ハイエナとライオン

1 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/01/05(木) 05:18
たった一人の需要の為に今更ながらいちごまを書きたいと思います


基本携帯からになるので多少見づらいかと…
更新はマターリと言うか、遅いです。
2 名前:青空の果て 投稿日:2006/01/05(木) 05:19




―青空の果てまで手を離さないで…―
3 名前:青空の果て 投稿日:2006/01/05(木) 05:20

南校舎の屋上からは
青空しか見えなかった
嫌味なくらい深くて広い、広くて浅い
青空しか見えなくて…

「お前の果てには…『絶望』しか、無いんだろ?」

安っちぃライターで火を点けては、悟ったふりして問い掛けて
口の中に広がる違和感のメンソールをひたすら吸い込んだ


ここには何も無い、解ってる
あたしにも無い
知ってるさ

肺に開いてるやたら大きい風穴を埋めるみたく
どこまでも深く吸い込み
薄い煙を
風に任せ羽根の様に散らせながら


あたしはただあたしに降りかかる理不尽な絶望を必死に必死に呪った

ソレを呪い続ける事でしか

『あたし』を保てなかった
4 名前:青空の果て 投稿日:2006/01/05(木) 05:23
恋をしてる人は楽しそう
バカみたいに誰かの為に毎日お祭り騒ぎして
あたしもそんな風になれたら、と願った時もある


恋はしていた
とんと昔だ
恋人も居た
ほんの少し前に別れた

何もかもただ下らなくて
何もかもただ虚しくて
誰かの為に、なんて
そんな偽善似合わなくて

ただただ面白くなくて
ただただ詰まらなくて
何もかもが
毎日がただ
真綿で首をだんだんと締められ続ける感覚の錯覚
ただ漠然と日々願う思う
5 名前:青空の果て 投稿日:2006/01/05(木) 05:24

―カエリタイ
そんな気持ち
一体どこに、と言われてしまえば多分どこでも無いけど

あたしはいつも駆られて堪らなかった
家でも誰かの胸でもどこでも無い
本当どこでも無い
ただただ憂鬱に
―かえりたい
―帰りたい
―還りたい
焦燥感。

「だって居場所が……あたしの居場所どこにも…無い、から」

恰好付けて取り繕って

親の為にパーフェクトな

友の為に面白く優しい

あたしが何人も居る

あたしはどこに居る?


本当のあたしを見つけてよ!!


叫んだって
あたし自身が解らなきゃ
誰が解ってくれようか


―カシャッ…ン


あたしは卑怯で臆病で勝手で我が儘で矛盾者

誰にも見せられない底意地汚い部分をブチ撒けられたら
あたしが見つかるだろうか
あたしは見つけられようか
6 名前:青空の果て 投稿日:2006/01/05(木) 05:26
頼りない腐りかけのフェンスを越えれば自由が待ってると言われても
きっとビビりのあたしは越えられない
飛び降りたくても
飛び発ちたくても
きっとあたしは行けない
汚い落下死体にも
綺麗な天使にも

あたしは成れない
イメージ出来ない
ほら恐怖心が手を震わせる
ほらね、あたしはただただ弱いだけのニンゲン
ネガティブでしか自分を保てない
強い人がライオンならあたしはそれにたかる小賢しいハイエナ

「はは…ッ」

解ってる
解らない

あたしは何なんだろう
『あたし』は何なんだろう

解ってるつもり
解らないつもり

誰か助けて
誰も助けないで




助けて
助けて
助けて
助けて


誰か

誰が?




「…あーのぉ」
7 名前:青空の果て 投稿日:2006/01/05(木) 05:27





―わたしの居場所
どこにも無かったから


あなたに



「ん……ぁ?
ごめん独りで泣いてたかっ………た、とか?」



あなたに



「誰だよオマエ…」



出逢うまでは…!―
8 名前:青空の果て 投稿日:2006/01/05(木) 05:29
「あはっ…?」


振り返り、いなして
追い返して、また独りに

頭の中で瞬時にしたシュミレートが強風に掻き消えた
目が離せ無かった
いや、放したく無かった

ライオンがそこに居た
あたしを見据えて、嘲笑ってた
重たい皮膚をゆるりと持ち上げて
ライオンはあたしを見据えて優雅に笑った

不思議と不愉快は無い
笑われた自分をむしろ誇りにさえ思えた


風が吹く
風が吹く
ハイエナとライオンの合間に風が吹く
心地良い風冷たい風
サバンナにひゅるりと吹く一陣の風

「…………ぁ」

声が渇いて掠れてしまう
唾も出ない
唇もだんだんパサパサになって来た気がした

だけど声が出る
心の底から声が這い上がる―!

「あの…あたし…消えるね
邪魔っぽいし」

「ち、がう!!」

「ふぇ?」




ライオンよ

この身捧げる


餓えて腐れたハイエナが出来るのは

王よ

あたしを捧げる
9 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/05(木) 05:31

―あおぞらのはてまで

てをはなさないで

いっしょに

おくじょうに

のぼってくれますか?

あのそらのしたに

おきざりにしてる

16のわたし―





矢次の様に噴き出た言葉はソコで止まった

ア然と口を開けた侭のライオン彼女

何を言ったんだあたしは
何を叫んだんだあたしは
奥の奥の奥の奥の奥底から沸き出たもどかしいくらいの小さな小さな言葉一つ一つを
いろはかじゅげむ宜しく蒔くし立て吠えた
主張したんだ
あたしを助けてくれと
王よ我を救ってくれと
10 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/05(木) 05:33
ただどんな単語を綴り何を言ったかは明確には思い出せ無い
酷く酷く滑稽で恥ずかしい台詞を使い告白をした気分

じっとずっと見据えてた少し離れた目
半端に口が歪む
ライオンが、あたしを、侮蔑する

「何…?アンタ…イッちゃってる……系?」

頭を指差しクルクルクルクル
イカれてる相手にする差別動作

「ははッ……ハッ!」

両手で顔を覆う
退け反る
皮膚を突き刺しオレンジの光眩しい太陽光線
風は既に止んでいて
興味を無くしたライオンは速やかに立ち去ってしまった
いや、さながら野良猫のみたく逃げ去ってしまったと言うべきか

「…は……あっはははははははははははは!!!!」


我ながら馬鹿か阿呆かと思う
もっと賢いハイエナならばきっともっと静かに潔く身を引き渡すだろうに
あたしは頭ごとライオンの口の中に突っ込んだ

野良猫を餌付けする時だって
慎重に慎重に近づくと言うのに
11 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/05(木) 05:35

あたしは相当詩的にイカれたバカに見えただろう
どれだけ愚かなんだ
何故こんな急いてしまったのか
名前すら知らないライオン彼女に
あたしはどうしてこんな一気に惹かれて…?
解らない
だけど解るたった一つ


あたしの居場所は

あのライオン彼女の中に

今までして来たなあなあのどうでもイイお飾りの恋とかそんなんじゃない
ただ、見つけてしまったんだ

あたしの居場所
陽の当たるあたたかい場所
やわらかい毛皮が迎えてくれる場所

ただの一度でいい
探しなんかしない偶然でいい
もう一度彼女に逢えるなら
ほんの一言でも交わせたなら

謹んで請う
あたしの百獣の王に

「青空の果てまで手を離さないで―…」


緩やかに笑う強い瞳ライオン彼女

あたしの空虚を飲み、絶望を食す王よ
今度はうまくやるから
あたしの話を聞いて欲しい
サバンナで寄り添おう異色の二人
ディズニー映画とまではいかないけど
あたしの孤独を理解して
あたしも王の孤独を理解したい


ねぇ、ライオン彼女
あたしはあんたと話しがしたい
とても、とても、たくさんの。

きっとあたしら解り合える
同じ匂いがするんだ
ハイエナとライオンだって言うのに
12 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/01/05(木) 05:43



取り敢えず今日はここまで

文中等にある歌詞及びタイトルは勝手ながら某歌手から引用。
13 名前:ミッチー 投稿日:2006/01/11(水) 02:06
更新お疲れ様デス。。。
何だかこの話に惹き付けられました。
続きが気になりますね。
マターリ待ってます。
14 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/01/16(月) 02:09
>>13 ミッチー様
ありがとうございます
遅更新ですが見守って頂けたらなと思います
15 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/16(月) 02:10


カッカッカッカッカッ


ヒステリックに音を荒げて階段を駆け降りる
一段ずつじゃ気持ちが落ち着かない
二段二段飛び跳ねて、最後に四段五段飛び降りて
変なヤツに会ったせいで心臓がやたら焦ってる
何なんだろアイツは
あそこはあたしの場所なるはずだったのに
あたしだけの場所見つけたと思ってたのに!




廊下を駆けて
最後の砦へ
あたしのたった一つの居場所へ
16 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/16(月) 02:12
「C組後藤真希、体調不良で休みます」

「…どうぞ」

どうも。
検温も症状シート記入も無し。
常連になってしまえば保健室なんて顔パスだ
一番端、窓際、白い鉄パイプのベット
一番嫌いで一番寝やすい位置
ここからは校庭から響く馬鹿みたいなはしゃぎ声ばかり聞こえて来て煩さ過ぎる
それにここからは
絶望を思わせる深く遠い『青空の果て』が良く見えて、あたしの眠りを妨げた
17 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/16(月) 02:13
目に見える位置からの
海の果てを水平線
地の果てを地平線
だったら青空の果ては?
アレに、名前は?


「ぜつぼーせん…だよね…きっと」


誰に聞くでも無く
誰に問うでも無く
誰に話すでも無く
誰に言うでも無く
思考的過ぎる考えを陽の光の心地良さにふにゃふにゃと緩めさせそのままうにゃうにゃと眠る事にした
次に起きる時は誰もが居なくなってればいい
校庭にも教室にも廊下にも
誰一人影すら居なくなってればいい
そうすれば全て統べてあたしの居場所になる
ここもそこもどこもかしこも全部

そうすれば惨めなあたしに誰も気付かない
あたしの存在など誰も気付かない
誰もあたしを傷つけない…
誰も、誰も…誰もが、ね

こんなあたし情けない
だけど恐いものは恐い
みんなあたしを傷つける
みんなあたしを騙して蔑む
嫌い。
嫌いだ

他人も、自分も
18 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/16(月) 02:16
「わかってる…解ってるよ
あたしは世界一カッコ悪いヤツだって……っ」

枕に顔を埋めて
眉も瞼もギッと力を入れて出来るだけ静かに涙を零した

あたしの居場所はどこにあるんだろう
このまま息が止まってしまえばいいのに
あたしの居場所、解らないままなら
探すのなんてもう止めて
見つける事なんて諦めて

消毒液臭いこの枕に顔を埋めたまま
―死んで
―しまえたら
―どんなに…
19 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/16(月) 02:24
薄れる意識の中
屋上のアイツの顔が揺らめいて消えた





アイツも居場所が無い…
そんな気がする

アイツは

あたしと同じニオイが


「アイツとあたし―…」



二人寄り添えば
サミシイニオイが交われば

そこに居場所は出来ますか?

そこは心地いいでしょうか?
そこは安全ですか?
そこは眠れますか?

そこは、あたしの、居場所に、なりますか?


「……ばっかみたい…」


あたしは布団や枕の白に身をもっと包み込み盛大に鼻を啜ってからうとうとしてた瞳をゆっくり閉じ暗闇に身を任せた
安堵感に睡魔は簡単にあたしを掠う


ほら
今はここがあたしの居場所。
20 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/16(月) 02:25







―わたしの居場所

どこにも無かったから

あなたに、あなたに

出逢うまでは―
21 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/01/16(月) 02:29








中身の無い更新で申し訳無い…

視点が入り乱れて解りにくい箇所が所々出そうなんで次回からはちゃんと記入しておきます_| ̄|○
22 名前:ミッチー 投稿日:2006/01/19(木) 01:48
更新お疲れ様デス。。。
シリアスですね。同じニオイですか・・・。
次回も楽しみに待ってます☆
23 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/01/31(火) 18:48
>>22 ミッチー様
シリアスですねぇ蛇足にならない様頑張りますのでお付き合い頂けたらなと思います
24 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/31(火) 18:49
揺り篭の夢を見た

青空の果てを眺めながら雲にひたひたと足を着けてぶらぶらと揺らしながら黄昏れた自分を見てる、夢

物悲しく寂しい青と白ばかりの世界の中でゆらゆらりと揺れるカーテンとベット
そこで右手をぐっと握り溜息交じりにはぁと開くあたし
右手に誰を求めてるの?
誰の左手を待ってるの?
見つめたあたしは確かにあたしなのにあたしですら解らない複雑な顔をして
ねぇ、そんな優しい顔で誰を待ってるの

問い掛けたくて近寄るとあたしは
あたしを見据えてまるで歌うみたく呟いた

「青空の果てまで
手を離さないで…
一緒に、眠って…眠って…くれます、か?」
25 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/01/31(火) 18:50
ゆらり
アイツの顔が過ぎった
あの時叫ばれたやたら恥ずかしい言葉を
楽しそうに紡ぐあたし

「青空の果てまで…」

あたしも少し零したら
ほらまた、嬉しそうに笑って

「手を離さない、でぇ」

笑えなくなったあたしの変わりにほがらかに笑うあたし
おいで、と右手を伸ばして

あたしの左手を待ってるの?


「一緒に
屋上に
のぼってくれますか?」


ふにゃりと笑ういつかのあたし
26 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/31(火) 18:51
じりじりと指先達が近づき
それに触れた瞬間
何かが解って何かに溢れた気がした
あたしはもう一度あんな風に屈託も無く笑える事
コイツとあの人があたしの居場所になってくれる事
何かに気付いて何かに伐ち震えるあたしが居た



だからあたしは大声であの時のアイツみたく



「あの空の下に置き去りにしてる
制服のあたし―…!!」


思い切りあの青空の果てのもっと遠くもっと向こうまで強がりとか寂しさとか色々色々ぎゅうと詰め込んで叫んだ




何かが解って何かに気付いて何かが溢れ出して止めど無く、ただ、ただ、あぁ
27 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/31(火) 18:52






「またね」
28 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/31(火) 18:55



夢の終わりは呆気なく
もう一人のあたしはひらひら手を振ってゆらゆらと漕ぎ出して遠く青の向こうへ霞み消えてしまった


そして何かを思い出したあたしは
今出来る限りにんまりと笑って笑って笑ってこの際果てを仰ぐのだった
29 名前:青空の果て 2 投稿日:2006/01/31(火) 19:01


「変な夢。」


起きてみれば辺りは暗く静まり返って誰の声も影を踏む靴音すら聞こえなくて
薄暗い中たった独りぼっちだったけれども何となく清々しいのは

きっとソレに
気付いたからだ
たぶんそれを
確信したから、だ




「…またね」




あたしは夢のあたしみたく呟いて夢のあたしみたくふにゃらとは笑えなかったけど精一杯薄く笑って
踵を強く鳴らせてゆっくり保健室から、学校から出て行った


「また、ね」


もう一度、呟いて笑うのを忘れずに
30 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/01/31(火) 19:01




今日はこんな感じで
31 名前:ミッチー 投稿日:2006/02/01(水) 02:09
更新疲れ様です。。。
過去に何かあったのでしょうか・・・?
次回も楽しみにしてます☆
32 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/02/06(月) 18:38
話は不思議な感じがしますね。

なんか覚えがあると思ったら
某歌手とはあれですな。
チキンさんですね
33 名前:P 投稿日:2006/07/01(土) 06:45
今まで事故っててすいませんでしたっ
意識不明の重体から復活したんで何とぞヨロシクお願いします…
しかしれいにゃが足りないなぁ
家っつか部屋に帰りたい
34 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/02(日) 00:53
意識不明ですか!?もう大丈夫なんですか!?
あまり、無理しないで下さいね
35 名前:P 投稿日:2006/07/02(日) 07:52
意識不明が治ったらこんな状態ですからねぇ
気分は浦島太郎ですよー
お待たせしちゃってスイマセンでした(苦笑
浦島太郎は元気です(痛
36 名前:ミッチー 投稿日:2006/11/12(日) 23:27
待ってますよ〜

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