からっぽ 2

1 名前:ゆら 投稿日:2006/01/18(水) 16:09
アンリアル学園物です。
よっちゃんの、切ない片思いのお話。
黄板で書いていたものの続きです。

こちら前スレ
ttp://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/dream/1093503920/
2 名前:ゆら 投稿日:2006/01/18(水) 16:10
無理かも、なんてさ。
そんなに簡単に終わっちゃうんだ、うちらは。
あたしは人間の薄情さにうんざりきていた。

初めて人を好きって思えて、勇気をだして告白して、実って・・・
けど、その時の嬉しさ以上に別れは辛かった。
知らなかった。そんなの。

人を好きになるって、怖い。


・・・

梨華ちゃんとはギクシャクしたまま、あたしたちは別々の道へと進んだ。
あたしとごっちんはそのままエスカレーター式で高校に。
見慣れないセーラー服の梨華ちゃんを地元で見かけるたび、なんだか悲しくなった。
最初のころはね。

けどだんだん慣れていった。
たまに挨拶とかもするようになったし、今はお互いに生活があるんだもん。
あんなに燃えていた気持ちもこうやっていつかはさめるってことも分かった。
だからうちらは別れたんだ。

所詮、恋なんてこういうもんだってね。


もう、絶対人なんて好きにならない。


あたしの高校生活はそんな気持ちで始まった。
3 名前:ゆら 投稿日:2006/01/18(水) 16:10

そして高1の秋、あたしは矢口さんに出会うことになる。
願わくば、甘い恋。

梨華ちゃんの時の反省は一体どこへいったのか。
あたしは一瞬で恋に落ちた。
人を好きになるってことは怖いこと。
あたしはそうやって

逃げてきた。

けど、そんなことはまんまと覆された。

矢口さんの、素直で、明るくて  
その無垢な笑顔で。
4 名前:     投稿日:2006/01/18(水) 16:11



そして今。
・・・
5 名前:     投稿日:2006/01/18(水) 16:11


「あ、着いちゃった。」
梨華ちゃんとの他愛ない時間は、あっという間に過ぎた。
うちの学校の前につくと、梨華ちゃんはマフラーを返そうとした。
「ありがとう、これ。」
やや、いいよ。とあたしは優しく言った。
梨華ちゃんってば謙虚だなぁ、本当に。それともあたしのマフラーなんてしたくないって?なんちゃって。

「郵便受けにでも入れといて。」
あたしは笑ってそう言うと、手をふってそのまま背を向けた。
「分かった。」
バイバイ、という梨華ちゃんに、あたしは後ろ向きのまま手を振った。

サヨナラとか、バイバイとか
そういう言葉はあてにならない。

そして、好きとか愛してるとか
そういう言葉は、もっともっとあてにならないのだ。
6 名前:     投稿日:2006/01/18(水) 16:11

門からすでに文化祭一色だった。
みんなまだ朝の8時だっていうのに脚立やらガムテープやら持って走り回ってる。
あー・・・気が重い。
クラスの出し物のことを考えると本当に帰りたいよ・・。

「あーー!!よっちゃん遅い!!」
向こうから色紙を振り回して走ってくるのは・・・・
あぁ、そんな顔しないでよ。
ホントは可愛い顔してんだからさ、ねぇ
「ミキティ、コワイ・・・」
思わず本音をポロッと。

キーッと怒りながら色紙をあたしにつきつけてきた。
な、なに・・・??
「今日早く集まるのは、よっちゃんにサイン書き溜めしてもらうためだったんだからねー!!」
げげ、とあたしは身を引く。
先週見たあのダンボール一杯に入った色紙を思い出したのだ。
まさかあれ全部・・・・??
7 名前:     投稿日:2006/01/18(水) 16:12

しぶしぶあたしはミキティに引っ張られながら教室に向かった。
心のどっかで矢口さんに会いたくないと思いながら。
矢口さんのクラスはたしか、市井さんがホストやるんだっけ・・・・
3年生の階を通り過ぎるとき、ちょっと早足になった。

幸い矢口さんに会わずにあたしは無事教室についた。
はぁ・・・今日はもう閉じこもってようっと。

「みんなーよっちゃん捕まえたよ〜〜」
ミキティの声にみんな怒った様子でこっちを見た。
あはは・・・ごめんなさーい・・・。
「すぐやりますよ・・。」

早速山積みにされた色紙にあたしは嫌々・・・じゃなくて黙々とサインを書き始めた。
サイン?シャシャシャッって書くあれ?
あんなん書けるかっつーの!芸能人じゃないんだから。
まぁうちの学校からしたらあたしや市井さんは芸能人みたいなもんか・・・・。

「スタンプラリーの準備もおっけーだよ〜」
気の抜けた声でごっちんが教室に入ってきた。
「おーおはよう。」
あたしは色紙片手にそう言った。
気まずそうな顔もせずにごっちんはおはよーと返してくれた。

そいえば、昨日あたしが矢口さんに告白したこと知らないんだよな・・・。

「ねぇ、ごっちん。ちょっと手伝ってよ。」
「ほえー?いいけど。サインは自分で書かなきゃ意味ないよ。」
分かってるっつーの、とあたしはツッこむ。
8 名前:     投稿日:2006/01/18(水) 16:12


みんなは準備を終えて教室でくつろいでいた。
あたしとごっちんは端っこでひたすらサインを書く。
というか、ごっちんが色紙を渡してくれて、あたしが書いて、色紙を渡され、書いて、渡され、書き・・・あ"ー!もうっ

「ほらーイライラしないのー。お昼休憩一緒にまわろうね。」
え、休憩あるんだ。とあたしはホッとする。
あたしがいなくなったらうちのクラス出し物成り立たないもんね。その間は営業中止ってことか。
「うん。4組の焼きそば食べたい。」
パンフレットで目をつけていた焼きそば。ごっちんも好きなんだよねー。
「おっけー。」
今日は焼きそばだけを支えに頑張ろうっと。
9 名前:     投稿日:2006/01/18(水) 16:13

「ねぇ、ごっちん。」
んー?と彼女は色紙を重ねながら聞き返す。
「あたしね、矢口さんにもっかい告ったんだぁ。」
少し頑張って笑顔をつくった。
それでも声が暗かったのか、ごっちんもそれに気づいていた。
「・・・そっか。」

「ちゃんと、フラれてきたよ。」


ちゃんと、なんてカッコつけたけど。
惨敗。
当たって砕けたって感じんだけど、とあたしは笑った。

「・・・そっか。」

ごっちんはそれだけしか言わなかった。
きっとカンがいいから気づいてるだろうな。

矢口さんは市井さんのことが好きだからってことも。
複雑だよなぁ・・・ごっちんからしたらさ。
でもありがとう。
これ以上は聞かないでおいてくれるんだね。

優しいね、ごっちんは。
やっぱ大切な親友だよ。
10 名前:     投稿日:2006/01/18(水) 16:13

8時50分。

間もなく文化祭が始まろうとしていた。

「長い一日になりそう。」


・・・

  大丈夫。
  文化祭が終われば,三年生はもう学校に来ない。
  だから大丈夫
  もうすぐ、忘れられる。
11 名前:ゆら 投稿日:2006/01/18(水) 16:16
更新終了です。

青板をご覧の皆さん、初めまして。ゆらと申します。
黄板では少数ながらもいつもコメントをくださった人に感謝しています。
さてこちらでもなるべく更新早めで頑張っていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
えー初めて「からっぽ2」からみる人も、暇があれば前スレも見てくれると嬉しいです。
12 名前:通りすがりの者 投稿日:2006/01/18(水) 19:47
更新お疲れ様です。

そして新スレおめでとうございます。
これからも拝見させていただきます。
次回更新待ってます。
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/19(木) 11:27
更新お疲れ様です

前スレからずっと(?)読んでました
続き楽しみにしています
頑張ってください
14 名前:名無し娘。 投稿日:2006/01/21(土) 09:52
新スレおめです
いつも楽しませてもらってます
石川さんがどういう風に4人に絡んでいくのか・・・気になります
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/04(火) 10:05
待ってます!
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/16(日) 12:59
待ってますよ
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/18(金) 03:52
前スレから一気に読ませて頂きました。
矢口と吉澤の一方的な気持ちが今後どうなっていくのかがとても気になります。
久しぶりに飼育作品ではまったので、どうか頑張って完結させて下さい・・。
応援してます。

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