなら何故選ばない?」

「何故選ばない?神様が叶えてくれないからです!!」

「意識的な願望と潜在意識の願望が大きく矛盾してる場合は、神が叶えてくれないと思うかもしれないね。けれど、ののは潜在的(本当の)願望の方をきちんと叶えている」

「大きく矛盾・・?例えば…?」
75 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:49

「例えば。こんな話をしようか。
彼はとても内気で大人しく、顔もいわゆるイケ面という部類ではない男の子。
人と接するのも苦手で、クラスではいつも一人たたずんでいる。
彼は自分に全く自信がなく、女の子と付き合えるなんて夢みたいな話。
けれど彼にはとても好きな女の子がいた。
彼女はクラス一の美女で、とても明るく人気者。
彼はいつも遠くからただ彼女を見ている事しかできない。
なぜならば彼にとって彼女は高嶺の花すぎて、手に入れるなんて夢のような話だから。
けれど彼は彼女を心から愛している。
そして彼は思う。“何故僕はモテないんだ。何故僕はカッコよくないんだ。何故僕はこんなに暗い人間なんだ。”
彼に出来る事は、ただ神を恨む事だけ。そして彼女を遠くから見つめるだけ。妄想の世界で幸せになるだけ。」

「はぁ……」

「彼は妄想の世界で、コッソリとクラス一人気者のモテ男と入れ替わる。
妄想の中でモテ男となった彼は、彼女に熱い視線で見つめられ、そして何度も好きと言われる。
妄想の世界では彼はこれとなく幸福だ。
毎日毎日、ただ妄想を繰り返す。彼に出来る事は、それしかなかった。
それしかないと、信じていた」

「……神様中々語りがお上手ですね。パチパチパチ」

「いやそこに注目しなくていいから。拍手とかいらないから」

「あははスミマセン」

「あははじゃなしに……。何か気づく事は?」
76 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:51

「ええと、まぁそこまで極端じゃなくとも、自分には無理って思う場合は結構良くあるでしょうね。また、自分には無理な人を人間は好きになり易いものですよね。それが何か?」

「彼の中の矛盾に気づかないかい?」

「うーん……なんでしょう……」

「自分で妄想くらいしかできないと信じ込んでおいて、何もしないでおいて、神を恨んでいるんだよ。
神から言わせてもらうとこうだ。
“それ(妄想)が君の選んだ道じゃないか”」

「でも、その彼から言わせてもらうとこうだと思いますよ。
“これ(モテない人生)があなたが与えた道です。最悪な道です”」

「モテ女という道を与えられたコンちゃんが、良く彼の気持ちが分かるね」

「何仰るんですか!!あたしだって恋にはしょっちゅう苦しめられますし、簡単に手に入らない人を好きになったりもします!!」

「手に入らないからこそ、好きになる。それが恋だからね。まぁ例外もあるけど。
いずれにせよ彼は矛盾を抱いてる。
信じてる道は、“彼女を手にいれるのは不可能”という道だよね。
その道を神が無理矢理変える事はできない。
それにね、彼は妄想で既に幸せになってしまってる。それなのにその状態を変える必要性をののには感じない」

「また冷たい事を……。現実に出来ないから妄想で我慢してるんじゃないですか」

「我慢じゃないよ。選択だよ」

「じゃあ彼はどういう道を選択すればいいと仰るのですか?」

「女であるコンちゃんの意見が聞きたいな」

「辻さんだって女じゃないですか」

「うんでも半分神だから」

「あそっか……。」

「正直に言っていいよ。何か思ってるでしょ?」
77 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:54

「んー……えーとですね……。……こういう事って、いいづらいです……・」

「なんで?」

「だって失礼だし可哀想じゃないですか……。」

「言ってあげない方が余計に可哀想だよ。誰かに直接言うわけじゃないんだから、遠慮せず言ってごらん?」

「まず……女の意見から言わせて貰うと、、というか男でもそうだと思いますけど、ウジウジしてる人は魅力的ではないです……。
僕はカッコよくないからとか、暗いからとか、そういう心が男らしくなくてまずイヤですね……」

「ほぉ。他には?」

「彼自身最低限できる事をまず何もしてない気がします。諦めるのが早すぎるというか…」

「続けて」

「神様が先ほど仰った、最短の近道を彼は欲してるだけのように思えます。生まれながらに何もせずにモテモテでっていう。
全くなんの努力もせずにモテる人っていうのも確かに数の中にはいますけど、多くは努力をしてます。
女の子なんて特に。少しでも綺麗になる為に自分を磨くのに四苦八苦してます。娘メンバーだってそうですよ。
休みの日はサウナ行ったり整体行ったり、メイク勉強したりファッション勉強したり、常にやってます。
健康を考えて食べ物を気遣ってみたり、鏡いっぱいいっぱい見て笑顔の練習してみたり、ストレッチしてみたり、そういう、自分を磨く努力は惜しんでないです。朝おきてから寝るまで1日中です。寝てる間でさえ、色々気を使ってるメンバーもいます」

「そうだね」

「生まれながらに元々可愛かった子もいますけど、そうでもなかったのに自分で磨いていった子の方が多いですよ」

「う、うん鼻息荒いよコンちゃん……」

「それなのに、あの人はモテるからいいよねなんて卑屈になってなんもしないで神を恨んでるなんて、男として小さすぎです!!」

「そ、そうねうん……分かったから落ち着いて……」

「あたし達がどれだけ頑張ってるか、全然分かってない!!!そんな男、好きになるわけがないじゃないですか!!!」

「あらら、言っちゃった……。」

「Σハッあたしとした事がとんだ毒舌を…スミマセン……」
78 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 02:55

「娘はトップアイドルでい続ける為に普通以上に美に対して努力してるからね。そうじゃない怠慢型に怒りを覚えるのは分かるよ。
まぁ、お前らにモテない男の気持ちが分かって溜まるかって言われるかもしれないけどね」

「だとしたら、そんな小さな心で好きな子ゲットしようなんて、甘ったれにもほどがあるって言ってやりますよ。……いえ、言えないんで辻さん言っておいて下さい……」

「ののが代弁かよ……。
まいいや、とにかく、そういう事。
娘のみんなは一番、モテる為にはどうすべきか分かってるだろうから、コンちゃんに聞いたんだよ」

「モテるって言いますけど、好きな人ゲットできるかどうかはまた別ですからね……。
中には、それで卑屈になっちゃう子もいます。
例え何万人何十万人の男があたしを好きだと言ったとしても、たった一人自分の愛する人が自分を愛してくれないのならば、あたしが幾らモテてもなんの意味もない。美だってなんの武器でもない。ちっとも幸せな人間じゃない、特別じゃない。
…って、そうやって、アイドルでいる事が虚しくなる人もいるみたいですよ」

「人間が自分の幸福に気づく事がいかに難しいかって事だよ。
あらゆるもの全てを手にいれるという事は不可能だ。必ず足りないものが誰にでもある。無いものばかりに目を向けていたら、決して幸せにはなれない。
ごっちんが以前こんな事言ってたね。
“周りばっか幸せそうに見えちゃって、何で自分ばっかり不幸なんだぁ!!って思ってワァ〜!!って叫んだりしてた”って。
多くのファンは、“君が不幸なら俺はなんなんだ…死んだ方がいいじゃんか…”って苦笑したはずだよ」

「ははは…後藤さんはペシミストなとこありますからねぇ……。
でもその後で家族のありがたみとかを再確認したらしく、確かこんな言葉残してましたよ。
『幸せは 誰もが一つは 持っている』」

「そう。とてもいい言葉だね。
そういう事だよ。誰が特別かなんて事はない。
誰だって、何かを持ってたり何かを持ってなかったりする。
大事なのは、持ってないものをどれだけ自力で得れるかだよ。
無いものを嘆いてばかりいては、何も手に入らない」
79 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:06

「でも後藤さんのその5・7・5?ですか?多くの人は“無理あるな”って思ったんじゃないでしょうか。
自分が幸せだからそんな事言えるんだって。恵まれていて高い視野からしか物事見れてないから、世の中の底辺を分かってないって」

「そんな事はないよ。
コンちゃんの言いたいのは、例えば戦時中の子供とか、色々困ってる人たちは幸せなんか一つもないじゃないかって言いたいんでしょ?」

「そんな感じです……」

「どんな状況でも、何かはあるはずだよ。自由な時間かもしれないし、逆境にこそある人々の強いつながりかもしれないし。本人がそれに気づくかどうかだよ。
底辺だと思う人々が不幸しか背負ってないのならば、恵まれない地域の子供たちの笑顔が日本の子供たちよりずっと輝いてたりしないはずだよ。
彼等が何故あんなに純粋な目をして表情をしているのか、何故物質では何一つ困っていない日本の子供たちが死んだような顔をしているのか。」

「んー……確かに……」

「毎日ただ勉強勉強とそれだけに追われて、空き時間は残虐なゲームをし、パソコンでは卑猥なものを漁り、溜まったストレスを吐き出す為に最低な会話を繰り広げてる子供たちに、輝きなんてものが生まれるわけがない。ましてや感謝や生きる事への喜びなど、見出せるわけがない。
そして彼等はそんな状況から抜け出す術を知らなければ、力もない。
本当にかわいそうな事だよ。世界では悲惨な出来事が沢山あるけど、彼等のその状況だって、ある種悲惨だ。
でもそんな彼等の状況にも、満たされてるものは沢山あるはずだよ。」

「んー確かに」
80 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:07

「けれどそれに気付く事が出来ない。気付く余裕が心にない。
当たり前すぎて、気付かない。
ごっちんは多分、一般人に見えてない当たり前の幸せが、彼女には見えてたからそういう言葉を残したんじゃないかな」
「一般人とかって言い方あれですが……分からなくもないです。
みんなあたし達を羨ましがりますけど、犠牲になってるものも沢山あります。
お金があっても時間がない。彼氏作ったら多くのファンに恨まれる。
真の友達が中々出来ない。などなど…他にも沢山あります。
何よりも自由がないって、凄く思います。
何をするにでも、誰かの許可が必要で、あたしって人間をコントロールさせられてしまうんです。
アイドルにしか出来ない特別なことや幸せは確かに沢山ありますけど、同時にアイドルであるが故得れない幸せっていうのもあるんです。
一般の人たちは、そういうあたし達には見えている羨ましい幸せが、空気のように当たり前すぎて気づいてない。
あたし達ばかりが幸せ扱いされてるけど、そんな事ないですよ。あなた達だって十分幸せじゃないですかって、思います」

「そう、人間っていうのは、“無い”という状態があって初めて気づく事が多い生き物だね。それは悲しい事。
得ている状態で気づく事が出来れば、幸せなのに、失って初めてそのありがたさ、価値に気づく。でも本来それでは遅いんだよ。
本当に何もなくなった時、人間は初めて感謝という事を覚える事が出来るのかもしれない。初めて心から笑えるのかもしれない。
だから、“幸せは誰もが一つは持っている、その事にみんな気づいて欲しい”っていうごっちんの願いがあったのかもしれないね」

「時間や家族や自由や、、学校や仕事や愛や友達。そして衣食住。そういう当たり前のものは、当たり前だからこそもし自分から奪われてしまった時本当にそのありがたみに気づくんですよね。」
81 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:09

「そう。現代教育のせいで感謝の心を忘れてすさんでしまってる子供たちだって、あるものの喜びを知れば、輝く事は可能なんだよ。
感謝の気持ちを大事にって良く言うけど、その理由は、それがなかったら勿体無いからだよ。
今ある幸せに気づく事が出来ないなんて、とても勿体無いでしょ?
別に、今の恵まれきってる若者に説教したくて大人たちは言ってるんじゃないんだよ。
みんなもっと幸せを感じて欲しいから言ってるんだよ。
物事の価値や幸せに高いも低いもないんだよ。
その事はコンちゃんが良く分かるよね?」

「ええ。日本一の人気アイドルグループになったって、今度は一般の人が持ってるものが欲しくなったり羨ましくなったりします」

「隣の花は赤いってやつだよ。
市井さんが娘を辞めた時、多くのファンは“なんて勿体無い事をするんだ!!”って思っただろうけど、彼女はもしかしたら普通の女の子が持ってる普通のものが突然欲しくなったのかもしれないよ。まぁ、その辺は分からないけど」

「神なのにですか?」

「神だから、真実は教えない」

「ケチ……」

「とにかく、“特別な幸福”なんてものは無いっていう事だよ。
全く価値がないようにみえる空気みたいなものも、ある者から見れば、それは喉から手が出る程欲しいもので、価値あるものなんだよ。
だから、幸せは誰もが一つは持っているんだよ」

「後藤さんは真理を見極めたんですね」

「ごっちんは視野が狭くなってしまう事もあるけど、基本的に物事を俯角的に見れる子だから」

「やっぱり特別なんだ」

「違うよ。トップアイドルっていうごっちんと同じ境遇に置かれたら多くの人が考える事で気づく事だよ。特別なのは環境。特別というより、特殊と言った方が正しいね」

「なるほど……。」
82 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:10

「もし君が口をきくことが出来るのなら、出来ない自分を想像するといい。
彼女に話しかける口がある事に気づいた時、君は話しかけるチャンスを与えられてる事に気づくはずだよ。
もし君に足があるのならば、無い自分を想像するといい。
彼女に歩み寄る足がある事に気づいた時、君は歩み寄るチャンスを与えられてる事に気づくはずだよ。
もし君に目があるのならば、無い自分を想像するといい。
自分を見る事が出来る目があると気づいた時、君は自分を磨くチャンスを与えられてる事に気づくはずだよ。
もし君に命があるのならば、無い自分を想像するといい。
自分が呼吸をしてる事に気づいた時、彼女と愛し合えるチャンスを与えられてる事に気づくはずだよ。」


「……辻さんが今ほど神々しく見えたことはありません……」

「いやだから神なんだってば」

「つまり、生きるという事は全てがチャンスだと」

「そう。神はそれを平等に与えてる。
多くのチャンスを与えられてると気づいた時、ジッとしてはいられなくなるはずだよ」

「簡単に諦めないで、無理と決め付けないで、出来る限りのチャンレンジをまずしてみなさいと」

「別にしたくなかったらしなくてもいい。何を選ぶかは本人の選択でしかないから」

「でも、そう言いながらも“出来る限りの努力をしなさい”と仰られてるように聞えますが……」

「いやいや、本心で言ってるんだよ。
いいかい?叶えたいと現実レベルで思っていないから、何もしようとしないんだよ。何も変えようとしないんだよ。
何度も言ったけど、それは本当の願望とは言えないんだよ。
彼の本当の願望は妄想の中で幸せになる事、という事になる。
彼の本当の願望がそこにあると言うのに、神が無理矢理“彼女とくっつきなさい”と手を引く理由がどこにあるの?」

「なるほど…。
ええとでは、彼はまず顕在意識と潜在意識の願望を一致させる必要があるんですね」

「そうだね。自分の中に矛盾を持ってしまってはいけない」
83 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:10

「あとは何が必要ですか?」

「彼の場合、彼女と自分の間とのボーダーラインを外さなくてはならないね」

「ボーダーライン?」

「逆の立場で考えてごらん?ボーダーラインというのは心の壁だよ。壁を持って接してくる人をコンちゃんは愛せるかい?
高嶺の花だと女神扱いされて、その人を好きになれるかい?」

「正直、こっちの方が気後れしてしまいます…。あたしだって普通の人間だし、もっと心の中に入ってきて欲しいというか…あたしだって王子様が欲しいし…」

「そう、お互いに自分の手の届かないものを求めていては、惹かれあう事は出来ないよ」

「でも、王子様とあたしが同じフィールドに立つなんておこがましいですよ・・」

「ほら、おこがましい=叶えたくない、という事だよ」

「…こんな事いうのもバカげてるかもしれませんが、少女漫画のように憧れの王子様が実はあたしに気があって、結ばれる、なんていう事は…」

「うんまずない」

「…そんな_| ̄|○」

「でも、いいかい?相手が王子様だから叶わないなんていう事ではないよ。
相手を王子扱いしたから叶わない、なんていう事もないよ。
それに誰だって好きな相手は女神や王子に見えるでしょ?」

「ええまぁ。」

「大事なのは、相手の心にちゃんと入っていく事だよ」

「ボーダーラインをひかずに……」
84 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:11

「そう。そんなもの持ってこられて好きになれるわけが無いからね。
相手の気持ちを考えるっていうのはとても大事な事。それは恋愛にも役立つんだよ。
幾ら顔が可愛くてもイケメンでも、相手の気持ちを考える心が欠落していれば、上手くはいかない。
“相手はどうして欲しいだろうか?もし自分だったらどうだろう?”
それを考える事が出来る人間が、相手の心に入っていくことが出来る。
モテる男とモテない男の違いは、顔だけにあるんじゃないよ。
モテる男は自分が相手の王子になってあげようとする。
モテない男は相手を自分の姫にしようとする。」

「ほぉ…神様がモテる男とモテない男の違いを語るとは思いませんでした…」

「マスターベーションになっちゃだめって事だよ。
勝手に相手を遠い人間にしてポワンと気持ちよくなるうちはいつまで立っても自慰行為からは抜けれない。
物理的にも心理的にもね」

「……神様…一応アイドルなんで発言に気をつけて下さい……」

「あ、ゴメンゴメンついね」

「でも仰る事は分かりました。
愛し合うという意味を考えなさいという事ですね」

「そういう事」




85 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:12

「ええとそれで」

「はいはい」

「話ずっと戻していいですか?」

「うんいいよ」

「欲しいと思ってるものは手に入らないって言いましたよね?」

「ううん違う。“欲しがるもの”を手に入れる事は出来ないって言ったんだよ。欲しいもんはその気になれば手に入れれる」

「欲しがるもの……」

「欲しがるっていう言葉に付随してきてるマイナスの感情を理解できれば分かるはずだよ。
欠乏間や羨望、不安や焦燥、、、マイナスじゃないにしても、ポワンと夢見る気持ちとかね」

「うーん難しいなぁ……」

「これはね、らくぅに解ける人もいるけど、本当に苦労してやっと分かる人もいるんだよ。
これが分からない為にいつまでも欲しいものが手に入らない人もいる。
自分じゃそんなつもりないって人が本当に多いからね。
自分がいかに願望成就までの心設定が遠いかを自分で気付ける人は中々いないんだよ」

「ほぉ……」

「想像っていうのと妄想っていうのは全く違うからね。
妄想で終わってる人は欲しいものを現実に出来ない」

「どう違うんですか?」

「妄想っていうのは自分の都合の良い現実を頭ん中の世界だけで創り上げる事。
けど現実世界で決してそれは起こらない。
起こらないものを起こると信じて、というか勘違いして頭の中だけで気持ち良くなってる事を、妄想という。
想像というのはこれから起こるであろう現実に向けてのイメージトレーニングだよ。」

「なるほど……」
86 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:13

「理想と現実は違うって良く言うね。
それは自分のしてる妄想が現実から掛け離れてるから違うんであって、きちんと現実を捉えてイメージできる人間は理想と現実にそうそう差異は生じない」

「中々難しいですね……」

「大事なのは現実世界をしっかり知る事だよ。
都合の悪いことから目をそむけずにね」

「はい、分かりました……。
あと、もう一つ聞きたいんですけど」

「なに?」

「逆に、欲しくない現実が自分の身に起きてる時はどうすればいいんでしょう」

「つまり、嫌な状況や状態に置かれてる時?」

「そうです」

「状態を捨てればいい」

「は?」

「悩んでる時の一番の解決方だよ。状態を捨てればいい。いつまでもしがみ付いてないでね」

「状態を捨てる……?」

「そう。悩んでるなら、悩むのを辞めなさい。
苦しんでるなら、苦しむのを辞めなさい。
辞めるというより、いい加減捨てなさい」

「解決しないから悩んでるんであって、捨てるとか出来ないんじゃないでしょうか……」

「本当にそうかな?何か解決すべき事があって頭を使うのと、ただ困った困ったと頭を抱え込むのは全く違うよ。
困ったと思っていると、困った事ばかり起こるようになる。」

「さっき仰ってた、状態が状況を引き付ける、、ってやつですか?」
87 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:13

「そう。こんな例がある。
自分の弟は全く働かず遊んでばかりいて本当に困ったと頭を抱え込んでる兄がいた。
けどあるときその兄はふと気が付いた。弟一人くらい働かなくても別に養っていけるじゃないか、そんな弟の事でいつまでも悩むのは辞めようと。
そう考えるようになったその数日後、弟は何故か働くようになった」

「不思議な話ですねぇ……」

「全然不思議じゃないよ。どうでもいいやって思った途端解決するっていうのは良くある話。
この兄弟の話について言うと、これは共依存って言ってね、人間の精神は深く結びついているから、自分の意識は相手にとてつもない影響力を及ぼすんだよ。
ダメな弟で困った困ったと思っていたら、弟は兄による強力な“ダメな弟”意識によってガチガチに縛り付けられてしまう。
親子なんかはとくにこの共依存でお互いがおかしくなってしまってる例はごまんとある。
“心配”っていうのは一番相手の健全な精神や肉体を蝕むんだよ。
その心配が“愛”によるものならばいいけど、“不安”によるものならば、相手の自由を奪い、自分自身も不幸になる。」

「愛か不安か、ですか…難しいですね……」

「何についてもそうだよ。その背後にある感情が愛なのか不安なのかで全く結果は逆になる。
自分に対しても人に対しても、不安を理由に選択しない事。
愛を理由に選択しなさい。
愛は相手の為を思う心だけど、不安は自分の保身やエゴによる感情から発生してるものだからね。
子育てについて、今特に色々な意見が飛び交ってるけど、殴る殴らないや過干渉過保護の是非を幾ら論争しても全く無意味なんだよ。
どちらが正しい正しくないじゃない。
どんな選択をしてもいい。その行為の裏にある感情が、愛ならば間違いはない。けれど不安からくるものならば、どんな選択をしても悪い方向にいく。
愛だと勝手に思い込んで勘違いしてるエゴも、勿論悪い方向にいく。」

「方法じゃなく、心だと」
88 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:16

「そう。人間の心の周波が導く力というのはとてつもなく強い。
だから、注意しなければならないよ。
人に簡単に不安を与えてはいけない。
その人の不安から縛り付けられた状況を自分の力で解き放つのは簡単に出来る事じゃないからね。
だから人には愛を与えなければならない。
“人は関係ない。自分は自分だから”なんてやってると、とんでもないしっぺ返しを喰らう事になるよ」

「…・なるほど……。
うーん確かに、仰ってる事は神様らしいというか、良い教えだっていうのは分かるんですが、頭で分かっていても…なんていうか……」

「感情の周波がどうとか、信じれないっていうんでしょ?」

「はい…ちょっと……」

「じゃあコンちゃん、聞くけど、宇宙ってどのくらい広いの?」

「う、宇宙…ですか…?」

「うん」

「そんなの…。…無限…?」

「その無限の中に星はどのくらいあるの?」

「数え切れないくらい……」

「宇宙の果てはどこにあんの?」

「果てなんてないです…」

「地球ってなんでどやって宇宙の中に浮いてんの?」

「それは…空気がないから物質は全て浮遊するわけで……」

「生命体の起源て何?」

「起源……さ、さぁ……」

「命って何?」

「何っ…て言われても……」

「心って何?」

「……脳で考えたもの……?」

「動物の勘って何?」

「……さぁ……」
89 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:17

「今、答えられないものあったよね。科学じゃ説明付かないものは、世の中まだまだたっくさんあるんだよコンちゃん。
けど科学の進歩で人間は“自分たちに分からない事などない”“理解出来ない事はイコールありえない事”と勝手に決め込んでしまった。
これは驕り以外の何ものでもないよ。
世の中の事で人間が理解出来る範囲なんてたかが知れてる。理解を超える事の方がずっと多いんだよ」

「はぁ……」

「自分がこの世に生を受け、命を宿った肉体を動かしているという事自体がとんでもないミラクルな事なのに、それを差し置いて人間は、“そんな非科学的な話信じれる訳ない”と簡単に言い放つ。
大事な事を幾ら話しても耳を傾けない。
だから人間はみないつまで経っても幸せになれないんだよ。」

「……すいません……」

「や、謝る事はないよ。急に言われてもそう簡単に信じれる話ではないと思うからね。
ただ、自分の理解を超える話にも耳を傾けられるようになったら、もうちょっとハッピーになれるかもしれないよ」

「はい…」

「というか、別に信じなくても構わないんだののは」

「なんでですか?」

「いつかこの話の意味が身を持ってして分かる時がくるから」
90 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:18
「ほぉ……。
であの、状態を捨てるって話ですけど」

「うん。あのね、人間は中々自分の状態を捨てれない生き物なんだよ。
アンハッピーな状態に浸かってたら、さっさとそれを捨ててしまえばいいのに、捨てれない」

「悲劇のヒロインてやつですか…?」

「知らず知らずのうちにそうなっちゃってる人もいるね。
そうなってしまったらもう周囲は誰も助けれない」

「何故ですか?」

「悲劇のヒロインって、自分では物凄く苦しんでるつもりでも、周囲から見ると気持ちよさそうに見えるよね。実際そうなんだよ。
嫌がっているようで、好き好んでやってる。
でもそれに気付いていないからたちが悪い。
可哀想な自分に酔っている事に気付いていない。
神はその人の願望は動かせないって言ったでしょ?
その人が不幸大好き人間で自分で引き寄せてるのに、神が“こっちきなよ!”って無理矢理幸福ワールドに手を引く事は出来ない」

「でもその人は辛い辛いって泣いてるわけじゃないですか…」

「顕在意識ではね。でも潜在意識では望んでやってる」

「そういう人を助けるには……」

「助ける必要ないよ。好きでやってるんだから、彼等は苦しんでるようで心からは苦しんでないから大丈夫。
人間本当に嫌だと思ったら何処かで本気で抜け出そうとするはずだよ。
いつまでも抜け出さないのはそこまで嫌じゃないから」

「んーでも自分はそうなりなくないなぁ…」

「そう思うなら、気をつける事だよ。悲劇のヒロインに浸からないようにするには、その状態を捨てる事。
ハッピーな状態を心から願い、心から受け入れる事」

「はい、分かりました……」
91 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:19

「状態を捨てるっていうのは、人によっては本当に難しい。そういう周波数がもう自分を形成する要素になってしまってる人なんかは特にね。
そうじゃなければ自分じゃない、という具合になってしまったら、そう簡単には状態を捨てれない。
意地になってしがみ付いてしまっている人は、いつまで経っても不幸から抜け出せないんだよ。」

「ほぉ……何か方法はないんですか…?」

「ハッピーな人と沢山接するようにすればいい」

「ハッピーな人…ですか…?」

「そう。この人がいるとなんだか周囲が明るくなる、とかあるでしょ?」

「はい」

「そういうプラスのパワーを持ってる人と沢山接して、学ぶこと。
そうしているうちに、自分の中のマイナスな感情を払拭できるようになってくる。
違う状態を知る事で、今の自分の状態を捨てる事が出来るようになる。
自分と全く違う状態を持ってる人間を知らないで生きていると、中々抜け出せない。」

「ほぉ……」

「人は一人では生きていけないって良く言うよね。
自分と全く違う思想や状態を持っている人から色んな事を学ぶことで、自分自身を変えていく事が出来るようになる。
だから、色んな人間と接する事はとても大事な事なんだよ。」

「なるほど……」
92 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:22

「何にしてもそうだけど、願う時は本気で願いなさい。叶わない場合は本気じゃないからだと思った方がいい。
願うというのはただブツブツと祈る事だけを指してるんじゃないよ。
本気というのはどういう事かをきちんと考えて、行動しなさいという事。
うわべで漠然と思ってるから、叶わない。
良い恋愛がしたいしたいと口でいつも言ってるけど毎回ろくな男にしか捕まらない女も
社長になりたいと言いながらプラプラしてる男も、みんなみんな、心の奥の奥の自分の願望を自分で分かってない。
そうなりたいと思うのなら、100l心の奥までそう願いなさい。
本気でそうしたいと思ったらどうしなければならないか、自分の何がいけないのかが自ずと見えてくるはずだよ。
夢を見るのをやめて、好きな現実を思う存分手にしなさい」

「はい、分かりました」

「力みなさいという事じゃない。努力しなさいという事じゃない。
現実を手にしなさい、という事だよ。」

「…難しいけど、なんとなく分かってきたような気がします」

「結構喋ったね。疲れたからちょっと休憩しようか」

「はい。あ、神様珈琲でも飲みます?」

「この部屋に珈琲なんてないけど、コンちゃん飲みたいなら出すよ。はい」

「おっと流石神様」

「じゃちょっとブレイクタイムね」

「はいっ。
次はいつ再開されますか?」

「それはそうして欲しいとコンちゃんを始め話をコッソリ立ち聞きしてるそこの人達が願った時さ」

「「現実レベルで」」

「その通り」
93 名前:名無し地蔵 投稿日:2005/10/19(水) 03:27
      /||ミ
     / ::::|| __
   /:::::::::::|||W.C|
   |:::::::::::::::|| ̄ ̄||
   |:::::::::::::::||  ガチャッ
   |:::::::::::::::||   ||
   |:::::::::::::::||∧_∧
   |:::::::::::::::||´・ω・`)  皆さん、お茶が入りましたよ・・・。
 キィ |:::::::::::::::|| o o旦~
   |:::::::::::::::||―u' ||
   \:::::::::::||
     \ ::::||
      \||彡


という事で、ホントに勇気振り絞ってスレ立ててみたものの、不安ばかりです。
この会話スタイルなんかもあれとクリソツなわけですが、多めに見てくだちぃ。
他のスタイルも考えたんですが、これが一番簡単で分かり易いと思ってので・・。

94 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/20(木) 01:38
ちょっと難しいけど心に沁みてきました。
自分の生き方についてすごく考えさせられてます。

95 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/20(木) 02:09
いいんじゃないかな
「書いてある通りにしたけど変わらない!」なんていいだす人もいないでしょ

個人的には「こういう考えもあるんだ」っていういいヒントになったと思いますよ
96 名前:名無し飼育さん 投稿日:2005/11/01(火) 15:35
この話の再開を現実レベルで望んでるはずなんだけど…
すごく勉強になったんで続けてほしいです
97 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/19(土) 11:35
もう完結からずいぶん時間がたっているのですが、感想を書かせてください。
なんだか本当にぐっと響いてきて何時間もかけて自分なりに考えながら読みました。
しまいにはパソコンから印刷しちゃったりして。

言葉をうまく使ってあってとても読みやすかったです。
ありがとうございました。
98 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:13
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。

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