XR−7

1 名前:名無し作者 投稿日:2006/01/12(木) 17:15
吉絡みです
のんびりと更新する予定です
2 名前:XR−7 投稿日:2006/01/12(木) 17:22
「何だこれ?全然ピントあってねぇじゃん」

昨日現像して部屋にぶら下げておいたフィルムを見て
吉澤は唖然とした

どのコマも良く見ると
満足のいく出来栄えには程遠い仕上がりだった

いつになく気合を入れて撮ったはずの美貴の横顔も
僅かながらピントがずれてしまっていた
3 名前:XR−7 投稿日:2006/01/12(木) 17:31
この前の週末の昼下がり

窓から射す日差しが強すぎて
露出を合わせるのに必死になりすぎていたせいかもしれない

「何気にオーバー気味だしなあ」

「これじゃあプリントしてもダメかな」

プリントして美貴に見せるつもりでいた吉澤だったが
どうにも出来栄えに納得できず
ため息をつきながら煙草に火を付けた
4 名前:XR−7 投稿日:2006/01/12(木) 17:38
頭の中のイメージでは
美貴の横顔が光の中に浮かんでいる
そんな風に思い描いていた

「デジカメと違って仕上がりが分かんないのが
いいような悪いような。。。」

マニュアルの操作には慣れてはきたものの
今ひとつ自分のイメージ通りにいかない
もどかしさを感じた


5 名前:XR−7 投稿日:2006/01/12(木) 17:48
「頭ん中ではかなりいいデキなんだけど」

美貴の横顔を思い出し
吉澤は煙の立ち込める部屋の中で
ぼんやりとしていた

「美貴にも学校くらい行けって言われてるしな」

いつに間にか転がり込んだ美貴の家

だらだらと過ごすばっかりじゃ
なんとなく家主に悪い気がして

しばらくサボっていた大学のゼミへ
愛機を持って出掛けることにした
6 名前:名無し作者 投稿日:2006/01/12(木) 17:58
とりあえずこんな感じで
7 名前:名無し1 投稿日:2006/01/13(金) 00:50
お!!なんかいい感じw
期待してます。まったり頑張ってください!!
8 名前:名無し作者 投稿日:2006/01/13(金) 01:41
>7 名前:名無し1 さん
早速のレスありがとうございます
まったり頑張らせて頂きますw
9 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 01:51
ただなんとなく周りがそうだったから

何かに急き立てられるように
勉強し 受験した

人並みに恋をしたような気はするが
どの子も吉澤の心には残っていなかった

そうしなきゃいけない空気が
周りに漂っていたのだ

とにかく普通に
みんなとおんなじ

そうすることで自分が保たれていた
10 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 02:00
大きな目標を持って大学に
入った訳ではなかったが

吉澤は今こうして
学生という身分でいられるこの状況に
感謝していた

いきたいトコ行って
好きなことして。。。
こんなことできるのは学生ぐらいなものだ

最近の美貴を見ているとつくづく
そう思うのだった
11 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 02:10
「よしこ??そんな誘うような目で見ないでよ」

ゼミの演習室前のロビーで向かいに座っているまいが
突拍子もないことを言い出すので
吉澤は危うく愛機に煙草を落とすところだった

「突然何言い出すのさ、まいちん」
「だってよしこ物憂げな表情でこっち見るんだもん」

どうやら物思いに耽っていたところを
見つめてるのと勘違いされたらしい
12 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 02:20
「でもさあ、今時そんな重いカメラ持ってる人いないよね」

「デジカメ一応あることはあるんだけど、こっち気に入っちゃって」

吉澤は愛機を愛でるように見つめた

「どこがそんなにいいのよ?」
まいは面倒くさがりの吉澤が
そのカメラにこだわるのが不思議に思えたのだ

「こんな便利な世の中だから、一つくらい面倒くさいことしようかなと」
13 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 02:34
「で、美貴ちゃんとはその後どうなのよ?」

「でって全然話つながってないし」

「だーかーらー どうなのよ?うまくいってないの?」

ときどきまいには自分の心が見透かされてるような気がして
驚かされる

「うーん、まあまあかな」

「よしこあんな目してるからてっきり欲求不満なのかと思った」

「バカまいちん!!!」

14 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 02:45
当たらずとも遠からず

最近美貴の帰りが遅くて
会話もろくにしてない

帰ってきてもなんかひどく疲れてる様子で
じゃれつく吉澤は
ただあしらわれるだけだった

「でもまいちんそれ当たってるかも」
15 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 03:05
二人が演習室に入ると
もうゼミは始まっていた

『欲求能力とは表象を通じて、この表象の対象である
ものの原因となる能力である――』

――"人倫の形而上学への序論"

人気のある民法や刑訴のゼミには全く興味がわかず
もっと概念的な
法理学的なことを学びたい

そう思っったはずだった――

実際は美貴の部屋に哲学の本が何冊かあって
じゃあ自分もと
哲学の名の付くゼミに参加しただけだった
16 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 03:23
「やっべぇ・・・全然わかんねぇ」

いつもは一応本くらいは目を通して来るのだが
昨日はフィルムの現像で暗室に篭っていて
すっかり忘れていた――

何のことかさっぱり理解できない吉澤は
ただ呆然と議論を眺めるしかなかった

そんな吉澤を尻目に先ほどから
熱い議論がかわされていた


17 名前:XR−7 投稿日:2006/01/13(金) 03:41
中でもドクターのアヤカは
保田助教授の秘蔵っこと噂されるだけあって
助教授を相手に鋭い質問をしていた

演習室の窓から真っ直ぐに
アヤカに向かって光が差し込んでいた

ちょうどこの前の部屋の窓から射す光に
よく似ていた・・・・

「――写真撮りたい」
18 名前:名無し作者 投稿日:2006/01/13(金) 03:53
――続く――
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/13(金) 21:24
面白そうですね。
楽しみにしてます。
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/14(土) 23:11
続き楽しみにしています
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/14(土) 23:34
期待してます
気長に待つので確実に進めってください
22 名前:名無し作者 投稿日:2006/01/16(月) 16:11
>19 :名無飼育さん
レスありがとうございます
これから面白くなるように努力しますw

>20 :名無飼育さん
レスありがとうございます
皆さんのレスが大変励みになります

>21:名無飼育さん
レスありがとうございます
気長に待ってくださる方がいるだけで嬉しいです


それでは少しばかりの更新を
23 名前:XR−7 投稿日:2006/01/16(月) 16:32
「あの日とおんなじだ……」

外の寒さとはうって変わって
フワッと温かいぬくもりを感じる光――

その中に美貴がいたように 
――アヤカがそこにはいた

吉澤は今すぐにでもファインダーを覗きたかった
絞り・・・は開放気味でいいのかな・・・
また露出のことで頭がいっぱいになってしまった

モノクロを撮り始めてから
ちょっとした光の加減さえも気になるようになっていた

不思議と普段見慣れた風景も
光と影でできているように見えてくることもあった

24 名前:XR−7 投稿日:2006/01/16(月) 17:12
「ちょっと!!吉澤っ!何ボーっとしてんのよアンタもたまには発言しなさいよ」
写真のことばかり考えて
ちっともゼミに参加しない吉澤に助教授はたまりかねて言った

「・・・いや・・・あの」

「『感情が或る表象に接して快もしくは不快を抱く能力と呼ばれる』
理由について考えているんですよね、吉澤さん」
アヤカからの思わぬ助け舟に驚きを隠せなかった

「・・・は、はい。・・ そ、そうです」
とりあえずなんとかその場をやり過ごすことができ
ホッと胸をなでおろす吉澤だった
 
「でも何でアヤカさんウチのこと助けてくれたんだろ・・・」
吉澤は何故か胸騒ぎがした――
25 名前:XR−7 投稿日:2006/01/16(月) 17:30
センスと才能を買われ
知人の経営する会社で働く美貴は
思ったより仕事が早く片付き、普段より早く
家路についていた

どうせ家でまたゴロゴロしてるんだろう・・・・
居候の姿が目に浮かんだ

「たまにはアイツの相手してやるか・・・
ここのところ忙しくてろくに相手してやんなかったし」

駅からマンションまでの足取りがいつになく軽やかだった
こうして気持ちまで軽くなると街の風景が違って見えるようだった――
26 名前:XR−7 投稿日:2006/01/16(月) 17:43
ところが――
いつもなら付いているはずの部屋の電気が
今日は消えていた――

「せっかく美貴が早く帰って来てやったのに・・・・」
何となく手持ち無沙汰になった美貴は
ムッとしたまま電気もつけず部屋に入った

「イテッ」

美貴は不意に何かにぶつかった

「こんなトコに、何???」
急いで壁のスイッチを入れた
27 名前:XR−7 投稿日:2006/01/16(月) 18:22
「アイツ、人の部屋に勝手にこんなのぶら下げんなって!」

吉澤が現像してぶら下げといたネガだった――

「・・・あぁもう邪魔邪魔」

さっさと片付けてしまおうと思い
ネガに手を掛けた

でもいつからこんな?
最近どことなく嬉しそうにカシャカシャ
やってると思ってたけど・・・

28 名前:XR−7 投稿日:2006/01/16(月) 18:53
どんなのを撮ってるか少し興味はあった
でもネガだったので、美貴には良く分からなかった

どっかに放っておくのも気が引けて
そのままぶら下げておいた

いつも自分にまとわりついてくる大きなイヌ・・・
そんな風にしか思ってなかった・・・
 
「――写真にしてくんないかな?」
吉澤の撮る写真が見てみたくなった
29 名前:XR−7 投稿日:2006/01/17(火) 17:19
風呂から上がり
鮭トバをつまみながらビールを飲む美貴

それにしてもアイツどこ行ったんだろう・・・

何度も携帯を手にしては
リダイヤルボタンを押す
―――『ただ今、電話にでることができません・・・』

いつからか憶えていないけど
何時の間にか美貴の家に居ついていた吉澤
正直鬱陶しくて仕方ない

でもこうして今もまた
能天気にしっぽを振って帰ってくるに違いない
心のどこかで期待していた

――しかしその日吉澤は戻ってくることはなかった
30 名前:XR−7 投稿日:2006/01/17(火) 17:31
吉澤はゼミの後の飲み会でこの日はすっかり酔ってしまっていた

「あっヤバいよよしこ目がいっちゃってるよ」
まいが心配そうに見つめる

「へぇ?そんにゃことにゃいもーん」
ろれつも回ってないみたいだ

「吉澤さん大丈夫?」
隣で飲んでいたアヤカが声を掛けてきた

「確か吉澤さん、住んでるトコうちの近くじゃなかった?
送ってこっか?私そろそろ帰ろうと思ってたし。」

まいの家は今吉澤の住んでいる美貴の家とは3駅ほど離れたところだった
吉澤をこのままに一人にするわけにも行かないので
先輩とはいえアヤカに吉澤を預けることにした


31 名前:XR−7 投稿日:2006/01/17(火) 17:47
まいと別れた後
アヤカと二人きり・・・

吉澤は次第に酔いが冷めていくのを感じた
昼のあの横顔を思い出した
そうだ思い切って・・・

「あ、あのアヤカさん!写真撮りたいんですけど・・・」

「えぇ??どうしたの突然?」

「ウチ最近コレにはまってるんですよ」
愛機をおもむろに取り出しアヤカに見せた
32 名前:XR−7 投稿日:2006/01/17(火) 18:05
「へぇー、私詳しくないけど、それって全部自分で
合わせたりするヤツでしょ?」

「そうなんっすよ、なかなか思うようにはいかないけど
味があるって言うか・・・アヤカさんのこと撮ってみたくなっちゃって」

「なんか面白そう、じゃあうちでゆっくり撮ってみる?」
そう言うとアヤカは吉澤に腕を絡めてきた

「アヤカさん??」

吉澤は突然のことで内心ドキドキしながらも
なんかもうこのままどうにかなってもいい気がしていた・・・
今日はそんなキブンだった



33 名前:XR−7 投稿日:2006/01/17(火) 18:29
「適当に座ってて」

そう促されたアヤカの部屋はまさにアヤカという感じの
センスのある落ち着いた雰囲気の部屋だった

「この部屋の明るさだと手ぶれすっかな・・・」
早速愛機をいじりながら部屋の照明を眺めた

とりあえず飲みなおそうとワインを開け乾杯をした

ふと目が合った
その時だった
吉澤の唇がアヤカのそれでふさがれた

ワインのほのかな香りとアヤカのレベルドゥリッチの香りで
また酔いがまわってしまった

34 名前:XR−7 投稿日:2006/01/17(火) 19:11
「私・・・知ってた・・・見られてたの」
まさか昼間のゼミの時間アヤカの横顔に見とれていたのを
気づかれてたとは思ってもみなかった
あの日みたいに暖かい光とともに際立った横顔・・・

「もっと見てもいいよ・・・」
アヤカはそう言ったかと思うと
身に付けていたものをすべて捨て去ってしまった

艶かしいアヤカの姿が吉澤の脳の隅々まで刺激した
溜まっていた何かをはき出すかのように
体の奥からの衝動を抑えることができなかった

欲情してしまっている
吉澤にはもう止められなかった

唇と唇が重なり合い、探るように舌を絡めた
首筋から肩に手を這わせ
そっと二つのふくらみに触れた

35 名前:XR−7 投稿日:2006/01/17(火) 19:34
美貴に対していけないことをしているという罪悪感で
より一層興奮してしまったのか

吉澤はアヤカの秘部に夢中でしゃぶりついた
アヤカの愛液と吉澤の唾液で
クチュクチュと卑猥な音が部屋に響く

いつしか自分も生まれたままの姿になっていた
吉澤ももはや果てが近い事を知る――

体中が熱を帯びトロけそうになっていた
――何の前触れもなく組み敷かれていたはずのアヤカが
吉澤を攻め立てる

「・・・あ、あぁぁ・・・・・美貴・・・」
果てる瞬間吉澤は美貴の顔が脳裏をかすめた
36 名前:名無し作者 投稿日:2006/01/17(火) 19:36
本日はこの辺で・・・
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/17(火) 21:39
すごく気になるお話です。頑張ってください。
38 名前:名無し作者 投稿日:2006/01/24(火) 06:55
>37さん
気に掛けて頂いて光栄です

それではちょっと更新します
39 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 07:09
翌朝、外はこの季節には珍しく朝から雨が降り続いていた
とても冷たい雨だ・・・

美貴の家に戻った吉澤はどうにもいたたまれない気持ちでいた
美貴はもう出かけていて顔を合わせずに済んだのが
唯一の救いと言えようか――

すべてを洗い流すかのように
ゆっくりとシャワーを浴びた
吉澤はうつろな表情で煙草に火をつける

ノラジョーンズの『Don't Know Why』が
静かに部屋に響いた

煙草の本数は増え
しだいに頭がクラクラしてくるのがわかった

「・・・・美貴 ・・・・はぁ、どうしよ」
40 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 07:16
たとえ気持ちがあろうとなかろうと
寝てしまったことに変わりはない
 
隠そうとしてもきっとカンのいい美貴のことだ
バレるのは時間の問題だ
隠し通す自信も吉澤には全くなかった

愛機を手に取り
いつも美貴の座る向かいのソファーにレンズを向ける

「美貴、ゴメン・・・・」

そうつぶやいて吉澤はシャッターをきった
41 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 07:39
――――――
美貴の事務所は眺望のいい
都心のビルの26階にあった
晴れた日は最高の眺めだが、今日は雨雲が暗く張りつめていた

アイツ今日は帰ってくるかなぁ・・・
美貴は吉澤のことが気になって仕事があまり手に付かなかった

「飯田さん、今日早く帰らせてもらっていいですか?」
このままではきっと仕事にならないだろうと思い
思い切って上司に早退を切り出した

「いいけど・・・明日のマーケティング部の会議には間に合わせてよ」
飯田は意外にもあっさりと快諾してくれた
 
「はぁーい、スミマセン」
今任せてもらっている企画をおろそかにはしたくなかった
しかし今日はどうしても帰りたい・・・

美貴は足早に家へと向かった


42 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 07:51
期待とは裏腹に
今日も部屋の電気が消えていた

「げふぉっげふぉ・・・うわっっ煙たーい」

ドアを開け部屋に入った美貴は
煙草の煙でむせ返った

「何??よっちゃんかえってんじゃん」
ソファーには寝息をたてて眠る吉澤の姿があった

帰ってきてくれた・・・
ただそれだけのことなのに
たった一日のことだ・・・
それなのに美貴の目には涙がにじんだ


43 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 08:09
「ヤバっ 美貴何泣いてんだろ」
そう言って美貴は苦笑した

吉澤はそんな美貴の気配を感じてか
目を覚ました

「あー美貴ちゃんおがえりー」
吉澤の寝ぼけた間の抜けた声で
美貴は我に帰った

「お帰りじゃないよ!よっちゃんオマエ!昨日どこ行ってたんだよ?」

昨日のことをすぐに問いただすのは大人気なくて
美貴は少し恥ずかしかったが口をついて出てしまった

「えぇぇとねぇ・・・しゃ写真の暗室・・・だよ」

吉澤の表情には明らかに動揺の色が伺えた
44 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 09:21
「一晩もずーっといたって言うの?」

「・・・うぅん」

「携帯も繋がんなかったじゃん!ホントにそんなトコにいたのかよ」
美貴は語気を強めた

「じゃ、じゃあ携帯見せよっか?」
苦し紛れに吉澤は携帯を差し出した

美貴は吉澤の表情で昨夜のことはすぐ察しがついた
女のカンだ

美貴は吉澤から携帯を受け取ると・・・

――バキッ!!
なんと真っ二つに折ってしまった

「なぁーにすんだよぉ・・・美貴」
45 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 09:37
――プラ――ン
吉澤の携帯は真ん中の線だけでかろうじて繋がっているようだった

「美貴に言えない事してたんでしょ!どうせ」
美貴はもう自分を止めることができなくなっていた
悔しいのか悲しいのか自分でも良く分からずただ声を荒げた

 ――――――

「・・・ゴ、ゴメン・・・美貴・・・もうしないからさ」
うなだれて、泣きながら美貴の足にしがみつく吉澤
肩を震わせ嗚咽がとまらない・・・

美貴より大きい体がひどく小さく見えた
まるで怯えた子犬だ

美貴は足を振りほどこうにもできなかった

子犬がほっとけないただ純粋にそう思った

46 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 10:01
「バーカ、飯食いにいくから顔洗って来い!」
そう言って美貴は吉澤の頭をクシャクシャにした

「・・・アリガト」
顔をあげた吉澤は涙でぐしゃぐしゃだったが
いつもの笑顔をみせた

美貴に申し訳ないことをしたと反省しつつも
いつもは見せない美貴の顔が見れたことに心なしか
喜びを感じる吉澤だった
 
おもむろに美貴を抱き寄せ
そっと唇にくちづけた

「スキだよ、美貴」

「・・・バーカ!調子に乗んなよ」
吉澤の真剣な眼差しにのみ込まれそうになったが
すぐにまたいつもの美貴に戻るのだった――




47 名前:XR−7 投稿日:2006/01/24(火) 10:07
続く・・・
48 名前:XR−7 投稿日:2006/02/08(水) 22:55
「美貴ちゃ〜ん、美貴ちゃ〜ん」

あの日以来吉澤は前にもまして美貴にまとわり付いていた
顔を洗うのも歯を磨くのも一緒だ

仕方なく仕事を家に持ち帰る日はパソコンに
向かう美貴の後にくっついて離れない
このままではトイレにまでついてきそうな勢いだ

「ちょっとよっちゃん!いいかげんにしてよ!」

「ふぁ〜い」

なんとも気の抜けた生ぬるい返事が返ってきた
どうやらトロンとした目には美貴の姿が映ってるようだ

49 名前:XR−7 投稿日:2006/02/08(水) 23:04
「だってぇ〜美貴構ってくんないんだもん」

ふくれっつらする姿がまた情けない

「しょうがないじゃん仕事なんだから・・・
 これ終わったら遊んであげる・・・ってよっちゃん幾つよ??」

「今ハタチ!」

そう言ってピースしてみせるあどけない吉澤を見ていると
やっぱり自然と顔がほころんでしまうのは不思議だ

やっとのことで持ち帰った仕事を終えると
パソコンの電源を落とした

ふと吉澤を見ると可愛い子出てるだのナンダノ言いながら
テレビに夢中なので
美貴はほっといて風呂に入ることにした
50 名前:XR−7 投稿日:2006/02/08(水) 23:13
のんびりとバスタブに浸かり手足を伸ばして
湯気の立ち込める天井を見上げる

するとドアの曇りガラスの向こうに人影が・・・

勢いよくドアが開いた

「ちょっ!何?よっちゃんなんで入ってくんのよ??」

「えへへ・・・いいじゃんたまには一緒入ろうよ」

吉澤はニコニコ満面の笑みだ

「美貴一人でゆっくり入りたいのに〜」

そうは言ったものの
吉澤の白く透き通った肌と美貴のそれよりも立派で豊かな膨らみ
そしてほどよいウエストのくびれにムチムチした太腿・・・
その意外なほど美しい体に目を奪われた・・・

51 名前:XR−7 投稿日:2006/02/08(水) 23:20
よっちゃんなんかエロいんですけど・・・
美貴の下半身が疼いた

吉澤との行為はこれまでに何度かあったが
いつも暗闇でされるがままだったので
まともに吉澤の裸を見るのは初めてのような気がした

「美貴ちゃんそんな目で見ないでよ、恥ずかしいからさ」

「えっ?あっ・・・ゴメンゴメン・・・」

「どうしたの?美貴ちゃんなんか変なの
 まあいいか、体洗ってあげるから早くあがんなよ」

言われるがままバスタブから上がり
美貴は吉澤に背を向け椅子に座った

52 名前:XR−7 投稿日:2006/02/08(水) 23:27
吉澤はスポンジで滑らかに泡立てると
ゆっくりと首筋から背中に滑らせた

たっぷりとした泡が気持ちイイ・・・

「美貴ちゃんこっち向いて、前も洗ってあげる」

「いいよ!前は自分で洗うから・・・」

急に恥ずかしさがこみ上げて声が上ずる

「大丈夫、うちが綺麗にしあげる」

「わ、わかった」

完全に吉澤のペースだ
53 名前:XR−7 投稿日:2006/02/09(木) 13:28
今度はスポンジも使わずに泡を沢山つけた手で洗い始めた

小さな膨らみを包み込むように
ゆっくりと優しくなであげる

目の前にはちょっとのぼせて上気しピンクに染まった
吉澤の二つの膨らみがゆらゆら手を動かすたびに揺れている

「・・・ふふふ」

いつの間にか美貴を立ち上がらせたかと思うと
いやらしい顔つきで二つの突起をもてあそんでいる
しばらくして吉澤は自らの体を寄せてきた

ヌルヌルと上下に体を動かすたびに
敏感になった二人の体は反応する

「んんん・・・よっよっちゃ・・・ん」

「・・・ん?美貴気持ちいい?」

二人の息遣いが次第に荒くなってきた
54 名前:XR−7 投稿日:2006/02/09(木) 13:41
意識も遠のきそうなくらいぼんやりとしてきたその時
吉澤の白く長い指が美貴の下半身のつぼみを捕らえた
泡のせいか何なのか分からないくらいヌルヌルになっていた

最初は優しくゆっくり触れ
そして左右に小刻みに手を動かした

もうこれだけで果ててしまいそうなのを美貴はじっと耐えた

「あぁぁぁよっちゃ・・・ん・・・美貴もうダメ」

官能的な美貴の声が吉澤の耳をくすぐり
自らも果ててしまいそうなのを堪える

――こうなったらもう止められない
つぼみを左手でもてあそびながら
素早く右手の人差し指と中指を美貴の中にすべりこませた

「あぁぁ・・・うぅぅ・・・ィク・・・」

美貴はぐったりと吉澤にもたれかかった――


55 名前:XR−7 投稿日:2006/02/09(木) 13:42
――翌朝
56 名前:XR−7 投稿日:2006/02/09(木) 13:53
支度を終えコーヒーを飲みながら一服する美貴
その向かいでベーグルにぱくついて
ニコニコ顔の吉澤が言った

「やっぱりさ・・・泡っていいね!これから毎日一緒に入ろ」

「はぁ???」

美貴は返す言葉も見つからないまましどろもどろだ

「そ、そんなこと今話すことじゃないだろ!!」

「えへへ、別にいいじゃん、気持ちよかったし」

「もう美貴行くね」

顔を赤くして美貴はそそくさと出掛けてしまった

美貴ちゃん照れちゃって可愛いなあ・・・
そんなことを思っていると
テーブルの上の携帯が鳴った
57 名前:名無し作者 投稿日:2006/02/09(木) 14:10
なんともアレな感じになってしまいました
58 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/10(金) 00:39
なんともイイ感じですよ〜(*´Д`)
59 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/11(土) 01:16
なんとも最高な感じですな(;´Д`) ハァハァ
60 名前:名無し作者 投稿日:2006/02/17(金) 13:23
>58名無飼育さんさん
喜んで頂いてなんとも嬉しいです

>59名無飼育さんさん
褒めていただくとなんともやる気がでるものです

またまたちょっとだけですが更新します
61 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 13:36
吉澤の携帯は真っ二つに折れてはいるものの
使えてはいるようだ

右手に持った携帯は耳にもう半分は左手で口にあて
電話に出た
はたから見たら携帯だとは思われ無そうだ

「もしもし、よしこ?」

「あぁ、まいちん久しぶり」

「ねぇまた学校サボってるでしょ?そのままだと単位とかヤバいんじゃないの」

「うん、まあ、そうかも・・・」

吉澤はしばらくまた学校をサボっていた
どうしても足が遠のいてしまうのだ
できることならアヤカとはこのまま顔を合わせずにすませたかった・・・
会ってフツウに話せば今まで通りの関係に戻れるような気はしていた
アヤカは吉澤よりずっと大人なのだから・・・
62 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 13:46
「ちょっと、よっちゃん??」

「あぁゴメンちょっと考え事」

「まあともかく、この親切なまいがノート貸してあげるから
 学校に来る事!! まいってなんていいヤツ」

「自分で言うなよ」

「ははは、じゃあ学食で待ってるから」

「え?あっ・・・何だよ一方的に」

半ば強制的にでも誘ってくれてありがたかった
何かのきっかけがないと
とてもじゃないがこのままずっと学校には行けそうになかったからだ

「現像もしたいしな・・・」

無造作に置かれた撮りっぱなしのフィルムに目をやる
何を撮ったかすぐには思い出せなかった



63 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 14:00
臆病なくせに時々自分でもコントロールがきかないことがある
そしてそこから逃げ出してしまう・・・
こんなことの繰り返しだ

「うわぁーすげ−いい天気!」

外に出て吉澤は大きく息を吸い込み空を見上げた

冬の澄んだ空気が空をより青くしていた

──カシャッ

「露出テキト−だけどまいっか」



64 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 14:12
もうすぐ試験期間が近づいていることもあってか
学食はたくさんの人でごった返していた

「うわ!人いっぱいじゃん、やっぱ来なきゃよかったなぁ」

まいを探すのにもうんざりとしていたところ
ふいに吉澤はポンと肩を叩かれる

「吉澤さんだよね?」

「あ、あの確か石川さん…」

まいとテニス部で一緒の石川だった
前に何度か顔を合わせることがあったが
あまり話をしたことは無かった

「私もまいちゃんとお昼食べようと思ってたのよ」

「あーそうなんだ」

「まいちゃん吉澤さんの事すごい心配してたよ」

早く行こうと石川に笑顔で腕をつかまれる
石川の行動に少し戸惑いながらも
促されるまま、まいのいる席に着いた


65 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 14:22
「あれ?よしこ梨華ちゃんとそんな仲良かったっけ?」

腕を組んできたのが不思議に感じたのだろうか…

「え、あ、いやそこで偶然会っただけだから」

「もう!よしこ綺麗な子には目がないから」

「いやいや私いま一途ですから」

「あっそうだったね。それはともかく何で
 ずっと学校来ないわけ?」

急に本題に入るまいはさすがだ

「別に…来る気がしなかったから…かな」

吉澤は核心をつかれまいと急いで煙草に火をつけ
思いっきり煙をはき出した
66 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 15:06
「ふーん」

よっぽど聞かれたくないと言う顔をしていたのだろう
まいは意外にもこれ以上聞いてこなかった

「まいが親切にノート貸してあげるからいいけど
 カメラのことばっかじゃダメじゃん!ちゃんと学校おいで」

「うん。ありがとまいちん。ウチまいちんいなかったら
 ぜってー留年だわ」

「だよね、今度なんかおごってよ」

「ハイハイ、じゃあまいちんのセクシーショットでも撮って
 あげよっか?」

吉澤はニヤニヤしながらまいのミニスカートから
スラリと伸びた足をまじまじと眺めた

「うわっ何そのエロ目線!やめてよ、よしこ」

「ハハ、まいちんもいい足してんなぁと思ってさ」
67 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 15:26
隣で黙々とパスタを口にしていた石川が口を開いた

「でも夢中になれることがあるっていいよね
 私なんかあんまそういうのないから」

「でもこんなエロオヤジみたいのは困るけどね」

「ウチは美の探究をしてるだけなの!」

そう言って笑う吉澤の笑顔がまいにはどうしようもなく
可愛くて仕方なかった…

「あっもう5限の時間じゃん、よしこ行くよ!
 梨華ちゃんまたね」

「まいちゃん、吉澤さんバイバイ」

まいと吉澤は石川と別れ学部の講義室へ向かうのだった
68 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 15:31
──────
69 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 15:42
「よっしゃ、今日はぜってープリントまでするぞ!」

結局吉澤は説得するまいを振り切ってフィルムの現像のために
暗室に来てしまっていた……

明かり一つ点けない部屋全部を暗くした全暗室で
撮影したフィルムからネガを取り出す
ゆっくりと慎重にそれをリールに巻きつけていく

「この間は端が挟まっちゃってちょっと折れちゃったから
 今度はうまく巻かないと…」

巻きつけたリールを今度はステンレスのタンクに入れ
現像、停止、定着と順序良く処理液を入れていく

時計と睨めっこしながら次々と現像作業をこなす

「現像は温度と時間が命だからな」

かなりデリケートな作業に緊張が続く
70 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 15:55
「ふーっ…あとは乾かすだけか」

薬剤をすっかり洗い流しリールからネガを取り外し
暗室の電気のスイッチを入れる

「うーん、結構いい感じじゃね」

ネガをフィルムクリップで室内のロープにつるした

久しぶりの緊張した作業に程よい疲れを感じ
なんともいえない満足感が得られた……


71 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 16:57
家に戻った吉澤はゴロゴロとベッドの上でくつろいでいた

少しでも試験の勉強でもしようかと思い
ごそごそとまいに借りたノートをカバンから取り出した

『民法 第4章 法律行為 第一節 総則
 第90条 公序良俗違反  譲渡担保についての判例』
丁寧な字でびっしりとノートに書き込まれていた

「そういえば確か全裸の写真ってこの法律のせいで
 プリントしてもらえないんだっけ…ふふ
 そういうのは憶えやすいんだけどな…あぁぁ面倒くさー」

結局何もしないままノートを閉じて
ベッドに横たわってしまった

シーツに顔をうずめると美貴の匂いがした気がした
…ふと昨晩のことを思い出す


72 名前:XR−7 投稿日:2006/02/17(金) 17:28
吉澤は自分でブラのホックを外し
そっと敏感になった突起に触れてみる

ゆっくりと揉みしだき自らを高めていく…
泡のヌルヌルした感覚がよみがえる

「んんん……うぅ…」

思わず声が漏れる

ジーンズのファスナーとボタンに手を掛け
ショーツの上から触るとじんわりと湿っているのがわかった

昨夜の濡れた美貴の姿が脳裏を離れない

自らの中をかき乱し
指の動きをさらに早める…

「ハァハァ…ヤベ、イキそう…」

恍惚としてきたその時だった

───ガチャッ
「ただいまー」



73 名前:名無し作者 投稿日:2006/02/17(金) 17:31
これまたアララなところですが
今回はこの辺で…
74 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/18(土) 01:06
アララ
75 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/19(日) 00:55
アララ━━≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━!!!!!
どうするどうなるw
76 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/21(火) 23:58
すんげーイイ!!
作者様続きをお願いしまっす!!
77 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/11(木) 20:01
まだかなー
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/24(月) 18:38
待ってます
79 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/23(水) 16:44
待ってます

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