銀河を駆ける馬。【いしよし】

1 名前:紗祈 投稿日:2006/01/01(日) 18:29
初めまして、今晩和。
ここでは初めて書かせていただきます。
紗祈(さき)と申します。
皆様の足元にも及ばない所が数多くあると思いますが、
どうか暖かく見守ってやってください。


「銀河を駆ける馬。」


2 名前:銀河を駆ける馬。〜プロローグ〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:30
20XX年。

「今日小惑星F-14の調査船乗組員の4人が、土星の輪の中を金のたてがみの馬が走っていったのを目撃しました。目撃証言はこれで3件目となり調査当局は…」

朝食のトーストをかじりながら見たニュースは、もう聞きなれていた。

「またか…。土星の輪は小惑星の集まりだ。動物なんかが走ってゆける訳
無いと思うんだがな…」

と、まだパジャマ姿のお父さんが首をかしげて言った。
正直、私もそう思う。
輪に見える小惑星は、とても小さいものだ。走るのはおろか、歩くのも到底無理だな。
それになにより宇宙服も無かったら、あんなところに1秒も居られない。宇宙船から投げ出されたとしたら、一環の終わりだ。
3 名前:銀河を駆ける馬。〜プロローグ〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:31

「もし本当だとしたら、私も見てみたいなぁ、その馬」

政治やらなんやらの報道は大嫌いだが、こういうニュースは私にとって
面白くて堪らない。
でもお父さんは驚いた様子で黒ふちの眼鏡を外してこう言った。

「駄目だ駄目だ、まだ調査中の惑星なんかに行って、事故に巻き込まれたり
したらどうするんだ。それに母さんだって…」

お父さんはそこまで言うと言葉を詰まらせた。
そう、お母さんは小惑星調査の仕事をしていたのだ。
その日は独りでの仕事を任され、調査していたところ
いきなり小惑星の一部が爆発したそうだ。
それの破片が直接身体に当たり、死んでしまった。

「判ったよ」

私は取り合えずそう言って、ミルクの入った甘い珈琲を飲み干すと、
流しに「がちゃん」と片付けた。
…でも僕はそれで、好奇心がおさまるような年齢(とし)では無かったんだ。
4 名前:銀河を駆ける馬。〜第一回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:31

「判ったよ」

取り合えずそう言った私だったが、実際は全然わかっちゃいなかった。
私は滅多に座らない勉強机にむかうと、置手紙を書き始めた。
5 名前:銀河を駆ける馬。〜第一回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:32


『お父さんへ

 私は、宇宙のなぞを 解いて見せます。』
6 名前:銀河を駆ける馬。〜第一回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:32
それだけ書いてリビングに行くと、お父さんはもう仕事に出たようだった。
さっきのトーストの食べかすをはらうと、テーブルに手紙を置いて
父さんの飲んでいたビタミン剤のびんで押さえておいた。

押入れの奥からナップザックを取り出し、お父さんの書斎から
宇宙食と生前お母さんが使っていた調査船の鍵を拝借すると、
物置にしまわれている調査船を庭まで運んだ。
私は小さい頃からお父さんとよく宇宙旅行に出かけていたので、
多少の操作は判ったようなものだ。
後部座席に荷物を積み込むと、運転席のほこりをはらって、座った。
7 名前:銀河を駆ける馬。〜第一回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:32
…いよいよ出発だ。

銀色の鍵をぎゅっと差し込むと、レバーを前にたおしてアクセルを踏んだ。
「グーン」と音がして、だんだん上昇していく。
小さくなっていく家々を見て、私は「おぉ」と小さく叫んだ。

「行くぞ!…宇宙へ」
8 名前:銀河を駆ける馬。〜第ニ回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:33
私は厚い雲を抜けていくと、他の調査員らにばれないよう
お父さんの使っていなかった眼鏡をかけた。

しばらく走っていると小惑星のB地点に着いた。
この辺りはもう調査済みで、一般の客などもちらほら見かける。

C地点への道を探そうと周りを見回した瞬間だった。
「しゅんっ」と目の前を横切ったものがあった。
『それ』が走った後、窓に金色の粉のようなものがほんの少しついていた。
私はすぐにハンドルを切って、『それ』を追いかけた。
9 名前:銀河を駆ける馬。〜第ニ回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:34


あたりを見回すと、まだ調査さえも入っていない、H地点に着ていた。
すると金色の『それ』は、止まってこっちを向いた。

「…馬?」

それは私が探した金色の馬だった。

「え?ああ…だぁれ?」

10 名前:銀河を駆ける馬。〜第ニ回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:34
それは馬が喋ったのではないようだった。よく見ると薄い灰色の
もやもやっとしたものが馬の身体のまわりをまわっている。
じっと見つめていると

「あ、見つかっちゃった」

と言い、馬の身体からスッとぬけた。
11 名前:銀河を駆ける馬。〜第三回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:35

馬の身体から湧き出たようにも見えた灰色のもやは、
みるみるうちにひとの姿へと形を変えていった。
肩ぐらいまであるのか、真っ黒なストレートヘアに、くりっとした瞳の可愛らしい
女の子だった。年齢はおおよそ19歳くらいだろう。私より背が低く、いくぶん幼く見える。
12 名前:銀河を駆ける馬。〜第三回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:35
「私は、梨華って言うの。私の操っているこの馬が、下の世界まで
勝手におりていっちゃうから、見つけるのが大変だったのよ〜」

漫画で読んだことがある。宇宙には、馬を操る精霊がいる、と。
その精霊たちは、うまく自分の力を動かして、
地球を回している。
けど、僕が読んだのはSFみたいなつまんない漫画だった。
実際にある訳……でも。

「君は、…梨華ちゃんは、何の精霊なの?」
「え??私のこと分かるの?!…私は風の精霊なの。
地球に必要な風をおくったりするのが、私たちののお仕事☆」

おいおい、星飛ばすなよ…。
13 名前:銀河を駆ける馬。〜第三回目〜 投稿日:2006/01/01(日) 18:36
彼女等の種族には、炎・雨・風とあって、それぞれの精霊が地球に欠かせない働きを
しているのだそうだ。
でも最近、新しく「黒」という種族が生まれ、黒が暴れだした。
そして精霊たちは互いに戦争を仕掛け、仲間割れをした。
だから、それぞれの種族たちは一旦、違う星に移ったんだそうだ。
何故、精霊たちが馬を操るかというと、時々地球のあちこちの状態を見に行かせるから。
精霊たちは、下界には降りれないイキモノだから。
…これだけでも本当に充分な情報だ。けど、私は 梨華ちゃんについて行くことにした。

何か、大切なことを教えてもらえるような気がしたから。

14 名前:紗祈 投稿日:2006/01/01(日) 18:37
今日はここまで。
レスはsage進行でお願い致します。

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